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彼女を振り向かせる方法 2nd

1 名前:作者 投稿日:2001年11月20日(火)15時39分21秒

 前スレの続きです。(ちなみに同じ銀板っす)↓
  http://mseek.obi.ne.jp/hilight.cgi?dir=silver&thp=1004430993

 しかし、書き込みできないくらい目一杯使ってしまいました…(アホ作者
 気付いてくれた方いましたら、またお付き合いお願いします…

2 名前:作者 投稿日:2001年11月20日(火)15時40分45秒
>>1 しかも失敗ですねえ〜、もういいや(投げやり

  んじゃま、続きどんぞっ!!!(w
3 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月20日(火)15時52分34秒

 「……あは、…っくぅ…えっく…、
  よっすぃ、のバカ…バカ…

  親友なんだよぉ、ウチらは…なんで?あは…なんでよぉ…
  ダメだよ…ばかぁ……」



 そう、途切れ途切れに話す、ごっちんは。 
 無理やり笑おうとしてるのは、明白で、痛々しくて。


 「ダメなのかなあ?
  『親友』を好きになるのって、そんなにいけないこと?」


 極力、ごっちんを刺激しないように。
 アタシは、彼女に優しくそう言って、その涙に濡れた目を覗き込む。

 …ていうか、告白したのはアタシなのに、
 なんでアタシのがこんなに気、使ってんだよ。

 
 思わず、苦笑がこぼれるアタシ。



 「んっ…く、だって…、だって…
  ごとーは、よっすぃのコト大事なんだもん……大好きなんだもん……」

 「じゃあ、何でだよお」


 

 さっきから、ずっと抱いている、違和感。
 徐々に、この違和感がアタシの中で、はっきりとした形を帯びていく。



  
4 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月20日(火)15時59分14秒

 アタシを『大事だ』というごっちん。
 アタシを『親友だ』というごっちん。
 けれど、アタシが彼女を『好きになる』ことも、
 『好きになられる』ことも、否定するごっちん。


 何かが、おかしい?
 違和感は、

 “矛盾”として、アタシの心にひっかかっていたのだ。




 「わかんないよ…、アタシ、ごっちんの言ってること、全然分からないっ!
  どうしてダメなのっ?なんでそんなに『親友』に困るのさっ!?
  『好き』なものは『好き』なんだよっ、押さえつけるものじゃないよっ!!」


 「だって、女の子同士なんだよっ、ウチらはっ!?」


 「――――え?」


 
 勢いよく、ごっちんの口から飛び出した、その言葉に。
 アタシは声を失って、呆然と彼女の顔を見つめた。

 (今、何て言った?)
 (女の子同士だから?)
 (そんなん、どうしようもないことじゃん―――)


 「そんなこと、関係なっ―――」
 「関係あるもんっ!!」



 きっぱり言い切った、ごっちんの瞳からは。
 やっぱり枯れることなく、涙が溢れ続けていて。





  
5 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月20日(火)16時07分51秒

 「……好きに、なっちゃったら…?ひっく…、えぐ…っ、わ、別れなきゃ、
  いけないんだよ……?
  どんなに、好きに、なっても、ッっく…、
  いつかは…っ、いつかは、離れていくんだよっ?」


 いつの間にか、彼女の腕は。
 その、震える指は。
 しっかりと、アタシの肩を掴んでいて。

 少しばかり、痛みを感じるくらい。
 強く、強く―――。



 「……『親友』だったら……変わらないもん……っく…、ひっく、
  ず、っと…、んん…えぐっ、
  …一緒に…いられるもん……」


 相変わらず、彼女の涙は止まらない。
 アタシは、無意識のうちに、ごっちんの体を抱きしめていた。
 小刻みに、震えるその身体を。




 「…ご、ごとーは…、ンック、よっ…すぃの、コト、大事だから……
  ホントに、大事だから……失いたくないんだよぉ……
  だ、から、好きに…なっちゃいけない…いけなかった、のに…

  親友……のままじゃ、なきゃ、……
  ダメだっ、た、のに……」



  
6 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月20日(火)16時15分36秒

 言葉にならない、彼女の言葉を。
 アタシは痛いくらいに、胸に刻みつけて。
 なんだか、自分も、今にも泣きそうになっていると、感じていた―――。



 「……ごっちん?」
 「…っく、んぐ……」
 
 「アタシは、何があってもごっちんの側にいるからね?」
 「……嘘だよぉ…」

 アタシ腕に、しっかりと抱かれたまま。
 それでもごっちんは、全ての言葉を、拒否するかのように、首を振って。
 その唇から出てくる言葉は、否定的なものばかり。



 ……こんなときまで、ホンット、頑固なんだから!


 
   
 「ホントだってば…」
 「……ダメだよぅ…、好きになっちゃ……えぐっ、
  別れるとき…辛いんだから……」

 「別れるときなんて」
 「来ないっていいきれるの!?」


 「―――!?」


 ごっちんの口調に、何か―――そう、とても苦い、何かを感じて。
 鋭さを増した、その声を聞いて。

 アタシの中に、嫌な予感が広がっていく。






 
7 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月20日(火)16時21分35秒

 何を言うつもり!?
 ごっちん、アナタの中にある、その思いは―――


 それは、あくまで“予感”にすぎない、暗い思い。
 だけど、
 やっぱり、
 聞いてはならない、その言葉。



 「んっ……、くぅ…
  だって、だって、
 
  いちーちゃんは、離れてっちゃったよっ!!!
  ごとーを置いて、行っちゃったんだよっ!!?

  っっくぅ……えぐっぅぅ……」




 衝撃的な、だけど。

 どこかで予感していた、その言葉――――




 ・・・・・・



 
 ―――『後藤は、あたしの妹みたいだったよ?』
 ―――『バカ、泣くなぁ』
 ―――『ホントにかわいいなぁ、後藤は』




 ずっと、意識してないつもりだったけど。
 胸を去来するのは、


 笑顔のあの人と、ごっちんの姿。







8 名前:作者 投稿日:2001年11月20日(火)16時29分21秒
ああ〜、話がどんどん暗〜く暗〜くなっていく(w
まあ…1度は通らないといけない道なんで、甘々を期待されてた方、ごめんなさい。
なんか作戦その5までとは違う話みたいですね(ニガワラ

そんでもって今回の更新分です↓
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=1004430993&st=279&to=291

随分と更新したのに…なんでしょうこのスッキリしない感は(w
しかもスレの立ち上げ、思いっきりトチってるし。あ〜鬱……T△T
9 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月20日(火)17時55分30秒
ややややはりちゃむが・・・クゥうーッ!
途中で伏線ありましたよね!スゲエ気になる展開です!

実はコソーリリアルタイムで、前スレの更新見守らせてもらってたんでビックリしました(汗)
ムチャいいとこで止まってしまっていて…デモスグツヅキガ…ホントニヨカッタヨカッタ

新スレですし、すえながぁああ〜くめいっぱい可愛いごっちんとよすぃを書いてください!
振り向いたあとの続きに早くも勝手に期待してますので(w
とりあえずバイタリティ溢れちゃうぽじてぶよすぃに幸せがおとずれますよーに(ナムナム)
10 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月20日(火)22時16分53秒
作者さんサイコーっす。
ほんとにこのごっちんとよっすぃ〜かわいいです
次の更新も楽しみにしています。
11 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月20日(火)23時47分50秒
はああ、きたなぁ。
ちょっと涙腺ゆるみかけ。

よしこ、ごまを包んであげてね…

アレの続きは・・・・・お待ちを(w
12 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月21日(水)15時44分25秒
こういうシリアスな展開も好きです。
でも、最後は甘甘で…
13 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月22日(木)02時48分25秒
おいらの嫌な予感も当たってしまいました(w
よしこガンバレ!
14 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月22日(木)03時26分33秒
せ、せつない・・・

前半と後半(ですよね?)でガラリと雰囲気は変わりましたが、
切ないモードは、読ませますね〜続きが気になります。

でも、二人が結ばれればまた、エロでオバカなやり取りを見れることをねがって、
更新をお待ちします。
15 名前:作者 投稿日:2001年11月23日(金)04時57分00秒
なぜかこんな時間に更新です。
今回もレスくれた皆さんに感謝しつつ…こんな暗い(?)展開になってもちゃんと
感想をいただけるんで、本当にうれしいです(T-T)

>>9 名無し読者さん
  あ〜、前のスレのとこは、ホント中途半端なところで切れてますからねえ、
  ちょっと情けないっす(汗
  振り向くかどうかは…市井ちゃんの存在をよしこがどう切り抜けるか、ですかね?

>>10 名無し読者さん
   後藤はともかく、吉澤くんがかわいく見えてるのがちょっとうれしいです(w
   とにかく応援してもらえてうれすぃ吉澤くん(○^〜^○)

>>11 名無し梨華さん
   大丈夫です、ここのよしこは包容力抜群!!(?)の、ハズ!!(w
   続きは、大人しく待ってますv

16 名前:作者 投稿日:2001年11月23日(金)05時02分10秒
>>12 名無し読者さん
   シリアスな展開もありですか!よっしゃ〜!!(何がだ
   でもまあ、基本的に「ラブコメ(死語?)」の気分で書いてるんで、ずっと
   シリアスな展開はきっと作者には無理です。だからご安心を!

>>13 名無し読者さん
   嫌な予感ですか(w
   まあ、市井ちゃんのいる世界でごまを書く場合、やっぱり一つの試練では
   あるかなと…アハハハ

>>14 名無し読者さん
   きっとすぐにオバカでほのぼのな二人に戻れるはず!!…かな?
   続きは…もう少しかかりそうです(w


 
17 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時10分42秒

 ………


 ………


 狭いエレベーターの中に響くのは、
 久しぶりに耳にする、ごっちんの子供のような、泣き声。


 『……ん〜、んん〜……

  ふえええ〜……

  うええええええ〜ん!!』



 そして。
 その姿を見つめる、『あの人』の優しい微笑み。


 『……絶対、戻ってくるんだからね!!』


 涙に濡れた顔で、泣きじゃくりながら必死に言うごっちん。
 やっぱり、包み込むような優しさで、そのごっちんを抱きしめる『あの人』―――



 市井、さん。



 『―――おう!絶対戻ってくるよ!』




 ……
 なんで、こんなときに。


 目の前で泣くごっちんが、1年前の『市井さんの卒業の日』のそれと、重なって見えた。
 彼女がそんな風に、子供のように泣いたのは、その日が最後で。
 それ以降の彼女の泣き方は、それまでより大人びて、いて。


 だからアタシは思っていた。
 (ああ。市井さんにはかなわないのかな――――)
 彼女が本気で「泣く」のも「笑う」のも、すべては市井さんの一挙手一投足にかかって
いるのかな、と。



 
18 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時16分54秒

 でも。
 そんなごっちんだからこそ。
 アタシの心は惹かれていったのも、事実で。


 …けれど。
 それじゃ、最初っから、アタシは。
 勝ち目のない、―――ううん、成就するはずのない、想いを抱えてしまったってこと?



 それは、違うんだ。



 「ねえ、ごっちん」

 「…んん…」

 心持ち、彼女に回した腕に力を込めてアタシは彼女に呼びかける。
 ごっちんのあたたかさを、直接に感じて。

 そのあたたかさは、何よりアタシに勇気をくれるから。


 「市井さんのことはね。アタシも、―――やっぱり、どこかで感じてた。
  ごっちんは…市井さんのことが、
  …好きだったんだね」

 「……ん」


 短く、ごく短く。
 ごっちんが、肯定の返事を返してくる。
 さっきまでの興奮は、どうにか落ち着いてきたようなのだけれど。







19 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時25分58秒

 「気持ち、伝えたの?」

 「…言えるわけ、ないじゃない…」


 嗚咽をこらえながらそう答えるごっちんは。
 いつもより、子供っぽくて。
 いつものように、愛おしくって。

 やっぱり、彼女に回した腕は、離せるはずもなく。



 「……んっく、だっ…て。分かって…たもん、いちー…ちゃんの、気持ちは。
  ごと、ごとーのこと、…妹みたいにしか、思って…ないって…」

 「…うん」

 
 アタシもごく短めに返事をして。
 彼女の話の先を、やんわりと、促す。


 「……それで、それで…ふざけて…き、聞いたこと、あるの……。
  『いちーちゃんは、ごとーのこと好き?』、なん、て…

  バカだよね、…えぐっ、アハ…何、期待してたんだろ?…んっ、
  いちーちゃんはね……
  『好きだよ』ッて、…ふふ、『ごとーみたいな妹、欲しかった』…だって」


 途切れ途切れになりながらも。
 なんとかそこまで言い切って、ごっちんは深く、深く息を、吐いた。

 そして、アタシは。
 ごっちんの言葉を心の中で、反芻して。



 「……それで、いちーちゃんは…卒業、しちゃった…」






20 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時37分38秒

 あはは、と。
 彼女独特の、低い笑い声―――今日に限っては、やけに自嘲的に聞こえる笑い声。
 アタシは、あえて返事を返さずに、ごっちんの話の続きを待つ。


 「……ぐすっ、はは…。
  やっぱり、…やっぱりな、なんて…。いちーちゃん、気持ち悪かったのかな…
  えっく、えへ…へへ…んん〜、

  考えちゃう、考えちゃうじゃない……、いちーちゃ、ん、ごとーの気持ち、
  気付いて…卒業……」



 「それは、違うよっ!」
 「?」

 
 思わず、彼女の言葉を途中で切る形になりながら。
 アタシは、そう叫んでいて。
 
 ごっちんの体が驚いたように、ビクっと震えて、アタシの顔を見ようと、彼女の
首が、少しばかり傾けられた。


 アタシは。



 「違う、それは違うよ、ごっちん。アタシ…市井さんとの付き合いは、ごっちんより
  全然短いけど。でも、分かる。
  市井さんが卒業したのは、本当に自分を磨くため、やりたいことが、あったため。
  ごっちんの気持ちに気付いたからでも、
  ましてその気持ちが嫌だったからでも、絶対、ない!」

 












 
   
 
21 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時45分43秒

 わずか、とも
 しばらく、とも思える、沈黙の後。


 口を開いたのは、ごっちんで。


 「…えぐ、…なんで…よっすぃに…分かるのぉ」


 肩を震わせながら、ごっちんが呟く。
 そりゃそうだ。
 アタシもアタシで、なんで…恋敵を援護するようなことを言ってんだろう。


 …なんて、自問自答するまでも、なかった。


 アタシは。
 絶対に、ごっちんへの気持ちが――――揺らぐことはないと、分かっているからなんだ。







 「じゃあ、逆に聞くけどさ。ごっちんは…
  市井さんが、他人の気持ちを、『気持ち悪がって』逃げるような人だと、思う?」

 「………」

 ごっちんは、答えないけれど。
 一瞬戸惑った、その後。
 彼女の首が、小さく横に動かされるのを、アタシは体で感じた。



 「……ね?」


 アタシが、念を押すようにそう言って。


 「……アタシも、そうだよ。ずっと……告白なんて、できないと思ってた。
  ごっちんが、アタシに対して…そういう気持ちなんて持ってないの、分かってたから」
      




 
22 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時52分54秒

 そこまで、心の中を言うつもりは、なかったけれど。
 もういいや。
 全部、全部言っちゃおう。


 決してそれは、投げやりな気持ちなんかではなく。
 中途半端な気持ちでもなく。
 ごく純粋な、告白の意味で――――。



 「アタシは、ごっちんのコトが好きだよ?
  言うのは、正直怖かったけど、でも言っちゃった。…へへ。
  やっぱり玉砕くさいけど…、でも、アタシは後悔してない。

  ごっちんが、そうゆう人の『気持ち』を、気味悪がったり、馬鹿にしたり
  する子じゃないって分かってるから。
  ―――親友として、知ってるから」

 「………」



 びくり、と体を震わせて。
 ごっちんが、アタシから体を離した。
 そのまま、彼女は涙に濡れた瞳で、アタシの顔をじっと見つめている。



 「ごっちんはさ。『親友』だから、好きになっちゃいけないって言ったよね?
  いつか、絶対別れがくるから、好きになっちゃいけないって」


 
 不思議なくらい、アタシの心は平静だった。




23 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)05時59分47秒

 ごっちんが、張り詰めた瞳で。
 アタシから視線を外さずに、小さく首をひいたのを、確認して。

 再び、アタシは口を開く。



 「それで、ごっちんはアタシのこと軽蔑した?
  一緒にいるのは、気持ち悪いと思ってる?―――正直に、言って」


 
 これは、あくまで「賭け」だ。
 でも、答えは分かってる――――分かってる、つもり。
 そうでなきゃ、こんな問いかけは彼女を説得する上で、意味をなさないでしょ?



 「……
  思って、ない」


 予想していた、それよりもしっかりした声で。
 ごっちんは、アタシを見つめたまま、そうきっぱりと言い返して。
 
 「……!」
 そして。
 はっとしたように、目を見開いた。
 きっと、自分で出した答えに、アタシの言わんとすることを、見つけたのだろう。



 「ほら、ほらね?」

 
 ごっちんの瞳が、みるみるうちに、新たな涙で潤んでいく。
 だけど、それは。
 きっと、さっきまでの涙とは、違う感情。





 
24 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時09分46秒

 きっと。


 「そういうモノなんだよ、きっと。人の気持ちってヤツはさ?
  アタシ達って、きっと不器用だけど。
  だけど、この気持ちが―――お互いがお互いを『好き』になる感情って、
  悪いものであるはずが、ないんだよ!」

 「………」


 「それはきっと、苦しいときもあって。―――実際、アタシも今、ごっちんの
  話聞いて、かなり苦しかったけど。
  でも、好きになる気持ちって、悪い感情ばっかり生み出すものじゃないよね?」


 話し続けるアタシに、
 ただ黙って聞くごっちん。
 どう考えても、これは口説く、そんなようには見えない光景だろうけどね(苦笑)。



 「一緒にいて、うれしい、楽しい、ドキドキする、ワクワクする。
  ………  

  一緒に遊んで、
  一緒に笑って、
  一緒に泣いたり、励ましあったり、―――ときには、喧嘩したり」




 「……うん」


 「だけど、そういった一つ一つの、コトが。
  とても……大事に思える。大切な思い出になる。
  すごいコトだと思わない?」




 
25 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時17分11秒

 
 今日のアタシはいやに雄弁。
 きっと、ごっちんもそう思っているだろう―――ううん、とっくにそんなことを
考える余裕なんてないかもしれない。



 「今のアタシとごっちんを結び付けてるのは、
  『親友』であることとか、『メンバー』であることとか、
  そういった枠組みに仕切られた、そんな関係じゃないんだよ。  

  互いを思いやる気持ち。
  大事だと思う気持ち。
  それが、「友情」であるか「愛情」であるかなんて、二の次じゃん?



  だから――――――大丈夫。
  『別れ』なんて、不安材料にはならないんだよ。
  アタシ達をつないでいるのは、形だけの関係性だけじゃないんだから。

 
  お互いを大事に思う気持ち。
  それがあれば、きっと―――大丈夫なんだ」



 不意に。
 ぼろぼろっと、ごっちんの目から涙が零れ落ちて。

 泣きやんだと思っていた彼女には、まだまだ泣くだけの涙が残っていたようで。





 
26 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時27分54秒

 「あは、あはは……んんっ、っく、……
  …よっすぃ…ずる、いよぉ……難しいこと…言わないでよぉ……」


 笑いながら、泣いていて。
 それは、さっきまでの「無理」をした泣き笑いとは、明らかに違っていて。


 「……えぐっ、…あはは……
  あのとき…、っく、んん…いちーちゃんが、卒業しちゃった…とき…
  
  今のこと言われてたら……あは、ごとー、告白する、…ひっく、…勇気、
  出てたかも…しれないね……」




 新たな涙で、うまく喋れないながら、必死にごっちんはそう言って。
 ぎゅっと、アタシの腕を掴んで。
 その、涙でぐちゃぐちゃになった顔を、アタシの肩に押し付けてきた。


 ……って!
 ご、ごっちんから……!!

 と、こんな状況ながら、またも野獣ゴコロが芽生えそうになるアタシを……
 理性が抑える(情けない、こんな自分が…)。





 「…ぐすっ…、よっすぃ…は、ずるい…よぉ。なんで……ごとーの…言ってほしかった
  こと……こんなに上手なタイミングで…くれるのかなあ…」
  

 そんなの、決まってるじゃんか。




27 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時35分17秒

 
 「好きだから、“後藤真希”って女の子が。
  ずっとずっと、好きだったから、ずっとずっと、見てきたから」

 「―――――」




 ―――アタシの、真剣な気持ちに。
 真剣な、その言葉に。
 ごっちんは、「ふわああああ」と、気の抜けたような声で、そう言って。
 アタシにしがみつく腕に、力を込めて。
 


 目一杯、
 精一杯、


 …泣きじゃくった。
 泣いて泣いて泣いて、子供ように。

 そう、あの『武道館の日』のときのように。



 「だから、そばにいるから。
  アタシはずっと……ごっちんのそばに、いるから」

 えぐえぐっと思い切り泣きじゃくる愛しい彼女の耳元に、そう囁いて、
 アタシは、ごっちんの背中に、もう一度腕を回して。





28 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時42分43秒
 
 ぎゅうっと。



 少しでも、この気持ちが、彼女に届くように。
 少しでも、この気持ちが、彼女に伝わるように。

 大事に、抱きしめた。



 「……えぐっ……、んん…ぜっ…たい、だからね…っ?」
 「…うん」
 「絶対…、っく、よっすぃは…、…ごとーのそばにいるんだからね……!?」


 もちろん。例えごっちんが拒んでもね?



 「その点なら、ご心配なく。
  いつでも――――こうやって、ごっちんのコト抱きしめてあげられるところに、
  アタシは…いるから。
 
  絶対に、ごっちんのそばにいるから」



 真剣な、アタシの目と。
 同じく真剣に、アタシを見つめ返すごっちんの目線が、交差して。
 アタシの目は、無意識に半開きになっている、彼女の唇に……




 「……よっすぃ…」
 「黙って」





29 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)06時50分07秒

 彼女を抱きしめる腕に、力を込めて。


 気持ちは、伝わってると―――――思う。
 アタシは、とっさに何かを言おうと口を開きかけたごっちんの言葉を遮って、
ゆっくりと彼女の唇に、自分の唇を近づけていく。
 

 「……大好きだからね」
 「…ん」



 

 そして、ごっちんも。
 くっと、アタシを掴む腕に、(緊張してるように)わずかばかりの力を込めて。

 アタシを見つめていたその瞳を、静かに閉じた。


 ゆっくりと近づいていく、アタシとごっちんの顔。 

 ………

 ………初めて。
 そう、初めて、気持ちの通じ合った、ごっちんとの――――キス。




 ガッシ――――――――ン
 「「!!??」」




 ………


 ………初めて、気持ちの通じ合ったごっちんとのキス――――を、果たす前に。
 なぜか、ばっちりのタイミングで……


 エレベーターの扉は、開いた(涙)。




30 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)07時00分04秒
 
 「大丈夫かいっ!?」


 ロープやらなんやらを担いだ、作業着服姿の、お兄さんたちが。
 甘い雰囲気に、気付くはずもなく。

 どかどかと、エレベーター内に踏み込んできて。

 

 ごっちんの、愛しい彼女の唇を、あと数センチとの距離を最後に。
 ――――アタシは、思わず、
 ショックのあまり、床に崩れ落ちた………(泣)。



 「大丈夫かっ、君?大変だ、気分が悪いようだね、おおいっ誰か、 
  こっちの子を医務室へ!!」

 「……って、えええ〜〜〜っ!?」
 

 やたらと張り切って、元気な様子のお兄さん達に、
 床にへたり込んだアタシは、ずるずると引きずられるように、エレベーター内から
運び出され。

 「ちょっ、ちょっと待って〜!ごっちん〜ん!!」
 「よしっ、さあ行こう!歩けるかい??」
 「……だからっ、待って〜〜…って(焦)」

 アタシの小さな抗議には耳も貸さず。
 半ば強引に、アタシはお兄さんたちに担ぎ上げられる。


 「…、よっすぃ〜……」


  




31 名前:作戦その6 〜ザ☆告白編 投稿日:2001年11月23日(金)07時08分52秒
 
 ああ。
 ごっちん、さようなら(悲壮)。



 背中で、アタシを呼ぶ愛しい彼女の声を聞きながら。
 今日という今日は、自分のタイミングの悪さを呪いながら。


 アタシは――――――医務室へと、運ばれた。


 ごっちん……まるで今のアタシ達、
 引き裂かれたロミオとジュリエットみたいだねはあとはあと


 なんて、思うか――――っ!ばかやろ―――――っっ!!
 


 ようやく…、ようやく、ごっちんと気持ちが通じ合うときがきたのかと思いきや、
 お約束の邪魔が入ってるとは…!!

 

 ―――まあ、でも。
 確かに、ごっちんとアタシ、気持ちが通じ合ったと―――思う。
 あの、瞬間は。





 たくましい作業着のお兄さんに抱え上げられながら。
 アタシは、ごっちんとの距離をまた近づけたことに、大きな希望と喜びを―――――




 「はっっはっはああ〜〜!!アイドルなのに、君結構重いねえ〜!!」
 
 「っていうか、降ろせ―――――っ(恥)!!!!!」




 ……吉澤ひとみ、16歳の受難の日は。
 きっと、まだまだ続く――――のだろう。

 はあ(泣)。









 
32 名前:作者 投稿日:2001年11月23日(金)07時13分25秒
作戦その6、終了です。
朝っぱらから、更新しました…が、やっぱりシリアス編は難しいっす。(へぼいけど
ただ、「市井ちゃん絡み」は、これで解決ではないんですけども…作者の文才のなさの
ため、一回ではうまく解決できなかったので(ヲイヲーイ

とりあえず、よしこが気持ちを伝えたので……そろそろ作戦最終段階ですかね。
33 名前:ちゅー 投稿日:2001年11月23日(金)19時32分36秒
あああああ(壊
(・∀・)イイ!

作者さん最高!
ほんとにごまがかわいすぎる。萌え。
でも最後はあーなっちゃうんですね(w
34 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月23日(金)22時10分14秒
…ここでおとすかなぁ…。
でも、それがこの作品の味かな?って思います。
大好きですよ。
35 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月24日(土)02時50分47秒
よっすが急に成長したですね。カコイイ。
あぁ、いい話だなぁ…。

いつか番外かなんかで、後藤視点の話を見てみたいなぁと思うんですが
どーすか作者さん
36 名前:作者 投稿日:2001年11月25日(日)16時12分09秒
レスをいただけて、毎回毎回やる気がでます!!本当にありがとうございます…

>>33 ちゅーさん
  なんだか、ごまがカワイイ路線にどっぷりはまってしまったようです(w
  というより、単純に子供っぽくなってしまっただけかも…ウワワワ
  ラストのオチはまあ、どらえもんのようなものなので、一応→お約束ってことで(苦笑

>>34 名無し読者さん
  まあ、そろそろこの話も終盤ですので、そうしたら……まあ、吉澤くんにもいい想いを
  させてあげられると、いうことでご勘弁を(w

>>35 名無し読者さん
  吉澤くん、成長しましたかね?まあ、自分に正直なんで、ただ純粋に自分の
  気持ちを喋らせたらこんな展開になりました(w
  番外編の話は、言われて気がついたんですけど…書いてみたいですね、いや書きます!
  この話が終了したら…

 というわけで、作戦ラストです。

37 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)16時25分11秒
 
 「おおっ〜、告白したんだあ、よっすぃ〜!!
  ついにやったね!よく頑張った!」


 
 モーニング娘。控え室。

 今、ここにいるのはアタシと安倍さんの二人だけ。
 なんとなく、だけど。
 前までのアタシだったら、安倍さんと二人っきりって状況は、「気まずい」って思い
の方が先行しがちだった。

 …けど、

 今、二人っきりでもこうやっていられるのは、アタシの中に、安倍さんに対する「信頼感」
みたいなものが、生まれてきたせいなのかな?



 とにかく。
 この間の告白(安倍さんのアドバイスによるもの)で、アタシは愛しい彼女―――ごっちんの、
その本心を垣間見ることに、成功…した。


 彼女の本心が、真っ直ぐにアタシに向けられているとは…とても言いがたいけれど、
 少なくとも、避けられることは、なくなって。
 そう、ごっちんも、あの時。
 真剣に、彼女への想いを告白したのと同時に。

 ごっちんも、真剣にその本心を語ってくれたから―――。



 

38 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)16時31分42秒
 知っているようで知らなかった、
 いや、
 知らずにいようとしていた、ごっちんの気持ち、その不安、戸惑い、そして


 市井さんに抱いていた、一途な想いすらも。



 …ただ。
 それがショックなのか、といったらそういうわけでもないんだよな。

 だって、ごっちんが言いたかったのは、そういうことじゃなくて。
 きっと、そういうことじゃなくって。
 
 “好きになってしまったら、別れがつらい”
 “だから、よっすぃを好きになるわけにはいかない”
 “親友だったら、その『別れ』はこないから”



 つまり、―――つまり。
 これは、自惚れや自意識過剰で言ってるんじゃ、ないよ?

