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青春とは心の若さである
- 1 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月06日(火)13時30分25秒
- 新しく小説をはじめるぞ。
っても、面白いかどうかは、わかんないけど。
ひまなら、読んでくだされ。m(__)m
ちなみに、カップリングは不明だが(今の予定と変わる可能性が・・・)
最初は中澤裕子と市井紗耶香がでていることは確か。
そのあとは・・・いちやぐになって、くら〜くなってゆくだろう(藁
ついでと言っちゃ何だけど、更新は激遅とみた。
まだ、前振りしか考えてないから。
それでも、よかったらよろしくっ。
- 2 名前:フォークアルバム発売! 投稿日:2001年11月06日(火)13時35分13秒
- 「何だって急な話やなぁ。しっかし、驚いたわ。」
「へへへっ、だって驚かせたかったんだもん。いーじゃん。」
「市井と歌うか?」なんてマネージャーから言われてから、一ヶ月であっと言う間に
話はすすみ、レコーディングと言うことになっている。そして、CDも出るらしい。
最初に話をもらったときに、いきなり会って歌うのも何だし、色々募る話もあるしで、
電話をして、市井に会う約束を取り付けておいた。
お互いのスケジュールで、会うのは1週間後の夜に決まった。
そして、会ってみて第一声が、
「裕ちゃんのうちに行きたいなぁ。」
だったもんだから、なんや襲われるんか?などと邪推しながらも、こっそり喜んでいた。
まあ時間が時間だし、ファミレスで未成年相手にビールを飲むのも気が引けたので、
適当にコンビニでつまみとビールと、市井のためのジュースみたいな酒を買い込んで
連れてきたのだった。
(連れ込んだのではないのだった。)
- 3 名前:フォークアルバム発売! 投稿日:2001年11月06日(火)13時40分33秒
- 「何だって急な話やなぁ。しっかし、驚いたわ。」
「へへへっ、だって驚かせたかったんだもん。いーじゃん。」
「市井と歌うか?」なんてマネージャーから言われてから、一ヶ月であっと言う間に
話はすすみ、レコーディングと言うことになっている。そして、CDも出るらしい。
最初に話をもらったときに、いきなり会って歌うのも何だし、色々募る話もあるしで、
電話をして、市井に会う約束を取り付けておいた。
お互いのスケジュールで、会うのは1週間後の夜に決まった。
そして、会ってみて第一声が、
「裕ちゃんのうちに行きたいなぁ。」
だったもんだから、なんや襲われるんか?などと邪推しながらも、こっそり喜んでいた。
まあ時間が時間だし、ファミレスで未成年相手にビールを飲むのも気が引けたので、
適当にコンビニでつまみとビールと、市井のためのジュースみたいな酒を買い込んで
連れてきたのだった。
(連れ込んだのではないのだった。)
- 4 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月06日(火)13時41分37秒
- うわっと、いきなりミスってる。
すんません。
- 5 名前:れっつ飲み会(中澤宅) 投稿日:2001年11月06日(火)13時43分01秒
- そんなわけで酒を飲みながら、とりあえず今後の話を市井に聞いてみた。
自分よりも少しは詳しく知っているはずである。
「実はね、全然わからないんだ。だって、市井も突然聞いたんだもん。」
「そうなんか?なんや事務所もいいかげんすぎるやろ。」
「でも、また戻れるなんて嬉しいから。メンバーみんな元気?・・・みたいだね。
暇人としては一応ハロモニ見てるんだけどね。」
「娘。抜けても、一緒に仕事してるから、私の娘。のイメージが抜けきらんのやろか?」
「違うよ。よくわかんないけど、私が戻っても、元モーニング娘。っていう肩書きはしば
らく付いて回るし、娘。ファンの人が私を見てくれるんだろうから、娘。っていう活動
が私たちのスタートのきっかけだって事は、すごいことなんだって。」
「まあ、そんなに簡単にソロにはなれへんってことやな。」
- 6 名前:れっつ飲み会(中澤宅) 投稿日:2001年11月06日(火)13時45分11秒
- たった一年一緒にいなかっただけで、成長したと実感させられるくらい、市井はしっかりしていた。
そういえば、思い出す。あのときの後藤。
あんなに沈んでいても、時間は傷を癒してくれる。
そして、あの当時新メンバーだった4人も既に馴染んで、そしてまた4人が追加された。
時間がたつのは本当に早い。
「それは、裕ちゃんも着実に歳とってる証拠じゃない。」
市井は、懐かしさにしんみりしかけた空気を替えようとしていた。
「あほっ、歳の話は禁句やっちゅうねん!!いつまでも裕ちゃんは若いんよ。そんなこと
言う奴には、年上の凄さを思い知らせたる。紗耶香、グラスを持ちぃ!日本酒や。」
「……マジっすか?!」
そんなわけで、ほろ酔い加減の市井が気を遣ったはずの一言は、だいぶ酔っている中澤の地雷になり
『紗耶香芸能界復帰記念&今後の打ち合わせ会』は『たった二人の我慢くらべ大会』になってしまった。
