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初小説
- 1 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)18時56分51秒
- え〜、これからここでよしごま書いていきますので、どうか宜しくお願いします。
黄板の方にも、「よしごま小説」で連載しています。
- 2 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)19時31分17秒
まだ乾ききってない濡れた髪を、首からかけた白いタオルで拭きながら
バスルームを出る。
オレンジ色の明かりが弱々しく光ってる薄暗い部屋。
その部屋の大きなベッドの上で、頭まで布団にくるまってスースーと寝息を
立てているよっすぃーの姿が目に映った。
あたしは髪を拭きながら、ホテルに備え付けの冷蔵庫を開けて、入っている
ジュースを取り出すとゴクッと一口飲んだ。
そして、よっすぃーの寝ているベッドに腰を下ろした。
ここはツアーで泊まっているホテルのよっすぃーの部屋。
こんな時間に後藤がよっすぃーの部屋にお邪魔しているのは
………まぁ…さっきまでぇ……ん〜………そういうことしてたから………
よっすぃーは久しぶりのエッチで疲れてそのまま寝ちゃったみたい。
確かにあれだけ、大切な物に触るみたいに優しく優しくあたしを包み込んで
くれたんだから疲れちゃうだろうけどぉ。
………もっと後藤はかまって欲しかったんだけどなぁ……。
「……………。」
もう一口ジュースを飲んでから、ゴソゴソと布団あたしも布団の中に潜り込む。
いつの間にかTシャツを着ているよっすぃー。
暗いから何色か分かんないや。
あたしはそのままよっすぃーの背中にしがみついた。
「ん……。」
よっすぃーはあたしがしがみついても声を漏らしただけで起きる気配もない。
…う〜…よっすぃー起きてよぉ〜……。
「よっすぃ〜……。」
出来るだけ甘えた声で呼ぶ。
- 3 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)19時45分41秒
その声にゆっくり、あたしの手を解いてゴロンとこっちに寝返りを打つと
目は閉じたまま手探りで、キャミとショートパンツを着ているあたしの体に
腕を回してちょっと強引に抱き寄せられた。
「……スー…スー……。」
「…………。」
乙女心分かってないなぁ………。
それでも、あたしを腕の中に閉じこめて小さな子供みたいな
寝顔をしている彼女を見てると自然と顔が微笑んじゃう。
息がかかるくらい近い2人の距離。
ジッとよっすぃーの寝顔に見入っちゃう。
「……よっすぃーって睫毛長いよねぇ…。」
返事なんか返ってくるわけないのにあたしは口に出して言ってみる。
「……あのさぁ…あたしまだ眠たくないんだぁ。」
やっぱり反応無し。
「ん〜〜…よっすぃー。」
あたしはよっすぃーの首筋に顔を埋めてギューッと抱きついた。
- 4 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)19時48分11秒
- やっぱり、甘くなっちゃいますね(w
感想・リク・ご意見なんでもお待ちしています。
- 5 名前:hiro 投稿日:2001年10月13日(土)20時54分44秒
- 新作〜新作〜^^)/嬉しいです。
しかも すなふきんさんの よしごまとは!
ほんっとうに嬉しいです。
もう、めちゃめちゃ 激あまの よしごま リクエストします。
楽しみにしてますので 頑張ってください!
(今年の娘。カレンダー 3・4月が 嬉しいですよね!)
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月14日(日)00時30分58秒
- すなふきんさんのよしごま大好きです!
続きキボンです。
>>hiroさん
3・4月ってひょっとしてよしごまなんですか?
買わねば!!
- 7 名前:バービー 投稿日:2001年10月14日(日)12時27分20秒
- やった、やった!復活だ!!!
すなふきんさんのよしごま大好き!!!!元祖ですよね、やっぱり。
独特の彼女たちの雰囲気がたまりません。
続き期待してます。頑張って下さい。
- 8 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月14日(日)18時57分08秒
- >5 hiroさん
激甘ですね?了解しました!(w
3・4月はよしごまなんでしょうか?
だとしたらかなり嬉しいですね〜♪
>6 名無し読者さん
続き頑張って書いていきます!
>7 バービーさん
嬉しいお言葉有り難うございます。
元祖だなんて(^^;
まだまだ拙い文章ですが頑張って書いていきますので宜しくお願いします♪
昨日の岡女見ましたか?
岡女サイコォーーーーー!!!
自分としてはかなりツボにはまってしまったんですけど(w
中でも、やぐっつぁんのビンタシーンはたまりませんでした(w
ごっちんもなかなかいい感じで。
制作意欲に火がつきました!!
最近よっすぃーのキャラがちょっと…(^^;
自分的には前のクールなキャラのほうが色々と話しが
作りやすかったんですけど、まぁそれも彼女が成長した
ということなんでしょうか?(w
- 9 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月14日(日)19時11分22秒
「…う……んっ……。」
よっすぃーは眉をひそめると掠れた声で
「…ごっちん……お願い……寝させて………。」
それだけ言うとまた寝息を立て始めた。
そんなよっすぃーを見ているあたしの顔は、不満そうにしているに違いない。
………ちょっとだけ彼女に意地悪をしたくなった…。
フッと目を覚ますと目の前には、すでに起きているよっすぃーがいた。
あたしの髪に指を通して見つめてくれる。
「ごっちん、おはよ。」
「ん………おはよぉ〜……。」
あたし、あんまり朝は得意じゃない。
まだ、ボーッとする頭でよっすぃーの存在を確かめるようにして、顔を撫でた。
「…くすぐったいよ。」
よっすぃーは小さく笑いながら、上に被さるようにしているあたしの
腰に腕を回してきた。
あたしは体を起こして跨るとよっすぃーの綺麗な手に指を絡めながら
白い首筋を舐めてみた。
「!!……。」
ちょっと、ビックリしたような表情にあたしは笑って返すと、そのまま顔を
洗いに行くためにベッドを降りる。
残されたよっすぃーは「?」って顔をしていた。
- 10 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月14日(日)19時14分38秒
- これからは、ごっちんがもっている乙女心の意地みたいな部分を
書いていきたいと思います。
よっすぃーが鈍感過ぎるので、ごっちんを拗ねさせてみました(w
- 11 名前:hiro 投稿日:2001年10月15日(月)00時24分35秒
- 更新 嬉しいです〜〜。
カレンダーですね、3・4月は
コックさんのよっすぃ〜と ソムリエのごっちんの
『2ショット』です!!
土曜日にハロプロショップで見てきました。
かな〜り 可愛かったですよ?
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月15日(月)22時24分10秒
- よしごま萌え〜 続き期待
- 13 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月16日(火)18時45分14秒
- >11 hiroさん
おぉ〜!そんなレストランがあったら毎日でも通いますけどね(w
>12 名無し読者さん
よしごまサイコォーーー!!!
- 14 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月16日(火)18時48分27秒
- この前のMusix御覧になりましたか?
モーー!かなり興奮気味でした(w
よっすぃーのかっこよさに惚れ惚れしてしまいます。
なにげにごっちんも男役というのが良いですね♪
- 15 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月16日(火)18時54分40秒
メンバーのみんなには知られていない2人の関係。
あたしはそれを良いことに朝からずっとよっすぃー以外の色んなメンバーに
抱きついたり手を繋いだりと、くっついてまわった。
昨日の夜決めた、あたしの小さな意地は揺らぐことなく決行されたわけ。
でも、よっすぃーは全然そんなあたしを気にすることなく他のメンバーと
楽しそうに喋ってる。
- 16 名前:バービー 投稿日:2001年10月18日(木)00時09分43秒
- ですね。何気にごっちんと一緒ってのが(w
あの二人には石川サン・吉澤サンみたいな男と女みたいな
関係を求めるのは無理です、ビジュアル的には(w
まったり感ですよね、二人はやっぱ。
だけど、よっすぃーの話をする時のごまと二人のじゃれあいは
妄想をかき立てるのですよ・・(w
- 17 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月18日(木)14時33分52秒
- >16 バービーさん
バービーさんの言う通り、確かにあの二人は王子・姫という
関係ではまとめられませんよね。
そこがまたよしごまの魅力なんですが。
いしよしは一回書いてみたいと思っているんですけどね(w
- 18 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月18日(木)15時14分06秒
- そんなよっすぃーの姿に少しムッとしたあたしは、隣で雑誌をパラパラを
見ている梨華ちゃんに
「梨華ちゃ〜〜〜ん。」
わざと同じ楽屋にいるよっすぃーに聞こえるように大きな声で名前を呼んで抱きついた。
よっすぃー、あたしのこんな態度見てどんな気持ち?
梨華ちゃんに抱きつくと女の子らしい甘い香水の匂いがフワッと鼻をくすぐった。
何の香水使ってるんだろう…?今度聞いてみよ。
- 19 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月18日(木)15時33分03秒
「石川ぁ〜、後藤ぉ〜、何イチャついてんのー。」
カオリがあたし達を見て面白そうな目をしながら言ってきた。
「ち、違いますよぉ。」
梨華ちゃんの慌てる姿が可笑しくてあたしは
「え〜?違わないじゃん。」
と、梨華ちゃんが逃げないようにギューッと抱きしめた。
「ちょ、ちょっと!ごっちーん…。」
真っ赤な顔で少し目が潤んでる。
そんな顔されるともっといじめたくなるんだよねぇ……。
カオリはそんな梨華ちゃんを見てわざとらしい演技。
「そうなんの!?石川……カオリ、ショック…。」
「もう!飯田さぁ〜ん。」
困っているような、今にも泣きそうな、そんな顔であたしを見ている梨華ちゃん。
その表情は十分過ぎるくらい魅力的だったけど、やっぱり
あたしにはあの人しかいない。
あたしはチラッとよっすぃーがいる方に目をやった。
へへへ…これで、ちょっとは妬いてくれるかなぁ…?
- 20 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月18日(木)15時40分45秒
よっすぃーはそんなあたし達のやりとりを興味なさそうに横目でフッと
見ただけで、また辻や加護と楽しそうに喋っていた。
どうして?なんでよっすぃーはそんな風にしていられるの?
ほんとはあたしのこと好きじゃないの?
あたしは、何とも言いようのない不安に襲われる。
いっつもあたしばっか…………。
あたしばっかり、追いかけて………………。
ごとーのことも追いかけてきてよ……………。
- 21 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月21日(日)14時41分25秒
あの日からなんとなくあたしの中には、よっすぃーに対する不信感みたいなものが
どんどん育っていった。
こうして今まで付き合ってはきたけど、実は好きなのはあたしだけで
よっすぃーは、あたしのことなんかなんとも
想ってないんじゃないんだろうか……。
…………それでも、あたし達の関係はさほど変わりなく日々を過ごしていった。
- 22 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月21日(日)15時02分11秒
やっと今日の分の仕事が終わった。
自宅に着いたのはもう、夜の十一時を過ぎた頃だった。
いつのものようにバッグから鍵を取り出して玄関のドアを開ける。
「ふぇ〜……疲れたぁ……。」
最初はもうみんな寝ているのかと思っていたけど、どうやらみんな
出かけているようだった。いつものことなので、気にすることもなく
自分の部屋へ向かう廊下を歩く。
部屋の前に着いてドアを開けようとしたとき
『…〜♪』
携帯の着メロが流れた。
「誰だろ…?」
ゴソゴソバッグから取り出して画面も見ずに電話に出る。
「もしもし?」
『……あ〜…あたしだけど…。』
よっすぃーからだった。
「あ…よっすぃー?」
こんな時間にどうしたんだろう…。
「どうしたの?もう仕事終わった?」
『うん…終わった。
………あのさぁ…今ごっちんの家の前にいるんだぁ…。』
「へ?」
『いや、だから家の前にいるんだけど……。』
バッグも降ろさずに玄関まで戻って靴下のまま外を覗いた。
「…………。」
玄関から5歩くらいのところに少しムッとしたような顔をしたよっすぃーが
携帯を片手に立っていた。
夜はもうすっかり肌寒くなったというのによっすぃーは
薄い長袖のシャツと細身のジーパンという格好だった。
「……もう…風邪ひいちゃうよ…。」
聞きたいことは沢山あったけど外にいるよっすぃーをとりあえず部屋に入れた。
- 23 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月21日(日)16時31分39秒
「急にどうしたの?…それに、そんな薄着で。」
あたしはバッグを降ろしながら聞いた。
よっすぃーは床にあぐらをかいてベッドの側にペタンと座っている。
「んー…そんな寒くないよ?……あ、急に来たら迷惑だった?」
えー、寒いけどなぁ……。よっすぃーってこういうとこちょっと変なんだよねぇ。
「全然そんなことないけど、どうせ家の人もみんないないし…。
けど、よっすぃーは大丈夫なの?お母さん心配してるんじゃない?」
「家にはさっき電話したから大丈夫だと思う。」
「…そう?」
「そう。」
上着をハンガーに掛けるとあたしはよっすぃーの横に腰を下ろした。
「…………。」
「…………。」
沈黙。
別にこんなこと珍しくもないんだけど…。
最近あたしが変に意識しているせいなのか、今日はちょっと気まずい。
「…………。」
「…………クシュッ!!」
隣でよっすぃーが小さくクシャミをした。
う〜って唸りながら鼻をこすってる。
「大丈夫?」
「ん。」
短く返事をした後
「クシュッ!!」
「もぉー、大丈夫じゃないじゃん!
寒くないと思ってても体は冷えてるんだよ。」
あたしは立ち上がってタンスの中から大きめのトレーナーを探して
よっすぃーに渡した。
「はい。これ着て。」
よっすぃーはちょっぴり拗ねたような顔をしてゴソゴソと袖を通した。
渡した後すぐに台所に行って暖かい紅茶を入れて部屋に持っていく。
「紅茶好きでしょ?」
「うん。」
「熱いうちに飲んで…。」
零さないようにテーブルの上に置く。
- 24 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月21日(日)16時43分44秒
「よっすぃー風邪ひくと声ガラガラになっちゃって喋れなくなるじゃん。
後藤寂しいから、そんなのヤダよ。」
紅茶を置いて座ろうとしたら、よっすぃーに手を掴まれた。
「え?……」
よっすぃーの方を見るとやっぱり少し怒っているような顔。
「…な、何?」
「……ごっちんはさぁ、あたしのこと嫌いなの?好きなの?」
「…は?え、もぉーどうしたの?」
笑いながらあたしは答えた。
もちろん照れ隠し。
いきなりそんなことを質問されたからあたしの心臓はドクンドクンと
大きく鳴っている。
「だって……ごっちん、全然あたしのこと見てくれないじゃん。」
最初よっすぃーの言葉の意味が分からなかった。
けど、すぐに気づく。あぁ、あのことか、って。
- 25 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月21日(日)16時44分58秒
- 更新です。
さぁ〜、これから甘くなっていきますよぉー!!(w
- 26 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月21日(日)17時02分21秒
- 亜麻尼海女あま甘〜〜〜〜!!
よしごま〜ごまよし〜〜ビバ!吉後!!
このあま〜い話が大好きです♪更新期待・・・vv
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月22日(月)07時46分00秒
- すなふきんさんのよしごま大好き
- 28 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月25日(木)10時58分12秒
あたしはてっきり気にしていないと思ってた。
それどころか他のメンバーと仲良くしているあたしなんて全く興味ないと…。
よっすぃーはあたしを掴んでいる白くて大きな手にグッと力を込めた。
「………でも、こうやって来ると、いつもみたいにごっちん優しいし……
ねぇ……どっち?」
あぁ………そっか…忘れてたよ……
あたしってほんと馬鹿だなぁ…………
- 29 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月25日(木)11時17分18秒
あたしはゆっくり身を屈めて、あぐらをかいているよっすぃーに
倒れ込むようにして抱きついた。
「…ごっちん…。」
目の前にはどう反応していいのか分からず、複雑な表情をしているよっすぃー。
あたしは首に手を回して優しく抱きしめる。
・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
『あたしさー、人と付き合うの初めてなんだぁ。』
『え!?そうなの!?』
『うん。』
『えー…なんか意外。』
『よっすぃー!!』
『何?…重いんだけど…。』
『もー!そうじゃないでしょ〜。』
『?』
『「ごっちん可愛いよ」って抱きしめて欲しいのぉ!』
『………ごっちん…可愛いよ。』
『へへへ…。』
『ごっちんといるとさぁ、ドキドキするけど、なんかそれが
すっごい気持ちいいんだよねぇ。何でかな?』
『………。』
『なんで赤くなってんの?風邪?』
『ち、違うよ!よっすぃーがそんなこと言うから……。』
『そんなこと?』
『もぉ〜…いいよ。……分かってないんだからぁ。』
『んー?』
- 30 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月25日(木)11時47分02秒
- 付き合った当初、よっすぃーは愛とか恋とかそういう類のものに
ビックリするくらい疎かった。
あたしは小さな子供に教えるように一つ一つよっすぃーに
教えていったことを思い出す。
けど、それも最近ではすっかりなくなっていた。
でもまだ、あたしがよっすぃーに教えてねいことがあったみたい。
向かいあった姿勢で見つめ合うあたし達。
あたしはよっすぃーの背中に手をまわして抱きしめながら顔中にキスをした。
「……くすぐったいよ……。」
嬉しそうに目を細める姿を見ていたらもっと、もっと色んなこと
をしてあげたくなる。
あたしは耳元で囁いた。
「あたしがメンバーと仲良くしてるとき…どんな気持ちだった?」
よっすぃーはあたしの背中を撫でながら答える。
「……なんか…モヤモヤした。」
「他には?」
「すっごく……ムカついて他の人と喋って欲しくなかった…。」
「それだけ?」
髪を撫でていたあたしの手によっすぃーは自分の手を重ねると
「ごっちんを…独り占めしたくなった。」
ギューッと少し痛いくらいに腕の中にいるあたしを抱きしめてくれた。
あたしは胸がすっごく切なくなって泣きたくなった。
あたしと同じ気持ちでいてくれたのが嬉しくてしょうがなかったんだ。
- 31 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月25日(木)11時49分22秒
- 「よっすぃー…それは嫉妬って言うんだよ。」
「…これが?」
「…うん。」
「……あんまいいもんじゃないね……。」
「あはっ…そうだね…。」
額をくっつけ合って少しじゃれ合う。
「…あたしがよっすぃーに嫉妬させるときは、よっすぃーの愛が
足りないときだからね。」
大好きなよっすぃーの細くて白い指にキスしながらあたしは言った。
「足りないとき?」
「よっすぃーがどんなに後藤のこと好きでいてくれても、ちゃんと
見せてくれないと分かんないよ。だからこうして抱き合ったりキスしたり
するんだよ。」
よっすぃーは優しい顔でコクッと頷くと唇に優しくチュッとキスをくれた。
「へへ……今すっごく愛されてるって分かったよ?」
いつもの少年っぽい笑顔。
そして、あたし達はまた唇を重ねた。
その日のキスは今までのよっすぃーよりずっと激しくって
ずっと、ずっとよっすぃーの愛が伝わってきたよ。
END…
- 32 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月25日(木)11時50分51秒
- こんな感じになってしまったんですけどいかがでしたか?
次はどんな話にしようかなぁ…。
- 33 名前:バービー 投稿日:2001年10月25日(木)22時18分55秒
- めっちゃ萌えます!!ごっちんリードのよしごまって
自分のと正反対なんで、最高です・・萌えまくり。
これからの話もこういう系を希望!!(w
教えていくってシチュエーションのが良いです。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月27日(土)16時15分02秒
- いやーん。もっと続けてー。
- 35 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)16時49分08秒
- >33 バービーさん >34 名無し読者さん
おぉ〜、自分ではイマイチかなぁと思ってのせるのどうしようか迷ったんですけど、
こういう反応をもらえてかなり嬉しいです♪
ネタも浮かんできたのでもう少し続きを書いていきます。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)03時05分06秒
- すなふきんさんサイコー!
続き楽しみです。
- 37 名前:もん 投稿日:2001年11月07日(水)02時45分00秒
- ぁぅぁぅぁぅーっ・・・(w
先日放送されたお菓子のドキュメント番組で、楽しそうに話している
ヨッシーと梨華ちゃんを、虚ろな表情で見つめているゴッチンが
カメラの存在に気付いて あたふたしているシーンを見て
すなふきんさんの小説を思い浮かべながら萌えてしまいました。
- 38 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月14日(水)14時09分22秒
〜16歳のある夜……〜
夜はすっかり冷え込むこの季節。
今日、撮影の空き時間に買った、赤色の長い毛糸のマフラー。
こっちをあたし。あっちをよっすぃーの首に巻いてトコトコ夜道を帰る。
最初は照れてたけど、やっぱり優しいよっすぃーは照れ臭そうに
ちゃんとしてくれた。
二人で使うと、一人で使うときよりも温かい気がするのは気のせい?
