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終幕への序曲
- 1 名前:作者 投稿日:2001年10月25日(木)04時01分20秒
- 冒険物を書こうかと思います。
更新は遅めで迷惑をかけてしまうかも知れないですが
頑張ります
- 2 名前:作者 投稿日:2001年10月25日(木)04時09分20秒
- 〜1〜
「はぁはぁはぁ・・・何でこんなことになったんや?」
泣きそうな声でそう呟いた『加護』は悲惨な姿と化した町から逃げ出すように走っている
- 3 名前:作者 投稿日:2001年10月25日(木)04時13分51秒
- 〜2〜
事の発端は2時間前・・・何をするでもなく、町をブラブラしていた
すると突然、白昼には思わしくない女の金切り声
と同時に2、3度の眩い閃光
加護も<魔術>を使えるのでそれが魔術によるものだということは察しがついた
自ずと足はそちらに向かっていた
現場にはすでに人だかりができていた
小さい体を潜り込ませて人ごみの中央から顔を覗かせる
ちぎれた腕、黒く焦げた何か、どす黒い血・・・・
いい事が行われた現場ではない事はすぐにわかった
- 4 名前:作者 投稿日:2001年10月25日(木)04時18分05秒
- とりあえずこれだけです、また更新します
気長に待っててくださいな
批評などどんどんください(こんだけしか書いてないから無理かw)
- 5 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)01時42分03秒
- 〜3〜
ちぎれた腕とどす黒い血は幼い加護にもすぐに人間のものだと判別できた
・・・・・しかし黒く焦げたそれは遠目には何か検討もつかなかった
でも先ほどの魔術でそのような状態になったのは明白だった
何が起こったのか傍にいた人に聞いてみる
「なぁなぁおっちゃん、あの黒く焦げてるのって何なん?」
「あぁ、わしも途中からここに来たからはっきりはわからんけど
どうやら魔族の生き残りらしい奴が女の人を襲ったらしいぞ?」
魔族・・・加護はその言葉を聞いて胸が締め付けられた
しかしそのおじさんの声で我に返った
「お嬢ちゃんみたいに若い子がこんな所に来るもんじゃないよ
さ、行った行った」
「う、うん。ありがとなおっちゃん」
一応ここで起きた事のあらましは理解できた
- 6 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)01時48分01秒
- 訂正です
「襲ったらしいぞ」のあとに「それが魔術でやられてああなったみたいだ」
を追加して下さい
- 7 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)01時59分43秒
- あそこで起きた事のあらましはこうだ
魔族が女性を襲ったので魔術特別警備隊が出動した
その警備隊によって魔族は撃退(黒く焦げた物は魔族
あそこに落ちていたのは女性の腕と血
とこんな感じだろうか
しかし加護には一つどうしても解せないことがあった
それは魔族の存在である
何年も前に魔族は勇敢なあるパーティによって滅ぼされたはずだ
つまり魔族の最高位を倒したのだった
だからここ数年は嫌というほど静かで、魔族なんて全く出なかったのだ
しかし何が起こったのか、ここ1ヶ月の間に魔族の目撃証言が相次ぎ
3週間前に初めて人が襲われた
- 8 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)02時10分41秒
- 〜5〜
初めの内は人は恐怖に慄いた、事実加護もその1人だった
しかし最初に発見された魔族がイーブルという最下級の魔族だったので
人々の恐怖は薄れていった
というのも、イーブルは多少の魔術は使うものの動きは鈍く
大の男や、武術の心得のある者なら簡単に退治、または対処できたからだ
加護もそれを聞いて安心した、が魔族の存在は非常に不愉快だった
「(姉ちゃんは魔族を倒したんやんかったんか?)」
写真立ての写真・・・加護ともう1人の少女が写っていた
- 9 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)02時23分58秒
- 〜6〜
最初に魔族が出てから1週間が過ぎた
人々の頭からは魔族の事が忘れられたかのように見えた
忘れてるんではなく、「出てきてもイーブル程度なら・・・」という
余裕からか、誰も気にとめなくなっていた・・・しかし白昼にそれは起こった
ある農場に魔族が出たのだ、しかもイーブルのような下級魔族ではなく
グレムリンという中級魔族が・・・・・
その農場で働いていた農家も当然魔族騒ぎを知っていた
(イーブルというのは自分でも対処できる)ということなどは・・・
その情報は間違ってはいなかったが、魔族の形状までは知らなかったため
いま目の前にいるのがイーブルだと思い込んでしまった
「(落ち着いたらいける、落ち着いたら・・・)」
イーブルならなんとかなっただろう、しかしグレムリンとなると
普通の人間には手におえない
グレムリンが手を前にかざした瞬間、とてつもなく強い風が吹いた
そのまた次の瞬間には男は数え切れないくらいの数の肉片になっていた
- 10 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)03時00分28秒
- 〜7〜
外の轟音を聞きつけて近所の農家の人たちが集まってきた
「おい、あれがイーブルなのか?」
「さっきの音は何だったんだ?それにあのぐちゃぐちゃのは一体・・・?」
皆口々に喋っていたがある農家の一言に凍りついた
「・・・・・あ、あいつはイーブルじゃねぇよ、あそこに転がってる
ぐちゃぐちゃのやつも多分あいつがやったんだ!」
それを聞いてしばらく固まっていた農家たちに恐怖というものが浮かび上がってきた
1人が逃げ出したのを皮切りに、皆それに続く
1人は家に逃げつき魔術特別警備隊に電話をした
電話を切るのが早いか否か、家が先ほど遠くで聞いた轟音に包まれる
先ほど聞いたそれとは明らかに違う耳をつんざく音
だがそんな事を考えている間もなく、その農家も肉片と化した
その場は後にやってきた魔術特別警備隊に鎮圧され、この事件は
世間の混乱を招くだけなので、秘密裏に処理された
- 11 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)03時18分51秒
- 〜8〜
それからというものの、イーブルはちょくちょく出てきていたが
いずれも一般人や警備隊によって退治されてきた
そして起こったのが今回の事件だ
一般人にはどう見えているのだろうか?
多分「非力な女性だからやられた」とでもおもっているのだろう
しかし警備隊員や一部の魔術師にはイーブルの仕業ではないということは簡単に予想がつく
警備隊員はここ最近、中級の魔族を退治しているから分かって当然である
一部の魔術師、それなりの使い手は魔術の具合により魔族のランクを判断する
今回の場合は「腕の切れ方」である。イーブルなどの下級の魔族が腕を吹き飛ばした場合
切れ口が汚い、それは魔術の弱さを物語っている
逆にある程度のランクの魔術になってくると、力が収束され綺麗な切り口になるはずだ
加護も少なからずその事に気付いていた
- 12 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)03時26分13秒
- 〜9〜
「(イーブルにあんな魔術使えるワケない・・・姉ちゃん、どうなるんやろ?)」
自宅に帰って写真立てを眺めながら自分に問い掛ける
落ち着き、冷静にものを考えようとした瞬間外で物凄い爆音が鳴った
「何やっ!?」
座っていたベッドから飛び降り、窓の外を見る
もうもうと黒い煙が立ち昇り人々が逃げ惑う姿が見える
「(ただ事じゃなさそうやぁ・・・姉ちゃん・・・)」
写真立てを一瞥してから外へと駆け出した
- 13 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)03時41分04秒
- 〜10〜
家のすぐ前は人が逃げ惑うだけで他に大した変化は見られないのだが
さっき窓から見た、家の裏手に回ってみるとそれは悲惨な状況だった
幾重にも積み重なった焦げた肉片、人が焼けたときの独特の臭い
加護の家の10メートル向こうの建物は崩れ、そこでもまた人が死んでいた
「(さっきの爆音と焼けた人間・・・・爆発系の魔術、しかも上位の・・・)」
落ち着ける状況ではなかったが落ち着かせるため、思考を巡らせる
「(イーブルじゃこんな事できるはずがない・・・中級、もしくは・・・上級の魔族?)」
それだけ考えた所で加護の思考はストップした、いや、せざるを得なかった
中級の魔族グレムリンが加護の前に現れたのだ
「(グレムリン!?やっかいな・・・・・)」
加護は魔術アカデミーに通っていた時に一通り魔族の知識を学んだのでそいつを知っていた
- 14 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)03時56分20秒
- 〜11〜
「シャアァーッ!」
考える間もなく鋭い爪で引き裂いてきた
加護は後ろに跳びギリギリそれをかわす、と同時に距離を置き追撃に備える
「(あっぶないがな!?油断してたら殺られてまうわ)」
グレムリンも最初の一撃を避けられた事に多少戸惑いの様子だったが
次の攻撃の為、手をかざす
「(魔術か!?やばっ)」
とっさに目の前に魔術の壁を創る、このぐらいはお手の物だ
少し経ってからその壁にあたる魔術を感じた
それと同時に加護も攻撃に移る、手を前に出し念を込める
「(魔術なんか久しぶりやわ〜)」
数本の聖なる矢がグレムリンに向かって突き進む
いくらかは俊敏な動きでかわされたが、全てをかわせる訳がない
矢はグレムリンに当たり、それは力なく倒れた
「ふぅ〜何とか、かな?」
久々の魔術で初めての実戦の勝利に、こんな状況にも関わらず満足げだった
- 15 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)04時08分44秒
- 〜12〜
しかしその満足も次に起こる事で絶望に変わった
急に空が暗くなったと思えば、先ほどと似たような爆発
そちらの方からは人々の叫び声が聞こえる、加護の家の正面の方からだ
嫌な予感がしないでもなかったが、行かなくては何もわからない
小走りで駆けて行った
そこでもやはり人々が積み重なって死んでいた、しかしそれには目もくれず
爆発の方向、争いの中心に向け足を運ぶ
近づいていくにつれ、警備隊員の死体が目立つようになってきた
「(この人らでさえ殺られてもうてる・・・・・やばいかも・・・)」
特別魔術警備隊は町中の魔術のエリートを集めてつくった部隊だ
そこらの魔族に負けるような柔な人たちではないことは加護も知っていた
だから余計に恐かった、でも足を止める気はなかった
- 16 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)04時12分41秒
- 更新です
今はageでやってますが、他の作者さんの迷惑になりそうならsageでやります
つまらなかったらsageでレスつけてくれたら次からsageで進行します
誤字、間違いなどあるかも知れませんがなるべく無くすよう努力します
- 17 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)14時11分23秒
- 〜13〜
騒ぎの近くはすでに廃墟と化していた
「(警備隊でも敵わんヤツって・・・・・私いけるんかな・・・・?)」
どこから魔術が飛んでくるか分かったものではないので
先ほどの戦いでもやった魔術の壁を360度張り巡らせる
もっとも、ある程度の上級魔術になってくるとそんな壁如きでは防ぐ事はできないが・・・・・
もうもうと立ち込める煙の中、魔術が行き交う
しかしそれは不発におわったのが遠目の加護にも見て取れた
「(今のもレベル高い魔術やのに・・・・・)」
持ち前の観察眼で戦況を分析する
色々考えていると、煙の中心から魔術が放たれるのが見えた
それは的確に警備隊員の中心に着弾する、と同時に爆発そして隊員の叫び声
戦況は良いとは言えなかった
- 18 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)14時28分34秒
- 〜14〜
警備隊員のダメージは計り知れないが、相当なものなのだろう
数人しか残っていない様子で動くに動けないでいるみたいだった
しばらくのこう着状態、次第に煙も晴れてきた
その中心にいる魔族を見て加護は驚いた
「(あいつは・・・・・デスデーモン!?)」
それは魔族の中でもかなりランクが高く、普通の人間には勝てそうにない相手だ
「(あかんわ・・・・・何が目的なんか知らんけど、町が狙われてるんやったら町はお終いや)」
そう考えるのが早いか、加護は家に向かって駆け出した
そう、この町から一時も早く逃げるのだ
家に着き、簡単な物を雑に詰め込む
食料や医薬品、簡単な服に雑貨などだ
自分の部屋に行き、要るものはないかと辺りを見回す
ふと写真立てが目に入り、考えを巡らす
「(死んだら何も無いって教えたのは姉ちゃんやもんな?
だから私はこの町から出るで、いいよな姉ちゃん・・・・・?)」
姉との思い出が詰まった家、町を置いて逃げるのは辛かった
が、姉の教えを忠実に守る時が今なのだと考えると、気分も楽になる
写真立てと、机の中に入れてあった綺麗なゴールドのネックレスを取り出し
町の外へと駆けた
- 19 名前:作者 投稿日:2001年10月26日(金)14時29分19秒
- 〜プロローグ・終〜
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月27日(土)02時59分31秒
- 仲間やjobの設定など楽しみにしてますよ。
- 21 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)14時52分03秒
- 〜15〜
町から結構離れ、綺麗な草並びの草原に入った
しかし綺麗な草原などには目もくれずひたすら歩きつづける
「(何で私の町が狙われたんやろう・・・それより・・・)」
加護には町が狙われた理由よりも魔族が現れたことに戸惑いを感じていた
「(姉ちゃん・・・魔族倒しに行って倒したんやないんか・・・?)」
そう、加護の姉は魔族を倒すためにまだ幼い加護を置いて出て行ったのだ
「亜依、姉ちゃん悪いヤツと戦って平和な世界を創ろうと思う・・・
だから・・・・・悪いけど姉ちゃんが帰ってくるまで留守番だよ?
でももし危険な目に遭ったら・・・命を最優先にして逃げろ、わかった?」
そう言い残し、姉は旅立った・・・
正直加護の姉は強かった。だから町の人もそれを承諾し、望みを託したのだ
加護もそんな姉を信じ、いつまでも帰ってくるのを待った
- 22 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)15時05分35秒
- 〜16〜
待っている間加護は色々な事を学んだ
自分の身は自分で守る、それを実践するため簡単な格闘技を習い始めた
たいした素質は無かったのだが、持ち前の負けん気と努力でそこそこの腕にはなった
ある日、いつものように道場に行くと師範と何やら話している人がいる
加護も傍で話を聞いていると、どうやらその人は魔術アカデミーの先生らしかった
加護も魔術の存在は知っていた、実際町から出ると魔術を使う魔族達がウヨウヨしてるのだから
魔術を使うためには素質がいる、そのため加護は魔術を諦めていたのだ
しかしその考えはここで変わることになった
その先生が加護には素質があるかも知れない、と言うのだ
加護ははじめ信じられなかった
(姉にも使うことのできなかった魔術が使える!?)
