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189小劇場
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月11日(火)01時01分30秒
- 題名の189→いちやぐ→さやまりの話を書いていきたいな、と。
出来れば現実世界の方を書きたいのですが、今はもう妄想したいが絡みが見れない状況なので。
娘。じゃなくてもいいという方は、もしよろしければ、見てやってください。
- 2 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時02分01秒
- タバコの匂いは、嫌い。
服にも付くし、髪にも匂いが付くし。
何より、身体に悪いし。
高校3年という、大事な大事な学年。
親に無理言って、勉強に集中したいからと適当な理由を言って借りてもらったマンションの一室。
自由で、1人の気ままな生活。
親にも縛られないし、妹にも怒鳴らなくてもいい。
―――なのに。
「ただいま……あ」
多分、またかという顔をしてるだろう。
カギ開いてたから、いるとは思ってた。
そしてもちろん、開けた時に匂う、タバコの匂いも、やっぱり匂ってきたんだ。
- 3 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時02分35秒
- 「紗耶香っ、この部屋、禁煙って言ってんじゃん! なんで吸うんだよぉ!!」
「あー、矢口お帰り〜」
「お帰り〜、じゃない!」
素早く紗耶香、市井紗耶香の指からタバコを奪って、火を消す。
んで、またすぐにキッチンに行き、換気扇を回す。
ほぼ毎日の習慣といってもいいくらい。
「バカッ! 服、匂い染み込むって、何度説明したら判んのっ!
ガッコ行って怒られんの、矢口なんだからねっ!!」
「まあ、そう怒りなさんなって」
「……………のやろぉ〜」
ガシガシと、紗耶香の短い頭をボッサボサにしてやる。
身体や息は、タバコの匂いがするのに、髪はものすごくいい匂い。
――なんて、そんなこと思ってたら、いつのまにか身体全部抱えられていた。
- 4 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時03分05秒
- 「好きだよ」
「なっ……なんだよぅ、いきなり!」
「いいじゃん。その匂い、市井とおそろいってことで」
「よ、よくないよそんなのっ」
顔を背けてよけようとする矢口の抵抗なんか、全然効いてやしない。
年下のくせに、にやにやからかうような視線。
昔は、髪も長くて、大人しい、女の子女の子した子だったのに。
いつからだろ。
タバコなんか吸ったり、こんな性格になったのは。
「んんっ……」
重ねられる唇。入ってくる舌。
苦い苦い、タバコの味。
――――嫌いじゃない。
紗耶香だから、許せる。
- 5 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時03分48秒
- 慣れたように、制服のボタンを外してく。
じらすように外されて、矢口の身体は紗耶香が欲しくて欲しくてたまらない。
「……んぁっ、あ……やっ」
こんなこと、矢口以外の人にもやってるのかな。
たとえ、やってないとしても、やりたかった人を、矢口は知ってる。
――彼女の名は、後藤真希。
突然矢口達の前に現れて、突然消えて行った。
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時05分50秒
- いちーちゃん、なんて、彼女独特の紗耶香の呼び方。
最初は恥かしそうだったけど、だんだん呼ばれてると嬉しそうな顔してたっけ。
彼女は本当に、不思議な子で。
あれだけ矢口が苦労した紗耶香の気持ちを、いとも簡単に向かせてしまった。
そして、向かせた途端、消えて行った。
理由は、判らない。
そして、その彼女が消えた途端、紗耶香は変わった。
本当は、好きじゃないクセに。
なんとも、思っていないクセに。
嘘をつくようになって、矢口の大嫌いなタバコを吸うようになって。
夜遊び、家に帰らないなんて、もっぱら毎日。
そして、気が向いたら矢口のウチに寄る。
そして、彼女の代わりに矢口を抱く。
――これじゃまるで、便利屋だ。
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時06分20秒
- 「……ったしは、代わりじゃないっ……!」
「え……?」
「ごとぅ、まきのっ、代わりなんかじゃ…」
「矢口………」
紗耶香の顔色が変わる。
指摘されちゃったから?
それとも、気分が削がれちゃったから?
「………アイツの代わりで、矢口を抱けるワケない。
………………………不器用で、判りにくいかもしれないけど、ちゃんと、矢口を見てるよ」
「………あ………」
哀しそうに目を伏せる紗耶香。
そして矢口は、ものすごく誤解をしていたことに気付く。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月11日(火)01時07分02秒
- どうして、嘘だと思ったんだろう。
どうして、信じてなかったんだろう。
紗耶香は、目を見て「好きだよ」と言ってくれていたのに。
1度くらい、向いてくれなかったくらいで、何をそんなに。
今、向いてくれていた紗耶香の瞳は、矢口の一言で逸らされる。
タバコくらい、誰だって吸う。
性格だって、いつのまにか変わっていったりもする。
便利屋だって、いいじゃない。
紗耶香は、こうして傍にいてくれた。
彼女が消えて、紗耶香までもがいなくなってしまうと思い込む心が恐くて、
何度も紗耶香に「傍にいて」と懇願した。
向いてくれなくたって。
忘れられなくたって。
矢口は、紗耶香のことが好きなんだから。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時07分32秒
- そう想っていた気持ちは、何処へ行ったのか。
いつのまにか向いていてくれた視線に気付くことなく、1人で勝手に思い込んで。
そしてその思い込みは、自らを破滅へと追いやってしまう。
「や……、待って! 紗耶香待って…」
消えて行く後ろ姿に、紗耶香の匂い。
大っ嫌いな、タバコの匂い。
だけど………、――大好きな匂い。
矛盾してるね、何もかも。
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時08分09秒
- 題紗耶香がいなくなって、1ヶ月経過。
部屋から、タバコの匂いは消え去った。
普段、料理なんかしないから、換気扇はもう埃が散ってる。
かといって、掃除しようとは思わない。
机の上には、場にそぐわぬ、可愛さのかけらもない灰皿。
直す、捨てる気は、ないに等しい。
1ヶ月と1週間が経過。
カギを開けようとドアノブに手を伸ばすと、なぜか開いてる。
はやる気持ちを押さえて、いつものようにゆっくりとドアを開ける。
そして……
「ただいま……あ」
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時08分45秒
- 多分、ものすごく嬉しそうな顔をしているだろう。
部屋の中からは、大っ嫌いなタバコの匂い。
同時に、大好きな紗耶香の匂い。
「紗耶香っ、この部屋、禁煙って言ってんじゃん! なんで吸うんだよぉ!!」
怒鳴る自分と、頬が緩むのをやめれない自分。
あああ、矛盾ばっかり。
それでも矢口は、この匂い、大っ嫌いで大好きだ。
〜終了〜
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)01時10分07秒
- ただの自己満足かもしれませぬ。。。
よろしければ、感想や、どんなさやまりが見たいかなどのリクエストもお願いします。
出来るだけ、書いて、参考にしたいと思いますので。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)02時42分57秒
- よかったれす。
最後にまたいつもの日常が始まるところなんか、とくに。
このふたり好きなんで楽しみにしてますね。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)08時09分50秒
- 独特の空気感がよかったです。
今度は、市井が矢口をひたすら追いかける
話が読みたい。
- 15 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時41分16秒
- 「………可愛い」
「えっ?」
「あの子、可愛い」
何処だ何処だ、と頭をきょろきょろさせて。
誰だ誰だ、自分より15cmほど小さい彼女のお目にかかれるようなヤツは。
「ほら。あの、今ちょうど校門とこ向かってる」
「ああ。多分わかった」
肩までの、ものすごくサラサラそうなストレートの黒髪。
時折見える彼女の横顔は、確かに可愛い。
「うし。ちょっと確かめてみてくるよ」
そう言ったら、がしっと後ろの襟首を掴まれた。
- 16 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時41分49秒
- 「……彼女が隣にいるってのに、さやかくんは大胆だね」
「へっ?」
「確かめてどうすんの。ナンパでもするつもり?」
「え…あ、いや、そんなことは……」
ただ、可愛いって言ったから、どんな子かちゃんと見たかっただけで。
「そもそも、そこから間違ってると思う。
どうして、人が可愛いって言ったら、見たくなるかなぁ」
「やぁ、好奇心ってあるじゃん? いつまでもいちーは持ち続けていたいんだよ。
矢口、好奇心旺盛な少年タイプ、好きでしょ?」
「無理して、タイプに合わせてくれなくてもいいよ…」
頭を抱えて、矢口は1人でブツブツ言ってる。
何やってんだ、と思って覗き込もうとしたら、ちょっと怒ったような顔を上げた。
- 17 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時42分23秒
- 「ほんっと、気ぃ利かないね! あー、梨華ちゃんがうらやましいよ。
あーんな優しいよっすぃーが恋人なんて」
「な、なんだぁ?」
「よっすぃーだったら、『そんなことないです。矢口さんの方が可愛いです』って、
言ってくれるんだろうなぁー!」
「………………」
まあ、確かに、吉澤は優しいから、言ってくれるかもしれない。
でも、こっちも負けちゃいられないぞ。
「あんな子なんかより、矢口が1番可愛い。超可愛い」
「嘘見え見え」
「そんなことないよ、ほんとだよ」
耳元で囁く。
他の生徒達が見てるのも、気にしない。
- 18 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時42分55秒
- 「矢口は、可愛い。可愛い矢口、好きだよ」
「……………も、もぉいいよぉ」
うははは。照れてる。
いや、冗談じゃなく、マジ可愛いッス。
ここでキスなんかしちゃったら、怒るかな?