手袋はヤだ。
お互いの体温を直接感じていたいから。
だから、あたしもよっすぃーも手袋をしない分、
寒くないようにギューって手を繋ぐ。
夜道は真っ暗で、電柱の灯りぐらいしかなくて、ほんとなら恐くて
早足で歩いちゃうんだろうけど、よっすぃーと二人なら
ゆっくりゆっくり歩いていたいと思ってしまう。
- 39 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月14日(水)14時11分02秒
道を横切った黄色い眼の黒猫があたし達を見つめ
二ァーッて鳴いてまた、どこかへ消えていく。
よっすぃーが
「彼女に会いに行くのかな…?」
なんて言ってるのを聞いて、あの黒猫が妙に格好良く見えた。
よっすぃーといると全てが違って見える。
あたしがマフラーの端を弄りながらハァって吐いた白い息を見て、
よっすぃーも面白そうにあたしよりも多くハァーって息を吐く。
「寒いっすね〜。」
「あはっ、そうっすねぇー。」
二人顔を見合わせてニッと笑う。
そして、ちょっぴり冷たくなってる唇でキス。
ごとー、冬は寒くて好きじゃないんけど、
こうしてよっすぃーとくっ付いていられるなら好きになれそうな気がした。
- 40 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月14日(水)17時28分03秒
楽しい時間はあっと言う間に過ぎる。
よっすぃーと付き合い始めて身をもって経験したこと。
あと50mも歩けば自宅。
好きな人と離れたくないと思うのは、あたしだけじゃないはず。
「……ねぇー?」
「ん?」
少し眠たそうな目でこっちを見る。
あ…今の顔好きかも………。
大人っぽいその表情がどれだけあたしを
ドキドキさせてるかなんて気付いてないでしょ?
なんとなく、よっすぃーの秘密をあたしだけが
知っているみたいで嬉しくなる。
「もう…遅いし……。」
ちょっと言葉を濁らせる。
けど、あたしより鈍感なよっすぃーのことだから
先回りして読みとってくれる、なんてこと期待できない。
- 41 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月14日(水)17時32分01秒
「うん?」
案の定、少しだけ首を傾げて笑顔。
やっぱり……
もぉ〜…ここまで言ってるんだから分かってよ。
でも、こんなやりとりもあたしとよっすぃーだからできることで。
このドキドキするような初々しい気持ちは、よっすぃーとしか
感じることができないから。
「……あたしんち泊まってく?」
あたしよりちょっぴり背の高いよっすぃーの表情を見ると
予想通り真っ赤。
分かりやすいんだから………
これが見られるのも、よっすぃーが他の人よりちょっとだけ鈍いおかげ。
そして、もちろん返事も
「あ……うん……。」
あたしに顔を見られてるって気付いたのか
少しだけ目を逸らして答えてくれた。
- 42 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月14日(水)17時41分49秒
- 更新です!!
ちょっと今回はなんの障害もなく甘めに…(w
そして、どうやらごっちんが一枚上手のような気も…。
たぶんエロありになりそうです(w
>36 名無し読者さん
いやぁ〜、有り難うございます♪
ほんとに嬉しい…。
こうゆうレスいただけるたびに『あ〜、かいててよかった』なんて
思ってしまうので。
>37 もんさん
その番組見逃したみたいです(;−;)
うぅぅぅ……(泣
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月14日(水)22時15分28秒
- やっぱりよしごまですよね。
- 44 名前:バービー 投稿日:2001年11月14日(水)23時27分36秒
- マジっすか〜!!!???
久々だー、すなふきんさんのエロシーン(w
楽しみにしてます、頑張って下さいね。
- 45 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月15日(木)03時40分00秒
- よしごま最高っすよね〜
- 46 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時13分52秒
家に誰もいないのなんていつものこと。
灯りがついていない暗い玄関に二人で入る。
よっすぃーも別に驚くはずもなく。
靴を脱ぎながら。
「ねぇ……誰もいないの?」
「あー、そうみたい。」
「……そっか。」
お互い盗み見た目がバチッと合う。
「「……………。」」
ほんと、気が合いすぎるって言うのも……。
赤いのはこのマフラーだけで十分。
二人して赤い顔してるなんて………。
- 47 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時15分50秒
そんな笑えない雰囲気の中、ピッ、とエアコンの
暖房を入れてクルクルと二人を繋いでいたマフラーを取る。
するとやっぱり首もとが寒くなって。
上着を脱いでいるよっすぃーの後ろ姿に抱き付きたくなった。
「……ねぇ…………。」
後ろから上着を奪う。
横目であたしを見つけて振り返る。
………やっぱ、その顔好き………
本当に、たまに見せるあの目。
あたしには絶対真似できないあの目。
冷たいガラス玉のような、それでいて熱のこもったような……。
- 48 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時17分02秒
目ばかり見つめていたら、いつの間にか
あたしはよっすぃーの腕に捕まっていた。
なんとなくもどかしかった距離も
ここまで来れば関係ない。
腰に回された手が少し強引にあたしを引き寄せる。
「んっ……。」
声を漏らしたあたし。
「ごっちん……。」
よっすぃーらしいストレートな行動に、変に興奮しちゃう……。
そんな愛おしそうに見ないでよ………。
おかしくなっちゃうじゃん………。
- 49 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時19分18秒
「ごっちん…。」
もう一度あたしを呼んで服の襟を少し引っ張ると、首にキス。
………ねぇ、よっすぃーもマフラーがなくなって寂しかった?
生暖かい舌の感触が例えようもなく気持ちよくて。
「……っ…はぁ……んっ…。」
身を屈めてあたしの首もとに
顔を埋めているよっすぃーの髪を撫でる。
優しい舐めるようなキスが、段々と吸い上げるような強い刺激に変わって
『あっ!』と気付く。
「ちょ……ちょっと、よっすぃー!」
「ん?」
……ん?って……ほんと、もぉ……。
「…付いちゃうじゃん………キスマーク…。」
「……いいじゃん…別に…。」
衣装着れなくなるってば……。
- 50 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時21分02秒
毎回毎回、隙あらば目に付くとこに
キスマークを付けようとするよっすぃー。
でも、そんな『証』を付けようとしてくれるのが、
乙女心に嬉しかったり…。
大丈夫だよ……。
キスマークなんか付けなくってもあたしは
よっすぃーしか見てないんだから。
よっすぃーしか見えてないんだから。
「フフッ……よっすぃー…。」
鋭い目線であたしを見ているよっすぃーの首に、
甘ったるく腕を絡める。
「拗ねないでよぉ……。」
少しだけ目元が優しく緩んだのを、見逃したりしない。
あたしから軽く重ねた唇。
- 51 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時22分23秒
ねぇ、どうする?
このままキスだけで終わる?
それとも、強引にあのベッドに押し倒してくれる?
あたしは何も知らないような顔で見つめ返すだけ。
少し見つめ合った後、口元が笑った。
この笑みがどっちを指しているか、あたしは知ってる。
あたしの頭をギュッと抱いて
貪るようなキスをしながらベッドへ追いやる。
- 52 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)14時27分05秒
- >43 名無し読者さん
はい!やっぱりこの二人サイコーです!!(w
>44 バービーさん
もう、かいちゃいます!(w
久々のエロ…上手くかけるか分かりませんが…(^^;
>45 名無し読者さん
最高ですね〜♪
もう、言うことありません(w
- 53 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)18時03分21秒
足にベッドが当たったのを感じてあたしは力を抜いて倒れ込む。
よっすぃーもそんなあたしの上から覆い被さるようにしてベッドへ。
「……んっ……ぁっ……。」
部屋中に響く湿った音と、二人の荒い息。
舌の絡まる感触。
もっとあたしを求めて。
息も出来ないくらいに激しく口付けてよ。
背中に回した腕があたしの意思表示。
- 54 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)18時39分52秒
- 中途半端にきってすいません(^_^; 今回更新ここまでです。
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月18日(日)20時08分12秒
- マジっすかぁ〜!?ここで止めるとは殺生な・・(w
続き、大期待でございます。
- 56 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)09時25分51秒
「……はぁっ………。」
少しだけ唇が離れた。
長い長いキスに、あたしの頭は痺れてボーッとなる。
肩で息をしながら薄く目を開けると
よっすぃーの薄い唇が濡れているのが映って
今更ながら恥ずかしくなってしまう。
状況は逆転して今度はあたしが目を逸らす。
すると、よっすぃーはあたしの上からスッと退いて入り口の方へ行ってしまう。
「え……?…あ……。」
部屋を照らしていた白が暗く淡いオレンジに変わる。
「へへ…あたしは点いててもイイんだけど…。」
嬉しそうに再びあたしの上へ。
いつもは鈍感なくせに………。
精一杯の強がりは心の中だけ。
- 57 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)09時57分21秒
そんな妖しい光の中でよっすぃーは
あたしの顔に手を添え、優しく微笑んだ。
ドクンッ………。
胸の高まりが収まらないうちに服の中に手が侵入してきた。
冷たい感触が脇腹をそっと撫でる。
「うっ………。」
冷たいよっすぃーの手にゾクッとする。
それは、不快だからとかではなくて。
待ちに待った感触だったから。
体が大袈裟過ぎるくらいに反応しちゃうんだ。
でも、意地悪なよっすぃーのことだから、
あたしのこんなギリギリの反応も
ニヤニヤしながら楽しんじゃってるに違いない。
- 58 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時12分01秒
背中に回されたよっすぃーの手。
ゴソゴソしたと思ったら、ブラのホックが外された。
あたしとこうして出会ってなかったら
こんな手の早い女の子になってなかったよね?
ちょっと、そんなことを思って頭の中で苦笑してしまった。
服ごとそのまま上にずらされ、胸の膨らみをフワッと手が包む。
「やっ……ハァッ……ん…。」
両手で硬くなったそれを弄ばれながら
耳の中を舌で愛撫される。
- 59 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時13分51秒
自分の弱いところが耳だったなんてことは
よっすぃーと幾度となく体を重ねて知った。
よっすぃーも十分それを分かっている。
だからこそ、あたしが一生懸命声を
噛み殺そうとしているのを尻目に執拗に攻めてくるんだ。
「…っ……やぁ……っん…。」
身をよじって逃げようとすると
「……感じてるじゃん。」
なんて、低い掠れた声で囁かれて。
あたしはまたその手から逃げ出してしまいたくなる。
そして、追いかけられて、無理やり引き戻されるのを待ってるの。
「ダメだってば…。」
もちろん、あたしの要望通り、腕の下から手を入れてグイッと戻される。
何だか…犯されてるみたい。
それでも、相手がよっすぃーなら今のあたしにはこれ以上ない媚薬。
- 60 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時17分56秒
よっすぃーは手だけで弄ぶのに飽きたのか、
下の方に顔を持っていく。
「う……ふぁ……あ…。」
下半身が疼く。
早く触って欲しい……。
「ハァ……ごっちん……可愛い…。」
そう言いながらスカートのボタンを外してしまうアナタは確信犯。
下着の上から軽く撫でられてビクッと腰が浮いてしまう。
「すっごい濡れてるよ……。」
顔が熱くなるのが分かる。
「…意地悪………。」
この状況じゃ最高の誉め言葉だ。
よっすぃーはあたしの両足を撫でながら、間に体を割り込ませてこう聞く。
- 61 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時18分59秒
「ねぇ、舐めていい?」
「………。」
「いい?」
そんなのいちいち聞かなくったって……。
あたしを辱めるのがそんなに楽しい?
そんなの、恥ずかしくて答えられないよ…。
「ごっちんてば〜。」
子供のように哀願するよっすぃー。
あたしは顔を背けながら
「……ん…。」
と短い返事をするのが精一杯。
- 62 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時20分13秒
でも、これじゃサドなよっすぃーには足りないみたい。
「言ってよ…。舐めてって言って。」
相変わらずひんやりした手は肝心のとこを避けて、汗ばんだ肌を撫でるだけ。
それだけで、あそこがジンジンして濡れていくのが分かる。
「ごっちん…。」
おへその周りにキスを繰り返しながら催促。
あたしも、もう我慢の限界…。
「………な…めて……。」
たった3文字の言葉にこれほど抵抗を感じるなんて。
「聞こえないよ……。」
啄ばむようなキスを体中にしながら。
「………よ……すぃ……舐め…て…。」
「…フフッ……ごっちん好きだよ。」
本当に嬉しそうな顔をしてあたしのそこに顔を埋める。
よっすぃーの為ならどんなことだってしてあげる……。
- 63 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時22分38秒
ワザとなのか、厭らしい音をたてて舐められる。
赤く充血しているだろう蕾を強く吸われて、
ギリギリで保っていた思考も途切れそうになる。
「んっ!!…あ!…あんっ…ダ、ダメ!」
イ、イキそう……
快楽に身を任せようとしたとき、スッとよっすぃーの顔が離れる。
「ふぇ?………んっ…んん……。」
唾液を流し込まれるような熱い熱いキス。
あたしは首に手を回して、狂ったようによっすぃーの舌を求める。
「ごっちん……。」
そう囁かれた後、よっすぃーの指があたしの中に入ってきた。
中を掻き回される。
「…あ!!ハァ…ハァ…んん!…っ!!」
あたしの喘ぎ声はほとんどよっすぃーのキスに
吸い込まれて声さえまともに出せない。
「ん!……も、もう……よっすぃ!…ん…んん…。」
「イっちゃう?…いいよ、ごっちん。」
そして、もう一本あたしの中に入ってくる。
もう、ダメ……。
あたしは窒息寸前…。
頭は真っ白………。
「あぁ!…イヤッ!!……ふ……あん…んんんっっ!!!!」
- 64 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時39分01秒
結局シャワーも浴びずに最後までヤっちゃった……。
隣で身を屈めたようにして寝ているよっすぃーを横目にそんなことを思う。
でも、それは偶然でもなんでもなく。
16歳。
付き合い始めて一年ちょい。
恋人は女の子。
あたしの戦略は、月の綺麗な夜に見事成功。
- 65 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月19日(月)14時44分50秒
- 『16歳のある夜……』でした。
- 66 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)22時15分28秒
- うぉぉぉぉ!
最高です!!!
- 67 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)22時33分51秒
- エロってだけでなく、二人の甘〜い雰囲気に萌え〜っす。
よしごまって「友達」のイメージ強いのに、しっかり「恋人」でもはまるんですねえ。。。
後藤って受け攻め両用だからかな?(w
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)23時11分13秒
- よしごま最高なのは言うまでもないけれども、
すなふきんさん最高!!
私も真っ白…(w
- 69 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月20日(火)22時30分01秒
- >>66 名無し読者さん
いやぁ〜、ありがとうございます!!(照
ほんと、その言葉だけで…(涙
>>67 名無し読者さん
確かにこの二人「友達」が一番はまりやすいですね。
その延長線上にこいう関係が…ということで(w
いや、なかなか難しいですね、この二人………(w
>>68 名無し読者さん
うお〜!?(w
なんかこんなすごいお褒めの言葉を頂いてしまってよいのだろうか…。
まだまだ他の作者の皆様に比べたら拙いものです。
でも、こんな自分の作品を読んでいただけて嬉しい限り……(涙
〜ちょっくら一言〜
今回の作品エロということでしたが
何度書いても(といっても数えるほど…)難しい……。
只、久しぶりだったにも関わらず、いつもよりはスラスラ描けました。
これからも修行あるのみです……。
- 70 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月22日(木)03時20分03秒
- 今回の作品、ごっちんの語り口がすごく素敵でホントに上手いな〜って改めて感心しちゃいました。
やっぱりすなふきんさんはスゴイ!
次回作も期待してますね!
- 71 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)01時22分55秒
- >>70 名無し読者さん
いやいや、まだ自分なんて他の作者さんに比べたら
足元にも及びませんが、そう言って頂けると本当にありがたいです。
今回のごっちんの語り口調はちょっと自分の中では新しい挑戦でして。
これは自分でも結構気に入っています(w
これからも修行の身で頑張ります!
- 72 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時07分07秒
〜possessive……〜
「よっすぃーってさぁ…。」
「何?」
「いや、ん〜…なんかぁ意外と独占欲強いんだなぁ、と思って。」
数時間前、ごっちんのソロ収録を見に行ったのがイケナカッタ……?
某、娘。のレギュラー番組。
収録が終わり、楽屋で矢口さん達と喋っていたら
「この後、後藤の歌撮りあるんだってよ。」
なんて保田さんが言ってるのを聞いた。
…やっぱ、好きな人のことだし、見に行きたくもなる。
「行ってみようかなぁ………。」
そんな軽い気持ちで目的のスタジオへ足を進めた。
- 73 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時09分35秒
ごっちんは歌に集中しているのか
あたしが邪魔にならないよう隅の方にいたからなのか
全く気付いてないみたい。
それは別に気にならなかった。
撮影中なんだし、ごっちんの気が散るような真似をするつもりは毛頭ない。
只、あたしが気になったのは………。
「後藤さん本当に16なんすか?」
「確かに色っぽいよなぁ。」
………スタッフさん達の会話。
いっつも思うんだけどさぁ……。
ごっちんて、ソロのとき……何かぁ……
色っぽいっていうか…エロいっていうか……
それは当然、テレビを通して全国へ流れるわけで。
そして、色んな目に晒されて……。
はっきり言って、あんな雰囲気出さないで欲しい。
おそらく、ごっちん本人が自覚ないのは分かってる。分かってるけど……。
あたしだってまだ16なんだし。
気持ちのコントロールとか、そんなこと一々出来るはずもない。
収録が終わると、あたしに気が付いて衣装のまま
タタタッとこっちに駆け寄ってくる。
人懐っこい笑顔。
人の気も知らないで………。
いつもなら嬉しいんだけど、
今日は何だか追い討ちを掛けられたようで、気分は沈むばかり。
「ん〜?どうかしたの?」
「え?…いや、別に?」
ごっちんは只、仕事をしてるだけ。
あたしがこんな風に想うのは自分勝手もいいとこ。
- 74 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時11分42秒
「ねぇー、なんか怒ってんのぉ?」
帰り道、隣でごっちんが顔色を窺ってくる。
「…別にぃ〜。」
ろくに返事もしないあたしに
「ほら、怒んないでって。」
ごっちんは笑いながら腕を組んでくる。
嬉しい反面、ガキっぽい自分が嫌になる。
あたしの手を見つめて、指を動かしたり弄ぶその姿を
見てたら自己嫌悪に陥りそう。
「よっすぃ…ほんと何もない?」
「……………。」
言えばいいじゃん。
素直に。
ごっちんなら絶対に馬鹿にしたりしないって分かってる。
「何もないってば。」
………こんなあたし大っ嫌い。
「もぉ……。」
勘の鋭い彼女に隠し事なんてできっこないのに。
子供のようなあたしの態度にごっちんも呆れ顔。
- 75 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時14分03秒
でも、ごっちんがそんな顔するから。
あたし一人こんな気持ちになって。
一人拗ねて、ごっちん困らせて。
頭の中がグチャグチャ。
後藤の歌撮り行って本当に16確かに色っぽソロ色んな目自覚コントロール
どうかしたの?自分勝手ねぇー怒んないでってガキっぽい自己嫌悪よっすぃ
「…ねぇ。」
ごっちんが振り向くか向かないか。
それぐらい急にあたしは腕を引っ張って、そこにあった狭い路地裏に連れ込んだ。
壁に押し付け、目も見ずに口付け。
「っ!ん!んんっ!!」
やっと状況が掴めて拒否反応。
肩を押す腕。
だけど幾分、あたしの方が力は強いし。
あぁ……えーっと……こういうの、最低って言うんだっけ?……。
それでも、あたしはキスしたかった。
嫌そうに目を瞑って眉を寄せられても。
止めたくないって。繋がっていたいって…………ごっちんと。
けど、ごっちんは…………
あたしを受け入れてくれなかった。
- 76 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時15分54秒
「っん!…ハァ…ハァ…もう!よっすぃ!!」
離れた唇。
あたしから離した唇。
滅多に怒らない彼女が、相当怒ってる。
当たり前か……。
こんな気持ちが通じ合ってない一方的で、強引なキス。
でも、そんなことよりあたしは………。
「口……。」
「え?」
息を整えながらあたしを睨むごっちんにポツリと言った。
「口…何で開けてくれないの…。」
「へ?……」
急にキョトンとした表情に。
キスしたかっただけ。
気持ちを確かめたかっただけ。
それだけ。
いつものように、求めるあたしを受け止めて欲しかった。
舌を入れようとしたけど、堅く閉じられたままだったごっちんの口。
- 77 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時18分50秒
「…舌、入れさせてくれなかった……。」
「だ、だって急に……よっすぃがぁ……。」
顔を赤くしたごっちんの声は、だんだん小さくなっていく。
そして、ごっちんは俯いて
「…言ってよ……ちゃんと……キスしたいって……。
……分かんないよぉ……ごとー。
……さっきみたいにされても、ごとー分かんない………。」
泣きそうな声。
泣きたいのはあたし。
分かってたけど。
どう考えてもこんなことされて、ごっちんが喜ぶわけないって。
でも、言えないくらいガキっぽくて、しょうがないことだったから。
「…そうだね……ごめん………。」
謝るので精一杯だった。
- 78 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)21時22分58秒
- とりあえずココまでです。
今回は吉澤さん視点ということで。
なんか、久々の気が……(w
最近、どーも、短編ものが好きみたいで(w
エロ……うーん、実はまだ自分も分かりません(ニガワラ
- 79 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月29日(木)23時14分22秒
- う〜ん、こういうの好きです!
よし→ごまなのがいいですね。
続き楽しみにしてます。
- 80 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)01時58分37秒
ごっちんにあんなこと言わせて、あたしは馬鹿みたいに謝るだけ。
…でもさ、そうまでして、あたしがあんなことした意味がごっちんには伝わってる?