そう考えると跳ね回るほど嬉しかった
そうして加護はその道場を辞め、魔術アカデミーに行くことにした
それは加護が8歳の時だった
- 23 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)15時41分48秒
- 〜17〜
魔術アカデミーの修行は並みのものではなかった
魔術は精神統一が一番大事だ、と24時間集中して何かをやらされたり、
体力をつける為に山を2、3個越えるマラソンをやらされたりした
8歳の女の子にはできるはずもない修行・・・しかし加護は日を追うごとに着実に力をつけていった
元々の素質に加え、才能もあったようで一年も過ぎると加護は9歳にしてはかなりの魔術を身に付けた
しかし幼い子どもが人を殺す手段を身に付けるのを良しと思わない人々が、加護を退学に追いやった
理由は『幼い子どもへの心身共に負担のかけすぎ』だった
加護は始めそのことに関してかなり腹を立てた
「(1年もやらせといて何が『負担のかけすぎ』やねん!ふざけんなや
もう十分かかってるっちゅーねん!)」
などと思っていたのだが、独学でも学べると知ってからはそう気にもならなくなった
アカデミーを辞めてから丸1年が過ぎたころ、風の噂で魔王が倒されたと聞いた
その噂が流れてからは本当に魔族がパッタリ居なくなってしまったのだ
人々は毎日のように宴会をし、解放の喜びを祝った
しかし素直に祝えないものが1人・・・加護だった
- 24 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)15時49分56秒
- 〜18〜
魔族が居なくなったはずなのに姉が帰ってこない・・・
でも殺されたなんて考えたくもない、だから加護は毎日姉の帰りを待った
「(だいぶ遠いところまで倒しに行ったから帰ってくんのに時間かかってるだけや)」
自分を慰めるため色んな事を考えた
しかし1年経っても姉が帰ってくることはなかった・・・
魔族も全く出ない日々が過ぎ、加護も魔術の勉強をしなくなった
それからまた1年・・・それが今回の事件だ
- 25 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)16時04分15秒
- 〜19〜
草原をトボトボと力なく歩きながら昔のことを考えていた
だから回りの気配に気付かなかったのかも知れない
不意に気配を感じをふと顔を上げると前には3匹のグレムリン、
「(ヤバイ!?)」
と思い後ろを振り向くとこれまた3匹のグレムリン
「(うかつやった・・・草原の真ん中なんか歩いてて気付かれんわけないか)」
自分の失態を恥じ、またこの状況をどう打破するかを必死に考えた
「(相手は頭は良くないはずや・・・1匹ずつ・・・)」
そう考えた瞬間、前のグレムリンが手を前に差し出し魔術を唱えようとした
「(うわっ!?イキナリかい!)」
とっさに360度の壁を張る
張ると同時に後ろに2発、前一発の魔術が壁に当たる
「(そうや、1対1と違うんや・・・気ぃ付けな・・・)」
実戦などこれで2回目、まして1対多数の戦闘など経験したことなどない
少し焦りを感じてしまう自分が情けなかった
- 26 名前:作者 投稿日:2001年10月27日(土)16時10分59秒
- 更新です
過去と現代が入り混じって分かりにくいかも知れないです
ちょっと失敗したなぁ、なんて思いつつ・・・
>>20さん レスありがとうです、なるべく早く更新しますので
これからも宜しくお願いします
改行の仕方や句読点のつけ方に不満等あれば言ってください、参考にさせて頂きます
おかしな点も指摘してもらえれば幸いです、では
- 27 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)01時39分15秒
- 〜20〜
まず先手を打ったのは加護、さっきのぐれムリンに使った聖なる矢を唱える
一番素早く、しかも正確に唱えられる魔術だからだ
「(これで何匹か死んでくれたら楽やのに・・・・・)」
淡い期待を抱きつつ前方の敵に魔術を放つ
しかし敵は予想よりも遥かに素早く、加護の魔術を避け攻撃に転じる
「(うわ〜1発も当たらんってのは気分悪いな・・・・っと!?)」
加護の魔術を避けたままの速さで加護に向かってくるグレムリンが2匹、
1匹は魔術の体勢、もう1匹は爪で引き裂こうと加護めがけて走ってくる
加護は魔術の壁と後ろの敵にも気を配りながら、少し危なげに1匹の突進をかわす
と同時に防御壁に魔術の衝撃、もはや加護は驚かなかった
「(敵の頭悪いみたいやから一気に攻めてくることはないみたいやけど・・・
何にしても分が悪いかなぁ・・・・・)」
先ほどの焦りが苛立ちに変わりつつありながらも戦況を分析し、打開策を見つけようとする
- 28 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)01時54分02秒
- 〜21〜
「(1匹づつ片付けていくしかないんか〜・・・)」
そう決めて苦手分野に属する魔術の気を練る
加護が主に得意とするのは聖属性や光属性、風属性などの綺麗な感じの魔術ばかりである
しかしこれらの魔術は詠唱の早さがウリなので威力の方は控え目なのだ
逆に詠唱の時間(気を練る時間)が長く必要なのが火属性の特に爆発系、雷属性などが主である
もっとも、これらの魔術も訓練をつんだら詠唱の時間も短くなるのだが、単に加護はサボっていたのだ
今回はその中でもむずかしめの爆発系を唱えるため気を練っているのだ
基本的には敵に注意を向けつつ気を練る。敵には肉弾戦もありだからだ
あの鋭い爪に引き裂かれたらかなりのダメージを被るだろうから・・・・・
もちろん魔術の防御壁も忘れてはいない
10数秒で詠唱が終わった
- 29 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)02時18分35秒
- 〜22〜
「(こんなに時間かかったっけなァ?鈍ったんか〜この歳で・・・・・)」
詠唱の時間に不満をもち苦笑いしつつも、前方の敵の中心に向けて放つ
さっきの攻撃で散り散りになっていたが爆風で戦況を打開できるだろう、と考えていたのだ
「(そらっ、くらえ!)」
加護が気を放出して一呼吸置いてから、爆音と共に炎と煙があがった
ちょうど敵の中心に気を出したから敵は吹っ飛んでしまった
煙と炎のせいでよく見えないが、前方の敵に攻撃する余裕はないだろうと考え後ろの敵と対峙した
「(こいつらはどうしたろっかな〜・・・・・よっしゃ、あれにしよ)」
目の前の爆発に多少戸惑っている後ろの3匹のグレムリンたちに攻撃を仕掛ける
今度は得意な魔術、光の魔術だ
加護的にもこの魔術は好きだった
生物に対して使ったことはないが、魔術アカデミーにいた頃にこの魔術を始めて見たときから好きだった
一言でいうと綺麗、だった
対象がこの魔術を受けて消滅する、という部分に恐れなど抱かずむしろ感動した
というわけあって何かとあればこの魔術の訓練ばかりしていたので、自然と詠唱も早くなった
だから今回の詠唱スピードにも自信があった
- 30 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)02時44分50秒
- 〜23〜
加護が気を練り終わるか否かという時に敵の魔術が加護めがけて飛んできた
しかし不意を突かれながらも防御壁で防御する
「(私より早く唱えた!?マジっすか?)」
先ほどの自信が揺らぐ、相手のが簡単な魔術だったにしても納得がいかない
不満をあらわにしながらも射程の長く、広範囲にわたる光の魔術を照射する
まさしく光の速さで進む魔術なので、グレムリンがいくら素早くても避けれるはずもない
過去にアカデミーで見た、物体の消滅と同じくしてグレムリン3匹も消滅していった
「何や結構余裕なもんやなぁ、複数で戦うのも」
未だに余韻が残る煙を尻目に勝利の喜びを感じていた・・・・・その時だった
爆発の中心部から音がしたので振り向くと、さっきの爆発に耐えたグレムリンがこちらに飛んできた
そんなことを予想だにしていなかった加護は防御の態勢が遅れた
「(あかん、やばい!?)」
もう目前まで迫ってきたグレムリンを見ながらそう思った
しかし敵は待ってはくれない、跳躍してきた勢いのまま爪を振り下ろす
加護もできる限りの防御をしながらダメージに備える、かなりのダメージであろうこともわかっていた
戦いの中ではやってはいけないがつい反射的に目を閉じてしまった
しかし加護の予想とは裏腹に、一向に爪が振り下ろされない
どうしたのかと思いうっすら目を開けると、そこには倒れたグレムリンだけが転がっていた
わけもわからず辺りを見回すと、50メートル程向こうに人が見える
遠目でしかも噴煙のせいでよく見えないが、あの人が助けてくれたんだろうか?と思いその人の傍に駆けた
- 31 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)03時18分33秒
- 〜24〜
傍に近寄ってみると加護は2つ驚いた
1つはそれが女だったからだ、正確に言うと女の子か?かなり幼く見える顔立ちをしている
遠目に見ると華奢な男に見られてもおかしくはないだろう
2つ目はその女が持っていた武器だった
おそらく剣に分類されるであろうその大きな刀身と、何よりその刀身の色だった
角度によって透き通った氷にも見えれば、燃え盛る炎のように色が変化するのだ
2つの驚きに加護は言葉を失っていた、がその驚きの根源が声を出したのでハッと我に返った
「あ、助けたことだったら気にしないでね?世の中助け合いじゃん?」
声は丸くて太い感じの声だ、どこか温かみのある、そんな声・・・
「どうしたの、ボーっとして?そんなに恐かったの?」
再びボーっとしている加護に向かって話し掛けてきた
「いえ、そーじゃないんですけど・・・あ、とりあえずありがとうございました助けてもらって・・・
ちょっとまさか女の人に助けてもらったなんか思ってなかったから驚いてただけです」
「ハハ、そーかぁ?君みたいな小さい子があんな魔術使うほうがビックリしたけどね?(w
あ、そうだ私の名前は吉澤ひとみ、ここで助けたのもなんかの縁だろうし・・・よろしくね?
それと後、堅苦しい喋り方とかしないでいいよ?これでも私15歳だからさ」
一気に色々まくし立てられたので多少混乱した加護だったが、頭の中で整理して自己紹介をした
- 32 名前:作者 投稿日:2001年11月04日(日)03時30分19秒
- 〜25〜
「私は加護亜依、小さい言うてもこれでも12歳なんやで?」
「うそーぉ?絶対1ケタと思ってたのに!?」
「あ、そりゃ酷いで吉澤さん!?私かって苦労してんねんからな!」
「アハハ、ごめんごめん・・・んでさ吉澤さんって呼ぶの堅苦しいから適当に呼んでいいよ?」
「う〜ん?じゃーよっすぃーは?今考えた!」
「おっ?何か新しいぞ!いいねぇ〜」
戦いの後の休息、といった感じで会話も弾んだ
聞くとさっきグレムリンを倒したのは剣術の<イアイ>という技らしい
それと不思議な刀身の剣は、家に代々伝わる家宝らしい・・・
よっすぃーが家を出る時にもらったもので、普通の剣となんら変わりはないそうだ(何やそりゃ!
どうして放浪をしてるのか、と聞いた時だけ顔つきが真剣になって
「それはちょっと・・・」
と言ったのには驚いた
普通に話す時にはホントに愛嬌のある笑顔を綻ばせてるのに、その時だけ真剣になるもんだから・・・焦ったね
そして話は私の村の話になった
よっすぃーも全てを見たわけじゃないらしいのだが事細かに話してくれた・・・・・
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月12日(月)03時11分57秒
- 加護が主役とは珍しい、そして魅力的に書けてると思う。
更新は自分のペースで頑張ってください。
でも早く次が読みたかったり・・・・・
- 34 名前:作者 投稿日:2001年11月14日(水)23時26分47秒
- 〜26〜
「いやぁ〜ちょうど加護ちゃんを助けられて良かったよ」
能天気な声でそう言った、でも一刻も早く自分の村に何が起こったのか知りたかった
「教えて・・・この村に来る前にも何かあったんやろ?
あの何があったん・・・?あの村で・・・いや、ちゃう・・・・・世界で何が起こってるん?」
つい感情的になりつつも聞きたいことを聞いた・・・
「あのね・・・私隣の街の『トレント』からこの村に移動してきたんだけど・・・」
「だけど・・・?」
「ここに来る途中にもいっぱい魔族がいて、やっぱりそいつらは
普通のなんでもない人たちを殺そうとしてたの・・・
私もできる限りの努力をして魔族から人々を助けたよ・・・でも・・・」
語尾にいくにつれ声が小さくなっていくのがわかった
よっすいーが何を言いたいのかもわかったのでそこで止めた
「うん、うん・・・・・でも助けてもらった人はよっすいーにスゴイ感謝してると思うでぇ?
だからーそんな悲しそうにせんでもいーって!実際私もスッゴイ嬉しいもん!!」
「加護ちゃん・・・ありがとね」
よっすいーはそう言うと恥ずかしそうに下を向いてテヘへと笑った
- 35 名前:作者 投稿日:2001年11月14日(水)23時55分39秒
- 〜27〜
「でも私の村だけじゃなくて他の場所でも魔族が出てきてるってことは・・・どーゆーことなん?」
「そうなんだよね・・・一回は魔族がいなくなったんだよね、でもまた復活したってことは・・・?」
2人顔を見合わせて真剣な顔をした
「私の村やったら『魔王を倒した!』っていうぐらいのことしか伝わってきてなかったんやけど、よっすいーは何か知らん?」
「私も風の噂みたいなもんだけど、『女の勇者一行が魔王を倒した!』ぐらいかなぁ聞いたのは・・・
その勇者一行の名前も言ってたような気もするんだけど・・・・・う〜ん・・・?」
その話を聞いて加護は異常に反応した、もしかしたら姉が!?と思ったからだ
「ちょ、その人らの名前思い出してくれへん!?なんとかして・・・」
加護の剣幕に押されたのか、ジーっと空を仰ぎながら考え始めた
「うん、ちょっと思い出してみる
(何で加護ちゃんこんな真剣になったんだろ?・・・えっと・・・?確か人数は覚えてるのよな〜
4人で・・・あっ1人は安倍なつみって人だ!名前かわいーから覚えてるんだぁ(w
あと・・・あ、そーだそーだ保田圭に矢口真里に・・・あと1人が・・・)」
どうやらしばらく自分の世界にはいっていたらしいよっすいーに加護の催促が飛ぶ
「なぁよっすいー?思い出されへん?」
この一言で吉澤もふと我に還る
「あ、あぁ!?確か『安倍なつみ』に『矢口真里』『保田圭』とあと1人いたんだよな〜
誰だったっけな〜・・・・・」
どうやらその中には加護の目当ての人物はいなかったようだ
- 36 名前:作者 投稿日:2001年11月15日(木)00時12分32秒
- 〜28〜
「あ、あと1人の名前は!?頑張れよっすいー!!」
「あ、そうだ何か珍しい名前(?)だったんだ・・・確か・・・」
「確か・・・?」
吉澤から見ても加護が息を呑むのが分かった
「イチイ・・・紗耶香?だったかな?あ、でもあくまで噂だしうろ覚えだからアテにしないほうが」
と言いかけて加護の異変に気が付いた、下を向いて小刻みに震えているのだ
「え!?加護ちゃんどうしたの!?」
と肩に手を掛けようとした瞬間、加護はとんでもない勢いで飛び跳ねた
イキナリの事に吉澤はかなり驚いたが、病気などではないようなのでひとまず安心した
「ちょっとぉ〜どうしたのさイキナリ?ビックリするじゃんか!」
まだ飛び跳ねている加護を目で追いながらそう呟いた
「あんな、あんな!?その最後にいうた『市井紗耶香』っての私のお姉ちゃんやねん!
何年も前に『魔王を倒す』って家出てったまんまやったからメチャ心配してたんやけど・・・
お姉ちゃんやったんやな!やったー」
そう言うとまたピョンコピョンコ飛び跳ねている
そんな加護をみて吉澤も嬉しくなったが、1つの事に気付いてしまった
それは加護の喜びを否定するものだったので言うか言うまいか迷ったが
いつかは気付いてしまう事なので、今加護に言う決心をした
- 37 名前:作者 投稿日:2001年11月15日(木)00時19分59秒
- 微妙に更新です
これからは毎日1レスでも2レスでもとりあえず更新します
でもそれは毎日ageてしまうことになるのでウザければ言って頂ければ幸いです(凹むけどw
>>33
ここのところパクリ騒動やらで更新を見合わせてましたが、これからは少しずつ更新します
自分の考えてる設定が他の小説にないかヒヤヒヤです(T_T)
被らないことを祈ってまた明日〜
- 38 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月15日(木)01時14分22秒
- いいところで終わっちまいましたな。
吉澤が何を言うつもりなのか、気になって気になって・・・・・
毎日の更新はしんどそうですが、期待してます。
- 39 名前:作者 投稿日:2001年11月15日(木)23時30分02秒
- 〜29〜
「あのさぁ加護ちゃん?喜んでるところ悪いんだけど私の話を聞いてくれない?」
吉澤の声を聞いてか聞かずか、今まで跳ねていた加護がまだ笑みを残しながら止まった
「なんなん?どうしたんよよっすいー」
なるべくショックを与えないように、と、頭の中で言葉を選んで話し始める
「あのさ・・・加護ちゃんのお姉ちゃんの『市井紗耶香』って人のことなんだけどね・・・・・」
「なんやなんや!?姉ちゃんを知ってるんか?うひょー世の中狭」「違うってば!!」
まだ少しハシャギ気味だった加護の表情が、吉澤の重い表情に掻き消される
加護は自然と黙ってしまった
「そのお姉ちゃん・・・・・帰ってこないの変だと思わない?魔王がいなくなったと噂されて3年近く経つのに・・・・・」
「で、でもそれは・・・・すごい遠いところまで行ったから帰ってくるのに時間かかってるとか・・・
旅の途中で気に入った街があったからしばらく休んでるとか・・・・・だから姉ちゃんは・・・姉ちゃんは」
考えたくないことを考えさせられた怒りと、薄々感じていた不安が入り混じって感情的に怒鳴った
「・・・・・別に加護ちゃんを悲しませようと思って言ったんじゃないんだけど・・・
でもまた魔族が出てき始めたじゃん?だから魔王を倒したって言う噂も信じれるかどうかなんだけどねぇ」
「でも・・・でも・・・」
そういうとさっきまでの元気に跳ね回っていた加護とは裏腹に暗く沈んでしまった
- 40 名前:作者 投稿日:2001年11月15日(木)23時47分05秒
- 〜30〜
「私かって・・・何となくわかってたんやもん・・・でも・・・でも・・・帰ってくるの待ってたらいつか帰ってくるかも知れんって
・・・・・私もバカじゃないから何となく気付いてたんよ・・・ウッグ・・・エグ」
吉澤は今ほど自分のしたことに責任を感じたことがなかった
さっきも魔族に襲われてる人間を助けそびれた事に対して深く傷ついたが
それは自分の力の無さを憎むべきものだった。自分の力量以上の事はできないから・・・
しかし今回の件に関して言うと、完全に吉澤の読み違いだった
(加護はまだコドモだから姉が帰ってこない理由を知らない・・・だったら私が)
などと思ってしまったのだ、しかし思っていたより加護はずっと賢く、しかも大人だった
吉澤の読みの甘さが、深く加護を傷つける次第になってしまったのだ・・・
頭の中で自分の失態を恥じ、何て声をかけたらいいのか迷っている内にも
加護は泣いて泣いて泣きじゃくっている・・・あまりの不甲斐なさに吉澤も泣きたかった
が、ここで泣いていたら収拾がつかなくなると思ったのでグッと堪えた
なんとか加護を慰める言葉を、自分の少ないボキャブラリーの中から選び出そうとする
- 41 名前:作者 投稿日:2001年11月16日(金)00時04分59秒
- 〜31〜
「ごめんね加護ちゃん・・・変な事言い出したせいで・・・」
重苦しい雰囲気の中吉澤が口を開く、加護は相変わらず泣いているが首をフルフルと横に振っている
「(私は悪くないって言ってくれてるのかな?・・・)」
そう解釈した吉澤はまた泣きそうになった、が言葉を続けた
「だからさ、そのお詫びと言っちゃなんなんだけども・・・・・私たちで真実を見に行かない?
