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冬の雨
- 1 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)18時06分49秒
- 風板から越してきました。
石川ヒロインの小説を書く予定です。
女*女ではなく男*女の予定ですが、
もしよかったら見てください。
基本的にage進行でいきます。
- 2 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)18時36分27秒
-
「寒いな…なんで雨なんか降るんだよ…。」
黒い空から降り続ける冷たい雨
風と共に、秋の終わりを告げる雨
午後11時を過ぎる頃、"俺"は自分の家へと
暗い夜道を歩いていた
- 3 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)18時48分41秒
- 「雪は今年中には無理だろうな…。」
雪が降るのは年が明けてからだろう
"俺"は雪がこれといって好きな訳じゃない
雨が雪以上に嫌いなのだ
家まで500mを切った位のところだった
前方のT字路に 突然白いモノが倒れた
それと同時だった 俺の記憶に初めて"彼女"が現れた
「傘…? …? え? お、オイッ!」
突然地面に倒れこんだ"彼女"
駆け寄った時、"彼女"の異常を認識した
「なんて冷たい肌だ… それにすごい熱じゃないか… 。」
"俺"は再び自分の家へと歩き始めた
"彼女"を抱きながら…
- 4 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)19時07分20秒
- ―
両手が塞がっている為傘をさせず
雨を身に浴びながら ようやく"俺"は家に着いた
「ふう…軽くて助かったな。とりあえず体拭かないと。」
"俺"は体を拭き 1番濡れていた上着を脱がせ
人形のような冷たい"彼女"をベッドに寝かせた
「さすがにこれ以上やるのは可哀想だな。俺もシャワー浴びてくるか。」
まるで他人の家にいるように "俺"は気を遣っていた
シャワーで体を温めながら そんな自分が可笑しくなった
- 5 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)19時16分48秒
- ―
「あ…」
体がほぐれていくような温かい感じに
"俺"は熱のある彼女の事を忘れていた
「ゆっくりシャワーなんか浴びてる場合じゃなかったな。」
他人に優しい訳ではない 親切な人間でもない
"彼女"は明日になれば熱も落ちつく たった1日の親切だ
この考えを疑う余地も無く 自分の美行に軽く陶酔でもしようと
呑気な 楽観的な考えが"俺"を寝室に急がせた
- 6 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)19時24分44秒
- ―
「とりあえず毛布でも被せておけばいいか。」
特に効く事も知らないので 温めて寝かせておくぐらいしかできない
まあ それで十分なのだが
"俺"はTVをつけて ストーブのぬくもりを感じていた
- 7 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月08日(木)19時26分05秒
- 読んでくれる人いるかかなり不安ですが
とりあえず今日の更新はここまで
- 8 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月09日(金)06時55分15秒
―
「もう12時か… 朝まで起きなさそうだな。」
"俺"は"彼女"の可愛い寝顔を横に自分の布団の準備を始めた
…その時
「う、うん… … …? こ、ここは?」
「お、やっと起きたか。」
起きたばかりの"彼女"には 当然全てが分からなかったようだ
"俺"はここに至る経過を説明し始めた
- 9 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月09日(金)06時55分47秒
- ―
「……というわけ。 熱あるから 治るまでここにいてもいいよ。」
「す、すみません… ありがとうございます…。」
「はは、謝らなくていいよ。 ところで名前言ってなかったね。
俺は早良 紘(さわら ひろし)。 君は?」
「私は石川って言います…石川梨華です…。」
「石川さん…ね。あぁ、シャワー浴びてきた方がいいんじゃない?」
「すみませんっ…。 あと、あの…梨華でいいです。」
「梨華ちゃん、か。 はい、タオルね。着てた物は洗濯機に入れてあるよ。
あと、あの時持ってた荷物はベッドの横に置いてあるから。」
「すみません… ありがとうございます。」
「いちいち謝らなくて良いよ。 気楽に気楽に。」
「すみません…っあ! また…。」
「ははは。」
- 10 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月09日(金)06時56分25秒
- ―
梨華がシャワーへ行った後 俺はTVを切って色々考えていた
「寝ている時は分からなかったけど… なんか可愛いなあ。
風邪ひいてるのに声高い… でも、まだ高校生くらいだろうな…。」
梨華はどうみても20歳にはなっていない 大学生とも思いにくい
どう考えても高校生なのだが… それだとあの状況の説明が…
………
「あの、早良さん…?」
「………。」
「どうしよう… も、毛布とお布団かけなきゃ…。」
「………。」
「あの… おやすみなさい…。」
- 11 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月09日(金)17時56分51秒
―
雨が止み 冬の陽射しが微力ながら暖かい朝
日曜日の午前7時
奇妙な出会いの二人も そろそろ起きてくる頃――。
「ん… あれ、この毛布…。」
俺は何時の間にか寝てしまっていた
もたれかかったベッドの上には梨華自身も
彼女の温もりも無く 既にに起きている事を感じさせた
「あ… おはようございますっ。」
梨華の高い声が響く 台詞は変だが
昨日とは違いほのぼのとした彼女の雰囲気に
俺は思わず顔が緩んでしまう
「おはよう…はやいね〜…。」
「もうちょっとで朝食できますから、ちょっと待っててくださいねっ!」
そうかそうか 朝食作るんなら早いのも当然か… !?
