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帰ってきたあいつ
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月11日(木)22時51分53秒
- あの人の話です。
いま、話題の。
この時期に、この手の話しを連載するのは賛否両論ありそうですが、”フィクション”ということで、お許し下さい。
- 2 名前:みや 投稿日:2001年10月11日(木)22時54分09秒
- こんな事がなければ、本当はもっとテキストがたまってから連載するはずでした。
ということで、本人が復帰するから、それでインスピレーションわきました、って話じゃないです。
ちょっと前から、書いてた話です。
現実とどの程度リンクするのかは、現実が今後どう動くか次第ですが、あまり気にしないで書きます。
次からが、本文です。
- 3 名前:1 怒濤の新展開 投稿日:2001年10月11日(木)22時55分08秒
都内某所。
「そろそろいいんじゃないかと思うんですよね。」
おや、どこかで聞いたことのあるこの声は?
- 4 名前:1 投稿日:2001年10月11日(木)22時55分38秒
「自分なりには、それなりにいろんな経験したと思うんですよ。まあ英語は、ちゃんと留学して勉強したりはしてないですけど、最初に掲げた公約全部守ってたら、戻ってくるのいつになるかわかんないですから。」
戻ってくる?
- 5 名前:1 投稿日:2001年10月11日(木)22時56分17秒
- 「普通の女の子として、まあ日本にいる限り完全に普通の女の子になるわけにはいかなかったですけど、それでも、まあ普通に近い暮らしをして、いろんなこと思ったんですよ。それで、詩もそれなりに書いてみたりしてますし。作曲の方は、まだちょっと楽器がいまいちなんで、ダメですけど、それでもピアノも簡単なのなら弾けるようになって、弾き語りなんかも出来ちゃうかもなあ、なんて思っちゃったりして。で、やっぱり思ったんですよ。歌いたいって。」
歌いたい?
- 6 名前:1 投稿日:2001年10月11日(木)22時56分56秒
- 「ぴー!! を脱退して、最初はまあゆっくり休んで、そのころは、留学とか、いろいろ考えたりもしてたんですけど、ちょっと休んじゃうと、やる気って収まっちゃうもんですねえ。それで、日々平凡に暮らしてて、それでも詩を書いたり、ギターやろうとしたら、なんか指いたいからやめて、ピアノ習ったりしてね。そんな中で、思ったんですよ。やっぱり普通の女の子としての暮らしだけじゃ満足できない。私は歌いたいんだって。だから、復帰しようとおもったんです。」
復帰?
- 7 名前:1 投稿日:2001年10月11日(木)22時57分56秒
さあ、この語っている女性はいったい誰なんでしょう。
そうなんです、かつてこの番組から飛び出した、今や超国民的グループを昨年脱退したこの人なんです。
じゃん!
そうです、市井紗耶香です。
彼女が、いよいよ復帰に向けて始動したのです。
- 8 名前:第1話 投稿日:2001年10月12日(金)21時51分27秒
- 「岡村さん。すごいことになっちゃいましたよ。」
「いやー、復帰するんですか、中澤さん。」
「違うから。中澤じゃないから。大体、中澤ここにいるでしょ。自分でつっこみなさいよ。」
「こんばんは。今日からASAYANの司会になった中澤裕子です。」
「マジで?」
「マジでってどういうことですか。ちゃんと打ち合わせからいたじゃないですか。」
「いや、ゲストじゃなくて、司会?」
「そうですよ。司会、司会。」
「それで、復帰するんだ、中澤。」
「何に?」
「何に?って芸能界に。」
「引退してないですって。」
- 9 名前:第1話 投稿日:2001年10月12日(金)21時52分04秒
- 「しなかったっけ?定年で。」
「モーニング娘。は卒業したけど、芸能界にはずっといるじゃないですか! しかもなんですか、定年って。感じ悪い。」
「ほんまや、岡村、感じ悪い。」
「それより、これホントなんですか?紗耶香が復帰するって。」
「ウソついてもしゃーないでしょ。しかし、びっくりしましたね、ホント。中澤的には、どうよ。」
「・・どうよもなにも、うれしいですわ。ほんとに。ただ、それだけですよ今は。あー、もうほんまびっくりした。司会の初日でちゃんとしなきゃ、ってそれだけでいっぱいいっぱいだったのに、いきなりこんなすごい展開で始まるんですもん。もう、ほんまパニックですよ。自分が娘。やってた頃の怒濤の新展開より、さらに驚いてますよ。」
「自分の時より驚いてるか。そうか。ほんじゃ、続き見てみましょうか。」
- 10 名前:第1話 投稿日:2001年10月13日(土)22時44分59秒
都内某所。
そう、この人は市井紗耶香。
この人が、この人が、ついに復帰に向けて動き出したのです。
「それで、市井としてはどんな形で復帰したいわけ?」
どんな形?
- 11 名前:第1話 投稿日:2001年10月13日(土)22時45分43秒
「形って言うと?」
「ソロでってのが一番ありきたりだけど、その中でも、いろいろあるわけじゃん。またつんくさんのお世話になるってのもあれば、楽曲から何から全部自分でやるって選択肢もあるし。」
いろいろある?
- 12 名前:第1話 投稿日:2001年10月13日(土)22時46分16秒
- 「全部自分でですか?」
「うん、それは極端にしても、そういうのもある。一番思い切ったやり方するとすれば、モーニング復帰とかね。」
「それは、有りなんですか?」
「全部は市井次第ってことよ。もちろんこっちとしては商売だから、売れるものを作らなきゃいけない。だけど、市井がやりたくないやり方でやって、また辞めるなんて言い出されたら、こっちも損だしさ、なるべく売れる範囲の中でなら、市井の意思を尊重するよ。」
市井の意思を尊重?
- 13 名前:第1話 投稿日:2001年10月13日(土)22時46分49秒
「ははは、売れる範囲の中なんですね。」
「そりゃそうさ。だけど、売れると思ったら多少の無理でも通す用意はあるわけよ。」
「なるほど。」
「それで、結局市井はどうしたい?とりあえず言ってみな。多少無理気味でもいいから。言うだけならただだし。」
「私は・・」
- 14 名前:第1話 投稿日:2001年10月13日(土)22時47分27秒
さあ、大変なことになりました。
いよいよ市井紗耶香の口から、復帰へ向けての希望が語られてしまうのです。
来週は、彼女の口から、復帰に際しての再デビューの形が語られてしまうのです。
それは、ソロ?ユニット?あるいは、モーニング娘。への復帰?
来週は、怒濤の新展開なのです。
くーーーーーーー!!!!
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月14日(日)18時12分30秒
- おぉ、ASAYAN形式だ。期待。
- 16 名前:第1話 投稿日:2001年10月14日(日)23時03分20秒
- 「いや、中澤さん。なんかすごいことになってますね。」
「なんか、モーニング復帰も有りみたいな言い方じゃないですか?」
「どうします、彼女がモーニング娘。に復帰したら。」
「えー、ほんまにそれ有りなんですか?どうしよう?」
「中澤も復帰?」
「いや、いいんですかねえ。ちょっと戻ってみたい気もしてきたなあ。」
「いやだめでしょ。定年退職やったんやし。」
「岡村さん、それしゃれになってへん。」
- 17 名前:第1話 投稿日:2001年10月14日(日)23時04分03秒
- 「なんですか!矢部さんまで。そんなんじゃないって言ってるじゃないですか。」
「まあ、そんなんじゃないとして、どうですか?この前、新メンバーも入ったモーニング娘。に番長として戻っていくってのは?」
「番長って・・。いやでもねえ、ちょっとやりづらいでしょうね。だけど1ヶ月限定とかでちょっと戻ってみたいきもしますよね。」
「しかし、市井さんはどうするんでしょうかねえ。」
「まさか、ホントにモーニングに戻るとか。」
「でも、それもありみたいなこと言ってましたよね。」
「だけど、紗耶香自身はまだ何も言ってないんですよね。」
「全部来週分かるらしいですけど。」
- 18 名前:第1話改め第一章 投稿日:2001年10月15日(月)22時33分43秒
- 番組は、その後“グラビアアイドルオーディション”とやらに移っていった。
まあ、そこから先は私には関係ないからテレビは消すと。
これが、今日絶対ASAYAN見ろの中身か。
なんで知ってたんだろ、あの子。
まあ、それはおいといて、紗耶香のやつ、いよいよ復帰か。
私にくらい教えてくれてもいいのに。
辞めるときもほとんど相談してくれなかったんだから、復帰もそうなのかもしれないけど、でも、寂しい。
- 19 名前:第一章 投稿日:2001年10月15日(月)22時34分13秒
- だけど、もしかして、ホントにモーニングに復帰するのかな。
そう考えると結構つじつまは合う。
今までのパターンだと、突然引き合わされて、“市井紗耶香復帰します”なんて言って、驚く私たちの表情を撮る。
新メンバー加入ってのも、そろそろお約束で飽きられた頃だから、“復帰”なんていう新鮮な驚きを与えようってのは、戦略としては確かにありそうだ。
もしそうだとしたら、紗耶香が私に何も連絡してこないのにも納得はいく。
当然口止めされるだろうし。
- 20 名前:第一章 投稿日:2001年10月15日(月)22時34分49秒
- だけど、ホントにいいのか?
夢を追って娘。を脱退していった紗耶香。
紗耶香が再び歌いたい、って思ったときに帰ってくるのは娘。でいいのか?
そうは言っても、娘。に帰ってくるとは決まったわけじゃないんだよね。
やっぱりソロかもしれないし、ユニットかもしれない。
ユニットか。
“紗耶香と二人でのユニット”
夢だったんだけどな。
今紗耶香が帰ってくるとなると、この夢は当分叶いそうにない。
あいつ、これ見て何考えてるんだろう。
だいたい、何で今日の放送のこと知ってたんだ?
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月16日(火)03時08分13秒
- 本当リアルタイムな話ですね。
現実とは違う紗耶香の復帰、楽しみに読ませていただきます。
- 22 名前:第一章 投稿日:2001年10月16日(火)22時00分49秒
市井ちゃん、復帰するんだ・・・。
圭ちゃんどう思ってるかな?
今頃泣いてたりして。
市井ちゃんの最後のコンサート、圭ちゃんぼろぼろだったもんなあ。
あっ、後藤も泣いたっけ。
市井ちゃんの復帰がユニットかなんかだったら、パートナーオーディション、なんかやっちゃったりすんのかな?
そしたら、圭ちゃん本気で受けちゃったりしてね。
市井ちゃんとのユニットなら、後藤ももっと忙しくなってもいいな。
- 23 名前:第一章 投稿日:2001年10月16日(火)22時01分29秒
- それにしても、裕樹までテレビ見て驚いてるってどういうことよ。
今日絶対見ろって言ったの裕樹だったのに。
その上、“保田さんにも知らせて”とか言っちゃって。
いつまで謹慎してるんだか。
大体、私のが数倍忙しいんだぞ。
私も問題起こして謹慎してみようか、なんて。
なんだかなあ。
しっかし、裕樹は何で今日の番組のこと知ってるんだ?
市井ちゃんに聞いたんじゃないことは、今の驚きようからいって間違いない。
だけど、私と圭ちゃんに知らせるってのは、中身を知ってなきゃ出来ない話だ。
んっ、和田さん?
それなら、可能性あるな。
- 24 名前:第一章 投稿日:2001年10月16日(火)22時02分23秒
- 「裕樹、あんた、和田さんに聞いたの?」
「・・・」
「黙ってちゃ、わかんないでしょ。今の驚きようからして、市井ちゃんに直接聞いたんじゃないんでしょ。」
「・・・最近会ってないもん。もう。」
「じゃあ、誰に聞いたの?さっきも聞いたけど、答えな!」
「・・・ソニン。」
「ソニンちゃん?」
「なんか、姉ちゃんと、保田さんに伝えるように頼まれたって。なんでかはよく分かってないって。」
「ソニンちゃんも頼まれただけなの?」
「・・・うん、和田さんじゃない人みたい。」
- 25 名前:第一章 投稿日:2001年10月16日(火)22時03分08秒
- どういうことだ?
和田さんが関わってるんなら、市井ちゃんのモーニング復帰、ってのもありそうだけど、そうじゃないらしい。
一番手っ取り早いのは、・・・本人に聞くか。
- 26 名前:第一章 投稿日:2001年10月17日(水)22時11分31秒
- ASAYANは、ホントは見るはずじゃなかった。
中澤さんが司会になったってのは聞いてたけど、正直言って眠ることのが大事だったから。
明日も早いし。
だけど、部屋の電気まで消してるのに、弟が飛び込んできて叫んだんだ。
「市井さんが復帰するって。」
- 27 名前:第一章 投稿日:2001年10月17日(水)22時12分07秒
- ちょっと眠りに入ってた私は、“市井さんがモーニング娘。に復帰する”っていう風にとらえて、驚いた。
弟が「テレビ、テレビ」って言うので下に降りてテレビを見ると、ちょうど、中澤さんが定年で辞めたんでしょ?っていじめられてるとこだった。
- 28 名前:第一章 投稿日:2001年10月17日(水)22時12分43秒
- なんだ、別にモーニングに帰って来るって決まってるわけじゃないんじゃん。
全部見た感想がこれだった。
だけど、もし、市井さんが帰ってきたら・・・。
まあ、モーニングはいいよ、今更一人増えたって大きな問題はないわけで。
新メンバーが入って来て、先輩なんて呼ばれる立場になってるけど、私にしてもまだまだ教わることも多い。
そんななかに、市井さんみたいなホントのしっかりした先輩が帰って来るってのは、力強いことだ。
だけど、プッチは・・・。
そう、それを思うと不安になった。
- 29 名前:第一章 投稿日:2001年10月17日(水)22時13分15秒
- プッチに入った私は、最初は明らかに市井さんの代わりを求められてた。
別に誰かに直接的に言われたことじゃない。
ごっちんや保田さんだってそんなこと言ったりしない。
でも、最初は、明らかにまわりにそう見られてた。
タンポポみたいに、二人入ったんならいいけど、一人抜けて一人入って、その上、ぱっと見には同じタイプに見えたら、そりゃあそういうのを期待するのが普通だろう。
でも、私は市井さんとは違った。
今は、それをみんな受け入れてくれているような気がする。
だけど、そこへ市井さんが帰ってきたら・・・。
プッチにも復帰するのかなあ?
そしてら、私は、どうなるんだろう・・・。
- 30 名前:作者 投稿日:2001年10月17日(水)22時17分45秒
- 第一章はここまでです。
>15
ASAYAN形式で、最後まで全部いくほどのパワーはなかったです。
すいません。
でも、今後もたびたびでてきそうなんで、待っててください。
>21
正直、書いてて怖いです、現実の動きが。
どんな形の復帰かはまだ言えませんが、たいせーは多分出てこないでしょう。
即レスはしなかったですが、レスは邪魔だとか思ってるわけじゃないです。
何かあれば、ちょくちょく書いてくれれば、へこまずにすみます。
今後ともよろしく。
次回から第2章です。
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月18日(木)03時16分33秒
- 別に現実に沿った話でないんだから、たいせーなんて出てこなくてオッケーです。
というか、むしろ出るなってカンジです(w
続きも期待してますんで頑張って下さい!!
- 32 名前:作者 投稿日:2001年10月18日(木)22時48分26秒
- >31 別に現実に沿った話でないんだから、たいせーなんて出てこなくてオッケー
たいせーと組ませたら、ここで書く意味無いですよね。
やっぱ、みんなそう思ってるのかなあ?
というわけで、第2章の開始。
- 33 名前:第2章 それぞれの一週間 投稿日:2001年10月18日(木)22時49分57秒
- 翌日、娘。のPV収録。
全員集まった楽屋は、当然、市井ちゃんの復帰話で持ちきり。
昨日電話したけど、電源きってるんだもんなあ・・・。
絶対わざとだよ。
ずるいよ、市井ちゃん。
圭ちゃんは、なんで知ってたの?って私に聞くだけで、それ以上何も言わない。
メンバーは好き勝手言ってる。
まあ、梨華ちゃんや、辻加護は、あんまりつながりないからなあ。
新メンバーのどんな人なんですか?攻撃はちょっと疲れたよ。
やぐっつぁんも、なっちも、それはごっちんがよーく知ってるよ、とか言って私にふるんだもん。
- 34 名前:第二章 投稿日:2001年10月18日(木)22時50分37秒
- 「後藤さん。市井さんは、どんな方だったんですか?」
どんな方っていう愛ちゃんの言葉は、やっぱりすごく遠い人のことを聞くような響きだった。
「市井ちゃんは、優しくて、強い人。でも、泣き虫なんだよね。私にとっては、やっぱりお姉ちゃんなのかなあ。愛ちゃんもさあ、今すごい不安なこと多いでしょ。私にもそんなときがあってさ、そういうときにいつもそばにいてくれたのが市井ちゃんだった。ホテルでも、いつも同じ部屋でね。プッチモニになってからなんか、ホントにずーと一緒にいたよ。雑誌の取材で、お互いの衣装選んで、化粧までお互いにしたりしてさ。楽しかったなあ。あっ、別に今が楽しくないって意味じゃないよ。」
- 35 名前:第二章 投稿日:2001年10月18日(木)22時51分08秒
- 答えてから気づいたけど、あんまりどんな人っていうのの答えになってない。
だけど、それでも、私にとっての市井ちゃんっていうのは、そういうことなんだよね。
冷静に、客観的に、こうこうこういう人です、なんて言えるような距離はなかった。
もっと、ずっと近いところにいた市井ちゃん。
私にとっての市井ちゃんは、私と同じ時間を過ごした市井ちゃん。
優しいとか、強いとか、そんな言葉はどうでもいいの。
市井ちゃんはどんな人かと言われたら、私と一緒にいたあの人、としかホントは言えない。
- 36 名前:第二章 投稿日:2001年10月18日(木)22時51分43秒
- 今が楽しくないって意味じゃないのもホント。
今は今で楽しい。
あの頃はあの頃で、それなりに毎日不安も不満もあった。
今も、昔も一緒だよ。
一緒だけど、別物なの。
今の楽しさは、市井ちゃんがいたらきっと無かった。
市井ちゃんがいたら、今はきっと別の楽しさがあったはず。
- 37 名前:第二章 投稿日:2001年10月18日(木)22時52分21秒
- そんな、私たちの周りに一つの変化があった。
それは、カメラが増えたって事。
モーニング娘。の素顔を撮る、とかって、今までもよくあったけど、あれはきっと私が思うにASAYANだ。
スタッフの人は全然知らない人だけど、それくらいの仕掛けはするだろう。
これで、すこしモーニング復帰の可能性が出てきたわけだ。
私は、どんな顔して会えばいいんだろう。
市井ちゃんは、どんな顔してくれるんだろう。
- 38 名前:第二章 投稿日:2001年10月19日(金)23時28分25秒
- 後藤は、さっきから、カメラの方をちらちら見てる。
きっとあのカメラ、ASAYANのだろう。
これで、モーニング復帰の可能性は、高くなったと取ることもできるけど、そうじゃない気がする。
紗耶香が本当に復帰するなら、それこそ完全に隠して、私たちと対面させる方が効果は大きいはずだ。
ホントASAYANのせいで、些細なことからいろんな推理するようになっちゃったよ。
私だけじゃないかな?
でも、みんな、ホントに無邪気だなあ。
後藤は、意外と神妙な感じだけど、矢口もなっちもかおりも・・・。
みんな、本当にいいのか?
- 39 名前:第二章 投稿日:2001年10月19日(金)23時29分37秒
- 夢を追って辞めていった人間が、簡単に戻ってくるとか言ったとき、受け入れるのか?
だったら、何で辞めたんだよ、とか思わないのか?
みんな、どの程度、紗耶香が戻ってくると思ってるのかなあ?
私は、7:3で戻ってこないと思ってるけど。
別に、紗耶香が悪いわけじゃないけど、寂しいよ、どっちにしても。
ソロデビューするとしても、おいて行かれたことになるわけだし。
私は、このままずっと娘。でいていいのだろうか。
あなたには本当にいろいろなことを考えさせられる。
私に今出来ることは、目の前のこの仕事を精一杯頑張ることなのだろう。
しかし、電話くらい出ろよ、さやか。
- 40 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時26分40秒
- よっすぃー元気ないねえ、って気づいてくれたのは梨華ちゃんだけだった。
ちょっと寝不足って答えたら、そっかって納得してくれたけど。
でも、寝不足じゃないメンバーなんていないんじゃないの?
寝不足なのは嘘じゃない。
それも、普段よりもっと寝不足という意味でも嘘じゃない。
寝不足になった原因まで気が回らないのはやっぱり梨華ちゃんらしい。
- 41 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時27分20秒
- 原因は、当然市井さん。
矢口さんのうれしそうなこと。
ごっちんが普通な感じなのは意外だった。
まあ、メンバー全員いるとこで、そんなに感情表現する子じゃないからね。
そんな風に悩みつつも、PVの撮影はしっかりこなせてる自分を、ちょっと誉めてもいいのかな。
先輩になったから。
そんな自覚もある。
大体なんで悩んでるんだ私は!!
