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雨がよんでる U

1 名前:作者です。 投稿日:2001年10月16日(火)00時54分37秒

 ここ、風板で書いていた『雨がよんでる』の続編です。
 『とある町の喫茶店』の続編になっています。
 前のスレが一杯になったので新しく作りました。
2 名前:作者です。 投稿日:2001年10月16日(火)00時56分34秒

 中途半端なところで移動となりました。
 これからはここでお願いします。
 これからも宜しくおねがいします。
 感想など、また書いていただければ光栄です。
 
3 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月16日(火)01時12分01秒

 中澤はそっと矢口の肩を抱いた。
 矢口も中澤の肩に頭を傾ける。
 中澤はビールを飲み干すとクシャリと潰して投げ捨てた。
 「そっちにゴミ箱あるの?」
 「ん?あるやろ。」
 中澤は矢口にキスをした。
 最初は抵抗を見せた矢口も次第に受け入れた。
 「…ん…。」
 中澤の舌が矢口の口に入る。
 矢口の腕が中澤の背に周り二人はゆっくりとベッドに倒れこんだ。
 「矢口…。」
 中澤が口を離す。
 「裕ちゃん…。」
 「…ええんか?」
 「・…・・。」
 矢口は中澤を見つめたまま何も答えない。
 「矢口?」
 そっと髪を撫でてやりながら中澤は矢口の返事を待った。
 「・…。」
 矢口は中澤のシャツの胸元を掴んだまま何も言わない。
 「矢口の気持ちをゆーてや。」
 優しく話しかける。
 「・…待ってくれる?」
 「…ん。」
 中澤は矢口の額に軽くキスをした。
 「矢口の気持ちが1番やからな。」
 そう言うと、寝よか。と矢口を布団の中にいれてやった。
 
4 名前:15 投稿日:2001年10月16日(火)02時12分06秒
ついに新しいレスにお引越しですね。
後が少ないので、ずっとカキコしていなかったのです。
もう、無茶苦茶甘々ですね。
いろいろと二人で乗り越えていって、幸せになって欲しいです。
あと、市井と後藤のラブラブぶりも好きですね。
市井と中澤が、一緒にお酒飲んで、矢口のとことか話してるとこも好きです。
では、この辺で、失礼します。
5 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月16日(火)09時43分36秒
15さんに同じく、カキコを控えていたものです。
ねえさんと矢口がくっつく場面は、いささか唐突のような気がしましたが、こうして進んでいって二人の幸せな様子を見ていると、結果オーライですね。
優しい気持ちになれるスレですね。これからも楽しみにしています。
6 名前:作者です。 投稿日:2001年10月16日(火)15時57分54秒

 >15さん。
 いつもありがとうございます。
 とりあえず甘い線で進んでおります。
 これからもよろしくお願いします。

 >5さん。
 気をつかっていただいて有難うございます。
 確かに唐突でした…。矢口の面ばかりで進めてたので。
 結果オーライと聞いて一安心^^
 これからもよろしくお願いします。
7 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月16日(火)16時10分45秒

 矢口は中澤にしがみつく様に寝転がった。
 「寝よか。おやすみ。」
 中澤は矢口を包み込むように腕をまわす。
 「おやすみ、裕ちゃん。」
 居心地のよい空間。
 月の光がそっと二人を照らしていた。

 ― 朝 ―
 矢口が目を覚ますと中澤は幸せそうにまだ眠りについていた。
 矢口はじっとしながら中澤の顔を見ていた。
 中澤の腕がずっと矢口を包みこんでいる。
 「…裕ちゃん。」
 矢口が声をかけるとゆっくり中澤が目を開いた。
 「・・ん?起きたんか?」
 矢口をぎゅっと引き寄せ、軽く口付ける。
 「おはよ。」
 「おはよう。」
 二人は見詰め合ったまま動かなかった。
 「矢口はいっつも早起きやな?」
 少し笑いながら矢口の額をこずく。
 「やっぱりおばぁちゃんみたいやん。」
 「何だよ〜。」
 ベッドの中で二人は少しじゃれた。
 「まぶしかった?」
 天窓から朝日が二人を照りつけていた。
8 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月16日(火)16時42分12秒

 「いつもはブラインドしめてるんやで。」
 少し眩しそうに中澤は手をかざした。
 「昨日は…月見てたかったからな。」
 「大丈夫だったよ。」
 矢口はゆっくりと起き上がった。
 中澤もつられて起き上がる。
 「もうこんな時間なんや。準備しなあかんわ。」
 「そうだね。」
 二人はそろって寝室を後にした。

 (女の人同士って…)
 矢口は営業中、ずっと昨日のことを考えていた。
 (どうすんの?裕ちゃんはどうしようとしてたんだろ?)
 中澤を盗み見る。
 客の話相手をしている中澤がいた。
 (なんか…考えられないっていうか…)
 レジの横に立ちながら矢口は悩んでいた。
 (付き合うってことはやっぱり…含むんだよ・・ね?)
 自分に問い掛ける。
 矢口の気持ちを尊重してくれると言っていた中澤。
 確かに急に答えをだす必要もないと考えられるが、
 矢口は中澤になんとなく申し訳無かった。
 
9 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月17日(水)01時38分11秒

 中澤も考えていた。
 (やっぱ、早すぎたかな?)
 まだ2日しかたっていないのだ。
 (絶対矢口に嫌われたわ〜。)
 チラっと矢口を見ると、何やら考えている様子。
 自分のことを考えているかもしれない…。
 中澤は矢口から目が離せなかった。
 (・・っちゅーか普通女同士ってやんのかな?
  昨日うち酔ってて変やったんかな?)
 中澤は昨日の自分の行動がどんどん恨めしくなってきた。
 (あーわからん!!でも後で矢口にあやまっとこ。)
 中澤はそう決心すると矢口から目線を外し、カウンターの客と
 話始めた。

 矢口は何か吹っ切れない物があった。
 (裕ちゃんのことは凄く好きなのに・・・。)
 自分で自分が憎らしい。
 中澤の期待にそいたいのにそえない自分がいる。
 何が矢口をとどめているのか?
 矢口の苦悩は果てしなく続きそうだった。
 (やっぱり裕ちゃんはやりたいんだろうな?)
 矢口は複雑な気持ちで、中澤をあまり見れなくなってしまった。
10 名前:てむ 投稿日:2001年10月17日(水)16時18分28秒
今日、初めて読みました。
一気に読んでしまいました。
めちゃくちゃ面白いです〜。
今後どうなるのか、すっごく楽しみです。頑張ってください〜〜〜。
11 名前:作者です。 投稿日:2001年10月17日(水)21時12分59秒

 >10 てむさん。
 前のから読んでくださったんですか?
 結構長いのに…
 めっちゃうれしいです!!ありがとうございます!!
 これからも是非読んでくださいね。
12 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月17日(水)21時30分00秒

 お互いなんとなく気まずい感じで夜をむかえた。
 客の居ないのを見計らって一緒に夕飯を食べる。
 仕事中だというのもあるが、二人はなんとなくよそよそしい。
 (やっぱり昨日の事おこってんなぁ〜。)
 中澤は矢口を横目で見る。
 (裕ちゃん、なんか機嫌悪そう…断ったのがだめだったかなぁ。)
 矢口も中澤を横目でみた。
 お互いの視線がぶつかる。
 「ど、どしたん?」
 「ゆ、裕ちゃんこそ…。」
 ハハハ、と適当に笑い視線を戻す。
 (あかん!!完璧に怒っとるわ〜。)
 (なんかヤバイ感じ!?)
 二人は勘違いをしたままモンモンとその時を過ごした。

 (あーどうしよ。裕ちゃんに嫌われたのかも!?)
 矢口は店がバーに変わってもあいかわらず中澤のことを考えていた。
 (断り方も悪かったのかも!?)
 昨日の自分の行動を思い返す。
 (裕ちゃん全然絡んで来ないし…。)
 いつものテンションの高い中澤の姿はない。
 たまに険しい顔つきをしている中澤に矢口はいつもの様には
 近寄れなかった。

13 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月18日(木)14時51分52秒

 「矢口これ頼むわ。…矢口?」
 中澤が顔を上げると矢口はなんの反応もなくただじっと立っていた。
 (いっつもやったらすぐ飛んでくんのに。やっぱめっちゃ怒ってるんや。)
 中澤はおそるおそる矢口に近付いた。
 「や、矢口・・さん。これお願いします・・。」
 
 矢口は突然の中澤の接近にかなり驚かされた。
 決して突然ではないのだが、考え込んでいた矢口には突然だった。
 「はっはい。」
 中澤から皿をうけとると急いで運んで行く。
 (今・・矢口さんって呼ばれたよね…。はぁ、ダメダ〜。)
 (めっちゃ急いでうちから離れて行きよった…めちゃめちゃ
  嫌われてるやん…。)
 それぞれが勝手な妄想で落ち込む。
 それは店をしめてからも続いた。

 淡々と片付けも終わりなんとなく手持ち無沙汰になる。
 「おっ、お疲れさん。」
 中澤は矢口に声をかける。
 「裕ちゃんもお疲れ。」
 お互い声のハリはまったくない。
 普段1番を競うぐらいの元気な二人であるのでやはり
 お互いのその声が心をかきみだした。
14 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月18日(木)15時05分48秒

 (あかん。うちが悪いんやし早く謝っとこ。それでも許してくれへん
  かったらどうしよ…。)
 なかなか中澤は言葉を出せないでいた。
 (下手に昨日ごめんっとか言ったら神経さかなでしちゃうかな?)
 矢口も言葉をだせないでいた。
 微妙な沈黙が二人を包む。
 「や、矢口…。」
 中澤がやっとの事で口を開いた。
 「・…な、何?」
 矢口は自分が唾を飲みこんだ音が響いて聞こえた。
 「…ごめん!!ほんまごめん!!うちが悪かった。」
 中澤は捲し立てるように言って、頭を下げた。
 「昨日は変なことゆーて…許してください。」
 「へ?」
 矢口は状況がまったくつかめなかった。
 「怒ってんのは重々承知してる。でも・・。」
 「なっ何言ってんの?裕ちゃん。怒ってるって裕ちゃんがでしょ?」
 「は?うちがなんで怒んねんな。まじで許して!」
 中澤はまた頭を下げ始めた。
 「ちょっ、裕ちゃん!!矢口は何にも怒ってないって。」
 矢口は中澤に駆け寄ると頭をあげさせた。
 「なんで〜、今日ずっと機嫌悪かったやんかぁ。」
 中澤は少しビクときながら矢口を見た。
15 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月18日(木)15時18分38秒

 「それも裕ちゃんじゃん!!矢口怖くて近寄れなかったんだから。」
 「はぁ?今日ずっとうちびくついてただけやねんけど。」
 「え〜、なんか睨みつけるように前見てたからさぁ。」
 「矢口の事考えとったんやんか。」
 二人は顔を合わせ、今日初めて笑った。
 「お互いなんか勘違いしとったってことかいな?」
 「かな?…・よかった〜。」
 「…でも矢口無視したやん…。」
 中澤は思い出したように呟く。
 「へ?いつ?…考えてて気付かなかったんだよ。あの時いきなり
  矢口さんって呼ばれたから超びびったんだけど。」
 「怒って口聞いてくれへんのや思っててんもん。」
 矢口は中澤の意外な小心ぶりが愛しかった。
 「あ〜よかった〜!!」
 中澤は勢い良く矢口に抱きついた。
 「矢口もだよ〜!!」
 やっと店に明るさが戻ってきたようだった。
 「もう裕ちゃんに別れるって言われたらどうしようかと思った〜!!」
 「うちもずーっとそれ心配やってんけど!は〜良かった〜。」
 中澤は矢口の腰に回した手に自然と力が入った。
  
16 名前:名無し読者。 投稿日:2001年10月21日(日)01時44分39秒
どうしたのかな?
更新が・・・
待ってまーす。
17 名前:名無し人 投稿日:2001年10月21日(日)02時53分28秒
更新楽しみだな。
やぐちゅーはやっぱり最高!
18 名前:作者です。 投稿日:2001年10月21日(日)14時03分35秒

 >16さん。
 すいません。 
 PCの調子が悪く、更新できませんでした。
 復活したのでまた書いていきたいと思います。
 待ってくださってうれしい限りです。

 >17 名無し人さん。
 更新します。
 やぐちゅーですよね!!
19 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月21日(日)14時18分32秒

 「矢口〜!!」
 中澤は矢口に顔をよせる。
 「裕ちゃん、テンション高いね・・。」
 少し照れながら矢口は中澤を見た。
 「今日1日全然矢口と話してなかってんもん〜。」
 「解決したからいいでしょ!!もう矢口帰るよ。」
 「え〜、帰んの?」
 「服とか着替えたいしね。」
 抱き合ったまま会話を楽しむ。
 「矢口、うちの服着れへんもんなぁ。」
 中澤はニヤニヤと矢口の頭を撫でる。
 「うっ、うっさいなぁ!!」
 矢口は中澤の手を頭からどけようと必死にもがいた。
 「しかたない、今日は帰らせてやるか。」
 中澤は矢口を解放した。
 「今日はって…。」
 もがいて少し乱れた服を直しながら矢口は奥の部屋に向かった。
 (変に今日も泊まれっていったら矢口また悩むやろーしなぁ。)
 中澤は矢口の後ろ姿を見ていた。
 「ん?どうしたの?」
 荷物を持って帰ってきた矢口が中澤の視線に気付く。
 「え?ちっこいなぁって思ってな。」
 「は〜!!むかつく〜!!」
 
20 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月21日(日)14時30分39秒

 「んじゃね。おやすみっ裕ちゃん。」
 少し肌寒くなってきた外に二人で出る。
 「気ぃつけて帰りや。おやすみ。」
 中澤は軽く手を挙げてヒラヒラとふった。
 「裕ちゃんこそ風邪ひかないようにね。」
 矢口も手を振ってそれに答えると歩き出した。
 小さい矢口がますます小さくなって行くのを見送ると、
 中澤は店に入って行った。
 
 (あーよかった。勘違いで。)
 風呂に入り、ビールを手に中澤はベッドに腰かけていた。
 ベッドには少し矢口の匂いが残っている。
 ビールを飲みながらふと天井を見上げると昨日矢口と一緒に見た
 月があった。
 「あっ今日は月一緒に見んかったなぁ。」
 ちょっとした習慣になってきている。
 中澤は目線をはずすとブラインドを閉めた。

 「おっはよ〜!!」
 「おはよ〜さん。」
 中澤が店で新聞を読んでいると矢口が元気良く店に入ってきた。
 「今日もがんばろうね!」
 異常にテンションの高い矢口に少しとまどいながらも、
 中澤は新聞をたたんだ。
21 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月21日(日)16時20分15秒

 「どしたん?なんやうれしそうやんか。」
 「えっそう?」
 満面の笑みで中澤を振りかえる。
 「おもいっきり笑てるやん。」
 「懐かしい友達に偶然さっき会ったんだよね。」
 「へ〜。そうやったんや。」
 「ここに来る様言っといたからいつか来るかも。」
 矢口はニコニコと話した。
 「まぁ、元気いいのはいいこっちゃ。」
 中澤は立ち上がると看板を出しに行った。

 「オッス!!」
 夕方、1人の客が入ってきた。
 「福ちゃん!!」
 矢口が駆け寄る。
 「いきなり来てくれたんだ?」
 矢口はその女性客を席に案内した。
 (朝に矢口がゆーてた子かな?)
 中澤はそっと矢口に近付いた。
 「矢口、今あんま客おらんしええで。話しといて。」
 耳元でそうつぶやくと客に向かう。
 「いらっしゃいませ。…ご注文きまりましたらおよび下さい。」
 水を2つおいてカウンターに戻った。
 矢口は中澤に礼を言って席に座った。
 「いいの?仕事。」
 「うん。いいって。」
 二人はMENUを見ながらしばらく話し、中澤を呼んだ。
22 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月21日(日)16時31分14秒

 「裕ちゃん、ケーキセットを紅茶で。」
 「はい。」
 客は中澤と矢口が言葉をかわしているのを見ていた。
 「すいません。矢口さんいいんですか?」
 中澤に恐る恐る聞く。
 「あっえーよえーよ。気にせんとしゃべっといて。」
 「あっそうだ。裕ちゃん、福田明日香ちゃん。」
 矢口は福田を紹介した。
 福田は中澤の関西弁とその風貌に少し驚いていたのか一瞬中澤を凝視
 していたが、すぐに立ち上がって、
 「福田です。」
 と、頭を下げた。
 「中澤です。・・じゃ、ごゆっくり。」
 中澤はそう言って席を離れた。

 もい1度ケーキを数種お盆に乗せて席に行く。
 「あっじゃぁコレで。」
 福田はショートケーキを指差す。
 「はい。…矢口は?」
 「えっ?いいよ。」
 「何遠慮してんねん。一緒に食べや。」
 そう言って選ばせると再び中澤はカウンターに戻って行った。

 「いい人そうだね。」
 福田が中澤を見ながら小声で話す。
 「恐そうだけど。」
 「全然恐くないよ。裕ちゃん。」
 「へぇ、いい職場だね。」
 福田は中澤から視線を外すと矢口にそう言った。
23 名前:名無し君 投稿日:2001年10月22日(月)11時07分28秒
明日香登場ですか?
キーパソンなのかな?(w
24 名前:作者です。 投稿日:2001年10月22日(月)17時41分55秒

 >23 名無し君さん。
 登場させてみました。
 矢口の友達なだけになる可能性が…
 なんとかできたらいいですけど・・
25 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)22時54分16秒

 中澤の運んできたケーキを食べながらイロイロと語り合った。
 「ねぇねぇ、休みってある?」
 福田が鞄をゴソつかせながら聞いた。
 「うん。あるよ。言えば休みもらう事もできるよ。」
 「今私ここで働いてるんだ。」
 1枚のビラを矢口に差し出した。
 「・・温泉?」
 「うん。サービスするよ。」
 「え〜!!行く行く〜!!マジで行きたい!!」
 矢口は興奮気味に福田に話をきいた。
 「友達とかときなよ。また来るなら連絡してよ。」
 「うん!!近いうちに決める!!」
 
 1時間ぐらいたち、矢口は福田を店の外に送りだしていた。
 「今日はありがと。今度絶対温泉行くから。電話するね。」
 「うん。あっごちそうさまって中澤さんに言っといて。」
 御代はいらないとだけ言ってカウンターに入っていった中澤に目をやった。
 「んじゃ、またね。」
 福田は手を振ると人ごみの中に消えていった。
 矢口は本当に見えなくなるまでずっと福田の背中を見ていた。
26 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時01分34秒

 「裕ちゃんありがと!ごめんね。」
 矢口は店に入ると中澤の元に向かった。
 「えーよえーよ。楽しかったか?」
 中澤はにこやかに矢口を見た。
 「うん。・・そうだ!!これ見て!!」
 矢口は先程もらったビラを中澤の目の前にだした。
 「なんや?」
 少し眉間に皺をよせながら中澤はビラを覗きこんだ。
 「温泉?へ〜、いいやん。一緒に行くんか?」
 「違うよ!!福ちゃんはここで働いてるんだって。だからさ、
  一緒に行こうよ、裕ちゃん。」
 「…矢口〜!!」
 中澤はおもいっきり矢口に抱きついた。
 「わっ!!何!?」
 あまりにも唐突だったので矢口も驚いてよろける。
 中澤はしっかり矢口を掴んだままでいた。
 「行こうなぁ。楽しみやわ。」
 「うん。なんか老化にもいいんだってさ。」
 中澤の頬がピクリと動く。
 「…失礼なやっちゃなぁ。」
27 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時11分18秒

 「キャハハ!!嘘嘘!!」
 矢口はスルリと中澤から離れるとテーブルを片付けに行った。
 中澤は矢口が温泉に一緒に行こうと言ってくれたのが何よりも
 うれしかった。
 (でも、友達おるからイチャイチャできひんなぁ。)
 少しそれは寂しいが、一緒に旅行いけるというだけで、中澤は
 天に昇ったような気持ちだった。
 「…裕ちゃん、何ボーっとしてんの?ボケてきた?」
 お盆に皿を一杯積み上げて必死に持っている矢口が中澤を見上げていた。
 「ボッボケてへんわ!!」
 中澤は急いで仕事に戻る。
 矢口はよくわからないと言った顔をして皿を洗い出した。
 
 ―夜―
 久しぶりに石黒、飯田がやってきた。
 「久しぶり〜!!」
 「元気?」
 ドカドカとカウンターに陣どる。
 「あんたら…相変わらずやな。」
 中澤はシェーカーを振りながら少し飽きれ顔でつぶやいた。
 
28 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時20分33秒

 「なっちは元気なん?」
 中澤は飯田に聞いた。
 「ん。だんだん戻ってきてるよ。」
 少し暗い顔で飯田はそう答えた。
 「そっか…。」
 ただそれだけ言うとグラスにカクテルをシェーカーから注いだ。
 「今日も誘ったんだけど、まだ待ってって。」
 石黒がおつまみのピーナツをもてあそびながら中澤を見た。
 「…そっか。」
 何も他のことは言わずただその一言だけ発すると作り終わったカクテル
 を矢口のお盆に乗せた。
 矢口は黙ってソレを運びに行く。
 「…それより、矢口とどうなの?」
 「あっそうそう、問題全然なし?」
 「今はうまい事いってるよ。」
 飯田達のカクテルを作り始めながら中澤は笑顔で答えた。
 「いろいろと聞きますか。」
 飯田が座り直す。
 「矢口にも聞かなきゃね。」
 二人は矢口が帰ってくるのをソワソワしながら待っていた。
 矢口が帰ってくるとニヤニヤとしながら矢口を隣に座らせる。
 「どうなの〜?裕ちゃんとはさ。」
29 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時33分48秒

 「えっ?」
 突然の質問に真っ赤になる矢口。
 「うまくいってるの?」
 「…まぁ、うん。」
 矢口が中澤をチラっとみるとなんとなく中澤の顔も赤い。
 「そっかそっか〜!!よかったじゃんか〜!!」
 「ほんとほんと。」
 二人は心底うれしそうに中澤達を見た。
 「まっそう言う事や。」
 中澤は二人に酒をだしながら笑った。
 石黒達は安心して酒を飲みだした。
 矢口はこっそり中澤に近付くと中澤に耳打ちした。
 「温泉みんなでいく?もちろん、なっちも。」
 中澤は一瞬矢口の顔を見たが、すぐに耳元に口を動かす。
 「・・そやな。なっちもみんなうまくいったら皆で行こうか。」
 そういうと中澤は矢口の耳元にキスをした。
 「ぅわっ!!びっくりした!!」
 矢口は驚いて肩を振るわせた。
 「いただきや♪」
 中澤はそう言って笑うと再び酒を作り始めた。
 「…あいかわらず突然キスしてるね。」
 石黒と飯田は少しあきれ気味に中澤を見ていた。
30 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時45分38秒

 「うちらよりあんたらはどうなんや?」
 中澤は二人を見る。
 「私は相変わらず…なんの変化もないよ。」
 石黒は氷をカランと言わせながらカクテルを飲んだ。
 「圭織は今彼氏いない。」
 しょんぼりと飯田はつぶやく。
 「なんや?気になる人もおらんのかいな?」
 「うーん…。居ないねぇ。」
 「合コンとかやってもらい〜な。学生やろ?なぁ、矢口」
 唐突に話を振られて驚きつつも、矢口は飯田に答える。
 「うん。行ってみれば?いいと思うよ?」
 「う〜ん・・。合コンねぇ。矢口も行こうよ。」
 飯田は隣に座っていた矢口の手を握る。
 「アホか!!矢口をさそうなっちゅーねん!!」
 中澤が急いでカウンター越に矢口を抱きかかえる。
 「え〜だって〜。」
 「だっても糞もあるかい!!びっくりするわ!!」
 「ちぇっ!!」
 「矢口〜、合コンとかいかへんよなぁ。」
 中澤は矢口になんとなく確認をとった。
 「うん。矢口には裕ちゃんが居るから。」
 「矢口〜!!かわいいやっちゃなぁ〜」
 中澤はおもいっきり矢口に抱き着こうとした。
31 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月22日(月)23時53分30秒

 「ぐえっ!!」
 カウンターにわき腹をぶつけたらしい。
 しゃがみこんで痛がっている。
 「…なんか見たことあるんだけど・・。」
 石黒はあきれながら中澤を見る。
 「だ、大丈夫?裕ちゃん…。」
 「・…だ、大丈夫・…。」
 苦しそうにわき腹を押さえていた。
 「矢口が初めてバイトに来た日もぶつけてたね。」
 「・・そうやっけ?」
 「何?裕ちゃんしょっちゅうぶつけてんの?」
 笑いをこらえながら飯田が中澤を見る。
 「アハハ!!全然成長してないんじゃん。」
 「・・うっさいわ、・・アホ。」
 以前よりも激しく打ったのだろう、中澤はなかなか回復しなかった。
 「裕ちゃんもうそろそろ落ち着きなよ?」
 石黒が氷をまわして遊びながら中澤を見た。
 「…そやな。」
 中澤はチラっと矢口をみると、恥ずかしそうに視線を外してゆっくり
 立ち上がった。
 
32 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)17時07分30秒

 中澤が矢口に目で合図してから話し始めた。
 「矢口の友達が働いてる温泉に行こうかと思ってんねんけど、
  皆でいかへんか?もちろんなっちも、皆でや。」
 「行きたいかも。温泉!!」
 石黒は話に乗った。
 飯田は少し考えている。
 「なっちはうちが誘いに行くわ。」
 「…うん。圭織も行きたい。皆で。」
 飯田は安心したような目で言った。
 「紗耶香とごっちんも誘って7人で行こか。」
 「そだね。で、いつよ?」
 「圭織達は普段大学あるよ。」
 石黒と飯田は目を輝かせながら中澤に聞いた。
 「皆空いてる時でええやん。うちらはあわせられるし。な?」
 中澤は矢口を見ながら言った。
 「そだね。」
 「ほなら、明日にでも皆で集まってきめよか。」
 中澤は携帯をとりだしてメールを作りだした。
 『明日店に集合!絶対やで!』
 送信ボタンを押す。
 「なっちと明日授業一緒?何時まで?」
 「えっと、明日は3時すぎまでかな。」
 「ほならソレぐらいの時間になっちに会いに行くからうまいこと
  家に帰してくれへん?」
 飯田は黙って頷いた。 
33 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)17時16分50秒

 ―翌日4時前―
 「ほならちょっと行ってくるし。」
 休憩中という札をたてかけ、中澤は出かける用意をしていた。
 「うん。なっちちゃんと来る様にしてね。みんなで行きたいし。」
 矢口は中澤を送り出しながら言った。
 「わかってる。みんなで行かなおもんないしな。」
 ニッコリ笑って、中澤は矢口に軽くキスをすると店を出た。

 「圭織なんなんだろ?早く帰れって…。」
 安倍は家に向かって歩いていた。
 『今日は早く帰りなよ。寄り道しちゃぁダメだからね。』
 何度も何度も安倍にそう言っていた。
 『なんで?』
 特に寄る場所もなかったのだが、飯田の発言が気になる。
 『なんでもないけど・・じゃ、また後でね!』
 飯田はそう言うと帰って行った。
 『後で?何いってんの?くんのかな?」
 意味のわからないまま安倍は家路についていた。
 
 安倍の中でまだ中澤についての気持ちの整理はついていなかった。
 店に誘われてもなんとなく行く気がしない。
 飯田も感じているのか、何も聞いてこなかった。
34 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)17時25分40秒

 慣れたもので、飯田の不審行動についてイロイロ考えている内に、
 いつのまにかアパートの前にいた。
 途中の道の記憶はない。
 「習慣ってすごいね。」
 ぼそっとそう呟くと階段を上り出した。
 部屋の前の廊下に抜けると家の前に人が座っていた。
 「裕ちゃん!!?」
 唖然として足がとまる。
 中澤は安倍に気つくと立ち上がり、ヨッと軽く手を挙げた。
 
 「どうしたの?」
 部屋でお茶を飲みながら座りあう。
 「いや、元気してるかな?思って。」
 「元気だよ・・。」
 なんとなく会話が続かない。
 「…なっち…皆で旅行いかへん?」
 中澤は自分がシャンとしないといけないのを自覚していた。
 「旅行?」
 「温泉。あやっぺも圭織も皆で。」
 「・…う・・ん。」
 もちろん矢口も来る事は安部にはわかっていた。
 「うちと一緒に行くんは嫌か?」
 「べ、別にそうじゃないけど…。」
 
35 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)17時35分16秒

 「まだなんとなく気持ちがちゃんと整理ついてないっていうか。」
 言い難そうに安倍が話す。
 「…うん。」
 「でも、いつまでもウジウジ言ってられないし、行くよ!!」
 「ほんまかぁ?やった!楽しみやなぁ。」
 色よい返事が返ってくるか不安だった中澤は本当にうれしかった。
 矢口との旅行もうれしいが、気のあった仲間同士で旅行に行けるのが
 うれしかった。
 「ほんなら今日店行くで!!皆で今日日程決めよってゆーてんねん。」
 (だから、圭織があんなこと言ってたんだ。)
 飯田の行動の不審点が解決した。
 「うん。」
 目の前に大好きな笑顔があった。
 大好きだったにはまだ変わっていない。
 しかし、この笑顔を見たいためにも早くケリをつけなきゃいけない、
 と安倍は思っていた。
 「ほな、もう行こうや。夕飯一緒に食べよ。」
 中澤は安倍の手を取って立ち上がらせた。
 「うん。」
 満面の笑みで安倍は中澤にされるがままあとをついていった。
 (やっぱなっちは笑ってなな。)
 安倍の笑顔は中澤の心のひっかかりを徐々に無くしていった。
 
36 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)17時43分07秒

 「ただいま〜!!」
 店の扉を勢い良く開けて中澤が入ってきた。安倍も後ろから中澤に
 手をひかれて入ってきた。
 矢口と安倍はあの日の朝以来に顔を合わせた。
 「おかえり〜!」
 安倍に元気?などの言葉をかけるのを一瞬戸惑いながら矢口は中澤に
 答えた。
 「矢口はいっつも元気だねぇ。」
 安倍が最初に言葉をかけた。
 矢口が憎くないといえば嘘になる。ただ、その気持ちも今は
 うすれてきていた。矢口が自分に気を使うことないようにする
 事が中澤のためでもある。
 「元気だよ〜!!なっちも元気そうじゃん。」
 安倍の心使いが矢口にはうれしかった。
 安倍の気持ちはわかる。
 まだ中澤を好きだったら矢口と話したくないだろう。
 それなのにちゃんと話してくれた。
 
 中澤は二人の会話を聞いて少し安心するとカウンターに入っていった。
37 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月23日(火)19時45分20秒
なっちがいい人すぎて…切なくなってきちゃった…
やぐちゅー好きな人間なのに素直に萌えられないよぉ・・・
38 名前:作者です。 投稿日:2001年10月23日(火)22時20分07秒

 >37さん。
 なっちも幸せになってほしいです。
 やぐちゅーも。
 なんとか最終的にはそうできたらいいなぁと思う次第です。
 どうするかはまだ…
39 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)22時35分39秒

 「矢口、ちょっといい?」
 安倍が中澤に聞こえないように矢口に耳打ちする。
 「裕ちゃんの事は頼んだよ。」
 そう言うとニッコリ笑いながら矢口から顔を離した。
 (矢口を見る時の裕ちゃんの顔見たら…惨敗だね。)
 中澤と矢口の顔をみた瞬間、安倍の気持ちはスっとなくなっていった
 のだ。自分には中澤にあんな顔はさせられない。
 安倍は妙にすっきりしていた。
 矢口は安倍の言葉に一瞬何も言えなかった。
 「なっち…。」
 安倍の顔を見る。
 「矢口といる裕ちゃん、なっちが今まで見た裕ちゃんの顔の中で
  1番綺麗。裕ちゃんは矢口じゃないとだめなんだよ。」
 小さくそう呟く。
 「なんかその顔みちゃったらふっきれちゃった。」
 矢口は安倍が嘘を言ってるとは到底思えなかった。
 「幸せになってよね。」
 安倍の言葉が矢口の胸いっぱいに広がる。
 「うん。」
 矢口はたったその一言を返すのが精一杯だった。
 うれしくて涙がでそうだったから・・。
40 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)22時46分46秒

 「なっちも幸せになるからね。」
 安倍が少し大きめの声で言う。
 中澤が顔を上げて安倍を見た。
 「裕ちゃん達に負けないくらい。」
 すっきりした顔で中澤を見ながらそう言う安倍を見て中澤は全て
 を悟ったかのように微笑んだ。
 「裕ちゃん、矢口を泣かせるような事しないでよ。」
 「わかってるわ。そんなこと裕ちゃんがする思うか?」
 「矢口もなんかあったらゆうんだよ。」
 安倍が矢口を見る。
 「うん。その時は相談よろしくね。」
 矢口は笑顔で答えた。
 「矢口まで…そんなことするわけないやろ〜。」
 おどけた様に中澤が言った。
 3人の間にはもう、ギスギスしたものはなかった。
 
 (ありがとう、なっち。)
 矢口と中澤は心からそう思っていた。
41 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月23日(火)23時34分05秒