さっきのなんて全部噂なんだから自分の目で確かめるまでわかんないよ!!」
これを聞いて加護はピクッと反応したかと思うと、徐々に泣き止み始めた
吉澤にも旅の目的が無かったわけではないが、加護についていくのもいいだろうと思った
加護の嗚咽も少し静まってきた頃に再び聞いた
「ねっ?いいと思わない?私こう見えても結構やるんだよぉ!?」
冗談交じりにそう言うと、加護から
「・・・よっすいーは旅の目的があったんちゃうの・・・?無理矢理やったらええで別に・・・」
・・・・・・・どこまでも大人だ!人を気遣う事まで知ってる、そんな加護を吉澤は凄いと思った
「私の旅の理由なんて加護ちゃんのお姉ちゃんの事に比べたら全然たいした事ないんだよ!?だからいいんだ」
「じゃホンマに姉ちゃん探すの手伝ってくれるん・・・・?」
「吉澤に二言はない(w」
「ありがとう・・・じゃこれからも・・・よろしくぅ」
まだ泣き顔のまま精一杯の笑顔で明るく振舞った加護が可愛かった
- 42 名前:作者 投稿日:2001年11月16日(金)00時18分18秒
- 〜32〜
今回の事について、吉澤が1つだけ吐いたウソ≠ェあった
旅の理由についてだった
確かに他人からしてみると馬鹿げた理由で旅してるのだが、吉澤にしてみれば
他の何よりも大切なことだった。今回の“お姉ちゃん探し”よりも、だ・・・
しかし吉澤は加護についていく
それは単に加護を傷つけたという理由からではない、昔の自分にダブるのだ今の加護が・・・・・
それに吉澤自信少し興味があった
『市井紗耶香』という存在についてだ
これまた噂によると、2本の剣を駆使して流れるように、踊るように標的を破壊すると聞いたからだ
同じく剣を使っている自分にとっては、ぜひ見てみたいものであったのだ
これらの要素が絡みあって、吉澤は自分の目的そっちのけで付いていく事にした
こうして加護と吉澤の2人旅が始まったのだった・・・・・
- 43 名前:作者 投稿日:2001年11月16日(金)00時32分26秒
- ( ´X`)ノ< 更新なのれす
( ‘д‘) <コラァ!何であんたが出てくんねん!?
( 0^〜^0)<さては何かあるんでは・・・?
(;´Д`) <すでに作者の底が見えたって感じだね〜アハ
・・・・・まぁ読んでくれてありがとうございます
>>38さん 今回も少ない目ですが更新です、これからもどうぞ宜しくです
書いてて一杯一杯な感も否めませんが毎日頑張ります!!
(^▽^) <・・・無理だと思いまーす
・・・まだ頑張りますよ!
- 44 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月16日(金)23時33分51秒
- おもしろーいっす。
マイペースで頑張ってください。
文章の書き方がお上手で。僕も見習わないとなぁ。
- 45 名前:作者 投稿日:2001年11月17日(土)05時32分38秒
- すいません・・・昨日外泊したんで更新できませんでした(T_T)
>>44さん
何を書いてるかは敢えて聞かないようにしますw
そちらも頑張って下さい!ありがとうございます
夜なるべく多く更新いたします
- 46 名前:作者 投稿日:2001年11月17日(土)23時58分05秒
- 〜33〜
「真実を探しに行くって言うても何をしたらいいんか私にはわからんなぁ〜
言い出したからにはよっすいー何かいい案でもあるん?」
「え!?(何も考えてねぇ〜)まぁそれなりには、ね?」
「えー何なん何なん?」
吉澤は少しの間考えて簡単な答えを出した
「私がちょっと前までいたトレントって街なんだけど、結構大きくてさぁ?
んでも私は食料補給の為に寄っただけだったから話とか聞いてないんだよね〜
だからまずはそこで情報を集めるってのはどう?」
「何か・・・・・誰でも考えそうなこっちゃな〜」
う・・・・・図星☆・・・とりあえずタハハと愛想笑いをした
「でもその街には魔族の影響はないん?加護の町なんかぼこぼこにやられてんのに・・・・・」
別にそんなに気にする様子もなくさらっと言った
だから私も冗談交じりで返した
「加護ちゃんの町とは警備のレベルが全然違うんだよぉ(w だから大丈夫」
「なにをー!プンスカ!!」
結局吉澤の即興の案を実行するようだった
- 47 名前:作者 投稿日:2001年11月18日(日)00時17分05秒
- 〜34〜
2人が出会った草原から30分ほど歩くと、やたらとデカイ建造物が見えてきた
「なぁなぁ、あれやでな?あれやでな?」
それが見えてからの加護は尻尾を振り回すイヌのようにキャンキャン騒いでいた
吉澤はと言うと、加護の問いには生返事で辺りを警戒しながら歩いている
「なぁ〜よっすいーどうしたんよ〜?キョロキョロしてさぁ」
「そりゃ加護ちゃんでしょ!!いや、ここはまだ街の外なんだから魔族に気をつけないとな〜って・・・」
そうやった・・・さっき外でボーっと歩いてて襲われたのは自分やったんや
反省・・・・・
今からは気を引き締めて行こう・・・と思った瞬間にその必要がなくなった事が分かった
街の入り口が見えたのだ
入り口には街の大きさを想像させるようなバカでかい門、その回りには多くの警備兵たち
多分今加護たちが襲われても絶対無事で済むだろう、と思わせるほどの能力者揃いだった
「やぁ〜着いたでよっすいー?もう気緩めーや」
「そだね、ぷふぅ〜でも加護ちゃん緊張感なさ過ぎ!さっき襲われたの忘れたの?」
「いやいや、あー見えて私も回りに警戒をですね・・・」
「はい、ウソ!気をつけなきゃ駄目だよぉ?」
「はい反省してます」
そんなこんなで先ほどの門が近付いてきたので、会話が止まった
- 48 名前:作者 投稿日:2001年11月18日(日)00時31分59秒
- 〜35〜
「ようこそトレントの街へ!」
門の脇に立っている初老の男性がそう言った
「女の子2人で大変だったでしょう、でもこの街は安全ですのでどうぞゆっくりしていって下さい」
そう言うとゆっくりと門を開けてくれた
吉澤は「ありがとう」とだけ言ってさっさと中に入っていった。加護もそれに付いていった
「やっぱ情報を集めるって言ったら酒場でしょ?」
またも吉澤が誰でも考えそうなことを言った
「(おもいっきりアリキタリやないか・・・)うん、まぁそう?かぁ」
自分の中だけでツッコミを入れながら何となく同意する
吉澤はそんな加護の様子を知らずに「よしじゃ〜行こ〜」と酒場へと歩いていった
「(こんな広いのになんで酒場の場所が的確にわかんねん?・・・・・ハッ!?まさか・・・)」
そのまさかだった(w
酒場に着いた吉澤は「ここのビールは美味しかったんだぁ(O^〜^O)」とか言いながら
まず酒を頼んだ
「(趣旨ズレとるがな・・・!)」
さっきから自分の中でツッコミ通しである、さすがの加護も疲れたので自分だけで情報を集めることにした
- 49 名前:作者 投稿日:2001年11月18日(日)00時55分20秒
- 〜36〜
・・・・・情報を集めると言っても所詮は酒場だ
そこは加護のイメージとは遥かにかけ離れていたのだ
まず素面の人が誰もいない、という点が一番痛かった
誰一人まともに応対してくれない。たまにまともな人がいるかと思えば見当外れの事を言ったり・・・・・
さっきできたばかりの相方も、この雰囲気に呑まれてしまったらしくもう加護の事など気にしていない
初めから難航していた
唯一まともなのはマスターと、窓際の席に座ってる女の子だけだ
とりあえずマスターに話を聞いてみた
「市井紗耶香?あぁ〜なんか聞いたことあるよ!俺の聞いた話だと伝説の剣豪≠チて話だったかな?
女なのに凄いらしいんだ、ってのを聞いたなぁ
今どこにいるかまでは知らないなぁ〜・・・・・ところでお嬢ちゃん、なんか飲んでくかい?」
マスターの誘いをやんわりと断って席についた
「(なんかまた別の話が出てきたなぁ・・・
そんな有名って事はよっぽど強くなったんやろうなぁ姉ちゃん・・・
でもそんな強いんやったら絶対に生きてるはずや!信じてるで姉ちゃん?)」
一通り酒を飲んだらしい吉澤を尻目(多少軽蔑と怒りの念も込めながら)に、
今度は1人でテーブルに座ってる女の子に興味が湧いた
- 50 名前:作者 投稿日:2001年11月18日(日)01時16分16秒
- 〜37〜
その女の子が座ってるテーブルに近づこうとして、歩き出した
途中で加護の前を横切る人がいたので、ほんの僅かな時間その女の子から目を離した
・・・・・ほんの僅かのはずだったのにそのテーブルには、空のグラスだけがぽつんと載っているだけだった
「(え!?確かにあっこにおった・・・一瞬目離した隙に?いやありえへん・・・ )」
などと葛藤していると不意に後ろから声がした
「何か・・・ようれすか?」
多少カ滑舌の悪い甘い声が加護の耳に届く。考え事をしていたのでかなり驚き後ろに振り返った
するとそこにはほんの5秒前まではテーブルに座っていたはずの少女の姿
「えぇぇぇぇ!!!?」
加護は思わず叫んでしまった。その声が余りにすっ飛んだ声だったので女の子は笑った
「アハハハハ〜ごめんなさい、脅かすつもりはなかったんれすけど」
「いやいや、ええねんけど・・・さっきあんたあっこのテーブルに座ってなかった!?」
「はい、座ってました」
「じゃあなんで今私の後ろにおるねんな!?どう見積もっても走ったら7〜8秒はかかるやろ?」
「酔っ払いが絡んできたのかと思って逃げちゃいました、ごめんなさい」
「いやいや、そんなん聞いてるんじゃなくてさぁ〜?どうやって移動したのかが知りたいのよ」
「知りたいですか?」
「うん、かなり!」
「分かりました。別に酔っ払ってるわけでもなさそうなんで話します」
この話を聞いて加護は世界の広さを体感したのだった
- 51 名前:作者 投稿日:2001年11月18日(日)01時25分16秒
- 更新です
( ´v`)v<前のレスはののの登場を予告してたんれすね!?
( ‘д‘) <まだあんたって決まったワケやないやろ!先の見える話書くなや!!
( ´Д`) <私関係ないのにいつもここにでるんだよねぇ・・・アハ
なるべく早めに更新しますので・・・( ^▽^)/ <ファイ!
- 52 名前:作者 投稿日:2001年11月19日(月)01時31分26秒
- 〜38〜
「テレポートぉ!!!?」
その子の話を聞いて腰が抜けるほど驚いた
「はい、正しくは時空転移魔術の初歩の初歩らしいんれすが、詳しくは知りません」
「ちょ、時空転移系の魔術があるなんて聞いたこともないけど・・・」
「大昔の秘術らしいれすからねぇ〜上級者になると本当に時を操れた、って話れすし・・・」
「じゃあ私も修行したら使えるようになるんかな?」
「残念ながらそれは無理れす・・・この能力は先天的にもってないと使えないらしいんれす」
「ちぇ〜残念・・・大昔の秘術、かぁ〜」
今まで魔術アカデミーや、色んな文献を読んで勉強してきた
しかしそんな単語は一度も出てきたことがなかったので、加護は世界の歴史と広さをまざまざと感じさせられた
「あの・・・」
辻の声にピクリと反応する
「このことはあんまり言わないれくらさいね?あんまり知られてもいいことじゃないんれ・・・」
「うん、わかってるよ!・・・でもじゃあなんで私なんかに話してくれたん?」
「久しぶりに話し掛けてくれる人がいて嬉かったんれすよ」
「・・・友達おらへんの?」
この言葉に女の子はうつむく
「はい・・・この特異能力のおかげで・・・」
寂しそうに呟く
「じゃあ私が友達になったるわ!もっと色んな事知りたいし、何より私も友達あんまおらんねん」
「いいんれすか・・・・・?」
「いいっていいって!私は加護亜依、宜しくな」
「ありがとう・・・辻希美っていいます、ののとでも呼んでくらさい」
友達・・・その言葉を聞くだけで嬉しかった
- 53 名前:作者 投稿日:2001年11月19日(月)01時33分00秒
- 今日は1レスでご勘弁を・・・
毎日更新早くも暗雲か!?・・・頑張ります
- 54 名前:作者 投稿日:2001年11月19日(月)17時12分38秒
- え〜と・・・色々訂正が・・・
>>52の 辻の声に〜、を女の子の声に〜・・・にして下さい
あと加護の住んでた所は『町』です
この前の更新では村とか書いてたんで
以上です、また更新します
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月21日(水)21時44分39秒
- 設定が面白い作者さん頑張ってください
- 56 名前:作者 投稿日:2001年11月24日(土)01時25分34秒
- 〜39〜
「そーいやののは何歳なん?敬語で喋ってるけど・・・」
「今年で12歳れす!亜依ちゃんは何歳れすか?」
「私も12歳やよ!!だから敬語とか堅苦しいのは無しな?」
「・・・・・うん!宜しく亜依ちゃん!!」
歳が同じだという事もあって、話題には事欠かなかった
普通の雑談をしていても充分楽しかったのだが、加護にはどうしても気になることがあった
「なぁのの?さっき言うてた大昔の秘術、ってやつの事もうちょい詳しく教えてくれへん?
知ってるだけでいいから・・・・・」
「さっきも言ったけどののもよく知らないんだぁ・・・
大昔の人間が世界を守る為に編み出して、守った後に封印したって話ぐらいしか・・・・・
何から世界を守った、とかは全然知らないし」
「・・・・・え?でも封印されたんやったら何でののは使えるねんな?」
「封印を施されなかった人もいた、って話は聞いたことがあるけど・・・よくわかんないや」
「そっか〜私もそんな能力欲しかったなぁ〜」
「亜依ちゃんは魔術師なんれすか?」
「ま、一応なぁ〜まだまだ全然やけど」
「大昔では秘術は禁術≠チて呼ばれてたらしくて、テレポートぐらいの初歩魔術なら何も無いけど
威力が大きくなるにつれて術者も何らかのリスクを背負わなきゃいけないらしいれすから
普通の魔術を磨いてった方がいいよ!もし使えたとしても」
「(そんなもんなんかなぁやっぱ・・・・・)」
- 57 名前:作者 投稿日:2001年11月24日(土)01時50分26秒
- 〜40〜
「じゃそろそろ酒飲みの仲間でも起こしに行きますか!ののもおいで〜」
「・・・・・怖い人じゃないれすか・・・?」
「ははっ、確かにお酒の飲みっぷりは怖いかも知れんけど全然いい人やで〜」
「そう?なら行くれす!友達になるのれす!!」
「よっしゃ、ゴーゴー!!」
吉澤はかなりの酒を飲んだらしく、テーブルの上には中くらいのタルやら空き瓶が転がっていた
「おい、よっすいー!起きんか〜い!!」
回りもそうとう騒がしいのでちょっとぐらい大きい声を出しても平気だ
耳元で叫んだのでさすがに目が覚めたみたいだった
「あ・・・・・?加護ちゃん、どうだった?情報集めれた?」
寝惚け眼をこすりながらそう聞いてきた
「(なんやコイツ・・・こんなに飲んでるのに酔ってないんか!?)
んぁ〜いまいち・・・だけど、ほら、のの?」
加護に促されて前に出てくる辻
「え〜と・・・辻希美12歳れす、さっき亜依ちゃんと友達になりました」
「へぇ〜加護ちゃんに辻ちゃんかぁ(w
私は吉澤ひとみ、加護ちゃんはよっすいーって呼んでるから辻ちゃんもそう呼んでくれていいよ」
ほんとに酔っ払っている様子も見せずにしっかりした口調で辻に自己紹介をした
- 58 名前:作者 投稿日:2001年11月24日(土)02時13分02秒
- 〜41〜
「まぁ友達ができたのは良いことなんだけどね、加護ちゃん?
私らの旅に辻ちゃんも連れて行くつもりじゃないんだったら別れる時辛いよ?」
「え?」
辻が驚きの声をあげる
「亜依ちゃん達、旅してたんれすか?」
「うん、加護ちゃんのお姉ちゃんを見つけに行くって目的でね」
加護は何かを言いたそうにしていたが、何を言おうとしたのかはわからなかった
辻は辻で何かを考えてる様子だった
しばしの沈黙、その沈黙を破ったのは辻だった
「あのっ・・・」
「どしたの辻ちゃん?」
「ののも・・・ののもその旅に連れてってくらさい!」
「えぇ!?」
「ののは今まで家で大事に育てられてきました・・・もちろん街から出たことなんてないれす
でもこんな退屈な毎日より・・・友達の亜依ちゃんやよっすいーと一緒に行きたいんれす!」
「でも辻ちゃん、今の世界がどうなってるかは知ってるでしょ?魔族がうようよしてるのよ?
単なる好奇心だけでついて来れるような状態じゃ――」「それやったら大丈夫やで!!」
吉澤の話の腰を加護が折る
「ののはなぁ?秘術を使えんねん!だから私なんかより役立つで・・・
だからよっすいー・・・ののも連れてってあげよーよ!?」
「お願いします!連れてってくらさい!」
ちびっこ2人に頼み込まれたら、断る術はなかった
「まぁ加護ちゃんが大丈夫って言ってるんだから大丈夫とは思うけど・・・
一つだけ条件があります」
「・・・何れすか?」
「私と話すときも敬語じゃなくていいよ?それが条件、OK?」
「・・・・・はい!ありがとうございます!!」
辻を加えた3人パーティになった
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月28日(水)00時38分28秒
- 続き楽しみです
- 60 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)01時44分49秒
- 〜42〜
「んでさ、辻ちゃんが持ってる能力って何なの?秘術って・・・?」
やはり子供と認識してるのか、イマイチ辻の事を信用しきれない
それは(人間的にどうなのか?)としてではなくて(仲間としてやっていけるのか?)
