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関西師
- 1 名前:身ぐるみをはがされた作者 投稿日:2001年11月17日(土)02時40分57秒
- 1話完結モノのコメディです。
話によって主人公は変わりますが、
基本は加護で。
- 2 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時42分54秒
- 第1話 笑いの遺伝子
10数人がひしめき合う狭い楽屋の、様々な音が混じり合った
喧騒の中、加護亜依の我慢は限界に達しようとしていた。
「このアメ甘ェー」
「辻、つまんねー」
そこかしこで飛び交うボケとツッコミ。
その全てが、加護に言わせればZ級の駄作である。
中途半端なボケと間の悪いツッコミ。
このような生ぬるいレベルの笑いを許している楽屋の空気が、
加護には堪らなく不快だった。
中澤がいる間は、この状況にもまだ耐えることができた。
加護と同じ、関西弁を操る関西人。その彼女が、これらの救い様のないボケたちに、
的確なツッコミ(それでも、加護にしてみればD級品)を入れていたからだ。
そのおかげで加護は辻と共に、ロリキャラを演じることに専念することができた。
別に舞台裏までロリキャラでいる必要はないのだが、敵を欺くにはまず味方から、である。
- 3 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時44分57秒
- その中澤も今春でモーニング娘。を去り、楽屋は、加護にとっての地獄と化した。
自分でも、今までよく耐えてきたと思う。
しかし、もう限界である。
それなりに楽しくもあるロリキャラへの未練と、加護の中に組み込まれた笑いの遺伝子の
要求との狭間で、ストレスは膨れ上がり、最近は頭髪を侵し始めた。
一刻も早く、それら2つの内のどちらに着くかを決めなければならない。
加護の中で、答えはもう出ていた。
あとは、もう一方を振り切るためのきっかけが必要なのだが、それも突然やってきた。
「やっぱ、ツッコミと言えば矢口だよねー」
(……すまん、のの! あとは一人でやってくれ!!)
加護は心の中で辻に詫びを入れると、スクっと立ち上がり、宣言する。
「ツッコミと言えば…うちやー!!」
- 4 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時46分56秒
- 全員が加護に注目した。皆、事態を呑み込めず言葉が出ない。
一方の加護は、晴々とした気持ちだった。
「は…はあ?」
最初に反応できたのは矢口。
「…何言ってんの…? 加護」
「あ〜、矢口さん? 今までお疲れ様でしたぁ」
「どういう意味だよ…」
「もう、一言も喋らなくていいですよ、という意味です」
「な…!」
「どうしちゃったの!? 加護」
飯田は、心配そうな目で加護を見ている。
「うち、決めてん。これからはボケに生き、ツッコミに死ぬ。
せやから、矢口さんには…もう……。な…?」
「なにがだよ! 大体、ツッコミで加護に負けるわけないだろ!?」
「…矢口さん。矢口さんの言うツッコミって、単に話の腰を折ることを
いうんですかぁ?」
「ヌゥゥウウウ…! ヌァァアアアア!」
「矢口! 落ち着いて!」
「矢口さんのツッコミは、なんにも生み出さないんですよぉ。
むしろ、枯らします」
「ヌゥァアアガガガ!!」
「矢口!!」
加護は矢口の肩にポンと手をやり、その顔を覗き込んだ。
そして、哀れむように言う。
「アンタのツッコミは…砂漠や……」
- 5 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時48分29秒
- 「グゥガアアアアア…。グギャアアアアアアア!!」
「矢口ィィィー!!」
「あの〜」
「!?」
突然紺野が、謙虚ながら口をはさんだ。
「何!?」
「ひ…! あ、え〜、そんなに言うなら、勝負したらいいじゃないですか」
「勝負!?」
「ハイ…。ツッコミファイトです。」
「望むところじゃアアアー!!」
こうして、ツッコミファイトの開催が決まった。
- 6 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時52分09秒
- 「で、誰が最初にボケるの?」
「そりゃあ、言い出しっぺの紺野だっしょ」
「あ、あたしですか?」
「そ、さあさあ」
「…わかりました。いきますよ。
わたし、今日8時に起きたんです。起きたらすぐ着替えて、顔洗って、歯みがいて。
それから朝ご飯です。今日はコーンフレーク食べたんです。まずお皿にフレークを
入れて、そこにいつものように農協牛乳を――」
「早よボケろや!!」
「お、いいねェ加護」
「今のアリかよ!」
矢口は、思わず飯田にツッコんだ。
「次! 誰行く?」
「ハイ!」
元気よく手を上げたのは安倍だ。
「お、なっち! 行けー!」
「ふっふっふ! 実はなっちねぇ…空が飛べるの!」
「帰れ!」
「お! ナイスツッコミや! ツッコ見習の座をやろう」
「あ…ありがたくねぇー!」
- 7 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時53分28秒
- 「じゃあ、次はカオリ行くね!」
「がんばれカオリ!」
「オウ!」
飯田は遠くを見つめて、静かに話し始めた。
「そう…、あれは確か、カオリがフランスの大株主に頼まれて、
屏風に描かれたうなぎを鉄条網で――」
「オマエは国際的な一休さんかよ!!」
「? なんや? そのツッコミは?