 その日全員が集まったのは9時を少しまわった頃だった。
 バイト帰りの市井が後藤と一緒に最後にやってきた。
 いきなりの呼び出しでわけがわからないと言った顔。
 「なんなの?今日は。」
 市井は安倍が居ることもすばやく確認し、期待を込めた顔でみんなを
 見まわした。
 「皆で温泉行こうって話してんねん。」
 中澤が二人を座らせながら答えた。
 「マジ!?」
 「いいねぇ〜。」
 一気に盛り上がって日程を決め始める。
 大学と市井のバイトの日程が合う日できめる。
 中澤と矢口はカウンターに戻って様子をうかがっていた。
 「この調子やったらトントン拍子で決まりそうやな。」
 「うん。きまったら速攻連絡するから。」
 「あぁ、まかせたで。」
 肩を並べてカウンターで会話をかわす。
 追加の酒を作ると二人で運んだ。
 「決まりそうか?」
 5人で話し合っている所に顔をいれる。
 「平日がいいから〜、この日がいいんじゃない?」
 「こっちでもいいよ。」
 予定表を見ながらああでもないこうでもないとはしゃいでいる。
 「あかん、まだ決まってへんな。」
 矢口と中澤は後ろのソファーに腰を下ろして5人を見守っていた。
 
42 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月24日(水)00時07分54秒
これから
なっち救済ですね。
43 名前:nanasi 投稿日:2001年10月25日(木)01時07分15秒
やぐちゅー&やぐなちゅー発見。
なっちと裕ちゃんは、痛めの話が多い。
でもそこがいい。
やぐちゅーは甘いのがいい。
44 名前:作者です。 投稿日:2001年10月25日(木)21時11分39秒

 >42 名無しさん。
  そうですね。
  なっちも幸せになってもらわなきゃ。
  後藤…すか?
  がんばります。

 >43 nanasiさん。
  甘いやぐちゅーですか?
  今は結構甘めで進んでおります。
  まぁ、また読んでくださ〜い。
45 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)21時32分05秒

 
46 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)21時44分26秒

 「市井のバイトはこの日だから・・・。」
 市井が日を照らし合わせている。
 後藤はいつでもいいよ〜っと言って中澤達の元にやってきた。
 「ん?ごっちん、どしたん?」
 「んー、後藤はいつでもいいの。」
 ニヘラと笑うと向かい側に腰をおろした。
 「やぐっつぁん、と裕ちゃんは?」
 「うちはいつでもええねん。店閉めとくだけや。」
 「店しまってたら矢口もバイト休みだし。」
 「ふーん。後藤もいつでもいいんだ。」
 やる気がないような感じで後藤は話す。
 「なんやごっちん、えらい今日は元気ないやんか。紗耶香と
  ケンカでもしたんかいな?」
 中澤がそう言うと後藤は明らかに反応してみせた。
 「うっ…っていうか…。」
 後藤はモジモジと話し出した。
 「最近市井ちゃんが求めてこないの。」
 「ブー!!!」
 矢口の隣で中澤が飲んでいたビールを思いっきり吹き出した。
 矢口も後藤の話に一瞬驚いたが、それ以上に中澤の行動に驚いた。
 「裕ちゃんきったね〜!!」
 「何してんの?」
 中澤の後ろから声があがる。
 中澤は口元を拭きながら、
 「ごめんごめん、なんでもない。」
 と、焦って答えていた。
 
47 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)22時34分55秒

 「ごめん、ごっちん。」
 中澤は姿勢を正すと後藤に向き直った。
 「…うんうん。」
 後藤はきょとんとした表情で中澤を見ていた。
 矢口はなんだか落ち着かなくなり、トイレ行ってくる、と席を
 立った。
 矢口を見送ると後藤は中澤に顔を寄せた。
 「…裕ちゃん達って…まだなの?」
 「ごっちん!!」
 「なんだ、裕ちゃんのことだからもうしたのかと思ってた。」
 後藤は身を乗り出すのをやめ、座り直した。
 「い、いいねん、うちらは。それよりどういう事や?」
 「なんかね、最近あんまりデートとかしてくれないんだよね。
  バイトが忙しいからって。今日もほんとは会えないって言われてて
  会う予定になってなかったんだ。」
 「そうなんやぁ。」
 「後藤がなんかしたのかなぁ。」
 後藤の表情が暗くなる。
 「ほんまに忙しいんちゃうの?バイトで疲れてるんやろ?
  ごっちんが気にすることないって!」
 「ん〜、でも〜。」
 「なんか心辺りって、ないから悩んでんねんなぁ。」
 中澤は考え込む様に頭をひねっていた。
 
48 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)22時51分21秒

 「・・ちょっと裕ちゃん来て。」
 後藤が中澤の手をひいてカウンターの中に入る。
 「なんやのん?こんなとこ来て。」
 二人揃ってカウンターの中にうずくまる。
 「・…あのね、あんまり…普通って…やらないの?」
 「!!!!いっ嫌ぁ、どうやろ?」
 「裕ちゃん達はそういう事やらないんでしょ?」
 焦る中澤を尻目に後藤はドンドンと話だした。
 「う、うちらはやなぁ…。」
 言葉を続けられない中澤。
 「裕ちゃんは要求あるの?」
 「えっ!!!」
 「普通はやっぱりやりたくないもんなのかなぁ?」
 後藤は小さくなって呟いた。
 「…うちもそれ考えてたわ。」
 息を吐き出すと、中澤はゆっくり話始めた。
 「おかしいんかなぁ?って。いままでそんなん考えたこともなかった
  しな。うちの気持ちがおかしいんかなぁって。前1回あってんか。」
 後藤は静かに頷きながら聞いている。
 「その時はまだ付き合ってすぐやったし早過ぎたわって自分でも思った
  んやけど、よく考えたら要求する方がおかしいんかなぁ、って。」
49 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)23時05分30秒

 「やぐっつぁんは?」
 「その時はちょっと待ってって言われたけど…そんなん考えても
  なかったって感じやったなぁ。」
 「…そっかぁ。」
 中澤は周りを見渡して誰もいないのを確認すると小声で聞いた。
 「紗耶香はどうなん?嫌そうにすんの?」
 「…何にも言わないけど…向こうからは・・ないよ。」
 「それやったら嫌がってへんやんか。多分つかれてるだけやと
  思うで。バイト忙しそうやしなぁ。」
 「そっかなぁ?」
 「ごっちんは気にしすぎなんちゃうか?大丈夫やって。うちから見た
  限り、紗耶香はごっちんに夢中やで。」
 「そっかな?」
 少し後藤の表情が明るくなった。
 「まぁがんばろうや。」
 「うん、がんばろう。」
 「何をがんばんの?」
 中澤達が見上げると市井と矢口が不思議そうに二人を見下ろしていた。
50 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)23時16分38秒

 ―数分前―
 矢口はトイレにいた。
 たまたま入ってきた市井と顔を合わせる。
 「さっき裕ちゃんなんだったの?」
 笑いながら市井は矢口の隣に立って手を洗い出した。
 「いや、なんにもなかったんだけど〜。」
 矢口はなんとか隠すとじっと市井の顔を鏡越しに見た。
 「…何?」
 不思議そうに矢口を見る。
 「・・変な事聞いていい?」
 「…うん。」
 「紗耶香達ってさぁ、・・その、寝てる?」
 市井は一瞬驚いた表情をみせたがすぐに笑顔になって矢口を見た。
 「まぁね。矢口はまだなんだ?」
 裕ちゃんの事だからとっくにしたのかと思ってたよ、と笑う。
 「…矢口がなんかとどまってるんだ。」
 「市井もそんなにしょっちゅうしたいとは思ってないよ。
  最初は矢口と一緒でなんか1歩踏み出せなかったし。」
 手を拭きながら市井は話しだした。
 「矢口は焦る事ないと思うよ。裕ちゃんだってちゃんと待ってくれる
  だろうし。」
 
51 名前:15 投稿日:2001年10月25日(木)23時17分41秒
ホクホクと心温まります。
やぐちゅーといちごま大好きな私には、ほんとたまりませんね(笑)
裕ちゃんとごっちんのやりとりが、可愛いです、はい。
52 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)23時24分29秒

 「そうかなぁ。」
 「大丈夫大丈夫。裕ちゃんは矢口にべた惚れだから。安心して
  気持ちの整理つけたらいいよ。」
 「う・・ん。」
 なんとなく気分がすっきりしてトイレから出た。
 「あれ?二人は?」
 中澤と後藤の姿がソファーから消えている。
 「あっ、あんなとこいる。」
 カウンターの中でヒソヒソと話している姿がチラっと見えた。
 市井と矢口は近づいていった。
 「まぁがんばろうや。」
 「うん。がんばろう。」
 二人で何か誓いあっている。
 市井と矢口は一瞬顔を見合わせた。
 「何をがんばんの?」
53 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)23時40分43秒

 「べ、別に・・何もあらへん。ゆーてみただけや。」
 「そ、そう。たいした意味はないよ。」
 中澤と後藤は立ち上がるとお互いを見て笑いあった。
 「・・裕ちゃん、後藤に変なこと教えないでよ。」
 市井は怪しみながら中澤を見る。
 「なんも教えてへんわ!!それより決まったんかいな?」
 カウンターを出ながら中澤は話を変えた。
 「だいたいはね。」
 何か怪しんでいる二人を連れて中澤達は席に戻った。
 
 「この日でいい?」
 帰ってきた4人に気づくと安倍が手帳を見せた。
 「いいんちゃう?木曜日やな?」
 「うん。この日が1番ベストだよ。」
 石黒が疲れたように言う。
 「あっじゃぁ、早速電話してきいてみるよ。」
 矢口は携帯を取り出した。
 「頼むわ。8日の木曜な。」
 「OK!」
 
 「大丈夫だって。予約できたよ。」
 矢口が笑顔で電話を切る。
 「よかった〜。かなりがんばって決めたもんね。」
 安倍が飯田らと喜びの声を上げた。
 「楽しみだねぇ。」
 「温泉とか最近行ってないよ。」
 
54 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月25日(木)23時54分10秒

 中澤は誰にも気づかれないように後藤に耳うちした。
 「温泉でがんばりや。」
 後藤は無言で頷く。いつもはやる気のない後藤がその時は確かに
 燃えていた。
 (ごっちん…闘志持ってたんやな。)
 「市井ちゃん、楽しみだね!!」
 「うん、楽しみ。料理とかおいしいのかな?」
 中澤は後藤の様子を満足そうに見ていた。
 「裕ちゃんどうしたの?」
 矢口が不思議そうに中澤をみる。
 「え?いや、温泉早く行きたいなぁって思ってな。」
 後藤を見る自分の顔がおかしかったのだろうか。
 中澤は笑顔を作って矢口を見た。
 「そうだね。早く行きたい!」
 矢口もニッコリと笑って中澤を見た。
 中澤は思わず矢口に抱きついて叫んだ。
 「矢口かわいいなぁ〜!!」
 「ちょっと、裕ちゃんっ!!」
 周りは相変わらず覚めた目で二人を見ていた。
 「またやってるよ。」
 もはやこの中澤の行動は日常の当たり前の行動と化していた。
55 名前:作者です。 投稿日:2001年10月26日(金)00時06分22秒

 >15さん。
  少しやぐちゅーといちごまで・・
  またまた中澤と後藤でいろいろとさせるつもりです。
  温泉旅行でまたまた・・・
  なっちはもうちょい先になりそうです・…
56 名前:セーラム 投稿日:2001年10月27日(土)11時04分44秒
期待して待ってます
57 名前:名無し君 投稿日:2001年10月28日(日)03時47分05秒
まだかな?まだかな?更新まだかな?(w
58 名前:名無し読者。 投稿日:2001年10月28日(日)20時50分20秒
私も待ってるよー。
作者さん。
59 名前:作者です。 投稿日:2001年10月28日(日)21時34分42秒

 更新がかなり遅れました・・。
 すいません。今から更新したいと思います。

 >56 セーラムさん。
 期待していただけてるとは…
 へぼいものですがよろしくおねがいします。

 >57 名無し君さん。
 ♪学研のおばちゃん♪ですね。
 週末はついつい更新なかなかできない時が多くて…
 すいません。
 
 >58 名無し読者。さん。
 待っていただけてるとは…
 うれしい限りです。
 これからもよろしく頼みます。
60 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)21時51分15秒

 その日は急に集合したこともあり、温泉の日程が決まると、
 市井と後藤は帰って行った。
 「んじゃ、温泉の事でまた電話するよ。」
 「おぅ!!気ぃつけて帰りやぁ。」
 二人並んで店から出て行った。
 「あんたらは明日大丈夫なんか?」
 中澤が飯田と安倍を見る。
 「大丈夫大丈夫。なっちは明日昼からだもん。」
 「そっか。ならもうちょっと飲んでくやろ?」
 新しい酒を作りに中澤が席を立つ。
 「「うん。」」
 飯田と安倍の声が見事にハモル。
 お互い顔を見合わせて笑い合っていた。
 矢口も中澤と一緒にカウンターに入る。
 「楽しみだね。温泉。」
 中澤が矢口の顔を見る。
 「ん?何?」
 「うちは矢口と一緒に行けるってのが一番楽しみや。」
 ニンマリと顔をほころばせながら矢口を見る。
 「それは…矢口もだよ。」
 中澤にしか聞こえない声で矢口がそう呟く。
 中澤は軽く矢口を抱え込むようにだいて耳打ちした。
 「良い思いで作ろな。」
61 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)22時02分32秒

 日がたつにつれて温泉への期待が高まる。
 矢口も中澤も温泉の事ばかり考えていた。
 「荷物とかもう作ろうかな。」
 「まだまだやで。矢口気が早いなぁ。」
 「早く行きたいよ〜!!」
 集合時間などを決めてしまうと、もう行く事にしか頭がまわらない。
 たった1泊の旅行でも、距離もそう離れていない所であっても、
 まるで海外旅行に行くかのような興奮を矢口は覚えていた。

 「明日は泊まって行きいや?」
 いよいよ明後日という晩。
 「どうせ集合ここねんし。」
 「うーん。でもいろいろと忙しいんじゃないの?」
 「なんもないよ。泊まってきーや。なんもせーへんから。」
 「あっいや、そういう訳じゃ・・・。」
 「ほなええやろ?やった♪」
 中澤は勝手に話を決めてしまった。
 「今晩中に用意しときや。」
 「あっそうじゃん!!いそがなきゃ。」
 中澤に見送られて店を出ると矢口は荷物のことで頭が一杯だった。
62 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)22時10分32秒

 「タオルは…あるよね?じゃぁ、着替えと〜。」
 ブツブツと呟きながらバッグに荷物をつめていく。
 「多いかな?」
 少し膨れたバッグをポンポンと叩くと中身を頭で再確認する。
 「あれもいれたし…あっカメラ!!」
 数日前から用意しておいたカメラを机から取る。
 「裕ちゃんとの写真ないもんね。」
 用意が完璧なのを数回チェックすると、ベッドにもぐる。
 「あー今からドキドキして寝れないや。」
 暗闇に目がなれて外のちょっとした明かりがカーテンの隙間から
 入ってきている。
 (月の光かな?)
 ここ数日、中澤とゆっくり月を見る事をしていない。
 (明日見れるか。ベッドの上にあるもんね。)
 「裕ちゃん、おやすみ。」
 そう呟くと、矢口は眠りにいつのまにかついた。
63 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)22時23分12秒

 「おっはよ〜!!」
 「おはよ〜さん。おっ持ってきたな?」
 矢口のバッグを見ながら中澤が近づく。
 「これここ置いといていい?」
 奥の部屋に運ぶ。
 「うん。えーよ。」
 「あ〜いよいよ明日だねぇ。」
 矢口が荷物を置きながら待ちきれないばかりに言う。
 「ほんまやな。うちも昨日用意してたらなかなか寝れへんかったわ。」
 「裕ちゃんも?矢口もだよ。」
 「今日の仕事もちゃっちゃと終わらせましょか?」
 中澤が腕まくりをしながらカウンターに入る。
 矢口がopen札を出しながらそれに答える。
 「おわらせよ!!」
 その日1日、元気のいい声が店に響き渡っていた。
 「いらっしゃいませ〜。」
64 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)22時37分28秒

 全ての片付けが終わり、店の照明がおちる。
 「はぁ〜、お疲れさん。」
 中澤が首をコキコキと鳴らしながら矢口を見る。
 「お疲れ様。」
 揃って2階に上がると矢口はソファーに座った。
 中澤はビールを手に矢口の横に座る。
 「乾杯しよか。」
 プシュッと良い音をさせて中澤はビールを矢口に渡した。
 「ほな、おつかれさ〜ん。」
 「おつかれさま〜。」
 缶のぶつかる音の後、コクコクと喉を通るビールの音が部屋に
 行き渡る。
 「プハ〜!!仕事の後のビールは最高やな!!」
 「裕ちゃん、おっさんみたい。」
 「なんでや、おいしいやろ?」
 「まぁ、最近はなんとなくおいしくなってきたけど。」
 ビールに口をつけながら矢口は中澤を横目で見た。
 「矢口も年取ったってことやな。」
 ニヤニヤと笑って中澤はビールを飲み干した。
 缶をクシャリと握り潰すと立ち上がってキッチンに入る。
 「はい。」
 まだ残っている矢口のビールと新しい缶チューハイと交換する。
 「全部はいらんやろ?ビールは。」
65 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月28日(日)22時46分03秒

 「ありがと。ビールは最初の2・3口だけって感じ。」
 矢口は缶を開けてチューハイを飲んだ。
 「あーやっぱりこっちのが飲みやすい。」
 「うちはビールが一番好きやけどなぁ。」
 矢口の残りのビールを飲みながら再び矢口の隣に腰を下ろした。
 「ゆうちゃんおっさんだもん。」
 「何ゆーてんねん!!めっちゃ若いっちゅーねん!!」
 中澤が矢口を軽く小突く。
 「いった〜!!」
 少し大げさに痛がりながらも矢口は心地よい時間を過ごしていた。

 「ふぅ〜。」
 濡れた髪をわしわしと拭きながら、手にはキンキンに冷えたビールを
 持って、中澤はソファーに座った。
 今は矢口が風呂に入りにいっている。
 「っくぅ〜。」
 少し顔をしかめながらビールを飲む。
 仕事の後、風呂上り、どちらも中澤には欠かせないビールの
 補給時間である。
 「やっぱ、うまいなぁ。」
 ごくごくと乾いた喉を潤わせる。
 「これ見たらまたおっさんとか言うんやろな?」
 矢口の顔を思い浮かべて1人ニンマリと笑う。
 「かわえ〜わ〜。」
 誰に聞かせるわけでもなくそう呟いた。
66 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)00時30分43秒

 ビールを味わいながらゆっくりと時間を過ごす。
 目の前ではTVが光を放っている。
 意識せずに、ただボーっと画面を眺める。
 カン。
 テーブルに置いたビールの缶の音が部屋に響く。
 (矢口…今はどう思ってんにゃろ?)
 あの晩を思い出す。
 中澤は風呂場のほうを眺めた。
 別に中澤にその要求が特別あるわけではない。
 しかしまったくない訳でもないのだ。
 ただ、矢口が好き。
 その感情だけが中澤をとりまいている。
 (ごっちんらもやってるらしいし、変じゃないん・・かな?)
 ただし、もう自分から求める度胸は中澤にはなかった。
 矢口から求めてくるときなどあるのだろうか?
 焦る必要が無い事はわかっているのだが、何故か中澤には
 矢口がすぐに自分のもとから離れて行くのではないか?という
 不安があった。
 それは漠然としていたが…。
 「大丈夫や…。」
 自らを励ます様にそうつぶやいてビールの缶を手にとる。
 「・・ないやんけ。」
 中身がないのを確認するとぐしゃりと握り潰した。
67 名前:読んでる人 投稿日:2001年10月29日(月)13時52分34秒
>何故か中澤には
>矢口がすぐに自分のもとから離れて行くのではないか?という
>不安があった。
まさか、これが今後の2人を暗示しているとか?
68 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月29日(月)22時04分54秒
>>67
そういえば矢口の素性なんかに関しては何にもなかったな…
69 名前:作者です。 投稿日:2001年10月29日(月)22時05分31秒

 >67 読んでる人さん。
 そ…それは…
 読んでみて下さい〜。
 後に・…
 今はここまでしかいえないっすね。
70 名前:作者です。 投稿日:2001年10月29日(月)22時07分29秒

 >68さん。
 ほぼ同時でしたね(笑
 …・あららら〜
 鋭いですね、なんか。
71 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)22時20分59秒

 中澤が2本目のビールを取りにいっている隙に矢口が風呂から
 上がってきていた。
 「おっでたんや?」
 ソファーに座る矢口を見つけると中澤は飲み物いる?と手を動かす。
 矢口は頭にタオルをのせたまま中澤を振りかえって頷いた。
 中澤は矢口用に缶チューハイを持ってきて隣に腰をおろした。
 「ちゃんと拭きやぁ。」
 中澤が矢口の頭を軽く拭く。
 「裕ちゃんもまだ濡れてるじゃんか。」
 缶をプシュッと開けながら矢口が微笑む。
 「まっ意味ないけど乾杯やな。」
 缶を軽く合わせて、喉を潤わせた。
 「裕ちゃん何見てたの?」
 缶を口から離さず、TV画面に目をやる。
 「えっ?わからん。あんま見てなかったわ。」
 中澤も一緒に画面に目線を移す。
 通販の番組が流れていた。
 「こんなん買う人おんのかな?」
 「わかんないけどよくやってるよね。」
 TVの外人を少し笑って見る。
 「最近こんなのしかTV見ないから芸能人とかわかんないや。」
 「うちも最近のは全然しらん。TVあんまり見んからなぁ。」
 
72 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)22時31分33秒

 「歌とかわかんないよね。何流行ってるか。」
 「あ〜全然聞かんわ。」
 「まっ別にあんまり興味ないしいいけど。」
 矢口がチャンネルを手にとって適当に変えた。
 「やっぱり…何にもやってないね。・…もう3時過ぎてるもんね。」
 矢口が時計を見る。
 「明日10時集合やっけ?これ飲んだらもう寝よか。」
 中澤がビールを勢いよく喉に流しこむ。
 「うん。そだね。」
 矢口もチューハイを少し飲む。
 「は〜、ビールはやっぱうまいわ。」
 ほぼ乾いてきている髪をタオルで数回拭くと、中澤は矢口の髪を触った。
 「まだ濡れてんで。裕ちゃんが拭いたろか?」
 ニヤニヤと矢口を覗きこんだ。
 「なんか裕ちゃんが言ったらやらしく聞こえるよね。」
 「なんでやねん!!普通やんか。」
 「アハハ、ごめんごめん。」
 矢口はそう言って頭を少し中澤に傾けた。
 中澤は頭に乗ったタオルを取ると優しく拭きだした。
 「ありがと。」
 矢口はそう言うとチューハイを飲んだ。
73 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)22時41分35秒

 「ほな、そろそろ寝るか?」
 矢口がチューハイを飲み終わり、髪もだいぶ乾いたのを見計らって
 中澤は立ち上がった。
 「うん。なんか眠たくなってきた。」
 少し目をこすりながら矢口も立ち上がる。
 中澤は矢口のもう片方の手を掴むと寝室まで連れていった。
 月明かりで寝室はなんとなく明るい。
 「あーもう三日月みたいな形だね。」
 ベッドにのって天窓を見上げる。
 「まだちょっと太っとるけどな。」
 中澤もベッドに乗った。
 一緒に布団の中に入る。
 「今日は裕ちゃんの腕枕が特別ついてきますけど?」
 中澤は腕を横に伸ばして寝転がる。
 矢口はゆっくりその腕に頭を置いて寝た。
 至近距離で一瞬見詰め合う。
 「…キスしたい。」
 中澤がそう呟くや否や矢口の唇を奪った。
 柔らかい唇が重なりあう。
 「裕ちゃん…好きだよ。」
 「うちもやで矢口。」
 二人はゆっくり目を閉じた。
74 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)22時52分58秒

 次の日、中澤が目を覚ますとまだ矢口は腕の中で寝ていた。
 すぅすぅと軽い寝息をたてながら寝ている矢口を見つめる。
 (こんなに近くにいんのに…なんやろこの気持ち。)
 昨日の夜覚えた気持ちが少し心にまた現われた。
 (矢口もちゃんとうちのこと好きでいてくれてるのに。)
 昨日の寝る前の言葉を思い出した。
 (うちの変な勘違いやわ。)
 そう言い聞かせじっと矢口を見続けた。
 腕に少し力が入ってしまったのか、ゆっくり矢口が目を開いた。
 「…あっ・・裕ちゃん、おはよ。」
 まだ完全に開かない目を一生懸命開いて中澤を見る。
 「おはよ〜。」
 「…今何時?」
 「えっと…・うわっ!!!もう9時半や!!」
 中澤が矢口の反対側にある時計を振りかえって見て叫ぶ。
 「えっうそ!!」
 矢口もあわてて中澤の腕から頭を持ち上げて時計を見た。
 「やばい!!はよ準備せな!!」
 「ほんとだよ!!皆きちゃうよ!!」
 急いで二人はベッドから飛び降りた。
75 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)23時04分46秒

 「・…で、今準備できたってわけね?」
 時刻10時15分。
 9時45分には石黒を除くみんなが店に集まっていた。
 中澤と矢口は急いで着替えたり化粧をしたりしていた。
 10時ぴったりに石黒が車に乗ってやってきた。
 …が、結局間にあわず、今に至ったのである。
 「ごめん、あやっぺ。めっちゃ急いでんで!!」
 「ごめんね、あやっぺ。」
 石黒は二人を横目でちらっと見ると、
 「まっいいけど。裕ちゃんは助手席にすわってナビしてもらうよ。」
 「え〜!!矢口と座りた〜い!!」
 「遅刻の罰だよ。」
 そういうと運転席に乗り込んだ。
 「まっ電車で行けってゆわれるよりましか…。」
 中澤はすごすごと助手席に回った。
 矢口は市井と後藤と最後尾座席に座った。
 「やぐっつぁん、食べる?」
 市井の向こうから後藤が矢口に何やらお菓子を差し出してきた。
 「あっありがとう。」
 「後藤のバカ、この鞄の中身殆どお菓子なんだよ。」
 市井があきれたように後藤の鞄をたたく。
 「いいじゃ〜ん。食べるもん。」
 鞄をだきかかえてプーっとふくれながら市井を見る。
 ったくしょうがないなぁ、と市井は後藤を見た。
76 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)23時23分57秒

 「なっちもねぇ、お菓子持ってきたよ。」
 安倍が振りかえって矢口達を見た。
 「えっ何持ってきたの?」
 後藤が目を輝かせて安倍の鞄を覗きこむ。
 「ポッキーとかぁ…。」
 鞄からごそごそといろんなお菓子をとりだす。
 飯田は隣でボーっと外を眺めている。
 「なっちも?矢口はなんか持ってきてんの?」
 市井が二人にあきれながら矢口を見た。
 「あっ…なんも持ってきてないや。」
 「市井も持ってきてないよ。」
 そう話し合っていると、
 「大丈夫、いっぱいあるからさ。」
 「そうそう、皆で食べるべさ。」
 後藤と安倍が笑顔でお菓子を差し出してきた。

 中澤は助手席で地図と格闘していた。
 「えっと… ・・?」
 「ちょっと…裕ちゃんちゃんと見といてよ。」
 一応事前に見て大体は把握していたが、石黒は中澤に道案内を頼んだ。
 「ちょっ待って〜な。」
 必死に地図を眺める中澤。
 「今・・ここか?ってことは・…。」
 後の言葉が続かない。
 石黒は笑ってしまいそうになりながら中澤を見た。
 「ページ自体間違ってるんだけど…。」
77 名前:とある町の喫茶店 投稿日:2001年10月29日(月)23時39分44秒
 
 信号で都合よく止まった。石黒は地図を覗き込んで
 正しいページをめくり今の位置を指差す。
 信号が変わったのでゆっくりと動き出した。
 「どこで曲がるかわかる?」
 今居るところをしっかり指でたどりながら中澤は回りの景色と
 地図を照らし合わせる。
 「あっあっこのガソスタ曲がるんちゃうか?」
 「ご名答。」
 「もーこっからは裕ちゃんにまかせてや。」
 そういって胸をドンっとたたく。
 地図からもちろん指は離れていた。
 「あっ・・!!」
 「…裕ちゃん!!」
 あまりの中澤の間抜けさに石黒は必死で笑いをこらえた。

 あいかわらず後部座席ではお菓子の話で持ちきりであった。
 「最近出たあのチョコ食べた?」
 「まだ食べてない〜。」
 安倍と後藤が新製品話で盛り上がる。
 市井と矢口はバイト話をしていた。
 「紗耶香って何やってんの?」
 「いろいろ掛持ちしてるよ。ファーストフードにガードマン。他にも。」
 市井は指を折りながら数える。
 「えっかなり大変そうだね。」
 
78 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
79 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)01時58分13秒

 「そんなこともないよ。楽しいしね、毎日。」
 市井は笑顔で話す。
 「そっかぁ、矢口は裕ちゃんと一緒だから全然大変じゃないしなぁ。」
 「まぁ、確かに裕ちゃんと一緒だったら大変じゃないかもね。」
 市井はそう言って中澤を見た。
 
 中澤は地図と外の景色をキョロキョロと必死に見比べていた。
 「あ、あそこがここやから…もうちょっとで有料道路やで。」
 地図とにらめっこをしながら石黒に伝える。
 「オッケ〜。」
 石黒は合っている事を頭で確認しながら中澤に答える。
 今はいいが実際現地に行くと道はわからない。
 当分道はわかっているが、温泉の近くでちゃんと案内してもらう為に
 わかっている今も中澤に案内させていた。
 「中に休憩所あるから1回休憩しようね。裕ちゃんと矢口、ご飯食べて
  ないっしょ?」
 石黒は中澤に話す。
 「まじ?やった〜。ありがと、あやっぺ。」
 「だから地図くらい簡単に見れるようになっといてよね。」
 「お、おうっ。わかってるがな。」
 中澤は再び地図に目線をおろした。
80 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)02時11分56秒

 市井と矢口は石黒と中澤の会話を聞き取ることはできなかったが、
 なんとなく全てをさっちした。
 「なんか…裕ちゃん大変そうだね。」
 キョロキョロと休む暇なく顔を動かしている中澤を哀れむように
 市井が呟く。
 「そだね…。」
 「後で矢口が癒してあげなよね。」
 心からそう言っているように呟いた。
 「うん。そうするよ。」
 矢口も中澤のことが気にかかり、本当にそう思った。
 「矢口とさぁ、今回の旅行でなんかいっぱい話したいな。」
 「あっ矢口も!!いろいろじっくり話したいな。」
 なんとなく聞きたいことがいろいろとあった。
 「んじゃ、今夜は温泉でゆっくり話しましょか?」
 ニッコリと市井が矢口を見る。
 「うん。」
 本当に気の合った仲間との旅。
 矢口はすでに満足行く時間を過ごしていた。
 (後は裕ちゃんと一緒にすごせたら文句ナシだよ。)
 矢口は幸せを噛み締めていた。
 ただ漠然とあるちょっとした不安を前に…。
81 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月30日(火)03時32分58秒
>>77
秋は新作チョコの季節ですね。私はポルテ、ガルボ、フェス辺りがお気に入りです。
今年の新作はあんまりピンと来るものがないな……。

ところで、「要求」って、ほんとは「欲求」って書きたいのと違いますか?
82 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月30日(火)10時13分32秒
おろおろねえさん、きゃわいい(・∀・)!!