どうしようもないんだよ。
自分じゃ………。
「……ゴメン…。」
もう一回謝って、あたしはごっちんの隣に溜息をついて並んぶ。
背中から伝わってくる冷たい壁の感触。
あぁ…ごっちんに可哀相な事しちゃったなぁ……。
今更、そんなこと反省したってどうもならないけど。
何にも思わないよりマシだよね……。
言い訳めいたことを、星空を見上げながら頭の中で廻らせた。
- 81 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)02時00分01秒
ごっちんはそんなあたしに
「…よっすぃの…バカ………。」
一言そう言ってあたしの服の端をそっと握る。
ごっちんはあたしと違って、素直で可愛いから
あたしなんかじゃなくても他に素敵な人は沢山いるのに。
それなのに…あたしを選んでくれたのはどうしてかなぁ…。
そんな難しいこと一人で考えたって答えなんか出るはずなんかないのに。
隣でごっちんがこうして、いてくれるだけでいい。
こうやって一緒にいてくれるんだから。
- 82 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)02時03分52秒
「……ねぇ、ごっちん…あたしは
ハッキリ言って、我が儘で、自己中な奴だから…」
「…うん。」
あたしから繋いだ手。
こんな寒い中、しかも夜に外にいるんだから
ごっちんの手もあたしの手も冷たくなってた。
だけど、そんなのはどうでもいいこと。
繋いだ時にごっちんがギュッと握り返してくれたから。
「………こんな奴とごっちんが一緒にいてくれるのはさ、
……それが自惚れでも………やっぱ、ごっちんもあたしのこと
好きでいてくれてる…て思っちゃうよ?」
チラッとごっちんはこっちを向いてから、ちょっと泣きそうな顔で笑った。
「……ん…なんか…嬉しいなぁ。」
ごっちんはそう言って、またあたしの手を強く優しく握り返してくれた。
「…我が儘で、自己中なのは、ごとーも一緒だよ。
……だから、よっすぃーが何も言ってくれないだけで、
嫌われちゃったのかなぁ、って思っちゃうよ?」
フフッって綺麗に笑うごっちん。
そっか…あたしと一緒なんだ………。
……あ……だから、うちら一緒にいるんだっけ?
何だ……そっか………
……だからあたし、ごっちんのこと好きなんだっけ……………
「キスしよ…。」
ごっちんの閉じた瞼を確認して、甘い甘いキスを味わった。
- 83 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)02時05分12秒
「よっすぃーってさぁ…。」
「何?」
「いや、ん〜…なんかぁ意外と独占欲強いんだなぁ、と思ってぇ。」
独占欲ばかりが広がる胸の中。
あたしはそんなのも悪くないな、なんて思いながら
「明日…晴れるかなぁ?」
なんて呟いてみた。
…END
- 84 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)02時06分38秒
〜possessive……〜
- 85 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月30日(金)02時08分41秒
- 短いですが終わりです。
いかがでしたでしょうか?
いまさら、ごっちんのソロネタ出してみたんですが(汗
感想など、何でも待ってます。
- 86 名前:camus 投稿日:2001年11月30日(金)21時39分08秒
- 青板で、よしごまモノを書かせて頂いてるcamusです。
コメントありがとうございました、すなふきんさんの
ファンなんで本当にビックリ&嬉しかったです。
すごい良かったですヨ!なんか、不器用なよっすぃ〜の
心の葛藤が よく伝わってきました。
ソレをちゃんと受け止めてあげてる、ごっちんも素敵っす。
自分もこんな風に書けるように精進しまーす!!
また新作を楽しみにしてますんで、告知してくださいね〜?
- 87 名前:もん 投稿日:2001年12月05日(水)18時13分56秒
- 遅ればせながら お疲れ様でした。
2人の現場の空気がヒシヒシと伝わってくる感じが出ていて
のめり込ませていただきました。
新メンの加入で、益々よっしーとの時間が少なくなる最中
うたばんで飼い犬の目が似ていると発言してまで「彼女は
誰にも渡さない」と、アピールしているかのように見える
ごっちんが痛ましい・・・。
こういう激しい脳内妄想を掻き立ててしまうのも、何を隠そう
すなふきんさんのお陰です。(w
- 88 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月08日(土)01時07分24秒
- >>86 camusさん
ファンなんてとんでもございません!!(照
自分もcamusさんの小説拝見させてもらいましたよ。
お互いよしごまをかくもの同士頑張りましょう!
>>87 もんさん
いつもレス有難うございます!
実はその放送見逃してしまいまして……(汗
しかし、十分妄想はできます(w
どんどん妄想しちゃいましょう!!(w
- 89 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月08日(土)01時46分39秒
- 久々に長編になりそうな予感です(w
多分痛めに…
というわけで、今回はsageでいこうかと思います。
- 90 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)01時48分31秒
musical box 〜あの日のオルゴール…〜
秋の心地いい風。
いつの間に、こんな爽やかな風邪が吹いてくるようになったっけ……。
- 91 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)01時54分31秒
「あ………。」
「あ、ごっちん。」
あたしが収録の合間トイレに行くと、中には鏡の前で
髪を気にしているよっすぃーの姿があった。
いつ見てもその容姿は美しくて、息を漏らしてしまいそう。
彼女はあたしを見つけて、その表情は柔らかくなる。
「…………。」
返事も曖昧にあたしはそっちを見ないよう個室へ入った。
バタンッ!……
閉めた後で、音が乱暴さを表したことに後悔する。
きっとよっすぃーは気分を悪くしただろう。
狭い個室。
カギを閉めて、壁に寄り掛かり自分にだけ聞こえる程度に溜息をついた。
最近ずっとこう。
あたしは故意に彼女を避けている。
トイレに来たのも、スタジオにいたんじゃ話し掛けられると思ったから。
よっすぃーはそんなあたしに気付いているのか、気付いていないのか……
前と同じように接してくる。
- 92 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)01時55分59秒
こんな奴さっさと嫌いになってくれればいいのに………。
それがあたしの目的。
好きでこんなことやってるわけじゃない。
あたしだって前のように仲良くしたい。
バカみたいなことで笑い合いたい。
だけど…それじゃダメ………。
だって………あたし……よっすぃーのことが…………。
- 93 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)01時57分37秒
一ヶ月くらい前。
仕事がいつもより早く終わったので、二人で買い物に行くことになった。
「ごっちん、行きたいとこある?」
「あぁ〜…行きたいっていうか、小物入れが欲しいかも。」
「小物入れ?」
「うん。指輪とか入れるやつ。家にちょうどイイのがないんだよねぇ。」
「そっか…んじゃ雑貨屋でも見て回ろっか。」
その日あたしはウキウキしたような気分だった。
欲しかったオモチャを買ってもらう子供みたいに胸が弾んでいた。
今思えばよっすぃーと二人でいるのが嬉しくて、しょうがなかったからだろう。
でも、そのときはそんなことすらも分からなくて純粋にその時を楽しんでいた。
- 94 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)02時00分04秒
何件目かの雑貨屋に入り、あれこれと
ステキなデザインのものを選んでいたあたし達。
もちろん色んな物に目移りしながら。
そんなとき、よっすぃーが興味を引かれたのは、店の奥に置いてあったオルゴール。
白い陶器の上に猫のガラス細工が施してある、地味で小さなものだった。
ジッとそれを見つめて歩み寄る彼女。
あたしも何となく気になって一緒に付いて行く。
ゆっくり手にとって後ろにあるネジを3回程度回し
『コトッ…』とガラス棚に置くと、オルゴール独特の音が流れてくる。
恐らくは名も付いていないような曲。
けどそれは、とても切ない綺麗なメロディーだった。
二人でその音に聴き入っていた。
この空間だけが現実から切り離されたような
そんな錯覚によっすぃーも陥っていただろう。
欲しいのかなぁと思って、あたしはその音に酔いしれたまま横目で
チラッとよっすぃーを見た。
- 95 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)02時01分51秒
彼女の目は真っ直ぐにそのオルゴールに向けられていて
他の何をも寄せ付けないような雰囲気があった。
複雑な色を見せていた瞳。
それは今までずっと一緒にいたあたしが、初めて見る横顔。
「……綺麗な音……。」
ポツリと呟いた口元に目線が移る。
「…………。」
綺麗だとしか思えなかった。
白い肌も、大きな瞳も、長い睫毛も……。
親友相手に欲情している自分。
どうして自分が女なのか。
これほど女であることを忌々しく思ったことは初めて。
よっすぃーは物欲しそうにそれを見ていたけれど、結局買わずに店を出た。
- 96 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)02時03分51秒
あの日からだ。
よっすぃーにちょっとづつ距離を作るようになったのは…。
でもよく考えれば、あれはただのきっかけで。
それは、前々からあたしはそういう目で、彼女のことを見てきたということ。
何となく気付かずにここまで来てしまっていただけ。
だったら、あの日さえこなければ、今まで通り過ごせた……?
……今頃そんなことを考えても無意味でしかないけれど。
あと少しかな……。
もうちょっと粘れば、自然と距離は遠くなるはず。
無視するようなあたしの態度に戸惑うよっすぃーの顔を思い出す。
本当はあたし自身、辛くてしょうがないんだけど……。
それもこれも親友を好きになった罰。
そして、あたしが考え抜いてとった行動。
言い訳なんか言うつもりもない。
……これでいい。
…きっと…これでいいんだ…………。
- 97 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月08日(土)02時07分03秒
え〜っと、こんな感じで進んでいきます。
甘いの期待の方には余り好まれないかもしれませんが…(汗
一度はこういうの書いてみたかったので。
- 98 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)22時46分24秒
仕事も終わり、メンバーのみんなは楽屋でガヤガヤと帰る準備。
あたしはその空気の中に居辛くなって、楽屋を出るためイスから立つ。
「ごっつぁん帰んないのぉ?」
隣のなっちと楽しそうに喋っていたやぐっつぁんが
あたしに気づいて声を掛けてきた。
「あ…う〜ん、ちょっとジュース買ってくるぅ。」
やぐっつぁんにそう告げ、ワザとらしくバッグから財布を探して楽屋を出た。
そして、何となく見つけた屋上への階段に座り込む。
「ハァ……。」
最近、溜息ばっかり。
普段からそんなに元気な方じゃないから、こんなあたしに
メンバーは気付いてないみたい。
でも、それも時間の問題。
色んなことが頭の中を掻き混ぜる。
きつい……。
もう一度溜息をついた時、薄暗い階段に人の気配。
- 99 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)22時53分49秒
「あっ!いた。」
ドキッとした。
嫌な汗がジワッと背中に浮かぶ。
少し息を弾ませたよっすぃーが、階段の上の方にいるあたしを見て
ホッとしたような顔をする。
やぐっつぁんとの会話を聞いて来たんだろう。
よっすぃーはタタタッと階段を上ってきてあたしの横に腰を下ろした。
あたしの鼓動はドクドクと高まっていく。
だけど、それを悟られないように出来るだけ落ち着いて
「……何?…。」
冷たく言い放った。
でも、よっすぃーは相変わらず
「ははっ、いや一緒帰ろうかなぁーと思って。」
ニコニコしながら話し掛けてくる。
一緒に帰ったのって………。
もういつかもよく思い出せない。
- 100 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)22時56分31秒
「先帰ってていいよ……。」
あたしの変わらない態度に
さっきまでの彼女の笑顔は消えて、ちょっと怯えたような目。
「……あ、あのさ……。」
「………。」
あたしは努めてよっすぃーの方を見ないようにする。
よっすぃーはそんなあたしの態度に気付いたのか、目線を前に向けた。
「……ねぇ…その、ごっちん最近あたしのこと避けてるみたいだけど………
…なんか、ごっちんがそんな怒るのって珍しいから……
あたし何かしたのかなぁって考えたんだけど……自分じゃ分かんなくて……。」
……そういう風に思ってたんだ……。
よっすぃーらしいや……。
あたしは思った。
こうさせたのは他でもないあたしだけれど。
「それで……えっと……ごっちん怒らせるようなことしてゴメン…。」
よっすぃーはあたしに向かって頭を下げた。
- 101 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)22時58分35秒
堪らなかった。
目の前で謝るよっすぃーの姿が。
それ以上にこんな自分も。
……違う…違うんだよ……そうじゃなくて…………
よっすぃーは何も悪くないんだって………
…何であたしなんかに謝るの…………
「……ごっちん…。」
そっとこっちを伺うように顔を上げる。
もうあたし達の間には、前みたいな『親友』なんて関係はなくなってしまっていた。
戻れないと思った。
だからあたしは
ずっと欲しかった目の前のオモチャに手を出した。
- 102 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時01分12秒
こっちを見つめるよっすぃーの頬に手を添えると、ビクッと体が強張るのが伝わる。
呆然とこっちを見つめるよっすぃー。
でも、それくらいじゃ止められなくて。
座ったまま体を近づけて
あたしは彼女の薄く開けられた唇に無我夢中で口付けた。
彼女の抵抗がなかったのは最初の数秒だけ。
「!!!っ……んっ!!!。」
当然よっすぃーはあたしを押し返そうと、肩を押し返してきたけれどあたしは
その手を壁に押さえ付けて甘い唇を味わった。
こんな最低のことをしているのに、頭は妙に冷静で
初めて味わう女の子の柔らかい唇に酔い痴れていた。
抵抗する彼女。
明らかに拒絶だった。
けど、もう構わない。
どうせ元には戻れないんだし。
- 103 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時03分52秒
舌を入れようとしたんだけど、よっすぃーの口は固く結ばれたまま。
何度も唇を舐めたけど開けてくれない。
それに、よっすぃーのずっと抵抗する腕を抑える、自分の腕も疲れてきた。
あたしは妙に苛立ちを感じた。
目を薄く開けるとギュッと目を瞑って、顔を歪めているよっすぃー。
あたしが抑えている手首の辺りは赤くなっていた。
自分がしていることなのに、可哀想なんて思った瞬間。
ドンッと思いっきり肩を押し返された。
ちょっと体がよろけて階段から落ちそうになる。
「…ハァ…ハァ……。」
口を手の甲で押さえながら、あたしから逃げるように立つ。
目には一杯の涙を浮かべて。
だけど、あたしはヘラって笑いながら
「あ、嫌だった?」
何でこんな言葉が口から出たのか。
自分でも分からなかった。
「…………ごっちん…。」
よっすぃーは泣きそうな目でそう呟いて、階段を駆け下りていく。
あたしはまだ痺れたままの頭でその背中を見るだけ。
人気のない暗い階段で、あたしは久しぶりに嗚咽を漏らして泣いていた。
- 104 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時05分31秒
「後藤、おはよー!」
朝、スタジオの廊下を歩いて楽屋に向かってたら、カオリの声が聞こえてきた。
「…はよ。」
昨日ろくに寝ていないあたし。
相当不機嫌に見えたんだろう。
「後藤?気分悪い?」
なんて心配そうに顔を覗かれた。
「え?あ、ちょっと昨日寝てなくってさぁ。ははっ。」
あたしは作り笑いでカオリに返した。
「え〜、ほんと大丈夫?」
「へへっ大丈夫だよぉ。」
自分に嘘を吐きながら楽屋に入る。
- 105 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時11分18秒
中にはやぐっつぁんに圭ちゃん………そしてよっすぃーがいた。
「はよ〜!」
元気に挨拶しながら圭ちゃん達の所に行くカオリ。
よっすぃーはカオリの姿を見て普段通り挨拶を返したけれど、
あたしを見た途端、一瞬張り詰めたような表情をして雑誌に視線を戻した。
あたしは入り口で立ち止まったまま。
自分の背中に、冷や汗が流れるのが分かる。
これで良い筈。
それなのに、望んでいたこととは言え、かなりショックだった。
昨日あんな事したんだから、当然だ。
あたしは嫌われて当然なんだよ。
よっすぃーにとっても、あたしにとってもこれが一番の方法なんだよ。
あたしは深く溜息を吐いて、よっすぃーから一番離れて座るしかなかった。
- 106 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時14分15秒
「あんた達、喧嘩でもしたの?」
雑誌の撮影の合間。
目を合わせようとしないあたし達に、いち早く気付いたのは圭ちゃんだった。
流石というか、よく見てる。
もちろん、あたしは本当のことなんて言えるわけなくて。
「えぇ〜?喧嘩なんてしてないよぉ。」
自販機にお金を入れて、出てきたジュースを取り出す。
圭ちゃんはそんなあたしを、廊下の壁に凭れながら
「じゃあ、なんで朝から一言も喋んないのよ。」
ほんとよく見てるよ………。
ちょっと感心してしまう。
「あはっ。もう、なんもないってばぁ。
朝はあたしの機嫌が悪かったし、よっすぃーも話し掛けにくかったんじゃない?」
ジュースを開けて一口飲んだ後あたしは言った。
言い訳としては、まぁまぁ。
「…ふーん、そう。」
「うん。」
「まぁ、いいけどさ。もし、喧嘩してるんだったら早く仲直りしなさいよ。」
「もぉ、してないっていってるのにぃ。」
あたしは笑いながらその場を去った。
イマイチ納得しないような顔をしてはいたけど
圭ちゃんはそれ以上聞いてこなかったのであたしはホッとしていた。
- 107 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時17分49秒
次の日もずっとこんな感じだった。
ギクシャクしたような憂鬱な雰囲気しか二人の間にはない。
その日はプッチでの仕事が入っていた分、余計にそれが目立った。
今まであれだけ仲が良かった二人が全く喋らなくなったことに
やっぱり圭ちゃんがあたしに話し掛けてくる。
「あんた達まだ仲直りしてないの?」
仲直りかぁ………。
大体、喧嘩じゃないんだけどさ…。
「まぁ、そのうちね……。」
曖昧に笑い何となく言葉を濁して、あたしは圭ちゃんから逃げるように
スタジオを後にする。
そして、あたしは決まって人気のない場所を探しては溜め息ばかりついていた。
そんな状態が1週間目に入ったとき。
自分から仕掛けておいたというのに、あたし自身が身も心も疲れきっていた。
今はメイクで隠してるけど、目の下にはうっすら隈が出来ていたし
気にしていた体重も簡単に落ちてしまった。
「ハァ……。」
眠ろうと思っても眠れない。
目をとじると、あの日階段を駆け下りる前の、涙目であたしを見たよっすぃーの顔が
浮かんできて、とてもじゃないけど……。
なんて性質の悪い……。
正直これなら、大喧嘩でもしていた方が絶対にマシな筈。
- 108 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月08日(土)23時19分41秒
行く当てもないあたしは、ロビーのソファーで疲れ切った体を休めていた。
「…疲れた……。」
重い溜息の後、ふっと顔を上げると、視線の先にはよっすぃーが
スタッフの人と喋っているのが見える。
今までと変わらない笑顔。
それが見えたとき、あたしの胸の中でチリッと何かが音を立てた。
あたしはこれだけよっすぃーのこと思って苦しんでるのに…
よっすぃーはちっとも分かってない……
全然分かってないよ……
……何かがキレタ。
- 109 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月08日(土)23時21分24秒
- 今日はここまでです。
自分でかいててちょっと後藤さん怖いっすね(w
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月08日(土)23時47分53秒
- う〜ん、いいところできりますね(w
キレタ後藤さんが何をするのか楽しみです(^_^
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月10日(月)00時45分06秒
- なんか面白そうですね
がんばって下さい。
- 112 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時07分14秒
あたしはスタッフの人達がよっすぃーの側から去っていくのを、その場でじっと
見つめたまま待った。
数分ほどして、よっすぃーはやっと1人になる。
あたしはそれを見計らって、ソファーからゆっくり立ち上がり
スタジオに戻ろうとしている彼女に歩み寄った。
ゆっくりと詰まっていく二人の距離。
その距離がゼロになって、あたしはよっすぃーの肩に手を掛けた。
「よっすぃー。」
「え?」
振り返るときに揺れるかよっすぃーの髪はすごく綺麗。
でも、あたしは前の黒くて短いときの方が好きだったなぁ……。
- 113 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時08分20秒
あたしを見たときのよっすぃーの顔は驚きと言うより
怯えていると言った方が当てはまるだろう。
「ごっちん……。」
あたしはその少し低い声を聞いてホッとする。
「ちょっと、いい?」
あたしの言葉によっすぃーは困惑したような表情を見せたけれど、
すぐに頷いてくれた。
- 114 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時09分54秒
あたしがワザと、こんな人の来ないセットの倉庫に来たのを
よっすぃーは分かってんのかなぁ?
いや多分、分かってない。
だって、あんなことされたのに、普通その張本人についてくる?
こないよねぇ〜。
けど、あたしはよっすぃーのそんなとこがすごく好き。
あたしにはない素直な部分が羨ましい。
ある程度、奥まで来たあたし達。
「あの……。」
最初に口を開いたのはよっすぃー。
視線は申し訳なさそうに床を這っている。
やっぱ、睫毛長いなぁ………。
伏し目がちな瞳にあたしはうっとりしてしまう。
- 115 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時11分15秒
「…話って……。」
あたしが、いつまで経っても話し出さないからなのか、よっすぃーがそう言った。
その目は完全にあたしを見てはいない。
そんなにあたしが恐い?……
あたしはクルッとよっすぃーの方に振り返って
「話?」
と惚けてみる。
綺麗な顔が少し険しくなる。
まぁ、その顔も格好良くて好きだけど。
- 116 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時13分34秒
「今日さぁ、圭ちゃんが言ったんだ。
早くよっすぃーと仲直りしなさいってぇ。
変だよねぇ〜。だって、うちら元々ケンカなんてしてないのにさ。」
よっすぃーは不思議なものでも見るようにあたしを見つめてくる。
あたしはクスッと笑って
「そうでしょ?」
首を傾げてそう聞くけどよっすぃーは何も答えてくれない。
一歩一歩近寄るあたしに、段々と表情が固くなって後退りする彼女。
「……ねぇ、聞いてんだから答えてよ。」
よっすぃーにこの口調を使うのは初めて。
結構恐いと思うんだけど。どうなんだろ?