- 7 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月08日(木)14時45分20秒
- さて交信するか。
話の先がきまんな〜い。
とりあえず、続き。
- 8 名前:れっつ飲み会(中澤宅) 投稿日:2001年11月08日(木)14時48分01秒
- 結局、当然の事ながら勝ってしまった中澤は、つぶれている市井を抱きかかえて、
自分のベッドに運んだ。
そして、自分もそのまま着替えて、ベッドの中に潜り込んだ。
横に寝ている市井を見ると、体型が少し丸みを帯びて女らしくなった気がする。
細くて山を描いている眉毛は、ちょっと好かんなぁ、と思いながら市井の背中を
見つめていると、突然寝返りをうって、こちらを向いた。
「…ごめ、ん、裕ちゃん。運んでくれたんだ。」
「なんや、寝ててえぇよ。明日の朝起こしたるし。大人げないコトして悪かったな。」
すごく怠そうにしている市井を気遣って、中澤は優しく答えた。
「…裕ちゃんさ、その、優しさで…矢口、落としたでしょ?」
「……なんでや?」
「やぐっちゃ、んから聞いたん、だよ。久しぶりに、メールが来たときに、聞いたの。」
大人は酔いが醒めるのも早いのだ。
特に中澤は、酒からの立ち直りも早かった。
酒は既に、中澤の起爆剤となっている。
「人に言ったらあかん、って口止めしたのに、矢口め。(怒)」
「いーじゃん、よっぽど嬉、しかったんじゃない、の?ラブラブなん、でしょ?」
「……そうやけど。何、言わせるんっ!」
- 9 名前:大好きな人 投稿日:2001年11月08日(木)14時54分15秒
- 明らかに、分が悪くなってしまった。こんな事で動揺したらあかん。
そんな思いで、話を変えようと試みたのだった。
「人のことばっかり言ってないで、紗耶香はどうなん?」
「…ちょっと、お水、ちょうだい。」
気づかぬうちに、市井はこめかみのあたりを押さえて、目をつぶっていた。
「あ、すまん。今持ってくるわ。」
水を飲み干した市井は、天井を見あげたままだ。
口を開こうとしない市井に見かねて、ここぞとばかりにあのネタを持ち出した。
「紗耶香、あんたはどうなん?彼氏できたんか?もしかして本当に…」
「ユウキじゃないよ?たまたま遊びに行ったら、あんな事になってびっくりしたけどね。
今は彼氏いないよ。」
「彼氏じゃなくても、好きな人くらいいるやろ?」
「ん〜、どうだろ。それにさ、恋人とか型にはまったのって、面倒くさくない?
誰でもいいから、一緒にいて安心できる人が1人でもいれば、それで良いと思う
んだよね。男とか、女とか関係なく。別に自分がバイセクシャルです、って言う
んじゃないけど。」
ふと、言葉を切って、目を閉じ、そして続けた。
「本当にどんな人でも自分の事を考えてくれる人がいればいいかな。」
- 10 名前:大告白大会 投稿日:2001年11月08日(木)14時57分38秒
- そう言って、こちらを向いた市井の顔はあまりにも儚くて、さっきまでの強さは
みじんもない。
それどころか、まるでまたいなくなってしまうかのような様子を漂わせている。
そう思った瞬間、無意識のうちに抱きしめていた。
「裕ちゃん、離れないとやぐっちゃんから怒られるよ。」
「いやな、なんかあんた消えてしまいそうでな。」
「ははっ、大丈夫だよ。せっかく夢が叶うのに消えたら元も子もないじゃん。」
「せやな。あ、こんな事、聞くのも何だけど、前には恋人いたんやろ?」
ふっと、息をのむ音が聞こえたが、声は何も聞こえてこない。
酒は、どうやら中澤のデリカシーすら壊してしまったらしい。
もしかしたら、禁句やったんか、と心配していたその時。
「裕ちゃん、誰にも言わないって、約束できる?」
「ああ、もちろん。そう言うならいわへんよ。」
恥ずかしいのか、そんなにヤバい過去でも持ち合わせているのか。分かりかねたが、
とりあえず次の言葉を待った。
「…ま、いいか。裕ちゃんが知っている人だと、う〜んとね、……」
知ってる人だと、って・・・何人もおるんかなぁ。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月08日(木)18時20分40秒
- さやまりたのしみですけどなんか市井ちゃんが・・・。
これから先期待しております。
- 12 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月10日(土)02時24分20秒
- いえすっ!
今日もとりあえず交信しときます。
マジで、話がまとまんね〜。
>11 名無し読者さん
市井ナンバー、getっすね。
この市井ちゃむのキャラ、やばいっすか?
たまには”灰色ちゃむ”もアリかな、と。(黒ではない)
ヤバいときは、つっこみ入れてくだされ。
- 13 名前:大告白大会 投稿日:2001年11月10日(土)02時25分55秒
- はい?なんやって??
自分の耳が拒否したかのような、耳鳴り。
市井の声は頭の中を渦巻いている。
「矢口だよ。裕ちゃんと付き合うからって、別れさせられたけど。」
うちが悪いん?責めてるんか?
