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本当の気持ち
- 1 名前:作者です。 投稿日:2001年11月22日(木)22時57分35秒
こんにちわ。
風板で『雨がよんでる』を書いていた者です。
今回『本当の気持ち』を書き始めることになりました。
よろしければお付き合いください。
(更新ペースは…そんなに早くないです。)
- 2 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月22日(木)23時08分12秒
私はいつもの様に『モーニング娘。様』と書かれた紙の貼りつけられた
楽屋の扉を開けた。
「矢口〜!!」
おはようさん、と叫ぶや否や、私は矢口の元に駆け寄った。
「なんだよ、裕子〜!!」
嫌そうに後ろから抱き付く私を引き離そうと矢口は抵抗する。
「ごっちんはアッチだよ!!」
「わかっとるがな。恒例行事や、恒例行事。」
そう言うと私は矢口から離れてごっちんの横に座った。
「裕ちゃん、コレ食べる?」
ごっちんはニッコリ笑ってスナック菓子を私に差し出した。
「ありがと。」
1つもらって口に放りこむ。
私はごっちんが見ていた雑誌を横から一緒に見始めた。
これが私のモーニング娘。と仕事が一緒になる時に行う、
メンバー公認の恒例行事であった。
「今日終わり一緒やんな?ご飯食べにでも行こか?」
「うん、いいよ。」
「ほなまた迎えにくるわ。」
そう言って私は立ち上がっった。
辻と加護と少し話して、もう1度矢口にちょっかいをだして、
私は『中澤裕子様』と書かれた紙の貼りつけられた楽屋に
戻った。
- 3 名前:4649 投稿日:2001年11月23日(金)03時31分33秒
- ごまやぐちゅーなんて読んだことない(w
かなり興味深々!で萌え
作者さんかなり期待大です。
- 4 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月23日(金)06時53分57秒
- ごまちゅー?
う〜ん。未体験ゾーンに突入するっス。
- 5 名前:セーラム 投稿日:2001年11月23日(金)08時45分45秒
- さっそく、見ました。楽しみに待ってます。
- 6 名前:作者です。 投稿日:2001年11月24日(土)12時07分50秒
>3 4649さん。
読んだ事ないっすか?
それじゃここで読んでください。
展開早くやって行きたいと思ってます。
お付き合いください。
>4 名無しさん。
未体験ゾーンですか?
作者もそうなんですが、上手く書ききれるようにがんばりたい
と思っています。
今はごまちゅーですが…
>5 セーラムさん。
やぐちゅ―中毒者じゃなくなったんですか?
ここのカップリングがお気に召さなかったとか…?
ちなみに作者はやぐちゅー中毒者に近いです…。
- 7 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月24日(土)12時15分54秒
今日、私はごっちんに言わなければならない事がある。
次の仕事の事だ。
すぐに知る事だから、先に私の口から伝えておきたい。
ごっちんは何て言うんだろう?
ごっちんはどうするんだろう?
私はさっきとは正反対の、静まり返った自分の楽屋で
いろいろ考えをめぐらせていた。
仕事はお互いもう慣れている事もあり、順調に終わった。
私はシャワーを浴びるとごっちんを迎えに『モーニング娘。様』と
書かれた楽屋に向かった。
「ごっちん、準備できとるかぁ?」
中を覗くとごっちんは矢口と吉澤と何か話していた。
「あっうん。できてるよ〜。」
ごっちんは私の声を聞き、顔を見るとすぐに自分の荷物を
持ち上げた。
「ほなら、行こか?」
私はちらりと矢口に目線を移した。
今からごっちんに言う事は・…あんたにも関わってくるんやで?
……矢口・…。
- 8 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月24日(土)12時22分42秒
-
ごっちんが腕を組んできたので、私達はいつものように皆に別れを
告げて、楽屋を後にした。
矢口に部屋を出るとき不思議そうな顔で見られていたが、
私はあえて目線を外したままでいた。
「ごっちん何食べたい?」
私の腕にもたれ掛るようにしがみついているごっちんを見る。
「ん〜。何でもいいよ。」
ごっちんはニンマリ笑って私を見上げた。
私は二人きりで落ち着いて話がしたかったので個室式の店を
頭の中で探した。
…。いつも連れてってもらってるからあわからへんわ・・。
結局、コンビにで何か買いこんで私の家で食べる事にした。
そのほうがいい。
私等の関係が微妙に崩れるかもしれないのだから・・・。
- 9 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月24日(土)15時54分52秒
コンビにでお菓子ばかりを籠に詰め込むごっちんを見ながら
私はビールを数本籠に入れた。
適当にお弁当を選ぶと私達は足早にコンビニを後にした。
「お菓子買いまくったんやなぁ。」
私はごっちんの持つ袋がパンパンであるのを確認しながら
話しかけた。
「裕ちゃんのおつまみも買ったんだよ。」
「ほんま?ありがとー。」
私は自然な動作でごっちんの左手を取って、
軽く手をつないだ。
「寒くなってきたな。」
「そうだね。裕ちゃんの手って冷たいね。後藤の手で温まるよ。」
ごっちんは私の手をギュッと握ってくれた。
ごっちん…。今は私を見てくれてるな。
私も今、ごっちんしか見てないで…。
いや、ごっちんしか見ないようにがんばってきたんや。
ごっちん…これから先、私だけ見るようにがんばってくれるか?
私はごっちんを横目で見ながらこんな事を考えていた。
- 10 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月24日(土)19時15分15秒
私の部屋まで、道でも、エレベーターでも、ずっと手を繋いだまま
でいた。ごっちんの温もりが私の手に伝わってきて、私の右手は
すっかり温まっていた。
「おじゃましま〜す。」
ごっちんはいつもの様に私より先に部屋に上がって行った。
私はブーツを脱ぎながらその背中を目で追う。
「飲み物とか、お茶やったらあるはずやし、勝手にとってな。」
そうごっちんに叫ぶと少し寝室に入って荷物を置いた。
携帯とコンビニ袋だけを持ち直してリビングに向かうと
ごっちんはソファーの前のテーブルに買ってきた物を
並べている所だった。
「裕ちゃん、早く食べよ。」
「うん。食べよ食べよ。お腹空いたなぁ。」
ガサガサと私もお弁当とビールを取り出した。
「ほな、今日も1日おつかれさん。」
「おつかれ〜。」
ビールとお茶で乾杯する。
私はこの瞬間がいつも好きだった。
大好きなビール。
ごっちんの笑顔。
いろんな事を忘れる事ができていた。
- 11 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月24日(土)21時22分41秒
ごっちんとお互いの物をつまみ合いながらお弁当を食べた。
今日の仕事の事、新メンバーの事。
「裕ちゃんいいかげん名前覚えなよ。」
「あんまり会わへんしなぁ。しかも全然じゃべってこーへん
からなかなか覚えられへんねん。」
「まぁ、後藤もあんまり話した事ないけどね。」
ごっちんはお菓子の袋を開きながら笑っていた。
私はビールを飲みながら普通の会話を楽しんでいた。
ごっちんにいつ言おかなぁ?
私はなかなか本題に入れずにいた。
今の楽しい雰囲気が微妙に崩れるかもしれないから…。
もう少し酔ってきたら話そう。
もう少し、ごっちんの本当の笑顔が見たいから。
そう思って飲むビールで、私は少しも酔えなかった。
私の本心は何を望んでいるのか…?
自分で自分の気持ちがはっきりとわかっていなかった。
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月24日(土)23時18分40秒
- この板に移っていたとは知りませんで。
ゆうごま→ごまやぐちゅー→やぐちゅーかな?
作者さんの痛めの作品大好きです。
やぐちゅーも痛めは少ないですが・・・ごまゆうにいたっては(痛め)読んだ事がないので・・・
かなり先が気になっております。頑張って更新お願いします(w
- 13 名前:読んでる人 投稿日:2001年11月25日(日)09時14分23秒
- 今回の作品もおもしろそうですね。
激しく期待してます。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月25日(日)10時25分28秒
- 新スレおめでとうございます。
前々作、前作と、痛めやぐちゅ〜、甘々やぐちゅ〜を堪能させていただいておりました。
今回も、めちゃ期待♪
……あの人の登場ですか……発売まであと4日。
- 15 名前:作者です。 投稿日:2001年11月25日(日)11時53分28秒
>12さん。
ごまゆう→???
どうなるかは・…お楽しみに!です。
痛め好きだといってくださって光栄です。
ちびちび書いていくつもりですので
これからも宜しくお付き合いください。
>13 読んでる人さん。
最後までおもしろそうと言っていただけるように
がんばりますのでよろしくです。
>14さん。
ありがとうございます。
全部読んでいただけてるんですか?
ほんとにほんとに有難うです!!!
あらら。やはり…。
発売日までもう少しですねぇ。
- 16 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月25日(日)12時01分34秒
「裕ちゃん結構飲んだんだねぇ。」
ごっちんは私にピタっとくっつきながら、私のあけた
ビールの缶を均等に並べていた。
「ん?そうかぁ?」
自分でもペースが速いと自覚しつつもとぼけてみた。
「裕ちゃんどうしたの?」
ごっちんは少し心配そうに私を覗きこんだ。
「へ?なにがや?」
「なんか今日裕ちゃんちょっと変だよ?」
ごっちん…私のちょっとした変化わかるぐらい
私の事見てくれてたんやな・・。
私はやっとごっちんに言う決心がついた。
「ごっちん。次の私の仕事やねんけどな?」
少し座り直して私が話しだすとごっちんは不思議そうに
私を見た。
「うん。」
「・…紗耶香と一緒やねん。」
「えっ!?市井ちゃんと?」
ごっちんの顔がみるみる変わって行く。
少しごっちんが離れた気がした。
- 17 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月25日(日)12時15分26秒
「再デビューきまったんや。」
「ほんとに???市井ちゃん帰ってくるんだ〜!!」
今まで見ていた最高の笑顔…いや、そう思っていたものなんか
比べ物にならないぐらいの笑顔でごっちんは私を見ていた。
いや、私じゃない。私の後ろの…紗耶香にむけての笑顔だ。
「市井ちゃん言ってくれたらいいのに〜。」
「近々皆に会いにくるらしいから驚かせるつもりやったんちゃうか?
まぁ、私が言うてしまったんやけどな?だからまだ皆には
内緒やで?ごっちんやからゆうたんやから。」
「うん。わかった。市井ちゃんにも知ってる事言ったらだめ?」
「…紗耶香には…言っていいよ。」
これは賭けだ。
紗耶香なら感づくかもしれないから。
私カラ特別ニ聞イタごっちん。
それがどう言う事か…。
これでアノ子の道にある障害物がなくなるかもしれない…。
ただ、私はそれでいいのか??
- 18 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月25日(日)12時29分58秒
それからごっちんは紗耶香と私が会うのか?
いつモーニング娘。に会いにきてくれるのか?
などと、本当にうれしそうに聞いてきた。
私は格別いつも通りに振舞った。
「うわっ、もうこんな時間だ。」
ごっちんは私の携帯を覗き込んで時間を見ていた。
「遅くなっちゃったなぁ。」
どうする?…いつも繋げるこの私の言葉は続かなかった。
言わなくてもごっちんが答えを出すだろう。
私は冷静を保ったままごっちんの言葉を待った。
「今日も泊めてよ。裕ちゃん。明日仕事早い?
後藤は昼からだけど。」
私は耳を疑った。
ごっちんは帰ると思っていたから。
「い、いいで。私も明日昼からやし…。」
「どしたの?裕ちゃん。んじゃもうちょっとゆっくり
できるね。」
ごっちんはニッと笑ってソファーに深く腰をかけた。
「一応家に電話いれときや。」
私は何もないように笑ってそう言い、ごっちんの頭を
ワシワシと撫でた。
- 19 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月25日(日)12時42分40秒
私達は一緒にベッドで寝た。
ただ並んで寝るだけだったが、この空間は好きだった。
こちょこちょと少し話し、手を握り合って寝る。
穏やかな時の流れを感じる事ができていた。
朝は私が先に起きる。
隣ですやすやと眠っているごっちんを見る。
お互いの手は繋がれたままだ。
私はいつものように、そっと手を解き、朝食を作りに
キッチンに向かった。
手にまだごっちんの感触が残っている。
私の不安を消すように。
私はゆっくり息を吐くと、朝食を作り始めた。
「ごっちん、起きやぁ。ご飯もできたで〜。」
「…。」
「ごっちん、もー、いっつも全然起きひんねんから…。」
私はカーテンを開けて部屋を明るくした。
太陽の光に照らされたごっちんの顔は微笑んでいた。
すぐに眩しそうな顔に変わったけれど…。
- 20 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月25日(日)14時31分25秒
「ん〜…。」
目を擦りながらなんとか起きようと努力しているごっちん。
私はベッドに腰掛けてごっちんの髪を撫でていた。
「おはよ。目ぇ覚めたか?」
「ん・…おはようぅ。眠いよ〜。」
「ご飯食べよ。昼から仕事やろ?」
私はそう言ってゆっくりごっちんを立たせて、さっきまで繋いでいた
手をもう1度繋いでゆっくりキッチンに向かった。
そうして、いつものごっちんの座る席にすわらせてやる。
本当にいつも通りの朝だった。
「事務所?集合。」
「うん。裕ちゃんは?」
「うちも事務所や。一緒にいけんな。」
「そうだね。あ〜後1時間くらいで仕事かぁ。」
ごっちんが伸びをしながら瞬きをする。
私はそんなごっちんをほほえましく感じながら見ていた。
ごっちん…ほんとにとこどうなんや?
あんたにとって私は・…。
- 21 名前:15 投稿日:2001年11月26日(月)00時17分20秒
- どうなっていくのか、見当がつきません。
後藤と中澤の関係も曖昧なので。
とにかく続きが楽しみです。
個人的には、いちごま大好きなんで、そこら辺も期待。(笑)
- 22 名前:ゴマユウvv 投稿日:2001年11月26日(月)04時03分16秒
- 初めまして、作者さん。
ずーっと前から読ませて頂いてたんですが、レスするのは初です。
ごまゆうが出てきたので、ごまゆう大好き人間のボクがレスしないでどうする?!
と思い、やっちゃいました♪
個人的にはこのままごまゆうを続けてほしいのですが・・・。
- 23 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年11月26日(月)08時59分13秒
- おっと!?ねぼけててやぐちゅー中毒者を入れ忘れてた
がんばれ作者さん
- 24 名前:作者です。 投稿日:2001年11月26日(月)16時04分03秒
>15さん。
おお!!15さんだ!!ありがとうございます。
どうなるか検討もつかないっておっしゃってるのに
ニンマリしてしまいました。
いちごま…
>22 ゴマユウvvさん。
はじめまして!そして誕生日おめでとうございます。('o^)v
レス有難うございます!