―――怒らない方に、賭けてしまおう。
「……………人、いっぱいいるのにぃ」
「………へへへ」
賭けは、いちーの大勝利。
- 19 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時43分26秒
- 「矢口、可愛い。可愛すぎるっ」
「わっ、頭抱くなぁ! 今日髪型イイ感じなのにぃ!」
「可愛い可愛い」
「言ってること通じてないじゃん!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ矢口を横に置いて。
後ろに、さっきキスした所を見られた子達の視線を感じながら、歩く。
歩いてると、矢口が少し立ち止まって、こう言った。
「………あの子、やっぱ可愛い」
さっきは、横顔だったから気付かなかったけど。
今は、こっちの方向いて、誰かと喋ってる。
大きな、黒い瞳と、真っ黒な黒髪がものすごく綺麗で。
つい、言ってしまったんだ。
- 20 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時44分00秒
- 「……ほんとだ、可愛いね」
言ってしまってから気付いてももう遅い。
横には、思いっきり膨れっ面してる、可愛い彼女。
「う、嘘々っ。矢口の方が、全然可愛いって!」
「うるさいっ。もう独りで帰れぇ!!」
「ちょ、待ってよぉ〜!!」
ダッシュで追いかける。
まったく、彼女は怒りんぼで困るんだ。
だけどそんなとこもやっぱり、
――――めっちゃくちゃ、めっちゃくちゃ可愛いんだけどね。
- 21 名前:「可愛い」と言って 投稿日:2001年09月11日(火)10時44分41秒
- 「………ねぇよっすぃー」
「んー?」
「あそこに居る子、なんかすっごい可愛いね」
「………どれどれ」
てっきり、よっすぃーは優しいから、『そんなことないよ。梨華ちゃんの方が可愛いよ』って言ってくれるの、
密かに楽しみにしてたのに……。
「………ホントだ。すっげぇ可愛い」
矢口さんが羨ましい。
あーんな優しい市井さんが恋人だなんて。
絶対、『そんなことないよ。矢口の方が比べ物にならないくらい可愛い』とか言ってくれるんだろうなぁ。
―――思うことは、お互い様。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)10時49分23秒
- 終了。
1番目があんなだったから、今回は少し甘くしてみました。
それと、前回の話の題は「匂い」です。つけるの忘れてました。
>>13
ありがとうございます。
ああいう終わり方、個人的に好きなんで、使わせてもらいました。
一応、今回の話はハッピーエンドかな?
>>14
1番目のは、個人的にめっちゃ気に入ってます。
謎とか、突っ込みどころはたくさんなんですが、あえて謎とかをそのままに終わらせました。
市井がひたすら矢口を追いかける話、考えときます。
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月11日(火)13時50分54秒
- 最後のオチで作者さんの
ファンになりました(w
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)14時29分41秒
- やった!!さやまり発見!!
すごくいいです!!
短編じゃなくて長めのをお願いしてもいいんですか?
内容は作者さんが書いて頂けるなら何でもいいです。出来れば甘めで(笑)
初レスで注文いっぱいですいません。
気が向いたらぜひお願いします。
- 25 名前:24です 投稿日:2001年09月11日(火)15時17分45秒
- 良く見たら短編用のとこでしたね、、。
すいません。
- 26 名前:名無し 投稿日:2001年09月11日(火)18時28分31秒
- 花板から来ました。やっぱさやまりいいなぁ。
作者さん、名前伏せてるんですか?
- 27 名前:ぐれいす 投稿日:2001年09月11日(火)23時32分43秒
- やっぱあの子は噂の愛ちゃんですか(w
- 28 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時00分24秒
- ガタガタガタッ、ガタン!!
足場の悪い道を、一台の自転車が、かごと車体を揺らしながら走行中。
マウンテンバイクでもなけりゃ、便利のいい、機能付きの自転車でもない。
濃い青を基調にした、普通の自転車。今風に言うと、ママチャリ。
そんな至って普通のママチャリの後ろで、ガタガタ振動を伝えられて。
矢口真里の口からは、こんな道を選んだ、運転手の市井紗耶香への文句しか出てこない。
「ちょっとぉ、なんでこんな道通るんだよぉ。お尻、めっちゃ痛いんだけど」
「こっちだって痛い〜。しかも痛い上に、運転してるため疲れが……」
「プーなんだから、ちょっとは疲れくらい溜まったってへっちゃらへっちゃら」
「な、なんだとぉ?」
- 29 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時01分01秒
- 言ってはならないことをぉ、と市井が怒る。
矢口は、きゃはは、と笑って、お腹に回した手に力を込めた。
待ちに待った、丸1日のオフ。
家でゆっくり……なんていうのもよかったんだけど、たまには外の景色も見たい。
でも、買い物や喫茶店とかじゃ、落ち着けないし。
何より、周りが騒がしい。
大好きな大好きな、市井を誘って。
ちょっと、自転車での2人旅。
――行き先は、紗耶香にお任せ。
……だってまさか、まさかこんな道通るなんて、思ってもみなかったから。
- 30 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時01分35秒
- 「こっちだって好きで通ったワケじゃないよっ。
ただ、曲がるトコ間違えて、気付けばデコボコ道入ってたんだって!」
必死に言い訳する市井。
それを、不機嫌そうに眺めている、矢口。
「っていうかさ、もう疲れたよ。かれこれ、2時間近くこいでんだよ?