あたしとよっすぃーの間はどんどん縮まっていく。
この状況に少なくとも優越感を感じているあたし。
あたしのこと…全然見てくれなかったからこうなるんだよ…。
- 117 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時16分34秒
後退りするよっすぃーは足下にあった木材に引っかかって、仰向けに倒れてしまった。
「大丈夫?」
あたしは倒れたよっすぃーに微笑み、ゆっくりと彼女の上に馬乗りになった。
「ちょ、……。」
「大きな声出さないでよ?後々面倒でしょ?お互いに。」
「え?」
もう、血の気が引いて元々白い顔が青くなっている。
その表情を見てあたしの心が疼く。
これくらいじゃなきゃ、やりがいないし。
この前みたいに強引ではなく、優しく口づけ。
でも、よっすぃーは気に入らなかったみたい。
思いっきり顔を背けられた。
「あれぇ?よっすぃー、優しいの嫌?
あはっ、意外と激しいの好きなんだ?」
あたしは戯けたようにそう言って、カッと赤くなったよっすぃーの口を
無理矢理吸った。
「んっ!…っ!!」
隙間から漏れる色っぽい、息苦しそうな声。
- 118 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)01時18分39秒
やっぱりよっすぃーはあたしを押し返そうと藻掻くけど、上に乗っている分
この前よりは全然楽。
後ろで足が逃げようとバタバタ動いてるのが分かる。
よっすぃーがあんまり酷く抵抗するから、あたしの歯が彼女の唇に当たってしまった。
口の中に広がる鉄の味。
くぐもった彼女の声。
あたしはそれでもキスを止めないで、一瞬開いた口に舌を滑り込ませる。
ずっとこうしたかった……。
生暖かい口内の感触に背中がゾクッとした。
- 119 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)01時24分52秒
- 更新です。
実はこれから先が全く話が出来てないんです……(汗
ちょっと更新が遅くなるかもしれませんが
最後までおつき合いいただければ幸いです。
>>110 名無し読者さん
後藤さんついにきれちゃいました(w
でも、吉澤さんへの愛故にということで……(w
>>111 名無し読者さん
有り難うございます!
先は長くなりそうですが、頑張って書き上げたいと。
- 120 名前:バービー 投稿日:2001年12月10日(月)14時42分34秒
- めちゃめちゃ面白い!すごく文章表現が巧みで引き込まれます。
こういう雰囲気はすなふきんさんにしか出せませんよね。やはり尊敬。
自分もバカみたいな話ばっか書いてないで修行しないとなぁ(w
- 121 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時09分21秒
勢いに任せて彼女の服に手を入れようとしたとき、遠くの方からガヤガヤと
スタッフの人達の話し声が近づいてくるのが分かった。
チッと心の中で舌打ち。
まだ、この感触に浸っていたいと思いながらも唇を離す。
お互いの口元を唾液の糸が繋いでピッと切れる。
「もうちょっとだったのにね……。」
あたしが彼女の耳元で囁くと
よっすぃーはあたしを押し退け、何も言わずに走り去って行った。
ボーっとする頭でゆっくり立ち上がる。
どうしようもない喪失感がなぜかあたしを襲う。
ぽっかり穴が空いてしまったように。
- 122 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時10分37秒
もしかしたら、これが最後のチャンスかも…。
キス以上のことをせずに済んだのは、神様が気を利かせてくれたのだろうか……。
けれど、あたしは感謝しない。
むしろ………。
神という存在があるのなら、どうしてあたしと彼女を巡り合わせたのか。
二人が出合った時点で、全ての歯車は回り出していてはず。
もう戻る気はない。
可笑しくて、可笑しくて。
あたしはこんな情けない自分を嘲笑いながら、楽屋へ歩き出した。
- 123 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時12分28秒
楽屋に戻ると、よっすぃーはいなかった。
あたしはそのことにホッとしながらイスに座る。
疲れた……
最近は何をするにもこう思ってしまう。
前は色んなことが楽しくて、忙しいけど、毎日充実してて。
けど、今はもうよっすぃーのことしか頭にない。
楽しいとか楽しくないとかそんなんじゃない。
それしか考えられないんだ。
何か、ここまでくると自分が本当に彼女のことを好きなのかどうかさえ
分からなくなってくる。
机に伏して、グルグル同じことばかりを考えていたら
後ろのドアが開く音がした。
あたしはどうせマネージャーか誰かだろう、と思っていたけれど
「あれ?よっすぃー…口、どうしたの?」
梨華ちゃんの声。
ビクッと体が反応する。
- 124 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時15分04秒
他のメンバーの話し声で掻き消されそうな会話に、あたしは耳を澄ましてしまう。
「あ……うん…。ちょっと…。」
多分苦笑しながら誤魔化してるんだろう。
でも、よっすぃーはこういうの下手だから、きっと勘の鋭い梨華ちゃんにはもう
ばれてしまってるに違いない。
「でも、血滲んでるよ?」
ほらね……。
ハンカチでも取り出して、口元を拭いてあげてる姿が頭に浮かんでくる。
「ちょっと、人とぶつかっただけだよ…。」
「…そう?」
ほんとのこと言わないんだ…。
まぁ、当たり前か…。
人の良いよっすぃーのことだ。
梨華ちゃんには心配掛けたくない、なんて気を遣ってるんだ。
………梨華ちゃん……梨華ちゃん…。
いつもそうだ。
よっすぃーはいざとなると絶対にあたしより梨華ちゃん。
同期だから…。
そう言い聞かせてはいるけど、3人でいるときに感じるあの疎外感は
あたしの中の独占欲を大きくさせるだけ。
ばっかみたい……。
よっすぃーはあたしのモノなんだから……。
よっすぃーはあたしのモノなんだから……。
…ムカツク………。
- 125 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時16分30秒
あたしはイスから立ち上がって、ドアの方に足を進めた。
こっちをキョトンとした顔で見る梨華ちゃん。
よく見ないと分からないけれど、その表情が微妙に強張っているよっすぃー。
まだ、あたしをそんな目で見るの?
別、イイけど……。
二人の近くまで来たあたしは、いつものようにニッと笑いながら
「何話してんのぉ?」
と喋り掛ける。
…これで、圭ちゃんは一安心するだろう。
「あのね、よっすぃーの口が切れちゃってて。」
梨華ちゃんが心配そうな目であたしに答えた。
ふーん…確かにこんな目されたら、ほんとのことのなんて言えないよねぇ。
- 126 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月10日(月)19時18分51秒
「ホントだ。」
あたしは何も知らなかったような顔で、よっすぃーの口元に手を添えると、
ビクリと体が反応したのが伝わってきた。
「でもさぁ、何でこんなとこケガしたのぉ?」
あたしは相変わらずの口調で、よっすぃーを追い詰める。
何も答えないよっすぃー。
いや、答えられないか…。
「あ〜、まさかキスしてて歯当たっちゃったとか?」
「え?」
驚いたような梨華ちゃんの声。
あたしは笑いながら、固まったままでいる彼女の
少し赤く腫れている部分を指で撫でる。
「ウソだってばぁ。梨華ちゃん驚きすぎ。あはっ。」
狼狽してあたしとよっすぃーを交互に見つめる梨華ちゃんに
満足しながらそう言った。
「あたし見たもん。よっすぃーがメイクさんとぶつかるとこ。ね?」
よっすぃーに振ると
「あ、…うん…。」
と何とか答えてくれた。
相変わらずその目はあたしを見てはいないけれど。
- 127 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)19時27分24秒
- >>120 バービーさん
レス有り難うございます!
バービーさんにそう言って頂けるなんて♪
バービーさんの作品にはいつも感動させてもらってます!
今回はちょっと初めてこういう類の話をかくので、上手くいくかどうか…(ニガワラ
- 128 名前:JAM 投稿日:2001年12月11日(火)00時37分48秒
- こういう話し目茶目茶スキなんでホントに期待してます!!
そういえば確かにすなふきんさんの痛めの小説って
あまり見かけないですね。
- 129 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2001年12月11日(火)00時43分10秒
- 後藤が今までとキャラが違う・・・と思ったけど結構紙一重ですね(W
今のちょっと暗そうな話も好きです。がんばって下さい
- 130 名前:ポー 投稿日:2001年12月11日(火)04時35分20秒
- いっきに感じがかわりましたねェ〜、甘いのもいいけど、こんなチョッピせつない?系のもスキっスね♪これから二人はどうなってくんだろう。。。どうか最後はハッピーエンドに...
- 131 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月11日(火)07時33分56秒
- こんなカンジのすごい好き
- 132 名前:カム 投稿日:2001年12月11日(火)20時54分56秒
暗そうな感じ違うけど、
よっすぃーへの愛に煩悶するごっちんに萌えっす。続きが楽しみ〜
できれば、黄板の方は、そのまま甘甘路線でいてほしいっす。
- 133 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月11日(火)23時40分58秒
家に着いてバタッとベッドに倒れ込む。
ご飯食べてないや……
お風呂入らなきゃ……
メール届いてるかな……
明日は何時入りだったけ………
色んなこと頭では考えるけど、体がついていかない。
いや、今までだって忙しかったんだから、これくらいでヘバるわけない。
…気力っていうのかなぁ……
体と心が繋がってないって感じ。
「きつ………。」
重い体を起こしてあたしは浴室へ向かった。
- 134 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月11日(火)23時43分21秒
目が覚めたのは朝の10時。
今日は午後からだし、と浅い眠りに戻ろうとするけれど、どうも上手くいかない。
眠れないからって起きるわけでもなく、枕元に置いていたケータイを手探りで掴む。
「メールきてる……。」
メンバーからメールが届いていた。
やぐっつぁんかなっち…案外、加護からかも…。
覚めきらない頭で考えながら、ピッピッとボタンを操作して受信箱を開く。
- 135 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月11日(火)23時46分59秒
「…………。」
ボタンを押していた指が止まる。
……絶対にないと思っていたのに。
受信時間を見てみると夜中の二時。
こんな夜遅くに………。
【あたしはごっちんと友達でいたい。】
内容はそれだけだった。
どうしてなんだろ……
どうして、あたしなんだろ……
顔を枕に押しつけた。
涙が滲んで溢れてこないように。
分かんない……分かんないよ……
全然よっすぃーの言いたいことが分かんない………
もう戻れないんだよ……無理なんだよ……うちらは……
- 136 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月11日(火)23時49分42秒
「後藤さん、細いです。」
「は?」
雑誌の撮影で人も疎らな待合室。
部屋にはあたしと加護とカオリそれに圭ちゃん。
後はメイクさんやマネージャーがいるくらい。
加護が急にそんなことを言ってきたのであたしは間抜けな声で返してしまった。
「後藤さん何かぁ最近細くなってます。」
あたしの腕に無邪気にじゃれついてくる。
可愛いなぁなんて思いながら
「細く…痩せたってこと?」
そう聞くと加護はコクンと頷く。
あたしは苦笑しながら頭を撫であげる。
- 137 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月11日(火)23時52分16秒
そういえば、加護もよく人のこと見てるからなぁ……。
これでも心配してくれてんだよね……。
あたしは勘のいい後輩に
「加護も痩せなきゃねぇ。」
と人差し指でツンとおでこを押してニィと笑った。
「えへへ〜、後藤さん笑ったぁ。」
はにかんだように笑う加護。
これじゃ、どっちが教育係だったか分かんないよ。
先輩こんな気持ちにさせてどうすんのさ……。
「加護ぉ〜。」
あたしは小さいその体をイスに座ったまま力一杯抱きしめた。
「わぁ!苦しぃ〜。」
腕の中で藻掻くけれど、離してやらない。
こんな…こんな先輩でゴメンね………。
- 138 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時01分21秒
意外にも早く終わった仕事。
もう考えるのも疲れて、あたしはさっさと支度をして
「お疲れさまぁ〜。」
と部屋を出た。
誰もいない無機質な廊下。
考えても考えても出ない答え。
何が間違ってて、何が正解なのか。
そもそもあたし達が出会ったこと自体が間違いのように思えてくる。
何か、頭痛い……
そのとき後ろから慌ただしく駆けてくる足音。
ここはスタジオ内。
色々とスタッフの人たちも大変だ…なんてグラグラする頭で
ぼんやり考えていたらグッと腕を掴まれた。
へ?…
掴んでいる方に振り返るとよっすぃーだった。
ハァハァと少し荒い息。
あの時、階段であたしを見つけた彼女とダブる。
…なんで追いかけてきたんだろう……
…なんであたしを掴んだんだろう……
「話し……いいかな?」
手首を掴まれたまま。
「あ…うん…。」
反射的にそう答えるあたし。
ぎこちない……。
そう思いながら、あまり人のこないトイレに場所を移した。
- 139 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時05分01秒
「…昨日のメール見た?」
…あたしはごっちんと友達でいたい……か…
何度この言葉が頭の中を駆け巡っただろう…。
「見たよ…。」
あたしは彼女と顔を合わせなくて良いように、壁に凭れながら答える。
「そう……。」
よっすぃーも鏡の方を見たまま動かない。
スッと息を吸うのが聞こえる。
「ごっちんがどう思ってるか知らないけど
あたしはごっちんと友達でいたいよ……。」
低い声でそう言われて……アタシハドウスレバイイ?
友達…?
ずっと……?
やっぱり…分かってないじゃん……。
- 140 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時07分47秒
体の重心を壁から外す。
冷たいタイルに響く靴の足音。
またあたしは間違いを犯すんだ。
最後なのに…これが最後……。
もうここから一歩出れば絶対に…モドレナイ………。
「ふーん…友達ね……。」
よっすぃーの後ろに立って鏡越しに彼女の顔を見る。
真剣なその表情。
あたしはこれさえも踏みにじって。
一体何を手に入れるんだろう……。
あたしはグイッとよっすぃーの服を引っ張り、一番近くにある個室に引き込んだ。
後ろ手に鍵を閉める。
心の中の思いとは裏腹に、なぜかあたしの顔は冷めたように笑っていて。
- 141 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時12分33秒
「…ばっかみたい……仲良しゴッコ?
……そんなの梨華ちゃんとでもしててよ。」
あたしは自分でもビックリするくらい、感情のない声でそう言うと
ドンと壁に押しやりキスをした。
「ヤッ!…んっ…」
もちろん今まで通りの抵抗。
もう慣れちゃったよ。
誰もいないトイレ。
その上個室。
誰かが邪魔しにくることなんてない。
あたしはよっすぃーを壁に押しつけて服の中へ手を入れる。
声を出されないよう唇を合わせたまま。
ブラを強引に上にずらして、柔らかいふ膨らみを揉みしだいた。
「んっ!!っ!」
眉間に寄せられた皺。
頭痛い……
そろそろ息苦しくなって口を離した。
声を出されないよう、すぐに片手でよっすぃーの口を押さえる。
「暴れないでよぉ。誰か来ちゃうじゃん。いいの?
こんなことされてるってバレちゃっても。」
手を休めず耳元で囁くと、あたしを押し退けようとしていた腕の力が弱まる。
「あはっ、分かってんじゃん。」
- 142 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時19分34秒
それからはもう無我夢中で、時間にすればどれくらいだったんだろう…。
泣きながら床に座り込み、肩で呼吸するよっすぃー。
行為の最中、出来るだけ何も考えないように努めたけど
どうしても今日のはにかんだよう加護の笑顔が頭から離れてくれなかった。
あたしはそれから逃げるように、また激しくよっすぃーを攻めた。
当然これっぽちも気持ちよさそうな顔はしてくれなかったけど。
あたしは、もう諦めたように何も抵抗しなくなったよっすぃーを立ち上がらせ
乱れた服を直してあげた。
せめてもののつもりなのかは自分でもよく分からない。
「ウッ……ンッ…」
嗚咽が止まらないよっすぃー。
あたしが指でその大きな瞳から溢れてくる涙を拭こうとするたび、顔を背ける。
「よっすぃ……。」
「…っ……どうして?…何で……こんなこと……」
…そんなのよっすぃーが好きだからだよ。
好きじゃない人となんかこんなことしない。
まして、自分からなんて。
でも、よっすぃーがあたしに望んでるのは愛情じゃなくて、友情だから……。
あたしはそんなんじゃ我慢出来ない……。
ずっと抱いていたこの気持ちを、可愛い友情なんかで…
終わらせるつもりなんか………。
- 143 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月12日(水)00時36分06秒
- >>128 JAMさん
そうですね。ここまで痛い話は初めて書きます。
けど、気に入って頂けたようで。
自分も後藤さんには幸せになってもらいたいです……(おい!
>>129 名無し募集中。。。さん
黒い後藤さん。実はかいてて楽しいです(w
本当は素直すぎるといったとこでしょうか?
>>130 ポーさん
結構いつも甘いのばかりかいているせいか、思ったより更新が早くできて
良かったな、とホッとしています(w
吉澤さんが後藤さんを救ってくれるはず…(おい!!
>>131 名無し読者さん
有り難うございます♪書く前はどうなんだろう?と自分の中では大きな挑戦では
あったので、そう言って頂けてほんと嬉しいです。
>>132 カムさん
黄板の方へのレスも有り難うございます♪
後藤さんはただただ吉澤さんが好きみたいで…(w
黄板はしみじみと書いていますので今のままで進行していくと思います(w
向こうの方は自己満足的な感じですので、大きな変化はない…はずです(おい!!!
- 144 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)21時16分37秒
- むちゃくちゃいい感じ。
よしごまは仲良しでマターリなイメージがあるので実に新鮮です。
強そうで弱そうなごま、かなり最強(w
続きも頑張ってください
- 145 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)00時10分31秒
- 友情なのか愛情なのか、よーわからんのがこの二人の持ち味ですね。
これからどうなるのか楽しみです
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)03時08分28秒
- すごい。異色作だ。
すなふきんさんは懐が深いですね。
よっすぃーはどうなる?
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)20時32分03秒
- 2人はどうなっちゃうんだろう?
続き期待。
- 148 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月17日(月)23時25分41秒
- >>144 名無し読者さん
有り難うございます!!
なかなか難しい年頃の後藤さん…(そういう問題か!?
>>145 名無し読者さん
本当にこの二人の位置関係は微妙なとこですよね。
そこがまた萌えなんですが(w
>>146 名無し読者さん
いえいえ…(照
有り難うございます♪
只の妄想狂でございます。
>>147 名無し読者さん
作者もよく分かってなかったり……(爆
もうちょっとゴタゴタしそうな二人です(w
更新の方遅れてすみません(汗
もう少ししたら時間が出来ると思いますので、そのときには黄板の方も一緒に
ドッと更新したいと思います。
- 149 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月19日(水)02時35分38秒
- >>148
本当ですか?楽しみにしてます。
あ、ホームページも見ましたよ
- 150 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時19分00秒
目に映る首筋の紅い跡。
あたしが付けた。自分のモノにしたくて。
けれど、あたしはその跡になんとも言えない吐き気を覚えた。
目の前にいる彼女は紛れもなくあたしに犯され。
目の前にいる彼女をあたしは紛れもなく……。
紅い跡は自分モノなんて印ではなく
あたしが嫌がる彼女を無理矢理抱いた印だった。
あたしは泣き崩れたままの彼女に、何も言わず外に出た。
何か言ったところでこの事実が消えるわけでもない。
よっすぃーは恐らく今も泣いているだろうけれど、あたしの前で
泣くよりは幾分マシだろう。
珍しく今夜空気が澄んでいた東京で見えた小さな星。
あたしはそれは見ながら、ガラにもなく死にたいなんて思った。
- 151 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時20分44秒
それからあたしは取り憑かれたように彼女を抱いた。
トイレ・お互いの家・誰もいなくなった楽屋……
人目に付かない場所を探しては、自分を正当化するように。
もうここまで来ると、彼女は諦めたのか抵抗する様子も見せず、ただされるがまま。
表情など垣間見ることも出来なくて。
綺麗なあの目は、あたしを見るときだけ本当にガラス玉のようだった。
- 152 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時23分34秒
「声出してよ。」
「………。」
彼女の中に入れた指を出し入れさせながら、あたしは言った。
「今日、家誰もいないから大丈夫だよ。」
そう言って白い背中を撫でても、あたしをちゃんと見てくれない彼女。
顔は冷めたまま。
よっすぃーとあたしを繋いでいるのは、本当にもう肉体だけ。
自分でそれが分かっているせいか、よっすぃーの反応をすごく気にしてしまう。
この関係が途切れてしまったら、あたし達には何もなくなってしまうから。
あたしにはその方が、この最悪の状況よりも恐いことだった。
全然濡れない……。
このまま続けても痛いだけだろうなぁと思って、あたしは指を抜いた。
最近ずっとこう。
- 153 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時25分23秒
「気持ちよくないの?」
ベッドに裸で横たわったままの彼女。
あたしは体を起こしてTシャツを着ながら。
「…………。」
やっぱり何も答えてくれない。
「ねぇ?」
前はそれなりに感じてくれてたのに…。
よっすぃーを後ろから覗き込む。
その日はなぜか大きな目に涙が滲んでいて
あたしは痩せてしまった彼女の体を抱きしめて、髪を撫でた。
出会ったあの頃から
あたしの気持ちは変わっていないよ。
こんな歪んだ形でしか伝えられないけれど。
- 154 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時28分58秒
「ごっちん、話があるの。」
梨華ちゃんから呼び止められたのは、あたしの家で
よっすぃーを抱いてから2日後のことだった。
「…あぁ、うん。」
大体想像はついていた。
あれだけ一緒にいる二人だ。それも勘のいい梨華ちゃんが気付かないわけない。
メンバーが帰った後、あたしと梨華ちゃんはそのまま楽屋に残り、机を挟んで座った。
心配そうにこちらを何度も振り返りながら
楽屋を最後に出たよっすぃーが頭をよぎる。
「もう、言わなくても分かると思うけど…。」
俯き加減で話し始める梨華ちゃん。
「二人のことだから…関係ないあたしが、口出すのは止めとこうと思ってたの…
でも、最近よっすぃー全然笑ってくれなくて……
メンバーのみんなも心配してるから…。
その…二人が困ってるなら助けになってあげたいっていうか…」
梨華ちゃんが言っていることは何一つ間違っていない。
あたし達のこと心配してくれて。
嫉妬とかそんな醜い感情なんかこれぽっちもないのは、話し声や
その表情からすぐに分かることだった。
でも、それが却ってあたしを苛立たせ、惨めにさせる
- 155 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時30分34秒
「別に何も困ってなんかないよ。」
冷たい口調。
相変わらずあたしは嫌な奴だ。
「ごっちん…。」
濁りのない綺麗な梨華ちゃんの真っ直ぐな視線。
「良い人振らないでよ!