「ちょ、朝食なんか作らなくていいよ! 日曜だから俺オフだし
それに梨華ちゃん熱あるんだよ?」
「大丈夫ですよぅ。 もう治ったみたいです。」
そう言って梨華は腕を上げたり下げたりした
元気という事を示したいらしいが その動作に思わず笑ってしまう
「ははは、じゃあ朝食お願いね。」
「ホイッ!」
- 12 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月09日(金)17時58分12秒
- 深夜にまた更新します
- 13 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)01時12分18秒
- ―
キッチンからは不規則なリズムが流れてくる
もっとも 俺は料理の後に聞かねばならない問いを
頭の中で回していた
「お待たせしました〜。」
キッチンから現れた彼女の笑顔がそんな考えを打ち消した
昨日とはまるで違う表情 見てるこっちまで
明るくなってしまいそうな笑顔
「お、すごいじゃん。よくここまで作れたね。」
「美味しいかは別ですよぉ〜。」
「じゃあ、早速食べようか。」
「「いただきま〜す。」」
……… … なんて味にバラつきのある朝食だ…
オムレツが美味しいと思えば焼き魚は苦かったたり
ただ やはり朝食を作ってもらうというのは良いものだ
母親の大切さが分かるのは一人暮しをしてからなんだろうな
- 14 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時24分42秒
- ―
食べ終わった俺と梨華は食器を洗い 居間のソファにもたれかかった
「ごちそうさま。オムレツ美味しかったよ。」
「ホントですか!? オムレツだけはちょっと自信あったんですけど…
良かったぁ〜。」
「なんていうかおふくろの味ってゆうのかな?」
…
ふいに梨華の表情から刹那に笑顔が消えた
俺が梨華の顔を見た時にはもう元通りだったのだが
「あの… 本当にありがとうございました。
早良さんとっても親切で…。」
- 15 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時25分10秒
どうやら梨華は午前中にでもここを出ていく気のようだ
ただ 俺には聞きたい事がいくつかあった
それからでも遅くはないだろうし それに途中までは送るつもりだった
「あのさ、梨華ちゃんにちょっと聞きたいことあるんだけどいいかな?」
「え、はい、いいですよ〜。」
「サンキュ。じゃあ一つ目。 梨華ちゃんは何歳?」
「今年で18です。」
18歳か やはりそんなとこだろうな
「なるほど、じゃ二つ目。梨華ちゃんは高校生?」
「…もう行ってないです……。」
なんかちょっと嫌な事聞いてしまったようだ
「ご、ごめん。んじゃ最後。親御さんと暮らしてるの?それとも一人?」
…梨華の顔から笑顔が一瞬で消え失せた
笑顔が消えた彼女の顔は 人形のように無表情で 唇が震えていた
- 16 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時25分33秒
- ―
「ヒック… うぅ… 」
突然泣き始めた梨華を見て 初めてその質問に非がある事を悟った
梨華の涙は 抑えようとしても滲み出てくるような
止められない涙だった
「あ、あのさ! 答えたくないなら無理しないでいいから!
だから泣くのやめよ? ね?」
「ごめんなさい… グス…。」
しかし なんであんな質問に答えられないんだろう
複雑な家庭の事情があるらしいが それ以上は想像できなかった
梨華はその後も泣き続け
涙が枯れたのは1時間以上後だった
- 17 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時31分52秒
- ―
「ヒック… うぅ… 」
突然泣き始めた梨華を見て 初めてその質問に非がある事を悟った
梨華の涙は 抑えようとしても滲み出てくるような
止められない涙だった
「あ、あのさ! 答えたくないなら無理しないでいいから!
だから泣くのやめよ? ね?」
「ごめんなさい… グス…。」
しかし なんであんな質問に答えられないんだろう
複雑な家庭の事情があるらしいが それ以上は想像できなかった
梨華はその後も泣き続け
涙が枯れたのは1時間以上後だった
「落ちついた?」
「はい… すみません…。」
「こっちこそ悪かったね。変な事聞いちゃったのかな。」
「………。」
少しの沈黙の後 梨華は不似合いな暗い声で話し始めた
「私のお父さん、私が高校2年生だった時に 仕事中の事故で死んじゃって…。」
!?
その言葉を聞いた瞬間 俺は申し訳無いの念と
予想外の答えに対する虚無感に包まれた
しかし 梨華の話には続きがあった
- 18 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時42分34秒
- ―
「それで… お母さんと二人だけになっちゃって…
でも、お母さんとはぐれて…。」
はぐれた…? 蒸発って事か?
「………。」
「だから、早良さん優しくしてくれて本当に嬉しかったんです。
早良さんの事絶対忘れません。」
優しく…
俺にとってはなんの気にも留めないような事だった
気まぐれの親切のつもりだった
だが 梨華にとっては久しぶりの人の優しさだったのだろうか…
「それじゃ、失礼します。 ありがとうございました。」
梨華の表情には何時の間にか笑顔が戻っていた
それは精一杯に作った笑顔かもしれない
だが 俺の心を固めるのには十分だった
- 19 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)13時59分56秒
- ―
「ちょっと梨華ちゃん、行く所なんてあるの?」
「…ないですけど……なんとかなります! 多分…」
「今時無理だって。なんとかならないと思う。」
当たり前だ 住む場所も働く場所も足りないのに
なんのアテもない人間がやっていけるほど
今の御時世は甘くない
そんな事は梨華も十分知っているはずだ
「………。」
- 20 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)14時00分15秒
- 「あのさ、行くアテがないんならここに住んだらどう?
