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ごくごく普通の一日に。

1 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年11月13日(火)23時13分51秒
つらつらと想い綴った事をうぷしていこうと思ってます。
交信は遅いと思いますが、頑張ります。
2 名前:願い。 投稿日:2001年11月13日(火)23時15分29秒
世間が遠い国での戦争の話をしている、ごくごく普通の一日。
あたしは梨華ちゃんの部屋で、久しぶりの二人そろってのオフを満喫していた。
「ねえねえ、ひとみちゃん…」
あたしのお膝にちょこんと座った梨華ちゃんは、
釘付けになっていたテレビから目を離して、あたしの方を振り返った。
「ん、どうしたの?」
「戦争って悲しいね…」
きゅっとあたしのパジャマの袖を握って、梨華ちゃんは俯く。
きっと今流れてるテレビのニュースに感化されたのだろう。
3 名前:願い。 投稿日:2001年11月13日(火)23時16分38秒
「あたしたちは今、こうして二人でいるけど、
この国の人たちはきっと離れ離れになったりしちゃってるんだよね」
「うん…」
「あたしだったら…やだな。きっと泣いちゃう。
ひとみちゃんと離れ離れになっちゃったら、悲しくてきっと泣いちゃうよぅ…」
その眦には真珠の涙。
それは梨華ちゃんがまばたきをする度に、一粒、また一粒と、
薔薇色の頬を伝わり、あたしの手の甲へと落ちていく。
4 名前:願い。 投稿日:2001年11月13日(火)23時17分13秒
「馬鹿だなぁ、梨華ちゃんは」
あたしはその涙を拭って、悲しげな表情の梨華ちゃんの顔を覗き込む。
「もし戦争になったとして、あたしが梨華ちゃんを見失ったりすると思う?」
「………ううん」
「梨華ちゃんを一人ぼっちにさせると思う?」
「ううん、思わない。思わないよ!」
そう否定する梨華ちゃんを抱きしめて、あたしは――
「大丈夫。あたしは梨華ちゃんと離れたりしない。
なにがあっても、梨華ちゃんに悲しい思いをさせたりしないよ」
と、その唇に優しく触れた。
5 名前:願い。 投稿日:2001年11月13日(火)23時17分48秒
一つになる二人の影。
唇が離れたあと、梨華ちゃんはあたしの胸にその可愛い顔を寄せるように抱きついて、
「世界から戦争なんてなくなっちゃえば良いのに…」
と、小さく――本当に小さく呟いた。
あたしは何も言わず、ただその頭を優しく撫でて、「そうだね…」とだけ答える。
ごくごく普通の一日。
あたしは生まれて初めて戦争がなくなればいいと、
腕の中の恋人を想ってそう願った。
6 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年11月13日(火)23時19分26秒
とりあえず「願い。」終了です。
なんとなく今日の飛行機事故や戦争のニュースに感化されて、
こういうものを書いてしまいました。
お目汚しですみません。
7 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月13日(火)23時29分22秒
なんかこういう感じの話、好きですよ。
お目汚しなんてとんでもない。続編も期待してます。
8 名前:「甘いワナ。」 投稿日:2001年11月15日(木)21時34分56秒
「梨華ちゃんはぁ、マジでウザイんだよね」
収録前の僅かな自由時間。
さすがに13人も揃うと手狭な楽屋で、それは後藤の何気ない一言で始まった。
「え…?」
さすがに動揺を隠せない表情で、石川は後藤を見つめる。
今まで上手くやってきた――少なくとも石川はそう思ってきていた。
そりゃあ、性格的に合わない部分は多々あるだろうなとは思っていたけれど、
特に気にしてはいなかった。
また、後藤も特には気にしていないように思っていた。
だけど……。
「あんまり馴れ馴れしくしないでくれる?
まじで鬱陶しいの、判んないかなあ?」
「ごめ、ごめんなさい……」
石川は後藤のキツイ言葉に顔を伏せ、ただ謝る事しかできない。
9 名前:「甘いワナ。」 投稿日:2001年11月15日(木)21時36分19秒
「ちょ…、後藤。あんたいきなり何言ってんの…?」
ひょこっと矢口が間に割って入る。
二人の尋常じゃない様子に、ただならぬ物を感じたのだろう。
他のメンバーも固唾を飲んで、二人の方を心配げに見つめている。
だが、そんな矢口に後藤は冷たい視線を向ける。
「何って、本当の事だよ。やぐっつぁんだって言ってたじゃん。
石川ウザイ〜って」
「それは番組を盛り上げるためじゃんっ!」
違うからねっ、ねっ…と、石川の方へ断りを入れながら、
矢口はきっと後藤を睨み付けた。
10 名前:「甘いワナ。」 投稿日:2001年11月15日(木)21時37分25秒
「とにかくっ、もう仕事以外であたしに近づかないでくれる?
梨華ちゃんが傍に来るだけで、ウンザリして頭痛くなっちゃうんだよね、ごとー」
自分を睨み付けている矢口には構わず、後藤は吐き捨てるようにそう言うと、
唖然としたままのメンバーをそのままに楽屋を飛び出した。
ばたんっと大きな音を立てて、ドアが閉まる。
それと同時にうわぁっと石川の泣き出す声が聞こえる。
そして自分の悪口を言い立てる矢口の声と、泣いている石川を宥める吉澤の声。
石川の泣き声を背中に聞きながら、後藤は震える腕をぎゅっと抱きしめた。
口元には笑みが零れる。
それはまるで、愛しい人を抱きしめるような、そんな表情。
11 名前:「甘いワナ。」 投稿日:2001年11月15日(木)21時38分01秒
――神様、あたしはおかしいのでしょうか?
好きな人の涙に、こんなにも胸を焦がすなんて。
それはとてもいけない事だと判っているのに、
どうしても彼女の泣き顔をもっと見たいと…そう思ってしまうのです。
12 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年11月15日(木)21時45分24秒
>>8-11
痛め(?)のいしごまをうぷしました。
なんか痛めって言うより、どろどろしていますけど(汗)

>7
レス有難うございます。
自分の作品に感想をつけてもらう事って余りないので、嬉しいです。
新しいお話を書いてみたのですが…、
なんだか前のと全然感じが違っちゃってますね。すみません(汗)
13 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月16日(金)02時38分09秒
解るな〜、冷たくしながらも冷静に見てる自分。

――神様、ぼくはおかしいのでしょうか?
14 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時11分10秒
好きってなに?
愛してるってどう言うこと?

世の中には「好き」や「愛してる」が氾濫していて、
本当の「好き」や「愛してる」って事が、矢口には良く判らないんだ。
映画や漫画みたいな恋には憧れるけれど、
あんなのは嘘の世界だって判ってる。
本当の好きって何? 本当の愛ってどう言うことなんだろう――?
15 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時12分59秒
「やーぐっちさん、何してるんですか〜?」
矢口の後ろからかかる、高く甘ったるい声。
こんなアニメ声、矢口の知り合いには一人しかない。
「梨華ちゃん…」
「はい」
にっこり微笑む彼女。
きっと梨華ちゃんはこんな悩みないんだろうなあ。
「ねえねえ矢口さん。何してたんですか?」
矢口の腕に抱きついて、梨華ちゃんはまるでおねだりするように甘い声で尋ねる。
うっ、可愛い…。
あまりの梨華ちゃんの可愛さににやけそうになる顔を、矢口は必死できりっと引き締めて、
「うん、ちょっとね…。恋について考えていたの」
と、梨華ちゃんから視線を外し、少しだけ遠い目をして答えてみせた。
16 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時13分55秒
「…なーんちゃってね…って、あれ?」
おどけた調子で振り返ると、梨華ちゃんはなんだか目を潤ませて、
矢口の方をじーーっと見つめて…。
え? なに? そのわきわきさせてる手は一体何なの?(汗)
がしっ!
両肩を掴まれる。
悔しいけれど、体の小さい矢口には力で適うはずもなくて…。
「嬉しいです、矢口さん!」
「へ?」
「こんな真剣な顔をして、石川とのことを考えてくれてるなんて…っ!」
「はぃぃ?」
頬を赤く上気させて、潤んだ瞳で見つめる梨華ちゃん。
その潤んだ瞳が閉じられて…、
二人の影が一つになっていく(ちょっと待てぇ!)。
17 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時14分29秒
そして…
ああ、もう。梨華ちゃん、こんなテクニック何処で覚えたの?
さっきまでぐるぐると巡っていた考えが一つ一つ消えていく。
矢口…っ、もうこれ以上なにも考えらんないよぅっ。







甘いだるさを身にまとったまま、ベッドの上でごろごろする二人。
「矢口さん、好き…」
首筋に唇を寄せ、キスの雨を降らす梨華ちゃんに矢口は軽く身をよじって逃げる。
「だめだよ、梨華ちゃん。痕は残しちゃだめ…」
「……はぁい」
自分でも信じられないくらいの、あまーい吐息交じりの声に、
なんだか自分で自分に照れちゃいそう…。
梨華ちゃんは不服そうに唇を尖らせると、しぶしぶと矢口の身体の上から降りた。
18 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時16分37秒
梨華ちゃんとはこういう関係がもう半年以上続いている。
最初のきっかけはもう忘れてしまったけれど、
今では失う事の出来ない、大切な時間(でも、まだ恥ずかしいんだけどね!)――――
19 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時17分15秒
「ねえ、梨華ちゃん。梨華ちゃんは好きとか、愛してるとかってどう言うことだか判る?」
シーツを肩までかぶり、矢口はさっきまで考えていた事を、
思い切って梨華ちゃんにぶつけてみる事にした。
梨華ちゃんは一瞬きょとんとしたような顔をして、
それからにっこりと、矢口の大好きなその微笑を浮かべて、
「石川はぁ、難しい事はわからないですけど、
矢口さんといつまでも一緒にこうしていたいって思う気持ちが、
愛してるってことなんじゃないですかね、きっと」
と言って、ちゅっと唇に触れる。
20 名前:「ここでキスして。」 投稿日:2001年11月16日(金)23時17分54秒
「ん…じゃあ、矢口の事好き?」
「好きですよ」
さらりと答える梨華ちゃん。
「だって、石川は好きな人とじゃなきゃ…えっち…なんてしません」
きゃっ、なんてハートマークつきで照れながら、
梨華ちゃんは矢口の目をじっと見つめながら答える。
うん、そうだね。
好きだからこういう風に触れたいって思うんだね。
愛してるからいつまでも一緒にいたいって想っちゃうんだよね。
「…梨華ちゃん」
「なんですかぁ?」
「愛してるよ…」
そう言って掠め取った唇は、ちょっとだけ甘ずっぱいレモンの味がした。
21 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年11月16日(金)23時22分11秒
>>14-20
交信しました。
結局何が言いたかったのかと言うと、いちゃついてるいしやぐを書きたかっただけという…。
内容ははっきり言ってありません。自慰行為的駄文です。
すんまそん…(汗)

>13
同感してくださる方がいて嬉しいです。
白浜の書く後藤は、どうやら好きな子を苛めちゃう
ジャイアンタイプの性格みたいですね…(汗)
22 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月17日(土)00時15分09秒
甘々いしやぐ良いっすねぇ〜
最高っす!!
23 名前:LVR 投稿日:2001年11月17日(土)01時16分58秒
更新早いですね。
三つとも読みましたが、全部好物でした(w
個人的には、「甘いワナ。」がよかったです。
24 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時14分15秒
恋愛に順番なんか関係ないって言うけど、
世の中ってそう簡単には行かないよね。
確かにライバルが全く知らない人だったら、
それこそ奪っちゃう。遠慮なんてしない。
でも、その相手が大事な親友だったら……?
25 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時15分57秒
「――でね、この子が前に言った、ウチの彼女の石川梨華ちゃん。
ものすっげー、可愛いでしょ!」
梨華ちゃんに、あたし――後藤真希が始めて会ったのは、
数少ない友人であるよっすぃーこと、吉澤ひとみの『彼女紹介』がきっかけだった。
肩までのまっすぐな栗色の髪。澄んだ瞳に少しはにかんだ微笑。
薔薇色の頬に食べちゃいたい程柔らかそうな唇。
女のあたしから見ても、ドキドキしちゃいそうなその可愛さに、
思わず釘付けとなる。
26 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時16分41秒
「石川です。あの…よろしくね」
にこりと微笑んで右手を差し出す彼女。
んぁ? 右手?
ああ、握手ね。ぎゅっぎゅっ。
ふわりとして柔らかい手。
ごとーの手とは大違いだよ〜。
じーん。
ごとー、梨華ちゃんの手の感触(って言うと親父臭くてヤダな)に感動♪
「あ、あの…〜」
「んぁ? なに?はあとはあと
「手……」
「手?」
はっ、さては! 梨華ちゃんもごとーみたく、
ごとーの手の柔らかさに感動しているな! うんうん、その気持ちよく判る……
27 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時18分01秒
べしっ!
「いつまでウチの梨華ちゃんの手を握ってるんだよ、ごっちん!」
言いながらあたしの頭をはたくよっすぃー。
馬鹿力め〜〜。
あたしは思わず涙目になりながら頭をさすった。
「なにするんだよ! ただでさえ悪い頭なのに、
これ以上頭悪くなったらどうしてくれんのさ!」
怒鳴るように言い返すあたし。ああ、自分で言っていて少し情けない(汗)
だけど、その怒声は殴った当人よりも隣にいる梨華ちゃんに効いてしまった様で、
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
ぺこぺこと中年サラリーマンのように梨華ちゃんは頭を下げる。
当人であるよっすぃーは何処吹く風だ。
28 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時19分34秒
「あ、石川さんは悪くないから…。
だからそんなに謝らないで……(汗)」
「でもぉ…」
目の端に涙をためて、梨華ちゃんはあたしとよっすぃーとを交互に見やる。
「「う……っ」」
梨華ちゃんの涙の訴えに、あたしとよっすぃーの声がハモる。
「う〜〜っ、わぁったよ。ウチが悪かった。ゴメン」
よっすぃーの言葉に、ぱぁっと顔をほころばせる梨華ちゃん。
「もうお友達を叩いたりしちゃ駄目だよ?」
「うん…はあとはあと
あたしの存在なんか忘れた様に、いちゃつく二人。
29 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年11月22日(木)21時20分42秒
くそーっ、見せ付けやがって〜〜〜!!
でも、よっすぃーの隣で笑う梨華ちゃんはとても自然で……。
本当にお似合いのカップルだって、この時までは思ってたんだ。

