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本当は面白いグリム童話−娘。バージョン
- 1 名前:ヒューマニスと 投稿日:2001年09月22日(土)20時32分19秒
- 海板でも書かせてもらってる者ですが、童話ものも書いてみたくなったので、こちらにも
書かせていただきたいと思います。
コメディものです。
- 2 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)20時43分07秒
- ここは、とある国です。
この国にはたいそう美しいお妃様がおりました。
お妃様の名前は、矢口といいます。
この国では、漢字の名前が普通なのです。
矢口お妃様は、不思議な不思議な鏡を持っていました。
なんとこの鏡は、話をすることができるのです!
矢口お妃様は、その鏡に名前をつけていました。
「おっは〜、後藤!」
お妃様は、鏡に向かって、そう呼びかけました。
そう、鏡の名前は、後藤というのです。
『・・・・・ん〜?なに?やぐっつぁん・・・眠い・・・ぐー・・・』
「あっ、コラ寝るな!ばか後藤!!」
- 3 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)20時47分23秒
- この後藤鏡は、とても面倒臭がりで、すぐに寝てしまうのが玉に瑕なのです。
そこで矢口お妃様は、奥の手を出すことにしました。
「後藤、起きないと、もう愛しの“いちーちゃん”と、合わせ鏡してやんないぞ!」
『えっ!?(焦)あ、ごめんごめん、起きるよ〜やぐっつぁ〜ん♪』
後藤鏡は、すぐに目を覚ましたようです。
ちなみに“愛しのいちーちゃん”とは、矢口お妃様の手鏡なのですが、後藤鏡は
なんとこの手鏡にかなわぬ恋をしているのでした。
- 4 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)20時52分11秒
- 『ところで、なに?やぐっつぁん。またいつものやつ?』
「そうだよお〜、いつもの、ヨロシク!」
露骨に眠そうな声を出す後藤鏡を気にする様子もなく、矢口お妃様は、満面の笑み
で答えました。
「鏡(後藤)よ鏡(後藤)・・・
世界で1番美しいのは」
『ねえ〜、その(後藤)は省略してもいいんじゃない?』
「うっさい!!黙って答えろ!!
・・・・・・
世界で1番美しいのはだあれ?」
『・・・う〜ん、メイク完璧にしてるやぐっつぁん!』
ぱりーん
少しばかりひねくれた言い方をした後藤鏡は、その後修理に出され、3日後無事に
復帰を果たしました。
- 5 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時00分13秒
- そして、3年ほど月日が流れました。
ところでこの国には、矢口お妃様の前妻である故正妃の一人娘である、石川姫という
たいへんかわいらしいお姫様がいました。
この石川姫は、そのあまりのかわいらしさから、『石川白雪姫』と呼ばれていました
が、成長すると共に肌黒さが際立ってきたため、一部の家来たちからは
『石川黒雪姫』
と呼ばれることもありました。
それでも彼女は、この国中の人気者でした。
そんなある日のこと。
ますます最近、メイクの濃さに磨きのかかった矢口お妃様が、いつものように後藤鏡
に聞きました。
「鏡(後藤)よ鏡(後藤)・・・
世界で1番美しいのはだあ〜れ?」
- 6 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時06分10秒
- 『え〜?う〜ん・・・やぐっつぁん、怒らないでよ?
後藤はね〜、黒雪姫だと思うよ。黒いけど』
後藤鏡は、やたら黒い黒いと強調しながらも、あっさりとそう答えたのです。
怒ったのは矢口お妃様。
「な、な、な、なんですってえええええ!!!???
・・・・・・・・・
・・・許せん、石川のやつ・・・(激怒)」
激しい怒りに燃えたお妃様は、とりあえず八つ当たりで後藤鏡を蹴っ飛ばすと、
イノシシのような勢いで部屋を飛び出しました。
向かったのは、矢口お妃様がこっそり浮気している木こりの家です。
お妃様はあいさつもせずに、その木こりの家のドアをバーンと開けました。
- 7 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時14分07秒
- 「ちょっと、よっすぃ〜(本名:吉澤)いる!?」
矢口お妃様は、自分の身分も忘れて大声で叫びました。
びっくりしたのは、この部屋の住人、吉澤木こりです。
「あっれ〜?矢口さん、どうしたんですかあ?」
吉澤木こりは、お昼ご飯の途中だったらしく、口にべーグルをくわえたままのそのそ
と出てきました。
その姿に、矢口お妃様は一瞬、きゅんっと胸をときめかせましたが、本来の目的を
思い出し、口を開きました。
「実はね、よっすぃ〜(本名:吉澤)。
かくかくしかじか・・・・・・・
というわけで、石川黒雪を森にいって殺してきてちょうだい!!」
「え・・・?はあ・・・」
- 8 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時18分23秒
- 石川白雪姫を知らない田舎者な吉澤木こりは、なんと矢口お妃様の申し出をあっさり
承諾してしまったのでした。
(ふふふふ・・・これで、また矢口が世界一美しい女だぜ!)
矢口お妃様は、腹の中でこっそりとほくそ笑みました。
・・・・・・・・・・・・
そして、吉澤木こりが石川白雪姫を殺す日になりました。
初めて石川白雪姫を目にした吉澤木こりは、そのあまりの美しさに一瞬で心を奪われて
しまいました。
「なっ・・・なんて美しいんだ、黒いけど・・・
でも、私には・・・彼女を・・・石川白雪姫を殺すなんてできない・・・」
- 9 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時23分06秒
- 吉澤木こりは、苦悩しました。
とりあえず、彼は城から矢口お妃様が見張っているのを知っていたので、石川白雪姫
を連れて、森の中へ入っていきました。
周りに誰もいない森の中、美女と二人っきりといういささかおいしいシチュエーション
ではありましたが、吉澤木こりは必死に理性で本能を押さえつけました。
そして、森の奥に到着です。
「さあ、姫。ここでお別れです」
唐突に吉澤木こりが言ったので、石川白雪姫はびっくりしてしまいました。
実は石川白雪姫も、吉澤木こりに一目ぼれだったのです!
- 10 名前:第1話 −白雪姫・石川− 投稿日:2001年09月22日(土)21時34分55秒
- 「そんな、どうしてここでお別れだなんて言うんですか?
私はもっとあなたと一緒にいたい・・・」
石川白雪姫は目を潤ませて、可愛いアニメ声で言いました。
・・・・・・
・・・
吉澤木こり、あえなく恋にKNOCK OUT!
こうして若い(お妃様元愛人)木こりと、一国の姫様は、その愛のためにどっかに
逃げてしまいましたとさ。
「鏡(後藤)よ鏡(後藤)・・・
世界で1番美しいのはだあ〜れ?」
『う〜ん・・・。そりゃ〜やっぱり、後藤でしょ!!』
ぱりーん
今日も平和なある国のお話でした。
〜Fin〜
- 11 名前:第1話 −白雪姫・石川−完結です 投稿日:2001年09月22日(土)21時39分15秒
- 1話目、こんな感じで・・・駄作や(w
童話と考えると、どうしても石川梨華が主役にしやすいですね・・・。
これからもこんな感じで更新していくつもりです。
- 12 名前:名無し男 投稿日:2001年09月23日(日)01時42分55秒
- 後藤いいキャラ出してるな〜!ワラタヨ。
- 13 名前:>11 投稿日:2001年09月23日(日)01時50分17秒
- 石川のヒロイン吉澤のヒーローはイメージしやすいですね
童話にはぴったしだ
- 14 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時18分14秒
- むかし、むかし、とある国のお話です。
国の城下町の一角に、小さな家がありました。この家には、保田さんというなんとも
美しい娘が、その父親とともに住んでいました。
この保田さんの父親は、最近になって安倍という女性と再婚したばかりです。
安倍には、二人の連れ子がいました。
保田さんと、安倍+二人の連れ子が初対面を果たしたときのことです。
「あなたが、保田さんね。私があなたの継母になる安倍です。
なっちって呼んでね」
「うちは、加護や。なっち母ちゃんの娘やで」
「辻れす〜。同じくなっち母しゃんの娘れす〜」
人あたりのいい感じの3人に、保田さんはすっかり安心しました。
- 15 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時24分49秒
- (よかった・・・この人たちなら、なんとかうまくやっていけそう・・・)
保田さんがそう思ったのも、つかの間でした。
ある日、保田さんの父親が外国へしばらくの間、出張することになったのです。
安倍は、保田さんの父親が出て行ったとたんに、豹変してしまいました。
「ちょっと〜、圭ちゃん、なっちおなかすいたべ〜。
早くご飯つくって〜」
「えっ?ちょっとなっち、いきなりどうしたのよ!?」
保田さんはびっくりしました。
今までこまごまと良く動いていた安倍が、いきなりダラダラし始めたのです。
いつも浮かべている笑顔も、つくり笑いだったと保田さんが気付くのに、さほど
時間はかかりませんでした。
- 16 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時27分30秒
- 豹変したのは、安倍だけではありませんでした。
「保田さ〜ん、加護の宿題、終わらせといてーな」
「辻はおやつが食べたいのれす」
連れ子である加護や辻までが、保田さんにあれやこれやと、指図するようになったのです。
「はあ!?あんたら、ふざけんじゃないわよ!
誰に口きいてると思ってんの!?」
・・・
もちろん、保田さんはタダでそんなことを聞くタマではありません。
- 17 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時30分51秒
- 加護や辻、それに安倍は、保田さんの迫力に一瞬ひるんだようでしたが、気をとりなお
して、何枚かのポラロイド写真を取り出ました。
「ふっふっふ・・・圭ちゃん。
これを見ても、そんな強気でいられるべか?」
安倍は、意地悪そうに笑いながら、一枚の写真を保田さんの目の前に突きつけました。
「・・・・・・
なっ・・・それは、私のすっぴん写真!!!!!!!」
保田さんは、心底動揺しました。
保田さんが他人に絶対見られたくないもの・・・それは、彼女のすっぴんだったのです。
- 18 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時34分45秒
- 保田さんの弱みを握った安倍と加護・辻は、それからもその写真をタネに、散々
保田さんをこきつかっていました。
(覚えてなさいよ・・・)
その度に、保田さんの怒りのボルテージは上がっていくのでした。
・・・・・・
そんなある日。
「なっち母ちゃ〜ん、これ、お城から招待状来たで!!」
「きたのれす〜!」
加護が、手に白い封筒を持って、ばたばたと家の中にかけこんできました。
「今年もこの季節がきたべ・・・」
安倍はその封筒を手に、なぜか遠い目をして呟きました。
- 19 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時38分19秒
- 「なんですって!?城からの招待状!?