そんこと言って、ホントは梨華ちゃん、よっすぃーだけが心配なんでしょ!」
あたしはその視線に耐えきれなくなって怒鳴っていた。
「そ、そんなんじゃ…」
「あたしなんかに聞かないで本人に聞きなよ!よっすぃーに…」
ハッとしてあたしは口を濁らせる。
「そうだけど…でも、あたし二人とも心配で…」
梨華ちゃんが本当にそうなのは分かっているけど、今のあたしでは
自分に歯止めが利かなかった。
- 156 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時32分14秒
「……そんなに心配なら教えてあげる。」
梨華ちゃんは「え?」と顔を上げる。
「あたし、寝たんだ。よっすぃーと。」
あたしとよっすぃーの間を壊されそうであたしは梨華ちゃんにそう告げた。
お願いだから…あたしの居場所をとらないで……。
「え…それって……」
「エッチしたってこと。子供じゃないんだから分かるでしょ?」
息を飲んだような梨華ちゃんの表情。
でも、それも一瞬で
「…そう…………ごめんね…余計な口出して……」
「………。」
「ひとみちゃんのこと…よろしくね……。」
- 157 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時34分45秒
泣いたように笑う梨華ちゃん。
久々に聞いた『ひとみちゃん』。
それは梨華ちゃんの精一杯の気持ちなのだろうか?
「あたし、もう帰るね…。」
梨華ちゃんはカタンとイスから立ち上がり、ドアへ向かう。
ガチャッ。
梨華ちゃんが手を掛ける前に開いたドアの向こうには、少し上気した顔で
よっすぃーが立っていた。
気になって戻ってきたんだ。
「よっすぃー……」
よっすぃーを見上げる後ろ姿。
その向こう側で困惑した表情でよっすぃーは
「梨華ちゃん……。…まさか、言ったの…。」
あたしに向けられた絶望の眼差し。
「ホントのこと言っただけだよ。」
あたしは二人の姿が羨ましくて、壊してやりたくなった。
- 158 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時36分58秒
ずっと一人のあたし。
みんなあたしを置いていくんだ。
「そんな……。」
落胆したよっすぃーはその場に座り込み梨華ちゃんは無言で
その場を去って行ってしまった。
気まずい雰囲気の中あたしだけが平静をを装って。
「いいじゃん、もう隠さなくていいんだし。」
「ひどいよ……。あんまりだよ……。」
ポタポタと涙を流す彼女に、あたしは近寄って冷たい頬を撫でながら
「ショック?梨華ちゃんあたしにひとみちゃんをよろしくだって。
フフッ、最後までいい人だよねぇー。」
- 159 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月22日(土)02時38分44秒
『パンッ!』
視界が一瞬真っ白になって、頬に感じる熱いような痛み。
殴られた…?
理解するのにちょっと時間が掛かった。
顔を戻すとよっすぃーは耐えるように唇を噛み締めていて、あたしの頬を打った手は
ギュッと握りしめられていた。
初めて殴られた。
どんなに酷いことをしても、よっすぃーは絶対に手を挙げなかったのに。
また、あたしは取り返しのつかないことをしてしまったんだ、と気付く。
もう少し気付くのが早かったら……。
あたしは一人ぼっち……。
- 160 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月22日(土)02時41分48秒
- 久々に更新です。
どんどん後藤さんが黒くなっていきますけど…いいのかな…(汗
>>149 名無し読者さん
有り難うございます♪
HPも覗いて頂いたようで(感涙
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月22日(土)06時08分52秒
- ごまに幸あれ・・・
- 162 名前:ポー 投稿日:2001年12月22日(土)10時57分33秒
- せつない。。。
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月23日(日)06時21分19秒
- 続きが気になって仕方ない…
それにしても吉澤って………?
- 164 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)01時30分42秒
よっすぃーはハァと大きく息を吐いてから、ゆっくり立ち上がった。
「…………あ…よっ…。」
何も喋らずこっちを見つめるよっすぃー。
段々と彼女に見捨てられる、という不安があたしを覆っていく。
完全に目が泳いでいるあたしを見つめたまま、よっすぃーはこう言い放った。
「………ごっちん……もう…終わりだよ……。」
「……………。」
泣いたせいで赤くなった瞳。
この状況で皮肉にも、その目はしっかりとあたしを映し出していた。
あたしがあの綺麗な目に映して貰えるのはこれが最後なのだろうか……。
- 165 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)01時40分31秒
あたしに背を向けて出ていく後ろ姿。
やけに、それはゆっくり見えて余計に苦痛だった。
……ヤ、ダ……ヤダよ………行っちゃ…
…また、あたし独りになっちゃう………
………置いていかないで……お願いだから………
…よっすぃー…待ってよぉ………独りにしないでよ………
あたしはボロボロと溢れてくる涙を拭きもせずに、その姿を見つめる。
よっすぃーは部屋を出て、ドアを閉める前にこっちを一回振り返った。
そしてあたしは確かに見た。
幾度となく口付けたあの口元が動いたのを。
声は聞こえなかった。
だけど、分かった。あたしには。
『ゴメンね』
- 166 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)01時55分14秒
収録中、ご飯を食べているとき、ベッドに入っているとき。
とにかくあたしはずっと考えていた。
どうして、よっすぃーが最後にあの言葉を言ったのか。
どうして、彼女はあんな寂しそうな目であたしなんかに謝ったのか。
本当に一日中そればかりを考えていた。
あの日を境に、よっすぃーとの関係は切れた。
一緒の楽屋にいても当然、話すことなどない。
あたしはやぐっつぁんや、なっち。
よっすぃーは梨華ちゃんや、辻・加護あたりと。
仕事の都合上、上辺だけの『メンバー』として接していた。
こんなつまらない毎日は初めて。
もう、触れたいなんて思わない。
そんな欲張りなこと。
一緒にいれるだけでいい。
隣にいさせて欲しい。
前みたいに。
今更そんなこと願っても叶わないよね………。
- 167 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)02時09分07秒
それは突然だった。
…気分悪いなぁ……
「ハァ…ハァ……。」
収録の合間トイレに行って手を洗っていたら、急に吐き気が襲ってきた。
でも、これくらいなら別に大袈裟にすることでもないし、放っていればそのうち
治るだろうと思っていた。
夏も終わりの今頃、溜まった疲れがきているんだろうと。
しかし、あたしの思いとは反比例して、収録の間に段々酷くなる吐き気と胃の痛み。
…なんだろ……風邪?…
冷や汗が頬を伝う。
呼吸が苦しい。
息を吸おうとする度にグッと胃が余計に痛む。
「…ハァ…っ…ハァ……。」
さすがに人の目から見ても様子がおかしく映ったのかマネージャーさんが
「後藤?気分悪い?」
と声を掛けてくれた。
隣にいたなっちも
「ごっちん、ちょっとすごい冷や汗じゃん…。」
険しくなる可愛らしい顔。
- 168 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)02時27分26秒
「ハァ…ちょ…っと…気分が…っ…。」
まだ、収録は残ってるけど、ちょっと耐えられない。
けど、心配そうに顔を覗いてくるなっちにあたしはぎこちなく笑い
「…大丈夫だって…。」
と安心させる。
マネージャーさんは、そんななっちの横で少し考えた後
「無理したら、あれだからちょっと休もうか。」
「…すいません…。」
内心やっと横になれるとホッとした。
あたしは切れ切れの呼吸で「立てる?」と差し出してくれたマネージャーさんの
手に掴まる。
「ハァ…ハァ……。」
…痛い……
「後藤少し休むからぁー。」
マネージャーさんはメンバーのみんなに、あたしを支えながらそう言った。
周りから「大丈夫?」という声が聞こえてくる。
そして、タタタッと駆け寄ってくる加護。
「後藤さぁん?」
八の字になった眉。
あたしは
「ちょっと、休んでくるね……。」
そう言って軽く頭を撫でてやる。
その時だった。
ギュッと胃を掴まれたような痛さ。
「っ!!……。」
あまりの激痛に呼吸が出来ない。
思わず座り込んでしまう。
「後藤!?香織、他の人呼んできて!」
「あ、はい!!」
マネージャーさんが必死に何か言ってるけど、もう痛くてそれどころじゃない。
いつの間にか、周りを囲んでいるメンバー。
加護も一緒になって何かあたしに言ってくる。
心配させたくなくて、何か言ってやりたいけど声が…。
「……ハァ…うっ…痛い……痛いよぉ………。」
気を失ったのはそれから数秒後だった。
- 169 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)02時43分18秒
真っ白で何もない空間。
あたしは何をするわけでもなく、心地よいその空間にいるだけ。
そして、隣にはよっすぃーが同じように気持ちよさそうな顔をしている。
それはまだあたし達が親友と呼べていた頃の表情。
あたしはそれに安心して、嬉しくなる。
…よかった……笑ってくれてる…。
そう思って「よっすぃー」と呼ぼうとしたら、いきなりよっすぃーの表情は
険しいものに変わり嗚咽を漏らして泣き出した。
「え…どうしたの?」
いくら声を掛けてもよっすぃーはブンブン首を横に振るだけ。
あたしはずっと泣き続ける彼女に何もしてあげられなくて。
「よっすぃー…泣かないでよぉ…。」
ハッと気付けば周りは真っ赤な紅色。
さっきまで真っ白だったのに……。
気味が悪い……。
逃げようとよっすぃーの手を取ったとき。
よっすぃーは涙で濡れた顔を上げてあたしに
『ゴメンね』
とあの日と同じ言葉を呟いた。
- 170 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2001年12月28日(金)02時58分21秒
「っ!!……。」
目が覚めた場所はオレンジ色の暗い光が照らす消毒臭い部屋。
ボンヤリした頭でここが病室だと気付く。
あの夢のせいなのか、少し体が汗ばんでいた。
イヤな夢……。
誰もいない個室。
腕に刺さっている点滴の針。
それ程酷くないとはいえ、未だに感じる胃の鈍い痛み。
あたしは怠い体をゆっくりと起こして、時計に目をやる。
一体この服は誰が着せたんだろう…等と、薄い緑色の随分とゆとりがある
いつの間にか来ていた、それを見て思った。
「二時か……。」
救急車で運ばれたのだろうか。
メンバーは心配してくれたかな……。
迷惑ばかり掛けているあたしは、いない方がマシなのかも…。
暗い考えばかりが頭の中を浸食していく。
『ガチャッ…』
突然開いたドアにビックリして、あたしはバッとそっちを見た。
「あ……。」
- 171 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月28日(金)03時14分59秒
>>161 名無し読者さん
ごっちん何だか、どんどんピンチになってますね(ニガワラ
ここまで痛い話になると自分自身思いませんでした(汗
>>162 ポーさん
ほんと、そうですね…うんうん。
自分がかくごっちんは何だか可哀想な役ばっかりだなぁ…。
>>163 名無し読者さん
有り難うございます。
というわけで、続き読んでいただけたでしょうか?
かなり痛い展開なんですけども…(汗
吉澤さんは…ホント何なんでしょうかねぇ〜?(w
- 172 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月28日(金)03時21分49秒
- あああ!!!
リーダーの名前が佳織ではなくて、香織になってます……。
ホントすみません…(泣
- 173 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月28日(金)03時25分26秒
- さらに間違えてるよ・・・。
佳織でも香織でもなくて「圭織」ですよ。
- 174 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月28日(金)20時06分58秒
- !!…鬱だ……
ほんとごめんなさい!!!
- 175 名前:しーちゃん 投稿日:2001年12月29日(土)00時01分11秒
- 大丈夫ですよ!早く続きがみたいです。お願いしますね。
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)01時45分57秒
- ごごごごっちん…痛すぎる…
読めば読む程続きに期待(w
- 177 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)04時05分08秒
- 面白いです。続き期待。
ごっちんの孤独が癒されてほしい。
- 178 名前:322 投稿日:2001年12月29日(土)06時34分34秒
- おもしろいっす!!!続き楽しみしてます
- 179 名前:ポー 投稿日:2001年12月29日(土)18時09分19秒
- 誰だ!?続きがぁ...よすぃこの気持ちはどうなんだろう。。。きになりまくり!
- 180 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)21時09分49秒
- あぁ…よしごま…
- 181 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)02時50分10秒
「…圭ちゃん………。」
薄暗い廊下からこの部屋に入ってきたのは、圭ちゃん。
「あれ?あんた、起きてたの?」
「あ、…うん、さっき…。」
「看護婦さんに無理言って入れてもらっちゃったよ。」
もう深夜。静かにドアを閉め、ベッドの側のイスに腰を下ろした。
「んで、お腹どう?」
「あぁ…まだ、ちょっと痛いけど、もう大分まし。」
「そ。あんた、無表情だから、分かんないのよ。ちゃんと言わなきゃ。」
口は悪いけど、どれだけあたしのことを
心配してくれたのか、なんてすぐに分かること。
「ゴメン……。」
「なぁーんだ。やけに素直ね。」
圭ちゃんはそう言ってクスクス笑った。
何か、ホッとする…。
「マネージャーさんから聞いたんだけど、ストレス性の胃炎だって。」
「…ふーん。」
「かなり荒れてたらしいよー。ま、悩み多き年頃だから?あれだけどさ。」
「…………。」
- 182 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)03時03分23秒
「メンバーにも言えないくらい、あんたが何を悩んでるか知らないけど…
みんなすごく心配してる。」
「……………。」
「一応、あたしだってサブリーダーやってるんだから。
吐き出した方が楽なときもあるよ?もう、無理にとは言わないけど。」
圭ちゃんはやっぱり大人だな。
あたしなんかとは全然違うや…。
自分のことしか考えられないあたしなんかとは………。
「……ひとつだけ…いい?」
「ん?言ってごらん。」
圭ちゃんは子供でも相手にしているように、優しい口調で促してくれる。
あたしが聞きたいのはただ一つ。
「よっすぃー……どうしてた?」
それを聞いた圭ちゃんの表情は一瞬
唖然としたものになったけれど、すぐに話し初めてくれた。
「………あの子、あんたが運ばれた後楽屋飛び出しちゃってさ……。」
「え?」
「んで、あたし心配で探してたんだ。スタジオ内をグルッと。」
「……………。」
「そしたら、廊下の端っこで座り込んでるの見つけて………泣いてたよ、吉澤。」
- 183 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)03時08分54秒
あたしなんか、死ねばいい。
それぐらい思われても、あたしは文句なんか言えないことをよっすぃーにしてきた。
なのに、よっすぃーは何で泣いたのかな……。
その涙はあたしのために流してくれたの……?
圭ちゃんが出ていった後、あたしはまた分からないことが一つ増えて
間近に迫った、夜明けの中ボーっと考えていた。
- 184 名前:すなふきん 投稿日:2002年01月06日(日)03時19分45秒
- >>175 しーちゃんさん
更新が遅れ気味で本当に申し訳ないです!!(汗
なるべく、早く更新できるようがんばります!!
>>176 名無し読者さん
ほんと、痛いですね…(汗(自分でここまでなるなんて思っていなかった…)
でも、そう言って頂けるなら調子乗ってかいちゃいます!(w
>>177 名無し読者さん
どうも有り難うございます♪
ごっちんがちょっと可哀想な役なので自分もそうなることを祈りつつ…(w
>>178 322さん
うわぉ!!?
マジで嬉しいですね(照
その言葉を言ってもらうために書いてるようなもんなんで♪
>>179 ポーさん
有り難うございます!
ホント、クライマックスに悩んでるんです(汗
どうしよ〜…。
>>180 名無し読者さん
よしごま…最高としか…(w
ここの二人ちょっと、痛い目なんですけど、どうか見放さず
最後までおつき合いお願いします。
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)03時27分36秒
- すこし光明が見えた、かな?
クライマックスに大期待。
HPと両方で大変だと思いますが頑張って下さい!
- 186 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)03時32分41秒
- ほぼリアルタイムかな?
痛いっす、痛いけどやっぱりごま→よしは(・∀・)イイ
- 187 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)17時07分20秒
それから一週間、あたしはこの病室で安静にしていることを
お医者さんから言われ、大人しく誰もいない部屋で一日中ゴロゴロして過ごした。
たまに、マネージャーさんや、メンバーが顔を出しに来てくれたりもして
それ程退屈というわけでもなくゆっくり一日一日を過ごせて、あたし自身
久々に落ち着いた気分になれていた。
ただ、思っていた通り
よっすぃーがあたしの前に姿を見せることは、一度もなかったけれど…。
「お薬の時間ですよ。」
外をブラッと散歩してきた後、部屋に戻りボーっと外を眺めていたら、少し仲良くなった
看護婦さんがコンコンとノックをして入ってきた。
「え〜…。」
この時間になると、ドロッとした苦い薬を飲まされる。
あたしの不満の声に看護婦さんはクスクス笑いながら、小さい透明の容器に
それを移してあたしにそれを渡した。
「ほら、頑張って。このお薬も今日までじゃない。」
「え?」
「えって、真希ちゃん明日退院でしょ。ふふっ、ホントにもう。」
「あ、そっか…。」
空に容器を片づけながら、また看護婦さんがクスクス笑う。
すっかり忘れてた…。
……そっかぁ…今日までなんだ。
こののんびりした時間も終わりと思うと少ししんどくなる。
- 188 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)17時09分24秒
「けど、良かったわねー。すっかり元気になって。」
苦笑気味のあたしに、看護婦さんが優しく笑いながら
そう言って、部屋を出ていこうとしたとき。
「あら?」
ドアを開けたところで、その後ろ姿が立ち止まる。
「どうしたんですかぁ〜?」
あたしは首を傾げながら、その後ろ姿に問いかけた。
「ドアの前にこれが…。誰かしらね?」
こっちを振り向いた看護婦さんの腕には
小さくも、大きくもない綺麗な花束が抱えられていた。
- 189 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月06日(日)17時10分59秒
あの後、花瓶に生けられた花たち。
その花たちをあたしは見つめながら。
…ファンの人かな………でも、あたしが入院してるなんて知らないよね?
じゃあ、友達?いや、あたしが言ってないんだから知ってるはずない。
大体、ここまで来たら普通合うでしょ?
「…………良い香り……。」
色んな種類の花が醸し出す香りに酔いしれて。
心当たりはただ、一人。
…………あの人だけ。
- 190 名前:すなふきん 投稿日:2002年01月06日(日)17時16分41秒
- >>185 名無し読者さん
有り難うございます!!
早め早めの更新を目指して頑張ります!!
>>186 名無し読者さん
ま、まさかあの人…(w
こっちの方も読んで頂けるなんて、嬉しい限り!
本当にごっちんがよっすぃーを追い掛けてるのって萌えです♪(w
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月07日(月)23時52分26秒
- 言えるのはただ一言・・・
よしごまマンセー!!
- 192 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月08日(火)11時34分45秒
- あの人っす(w
師匠について行きまっせーよしごまの匂いの時は確実に!