広い家じゃないけどさ…。」
「え…? でも… 」
梨華は俺の言う事が上手く呑みこめないようだった
おそらく 出ていく事しか考えてなかったのだろう
「大丈夫。変な事する気は無いし、俺結構大手企業に勤めてるから
給料もいいんだ。 一人ぐらい増えても何にも問題ないよ。」
俺は日本でも有名な企業の社員だった
いや 歯車といった方が良いかもしれないが
仕事は面白く無いが 給料は他に勤めている友人より確かによかった
何にも問題がないと言うのは少し強がりだったが…
「あの… 本当にいいんですか?」
怪訝な表情で聞き返してくる
梨華を安心させるために唐突に出た言葉だったが功を奏したようだ
「うん、梨華ちゃんさえよかったら、だけどね?」
「とんでもないですっ。 ありがとうございますっ!」
「じゃあ話は決まりだね。 これから宜しくね。」
「こちらこそ宜しくお願いします!。」
――こうして 俺と梨華の不思議な共同生活なスタートを切った――
- 21 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)14時01分58秒
- ここから本編です
見事にレスないですな
まあ、まったりまったり
- 22 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)14時20分04秒
- ――――――――
部屋の整理も終わり 俺達は紅茶を飲みながらくつろいでいた
気温は低いが太陽が出ている事もあり
眠くなるような穏やかな天気だった
「こんなに天気いいんだし、外に出てみません?」
たしかに室内にいるだけでは勿体無いかもしれない
梨華はこっちの方の人間ではないらしいし
軽く地理紹介をしておいた方がいいだろう
「そうだね。行ってみようか。」
「はいっ! じゃあ、着替えてきます♪」
俺は適当にジーンズとパーカーを選んで梨華を待っていた
ガチャ… ドアを開く音が聞こえる
「お待たせしました〜。」
- 23 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)14時32分24秒
- ―
…可愛い……
美しいというよりは可愛いという表現が適切な梨華の姿に
俺は思わず見とれてしまった
「どうしたんですか? 私なんか変ですか…?」
不思議そうな梨華の言葉で我に返った
「い、いや… なんか梨華ちゃん可愛くてね はは。」
「あ、ほ、ホントですかぁ…。」
顔を赤らめうつむく仕草がまた可愛らしい
「じゃ、いこっか。」
「はいっ!」
- 24 名前:名無し男 投稿日:2001年11月10日(土)16時49分28秒
- スマソ、コンクリートで頭打って2日ばかし来れんかった。
お互いガムバロー
- 25 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)19時22分09秒
- >>24
レスthx 週末引き篭もりは辛いですな
というより頭って;) お大事に…
- 26 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)21時20分42秒
- ―
「「ふあぁ…。」」
思わず出たあくびに二人とも顔を見合わせ笑ってしまう
冬の陽射しも気持ち良いものだ
俺は1時間近くかけて近所のコンビニや病院、薬局等を案内した
「あとは… 表通り行ってみようか。」
俺達はイチョウの葉が舞い落ちる並木通りに出た
並んで歩いている沢山のカップル達
俺と梨華も周りから見れば同じなのかもしれないな
「私達って恋人同士に見えるちゃったりするんですかねー。」
どうやら梨華も同じ事を考えていたようだ
「かもねー。」
それはそれでいいのかもしれない
本当は昨日出会ったばかりなのに
気を許してしまいそうな梨華の微笑み
でも 俺ではまだ彼女の過去を埋められない
心からその笑顔に安心できない…
- 27 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月10日(土)21時21分30秒
- ―
通りを歩いている最中 突然梨華の足が止まった
「ん、どうした?」
「ほら、見てください。犬が…。」
その視線の先には犬を連れて歩く老婦人がいた
「犬好きなの?」
「大好きです。昔飼ってたんです。」
…ここで過去の事に触れるわけにはいかない
「そうか… でもマンションはペット無理だからなあ。」
「あ、別にそんなつもりでいったんじゃないです…。」
俺が気分を害したと思ったのか
梨華は申し訳なさそうに謝ってきた
「気にしない気にしない。そろそろご飯の材料買って帰ろうか?」
「は〜い。」
冷たくなった風を背に 俺達は家路に着いた
- 28 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月11日(日)01時04分05秒
- ―
家に着いた二人の最初の仕事は夕食作りだった
勿論梨華に任せっぱなしには出来ないので 俺も手伝っていたが
梨華はそんな俺に不満持ちのようだった
「私が一人で作りますから、早良さん座って待っててくださいよ〜。」
「大丈夫、俺料理好きだから。」
「……そういうことじゃないんだけどな…。」
小さく呟く梨華をよそに 料理は着々とできていった
「「できたぁ〜。」」
作ったのは普通のコロッケだった
何の特徴も無いけど 上手く出来たようだ
「「いただきま〜す。」」
コロッケに舌鼓を打ちながら
今日の出来事を振り返っていた
恐らく梨華にはまだ複雑な事情があるのだろう
聞きたい事は多いのだが
疲れているからあまり深くは聞けなかった
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月11日(日)02時53分00秒
- まったりしていていい感じ
がんばってください
- 30 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月11日(日)11時26分51秒
- ―
食器を片付けた後
俺と梨華は別々に家事をしていた
「梨華ちゃん、風呂沸いたから先入ってて。」
「あ、じゃ先入ります〜。」
昼間買ったタオルを手渡し
時計を見ると 既に10時を回っていた
「上がりましたぁ〜。」
パジャマ姿の梨華が声と共に視界に入る
心ならず見惚れてしまう
その後 風呂から上がった俺は明日の予定を決め
早めに寝床に着いた
「じゃ、梨華ちゃんお休み。」
「おやすみなさい〜。」
何事もなく
俺は5分で穏やかな眠りについた…
- 31 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月11日(日)11時28分29秒
- >>29 当分まったり路線です:)
まだこの二人は出会って間もないので…
まだ話は序章ですな…フゥ
- 32 名前:名無し男 投稿日:2001年11月11日(日)16時47分52秒
- マターリ路線も激しい路線も大好きだがね〜
- 33 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月17日(土)19時55分06秒
- ―
「起き…………起きてくださ〜い!」
「……ん んん…? うわっ!」
「ひどいじゃないですかー、"うわっ"なんて…。」
「あ… 梨華ちゃんか…おはよう。」
慣れない寝起きに思わず驚いてしまった
つい一昨日までは顔も名前も知らない他人だったのだから
仕方が無いと言えばそうなのだが…
「朝ご飯できてますよー。」
どうやら梨華の方はそうはいかないようだ
ふてくされながら部屋を出ていった
「やれやれ… というか朝飯頼んだ覚えないんだけどな…。」
梨華は恩返しのつもりらしい
朝食を作ってくれる人が居るというのは喜ばしい事なのだが
「恩着せてるようで悪いなあ… … あ!?」
料理…自分で作ったの…?