ちょっと!まず私に見せなさいよ!!」
招待状と聞いて、目の色を変えて飛んできた保田さんが、遠い目をしている安倍から
その封筒を奪い取りました。
そのあまりの迫力に、加護も辻も手出しができません。
「ふふふ・・・なるほどね。招待客の中から、王子の花嫁を選ぶかもしれないのね。
・・・
もちろん、この国随一の美女と言われているこの私が、選ばれないはずないわ!
もう、王子はいただきねっ!」
- 20 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時42分45秒
- ガッツポーズを決めて、あさっての方向に向かって叫ぶ保田さんの陰にて。
加護と辻のひそひそ話を聞いてみましょう。
「どうやろか・・・保田さんが選ばれると思うか、のの?」
「ののだったら・・・ちょっと保田さんはイヤなのれす」
「アホ!ののの趣味聞いとるんとちゃうわ!
・・・なんでか、あれでも保田さんは、この国では“きれい”といわれる人種
なんや。みんなすっぴんを知らへんからな」
「どうするのれすか・・・やっぱり」
「阻止や!なんとしても。
保田さんに負けるなんて、うちのプライドが許さへん」
- 21 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時49分29秒
- 二人の話はまとまりました。
めちゃくちゃに王子獲得に燃えている保田さんに話かけるのはとても恐ろしいこと
でしたが、加護は勇気をふりしぼって言いました。
「あんな〜、保田さん。最近、屋根裏部屋がめっちゃ汚いやんか〜?
うちらが城に行ってるあいだに、掃除しといて欲しいねん」
「はあ!?なんですって?
私に・・・掃除をやれと、そう言ってるわけね?あんたらが楽し〜く城に行ってる間に」
「ひっ・・・、ま、まあ・・・そういう・・・ことやねんけども・・・もごもご」
おもむろに顔を怒りに歪めて睨んできた保田さんに、加護は恐怖を覚えて後ずさり
しながら言いました。
- 22 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)15時53分20秒
- 「ゆっ、ゆうこと聞かへんと、この“すっぴん写真”を王子に見せてまうで!」
「げっ!そ、それだけは・・・」
加護の取り出した最終手段のその写真を目にすると、保田さんは悔しそうに唇を
かみ締めながら大人しくなりました。
そして、お城のパーティーの日。
「そっ、それじゃあ行ってくるべさ!」
「掃除たのみますで・・・」
「行ってくるのれす・・・」
みな一様に保田さんの顔色をうかがうようにしながら、彼女らはバタバタと着替えを
すませると家を出ていきました。
- 23 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時01分01秒
- 「・・・たくやってらんないわよ!なんでこの私が家で掃除なんてしてなきゃ
いけないわけ!?
こんなときは、カラオケしかないわね」
保田さんはおもむろにカラオケセットを用意すると、得意歌を歌いはじめました。
「♪めっぐぅり〜あえったね♪
待あっていった 運命〜の人に♪」
「ぁ、あの〜・・・」
「♪ひっろおい〜世界ぃで〜
一人、だっけたいせ〜つ〜な♪」
「あの〜・・・!」
「♪あ〜〜な〜〜〜ぁたああぁああああ〜〜〜〜〜♪♪」
「あのお〜〜〜・・・!!」
「は?何?誰よあんた、いきなり」
気持ちよく熱唱し終わった保田さんは、初めてそこで誰かがいることに気付きました。
- 24 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時08分23秒
- 「さ、さっきからいますぅ〜」
「だから誰?って聞いてんじゃない。さっさと答えなさいよ」
「(泣)・・・」
機嫌が悪い保田さんはとても口調が怖いため、その女性は泣いてしまいました。
保田さんは、女の涙に弱いため、慌てて言いました。
「ちょ、ちょっと!泣くことないでしょ。分かったわよ、私の言い方がきつかった
わね。な・に・し・に・き・た・の?」
保田さんが極上の笑顔を浮かべて話かけると、その女性は余計に顔をひきつらせま
したが、なんとか気を取り直したようです。
「あの・・・私は、石川といいますぅ・・・。
一応、これでも魔女なんですぅ・・・」
- 25 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時14分06秒
- 魔女石川は、やたらとアニメ声でなんだかそこが保田さんは気にいらなかったの
ですが、そんなことを言うと、また泣かせてしまいそうなので保田さんは黙っていました。
聞くと、なんと魔女石川は保田さんをお城のパーティーに行かせてくれるというのです。
「ほんとね!?ほんとにパーティーに出れるのね!?」
「ほっ、ほんとですぅ〜」
まるでがっつくように迫ってくる保田さんに、なにか鬼気迫るもの感じた魔女石川
ですが、あえてわけは聞きませんでした。
「でも、私、ドレスとか宝石、もってないわ・・・。
家にあるのはなっちや加護辻が全部持っていっちゃったもの」
「心配いりません!チャ−ミー石川に任せてください!!」
- 26 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時17分45秒
- 「なんだかうさん臭いわね・・・ほんとに大丈夫!?」
「大丈夫です!いきますよお〜〜〜
・・・・・・
・・・ほいっっっ♪」
ぴかーん
・・・・・・・・・
・・・・・・
「あれ?」
気がつくと、保田さんはとても豪華なドレス姿に着替えていました。
横には、なんと立派な馬車まであります。
「へえ〜、なんだ石川、あんたやるじゃな〜い!」
保田さんはご機嫌になって魔女石川の背中を思いっきり叩きました。魔女石川は
地面に倒れて咳き込みましたが、保田さんは気付きませんでした。
- 27 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時22分44秒
- 「でも、いいですか?保田さん。
チャ−ミーの魔法は、夜の0時になると、解けてしまいます。
だから必ず、夜0時を回る前に、帰ってきてくださいね」
「はあ〜?何よ、夜の0時って・・・その後に大事なお楽しみが・・・」
「大事なお楽しみってなんですか?」
「うっ、げふっ、げふっ・・・急に咳が・・・ごふごふ(焦)」
「変な保田さん・・・」
なんとか魔女石川を煙に巻いた保田さんは、さっそく馬車に乗り込むと、意気揚揚
とお城へと向かいました。
そして、お城へ到着です!
「さあ・・・待っててよ〜王子様・・・」
保田さんの目が、キラリと光りました。
- 28 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時28分54秒
保田さんが大広間へと入っていくと、そのあまりの美しさに、どよめきが起こりました。
「な、なんて美しい人だ・・・」
「見てくださいよ、あの気品溢れる顔・・・」
「どこの令嬢だろう」
(ふっふっふ・・・もっと言って!!)
聞こえてくる羨望の声に、保田さんは気をよくしました。
当然、保田さんの姿に、先に会場に来ていた安倍・加護・辻も気がつきました。
「あ、あれ・・・圭ちゃんだべ?」
「シッ、なっち母ちゃん。気がつかれたら、殺されてまうで!」
「なんだか、保田さんの目が、獲物を狩るライオンみたいれすね」
さすがに、保田さんに声をかけることはありませんでした。
- 29 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時35分29秒
- 保田さんの姿に、心を奪われた者がいました。
このパーティーの主役、吉澤王子です。
王子は、保田さんにゆっくり近づくと、ひざまずいて言いました。
「レディ。一緒に踊っていただけますか?」
「吉澤王子様・・・喜んで」
(ふっ・・・ちょろいもんね)
あっさりと王子をとりこにしてしまった保田さんは、しばらくの間、吉澤王子と
ダンスをしたり、食事をしたりして楽しんでいましたが、その時無情にも、
ボーン、ボーン・・・
という0時の鐘が鳴り始めたのです。
保田さんの魔法は、0時で解けてしまうため、この鐘が鳴り終わる前に帰らなければ
なりません。
- 30 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時40分23秒
- 「吉澤王子様、わたくし、もう帰らなければなりませんの」
「えっ、どうしてだ、レディ?」
「さようならっ!!」
「そ、そんなっ。待ってくれ!」
王子の製紙を振り切って駆け出す保田さん。その後ろを、吉澤王子がマントをはため
かせながら追いかけます。
(追いかけてきたわね・・・計算どうり!)
保田さんはニヤリと笑って、階段を降りるときに、履いていたガラスの靴を、片方
だけ脱ぎました。
(これで・・・王子は私のことを忘れられずに、探しにくるはずだわ!)
保田さんは自信ありげにそう考えて、あとは猛然とダッシュして、その場を立ち去り
ました。
- 31 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時41分39秒
- 間違い・・・「王子の製紙→制止」ですね。
- 32 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時47分20秒
-
「はあっ・・・、どこへ行ったんだろう・・・」
やがて、階段のところまで王子がやって来ましたが、そのときはすでに保田さんは
立ち去った後でした。
「あれ?あの靴は・・・」
吉澤王子は、保田さんの狙い通り、階段に残されたガラスの靴を見つけました。
忘れるはずもありません。その靴は、愛しい彼女が履いていたものに間違いなか
ったのですから。
王子は階段を降りると、その靴を拾い上げました。
むわっ
「はうっ・・・」
・・・
とたんに漂ってきた強烈な臭気に、吉澤王子は一瞬、意識を失いかけてしまいました
が、なんとかそれを持ち直しました。
- 33 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ− 投稿日:2001年09月23日(日)16時52分55秒
- 「・・・・・・」
無言で、手の中の靴を見つめる吉澤王子。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・
ぱりーん
「短い恋だった」
そう言って、城へ戻っていく吉澤王子の背中は、ひどく寂しげだったとか。
一方。
「はあ〜、これで私も、一国の女王になるのねえ・・・ふふふふ」
「保田さあ〜ん、だからってなんで石川が掃除の手伝いしなきゃいけないんですかぁ〜・・・」
「なによあんた?私は王子の花嫁よ!!
口答えしていいと思ってんの?きりきり働きなさいよ〜!!」
平和なある国のお話でした。
〜Fin〜
- 34 名前:第2話 −圭ちゃんシンデレラ−完結です 投稿日:2001年09月23日(日)17時00分26秒
- シンデレラ、この話も石川が主役になる予定だったんですが、出番のないメンバーが
何人かいたため、こんな話になりました。(w まだ未だに出番のない彼女もいますが・・・(汗
次回は・・・どうしましょうかね。
グリム童話でいいネタになる話があったら教えてください。
最後になりましたが、
>>12 名無し男様、ありがとうございます。作者は後藤好きなんです。そう言って
いただけると大変うれしいです。
>>13 >11様、いしよし王道ですからね。童話なんで(一応)、あんまり二人の
からみはありませんでしたが・・・
代わりに、今回のシンデレラ編で、やすよしです(笑
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月24日(月)00時38分38秒
- ヘンゼルとグレーテルなんか、娘。版で読んでみたいな〜(リク)
- 36 名前:名無し男 投稿日:2001年09月24日(月)00時49分37秒
- 王子製紙って・・・実業団やんけ!!