よっすぃ〜もごまの事やっぱり気になるんだと思うと萌えます(w
- 193 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)03時37分06秒
- こ、更新を…。
- 194 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月14日(月)04時13分39秒
「おぉ〜、ごっつぁん!!」
「大丈夫〜?」
「えへへ…。」
一週間ぶりに味わう仕事の雰囲気にボーっとしていたら、やぐっつぁんとなっちが
あたしを見つけて駆け寄ってきた。
本気で心配そうな顔をしているなっち。
冗談交じりではあるけれど、さり気なく気を遣ってくれるやぐっつぁん。
こういうときは流石のあたしでも、後悔しちゃう。
圭ちゃんが言ってくれたこと、本当だ…なんて。
「ゴメンね…。」
二人はいいってば、なんて笑いながら。
あたしもそんな二人と一緒に笑って、ちょっとだけ泣きそうになった。
それでも、やっぱり楽屋に入るにはちょっと憂鬱。
よっすぃーに会ってどういう態度をとればいいのか一晩中考えたけれど
良い案は思い浮かばなかった。
いつも入りの早いよっすぃーはもうすでに来ているはず。
あたしは何のためか少し俯いて、なっちとやぐっつぁんの後ろから楽屋に入った。
「ごっつぁんが戻ってきたよ〜。」
やぐっつぁんが楽屋に入ると、急にそんなことを言うもんだから
ドキッとして顔を上げた。
- 195 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月14日(月)04時15分27秒
あたしを迎えてくれるメンバーの笑顔。
もちろん、すごく嬉しいけど…けど……。
あたしが入ってきた途端、ちょっと表情が曇ったよっすぃー。
見てないとでも思ったのかな…。
慌てたように入り口に背を向けてしまったよっすぃーを見て
正直、あたしはショックを隠しきれなかった。
今まで散々酷いことをしてきたくせに。
あたしが傷ついたりするなんて調子良すぎじゃん…。
ねぇ、圭ちゃん。
よっすぃーが泣いてたなんて見間違いだったんだよ。
あの時の花だって、あたしの顔見たくなくてあんなとこに置いたんだ…。
なぁんだ…そうなんだよね……。
勘違いもいいとこ。
一時でもときめいた自分が恥ずかしかった。
- 196 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月14日(月)04時19分40秒
その日、最後の収録。
もう忘れようって思うんだけど、目が勝手によっすぃーの姿を追い掛けてしまう。
よっすぃーはそんなあたしに気づいているのかいないのか、隣の梨華ちゃんと
楽しそうに喋っている。
梨華ちゃんはあたしとよっすぃーの関係を知ったからといって
特別態度を変えるなんて言うことはなかった。
梨華ちゃんが羨ましい。大人で素直で綺麗な瞳で
よっすぃーを見れる梨華ちゃんが羨ましいよ…。
そんなことばっかり考えてる自分にウンザリして
あたしは休憩時間、屋上へ足を向けた。
ズシッと重い扉を押して、ちょっと夕焼けの気配がする外の空気を
スウッと、思いっきり深呼吸。
暑い日中よりも、吹いてくる風は随分と涼しくなっていて
気分の悪かったあたしにはとても心地良かった。
もう何も考えたくない。
だって、頭の中は未だによっすぃーのことばっかりだったから。
嫌われたら楽になれる。
嫌いになれたら楽になれる。
……そう思ったのに。
結局どっちも無理じゃん…。
嫌われたらこんなに傷ついちゃうし、嫌いになるどころかよっすぃーの
ことばっかり考えてるし。
- 197 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月14日(月)04時27分16秒
ゆっくりと沈んでいく夕日を眺めていたら、ポケットの中に入れていたケータイが鳴った。
取り出したケータイにはメールが届いていて、もうすぐ収録が始まるから、と
マネージャーさんから入っていた。
「………はぁ…。」
ヤだな…。
あたしは重い足取りで夕日に背を向け、自分の影を見つめながら来た道を戻る。
トイレに行ってから戻ろうと思って、最上階にあるためかほとんど
誰も使わないそこに向かって憂鬱な気持ちで階段を降りた。
すると、廊下に続くその階段に座り込む影が。
…………?
暗くてよく見えない。
こんなところで何してるんだろう…。
あたしはその人影にちょっと恐くなって、降りるのを躊躇った。
- 198 名前:すなふきん 投稿日:2002年01月14日(月)04時33分18秒
- 多分、もうすぐ最終回になると思います。
どうぞ、最後までおつき合い下さい。
>>191 名無し読者さん
おうっと!!有り難うございます!
よしごまマンセーーーーー!!(w
>>192 名無し読者さん
風邪大丈夫ですか?めっきり寒い今日この頃ですのでお気を付けを。
よしごまのかおりを振りまきながら突っ走っていきますのでどうぞ宜しくです(w
>>193 名無し読者さん
すみません!!ホント、更新遅くて…(汗
明日はなるべく更新したいと思っていますので(したいってあたりが不安なんですけど)
- 199 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)16時51分04秒
- おぉぉ!誰だろ!?
よっすぃーに期待!
- 200 名前:カム 投稿日:2002年01月14日(月)18時15分41秒
ごっちん自業自得とは言え、セツネぇ〜っ!
ここはひとつ、よっすぃの優しさで包んであげてほしいっす。
2人の愛が復活することを願いまする。
- 201 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)21時27分41秒
- だぁ〜ごっち〜ん!!(興奮気味
興奮し過ぎて風邪が酷くなります(w
よっすぃ〜がどう出るのか楽しみでございます。
- 202 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月15日(火)22時01分17秒
- すなふきんさん最高!続き気になるー!!
- 203 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月16日(水)01時07分26秒
二人の様子がおかしくなり出したのは、一体いつからだったのか。
よくよく思い出してみると、あれは丁度夏に入って間もない、外で過ごすには
ちょっと暑苦しさを覚えるような頃。
前日は珍しくオフが取られていて、私は友人達と
買い物をしたりと満足のいく一日を過ごした。
後藤と吉澤に違和感を感じたのはその翌日のこと。
…いや、正確には後藤の様子がおかしかった。
あんなに仲の良かった二人。
プッチでも一緒にいる私が、気づかないわけなかった。
- 204 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月16日(水)01時11分55秒
どちらかと言えば温厚な性格の後藤と吉澤。
似通った性格のあの子達が喧嘩するなんて珍しいなと
思ってはいたけれど、年頃の女の子二人が
あれだけ一緒にいるのだから、普通と言えば普通なのだろう。
それにプロとしての自覚もしっかりしてきたのか、仕事に
それほど支障が出ているわけでもなかったので
私はそのうち仲直りするだろう、とそっとしておくことにした。
だけど、二人の仲は時が経つに連れ、良くなるどころかますます悪化する一方。
詳しく言うならば、後藤の態度が明らかに吉澤を避けるようになっていった。
吉澤は相変わらず前のように、後藤にニコニコと何か話しかけたり
一緒に帰ろうなどと誘っているのに、後藤は冷めた表情で。
後藤は見た目はああしているけど、温厚で滅多に怒ったりするような性格ではない。
だからといって、吉澤は人一倍周りを気にするタイプだし
仲の良い後藤のことなら誰よりもよく知っていただろう。
そんな吉澤が後藤を怒らせるなんて考えにくい。
後藤だっていくら怒っているからと言って、あの態度は普通じゃなかった。
…だったらどうして?
- 205 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月16日(水)01時14分22秒
そんなことを考えて数日経った頃から、今度はなぜか
吉澤がパッタリと後藤に話しかけなくなった。
全くあんた達は……
私はやれやれと思いながら雑誌の撮影の合間、自販機にコインを入れている後藤に
「あんた達、喧嘩でもしたの?」
と聞いてみた。
後藤は壁にもたれ掛かっている私を、ちょっと驚いたような顔をして振り返った。
パチパチと瞬きをした後、後藤はいつものボーっとしたような表情に戻って
「えぇ〜?喧嘩なんてしてないよぉ。」
本当に嘘つくの下手だよね…ったく。
「じゃあ、なんで朝から一言も喋んないのよ。」
あたしの意地悪な問いに後藤は、廊下の向こう側を
虚ろな目で見つめ、一口ジュースをノドに流し込んだ後
「あはっ。もう、なんもないってばぁ。
朝はあたしの機嫌が悪かったし、よっすぃーも話し掛けにくかったんじゃない?」
後藤独特のヘラッとした笑顔がなぜか、とても痛々しいものに見えた。
「…ふーん、そう。」
「うん。」
「まぁ、いいけどさ。もし、喧嘩してるんだったら早く仲直りしなさいよ。」
「もぉ、してないっていってるのにぃ。」
後藤はあはは、と笑いながら楽屋に戻っていった。
- 206 名前:すなふきん 投稿日:2002年01月16日(水)01時24分21秒
- 短いですけど、更新です。
>>199 名無し読者さん
有り難うございます。
まぁ、それは見てのお楽しみということで(w
>>200 カムさん
毎回どうも有り難うございます♪
二人のためにも願っていてください(w
>>201 名無し読者さん
レス感謝!
風邪の具合はどうですか?
どうぞお大事に。
>>202 名無しさん
おぉ、有り難うございます(照
もうすぐ最終回ですが、どうぞ最後までおつき合い下さい。
- 207 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)04時48分22秒
次の日入っていたプッチの仕事。
予想通り二人は一言も会話を交わさなかった。
吉澤に聞いても黙って、苦笑いするだけ。
溜め息ばかりついている後藤に
「あんた達まだ仲直りしてないの?」
と言っても
「まぁ、そのうちね……。」
曖昧に笑いながら誤魔化してしまう。
「…もう、何なのよ…」
いつもと違う二人の雰囲気に、私は大したことも言えず
見守ることしかできなかった。
でも、やっぱり普通の喧嘩だったみたい。
だって、その翌日には二人が一緒にいる姿を、楽屋の隅で見ることが出来たから。
帰りも一緒だし。
あれだけ、吉澤のことを無視していた後藤が色々と喋りかけている。
私は久しぶりに見る後藤と吉澤の2ショットに、ホッと心の中で溜め息をした。
だけど、このことを私はすごく後悔することになる。
- 208 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)04時50分41秒
それから、暫くしてまた二人がパッタリ喋らなくなったのだ。
「もう、またぁ〜…。」
私は裕ちゃんに相談しようとも思ったけれど
少しだけ考えて、それは止めておくことにした。
もう二人も子供じゃない。友人とのゴタゴタぐらい
自分で解決出来ない歳じゃないはずだ。
どうして、私は気づいてあげられなかったのだろう。
二人の様子を見ていたら、普通の状況じゃないくらい分かったはずだ。
怒鳴り合うわけでもない。
ただ黙って、何も言わずにお互いを避けるだけ。
あんな状況がこんなに長く続いているんだ。
しかも、一番仲の良かった後藤と吉澤が。
なぜ、あの子達の変化に気づいてあげられなかったのか。
私は後藤が担ぎ込まれた病院に向かうタクシーの中で
拳をギュッと握りながらそう思った。
- 209 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)04時53分14秒
看護婦さんに無理を言って、私は後藤の病室まで案内してもらった。
フウッとドアの前で深呼吸をして、寝ているはずの後藤を
起こさないよう、静かにノブを回す。
「あ………圭ちゃん……。」
私は暗闇から呼ばれた自分の名前にちょっと驚いたけれど
出来るだけ自分を落ち着かせ
「あれ?あんた、起きてたの?」
「あ、…うん、さっき…。」
「看護婦さんに無理言って入れてもらっちゃったよ。」
ベッドの側にあった小さく、簡素なライトを付け私は置いてあったイスに腰を下ろす。
「んで、お腹どう?」
「あぁ…まだ、ちょっと痛いけど、もう大分まし。」
確かに後藤の言うとおり、顔色は大分良くなっている。
「そ。あんた、無表情だから、分かんないのよ。ちゃんと言わなきゃ。」
「ゴメン……。」
「なぁーんだ。やけに素直ね。」
本当は来る前、この子に会ったら「どれだけ心配掛けたら良いのよ!!」って
思いっきり怒鳴ってやろうと思ってた。
けれど、あまりに寂しそうに笑う後藤を見て、流石の私も
そんな気はすっかりなくなってしまった。
こんなに痛々しい後藤を見るのは、紗耶香の卒業以来ではないか…。
いや、あの時以上かも…。
それぐらい目の前のこの子は傷ついていた。
- 210 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)04時55分13秒
後藤が人一倍、我慢強いって分かっていたはずなのに。
この子が一人で何でも抱え込んでしまうって分かっていたはずなのに…。
どこかでサインを出していたんだ。
どうして、気づいてあげれなかったのか…。
悔やんでも悔やみきれなかった。
「マネージャーさんから聞いたんだけど、ストレス性の胃炎だって。」
「…ふーん。」
後藤は興味なさそうに、拗ねた表情で答えた。
「かなり荒れてたらしいよー。ま、悩み多き年頃だから?あれだけどさ。」
「…………。」
「メンバーにも言えないくらい、あんたが何を悩んでるか知らないけど…
みんなすごく心配してる。」
「……………。」
「一応、あたしだってサブリーダーやってるんだから。
吐き出した方が楽なときもあるよ?もう、無理にとは言わないけど。」
こんなになるまで気づいてあげられなかった、私が言う筋合いもないけれど…。
副リーダーなんて名ばかりだ。
それでも、後藤が私を頼ってくれるのなら、と言ったそのセリフに
「……ひとつだけ…いい?」
と、恐る恐るこっちを伺ってきた。
意志の強かったその瞳。
今では捨てられた子犬のような目をしている。
- 211 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)04時58分26秒
「ん?言ってごらん。」
そのときは何だか、小さい子供を前にしているみたいで自然と口調も柔らかくなった。
「よっすぃー……どうしてた?」
もしかしたら、という思いはあった。
けれど実際に後藤の口から吉澤の名前を聞くと、ドキッとせずにはいられない。
私はそんな自分を叱咤してから、メンバーの中で
一番動揺していた吉澤の様子を教えた。
「………あの子、あんたが運ばれた後楽屋飛び出しちゃってさ……。」
「え?」
吉澤は後藤が倒れて、スタッフの車に運ばれる間唖然としていた。
その後だった。あの子がその足ですぐに楽屋を飛び出していったのは。
私は誰よりも早く吉澤の後を追った。
「んで、あたし心配で探してたんだ。スタジオ内をグルッと。」
「……………。」
「そしたら、廊下の端っこで座り込んでるの見つけて………泣いてたよ、吉澤。」
吉澤はあまり人通りの少ない廊下の隅で蹲って
膝に顔を埋めたまま嗚咽を漏らしていた。
『吉澤…あんた達、一体何があったのよ…』
『あたしの…あたしのせいなんです……』
何を聞いても、あたしが悪いと泣き続ける吉澤。
私は何とか宥めて、楽屋に連れ戻すのが精一杯だった。
それを聞いた後藤はなぜか困惑気味で、少し険しい表情のまま
白い壁をジッと見つめていた。
- 212 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)05時00分55秒
後藤には一週間の入院が必要とされ、その間の仕事は
後藤抜きでこなすことになった。
たまにお見舞いに行くと後藤は
嬉しそうな顔を見せてくれて、それが私を安心させた。
「もうね、メッチャクチャまっずい薬飲まされるんだよ〜。」
「しょうがないでしょうが。治るためなんだから。」
「だって、緑色でドロドロしててチョーまずいんだもん。
圭ちゃんも飲めば分かるってば。」
「はいはい。あ、もうこんな時間じゃん…そろそろ私、帰るわよ。」
「え〜、もう?」
「うん。ゴメンね。」
「ううん。ありがと、来てくれて。」
「んじゃね。」
後藤とたわいない会話を交わした後、私は少しだけ
つまらなそうな顔をした後藤に別れを告げた。
「ふぅ、ここからならすぐ着くわね。」
この後の仕事は近くのスタジオだったから、そんなに急ぐ必要はなかった。
喉が渇いた私は、目に入った自販機で、コーヒーでも買おうと思い
立ち寄ったとき、見慣れた後ろ姿が。
「吉澤……。」
- 213 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年01月17日(木)05時02分44秒
私は唇をキュッと結び、吉澤の後ろから見つからないように、ついていった。
前を歩く吉澤の手には綺麗な花束が握られていた。
あの子の…後藤の好きそうな、素朴で綺麗な花ばかり。
躊躇うような足取りで吉澤は、後藤のいる病室へ向かっていく。
私は見つからないように一定の距離を保って見失わないようにゆっくりと足を進めた。
そして、後藤の病室の前まで来たところで、吉澤はピタッと止まってしまった。
……入らないのかな?…
吉澤は暫くそこで迷ったあげくなのか、深く溜め息をついた後
そっとドアの横に花束を置いてクルッと踵を返し、帰っていった。
私には分からないことばかりだったけれど、何だかこれで良いのだと思った。
二人の仲が前のように戻るのは、そう遠くないとなぜか確信することが出来た。
- 214 名前:すなふきん 投稿日:2002年01月17日(木)05時04分16秒
- ここで保田さん視点終わりです。
多分、次くらいが最終回になるんじゃないかなぁ…。
最後までおつき合いお願いします。
- 215 名前:しーちゃん 投稿日:2002年01月17日(木)09時01分53秒
- すなふきんさん、見ていますよ〜。
最終回ですか?少し寂しいですが・・・
がんばって下さい。
- 216 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時45分50秒
- いや〜マジで最終回が気になります!
よっすぃ〜の考えてる事が分からないっす。
でもきっと二人は…(w
- 217 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)06時03分53秒
- いよいよラストですか。
最終回がどう描かれるのかとても楽しみです。
- 218 名前:Blurry Eyes 投稿日:2002年01月25日(金)16時03分36秒
- 切ない・・・(;_;)思わずウルッと来ちゃいました。
本当、すなふきんさんの小説って人を引き込む何かが有りますよね。
もう最高でっす!いよいよラスト。名残惜しいですが、応援してるので
頑張ってください!!
- 219 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月11日(月)22時57分25秒
後ろから見たその人影は膝に顔を埋めて、身を小さくしていた。
線の細さから女の人だと予想がつく。
…スタッフの人……?
かすかではあるけれど小さく揺れる背中から、あたしは勝手に上の人に
でも怒られて泣いているんだと思った。
その横を通るのはちょっと気が引けるけど、いつまでもここにいるわけにはいかない。
しょうがないか…。
あたしはなるべく、階段の端っこを通るようにして足を進めた。
黒いパーカーというラフな格好は、頭の隅によっすぃーの姿を思い出させた。
…今頃は何をしているだろう。
もうスタジオに入って、梨華ちゃんや加護達と過ごしているだろう。
容易にその光景が想像できて、そんな自分が惨めに思えた。
重い溜め息を吐きそうになるのを堪えて、階段を足早に降りようとしたとき
座り込んでいる彼女から小さな囁きが。
……独り言…?
特に、気にも止めず過ぎ去ろうとしたけれど、彼女の横を通り掛かったとき
心臓がドクンと大きく鳴った。
あたしの耳に聞こえてきたのは、地味なオルゴールが奏でるメロディー。
息が出来なくなりそう。
鼻歌程度に口ずさむその声は、よく澄んでいた。
反射的にその場から掛けだした。
思い出したくないよっすぃーの歪んだ顔と、オルゴールを見つめるときの
凛とした美しさが重なって、頭の中はグチャグチャ。
覚えていた…?
あの日のこと…。
答えなんか出てこないのに、何度も繰り返し自分に問い続けた。
- 220 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月11日(月)22時58分42秒
収録が終わって、そう言えば朝よっすぃーは黒い服を着ていたと思い出す。
そんなことも覚えていないなんて、あたしの気持ちが中途半端な証のような気がした。
むしろ、その方がいいのに。
誰もこれ以上のことは望んでいないのに。
あたしはネオンが照らした、暗く雨の降る街を傘も差さず必死に駆け抜けた。
- 221 名前:すなふきん 投稿日:2002年02月11日(月)23時09分13秒
- 少ないけど、更新です。
>>215 しーちゃんさん
有り難うございます♪
最後まで、書いちゃおうと思ったんですけど風邪を引いてしまって…(汗
最終回は次回(次次回?)へ。
>>216 名無し読者さん
後藤視点で書いている分、吉澤さんの行動は摩訶不思議ですね(w
>>217 名無し読者さん
最終回…。
ここまで書くと、さすがに愛着が…(ニガワラ
ちょっと寂しいですけど、頑張ります!!
>>218 Blurry Eyesさん
あわわっ(焦
あ、有り難うございます(w
ラスト、気合い入れて頑張ろうと思います。
- 222 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月12日(火)14時18分00秒
うっすら出来た水溜まりを踏みながら走るあたしは、きっと白い目で
見られているんだろう。
けど、そんなことはどうでも良かった。
もうここまで来たんだ。
恐い物なんてない。
それは殆ど賭けではあったけど、あたしにはそうすることでしか分かって貰えない
と思った。
肌を滑り落ちていく雨は、妙にぬるく余計に心地悪い。
こんな時くらい冷たい雨が降ってくれれば、ちょっとはあたしの気も楽になれるのに。
足の感覚も痺れてきて、息も続かなくなってきた頃ようやく、薄く記憶に残るその場所に
着くことが出来た。
…良かった……まだ、開いてる。
ずぶ濡れで店内に入ってきる客なんて、快く迎えられるわけがない。
当然あたしは迷惑そうな目で、早く出ていってくれとばかりに。
その視線も余所に、あたしは店の奥へ。
ガラス棚に並べられ、淡く輝くオルゴール達は本当に綺麗だった。
頭の中には、あの日の横顔がリアルに思い出される。
あのままでいられたら、あたしは変わらずにその横顔を見ていられたのに…。
- 223 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月12日(火)14時21分11秒
上がる息を抑え、キラキラと輝くその中から視線であのオルゴールを探した。
心が自然と焦る。
……どこ…?……
なかなか視界に入ってこない、ガラス細工の猫。
もう一歩近づいて、視線を運ぶ。
………………………
……………………ぁ…。
通り過ぎた視線をもう一度戻す。
…あった……。
派手で大きなオルゴールの陰にすっかり隠れてしまっている、小さく白いオルゴールに
手を伸ばした。
ホッと安堵の溜め息をついてあたしはそっと、それを手に握ってレジへ持っていった。
若いアルバイトらしい店員さんにプレゼントですか?と聞かれ、あたしは違うと答えた。
包装されている時間を待っているくらいなら、少しでも早くこれを届けたかったし
これはあたしの一方的な気持ちでプレゼントなんて呼べる綺麗事が詰まっている
わけでもなかったから。
傷つかないよう箱に入れられ紙袋の中に姿を隠したそれを受け取ると、あたしは
息つく暇もなく店を出た。
- 224 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月12日(火)14時23分58秒
オルゴールは濡れないようにバッグの一番奥に入れた。
雨はさっきよりも幾分強く地面を叩いていたけれど
既に濡れてしまっているあたしには関係のないこと。
今更、あたしが会って何を言える?