こうや! ………国際派の一休さんかい!!」
「同じじゃねェか!!」
「ん?」
なんだかんだで盛り上がる楽屋であった。
- 8 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時54分43秒
- 「ねぇ、梨華ちゃんも何かやってみれば?」
「え?」
突然、吉澤が石川に振る。
石川に期待が集まる。
「い、いいよ、私は…」
「そう? じゃあ! 吉澤、いきまぁーす!!」
「おお! やれー!」
「オホン…。…うおおおおお!! 父上!! あなたに教わった
このギャグを!! 今こそ使わせて頂きま――」
「駄」
「愚」
「なんとォ!」
- 9 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時56分15秒
- (…みんな、楽しそう…)
「吉澤さん、はっちゃけすぎでェーす!」
「えへへ…へ……」
(…私も、やってみようかな…)
石川は周りをキョロキョロ見渡して、ネタを探し始めた。
目にとまったのは自分のバッグ。
石川はそれを手に取ると、少し考える。
そして、勇気をだし、バッグを開いて、
「…ああ! 私のバッグの中が宇宙になってるゥ!!」
- 10 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時57分22秒
- 「…………」
石川はバッグをみんなの方へ開けっぴろげたまま固まった。
同時に、楽屋の空気も固まった。
「…梨華ちゃん…今の……」
「え!? ち、違うよ? 今のは"ボケた"とかそうゆうんじゃなくて…、
そ、そう! ちょっと"変わったことを言ってみた"だけなの!
え…? もしかして"ボケた"みたいに聞こえちゃった!? ウソォ!?
違うよ? ホントだよ!? ネ? ネ!?」
「………………」
「だ、だれかなにか言ってよ〜! ねぇ! …あいぼん?」
「ボケ損」
「!!」
- 11 名前:第1話 投稿日:2001年11月17日(土)02時58分11秒
- 石川の放った"ボケ"のせいで、場は一気にシラケた。
加護の豹変など、石川の一大事に比べればささいなもんである。
いつしか加護たちの間のわだかまりは解け、加護と矢口の間には堅い握手が交わされた。
こうして、加護の本性は受け入れられることとなったが、その後、「石川どうしようか」
という議題が浮かび上がってきたという。
――第1話 おしまい――
- 12 名前:身ぐるみをはがされた作者 投稿日:2001年11月17日(土)02時59分16秒
- 第1話、以上です。
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月17日(土)03時58分12秒
- オモロイ
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月17日(土)07時25分07秒
- ここではこういうネタスレ風の話は貴重なので頑張ってください。
- 15 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時51分37秒
- 第2話 Hard Luck Lady
歌収録を控えたタンポポの楽屋。
早くに来た飯田、矢口、石川が、まだ来ない加護と本番開始時刻を待っている間に、
その出来事は始まった。
「イヤァァァアアアーーーー!!!」
雑誌を読んでいた飯田が突然叫びだした。
「ど、どうしたんですか、飯田さん」
「どうした、カオリ」
部屋にいた石川と矢口が声をかける。
「あ…ああ……あ…」
飯田は答えず、フルフルと震える手で今まで読んでいた雑誌を指差している。
「何? その雑誌がどうしたの?」
「…よ、読んでみて……」
矢口は言われるままに、雑誌を手に取ると、開かれていたページに目をやった。
- 16 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時52分27秒
- 「なんだ…『今日の運勢』じゃん」
そこに載っていたのは、雑誌などの最後の方によくある、おまけのような星座占いだった。
「コレが何?」
「あ、あたしの、占いけっ…か」
飯田の震えは今や手にとどまらず、全身に及んでいた。
顔は恐怖で凍りつき、大きく見開かれた瞳は何も映していない。ただ、その奥にあるのは、
間違いなく絶望。
「んー、どれどれ……」
そんな飯田の様子には特に気をとめず、矢口はのん気に、飯田の星座である獅子座の欄を探す。
「あ、あった」
見つけ出した。
「………………!!!」
そして、驚愕する。
- 17 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時53分59秒
- 『 ☆獅子座☆ 7/23〜8/22
最・悪です。恋愛運、友情運、金運、仕事運、健康運、とにかく全て
が終わってます。人が2本足で歩き始めてから今日まで、これほどの