というのが問題だった
「はい・・・あんまり言いたくないんれすけど・・・連れて行ってくれるんなら・・・」
「ののはスゴイでぇ!よっすいービックリするでぇ?」
加護がチャチャを入れつつも辻は自分の特異能力の事を語った
・・・加護が言ってたように、やっぱり吉澤は驚いた
しかしそれは辻の保持していた特異能力によるものではなかった・・・
自分の持っている不思議な能力と似ていたからであった
- 61 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)02時00分46秒
- 〜43〜
辻が持っているチカラは『時空転移魔術』の基礎的なもの
短い距離の瞬間移動やある程度の大きさの物体移動などらしい
それは“時間を止める”といった概念ではなく、自分の魔力で空間を歪ませて物体を送り込む
といった感じらしい
吉澤が驚いたのはそこでは無かったのだ
これでも吉澤は今まで旅してきた中でかなりの知識を得てきた
だから禁術≠ニ呼ばれる属性の魔術があることぐらいは知っていた
辻が禁術と呼ばれる魔術を使えることにも多少の驚きはあった
しかし吉澤が本当に驚いたのは、辻が『時空転移魔術』の上級魔術について語った事によって・・・だった
「上級者になるとほんとに時を止めたり戻したりすることができるようになるらしいんれすけど・・・」
この辻の言葉を聞いて驚いたのだ
なぜなら自分にも思い当たる節があるから・・・
- 62 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)02時20分28秒
- 〜44〜
『吉澤』は魔術≠ニ呼ばれるものを一切使えない
その事は重々承知である、幼い頃に嫌というほど聞かされてきた
でも今の辻の話とは合致しない点がある
吉澤は自分の意志ではないにしろ、【時間を止める】という感覚に何度か出会ったことがあるからだ
初めて時が止まる感覚を味わったのは、一人旅を始めて間もない頃だった
山を越えていると2人組みの野盗が現れたのだ
無論吉澤は弱かったわけではないが、その野盗もかなりできた奴らだった
相手は最初から金品目当てにきてるので、殺すことに容赦などしない
吉澤があと一歩というところまで追い詰められた時だった
かなりのダメージを覚悟してカウンターに臨もうと思ったその瞬間、時が止まったのだ
正確に言うと―止まって見えた―のかも知れない、とにかくその場はそれで切り抜けられた
その後も油断や悪条件などで危険に陥った時にしばしばその感覚に襲われた
(この感覚はなんなんだろう?)
と考えることはあっても
(なぜ自分にこんなチカラがあるんだろう?)
とは考えたことも無かった、が今回の辻の話でそれを考えさせられた
- 63 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)02時37分44秒
- 〜45〜
「(魔術を使えない私が、時空系の上級魔術と同じ効果を発動させてる・・・・・
私の中に流れる‘血’の能力?・・・)」
真剣に考え事をしてると邪魔が入る、マーフィーの法則(嘘)であるw
「なぁ?よっすいービックリしたやろ〜?ののはメッチャ役立つんやで!!」
「そんなことないれすよ、てへてへ( ´D`)ゞ」
吉澤の考えなど知る由もなく、気楽に話を続ける
「(この2人を見てると悩んでる自分がバカらしい・・・やめやめ)
そっかぁ〜辻ちゃん、改めてこれからはよろしくね」
「こちらこそれす!」
「・・・辻ちゃん敬語直ってないよ?・・・」
「(舌足らずな喋り方はのののトレードマークなのれす!これが無くなったら誰が喋ってるのかわからんのれす
だからほっとくのれす!!)」
とか思いつつも
「あんまり気にしないでほしいれす、てへへ( ´D`)」
「ふ〜ん、ま可愛いからいいけどね〜」
―未だに酒場で話中―
- 64 名前:作者 投稿日:2001年11月30日(金)02時45分19秒
- ちょっとだけ更新です
>>59さん
続き期待されてスゴク嬉しいんですが、更新遅いうえに量も少ない、とかなり引け目を感じます
しかも今回の内容は気が抜けたような内容なので、次回からはもっと気を入れて更新します
次回こそは展開を変えていきたいです、批判などのレスでも何でもください
ではでは〜
- 65 名前:作者 投稿日:2001年12月05日(水)00時16分28秒
- 〜46〜
―未だ酒場にて―
「だからぁ、先に買い物に行った方がいいってば絶対!ここの店スッゴク大きいんだから!」
「何でやねん!?別に欲しいもんなんてないやろ?じゃあトレント名物の闘技場に行きたい!」
「ののは2人について行くだけれす( ´D`)」
闘技場と言うのは、この街の観光名物で魔族が現れるようになってからというもの
ますます活気付いてきていたのだ
それは1人でも多くの戦士を闘技場の中で見出すためである
「闘技場って人いっぱいおるやろ?酒場で聞かれへんかった話を聞けるかもしれんやんか!」
酒場で酒飲んで寝てた手前、吉澤は反論の言葉が思い浮かばなかった
「・・・・・じゃあさじゃあさ?私たちがその闘技会に出てみない?
これからも旅していくんだし、お互いの力を知るのは大切だと思うよ?」
「私らが出るん!?」
「この闘技会で実力が認められたら国王にも声が届いていい情報とか手に入るかもよ??」
「・・・・・出れるんなら出てみよっか?ののはどう?」
話など上の空で聞いていた辻は驚く
「(闘技会・・・のの戦うのは苦手なんれすけど・・・亜依ちゃん嬉しそうらし)
あ、別に私はいいよ?」
どこまでも適当な辻
「よし、じゃあ決まりだね?そうとなればまず準備が必要でしょう!ささっ買い物買い物〜」
「(こいつ、最初からこれが狙いちゃうやろな・・・)」
酒場を移動して、デパートに行くことになった
- 66 名前:作者 投稿日:2001年12月05日(水)00時26分19秒
- 〜47〜
―所変わってデパート―
「うわっ、ひっろいなぁ〜6階建ての建物なんて初めて見たわ」
「それは加護ちゃんが田・・・ゲホゲホ、何でもない何でもない」
「んで?よっすいーは何が欲しいんや?ってか金あるんかいな!?」
加護がそう言うと吉澤は腰のカバンから布の袋を取り出し、加護に渡す
「うわっ!?何でこんなに・・・?よっすいーすごいやん!」
「ははは、加護ちゃん達も欲しいものあったら持ってきなよ、買ってあげるから」
「(・・・・・こいつ・・・・・悪い事してんちゃうやろな・・・)」
という不安はさておき、それぞれが方々に散っていった
- 67 名前:作者 投稿日:2001年12月05日(水)00時43分12秒
- 〜買い物―加護編〜
「(金はよっすいーが持ってるし、何買おっかなぁ♪)」
一度は買い物に行くことを拒否しておきながらもやはり買い物は楽しいらしい
色とりどりにディスプレイされた商品を見て心が躍る
「(ちゃうちゃう!闘技場で戦うための準備をしにきたんや・・・)」
躍る心を踏み潰して武器防具コーナーに足を運ぶ
「(やっぱ軽い物がいいかな?)」
そう思い、そこにあった綺麗に装飾された腕輪を見る
「(こんなもんでいいかな〜)」
値段も手頃だし、装飾が綺麗だったので即決した
もちろんただの腕輪ではない
魔術を使う人のために、特別な鉱石と細工で魔力が増幅するように作られているのだ
しかしもはや魔術を使う人にとっては一般的なものなのだ
加護がこういうものを着けていなかったのは、己の力を過信しないためである
でも今回は、回りと同じ条件で本気でやってみたかったのだ
それに後々必要になってくるだろうと踏んでの買い物だった。加護は賢いのだ
- 68 名前:作者 投稿日:2001年12月05日(水)00時46分04秒
- 〜買い物―辻編〜
「う〜ん・・・・・」
辻は悩んでいた
「どっちにしよう・・・・・」
辻は迷っていた
「コーラとサイダー、どっちにしよう・・・」
アホである
- 69 名前:作者 投稿日:2001年12月05日(水)01時06分14秒
- 〜買い物―吉澤編〜
「(前来た時は買いそびれちゃったんだよねぇ〜♪)」
足取りも軽く装飾品コーナーへと向かう
そこは装飾品だけでもかなりの広さがあった
「(あるかなあるかな〜・・・おっ!あったぁ〜)」
と、吉澤が手に取ったのはピアス、輪っかの先に赤い宝石のついた指輪のようなピアスである
「(ん〜やっぱ・・・かっけー)」
前来た時にも見かけたのだが、その時は別の目的もあったので保留しておいたのだ(自分の中で!)
だから今回は買うことにした
今、このデパートに売っているアイテムは何らかの特殊な効果を持っている
例えば前に吉澤がここに来た時に買ったヘアバンド
これにも微力ながら魔力が込められているので、魔術を軽減してくれるのだ(本人には分からない程度だがw)
そして今回買ったピアスだ
これには赤い宝石が付いているので、炎を軽減してくれるように魔力が込められている
熟練した魔術の使い手は、魔力を物質に閉じ込めておくことができる
その注入する魔力の気の練り具合によって、どのような付加かが決まるのだ
しかし吉澤は、前回の買い物も今回の買い物もそのことなど気にも止めずに買った
力の弱い魔術師はそういうことには敏感だが、己の肉体を鍛えて戦う戦士は
案外そういうことには無頓着である
とにかく吉澤の品定めも終了した
- 70 名前:作者 投稿日:2001年12月09日(日)22時56分47秒
- 真に私事で申し訳ないんですが、試験が始まってしまうのでしばらく更新滞ります
待ってくれている人なんていないと思いますが一応報告です、すいません
- 71 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月11日(火)20時45分36秒
- マイペースで頑張ってください
- 72 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時20分15秒
- 会計は問題なく終了した(辻の購入品がお菓子だけだったのには驚いたけども)
「さて、あとは闘技会に出場登録するだけだよね」
「そやけど、どうしたらいいんかわかってんのよっすいーは?」
「それはののにまかせてくらさい!なんたって地元れすからね( ´D`)ノ」
「そりゃー心強い!じゃ頼むよ辻ちゃん」
街の中央にある闘技場、それはまさにローマのコロシアムを彷彿とさせるような造りだった
なかの造りもどことなく似ている雰囲気で、その片隅に小さな受付があった
「すいませーん、出場登録したいんれすけども」
たいして臆する様子もなく受付嬢に話し掛ける辻
一方、吉澤と加護は闘技場内の凝った造りに見とれていた
「失礼ですがお名前の方は・・・?」
「辻希美、トレント在住の12歳れす」
「辻・・・辻・・・あ、ありました。今回で3回目の出場となります」
「はい、それで今回はこの後ろの2人も出場したいんれすが・・・」
「新規の出場者ですね?ならこちらの用紙に必要事項を書いていただけますか?」
と言って渡された2枚の紙には名前住所の記入欄の他に
諸注意や危険を促す内容もかいてあった
その用紙に記入しながらさっき気になったことを辻に話した
「のの、あんた何回か出場したことあるん?さっき3回目って言うてたやん」
「うん、お父さんに無理矢理・・・結果は散々れしたけどね・・・テヘへ」
必要事項を記入し、受付嬢に提出した
- 73 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時20分51秒
- 「はい・・・新規は加護様と吉澤様ですね?
大会は明日となっておりますので今日は宿でゆっくりなさってください
明日の朝は説明がありますので10時にあそこの選手控え室に集まるようお願いします」
「あーい、ありがとうれす」
その日は安宿に泊まることにした
とにかく加護には目まぐるしい一日だった
自分の故郷が破壊・・・初めての魔族との闘いに吉澤との出会い・・・そして辻との出会い
色々話したいこともあったのだが、明日のこともあるし誰からともなく何もせず寝た
- 74 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時21分33秒
- ―次の日の朝―
「ほーらー辻ちゃん加護ちゃん起きてよ〜遅れるじゃんかさぁ」
「うぅ・・・あと10分〜」
「い〜ま〜す〜ぐ〜起きろーーーっ!!」
寝惚けたままの辻加護を引きずって闘技場に来た
「もう〜闘い方の説明ならののが知ってるから別に聞かなくてもいいのに〜」
今回で3回目の出場になる辻が寝惚け眼を擦りながら言う
「私と加護ちゃんは初めてなの!ほら、そんなんだったら闘えないよ?起きた起きた」
「あ〜い・・・」
闘技場について選手控え室に入ったら、すでに60人程の人がいた
「(ほら加護ちゃんも起きろ!今から始まるんだよ?)」
周りに聞こえないような小声で話する
「(ぅ〜ん、わかってるってばぁ)」
「(あ、ほら役員の人が入って来たみたいだよ?)」
- 75 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時22分36秒
- 吉澤達が入って来た扉とは別の扉から厳格な面持ちをした男性が1人入ってきた
関係者らしき衣服を見に纏っていたのでそれとわかったのだ
「本日この大会に出場する勇敢な戦士たちよ!まずはお礼を言う、ありがとう
次にこの大会の諸注意であるが・・・・・・・・」
先ほどまでは物音や話し声で騒がしかった控え室も、役員が話すことにより
水を打ったように静かになった
吉澤もここではじめて緊張を覚えた
「(今からこの人たちと闘うんだ・・・震えるね・・・)
(どうでもいいけど説明いつ終わるんだろう・・・長すぎ)」
辻が「説明は聞かなくてもいい」と言っていた意味がわかったような気がする
現に説明の途中にもパラパラとひとが入ってくる・・・
どうやら聞いても聞かなくてもいい説明のようだ・・・やられた
加護は椅子に腰掛けながら起きてるか寝てるのかわからないような表情をしている
- 76 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時23分18秒
- 「・・・・・と、戦闘に関しては以上である」
やっと終わったと思っていると、何やら台車を押した女性5人が扉から現れた
「次は特別なルールだが、魔術師と戦士共にハンディを背負ってもらう
魔術師にはこの・・・魔力が減少するリングを」
と言い女性が運んできた台車の中から腕輪大のリングが
「男性戦士には両手両足それぞれに5キロのウェイトを、
女性戦士には3キロのウェイトをつけるものとする」
と言ってまた台車の中からこれまた腕輪大のリングを取り出した
ウェイトと言ってもパワーアンクルのような大きいものでなく、これまたリング状のものだ
魔術師が気を送り込むことによってその周りの磁場が何とか、でとにかく重いらしいのだ
「これを付けたうえであちらの受付に向かってもらう
外した状態での受付は一切認めないのでちゃんとつけるように・・・
なお、魔力が上がる装備は基本的にありとする」
そのとき1人のガタイのいい男から質問の声があがった
「なんでハンディなんて必要なんだ?いらねえじゃねえか」
周りにいた数人もそれに同調して騒ぎ始める
「闘技場を破壊されないように、だ。
過去幾度となく闘技大会を開催してきたが会場が破壊されなかった大会は
数えるほどしかないのだ。
毎回それでは色々厄介だろう?
厳正な審査によって決められたハンディだ、みんな同じ条件だったら文句ないだろう?」
騒いでいた人たちも納得したのか黙り込んでしまった
- 77 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時23分48秒
- 「他に疑問がある人はいないか?・・・
なければそれぞれが魔術師か戦士かを自己申告した上で、ハンディの品を受け取ってくれ
さっきも言った通り、付けた状態で受付までいくんだぞ?」
説明が終わるとみんなゾロゾロとハンディの品を受け取りに行く
「ねぇ辻ちゃん?」
「ん〜何れすか?」
「辻ちゃんは魔術師だよね?どんな魔術が得意なの?」
「・・・ののは攻撃系の魔術あんまり使えません・・・補助系ばっかりなんれす」
「え!?じゃあどうやって闘うの?」
「まぁ見ててくらさい」
「・・・ケガだけはしないようにね、頑張ろうね!」
「あい!」
「加護ちゃんも頑張ろうね!」
「え?う、うん・・・」
まだイマイチ元気なさそうだ・・・起きてから結構経ってるのに
「どうしたの?元気ないねぇ」
「いまさらになってキンチョーしてきたねん・・・あぁ」
「気軽にやったらいいんじゃない?何が目的ってワケでもないんだし?」
「・・・そやな!!よっしゃ頑張るでぇ〜!!」
リングを受け取るとき
「これは選手では外せないようできてますので外したい場合は係員にお申し出ください」
と言われた
まったく、めんどくさいもの作ってくれるなぁ
3人それぞれリングを付け登録に向かった
- 78 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時24分24秒
- 「じゃあ2人とも、誰と当たっても全力でね?もちろん私たちで当たってもだよ」
「わかってるよ!負けへんからなぁよっすいー!!」
「ののは適当に頑張るのれす( ´D`)」
「じゃあまた後で会おうね、頑張ろう!!」
「うん!!」「あい!!」
それぞれが己を高めるため散り散りになる。他の選手も同じようにしている
リングと一緒に配られたのは、選手bフ札である
吉澤、辻、加護がそれぞれ38、39、40の番号を振り分けられてある
対戦する選手が放送で呼びだされる仕組みになっているようだ
「(組み合わせの方法などは聞いてないが、仲間同士で当たることはまずないだろうなぁ・・・)」
などと考えていると、放送が入った
『bP8とbS9の方、中央広場まで来て下さい』
第1試合が始まったのは12時ちょうどだった
- 79 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時24分57秒
- この闘技大会のルールによると
試合終了は相手の降参か戦闘不能に陥った場合のみとする(死亡させたものは棄権とする)
武器や魔術は何でもオッケー、しかし薬物や毒物の使用は認めない
などである(もっと細かくいってたのだが聞いてらんないよ〜)
「(時間かかるだろうな・・・早めに試合やった方が得かもね)」
と考えるのだが自分で試合を決められるわけではないので、瞑想でもしておくことにした
1時間が過ぎ、5試合が消化された時だった
『bXとbR9の方、中央広場まで来て下さい』
吉澤は不意に自分の番号札を見る・・・bR8だ・・・
ということはbR9は辻ちゃんだ
控え室にいる辻を探して激励しようと思ったが、もうすでに居なかった
「(加護ちゃんと行っちゃったのかな・・・)」
吉澤も観客席に向かった
- 80 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時25分52秒
- 中央広場に近づくに連れて歓声が大きくなっていく
先ほどの試合がいい試合だったのか客も盛り上がっているようだ
広場には屋根はなく、すがすがしいほど晴れていた
円形のグラウンドの中央にぽつんと小さく辻がいた
対戦相手の男は明らかに戦士とわかるような体つきだった
その証拠に、先ほど渡されたリングを両手両足に装着している
「(さて、見せてもらうよ辻ちゃん)」
加護を探すことなどとうに忘れて、試合を見ようと座る場所を探した
しかし観客席は人で一杯だった
そのとき不意に吉澤に声がかかった
「よっすいー、ほらここ空けといたで」
すっかり忘れていた加護だった
「んあぁ、ありがと」
と言い、固い冷たい椅子に腰掛けた
「どうだろうね辻ちゃんは」
「大丈夫やろ、のの自信あったみたいやし?」
「そうなんだ?でも相手の人結構体大きいじゃん?