それにしても一人一人見事な配役ですな。
- 37 名前:ヒューマニスと 投稿日:2001年09月26日(水)21時07分56秒
- >>35名無しさん、
>>36名無し男さん、レスありがとうございます〜!!
では、第3話目はリクにお答えして、「ヘンゼルとグレーテル」でいきます。
ご期待に添えられるかは・・・努力はします(w
- 38 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時12分20秒
とある国の、とある村の物語です。
村のはずれの小さな家に、一つの家族が住んでいました。
お父さんの名前は、吉澤(通称よっすぃ)。
お母さんの名前は、石川(通称りかちゃん)。
お兄ちゃんの名前は、後藤(通称ごっちん)。
妹の名前は、辻(通称のの)。
この家族は、夫婦間と兄弟間の仲はとても良いのですが、お母さんの石川は、なぜか
二人の子供のことを快く思っていませんでした。
そのわけは、こうなのです。
ちょっと家の中をのぞいてみましょう。
- 39 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時16分28秒
- 「ちょっと、よっすぃ(父)!今月もまた、赤字よ!!
どうするのよ!」
石川は、金切り声を上げて、吉澤に迫りました。
彼女が手にした家計簿は、真っ赤な字でうめつくされています。
「あ・・・いや、そうだね・・・(困)」
石川に弱い吉澤は、ただ冷や汗を浮かべて苦笑いするしかありません。
「ごめんね、りかちゃん(母)。俺の稼ぎが少ないから・・・」
「ううんっ!よっすぃ(父)のせいじゃないわっ!!
悪いのは・・・
あの底なし胃袋をもった、ごっちん(兄)とのの(妹)せいよっ!」
- 40 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時21分11秒
- 「あの二人が・・・普通の人よりも、食べて食べて食べまくるから・・・
我が家のエンゼル指数は、どこの家よりも飛びぬけちゃってるのよ!!
これじゃ、明日のパンにだって困ってしまうわ・・・」
石川は、家計簿を握りしめたまま、よよよ、と泣き崩れました。
「う〜ん、どうしようっかねえ・・・」
対する吉澤も、困り顔です。
「捨てるしかないよ、よっすぃ(父)。
今の時代・・・子供を捨てるなんて、珍しい話じゃないもん。
あの二人さえいなければ・・・もっとまともな生活ができるよ!」
石川は、不意に顔を上げて、そう言いました。
驚いたのは吉澤です。
「ちょっと、りかちゃん(母)、本気なの!?」
- 41 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時24分52秒
- 吉澤は石川と違い、のほほんとしていささか緊張感に欠けた二人の子供たちを、
とても可愛がっていましたので、石川の言葉に心底びっくりしてしまったのです。
「あったりまえだのクラッカーよ♪
あ〜、なんて名案なんだろ〜♪♪」
どう見ても本気の目で、石川は多少外れた音程の歌を口ずさみながら、台所の方へと
スキップして行ってしまいました。
「・・・、どうすればいいんだよう・・・」
吉澤は途方に暮れましたが、結局、何もいい考えは浮かびませんでした。
- 42 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時38分58秒
「あ〜、さすがに1週間ぶんの食料を、夜食で食べちゃったのは
まずかったかなあ・・・」
「のの達、捨てられてしまうんれすか?」
今の話を、後藤と辻も聞いていました。
なぜかのんびりとした様子の後藤に対して、辻は不安そうに目を潤ませます。
「だ〜いじょ〜ぶ。ここは一つ、このしっかり者の後藤に任せときなさい!
さッ、子供は早く寝た寝た!」
後藤はエヘン、と咳払いすると辻の背中をぐいぐいと押しました。
「辻は子供じゃないのれす〜。
それにごっちんはしっかり者でもないのれす〜」
去り際に辻がそう言い残して行きましたが、後藤は聞こえないふりをしました。
- 43 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時42分50秒
- さて、次の日の朝です。
「さあっ、今日はみんな、ピクニックに行くわよ〜」
眠っていた後藤、辻は、妙にハイテンションな母、石川にむりやり起こされて
しまいました。
石川の隣には、うって変わって暗い様子の父、吉澤がぼんやりと立っています。
「なんて分かりやすい人たちなんれしょう・・・」
辻が小声で突っ込みましたが、その声が聞こえた人はいませんでした。
・・・・・・
・・・
そして、一人はしゃぐ石川を先頭に、一行は森の深くへとやってきました。
- 44 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時47分21秒
- 森の奥へ着くなり、石川は言いました。
「それじゃあね、お母さんは川に洗濯に、よっすぃは山に芝刈りに行ってくるから、
ごっちん(兄)とのの(妹)は、ここで待っててね♪」
にこにこと笑いながら明るいアニメ声で話す石川に、
((さむ〜・・・・・・))
急に北風に吹かれたかのように、後藤と辻は身体を震わせました。
(川に洗濯・・・山に芝刈りって、りかちゃん・・・)
(ももたろうじゃないんれすから・・・)
- 45 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時50分51秒
- むろん、そんな兄妹が自分たちの思惑に気付いてるとは思ってもみない石川は、
「ちゃお〜♪」
と、機嫌がよさそうに言って、その姿を消しました。
そして、残された後藤と辻は、どうしたのでしょう。
「行っちゃったのれす」
「行っちゃったねえ・・・」
まるで他人事のように話す二人の兄妹。
そこには、緊張感のかけらもありませんでした。
- 46 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)21時55分28秒
- 「それで、ごっちん(兄)。
こっから、どうやって帰るのれすか?」
やや上目使いに、自分よりも背の高い兄を見上げながら、辻が言いました。
問われて、後藤は待ってました、と言わんばかりに得意げな表情を浮かべます。
「ふふ〜ん、これを使ったんだよお」
言いながら、後藤がポケットから取り出したのは、ピスタチオでした。
「これをね、一個一個まきながら来たから、帰りはこれを探していけばいいだけ
ってことよ」
「でもこれ・・・豆だから、鳥さんが食べちゃってるかもしれないれすよ?」
「大丈夫。まいたのは殻だから」
「・・・・・・そうれすか・・・」
- 47 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)22時00分27秒
二人がピスタチオの殻をたどって歩いていると、不意に辻が立ち止まってくんくん、
と鼻をひくつかせました。
「甘いにおいがするのれす」
「え?」
甘い匂い、と聞いて、先を歩いていた後藤も足を止めました。
ことさら、食べ物の匂いに関しては人一倍敏感な辻のことを後藤はよく知っていた
ので、彼女が言ったことに間違いはないだろう、と思ったのです。
「こんな森の奥で、なんだろね?」
「・・・行ってみるのれす!」
「あっ、ちょっと待ってのの!」
後藤の返答を待たずに駆け出した辻の後ろを、後藤は慌てて追いかけました。
- 48 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月26日(水)22時04分43秒
- ほとんど本能で走る辻の後ろを追いかけるのはとても大変なことでしたが、それでも
なんとか後藤は辻を見失わずに、後を追い続けました。
そして、突然、森の中に空き地のような開けた場所に出くわしました。
見ると、辻もそこで足を止めています。
そんな二人の目線が、あるものに釘付けになりました。
「「お菓子の家だああ〜〜〜!!!」」
そう、そこにあったのは、まさに『お菓子の家』という名がぴったりの、色とりどり
のお菓子で作られた小さな家だったのです!
- 49 名前:第3話 ちょっと休憩 投稿日:2001年09月26日(水)22時06分36秒
- なんだか思ったより長くなりそうなのでちょっと分けます。
続きは後日・・・。夫婦いしよし、前半はこれが書きたかっただけw
- 50 名前:名無し男 投稿日:2001年09月27日(木)01時24分54秒
- 魔女は誰だ?誰なんだ?
- 51 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月27日(木)13時05分50秒
- 保田だったらいいな。
- 52 名前:名無し男 投稿日:2001年09月28日(金)01時48分36秒
- >>51
やっぱり?
- 53 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)14時50分50秒
-
「いっただっきまあ〜す♪」
お菓子の家は、本当にお菓子で出来ていました。
壁は、クッキーやビスケット。
屋根は、チョコレート。
窓は、水あめ。
色とりどりのお菓子の家は、それはそれは美味しそうな匂いです。
朝から何も食べていないせいもあり、とてもおなかを空かせていた後藤と辻は、
目を輝かせてお菓子の家を食べはじめました。
- 54 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)14時59分29秒
バリバリ・・・ボリボリ・・・
「ちょっと・・・そこの二人、
人んチ勝手に食べちゃいけないべさ」
もぐもぐもぐもぐ、もぐもぐもぐもぐ・・・
「・・・いい加減にしないと、なっちの家がなくなっちゃうべさ」
むしゃむしゃ、ごっくん・・・
一心不乱に食べまくる二人の為に、お菓子の家は見る間にその姿が削られていきます。
そんな二人は、さっきから、この家の住人が話し掛けているのにも気付いたようすは
ありません。
「いつまで食ってんだべーーーー!!(怒)」
遂に、しびれを切らした様子の家の住人は、まだ食べ続けている二人に向かって
突進しました。
- 55 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時04分24秒
-
ぼぐっ
と鈍い音がして、後藤と辻の二人は、仲良くお菓子の家の壁(ビスケット製)に
頭からつっこんでしまいました。
「「いったあ〜・・・」」
ずぼっと頭を壁から抜いて、二人はぶるんぶるん、と頭を振りました。
「もお〜、何?今の・・・」
「大変れす、ごっちん(兄)!
今のはきっと、イノシシさんがタックルしてきたのれすよ!!」
「違うワ、ボケェ!!(怒怒)」
・・・・・・
・・・
「「・・・誰??」」
そこで、初めて二人は、第三者であるこの家の住人に気がついたのでした。
「さっきからずっといるべさ・・・(疲)。
あんたらが食べるのに必死で、気付かなかっただけだべ」
- 56 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時10分15秒
-
「私の名前は、なっちだべ。
この家は、お菓子作りが趣味のなっちが、一生懸命つくったものなんだべ」
家の住人は、なっちと名乗りました。
実は、このなっちには秘密がありました。
こうやって、お菓子の家を作っては子供を引き寄せ、最後にはその子供を食べて
しまう、恐ろしい魔女なのです。
今回は、尋常でない後藤と辻の食べる速さに、ペースを崩されかけた彼女ですが、
もう今は、いつも通りのペースを取り戻していました。
(ふっふっふ・・・今回は久しぶりの獲物だべ。
しかも、二人もいるべさ。これは、確実に仕留めなきゃいけないべ・・・)
なっちの目が、怪しく光ったことに、後藤も辻も気がつきませんでした。
- 57 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時14分44秒
- 「え〜?じゃ、このお菓子の家ってなっちが作ったものなの?