 

 ごっちんは――――アタシに、気持ちが傾きかけてるんじゃないかって、コト。


 そして、それを安倍さんに報告したわけで。
 そうしたら、安倍さんも、その意見に対して、同意を示してくれたわけで。
 
 ただ、気になるのは…



 
39 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)16時41分20秒

 「安倍さん。安倍さんは、知ってたんですよね?
  その…ごっちんが、市井さんを好きだったって、コト」(強引に過去形)

 「…えっ」


 唐突な、アタシの切り返しに。
 安倍さんは、その笑顔を固まらせて、表情にはうっすらと困惑の色。
 ああ、まったく。


 嘘のつけない人なんだよなあ。



 「…ごめん、隠そうと思ってたわけじゃないんだけど…」

 一瞬の間を置いたあと、安倍さんは。
 小さく息を吐いて、アタシに向かって軽く頭を下げた。
 短い髪が、サラサラと顔の横に流れる。

 …な〜んて、なに実況中継してるんだ、アタシは!
 先輩に頭下げさせるなんて、とんでもな〜〜〜〜いっす!!(焦)




 「やっ、やめてくださいよぉ!責めてるつもりで言ったわけじゃないんですから!
  それに結果として、アタシは、ごっちんとの関係はいい方向に向かったと思って
  るんです!!
  
  …それは、安倍さんのくれたアドバイスのおかげなんですから」


 



40 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)16時53分35秒

 アタシは半ば必死になって、安倍さんに説明する。
 なんでか、アタシがこういう説明をすると、
 どうしても弁解がましくなってしまうのが、密かな悩みだったりするんだよね…。



 なんて、この際アタシの密かな悩みなんて、どうでもいいんだけど。





 「ちょうど、ピンチランナーの撮影のころの話なんだけどね」


 アタシが必死に弁解…いや、説明?いやフォロー?…何でもいいや、
 をする様子がおかしかったのか、
 安倍さんは「いいよ、気にしないで」と前置きしたあと、『その話』について、
静かに語り始めた。



 「ごっちんもね、やっとメンバー皆となじんできたって感じで、まあ表面上は…
  っていうのかな?ううん、そんな悪い意味じゃなくってね。
  ごっちんと仲良かったのは、なっちと矢口だったの」

 「…はい」


 聞かなくても、だいたい分かる。
 安倍さんも矢口さんも、ごっちんの家に遊びに行ったことがあるくらいだし。

 ノリ的にも年齢よりずっと若い安倍さんや、矢口さんと話が合うのは、
(アタシが入る)以前のモーニング娘。の中じゃ、当然のことだろう。



 
41 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時00分18秒

 
 「でも、ごっちんが1番信頼してたのは、…ううん、『信頼』なんて簡単に一言で
  言い表せることなんて出来ない感情を持っていたのは、

  紗耶香…そう、市井紗耶香に対して、だけ。
  ごっちんは…後藤はとにかく『紗耶香』、だった」


 「……はい」



 返事をするのはちょっと胸が痛いけれど…、それも、分かる。
 付き合いは短かったけど、市井さんとごっちんの間には、何か人とは違う糸―――
それを「絆」というのか、そんなことは分からない。
 けれど。


 確かに、二人には通じ合うものが、あったから。
 もっとも、それはアタシがごっちんを好きになる、そのずっと前の話だから、当時の
アタシはほとんど気にもとめていなかったんだ。



 「なっちはね、ちょっと寂しかったけど、でもそんな後藤を見てるのは楽しかった
  んだあ。なんだか、微笑ましくってさあ」

 
 話しながら、懐かしくなったんだろうか。
 安倍さんはちょっと目を細めて、ごっちんの呼び方も「後藤」になってる。



 「でもね…、後藤の気持ちは、なっちが思ってたほど生半可なものじゃなかったんだ」




42 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時06分55秒
 
 

 ・・・・・・

 ・・・


 『なっち…大変だよぉ。ごとー、やばいんだよぉ』
 『なにさあ、後藤?そんな深刻な顔、してえ』



 『絶対、好きになっちゃいけない人、好きになったらどうすればいいのぉ…?
  どうしよう、ごとー、好きになっちゃったよ。
  いちーちゃんのコト、好きになっちゃったよ。
  ねえ、なっちどうしよう?ごとー、どうすればいい?』
 『ちょっと後藤、落ち着いてよ…』



 『なっち、なっち。どうしよう!?卒業だって、いちーちゃん卒業しちゃう!
  やっぱりごとーのせい?ごとーの気持ちがばれたからっ?』
 『そんなはずないっ、後藤、お願いだから落ち着いて…っ』





 ・・・

 ・・・・・・




 「結局、何にもいいアドバイス…どころか、何の力にもなってあげられなかったんだ」

 ほんの少し、目を伏せて、安倍さんはそう言った。
 アタシは、場違いにも(睫毛、長いなあ…)なんて、思っていた。





43 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時13分54秒
 
 「心の、どこかで」

 安倍さんは、微妙な笑顔で、再び口を開いた。

 ごくたまに、安倍さんはこういう笑顔をする。アタシがこの笑顔を見るのはまだほんの
数回だ。
 でも、彼女がこんな笑顔を浮かべるのは、決まって辛い立場なときだけだから、
本当はそんな笑顔、見ないほうがいいに決まってるんだけど。



 「なっちはね、後藤がなっちを頼ってきてくれたこと、嬉しく思ってたんだ。
  後藤は辛い思いをしてるのにって、そんな自分が嫌だったりも、したんだけどさ。
  なんていうかね…、後藤が、なっちに心を開いてくれてるって感じで。

  …後藤ってば見かけは大人っぽいのに、そゆとこ全然子供でさ。
  なっち、おっきい妹ができたみたいで…かわいくってさ…」

 「………」




 アタシは上手い返事もできなくて、ひたすら黙って話を聞いている。
 口下手な自分―――それも自分だから、そんなこと恥じたってしょうがないし。



 「けど、マスコミはそうは思ってないみたいだけどね」なんて、苦笑を浮かべながら
安倍さんは言葉をつないで。



44 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時27分40秒


 「ああ、なっち何が言いたかったんだっけ……、うん、そう、だからね?
  なっちは後藤の力になりたかった。他のメンバーには…そう、矢口にも、後藤は
  紗耶香への気持ち、話してなかったから。
  なっちだけを、頼ってきてくれてたから。だから…」


 「………はい」


 「なんとか、してあげたかったんだけどね」



 肩を落として、安倍さんはそう言って。
 結局、何もできなかった、って、その細い肩が全てを物語ってるみたいだった。
 でも。



 「仕方…ないですよ。市井さんの意思で、卒業を決めたものを、安倍さんが無理やり
  止めさせるなんて」

 ああ、他にもっと上手い言い方、ないのかなあっ?
 自分にイライラしながら、アタシはまた、そうフォローになってない合いの手を、入れる。


 それでも安倍さんは、「ありがとう」なんて返してくれて。

 「そうこうするうちに、紗耶香は卒業しちゃった。その後の後藤については、
  よっすぃも知ってのとおりだよ?
  ………
  だから、ね。なっちは、心の隅で、ずっと後藤のコト、気にしてた。

  


45 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時38分12秒


  前に、後藤が倒れたときあったよね。そのとき、よっすぃは『何もできなかった』
  って、悔やんでたみたいだけど」



 …ああ、そういえば、あの時。
 真っ先に行動を起こしたのは、他でもない安倍さんだった。

 何もできなかったアタシは、いらぬ想像をして、わずかばかりの嫉妬心を、安倍さんに
抱いたことも、あったけど。
 でも、その時の行動も。
 今となっては、すべてつじつまが、合う。

 きっと、その時のアタシの小さな嫉妬心なんて、まるで見当違いのことなんだ。
 きっと、余計な心配だったんだ。



 ……だって、安倍さんは。


 「なっちも、悔やんでたの。その時のこと、ずう〜っと。
  何か、出来ないかと思って、ずう〜っと、気にかけてた。
  …だから、自然と後藤の姿、目で追うようになっちゃったんだよね」



 それが、種明かし。
 安倍さんがごっちんに対して、親身(だと思う)になって接していたのは、そういう
理由だからだったんだ。

 ……
 でも。


 「後藤はそんなこと、気にしてないって言いたいんでしょ?」
 「えっ…」


 


46 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)17時57分24秒


 うう、鋭い。
 ニコニコしながら、いきなり核心を突いてくるあたり、やっぱりただ者じゃないな、安倍さん。



 「もちろん、なっちだってそう思うよ。後藤はなっちに対して、そんなこと求めて
  ないと思う。…うん、思う。
  でもさ、なっちはそうしたんだよ。後藤の気持ちとは、関係なく。
  頼りにされたことが、うれしかったし、それに……」


 「それに?」


 「卒業間際、紗耶香に言われたよ。『後藤のこと、よろしく』ってさ」


 ………
 市井さんが、安倍さんに?
 いや、そんなことより、それじゃあ市井さんは……


 「市井さんは、気付いてたんですか?ごっちんの…気持ちに」


 思い出す。

 市井さんが卒業したのは、自分の気持ちに気がついたからだと言って、泣いていた
ごっちんの姿を。



 「分かんない」
 安倍さんは、困ったように、手をひらひらっと振って、そう言った。

 


47 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時07分37秒


 「なっちにそう言ったのも、たまたまだったのかもしれない、
  それとも、後藤がなっちに相談してるのを知ってて言ったのかもしれない、
  それとも、単になっちが後藤と仲いいと思って言ったのかもしれない、
  それとも、なっちがオリジナルのメンバーだから言ったのかもしれない、

  ……結局、分からないんだよね、紗耶香の真意は」


 ふふっと笑った安倍さんは、いつになく大人びて見えた。



 うう〜ん、そうだよなあ。
 市井さんって、昔はどうなのかよく知らないけど、うちらがいたときは

 なんか飄々としてて、
 凛とした感じで、隙がなくって、
 ―――人に、弱みを見せないって感じだったもんなあ。



 「だから…前に言ったよね?よっすぃに相談受ける前にも、同じように『女の子を
  好きになった子から相談受けたことある』って」

 「あれは…ごっちんのコトだったんですか。
  てっきり矢口さんのことだと思って……」


 「うん、普通はそう思うかもね」


 目を細めて、安倍さんはおかしそうに笑う。
 アタシは、初めて安倍さんに相談したときのことを思い出しながら―――

 



48 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時15分36秒


 あれ?
 なんかあの時、重要なこと言われたような気がするんだけどな―――

 ええっと、ええっと、
 ………


 「とにかく、なっちはもう一押しだと思うんだ、後藤―――ごっちんのコトは。
  だから頑張って?よっすぃ〜。
  なっち、こうも言ったよね、『よっすぃなら大丈夫だと思う』って」


 ―――ああっ、そう!!
 それだ、心に引っかかってたのは!!




 「あの、それってどういう意味なんでしょーかあ…ねえ?」
 「言葉のとおりだよ」

 思わず下手に出るアタシに苦笑しながら、安倍さんはミもフタもない返事。


 「紗耶香がいなくなって、元気がなくなった後藤…ごっちん。
  元気をあげたのは、よっすぃ〜。
  今、ごっちんが1番大事にしてるのは、よっすぃ〜だよ?分かってるでしょ。

  その、なんていうのかな…ごっちんがよっすぃに向けてる感情は、ただ単に
  『親友』とか『メンバー』に対する感情とは違う。
  そう、きっと、違う。







 
49 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時21分17秒
  

  こんなこと言ったららよっすぃは嫌がるかもしれないけど、…うん。
  ごっちんがね、紗耶香に向けてた『特別な想い』と似てる…かもしれない。
  最近は、特に思うよ」
  
 「……え」


 今、今っ!
 すごいことを、言われた?アタシっ!!



 「最近は…特に、ですかっ?」
 「うん」

 安倍さんはきっぱりと答えた―――ということはっ!!


 ココ最近、アタシがめちゃくちゃ頑張ってる、この「ごっちんを振り向かせる大作戦」が
功を奏してきてるってコトですかああっ!!(喜)
 ……っていっても、今のところ体に手を出してるようなことばっかりだけど…って
 イヤッ、そればっかりじゃないぞっ!


 ちゃんと、本音で気持ちぶつけあったり、したもんね。…うん。


  
 「だから、なっちは思うんだ。
  『よっすぃなら、大丈夫』、大丈夫、大丈夫、大丈夫!
  よっすぃなら任せられるよ、ごっちんのコト。

  なっちのね、ふふっ、カワイイ妹……任せるからねっ」
  




50 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時27分01秒

 じ――――――ん……(涙)



 アタシはこの時ほど、安倍さんに相談したことを嬉しく思ったことは、ない。
 きっとない。


 とびっきりの安倍さんの笑顔を見て、アタシの心にはますます決意が高まっていく。
 がんばれ、
 がんばれ、
 吉澤ひとみ、16歳っ!!


 「安倍さんっ、お願いがありますっ!」
 「ん、何さ?」
 
 「………握手、してくださいっ!!!!!!
  吉澤は今、モーレツに感動しています――――――っっ!!!!!!」


  
 「ちょっとよっすぃ〜!」と、驚いてる安倍さんを無視して、
 アタシはその小さな手を握り、思いっきり上下に振りまくった。
 思い切り、身体を動かしたい気分だった。


 こんなに爽快な気持ちになったのは、久しぶりのことだから。


 あとは、ごっちんだけ。
 そう、

 「頑固なごっちんを―――」



 「誰がガンコなの?」
 
51 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時33分54秒

 ……

 「っ! ごっちんっ!?」


 やば、声上ずってるし。
 っていうか、ごっちんいつの間に―――!?


 思わず独り言を口走っていたアタシに、背後から問い掛けてきたのは当の本人
ごっちんその人で。
 部屋の扉を半分開けた状態で、ごっちんはこっちの様子をうかがいながら怪訝な
顔をしていたけれど。


 「……何、やってんの二人で」


 いつになく、低ーい声で。
 ごっちんは、アタシ達の方を真っ直ぐに見ながら、すたすたっと近寄ってくる。
 ……いや、正確に言えば、『アタシが握っている安倍さんの手』―――だ。(汗)
 

 
 「別にー?何もしてないよ、ねえよっすぃ〜?」
 「…あ、あの、はいっ、手なんて握ってませんっ!」
  
 すかさず答えたのは安倍さんで。
 その表情には、おもしろそうな色が浮かんでいた。


 っていうか、アタシは困る――――っ!!(汗)
 どうしてこう、タイミング悪いんだよおおおおっ!!



 「ふーん、まあいいけど」
 
 セリフの割りに、ごっちん目が怖いっす…(涙)。




 
52 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時44分35秒


 「あれええ〜?なーにさあ、ごっちん妬いてんの?」
 「なっ……」


 おかしそうに、アタシとごっちんを交互に見ていた安倍さんが。
 おもむろに、アタシの腕をぎゅっと握り返しながら、そう言って。

 …安倍さん、悪ノリですよおっ!(焦)


 けど。
 ごっちんってば、分かりやすくって。
 ……ま、そこがかわいいんだけど、ねはあとはあと


 「妬いてないっ、妬いてないもんっ!」

 真っ赤になりながら、ごっちんは安倍さんに抗議中。
 (ああ、こうやってみるとホント『姉妹』って感じだなあ…)
  
 
 「へええ〜?
  今のごっちんの反応は、明らかに“やきもち”だったよお?」
 相変わらず、安倍さんは悪ノリしていて。
 きっと、抵抗するごっちんの子供っぽい反応が、かわいくって仕方ないんだろう。
 そんな感じだ。




 ――――そして、ごっちんの爆弾発言。



 「なっちとよっすぃはラブラブなんだもんね?よっすぃ〜♪」
 「え、いやあの…」





53 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)18時53分33秒


 アドリブがきかない、アタシは。
 しどろもどろになって、うまく答えられない。 
 ……けれど。 



 「違うもんっ、よっすぃが好きなのはごとーなのっ!!
  なっちとじゃないからねっ、よっすぃが好きなのは――――」




 「「えっ?」」
 「―――――あ」




 かあっとなって、思わず口走っちゃった、って感じのごっちんは。
 アタシと安倍さんが、同時に目を丸くして声を上げたのに気付いて、
 ――――同時に、自分の叫んだ言葉にも、気付いたようで。



 ただでさえ真っ赤だった顔が、さらに赤くして。
 ばっと、口元を押さえる。


 ……か・わ・い・いはあとはあと


 「……ごっちん、やっとアタシの気持ちに…」
 「ちっ、違うのっ、違うよっ!?
  なっち、今の違うからねっ、嘘、ウソだよおおおっ!!」

 「ふふふ…、ごっちんってば、分かりやすいっしょ」
 「う〜、だから違うってばあっ」

 



 
54 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)19時02分17秒


 (多分、照れて)アタシの方を見ないで必死に弁解するごっちんを見て、安倍さんは
クスクスと笑っている。


 ごっちんはもはや弁解するのも抗議するものあきらめたのか、「もおっ」と頬を
ぷーっと膨らませて、アタシ達を睨みつけた。


 「もーいいよっ!せっかく、もう撮影の時間だから呼びにきてあげたのにっ、
  二人してごとーのコトからかってさあっ。もー行くからねっ」

 ぷいっと背を向けて、ごっちんは開けたまんまのドアに向かって
 ずんずんと歩いていく。


 あちゃ〜、怒っちゃったかな?(苦笑)



 「よっすぃ〜」
 安倍さんが、小声で言って、アタシの背中をそっと押した。
 軽く、ウインク。
 
 
 (はい、分かりましたっ)


 アタシは安倍さんに頷き返して、ドアから出て行ってしまったごっちんの後を追う。
 …ごっちん、歩くの速いって!
 「ちょっとごっちん!」
 「………」
 「ごっちんってば!」


 腕を掴んで、無理やり立ち止まらせた、ごっちんは。
 相変わらず真っ赤な顔で。
 怒っているのか、照れ隠しのためか、
 口元は固く結ばれていて。
 



55 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)19時09分36秒

 
 「…なに」

 その口元から出た、低い声は。
 ……彼女なりの、精一杯、ぶっきらぼうな態度。


 つないだ手から伝わる、ごっちんの体温。
 あったかいね。
 
 ―――ちゃんと、さっきのごっちんの気持ちも、伝わったからね?

 「あのさあ」
 「…だから、なに」


 それでも、アタシを見上げるその目に、怒気はない。
 もちろん、この間までのような、怯えもない。

 ほらね、ごっちん。
 確実に、アタシ達の距離って、縮まってる…よね?



 「さっきの、ごっちん正解」
 「……え?」
 怪訝な顔して、聞き返すごっちん。
 分かってないのかな?―――それとも、分からないフリした確信犯?


 「さっきの、答え」
 「………?」


 それでも眉を寄せるごっちんの顔に、アタシはぐっと顔を近づけて、



 「……アタシが好きなのは、安倍さんじゃなくってごっちん♪」

 「………っ!!よっ…」







 ちょっとおさまってきたごっちんの頬が、またサッと赤くなる。
 ホント、分かりやすいんだから。





56 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月25日(日)19時27分10秒



 「正解だから、ご褒美♪」


 
 …ちゅっはあとはあと



 赤くなってるそのほっぺがあんまりかわいいから、
 アタシはごっちんに顔を近づけてるのを利用して、そのほっぺに軽くキス。


 「ご褒美じゃなくて、よっすぃがしたいだけじゃんっ」

 ほっぺを片手で押さえて、
 もう片一方の手は、アタシにつながれたままの体制で、ごっちんは抗議の声を上げる。

 「んー、やっぱカワイイねえ」
 「聞いてんのっ?」
 
 アタシにつながれた手を解こうとして、じたばたしてる、その仕草も可愛くて。
 さっきから、アタシの顔は緩みっぱなし。


 「さー、じゃ、行こっか」
 
 「………
  よっすぃの、ばか」


 意外に早く大人しくなったごっちんの手を引いて、アタシは撮影のスタジオへと向かう。
 きっとこれが、いつものアタシとごっちんで。






 彼女の手から伝わる温もりを感じながら。
 この、スタジオへ続く廊下が、もっともっと長ければいいのに、なんて。


 ああ――、願わくば。
 ごっちんが今、アタシと同じコトを考えていてくれますように―――――
























57 名前:作者 投稿日:2001年11月25日(日)19時30分45秒
ちょっと乙女チックな終わり方で更新age(ワラ
多分あと1回くらいの更新で終わりそうな気配です。(一応)

最近やすいしの出番が……
58 名前:闇の住人 投稿日:2001年11月25日(日)20時50分07秒
よっすぃーよかったじゃないっすか!後藤も素直になってあげろよー!それにしてもここのなっちは・・・(感涙
もうすぐ終わっちゃうのかー。こんな事言っちゃダメだと思うんですけど完結嬉しいんだけど終わんないで欲しいような・・・。
続きがんばって下さい!
59 名前:名無しの権兵衛 投稿日:2001年11月26日(月)00時42分18秒
今日、初めてこの話を読んだのですが、
一気にそして楽しく読ませていただきました!

ついについに二人が両想いになったんですね。

それにしてもこの話のなっちはいいとこ持っていきますね。
キーパーソンって感じで面白かったです。

ラストも頑張ってください!
応援してます。
60 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月26日(月)00時55分41秒
> 「違うもんっ、よっすぃが好きなのはごとーなのっ!!」

この愛くるしい生き物は何なんだー!!!(・∀・)モエエ!!

なちよしごまホノボーノ。ラスト、楽しみにしてます。
…で、寸止め続きだったエロい展開の続編もゼヒ・・・(コソーリ
61 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月26日(月)02時08分14秒
よかったよかった!
なちごまもいい感じですね。
いよいよ最終回ですか〜。残念です!
62 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月26日(月)06時53分32秒
内容も切ないけど、
よしごまがくっ付くほどに終わりが近づくこの作品と読者の関係も切ない…
くっ付いて欲しいのに…。
63 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月26日(月)17時32分34秒
本当にごっちんかわいすぎ
それに、なっちもサイコーです!!
最終回かぁ〜もっと二人の甘いシーンを見たかったです
64 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月26日(月)18時25分25秒
いやちょっとまじで萌えれす
ほんとになんていうかかなりかんどぅした!
ごま・・・・・(・∀・)イイ!
65 名前:作者 投稿日:2001年11月26日(月)21時29分39秒
今夜、(終わらせられれば)最終回ですっ!
なんとか…本当になんとか、ここまでこぎつけました!(w
レスをいただいた皆さん、本当にありがとうございます!!(いつもよか少しテンション高め)

>>58 闇の住人さん
   後藤は小説の場合、けっこう感情的だったり素直だったりするんですけど、
   ここのごまはカナーリ強情です(w)  なっちは小説だと日の目を見ないキャラですよね…

>>59 名無しの権兵衛さん
   最初っから読んでくれたんですか!ありがと〜ございますっ!!
   ただ、私は最初の方は恥ずかしくって読めたもんじゃありませんが…(w
   ラスト、がんばります!

>>60 名無し読者さん
   ごまの強烈ゼリフですね。こんな言葉、後藤にしか言わせられない…(ニガワラ
   ただ、ごまのかわいさ(?)を引き出しているのは、すべてよっすぃ〜なんです。
   エロシーンの続きは…どうっすかね!?(爆

66 名前:作者 投稿日:2001年11月26日(月)21時36分35秒
>>61 名無し読者さん
   はい、よしごまな話には珍しく、なっちを絡ませてみました!
   なかなか良心なっちが好評なようで…
   最終回、皆さんが納得できる内容になりますように。。。

>>62 名無し読者さん
   はははあ(涙)。そんな風に思ってもらえるなんて、本当にこの小説書いてて
   よかったです。最終的には、タイトルがタイトルであてはまるように(w

>>63 名無し読者さん
   あははは(笑)。けっきょく、よしごま的に甘〜いシーンはあまりなかったことに
   気付いていらっしゃいますね!?
   吉澤くんが孤軍奮闘する話になってます。アハ

>>64 名無し読者さん
   まじ萌えですか、やったー!!
   くどいようですが、吉澤くんいてこそのごまの可愛さと思ってくだされば…
   最後まで、ちゃんと感動てきに話を終わらせます!…もとい、させたいです!!(w


 では、最終話の続きを……


 
67 名前:作者 投稿日:2001年11月26日(月)21時38分20秒

うわあああっ!!強烈な間違いをっ!!
>>64 名無し梨華さんの間違いですね。。。うあ〜ごめんなさいごめんなさい
何回もレスをいただいてるのに、なんて無礼なマネを……ごめんなさい、名無し梨華さん(涙)


68 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)21時45分29秒


 そわそわ。
 そわそわ。


 「今日…ついに、だね〜」
 「ねえ、楽しみ〜〜♪」


 ざわざわ。
 ざわざわ。


 「ねえ、変わってると思う〜?」
 「基本的に変わってないんじゃない?」



 今日は、楽屋の空気が違う。
 浮かれているようで、緊張に張り詰めているようで。

 その、緊張感を生み出しているのは、もちろん、



 「楽しみだなあ〜、紗耶香との共演っ!!」


 矢口さんが、時計を気にしながら大きな声で叫んだ。
 そう。
 今日は、かの人が帰ってくる日。



 『市井紗耶香、復帰後テレビ初出演!』――――その日なのだ。 


 ずっと、先輩たちが市井さんの復帰を気にしていたのは、知ってる。
 もちろん、ごっちんだってそうだ。
 アタシ達新メンバーだって、気にしていなかったと言ったら、嘘になるけど。

 だって、わずか1ヶ月半の付き合いとは言え、
 市井さんの残した“遺産”には、絶大なものがあったから。




69 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)21時51分54秒


 でも。
 アタシが、市井さんの存在を、その復帰を気にしているのは、それだけの理由じゃない。

 だって、ごっちんが――――

 アタシの想い人、後藤真希その人が。
 好きだった人で、
 憧れだった人で、
 師匠だった人で、

 まあ、要するに。
 すごく、ごっちんにとって大事な人だったからで。



 
 そんな人を、気にしないわけがない。
 いや、無視できるほど、アタシは強くないんだ。


 今でも、ごっちんが市井さんを好きなのか、どう思ってるのか、
 アタシは、知らない。
 聞くことも、できない。


 そもそも、ごっちんが。
 アタシ――――吉澤ひとみのことを、どう思ってるのか、ということでさえ。

 …その答えを、知らないのだから。


 だけど。


 「よっすぃ〜、顔、死んでるよ?」


 そわそわする先輩たちとは、対照的に。
 いつもどうりの、のんびりとした、声色。ペースで。
 アタシの顔をのぞきこんで、


 「ちゃんとご飯食べた?―――あ、よしこの場合はべーグルかぁ」
 「…ごっちん…」



 
70 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)21時58分19秒

 無理をしている様子は、ない。
 虚勢を張ってるようにも、見えない。

 …いつもの通りなはずの、ごっちん。

 けど。
 (何かが、違う?)―――そう思うのは、アタシの気のせいなんだろうか。


 「別にー…なんでもないよお」
 「…ふーん?」

 言いながら、ごっちんは。
 ごく、自然に、アタシの横に腰掛けて。


 
 告白した前と、その行為は何ら変わることはなく――――
 けれど、アタシ達の間に流れる空気には、
 なにか、違う感情が含まれている。
 ――――きっと、ね?



 「市井ちゃんが…復帰、かあ…」

 アタシの肩に、自然に頭をもたれかけさせて、
 ごっちんはほとんど無意識、といったふうに、そんな言葉を口にする。
 悪意のない、アタシへの攻撃。


 「…1年と、半かあ…短かった…のかなあ…?」
 「世間一般には、長いんじゃない?」
 「…あは。そうだね」



 そしてまた、これも無意識に。
 ごっちんの手は、アタシの手を握っている。
 アタシも、彼女の柔らかい手を握り返しながら、曖昧に返事をしていた。




71 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時04分28秒

 
 大丈夫、大丈夫。
 きっと、大丈夫。


 アタシは何度も何度も、心の中で呟く。

 この、つないだ手の、ぬくもりを。
 一緒に過ごしてきた、1年半の時間を。
 アタシとごっちんの、“絆”を。


 ちゃんと、信じてるからね。


 自分で、考えていたよりも。
 市井さん復帰の、この日。
 アタシの心は、平静で、それはアタシ自身にとっても意外なことだった。



 大丈夫、大丈夫。


 「大丈夫、だよ」

 くっと、握った手に、力を込めて。
 
 アタシの呟きを目にしたごっちんは、ふにゃっと、笑う。
 「…うん!」


 ざわざわ。
 そわそわ。

 そして、時間はいつもと同じように、流れて―――



 
 「モーニング娘。さん、準備お願いしまーすっ!!」


 ―――――スタッフの人の声が、やたら遠くに聞こえた、気がした。






 
 
72 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時13分56秒

 
 「それで、卒業した後は何してたの〜?」
 「あー、それよく聞かれるんですよねえ」

 苦笑しながら、市井さんはスラスラと言いよどむことなく、答える。


 「ギター習ったり…ピアノ練習したり…外国に、行ったりもしましたよ。
  色んな、歌も聴きました。日本のも、外国の曲も、色々。
  …こういうの、節操無いっていうんですかね?」


 あははははっと、スタジオに笑い声がさざめく。
 
 
 …市井さんは、やっぱり市井さんのままだった。
 その、堂々とした、話しかたも。
 どこか、男前っぽい、ところも(こう言ったら本人は怒るかもしれないけど)。
 そして、
 自然に、人を惹きつけるその魅力も―――。



 アタシは、何度も気になって。
 前列に座った、ごっちんの頭を見つめていた。(アタシは後列だ…当たり前か)


 意外にも、ごっちんは普通な様子で。
 いつものように、『ゲストを迎える』って感じの、自然な態度。
 ほとんど、口を開くこともなかった。


 やっぱり、ごっちんもプロなんだなあ。
 変なことだけど、アタシはそんなところに感心していた。







73 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時21分20秒

 
 けど、
 次の言葉―――司会者が、ほとんど台本に従った―――その話題を市井さんに振った
とき、番組の空気はフっと変わった。

 そう、アタシ達にしか分からない、微妙な、空気。



 ―――「市井さん、今のモーニング娘。の中で、誰が1番変わったと思います?」




 一瞬。
 本当に、一瞬だけど。
 アタシから、彼女の―――ごっちんの表情は、見えなかったけれど。

 ごっちんの頭が、小さく揺れて。
 不思議に、張り詰めた空気。



 「あー…、そうですね」

 市井さんは、気付いてないのだろうか?
 それとも、得意のポーカーフェイスで、気付いていないフリを、してるだけ?