前回とかのも読んでいただけてたんですかね?
初のごまゆうなんで…お気に召さない所が多々あるかと
思いますが見捨てずに読んでやってください。
>23 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
あっそうなんですか?ホッとしました。
いつもレスありがとうございます。
- 25 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)16時22分47秒
用意をし終えると少し時間が余った。
「タクシー後10分くらいしたら来るハズやしな?」
私はソファーでTVを見ているごっちんに話しかけた。
「ほーい。」
ごっちんは1言そう答えた。
私は洗い物をしていた。
蛇口から流れる水の音でTVの音は聞こえない。
私はただ皿を洗い続けていた。
ボーっとしていたんだろう。
後ろからごっちんが近づいてきているのに私はまったく
気が付かなかった。
「裕ちゃん!」
ごっちんに呼ばれたと思った瞬間、頬に唇の感触が伝わった。
「わっ!なんやの?びっくりした〜。」
ごっちんを見ると後ろから私に軽く抱きつきながら笑っていた。
「へへへ。裕ちゃん。」
「なんや?めずらしいなぁ。ごっちんからキスしてくるなんて。」
「そう?なんか裕ちゃんの後ろ姿が寂しかったからさ。」
ごっちんは相変わらず笑顔で私を見ていた。
私の不安…私からもれてるんか?
隠し切れへんようになってんのか?
- 26 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)16時36分16秒
「なんやの?寂しいって?」
「んー?わかんないけど…・。」
ポヤーっとした顔でそう私に答えると、ごっちんは私から
手を離した。
「なんとなく…ね?」
私は急いで手を拭いて、
「ごっちんと一緒におるのに寂しいわけないやろ?」
といいながら、ごっちんの頭を撫でてやった。
ごっちんはいつもの笑顔で私を見ていた。
事務所の前でタクシーから降りる。
「ごっちん今日はなんの仕事なん?」
「んー、多分雑誌の取材とかだったと思うんだけど。」
並んで歩きながら話す。
その時調度前の部屋から圭ちゃんがでてきた。
「あれ?おはよー。裕ちゃんも事務所だったんだ?」
「おはよーさん。」
「おはよー、圭ちゃん。」
圭ちゃんは私達が傍に来るまで待って、一緒に並んで歩き出した。
「あいかわらず仲いいねぇ。」
私達を見ながらそう言うと集合の部屋に入っていった。
ごっちんは立ち止まって私を見た。
- 27 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)16時45分50秒
-
「それじゃ、裕ちゃんもがんばってね。」
「うん。ごっちんもな。」
部屋の中にはもうすでに何人かのメンバーが居るのだろう。
ガヤガヤとしていた。
ごっちんは私に手を振りながら中に入ろうとしていた。
「あっ!!」
ごっちんは半分開けていたドアを閉めて私の傍に寄ってきた。
「あの話内緒だよね?」
私に耳打ちする。
「・・そやで、圭ちゃんにもゆーたらあかんで。まだ内緒や。」
ごっちんは満面の笑みで頷くと再び手を振りながら部屋の中に
入っていった。
ごっちんを見送ると私は自分の待ち合わせ場所に向かった。
紗耶香の事を話す時のごっちんの笑顔が頭からはなれない。
本当にうれしそうに…。
圭ちゃんが言った、『あいかわらず仲いいねぇ。』という言葉が
身にしみた。
しかたがないのかもしれんなぁ。
あの子がいたら代わりは必要ないもんなぁ。
- 28 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)16時55分57秒
私と紗耶香の仕事はフォークソングのCD出す事だった。
まだ会ってはいない。
打ち合わせだけは進んでいく。
私はただジッと話を聞いていた。
レコーディングの日も決まり、近々顔合わせをする事に
決まった。
私は紗耶香に会いたくて、会いたくなかった。
きっと今の生活が変わってしまうだろう。
私はそれを望んでいない。
だけど・…
心の底では望んでいるのか?
生活を変えてはダメだ。
アノ子の為に、今の状態を保たなければ…
それが私にとって幸せか…
自分に正直かどうか。
私は考えるのをやめた。いや、やめようとした。
私は…今のままでええんや…。
- 29 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)17時40分18秒
仕事が終わって、スタッフとご飯を食べに行き、
私は12時前に家に帰った。
電気をつけるとそのまま冷蔵庫の前に向かう。
ビールを取り出してその場で口をつけた。
「プハ〜!あ〜うま。」
ブツブツそう呟くとソファーに移動してドッと腰を降ろした。
〜〜〜〜〜♪
鞄の中の携帯が鳴り出した。
普段あまり鳴らないので一瞬驚きながらも急いで私は携帯を
とりだした。
『着信・・・・市井 紗耶香』
紗耶香?そっか、今度顔見せあるん聞いたんかな?
私は急いで電話にでた。
「もしもし。」
「あっ裕ちゃん?」
「そや。久しぶりやな。どうしたんや?」
私は懐かしい紗耶香の声に顔がニヤけていくのを感じた。
「久しぶりです〜。さっき連絡うけたよ。顔みせの日。」
「明後日やっけ?楽しみやわ。元気してたんかいな?」
「元気ですよ。」
紗耶香の変な敬語に少し戸惑いながらも、
私は極力普通に話した。
- 30 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)21時26分21秒
私は今までどんな事をしていたのか?何か変わった事でも
あったか?など、紗耶香の休暇中の事を聞いていた。
連絡をとるのは、私がモーニング娘。を辞めた時以来だった
からだ。
ソロという共通の夢を見て同じ所から抜けた二人。
芸能界に残ったのと残らなかったの違いで何かすれ違いがあるかも
しれないと私は考えていたのだ。
あの頃だったら、私はこの世界に残っている事はできなかったかも
しれない。
私が脱退して、今やっていけるのには、先に辞めた3人の力があった。
同じソロを目指した紗耶香の力は1番だろう。
『市井と裕ちゃんって似てるよね。』
誰だったろう?いつだったか、そう言われた事がある。
まだ紗耶香も私もモーニング娘。だった頃・・。
私は黙ってその言葉を受け止めていた。
『そうかもしれないね。』という紗耶香の言葉が少し
うれしかった。
紗耶香と一緒に仕事をするなんて、本当はめちゃめちゃうれしい事
やったはずやのに・…。
- 31 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)21時36分29秒
「裕ちゃん、忙しそうですね。」
電話の向こうの紗耶香は相変わらず敬語を使っていた。
「ん、まぁ喜ばしい事やしなぁ。っちゅーか、なんで敬語なん?」
私の頭に不安がよぎる。
「え?いやぁ、なんとなく。」
多分、本当になんとなく、久しぶりすぎて敬語になったのだろう。
だが、今の私はそうは思えなかった。
ごっちんと…なんかあったんちゃうか?
私の頭の中で様々な妄想が広がる。
敬語を思わず使ってしまうような、私にとって悪い事をしている
のだろうか?
そんな妄想だらけで、私は紗耶香との会話を楽しむ余裕は殆どなかった。
ごっちんと今まで連絡とってたんかな?
聞きたい。でも…聞けない。
今、私とごっちんが付き合ってるなんて知っているのかも
わからない。
ただ、言うべきなのか?言わないべきなのか?
ごっちんが言っていないのか?
私は頭がパンクしそうだった。
「圭ちゃんとかとは連絡とってたんか?まだ内緒やで?」
- 32 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月26日(月)21時47分25秒
「圭ちゃん?あーたま〜にメールしてたかなぁ。矢口もたまに
メールしてたぐらいですかねぇ。。」
「そうなんや。まぁ、もうちょっとしたら一斉に発表するんやろうし
それまでは黙ってなあかんな。」
私は遠まわしに聞いた。
ごっちんの名前はない。
紗耶香はもうなんとも思っていないのか?
こんな事で確実にそう言いきれるわけではないのだが、
私は安心した。
しばらく話して、私達は電話を切った。
最後まで紗耶香は変な敬語だった。
会ったら怒ってやろ。
電話を切った私は妙に浮かれていた。
ごっちんと私の事を知っていて、あえてごっちんについて
何も言わなかった、と言うような事は今の私には考えられなかった。
しかも、ごっちんも、懐かしんでるだけかもしれない。
その晩の私は本当に1人で浮かれていた。
というより、何も考えていなかった。
心が温まる事があったから…。
ある意味、この日は幸せだったのかもしれない。
- 33 名前:作者です。 投稿日:2001年11月27日(火)01時07分57秒
-
>ゴマユウvvさん。
あぁぁぁ…顔文字がおかしいことに…
ショックです…
改めまして…
(^o^)/~ おめでとうございま〜す!!!
ちなみにオナイですよ。
それでは、これからもよろしくお願いいたします。
- 34 名前:ゴマユウvv 投稿日:2001年11月27日(火)02時16分05秒
- ありがとうございます〜っ!!作者さんもオナイですかっ!!
なんか、親近感が湧いて、すごく幸せです♪
もちろん前回のも読ませて頂きましたよ♪やぐちゅーも好きなんで(笑)。
まぁ、ごまゆう命なんですが・・・(笑)。
うう・・・裕ちゃんとごま・・どうなるの・・・??
作者さん、頑張って下さいっ!!
- 35 名前:作者です。 投稿日:2001年11月28日(水)02時16分26秒
>34 ゴマユウvvさん。
えっ!マンガをかいてらっしゃるんですか?
めっちゃすごいですねぇ。やっぱりごまゆうで?
また機会があれば見てみたいです。(かなり)
本当にいつも読んでくださってありがとうございます。
これからもお付き合いくださいね。
- 36 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月28日(水)02時36分25秒
あっという間に紗耶香と対面する日が来た。
ごっちんとはメールで今日の事を伝えていた。
お互い結構忙しいのでなかなか会えない。
次会う日は未定だ。
仕事の時間も違うので電話する事もお互いなかなかできずにいた。
指定された会議室に入るとすでに紗耶香は席についていた。
全員に向けて挨拶すると私は席にすわった。
とりあえず打ち合わせが終わるまでは仕事に集中しなければならない。
お互い気にしつつも、どんどん決まって行く会議の内容に
耳を傾けていた。
「髪のびたんや〜!!」
私は久しぶりに会う紗耶香に抱きついた。
「裕ちゃん相変わらずなんだね?」
ぎこちなさそうにしつつも、笑顔で紗耶香は私を見ていた。
「なんやな〜?久しぶりに会ってんからええやろ?」
先日電話で話したばかりであったのだが目の前の紗耶香は
本当に久しぶりに話す感じがした。
今日を過ぎるとまた当分紗耶香と会う事はない。
私は本当にどうでもいいような普通の会話を紗耶香としたかった。
その会話で、私は紗耶香を知ろうと心の底で思っていたのかもしれない。
- 37 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月28日(水)02時56分26秒
「娘に発表するの5日後だって?皆びっくりするかなぁ。」
「めっちゃびっくりするやろ〜。圭ちゃんなんて1番驚く
んちゃう?矢口も喜ぶで〜。」
「そだったらいいけどね?会ってみたいなぁ。
新メンバーじゃなくなってるんだもんね。」
市井にとって新メンバーとは辻や加護なんだろう。
時期が少ししか重なっていないから、本当に全然何も
わかっていなかった4人の印象が強いハズだ。
「そやで〜。最近入った子はうちもあんまり知らんけどな。
「裕ちゃんって絶対こわがられてるよ。」
「なんでや?なんもしてへんっちゅーねん。」
私と紗耶香は本当に普通の話しをしていた。
娘のことを聞かれたら、本当にわかる、知ってる所だけ
答えていた。
「圭ちゃんは?」「矢口は?」
うれしそうに話をする紗耶香はまったく昔と変わっていない
ような気がした。
「相変わらず元気やで。がんばっとるわ。」
紗耶香…気になるか?
でもほんまは誰が一番気になるんや?
私の心に微妙に不安が現われたり消えたり。
私の望む結果になって欲しい。
本当に…・
- 38 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月29日(木)19時20分45秒
-
5日後、一緒に私達は娘に会う。
もちろん娘には知られないでいたままだ。
この事はごっちんにも黙っていよう。
「それじゃ、またな。」
私は次の仕事の時間があったので席をたった。
「うん。おつかれさま。」
そういうと紗耶香は扉が閉まるまで手を振りつづけてくれた。
〜〜〜〜〜〜♪
家に帰ると私の携帯がまた着信を知らせた。
ごっちんだ。
「もしもし。」
「裕ちゃん?仕事おつかれさま。」
「ごっちんもお疲れさん。」
私は話しながら冷蔵庫を開け、ビールを手にし、ソファーに座った。
「どうだった?市井ちゃん。」
電話の向こうから期待に満ち溢れた声がする。
「あ〜、元気やったで。あんまり変わってなかったわ。」
「へ〜。娘にも会いにきてくれるかな?」
「どうやろ?まだまだ先ちゃうか?」
私は5日後の事を黙っていた。きっとごっちんは凄い顔を
するんだろなぁ。
「そっかぁ。」
本当に残念そうな声…。
- 39 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月29日(木)19時31分07秒
「そ、そんなに紗耶香に会いたいんやったら、
電話してみたらいいやん。」
私は心にもない言葉を口走る。
「ん〜。でも全然連絡してなかったからさ〜。
今電話したら怪しくない?」
「あっそうか。しらん事なってんねんもんな。」
「うん。まっ皆会う時の方が楽しいしいいや。」
ごっちん。みんなで会うって事はあの子も会うんやで?
「裕ちゃん最近ずーっと仕事?また今度のハロモニの収録まで
会えないかな?」
「ん〜。そやなぁ。大抵夜に帰ってくるからなかなか時間あわへんな。
ごっちんも忙しいやろ?」
ごっちんが会いたいと言ってくれたのがうれしかった。
まだ私に気持ちが向いてる?
それだけで、たったそれだけのことで私は安心した。
結局、仕事が終わったらメールする約束をして電話を切った。
私の家に来るのであれば時間は考えなくていいし。
そんな一言で安心できるくらい私は弱くなってしまっていたんだ。
- 40 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月29日(木)19時40分51秒
仕事に追われる毎日で、すぐに紗耶香と娘。達に会う日が訪れた。
「圭ちゃん驚くだろうな?」
娘。の楽屋に向かう廊下で、隣の紗耶香がククっと笑う。
「圭ちゃんだけちゃうで。矢口もみんなびっくりするわ。」
「かなぁ?あーでもドキドキしてきた。」
隣で軽く興奮している紗耶香を見ながら私は複雑な気持ちになった。
あの部屋には、ごっちん、そしてあの子がいる。
紗耶香を見て、2人はどうするんだろう?