極悪運が果たしてあったでしょうか? もう、だめです。あきらめて
下さい。今日という一日が終わったとき、あなたが一体どうなってい
るか、それは誰にも分かりません。よくても自己破産。最悪の場合、
魂の消滅すらあり得るでしょう。そんなあなたに有効なアドバイスな
ど何もありません。ただ、何もしないほうがいいでしょう。今日一日
じっと耐え、何も考えず、何も感じず、身動き一つしないのが一番で
す。できれば、呼吸もひかえて下さい。…………それだと死んじゃう
かァ!! アハハハハハーーー!!(爆笑)。 』
「…ひでェ」
自然と声が漏れる。
「ヒドイですね……」
石川もまた。
「ああああああ……!!」
飯田の症状はますます悪化する。
楽屋はどんよりとした空気に包まれた。
- 18 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時54分50秒
- 「あ! でも、ラッキーアイテムとかあるんじゃないですか!?」
そんな中、石川が唯一とも言える希望の光に気付いた。
「おお! でかした石川!」
矢口は早速、最低な占いの下に記された、ラッキーアイテムの欄を見る。
「………………!!!」
そして、驚愕する。
- 19 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時55分29秒
- ラッキーアイテム―――――馬糞。
万事休すである。
まさか、たかがおまけページにここまでヘコまされるとは。
矢口たちは、飯田を慰めようにも、もはやかけてやる言葉が浮かばなかった。
「…ここまでするか?」
さすがの矢口もこれだけ言うのがやっとだった。
石川は飯田の方を悲しそうに見つめ、同情しきりといった感じだ。
当の飯田は、痙攣し始めている。
これはただの占いだ。それに、きっと適当に書いてるんだ。
そう自分に言い聞かせようとする飯田だったが、ここまで悪魔の予言で埋めつく
されては、気にするなと言う方がムリだ。
大体、飯田は占いというものを心底信じるような性格だった。
狭い楽屋に充満する濃厚な負のオーラ。
一条の光すら届かない地獄の最下層。
ここは、絶望空間。
- 20 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時56分14秒
- 「暗ッ!!」
魔窟へ踏み入った加護は、余りの辛気臭さに思わず叫んだ。
「かぁ〜ごぉ〜」
飯田がすがるような声で泣きついてきた。
閉ざされた空間を破って入ってきた加護が、まるで救世主のように映ったのだ。
「ちょっ…なんやねん」
まとわりついてくる飯田にとまどう加護。
視線を矢口たちに向け、説明を求めた。
「アホかッ!」
説明を聞き終えた加護は、開口一番、腹に抱きついてる飯田に向かって言い放った。
「だってぇ〜…あんなの見たことないし…」
飯田の声は相変わらず情けない。
「ホントにヒドイんだよ、あいぼん。ほら」
石川が問題の雑誌を手渡す。
「なんかもう、どうしようもないほどの不幸って書いてあるし」
加護は石川の話を聞きつつ、占いコーナーを読む。
「ね? サイアクでしょ? ラッキーアイテムからしてさっそくアンラッキーだよ!」
「それは編集人の思いつき一つやろ」
- 21 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時58分17秒
- 読み終えると、ブハッとわざとらしく一息つき、飯田の顔を正面から捉えた。
「飯田さん、こんなんでいちいちヘコんでたらきり無いですよぉ。こうゆうのんは書く人が
適当に考えてるんですよぉ」
やはり呪いの占いの呪縛から逃れるには、この点を強調するしかない。矢口もすかさず
援護射撃する。
「そおだよカオリン。でたらめだって、こんなの」
「でも〜、この占いいつも当たるんだよ。こないだだって金運上昇中って書いてあったとき
道歩いてたら、あたかも道端の小銭に導かれるかのように―――」
「まぁ、当たるといえば当たりますねぇ」
「どっちだよ!」
矢口は加護の矛盾した言動に、ここぞとばかりにツッコんだ。
「だからぁ、うちが言いたいのはぁ、人の運勢というものはこんなもので変わっていったりしない、
ということです」
「? どういうことだよ……」
「つまりぃ、"この占いを見たから運が悪くなる"んじゃなくてぇ、"運が悪かったからこんな
占い結果になった"ってぇことです」
「ふーん…。………ダメじゃん!!」
- 22 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)08時59分45秒
- 視点を変えたところで、未来が鉛色であることに変わりはなかった。
むしろ加護の論理では、根本的にどうしようもないことになる。
加護の自信満々っぷりに少し期待していた飯田だったが、今の話を聞いて、先ほど以上に
落ち込んだ。彼女の周りの空間が歪んで見える。