すっごいね〜、重労働だよね〜」
後藤が、半分はもう食べ尽くされたお菓子の家をしげしげと眺めながら、感心した
ように言いました。
(まずは、謝るのが常識だべ!)
「そうれすね〜、それに、とっても美味しかったのれす〜」
(そういう問題でもないべ!まったく二人そろって常識がなってないべ!!)
自分が魔女であることは棚に上げて、なっちは心の中でそう叫びましたが、むろん
顔にそんなことは一切出しませんでした。
そして、彼女必殺の武器である、“なっちスマイル”を浮かべて言いました。
- 58 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時20分14秒
- 「そんなことより、二人ともお腹がすいてるんだべ?
こんなお菓子より、家の中にはもっと豪華な食事が用意してあるんだべ。
中に入るべさ」
にこにこと、人当たりのいい笑顔を浮かべるなっちを見て、後藤と辻は顔を見合わせ
ました。
そして、二人だけが聞こえるくらいの声で、ひそひそ話をし始めました。
『・・・どう思う?』
『怪しいのれす』
『・・・だよねえ〜。大体、いきなり来たウチらに、なんで豪華な食事なんて用意
できるんだろ』
『あの笑顔は、嘘なのれす。嘘の笑顔れす』
『確かに、自分の家食べられて、あの笑顔はないよねえ』
- 59 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時24分44秒
- 普段はぼーっとしている二人ですが、その分、野性的な勘の働く後藤と辻は、なっち
の笑顔の裏に、なにかがあると感じとっていました。
『どういうつもりなんれしょうか・・・』
『きっとあれだよ、うちらが家食べちゃったからさ。ホントはめちゃくちゃ怒って
てさ。
家の中で足止めしてる間に、警察呼ぶつもりなんだよ』
『警察れすか!?そんなのイヤれす〜』
『後藤だってやだよ。
これはもう・・・・・・・・・逃げるしかないね』
二人は、黙って頷きあいました。
・・・・・
・・・
- 60 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時35分44秒
- 「ねえ!なっち!」
「なんだべさ?」
「お鍋、ふいてる!」
「えっ!?大変だべ!!」
後藤の声に、なっちは慌てて家の中へかけていきました。
「「今だ!」」
それを見て、後藤と辻はくるっときびすを返して、もと来た道を走って戻り始め
ました。
「外からお鍋のようすなんてわかるはずないのれす。単純な人れす」
「のの。なっちの家、うちらが食べちゃったんだから、そんな言い方しちゃかわいそうだよ」
「そうれすね〜、でもホントにあのお菓子の家はおいしかったのれす・・・」
辻が、そう言ってうっとりと目を輝かせているころ。
- 61 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時39分05秒
- 「そういえば、お鍋なんて火にかけてなかったべさ」
なっちが、そう言いながら、家の外に出てきました。
そして・・・。
「あれ?さっきの二人がいないべ・・・」
・・・・・・
・・・
「食い逃げだべーーーーーーっっっ!!!!(超怒)」
なっちの絶叫は、いつまでも森の中に響き渡っていました。
- 62 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時43分07秒
-
さて、一方、逃げてきてしまった二人は。
「「ただいまあー」」
しっかりとピスタチオの殻をたどって、無事に家に辿りついていました。
びっくりしたのは石川です。
「あれっ?ごっちん(兄)にのの(妹)!!
どうして・・・」
石川の顔は、ショックで青黒くなっています。
それを見た辻は、ととと、と石川のもとへと駆け寄りました。
「大丈夫れすよ、りかちゃん(母)。
ののとごっちん、いっぱいお菓子食べれるところ、見つけたのれす。
もうご飯いっぱい食べすぎないのれす」
「はあ・・・?」
にこにこ顔で話す辻に、石川は眉を寄せました。
- 63 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時47分25秒
- 「どういうことだろね?よっすぃ(父)・・・って
ああああああーっ!!」
そう言いながら、石川が吉澤を振り返ったとき。
いきなり石川が悲鳴に近い大声を上げました。
「会いたかったよ〜、ごっち〜ん(兄)」
「後藤もだよ〜、よっすぃ〜(父)」
二人は、仲良く親子再会の喜びの抱擁中でした。
・・・・・
「離れなさあいっ(焦)!!!
こらっ、ごっちん(兄)!!」
こうして、この家庭には、またにぎやかな声が戻ったのでした。
そして。
- 64 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時50分59秒
- 「ねえ〜、また行くのお?のの」
「あったりまえだのクラッカーなのれす。
ののは、もうあのお菓子の家の味にめろめろなのれす」
「・・・どうでもいいけど、のの、変な言葉ばっかり覚えるの、やめなね」
「さ〜、行くれすよ〜ごっちん(兄)!!」
「はいはい・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「また食い逃げだべーーーーーっっっ(超超怒)!!!!」
平和な国の、平和な村のお話でした。
- 65 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻 投稿日:2001年09月28日(金)15時54分01秒
- 〜後日談〜
「ふっふっふ・・・
いつまでも、なっちが家を食べられっぱなしでいるわけにいかないべ。
今回は、チョコの屋根に、このスペシャル超強力下剤αを混ぜて・・・」
「ついでに、壁のクッキーにはこの特製からしを入れてやるべ。
ふふふふふ・・・(怪笑)」
〜Fin〜
- 66 名前:第3話 ヘンゼル後藤とグレーテル辻−完結です 投稿日:2001年09月28日(金)16時00分45秒
- はい、やっと終わりました。(w
今回もレスくれた方々、ありがとうございます!
>>50名無し男さん。
魔女は・・・なっちでした(w
>>51名無し読者さん。
>>52名無し男さん。
やっすーは・・・出番なしでした、期待裏切ってごめんなさい。
かわいめの魔女ってことで・・・
今回の話、キャスティングは単純に「食べるの好きそう」な娘。を入れてみました。
なにげに、吉澤&石川、今のところオール出演中です。
でも吉澤、今回ちょっと浮気(笑
次回のお話は・・・考え中です。また皆さん、覗きにきてやってください。
- 67 名前:名無し男 投稿日:2001年09月29日(土)00時37分11秒
- 何か、毎回ぴったりな配役で見事ってしか言い様が無いね。
いつも笑いを提供してくれてありがとう!
次も楽しみにしてます。
- 68 名前:パスカル 投稿日:2001年09月29日(土)16時11分46秒
- はじめまして…
いつもおもしろいっすね!
…僕もリクしていいですかね?
あんまりグリム童話って知らないんですけど。
- 69 名前:パスカル 投稿日:2001年09月29日(土)16時13分10秒
- ↑ブレーメンの音楽隊でお願いします。
あれって確かグリム童話でしたよね?
- 70 名前:ヒューマニスと 投稿日:2001年09月30日(日)21時27分07秒
- >>67 名無し男さん
配役にはいつも悩まされます・・・誰がどの役やっても話ができそうなんで(w
ぴったりと言ってもらえるとホントうれしいです。
>>68、69 パスカルさん
プレーメンの音楽隊・・・そうですね、あれは確かグリムだった・・・
ということで第4話はブレーメンの音楽隊です!
構想でき次第、書きたいと思います。
- 71 名前:パスカル 投稿日:2001年10月05日(金)00時43分14秒
- ありがとうございますー、わざわざ期待に応えてくださるなんて…
期待させていただきます!
- 72 名前:名無し男 投稿日:2001年10月05日(金)14時10分58秒
- >>70
(゜四゜)ノ<どーも
- 73 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)20時54分53秒
- とある国の、とある町の、これは動物達のお話です。
夕暮れ時、そろそろ街灯の明りも灯り始めるころ、町はずれを歩く、一頭のロバが
いました。
ロバは、ひょろっと背が高く、ぎょろりと大きな目を持っています。
このロバの名前は、飯田カオリといいます。
なぜ、こんなところにロバがいるのでしょう?
少し、このロバ―飯田の行動を見てみましょう。
- 74 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)20時59分23秒
- 「はあ〜あ、もうついてないなあ〜、ホント・・・」
ロバ飯田は、ぶつぶつ言いながらその長い足をもてあまし気味に歩いていました。
はために見ると、独り言を呟きながら歩くロバ、というのはかなり異様なものが
ありますが、このロバは『変わっている』と町でも評判でしたので、気にする人は
いませんでした。
ところで。
このロバ飯田は、考えことをすると、周りが見えなくなるという欠点がありました。
「まったく・・・なんでカオリが・・・ぶつぶつ」
「うっ、うわあ〜!!止まって!止まってそこのロバさ〜ん!!」
「えっ?」
- 75 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時06分14秒
むぎゅっ
無残な音は、ロバ飯田の足元から聞こえてきました。
「・・・あれ?」
足元に、明らかに何かを踏みつけた感覚を覚えたロバ飯田は、首をひねりながら
足元に目を向けました。
「・・・あ(汗)」
「う〜・・・」
ロバ飯田の足の下で白目をむいて気絶していたのは、一匹の犬でした。
「あちゃ〜、最近カオリ太り気味だからな・・・大丈夫?」
「・・・・・・」
明らかに犬が気絶していることに気付いていない様子で、ロバ飯田は犬に問いかけ
ましたが、その犬は結局しばらく目を覚ましませんでした。
犬(ってゆーか早く足どけて・・・)
薄れゆく意識の中で、犬はそう思ったのでした。
- 76 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時10分33秒
-
「う、う〜ん・・・」
頭を振りながら、犬が目を覚ましたのは、もう日も沈みかけたころでした。
「大丈夫?」
ロバ飯田が、心配そうな顔で犬の顔をのぞきこみます。
「も〜、あんなところで寝てるから、カオリ気付かないで踏んじゃったよ〜!」
心配げな表情だったロバですが、犬が目を覚ましたことに安心すると、まるで何事も
なかったかのように破顔しました。
「あ゛〜、ずっとついててくれたんだ?あ〜り〜が〜と〜」
「いやいや〜、たいしたことないよ」
「こっちは大したことあったけどね」
「え?なに?」
「こっちの話・・・」
- 77 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時17分59秒
- 犬が言葉にこめた皮肉の意味に、ロバ飯田はまったく気付いた様子がなかったので、
犬はそっとため息をついて、話題を変えることにしました。
「まあ、こんなとこで出会ったのも何かの縁だね。オイラの名前は矢口。
ちょっと訳あって、ご主人さまに捨てられちゃったんだ・・・」
「えっ?家を?」
犬矢口の言葉に、ロバ飯田は大げさに目を見開きました。
「カオリもね、ご主人さまに、家から出されたの。
あっ・・・カオリはね、飯田カオリってゆんだよ。
カオリでいいから」
暗い身の上話の割に、なぜか楽観的なロバ飯田のようすに、犬矢口も気が抜けたように
笑みを浮かべました。
- 78 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時22分45秒
- 「知ってるよ。カオリの名前は。(よく交信してるロバだって有名だから・・・)」
「えっ?そうなの?