- 34 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月17日(土)20時18分27秒
- ―
俺はパジャマを着替えて食卓についた
「おはよう梨華ちゃん。さっきは驚いただけだからね。」
「もう気にしてないですよ〜。さっ、食べましょう♪」
梨華の用意してくれた朝食は一般的な和風の朝食だった
だからといっては失礼だが どれも結構美味かった
「うん、美味しい。」
「ホントですか? よかったぁ。」
「本当だよ。 ところで梨華ちゃんさあ…。」
俺はゆっくりと今日の主題に話を持っていった
- 35 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月17日(土)20時18分57秒
- ―
「梨華ちゃん… バイトしてみない?」
「アルバイトですか…?」
「そうそう。」
はっきりいって、社会に出てまだ間もない俺の給料では
食住はおぎなえても衣にまではさすがに回らなかった
自分の分だけで手一杯だろう
「できる場所あるならやりたいです!」
そんな俺の懐事情を察してくれたのかどうかは分からないが
梨華は積極的にやると答えてくれた
「俺の知り合いのケーキ屋、人手が足りないらしいんだ。
そこの店長に紹介しておくから。
地図渡すから今日の午後行ってみてくれないかな?」
「はいっ!」
これで一安心だ
俺は食器を片付け 会社へ行く準備を整えた
「向こうには言っておくから。
じゃ、いってきます。」
「いってらっしゃ〜い!」
いってらっしゃ〜い か… 良いかもしれない
「近所で変な噂が立たないようにしないとな…。」
- 36 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月17日(土)20時19分39秒
- ―
俺は駅のホームで電話をかけた
「お前のところ人足りないって言ってたよな?
今日の午後に俺の知り合いがそっち行くから。
バイトとして雇ってくれないかな?」
「ほんとぉ〜!? そりゃ助かるよ。」
「じゃあよろしくな。」
「了解っ! たまには買いに来いよ!」
「分かった分かった。それじゃ仕事頑張れよ。」
「お互い様!」
- 37 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月17日(土)20時23分07秒
- やっと風邪治ってきたのでちょっとだけ更新しました。
息が出来ないほどの咳き込みはやばいです。
起承転結は全て出来あがってるのに
起の始めでこんな調子だと完結何時になるかわからない…
- 38 名前:名無し毒者 投稿日:2001年11月18日(日)01時36分23秒
- 風邪っぴきの作者さんに励ましのレスをしよう、の巻
男がらみの話、ここではあまり評価されてないかもしれませんが私は大好きです
風邪治してバリバリ更新期待
- 39 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月18日(日)19時49分25秒
- ―
――石川サイド――
「お掃除も終わったし、洗濯も終わったし、お昼ご飯も食べたし!」
うーん!良いお天気〜♪」
――
お父さんの事故 お母さんの変化 そして蒸発…
人の優しさを感じる事なんて
最近 全然無かった
中学生だった頃は
学校では友達と喋って
部活ではテニスを頑張って
ふられちゃったけど恋もして
凄く楽しかった
高校生になってから
お父さんの仕事が上手くいかないようになり
お酒を飲み始めた
お母さんとよく喧嘩をするようになった
その矢先の事故 自分の飲酒運転が原因だったらしい
お母さんもいなくなって…
どうする事も出来なくなって雨の降る街を歩いてた
いつのまにか風邪をひいちゃって
でも雨は止まなくて…
急に目の前が暗くなって 気付いたら男の人がいた
何をされるんだろう と思ったけど その人はとっても優しかった
嬉しくて お風呂に入ってる時 ずっと涙が流れてた
- 40 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月18日(日)19時50分26秒
「私と早良さんって本当に偶然出会ったのかなあ。
運命だったら…いいな……。」
「お掃除とかで変な事しないようにしなくちゃ…。」
大事なものを壊したりして
ここから追い出されるのも嫌だけど
1番の理由は
早良さんに嫌われたくないから
――
「お昼ご飯も済んだし、そろそろ行かなくちゃ…。」
- 41 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月18日(日)19時53分18秒
- >>38
サンクス!
風邪は結構治ってきました。
石川側の現在の心情をちょっと書いてみました。
かなり甘い雰囲気になってます。
無駄に長いのは自分に文章力ないからで…
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)01時41分59秒
- 長いほうが読みごたえがあっていいと思うのは私だけか?w
さらなる更新期待↓
- 43 名前:名無し男 投稿日:2001年11月19日(月)05時55分33秒
- 大量更新ワショーイ!!