どうすんだろね、攻撃系の魔術苦手らしいけど・・・」
「魔術だけが闘い方やないって言うてたわ、とにかく・・・」
加護が言いかけた途中で試合開始の鐘がなった
- 81 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時26分29秒
- やはり先手を取ったのは大柄な男の方だった
ダッシュ一番、辻との距離を縮めて行く
でもやはりウェイトのハンディが利いているのか、驚くほどの動きではなかった
「突っ込んでくるだけじゃののは捕まえられないれすよ!」
そう言った辻は頭の中で魔術のイメージを練る
まず最初は牽制の意味で、相手との距離をとるために20メートル程の移動を試みる
男の方は腰にかけていた短剣を引き抜き、辻に切りかかる
が次の瞬間、辻の姿はそこにはなく、男の後方10メートル程の所に姿を現した
「(20メートル移動するつもりが10メートルぐらい・・・)
(てことは、このハンディは魔力を半減されるみたいれすね)」
正確にどれだけ減少するのかわかっていなかっただけに、ギリギリでの移動は恐かったのだ
- 82 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時27分02秒
- 辻の瞬間移動により、会場は大きくどよめく
それもそうだ、みんなはこの魔術の存在を知らないんだから
どよめく会場の中で2人
「凄いねぇ、辻ちゃん・・・ホントに消えちゃったじゃん」
「だから言うたやんか!凄いで、って」
「実際見るとやっぱ凄いや・・・」
そんな話をしてる間にも状況は変わっていく
一瞬何が起こったのか分からないような男だったが
すぐに観客の視線を追い、辻を発見する
キッと辻を睨みつけ、再度同じ攻撃を仕掛ける
「(またれすか・・・バカれすねぇ)」
10メートルほどあった距離はすぐに縮まり、辻の目前まで男が迫ってきた
しかしやはり先ほどと全く同じように、攻撃を食らう前に辻は消えた
男はすばやく背後を見るが、そこに辻の姿はなかった
また先ほどと同じように観客の視線を追う・・・・・上だ!?
- 83 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時27分35秒
- 辻は男の上空・・・吉澤らが座ってる観客席の高さぐらいの位置に現れたのだ
それは高さにして5メートル程だろう
辻は肘を下にして降下する。狙うは相手の首だ
男が上だと気付いた時には時すでに遅く、辻の肘が首筋に命中する
とてつもない衝撃に気を失いそうになりながらも男は踏ん張る
しかし着地した辻は第2撃を入れることも考えていた
それは的確に頭部を狙った蹴りだった
態勢を立て直すことで一杯の男がそれをかわせるはずもなく
辻の高く上げた足は男の後頭部にヒットした
立て続けに頭を狙われ、脳震盪となった男はその場に倒れ込んだ
しばらくすると遠巻きに見ていた審判が出てきて
男の生死を確認、気絶の確認をする
次の瞬間に辻の勝ちを宣言する声があがった
- 84 名前:作者 投稿日:2002年01月03日(木)22時32分56秒
- 今回はこれだけ更新です
約1ヶ月放置しておりましたが、しばらくは大丈夫そうです
前読んでレスくれた方々に申し訳ないと思いながら、長いこと待たせてしまいました
すいませんでした
放置しかけだったので偉そうなことはいえないですが
レスくださったら嬉しいです。気付いた点など感想ください
これからもちょくちょく更新したいきますんで宜しくお願いします
- 85 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時01分18秒
- 『bR8、辻選手の勝利です』
この声に会場は大きく沸いた
あちこちから歓声があがっている
辻はそれを受けて恥ずかしそうに照れ笑いをすると、辺りを見渡し始める
「のの〜こっちやで〜」
席を立って大声で叫ぶが辺りの歓声が大きすぎて辻には聞こえない
しかしハッとこちらに気付いた辻は、ニカッと笑って加護ちゃんのすぐ隣に現れた
「おぉっ!?びっくりしたな〜!!ののおめでとうな」
「てへへーありがとうれす、初めて勝ったのれすよ〜」
勝利者が急に消えたので歓声も再びどよめきにかわっていた
しかし吉澤らの回りにいる人たちは辻の姿に気付き、色々声をかけてきた
『いやーお嬢ちゃんやるねー!かっこよかったよ』
『今の消えたのは一体どうやってるの?』
『こんな小さい子がよくやるよなぁ』
などと色んな声が飛び交ったが、辻はそれを笑顔で返しただけだった
- 86 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時02分10秒
- 「辻ちゃん結構体術できるんだねぇ?最後のハイキック、かっこよかったよ」
「前試合やった時に逃げるばっかりだったんれ、にわか仕込みれすけど覚えました」
「にわか仕込みでよーあっこまで足あがるなぁ?あの肘かって的確にツボ狙ってたやん」
「てへへー勉強だけは散々教え込まれてきましたかられすね」
「辻ちゃん前に『大事に育てられてきた』って言ってなかった?」
「それは『強い人になるように大事に』って意味だったんれすよ」
試合そっちのけで話をする3人、昨日の夜できなかった世間話を今している
「あ!そういえば亜依ちゃん、このリングは魔力を半減させるみたいれすよ?」
「あ、そうなん?ちょっと気になっててんよな〜ありがとうな、のの」
それはちょうど8試合目が終わって、次の対戦カードが決められる時だった
『bP2とbR8の方、中央広場まで来て下さい』
「!!よっすいーちゃうん!?」
「あ、私だ・・・よし、行ってくるね」
「がんばってねよっすいー!!」
2人の声援を後ろで受けながらグラウンドに飛びおりる吉澤
そのパフォーマンスに観客が声援をあげる
「(ここの人たちってノリいいなぁw)」
そんなことを考えながら対戦相手を待つ
- 87 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時03分07秒
- 端っこの大きな扉から出てきた相手は小柄な男だった
後ろに弓を担いでいるのでおそらく戦士なのだろう
今回は衣服に隠れてリングが見えないので判断しようがなかった
結構な距離をおいて対峙する
相手が弓を担いでいるので自然とそうなった
「(普通に弓を打ってくるだけなら余裕なんだけど・・・)」
こういった小柄な人は、軽い武器と補助系の魔術を覚えている人が多いのだ
向かい合って数秒、試合開始の鐘が鳴る
- 88 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時03分46秒
- 「(ウェイトの重さは殆ど感じない・・・、普段と同じぐらいで動けそうだ)」
吉澤は男との間をじりじりと詰める
しかし男は背中の弓に手をあてがい後退する
「(体が重そうだな・・・戦士だやっぱり)」
体が軽いのをいいことに、フットワークを利かして男に近づく
その距離8メートル程になったとき、男は背中の弓を手に持ち矢をつがう
その弓は小弓と区別されるであろう弓で、つがう素早さには申し分ない
腰に下げている矢をとり1秒もたたない内に矢を放つ
「(速いな・・・本格的な弓使いだなこりゃ)」
放たれかけた弓を見て冷静にそう判断する
次の瞬間には足めがけて矢が飛んできていたが、素早く側転して避ける
矢は吉澤の2、3メートル後ろの地面に突き刺さる
「こんな距離じゃ全部よけちゃいますよ〜?」
相手を挑発する。それに乗ってくるような相手ではないとわかっていたが・・・
案の定、挑発など聞いてか聞かずか、次の矢を持つ。次は3本持っている
「(3本打ちかぁ、こりゃ魔術を使う雰囲気はないな)」
そう思い、吉澤は腰にささっている短剣を引き抜いた
剣では相手を殺してしまう可能性があるので
この大会では使い慣れた短剣で闘っていこうと決めたのだ
- 89 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時04分24秒
- 短剣を逆手に持ち相手に向かって走り出す
その速さはウェイトのハンディを感じさせないほどの速さだった
弓使いも驚いたのか、すぐに矢を放つ
その矢の1本は的確に、走ってくる吉澤を狙っていた
「(左右にも逃げられない、飛んだら隙ができる、さぁどうする!?)」
そんな弓使いの心情とは裏腹に、吉澤は持っていた短剣の刀身で
正面の矢を弾き飛ばす
瞬時に矢の軌道を見切りそこに短剣を出す、
頭で分かっていてもそうそうできることではない
天性の運動神経と動体視力、今までの場数を踏まえた上での技である
隙を捕らえるはずの弓使いは、吉澤のしたことを見て、逆に隙をつくってしまった
吉澤は距離が縮まるに連れ、左右にサイドステップを繰り返しながら徐々に近づいていく
至近距離で弓を放たれたらさすがにきついからだ
「(弓を使うだけあって動体視力は中々のもんだねこの人・・・)」
サイドステップの幅を徐々に広げて、前にも進む
弓使いはバックステップをしながら矢をつがうがさっきのような正確さはなく
矢を放つだけで、吉澤の足止めになるような攻撃はできないでいた
そういうことが3度続いた時、弓使いは不意に足を止めた
- 90 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時05分13秒
- 「(勝負!?)」
これはチャンスだと思い、サイドステップから直進へと変えた。勝負を決めるためだ
弓使いは腰の矢束から7本を抜き取り弓にセットする
「(7本打ち〜やるじゃんこの人)」
素早く走りながら相手の様子を窺い、攻撃に備える
相手との距離が実に5メートルとなったときに、7本の矢が放たれた
その内4本は吉澤を中心に円のようなかたちに、
残りの3本は吉澤の頭、胸、足を狙って飛んできていた
「(ひょぉ、ここまで正確に狙ってくるなんてね〜)」
幾分かの余裕を感じさせながら、軽く膝を曲げた
弓使いにしてみたら、諦めて防御に入ったように見えたかも知れない
しかしそれは期待のうちに終わってしまった
- 91 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時05分53秒
- 軽く曲げた膝を伸ばすと同時に、信じられない体勢で前方へ飛ぶ
それは頭を狙ってきた矢と胸を狙ってきた矢の間をすりぬける形になった
頭から着地する体勢だったはずが、いつのまにか手から着地する体勢に変わっていた
逆手で持った短剣を離さないように、3本の指と左手で地面をつく
鋭角に地面に飛び込んだはずの吉澤の体は、鈍角の方向・・・
つまり弓使いの背後を狙って飛んでいた
ほんの一瞬の出来事に弓使いが反応できるはずもなかった
吉澤が着地した時は背中合わせの態勢だったのだが、
反応しきれてない弓使いが先に振り向けるはずもなかった
結果、吉澤は素早く後ろを振り向き、相手の首に短剣を押し付けて言った
「降参してください」
数秒後、弓使いからの降参の声があがった
- 92 名前:作者 投稿日:2002年01月07日(月)23時06分49秒
- 『bR8、吉澤選手の勝利です』
勝利コールを受けた瞬間、またもや会場が沸いた
「つよーい!」
「女の子なのにかっこいい〜」
などと女性からの声もあがっていた
吉澤はそれに軽く会釈で応えると、対戦相手に
「ありがとうございました、ハンディなしでやってみたかったですね♪」
「ハハ、やっぱ全部で20キロはきつかったや・・・
でも鍛え方が足りないってことがよくわかったよ」
「そんなことないですよぉ〜今回は色んな運が良かったってことですよ〜」
「半分も力出してなさそうなのによく言うよ(w。ま、次はもっと鍛えてから来るよ」
「そうですね、もっと精進しましょうね!じゃ」
「うん、ありがとう」
武士たるもの相手への礼儀を忘れない(w
すこやかな気分で辻加護のもとに戻る
「よっすいーすごいやん!最後の弓よけたヤツ!!かっこよかったでぇ〜?」
「かっこよかったのれす」
「ハハハ、ありがとね〜残るは加護ちゃんだけだよ〜?頑張ってねぇ」
「うっ?緊張すること言わんとってや〜」
「アハハハ〜」
辻に続いて吉澤も無傷で勝利した
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)11時42分24秒
- 吉澤強いね。続き期待
- 94 名前:JUN 投稿日:2002年02月18日(月)22時55分32秒
- 最初から一気に読ませていただきました。
メチャクチャ面白いです!ぜひ続きを!!
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月12日(火)12時03分00秒
- 続き、期待して待ってます。
- 96 名前:作者 投稿日:2002年05月20日(月)10時54分43秒
- それからというものの、加護の番号が呼ばれることもなく暇な時間が過ぎていった
「ちょっと〜もう7時やで〜?いつまで待たせるねんな・・・・・」
観客席に座っているのも、うろうろするのも飽きた加護がうらめしそうに言った
「よっすいーとののはさっさと試合終わってえーよな・・・私もはよご飯食べたいわ!」
試合前なので、一応ご飯を食べることだけは自主的に制限しているのだ
それに加えて、先ほどから全くといっていいほど良い試合が見られないのだ
凡人、またはある程度の術士&戦士はいるのだが、ハンディが堪えているらしく
際立った動きを見せる者はいない
「(そう考えると私が戦った弓使いの人は結構強かったんかね〜?・・・レベル低(略)」
吉澤は1人、観客席に座って適当なことを考えていた(オイオイ
- 97 名前:作者 投稿日:2002年05月20日(月)10時55分34秒
- と、その時だった
今日の辻の試合よりも大きな歓声・・・いや、歓声と言うよりも驚嘆の声があがった
吉澤は思考をストップさせリングの真ん中を見る
「(地面が・・・・・?)」
リングの中心から3メートル四方の地面がなくなっていたのだ
例えていうなら、そこだけ激しく陥没したように・・・・・
「(少なくとも上からじゃ底は見えない・・・魔術?でもそんなにデカい音は無かったし・・・)」
中央の穴と、その穴をつくった当事者であろう女性の姿を見ながら考える
「おーいよっすいー」
加護が走りよってくるのが見えたので、話を聞くことにした
「あれ、なんであんなことなってんの?見てた?」
「うん、私とののは今の試合上から見ててんな」
「上?観客席より上なんて・・・・・」
「ほら、あっこ、日取り入れるための穴あるやん?あっこから見ててん」
確かにこの闘技場には上に大きな穴が空いている
しかしのぼれる高さではない
どうやってのぼったのか聞く前に答えは出てしまった
- 98 名前:作者 投稿日:2002年05月20日(月)10時56分27秒
- 「のののテレポートれす( ´D`)ノ」
辻が得意げに話す
「(そっか、このコの能力忘れてたよ)
んで?試合はどんな感じだったの?あれ魔術の類?」
「見た感じやったら魔術ではなかったわ・・・・・タメの時間も無かったし」
「ののと亜依ちゃんが見たのは、あの人が手を前にかざした瞬間に
まるで消滅したかのように穴が空いたんれす!」
辻の説明を聞いて、加護も同意見だということを示すように頷いた
「なんにせよ今さっきのだけやったらわからんわ〜」
「そっか・・・・・ちゃんと見てたら良かったよ・・・」
「ハハハ、でもちょっと楽しみやろ?」
「ハハハ、まさか・・・恐いよ」
「(さっきのヒト・・・若い女の人みたいだったけど・・・)」
先ほどの女性の事を考えながら、加護と話をするから会話が成立しない
加護が何を聞いても上の空だ
- 99 名前:作者 投稿日:2002年05月20日(月)10時57分02秒
- 「ちょっとぉ〜よっすいー聞いてんかいな?!」
「ああ、ごめ」
そういい加護の方を向きなおしたその時
『bS0とbT2の選手、中央広場まで来てください』
とっさに加護の番号札を見る・・・bS0だ
「おっ、加護ちゃんじゃん!?」
「ホンマや!うぅ〜緊張してきた〜」
「頑張ってくらさい!!亜依ちゃん」
「ん、行ってくるわ・・・」
緊張した面持ちでリングへと向かう
彼女にとっては初めての人前での実戦だ、緊張するのは無理もない
その初めての対戦相手と今対峙している
その相手は女性で、見た感じ魔術師といった感じだ
「(うっわ、下から見たらめっちゃ人多いやん・・・)」
- 100 名前:作者 投稿日:2002年05月20日(月)11時02分05秒
- 約4ヶ月の放置・・・まことに申し訳ないです・・・
週1更新ぐらいをベースに頑張っていきたいんですが、如何せん時間が・・・
今回は報告の意を兼ねて上げさせてもらいましたが、
「たまにしか更新しねぇのに上げるんじゃねぇ!」ってかたがいらっしゃいましたら
なんなりと申し付けください。ひっそりやりますから・・・・・
今回もどぶ水をさらに濁した感じでの更新ですが、ゆっくりやっていきますんで
これからもよろしくお願いします、ではでは
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月22日(水)11時45分44秒
- いえいえ、作品、すごく面白いので
更新してくださるだけで満足ですあげてもいいじゃないですか
- 102 名前:作者 投稿日:2002年05月23日(木)13時50分13秒
- しばらくせずに試合開始の鐘が鳴る、2人とも構える
「(魔術師かぁ〜イヤやなぁ・・・)」
腕のリングが魔術師だと判別させる
先に動きを見せたのは相手の魔術師、顔の前で指を2本立てて気を練っているようだ
「(まずはあれを避ける、避けた後に聖属性の魔術でバシバシ行こう!)」
頭の中でした計算通りにする、すなわち敵の初発をかわすために距離をおく
数秒しないうちに加護めがけて火の玉が5、6個飛んでくる
加護は横に転がるようにそれを避けた
直線で飛んでくる物ぐらい避けるのは朝飯前だ
転がりつつも魔術発動のために気を練る、一番得意で速い魔術だ
瞬間に詠唱は終わり発動しようとしたそのとき、火の玉が眼前まで迫っていることに気付く
「(はっ!?アカンがな!!)」
敵に放つはずだった聖なる矢は、眼前の火の玉に向かって放った
うまく相殺できるとも思ってなかったが、火の玉のうち数個は消せたので加護に当たることはなかった
- 103 名前:作者 投稿日:2002年05月23日(木)13時50分45秒
- 「(あっぶなー・・・魔力を分けて使うこともできんのや・・・・・)」
体勢を立て直した加護は、少し大きめの魔術を唱えるため気を練る
相手も加護の前から気を練っているようだ
先に魔術を発動させたのは相手、何かと一枚上手のようだ
「(またやられた!でも今回はそうはいかんでぇ〜)」
相手から放たれたのは5つの光球、これまた正確に加護めがけて飛ぶ
「(光の属性は練習したら自分で軌道変えられるから、避けるのは危ないなぁ・・・・・)」
加護は咄嗟に防御壁を張る、どれくらいのものまで耐えられるのか解からなかったが・・・
ドンドドン・・・案の定、光球を3つ掻き消したところで加護の防御壁は破られた
が、加護は慌てることなく残りの2つに溜めていた魔力を放出する
その2つがしっかり消滅したことを確認してから、相手に向き直り残りの魔力を放出した
「(うりゃ!食らえ〜!!)」
いつぞやの魔族との戦いでも発動させた広範囲におよぶ火の柱、爆発の魔術。
「(魔力を分けて使うのなんか私にとったら簡単やぁ!!)」
敵の魔術の相殺と、腕輪の制約により、以前放ったそれよりも明らかに規模が小さいが
相手をビビらせるためにはこれで充分だっただろう、と考える
- 104 名前:作者 投稿日:2002年05月23日(木)13時51分19秒
- 相手もさすがに面食らったようで、足元から起こる爆発に咄嗟に対処できなかったのか
体が大きく、まるで紙くずかのように後方へ吹き飛ぶ
「(これで決まりちゃん!?あー私つよ!!)」
少しばかりの慢心、油断が合い重なってほんの数瞬、敵から目を切ってしまっていた
それ故に、爆煙の向こうに吹き飛んだ相手がすぐに受身をとり、攻撃に転じようとするのに気付かなかった。
爆煙を通して様子を窺っていた相手も、加護の油断を感じ取ったのかすぐに印を練り始める。
「(あ、加護ちゃん相手の気に気付いてない・・・・・まだ甘いね・・・・・)」
魔術が照射されようとしたその瞬間、爆煙の少しの変な揺らめきに気付き加護の表情が強ばる。
「(せっかく広い視野と冷静な判断ができてるのに・・・遅いよ・・・)」
吉澤が加護の戦い方を冷静に判断している横で、辻はのんきにお菓子を食べていた。
加護の緊張とほぼ同時に、もうもうと立つ煙(さっきよりかは幾分おさまってはいるが・・・)から
さっきと同様の火の玉と、相手の姿が同時に飛び出てきた。
しかしここでも加護はその反射神経をいかんなく発揮し、火の玉を避ける。
「(いい反射神経と瞬発力してんのになぁ・・・経験不足だねやっぱり。)」
火の玉を寸でのところでかわした加護だったが、今度は飛んできたのは魔術だけではなかったことに
気が付いた加護は、側転した状態から素早く起き上がろうとした・・・がそれも遅かった。
- 105 名前:作者 投稿日:2002年05月23日(木)13時53分47秒
- 更新です。
>>101さん
長い間の放置にもかかわらず、また見てくださってありがとうございます。
レス貰えるとほんと嬉しいってことを思い出しました、感謝感謝。
またちょびっとづつですが更新していきます、ではでは。
- 106 名前:リボルバー 投稿日:2002年05月26日(日)15時21分37秒
- 相手の体当たりに咄嗟に反応できずに尻もちをつく。
相手が加護の体に馬乗りになる、俗にいうマウントポジションというカタチだ。
加護は必死にもがいたが、どう見ても相手の方がウエイトが重く、また決め方も完璧だった。
必死にもがく加護を見ながら相手の魔術師が一言・・・
「ふぅ〜やっと捕まえたよ・・・どうする?降参してくれなきゃここで魔術うっちゃうけど?」
加護はその言葉に素直に従い、すぐに降参を申し出た・・・・・
『bT2、――――選手の勝利です。』
- 107 名前:リボルバー 投稿日:2002年05月26日(日)15時22分40秒
- 観客席まで歩いて帰ってくる加護の姿はホントに寂しそうだった。
いつもの(と言ってもあって2日目だが)辻とはしゃいでる時の元気が全くない。
さすがの吉澤も何て声をかけようか、しどろもどろしていると辻が一言、
「亜依ちゃんすごいれすねぇ〜ののははじめてきたときは逃げ回ってばっかだったんれすけど、
初めての実戦でそこまでやれたら絶対強くなれるよ!」
「そ、そぉ?」
「そだよ加護ちゃん、あの身のこなしとかは天性のものだから経験積んだら強くなるよ〜?」
「そっか!ありがとやで!」
まだ何かを引きずっている様子だったけど、取り敢えずはこれで安心かな?