ここは、先輩が代わってくださいよ」
「なんでぇ。しかも、先輩じゃないよ、同期じゃん」
「………それは、モーニングの話でしょ」
今市井が言ってんのはぁ、年齢の先輩後輩ってことで。
そう言うと、すかさず矢口が言い返す。
「それだったら尚更、後輩がこがなきゃ。
紗耶香、剣道部で習ったでしょお? 先輩の負担を、後輩がカバーしなくちゃ」
「ぐっ……」
- 31 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時02分05秒
- 最近ちょっと毒舌になってきた上、頭の回転が早い矢口には、やっぱり口では勝てない。
圭ちゃんだったら、なんとか勝てるのに……。
そう思うけど、今後ろに乗っているのは永遠のライバルじゃなく、最愛の彼女であって。
立場にしても、口にしても、どうやっても勝てないのだ。
「………でもさ、紗耶香」
「なんスか?」
「いや、いつまでこの道続くのかなーって」
「…………………」
時間は、もうすぐ6時になる。
いくら9月の始めだといっても、それくらいになると辺りが薄暗くなるワケで。
「…………あと、5分くらいかな?」
「…………それ、さっきからずっと言ってるんですけど……」
時間は、どんどん過ぎる。
- 32 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時02分38秒
- 迷ったんなら、素直に迷ったって言えばいいのに。
怒ったようにそう言ったら、ものすごくつらそうな顔をして謝られた。
「矢口、せっかく久しぶりのオフだったのに………ホント、ごめん」
「ちょ、ちょっと、どーしたのさ」
「いや……なんか、余計疲れさせたみたいだし……」
振動にもう耐え切れなくなって、2人で歩く。
疲れたのは、本当。
だけれど、謝られる筋合いは全然ない。
「楽しいよ、紗耶香といるの。すっごい楽しい。
別に、疲れたって何したって、矢口が好きでこうやっているんだもん。
紗耶香が、そんな謝ることなんてないんだよ」
- 33 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時07分18秒
- それにね、と言葉を続けて。
「道に迷ったの、本当は嬉しいんだ」
「え、なんで?」
「だって少しでも長く、紗耶香と一緒にいれるじゃん……」
この2人旅が終了したら、自動的にお別れで。
今度は、いつオフになるか判らない、そんなお仕事。
以前までは、一緒に居れたけれど、今はもう違う。
「電話で話してたら、やっぱ逢いたくなっちゃうもん。
んで逢ったら、やっぱ別れたくないし……そりゃ、いつかは別れなきゃいけないけど」
今は、お別れの時間が、ちょっとでも延ばされたのが、とても嬉しい。
少しでも、一瞬でも長く、傍にいれるから。
「……矢口……」
急に愛しさが込み上げてきて、市井は、照れてる彼女に、自分の顔を近づけた。
- 34 名前:自転車で2人旅 投稿日:2001年09月12日(水)00時08分38秒
- それからデコボコ道を抜け出して、知っている道を見つけたのは、意外にも早かった。
軽快にペダルをこいで、2人旅の終わりを目指す。
お別れの時間が、近付いてく。
キィーッ、というブレーキの音と振動が、停止のお知らせをしてくれる。
これで、ちょっぴり長かった自転車での2人旅は終わり。
最後は、お礼を言って、キスをねだって。
そしてまた、今度のオフ、遊ぶ約束をして、家に帰ろう。
―――けれどそれは、まだ言えない。
「おっかしいなぁ…」
「ん? どした、紗耶香?」
「あ、あは。……ちょっと、曲がるトコ間違えて、道迷っちゃったみたい……」
「…………おい」
だって、自転車での2人旅は、まだ終わらないのだから――。
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月12日(水)00時10分05秒
- 終了です。
>>23
オチ考えるの、とっても大変です。
ですが、そのオチを見てファンになってくれたというのは、ものすごく嬉しいです。ありがとうございます。
>>24-25
甘めは、得意というか、それしか書けないので、ご期待に添えれると思います。
今回の話も、甘く(というか、ほのぼの)にしてみました。
長めの話は短編用というのもあり、違うものも掛け持ちしているので。。
どんな甘めの話がいいかというリクも、待ってます。
>>26
板を越えてやってきてくれて、感激です。
名前は………しーっ(w
って、隠すほどでもないんですが(w
>>27
バレましか、やっぱ(w
あえて、可愛い子の名前は出さないようにしたんですが。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月12日(水)01時48分31秒
- 連夜の更新とってもうれしいれす。
と〜まわりしてか〜えろ。れすね(w
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月12日(水)10時53分13秒
- 向こうが交信されてないと思ったらこっちで(w
やっぱさやまりいいです!
愛ちゃんも出すなんて豪華な顔ぶれで(w
次も甘〜いの期待してます!!
- 38 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時51分19秒
- 矢口真里の想い人は、ファーストフード店に勤めてます。
「矢口さ〜ん、今日も行くんですかぁ?」
「行くよぉ。当ったり前じゃん」
「もうやめましょうよ〜」
グチグチうるさい後輩達。
でも、ここで怒鳴ったら、ついてきてくれないから。
「頼む! 先輩の恋のお手伝いだと思ってさぁ!
あんたたち、よっすぃーと石川の恋のお手伝いもしてやったじゃん!」
「やー、それはそうですけどぉ……」
「私、もうハンバーガー食べ飽きましたよ」
「うるさい、アニメ声」
- 39 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時52分40秒
- よっすぃー、矢口さんがあんなこと言う〜!
独特の声で、吉澤に訴える。
それを、よしよし、とあやす吉澤。
目の前でイチャつかれると、矢口としてはたまったもんじゃない。
「何やってんの、ほら早く!」
イチャつく後輩達を引きずって、もう毎日通っているファーストフード店へと入る。
店長の保田という人が、また来たよこの子ら、という顔をしているのも、無視。
お目当ての、市井紗耶香がレジをしている所へと並ぶ。
「あ、あの、コーラとてりやきバーガー、1つ」
「はい、かしこまりましたぁ」
にこっと笑顔。
これだよ、これ。
この笑顔が、最上級品ってもんだよ。
ただ、これがお仕事上での笑顔なのかどうかが気にかかるけど…。
- 40 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時53分19秒
- うぅ、もう少し勇気があったら、あともうほんの少し、可愛かったら。
もっと、喋れたのかな。
「……いや、もう十分喋ってますよ」
「もう、これでもか!……ってくらい、喋ってますよね」
「う、うるさいなぁ」
だけれど、あともう一押しが足りない。
何かきっかけがあれば、告白出来るかもしれないのに。
「と、そういう矢口さんに、いい案を持ってきたんですが」
「えっ、何々?」
ふふふ、と謎めいた笑みを浮かべる吉澤に、顔を寄せる。
寄せたら、石川が間に入ってきた。
- 41 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時53分55秒
- 「んな邪魔しなくたって、変なことしないっての」
「油断大敵です」
「………このやろう」
先輩が、信じられないってのか。
まったく、可愛くない後輩だ。
この際、可愛くない後輩は無視して、可愛い後輩の言葉だけ耳に入れることにする。
「えっとねー、ここ、スマイル0円ってあるじゃないですかぁ」
「ああ、あるねぇ」
「で、それをきっかけとして利用するんです」
「??」
- 42 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時54分42秒
- 「スマイルください、って言って、市井さんがスマイルしてくれたら、告白する。
でも、スマイルしてくれなかったら、望みがないと諦める」
「…………なんだよ、それ」
っていうか、そんなの、するに決まってんじゃん。
掲示している限り、上の人から、言われたらしろって教育されているハズ。
「だから、言うんですよ。きっかけが欲しいんでしょお?
たとえ仕事で笑ってくれたとしても、そのまま勢いで告白しちゃえば、大丈夫!」
「そ、そうだろうか……」
何だか意味の判らない説得に、ついその気にされてしまった。
そしてその勢いは、もう衰えることはなかった。
- 43 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時55分17秒
- 次の日の夕方、お店が混む前に、吉澤達と待ち合わせのような顔をして、並ぶ。
さすがに財布の中がきつかったので、ドリンクのみを頼んだら、
「へぇ、今日は一人なんだー」
って言われたよ!!
顔を覚えてくれてたことに感動して嬉しくて。
昨日の、吉澤の変てこな作戦を実行することにした。
「あ、あのぉっ!!」
「……ん?」
- 44 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時55分54秒
- 目をつぶって、次の言葉を言う心の準備をする。
その時は、周りの声なんか聞こえてなくて。
「いちーちゃーん、奥で圭織が呼んでるぅ」
「あ、今行く。店長、レジお願いします」
「オッケー」
目の前で、人の交代劇が起きていたとも、全然知らない。
じっと下を向いて、顔を真っ赤しながら、言った。
「ス、スマイル1つくださいっっ!!」
――――返事は?
「……はい」
- 45 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時56分30秒
- や、やった!
そう思って顔を上げると、そこには、
ちょっと見た目ならタラシ野郎じゃなく、どこから見ても、見た目は猫顔の店長保田だった。
「…………………………」
十秒きっちり固まって。
目の前にいるのは誰なんだと、思考をフル活動させて。
「………いや、アンタじゃないって」
- 46 名前:あこがれ My Boy 〜さやまり編〜 投稿日:2001年09月12日(水)23時57分02秒
- もう少し、余裕があったら。
もう少し、恥かしがり屋じゃなかったら。
もう少し早く、気付けたかしら。
♪〜Woo あこがれ My Boy〜♪
「…………Woo あこがれ My Boy………(涙」
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月12日(水)23時58分59秒
- 終了です。
元ネタは、みなさんご存知のとおりで。
それを、少し改造して仕上げてみました。
お願いだから、物を投げないで(w
>>36
とりあえず今は、溜まってたのを出してるので、連夜の更新が出来るのれす。
鬱、ですか。
えぇ、それもかなり溜まってたので、ネタと一緒に出してるのれす(w
>>37
@ノノハ@
( ‘д‘)<のの、もうちょっと待ったってな
作者も、あれでも、ちょっとでもおもしろくするように頑張ってるらしいから…
さやまりは、もう自分の中では最高なんです。
高橋も、自分の中では最高なんで、つい(w
これは……甘いのだろうか?(w
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月13日(木)00時12分00秒
- ええ〜い、ぶつけちゃる!