別に、今更メンバーが一人増えたって悩むことないじゃんか。
それよりも、新曲、センターで、しっかりしなきゃって事に悩めよ。
プッチは・・・。
だから、そんなこと考えてる場合じゃないでしょ、今は。
「よっすぃー、次、私と二人のシーンだって。」
「オッケー。」
ごっちんは元気だ。
私も、きっと元気だ。
- 42 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時28分10秒
- 当たり前だけど、仕事は毎日ある。
ASAYANのカメラは毎日付いてくる。
ふと思った。
ASAYANは生放送じゃない。
当たり前じゃん、そんなの。
で、ということは、市井ちゃんの復帰の真相は、もう、撮影が終わってるはず。
後藤、頭いいじゃん。
電話、電話っと。
- 43 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時28分48秒
- 「はい。もしもし。」
「あっ、もしもし、後藤です。」
「おー、ごっちんかあ、どおした?」
「祐ちゃん、忙しい?」
「あー、忙しいで、今、ミュージカルの開演前や。」
「そっか、ASAYANの司会なんかもあって大変だよね。」
「まあな。忙しいのはうちらにとってはええ事やろ。」
「そだね。でさあ、ASAYANの収録って進んでる?」
「んっ?いよいよ確信突いてきたか。」
- 44 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時29分22秒
- 「ははは、ばれてるわけね。何聞きたいのかは。」
「んーー、しらんで。」
「まだ聞いてないじゃん。」
「うちはいわへんで。」
「ゆーちゃーん・・。」
「甘えてもダメや。これだけは圭坊でもごっちんでも、メンバーの誰でも口が裂けてもいえへん。」
「じゃあ、口を裂いてやる。」
「ごっちん、いつからそんな過激になったんや。まあ、ほっといても、もうすぐいやでも答えは分かるで。それまでおとなしゅうまっとったらどうや?」
「市井ちゃんも電話に出てくれないんだよねえ。みんな意地悪だよ。」
「ははは、圭坊もそういっとったな。そら、箝口令ひかれとるにきまっとるやろ。」
「圭ちゃんからも電話あったの」
「ああ、もちろん圭坊にも、何も言うてへんで。」
「なるほど。じゃあ、一つだけ。今度の放送では、市井ちゃんのことはっきり分かるの?」
「うーん、まあ、放送が終わった時点では、大体わかっとるやろな。」
「誰も教えてくれないみたいだから、一般人と一緒に待ってるよ。」
「そうか、おとなしゅうしとれよ。」
「うん、祐ちゃんもミュージカル頑張って。」
「ああ、ごっちんもな。」
- 45 名前:第二章 投稿日:2001年10月20日(土)23時29分52秒
- 結局情報ゼロか。
メンバーの間では、やぐっつあんとかおりは、復帰の歓迎会どうしようとかはじめてる。
梨華ちゃんは、無責任に市井さんってすごいですよねーを連発。
なんか、みんな結構考えてないんだなあ、とか思っちゃう。
プッチの3人だけか、いろいろ考えちゃってるのは。
市井ちゃん、何か教えてよ。
後藤は不安だよ。
- 46 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)11時59分11秒
- 紗耶香とは誰も連絡は取れないようだ。
祐ちゃんは何も教えてくれないし、後藤も、ダメだ。
裕樹君にまで電話したけど、彼も何も知らない。
インターネットでは怪情報ばかりつかまされる。
全米デビューって、ASAYANは電波少年とは全然違・・・わないかもしれない。
本人は、当然電話に出ない。
あいつ、なんにしろ復帰するんだから、仕事してるだろうに、連絡どうやって取ってるんだろう。
私たちの仕事は、いつもどおり進んでいく。
ハロモニなんかあれば、祐ちゃんを締め上げられるんだけど今週はないからなあ。
- 47 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)11時59分49秒
- それぞれの番組での収録は、紗耶香のことは話さないということになってる。
放送日との兼ね合い考えたら、今言ったことがとんちんかんな感じになる可能性高いから、それは妥当なところだろう。
うたばんの収録は、吉澤が久しぶりにおとなしかった。
自分がセンターだから、トークでまで目立っちゃいけないとでも思ったのか、新メンバーに遠慮したのか。
かおり、なっち、矢口との4人での雑誌取材では矢口が饒舌だった。
いつものことだ。
後藤に何か変化があるかと思ったら、マイナスな作用はなかったみたいでほっとした。
ダンスレッスンなんかでは集中力が増している。
新メンバー4人は、相変わらず緊張してるから、よく分からない。
紗耶香どうこう以前に、会話できるようにならないと話にならない。
カメラがついて回るのはそう珍しい事じゃないけど、辻加護、おまえら物まねしすぎだよ。
あのカメラのねらいはそういうのじゃないって。
分かってるのは何人いるんだろう。
- 48 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)12時00分25秒
- 土曜日になって、私たち13人は、テレビのあるがらんとした部屋に集められた。
一応収録らしい。
内容は、市井さんのこと。
あしたのASAYANを、今日ここで先に見るんだそうだ。
あのカメラASAYANのだったのか。
私や新メンバーよりも、保田さんやごっちんや飯田さん達ばかり撮ってた理由がやっと分かった。
でも、心の中を覗いたら、一番テレビにながしたくなるのは私なんじゃないの?
- 49 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)12時01分03秒
- 1週間かかって分かった。
私は、市井さんにおびえてる。
市井さんのすごさに、存在感に。
私が加入して1ヶ月。
あの人はそんな時期に辞めていった。
その後の数ヶ月、その不在の存在感は恐ろしく大きいものだった。
私は、あの頃プッチモニじゃなかったと思う。
言うなればゲストって感じ。
市井さんの代わりは出来ない。
自分でそう割り切るまでに時間もかかったし、まわりが私を吉澤ひとみとしてみるまでにはもっと長い時間がかかった。
市井さんが戻ってくる。
あの人が戻ってくる。
私は吉澤ひとみだ。
大丈夫。
そう信じたい。
一人の人間として、写真集だって出したんだ。
誰かの埋め合わせではなしに。
- 50 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)12時01分50秒
- このがらんとした部屋、懐かしい感じだ。
ASAYANで何かを見せられる時って、こういう部屋だったよね。
初登場ランキングとか、よく見たなあ。
それにしても、ますますモーニング復帰の可能性は減ってきたな。
9:1で、復帰はない。
だって、そうじゃん。
一番効果的なのは、ご対面でしょ、突然の。
ブラウン管の向こう側で語ると言うことは、私たちに会わせる必要がないということ。
紗耶香は、ソロデビューか。
これを見せるというのは、私たちに、自分もソロになりたいとかって発言を期待してるのだろう。
後藤みたいにソロで歌ってる人間がもういるんだから、それ自体は大きな効果はないと思うけど。
ソロなら応援してやるか。
でも、なんで連絡つかないかな。
- 51 名前:第二章 投稿日:2001年10月21日(日)12時02分38秒
- どうせならもっと早めに見せてくれればいいのに。
先週の放送の翌日とかさあ。
土曜日に見るんじゃ、一般の人と大差ないじゃん。
それとも、ビデオはだましで、ドアから市井ちゃんが入ってくるとか。
それなら、スケジュールあわせなきゃなんないし、今日になってもおかしくないなあ。
後藤は頑張ってるよ市井ちゃん。
早く教えてよ、市井ちゃんの決意。
脱退の時も全然教えてくれなかったと思ったら、復帰するときも教えてくれないんだね。
帰ってくるの?帰ってこないの?
どっちでもいいよ。
一人でやって行くなら、後藤は応援する。
モーニングに戻ってくるなら、また一緒に頑張ろうよ。
早く教えてよ。
なんで、テレビの向こう側になんているの?
早く出てきてよ、市井ちゃん。
早く後藤の前に出てきてよ。
- 52 名前:作者 投稿日:2001年10月21日(日)12時05分55秒
- 第二章はここまでです。
第三章では、いよいよ、ASAYANで復帰の形が発表されるわけです。
視点のころころ変わるこの話。
みなさん、誰の心境描写か分かるのでしょうか?
書いてて少々不安です。
一応、分かるように、書き分けたり、名前を入れてみたりしてはいますが。
復帰は、どんな形になる思います?
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月22日(月)00時44分27秒
- ちゃんと分かりますよ。
面白いんで楽しみです。頑張って下さい。
- 54 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月23日(火)03時30分56秒
- いや〜、ついに確信ですね!非常に楽しみです!!
ちなみに自分はモー娘復帰は無い!!……と思っているんですが…。
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月23日(火)03時55分52秒
- ここまで一気に読ませていただきました。
裕ちゃんが「祐ちゃん」になってるのがやや気になりましたが
話自体は面白いです!!
かなり期待してるんで、がんばってください!!!
- 56 名前:作者 投稿日:2001年10月24日(水)22時46分18秒
- >53 かなり心配だったので、その一言でほっとしました。
>54 うーん、どうでしょう。もうちょっと引っ張ろうかなあ、なんて。
どんな形にしても、だれか怒る人が出てきそうで怖いです。
>55 こういう指摘はありがたい。そして、非常に恥ずかしい・・・。
なんか、違和感あるなあ、と思ったら、字が違うのか。
一番やってはいけないことの一つなので、反省しています。
それでは、続きです。
果たして、どうなることでしょう。
- 57 名前:第3章 復帰の形 投稿日:2001年10月24日(水)22時47分39秒
都内某所。
そう、この人は市井紗耶香。
「そろそろいいんじゃないかと思うんですよね。」
彼女はいよいよ、復帰に関して口にし始めたのです。
- 58 名前:第3章 復帰の形 投稿日:2001年10月24日(水)22時48分20秒
- 「なんだよー、また前置きからかよー。早く、本題に入ってよ。」
矢口がつっこむ。
そりゃまあ、みんなそう思ってるけど、矢口、そんなとこまでつっこみにならなくていいよ。
それでなくても、裕ちゃん抜けてから、口うるさキャラ扱いされてるのに。
- 59 名前:第3章 復帰の形 投稿日:2001年10月24日(水)22時48分52秒
復帰に向けて動き出した市井紗耶香。
実は彼女、モーニング娘。を脱退してから、こんな暮らしをしていたのです。
- 60 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時49分26秒
- 「えー、まだ引っ張るのー。ASAYANってやっぱり私たちのこといじめすぎさあ。」
「なっち、黙って見る。」
「もー、かおり厳しいなあ。」
市井さんのこれまでの暮らし。
あれから、さらにパワーアップしたというのだろうか。
普通の視聴者はともかく、私たち向けにまで、これ見せなくてもいいような気がするんだけど。
安倍さんの言うように、私も早く、結論を知りたいよ。
- 61 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時50分04秒
- 「モーニングを脱退してすぐの頃は、正直言って休みたかったんですよ。だから、すごいのんびりしてましたね。もう、下手すると引きこもり少女になりそうなくらいずーと家にいました。」
2000年、5月21日。
あの、涙の脱退コンサート。
あの後、彼女は、しばらく家でのんびりしてたというのです。
- 62 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時50分59秒
- あー、私の泣いてる映像はやめて・・・・。
頭なでられたなあ。
後藤はかわいいって言ってくれた。
しかし、市井ちゃんじゃなくたって、私だってのんびりするって絶対。
そんな、いちいち言わなくたってわかるよ。
あの頃電話すると、「今何してるの?」「家にいる」なんてのばっかりだったなあ。
だったら戻ってきてよ、とか言っちゃったこともあったっけ。
- 63 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時52分58秒
- 「動き出したのは、8月くらいからですね。詩を書き始めて、あとギターも習いに出ました。」
詩を書く?
そして、ギター?
「だけど、ギターって難しいッすね。青色7の気分でやってたら、あんなのとは違うって言われて。で、なんか思いつきでピアノなんか習い始めちゃったんですよ。」
ピアノを習った?
「そう、ピアノ。楽しかったですよ。最初は、右手と左手が別々に動かせなくて、本気で指切り落としたくなるくらいでしたけど、一曲弾けてからは、もうレッスンの日が待ち遠しくてしょうがなかったです。でも、そうは言ってもあんまり上達しなかったんですけどね。人様に聞かせられるかどうかぎりぎりのレベルって感じで。」
- 64 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時54分03秒
- 市井さん、ピアノなんかやってたんだ。
ギターのがイメージあってる気がするけど。
楽器が出来て、詩が書けて、それでモーニングに戻ってきたら、すごいことになりそう。
保田さんとごっちんと、詩を書いて曲作ってプッチで歌おう、なんて言ってたけど、それも市井さん一人で全部出来ちゃうのか。
人気のあるごっちん、歌もダンスもうまい保田さん、作詞作曲市井さん、私、立場無いよ。
また、私は、市井さんの呪縛にとらわれてしまうのだろうか。
- 65 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時55分10秒
- 「普通の人としての暮らしもしてましたよ。ただ、この歳で学校行ってないのって、普通って言うかどうかわからないですけど。そう、最近料理にはまっちゃったんですよ。料理って言うか、お菓子づくりなんですけど。そんな普通の暮らしの中にいるからかけてくる詩ってあるなって思いました。あと、プロの作詞家は無理かなあ、とも。いや、なんて言うか、自分の詩なんですよ。誰かに唄ってもらうような感じじゃなくて、自分が書いて自分で唄いたいような詩。そんなのを書くたびに、つんくさんってすごいなあ、って思わされます。」
- 66 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時55分49秒
- 紗耶香、やっぱりソロで唄うんだね。
モーニングじゃ無理だもんね、自分で書いた詩を唄うのは。
シンガーソングライターになりたい。
そう言ってた。
そう言って辞めていった。
のんびりしてるって最初の頃は言ってて、大丈夫かなあって思ってたけど、やっぱり紗耶香はすごいと思う。
その間、私は何をしていたのだろう。
紗耶香がのんびりしていた頃は、後藤と二人で、紗耶香紗耶香言ってて、あの時期のプッチモニダイバーは、かなり痛いし恥ずかしい。
- 67 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時56分25秒
- 吉澤が入ってプッチモニは新しくなった。
紗耶香と私と、それに矢口がモーニングに入ったとき、最初の5人も、後の3人も、みんな唄うことが目的だった。
唄うことが夢だった。
私たちは、紗耶香がいなくなってからの私たちは、しだいに唄うことが少なくなっていった。
バラエティ番組で笑ってもらうのは楽しい。
だけど、唄えない。
自分を、自分たちを魅力ある存在としてみてもらうのはうれしい。
だけど、唄っていない自分。
紗耶香がのんびりして、詩を書いて、ピアノを弾いて、お菓子を作っている頃、私は何をしていただろう。
- 68 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時56分56秒
- 「英語は、ちょっとは勉強したんですよ。通信教育みたいなやつで。一応英検の準2級取ってます。だけど、結局留学もしてないし、聞き取りまでは出来ても、ほとんど話せないし、あんまり意味無い気もします。」
- 69 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時57分55秒
- 準2級ってどれくらいすごいのかなあ?
友達が3級受けたとかっていってたけど。
市井ちゃん勉強もしてたんだ。
なんか結構前に、試験がどうとかって言ってたっけ。
そういえば、最近の市井ちゃんをあまり知らない。
裕樹と会っても、私とはあんまり会ってくれないんだよな。
うちに来てても、私が帰る前に帰っちゃうし。
仕事の忙しさが恨めしい。
私のソロデビューの日に、ちゃんとお金出して買ったよってCD持ってうちに来てくれて以来か。
全然会ってない。
テレビの向こうとこっちなんて寂しいよ。
なんで、市井ちゃんのことテレビで知らなきゃいけないの?
- 70 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時59分16秒
- 「そうやって、いろいろやってて、結局最初に戻るんです。」
最初?
「そう、最初に。私がモーニング娘。に入ったとき。いや、オーディションを受けたときの最初の気持ち。モーニングを辞めるって決めたときの気持ち。唄いたい。自分の歌を唄いたい。そういう気持ちになったんです。」
- 71 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)22時59分58秒
- そういえば、私、歌いたいとは思ってたけど、どっちかっていうと、モーニング娘。になりたいって思ってオーディション受けたっけ。
歌もダンスも、怒られたなあ。
ホント下手だったし。
今でも下手な部分あるけど、新メンバー見てるとさすがに成長したとは思う。
モーニング娘。の中で目立ちたいって思いはある。
だけど、市井さんみたいな、歌いたいからって言って、娘。を辞めちゃう程の強さは、私にはない。
- 72 名前:第3章 投稿日:2001年10月24日(水)23時01分55秒
- 「それで、芸能界へ、唄の世界へ帰ってこようと思ったんです。」
帰ってくる?
ここで、番組は、彼女に復帰にあたっての、形について聞いたわけです。
さあ、いよいよ、それを、彼女が語ります。
「いろいろ考えました。それで、結局、私は・・・」
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月25日(木)03時18分10秒
- うぁ〜〜〜、じれったいっす!!(w
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月25日(木)18時09分26秒
- さすがASAYAN(W
- 75 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)23時58分11秒
- >73,74
作者が悪いんじゃないです。
ASAYANが悪いんです、きっと。
だって、ASAYANですから、そりゃあ引っ張りますよ、これでもかってくらい。
性格悪いなあ、って自分でも感じますが・・・。
- 76 名前:第三章 投稿日:2001年10月26日(金)23時58分45秒
- 「えっ?ビデオ停めて何するんですか?」
スタッフの人が、後ろからリモコンでビデオを停めてしまった。
何考えてるんだよ、ASAYAN。
- 77 名前:第三章 投稿日:2001年10月26日(金)23時59分40秒
- 「リーダーの飯田さん、どう思いますか?」
「えっ?」
スタッフが、かおりに質問してる。
次は私が聞かれるのかなあ?
どう思う?って、本音言っていいのか?
収録だよね、これ。
- 78 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時00分16秒
- 「うーん、紗耶香には帰ってきて欲しいです。」
「帰ってくると思いますか?」
「わかんないけど、帰ってきて欲しいです。」
かおり、無難な答えだ。
私は、どう答えるべきだろう。
- 79 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時00分56秒
- 「保田さん、どうですか?同期だし、プッチモニでも一緒でしたし、一番仲良かったみたいですけど、市井さんは、どんな形で復帰すると思いますか?」
「紗耶香は、意志が強い子なんですよ。だから、一回辞めた娘。に帰ってくるとは思えないですね。自分の書いた曲を自分で唄いたいって言ってるんだから、やっぱりソロなんじゃないですかねえ。」
「じゃあ、この答えを聞いてちょっと不満そうな後藤さん。どうですか?教育係っだった市井さんだから、どういうこと考えてそうか、想像つくんじゃないですか?」
「うーん、後藤は、モーニングに戻ってきても、戻ってこなくて、ソロでも、どっちでも応援しますよ。一緒に歌いたいなあ、とは思うけど。」
- 80 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時02分00秒
- ごっちん、予想聞かれたのの答えにはなってないぞ。
でも、やっぱりごっちんは、市井さんと歌いたいんだね。
ここ半年くらいは、こんなこと思わなかったんだけどなあ。
プッチモニってなんなんだろう。
私が入って良かったのだろうか?
- 81 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時02分43秒
- そんなこと考えつつ聞いてたら、スタッフの人は次々に全員に同じ事を聞いていった。
矢口さんと安倍さんは、戻ってくると信じてる。
梨華ちゃんは、すごいですよねえ、ってほとんど答えになってないことを言ってた。
新メンバー4人は、お会いしたいです、っていう、これも、答えじゃないし。
辻加護は、市井さんと3人で新ユニットを作りたいなどと、わけのわからんことを言ってる。
私は、バンドでも始めるんじゃないですか?って答えておいた。
帰ってきて欲しくないっていう願望のあらわれかもしれない。
“青いスポーツカーの男“の市井さんすごくかっこよかったし。
でも、よく考えたら、市井さんギター辞めてピアノにしたんだっけ。
- 82 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時03分21秒
- ビデオは再び再生を始めた。
なぜか、中澤さん達のスタジオのコメントだ。
だから、私たちは、一般視聴者じゃないんだから、そんなに引っ張らないでよ・・。
- 83 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時04分02秒
- 「中澤、どう思う?」
「復帰の形ですか?」
「そう、市井は、定年で辞めたわけやないし、モーニング復帰もあるんちゃうか?」
「だから、先週からしつこいですよ岡村さん。」
「ほんまや。同じネタ2週も使い回して、お笑いの風上にもおけん。」
「では、続きをどうぞ。」
「こら、逃げるなって。岡村さんはどう思うわけよ。」
「中澤とのユニットとかおもしろいんちゃうか?」
「私?」
「ああ、それええかもな。」
「私、何も聞いてないですよ。」
「さあ、市井さん登場です、どうぞ。」
- 84 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時05分05秒
- 「えっ?えっ?」
「うそやって。」
「もう、びっくりっせないで下さいよ。」
「で、中澤はどう思う?」
「私は、ソロでやってほしいですねえ。」
「なに?モーニング復帰はイヤか?」
「イヤってわけじゃないですけど、大きくなろうとして飛び出したんだから、やっぱ外で大きくならないんといけないんじゃないですか?」
「それは、自分自身についての事もはいっとるわけか?」
「そうですね。やっぱり、自分もモーニングに頼りっぱなしじゃいけないと思うし。」
「でも、外の世界を、普通の世界を一回見て、それでまたアイドルの世界に戻るってのもええんちゃうかな?」
「それは、そうですけどねえ。自分が、まだ、辞めてなかったら、絶対紗耶香戻ってきてー!!!モードになってたとは思うんですよ。」
「そやろなあ、中澤なら。」
「矢部さん、落ち着かないですよ。早く続き見せて下さいよ。」
「そうか?じゃあ、続きいってみましょう。」
- 85 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時05分58秒
- 紗耶香が裕ちゃんとユニットなんか組んだら、許さないよ、私。
紗耶香がユニット組むなら、その相手は絶対私。
私以外にはあり得ないの。
って言っても、モーニングにいる限りそれはないのは分かってる。
それにしても、吉澤以外はみんな、戻ってくると思ってるのか。
もうちょっと冷静に考えれば、それはなさそうな気がするけどなあ。
それとも、願望が優先してるのかも。
私だって、一緒に出来たらどれだけいいかとは思うけど。
でも、楽しいだけじゃ、だめなんだよね、きっと。
- 86 名前:第三章 投稿日:2001年10月27日(土)00時06分40秒
- 都内某所。
市井紗耶香から、いよいよ復帰に向けての、抱負が語られます。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月27日(土)03時32分49秒
- だからASAYANは嫌いじゃ〜(w
- 88 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時54分03秒
- 「どんな形で復帰するかについては、いろいろ考えました。モーニングを辞めてから、平凡ではありつつもいろんな経験をしてきました。直接関係することは、詩を書いたことと、ピアノかな。ダンスレッスンなんてのは全然しなかったんですよ。あと、ボーカルレッスンも。だから、歌そのもののトレーニングは全くしてないんです。」
- 89 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時54分41秒
- 歌のトレーニングはしてない?