私はどうなってほしいんだろう。
何も知らない紗耶香。
私はまだまだ本当は扉を開けたくなかった。
きっと私達をかき乱すだろう未来の待つ扉を。
娘。の楽屋の前で扉を見て黙っている私を紗耶香は不思議そうに
見ていた。
「どうしたの?入らないの?」
その声に私は我に返った。
「あっ、うん。入ろうか。」
ノックをして、私はゆっくりその扉のノブを回した。
- 41 名前:名無し読者。 投稿日:2001年11月30日(金)03時15分10秒
- 更新♪更新♪嬉しいな(w
- 42 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月30日(金)23時21分30秒
「紗耶香!?」
私に引き続き入ってきた紗耶香をみて皆が騒然となった。
「え?どうしたの?」
「何?」
ごっちんを見ると、目を点にして紗耶香を見ていた。
「久しぶり!」
紗耶香は駆け寄ってきたメンバーを見渡すと今回の件を
話しだした。
「・…というわけで市井復帰します。」
「まじで?嘘っ?ほんとに?」
信じられないといった顔で紗耶香を皆見つめている。
「ほんまやって。こんなん嘘つかへんわ。」
「まじ〜?うっそ?まだ信じらんない。」
「ほんとなの?紗耶香ほんと?」
矢口と圭ちゃんが1番驚いた様で紗耶香に問い詰めていた。
「本当だよ。だからまたなにかとよろしくね。」
そういうと紗耶香は旧新メンバーと新メンバーにも挨拶をしに行った。
「なんだよ裕子〜。」
矢口がうれしそうに紗耶香の後ろ姿を見ながら私を叩いてきた。
「あいたっ!なんやの?」
「教えてくれたっていいじゃんよ〜。」
「そんなん勝手に教えられへんって。」
喜びに満ち溢れた顔の矢口を私は見つめていた。
- 43 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月30日(金)23時32分09秒
「そっかぁ・・。紗耶香ついに帰ってきたんだ…。」
矢口はそう呟くとじっと紗耶香を見ていた。
「ほんと。帰ってきたね。」
圭ちゃんもじっと紗耶香を見ている。
「ライバルやねんもんな。」
「うん。」
ずっと紗耶香の事をライバルだと言いつづけてきた圭ちゃん。
同じ舞台で再び争えるのはよほどうれしいのだろう。
しかし、私はもっと気になる事があった。
ごっちんだ。
まだ1度も紗耶香と話していない。
ただ紗耶香を目で追っているだけ。
私はゆっくりごっちんに近づいた。
「どしたんや?」
「裕ちゃん…。いや、なんかびっくりしちゃってさ。」
私はごっちんの隣に座った。
「市井ちゃんだぁ、ってなっちゃった。」
そう言って私を見ると再び紗耶香に目線を移した。
その目は…。
そわそわしているごっちんを尻目に、紗耶香はなっち達と話していた。
紗耶香も何故ごっちんに話かけないのか?
- 44 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月30日(金)23時40分20秒
「後藤!久しぶり。」
紗耶香がゆっくり笑顔でごっちんに近づく。
「・・・。」
ごっちんは何も答えない。
「後藤?どうしたの?」
何も言わないごっちんをちょっと困ったように見つめる。
「・・・市井ちゃんだぁ。」
ごっちんの目からは自然と涙が零れ落ちた。
「わっ!なんだよ?泣くなよ〜。」
紗耶香は困ったようにごっちんの頭を撫でてやっていた。
「だって…市井ちゃんが居るんだもん。」
私は静かに席を立った。
誰かの目線が私にささる。
それは矢口だった。
わかってる。わかってるで、矢口。
でもな、今は何しても私じゃあかん。
今だけは紗耶香に任せるわ。
私はゆっくり矢口の傍に移動した。
矢口は少し紗耶香に視線をうつしつつも、
私を見ていた。
- 45 名前:中澤裕子 投稿日:2001年11月30日(金)23時54分53秒
私は何も言わず、ただ矢口の目を見て頷いた。
私が示す意味がわかったのかわかってないのか、矢口は
ゆくり紗耶香と後藤に目線を移した。
「何後藤泣いてんの?紗耶香も悪いね〜。」
矢口の隣から圭ちゃんが話しだす。
「勝手にでてきたんだもん。」
「もー後藤、びっくりさせないでよ。」
紗耶香はそう言うと笑ってごっちんを見た。
「市井ちゃん、おかえり。」
ごっちんは目にたまった涙を指でぬぐって紗耶香を見た。
「ん、ただいま。…っていうのかな?」
照れたようにそう言うと、紗耶香は頭をぽりぽりと掻いた。
何か言いたかったが何も口に出せなかった。
ただ感じていた。
私の考えていた不安が大きくなっていくのを。
この不安をなくすすべを私は持っているのだろうか…?
これ以上大きくならないでいてくれるのか?
ただ、簡単に諦める気はさらさらない。
愛しいあの子の幸せのためなら…
私はなんだってする。
そう誓ったんや。
- 46 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)01時45分57秒
私達も、娘。も次の仕事があるので、この久しぶりの再会は
すぐに終わった。
「それじゃ、またね。」
紗耶香は扉のところから皆に手を振っている。
扉の向こうから別れを惜しむ声、また再会を願う声が聞こえた。
「みんな変わってたか?」
紗耶香と並んで歩きながら私は口を開く。
「うん。なんか成長してたよ。みんな。」
「そうかぁ?相変わらずの気もするけどなぁ。」
「特に新メンバー・・あっもう違うか。」
紗耶香にとっては彼女達の変化が一番衝撃的であっただろう。
紗耶香が辞めた時、まだこの世界に慣れていなかった。
「辻と加護はあの頃に戻ってほしいわ。今うるさくてしゃーない。
でも、あの子ら緊張しとったなぁ。」
おとなしく紗耶香に挨拶していた4人をおもいだす。
「そうだね。おとなしかったよ。・・でも後藤はあんまり
変わってなかったかなぁ。」
私は思わず紗耶香に目をやった。
「なんて言ったらいいのかわかんないけどさ。直感っていうの?」
「ふ〜ん。」
そうとしか私には言えなかった。
- 47 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)02時01分38秒
会議室につく。
レコーディングの詳細、プロモーションの日程などを決める。
マネージャーの横でボーっと話を聞いていた。
日程などは全て管理されているので私が必死になって聞く必要はない。
私は紗耶香の言葉を思い返していた。
不吉な憶測が確信へと姿を変えていっていた。
ふいにポケットの中の携帯が震えた。
私はコソコソと携帯をとりだした。
矢口からのメールだ。
『今日夜仕事何時まで?』
周りから見られないように返事を打つ。
『7時くらいまでやと思う。』
すぐにまた携帯が震えた。
『ご飯食べに行かない?話聞いて。』
手短に返事を打つと再び携帯をポケットにつっこんだ。
『いいよ。また電話するわ。』
打ち合わせはすぐに終わった。
私は雑誌のインタビューがあるので急いででなければならなかった。
「んじゃ、また連絡するわ。」
「うん。明日舞台?がんばってね。」
「ありがと。レコーディングがんばっといてな。」
そう言うと私は足早に部屋を出た。
- 48 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)02時19分14秒
トゥルルル トゥルルル
私は仕事が終わるとすぐに矢口に電話をかけた。
すぐに矢口がでる。
「もしもし?」
「あっ矢口か?今終わったで。ごめんな、ちょっと遅くなった。」
時計は7時30分を示そうとしていた。
「ううん。ごめんね、突然。今どこ?」
矢口は外にいるのだろうか?車の音が聞こえる。
「TBSの近くやけど。」
「じゃぁ、裕ちゃんちでおちあおっ。明日舞台でしょ?
家の方が裕ちゃん楽だしさ。」
「ごめんな。ご飯どうする?」
「適当に買って行くよ。裕ちゃんも買ってきてね。」
コンビに袋を片手にタクシーを降りると既に矢口は家の前にいた。
「待った?」
「ううん。矢口も今来たとこ。」
私はオートロックの玄関を開けると矢口の手をとって中に入った。
「結構待ってたやろ?手冷たいやんか。」
ひんやりした矢口の手。
「そう?涼しくなってきたからね。」
10月も半ばになると夜は意外と冷える。
エレベーターに乗ると私は階数を押した。
まだ手は繋いだままだった。
- 49 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)02時37分35秒
「突然相談とかしてごめんね。」
コンビに弁当を広げながら矢口が謝ってきた。
「何ゆーてんねん。矢口の相談やったらいつでも乗るで。」
「ありがとう。裕ちゃんにしか相談できないからさ。」
「ええやん。で、どうなんよ?」
私は弁当を手に話を聞き出した。
矢口はずっと前から紗耶香が好きだった。
初めて聞いたのはいつだったろう?
ごっちんが入ってくるずっと前。明日香がやめるまえだったと思う。
「裕ちゃん、矢口、紗耶香の事が好きなんだ。」
いつも明るい矢口が静かだったので相談にのった。
そのころには大分矢口達と打ち解けていた。
矢口は言い難そうに、でも真剣に思いを私に伝えた。
本当に好きで…。
ごっちんが入ってきて紗耶香とごちんがなんとなく付き合っていると
皆が知った時、矢口は1人で涙を流した。
それでも、矢口は諦めなかった。
決して思いは伝えていない。
そして、紗耶香に伝えることがないまま、紗耶香は辞めて行った。
私はその頃、仕事が手につかなくなるまで落ち込んだごっちんに
つきっきりになっていた。
- 50 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)02時49分57秒
矢口は誰にも頼ることなく1人で乗り越えた。
私は矢口が気になりつつも、ごっちんから目を離す事が
できなかったんだ。
矢口は決して諦めていなかった。
熱い想いを胸に、1人平気なふりをして、明るく振舞っていた。
その後、私はごっちんに告白され、付き合う事になった。
矢口は微妙な表情をしていた。
私は紗耶香のことを思いつづける矢口の良き相談者になっていた。
「矢口は今でも好きなんやろ?」
私はもう1度矢口の気持ちを確認した。
無言で頷く矢口。
「それやったら今回はちゃんと想い・・伝えや。」
「…。うん。そうしたいんだけどさ。」
矢口もごっちんで悩んでいるようだ。
ただごっちんと付き合っている私にそんな事を言っていいのか
悩んでいるのだろう。
「今、紗耶香は多分付き合ってる子おらんやろ。
ごっちんも今は私とつきあってるしな。」
胸が痛む思いをしながら私はそう言った。
「私は矢口にうまくいってほしいんやから。」
「ありがとう、裕ちゃん。」
矢口は私を見て微笑んだ。
- 51 名前:名無し読者。 投稿日:2001年12月01日(土)02時54分06秒
- どうなるのか?ドキドキ。ワクワク。(w
- 52 名前:ゴマユウvv 投稿日:2001年12月01日(土)04時14分22秒
- ああ・・・どうなるんだろう・・・。
裕ちゃんとごま・・・。
ごまが好きなのは裕ちゃんですよねっ?!
気になってしかたがない・・・。あと矢口も・・・。
メルアドクリックでボクのイラが見れると思われ・・・(笑)。
- 53 名前:15 投稿日:2001年12月01日(土)09時24分28秒
- さやまりになるのですかね・・・。
うーーん。
とりあえず、続きを楽しみにしています。
では、失礼。
- 54 名前:作者です。 投稿日:2001年12月01日(土)14時30分15秒
>>41さん。
毎日ちょっとづつですが更新を心がけています。
いつまで続けれるか…。
これからもお付き合いください。
>>51さん。
ようやく展開させられてきました…
今日もちょくちょく更新していく予定ですので
続きを楽しんでください。
>>52 ゴマユウvvさん。
まだごまについては詳しく書いてませんね。
近々ごまゆう話を展開させる予定ですので…
どうなるかはお楽しみを…
HPに飛ばせていただきました。
すごいですね。甘いゴマユウが…
イラストに感動いたしました。
形跡を残させていただきますね。(決して荒しじゃないですよ。)
>>15さん。
『うーーん』って見捨てないでくださいよ!
更新がんばります。
ただ、作者好みのカップリングになりますよ…
予想ついちゃいますかね?
- 55 名前:作者です。 投稿日:2001年12月01日(土)14時54分38秒
そう、本当に矢口には幸せになってほしい。
ずっと私は矢口の姿を見ていた。
伝えたくて伝えられない苦しみ。
会いたくて会えない苦しみ。
矢口はたった1人で乗り越えてた。
「裕ちゃんは後藤とうまくいってるの?」
矢口がふいにそう聞いてきた。
「え?」
「裕ちゃん達。」
私は少し黙った。が、すぐに笑って答えた。
「うまくいってんで。別に何も問題起きてへんもん。」
矢口を安心させたいだけじゃなかった。
事実、まだ問題は起こってない。・・まだ。
ごっちんはまだ私のところにいると聞いて矢口は少し安心したようだった。
「そんなんは心配せんと、自分の気持ち伝えること考え。」
私の言葉に一瞬動きを止めた矢口はゆっくり私と目をあわせると
穏やかな顔でゆっくり頷いた。
そうや。矢口はなんも心配せんでええんやで。
- 56 名前:名無し読者。 投稿日:2001年12月01日(土)15時58分12秒
- 私もやぐちゅー盲目主義なんだけど・・・
ごまゆうにも・・・ハマチャッタよ〜!
どんなストーリーになるか気になってたまらない今日この頃。
- 57 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年12月01日(土)18時00分35秒
- 続きが気になる今日この頃・・・つうか毎日気になる
- 58 名前:作者です。 投稿日:2001年12月01日(土)20時41分09秒
ってか55の名前まちがってるし…最悪;
>>56さん。
ごまゆうにはまりましたか?それはよかったです!
気になるといっていただけてめちゃくちゃうれしい今日この頃。
>>57 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
毎日きになっていただけてるなんて…涙ものです。
時間バラバラかもしれませんがちょくちょく書いていきますので
またお付き合いください。
- 59 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)20時52分15秒
私が舞台があるという事で矢口は10時すぎには帰っていった。
「もう遅いし泊まっていったらええやんか。」
「そういうわけにはいかないよ。」
矢口はを手に笑いかけてくる。
「そうか・・。」
私は無理に引き止めず矢口を見送ることにした。
「明日裕ちゃん舞台でしょ?早く寝てよ?」
タクシーをとめながらながらそう一言いうと矢口は乗りこんだ。
「うん。ありがとうな。気ぃつけて帰りや?」
少し屈みながらそういうと矢口は頷いていた。
バタン
ドアが閉まる。
私はタクシーが見えなくなるまで手を振り続けた。
矢口はまだ紗耶香とごっちんのことでとまどってる。
私がしっかりごっちんを掴んでいないからだろうか?