せっかくいいとこだったのに〜(w
「………いや、アンタじゃないって」…オオワラタ
- 49 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月13日(木)01時19分48秒
- 嗚呼ちゃむのレジ姿・・・
ヽ^∀^ノ<はい、かしこまりましたぁ
スマイル下さい!!(フーッフーッ
続編期待する俺は作者さんの(本業の)営業妨害・・?
- 50 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月13日(木)03時40分09秒
- ここの小説を読んでると、やっぱり作者さんのさやまりには熱いオーラを感じます(w
さやまり最高〜!!
もちろん向こうのいちごまにも期待してますよ。
- 51 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月13日(木)22時24分48秒
- さやまりばかりの短編集!
私が今まで待ちつづけていたものです!
作者さん、本当にありがとうございます。
頑張ってください!
- 52 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時49分47秒
- 「……げ」
部活が終わって、下駄箱で靴を履き替えて。
外に出てみると、不満の声。
「………雨、降ってんじゃん」
シトシトシト。
小降りのような、大降りのような、中間のような。
……そんな、雨。
- 53 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時50分18秒
- まいったな。
傘なんかもちろん、持ってきてない。
朝見た天気予報では、70%晴れだった。
「……どうしようか」
わざわざ職員室まで行って、傘借りるのもどうかと思う。
かといって、そこら辺にささってる、傘を拝借するのは泥棒だ。
「だーれか、いないかな」
部活の子、友達、ファンの子、誰でもいい。
駅までだけでも、入れてって欲しい。
だけれど、辺りを見渡せど、誰もいない。
「しょうがねえなぁ」
濡れて帰りますかぁ、なんて1人で言うと、すぐ後ろから人の気配がした。
- 54 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時50分49秒
- 年齢に比例しない、身長の低さ。
黒い、とまではいかないが、ほどよく焼けた肌。
金髪にしているのに、一本一本綺麗でサラサラな髪。
耳には、トレードマークの大きな輪っかのピアス。
(矢口真里だ……)
ウワサで、聞いたことがある。
やれ遊び人だ、やれ不良だ、と。
いつも、廊下を歩いてる時、常に睨んでるとか。
いいウワサ、1つもない。
- 55 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時51分24秒
- 「わっ、雨降ってんじゃん。持って来ててラッキー」
いつのまにか横に並んで、空を見上げてる。
そんな矢口の手には、折りたたみ傘。
広げにくいのか、少々苦労しながら傘を広げる。
そして広げ終わった時、あることに気付いた。
「……あれっ? もしかして、市井紗耶香?」
「………え? あ、あぁ、そうですけど……」
あ、やっぱりぃ?
なんて、嬉しそうな顔。
なんだか少し、ウワサで聞いていたのと違うような気がした。
- 56 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時52分00秒
- 「自分のこと、知ってんですか?」
面識はないし、学年は違うし。
名前を呼ばれたことに、かなり驚いた。
「いやぁ、知ってるも何も、有名人じゃん。
剣道部に、市井っていうカッコいい子がいるー、って、ウチのクラスの子言ってたことあるし」
実際、直接見たことはなかったけど。
クラスの子が言ってたことは、嘘じゃなかったみたいだねと矢口は笑った。
- 57 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時52分44秒
- 「……傘、ないの?」
「え………」
くりくりっとした目で、尋ねられる。
「迎えを待ってるとか?」
「あ、いや、しょうがないから、駅まで走って帰ろうかと……」
「ふーん」
そう言うと矢口は、しばらく考えたような顔をして、笑顔になった。
「じゃあ、矢口の傘、貸してあげるよ」
「えっ」
といっても、人様に胸張って貸してあげると言えるほど、いい傘じゃないんだけどね。
矢口は、また笑った。
- 58 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時53分30秒
- 「い、いいですよ。大体、そんな、貸してもらう義理――」
「いーからいーから。………先輩のご好意に、甘えなさいって」
人の言葉を遮ってまで、傘を押しつける。
そうされると、受け取らざるをえなかった。
「ありがとうございます……」
それじゃあ、一緒に駅まで行きましょうよ、と、誘う。
すると矢口は、また笑顔になる。
「いっやぁ〜、市井さんのファン、敵に回したら恐いし?
何より、水も滴るイイ女っていうじゃん」
イイ女は、濡れて帰るもんなんだよ。
これまで何度その顔を作ったろう、矢口は笑う。
- 59 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時54分08秒
- だけれどそれじゃ、なんか……。
「や、やっぱ自分、遠慮しときます」
「だからいいって。剣道部のエースさんは、風邪ひかないようにしなくちゃ。
帰宅部の矢口とは、立場も全然違うんだから」
「………………」
市井より、数歩前へと踏み出して、雨に当たる矢口。
出遅れてしまって、傘を返すことに失敗してしまった。
あんまりしつこく、遠慮するのもどうかと思う。
人の好意は素直に受け取るという考えも、この時やっと思い出した。
「……じゃあ、お言葉に甘えて、お借りします」
「………よしっ!」
………ほらやっぱり。
矢口は笑った。
- 60 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時55分02秒
- 「でも、なんでですか? なんで、貸してあげようって思ったんですか?」
「んー?」
そうだなぁ、特に理由はないんだけども。
そう言う矢口の言葉に、市井は納得出来ない。
「………でも、しいて言うなら」
「……?」
にっこり、笑って。
「紗耶香が、カッコよかったから」
- 61 名前:ウワサ 投稿日:2001年09月13日(木)23時55分36秒
- 顔が赤くなるのが判る。
名前をいつのまにか呼び捨てにされてたことなんて、気になんかしてられない。
ただ気になるのは、彼女の、矢口の笑顔だけ。
「ばいばい」
今まで1番の優しい笑顔に、見惚れてしまう。
心臓の音が速くなったのも、錯覚なんかじゃなかった。
「……………なんだよ」
ウワサと、全然違うじゃん。
市井は、それだけ呟くのがやっとだった。
- 62 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)00時01分53秒
- 終了です。
>>48
ヽ^∀^ノ<いてっ。いてーよ48さ〜ん
(〜^◇^〜)<よしよし。痛いの痛いの飛んでけー
笑ってくれて、嬉しいです。
>>49
My Boyの続編、1番作るの難しい気がしてならないんですが…(w
>>50
(〜^◇^〜)<ここでなら思いっきりイチャつけるもんね
オーラって(w
喜んでいただけたなら、書いたかいがあるってもんです。
あちらは今週中の予定です。
>>51
さやまりばかりの短編集、書きたかったんです。
それでちょっとでも、さやまりっていいよなって思ってる方にも喜んでもらえたら書いた意味があります。
矢口に熱愛の噂が出るまでは、頑張るつもりです(w
- 63 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)00時10分54秒
- ううっ、相合い傘のチャンスだったのに〜
市井の根性なし〜(w
さて、このうれしい連続更新いつまで続くんでしょう?
- 64 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)03時13分45秒
- 結構どの話も日常の中の些細な一コマってカンジでいいっすね!!