「それで、自分の経験を生かしたいんですよ。」
経験を生かす?
- 90 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時55分11秒
- 「そのためには、まずモーニング娘。に復帰する、というわけにはいかないんです。」
- 91 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時55分50秒
- モーニングに復帰はしない?
「かといって、自分で詩を書き、曲を書き、プロデュースして唄うというような、完全なシンガーソングライターとしてやっていくには不安があります。」
不安がある?
「それで、思ったのは、詩や曲はある程度自分で書く。例えば、シングルは作詞は自分で、作曲なんかはプロデューサーさんにやってもらう、アルバムでは何曲かは、自分で作詞作曲したものが入る、なんて形がいいんですよ。」
ある程度は、自分でやる?
「そして、唄うことに関しては、ソロって言うのが最初の目標だったんですけど、そばに競い合うような人が欲しいなと思うようになりました。」
競うような人?
- 92 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時56分26秒
- 「それで、結論としては、二人組のボーカルユニットを組みたいんです。」
- 93 名前:第三章 投稿日:2001年10月29日(月)20時57分11秒
- そうなんです。
ついに、市井紗耶香、結論を出してしまったのです。
なんと、なんと、市井紗耶香、二人組のボーカルユニット、大大大決定なんです。
- 94 名前:闇の住人 投稿日:2001年10月29日(月)23時35分30秒
- おおーっ!どうなるんですかねー。まさかいちごま?更新される度に嬉しくなりますね。おもろいっす!作者さん頑張ってください!!!
- 95 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時37分21秒
- 「えー!!!!!」
矢口となっち、それにかおりが叫んでる。
私もちょっと叫びたい気分だわ。
二人組ボーカルユニットって・・・。
全く予想してなかった・・・。
絶対ソロだと思ってた。
だから、矢口達とはショックの意味が違うんだけど、うーん、釈然としないなあ。
まあ、紗耶香がそうしたいって言うのなら、応援はするけど・・。
でも・・・。
誰とやるってんだよ。
新人募集でもするのか?
紗耶香、ホントびっくりさせやがって。
まあ、応援はするよ。
これからは、仕事で合う機会も増えるだろうし、お互い頑張ろうってことで、許してやるか。
- 96 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時38分14秒
- ボーカルユニットか。
市井ちゃんそんなこと考えてたんだね。
ピアノ弾けるんだから、キロロとか花花みたいなのかなあ。
なんか、かわいい。
そんなこと言ったら怒られるかもしれないけど。
結構期待してたのに、モーニング復帰。
それでも、市井ちゃんもお仕事に帰って来るんだよね。
“頑張ってるなあ、後藤”とか言ってくれるかなあ?
“きれいになったなあ”とか言ってくれるかなあ?
後藤は、いつか、市井ちゃんと一緒に歌えるって信じてるよ。
だから、絶対ユニット成功させてよね。
それにしても、ユニットパートナーがうらやましい。
私たちもバンドなら、セッションとか言って、グループ関係なく、一緒に歌えたりするのに。
あーあ、アイドルってめんどくさいよ。
- 97 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時39分06秒
- 市井さん、戻ってこないんだ。
なんで、私ほっとしてるんだろ。
べつに、市井さんのこと嫌いとかそんなんじゃないのに。
なんか、いろいろ騒いだけど、結局、私たちにとってなんの変化もないじゃん。
ただ、おろおろしてるのを、映しても、そんなに面白くないんじゃないの?
視聴者的にはいいの?これで。
さんざん悩んで損した。
まあ、これで改めて自分の存在意義みたいな事を考えたのは、いいことかもしれないけど。
先輩達は、こうやってASAYANに翻弄されて、いろんな事考えて強くなっていったんだろうな。
私たちが入ってから、ASAYANとの接点って少なくなってたからホントのとこはわかんないけど。
矢口さんも、飯田さんも、“なんだよー期待させといて”っていいつつも、そんなこともあり得るかなっておもってたように見えるし。
仕事場で会ったら、なんて挨拶したらいいんだろう。
復帰おめでとうございます、かな。
それとも、頑張って下さい、か。
やっぱり、最初は、お久しぶりですだろう。
でも、私よりも、きっと先輩達が最初に話しだすだろうから、それにあわせとけばいいか。
- 98 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時39分39秒
- 発表が終わって、みんなざわついてる。
当たり前か。
そんな光景をカメラ3台に追われる私たち、どこまで素でいいのか悩まされるよ。
スタッフの人は笑ってる。
どっきり成功って程の展開じゃないけどなあ。
まあ、矢口とかおりの、がっかりさせんなよー、くらいじゃないの?おいしいリアクションって、せいぜい。
- 99 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時40分11秒
- 「どう?みんなびっくりした?」
「おもわせぶりな事しないでくださいよー、せっかく帰ってきてくれるかもって期待したんだから。もうー!!がっかりですよ。」
矢口、そこはリーダーにしゃべらせてやれよ。
気持ちは分かるけどさあ。
- 100 名前:第三章 投稿日:2001年10月30日(火)22時40分44秒
- 「そっかあ、じゃあ、続きを見てみよう。」
えっ?続き?
終わりじゃないの?
なんで?
- 101 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時07分09秒
- 都内某所。
ボーカルユニットの結成が決定した市井紗耶香。
しかし、まだ、大事なものが決まっていないのです。
- 102 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時08分21秒
- 「それで、ユニットのパートナーのことなんですけど・・。」
ユニットのパートナー?
そうです。
大事な、パートナーが決まっていないのです。
- 103 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時09分15秒
- 「実は、もう、決めてるんですよ。」
もう決めている?
「復帰しようって考えて、彼女にもそういう話をしたんですよ。それで、でもソロって不安なんだよねっていう話もして。彼女も、芸能界をしばらく離れている人間だから、ついいろいろはなしちゃったんですよ。」
芸能界を離れている人間?
- 104 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時10分15秒
- 「それで、一緒にやってみない?って私の方から誘ったんです。彼女と二人でカラオケに行ったんですよ。それで、二人で唄ってたら、すごい気持ちよくて。この子となら、この子と二人でなら、やっていけるんじゃないかと思ったんです。そしたら、彼女も、もう一度やってみたいって言ってくれて。」
もう一度やってみたい?
- 105 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時11分02秒
- 「あみちゃんと、鈴木あみちゃんと、二人でボーカルユニットを作って、もう一回唄います。」
- 106 名前:第三章 投稿日:2001年10月31日(水)23時11分53秒
- そうなんです。
市井紗耶香の新ボーカルユニットのパートナーはあの人に。
そう、なんと、なんと、鈴木あみに、大大大大決定なんです!!!
- 107 名前:作者 投稿日:2001年10月31日(水)23時12分41秒
- 第三章はここまでです。
- 108 名前:作者 投稿日:2001年10月31日(水)23時14分16秒
- 結論が隠れるように、3レス分書き込んでます。
先にあやまっとこう。
気に入らなかった人、すいません。
彼女の復帰発表の前の日に、ここまで書き上がってました。
なんか、否定意見多そうで怖いな。
- 109 名前:作者 投稿日:2001年10月31日(水)23時16分59秒
- 今日は、珍しく青版に入れなかったんですが、どうもあのシリーズが連載されている板には入りづらい気がする・・・。
気のせいか、あのシリーズの人気のせいか?
分かってるとは思いますが、まだ完結じゃないです。
ここからが、書く方としては大変なんですよ。
復帰がこんな形でもいい方は、続きも読んでみて下さい。
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)23時27分29秒
- 心底ビックリした(笑)
楽しみに読んでますんで、頑張って下さい!
- 111 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月31日(水)23時29分24秒
- やべえ、予想当たっちった(w
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)23時31分33秒
- マジでびっくり(w
この展開は予想できなかったYo!
- 113 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月01日(木)03時15分54秒
- 本当にビックリです!!
てっきり明日香とかと思ってたのだが。
- 114 名前:作者 投稿日:2001年11月02日(金)22時50分05秒
- >110-113
みなさん、それぞれに予想なさってたんですね。
正解率4分の1は、割とこちらのねらいどおり。
特に113さんは、ねらいどおり。
ユニットってところで、明日香を思い浮かべてくれる人がいて欲しかったです。
鈴木あみは、ここで書いていいのかなあ?
えー、ここまでは推理小説状態だったわけですが、ここから先も話は続きます。
しかし、110-112の3人。レスはや!
- 115 名前:第四章 私だって・・・ 投稿日:2001年11月02日(金)22時51分04秒
- 「絶対戻ってくるからね。」
- 116 名前:第四章 私だって・・・ 投稿日:2001年11月02日(金)22時52分03秒
- 私は、最後にコンサートをすることはなかった。
テレビに映ることすらもなかった。
絶対戻ってくる。
そう誓ったのは、最後のラジオ収録で、マイクを前に、スタッフを周りにして。
最後の半年、私のほとんどたった一つの仕事と言えたそのラジオ番組だけが、私とファンのみんなをつなぐ窓だった。
その窓が鉄格子で覆われたその日、私は壁に囲まれた入り口も出口もない、暗いじめじめした石に囲まれた部屋に閉じこめられた。
外とつながるすべは何もない。
週1回のラジオ収録しかない芸能人なんて、その時点で暇で暇でしょうがないものだったけど、それでも、仕事があるうちは芸能人だった。
仕事が無くなれば、ただのぷーたろーだ。
フリーターですらない。
- 117 名前:第四章 私だって・・・ 投稿日:2001年11月02日(金)22時52分46秒
- 自分の部屋に引きこもって2週間。
ステレオとテレビとパソコンを駆使して、自分のCD、ラジオ、ライブ映像なんかをひたすら見ていた。
つまらない。
全部、過去の自分たち。
事務所に対抗して、自分ベストMDなんか作ったけど、・・・むなしい。
だんだんストックはなくなっていく。
ついにはデビュー前のビデオにまで手を出し始めた。
ASAYANでこんなの流れたんだっけ。
- 118 名前:第四章 投稿日:2001年11月02日(金)22時53分28秒
- ガキだ。
無邪気だ。
デビューだって感じ。
芸能界の怖さも知らずにはしゃいでる。
今の私の姿など、これっぽっちも想像していないのだろう。
それを見ていてふと思い出した。
- 119 名前:第四章 投稿日:2001年11月02日(金)22時54分10秒
- 「絶対戻ってくるからね。」
この言葉を残して去っていったのは私だけじゃない。
私の1年前に、こう言って去っていった人がいた。
感謝するぞ、ASAYANのビデオ。
私は必死に、携帯のアドレス帳を探った。
今のやつには入ってない。
昔の携帯を引っぱり出してきて、さらに探る。
あった。
- 120 名前:第四章 投稿日:2001年11月02日(金)22時54分54秒
- 市井さやか(モーニング娘) ****
- 121 名前:第四章 投稿日:2001年11月02日(金)22時55分45秒
- これ聞いたのいつだっけ?
思いだせない・・・。
一番最近会ったのいつだ?紅白?
最初は?
彼女とのつながりが全然思い出せなかったけど、でも、絶対、連絡を取るべきだと感じた。
私の先輩。
絶対戻ってくる、そう言ってのけた先輩。
芸能界離脱の先輩。
何かヒントがあるはずだ。
- 122 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時33分11秒
- 電話をしたら驚かれた。
あたりまえだよ、電話したことないもん。
大体、鈴木です、って名乗った私が悪いんだけど。
それでも、会う約束を取り付けた私の話術は、一人でラジオを何年も続けた成果だろう。
頑張れ、鈴木あみ。
- 123 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時34分04秒
- 彼女も結構暇らしい。
そりゃそうだろうな、無職なのは私と一緒だもの。
最初は何かぎこちなかった。
ほとんどまともに話したこと無いんだから、そうなるに決まってる。
でも、お互い、何となく相手の今置かれている状況に、自分との共通点を見てるから、話をしたいという思いはある。
だから、ちょっとずつどうでもいいような、映画の話とかから入っていった。
いきなり傷跡に触れるわけにはいきません。
それでも、話すうちに、詩を書いたり、ピアノレッスンをしたり、それなりに復帰への準備をしているらしいことを聞かされた。
自分ベストMD作ってたりは、やっぱりしてないか。
- 124 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時34分42秒
- 「芸能界って怖いよね。」
「えっ?」
「そういう話し、出来る人いなかったんだよね。」
「うーん、そうだね。」
「私、一応、夢のために辞めたことになってるけど、そうじゃない一面はやっぱりあったのよ。」
「うん。」
「お金に目がない親もつと、苦労するねえ。」
「ははは。」
- 125 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時35分25秒
- 同感。
こっちは裁判中だよ。
- 126 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時35分58秒
- 「でもさあ、夢のためってことにしたから、意地でも復帰してやろう、とは思ってるんだよね。」
「意地でも?」
「鈴木さんは、そういうのない?」
「鈴木さんって、そう言われると、誰?って感じだけど。」
「じゃあ、あみーごは、そういうのあるでしょ?」
あみーご、という響きは、私に芸能界にいた頃を思い出させる。
- 127 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時38分12秒
- 「うーん。帰りたいって気が無くは無い気もする。私の場合は、とにかく今の裁判をどうにかしなきゃいけないんだけどさ。それで、正直言って、不安のが大きい。待っててくれる人がいるのか?って思う。最後がラジオだったから。ライブで、ちゃんとファンの人に挨拶したのとは違う。私は、マイクに向かってそう言って、それを聴いている人がいるって手応えは、あまり分からない。」
「それでも、はがきとかたくさん来たでしょ?」
「そうなんだけど、もちろんそれはうれしいんだけど、でも、実際、目の前で別れを告げるのと、電波を通しては違うよ。だって、別れ話を電話でするのは、ちょっと・・とか思わない?ちゃんと会って、顔を合わせてするもんでしょ。それと同じで、電波を通してさよなら、帰ってくるよ、っていうのはなんか、いまいちなんだよ。」
「あんまり、戻る気はない?」
「・・・分からない。自分がどうしたいのか。戻りたい気もする。でも、こんないざこざもういやだし。どうしていいのか分からない。どうしたいのか分からない。」
- 128 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時38分46秒
- 2週間閉じこもって、久しぶりに外へ出て、人と話した。
結局、自分でもどうしたいのか、何がしたいの分からない、ということだけが分かった。
- 129 名前:第四章 投稿日:2001年11月03日(土)23時39分33秒
- 「じゃあ、休養の先輩として一言。ゆっくり休みな、最初は。テレビなんか見たり、温泉行ったりとかさ。ただ、油断して町に出ちゃダメだよ。ばれるとほんとうざいから。ふらふらするなら、外国行っちゃった方がいい。」
「そっか、それがいいかな。休むか、最初は。」
まあ、焦ってもしょうがないし。
これからピアノのお稽古だから、と子供のようなことを言う彼女とは、その日はそこで分かれた。
- 130 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時14分40秒
- それから1ヶ月、映画を見たり、温泉に行ったり、たまには町に出て買い物をしたりとのんびり過ごした。
自分のビデオやCDは封印。
なんか似合わないなあ、とか思いつつ本を読んだりもしたっけ。
そんなちょっとリフレッシュ気分の時に、紗耶香ちゃんからデートのお誘いがあった。
こっちは、暇だから当然二つ返事でOK。
今度は、お茶飲んでお話だけじゃなくて、本当に遊びに行くって感じ。
- 131 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時15分22秒
- 「ごめん、待った?」
「ううん、今来たとこ。」
「なんかさあ、絵に描いたような待ち合わせ会話じゃない?」
「ちょっとやってみたかったんだよね。」
- 132 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時16分13秒
- 彼女結構お茶目かも。
案外、男の子とのデートの経験少ないな。
- 133 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時16分52秒
- 「どこ行く?」
「私映画見たいんだよね。」
「映画ねえ。」
「なんかさあ、そういう文化的なものに今惹かれてるのよ。作詞なんかしちゃってるもんだから。」
「頑張ってるんだねえ。私なんか、この1ヶ月、ホントのんびりしてたよ。」
「それは、休みのキャリアの違いだって。」
「何、休みのキャリアって。」
「休み方もね、経験が必要なのよ。」
- 134 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時17分26秒
- そうかもしれない。
この1ヶ月のんびりしてたのは、その前の2週間みたいな不毛な感覚じゃなかった。
のんびりしてましたって胸張って言える。
紗耶香が選んだのは、渋谷の単館系ロードショーもの。
ゆったりとした恋愛映画だった。
まわりカップル多すぎ。
大体、平日の昼間になんで制服で映画館にいるのさ。
なんてこと、無職の私が言っても単なるひがみか。
女の子二人で、こういうのもどうなんだろう。
- 135 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時18分20秒
- 映画の後は、二人でお茶して、そのあとプリクラをとった。
顔寄せ合い仲良しバージョンと、二人でピースバージョン。
最後に、ふざけてほっぺたにチュってしたのをとったら、彼女すごい照れちゃって。
うぶだねえ。
こういうところでは、私の方が年上なんだって感じる。
- 136 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時18分54秒
- 「ねえ、カラオケ行かない?」
「カラオケ?」
「それとも、あんまり歌いたくない?今は。」
「そんなこと無いけど。」
「じゃあ、いこ。」
- 137 名前:第四章 投稿日:2001年11月04日(日)21時19分31秒
- 誘われるままにカラオケへ行く。
私はいつ以来歌っていないのだろう。
最後のレコーディングはいつだった?
最後のステージはいつだった?
最後のテレビ収録はいつだった?
・・・はやいな、時の経つのって。
- 138 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)03時23分30秒
- いつのまにか、さやあみ(?)小説になってる(w
新鮮といえば新鮮。
それより、この二人をユニットにしようという発想がスゴイ!!
- 139 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時52分51秒
- カラオケボックスとはいえ、それは、本当に久しぶりに手にするマイクだった。
歌うためのマイク。
カラオケの音源は、スタジオのレコーディングと比べれば、比較にならないほどチープなものだけど、デビュー前は、こういうところで、いつの日かを夢見て歌っていたんだと思い出す。
「がんがん歌おうぜい。」
「おー!」
- 140 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時53分29秒
- 私の今の気持ちを知ってか知らずか、彼女は次々に曲を入れていく。
なんとなく、乗り遅れて、手拍子しながらぼけーっと聞いてた。
やっぱり、モーニング娘の曲を歌いはしないのね、さすがに。
「あみーごも歌いなよ。せっかく来たんだから。」
「うーん・・・。」
- 141 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時54分19秒
- 自分でもよく分からないけれど、マイクを持つことへためらいがある。
歌うことへのためらい。
別に、音が悪いから、とか偉そうなことじゃなくて、なんとなく、よく分からないけど、ためらってしまう。
「もう、しょうがないなあ、恥ずかしがっちゃって。じゃあ、一緒に歌うか。」
- 142 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時55分16秒
- いや、恥ずかしいとか、そんな問題じゃないんだけど・・・。
私は、彼女に手渡されたマイクを持って、歌った。
久しぶりに。
そういえば、最近は鼻歌さえ歌っていなかったっけ。
歌ってみればなんて事はない、やっぱり気持ちいい。
デビュー前の、友達と通ったカラオケの気分そのまま。
「どう?久しぶりに歌った気分は?」
「気持ちいいもんだね。」
「でしょ。」
- 143 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時55分55秒
- 調子に乗って、次々と歌ってしまった。
久しぶりだから、のど大丈夫かなあ?
あっという間に時間は過ぎてゆく。
こんな心地よさは、やっぱり歌でしか得られないかも。
「どうする?延長する?」
「んー、いいよ。喉そろそろきついし。」
「そっか。」
「うん。」
「じゃあさあ、私最後にこれ歌いたいんだよね。」
そう言って、彼女が入れた曲は、私にとってかけがえのないあの曲だった。
- 144 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時56分34秒
- Be Together♪ Be Together♪
私の・・・曲。
私の大事な曲・・・。
紗耶香ちゃんが歌ってる。
私の曲。
初めて、1位になった。
いろんな人に聞いてもらえた。
いろんな人に歌ってもらえた。
私は、ステージで歌っていたんだ。
みんなの前で。
ファンのみんなの前で。
私を応援してくれた人たち。
鈴木あみを応援してくれた人たち。
気づいたら、私の視界はぼやけていて、瞳からはいくつもの滴が流れていた。
- 145 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時57分21秒
- 「あみ!どおしたの。急に泣き出して。」
「私、私、・・・歌いたいよ。もう一度、ステージに立ちたい。もう一度、みんなの前で歌いたい。もう一度、鈴木あみになりたい。」
「・・出来るよ、きっと。頑張ろうよ。私も、人のこと言える状況じゃないけど、頑張ろうよ。歌の世界に、一緒に帰ろう。」
「出来るかな。私に、帰る場所はあるのかな。」
「あるよ、絶対。ファンの人たちが待っててくれる限り、帰る場所はある。そう信じようよ。」
彼女は、私にマイクを渡してくれた。
「あみの曲でしょ。歌いなよ。こんな、ちっぽけなカラオケボックスだけど、みんな、ここから始まったんだから。」
「・・・うん。」
- 146 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時58分01秒
- 観客は、紗耶香だけ。
ちっぽけなステージ。
チープな音。
それでも、聞いてくれる人がいると思うとうれしかった。
泣き声だから、我ながら恐ろしく下手だ。
「紗耶香、一緒に歌おう。」
「うん。」
二人で、ラストのさびを歌う。
- 147 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時58分45秒
- Be Together♪ Be Together♪ 今夜は
Say you love me♪ Say you love me♪ 朝まで
Be Together♪ Be Together♪ 踊るよ
Shake♪Shake♪Shake my soul
- 148 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)21時59分44秒
- 「紗耶香ちゃん、ありがとう。」
「え?何が?」
「ううん、何でもない。」
「なんだよー。思わせぶりな。」
「楽しかったよ。」
「私も。あみと歌うの気持ちいいね。」
「うん。」
「泣くなよー!!」
「泣いてないよー!」
- 149 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)22時00分20秒
- 私は、翌日からボイスレッスンに通い始めた。
また、唄の世界に帰るって決めたから。
ボーカリストとして、唄の世界に戻るために。
彼女に呼び出されたのは、裁判が終わった翌日だった。
そして、こう言われたんだ。
- 150 名前:第四章 投稿日:2001年11月05日(月)22時00分51秒
- 「一緒に、二人で、あみと私の二人で、唄の世界に帰ろう。」
- 151 名前:作者 投稿日:2001年11月05日(月)22時08分30秒
- 第四章はここまでです。
本当は、もうちょっと後で出てくる場面だったのですが、早めに二人の接点を出した方がいいかと思ってここに入れました。
>138 さやあみ小説って見方も、まあ、ありなんでしょうか。
よく読んでみると、変わってて、新鮮だけど、中身は平凡といわれてるわけでしょうか?