最低なことばかりして、何一つ彼女を喜ばせることなんて出来なかった。
これっぽっちも役に立てないあたしが。
余計な考えばかりが支配する。
それを振り切るかのようにあたしの足は、どんどんスピードを増した。
「んー…少し残って練習してから帰るよ。」
梨華ちゃんからの誘いをそう言って断るよっすぃーの言葉がグルグルと頭を廻る。
まだいるかな……。
何度も転びそうになって、傘を差す人混みにぶつかりながら、あたしは
スタジオへの道を戻った。
- 225 名前:すなふきん 投稿日:2002年02月12日(火)14時25分22秒
- この話もそろそろラストが…。
出来れば次回くらいで終われればいいのですが。
- 226 名前:しーちゃん 投稿日:2002年02月12日(火)16時36分11秒
- ドキドキです。ごっちんがんばれ!!
- 227 名前:Blurry Eyes 投稿日:2002年02月12日(火)18時33分48秒
- 果たしてよっすぃーはごっちんのオルゴールを見て
どんな反応を見せるのか・・・気になりますねぇ。
しかし、一日中家に居たのにリアルタイム逃したのは鬱。
- 228 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)13時51分51秒
練習室の真ん中に寝転がってボーっと天井を眺めていた。
梨華ちゃんには練習して帰ると言ったけれど、それはその場で考えた適当な言い訳。
あたしを気遣ってなのかそうじゃないのかはわからないけど、毎日のように
一緒に帰ろうとかご飯食べに行こうとか誘ってくれる。
それは確かに嬉しかった。
1人でいたら色んなことばかり考えてしまうし、誰かといたらその時だけは
ごっちんのことを考えなくて済むから。
でもずっとそう言うわけには…。
あたしは大きく深呼吸をして目を閉じた。
瞼にはどうしても、ごっちんのあの顔が浮かんできてしまうんだ。
- 229 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)13時58分02秒
その日は午後からの仕事もなく、時間を持て余していたあたしとごっちんは
久しぶりに買い物に行くことになった。
何を買うとか、そういうんじゃなくてただフラフラと色んなお店を回っては
あれこれと品定めするのが単純に楽しかった。
それに、くだらないお喋りで楽しそうに笑うごっちんを見るのも嬉しかったし。
何件目かのお店で、ふと目を惹いた物があった。
地味なオルゴール。
確か、猫のガラス細工かなんかが施してあったと思う。
他の派手で煌びやかな物に興味を示せばいいのに、あたし自身何であんな
地味な物に惹かれたのかよく分からない。
小さく奥に追いやられているそれが余計に目を惹いたのかも。
それに地味ではあったけど、派手ではない分可愛らしくて。
あたしはどんな可愛い音色が流れてくるのだろうと、期待しながら
クルクルとネジを巻いてガラス棚に置いた。
でも、手のひらに乗る程度のそれが奏でたのは驚くほど切ない曲。
言葉にならなかった。
可愛いなぁと思って買って帰るつもりだったあたしは、その場に
それを置いたままその店を出た。
ごっちんは終止、不思議そうな目であたしを見つめながら「買わないの?」と。
あたしは曖昧に「うん、また今度でいいや。」と答えて、すぐにその話は終わらせた。
だって、言えるわけないじゃん。
あの曲を聴いてあたしの気持ちを一杯にしたのは、その時隣にいたごっちんだ、なんて。
- 230 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)14時00分06秒
確かそれはツアー先のホテルで、ごっちんはあたしに何気なくこう言った。
「よっすぃーさぁ、友達多いでしょ?」
「えー?」
濡れた髪を乾かすあたしに、ごっちんはベッドの枕に顔を伏せたまま。
友達?…多いのかなぁ?
基準がいまいち分からない、あたしは
「…ん〜…別に多くもないと思うけど…。」
と、友達って何人ぐらいいるんだろう?なんて首を傾げながら答えた。
「そっか……。」
ごっちんはグターッとベッドに伏したままで特に何も言わなかった。
ドライヤーのちょっとうるさい音を気にしながらも、あたしは同じ質問を返す。
「ごっちんは?」
「あたし?」
「うん。」
むくっと起きあがり「んー…」とあぐらをかいて考える姿は
家にいるチビ達を思い出させる。
思わず苦笑しているあたしにごっちんは
「あたしさぁ…」
「ん?」
「あたし、友達?そーんないないんだよねぇー。」
何にもないような顔で頷く辺りが、ごっちんらしい。
それがまたあたしの苦笑を誘った。
- 231 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)14時02分00秒
「あたし、普段無表情じゃん?」
自然とあたしも隣のベッドであぐらをかいていた。
「あぁ、うん。」
「あ、ひどいなぁ。」
そう言ってる割には、口元は可笑しそうに笑ってる。
「面白い話も出来ないし。」
「そうかな?」
「そうだよ。それに、そんな学校行ってないし。」
「あたしもじゃん。」
「なんつーのかなぁ、ちょーっと違うの。よっすぃーは性格良いし、格好いいし。」
「ハハッ、格好いいかぁ?」
「ふはっ、うん。」
「でも、ごっちんだって可愛いじゃん。」
あたしは乾いた髪に一回指を通してから備え付けの冷蔵庫に向かった。
「何がいい?」
冷蔵庫を覗きながら、そう聞いたけど返事がないから適当にオレンジジュースを
二本取り出した。
「これでいい?」と聞こうとしたら、ごっちんはもう既にベッドの中。
頭までスッポリシーツを被っちゃってる。
「寝るのー?」
と瓶を開けながら聞いたけどまた返事がない。
マイペースなのはいつものことだし、その辺がごっちんと親友やってて
楽しいとこでもある。
あたしは一口だけジュースを飲んで、一応「電気消すよ。」と言ってから
寝ることにした。
- 232 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)14時04分53秒
どれくらい時間が経ったんだろう。
15分くらいだったかもしれないし、1時間くらい経っていた気もする。
微睡み始めたあたしに、ごっちんが
「……よっすぃ…」
と小さく声を掛けてきた。
最初、夢?なんて惚けたことを思ったあたし。
「…起きてる?」
もう一度声を掛けられて、あたしはクルッとごっちんのベッドのある方に向き直った。
ごっちんの声は寝る前まで聞いていたトーンとは、比べものにならないくらい弱く
情けない声だった。
「…んー…どしたぁ?」
具合でも悪いのかな、と思ったあたしは上半身を起こして枕元にあったライトを付けた。
「…ゴメン…寝てたよね…。」
バツが悪そうに顔を半分だけ覗かせる姿にホッと安心すると、あたしは冗談半分に
「寝てたよー。」と返してバフッとベッドに倒れた。
「何、寝れない?」
「……………初めてなんだ……。」
初めて?
あたしはごっちんの言っている意味がよく分からず「何が?」と聞き返す。
「…………こんなに仲良くなれたの。」
それを聞いて、やっとさっきの話の続きだと理解できた。
「…あたしが一方的に思ってるだけかも。」
「何をー。」
あたしはごっちんの声って落ち着くなぁ…なんて場違いなことを
思いながら、目を閉じて聞いた。
「………親友…なのかなぁって。」
「えっ!?」
「え?」
思わず、体を起こしてしまった。
だって、ごっちんがあまりにも間抜けなことをいうから。
- 233 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)14時06分58秒
とっさに出たあたしのちょっと大きな声に、ごっちんがビクッとするのが分かった。
「違うの!?」
「………え?」
あたしはてっきりそうだと思っていたのに。
だって、これって普通に親友でしょ?
それ以外に何て言うの?
メンバーなんかじゃ全然足りない。
友達じゃ表せない。
「ていうか、親友でしょ?」
ごっちんはそれを聞くと最初はポカンと口を開けていたけど、すぐに大きく口を開けて
「あはっ」と独特の声で笑ってくれた。
ごっちんがそういうのを、実はすごく気にするって知っているつもりではいたけど
まさかここまでとは思わなかった。
友達がいないと素っ気なく言う彼女も、親友だよね、と涙目で聞く彼女も。
どれもそれがごっちんで、あたしはそんなごっちんが大好きで。
「…ずっと……変わらないよね?」
眉を下げて情けない顔のごっちんにあたしは
「変わらないよ。」
と言った。
これからだって、あたしはごっちんのこと大事だし、ごっちんだってあたしのことを
そう思ってくれれば嬉しいし。
安心したように目を閉じて笑う姿は、ごっちんの儚いことの象徴でもあるようだった。
- 234 名前:すなふきん 投稿日:2002年02月13日(水)14時20分36秒
- ちょっと更新。できれば夜にもう一度。
- 235 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時28分40秒
だから、あのメロディーを聴いたとき、ごっちんのあの顔が浮かんだんだ。
そして、今でも目に焼き付いて離れない。
あの顔をたまにでいいから、あたしだけに見せて欲しい。
ずっとそんな関係が続けばいい、と思っていたのに。
「仲良し…ごっこ……。」
あたしはごっちんが言葉にしたそれを思い出した。
トイレで人が変わったようにあたしを抱いたごっちん。
どうして、そんなことをされたのか分からない。
理由も言ってくれなかった。
確かに、「ごっこ」だ…。
あたしは何一つごっちんの考えていることは分からなかったし、読みとれなかった。
- 236 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時31分41秒
ただ、ごっちんが触れることを不快に思ったことは一度もなかった。
それがどうしてだか分からないけど、ごっちんがそうすることで満足するなら
それでいいと思った。
あんな冷めきった顔のごっちんを見ても、ごっちんの甘えてくる仕草や
ちょっと大人っぽい溜め息にドキッとしたことなんかが頭から離れることはなかったから。
それよりもショックだったのは、ごっちんの目…。
何も映してないような、暗く曇った目。
全てを諦めているようだった。
あの瞳の奥で、苦痛に歪む彼女を見たのはあたしの錯覚?
考えても考えても分からないことばかり。
あたしはごっちんの何を、知っているつもりでいたんだろう。
ごっちんは変わらないよね?って聞いた。
あたしは変わらないって答えた。
だけど、あたしを振り切って廊下を駆けていく梨華ちゃんの背中を見て
もうダメだと思った。
- 237 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時35分57秒
『あたし、好きだよ。ひとみちゃんのこと。』
ロビーでばったり会ったあたしと梨華ちゃんは普通にお喋りしていて。
そろそろ集合時間だから戻ろう、と言ってソファーから立ち上がったあたしに
梨華ちゃんは真剣な目でそう言ったんだ。
呆然と立ちつくすあたしに向かって「ゴメン、忘れて。今の。」と笑ってた。
梨華ちゃんの気持ちを知っていたあたしには、余りに酷な仕打ちだった。
あたしだけなら耐えられた。
少なくともあたしを抱くときのごっちんは、変わらないよね?と
聞いたあの顔をしていたし。
それを見たら、ごっちんはあの時のまんまだって嘘でも思えたから。
だけど、あの誰もいない楽屋で見たごっちんは笑っていた。
酷くあたしの目にはその姿が自嘲気味に見えて、耐えられなかった。
- 238 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時41分45秒
あたしのせいなのかな…って。
人一倍敏感だったごっちんを怒らせた、あたしのせいなんだ…って。
もうこれ以上傷つくのを見たくなかった。
誰も。
約束は守れなかった。
呟くように、謝ったけどごっちんには聞こえていなかっただろう。
二人の関係を切れば、誰も傷つかない。
ごっちんには安倍さんや矢口さんがいたし、メンバーだけという関係になれば
もうごっちんを怒らせることもない。
他のメンバーにも迷惑を掛けずに済む。
- 239 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時53分30秒
そう思ったのに……。
ごっちんの倒れる姿はスローモーションのようだった。
あたしは見ていた。気を失ってグッタリした、ごっちんをまじまじと。
それまで目も合わせなかったし、皮肉にもその時にごっちんの
痩せた姿を確認することが出来た。
保田さんが泣きわめくあたしを、宥めてくれたのを覚えている。
「大丈夫だから」「後藤もあんたも、心配することなんかないんだよ」って
保田さんは言った。
その言葉が気休めであったとしても、あの時のあたしにはそれに頼るしかなかった。
病院には行かないでいよう、と決めていた。
今更あたしなんかが病室に顔を出したところで、言える言葉もないし
ごっちんの気に障ることはしたくなかったから。
けどあたしは、そんな自分に苛つくばかりで。
気づけば花屋でごっちんが好きそうな花を選んでいた。
ドアの横に置いたけど気づいてくれただろうか…。
- 240 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時57分37秒
結局は約束を守れなかったあたしがいけなかった。
偉そうなことばかり言って。
ごっちんが人一倍「裏切られる」ことを恐れていると知っていたのに。
それを知っていながらあたしは、ごっちんの側から離れたんだ。
もう終わってしまったこと。
「考えても仕方ないか……。」
体をゆっくり起こすと、固い床に寝ていたせいで背中が少し痛かった。
「雨、降ってるかなぁ…」
夕方辺りから外が曇り始めたのを思い出して、帰るのが面倒だと溜め息を吐いたけど、ずっと
ここにいるわけにもいかないし。
携帯をポケットから出して、時間を確認するともう10時を過ぎていた。
一時間以上ここで寝ころんでいたことになる。
「ハァ…帰ろ……。」
- 241 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月13日(水)23時59分39秒
「……………え…。」
ハァーッと大きく溜め息をついた瞬間だった。
大きな音を立てて、ずぶ濡れ女の人が入ってきたのは。
あまりの驚きに一瞬言葉を失ってしまった。
随分と間抜けな顔をしていたかも。
それでも、濡れて少し黒くなった茶色い髪は見覚えがあったし、整った顔立ちは
見間違うはずもなかった。
「………………ぁ……ご、っちん……?」
「ハァ…ハァ……」
息を切らせたまま、雨で濡れた重い足取りであたし方に歩いてきた。
頭がついていかない…。
どうして、ごっちんがここにいるのか。
どうしてそんなに雨に濡れているのか。
どうしてそんなに泣きそうな目をしているのか……。
- 242 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月14日(木)00時06分32秒
どうして良いのか分からずにボーっと歩いてくるごっちんを見ていた。
あたしと1メートルほどの距離を保ってごっちんは止まった。
立ち止まったところでは大きな水溜まりが出来ていく。
ごっちんは濡れた手を濡れた服で拭いて、何とか水滴を落とすと
ゴソゴソとバッグの中から何かを取りだした。
よく見るとそれは小さな紙袋。
持っている手が震えている。
当たり前だ。
いくら暑いとはいえ、もうすぐ9月も終わろうとしているし、こんなずぶ濡れになるまで
雨に打たれたらどんどん体温を奪われてしまう。
唇は赤みをを失って鈍い色に変色し、歯は震えないようにギュッと
無理に噛み合わせているのが分かった。
「…こ、これ……。」
ツーッと水滴が腕から伝って紙袋にジワッと吸い込まれる。
それを見て、ハッとなった。
- 243 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月14日(木)00時25分03秒
「ちょ、ちょっと何でそんな。」
そんな姿でいたら、すぐに風邪引いちゃう…。
あたしは慌てて自分のバッグからタオルをだそうとして、駆け寄ろうとした。
……冷たい?
グッと手首を掴まれた。
「……ぇ…。」
振り返ると
「い、いい…すぐ帰るから……。」
と止められる。
その目は完全に泳いでいた。
「…でも、そんな格好じゃ…。」
「…………これ。」
あ…あたしにだったんだ…。
「う、うん…。」
戸惑いながら受け取ると、ごっちんはホッとしたようにちょっとだけ笑ってくれた。
それはぎこちなくて、笑顔と呼べるものだったか…。
それでも、いつ振りに見た笑顔にあたしは暫し見とれていた。
- 244 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月14日(木)00時32分08秒
「……それ…きっと気に入ると思う……。」
「え?あぁ…。」
自分の手の中に収まっている紙袋に目をやる。
気に入るって、何が入ってるんだろう…。
「…別に、許してもらおうなんて思ってないから……。」
ポツリポツリと喋るごっちんの言葉の意味が分からなかった。
だって、どうしてそんなに怯えたような目であたしを見るのか。
「こんなになる前に、言えれば良かった……。」
ごっちんは何を言ってるんだろう?
許して貰うとか、言えれば良かったとか
何をそんなに怖がって…
「あんなことして…ごめん、なさい……。」
あたしの前で、ちょっとだけ俯きながらごっちんはそう言った。
- 245 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年02月14日(木)01時29分41秒
…………ご、めんなさい……?
二人の間に沈黙が漂う。
出来た水溜まりにポタポタと、水滴が落ちる音だけが響いた。
どうして、謝るの?
裏切ったのはあたしじゃない。
約束を守れなかったのはあたしじゃない…………。
俯いて、顔の表情がよく見えなかった。
小刻みに震えているのが、寒さのせいじゃないのはあたしでも分かった。
ねぇ、ごっちんよく分からないよ。
何で………謝るの……。
「……好き…だったんだ………。」
- 246 名前:すなふきん 投稿日:2002年02月14日(木)01時37分57秒
- >>226 しーちゃんさん
恐らくラストは次回になると思われ。
後藤さん、頑張ってますねー(w
ここまで書くとキャラに愛着が湧くといいますか…(ニガワラ
最後まで頑張ってもらいます!!
>>227 Blurry Eyesさん
ついに渡しましたーー!(w
ラストまで後一歩。最後までおつきあいください♪
- 247 名前:しーちゃん 投稿日:2002年02月14日(木)08時11分23秒
- すなふきんさん、最高です。朝から泣かせてもらいました。
切ない心情表現が、うまい!流石です。
寂しいですが、ラストまでがんばって下さい。
- 248 名前:りんご 投稿日:2002年02月15日(金)22時51分51秒
- 初レスです。
もう、むっちゃいいっすよ!!これ!!最高っす!
吉後すげぇ〜〜。ラスト頑張ってくださいね!!
- 249 名前:名無し 投稿日:2002年02月16日(土)13時03分17秒
- うわ〜すわ〜のわ〜っ!!
気になる、マジ気になるっす!
最初からいつも読んでいました。後藤と吉澤、切ない関係が最高です。
- 250 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)01時42分03秒
- 更新されてる!
っていうか、気になる!
すげーイイ!この小説
ラストがんばってください!
- 251 名前:りんご 投稿日:2002年02月17日(日)08時29分02秒
- 更新を日々楽しみにしてますよ(w
ホントに書き方がうまいっすね〜。
今まで呼んだ小説の中ですなふきんさんのは一番、
なんか、こう、心にくるんですよね^^
小説読んで胸が痛くなってくるのは、すなふきんさんぐらいですよ!
ラストめっちゃ楽しみにしてますよ!
これでも受験生なんですけど、読み出したら止まりません!(w
頑張ってくださいね!!
- 252 名前:Blurry Eyes 投稿日:2002年02月18日(月)17時06分30秒
- はぁ・・溜め息が出ちゃいますよ、この展開。
最高としか言いようがありませんね。ますますすなふきんさんの世界に
引き込まれちゃいました。(w
最後までついていきますよ!!頑張ってください!!
- 253 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月28日(木)02時23分53秒
- そろそろ続きを…
- 254 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)20時01分34秒
- ずっと読ませて頂いてますがかなり最高です・・・
よしごまが一番好きです。最終回期待してます
頑張って下さい!
- 255 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時10分49秒
「…………………。」
…………好、き……?
頭の中で、途切れ途切れに梨華ちゃんの俯いたような笑いが。
あたし、あの時も、突然告白された。
何にも言えなくて、だからといって特別あたしの中で変化があったわけでもなかった。
ただ、痛々しく笑う梨華ちゃんを見て、何で
あたしなんだろう…とぼんやり思っていたくらいで。
梨華ちゃんの気持ちには自分は応えられない、とすぐに答えは出てきた。
あの日と重なる突然の告白。
どうして、あたしなんだ……。
ただ、どうしてもごっちんと梨華ちゃんの姿が重なって見える、ということはなく。
- 256 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時13分02秒
「……好きって……そんな…何で…………。」
黙って俯くごっちんに、あたしは掛ける言葉も見つからない。
あたしの頭の中は何が何だか分からなくて、もう滅茶苦茶。
だって、ごっちんはあたしのことを………。
だから、あたしから離れたんだよ?
「…ゴメン………。」
ごっちんは俯いたまま、混乱しているあたしに向かって言葉を続ける。
「……今更こんなの言ったって……迷惑なのは分かってる………。
ただ、これは…本当の、気持ちだから……。」
本当…?
……じゃあ、今までのごっちんは?