やっぱり、さやまり最高〜!!(w
- 65 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)05時11分25秒
- メチャメチャあっさりしてるのに、読み足りない感じがしないのが作者さんの腕前ですねぇ。
矢口が(・∀・)イイ感じの一歩置いた存在って珍しい感じがする。
大抵市井がその役回りだから、、。
ヽ^∀^ノ<いや、市井は傘なんていいから。使えよ・・(タッ
(〜^◇^〜)<なっなんだよあいつ・・・(カオマカ
みたいな(w
- 66 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時24分19秒
- 「紗耶香いーい? もっかい言うけど、先に手ぇ離した方が負けだからね」
「わーってるって」
デートの前、矢口が言ったある勝負。
時間無制限、デート中、先に繋いだ手を離した方が、負け。
どちらかが先に手を離すまで、続けられる。
最初はあんまり乗り気じゃなかったんだけど、
矢口に「負けるのが目に見えてるから?」と意地悪く言われて、勢いでその勝負に乗ってしまった。
「じゃあ、よーいスタート」
「うっす」
先の長い、この勝負を。
- 67 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時24分53秒
- まず、満員電車で、最初の危機はやってきた。
電車が揺れる度に、押し潰されそうになる身体。
必死に、矢口の手を握る。
「………痛いよ、紗耶香」
「………我慢して」
この勝負、始まったばっかりで、負けたくないし。
「………痛いよ、矢口」
「………我慢して」
――それは、矢口もおんなじ。
- 68 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時25分23秒
- 電車を下りてそれからは、ほぼ順調と言ってもいい位だった。
途中、握り直すことはあっても、離すことはなかったし。
ただ、この勝負をしていて、1つ失敗したことは――。
「………ねえ矢口」
「ん〜?」
「……ちょっと、休みませんか」
「もうちょっと後でね〜」
「……………」
デパートの、1階から8階まで、ひたすら往復。
いつもは矢口が見てる間、市井は本屋か何かで時間潰してるから、思わなかったのに……。
「………すっごい疲れるんですけど、矢口さん」
- 69 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時25分53秒
- 不満で不満でどうしようもないんですって顔をして。
だけれど矢口は、にやっと気味悪い顔を作って、
「………じゃあ、手ぇ離す?」
またしても、そんな意地悪を言う。
「…………なんかさぁ、最近矢口、意地悪だよね」
「えぇ〜? こんなに優しいのにぃ〜」
そして今度は、そんな嘘を言うのだ。
- 70 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時26分47秒
- でもさ、いくら手を離さずに頑張ったって、絶対離さなきゃいけない時が来るワケで。
もちろんその時とは、デートの終わり。
どちらかが手を離すまで、この勝負は終わらない。
だけど、せっかくここまで頑張ってきたんだ、最後の最後で離してたまるか。
「…………ほら、矢口離しなよ」
「何言ってんの、紗耶香が離しなよ」
「「…………………」」
思うことは一緒なのか、なかなか離そうとはしない2人。
- 71 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時27分19秒
- 思うこと、それは多分、一緒なんだろう。
勝負は勝負なんだけど、勝負とかじゃなくって。
あぁ、何言ってんのかわかんない。だけど、これだけははっきり言える。
別れたく、ないんだ。
手を離しちゃったら、負けが決定するのと同時に、デートも終わっちゃうから。
だから市井も、この手を離せない。
素直に、別れたくないって言えばいいんだよ。
そんなの、言えたら苦労なんかしなくっていい。
だけど、恥かしくって言えないから。
………こうやって、勝負のせいにして。
- 72 名前:離すもんか 投稿日:2001年09月15日(土)00時27分52秒
- 「…………矢口、まだ離す気ない?」
「いや、全然。そっちは?」
「いや、全然」
「「…………………」」
負けたくない。
別れたくない。
だから、だから。
この手――、絶対に離すもんか。
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)00時28分22秒
- 終了です。
やっぱ、さやまりでしょう、と最近よく思う。
あと、この短編を読んでくれている方に聞きたいのですが、
どの短編が、1番好きですか? または、1番マシですか?
ちょっと、思ったんで……。
個人的には、色んなのを含めて、「自転車で2人旅」と「ウワサ」がお気に入りだったりするんですが。
ちょっと聞きたかったんです、すいません。
もしよければ、協力してくれたら嬉しいです。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)00時29分29秒
- >>63
ウワサの市井くんは、少し弱々しくしてみました。
連続更新は、少なくともあと1、2日くらいは。
もうすぐで、ネタ尽きちゃいます。誰かネタください(悲
>>64
(〜^◇^〜)<違うよ。紗耶香と2人でしてるんだよ
ほのぼのが好きなんで、どうしてもそんな感じになっちゃいますね(w
>>65
あっさりしすぎのような感じしてたんで、読み足りない感じがしないと聞いて、安心しました。
最初思い浮かんだのが、お宝フォトBOOKの矢口の睨みだったんで、つい(w
あのガン飛ばしじゃ、普通の人間はビビるだろうと思い、設定思いつきました。
矢口の役が市井じゃ、あんな風にはならなかった。
- 75 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)00時49分37秒
- 1)「匂い」
2)自転車で2人旅
3)「可愛い」と言って
4)ウワサ
5)離すもんか
6)あこがれ My Boy 〜さやまり編〜
悩んだけど、これでどうれす。。
- 76 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)05時51分46秒
- 1、匂い(ちゃむ煙草萌え
2、憧れマイボーイ(ちゃむレジウチ萌え
3、ウワサ(矢口いい奴萌え
あえて順位つけるなら、、こんな感じです。
キャラの萌え加減を基準にしてるらしい、俺は・・。
- 77 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)07時32分59秒
- 「匂い」の雰囲気が一番好きかな。
- 78 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月16日(日)03時07分10秒
- 1、匂い・・・物語の完成度はやはりこの作品が一番かと。
2、「可愛い」と言って・・・焼き餅焼きの矢口がカワイイっす(愛ちゃんも出てるし)(w
3、離すもんか・・・二人の離れたくない気持ちが痛く伝わります。
自分的には、こんなカンジです。
正直どれもすごくいいんで本当は順番なんてないんですけどね。
- 79 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月16日(日)15時59分33秒
- 『ウワサ』はなんか続きが読みたくなりますね(w
どれも好きですけど、なんかすごく萌えました。
- 80 名前:某ヤグチ狂(w 投稿日:2001年09月18日(火)09時30分49秒
- 『匂い』と『ウワサ』が好きです。
市井の前ではお姉さん振る矢口と矢口にはミョーに甘える市井がツボでしたので
『ウワサ』の矢口と市井のやり取りはかなり萌えさせていただきました。
「どうしてココがそうなるの!」と、問題を鉛筆でバシバシ叩いて市井に勉強を教え
ビビらせたスパルタ矢口(w)エピソードもありますし、凛々しい矢口をお願いします。
- 81 名前:約束と空腹 投稿日:2001年09月22日(土)12時41分31秒
- 「う……ん…」
目に、明るい何かが入ってくる。
ちょうどカーテンの隙間から、朝日が入ってきたみたいだった。
「う〜」
せっかくの休みなんだから、もうちょっと寝たくて。
横にいるであろう人を想像して、抱きつく。
でも……あれ?
「さやかぁ?」
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時42分08秒
- いっつも、あれほど言ってんのに!
昨夜の行為の後、そのまま寝ちゃったから、素っ裸の自分自身に、
紗耶香のタンスから出したかなり大きめのシャツを勝手に着て、キッチンに向かう。
「あ、おはよう矢口」
行くと、朝から人をとろけさせるような笑顔でご挨拶。
見つめられてることに恥ずかしくなって、つい赤くなる。
…………って、そうじゃなくって!
「なんで起きてんだよぅ! いつも矢口言ってんじゃん、矢口が起きるまで傍にいてって!!」
起きた時1人だったら、寂しいってのもある。
だけど、1番の原因は、矢口が目ぇ覚めた時、おはようのキスをしたいから。
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時42分41秒
- キッチンじゃ、意味ないんだよ。
ちゃんと、ベッドで、見るからに寝起きの時で、キスしないと!
なのに、このおバカさんは……!
「やー、お腹減っちゃって」
………テーブルの上には、トースト2枚。
ご丁寧に、矢口の分も作ってくれてる。
「………ごめんね?」
「………もぅ」
そんな風に謝られたら、許すしかないの判ってるクセに。
ほんとに、紗耶香はズルイ。
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時43分14秒
- 「…………にしてもやぐっちゃん」
「………ん?」
紗耶香の手が、矢口の手に伸びる。
掴んだ手は、紗耶香の唇に寄せられて、軽く指を含まれる。
「………朝から、とっても刺激的なカッコしてるね」
「あ………」
気付いた時にはもう遅い。
いつのまにか抱き締められてて、いつのまにかシャツの中に手を入れられてた。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時43分45秒
- 「ちょっ……ぁ……」
中に入ってる手は、どんどん大胆になってく。
弱い首筋に唇を当てられて、矢口もどんどん感じてく。
「んっんっ………っ…くぅ」
しまいには、手を入れられて。
ソコを知り尽くしている紗耶香の手は、どんどん矢口をオカシクさせる。
「さ、さやかっ……ん!」
ちょっと乱暴に口付けられて。
ちょっと乱暴に、ベッドまで運ばれる。
「………今度は、矢口が起きるまで傍にいるから……」
そう耳元で囁かれて、矢口の意識は飛んでいった。
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時44分20秒
- 意識が戻ってきたのは、午後1時。
約束通り、傍にいてくれるのを期待して横に目を向けると、そこに紗耶香がいなかった。
「…………アイツぅ!」
傍になんか、全然いないじゃん! 一体どれほど嘘ついたら傍にいてくれるんだ!
