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ご苦楽レストラン
- 1 名前:序話 投稿日:2001年09月15日(土)19時40分27秒
「ロワン・ディシー(この世の果て)」という名の
そのレストランは
どの駅よりも遠かった。
繁華街よりも
住宅街よりも
利益からも遠く―
なにより
理想のサービスから
遠かった―
果てしなく―
- 2 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時04分02秒
そのころ
私はまだ
別のレストランに―
普通の
レストランに
勤めていた―
客もそれなりにはいっているある日の夜だった。
私はデザートのケーキを切り分けていた。
「胸焼けする〜 もうフレンチ飽きたわ…。」
私の背後に座っている客がボソっと呟く。
「裕ちゃん〜泣き言言わないでよ〜つきあってるのは
こっちなんだからさ〜。」
同席している客が腕組みしながら言う。
こっちはもう食べない気でいるようだ。
「無理なら残しなさいよ。」
「いやや。全部食べる。」
ぶるぶる手を振るわしながら料理に手をつける。
「そもそも1日4軒ハシゴするのが無理なんだってば。」
「だって期限が・…」
(料理記者の人かな?)
私はその二人を横目でみながらデザートの皿を持った。
- 3 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時13分42秒
-
「あっ松浦ちゃん。この前のあれなんだっけ?」
常連客が私と同じ同僚に声をかける。
「あの食前酒美味しかったよね。
あーゆーのくれる?」
「なんか前のと違うのがいいなぁ。」
松浦はニコニコと近寄りメニューを指差し、
「この辺りのがお好みじゃないかなぁ?」
などと話していた。
「あ、デザートもうだしてくれる?」
私と目が合った客が手をあげた。
「デザートの盛り合わせでございます。」
私は作ったばかりのデザートをテーブルにおいた。
「彼女カタイよねぇ。」
「僕等毎週来て、顔あわせてるんだからさー、もっと
うちとけてよ。」
二人はにこやかに話しかけてくる。
「はぁ・…。」
私が返答につまると
「はぁじゃないよー矢口さん。
あまりに素敵なカップルなのでおふたりの邪魔に
なってはと…くらい言ってくださいよー。」
松浦がそう言うと、常連客はギャハハハと笑った。
- 4 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時33分23秒
「おい!このハマグリ砂かんどんぞ。」
べっべっと吐きながらチンピラのような客が叫んだ。
「申し訳ございません。すぐおとりかえいたします。」
駆け付けたマネージャーがあやまっている。
「取り替えりゃいいってもんじゃないんだよ!!
料理長よべ!!料理長!!」
「は、はい…ただいま・・・。」
そんな様子を私はデザートトレーを運びながら見ていた。
「おい。何見てるんだよ。」
「バカにしとんかコラ!!」
彼等の怒りの矛先は一気に私にむいた。
「いえ。けっして。失礼しました。」
私は頭を下げる・…が彼等の怒りを増やしただけだった。
「あ、なんか不愉快。」
「ふてぶてしい。サービス業だろ?笑えよ。」
「・・・・・。」
「スマイル0円でしょ?ね?」
「・・・・。」
いつまでも無言でいる私に彼等はキレタ。
「笑え!!」
「コラァ!!!」
叫び声が店に響く。
「このような場面で笑えません。」
私がそう答えた瞬間チンピラは胸倉に掴みかかってきた。
その後すぐに料理長がきて、なんとかその場はおさまった。
- 5 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時40分24秒
厨房に連れていかされ、すぐに散々怒鳴られた。
「表情がかたくて、客がリラックスできないんだよ!!」
「ダメなんだよサービスマンとして!!もうやめちゃえ!!」
そうかもしれない。
この店に入って3年になるけど
いまだに雰囲気になじめない。
評価されたとしても
技術的なことだけ。
要するに適正がない―
サービスに関わる者として
致命的なことなのか―
「すみません」
と謝りながらそんなことを考えた。
「もういい!!客の前でるな!!ゴミ捨てて来い!!」
料理長は回りにあたりながら叫んだ。
「はい。」
裏口からゴミを出すために扉を開けた。
その瞬間―
「すばらしい!!」
- 6 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時52分36秒
両手を広げた女が立っていた。
さっきの関西弁女だ。
私はゆっくり扉を閉めた。
「ちょっとちょっと!!しめんといてや!!」
必死で扉にしがみついてきた。
「ヤクザをヤクザとも思わへん毅然とした態度!