でも辻ちゃんといい加護ちゃんといい、近頃の子供は可愛げないね・・・その年でそれだけやれたら
行く末は特別警備隊の隊長レベルまでいけるよ多分(w
この日はどうやら加護のあとの1戦で終わりだったようで、明日のことなどが放送されて終了した。
帰りの控え室で(もちろんハンディの品は外してもらった)周りをざっと見たが、やっぱり
一癖も二癖もありそうなひとばかりだった。
昨日も泊まった宿に向かう時に今日の晩御飯はどうする?で揉めていた辻と加護、
それ以外に特に変わったこともなく1日目が終わろうとしていた。
- 108 名前:リボルバー 投稿日:2002年05月26日(日)15時23分40秒
- 「明日は私は試合ないから応援してるわ、2人のこと・・・・・」
宿に帰ったとき加護がそう呟いた。精一杯の強がりなんだろう・・・・・
明日も試合があるのと、今日の疲れからか辻は早々と眠ってしまった。
吉澤もこれ以上加護に気を使わせないように早くに眠ることにした。
「(はぁー・・・・・何だかんだ言うてもやっぱりショックやなぁ・・・)」
2人が寝静まってから、加護は布団の上にあぐらをかいてうなだれていた。
「(油断・・・のせいにする気はないけど・・・・・ののでさえ勝ててるのに・・・・・)」
「(あーむしゃくしゃする!ちょっと走ってこよ・・・・・)」
既に寝ているだろう2人を起こさないようにそっと部屋を出る。
吉澤は起きていたが、別にそれを止める様子も詮索する気もなかった。
- 109 名前:作者 投稿日:2002年05月26日(日)15時27分51秒
- ぐわー!!HN間違えた!!・・・・・恥ずかしい・・・(#´ Д `)
- 110 名前:JUN 投稿日:2002年05月26日(日)21時14分50秒
- いつの間にやら復活してますね!待ってましたよー!
更新自分のペースで頑張ってください。楽しみにしてます☆
- 111 名前:作者 投稿日:2002年05月28日(火)14時46分59秒
- ――タッタッタッタッタッ
街灯やネオンで明るい道を走りながら、加護はがむしゃらに走った。
「(あーー絶対もっと強く・・・・・ん?あれは・・・・・)」
ローブのフードを深々とかぶった女性が目に入る。
「(あの人、試合でよっすぃーが気にしとった人や・・・・・どこいくんや?)」
加護もその女性に興味がないわけではなかったので、しばらく後をつけてみることにした。
その女性はどこに行く様子でもなく、街をフラフラしている。
「(あーもう!何してんねん・・・・・こんなんやっても意味ないかなぁ・・・・・)」
そう思った矢先、女性が建物と建物の間の路地に曲がった。
「(あ・・・どうしよう・・・・・見つかったらいいこと無さそうやし・・・・・)」
そう思いながらも、路地の中を恐る恐る覗き込む。
しかしそこには女性の姿どころか、猫1匹見当たらない。
「(あれ!?たしかにここに・・・・・)」
不思議に思い路地の中を少し歩。そこで加護はあることを思い出した。
「(確かののと初めて会ったときも・・・・・まさか!?)」
冷や汗を流しながら後ろを振り返る。
- 112 名前:作者 投稿日:2002年05月28日(火)14時47分36秒
- 「おぉ、勘が鋭いね!正解!!」
先ほどまでフードを被っていた女性は、そのフードを取り笑い顔で加護に話し掛けた。
加護は心臓が飛び出るほど驚いていたのだが、何とかそれを堪えて声を出す。
「あ・・・・・あの・・・・・」
その女性は相変わらず加護に微笑みかけている。
しかしその女性から発せられる言葉に加護はもっと驚いた。
「どうしたの?加護亜依、ちゃん?」
「!!?」
「何で名前知ってるのか!?って顔してるね。あれ、違う?」
女性は、あっけらかんとしている加護の様子を見て再度笑う。
「名前は闘技場で調べた、あなたの仲間のことも知ってるよ?吉澤に辻、だったっけ?」
「なんで・・・・・なんで私らのこと・・・・・?」
「なんでって・・・興味あったから、かな?」
「・・・・・ついていってたのいつ頃から気づいてたんですか?」
「ん〜?結構前からかな?でも上手く気配消すねぇ〜ちょっとホンキで気探っちゃったよ。」
と言い、女性はまた笑う。
- 113 名前:作者 投稿日:2002年05月28日(火)14時48分56秒
- 「今の・・・・・消えたヤツ・・・・・あれってもしかして・・・」
「そう、辻ちゃんと一緒の能力者だよ。察しいいねぇホント。」
「時空転移魔術・・・・・」
加護は記憶をさかのぼらせて、辻がそう言っていたのを思い出し言葉にした。
「それそれ。でも実際は『空間転移術』って言うんだよ?知ってた?」
女性の問いかけに、首を横に振って応える。
しかし女性は、加護の返事を見る前から話し出す。
「明日、また試合あるけど終わったらまたあなたたちに会いたいの。どう?」
「多分・・・・・大丈夫やと思いますけど・・・・・」
「オッケー、じゃ明日もこの辺うろついてるから、試合終わって適当に休んだらここ来て?」
「わかりました・・・・・あの・・・・・」
「ん?」
どうにも納得の行かない加護は、最後に聞いてみることにした。
- 114 名前:作者 投稿日:2002年05月28日(火)14時54分40秒
- 更新です。
だいたい一回の更新に3レスと、少なめで申し訳ないですがなにぶんストックが
あまり無いもので・・・・・区切れの悪いのも謝っておきます、すいません。
>>JUNさん
ありがとうございます、レス貰えると励みになります。
自分のペースで更新してたら月イチとかになっちゃうので、気合入れて頑張ります。
3レスしか更新してないのにレスが欲しいとか戯言はぬかしません、ではでは。
- 115 名前:作者 投稿日:2002年06月03日(月)18時19分10秒
- 「何で私らのこと・・・?」
「・・・それも明日話す、ってことで、いいかな?」
「・・・・・・・・・」
「ごめんねぇ?あ、そうだ!」
女性は何か思い出したように手をポンと叩く。
「あとの2人には明日の試合が終わるまで私のこと黙っててくれない?私の能力とかさ・・・」
「え?何でですか?」
微妙なイントネーションで加護が聞く。
「変なことに気を使わせるのもなんだしね。明日も試合があるんだし・・・・・」
「・・・・・わかりました。」
「ありがとね!じゃあまた明日ね。」
そう言い女性は路地の出口まで向かうが、再度何か思い出したようにくるりと振りかえる。
「そうだ加護ちゃん、今日の試合――」
「え?」
「中々いい動きしてたよ〜もっと頑張りな〜!」
「は、はいぃ〜」
予想外の言葉に驚きを隠せず、語尾がおかしくなってしまったが、やっぱり嬉しかった。
「んじゃね!」
それだけ言うと、女性は加護の前から姿を消した(消えた、といってもテレポートではなく)
加護もそれからすぐに宿に帰り布団に入った。
自分が‘好’評価だったことは思いのほか嬉しく、今日の負けを忘れさせるだけの効果がそれにはあった。
――――
「(加護ちゃん、こんな遅くまで何してたんだろ?えらく機嫌良さそうに帰ってきたけど・・・・・)」
「(ま、いいや。明日聞こ。。。寝よ寝よ・・・)」
- 116 名前:作者 投稿日:2002年06月03日(月)18時19分54秒
- ――――
チュンチュン――
「んあーーほらーよっすぃーもののも今日も試合あるんやからはよ起きれ〜!」
「・・・ん・・・あ、おはよ加護ちゃん・・・今日は早いね、どうかした?」
「別にどうもしてないで?昨日言うたやん!応援するわ、ってな。」
「・・・・・・・」
今日のこの加護の様子はカラ元気ではない事が手にとるようにわかる。
・・・・・おかしい・・・・・昨日の夜に何かあったのは確かなようだ。
「あのさ加護ちゃん?」
「ん?どしたんよっすぃー?」
今度は辻を起こそうと辻の布団に手をかけた加護が、こちらを向いて答える。
「(・・・・・やっぱ今は聞かないでおこう・・・・・)
辻・・・ちゃんはまだ起こさなくてもいいんじゃない?ほら、まだ8時だしさ?」
「・・・それもそやな・・・ハリキリ過ぎやな私(w」
「ハハ。じゃ私らはご飯でも食べよっか?」
「そーしよかぁ。」
朝食は宿の朝食を自分たちの部屋に持ってきて食べることにした。
持ってきたご飯をテーブルに置き、さぁ食べようか、と思った時に辻が起きた。
「スンスン・・・いいにおいれす・・・( ´D`)♪」
「あ、起きた?ご飯食べる?いるなら持ってくるけど。」
「いるに決まってるじゃないれすか!」
「あ、そう・・・?(この子は・・・・・)じゃとって来るからちょっと待っててね。」
「はーい、先に食べてるのれーす。」
「はっ!?私の分・・・?・・・・・まぁいいけど・・・・・」
- 117 名前:作者 投稿日:2002年06月10日(月)11時36分46秒
- 適当に朝食を取り、ゴロゴロしていると時間になったので闘技場に向かうことにした。
やはりその時も加護はいつもの調子を取り戻したように元気だった。
「(聞くのは試合終わってからでもいっか・・・)」
昨日の試合ですでに半数まで減っていたので、今日は控え室が広く感じられる。
吉澤は注意深く周りを見渡す、辻と加護はさも退屈そうにボケーっとしている。
「(あ、昨日の変な魔術師の人だ・・・・・)」
「(あ、昨日の夜の人や・・・・・私らに何の用なんやろ?)」
今日からの試合は、どうやらきちんとしたトーナメント表が作られて進行していくようだった。
今日の辻は第3試合目、吉澤は5試合目だった。
ハンディの品を装着し、受付を済ませ、昨日とほぼ同じ場所の客席に腰を落ち着けた。
「(今日はトーナメント表があるからあの人の名前ぐらい調べられるよね〜)」
そう思った矢先、アナウンスの声と同時にリングに入るための扉が開く。
「(あ!?あの人だ!)」
初戦は昨日のあの魔術師だったのだ。
相手も昨日の試合を見ているのか、いささか緊張気味のようで動きがおかしい。
朝の10時半、今日の初戦開始の鐘が鳴った。
- 118 名前:作者 投稿日:2002年06月10日(月)11時37分21秒
- 鐘が鳴ると同時に女性は前方に向かって走る、相手は迎撃しようと身構える。
しかしその身構えも無駄なものだとわかったのは、加護以外には誰もいなかった。
加護の予想通り、相手の視界から消えた女性は、誰にも気付かれないぐらいの速さで首に手刀を打ちこんだ。
この手刀に気付いたのも、吉澤を含めたごく僅かな人間だけだろう。
何もされていないはずなのに、急に倒れる様を見せられた観客はどよめくしかなかった。
「(速い・・・・・手刀もそうだけど後ろに回り込んだの・・・人間離れしてる・・・・・)」
「(魔術の類なのかな・・・?魔術・・・魔術・・・?)」
本日の初戦は圧倒的な強さで謎の女性が勝利した。
3試合目の辻、昨日と何ら変わることなく辻が勝利した。
まぁ初めて見る術に戸惑うのも無理はないだろう・・・・・
5試合目の吉澤、これまた危なげなく勝利した。
相手が魔術師だったので、吉澤の速い動きについてこれなかったみたいだ。
吉澤の試合が終わった時も、加護はただただ勝利を喜んでいたが、たまに憂いを帯びた表情を見せた。
そんな加護から今日の夜の話が持ちかけられた。
- 119 名前:作者 投稿日:2002年06月10日(月)11時37分59秒
「なぁ、今日も2人とも夜は暇やでなぁ?ちょっと用事あるんやけど・・・・・」
「暇だけど、何の用事?」
「ちょっと会ってほしい人がおるねん・・・・・」
「いいけど、誰?」
辻も吉澤もやや俯き加減の加護の顔を覗き込むようにして加護の答えを待つ。
「実は―――――」
- 120 名前:作者 投稿日:2002年06月10日(月)11時40分32秒
- ( ´ Д `)<更新〜
もっと一度に多く更新したいんですが、あまり筆が進まないのでご勘弁を・・・
レス頂けたら嬉しいです、ではでは
- 121 名前:JUN 投稿日:2002年06月12日(水)00時08分29秒
- 謎の女性は一体誰…?
かなり続きが気になります!
更新頑張ってください!今一番期待の小説です。ファンタジー物好きなので。
ちなみに自分は後藤ヲタです。ごっちんの登場&活躍に期待!!!
長々ともうしわけ!