ダダダダ!と走って、キッチンに向かう。
問いただすと、紗耶香はこう言った。
「やー、お腹空いちゃって」
ふつふつと湧き上がる、この怒り。
彼女との約束より、空腹を取るのか、この人は。
ご機嫌を取るため、紗耶香は耳元で囁く。
「今度は、起きるまでちゃんと傍にいるから…」
………もう、許さないぞ。
………もう、騙されないぞ。
「―――この、大嘘つきやろーっ!!」
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時45分18秒
- ほんのりエロ風味で。終了です。
ものすっごい内容がないのは、あまり突っ込まないでください。
ただ甘いのを書きたかっただけなんです…。
やっぱ、誰が何と言おうとさやまりでしょう、とつくづく思う。
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時45分56秒
- >>75
ご協力ありがとうございました。
おいらと、すっごい似てます。ただ、匂いを6番目にさげて、あと繰り上がりにしたら。
>>76
キャラの萌え加減ですか。
おいらは、いっつも他の方々の作品見る時、設定の萌え加減ですかねぇ。
ちょっと変わった設定大好き人間です。
ご協力ありがとうございました。
>>77
匂い、なんか人気があるようで。
自分じゃ、めっちゃ最悪の出来だったりするんですが(苦笑
他のは読み返して萌えることが出来るんだけど、匂いは恥かしくて読み返すこともできない(w
ご協力ありがとうございました。
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)12時49分35秒
- >>78
(〜^◇^〜)<ありがと!
おいらが順位つけるとしたら、こんな感じです。
1、ウワサ…上記のとおり、設定で無条件で萌えなんです(w
2、自転車で2人旅…なんでだろう…
3、「可愛い」と言って…理由はもちろん、亜依…じゃなかった愛ちゃんが出てるからです(w
ご協力ありがとうございました。
>>79
ウワサは自分も好きです。あれは続編作れるように、ちょっと曖昧な感じで終わらせたし(ニヤッ
ウワサで1つの話が出来上がるなぁ。書きたいです。
それだけ個人的には大好きです。
>>80
(〜^◇^〜)<当たり前
凛々しい矢口……おいらに書けるかどうか判りませんが、頑張ります。
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)20時23分48秒
- エロいって言うか…
やぐっつぁん…か〜わ〜ゆ〜い〜。
「ウワサ」続きがあるならTOPなのれす(w
- 91 名前:名無し侍 投稿日:2001年09月23日(日)04時14分45秒
- 『ウワサ』の続き拙者も読みたいでござる
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月23日(日)23時45分48秒
- >やっぱ、誰が何と言おうとさやまりでしょう、とつくづく思う。
激しく同意です。
やっぱ、甘々さやまりが一番でしょっ
- 93 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時36分08秒
ウワサを信じる信じないは、人の自由。
ウワサをするのも、人の自由。
じゃあさ、誰かを想うのも、それは人の自由でいいんだよね。
- 94 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時36分42秒
- 靴を履き替えて、下駄箱から出てきたら、
シトシトという、音。
「………また雨ですか」
怒りを通り越して、呆れてしまう。
どうして、自分が帰ろうとしたばっちりのタイミングで降ってくるのか。
こう見えても、日頃の行いは良い方だ。
さあ、どうしよう。
考えている間にも、雨はシトシトからザーザーに変わってく。
右手には、鞄。
左手には、剣道着が入った袋。
両の手には、もちろん傘なんかない。
- 95 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時37分16秒
- いや、傘はあるんだ。
ただし、鞄の中で、折りたたみで、人の傘なんだけど。
「これは返すやつだから使えないし……」
ちゃんと、干して。
ちゃんと、綺麗にたたんで入れて。
この傘の持ち主を、待っている。
誰かに聞けば、どの教室なのか、一発で判るだろう。
なぜならこの傘の持ち主は、ウワサが絶えない人気者。
矢口真里、と言えば、「何かされたの?」と物騒な言葉が返ってくる。
こうして、突然降ってきた雨。
もしかしたら矢口も、今の市井みたいに困っているかもしれない。
だから、本当なら、早く返してあげたいのだけど――。
「げ、さいあくぅ」
――そのチャンスは、意外と早くやってきた。
- 96 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時37分54秒
- 「あ」
「あ、ど、どうも…」
お気に入りのものを見つけたような、そんな笑顔。
矢口はそれを、市井に見せる。
「なんだ、また傘忘れたの?」
「は、はぁ。天気予報じゃ降らないって言ってたから…」
「バッカだなぁ。天気予報なんか信じるからだよ」
きゃははと笑う彼女にも、傘を持ってきた様子はない。
それに、心持ち、頬が赤いような気も……。
「いっつも折りたたみ持ってんだけどね。
よりによって、風邪ひいてる時に降るとはなぁー」
そう言って、また笑った。
- 97 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時38分28秒
- いつも矢口の鞄に入ってる折りたたみは、今は市井の鞄の中。
チャンスだよ、市井。
そこで渡せば、借りは返せるじゃないか。
でも……。
渡したら、それで終わりのような気がして。
ウワサの彼女とは違う彼女の笑顔を見れるのは、最後のような気がして。
なかなか、女々しい自分がいて。
どうしてか、渡せない。
- 98 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時39分02秒
- 「……しゃーない。矢口走って帰るけど、キミどーする?」
「え…、でも矢口さん風邪ひいてるんでしょ? 走ったりしたらもっと体調崩しちゃいますよ」
「おー、心配してくれてんの? 優しいねぇ、そりゃモテるわ。
ウワサどおりの人だね、市井紗耶香くんは」
「………そんなこと、ないです」
そもそも、ウワサってなんなんだよ。
誰が、本人の何処を見て、流してるの?