客に媚びひん誇りの高さ!!なかなかできんことやで。」
私がゴミをだしている最中ずっとしゃべっている。
気が付けばもう1人の客はお腹を押さえて空を見ている。
苦しいのだろう。
「サービス業だって笑いたないときに笑う必要なんてないねん!!」
「・・・・。」
「うちこーへんか?優遇すんで?」
「うち…といいますと?」
話しが見えない。
「フレンチレストラン。これからオープンすんねん。」
そう言って空を見上げる。
「矢口やっけ?レストランで1番大事なんなんかわかるか?」
振り返ってその女は聞いてきた。
「え…いいえ。」
「距離感や」
自信満万の顔で答える。そして仁王立ちをしてこう言い放った。
「客とスタッフの間の適度な緊張感と親近感や。
ほんでスタッフに必要なんはオリジナリティー。
あんたいいサービスマンになんで きっと!!」
- 7 名前:第1話 諦観の笑み 投稿日:2001年09月15日(土)20時59分06秒
「はぁ…」
そうですか・・と私は素手返した。
「って手応えないなぁ。」
一瞬ずっこけながらも私におもいっきり突っ込んできた。
「これ地図と電話番号。うちがオーナーの中澤裕子や。」
この人手書きと思われる地図を渡された。
「明日24時からミーティングやしな。
今晩中に電話ちょうだいな。」
そういって軽く手をふると、
「あの…。」
釈然としない私に気付かず、もう1人の客とヨロヨロと
支えあいながら帰っていった。
近所の犬が二人に吠えまくっていた。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)21時34分54秒
- なんかすごく面白そうなのが始まってますね。
楽しみです。頑張ってくださいね。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)21時41分43秒
- 某漫画のパロディーって事はわかるが、パクリすぎじゃないか?
- 10 名前:\\\ 投稿日:2001年09月15日(土)22時20分55秒
9さん
だって漫画見ながら書いてんだもん。
パクリあれならやめます。
- 11 名前:てうにち新聞新入社員 投稿日:2001年09月15日(土)22時44分46秒
- 頑張ってください!
応援してます。
パクリでもいいんじゃないですか?
僕にはもとネタわかんないけど…
ネタばれは禁止しようね
- 12 名前:\\\ 投稿日:2001年09月16日(日)01時02分06秒
とりあえず、続けてみます。
パクリつつも、だんだん離していくつもりなんすが・・・・
まぁ、パクリ批判がまたきたら、消えます。
- 13 名前:諦観の笑み 投稿日:2001年09月16日(日)01時10分03秒
翌日24時 ―亡霊たちの真昼―
私は地図を片手に墓地にいた。
地図をみて墓地をさまよう。
「・・・。」
どこにあるのか?
もしかしてここは―
閉じられた世界―!?
それとも私が方向音痴―
それともあの人―
私の頭に昨日の女性が浮かぶ。
確かに挙動不審なところはあった。
ただの変な人―?
彼女の関西弁が頭を駆け巡る。
『サービス業だって笑いたないときに笑う必要なんかないねん!!』
変な人のはずない―
しかし・…
肝心のレストランがない・…
私はため息と共に墓石にもたれかかった。
幽霊にでも聞いてみるか?