- 122 名前:作者 投稿日:2002年06月15日(土)15時48分14秒
- ――――
「あ、いたいた〜待ってたよ〜?」
昨日言われた場所をうろついていると、まもなく昨日の女性が嬉しそうに話し掛けてくる。
その女性に吉澤は、やや緊張した感じで聞いた。
「あの・・・何の用なんです・・・・・か?」
女性はその緊張した声を聞くと、一瞬フッと笑いを浮かべ、
「あれ〜イキナリ本題?こんなトコじゃなんだからゴハンでも食べに行かない?」
「ゴハン食べるのれす!」
「そだね辻ちゃん、じゃ行こっか。」
しばらく歩き小さい建物の中に入る、そこは静かな感じの食堂みたいな所だった。
みんなそれぞれ欲しい物を注文する。吉澤は汗を流した後だったので、
本当はビールでも頼みたい気分だったのだが、そんな雰囲気ではないので止めておいた。
- 123 名前:作者 投稿日:2002年06月15日(土)15時48分42秒
- 「でもアンタたちホントにあれだね、強いねぇ?」
店に入ったときに出されたお冷の氷をカラカラ鳴らしながら女性が言った。
注文したにもかかわらずメニューを見ていた辻は、きょとんとした顔で女性を見つめる。
「そうですか?まだまだですよ、明日もありますし・・・・・」
挑発とも受け止められかねない吉澤の返答に加護はヒヤヒヤしたが、女性はそんな事を気にする様子もなく
「いやぁ、強いと思うよ?・・・・・ただ、まだまだ荒削りだね、素質だけでやってる感じ?」
「なっ!?」
女性の言葉に吉澤は席から立ち上がる。
加護は相変わらず2人のやりとりを見てヒヤヒヤする。
辻も相変わらずメニューを見ていたが、立ち上がった吉澤に驚いて顔を上げた。
「ちょっと〜怒んないでよ〜そんな意味で言ったんじゃないってば!」
なだめるように手を振りながら、吉澤に「座れ」とジェスチャーしている。
それを見て吉澤は席についた。
「だからね、今のままじゃアンタ達の探し物なんか見つからないよ、っていってんの!ね、加護ちゃん?」
「は、はい!」
加護は咄嗟に返事をしたが、内心では謎だらけだった。
何で自分たちが探し物(人)をしてるのを知ってるのか?加護はそれしか考えられなくなっていた。
- 124 名前:作者 投稿日:2002年06月15日(土)15時49分12秒
- 「アンタ達は強くなれる、私に色々教わってみる気ない?」
「・・・・・・・?」
「あ、言い遅れてたけど、私は保田・・・保田圭よ。よろしくね?」
「保田・・・圭・・・・・?ってもしかして・・・・・・・」
吉澤はその大きな瞳を一層大きく見開く。
「そう、紗耶香と一緒に旅した内の1人よ。」
‘紗耶香’と聞いて加護が鋭く反応する。
「加護ちゃんのお姉ちゃん、だったわよね?」
加護はコクコクとすごい速さで頷く。
「安心しなよ、紗耶香生きてるから。」
「!?ホ、ホンマですか!?」
「嘘なんて言う訳ないじゃない?でも・・・・・」
「でも?何ですか?」
「どこにいるかは私にもわかんないんだよね・・・ごめんねぇ?」
「・・・生きてるってわかっただけでもすごい嬉しいです!ありがとう保田さん!!」
加護は嬉しさのあまり飛び回りたい衝動に駆られたが、そこはぐっとこらえた。
- 125 名前:作者 投稿日:2002年06月15日(土)15時51分13秒
- 更新です。
>JUNさん
レスありがとうございます、女性は結局( `.∀´)にしてしまいました。
これからも宜しくお願いします。
- 126 名前:JUN 投稿日:2002年06月22日(土)01時28分52秒
- ダーヤス秘術師イイ(゜∀゜)!!!!!
更新頑張ってください!!!!
- 127 名前:作者 投稿日:2002年06月22日(土)01時31分31秒
- 「でもでも、何で生きてるってわかるんですか!?」
嬉しさのあまりどうしても声に抑揚がついてしまう加護。
その質問を受けて、保田はポケットから綺麗な宝石がついたブローチを3つ取り出す。
それぞれが青、赤、緑と淡い光を放っている。
保田はそれを出しただけで何も語ろうとしなかった。
痺れを切らした加護は、たまらず声を出した。
「あの・・・これ何なんですか?」
加護の問いに保田はくすっと笑みを漏らし答える。
「これねぇ〜ウチら4人の生存の証、みたいなもんかな?あっ、4人って私抜いて3人ね。
他の3人のこと知ってる?」
「あ、名前ぐらいなら・・・」
以前吉澤に聞いたということだけは覚えていた。
- 128 名前:作者 投稿日:2002年06月22日(土)01時35分35秒
- 「その中の安倍・・・なっちがね、最後の戦いを控えた前の日ぐらいにね、
『私ら4人いつまでも一緒だべさ』って、つくってくれたのがこのブローチ。
話し方も独特だったけど、それよりも特異な魔法使うことができる子だったんだ〜」
昔の思い出にひたりながら話す保田をじっと見つめる加護。
「あの子がこのブローチにかけた魔法はこれ・・・・・『いつも近くにいるような温もりを・・・』
その効果は、それぞれが死ぬまで光を断つことはない、んだってなっちが言ってた。」
「じゃあ今は3つとも光ってるからみんな生きてるってこと・・・ですよね?」
「そーゆーこと!
ウチらも結構さぁ〜女々しい所があるんだねぇってみんなで笑ったっけ・・・・・」
「・・・・・・・」
保田の顔に笑みが綻ぶが、それは決して満開となる気配はなかった。
「今ごろどうしてんのかなぁ・・・なっち、矢口、紗耶香は・・・・・」
その言葉を聞いて、メニューを見飽きて話をそれとなく聞いていた辻も
静かに話に聞き入っていた吉澤も、未だ興奮から覚めやらない加護も
3人が3人同じ事を思った。
- 129 名前:作者 投稿日:2002年06月22日(土)01時36分04秒
- 「(やっぱり寂しいんだなぁ・・・・・)」
不意に吉澤が言葉を発する。
「あの・・・さっき言われたことなんですが、私たちを鍛えてくれるんですよね?」
感慨にふけっていた保田はきょとんとした顔で言う。
「え?えぇ、アンタ達がいいんならいいわよ?」
「じゃあぜひ宜しくお願いします!いいよね・・・・・2人とも?」
「うん!私は全然いいで!!」
「亜依ちゃんがいいならののもいいれす〜」
「・・・・・よっしゃ!じゃあこれからビシバシいくよ〜気合入れなよ!」
吉澤のパーティに心強い味方がまた1人増えた。
- 130 名前:作者 投稿日:2002年06月22日(土)01時37分35秒
- 更新です。
>JUNさん
更新遅いにもかかわらず見ていただいて感謝の一言です。
レス貰えるとやるきでます、ありがとうございます。
- 131 名前:JUN 投稿日:2002年06月22日(土)01時43分05秒
- 僕、実は2ch初心者なもんで、作者さんからお返事がもらえるとうれしいっす!
お互い頑張りましょう!(自分は受験生であります)
- 132 名前:ケンコヴァ 投稿日:2002年06月22日(土)01時47分46秒
- 自分も応援しております。(オキニです♪)
月並ですが、頑張って下さいね。
- 133 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月25日(火)23時11分00秒
- ◇
場所は変わってとある山奥の町・・・町と言うより村と言った感じだが
「じゃあ行ってくるよ・・・・・」
「あぁ、無事に帰ってこいよ!山賊に気をつけろよ!」
「おう、それじゃ・・・」
山奥の村、という所在の悪さから、ここでは月に一度ほど隣のひらけた街まで
生活に必要な物資を買いに山を越える必要があった。
今も、まだ成人してまもないであろう若者とその他数人がその為に山を越えるつもりだった。
しかし最近こうして山を越えることが困難になってきている・・・・・山賊の出現だった。
若者一行は細心の注意を払いながら、荷車を押し山道を進んでいく。
街まであと少し、山を下る少し前だった。
「ねぇねぇ〜そこのお兄さんたちぃ〜」
もう少しで山を下れるという安心感からか、そこに立っていたのが1人の少女だったからか、
村の若者たちは少しの不安を抱いただけで、何気なくその少女の言葉に耳を傾けた。
まさか誰も思わなかっただろう・・・・・その少女が、最近よく出没している山賊だなどとは・・・・・
- 134 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月25日(火)23時11分34秒
- 「私お金なくて困ってるんですよ〜見たところお兄さんたちお金持ってるでしょ、頂戴?」
そんなことを飄々と言ってのける少女に、若者たちはただ驚くしかなかった。
「どうせまた買出しに行く途中なんでしょ?ほらほら〜早く〜」
たった1人の少女にそんなことを言われて黙ってる男はいないだろう、この若者たちも例外ではなかった。
「ふ・・・ふざけるなよ!俺たちも生活がかかってるんだ、そうやすやすと取られてたまるか!!」
1人の若者の怒声とも取れる叫び声に続いて他の人たちも
「そうだそうだ!」「ふざけるな!」
などと言葉が飛び交う。
しかし少女は、それをうざったそうな顔をして聞き流すと、ふわりと宙に舞った。
次の瞬間吹く一陣の風、その場にいた全ての人はただの肉片と化した。
その少女はその惨状に目もくれずに、自分の仕事・・・金目の物をかき集めた。
- 135 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月25日(火)23時12分44秒
- ―――――
山賊の住処、それは意外にも先ほどの若者たちが目指した街中にあった。
家を一軒借りてそこを拠点としているのだ。
人数は7人、少ないように思えるが‘彼女’たちには人数など関係なかった。
その家の真ん中、落ち着いた物腰で何かの本を読みふけっている女性の姿があった。
しかし入口のドアが開く音がし、そちらに顔を向けるとたちまち柔らかい顔になった。
ドアから入って来た少女もそれを受けてにやけ顔になる。
「おっす、どうだった?上手くいった?」
入口で笑いながら佇んでいる少女の顔を見ると、この質問は杞憂であることがわかる。
しかし“仕事”を終えて帰ってきた仲間には必ずこの言葉をかける、一種の癖でもあった。
「うん、だ〜いせ〜いこ〜う!あ、でも・・・・・」
満面の笑みで“仕事”の報告をする少女、だがその表情が一瞬だけ曇る。
「また人殺しちったぁ、何かめんどくさそうだったからさぁ・・・・・」
表情が曇ったのは本当に一瞬だけで、その出来事がさも当然のように報告し、また笑う。
「おいおい、またかよお前は・・・しょーがないやつだな後藤は・・・・・」
そう言い、先ほどまで読んでいた本をパタンと閉じる。
- 136 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月25日(火)23時13分19秒
- 「えぇ〜?いちーちゃん、前は『好きにしていい』って言ってたじゃーん!?」
「あれ?そだっけか?」
後藤と呼ばれた少女は、腰に手をあて頬を膨らませおどけて見せる。
いちーちゃんと呼ばれた女性は、まずそうな顔で頭をポリポリと音を立てて掻いた。
「でもなやっぱり後藤、相手が危害加えてこないのに手を出しちゃダメだ。」
「えぇ〜何でよぉ・・・・・」
「相手にも生活があって家族もいるだろうし、その残された人たちの事も考えなよ?」
諭すような言い方で後藤に向けて話す。
「ごとう、家族とかいないからわかんないよ・・・・・」
「・・・・・もしもだよ?私が誰かに殺されたりしたら後藤どうなる?悲しくない?」
「そりゃ・・・・・」
「それと一緒だよ、だから今度からはちょっと考えてみな?」
「・・・・・わかったよいちーちゃん。」
「後藤は強いんだからそのチカラはよく考えて使いな。」
図らずも誉められた後藤は再びその顔がにやける。
「ばっか、誉めてんじゃないっつーの。」
もう後藤との付き合いも長い、市井はどうすれば後藤が喜ぶか、素直に受け入れられるかの
方法を熟知していた。
後藤の激しいじゃれ付きに構ってる時、ふと考えることがあった。
幼い頃に置いてきたたった1人の肉親、たった1人の妹の亜依のことを・・・・・・・
- 137 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月25日(火)23時17分37秒
- 更新です。
>JUNさん
お互い頑張りましょう(w
あと、レスつけるときはsageで構いませんよ、更新もしてないのにageちゃ他の
皆さんに迷惑な感じですから・・・何にせよレスありがたいです、感謝感謝。
>ケンコヴァさん
読んでくださってありがとうございます。
更新の間が空いたり、変な文章になることも多々あると思いますがこれからも
よろしくお願いします。
- 138 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月30日(日)00時48分47秒
- ◇
その日は、次の日にまだ試合を控えていたこともあり、話を膨らませることなく帰った。
その試合も、第1戦の保田の勝利を皮切りに、第2戦の辻、第3戦の吉澤も勝利で飾った。
試合ももうベスト8まで進んでいて、明日はついに保田と辻の特異能力者対決だった。
「や、今日も勝ったんだねアンタたち。」
「保田さんこそ余裕じゃないですかぁ?」
「まぁ、まだまだ鈍ってないからね、ハハ。明日はいよいよ辻とだよ。」
「うぅ〜のの自信ないれす・・・・・」
「ま、胸を借りるつもりで頑張りな!多少手加減はするからさ?」
「はい、頑張るれす!」
その日も、次に辻の大一番が控えていると言うこともあり、大した話もなく帰った。
――そして次の日――
- 139 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月30日(日)00時50分06秒
- 辻の試合は1試合目、朝の10時から始められる。
「どう、辻?昨日はよく眠れた?」
リングの中央で対峙した保田と辻が話を始める。
「はいぃ〜緊張します・・・・・」
「ホンキでかかっておいでね?」
そう言った直後、試合開始の鐘が鳴った。
ワァァァァァー
ここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきた保田に期待する声と、
まだ年端もいかない可愛らしい女の子の活躍を期待する声が入り混じって、場内は大歓声に見舞われた。
辻はその声援に後押しされるように、身構える。
保田は、まるっきり余裕を見せたまま辻を見続ける。
先手を打ったのはやはり辻。
今までの必勝パターンとも言えるべく、テレポートで保田の前から姿を消した。
しかし保田はまったく動じずに、辻の現れるであろう場所を見据える。
同じ能力者の性質か、はたまたただの勘かはわからないが、
保田の見据えた場所に辻が数瞬遅れて現れる。
ばっちり場所を捕らえられているとわかった辻は少し焦る。
ばっちり場所を捕らえているとわかった保田は不適な笑みを浮かべる。
辻はその動揺を隠すように、保田との距離5メートル近くを走って詰めた。
- 140 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月30日(日)00時51分39秒
- 並の人間なら反応する前に距離を詰められてしまうほどのスピード、
しかし並の人間などを遥かに逸脱した保田は、辻が走り出した直後に反応し、身構える。
辻もそれはわかっていたかのように、更に加速する。
辻が走り出して1秒と経たない間に、2人は試合開始のときと同じように対峙する。
しかしそれもまた束の間、辻が拳を握り保田に殴りかかる。
保田はそれを受け止めるため身構えた。
辻の拳が保田のガードされた腕に当たる直前、辻はその拳を引っ込めて後ろを向く。
これには観客も驚いただろう、しかし次の辻の行動で観客は沸く事になった。
今の辻の行動に面食らったのは観客だけではなかった。
確実に撃ってくると思っていた保田は、肩透かしをくらったように一瞬たじろぐ。
実を言うと保田は、あまり肉弾戦が得意ではないのだ。
パーティを組んでいた時は、後方支援及び切り込み隊長として活躍していたので
敵と対峙することは滅多になかったからだ。
それでも多少の戦士ぐらいとならタメを張るぐらいの実力はあると自負していたのだが・・・・・
- 141 名前:リボルバー 投稿日:2002年06月30日(日)00時53分59秒
- 今回は切れが悪いですがこのへんで・・・・・
感想批判など頂けるとありがたいです、もっと更新してから言え!って感じでしょうが(w
ゆっくり行きたいと思ってます、それでは。
- 142 名前:作者 投稿日:2002年06月30日(日)02時10分37秒
- うわぁ!!またHN間違えた!!申し訳(#´ Д `)
- 143 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月01日(月)02時02分10秒
- 後藤が登場しましたが、人としてアレな感じですね(w
市井が家に帰れないのは後藤のせいなのですかね…
- 144 名前:JUN 投稿日:2002年07月01日(月)23時14分32秒
- ( ´ Д `)登場だい!
辻の活躍にも期待!
- 145 名前:作者 投稿日:2002年07月06日(土)00時24分29秒
- 後ろを振り返った辻はその勢いのまま、踵の重さを生かして蹴りを放った。
一度は疑問符に覆われた観客席だったが、このローリングソバットを見せられて沸かないわけはない。
歓声が起こるか起こらないかの瞬間に、辻の蹴りは保田に到達する。
しかし保田はさすが、と言ったところだろうか。
確実に首を狙ってきていた鋭い蹴りを、すんでのところでガードした。
しかし辻の攻撃は終わらない!