確かにそうかも・・・。
鈴木あみのキャラ作りは困ってます。
自分で全部作らなきゃならないですからねえ。
ヤンジャン持ってくるわけいかないし。
でも、何となくしゃべらせたら、勝手に話が進んで、ほっぺにチュとかしだして、収拾付けるのが大変です。
第五章は、どうなる事やら。
- 152 名前:138 投稿日:2001年11月06日(火)03時35分13秒
- >変わってて、新鮮だけど、中身は平凡といわれてるわけでしょうか?
こちらの書き方が悪かったのかもしれませんが、まったくそんなこと思ってもいませんよ。
なんせ、この先どうなるのかまったく予想もつかない状態ですから(w
- 153 名前:作者 投稿日:2001年11月07日(水)09時21分39秒
- >152 なんか、無理矢理フォローさせちゃったみたいですいません。
小心者なもので、いまいち自信ないんですよ。
だったら連載するなよ、とも言えなくはないのですが・・。
序盤の山場を過ぎて、次に出てきたのが鈴木あみと、ちょっと興味が薄くなる展開だったかな?
ここで、鈴木あみを主役級で出すのは、ルール的にあり?
だめ、って言われても今更変えられないんですが。
しかし、他で出てこないキャラを書いてみると、いかにメンバー達の性格付けを読者のイメージに頼っているかが分かって怖い。
どのメンバーも、どっかで見たことあるようなキャラになってるもんなあ。
もっと、書く力を付けねば・・。
第五章、お願い、つんくさん!スタートです。
- 154 名前:第五章 お願い、つんくさん! 投稿日:2001年11月07日(水)09時22分32秒
- 「なんでだよー!!!」
叫んだのは矢口だけど、そう叫びたいのはかおりやなっちも一緒だろう。
私ももちろんそうだ。
紗耶香、なんで鈴木あみなんだよ。
ソロでいいじゃんか。
シンガーソングライターになるんじゃなかったのかよ。
競い合いたい?
だったら、私が競ってやるよ。
- 155 名前:第五章 投稿日:2001年11月07日(水)09時23分30秒
- なんで、なんで鈴木あみなんだよ。
あれだけ比べられて、あんな風にあおられて、そう、ちょうどこんな場所だった。
“ふるさと”の初登場ランキング発表。
今にして思えば、娘。で一番売れなかった曲と、鈴木あみの一番売れた曲が同じ日の発売だった、ってだけのこと。
別に、娘。がだめで、鈴木あみがすごいってわけなじゃなかった。
だけど、あの時の惨めな思い、そう簡単に忘れられるもんじゃない。
なっちの前で、プレステと鈴木あみの話題は、今でも禁句なんだ。
“ふるさと”はなっちがメインってだけで、なっちが悪いわけじゃない。
ある意味、メインのなっちより劣る私たちだったら、もっと問題外ってことを思い知らされたときでもあった。
もう過去のことだよ。
たしかに、過去のこと。
それでも、わざわざ鈴木あみと組むことないじゃないか。
- 156 名前:第五章 投稿日:2001年11月07日(水)09時24分02秒
- そっかあ、市井ちゃん、鈴木あみとユニット組むんだ。
裕樹とだったらどうしようってちょっと思っちゃった。
これがあったから、ASAYANのカメラがいるのか。
なっちややぐっつあん、わかりやすいリアクションしてる。
圭ちゃんも、すごい動揺してるように見えるのは気のせいかなあ?
そんなに、市井ちゃんと一緒にユニットやりたかったのかなあ?
私は、ソロで歌って欲しかった。
テレビでこうやって知らされると、ホントに遠いところへ行ってしまった気がする。
この二人ならきっと売れるよね。
どう考えたって、すごい話題性あるもん。
でも、ホント遠いところに行っちゃったんだね。
モーニング娘。の市井紗耶香は、もういないんだね。
応援はしたいんだけど、寂しいな。
- 157 名前:第五章 投稿日:2001年11月07日(水)09時24分39秒
- あれから1年半。
もう、そんなにたつんだね。
だれとユニット組んだって、市井ちゃんは、モーニング娘。の、プッチモニの市井ちゃんだよ。
信じていいんだよね。
後藤と市井ちゃんのつながりは、ずーと続いて行くんだよね。
- 158 名前:第五章 投稿日:2001年11月07日(水)09時25分48秒
- 私って、自分のことしか考えてないのかな。
市井さんが、戻ってこないことがはっきりしてほっとしてる。
あみさんとのユニットが決まって、喜んでる。
保田さんは、あんなに不満そうなのに。
矢口さんは、怒ってるのに。
飯田さん、安倍さんは、本当に悲しそうなのに。
私一人、市井さんが帰ってこないことを喜んでいる。
でも、市井さんが嫌いなわけじゃない。
ユニットは成功して欲しいって心から思ってる。
正直言ってわからないんだ、ユニットの相手があみさんだって事で怒ってる先輩達が。
いつかの新曲対決の時もテレビで見てたけど、もう昔のことなんじゃないのかなあ?
- 159 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)22時37分28秒
- 撮影が終わって、私たちは新曲のダンスレッスンへ向かった。
新曲披露前の最後のレッスンなのに、みんなぼろぼろ。
雰囲気も、何かいつものレッスンとは違った。
- 160 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)22時38分02秒
- 「あんた達さあ、やる気あるわけ?」
夏先生の檄が飛ぶ。
でも、いつもはその一喝で空気が変わって復活、ということもあるけど、今日ばかりはそうはいかないようだった。
あの飯田さんや保田さんも、まるで動けていない。
辻加護も、そんな空気を察してか、表情が硬かった。
唯一好調なのは梨華ちゃん。
空気が読めないと言うか、図太いというか・・・。
私はというと、いつもと変わらないんだなこれが。
なんか、すっきりしちゃって。
それにしても、このレベルでテレビ出たらまずいよね。
- 161 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)22時38分43秒
- 「飯田!、保田!おまえ達がそんなんでどうするんだよ。上二人がそんな、気のないダンスしてると、回りに伝染するだろ。」
「・・・はい。すいません。」
「なんか、みんなして気の抜けた表情してるなあ。集中しろ。他のこと考えてる余裕があるほど高いポテンシャル持ってるわけじゃないだろ。自分の出来る精一杯のものを出して見ろよ。まわりの人間のことはいいからさ。過去を振り返ってる余裕もないんだよ。今あるモーニング娘。って言うグループの最高のものを出して見ろよ。分かるだろ、それが、今やるべきことなんじゃないのか!」
- 162 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)22時39分37秒
- 普段、こういう感情を高ぶらせたような檄を飛ばすことのない夏先生のこの言葉に、さすがにみんなの集中が戻ってきた。
中でも、保田さんはさっきまでと違う、何か思い詰めた表情で踊っている。
ごっちんは、マイペースだなあ。
でも、実は密かに努力家な部分もあるんだよね。
「吉澤!あんた、何、周りうかがってる。センターがそんな、きょろきょろしてたら、全体が締まらないだろ。」
しまった。
自分が一番集中してない・・・。
- 163 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)23時22分35秒
- レッスン終了後、保田さんは、なにやら深刻な顔でマネージャーさんと話をしていた。
レッスン日もう1日入れて、とか言ってるのかなあ?
最後はまともだったけど、それまではひどい出来だったし。
- 164 名前:第五章 投稿日:2001年11月10日(土)23時23分07秒
- 「吉澤、お疲れ。今日はもうあがり?」
「はい、今日は、あと移動だけです。明日大阪でラジオのとりなんで。」
「そっか。新曲、センターなんだから、しっかり宣伝もしてこいよ。」
「分かってますよ。当然じゃないですか。」
「吉澤。」
「はい?」
「頑張ろうな。」
「どうしたんですか、保田さん?当たり前じゃないですか。」
「そうだよな、いや、何でもない。いいんだ。みっちゃんによろしくね。」
「はい。」
- 165 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)09時46分10秒
- 私の1日には、ダンスレッスンの後、サウナへ行って終わるはずだった。
そう、紗耶香の話を聞くまでは。
まあ、あそこで、紗耶香が入ってきたりしたら、また話は違ったけど、予想通り、紗耶香は帰ってこなかったわけだし。
それが・・・。
鈴木あみか・・・。
“ふるさと”の時のことなんか、もうほとんど忘れてたんだけどな。
正直言えば、別に敵意とか、ライバル心とかほとんどないし。
なのに、紗耶香が彼女とユニット組むって聞いて、急に敵意と寂しさが襲ってきた。
紗耶香が、鈴木あみと組んで、私たちに宣戦布告してきたような。
紗耶香が卒業して、いろんなものを見ている間、私は何をしていたのだろう。
さっき、ビデオを見ながら考えた。
そして思ったんだ、私は、唄わなきゃいけない。
もっと、もっと唄わなきゃいけないんだ。
紗耶香において行かれないために。
紗耶香に負けないために。
- 166 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)09時46分42秒
- 「トントン、失礼します。」
「ん?保田か?どうしたんだ、また急に。」
「つんくさんにお願いがあります。」
「どうしたんや、やぶからぼうに。」
私は、松浦さんの新曲をレコーディングしているつんくさんの元を訪れた。
一つのお願いをするために。
- 167 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)09時47分15秒
- 「私たちに新曲を下さい。」
「は?何言うとるんや。まさに、今から新曲出そういうところやろ。それとも、あの曲じゃ納得いかんか?」
「そうじゃなくて、プッチモニに新曲下さい。」
「ちょっと落ち着け。どうした。別にそんなんいわれんでも、考えとるって。モーニングが一息ついたら、次はプッチとタンポポの新曲や。保田がそんなわめかんでも、ちゃんと作ったるって。それともあれか?例の、市井の件で動転したってわけか?」
「動転ってそんな、そういうわけじゃないですけど。」
「まあ、とりあえず座れ。話はそれからや。あ、その前に、コーヒーと紅茶、どっちがええ?」
- 168 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)09時47分50秒
- わたしは、どっちでもいいですと答えて、いすに座った。
出てきたのは、何故かどっちでもなく、冷たい麦茶だった。
「それで、・」
「ちょい待ち。だから落ち着け言うとるやろ。まずはそれを飲んでからや。」
私は、出された麦茶を一息に飲んだ。
もう10月なのに、それはとても冷たい麦茶だった。
- 169 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時08分30秒
- 「どうや、少しは落ち着いたか?」
「・・はい、すいません。突然押し掛けて。」
「もう一杯なんか飲むか?」
「いや、いいです。」
「どうせ、長い話なんやろ、とりあえず、飲み物なんかおいとけや。」
「・・じゃあ、お茶お願いします。」
「お茶か。そんなんやからおばはんくさい言われるんやで。」
「そんな話しに来たんじゃないですよ。」
「そうか?俺には、それも話の一つやと思うで。」
「え?」
- 170 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時09分06秒
- 「市井のことはもう知っとる。保田が突然ここに来たんはそれが直接のきっかけやろ。」
「ええ、まあ。」
「ようするに、市井がまた歌い出す。鈴木あみ云々は置くとして、市井が唄の世界に帰ってきて、保田自身、今の自分に不安になったちゅう事やないんか?」
「そんな、別に不安とか、そういう事じゃないですけど・・。」
「じゃあ、何しに来たんや。」
「いや、まあ、私ももっと唄いたいと・・。」
- 171 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時10分12秒
- 「同じ事やろが。休んでる間に市井はいろんな経験をしたように見える。
そして、今唄い出す。
それも、かつてはライバルみたいな扱いをうけてた奴とだ。
それなのに、自分は歌以外の仕事が多い。
だから、市井に置いていかれるんやないか?
いや、もう置いて行かれて、手の届かないところへいってしまったんやないやろか?そんなん思うとるんやろ。」
「そこまではっきり考えた訳じゃないですけど。」
「まあ、ええわ。俺からすれば、それは単に、隣の芝生はあおいっちゅう事やと思うけどなあ。」
「隣の芝生ですか?」
「ああ、そや。これは単なる推測やけど、市井からすれば、芸能界から、歌の世界からしばらく離れとって、逆に保田や後藤においていかれたんやないか?って不安やと思うぞ。」
「そうですかねえ。」
- 172 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時11分17秒
- 「保田、今は自分の出来ることをせい。
もちろんモーニング娘。っちゅうんは歌を歌うグループや。
だけど、今はそれだけやなくなってきとる。
あれだけメンバーがいれば、それぞれ属性ってもんが違うからな。
歌以外のところに、その個性が生きる奴もおるやろ。
保田はおばさん臭い役割とか、そういうのも含めてな。
誰が何にむいとる、なんちゅうことはわざわざ俺の口からはいわんけど、そんな中で、自分の向いてないかもしれない仕事をするっちゅうんも大事なことやと思うで。
保田が歌でやっていきたいっていうんはわかっとる。
だけどな、全ての経験は歌に通じるのや。まあ、ちょっと大げさやけど、そう思ってやってみたらどうや?」
「それでも、唄がないと意味はないと思うんですよ。」
「そらそや。歌でやっていく奴は、歌がなかったらあかんにきまっとる。
だから、プッチの新曲はちゃんと考えとる。
保田。人のことは気にするな。
遠くにいて実態の分からない奴と比べてもしゃーないやろ。」
- 173 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時12分21秒
- 「でも、紗耶香ですよ。比べるなっていわれても、意識するなっていわれても、そんなの無理ですよ。」
「市井は市井や、保田は保田。別の人間や。
もちろん、おまえの歌いたいって気持ちは分かる。
それが間違いだともおもわへん。
例えば、保田がどうしても娘。を辞めて、ソロでやっていく準備をしたい。だから市井と同じように辞めていくいうたら、俺には止める権利はあらへん。」
「止めてくれないんですか?」
「いや、最初は止めるで。でもな、今まで4人ともそうやったけど、辞めるいうやつを説得できたためしなんてあらへん。
まあ、モーニング辞めるっちゅうんは相当な決意が必要やろからな。それを変えるのは無理や。
大体な、おまえら一人一人が辞めていくたびに一番苦労するんは誰や思うとるねん。
曲書いとる俺と、振り付けの夏さんやで。いちいち、パート割りいじりなおして、今後の曲もメインどいつにしよか?悩むんや。
先言うとくで。保田、辞めるなんていわんでくれよ。おまえ辞めたら、娘。の曲がなりたたん。ライブもやばいことになってまう。
追加オーディションまたやらなあかんようになる。」
- 174 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時13分17秒
- 「辞めることは、とりあえず、まだ、考えてないですけど。」
「まあ、とにかく、そういうことや。保田は保田の仕事をせい。市井がどうなったか具体的にはわからんけど、この1年半で保田は成長したとおもっとるで。」
「別に、無理して誉めなくていいですよ。」
「無理なんてしてへんて。成長してないようやったら、もっとなんか言うとるって。これでもトータルプロデューサーやで。」
「はあ。」
「納得したか?そろそろええか?松浦もまっとるからなあ。あいつ、ホントは9時には帰さなあかんし。」
「あっ、すいません。レコーディング中に。」
「まあ、ええて。言いたいことあったら言ってもろうたほうが俺としてもやりやすいし。ただ、仕事に穴はあけんでくれよ。」
「それは、もちろん分かってます。」
「それじゃ、新曲のプロモーションとか頼むで。」
「はい、もちろんです。」
- 175 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時13分51秒
- 私は、結局何しに来たんだろう。
プッチの新曲は、書いてくれるって事だから目的は果たしたって言えば果たしたのだけど。
市井は市井、保田は保田。
それは、当たり前のことだけど、確かにそうなんだけど、なんとなく、受け入れきれない感じだ。
“保田は成長した”つんくさんはそう言ってくれたけど、自分ではよく分からない。
ただ、辻加護を見てて、年をとったとは思うけど。
- 176 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時14分25秒
- 少し最初の予定より遅くなったけど、私はサウナへ向かった。
たまになっちや、後藤と会ったりもする。
でも、今日はいないようだ。
このサウナへ来るようになったのも、紗耶香が辞めてからだ。
何やってるんだろう、私。
サウナが気持ちいいから来てるのは確かだけど、家に帰りたくないからって部分が多分にある。
- 177 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時15分02秒
- “おばさんくさい”・・か。
この一年半で一番変わったのはそういうとこかもしれない。
裕ちゃんが辞めて、それで気づいちゃったんだよな、自分でも周りも。
なぜか、頭の中では“24時間戦えますか”という古いCMが流れていた。
そんなの無理だよ、と思う。
そういえば、今日は1曲も唄わなかった。
雑誌の取材2つと、ラジオの3分くらいのコメント取りをいくつかに、そしてASAYANの撮影に、ダンスレッスン。
振り返ってみると、こんな風な日がここのところ多い。
歌を唄わない日が多い歌手。
歌手?アイドル?
24時間どころか、1分も戦ってないんじゃないだろうか。
- 178 名前:第五章 投稿日:2001年11月11日(日)21時15分33秒
- 私はタクシーで自分の部屋に帰った。
最近覚えた焼酎を一杯飲んで、それから着替えてすぐにベッドに入る。
夢の中では、2年前のあの曲を3人で歌っていた。
- 179 名前:作者 投稿日:2001年11月11日(日)21時22分00秒
- 第五章はここまでです。
途中の長い会話のシーン。
アップするときに、どうすれば読みやすいか考えながら上げていったら、形式がいろいろになってしまいました。
結局、見づらくなってすいません。
推理小説状態の序盤を過ぎ、かなり穏やかな展開となってきた中盤。
どうなんでしょう?
しばらくこんなか?それとも、また何か起こるのか?
- 180 名前:作者 投稿日:2001年11月12日(月)22時28分56秒
- まだ、読んでいる人がいたらすみません。
今週は、作者取材のため、休載ということにさせて下さい。
6,8,10章は、ほぼ出来ているのですが、どうしても7章が出てきません。
そこで、前後もいじってみることにしたので、少し時間がかかります。
どうかお許し下さい。
変わりといってはなんですが、以前書いたものをよろしければ読んでみて下さい。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=flower&thp=1000386419
加護主役の話で、花板で連載した”初めての夏休み”という話しです。
おいおい、ただの宣伝じゃねーか。
- 181 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月14日(水)20時32分11秒
- 花板の読みながら、気長に待ってます。
頑張って下さい!