へ〜、カオリって有名なんだあ。ふふふふふ」
またもや勘違いして妖しく笑うロバ飯田に、犬矢口はあきれた表情を隠せません
でしたが、ロバが気付いた様子はありません。
「ふふ・・・、カオリが有名・・・ふふふ」
「ねえ、ねえ」
「あは・・・あははははははっ♪有名〜♪」
「ところでさあっ!!」
ついに高笑いまで始めたロバ飯田にしびれを切らし、犬矢口は強引に口をはさみ
ました。
- 79 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時42分06秒
- 「カオリは家、追い出されちゃって、これからどうするの?
どっか行くあてとかってあるの?」
犬矢口がロバ飯田の高笑いを断ち切ろうと、何気なく言った言葉に、ロバ飯田は
なぜか激しく反応しました。
「それは違うよっ、矢口!!」
「えっ?」
いきなり顔をよせてきて声をあげたロバ飯田に少しびっくりしながら、犬矢口は
うわずった声を出しました。
「カオリはね・・・『追い出された』んじゃないよ。ご主人様がね、カオリを家から
出したのは、きっと世界をもっと見てこいって意味だと思うのね」
「・・・・・・」
- 80 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時46分08秒
- 「だからこれは、一種の旅立ちなの!カオリの。
・・・まあ、カオリはさあ、別に世界なんて見なくても、家でゆっくりできれば
それでよかったんだけどね」
「・・・・・・
さいですか・・・」
(ロバが家で働きもせずにゆっくりしてたら、家追い出されるのなんて当たり前
だろーが!!)
犬矢口の脳裏に浮かんだ突っ込みは、口に出されることはなく、その心の中にず
っとしまわれることになりました。
ですが、
(でもちょっと・・・うらやましい。カオリのこの超自分本位な考え方・・・)
常に周りに気を使ってしまう犬矢口は、このロバに少しの羨望の念を抱いたのでした。
- 81 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時51分02秒
- 「なあなあ、そこのロバさんと犬さん。
なんか食べるもん、持ってへん?」
独特のイントネーションをもったその声は、ロバ飯田と犬矢口の頭の上から聞こえて
きました。
「ん・・・?誰?」
犬矢口が頭上を見上げると、いつのまにいたのか、一匹の猫が、ロバと犬の隣に
ある塀の上にちょこん、と座っているのに気付きました。
「うちか?うちは、加護っちゅーねん。ぷりちーなシャム猫や」
加護と名乗る猫は、そう言ってきゅっと目をつぶりました。
「よろしくなー、ロバの飯田さんに、犬の矢口さん」
- 82 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)21時56分45秒
- 「?? どうして、矢口たちの名前・・・」
「やっぱ、カオリ有名だから」
「ああ、さっきからうち、あんたらの会話聞いてたんや。最初っからな。
なんやー、うちの環境似てるわ、思ってな」
満面の笑みで口を開いたロバ飯田の言葉をばっさりと断ち切って、加護猫は、
ひらりと塀の上から飛びおりてきました。
「環境似てるって?」
ロバよりはまともに話ができるだろう、と踏んだ犬矢口は、ロバから目を離すと
加護猫に向かって問い掛けました。
「うちもなー、ご主人様に追い出されてん。ほんま、困るわー。
行くあてもないし・・・」
「そうなんだあ・・・」
- 83 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月07日(日)22時02分45秒
- 犬矢口と加護猫が顔を見合わせて、なんだか暗い雰囲気になったときです。
突然、場違いに高い声が聞こえてきました。
「わっ、わっ、私もなんですうーーー!!(涙)」
「「なんだあっ!?」」
いきなりの声の登場に、犬矢口と加護猫が声を合わせて振り返りました。
ロバ飯田はというと、さっき加護猫に自分のセリフを断ち切られたのがショックだ
ったのか、だんまりとしてあらぬ方向を見つめているままです。
「わっ、私も、皆さんと同じように・・・ご主人様に・・家を出されて・・・
きっと、私がダメな子だから・・・
私なんて・・・私なんて・・・」
- 84 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年10月07日(日)22時19分55秒
- 今回はもっと長そうなんで、いったん切ります〜。
ブレーメンのタンポポバージョン、それぞれキャラクター強いっす。
やっとリーダーを出せた・・・よかった(ほっ
パスカルさん、ブレーメン・・・最初は話、ちょっと覚えてなくって、家の中から
絵本探してみました。奥が深い話です!!
タンポポメンバーで、どんな話になるのか・・・(w
- 85 名前:名無し男 投稿日:2001年10月08日(月)00時42分46秒
- これもまた見事にハマリ役・・・!!
ホント娘。の事よく知ってますな
続き楽しみです
- 86 名前:パスカル 投稿日:2001年10月17日(水)06時15分29秒
- せっかくリクに答えてもらえたんで完結までレス控えようと思ってたんですがもう
我慢できません!ありがとうございます!わざわざ一読者に過ぎない僕なんかの
リクに答えていただいて…
キャラクターはまりすぎ!面白すぎ!オープニングでこれだと先はどうなるのか!?
続きにも超超超超超期待!(恋レボ風)
- 87 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時09分13秒
- いきなり現われたその声の主に、みんなは辺りをキョロキョロと見回しましたが、
どうもそれらしき人物(動物?)は見当たりません。
「あーれー?確かに声、聞こえたんだけどなあ・・・」
怪訝そうな顔で言ったのは、犬矢口です。
犬である彼女は、他人の気配には敏感なはずなのですが、この声の主にだけは、
どうしても気付かないようでした。
「どこにおんねんやろか?そ〜と〜、影薄いヤツなんちゃう?」
こう言ったのは、加護猫です。
彼女もまた、他人の気配には敏感なのですが、やっぱり声の主は分かりません。
- 88 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時14分23秒
- 「キャハハハハハハ!!
加護ォ〜、いいこと言うねえ、確かに影薄そうな声してるよお〜〜!!」
加護猫の一言に、誰よりも反応したのは犬矢口でした。
実は、人一倍笑い上戸な矢口、今のは相当ヒットだったようです。
「なんかさあ〜、影薄そうなだけじゃなくって、幸も薄そうだよね〜!!
キャハハハハ!!」
「確かに、そんな感じや!!矢口さんも上手いでえ〜!」
そこに、加護猫が加わり、笑い声は更に甲高さを増しました。
「ひ、ひどい・・・(涙)」
ショックを受けたのは、声の主です。
「ちゃんと、いるじゃないですかあ〜、ここにい〜!」
- 89 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時19分28秒
- 「だから、どこに・・・」
犬矢口が、またしても聞こえてきた声に反応して辺りを見渡しましたが、やはりその
姿は見えません。
声の主に対して文句でも言ってやろうと、犬矢口が口を開きかけたときです。
それまでずっと黙りこくっていたロバ飯田が、ふいっと屋根の上に視線を向けて
言ったのです。
「ホラ、矢口。あそこにいるよ?」
「えっ・・・?ああっ!」
ロバ飯田の声につられて屋根の上を見上げた犬矢口は、そこに目的の声の主を
見つけて声を上げました。
「めっ、めんどりィ〜〜!?」
- 90 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時23分42秒
- そう、屋根の上にいたのは、一羽のめんどりだったのです!
犬矢口と加護猫は、しばらくぽかーんとそのめんどりの姿を眺めていましたが、
やがて矢口がふと我に帰って口を開きました。
「・・・てゆーか、あのさー。なんでそんなとこいるわけ?」
「わっ、私の名前は石川ですっ!!」
「・・・いや、聞いてないし」
「そうですよね・・・、
誰も、私の話なんて聞く気にならないですよね・・・こんな暗い私だもの・・・」
なぜか、いきなり暗いムードを漂わせる石川めんどりの姿を見て、犬矢口はこっそりと
ため息をついたのでした。
(ああ・・・マトモな動物は出てこないの?)
- 91 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時30分12秒
- 「どうでもいいけどさあ、石川、アンタなんでそんなとこにいるわけ?」
気を取り直して、犬矢口は再び屋根の上のめんどりに向かって問い掛けました。
「だって・・・。
めんどりって言ったら、普通は屋根の上にいるじゃないですかあっ!!」
なぜか力一杯に答える石川めんどり。
しかし、どうやらこのめんどりは、いつでも全力投球しすぎて空回りしてしまう
タイプのようです。
「しっかし、めんどりのクセにけったいな声やなあ?
そんなんで、朝、ちゃんと鳴けるんかいな?」
黒目がちな目をぱちくりさせながら、加護猫がぽつっと言いました。
「ぎくっ!!」
その言葉に、必要以上に反応したは、やはり石川めんどりです。
- 92 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年10月31日(水)23時34分52秒
- (いや、『ぎくっ』とか自分で言ってるし・・・!!)
ツッコミたい犬矢口でしたが、早く話をすすめるため、あえて黙っていました。
「やっぱり変ですよね?私の声・・・。
そうなんです・・・、私、この声のせいで首になったんです・・・。
ご主人様に、
『毎朝、音外しすぎ』なんて言われて・・・、
音痴なめんどりなんて、生きる資格ないんです・・・私なんて・・・」
「えらいネガティブなめんどりやなあ」
おいおいと泣き喚く石川めんどりを見て、加護猫があきれたように言いました。
(いや、ってゆーか普通おいおい泣くヤツなんていないって!!)