「い、飯田さん、大丈夫やって。こんな時のためのラッキーアイテムですよぉ?」
あわてた加護が、いそいでフォロー。
「ラッキーアイテムって言っても、馬糞だよ? あいぼん」
台無しである。
「…ラッキーアイテムであることには変わりないやろ。とっとと取りに行くで」
「行くってどこに…」
「決まってるやろ、馬のおるとこや」
「ああ、競馬じょ――」
「牧場や!!」
加護がさえぎった。
「牧場って…花畑牧場?」
「そう! 梨華ちゃんのおかげで人気を得たカントリー娘。のおかげで、客の増えた
アノ! 花畑牧場や!」
「他に言い様があるだろ…」
矢口が同情込みでツッコんだ。
- 23 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時01分25秒
- 「今から行くの? 歌収録は?」
「ああ…、梨華ちゃんを置いてく」
「なんで私だけ!?」
「………」
加護は一瞬苦しそうな表情を浮かべると、何かに耐えるように話し始めた。
「悔しいけどな…ファンがタンポポに求めてるのは、うちら3人やなくて
梨華ちゃん一人やねん…。せやから、中途半端に梨華ちゃんと他の誰かが
残るより、梨華ちゃんが一人で残る方がええねん…」
「そ、そうかな…」
「んなわけねェだろ! うぬぼれんな!!」
「ヒィ!」
矢口が怒りにまかせてツッコんだ。
「まぁ、確かに梨華ちゃんの歌唱力は悲しいことになってるけど、本当の
ファンはハナからそんなモンに期待してへん。ただカメラ前でニコニコ
しててくれればええねん」
「………」
「だから、な? 今回もカメラ目線でポジティブポジティブゆうててくれたら
ええねん。それだけで、ファンもスタッフもお腹いっぱいや」
「…ダメだったらどうするの…?」
「そのときはやなぁ…」
「そのときは?」
そのときは。
「脱げ!!」
「!!」
うなだれる石川をよそに、空港へと向かう3人。
占いなど関係なしに不幸な石川であった。
- 24 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時02分34秒
- 北海道へ着いた3人はすぐに、タクシーで花畑牧場へ向かった。
道中の車内では特に会話らしい会話はなかったが、途中飯田がつぶやいた
「まさか、故郷に馬糞を取りに戻ることになるとは思わなかった…」という
言葉が印象的だった。
花畑牧場へは飯田が1人で入った。
入場料がとられるからである。
加護たちは速攻で入場を拒否した。
「馬の糞に払う金などない」と。
牧場内はちょうどカントリー娘。のショーとショーの間の時間で、人も少なく、
スタッフによると2人は今、馬の世話をしているらしい。
好都合である。早速、飯田は教えられた場所へ向かった。
- 25 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時04分10秒
- 「おーい、りんねー、あさみちゃーん」
「カ、カオリ!? どうしたの!?」
突然の飯田の訪問に、りんねもあさみも驚きを隠せない。
飯田は手短に事情を説明した。
「…と、いうわけでね、馬糞がほしいの」
「はあ〜、そういうことなら別にいいよ」
りんねは快く理解してくれた。が、
「ダメです」
あさみは断った。
「な、なんで!?」
「この牧場は、馬糞を提供するために存在してるんじゃないです」
「わ、わかってるよ…、そんなこと」
飯田は必死で弁解するが、あさみは譲らない。
「ちょっ、りんね〜…、あさみちゃんになんとかいってよ〜」
「う〜ん…。ね、あさみ。カオリがここまで言うなんてよっぽどのことなんだよ?」
りんねは"よっぽど"な事態に弱かった。
「ダメっていったらダメ! ダメでござる!!」
ムキになってきた。
あさみは、興奮するといつもござる口調だ。
- 26 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時04分57秒
- 「ふぅ…、いいよ、カオリ、持ってって。あさみはあたしが押さえとく」
「う、うん…。ごめんね、あさみちゃん」
飯田はそう言うと、近くにあった馬糞を袋に詰め始めた。
「離して! りんねちゃん! この牧場が…この牧場が馬糞スタンドにされようと
してるでござる! あたし…あたしそんなの耐えられないでござるー!!」
あさみの罵声を背に、飯田は牧場をあとにした。
加護たちは帰りの遅い飯田に不満爆発で待っていたが、
馬糞片手に遠い目をして、「敵が増えちゃった…」と言う彼女に、
なにか文句を言う勇気など、2人は持ち合わせていなかった。
- 27 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時05分51秒
- 「あんた達!! 一体どこ行ってたのよ!!」
スタジオに戻ると、いきなり保田の怒声が響いた。
「ちがうんですぅ〜。飯田さんがムリヤリィ〜」
「か、加護…! 汚ッ…!」
気付いたら、矢口は既にフけていた。
保田の後ろでは、石川がしおれている。
