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超SFチック音楽アクションコメディ『フレブル』
- 1 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時18分11秒
- それはもんっのすごく簡単で難しい質問だったかも知れない
覚えてるようで覚えてない
覚えてないわけじゃないけど言えない
言えないけど恥ずかしいわけじゃない
おねしょよりかは恥ずかしくないけど
やっぱり恥ずかしいかもしれない。
そんな質問だったような気がする。
っていうか、それは突然やってきた。
突然やってきて、居座った。
居座る前にブン殴られた。
痛かった。
そいつは、アイツと一緒に来た。
アイツは未来系でイケてるらしい。
イケてるかどうかは、私には分からないけど
正直、カッコいいかもしれない。
たまに、カッコ悪いけど。
そんなお話。
- 2 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時20分41秒
- 壱、chord Eb 『そんなハラヒレ』
別に毎日する事もなく、ただ他人に愛想笑いするのだけはいやで
古い言葉だけどツッパって見せてた。
カラオケはあんまり行かないでビリヤードにハマって
10080分という一周期の中でどれだけの時間
そこにいたかは覚えていない。
これで漫画のように金持ちのボンボンで
金だけは余ってたりしてくれると
幸いなのだが、私の家はしがない駄菓子屋で
そんな面白エピソードもなく育った。
ただ父親は私が3歳の時からシベリアのマンモスの骨を取りに行き、顔を見た覚えもなく
家にはいまだに関西弁の抜けない母親と少しボケたばあちゃんが1人いた。
「ただいま」
まだ日が落ちるには早い時間。
夕食を外で済ますお金もなく
私は家に帰ってきた。
「おかえり、いちーちゃん」
店の中にはうちの母の代わりに幼馴染みの後藤真希がいた。
またお駄賃の代わりに店の中のお菓子を食べてる。
「お前、太るぞ」
「あはー」
そんなやりとりはいつもの事。
「お、帰ってきたんか、紗耶香?」
台所から顔を出したのは母 裕子。
- 3 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時21分24秒
- いい加減、いい年なんだから金髪はやめてくれという言葉を飲み込んで
不機嫌そうにそっぽを向いた。
「なんやの?悪い事でもしてきたんか?」
知ってるくせに。
娘にはそんな根性もない事。
「おつかい行ってほしいんやけど」
「いいよ」
一枚のメモと、祖母 圭が作った手製の籠を渡され
制服のまま、また家を出る。
「待って、いち・・・・・・」
「待ってるから」
中学の制服。
確か校則では禁止のルーズソックスの具合を直して
履き慣れたローファーに足を通す。
踏みつぶされたかかと。
パタパタと音を立てて、真希が飛びついてきて
腕に腕をからませてくる。
「いいよ!」
「はいはい」
- 4 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時23分42秒
- 歩き出す2人。
昔からこうだ。
真希は紗耶香が行く所には必ず付いてくる。
紗耶香が中学を卒業する時など
実家から通うというのに
一緒に登校できないと大泣きしたのだ。
「えへ」
「えへじゃないよ、、、、」
「なにがぁ?」
甘え腐って、デレデレとした顔で
紗耶香の肩に頭を乗せてくる。
鼻をくすぐる甘い香。
中身はなんも変わってないのに
少しずつ育っていく真希の姿に
紗耶香は少しドキリとする。
「歩きづらいっつーの」
「いいじゃん」
より一層、ギュっと抱き締められた腕。
真希の大きな胸に押し当てられる。
「いちーちゃん、顔赤いよ」
「バ、バカ!」
「バカってなにさー?」
「ふんっ!」
「あ、怒っちゃヤダよぉ」
他愛もない毎日。
そんな日々。
- 5 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時24分36秒
- 私達が歩く川沿いの土手の反対側から
赤く燃え始めた夕日を背に
スクーターが一台走ってくる。
「あ、スクーピー」
「いちーちゃん、早く二輪取ってよー」
バイクの運転手はえらく小さな女の子だった。
それが光の加減かと紗耶香は目を疑ったが
もう一回凝らしてみると、それが嘘ではない事に気づく。
彼女は背中に、ギターケースを背負っていた。
「!?」
よく見たら、ものすごい速さでそれが迫ってきていた。
運転手はまっすぐにこっちを見ている。
(こ、殺される!)