そんな疑問を問いかけるように、怖々、市井を見つめる。
「裕ちゃんのせいじゃないよ。矢口が今どう思っているのかなんてわからない
けど、きっと私より裕ちゃんの事が好きなんだろうし。でも、私はまだ矢口
のことも好きなんだ。どんな理由があるわけじゃないけどね。でも、ずっと
一緒にいたいと思ってた。」
泣いてしまうのではないかという中澤の心配は、杞憂であったが、なんと声を
かけてよいかは分からなかった。
ただ、見つめるしかできなかった。
- 14 名前:大告白大会 投稿日:2001年11月10日(土)02時26分49秒
- すると、ふっと目を見つめられて、月の明かりが映し出す悲しみが、市井の瞳の
中に急に濃くなった時、市井は再び口を開いた。
「・・・でも、離れる原因を作ったのは、間違いなく私だから。」
そう言った瞬間、市井は中澤へ口づけた。
- 15 名前:冷静になれっ 投稿日:2001年11月11日(日)02時13分37秒
- 「??!ちょ、ちょぉ、待って!」
力で押し戻し、ベッドの上に正座する。かなりの不意打ちだ。
心臓の爆発的な鼓動を隠して、市井を挑発するような目つきで言う。
「こんな場所でキスするなんて、遊びで終われると思てへんやろな。」
市井の目を見つめると、あまりにまっすぐな瞳にぶつかってしまった。
これでは冗談とは言い難いやないか。
心の中で焦りながらも、ちょっと溜め息をついて、言葉を切り出した。
「・・・本気なんはわかったから、ちょっと話を聞かせてくれんか?
うちに来るなんて、なんか話があるんやろ?」
中澤に促されて市井が話し始めた内容は、それは長い長い話だった。
- 16 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月11日(日)02時17分50秒
- そんなわけでポッキーの日交信。
朝になれば大切な電話がけがあるから、早く寝なくちゃ。
そんなわけで、少しだけ。
- 17 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月11日(日)02時19分00秒
- ・・・・・・・・・・・
モーニング娘。に入って、少しは慣れてきた頃だったかな。
きっかけは何だったかよく覚えてないけど、矢口から手紙を受け取ったんだ。
この時代なのに。
普通ならメールでしょ?って感じなんだけど、「いーから。」なんて言われ
ながら、押し切られて受け取っていたヤツだった。
朝、集合してすぐの出来事だったんだよ。頭も活動して無くてさ。
その時は、なんだかよく分からなくて、ポケットに突っ込んでたんだけど、
ダンスレッスンの合間にジュースを買いに行った時に、ポケットの中にある
のを思い出して、自販機の横にあるイスに座って、開いてみたらさ。
- 18 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月11日(日)02時19分43秒
- ・・まあ、中身は想像できるでしょ。
ルーズリーフを切ったような紙に、ギャルっぽい矢口の字でさ、
『サヤカのこと、好きだよ』
ってだけ書いてあった。
その時は、訳分からないけど、嬉しかった。
つまり、それは自分が若かったてことかな?
あ〜、怒らないで。
別に歳の事じゃなくて、経験が浅いって言う例えだよ。
まあ今更だけど、あの当時は、追加組としてはオリメンが怖かった。
だから矢口の手紙は「仲間だよ」っていう意味だと思って、嬉しかった。
せっかくだからと思って、返事も書いてみたんだ。
ちゃんと、紙とペンでね。
次の日に渡したよ。
『ありがとう。うれしいよ。
私も矢口のこと好きだよ。
矢口の「好き」はLIKE?
もしやLOVE?(笑)』
- 19 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月11日(日)02時20分40秒
- こんな感じ。
とにかく、心強い味方ができたってことで、舞い上がってた。
私も矢口がいてくれるとなんだか居心地がよかったし。
同じ「学校通い」っていう状況だったからかもしれないけどね。
- 20 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月11日(日)02時21分14秒
- そしたら、その次の日、また手紙をくれてね。
『えっと、LOVEだよ、もちろん。(笑)
サヤカはどうなのさ?』
まだ中学生の市井には、こんな手紙交換が面白かったみたい。
メールじゃダメな理由は別になかったんだけど、ちょうど交換日記
みたいな感じじゃない?
それが楽しかったのかもしれないよね。
もちろん、何か書かなきゃと思って、また、返事を書いたんだ。
『もちろん、矢口と一緒。
うちら、相思相愛じゃん!!
じゃ、いっそのこと付き合う?(笑)』
本当に短い文で、何かのメモ帳だったり、ノートを切ったりした
小さい紙に書いて交換したの。
もちろん、他の誰にも知られずに手紙交換をする事が、ますます
面白く感じさせてくれたのかもしれないね。
- 21 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月11日(日)02時22分50秒
- そんなわけで、結構交換してたんだよ?
毎日会っているのに、その日感じたこととか、わざわざ書いて
次の日渡したりとか、本当にたわいもないものだったけど。
オフとかで会わない日は、学校の授業中とかに、ルーズリーフに
書いたりしてさ、真面目にノート書く振りしながらね。
そういう日は、結構長い手紙になったりとかしてたかな。
中身は、授業つまんないとか、天気がいいから、眠いとか。
すっごいくだらないんだけど。
でも、気づかなかった。
いつの間にか、レッスンの時も、控え室にいるときも、矢口のこと
目で追いかけてた。
学校にいても、矢口のことを考えるようになってたんだ。
オフの日は、誰よりも矢口のことが気になってた。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月12日(月)00時27分52秒
- よさげな小説発見!!