聞けば、泣きながら本当に脱ごうとしたところを、他のメンバーに止められたらしい。
その後、なぜか飯田1人が、干からびるほど叱られた。
そんな彼女のそばに、加護がそっと近寄る。
「まぁ、ええやんか。自己破産することを思えば、これぐらいどうってことないやん?」
加護はそう言うが、果たしてそうだろうか、と飯田は思う。
確かに自己破産は怖いが、今のこの事態も十分最悪だろう。
そもそも、なにが一番嫌かということは、自分で決めることだ。
結局、占いに振り回された挙句、占い通りに。
そう思うと、無性に悔しくなる飯田であった。
- 28 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時06分51秒
- そんな時、通路の向こうに安倍の姿が現れた。
いつも通りのテカテカした笑顔。なにも心配事がないような。
(なんでなっちはあんな幸せそうなの? 同じ獅子座なのに…! あ…もしかして、これから
なにか不幸が…!? 馬糞持ってないだろうし…)
高橋と談笑しながら近づいてくる安倍。
- 29 名前:第2話 投稿日:2001年11月18日(日)09時07分33秒
- (………………)
なぜ、このとき飯田がこのような行動に出たのかは分からない。
どうして私だけがこんな目に。
そんな気持ちもあったかもしれない。
あるいは、単純に、安倍のことを心配してのことだったのかもしれない。
とにかく、自分でも訳が分からないまま、飯田は走り出していた。
安倍に向かって。
馬糞を握り締めた右手を振りかざして。
走り出して…いたのだ。
――第2話 おしまい――
- 30 名前:身ぐるみをはがさ(略 投稿日:2001年11月18日(日)09時08分26秒
- 第2話、以上です。
- 31 名前:身ぐるみをはがさ(略 投稿日:2001年11月18日(日)09時12分43秒
- 話の都合上、作中での東京−北海道間を、
往復で約10分とさせていただきます。
- 32 名前:身ぐるみをはがさ(略 投稿日:2001年11月18日(日)09時14分39秒
- >>13 読者様ありがとうございます。
>>14 がんばりますほんとに。
- 33 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月18日(日)21時51分25秒
- おおいに笑わせて頂きました!
作者さん最高っす!にしても、作者さんの名前も凄いんだけど・・・。
まぁ、これからも頑張ってください〜!
- 34 名前:第♂話 投稿日:2001年11月25日(日)00時31分52秒
- 第♂話 ストーリーに盛り込めそうもない3人の小ネタ達
つんく「石川ぁ〜。お前また出張してくれ」
石川「あ、はい。もうカントリー娘。にも慣れましたし」
つんく「いや、今度の出張先は、愛知県富山村や」
石川「マ、マジモンのカントリーじゃないですかぁ!」
つんく「おう、まあな。ユニット名は『富山村に石川梨華(モーニング娘。)』でいくからな」
石川「村なんかとユニットが組めるかァ!!」
つんく「いや、もう決定や。村おこし、してきてくれ。目玉商品は『初めてのハッピー
村おこしせんべい』。目標は人口100万人越えのミリオンヒットや。達成するまで
帰ってくんなよ、コラ」
石川「うふふ〜、これは実質リストラね? やっりィー! こんな試練待ってたんですぅ〜。
…………。上等じゃゴラァ!! 地形を変形させる程の大都市築き上げたらァ!!
覚悟しとけよ国土地理院!! それとつんく! お前もじゃ!!」
つんく「ああ…。…なんども言うが、人口が100万超えるまで戻ってくんなよ…」
- 35 名前:第♂話 投稿日:2001年11月25日(日)00時32分44秒
- 保田「つんくさんが、また新しいユニット作るって!!」
矢口「うそぉ! またぁ!? どんなの?」
保田「200人祭だって!」
新垣「…人足りねェー!!」
高橋「ホントの祭りじゃねェか!!」
保田「冗談よ…。本当は…1人祭」
紺野「うわぁ、極たぁ〜ん…」
小川「ソロじゃねェか!!」
吉澤「1人祭……。なんか、1人で祭り騒ぎしてる大馬鹿野郎みたいだ…」
石川「晒し者ね…」
後藤「いくらソロでもやりたくないね」
矢口「で? その生贄はだれなの?」
保田「それはね…。石――」
石川「イヤァァァアアアアアー!!!」
- 36 名前:第♂話 投稿日:2001年11月25日(日)00時33分33秒
- 紺野「紺野あさ美14才。好きなものは、お芋のような札束です」
飯田「…………」
安倍「…………」
保田「…………」
矢口「…………」
後藤「…………」
吉澤「…………」
石川「…………」
加護「…………」
辻「…………」
新垣「…………」
高橋「…………」
小川「…………」
- 37 名前:第〒話 投稿日:2001年11月25日(日)00時36分03秒
- 第〒話 紺野日記
はいどうも〜、紺野あさ美です…。
………あさミルク!