そう思った瞬間、紗耶香と真希の目の前でバイクは急停車した。
「可愛いじゃん、2人とも」
小さい女の子はバイクゴーグルをはずしながら、そう言った。
「はぁ?」
「あー、あたしは矢口真里。よろしこ!」
真里は紗耶香の手を掴み、何かを握らせると
またゴーグルをかけた。
「ちょっと!」
呼び止めようとする紗耶香。
- 6 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時25分16秒
- 「へぶあっ!!」
砂煙が舞って、何も見えなくなり
真希が目を開けた時には真里は遥か向こうに消えていた。
紗耶香もいない。
「いちーちゃーん?」
反応がない。
「いちーちゃぁーんん?」
反応がない。
「いちーちゃん・・・・・・?」
煙が晴れてきて、全貌が明らかになる。
地面に倒れた紗耶香の頭には大きなたんこぶ。
「いちーちゃん!!」
走りより揺さぶるが、うめき声も返ってこない。
「とりあえず持ってかえろう・・・・・・」
紗耶香が羽織ってたパーカーの襟首を持って
真希は紗耶香を引きづりながら帰る事にした。
- 7 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時26分03秒
- 週刊(予定)
- 8 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時27分00秒
- どうも、L.O.Dです。黄板とかでもやってます。。
- 9 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月29日(月)09時29分16秒
- 六話完結で三話まではすでに書き終わってます。
お楽しみに。
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時10分46秒
- 弐、chord Gm7 『がーる×肉達×がーる(Girl meets Girl)』
「痛っ」
次に目を覚ました時には後頭部がジンジンして
目の前がグルグルした。
確かな記憶はないのだが
ひどく固いものでブン殴られた気がした。
しかも、その固いものへの記憶が確かなら
あの小さい女 矢口真里が背中に背負っていた
ギターケースがブチ当たった気がするのだ。
「ったく、なんなんだよ、あいつー」
痛む頭を押さえ、上半身を起こしたところで
枕元にあったゴミに気付いた。
グシャリとにぎりつぶされた紙クズ。
「あー、、これはー、、、、」
まだボーっとしてたが、その確認作業はしておきたくて、本棚を漁る。
取り出したるは、エヴァンゲリオン。
「やっぱり」
ダミープラグによって握りつぶされた鈴原トウジを乗せたエントリープラグの
凹み具合にそっくりだ。
紗耶香はそれを手に取ってみる。
文字通りグシャリと音がしそうな形だ。
だけど、見れば見るほど、なにか安心感を得る。
なんだろう。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時11分56秒
- 突き動かされるように、その紙クズを開いた。
「なんじゃこりゃ」
汚い字で
『ルードコード20983-44877 座標軸113-297-118にて発見
観測員スメラギサバオ 超時空間斬裂にてしっかりと葬る』
などと書かれている。
ガキのいたずら、とゴミ箱に捨て
階下に降りる。
いい匂いがした。
「起きたの?」
「なんだ、生きてたのかい?」
「おはよ、いちーちゃん」
今夜はすき焼きらしい。
「なんで、お前がうちで飯食ってるんだ、ごとー?」
「やぐっちゃんが食べてけって。」
「?」
「やぐっちゃんだよ」
ガラッ!!
紗耶香の目の前の襖が力強く開き
姿を現したのは、まぎれもなく
紗耶香の後頭部にギターケースをブチ当てていった女 矢口真里
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時15分07秒
- 「さぁ、遠慮なく食え!」
「なんで、あんたもいるの?」
「どや、かわいいやろ!かわいいやろ!!!!」
裕子が真里に抱きつき、頬ずりし、キスしてる。
「まぁ、家政婦さんの1人もいていいじゃないの」
圭はそう言いながら、茶をすする。
いつもなら、『まずいわぁ、クソがぁあああ!』と叫び
裕子に茶碗を投げ付けるのだが、それがない。
どうやら紗耶香以外の全員が、ここに真里がいる状況に
否定しないという事である。
「というわけなのだよ、分かったかね、紗耶香君。」
と言って、ポケットから出した髭をつけて、それを撫でる真里。
「わかんないよ!」
「もう君の意見ではなにもまかり通らなくなったのだっ!!