ウソ、ばっかりじゃないか。
「優しくなんか、ないです。
だって、自分、こないだ矢口さんに借りた傘を持ってるのに、返そうともしない。
……………全然、優しくなんかない。極悪人ですよ」
- 99 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時39分33秒
- そう言って、鞄から傘を取り出し、矢口に渡す。
そしたら矢口は、また笑った。
「……あのねぇ、本当に極悪人なら、傘持ってることなんか言わないよ」
「あ……」
「可愛いねぇ。やっぱ、ウワサどおりだ」
「ち、ちがっ」
クスクス笑う、矢口。
必死に否定する、自分。
だけれどそれも、もう終わり。
「よっ、と」
ピン、と伸ばして。
折りたたまれた布と金具は、一本の傘となった。
- 100 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時40分36秒
- 「さあ、帰りますか」
風邪のおかげかせいなのか。
紅潮して笑う矢口は、とても可愛く見えた。
「……あ、じゃあ」
「え?」
「え?」
別れを告げる市井に、何言ってんの、という顔をする矢口。
そして、そっちこそ何言ってんですか、という顔をする市井。
「や、帰ろうよ」
「や、帰れないですよ。傘ないし」
「だから、一緒に帰ろうって」
「………へ?」
といっても、人様に胸張って入れてあげるって言えるほど、大きい傘じゃないんだけどね。
矢口は、また笑った。
- 101 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時41分47秒
- 「ホントは、前みたいに貸してあげればよかったんだけどさ。
ちょーっと、矢口も体調が優れないので、貸してあげることは出来ないけど」
相合傘は、することが出来るんだよね。
矢口は笑う。
「ねねっ、相合傘してるとこ、ファンの子とか見たら、矢口殺されちゃう?」
「ま、まさか。したら犯罪ですよ」
「じゃあ、相合傘して帰ろう」
「……………」
正直、嬉しかった。
なんだかとてつもなく、嬉しかった。
だけど、真面目で照れ屋な自分としては、素直にその好意を受け取れない。
- 102 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時42分28秒
- 「……どしたの? 入んないの?」
「あ、いや……」
口篭もる市井に、何かを感じ取ったのか、矢口が言う。
「あぁ、そっか。矢口となんか相合傘したら、ウワサされるか」
何がおもしろいのか、何がおかしいのか。
矢口は笑う。
「ウワサされちゃ、困るもんね」
大事な大事な、エースさんだし。
とってもとっても優秀な、生徒さんだし。
悪いウワサばかりの、自分とは大違い。
- 103 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時43分11秒
- 「はい」
「………?」
「傘」
「え…」
「ばいばい」
「ちょっ…」
咄嗟に掴もうとしたが、失敗。
風邪、ひいてるのに。
雨、いっぱい降ってるのに。
それでも彼女は、傘を差し出す。
「ほら。前にも言った通り、イイ女は濡れて帰るもんだから」
「だからって、風邪ひいてるのに…」
「……先輩の好意には素直に甘えなさいって言ったでしょ」
「でも……」
そこまで言って、矢口は背を向けて行ってしまった。
- 104 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時43分46秒
- 「……………なんだよ」
ウワサを信じる信じないは、人の自由。
ウワサをするのも、人の自由。
じゃあさ、誰かを想うのも、人の自由なんでいいんだよね。
「……待ってくださいよっ!」
はぁはぁと、息を切らして追いかけて。
雨で濡れてる手を掴んで、矢口の頭の上に一本の傘を差す。
「………ウワサなんか、勝手にさせとけばいいんだ」
「………………おー」
カッコいいこと言うねぇ、と褒められる。
正直、嬉しかった。
なんだかとてつもなく、嬉しかった。
- 105 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時44分27秒
- 「いっやー、これがきっかけで恋に発展したりしたらどうする?」
「げほっ! な、何をいきなりっ!!」
「わ、矢口より赤くなった。かーわいい」
「や、やめてくださいよ、からかうのっ」
「きゃはは。矢口、人からかうの大好きなんだよね」
小さな折りたたみの、一本の傘。
そこに2人、並んで歩く。
ウワサなんか、したいヤツにはさせとけばいい。
事実は、本人だけが知っている。
「明日さ、ガッコ行ったら、『矢口と市井の交際発覚!』っていうウワサ流れてたらどうする?」
「……えーと」
……そういうウワサは、別に、事実でもいいんだけどな。
- 106 名前:ウワサ2 投稿日:2001年09月25日(火)00時45分03秒
- 終了です。
自己満足がほとんど占めてる、この話(w
書いてる自分が言うの変だけど、好きなんだYO!この話。
あぁ、マジで独立させて1つの話を作りたい…。
>>90
かわいいですか。ほっと安心。
「ウワサ」はホントに自己満足なんで、気に入ってくれるかどうか判りませんが…。
>>91
ヽ^∀^ノ<ありがとう! 励みになるよ!
続き、書いてみました。……どうでしょう?(オドオド
>>92
>やっぱ、甘々さやまりが一番でしょっ
こちらも激しく同意です。
いちごまでもやぐちゅーでもない、さやまりが1番です。あくまで、個人的に(w
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月25日(火)00時56分33秒
- よ〜し、よくやったぞ市井〜!
相合がぁ〜さ〜〜〜(ウキウキ
- 108 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月25日(火)13時08分14秒
- ウワサ最高ですね〜!!
ぜひぜひ独立させて続きをお願いします。
それにしてもやっぱ、さやまり=作者さんですね。
もう一つの方も楽しみに読んでます(笑)
- 109 名前:92 投稿日:2001年09月26日(水)20時41分47秒
- そう!いちごま、やぐちゅー、いしよしが王道と言われていますが
自分にとっては、さやまりが一番なんです!(熱く語る(w
ウワサ、最高でした!いいなぁ・・こーゆーの・・・。
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月28日(金)17時49分27秒
- ああ、もーよすぎっ!!
もー独立させちゃいましょうよこれ!!(勝手に)
なんか今まで読んださやまりの中でもこれそぅとぅいいっすよ!!
- 111 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時39分02秒
- 「むむむ……」
「……悩んでないで、ほら早くぅ」
ツアー先の、ホテルの一室。
シングルベッドの上で、2人の人間が、真夜中のトランプ。
どっちを取ろうか、どっちを取るまいか。
早くぅ、と急かされた市井は、もっと悩む。
――くそっ、矢口のヤツめ。
ポーカーフェイスを装いやがって。
ちきしょう、まったく読めないでやんの。――
- 112 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時39分32秒
- トランプの種類は、代表的なババ抜き。
2人でやるような遊びじゃないが、ついさっきまでは同じメンバーの安倍や後藤もいた。
それで、遅くなったので、明日に差し支えることを考え、つい今しがた帰ったばかり。
なのに、どうして今2人でやっているのか。
本当は事務所の人達が気を利かせてとってくれた1人部屋。
だけど、恐がりな矢口と市井は、1人じゃいられない。
なので、2人一緒の部屋で寝ることにしたのだ。
- 113 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時40分11秒
- けれど、よっぽど悔しかったのか。
安倍と後藤と4人でやっていて、色んなトランプで遊んだ。
けどその順位は、すべて最下位。
負けず嫌いの市井としては、そんなのプライドが許せない。
矢口もそれを判っているから、2人が帰ってしまってからも、止めようと言い出せない。
負けず嫌いの可愛いコイビト、そのワガママにこうして付き合っている。
だけども、付き合うにも限度がある。
2人でやり始めてからもう1時間が経過。
そろそろ、矢口も眠たくなってきた。
――紗耶香が勝てれば、このババ抜きも終わるんだ。
なのに、なかなか勝ってくれやしない。
………お願い、早くして。――
- 114 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時40分43秒
- 市井のために、ババじゃない方を他のより出してみる。
しかし市井は、それをババだと勘違いしているのか、絶対に取ろうとしない。
それどころか、わざと端っこにしていたババを取るのだ。
――だから、これだってのに! なんでこーゆー時だけ避けるの!?――
ババを取らせないように取らせないように頑張っているというのに。
この“可愛くない”コイビトは、矢口の想いを判ってくれない。
1番に終わらせてあげるから、だから、早く寝かせて。
「くそぉ、なんでババばっかひくんだよぉ」
「………………」
――アンタが人の親切を受け取らないからでしょ!――
………とは、口に出して言えない。
- 115 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時41分18秒
- 「あー、また負けたぁ!!」
「弱すぎるよ、紗耶香」
「ちがう、いちーはフツーだよっ。矢口が強すぎるだって!」
「…あぁ、そうですか」
そんなので強すぎても、全っ然嬉しくない。
っていうか、哀しい。
1番になりたいクセして、こんなに弱いキミのコイビトが自分だなんて。
「……もう、1番にこだわるのやめなよ。
そんな1番になりたいんなら、もっと違う1番になりなって」
市井のために言ったこと。
ババ抜きじゃ1番になれないのは、もう十分証明出来たから。
- 116 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時41分48秒
- 「でもさ、違うのって、何がある?
頭とかじゃあさぁ、矢口とか、そろばんやってた裕ちゃんとかに勝てないし。
腕力じゃ、あの馬鹿力の後藤がいる。運動神経とかでも、後藤に負けるもん」
「あれじゃん。剣道があるじゃん。やってたんでしょ?」
「そりゃ剣道じゃ1番だけど、それは他のメンバーがやってないから。
うー………なんか1番になれるやつないのかなぁ」
「…………………」
そんなに、1番になりたいの?
そんなに、1番が好きなの?