――本当に、そう思ってたんだ……。
30 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年11月23日(金)07時01分24秒
>>24-20
交信しました。
続きは来週くらいに交信予定です。

>22
あまあまは好きなんですが、難しいですね。
下手をすれば全然面白みのないものになってしますので…。

>23
ありがとうございます。
今度の作品も好物であると良いのですが(苦笑)
31 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時31分03秒
初めて会ったあの日から、何度も思い出す梨華ちゃんの笑顔。
あんな子をあんな風に笑わせて上げられたら…。
そう思うと、胸がほやぁってあったかくなるのが自分でも判るんだ。
なんだろ、この気持ち。
恋…なのかな? 
でも梨華ちゃんはよっすぃーの恋人で…。
本当に大事な親友の恋人で……。

好きになっちゃいけない人――――
32 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時32分18秒
ザザァ……。
午後になって急に降り出した雨。
もちろん傘なんて持ってきてるわけが無くて、
あたしは降り続ける雨を昇降口でじっと見つめていた。
追試で遅くなってしまった所為か、周りには誰もいない。
33 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時32分54秒
「あ〜あ、急に降ってくるんだもんなぁ。空までごとーの気分と同じかよぉ」
独り言なんてあんまり良い癖じゃないけど、
意地悪な雨を前についつい愚痴ってしまう。
「ど〜しようかな。濡れて帰るのヤだし…」
立っているのにも疲れ、ついついへたり込む。
そのまま五分経ち、10分、15分と過ぎていく。
その間昇降口を通った人数は0。
「仕方ない。濡れて帰るかっ」
ため息混じり呟いて、立ち上がったときだった。
「あれ? こんな時間にどうしたの?」
振り向かなくても誰だか判る、高く甘い特徴的な声。
顔だけ器用に動かして振り返った先に立っていたのは――

「梨…石川さん……」
34 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時35分13秒
「もう〜。後藤さんったら変な事ばっかり言うんだから〜」
駅へと続く並木道。
雨に濡れた景色の中、あたしと梨華ちゃんはピンク色の相合傘で帰路へと着いていた。
相合傘ってことで距離が近い所為か、二人の心も近くなったような気がする。
弾む会話。
あたしは梨華ちゃんとのおしゃべりを楽しんでいた。
(よっすぃー、ゴメンね)
35 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時37分11秒
「でも、本当に助かったよ〜、梨…石川さんが通りがかって。
でも、どうしてこんな遅くに?」
「部活でトレーニングしてたの。もうすぐ試合が近いから…」
にこっと笑って答えてくれる梨華ちゃん。
「んぁ? 部活? 雨の日に?」
「テニス部。初めて選手になれたんだぁ。だから頑張ろうって思って…」
傘を持ってないほうの手を口元へ寄せ、
夢見るようにキラキラと目が輝いている。
36 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時37分50秒
「試合、いつ?」
「え? あ、ああ。来週の日曜日だよ。後藤さんも暇だったら応援に来てね」
「もっちろんだよ! たとえ梨華ちゃんが来るなって言っても絶対行くよ!」
「ほんと? ありがとうっ」
まさに満面の笑みって感じの笑顔を浮かべる梨華ちゃん。
そんな笑顔されちゃったら行くしか無いじゃん。

そんなこんなで楽しい時間は過ぎて行く。
目の前には駅。別れの時間。
「あたし電通じゃないからこの辺で。じゃあ、またね」
「……うん」
そう言って遠ざかって行く梨華ちゃんの後姿に小さく手を振る。
さてと、行くかっ。
梨華ちゃんと過ごした時間をリフレインさせながら、
あたしは駅のほうへと歩みを進めた。
37 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月04日(火)16時39分27秒
きっと今日は梨華ちゃんの夢を見る。
笑顔であたしに笑いかけてくれる夢。
電車に揺られながら、あたしはそんな予感に自然と笑みが零れた。
38 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年12月04日(火)16時41分26秒
>>31-37
予定より遅くなってしまいましたが、交信しました。
あと一回か、二回ほどで終わる予定ですので、
それまでいしごまにお付き合いくださいませ。

……とは言うものの、こんな駄文誰も見ていないと思われ(苦笑)
39 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月04日(火)17時01分18秒
NO!NO!NO!
見てますよちゃんと…。
いしごま…いや、嫌いじゃないっすよ
いしよし派ですけど(笑)

続き頑張って下さい。
40 名前:aki 投稿日:2001年12月04日(火)20時23分25秒
今日始めて発見しました。
たくさんのお話が読めてお得な気分です(w
どれも石川のキャラがいいですね。
これからもがんばって下さいっ!
41 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月06日(木)11時45分32秒
自分もしっかり読んでるデス!
この先どう転ぶか楽しみ〜!!
42 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時06分59秒
一緒に帰ったあの日から、あたしと梨華ちゃんは急速に仲良くなった。
廊下ですれ違えばにっこり笑いかけてくれるし、
教科書を忘れたときは互いのクラスへと借りに行く。
元々友達の少ないあたしにしてみれば、もう親友と呼べるくらいだよ。
でも、あたしの本当の気持ちを梨華ちゃんは知らない。
ううん、知られたら行けないんだ。
よっすぃーと幸せそうにいる梨華ちゃんを困らせてはいけない。
そう理性では警告を発しているのだけど――――
43 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時07分30秒
ぼんやりと梨華ちゃんの事を考えて歩いていると、ぽんっと肩を叩かれた。
ひょっとして梨華ちゃん…?
淡い期待に胸をどきどきさせながら、あたしは身体ごと振り向く。
「ぼけっとしてなにしてんの、ごっちん」
……なんだ、よっすぃーかぁ。
「ぼけっとしてたんじゃないよ。考え事してたんだよ」
(勝手な)期待を裏切られたあたしは、つい邪険に答えてしまう。
そんなあたしによっすぃーは「お〜、こわっ」とオーバーなアクション。
なんかむかつく…。
44 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時08分33秒
「…と、冗談はこれぐらいにしておいて」
こほんとよっすぃーは軽く咳払いを入れる。
まるで罪人を咎める様なきつい目で、じっとあたしを見つめて――
「あのさあ、ちょっと話しがあるんだ。放課後、時間空けておいてくれる?」
「話し? 今じゃ駄目なの?」
「うん。あんまり誰にも聞かれたくない内容だから、さ。
……だめ?」
「う、ううん。別に構わないけど」
「じゃ、放課後に屋上で待ってるから」
しゅたっと手をあげて、自分の教室へと走っていくよっすぃー。
あたしはやっぱりぼんやりとその姿を見つめていた。
誰にも聞かれたくない話しってなんだろう…?
45 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時09分10秒
終業のチャイムの音が鳴る。
一斉に昇降口へと向かう生徒達。
そんな流れに逆らって、あたしは屋上へと歩みを進めていた。
よっすぃーの言っていた話し。心当たりがあるとすれば一つしかない。
行きたくない。でも……。
迷いながらも確実に階段を登っていく足を止める事は出来ない。
屋上の扉まであと5歩もあればたどり着くだろう。
あと三歩、二歩、一歩……。
扉のノブに手をかける。
きぃぃ…。
軋んだ鈍い音を立てて開かれる扉。
その向こうに待っていたのは、
あたしと同じように暗い顔をしたよっすぃーだった。
46 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時10分01秒
「単刀直入に言うね。もう勝手に梨華ちゃんに会わないでほしいんだ」
捨てる様に吐き出された一言が、あたしの心を切りつける。
「梨華ちゃんはウチの彼女だから…、
あんまりちょっかいをかけて欲しくないんだよね」
「ちょっかいなんか……」
「かけてないって言えるの?」
まるで射抜くような強い視線に何も言えず、沈黙してしまう。
「今後一切梨華ちゃんに近づかないで」
先ほどと同じ強い口調の言葉。
いつもは朗らかで優しいよっすぃーが、女の顔をしてあたしを責めている。
梨華ちゃんは確かによっすぃーの彼女だ。
だからあたしの入る隙間なんて何処にもない。
あたしが勝手に横恋慕してるだけ。じゃまなのはあたし……。
そんなのは判ってる。
47 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時10分45秒
でも!
でも!
でも!
でも! 
それでも梨華ちゃんに会いたい。
会って何かをしたいわけじゃない。
ただ、彼女を見つめていたい。それだけなんだ。
そんなささやかな望みももってはいけないの…?
そんな想いは抑える事が出来なくて、あたしの口からは自然に
「いやだ」という言葉が涙と共に零れ落ちた。
48 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時11分18秒
「な…、何泣いてるんだよ…。これじゃあたしが悪者じゃん……。
それに嫌だってなんだよ、それ」
あたしの涙に驚いたのか、よっすぃーが一歩ひるむ。
だけどその声の中の怒気は薄れてはいない。
「会っちゃだめなんてやだよぉ…。あたしだって梨華ちゃんが好きなんだも…ん……。
よっすぃーに負けないくらいすきなんだもん……っ」
「ちょっと…痛いって…」
あたしはしゃくりあげながらよっすぃーの胸を叩く。
何度も何度も。あたしの思いをぶつけるかのように。
涙でぼろぼろの顔。
自分の中にこんな激情があるなんて自分自身驚いていた。
ただ、梨華ちゃんに会えない。
その事だけがあたしの頭の中を支配していた……。
49 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時13分00秒
「やめろっていってるでしょ…っ!」
身体が一瞬軽くなったような気がした。
ふわりとした浮遊感のあと、急激に襲い掛かる重力。
気がつくとあたしはどさっという重い音を立てて、
コンクリートで出来た床の上に寝そべっていた。
一瞬何が起こったのかわからない。
頭の奥がずきずきとする。
目の前にいるよっすぃーが口をパクパクと金魚みたいに動かしているのが見える。
そうしてるとまるで紺野ちゃんみたいだよ…。
50 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月10日(月)08時13分59秒
「大丈夫ごっちん…っ!?」
真っ青に顔を染めて、あたしを揺り動かすよっすぃー。
その手はがたがたと震えていて…。
「………あたしっ、知らない。
あたしの所為じゃない。ごっちんの…ごっちんが勝手に……」
よっすぃーはまるで呪文のように何度もそう呟くと、
逃げるようにあたしの視界から外れていった。


……よっすぃー……

………………梨華…ちゃ……ん…………


51 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年12月10日(月)08時25分09秒
>>42-50
交信しました。
多分あと一回で終わります。
というか、終わらせて新しい話しが書きたいだけなのですが(苦笑)
今回、話しが急展開しています。
それとレス有難う御座いました。
レスがあると癒されます。いえ、本当に。

>39
有難うございます。
こんな駄文、読んで頂いているだけで、本当に嬉しく想います。
いしよし…、次はその方向で書いてみたいですね。

>40
実はファンです(笑)
いしごま書き出したのは、akiさんの影響だったり…。
空板のお話、いつも楽しく読ませて頂いています。

>41
こんな感じに転びました。
自分でもこんな展開になるとは思っていなかったので、
びっくりしています(苦笑)
52 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月10日(月)14時19分10秒
> 目の前にいるよっすぃーが口をパクパクと金魚みたいに動かしているのが見える。
> そうしてるとまるで紺野ちゃんみたいだよ…。

作者さま、ごめん。ここ、ワラタ……。
いつも楽しみに読んでいます、交信がんがってくださいね。
53 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)23時16分49秒
陰ながら応援させていただきます
54 名前:白浜雪緒 投稿日:2001年12月18日(火)23時23分34秒
すみません。年内いっぱい、仕事の都合で交信出来なくなりました(汗)
20日から31日まで休み無しのシフトになってしまったので、
続きを書く時間がほとんど皆無なのです…。
というわけで、次の交信は来年まで延期させてくださいませ。