いや、ごっちんが私を掴んでいないのか?
私はごっちんを離さないことを心に決めた。
離せない。だってそれが私の願う未来だから。
私は携帯を手にするとごっちんにメールを送った。
『ごっちん。声が聞きたい。』
- 60 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)21時01分33秒
ごっちんはすぐに電話してきてくれた。
「どうしたの?裕ちゃん。」
ごっちんのゆったりした声が聞こえる。
「ん?なんか突然めっちゃ聞きたくなったんや。」
「へんなの?裕ちゃんが甘えるなんてめずらしいね。」
ごっちんが少し笑ってる。
「そうか?たまにはええやんか。」
「うん。いいよ。かわいい。裕ちゃん。」
少しテンションの高いごっちんの声がする。
私は少し照れながら今日のことを話した。
「今日紗耶香と会った時めちゃびっくりしてたなぁ。」
「ん?だってこんな早く会うなんて思ってなかったんだもん。
市井ちゃん変わってなかったねぇ。」
うれしそうなごっちんの声が携帯から響く。
泣いてたことは…私から口にする事はできなかった。
紗耶香に負けてる事を表す気がしたから。
「ま〜これで仕事であったりするようになるし、
今までよりかは会う回数増えるやろな。」
私はごっちんと紗耶香の関係については一切触れなかった。
いや、触れようとしなかった。
触れたら壊れてしまいそうだったから…。
- 61 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)21時23分25秒
「今度はいつ会えるのかな?」
ごっちんの言葉にドキっとする。
「ん〜、なんかの番組ちゃう?」
早く会いたい?って聞いたらどうなるだろう?
聞けなかった。聞きたくなかった。
答えは一つの気がしたから。
次の舞台がない前日、私達は会う約束をした。
それまでに私は紗耶香に会う事はない。
実際、私も紗耶香と会う事は当分なかった。
次会うのはいつだろう?
いや、それよりごっちんと紗耶香がいつ会う時があるのかが
気になった。
その時は矢口も紗耶香と会う日だろう。
電話を切っても私は不安でいてもたってもいられなかった。
すぐに電話をかけてきてくれたごっちん。
それを素直に喜んでいいのか?
ごっちんの気持ちがわからない。
聞けば答えてくれるだろう。
ただ、聞く勇気が私にはなかった。
聞いて終わりたくない。
それなら聞かずに続けていたい。この関係を。
- 62 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月01日(土)21時52分12秒
舞台の不安。
毎日生で歌って踊る。
私は緊張しがちなのでその不安だけでも一杯一杯だった。
でも、舞台は今の私には調度よかった。
舞台の間は舞台のことしか考えなくていい。
不安を振り払うように私は必死に演技を続けた。
毎日、仕事が終わるとメールをし、電話をするのが日課に
なっていた。大抵ごっちんがかけてきてくれる。
他愛もない話をして切る。
ごっちんからの着信を聞くと私は安心していれた。
私はこんな恋愛をする女だったか?
そんな自分の中の疑問の声を私は切り離した。
だけど…だんだんごっちんが離れて行くのを
感じて行っている自分に気が付いてきた。
うすうす自覚し始めた次に日、
私はたまたま紗耶香と会った。
それは本当に偶然だった。
- 63 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月03日(月)17時15分56秒
「あれ?裕ちゃん?」
レコーディングをしに私は舞台の後、スタジオに向かった。
いままで撮っていたのだろう。紗耶香は帰り支度をしている
所だった。
「あっ、おつかれ。終わったん?」
「うん。今ね。」
「そっかぁ、ええなぁ。私もがんばるわ。」
私は荷物を置きながら首をまわした。
連日の舞台の疲れがないといえば嘘になる。
「がんばってね。じゃ、帰るね。」
「おう。またな。」
私は紗耶香が部屋を出るのを見送り、ウォークマンを手にすると
部屋をでた。
エレベーターが遠くで開いた音がする。紗耶香が帰るのだろう。
「あっお疲れさまです。」
遠くから紗耶香が誰かに挨拶している声がした。
「・・だね。今から…。」
相手の声ははっきり聞こえない。
私は目的の部屋の前にいた。
ノブに手をかける。
その時だった。
- 64 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月03日(月)17時27分47秒
「…藤と会うんです。じゃぁ。」
私はノブを掴んだまま立ちすくんだ。
え?今何て言った?…・ごっちん?
私はエレベーター前に夢中で走った。
エレベーターは既に降り始め、そこにはもう誰もいなかった。
私は下がって行くエレベーターのランプを見ながら呆然としていた。
今からごっちんと会うんか?
いや、はっきり聞こえへんかったし聞き違いかもしれへん。
エレベーターが1階で止まっているのを私は見つづけていた。
「中澤さん?」
スタッフに後ろから呼ばれて慌てて私は振りかえった。
「どうしたんですか?」
「いえっ、なんもないです。」
私は笑って誤魔化してさっきの部屋に向かった。
とりあえず忘れよう・・。こんな気持ち引きずってたらあかん。
今は仕事や。
無理やりそう自分に言い聞かせて私はドアを開けた。
- 65 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月03日(月)17時38分32秒
納得のいかないままレコーディングは終わった。
悔しかった。
上手く歌えなかった自分。
私情を仕事に引きずってしまった自分。
私は自分に腹がたった。
「いや、十分。大丈夫だよ。」
スタッフが言ってくれる言葉にも少しも納得できないでいた。
モヤモヤした気分のまま私は家に帰った。
ごっちんに電話してみようか。
携帯を手に私は悩んでいた。
紗耶香とごっちんが会う事なんて珍しくないのかもしれない。
普通に仲間として会っているだけかもしれない。
私が考え込むようなことは一切ないのかもしれない。
だけど…聞く勇気がない。
私はメールをすることにした。
いつもは仕事の後電話するのだが今日はできなかった。
全てを聞いてしまいそうで…。
『お疲れ〜。今何してんの?』
私は送信ボタンをおした。
- 66 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月03日(月)17時51分08秒
何もなかったら…会ってたら、今紗耶香と会ってるって
返ってくるだろう。
もし、何も触れられていなければ…
はっきり聞こえなかった紗耶香の言葉。
だがあれは後藤だった。ごっちんだった。
紗耶香は私達の事を知らないだろう。
知ってたらきっと今までに口にだしていただろう。
ごっちん…正直に教えてや…
私はごっちんを信じていたいんや。
私は携帯をずっと手にして、メールが返ってくるのを待った。
その時間は何十分にも感じられた。
携帯の時計の時間が変わる。
実際は3分ぐらいだただろう。
私の携帯は震えながら音を鳴らした。
〜〜♪
すかさず私は『メールあり』という表示をクリックした。
『後藤 真希 10月○日 23:47 』
私は息を吐くとメールを開いた。
- 67 名前:ゴマユウvv 投稿日:2001年12月04日(火)02時37分28秒
- うわ〜!!
相変わらず作者さん、いいところで切りますねぇ・・・(笑)。
ああ・・・裕ちゃんとごま・・・ホントにどうなっちゃうんだろう・・・(泣)。
ボクが期待していない展開にでもなったら・・・(涙)。
すべては作者さんにかかっているのですね!!
あと、このあいだは某所に来て頂いて、ありがとうございました(笑)!!
ビクーリ致しました(笑)。
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月04日(火)05時06分18秒
- 姐さんを泣かさないでくれ〜(w
途中は痛めでもいいので・・・ラストは頼んだ(w
だって・・・いちごまは一杯あるんだもん!
たまには・・・いちごまに勝つごまゆうがあってもいいかと(w
っていったけど・・・作者さんの書きたいようにかいて下さい。当たり前だけど(w
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月05日(水)01時58分11秒
>>67 ゴマユウvvさん。
いつもレスありがとうございます。
二人の関係は…
見捨てずに読んでやってくださいね。
某所(笑)素晴らしい所でした!
めちゃいろいろな物があってすっかりはまってしまいました。
名前…考えないとダメっすね
>>68さん。
レスありがとうございます。
ちょっとここの裕ちゃん弱いですね。
いちごまはたくさん確かにあるようですねぇ。
ごまゆう…
>『書きたいようにかいてください。』
そう言っていただけると・・・
期待はずれにならないようにがんばります!
- 70 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月05日(水)02時15分50秒
『お疲れサマ 後藤は今雑誌読んでたよ 裕ちゃんは
何してたの?』
…ごっちん…。
私は自分の心音がだんだん大きくなっていっている気がした。
私の聞き間違いやったんか?
そう思った瞬間にそれが0%の可能性だと言う自分がいた。
紗耶香がスタッフに『・・藤』って言うなんて、後藤しかない。
メールを送ってごっちんがメールで返事を返してくるなんて
あまりなかった。どんなに疲れてて、寝そうになっていても、
「ちょっとだけだから。」
と言って電話をかけてきていた。特に、今のような質問系の
文章だと絶対と言ってもよかったかもしれない。
ごっちん…紗耶香と会ってる事は私に言えへん事なんか?
私は1回も紗耶香との事について言ってないハズや。
なんで隠すん?
何をしてんの?
なんか私にやましい事あんのか?
私は携帯を見つめたままでいた。
静まり返った部屋に時計の秒針の音がただ規則的に響いていた。
ごっちんへの
- 71 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)21時28分58秒
『今帰ってきたばっかりや。なんもしてへんよ。』
私はそうごっちんにメールを送ると携帯をテーブルに少し乱暴に
置いてソファーにもたれかかった。
ごっちんとこれからどうしたらいいのか?
このまま続ける事はできるのか?
答えは一つしかない。
ただ私はそれを選択する事ができなかった。
私からその選択を選ぶことなどできない。
卑怯な人間やな。
だってそれはごっちんの幸せじゃない。
ごっちんの幸せを祈ることはできなかった。
幸せを祈りたい気持ちはある。
ごっちんが好きだから。
でも…
〜〜〜〜〜〜♪
考え込んでいると、私の携帯が鳴り出した。
電話だ。
手を伸ばして携帯を掴む。
ディスプレイに表示された名前は私の予想した相手ではなかった。
- 72 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)21時37分37秒
「もしもし?裕ちゃん?」
「なんやねん。どうしたんや?」
相手は矢口だった。
「あのね…矢口、決心したよ。」
「…言うんやな?」
「うん。明日、仕事の後に。」
「…そうかぁ。よう決心したなぁ。」
今までずっと隠していた想い。
ついに決心できた矢口。
「…なんで明日言う事にしたん?」
私は聞いた。何か理由があるハズだ。
それはきっと私も感じている理由・・。
「・・・。」
矢口は私に気を使っているのだろう。
何も言わなかった。
「・・・まっいいけど。ちゃんと想い伝えや。」
そう、早く。また手遅れになる前に。
「うん。結果、ちゃんと言うから。」
「うん。がんばって。」
- 73 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)21時53分34秒
「ちゃんと会って言うんやで?」
「うん。わかってる。会う約束してるから大丈夫。」
「そうか・・。良い結果楽しみにしてる。」
「うん。じゃぁ、舞台がんばってね。」
「ありがとう。おやすみ。」
終話ボタンを押す。
明日や。
明日で決まる。
一息つくと私はシャワーを浴びに風呂場へ行った。
そしてそのまま寝室へ向かった。
だからごっちんから電話があったのに気がついたのは
次の日の朝だった。
お互い仕事の時間がバラバラなので私はとりあえず電話が
あったことを頭にいれつつもかけなおすのは後に回した。
結局、仕事が終わって家に帰るまで連絡はとらなかった。
あえて後にまわしたかったのかもしれない。
引き伸ばしたかったのかもしれない。
家につくとドアの前にごっちんが居た。
- 74 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)22時04分28秒
「ごっちん…。」
私はドアの前でしゃがみこんでいるごっちんに声をかけた。
「裕ちゃん。」
ゆっくり顔をあげて私を見上げる。
「どうしたん?あっ昨日電話ごめんな。」
私はごっちんに近づいて手を差し伸べた。
ごっちんは一瞬手を見つめたが、ゆっくり掴んで立ち上がった。
「とりあえず中入ろ。」
私は手をつかんだままオートロックの玄関をあけエレベーターに
向かった。
ごっちんは何も喋らない。
「今日仕事早かったんか?」
「うん。」
「そっか…。」
会話を続けられず、無言でエレベーターの中に乗る。
繋がれた手は、嫌、私が掴んでいる手からなんの力も
感じられない。
ただ手を掴まれているだけの状態だった。
それでも私は掴み続けた。
しかし、私の家に入るとごっちんはさりげなく手を解いてきた。
- 75 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)22時11分32秒
「ごっちん?」
私は靴を脱ぎながらごっちんを見た。
ごっちんは靴を脱ごうとしていなかった。
「話があって…。」
「うん。わかった。でもとりあえず中はいろ。」
私は玄関で佇んでいるごっちんを置いて部屋に入っていった。
なんで私はこんなに冷静でいられるんだろう。
今から話す事は今までずっと望んでいなかった物だろう。
部屋の電気をつけ終わった時、私の携帯が鳴り出した。
「ごめん、ちょっと座っといて。」
そう言うと私は寝室に入った。
鞄から携帯をとりだす。
矢口だ。
「もしもし?」
「裕ちゃん!?」
少し興奮した矢口の声。
「うちしかおらんやろ?うちの電話やねんから。」
そう矢口に突っ込むと私は矢口に聞いた。
「どやった?」
- 76 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)22時27分43秒
「・・・。」
突然矢口の声がしなくなる。
私は緊張しながら口を開いた。
「どうし…」
私が言い終わらない内に矢口の声が響いた。
「いいって!紗耶香いいって!」
私は全身の力が抜けた気がした。
「ちょっと戸惑ってたみたいだったけどうれしいって。」
「ほんま?よかったやんか…。」
「うん。裕ちゃんのおかげだよ。本当に。」
「うちはなんもしてへんで。今一緒におんの?
