インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

【後藤真希殺人事件】

1 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時35分03秒

前スレ http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=white&thp=989334316
2 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時37分24秒

  某モーニング娘。小説板より抜粋
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
220名前 : 名無しさん 投稿日 : 2001年05月21日(日)22時01分02秒

 彼女は、胎児のように身を縮めていた。
 口元辺りに置かれた手が、幼く映る。
 本当に、眠っているようだった。
 ただ、首の周りのどす黒い痕だけが、それを否定していた。
 彼女に命を奪った者の指の跡がはっきりと浮かび上がっていた。
 その時浮かべた筈の苦悶の表情は消え、柔らかに閉じられた瞼が陽を受けて茶色に光っている。少し開かれた唇からは寝息さえ聞こえてきそうだ。
 ベッドの上、見なれたパジャマ。
 いつもの光景。
 たった一つ其処には無いもの、命。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時38分28秒

  某モーニング娘。小説板より抜粋
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
251名前 : 名無しさん 投稿日 : 2001年05月21日(日)22時15分15秒

 木漏れ日が彼女を包んでいる。
 薄暗い森の中、彼女がいる場所だけが祝福されたように明るい。
 彼女は、樹にもたれ、空を見上げていた。
 生い茂った葉の間から、上空を舞う鷹がのぞいた。
 彼女は翼を持ちて、羽ばたく者をどんな心で見上げるのだろう。
 光を受けたその眼は、鳶色に輝き柔らかさを帯びて嫉妬も羨望も無く、ひたすら凪いでいる。
 首筋を伝い、着衣を染めている血液のまだ失われていない赤さが目に染みる。
 それは樹にもたれている後頭部にある裂傷から流れ出している。
 頭部に決定的な損傷を受けた彼女にはそれを自覚する余裕さえなかっただろう。
 瞬間、眠りに堕ち、そこで彼女の時間は止まった。
 永遠に。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

4 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時39分14秒

 第三日目


5 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時40分10秒

 逃げても逃げても追ってくる。
 絶対に逃れられない。
 そう分かっていても止まる事は出来ない。
 もつれる脚を必死に運ぶ。
 振り返る事は許されない。
 背中に悪寒を感じながらなりふり構わず走る。
 恐怖が心の一番弱い部分を掻き出し、目の前にそんな自分が実体化する。
 大声を出し、死に物狂いでそれを否定する。
 そんなのは私じゃない。
 そんなに私は弱くない。
 そんなに私は卑怯じゃない。
 そんなに私はちっぽけじゃない。
 嫌だ。絶対に嫌だ。
 私は、私は……
 それは、次第に醜く溶け粘性の闇と成る。
 闇が襲いかかってくる。
 体に纏わりつき、走る脚を引っ張り、腕を掴む。
 汚泥の中で泳ぐようなおぞましい感覚。

6 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時40分53秒

 寒い、寒いよ。
 そう感じつつ、皮膚は玉のような汗を噴出している。
 耳の奥で心臓の悲鳴を感じる。
 ……飲み込まれたら、もう帰って来れない……
 そう気付いて、一層の恐怖を手足に伝える。
 だだっこの様に暴れ、前に、とにかく前に進もうともがく。
 私がなにをしたってい云うの?
 私はなんにもしてない。
 私は、私は、悪くない。
 悪くない。
 突然、足元が崩れ、中空に体が投げ出され、闇の底に堕ちていく。
 頭から真っ逆様に、墜ちていく。
 その奇妙な快さに、強張っていた体の力が抜け、怠惰に弛緩する。
 もう、駄目なんだ。
 そんな言葉が心に浮かび、絶望感による浮遊でふわりと体が停止する。
 戸惑いながら見渡すと、そこは、暗く、深く、広い孤独の海。
 誰の姿も見えない、誰の声も届かない、ひとりぼっちの闇。
 絶望に狂った心を襲ったのは忌わしい記憶の洪水だった。