>52
笑って頂いて有難うございます。
金魚のお口は、やっぱり紺野ちゃんの十八番ですよね(笑)

>53
応援有難うございます。
期待に添えられるように、次の交信では頑張りますね。
55 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月22日(土)18時09分21秒
面白いです。
次、ラストなのは残念ですが待ってます
56 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)00時15分07秒
待っとりますよ〜
57 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時05分55秒
――――気がつくと知らない天井を見つめている自分がいた。

白で塗り尽くされた部屋。
まるで一片の汚れも排除するかのように。
まるで邪なあたしの想いを白に塗りこめるかのように。
58 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時06分53秒
「ここ…は…?」
かすれた声で小さく呟く。頭を動かそうとして、ずきっと小さな痛みが走った。
「つつ…っ」
それでも何とか身体を起こして、周りを確かめようと視線を動かす。
「真希っ!」
ガシャン。
何かが割れる音。
よくその音の方をみやると、そこには涙を一杯に溜めたお母さんの姿が。
「真希っ、真希……っ!」
駆け寄ってくるお母さん。そしてあたしを抱きしめると、
「あんたっ、三日も意識が戻らなかったんだよっ!
お母さん心配したんだから……っ。でも良かった…良かったよぉ…」
と、涙交じりの声であたしを叱るように、包むように抱きしめてくれた。
なんだかこんなお母さん見るの、始めてかも。
さすがのあたしもじーんときちゃうな……。
59 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時08分01秒
「ゴメンねお母さん。心配かけて…。でも、もう大丈夫だから…」
お母さんの涙が伝染ったのか、あたしまで涙交じりの声でそう答える。
抱きしめてくれるお母さんの背中をぽんぽんと軽く叩く。
お母さん、こんなに小さくなってたんだ…。
60 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時08分37秒
「とにかく無事でよかったよ…。でも、どうして学校の屋上なんかで倒れてたんだい?
お前、発見があと少し遅かったら危なかったらしいんだよ?」
涙を拭きながらたずねるお母さん。
そっか、よっすぃーの会ってたことは誰も知らないんだもんね。
でも、それが逆に良かったのかもしれない。
あたしの所為でよっすぃーが責められるの、やだもんね。
「えへへ、つい転んじゃって」
いつものふにゃけた笑顔でそう答えると、お母さんは、
「どんな悪さをしてもいいから、心配だけはかけないでちょうだい」
と、ちょっぴり怖い顔で言葉を結ぶ。
あたしはただ、「うん…」とだけ、短く答えた。
61 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時09分24秒
意識は回復したものの、頭部への怪我という事で、
一週間は大事を取るために入院を続ける事になった。
最初の一日目こそは「一日中休んでいられるなんて天国だ」なんて思ったけど、
これが二日目、三日目となると退屈をもてあましてしまう。
人間って贅沢なもんだよな〜なんて思うけど、
それはそれ。仕方ないよね。
それに…退屈は嫌い。
だって嫌な事を考えてしまうから。
緩やかに流れていく時間の中で思うのは、梨華ちゃんとよっすぃーの事……。
62 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時10分08秒
「あ〜、もうたいくつ〜〜」
その日何度目かの雄たけびを上げるあたし。
小さく伸びをして回りを見渡すけれど、時間を忘れさせてくれる様な者は何もない。
あの雑誌はもう読んじゃったし(またユウキに買ってこさせなくちゃ)
今の時間はニュースばっかだからテレビも面白くないし…。
なにか面白い事ないかなぁ。

こんこん。

小さなノックの音。
「んぁ、だれ〜?」
戸惑いがちにゆっくりと開かれる扉の向こうから現われたのは、
何度も思いを馳せた梨華ちゃんその人だった。
63 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時11分24秒
「具合、大丈夫…?」
戸惑いがちに梨華ちゃんが声をかける。
「うん、大丈夫だよ。
お医者さんももうすぐ退院して良いって言ってたしね」
「そう、よかった…」
にこり。小さく微笑む。
その笑顔があれば、こんな怪我なんてすぐ治っちゃうよ。
64 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時11分57秒
「そういえばよっすぃーは? 一緒じゃないの?」
よっすぃーと言う言葉に反応したのか、梨華ちゃんは顔を俯かせた。
「ど、どうしたの?」
慌てて聞くあたし。
だけど、俯いたその顔には、ぽろぽろと涙が零れている。
「ね、ねえ。どうしたの?
ごとー、なんかイケナイこと聞いた? なら謝るからさっ」
「……がうのぉ」
「んぁ?」
「ちがうのぉ。真希ちゃんはイケナクなんてないのぉ…」
抱きしめてあげたくなるほど、儚く震えた声で、梨華ちゃんはそう答えた。
65 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時12分58秒
そんな風に泣かないでよ。
梨華ちゃんにはいつも、笑顔でいて欲しいんだ……。
「真希ちゃんの怪我…っ、ひとみちゃんの所為だって。
ひとみちゃんが真希ちゃんに怪我させたんだって……っ」
ひっくひっくとしゃくりあげながら、火が付いたように泣き出す梨華ちゃん。
あたしはただ、その頭を撫でてげることしか出来なくて……。
とん。
勢いが余ったのか、軽くベッドに手をつく。
「ねえ、どうしてぇ?
どうしてケンカなんてしちゃったのぉ?
あんなにひとみちゃんと仲良しだったのに……」
そう涙ながら語る梨華ちゃんにあたしは、
「それはね……」
と、身を乗り出す。
そしてその柔らかな頬に触れ、あたしは梨華ちゃんの唇に自分のそれを重ねた。
66 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時13分54秒
たっぷりと5秒。
真っ白な病室と同じくらい、真っ白な時間が流れた事だろう。
驚きに目を見開く梨華ちゃん。
「……どう…して……?」
ぱちぱちと瞬きを繰り返す度に、長い睫毛が震えている。
「ちゃらんぽらんでいい加減なごとーだけど、好きなんだ。梨華ちゃんが」
じっと見つめる。
大きな目が見開かれ、その瞳の中にあたしの姿が映っているのがわかった。
「いーかげんなごとーの中で、これだけは本当。これだけが真実……」






あたしは瞳を閉じ、そして―――





67 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時15分06秒
それから一ヶ月が過ぎた。
あっという間にあたしの怪我は治り、今はこうして元気に学校へ通っている。
あのお見舞いの日以来、梨華ちゃんとは会っていない。
っていうか、会える訳がないよね(苦笑)。
よっすぃーとも気まずいまで、前のようにつるむ事はなかった。
ただ退屈な授業を受け、クラスメイト達と適当な話をする、そんな毎日が続いている。
あたしはぼんやりと窓から外へと視線を巡らせる。
68 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時15分44秒
あたしは好きな人と大切な友人、二人を失った。
だけど、あの瞬間。
ともすれば夢のように甘い、二人だけの時間は確かにあったのだ。
あたしは携帯を取り出す。
キーを何度か押して、未送信メールを開いた。
そこには永遠に送られることのないメールが一つ。
69 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時16分18秒
メールにはたった一言だけ…。
――会いたい。
70 名前:「君との時間。」 投稿日:2001年12月31日(月)21時24分30秒
>>57-69
交信しました。
なんとか年内にうp出来て、ほっと一息。
多分結末には避難ゴーゴーだと思うけれど、
最後の一文が書きたいがために始めたお話しなので、
コレはコレで良しと、自分の中では思っておきます(苦笑)

>55
なんとか終わらせました。
こんな駄文を、
終わる事を残念がっていただけて、本当に嬉しく思います。

>56
お待たせしてすみません。
でも、なんとか頑張って年内うpしてみました。
次回作もぼちぼち書き始めているので、
こんな駄文ですが、また読んで貰えると嬉しいです。
71 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月01日(火)02時05分33秒
感動しました。
自分にも最後の一文のように思える人がいます。
作者さま、お疲れ様でした。
遅くなりましたが、謹賀新年。
今年も御無理なさらず頑張って下さいね。
72 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月01日(火)14時43分49秒
終わり方が作者さんらしい感じがしました。
すごい良かったです。次回作も期待してます。
73 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時43分25秒
ウチの名前は加護亜依。
友達からはよう変な名前言われるけど、
覚えやすうていい名前やって自分では思ってる。
実際、ニッポンゼンコクの人たちからも、
「加護ちゃん」「加護ちゃん」言われとるしな。
おんなじ「アイ」でも、これが高橋なんて苗字やったらこうはいかんやろう。
ウケケケケ。ウチと同じ名前やなんて百万年はやいんじゃぁ、ボケェッ!
著作料持ってこんかーい!
74 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時44分07秒
はあはあはあはあはあはあ………はっ! 話しが脱線してもうた。

えーと、なにが言いたいんかっちゅーと、こんなぷりちーなウチやけど、
実は好きな人がおんねん。
しかも片思い…。
だって相手は、天使のように優しゅうて清らかな、
あの梨華ちゃんなんやもんっ。

――――ウチなんかが汚してもええんやろうか?

そう思うと告白もよう出来へん……。
どないしたらいいんやろう……。
75 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時45分31秒
1 まずは矢口さんに聞いてみよう!

「今のままじゃ無理だね」
ぐっさぁ!
思い余って矢口さんに相談に行ったウチ。
せやけど、モノの一言で容赦なく斬り捨てられる。
「む、無理ってそんなぁ…」
「だって、相手はあの「梨華ちゃん」だよ?
告白も出来ないんだったら、一生気付きっこないって」
そう言うと、矢口さんはキャハハハハハっと喧しい笑い声を上げる。
それにしても、癇に障る笑い声やなあ。むかつくわ、ホンマ。
くそー。
こんな人に相談したんがそもそも間違いやったんや。
次行くで次!
76 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時46分23秒
2 やっぱりこの人。後藤さん☆

「んぁ?」
次にウチが向かったんは、後藤さんや。
後藤さんやったらきっとええ知恵貸してくれるに違いない!
「つまり加護は、梨華ちゃんとどうにかなりたいってワケ?」
ふぁぁと欠伸交じりに、後藤さんは眠そうにウチを見つめる。

………ホンマ大丈夫なんかな、この人(汗)
77 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時47分32秒
「ど、どうかなりたいって言うかぁ、
加護は梨華ちゃんと好き同士になりたいんですよぉ」
「だからどうかなりたいんでしょ?」
そういわれ、ウチは思わず梨華ちゃんと「どうにかなった」所を想像する。
例えば海の見える公園で夕暮れ時にキスとか……キャーーーーーはあとはあとはあとはあと
あながち違うとは言い切れへんウチは、顔を赤くして小さく頷いた。
後藤さんはバックをごそごそ漁ると、液体の入った瓶を取り出し、
ポンっとウチの方へ放る。
「なんですか、これ?」
「媚薬」
「びやくぅ?」
”びやく”ってなんやろ?
78 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月04日(金)10時48分41秒
そう頭をひねっていると、後藤さんは”びやく”っちゅーもんの効能を話し出した。
「これ、結構強いクスリだから、一応一日2回までね。
梨華ちゃんの食事に混ぜて飲ませれば、10分ぐらいで効き始めるから」
はいっ?
あの〜ぉ、後藤さん?(汗)
「そのあとは加護の望むまま、ホテルでも何処でも行って
既成事実作っちゃえばいいんじゃん?」
「あほかーーーーーーーっ!」

どっかーんきぼし

尾を引きながらお星様になる後藤さん。
「好きな女をおかっ…おかしっ…犯してどーーっすんねん!
上手くいくもんもいかんくなるわっ!!(怒)」
次行くで、次!
79 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月04日(金)10時53分17秒
>>73-78
新作交信しました。
前回が重めだったので、今回は軽いコメディで。
続きは近いうちに、また交信します。

それから78の、「どっかーんきぼし」は
どっかーんきほし
の間違いです(汗)
自己レスカコワルイ。逝って来ます……。
80 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月04日(金)11時00分55秒
>71
新年おめでとう御座います。
なんだか感動とか言われると、照れてしまいますね(汗)
でも、そう言っていただけるのはこそばゆいけれど、
本当に嬉しいです。

>72
どのへんが自分らしいのか、イマイチ自分じゃ良くわからないんですが(苦笑)
やっぱり読後感があまり良くないところなのかな、
とちょっと反省してみたり。
新作は笑って読める軽めのモノにしてみたのですが、
今までと全く違うので、ちょっと反応が怖い今日この頃なのです。
81 名前:aki 投稿日:2002年01月04日(金)13時54分44秒
新年明けましておめでとうございます。
「君との時間。」、読んでて胸が痛むような話は久しぶりでした。
自分もそうすることを目指してるんですが、とてもジーンと来ました。
新作も楽しく読ませてもらいます^^
51<いしごま書いてて良かったなぁと改めて感じました(w
   勿体無いお言葉本当にありがとうございます。
82 名前:ポー 投稿日:2002年01月04日(金)17時19分21秒
あけおめ〜!新作も いい感じです♪「君との時間。」あのせつない感じがスキなんだけどもやっぱり心がせつない...自分も今「会いたい」人がいます。。。あぁ、なんだか心がくすぐったい(´n`)
83 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月06日(日)10時04分43秒
3 飯田さん+相談=交信?