なら電話きるで。また今度詳しく聞くから。」
「今トイレ行ってる。うん。また電話するね。」
矢口との電話を切ると私はゆっくり寝室をでた。
ごっちんの待つリビングへ向かう。
ソファーに座ってうつむいているごっちんがいた。
「ごめなぁ、ごっちん。」
私が声をかけるとパッと顔を上げた。
「話あんねんなぁ?」
- 77 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)22時37分52秒
「裕ちゃん…。」
ごっちんは私を見ながら力なくそう呟いた。
「ん?」
私は全てわかっていたが敢えて何も言わず、ごっちんが
話し始めるのを待った。
話し憎そうに、私から目線を外し、少し俯く。
私はごっちんの隣に座らず、壁にもたれかかった。
それは余裕などではなく、意地だった。
隣に座ったら私の感情がごっちんに伝わるかもしれない。
ごっちんが話しだす事に素直に応じられないかもしれない。
すくなくとも私は…ごっちんが好きなんだから。
だまって壁にもたれかかったまま、私はごっちんの言葉を待った。
「・・・裕ちゃん…。」
私は黙ってごっちんを見ていた。
「ごめん。」
ただ一言そう言ってごっちんはまた黙った。
その一言が、予想していた結果の一部のその一言が、
実際に聞いた途端、私は頭を殴られたような衝撃を感じた。
- 78 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)22時47分46秒
「な…何がや?」
なんとか言葉を出す。
「後藤は・・・ずっと裕ちゃんを騙してたんだ。」
「え?」
「だから・・・もう裕ちゃんとは付き合っていけない。」
私はごっちんから目が離せなかった。
そしてゆっくりごっちんに無意識のうちに近づいていた。
「・・・なんでや?」
本能は聞くなといっている。
聞いてしまったら・・・。
ごっちんは近づく私を見ながら黙っていたが、
やがて決心をしたように言葉を吐いた。
「後藤は・・裕ちゃんに市井ちゃんの変わりを求めていたんだ。
私は裕ちゃんが好きだったんじゃない。少し市井ちゃんに
似ている裕ちゃんに市井ちゃんをかぶせていたんだ。」
私は動けなかった。
そんな事は予想していなかった。
少なくとも、好きでいてくれていたと思っていた。
紗耶香の想いがあったのはわかってた。
ただ、自分に重ねられているなんて思ってもいなかった。
好きじゃなかったなんて・・・わかっていなかった。
- 79 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)23時00分59秒
「市井ちゃんに会って・・・それがはっきりわかったの。
だから・・もう裕ちゃんとは・・・一緒にいれない。」
私は声を出す事もできなかった。
ただ、思い出した。私と紗耶香が似てるって言ってたごっちんを。
ごっちんだったのだ。私はすっかり忘れていた。
覚えていたらこの事に気が付いたかもしれない。
ジッと立ちすくんでいる私を見ていたごっちんが立ち上がる。
私はその姿を目で追うことができなかった。
何処をみているのか?自分でもわからなかった。
「・・・ごめん・・。裕ちゃん。」
そういうとごっちんは私の横を通りすぎていった。
私は追えなかった。
何もできなかった。
「裕ちゃん。」
私はごっちんの声がした方に顔を向けた。
「いままでありがとう。」
そう言うとごっちんは私の視界から消えた。
ゆっくり閉まって行くドアだけが私の目に写った。
- 80 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)23時18分23秒
私は力なくソファーに座りこんだ。
今までごっちんが座っていたからだろうか?
少し温もりがある。
代わり・・・。紗耶香の・・・。
ごっちんは私を見ていたのではなかった。
紗耶香の面影を私に重ね、それを見ていた。
昨日紗耶香に会っていたたまれなくなって今日きたんだろう。
けど私はごっちんの事をいえないだろう。
確かに私はごっちんを好きだった。
でも…心の中で1番大切にしていたのは…。
ごっちんの幸せを祈れなかったのは…。
私が最も幸せを祈っていたのは矢口だった。
そのために、ごっちんと長々と、心がもう通い合っていなくても
続けていた。
あっ通い合ってなんかなかったんやった…。
それでも私はちゃんとごっちんが好きだった。
でもそんなん言い訳にしかならんな。
私にはごっちんを責めることなんてできひん。
ただ…少しは好きで居てくれていると思っていた。
私と同じように、紗耶香の次に、2番目に好きでいてくれている
と思っていた。
ごっちんは紗耶香だけだった。
次でも2番目でもない。
全てが紗耶香やったんや。
- 81 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月07日(金)23時36分10秒
ごっちんにとっては紗耶香に似ていれば誰でもよかった。
しかし、今、紗耶香は矢口と付き合う事となった。
私がずっと祈っていた矢口の幸せが叶った。
矢口の幸せが私の幸せだったのに・・。
私がごっちんと付き合っていたのは矢口の幸せのためだったのに。
紗耶香をフリーにさせておく為の…。
別れるだけでもショックだった。
ただ、ここまでショックじゃなかっただろう。
私という人間をまったく見ていなかったということが
なにより衝撃だった。
覚悟はできていた。
別れなんて今までに何度も経験していた。
それぐらい乗り越えられていた。
しかし、今まで自分をココまで否定されたことはなかった。
存在を否定された事は・・・。
私は感情を押さえれなくなっていた。
自然に頬に一筋涙が流れる。
途端にジワッと溢れ出た。
私はこの涙を止める術を知らなかった。
こうして私とごっちんは終わった。
- 82 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月08日(土)01時48分07秒
少しやったけど、ごっちんと恋人でいてる気がしてた。
想いは強くなくてもお互いの気持ちが通じ合ってたと思ってた。
でも、そんなん全部ちがってたんやな。
一緒に過ごした楽しかった時間。
ごっちんは紗耶香と過ごしてるつもりやってんな?
ごっちんの思い出の中に私はおらん。
どうせなら、全部夢であったらいいのに。
こんな想いするくらいやったら・・・。
矢口が何よりも1番やって思ってたけど・・。
ごっちん。あんた、うちの中で結構大っきかったで。
ごっちんの中のうちは・・もうおらんのやろな?
終わりがこんなんなんて予想もできひんかったわ。
でもしかたがない。
うちはごっちんの幸せの邪魔やねんもん。
うちも自分の幸せの為に、矢口の幸せの為に
あんたを繋ぎとめてたんや。
お互いサマなんかな?
でもな、ごっちん。
涙とまらんねん。
私はこの1年くらいで確実にごっちんを好きになってたんや。
最初はなんとも思ってなかったのに。
- 83 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月08日(土)02時00分18秒
この涙の数だけ思い出があるんや。
1年間、ほんまにたくさん思い出作った。
いや、そう思ってた。
けど、二人の間にあったんは思い出じゃない。
だから・・ごっちん。
私は今日、全ての思い出をなくす。
無くす為に涙とめへん。
ごっちんについてもなんとも思わへんようにする。
だから…
だから…矢口の幸せ壊さんといてや・・・。
壊すようなら・…私は手段選ばへん。
矢口だけは傷つけんといや。
ほんまに…その時は…
私はなんにでもなる。
自分勝手でごめんな。
でもこれだけは譲れへん。
矢口の幸せだけは・・・。
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月08日(土)02時36分00秒
- 痛いよ〜。
悲しいよ〜。
やぐちゅー好きの作者さんの事だ・・・絶対なんかあると思ってたけど・・・
そう来たか?って感じでした(w
姐さんが後藤と付き合ってたのは・・・矢口の為って・・・
でも・・・姐さんをまったくみてなかった後藤・・・
まだ話は二転三転しそうなので・・・更新楽しみにしています(w
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月08日(土)02時42分26秒
- 先生、痛いですイタすぎます。
な、なるべく早急な処置を……
- 86 名前:15 投稿日:2001年12月08日(土)02時56分40秒
- 流石です。
また、私のツボをがしっと掴んでくれました。(笑)
この後、どうなっていくのでしょうか。
これからの展開に、期待です。
では、失礼します。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月08日(土)13時00分35秒
- 作者さんは天才だと思ふ。
かなり、おもしろいっす!!
今まで、何で知らなかったんだろう…。
風板の作品も今から読んできます。
- 88 名前:読んでる人 投稿日:2001年12月09日(日)03時21分35秒
- うわ〜、かなり痛い展開ですね〜。
でも、この痛さが最高に面白いです。←なんか変な表現スね(w
更新、楽しみにまってます。
- 89 名前:作者です。 投稿日:2001年12月10日(月)03時11分58秒
>>84さん。
レス有難うございます。
痛くなってきました〜!
この先もお付き合いの程、よろしくお願いします。
>>85さん。
早急な処置…がんばります。
更新できる時にできるだけしようと思ってます。
近いうちにたくさん更新しますので、少々お待ちを。
>>86 15さん。
ツボ掴めましたか?よかった〜。
一時はどうなる事かと…。
いつもいつもレス有難うございます。
本当にうれしいです。
>>87さん。
なっ、何をおっしゃいますか!?恐れ多い・・・。
ありがとうございます。
風板の方まで読んでいただけるなんて・・・。
これからもよろしくお願いします。
>>88 読んでる人さん。
痛さが面白いだなんて…
痛いの書いててこんなうれしい言葉はありませんね。
ありがとうございます。
本当にレスありがとうございます。
いつも励まされています。
更新ペースはまちまちですが、出きる限りやっていこうと
思っていますので、これからもよろしくお願いします。
- 90 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)03時29分31秒
次の日、私の目は悲惨だった。
冷水で絞ったタオルを目の上に載せ腫れを引かせようとしたが
なかなかひいてはくれなかった。
そらあんなけ泣いたら腫れるっちゅーねんなぁ。
体中の水分を全部出したかのような感覚。
仕事の時間になるまで私は必死に目を冷やした。
舞台は生だ。
その一瞬一瞬を見に来てくれた人と共有する。
わざわざ時間を裂いてきてくれる人の前で
こんな顔ではいられない。
涙をとめようとはしなかった自分に反省した。
しかし、この先引きずっていかないためにも
あの涙は必要だった。
なんとか化粧で誤魔化せる程度になり、
私は全てを忘れて舞台に没頭した。
「中澤さん。今日よかったですよ。」
公演の後、すれ違った共演者に声をかけられた。
何もかもを忘れ、役になりきれた。
この経験で成長できたのだろう。
今の私には仕事しかない。
皮肉なもんやな。
今日が1番できがよかったなんて…。
- 91 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)03時53分22秒
今日はハロモニの収録日。
あれからまだ誰とも会っていない。
ごっちんとも矢口とも。
紗耶香にも最近は会う事がなかった。
私はいつもより遅くに楽屋入りをした。
ぎりぎりに。
娘。の楽屋に行かない理由を持つ為に。
いや、行くべきだろう。
ごっちんとは普通に話す自信はある。
ただ、回りに気を使われるのが嫌だった。
特に…矢口には。
皆が知っているかどうかはわからないが、
私から言うのはやめよう。
ごっちんが言うまで…ごっちんに合わせよう。
私はとりあえず、誰よりも先にごっちんに会おうと思った。
きっとごっちんは私に近寄らないつもりでいるだろう。
私から話しかけなければならない。
私は楽屋をでるとスタジオにむかった。
いつもごっちんが待機している場所を目指して
私は地を踏みしめて歩いた。
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月10日(月)14時27分50秒
- 姐さん〜!
痛いね。大人だね。
- 93 名前:作者です。 投稿日:2001年12月10日(月)16時08分37秒
>>92さん。
姐さん辛い役回りですが・・・。
他の娘よりかは場数踏んでるって事で・・・。
レスありがとうございます。
- 94 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)16時25分54秒
スタジオのドアを開けると慌ただしく動くスタッフが見える。
挨拶をしながら私は出演者が待機するテーブルへ向かった。
まだ皆は楽屋にいるのだろう。
そこにはごっちんだけがいた。
私を見てばつの悪そうな顔を一瞬見せる。
「ごっちん。おはよう。」
私はそう声をかけると向い側の席に腰をおろした。
「・・・おはよう。」
そういうと顔をふせる。
多分ごっちんは私に会いたくなくて楽屋を真っ先に出たのだろう。
私は少し呼吸を整えるとごっちんに話しかけた。
「ごっちん…。私嫌いか?」
ごっちんは少し顔を上げて私を見た。
「嫌いでもな、仕事の時は仕方がない。いくら喋りたくなくても
仕事中はちゃんとしような。その他ではなんも言わんから。」
私がそう言い終わるまでごっちんはジッと私の顔を見ていた。
「・・・嫌いじゃないよ。」
そう呟くと少し視線を外す。
「裕ちゃんが…。」
そう言うとまた黙る。
「なんや?」
そう聞いた時、娘。達が来たのだろう。
スタジオが騒がしくなった。
- 95 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)16時41分51秒
「ごっちん、仕事の後ちょっとだけええか?
今日で終わらせよう。こんな気持ちのままこれから
仕事やっていきたくないやろ?な?」
私がそう呟くとごっちんは黙って頷いた。
私がその動きを確認するや否や、
「中澤さ〜ん。」
後ろから辻の呼ぶ声がした。
私は辻に振りかえりごっちんとの話しは後に持ち越す事にした。
ごっちんとの絡みはあまりなかった為、仕事に支障はなかった。
まだごっちんが言っていないのだろう。
私達の関係は以前のままの様に思われていた。
私から見れば明らかにごっちんは私を避けていたのだが。
この調子だといづれ画面に現われてしまう。
私は早くごっちんと話しあいたかった。
ごっちんもどうにかはしたいと思っていたのだろう。
ちらちらと私を見ていることが多かった。
私はいつもの様に矢口に絡みながらその視線を受けていた。
いつも通り、いつも通り。
私はそう何度も念じながら収録を終えた。
- 96 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)16時52分03秒
「ごっちん、楽屋にいるし。後で来てくれる?」
小声でそう呟くとごっちんは頷いて去っていった。
私は前方を歩くごっちんの背中を見ながら自分の楽屋向かった。
紗耶香と矢口の事知ってんのかな?