 「後ろに座ってる、4人は」


 市井さんの言葉に合わせて、後ろに座ってるアタシ達―――いわゆる4期メンバーだ―――
が、順番にカメラに映る。

 「やっぱ、市井がいたときはまだまだ新人って感じでしたけど、随分成長しました
  よねえ。まあ、あの時と一緒じゃ困りますけど」



 あははははっと、またスタジオに、笑いの風。
 アタシも、一緒に笑っておく―――一応。(内心はそんなこと気にしてる場合じゃないのだ!)


 


74 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時28分00秒

 
 「……それと」


 ふっと、空気が静かになる。

 「やっぱり――――後藤が。後藤真希が。
  成長したな、と思う。すごく―――思いますね」



 さっきの、笑いを取ったときの口調とは、明らかに違う。
 市井さんの、静かな声。


 きっと、今、カメラに映っているのは、
 優しい微笑を浮かべた市井さんと――――
 戸惑ったように、市井さんを見つめ返す――――ごっちんの、2ショット。


 ぎゅっ

 と、胸が痛む。
 やっぱり、二人にしか、ない空気だ…


 
 「いちーちゃん……」

 少しばかり、頬を紅潮させて、ごっちんが彼女の名前を呼ぶ。
 わずかに、その声が震えてるの気付いたアタシは、
 次の瞬間、ごっちんが泣き出すものだと、思った……けれど。



 「…ありがとおっ!」

 
 ――――

 満面の笑みで、ごっちんはそう、一言。

 市井さんも、頷くことで、それに答える。
 ―――きっと、二人には、それで充分なんだ。



75 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時34分00秒

 
 しくしくと。


 そのことに気付いて、アタシの胸が、痛みを増す。
 …やっぱり、二人の間には、入れない?
 
 ダメだ、こんなことじゃ、ダメだ!


 自分に喝を入れて、アタシはしっかりと、二人の姿を見据える。


 もう、いちいちこんなことでへこんだりしないんだっ!
 アタシは、ただ真っ直ぐに、ごっちんにぶつかっていくだけなんだからっ。



 「…でも、辻ちゃんとか加護ちゃんとかって成長したっていえるんですかー?」

 司会者の、ふざけたようなその言葉に、
 後列の辻加護が、一緒になって、カメラに向かってより目のポーズを送る。

 再び、スタジオは笑いに包まれた。


 …もう、
 市井さんと、ごっちんは、お互いに視線を外していた。
 番組も、予定通り進行していく。

 ふっと、安倍さんと目が合った。
 その時。
 安倍さんは、ちょっと笑って頷いてくれた。(大丈夫だよ!)

 …その目は、そう言っていた。




76 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時42分23秒


 そして。
 番組は、早くも中盤を迎えていた――――ちょうど、そんなとき。


 アタシは、ごっちんの様子がおかしいのに、気付いた。

 
 おかしい。
 ずっと…

 うつむいてる?

 それは、つまり


 「後藤、泣いてんの?」



 アタシが、声を掛けるのよりも、先に。
 ごっちんと同じように、前列に座っていた市井さんが、ごっちんの顔を見て、
 小さな声で言った。

 ――――けれど。


 マイクをつけている、彼女の声は、そのままスタジオに流れて。
 カメラが、うつむいたままのごっちんの姿を、映し出す。

 まずい。
 なんか…嫌だ!ごっちんのそんな姿を、映し出されるのは!
 独占欲にも似た、その気持ち。

 ごっちんを、『守りたい』と思う、そんな気持ちが、アタシの中に芽生えて。



 「…すみませんっ!ごっちん、朝から具合悪くって、お腹痛いみたいなんです!
  ちょっと休ませてあげていいですか?」





77 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時47分23秒


 ……我ながら、強引な言い訳だけど。
 アタシは、スタッフの人の返事を聞く前に、席を立って。
 「行こ、ごっちん」

 耳元に、そう囁いて。
 うつむいたままの、ごっちんの手を引いて、そのままスタジオを後にした。




 ごっちんの肩に回した、アタシの手は。
 その、小さな振動を、敏感に感じ取っていて。
 (やっぱり、泣いてる…)

 固く閉じた、口のスキマから、押し殺した嗚咽も、聞こえて。
 そして、ごっちんは一言も喋らずに。
 黙って、大人しく。

 アタシに手を引かれて、歩いていた―――。



 …

 なんで、泣くの?
 悲しいの?寂しいの?

 …アタシじゃ、力になれない?


 言いたいことは、あるけれど。
 泣いてる彼女には、とことん弱い、アタシは。
 何も聞けずに…。




 そして、行く先は。
 やっぱり、控え室……アタシたちの、楽屋しか、なかったわけで。




 

78 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)22時52分54秒

 
 マネージャーに、二人だけにしてくださいって、何とか頼み込んで。
 今、部屋にはアタシとごっちんの二人だけ。


 
 ……
 主が二人しかいない、広い楽屋は、いやにシン、としていて。
 そこに響くのは、やっぱり押し殺した、ごっちんの嗚咽だけだった。


 アタシは、ごっちんをイスに座らせ、自分もその横に腰掛けて。
 泣き続ける彼女の背中を、ぽん、ぽんと。
 
 軽く、何度もたたいてあげていた。
 …そう、母親が、子供を慰めてあげるときの、ように。


 ははは、アタシ、ごっちんの『親』になりたいわけじゃ、ないんだけどなあ(苦笑)。



 「………っ、ごめ、んねぇ…よっすぃ…」

 不意に、
 すんっと、鼻をすすり上げて、ごっちんが顔を上げた。

 その顔に、涙は流れてはいなかったけれど。
 目は、明らかに充血していて。


 (ああ、もうしばらくテレビは無理だな…)
 アタシも、ちゃんとプロだったり。




 
79 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時02分38秒


 「いいって。それより、大丈夫?」

 内心の凹みを、ごっちんには悟られないように。
 アタシは努めて、笑顔を返す。

 「……うん。…ははっ、ごとー、泣いちゃったぁ」


 大丈夫だと思ってたんだけどなあ、なんて、気の抜けた声でそう言って。
 ごっちんは、ふにゃっと、笑う。
 ―――そう、起き掛けに、「ごとー寝ちゃってた」なんて、挨拶でもするみたいに。



 ……あれ?
 なんか、予想した反応と違うなあ……
 意外に、明るくない?ごっちん。


 なんとなく、その反応に面食らって、アタシは眉を寄せる。
 ごっちんもアタシの様子に気付いたんだろう、
 

 「違うよ、よっすぃ〜。ごとーね、懐かしくって……。
  いちーちゃんのいるスタジオの空気が、懐かしくって…」

 まだ、赤みの残る目をこすろうとして―――マスカラのことに気付いたのか、
ごっちんは慌ててハンカチを取り出す。


 「なんかね?ごとーが新メンバーだったときのこととか、思いだしちゃって…
  なんか、胸いっぱいになっちゃったんだあ…」




80 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時13分25秒


 ………
 
 「ごっちん」

 「だから、よっすぃが連れ出してくれて助かったよぉ。涙、止まらないんだもん」

 へへっと、舌を出して言うごっちんは。
 相変わらず、かわいくって、
 そして、どこか―――不安定。



 
 
 「―――なんだぁ、平気そうじゃん?後藤」


 がちゃり、と。

 ノックもなしに、ドアを開ける音と、無遠慮そうな、声。
 「――――市井ちゃん!」

 ごっちんが振り向いて、声を上げる。
 驚いたような、
 嬉しいような、
 なんともいえない、興奮気味の、高い声。


 ……っていうか、なんでここに!?
 収録は!?


 「よっ。邪魔するよ」


 アタシの驚きも、疑問もさっぱり無視して。(まあ、質問もしてないけど)
 市井さんは、ずかずかと、部屋の中へと入ってくる。
 そして、アタシはそこでようやく、彼女が何か大きな荷物を抱えていることに、気がついた。


 「あの、市井さん、それ…」
 「あ、コレ?ふふ〜ん、いいだろお、マイギター♪だよん」


 アタシの視線の行方に気付いた市井さんが、アタシの問いかけに、
 機嫌がよさそうに答える。
 



81 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時22分09秒


 …っていうか、ギター!?
 さっきは持ってなかったような…


 「ったく、ビックリさせんなよお、後藤。心配すんだろーがっ!」

 今度は、その視線をごっちんに移して。
 市井さんは、目を丸くしたまんまのごっちんの頭をグリグリっと乱暴になでる。

 ごっちんは「いや〜ん」なんて言いながら、嬉しそうに笑っていて。


 「ごめんねー?いちーちゃん。心配してくれたんだあ」
 「まあね〜、市井は優しいからさあ」
 「アッハハ♪それ、自分で言っちゃダメでしょお〜」
 「生意気いうなっつーの」

 
 楽しそうに、じゃれあう二人。
 ……なんだよ、なんだよお!アタシの存在は無視かいっ(涙)!


 なんだか、ここにいるのが場違いな気分になって。
 楽屋を出ようと、アタシがイスから立ち上がった、瞬間。


 「ちょい待ち、吉澤っ」

 アタシの動作に気付いた、市井さんが、(なぜか)慌てたようすで言って。
 ぐいっと、アタシの腕を引っ張り戻す。


 「…なんですか」
 
 

82 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時32分33秒


 我ながら、思いっきり不機嫌な声だなあ〜、なんて反省しつつ、
 アタシは市井さんの顔を振り返る。

 「そんな睨むなって」

 市井さんは苦笑混じりに、そう言って。
 「よっこいしょ」と、肩に背負ったままのギターを、床に下ろした。


 「いちーちゃん、収録は?」
 思い出したように、ごっちんが言う。っていうか、それに気付くの遅いよごっちん!

 「ああ、休憩ってことになったよ。
  娘。がいきなり二人も欠けてたらおかしいでしょーが?」


 市井さんは、ニヤニヤ笑いながら、そう答えて。
 ごっちんは、その言葉に、なぜか赤くなって。
 「いちーちゃん…なんか、変な想像してない?」

 変な想像って……ごっちん何言ってんだろ?
 ……

 ニヤニヤする、市井さん。
 「ふ〜ん、ま、いいけどね」

 口元に笑みを浮かべたまま、市井さんはサラッとごっちんの言葉を流して、
 床に置いたケースから、ギターを取り出す。


 


83 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時36分47秒
  
 
 「唐突に聞くけどさあ」


 そして、彼女はいきなり口を開く。
 アタシは、それがごっちんに向けたものなのか、それともアタシに向けられたものなのか
イマイチ判別できずに。

 黙って、その言葉を待った。

 「…なに?いちーちゃん」
 
 逆に、無邪気な笑顔で市井さんに聞き返すごっちん。
 アタシもごっちんも、
 市井さんの真意をつかめないでいた。



 
 「………
  二人は、いつになったら進展するわけ?」


 「「―――――えっ!?」」



 ………えええええ〜っっっ!!???(焦)


 思わず、イスから転げ落ちそうなくらい、
 …びっくり、した…。


 アタシとごっちんは、目をまん丸にして。
 一緒に、声を上げて。
 市井さんの顔を、同時に見つめた。



84 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時44分43秒


 「しっ、進展なんてっ、何言ってんのお、いちーちゃんっ!!
  ごとーと、よ、よっすぃはそんな関係じゃないよっ?
  キ、キスなんてしてないし、告白もされてないからっ!!」

 「―――なんだ。キスもして、告白もされたんだ」



 って、ごっち――――ん!!!
 思いっきりバレるって、そんな言い方したらあああっ!!(涙)
 

 案の定、市井さんは、あっさりとそう、言って。
 …完璧、乗せられた感じ…


 「ちっ、違うってばあ!よっすぃは友達っ、違う親友なのっ!
  ごとーの大事な親友っ!!」


 慌てたように、真っ赤になって。
 ごっちんは必死に市井さんに説明している。
 …っていうかさ〜。
 そんなに力一杯、否定しなくってもさ〜…(いじけ)



 「―――吉澤は?そうなの?」 
 「え?」

 




85 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時50分53秒


 急に、話の矛先がアタシに向けられて。
 アタシは、一瞬、質問の意味を考えて――――



 「アタシは、ごっちんのことが好きです。
  親友として、だけじゃなくって、1人の―――女性と、して」


 『女性』なんて、使い慣れない言葉を使うのは、少し恥ずかしかったけど。
 アタシは、素直に、そう答えた。

 そう、答えるべきだと―――なぜか、そう思ったから。



 「確かに、キスもしたし―――ごっちんに告白も、しました」
 「ち、違うってば!!
  あれは……ふざけてて…よっすぃが、ふざけてて…」

 否定する、ごっちんの声を、受け流して。



 「アタシはいつでも、本気だったよ?」


 ごっちんの目を真っ直ぐに、見つめて。
 アタシはきっぱりと言い切った。
 ―――すると。
 
 ごっちんは、ぐっと、息を飲み込んで。


 泣きそうな、顔をした。



 「ほら。吉澤はああ言ってるよ?後藤。
  いい加減、素直になれよ〜」

 あやすように、茶化すように、言いながら。
 市井さんは、ごっちんの顔を覗き込む。―――それでも、あくまでその瞳には、
慈愛に満ちた、光が満ちているのだけれど。




86 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月26日(月)23時58分00秒
 

 「いちーちゃんに……何が分かるのぉっ!?いなくなったくせに…
  ごとーを置いて、卒業しちゃったくせに!!」
 「痛いトコ突いてくんなよ」

 「よっすぃは『親友』!『親友』だから、だからいいんだよっ!?
  そうした方が、ずっとそばにいれるもんっ!」


 それでも、笑みを絶やすことなく(それが苦笑いだったとしてもだ)、市井さんは
ごっちんの姿を、真っ直ぐに見つめていて。


 「気付いてんでしょ。後藤はもう」
 「………」

 「市井が卒業して、それからずっと。
  誰がそばにいてくれた?
  誰が励ましてくれた?
  誰に、元気をもらってた?

  その“誰か”は、ただ『親友』だからって感情だけで、後藤のそばにいたわけじゃ
  ないんだってことくらい――――分かってるんでしょ。
  …答えは、もう出てるはずだよ。後藤」



 ごっちんは、まだ泣いてはいなかった。
 代わりに、ぐっと唇をかみ締めて。
 目を潤ませて。

 睨み付けるように、市井さんの顔をずっと眺めていた。





87 名前:作者 投稿日:2001年11月27日(火)00時02分25秒

 中途半端なところで切ります……ごめんなさい…(汗
 思いつきで書いてるので、思ったよりも長くなりそうなんです、ラストが。
 ただ最後には、市井紗耶香――市井ちゃんは必ず出す予定だったので、
 これから、ラストに向けて頑張ります!!

 「わー、やっと完結かあ」と思って読んでてくださった方には、ホント申し訳ないんですが…
 もう少し、かかっちゃいます>完結  本当にすみませんです…(滝汗

88 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月27日(火)00時05分22秒
ぐあああ!頑張って下さい!!
でもホントに終わるの??
89 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月27日(火)00時06分39秒
りあるたーいむ♪
いやー市井ちゃんやるねぇ(w
というかごまが(略

じっくりゆっくりまったり作者さんのペースで逝きませう♪

むしろ続いて喜んでいる人もいると思いますよ。
とりあえず僕が(w
90 名前:作者 投稿日:2001年11月28日(水)20時58分57秒

どうか、今夜のレスが最後になりますように…(真剣

>>88 名無し読者さん
   頑張ります、ありがとう〜!!
   ホントに、引っ張りまくってごめんなさい(w
   終わらせます、なんとか…

>>89 名無し梨華さん
   ようやく、市井ちゃんの出番が出せました、ホッ。
   でも、出番は短いかも……
   とりあえず続きを喜んでくださる人がいて安心してます、サンクス!(w

 でもって、またもや最終回の続き、スタートです・・・


 
91 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時07分17秒


 「さて、じゃあゲームでも、しよっか」


 ごっちんの、刺すような視線を、軽く受け流して。
 ギターのケースのジッパーを下ろしながら、市井さんは唐突にそう、言った。


 「……はあ?」

 思わず、間抜けな声を上げて、聴き返したのはごっちんで。

 (…何、言ってんだろ?いきなり)

 心の中で、こっそり突っ込みを入れたのは、アタシで。

 

 相変わらず、市井さんの考えてることは、分からない。
 狐につままれたような顔のアタシ達をよそに、市井さんはさっさとケースから
(多分)自慢の、と思われる真新しいギターを取り出した。


 「ねえ、いちーちゃん、ゲームって…」
 「この、ギターさあ。買ったばっかで、人前で弾くのは初めてなんだよねー」
 
 ごっちんの言葉を、まるっきり無視する格好で、市井さんは言って。
 「…弾く?」
 「…市井さん、弾くんですか?ギター」


 アタシとごっちんは、同時に浮かんできた疑問を、ほとんど同時に口にする。
 そこらへんの口の聞き方で、その親密さというのも、明らかになってしまうのだけれど。

 



92 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時18分34秒
  

 そんなアタシ達の疑問の言葉に、市井さんは苦笑を浮かべて

 「…おいおい。さっき市井が言ったこと、ちゃんと聞いてたんかい。
  ギターもピアノも、練習してるって言ったじゃん」





 
 シ達の疑問の言葉に、市井さんは苦笑を浮かべて

 「…おいおい。さっき市井が言ったこと、ちゃんと聞いてたんかい。
  ギターもピアノも、練習してるって言ったじゃん」



 そう言いながらも、その手元はしっかりと、ギターの弦をとらえている。
 じゃらららら〜ん♪
 と、適当にかき鳴らしているように見える手つきながら、その音色はちゃんと、
「音楽」になっていて。

 (アタシだって、練習すればあれくらい……)

 意味もなく、その行為はアタシにライバル心を燃え滾らせる。


 「で、ゲームっていうのはだね。市井が、ギター弾いて、歌うから。
  後藤と吉澤も、一緒に歌う。オッケー?」
 「…それで、何がゲームになるの?」

 「ま、最後まで聞きなさいって。
  ――――それで、だね。市井と一緒に、最後まで歌いきれたら、そっちの勝ち。
  途中で歌うの辞めたり、泣いたら、そっちの負け」

 
 

93 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時24分40秒
  

 ニヤニヤと、その「ゲーム」の内容を説明する市井さんに。
 アタシとごっちんは、思わず顔を、見合わせて。



 「ちょっと待ってくださいよー。それって、市井さんがウチらの知らない歌、
  弾いたら―――」
 「そしたら、市井の勝ちだね♪」
 
 「そんなの、ズルじゃ――んっ!」
 ごっちんが、頬を膨らませて、抗議すると。

 「知らないほうが、悪い。アンタ達だって“一応”、歌手なんだから、知らなきゃ
  その時点で負け〜」


 ごっちんが、明らかにムッとした顔になるのが、分かった。
 普段、ぽやっとしてるように見えて、実は彼女は随分と負けず嫌いだったりするのだ。
 …ああ、絶対に、やる気になってるよ…

 「分かったよ、ごとー、やるもんっ!
  絶対にいちーちゃんなんかに負けないからねっ!」


 ……ホラ、やっぱり(苦笑)。
 「よっすぃも一緒にがんばろうねっ」なんて、ギラギラしながら。
 彼女の表情にあるのは、絶対に
 ――――嬉しさ。

 きっと、それは。

 市井さんと、一緒に歌えることの、嬉しさ―――。



 


 
94 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時30分09秒
  

 かすかな胸の痛みを覚えながら、アタシは。
 努めて、なんでもないって、顔をして。
 「ったく、しょーがないなあ、ごっちんは」なんて、呟いてみせる。


 本当に、しょーもないのは、他でもない、アタシなのに。



 「それで、ゲームというからには、何か賭けるんですよね?」
 「おっ、察しがいいねー吉澤!…後藤とは大違い」

 一言多いっ、なんて、ごっちんがじゃれつくのを、軽く受け流して。
 市井さんは、意味ありげにクスっと、笑った。


 「ごく、シンプルにね。
  ―――負けた方が、勝った方のいうコトを、聞く。絶対に、ね?」



 その、言葉を聞いて。
 アタシはますます、市井さんの気持ち…考えてることが、分からなくなるけど。
 ルールに、「歌うのを辞める」ことってのと、
 「泣くこと」――――泣くって、なんだ!?

 
 ってな、疑問も沸いたり、したんだけれど。
 アタシは、あえて。
 このゲームに、乗ることに、した。(ごっちんはもっと単純に考えてるんだろうけど)






 
95 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時37分29秒


 じゃらら――ん……


 イスに、ゆったりと、腰掛けて。
 ギターを、慣れた手つきで操る、市井さんの姿は、格好よかった。
 悔しいけど、確かに格好良かった。


 
 「あっ、分かった―――♪」

 アタシの、考えてることとは、まったく別に。
 ごっちんは、市井さんのかき鳴らした、そのイントロに、敏感に反応して。


 「これは、知ってるよおー」
 得意げな、顔。
 …っていうか、アタシも、簡単に、分かった。もっと難しい曲、出してくると思ったんだけど。
 (あの市井さんのことだから…)


 「――――『名もなき詩』…っ!ばーい、ミスターチルドレンっ!!」

 「おっ、後藤、正解」
 「えへへはあとはあと



 黙ったまんまの、アタシをよそに。
 ごっちんは、小学生が、先生に答えるように、大きく手を挙げて。
 元気いっぱいに、そう言った。




96 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時42分57秒

 満面笑顔の、ごっちんを、見ながら。
 アタシの思考は、もっと別なところに、あって。


 ―――ミスチルかあ?意外だなあ
 てっきり、ドリカムあたりでくるのかとも、思ったんだけど…


 「「ちょっとくらいの汚れものならば〜♪」」


 アタシの、思惑を、よそに。


 「「残さずに全部食べてやる、」」
 「「ウォゥだあーりん♪」」


 市井さんと、ごっちんは、楽しそうに歌い始めて。
 微妙に、物まねなんかして、二人で顔を見合わせてキャキャッと笑いあったりしている。

 ―――っと、いかんいかん!
 アタシも、見物なんてしてないで、ちゃんと参戦しなきゃ!
 (この二人に置いてかれるのだけは、絶対に嫌だ!!)


 …………


 ………♪



 そして。


 じゃらら――――ん♪
 市井さんの、演奏は続く。






 
97 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時49分26秒

 「へえ〜?ちゃんと、1番は歌いきったね」
 感心したように、言う市井さんに(もちろん手はギターを操ったままだ)

 「ふっふっふ。ごとーをなめちゃ、いけないよぉ」

 あくまで、ごっちんは笑顔で。
 市井さんの、ギターを演奏する手元を、楽しそうに眺めている。
 その、光景に。
 ヤキモチを、覚えないでも、無かったけれど――――アタシは。


 それより、市井さんの、行動全てが、疑問で。




 「はい、2番ー♪」

 
 
 ―――どれほど分かり合える同士でも、孤独な夜はやってくるんだよ


 歌いながら…
 ごっちんが、歌いながら。
 初めて、その表情に、戸惑いの色が、浮かんだ。

 (…どれほど分かりあえる同士でも…)



 ―――このわだかまり、きっと消せはしないだろう
 「…だろう…」


 市井さんに、引きずられるようにしながら。
 ごっちんは、何とか、歌をつないでいく。


 アタシは、とっくに。
 歌を歌う行為なんて、忘れていた――――。









 
98 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)21時56分28秒


 ―――色んなことを踏み台にしてきたけど
    なくしちゃいけないものが、やっと見つかった気がする
 (…なくしちゃいけない、もの…)

 
 ごっちんが、初めて。

 そこで、初めて、アタシの方を振り向いて。
 視線が、交差して。


 ……市井さんの、本心は、一体ナニ?
 何か、分かりそうで、まだ、分からない。………けれど。





 ―――君の仕草が滑稽なほど 優しい気持ちになれるんだよ

 『あはははっ、吉澤さん、おもしろーい』
 『なんでいきなり、でんぐり返しなのおー?』


 唐突に、頭をよぎったのは、懐かしい、あの頃の笑い声。


 
 ―――夢物語 会う度に聞かせてくれ


 『いつか、いつかさ―――』
 『ウチらで、アルバムとか出したいよねー、二人で』
 『そしたら、圭ちゃん怒るじゃん?』
 『いいよー、怒らせようよーっ  アハハハハッ』





 なぜか、市井さんの歌声とともに浮かんでくるのは、
 アタシとごっちんの、今までの、思い出―――――




99 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時03分44秒
    
  
  ―――愛はきっと、奪うでも与えるでもなくて 気がつけばそこにあるもの

    街の風に吹かれて歌いながら、妙なプライドは捨ててしまえばいい
 
    そこから始まるさ



 (愛はきっと…)

  市井さんは、しっかりと。
  ごっちんの目を見据えながら、そう歌った。
  そう、確かに、ごっちんだけを、見て歌った―――まるで、ごっちんに言い聞かせる、ように。



 (奪うでも…与えるでもなくて)


 『よっすぃ、ご飯行こー』
 『よっすぃ、ホラ、ごとーお菓子つくってきたんだあ』
 『よっすぃ、次のレコーディング、どこだったっけ?』

 『ねーねー、よっすぃ、よっすぃ』


 『よっすぃ』
 『よっすぃ』
 『よっすぃ』



 (…気がつけば、そこにあるもの?)


 気がついたら、ごっちんとアタシは。
 お互いに、お互いを見詰め合っていて。




  
100 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時11分14秒


 ―――絶望 失望 何をくすぶってんだ


 きっと、アタシとごっちんの考えてることは、同じ。
 きっと、同じ。



 『親友でなきゃダメなんだもんっ』
 『好きになったら、別れるのが辛いんだよっ』
 
 『…だって、いちーちゃんは卒業しちゃったよ!?』




 ―――愛 自由 希望 夢
    足元をごらんよ、きっと転がってるさ――― 



 その『市井さん』は今、目の前で、ギターを鳴らして、歌っていて。
 紛れもなく、アタシ達“二人”のために、歌っていて。



 ―――『絶対戻ってくるんだからね!?』
 ―――『おう、絶対戻ってくるよ!!』



 ほら、ごっちん、気付いてる?
 ちゃんと、あの時の“約束”は、果たされてるじゃない。
 何にも、恐れる必要なんて、
 別れるのに怯える必要なんて、なかったんだよ?