ここでも、犬矢口はツッコミたいのを我慢しました。
- 93 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年10月31日(水)23時38分29秒
- >>85 名無し男さん
レスさんくすです!ハマリ役、といってもらえて安心です(w
>>86 パスカルさん
リクくれたのに、更新滞ってしまい、申し訳ないです。
ちょっと色々あったもので・・・(汗
これから、まあのんびり更新してきますんで、ヨロシクお願いします
- 94 名前:名無し男 投稿日:2001年11月01日(木)09時51分15秒
- 激しくワラタ!!
MJも作者さんも復帰した事やしこれで一安心
- 95 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月04日(日)22時26分53秒
- いつも楽しく読ませて頂いてます。
赤頭巾ちゃんて、グリムじゃありませんでした??
いや、別に邪な事を考えてる訳じゃないですよ(笑
- 96 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年11月06日(火)20時27分40秒
- 「ねえ、それでアンタはどうしたいワケ?」
とりあえず、胸の中のツッコミ精神をぐっと抑えて、犬矢口は石川めんどりに
問い掛けました。
「わ、私はですね・・・」
「はっきり喋ってくれる〜!?」
目を伏せて、言葉を濁す石川めんどりに、少し短気な犬矢口はイライラとしたよ
うに言葉を投げかけました。
少し早口気味な犬矢口にしてみれば、いたって普通の口調なのですが、少々ネガ
ティブな石川めんどりにとってはショックだったのです。
「ひ、ひどい・・・っ!!
どうせ私の声は変ですよっ(泣)!!」
(こ、声のことなんて誰も言ってないって・・・)
- 97 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時32分56秒
- 犬矢口は思わぬ石川めんどりの反応に慌ててしまいました。
何しろこのめんどり、泣き声が異常に高いので、まるで超音波でも聞かされている
ような気分になってしまうのです。
「分かった、分かったから・・・
お願い、泣かないで〜〜!!」
半ば涙声になりながら、犬矢口は訴えました。
加護猫はというと・・・、猫という動物は、通常の動物よりも聴覚がとても優れて
いるため、石川めんどりの超音波に耐えられず、耳を塞いで縮こまってしまっています。
「ちょっと、カオリもなんとか言ってよお〜〜(涙)」
- 98 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時39分42秒
- 「きいイ―――ン(涙)、きいイ―――ン(涙)!!」
「やーめーてー!!石川、やーめーてー!!」
石川めんどりの泣き声を止められないと悟った犬矢口は、困ったあげくに、さっきから
黙って上を見上げたまま動かないロバ飯田に助けを求めました。
すると、ロバ飯田は信じられない行動に出たのです!!
「ブツブツ・・・ピピピ―、ガガガ―ッ、
ターゲットの言語を確認・・・」
「・・・は?ちょっとカオリ、どうしたのよ!!(焦)」
いきなり変な独り言を呟きだしたロバ飯田に、犬矢口は焦り出しました。
- 99 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時42分19秒
- この場において、自分以外に唯一マトモであるはずの加護猫は、今や固く目を
とじて耳を塞ぎきってしまい、今の状況にまったく気付いていないのです。
「も〜、誰かどうにかしてよ・・・(涙)」
ついに、犬矢口があきらめて座り込んだ瞬間です!
ブツブツと、何かと交信しているようすだったロバ飯田が、いきなりすいっと
一歩前に出たのです。
そして、言いました。
「泣かないで、石川。カオリには、あなたの気持ちが分かるから」
- 100 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時45分36秒
- 「・・・えっ?」
突然のロバ飯田の言葉に、石川めんどりは泣くのをやめて、きょとんとしました。
ロバ飯田は、真っ直ぐにめんどりを見上げたまま、言葉をつなげます。
「石川は、・・・歌手になりたいんでしょ?」
「な、なんでそれを・・・!!??」
ロバ飯田の言葉に、驚いたように羽をばたつかせる石川めんどり。その顔に、もう
涙のあとはありません。
ロバ飯田は、石川めんどりの驚きようにふふっと笑みを漏らすと、
「だって、今泣きながら言ってたじゃない」
- 101 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時48分24秒
- 「!!!」
その言葉にびっくりしたのは、今度は犬矢口です。
彼女は、唐突に始まったロバ飯田と石川めんどりの会話についていけず、黙った
ままでしたが、今の言葉には反応せずにいられなかったのでした。
(泣きながら言ってたって・・・
単なる超音波にしか聞こえなかったじゃん!!どうして分かるのさ!!)
「ね、ねえカオリ・・・?矢口、話がよく見えないんだけど」
犬矢口は、自信ありげに微笑んでいるロバ飯田を上目使いに見上げて、おそるおそる
尋ねました。
- 102 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時52分15秒
- 「へ?矢口、何言ってんの?」
今度きょとん、とした顔をしたのはロバ飯田です。
「だってさあ、今の石川の泣き声から、どうして『歌手になりたい』なんて言葉
聞こえるっていうのさ!?
矢口には、ただの超音波にしか聞こえなかったもん!」
「ただの超音波だなんて、ヒドイ・・・」
また屋根の上からすすり泣きが聞こえましたが、犬矢口はきっぱり無視しました。
その大きな目で、ロバ飯田だけをじっと見つめていると、彼女は再び、犬矢口に
とって信じられない一言を放ったのです!
「何で分かった?って・・・
だってカオリ、ロボだもん」
「・・・・・・・・・」
- 103 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時54分57秒
- 「・・・・・・はあっ!!??」
一瞬、ロバ飯田の言葉に卒倒しそうになって、犬矢口は必死になってそれをこらえ
ました。
「ちょ、ちょっと待ってカオリ!!余計ワケ分かんないよ!!」
「だーかーらー、カオリはロボだって言ってんの。
どしたの矢口?」
(どしたの矢口?って、カオリがどうしたんだよ―――!!?)
犬矢口の思考回路はパニック寸前になり、・・・そこでようやく、一筋の結論が
頭に浮かびました。
- 104 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)20時58分33秒
- 「ね、ねえカオリ・・・
カオリって、『ロバ』なんだよね?」
「違うよお、矢口い(笑)。カオリ、自分がロバだなんて言った覚えないよお?
カオリはー、『ロバ』じゃなくて『ロ・ボ』」
(や、やっぱりいい――――!!!:涙涙)
犬矢口の脳裏をよぎった結論は、ロバ飯田によってあっさり肯定されてしまった
のでした。
「ロバじゃなくてロボ・・・ロバじゃなくてロボ・・・
そんなベタなオチがあっていいものか・・・?いやよくない(反語)・・・」
- 105 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊-(小休止) 投稿日:2001年11月06日(火)21時01分14秒
- 犬矢口はがっくりとうなだれて小さく呟きましたが、もはやロバ飯田、もとい
ロボ飯田も、石川めんどりも彼女の呟きを耳にしてはいませんでした。
「あのねー、カオリも実は、歌手になりたいって思ってたんだあー♪」
「ほっ、ほんとですかあー!?」
「一緒にユニット組もうよ、そんでブレーメンに行って有名になるの!!」
「いいですねえ〜♪石川、がんばっちゃいますよお」
(・・・もう勝手にして・・・)
- 106 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年11月06日(火)21時04分45秒
- もはやツッコミを入れる余裕の残っていなかった犬矢口は、ロボ飯田と石川めんどり
が仲良く手に手を取って去り行くのを、黙って眺めていました。
やがて、加護猫が復活しました。
「あれ?ロバとめんどりさんはどうしたん?
「ロバじゃなかったんだけどね・・・」
「なんやねん、ソレ」
加護猫は犬矢口のようすが異様に暗いことを不思議に思いましたが、なんだか聞いて
はいけないような雰囲気だったので黙っていました。
- 107 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 投稿日:2001年11月06日(火)21時07分22秒
- 沈み行く夕日を眺めながら、犬矢口がぽそりと呟きました。
「・・・うちらも、ユニット組もうか?」
「なんの話やねん」
・・・・・・
・・・
その後、ロボ飯田と石川めんどりはどうなったのでしょうか?
誰も、行方を知るものはいませんでした。
これは、とある国の動物達のお話です。
〜Fin〜
- 108 名前:第4話 -ブレーメンのタンポポ音楽隊- 完結です 投稿日:2001年11月06日(火)21時12分22秒
- まず最初に・・・随分長くなってしまいごめんなさいっ!!
しかもめっちゃアラが多い!!ああ・・・ちょっと修行に逝ってきます。
最後に
>>94 名無し男さん
ありがとうございます。復帰遅れてごめんなさい(反省
>>95 名無しさん
赤頭巾ちゃんですか・・・考えてませんでしたね、参考にします!!
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月07日(水)22時12分58秒
- こういう話の終わりかたって結構好きです。
そのあとを想像する楽しみがあって。
次の作品楽しみにして待ってます。
- 110 名前:名無し男 投稿日:2001年11月08日(木)01時58分30秒
- ロボかよ!
2組に分裂しちゃったよ!
かおりかデビューかよ!
想像を絶する終わり方にのた打ち回りながらワラタ
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月20日(火)15時36分06秒
- 紫板の童話が更新されなくなった今、ヒューマニスとさんしか頼る人がいない!!
ガムバーレ!!
ガムバーレ!!
ガムバーレ!!
- 112 名前:シドニー 投稿日:2001年11月22日(木)11時53分09秒
- 人魚姫なんてどうでしょう?
- 113 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月29日(木)15時26分31秒
- 人魚姫、いいですね。
後藤人魚姫が石川王女を差し置いて、吉澤王子と結婚とか。
- 114 名前:名無し 投稿日:2001年12月06日(木)11時17分26秒
- 一週間、レス無しだ。
- 115 名前:ヒューマニスと 投稿日:2001年12月19日(水)22時54分43秒
ずいぶん長い間、放っていましたこの小説……反省です(汗汗
更新遅いくせに、他に二本同時進行で書くというかなりアホなことしていまして…
すいません、作者、ただ今よしごまにはまってるものですから(ぶっちゃけ)。
銀板でよしごま書いてます。興味のある方はどうぞ…(というかどれか1つは完結させねば!)