紗耶香は・・。
そんなことを考えていると背中に衝撃が走る。
「いった〜!!」
「何ボーっとしてんの?アホ裕子!」
「矢口〜 痛いやんかぁ。アホ!」
背中をさすりながら振りかえると矢口が笑いながら私を見ていた。
でも、目は笑っていない。
私はそんな矢口に気が付かない振りをして楽屋に入った。
矢口は黙って中に入ってきた。
「どうしたの?」
ドアを閉めるなり早々矢口が口を開く。
「ん?何がや?」
「今日の裕子変だったよ。」
「そうか?いつもと変わらんで?」
矢口・・なんでわかるんや?あんたが・・。
回りの誰にもバレへんようにしてたのに。
なんであんた気付くねん。
「ごっちんと…なんかあった?」
- 97 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)17時01分45秒
「別に?それよりどうやねんな?紗耶香と。」
私は何もない素振りを見せた。
そうや。うちの事よりあんたの事やで、矢口。
「えっ?うん、大丈夫だよ。電話とメールしてる。」
「そっか?ならええやんか。」
「うん。まぁね。・・・それよりさぁ、裕ちゃん。
なんか今日変だったって。」
「誰が?」
「裕ちゃんが!」
なんでや?うちはいつも通りちゃんとやってたはずや。
「なんかねぇ、仕事なんです!って感じだったよ。」
は?意味わからん。
私の額に皺が寄ったのがわかったのか、矢口は続けて話した。
「いつもは楽しい感じだったのに、自然なのに、今日の裕ちゃんは
仕事をしている自分を作りあげてるかんじだった。」
・・・。
私は正直驚いた。矢口が、あの矢口がこんなにしっかりしているなんて。
確かに今日の私はいつも通りを意識しすぎて自分を作りあげてた
のかもしれない。
「・・・。そうか?そんなに今日の私変やったか?」
- 98 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月10日(月)17時16分48秒
「嫌、なんか矢口がそう思っただけなんだけど・・。」
少したじたじと話す矢口。
「ん?」
「裕ちゃん顔怖い。」
こいつ・・・。私は怒った振りをして矢口を追いかけた。
必死に私から逃げる矢口を見ながら、私はうれしくなってしまった。
矢口…私を見てくれてたんやなぁ。
ちょっとした変化に気付いて・・・。
でも、ちょっと酷やで。
ますます矢口に惚れたやんか。
私は矢口を捕まえて抱きしめた。
手の中でギャーギャーとわめく矢口をみる。
この一瞬。
これだけで十分や。
こんな関係でも、矢口と近づけるんやったら・・・。
「なんもないからな。」
そう呟いて矢口を離す。
だって、もう矢口は紗耶香の者やから。
「さっ楽屋帰りや。またゆっくり矢口の話し聞くから。」
私は笑って矢口を送り出す。
「うん。じゃね〜!」
子供の様に走って行く矢口を見送る。
あまりにも長くいたら矢口の幸せを祈れなくなるから。
引きとどめても矢口の笑顔が見れなくなると辛い。
私の大好きな矢口の笑顔は、
矢口が紗耶香について話している時やからな・・。
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月10日(月)22時43分04秒
- 凄く更新されてる!!
幸せ〜。
でも・・・裕ちゃんが痛いよ。ごっちんも痛いよ。
矢口裕ちゃんを救え!!(W
- 100 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年12月11日(火)00時20分59秒
- やっと、テストが終わった!そして、更新されてる〜♪
うれすぃ
- 101 名前:作者です。 投稿日:2001年12月11日(火)17時28分23秒
>>99さん。
レスありがとうございます。
痛いですね・・。
最後には皆なんらかの形で幸せにできたらいいなぁと
思っておりますが…マダワカラナイデス・・。
>>100 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
テストお疲れサマでありました。(学生さん??)
ちびちび更新してます。
またお暇な時は、お付き合いください。
*芸能人(モーニング娘。とか今の状態っていうか…)として
書いたのは初めての試みなので数多くの矛盾点がありますが
目をつぶってやってください。
しかも…あまり詳しくないのでいつ誰と誰が会っているなんて
まったく知りません。
詳しい方で、おかしいな?って思われている方がございましたら
……・ごめんなさいデス。
っちゅーか気にしませんよね?
突然すいません。
- 102 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月11日(火)17時36分43秒
矢口を見送り私はドアを閉めた。
静かな空間である。
娘。の楽屋はうるさかったからなぁ。
少し昔を思い出しながら私は帰り支度を始めた。
身の回りの物をしまい込み、一息ついた頃、
ドアがノックされた。
「はい?」
ゆっくりとドアが開き、ごっちんが顔をみせた。
浮かない、沈んだ顔で私を見ている。
「あぁ、ごっちん。まぁ入ってや。」
私は自分の前の椅子を指差した。
静かにドアを閉め、ごっちんは何も言わずに椅子に座った。
「やっぱり今日はなんか変やったな。」
口をひらかないごっちんに声をかける。
「…そう?」
手短にそう答えるごっちん。
顔は下を向いたままだ。
私は少し座り直してじっくりとごっちんを見た。
- 103 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月11日(火)19時24分45秒
- 中澤頑張れ〜!!
後藤頑張れ〜!!
作者さん頑張れ〜!!!
- 104 名前:15 投稿日:2001年12月11日(火)20時46分51秒
- いつに、誰と誰が会ってるなんて、
そうそう分かるようなものじゃないので、
気にせず書いちゃってOKですよ!!
切ない感じですね。
これからどうなっていくのか・・・。
応援してます。頑張ってください。
では、失礼します。
- 105 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月11日(火)21時36分09秒
「ごっちん…なんかうちに悪く思ってる?」
私がそう言うとごっちんは黙って少し頷いた。
「…は?」
ごっちんは少し顔を上げて私を見た。
「負い目とか感じてんの?ふざけんといて!」
私の口調が荒くなった事でますますごっちんの顔は曇っていく。
「そんなん感じられる程私はやわじゃないで。
しかもそんな事で仕事に支障をきたすなんて最悪や!」
私はここまで捲し立てると顔の表情を和らげた。
「私は…そらショックやったけど、ちゃんと言ってくれた事が
うれしかったんや。普通なかなかちゃんとした自分の気持ち
なんか言えへんもんや。」
「裕ちゃん…。」
「だからもうごっちんは変に気とかつかわんでいいんやで。
使われる方が私は嫌や。」
「・…。」
「ちゃんとしよ。な?今までの、なんもなかった頃に
戻ろう。・・…っちょ〜泣かんといて〜や。」
ごっちんの目から涙がこぼれた。
でも・…
顔は…笑ってくれてた。
- 106 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月11日(火)21時51分23秒
「…違うの、裕ちゃん。嬉涙だよ。」
「え?」
「裕ちゃんと…もう戻れないって思ってたから…。
後藤が・・ひどい事したから…。許してくれないって…。」
指で涙を拭きながらぽつりぽつりと言葉をはく。
「裕ちゃんがそう言ってくれるなんて思ってなかったから。」
「ごっちん…。」
私の事…気にしてくれてたんやな。
「この間も…あんなひどい別れかただったから…。
もう裕ちゃんとは話せなくなるのかなって…。
一方的だったし・・・。」
「ごっちん…そんな事考えとってくれてたんかいな?」
「だって…後藤は裕ちゃんが嫌いになったんじゃないから。
だから話せなくなるのは…辛いもん。」
紗耶香が現われる前のメンバーの中やったら1番私を
好きでいてくれてたんや。
ただ・・ごっちんは気付いたんやな?
それが恋愛感情じゃなかった事に…。
ただ、人間的に好きやっただけって事に・・。
- 107 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月11日(火)22時04分44秒
「ごっちんの気持ちはよーわかった。人生こういう事も
あるわな。もう私は気にせんから…だから…
これからもよろしく頼むわ。」
私がそう言って右手を差し出すと、ごっちんは掴んでくれた。
この間は力をこめてくれなかった手に。
「後藤こそ…よろしくデス。」
涙で目は濡れてしまっているけれども、
ごっちんの顔はいつもの笑顔だった。
「んじゃ、ごっちんから皆に言うといてな。言ってなかったやろ?」
ごっちんは黙って頷いた。
「さっ、仕事も終わったし、帰ろうか。」
私が荷物を持って立ち上がるとごっちんも立ち上がった。
一緒に、まるで今までのように、私とごっちんは並んで歩いた。
いろいろな事を話しながら。
リセットされた関係だが、一見、この先順調に行くかのようだった。
紗耶香の事を除いては…。
お互い口にしない。
別々の理由で…。
でもな…順調にはいかんやろ?
私は紗耶香とごっちんを結ばせる事はできひんから。
- 108 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月11日(火)23時05分45秒
ごっちんと別れて私はさっさと家に帰った。
熱いシャワーを浴びてさっぱりする。
タオルで髪を拭きながら、私は冷蔵庫を開けていた。
「あっ明日舞台なんや・・。」
ビールに伸ばした手を止める。
ミネラルウォーターをとりだして喉を潤す。
矢口は・・紗耶香とのこといつ言うつもりにしてんのや?
ごっちんが…
ずっと矢口が気にしてたごっちん・・・
私は引き止めきれへんかった。
また矢口は自分を押し殺してしまうかもしれへん。
私は携帯を手にした。
矢口…
ごっちんとの事今から教えるから…
だから…だから、
明日、嫌、いつでもええ。
ごっちんより早く紗耶香との事を発表せぇ。
紗耶香の気持ち知らんから安心できひんねん。
またごっちんとくっついたりすんのちゃうかって…。
あんたも心配なんやろ?矢口
矢口のその笑顔見てたいから…
ずっとその笑顔の矢口を見てたいから…
- 109 名前:作者です。 投稿日:2001年12月11日(火)23時15分04秒
>>103さん。
応援有難うございます。
がんばります!!
そろそろ市井をださないと…
>>104 15さん。
いつもレスありがとうございます。
そう言っていただけるとホッとします。
中澤がだんだんやばくなってきちゃいました…
ちょくちょくですが進めていきますので
これからもよろしくお願いします。
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)00時19分36秒
- あぁ…ねーさんえーひとや…(涙
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)01時59分59秒
- 裕ちゃんが・・・大人でも・・・
でも、惹きつけられる小説・・・
読まずにはいられない。
- 112 名前:作者です。 投稿日:2001年12月13日(木)21時57分58秒
>>110さん。
レスありがとうございます。
これからもよろしくです。
>>111さん。
レスありがとうございます。
すごくうれしいです。
読まずにはいられないなんて…恐れ多い…。
- 113 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月13日(木)22時07分52秒
「もしもし?」
数回の呼び出し音の後、矢口の声が聞こえた。
「あっ、もしもし。」
「どうしたの?裕ちゃん。」
電話の向こうからは何か音楽が聞こえてきた。
「今家か?」
「うん。さっき帰ってきた所。部屋にいるよ。」
「あんな、ちょっと言っとかなあかん事あんねんかぁ。」
私はごっちんと別れた事を告げた。
矢口は私達の変化に気付いていた様子だったので、
「そうなんだぁ。」
と、ただそれだけ言った。
ごっちんが紗耶香の事を好きだって事を言うべきだろうか?
でも、矢口に心配させたくない。
知ってしまったら矢口と紗耶香の今の関係に何か問題が
起こってしまうかもしれない。
「なんで別れる事になったの?」
矢口のその質問に私は少し何も言えなかった。
「・…。まぁ、気持ちのすれ違いや。」
そう言って深くは言わなかった。
矢口の事だからうすうす感じているかもしれない。
しかし、私の口から直接その言葉をだすのは止めた。
- 114 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月13日(木)22時19分19秒
とりあえず、私は早く娘。に矢口達の事を言うように
言いたかった。
でも、それを口にすることは…。
紗耶香と矢口の関係を信用してないと言っているようなものだ。
うながす程度しか私には言えなかった。
「あんたらはまだ誰にも言ってへんのか?」
「え?うん。なんとなく。まだ言ってない。」
「そうなんや?いつ言うつもりにしてんの?」
「あー、まぁそろそろ言おうとは思ってるんだけどね。」
矢口…。もうわかってるんやろ?
早くした方がいい。
なんの根拠もないけど本能がそう言ってるねん。
「今度紗耶香に会うかもしれんからなんか聞こうかな?」
「え〜、まっいいけど。変な事紗耶香に言わないでよ。」
「変な事ってなんやねん。ちょっと聞くだけや。」
紗耶香の気持ちが1番知りたかった。
矢口に対する気持ちが。
ちゃんと矢口の気持ちと受け止めているのか?
正体の見えない不安が私の心を覆っていた。
- 115 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月13日(木)23時00分55秒
ライブの打ち合わせがあった。
曲順などを決める。
私は舞台の後に参加する事になっていたので紗耶香と
会えるかは不明だった。
会議室のドアを開けると数人のスタッフが居た。
紗耶香は帰ってしまったか…。
荷物を置いて私はスタッフと話していた。
ガチャ
背後でドアの開く音がした。
「あっ、裕ちゃん。」
急いで振りかえると紗耶香が笑って手を振っていた。
トイレに行っていただけだったらしい。
私の隣に座るとライブについて真剣に考えていた。
大人になったなぁ、と思いながら私は紗耶香を見ていた。
この1年半で少し変わったのかもしれないな。
ジッと見る私に一瞬?の顔をしたが紗耶香はあまり気にせずに
ちょっと笑った。
打ち合わせが終わったら矢口の事を聞いてみよう。
この1年半でごっちんへの想いが完全になくなっている事を
ちゃんと私が納得できるように。
- 116 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月14日(金)00時17分36秒
「紗耶香ぁ。」
荷物をまとめている紗耶香に声をかける。
紗耶香は手をとめて私を見た。
「ん?何?裕ちゃん。」
「矢口とつきあってんねんて?」
少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を見せる。
「うん。そうだよ。矢口に聞いたの?」
「そうや。めっちゃ喜んどったわ。」
頭に矢口の電話での声が残っている。
「うそ。なんか照れるなぁ。」
紗耶香はハハハと笑いながら頭を掻いていた。
「で、どうなんよ?紗耶香は。」
「え?…・市井もちゃんと好きだよ。矢口の事が。」
少し照れながらそう言う。
「あー暑い暑い。なんかここ暑いわ〜!」
私はそう言いながら顔を扇ぐ振りをした。
紗耶香は少し怒って私を見ていた。
「矢口…今めっちゃ幸せそうや・・。ちゃんと幸せにしたってや。」
紗耶香は真面目な顔をした。
そうして一言私にこう言った。
「わかってる。」
- 117 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月14日(金)00時27分35秒
その紗耶香の一言が私の不安を吹き飛ばした。
本当にうれしかった。
紗耶香が矢口を大切にしているのがわかる。
矢口の笑顔が頭に浮かぶ。
紗耶香の前ではいつもこの顔なんだろう。
私に見せたあの私の大好きな笑顔…。
「裕ちゃんってさぁ・・。」
紗耶香が不意に話し出す。
「後藤とつきあってるんだって?」
私はどう答えたらいいかわからなかった。
確かに付き合っていた。
多分誰かに聞いたのだろう。
でも、今は別れている。
「別れた。」と言ってしまっていいのだろうか?
紗耶香…ごっちんへの想いが復活したりせーへんよな?