- 182 名前:作者 投稿日:2001年11月20日(火)22時53分04秒
- 再開します。
”取材”って便利な言葉だなあ、と自分で使ってみて改めて思いました。
ここまで、ずいぶんと多弁な作者で来ましたが、今後はなるべくおとなしくするようにします。
また突然ペースダウンするかもしれないし、いきなりペースアップするかもしれません。
話はまだ半ば。
第6章から再開です。
- 183 名前:第六章 次はなに? 投稿日:2001年11月20日(火)22時53分53秒
- ASAYANって言う番組は、私の人生を変えた番組や。
まあ、感謝はしとるけど、それにしても毎度毎度振り回される。
司会初日、何が初々しさを出すために、最初のコーナーは打ち合わせ、台本無しでいきましょうだ。
紗耶香の話で、うちを驚かそうとしただけやないか。
司会になってまでだまされるちゅうんは、どういうことや。
矢部さんも岡村さんもぐるやし。
それでも、本当に驚かされたんは、その次の週。
紗耶香のパートナーが鈴木あみやと知ったときや。
まさか、紗耶香があの鈴木あみと組むとはな。
翌週に流れた娘。達の驚きの映像は、ある程度予想通りやった。
そりゃあ、ユニット組むまではともかく、そのパートナー聞かされたら誰でも驚くやろ。
かつては、ライバルライバルあおられたわけやし。
でも、まあそれも昔のことや。
あんまし気にせえへんでもええと思うけどな。
- 184 名前:第六章 投稿日:2001年11月20日(火)22時54分29秒
- 今日は、うちにとってASAYAN司会4回目の収録。
ついに、紗耶香が来よる。
リハーサルでも、そうやったけど、スタッフの人からうちは紗耶香と会うのを禁じられた。
久しぶり感を出すための演出だそうや。
話したいことはいろいろある。
モーニングのメンバー達とは連絡とっとらんようやし。
その辺のこととか、休んどる間何しとったとか。
まあ、でも、ほんまは、紗耶香と話せればなんでもええんやけど。
とにかく、ちゃんと話せるんは収録終わってからやけど、
- 185 名前:第六章 投稿日:2001年11月20日(火)22時55分15秒
- さあ、今日もASAYANが始まります。
今日は、なんと、あの、復帰を決めた、あの市井紗耶香、そして、あの鈴木あみ。
この二人が、なんと、なんと、スタジオ収録に登場するのです。
「まずはいってみましょう。市井紗耶香、鈴木あみ、復帰プロジェクト。」
さあ、スタジオに入ってきた市井紗耶香と鈴木あみ。
何を語ってくれるのでしょうか。
- 186 名前:第六章 投稿日:2001年11月20日(火)22時55分53秒
- 「いやー、お久しぶりですねえ市井さん。」
「どうも、ご無沙汰してます。市井紗耶香です。戻って参りました。」
「中澤、泣いてもええで。」
「そんなんいわれたら、ほんとに泣きそうですよ。」
「いつ以来会ってない?」
「裕ちゃんとは、私の卒業以来会ってないですねえ。」
「そや、うちの卒業の時も、おめでとう、お疲れ、のメールだけやったなあ。」
「じゃあ、1年半ぶりって事ですか?」
「そうです。裕ちゃん以外の、他のメンバーともほとんど会ってないんですよ。」
「それは、なんで?」
- 187 名前:第六章 投稿日:2001年11月20日(火)22時56分47秒
- 「うーん、なんか里心つきそうで。それに、復帰するって決めてたから、復帰すればいつでも会えるかなあって思って。」
「鈴木さんも、お久しぶりで。」
「お久しぶりです。鈴木あみです。あみーごです。」
「あみーごか。なんか、ごっつう懐かしい響きに感じるなあ。」
「しかし、この二人でユニットとは、ほんまびっくりしましたよー。」
「私も、紗耶香ちゃんに誘われて、びっくりしましたもん。」
「紗耶香ちゃん?」
「なんか、えらい似合わない呼び名やあらへん?」
「いいじゃないですか。せっかく久しぶりに出てきたのに、そんな、いきなりつっこみ入れないで、祝福ムードで迎えて下さいよ。」
「まあ、そんなん言われてもねえ、うちらお笑いやから。」
「ところで、二人に重大な連絡があって、今日はASAYANに来てもろうたんやけど、なんだか分かる?」
- 188 名前:第六章 投稿日:2001年11月20日(火)22時57分46秒
- 「ASAYANのスタジオ収録は、メンバー追加とか、シャッフルユニットとか、怖いことの連続でしたから、もう、最初から予想なんかしてないですよ。」
「そんな、怖い事って、二人ともここからデビューしといて、何を言ってるんですか。」
「まあ、そうなんですけど。あみちゃんと比べて、私の場合、振り回された感じが多いですから。」
「で、そのあみちゃん。ってなんか変やなあ。まあ、ええか、鈴木さんとしては、初めてユニットを組むわけやけど、今日は何が起こると思う?」
「うーん、ユニットには、あれが必要ですよねえ。」
「あれ?あれって何や?」
「あれですよ、あれ。リーダー。」
「あなた、ねえ、リーダー決めのために呼ばれた思ってるの?」
「いや、リーダー大事じゃないですか。」
「中澤さん、自分が昔リーダーやったからって、そんなとこでフォローいれんでええって。」
「もう、ほっといて、先いきましょう。」
- 189 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時28分58秒
- 都内某スタジオ。
復帰を決めた市井紗耶香。
彼女は、復帰するにあたって、一つのけじめをつけておかねばなりません。
そこで、彼女のマネージャーが、スタジオで新曲のレコーディングをしているこの人の元へ挨拶へ向かいました。
- 190 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時29分30秒
- じゃん。
そう、つんくです。
あのモーニング娘。に始まり、プッチモニ、さらには青色7で活躍した市井紗耶香。
彼女をメンバーに選び、ユニットを作り、育ててきたのはすべて彼の力なのです。
- 191 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時30分01秒
- 「このたびは、うちの市井紗耶香が、再デビューを果たすことになりましてご挨拶に伺いました。」
「おー、そうか。あいつも戻ってきたか。」
「約2年という短い期間でしたが、モーニング娘。の一員として、市井は本当にお世話になったと思います。どうもありがとうございました。」
マネージャーの丁寧な挨拶。
それに対して、忙しいさなか彼は、市井へ向けてこのような激励コメントを寄せてくれました。
- 192 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時31分30秒
- 「えー、市井紗耶香さん。再デビューおめでとう。
出来ればな、また俺が全部プロデュースといきたいところやけど、そうはいかんみたいやな。
市井が辞める言うたときは、ほんまびっくりしたで。
一番伸びてて変わってきてるさなかやったから、今後こいつにどんな曲歌わそう、とかって楽しみやったのになあ。
まあ、歌の世界に戻ってきたなら、また一緒に仕事することもあるでしょう。
そのときを楽しみにしてますわ。市井なら、誰と組んでも頑張っていけると思うで。
まさか、鈴木あみとはおもわへんかったけどな。
今後は、歌うだけやなく、制作サイドにも関わっていく事もあるやろうし、苦労も増えるやろうけど頑張って下さい。
応援してます。」
- 193 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時32分45秒
- 市井を2年間育ててきたつんく。
彼は、さらにこんなコメントもくれました。
「モーニングを卒業したんは、市井を入れて4人いるんやけど、そのうち、芸能界に残っとるのは、中澤と市井の二人だけなんや。
それで、中澤の方は、モーニングは離れたけど、まだ作詞をたまにするくらいで、後は俺がプロデュースしてる。
はっきり言って、身内みたいなもんや。
だから、モーニングから完全に離れて、外の世界で活動するってのは市井が初めてなんよ。
それで、俺自身も怖くもある。自分の育てた生徒が、社会で通用するのか、ってのを試されるみたいなもんやからなあ。
もし、市井がこれで失敗したら、俺自身のモーニングの各メンバーへのプロデュース方針っていうか、プロデュース能力みたいなもんを問われかねへん。」
- 194 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時33分24秒
- あくまでモーニング娘。は通過点。
各メンバーにそう言い続けてきたつんく。
彼の立場からすると、市井は、親元を離れた子供のようなもの。
心配なのは無理もないことなのでしょう。
- 195 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時34分00秒
- 一方、こちらも都内某所。
復帰を決めた鈴木あみのマネージャー。
彼女も、2年あまりの間、全ての曲を1人の人間にプロデュースしてもらっていました。
- 196 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時34分33秒
- じゃん。
そう、小室哲也です。
かつて、ASAYANの小室哲也オーディションでグランプリとなり、グアム政府観光局のイメージソングを歌ってデビューした彼女。
再デビューが決まって、マネージャーは、この小室哲也へ挨拶に向かいました。
- 197 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時35分10秒
- 「このたび、うちの鈴木あみが再デビューを果たすことになりましたので、ご挨拶に伺いました。」
「本当なら、僕がまたプロデュースしたかったんだけどねえ、そうはいかなくなっちゃったみたいで。」
「そう言っていただけると、鈴木も喜ぶと思います。2年あまりの間、多くの曲を提供して下さってありがとうございました。」
「いや、僕の方こそ、たくさん曲歌ってくれてありがとう、って言いたいよ。」
- 198 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時35分45秒
- 2年あまりの間、鈴木あみの楽曲を一手に引き受けてプロデュースしてきた小室哲也。
彼は、そんな感慨に浸りながら、鈴木に向けて、メッセージを送ってくれました。
「鈴木あみさん。今までありがとうございました。
最初にあなたに会ったときから、あー、この子は天性のアイドルだって思って、曲を作るのが楽しかったんですけどね。
今度はユニットを組むそうで、何かと大変とは思いますが頑張って下さい。」
- 199 名前:第六章 投稿日:2001年11月21日(水)22時36分30秒
- こうして、それぞれのプロデューサーへの挨拶も済ませ、新たなスタートを切ることになった二人。
それぞれのプロデューサーへの別れを告げたということは?
そうなんです。
新ユニットのプロデューサーを新たに捜さなくてはいけないわけです。
- 200 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月22日(木)05時28分54秒
- 誰だろう・・・予想つかない。
- 201 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時09分54秒
都内某所。
新ユニットの事務所の社長が、この人の元へ向かいました。
- 202 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時11分04秒
- 「うちの、市井、鈴木、二人のユニットを、プロデュースしてはいただけないでしょうか?」
「うーん、二人とも、アイドルなんですよね、たしか。」
「いや、今後は、ボーカルユニットとして、アーティスティックな一面を前に押し出してやっていくことにしたいと思うんですよ。」
「そうは言われてもですねえ、僕は、自分のグループ以外の曲を作ったこと無いですから。」
「そこを、なんとかお願いできないでしょうか。」
「まあ、そこまで言うなら、考えてみましょうか。」
「ありがとうございます。」
- 203 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時11分48秒
- さあ、果たして、この人はいったい誰なんでしょうか。
じゃん。
そう、数多くのヒット曲を生み出しているあのグループ。
まさに歌姫と呼んでいいであろう、あのスーパーボーカリストを擁するあのグループ。
愛の歌を、数多く生み出し、その全てにおいて評価の高いあのグループの、中心人物、あの人なんです。
そう、中村正人。
このひとが、新ユニットのプロデューサーとして、大大大決定なんです。
- 204 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時12分57秒
- 「どうですか?二人。特に、市井さんは確か、吉田美和さんみたいになりたいって言ってたと思うけど。」
「ホントにいいんですか?ホントにプロデュースしてもらえるんですか?」
「なんか、そうみたいですねえ、このVを見た限りでは。」
「紗耶香、ええなあ。まさに夢かなえます状態やん。」
「ドリームス、カム、トゥルー、って感じやな。」
「岡村さん、それしゃれでっか?まさか?」
「どうですか、鈴木さん。」
「ごまかしよった。まあ、ええわ。鈴木さん、どうですか?プロデューサー、中村正人さんやって。」
「すごいですね。ドリカムですよ、ドリカム。ちょっと怖い気もするけど。」
「どう怖い?」
- 205 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時13分54秒
- 「美和さんと、同じレベルのものを求められるのは、ちょっと厳しいかもしれないです。」
「でも、二人とも、ボーカルユニットとしてやっていくわけやから。同じレベルでやってもらわないと。」
「そう、岡村さん、ええこといいますなあ、たまには。」
「たまにはってなんですか。」
「それでですねえ。二人とも、よく聞いて下さい。」
「はい。」
「なんか、プロデュースするにあたって、中村さんから、二人へ重大な知らせがあるらしいんですよ。」
「重大な知らせですか?」
「そう、それでは、続きのV行ってみましょう。」
- 206 名前:第六章 投稿日:2001年11月22日(木)23時15分13秒
- 都内某所。
そう、この人は新ユニットのプロデューサー要請を受けている中村正人。
彼は、プロデュースするに当たって、こんな事を言いだしたのです。
- 207 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時31分21秒
- 「自分が、吉田とユニットを組んだのは、吉田の歌を聴いて、それでこいつの歌う曲を書きたいと思ったから。
今回は、そういう形はないんだよね。
自分としては、全然知らない人に楽曲を書いて、プロデュースするっていうのも何か得るものがあるかもしれないと思って、今回の依頼は受けたわけだけど、
全部こっちがやっちゃうのは、二人にとって、プラスにならないと思うんですよ。」
- 208 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時32分07秒
- 二人にとってプラスにならない?
「こっちとしては、全然知らない人だから、どういうものを歌いたいのかなんて事は、想像することしかできない。
それに、二人ともボーカリストとしてやっていきたいのでしょ。
だから、ある程度は、自分で作っていくって事を覚えていって欲しい。」
自分で作っていく?
「二人には、自分で作詞をしてもらいたい。二人のそれぞれが書いてきた詩に、僕が曲をつける形にしたい。」
- 209 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時32分39秒
- そうなんです。
新ユニットデビューに当たり、作詞は、自分で書いてもらいたいというのです。
さらに、彼は、こんな事も付け加えました。
- 210 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時33分12秒
- 「もっとも、彼女たちの書いてきた詩が、曲をつけて売り出すに値しないかもしれない。
そのときは、自分はこのプロデュースの件については考え直したい。」
なんと、プロデュース自体を辞めることもあるかもしれないと言うのです。
- 211 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時33分42秒
- 「逆にいい詩だったら、2人の詩にそれぞれ曲をつけて歌ってもらいたい。ただ、それでも、どちらか一方がA面で、もう一方がB面という形になってしまうから、ちょっと酷かもしれないけど、二人で競い合って頑張って欲しい。」
- 212 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時34分40秒
- 大変なことになりました。
詩の出来が良くなければ、彼女たちの再デビューそのものが危なくなってしまうのです。
さらに、彼女たち自身が、デビュー曲作詞の座を賭けて争うことになったのです。
彼女たちのデビューはなるのか?
デビュー曲作詞の座にはどちらが座るのか?
衝撃の大転回となったのです。
- 213 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時35分20秒
- 「大変なことになりましたねえ。」
「すんなりデビューとは、いかないようですよ。」
「ですね。」
「なんや、市井、暗いなあ。」
「そりゃあ、まあ、すんなりデビューできると思った私が甘いんですけど・・。」
「中澤、先輩として、なんか言うたれ。」
「そうですねえ、作詞は、難しいですよ。でも、二人なら、いろんな試練を乗り越えてきた二人なら、出来ると思いますよ。」
「まあ、市井さんは、あのモーニング娘。時代にさんざん振り回されたからちょっとは慣れてると思うけど鈴木さん的には、こういう展開は今までなかったでしょ。」
「作詞は、全然考えてなかったです。」
「大丈夫やて。うちですら、自分のシングルのカップリングにはつこうてもらえたんやから、いろんな経験してきた二人なら、きっと大丈夫や。」
- 214 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)22時36分05秒
- 「でも、私、裕ちゃんほどの人生経験無いよ。」
「市井さん、それきついですわ。」
「あっ、いや、そういう意味じゃなくて。」
「紗耶香は、相変わらずやなあ。でも、それでも、自分で詩を書いてきてるんやろ。」
「それは、まあ、そうですけど。」
「じゃあ、やるしかないんちゃうか?」
「そうなんですけど。」
「鈴木さんは、自信ある?」
「私は、もう、やれるだけのことをやるしかないって感じですよ。自分の想いみたいなものを書いてみて、それでダメなら、また考えます。もう一回歌うためなら、これくらいのことで負けてられないです。」
「そうやなあ。二人とも、初めてのデビューやないし。市井さんは、やる気出た?」
「ASAYANで、スタジオに来たら、何かろくでもないことがあるって覚悟はしてましたから、そんなに本気でへこんでるわけじゃないですよ。それに、自分の力でどうにか出来ることなら、精一杯やるだけです。」
「ろくでもない事って、それ言い過ぎやで。まあ、ええわ。二人とも頑張りや。」
「はい。」
- 215 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時10分18秒
- 二人のコーナーの収録はこれで終わり。
でも、私自身は、司会として全部の収録に参加しなくちゃいけない。
紗耶香、帰っちゃうかなあ?と思いつつ、手早く収録を終えて楽屋へ戻ると、案の定紗耶香はすでにいなかった。
まあ、仕方ない。紗耶香だってもう、忙しいのだから。
- 216 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時10分54秒
- 最近は、一人の楽屋にも慣れてきた。
自分だけが使うテーブル。
自分だけが使う鏡台。
自分だけのためのお菓子。
ため息をついてみる。
静かに部屋に消えてゆくため息。
モーニング娘。だった頃、楽屋の色は黄色やピンクだった。
この部屋は、グレーかな。
一人で使うにはちょっと広い。
モーニングと共に出演する番組もまだ多い。
ライブも、ソロでは出来ないから、ハロプロ全体の一部として、結局モーニングと一緒になる。
卒業はしたけれど、付属校へ進学したようなもの。
すぐ側にあるもの。
すぐ側にある黄色やピンク色の楽屋。
中澤さん、落ち着きましたねって言われることがある。
近くにあっても別の部屋になると、ずいぶん変わるものなのだろうか。
- 217 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時11分29秒
- 静寂の広がる楽屋で過ごすようになって、将来のことをよく考える。
さっきの収録で出てきたつんくさんの言葉は、耳が痛かった。
「中澤は身内みたいなもの。」
唄に関しては、まだ自分一人では何もできていない。
もう一度ため息を付く。
あたりまえだけど、何の反応もない。
やりたいことってなんなんやろな、紗耶香。
- 218 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時12分08秒
- さて、次の仕事。
ファッション誌の撮影。
マネージャーに呼ばれる前に、さっさと着替えとこ、思うとったら、意外な人が私の楽屋を訪ねてきた。
「中澤さん、今日はありがとうございました。」
私を訪ねてきたのは、鈴木あみさんだった。
- 219 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時13分01秒
- 「いや、そんな、改まってすいません。こちらこそ、ほとんど始めましてなのに、収録前に挨拶にも行かずに申し訳ないです。」
「いえ、とんでもないです。今度は、中澤さんのオールナイトニッポンスーパーの方にも、出演させていただくことになっているので、よろしくお願いします。」
「復帰して、初めてのラジオになるんですか?」
「はい、その予定です。」
「ゲストに来るの楽しみに待ってますから。」
「紗耶香だけじゃなくて、私にも話し振って下さいね。」
「それは、パーソナリティとして、当然そうしますけど。」
「モーニング娘。みたいなグループのつながりって強そうじゃないですか。だから、ラジオなんかだと、二人で話してて、私だけ置いて行かれそうで不安ですよ。」
「その辺は、長くラジオやってるんだから私だって心得てますよ。」
「よろしくお願いします。」
「はい、それで、紗耶香は、もう、」
「はい、先に帰りました。詩を書くんだって勇んで帰っていきました。」
- 220 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時13分34秒
- そうか、帰ったか。
うちとも、話してくれへんのやなあ。
「紗耶香に、よろしく伝えて下さい。」
「はい。」
「鈴木さんも、詩を書かれてるんですか?」
「いやあ、全然書いたこと無いんですよ。詩が書けないと、デビューできないってなるとすごいプレッシャーです。」
「まあ、私でも書けたんだし、プロの作詞家になるんじゃないですし、大丈夫じゃないですか?」
「中澤さんにそう言ってもらえると、頑張れるかな?出来るかな?って気になりますね。」
「頑張って下さいね、紗耶香と二人で。期待してますから。」
「ありがとうございます。」
- 221 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時14分09秒
- あみさんは、それだけ話して帰っていった。
まあ、よくある挨拶ではあるんやけど、何しに来たんやろ。
紗耶香が残ってて、話しに来るんなら分かるんやけど。
- 222 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時14分33秒
- 紗耶香はすごいな。
私は、モーニングを卒業しても、つんくさんの庇護の元、楽曲を作ってもらっている。
その上、もはや、ほとんど毎日歌以外の仕事をしている。
別段、そのことに不満があるわけやない。
ただな、初志貫徹という意味ではデビューの頃考えてたのとはずいぶんと違うところに来てるわ。
それと引き替え、唄にこだわった紗耶香。
そのために、一旦芸能界から離れるなんてことまでして・・。
大きなリスクを背負ってまで、唄にこだわった紗耶香。
復帰するなら、ちょっとは相談してくれれば良かったのに。
まったく、裕ちゃんを頼ってこないなんて、生意気やで。
- 223 名前:第六章 投稿日:2001年11月23日(金)23時15分13秒
今度のラジオは、紗耶香のところは収録やし、ゆっくり話そうな。
待っとるで。
- 224 名前:第六章 投稿日:2001年11月24日(土)18時06分17秒
第六章 次はなに? >>183-223
- 225 名前:第七章 作詞バトルとラジオと私 投稿日:2001年11月24日(土)18時07分02秒
もしも、私に翼があったなら
あなたのもとへととんでゆくのに
- 226 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時07分37秒
- あーっ!!!!
ぱくりじゃんかこれじゃ。
作詞なんか出来ないよ・・・。
- 227 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時08分18秒
「そのときは、このプロデュースの件については、考え直したい。」
- 228 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時08分49秒
- 私の中で、この言葉が頭の中を駆けめぐっている。
家を飛び出すときに一つだけ持ってきた、昔着た衣装。
クローゼットを開き眺めてみる。
これを着て、唄って踊って、笑顔を振りまいていたあの場所へ戻るための一枚の切符。
紗耶香はもう出来たのかなあ。
私にはもう、紗耶香しかいない。
私が信じて、一緒にやっていけるのは紗耶香しかいない。
- 229 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時09分22秒
- 事務所ともめ、親にも金蔓扱いされ、行き場のない私を救ってくれたのは彼女だった。
裁判が終わった後、一緒に唄おうと誘ってくれた紗耶香。
家を飛び出した私が、一人で暮らす部屋を見つけるまでの2週間。
短い時間だったけれど、二人で暮らした時間は大切な思い出です。
- 230 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時10分06秒
- 作詞をするのは生まれて初めてのこと。
難しいルールみたいなものや、技巧的なことは全く分からない。
そんな私が、もし、詩が書けるとしたら、シングルとして出すに値する詩が書けるとしたら、それは素直に自分の想ったことを書くしかない。
自分の、言いたいことを書くしかない。
- 231 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時10分39秒
- 紗耶香のことを書こう。
紗耶香への想い。
大切な人。
大切な、かけがえのない存在。
- 232 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)18時11分53秒
- 紗耶香に捨てられたら、私はもう終わり。
もう、他に何もない。
そういえば、なんで私のことを誘ったのだろう。
わからないけれど、とにかく捨てられないようにしないと。
ずっと詩を書いてきた彼女にはかなわないかもしれない。
でも、私の存在感を、私が必要なんだってことを、彼女に分かってもらわないと、私はきっと捨てられる。
だから、この、紗耶香へのメッセージを詩にして、中村さんに認めてもらおう。
- 233 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時25分33秒
- 期日だった三日が過ぎて、私と紗耶香は、それぞれに自分の書いた詩を持ってレコーディングスタジオへ向かった。
プロデューサー中村正人さんとの、初対面。
ある意味では、4年ぶりに受けるオーディションのようなもの。
ASAYANの収録なんかでは感じなかった久しぶりの緊張感。
- 234 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時26分57秒
- 「紗耶香、書けた?」
「うん、まあ、一応。あみは?」
「うん、なんとか。」
「自信は?」
「全然ないよ。紗耶香頼みってかんじ。」
「ダメって言われたらどうしようか。」
「また、考えなきゃね。」
- 235 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時27分40秒
- 二人ともダメだったら、また新しい形を探さないといけない。
だけど、紗耶香さえいればなんとかなる、そんな気もする。
でも、自分の詩を認めてもらいたい。
紗耶香への想いそのものを書いたのだから。
- 236 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時28分20秒
- 「おはようございます。」
「おはようございます。」
プロデューサーの中村さんが入ってきた。
「初めまして、中村正人です。」
「初めまして、市井紗耶香です。」
「初めまして、鈴木あみです。」
「まあ、とりあえず、座って。」
「はい。」
普通の挨拶。
割と気さくな感じの人で良かった。
- 237 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時28分59秒
- 「二人とも、いきなり試すようなまねしてごめんね。」
「いえ、とんでもないです。」
最近気づいたけど、こういう二人で並んで何かを話すときって、大体紗耶香が主になって話してる。
ボーカリストとしてやっていくのだから、そんなことはどうでもいいのだけど、やっぱり紗耶香にとって私が必要なのだろうかと考えさせられてしまう。
- 238 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時29分36秒
- 「僕としても、納得してプロデュースしたいから、こういう形を取らせてもらいました。だから、テレビ向けのパフォーマンスじゃなくて、本当に、ダメだったらプロデュースはお断りさせてもらう。その辺は分かってるね?」
「はい。」
「じゃあ、一日かけてゆっくり見せてもらうから。」
「よろしくお願いします。」
「市井さんは、どんなことを想って書いたの?」
「私は、恋愛の詩です。」
「恋愛?それは、僕が曲を付けるって事を意識して?」
「そういう意識がまったくなかったといえば嘘になりますけど、自分がそういうものを唄いたいから書きました。ドリカムにあこがれて、吉田美和さんにあこがれて、ああいうボーカリストになりたいって思いがあって、多くの人に自分が伝えたいものってなんだろうって考えて、それで、出てきたのがこの詩です。」
「恋愛を伝えたいの?」
「恋をするすばらしさというか、誰もが恋愛は出来るんだっていうこととか、そういうことです。」
「うん。分かった。」
- 239 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時30分10秒
- 紗耶香は恋愛の詩。
恋愛経験はあまりなさそうだったけど、いいのかな?