さやまり好きとしてはこの二人に幸せを!!と思うけど
ゆうちゃんもすきだし・・(笑)
楽しみにしてるんで頑張ってください。
- 23 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月12日(月)21時41分37秒
- おっす!オラ・・・
そんな古いネタであいさつしている場合でも無いんだが。
遂にちゃむ復帰のライブチケットが取れなかったので。
悲しみにくれているから、この程度の香辛料で。
>>22 名無し読者さん
よさげとは、お褒めの言葉を頂き光栄でござる。
拙者も、稚拙な文章ながら頑張る故、応援4649(亡
しかし、書き込んでくれている人が、皆ゾロ目なのが気になる。
- 24 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月12日(月)21時43分26秒
- でも、それが「人を好きになる」って事だなんて、全然気づかなかった
んだよね。
いっつも矢口から手紙をもらって、こんな事を考えてるんだ、こんな事
してるんだ、なんていうのを知ってる自分がいて。
だから、矢口の行動が知りたいだけだと思ってた。
娘。にだいぶ馴染んでからも、ずっと手紙は交換してたけど、オフとかで
一緒に遊ぶ事なんて、そんなになかったよ?
- 25 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月12日(月)21時44分04秒
- で、いつだったか仕事が予定より押しちゃって、終電無くなった日が
あったじゃない?
誰が言いだしたのか忘れたけど、次の日が午後からだからって、みんなで
なっちの家に泊まろうってことになったんだ。
あ、みんなって圭ちゃんと矢口と市井、それに家主のなっちね。
えっ?違うよ、別に仲間はずれじゃないってば。
たまたまこのメンバーだったんだって。
そして、なっちの家でも、別に寝るだけ。
のはずだったんだけど、なっちが「トランプしよう」って言ったらさ。
みんな、修学旅行のノリで、すごい盛り上がっちゃったんだよね。
帰りに買ってきたお茶を片手に、ババ抜き10回戦。
勝った人が「ベッドに寝る権利獲得」って言うわけで、燃え上がった。
だって、負けたら床だよ?
ソファーとかじゃなく、床はキツいって。
そりゃ、5月になって暖かい日が続いたときだったけどさ。
- 26 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月12日(月)21時45分32秒
- 案の定、市井は勝ったわけ。
まあ、ゲームごとで負けるわけがないんだけどね。
とにかく、ベッド就寝権を手に入れたから、持ち主のなっちと他の二人を
差し置いて、ゆったりと寝ました。
何時だったか分からないけど、もう明け方だったっけ。
でも、お茶飲み過ぎたみたいで、すぐに目が覚めちゃったんだよね。
ベッドの下で丸まって寝ている三人を横目に、トイレに行って戻ってきたら
なんか知らないけど、矢口がベッドの中にいて、こっちを見てた。
「ちょっとね、人の所にこないでよねー。」
「なんだよう、サヤカが蹴るから目が覚めちゃったんだぞ。
罰として、ベッドの半分を譲りなさい。」
- 27 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月17日(土)21時28分32秒
- 小声で会話しながら、そんなわけでとりあえず、矢口はベッドで眠ってた。
目覚ましは10時にセットしたから、まだまだ寝る時間はある。
だけど私は、ちょっと暑くて、寝付けなかった。
人の体温って結構熱いんだな、なんて。
外で鳥が鳴いているのを聞きながら、ぼーっと矢口の後頭部を見つめてさ。
人生って、タイミングだよね。
急に矢口がこっちに寝返りをうって、頭がぶつかりそうになった。
その時に矢口の手が、市井の手に重なったんだ。
その温もりが、私の心に深く、深く、流れ込んできた。
自分でも驚いたよ。
娘。になってたくさんの不安があったけど、自分の努力で切り抜けてきた。
できるだけ周りに心配をかけないように、頑張ってきた。
そう思ってたけど、やっぱり心の奥では、無理してたみたい。
明日香が辞めて、自分が一番年下だから、足を引っ張らないように。
みんなに迷惑をかけないように。
みんなに負けないように。
- 28 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月17日(土)21時29分28秒
- いろんな想いが溢れてきて、気づいたら涙が流れてた。
誰も見ていないのは分かってるけど、絶対に気づかれたくない。
だからそっと、矢口の手が重なっているのと反対の手で拭って目を閉じた。
その時急に、矢口の手にきゅっと力が入って、私の手を握りしめたんだ。
きっと矢口は寝てなかったんだろうね。
矢口には、本当にたまにだけど、手紙の中で、泣き言を言ったことがある。
ずっと心配していてくれたって後から聞いたんだけど。
とにかく、その時市井の中で今まで溜めていたものが、ポンと弾けてさ。
隣にいる矢口をぎゅっと抱きしめた。
自分を動かしている気持ちは何なのか、よく分からなかった。
はっきり言って、矢口にしがみついているみたいだったんじゃないかな。
だけど矢口も、私の背中に手を回して、抱きしめてくれた。
なんだか、お母さんの腕の中にいるみたいで、すぐに寝ちゃった。
- 29 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月17日(土)21時30分32秒
- ところが。
目が覚めたとき、もう隣に矢口はいなかった。
みんな起きてて、矢口はシャワーを浴びてるところだったし。