市井家はすでに私のものと言っても、かご・・・・・・がふっ!」
市井の手が真里の頭を掴んでいた。
「黙れ、このおもちゃ!」
「やめや、紗耶香、壊れてまうで」
「そうだよ、ネジ巻くの大変なんだからー」
「ネジ!?」
「そうだよ、私は32世紀から来た超高性能ロボ・・・・・・」
「嘘つけぇ!!」
紗耶香は部屋から飛び出した。
真希はちょうどよく煮えた鍋の中を見る。
「おいしーのに、肉なしすき焼き」
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時16分03秒
- 自分の部屋の窓からは、真っ黒な空にもくもくと煙を上げる
UFAの工場が見えた。
世界的にも有名なパンのみみ製作所UFAの工場が
この街に来て、3年は経っただろうか。
それ以外はなにも変わる事なく過ぎてきた時間が
矢口真里という女の出現で一変しようとは思ってもみなかった。
「ヘイ、彼女、たそがれてるねー」
ポロリン
ギターをつまびく音。
矢口真里の身体には大きすぎるギター グレッチのナッシュビル。
「なんなんだよ、あんた!」
「なんでもないねー、オイラは旅人さ」
「旅人がなんで私の知らない間に家に上がりこんでるんだ!?」
「いやぁ、裕ちゃんがどうしても『君の作った御飯が食べたい』
っていうからさぁ、なりゆきなりゆき」
ヘラヘラ笑ったか、と思うと、部屋の中に入ってきて
椅子に座り、ギターを弾き始めた。
「にんげぇんなんてららぁらーらぁらららーらぁああ!」
「うるさいなぁ」
紗耶香は耳を塞ぎ、怪訝そうな顔。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時18分02秒
- その時、真里の身体がビクンと大きく揺れた。
さすがの紗耶香も何かあったのかと心配になる。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だけど、行くぞぉおお!!」
「ど、どこにぃ!?」
「ここ!」
真里は紗耶香の手を掴んだ。
そして、ギター片手に窓へと走る。
「!?」
バッ!
2階の紗耶香の席から見事なまでの飛び下り自殺。
(いやだぁあああああ!!!)
「うし」
真里の身体は見事にスクーターのシートに座った形で着陸。
「捕まってろよ、紗耶香!」
勢いよくスタート。
その頃、紗耶香はリアシートに頭から叩きつけられ、失神していたのであった。
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時19分02秒
- なにやらカッチョいい青白い炎をブッ放しながら
国道を240km/hオーバーでカッ飛ぶスクーターに揺られ
やってきたのは、地獄の業火に包まれた街。
「イエーイ、みーつけたぁ」
真里はニマァと笑う。
炎の中から現れるは、巨大な犬のお化け。
しかも、大きな目の玉一つが顔の真中付きという代物だ。
明らかにこの世の物じゃない風を漂わせている。
「ガキンチョのお遊びに付き合うほどヒマじゃないんだよぉおお!」
右手に握るギターを構えると、勇猛果敢に挑む。
「せるあぁあああああ!!」
どこからそんな力が出るのか軽々と
自分の身長の3倍はあろうかという
犬の鼻っつらを飛び越えた真里。
振り下ろしたギターは後頭部にブチ当たる。
ガイィイイイイイン!
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時19分52秒
- 「やっぱセミホローは中が空洞なだけあって、いい音するねぇ」
などと、愛ギター グレッチナッシュビルを誉めながら
クルリと回転して、地面に降り立つ。
振り返ると、犬もこっちを見てる。
「しぶといヤツは女の子に嫌われちゃうんだぞぉ!」
犬の鋭い牙が刹那、真里が立っていたコンクリートに食い込み
まるで木の生皮でも剥がすように引き千切る。
真里の身体は身軽に犬を蹂躙していく。
その間にも犬の身体はさっき喰らったコンクリートを消化したようで
表面が見るからに固くなってく。
「進化してるねぇ、オイラあんま好きじゃないけどねーー」
またバイクの元へ戻ってくる。
いまだ失神したままの紗耶香。
どうする、矢口真里。
真里の小さな手が紗耶香の首を掴んだ。
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時22分45秒
- やじうま根性丸出しの真希は一生懸命
自転車で炎に包まれた街中がよく見える丘に来た。
胸からブラ下げたカメラをかまえる。
「おぉー、でっかい犬だー」
持ってきたバッグからさらにデカいレンズを取り出し、装着!!