 「……ッえぐッ…」


 もうすでに、歌えるはずもなかった、ごっちんが。
 市井さんの肩に、手をかけて。
 涙を、ポロポロと、零した――――。






101 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時21分13秒


 ―――成り行き任せの恋に落ち 時には誰かを傷つけたとしても
    その度心痛めるような時代じゃない


 
 市井さん、ほら、ごっちん泣いちゃいましたよ?
 …やっぱり、ね。
 
 最初っから、『ゲーム』なんて、ただの口実に過ぎなかったんだ。
 だってほら、


 ―――誰かを思いやりゃアダになり、自分の胸突き刺さる―――


 市井さん、ごっちんがもう泣いてるのに気付いてるのに、
 絶対、気付いてるのに、
 演奏、止めないんだもん。

 優しい、笑顔で。
 あったかい、笑顔で。
 ごっちんを、見守りながら。





 ―――だけど

 
 「……ん、えぐっ、ひっ……」

 ぎゅうっと。
 ごっちんの、市井さんの肩を掴む手に、力が入ったのが、分かった。





 
102 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時27分29秒


 

 ―――あるがままの心で生きようと願うから
    人はまた、傷ついてゆく

 (これって、完璧、アタシのことだよなあ…)
 そんなことを考えながら、いつの間にか、アタシの目にも。

 熱いものが、広がってくるのを、感じて。


 
 ―――知らぬ間に築いてた 自分らしさの檻の中でもがいてるなら
    
    誰だってそう、僕だってそうなんだ


    …愛情っていうカタチのないもの
     伝えるのはいつも、困難だね


    だからダーリン この名もなき詩を いつまでも君に――――捧ぐ




  ……市井さんの、歌声は。
 優しくって、懐かしくって。
 あたたかくって、包まれるようで。


 アタシは、視界がぼやけてるのに気付いて、初めて。

 …自分が泣いてることに、気がついた。




 じゃーんじゃじゃじゃーん……♪


 締め、とばかりに、一際大きく、ギターを鳴らして。
 市井さんは、演奏を終えた。


 …アタシは。
 自分が泣いてるのを、悟られるのが、なんだか恥ずかしくって。
 慌てて、ぐいっと、目をぬぐった。






 
103 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時34分51秒


 「……二人とも、泣いたね?
  ほ〜ら、やっぱり市井の勝ち〜!」


 目を伏せて、えぐえぐと泣きじゃくるごっちんの顔を、覗き込み。
 赤い目をしたアタシの顔を見て、市井さんは嬉しそうにガッツポーズ。

 …なんだかそれが、無性に悔しくて。


 ごっちんの前でだけは、絶っ対に泣かないように、してたのに〜!
 それがなんと、恋敵(!?)である市井さんに、泣かされるとは…(不覚)!
 けれど、ごっちんは。


 泣きながら、肩を震わせて、うつむいて。
 その手はしっかりと、市井さんの肩を、つかんでいて。
 顔は、あげていなかったから、
 アタシが泣いてるのは、ばれなかったけれど―――。(でもその手の行方が悔しい)



 「んんっ…えっく…、ず、ずるいよぉ…いちーちゃん……
  な、んで…そんな歌…なのぉ…」

 ときどき、すんっと鼻をすすりながら、ごっちんは必死に嗚咽をこらえて、  
 言った。(やっぱりかわいい…)


 「なに、言ってんだよ今さら」


 対する市井さんは、何だか余裕の笑みで。
 卒業する前の、自信に満ち溢れたときのそれと、妙にダブって見えた。






 
104 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時43分07秒


 「ばぁか。『いちーちゃん』はね、何でも知ってるんだよ、後藤のことなら何だって。
  何だってできるんだよ、
  何だって知ってるんだよ、
  めっちゃ、頼りになるんだよ?

  …そういう風な市井を作ったのは、後藤だけどね。
  そういう風に、望んだのは、後藤なんだけどね」



 やっぱり、相変わらず市井さんは。
 どこか、飄々としていて。
 いつものように、優しい笑顔を浮かべたまんま、「だけど」と言葉をつないで。


 「もう、その『いちーちゃん』の役目は終わり」

 「…えっ?」


 涙に濡れた瞳を、ごっちんは初めて上げて。
 その目は、戸惑ったように、市井さんの方に真っ直ぐ注がれていた。


 「待ってよ、いちーちゃん…ック、なん、で…?」
 「ばか」

 市井さんは、ぽかり、と軽くごっちんの頭を叩いて

 「気付いたんでしょ、今の、市井の『ゲーム』で。
  泣いてるのは、何でだよ?
  …気付いたからでしょ、自分の、気持ちに」

 


105 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)22時52分08秒


 「………」


 市井さんに、穏やかに言いくるめられて、反論できないごっちんは。
 照れてるのか、戸惑っているのか、混乱しているのか。
 はっきりと定まらない視線を、アタシの方へと、彷徨わせてきた。


 『…よっすぃ〜』


 声にならない、アタシに助けを求める声が、聞こえた気がした。

 「ほらっ」
 そんなアタシと、ごっちんを交互に見ていた、市井さんが。
 あはは、と声をあげて、笑った。

 「やっぱり、後藤が本当に必要なのは、市井の手じゃ、ない。
  もう―――分かってるでしょ、分かるよね、後藤?

  いい?後藤。市井からの、最後の後押しだよ。
  これが、『ゲーム』勝者からの、命令」


 市井さんは、すうっと、息を吸い込んで。


 
 「―――素直になれ!後藤」


 ごっちんが、くっ、と。
 体を起こして、姿勢を正して、市井さんを―――見た。

 「それと、吉澤」
 「…はい」


 「後藤のこと、よろしくね。市井の、大事な妹、だからさ」
 「…分かり、ました」
 「……よっすぃ〜…」




106 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時00分54秒


 (なんだか、今の。娘を嫁にもらう、旦那みたい)


 照れくさく、思いながら。


 アタシはなんだか、胸が、いっぱいになって。
 …安倍さんは、“かわいい妹”
 …市井さんは、“大事な妹”


 ――――なんだよ、ごっちん。
 こんなに、こんなにも。

 いっぱい、いっぱい愛されてるんだね―――


 もちろん、その筆頭は、アタシである、つもりだけど。




 「さて、じゃーあとは、若い者同士にでも、任せるとしますか」

 …それじゃおじいさんですよ、市井さん(苦笑)。
 
 「市井の生演奏、こんな近くで、しかもタダで聞けたこと、絶対すごい貴重な体験
  になるからね!
  何年か後に、『もう1回』なんて言っても、もうしてやんないぞ!」



 市井さんは、茶化すように言いながら、ギターを持って。
 来たときと同じように「よっこらしょ」なんて言いながら、立ち上がった。

 「それと、最後に」


 ふっと、真剣な、表情。




 
107 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時06分53秒




 「後藤。幸せになるのは、難しいことじゃ、ないんだよ。
  ―――――ちゃんと、幸せに、なれ。…いいね?」

 
 市井さんを見上げるごっちんの目が、みるみるうちに、潤んでいって。
 ほとんど涙が零れ落ちそうになったとき、
 ごっちんが


 「はい」



 答えて。
 アタシは、初めて、ごっちんが市井さんに対して「敬語」を使ったのを聞いた。




 ・・・・・・・・・


 ・・・・・・


 ……がちゃり


 静かに、ドアが閉まるのを、アタシとごっちんは一緒に黙って見ていた。
 結局、市井さんは、アタシ達二人を、心配してきてくれたんだ。

 気付かなかった、分からなかった。


 安倍さんも、市井さんも。
 ごっちんを応援してるようで、本当はアタシ―――吉澤のことも、応援してくれてたんだって。



 「…よっすぃ〜」

 しばらく、市井さんが去った後のドアを眺めていた、ごっちんが。
 不意に、こちらに向き直って、アタシの名前を、呼んで。


 …その響きがめちゃくちゃに真剣なことに、
 今さらながら、アタシは緊張してしまう。










108 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時14分02秒


 ふわっ



 ごっちんの、長い髪の毛が、舞って。
 その髪から、甘い香りが、アタシの鼻をくすぐって。


 ―――気がついたら、ごっちんはアタシの腕の中。


 「…ふふっ。よっすぃの腕の中、あったか〜い♪」
 「ご、ごっちん…」

 
 な、何を照れてるんだ、アタシは!(汗)
 今までごっちんに抱きついたことも、抱きつかれたことも、何度もあるっていうのに…

 
 やっぱり、動揺は隠せない。

 ごっちんの香りも、
 まだ涙の残る、鼻声も、
 ほんのりと感じる、身体の震えも。
 この状況を独占してる、満足感も。


 
 どうして、こんなに緊張しちゃうんだろう―――



 「あのね、よっすぃ」

 
 頭を、アタシの肩にもたれかけさせたまま、
 ごっちんはやっぱり鼻声もまんまで、


 「ごとーね。やっぱり、自分の気持ち、よく分かってなくて。
  よっすぃのこと、『親友』だって思う気持ちと、
  なんだか『気になる』って気持ち、両方生まれてきちゃって。
  ―――両方、自分の気持ちなのに、ね」




 
109 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時23分53秒


 「…怖いんだもん。ごとー、わがままだから。
  どんどんどんどん、気持ち、強くなっちゃって、

  ―――よっすぃのこと、束縛して、がんじがらめにしちゃって、
  しんどくさせて、苦しくさせて。


  そうしたら、きっと最後には―――よっすぃの方から、離れてっちゃう。
  それが…怖い。1人になるのは、嫌だよ」


 ぎゅっと、アタシにしがみつきながら、ごっちんは言って。
 わずかに声が震えているのも、
 直に、ごっちんの呼吸を肩に感じるのも、

 アタシにとっては、全てが愛おしいんだ。



 「…最初はね?ただの『メンバー』だったのが、『親友』になって…
  ごとー、親友なんて初めてだったから、嬉しくって嬉しくって。

  絶対に、壊しちゃいけないって思った。そのまんまでいなきゃって思った。
  だけど…」


 声をつまらせて、ごっちんはアタシの顔を見上げる。
 ……ああ…
 その泣きそうな目が、なんともたまらんっす…はあとはあと


 



110 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時33分13秒



 「なのに、よっすぃってば、いきなりキス…したり、エッチなこと、してきたり。
  冗談だって思ってるのに、分かってるのに、やっぱり何回も何回もそゆことあると、

  …気に、なってきちゃうんだもん。
  よっすぃはふざけてやってるのに、ごとーだけ本気になっちゃダメだって、
  焦って…怖くって……」


 ――――うん。
 そういえば、前、安倍さんにも言われたよ?ごっちん。



 結局、アタシは、
 ふざけてでしか、気持ちちゃんと伝えられなかったんだよね。


 「ごめんね、アタシが、はっきりしなかったから…」


 ちゃんと真面目に気持ちを伝えたのは、
 エレベーターの中で、告白したとき、だけ。
 あの時は、見事なまでに、拒否されたけれど――――。


 「ううん、違うの、よっすぃ。ごめんね?違うの。
  ごとーね、よっすぃに『好きだ』って言われたときも―――」


 アタシの言葉に、ごっちんはかぶりを振って。



 
111 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時38分06秒


 「ホントに、怖くって。だって、ごとー、今まで誰かと気持ち通じ合う、なんて
  ことなくって…。
  初めて、だったんだもん。『好きだ』なんて言われるのも、『好きだ』って言う
  のも。いっつも…」


 また。
 少し、ごっちんの体が、震えて。






 大丈夫。
 ちゃんとこうやって、抱きしめて、聞いてるから。


 「そういう気持ちは、心の中に閉まって、押し込めて、やり過ごして。
  いちーちゃん好きになったときも、ずっと、
  ずっと、そうやってきたから…。だから、ね?」

 「―――うん」 

 
 また、少し。
 ごっちんの、愛しい彼女の、その声に涙が混じったようで、


 「だから、どうやって…ッんん、気持ち、伝わるのか、分からなくって。
  …ヒック、どうやって、相手にぶつかっていったらいいのか、分からな、くって…」

 「…うん」


 アタシは、返事だけ、簡潔に返しながら。
 ごっちんを抱きしめる腕に、ほんの少しだけ、力をこめる。




 


112 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時45分12秒


 「…分からないこと、多すぎて…困って、ック、うん…逃げて、
  傷つけて、…傷ついて、いっぱい、いっぱい……」


 ごっちんの頬を伝う涙が、アタシの肩に伝わって。
 それが、なんだか妙に暖かいものに、感じて。


 「でも、でもね?…考えること、なんて、なかったんだよね…
  いちーちゃんが、背中、押してくれた。
 
  …っ……よっすぃが、ずっと……ずっと、こんなごとーの、そばに…
  いて、くれた…」


 
 サラサラ。
 サラサラ。
 ごっちんが喋るたびに、長い髪が揺れて、アタシの鼻をくすぐる。



 「よっすぃが、好きだよ」



 ――――――。


 数秒遅れて、ごっちんの言葉は、アタシの、反応の鈍い、脳に届く。
 でも。


 
 「………あは。……それだけ。
  言わなきゃいけないこと、それだけだったんだ…ック、っすん…
  あは、あはは……」


 涙混じりに、ごっちんは続ける。




 
113 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時51分13秒


 「……うん、そう、だから、ごとーは…よっすぃが好き。
  好き。好き。好き。……っん、好き。好…き…
  好き…、好き。……好…き、好き、いっぱい、好」



 ――――もう、充分伝わったよ、ごっちん。


 「……んっ」



 アタシが、ごっちんの言葉を強引に遮る手段は、これしかない。
 その、お喋りな、唇を。
 アタシの唇で、塞ぐだけで。


 「ん……」


 ホラ。もう。
 ごっちんの目は、熱を帯びたように、とろん、として。



 「アタシはね。その、何倍も―――ごっちんのことが、好き」
 
 そして、唇を、離して。
 ごっちんの目を覗き込みながら、言うと。

 やっぱりごっちんは、赤くなって。


 ………

 うう……もう、ダメだあああ〜〜っっ!!抑えきれ〜〜〜んっ!!!(爆)





 
114 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月28日(水)23時56分33秒


 どさっ


 ソファに、身体を投げ出す、音。
 ―――ただしそれは、二人分の、音で。


 「えっ?」


 ごっちんを、近くのソファに押し倒し、その上に馬乗りになっているのは
 ―――もちろん、アタシで。

 案の定、ごっちんは、
 一瞬、きょとん、と視線を泳がせた後。


 「―――やっ!」


 この、状況を認知したのだろう。
 顔を真っ赤にしたまんま、小さな抵抗の声を、上げた。


 「ま、待ってよっすぃ〜、何…する気?」
 やっぱりまだ、恥ずかしいのだろう。
 アタシに問い掛けるその声は…戸惑ったように、震えていて、そしてその声は、
 ごく、小さな響きだった。



 でも。
 そんな態度が、余計にアタシを燃え上がらせる、ということを。
 ―――ごっちんは、まだ知らない。



 「待って、って言っても、もう待たないよ。
  アタシ――――もう随分、待ったんだから」

 それは、紛れもない、本音。




115 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時03分03秒

 
 「っていうかさー、気持ちの通じ合った二人がすることなんて言ったら、
  1つしか……ないじゃんはあとはあと

 「……ほっ、ホントに…?」


 満面の笑みのアタシに対し、
 ぎこちない笑顔を浮かべるごっちんは―――やっぱりカワイイのだ♪


 のしかかるアタシの体を辛うじて支えてる彼女の腕は、やっぱりどこか、強張っていて。
 全身が、緊張してるのが、よく分かる。
 …だけど。


 「今日はもう、遠慮、しないから」


 そう、宣言して、アタシは。
 すかさず、ごっちんの胸元に手を差し入れて。



 「やっ……ぁぁん…待っ…てよぉ、ここ…楽屋…ぁっは…だよぉ…」

 
 アタシの手の動きに呼応するように、体をヒクつかせながら、
 ごっちんは、切なく、声を漏らして。


 「…やっぱり、感じやすいとこ、好きだよ」
 「……んぅ…や…だぁ…」


 耳元で、囁けば、
 ごっちんはやっぱり、頬を赤くして、目を潤ませるんだ。


 ………

 ふっふっふ…


 ついに、ついに……


 野獣吉澤ひとみの、復活だああ――――――っっ!!!!(喜)







116 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時09分04秒


 ……なんて、感激するのは、まだ早かったりして。

 アタシは、やわらか〜いはあとはあとごっちんの胸を、少しばかり堪能した後。
 ふっと、あることに気がついて。


 ……そう。


 アタシの予想が正しければ――――ここで、なんらかの邪魔が、入るのだ。
 きっと、入るのだ。


 「ちょっと、待っててねはあとはあと


 アタシは、目を潤ませてこちらを見上げているごっちんの耳元に囁いて、
そっと、静かに、身体を起こした。
 ごっちんがアタシの方を見て、「?」ときょとんとした表情を浮かべている。


 ――――ごめん、ごっちん。
 やっぱりさ、人間――――何度も何度も失敗を重ねると、疑い深くなるもんなんだよね。



 ―――そして。
 そーっ
 そーっ 


 アタシは、静かに、しずかーに、閉められたままの、ドアに近づき。
 


 がちゃっっ

 「「「「わああああ―――っ!!!」」」」

 どさどさどさどさどさどさっ………





 「やっぱり…(怒)」




117 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時14分53秒

 いきなり、ドアを内側から開いたアタシ。
 予想通り(といっても、この予想は外れて欲しかった……:涙)、ドアに体を押し付ける
ようにして話を聞いていた(と思われる)メンバー達が、

 どやどやと、一気に崩れ落ちてきたのだ。



 「「「「えっ、えへへへへ〜…(汗)」」」」



 おそらくは、般若のごとく怒りを浮かべているであろう、アタシを見上げて。
 意味のない苦笑いを浮かべるメンバー

 「飯田さんに矢口さんに圭ちゃんに梨華ちゃんに辻加護に……」


 そして、アタシは。
 先頭で聞いていたであろう、1番下で潰れている二人に視線を落とし、


 
 「何やってんですかあああああ―――――っっ!!!!(怒)
  市井さんに安倍さんまで、筆頭になって―――――っっっ!!!!!」



 アタシの絶叫に。
 「いやいや…」なんて曖昧な笑顔を浮かべて、二人はのそのそと起き上がる。
 
 信じたアタシがバカだったのだろうか…教えて神様(涙)。




118 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時22分10秒


 「あのさー、違うんだよね、吉澤ぁ。市井はただ、心配してさー?
  何てったって、大事な妹と、かわいい妹のためだからさあ。
  やっぱ…その後とか気になるじゃんはあとはあと
 
 妙に真面目くさった顔で言う市井さん――――

 (っていうかその語尾のはあとはあとは何だああ―――ッ!!!)


 「そうそう、気になるべさ。純粋な、親心ってやつだべ」

 いつもの“なっちスマイル”でいう安倍さん―――

 (っていうか、なんでいきなり訛ってんだあああ―――ッ!!!)




 そして、アタシの怒りは頂点に。
 ……この、出刃亀どもめ。もー許さん……(怒りの炎)。


 「ふふ、ふふふふふ……も――――――――怒った!!!!
  いっつもいっつもいっつもいっつもいっつもいっつもいっつも、
  いいところで邪魔しやがって――――――っ!!!!!!

  ゆ・る・さああああああんっっっ!!!!」  


 「ちょっとよっすぃ、目が据わってるよ…お、落ち着きな、ね?」


 矢口さんが、おそるおそる、言ってきたけど…
 ごめんなさい、矢口さん。

 もう、遅いですはあとはあと







 
119 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時30分25秒

 
 「やっべ、マジだわこりゃ……
  ってわけで、みんな逃げとけーっ!」


 いち早く、察知した市井さんの合図で。
 メンバ―たちは、一斉に「きゃーきゃー」言いながら、逃げ出して。

 
 「えー、あたしは邪魔したことなんてないよねえ?」なんて、不満げな梨華ちゃんを
引っ張っていく、保田さんを見ながら。
 

 「やっぱり二人はらぶらぶだったー」なんてしっかり手をつないで逃げていく、
辻加護を見ながら。


 「とりあえず逃げとく?」「逃げとくか」なんて、呑気なようすの凸凹タンポポ
コンビ、飯田さんと矢口さんを見ながら。


 「恩人に怒っちゃいけないべー!」と叫びながら逃げていく安倍さんを見ながら。


 「顔はやめて〜イヤ〜ん」と、明らかにこの状況を楽しんでいる、市井さん(誰よりも
遠くに逃げていた)に、目標を定めて―――



 「……追いかけるよ、よっすぃ〜!」

 いきなり、アタシの手を握ってきたのはごっちんで。
 「……え?」

 「よく、わかんないけど、
  ――――よっすぃが怒ってるから、ごとーも一緒に、怒るっ!!」



120 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時50分30秒


 何だよお、相変わらずカワイイこと言ってくれんじゃんかあ。


 思わず、アタシは顔をニヤケさせ―――もとい、満面の、笑顔で。
 ごっちんの手を握り返す。


 「よっしゃ、行っとく?」
 「行っときますか―――っ!!」


 この、ノリも、笑いのつぼも。
 アタシ達、二人ならでは、なんだよね。


 そして、アタシは。
 明らかに、自分よりもダッシュ力の効く、ごっちんに手を引かれて走りながら。
 その、背中を見つめて。



 …ずっと、こうやってごっちんの背中を追いかけてきた。
 …きっと、これからもこうやって、アタシはこの背中を追いかけていくんだろう。

 だけど。
 うん、だけど。



 今までと、これからは、きっと違うね?


 繋いだ手の、温もりも。
 アタシに合わせて走ってくれるところも。
 目が合うだけで、微笑んでくれる、そんな仕草も。


 きっと、それは。
 心が通じ合ったから、もっともっと強く感じるようになったんだ。






121 名前:作戦ラスト 〜絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編 投稿日:2001年11月29日(木)00時56分18秒

 

 だから、アタシは。
 絶対―――絶対に。


 
 この、つないだ手は、離さない。
 ごっちんの背中も、絶対に見失ったり、しないよ?


 ずっと、これからも、こうやって。
 二人で、駆け抜けていくんだよね―――
 笑って、
 泣いて、
 たまには怒ったり、


 そして、アタシがキミの名前を呼んだときには、もちろん



 「………ごっちん!!!」


 揺れる長い茶色の髪。
 いつもアタシの目の前にある、その背中。



 「ずっと、これからも、大好きだからねっ!!」



 そして、振り向いた、彼女は―――――

 「ごとーもっ」






 ――――――もちろん、笑顔!


 「よっすぃのことが、大好きっ!!」







   

       

 彼女を振り向かせる方法 〜作戦終了〜



122 名前:作者 投稿日:2001年11月29日(木)01時01分39秒
あー長かった、長かった!!(w
ようやく終わりました〜最終話。。。 あまりに長くって途中でまた切ろうかと
思いましたが、なんとか終えて、ほっとしてます。ヨカッタヨカッタ

まだエピソード的に不十分なところも多くって、かなり不満が残るのですが(まあ
いきあたりばったりで書いていたんで…)アラの目立つ作品ですが、
今まで数多くのレスをいただけて、本当に感謝の一言につきます。おかげで創作意欲(?)
ってものが沸きましたので。

それでは、近いうちに後藤視点の話でも書いてみようかと思いますが…あ、しつこい?(w
とにかく、読んでくださった方々に、深くお礼を申し上げます。
ありがとうございました!

123 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月29日(木)01時06分37秒
ぐおおおお!ずっと読んでました。
毎回更新が楽しみで楽しみで・・・。
これからも頑張ってください。
よしごまで。
124 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)01時12分12秒
お疲れ様です!本当に楽しく読ませてもらいました。
最後の方はちょっと泣きそうになったりして(w
二人が結ばれてなによりです。はい。
後藤視点も楽しみにして待ってますのでこれからも頑張って下さい。
125 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月29日(木)01時33分59秒
たまらーんはあとはあと
よしごまマンセーっす!おつかれ☆
126 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月29日(木)02時00分08秒
毎回めちゃくちゃ楽しんで読めました。
やっぱり最終回でも寸止めなんですね(w
後藤視点も楽しみなんですが、この後の二人も気になります。
作者さん、書いて〜!!
127 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月29日(木)04時22分11秒
なるほど、振り向かせて終わったか、うまいシメ方ですね。
良かった、うるうるしました。
128 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月29日(木)08時28分57秒
もう最高です。
朝から『名もなき詩』を聞きながら読ませていただきました。
思わず泣きそうになっちゃいました。
後藤視点楽しみです。
作者さん、頑張ってください。
129 名前:35 投稿日:2001年11月29日(木)10時57分00秒
ごっちんもよっすぃも皆に愛されてていいですねぇ。

最後には吉澤君にも学習能力がついたし(w
いちーちゃんはさすらいのギター弾きみたくてかっけーし、ホント楽しく読ませて頂きました。

で、後藤さん視点の話を書いてくれるそうで、マジで嬉しい・・・。読者冥利に尽きます(w
ありがとうございます!ここのごとーさんに惚れこんでしまった一人として、期待してますね。

ひとまず作者さん、お疲れ様でした。
130 名前:闇の住人 投稿日:2001年11月29日(木)12時15分53秒
名もなき詩ですかー!もう何もかもが最高っす!
私的には吉澤さんのキャラがすっごいツボりました!
よっすぃーがエッチなイタズラをしてる時の後藤さんの心境も気になるっす!
作者さん、お疲れ様でした。後藤視点も頑張って下さい!
131 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月30日(金)00時48分27秒
うををををををーー!マジ最高ッス!師匠!!激感デス!!
最後の最後で初レスですがずっと更新を楽しみによんできてました。
自分の中でいっっっっっちばんツボな小説でした!
よしごまさいこー!後藤にマジ惚れ!市井ちゃんの出方もよかったぁ〜!
後藤視点楽しみにしてます!
そしてそして、邪魔者を警戒しながらの野獣よっすぃ編も勢いよく希望!(w
ほんとお疲れっした!感動をありがとう!
132 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月30日(金)02時26分10秒
…最高としか言い様がない…
しかも、毎回これだけの量を、それほど日数をおかずに更新された作者さんが凄いです。

笑いあり、涙ありのドタバタストーリーでしたが、
後半はグッと締まってしましたし、ラスト手前で野獣よっすぃ〜も復活したし。
それも、知恵をつけてね!

しかし、心はゲットしてもまだ体は完全にゲットしてませんよね?
こちらのほうも早くゲットさせてあげて下さい(w

次は後藤視点ですね…こちらもすごく楽しみに待っています。
では、連載お疲れ様でした。

私にとってこの作品は名作です。
133 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月30日(金)04時28分06秒
テンポ良く笑いあり、涙ありで全体を通して
大変楽しませて貰いました。
次も期待して待ってます。
134 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月30日(金)22時57分43秒
感動。
ほんと、それだけです。
他に言う言葉を、僕は知りません。

作者さん、ありがとう。そして、お疲れ様でした。



ウィルスがぶちこまれて最終交信の日にレスできなかったのが一番心残りです(w
リアルタイムだったのに!(w
135 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月01日(土)06時04分32秒
「名もなき詩」は反則でしょ〜。あの場面で。
加えて、ここ最近ではBest3に入るラストシーンのカッコ良さ!
感動しました。
いい物語をありがとう。
136 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時27分47秒

 こんなにレスがつくとは思っていなかったんですが、正直めちゃめちゃ感動してます。
 これだけの人に読んでいただいていたと思うと…頑張ってよかったなと(涙)。

 いらないかもしれませんが、返事をさせてください。


>>123 名無しさん
   終了後、即レスくれたんですね、ありがとうございます!
   一応、この話的には終わったんですが…続き、書いてもいいんですかね?
   自分は(勝手に)よしごま布教派なんで(w)、もちろんよしごまでいきますよ〜!

>>124 すなふきんさん
   なんか、すなふきんさんみたいな大御所の方に感想いただくとめちゃ緊張しますね(w
   最終的に、納得してもらえるラストになったようなので、安心しました(小心者)。
   後藤視点も、頑張ってやらせていただきます!

>>125 名無しさん
   よしごまマンセー!ですか、早速作者のよしごま布教の成果が…!(w
   もっとよしごまにはまってくださいね。どっぷりと。

 
  
137 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時33分16秒

>>126 名無し読者さん
   はい、結局最後までよすぃは寸止めでした(ワラ
   二人のその後については…かなりやる気になってます、作者は。
   始まったら、よかったら読んでやってくださいね。

>>127 名無しさん
   ラスト、褒めていただいてうれしいです!実は、作者の中では話の筋こそ
   あったものの、ちゃんと決まっていたのはラストだけだったので…(w

>>128 名無し読者さん
   名もなき詩、名曲ですよね。この話を書くにあたって、ヒントになったのは
   この曲の二番、「愛はきっと奪うでも〜…」の所なんです。(ネタばらし)
   はい、後藤視点、頑張りまっす!

>>129 35さん
   この小説に、嫌なヤツってのは基本的にいませんね(w)、キレイ事かもしれませんが…
   「いちーちゃん」については、出番をどうするか悩んだあげく、ああいうカタチに。
   35さんが後藤視点について示唆してくださったので、また頭の切り替えがききました。
   ありがとーございます!



138 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時36分07秒

>>130 闇の住人さん
   おおっ!吉澤くんのキャラを気に入ってくださるとは…!うれしいっす!!
   彼は立ち直りが早く、行動的なので(野獣的?)書きやすかったですね(w
   なので、後藤視点は辛いかも…アハハ

>>131 名無しさん
   いっっちばんツボな小説ですか!?あうあううううれすぃ〜〜!!(涙)
   それぞれのキャラも気に入っていただけて何よりです…!
   野獣よっすぃ編、・・・ああ、続編の名前にいいかも!?(w

>>132 名無し読者さん
   ぎくっ!まだ「体はゲットしていない」ことに気付かれてる人が、やっぱりいましたね(w
   エロの表現が難しくて難しくて、結局逃げるように終わってしましました…(汗
   名作と言っていただけたことを、深く感謝します!

>>133 名無し読者さん
   楽しんで読んでいただけて、本望でございますっ!
   次回作は…純粋な別ものではなく続編ということになりますが、読んで
   いただければ、幸いです。


  
139 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時39分53秒

<<134 名無し梨華さん
  リアルタイムだったんですか〜!おおう!(感激)
  名無し梨華さんはいつもレスをくれるので、密かにお待ちしていました…(w  
  次回作も良ければ読んでくださいね。あなた様の作品の続きも熱望してます!