時計を見たら10時半になるところだった。
つまり、あれから熟睡して、目覚ましにも気づかなかったみたい。
そのまま、ベッドの中で天井を見上げてたよ。
よく漫画とかであるじゃない。
昨日のは夢だったの?みたいな、ほんと、そんな感じ。
でも、現実だったんだよね。
その日を境に、矢口と出かけたりするのも増えたし、矢口の家に泊まりに
行くこともあったよ。
泊まりに行くって言っても、何をするわけでもないって(w
ただ、一緒にいるって実感する。
まあ、部屋で電気もつけないで、矢口のことをずっと抱きしめたまま、朝に
なったこともあったけど、それくらい。
- 30 名前:深い記憶のかけら−1 投稿日:2001年11月17日(土)21時31分48秒
- そして、何かあるごとに矢口は市井の心配をしてくれたんだよ。
それはもちろん、手紙でね。
口では一度も言わなかったと思うよ。
恥ずかしいのもあったろうし、私のことを気遣ってくれたのかもしれない。
とにかく私たちはそれ以来、手紙でたくさんの事を話したんだ。
自分の弱いとこも全部、ね。
・・・・・・・・・・・
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月17日(土)22時44分03秒
- おねえさんのやぐすごく好きですね。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月17日(土)23時35分38秒
- 市井は矢口に甘えてたよなぁ…
小さな矢口に甘える市井に、自分より大きな年下市井に頑張ってお姉さん振る矢口
そんな二人がすごく可愛かった。この小説はあの頃を思い出すよ
- 33 名前:Driftwood 投稿日:2001年11月25日(日)21時53分30秒
- 久しぶりに交信します。
いやぁ、レスはマジありがたいね。
>>31,32
矢口のお姉さんっぷりは、自分も好きなんでございます。
まあ、市井の復活により、何かしら懐かしい光景が見れると
いいな。なんて、自分では思ってるんすけどね。
- 34 名前:トイレ休憩 投稿日:2001年11月25日(日)21時55分36秒
- ・・・・・・・・・・・
ふうっ、と市井は息を吐いて、ベッドからおりた。
「ちょっとトイレ行って来るね。悪いけど、飲み物もらえる?」
そう言って、姿を消した。
「そりゃ、こんだけ話せば、のども渇くやろなぁ。・・・このまま惚気話を
聞かされるんやろか?それともうちに対する当てつけか?」
一人つぶやきながら、コップにお茶をついで、ベッド脇に戻った。
自分から話を聞きだしたのを、少しだけ後悔していた。
すると、すぐに市井も戻ってきて、お茶を一口飲むと
「裕ちゃんに聞いて欲しいんだ。市井の話。裕ちゃんにしか言えないし。」
そう言って、真っ直ぐな眼差しを向けられれば、嫌とは言えない。
むしろ、愛おしいくらいであろう。
そして、市井の話はまだ続くのだった。
- 35 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年11月25日(日)21時57分12秒
- ・・・・・・・・・・・
ん〜と、どこまで話したっけ?
あ、そうそう。
そんなわけで、私は自分のすべてを、矢口に預けたんだ。
矢口も、同じように市井にいろんな話をしてくれたしね。
私と同じように、たくさんの不安とかも抱えてて、二人で励まし合った。
ちょうど新メンバーがくるっていう時期だったし。
私たちにとっては初めての増員。
でも、もう一つ別な心配事があったんだ。
それは、矢口のタンポポの活動が忙しくて、会えない日が増えていたこと。
あの日から、できれば毎日会いたかったし、会えないと辛かった。
せめて声が聞ければ、と思ったけど、お互いがいつ空いているかわかんない
仕事の時には、電話をするのも躊躇っちゃって。
- 36 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年11月25日(日)21時57分48秒
- 結局、仕事の合間や家に戻ってから、手紙を書いた。
次に会える日に渡そうと思って、書き溜めたりとかして。
いつの間にか、交互に書いていた手紙が、毎日交換になってたんだ。
『あと、6時間もすればまた会えるね。矢口と一緒にいないと
落ち着かないんだよぅ。早く会えるように、もう寝るね。
そしたら、夢の中で、会えるかもしれないし。
・・・やっぱり、本物の矢口に早く会いたいな。
矢口も、市井の夢を見てますように・・・ おやすみっ!』
『今、取材の合間だよ。モーニングは今日、レッスンだけだよね。
仕事終わったら電話しようかな。でも、遅くなりそう。ん〜、
サヤカの声聞きたいなぁ。サヤカが今何を考えているのか、気に
なるっ!矢口のこと、考えてる?当然?(笑)
早く、一緒の仕事に戻れますよーに。明日、午後からは一緒だね。
その時にこの手紙を渡すぞ。忘れないように、もうしまっちゃお。』
- 37 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年11月25日(日)21時58分40秒
- 市井の中でもう絶対に離れられない存在になってた。
でも、一番最初の手紙以来、一度もお互いを好きって言ったことはない
んだよね、不思議なことに。だから、恋人っていう枠もなかった。
同性だし、愛とか恋とかそんなこと、考えなかったからかもしれない。
ただ一緒にいられれば、それでよかったんだ。
そんな不思議な関係。
でも、市井は確かに矢口のことが好きだった。
- 38 名前:闇の住人 投稿日:2001年11月25日(日)23時37分00秒
- 矢口と市井の関係が気になる・・・・。
ナカザーさんの反応も気になるっす!