……どうですか? 今の。昨日考えました…。…イマイチ…、そうですか……無念…。
さて…今日の日記ですが、先日の『モー。たいへんでした』の裏側についてちょっと
書きますね…。
えーと…人生問答のコーナーですね、わたしが出てたのは…。
ゲストは、梅宮辰夫さんでした。そう、不道徳なあの人です…。
わたしの質問は…なんだっけ…。あれ、自分で考えてるわけではないので…忘れちゃうんですよ…。
あ、そういえば、辻さんのおフダ(でいいんでしょうか…?)見せてもらったんですけど、
『是か非か』のところ、ルビがふってありました…。
…実は、わたしのにもふってあったんですけど…。…読めますよ、わたしは。
- 38 名前:第〒話 投稿日:2001年11月25日(日)00時36分45秒
- ところであのコーナー、常に巻きが入ってるんですけど、ホントは、始まる前からけつかっちん
なんですよね…。そんなに時間ないなら、太鼓たたくのとかやめたらいいと思うんですけどね…。
梅宮さんの人生訓…も、忘れちゃいました…。たいしたことは言ってないのだと思います…。
そうそう、気付きました…? 梅宮さんが帰るとき、わたしも後ろからついていったんですよ。
コーナー中に、梅宮さんがわたしをお茶に誘うってあったじゃないですか、そこは台本通り
なんですけど、さいごについて行ったのは、アドリブなんですよ…実は…。
まぁ、そのあとどこまでついていったらいいのか分からなかったですけど…。
……早くも、書くことがなくなってしまいました。
それではこのへんで…。
………あさミルク!
……紺野あさ美でした。
- 39 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時37分28秒
- 第3話 石川、新興宗教にダマされる
今日一日の仕事が全て終わり、モーニング娘。の楽屋にはくつろいだ雰囲気が広がっていた。
やがて、ひとしきり和んだあと、着替えを終えたメンバー達は次々と家へ帰っていく。
そして、残るはいつものタンポポメンバー。
「なあ梨華ちゃん。この後飯田さんらとご飯食べに行かへん?」
加護が石川を食事に誘う。
「あ、ごめんね。今日はちょっと…」
石川はそれだけ言うと、重そうなバッグを肩にかけ、いそいそと楽屋を出て行った。
「……なんか、最近石川、様子変だよね」
飯田が矢口に話し掛けた。
「うん。時々、お経みたいのブツブツ唱えてるよね…。」
「カオリさぁ、さっき石川のバッグの中ちらっと見たんだけどさぁ、『自らの内に広がる小宇宙』
ってゆう本が入ってたよ…」
「それ、聖闘士星矢のファンブックやろ」
「多分、違うよ」
飯田はやんわり否定した。
結局、この日は3人だけで食事に行った。
- 40 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時38分21秒
- 数日後。歌番組前のタンポポの楽屋。
早くから来ていた加護、矢口、飯田が談笑しているところに、石川が入ってきた。
いつも通り、女の子らしい服装に肩から下げた重そうなバッグ。
ただ、この日唯一普段と違ったのは、手に大事そうに抱えた――
「ツボ! 石川がツボ抱えてる!!」
「そ、そうか! 今年の流行は青のロングスカートに白のセーター、
そして茶系のツボ………ツボ!!?」
「ちょっと…! 落ち着きなよ、2人とも」
冷静なのは飯田だけだ。
- 41 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時39分04秒
- 「…で、どうしたの? ソレ」
「あ、コレですか? コレはですね、“黄昏に輝く神々の至宝”こと『タン壷くん』です」
「キレイやら汚いやら…」
キャッチコピーと名前のギャップが酷かった。
「だから、どうしたのって。買ったの?」
「うん。コレがあれば不幸が起きないって言われて」
「…いくら?」
「500万円です」
「ハ、ハア!?」
3人とも、さすがに驚いた。
改めて石川の持つツボに注目する。
いたって普通の、むしろ普通以下のデキである。
装飾のようなものなく、表面はザラザラ、形はいびつ、厚みも場所によって違う。
素人目に見ても、誉められるところは一つもなかった。
- 42 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時39分43秒
- 「そんなお金、どうしたの?」
飯田が恐る恐る聞いた。
「あ、のですね…。手元にはなかったんですけど…、ちょうど近くに『一定条件の下に金銭の
貸し出しを行っている私設の施設』がありまして、所定の手続きを済ませることで
契約成立とあいなりました…」
「まち金ってゆうやつ…? 借りちゃったんだ…」
「なんで石川の年で借りれんだよ」
「あ、年とかは関係ないって…」
「大丈夫かよ、その金融屋…」
「…その前に梨華ちゃん、ツボ、ダマされてるで、絶対!」
「そ、そうだよ! おかしいってそんな値段!」
「完全に悪徳商法プライスだよ…」
「な…なに言ってるのみんな! ちゃんとした、アンジー教のグッズだよ!?