>>135 名無し読者さん
   名もなき詩、反則ですか!それは勝手にいい意味にとらせていただきます(オイオイ
   ラストはかなり焦った展開になっちゃったかなと、思っていたんですが…
   良かった良かった、おおむね好評(?)のようで…。



 ちょうど、初めてこの作品を立ててからほぼ1ヶ月が経ちましたが、本当に色々な人に
励ましの言葉や感想をいただき、最後まで書くことができました!
 気まぐれで書き始めたこの小説がまさか、スレッド2本目まで行くとは正直思ってません
でしたが…(何せ、きっかけが「よしごまマイブーム」ですので)
 

  
  
140 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時43分28秒


 とりあえず、このスレの残りは後藤視点で書く予定ですが、「よしごまその後」については
新スレ立てるか検討中です。(多分また銀板でいくと思いますが…)  

 と、いうわけで何度も告知してきましたが、次回の更新は「彼女を
振り向かせる方法」の後藤視点で書こうと思っています。おそらく、吉澤視点ほど長くはなりませんが、
1回の更新では終わらなさそうなので、ダラダラになったらすいません…。


  結局「よしごま小説」ではなく、「よし→ごま小説」でしたね(笑)。
  続編は間違いなく「よし×ごま」です!!



  
141 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)20時55分19秒

というわけで、前スレ↓の内容はこちら。(宣伝…)

http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=1004430993

 作戦その1 寝込みを襲う編
 作戦その2 二人羽織でドッキドキ♪編
 作戦その3 看病するなら、つきっきりで編
 作戦その4 温泉旅館は誘惑だらけっ編
 作戦その5 喧嘩じゃないけど、仲直り編
 作戦その6 ザ☆告白編(途中まで)

続き  http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=1006238361

 作戦その6 ザ☆告白編(途中から)
 作戦ラスト 絶対に振り向かせてみせよう後藤真希!編

 
 のようになっております。ただ最初のほうはかなりヤバイですが…(汗
 吉澤くんの成長っぷり、作戦その6くらいからすごいです(w

 では、この続きは後藤編から……では!(退散)


142 名前:バービー 投稿日:2001年12月01日(土)21時42分52秒
遅ればせながら感想を・・

すっごい、良い作品でした。ほんっとに。今までに見てきたよしごまの
小説の中でもかなり、5本の指に入るツボモノでございました!!
最初の方は少しコメディタッチなお話で、割と軽い感覚で文章がスイスイと
入っていく感じで(w 読んでいてすごく楽しかったです。
後半は市井ちゃんの優しさに感動し、後藤の可愛さに悶絶し、そして
吉澤の成長ぶりにも目を見張り(w すごく良かったです。
逆に寸止めだからこそ続きが楽しみでたまらなくて(w
本当に楽しませて頂きました!やっぱり、ビバよしごまですよ!!

続編がめちゃめちゃ楽しみだったり・・(ニヤリ
今度は寸止めじゃなく最後ま(略
143 名前:作者 投稿日:2001年12月01日(土)23時26分51秒

ああっ、バービーさんからレスがきてるじゃありませんか!!(感動〜)
5本の指とは、また大きく評価してくださりましたね…ならば、バービーさんの
小説は、自分の中では3本の指に入りますよ!!
さあ、続編については…最後まで? どうでしょうか…(W


 では、後藤編、スタートです。



144 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月01日(土)23時34分49秒


    生きてゆく力が、その手にあるうちは
    笑わせてて? いつも、いつも。
    うたっていて、欲しいよ。



 ―




 それは、まだ。
 ごとーが、よっすぃのことを、「吉澤さん」って。
 そう、呼んでいたときの、ハナシ。



 「いちーちゃん」が卒業することが決まった、モーニング娘。
 新メンバーが入った、モーニング娘。

 ごとーは、モーニング娘。が、大好きで。
 
 だから、最近の環境の変化が、辛くって、辛くって…
 もともと、ごとーは。
 ちゃっきりちゃっきり(ああ、それじゃ辻ちゃんだあ)…仕事するって、
 タイプじゃなくって。


 誰かに引っ張ってもらわなきゃ、ダメなんだ。




 え?
 センターにいるくせに、気合が入ってないって?
 大きな、お世話だよっ!


 それに。
 そうゆうこと、言っていいのは1人だけなんだから。
 「いちーちゃん」――――ごとーの、教育係の、

 市井ちゃんだけなんだから………。




 ずっと、そう思っていたのに。













 
  
145 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月01日(土)23時39分33秒

 「ねえ、いちーちゃん」

 ホントに、ホントに、
 モーニング、辞めちゃうの?


 「辞めるよ。っていうか、卒業するのっ。
  絶対に戻ってくるって、何回も言ってんじゃんか。ばか後藤」



 ……
 何度も。
 何度も、繰り返されたその会話。


 いちーちゃんの決意は、どうしようもなく、固くって。
 ごとーが何か言ったくらいじゃ、どうしようも、なくって。
 こんな日がくるなんて、思っていなかったのに。
 
 …こんなに早く別れがくるなんて、思っていなかったのに。



 
 ごとーは、いちーちゃんのことが、好きだから。
 別れるのは、辛いから。
 だけど。
 いちーちゃんが「卒業する理由」は、もしかしたら。



 ごとーのせいかも、しれなくって。
 だから、ごとーは余計に、辛いんだよ?



 ……ねえ、いちーちゃん。





 
146 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月01日(土)23時45分39秒


 ………

 知ってのとおり、ごとーには同期って人が、いない。

 だから、『同期同士』のつながりとか、
 思いやり、だとか
 助け合い、だとか、

 そういうもの、ぜ〜んぜん、分からないんだ。


 でも、
 そんなこと、ごとーにとっちゃ、どうでも良かったんだ。
 だって、ごとーには「いちーちゃん」。


 「いちーちゃん」には、ごとーが。
 それだけで、いいじゃん?
 二人だけで、いいじゃん?


 そして、モーニングのメンバーと、楽しくやっていければ、良かったんだ。


 ……へへへっ


 ばか、みたいだけど、ごとーは。
 そんな、夢、みたいなことずっと夢見てて。


 たった、14年しか生きてない、くせに。
 この先、これ以上幸せなことなんて、ないってくらい。
 今の、この環境が…

 「いちーちゃん」のいるこの環境が、大事になっていて。

 




147 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月01日(土)23時50分26秒

 とにかく、ごとーは。
 いちーちゃんのことが、好きで、好きで、好きで。

 絶対に、そんなこと、口に出しては言えなかったけど。



 でも。
 ごとーにとって、いちーちゃんは、とても、
 とても、とても、大事な人で。


 抱きついたり、抱きつかれたり。
 ふざけて「ちゅー」するマネ、したり。
 いちーちゃんが他のメンバーと抱き合ってるのを見たりしたら、すっごい嫉妬、したりして。


 とにかく、それは。
 ごとーにとって、今の生活ぜんぶが。
 「いちーちゃん中心」って、感じで、……それが、たまに怖くなったり。


 だって、だって。
 所詮は、“女の子同士”の関係だもん。
 言えるわけが、ないじゃない。
 ただ、ごとーはね?

 今の、この環境さえ、守られていれば、良かったんだ――――




148 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月01日(土)23時56分37秒


 だけど、やっぱり。
 隠してても、キモチって、外に出ちゃうもんなのかなあ?

 いつの間にか、ごとーは。
 いちーちゃんに対して、『好き好き光線』出しまくりになってて、
 それが、いちーちゃんは気持ち悪かったのかな、なんて、


 そんな、思いになったりも、したんだ。



 ただ、1人。
 なっちにだけは、相談したんだけど。
 (だって、なっちも「福田さんの卒業」って辛かったって、言ってたし…)


 何か、通じるものがあるかな?なんて思ったりも、したんだ…でも。

 なっちは、とても真剣に、話を聞いてくれた。
 ごとーのこと、バカにしなかった。
 気持ち悪がったりも、しなかった。



 ……でも、なっちだって、困るよね?
 いきなり、

 『いちーちゃん好き』なんて、相談受けたって、ね。



 けっきょく、結論なんて、何も出なかったよ。
 時間だって、止められや、しないもん。
 ただ、指をくわえて、いちーちゃんの卒業を、ごとーは見ていた。





149 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時01分21秒


 モーニング娘。に入ってからの、時間の流れは速くって。
 それは、いちーちゃんの卒業っていう、一大イベントであっても、変わらなかった。


 日本武道館。
 鳴り止まない、「サヤカ」コール。


 いちーちゃんの、汗に濡れた衣装。
 キラキラ光ってる、顔。
 ふわふわ広がった、ショートカットの髪。


 『絶対、戻ってくるよ!ばいばい!』―――――



 最後の、コトバ。




 ごとーはね、全部、覚えているんだよ?
 だって、忘れることなんて、できるはずないじゃん。
 最後の、最後の瞬間を。



 …だけど。
 いちーちゃんは、“卒業”しちゃったけど。
 ごとーはね、ダメだったんだ。

 いちーちゃんから、“卒業”できなかったんだ。






 
150 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時07分50秒


 「――――だから、ほっといてって言ってるじゃん!」
 「!」


 がんっ



 ドラマの中の、ワンシーンのように。
 ごとーが振り払った手が、缶ジュースを、跳ね飛ばして。

 ごつって、音がして。
 缶ジュースは、誰の手にも渡らないまま、床に転がった。


 ごとーは、黙ってその行方を見てた。



 「喉、渇いてなかった?」


 缶ジュースを差し出した張本人―――吉澤ひとみ―――さんは。
 そんな、ごとーの態度に腹を立てた、様子もなくって。
 「へーぜん」、とした顔して、そう言った。


 …うるさいなっ
 …ほっといてって、言ってるじゃん



 ごとーはね。
 全部、嫌だったんだ。
 吉澤さんが、嫌だったんじゃない――――特別に。
 しいて、言えば。


 いちーちゃんのいない、この環境すべてが、気に入らなかった。



 でも、ごとーはやっぱり、子供で。
 いちーちゃんの後を追って「卒業」なんて、もちろんできるはずもなくって。
 (どうせ、事務所の人に止められるんだろうけど)



 だから、イライラして、むしゃくしゃして。
 どうしようも、なかったんだよ。




151 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時13分37秒

 「…後藤っ!」


 話しかける、吉澤さんを無視…していたら。
 そのようすを見ていた(らしい)なっちが、非難するみたく、言って。


 …何だよお、なっちまで…



 きっと、それは。
 なっちの方が、正しいに決まってるのに。
 ごとーはね、余裕、なんてなかったんだ…全然。無かったんだ。


 だから、
 『辛いのに、ごとーは辛いのに、なっちは分かってくれない』
 『なっちも、新メンバーの味方なんだ』
 『いちーちゃんがいなくなったって、関係ないんだっ』


 
 そんなの、八つ当たりなのに。
 吉澤さんだって、悪くないのに―――何も、悪くなんて、ないのに。



 ごとーは、みんなから、責められてるみたいな気になって。
 
 そういうとき、助けてくれるのは、いちーちゃんだったのに。
 …いちーちゃんしか、助けてくれる人、いなかったのに。



 どんどん、どんどん。
 自分で自分を、追いつめて。



 ――――なんだか、すごく、泣きそうに、なって。





152 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時20分22秒


 「…だって、ごとーは1人だもんっ。なっちや、吉澤さんみたいに、同期なん
  ていないもんっ。
  …いちーちゃんがいなきゃ、1人なんだもん。誰にも、構ってほしくなんか、
  ないよっ!!」



 気がついたら、ごとーは、そんなこと、口走ってた。
 声が、泣きそうに、震えてて、情けなくって。
 でも、もう引っ込みなんて、つかなかった。


 ごとーは、部屋から飛び出して。



 めちゃくちゃに、めちゃくちゃに、走りまくった。
 後ろから、「後藤待って」って、なっちが呼ぶ声、聞こえたけど。

 もう、知らない!


 ――――全部、知らないっ!!



 ヤケクソ気味に、思った。
 もう、いいよ。
 どうだって、いいよ。
 誰に嫌われたって―――みんなと仲良くできなくたって―――

 そこに、いちーちゃんがいなきゃ、意味なんてない。



 「……っえぐっ…」



 ぼろぼろ、ぼろぼろ。
 走りながら、涙がこぼれてきたけど。

 とにかく、ごとーはめちゃくちゃに走って、走って。




 気がついたら、屋上へ、来ていた。





153 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時26分00秒


 『なあ、後藤。空ってさ、青いよね』
 『…え?何言ってるのお、いちーちゃん』

 『空ってさ…青くなったり、赤くなったり、黒くなったり…
  自由で、いいよな』
 『……?』

 『いちーはさ。空みたく、なりたいよ』
 『ええ?いちーちゃん、青くなりたいの?』

 『アホ!青くなりたいんじゃないよ、空みたいに…
  自由に、なりたいんだ』
 『……
  あははは!いちーちゃん、ろまんちすと〜!!』

 『あんだよ?笑うか、このヤロー!!』


 ・・・・・・


 ・・・



 以前、この屋上で、いちーちゃんと交わした会話が、蘇ってきて。
 ごとーは、記憶力、そんなにいいほうじゃないのに。

 どうして、そんなことばっかり、思い出しちゃうんだよう。



 「……えう…ぅ…」


 涙は、やっぱり止まらなくって。
 ごとーは、手すりによっかかって、泣きじゃくってた。




154 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時31分56秒


 「…大丈夫?」


 声が聞こえてきたのは、唐突で。
 一瞬、カラダがびくってなるのが、自分で分かった。

 同時に、その声が誰であるのかも。



 あまり、トーンの高くない、ちょっとハスキーな声。
 きっと、同じメンバーでなかったら、絶対に仲良くなんてなってなかったんだろうなって、
 第一印象からそう思った、記憶がある。


 メンバーの中で、唯一ごとーと同い年の、人物。
 「……吉澤、さん…」


 泣き顔を見せるのは、嫌だったけど。
 いちーちゃんとの思い出の場所に、『邪魔者』がいるのは、もっと嫌だった。
 だから、振り向いたのは、

 『ほっといて、1人にしてよ!』―――と、

 彼女を、拒否するためだったんだ…
 けど。


 「それ…?」


 まだ、涙の残る、目を抑えながら。
 ごとーの目は、吉澤さんの、手に釘付けになって。




155 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時37分25秒


 ちょっと、へっこんだいびつな形。
 …さっき、ごとーが払い落とした、それは缶ジュースだった。

 そのいびつな缶ジュースを持ったまま、
 吉澤さんもはーはーと、息を切らして、いて。


 ……探してたの?ごとーを。
 ……それを、渡すため、だけに?



 頭が、ぐらぐらして。
 訳が分からなくなって。彼女を、拒否するためだったのに、口は―――



 「なんで、こんなところまで追いかけてくるのっ!?
  ほっといてよ、ほっといてって、さっき言ったじゃんかあ!!

  ……後から、入ってきたくせに……
  いちーちゃんのこと追い出して、入ってきたくせにっ!!」



 気付いたら、拒否のコトバじゃなくて。
 ごとーは、吉澤さんのことを、「否定」する言葉を、放っていた。





 「………」


 吉澤さんは、無表情のまま。
 ごとーは、



 ……最低、だ。






156 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時43分27秒

 
 「……ん、っく……」


 思わず、口から嗚咽が、漏れて。


 最低だ、
 最低だ、
 最低だ、


 ごとーは、最低だよ。
 そんなこと、言いたかったんじゃない、言いたかったんじゃないのに、
 うまく、コトバが出てこなくって、
 
 ひどいこと、言っちゃった。


 「ぅうっく……」


 ぽろぽろと、頬を伝って、涙が落ちて。
 もう、ごとーは、それを拭う気すら、起きなくって。


 (いちーちゃん、もう、ごとーはダメだよ)
 (こんな、嫌のこと言う悪い子になっちゃったよ)
 (吉澤さん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい―――)



 謝る声すら、泣いてるごとーには、出すことも出来なくて。
 多分、こっちを見ている吉澤さんの方を、ごとーは怖くて見ることが、できなかった。


 ううん、
 もう、きっとこのまま屋上から出て行くだろうって、思って。
 それは、当たり前のことだって、自分に言い聞かせて。


 だって、怒らせる―――どころか。
 すごく、傷つけることを、言ったんだから。




157 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)00時51分02秒


 ずいっと、目の前に。
 いびつな形の缶ジュースと、真っ白な、ハンカチが現われて。


 えぐえぐ、泣いてた、ごとーは。
 一瞬、「え?」っと思って、顔を上げた。



 やっぱり、吉澤さんは無表情のまんま。
 笑ってるはずなんて、ないけど―――怒ってるようすも、なかった。
 「……」

 どうしていいか、分からなくって、ごとーは。
 ただただ、吉澤さんの顔を、ずっと眺めてた……そしたら。

 「はい」

 もう、1度。
 ごとーの目の前に、缶ジュースと、ハンカチをずいっと、押し出してきて。
 「目、真っ赤だよ」


 「……っくぅ」


 しゃっくりは、止まらない。
 返事なんて、できない。―――――――だけど、
 ごとーは、ちゃんと、その缶ジュースも、真っ白なハンカチも、受け取った。
 涙が、ますます止まらなく、なりそうだよ…。



 「……あのさあ、後藤さん。聞いて、くれる?」


 もう、そのまま屋上から出て行くものだと思っていたけど、てっきり。

 吉澤さんは、ごとーから視線を逸らさずに。
 さっきよか、ちょっとだけ、柔らかい表情になって。




158 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時00分44秒


 「アタシはね、モーニング娘。が好きなんだ。だから、入れてすごく、うれしく
  思ってる」


 ごとーの返事を待たずに、吉澤さんは口を開いた。
 …やっぱり、どこか、表情がない。


 「…だから、市井さんが辞めたことは、アタシもすごく…ショックなんだ。
  誰かに、そうやって…

  アタシ達『新メンバーが入ったから、市井さんは辞めることになったんだ』って。
  言われることはあるかもしれないって、
  どこかで、予感してるところは、あった」


 同い年なのに、吉澤さんの口調はしっかりしていて、
 大人っぽくて、余裕があって。
 …泣きじゃくってる自分が、とても子供みたいに、思えて。


 
 「だけど、やっぱりアタシは…モーニング娘。が、好きだから。
  辞めるわけには、いかないよ。後藤さんが、…嫌がっても」

 (別に、嫌がってるわけじゃ…)


 「それに、市井さんのことを…その…
  連れ戻すことも、できない」


 一瞬いいづらそうにして、吉澤さんは。
 それでもはっきりとした口調で、そう言った。
 ごとーは――――――――それでも。

 


159 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時07分31秒


 返事、できなかった。

 もう、自分でも、何を言いたいのかなんて、分かっていなかったし。
 何より、吉澤さんが……


 とても、辛そうなのに、気付いたから。
 辛そうでいて――――どこか、不自然だ。何か、とても不自然な…

 そして、ごとーは、その「不自然さ」の正体に気付いて。



 「…何、持ってんの!?」


 自分で考えていたよりも、高い声になっちゃって。
 何だか、悲鳴みたいだって、思った。


 「……だから、アタシはね。何でも、受け止めるから。
  後藤さんの不満も、愚痴も、痛みも、何だって……」


 彼女の、不自然さの、正体。
 色白な手が、握っているもの――――それは、銀色に輝く、ハサミだ。
 …そんなもの、どうして、どうして―――



 考えるまでも、なくって。




 ……

 じゃきっ



 吉澤さんの、真っ黒な髪の毛が、
 他ならぬ、彼女自身の、手によって……ハサミが入れられて。
 ぱらぱら、
 ぱらぱら、

 肩に落ちて、床に落ちて。


 
 ごとーは、ただ、呆然として。
 彼女の髪が、短くなっていくのを、目を見開いて見るしか、できないんだ。









160 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時15分30秒


 「……なっ…」


 ようやく、出た声は―――コトバにすら、なっていなかったけど。
 どうにかこうにか、ごとーは、体を動かせることに、気付いて。


 「何やってんの、やめてよぉっ…」


 今度こそ、本当の、悲鳴だ。
 ごとーは、自分でもどうしたらいいのか分からないまんま、
 ハサミを取り上げようと――――腕を伸ばしたけど、


 吉澤さんは、すいっと、その手を交わして、
 「次は――――腕でも、いっとこうか?」

 肩に落ちた髪の毛を、もうそれがゴミでも触るかのような、うっとうしそうな
 顔で、払いのけて。

 吉澤さんは、無造作に、ハサミの刃を立てて、その腕に――――あてがって




 「――――だめっ!!」




 必死で、必死になって。
 ごとーは、吉澤さんに体当たりするみたいに、カラダごと、ぶつかっていって。
 
 カランっ

 乾いた音を立てて、銀色のハサミは、床に落ちて…1回はねて、ようやく止まった。
 ごとーは。
 ちょっとだけ、ハサミに気を取られたけど…思い出して。
 吉澤さんの腕に、顔を近づけた。



 「……よかった、傷…ついてない」





161 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時22分09秒


 心のそこから、ホッとして。
 ごとーは、また、何だか泣きそうになった。


 「…なんで、こんなこと…」

 言いかけて、気がついた。
 吉澤さんを否定したのは、ごとーじゃんか。
 傷つけるようなこと言ったのは、ごとーじゃんか。

 …こういう風に、したのは、ごとーの…


 「全然へーキだよ、このくらい」

 考えを、中断させられる、意外なくらい冷静なコトバ。

 「それより、こんな……髪の毛とか、腕なんかより。
  後藤さんの方が、よっぽど痛いでしょ。
  ……よっぽど、辛いでしょ」
 
 「――――」


 彼女の、放ったこれまた意外なセリフに。
 ごとーは、何も考えられなくなって。
 (怒ってるんじゃないの?)


 
 ごとーのために、同じように、痛みを感じるために―――
 「いちーちゃん」を失った痛みを、少しでも―――分かる、ために?
 …そういうことを、したの?



 「……ん、んん〜…」


 また、頭がぐらぐらする感じ。
 こらえているのに、ごとーの意思とは無関係に、しゃっくりが、止まらない。





162 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時28分46秒


 「アタシは、市井さんの代わりには、もちろんなれないけど。
  頼りにもならないし、全然新人で、何もできないけど。
  …だけど、さ。アタシは…」

 
 相変わらず、淡々とした、口ぶりなんだけど。
 吉澤さんの、声は。
 さっきより、なんだか温かく、感じて。


 「アタシは、ずっと後藤さんの側にいられるよ?」

 

 ・・・・・・

 ・・・



 間違いなく、そのコトバは。
 ごとーにとって、何よりも効く、会心の一撃!ッて感じで。
 そんな、意外な攻撃、卑怯だよ!…なんて。

 ううん、卑怯なんて、嘘だよ?




 だって、ごとーは



 「………っく、うう〜…
  …あり……っ、がとおっ……!!」





 めちゃくちゃ、うれしかったから。
 泣きたいくらい、うれしかったから。






163 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時37分13秒


 転がったハサミ。
 へっこんだ缶ジュース。
 ごとーの涙でくしゃくしゃの、真っ白なハンカチ。
 床に散らばった、吉澤さんの髪の毛。



 全部、全部。
 ごとーのこと、慰めて、あっためてくれる。
 
 『ごめんね?ごめんね?』


 謝るためのコトバは、ついに出てこなかったけど。
 吉澤さんは、そんなごとーの顔を、のぞきこんで。



 「…ね、帰ろう」



 固く握りしめた、ごとーの手を引いて。




 『吉澤さん、ありがとう』
 『ありがとう』
 『ごめんなさい』
 『ありがとう……』


 ごとーの手を引いて歩く、その真っ直ぐな背中を見ながら、何回も心の中で呟いて。
 がんばって、泣かないで、歩いて楽屋まで戻ったんだ。
 髪の毛の短くなった吉澤さんは、めちゃくちゃマネージャーさんやスタッフに怒られ
ちゃったけど、その度にごとーは吉澤さんのこと、かばって。


 あとで二人で、思いっきり大笑い、したんだよね。
 へへっ、なっちにも、ごとー怒られちゃったけど。










 
164 名前:ごとーのキモチ、その1  「メンバーから親友へ」 投稿日:2001年12月02日(日)01時42分06秒



 だから、ごとーの中で、よっすぃは特別なんだよ?

 いつの間にか、「吉澤さん」から「よっすぃ」に変わったのも、だからそれは
 自然なことで、
 ―――とても、自然なことで。



 だから、ねえよっすぃ〜?
 ごとーはね、よっすぃのこと、とても大事なんだよ。




 これは、まだごとーとよっすぃが、「メンバー」だったころの、話。




 ―――


 生きてゆく力が、その手にあるうちは
 笑わせてて?いつも、いつも。
 側にいて、欲しいよ。










165 名前:作者 投稿日:2001年12月02日(日)01時45分25秒

 はい、なんだか異端っぽいですね、今回の話は(W
 とりあえず、後藤が吉澤くんのことを特別視し始めたきっかけのようなものを
書いてみましたが…
 この時の吉澤くんの心境は、そのうち本編でちらっと書くかもしれませんが。
 
 次回は、やっと「よすぃの作戦開始」以降の、ごま視点です。
 前フリ長くて申し訳ないっす…(汗


166 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月02日(日)02時13分51秒
GO!GO!7188ですね、いい歌だぁ。。。
167 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月02日(日)02時16分28秒
よすぃとごっちん、馴れ初めから一気にすごいことになってたんスね。
なんか人間に懐かない野良猫の餌付けに体当たりで成功したって感じ(w
まぁよっすぃはそんな打算は全く頭にないんでしょうが。そんなトコもカコイイーです
後藤視点も(゚д゚)ウマー
168 名前:名無し 投稿日:2001年12月02日(日)16時32分26秒
後藤視点イイ!なんか読んでて感動しましたよ。よすぃーはこの時からごっちんのコトが好きだったんですね。 今回の話も、「歌」がキーワードなんでしょうか・・・本編の続きも期待!ですが、切ない後藤編も大好きです!!
169 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月02日(日)17時43分48秒
あっいつの間にか再開ですか!続きが楽しみです。
170 名前:作者 投稿日:2001年12月02日(日)21時37分40秒
 はい、後藤視点からの再活動ですが、早速レスをくれた方々、ありがとうございます!
 よかった〜、気付いてくれてる人がいて…(w

>>166 名無し読者さん
   ああっ、やっぱりいきなりバレましたね(ニガワラ
   ということは、きっとこの先の展開もバレてるかも…なんて。(いや、ちゃんとヒネりますよ〜!)

>>167  名無し読者さん
   野良猫後藤ですか…確かにぴったりな感じですね(w
   勢いで一気に書いてしまったので、アトから読み返すと確かにものすごい二人です。
   >吉澤&後藤コンビ!

>>168 名無しさん
   はい、ずばり今回も「歌」がポイントに…は、ならないかも(どっちやねん!)
   とにかく、作者の中でこの話の根底は「名もなき詩」なんですよね…
   まあ、軽〜い気持ちで読んでください(w

>>169 名無し読者さん
   はい、再開しました!(w
   気付いていただき、ありがとうございます!!

 と、レス返しをしたところで、後藤視点スタートです。


171 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)21時46分01秒


   きっと、この恋は 口に出すこともなく
   伝わることもなく、叶うこともなくて、
   …終わることもないでしょう。
   ただ小さい小さい、光になって、
   あたしの、この胸の、温度は下がらないでしょう――


 ――――




 それはまだ、ごとーが。
 よっすぃのことを、純粋に「親友」だと思ってた、
 そのころの、ハナシ。




 ………

 最近、よっすぃがなんだか、変なんだ。

 う〜ん、どこが変?なんて、聞かれても困っちゃうんだけどさ。
 もともと、モーニング娘。って、
 ある意味、変な子ばっかり、集まってるしね。


 でも、そういう「変」じゃ、ないんだよなあ…



 例えば、この間。

 楽屋で、ごとーが眠ってて、目を覚ましたらよっすぃがいて。
 そしたらよっすぃ、変にかしこまってて、顔は真っ赤だった。
 ごとーが話しかけても、真っ赤なまんまで、上の空。


 …あれって、なんだったんだろ?