なんかかわいらしい
- 44 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月19日(月)20時56分57秒
―
貰った地図を頼りに足を進めてゆく
冷たい風と 暖かい陽射し
あまりの気持ち良さに 時には足を止めたくなる
「ふぅ〜、ちゃんと働けるかなあ。」
できるだけ迷惑をかけたくなかったから
アルバイトは絶対やらないとね
私は もう一度言われた事を思い出してみる
「ケーキ屋、バイト先はケーキ屋、人手の足りないケーキ屋…
… あれ、私ケーキなんて作れない…。」
………
どうしよう…
不安の混ざった気持ちのまま そのケーキ屋に到着した…
―
- 45 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月21日(水)21時28分23秒
「とりあえずお店に入ってみなくちゃ…。」
私はつきまとう不安を振り払って一歩踏み出した
「いらっしゃいませ〜!」
そんな私を出迎えてくれたのは威勢の良いハキハキした声
どこか懐かしい 木の温もりを感じる店
落ちつける雰囲気の店内
そして… 金髪の背の低い店員さん
「あのー… 早良さんの紹介で来ました。石川 梨華って言います。」
店員さんに伝わってるかなあ…
「あー、あなたが? ふむふむ。」
「んーとね、今お客さんいないから奥で話そっか。こっち。」
「は、はい。」
よかった 話は伝わってるみたい
- 46 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月21日(水)21時35分54秒
- 1話ミスッただけでここまで書き辛くなるとは…(汗
- 47 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月22日(木)23時49分58秒
- ―
(ドキドキ…)
「じゃあここ座ってて。」
「は、はい…。」
「固くならないで、リラックスしなよ。
まずは自己紹介ね。私は矢口真里。ここの店長だよ。」
… え 店長!?
「ふふ、信じられないような顔するなよなぁ〜。」
「! そ、そんな事ないですっ。」
「キャハハ、いいっていいって。
紘君から話聞いてるから。この時期人足りなくてね〜。
助かるよ、本当。 明日から早速オッケー?」
「は、はい… あの、面接とかないんですか?」
「あいつが紹介するなら大丈夫でしょ!
うん、悪いようには見えないよ?梨華ちゃんは。」
「あ、ありがとうございます…。」
「さて… 別に特別な所がある店じゃないからね。
何か質問ある?」
えっと… えっと…
- 48 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月22日(木)23時50分37秒
- ―
ケーキ作れないって事言わなくちゃ…
「あの… 矢口さん。」
「ん、何?」
「あ、あの…その…ここって他に店員さんいないんですか?」
違う…
あ でも本当にいないのかな?
「まさかぁ、いるに決まってんじゃん!
まあ、一人しかいないけどね…。」
一人!? よく商売できるなあ…
大型店ではないけどそれにしても…
「ふふ、信じられないでしょ?よく商売できるって思ったでしょ?
腕の良いのがいるけど もうギリギリでやばいんだよぉ〜。
だから梨華ちゃんがバイトしてくれると助かるって事!」
矢口さんて… 人の思ってること当てられるのかなあ(汗)
「あの… もう一人の方は今何処にいらっしゃるんですか…?」
「奥の作業場でケーキ作ってるよ。挨拶してきたら?」
「あ、はい!」
ケーキ作れないって言わないと…
- 49 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月23日(金)00時19分06秒
- ―
機会を逃した私は言われるままに調理室に足を向けた
3個並んでいるケーキ デコレーションをしている女性
今話しかけるのはまずそうだ…
「………。」
いいなあ あんな風に作れたらなあ
「………(まだかな)」
すごい器用〜! クリーム綺麗だよ!
憧れちゃう… すごいなあ
早良さんに作って上げられたらなあ
- 50 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月23日(金)00時20分46秒
- ―
…
「…と? ちょっと!」
「ふぁは、は、はい!」
ボーッとしてたらいつのまにか終わってたみたい
「あなた誰…?」
「あ、あの! 明日からここでアルバイトさせて
貰える事になった石川 梨華って言います!
よろしくお願いします!」
「あー、だから矢口あんなに機嫌よかったんだ。
私は保田 圭。 よろしくね。」
あっさりした人だなあ… でも目がちょっと怖い…
「梨華ちゃんもケーキ作ってみる?」
「え?」
矢口さんが後ろから声をかけてきた
今言わなきゃ…
- 51 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月23日(金)00時21分17秒
- 「あ、あの… 私… ケーキ作れないんです… …。」
…
「え、えぇ〜!? じゃあなんでケーキ屋に!?」
もっともな突っ込みが響く
しかし…
「キャハハ、大丈夫だよ!
レジやってもらうから。早良君から聞いてたんだよね。
『多分ケーキ作れないと思うから』って。」
そ そんなぁ〜…
安心と悲しさが入り混じる
料理苦手って思われてるんだ… そうなんだけど…
「じゃ、今日はもう帰って良いよ。明日の朝から出てきてね!
働き次第で正社員だぞぉ〜!」
「は、はい! 失礼します、さようなら!」
「バイバ〜イ。」 「…またね。」
良かった〜
私は軽い足取りで店を出た
「う〜ん、明日から頑張るぞ!」
- 52 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月23日(金)00時22分12秒
- ―
店内の二人――
「ねえ、矢口。早良さんから聞いたってどう言う事?」
「ん、梨華ちゃんは早良さんの紹介でここに来たんだよ。」
「早良さんの知り合い…?」
「んー、そうでもなさそう。
なんかねえ、普通の仲じゃ無さそう。これは矢口の勘だけどね。」
「付き合ってるって事?」
「それも違うと思うよ。梨華ちゃんはどう思ってるか分からないけど…
…… ふふ、やっぱり圭ちゃん気になるんだね。」
「ば、ばかっ! そんなわけ…。」
「ふふふ、恋のライバル出現ってやつカナ?」
「もう!いい加減にしなさい!全く…」
「照れるなよぉ〜。でも、梨華ちゃんと仲良くやってくれよ!」
「それはそうするけど…。」
「(面白くなりそうだな… 早良君も大変だね)じゃ、今日はあがろっか。」
「は〜い。」
- 53 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月23日(金)00時24分52秒
- むう… バイトの最初の方失敗したから全て駄文に…
次からはもうちょっと文練ってから書きます;
- 54 名前:きみまよ 投稿日:2001年11月23日(金)13時28分37秒
- なんかすっごいイイ感じですよ。続きが楽しみです。
頑張ってくださいっす!!