不安とは、明日香とのことですか、やっぱり……
前作のように、痛くはなって欲しくないような……でも、作者さん色に染まるのでしょうね。
今後の展開にどきどきしてます。
83 名前:作者です。 投稿日:2001年10月30日(火)16時28分43秒

 >81さん。
 そうですね。秋、冬はなんとなく食べたくなりますね。
 新作…全然わからないです。
 ポルテはまじおいしい!
 メルティーキッス(?)でしたっけ?冬にでるやつ…
 あれがポケットにいれっぱなしにしていて、
 袋の中でドロドロになってたのを思い出しました。

 『欲求』…まさにこの通りですね(笑

 >82さん。
 明日香…どうでしょう?
 早く書いていくつもりですのでまた読んでください。
 『作者さん色』っていう言葉うれしかったです。
 いい色がでるようにがんばります!!
84 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)16時36分50秒

 車がそんなに大きくないサービスエリアに止まった。
 「ちょっとここで休憩ね〜。」
 石黒が後ろを振り返って叫ぶ。
 「オッケ〜。」
 「飲み物かっとこう。」
 全員車から降りた。
 矢口は助手席側にまわって中澤の元に駆け寄った・・・が、
 「あれ?矢口は?」
 反対側から中澤の声がする。
 「あっここ!今行くよ。」
 慌てて矢口は戻った。
 「なんや、周ってくれてたんかいな?」
 中澤が矢口を近づける。
 「なんも食べてへんからなんか食べよっか。」
 「うん。そうだね。」
 矢口と中澤が揃って食堂に向かって歩いて行くと、
 「一緒に行こうよ。後藤もお腹すいた。」
 後藤が後ろから市井の手をつかんで駆け寄ってきた。
 「後藤〜、パン食べてきただろー?」
 市井が飽きれ顔で後藤を見ている。
 「一緒に行こう。」
 矢口はそう声をかけると市井に笑いかけた。
 市井もその笑顔につられて顔がほころぶ。
 中澤は3人を優しく見守っていた。
85 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)16時47分08秒

 「何食べようかな?」
 矢口が一生懸命壁にかかったメニューを見ている。
 「裕ちゃんはうどんにするわ。」
 食券機にお金を入れながら中澤が矢口を見た。
 「矢口はラーメンにしようかなぁ。」
 未練たらしくメニューを見上げたまま矢口は中澤に答えた。
 後藤と市井は隣でなにやら騒いでいた。
 「から揚げ食べたい。」
 「こういうとこのは美味しくないって。」
 小さい声でこちょこちょとケースに入っている食品を見ながら
 話していた。
 矢口は一瞬二人を見た後、中澤を見て笑った。
 「ラーメンにしよっと。」
 矢口は財布をとりだしながら値段を確認する。
 「はい。」
 中澤に目の前につきだされた物を見ると『ラーメン』と書かれた
 食券だった。
 「あっんじゃ、お金…。」
 「えーよえーよ。これくらい奢らせて〜や。」
 中澤は二枚の食券を店員に渡す。
 店員に案内されて二人は席についた。
 「ありがと。」
 「全然えーよ。やっすいもん。」
 中澤はにっこり笑って矢口を見ていた。
86 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)16時59分43秒

 「あの二人いつまでさわいどんにゃ?」
 中澤がまだ売り場で話し合っている二人を見た。
 「結局何食べるか見物だね。」
 「ほんまやなぁ。」
 中澤と矢口は一緒になって見ていた。
 何やら食券をかって後藤達は近寄ってきた。
 「何食べるの?後藤はカレーにしたよ。市井ちゃんはラーメン。」
 「なんや、紗耶香も食べるんかいな。」
 「うん。なんか小腹すいてきてさ。」
 お腹を少しさすって市井は矢口の隣に、後藤は中澤の隣に座った。
 「矢口もラーメンだよ。」
 「一緒じゃん。裕ちゃんは?」
 「うどんや。」
 そんな話しをしている間に注文の品が運ばれてきた。
 「ほな食べよか。」
 「「いただきま〜す」」
 お世辞にも美味しいとはいえない物だが、4人は食べ始めた。
 「裕ちゃん地図読めないんだ?」
 市井が少し笑いながら聞いた。
 「最初よくわからんかっただけや。読めるっちゅーねん。」
 「でも、女の人って地図読めない人多いらしいよ。」
 市井はそう言うと矢口の耳元で呟いた。
 「女のこ女のこしてんじゃない?」
 矢口は少し笑って中澤を見た。
 「は?なんて?」
 中澤は冗談っぽくキレ気味のように市井に言った。
 
87 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月30日(火)17時08分18秒

 「ねぇ、あとどのくらいで着くの?」
 カレーを口にほお張りながら後藤が聞いた。
 「あーあと2時間くらいちゃうか?」
 「けっこうすぐだね。」
 「着いたら早速温泉やな〜。」
 「あー楽しみ。」
 4人は待ちきれずニヤニヤしながらご飯を食べていた。

 「何ニヤニヤしてたの?」
 「そうそう、恐くて近寄れなかったよ。」
 石黒、飯田、安倍の3人が売店で4人を怪しそうに見た。
 「そうか?ニヤニヤなんかしてへんよ〜。」
 中澤がいろいろ物色しながら3人に答える。
 矢口と後藤と市井はお菓子のコーナーに行っていた。
 「裕ちゃんが1番怪しかったよ。」
 安倍が矢口達の元に向かいながら笑った。
 「…そんなニヤついてた?」
 中澤は自分の顔を触りながら二人に聞いた。
 二人は黙って頷いた。
88 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)18時32分25秒

 「それじゃぁ、そろそろ行こうか?」
 石黒の声に皆が集まる。
 「何買ったん?」
 矢口の持つ袋を中澤は覗きこんだ。
 「お菓子とか。」
 袋をひろげて中身を見せる。
 「裕ちゃんのおつまみも買っといたからね。」
 「おっありがとう。でもいっぱい買ったなぁ。」
 ビニール袋がぱんぱんである。
 「皆で食べたらすぐなくなりそうだけどね。」
 車まで並んで歩く。
 「今から道案内だね。」
 「そうや〜。矢口としゃべれへんなぁ。」
 「あっなっちか圭織と席替わってもらうよ。一緒に地図見よ。」
 中澤は助手席から車に乗りこんだ。
 後部座席では矢口が二人に掛け合っているところだ。
 「席替わってくれない?」
 安倍がいいよ、と席を立って市井の隣に座った。
 「ありがとう、なっち。」
 矢口は安倍の居た席に座って中澤に声をかけた。
 「地図開いた?わかる?」
 
89 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)19時39分19秒

 「今って…ここ?」
 中澤が地図を指差す。
 「・…嘘!?ちょっと見せて。」
 矢口は中澤から地図を受け取ると今の場所を調べる。
 「ここだと思うんだけど。」
 中澤とは違った場所を指差すと、中澤は不満そうに矢口を見た。
 「はぁ〜?ここ?嘘やん!」
 そうこうしている内に石黒が口を挟んできた。
 「裕ちゃん…矢口の言ってるとこだよ。裕ちゃんの言ってるとこって
  思いっきり反対方向なんだけど。」
 中澤の顔をあきれたように見ながら石黒はそう言った。
 「矢口、裕ちゃんと一緒にチェックしといてくれる?」
 「オッケ〜。」
 中澤は1人地図とにらみ合いをしていた。
 石黒が車を発車させた。
 矢口の後ろではお菓子パーティーが開かれているのか、後藤と安倍の
 興奮した声が車内に響く。
 「あっこれおいしいんだ〜。」
 「だべ?お気に入りなんだ。」
 キャッキャとお菓子を食べ合っていた。
 中澤は今の場所をしっかり指で追いながら矢口を見た。
 「ええで、当分大丈夫やし。後ろと話ししといて。」
 「ううん。いいよ。それより裕ちゃんほんと地図だめだね。」
 「なっ、ちょっと間違えたたけやんか。」
 
90 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)19時48分38秒

 「「間違いすぎだよ」」
 石黒と矢口のつっこみが重なる。
 「矢口聞いてよ〜、さっきなんかねぇ・・。」
 石黒が今までにすでに起こっていた中澤の珍案内を矢口に報告する。
 「向こうついたら道わかんないから矢口がしっかりリードしてよね。」
 「なんなん!!ほんならうちいらんやんか。」
 散々けなされて少し苛つきながら中澤が石黒を見た。
 「まぁね。でもまぁ、働かせようと思ってさ。」
 石黒は悪びれもさずにそう答えた。
 「矢口〜、あやっぺに虐められてる〜。」
 中澤が泣きそうな顔を作って矢口を見た。
 「よしよし…ってちゃんと地図見とかないとまたわかんなくなるよ。」
 中澤は凄いスピードで地図に目線を戻す。
 指をさしている所と今の場所を標識で何度も確認していた。
 石黒と矢口はバックミラーごしに苦笑した。
 矢口は一緒になって地図を見て、中澤の指が正しいことを確認すると
 少し離れてシーとにもたれかかった。
 ふと横を見ると飯田が矢口をジーっと見ていた。
91 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)19時58分47秒

 「ん?何?どうかした?」
 矢口は飯田を見た。
 飯田は少し間を置いてから話し出した。
 「裕ちゃんと矢口は鉛筆と消しゴムみたいな関係だね。」
 「え?」
 「1つ1つでも十分なんだけど、お互いが一緒に居たらもっと
  お互いをだせる。」
 矢口はよくわからない飯田の説明にただ瞬きをすることしかできなかった。
 「この車は筆箱なの。紗耶香は修正ペンで、後藤はボールペン。
  みんなそれぞれちゃんとした役割があるんだよ。」
 「・…へぇ・・。」
 矢口は結局まったくわからなかったが飯田が話し終わった素振りを
 みせたので相槌を打った。
 「と、ところでさぁ、圭織は温泉好き?」
 矢口はなんとか話しを変えた。
 「うん。あんまり行ったことないけど好き。矢口の友達がいるん  
  だっけ?」
 飯田は普通に強引に変えた矢口の話しに乗ってきた。
 「うん。福ちゃんっていうんだけどね。」
 矢口は普段そんなに話しあわない飯田と結構雑談をし始めた。
92 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)20時14分40秒

 有料道路を出た後はまったく全て中澤の案内で先に進んだ。
 大分地図の見方に慣れたのか、それなりにきちんと案内する。
 矢口と飯田は一緒になって後ろから覗いていた。
 「次の…・コンビにを左や。」
 「コンビニ!?あ〜もしかしてかなり向こうにあるアレ?」
 飯田がキョロキョロと外を見る。
 「そうや、んで当分まっすぐ。な?」
 中澤が後ろから地図を覗きこんでいる矢口に返答をもとめた。
 「うん。合ってるよ。」
 「ほら見てみ〜、裕ちゃんにできひんことなんかないねん。」
 胸を張って石黒を見た。
 「あーはいはい。」
 中澤を見もせずに石黒は口を動かす。
 「…あやっぺは冷たいなぁ。」
 矢口を見ながら中澤は呟いた。
 「えらいえらい。」
 矢口は中澤の頭を子供にするようになでてやってからこう言った。
 「まっ普通は地図読めるもんなんだけどね。」
 「矢口までそんなことゆうんかいな〜。」
 「まぁまぁ、裕ちゃんしょうがないよ。」
 飯田がニッコリ笑ってそう言った。
  
93 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)20時27分19秒

 「後どれくらいで着くの〜?」
 市井が見知らぬ土地を眺めながら誰に聞くともなしに叫んだ。
 「あー、あと15分くらいちゃうか?」
 「もーそんな近いんだ?」
 外の景色を眺めながら安倍は呟いた。
 後藤はお腹がいっぱいになったからだろうか?
 いつの間にか眠りについていた。
 「あっ看板でてるじゃん。」
 石黒が前方に看板を見つけて指を指す。
 「当分まっすぐだね。」
 看板にのっている地図を確かめる。
 「以外と近いんやなぁ。」
 「そうだね。結構すぐだったね。」
 「あやっぺは1番疲れてるやろ?ずっと運転しとったしなぁ。」
 中澤は石黒を気遣いながら話しかけた。
 「大丈夫だよ。でも早く温泉につかりたいよね。」
 「そやなぁ。何回も入りに行きたいわ。」
 「裕ちゃんおばぁさんじゃん。その発想。」
 飯田が笑いながら中澤をたたく。
 「年よりゆうなっ!!」
 中澤は笑顔で飯田の頭をしばいた。
94 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)20時38分18秒

 「着いた〜!!」
 「温泉〜♪」
 玄関先に車を止めるなり、市井と後藤が車を飛び出した。
 「みんな先行っといて。駐車場に止めてくるから。」
 石黒はそう言ってみんなを降ろすと車を動かした。
 出迎えにきた旅館の人が威勢良く矢口達を向いいれた。
 「「「ようこそ、水・華・木へ」」」
 旅館の名前を叫ぶと急いで各自の荷物を持ってくれた。
 とりあえず矢口を先頭に旅館に入る。
 「…めっちゃ綺麗やなぁ。」
 矢口のすぐ隣を歩いていた中澤がぼそっと呟く。
 良そう以上に旅館は広く、綺麗だった。
 「真里!!」
 カウンターから福田が顔を出して矢口を呼んだ。
 後ろに居る中澤にも軽くお辞儀をした。
 「福ちゃん!!」
 矢口は早歩きで福田に近づいた。
 「さっそく部屋案内するよ。」
 福田はそう言うとみんなが来るのを待った。

 
95 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)20時51分54秒

 「矢口の友達の福田明日香ちゃん。」
 集まった皆に矢口が紹介する。
 調度石黒もすぐにやってきた。
 「福田です。」
 福田が頭を軽く下げる。
 「それではさっそく部屋に案内いたしますので。」
 そう言うとエレベーターの方に歩き出した。
 矢口は福田の横を歩きながら福田に話しかけた。
 「部屋って皆いっしょ?」
 「3・2・2かな。3の部屋で全員ねてもいいけど、とりあえず
  多めにとっといた。だからまた布団引く時にでも矢口に聞くから
  きめといて。とりあえず3部屋とってあるから。」
 「ありがとう。」
 エレベーターで4階に行く。
 「温泉は2階になってますので。朝の8時から10時の間以外はいつでも
  ご利用いただけます。レストランは1階にございます。」
 ある程度福田が説明する。
 「あっ温泉にタオルがございますので本当に何度でも入ってくださいね。」
 そういうとあるドアの前に立った。
 「ここでございます。あとむかいのこことここの2つもお使い下さい。
  夕飯などの用意はここの部屋にさせていただきます。」
 矢口達は部屋に入った。
96 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)21時01分30秒

 福田は全員が中に入ったあと、履物を整理して中に入ってきた。
 矢口に鍵を3つ渡す。
 「荷物はもうくるから。」
 「ありがと、っていうかこの部屋凄くない?」
 中澤が福田に気がついて近寄ってきた。
 「ほんまに…めっちゃすごいなぁ。」
 他の子は窓から景色を見たり、部屋を動き回っている。
 「いえいえ。気にいっていただけましたか?」
 「めっちゃ気に入ったわ。」
 ニカっと笑うと中澤は矢口と福田から離れた。
 「ほんとに凄く気に入った〜。でもほんとにあの値段でここ
  泊まれるの?」
 矢口達は1人1万円で来たのだ。
 「余裕だよ。全然。夕飯楽しみにしといてね。」
 福田は他の人が運んでくれた荷物を中にいれるとそう言って
 部屋を後にした。
 「あとでね。」
 
 矢口が福田を見送って部屋に戻ると茶菓子とお茶が全員分セット
 されていた。安倍と後藤がしたらしい。
 「それじゃ、休憩がてらに・・。」
 「ゆっくりしようか。」
97 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)21時12分32秒

 「矢口〜、いつ温泉行く?」
 中澤がお茶をすすりながら矢口に聞いた。
 「うーん。もうちょとだけ休憩してからだったらいつでもいいよ。」
 「ほなら一緒に行こうな。」
 「うん。」
 その時なんとなく矢口は恥ずかしくなった。
 (裕ちゃんの裸見るのって初めてなんだよね。
  よく考えたら。なんか付き合ってる分不思議な感じ。)
 中澤も同じようなことを考えていた。
 二人でボーっとしているともう準備をしてしまったのか、
 後藤と市井がみんなをあおりだした。
 「さっ行くよ〜。」
 「ほらほら、準備して〜。」
 「あんたら元気だねぇ。はいはい。」
 石黒はのろのろと準備を始めた。
 中澤と矢口も準備をはじめるため動き出した。
 「ちょっとくらい休憩させ〜っちゅ〜ねん。」
 「裕ちゃんはつらいかぁ。ごめんごめん。」
 市井が手を合わせて謝る。
 「・…紗耶香・…ちょっとおいで…。」
 青筋を立てながら中澤が顔だけ笑顔で市井を手招きする。
 「・…さっ先行くよ。」
 逃げるように市井が部屋を飛び出した。
 後藤もわらいながらそれに続いた。
 
98 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)21時37分44秒

 「紗耶香!!」
 中澤の怒鳴り声が響いた。
 矢口はまぁまぁ、と中澤を落ち着かせ一緒に部屋を出た。
 全員出たのを確認すると鍵を閉める。
 中澤と一緒に少し遅れてエレベーターに向かうとドアをあけながら
 待っていてくれていた。
 「温泉ひろいのかな?」
 「露天風呂とかあるのかな?」
 飯田と安倍がエレベーターに張り出された温泉の案内のチラシを
 みながら話しあっていた。
 ほどなく2階につき7人は早速更衣室に入って行った。
 
 「うわっ!かなり広い!!」
 平日の昼間だからだろうか?
 中には誰もおらず、7人はぎゃぁぎゃぁと騒ぐことができた。
 (裕ちゃんって細いなぁ。)
 矢口はなんとなく中澤を目で追ってしまっていた。
 (やばいやばい!!ただのエロい子になってる気がする。)
 あせって矢口は温泉につかった。
 
99 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)21時51分58秒

 矢口は後藤と市井に近づいて行った。
 「いいかんじに熱いねぇ。」
 「すっごい広いしね。ここいい温泉だねぇ。」
 わいわいと騒ぐ。すぐに安倍と飯田が来てちょっとした水の
 掛け合いまでし始めた。
 中澤と石黒は端のほうでつかっていた。
 「は〜、疲れがとれる気がするわ〜。」
 「ほんと気持ちいいね。」
 ゆったりと温泉を楽しんでいた。
 「あのこらが行く前に露天風呂行っちゃおうよ。」
 「そやな。先行っとこか。」
 静かに二人は外に向かう。
 「なんか裸で外歩いてるのってめっちゃ変な気分やな。」
 「うん。わかる。外で裸になることなんてないもんね。」
 けっこう大きな露天風呂であった。
 中の温泉よりも熱い。
 「っくぅ〜。」
 中澤はゆっくりつかりながら思わず声をだす。
 「年よりくさいよ、裕ちゃん。でもその気持ちわかるわ〜。」
 石黒もゆっくりつかる。
 「こーゆっちゃう気持ちがわかるなんて、そうとうあやっぺも
  きてるやん。こっちに。」
 「嫌〜でもいってるかも〜。」
  
100 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)21時59分04秒

 程なくして残りの5人がやってくる足音がした。
 「いつの間にきてたの?」
 「どうどう?」
 わいわいと中に入る。
 「気持ちえーで。」
 「熱さがいいかんじ。」
 中澤と石黒がそういうと、
 「熱っ!!ここにずっと入ってられないよ。」
 「あーこれは効くねぇ。」
 顔がだんだん真っ赤になってきているのがわかる。
 「矢口は大丈夫。」
 「圭織も。」
 それなりに顔を赤くしながらも平然としている。
 「後藤もうだめ〜。」
 限界を感じたのか大胆に風呂からあがる。
 その後藤を見て、全員(市井以外)まったく同じことを考えた。
 (((ごっちん胸でかいなぁ。)))
 当の本人はまったく何も考えず、思いっきりみせたまま、
 「あっつ〜。」
 と手で顔をあおいでいた。
101 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)22時09分30秒

 「なっちも限界…。」
 「市井も…。」
 次々に上がる。
 「多分夜やったら外もっと寒いし調度ええんやろな?」
 平然とした顔でつかりながら中澤は外の3人に声をかけた。
 「あー、そっか。じゃぁ、夜にまた来よっと。」
 市井はそういうと熱そうに顔をしかめた。
 「圭織サウナいこうかな?」
 飯田がゆっくり外にでた。
 「あっ私もサウナ行く。」
 石黒が飯田と一緒に風呂からあがった。
 「矢口と裕ちゃんはどうする?」
 市井が聞く。
 「矢口はもうちょっとここつかったらサウナ行くよ。」
 「裕ちゃんは当分ここにいるわ。」
 「オッケ〜。んじゃ先中行ってるね。」
 ぞろぞろと裸の団体が中に入って行った。
 「ある意味不気味やな。」
 中澤がぼそっと呟く。
 そうして中澤はゆっくり矢口の横にきて、並んで座った。
 「この露天風呂、超気持ち良い。」
 矢口はそう言って軽く中澤にお湯をかけた。
102 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年10月31日(水)22時25分06秒

 「明日香ちゃんええとこで働いたはんなぁ。」
 中澤がそう言うと、
 「うん。でも矢口の働いてるとこも凄くいいよ。」
 「ここより?」
 「うん。ここより。」
 「なんで?」
 「裕ちゃんがいるから。」
 中澤は矢口が愛しくなって横から抱きしめた。
 液体のクッションは殆ど意味なく、肌と肌が触れ合う。
 「矢口〜。」
 「裕ちゃん。」
 矢口が横を向いて軽く中澤にキスをした。
 「もうちょっと入ってる?矢口そろそろ戻るよ。」
 「裕ちゃんも行くわ。夜またこーへん?」
 離さずにだいたままで矢口を見る。
 「うん。こよっ。」
 そう言って今度はちょっと長めのキスをして二人は揃って上がった。
 「矢口サウナ行って来る。裕ちゃんは?」
 「うちは体洗ってくるわ。」
 サウナ室のドアの前でいったん別れた。
103 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)14時39分24秒

 サウナで汗をかき、シャワーを浴びて温泉を出た頃には、
 すでに、石黒と中澤は更衣室前のソファーに座っていた。
 「いや〜、風呂上りのビールは最高やなぁ、あやっぺ。」
 2本目を手に、顔を赤くした中澤が上機嫌で石黒に話しかける。
 「おいし〜。風呂気持ちよかったねぇ。」
 石黒も顔を赤くしたままビールを飲んでいた。
 矢口が出てきたのに気がつくと中澤は手招きする。
 「矢口〜。のまへんか?」
 調度自販機が置いてある。
 「早速飲んでるんだ?」
 矢口は中澤の隣に腰を降ろすと中澤の手からビールを受け取り
 一口飲んだ。
 「・…おいし〜。ありがと。」
 中澤にビールを返すと矢口は立ち上がった。
 「ん?もう行くんか?」
 「裕ちゃん達まだここで飲んでる?福ちゃんに会いに行ってくるよ。」
 「そうか。ほないってらっしゃい。」
 矢口は中澤に鍵を預けるとほてった体でロビーに向かった。
 「ゆっくりしといでや〜。」
 後ろからの中澤の声に頷いて矢口は階段を降りて行った。
104 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)14時48分30秒

 ロビーに降りると矢口はキョロキョロと福田を探す。
 「真里!?」
 横から声をかけられ矢口が顔を向けると福田が小走りで近寄ってきた。
 「風呂どうだった?」
 「すっごく気持ち良かった。また入るよ。」
 一緒にソファーに座る。
 「えっ今話してて大丈夫?」
 「うん。全然大丈夫だよ。」
 「よかった。…でもここほんといいねぇ。気にいったよ〜。」
 矢口が小奇麗なロビーを見渡す。
 「ほんと?また来てよ。」
 「福ちゃんずーっとここで働いてるの?」
 「うん。まぁね。」
 「そっかぁ、じゃぁゆくゆくはおかみさんだね。」
 福田は笑顔を矢口に返した。
 「真里は前言ってた夢・・どうなったの?」
 「あー・…まぁねぇ。一応そのために今バイトがんばってる…かなぁ。」
 「そっかぁ、夢諦めてないんだね。真里はちゃんと夢叶えてよね。」
 矢口は福田の顔を見た。
 「なんで?福ちゃんは?」
 矢口はびっくりした顔で福田を見た。
 「…私は今違う夢叶えてるからさ。」
 晴れ晴れとした笑顔で福田は矢口をみる。
 
105 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)14時56分05秒

 「私、ここの旅館の後継ぎなんだ。」
 矢口は唖然として福田を見ていた。
 「今の私の夢は…ここを大きくすること。」
 きっぱりとそう言い切ると福田は矢口を見つめた。
 「一緒に誓った夢はさ、矢口に託すよ。だから絶対矢口に叶えて
  もらいたいんだ。」
 「・…福ちゃん。」
 「私今の仕事に遣り甲斐感じてるし、前の夢よりもっと自分の人生
  かけられる気がするんだよね。」
 「そっかぁ。福ちゃん、自分の道突き進んでんだね。」
 矢口はうらやましそうに福田を見た。
 「まっね。真里もがんばってなってよね。」
 「う…ん。」
 「じゃぁ、また後でね。」
 福田は立ち上がって矢口に手を振ると、カウンターに入ってなにやら
 従業員と話し合っていた。
 その福田の顔は昔夢を語りあった時の顔と同じ・・いや、それ以上に
 輝いていた。
 「夢…か…。」
 矢口はぼそっと呟いた。
  
106 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時05分27秒

 「矢口?」
 声をかけられたのに気がついて振りかえると市井と後藤がこっち
 に向かって歩いてきていた。
 「何してんの?」
 「今友達と話してたんだ。」
 「そうなんだ?」
 矢口も立ち上がって二人に近寄った。
 「紗耶香達はどうしたの?」
 「売店見物。」
 お土産などが売っている売店を指差しながら市井が答えた。
 「裕ちゃん達はビール買いこんで部屋に戻ったよ。」
 後藤が市井と腕を組みながら矢口を誘った。
 「一緒に売店行って上あがろうよ。」
 矢口は市井達と一緒に行動する事にした。

 「お土産の種類結構多かったね。」
 エレベーターに乗りながら矢口が話しかけた。
 「そうだね。お菓子はあんまり売ってなかったけど。」
 「後藤がいっぱい持ってきてるから安心してよ。」
 「矢口も買ったしなんとかんるって。あっ晩御飯期待してって
  友達も言ってたしさぁ。」
 3人は4階で降りて部屋に向かった。
107 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時14分13秒

 「おっ!おかえり〜。」
 中澤が中に入ってきた矢口達に気がついて笑顔で迎えた。
 「ただいま〜。」
 「お菓子たべよ〜っと。」
 後藤は一目散に自分の鞄に駆け寄ってお菓子をあさっていた。
 市井と矢口はなんとなく一緒に窓際の椅子に向かい合って座った。
 中澤は石黒と安倍と飯田とで普通のテーブルでビールを飲みあっていた。
 「大人組はずっとお酒だなぁ。」
 市井が笑いながら4人に話しかけた。
 「何ゆーてんねん。どうせ夜になったらあんたらかて飲みまくりやろ?」
 「そうだよ。紗耶香なんて十分酒飲みだべ。」
 中澤と安倍の返答に市井は、
 「市井達は市井達で若い話で盛り上がるからいいもん。」
 市井は矢口に相槌を求める様に顔を向けた。
 「そうだね。若者同士でいろいろ話そうか。」
 矢口の返答を聞いたとたん、
 「じゃぁ、なっちもそっちだよ。」
 「なっちはもうそっちだって。矢口までだね。」
 市井が笑いながら安倍を拒んだ。
 「ちぇっいいもんいいもん。」
 安倍もわざとらしくすねた振りをして酒をあおった。
108 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時20分13秒

 矢口が笑いながらパッと中澤を見るとどこか悲しそうに矢口を
 見ている姿であった。
 (裕ちゃん?)
 不思議に思って中澤と目をあわせる。
 しかしなんとなく目線をはずされた。
 (どうしたんだろ?)
 矢口は気になって中澤に近付いた。
 「裕ちゃん。」
 「・・なんやぁ?」
 中澤はいつもどうりに答える。
 矢口は自分の思い違いかもしれないので適当な言い訳をつくって中澤を
 部屋の外に連れ出した。
 「裕ちゃん・・どうかした?」
 矢口が中澤を見上げる。
 「・…。」
 中澤は何も言わずただ矢口を見つめた。
 「…なんでもないねん。」
 ちょっと顔を赤らめながら中澤はうつむく。
 「え?」
 まるでわからないと言った表情で中澤を見上げる矢口。
 
109 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時30分15秒

 「裕ちゃん、矢口なんかした?」
 心配そうに中澤をじっと見る。
 中澤はふいに矢口の手をとって向かいの部屋のドアのノブに手をかけた。
 「ここもうちらのとこやっけ?」
 「うん、そうだけど。」
 矢口の返答が終わるまえに、中澤は矢口を掴んだまま部屋に入る。
 そしてドアを閉めるとゆっくり矢口を見た。
 「…なんかしたとかちゃうねん。」
 矢口はしっかり中澤を見ていた。
 「なんかな、矢口と今日あんまりしゃべってないなぁ、って思って。
  んで紗耶香らと仲いいなぁって…。」
 恥ずかしそうに髪をいじりながら中澤は矢口に言った。
 「つまり…ちょっと焼きもちやいただけや…。」
 「・…裕ちゃん。」
 矢口はうれしくて中澤に抱きつく。
 (裕ちゃんが矢口に焼きもちやいてくれたなんて…。)
 「矢口は裕ちゃんのことが大好きなんだから!!」
 「うん。」
 「心配する必要なんてまったくないぐらい矢口の心は
  裕ちゃんの物なんだよ。」
 「・・うん。うちもやで。うちも矢口・・あんたのもんや。」
 しっかり中澤が矢口を抱きしめる。
 お互いの腕に入る力がお互いをどれだけ大事にしているかを物語る。
 
110 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時43分16秒

 しかし矢口の心に少しひっかかりがあった。
 (夢を叶えるために…裕ちゃんと別れなきゃならなくなったら
  どうしよう。)
 矢口は中澤に抱きつきながら、中澤の愛につつまれていながらも
 どこか不安で、その不安を拭い去るようにしっかり中澤に回している
 腕に力をこめた。
 中澤もなんとなく矢口の不安な気持ちが伝わっていた。
 (なんやわからんけど、矢口が離れそう…。)
 今までに何度か感じた気持ちが現われた。
 中澤は矢口の腕に力が入ったのを感じると、自分の腕にも力を込めた。
 矢口が中澤を見上げる。
 中澤は少し微笑んで、それからゆっくり矢口の唇に自分の唇を合わせた。
 やわらかい唇の感触。
 ゆっくりお互いの舌を絡ませあう。
 「・…ん…。」
 矢口がおもわずだした声を中澤はしっかり聞いた。
 中澤は口を離すと矢口の首筋に移動させた。
 「…ゆ・・うちゃ・・ん。」
 目を瞑りながら矢口が呟く。
 中澤が矢口から口を離す。
 「矢口…。」
 中澤の目は矢口の首筋に残るキスマークを眺めていた。
111 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)21時53分55秒

 「何?」
 矢口が中澤の目線の先を指でさする。
 「後残った?」
 「うん。残ってる。」
 中澤が指でそっと痕をなぞった。
 「裕ちゃんからのプレゼントだね。」
 矢口がうれしそうに中澤の指に自分の手を重ねる。
 (プレゼントか…矢口らしい発想やな。)
 「なぁところで部屋割どうすんの?」
 「あーどうしよう?ご飯の時くらいに言わなきゃなんないしね。
  皆であっちで寝る?」
 「紗耶香らは別で寝たいんちゃう?」
 (ごっちん今日はりきりおるはずや。)
 中澤は店での後藤との会話を思い出す。
 「あーそっかぁ、じゃぁどう言う風にひいてもらおうかな?」
 「とりあえず各部屋各部屋にひいてもらったら?ほんなら先
  寝たくなったら静かなとこで寝れるやん。」
 中澤はそう言うと部屋を見渡す。
 「ここも良い部屋やしなぁ。」
 「そうだね。全部にひいてもらうように言うよ。」
 
112 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)22時02分00秒

 (矢口・…やっぱりまだ嫌なんかな?)
 中澤は元の部屋に一緒に戻りながらちらりと隣の矢口を見た。
 (まっそんなにかんがえんとこ。)
 
 「あっ、おかえり。」
 石黒がさっき一瞬矢口が座っていたところから二人に声をかける。
 「あれ?皆は?」
 キョロキョロと周りをみあたしながら中澤が聞いた。
 「紗耶香と後藤となっちはお菓子食べつかれてその部屋で寝てるよ。」
 中澤が軽く障子をあけて中を覗きこむ。
 「ここの部屋はご飯の用意とかで人はいるかもしれないしそっちで
  ねかしたの。」
 「うん。ゆっくりねかしとこ。」
 中澤と矢口はテーブルの傍に腰をおろした。
 「んで、圭織は?」
 「なんかここの旅館を探索してくる〜って言って出て行ったよ。」
 「相変わらず変わった子やなぁ。」
 中澤が飯田の行動に飽きれていた。
 「矢口もちょっと寝ようかな?」
 夕飯までまだ時間がある。
 小さくあくびをして矢口は中澤を見た。
113 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月01日(木)22時12分45秒

 「裕ちゃんにもたれかかって寝る?」
 中澤が矢口にだけ聞こえるようにつぶやいた。
 「…うれしいけど、今はいいよ。」
 矢口が石黒を気にしてそう答える。
 内心ではすごく中澤の好意に応えたかった。
 「ほんなら隣の部屋で寝といで。」
 中澤は笑顔で矢口の頭をポンポンと軽く叩いた。
 矢口は黙ってコクンと頷くとトコトコと隣の部屋に向かった。
 (今はいいよ・…かぁ。)
 中澤は矢口を見送りながら矢口の言葉に酔いしれていた。
 「裕ちゃん矢口にメロメロだね。」
 石黒が中澤を見ていた。
 「…メロメロやで。」
 「まっなんかうまくいっててよかったよ。ほんとに。」
 「あやっぺはどうなんよ?真矢さんやっけ?」
 「あー別に何もないけど〜。」
 中澤は石黒に彼氏の事を聞いたり、仕事についてきいたりして
 時間を過ごしていた。
 