「う・・うん。まぁ。」
「後藤と裕ちゃんがねぇ。最初あんなに喋らなかったのにね。」
その後も適当に返事をしておいた。
言えない。まだ。
ごっちんごめんな。嘘ついて。
でも矢口の幸せ壊したくないねん。
そのためやったら嘘なんていくらでもついてやる・・。
- 118 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)00時38分54秒
- 自分の中で・・・色々予想を展開しているが・・・(w
よめない!!
推理小説とか最初のほうで先が絶対よめるのに(w
- 119 名前:作者です。 投稿日:2001年12月15日(土)15時14分07秒
>>118さん。
レスありがとうございます。
色々と予想していただいてるんですね。
なんだかうれしいです。
- 120 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月15日(土)15時24分16秒
結局私はごっちんと付き合ったままで居る事になっていた。
紗耶香の前では。
いつかはいわなければならない。
だが、まだ言えない。
もう少し、もう少しでいいから・・。
矢口と紗耶香の関係にもう不安はないはずなのに・・。
何故言えないのだろう?
それほどまでに、私はごっちんと紗耶香の関係をまだ
うたがっていた。
紗耶香さえちゃんと矢口とうまくいってくれたらいいんだ。
ならきっとごっちんも諦める。
諦めてくれる事を私は心から望んでいた。
「今から矢口に会うんだ。」
紗耶香がそう言って笑っていたので、私は自分に
何も心配する事はないんだ、と言い聞かせた。
「ほな早く帰りや。矢口待ってるで。」
「…裕ちゃんって…。」
紗耶香が何か言いかけたが、「なんでもない。」って言って
部屋を出て行った。
私は少し気になったが、これから矢口があの笑顔で紗耶香と
会うのを想像して1人微笑んでいた。
- 121 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月15日(土)15時36分03秒
その晩、遅くに矢口からメールがきた。
『今日メンバーに言ったよ。皆驚いてたけど祝福して
くれました〜!』
私は矢口にごっちんの事は言っていない。
気付いてはいるだろうけど。
皆の中にごっちんは含まれているのだろうか?
ごっちんも表面上だけでも矢口を祝福していたのだろうか?
『これで公認の仲やな。』
短くそう返事を返す。
これでごっちんがどう行動するか。
諦めるだろうか?
紗耶香が休んでいる間、ほとんど連絡とってなかったぐらいだから
行動は起さないかもしれない。
私はそう思う事にした。
もう少ししたら娘。に紗耶香と一緒に会いに行く時がある。
その時にごっちんの様子をうかがおう。
できるだけ私は紗耶香といてごっちんを近づけささないように
しようと思った。
それがどんなに卑怯な行動であっても、
私は矢口の笑顔が見たかったから。
- 122 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月15日(土)15時52分42秒
舞台もついに終わり、私の毎日が変わった。
毎日仕事は忙しいが、生のあの私の苦手とする緊張の毎日
ではなくなった。
新年の番組を撮ったり慌ただしかった。
娘。と一緒にある収録がちょうど紗耶香との仕事の前に
入った。
紗耶香なしで娘。に会う。
私はごっちんが気になった。
矢口と紗耶香の事を知ってどういう態度をとれてるのか。
私は久しぶりに娘。の楽屋に出向いた。
「おはよー!」
ドアを開くといつもの様にみんなが迎えてくれた。
「おはよー、裕ちゃん。」
「おはようございます。」
私はいつものように矢口の元へむかった。
「矢口〜!何してんの〜?」
後ろから抱き付きながら矢口の耳からイヤホンを抜く。
「何すんだよ、裕子!」
私の手からイヤホンを奪って鞄にしまう。
「…別に〜。遊ぼうや〜。」
私は聞いた。矢口は娘。の曲を聴いていた。
いつもは絶対聞かないのに。
LOVEマシーンだった。
紗耶香がいた頃の娘。の曲だった。
- 123 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月15日(土)16時00分54秒
なにかショックだった。
矢口の恋を応援していたはずなのに。
ここまで紗耶香に夢中な矢口に。
私はいつもの様に適当に矢口をからかい続けた。
いつもの様に楽しくはなかった。
でも遊び続けた。
自分の気持ちに動揺しながら矢口と絡んでいた。
そんな時、ごっちんが視界に入った。
私と矢口を見続けている。
それはいつものような優しい目ではなく、真剣な目だった。
「ごっち…。」
「市井ちゃんの物なんだよ!やぐっつぁんは!」
私が声をかけたのと同時にごっちんが叫んだ。
私はしばし呆然とした。いや、私だけじゃなかった。
楽屋中の皆がごっちんを見ていた。
「市井ちゃんが見たら怒るよ!裕ちゃん。」
そう私に言うとごっちんは見ていた雑誌に再び視線を落とした。
私はゆっくり矢口から腕を解いた。
矢口も驚いていたのか、私が腕を解くと寂しそうに
私を見上げた。
けれど何も言わなかった。
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)23時09分04秒
- 淡々としたねえさんの語り口調が切なすぎ・・・助けて・・・(w
あっちも読んでます。ガムバテクダサイ
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)00時33分01秒
- 裕ちゃん健気だ。
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)04時23分43秒
- もしかして・・・ごっちん実は姐さんの事が好きだったりして(w
姐さんの気持ちを試したなんてありえないよなぁ?
- 127 名前:作者です。 投稿日:2001年12月16日(日)16時26分18秒
>>124さん。
レスありがとうございます。
姐さん達にそろそろ何か…
助けたいですが…(マダ内緒デ)
あっあっちも読んで下さってますか??
どうも本当にアリガトゴザイマース。
>>125さん。
レスありがとうございます。
めちゃ健気になってますね。
そろそろ…
>>126さん。
レスありがとうございます。
いろいろ予想していただいてるみたいですね。
ごっちん、裕ちゃん、矢口、紗耶香…
ラストはどうなるか、また予想してください。
- 128 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)16時40分28秒
「そ、そやな。ごめんな矢口。」
私はそう言って矢口から離れた。
「ゆ、裕ちゃん…。」
矢口が寂しそうに私を見たが、私は笑ってごまかしておいた。
楽屋に重い空気が流れる。
そんな時に口を開いたのは石川だった。
「ごっちん、矢口さんに焼きもち焼いたの?」
私は驚いて石川を見た。
いらん事言うなっという目で見るが石川は気が付かない。
それより、まだごっちんは言ってなかったんか?
私等が別れた事を。
「中澤さん、ごっちんを・・。」
ガタンッ!!
「裕ちゃんとはもう別れたの!!」
石川が私に話しかけた途端、ごっちんは椅子から勢い良く
立ち上がって叫んだ。
全員の動きが止まる。
石川は動揺して泣きそうになっていた。
私達が別れた事もそうだが、ごっちんがこんなに感情を
あらわにしたのは初めてだったので全員が驚いていた。
- 129 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)19時02分23秒
「え?」
「裕ちゃん?」
皆が少しざわめく。
ごっちんは立ったまま下を向いていた。
私はゆっくりごっちんに近づいた。
「ごっちん、何もそんな叫ばんでもいいやろ?
石川も悪気があったんちゃうんやし。」
ごっちんは黙って下を向いている。
私は振りかえってメンバーを見た。
「そう言う事や。私とごっちんは別れたから。」
そうして私は娘。の楽屋から出て行こうとした。
通り道に石川がいたので軽く頭を撫でてやった。
少し涙目でいたから。
外にでてドアを閉める時、矢口の顔が見えた。
何か言いたそうにしている顔。
ごっちんは相変わらず下を向いていた。
ごっちん…そんなに紗耶香と矢口が付き合ってるんが
気にくわんのか?
私はさっきのごっちんの姿が頭から離れなかった。
- 130 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)19時10分46秒
自分の楽屋で収録時間を待つ。
後20分くらいなのだが大分待たないといけない気がした。
ノックの音と同時に激しくドアが開かれた。
「なっなんや?圭ちゃん。」
血相を変えて入ってきた圭ちゃんに私は持っている本を落としそう
になった。
「ちょっと来て!矢口と後藤が!!」
矢口?
その言葉を聞いて私は慌てて立ち上がった。
圭ちゃんの後について廊下を走る。
娘。の楽屋に入ると圭織が矢口を、吉澤がごっちんを押さえていた。
「なっ…何やっとんねん?」
新メンバーと辻と加護は部屋の端で呆然とし、
石川はなっちにくっついて事を見ていた。
一体何があったんや?
なんで矢口とごっちんが…?
私はゆっくり二人に近づいた。
- 131 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)19時17分31秒
「あんたら…何やってんねん!!」
私の叫び声が楽屋に響きわたる。
矢口と後藤はふくれっつらで座っている。
「今から仕事やろ?そんな時に何考えてんねん!
プロとしての自覚が足りてへん!
とりあえず、時間もないから…ごっちん。」
私はごっちんを見る。
ごっちんは私の怒鳴り声に少し怯えたようで、
小さくなって私を見た。
「あんたは私が話し聞く。矢口は圭織と圭ちゃん頼んだで。
ほら、おいで。」
私はキツイ口調で後藤の腕をとり楽屋をでた。
私は自分の楽屋でごっちんと向かい合っていた。
「…。」
ごっちんは下を向いたまま喋らない。
私の事めちゃ怖がってるなぁ。
私は少し笑ってしまった。
この間は私を泣かせたのに・・・。
「とりあえず…何があったか話てくれへんか?」
私は優しい口調でごっちんに聞いた。
- 132 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)19時35分32秒
ごっちんは静かに話し出した。
それは私にしか打ち明けられない想い。
紗耶香への想いもあった。
「ちょっと、前にやぐっつぁんに聞いてから…
市井ちゃんとの事…。やぐっつぁんとちゃんと話せなかった
んだ。そっけなくしちゃって…。」
私は黙って聞いていた。
「それで今日…裕ちゃんとベタベタしてるのを見て…市井ちゃん
と付き合ってるのになんで他の人とベタベタすんの?って
自分の中でいらいらしちゃって…。でもね、裕ちゃんと
やぐっつぁんの関係って市井ちゃんも知ってるから
市井ちゃんがなんか言うなんてありえないんだけどね。」
私はじっと何も言わずに聞いていた。
「それで怒鳴っちゃったからさっき裕ちゃんが出て行ったら
やぐっつぁんが、さっきのはないよって怒ったんだ。
裕ちゃんに謝りなって…。後藤も自分で何してんだろって
思ってたんだけど、なんか後にひけなくって…。
だからね、全部後藤が悪いの。」
ごっちんはそう言って、私に頭を下げた。
「ごめんなさい。」
- 133 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)20時05分41秒
- やったー。更新されてる。
作者さん最高〜♪
- 134 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)20時29分29秒
「まぁ、頭あげぇや。私に謝る事ちゃうやろ?」
「でも、怒鳴ったし・・。」
「あれは、ごっちんの気持ち知ってるのに、ごっちんの
前でやった私も悪かったわ。ごめんな。でも、ほんまに
アレはただのスキンシップやし…。矢口はホンマに
紗耶香に夢中やから…。だから出きるって事もあるんやけど。」
上手く言えなくて自分でむずがゆい。
そして…自分でそう言って寂しかった。
「うん…。わかってる。後藤がやぐっつぁんに焼きもち焼いてる
だけだから…。」
こんな悩みは娘。にはできないだろう。
ごっちんはさっきまでの張り詰めた表情からだんだんいつもの
顔に戻ってきていた。
「とりあえず、矢口に対しては普通に・・な?
紗耶香もそんなごっちんは見たくないと思うで。」
ごっちんは黙って頷いた。
私達は娘。の楽屋に帰ることにした。
仕事の時間ももう迫っている。
問題は早く解決させなくてはならない。
ギグシャクしたままで収録に望めば、それが全国に放送されてしまう。
夢を与える仕事なのに、ファンにそんな姿は見せられない。
- 135 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)20時40分03秒
娘。の楽屋を開ける。
ごっちんはゆっくり矢口に近づいた。
私はドアのところでソレを見守っていた。
「・・やぐっつぁん・・。」
ごっちんが話しかけると矢口はじっと後藤の顔を見た。
「ごめんなさい。なんかちょっとむしゃくしゃしてて…。
やぐっつぁんの言ってる事が正しいと思うから・・。」
矢口は謝るごっちんを見て…笑った。
「ううん。ごめん。矢口も言い方なってなかったから…。
あんな言い方してごめんね。」
どんな言い方だったかはわからないが、回りに押さえられてた
くらいだから結構きつめに言ったのだろう。
とりあえず、解決したようなので私はそっと部屋をでた。
ドアを閉めた瞬間ドアに力が加わる。
「わっ。」
圭ちゃんが出てきた。
「裕ちゃん…ごめんね。」
ドアを閉めながら私に謝る。
「え?何がや?」
「娘。問題なのに…裕ちゃんから任されたのに。」
圭ちゃんは責任感の強い子だ。
自分達で解決しきれなかった事を悔やんでいたのだろう。
「何ゆってんねん。今回は私も絡んでたからやん。」
- 136 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月16日(日)20時51分05秒
「でも…。」
「圭ちゃんがちゃんとやってる事わかってるから…。
それに・・ごっちんの事かって私が説教した訳でもない。
ちゃんと自分でわかっとったよ。なんも心配せんでも
圭ちゃんと圭織はちゃんと娘。まとめれてるんやから。」
圭ちゃんはだまって頷いた。
「まだまだ裕ちゃんのようにはいかないよ。」
「何ゆってんの?私のようになんかなったらあかんで。
圭ちゃんと圭織の、自分らのやり方でやらな。
な?今日かって皆一丸となって二人とめてたやん。
まとまってるからやろ?」
そういうと、やっと安心した様に笑った。
「それより私が心配なんは…。」
圭ちゃんの顔が少しこわばる。
「新メンバーにますます怖がられそうって事やわ。」
「あ〜、怒鳴ってたもんね。かなり怖がってたよ。」
圭ちゃんは笑いながら私を見た。
「まじで?あ〜ぁ。最近ちょっと喋れてたのになぁ。」
「フォローしとくって。」
「頼んだで。んじゃ、スタジオで。」
圭ちゃんもしっかり娘。のサブリーダーになったなぁ。
私はなんだかうれしかった。
- 137 名前:作者です。 投稿日:2001年12月16日(日)21時35分03秒
>>133さん。
レスありがとうございます。
ちびちび暇あれば更新しています。
これからもたま〜にチェックしていただけたら光栄です。
- 138 名前:133 投稿日:2001年12月17日(月)01時28分45秒
- たまにチェックどころか毎日チェックしてます。(w
それも・・・2回ぐらい(w
- 139 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月17日(月)03時21分52秒
- ほの小説めっちゃツボにHIT中でーす。
- 140 名前:作者です。 投稿日:2001年12月17日(月)16時23分18秒
>>138 133さん。
レス有難うございます。
毎日チェックしてくださってるんですか??