だったら、これがある。
- 117 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時42分32秒
- 「……矢口は、紗耶香が1番好きだよ? 誰よりも、1番」
「へっ?」
「紗耶香、1番になってんじゃん。矢口の大好きな人ランキングの」
「………………」
真っ赤になって、言葉を失う市井。
そんな市井を、笑顔で見つめる。
「はい、これで悩み解決ね〜。さぁ、寝よう寝よう」
「ななな、なにぃっ!?」
「おやすみ〜。あ、トランプ片付けててね」
「ちょっ……」
- 118 名前:1番になりたい 投稿日:2001年10月03日(水)22時43分08秒
- 人がせっかく、嬉しがっていたのに。
あの、やっと寝れる、という嬉しそうな顔。
………なんだよ、なんなんだよ。
年上だと思って、トランプ片付けててと命令して。
自分は、さっさと寝ちゃって。
「……………ま、いっか」
……1番に、なれたし。
人の気も知らないで寝ちゃったコイビトのほっぺにチュウをして。
市井は、その可愛いコイビトを起こさないように、トランプを片付け始めた。
- 119 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)22時44分46秒
- 終了です。
食事中思いついたのをそのままばーっと頭の中で固めて、そのまま文章にしてみました。
>>107
相合傘のネタは、以前してくれた63さんのレスを使わさせて頂きました。
独立させるよりも、シリーズにした方が、おもしろいのかもしれません。
独立させようと試しに話を書いてみて思いました。
短編のネタを1つの大きな話にするには、色々いじらなきゃいけませんしねぇ。
- 120 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)22時45分19秒
- >>108
ありがとうございます。
ウワサは自分が今まで書いた中で(短編以外も含む)1番好きかもです。
こんなダメなヤツの他に、さやまり作家さんが増えることを、心底願ってます(w
あっちで書けないさやまりを、ここで思いっきり書いてます(w
あっちもこっちも、どうかよろしくお願いします。
>>109
92さんに同意! どんどん熱く語ってください(w
熱く語るのは、おいらも当然乗りますから!(w
>>110
独立させたいんですが…意外と難しいことに気付きました(ニガワラ
お褒めの言葉、ほんと嬉しいです。
今後の励みになります。ありがとうございます。
- 121 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)23時07分34秒
- 一人で空回りする市井。
お姉さんの矢口。
ん〜、なんかいいな〜この空気…
- 122 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月04日(木)03時45分11秒
- たぶん今現在純粋にさやまりが読めるのはここだけですよね。
やっぱり最高です。
自分もぜひ熱く語りたいもんです(w
でも、1番好きなのはいちごまだったりする(爆
(初めてここで読んだ小説が白板の某Oさんの小説だったもんで…)
- 123 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時31分27秒
- 台所で、おかゆの用意。
台所で、お茶の用意。
台所で、お薬の用意。
どうして、そんなことをしているのか。
どうして、私、矢口真里がしなければならないのか。
それは、淋しがり屋で生意気で、憎らしいけど好きな女の子、
市井紗耶香からの一本の電話が原因だった。
- 124 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時31分58秒
- 「頭痛い」
「風邪ひいた」
「起き上がれない」
「今家誰もいないんだ」
「矢口、助けて」
- 125 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時32分32秒
- えらく弱気で死にそうな声だったから、矢口は死に物狂いで飛んできたのに。
来たら、なんてことはない、いつもの眠そうな顔。
「さやかぁ、おかゆとお茶と薬持ってきたよ」
「おー、ありがとう。持つべきものは彼女だね、やっぱ」
「………」
どこがどう、風邪ひいてるのか。
電話じゃ死にそうに聞こえた声も、今は全然いつも通り。
……こいつ、演出しやがったな。
- 126 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時33分03秒
- 「う〜ん、うまそうだねぇ」
「あったり前だよ。作ったの誰と思ってんの」
「ははは」
まあ、でも、逢いたかったし。
来なくても大丈夫だよ、と言われていたとしても、絶対来ただろう。
だから、別にそんな怒っちゃいないんだけど、問題が1つある。
……さやかは、風邪とかひくと、いつもの倍以上甘えたになるんだ。
「……ほら、早く食べなよ」
「んー……」
はぁ、またですか。
いいかげん、1人で食べてくれればいいのに。
- 127 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時33分40秒
- 「……あーん」
「……へへっ、あーん」
スプーンですくって、冷ましてやって。
口元に持ってくと、嬉しさ全開で口を開けた。
うん。
可愛いよ、すっごく。
だけどね。
これ、風邪ひく度にやらされる、こっちの身にもなってほしい。
や、でも、嫌じゃないんだよ。
………そこらへんが、ビミョーなんだよね。
- 128 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時34分12秒
- 絶対に、矢口がフーフーして食べさせてあげなきゃ食べないさやか。
どこまで、甘えたなんだ。
それはもう、死ぬまで甘えたなんだろう。
「やぐちぃ、お茶ー」
「はいはい」
こぼれないように、しっかりと手に握らす。
なのに、自分から頼んどいて、一向に飲もうとしない。
「……ダメだ。重くて、お茶、口に運べない」
「はあ?」
- 129 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時34分54秒
- どれだけ力のない腕してるの?
お茶入ったコップを持ち上げられないほど、体力落ちてるの?
そんな心配しても、無駄。
だってこれは全部、さやかの甘えからきてるから。
「じゃあ、もうお茶飲むのやめな」
「えぇっ、だって喉渇いて…」
「じゃあ、飲みなよ」
「だから、持てない……」
「………あのねぇ」
じゃあ、どうやって飲むの。
その質問の答えは、皆さんご想像の通り。
- 130 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時35分38秒
- 「……こうするのは、さやかが風邪ひいてるからなんだからねっ」
「判ってるよぉ。普通の時は、いちーだって恥かしくて言えないよ」
「……だったら、風邪ひいてる時も、ちょっとは羞恥心持ってて欲しいね」
さやかが飲むハズのお茶を、矢口が飲む。
いや、正確には飲むんじゃなくて、口に含むんだ。
そしてその口に含んだものを、さやかの口へと移させる。
そう、俗称、『口移し』。
- 131 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時36分08秒
- あぁ、恥かしい。
何が恥かしいって、口移し終わった瞬間が1番恥かしい。
だって、多分、目の前の顔は、にやにやしてることだろうから。
「……ほら、次、薬飲んでっ」
「矢口、顔赤いよ」
「う、うるさいっ!」
照れ隠しに怒鳴る。
それでもにやにや顔は治まらない。
治まるどころか、そのにやにや顔は進行する一方。
「薬も口移しで飲ませてよ」
「なっ……」
- 132 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時36分39秒
- あぁ、もう、どうしてこう。
甘えたになり過ぎだっちゅーの!
だけど、その甘えたの言うことを聞いてしまうから、余計そうなってしまうんだろうか。
そうやって甘やかしているから、増長するばかりなの?
……でも、ついつい言うこと聞いてしまう。
気付けば、薬も口移しで飲ませてた。
唇を離すと、さやかのにやにや顔は元に戻ってて。
戻るどころか、どんどん深刻な顔になっていく。
「………もうダメ」
「へっ?」
「もう、我慢出来ないよ」
「えっ、ちょ……きゃあっ!」
- 133 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時37分19秒
- 抱き締められて、押し倒されて。
いつのまにか、服を脱がされ始めてる。
「……ちょっと、風邪ひいてたんじゃなかったの」
「…………」
「……ちょっと、コップを持ち上げる力もなかったんじゃないの」
「…………」
言うことやること、辻褄合わず。
だけれどそれは、さやか曰く、
「それとこれとは、話が別」
………だ、そうだ。
- 134 名前:風邪ひいちゃって… 投稿日:2001年10月08日(月)23時38分07秒
- 終了です。
ありきたりなネタ、オチ、なんですが、書きたかったんですこの2人で…。
>>121
自分が市井書いたら、どうもへナ気味になるんですよ。
で、矢口もそんなだったら話にならないから、どうしてもお姉さんみたいになってしまう。
なんか、変な空気です(w
>>122
どうぞ、熱く語ってください。
自分は、どこまででもついていきますよ(w
でもほんとに、さやまり話なんかしたら、1日費やしそうだ(w
………1日でもおさまんないか。
>でも、1番好きなのはいちごまだったりする(爆
自分もそうでした(爆
- 135 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月08日(月)23時45分12秒
- ( ´D`)ノ<つじとおなじれすね。けーきは「べつばら」なのれす。
- 136 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月10日(水)02時38分13秒
- ( `.∀´)<私もホルモンは別腹よ!
- 137 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月21日(日)04時58分09秒
- 口移し…イイ!
風邪も移っちゃうだろうなあ。
そしたらこんどは市井が(むりやり)口移しで…
(;〜^◇^〜) <や、矢口は自分でのめるから…
ヽ^∀^ノ<そんなこといわずにさ…ほら…
みたいな(w
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