「……このまま何もなくなちゃうのが、恐くて……。
別に、よっすぃーの答えを聞くためじゃない……
自分の気持ちを言いたかっただけ……。」
- 257 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時17分33秒
ゆっくりあたしの方を見て、寒さで血の気のなくなった顔で笑うごっちん。
胸の奥にジワリと湧いてきたその感情とは対照的に、困惑して今までの
ごっちんの行動とか、言葉とか…何かヒントを得ようと、必死に探し回ってるあたし。
「…勝手すぎだよね、いつも、いつも。
ハハッ…裏切ってばっかだよあたし。
よっすぃーのこと……………。」
「………………。」
頬を伝ってポタッと落ちた。
彼女の作った水溜まりに。
彼女の涙が。
「…帰るね……。」
動けなかった。
雨水で全身を濡らして帰っていくその姿を見ている自分が、やけに他人事のよう。
ドアノブを掴んで振り返る振り返るごっちん。
その顔は泣いているのに無理な笑顔。
それを見るのが辛くて、あたしは思わず眉を寄せる。
「……バイバイ。」
そう言ったごっちんの両目からポロポロと涙が溢れて、あたしは
何も出来ずに見つめていた。
- 258 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時19分31秒
どうやって帰ってきたか、なんて全く覚えていない。
あたしの思考の全てはごっちんに注がれていたから。
お母さんが夕飯を作っていてくれたけど、あたしは当然それを食べる気にはなれなかった。
乱暴に部屋のドアを閉め、ベッドにガバッと倒れ込む。
目の前にバラバラのパズルを置かれたような苛立ち。
みんなどうして、あたしなの?
あたしの何が良いっていうの?
結局あたしはいつも何も出来ずに終わるんだよ。
「………クソッ!!!」
グルグルと回る増長していく思考に苛ついて、ベッドのすぐ側にあった小物入れを
思いっきり壁に投げつけた。
大きな音が響いて、中身が散乱する。
「………………。」
こんなことしても、意味ないのに…。
だけど、少し離れた場所で予想通り散乱している小物を見て、ほんの少しだけ
気持ちが落ち着いた。
大きく溜め息を吐いて、あたしは体を起こす。
- 259 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時22分17秒
「……そう、言えば…。」
ごっちんのことで頭が一杯だったせいか、忘れていた。
その本人がくれた、紙袋を。
バッグを手繰り寄せ、中を覗く。
無造作に押し込まれたそれは少しクシャッとなっていた。
取り敢えず、その紙袋を取り出し、そっとテープを外して中身を。
出てきたのは、たいして大きくもない白い箱。
「何、これ……。」
この中に何が入っているというのか。
あたしは紙で出来たその箱を、開ける。
中には淡いピンク色の紙のクッションが敷き詰められていた。
それを指で掻き分け隠れている物を探る。
- 260 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時25分22秒
すぐに見つけたそれの意味が分かって、あたしは言葉を失った。
だって、あたしの手の中にあるのは、あの日二人で聴き入ったオルゴールだったから。
そのメロディーはごっちんを思い出させて、あたしは買うのを止めたのに。
………え?
買うのを、止めた?
……………なん、で?
そうだよ、何であたしは買わなかった?
良いじゃん。ごっちんを思いだしたって。
何か、都合の悪いことがある?
何もない。
じゃぁ、なぜ………。
あたしは、ごっちんを思わせるそれが側にあるのが、嫌だった。
ううん、違う。
恐かった、んだ。
あたしは、知らない振りをしていた?
自分に、嘘を…?
あたしは
ごっちんが、好き?
- 261 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時27分17秒
冷え切った体は別に気にならなかった。
白い目であたしを見る視線も。
スタジオを出てたところであたしは行く当てもない。
家に帰る気にもなれず、あたしは何時間かフラフラと雨の中を歩き続けた。
何か、疲れたなぁ…。
今まで必死によっすぃーの姿を追い掛けてきた。
でも、手に入れたものは何だった?
何も。
よっすぃーとの関係は跡形もなく崩れた。
傷付けて、勝手な想いを伝えて。
浅い、表面上の想いなら誤魔化せた。
でも、深くあたしの心に張り付いて離れないそれは。
誤魔化そうとすればするほど、止まらない涙が証拠だった。
- 262 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時33分02秒
どうせ、こうなるんだったらもっと綺麗に言いたかった。
こんな汚いあたしだって、バレる前に。
息が切れ切れになって、足も感覚がない。
どこかで、休みたかった。
でも、行く当てなんて…。
そう思いながら街灯が照らす細道の壁に寄り掛かっていたら。
『あ、ごっちん?』
無機質に響く携帯に出ると、なっちからだった。
「なっち……。」
『えっと、別に用ってわけじゃないんだけど。ほら、最近ごっちん元気なかったじゃん?
だから、なんか悩んでるのかなぁ…なんて。ハハッ』
なっちの優しい声が、余計にあたしの涙を誘った。
『…ごっちん?泣いて、るの?』
それから、すぐになっちが、どこにいるの?って聞いてきて、外って答えたら
『外、雨降ってるでしょー?寒いからなっちの家おいで。』
って言ってくれた。
でも、あたしは裏返るような声で、行けないと言った。
卑怯で汚いあたしがなっちと一緒にいるのが許されない気がした。
あたしは沢山みんなに迷惑掛けたから、もっともっと苦しまなきゃ
誰も許してくれないんだよ。
『どうして?』
「だ、だって…。」
『今どこ居る?』
「分かんない…。」
『うーん…じゃ何か側に目立つ建物ある?』
黙っていたら、ちょっと真剣味を帯びた声で、なっちがあたしの名前を。
あたしはポツリと目に付いたビルの名前を言って、なっちが来るのを
その場で待つことになった。
- 263 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時37分03秒
「温まった?」
「うん…。」
暗闇の中びしょ濡れのあたしを、タクシーから降りて来たなっちは
ちょっとビックリしたような顔で見たけど、そのことに関しては何も聞かなくて
ただ優しくあたしの手を引いてくれた。
なっちの住んでいるマンションは前に2回くらい、やぐっつぁんと遊びに来たことがある。
部屋は暖色系の色が多くてなっちらしいと前に来たときと同じことを思った。
お風呂からあがったあたしを、なっちは暖かいココアを作って待っていた。
「…ゴメン……。」
「なぁーんで、謝んのさ。」
ちょっと可笑しそうになっちがそう言ってくれたおかげで、あたしは幾分
罪が許されたような錯覚を起こす。
ゆっくりなっちの隣に座ってココアの注がれているカップを両手で包んだ。
「もう、あんなとこで1人でいるんだもん。ビックリしたよ。」
「…何か、1人になりたくて……。」
「そっか。なっちもそういうときあるよ。」
淡いオレンジ色の机に肘をついて、雑誌を捲るなっちは特に何も聞いてはこなかった。
- 264 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時39分52秒
あたしは膝に顔を埋めて、もう一回謝る。
「…ゴメンね、なっち…。」
なっちは雑誌を捲る手を止めた。
クルッとあたしの方を見ると首を傾げてあたしを呼ぶ。
「ごっちん。」
膝から顔を上げるとなっちは澄んだ目であたしを抱きしめた。
ビクッと自分の体が震える。
「ごっちん…なっちはごっちんの気持ち全部、知ることなんて出来ないけど
こうやって抱きしめてあげられるし、話だって聞いてあげられる。」
何だか上手く、息が…。
「あ、あたし…ただ…。」
震える声で言葉を繋ぐけど、何から言って良いのか…。
なっちは急かすことなくずっと優しく背中を撫でていてくれて、あたしは
滅茶苦茶になった頭の中をゆっくり辿っていく。
- 265 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時45分12秒
「そっか…。」
「ウッ…ンッ…。」
嗚咽で震える背中。
なっちは涙でグチャグチャになったあたしを抱きしめて離さない。
「誰も悪くない…。誰も。」
「ッ、あたしだよっ!…あ、たしが…。」
全部、あたしが悪いんだ。
よっすぃーを好きになったあたしが。
「違うって!誰も…悪くなんかない。」
なっちが少し大きな声で否定する。
「何で…ッ……何でぇ…。」
分かんない。
分かんないよ…。
「ただ、好きになっただけ…人を好きになっただけだよ。
自分を責めることなんてない。」
ギュッと抱きしめられた腕が、あたしを繋ぎ止めていてくれる。
「…もう、ヤダぁ……ッ…」
こんな泣き方をしたのっていつ振りかな…。
あたしはなっちの包み込んでくれるような暖かさの中で
段々と沈んでいく意識を感じていた。
- 266 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時48分46秒
インターホンを押して、深呼吸を俯いたまま繰り返す。
早く…。
焦る気持ち。
もう、夜も遅いから寝ているかも。
でも、それくらいで帰るわけにはいかない。
もう一回押そうとしたときに、ガチャッと小さく扉が開いた。
「あ、安倍さん!」
タクシーに乗っている間、ごっちんの携帯に電話したけど繋がらなくて、仲のいい
矢口さんと安倍さんなら知っているかも、と矢口さんに掛けたら
「なっちんとこじゃない?何かメチャメチャ心配してたし。」
それからすぐに、安倍さんに掛けたけど繋がらない。
矢口さんの言うとおり、二人が一緒にいると予想が付いた。
そして、あたしは前に教えて貰った曖昧な記憶でここまで来た。
- 267 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時52分21秒
「よっすぃ…?」
こんな夜遅くにやってきたのがあたしだと分かると、大きくドアを開けてくれた。
随分とその顔は驚いていて、咄嗟に頭を下げた。
「すいません、こんな時間に…。」
「え?あ…イヤ……えっと…。何で?」
黒目がちの目をあたしに向けて安倍さんは少し苦そうな顔をした。
「…あの、ごっちんが…ここにいるかもって……。」
「矢口?」
「あ、はい…。」
「もう、矢口のやつ…。」
自分は邪魔者かもしれない。
でも、ここで引き下がったら絶対に後悔するのは確信できた。
この先がどうなるにしろ、あたしはごっちんに会わなきゃ。
「どうするの?ごっちんに会って。」
笑顔がトレードマークと言って良いくらい、いつも笑っている安倍さんの顔には
それがなかった。
真剣にそう聞かれて、あたしはちょっとだけ体が強張る。
思っていたよりも妙に現実味があって少しだけ逃げ出したくなったけど。
「…分かりません。でも、ごっちんに…会いたいと思ったから…。」
握りしめていた拳にさらに力がこもる。
手のひらに生暖かい汗をかいて気持ち悪い。
安倍さんは暫くじっとこっちへ強い視線を送ったあと
「あたし、矢口んとこ泊まってくるから。」
溜め息混じりにフフッと笑ってそう言った。
見慣れた微笑みを見て拳が自然と解けた。
- 268 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時56分27秒
あっという間にいなくなった安倍さんの部屋。
初めて入るそこは、暖かい色の小物が多くて安倍さんらしい。
あたしは深く息を吐いて、足を進めた。
頭の隅では、せめてごっちんが何処にいるかくらい教えてくれても、と。
心臓はこれ以上ないほど大きく音を立てて、頭が上せてしまいそう。
リビングにあるテレビは消されていて、人の気配がない。
「ごっちん…。」
目に付いたお洒落な掛け時計を見て、寝室らしき部屋を探した。
もう寝ていて当然だ。
薄暗いオレンジ色の明かりがドアの隙間から零れている。
ここ、か…。
音を立てないようにソッとドアを開けたら一瞬、その暗い部屋に
目が痛くなったけど、次にはもうサッパリした部屋を見渡せた。
大きめのベッドのシーツが少し膨らんでいる。
容易にその中にいるのがごっちんだと分かった。
起こさないようにそのベッドに近づいてフローリングに膝を立てると
彼女は規則的に寝息を立てていた。
安らかな寝顔は何度見ても、綺麗だと思う。
- 269 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月03日(日)17時59分14秒
「……ごっちん。」
随分と深く眠っているように見えたごっちんを起こすのは多少躊躇われたが
あたしは彼女が起きるのを朝まで待っているほど、自分の気持ちを整理し切れていない。
呼び止めるお母さんを無視して、殆ど勢いでここまで来たくらいだし。
「ごっちん。」
名前を呼んでも起きない彼女を揺り起こそうと、手を伸ばした。
けど、その手は中途半端に止まってしまう。
「……よ、すぃ…。」
目を覚ましたごっちんが掠れる声であたしを呼んだから。
来たは良いけど、いざこうなるとどうしていいのか…。
意気地のない自分にさらさら呆れてしまう。
「何で…ここに?」
表情に変化は見られなかった。
笑っているわけでもなくて、怒っているわけでもなくて。
それは部屋が薄暗いせいなのかも。
ごっちんの声がやけに遠くで響いた気がして、遅れて返す。
「あ……ゴメン…。」
どうして謝ったのか。
ごっちんを起こしたから?
ここまで追い掛けてきたから?
雨に濡れた姿を止めなかったから?
ずっと、あたしが臆病だったから?
どう考えてもその言葉しか見つからなくて、あたしはそう言うしかなかった。
- 270 名前:すなふきん 投稿日:2002年03月03日(日)18時08分22秒
皆様、沢山のレス本当に有り難うございました。
あれを栄養に書き続けているヘボ作者だったりするので。
間が大分開いてしまってすみません(汗
本当は今回までに完結させようと思っていたのですが、まだここまでしか話が
出来ていなくて…(ニガワラ
もうここまできたら、次回更新までに決着を(w
どうか、見放さないでやってください…m(_ _)m
- 271 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時26分51秒
ごっちんは相変わらずあたしをボンヤリするような目で見据えたまま。
「何で、謝るの?……言ったじゃん。あたしが悪いって。」
その声はなんだかとても疲れていた。
彼女はこんなに弱かっただろうか…。
「ねぇ…。」
掛ける言葉を探していると、ごっちんがゆっくり体を起こして
握りしめたシーツを見つめながら
「何しに来たの…。」
「何って…。」
クルッとあたしの方を見るその目はさっきまでと違い、強い色が。
そのとき気づく。随分と泣きはらしたらしい、と。
薄暗い部屋の中でも目の周りが赤くなっていたから。
- 272 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時28分31秒
「どうせ、あたしのこと心配で来たんでしょ…。」
「ちがっ」
「何でっ!?」
遮るようにごっちんの声が部屋に響く。
あたしは思わずその声にたじろいでしまった。
「同情なんかしないでよっ!!」
「違うって!」
「ウソっ!よっすぃーはそうやって、いっつも…。」
小さく消え入るように言葉が。
ごっちんは必死に泣かないように唇を噛み締める。
目にはもうこぼれ落ちそうな涙が溢れていた。
「そうやって、優しいから…あたしが勝手に……。」
「ごっちんっ!」
「もう、ヤメてよぉ……。」
- 273 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時31分31秒
あたしはベッドの上で項垂れるごっちんを腕の中に閉じこめた。
それはもう、ほとんど体が勝手に反応したような。
上手く伝わらない。
ちゃんと、うちらは同じ想いなのに。
どうして…こんな。
腕の中で、イヤだと暴れるごっちん。
「離してっ!」
「離さない!」
あたしの腕を掴んで引き離そうとする。
あたしは余計に力を込めて、抱きしめた。
ごっちんは癇癪を起こした子供みたいに、あたしから逃れようと藻掻く。
ベッドで二人こんなことしていたら、当たり前かもしれない。
二人して、固い床に転げ落ちた。
それでも、あたしは腕を放す気はなくて、自分の方に抱き寄せた。
「…ハァ…ハァ…。」
「…知らなきゃ、良かった…出会わなきゃ良かった、よっすぃーなんかっ!!」
言葉とは裏腹にきつく抱きつくごっちん。
嗚咽とすすり泣くような声が耳を衝く。
感情を剥き出しにして、当たってくるごっちんにショックを受ける反面、
なぜだか少しだけ感情が疼く。
伝えなきゃ…そのために来たんだから…。
- 274 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時33分28秒
「ごっちん、オルゴール見たよ…。」
上手く呼吸が出来ないくらい泣きじゃくるごっちんに、あたしは話し始める。
「まさか、覚えてるなんて思ってなかった……。
結構前のことだし…あの店にいたのなんて、ほんの少だったから……。
ねぇ……何で、あたしが買わなかったか分かる?」
もちろん、ごっちんが答えてくれるのを期待して聞いたわけではない。
「思い出すんだよ絶対。あのメロディー、聴いてると。……ごっちんをさ。」
少しだけ震える体が跳ねた。
何かしらの反応があたしの想いを押し出す。
「側に置いてたら、どんどん好きになる。だから買わなかった。」
瞬間、ドンッと体を押された。
ごっちんはあたしから離れるように上半身を起こす。
あたしもそれに続いて、体を起こした。
見えたごっちんの顔は明らかに困惑の色が浮かんでいる。
- 275 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時35分08秒
「ウソなんかついてないよ…。ホントに。
……ドアの横に置いた花束、気づいた?
好きでもないのに、そんなことわざわざしない…。」
気づいたときには、ごっちんから思いっきり抱きついてきて。
お互いを感じるように苦しいくらい抱きしめた。
「好き…好き…。」
ごっちんは抱き返すことしか出来ないあたしに、涙で震える声で
一生懸命想いを伝えてくれる。
あたしの服はきっとごっちんの涙で濡れているんだろうな。
お気に入りのトレーナーだったけど、全く気になんてならない。
その方が、かえって嬉しいくらいだった。
だって、ごっちんの気持ちが沢山詰まった涙だもん。
- 276 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時35分56秒
あたし達はただ、人を好きになって愛し合いたいと。
純粋にそれを望むことが、そんなに悪いことなのかな?
- 277 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時39分13秒
「また、聴いてんの?」
「んー。」
よっすぃーがジュースの入ったグラスを2つ持って部屋に戻ってきた。
目の前でゆっくり回転するオルゴールを眺めるのが、この部屋に来ての日課。
よっすぃーはそんなあたしを呆れたように見るけど
それ以上は何も言わないからあたしも止めない。
「だって、これ聴いたらあたし思い出すんでしょ?」
「あー、もうイイってば。」
照れたようにジュースを飲んで、ドサッとベッドに腰掛けるその姿を
あたしは笑いながら見送った。
あれから1年。
時間が傷を癒してくれるというのは、満更ウソでもない。
全てがそういうわけに、いかないのも事実だけど。
梨華ちゃんとはすっかり前の関係に戻ることが出来た。
あんな酷いことをした、あたしを許してくれるなんて
本当に梨華ちゃんはお人好しだ。
そんな梨華ちゃんだから、きっといい人が待っていてくれるはず。
圭ちゃんとなっちには本当に心配を掛けた。
もちろんそれは、メンバー全員に言えることだけど。
いくら謝ってもそれは返せないくらい。
あの二人がいなかったら、あたし達はどうなっていたのか。
卑屈になっていたあの頃の自分を、恨まずにはいられない。
- 278 名前:musical box 〜あの日のオルゴール…〜 投稿日:2002年03月04日(月)00時42分27秒
「ねぇ、天気良いからどっか行こうか?」
あたしはそう言われて、大きな窓の外を見上げた。
もう、秋か……。
「一年だね…。」
そう言ってベッドにいるよっすぃーに振り返ると、目の前が暗くなった。
「行こ。」
「あ…うん。」
唇に残る感触が、顔を赤くさせる。
突然のキスはビックリしたけど、胸がドキドキする理由が
それだけじゃないのはよっすぃーだから。
色褪せた毎日を変えてくれたのはよっすぃーで。
許されないことをしてまで手に入れたいと、思わせたのもよっすぃーで。
「公園でも、行く?」
「うん。どこでも良いよ。」
「ごっちん、いっつもそれじゃん。」
軽く笑う顔にも、いちいち反応してしまう。
あたしが一体何を彼女に与えているのか見当も付かない。
それでも、秋の空とか、空気の匂いとか、感じるもの全部が
溢れる想いを認めてくれている気がしたんだ。
…END
- 279 名前:すなふきん 投稿日:2002年03月04日(月)00時46分49秒
やぁーっと終わりましたね…(w
今回は書いていて非常に楽しかったです。
最後はやっぱりハッピーエンドに。
一瞬、痛い目の終わり方も考えたのですがやっぱり、ね(w
あやふやなところも沢山あるんですけど、その辺はどうか(ニガワラ
ここまで、これたのも皆様の励ましの言葉があってのおかげです。
最後まで、本当に有り難うございました。
- 280 名前:とっと 投稿日:2002年03月04日(月)02時45分35秒
- すなふきんさん、お疲れさま!
すなふきんらしいラストで・・・ありがとうございます。
- 281 名前:しーちゃん 投稿日:2002年03月04日(月)12時47分29秒
- お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
ハッピーエンドが、こんなにもすばらしいものとは思いませんでした。
感動です!
- 282 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月06日(水)15時42分06秒
- お疲れ様でした!!!
感動です!最高です!!
自分の中ではよしごまの最高傑作です!!
本当にありがとうございました
そして、黄板も楽しみにしてます。
- 283 名前:すなふきん 投稿日:2002年03月17日(日)14時34分05秒
- >>280 とっとさん
感想有り難うございます。
ラストの方はちょっと勢いでダーッと書いてしまったので
上手く伝え切れなかった気がしますけど、取り敢えず終わったので一安心(w
>>281 しーちゃんさん
毎回丁寧なレス有り難う御座います。
自分には過ぎる言葉を頂いて、本当に嬉しいッス。
暫くは修行の旅に出ますけど、戻って来た際にはまた読んでやって下さい(w
>>282 名無し読者さん
有り難う御座います(照
最高っすか?う、嬉しい…(感涙
黄板の方、終わってしまいましたけど楽しめて頂けたでしょうか?(ニガワラ
次回作は当分先になると思いますけど、その際にはまた宜しくお願いします。
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