Driftwoodさん、つづき頑張ってください!
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月26日(月)17時01分46秒
読んでますよ!!
矢口と市井・…どうなるんだ?
中澤…最後まで聞いてあげて!
愚痴をこぼさないで(笑
- 40 名前:Driftwood 投稿日:2001年12月01日(土)23時59分26秒
- とうとう市井紗耶香大復活に、大感激でおじゃる。
「生ちゃむ前線」が北から徐々に南下しますってな感じで。
交信が遅れたのは、市井のアルバムが結構よかったから(笑
いや、マジで。
>>38 闇の住人さん
with中澤の関係は、ラストには分かります。
たぶん超くだらないとは思いますが(w
まもなく終わります。これからも読んでください。
>>39 名無しさん
中澤って本当はこんなキャラじゃないでしょうが、色々な小説を
読んでいたら、勝手にこんなキャラに。
最後まで、ご愛読よろしく。
では、どーぞ。
- 41 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時01分10秒
- だけどね、そうして過ごしていくうちに、少しずつ変化があった。
それは、後藤が入ってきて、市井が教育係になったこと。
そして、モーニングが大きく変化したときでもあったでしょ。
急に仕事が倍になって、ほとんどオフがもらえなくなったし、移動も
激しくなったし、寝る暇も無くなっていったじゃない。
もちろん、時間を見つけて手紙を書くようにはしていたけど、後藤に
色々教えなきゃいけなくて、矢口といる時間が減っちゃった。
今度はモーニングで動いてるのに、一緒にいられない。
自分のことばかり考えていられない。
あやっぺが脱退した。
もう、頭がぐちゃぐちゃになっちゃったんだ。
- 42 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時02分24秒
- そんなときに久しぶりの貴重なオフだった。
午後から矢口がうちに遊びに来てくれて、すごく充実してた。
ただ一緒にいるだけで充実するって言うのもなんか変だけどね。
そして夜、二人でベッドに入りながら、なんだか寝付けなかった。
きっと、また明日からのことを考えると、不安だったから。
私はそうだった。
そして、また忙しい毎日が戻ってきた。
プッチの活動も始まって、ラブマの勢いに加速して、忙しくなった。
毎日が、自分の考えている方向とは違う方に進んじゃって。
年末も過ぎて、一段落もしないところに、映画の話が来たじゃん。
- 43 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時03分31秒
- 今思うと、その日は本当に疲れてたんだろうな。
今となっては、後悔しか出てこないんだけどさ。
何の収録の時だったかな?
とりあえず飲み物が欲しくて、矢口と二人でジュースを買いに行く
途中だったんだよね。
そしたら、矢口が別な収録で来てた俳優を見て、「かっこい〜」とか
言うのを聞いたときに、本当に大きな不安に襲われたんだ。
市井は女だから、矢口の恋人にはなれない。
本当は、ずっとわかってた。
いつか矢口は、普通の女の子のように、男の人を好きになるって。
いつまでも一緒にいられないって分かっていたことだけど、それは急に
現実味を帯びて、目の前に突きつけられるなんて思ってもみなかったから。
だから、矢口に言っちゃった。
「ねえ、矢口。好きな人ができたら市井にも教えてね。」
- 44 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時04分28秒
- 自分でもひどいとは思うけど、感情が押さえきれなかったんだよ。
その時の矢口の表情は全く見えなかった。
っていうか、きっと目を逸らしたのは市井の方だと思う。
見ないようにした。
だって、肯定の返事が返ってくるのが怖いから。
市井を好きでいて欲しい。
思っているのとは、裏腹な言葉。
でも、不安が大きすぎて、言わずにはいられなかった。
自分が傷つく前に、自分を守らなければいけなかった。
ちっちゃい頃からずっとそうしてきたからね、癖になってたし。
自分で作りだした状況なのに居たたまれなくなって、トイレに寄ってく
って言って、飲み物を預けて、先に戻っててもらっちゃった。
心臓の鼓動が、すごく大きくて、手がふるえてて。
・・・怖かったな。
今思うと、自分の身体も、矢口の答えも、何もかも。
その時は、やっぱり何も考えられなかったけどね。
自分を強く抱きしめるのが精一杯。
- 45 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時07分05秒
- そして、トイレのドアを開けようとしたとき、
「いち〜ちゃん?」
って後ろから声が聞こえたんだよね。
「ど〜したの?すごい顔してるよ?」
よっぽど打ちひしがれた表情でもしていたのかもしれない。
自分で自分の顔は見えないけど、怖い顔になってると想像できたから。
いつもは脳天気そうな、っていったら悪いか。
眉なんて滅多にしかめない後藤の顔も曇ってたしね。
そしたら後藤は、急に市井の顔に手を当ててなんてくるから。
卑怯なことはわかってる。
分かってるんだけど、私は人の温もりに逆らえない。
- 46 名前:深い記憶のかけら−2 投稿日:2001年12月02日(日)00時07分58秒
- 気づいたら、後藤のこと、思いっきり抱きしめてた。
後藤もすごくびっくりしていたけど。
それ以上に、市井自身に驚いちゃった。
さっき、あんなに矢口のことを想ってたのに、すぐ目の前にある、手が
届く所を代わりにして、自分をごまかそうとしてるなんて。