114 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)02時16分04秒

 「皆もうおきなよ〜。」
 石黒の声が部屋に響く。
 矢口は目を擦りながら部屋をでた。
 テーブルには大量の料理が。
 「すっごー!!おいしそー!!」
 矢口は料理に見入った。
 ふと我に返って中澤を探す。
 入り口で福田と何やら談笑していた。
 腕を組んで柱にもたれながらも何やら楽しそうに話している。
 福田も笑顔で中澤を見ている。
 (あの二人、両方とも人見知りするハズなんだけどなぁ。)
 矢口は少し不思議に思いながらも、仲良くなってくれるのはいいことだ
 と思って再び料理に目を移した。
 「うわ〜、おいしそ〜。」
 やっと起きてきた後藤が目の前の料理に感動している。
 「あれ?圭織は?」
 市井がキョロキョロと部屋を見渡す。
 「探索とか言ってまだ帰ってこないんだよね。」
 石黒が少し心配そうに市井に答えた。
 「探しに行った方がいいかな?」
 「ちょっと見にいこうか?」
 矢口と市井は一緒に立ち上がった。
115 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)02時24分02秒

 「あれ?どこいくん?」
 入り口で中澤と福田に離し掛けられる。
 「圭織がいないから探しに行くよ。」
 「矢口も一緒に探してくる。」
 矢口はスリッパを履きながら中澤を見た。
 「そういえばどこいきおったんやろな?」
 中澤が不思議そうにしていた。
 「私も探そうか?」
 福田が矢口に声をかけた。
 「いいよ。多分どっかでボーっとしてるっぽいし。」
 「んじゃ、ちょっと行ってくるね。」
 「うん、頼んだで。」
 矢口と市井は二人に見送られて部屋を後にした。
 
 「料理すごかったね。」
 「うん。早く圭織探して食べに行こう。」
 市井と矢口はとりあえずロビーに来ていた。
 ソファーや店を覗きながら歩いていたが飯田の姿はない。
 「どこ行ったんだろ?」
 「外とかはでてないよね。」
 市井と矢口はとりあえず全ての場所を見てまわった。
 
116 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)02時31分00秒

 「いないねぇ。」
 「もう部屋に帰ったとか?」
 矢口達は少し途方にくれながら周りを念入りに見て回っていた。
 「そういえば温泉に入ってるのかも?」
 ここが温泉だという事を忘れていた。
 「絶対そうだよ。」
 二人は急いで温泉に向かった。
 「あれ?どうしたの?二人とも。」
 調度でたばかりなのだろうか?顔を赤くそめた飯田がソファーで
 休んでいた。
 「圭織がなかなか帰ってこないから探しにきたんだよ。」
 「もうご飯だからもどろっ。」
 「えっそうなの?ごめーん!!」
 飯田は立ち上がって二人に謝った。
 「大丈夫だよ。それよりご飯ほんとにすごいよ。」
 「かなり豪華。びっくりする。」
 「嘘!!楽しみだね〜。」
 3人は急いで部屋に戻った。
117 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)10時36分53秒

 「おかえり〜。」
 中澤がずっと福田と話していたのか、先ほどと同じ場所で
 3人を迎えた。
 「なんや、圭織風呂はいっとったんか?」
 「うん。気持ち良かったよ。」
 「うちもご飯食べたら入りに行こう。」
 そういって矢口をちらっと見た。
 「あっじゃぁ、ご飯食べ始めますか?」
 福田が皆が中に入るのを待ってから部屋の中に入ってきた。
 チャッカマンで固形燃料に火をつける。
 「それじゃぁ、ビールを持ってきますけど。」
 そう言って中澤を見る。
 「あー何本くらい頼む?」
 中澤はそう言って周りを見渡した。
 「7人だしねぇ。皆飲むし…結構頼んじゃう?」
 「そうだね。10本じゃきかないんじゃない?」
 石黒と安倍が話し合う。
 「とりあえずじゃぁ10本頼もうか。」
 中澤がその旨を福田に伝えた。
 福田は軽く頷いて部屋を出て行った。
 「あっ、なっち焼酎と日本酒持ってきたよ。」
 小さい声で安倍が皆に伝える。
 「ほんま?うちも2本くらい持ってきたで。」
 中澤も小声で皆に言う。
 「んじゃ、ビールの後はそれのもうか。」
 
118 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)10時44分10秒

 程なくして福田がビンビールを運んできた。
 シュポッ!
 良い音がして栓をぬく。
 とくとくとお互い入れあってグラスを持つ。
 「一緒にいっとこ!!」
 中澤が福田にもグラスを持たせる。
 「んじゃ、良い旅を記念して〜・・。」
 皆がグラスを持ち上げて近づけ合う。
 「「「乾杯〜!!」」」
 カン
 部屋にグラスのぶつかり合う音が響く。
 「あ〜うま〜っ!!」
 「早速食べよっと。」
 「これ超美味しそうじゃない!?」
 ワイワイと騒ぎながら皆旅館の用意してくれた料理に手をつけだした。
 「福ちゃんはまだ仕事?」
 中澤の隣に座っている矢口が福田に声をかけた。
 「うん。それじゃ、ごゆっくり。なんかあったらカウンターにいるから
  電話してね。」
 そういうと福田は部屋を出て行った。
 「あの子ええこやなぁ。」
 中澤が刺身を食べながら矢口を見る。
 
119 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)10時54分23秒

 「そういえば、何しゃべってたの?」
 矢口も煮物を口にしながら中澤を見た。
 「え?あぁ、矢口の事聞いてたんや。昔のな。」
 「えー!!何聞いたのさ!?」
 「何焦ってんねん。何かしとったんか?」
 ニヤニヤと矢口を見る。
 「べっ別に何もしてないけどー、気になるじゃん。」
 「別に変な事ゆーてなかったで。中学一緒やってんてな?」
 「うん。学年は違うんだけど。」
 「矢口より年上っぽいのにな。」
 「何!?矢口が子供っぽいってこと?」
 矢口が中澤の方をバシっと叩く。
 「痛い痛い!それより食べようや。」
 中澤が大げさに痛がりながら料理を見る。
 矢口が皆を見るとワイワイを騒ぎながら食べまくっていた。
 「市井ちゃん!!それ後藤の!!」
 「いっただき〜。」
 「あやっぺ、コレ食べてみて。すっごい美味しい。」
 料理が猛スピードで皆の胃に消えて行った。
120 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月02日(金)11時04分04秒

 ビールはすぐになくなり、安部と中澤が持ちこんだ酒が
 だされた。
 「氷あるかな?」
 「廊下に氷の機械なかったっけ?」
 飯田と安倍が一緒にとりに行く。
 「裕ちゃん食べてる?」
 後藤が中澤の皿を見ながら話しかけた。
 「食べてんで〜。」
 「それ食べないの?」
 あまり減っていない料理を指差す。
 「食べるか?裕ちゃん酒のおつまみ程度でええねん。」
 「やった〜、もらう〜。」
 後藤が大喜びで皿をとる。
 「裕ちゃんお腹すいてないの?」
 矢口が中澤を見た。
 「ちゃうちゃう、酒が飲みたいのよ〜。」
 「わっ!裕ちゃん重い〜!!」
 中澤に抱きつかれて倒れそうになるのをこらえて矢口が叫ぶ。
 「皆飲んでるか?無くなったら頼んだらええんやしガンガン飲もうや!」
 矢口に抱きつきながら中澤は皆の手元をチェックした。
121 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)16時17分36秒

 安倍と飯田が運んできた氷で焼酎を割る。
 全員の手元に配られると軽く再度乾杯をして、またそれぞれ勝手な
 事を話し合っていた。
 矢口は市井と後藤とお菓子をつまみながら酒を飲んでいた。
 (それにしても、女ばっかりなのにすっごい全員酒のみだよね。)
 酒をあおる安倍や石黒を見ながら矢口はそんなことを考えた。
 ふと中澤を見る。
 「裕ちゃん!!ペース速すぎじゃない?」
 1本をほぼ1人で飲んでいる中澤の姿があった。
 しかも1人で淡々と飲んでいたのだった。
 「…そうか?旅先やからなぁ。」
 矢口はいつもと違う中澤の様子が気になり、市井達から離れて中澤の
 隣に戻る。
 「どうしたの?なんかあった?」
 「へ?裕ちゃんそんな変?」
 「いや、なんとなくだけど…。」
 矢口は何か引っ掛かりを感じていた。
 中澤はただ矢口を見つめていた。
122 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)16時33分09秒

 「ちょっと外いかへん?」
 中澤が矢口を誘って立ち上がる。
 「うん。いいけど。」
 手を繋いで一緒にドアにむかう。
 皆の視線は二人にそそがれているが、あえて何も口出しはしてこない。
 少し見た後は再び会話に戻っていった。
 
 中澤は矢口の手をしっかりつかんで非常階段のところに来ていた。
 「ちょっとここ座ろうか。」
 並んで腰を降ろす。
 矢口は中澤の顔が少し険しくなっているのに気がついた。
 「どうしたの?裕ちゃん。」
 不安になって矢口が中澤を見る。
 「・…矢口・…。」
 中澤は矢口を見ずにただ前を見ながらそう呟いた。
 「うちの事好きか?」
 「え?…うん。裕ちゃんのこと大好きだよ。」
 「今矢口の大切なもんってなんや?」
 「裕ちゃんだよ。」
 矢口は中澤の質問の意図がわからなかったが、しっかり答えていた。
 「ほかにもあるやろ?」
 中澤は矢口を見ずに質問を続ける。
 「他にも?…なんのこと?」
 中澤がゆっくり矢口の方に顔を向ける。
 
123 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)16時45分51秒

 「・・…。」
 なにも言わずに矢口の顔を見る。
 (裕ちゃんなんの事言ってるんだろ?)
 「あんた・…夢…あるんやろ?」
 中澤の瞳に悲しみが写る。
 「夢叶えるためにがんばってんのちゃうんかいな?」
 「うん…そうだけど…。」
 (福ちゃんに何か聞いたんだな。)
 さっき話していた中澤と福田の様子を思い浮かべる。
 「なんで…一言もうちにその話してくれへんかってん?」
 「いや、まだ全然決まってないし…。」
 「決まってからしか教えてくれへんのか?」
 中澤の声に怒りが混じる。その怒りは矢口にだけ向けられているのでは
 なかった。
 矢口は一呼吸するとしっかり中澤を見た。
 「聞いて。裕ちゃん。」
 矢口は中澤に夢を語り始めた。
 歌手になりたい。ボイストレーニングなどの学校に行くのにも
 お金が必要でバイトをし始めた事。今までに数階オーディションを
 受けていることなど。
 「福ちゃんとは一緒にがんばろうって言ってた仲だったんだ。」
 中澤は何も言わずに話を聞いていた。
124 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)16時59分18秒

 「最後にうけたオーディションで発声がなってないって言われて…
  基礎からやらなきゃだめなんだなって思って。」
 「うちにゆってくれへんかったんは?」
 中澤が目を瞑ったまま呟いた。
 「それは…もしかして…うまくいったら・…。」
 矢口の目から意思に反して涙が溢れてきた。
 「裕ちゃんと・…付き合っていけなくなるかもしれないって・…思って。」
 声も途切れ途切れになる。
 「うちはな、矢口の夢応援したいし、するよ。だからうちのせいで
  夢諦めてほしくないんや。お金貯めてるんやったらそらいいんやけ
  ど、矢口が夢勝手に諦めてしまったんかと思ったんや。」
 中澤は夢を簡単にあきらめてしまったのだはないか?と思って
 不機嫌になっていたのだ。
 「・…その夢の為なんやったら…別れよ…。」
 矢口は弾かれたように中澤を見た。
 「え?」
 「そんな事気にせんと、矢口は夢に向かってがんばって…。」
 そう言って中澤は立ち上がった。振りかえる事なく。
 矢口は呆然と中澤の背中を見ていた。
 「ゆ、裕ちゃん!?」
 
125 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)17時12分02秒

 「夢・…叶えてな…。」
 少し立ち止まってそう呟くと足早に矢口の視界から消えて行きそうに
 なった。
 あわてて矢口は立ち上がる。
 「いっ嫌だ!!!」
 思いっきり中澤の背中に飛びついた。
 「嫌だよ!!裕ちゃんと別れるなんて…絶対嫌だ!!」
 中澤は何も言わずに立ち止まっていた。
 「だって…今の矢口には…夢より裕ちゃんが大っきいんだもん!!
  確かに夢を思う事が無くなっていったのは裕ちゃんの存在のせい
  かもしれないけど…・ずっと思ってた夢より大きい存在の裕ちゃん
  と別れる方が嫌だよ!!」
 必死に中澤にしがみついて矢口は叫んだ。
 「簡単になんて諦めてないよ…イロイロ考えてたよ…。」
 力なく泣きながら矢口はそう呟いた。
 「でも、矢口は・…裕ちゃんが1番なんだもん。」
 中澤の服をしっかり掴んだまま矢口は下を向いて泣いていた。
 「これやったんやなぁ…。」
 中澤はボソッとそう呟くと指で目を押さえた。
126 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月03日(土)17時24分35秒

 何度も中澤の心に現われた矢口が離れて行くのではないか?という不安。
 その度に矢口の言葉で溝をうめようとしてきた。
 背後で涙を落としている矢口を中澤は決して振りかえることなく
 話しだした。
 「夢かなった時に、どうしても別れなあかんってなったら、
  矢口は夢を諦めるやろ?うちは矢口の夢潰したくないねん。
  どうしても夢叶えてほしい・・。」
 「嫌…嫌だ。」
 「うちらは別れたほうがいいねんて。」
 「嫌!!夢諦めないから!!」
 子供の様に駄々をこねる矢口。
 「矢口ぃ、わかったや。うちもつらいねんで。・・でも、矢口の
  可能性を潰すほうがつらいねん。」
 「・…。」
 矢口は声を出せないほど泣いていた。
 「うちの事、好きってゆーてくれた事…うれしかったわ。」
 「・…。」
 「矢口の夢、応援してるからな。」
 歩く出そうとした中澤を必死で矢口は掴む。
 「・…バイバイ…矢口。」
 中澤は矢口を振りほどいた。
 「イアァ!!裕ちゃん!!」
 矢口はその場に座りこんで泣き出した。
127 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月04日(日)03時10分38秒
う〜!!姐さん〜!!
や〜矢口!
姐さんはこのまま男前なのか??自暴自棄になるのか??
矢口の夢は〜。両方かなうのか?
先が気になるよ〜。
128 名前:読んでる人 投稿日:2001年11月04日(日)16時43分10秒
うわぁぁぁああ、この先どーなるんだぁぁぁ!?
早く続きが読みたいぃぃ!!
129 名前:作者です。 投稿日:2001年11月04日(日)21時24分14秒

 >127さん。
 読んでいただいてありがとうございます。
 先は…中澤は…矢口は・・・
 気になると言っていただけるなんて光栄です。

 >128 読んでる人さん。
 早く続きが読みたいとのことですので更新させていただきます。
 ただ、今夜はちょっとやることがあるのでかなりのスローペースに
 なると思います…が、書けるだけ書いていきたいので少しでも
 お許しください。
130 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月04日(日)21時39分03秒

 泣いている矢口を置いて中澤は通路の角を曲がった。
 ガクンッと膝が崩れる。
 (あかん、こんなとこにいたら…。)
 必死に足を支えて中澤はトイレに入っていった。
 ドアを閉めた瞬間、こらえていた涙が溢れ出す。
 (…うちも別れたない…。でも矢口の夢うばってしまうんが
  恐いんや…。)
 心の中で矢口に詫びる。
 (それでも…。)
 「別れたないよぉ。」
 思わず口からこぼれ出た思いがますます中澤の胸を締め付ける。
 今にも矢口の元に走っていって抱きしめたい。
 かがみ込んで顔を手で覆って泣いている中澤の背中がわびしかった。
 
 矢口は中澤が角を曲がっていったのを泣きながら見ていた。
 体がうごかない。
 今追いかけなければ本当に中澤と終わってしまう。
 しかし、足は矢口の言う事をまったく聞かず、がたがたと震えていた。
 (なんで勝手に夢をあきらめるとかきめちゃうの?)
 (夢より裕ちゃんの方が大きくても、諦めた訳じゃないよ!)
 (大好きだから…離れたくないよ。)
 中澤に伝えたい言葉が矢口の頭を回る。
 矢口はなんとか立ち上がって中澤を追いかけだした。
 
131 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月04日(日)21時59分29秒

 まだ言う事を聞かない足を引きずって矢口は角を曲がる。
 中澤はどこにもいない。一体どこにいったのか?
 部屋には帰っていないと考え、矢口は旅館中探し回る事にした。
 溢れ出る涙を指で押さえながらフラフラとさ迷う。
 (裕ちゃんならどこに行くかな?)
 
 中澤は矢口が通りすぎて行ったトイレでずっと泣いていた。
 (矢口…その夢だけは叶えてほしい。だから別れるしかないんや。)
 自分に言い聞かせる様に考える。
 (うちがこんなに引きずってたらあかん。)
 フラフラと立ち上がると鏡を見る。
 「ひどい顔やな…。」
 自分の顔を見て呟く。
 「…こんなんじゃ、部屋帰れへんわ。」
 中澤は目のふちに残っていた涙をぬぐうとトイレをでた。

 (裕ちゃんどこにいるの?)
 中澤の事だからあんまり人のいる所にはいないだろう。
 ロビーにやってきた矢口は端の方のソファーに座った。
 「真里…?」
 「あっ・…福ちゃん…。」
 矢口を見かけた福田は矢口の様子がおかしいのに気がついていそいで
 駆け寄ってきた。
 「どうしたの??」
 涙がまだ溢れている矢口の隣に座る。
 
132 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月04日(日)23時00分52秒
リアルタイムで読んじゃった。
私も、めちゃくちゃ昨日先が気になってチェックしてた。(w
133 名前:作者です。 投稿日:2001年11月04日(日)23時06分02秒

 >132さん。
 リアルタイム!!
 気になっていただけましたか。うれしい限り。
 できる限り更新していきます!!
134 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月04日(日)23時26分45秒

 「何があったの?中澤さん?」
 矢口は福田の口から中澤の名前が出たのに多少驚いた。
 「え?なんで?」
 「いや、さっき中澤さんと話してたらすっごい真里の事大切に
  してるんだなぁ、って思ったからさ。真里がこんななってる
  のは、中澤さんとなんかあったのかな?って思って。」
 福田は思った事全てを正直に話した。
 「もしかして、私と話してたことで…なんかあった?」
 福田は申し訳なさそうに矢口に聞いた。
 「ううん。福ちゃんのせいとかじゃないよ・・。矢口が…
  裕ちゃんになにも話してなかったのがいけなかったんだ。」
 力なくそう呟くと矢口はロビーを見渡した。
 「裕ちゃん来てないよね?」
 「うん、多分。見かけてないよ。」
 「ありがと。」
 矢口はぎこちなく笑うと立ち上がる。
 「真里…。」
 福田は座ったまま矢口を見ていた。
 「裕ちゃんは…矢口にとってすっごく大切な人なんだ。
  だから…。」
 矢口はしっかりとした目で福田を見ながら話す。
 「真里、それは中澤さんにちゃんと言いなよ。」
 「・…うん。」
 矢口は福田の顔を見て少し元気が出たのか、小走りで
 ロビーを抜けて行った。
 
 
135 名前:セーラム 投稿日:2001年11月04日(日)23時29分50秒
続き、凄く楽しみにしてます。
136 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月04日(日)23時56分46秒

 「はぁ…。」
 中澤は露天風呂に居た。
 幸い誰も温泉にはおらず、中澤はゆっくりとつかることができて
 いた。
 「ここから戻る時にはしっかりせなな。」
 顔をパンと叩く。
 (矢口とはもう…。)
 いつまでも引きずる自分に思わず、
 「はぁ…。」
 何十回めかのため息がやけに大きく聞こえた。
 カラカラ
 背後でドアの音がした。
 誰かきたな、と思って端による。
 「…裕ちゃん…。」
 「え?」
 中澤は思わず振りかえった。
 「矢…口・・。」
 呆然と矢口を見つめる中澤をよそに矢口は露天風呂に入ってきた。
 
137 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)00時19分13秒
毎日楽しく読ませていただいてる者です。
初のカキコなのに、いきなり質問でゴメンナサイですが、おひとつお聞きしたいです。

『雨がよんでる』の初めのやつはどこにあるんですか?
とってもいい作品だと思っているので、この前の話が読みたいのですが、
『風板』内にないんです。どこにいけば読めますか?
138 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月05日(月)00時19分30秒

 中澤は黙って矢口を見ていた。
 矢口は中澤から少し離れたところに座る。
 「裕ちゃん…。」
 中澤を見ず、下を見ながら矢口は声をだす。
 中澤は今の状況をよく把握できずに呆然と矢口を見ていた。
 「夢は諦めないよ。何度でも挑戦する。」
 矢口は自分の決心を中澤に告げる。
 「…そうか。」
 中澤はやっと声をだした。
 「がんばってや…。」
 中澤は矢口から目線を外した。
 「・…裕ちゃんは…もう矢口の事…嫌いなの?」
 矢口が動いたのか、水の音が響く。
 「…なんで?」
 矢口の質問に答えず、中澤は矢口の視線からさけるように爪を見ていた。
 「矢口は…裕ちゃんと・・・別れたくない。」
 「…あかん。」
 爪を見たまま一言そう呟いた中澤に矢口は近づいた。
 「夢を叶える時に、傍に裕ちゃんが居てくれなきゃヤダよ。」
 矢口は泣くまいと必死でこらえていた。
 少し冷たい中澤の対応が矢口の胸を締め付けていた。
139 名前:作者です。 投稿日:2001年11月05日(月)00時25分56秒

 >135 セーラムさん。
 ありがとうございます。
 更新しますのでまたよろしくお願いします。

 >137さん。
 風板の倉庫一覧を見てみてください。
 そこに移動しているとおもいます。
 『雨がよんでる』の中に『雨がよんでる』と『とある町の喫茶店』
 の前編があります。
 よろしければ一回読んで見てください。
 これからもよろしくお願いします。
140 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月05日(月)00時39分40秒

 「・…。」
 「ねぇ、なんか言ってよ。」
 矢口が中澤の肩を揺らす。
 「・…。」
 「・…夢が叶っても、矢口は裕ちゃんと別れないし、別れたくないよ。
  今も絶対別れたくないし。」
 「うちは…人の夢や人生の邪魔もうしたくないねん。」
 矢口の頭に平家のことがよぎった。
 「それに…矢口と別れなあかんようになったら…。
  ただでさえ、毎日毎日好きになっていってんのに…
  うちが全然ふっきれへんようになってしまうかもしれ
  へん。それで矢口の邪魔になったりしたら…。
  今、別れとくのが最善や…。」
 「人生の邪魔って…矢口にとって裕ちゃんが邪魔になるわけ
  ないじゃん!!勝手にそんなこと思わないでよ…。」
 矢口は無理やり中澤と視線をあわす。
 涙がじんわり溢れそうになっている中澤の顔があった。
 矢口は中澤に抱きついた。
 「裕ちゃんは矢口のもんだって言ってくれたじゃん。
  矢口も裕ちゃんのもんなんだよ…捨てないでよ…。」
 中澤は矢口に抱きつかれたまま動かなかった。
 
141 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月05日(月)00時50分46秒

 中澤は自分の中で戦っていた。
 矢口に腕を回したい自分。
 矢口を突っぱねるべきだと言っている自分。
 もうどうしたらいいのかわからなくなってきていた。
 矢口の言葉がじんわりと心に染みていく。
 矢口の言葉は涙が出る程うれしかった。
 しかし、それを受け入れて涙をだすときがあるだろうという自分。
 自分も矢口も涙を流す。
 もう矢口を泣かせたくはなかった。
 (結局、うちは逃げてるんや・・・。)
 矢口に抱きつかれたままボーっと考えていた。
 (卑怯な大人や…うちが嫌ってた…。)
 少し関係の無い事も考える。
 (みっちゃんの夢も壊したうちと一緒にいて、矢口は
  ちゃんと夢掴み取れるんやろか?)
 (うちは他人を不幸にする人生なんや。)
 中澤がイロイロと思考をめぐらせていると、
 「変なこと考えないで…矢口にとって幸せなのは裕ちゃんと
  いれること。裕ちゃんと別れて夢つかんだって、矢口の
  人生全然幸せじゃないよ。」
 
142 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)21時36分29秒
どうなるのか???
やっぱりすぐに結論はでないよな?
人間悩んで成長するし(w
羽陽曲折があって(w
143 名前:通りすがりの読者 投稿日:2001年11月05日(月)23時35分19秒
このスレお気にってしまったよ。
なんか痛さと甘さが同居していい感じ。
今日の更新はあるのかな?
144 名前:作者です。 投稿日:2001年11月06日(火)01時57分17秒

 >142さん。
 ありがとうございます。
 悩んで悩んで悩ませまくってます…。
 結論は…
 是非読んでください。

 >143 通りすがりの読者さん。
 気に入っていただけて光栄です!!
 どうも痛くなってしまうんです…。それがいいと言っていただけて
 うれしいです。
 今から更新します。
 あまり量は多くないですが…。 
145 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月06日(火)02時09分31秒

 矢口の言葉に一瞬ドキリとしながらも、中澤は動かなかった。
 (このまま矢口の言葉に甘えていいんやろか?
  ここで突き放すのが矢口にとって良い事なんや…)
 グルグルと頭に様々な想いがまわる。
 少しも動かず、ただじっと前を見ている中澤を矢口は力一杯
 抱きしめていた。
 いつまた突き放されるのか、不安が矢口の腕にますます力を入れる。
 中澤は矢口に力一杯抱きつかれる毎に迷って仕方がなかった。
 矢口を思いっきり抱きしめたいと本能が叫んでいる。
 かすかに保たれた理性で矢口の幸せを考えると、どうしても
 中澤にはできなかった。
 「裕ちゃんは・・矢口を幸せにしたいの?不幸にしたいの?」
 矢口がそう呟く。その声は震えていて、弱弱しい。
 「幸せになってほしいにきまってるやんか。」
 迷わずにそう口にする。
 「じゃぁ、変な事いわないでよ。裕ちゃんに離れられたら・…
  矢口の人生不幸になるんだよ?」
 矢口は抱きしめていた腕を少し伸ばして少し体を離し、中澤の顔を
 しっかりと見た。
146 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月06日(火)02時27分06秒

 「何ゆーてんねん…。夢を叶えられる人間なんてそうおらん。
  夢を追う事すらできん人もおるんや。矢口は夢を持って、
  その夢を追って、叶えれたら幸せな人生になるに決まってるやろ?」
 中澤は溢れる感情を押し殺して話す。
 「そこに裕ちゃんが居なかったら幸せじゃないよ。
  裕ちゃんと一緒に居れるから、今十分矢口は幸せなんだよ。
  それで夢が叶ったら矢口は最高に幸せになれるよ。」
 強情な中澤に全てを伝える。
 後悔はしたくない。なによりも中澤を失いたくない。
 その想いが矢口を次第に強くしていっていた。
 (夢が叶ったら…必要に迫られたら別れなあかんようになる。
  その時にうちは…きっとすんなり受け入れられへん…。それで
  矢口の夢の邪魔をしてしまうかもしれん…。
  それが恐いんや。すんなり引ける大人の女性じゃないんや。)
 自分の弱さに吐き気がする。
 夢をかたってもらえてなかった嫉妬。
 一緒に夢を語り合っていた人間の存在。
 突然別れると言い出したのも全て中澤自身の弱い心からの
 問題であった。
 (矢口を束縛しまくってまう…うちってこんな弱い恋愛する
  人間やったかな?)
 
147 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月07日(水)23時44分16秒
HNを少し変えました(HN。ちょっと大げさかなぁ?)
面白くなってきましたねぇ。期待待ち。
148 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月09日(金)00時02分01秒
更新待ってまーす。
149 名前:82 投稿日:2001年11月09日(金)17時02分22秒
ねえさん、矢口の立場にもたってやろうぜ。辛いよな、矢口・・・
早くも禁断症状。更新待ってま〜す。
150 名前:作者です。 投稿日:2001年11月09日(金)18時21分53秒

 >147 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
  いいHNですね。やぐちゅー中毒…大げさじゃないですよ〜!!
  いいじゃないですか!中毒は自分もです。やぐちゅーが1番。
  面白いと言っていただけて光栄です!!

 >148さん。
  今夜更新しますので…
  遅くなってすみません。

 >149 82さん。
  矢口が今大変です。かわいそうですが…。
  結局どうなるか・・…今夜明かす予定です!!
  また是非読んでください。
  
  言い訳→また更新がだいぶ遅くなってしまいました。
      待っていてくださった方、本当にすいません。
      オールで遊んだりしていて、更新できませんでした。
      
   今夜、話を結構進めたいと考えていますので…
   これからも、こんな不精者ですが、宜しくお願いいたします。  
151 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)21時40分06秒

 「矢口も最初は…夢の為に別れなきゃなんない時が来るかもって
  考えたけど。考えれば考えるだけわからなくなってたんだ。」
 矢口は口を開いた。
 「でも、自分の幸せを捨てて夢を叶えたって結局は幸せになれない
  じゃん。ある程度は幸せでも。今、…これからも、矢口にとって
  1番の幸せは裕ちゃんなんだ。」
 中澤の目をまっすぐ見て矢口をそう言いきった。
 中澤は矢口を見ているだけであった。
 「裕ちゃんにとっての幸せは?」
 矢口の質問に、中澤は何も言わずに目線を外した。
 (・…だめだ…裕ちゃん…ほんとに矢口と別れたいんだ…)
 黙っている中澤を見る。
 矢口は涙がでそうになった。
 「裕ちゃん…。」
 なんとか涙を隠して呼びかける。
 (これ以上裕ちゃんを困らせたらいけない・・ね。)
 矢口は中澤から手を離した。
 
152 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)21時47分08秒

 「裕ちゃんの幸せの中に矢口はいないんだよね。ごめん。
  それなのに我侭言って。」
 矢口は立ち上がった。水の音が響く。
 「最後まで勝手な事言ってごめん。ありがとう、裕ちゃん。
  矢口…すっごく幸せだったよ…。」
 そう言うと足早に温泉からでた。
 今の情けない顔を中澤に見せたくない。
 中澤とすごした数日が頭に思い浮かぶ。
 (裕ちゃん・…大好きだよ。)
 溢れる思いを口にせずに思う。
 中澤を吹っ切れる自信などはなかったが、これ以上中澤の負担に
 なりたくはなかった。
153 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)22時08分12秒

 矢口は中に入る扉に手をかけた途端、後ろから暖かい腕が体に
 回るのを感じた。
 「矢口…。」
 「ゆ、裕ちゃん?」
 中澤の腕は矢口をぎゅっと抱きしめていた。
 「ちょっ…待って…。」
 矢口は黙って扉に手をかけたままでいた。
 「ほんまに…うちが傍におってええんか?」
 中澤が矢口の背中に頭を押し付けながら小さく呟く。
 「矢口の幸せの邪魔にならんか?」
 矢口は振りかえった。
 「ならない!!ずっと言ってるじゃん!!」
 「矢口・…泣かんといてや。」
 止まることなく流れでていた矢口の涙を中澤が拭いてやる。
 「裕ちゃん…裕ちゃんの重荷になんてなりたくないよ。
  矢口は裕ちゃんの重荷に…。」
 「何ゆーてんねん!」
 中澤は矢口の手を引いて再び温泉に浸かった。
 「矢口と一緒には居れへんにゃ、ってずっと考えてたんや。
  矢口の邪魔だけは…矢口のだけはしたくないって思ったし。
  ここで別れなあかんってめっちゃ思ってたんや。」
154 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)22時20分43秒

 「でもな…矢口が離れて行った瞬間、…なんてゆーやらいいんやろ?
  うまく言えへんねんけど、あかんって思ったんや。もう矢口の
  幸せとかより、自分の感情が溢れてきた…。」
 矢口は黙って中澤の話を聞いていた。
 中澤は矢口の手を掴んだままでいた。
 「矢口と一緒に居たい・・・矢口を手放したくないって思ってん。
  そう思ったら矢口を追いかけてた。矢口の夢壊してしまうかも
  しれへんけど・・絶対矢口と一緒に居たいって。」
 そう言うと片方の手で矢口の髪を撫でる。
 「ごめんな、自己中で。でも、もう捕まえた。
  矢口が別れたいって言ってももう離さへんで。
  矢口が嫌いって言ってももううちのもんや。」
 「裕ちゃん…ほんと?」
 「・・さっき聞いてたやろ?うちの幸せはな・…
  矢口と一緒に居る事やねん。」
 「裕ちゃん…。」
 「矢口・…うちと付き合ってくれるか?」
 中澤は矢口の目をまっすぐに見詰めたままはっきりとそう言った。
 「うん。…ほんとにいいの?」
 「いいの?じゃないねん。うちがそうしたいんや。」
 
  
155 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)22時43分43秒

 「矢口…ほんまに離さへんで…覚悟しときや。」
 「裕ちゃんこそ…別れるって言ってももう聞かないよ。」
 矢口の泣きはらした目が中澤を見つめていた。
 中澤はゆっくり顔を近づけた。
 キス
 「矢口…好きやで…めっちゃ好きや。」
 「好きだよ。裕ちゃんが。誰よりも。」
 
 月の綺麗にみえる露天風呂で交わしたキスは二人の気持ちを1つにした。
 
 矢口は中澤にぴったりくっついて座っていた。
 中澤も矢口の肩に手を回してくっついている。
 さっきの騒動でますます二人の気持ちが通じ合った。
 お互いにお互いを必要とし、支えあって生きて行きたい。
 今、黙ってよりそうだけで、互いの気持ちがよくわかる。
 「そろそろでよか。裕ちゃんのぼせてきたわ。」
 「うん。」
 しっかりと手をつないで一緒にあがる。
 「もう皆寝とるかな?」
 部屋を出て、すでに1時間以上はたっていた。
 
156 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月09日(金)23時10分20秒
リアルタイムで泣けました。
変な言い方だけど「美しい」って感じがします。
157 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)23時13分53秒

 「あっお帰り。風呂?長かったね。」
 飯田が石黒と二人で飲んでいた。
 「なっちは?」
 「もうそこで寝てる。ごっちんらももっと早くに寝にいったよ。」
 石黒が残り少なくなった酒を飲みながら部屋を指差す。
 中では幸せそうに安倍が寝息ををたてていた。
 「はい。鍵。うちらはこっちで寝るから裕ちゃんとかは隣の部屋で
  寝てきてね。布団そうひいてもらったからさ。」
 飯田が隣の部屋の鍵を中澤に渡すと二人を部屋からおいだした。
 「な、なんやねん。」
 追い出されながら中澤が抗議の声をあげるが相手にされなかった。
 「…?ま、ええか。もう寝よか?」
 「そうだね。」
 中澤と矢口は部屋に入っていった。
 布団がぴっちり引いてある。
 「あーなんかふかふかしてるね〜!!」
 矢口が布団にコロンと寝転がった。
 コロコロと転がる矢口を見るや否や、中澤は矢口の横に
 ダイブした。
158 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月09日(金)23時25分13秒

 バフッという音がする。
 「ゆ、裕ちゃん痛くなかった?」
 ふかふかとはいえ、布団である。
 「ん?ちょっと痛かったけど、気持ちええなぁ。」
 中澤もコロコロと転がる。
 「なんか裕ちゃんかわいい。」
 矢口がじっと中澤の顔をみた。
 「な、なんや、照れるやんか。」
 矢口の横に転がってきてピタリと体を沿わせた。
 「矢口はいっつもめちゃかわええで。」
 そっと矢口の髪に触れる。
 「・…。」
 「裕ちゃん?」
 少し黙って髪を撫でる中澤を不思議そうに矢口は見た。
 「矢口…。矢口が欲しい。」
 矢口は顔が赤くなるのが自分でわかった。
 「裕ちゃん。」
 「嫌ならいいで。でも今のうちの気持ちや。」
 中澤は優しく微笑んだ。
 「・…うん、いいよ。」
 矢口は小さく頷いた。
159 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月10日(土)01時33分55秒

 「…矢口。気とかつかわんでええで。」
 中澤が優しく矢口に微笑みかける。
 「うんうん。そんなんじゃないよ。」
 矢口はそう言うとぎゅっと中澤の服の袖を掴んだ。
 「矢口も・…裕ちゃんが欲しいから・・。」
 照れて小さくなっている矢口を愛しそうに見つめると、中澤は
 そっと矢口の顔に触れた。
 「ええんか?」
 「・・…うん。」
 矢口の嘘のない笑顔に、中澤は感情が押さえきれなくなっていた。
 「矢口…。」
 ゆっくりと服を脱がせる。
 少し矢口が照れた素振りを見せる。
 「電気けそうよ。」
 中澤は素直に電気を消すと再び矢口に触れた。
 そして照れる矢口に少し強引なキスをした。

 思い出に残る夜は、長かった。

160 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月10日(土)01時46分51秒

 ―朝―
 矢口が先に目覚めた。
 自分の体を見て昨晩のことを思い出す。
 (そうだ、裕ちゃんと…。)
 急いで服を身につけながら、隣で寝る中澤の顔を見る。
 何度も何度も矢口を気遣う中澤。
 大切にしてもらってるのを実感した。
 愛せば愛す程、何度も愛したくなる。
 中澤に応えるつもりが、実際は応えてもらっていたようだった。
 (…ますます好きになっていくよ。)
 中澤の肌の露出の激しさに、軽く布団をかける。
 起きる気配はまだない。
 矢口はそっと中澤の額にキスをすると顔を洗いにいった。
 (それにしても…。)
 鏡で顔を見ながら矢口は考え込んでいた。
 (…気持ち良かったな…・。)
 自分が結構好きだと言うのにも昨晩気付かされた。
 (裕ちゃん初めてだったハズだよね?すごく上手かった気がする。)
 朝から自分の顔を眺めながら矢口はそんな事を考えていた。
 (!!なんかめっちゃエロい…。)
 我に返った矢口は冷水でばしゃばしゃ顔を洗った。
161 名前:作者です。 投稿日:2001年11月10日(土)02時23分05秒

 >156さん。
  リアルタイムでしたね!!
  『美しい』なんかすごいうれしいです。
  こんな稚拙な文章をそう言っていただけて…
  また読んでください!
  