 膝を抱え、幼子の様に泣きじゃくりながら、
 ごめんなさい、ごめんなさい。
 何度もそう叫んでいた。
 涙の流れるままに。


7 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時41分53秒


 いつのまにか日は昇っていた。
 カーテンの隙間から漏れた真夏の光線が石川の寝ぼけ眼を射る。ゆっくりと目を開けるが、視界は薄く膜がかかったようにぼやけている。二三度、瞼をしばたかせて指で擦るとやっと明瞭になり、その分太陽に目が眩んだ。
 体調考えて空調を切ったせいか、じっとりと肌が汗ばんでいる。取り合えず、起きあがって冷房を入れる。カーテンを開けようかとも思ったが、まだ寝息を立てている吉澤を見て、思いとどまった。せっかく寝てるんだもんね。
 吉澤は呆けた様に寝ている。昨晩、部屋に戻ってきた吉澤はしばらくぶりに快活だった。石川はその目の光になにかしら異様さを感じないでもなかったが、それでも吉澤のおどけた話しっぷりに笑った。そんな時間は本当に久しぶりで、石川は一瞬ではあるが安倍の死を忘れる事が出来た。前日の寝不足がたたったのだろう、石川の笑顔を見た吉澤はシャワーも浴びないで糸が切れたように眠りについた。石川は、起さなかった。吉澤があまりに気持ちよさそうに寝ていたから。

8 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時42分40秒

 カーテンの隙間から顔を出して、外を眺める。昨日までとは全く違う胸のすくような光景が広がっていた。蒼々と生命力を主張する森とその先にある深い藍の水平線。晴れ上がった空は、伸びやかに無限を感じさせる。
 気持ちいいくらいの夏。
 今日は泳げるかな、石川は思わずそんな事を考えてしまう。本当なら、今頃吉澤を叩き起こしておおはしゃぎしていた筈なのに。勿体無いぐらいの楽しい時間を過ごしていた筈なのに。
 石川は、徐々に陰に向かう思考を振り払う。とにかく、湿りがちなこの洋館の外に出よう。肌を太陽にさらして、雨上がりの空気を胸いっぱい吸いこもう。そうすればこの陰鬱な気分を晴らすことが出来るに違いない。それに、この太陽の下ではもう、なにも起こらないに違いない。
 それは石川の願望に近かった。
 
9 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時43分36秒

 石川は着替えて部屋を出る。昨日の粘つくような空気は少し和らぎ、そのせいか幾分、足取りも軽く、階段を降りるときにはリズムまで刻んでしまう。
 階下に降り立つと、ほんの少しだが空気の流れを感じる。浮き立つ気持ちを押さえきれず玄関ホールに歩を進めて行く。
 角を曲がり、風のざわめきを感じる。玄関を見ると、扉が大きく開かれていた。ホールの中には柔らかな光りが充満していた。その向うには目映い世界が広がっている。天国、そんな言葉が心に過ぎり、石川は微苦笑を浮かべた。やすらかな、それでいて死を連想させる不思議な心象。
 石川は吸い寄せられるように玄関へと進んで行った。
 外に出ると、期待通りの新鮮な空気が石川の肺に染みこむ。まだ雨露を含んでいる芝が、砕けたガラスのように輝ている。足を動かすたびにそれが跳ねて、素足に着くのだが、それさえも快く思えた。

10 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時44分35秒

 石川は一つ大きな伸びをする。体中の筋肉がほぐれて、まだ少し眠っていた体が起きたような気分になった。
「おはようございます。石川さん」
 不意に後方から呼びかけられ、少々驚いたが、その声は眞子のものだった。
「おはようございます」と、まだ十分に温まっていない喉で返事をする。
 玄関口に立っていた眞子が軽く頭を下げる。そのとき浮かべた微笑が、変な云いかただが、後藤によくにていた。眞子は朝だと云うのに、もう昨日と同じ服装をしている。どうやらそれが彼女の定番らしかった。
 白いシャツの反射が眩しい。それから逃れようとした石川の視線は、途中で何かに引っかかった。昨日、安倍が横たわっていた場所だった。石川は思わず、こみ上げてきそうな何かを振り切るように、空に目をやる。
「綺麗に晴れましたね」
「そうですね」