- 55 名前:名無し男 投稿日:2001年11月23日(金)17時41分15秒
- マターリよろしいがな
- 56 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月24日(土)12時18分47秒
- >>52
矢口保田も早良さんと言ってますが、
文の流れからして「早良さん→早良君」 でした;
>>54-55
ありがとうございます。そろそろマターリ路線からちょっと動く予定です。
きみまよさんの小説楽しみにしてます。
残りの二話も頑張ってください。
- 57 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月24日(土)12時19分19秒
- ―
――早良サイド――
「よし、終わり!」
普段より早めに仕事を終えた俺は
沈みかけている夕日を見ながら梨華の事を考えていた
「まあ、矢口達なら悪い様にはしないだろうな。
一応確認しとくか…。」
俺の指が携帯の上を動く直前だった
- 58 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月24日(土)12時20分51秒
- ―
「早良君。」
「え、はい? あ、部長。」
この人は俺の直属の上司の竹下部長だ
面倒見が良く 交友範囲も広い
俺を含め誰もが尊敬する理想を絵に描いたような人だ
特に 俺はある理由からこの人とは昔から面識があるし
他の人より親密な関係にある
「早良君、今度うちで鍋でパーティーするんだけど、
君もどうだろう、来てくれないか?
勿論矢口さん達も呼んであるし、圭ちゃんも来て欲しいみたいだしね。」
そう この人は保田の小父さんなのだ
保田はわけあって高校の頃から竹下部長の家に住んでいる
高校の頃から俺と矢口と保田は仲が良く
そのため竹下部長とも顔見知りになったわけだ
- 59 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月24日(土)12時21分24秒
「はい、是非行かせてもらいます。何日でしょうか?」
「12月9日の日曜日の予定だよ。」
「はい、じゃあその日は空けてお…
梨華ちゃんを放って行くわけにはいかない
「どうした?」
「あの、一人友人誘って良いですか?」
「ああ、勿論構わないよ。多い方が楽しいしね。」
竹下部長の寛大さにつけこんだ形ではあるが
さすがというか あっさり了承してくれた
「ありがとうございます。じゃあ、その日は空けておきますね。」
「うん、よろしくね。それじゃ。」
思いがけず良い話が飛び込んできたものだ
俺は矢口に電話をする事などすっかり忘れて
弾み足で家路についた
- 60 名前:理科。 投稿日:2001年11月24日(土)21時49分34秒
更新しました。今日はここまでです。
- 61 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月24日(土)22時42分56秒
- あうw
- 62 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月25日(日)00時52分04秒
- ―
家と会社の間にあるコンビニを通り過ぎる時
俺の視界に見なれた奴が入ってきた
どうも俺より先に気付いたらしく
こっちに笑顔で手を振っている
「お〜い、早良君!」
「よお、矢口じゃん。
あ、今日梨華ちゃんどうだった?」
「うん、レジ任せる事になった。可愛いねえ、彼女?(ニヤリ)」
「いや… まあ、一緒に住んでるけどな。」
「えぇ!? それって同棲じゃんかよ! 付き合ってるんだろ!」
矢口 声がでかいよ…
「い、いいから、ちょっと向こういくぞ!」
- 63 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月25日(日)00時53分37秒
- ―
「で、結局どうなのよ?」
矢口は執拗に聞いてくる
普段はこんな奴じゃないのだが… 何か理由があるんだろうか
「付き合ってねえよ。 なんだ、気になるのか?」
「ふふふ、ちょっとね〜。 で、どうなのよ?」
答えないと帰してくれそうにないな
まあ 矢口になら話しても良いだろう
「分かったよ。 実は梨華ちゃんはさ…。」
俺は梨華ちゃんの身の上の事を話し始めた。
- 64 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月25日(日)00時54分29秒
- ―
話をするにつれて矢口の表情からどんどん笑顔が消えて行った………
「そういうわけで一緒に住む事になったんだ。」
「そっか… ごめんね…。 …!
ちょ、ちょっと待ってよ! それって圭ちゃんと似たようなもんじゃん!」
「ああ、そうだな。」
「り、梨華ちゃんも苦労してるんだね… 圭ちゃんも…。
(ますます恋敵じゃないか…)
引きとめてゴメンね。それじゃバイバイ。」
「ああ、またな。」
「あぁ、そうだ! 2時くらいに獅子座流星群来るらしいから
絶対見ろよ!」
「あぁ、今年も来るのか。おう、教えてくれてサンキュ。じゃあな。」
「バイバ〜イ。」
昔からこういう特別な事が好きだったなあ 矢口って奴は
俺は矢口と別れ再び家に向かって歩き出した
「流星群か…。」
- 65 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月25日(日)00時55分33秒
- 更新終わりました。
流星群忘れててかなり凹んでます・・・
もうちょっと前の話ですけどね
- 66 名前:理科。 投稿日:2001年11月25日(日)07時34分30秒
す、すみません!今、読んでてなんで私の
カキコが違う作者さんのとこにあるのか…!?
と疑問に?!うぅ…恥です…。消してください…。
本当にすみません…(鬱)。
- 67 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月26日(月)21時33分31秒
- ―
俺は普段閉まっているドアが開いている事に少し違和感を覚えつつも
人の気配と暖かさがある家の中へと入っていった
「おかえりなさ〜い♪」
笑顔で迎えてくれる同居人
「ただいま、バイト受かったんだってね?」
「はい、うかりましたぁ〜!」
夕食は梨華の作ってくれたクリームシチューだった
ひょっとして実は料理が上手いのかもしれない
「うん、美味しい。」
「ほんとですか〜? 矢口さんにケーキ作れないかも、
って紹介されたって聞きましたよ〜〜!」
ギクッ
「え、え、作れるの…もしかして…。」
女心を傷つけたのかもしれないな…
「作れません!」
ミ(o_ _)o☆
- 68 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月26日(月)21時34分06秒
- ―
「それなら… ま、まあこのシチュー美味しいしさ、うん。」
「エヘヘ♪」
話も一息ついた時 俺は矢口に教えられた流星群の事を思い出した
「あ! 梨華ちゃんもうお風呂沸いてる?」
「? はい、入れますけど?」
「よし、はやく入って今日は早く寝よう! 梨華ちゃん先入って。」
「? わかりましたぁ〜。」
怪訝な表情を浮かべながらも梨華は素直に聞いてくれた
去年は寝ていて見れなかったからな… 今年こそは!