もしかしたら、私ので通るかもしれない。
そんな希望が出てきたよ。
- 240 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時31分30秒
- 「鈴木さんは、どんなの?」
「ある人へ伝えたい気持ち。一人の人へのメッセージみたいな形のものです。」
「どういうこと?」
「詩を書いたことのない私が、大勢の人へのメッセージを書くことは出来ないと思いました。」
「うん。それで、」
「だけど、一人の人へのメッセージなら、限定された形なら自分でも書けると思ったんです。」
「なるほど。」
「だから、一人の人へのメッセージという形で、あなたの存在に感謝する、というようなものを書いてみました。」
「存在に感謝ね。」
「はい。一人の人へのメッセージという形で、大勢の人へ伝わってくれたらうれしいと思います。」
「そうですか。分かりました。とにかく二人の書いたものをじっくり読ませてもらう。結論は明日伝えます。お疲れさまでした。」
「お疲れさまでした。」
5分足らずの初対面。
明日結果が出るまで眠れない夜になりそうだ。
- 241 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時32分35秒
- 「あみさあ、見せてよ。」
「へ?」
「詩。」
「ああ、うん。恥ずかしいな。」
「恥ずかしいって、シングルになったら、作詞:鈴木あみって名前付きで日本中に出るんだよ。」
「そうなんだけど、じゃあ、紗耶香のも見せてよ。」
「そういわれると恥ずかしいなあ。」
「でしょー。」
「まあ、いいや。はい。これ。あみのも早く出してよ。」
「うーん、しょうがないなあ。」
- 242 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時33分21秒
- 眠れない長い夜。
紗耶香の書いた詩を何度も読んでしまう。
一年間、いろいろな事を書いていると、これだけのものが書けるようになるのだろうか。
恋愛経験は少なくても、恋愛の詩って書けるんだ。
片思い。
切ない思いが伝わってくる。
多くの人が経験すること。
みんなに伝えたいって言う紗耶香の言葉は、伝わるっていう自信があったから出てきたのかもしれない。
- 243 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時34分00秒
- 私の書いたものなんて、これと比べたら子供だましだ。
ただ、自分の想ったことを羅列しただけ。
あんなの、ダメに決まってるよ。
私って役に立ってるのかなあ?
私って何なの?
携帯に貼ったプリクラを見ながらつぶやく。
「あなたにとって、私は必要なの?」
私とほっぺたを寄せ合っているあなたは、ただただほほえむだけだった。
- 244 名前:第七章 投稿日:2001年11月24日(土)22時35分33秒
- 翌日、不安を抱えながら、私は中村さんの元を訪ねた。
「じゃあ、早速だけど、結論を伝えます。」
「はい。」
まわりくどいことはいっさい無し。
いきなり主題に入る。
- 245 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)10時45分16秒
- 「まず、市井さんの詩。」
「はい。」
「最初読んでみて、ああ、恋愛経験少なそうだなあ、と思ったよ。当たってる?」
「いや、まあ、そんな、ような。」
「ははは、10代の女の子に聞くことじゃないな。まあ、それは置くとして。今まで吉田が唄う事をイメージして曲を作ってきたから、どうしても、恋愛の詩だと大人の恋愛ばかりを見てきたし、書いてきた。だから、最初にこれを見たときは、ちょっと子供っぽ過ぎるなと思ったよ。」
「はい。」
「でも、よく考えてみたら、二人は、吉田とは一回りは違うんだよな。それを考えたら、なかなか良くできているなって感じた。」
「ありがとうございます。」
「子供っぽいといっても、完全な子供じゃなくて、ちゃんと恋愛の詩だし、切ない片思いってのは、誰もが一度は通る道だからな。」
「はい、それもイメージしました。」
- 246 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)10時46分26秒
- 「つぎは、鈴木さん。」
「はい。」
「すごい思い入れの強い詩だね。」
「はい。自分の思いをぶつけるような、そんなつもりで書きました。」
「初めて書いたんだって?」
「はい。」
「正直言って、技巧的には、あー、初めて書いたなって言うのがありありと分かる。ただ、下手だけど、思いは伝わってくるよ、そこそこ。」
「ありがとうございます。」
「この詩には、はっきりとモデルがいるんじゃないか?」
「え?はあ、まあ、そうです・・。」
「初めて詩を書くには、モデルがあって、それに向けて書くのはいいけど、それだと続かないからな。自分の経験を元にするのはいいけど、そこから改めてイメージを広げていって書けるようにならないと、いくつもシングル出したり、アルバム作ったりするほど数が作れない。」
「はい、分かります。」
「でも、まあ、時間のない中で、初めて書く詩でいいものを作ろうとしたら、そうなるのは仕方ないかな。よく頑張ったと思う。」
「ありがとうございます。」
「それで、結論としては、こうしたい。」
- 247 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時12分51秒
- 私にとって、久しぶりのオーディションに結論が下される。
しかも、オーディションのライバルは紗耶香。
私が、紗耶香にとって必要な存在になるために、どうしても、この作詞の座は欲しい。
- 248 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時13分34秒
- 「二人のユニットのプロデュースを受けようと思う。」
「ありがとうございます。」
「それで、シングル曲として発表するのは、市井さんの書いたもの。」
「ありがとうございます。」
- 249 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時14分08秒
- 負けちゃった・・。
紗耶香は、満面の笑み。
結構、さばさばした感じ。
とりあえず、再デビューは問題なし。
でも、いいのかな。
- 250 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時14分54秒
- 「鈴木さんの書いた詩は、悪くはない。ただ、二人で唄うにはどうかと思う。一人で唄うなら、多少手直しすればいいかもしれないけれど、二人で唄う場合、市井さんの方がちょっと唄いづらいんじゃないか?」
「はい・・。」
「だから、今回は、使わないことにする。カップリングには、僕が作詞作曲したのを入れよう。」
「はい。」
「二人とも、アイドルだったらしいけど、一人前のボーカリストとして扱うから。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「今週中に曲は付けるから、レコーディングは来週から。」
「はい。」
- 251 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時15分24秒
- 鈴木あみの書いた詩は使ってもらえないって。
あーあ、私、やっていけるのかな。
もう、絶対紗耶香のこと手放せなくなっちゃったよ。
- 252 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時16分36秒
- 「紗耶香、おめでとう。」
「・・・ありがとう。」
「昨日、ずっと紗耶香の書いた詩読んでたんだ。すごいと思ったよ。選ばれて当然だよね。私のなんか、独りよがりだって言われちゃった・・。」
「そんなこと無いよ。あみの詩も、いいって言ってたじゃん。」
「頑張ったってだけでしょ。そんなの、誉め言葉じゃないよ。」
「あみ。あの詩って、もしかして、私のこと?」
「・・・うん。」
「わたし、昨日家に帰って、あみの詩読んだ。」
「うん。」
「楽しかったよね、短い間だったけど、一緒に暮らして。あみの使ってた歯ブラシ、まだ洗面台に残ってるんだよ。」
「・・うん。」
「あみの書いた詩を読んでてさ、何度も涙が出て来ちゃったよ。これ、私の事かなあって。2週間、二人で暮らしたときのこと思い出した。この話はあの時のこと、この部分は、あの時、このソファって、今座ってるソファかなって思って、あみが、そんなに私のこと大事に想っててくれてるのかって思うと、うれしくて。」
「うん・・。」
- 253 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時18分07秒
- 「確かに、中村さんの言うとおり、私があれを一緒に唄うのはちょっと恥ずかしいよ。だけど、あみの想いすごい伝わってきた。詩として、伝わるものがあるのは、私のよりも全然あみの書いたのの方だと思う。」
「・・ありがとう。」
「ううん。こっちこそありがとうだよ。」
「紗耶香。」
「ん?」
「私のこと捨てないで。」
「何?何言ってるの?」
「私にはもう、紗耶香しかいないからさ、頼れる人。紗耶香にとって、私が必要な存在になれるように頑張るから。だから、捨てないで。」
「何言ってるんだよ。今でも十分必要な存在だよ。」
「私には、もう、育ててくれた人もいない。両親とももう、会えない。紗耶香しかいないの。お願い、だから、絶対捨てないって言って。お願い。」
- 254 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時19分17秒
- 「あみ。私とあみは、対等だよね。どっちかがどっちかに寄りかかるような関係じゃないよね。私がメインで、あみがおまけじゃないんだよ。しっかりしてよ。最初に誘ったの私だよ。捨てたりなんかしないよ。でも、そんなんじゃ困る。しっかり一人で歩いてよ。」
「ごめん。いいすぎた。でも、不安なんだ。毎日夢を見る。最初はすごくいい夢なんだけど、絶対最後にひどいことになるんだ。不安なの。自分自身、どこへ向かっていいのか分からないの。自信がないの。」
「あみ、一人で2年やってきたんでしょ。小室さんがいたり、事務所があったりしたけど、ファンの人たちはそんなの関係なく鈴木あみを見てたとおもうよ。自信もてないのは私の方だよ。私はずっとグループの中にいて、モーニング娘。もプッチモニも・。」
「やめて!モーニング娘。の話はやめて。」
「・・・ごめん。」
「ごめん・・・帰るね、もう。帰って頭冷やすよ。また、明日ね。」
「うん。明日ね。」
- 255 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時19分51秒
- 紗耶香にだけでも伝われば、それでいいかなとも思う。
でも、唄いたかったなあ、あの詩で。
とりあえず、デビューすることは出来ることになった。
私の力じゃないけど。
頑張らなきゃ。
ここまで帰ってきたのだから。
そうしないと、また一人になっちゃうかもしれないし。
捨てられないようにしないと。
- 256 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時20分44秒
- 数日後、この、作詞オーディションがASAYANで放映される日。
私たちは、中澤さんのラジオ番組出演することになっていた。
紗耶香がまだ17だから、早い時間での収録。
久しぶりのラジオ収録だった。
かつては、自分の番組を週1でやっていた場所。
一番最後の仕事もここだった。
- 257 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時21分41秒
- 「おはようございます。」
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
「紗耶香、ちゃんと話すの久しぶりやなあ。」
「うん、ごめんね、ASAYANのときは帰っちゃって。」
「まあ、ええて。」
「中澤さん、この前も言ったじゃないですか、私にも話し振って下さいって。」
「え?いや、収録のときにはちゃんと話し振りますよ。」
「お願いしますね。紗耶香、スタッフの人たちに挨拶に行こう。」
「え?あ、うん。裕ちゃん、じゃあ後でね。」
「ああ。あとでな。」
- 258 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時22分35秒
- ここには、私の知っているスタッフさんがたくさんいる。
もうダメだろうな、こいつって思ってた人。
頑張って帰って来いよって言ってくれた人。
どっちにも挨拶したい。
自分一人で行けばいいんだろうけど、その間に、紗耶香が中澤さんと打ち合わせをしているのは、すごくイヤだった。
- 259 名前:第七章 投稿日:2001年11月25日(日)21時23分23秒
- スタッフの人たちは、みんな、また頑張ってねとか、また番組やろうよとか言ってくれる。
だけど、そんなこと口先だけの人がきっと半分以上いるのだろう。
それでも私は、帰ってきたんだ。
ひと様の番組だけど、私は、半年前に帰ってくると誓ったこの場所に帰ってきた。
紗耶香のおかげで帰ってこれた。
- 260 名前:作者愚痴 投稿日:2001年11月25日(日)23時32分06秒
- いや、なんていうか、なんやねん、今日のmusix。
市井に罪はない。
うん。罪はないが。
でも、なんていうか・・・。
やりきれん・・・。
辞めた次の日とかは・・・
何してたんだって、はっきりせい。
予告に流しといて、カットかい!
いや、ここのストーリーの平穏のためには、何も語ってくれない方が、話は楽なんだが。
ついに、本人テレビ登場だし。
この話、やりづらくなってきた。
昨日の鈴木あみは良かった。
所詮は再放送な訳だが。
無口な作者になると誓ったのに・・・。
自分で自分のスレを荒らす奴。
章のど真ん中だというのに。
なんか、やんなってきたわ。
次何出るんだ?
ハロモニか?
まあ、たいせーが出なかったのが救いだ。
- 261 名前:闇の住人 投稿日:2001年11月26日(月)00時01分08秒
- 鈴木さん切ないっすねぇ・・・。
作者さん、>>260私もおなじ意見っす。そう怒らず(私も相当怒ってますがw)頑張って下さい!
- 262 名前:作者 投稿日:2001年11月27日(火)22時53分14秒
- >260
自分でつっこみたくなるくらいアホだ。
わけわかんないこと書いてるくせに、sageにする冷静さがあるとこが、ようわからん。
削除依頼出してもいいくらいだけど、アホは晒しの原則に従って、おいときますか。
>261
すんません。
こんなとこで愚痴って。
鈴木さん、ありっすか?
この人を主役級に持ってきたのは、ちょっと失敗だったかもと思っていたりします。
現実の動きに不安を覚えつつも、さっさと先へ進めます。
テレビで出すと、ここの話しがますます茶番にしか見えなくなっていく・・。
263から、続きです。
- 263 名前:第七章 作詞バトルとラジオと私 投稿日:2001年11月27日(火)22時54分26秒
- もう、つれないなあ。
これじゃASAYANのときと同じで、また紗耶香と話できひんやんか。
仕事やからしゃーないけど。
まあ、スタッフの人への挨拶は大事やし、間違ってはいないけどなあ。
そんなうちの気持ちを知ってか知らずか、紗耶香達のスタッフへの挨拶を終えると、簡単な打ち合わせだけですぐに収録に入る。
- 264 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)22時56分01秒
- 「先週から予告してましたが、今日のゲストは、私とも非常につながりの深いこの二人です。
いつも、ゲスト来るたびに緊張するんですけど、今日は、なんて言うか、全然知らない人がゲストに来るよりももっと緊張しちゃう感じやわ。
とりあえず、自己紹介お願いします。」
「こんばんは。皆さんお久しぶりです。市井紗耶香です。」
「こんばんは。約束どおり私もこの場所に戻ってくることが出来ました。鈴木あみです。」
「あー、もうほんま緊張するわ。紗耶香、私の代わりに進行して。」
「なに言ってるの裕ちゃん。私たちゲストなんだから、ちゃんと進めてよ。ねえ。」
「じゃあ、私が番組乗っ取っちゃおうかなあ。」
「そういえば、あみさんはニッポン放送で、この同じ日曜日に番組されてましたよねえ。」
「ええ、もうちょっと早い時間でしたけど。」
「そこで、絶対帰ってくるからと誓って、ここに帰ってきたと。」
「はい。」
- 265 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)22時57分01秒
- 「紗耶香も、あれやな。武道館で、絶対帰ってくる宣言したなあ。」
「うん、したねえ。」
「それと、まだ木曜に番組やってたころ、最後にゲスト出来てくれたなあ。」
「うん。なんか、珍しく真面目な話したよね。最後だからって感じで。
でも、ホント緊張したんだよ。私もラジオやってたけどさ、裕ちゃんの番組のゲストって、
なに話していいんだかわかんなかったもん。」
「まあ、よう帰ってきたよ。ファンの人たちもみんな、二人のことを心の底からまっとったと思うで。」
「みなさん、ホントお待たせしました。」
「それで、たぶんみんな気になってると思うんだけど、どうしてこの二人になったの?」
「紗耶香が誘ってくれたんだよね。」
「え、ああ、うん。私がね、二人でやってみない?って誘ったの。」
- 266 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)22時58分45秒
- 「最初の接点は、いつ頃からあったんや?」
「デビューして、そんなに時間たってなかったと思いますよ。
どこかの番組でたまたま会ってね。ASAYANつながりだし、年も結構近いし、
携帯の番号交換して、うちのリーダー怖いんだ、なんて電話もらったこともあるし。」
「紗耶香、そんなこと愚痴ってたんか?」
「え?そんなこと言ったっけ?でも、裕ちゃん最初ホント怖かったもん。」
「リーダー怖いって電話は嘘ですけど。」
「なんや、嘘なんか。」
「結構プライベートな話もしたし、元々つながりはあったよね。」
「うん、まあ。」
「それで、紗耶香としては、なんで彼女を誘ったの?」
「なんか、一人でやる不安もあったし、ライバルみたいなのが身近にいるのもいいなあって思って。」
「あみさんとしては、どう?紗耶香に誘われたとき。」
「びっくりしましたねえ。お互い時間のある身だったから、何度も会ってはいたんですよ。でも、私はソロ以外頭にないって言うか、他の発想できなかったですから。」
- 267 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)22時59分30秒
- 「実際、一緒にやってみてどうですか?」
「すごい楽しいですよ。なんか、波長が合うって言うか。」
「紗耶香は?」
「うーん、波長は合う気はする。それと、前は大勢の中にいたから、二人になると、静かだなあ、って感じることが多いかな。」
「紗耶香って、意外とおとなしいんですよ。」
「そうなんか?」
「ええ、多分、私の方が年上だからってのもあると思うんですけど、いろんなとこで頼られちゃって。」
「紗耶香がか?なんか意外やな。うちでもあんまり頼られた記憶あらへんで。」
「そのへんは、まあ、いいじゃん。」
「まるで、うちが頼りにならんみたいやんか。」
「中澤さんが頼りないとかって言うより、二人だからじゃないかと思いますよ。大勢いると、誰か一人に頼るって感じじゃなくて、ほっといてもいろんな事が進んでいくじゃないですか。」
「まあ、それはあるかもな。」
「さっきもそうだったんですけど、スタッフの人に挨拶に行くのとかも、なんか私が仕切っちゃうよね。」
「なんか、やっぱり不思議な光景やなあ。」
「え?なにが?」
- 268 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時00分53秒
- 「実際、一緒にやってみてどうですか?」
「すごい楽しいですよ。なんか、波長が合うって言うか。」
「紗耶香は?」
「うーん、波長は合う気はする。それと、前は大勢の中にいたから、二人になると、静かだなあって感じることが多いかな。」
「紗耶香って、意外とおとなしいんですよ。」
「そうなんか?」
「ええ、多分、私の方が年上だからってのもあると思うんですけど、いろんなとこで頼られちゃって。」
「紗耶香がか?なんか意外やな。うちでもあんまり頼られた記憶あらへんで。」
「そのへんは、まあ、いいじゃん。」
「まるで、うちが頼りにならんみたいやんか。」
「中澤さんが頼りないとかって言うより、二人だからじゃないかと思いますよ。大勢いると、誰か一人に頼るって感じじゃなくて、ほっといてもいろんな事が進んでいくじゃないですか。」
「まあ、それはあるかもな。」
「さっきもそうだったんですけど、スタッフの人に挨拶に行くのとかも、なんか私が仕切っちゃうよね。」
「なんか、やっぱり不思議な光景やなあ。」
「え?なにが?」
- 269 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時03分22秒
- 「いや、紗耶香とさ、あみさんがユニット組んで、こうやって自分の番組のゲストに出て来るって全然想像したこと無かったから。
紗耶香が戻って来るって聞いただけで、うれしかったし驚いたのに、まさかこんな形なんてなあ。
紗耶香、モーニングのメンバーとは話した?」
「それがねえ、忙しくてさあ、あんまり話してないんだ。」
「なんや、しょうがないなあ。みんな、心配しとるで絶対。私ももちろんそうなんやけど。」
「まあ、この世界に戻ってきたんだし、紗耶香も、モーニング娘。の人たちも忙しいんだし、
しょうがないですよ。この仕事してれば、絶対どこかで会うじゃないですか。中澤さんは
もう2度目ですし。」
「そうなのよ。私だけ2度目でさあ、ごっちんとか、圭坊とかから裕ちゃんだけずるい言われてさ、やっかまれるんやで。」
「ごめんね、みんな。」
「まあ、元気にやっとる姿を見せれば、みんなもほっとするでしょう。」
「そうそう、今を大事に、頑張っていこうよね。」
- 270 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時05分37秒
「じゃあ、紗耶香。モーニングのメンバーをはじめ、復帰を待っててくれたファンの皆さんにメッセージをどうぞ。」
「えー、市井紗耶香です。帰って来ちゃいました。ずいぶんと長い間お待たせしましたけど、市井紗耶香は元気です。
ここにいるあみちゃんと二人でボーカルグループを組むことになりました。再デビューシングルももうすぐ出るので、
もう少し待ってて下さい。えーと、あと、モーニングのメンバー。負けないからな。お互い頑張ろうゼー。」
「おー、なんか強気やなあ。じゃあ、あみさんどうぞ。」
「鈴木あみです。あみーごです。半年あまりの休養を終え、帰って参りました。
紗耶香とのユニットというね、みんな、あんまり予想してなかったような形に
なったけど、応援して下さい。二人で頑張っていきます。」
「はい。今日のゲストは、市井紗耶香さんと鈴木あみさんでしたー。」
「ありがとうございました。」
- 271 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時06分49秒
- 収録は無事に9時前に終わった。
紗耶香の奴、意外とおとなしかったなあ。
始まる前は、二人だけで話さずに、ちゃんとあみさんにも話し振らな、とかおもっとったけど、逆に紗耶香の方に話し振らないと、いつまでもあみさんが話してる感じやったし。
「紗耶香、ご飯食べにいかへん?」
放送前の打ち合わせの時間を考えると、そんなに時間に余裕はない。
だけど、それでも、紗耶香ともっと話がしたかった。
何故かおとなしかった紗耶香のことがどうしても気になる。
たまたまかもしれへんのやけど、メンバーとの連絡とってへん、ってあたりも、よく分からなかい。
だから、とりあえず二人で話してみたかったから、あみさんがスタッフの人と話しているすきをみて、紗耶香を誘ってみた。
- 272 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時07分45秒
「裕ちゃん、打ち合わせとかいいの?」
「ん?ああ、大丈夫やて。どうせご飯は食べるんやし、ちゃっちゃと、食べて来ちゃえば、問題ないよ。」
「じゃあ、いこっか、裕ちゃんのおごりで。
「なんや、自分からせがみよって。まあ、ええわ。復帰祝いっちゅうことで、おごったるわ。」
「えー、復帰祝いは別にちょうだいよ。」
「まったく、休んでる間にすっかり欲張りになりよって、まあええわ、いくで。」
- 273 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時08分18秒
ふう、あんまし時間無いけど、ええやろ。