  やぐちゅー再び平和になりました。ちょっと痛かったので…
  
162 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月10日(土)03時20分55秒
更新があると一日の疲れがぶっ飛びます。
163 名前:読んでる人 投稿日:2001年11月10日(土)19時40分46秒
一時はどうなることかとハラハラしましたが・・・
いや〜良かった良かった♪
164 名前:作者です。 投稿日:2001年11月11日(日)00時59分28秒

 >162 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
  ウワァァイ!!うれしいお言葉頂戴いたしました。

 >163 読んでる人さん。
  ハラハラしていただいてたなんて…
  良かったと思っていただける物となって一安心です。
  これからもよろしくおねがいします。
165 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)01時24分15秒

 矢口はさぱりすると静かに中澤の横を通ってソファーに腰掛けた。
 ここから中澤の顔がよく見える。
 まるで子供の様に寝ている中澤の顔を眺めながら矢口は時計を見た。
 (なんだ、早いんじゃん。)
 まだ6時すぎであった。
 (なんでこんな早くに目が覚めたんだろ?)
 また中澤に知られたら年より扱いされるな、と考えながら少し笑う。
 (風呂入りにいこうかな?)
 まだまだ起きる必要もなく、起きる気配も見せない中澤の隣を静かに
 通りすぎて、矢口は温泉に向かう事にした。
 一瞬出るのを田ためらう。
 (裕ちゃんに言って行った方がいいかな?…起きないよね。)
 中澤の後ろ姿を眺めてから矢口は扉に手をかけた。
 カチャ
 できるだけ音が出ない様にゆっくり開けてソーっと外にでた。
 (30分くらいで帰ってくるか。)
 中の中澤を少し気にかけながらも矢口はエレベーターを待っていた。
166 名前:作者です。 投稿日:2001年11月11日(日)01時36分37秒

 チーンという音と共にやってきたエレベーターの扉が開く。
 矢口が中に入って2階を押すとゆっくり扉がしまり出した。
 ガシャッ
 殆ど閉まっていた扉に突然手がはさまれ再び扉が開く。
 「裕ちゃん。」
 驚いた矢口が見た者は少し息をきらして乗りこんできた中澤であった。
 「起きたんだ?もしかして起こした?」
 矢口は中澤の顔に、額に何らかの不満の印が現われているのに気付いた。
 「・…なんで黙ってどっか行くねん。」
 「え?あぁ、裕ちゃんまだ寝てたからさぁ。」
 「起こしたらいいやんか。」
 少し怒りを含んだ中澤の低い声がエレベーターの中に小さく響く。
 「…ごめん、裕ちゃん。」
 矢口は黙って何処かに行くのはだめだったな、と反省した。
 「…。」
 中澤は矢口をじっと見ていた。
 「・・…朝から温泉行くつもりやったん?」
 「うん。」
  
167 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)01時50分32秒

 中澤は突然笑顔になって矢口に飛びついた。
 「ほんま、おばあちゃんやなぁ。今何時なん?朝起きるんも
  早いし〜。」
 ニコニコと笑いながら後ろから抱き付いている中澤に矢口は訳も
 わからずにオロオロとしていた。
 「裕ちゃん??」
 「焦ったで〜。ドアの音したな?って思って起きたら矢口おらんにゃ
  もん。うちおいてどっかいっちゃったんかと思っていっそいで出て
  きたんや。ただ最初裸やったから服着るのにちょっとてこずったん
  やけどな。」
 ぎゅーっと矢口を抱きしめると安心したように息を吐いた。
 「…勝手にどっかいったりせんといて…。」
 「裕ちゃん…ごめんね。」
 みつめあった時調度エレベーターが2階についた。
 二人は一緒に温泉に向かった。
 
 「あぁ〜良い湯やった。」
 「気持ち良かった〜。」
 風呂からでてそのまま中澤達は大部屋に向かった。
 8時に食事が用意されるとのことなので皆を起こしてやろうと
 中澤が言い出したのだ。
 「すっきりしそうだね。・…ってか早いよ。まだ7時すぎっしょ?」
 石黒が起きてきてあくびをしながら二人の対処をしていた。
 
168 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)02時01分33秒

 「あやっぺも入っといで〜や。」
 少しまだ顔の赤い中澤が涼みながら寝転がる。
 「入りたいけど…・今は眠い…。」
 フラフラと立ち上がると布団に戻る。
 「裕ちゃん…ご飯の用意ができたら起こしてよね…。」
 そういうと石黒はすぐに眠りの世界に引き込まれて行った。
 安倍や飯田は起きもしなかった。
 「矢口もここ寝転がり。」
 中澤がとんとんとすぐ隣を叩く。
 矢口は素直に従ってコテンと寝転がった。
 「矢口〜ほんま早起きすぎんで〜。」
 矢口の髪を撫でながら中澤も小さくあくびをする。
 「昨日全然疲れへんかったんかいな?」
 矢口の耳元で小さくそう呟く。
 「ゆ、裕ちゃん!!」
 矢口は顔が真っ赤になるのを感じた。
 「何照れてんねん。」
 ポンポンと頭を叩く。
 「かわいかったで。気持ちもよかったし。」
 「ゆっ裕ちゃん!!」
 中澤と矢口は福田が朝食を運びに来るまで、ずっとこちょこちょと
 話し合っていた。中澤の言葉に矢口が動揺するといった感じであったが。
169 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)16時40分28秒

 ノックの音がして、矢口が顔を出すと福田が立っていた。
 「あっ福ちゃん、おはよう。」
 福田は矢口の顔をじっとみると安堵の表情を見せた。
 「なんだ。もう大丈夫そうだね。」
 「あっうん。そうだった。ごめんね。」
 昨日の事を思い出しながら矢口は照れる。
 「解決したよ。心配かけてごめんね。」
 「ううん。真里がよかったならそれでいいんだ。」
 ニッコリ笑って矢口を見る。
 「あっそうそう、もう朝食の準備していい?」
 「うん。」
 福田は朝食をとりにいったん帰っていった。
 矢口は部屋に戻ると再び中澤の横に座る。
 「もう運び込んでくれるって。だからちゃんと起きといてよね。」
 寝転がっている中澤の肩を叩いて起こそうとする。
 「わかったわかった。」
 少しだるそうに起き上がると中澤はソファーに座った。
 「矢口もここ座っとき。」
 隣の席を指差して矢口を呼ぶ。
 矢口は軽くうなずいて隣に腰をかけた。
 
170 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)16時48分55秒

 「紗耶香とか起こしに行くか?まだいいか?」
 「あーどうしようか。起こしに行く?」
 「んじゃ、うちが起こしてくるから福田さんきたら頼むわ。」
 中澤は体を伸ばしながら市井たちを起こしに部屋を出て行った。
 それからちょっとして福田が数名の従業員と朝食を持ってやってきた。
 淡々と並べ出す。
 「おいしそうだね〜。」
 矢口が朝食を覗き込みながら福田に話しかけると、
 「ありがと。・…また後で話しできる?」
 福田が小声で矢口に答えた。
 「うん。じゃ、後で下いくよ。」
 矢口も小声で答える。昨日の事を福田もずいぶん気にしていたんだろう。
 ちゃんと説明しようと矢口は後で会う約束を取りつけた。
 
 「あんたらはよ起き!!」
 中澤は布団にくるまっている市井と後藤を起していた。
 市井は声は発するもののいっこうに起きる気配がない。
 後藤に際してはまったく反応もない。
 「裕ちゃん怒らしたらどうなるか…。」
 何度起しても起きない二人に、中澤は強行手段を選んだ。
171 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)16時56分08秒

 「起きろ〜!!」
 中澤は二人に覆い被さるように飛びかかった。
 「痛い痛い!!」
 市井が悲鳴を上げて目をあける。
 後藤も痛みに重い目をあけるハメになった。
 「やっと起きたな。さっ起きや!!」
 中澤はニヤリと微笑むと布団を引っ剥がした。
 「ちょっ!!!」
 「いや〜ん。」
 中澤の前に裸の二人が寝ていた。
 後藤は照れもせずに寝たままでいたが、市井は顔を真っ赤にして慌てて
 布団をかぶる。
 「裕ちゃん!!!」
 「隠さんでえーねん。わかっとるがな。さっさと着替えてきや。」
 中澤は後藤の顔を見てウィンクをすると落ちている服を二人に
 放り投げて部屋を出た。
 (ごっちんらもうまくいったんやな。よかったよかった。)
 ニヤニヤと笑いながら矢口の待つ部屋に戻って行った。
 
172 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)17時04分21秒

 「な、何ニヤついてんの?」
 矢口が不審な目で中澤を見る。
 「え?いや、なんでもないで。」
 中澤は豪華な朝食を見ながら席に着く。
 「あっあやっぺらも起さなな。」
 「あー、起すよ。」
 矢口がふすまを開けて中に入る。
 「あやっぺ〜、なっち〜、圭織〜。起きろ〜。」
 ゆさゆさと石黒を揺さ振りながら矢口が声をかける。
 「あかんあかん。そんなんじゃ誰も起きひんで。」
 いつの間にやらやってきた中澤が矢口の隣にしゃがむ。
 「あやっぺ!!起き!!ご飯やで!!」
 大声で叫んで石黒を激しくゆする。
 石黒はビックリしたように目を覚ました。
 「なっち!!はよ起き!!」
 安倍の布団を剥ぎ取って安倍をゆする。
 圭織は中澤の大声にすでに目を覚ましていた。
 「ん〜、もうちょっと〜。」
 安倍は目を開けずに丸くなる。
 「なっちのご飯なくなるで〜、めっちゃおいしそうやのに。」
 「だめだよ〜、なっちも食べるって〜。」
 仕方なしに安倍は目を覚ました。
173 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)17時15分00秒

 すぐに市井と後藤もやってきて全員で席に座る。
 市井は少し中澤を睨んでるようだったが中澤はニヤつくだけであった。
 「んじゃ、食べよっか。」
 「いただきま〜す。」
 寝起きにも関わらず、ぱくぱくと食べ始める。
 程よい味付けに皆残さず平らげていた。

 「市井ちゃん、風呂行こうよ。」
 食べ終わるや否や後藤が市井にせがんでいた。
 「何いってんの?10時まで開いてないよ。」
 「え〜、そうなの?残念…じゃぁさ、売店行こうよ。」
 「昨日見にいったじゃん。」
 心なしか体がだるそうな市井は全然相手にせずに寝転がっていた。
 「ちぇっ。やぐっつぁん、一緒に売店の方行かない?」
 「いいけど。」
 「やった!!行こう行こう。」
 後藤は笑顔で矢口の手を取って立ち上がる。
 「裕ちゃんも行こうよ。」
 「ええよ。」
 中澤も立ち上がった。
 「ブラブラしにいこか。」
 財布を手に中澤は後藤と矢口とともに部屋を出て行った。
 (後でごっちんに昨日の事きいたろ…。)
 
174 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)17時31分43秒

 売店で後藤と矢口がいろいろと物色している最中、中澤は少し離れた
 所で見守っていた。
 (元気やなぁ。)
 中澤は昨日の疲れが残っているのか、心なしかだるかった。
 (紗耶香も今だるがってんにゃろなぁ。)
 後藤の満足げな顔をみながら1人中澤はにやけていた。
 「中澤さん?」
 後ろから話しかけてきた福田は少し中澤に怯えていたようだった。
 「あっどうも。」
 あわててにやけた顔を戻して福田に挨拶をする。
 「朝食美味しかったです。」
 「ありがとうございます。疲れはとれました?」
 福田は変な意味で言ったのではなかったが、中澤は一瞬今の疲れの
 事を言われてるのかと思ってビクっとした。
 「え、ええ。とれましたよ。」
 中澤の微妙な返事の意味がよくわからず、福田はただ、そうですか。
 ハハハと笑うしかなかった。
 「あー、福ちゃん!!」
 売店から福田を見つけて矢口が寄ってきた。
 「真里。」
175 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月11日(日)17時39分26秒

 「ちょっと福ちゃんと話してくるね。」
 矢口は中澤にそう言うと福田と近くのソファーに座りに行った。
 中澤は二人を見送ると後藤の元に行った。
 「ん?どうしたの裕ちゃん。」
 名物とうたわれた品を手に後藤が中澤を見る。
 「ううん。別に…。」
 「も〜、どうしたの?」
 「うちも矢口の事真里ってよびたいなぁ、なんて思ってん。」
 後藤は一瞬ポケーっとした顔をしたがすぐに笑顔になって中澤の
 頭を撫で出した。
 「裕ちゃん、かわいい。呼んだらいいじゃんか。」
 「なんかもう恥ずかしいわ。」
 中澤はされるがまま、遠くに居る矢口を見ていた。
 「そうや、ごっちん、よかったやん。」
 中澤は市井との昨夜の事を聞き出そうとしていた。
 「裕ちゃんエッチ〜。でも、市井ちゃんよかった〜。」
 ニコニコと昨日のことを思い出しているのだろうか、後藤は
 遠くのほうを見ていた。
 「ごっちん?…・あかん、どっか行ってもーとるわ。」
 後藤のポーっとした顔を見て中澤はため息をついた。
176 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月12日(月)15時50分48秒

 「ちょっと!!いつまでボーっとしとるん?」
 中澤が後藤の頭を小突く。
 「いたっ!あっ裕ちゃん。」
 「あって…忘れとったんかいな…。」
 後藤は隣に立っている中澤をビックリしたように見ると再びお土産を
 見始めた。
 「なんや?誰かに買って行くんか?」
 「うん。学校の友達に。」
 お菓子をあれこれ手にとって選んでいる。
 「学校って…ごっちん!あんた学校さぼったんか!?」
 中澤は慌てて叫ぶ。
 「うん。明日はちゃんと行くよ。」
 「ちょっ…すっかり忘れとったわ。あかんやんか。親大丈夫なんか?」
 中澤は焦ってパニック状態であった。
 「全然大丈夫だよ。だっていっつも裕ちゃん家泊まったりしてんじゃん。」
 なんとも思ってないように素で答える後藤。
 中澤は学校などに通っていたのははるか昔の事であったので、頭に今まで
 なかったのであった。
 後藤はさっさとお土産を決めて何事もなかったように買っていた。
 中澤は微妙な面持ちで後藤を見ていた。
 
177 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月12日(月)15時58分08秒

 「昨日はごめんね。なんか心配かけて。」
 矢口は福田とソファーに座って話ていた。
 「うんうん。私は何もしてないし。」
 「ほんとちゃんと話あってればよかったよ。もうこんな事は
  絶対嫌だし。」
 「中澤さんなら話したらわかってくれそうだね。」
 福田は後藤と何やら話している中澤を見た。
 「うん。夢もあきらめないでがんばる。福ちゃんも今の夢絶対
  叶えてよね。ちょこちょこチェックしにくるから。」
 「うん。がんばろうね。」
 昔一緒に夢を語り合った日々が頭に蘇る。
 「ところで…やっぱり中澤さんと…。」
 福田がいよいよ確信をついてきた。
 もうばれてるとわかっているので矢口も普通に返す。
 「うん。つきあってるんだ。」
 何故か今まで女同士という事を人に言う事は恥ずかしいと思っていたが、
 今は少しもそんな風に思わなかった。
 むしろ知ってもらいたい。中澤の事を。
 「そうなんだ。いいんじゃない?」
 福田も少しも偏見のある目をしていなかった。
 
178 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月12日(月)16時06分57秒

 それは親友であるからであろう。
 矢口はすがすがしい気分であった。
 「福ちゃんは彼氏とかは?」
 「いないよ〜。まっ好きな人ぐらいはいるけど。」
 「えっ誰?ここにいる人??」
 まるで学校で話し合う様に二人ははしゃぎ合っていた。

 チェックアウトは12時だったので、それぞれ温泉に行ったり、部屋で
 ごろごろしたりと時を過ごしていた。
 市井は後藤に連れられて温泉へ。飯田と安倍も行った。
 「私昨日夜中に行ったからもういいや。」
 石黒は中澤と矢口と一緒に部屋で過ごしていた。
 「また皆で来たいなぁ。」
 「うん。また来ようよ。」
 「こんどは真矢つれてこようかな?」
 「そうし、皆連れてこようや。」
 「えーでも裕ちゃんと一緒になったらうるさそうだしな。」
 石黒はあからさまに顔をしかめて中澤を見る。
 「なっ…矢口〜、裕ちゃんうるさくないよなぁ。」
 「うるさいんじゃない?」
 矢口が笑ってそう言うと、
 「ちょっと、あやっぺ!!あやっぺがそんなんばっかゆーから矢口が
  あやっぺ化してるやんか〜!!」
 1人寂しく中澤は叫んでいた。
 
179 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月12日(月)16時13分49秒

 「ありがとうございました。」
 玄関先で福田が挨拶をしている。
 「いや〜また来ます。」
 「温泉気持ち良かった〜。」
 石黒が車を取ってきている間、福田と談笑していた。
 「福ちゃん、また帰ってきたら連絡してね。」
 矢口が名残惜しそうに福田をみる。
 「うん、わかった。」
 「また来るから。」
 「ほんまに。また来ますから。」
 中澤が福田に笑いかける。
 「はい。」
 福田はそう言うと一瞬矢口を見てから小声で、
 「真里と二人ででも来てください。」
 と、中澤に呟いた。
 中澤は焦って矢口を見る。
 矢口は照れくさそうに笑っていた。
 「ええ。来ます。」
 中澤は少し照れながら返事をした。
 間もなくして石黒が車を回してきた。
 それぞれが福田に挨拶をして車に乗り込む。
 
180 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月12日(月)16時20分32秒

 「んじゃ、福ちゃんまたね。」
 メールするよっと言って矢口が車に乗り込む。
 矢口が車に乗った事を確認すると中澤がゆっくり扉をしめた。
 「またうちの店にもきてね。」
 中澤が最後に福田と話す。
 「はい。また寄せていただきます。」
 福田は笑顔でお辞儀をした。
 中澤は後ろを回って助手席に行こうとした。
 「中澤さん。」
 「ん?」
 中澤が振りかえると福田は手を振りながら、
 「真里の事、幸せにしてやってくださいね。」
 「・…もちろん。ありがとうね。」
 中澤は福田に手を振り返すと助手席に乗り込んだ。
 車が発車すると、皆福田に手を振る。
 福田も本当に車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
 
181 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月13日(火)16時31分16秒

 帰りにみんなでご飯を食べて結局夜の9時ごろに店についた。
 途中で市井と後藤は送ってきた。
 「ありがとなぁ。」
 荷物を持って中澤が降りる。
 安倍と飯田を送って帰るから今日は帰るね、と石黒が運転席から中澤に
 話かける。
 矢口も近いから、と車を降りた。
 「気ぃつけて帰りや。おつかれさん。」
 「ありがとう。またね。」
 中澤と矢口が並んで車に手を振る。
 「んじゃね。バイバ〜イ。」
 「バイバイ!」
 窓を開けて安倍と飯田が笑顔で手を振った。
 石黒は軽くクラクションを鳴らすと車を走らせた。
 中澤と矢口は車が見えなくなるまで一緒に手を振っていた。
 「・…ふ〜、楽しかったね。それじゃ、矢口も帰るよ。」
 地面に置いた荷物を持ち直して矢口が中澤を見た。
 「えっ?帰るん?なんで?」
 「え?なんで?って聞かれても…。」
 店の扉を開けて中澤は矢口を店に入るように合図した。
 素直にしたがって中に入る。
 
182 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月13日(火)16時38分19秒

 一緒に2階にあがる。
 人の居なかった部屋は妙に寒い。
 「あーそろそろ暖房とかの時期やなぁ。」
 中澤は電気をつけながらつぶやく。
 矢口はソファーに座って伸びをした。
 「なんか飲む?紅茶?チューハイ?」
 さっそく片手にビールを持って中澤がキッチンから矢口に声をかけた。
 「あ〜…チューハイでっ!」
 「はいよ。」
 ビールとチューハイを持った中澤が矢口の横に座る。
 軽く乾杯をする。
 「いや〜楽しかったなぁ。」
 「そうだね。また行きたいよ〜。」
 「そうそう、うちめっちゃうれしかったわ。」
 中澤が矢口を見つめる。
 「え?何が?」
 きょとんとした表情で矢口が中澤を見た。
 (なんのことかな?思い当たるのは…
  っていうかイロイロあったしね。)
183 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月13日(火)16時46分53秒

 「福ちゃんって子に、うちらの事ゆーたんやろ?」
 「っあぁ。うん。」
 「友達にうちらの事ゆーたなんて…めっちゃうれしくてびっくり
  したわ。」
 中澤は本当にうれしそうに矢口を見ていた。
 「だって・・やっぱ普通の関係ちゃうから…言い難いやん。
  そやのにゆってて…矢口がうちの事紹介してくれてる
  んがめっちゃうれしかったわ。」
 「裕ちゃん…。なんかね、すごい福ちゃんに知ってもらいたかった
  んだ。矢口の裕ちゃんなんだぞーって。」
 少し照れながら矢口はチューハイに口をつける。
 「矢口・…あ〜ほんまにめっちゃ好きやわ…。」
 ジッと隣で矢口を見つめる中澤。
 「な、何?どうしたの?」
 照れて焦る矢口。
 「なぁ、一緒に住まへん?よかったら。」
 「え?」
 「うち…ずーっと矢口と一緒におりたいねん。」
 顔を真っ赤にしながら中澤は矢口をそっと抱きしめた。
 「一瞬も離れたない…。」
184 名前:とある町の喫茶店  投稿日:2001年11月13日(火)16時55分08秒

 「ゆ、裕ちゃん…。」
 中澤に抱きしめられたまま、矢口はそっと中澤を見た。
 「…嫌か?」
 「ううん。全然嫌じゃない。…うれしいよ。」
 矢口も中澤に手を回す。
 「矢口も裕ちゃんと一緒に暮らしたい。」
 「ええん?めっちゃうれしいわ〜!!」
 中澤はぎゅっと矢口を抱く腕に力を込めた。
 「もーほんまに一生離さへんで?」
 真剣に矢口を見る。
 矢口は何も答えず、ただ軽く中澤の唇を奪った。
 「裕ちゃんこそ覚悟できてる?」
 矢口の行動に一瞬驚いた表情を見せていた中澤だが、すぐに
 いままで矢口が見た中で1番心奪われる笑顔で言った。
 「会った時から覚悟はできとったよ。」
 
 その晩の月は綺麗な三日月だった。
 
        〜END〜
185 名前:作者です。 投稿日:2001年11月13日(火)17時02分12秒

 え〜…終わりです。
 なんか突然終わった感じですね。
 温泉帰って終わろうと決めていたのですが、なかなか上手く
 書けずに終わっちゃいました…・。
 矛盾点などが多々あったと思いますが・…目を瞑っていただけない
 かな?っと思う次第であります。
 甘い話は自分には無理があったような…
 痛い話の方が書きやすかった気がします。
 痛くしようと思ったのですが、前回そうだったので、
 今回は最後は甘く締めくくろうと思ったらコレです…。
 読んで下さっていた方々、本当に有難うございました。
 ヘボくてごめんなさい。
 またいつか痛めなんぞを書けたらいいなぁ、って思ってます。
 こんな自分の作品でも、ちょっとでも気に入っていただけた方が
 ございましたら感想などお願いします。
 (痛めで書いてもいいよ、って思ってくださる方がいましたら
 それも教えてください。)
 お付き合いの程、本当に有難うございました!!!
186 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月14日(水)01時11分05秒
お疲れさまでした。また書いていただけるなら
痛めでもかまいません。やっぱりやぐちゅーは最高です。
187 名前:名無し読者。 投稿日:2001年11月14日(水)03時47分56秒
作者さんの痛めのやぐちゅー大好きです。
もちろん甘いのも好きだけど(w
やぐちゅーって甘い(バカップル・ほのぼの)のが多いので、
作者さんの痛めが逆にいい感じです。次の作品お待ちしております。
188 名前:読んでる人 投稿日:2001年11月14日(水)22時04分36秒
お疲れ様でした。
今回の作品も前作とは違った雰囲気があって楽しめました。
痛いやぐちゅー・・・全然OKです。
では、次回作を楽しみに待ってます。
189 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月15日(木)00時54分30秒
お疲れさまでした。
この小説は更新も早く楽しませてもらいました。

いつまでも二人、月を……
190 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月15日(木)15時57分31秒
作者さま、お疲れさまでした。
マジでおもろかったです。

ただ、できればこの世界の中の
なっちを幸せにして欲しかったですね。
いつか気がむいたら、外伝かなにかで
書いてくれませんか?
191 名前:作者です。 投稿日:2001年11月15日(木)21時51分37秒

 >186 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
 ありがとうございます。
 書いていいですか?許可もらえてうれしいです。
 やぐちゅーが1押しなんでそう言う方がいらっしゃると
 心強いですね。

 >187さん。
 痛めいいんですか…?
 有難いお言葉頂戴いたしました!うれしいです。

 >188 読んでる人さん。
 『楽しめました』なんてめちゃめちゃうれしいです。
 痛いのOKですか?それじゃ…。

 >189さん。
 更新すごく適当でしたね…。
 こんなんでもいいと言っていただけるなんて・…
 本当にうれしい限りです。
 
 >190 名無しさん。
 おもしろいなんて言っていただけるとは・…
 有難うございます。
 そうですね…なっち…幸せにするって言っていたのに
 書いてませんでしたね。ごめんなさい。
 それじゃぁ、近々外伝で書きます。
 
 次回作書いてもいいと言ってくださる方が居ましたので
 書こうかなって思ってます。
 まだまだ何も考えてないですけど…・
 新しいスレを立てて(今回しくったので…)いつか
 始めたいと思いますのでマタ機会があればお付き合いください。
 本当に有難うございました。
192 名前:15 投稿日:2001年11月17日(土)13時30分04秒
遅くなってしまいましたが、全部読ませていただきました。
心が、温かくなりましたです。
むちゃ良かったです。
次回も、影ながら応援させていただきます。
では、失礼しました。
193 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)03時07分08秒
作者さん
新スレ立てたらここで教えて下さいね。
194 名前:作者dす。 投稿日:2001年11月19日(月)23時14分43秒

 >15さん
 ありがとうございます。
 甘めは難しかったです。それでも読んでくださってたのかと
 思うとすごくうれしい限りです。
 また書き始めましたら是非読んでやってください。

 >193さん。
 はい。立てたらここでお知らせいたしますので
 是非お付き合いくださいね。

195 名前:とある町の喫茶店  外伝 投稿日:2001年11月19日(月)23時29分00秒
 
 ―数ヶ月後―
 カランカラン
 「いらっしゃいませ〜。…って圭織かいな。久しぶりやなぁ。」
 中澤は飯田をカウンター席に案内する。
 「久しぶり。元気だった?」
 飯田は席につきながら店を見渡した。
 「うちはいつでも元気やで。圭織こそどうなんや?」
 コーヒーでいいんか?と聞きながら中澤はカップを用意し始めた。
 「忙しいけど元気だよ。」
 「そーか。また皆で集まりたいなぁ。」
 「裕ちゃんどうせ飲みたいだけでしょ?」
 「バレたか?ええやん。落ち着いたら…な?」
 「そうだね。圭織も皆で会いたいよ。」
 飯田は中澤がいれたコーヒーをすすりながら笑った。
 「何?今日は待ち合わせか?」
 ちょくちょくドアに目をやる飯田に中澤が聞く。
 「うん。まぁね。もうすぐ来ると思うんだけど…。」
 「うまくやってんのかいな?」
 「もちろん。」
 満面の笑みを見せた飯田を見ると中澤は満足そうに飯田の頭を撫でた。
 
196 名前:とある町の喫茶店  外伝 投稿日:2001年11月19日(月)23時40分50秒

 カランカラン
 ドアが激しく開いた。
 「ごっめ〜ん。待った?」
 「うんうん。圭織も今きた所だよ。」
 「ほんと?…あっ裕ちゃん久しぶり。」
 「あんたなぁ…おまけみたいに…。」
 飯田の横に腰を下ろした安倍を見ながら中澤は笑う。
 「なっちもコーヒー頂戴。」
 「はいはい。」
 中澤は二人を邪魔しない様にコーヒーを入れ出した。
 「今日どこ行く?買物?」
 飯田がやさしく安倍に話しかける。
 「うん。見たい服があるんだ。いい?」
 「もちろん。」
 中澤は黙って二人の会話を聞いていた。
 「はい。」
 いれたてのコーヒーを安倍にだす。
 「ありがと。・・…やっぱりおいしいねぇ。」
 両手でカップを抱えてコーヒーを飲む安倍。
 飯田はそんな安倍をじっと見守っていた。
 