あやまって…! おツボにあやまって!!」
石川は急にキレ出した。
- 43 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時40分32秒
- 「なんやこの女…」
「アンジー教ってなんだよ…」
「おツボに……! え!? あ、ああ、アンジー教ですか? アンジー教はですね、
今石川ハマッてるんですけど、なりたい自分になろうってゆう宗教です」
「なりたい自分と魔よけのツボ……関係ねぇ…」
「ねぇ石川……そのバッグの中、もしかして…」
飯田は石川の、重そうな、やたらと膨れ上がったバッグを見た。
「あぁ、はいはい。中身はグッズですよ、見ます?」
石川はバッグを肩から下ろすと、次々と中身を取り出した。
フダと鈴の束、ハンドボール大の水晶玉、ペンタグラム、ロザリオ、破魔矢。ヴァジュラまである。
「……アンタは何になりたいねん」
「アンジー教って何を崇めてるの? お土産屋の神?」
「な…! 失礼ですよ! 飯田さん! ちゃんとした神様ですよ! しかも絶対神! 唯一神!
全知全能の神、ウピョン!!」
- 44 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時41分26秒
- ウピョン。
「な、なんてコミカルかつファニーな名前なんだ…!」
「口に出すたびに何かを失っていきそうや…」
「石川、ダマされてるよ…。その名前で確信した…」
「まだゆうか、コノヤロウ…!」
「石川、今までいくら使ったの…?」
「え? え〜…そんなでもないですよ。計画的に借りてますし…。
ブラックリストに載らないように、複数のところからちょっとづつ借りたり…」
「そんなとこ計画的でどうすんねん…」
もはや、あきれてツッコミも言えない加護であった。
「ちょっと、ホントにヤバイんじゃない!? 取り立てとか来ないの!?」
「今ごろ、石川が働くことになる店でも絞り込んでんじゃないの?」
「!! そ、そんなの困ります!」
「じゃあ、金返すしかないやん。返品しに行こう。ついでにアンジーとも手を切れ!」
「い、今から!? また!?」
「早よせな取り立て来るで」
「仕事は…?」
「和田にでもやらせとけ」
ムリだ。
そう思いつつも反対はしない、主体性のない3人であった
- 45 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時43分24秒
- 石川に案内されて向かった先は、ごく普通の駅前の雑居ビルだった。
入り口を入ったすぐのところに受付があり、女の人が1人いる。
「私が話してくる、待ってて」
そう言って、飯田は受付の方へ歩いていった。
「あのぉ、ここの代表の人に会いたいんですけど」
「はい、ええと、失礼ですが、ご予約はされているでしょうか」
「え・・・、あ、いえ、予約はないんですが、クレームを少しばかり…」
「申し訳ありませんが、ご予約のない方をお通しすることはできません」
「そんなこと言わんと、おねがいしますよぉ」
「加護…」
入り口で待ってた加護が、肩で風を切って歩いてきた。
「うちの仲間がココにダマされたんですよぉ。文句言いたいんで、一番えらい人を…」
「申し訳ありません、お引き取りください」
「おねえちゃん…頭堅いでぇ。……このツボと、どっちが堅いかなァ…?」
「や、やめなよ…加護…」
- 46 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時44分18秒
- 「じゃあ、クレーム担当の人でもいいですよぉ」
「申し訳ありません、私には分かりかねます」
「じゃあ、だれに言ったらええのん?」
「さあ…」
「…あんた、受付やろ?」
「ええ」
「受付のクセに…おまえは一体、何を受け付けとるっちゅーんじゃああ!!」
「待って! あいぼん!」
「梨華ちゃん…」
加護たちの後ろで見ていた石川が、毅然とした態度で受付カウンターへ向かってくる。
「あの、何か…?」
石川の放つ異様なオーラに、受付は少しとまどっている。
「…私は、宝徳天元大使石川梨華。わけあって教祖様にお会いしたいのです。
通して頂けますか?」
「え…!? あ、はい!! ど、どうぞお通り下さい!!」
「ありがとうございます」
ゴクリ、と、誰かが生唾を飲む音がした。
(マジで…?)
(石川…ココとどこまで関わってるんだろ…)
(本当はうちらを勧誘しようとしてるんとちゃうやろな)
「なにしてるの? いくよー」
「あ、うん…!」
- 47 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時45分17秒
- 石川に疑問を抱きつつ、後ろについて行く3人だった。
一行は、『馬神の間』と書かれた部屋の前まできた。
「いいですか? くれぐれも失礼のないようにしてくださいね」
石川が念を押す。
(ダマされてるのに…)
「行きますよ」
- 48 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時45分59秒
- 部屋の中には、ハゲたデブのおっさんが1人いた。
「うん? なんだウマ? 君達は?」
「お久しぶりです、トイレ様。……みんな、この方がアンジー教教主、
トイレ・ウォ・シュレット様よ」
「うさん臭ッ!」
「確かに臭そう」
「そして実際臭い…」
「み、みんな…!」
「なんだ君達! 失礼ウマ!」
「申し訳ありませんトイレ様! 実はわたしたち…」
「梨華ちゃんからダマし取った金を返してもらいにきたんや!」
「あいぼん!」
「ダマしとった? なんのことウマ?」
「とぼけんな。とんでもないガラクタにとんでもない値段フッかけたやろ!」
「なに言ってるウマ! あれは、神への感謝の値段ウマ!」
「なにわけ分からんこと言っとんねん。関係あるかボケ!」
言いつつ加護は、石川からバッグをぶんどった。
- 49 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時46分35秒
- 「ほら、全部返品や! このロザリオも! この鈴も! この水晶も! このツボも!