さて、何食べようか、等と考えてると、後ろから声が飛んできた。
「紗耶香―、帰ろ。ご飯食べにいこ。」
あみさんやった。
- 274 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時08分51秒
「え?ああ、どうしよう、裕ちゃん。」
「あれ?中澤さんと、出かけるの?」
「え?ん?うん、まあ、一応。」
「中澤さん、打ち合わせいいんですか?時間無いんじゃないんですか?」
「まあ、あんましないけど、食事もせなあかんし、ついでやから。」
「じゃあ、3人で行きましょうか。」
- 275 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時09分26秒
まあ、ユニットなんだから、帰りにご飯に誘うのは普通のことなんだろうけど、今は、正直言って二人にして欲しかったなあ。
あみさんに悪気は多分ないんやろうけど。
結局、これじゃ、紗耶香とはあまり話せないやんか。
- 276 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時10分06秒
- うちらは、近くのイタリアンレストランに入った。
4人掛けで、紗耶香とあみさんが、並んで座る。
収録のときもいっとったけど、あみさんがこんな小さなことでもしきるんやな。
- 277 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時10分49秒
- 「よし、二人の復帰祝いに、ワインで乾杯しよ。」
「え、私、飲めないよ。」
「ええ、って。今日はうちのおごり。一杯だけ飲んでみ。祝いや祝い。」
「そういう問題じゃないと思うけど。」
そんなことを言いつつも、結局3人でグラスワインを頼む。
「じゃあ、一人一言づつ、乾杯のコメントを。」
「誰から?」
「じゃあ、まず私からは、二人の復帰を祝して、そして明るい未来を信じて。」
「紗耶香と私の、二人のユニットのさらなる結束と発展を願って。」
「えーと、じゃあ、裕ちゃんの結婚を願って。」
「なんで、3段落ちなんや、まあ、ええわ。乾杯。」
「かんぱーい。」
- 278 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時11分23秒
- 「苦いね、ワインって。」
「そうか?うちにはちょっと甘いくらいやけど。」
「でも、いい味ですよね。さすが中澤さんチョイスです。」
「持ち上げても、なんもでえへんで。」
「いやあ、中澤さんのおごりって聞いたから、おだてとかないと。」
「おだてなんかい。」
- 279 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時12分15秒
- 和やかな感じの食事会。
まるでうちが接待し取るみたいや。
夜景の美しいこの場所。
支払いはうち持ち。
その上、うちだけ途中で中座して仕事にもどらなあかんなんて。
最初からわかっとったことやけど、なんか不条理や、こういうの。
メインの皿を食べ終え、私は紗耶香に話を切り出す。
- 280 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時13分21秒
- 「紗耶香、番組のときも言うたけど、なんで、モーニングのメンバーと連絡とらんのや?」
「うーん、いそがしいし。」
「まあ、忙しいのは分かるけどな、」
「しょうがないじゃないですか、お互い忙しいんだから、それに、紗耶香にとっては、モーニング娘は昔のことですよ。今は、私とユニット組んでるんだし。」
「それは、そうなんやけど、連絡くらいしたって、」
「そのうち、会いますよ。この仕事してるんですから。」
「だから、そういう事じゃなくて、大体、なんであみさんが答えるの?ちょっと黙っててくれへんか。」
「関係ないじゃないですか、中澤さんには。」
「どう、関係ないって言うんや。」
- 281 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時14分14秒
- 「何度も言うけど、紗耶香は今は、私とユニット組んでるんです。モーニング娘じゃないんです。大体、中澤さんだってモーニング娘じゃないんでしょ。」
「そうなんやけど、ごっちんや圭坊のかけた電話にも出ないっちゅうんわどういうことや。昔は昔。それはうちかて分かる。でもな、わざわざ、無視することあらへんやろ。」
「私は、別にそんな、」
「紗耶香、何も言わなくていいよ。ちょっと黙ってて。」
「あみ!」
- 282 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時15分28秒
- 「中澤さん、すいませんけど、ほっといてくれませんか。こんなこと言いたくないですけど、中澤さんにはまるで関係ないことですし。それに、もう、後藤さんや保田さんや、その辺の人たちは、私たちにとって、敵なんですよ。私だけじゃなくて、紗耶香にとっても。」
「敵なんて、そんなつもりじゃ、」
「そんなつもりでいてくれなきゃ困る。」
「あみさん、それ言い過ぎやないか。」
「中澤さん、どうでもいいですけど、そろそろ戻らないとまずいんじゃないですか?」
「紗耶香、なんとか言ってな。」
「ごめん・・・、裕ちゃん。ごめんね。」
「そんな、謝られても、しゃーないんやけど・・・。」
- 283 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時16分18秒
- 沈黙。
11月の空気が、外から入ってきたような、そんな感覚がした。
- 284 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時16分52秒
- 「すまんな、せっかく楽しい食事だったのに、うちが余計なこと言うたみたいで。」
「ごめん、裕ちゃん。」
「ええって、紗耶香。頑張ってな。まだまだ、大変やと思うけど。また、会えるよな、紗耶香。」
「うん、それは、大丈夫だよ。」
「会計すましとくから、ゆっくりしとってや。」
- 285 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時17分49秒
- 中澤さんは、会計を済まして仕事へと戻っていった。
紗耶香と二人、テーブルに運ばれたデザートを見つめている。
紗耶香の顔は見られなかった。
デザートと共に運ばれてきたハーブティーを手に、私は窓際に逃げてしまう。
- 286 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時43分57秒
- 「きれいだね、夜景。」
「あみ、わたし・・」
「見てみなよ、紗耶香も。ホントきれいだから。あっ、中澤さん出てきた。」
「あみ、聞いて。」
「紗耶香。お願い。私の方だけ見てて。」
「・・」
「わたし、もう、一人はやだよ。誰かに紗耶香を引き戻されたら、わたし、また一人になっちゃうんだよ。」
「そんなことないよ。」
「そんなことある。紗耶香が、昔のことを話すとき、すごく幸せそうな目をしてる。それが、私を不安にさせるの。また、一人になるのかなあって。」
- 287 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時45分17秒
- 「あみ、私だって、昔に戻れないことは分かってるよ。あそこに戻る気はない。あみがいやがるから、連絡さえ取ってないんだよ。そりゃあ、モーニングは楽しかったし、今でもあそこに戻れば楽しいと思う。でも、実際はそうじゃなくて、あみとユニットを組んでて、未来を目指してるんだよ。一人になんかしないよ。分かってくれないかなあ。」
「ごめん、分かってるんだけど、不安なんだよ。でも、私にとって、紗耶香がすごく大切な存在だって事は分かって欲しい。」
「・・うん。それは、分かってるつもりだよ。あみの書いた詩。すごく伝わってきたもん。だから、分かってるから、もう少し自由にさせて欲しい。」
「紗耶香。私、紗耶香と一緒にやっていくためだったら、何でもするよ。だから、二人で頑張っていこう。」
「あみ、そうじゃなくて、」
「ごめんね、なんか、いろいろしゃべっちゃって。デザート食べよ。二人で三人分だよ。」
- 288 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時46分18秒
- 紗耶香が困惑しているのがよく分かる。
でも、決心したんだ。
捨てられないために、何でもしてやるって。
今の私には、紗耶香に、捨てられないための、必要だって思ってもらえるものが何もない。
だから、多少束縛してでも、自分の側に置いておかないとダメなんだ。
それが、きっと紗耶香のためでもある。
昔なんか、振り返ってちゃダメだよ。
あいつらは、私にとって敵なんだ。
- 289 名前:第七章 投稿日:2001年11月27日(火)23時47分00秒
- 自分を偽ってでも、嘘ついてでも、今の二人を守るために。
明日からのレコーディング、頑張ろうね。
二人で頑張ろうね。
二人で。
二人だけで。
ずっと・・・。
- 290 名前:作者 投稿日:2001年11月27日(火)23時54分10秒
- 第七章終わりです。
途中で、自分でスレ荒らしてみたり、いろいろありましたが、とりあえず七章は終わりました。
>>225-289 第七章 作詞バトルとラジオと私
そろそろ、移転も考えなくてはならない時期になってきました。
とりあえず、第八章はここで書きますが、それが終わったら、どこかへ飛んでいるかもしれません。
なんか、青板のスレ枚数、かなりの数になってるから、他の方が良さそうだし。
でも、続きだから、同じ板に書きたい気もする。
難しい・・・。
明日、本物の市井紗耶香は、正式にCD復帰しますが、この話はまだ終わりません。
もうしばらく、おつきあい下さい。
よろしくお願いします。
- 291 名前:第八章 私がやります 投稿日:2001年11月28日(水)22時38分14秒
「お願いします。私に書かせて下さい。」
- 292 名前:第八章 私がやります 投稿日:2001年11月28日(水)22時38分50秒
プッチモニの新曲レコーディング初日。
つんくさんから曲を渡された瞬間に、保田さんが言い出した。
- 293 名前:第八章 私がやります 投稿日:2001年11月28日(水)22時39分24秒
「私に詩を書かせて下さい。」
- 294 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時40分04秒
- 何を突然言い出すんだろう。
プッチの3人で曲書こうねー、なんて番組でも言ってたけど、わざわざ今そんなこと言わなくてもいいんじゃないだろうか。
将来的には自分たちで曲は書けた方がいいと思う。
だけど、このライブの間のわずかな時間でレコーディングしなきゃいけないんだから、つんくさんがもう全部書き上げてるんだから、今そんなこと言わなくてもいいんじゃないのかなあ。
- 295 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時41分22秒
- 「保田、この前俺が言ったこと、全然分かってないな。」
「分かってない訳じゃありません。」
「いや、分かってへん。別に詩を書くな言うとるんやないで。単なる対抗心でそんなことしてもしゃーない言うとるんや。」
「対抗心なんかじゃないです。このままじゃダメなんです。もっと唄うために、自分で書きたいんです。」
「ちっ、はー・・・。まあ、ええわ。好きにせい。じゃあ、1日だけ時間やろう。それ以上は待てない。この曲を持って帰って詩をつけてこい。後藤も、吉澤も、3人とも書いて来るんやで。それでダメなら、俺の書いたやつで行く。それでええか?」
「はい。ありがとうございます。」
- 296 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時41分56秒
- 作詞、吉澤ひとみ、作曲、つんく。
なんてなったらかっこいいなあ。
でも、全然浮かんでこないや。
だって、もうつんくさんが詩を書き上げてるんだから、それ以上のものを私が書けるとは思えないし・・・。
保田さん、なんであんなこと言い出したんだろう。
別に、作詞するところまで対抗しなくてもいいのに。
- 297 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時42分32秒
- 私が、今書きたいことって何だろう。
私が、今歌いたいことって何だろう。
曲のイメージは、ちょっと明るめで、楽しい感じかなあ。
高校生のスクールライフでも書くことにするか。
明日早速歌入れなはずだから、ちゃんと眠りたいし、さっさと書いちゃおう。
- 298 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時43分31秒
- つんくさんも、私たちに書かせてくれるんなら、もっと早く言ってくれればいいのに。
私が、個人的に書いた詩は、何度か見せたことがあるんだし、プッチで曲書きたいって言ってるのは知ってるはずなんだから。
圭ちゃんやよっすぃーは、どんなの書くんだろう。
私のイメージでは、この曲は明るいけど恋愛ものって感じじゃなくて、友情ってところかな。
女同士の友情ね。
でも、曲に詩を乗せるのって初めてだから、不安。
市井ちゃんはどうしてるんだろう。
詩がダメならデビューとりやめって、すごい厳しい条件だったけど、ちゃんとクリアーしてたもんなあ。
後藤にもはやく見せて欲しいよ。
電話しても、どうせまた出てくれないんだろうな。
それより、今は自分の書く詩に集中しなきゃ。
いざ、こうやって、自分が歌うかもしれないってなると難しいねえ。
実績のある人に相談してみるか。
- 299 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時44分58秒
- 「もしもし、裕ちゃんですか?」
「はいはい、裕ちゃんですよってなにやらすねんごっちん。」
「ははは、今日はのりがいいねえ。」
「いや、別にそういうわけやないけどな。」
「実は、大先輩に相談があるのですが。」
「なんや、改まって、珍しいな。」
「うん、あのね、プッチモニもね、作詞をすることになっちゃった。」
「作詞?3人でか?」
「うん、3人でって言うか、それぞれが曲に合わせて書いてきて、もしいいのがあったら、採用するんだって。」
「なんか、どっかの誰か達と似てるなあ。」
- 300 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時46分04秒
- 「でしょー。言い出したの圭ちゃんなんだよ。」
「圭坊が、書きたいいいだしたんか?」
「うん。最初はつんくさんも止めたんだけど、結局1日時間やるから、書いてきてみろって。」
「そっか、で、書けたんか?」
「それが、なかなか書けないから相談してるんじゃん。」
「そっか、そやな。」
「それで、なにか、アドバイスを、いただけないでしょうか。」
「ごっちんは、こういうときだけ猫なで声で、甘えてくるんやなあ。」
「そんなことないよう。」
「いや、ええねんで、それで。困ったときは、先輩は頼るもんや。大先輩やなくて、ちょこっとだけ先輩やけどな。ちょこっとだけやで。なんか、そうやって甘えてくるごっちんを見てると、紗耶香がかわいがってたのもようわかるは。」
- 301 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時46分59秒
- 「市井ちゃんと、昨日のラジオの後、何か話した?」
「うーん、あれはな、実は収録やったんや。それで、生やないから、収録した後時間はあったんやけどな、たいした話してないねん。」
「どおして?」
「うーん、紗耶香がな、あんまり話したがらへんねん。ASAYANの収録に来たときも、紗耶香は先に帰ってしもて、鈴木あみさんが収録後の挨拶に来たんやで。びっくりやろ。」
「あみさんとはいろいろはなしたの?」
「いや、それもあんまりな。ただ、紗耶香も、まあ、なんとか元気そうやったで。」
- 302 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時47分58秒
- 「市井ちゃんは何考えてるのかな?」
「うーん、うちにもわからんは。いろいろあるみたいやし。それより、作詞の相談はええんか?」
「そうそう、何か良いアドバイスをプリーズ。」
「プリーズ言われてもなあ、うちかてプロやないし。それに曲先のものに詩をつけるんやろ。」
「うん、そう。」
「うち、詩先でしか書いたことあらへんから何ともなあ・・。」
「そんなこと言わずに、何かヒントのようなものをいただきたいのですが、中澤大先輩様。」
「だから、大先輩はやめーって。うーん、とにかく曲を聴いて、そこから浮かんだイメージに自分の書きたいこと、伝えたいことをはめていくしかないんちゃうかなあ。ごっちんの今持ってる想いみたいなものをな。」
- 303 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時48分56秒
- 「今持ってる想いねえ・・・。」
「うちの卒業の時の曲なんか、もろそうやろ。」
「そうだね。あれは、裕ちゃんが書いて裕ちゃんが唄ったから意味があるんだよね。」
「ごっちんも、何かあるやろ、唄いたいって思うこと。伝えたいって思うこと。」
「うーん、あるにはあるけど。」
「それを書いてみたらどうや。明日提出やろ。時間ないんやし、悩んでないでやってみるしかないやろ。」
「・・・うん、分かった。・・やってみるよ。」
「頑張りや。まあ、ごっちんだけ応援するわけにはいかんけど、いい詩が書けるように祈っとるよ。」
- 304 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時50分15秒
- 今持ってる想いか・・・。
曲のイメージから明るめの友情もの、なんて考えたけど、むずかしいなあ。
今持ってる想いってなると、プッチモニのことであったり、市井ちゃんのことだったりする。
でも、まさか市井ちゃんのことで詩を書くわけいかないし・・・。
- 305 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時51分16秒
- 市井ちゃんは、どうやって詩を書いたのだろう。
そういえば、そんな話しもほとんどしなかったなあ。
私が忙しすぎたせいで、気づかない間に距離が出来ちゃったのかもしれない。
距離があると、気持ちって伝わらなくなっちゃうものなの?
時間がたっちゃうと、気持ちが変わっちゃうものなの?
- 306 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時52分17秒
- こんなこと考えてても、詩は書けない。
せっかくだから、幸せそうなのを書こう。
曲のイメージがそうなんだから。
今が幸せじゃないわけじゃない。
でも、悩み多すぎだよ。
よっすぃーや圭ちゃんに負けたくない。
絶対いいものを作ってやるんだ。
- 307 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時53分04秒
- 私が書くものは決まっている。
どんな曲であろうと、今書きたいものは一つ。
テーマは唄への想い。
私の唄いたいという気持ちをそそぎ込む。
紗耶香には負けない。
- 308 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時54分09秒
- やっと手に入れたチャンスなんだ。
私自身の書いた詩で唄う。
そのために、ドラマで演じたり、バラエティではおばあちゃん役なんてのまでやってきた。
モーニングの曲では、歌入れに参加はしたけれど、はじめからメインの3人は決まっていて、私の出る幕はなかった。
プッチモニは違う。
いつでも3人公平で、唄うチャンスがあり、それぞれに一番いいものが割り当てられていく。
今の私にとって、一番重要な仕事がプッチモニで唄うこと。
- 309 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時55分10秒
- 紗耶香には負けられないんだ。
ボーカルユニット。
唄うためだけに存在するユニット。
うらやましいよ。
今の私にとっては、それは夢に過ぎない。
だけど、プッチモニの3人なら、それに近いことが出来る。
私たちに連絡もよこさない、電話にも出ない紗耶香なんか、もう関係ない。
私と、後藤と、吉澤と、3人でプッチモニ。
3人で唄う。
そのための詩を書く。
曲のイメージはこの際どうでもいい。
- 310 名前:第八章 投稿日:2001年11月28日(水)22時55分44秒
- 翌日、レコーディングに向かった私たち3人は、早速つんくさんに呼ばれた。
それぞれが書いた詩は、ファックスなりメールなりでもう送ってある。
よっすぃーや、圭ちゃんがどんな詩を書いたのかは、まだ知らない。
逆に私がどんなのを書いたのかも、二人は知らないはずだ。
- 311 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時43分24秒
- 「おう、3人とも、ようちゃんと書いてきたな。保田は、朝になって送ってきよって、やきもきしたで。自分から言い出しといて、書けませんでしたとか言うんちゃうやろかって。」
「すいません。ぎりぎりまで手直ししたかったんで。」
「まあええは。それじゃ、提出順に、俺からの評価を教えるから、ようきいとけや。」
「はい。」
- 312 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時44分38秒
- 「まず、吉澤は、おもろいなあ。」
「ありがとうございます。」
「いや、なんて言うか、3人でラジオやってたやろ。」
「はい。」
「あれ、ちょっと聞いた事あるんやけどな、あの雰囲気やな、この詩は。明るくて、はちゃめちゃで。吉澤学校楽しいか?」
「はい、すごく。たまにしかいけないですけど。」
「そうか、忙しくて悪いなあ。でも、自分で選んだ道やしな。」
「はい。」
- 313 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時46分09秒
- 「ただ、英語はもうちょっと勉強した方がええぞ。詩に使うなら。」
「英語ですか?」
「ああ。なんや、この、君の心に掛けるビレッジって。ビレッジ言うたら村やろ。心に村掛けてどうする。それを言うならブリッジちゃうんか?」
「あっ、いや、そうかもしれないです・・・」
「それと、ちょっと全体に散漫な印象がある。雰囲気はでとるんやけど、最後に話がまとまっとらんのや。」
「はあ。」
「まあ、もうちょっとガンバロウや。」
「はい、ありがとうございました。」
- 314 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時46分47秒
- よっすぃー、ブリッジとビレッジはちょっと恥ずかしいぞ。
でも、後藤も、間違いそう。
雰囲気を誉められてていいなあ。
出した順ってことは、圭ちゃんが今朝出したって事だから、次は私か。
- 315 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時47分26秒
- 「後藤は、女の子同士の友情がテーマか?」
「はい、そのつもりで書きました。」
「曲が、すごい生きてるよ。面白い。」
「ありがとうございます。」
- 316 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時48分26秒
- 「ただなあ、今何月や。」
「11月です・・・。」
「この時期に卒業ソングは無いやろ。発売日決まっとるんやから。」
「いや、なんか、お別れのイメージが出て来ちゃったんで。」
「着想はええで。明るい感じでお別れってのありかもしれへんし。でも、11月に卒業ソング出すわけいかんやろ。それこそ誰か卒業か?作詞の後藤脱退か?とか言われんで絶対。」
「はあ、そうですね。」
- 317 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時49分38秒
- 「あとは、多分後藤の中に、言いたいことがたくさんあったんやろうと思うんやけど、それを詰め込みすぎやな。」
「詰め込みすぎですか?」
「ああ、いつも、曲無しで、詩を書いて俺に持って来るやろ。」
「はい。」
「ああいう感じで、一つのことについて書くともっとよかったんやけどな。自分の詩で発売するってのでちょっと気持ちが入りすぎたんちゃうか。気持ちは分かるけど、もうちょっと冷静にな。まあ、次はもっとええもの書けるやろ。曲に詩をつけるってのが初めてな割にはよう出来とった。」
「はい、ありがとうございます。」
- 318 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時50分23秒
- 誉められたのかなあ?