- 14 名前:諦観の笑み 投稿日:2001年09月16日(日)01時21分32秒
ふと見るとカエルが足元にいた。
ジッと見てるとノサノサと動きだした。
何故か私はカエルに案内されてる気がして後について行った。
そこには一面の牡丹畑。
その先にレストランらしき建物を見つけた。
私は自然と早足でそこにむかった。
「迷いましたね?」
えらい大きな女性が何故か堤燈を持って玄関先にいた。
「私達も迷ったんですよ。」
後ろに5人の女性がいた。
にこやかに笑いながら…・
(むこう岸にわたったら・…)
彼女達が手を振って呼んでいるように見えた。
(死ぬ!!)
私は急いでもときた道を引き返そうとした。
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月16日(日)09時43分32秒
- >>12
頑張ってください!
なんかいい雰囲気ですね〜
- 16 名前:9 投稿日:2001年09月16日(日)12時35分08秒
- >\\\
いや、別に批判してるわけじゃ・・・。
原作者の作品のファンだからちょっとオリジナルを入れてほしかっただけです。
ごめんなさい。
- 17 名前:晴姫 投稿日:2001年09月16日(日)18時23分47秒
- 原作、読んだことあるので
キャスティングが気になりますね。
がんばってください!!
たしかに中澤さんはピターリですね(w
- 18 名前:読んでる人 投稿日:2001年09月19日(水)13時27分20秒
- 原作のファンなのでこの作品の今後が楽しみです。
期待してます。がんばって下さいね♪
- 19 名前:諦観の微笑み 投稿日:2001年10月15日(月)14時39分04秒
「臨死体験じゃ…。」
「ないんだよ〜。」
私は背の高い女性にえりを掴まれた。
「ヘ・・変なムード出さないでください。なんですか?その
観音様のような笑みは…。」
私は6人を見まわした。
6人は何故かにっこりと笑っていた。
「諦観の微笑みよ。」
コックの格好をしている女性はそう言うと店に入っていった。
「諦観の?」
訳もわからず私は後に続いて店にはいった。
店内にオーナーの中澤がいた。
私に気がついたのかニッコリ微笑む。
「待ってたで、よろしくな。矢口・・やったなぁ。店やめれたん?」
私はオーナーに近ついた。
「はい。昨日のうちに。」
私がやめると言ったらよろこんでやめてくれ、と言った料理長の顔が
うかんだ。
「よっしゃ、これで最高のメンバーがそろったで!!」
なにやらガッツポーズをするオーナーの後ろでは6人が青ざめていた。
「ちゃんと店があってよかったです。」
私はさっきまでの不安をはきだした。
- 20 名前:諦観の微笑み 投稿日:2001年10月15日(月)14時45分31秒
「うちにこれてうれしい?」
「はい。」
中澤は何故か私を考え込むように見ている。
「クールやなぁ。自分。ちょっと笑ってみ?」
「えっ?…別におかしくないんですけど。」
「おかしなかっても笑えるやろ?」
中澤が私を見下ろす。
おかしいとおもいながらも私は一応営業スマイルを作ってみた。
「今の・・ちょっと前のアレなに?」
「笑ったの?」
「まさか、おこってるよ。」
6人がざわつく。
中澤はあきれた様に私を見ていた。
「もうええ。無理にゆわんわ。」
諦め顔で私を見た。
私は何が何かわからなかった。
その時、
「あっ昨日ヤクザ相手に笑わんかった子か?」
激しく私を指差す。
私は黙って頷いた。
- 21 名前:諦観の微笑み 投稿日:2001年10月15日(月)14時52分00秒
「そうや、昨日最後に声かけた子や。スマンスマン、この3日間で20人
くらい声かけててんか。んで、返事くれたん矢口だけやってんなぁ。」
うんうん、と自分で納得している。
「えっ?」
「とにかく1人つかまえて安心してたんや。どの子か忘れとった。」
私はかなりショックをうけていた。
「もうあん時はランナーズハイちゅーか、大食い選手権っちゅーか。」
口からでまかせいろいろゆーたかもなぁ、と1人ブツブツと言っていた。
さっきの大柄の女性が後ろからオーナーを止めていた。
私は愕然としていた。
(私が心うたれたのは…・。)
私がその時見せた表情は笑ったようだった。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)22時26分24秒
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