197 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月20日(火)00時25分43秒
およ?なんかよさげなものが始まってる(喜)
198 名前:とある町の喫茶店  外伝 投稿日:2001年11月20日(火)01時12分01秒

 「うちがいれたんやからうまいに決まってるやろ。」
 中澤がニンマリ笑って二人を見た。
 「何言ってるの?裕ちゃん。」
 安倍が呆れ顔で中澤を見る。
 こんなやりとりもえらく久しぶりだった為、3人は顔を見合わせて
 笑い合った。
 「今日久しぶりのデートなんやろ?はよ行きや。」
 中澤が二人をせかす。
 「なんでよ〜。久しぶりに来たんだからさぁ。」
 「そうだよ。裕ちゃん寂しい事いわないでよ。」
 安倍と飯田が二人で中澤を責める。
 「せっかくのデートこんなとこで過ごしてどうすんねん。
  デートできひん時にまた来てや。」
 飯田と安倍は顔を見合わせて少し黙った後、静かに席を立った。
 「じゃぁ、また来るね。」
 安倍が中澤に手を振りながら先にドアを出る。
 飯田が二人分のお金を置きながら中澤に耳打ちした。
 「裕ちゃんのおかげだよ。今圭織すごく幸せだから…。」
 中澤はお金をつきかえしながら、
 「なっちと幸せにナ。」
199 名前:とある町の喫茶店  外伝 投稿日:2001年11月20日(火)01時29分50秒

 「うん。それじゃぁね。」
 飯田が渋々お金を受け取りながら足早にドアを開けた。
 中澤はじっと後ろ姿を見ていた。
 ドアが閉まったと思った途端、安倍が再び入ってきた。
 「ん?なんや?忘れもんか?」
 カウンターを身を乗り出して確認しながら中澤が話しかける。
 「うん…。」
 そう言うと安倍も中澤に耳打ちしようとした。
 「裕ちゃんも矢口とお幸せにね。」
 そう言うだけ言って安倍は笑顔で、足早に外で待つ飯田の元へ
 戻って行った。
 残された中澤は少し唖然としながらドアを見ていた。
 「…あの子ら・…。」
 そう呟くと自然にTVを付けた。
 そこには愛する者の姿が…。
 「はよ帰っといでや。ご飯矢口の好きなもん作っとくからな。」
 そう呟くと中澤は自然とこぼれる笑みの中、
 日常に戻っていった。

    ・…end
200 名前:作者です。 投稿日:2001年11月20日(火)01時38分46秒

 以上で外伝は終わりです。
 なっちが幸せでいるって事をお伝えできたでしょうか?
 外伝なのでほんの少ししか書きませんでしたが・…
 まぁ、またなんか気になってる所があったら言ってください。
 なっちは書くと言って書いてませんでしたしね…。
 すいません。

 >197 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
 外伝なんでとりあえずこれだけなんですけど、
 近々新しくスレをたてて書こうと思ってます。
 痛くなる予定8割、甘くなる予定2割。
 ただ本当にどうするかは全然きめてません。
 (今回も甘いと言ってたくせに中盤痛めだったし…)
 まぁ、お暇でしたら是非次回もお付き合いください。
 カップリングは・・…(バレバレでしょうけどね。)
201 名前:名無し読者。 投稿日:2001年11月20日(火)04時05分39秒
伝外読ませていただきました。
なっち&カオリが幸せそうで(w

いつか書く気になったら又痛めのやぐなちゅー書いて下さい。
お願いします。あややぐちゅーもいいな。(w
202 名前: 投稿日:2001年11月20日(火)05時42分45秒
はじめまして。 最近このスレを発見して、こそ〜っと読んでました。
前作の痛みで涙腺が緩んだまま、この「とある街の喫茶店」を続けて読み始めたので
また、痛いんじゃないかとハラハラしてたんですが、ラブラブ〜♪な展開でよかったです。

面白かったです。&お疲れ様でした。 新スレ楽しみにしています。
203 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月20日(火)10時41分41秒
作者さん楽しみにしてまっています。
204 名前:作者です。 投稿日:2001年11月22日(木)22時09分34秒

 >201さん。
 痛めのやぐなちゅーとあややぐちゅーですか?
 そうですね。考え出しておきます。
 なっちと圭織の感じが幸せそうと思っていただけて
 安心です。よかったよかった。

 >202 Nさん。
 最近ですか?しかも前回のから読んでいただけたなんて…。
 ありがとうございます!いや、ほんとに…。
 めちゃうれしいです。
 新スレたてたら是非またお付き合いくださいね。

 >203 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
 毎回レスありがとうございます。
 かなりうれしいです。
 もうそろそろ立てようと思っているので次回もお付き合いの程
 よろしくおねがいします。
205 名前:作者です。 投稿日:2001年11月22日(木)23時10分40秒

 紫板で『本当の気持ち』を書き始める事にしました。
 とりあえず出だしだけ書き込んであります。
 お暇な方はどうぞ見てやってください。
 
206 名前:作者です。 投稿日:2001年12月13日(木)01時01分03秒
痛めのやぐなちゅーとあややぐちゅーをここでひっそり
かこうかなぁって思ってます。
言われてましたし…。
倉庫に行かずに残ってたのもなんかの縁ってことで・・・。
かなりひっそり、しかもローペースで書いて行きます。
発見される事もなさそうですが…。
207 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)02時29分06秒
まってました!
がんばってください。
208 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月13日(木)08時49分24秒
待つっス
209 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月13日(木)08時50分40秒
あああ!あげちまったぁ!
すいません! すいません!
210 名前:作者です。 投稿日:2001年12月15日(土)01時59分50秒

 まず、やぐなちゅーから書かせていただきます。
 
 >>207さん。
 発見していただけました!!
 早くて驚きましたよ。

 >>208 209 梨華っちさいこ〜さん。
 待っていただけますか?更新ゆっくりですが・・。
 あがりましたね(w
 別にかまいませんよ。
211 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)02時17分06秒

 私は裕ちゃんの楽屋に遊びに来ていた。
 裕ちゃんは本を読んでたんだけど、私の顔を見たら
 本を閉まってくれた。
 「なんや?なっちが来るなんて珍しいやん。」
 ニコニコと笑いながら隣の椅子を少し引いてくれた。
 「それは裕ちゃんがいっつもこっちの楽屋に来てたからっしょ?」
 椅子に座りながらそう言うと、なんだか変な感じがした。

 こっちの楽屋。
 自分で言った言葉なのに。
 もう裕ちゃんが娘。と関係なくなっているって言ってる私。
 最初はいないのに慣れなくて・・。
 目はいつももう居るはずのない裕ちゃんを探してた。
 大切な物が欠けてしまった楽屋。
 私は楽屋に居るのがすごく嫌だった。
 
 ずっと、いつもそばにいたのに・・・。
 離れるなんて考えてもいなかったから。
 1番長く一緒にいた分、私は1番最後まで楽屋の変化に
 慣れなかった。

 「まっそういえばそうやな。」
 裕ちゃんはそう言って私の頭を軽く撫でた。
 少し寂しそうな目で。
 でも、私の考えてる事はお見通しのような目。
212 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)02時37分50秒

 「もう裕ちゃんは1人の楽屋に慣れた?」
 前にテレビで言ってたのを聞いたんだ。
 『楽屋が静かで寂しい。』って。
 あの時はゆうちゃんも同じなんだって思った。
 
 「そやなぁ。もう慣れたわ。ゆっくり時間過ごせるし。」
 決して娘。の楽屋が嫌いじゃない。
 ただ、裕ちゃんは昔から団体行動が苦手で静かに過ごしたい時も
 あるて言ってた。
 だから最近は娘。の楽屋に来てもすぐに帰って行く。
 寂しかったけど、理解できた。
 
 「なっちはどうなん?4人また増えたけど。」
 「ん?うるさいのは前からだからね。あんまり変わらないよ。」
 裕ちゃんが抜けてからの楽屋とは。
 でも、やっぱり裕ちゃんが居る時とは違う。
 裕ちゃんが居る楽屋が娘。の楽屋って感じがするから。
 「相変わらずかいな?若い子増えた分、圭織は大変やな。」
 もちろん、なっちや圭ちゃんや矢口もやで?って言って
 裕ちゃんは笑った。
 
 でも、皆知ってるよ。
 裕ちゃんが1番大変だったって事。
213 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)02時52分44秒

 この世界に入ったばっかりで右も左もわからない時から
 裕ちゃんはリーダーだった。
 最初は仲もそんなによくなかったし、結構気を使う裕ちゃんは
 つらかったと思う。
 嫌われてもみんなをしっかりさせようと、嫌な役をしてた。
 力を合わせる事もままならなかったから…。
 
 「なっちが今、ちゃんと圭織と一緒になって皆まとめてる
  の裕ちゃんしってんで。」
 裕ちゃんが私の髪をワシワシと撫でた。
 「え?」
 「私がおった時もなっちはいろいろやってくれて・・。
  おかげで私もなんとかやっていけてたんやから。
  ほんま感謝してんで。」
 「なんにもしてなかったよ。」
 「なっちはそのままでええねん。それで十分や。」
 私はよくわからなかったけど、裕ちゃんが笑って私を見ていたので
 それだけでうれしくなった。
 
 大好きな人にこんな風に言われたらだれでもうれしくなるハズ。
 ずっと離れたくなかった。
 一緒に居る時間がもっと欲しかった。
 その笑顔を毎日見ていたかった。
214 名前:作者です。 投稿日:2001年12月15日(土)02時55分28秒

 ガーーーン!!
 あげてしまってた…。ショック・…
 ということで今回はここまで…
 自分で下げていくって言っといて何あげてんねんって話ですよね。
 別にいいんですが。
 今日はショックなので…・
215 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)03時11分28秒
ガーーーン!!
ショックです。リアルタイムで見てただけに(w
216 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月15日(土)11時17分17秒
姐さんが娘。から引退した、というのを感じるだけでいまだに涙が出ます。
実際にもこんな風にコソーリ甘えに行くことがあるんでしょうね。
217 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)14時48分17秒
あげてくれたので・・・読めたよ(w
よかった。よかった。(w
なちゅーもほのぼのでいいですね〜。
こっちは短編ですか?更新楽しみに待ってます。とお願いしてみる。(w
218 名前:作者です。 投稿日:2001年12月15日(土)17時28分56秒

 >>215さん。
 リアルタイムで読んでくださっていたとは…。
 有難うございます。
 わかっていただけましたか?このやるせない気持ち・・。
 リアルタイム記念(?)ということで今からまた少し
 更新しようかなぁ。

 >>216 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 姐さんだけは娘。に居続けて欲しかったですよ。
 こんな風だったらいいなぁ、と思って書いてます。

 >>217さん。
 レス有難うございます。
 あっ、こんな失敗でも少しはいい事ありました(w
 そうですね。ここでは短めで行きたいと思ってます。
 短編は書いた事ないのでどうなるか…?
 お願いくださいましたのと、上記に記したリアルタイム記念
 と合わせまして少し更新しま〜す。
 
219 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)17時36分01秒

 ノックの音がした。
 裕ちゃんがドアに目をやって返事をする。
 たずねてきたのは矢口だった。
 「オッス裕ちゃん…ってなっち、来てたんだ?」
 矢口は私を見て少し驚く。
 「うん、今さっき来たんだ。」
 私はゆっくり立ち上がった。
 「ん?なんや?もう行くんか?」
 裕ちゃんは座ったまま私を見上げる。
 「うん。それじゃ、また後でね。」
 私は矢口に椅子をゆずるとゆっくりドアに手をかけた。
 背後から矢口と裕ちゃんの声がする。
 矢口は私が今まで座っていた椅子に座って…。
 二人ともすごく楽しそうにお喋りしていた。
 私はその声をききながら、
 ゆっくり裕ちゃんの部屋をでた。
220 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)17時43分17秒

 ずっと離れたくなかった。
 一緒に居る時間がもっと欲しかった。
 その笑顔を毎日見ていたかった。

 でも…
 それは私には与えられない権利だった。
 もうその権利は空いてはいない。

 それを手にできたのは矢口だったから。
 
 私が裕ちゃんの楽屋に唯一残した物も無くなった。
 椅子に残した私の温もりも、今では矢口に奪われた。
 ずっと私だった裕ちゃんの隣のポジションも
 矢口に奪われた。
 
 私は裕ちゃんの所に何も残せなかった。
 
 
221 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月15日(土)17時47分45秒

 でも、私の頭には裕ちゃんの手の感触が残っている。

 私は裕ちゃんに何も残せないけど、
 裕ちゃんは私に残してくれる。

 それが裕ちゃんの精一杯の優しさって事はわかってる。

 どんなに待っても、裕ちゃんが矢口に向ける気持ちは
 私に向かないって事もわかってる。

 でも、私は諦めない。
 諦められない。
 裕ちゃんがいる限り。

 ずっとこれからも…。

 〜END〜
222 名前:作者です。 投稿日:2001年12月15日(土)17時50分29秒

 なっち視点は終わりです。
 後、裕ちゃん視点と矢口視点でやぐなちゅーは
 一応終了ってことで…。
 それからあややぐちゅーにいきます。
 なにかリクエストがもしあったら言ってください。
 短編ですが…。
 
223 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)20時31分41秒
やぐなっちゅーは切ないのが似合うね〜。
裕ちゃん視点、やぐ視点も楽しみです。
224 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月15日(土)21時04分45秒
なっちに対してカオはどんな感じですかね?
かおやぐちゅーキボンするっス。
225 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)23時29分40秒
またかわいそーな、なっち…
226 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)15時53分07秒
なかよし希望です。
227 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月17日(月)13時26分47秒
あややぐちゅー!?
いいですねー。楽しみ。

ラジオを聞かない派としては
ハロモニしか絡みがないので
りかやぐちゅー
なんてのもぜひ。
228 名前:作者です。 投稿日:2001年12月17日(月)20時22分26秒

 >>223さん。
  レス有難うございます。
  やぐなちゅーはどうもこういう風になってしまします。
  近いうちにこの話は完結させてしまいますね。

 >>224 梨華っちさいこ〜さん。
  レス有難うございます。
  かおやぐちゅーはなっちなしでいいんですか?
  そこのとこまた教えてください。
  書きますんで…。

 >>225さん。
  レス有難うございます。
  なっちは…またこんな役です・・。
  いつかは助けますんで!!

 >>227さん。
  レス有難うございます。
  なかよしですね?
  これは…吉澤は今までまったく手をつけてないんで…
  書いてみますが、ヘボすぎても許してくださいね。

 >>227さん。
  レス有難うございます。
  え…作者はハロモニ見れないんですよね。
  ですが、りかやぐちゅー書いてみますんで
  なんか設定希望あったら教えてください。
  
229 名前:作者です。 投稿日:2001年12月17日(月)20時29分00秒

 次からの予定です。
 1.『ずっと…』中澤視点
 2.『ずっと…』矢口視点
 3.ごまゆう
 4.あややぐちゅー
 5.かおやぐちゅー
 6.なかよし
 7.りかやぐちゅー

 ・…ってことになりました。
 3のごまゆうは作者のわがままですが…
 あややぐちゅーの前に書かせていただきます。
 あややぐちゅーが少し遅れますがお許しを。
 
 気がつけば7つになりました…。
 超駄作ですが、精一杯がんばりますので
 これからも是非よろしくお願いいたします。
 
 
230 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)20時41分01秒

 ハロモニの収録待ち。
 自分の楽屋で本読んでたら、ノックの音がした。
 私の返事聞いてからゆっくりドアが開く。
 なっちや。
 私は本を閉じながら、自分の隣の椅子を引いた。
 「なんや?なっちが来るなんて珍しいやん。」
 「それは裕ちゃんがいっつもこっちの楽屋に来てたからっしょ?」
 
 こっちの楽屋…。
 そっか…もうちゃうんやもんなぁ。
 なっちも自分で言ってなんか変な感じしたんか?
 ずっと一緒やったんやもんな?
 私も最初は楽屋になっちがおらんの違和感あったもん。
 
 「まっそう言えばそうやな。」
 私はなっちの頭を軽く撫でながらなっちを見た。
 なっちもそうやったんか?
 なっちはじっと私の顔を見とった。
231 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)20時54分53秒

 「もう裕ちゃんは1人の楽屋に慣れた?」
 「そやなぁ。もう慣れたわ。ゆっくり時間過ごせるし。」
 別に娘。の楽屋が嫌いとかちゃうで?
 ただ最近はゆっくり自分の時間ってのが欲しいねん。
 仕事も結構忙しいし。
 楽屋くらいやん?ゆっくりできんの。
 まぁ、娘。の楽屋に言ってちょっとでも皆と喋れるだけで
 私は満足や。
 私から抜けたのにあんまり居すぎてもあかんやろ?
 示しがつかんやろし…。
 
 「なっちはどうなん?4人増えたけど。」
 「ん?うるさいのは前からだからね。あんまり変わらないよ。」
 それは一体いつと比べてるんや?
 昔…それは2年前とかとはちゃうやろ?
 でも…もうなんもしてやれへんねん。
 
 「相変わらずかいな?若い子増えた分、圭織は大変やな?
  もちろん、なっちや圭ちゃんや矢口もやで?」
 私じゃもうしきっていけへんからな。
 私はリーダーなんてガラでもないから…。
232 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)21時05分28秒

 昔から皆をしきってなんかするなんて私にはできひんかったんや。
 怖く見せてついてこさせる方法しか知らんかった。

 「なっちが今、ちゃんと圭織と一緒になって皆まとめてるの
  裕ちゃん知ってんで。」
 私はなっちの髪をワシワシと撫でた。
 「え?」
 なっち…昔私がこうやったらめっちゃいい笑顔返して
 くれてたな。その笑顔で私はなんとか続けて行けるって
 思えてたんやで。
 「私がおった時も、なっちはいろいろやってくれて…。
  おかげで私もなんとかやっていけてたんやから。
  ほんまに感謝してんで。」
 「なにもしてなかったよ。」
 隣にいてくれるだけで…
 私は嫌なこともできた。
 なっちの笑顔がそんな事忘れさせてくれたから…。
 「なっちはそのままでええねん。それで十分や。」
 私はなっちを見ていた。
 
 なっち…あんたは今でも好きでいてくれてんのか?
 ごめん…ごめんな。
 私もなっちの笑顔・・大好きやったで。
 なっちの笑顔がなかったら…
 今の私はなかったんやから。
233 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月17日(月)21時23分32秒
中澤視点の?
なちゅー?やぐなぐちゅー?
なんかせつなさが・・・たまらない。
234 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)21時38分22秒

 ノックの音がした。
 私はドアの方向いて返事をした。
 「オッス裕ちゃん…ってなっち、来てたんだ?」
 元気よく矢口が入ってきた。
 なっちを見て少し驚く。
 「うん。今さっききたんだ。」
 そう答えるとなっちはゆっくり立ち上がった。
 「ん?なんや?もう行くんか?」
 私はなっちを見上げた。
 なにか寂しかった。
 なっちには応えられへんねんけど…。
 「うん。それじゃ、後でね。」
 そう言って遠ざかって行くなっちを私は見送る事しか
 できひんかった。
 でも…仕方がないんや。
 私は矢口を選んだんやから…。
 
 なっちが今まで座ってたところに矢口が座る。
 私は最後に1回なっちを見た。
 調度ノブに手をかけた所だった。

 「矢口〜、どうしたんやぁ?」
 私は矢口に顔を近づけた。
 「わっ、キスはやめてよ?」
 「なんやキスして欲しいんかいな?」
 
 
235 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)21時51分13秒

 「裕ちゃん?」
 矢口が私をじっと見る。
 「なんや?」
 「矢口の事好き?」
 …矢口。あんた・・なっちの事気にしてんのか?
 心配せんでええんやで。
 私はほんまに今、矢口しか見えてへんねんから。
 そらなっちの事も嫌いちゃう。
 ゆーたら好きや。
 …でもな?
 私は誰よりも矢口のことが好きやねん。
 なんも心配せんでええ。
 私がハマッてんねんから。
 
 だから…これだけは許してな?
 なっちに…少しした優しさ分ける事…。
 なんにせよ、なっちを捨ててしまったんや。
 少しだけやけど、優しさを与える事は
 卑怯な人間かもしれんけど許してくれへんか?
 
 愛情だけは矢口にしかむけへん。
 私はあんたのもんねんから。
 だから…矢口も私だけに愛情ちょうだいな。

 「矢口が大好きや。」

 ずっとこれからも…
 
 〜END〜
236 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)23時34分10秒

 娘。の楽屋で私は雑誌を見ていた。
 今日は裕ちゃんと一緒の仕事。
 遅いなぁ。
 いつもならもう楽屋に遊びに来ているはずだ。
 雑誌をめくってはいるが何も頭にははいらなかった。

 だって…なっちがいない。
 
 裕ちゃんとなっちが昔付き合ってたのは知っている。
 裕ちゃんは矢口を選んでくれた。
 なにも勘ぐる必要はないってわかってるんだけど…。
 やっぱり気になるんだ。
 
 裕ちゃんは矢口の事が好きってどこでだって言ってくれる。
 でも…なっちを見つめる裕ちゃんは…
 矢口を不安にさせる。
 信じてるけど…
 なっちはまだ裕ちゃんの事好きみたいだから。
 
 なっちから裕ちゃんを奪ったのは矢口。
 だから、またいつなっちに裕ちゃんを奪われるか
 心配でたまらないんだ。
 
 私は雑誌を閉じて、楽屋をでた。
237 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)23時44分42秒

 裕ちゃんの楽屋の前で立ち止まる。
 中には人がいるみたい。
 何か話し声がする。
 
 私は一呼吸すると、ドアをノックした。
 中から裕ちゃんのちょっと低い声の返事が聞こえる。
 私はドアを開けた。

 「オッス裕ちゃん…ってなっち来てたんだ?」
 少し予想はしてたものの、私は驚いた。
 やっぱり信じたくなかったから。
 「うん、今さっき来たんだ。」
 なっちはそう言うと立ち上がって席を譲ってくれた。
 「ん?なんや?もう行くんか?」
 裕ちゃんが少し寂しそうになっちを見上げている。
 「うん。それじゃ、後でね。」
 そう言ってなっちは私の横を通りすぎた。
 私は何も気にしてない様に、いつものように、
 裕ちゃんの隣の席に座った。
 なっちの温もりがまだ残っている。
 
 裕ちゃんは最後に1回ちらっとなっちを見たけど、
 すぐに矢口を見てくれた。
 「矢口〜どうしたんやぁ?」
 「わっキスはやめてよ?」
 「なんや?キスしてほしいんかいな?」
238 名前:『ずっとこれからも』 投稿日:2001年12月17日(月)23時55分25秒

 なっちは出ていったようだ。
 私はじっと裕ちゃんの顔を見た。
 「裕ちゃん?」
 「なんや?」
 裕ちゃんはにこやかな顔で矢口を見つめてくれた。
 「矢口の事好き?」
 裕ちゃん…ごめんね。
 なっちと裕ちゃん見たら心配でたまらなくなるんだよ。
 裕ちゃんが矢口の事好きって言ってくれるのを
 聞かなきゃ、不安でたまらなくなる。
 言わんでもわかってるやろ?って顔してるけど…。
 聞きたい。
 裕ちゃんの口から何度でも。
 それを聞いたら矢口はやっと安心できるんだ。
 なっちと裕ちゃんの関係をずっと見てたから…。
 それだけに不安になるんだ。
 なっちに優しくする裕ちゃん見るたびに…。
 でも…優しくしないで…なんて言えないよ。
 裕ちゃんを困らせる事だから。
 
 「矢口が大好きや。」
 
 その言葉が私の嫌な気持ちを吹き飛ばす。
 
 裕ちゃん・…矢口もだよ。

 ずっとこれからも…

 〜END〜
239 名前:作者です。 投稿日:2001年12月18日(火)00時07分10秒

 >>233さん。
 レス有難うございます。
 そうです。中澤視点のとこです。
 リアルタイムでした!!
 よって矢口視点も書きましたので
 またご覧くださいませ。

 1・2と書けましたので、次は『ごまゆう』を書かせて頂きます。
 その次はあややぐちゅーを…。
 とりあえず、後5つですね。
 次いつ書くか決めてませんが、できるだけ早く書こうと思って
 ますので、これからもお付き合いの程よろしくお願いします。
 
 (リクエスト、やぐちゅー多いですね。よく見たら。
  やぐちゅー好きが多いとはうれしい事です。)

 リアルタイム記念など勝手に名付けてやってます。
 あったら更新量が微妙に増えてます。
 うれしくてテンション上がるみたいです(w
 リアルタイムで読まれましたら是非レスください。
 
240 名前:名無し子 投稿日:2001年12月18日(火)00時33分07秒
作者様
中澤さんが大好きで作者様の小説はずっと読ませて頂いてました。
特にやぐちゅー、あやゆうの小説が好きです。石黒さんを書いてくださる方が
少ないので作者様には非常に期待していますし、とても嬉しいです。
これから書かれる小説の中にあややぐちゅーがあるので
凄く楽しみにしているのですが、あやゆうのリクはだめですか?
できれば娘。在籍時の2人の話しをお願いしたいのですが…<甘めで
もしよろしければお願いします。これからも作者様の小説を
楽しみにしております、頑張ってくださいね!
241 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月18日(火)01時44分14秒
やぐちゅーというよりtsunagi好きなんでなっちがね…
同じ理由でなちまりとかなっちゅーも好きなんだけど…って感じになっちゃう人です。
特にココみたいな三角関係は。
242 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月18日(火)07時36分17秒
リクエストに応えていただけるということで、ありがとうございます。
単純にカオがどんな風に姐さんに甘えるか見たいだけなんで、
いっそのことやぐもなくてもいいくらいで…。
今、娘。を支えているメンバーが唯一甘えることができる人、
それが姐さんだと思っているものですから。
243 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月19日(水)23時18分09秒
あ、そうか、あややぐちゅーってのは石黒彩なのか
松浦亜弥かとおもてたよ。(w

どっちにしろ期待してます。
244 名前:作者です。 投稿日:2001年12月20日(木)23時12分23秒

 >>240 名無し子さん。
 レス有難うございます。
 ずっと読んでくださっているなんて…光栄です。
 あやゆうですね?そういえば最近石黒さんはあまり
 見かけませんねぇ。
 そのシチュエーションいただきました。
 駄作にし上がるのは目に見えてわかっている事なのですが
 大目にみてやってください。

 >>241さん。
 レスありがとうございます。
 tsunagi好きなんですね?
 なっちが幸せになるの…そういえば書いた事ほぼ無いですねぇ・・。
 いつか書いてみようと思います。
 その時はまたその評価などしていただけたらうれしいです。
 
 >>242 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 なるほど、かおゆうですね、じゃぁ。(勝手に判断)
 姐さんに甘えるかおゆうでいかせてもらいますね。
 うまく書けるかはまったく保証できませんが、
 これからもよろしくお願いします。

 >>243さん。
 レスありがとうございます。
 石黒さんです。松浦さんは…
 想像もしていませんでした。ごめんなさい。
 石黒さんとのあややぐちゅーでいきますね。
245 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)00時57分07秒

 後藤はある楽屋をノックした。
 「はい。」
 「あれ?」
 中から聞こえてきた返事の声が予想していた声と違う。
 おかしいと思いながらもドアを開けた。

 「裕ちゃんは?いない…んですか?」
 ここは中澤の楽屋。
 しかし中にいたのはマネージャーだけであった。
 「中澤?あぁ、さっき出て行ったけど…?」
 「じゃぁいいです。失礼しました。」
 「え?あっ…。」
 何か言いかけていたがドアを閉めてしまった。
 どこいったんだろ?後藤は仕方なく自分の楽屋に
 戻ろうとした。
 「来いって言ったの裕ちゃんのくせに〜。」
 1人でぶつぶつと呟きながら後藤は廊下を歩いていた。
 「何1人でしゃべってるん?」
 パッと横を見ると中澤が壁にもたれながら後藤を見ていた。
 「裕ちゃん!」
 「どこいくん?」
 中澤はゆっくり壁から離れると後藤に近づいた。
246 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)01時08分37秒

 「楽屋に帰るんだよ。」
 少し意地悪してやろうと、後藤は歩き出そうとした。
 「ちょっ・・ごっちん、待って〜や。」
 中澤は焦って後藤の腕を掴んだ。
 「ごめんって。これ買いにいっててんかぁ。」
 中澤はあるものを後藤に渡した。
 缶ジュース。
 それは後藤が好きな紅茶だった。
 「一緒に飲もうと思ってん。」
 相変わらず腕をつかんだまま、すまなさそうに言う中澤。
 後藤はまだ熱い紅茶を握りながら中澤を見た。
 この紅茶が売っている自販機はこの階にはない。
 まだ熱いという事は、中澤は走って帰ってきたのだろう。
 それに…
 焦って自分の腕を掴んでいる中澤が
 後藤にはとても愛しかった。
 「…しかたないなぁ、裕ちゃんは。」
 後藤は回りを見渡して誰もいないのを確認すると
 中澤の頬に軽くキスをした。
 中澤は少し驚いた表情を見せたが、
 みるみる笑顔に変わって後藤を見た。
 
247 名前:キスは紅茶の味 投稿日:2001年12月21日(金)01時22分18秒

 「ごっちん…。」
 うれしそうに後藤を見る。
 子供みたいだなぁ、と思いながら後藤も笑った。
 「ごっちん、大好きやで。」
 そう言うと中澤は後藤の唇に自分の唇を重ねた。
 唇を離すと、お互いおでこをくっつけたまま見詰め合う。
 「「プッ!」」
 そのまま二人は笑いあった。

 手を繋いで再び中澤の楽屋に向かう。
 「でも、おっかしいなぁ。」
 隣でなにやら呟く中澤。
 「なにがぁ?」
 「あんなぁ、ちゃんとマネージャーに言っといたんやで。
  ごっちん来たら待っててって言っといてって。」
 (あっそういえばなんか言いかけてたかも…。)
 後藤は苦笑いしながら中澤の話を聞いていた。
 「ちゃんと言っといてくれたらなんも問題なかったのになぁ。」
 「う…うん。そだね。…でもまぁ、いいじゃん。
  時間ないし早くコレ飲もっ!」
 後藤は中澤の手を握ったまま駆け出した。
 中澤は少し?な顔をしていたが一緒に過ごせる時間が
 無くなってきているのに気がついて一緒に駆け出した。
 
248 名前:キスは紅茶の味 投稿日:2001年12月21日(金)01時33分19秒

 中澤の楽屋に入るとマネージャーは少し安心したような
 表情をみせて出て行った。
 
 「後何分?後15分くらいかぁ。」
 中澤は椅子に座りながら時計を見る。
 「また当分会えへんしなぁ。」
 「そうだねぇ。…あけたげるよ。」
 付け爪が邪魔でなかなか缶の蓋をあけられない中澤の缶を
 うけとると後藤は開けてあげた。
 「ありがと。…もうぬるいなぁ。」
 「ん?おいしいよ。ありがと、裕ちゃん。」
 後藤がぺコリと頭を下げる。
 (かわい〜なぁ、ごっちん…。)
 中澤はゆっくり顔を近づけた。
 
 二人が再び交わしたキスの味は二人のみぞ知る…。
 
249 名前:作者です。 投稿日:2001年12月21日(金)01時42分14秒

 駄作!!
 題名いれるの2回もしくってるし…
 あいたた〜!!
 と、とりあえず『ごまゆう』でした…。

 次からは
 1.あややぐちゅー
 2.かおゆう
 3.なかよし
 4.りかやぐちゅー
 5.あやゆう

 と予定してます。
 再度またごまゆうにチャレンジしようと思っている次第で
 ございます。
 1回紙にでも書いてからの方がいいのかなぁ?
 いつもその場で書きこんでいるので…
 長文は後々大変なときが多いんですよね…。
 ここは短編なのに…
 
 
250 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)01時44分20秒
ごまゆう・・・バンザーイ!!
今更新中ですか?リアルタイムなら増量UPでしたよね(w
ちょっと期待。
251 名前:作者です。 投稿日:2001年12月21日(金)02時02分08秒

 >>250さん。
 レスありがとうございます。
 リアルタイムですね!!
 それではあややぐちゅーに行きます。
 
252 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)02時11分12秒

 たまに裕ちゃんは無口になる。
 一緒に裕ちゃんの家でご飯食べてる時。
 道を歩いている時。
 黙って何か思い出しているみたいなんだ。

 「何かんがえてるの?」
 そう聞いてもちゃんとは答えてくれない。
 「なんでもないで。」
 そう言って自分でも何でもないような振りをするんだ。

 でも…気にならないわけない。
 1人で涙流している裕ちゃん見たら…。
 
 あの写真を握って…静かに涙を流していた。
 
 矢口が見てたって裕ちゃんは知らないんだろうね?
 次の日、なにもなかったように、いつものように
 裕ちゃんは笑ってた。
 
 いつも泣いてるから?
 いつまでもあの写真は枕元からなくならないね。

 そんなに裕ちゃんは彩っぺが好きなの?
253 名前:これから 投稿日:2001年12月21日(金)02時23分01秒

 初めてあの写真を見た時は何もわからなかった。
 ただ、裕ちゃんは彩っぺと仲良かったから、
 皆の写真のように置いてあるんだと思ってた。
 そこには矢口の写真もあるから。
 だから矢口はなんとも思わなかったんだ。
 
 裕ちゃんのベッドで並んで寝る時、
 裕ちゃんはいつも少し写真をいじってから矢口を見てくれてた。
 写真がいがんでたのを直しているのだとばかり思ってた。
 でもちがったんだね。
 裕ちゃんは彩っぺとの写真を横に向けてた。
 彩っぺに見られないように。
 矢口と裕ちゃんが一緒に寝ているのを。
 
 あの時初めて気付いたんだ。
 裕ちゃんが声を殺して、あの写真を見ながら泣いてた日。
 
 隣で私が寝ているのに、裕ちゃんは彩っぺしか見ていなかった。
 そして、私がそれを見たのにも気がつかなかった。
 大分してから、裕ちゃんは私のほうに顔を向けた。
 まだ涙で頬が濡れていたのだろう。
 目を瞑っていたからはっきりわからないけど、
 一生懸命涙をふいてたね。
 
 裕ちゃんは私が泊まる度にそうしていた。
 いや、私が泊まる度じゃない。
 きっと、毎日だ。
254 名前:ゴマユウvv 投稿日:2001年12月21日(金)02時44分55秒
>作者さま
いやったぁ〜っ!!ごまゆう最高でした〜vvv
しかも、また今度書いて下さるって・・・(嬉涙)。
かなり楽しみにしてまっす!!!
やっぱりごまゆうはボクの中で一番っす(笑)!!!
255 名前:これから 投稿日:2001年12月21日(金)02時45分37秒

 私は裕ちゃんの家に行くたびにその写真を見るのが日課になった。
 他にも、矢口の写真やメンバーの写真が沢山飾ってあったけど、
 私は彩っぺの写真しか見ていなかった。
 飛びっきりの笑顔の二人。
 小奇麗な写真たてに収まっていた。
 
 いつだったか、それが日課になってだいぶたった時、
 私は相変わらずその写真を見つめていた。
 そして写真のふちに何か書いてあるのに気付いた。
 写真立ての枠で読みづらいがそこには彩っぺの字があった。
 『がんばれ!!大好きだよ!!』
 
 私は初めて二人が付き合っていたのを知った。
 いや、感じた。
 「矢口?」
 裕ちゃんに呼びかけられるまで、私は呆然としている他なかった。
 
 この字と写真が毎晩裕ちゃんを泣かせる。
 私の横で。
 それでも私は何も言わなかった。
 言えなかった。
 私は裕ちゃんから離れたくなかったから。
 知らない振りをし続けた。
256 名前:作者です。 投稿日:2001年12月21日(金)02時50分29秒

 >>254 ゴマユウvvさん。
 レスありがとうございます。
 えらい短くなってしまい…
 次はちゃんとまともな物を書こうと思ってますので!
 こりずにお付き合いくだされば光栄です。
 
 おおっリアルタイム!!
 もうちょっと更新します。
257 名前:これから 投稿日:2001年12月21日(金)03時02分08秒

 「なんや最近矢口おとなしいなぁ?」
 裕ちゃんが矢口を心配そうに見てくれた。
 裕ちゃんが何か思い出しているようだったので
 矢口は黙って隣にいたんだ。
 「え?そう?」
 「なんかあんまり喋らへんやん。」
 それは…
 裕ちゃんと彩っぺの思いで邪魔して嫌われたくないから…。
 矢口は黙って待つしかできないから。
 「前のうるさい矢口の方が矢口らしいで。」
 少し意地悪そうに笑いながら私の頭を小突く。
 「なんだよ!あほ裕子!!」
 裕ちゃんがペースを握ってくれれば私は合わせられる。
 いつだって矢口は裕ちゃんに合わせられるんだよ。

 でも最近少し寂しそうに矢口を見る事が多くなったんだ。
 黙って矢口をジッと見てる。
 最初は、「なんだよ?裕子!」とか言ってたんだけど、
 最近では裕ちゃんを見つめる事しかできない。
 嫌われたくないから…
 何かあったら言ってくれたらいいのに…
 裕ちゃんの為なら矢口は変わるよ。
 裕ちゃんの為に、裕ちゃんの望む様に。
 でも、裕ちゃんは何も言わない。
 ただ見てるだけ…
 
258 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2001年12月21日(金)06時28分10秒
なんか知らんけど目が覚めたので覗いてみたら更新されてる!
あややぐちゅー切ないっス。
いなくなった人に残った人はどう対抗すればいいのでしょうか?
いや、別に深い意味があるわけじゃありませんが。
259 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)01時46分04秒
まだ???(w
260 名前:作者です。 投稿日:2001年12月26日(水)19時39分11秒

 >>258 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 なんかどんどん話が暗くなってますね。
 早い事救出作戦を実施します!
 