こんな自分は、矢口に似合わない。
矢口を失いたくない。
後藤は私の近くにいてくれる。
もう、何も考えたくなくって、後藤を抱きしめてる手に、もっと力を込めた。
そして、そのまま後藤に、卑怯な唇で、口づけちゃった。
結局、その日を境に手紙を書くのを辞めたんだ。
・・・・・・・・・・・
- 47 名前:Driftwood 投稿日:2001年12月09日(日)22時45分37秒
- 久しぶりに、作者@不肖者です。
さて、更新が遅いので、読んでくださる方も減っていくのでしょうか('〇';)
それなら、それで頑張っていく所存ではございますが。
「なんや、エロか?エロがないとあかんのか??」
なんて言う、姐さんのつっこみは放置しつつ。
いずれ書きますか。この板ではやばいっすか。
とりあえず、一挙に最後まであげてしまいます。
読んでくださる方はどーぞ。では。
- 48 名前:再び喉を潤して 投稿日:2001年12月09日(日)22時47分40秒
- ・・・・・・・・・・・
ごくっと、市井はまた一口、お茶を飲む。
その喉元を見つめていると、今話したことは作り話ではないかとさえ
中澤には思えるのだった。
そのくらい、今の市井は何もないように振る舞っていた。
「ねえ、」
突然、声をかけられる。
「っ、なんや?」
「今、裕ちゃんはやぐっちゃんのことが好きなんでしょ?」
「・・・そうや。」
市井のこんな話を聞いて、今更隠すことはしなくてもよいだろう。
「自信もって、やぐっちゃんの事が好きだって言える?」
「言えるで。当然や。」
「矢口も裕ちゃんの事が好きだって?」
- 49 名前:再び喉を潤して 投稿日:2001年12月09日(日)22時48分11秒
- 市井の言いたいことが、中澤にはよく分かった。
所詮、同性同士の恋愛。
しかも自分たちがいる立場上、かなり気をつけなければならない。
そんな中で、何を根拠に「愛している」と言えるのか。
何を理由に「愛されている」と言えるのか。
そんな不安はいつでも渦巻いている。
相手の気持ちがいつ変わるともしれない、不毛な恋愛。
世間から非難されるであろう恋愛。
どれだけ自分の気持ちを全うできるか。
どれだけ相手の気持ちを信じられるか。
「ああ、言えるで。矢口は私のことが好きや。」
中澤は、目を反らさずにいった。
根拠など全くない、でも、信じている。
「矢口のこと、本当に好きなんだね。」
市井は少し淋しそうに微笑んだ。そして続ける。
「私は矢口を、じゃないや。自分の気持ちを、信じ続けることができて
なかったんだな。」
・・・・・・・・・・・
- 50 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時49分34秒
- ・・・・・・・・・・・
私は矢口のそばにいたかった。そばにいて欲しかった。
でも、自分の感情のせいで、矢口の将来を台無しにしているような気が
してたし、自分が何を求めているのかも、分からなくなってた。
もしかしたら、体温だけで愛なんていらないのかな、とか。
本当に、訳わかんなくなってたんだよね。
そんなときに、裕ちゃんが矢口のことをたくさんちょっかいかけてるし、
好きだ、とか言ってたのを見て、イライラした。
あっ、裕ちゃんに対してじゃないよ?(苦笑
はっきりしない自分自身に、怒りを感じたんだ。
矢口が明らかに、私を避けてる。
それに対しても、何も言えない自分に腹が立ったよ。
でも、娘を続けている限りは、矢口と絶対に離れることはできない。
間をおいて考える時間とか欲しかったけど、仕事上無理な話だったし。
- 51 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時50分23秒
- だから秋ぐらいからかな、考えていたことを事務所に言った。
「ソロでやりたいです。」ってね。
このまま娘。にいたら、たくさんの人に迷惑をかけそうだったから。
でも、そんなことを会社にはもちろん言ってないよ。
頑なに「シンガーソングライター」って言い続けてさ。
話は内部ですすんで、春が最後、っていうことでまとまったんだ。
みんなに発表があった日の夜、矢口から突然メールが来た。
午後からは仕事がバラバラだったよね。
まともに話もできなかったから、矢口の家の近くにある公園で
待ち合わせしたんだ。
まだ春は遠くて、息が白かったけど、星はとても綺麗だったっけ。
- 52 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時51分13秒
- 「ごめんね、何も言わなくて。なかなか決まらなかったから言えなかった
んだよね。5月でモーニングから抜けるよ。」
目を見て話す事なんてできなかったし、矢口の話を聞くこともしなかった。
ただ次々と、言葉を並べていっただけ。
その言葉はきっと、矢口を傷つけるだけのものだったと思うけど。
「色々矢口には相談にのってもらってたのに、大事なことは何も言わなくて
悪いなぁと思ってたんだけど、なかなか言えなくてさぁ。
だって、実現するかどうかすら、はっきりしないことだから。」
私が話している間、矢口は一言も口を開かなかったんだ。
ただ空を見つめながら、市井の言葉を聞いているのかすらわからないけど。
- 53 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時51分59秒
「だからさ、これから早く彼氏でも作って、市井の代わりに話を聞いて
くれる人を探してね。やぐっちゃんはかわいいから、すぐ彼氏もできる
と思うよ。ねえ、今好きな人いるの?」
「・・・なんで、勝手に決めるの?矢口は・・・矢口はサヤカのことが好き
なのに、好きだったのに、そんなこというのさ?全部勝手に決めて
そして、さよならだけ言うつもりなの??