「あのー、聞いてます。飯田さん?」
「……………………………」
「もしもーし?」
「*@?=:*+$%#」プシュー。
交信中の飯田さんに聞きにきたウチが馬鹿やった…。
次行くか……。
84 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月06日(日)10時05分25秒
4 お菓子でGO! 安倍さんの恋のワナ

「ふ〜ん。ほんでなっちの所に来たんだべか」
ポテトチップスをバリバリと頬張りながら、安倍さんはウチの方を見つめた。
その拍子にポテチの食いカスが飛んできて…うわっ、キタナっ。
「もう、安倍さんだけが頼りなんですよぉ」
「そう言われると悪い気しないっしょ。
泥舟に乗ったつもりでなっちに任せるべさ!」
…………いや、あの。泥舟って沈むし(汗)
「んじゃ、さっそく恋のワナを作るべさ」
ウチの不安なんか気にもかけず、
安倍さんはそう言うと袖まくりして、キッチンの方へと向かった。
ウチも安倍さんの後ろについてトコトコとキッチンへ。
85 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月06日(日)10時06分16秒
「ところで恋のワナってなんですのん?」
そう首を傾げて聞くと、
「女の子はみーんなお菓子が大好きだべさ」
ふんふん。確かにウチもお菓子は大好きや。
「だからお菓子にこの薬を混ぜて……」

「結局お前もそれかーーーーーいっ!!!」

思いっきり炸裂するスクリューアッパー。
安倍さんの体が空高く舞う。
ワン! ツー! スリー! だぁぁぁぁぁぁぁ!
モーニング娘。の中に、マトモな奴はおらんのかいな…。
次行こ…。
86 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月06日(日)10時06分59秒
5 おばちゃんとののの漫遊記(看板に偽りあり)

残りのメンバーを捜して、テレビ局の中を旅するウチ。
なんやこんなアニメが昔あったなあ。
なんちゅーたかな、う〜ん…。
あ、そうやそうや。母を訪ねて三千里や。
お母ちゃんと毎日再放送見ては泣いたわ。うんうん。
涙ぐむ目をこすりふと前を見ると、向こうの廊下からおばちゃんとののの姿。
「あ、おばちゃー…」
言いかけて止めるウチ。
87 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月06日(日)10時07分40秒
かたや、恋愛に縁の薄そうなおばちゃん。
かたや、色気よりも食い気ののの。
あの二人に恋のアドバイスなんて出来るのだろうか――
答えは否。
くるりと踵を返すと、ウチは反対側の方へ逃げるように歩き出した。

「あれ、亜依ちゃんじゃないれすか? 
急に振り返って行っちゃいましたけろ、どうしたんれすかねえ」
「さあ。トイレにでも行きたくなったんじゃない?」
88 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月06日(日)10時11分47秒
>>83-87
ほんのちょこっとなんだけど、交信をしてみた〜♪
ほんのちょこっとなんだけど、次は来週だと思うよ♪
次のここここ交信ペース♪

ほんのちょこっとだけど、風邪でおかしくなってます。はい…(汗)
89 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月06日(日)10時18分53秒
>81
いえっ、あの、その。akiさんにそう言われると、
嬉しすぎて言葉も出ないというか…。
白浜の方こそ、いつもakiさんの作品に泣かされてる人間なので。
でも、嬉しいです。その言葉を励みに今日も生きていきます!(をい)

>82
せつないっすか?
これなら白浜、せつない系作家を名乗れますかね(笑)
もっとせつなくなってもらえるよう、頑張りますね(w
90 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月07日(月)00時40分15秒
スクリューアッパーすげー(w
91 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月08日(火)17時26分03秒
6 頼れるのは常識人。よっすぃーに聞いてみよう!

最終的に頼れるのは、メンバーの中で一番の常識人よっすぃー。
ウチもあほやなあ。最初っからよっすぃーのところに来てれば、
いらん労力使わんですんだもんを。
あ、よっすぃー発見。

とてとて。

「よっすぃー」
後ろから甘えるように抱きついた。
器用に頭だけ振り向くよっすぃー。
「甘えん坊だな、加護は。どうしたの?」
「えへへ。加護、よっすぃーに相談に乗ってほしいんだぁ」
加護ちゃんスマイル☆を浮かべ、よっすぃーの首にぶら下がる。
92 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月08日(火)17時26分39秒
此処だけの話内緒やけどな、
実はよっすぃーは、この加護ちゃんスマイル☆にメロメロやったりすんねん。
今も眦を下げて、アブナイおやぢ…もとい、おじさまたちみたいな目でウチの事を……。
ああっ、いや! やめて!
ウチ、初めては梨華ちゃんって……ああっ!

がつんっ!

「こら。ナニあほな事言ってるのさ」
「あたたたた。
何すんねん! 頭の形が変わってしもうたらどうするんや!」
「人のことロリ○ンおやぢみたいに言うからでしょーっが!」
きっと睨むよっすぃー。その長身を屈め、ウチの事を見下ろしている。
「……ひょっとして聞こえてた?(汗)」
「……うん」
………………………(汗)
93 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月08日(火)17時27分15秒




閑話休題。




94 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月08日(火)17時28分44秒
「で、相談って結局なんだったの?」
「えっとな、かくかくしかじかやねん」
「ほうほう。梨華ちゃんが好きだから、どうにかしてほしいって訳ね」
「いや、ウチは「かくかくしかじか」って言っただけやねんけど…」

ごずっ!

「つまり、加護は梨華ちゃんを好きだから、どうにかしてほしいって訳ね」
「ひゃ、ひゃい…」
ズキズキと痛む頭を抑えながら呻くウチを見事に放置し、
よっすぃーは一人口ごもる。
95 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月08日(火)17時29分23秒
「梨華ちゃんねえ……。ふむ」
「何かええ方法ある?」
「ない事もないけど…」
その返事は、よっすぃーにしては珍しく歯切れが悪い。
そんな勿体ぶらんと早う教えてや、ゴルァ!
うちの必死の懇願の瞳に負けたのか、溜め息を一つ。
「あんまり加護にはお勧めじゃないんだけどなあ…」
そう呟いて、よっすぃーはとある作戦を耳打ちしてくれたのだった。
96 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月08日(火)17時32分26秒
>>91-95
交信しました。
なんだかどんどんお馬鹿な方向に走っている加護ちゃんですが、
まあ、その辺は見逃してやってください(汗)

>90
( ´D`)あいぼんのすくるーあっぱーは、
      たいじゅうがのっているのれすごいのれす。てへてへ。
97 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)02時12分58秒
加護のテンポが楽しいね
98 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月09日(水)08時13分32秒
7 秘密の花園と、理解して! 梨華ちゃん

ドキドキドキドキ。
ここはとある高層マンションの一室。
ウチは飛び出してきそうなほど激しく打ち付ける胸の早鐘と戦っていた。
なんでこんなドキドキしてるんやって?
聞いて驚け!
な、な、な〜〜んと、ウチは今、梨華ちゃんの部屋に忍び込んでいるのれす! てへてへ。
……あ、ののの口癖が移ってもうた。
ま、それはともかく、よっすぃーに相談したあと、こっそりと借りた合鍵
(なんでよっすぃーがんなもんを持っているのか、謎やねんけど)を使って、
梨華ちゃんが仕事に言ってる隙に忍びこんだんや。
99 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月09日(水)08時14分10秒
持っていたバッグを床に下ろし、周りをぐるりと見渡す。
はあ。ここが梨華ちゃんの禁断の花園かぁ〜。
ホンマにピンクだらけなんやなあ。
す〜は〜す〜は〜。
梨華ちゃんと同じ、便所の匂いがするわ〜(うっとり〜)
……おっとあかんあかん。こないな事してる場合じゃなかったんや。
はよ作戦を実効せないかんのやったわ。
100 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月09日(水)08時14分55秒
ん? 箪笥はっけーん! 何が入ってるんやろ?

がらっ!

うっわぁ〜。これ、きわどっ!
ひ〜らひらのす〜けすけや〜。梨華ちゃんたら可愛い顔して結構えっち……。
こんなもん何処に履いて行くんやろ。
悪用せえへんように、没収!
あっ、こっちにもキワドイのがっ!
ああ、あっちにも〜〜〜〜っ!!
101 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月09日(水)08時15分29秒
――20分経過。

収穫収穫♪
ポケットのいたる所に押収物を詰め、上機嫌なウチ。
そっこーで歌なんて作ったりして、ついついそれを口ずさんでしまう。
そう言えばなんか忘れてるような……。
はっ!
あかんあかん。
つい夢中になって、目的を忘れるところやったわ。
慌てて携帯を取り出し、時間を確認する。
「梨華ちゃんが仕事から帰ってくるまであと1時間って所やな。
ギリギリ際どいところやけど、何とか間に合うやろ」
ウチはそう呟くと、床に置いていたバックを拾い、
よっすぃーから教えてもらった作戦の準備を始めるのだった。
102 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月09日(水)08時21分31秒
>>98-101
交信しました。
ついに次回で加護は石川と直接対決です。
どんどん壊れていく加護に、石川はどんな反応を示すのか、
ストックが尽きたので(今から書き始めるらしいです)自分でも判りませんが、
どうぞお楽しみに(w

>97
有難うございます。読みやすく、弾けた作品が書きたかったので、
そう言ってもらえると嬉しいです。
103 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月09日(水)21時44分49秒
「君との時間。」の最後に死ぬほど感動したのに…
今回はかなりおもろいですね(w
なぜみんな媚薬を… 誰に使っているのでしょ?
次は直接対決!加護ちゃんがんばって!
押収物分けて…(w
104 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月10日(木)15時02分05秒
合鍵よすぃ
さすが(w
105 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時30分52秒
「ただいま〜、なんちゃって♪」
玄関の方から聞こえる、あま〜い声。
梨華ちゃんやっ!
ウチは梨華ちゃんに見つからないように、玄関の方を伺う。
「誰もいないのに、挨拶しちゃうのって、ひとり暮らしの宿命よね〜♪
アロエリーナちゃん、元気してたかな?」
服どころか声までピンク色にして、
靴箱の上においてあるアロエの鉢をつんとつつく梨華ちゃん。
くっはぁ〜っ、可愛すぎや〜。
じゅるりとよだれをふき取りながら、ウチは梨華ちゃんを見つめる。

じ〜〜〜〜。

ん、どないしたんやろ。
なんや梨華ちゃんがこっちを見てるような……。
106 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時33分10秒
不意に目が合う。
「そこにいるのは誰…?」
靴を脱いで部屋の中に上がってくる梨華ちゃん。
いらっしゃ〜いって、そもそも梨華ちゃんの家やねんけど。
って、なんか怒ってませんか?(当たり前です)
顔がものごっつぅ、無表情なんですけど……(汗)
「いやっ、コレは違うんやっ。…あの、その…っ」
しどろもどろに弁解をする。が、そんなん効くわけがなくて……。
「あいぼん! どうやって勝手にはいっ……」
「ごめんなさーいっ!」
梨華ちゃんの怒り鉄槌を恐れ、ウチは思わずしゃがみこむ。
……が、その怒りの鉄槌は下される事はなかった。
107 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時33分47秒
「可愛い……」
ぽつりとそう呟く甘い声。
「へ?」
恐る恐る顔をあげると、梨華ちゃんは頬を赤く染め、ウチの事を凝視している。
「メイクもピンク。髪ゴムのファーもピンク。
インナーもスカートも全部ピンクだなんて……。あいぼん可愛い……」
潤んだ瞳でそう言うと、梨華ちゃんはウチをぎゅっと抱きしめた。
108 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時34分39秒
梨華ちゃんの言うとおり、今のウチは全身をピンクで飾り立てていた。
よっすぃー曰く、
「梨華ちゃんはピンクに弱いからねえ。
服とかメイクとか、とにかくピンクで自分を飾り立てれば、
梨華ちゃんのほうから告白してくるんじゃない?」
なんやそうや。
それで、ワザワザこんなキショイカッコして、
梨華ちゃんを待っていたというわけやね。
でも、梨華ちゃん家の合鍵を渡しながらよっすぃーが言った、
「でも、人目があるから梨華ちゃんの家で二人きりのときにやったほうがいいよ」
って、どう意味なんやろう……。
109 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時36分42秒
「梨華ちゃんの為に、恥ずかしいけどこんなカッコしてきてんやで…」
きゅと抱きしめ返す。
ああ、梨華ちゃんって便所のイイ匂いがするわぁ。ふがふが。
「あたしのため…?」
「うん…(ふがーふがー)」
潤んだ目で見詰め合う二人。
「あいぼん!」
「梨華ちゃん!」

ひしぃっ!