 >>259さん。
 レス有難うございます。
 すみません!!かなり更新できていませんねぇ。
 あっちも全然進んでないですが…。
 こっちは本当に出きるときにしようと思ってますので
 やはりペースが大分遅いと思います。
 が、なんとか早く更新しようと思ってますので
 こんな遅筆でも許してやってくださればうれしいです。
 ごめんなさい。
 
 年末という訳でなにかとバタバタしていてレスも今まで
 できませんでした。
 全てただの言い訳となってしまうのですが、
 大目に見ていただけたらうれしい次第でございます。
 
261 名前:これから 投稿日:2001年12月29日(土)01時19分18秒

 今日もまた裕ちゃんの家にきた。
 「寒いなぁ。ちょっと待ってや。」
 そう言ってバタバタと動き回る裕ちゃんを見ながら
 矢口は寝室を見た。
 あの写真はやっぱり1番見やすい所に置かれていた。
 昨日もあれを見ながら裕ちゃんは寝たんだろう。
 ボーっとその写真を見ていたらキッチンから裕ちゃんの声がした。
 「紅茶いれるし適当に座っときやぁ。」
 私は軽く返事を返すと裕ちゃんのお気に入りのソファーに座る。
 「はい、お待たせ。」
 カップを2つ持って隣に座る裕ちゃん。
 私は両手でカップを包む様に持って口をつける。
 「…。」
 ちょっとした沈黙が二人をつつんでいた。
 私は裕ちゃんが口を開くのを待っていた。
 だって、いつ彩っぺの事考えてるかわからないし。
 裕ちゃんに矢口は嫌われたくない。
 
262 名前:これから 投稿日:2001年12月29日(土)01時30分48秒

 「なんか…やっぱり矢口…最近変やで?」
 やっと裕ちゃんが口を開いたと思ったら…。
 「え?変じゃないよ。なんで?」
 「私と一緒におっても楽しくないんか?」
 え?裕ちゃん何言ってるの?
 「なん…?」
 「矢口…最近二人になったら全然喋らへんやん。
  なんや?なんで?」
 裕ちゃんの顔を見ると辛そうな顔をしていた。
 「私なんかした?」
 私はじっと裕ちゃんの顔をみた。
 そんな顔しないで。
 矢口は裕ちゃんと一緒にいれるだけで幸せなんだよ?
 「そんな事ないけど?楽しいよ。矢口は裕ちゃんと
  一緒にいれるだけで。」
 「なんか…私に言いたい事とかあるんちゃう?」
 言えないよ、裕ちゃん。
 矢口の口からは。
 彩っぺの事が好きなの?
 矢口より彩っぺの事が好きなんでしょ?
 矢口の事好き?
 聞きたい事は山程あるけど、どれ1つ聞けないよ。
 答えなんて聞きたくない。
 一緒にいれなくなるのが恐い。
 「ないよ。」
 「・…矢口のアホ。」
263 名前:これから 投稿日:2001年12月29日(土)01時42分55秒

 「なんで矢口がアホなんだよ〜。」
 「アホやからアホやねん。もーええわ!」
 裕ちゃんはフンッと横を向いてしまった。
 嫌われた!?
 裕ちゃんに嫌われた。
 私の目から無意識の内に涙が零れ落ちた。
 「…裕ちゃん…ごめん。」
 裕ちゃんは驚いて矢口を見た。
 「やっ矢口??嘘やって!!なんで泣いてんの?
  ごめん、裕ちゃん怒ってないで?」
 裕ちゃんは焦って矢口の涙を指でふき取ってくれた。
 ごめん、裕ちゃん。
 泣くつもりなんてなかったのに。
 「・…嫌いにならないで…。」
 裕ちゃんの服の袖を掴む。
 涙は全然止まらなかった。
 「嫌いになんかならへんよ。矢口?どうしたんや?」
 裕ちゃんは矢口を抱きしめてくれた。
 でも少し困った顔をした裕ちゃんの顔が矢口の頭から離れなかった。
 「ごめんね…泣いたりして…嫌だよね?」
 「やっぱりなんかあるんやろ?矢口?
  ちゃんと言ってくれへんかったら裕ちゃんわからへん。
  な?ちゃんと話あお?」
 裕ちゃんはやっぱり少し困った顔をしたままだった。
 ごめんね、裕ちゃん。
 裕ちゃんを困らせるなんて…矢口はほんとにアホだよ。

  
264 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月30日(日)14時45分48秒
更新されてる、やた♪
やぐちゅーいいっす!
弱矢口かわいーっす!

265 名前:これから 投稿日:2001年12月31日(月)18時04分38秒

 裕ちゃんは矢口が落ち着くまでずっと待ってくれた。
 矢口の頭を撫でながら、心配そうに私を見てくれている。
 でも・…矢口にはそれも結構つらかった。
 裕ちゃんに彩っぺのことを聞いたら・・・聞いてしまったら…
 2度とこんな風に一緒にいれないかもしれない。
 でも、このままでいたったきっと矢口はまた
 こんな風になってしまう。
 その度に裕ちゃんは困ってしまうだろう。
 
 やっぱり…聞くべきなんだ。
 それがどんな結果であっても・・
 矢口は裕ちゃんにこんな顔させたくないよ…

 「落ち着いたか?」
 裕ちゃんは少し弱い笑顔を矢口に見せた。
 困ったときに見せる顔…。
 「うん…。」
 じっとその顔を見ていられなくて矢口は下を向いた。
 「ならちゃんと話してくれる?なんや?」
 裕ちゃんは優しく矢口の頭をなでてくれていた。
266 名前:これから 投稿日:2001年12月31日(月)18時13分04秒

 「裕ちゃん…。」
 「ん?なんや?」
 「裕ちゃんは誰が好き?」
 裕ちゃんはちょっと変な顔をした。
 けどすぐに答えてくれた。
 「矢口やで・・。矢口が好きや。」
 「本当に?」
 裕ちゃんはきょとんとした顔で矢口を見ている。
 「ホンマやで?なんでや?」
 矢口は少しなにも言えなかった。
 彩っぺの事…矢口の口からいわなきゃ。
 「裕ちゃんは…矢口が1番じゃないでしょ?」
 裕ちゃんは何も言わずに矢口を見ていた。
 裕ちゃんは気付いたのかもしれない。
 矢口が言っている意味を。
 「矢口は裕ちゃんの涙・・止められないの?」
 裕ちゃんは黙っていた。
 裕ちゃんの顔は困っていた。
 
 やっぱり裕ちゃんは彩っぺが1番なんだね?
 矢口は裕ちゃんの1番にはなれなかったんだ。
 
 「あんな…矢口…。」
 裕ちゃんは少し考えた後、ゆっくりしゃべりだした。
 裕ちゃんの声が耳に響く。
 
 きっと今、矢口はひどい顔をしているでしょ?裕ちゃん
267 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2002年01月01日(火)12時29分54秒
女の子にこんなこと言われたらだめだな〜。
っていうか、言われてぇぇぇ!!
268 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)06時39分19秒
こっちのスレが更新されてるとは・・・
でもなんかお年玉もらった気分(w
ちょっと幸せ!!
1人で夜泣く姐さん萌え〜。
一途な矢口萌え。
あやっぺ&裕ちゃんの過去?・・・結構楽しみ〜。
269 名前:作者です。 投稿日:2002年01月07日(月)01時42分11秒
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

>>264さん。
レスありがとうございます。
年越してしまいました…お礼を言うの遅くて
申し訳ございません。
やぐちゅーはやっぱいいですよね!

>>267 梨華っちさいこ〜さん。
レス有難うございます。
元旦レスじゃないですか!?ありがとうございます。
遅更新ですみません。しかも長いし…
何言ってるんですか?言わせてみせてください!

>>268さん。
レスありがとうございます。
お年玉?それはそれはこんな駄作を…
彩裕の過去にやっと到着です(遅すぎや!!)
270 名前:これから 投稿日:2002年01月07日(月)02時00分11秒

 「矢口、あんな…私と彩っぺの事…いつから知ってたん?」
 
 「…全然知らなかったよ。あの写真見て…。」
 「そうか…。矢口が思ってる通り、私は彩っぺと付き合って
  たんや。矢口と付き合うまで。」
 裕ちゃんとは、矢口が告白して付き合う事になった。
 あの時…裕ちゃんは戸惑いながらも受け止めてくれた。
 「…どうして別れたの…?」
 「・…。それは…」
 裕ちゃんは言葉を濁した。
 よほど思い出したくない事だったのだろうか?
 「いろいろ…あって…。」
 苦しそうにそう呟く。
 裕ちゃんと彩っぺの事、気になってしかたがなかったけど、
 裕ちゃんにこんな顔はさせたくないよ。
 「でもな…矢口。私は今矢口の事が好きやで。
  これはほんまや。彩っぺの事で少し引きずってる事は
  あるのは確かや。でも矢口を1番大切にしたいって思ってるから。」
 裕ちゃんは真剣な目でそう言ってくれた。
 なんかいっぱいまだまだ聞きたい事はあったけど
 裕ちゃんの目をみてたら聞けなくなった。
 
271 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2002年01月07日(月)12時43分02秒
知れば傷つくとわかっているのに、知りたくなるのはなぜでしょう。
いや、別に深い意味はありませんが。
272 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月10日(木)00時33分07秒
作者さん〜待てないよ(w
273 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)22時11分30秒

 >>271 梨華っちさいこ〜さん。
  レス有難うございます。
  いつもいつも更新後すぐレスしてくださって
  ありがとうございます。
  すいません。いつも遅くて…
  今日は向こうの更新もちゃんとできたので
  こっちもがんばろうと思っています。
  矢口と中澤…がんばって今日どうこうさせましょう!!
  (できなかったらごめんなさい!)

 >>272さん。
 レスありがとうございます。
 ごめんなさい!!遅すぎですね!
 非常に申し訳なくおもっております。
 今日はダラダラかもしれませんが結構
 更新しようと思ってますので…!
274 名前:バンザイ!! 投稿日:2002年01月10日(木)22時18分16秒
やった!!今日はこっちも更新っすね♪
・・・「すんまそ」です(w
雨〜、初期から読んでましたよ。いつも名無しのレスしてましたが。楽しみにしてます♪
275 名前:これから 投稿日:2002年01月10日(木)22時24分56秒

 矢口は納得いかない顔でうちを見ていた。
 それでもどこか安心したような表情をしていた。
 矢口・・ごめんな。
 ほんとの事ゆーたら矢口傷つけるから・・・。
 うちは矢口を傷つけたくないんや。
 1番大切にしたいって思ってるんはほんまやから。
 でもな…彩っぺの事・・忘れられへんねん。
 写真見るたびに思い出してまだこみ上げてくる涙
 押さえられへんねん。
 知ってたんやな。うちが毎晩あの写真見て泣いてるの。
 知ってて今まで黙ってくれてたんやな。
 うちの涙止めようとしてくれんのか?
 ありがとう。
 その気持ちはほんまうれしいわ。
 
 目の前で黙ってジュース飲んでる矢口見ながら
 うちは彩っぺの事を思い出した。
 
276 名前:これから 投稿日:2002年01月10日(木)22時39分53秒

 『別れよ、裕ちゃん』
          なんで?突然なんでそんな事ゆーんや?
 『結局、私達に先はないよ。』
          え?
 『私…いつかは家庭を作りたいから…。
  裕ちゃんとはもう別れる。』
          彩っぺ…うちの事、嫌いになった…ん?
 『…嫌いじゃないけど…もう無理だよ。』
          なんでや?なぁ、彩っぺ!うち彩っぺと別れたくない!
 『裕ちゃん…私の気持ちもわかってよ…』
          そんなんわからへん!もううちの事好きちゃうんか?
 『…好きだよ。大好きだよ…。』
          じゃぁ・・
 『大好きだけど…裕ちゃんと二人で生きていく事なんて
  できないじゃん!今別れとかないと…
  後戻りできなくなるよぉ。』
          彩っぺ…泣かんといてやぁ。
 『裕ちゃんも泣いてるじゃん。
  コレ以上裕ちゃんといたら離れられなくなるもん。
  だから…もう別れよ…。』
             
277 名前:これから 投稿日:2002年01月10日(木)22時51分14秒

 『裕ちゃんの事…忘れない。ううん。
  忘れられないよ。』
          ・・・・・。
 『毎日裕ちゃんととったあの写真見るよ。』
          ・・うん。
 『いつだってTVで裕ちゃん見てるよ。』
          …うん。
 『ずっと裕ちゃんの事・・・好きだから。』
          えっもう行くんか?
 『彩っぺの1番は裕ちゃんだからね。』
          うちもや!彩っぺが1番好きやで!
 『もうこれから一緒にいれなくなるけど
  心は裕ちゃんの傍にいるから…。』
          ほんまに行くん…?嫌や…彩っぺ…。
 『裕ちゃんが誰と一緒になろうと
  私が裕ちゃんを1番愛してるから。』
          うちもやで。彩っぺが1番や。
 『バイバイ。大好きだよ。』
          …バイバイなんか言えへん。
 『…言ってよ!裕ちゃん…』
          …バイバイ。誰よりも彩っぺが好きやからなっ!

 こうして石黒彩はモーニング娘。の前から
 そして私の前から姿を消した。
278 名前:これから 投稿日:2002年01月10日(木)23時03分37秒

 それからあの写真を見る度にこの会話が頭をよぎる。
 大好きで…1番愛してる彩っぺ…。
 忘れられるわけがない。
 今でも…彩っぺが1番好きなんや。
 
 矢口…こんなん聞いたら…言えへん。
 矢口の事、嫌いじゃないんや。好きや。
 1番大切や。
 
 彩っぺは結婚して、こんなうちとの会話なんかもう
 忘れてるんかもしれへん。
 でもうちはまだ忘れられへん。
 だから…
 矢口、あんたが忘れさせてよ。
 忘れさせてくれた時に全部ゆうから。
 だから今は言えへん。
 
 けど矢口が今1番大切やからもう傷つけへんようにはする。
 写真もあんたが居る時はもう見ーひん。
 まだ…写真見ーひんって約束はできひんけどな。
 あんたの横で泣く事もやめるわ。

 矢口…うちを変えてくれるか?
279 名前:これから 投稿日:2002年01月10日(木)23時15分13秒

 さっきから裕ちゃんは黙ってる。
 まだまだ全部は言ってくれないけど…
 それでも聞いたら教えてくれた。
 彩っぺの事…少しも教えてくれないかもって思ってたから
 それだけでも十分うれしかったんだ。
 
 裕ちゃんは矢口が1番大切だって言ってくれた。
 好きとも言ってくれた。
 それだけでも矢口は十分力をもらったよ。
 
 裕ちゃん…何を引きずってるかはしらないけど…
 矢口がそれを吹き消すよ。
 矢口は裕ちゃんの傍にいれるんだったら
 なんだってできる気がする。
 裕ちゃんの傍にいていいんだよね。
 
 裕ちゃんを見たら微笑んでくれた。
 
 彩っぺ…裕ちゃんはもう返さないよ。
 これからは矢口だけのものにするから。
 
 だって矢口は裕ちゃんの事が1番大切で1番好きで、
 1番愛してるから。

 〜END〜
280 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)23時26分10秒

 >>274 バンザイ!!さん。
 万歳!万歳!レス万歳!!
 ありがとうございます。
 あ…あわわ・・「雨」から読んで下さってたんですか?
 しかも初期からだなんて…
 うわ〜!本当にありがとうございます。
 コレからも宜しくお願いします!!

 「これから」あややぐちゅー終わりました・・
 散々引っ張っといてこんな終わりかいっ!!という意見は
 置いといて…。
 あわわ・・すみません。
 
 それにしても題名考える能力ないんかいっ!ってぐらい
 かぶってます。
 つけてから、「しもたぁ〜!!」って焦る作者です。
 能力ないんで変なものでもお許し下さい…。
281 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)23時44分09秒

 え〜これからはこういう予定をしております。
 
 1.かおゆう
 2.なかよし
 3.りかやぐちゅー
 4.あやゆう
 5.ごまゆう(再度挑戦)
 6.やぐなっちゅー(某所でリク)
 
 かなり遅いペースだったのでペースアップを図ろうと
 思っております。
 短編なので短いと思いますがお許し下さい。
 そして駄作ですが是非お付き合いください…。
282 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)00時55分39秒

 「こら〜!!辻加護〜!!」
 「逃げよ〜のの!」
 ドタバタと元気な、そして他の楽屋では考えられない音が
 聞こえてくる。
 「まったく〜。」
 辻と加護になんなく逃げられた飯田は息をついて
 安倍の隣に座った。
 「今度は何されたのさ?」
 安倍は苦笑いをしながら飯田を見る。
 「カオリの鞄あさってたの。なんか持ってた?」
 「え?わかんない。持ってなかったんじゃない?」
 「も〜あの二人は新メンバーもいるのにいつまでたっても
  子供なんだから。」
 飯田はため息をつきながら二人が出て行ったドアを見ていた。
 「あんまり気をつめんじゃないわよ?」
 後ろから保田がポンっと飯田の肩を叩いた。
 「でも、裕ちゃんならさぁ。」
 飯田がそう呟く。
 「何言ってんのよ?裕ちゃんがいた時だって暴れてたじゃない。
  それにカオリは裕ちゃんみたいにならなくていいんだよ。」
 保田はそういうとニッっと笑って歩いて行った。
283 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)01時08分09秒

 「そうだよ。カオリはカオリ。裕ちゃんは裕ちゃんだべ?」
 「う〜ん。そうなんだけどさぁ…。」
 安倍の言葉も保田の言葉も飯田にはただの気休めにしか
 聞こえなかった。

 (裕ちゃんはたった1人でよくこんなに大勢まとめてたよ…。)
 飯田は廊下を歩きながらぶつぶつと呟いていた。
 (カオリは裕ちゃんみたいに皆をまとめる事なんて
  全然できないよ。)
 飯田がリーダーになってもう数ヶ月たつ。
 中澤の存在がどれほどのものだったのか、改めてわかった
 数ヶ月だった。
 まだまだ世間では飯田がリーダーというのが定着していない。
 それほどまでに中澤の印象は強かった。
 
 フラフラと当てもなく歩いているといつのまにか廊下の端に来ていた。
 窓の外には風にゆれる木々。
 飯田は窓を少し開けて、そよ風を肌にうけた。
 「あ〜気持ちいい〜。」
 まだ仕事までに時間が余っていたので、飯田は風を受けながら
 外の木々のざわめきに耳をすましていた。

  
284 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)01時19分02秒

 不意に風が変わる。
 飯田は閉じていた目を少し開けた。
 懐かしい匂い…。
 そう思った時、肩を軽く叩かれた。
 「なにやってんの?カオリ。」
 「裕ちゃん!?」
 振りかえると懐かしい匂いのする中澤が立っていた。
 「外見とったん?何?」
 中澤が興味ありげに窓の外を見る。
 「別に何もないよ。見てただけだもん。」
 「ふーん。相変わらずやな、カオリは。」
 笑顔でそう言う中澤。
 「風入ってくるやん。気持ちえ〜な〜。」
 外に少し身を乗り出し無邪気に叫ぶ中澤を飯田は見ていた。
 (慣れるまでは恐いけど、慣れてからのこの無邪気さが
  皆をひきつけてたのかなぁ。カオリには人をひきつけるもの
  なんてないよ。)
 身を乗り出したまま中澤が振りかえって飯田を見る。
 「ん?どしたん?」
 飯田の心境が見て取れたのか、心配そうに飯田を見る。
 「な、なんにもないよ。」
 飯田は顔を笑顔にして風にあたった。
285 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)01時28分05秒

 「カオリ。」
 「ん?」
 飯田が横を見るとまだ心配そうな顔のままの中澤がいた。
 「どうしたんや?」
 「なにもないって・・。」
 飯田がそう言い終わると中澤は寂しそうに再び外に顔を向けた。
 「カオリがそういう顔しとる時はなんもない時ちゃうねん。」
 「え?」
 「もううちには言ってくれへんのか?」
 そう言うと中澤は身を乗り出すのをやめて飯田を見た。
 「ええけどな。けどそんな顔のまま戻ったらみんな心配すんで?」
 「裕ちゃん…。」
 「顔になんかあるって書いてあるもん。うちでよかったら
  ゆーてーや。」
 中澤はそう言って風で少し乱れた髪をかきあげた。
 「カオリ…リーダーにはやっぱり向いてなかったよ。」
 飯田は一息ついて話し出した。
 「全然まとめられないもん。裕ちゃんみたいに全然できない。
  どうしたらいいかわかんなくなってきたんだ。」

 
286 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)01時50分31秒

 「何ゆーてんねん。うちは全然できてへんかったよ。」
 「裕ちゃんはできて…。」
 中澤は飯田が最後まで言う前に言葉をさえぎった。
 「まぁ、聞いてや。うちな、団体行動めっちゃ嫌いやってん。
  昔な。学校行事も全然参加してへんかったし。
  そんなうちがグループに入って・・しかも年齢的に1番上やったから
  リーダーっちゅーのにならされたんや。最初はほんまに嫌やった。
  なんも知らん世界に入って、そこでいきなり知らん子達と組んで、
  いきなりまとめろってゆわれたんやからな。しかも、めっちゃ年
  離れてるやん…かなりへこんだで。会話できひんもん。」
 そういうと中澤は窓枠にひじをついてもたれかかった。
 「それでもなんとかやってこれてたんは…みんなのおかげや。
  みんながまとまろうってゆう気になってくれたから、
  こんなうちでもできたんや。まぁ、なんもしてなかった
  けどな。んで、まぁそのうちに慣れてきて、少しずつ
  やけどまとめられる様になっていった。…なっていってた
  と思うわ。自分ではな。」
 
287 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)02時02分25秒

 飯田は無言でコクコクと首を縦に振った。
 中澤はそれをみて少し笑った。
 「ハハ、ありがとう。まぁそんでそこでや。」
 
 そういうと中澤は飯田の手をとり、
 胸の高さに持って行くと軽く手を叩いた。
 「バトンタッチしたってわけやな。」
 飯田は手をその状態にしたまま
 じっと中澤の話を聞いていた。
 
 「最初はうちもちょっとばかし不安やったよ。
  誰がなってもそれはあったで。
  そうこうしてるうちに新メンバーが入ってきた。
  新メンバーってなんか1番難しいやん。
  うちだけかもしれんけど。
  まぁ、うちは苦手やってんな。」
 手下ろしていいんやで?っと中澤は話をじっと
 聞いている飯田の手を少し下ろしてやった。
  
 「うちは黙って見守ってたんや。
  娘。やめてもやっぱり心配やからな。
  まぁ、影から見させてもーとった。」
 
288 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)02時11分30秒

 「ほんだら・・何や?ちゃんとまとまってるやんか。
  カオリがリーダーになってよかったって思ったわ。」
 
 「全然まとめられてないよ…。」
 飯田は小さくそう呟く。
 「裕ちゃんみたいには…。」
 
 中澤は黙ってそれを聞くと少し笑って飯田を見た。
 「カオリはカオリや。うちとはちゃう。
  カオリはうちにならんでええんやで?
  カオリはカオリのやり方でちゃんと娘。を
  まとめてるんやから。
  影からみとったうちが保証する。
  カオリは完璧主義すぎんねん。
  もっと楽でええんやで?」
 
 その言葉は飯田の心のつっかえを消してくれた。
 今までの悩みが嘘のように消える。
 
 「なんだかんだゆーて皆カオリをちゃんと見てる。
  1人で背負わんでいいんや。
  皆でやればええ。
  みんなカオリの事ちゃんと見てくれとったやろ?」
 
 飯田はついさっきの楽屋の会話を思い出す。
 なっち…圭ちゃん…
 みんなカオリに力貸してくれてたね。
289 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)02時18分48秒

 飯田の目から自然と一粒の涙が流れ落ちた。
 「裕ちゃん…ありがと。」
 
 「なんや?そんなに張詰めとったんかいな?
  ごめんな?気付いてやれんで…。」
 中澤は手を伸ばして飯田の頭を撫でてやった。
 「これからは圭ちゃんとかとやっていったらええ。
  な?十分、娘。はまとまってるで。」
 「うん。…うん。」
 中澤は飯田の顔を自分の肩にうずめさせ、抱え込むように
 抱いて、ずっと頭を撫で続けてやっていた。
 「なんかあったらまた裕ちゃんに言いや。
  いつでも聞いたるからな?」
 
 窓から入ってくるそよ風が飯田の心の不安を
 持ち去っていってくれた。
290 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)02時26分25秒

 「カオリが心配してる辻と加護かってちゃんと
  成長しとったで。」
 「え?」
 「今日もカオリの様子が変やって教えてくれたん
  あの子らやもん。」
 中澤はその様子を思いだしたのか少し笑いながら言った。
 「飯田さんがへんなんれす!っとか辻がゆーてなぁ。」
 中澤の物まねに飯田は少し吹き出す。
 「裕ちゃん似てる…。」
 「あの子たうちが卒業してからちゃんと成長しとるわ。
  カオリのおかげやで。」
 
 飯田は顔を上げると中澤を見た。
 「ありがと。裕ちゃん。ちょっと自信でてきた。」
 「なんや、もうええんか?
  まぁ、またいつでもなんかあったらゆいや?」
 「うん。ありがと。」
 飯田の顔は中澤の面影の中の顔に比べて
 格段と成長しているものだった。
 
291 名前:ヒトヤスミ 投稿日:2002年01月11日(金)02時37分20秒

 「あっ飯田さんれす!」
 「あっほんまや。中澤さんと…。」
 辻と加護が調度廊下の角から飯田と中澤を見ていた。
 
 「あっあの子らやで…。」
 中澤が飯田と微笑みながら成長した二人を見る。
 
 「二人で怪しいのれす。」
 「援助交際っちゅーやつちゃうか?」
 「なんれすか?援助なんとかって?」
 
 「「 辻〜加護〜!!」」
 
 再び静かだった局の廊下が騒がしくなった。

 「ん?裕ちゃんの声しない?」
 楽屋でお菓子を食べながら安倍が呟く。
 「また騒いでるんじゃないの?」
 保田が読んでいる本から目を離さずに答える。
 「元気だねぇ。」
 後藤が眠そうにしながらそう呟き、1つおおきなあくびをした。

 モーニング娘。は相変わらず平和である。
 (モーニング娘。+1)

 〜END〜
292 名前:作者です。 投稿日:2002年01月11日(金)02時46分39秒

 という訳で…かおゆうでした。
 う…う〜…本当に少し甘えさせただけ…
 だめだこりゃ…すみません梨華っちさん…
 またなんか言ってくださいね。(駄作でよければ…)
 恋愛させたほうがよかったですか?
 ・・・っちゅーかそれをリクしてんねんって話ですか?
 ごめんなさい。
 なんかこういう話がうかんだので書いてまいました。
 
 次からは
 1.なかよし
 2.りかやぐちゅー
 3.あやゆう
 4.ごまゆう
 5.やぐなっちゅー
           です。
 
 >>梨華っちさいこ〜さん。
 かおゆうレス下さってたのに終わってみればコレ…
 恋愛を希望していただいていたのなら書きますので
 また言ってください。
 
 今日の更新は全て終わり…ッス  アッチモ・・汗
293 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2002年01月11日(金)18時49分37秒
リクに応えていただき、本当にありがとうございます。
いや〜こっちがいいんですよ。実際に娘。を見てても
「リーダーとしてまとめなきゃいけない」ってよく言ってますしね〜。
「まとめる」じゃなくて「まとまる」がいいんですよね。
ちょっと気が張りすぎてるカオのことが気になってるので
実際にこんな会話してたらいいな〜って思いながら読ませていただきました。
うん、いいな〜、コレ。
294 名前:らん 投稿日:2002年01月12日(土)00時14分15秒
いつも楽しませてもらっています。
作者さんの描く、やぐちゅーが大好きです。
裕ちゃんにもヤグチにも、凄く愛情を感じます。
リクエストにお応えいただけるなら、「雨の…」や「とある…」のような
やぐちゅーの長編をお願いできないでしょうか?
痛めでも、甘めでも、でも最終的には、ハッピーエンドを…
とにかく、作者さんの大ファンです。
どうか、どうかよろしくお願いいたします。
295 名前:作者です。 投稿日:2002年01月12日(土)01時56分13秒

 >>293 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 これでよかったですか??ホッ・・。
 よかった〜…
 かおゆうで考えたらこういうのが思い浮かんだので
 書いちゃったんで結構心配だったんですよ。
 少しでも満足いただけたのであれば光栄です。