- 69 名前:Laiz. 投稿日:2001年11月26日(月)21時35分36秒
- >>理科。さん
そちらに非があるわけでもないようですし、
早く忘れましょう(笑)
12/5まで更新のペース下げます。案外しないかもしれませんが
待っていてください。
- 70 名前:理科。 投稿日:2001年11月27日(火)05時16分02秒
ホントすみませんでした。そぅ言って頂けてありがたいです…。
更新は作者さんのペースで頑張ってください。待ってます。
- 71 名前:名無し男 投稿日:2001年11月27日(火)08時43分52秒
- WARNING!
- 72 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)20時35分06秒
- ―
――石川サイド――
まだ10時なのに 私も早良さんも寝る準備完了…
早良さんは妙にテンション高いし
"途中で起こしに行くから早めに寝ておいて"
って言うし…
「どうしたんだろう…。」
私はベッドの中でずっと考えていた
明日のバイトの事もだけど
今日これから何が起きるのか
「……!」
私だって一応年頃なんだし 普通に考えて何が起こるかは予想がつく
「(ドキドキ…) ど、どうしよー…。」
どうしよう? 別に拒否はしないんだけど…
「(ドキドキ…) 寝れないよ…。」
……3時間後
「(ドキ……) ど、どう…しよう…。」
3時間経ってもドアの向こうから声はかからない
「… z z Z 」
緊張より眠気の方が強かったみたい…
- 73 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)20時36分12秒
- ―
――早良サイド――
ジリリリリリリッ!!
俺は突然のベルで目が覚めた
「!? … 2時じゃないか… まったくなんで…。」
半開きの目をこすりながら毛布を頭から被りなおした
「……… あ!? 流星群じゃん!」
時計を見直すとちょうど2時
危うく寝過ごすところだった
俺は急いで準備して 隣の部屋の梨華を起こしに行った
「これは… まるで夜這い…。」
勿論 多少の抵抗が付きまとっていた
一体どんな顔をするんだろうな
コンコンッ
「梨華ちゃん、梨華ちゃん!」
(…………)
「寝てるな…。」
俺はそっとドアのノブを回し 部屋の中に入っていった
- 74 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)20時39分19秒
- ―
部屋に入った俺は スヤスヤと眠る梨華の枕元に接近していった
「梨華ちゃん、おーい。」
(…………)
「おーい、起きてってば!」
なかなか起きない梨華のために 少しボリュームを上げて囁いてみる
「………? んん… !」
やっとお目覚めのようだ 早くしないと流星群が…
「おはよう、梨華ちゃん。」
「さ、早良さん!?」
驚くのも無理は無い だが時間も無い
「さ、梨華ちゃん早く準備して!」
「あ、あの… 準備って…。」
梨華はどんどん赤面していく
勿論 俺はそんな事気付かなかったけれど
「外行く準備だよ。 早く着替えて!」
「外… ですか?」
「そう、寒いからちゃんとした格好じゃないとだめだよ。
俺玄関で待ってるから。着替えたら出てきてね。」
肝心の理由も告げず 俺は梨華の部屋から出ていった
…
「お、お待たせしました〜。」
時計の長針が15分を過ぎた頃 準備を終えた梨華が玄関に出てきた
「よし、いこう!」
俺は梨華の手を取って早足で外に出た
さあ 見れるかな…
- 75 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)20時39分52秒
- ―
容赦なく吹き続ける冷たい冬の北風が
まるで肌を切り裂いていくような月夜の下
「さ、早良さん、一体どこいくんですかー?」
「今日流星群が来るらしいんだ。滅多に見れないものだから
梨華ちゃんも連れてきたってわけ。」
「えぇ! じゃあお願い事考えなきゃ!」
少々的の外れた答え方だったが 梨華は状況を呑みこめたらしい
そうこうしている内に 俺と梨華は近くの見晴らしの良い橋の上に到着した
天上には無数の星が輝いている 環境は最高だ
後は 流星群が来るのを待つのみ…
- 76 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時08分56秒
- ―
到着してから10分が経過した
「来ないなあ… もう2時半なのに…。」
俺は小さく呟くように梨華の方を向いた
流星群より先に目に飛び込んできたのは
真っ赤な梨華の顔だった
「どうしたの、梨華ちゃん。顔真っ赤だよ。」
そんなに急いで来たつもりは無いのだが…
口数も少ないし 疲れてしまったのだろうか
「あ、あの… 手…。」
梨華は下を向きながら小声で呟いた
手? 手… 手…… ! 俺と梨華の手は繋ぎっぱなしだった…
「ご、ごめん! ずっと繋いだままだったね…」
俺は急いで手を解いた
少しだけ気まずい空気が流れる…
- 77 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時09分50秒
- ―
しかし 沈黙を破ったのは意外な梨華の一言だった
「あ、あの… 手握ってて良いですか…?」
「え?」
「いや、その… さ、寒いんです…」
確かに寒い 気温は2℃もないだろう
突然外に連れ出して本当に悪いことをしちゃったな
「だめですか…?」
不安そうに聞いてくる梨華の言葉が聞こえてくる
「ううん、いいよ。」
「あと、もうちょっと寄ってもいいですか?」
「うん、いいよ。」
「エヘヘ。」
俺は梨華の細い手をギュッと握り返し
二人で寄り添いながら空を仰いだ
本当に流星群は来るんだろうか…
- 78 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時11分19秒
- ―
刻一刻と時間は過ぎて行く すでに外に出て30分以上
俺も梨華もそろそろ限界だろう
「時間が悪かったみたいだね。 ごめん、梨華ちゃんまで連れ出して。」
頭の中は悔しさと申し訳無さで一杯だった