まるで夕日の中の青春ドラマのように、お互いの存在を確認しあう。
ウチの背中に回された手は、優しく暖かくて、
ただそれだけで、ウチは幸せな気分やった。
110 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時38分36秒
(梨華ちゃんと抱きおーてるなんて嘘みたいや…。
神様、おーきに。ウチ、もう、死んでもええ……)
だけどそんな幸せが遠いお空へと飛んで行ったんは、
普段は信じてもいない神様に感謝の気持ちを込め、涙したそのときやった。
111 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時39分17秒
ぬぎぬぎ。

「あ、あのー。なにしてはるんですか、梨華ちゃん……」
「なにって、やっだ〜。決まってるじゃん。うふふはあとはあと
そう言って笑う梨華ちゃん。
でも、その目はまるでエモノを狙う鷹の様。
そんでもって、背中に回されていたはずの手はウチの服をまさぐりあげようとしていて…。
「私、ピンク色を見ると興奮しちゃうのよね。うふっはあとはあと
あいぼん、今日は寝かせないわよっ!」
「あ、だめっ。ああん、せめて明かりは消して〜〜」
112 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時40分30秒
所変わって、此処は某テレビ局。
迷路のように入り組んだ建物の中、6畳ほどの小部屋に二人の少女がいた。
小部屋の入り口には『プッチモニさま、控え室』と、
大きく書いた紙が貼ってある。
「へえ、加護のやつ、ごっちんの所にも行ったんだ〜」
私服に着替えながらそう尋ねるのはよっすぃーこと、吉澤ひとみ。
尋ねている相手は、ひとみの親友でもある後藤真希である。
「うん。あのパンチは効いたよ〜。
おかげで二時間はピスタチオが食べれなかったし〜」
「あはは。それは災難だったね〜」
「まったくだよ〜」
言うと同時に後藤は机へと突っ伏した。
113 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時42分10秒
「うん。あのパンチは効いたよ〜。
おかげで二時間はピスタチオが食べれなかったし〜」
「あはは。それは災難だったね〜」
「まったくだよ〜」
言うと同時に後藤は机へと突っ伏した。
「でもさ、結局どうなったの、加護の相談」
「ああ、あれね。相手が梨華ちゃんだったからさ、例の事教えておいたよ。
『告白出来ないけどどうにかなりたい』んだったら、相手に襲ってもらうしかないからさ」
ジャケットに袖を通し、髪を手櫛で梳きながら吉澤は笑った。
114 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時42分53秒
「うっわー。よっすぃーってば結構キチク…。
梨華ちゃんにピンクを見せたらどうなるか知ってるくせに。
でもそうなると加護は明日は休みだねえ〜。生きてるといいけど……」
と、突っ伏したまま顔だけを上げて、後藤は遠い目をしながら加護の事を思った。
後藤のその思いが通じる事は、きっと無いという事を確信して……
115 名前:「彼女を美味しくいただく方法。」 投稿日:2002年01月10日(木)23時43分30秒




「あと10回はいくわよ〜!」
「ひっ。も、もう堪忍して〜。
こんなん…こんなんいややーーーー!!」




ちゃんちゃんっ。
116 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月10日(木)23時55分54秒
>>105-115
交信しました。
なんかすごいあほなものを書いてしまったような気が…。
しかも、オチが「ここで〜」と一緒だし(汗)
加護ファンの方、すみません〜〜〜っ。
117 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月11日(金)00時01分40秒
>103
まじめなものばかり書いていると、時々壊れたくなる事が…(苦笑)
次は今までの路線のマジメなお話しに戻ると思いますので、
勘弁したって下さい(ぺこぺこ)
押収物に付いては、今度加護ちゃんに聞いておきますね(w

>104
白浜の中では、お姉さま方4人と、後藤、吉澤は
合鍵を持っているということになってます(をい)
そしてそこで媚薬を……(待て)
118 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月11日(金)00時11分25秒
結構作品が溜まってきたので、ちょこっとだけ整理を。

願い。(いしよし)
>>2-5

甘いワナ。(いしごま)
>>8-11

ここでキスして。(いしやぐ)
>>14-20

君との時間。(いしごま)
>>24-29
>>31-37
>>42-50
>>57-69

彼女を美味しく頂く方法。(いしかご)
>>73-78
>>83-87
>>91-95
>>98-101
>>105-115

まさか、自分が100レス以上かけると思ってなかったのでびっくりです(ニガワラ
ちょっと自分に感動(をい)
119 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月11日(金)06時50分16秒
ピンク魔、ここに極まれりって感じ
120 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時41分05秒


あの人の事を考えると、
胸の中がロウソクが灯るように暖かくなるのはどうしてなんだろう。




121 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時41分49秒
「……わ…ちゃん、小川ちゃんってば」
不意に名前を呼ばれ、真琴の意識は現実へと戻った。
顔をあげると、教育係でもある梨華が、自分の顔を覗き込んでいた。
「急にぼんやりするから、びっくりしちゃったよ」
梨華はその愛らしい顔をほころばせ、くすくすと笑う。
まるで花が咲いたようにぱぁっと明るくなる空気に、
真琴はようやく笑みを浮かべた。
「でも、どうしちゃったの。飯田さんみたいに交信?」
「ひどいなあ、石川さん。私、交信なんてしませんよ〜」
冗談交じりにそう言うと、楽屋の隅の方から、
「なによ、それ〜。カオが変だって言うの〜?」
と、リーダーでもある飯田の声。
122 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時42分38秒
「あ、いやその…っ」
慌てて反論しようとするが、上手く言葉が出ない。
(どうしよう…。飯田さんを怒らせちゃったよ……)
目をきゅっと閉じ、つい俯いてしまう。
ぽん。
肩に優しい温もりを感じる。
意を決し顔をあげると、そこには梨華が優しく微笑んでいた。

(ダイジョウブダヨ)

言葉を発しない唇は、真琴にだけ判るように小さく動いている。
123 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時43分24秒
「石川さん…」
「しっ」
梨華は指を唇にあて、ウィンクを一つすると、
「そうですよ〜。飯田さんはもう少し自覚した方がいいですよ〜」
と、真琴をかばうように飯田の方へと歩いて行く。
「なんですって〜! 石川の癖に生意気よっ!」
「きゃ〜〜〜。やめてくださいよぉ、飯田さん〜」
「圭織っ! 今日こそは石川をやっちゃえ〜!」
「逃げろ梨華ちゃん!」
冗談のような追いかけっこが目の前で展開され、二人に飛ばされる野次を尻目に、
真琴は一人、梨華の事だけを見つめていた。
どうしてなんだろう?
真琴はそれとなく助けてくれる梨華の事を不思議に思っていた。
教育係だからなんですか。
それとも……。
124 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時44分05秒
仕事も終わり、夜、誰もいない部屋で考えるのは梨華の事。
優しさに触れるたび、その暖かさに包まれるたびに思う、不思議な気持ち。
あの人の事を考えると、
胸の中がロウソクが灯るように暖かくなるのはどうしてなんだろう。
今の真琴には答えが出ない。だけど。
125 名前:「my little love」 投稿日:2002年01月11日(金)07時44分38秒





きっと遠くない。
淡い憧れが恋に変わるのは――






126 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月11日(金)07時48分17秒
>>120-125
交信しました。
ここのところ、中編が続いたので、ヒサブリに短編。
これくらいのボリュームの方が、話をまとめやすくてよいですね。

>119
やっぱり石川さんにはピンクに狂ってもらわないと
楽しくないというか、なんというか(ニガワラ
ピンクって可愛くていいですよね。
127 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月11日(金)13時28分35秒
小川ヲタな突っ込み本当にスマソだけど、
「真琴」じゃなくて「麻琴」だよ……
128 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月11日(金)13時52分00秒
>127
うあー、マジボケしてました(汗)
っていうか、名前ぐらいちゃんと覚えておけ、俺(−−;

小川ファンの方、申し訳ありません。
真琴=麻琴と、脳内変換してお読みくださいませ(ペコペコ)
129 名前:「キミガスキ。」 投稿日:2002年01月12日(土)06時41分11秒
天高く雲が流れる。
柔らかく吹く風は、春の訪れを告げるかのように優しい。
未だ東京都内にて緑が多く残る武蔵野のとある公園で、
梨華とひとみは数少ないオフを楽しんでいた。
二人で作ったお弁当を平らげ(味付けをしたのは、もっぱらひとみだったが)、
ひとみは木漏れ日の下、梨華の膝を枕にごろんと横になる。
「もう、ひとみちゃんったら。
食べたあとにすぐ横になったら、牛さんになっちゃうよ〜」
なんて、楽しげに笑う梨華の甘い声がくすぐったい。
130 名前:「キミガスキ。」 投稿日:2002年01月12日(土)06時41分49秒
「いーよ。そしたら梨華ちゃんが飼ってくれるだろうし」
「え〜。食べちゃうかもしれないよ?」
一瞬それもいいかも、なんて考えてしまった自分に苦笑する。
このお姫様に食べてもらえるのならば、牛だってきっと本望に違いない。
「ん〜、でもそれはないよ」
「どうして?」
見下ろし、膝の上のひとみの髪を優しく撫でながら梨華が問い掛ける。
そんなの決まってるじゃんっとばかりに、ひとみは微笑むと、
「食べるのはあたし、って決まってるから」
と、その可愛らしい梨華の唇にちゅっと口付けた。
131 名前:「キミガスキ。」 投稿日:2002年01月12日(土)06時42分22秒
一瞬で耳まで赤く染まる。
瞬間湯沸し機みたいだねえなんて、口には出さないけれどそう思う。
そこがこのお姫様の可愛い所でもあるのだけれど……。
ひとみは手を伸ばし、梨華の赤い頬にそっと触れる。
「こんなに真っ赤になっちゃって可愛い」
くすくす笑いながらそう言うと、もう一度啄ばむ様にキス。
「もう…っ」
なんて拗ねてみせる梨華が、本当は嬉しいのだと知っているから、
人影もまばらな公園で、ひとみは何度もその拗ねた唇に口付けた。
132 名前:「キミガスキ。」 投稿日:2002年01月12日(土)06時43分43秒
「そろそろ帰ろうか?」
何度目かのキスのあと、唇を離したひとみがそう告げる。
「え? まだ日も高いし、もう少しいようよ」
キスの余韻に瞳を潤ませながら言う梨華に、
「だって本当に梨華ちゃんを食べたくなっちゃったんだもん♪」
と、ひとみはウィンク一つ。
「…………ばか」
小さく呟いた梨華の答えに、ひとみはにっこりと微笑んだ。
133 名前:「キミガスキ。」 投稿日:2002年01月12日(土)06時44分54秒
晴れた日の住宅街の公園で、手をつないで歩く二人の少女。
「梨華ちゃん」
「ん、なぁに?」
繋いだ手をきゅっと強く握る。
「ずっとずっと一緒にいようね」
「うん」
134 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月12日(土)06時46分17秒
>129-133
交信しました。
気分を一新して、白浜の中での原点であるいしよしに戻ってみました。
やっぱりこの二人は書いていて、とても楽しいのです。
135 名前:ポー 投稿日:2002年01月12日(土)14時56分12秒
もうたまんないね〜!せつないのとおんなしくらい甘甘スキですから(´u`) 梨華チャンの「・・・・・バカ」にノックアウトされた自分は変態ですかね?逝ってきます...
136 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月12日(土)18時07分13秒
マターリ甘甘。ヽ(´ー`)ノ
137 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月13日(日)10時55分55秒
ソレを見てしまったのは、ほんの偶然。
見たくて見たかったわけではない。
出来れば一生見たくなかった。
あの人が他の誰かを愛しているところなんて。
嫌い、
嫌い、
嫌い、
でも、好き……。
自分の中にこんな感情があるなんて知らない。
だけど、
自分がこんな醜い人間だなんて知らなかった。
138 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月13日(日)10時56分39秒
「いやぁぁぁぁっ!」


誰もいない真っ暗な部屋の中で、なつみの意識は覚醒した。
はぁはぁはぁはぁ……。
荒い呼吸が、しんとした部屋の中で嫌なくらい良く響く。
なつみ胸を押さえ、何とか呼吸を整えようと大きく息を吸い込む。
一、二、三、四……。
ゆっくりと、数を数えていく。
十を数える頃にはだいぶ呼吸も楽になって、
なつみはようやく胸を抑えていた手を外した。
139 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月13日(日)10時57分17秒
部屋を見回すと、ベッドサイドにおいてある鏡に視線が止まった。
「……なんて顔してるんだべさ」
冗談交じりに、自嘲を隠さずに一人ごちる。
鏡に映っていた自分は、
恋に狂った醜い女の顔をしていた。
140 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月13日(日)10時58分14秒
レギュラー番組の収録も終わり、なつみは帰路へと着こうとしていた。
「おつかれさまでーす」
夜の孤独な顔が嘘のように、
普段どおりの笑顔で、スタッフの方たちに挨拶をする。