 まだ、あるよ。


 例えば、この間。

 番組の企画で、「二人羽織」をやることになった時の、ことなんだけど。





  
172 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)21時52分32秒

 ・・・・・・

 ・・・


 「よっすぃ、あそこなんか、いいんじゃない?」
 「…えっ?」

 やっぱり、上の空。

 二人羽織の練習しよってんで、ごとーとよっすぃは、ペアだったから。
 誰もいないところで、練習しよって、話になって。
 (でも、考えてみると、このときからよっすぃは上の空だった…)


 ごとーはね、それで。
 結構キレイな、物置…みたいなところ、見つけて。
 ちょうどいいやって、その中に入ったんだ。


 よっすぃってば、やっぱり上の空で。
 しかもたまに、何だかぶつぶつ、言ってるし。


 (変なよっすぃ〜)
 (まあ、いいけど)


 特に、ごとーは気にも止めなかったけど。
 それで、その後ちょっとした……
 まあ、ちょっとした、コトが、あったんだよ、…ね。



 「いた〜いってばあ、よっすぃ〜」
 「大人しくしろ〜」
 なんて。
 二人で、羽織をかぶって、じゃれあってた。

 そしたら、
 こういう場面では、お約束。


 どてっっ



 って、二人して。
 くっついたまんま、床に倒れ込んじゃったんだあ。




  
173 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)21時57分10秒

 「いたたた…」

 ごとーの頭の上で、よっすぃの声がして。
 その時初めて、ごとーはよっすぃの下敷きになってることに、気がついた。


 座ったまんまの体勢から、転んだから。
 痛みなんて、大してなかったけど。

 ごとーの上に、覆い被さるようにして、よっすぃが乗っかってて。



 どきどきどき



 なんで、だろ?
 妙に、ミョ〜な、雰囲気になっちゃって。

 ………

 何か、ちょっとしたやり取りがあったのは、覚えてるけど。
 もう、ごとーは何を言ったのかも、言われたのかも、分からなくて。
 気が、ついたら。



 …ちゅっはあとはあと

 「―――ッ!?」



 気がついたら、よっすぃと、
 ……キス、
 をしてたんだ…。


 

174 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時04分07秒

 多分、そのとき、ごとーは。
 なんとか抵抗したと、思うんだけど…けど。


 がっちり、よっすぃに抑えられた腕は、抜けなくて。
 何か喋ろうにも、唇を、よっすぃに塞がれてて。
 カラダの上には、よっすぃがしっかり、覆い被さってて。


 ――――おっ、
 襲われてるっ!?
 ごとー、よっすぃに襲われてるよおっ!!



 めっちゃくちゃ、焦ったけど。
 口から出るのは、「…んっ…」っていう、うめき声、だけで。


 ばくっばくっ
 ばくっばくっ



 ごとーの心臓は、破裂寸前だ。
 よっすぃのキスは、なんだかすごく、うまくって。
 頑張って、口、閉じてたのに。
 いつの間にか、よっすぃの舌が、ごとーの中に入ってきてた。


 「……んんっ……」



 やっぱり、出せるのは、そんな、うめき声。
 なんだか、すごい、恥ずかしくって。どうしようもなく、ドキドキしてた。



 ……やばいよっ、これってディープキスだよおっ…


 頭の中に残ってる、ごとーの冷静な、キモチが。
 必死に警告音、鳴らしてる。




175 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時13分57秒

 ピピーッ、ピピーッ


 “警告、警告!
  ごとーさん、相手は親友ですよ〜、ふざけてやってるんですよ〜、
  本気になっちゃ、やばいですよ〜!!”



 分かってる、分かってるけど!
 頭の中の警告音は、警告こそ、してくれるけれど、この状況を何とかしてくれるわけじゃ、ないもの。


 「……やっ…」


 ようやく、よっすぃの口が離れたと、思ったら。
 今度は、よっすぃの手が、ごとーの胸元を、まさぐってきて。

 …やだ、やだっ


 抵抗しなきゃ、いけないのに。
 よっすぃのキスや、ごとーへの、愛撫…(っていうんだっけ?)は、すごく、上手くって。
 抵抗なんて、できない。

 カラダが、とろーって、溶けちゃいそうな、感じ。



 「ごっちん、感じてんじゃないのお?」…なんて。
 ふざけて、よっすぃが、言ったりするから。
 「感じてないっ!」なんて、強がり、言ったりして。




 
176 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時21分53秒


 だって、その一言で、気付いちゃうじゃない。
 ほら、やっぱり。

 よっすぃは、本気でやってるんじゃ、ないんだよ―――?

 けど、ごとーって、きっとカラダ、敏感なんだ。
 どんなに強がっても、警告音、鳴っても。


 カラダをつつむのは、とろけそーな、「気持ちよさ」なんだもん…




 
 もお、いっか、もいっか。
 頭の中で、「どうにでもなれー」って考えが、ぐるぐるし始める。
 …ううん、もう、ほとんど何も考えられなくなってるのかも、しれないね。


 
 だめだめ、相手は親友なんだよおっ
 ―――でも、気持ちいいんだもん… 
 だめだめ、相手はふざけてるんだよおっ
 ―――大丈夫、だもん

 ごとーも、ふざけて、相手、してるんだもん―――



 もう、いいや、もういいや、
 ごとーも、これは本気じゃないんだよ―――お互いに、「遊び」のひとつだよ。


 
 プルルルルルルルッ♪ プルルルルルルルッ♪♪


 そんなことを、考えていたら。
 不意に、携帯の音が、流れて。




177 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時30分28秒


 ―――っあ。

 ごとーの、溶けそうになってたキモチが、一気に目覚め始めた。
 そしたら同時に、この状況を、冷静に見る余裕ができて―――





 ……って、ごとー何やってんの!?

 
 ようやく、まともな感覚が、戻ってきて。

 プルルルルルルルッ♪ プルルルルルルルッ♪♪

 まだ、鳴り続けている携帯に、よっすぃが出るようすが、ないから。
 「はあーい、もしもしー」

 って、ごとーが代わりに、出てあげた。
 その時、電話の向こうにいたのが――――圭ちゃん、だったから。

 これほど、現実に引き戻してくれるのに適したメンバーは、他にいない!よね?
 そう、やっぱり。
 圭ちゃんに怒鳴られて、ごとーとよっすぃの、二人は。
  

 やっと、この「ミョ〜な雰囲気」に、気がついた。
 そしたら、さっきまで

 ……ふざけてやってることだから、いいか〜はあとはあと


 なんて、めっちゃ流されそうになってた自分が、
 おかしくて、
 おかしくて、

 …これはもう、本日最大のヒットです、後藤真希!!…って、感じで。

 
 「あはははははははっ!」



178 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時37分27秒


 大笑い、しちゃった。
 だって、だって、おっかしいんだも〜ん!!
 
 ごとー、勢いに任せて、親友とエッチなことしちゃうところ、だったんだよ!?
 あはあ、若気のイタリって、怖いなあ〜、なんて。



 …
 その時の、よっすぃの反応は、覚えてないけれど。
 きっと、ごとーと一緒になって、爆笑してたんだろうな…と、思う。

 だって、よっすぃからふざけて始めたことだもん、
 きっと、どこかで止めるつもりだったに、違いないし。
 …なのに、ごとー、本気になる、寸前で。


 ちょっとばかし、恥ずかしかったなあ……へへっ。


 その後の、二人羽織は、ぼろぼろだったけど。
 それも、今となっては笑いバナシ、だね?



 ・・・・・・

 ・・・


 そんなことがあったりも、して。
 
 なんだか、よっすぃが獣みたいだったんだあ、変だよね。
 でも、そんな「獣」よっすぃとは正反対に、めっちゃ「優しい」よっすぃのトキも、あったんだ。


 ・・・・・・

 ・・・



 
179 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時45分59秒

 目が覚めたら、ごとーは病院のベッドの、上。
 外は真っ暗、
 辺りは怖いくらい、シーンとしてて。


 一瞬、泣きそうなくらい、不安になった。そうしたら。

 「目、覚めた?」


 聞きなれた、トーンを抑えた、いつもの声が聞こえて。
 目を向けて、確認するまでもなく、そこにはよっすぃがいた。

 手、握ってくれてた。


 「ずっと、ここにいてくれたの?」って、ごとーがかすれ声で、何とかそう言ったら。

 「(ぎくっ)あっ、うん、ま、まあねっ」
 …なんでか、ちょっと焦った感じで、よっすぃは答えた。
 (やっぱり変だ、よっすぃは)
 (今、明らかに『ぎくっ』て顔、したよね?)



 それでね?
 このトキ、よっすぃには黙ってたけど、このときごとーは…
 なんだか、すっごいカラダの奥が、じーんとしてて。
 びりびりびりびり、カラダがしびれる、感じがしてて。


 なんだか、エッチな、気分で。
 (やっばいなー、ごとー、欲求不満、なのかなあ。
  このあいだのよっすぃとのコト、まだひきずってんのかなあ)



 
180 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時53分45秒

 自分が、どうしようもなく、エッチな人間に思えたりも、しちゃった。
 …ちょっと、恥ずかしい…あはは。



 でも、そんなこと、よりも。



 時計を探して、暗闇のなか、時間を確認した。
 午前、3時になるところだった。

 こんな、時間なのに。
 よっすぃ、ウチに、帰らなかったの?
 帰らないで、ずっとここに、いてくれたの?
 ずっと、手を握ってくれてたの?



 いつも、当たり前のように、そばにいてくれるよっすぃに。
 最近、ようすが変だけど、やっぱりよっすぃがよっすぃのままで、うれしくて。
 
 握った手が、ほわわって、あったかいのが、うれしくて。



 やっぱりよっすぃは特別だ。って。


 そう、思ったんだ。
 すごくすごく、思ったんだ。



 きっと。 

 ごとーは、エッチなよっすぃも、優しいよっすぃも、
 「変なよっすぃ」―――だけど、大好きなんだよ。
 (でも、あんまりエッチなことして、ごとーを本気にさせないでね?――――)



181 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月02日(日)22時59分05秒

 聞いてる?よっすぃ。


 ごとーはね、いつだって、よっすぃのこと、特別に思ってるんだよ。
 

 「メンバー」から「親友」に変わって、
 「いちーちゃん」よりも、いつの間にか長い付き合いになって、
 …気がつけば、いつも隣りにいてくれて。



 だから、ねえよっすぃ〜?
 ごとーはね、よっすぃのこと、すごく大事なんだよ。



 これは、ごとーがよっすぃを「親友」だと、思っていたころの、ハナシ。



 
 ―――――



   欲を言えばきりがないので、望みは言わないけれど。
   きっと、今のあたしには、あなた以上はいないでしょう―――?






182 名前:作者 投稿日:2001年12月02日(日)23時01分55秒

 一応、「ごとーのキモチ」編、その2の前半は終わりです。(後半もあります…長々と)。
 わずかに、本編の作戦その2、その3とリンクしてますが、作者もあまり内容を確認しない
で書いてるので、矛盾があってもご容赦ください(W



 
183 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月03日(月)00時13分37秒
はあ〜、感動しつつもちゃんと萌えポイントもあり(・∀・)イイ!
ところで、今回の「歌」は誰のなんて曲ですか?ムチでスマソ・・・
この話を読んでたら、聴いてみたくなりました(w
そして、前回はまんまと「名もなき詩」を引っ張り出して聴いていた自分・・・まんまと作者サンに乗せられてます(ニガワラ
184 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月03日(月)00時32分54秒
よっすぃ〜が上手いってことが確認できました!
そうかそうかフムフム。

凄い引き付けられる文章で、しかもコンスタント上に多めに更新されるので
うれしいです。
185 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月03日(月)01時03分04秒
今夜もまたたっぷり萌えさせてもらいました。御馳走様(w
ごっちん視点いいですねぇ。振り向かせるまでの吉澤君の奮闘を知ってるだけに
その間のごっちんの「気持ち」と変化がわかるのはなんかスンゴク儲けた感じがします(w

いやもう作者さんは神!(w
186 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月03日(月)07時24分51秒
「こいのうた」最高!!
作者さん最高!!もっとこの歌好きになるよ。
んで3もって、ごっちんかわいい!!
187 名前:名無し梨華 投稿日:2001年12月03日(月)23時00分16秒
メロメロ〜(w

ホントに作者さんの交信ペース&量はすばらしいですね。
見習わなきゃ(w

というかねぇ、何度もいうけどごまが・・・(悶)
188 名前:作者 投稿日:2001年12月04日(火)20時13分10秒
今夜も更新します!ま〜た長々と(多分)…
ちゃんとこの小説に付き合ってくれてる方々に、深く感謝の意を捧げます。

>>183 名無し読者さん
   すでに他の読者様からの答えが出ていますが(w)、GO!GO!7188というグループの
   「こいのうた」です。
   メロディもいいので、オススメですよ〜!(って何の宣伝をいてるんでしょうか、自分…)

>>184 名無し読者さん
   よっすぃは、上手いんです。愛があるから(ワラ
   更新の量が増えてしまうのは、けっきょく上手い具合にまとめられないんですよね、
   作者が。そして多分今夜もダラダラ更新(汗

>>185 名無し読者さん
   か、神っすか…(動揺)。やっぱり、すごい褒め言葉ですよね(照
   そのお褒めの言葉に恥じないように更新していければ…
   後藤視点はやっぱりなかなか想像しにくいんですが、頑張ります!

189 名前:作者 投稿日:2001年12月04日(火)20時17分20秒
>>186 名無し読者さん
   はい、「こいのうた」最高ですよねっ!作者も大好きです♪
   ただ、作者の中で能天気に位置付けてるはずの後藤視点が、なぜかいつも
   ややシリアス入ってしまうのは、この歌の影響かも…(w

>>187 名無し梨華さん
   待ち望んでいたハナシの続きが見れてうれしいです〜!!
   名無し梨華さんがエロをどんどん書いてくれないと、こっちのハナシでは
   エロにいけません!(こらっ)
   ごま、お気に入りのようですね。ああ、うれすぃ…


 というわけで、「ごとーのキモチ・その2」編は、今夜で終わり…そうです?







  
190 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)20時25分48秒



    きっとあなたには。
    急に恋しくなったり、ヤキモチを妬いたり、愛をたくさんくれて
    …愛を、あげたい人がいるから。ただ小さい、小さい光のような
    あたしの恋心には、気づかないでしょう――





 ―――――――――




 
  それはまだ、ごとーが。
  よっすぃのことを、純粋に「親友」だと。
  そう思ってたころの、ハナシ。






 「親友」だから、ケンカなんてしないと、思ってた。
 「親友」だから、いつも一緒にいられると、思ってた。
 「親友」だから、
 初めてできた「親友」だから、



 ごとーは。
 よっすぃのことが、すごく、すごく、大事です。
 絶対に。
 そのキモチだけは、変わらないと―――。



 思っていたのは、
 ごとーがまだ、まだ。子供だったから、なのかな。

 この間、ごとーは、なぜか。
 「親友」のハズのよっすぃに、なぜか「どきどき」しちゃって。
 そしてついこの間、ごとーは、なぜか。


 「親友」のハズのよっすぃに、ヤキモチなんて、妬いたんだ…。







    
191 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)20時32分05秒

 よく、晴れた平日。
 モーニング娘。は、地方公演のため、とある旅館にやってきた…その日。


 そのモーニングにはめずらしく、その旅館は1人部屋ではなくって、
 大部屋に、4,5人ずつ、泊まったんだ。
 ごとーは、よっすぃ、梨華ちゃん、辻、加護の、
 比較的、仲のいい、メンバーたちだったから。


 ふつーに、うれしかったんだよ?
 なのに、よっすぃってば。

 むっす〜とした、顔しちゃって。
 ごとーはその態度が、ちょっとだけ、不満。


 だって、だって。
 一緒の部屋なのに、うれしくないのかな?って。
 
 修学旅行みたいで、楽しそうじゃん!って。
 ろくに学校行ってなかったごとーは、そう思ったんだ。



 …
 最近のよっすぃは、なんだかお天気やさんでね?
 ぶすっとしてたら、いきなりニヤニヤしてたり。
 
 いきなりじーって人の顔みてきたと思ったら、
 ばって、目逸らしたり。



 なっちが、
 「よっすぃって最近、挙動不審だよねー」なんて、言ってきたから。
 ごとーは初めて、

 “挙動不審”って言葉の意味を、知りました。アハッ




192 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)20時38分44秒

 でも、よっすぃはね。
 ごとーが抱きついたり、手、握ったりすると。
 ぱあーって、明るい顔になるの、知ってるから。

 
 …へへっ、ごとーって、よっすぃの栄養剤?


 人に、それも、大事な大事な親友に。
 そうやって、頼りにされてるって、うれしいんだよなあ。
 特にごとーって、頼りにされること、あんまりないからさ。
 (みんな、「見かけは大人っぽい」とは、連発するものの……)



 だから、この日も。
 ごとーはずいぶん、サービス連発!してね?
 抱きついたり、腕組んだり。

 お風呂場(なんと、温泉!)では、
 ちゅーはあとはあとの、大サービス!までしちゃったあ。ははっ



 でも、その後。
 よっすぃは、絶対喜んでくれると思ったのに。
 やあーっぱり、「お天気やさん、よっすぃ〜」は、ね。


 ぼーっとして、ごとーの顔、見てるだけで。



 …いや。
 嫌だ。つまんない。こんな、反応。






 大事な人に、去られるってをしたのは、1度じゃない。
 ごとーは、わがままだけど。
 自分が、期待したとおりの反応を、相手がしてくれないと。


 めちゃめちゃ、不安になっちゃうんだ。
193 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)20時45分02秒



 不安にまかせて、抱きついた、その後は。
 
 ………
 この間の物置の事件(!)よろしく、またもやミョ〜な雰囲気になる、ごとーとよっすぃ。

 
 

 よっすぃが、すっごい真剣な顔で。
 もともと、超美形なよっすぃがそゆ顔すると、なんだか、ごとーは。

 どきどき、
 どきどき、



 ……って、ごとーはまた、何を期待してるのおっ!?



 ゆっくり近づいてくるよっすぃの顔、見ながら。
 
 焦ってる自分と、
 それを拒もうとは思わない、自分に気がついて。



 ………

 結局、その後は。
 よっすぃ、のぼせて、お湯の中に倒れちゃって。

 …ごとーは、またもや自分の勘違いに、赤面……



 やーだー、よっすぃってば、のぼせてごとーの方に倒れ掛かってきただけなんじゃん!!
 それなのに、ごとーってば、
 どきどき、しちゃったよお〜っ!!




 だから、ごとーは。
 自分の気持ちがちゃんと分かってるって、自信が…はっきり言って、ないんだよねえ?

 どーして、どーして。
 こんなに、よっすぃの行動、全部に、
 敏感に、反応しちゃうんだろ……






194 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)20時56分20秒

 もっと、自分のキモチが分からなくなったのは、その夜。



 ごとーは、よっすぃとは布団、ちょっと離れて。
(ちょっと、寂しかったなあ…修学旅行みたく、枕並べて、おしゃべりしたかったんだ)


 でも、「ごっちんの隣りがいい〜」って、くっついてくるちびっこ2人が、
 なんだかすっごい、かわいかったから。
 (だってごとーに懐いてくる年下のコなんて、滅多にいない…と思う)



 だから、ごとーは、全然、不満なんてなかったんだよ。
 だから、夜になったら、すぐに寝ちゃったんだよ。
 …だけど。




 ぼやーっとした、頭で。トイレに行って。
 …ああ、寒いな〜って、ぼんやり思った、ような気はする。

 布団のぬくもりが、恋しくって。
 どさって倒れこんだ布団は、すんごいキモチよかったんだ〜♪


 で、その後は。
 そっこーで、寝入っちゃった(と思うんだよね…覚えてないから)んだけども。


 
 ふっと、何か、感じて。
 ふっと、目を、開けた。
 ごとーは。


 

 『………よっすぃ〜!?』



195 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時03分37秒

 
 いつの間にか、ごとーは、よっすぃに組み敷かれてて。
 ごとー顔の、すぐ近くに。
 よっすぃの、超美形な顔が、すぐ近くに、あって。



 ―――――

 ―――――っええええっっ!!??



 もうそこで、ごとーの思考回路はパニック寸前!
 なんなの、
 なんなの?
 こ、この状況はナニ!?


 動揺しまくるごとーに、よっすぃの、抑えた声。
 それは、ごとーに対する、決定打。

 「…ごっちんの方から、布団に入ってきたんだよお?」



 …がっつーん!って、大ショック。

 ごとーからっ、ごとーからっ!?
 最近、そんなに欲求不満だったってこと?

 
 もう、すでに。
 「ごっちんから誘ってきたんだよー」なんて言葉も、耳に入ってはくるけど、反応できなくって。

 ただでさえ、最近。
 『親友』に対して、変なキモチ、ときどき感じちゃう自分が、怖いのに。

 “ふざけてるよっすぃの、
  ふざけてる行動”
 ―――に、どきどきしないよう、抑えてる自分が、ちょっと情けなく思ったり、してるのに。

 
 なのに。
 なのに。
 ごとーから、誘ったってさ…ああ〜ん!!





 
196 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時10分13秒

 
 冗談だって分かってるのに…ちゃんと抵抗できない自分が、かっこ悪く感じる。
 親友だって思ってるのに…どうしても、雰囲気に流されちゃう自分が、

 とても、恥ずかしいんだ。



 だけど。
 相変わらず、よっすぃのキスは、優しくって。
 なんだか、

 い〜っぱい、愛をもらってる、気分になっちゃうんだよ?
 

 …それに。
 よっすぃの長い、細い指は。
 ちゃんと、ごとーのカラダ、分かってるみたく、
 あっちこっち、触ってくるんだけど。


 「……っや…ぁ…っんん…」



 ―――ああん、また!
 意識してるつもりはないのに、あんまりよっすぃが、上手だから。

 ごとー、すんごい感じた声、出しちゃって。(実際感じてるから恥ずかしい…)



 ……
 そしたら、
 よっすぃ、ごとーの声で、余計加熱しちゃったみたいで、


 …ぐいっ



 って、
 ごとーの太もも、抑えて。
 思いっきり、足、開かれた――――










197 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時16分24秒


 「…やっ…」
  

 ―――ええっ?
 う、嘘でしょぉ!?よっすぃ〜!!


 さすがに、この体勢は、めっちゃ焦って、恥ずかしくって。
 必死になってごとーは足、閉じようとしたけど。

 細い腕なのに、よっすぃは意外と力、強くって。



 …それとも。
 やっぱりごとーは、心のどこかで…
 「よっすぃとなら、いい」って、思ってたのかも、しれない。



 ピピ―ッて、この間のような、警告音が頭の隅で、鳴っていたけど。
 もう、いいや…って。

 …「親友と」


 もう、いいや。
 相手は、よっすぃだもん。


 …「そーゆー関係になっちゃってもいいの?」



 ――――いいよ、ごとーは、よっすぃのコト…


 
 おっきな怖さと。
 おっきな期待。
 矛盾する、二つのキモチを抱えて、ごとーは覚悟を決めました!

 ―――よっすぃ、冗談の延長でもいいからね…ごとーは。




 そう、思って、いたのに。




 ………


 「いってええええええええッッッ!!!!!」





 ………
 聞こえたのは、絶叫する声。
 見えたのは、のたうち回る、よっすぃの姿…で。





198 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時22分47秒

 「よ、よっすぃ…?」


 一瞬あっけに取られて、ごとーは。
 のたうち回るよっすぃに、目をむけたら…よっすぃは。

 後頭部を抑えて、なんだか涙目になってるように、見えて。
 その、肩越しに。
 ほっそーい、足首が、見えた。

 
 (…梨華ちゃん!?)



 そんな足首の持ち主、娘。内において、1人しかいないのは明白で。
 …しかも、この部屋のメンバー構成を考えれば、それは考えなくても…

 そして、
 当の梨華ちゃんは。

 「う、ううん…」って。


 あわああああわああああああああっ、お、お、起きちゃうっっ!?


 口にこそ、出さないけど。
 多分、表情もそんなに変化はなかったと、思うけれど。(だからよく、クールだなんんて言われるんだ)


 ごとーは内心、めちゃくちゃ、冷や汗で。
 どうしようっどうしようっって、
 あんまり良くない頭で考えて、いたら。


 『―――ごっちん、ごめんっ』

 よっすぃの、囁くような声が聞こえて。
 「!?」 
 一瞬にしてごとーの視界は、もともと暗かったのが、一気に真っ暗になって。
 布団、被せられたのが、分かった。







199 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時29分03秒

 ばっくばっく


 口から心臓が飛び出そうなくらい、緊張して。
 ごとーは、よっすぃがどうやって切り抜けるんだろう、なんて考えながら、
 布団の中で、じーっとしてた。



 「いやっは――起こしてゴメンねハニ――はあとはあと
 ……


 布団ごしに聞こえてきたのは、よっすぃのそんな陽気な声。


 ……

 ぴりっ…て。

 ごとーの中で、何かが、走って。
 なんだか、さっきまでミョ〜に興奮してたのが、嘘みたいに。

 一気に、ごとーの心の中は、ずしって。
 石でも、入ってるみたいに、ずしって。
 重く、なって。
 その後の、よっすぃと梨華ちゃんのやり取りは、
 
 …全然、頭に入ってはこなかったんだ。





 ―――ナニ、期待してたんだろ?
 冗談だって、ふざけてるんだって、分かってたはずなのに。
 分かってたから、自分でブレーキかければ、良かったはずなのに。


 
 よっすぃと、そういう雰囲気になった後は決まって訪れる、この後悔。
 そんな自分に対する、激しい嫌悪感。
 だけど。

 そんなキモチ、どうしていいか、分からないから。
 ごとーは、よっすぃに八つ当たり、しちゃった。




200 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時45分43秒

 
  興奮してたから、その時は。
  よっすぃに何、言ったかなんて、覚えてないけど。


 このトキ、ごとーが抱いていたキモチの正体は、きっと。
 分かっていないフリなんてしても、分かっちゃうから―――これは。

 『嫉妬』


 梨華ちゃんに、対してだけじゃない、
 ごとーは…よっすぃに、1番に見られなかったことが、嫌だったんだ。

 特別に、思われたかったんだ。


 だから、これは…「嫉妬」。
 




 「親友」じゃなきゃ。
 よっすぃに対して、変なキモチを抱いたりするのは、絶対ダメ!!


 何度も。
 何度も、言い聞かせてきたその言葉。


 「いちーちゃん」の時みたいな、辛い思いをするのは、もう嫌だよ―――?
 あの時、みたいに。
 ごとーのコト、カラダ張って、救ってくれる人なんて、もういないんだよ?



 
201 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時50分24秒

 
 色々、考えちゃってるうちに、朝はきたけど。
 ごとーは、どうやってよっすぃと接したらいいか、なんて分からなかった。
 よっすぃも、話し掛けて、こなかったし。


 だから。
 ごとーはいっつも、よっすぃから行動起こしてくれなきゃ、何もできないって。
 今さらながら、気づいて。


 どうしても、どうしても、
 ごとーは、よっすぃがいなきゃ、何もできない?―――なんて。
 
 そんなのは、絶対に、嫌だ!!



 あの時―――「いちーちゃん」が卒業した、アト。
 突っ張ってたごとーに、接してきてくれたのは、よっすぃからだったね?


 だから、今度は。
 ごとーから、よっすぃに――――話し掛けよう!!
 それで、ちゃんと、仲直り、しようっ!

 
 そして―――そして。
 前みたいな、ちゃんとした「親友」の関係に、戻ろうね?




 ………


 よっすぃは、ごとーに対して、いつも優しいんだ。
 だから、わがまま言っても、泣いても、喚いても、
 

 きっと、いつもの笑顔で、優しく抱きしめてくれて。包んでくれて。
 そしてたまには、エッチなコトしたり、―――いつものように、ふざけて。





202 名前:ごとーのキモチ、その2 「親友以上、恋人未満?」 投稿日:2001年12月04日(火)21時58分38秒


 だから、こうやって。
 ごとーが勝手に怒って、困らせて。
 いつも、よっすぃのこと、振り回してばっかりだけど。


 
 本当は、ね?


 ごとーだって、「お天気やさん」な、よっすぃに。
 散々、振り回されて、いるんだよ?

 

 だって。
 嫉妬するくらい、よっすぃのこと、大事な『親友』だって、思ってるんだから。



 それはちょっと、ごとーの一方的な思いかもしれなくって、
 それはちょっと、悔しいんだけど。


 ごとーはね?よっすぃといると、安心するんだ。
 一緒に、いたいんだ。
 この場所を、失いたくないんだ――――だから。


 だから、神様?お願いします。

 あたしを――――後藤真希を。ずっと――――

 ずうっと、よっすぃの親友で、いさせてください。






 これはまだ、ごとーが。
 よっすぃのことを…ちょっとだけ?
 意識…し始めたころの、ハナシ。






 ―



   でも、そんなあなただからこそ、輝いて見えるのだから。
   きっと、今のあたしにはあなた以上は、いないでしょう―――?










203 名前:作者 投稿日:2001年12月04日(火)22時01分54秒

 いちおう、「親友以上、恋人未満?」編は、終了です。
 後藤視点は難しくって…予想以上に、心の中を表現するのが難しいです(汗

 ちゃんと、気持ちが変わってってるのか〜って、本当に分かりにくい…
 反省しつつ、次回の更新に備えます。ごめんなさい。

204 名前:名無し梨華 投稿日:2001年12月04日(火)22時21分12秒
またしてもリアルタイムでした(w

そうですね、ごまは書きやすい反面、書きにくいですね。
何言ってんだろ、俺(w

よしこみたいにストレート丸出しならいいんだけど(w

でもごまの気持ちは伝わってますよ。
次もがんばってくださいね。
205 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月05日(水)04時35分53秒
吉澤視点を思いだしつつ、後藤視点を読むと面白いですね〜。
後藤視点だけでも面白いのですが、更に深みが増すと言ったらいいんでしょうか…

未遂&微妙な勘違い(思い違い)のバランスがいいなぁと感じました。

次回のお話も楽しみに待ってます。
206 名前:名無し毒者 投稿日:2001年12月05日(水)07時40分11秒
やっぱイイ!朝から萌え〜ですよ! ビバよしごま!作者サン最高・・・ そっかあ、ごまも色々考えてたのか。ほんと文章がきれいで引き込まれますね。続き期待です!
207 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月06日(木)16時28分32秒
> たまには、エッチなコトしたり、―――

ヲイヲイ、ごとーさん!「親友」なのにスッカリ獣にメロメロなんじゃん!(爆)
ってなツッコミは無しっすか?(w
こんなにものすごく大事によっすぃのこと想ってただなんて、
ごまがあまりに健気でなんだか切ないッス。両想いなのにもかかわらず・・・。ケナゲー。

次は「仲直り編」ですね。個人的に一番好きな話だったもんでちょっと期待してます。
208 名前:作者 投稿日:2001年12月06日(木)22時54分15秒

 そろそろ、この後藤視点にも決着がつきそうです。
 番外編にも付き合ってくれてるみなさん、レス、本当にうれしいです!!