「いちーちゃんはいないかなー」
そう、彼女は紗耶香を探すためだけに
この1メートルはあろうかという巨大レンズを持ち出したのである。
彼女にとって、市井紗耶香は絶対。
なにはなくとも、一緒にいたい。
そのいちーちゃんが真里と共にいなくなった。
それと同時に火事が起きて
なんかでっかい犬が出た。
となると、いちーちゃんと真里→犬を見に来た、という構図が
真希の頭の中に浮かんだらしく
パジャマのまま、ここに来ていた。
カメラのファインダーは紗耶香を捕らえてる。
心無しかグッタリしてる御様子。
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時24分21秒
- 「ガスでも吸ったかなぁ」
その瞬間、真里がグレッチナッシュビルで紗耶香の頭を叩き割る。
「あー・・・・・・血、出てる」
地面に伏してる紗耶香。
真希は淡々とそれを見てる。
「立ったー、、、ん、戦ってる」
猫背ぎみになった紗耶香が猫まっしぐら犬に飛びかかり
ガンガン拳でブン殴ってる。
犬に効いてるのか効いてないのかまったく分からない。
頭を振っただけで、紗耶香はどこか遠くへ飛ばされた。
真里と犬が対峙する。
紗耶香は一体なんだったんだろう。
真希のカメラは紗耶香を探す。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時26分51秒
- いない。
いない。
いた。
半壊したビルから鉄骨をひっぺがしてる。
「なーにしてんだろ、あの人。」
あくまで呑気な声。
大仁田厚ばりに頭部から血を流しながら
10メートル近い鉄骨抱えて
歩いていく紗耶香の姿は
勇ましいというか、明らかにおかしい。
しかも、犬の後方から前に向けて、鉄骨をモロに突き刺していった。
「あぁあ、痛そう」
鉄骨をブッ刺したところからなにやら吹き出して、
紗耶香は得体の知れない液体でデロンデロンになる。
天高く跳ね上がる真里を真希は見ていた。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時28分00秒
- ガイィイインと犬の大目玉を叩き潰すグレッチナッシュビル。
「うーん、この音がたまらないね」
犬の身体が光りを放ち、次々とモザイク状にバラバラと解体し
空へと散っていく。
残ったのは透明な汁、、、、いや、白く濁った汁でドロドロの紗耶香。
「イカくさー」
真里はそう言いながら、鼻をつまむ。
「・・・・・・」
「あー、それねぇ、未知の生命体X」
「X・・・・・・?」
「そう、そいつらやっつけるのがオイラの役目」
「嘘くせー」
「まぁーそういうなって、紗耶香」
ギターをギターケースに入れて、紗耶香の顔に手を伸ばす。
顔についた残骸を舐め取る舌。
生暖かい。
少し苦い。
「マジー、、、、」
「なら、舐めなければいいじゃん」
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時29分33秒
- っていうか、それは突然やってきた。
突然やってきて、居座った。
居座る前にブン殴られた。
痛かった。
そいつはなにかと戦ってた。
自分自身かも知れないし
他人かも知れないし
世間かも知れないし
一見、それはこの世のものとは思えない何かだけど
実際にはよく知ってるものなのかもしれない
私にはよく分からない。
とりあえず、このセイエキっぽいのをどうにかしたい。
市井紗耶香の日常はヘンテコになってしまった。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時30分22秒
- 翌日の朝
「おはよう、、、」
セイエキみたいなの地獄から解放されて
ゆっくり眠った紗耶香は朝御飯を食べるため
居間に来る。
襖を開けると、そこには裕子、圭。
真希はまだいい。許す。
真里が普通に座って、飯を喰ってるのが解せない・・・・・・
そんな紗耶香を見て、真里がニヤリと笑った。
「紗耶香、すき焼きなくなっちゃうよ」
そこには、肉しかないすき焼きが。
- 23 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)23時31分16秒
- 更新終了
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)13時04分59秒
- そろそろ、続きが読みたいんですが……
お忙しいのでしょうか?
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)18時20分46秒
- 裕子につよい圭ばぁに笑った。
文章にひきこまれます。
がんばってください。
更新めちゃ待ってます。
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月01日(火)09時05分31秒
- あっちの連載が終わってからかな
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