――ええか、なっち。
どんなに疲れててもな、ウチらは笑顔を忘れたらあかん。
苦しいとき、悲しいときほど笑顔や。

そう教えてくれたのは、あの人。
今でも忘れられない、好きで好きでどうしようもない人。
あの人が教えてくれた事は、一言残らず思い出せる。
それが今のなつみの、たった一つの支えだった。
141 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月13日(日)10時58分52秒
テレビ局をあとにして、地下の駐車場へと向かう。
すっかり日も暮れ、周りには誰もいない。
まだ、他のメンバーの仕事が残っているからだろうか。
送迎用のバスには、まだ誰の姿も(そう、運転手さえも)見えない。
真っ暗なバスの中、最後列へ。荷物を置き、窓際の席に座る。
こんなとき思い出すのは、あの人に愛されていた頃の事。

”裕ちゃんのばか…”

曇った窓ガラスに、指でそう書いてみる。
だけどなつみの心を表すように、涙のような雫を作って流れていった。
142 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月13日(日)11時04分17秒
>>137-141
交信しました。
今回は珍しく石川さんがらみの話じゃなく、
ゆうなちに挑戦してみました。かなり痛めのお話になると思います。
こんなのなっちじゃないって言われそうですが、
どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

>135
そんなことありませんよ〜。
自分でも書いている時は砂を吐きながら、萌えていましたし!(w
どうぞ、戻ってきてくださいませ(笑)

>136
甘甘マターリを、どうぞ御賞味くださいませ(w
143 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)22時26分46秒
ゆうなち好きです。痛げな走りですが・・こ、堪えて続き待ってます
頑張って下さいっす。出来れば幸せにしてやってくれぇ(泣き言(w
144 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月16日(水)08時00分59秒
最近夢見が悪いからだろうか…?
遅刻の常習犯だったなつみだったが、
このところは誰よりも早く、楽屋へ着く事が多くなった。
なつみはとりあえず荷物を置くと、誰もいない室内を見渡す。
「……ふふ」
思わず零れる笑み。
誰もいないあの部屋を逃げ出すために、こんなに早く家を出たというのに、
これでは変わらないじゃないか。
暗く自嘲する。
頭の中でシグナルが鳴る。
――これじゃいけない。
「じゅ、ジュースでも買いに行くべ…」
暗い思いを払うように、誰ともなしにそう呟くと、
なつみは財布だけを手に、自販機の置いてあるフロアーへと向かった。
145 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月16日(水)08時01分34秒
自販機に150円を投入し、適当なボタンを押す。
ガコン、と大きな音を立てて、落ちてくる缶。
なつみはそれを拾うと、また誰もいないであろう楽屋へと足を勧めた。

(しまった……)
なつみは軽く舌打ちする。
楽屋の方へ向かって歩き出して、五分。
誰も使っていないフロアーに迷い込んだらしい。
「どうしたもんかなぁ」
小さく一人ごちる。
146 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月16日(水)08時02分22秒
そのときだった。
カタン。僅かな小さな音が、誰もいないはずの会議室から聞こえた。
誰だろう。こんなところで…。
引き寄せられるようにその会議室の方へ向かうなつみ。
薄くドアを開ける。
「ん…んふぅ……」
「………っ!」
不意に聞こえた熱を帯びたくぐもった声に、なつみは声を出しそうになるのを
なんとか堪えた。
薄く開いた扉から見えたのは、誰かに組み敷かれ、快楽に身をゆだねた梨華の姿。
「やぁ…。こんなところ…あ…ふぁ…」
淫らに響く水音と、普段の声からは想像できないような甘い声だけが、
今、この空間を支配する。
147 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月16日(水)08時02分52秒
(この場を離れなきゃ…!)
頭の中のシグナルが激しく警告する。
だが、なつみの足が動く事は無かった。いや、正確には動けなかった。
その両の瞳からは、溢れるほどに流れ落ちる涙。
「…も、だめぇ。だめなの……ぉ」
聞こえてくる声は、絶頂が近いのを示すように、だんだんと高く、大きくなっていく。

(ひどいよ。ひどいよ。ひどいよ。ひどいよ、裕ちゃんっ!)

なつみは踵を返すと、逃げるようにその場を後にした。
148 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月16日(水)08時05分28秒
>>144-147
交信しました。
痛め街道、まっしぐらです。

>143
すみません。多分幸せになれません(をい)
作者は、幸せなっちよりも、
痛々しいまでの切ない系なっちを愛している人なので…(汗)
ごめんなさい、と先に一言だけ…。
149 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月17日(木)08時50分39秒
痛いの好きです。切ないの好きです。
続き、楽しみにしてますね。がんばってください。
150 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月17日(木)18時34分06秒
泣いた顔を冷やして楽屋へ戻ると、そこには一人、梨華の姿が。
「あ、おはようございます」
先ほどまでの淫らな顔が嘘のように、無垢な笑顔でなつみに挨拶をする。
「お、おはよう……」
ぼそぼそとした声で返事をするなつみ。
だが、なつみの様子がおかしいのを察したのか、
「安倍さん、具合でも悪いんですか?」
と、梨華が声をかける。
151 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月17日(木)18時35分04秒
「うるさい! 放っておいて」
思わずなつみの口をつく言葉。
梨華が悪いわけではない。
なつみが裕子を想っている事を、梨華は知らないのだから。
だが、頭ではそう割り切れても、感情は簡単にそう割り切れなくて……。
「す、すみません……」
その涙声になつみが顔を上げる。
涙で頬を濡らしたその顔は、なつみの目から見てもとても綺麗で…。

(どうしてこんな娘がいるんだろう…)

きゅっと拳を握る。
152 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月17日(木)18時35分34秒
梨華はと言うと、なつみの機嫌を損ねた理由が判らずに、ただおろおろとするばかりで。
「可愛い顔、細い華奢な体。娘。のセンターの座……」
梨華の耳に幽かに聞こえるくらいの、小さな声でなつみは呟く。
「なっちの望んだもの全てを、持っているくせに、奪って行ったくせに…」
「安倍さん…?」
なつみの様子に鬼気迫るものを感じたのだろう。
じりじりっと梨華が一歩後退する。
それを追うように、なつみが一歩前に出る。
153 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月17日(木)18時36分45秒
そして――――

「裕ちゃんまで…裕ちゃんまで奪わなくたって、いいじゃない―――」
気が付いた時には、握られた拳は振り上げられ、
目の前の少女に向かって振り下ろされていた。
154 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月17日(木)18時40分02秒
>>150-153
交信しました。
と言っても、今回はちょっと短めですが。
次で多分最後になると思います。

>149
そう言ってもらえると助かります。
今回は最初から最後まで痛めで行くので、
楽しんで(?)いただけると、嬉しいかなあと。
155 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)06時08分16秒
なちこさん怖い…
156 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)18時05分36秒
甘いものから痛いものまでオールオッケーの白浜雪緒。様に
盛大な拍手を送りたいです。
ゆうなちの展開が…恐さがいいです。
中澤さんもだしてくださいね。
157 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時36分48秒
カーテンを締め切った薄暗い部屋の中で、なつみはぼんやりと一日をすごしていた。
室内はアルコールの匂いで充満しおり、床にはビールの空瓶が転がっている。
自分の中の衝動を抑えきれなくなったあの日、
梨華を殴りつけた自分に下された罰は、三日間の謹慎。
一人になると嫌でも思い知らされ、自分の馬鹿さ加減になつみは嫌悪感を覚える。
「どうしてこうなっちゃんだろう…」
ぽつり。涙が頬を滑り落ちる。
「……裕ちゃん……」
158 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時37分19秒
ピンポーン。
チャイムの音が部屋中に鳴り響く。
(誰だろう……?)
のろのろと立ち上がり、インターフォンのカメラをチェックする。
「………っ!」
そこに立ってたのは、なつみが恋焦がれてどうしようもない程好きなあの人――
まぎれもなく中澤裕子本人だった。
159 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時37分53秒
「謹慎やて?」
「裕ちゃん、しーーっ!」
時間を少し遡って、ここはとあるテレビ局の収録スタジオ。
モーニング娘。と中澤裕子がレギュラーを勤める番組の収録中の事だった。
リハの時間スレスレにスタジオに入ると、
裕子はいつものメンバーの中に、梨華となつみの姿見えないのに気付いた。
とりあえず、手近にいた矢口に事情を尋ねてみたのだが、
返ってきた返事はあまり要領を得ないもので。
「ウチと矢口の仲やろ? 教えてや?」
と、何度もしつこく迫って聞き出した答えは
「なつみの、梨華への暴力による謹慎」だったのだ。
ちなみに梨華の方は、顔が腫れている為に病院へ行っているとの事。
160 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時42分13秒
「どう言うことやねん?」
小声で尋ねる。
「矢口もよく判んないんだけど、なんかなっちが梨華ちゃんを殴ったって…。
それでマネージャーに謹慎って……」
だんだん小声になっていく矢口。それを怪訝そうな顔で裕子は聞いている。
そして、不安そうな表情で見つめる矢口の頭をそっと撫でると、
「なち坊と話しして来るわ。人付てじゃよう判らへんし。
大丈夫や。この裕ちゃんにまかせとき」
と言って、にこりと微笑んだ。
161 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時42分52秒
裕子を部屋に通して、どれぐらいの時間がたったのだろう。
一時間? それとも二時間?
時間の感覚が判らなくなっていく中、二人は無言で同じ時を過ごしていた。
暗く澱んだ部屋は、話し掛けるのを躊躇わせるような、
不思議な感覚に陥らせる。
(何かを話し掛けなくては)
裕子がそう思ったときだった。
「キスして」
先に口を開いたのはなつみ。
「ちょ…っ、アンタ何言うて…」
何かを言おうとした裕子の唇を、なつみは自分のそれで塞ぐ。
ほのかに唇に残るアルコールの味に、裕子は顔をしかめる。
「あんた、ひょっとして酔ってるんか…?」
問い掛ける裕子の声が聞こえていないのか、
なつみは何度も唇を塞ごうとする。
162 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時43分30秒
「好きなの。好き…。好きなんだ。
なっちはね、まだ裕ちゃんが好きなんだよぉっ!」
なつみは裕子の胸にすがりつくと、胸の中の激情をぶつける。
それはまるで、吐き出すように。
それはまるで、叩きつけるように。
「なっち……」
「裕ちゃんがぁ、前見たくなっちの事好きじゃなくてもいいから。
他の子を…あの子を好きなままでもいいから。
なっちの事見捨てないで。なっちを愛して……」
涙混じりに声は、ちゃんと届いているのか判らない。
だけど、止まらなかった。
こんな事、迷惑になるって判っているのに。
だけど、抑えられなかった。
163 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時44分05秒
涙で歪んだ視界で見上げると、裕子が困ったようになつみを見ているのがわかる。
困った子を見るような、そんな目で。
(石川、ごめん…)
裕子は自嘲するに様に微笑むと、なつみをその腕の中へと抱き寄せた。
荒ぶった感情で震える身体をそっと抱く。
それは出会った頃より肉付きは良くなったけれど、だけど前よりも儚げで。
それでも心に浮かぶのは、愛しいあの子のこと。
だけど、裕子はこの腕の中で震える少女を突き放せるほどの優しさが
自分にはない事を、嫌なくらい自覚している。
二人だけの薄暗い部屋の中、二人の影はやがて一つになり、
熱を帯びていった。
164 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時44分37秒
心なんていらない。
ただこの腕があればいい。
この唇があればいい。
背中に回された腕の温もりだけが、
なっちの心を癒してくれるのだから。
165 名前:「ラブソングをもう一度。」 投稿日:2002年01月19日(土)17時45分21秒





しんしんと凍りついていく心とは裏腹に、
吐く息だけが熱くなっていく………

166 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月19日(土)17時50分45秒
>>157-165
更新しました。
途中、馬鹿な事をやってしまってます。
吉胡麻系さん、本当にすみません(汗)
謝罪で済まされるわけではないのですが、本当にごめんなさいです(−−;;

>155
書いているときは怖いとはさほど思わなかったのですが、
読み返してみると、怖いですね。確かに(w

>156
あうあうあう。
そんな褒められると、照れて膝ががくがくになってしまいます(笑)
程ほどに褒めてくださると嬉しいかも(をい)
中澤さん、出してみました。でも、全然上手く動かせていないのですけれど(−−;
167 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月20日(日)03時56分40秒
なっちゅーって痛めが多いですよね。
でも・・・痛め&せつないがこの二人にはよく似合ってる・・・なんでだろうか?
作者さんのなっちゅーかなりツボに入ってます。
又いつかこれが終っても書いてください。
168 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月23日(水)00時27分19秒
なっちゅーイイッス!
せつなさがたまらない一品ですな。
続きかなり期待してます(w
169 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月24日(木)03時43分29秒
更新希望!熱望!
170 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月25日(金)00時47分45秒
>167
実はこれ、165で終わりなんです。紛らわしい話しですみません(汗)
それにしても、なっちゅーは本当に切ない系が似合いますよね。
やっぱり、なっちも大人になったってことなのでしょうか。