 >>294 らんさん。
 レスありがとうございます。
 あらら・・大ファンだなんて…
 めちゃめちゃうれしいです。
 昔のも読んで下さってるなんて…。
 やぐちゅー・・作者もやぐちゅー好きなんです。
 こんな駄作でありますが好きだと言って頂けて
 少し勇気がもてました。ありがとうデス。
 やぐちゅー長編…そうですね。
 次、長編をまたはじめる時はやぐちゅーで!
 まぁここは容量が大分余ってたんで
 短編を気ままに始めさせていただいたんで…
 満杯になったら『やぐちゅー』考えますね。
 今はとりあえず、両方終わらせないと!
 これからも宜しくお願いします。
 
296 名前:秘密 投稿日:2002年01月12日(土)02時15分10秒

 今日は『ハロモニ』の収録日。
 いつもの様に私は娘。の楽屋で収録待ちをしている。
 たまにドアに目をやって、あの人が中に入ってくるのを
 待っている。
 私は梨華ちゃんと喋りながらも意識はドアに集中させてる。
 「昨日ねぇ、…。」
 梨華ちゃんの話に適当に相槌を打って…
 私はずっと待っている。
 
 「おはようさ〜ん!!」
 来た!中澤さん!
 中澤さんは一目散に矢口さんの所に駆け寄る。
 「矢口〜、ちっちゃいなぁ。」
 「もーうるさいよ!!」
 矢口さんは口ではそう言ってるけど顔はうれしそう。
 少しその様子を見てまた梨華ちゃんと話だす。
 今はその顔を見れただけでいい。
 
 少したって中澤さんは梨華ちゃんにも
 ちょっかいをだしに、私の前に現われた。
 
297 名前:秘密 投稿日:2002年01月12日(土)02時22分45秒

 「相変わらずアニメ声やなぁ。石川は。」
 梨華ちゃんはうれしそうな顔をしつつも少し反抗する。
 「そんな事ないですー!」
 「その声どう聞いてもアニメ声やんか。」
 中澤さんもうれしそうに梨華ちゃんをいじっている。
 私はそんな二人を見ていた。
 楽しそうにしている中澤さん。
 皆が知っている中澤さんの顔がそこにある。
 
 中澤さんはまたいつもの様にいろんな人にちょっかいを
 だして、収録準備の為に自分の楽屋に戻って行っった。
 いつも通り。
 中澤さんは必ず娘。の楽屋にくる。
 
 いつも通り、いままで通り、私とは挨拶程度しかかわさない。
 それでいい。
 それでいいんだ。
 
 どんなに急いでても、疲れてても、1回顔を出してくれる
 中澤さんの顔をすぐに見れるだけで…。
298 名前:秘密 投稿日:2002年01月12日(土)02時31分54秒

 そして、私はいつも通り、トイレに席をたつ。
 梨華ちゃんは笑顔で送りだしてくれる。
 
 私はトイレに向かわず、中澤さんの楽屋に向かう。
 いつも通り。
 
 ノックすると中から返事が聞こえる。
 返事を聞いてドアを開けると
 中澤さんは笑顔で私を迎えてくれるんだ。
 
 「おはよう。」
 「おはようございます。」
 もう1度しきり直しの挨拶。
 私は中澤さんの隣の席に座る。
 「敬語やめて〜や。」
 苦笑しながら中澤さんが私を見る。
 「もう癖ですから。」
 私も苦笑しながら中澤さんを見る。
 
 「このあいだ、また矢口さんに心配されました。」
 「ん?なんが?」
 「裕ちゃんともっと喋りなよって言われました。」
 中澤さんはくすくす笑う。
 「裕ちゃんは恐くないよって言われました。」
299 名前:秘密 投稿日:2002年01月12日(土)02時39分07秒

 「矢口に言われんでも喋ってるのにな?」
 「皆の前じゃほとんど喋らないから。」
 私がそう言うと中澤さんは少し寂しそうな表情をする。
 「皆の前でも喋る?」
 いまみたいに…
 「ううん。今までのままでいいです。」
 中澤さんの私に見せる表情1つ1つを
 私は1人占めしたい。
 矢口さんにも梨華ちゃんにもみせたくないんです。
 「よっさんがそう言うんやったらそうしよ。」
 中澤さんは笑顔で私を見る。
 「中澤さんはいいですか?」
 「よっさんがそう言うんやったらそうしよ。
  私もそうしたい。
  よっさんのその表情誰にも見せたくないねん。」
 中澤さんはちゃんと思いを伝えてくれる。
 それがうれしい。
 私と考えてる事が同じだから。
 「私もそうです。」
 
   
300 名前:秘密 投稿日:2002年01月12日(土)02時50分59秒

 「よっさんは私だけのよっさんでいてな?」
 カラーコンタクトの入った目が私をとらえている。
 吸い込まれる様に私はその瞳を見る。
 「もちろんです。中澤さんも私だけでいてください。」
 「当たり前やん。私はよっさんだけのものやで?」
 ゆっくり中澤さんの顔が近づいてくる。
 ゆっくり中澤さんに顔を近づける。
 
 誰も知らない中澤さん。
 誰も知らないこの関係。
 ずっとこのままでいたいから。
 誰にも渡したくないから。
 
 二人っきりになるまで私は我慢する。
 二人っきりになったら何も我慢しなくていいから。
 なんでも聞いてくれるから。 
 甘えたり、甘えられたり。 
 会うたびにいろんな表情を見せてくれる中澤さん。
 会うたびにいろんな表情をさせてくれる中澤さん。

 これからもずっと二人だけの秘密の関係。

 「よっさん、好きやで。」
 「私もです、中澤さん。」
 
301 名前:作者です。 投稿日:2002年01月12日(土)02時57分56秒

 あっ・・ENDを忘れました。
 
 『なかよし』とりあえず終了です。
 どうなんでしょう?この二人は…?
 本当に喋ってるのとかあんまり見たことないんで
 こんなんになってしましました。ごめんなさい。
 
 これからの予定です。
 1.りかやぐちゅー
 2.あやゆう
 3.ごまゆう
 4.やぐなっちゅー
          となっております。

 それでここのスレもパンパンになりますかね?
 ぎりぎりまで使えたらいいなぁと思っております。
 
302 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2002年01月12日(土)08時25分38秒
う〜ん、この二人は想像したことないですねぇ…
実はちょっと書きづらかったんじゃありませんか?
303 名前:バンザイ×2 投稿日:2002年01月12日(土)23時07分11秒
独特な空気感でした〜。なかよしは最近かなりお気になのでウレシカタ(・v・)
けどやっぱやぐちゅ〜が・・・好き(ハート 特に作者さんのやぐちゅ〜最高です!!
次回作も期待してます♪
304 名前:らん 投稿日:2002年01月13日(日)01時01分33秒
こんばんは。
新参者の私に、丁寧なレスをありがとうございます。
今回は、「なかよし」ですね。
裕ちゃんは、誰と絡ませてもそれぞれに物語ができそうなので、
安心して、楽しませていただきました。
やぐちゅーファンの私としては、時々胸が痛いものもあるのですが、
「作者です。」さんは、愛情あるお話を作ってくれるので、ヤグチを心配せずにいられます。
毎日の更新、大変ですが、また、楽しませてください。
ありがとうございます。


305 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)05時06分04秒
やぐぐ ゆゆゆ
306 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)20時08分02秒

 >>302 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 そうなんです。なかなか想像つかなくてですねぇ。
 話してるイメージもあまり無いので
 会話も上手く表現できませんでした。

 >>303 バンザイ×2さん。
 レスありがとうございます。
 なかよし最近お気になんですか?
 すみません。よしはずっと敬語だし…。
 いつか思いついたらリベンジしてみます。
 やっぱりやぐちゅーですよね?
 作者のやぐちゅーなんぞを気に入っていただけて
 光栄な限りです。

 >>304 らんさん。
 レスありがとうございます。
 いつも丁寧なレス心から喜ばせてもらってます。
 裕ちゃんが1番書きやすいんですよね。なんとなく。
 そういえばリクは全て裕ちゃん関係ですね。
 あっちが今ちょっと痛くなってきたので
 こっちで二人を幸せにしたいなぁ、と思っています。
 少しあっちに力をいれてこちらが
 おろそかになっていました。すみません。
 これからも宜しくお願いします。
307 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)20時16分59秒

 今日は朝から矢口さんの機嫌がいいんです。
 「石川寒いって、その発言。」
 いつもなら、少し話すとそう言われるのに、
 今日はとっても機嫌がいいみたいで、
 「へぇ、そうなんだ?」
 しっかり私の話を聞いてくれてます。
 「そうなんですよ〜。」
 私はうれしくなってどんどん矢口さんにいろんな話を
 していきます。
 矢口さんは終始ニコニコと笑いながら私の話を聞いてくれて
 いました。
 
 もちろん普段だってちょっとの事じゃ、へこたれません。
 (ポジティブ ポジティブ!)
 そう心のなかで叫んで矢口さんと喋ってるんです。
 
 いつも矢口さんを見ている私・石川だから、
 矢口さんの変化もすぐわかるんです。
 どうして今日機嫌がいいのか?
 今日は中澤さんと一緒の仕事だからなんです。
 矢口さんは中澤さんと仕事が一緒の時、
 いつも機嫌がよくて、私の話をずっと楽屋で
 中澤さんが来るまで聞いていてくれるんです。
 
 
308 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)00時44分26秒
今日はこっちが更新・・・っすか?バンザイ×4
309 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)03時55分26秒

 え?来るまで?
 そうなんです。矢口さんは中澤さんが来たら
 話をもう聞いてくれなくなるんです。
 ボーっと中澤さんを見て、終始ニコニコとしてるんです。
 私は話をやめて、いつも矢口さんのそんな姿を見てました。
 (中澤さんを見てなかったら中澤さんに怒られちゃうから
  ちゃんと見てるんだなぁ。)
 
 「矢口ぃ〜!!」
 中澤さんはすぐに矢口さんの所へ走ってきます。
 「暑いよ〜!ひっつくなよぉ!」
 矢口さんは全然顔にはそんな事をださず、ニコニコしたままで、
 中澤さんを軽く引き離そうとしています。
 私はいつもその矢口さんの姿を見ていました。
 (矢口さんってすごい!全然顔にでない。)
 
 「中澤さんっ!矢口さん嫌がってるじゃないですか?」
 私はいつもそこで中澤さんが離れる様に矢口さんに
 助け舟をだします。
 それに…矢口さんにあんまり引っ付いてもらいたくないし…。
 あっ言っちゃった。
 そうなんです。石川梨華、矢口さんに恋をしちゃったんです。
310 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時06分08秒

 「はぁ?矢口、嫌なんか?」
 中澤さんは訳のわからないといった表情を見せて
 矢口さんを見ます。
 矢口さんは少し表情を曇らせながら、
 「別に嫌じゃないけど…。」
 (やっぱり、矢口さんは中澤さんに気を使ってるんだぁ。)
 そう言う時、なぜか保田さんがいつも私に近寄ってきます。
 「石川…ちょっとこっちきなさい。」
 私はいつも保田さんに手を引かれて矢口さんの傍から
 離れるはめになるんです。
 (保田さんに抵抗なんてできないし…。どうしていつも
  このタイミングで保田さんが来るんだろ?)
 もう少しで矢口さんを助けられたのに。
 私はシブシブ保田さんの隣の席に腰を降ろしました。
 「あんたねぇ…いっつもいっつも…。」
 保田さんはいつも何も用事がないんです。
 そう言って周りの飯田さんや安倍さんと苦笑いのような
 表情をするんです。
 
 (もっもしかして…矢口さんに焼いてるのかな?
  保田さん…石川の事好き…だったとか?)
 私は急い保田さんから視線をずらしました。
 
311 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時15分40秒

 (ごめんなさい。保田さん。石川は…矢口さんの事が
  好きなんです。)
 私は離れてしまった矢口さんに視線を戻しました。
 矢口さんは相変わらず中澤さんとお喋りしていました。
 笑顔がすてきな矢口さん。
 中澤さんも私には絶対見せないような優しい顔で
 矢口さんを見ていました。
 (矢口さんの笑顔って、どんな人をも優しくさせる
  能力があるんだぁ。)
 私はまた、新たな発見をしたので、こっそりメモにとって
 おきました。
 
 「り、梨華ちゃん?」
 よっしーがちょっと引きつった顔で私を見てきました。
 (お腹でも痛いのかな?)
 「ん?どうしたの?よっしー。」
 「何してるの?」
 私の手帳をチラチラ見ながらよっしーは聞いてきました。
 ゆでたまごを食べながら…。
 「え?これ?もーよっしーったら〜。恥ずかしくていえないよぉ。」
 私は顔を真っ赤にしながらよっしーの肩を叩きました。
 「あっ…ゆでたまごがぁぁ。」
 そんなよっしーの叫びは今の私には届いていません。
 (もっと近くで矢口さんの情報を!!)
 
312 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時22分18秒
寝る前にもう一度ってカンジでのぞいたら、更新されてますね。
何か、すごくうれしくなりました。
それにしても、作者さんの更新の間隔…つかめないです。
だからこそ、こういう思いがけないうれしさもあるんですが。
がんばって下さい。
313 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時24分27秒

 私は少しだけ矢口さんに近づきました。
 今日は保田さんにとめられませんでした。
 何かよっしー達と騒いでます。
 私は俄然やる気をだして、矢口さんの動きに
 目をやりました。
 「あっ!!」
 中澤さんが矢口さんにキスをしたんです。
 私の声は二人に届かず、当分二人はキスをしたままでした。
 (中澤さん…キス魔だからしかたないけど…
  矢口さんにはいつも口にするよね?)
 私は辞めて欲しいと思って回りを見渡しました。
 辻ちゃん加護ちゃんに悪影響だといって、
 口にキスするのを前飯田さんに止められていたのを
 思い出したんです。
 でも、タイミングが悪く、皆、まだよっしーの足元を見て
 騒いでいました。
 
 私はぎゅっと手に力を込めました。
  
314 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時35分11秒

 (我慢我慢。)
 矢口さんの顔がほんのり赤くなっています。
 (矢口さんも我慢してるんじゃない。)
 私は矢口さんの顔に見とれながら気を押さえました。
 
 「何さわいどんの?」
 中澤さん矢口さんを膝の上に乗せながら小声で矢口さんに
 話しかけました。
 私は横の方から矢口さんを見ていたので二人には見られてない
 ようでした。
 「ん?わかんない。よっしーがなんか…。」
 矢口さんは膝の上に乗ったままよっしーの方を見てました。
 「今日どうする?終わったらご飯でも食べに行くやろ?」
 中澤さんと矢口さんは小さい声で話し合っていました。
 (いいなぁ、ご飯。私も矢口さんと食べに行きたいなぁ。)
 私は1言も聞き漏らす事のないよう注意深く聞いていました。
 「うん。まかせるから考えといて。」
 「ん。わかった。・…夜も楽しみやわ。」
 「!!ゆっ裕ちゃん!」
 矢口さんは顔を真っ赤にして中澤さんをポカポカ叩いていました。
 (夜?晩御飯の事かな?なんで矢口さん怒ってるんだろ?)
 
315 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)04時46分24秒

 「んじゃ、戻るわ。収録でな。」
 中澤さんはやっと矢口さんを解放しました。
 「ん。後で行っていい?」
 「もちろん。いつでも来てや。」
 (矢口さん…最後まで気を使って…。)
 「おっ?石川。そんなとこで1人で何してんの?」
 中澤さんは傍にいた私に気がついて近寄ってきました。
 「何もしてないですよぉ。」
 「ふーん。相変わらず変な声やなぁ。」
 「変じゃないですぅ!!」
 矢口さんも中澤さんの後ろから私に近寄ってきてくれました。
 私は矢口さんに釘付けです。
 「なんや?変な顔して矢口見て…。」
 中澤さんが眉間に皺をよせていました。
 「裕ちゃん、顔恐いよ?」
 矢口さんがキャハハと笑いながら眉間の皺を指差してました。
 「中澤さん、皺が恐いです。」
 私がそう言うと、一瞬にして空気がかわりました。
 「なんやとぉ?石川に言われたらめっちゃ腹立つ!」
  
316 名前:作者です。 投稿日:2002年01月17日(木)04時51分54秒

 >>308さん。
 レスありがとうございます。
 こっちを更新しました。
 あんまり更新できませんでしたが…
 向こうも近いうちに更新しますね。

 >>312さん。
 リアルタイムレスありがとうございます。
 更新間隔…バッラバラですね。
 本当に時間ができたらやってるって感じです。
 これからもバラバーラですが、また寝る前なんぞに
 覗いてくださればうれしいです。
 2つだけ増量しました…少なくてごめんなさい。
 
 
317 名前:華守 投稿日:2002年01月17日(木)05時00分10秒
石川のキャラがいい感じです。
頑張って下さい。
318 名前:らん 投稿日:2002年01月17日(木)11時23分30秒
おっ ! 、今回はこちらですね。
夜勤明けで、いつものように寝る前の儀式をしていたら、
大好きなやぐちゅー(いしやぐちゅー)を、発見しました。
そうか…、石川は、この二人のことを自分なりの解釈でみているんですね。
相変わらず、「作者です。」さんの視点の巧妙さに感心します。
本当に、大ファンですよ。
さて、こうから石川はどうなるのでしょう?
非常に楽しみにしています。
319 名前:梨華っちさいこ〜 投稿日:2002年01月17日(木)15時25分15秒
オイラは梨華ヲタなので梨華ちゃんを応援しますが(w
320 名前:作者です。 投稿日:2002年01月17日(木)22時56分11秒

 >>317 華守さん。
 レスありがとうございます。
 石川のキャラこのようなんでいいですか?
 少し壊してますが(w

 >>318 らんさん。
 レスありがとうございます。
 夜勤お疲れさまです。大変ですね…。
 石川視点(勝手過ぎる)が拒否されずに胸をなでおろしました。
 『巧妙さ』なんてもったいないお言葉で…
 ありがとうございます。
 
 >>319 梨華っちさいこ〜さん。
 レスありがとうございます。
 石川ヲタ(w さんからみてこの視点は
 許されるのでしょうか???
 ドキドキしますが…。
321 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)23時07分05秒

 中澤さんが鬼のような形相で私に近寄ってきました。
 「ゆっ裕ちゃん!その顔すっごい恐いよ。
  まぁまぁ…。」
 (矢口さん!石川を守ってくれたんですね?)
 私は目の前の鬼から視線をサッとそらすと、
 天使のような矢口さんを見つめました。
 「ったく…。まぁ、矢口の前やし絞めるのは
  やめといたるか。んじゃ、矢口。」
 鬼は矢口さんに手を振って帰っていきました。
 矢口さんは終始ニコニコと笑いながら見送ってました。
 (矢口さんって心が広いんだ。石川の気持ちも…。)
 私はずっと矢口さんを見つめたままでいました。
 「ん?なに?」
 矢口さんは私の熱い視線に気付いてくれました。
 「矢口さんって中澤さんと仲いいですね?」
 私がそう言うと矢口さんは少し顔を赤らめていました。
 「ん…まぁね。」
 (怒らせちゃったかな?真っ赤になって…。)
 「それより収録大変だよ?裕ちゃん絶対
  すごいアドリブいれてきそう…。」
 矢口さんはそう笑って安倍さん達のほうに歩いていきました。
 
322 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)23時17分34秒

 よかった。矢口さん怒ってないみたい。
 矢口さんの前で中澤さんについてはタブーなのかな?
 仲良く見えるって事はそれだけ作ってるってことだし。
 矢口さんも大変だなぁ。
 中澤さんと仕事の時は朝から機嫌よく作ってるし。
 よぉ〜し!これからは中澤さんが来たら、
 矢口さんの為に石川が盾になります。
 ちょっと…かなり恐いけど・・。
 ポジティブ ポジティブ!
 
 機嫌いいと思ってたのが作ってたってわかって、
 ますます私は矢口さんへの想いが熱くなりました。
 プロ根性。矢口さんって凄い!
 私は安倍さんと喋っている矢口さんを
 守る決意を持って眺めました。
 
 「梨華ちゃん?なんか目つきおかしいよ?」
 よっしーがいつのまにか隣にきていて私を覗き込んでました。
 ゆでたまごを食べながら…。
 「いやぁんっ!よっしー、見ないでよぉぉ!」
 私は矢口さんを見つめる瞳を見られたのがすごくはずかしくて
 思わずよっしーの肩をはたきました。
 「あぁぁっ!!ゆでたまごがぁぁぁっ!!」
 (この恋は誰にも秘密…誰かにバレたら実らなくなっちゃう!)
323 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時29分34秒

 私はウキウキ気分で収録に望みました。
 「あれ?どうしたの、よっしー?」
 隣でいつもの元気がないよっしー。
 「え?・・ゆでたまごが…。」
 よっしーは訳のわからない事をブツブツと唱え出しました。
 (ゆでたまごが好きなのは知ってるけど、
  仕事中にまで食べたいの?)
 私は今日はポジティブ度200%だったので、
 隣のよっしーに100%分けてあげようと思いました。
 「よっしー!ゆでたまごは仕事の後!
  ポジティブ ポジティブ!!」
 小さい声でよっしーを応援。
 「だって梨華ちゃんが…。」
 まだ足りないみたい。気合をこめて…
 「ポジティブ ポジティブ!!」
 「うさいねん!何がポジティブや!いきなり
  意味わからん事叫ぶな!」
 よっしーにそう言った瞬間、中澤さんに怒鳴られました。
 スタッフの人が笑ってこっちを見ています。
 よっしーは「ゆでたまご。」と唱えるのをやめて、
 私を呆然と見ていました。
 「キャハハ!石川わけわかんない!」
 矢口さんが笑いながら私を見てくれていたので
 私は中澤さんを呪いのリストにいれるのを
 寸前でやめました。
 
324 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時33分37秒
どこまでも・・・ずれてる石川が・・・最高〜(w
325 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時37分24秒

 全体の収録が終わり、後は中澤さんと二人で収録です。
 皆はいったん帰っていきました。
 (よっしー、ゆで卵早く食べなよ。)
 私は温かいめでよっしーの背中を見送りました。
 (あれっ?矢口さん。)
 カメラの横に矢口さんが残っていました。
 (チャーミーのがんばりを見てくれるんですね?)
 私はやる気まんまんで席につきました。
 今は中澤さんだって恐くない!
 
 収録は散々の結果になってしまいました。
 中澤さんがカンペと違う事ばっかり言って、
 なかなか先へすすめれなかったんです。
 (もうっ!なんでちゃんとできないんだろ?)
 私は笑顔で中澤さんに挨拶して席を立ちました。
 (あれ?矢口さんは・・・?)
 私はカメラの横でキョロキョロと周りを探しました。

 途端に後ろから矢口さんの声が聞こえてきたんです。
326 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時49分03秒

 振りかえると中澤さんとお喋りをしていました。
 (あれ?すれ違ったのかな?小さいから見落と…!
  いけない!矢口さんを小さいだなんて…。違うんです。
  石川達みんながおっきすぎるんです。矢口さんは普通
  サイズなんです。)
  私は必死で頭の中で矢口さんに弁解しました。
 「あっ石川、おつかれ〜。今日もよかったよ。」
 矢口さんは私に気付いてくれました。
 「ありがとうございます。」
 「石川ちゃうやろぉ?裕ちゃんががんばったから
  よかったんちゃうの?」
 中澤さんが矢口さんに抱きつきました。
 (なっ!何言ってるんですか?この人は…。
  矢口さんの意見が正しいに決まってるじゃないですか!)
 「まぁ、そうだけど。石川だからあぁできるんじゃないの?」
 「そうやねんけどな。石川もお疲れさん。はよき着替えや?」
 中澤さんが優しく私に声をかけてくれた…つもりなんでしょう。
 (ひっ!逆にそうとう恐い…。)
 「はぁい。お疲れさまでしたぁ。」
 私は急いで帰ろうとしました。
 コレ以上関わったらダメ!本能がそう言っています。
327 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時57分21秒

 しかし私はそのまま帰る訳にはいかなかったのです。
 だって、さっき誓ったばかりですから。
 『矢口さんの為に石川が盾になります。』
 私は恐怖で早く前に進もうとする足をポジティブに
 止めて、矢口さんに話しかけました。
 隣の中澤さんは視界に入れないように気をつけて。
 「矢口さんも着替えに行きましょうよ。」
 「え?あぁ、矢口はもうちょっとしたら行くよ。
  先いっといて。」
 いくら視界に入れないとはいえ、隣に中澤さんがいるんです。
 矢口さんはその場を離れられないんでしょう。
 私はコレ以上の策を頭の中で緊急発見する事ができなかったので、
 中澤さんの魔の手の中に中澤さんを残したまま退散しました。
 (ごめんなさい、矢口さん。石川はまだまだです。)
 
 楽屋に帰るとよっしーがゆでたまごをほおばっていました。
 「あっよっしー。よかったね。食べれて。」
 私は矢口さんを救えなかった自分を振りきるように、
 よっしーに笑顔を見せました。
 「う・・うん。」
 よっしーは私の顔を見るなりゆでたまごをしっかり手に
 握りだしました。
 
328 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時00分09秒
本能が関わっちゃダメって・・・誰のセリフか(w
かなり・・・りかやぐちゅー笑わせてもらっています。
作者さんの痛め大好きなんですが・・・たまにはこういうのもいいですね(w
329 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時02分02秒
中澤さんの魔の手の中に中澤さんを→中澤さんの魔の手の中に矢口さんを
の間違いでないですか?
ちがってたらスイマセン。(w
330 名前:バンザイ×5 投稿日:2002年01月18日(金)01時02分45秒
更新中失礼します。
・・・爆笑・・・作者さんて切なめ甘めだけでなく「コメディ」もいけるんっすね(w
イイ!
331 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時10分18秒

 「なにぃ?取って食べたりしないよぉ。」
 私はそんなよっしーを笑って見ていました。
 「だって・・・・。」
 よっしーは口にほおばりすぎたみたいで
 何言ってるかまったくわかりませんでした。
 私はわかった振りをしてよっしーの前を通りすぎました。
 チャーミー服から私服に着替える為に。
 (きっと矢口さんは早く私の私服を見たかったんだわ。
  中澤さんには見せたくない…とか?キャァ!
  矢口さん!中澤さんを来ないようにしてくれたんですね?
  それともどっかに連れて行ってしまうとか…。
  オバステ山って話がぴったりね。)
 私は部屋のはしで着替えながら矢口さんの帰りを待ってました。
 ふと着替えながら横を見ると保田さんがこっちを見ていました。
 私は着替えのトップスピードに乗りました。
 (保田さんの想いは気付いてない振りしなくちゃ。
  着替えてる私を舐めるように見ているのは恐いけど。
  ううん。ポジティブ!!!)
 私は過去最高記録でお気に入りのピンクのお洋服に
 着替えることができました。
  
332 名前:作者です。 投稿日:2002年01月18日(金)01時17分41秒

 >>324さん。
 リアルタイムレスありがとうございます。
 この石川を少しでも気に入っていただけたのなら
 うれしい次第です。
 よかったよかった。

 >>328さん。
 リアルタイムレスありがとうございます。
 かなりここの石川さんおかしくなってます。
 だんだんだんだんおかしく…
 痛めばっかりでしたので、ちょっと挑戦してみました。
 
 >>329さん。
 リアルタイムレスありがとうございます。
 ハッ!
 そうです。そのとおりです。
 え〜他の皆様方、329さんの訂正で読んでください。
 ありがとうございます。そうとう痛い間違ですね。
 作者もおかしくなってきてます。

 
333 名前:作者です。 投稿日:2002年01月18日(金)01時21分52秒

 >>330 バンザイ×5さん。
 リアルタイムレスありがとうございます。
 始めてこういう風な物を書くので…
 そう言っていただけるとうれしいです。
 よいですか?
 ありがとうございます。
 バンザイさんの×○←が増える度にうれしいです。
 (バンザイさんですよね…?ちがったらごめんなさい。)
334 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時38分11秒

 後は矢口さんを待つばかり…。
 私はごっちんの隣に座って矢口さんを待ち始めました。
 いつもはよっしーの所に行くんですけど、
 今日はなんだかよっしーが変なのでもう近づかないようにします。
 「梨華ちゃんってさぁ…。」
 ごっちんが半分寝ながら私に何か聞いてきました。
 「ん?ごっちんどうしたの?」
 私は年上なので、少しお姉さんっぽく微笑みかけました。
 「・・・。もしかして…。」
 ごっちんがそう言った瞬間、背後から凄い物がごっちんに
 襲いかかりました。
 「キャッ!」
 私はびっくりして少し叫び声をあげてしまいました。
 『あの時は本当に驚きました。地球上で見たことのない生物が
  ごっちんに襲いかかったんです。本当に恐かったです。
  特徴ですか?目を見開いた感じで…毛は硬そうな印象を
  受けました。逆立っていたような。そして…。』
 私の頭の中には芸能レポーターに答える言葉がグルグル周りだしました。
 明日の仕事はどうなるんだろう? 
335 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時43分48秒

 「保田さん!?」
 なんと、正体は保田さんだったのです。
 保田さんはごっちんの口を押さえながら連れ去っていきました。
 (ごっちんが私に告白するとでも思ったのかしら?
  保田さんったら…でもごめんなさい。)
 「石川、ちょっと後藤借りるね。」
 そう言ってごっちんを引きずって行く保田さんは
 私が形容した生物とやはり同一生物でした。

 何がなんだかわからないまま私は1人で矢口さんを待つ事に
 しました。
 暇なので人間観察でも…。
 辻ちゃん加護ちゃんはお菓子を食べながらなかよしを読んでいて、
 よっしーはまだゆでたまごを食べています。目の前のたまごのカラが
 少し気持ち悪い印象をかもし出していました。
 保田さんと安倍さんと飯田さんはごっちんに何かを言っている
 みたいで、ごっちんが黙って何度も頷いていました。
 新メンバーは固まって何かしてました。
 あんまり見てませんでした。
336 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)01時52分22秒

 矢口さんはなかなか帰ってきません。
 私は後悔しはじめました。
 (無理やりにでも、中澤さんから救い出してこればよかった。
  矢口さん、ごめんなさい。中澤さんに恐れをなして
  逃げ出してきた石川を許してください。変わりに
  矢口さんが捕まってしまって・・・。)
 私はさっきまでのポジティブ度がマイナスになりかけているのを
 感じましたが、どうにもできませんでした。
 「はぁ。」
 思わず口からため息が漏れます。
 
 (保田さんっていう生物を飼いならしたら中澤さんを
  どうにかできるかしら?中澤さんも保田さんだけは
  1歩踏み込んでないかんじがするし…。
  でも…矢口さんの為とは言え…保田さんは無理。)
 一瞬にして頭が冷静になりました。
 (よっしーは?中澤さんってよっしーともなんだか
  話したりしないよね。よっしーを捨て駒に??
  スーパーマリオと同じような使い方ね。)
 私はよっしーをチラリズムしました。
337 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)02時39分53秒
向こうにレスしてきました。
新スレワッショイ!!って(w
338 名前:らん 投稿日:2002年01月18日(金)09時08分06秒
サイズがギリギリになっているようですね。
「作者です。」さんは、放置することなく、小説を提供してくださる方なので、
新スレ立てても、全く問題ないと思います。
安易に立てて、行き詰まったからと無責任に捨ててしまう人が多い中、
この板の本質をわかっているのだと思うのです。
それに…、これは読者側の意見なのですが(負担に思われると恐縮です)、
新スレができると、新しい小説の期待もできます。
続きと新作を楽しみにしています。
339 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)18時57分25秒

 >>337さん。(向こうの282さん??)
 レスありがとうございます。
 あと少しでここがパンパンになっちゃいますので、
 今夜にでも新スレ立てます。
 これからもお付き合いよろしくおねがいします。

 >>338 らんさん。
 レスありがとうございます。
 サイズがぎりぎりに…いつも使い方ミスってる気が…汗
 なんとか放置はせずにきてるのですが、
 こんなに立ててもいいんでしょうかね?
 負担だなんてとんでもない!
 新スレ立てたら、一杯一杯まで使おうと
 思ってますので、駄作ではありますが
 これからもよろしくお願いします。
 
 というわけなので、続きは新スレにいどうしてからです。
 話の思いっきり途中なので、1回、りかやぐちゅーを
 始めから写した方がいいですかね?
 またご意見くだされば光栄です。
 (スレ名も募集)
340 名前:バン×7 投稿日:2002年01月20日(日)00時28分40秒
B7みたい(笑)
今夜、ですね(ニヤリ 嬉しいです。
スレ名は作者さん色にして下さい♪
341 名前:作者です。 投稿日:2002年01月20日(日)02時46分50秒

 >>340 バン×7さん。
 レスありがとうございます。
 B7(w
 二桁に近づいてきてますね。
 それだけレスして頂いていると思うとうれしいです。
 いろいろな板を見た結果、雪が比較的スレの数が
 少なかったので雪に移転する事にしました。
 『PEACH!!』というスレ名(相変わらず意味わからない。)
 ですので、よろしければこれからもお立ち寄りください。
 (pcの調子で風になぜかスレたてられなかったという
  理由もあるんですが…。)

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