矢口はサヤカといられるのが、一番だったのにっ!!」
- 54 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時52分36秒
- 矢口のセリフはいつの間にか過去形で、ショックだったけど。
それよりショックなのは、矢口は泣いてた。市井が泣かせたんだ。
そして、今まで悩んでたことが、独りよがりだったって思った。
せっかく悩みを共有してくれる人がいるのに、その人を信じること
できてなかったんだね。
そして、好きだっていう想いも。
でも、もう遅かった。
遅いのは分かってるけど、本当は手離したくなくて。
だから、最後。
最後だから、って思いながらそっと矢口を抱きしめた。
「ずるいよ、サヤカ」
矢口の涙混じりの声が耳元で聞こえるけど、これが最後。
いろんな話を聞いてくれてありがとう。
助けてくれてありがとう。
好きになってくれてありがとう。
そして、さようなら。
- 55 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時53分11秒
- 腕を放して、空を見上げたら三日月が寒そうに光っていた。
でも、見上げていないと涙がこぼれてしまうから。
「サヤカ」
名前を呼ばれるのさえ、すごく懐かしい感じがして、今までの
思い出が、頭を巡ってて。
あと残りの期間を、笑って過ごせるように。
矢口の目を見つめて、気持ちを知りたくて、言った。
「やぐっちゃん、好きな人、いるの?」
想いが強すぎて、なかなか吹っ切れないから、答えて。
お願い。答えて。
- 56 名前:深い記憶のかけら−3 投稿日:2001年12月09日(日)22時53分47秒
- 「今は・・・中澤裕子が好きだよ。ん、好きになるよ。」
涙で滲んではいたけれど、強いその眸を見て、安心したよ。
自分の頬に涙が一筋流れたのと、矢口をきつく抱きしめるのは
ほぼ同時だったけれど、見られちゃったみたい。
「サヤカは泣き虫だから、サヤカも早く好きな人を作ってね。」
そう言って、矢口は私に触れるか触れないかのキスをくれた。
「これからも大切な友達だから。」
そうして、もう一度温かい口づけをして、別れた。
それは本当に最後の、深く優しいキスだったよ。
・・・・・・・・・・・
- 57 名前:青春とは心の若さである 投稿日:2001年12月09日(日)22時54分46秒
- ・・・・・・・・・・・
「だからさ、裕ちゃんがどのくらい矢口を大切にしているのか、
聞きたかったのもあるし。
矢口が今、幸せならそれで全然いいんだ。
本当によかった、裕ちゃんがいて。」
話し終えた市井は、目を赤くしているけれど、泣いてはいなかった。
けれど、ひたむきな想いは中澤の胸を打った。
「同じ境遇として、話を聞いて欲しいって言うか。」
ん?
「で、今は後藤と付き合ってるっていうか・・・」
??
おいっ、気持ちの乗り換えが早すぎるんやないか?
つーか、ここまでしんみりした空気をどうしてくれるん。
- 58 名前:青春とは心の若さである 投稿日:2001年12月09日(日)22時55分32秒
- 酒が無くても、爆発するのが中澤裕子。
「紗耶香、ちょぉ、こっちに来ぃ。犯したるっ(怒)」
全力で市井の上に馬乗りになって、押さえつける。
そして強引に市井の唇に吸い付きながらも、市井の痛みを理解して。
自然と、顔がほころんでしまう中澤だった。
そんなわけで、これから2組ははどのように幸せになっていくのか。
神のみぞ知るところである。
【おわり】
- 59 名前:Driftwood 投稿日:2001年12月09日(日)23時02分34秒
- そんなわけで。
短いっすけど、締めちゃいました。
だって、気づいたら市井と中澤、TVに出てるしな。
後藤、なんか反応薄くて、あまり萌えませんでしたし。
遅ればせながら、レスしてくださった方、サンキューでした。
だいぶ励みになりました。マジっす。
続きは、マジでHっすかね(w
こちらは希望があれば、ハードな奴、カマしますけれども?
ソフトは作者の都合上、割愛ってことで。
そんなわけで、読んでくださった方に感謝しつつ。ちゃお!
(下手へはけっ)
- 60 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月10日(月)00時51分52秒
- お疲れサマでした。
エロなくても全然大丈夫デース。
よかったです!次回作も楽しみにしています。
- 61 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月10日(月)01時00分54秒
- やぐちゅー期待!!
- 62 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
- ( `.∀´)ダメよ
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