そして……この本もじゃあああ!!」
「? なんだウマ? その本は…?」
「あ、あいぼん。それは、違うの…。…それは……聖闘士星矢のファンブックなの…」
「………………飯田ァァアアア!!!」
「だ、だから『多分』って言ったでしょ!?」
加護は、大いなる恥をかいた。
- 50 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時47分15秒
- 「と、とにかく、金返せ」
加護はきまりが悪かった。
「ふんっ。そんなもんとっくにないウマ」
「なんでやねん」
「競馬でスッたウマ!!」
「競馬……」
「だからコイツ、さっきから『ウマウマ』言ってるのか…」
「とっとと信者ダマして金をつくらんかい!」
「加護…それもちょっと違うんじゃない…?」
飯田はそっと注意した。
「…どういう、ことですか…?」
- 51 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時48分09秒
- 「石川……」
「トイレ様、おっしゃいましたよね!? 集めたお金は恵まれない子達のために使うって。
だから…ちょっと高いかなって思ってもガマンしてたのに…。
ダマしてたんですか…?」
(遅すぎる…そして、バカすぎる…)
思いつつも、今回ばかりは口に出さない加護であった。
「今ごろ気付いても遅いウマ! 金は返さないウマ! 訴えるなら訴えるがいいウマ!
地獄の底まで逃げてやるウマ!」
「……もういいじゃん石川。こんなクズ、相手にしてても無駄だよ」
「そうだよ、借金なら、みんなの印税パワーで何とかするから」
「まぁ、うちが出せるパワーの威力は、メラ程度やけどな」
「みんな…」
「ならとっとと帰るウマ! 2度と来るなウマ!」
「だれが来るかヴォケ!! 死ね! 爆弾岩!!」
「ウマー! ウマー! ウマー!」
そして、4人はビルを出た。
- 52 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時49分07秒
- 「でもさぁ、石川なんで宗教なんかにハマッたの? なんか悩みがあったんなら、
カオリに言ってほしかったよ…」
「はい…」
「あったの? 悩み」
「ええ…。と、いうよりですね。私、歌とかダンスヘタじゃないですか。
それで、どうしようかなぁって思ってたときに、ウピョンに出会って…。
ウピョンって、全知全能の神様じゃないですか。全知全能ってゆうぐらいだから、
モーニング娘。の曲とかも、振り付きでカンペキに歌えるのかなぁって。
そう思ったら、急に親近感がわいてきて…」
「…………」
「…………」
「…………」
「? どうしたの、みんな……イタッ!」
加護は、一応持ち帰ってきた聖闘士星矢のファンブック『自らの内に広がる小宇宙』
を、石川に投げつけた。
- 53 名前:第3話 投稿日:2001年11月25日(日)00時50分51秒
- 「なにするのぉ! あいぼん」
「呆れたわ…」
「呆れたよ…」
「呆れた…」
「ど、どうしてですかぁ! あ、借金の方、よろしくおねがいしますね!?」
「いや…気が変わった。うちらにできることは、あんたの源氏名を考えてやることぐらいや」
「どうしてよぉ〜」
「『ウマ』、なんかどお?」
「いいんじゃない?」
「いや、ここは、『ウピョン』やろ」
「ちょっとみんな〜…」
光り輝く夕日の降りそそぐ中、4人はスタジオへともどっていった。
結局、石川の源氏名は『コスモ』に決まった。
石川梨華 借金5000万円也。
- 54 名前:作者 投稿日:2001年11月25日(日)00時53分51秒
- >>33 いやよかったです。
ホント、ありがとうございます。
- 55 名前:作者 投稿日:2001年11月25日(日)00時56分35秒
- 一応、流させていただきます。
- 56 名前:作者 投稿日:2001年11月25日(日)00時57分09秒
- いでよシェンロン、そしてスレを流したまえ。
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月25日(日)02時27分51秒
- あ、ついにただの「作者」になっちゃった。
- 58 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月06日(木)06時00分42秒
- もう書かないのかな?
- 59 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月26日(水)22時10分24秒
- 続いてほしいです
- 60 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月09日(水)00時32分40秒
- 続きキボンヌ
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