11 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時45分10秒

「空気が綺麗で気持ちいいですね、朝はいつもこんな感じですか」
「……空気が綺麗、ですか。ずっとこの島にいるとそんな事も感じないですけど、東京から来た人にはそうかもしれませんね」
「東京に比べたら、空もずっと青いですよ。あ、眞子さん、体調はもういいんですか」
 石川は唐突に昨日のことを思い出し、そう問うた。
「ええ、昨日ゆっくり寝ましたから」
 その時、ふわりと吹いた風は潮の香りを運んできた。むずむずと鼻腔をくすぐるその夏の香りに石川は、目を閉じて憂鬱を溶かす。
 もう何も起こらないし、もう諍いあうこともない、大丈夫、石川は自分にそう云い聞かせる。
「よしっ」石川はそう呟くと、取り敢えず朝食の手伝いでもしようと思い立ち、眞子の名を呼んだ。
 返事はなかった。
 石川が振りかえると眞子はもういなかった。

12 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時46分12秒

 辻は再び、ペタンと座りこむと足をばたつかせて加護の方を見る。
「きれいだったよねー、海。あそこで泳げるんだよ、しかも、ほかにだっれもいないの。一人占めだよー、そんでさあ、梨華ちゃんがビーチボール持ってきてるっていってたから、ビーチバレーやろうよ、みんなで。あ、もちろん辻とよっすぃーは別々のチームだよ、元バレーボール部だからね。中澤さんは年だから、陽に当たるのいやがるかなあ。でもさあ、どうせだったらみんなでやりたいよね。ねえ、亜依ちゃんは何がしたい?」
 辻は床に膝をついて、加護のベットの上で両手を組み、顎を乗せる。加護は、シーツに包まったままで、辻の言葉に反応しない。
「……ねえ、返事してよ。お願い、亜依ちゃん……」
 辻はそう言って目を伏せた。

13 名前:藤次 投稿日:2001年10月01日(月)03時54分05秒

作者です。
土下座します。
真に申し訳ありません。
14 名前:祝! 復活!! 投稿日:2001年10月01日(月)07時56分58秒
朝起きて、繋いで、びっくりしました。
復活、大変嬉しいです。
藤次さん(作者さん)、お帰りなさい。
15 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月01日(月)10時44分47秒
あぁ、幸せな週の始まり、月の始まりになった。
お詫びなんてよしてくださいな、〆切とかがある世界ぢゃなし。
16 名前:セーラム 投稿日:2001年10月01日(月)13時44分56秒
よっしゃ!おかえりなさい藤次さん
17 名前:名無し娘。 投稿日:2001年10月01日(月)14時40分49秒
matte tayo!
18 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2001年10月01日(月)16時23分01秒
おお!お待ちしておりました!

15さんの言うとおりですよ! じっくり藤次さんのペースで書いてください
19 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月01日(月)18時07分21秒
今日見つけて一気に読みました。本にしたいくらい素晴らしい
内容だと思います。続きが非常に楽しみなストーリー。素晴らしい。
20 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月02日(火)02時30分20秒
おかえりなさい!
待ってましたよ!
21 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月02日(火)03時02分56秒
今だけは、この喜びを言わせてもらいます。
『待ってました』以上。
22 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月02日(火)03時20分51秒
久々に最初から読み返してみたのですが、やっぱりスゴイですよこの小説!!
こんな素晴らしい小説が読めるならいくらでも待ちますんで、ぜひ最後まで書き上げて下さいね。
23 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月04日(木)01時32分27秒
まってました〜!!
いやあ、ただただ復活が喜ばしい。
24 名前:ななしめ 投稿日:2001年10月04日(木)19時18分56秒
すばらしい、素晴らしいですよ、藤次さん。
いろいろ推理してますが、邪魔になるといやなので
かきません。