結局、使ってもらえなかったみたいだけど。
次期待って事は、次も書かせてもらえるってことだよね。
- 319 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時51分14秒
- 「そして、最後に保田。」
「はい。」
「保田、おまえちゃんと曲聞いたか?」
「えっ?聞きましたよ。ちゃんと、曲に乗るように字数合わせたつもりですけど、合ってないですか?」
「そういうことを言っとるんちゃうて。保田は、曲を聴いてそこからこの詩のイメージが出たんか?きいとるんや。」
「・・・いや、書きたいものが先にありました。」
「俺の立場はどうなるんや?俺の書いた曲はおまけか?おまえの書いた詩の。」
「そういうつもりじゃないですけど。」
- 320 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時52分05秒
- 「じゃあ、どういうつもりや?俺の書いた曲と、おまえの書いたこの、唄が唄いたいですって内容の詩と、どうつながるんや。」
「私は、一番書きたいものを書いたつもりですけど。」
「その書きたいものと、この曲のイメージはあっとると保田は思っとるのか?」
「・・・」
「保田、俺達は、詩と曲と唄と、その他にもアレンジとか、もっと言えばプロモーションビデオや、ステージ衣装や曲の振り付けまで含めてトータルで一つの作品を作り上げとるんや。分かるか?」
「・・はい、分かります。」
「それをだ、最初にある曲を無視して、保田は詩をつけてきた。それがどういうことか分かるか?」
「・・・」
- 321 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時52分53秒
- 「プロモーションビデオを、曲を聴かずに作る人がおると思うか?」
「・・いないと思います。」
「おまえのやったのはそういうことや。曲の長さという情報だけを手に入れて、その長さにぴったりと合う自分の作りたい映像を並べて、一度も曲を聴くことなくプロモーションビデオを作ったって言うのと同じ事なんや。」
「・・はい。」
- 322 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時54分08秒
- 「おまえの付けた詩は最低や。人を無視して、自分だけの勝手に付けた詩やからな。こんなもんは単なる自己満足でしかあらへん。」
「・・・すいませんでした。」
「泣けばええってもんやない。おまえはこの3年で何を学んで来たんや。泣きたいのはこっちの方や。もうええ。30分後に歌入れ開始するから。曲はもう頭に入っとるやろ。俺の詩で行くから、これを頭に入れとけ。最初は後藤から、ええな。」
「・・・はい。」
- 323 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時54分41秒
- 圭ちゃんは、ぼろぼろに泣いていた。
久しぶりに聞いたつんくさんの説教。
今回の作詞を言い出した圭ちゃんは、相当な意気込みだったと思う。
特に、市井ちゃんをライバル視してて、市井ちゃんが、あのドリカムのプロデューサーさんに誉められたばかりだから。
それが、こんな形になって・・・。
大丈夫かな、圭ちゃん。
- 324 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時55分44秒
- 泣き崩れてる圭ちゃんは、スタッフの人がとりあえず休憩室のようなところへ連れていった。
泣きやむ気配はないらしい。
私が行こうとしたけれど、詩を頭に入れろって止められてしまった。
そんなこと言われたって、頭に入るわけ無い。
圭ちゃんが書く詩は、今までに何度か見せてもらったことがある。
後藤が書くような、さらっとした感じじゃなくて、すごく重たい、強い気持ちが入ってるようなのが多かった印象がある。
思い返してみると、ああいうのを曲に合わせて書くのは難しいかもしれない。
自分の詩がダメとは思わないけれど、圭ちゃんみたいなのは自分には書けないなあ、と思っただけに、あれだけしかられる圭ちゃんを見たのはショックだったし、泣き崩れてしまう圭ちゃんを見たのはもっとショックだった。
- 325 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時56分16秒
- 「後藤さん、よろしくお願いします。」
「はい。」
- 326 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時56分57秒
- レコーディングが始まったけれど、私は全然集中できなかった。
詩も頭にはいってない。
目の前に詩を書いた紙が置いてあるんだけど、メロディーが進むにつれて、どこなのかを追っていくことすら出来ない。
10分も経たないうちにつんくさんが休憩の合図をして、止められてしまった。
- 327 名前:第八章 投稿日:2001年11月29日(木)22時58分09秒
- 「後藤、全然集中できて無いなあ。」
「すいません。」
「そんなんじゃ、ハモリパートしかなくなるぞ。」
「はあ・・。」
「保田がそんなに心配か?」
「そりゃあ、あんなに泣き崩れたのみたら・・。」
「じゃあ、ちょっと様子見てきてもええで。ただ、声はかけるなよ。」
「はあ・・。」
- 328 名前:闇の住人 投稿日:2001年11月29日(木)23時11分06秒
- 更新お疲れ様です!
いつも読ませて頂いておりますよ。
やたぁー!!リアルタイムだっ。
保田さん切ないっすねぇ・・・。後藤!何とかしてやってくれ!
それにしても吉澤・・・、ビレッジって・・・。そーとーヤバイよ(w
- 329 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月30日(金)00時41分21秒
- なんていうか、重たい系の話にはレスしづらいんですよ。
毎日更新大変でしょうけど、楽しみにしてますから頑張ってください。
- 330 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)23時51分56秒
- >328
常連様なようで、いつもありがとうございますです。
更新時刻が、似通った時間になるので、その気になれば結構リアルタイムできますよ。
とかいいつつ、今日はいつもよりちょっと遅め。
>329
重いっすか?
そういえば、ここ数日は、あまり明るくないかな。
今後は、・・・どうでしょう。
なんか書くと、言ってしまいそうなので、書きませんが。
いじけ癖のある作者なので、たまにおだててもらうと、木にでもなんにでも登ります。
いや、人様のを結構読むのですが、読めば読むほど、自分の書いてるものに自信がなくなっていくのです。
以下、続きです。
- 331 名前:第八章 私がやります 投稿日:2001年11月30日(金)23時52分45秒
- 声かけるなって言われても、様子見に行って声かけないでどうするんだろう。
そんなことを思ったけれど、休憩室へ行ってみると、つんくさんの言うとおり声はかけない方がいいんだろうな、という状況だった。
圭ちゃん、ソファに座った状態からそのまま横に倒れたような、そんな姿で寝ていた。
- 332 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時53分50秒
- 泣き疲れて寝ちゃったんだね。
化粧がぐちゃぐちゃだ。
そっか、朝まで詩を書いてたんだから、当然寝てないんだ。
なんか、かわいい。
おばちゃん臭いとか言われても、まだはたちだもん、圭ちゃんだって。
女の子なのに、こんなところで無防備に寝ちゃって。
そういえば、私もよく寝ちゃってたなあ、モーニングに入り立ての頃。
あの頃とはずいぶん変わっちゃったな。
- 333 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時54分48秒
- 後藤が一番長い時間を共に過ごしてるのは圭ちゃんなんだよね。
圭ちゃんは、これくらいのことでダメになったりしない。
そんなこと、私が一番分かってるはずなのに、おたおたしちゃって、かっこわるいなあ。
また、しかられちゃうよ。
でも、ちょっと昔みたいにしかってほしいなあって気もする。
最近は、みんな年下ばっかりで、私が注意するなんていう似合わない役目もたまにしてるし。
目覚めたら復活するんだよね、圭ちゃん。
後藤も頑張るよ。
作詞はダメだったけど、いい曲にしようね。
- 334 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時55分26秒
- 「後藤、どうやった?」
「寝てました。」
「ははは、そやろ。大丈夫やって、保田なら。とりあえず、寝てない声でレコーディングさすわけいかんからな、しばらく寝かしといてやってや。」
「はい。」
「保田には目覚めたらもう一回話するから。俺かて、言いっぱなしやないで。まあ、たまにはがつんといわなあかんと思ったからああいうきつい言い方したけどな。後藤も、こんなんで集中できんようじゃあかん。」
「・・すいません。」
- 335 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時56分10秒
- 「とりあえず、先に吉澤呼んでや。その間に詩を頭に入れて、曲全体のイメージをしっかり考えておけや。そうせんと、ほんまにハモリ以外パートなくなってまうで。」
「それは、困りますよ。」
「しっかりしいや。頼むで。」
「はい。」
- 336 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時57分14秒
- 圭ちゃんは、きっと大丈夫だ。
私も人のこと気にしてる場合じゃない。
プッチモニまでよっすぃーにメイン持って行かれたらたまったもんじゃないよ。
レコーディングブースに入っていくよっすぃー。
最初の頃と比べてものすごく頼もしく見える。
圭ちゃんのこと気にしてたから、寝てたって教えて上げたら、それだけで、“じゃあ大丈夫だね”、って言えるよっすぃーっていいなあ。
もしかしたら、私よりよっすぃーのほうが圭ちゃんのことちゃんと分かってるのかも。
距離とか、時間の長さとか関係ないのかな。
どんなに遠くにいても、変わらない物ってあるよね。
- 337 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時57分51秒
- 気がついたら、ソファに埋もれてた。
そうだ、泣き疲れて寝ちゃったんだっけ。
なんか、一瞬だけ目覚めた記憶があるんだよな。
誰かに頭なでられたような・・。
夢?
- 338 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時58分30秒
- 「圭ちゃん、起きたんだ。」
「ああ、後藤。」
「おはよう。」
「私どれくらいこうしてたの?」
「うーん、4時間くらいかな?」
- 339 名前:第八章 投稿日:2001年11月30日(金)23時59分06秒
そんなに寝てたのか。
声出るかなあ?
- 340 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時00分13秒
- 「圭ちゃん、目が覚めたらつんくさんが来るように言ってるんだけど、とりあえず、鏡見ようか?」
「へ?」
「ほれ。」
「誰?」
私の顔は、お化けのメイクか?ってくらいぐちゃぐちゃだった。
- 341 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時00分52秒
- 「圭ちゃん、化粧うまいねえ。」
「バカいってんじゃないよ。私のバッグは?」
「ここにあるけど、どうしようかなあ。」
「早くよこしなさい。」
「その顔のままつんくさんのとこ行ったら?」
「そんなの出来る分けないでしょ。私だって、一応アイドルなのよ。アイドル?」
「え?オバドル?」
「何だって!」
「いや、いや、何でもないです。バッグはこちらでございます。」
「よし。」
- 342 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時01分23秒
- まったく、みんな私のことなんだと思ってるんだ?
まだはたちだって。
テレビ局にいるような女の人はみんな大卒以上だから、私より年上だと思うんだけど、そういう人たちの前でこんな発言したりしないだろうな。
そんなことより、つんくさんとこ行って謝らないと。
- 343 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時02分13秒
- 「二人はレコーディング終わったの?」
「いや、とりあえず、よっすぃーが一回目終わって。私はまだ途中。ちょっと休憩入れようかってことで。」
「そっか。」
私待ちってわけじゃないようで、それは良かった。
でも、つんくさんすごく怒ってたから、大丈夫かな。
- 344 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時03分13秒
- 「圭ちゃん。」
「ん?」
「大丈夫だよ。心配しなくても。」
「何がだよ。」
「いろんな事。つんくさんだって、圭ちゃんのこと傷つけようとしてあんなこと言ったわけじゃないだろうし、今まで、私も圭ちゃんも、他のみんなも、一回じゃ出来ないことたくさんあったけど、なんとかなったじゃん。」
「うーん・・。」
「市井ちゃんのことも気になるし、いろいろ悩みはつきないけどさ、私たちだって毎日寝て過ごしてるわけじゃないもん、私たちのことを思ってつんくさんも、スタッフの人たちも、いろいろと働いてくれるし、きっと大丈夫だよ。」
「後藤に、そんな風にいわれると思わなかったな。」
「なんだよ、せっかく真剣な話してるのに。」
「いや、後藤も大人になったなあって思ってさ。」
「別に、大人になったわけじゃないよ。」
「とりあえず、つんく裁判官様の前に出頭してきます。」
「頑張ってねー。」
- 345 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時03分56秒
- 私がみんなに言わなきゃいけないようなことを、後藤に言われてしまった。
あいつ、まだ子供でいたい、なんて言ってるけど、それってある程度大人になってきたから出る発言なんだろうな。
吉澤もすっかり成長してるし。
こうやって、新しくメンバーが入り、そして順繰りに卒業していく。
これって、みんなの成長を促すにはいいシステムなのかもしれない。
私も、そろそろ順番来てるみたいだけど。
でも、年齢順でもないし、もうしばらくはこの子達とやっていくのだろう。
まずは、つんくさんに怒られときますか。
- 346 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時04分52秒
- 「おお、保田、目覚めたな。」
「はい。さっきはすいませんでした。」
「いや、あれは、もうええよ。別に言い過ぎたとかはおもっとらんけど、保田には2度同じこと言う必要もないやろうから、別に改めてあやまらんでもいい。」
「はあ・・。」
- 347 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時05分25秒
- 「ただな、ああは言った。確かに、曲のイメージをまるで無視した詩をつけるのがいいとは言わない。ただ、曲がなかったとき、詩を先に考えて、曲を付けることを考えたら、保田の詩は3人の中では一番よかったで。」
「そんな、急にフォローされても。」
「あほ、プロデューサーが、こんなとこで下手にフォロー入れるか。子供相手に言っとるんやないんやで。まだまだ、あらけづりやし、そのまま手直し無しで出せるか言うたら、ちょっと、良くない部分もあるけど、トータルで見て、保田の言いたいこと、唄いたい事ってのが伝わってくるのは確かや。」
「ありがとうございます。」
- 348 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時06分19秒
- 「やってみるもんやな。3人とも、それぞれに面白い物書いてきよって、かなり楽しかったわ。」
「吉澤や、後藤はどんなの書いたんですか?」
「それは、本人に聞けや。あいつらのも、なかなか良かったで。まあ、シングルとして出せるかって言うと、今一歩やけど。それでな、プッチモニももう4枚目のシングルを出すわけやし、そろそろアルバムも考えとるわけよ。」
「アルバム出せるんですか?」
「ああ、来年の春あたりにな。そこに、3人それぞれのソロを入れようと思ってる。後藤もシングルのやつやなくて、新しくな。そのそれぞれ自分のソロを、自分で作詞してもらおう思うやけどどうや?」
- 349 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時07分13秒
- 「いいんですか?ホントに。」
「ああ、おまえら、プレッシャーかけると結構いいもんだしてくるの分かったから、またなんか厳しい条件付けるかもしれへんけど、基本的に自分で書いてもらうつもりや。」
「ありがとうございます。」
「まあ、ここまでは、前から考えとったんやけど、保田の詩を見てな、思ったんよ。保田、アルバムの中で自分のソロ以外の曲も詩をつけてみないか?」
「え?私が、アルバムの曲全部にですか?」
「全部とは言うてへんよ。ソロ以外の何曲かや。ただ、シングル曲以外の半分くらいは保田にやってもらうことになるかもしれん。それに、ソロ以外は今回と同じで曲先や。出来るか?」
- 350 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時08分00秒
- 「はい。やります。お願いします。」
「今回みたいな、曲を無視したもん書いてきたら、二度と任せないからな。」
「はい。ちゃんと、曲のイメージで書きます。」
「よし。ただ、まだ本決まりや無いからな。後藤も、詩を書いて俺のとこに持ってくることもあるし、それがすごく良ければ、後藤に任せるかもしれん。」
「そんな、ひどいですよ。」
「何がひどいもんか。いいもんをつくる奴に任せるんは当たり前やろ。」
「まあ、そうですけど・・。」
- 351 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時08分44秒
- 「保田も、噂によると、結構書きためてるらしいけど、出来たら俺のとこ持ってこいや。見てやるから。」
「ホントですか?」
「ああ。それで良かったら、つんく名義で、誰かのシングルで出すと。」
「盗作じゃないですか、それじゃ。」
「まあ、それは冗談や。でもな、俺も、いろんな奴のプロデュースして手一杯状態やから、自分で詩の書ける奴とかおると助かるわ。後、保田、曲もかいとるんやろ。それも持ってこい。」
「はい。分かりました。」
「よし、じゃあ、後藤の続きやるから、その間に詩を頭に入れとけ、ええな。」
「はい。」
- 352 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時09分31秒
今泣いたカラスがもう笑った。
そんな感じ。
アルバムの作詞か。
すごいことになってきたなあ。
でも、シングルは任せてもらえないのね。
まだまだ紗耶香には追いつけてないわけだ。
- 353 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時10分09秒
- 「おっ、保田さん、お目覚めですね。」
「吉澤、歌入れ終わったんだ。」
「はい。ばっちしですよ。」
「なんだと、生意気な。ところでさあ、どんな詩書いたわけ?」
「それは・・・。」
- 354 名前:第八章 投稿日:2001年12月01日(土)00時10分50秒
- いつまで私がモーニング娘。でいるかは分からない。
それは私だけじゃなくて、この吉澤や後藤や、他のみんなもそう。
紗耶香みたいに、早めに飛び出すのも自分を成長させるにはありかもしれないなとは思う。
でも、身近にこうやって、レベルの高い集団があるのは、すごく刺激的だ。
歌だけやっていれば、手っ取り早いかもしれない。
モーニング娘。にいる限りそういった環境はもう手に入らないだろう。
だけど、それでも、この中にいることで、私はきっと成長していくことが出来る。
つんくさんの言葉で、やっとそう感じることが出来た。
泣いてる暇なんか無い。
今日は、私が待ちに待っているレコーディングの日なんだから。
- 355 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)00時19分32秒
- >>291-354 第八章 私がやります
第八章終わりました。
八章はプッチモニサイドの話でしたが、かなり作者の願望入ってます。
さて、そろそろ、本格的に移転を考えています。
まだ、200kにもいってないので、まだまだここでいけるんですけど、どう考えてもラストまでは書けない。
ギリギリになって、最終章だけ別スレというのも嫌なので、バランス考えて、早めに移転です。
ただ、2枚スレ使うほどの話じゃない気がするんですよね。
人様のを読んでると、2枚目に入るのって、いい作品ばかりだから、自分のは鯖の容量無駄遣いみたいな気がして・・・。
いいんですかねえ?
強引に、ラストに持っていくのも不可能ではないですが・・・。
まあ、移転先としては、青板が無難かな。
でも、ちょっとでも読者を獲得するには、他の板へ出ていく方がいいのかもしれないですが。
どうしよう・・。
どっちにしても、移転案内はちゃんと出します。
とか言いつつ、普通に第九章をここに書き出すかもしれませんが。
感想待ってます。
相当板違いですが、この話の主人公の復活ミニライブ&握手会の感想も聞きたいです。
- 356 名前:闇の住人 投稿日:2001年12月01日(土)01時30分47秒
- 常連です!ってか毎日来させてもらってます!
レスはたまにしかさせてもらってませんが・・・。(w
保田さんよかったじゃないですか!
後藤ええ奴や・・・(感涙
それにしてもプッチはアルバム出さないんですかねえ?
ここの話が現実になる事を祈ってます!(もちろん作詞も含めてね。
- 357 名前:作者 投稿日:2001年12月02日(日)01時54分29秒
- 結局、移転しました。
移転先は、青坂内です。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=blue&thp=1007216930
まあ、タイトル変えないで、続きってだけ付け加えてスレ立てたので、分かるとは思いますが。
一応、ここで、第八章までのリンクを載せておきます。
>>3-29 第一章 怒濤の新展開
>>33-51 第二章 それぞれの一週間
>>57-105 第三章 復帰のかたち
>>115-150 第四章 私だって・・・
>>154-178 第五章 お願い!つんくさん
>>183-223 第六章 次はなに?
>>225-289 第七章 作詞バトルとラジオと私
>>291-354 第八章 私がやります
こうしてみると、各章のタイトルが、結構意味不明なものもある。
その上、長さもまちまち。
なんか、変な話し書いちゃったなあ。
とりあえず、新スレも立てたことですし、もうしばらく続きます。
エンディングまでおつきあいいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
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