>168
ごめんなさいー、続きません(汗)
でも、機会があれば、またなっちゅーの話を書いてみたいと思います。

>169
今月は時間がないので、更新は無理かも…。
来月にはまた新作を更新する予定です。
171 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月25日(金)18時03分05秒
りかなっちゅー?終わりだったのですね。
私も続きを待ってるものでした(w
出来れば気が向いたら続編を・・・その後のりか姐となっちゅーで(w
ぜひともに(w
172 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時04分08秒
電話ってとても便利。
離れた場所にいる人とでも、心を繋げてくれるから。
あなたにいつも伝えたい言葉があるの。
だけど仕事上、あまり一緒に入れない私たちだから。
おたがいに時間がある時は、心だけでも傍にいたいの……
173 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時04分48秒
ぴ、ぴ……。
ケータイのキーを叩くプッシュ音が鳴った。
梨華が押しているのは、もうとっくに覚えてしまった、裕子のケータイの番号。
今は画面を見ずとも、もう勝手に指が動いてくれるほど、
梨華はその番号を暗記していた。
(歴史の暗記とか苦手だったんだけどなあ…。
こう言う事ばっかり覚えが早いなんて、私の頭も、相当現金……)
思わず、くすくすと笑みが零れる。
トゥルルルルル……と言う無機質な音。
一回、二回、三回……。
何度も繰り返されるコールの音。
十二回を数えたところで、梨華はそれを切った。
174 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時05分30秒
「あれ、どうしたんだろう。
この時間、中澤さんオフのはずなのに…」
お仕事で疲れて寝てるのかな?
また、平家さんと飲みに行ってるのかな?
色々と理由は思いつくけれど、それでも梨華は裕子の声が聞きたくて。
もう一度リダイヤルすると、またあの無機質なコールを数える。
一回、二回、三回……。
「中澤さん……」
ぽつりと呟いたその声に涙が混じりだした頃だった。
がちゃっ。
『はい、もしもし…っ?』
少し関西訛りの混じった、女性らしい声が耳元で聞こえる。
だけど、その声に少しの苛立ちを感じるのは、梨華の気のせいだろうか?
175 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時06分02秒
「中澤さん…っ?」
『ん? その声は石川か…?』
「はい、はい……」
返事をするけれど、梨華の声は涙で掠れ、小さなケータイ越しでは中々伝わらない。
だけど、そんな梨華の声とは裏腹に、よく通る裕子の声は、
その後ろの小さな物音すらも見逃してくれなかった。
『……………』
『……………っ』
電話越しに感じる誰かの気配。
「あの、今誰かといるんですか…?」
『…ん? そんな事無いで。テレビの音ちゃうか?』
やや焦った感じで答える裕子。
だけど、梨華はテレビの音にしては鮮明な物音――それは音と言うより、
声に近かったけれど――にはっきりと確信をもっていた。
176 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時06分57秒
(誤魔化した…。中澤さんが嘘を吐いた……)
涙が自然と溢れてくる。
「そう、ですか…。それじゃまた……」
『お、おい。石川? ちょっと待ちや、いしか……』
途中で遮られる裕子の声。
涙で顔をぐちゃぐちゃにして、石川は一人、震える手でケータイを握りしめていた。
177 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時07分44秒
――――それから一時間後。
裕子は慌てて梨華のマンションまでやってくると、
合鍵でそうっと梨華の部屋へと入る。
(まさか、聞こえていたなんて…っ!)
何度もそう悔やむ。
確かに裕子はあの時嘘を吐いた。
梨華が耳にしたあのも音は、確かにテレビの音なんかじゃない。
自分に溺れる様にのしかかってくる、片羽根をもがれた天使との情交の音。
178 名前:「甘い果実。」 投稿日:2002年01月26日(土)07時08分29秒
(ごめん、石川。ほんまに、ごめん……)
何度謝っても許してもらえない罪を、自分は負っている。
だけど、それでも裕子は許しを得るべく、断罪し続けるしかなくて……。
「石川、おるかっ?」
暗く人気の無い部屋に裕子は呼びかける。
愛おしいあのこの姿を探して。
だけど、そこに石川の姿はなくて。
おそらく壁へ叩きつけられたのだろう。
小さな携帯電話がひしゃげて、砕け散ったその身体を
悲しそうに横たえているだけだった。
179 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年01月26日(土)07時14分50秒
>>172-178
交信しました。
この間のうたばんを見ていて、なんとなく思いつき、
10分で書き上げたものなので、酷い出来です。
前回のなっちゅーが結構好評だったので、
続編と言うか、石川編と言うか。書いてみました。
タイトル、話しの筋共に、スガシカオの同名の曲からパクってます(−−;
それにしても、石川主体にすると話が進まなくなるのは
如何なものなのだろうか。一応石川のファンなのに。……はあ(;´Д`)

>171
御希望に添えるか判りませんが、続編(?)書いてみました。
また、感想をいただけると嬉しく思います。
180 名前:夜叉 投稿日:2002年01月29日(火)16時45分51秒
三人の気持ちが何処へ行ってしまうのか、気になります。
10分で書き上げたなんて…、すごいですね。
期待してます。
181 名前:「I don't love you」 投稿日:2002年02月11日(月)09時01分57秒
「ねえ、このまま付き合っちゃおうか?」

冗談みたいに笑いながら、後藤真希は自分が組み敷いた少女に告げた。
「あたし達、こういう関係になってもう二ヶ月じゃん?
いい頃合だと思うんだけどどう?」
そう言って笑うと、少女―――石川梨華の柔らかな頬を撫でる。
真希の言うとおり、二人が所謂身体の関係と言うものを持つようになってから、
二ヶ月近くが経とうとしていた。
きっかけは一人楽屋にいた梨華が、真希に強姦されたことだった。
以降、そのこと自体が楔となって、
梨華は真希に蹂躙される日々が続いている。
182 名前:「I don't love you」 投稿日:2002年02月11日(月)09時03分09秒
「何言って……んっ、んふぅ…」
梨華の抗議しようとする声を真希の唇が塞ぐ。
深く舌を差し込み、口内を蹂躙し弄ぶ。
梨華はそれに翻弄される事しか出来ない。
「ふぁ…ん…んふぅ…」
閉ざされた唇は、真希の為すがままに支配され、甘い吐息を漏らし始める。
「こえ…」
「ふぇ…?」
「最初の頃と変ってきた。梨華ちゃん、もう悦んでるでしょ?」
溶けてしまいそうな位に甘く、蕩けそうなほどに熱く、
真希はその瞳に嬉しそうな光を宿らせて、そう囁いた。
183 名前:「I don't love you」 投稿日:2002年02月11日(月)09時04分08秒
「ちが…っ」
反論しようとする梨華。身体を起こそうとして、それを圧倒的な力で押さえつけられる。
「違わないよ」
きっぱりと梨華の目を見て、真希は呟く。
「違わないよ。梨華ちゃんはもうあたしの事を好きになってる。
吉子よりも、やぐっつぁんよりも、誰よりもあたしの事を好きになる」
力を持った強い言葉は、梨華の心を締め付けるのには充分すぎて…。
「ごっち……ん…」
「愛してるから……」
その言葉をきっかけに、開かされた身体は熱を帯びて、
梨華の意識は快楽の海へと放り出された。
184 名前:「I don't love you」 投稿日:2002年02月11日(月)09時04分45秒
気だるげな空気をまとい、まだゴロゴロとする真希を尻目に、
さっさと衣服を身に着ける梨華。
首筋や肩、胸元に情事の痕跡が残っていないかを鏡で確認して、
ちいさく自嘲する。
「ねえ、さっきの話しなんだけどさ」
その梨華の背中にかけられる声。
顔だけ器用に動かして、梨華は振り返る。
「あたし達付き合わない?」
まるで歯磨きのCMに出られそうな位にかっと笑って、
真希は最初にした質問と同じ事を繰り返した。
鏡を置き、きちんと体ごと振り返る。
自信満々の表情。
まるで「否」という答えなんか有り得ないと確信しているように。
だけど――――
185 名前:「I don't love you」 投稿日:2002年02月11日(月)09時05分25秒
「ごっちんなんかだいきらいっ!」

それだけを言うと、梨華は部屋を飛び出した。
叩きつけるように閉めた扉の向こうからは、
楽しげに笑う真希の笑い声が聞こえてくる。

(ごっちんはいつもそう。あたしの事をからかって楽しんでる。
さっきの言葉だって、きっとそう。愛してるなんてうそばっかり)

だから、自分だって真希と付き合ったりしない。
だから、愛したりしない。
186 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月11日(月)09時09分04秒
>>181-185
久々にいしごまを描いてみました。
こういうメンタルな部分じゃなくて、身体から始まる恋も
白浜的にはありかなーっと…。
それにしても、最近話しが大人向けになっていく傾向が…。
元の甘甘に戻さなくては…っ!

>180
三人の気持ち、どうなるのか白浜にも判りません(−−;
また機会があったら(ネタが出来たら)、
続きを書いてみたいとは思うのですが…。
187 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月11日(月)19時18分10秒
屈折した感じでイイ!
ハロモニコントの影響で最近ごまりかも綺麗かな〜とか思ったり(w
188 名前:しーちゃん 投稿日:2002年02月12日(火)16時43分50秒
今の旬は、ごまりかでしょう。もっと萌えさせてください。
189 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時41分39秒
キイ…と軋んだ音を立てて、ブランコが揺れる。
16,7歳くらいの少女が一人、ブランコに腰をおろし、佇んでいた。
紅く染まる公園。
もうすぐ日が暮れようとしているせいか、子供一人いやしない。
ただ少女だけが、その風景に溶け込むようにブランコに揺られていた。
「遅れてごめん。待った?」
不意に掛けられた声に、少女は振り返った。
声の主の姿を確認し、安心したように笑みを浮かべる。
190 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時43分03秒
「おそいよ、ごっちん」
そう笑いながら言う少女に、ごっちんと呼ばれた少女―――真希は苦笑するように笑みを返した。
「出掛けに圭ちゃんに捕まっちゃってさ」
「保田さん?」
「うん。なんかうち等の事、薄々気付いてるみたい。
凄く心配してた」
「そっか……」
ひとみの胸に保田の顔が浮かぶ。
いつも人の心配ばかりしてる人。大人で細かいところまで気配りが出来て、
ひとみは勿論の事、真希も頭が上がらない人物の一人である。
「今度謝っとかなくちゃね」
「うん、そうだね」
顔を伏せ、俯くひとみ。
それを期に二人の間に沈黙が続く。
191 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時43分55秒
何かを言わなくては……。
ひとみいはそう思うけれど、声を封じられた人魚姫のように、
唇は言葉を発してくれようとはしない。
「ごめんね?」
長い長い時間をかけて、ひとみはようやくそれだけを絞りだした。
「本当にごめん……ね」
「なにが?」
「梨華ちゃんのこと、取っちゃって…」
ひとみはそれだけを言うと顔を伏せる。
梨華の事を好きになったのは真希も一緒。
『抜け駆けはしない。互いを裏切らない』
そう約束したのに、自分は裏切ってしまった。
自分の独占欲だけが空回りして、約束なんて忘れた振りをしていた。
192 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時44分48秒
「ごめん……」
小さく震える声。
真希にどのように非難されようと、覚悟は出来ている。
ただ、彼女との友情が消えてしまう事だけが怖かった。
むしのいい話しだとは判っている。
それでも、真希との繋がりが無くなってしまうのは、心がちぎれんばかりに辛い。
愛情とは違う。だけど、大切なひと………。
両の手を膝の上に乗せる。
それはぎゅっと拳を作るように握り締められ、
審判を待つ罪人のようにかたかたと震えている。
193 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時46分08秒
ふう………。
隣でため息をつく音が聞こえる。
きっとあきれているのだろう。
キィ……。軋んだ音を立てるブランコ。
その音に誘われるように真希の方を振りかえる。
「ばーか」
「は…?」
頭の中が真っ白になるひとみ。
そんなにひとみに構わず、真希は笑みを浮かべ言葉を続ける。
「今までそんな事悩んでたの? 吉子ってほんっとばかだよね」
「な、なんだよそれ!」
思わず立ち上がり、真希の方へ歩いて、
「ばかばかって何だよ〜。いくら本当だからってひどいよ、ごっちん」
「ばかだからばかだって言ってんじゃん」
いつに無く顔を赤くさせて怒るひとみがおかしいのか、真希はくすくすと笑う。
194 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時47分21秒
だけどすぐに真剣な顔で向き直って、
「ごとーに悪いって思うんだったら、その分梨華ちゃんのこと大事にしてやんなよ?
それが吉子の義務だと、ごとーは…思う……」
一つ一つ言葉を選ぶように、だけどそれでもはっきりと、真希はひとみにそう告げた。
「ごっちん……」
「話しってさ、それだけなわけ?」
「あ…う、うん」
しどろもどろに返事をするひとみ。真希はそのひとみの背に手を伸ばし、
「じゃあ、はやく梨華ちゃんの所に行った行った」
と、追い立てるように叩いた。
半分泣き顔で真希の事を振り返るひとみ。
「………ありがとぉ…」
風にかき消されるくらい小さな声だったが、それは自然と真希の耳に届いた。
195 名前:「ひこうきぐも。」 投稿日:2002年02月13日(水)06時47分59秒
「どういたしまして」
呟いて、走っていくひとみの背を見送る。
その姿が米粒より小さくなって見えなくなると、真希はブランコに凭れるように乗り、
空を見上げた。
真っ赤な空一筋のひこうきぐもが伸びていく。
「あ〜あ。あたしってばほんっと人が良すぎ…。よっと……」
ぴょんっとブランコから飛び降りる。
「あたしも早く別の恋、しなくちゃね」
疲れたように呟いて、真希は公園を後にした。
赤い空に流れるひこうきぐもは、何処までも伸びていく―――
196 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月13日(水)06時52分58秒
>>189-195
交信しました。石川さんが全く出てきませんが、
これもいしよし(いしよしごま?)の
一つの形だと思ってやってくださいませ(汗)