- 116 名前:ヒューマニスと 投稿日:2001年12月19日(水)22時56分58秒
というわけで、童話5話なんですが、(リクのあった)赤ずきんにするか、
人魚姫にするか迷ったんですが、赤ずきんの方はまだ、キャストが決まって
いないため…人魚姫です。
でも確か人魚姫はアンデルセンだったような…?でもやります(w
よければ、ちょっと寄ってってくらさい。
- 117 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時02分06秒
これはとある国の、とある人魚のお話です。
とある大きな国のほど近くの海の中に、人魚というそれは美しい生き物の住む、
とてもとても平和な国がありました。
この人魚の国には、ある掟がありました。
人魚は、15歳になると大人になるのですが、大人になった人魚は、必ずその
15歳の誕生日の夜に海の上へと社会見学に行かなければならないのです。
・・・
そして、ここに15歳の誕生日を迎える“人魚姫”が1人いました。
- 118 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時06分06秒
「あ〜あ、めんどくさいなあ・・・」
人魚の王様…つまり、自分の父親から、その社会見学に行くよう命令された人魚姫は
心底面倒くさそうに呟きました。
この人魚姫の名前は後藤といいます。
人魚の国では、名前はとても自由なのです。
そしてこの後藤人魚姫は、とても面倒くさがりで有名な姫だったので、このときも
それはそれは面倒くさそうにしていました。
「そうだ、ちょっとお姉ちゃんたちに相談してみよう!」
後藤人魚姫はそう思いついて、姉たちの部屋を訪ねることにしました。
- 119 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時10分00秒
さて、ここは長女“カオリの部屋”です。
さっそく、後藤人魚姫は話を切り出しました。
「ねーねー、カオリ」
「なに?後藤」
カオリ人魚姫は、あらぬ方向へ視線を向けていました。
後藤人魚姫は、それが『交信している』ことだと知っていましたが、その『交信』が
どんなものかはよく分かっていませんでした。
「地上って、どうしても行かなきゃだめ?」
「さあ〜・・・。カオリはさ、交信で海の上も、地上のようすも分かるから行かないけど」
「・・・・・・」
とても、後藤人魚姫には参考にならないので、彼女は黙って長女の部屋を出ました。
- 120 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時16分17秒
続いてここは次女“圭ちゃん”の部屋です。
さっそく後藤人魚姫は話を切り出しました。
「ねーねー、圭ちゃん」
「何?後藤」
圭ちゃんは、鏡とにらめっこをしながら、パックの最中でした。
後藤人魚姫は、圭ちゃんの怖い顔がさらに怖いと思いましたが、とてもそんな
ことを口に出せる勇気はありませんでした。
「地上って、どうしても行かなきゃだめ?」
「何言ってんのよ!地上のいい男、ゲットしなきゃだわよ!!」
「でも圭ちゃん、いっつも空振りばっかりじゃん・・・」
「な、な、なんですって――――ッ!!!」
圭ちゃんが鬼のような形相になったので、後藤人魚姫は慌てて逃げ出しました。
- 121 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時21分07秒
続いてここは三女“なっち”の部屋です。
さっそく後藤人魚姫は話を切り出しました。
「ねーねー、なっち」
「何ー?ごっちん」
なっちは、相変わらずお菓子を口に含んでもごもごと動かしていましたした。
後藤人魚姫は、ちょっとそのお菓子を分けて欲しいな、と思いましたが、最近
太り気味なのを思いだして我慢しました。
「地上って、どうしても行かなきゃだめ?」
「・・・地上はいいべ。うまいもんばっかりっしょ・・・」
「海中でもおいしいものはいっぱいあるじゃん」
「それもそうだべさ」
なっちが納得したようにまたお菓子を食べはじめたので、後藤人魚姫はあきらめて
部屋から出て行きました。
- 122 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時32分14秒
続いてここは四女“梨華ちゃん”の部屋です。
さっそく後藤人魚姫は話を切り出しました。
「ねーねー、梨華ちゃん」
「なぁに?ごっちん」
梨華ちゃんの高いアニメ声が、後藤人魚姫は少し好きでした。
人魚姫は、「梨華ちゃんは女の子らしくていいなー」と思いましたが、でも黒く
なるのはヤダな、と思い直しました。
「地上って、どうしても行かなきゃだめ?」
「地上と言えば・・・吉澤王子様〜〜!」
「り、梨華ちゃん!?」
「ああ・・・あのクールな瞳が・・・」
梨華ちゃんが惚れこんでいる人間の王子のことを思いだし、発狂してしまったので、
後藤人魚姫は溜息をついて部屋から出ました。
- 123 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時36分07秒
けっきょく、後藤人魚姫はあきらめて、地上への社会見学へ行くことにしました。
しかし、この後、後藤人魚姫にはとんでもない運命が待ち構えていたのです!
・・・
後藤人魚姫は、海面から顔を出して、初めて月を見ました。
遠くに見える、海岸を見ました。
そして、すぐ近くに豪華な船があることに気が付きました。
「・・・なんだろ?」
いくら面倒くさがりとはいっても、後藤人魚姫はまだ15歳になったばかりの、
好奇心旺盛な年頃です。
彼女は、興味にかられてその船に近づきました。
- 124 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時40分02秒
船の中では、人魚姫の住む海のすぐそばにある国の王子の、これまた誕生日のパーティの
最中でした。
そして、後藤人魚姫はパーティの真ん中で微笑んでいる王子を見ました。
「なっ・・・。か、かっこいいいいいっっ!!」
後藤人魚姫の中に、電撃が走りました。
なんと、彼女は人間の王子様に一目ぼれしてしまったのです。
そしてそのとき、突然の嵐が起こりました。
「わーっ きゃーっ」という、悲鳴があちこちから上がります。
(お、王子様っ!王子様を助けなきゃ!)
後藤人魚姫は、さっき一目ぼれした王子を必死に探しました。
- 125 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時44分15秒
ようやく見つけた王子は、ずぶぬれでもう虫の息です。
「お、王子様っ!しっかりしてください!」
「う〜ん・・・」
後藤人魚姫は、何度も呼びかけましたが、王子は反応しませんでした。
(ああ・・・まじかで見ると、さらにかっこいい・・・)
思わず、その苦しそうな姿を見て後藤人魚姫は心がときめきましたが、
(って、こんなことやってる場合じゃないっ!)
慌てて、王子を抱きかかえたまま、遠くに見える陸に向かって泳ぎ始めました。
・・・・・・
・・・
そして、一生懸命泳いで後藤人魚姫が陸地についたころには、嵐も去って夜も
明けるころでした。
- 126 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時47分29秒
「王子様〜、王子さま〜?」
後藤人魚姫は、王子の頬をぺちぺちとたたきながら呼びかけましたが、王子は
一向に起きる気配がありません。
「どうしよう・・・」
人魚姫は焦りました。
人魚には足がないため、海から上は移動できないのです。
かといってこのままでは、王子は今にも死んでしまうかのように思われました。
そのとき、後藤人魚姫のもとに、数人の女の人が近づいてくるのが見えました。
(あ、あれは・・・人間だっ。隠れなきゃ)
そそくさと後藤人魚姫が岩陰に隠れたのと、女の人たちが王子を発見したのは
ほとんど同時でした。
- 127 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時50分25秒
「もし、大丈夫ですか・・・?」
「う、うう〜ん・・・君は?」
「気がつかれましたのね、良かったわ。私の名前は矢口。近くの教会で働いていますの」
「そうか・・・ありがとう、助けてくれて。僕の名前は市井といいます」
・・・
(ええええ〜〜っ!?ちょっと待ってよおおおっ!!!)
岩陰で、その会話を聞いていた後藤人魚姫は焦りました。
なんといっても、嵐の中を泳いで助けた自分のことを、市井王子はまったく覚えて
いなかったのですから。
- 128 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月19日(水)23時56分58秒
やがて、後藤人魚姫は泣く泣く人魚の城へと帰りました。
(ふえ〜ん・・・王子様あ〜・・・・市井って言ってったっけ?
じゃあ市井ちゃんだ、市井ちゃ〜ん・・・)
城へ戻ってからも、後藤人魚姫は王子のことが忘れられず、毎日泣いて過ごしました。
そして彼女の姉たちも、傷心の妹を心配していました。
「大丈夫、後藤。あんたの好きな王子は、まだフリーだよ(ちゃんと見張ってるからカオリ)」
「大丈夫、後藤。今度合コン連れてってやるからさ(私より目立ったら殺すけど)」
「大丈夫、ごっちん。このお菓子やるべさ(食べ切れなかったべ・・・)」
「大丈夫?ごっちん。分かるよ、その気持ち・・・」
- 129 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時00分16秒
「わ〜ん、梨華ちゃん、カオリ〜〜(涙)」
結局、親身になって聞いてくれた長女と四女にだけ、後藤人魚姫は泣きつきました。
すると、長女のカオリ人魚姫は、何かを思いだしたように言いました。
「ねえ、後藤。西のはずれに住む魔女のところへ行ってごらん。
きっと、何とかしてくれるよ」
「魔女?・・・」
もはや、ワラにでもすがりたい気分の後藤人魚姫は、二つ返事で魔女のところへ
行く決心をしました。
そして。
- 130 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時03分58秒
「いらっしゃいなのれす〜♪わたしの名前は辻れす!
いいらさんから大体の事情は聞いたのれす。
人間に恋をしてしまったのれすね?ごっちん」
「・・・なんだ、西の魔女って子供じゃん」
「失礼れすねっ!これでももう14歳れすっ!」
「・・・子供じゃん」
西の魔女とは、少しばかりふっくらとした、いたって健康そうな少女の人魚でしたが、
それでも、カオリ人魚姫と知り合いということは、普通の人魚ではないことは
明白でした。
「もーどうだっていいや、ねえ辻ちゃん!?
後藤はさあ、人間になりたいんだけど。できる?」
- 131 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時10分03秒
「ずいぶんとせっかちれすね・・・まあ、心配ご無用れす!!
これを飲めばアナタも一発で人間になれる!!
『すむーす足できーる君』れす!!!」
「・・・・・・」
魔女ッ子辻が出したのは、怪しげなボトルの妖しげなクスリでした。
いかにも、深夜の通信販売で売っていそうだと、後藤人魚姫は思いましたが、
あまり突っ込むのも時間のムダなので黙っていました。
「これを飲んだら、アナタも私も人間!!人間!!闇にまぎれて生きる、
俺たち妖怪人間も・・・早く人間になれるうう〜〜!!」
「・・・後藤、別に妖怪人間じゃなくって人魚なんだけど・・・」
- 132 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時15分40秒
異常にテンションの高い魔女ッ子辻に、後藤人魚姫はかなり疲れを覚えましたが、
それでも彼女は控えめなツッコミをするのにとどめました。
「さあっ、これを飲むれす!!飲むのれす!!」
ぐびぐびっ
「う゛・・・まずい・・・」
いきなり、無理矢理クスリを飲ませてきた魔女ッ子辻に抵抗できず、後藤人魚姫は
クスリを飲んでしまい顔をしかめました。
「あ、言い忘れてたんれすけど、このクスリ飲んだら、辻がその人の声をもらっちゃう
のれす。辻は、低い声が好きなのれす。
・・・ごっちんの声は、とても辻好みだから嬉しいれすね〜♪」
- 133 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時19分19秒
「えっ?ちょっと待ってよぉ、辻ちゃん、そういう・・・大事なことは・・・
最初に・・・(あれ?なんだか眠くなってきた・・・)」
衝撃の告白に後藤人魚姫は慌てましたが、もはや後の祭りでした。
どんどんと意識が遠のき、やがて後藤人魚姫は意識を失ってしまいました。
そして…
・・・・・・
・・・
「……(あれ?ここは…)」
しばらくして目を覚ますと、後藤人魚姫は見覚えのある場所へと倒れているのに
気がつきました。
(ここは…市井ちゃんを助けた場所だ!!)