俺が梨華の立場だったらキレてるだろうな…
「全然気にしてないですよー。」
「そう言ってくれると助かるよ。 さ、帰ろっか。」
俺と梨華は来た道を再び歩き出した
流星群見たかったなあ…
- 79 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時11分49秒
- ―
冷えきった体を寄せていたのだろう
梨華の心臓の鼓動が良く聞こえる
そのリズムは微妙に速く流れる
「なんか、梨華ちゃん嬉しそうだね。流星群見れなかったのに…。」
「私だって流星群見たかったですよー。」
やっぱり…
「……でも、こうしていられるだけで十分。」
その梨華の言葉はあまりにも小さく 耳には届かなかった
「梨華ちゃん?」
「私は… こうして… !」
キラッ ミ☆
「「あっ!」」
俺達の前方の空に 一筋の光が流れた
「「1個だけ…?」」
その言葉を否定するかの如く 呼応したように無数の光の筋が現れた
周りには誰もいない まるで 俺と梨華を照らすように星は走り出した
- 80 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時12分37秒
- ―
「綺麗…。」
暫時沈黙した後 梨華の口から言葉が漏れた
「早くお願いしないと…。」
梨華は静かに祈った
「………。 (ずっと早良さんと一緒にいられますように)」
願い事か… 何だろう 俺の願いって
今の瞬間は これしか思い浮かばないな
俺は 頭の中に浮かんだたった一つの願いを星に伝えた
「………。 (今のこの生活が続きますように)」
俺達の瞳にはずっと星が映っていた
本当に… 見れて良かった…
- 81 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時13分09秒
- ―
再び歩き出した俺と梨華の上では まだ星が流れていた
「早良さんは何をお願いしたんですか?」
俺の願いは…
「うーん、内緒。 梨華ちゃんは?」
「わ、私も内緒っ。」
「「ケチッ!」」
「ははは」 「えへへ」
本当は同じ事を考えているのに
相手のことを思うから 急には先に踏み出せない
それでも 二人の心の距離がちょっとだけ近づいた夜
寒さを忘れた冬の空に 大きな一筋の光が流れた
- 82 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月01日(土)21時16分55秒
- 星の描写の部分忘れましたがとりあえず更新です。
- 83 名前:名無し男 投稿日:2001年12月02日(日)15時09分32秒
- 凄く綺麗な表現ダタヨ
カンドーした
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月05日(水)02時25分54秒
- 男物イイです。まじ早良サソが羨ましい
作者さん、マタリー頑張ってください
- 85 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月05日(水)17時59分50秒
- >>83
ありがとうございます。
今回のは自分が見れなかったので少し不安でした。
>>84
ありがとうございます。
人間ってこう上手く知性抑えられるんでしょうかね。
書いてる自分でも彼の人格は凄いと思います:)
- 86 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月05日(水)18時00分32秒
- >>85
知性→理性
知性抑えたらただの馬鹿ですね:(
- 87 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月06日(木)21時01分05秒
- ―
――5時間後
俺と梨華は目を擦りながら朝食の席にいた
俺はそこまで眠くは無かったが
梨華の方は相当眠いようで パンを運ぶ手もフラフラしている
「梨華ちゃん、相当眠そうだね…。」
「ふぁい…。」
「早く寝ようって言わなかったっけ…。」
「いいましたぁ…。」
「じゃあなんで…。」
「……… な、なんででしょぅ…。」
さあ… なんか照れてるし…
まあいいや 俺は仕事に行く前に9日の事を伝えた
「そうそう梨華ちゃん、今度の日曜日、保田の家で鍋パーティーあるから
一緒に行こうよ。」
「… 私も行っていいんですか…。」
「うん、良いってさ。 じゃ、仕事行って来る。」
「… いってらっしゃーぃ…。」
「…… バイト行く前に寝た方が良いよ…。」
初仕事で居眠りしませんように…
- 88 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月06日(木)21時11分24秒
- ―
――石川サイド――
「うぅ、ねむいよ…。」
私は瞼にかかる重さに耐えながら
ケーキ屋に続く道を歩いていた
「んーっ!!」
背伸びをして空を見上げてみる
数時間前は 星が流れてたんだなぁ…
ちょこっと進展したかなあ 私と早良さん
「あ、あれ…。」
気付いたらお店の前まで着いていた
こんな調子で大丈夫なのかなあ…
「今日も一日頑張るぞぅ!」
ポジティブに行かなくちゃね!
- 89 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月06日(木)21時11分56秒
- ―
――数時間後の店内
「こらーっ!石川ぁ!」
「す、すみませんっ!」
乱れ飛ぶ保田さんの声
「梨華ちゃんケーキ並べる場所違ってる!」
「ご、ごめんなさいっ!」
甲高く響く矢口さんの声
「あの、これお釣り違うんですけど?」
「た、大変申し訳ありませんっ!」
謝りつづける私の声
やっぱりこうなっちゃった…
- 90 名前:Laiz. 投稿日:2001年12月06日(木)21時22分55秒
- 今日の更新は以上です。
もうちょっと今のような状況が続く予定デス。
すみません…
- 91 名前:名無し男 投稿日:2001年12月07日(金)14時35分16秒
- ヘたれる石川もいとをかし
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