保田にガードされた右足を空に残したまま、左足1本で飛び上がり、
右足を振り下ろす反動と共に、左足を頭へと振り下ろす。
この連続攻撃には、会場にいた誰もが感嘆の声をあげた。無論、吉澤と加護も例外ではない。
不意の攻撃を防いだことで多少安心していた保田
「(私もまだまだ捨てたもんじゃないわね・・・!戦士としてもやっていけそう、フフ・・・)」
こんなことを考えていると辻の2撃目、これには驚くしかなかった。
首のガードに使っていた右手と、先ほどのパンチに備えていた左手を、
ほぼ反射的に頭部のガードにまわしていた。
この辺りは、くぐってきた修羅場の数が違う、とでも言うのだろう(w
結果、2撃目も保田のガードにより決定打を与えられなかった。
完全に宙に浮いた辻の体・・・空白の瞬間・・・今度は保田の番だ。
- 146 名前:作者 投稿日:2002年07月06日(土)00時25分49秒
- 地面に逆さまに落ちていく辻、保田の握り締めた拳はその落下物を確実に狙っていた。
保田の狙うは腹部の少し上、鳩尾(みぞおち)・・・・・
タイミングを見計らい、正確に拳を撃ち下ろす。
しかし辻の伸ばしていた腕が、拳を撃ち込まれるより少しだけ早く地面についた。
その瞬間に辻の体が大きくひねられる。
目標物を捕らえそこなった保田の拳は、辻の腹部を少しかすめただけで空を切った。
そのまま起き上がり即座に距離をとる辻と、
攻撃を空振ってその隙を狙われるのを避けて距離をとる保田。
息の詰まる攻防に、と言うより、この試合に初めて休符が置かれた。
「やるわねぇ辻。ちょっと焦っちゃったわよ!」
距離をとり少し安心したのか、保田がにやけながら話し掛ける。
しかしもう一方の辻は、話し掛けられたことなどそっちのけで
先ほどの保田の拳が腹をかすめたことを気にするように、しきりに腹をさする。
「殴り合いじゃ私もシンドイから、こっからは私も考えさせてもらうよ〜」
と、苦そうな顔をして腹をさすっている辻を見ながら保田が言う。
さっきまで苦そうな顔をしていた辻が、急に顔を前へ向け、キッと厳しい顔になったと思うと、
すぐさま走り出し、保田との距離を詰めようとした。
しかし次の瞬間には、辻は保田の背後5メートルぐらいのところへ移動していた。
いまさら辻が消えたりするのに、観客はさほど驚いた様子を見せなかったが、
移動した当の本人、辻が一番驚いている様子だった。
「ビックリした?これも空間転移術のキホンだよ。」
くるりと向き直った保田が辻に向かって話し掛ける。
- 147 名前:作者 投稿日:2002年07月06日(土)00時27分23秒
- 「見たところ辻はこれもできないみたいだねぇ?有効に使うのは難しいけど・・・・・」
「・・・・・・・」
「実を言うとあんまり肉弾戦得意じゃないんだよね〜さっきは様子見ってことで受けて立ったけど
あれだけの速さ見せられたらねぇ・・・悪いけどうまく戦わせてもらうよ!」
言い終わるが早いか、辻は再び保田に向かい駆け出す。
保田は身構えつつも、余裕の表情で辻を待ち受ける。
今度先手をうったのは辻、確かな感覚で保田の後方へとテレポートする。
しかし保田は辻の出現場所を見切り、現れる前からその場所へ魔力を放つ。
今回も辻は保田と距離をおいた所に飛ばされていた。
「攻撃が単調だね。もっと工夫しなさいな〜」
「くぅ・・・・・」
「何も魔術のオールラウンダーになれっていってるんじゃないわよ?もっと経験積んだら
賢い戦い方覚えられるわよ。」
「そう・・・れすか?」
「そんなもんよ、まだ若いんだしこれからこれから!」
「・・・・・やっぱり強いんれすね保田さんは・・・・・」
「経験の差よ。」
「・・・・・すいません、棄権します。今のののじゃいくらやっても勝てそうにないれすから。」
「あらそう?じゃこれから鍛えてあげるからねぇ!?」
「はい!!お願いします。」
しばらくしたら保田の勝利を報せる声が響いた。
観客は、尻すぼみな感じの結末を見せられて多少困惑していたが、それでも大いに沸いていた。
空は、辻の今の心境を表してるかのように見事に晴れ渡っていた。
- 148 名前:作者 投稿日:2002年07月06日(土)00時34分29秒
- 更新です。
>>143さん
後藤と市井の話はちょくちょく出てきますんで、その時まで待っててくださいな。
読んでいただいてありがとうございます。
>>JUNさん
要望にこたえられるカタチになって良かったです。
これからもどうぞよろしく。
さて、更新の方ですが毎回3レス程度しか更新しないのに、読者様からいただいた
レスに毎回更新ごとに答えていると、このスレの半分以上がレスで埋まってしまいそうなので
これからはキリのいいところでまとめてレスさせてもらおうと思います。
どんなカタチの感想でも、頂けたらすごく励みになるので、これからもお願いします。
ではでは!
- 149 名前:作者 投稿日:2002年07月30日(火)15時52分08秒
- 次は吉澤の試合だった。
昨日見た限りでは相手は魔術師、あまりいい動きではなかったが昨日の試合では勝利を収めていた。
だからと言って吉澤に慢心の心はない。今日勝てれば、明日には保田との闘いが控えているからだ。
第一、魔術師と言われる人たちは窮地に追い込まれると、みんな一様に普段以上の力を発揮する。
切り札は最後まで・・・・・吉澤は幼い頃に聞いたことがある言葉を思い出していた。
だから辻と闘った保田も、まだまだ奥の手に次ぐ奥の手を隠し持っているはずだ。
「(おっと・・・集中集中!負けてらんないよこんなところで・・・・・)」
結果、少しの油断も見せなかった吉澤が勝利した。
- 150 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月30日(火)15時53分02秒
- 観客席で勝利を祝いながらはしゃぐ辻と加護。
吉澤はその手荒い祝福を受けてたじたじといったところか、苦笑いをして座っていた。
保田はそのノリにはついてこず、さっき始まった試合をぼんやり眺めていた。
その試合もどうやら終わったようで、まわりの人たちが歓声や拍手を送る。
「なんやぁ?よっすぃーも保田さんも、勝ったんやからもっと喜ば――」
加護の言葉を聞かずして、保田は座っていた椅子から急に腰をあげた。
その体はワナワナと小刻みに震え、まさに怒りを表しているようだった。
「ななな・・・こんなんで怒らんでくださいよ!」
「違う!!」
「?」
「じゃあどうしたんですか保田さん?」
困惑顔の加護を他所に、辻とじゃれていた吉澤が尋ねる。
- 151 名前:作者 投稿日:2002年07月30日(火)15時53分43秒
- 「あんたたち、今の試合で勝った方の選手の顔見た?」
「?・・・顔、ですか?」
「そう、最後の一瞬だけフードがとれて顔が見えたんだけど・・・見てない?」
「すいません、私は・・・・・」
と言い、首を横に振る吉澤。
「ごめんなさい、ののも見てなかったのれす」
「私もや・・・・・でもその勝った人がどうかしたんですか?知り合い?」
「・・・・・今ここで言うのは止めとくわ、混乱させたくないしね。
でも私の嫌な予感がもし当たってたら・・・・・・・」
「当たってたら・・・・・どうなるんですか?」
「吉澤との試合どころじゃないはずよ。」
その言葉にその場に居た皆が息を飲んだ――
元はと言えば、お祭り感覚で参加したこの闘い。そんな弛んだ空気がピリッと張り詰める。
保田があそこまで言うのだから、小事ではないだろう・・・誰もがそれを感じ取っていた。
- 152 名前:作者 投稿日:2002年07月30日(火)15時54分14秒
- 「ま、私の考えは外れるのが基本だからねぇ・・・・・3人ともそんなに緊張しなさんな」
保田がニマッっと笑う。
それを言われた吉澤は、思いのほか気を張り詰めている自分に気付く。それは加護も辻も同じだった。
「一応――辻〜?」
「はいぃ?」
緊張をほぐす為か何なのか、おどけた調子で返事をしてみせる。
「さっきの試合の組み合わせの名前見てきてくんない?まぁ一応、ね?」
「わっかりましたぁ!あいぼん」
と言い加護に手を差し出した。加護はハッと気付いたようにその手をぎゅっと握り返す。
2人顔を見合わせたかと思うと、次の瞬間にはもうその場にはいなかった。
「でも保田さん?」
「んん〜?何吉澤、まだ気ー張ってんの?」
「違うんですけど・・・・・保田さんがそこまで言うような人ってどんな人なのかなぁ、って」
「ま、それは追々話すわよ。まぁこんなところにいるとは思えないし――」
と言ったところで、偵察隊辻加護が帰ってきた。話は中断せざるを得なかった。
- 153 名前:作者 投稿日:2002年07月30日(火)15時54分53秒
- 「トーナメントの名前見てきましたぁ!」
「ご苦労さん、んでどうだった?」
それを受けて小さい2人は顔を見合わせ意見の交換をし合う。
「私らはよーわかんなかったんですけど多分――あれって英語なんかな?Y.nakazawaって書いてありました!」
それを聞いた保田に、先ほどと同じような緊張が走る。
その空気を受けて、他の3人の顔も強ばる。
「まずいわ吉澤・・・・・嫌な予感的中よ・・・・・・・」
「え?それって・・・・・」
「話は宿でするわ、とりあえず帰りましょう?」
- 154 名前:作者 投稿日:2002年08月01日(木)03時11分05秒
- 重苦しい雰囲気の中、宿に戻ってきた一行。
保田の緊張が続いているせいか、誰も口を開こうとしなかった。あの辻と加護でさえ・・・・・・・
重苦しい雰囲気の中、保田が話し出す。
「さっき言ってたY.nakazawaね。多分中澤裕子の事だと思うの・・・・・」
「その・・・中澤って人はどんな人なんですか?」
「かなり高位の魔術師よ、まぁ体術もかなりすごいんだけどね。」
「保田さん戦ったことあるんですか?」
「そりゃーね、相手は魔王直属の魔術師だからね。」
魔王直属――その言葉を聞いてやっと事が飲み込めたような気がする。
「何でこんなところに来てるんですか!?」
「そんなのわかるわけないでしょー?でももし・・・・・」
「もし?」
「私を認識されてたらまずい、非常にまずいわよ」
「(あれだけ派手に闘っておきながらバレてないはずがないと思う・・・・・)」
「保田さんがそんなビビるほどその人強いん?」
「えぇ、強いわよ。私らの前のパーティでもかなり苦戦したわ・・・・・・・」
遠い目をしてさらりと言ってのけた。
「そんなんアカンやないですか!私ら勝ち目ナシやん!!」
「だからまずいって言ってんの!」
「どうするんれすか保田さん?」
保田の返事を待ちながらの沈黙がしばらく続く。
- 155 名前:作者 投稿日:2002年08月01日(木)03時11分41秒
- 「ま、そんな気張ってても仕方ないんじゃない?向こうが何の目的かはまだわかんないわけだし?」
保田にしては驚くほど楽観的な答えが返ってきたことに、一同は唖然とする。
「ほらほら、いつまでもそんな顔してないで!今日はお酒でも飲みに行きましょ!」
「保田さん・・・・・」
まだ憮然としない顔の吉澤が、これまた困惑顔で声を発する。
しかし保田は、それを先ほどとは打って変わった鋭い目で吉澤を睨みつける。
その目にしてやられたのか、吉澤もそれ以上言葉を出せなかった。
「ほら行くよ?辻も加護も、今日は無礼講だよ!早く支度しなー」
ころころと表情を変える保田に困惑しつつも、保田の言葉に従う。
- 156 名前:作者 投稿日:2002年08月01日(木)03時12分30秒
- 「プッハー!やっぱ美味しいねぇ」
小さな酒場で麦酒を飲みながら保田が声をあげる。
吉澤も、先ほどのことを頭から消そうとしているのか、保田に付き合う。
「ねーねー保田さーん、それ何なんれすかぁ?美味しいんれすか?」
吉澤と保田がさぞ美味しそうに飲むので、大食漢辻が興味を持った。
「あぁ、これね、麦酒って言うの。辻も飲んでみな」
勧められるがままに麦酒を飲む辻。
――ングッングッングッ
「・・・・・苦いれす・・・・・(;´D`)」
「よーこんなん飲んでられるわ・・・・・」
「ハハッ、そうかぁ。じゃあ辻と加護にはジュースだな。すいませーん」
しばらくすると、ソーダ水で割られたカクテルがテーブルの上に並んだ。
「シュワシュワするのれす。あいぼん、これおいしいのれす!」
先ほどからアルコールを敬遠している様子の加護も、辻のこの一言により飲み始めた。
それからというもの、皆先ほどの緊迫した空気は忘れて大いに盛り上がった。
- 157 名前:作者 投稿日:2002年08月01日(木)03時13分04秒
- ――2時間後
「あーもう、辻も加護も飲みすぎだっつーの!ほら、吉澤?連れて帰るよこいつら」
「・・・・・・・あ」
「何?あんたも酔っ払ってんの?」
「いえ・・・・・ほらー辻ちゃんも加護ちゃんも帰るよー?」
慣れないアルコールのせいか、ちょっと声をかけたぐらいで起きるはずもなく
辻と加護は結局2人がおぶって帰ることになった。
2人をおぶって宿に帰る道中――
「何よ吉澤、まだ心配してんの?」
「・・・・・・・はい、まぁ・・・・・・・保田さんは心配じゃないんですか?魔王の側近ですよ!?」
辻をおぶった保田の足がピタリと止まる。それを受けて吉澤も足を止め保田のほうを向き直った。
- 158 名前:作者 投稿日:2002年08月01日(木)03時14分21秒
- 「心配・・・・・よ?でも最年長で一番しっかりしてなきゃいけない私がうろたえててどうすんのよ?
そりゃーさっきも言ってた、相手の目的が何かわかんないからまだ何とも言えないけど、
向こうが魔王の側近の裕ちゃ・・・・・中澤だったとしたら、十中八九私を狙ってるでしょうね・・・・・」
「・・・・・・・」
「吉澤、あなたを見込んでお願いがあるわ。」
「何ですか?『私がいなくなった後をお願いね』とかはナシですよぉ?」
吉澤はニマリと笑って加護をおぶさりなおす。
「バッカ、私はまだ死ぬ気はないっつーの!」
「ハハハ、冗談ですよ」
「あのね――」
- 159 名前:JUN 投稿日:2002年08月01日(木)08時02分43秒
- ( ´ Д `)&( `.∀´)脱退……
ちょっと逝ってきます。。。
でも小説のほうは応援してるんで頑張ってください
- 160 名前:作者 投稿日:2002年08月03日(土)23時33分59秒
- ◇
昨日よりは幾分か緩い陽射し、それでも空は青く澄み渡り、そよそよと吹く風も心地良かった。
グラウンドの中央には向き合う二つの影、どちらも晴れ渡る空を象徴するかのような澄みきった顔をしている。
「あいたた・・・昨日飲み過ぎたかも・・・・・」
その片方が眉間を押さえて軽口を言う。
「ハハッ、私勝っちゃっても知りませんよぉ?」
もう片方がその軽口を受けて、冗談を飛ばす。
「言ったなーまぁ頑張ろうよ」
「はい!」
2人の表情には決意が満ち満ちていた。
澄みきった空気の中に、試合開始を告げる鐘が高らかに鳴り響いた。
- 161 名前:作者 投稿日:2002年08月03日(土)23時34分42秒
- ◇
「あのね、もし中澤が私を狙ってくるとしたら試合中、もしくは試合直後だと思うのね。」
「はい」
「だからって試合をそっちのけにするわけにはいかない、観客に失礼だしね。」
「で、でもこういう場合じゃ仕方ないんじゃ――」
辻をおぶったままの保田が首をゆっくり横に振る。
「仕方なくなんかない、これは私たちの事情・・・・・何も関係ない観客に不快な思いはさせられない。」
「・・・・・・・・」
「だから、私と闘ってる間も回りに気を張ってて欲しいの。吉澤だったらそれぐらいできるでしょ?」
「・・・・・・・はい」
「試合後に襲ってきた時のためになるべく体力は温存する」
「でもそれじゃ観客に失礼じゃ・・・・・・矛盾してますよ」
「限りなく本気で闘う・・・・・フリね。私本気のフリするの上手いんだー吉澤はどう?」
「・・・プッ・・・アハハハ、本気のフリですかぁ?騙しじゃないですかー」
吉澤の笑い声により張り詰めた空気が解けていく。保田も笑みを浮かべていた。
「まぁ来ないことを願ってるわ、中澤がね・・・・・」
浮かべた笑みを口許に残しつつ、おそらく本心であろう言葉を口にする。
「そうですね・・・・・」
こうして2人はまた宿への道を歩きだす。
- 162 名前:作者 投稿日:2002年08月03日(土)23時35分34秒
- 「ねぇ、保田さーん?」
「んー?」
「この子たちは明日どうするんですか?辻ちゃん加護ちゃんは」
しばらくの静寂、それに伴う吉澤の緊張。
「悪いけど、明日は寝ててもらう・・・・・アルコール入ってるしそうそう起きないでしょ」
「そう・・・・・ですよね」
「何?不満?」
吉澤の顔を覗き込みながら顔色を窺う。
「いえ、違います。やっぱそうした方がいいのかなぁって私も思ってました・・・・・」
「中澤と対峙するにはまだ幼すぎるし弱すぎる。
私の加勢をしたら、たとえ今回は大丈夫でも次またやってくる・・・・・」
「保田さーん、私もそんなに強くはないですよー・・・・・」
「大丈夫よ、紗耶香をサポートしてた時のようにサポートしてあげるからね」
「うぅ、プレッシャー・・・・・」
「もしもの時は・・・・・宜しくね」
「結局そうなるんですかー?」
満点の星空の下、静寂を切り裂くように2人して笑った。回りを気にせず、大声で――
- 163 名前:作者 投稿日:2002年08月03日(土)23時38分23秒
- 更新です。
( ´ Д `)<・・・・・んぁぁ・・・・・
>>JUNさん
自分も結構ショック受けました。
でも自分に何ができるわけではないので、これからもお願いします。
相変わらずグダグダですが・・・・・
- 164 名前:JUN 投稿日:2002年08月03日(土)23時45分44秒
- ごちーん!!!(泣)
- 165 名前:JUN 投稿日:2002年08月28日(水)02時49分03秒
- ごっちんの新曲を聞いてやっと立ち直ってきました
ごっちんも作者さんも頑張ってください!
- 166 名前:JUN 投稿日:2002年09月02日(月)03時56分53秒
- 作者さんどうしちゃったのかな?
( ´ Д `)
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