>187
最近後藤さんを書くのがどうも楽しいらしいです。
でもいつも屈折しちゃうのは、どうしてなんだろう…(汗)
たまには素直な後藤さんも書いてあげたいんですけどね。

>188
今回ごまりかじゃなくて、すみません(汗)
でも、ごまりか書くの好きらしいので、
近いうちにまた書くかもしれません。あくまで「かも」ですが…(汗)
197 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月13日(水)06時58分57秒
あ、そうだ。もうすぐ200を超えそうなので、
200を踏んだ方はカップリング(現麺に限る)や話しなど
リクエストしていただければその方向で書かせてもらいますので、
誰か200を踏んでリクエストを作者にしてやってくださいませ。
(でも、こんな事かいて、反応無かったら寂しいかも(汗))
198 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月13日(水)07時11分39秒
そんなこと言ってしまうと睨みあいが・・・(w
199 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月13日(水)09時02分13秒
わ〜い。ごまりかごまりかごまりか〜♪
二人が絡みだした頃からちょっと気になりつつ
クリスマスの特番でやられました。
これからも期待を込めつつ応援いたしまする。
200 名前:名前ってなあに? 投稿日:2002年02月13日(水)10時50分19秒
200ゲット!
やすいし希望します!おいらの大好物(爆
この短編の雰囲気大好きだ〜〜〜〜〜!!!となぜか叫んでしまいました(w
201 名前:「Will」 投稿日:2002年02月14日(木)16時25分48秒
「保田さ〜〜〜ん……」
収録が終わったのもつかの間、そう言って抱きついてきたのは、
圭にとって妹にも等しい少女―――梨華だった。
満面の笑みを浮かべて、圭の腕をしっかりと捕まえる。
腕に当たる梨華のやわらかな身体に、一瞬どきんと心拍数が上がる。
「ど、どうしたの?」
思わず上ずってしまう声に、ひやひやしながら尋ねると、
「明日は何の日か知ってます?」
と、梨華は無邪気な笑顔でそう問い返してきた。
「あ、明日……?」
眉間に皺を寄せ、考え込む圭。梨華はそれを楽しそうに見つめている。
「明日明日……なんかレコーディングとか入ってたっけ…?」
思わずこける梨華。
202 名前:「Will」 投稿日:2002年02月14日(木)16時27分05秒
「もうっ、何言ってるんですか〜。明日は2月14日。
セントバレンタインデーですよ。バレンタインデー!」
「ああ、そう言えば…。あんまり縁が無い話しだからすっかり忘れてたわ」
それはそれで淋しいような気もしないでもないが、
所帯じみた仕草で、圭はぽりぽりと頬をかきながら答える。
203 名前:「Will」 投稿日:2002年02月14日(木)16時27分38秒
「もう……」
半ば呆れたように肩をすくめると、梨華は保田の腕を解いて向き直って、
「保田さんにはスペシャルなチョコを用意してるんで、
楽しみにしていてくださいね」
ほのかに頬を紅潮させて、それだけを早口でまくし立てると、
「きゃーーー」などと黄色い声を上げて、走っていった。
「えーと………」
やや呆然として、やっぱりぽりぽりと頬をかきながら、
圭はその後ろ姿を見送るのだった。
204 名前:「Will」 投稿日:2002年02月14日(木)16時29分11秒
場所は変わって、圭が住むマンションの前。
圭と別れた梨華は、小さな箱を手にそこに一人立っていた。
もうあたりは暗く、夜の帳が降りている。
梨華はまだ灯りの着いていない一室を見上げると、
「保田さん、喜んでくれるかなあ……」
と、きゅっと可愛くラッピングされたチョコを抱きしめた。
ほのかに頬を染め、愛らしく微笑む。
「誰よりも一番に、このチョコレートを渡さなくっちゃ!」
ふふっと声を出して、可愛く笑う。
そしておもむろに手帳を取り出すと、
「確か保田さんは…今日は11時には帰ってくる予定なのよね。
ええと…今は……」
と、呟いて携帯の時刻表示を見つめる。
205 名前:「Will」 投稿日:2002年02月14日(木)16時31分29秒
21:48

「あと一時間かぁ…」
灯りの着いていない真っ暗な窓を見上げ、小さく呟く。
「ドアの前で待ってたら保田さん、きっと来るよね」
そして携帯をバッグへ直すと、梨華はチョコを手にマンションの中へと入って行く。
時間を潰すためにも、わざとエレベーターを使わずに階段を登る。
普段階段なんて使わない所為か、ほんの2、3階分を登るだけで、
脇腹が痛み、息が荒くなっていく。
「保田さん、喜んでくれるかなあ……」
今日何度呟いたのか判らない独り言を呟く梨華。
「喜んでくれると良いな…。うん…」
だけど、圭にチョコレートを渡す事を考えると、そんな事は気にならなかった。
そんな事は忘れられるくらい、幸せな気持ちでいっぱいだった。
206 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月14日(木)16時38分00秒
>>201-205
交信しました。リクエストにあった「いしやす」です。
保田さんを書くのは、ほんとーに久しぶりなので、
少しぎこちないですが、その辺は目を瞑ってやってくださいませ(汗)
しり切れトンボに成っていますが、今週中に続きを書きますので、
どうぞお待ちください。

>198
に、睨み合いですか?(w
いや、なんとか大丈夫なようです、はい。
207 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月14日(木)16時38分42秒
>199
クリスマスの特番の文麿×石川には白浜もやられました(笑)
いしごまはアップフロント公認カップルなどと、
勝手に思い込んでいます(をい)
ハロモニコントを見るたびに、「もっといちゃつけー」と思うのは、
白浜だけは無いはずだ(笑)

>200
リクエスト有難うございます。
なんとか頑張っていしやす書いてみました(途中までだけど)
この後、もう少し甘めに持って行く予定なので、
どうぞお楽しみに(笑)
208 名前:名前ってなあに? 投稿日:2002年02月15日(金)10時20分54秒
きった〜〜――――!!
ありがとうございます!しかもバレンタインなんて……(萌
甘いの大好き…(恍惚←待て
209 名前:「Will」 投稿日:2002年02月15日(金)18時07分43秒
仕事を終えてマンションへと戻ってきた圭が最初に目にしたものは、
自分の部屋のドアへ凭れて寝息を立てている梨華の姿だった。
「…………………?」
予測もしていなかった事態に、圭は声もでない。
ただ口をパクパクさせている。

(なんで石川があたしの部屋の前に…?)
(っていうか、こんな時間に女の子がこんな所に寝てちゃあぶないでしょーが!)
(でも、こんな時間に何の用があって――――)

頭の中にはいろんな疑問が次々に浮かび、考えがまとまらない。
「り、理由はどうあれ、まずは起こさないとね」
それだけを何とか呟いて、圭は梨華へと手を伸ばす。
210 名前:「Will」 投稿日:2002年02月15日(金)18時08分24秒
「石川…? 石川、起きな」
ゆさゆさと肩を揺さぶるが、梨華は、
「う、ううん……」
と、声を洩らすだけで、一向に起きる気配を見せない。
どうしたものかしらねえ…と、圭が小さくため息を吐いた時だった。
ことり…と音を立て、梨華が手から小さな箱が落ちる。
「やれやれ」と、落ちた箱を拾おうとして、圭はお昼に梨華と話した事を思い出した。

『明日は何の日か知ってます?』
『セントバレンタインデーですよ。バレンタインデー!』
『保田さんにはスペシャルなチョコを用意してるんで、
楽しみにしていてくださいね』

「……………………」
じっと、手の中の小箱を見つめる。
211 名前:「Will」 投稿日:2002年02月15日(金)18時09分21秒
可愛くラッピングされた小箱は、
まるで目の前で眠っている少女の思いが込められているように、
圭には暖かく感じられた。
「ばかなんだから、ほんとに」
言葉とは裏腹に、優しく微笑む圭。

あんたのためなら何でもしてあげるよ。
あんたが笑っていられるのなら、あたしはそれだけでいいんだ。
ただただ、あんたが幸せであれば、あたしにはそれが一番なんだから……。

「保田さぁん……むにゃむにゃ…」
安らかな寝息を立てる少女の寝顔を見つめながら、圭はくすりと笑みを零した。
その華奢な身体をひょいっと抱き上げる。
212 名前:「Will」 投稿日:2002年02月15日(金)18時10分00秒
いつでも想うのは君の幸せ。
ただ、それだけ。
213 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月15日(金)18時15分15秒
>>209-212
交信しました。
「甘め」な話になるはずが、全然甘くないっすね(汗)
最近、「痛め」な話ばっかり書いてたので、
甘いものが苦手になってるのかも…。やばいっす(−−;

>208
リクエストのいしやすを書いてみました。
圭ちゃんはあまり自分から動いてくれる人じゃないので、
話に絡ませるのが難しいです。
でも、それすらも愛しい人ではありますけれど(w
とりあえずこんな感じになりましたけれど、
苦情陳情愛情(え?)等ありましたら、
遠慮せずにバンバン言ってやってくださいませ。
励みになりますので(笑)
214 名前:名前ってなあに? 投稿日:2002年02月18日(月)10時16分48秒
もう十分甘いっすよ! ごちそうさまです。
苦情陳情愛情…もちろん愛情おんりーで。
215 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月26日(火)15時25分49秒
>214
レスつけるの、遅くなってすみません。
とりあえず、喜んでいただけたようでほっとしております。
ふうっと、とりあえず安心のため息。

あと、レス数も200超えたことだし、月板に薪スレ立てました。
そっちで少し長めの話を書いていく予定です。
もし宜しければ、そちらも見ていただけると嬉しく思います。

新作「セルロイドのつき。」
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=moon&thp=1014704169
216 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月02日(土)23時02分35秒
けいちゃん!!
217 名前:名無し読者(^▽^) 投稿日:2002年03月05日(火)22時04分55秒
( ^▽^)ノ<いしやすも大好き。よかったです、
        新作も今度読ませていただきます。
218 名前:情欲と禁断と、罪深さと。 投稿日:2002年03月13日(水)00時21分50秒
何度こうして肌を合せただろう。
誰もいない室内で、人目を憚る様に始まった二人だけの禁断の果実。
それを手にしたことで、イブは楽園を追放されたというのに……。
禁忌に身を震わせながら、身体は貪欲にも情欲だけを貪ろうとしていた。
触れるごとに馴染むからだ。自分の癖だけを覚えさせた、従順な瞳。
その目で見つめられると頭の芯がくらくらと熱くなるのが自分でも判る。
「何を考えているんですか、安倍さん…」
自分の体の下で荒い息を吐きながら問い掛けてくる梨華に、
「ううん、なんでもないの」
なつみは小さく被りを振って微笑む。
219 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月13日(水)00時23分56秒
「気にしないで。梨華ちゃんはただ、私だけを感じていてくれれば良いから」
やんわりとした言葉の下に潜む、残酷な言葉。
「…んぁ…っ、ぅん…あべさ…ぁん…」
何とか洩らさないようにしても溢れてしまう甘い吐息に、
なつみの背中へと回された腕に、ぎゅっと力がこもる。
しっとりとして、少し汗ばんだその腕を背中に感じながら、
なつみはたんたんと、その行為を繰り返す。
220 名前:情欲と禁断と、罪深さと。 投稿日:2002年03月13日(水)00時24分45秒
「梨華、かわいいわ…」
「かわいくなん…かっ、んっ…ああぁっ!」
首筋に赤い印を落としながら、なつみ何度もそう囁く。
だって、その言葉だけで梨華の体は、愛の泉を溢れさせるのが判っているから……。
それを判っていて、それを口にする自分は何て罪深いんだろう。

ダッテ、ワタシハカノジョヲ、アイシテナドハイナイノダモノ……。
221 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月13日(水)00時30分04秒
>>218-220
月板の方が上手くかけなくて、
気晴らしに書いてみた痛めじゃなくて、痛いなちりか。
途中タイトルが名前に変ってますが、その辺は気にしないでやってください…(−−;

>216
( `.∀´)なによ!

>217
読んでいただけて有難うございます。
新作も頑張りますね。

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