ゆっくりでかまいませんから、がんばってください。
25 名前:ななし 投稿日:2001年10月05日(金)13時50分05秒
土下座なんか必要ないっす、続けてくださるなら>>藤次さん

またーりまってますんで、ゆたーりとかいてくだせい。
26 名前:藤次 投稿日:2001年10月13日(土)01時16分38秒
作者です。
市井紗耶香、新生で脳が壊れています。
言語化能力が限りなく零に近い状態です。
一言だけ、
おめでとう、ありがとう。
これからの市井紗耶香に幸あらんことを……
27 名前:ななし 投稿日:2001年10月13日(土)02時29分02秒
うー、同感なんですが、おいらはこの目でみるまではなんとも。

でも幸あれには賛成。
28 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月15日(月)03時13分03秒
自分も壊れました(w
色々あるけど何も言わない。
ただ戻ってきたという真実だけでお腹がいっぱい。
29 名前:yuuki 投稿日:2001年10月17日(水)06時06分04秒
頑張ってください
恐いけどおもろいです
30 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月20日(土)14時33分20秒
加護も死んだのか?
31 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月20日(土)22時23分37秒
刀I
32 名前:藤次 投稿日:2001年10月21日(日)03時31分29秒
訂正。>11と>12の間に以下が入ります。

 辻はベッドから這い出すと、洗面所に向かった。蛇口をひねり勢いよく水を出すと、手のひらで掬って顔に二三度叩きつける。少しはしゃっきりとした気分になりタオルで、顔をごしごしとふきながら部屋に戻る。「亜依ちゃーん、起きて朝だよ」
 そう云いながら、カーテンを開けると部屋がパッと明るくなる。その眩しさに辻は目を細めて手をかざす。
「うわー、すっごい晴れてるよ。亜依ちゃん。外、暑そう。今日は泳げるんじゃない?楽しみだねー」
 辻は加護のベットに飛び乗るとピョンピョン飛び跳ねて、揺する。
「こらー、おきろー、おきろー、朝だぞー」と大声を出すが加護に一向にその気配はない。
「もー」と云って辻は自分のベットに戻ると、鞄を引っ張り上げ中からビニールバックを取り出した。その中を探りながら、辻は云う。
「ちゃんとあの水着持ってきた?この間、二人で買いに行ったの。辻はねえ、イルカの浮きも持ってきたんだよ、ほら」
 辻は、折りたたまれたそれをベッドに広げて見せる。
「おっきいでしょ、二人ぐらい乗れるんだよ」

33 名前:ななしの一読 投稿日:2001年10月21日(日)14時01分14秒
でたでたでたでたでた、みたみたみたみたみた、
まゆ細すぎ〜

あーこの衝撃で藤次さんの更新がおそくなるかも(笑)
34 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月29日(月)19時50分30秒
楽しみにしております。
市井復活おめでとう!>藤次さん
35 名前:山田 投稿日:2001年11月01日(木)10時58分20秒
作者さんカム!
36 名前:金永善 投稿日:2001年11月16日(金)17時07分08秒
そろそろ続きが読みた〜い!!!
37 名前:ななしのいちどく 投稿日:2001年11月24日(土)18時47分11秒
カムカムエブリボディ
38 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月26日(月)20時23分08秒
ドキドキ・・
39 名前:藤次 投稿日:2001年12月09日(日)05時43分36秒
再開できそうです。多分。(本気で平伏
40 名前:ななしのいちどく 投稿日:2001年12月09日(日)14時55分15秒
わーいわーい。
まってました。
しかも明日はあれだし。
41 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月09日(日)15時02分31秒
まじっすか?
死なないでよかった!
42 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月09日(日)21時05分26秒
>>40-41
作者さんも更新時以外はsageてるんでageんで欲しい。

Converted by dat2html.pl 1.0