そう、そこはまさしく、後藤人魚姫が市井王子を嵐の中連れてきた、あの海岸
だったのです。
- 134 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時22分55秒
(そういえば、辻ちゃん、声をとっちゃうって言ってたなあ・・・)
後藤人魚姫は意識の薄れゆく中で、魔女ッ子辻が言っていた言葉をちゃんと覚えて
いたので、ためしてみることにしました。
「きゅ、きゅ〜・・・(カオリ〜)」
失敗しました。
「きゅきゅ〜ん・・・(梨華ちゃ〜ん!!)」
またしても、失敗してしまいました。
後藤人魚姫はがっくりして、海岸に座ったまま動けませんでしたが、そこで
ようやく自分に二本の足が生えていることに気がつきました。
「きゅ〜ん!(あ、足っ!足があるっ!!)」
- 135 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時27分51秒
(わあ〜い、本当に人間になれたんだあ)
声を失った悲しさも忘れて、後藤人魚姫がうっとりと自分に生えた足を眺めていると、
そこへたまたま通りがかった者がいました。
・・・それはなんと、後藤人魚姫が一目ぼれした張本人、市井王子その人だったのです!
「あれは…?」
市井王子はかなり離れたところから、そこに人影があることに気が付いていました。
かなり、視力が良かったのです。
そして、近づいてみて、それが1人の少女であることに気が付きました。
しかも、その少女はなんと、一糸まとわぬ姿でした。
(嘘だろぉ?裸、ハダカだよっ!・・・)
市井王子は、だんだんと興奮してきました。
- 136 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時32分47秒
「ちょっとキミ、どうかしたの?」
「・・・きゅ〜ん・・・(誰・・・?)」
そして、市井王子がその裸の少女の顔を見たとき、王子の興奮は最高潮に達しました。
(やべえ!!カワイイ!!すっげえモロ好みなんだけど〜!!)
しかし、仮にも一王国の後継ぎである市井王子は、落ち着いたそぶりで後藤人魚姫に
手を差し出しました。
「―――どうしたんですか?お嬢さん」
「・・・きゅ〜んっ(い、市井ちゃんっ!!)」
思わぬ突然の再会に、後藤人魚姫は顔を赤らめました。
しかし、やっぱりその嬉しさも、その思いも、言葉にすることは出来ませんでした。
- 137 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時37分56秒
「な、何よあの裸の女〜!」
そして、岩陰に身を隠し、そんな二人をこっそり盗み見ている女が1人いました。
市井王子が倒れているのを発見した、あの修道女の矢口です。
この矢口修道女も、実は市井王子に一目ぼれで、こっそり跡をつけていたのでした。
「しっかし、あの裸の女、口きけないのかな・・・?」
一方、市井王子も後藤人魚姫が言葉を話せないことに気がつきました。
「ねえ、キミ喋れないの?」
「きゅ〜ん・・・(そうなの。喋れなくなっちゃった)」
「そうなんだ・・・(くわ〜、マジでかわいい!)」」
悲しそうな瞳で自分を見つめてくる後藤人魚姫に、市井王子はどぎまぎしました。
- 138 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時42分57秒
「私は市井っていうんだ、お嬢さん。一応、この国の王子なんだけど」
「きゅ〜んきゅ〜ん(知ってるよ!前、船乗ってるの見た。あたしは後藤だよ)」
「へ〜、後藤っていうんだあ、よろしくね〜」
「きゅ〜ん(うん、市井ちゃんっ!)」
「『市井ちゃん』?初めてだなあ、そういうふうに呼ばれるのって」
「きゅん♪(えへへへ〜♪)」
(―――っていうか、なんで会話が成り立ってんだよ、しかも自然に!!)
岩陰から話を聞いていた矢口修道女は、突っ込みたい衝動にかられましたが、
一応盗み聞きしている立場なので、じっとこらえました。
- 139 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時48分59秒
「ねえ、ちょっと待って・・・今、船に乗ってるとこ見たって言ったよね?
何で知ってんの?市井が船に乗ってたこと。
―――あのとき、後藤、招待客の中にいた?」
「きゅ〜ん、きゅ〜ん・・・(違うよ、後藤は人魚だったの。それで、市井ちゃんが
溺れてるの気づいて、この海岸まで運んできたの)」
「に、人魚だった!?・・・で、市井をここまで運んできてくれたってことは・・・
じゃあ、後藤が市井のこと助けてくれたのか?」
「きゅ〜ん!(そうだよ〜!!)」
「ご、後藤・・・(運命だ、これは運命だぜ!!)」
思わず、市井王子は後藤人魚姫を固く抱きしめました。
- 140 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時54分05秒
(ちょ、ちょっと待てよ〜!!)
納得できないのは矢口修道女です。
(―――さっぱり会話がついてけないよっ!なんでそんな展開になってんのさ!?
っていうか、そもそも何で会話になってんだよ!!おかしいって絶対!!)
矢口修道女のツッコミは的確でしたが、聞く者は誰もいませんでした。
そして、市井王子と後藤修道女はというと。
「なあ、後藤。人魚なのに、なんで尻尾ついてないの?」
「きゅ〜ん(市井ちゃんに会いたかったから、人間になったんだよ)」
「後藤・・・かわいいやつめっ!!」
「きゅ〜ん(市井ちゃん、大好きっ!!)」
・・・・・・
- 141 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)00時59分07秒
(―――ふざけんな、展開速すぎだろそれえっ!!っていうか、矢口って
何のために・・・?)
「よしっ、後藤、結婚しようっ!!」
「きゅ〜んきゅ〜ん・・・!(市井ちゃん・・・うれしいっ)」
いつの間にか、勝手に二人の世界に浸って、市井王子と後藤人魚姫はいつまでも
いつまでも、固く抱き合っていました。
・・・
(だから展開速すぎだっちゅーの――――!!!
矢口の出番は――――!?出番はどこお――――っ!!??
っていうかなんで矢口の役っていっつもこんななのお―――――っ!!:号泣)
・・・
そして、一方海の底の人魚の国では。
- 142 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)01時03分53秒
「なんかよくわかんないけど、後藤、うまくいったみたい」
カオリ人魚姫が得意の電波を飛ばして、二人のようすをしっかり実況していました。
その言葉を聞いて、ほっと胸をなでおろしたのは、梨華ちゃん人魚姫だけでした。
「はああ〜、ごっちん、良かったね・・・」
「そうね・・・(く、悔しいっ!!私なんて、もう6年もいい男探してるのに・・・!!)」
「そうだべ・・・(はあ、地上でうまいもん食べるんだべか〜、ごっちん)」
4人は、しばらくぼおってそれぞれ思いを馳せていましたが、
突然、次女の圭ちゃん人魚姫と、四女の梨華ちゃん人魚姫が
「「そうだっ」」
と、同時に立ち上がりました。
- 143 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)01時08分34秒
・・・
「ねえねえ、辻ちゃ〜ん」
「ちょっと〜、辻〜〜!!」
数時間後、二人の人魚姫はカオリ人魚姫に尋ねて、魔女ッ子辻のもとへとやって来ました。
二人の目的は、同じです。
「お願いっ!!辻ちゃん。アタシにも・・・・・・
人間になれるクスリ、ちょうだ〜いっ!!!(そして吉澤王子様のもとへ・・・)」
「・・・高い声はいらないのれす」
「・・・」
魔女ッ子辻は、哀願してくる梨華ちゃん人魚姫に冷たく言い放ちました。
それを見た圭ちゃん人魚姫は、してやったり、とほくそ笑みました。
- 144 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)01時28分10秒
「じゃあ、辻〜♪私の声なんてどお?あだるてぃ〜な大人のヴォイスよん」
「zz・・・」
「――――寝んなよっ!!(怒)」
・・・・・・
「なあ、後藤〜。子供は13人くらい欲しいよな〜」
「きゅ〜んっ(もー市井ちゃんのえっち)」
「へっへっへっ、抱きしめちゃうぞ〜」
「きゅんっ(いや〜ん)」
・・・・・
- 145 名前:第5話 -後藤人魚姫- 投稿日:2001年12月20日(木)01時30分30秒
「―――だから、なんでコイツらだけ幸せになってんだよおっ!!!(絶叫)」
「―――ぐすんっ、アタシはあきらめないからっ!待ってて吉澤王子様〜!!!」
「―――ちょっと辻!!私のせくすぃ〜ヴォイスがいらないってどういうことよ!!?(激怒)」
・・・今日も、平和なある国のお話でした。
「「「終わるのかよっ!!!」」」
〜Fin〜
- 146 名前:第5話 -後藤人魚姫- 完結です 投稿日:2001年12月20日(木)01時35分47秒
ようやく第5話書いたと思ったら、結局いちごまかよ!!というツッコミが聞こえてきそうな・・・(滝汗
でも、作者のベストカップリングはよしごまです(なんなんだ)
でもいちごまも好き、いしよしも好き、というより童話だとそっちのカップリングの
方が書きやすいんですね・・・
はあ〜、人魚姫にリクしてくれた方々、すんまそん。限界でした、これが(w
赤ずきんに関しましては、キャストに関してリクありましたらどうぞ書いてください。
最近、想像力が貧困になってます(ハワワワ
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月20日(木)06時02分06秒
- やっぱオモロイ!!
ラブラブといえばいちごま?相変わらず配役がうまいですな。
次の赤ずきんも期待しています!
- 148 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月20日(木)13時13分11秒
- 面白かったっす!!
赤頭巾、リクした者なんですが、石川なんかいかがでしょ?
アニメ声で、赤頭巾…。彼女は出過ぎですか?
- 149 名前:名無し男 投稿日:2001年12月21日(金)14時45分46秒
- 強引なシメ方がツボにハマってワラタ!!
辻が魔女ってのも面白くてヨイ!
矢口ただ出てるだけワラタ!!
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