>>204 名無し梨華さん
   いやはや、本当にリアルタイム多いですね(w
   もしや、更新する時間をめちゃ読まれている!?(というより、作者の更新スピードが
  遅いだけなんですけど…)
   そうなんですよー、ごまは第三者視点は楽なんですけどね…(ニガワラ

>>205 名無し読者さん
   思い違いまくりな二人です(w
   ただ、作者的に、前の話、しっかり詳細を覚えてるわけではないので、
   書きながら「あれ〜?」と思うことも…(ヲイ!!
   あと1,2回、後藤視点にお付き合いください。

209 名前:作者 投稿日:2001年12月06日(木)22時55分32秒

>>206 名無し毒者さん
   ごま、色々考えてました。…でも、やっぱり表情には出ないんです(w
   んでもって、作者ももちろんビバ!よしごま♪♪
   
>>207 名無し読者さん
   ごまは、かなり気ままな面もあり、健気な面もあり、非常に書くのに苦労します。。。
   そうなんです、なんだかなんだ言って、ごとーさんスッカリ狼。よしこにメロメロ〜
   なんです!!ただ、意地っぱりなんで(w
   …仲直り編は飛ばしちゃおうかと思ってたんですが…(汗)、
   一番好きな話だったと言われると…書いちゃいます!!

  今夜は短編で。「仲直り」ごま視点です。
  かなり突発で書くので、あらかじめご了承ください(w

210 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時02分47秒


 謝るわけじゃない。
 だって、ケンカしたわけじゃ、ないもの。


 だけど、これは、「仲直り」。



 ねえ、よっすぃ?
 ごとーはワガママだけど、よっすぃのコトが大事だから。
 大事な親友、失いたくないから。

 だから、ずっと、ごとーのことを。


 特別に、見ていてね?



 ―――――


 ごとーがそう言ったら、よっすぃは。
 ちょっと、複雑そうな顔で、笑った。

 きっと、こんなごとーにあきれてるのかも、しれないね。
 だけど、ね?
 そんなごとーに対しても、よっすぃは、絶対に。
 優しいんだって、知ってるから。


 だから、ごとーは、よっすぃに対して、だけは。

 めいっぱい甘えて、ワガママ言って、いっぱいいっぱいくっついて。
 それは全部、よっすぃがごとーにとって、
 「特別」だから。


 ―――だから、
 こんなごとーの行動、許してね?――――










211 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時11分04秒


 ―――『今日は1日、オフもらっちゃいましたあ――!!』


 弾んだ、そんなカオリの声を。
 ごとーは、漬物をつっつきながら、ぼんやりと聞いてた。
 (いつもぼんやりしてるなんて、言わないでよっ!)


 ふ〜ん、オフかあ…


 真っ先に喜び始めたのは、なっちとやぐっつぁん。
 二人で「遊園地行こうー!」、なんて言ってはしゃいでた。

 圭ちゃんとカオリが、買い物行こう、なんて言ってて、
 梨華ちゃんが「石川もー」って言って、なんとか圭ちゃんにくっついて行こうとしてた。

 新メンの小川ちゃん、紺野、新垣も、どこ行こっかーなんて、話してて。
 こんな時ごとーは、やっぱり「同期」の仲を、うらやましく思ってた。



 そして、ごとーは。



 「「ごっちんごっちん!遊園地、あたしたちも行きたーい!」」

 目をキラキラさせて、辻と加護の二人が言って。
 その手はしっかり、愛ちゃんの手を握っていた。
 (すっかり、二人のいいオモチャなんだ。いい意味で、だけど)



 
212 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時18分28秒


 あー、そう、ごとーもすっかり、保護者やるようなポジションになったんだなあ。
 いちーちゃん、信じられる?
 ごとーが、お姉さん扱い、されてるんだよ?


 断る理由なんて、なかった。
 昨日の夜から気まずいよっすぃとは、一言もしゃべっていなかったから。




 よっすぃが隣りにいなきゃ、ごとーってこんなに無口だったんだ。
 一応、笑顔で三人に「いいよー」って頷いたあと、ごとーは。
 やっぱり、よっすぃの様子が、気になって。


 …さっき。
 よっすぃは、隣りに座ってるなっちと、二言、三言。
 何か、言葉を交わしていて。



 …何、話してるんだろう?

 
 気になっちゃって。
 よっすぃには、ごとーのコトだけ、気にしていてほしいから。

 なのに、目が合ったら、速攻で逸らしたりして。



 もう、こんな自分がいやだ。
 どうして、こんなに意地っぱりなんだろう?


 気にしていてほしいのに、特別に思っていてほしいのに。
 意識されてるって感じると、なんだか急に、怖くなる。
 理由?――――分からない、けれど。



 
213 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時24分21秒


 ごとーは、誰かと。
 真っ直ぐに、心が伝わる経験なんて、ないから。
 だから、気持ちが通じ合いそうになると、怖くって、怖くなって。

 

 …自分から、その「糸」を切ってしまうかも、しれないんだよ。
 



 …だから。
 よっすぃとの距離は、『親友』でいるのが、1番なんだ。
 きっと、そうなんだ。



 言い聞かせるのは、難しいことじゃないけれど。
 それを行動に移すのは、難しいことで。

 とても、難しいことで。



 『よっすぃも一緒に遊園地行こー』

 ちびッ子達が、よっすぃに話しかけるのを、ごとーは1番離れて、聞いていた。
 顔を上げられなかった。
 
 昨日のことが、尾を引きずっていて?
 それとも、よっすぃのことを、意識して?

 多分それは、両方なんだけど。



 話しかけたいのに、できなくて。
 よっすぃは怒ってるんじゃないか?とか、
 きっと、もうごとーのことなんて嫌いになっちゃってるんじゃないか?とか。


 だって、昨日の夜、ごとーは。
 興奮して、よっすぃに何言ったのか、なんて覚えてなかったから。



 
214 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時29分25秒


 …もし、盛大にひどいこと言っていたとして。
 
 …よっすぃを、傷つけるようなことを、言っていたとして。



 よっすぃが、ごとーのコトを、それでも「親友」だと思ってくれている、
 そんな確証なんて、持てない。

 だから、何かを話しかけるのが、怖くて。
 ごとーはずっと、ソワソワソワソワ、しながら。
 遂に、一言もしゃべらず。
 よっすぃと、視線を合わせることもなく。




 ・・・・・・・・・


 ・・・・・



   チャッチャラララ〜♪
   チャリラリラ〜♪♪

 「見て見て〜!!あそこ、ジェットコースター!!」
 「辻は〜、コーヒーカップに乗りたい〜!!」



 気がついたら、遊園地に着いてた。
 はしゃぎ回る辻加護を見ながら、ニコニコと楽しそうに、笑みを浮かべて。
 愛ちゃんが、ごとーの腕を取っていた。



 もちろん、よっすぃは隣りにいない。




215 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時34分15秒


 遊園地にいるのなんて、ほんの数時間のことじゃない?
 永遠に別れてるわけじゃ、ないじゃない?

 
 …ほら、辻加護、愛ちゃんだって、あんなに楽しそうだよ?
 今日は、久しぶりのオフ、なんだから。
 そう、分かってる?



 ―――分かってた。


 楽しい空間、楽しい時間。
 楽しんで当たり前の、この状況なのにも、かかわらず。
 ごとーが浮かべているのは、

 
 『つくり笑い』だ―――それも、あんまり、上手くない。



 今まで、一緒にいるのが当たり前すぎて
 …ううん、よっすぃが。
 ごとーのそばに、いてくれたんでしょう?



 ―――分かってた。



 だから、こんなに楽しいはずの、状況なのに。
 ―――じわって、涙が。
 浮かびそうに、なるんだよ。




216 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時41分44秒


 「ごとーさん?」



 心配そうな、声。
 ごとーの腕を取っていた愛ちゃんが、心配そうな顔して。
 じいっと、顔を覗き込んでいて。


 気がついたら、さっきまで。
 はしゃぎまわっていたはずの、辻や加護まで、近寄ってきていて。


 「…ごとうしゃん」

 (あははっ、辻ぃ、また『ごとうさん』になってるよ?
  いつもはごっちんって、呼んでるのにね。こういうときは、素が出るんだ)


 「…どうしたんですかぁ」

 (加護まで、泣きそうになって。敬語に、なってるし)



 ……

 心配かけちゃ、いけない。
 こんな年下の、後輩たちに―――ごとーのカワイイ、「妹たち」に。



 「…ごめんね?ごとーさあ、朝からなんだか調子、悪くって。
  さき帰ってるから、三人で楽しんできて」


 気づかれないように、そっと涙をぬぐって。
 ごとーは、精一杯の笑顔を浮かべて、がんばって言った。


 (…ホントにごめんね、こんな、情けないセンパイで)



 くるっと、三人に背を向けて。
 ごとーは、旅館へと、向かった。


 目的なんて、一個しかないよ。
 ――――よっすぃに、逢うこと。



217 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時45分51秒


 具合悪い、なんて言いながら、思いっきり走ってる自分の嘘の下手さ加減に。
 思わず、笑いすら浮かんできちゃって。


 加護なんかは、あれで割と鋭いとこ、あるから。
 きっと、もうごとーの嘘には気づいてるのかも、しれないけどね?
 けど、
 そんなこと、今はもうたいした問題じゃ、ないんだ。


 ごとーはね、きっと。
 考えるよりも先に、体が動くタイプだから。(よっすぃも多分、一緒だ)


 だから、旅館に帰って、よっすぃに逢って。
 何を話すのか、なんて考えてなくて。
 それでも。



 旅館は、逃げない。
 そして、そこにいるよっすぃも―――。




 ……



 「…って、寝てるし」




218 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時52分04秒


 勢いに任せてここまできちゃったのは、いいけれど。
 何を話そう?とか、
 どういう態度とればいい?とか、

 それなりに、考えることは、あったんだけど―――




 当のよっすぃは、布団にうずくまるようにして、寝ていて。
 (な〜んだ)

 告白でもするかってくらいの、勢いが、どんどんカラダから抜けていく。



 だけどそれが、いつものごとーなんだ。
 力、入ってないくらいの感じが、いつものごとーなんだ。



 だから、気持ちは不思議に落ち着いていて。
 よっすぃが起きてからも、落ち着いていて。



 ―――「まるでオヤジだね、よっすぃ」



 なんだ、普通に、話せるじゃん?
 色々考えてたのが、バカみたいだ。


 よっすぃは、さすがに。
 「遊園地に行っていたはずの」ごとーが、ここにいることに驚いてた、みたいで。
 なんだか、ぎこちない態度だったけど。



 でも、ごとーはね?
 さっきのよっすぃの、寝顔―――

 子供みたいな寝顔、見てたら。



 ああ、大丈夫だって。ごとーは、大丈夫だって、思ったんだ。
 …よく、分からないけどね。へへへっ





219 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月06日(木)23時58分03秒


 ―――「はじめて出来た、親友なんだからあ―――」



 ねえ、よっすぃ?
 よっすぃのこと、親友だって思ってるのは、ごとーだけなの?
 いつも、
 ごとーがよっすぃのこと、「親友」だって言うと、なんでそんな、
 
 …複雑そうに、笑うの?




 ヤメて、ヤメてよ。
 不安に、なるから―――――だから



 ―――「ごとーのこと、特別に思っててね?」



 言うつもりは、なかったけど。
 ねえ、よっすぃ。そんな態度、したら。
 不安になって、どうしようもなく、不安になって。


 つい、言っちゃったよ…。

 これは、全部。
 よっすぃのせいなんだからね?




 よっすぃに、抱きついたら。
 ふわって、あったかくって、気持ちよくって。
 抱きしめ返してくれる、その両腕が、とてもうれしくって。






 
220 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月07日(金)00時06分17秒


 そして、よっすぃはこう言ってくれたんだ。
 その腕で、ごとーのコト、抱きしめたまんま。


 『後藤真希は、吉澤ひとみの中で。  
  世界でいっちば―――ん、特別な存在だからねっ!!』




 …世界で、1番。



 もしかしたら、それは。
 また、ごとーの機嫌を損ねないようにしなきゃっていう、よっすぃの気遣い…
 かも、しれないけど。


 だけど、ごとーは、信じるよ。
 ねえ、信じちゃって、いいでしょ?―――せめて。


 この腕のぬくもりが、消えないうち、くらいは。
 もうちょっと、
 もうちょっと、


 よっすぃに包まれた、幸せな感覚、ひたっていたいなあ。
 ね?よっすぃ〜。
 ごとーは、ワガママだけど。





 …「これで、仲直り、だね」




 いつものように、また。
 ふざけ合う、笑い合う、『親友』でいようね?
 やっぱりごとーは、1人じゃダメなんだって、分かっちゃったもん。






221 名前:ごとーのキモチ、その2の続き 「だから、仲直り」 投稿日:2001年12月07日(金)00時11分41秒


 だから。
 二人で、いてね。


 そばに、いてね?
 ごとーは最近、すごく、思うんだ。
 いちーちゃんが卒業した直後から、ずうっと。
 それは、思っていた、ことなんだけど。






 …ごとーはね、よっすぃと、
 …出会えてよかったな―――――







 ――「でも、エッチなことはしちゃダメだからね」
 ――「…はい」



 
 だって、これ以上よっすぃに。
 ハマッていくのは、怖いから――――


 お願い、よっすぃ。
 あんまり、ごとーを本気にさせるようなこと、しないでね?
 ワガママで、乗せられやすいごとーは。



 すごく、単純にできてるんだから。
 すぐ、よっすぃのこと、意識しちゃうよ?
 ――――あんまり、ごとーのこと、悩ませないでね。






222 名前:作者 投稿日:2001年12月07日(金)00時16分19秒


 あ〜、なんて乙女ちっくな後藤!!(w
 >>207さん、楽しみにしていてくださったのに、こんな内容でホント申し訳ないっす(滝汗
 本当は、この「その2の続き」は、書く予定はなかったもので…(言い訳)

 次回で、今度こそちゃんと「ごとーのキモチ その3」に入ります。
 後藤視点の番外編、その3で終わる予定ですので…終わらせられれば。
 とりあえず、読んでいただければうれしいです。。。
 
 
223 名前:名無し梨華 投稿日:2001年12月07日(金)00時19分58秒
いえい、またしてもリアル(略

なんざんしょ、PC立ち上げて、ここにきたら交信してたわけで。
やっぱり僕はこの作品の中毒なんだな、と思ったわけで。

とどのつまりやっぱり作者さん最高、と(w
ていうかやっぱりごまえっちな事好きなんじゃん!(w

続き、楽しみにしてま〜す♪
224 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月07日(金)00時26分35秒
その3で終っちゃうんですか。
何か吉澤視点の時の最終回の気分になってきました。
続きは読みたいけど終って欲しくない。
つらいです。
225 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月07日(金)00時50分37秒
後藤かわいすぎる・・・
226 名前:183です 投稿日:2001年12月07日(金)14時42分58秒
元ネタ(?)の「こいのうた」聴きました! いやーイイ!!イイ曲! もうすぐ後藤視点も終わっちゃうみたいなんですが、もっと読みたいです。
227 名前:207 投稿日:2001年12月07日(金)18時00分04秒
意地っぱりなごま、いったん心開いたらなんか凄そう(w
続編楽しみだなぁ…
しかし不器用を絵に書いたような子ですね。答えは単純なのに…
仲直り編の後藤さんのチョイ混乱気味のリアクションがすんごく気になってたんで嬉しいです。後藤視点で一番見たかったお話でした。こんな葛藤が…ムフフ。

やーもぉ、むしろ作者さん萌へ(笑)
ありがとーでした。
228 名前:作者 投稿日:2001年12月08日(土)11時52分21秒
いよいよ、ラストスパートです!
いただいたレスを元気の源に、がんばらせていただきます!!

>>223 名無し梨華さん
   ふふふふ、またもリアルタ(略
   毎回、読んでいただけて、めちゃめちゃうれしいですよ〜!!
   なので、名無し梨華さんはばっちり気づかれていましたね、
   そうです、ごまはむっつりです!(w

>>224 名無し読者さん
   終わってほしくない、というくらい思い入れをもっていただいて、
   本当に感謝します!!
   自分的にも、思ったより更新が早かったんで、終わるの早かったですね…
   本編の「吉澤奮闘編」なんか1ヶ月でしたし(w)。まあ、最後までがんばりますよ!


 
229 名前:作者 投稿日:2001年12月08日(土)11時59分45秒
>>225 名無し読者さん
   そうっすか、後藤かわいいっすか!?
   そういう風に思ってもらえて、ごまもきっとうれしいはず!(´Д`)<アリガトー

>>226 183ですさん
   聞いてもらえましたか!!そんでもって気に入ってもらえましたか!!
   良かった良かったーって別に作者の歌ではないですが(w
   後藤視点もうすぐ終わりですが、最後までどうぞお付き合いください…

>>227 207さん
   仲直り編、オッケーでしたか!?はああ〜(安堵の溜息)
   しかし、作者萌え〜は危険です!かなり危険です!!(w
   さて、意地っ張りごまですが、ラスト「いちーちゃん」の登場で(以下略


 それでは、「後藤視点」のラストに入ります。
 そろそろスレがいっぱいになりそうな予感……
 
 
230 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時09分57秒

 
    教えてください、神様。
    あの人は、何を見てる?
    何を考え、誰を愛し
    ………誰のために、傷つくの?




 ――――――




 これは、今よりほんの少し、前。
 ごとーが、よっすぃのことを……







 親友を、好きになったことはある?
 女の子を、好きになったことはある?
 そして。

「親友」に告白されたことは、ありますか―――?



 ごとーは。
 全部、あるんだあ…あはは。
 でも、それは、それは…ね?


 とても、大きなことで、とても、重いことで。
 自分が、人より不器用で、感情表現が上手くないってことは、ちゃんと自覚してるよ。


 やっぱり、だから。
 ごとーは、どれに対しても。
 本当に、素直に、気持ちを伝えることも。
 答えることも、できなかった。 




 だって――――だって。
 器用じゃない、ごとーは。
 どうやったら、自分のこの、気持ちが。


 相手にちゃんと、伝わるのかどうか、分からなかったんだもん。













 
231 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時18分20秒

 自分が。
 大事な「親友」であるはずの、よっすぃを意識しているっていうことには、すぐに気づいた。

 そして、よっすぃが。
 ごとーのこと、好きなのかなあ?って、感じ始めたのは、そのもう少し後だった。




 よっすぃはね。
 色んな人に、優しくって。
 色んな人に、好かれていて。
 人が嫌がることや、ためらうことも、進んでやっちゃう、そんな人。


 サービス精神も旺盛で。
 最近のテレビでは、すっごいヤル気も満々で。
 本当に、ごとーとは正反対の、タイプなんだけど。



 気が付いたら、よっすぃはいつも。
 ごとーの隣りにいてくれる。
 「ちゅっはあとはあと」ってしてくれるのも、
 二人っきりになると決まってエッチなことしてくるのも、


 …どうやら、ごとーに対してだけ、みたいで。



 辻や、加護たちがね、前にごとーに対して言ったんだ。
 『よっすぃは、ごっちんのこと大好きだよねー』



 ―――そうなの、カナ?


 
 
232 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時25分34秒

 
 二人が示した、その言葉は。
 ひょっとしたら、「友人として大好き」って意味かも、しれなかった…けれど。
 そのとき、すでに。


 「よっすぃのことを、意識し始めていた」…ごとーは。
 

 それを、自分がよっすぃに向けているこの“感情”と。
 同じものなんじゃないかって、思うようになったんだ。







 そう、思うようになったら。
 ごとーは急に、怖くなった。

 「よっすぃは、(多分)ごとーのコトが好きで」
 「ごとーは、(多分)よっすぃのコトが好きで」
 …何が、問題なの?なんて。


 問題だよ、それは。大問題、じゃない!
 
 だって、もし―――よっすぃはそうじゃなかったら?(だっていつもふざけてばかりだし)
 だって、もし―――ごとーが、単にいつもの雰囲気に流されてそう思ってるだけだとしたら?
 それに、それに。
 もし、気持ちが二人、通じ合っていたとして―――



 ごとーとよっすぃは、女の子同士だもん。
 それ以上の関係になんて、なれっこない、でしょ?



 

 
233 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時32分06秒

 
 
 ごとーが、女の子を好きになるのは、今回が初めてじゃあ、ないんだ。
 「いちーちゃん」
 初めて…本当に、あんなに人を“好き”になったのは、「いちーちゃん」。

 もうすでに、卒業してモーニングにはいないメンバー



 いちーちゃんだけ。





 ・・・・・・

 ・・・



 『ねえ、いちーちゃん』
 『んー?何、後藤』

 『あの、あのね、いちーちゃん。
  ……ごとーはね…ごとーは』

 
 いちーちゃんのことが、好きだよ




 『何だヨ?変なヤツだなあ、本当に後藤は』
 『えへ、えへへっ。ごめんね?いちーちゃん……そうだっ!
  ねえ、いちーちゃんは、ごとーのコト好き?』


 『なんだよ、相変わらず唐突なやっちゃな〜。
  …好きだよ、市井は、後藤のこと。
  後藤みたいな妹、マジで欲しいもんな。からかいがい、あるし。ハハッ』



 妹。
 妹。
 妹。




 ・・・・・・

 ・・・




 言えるはずが、なかった。








 
 

 
234 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時38分25秒


 「女の子同士」っていうことは。
 ごとーの中で、すごく、すごく高い壁なんだ。


 いちーちゃんは、ごとーのコトを『妹として好き』って言った。
 多分、世間一般的に、言ったら。
 それが、「女の子同士」として好きならば、正しい感情なのかなって思う。


 だけど、ごとーは違うんだもん。
 いちーちゃんのコトが、純粋に好きだった。
 胸が潰れそうになるくらい、大好きだった。



 ―――でも、伝えられなかった。
 関係が壊れるのが、怖かった。





 「好き」だなんて言ったら、いちーちゃんは軽蔑する?
 ごとーのこと、気持ち悪いって思う?
 一緒にいたくないって思う?
 
 『好きだなんて言ったら』――――




 言っちゃダメ!!
 言っちゃダメ!!
 ごとーは、いちーちゃんと一緒にいられるだけでいいんだよ?
 変なこと言って、この関係を失うようなこと、絶対ダメなんだよ?




 すごく、すごく。
 悩んで悩んで、泣いて、泣いて。

 このキモチをどうしたらいいか、分からないうちに。
 

 『市井紗耶香、モーニング娘。を卒業しますっ』―――






235 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時45分20秒


 メンバーの増員も、はっきり言ってごとーには重荷だった。
 その上で、突然の「いちーちゃんの卒業」。


 そのときのごとーにとっては、
 もう何も考えられないくらい、ダメージが大きくって。



 大事な人を失うのは、辛いんだ。
 本当に、とても、とても、辛いんだ。
 そして、そのキモチを伝えられないのも、
 ――――すごく、辛いことで。



 卒業しちゃう前に、告白しようなんて、思えなかった。
 もういなくなっちゃうって分かっても、ごとーは関係を壊さないよう、必死で。
 そして、いちーちゃんが卒業した後。



 ものすごい、喪失感に襲われて。
 『ただのメンバー同士だったら、こんなに辛くなかったよね?』
 『ただの教育係と、新人の関係だったら、こんなに辛くなかったよね?』



 ―――自分で出した、結論だったんだ。


 『もう―――好きになっちゃだめ。
  こんなに身近な、メンバーのことは。大事な人だからこそ』



 好きになっちゃったら、自分が傷つくだけだよ。








236 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時51分00秒


 必死に言い聞かせてきた。
 自分に。
 後藤真希、自身に。



 いちーちゃんの時のような苦しみを、もう一度繰り返さないように。



 …なのに。
 ごとーは本当に、バカだね。
 救いようのない、大バカ者だね。


 いちーちゃんがいない悲しさも、寂しさも、辛さも、苦しみも。
 全部、受け止めてくれて。
 一緒にいてくれて。

 初めてできた「親友」―――よっすぃのことを、好きになりかけてるんだ。



 
 また、あのときの辛さを繰り返したいの?
 ―――いやだよ。
 親友の関係が壊れちゃってもいいの?
 ―――絶対にいやだよ!



 ごとーは、よっすぃとずっと…一緒にいたいよう…




 だから。
 必死になって、すごく、必死になって。

 「よっすぃは好きな人じゃない!親友だよ!?」
 「好きになっちゃダメなんだよ!?」



 何回、心の中で呟いただろう。







237 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)12時58分27秒


 だから、最近は。
 よっすぃの近くにいくのが、とても怖い。
 一緒にいるのが、苦しい。


 これ以上、好きになったら―――ごとーはどうしたらいいか分からないもの。



 そして、不器用なごとーは。
 仕事以外では、決して一緒にならないように…よっすぃのこと、避けていた。


 事情を知らないよっすぃは、そんなごとーのこと、怒ってるかもしれない。
 けど、だけど、
 ごめんね?よっすぃ〜。

 ごとーは、こんなやり方しか、できないよ。
 だって、不器用なごとーは。
 これ以上、よっすぃのことを好きにならないように。
 …よっすぃのこと、避けることしか、できない。




 一緒にいちゃいけない。
 分かってるのに。
 よっすぃが隣りにいないのは、辛くって。


 そして、よっすぃが、いつものように。
 「ごっち〜ん!」って、普通に話し掛けてくるのが、辛くって。

 いつも、いつも。
 ぐって、唇をかみ締めて―――涙をこらえてた。


 頭の中にあるのは、いつも。



 『誰も、好きになっちゃダメだよ―――、もう。
  嫌でしょう?また、大事な人を失うのは』




 

238 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)13時03分19秒


 大丈夫だもん。
 もう、同じ失敗は繰り返さないよ…。

 『よっすぃは、親友』



 思ってた。
 思い込ませていた。
 それで――――いつかは、このキモチも。
 落ち着いて、もとに戻って。


 前のような二人に、戻れると思っていた。
 ねえ、よっすぃ。気づいてた?
 ごとーはね、だからよっすぃのこと、避けていたんだよ。
 けれど。







 ……


 ―――「アタシは、ごっちんのコトが好き」





 ごとーが、どうしても。
 こらえて、こらえて。どうしても超えられなかった、その壁を。

 よっすぃは、あっさり飛び越えてきちゃったね?



 ごとーが、言いたくても言えなかったこと。
 昔、いちーちゃんに対しても。
 そして今、よっすぃに対しても。


 「好き」



 その一言が、ずうっと、言えなかった。






239 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)13時09分31秒


 ねえ、ごめんね?よっすぃ。
 あのとき、ごとーはすごく、うれしかったんだよ。

 とてもとても、うれしかったんだよ。



 だけどね。
 やっぱり、怖かったんだ―――『好き』っていう、キモチが。
 だって、二人は女の子同士だよ?

 今、いくら好きでも―――いつかは、別れなきゃならないでしょ?
 別れがくるなら、ごとーは。
 そんな関係になんて、ならないほうがいい。

 ずっと、「親友」のままでいい!!





 怖くって、子供なごとーは。
 うれしいはずの、よっすぃからの告白さえも、受け止められなかった。



 一度、胸をえぐったあの「別れ」は。
 ちょっとやそっとじゃ、ごとーの中から、消えてくれないんだ。
 だって、好きだったけど。
 ごとーはいちーちゃんのことを、すごく好きだったけど。


 いちーちゃんは、卒業しちゃって。


 好きだったから、今でも傷が残ってるほど、辛いんだよ?
 ねえ、よっすぃは
 『いつか来るはずの別れ』―――怖く、ないの?






240 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)13時16分03秒


 ねえ、よっすぃ?
 キミは、同い年なのに、ごとーよりもずっとずっと、大人だったんだね。

 ごとーが、いちーちゃんとの別れを引きずって、
 ずうっと進歩していなかったけど、よっすぃは。
 もっともっと、前を歩いていたんだね。



 ―――「アタシとごっちんを結びつけてるのは、『親友』であることとか、
     『メンバー』であることじゃないよね?」


 ごとーと、よっすぃを結び付けているもの…



 ―――「互いを思いやる気持ち」



 ごとーがよっすぃを好きで。
 よっすぃがごとーを好きで。



 ―――「だから、大丈夫。『別れ』なんて不安材料にはならないんだよ」




 どうして。
 よっすぃは、そんな風に考えれるの…?


 その、よっすぃのコトバ、ひとつひとつが、心にしみていって。
 ずっと、頑なに凍ってた、ごとーの心を溶かしてくれるみたいで。
 やっぱり、ごとーはよっすぃのコトが好きで。
 …とても、大事だなあって、再確認したんだよ。







241 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)13時22分05秒


 「……えっぐ…ぅ…」


 あとから、あとから。
 涙がどんどんどんどん、溢れてきて。

 ついに、ごとーはよっすぃに、キモチを伝えることは、出来なかったけど。


 まだ、心のどこかに、ブレーキがかかっていて。
 (ダメだよ、ダメだよ)
 自分に、言い聞かせていたのかも、しれないけれど―――そのときは。



 でもね、やっぱり、よっすぃに抱きついたら。
 今まで、頭の中をぐるぐる回っていた、不安なキモチとか、嫌なキモチ。
 全部、全部。

 ふわあ〜って、溶けるみたいに、なくなってくんだ。



 ほら、やっぱり、よっすぃの腕の中は安心するんだよ。
 この腕の中に、ずっといたいんだよ。


 もうとっくに、自分のキモチなんて分かっていたけれど。
 やっぱり、涙で言えなくって。
 素直じゃない、不器用なごとーは。

 やっぱり、言えなくって。





 …そうしてるうちに、エレベーターが、開いて。
 作業着風のお兄さんたちが、よっすぃのこと、連れてっちゃったんだあ。
 (キスする寸前だったから、かなり焦ったんだけどね、ハハ)










 
242 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月08日(土)13時31分27秒


 だから、ごとーはよっすぃのこと、すごいと思うんだ。
 

 ごとーは、よっすぃからの、告白に。
 答えることもなく、受け入れるでもなく。


 「ダメだよぉ」―――なんて、よっすぃには理由も分かるはず、ないのに。
 ひたすら、はねつけているばかりだったのに。


 よっすぃは、それでも。
 それでも、ごとーのコトを、好きでいてくれるんだね?
 もしかしたら、そのうち。

 こんなワガママで、素直じゃないごとーに。
 あきれて、嫌になるかも、しれないけれど。
 ―――ううん、ひょっとしたらもう、あきれちゃってるのかもね。


 
 だけどね?よっすぃ。
 これだけは、覚えておいてね。
 
 …ごとーは、上手くいえないけれど。
 素直に、言うコトはもうしばらくできないかもしれないけれど。
 よっすぃのことが、大事で。
 よっすぃのことが、とても



 好きなんだよ―――…




 
  








 
 
 ――――――



   教えてください、神様。
   あの人は、何を見てる?
   何を考え、誰を愛し 
   ………誰のために、傷つくの?












243 名前:作者 投稿日:2001年12月08日(土)13時34分51秒

 よおっし、やっとここまで来ました!!
 何か今さらなんですが、後藤視点だと吉澤くんの描写がとても少ないですねえ。
 まあ、後藤の心の中をメインで書いてるということで…(ニガワラ

 そして、なんとか次回で後藤視点の番外編は終わりそうです。
 おそらく、このスレは番外編で幕を閉じるのでしょう…ダラダラなので(w
 毎回読んでくださる方、本当にありがとうございます!なんとか無事に終わらせられそうです。



244 名前:名無し梨華 投稿日:2001年12月08日(土)16時21分29秒
そぉですか・・・・次で終わりですか・・・
なんだか悲しいです。でもまあ始まりがあれば終わりがあるわけで。

最終回、楽しみにしてます。
そして、次回作にも(プレッシャー

追伸。僕の文章、何だか作者さんみたくなってるところがあります。影響されてるみたい(w
245 名前:名無し 投稿日:2001年12月08日(土)22時22分55秒
自分も244さんと同じく、この話が終わってしまうのが残念です。
続編期待!!作者さんがんばってください!
それと、やっぱりごまかわいい(w
246 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月09日(日)06時50分53秒
アアごまが切ねえなあ…(w
毎回楽しみに読んでます!ごま視点が終わるのは淋しいですが、
続編も楽しみにしてますよ!!
247 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月09日(日)08時14分21秒
(・∀・)イイ!よしごまマンセー!!
この小説のおかげでごまヲタになりそうな自分に気付く・・・
248 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月09日(日)12時10分00秒
( ^▽^)<な〜む〜
249 名前:248 投稿日:2001年12月09日(日)12時26分22秒
あぁっ!!!スレ汚しごめんなさいっ 他スレと間違えて投稿してまいました
しかもageてるし・・・。大変申し訳ありません・・・(滝汗)
作者さんごめんなさい。鬱…。

こんな失態おかして感想書かせてもらうのも
失礼かもですが、作者さんの小説本当に大好きです。
後藤視点だとよっすぃがいっそうかっこよく見えます。

ラストスパート頑張ってください。期待してます。


スレ汚し本当に申し訳ありませんでした。
250 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月11日(火)02時31分34秒
不器用な愛ですねぇ…

文章はごっちんっぽくマターリしているんですけど、引き込まれてしまいますね。

次回の番外編最終章も楽しみにしています。

そして、そのあとはとうとうよしこがごっちんの体を(略
251 名前:カム 投稿日:2001年12月11日(火)20時47分36秒

 PCに落として、じっくり最初から読みました〜。
 自分は、よしごまイチオシなんで、すごいハマってます!!
 これで終わってしまうなんて辛いっす・・・・。
 本当に楽しみにしてます、頑張ってください!!
252 名前:作者 投稿日:2001年12月11日(火)21時38分34秒
今夜の交信(w)で終われば、この小説もようやく簡潔できそうです!!
しかも、たくさんレスがついててああうれしい…(感涙)
本当に、読んでくれてる皆様、感謝感謝です!

>>244 名無し梨華さん
   私の文章に似てきただなんて、恐れ多いっす!!むしろ私がそちらのエロを
   参考にさせていただきたいというのに…(シツコイ)
   いつもレスくれて本当にありがとうございます!何かリクあればどーぞ!ヤルリマスゾー(w

>>245 名無しさん
   続編に期待ですか…やっぱり、野獣の暴走を!?(w
   ハイ、応援ありがとうございます!最後、がんばります!!

>>246 名無し読者さん
   ごま視点、実はすごく書くのが大変で…いつのまにかどんどん切なく、
   そして乙女ちっくになっていく…(ニガワラ
   とりあえず、ちゃんとしたカタチで終わらせたいですね。


253 名前:作者 投稿日:2001年12月11日(火)21時47分35秒
>>247 名無し読者さん
   また1人、作者の仲間が増えました(w
   どんどんどんどん、よしごまにはまってください!!ごまヲタ、いいじゃないっすか!!(爆

>>248>>249 名無しさん
   スレ汚しだんなんて、とんでもない!!笑わせていただきましたよ!(w
   これが、吉澤編のときについていたらと思うと…
   (○^〜^○;<マタスンドメダヨ…
(^▽^)<ナームー

   ……ぴったりじゃないっすか!!(爆笑

>>250 名無し読者さん
   やっぱり、ごまはマタ―リと、乙女チックに(w
   ただ、本編であそこまで未遂続きだった吉澤くんに、いい思いをさせてあげたい
   優しい読者様は多いですね…やっぱ、最後まで書かないといけないですかね!?

>>251 カムさん
   初レス、ありがとうござます!そして、最初から読んでくださったとは…(感激
   よしごま一押しですか!?気が合いますね〜ニヤリ
もうすぐラストなんで、また読みにきてくださればうれしいです!!

   それでは、最後…(になるかな?)始めます。



   
 
254 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)21時56分00秒


    生きてゆく力が、その手にあるうちは
    笑わせてて?いつも、いつも。






 ――――――――






 それは、今よりもほんの少し、前。
 ごとーが、よっすぃのことを……。









 よっすぃに、告白された。

 びっくりして、焦って、ひたすらひたすら、動揺して。
 だけど、ごとーは。


 …心のどこかで、こうなることを。
 よっすぃに、想われることを、望んでいたのかもしれない。
 だって。


 うれしかったから、単純に。
 よっすぃに告白されたのは――「好き」って言われたのは、うれしかったから。



 でも。
 頭の中を、どうしても。
 「いちーちゃん」との別れが、ちらついて。



 (メンバー以上の関係になったら、別れがきたとき、どうなっちゃうの?)
 (よっすぃが、自分から離れていっちゃったら、ごとーはどうなっちゃうの?)
 (ねえ、よっすぃ〜?)



 答えは出ない。
 そして、もう1つ、不安なこと。



 
255 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時03分48秒


 ごとーは、本当に。
  
 ―――よっすぃのことを、好きなの?
 このキモチは、『愛』だって、いえるんだろうか?
 ただ単に、ごとーは子供みたいに、


 大好きな、親友のことを。
 束縛しただけなんじゃないかって―――。






 
 自分の中で、勝手に決めたルールがあって。
 それは、ごく、簡単なもので。
 『メンバーを、好きにならないこと』…


 いちーちゃんがいない、そのメンバーなら。
 大丈夫って、思ったんだ。簡単だって。
 だけど、ココロって変わるものなんだよね。



 ごとーは、よっすぃのことを、好きなんだと思う。
 だけど、それは大事な親友を、大事に思う気持ちが強すぎて、
 「好き」だと、思いこんでるだけじゃないのかなって、思うんだ。



 ごとーが描く、“愛”っていうのはね?
 すごーく、あったかくって、
 いっぱいいっぱい、溢れてて、
 いつもいつも、大好きな相手に注いでいてあげるものだと思うんだ。


 だけど。
 ごとーは、よっすぃに、そんな風に“愛”をあげられる?
 多分、できない。
 だって、ごとーはそんなに心、立派じゃないもん。




 
256 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時08分41秒


 だから、思った。
 「このキモチは、好きっていうものとは、違うのかもしれない。
  “愛”なんて、そんな感情なんかじゃないのかもしれない。
  それは、もっと」


 …醜い感情かも、しれなくって。




 
 少し、怖かった。
 自分が分からなかった。
 素直になるのって、どうすればいいのか、分からない。

 今まで、素直に自分のキモチを伝えてきたことなんて、なかったから…。




 いつも、行動を起こしてくれるのは、よっすぃの方。
 こんなごとーに、手を差し伸べてくれるのは、よっすぃの方。
 話しかけて、笑いかけてきれくれるのは、よっすぃの方。



 いちーちゃんと、テレビで共演する、前。
 ほんの少し、前の話、なんだけど。
 …こんなことが、あったんだ。




 ・・・・・・


 ・・・





 
 きっかけは、些細なこと。
 ごとーは、よっすぃとケンカした。…ううん、


 よっすぃのこと、怒らせた。







  
257 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時19分23秒


 原因は、ごとーで。
 そう、悪いのは、いつもごとーなんだ。
 ワガママ言って、困らせて、
 …そんな自分、大嫌いだけど、直せない。



 このときも。

 「ねーねーよっすぃ、見てこれー!」
 たまたま、梨華ちゃんが、よっすぃに抱きつくのを見たんだ。
 梨華ちゃんは、ただ単に。
 新しく勝ったピアスを見せたかっただけみたいなんだけど。(でも抱きつくことないじゃない!?)


 ごとーに告白してから、よっすぃは開き直ったのか、知らないけど。
 なんだか、前みたいに普通になって、ごとーへの態度が。
 だから、ごとーもね?
 フツーにしてる、つもりだったの。



 けど。
 分かっていたけど、ごとーは。
 ……独占欲が、すごく強い。嫌になる、くらい。



 「へー、かわいいじゃん」
 「でしょーはあとはあと


 仲よさそうな二人。
 息が合ってる二人。
 男らしいよっすぃと、女の子らしい梨華ちゃん。


 ―――「同期」の二人。
 ごとーは、持っていないもの。



 

258 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時27分02秒


 メンバー同士が抱き合うなんて、モーニングの楽屋じゃ、ありふれてる。
 そんなこと、ごとーだってよく知ってる。
 だけど、
 最近のごとーは、おかしいんだ。


 めちゃめちゃ、おかしいんだ。


 二人を見てたら、なんだか。
 自分は、よっすぃに告白されたのに。
 自分は、よっすぃにキモチ伝えていないのに。


 イライライライラして。
 (―――よっすぃのバカ!!)


 よっぽど。すごい顔してにらんでたのかな?
 よっすぃが、きょとんとして、「どしたの、ごっちん?」…なんて聞くから。


 「よっすぃのバカッ!!」



 今度は、本当に口に出してた。
 何が「バカ」?
 よっすぃじゃない、それは―――バカなのは、自分だけど。



 そんなこと、口に出したら―――涙が出そうになって。
 わけもなく―――泣きそうになって。
 ああ、訳ならあるね?


 こんなバカな自分が嫌で、泣きたいんだ。



 …
 その場に、とどまっていることなんて、出来なかった。
 いつも、こういう場合は逃げるんだ。
 いつも、ごとーは。


 


 

259 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時33分17秒


 嫌なことからは、背を向けて逃げる。
 いつも、いつも…


 このときも。
 ボーゼン、とした感じの二人を残して。
 (とゆーより、楽屋には新メン以外のみんながいたけど。
  新メン?居残り練習させられてたみたい)―――



 とっさに、楽屋のドアから飛び出して。
 (どうせこの後、仕事なんてないんだし―――)


 そのまま、思いっきり走った。
 走って、走って―――



 自分の荷物、楽屋に忘れてきたことに気が付いて。
 はあはあ、息をつきながら。
 
 …
 「…ッ、かっこ悪ぅ…」



 どうしてこう、決まらないんだろう?
 ああ、また後で楽屋に戻らなきゃ…。
 情けない、こんな、間抜けな自分が。




 夕方は、とっくに過ぎていて。
 気が付いたら、ごとーはスタジオの近くにある公園に来ていた。
 もう、辺りは真っ暗で。


 少し―――ううん、だいぶ、怖かった。
 だけど、まだ今は、楽屋へ戻ろうという気には、ならなかった。







 
 
260 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時39分02秒


 ちょっと、考えて、
 ……

 ごとーは、手近な木に、よじ登った。
 「よ、いしょ…」

 ああ、どうかこんな姿、誰にも見られませんように―――



 祈りは通じたみたいで。
 ごとーは、何とか無事に、木に登ることができた。…そして、そこは。



 葉っぱがざわざわ揺れる音や。
 いつもと全然違う、高い目線や。


 ―――葉っぱの上に見える、真っ暗な、夜空。



 …ああ、夜空を見上げるなんて、すごくひさしぶりだなあ…




 胸が、ぎゅーっとなって。
 1人でいることを、実感しちゃうから。
 

 
 ちょっと、冷静になれば。
 よっすぃが、隣りにいないことが―――とても、辛いことに気が付くのに。
 素直じゃないごとーは。
 また、意地を張って。



 また、こうやって1人、自己嫌悪におちいってるんだよ…






 
261 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時46分03秒


 いつものように、ぐるぐると。
 よっすぃのコトを考える、頭の中はぐるぐる、回る。


 
 頭がよくないくせに、ごとーは。
 よっすぃのコトに関してだけは…色々、考えちゃうから。
 結論も、出ないくせに。



 木に、腕をまわして。
 ぐるぐる混乱してる頭を、その幹にぎゅっと押し付けてみた。


 ひんやりとして、気持ちが良かった。



 ―――

 とても、静かで。とても、暗くて。
 ごとーは今、ひとりぽっちだけれど。
 なんていうか…、なんていうか…


 こんな、シリアスな場面でなんだけど、



 
 「……くしゅっ」



 寒い―――っ! 寒いよおお―――――――っ!!





 
 寒いのは当たり前だ、だってもう冬に入るところなんだから!
 しかも今は、夜なんだから!!


 当たり前、当たり前のことなのに…
 そんなことに気が付かなかった、自分がとてつもなく―――バカみたいだ。
 (実際、バカなんだけど)








262 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)22時54分08秒

 そして、もう1回。


 「―――っくしゅっ!!」

 「ごっちん?」



 ――――


 ――――!?




 まぎれもなく。
 それは、間違えようもない、あの声だった。



 「…よっすぃ〜!?」


 慌てて、木の枝の間から顔を出して。
 ごとーは、今の声がした方向に、目を向ける。



 「何やってんの、そんなトコ登って」
 「だって…」



 あきれたみたいな、よっすぃの声。
 暗いせいで、その表情までは、はっきりと見えないけれど―――
 まあ、あきれるのも当たり前だろうね?


 だって、自分を「バカ呼ばわり」して逃げた相手が、
 木に登って盛大なくしゃみしてれば―――ね。




 「寒いんでしょ?」
 「―――寒くないもん」


 





263 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時01分13秒

 当たり前のこと、みたいに。
 ごとーのコトを探してくれて、ちゃんと探し当ててくれたよっすぃ。
 そんなこと、考えたら。
 …また、涙が出そうになる。


 

 ごとーを見上げるよっすぃの口元には、小さく笑みが浮かんでるみたいで。
 軽く腕組みをして、立ってるその姿は、やっぱりかっこよくって。

 まるで、ジュリエットを迎えに来たロミオみたい―――?


 (まあ、その“ジュリエット”は、こんなにドジでヤキモチ焼きじゃないかも、
  しれない…そして、“ロミオ”もそんな風にあきれたりは、しないのかもしれない)




 とにかく、よっすぃは言った。
 「―――ホラ、帰ろう?」








 ……

 どうしてだろう?
 ごとーが辛いとき、悲しいとき。
 苦しいとき、逃げたいとき。

 よっすぃは、いつもいつも、すごくいいタイミングで。
 ごとーのところに来てくれるんだ。



 
264 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時08分21秒


 「…よっすぃ。よく、この場所わかったね」
 「あははっ。ま、愛のチカラはあとはあとでしょうかねえ?」
 「……」



 よっすぃは、冗談めかしてそう言ったけれど。
 ごとーはね、思うよ。 

 (ホントに“愛のチカラ”だったら。
  ごとーとよっすぃは、すごい、すごい強い絆で結ばれた恋人同士だよね!?)




 ―――ねえ?よっすぃ。






 
 「よっすぃ、ひとつ、聞いてもいい?」
 「なんでしょう、お姫様?」

 また、そうやってふざけるんだから。
 でも今は、ごとー真剣なんだ。だから、真剣に答えてね?


 「いつも、いつもね。これからも、ずーっとね。
  ごとーがよっすぃのそばから離れたら、こうやって。
  今みたいに、――――初めて、よっすぃがごとーのコト追いかけてきてくれた、
  屋上のときみたいに」

 「…市井さんが、卒業した直後の?」


 「―――うん。あのときみたいに、今みたいに。
  よっすぃは、こうやって、ごとーのこと…迎えにきてくれる?」




265 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時16分01秒



 少し、沈黙が落ちて。
 ごとーは、またよっすぃが冗談めかして、笑いとばすかな?って、ちょっと思った。



 「行くよ」



 だけど、予想外に。
 帰ってきたのは、真剣なよっすぃの声。





 「どこでも、どこだって迎えに行くよ?―――アタシは。
  ごっちんがいるところだったら、どこだろーが、絶対」



 はっきり、よっすぃはそう言った。
 もう、ごとーは本当に、泣きそうになった。


 「…ありがと」


 返した言葉は、すでに鼻声になってた。
 そして、よっすぃは、まだ言葉を続けて。


 「それにね、みんな、心配するよ?ごっちんがいなくなったら。
  今だって、心配してる」

 ごとーは、メンバー1人1人の顔を思い出しながら、よっすぃの顔を見ていた。
 (カオリ、なっち、圭ちゃん、梨華ちゃん、辻、加護…それに、新メン4人…特に愛ちゃんなんか)


 「…みんな…」
 「そ、みいんな」

 ぽつっと、ごとーが零した言葉に、よっすぃは大げさに頷いて見せて。


 「もちろん、1番心配してるのは、アタシだけど」



 





 
266 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時24分48秒


 ちょっといたずらっぽく笑った。
 やっぱりよっすぃは、とても―――ごとーのキモチを捕まえるのが、上手だ。
 照れながらも、そうやって、はっきりと。

 ごとーへのキモチを言ってくれるのは、すごく、響くんだよ。
 ココロに。



 「………だから」


 木の上のごとーに、すいっと腕を伸ばして。


 「おいで?」




 じわっ


 体の中に、心の中に。
 よっすぃの優しさが、いっぱい入ってきて。

 こんなときまで意地はってられるほど、ごとーはガンコじゃないよ?




 ばさっっ



 枝を、大きく揺らして。
 ごとーは、よっすぃの広げた腕をめがけて、思い切って飛び降りた。
 「うわっ…と!」


 ちょっと、ふらつきながらも。
 よっすぃはちゃんと、ごとーのコト、受け止めてくれた。




 「…はい、おかえり」
 「家出したわけじゃないもん」


 自分から、よっすぃの胸に飛び込んでおいて、なんだけど。
 真っ直ぐ、よっすぃに見つめられると、ごとーは照れるんだよ。
 …ちょっと涙目なの、ばれるから。








 




 
267 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時31分32秒

 
 「ホント、お子ちゃまなんだから」
 (どうせ、子供だもん…)


 苦笑交じりに言う、よっすぃの言葉に、半分拗ねて。
 ごとーは、ぎゅって抱きつく代わりに、ぷいっと顔、逸らしてた。


 …

 「あっ、ホラごっちん、前髪に葉っぱついてる」
 「…えっ?」



 ちゅはあとはあと



 「―――」

 「うっそだよーん!やったー!!おかえりのキス、げっと〜〜♪」
 「…よっすぃ!!」



 どっちがお子ちゃまなのさあっ!て、とっさに頭に浮かんだけど。
 …悔しいっ、またやられた!って、頭をよぎったけど。


 「あれ?今日は大人しいね」
 「……いいのっ。今日は…特別だもん」


 だって、よっすぃが、迷わず迎えにきてくれたから。


 本当に、うれしかったから。
 よっすぃの腕の中が、とても―――安心できるから。







268 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時40分51秒


 ・・・

 ・・・・・・




 そんなことが、あって。
 確実に、確実に。
 ごとーの、よっすぃへの想いはきっと、確かなものへ、変わってたんだよね。



 最後に。
 いつまでも、最後の一歩を踏み出せずにいたごとーを、励ましてくれたのは。
 背中を押してくれたのは。



 他でもない、「いちーちゃん」だったんだけど。



 ―――愛はきっと、奪うでも与えるでもなくて、
    気が付けばそこにあるもの




 もちろんそれは、ごとーのキモチ、でしょう?



 ―――愛、自由、希望、夢。
    足元をごらんよ、きっと転がってるさ―――



 大切なものは、必ずしも。
 遠いところにあるものじゃない、特別なところにあるんじゃない。

 ちゃんと、手の届くところに…
 無理しなくても、ちゃんとつかめるところに、あるんだね?



 ね?いちーちゃん。
 そう、ごとーに気づかせてくれたんでしょ?




 ……

 今なら、よく分かる。
 ごとーはやっぱり、いちーちゃんの「妹」だったんだね?
 確かにあのころは、「いちーちゃん」のことが、大好きだったけど。


 



269 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時45分58秒


 今はね、穏やかに。すごく、穏やかに。
 いちーちゃんのこと、慕ってる自分がいて。
 それはね、とても―――家族に近い、そんな感情。




 だから

 (ありがとう、「おねえちゃん」。
  妹はね…その、意地っぱりな妹はね、おねえちゃんのおかげで、
  よっすぃに、大事な人に)




 「ごとーも、よっすぃのコトが、大好きっ!!!」




 ……ちゃんと、言えたよ。



 答えは、すごく簡単だったよ。
 素直になれば、すごく簡単だったよ。


 誰かの助けがなきゃ、たどりつけない答えだったけど。
 




 …ね?よっすぃ。





 
 ―――――




  生きてゆく力が、その手にあるうちは
  笑わせてて?いつも、いつも。
  そばにいて―――…



 ―――




 「ねえ、よっすぃ。それ、誰の歌?」

 髪の毛をとかしながら、口ずさんでいたよっすぃに。
 ごとーは読んでいた雑誌から目を上げて、聞いた。















270 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時52分26秒


 「えー…?誰の歌だったかなあ…」


 鏡ごしに、よっすぃの顔が。
 何かを考えるように、眉を寄せて、宙をにらんでいるのが見える。


 「あー、ゴメン、わかんないや。でも、題名は分かるよ」
 「なに?」
 
 よっすぃは、これまた鏡越しにごとーの顔を見て、にやっと笑った。



 「こいのうた」
 「魚の?」(ごとーは鮒だよ?)―――

 「それボケ?流すよ、アタシ」
 
 一応、ボケました、ハイ。
 ちょっと、よっすぃの顔に照れちゃったから…かっこよくって。


 「ごめんごめん、でも。いい歌だよね」
 「でしょお!?」


 ごとーが、そう言ったら。
 よっすぃは、ぱっと顔を輝かせて。


 「なんかさあ、歌詞がねえ、めっちゃいいんだよう!!
  アタシがね、ごっちんに片思いしてたころのキモチ、そのまんまなんだあ」


 へえ、そうなんだ。
 今度じっくり、聴いてみようかな?

 …そう考えていたら、ごとーの頭に。
 ぱっと、ある考えが閃いた。(閃くなんて、とても珍しい…ごとーの頭では)




 「ねえ、よっすぃ〜!?」
 「え、なに?ごっちん」





 
271 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月11日(火)23時58分09秒


 急にテンションが上がったごとーにびっくりしたように、よっすぃは。
 鏡ごしじゃなくって、直接、振り返ってごとーの顔を見た。


 「この間のさあ、楽屋でいちーちゃんが弾いてくれた、『名もなき詩』―――
  すごい、かっこよかったよねえ?」

 「…んー、まあ、ね」


 よっすぃは、拍子抜けしたみたいな顔で、それでいて複雑そうな顔で、
ぐずぐずと頷いた。


 「だから、
  …いつか、よっすぃも歌ってよ!ね!?」
 「―――名もなき詩?」


 違うでしょっ、今度はよっすぃ、ボケてるつもり?


 「ダメ、『名もなき詩』は、いちーちゃんがごとーに捧げる歌だから」
 
 「何それ」

 さすがに、よっすぃはムッとした顔、して。
 怒らないでよ、よっすぃ。
 いちーちゃんはね、ごとーの応援団長なんだよ、おねえちゃんなんだから。 
 



 「だから、よっすぃには今の歌、歌ってほしいの。ごとーは」
 「今の歌?」

 「―――うん、今の歌!!」


 「こいのうた?」
 「―――うん、こいのうた!」







272 名前:ごとーのキモチ、その3 「素直な心、好きな人」 投稿日:2001年12月12日(水)00時12分03秒


 よっすぃは、苦笑いして。



 「…いいけど、何年先になるか分からないよ? 今、楽器習うひまなんてないし…」

 「いいよ、いつでも」


 いつだって、いいんだよ?
 だって、ごとーはね。


 
 「ごとーはずっと、よっすぃの隣りで、待ってる」



 「……オッケ」


 ふわって、優しく笑ったよっすぃが、視界いっぱいに広がって。
 気が付いたら、ごとーはしっかり、よっすぃに抱きすくめられてて。


 「絶対だよ?」  
 「はいはい、分かってますよ―――ワガママなお姫様♪」




 

 ・・・・・・




 これは、今、現在。
 ごとーが、よっすぃのコトを。
 …もうとっくに、好きになっていたころの、ハナシ。
  








 ―――――――


 






    生きてゆく力が、その手にあるうちは
    笑わせてて?いつも、いつも
    
    ――――そばにいて、欲しいよ――――













  
         ・・・「彼女を振り向かせる方法」番外編 〜ごとーのキモチ〜 終わり・・・

273 名前:作者 投稿日:2001年12月12日(水)00時20分36秒

 終わったー!!今度こそ、本当に終わりましたあ!
 ということでやっぱり更新(最後ですが)age(w
 吉澤編に続き、突発で始めたごま視点ですが、なんとか無事に終わりました。
 
 一応番外編のラストのほうは、本編のラストのほんの少し先まで行ってるんですね。
 (分かりにくいですが…)
 そして、最後の最後で、「後藤視点」でずーっと出てきていた『こいのうた』は、
実は後藤視点の話にも関わらず、「吉澤の気持ち」でした。
 ちなみに、後藤の気持ちはどっちかというと『名もなき詩』に近いんですね。
 

 この小説自体、かなり突発で始めたものなんで、正直スレ2本もぎりぎりに使うとは
自分でびっくりですが、一応この小説は終わり、締めます。
 続編については、板を変えてどこかに顔を出させていただくやも…?

 とりあえずそのあかつきには、またちょろちょろ宣伝するかもしれないですが、
また見に来ていただけたら幸いです。

 最後まで目を通してくれた皆様、本当にありがとうございました!!  作者(あとがき?のようなもの)









      
274 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月12日(水)00時48分22秒
おつかれさまでした!
最高におもしろかったです。
作者さんの書く後藤は最高にかわいいですね。
数々の笑いと感動をありがとうございました。
次回作もまってます(w

便乗age
275 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)03時19分48秒
なんかトキメいた、萌え〜!!
誠に、誠に御疲れ様でした。

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