マジで!?
こ…こんな物をチェックして下さってるなんて(涙
しかも2回も…(号泣
本当にありがとうございます。
>>139さん。
レス有難うございます。
気にいっていただけて光栄です。
これからもそのツボにHITできたらいいなぁ、
と思う次第でございます。
- 141 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月17日(月)16時46分29秒
残り少なくなった待ち時間。
私は台本をペラペラとめくりながら時間を潰していた。
なんでごっちんは言ってへんかったんやろ?
さっきはそれどころじゃなかったので聞きそびれてしまった。
なんか理由があんのか?
なんの理由もなしにただ言いそびれただけだったのかも
しれないが、私は何かひっかかっていた。
スタジオで再び娘。と顔を合わせた。
さっきまでの雰囲気はなくなり穏やかな物となっていた。
新メンバーを見ると慌てて視線をハズされた。
…・圭ちゃん…フォローは?
私は回りを見渡してなっちを見つけると
ゆっくり近づいた。
なっちは台本を見ながら圭織と喋っていた。
「なんや?合わせてんのか?」
なっちの隣の椅子に座る。
「ん?まぁね。」
「コントは難しいからなぁ。」
私は収録が始まるまで3人で喋っていた。
- 142 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月17日(月)17時15分35秒
収録が終わって、私が帰り支度をしていると
矢口が訪れてきた。
「おっ?なんや?」
手招きして椅子に座らせる。
「さっきはごめんなぁ。くっついたりすんのもうせんほうが
ええかな?」
本心ではそんな事を思っていない。
矢口とのこの関係はずっと続けていたいから。
でも、それで矢口達の関係が潰れるなんて事になる方が
私には考えられなかった。
「ううん。矢口は何も気にしてないよ。紗耶香もそんなの
気にしないし…だって昔からしてたじゃん。」
「でもな…。」
「裕ちゃんがやらないっていうのなら矢口は止めないけど…。」
私は目の前にいる矢口に思わず抱き着いていた。
ごめん、紗耶香。
今だけは…これだけは許してや。
「やってええんならやめる訳あらへんやん!!」
「ゆ、裕ちゃん・・・苦しい。」
腕の中で矢口がもがく。
私は笑いながら矢口を離した。
「まぁ、今度紗耶香に了解得といてや。」
「矢口が言うの?なんか変じゃん。」
「?そやな。今度許可もらっとこっと。」
- 143 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月17日(月)17時24分31秒
矢口は少し紗耶香の話しをして帰っていった。
私の大好きな笑顔を見ていられる。
それだけで満足していた。
いや、満足させていた。
あの笑顔が見れなくなる方が嫌だから。
私があの笑顔を壊してはいけない。
次に矢口と会う時は紗耶香がいる。
つまり、私はずっとあの笑顔を見ていられる事になる。
だから考えなかった。
私が矢口と紗耶香の関係を見てどう思うか。
ごっちんが紗耶香を見てどうなるか。
私は自分の今の事ばかり考えていたんだ。
自分の事ばっかり…
ごっちんの事ももっと考えておけば良かった。
私はすっかりごっちんに聞くのを忘れてしまっていた。
- 144 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月17日(月)20時43分59秒
- 私も毎日、先が気になる派です。(w
作者さんは凄いよ。本当に・・・
どうなるのかハラハラワクワクしてます(w
更新に感謝。
- 145 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月18日(火)20時12分32秒
- 裕ちゃんせつない・・・
ごっちんもせつない・・・
さて救われるのか?二人とも・・・
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月19日(水)01時34分34秒
- ごっちんはどこへ・・・向かって・・・
姐さん大変だ。自分の気持ち・・・
矢口も気づかい・・・
後藤も・・・
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月20日(木)00時30分37秒
- 待てませ〜ん!!>作者さま
こ・・・更新を・・(w
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月20日(木)15時04分32秒
- 某所で新作のごまゆう始めるってあったけど・・・
何板ですか?ヒントを・・・お願いします。
- 149 名前:作者です。 投稿日:2001年12月20日(木)20時03分50秒
>>144さん。
レスありがとうございます。
毎日気になるだなんて…本当ですか?
すごくうれしいです。
これからも宜しくお願いしますね。
>>145さん。
レスありがとうございます。
2人がどうなるか?って話ですよね?
救えるのでしょうか…?
>>146さん。
レスありがとうございます。
姐さん…ちょっと気持ち押しこめすぎです。
そろそろこの話もラストスパートさせなければ…
>>147さん。
レスありがとうございます。
すいません!!!!少しも更新できませんでした。
今からゆっくりですが更新しますので、お許しを…
今年中に終わらせられるかなぁ?
>>148さん。
レスありがとうございます。
え〜っとですね、まだゴマユウは書いてないんですが、
短編でいろいろ書いてます。
ヒントは…っちゅーか前のとこです(w
暇があれば覗いてみてください。
ゴマユウ早ク書カナキャ!!
某所いいとこですよね。
- 150 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)20時18分23秒
ついに娘。の番組に紗耶香と一緒に出演する日になった。
紗耶香と軽く打ち合わせをしてから収録だ。
娘。は他の仕事の後に来るらしく、まだ局に来ていないようだった。
私は紗耶香よりも先に楽屋に到着していた。
少し気が重い。
ごっちんが紗耶香をどういった目で見るのか?
矢口と紗耶香を前にしてどうするのか?
私は心配だった。
「裕ちゃん。おはよう。」
突然背後から声をかけられ私は驚いた。
「わっ!…紗耶香…おはよ。」
「部屋に入ってきたの気がつかなかった?ノックしたけどなぁ。」
紗耶香は不思議そうに私を見ていた。
「あ〜…今ちょっと考え事してたから。ボーっとしてたわ。」
私はなんでもないように取り繕い、紗耶香の向いの席に
座り直した。
軽くスタッフ達と打ち合わせをする。
私は以前司会側にいたことのある番組だったため、
ある程度の段取りは頭に入っていた。
撮影中はいい。
私が気がかりなのは撮影が終わってからの事ばかりだった。
何か起こる気がしてならなかった。
- 151 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)22時05分21秒
「どうしたの?裕ちゃんなんかちょっと変じゃない?」
打ち合わせの後、楽屋で二人きりになると紗耶香が私を
じっと見ていた。
「へ?そうか?別に普通やと思うけど?」
「ん〜、なんかねぇ。いつもと違うっていうか…。
なんか表情がきつい気がする。」
「私の顔が怖いって事かいな?」
私は紗耶香の言葉を冗談に変えた。
収録が近づくにつれて、私の顔が少しづつこわばって行くような気が
するのはわかっていた。
「ちっ違うよ〜。」
紗耶香は慌てて手をふる。
「まっ、緊張してるからなぁ。相変わらずTVとか慣れへんわ。」
昔から私は緊張しがちだったのでこれには紗耶香も納得した。
「まだ慣れてないんだ?TVで見てる限りじゃちっともそうは
思わないけどね。」
紗耶香は笑いながらそう言った。
TV見てたんか?
紗耶香は誰を見る為に?
- 152 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)22時14分45秒
そうこうしているうちに私達はスタジオに行く時間を迎えた。
廊下を二人で歩く。
先のスタジオにはもう娘。たちが待っている。
紗耶香は最初に誰を見るのか?
矢口のあの笑顔が待っているんだろうな。
ごっちん。
矢口の笑顔を壊す事だけはせんとってや。
紗耶香と特に何も話さず歩き続けた。
私は心配ばかりが頭に浮かぶ。
隣の紗耶香をたまに見ながら、スタジオに入った。
「紗耶香〜!!」
中に入るや否や、矢口が紗耶蚊を見つけて走り寄ってくる。
「矢口〜。おはよう。」
紗耶香が笑顔で矢口に手を振る。
矢口はあの笑顔でずっと紗耶香を見ていた。
私はこの笑顔が見たかった。
見たかったはずだった。
しかし…
私は矢口のその笑顔を見ていられなかった。
私の隣の紗耶香に向けて見せるその笑顔は…
いつもの笑顔なのに、
私を何故か深く傷つけた。
- 153 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)22時24分28秒
「裕ちゃん?」
矢口に軽く抱きつかれながら紗耶香が隣の私の顔をみた。
「ん?なんや?ちょっと私あそこいっとくわ。」
「う・・・うん。」
「どうしたの?裕ちゃん?」
「なんでもないで。」
何か感じ取った紗耶香と無邪気に私を見る矢口から私は逃げる様に
離れた。
私はスタジオの端の方に置かれた椅子に座った。
娘。からも矢口達からも離れている。
私は何気なくスタジオを見まわした。
ごっちん…
ごっちんはただじっと矢口と紗耶香を見ていた。
紗耶香だけをじっと見ていた。
その目は真剣で…何か思いつめたような雰囲気だった。
じっと私が見ているのに気付いたのか、
ごっちんは私の方に視線をかえ、ゆっくり立ち上がった。
「裕ちゃん…。」
ごっちんはゆっくり近寄ってきて…私の前にしゃがみこんだ。
「どしたんや?ごっちん。」
私が後藤の肩に手をかけるとごっちんが顔を上げた。
その瞳は涙でぬれていた。
- 154 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)22時33分58秒
「ごっちん…。」
私は指でそっとその涙をぬぐった。
「あの二人みんのつらいんか?」
ごっちんは黙って頷いた。
私は何て言ったらいいんだろう?
ごっちんを応援するのか?
矢口を応援するのか?
今はそれがわからなくなっっていた。
あの笑顔が私の1番ではなくなってしまっていたんだ。
あの笑顔を見るのが辛くなってしまった。
私もごっちんと同じ気持ちなんだ。
ごっちんが紗耶香を見るのが辛いように、
私も矢口を見るのが辛かった。
愛しい人が自分以外の人に最高の笑顔を見せている光景が
こんなにも辛いものだとは思っていなかった。
「とりあえず、もう仕事始まるし…我慢できるか?」
私はごっちんを立たせてやった。
「仕事終わったら…ちゃんと話くから…。」
ごっちんは目を押さえながら頷いた。
「紗耶香に変に思われるから…今は我慢しよな。」
「うん。ありがと、裕ちゃん。」
ごっちんはそう言って私に笑顔を見せた。
この笑顔に何回私は救われたか…
今も私の心の傷を癒してくれた気がした。
- 155 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月20日(木)22時45分35秒
まだ少し涙が残っているごっちんを誰にも見えない様に
しながら私は回りを見渡した。
娘。は各自ワイワイと騒いでいる。
「?なんや?吉澤体調悪いんか?」
私の背中に顔を押し付けているごっちんに話しかける。
「え?あぁ、少しだるいってそういえば言ってた。」
吉澤は椅子に座ってじっとしていた。
いつもは石川や加護と騒いでいる。
「よくわかったねぇ、裕ちゃん。」
涙がとまったのか、ごっちんは後ろから顔を出してきた。
「へ?なんとなくな。」
「ふ〜ん。」
「何〜?なんもないっちゅーねん。」
私はごっちんと少しふざけあった。
今までの気持ちを隠すようにはしゃいだ。
そんな私達を矢口と紗耶香が見ているのに気が付いたのは
本当に収録の始まる直前だった。
ごっちんは気がついてないだろう。
私達を見て、紗耶香と矢口が何か話し、少し紗耶香が驚いたような
顔をしているのが私の目に写った。
紗耶香はすぐに普通の表情になっていたのではっきりはしないけど。
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月20日(木)23時40分28秒
- あー更新だ(w
ますますストーリーが(w
- 157 名前:作者です。 投稿日:2001年12月22日(土)03時41分25秒
>>156さん。
レスありがとうございます。
更新なんとかできるときにやっていこうと思ってます。
予定としてはこの週末に結構更新したいんですが…。
時間帯とか多分バラバラで、暇があったら更新して行きます。
(今日しろよ…というつっこみを作者は嫌う…。)
きっと明日更新しますのでお許しください。
- 158 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月22日(土)20時15分01秒
収録が始まると私と紗耶香は娘。達と別の席に座った。
頭でわかってはいるものの、何か不思議な感じがした。
紗耶香の今までの生活の話をしたりしていた。
私はごっちんを見ている事が多かった。
紗耶香を見ている。
矢口や圭ちゃんが見せた感情とは違う…何か重い雰囲気。
そう感じたのは私だけであったかもしれないが
私はそう感じてしかたがなかった。
トーク収録が終わるとすぐに歌収録が始まる。
娘。達が脇の方で私達の歌を聞いていた。
生の紗耶香の声。
皆じっと聞きこんでいるようだった。
収録が終わると、矢口と圭ちゃんが舞台袖で待っていた。
「おつかれさま〜!」
「いいじゃん!聞き惚れちゃったよ!」
紗耶香に駆け寄りながら口々に興奮を伝えている。
「ありがと。TVで歌うの久しぶりだったから凄く緊張したよ〜。」
紗耶香も興奮しながら2人と話し合っていた。
私はその会話には参加せず、まっすぐに同じように舞台袖にいた
ごっちんの元に歩いていった。
「ごっちん。」
「裕ちゃん…。」
ずっと紗耶香を追っていた目が私を見た。
- 159 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月22日(土)20時24分17秒
「とりあえず…いったんちゃうとこ行こか?」
私はごっちんの手をひいてスタジオを出た。
ごっちんは黙ってついてくる。
私は近くのトイレにごっちんと入った。
「楽屋は紗耶香と一緒やからな。」
「…うん。」
私に返事は返すものの、黙り込んでいるごっちん。
「…ごっちん…どうするんや?」
私がそう聞くとゆっくり顔を上げて私を見た。
「市井ちゃん…やぐっつぁんと一緒に居る時・・
凄く楽しそうだったね。」
「…そやなぁ。」
「でも…何か考えてる目だった気がするんだ。」
「何かって?」
「わかんないけど…。」
ごっちんは首をかしげながら小さい声でそう呟いた。
「…。ごっちんはもう今日仕事ないの?」
「えっ?・・うん。」
「なら、ちょっと着替えとかしてから話そっか?
娘。1回あつまらなあかんやろ?」
私がそう言うとごっちんは素直に頷く。
「用意したら楽屋行くから待っといて。ええか?」
「うん。わかった。…ごめんね。」
「えーよ。そんなん…。んじゃ後でな。」
私とごっちんは一旦自分の楽屋に帰った。
- 160 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月22日(土)20時30分59秒
楽屋に帰ると先に紗耶香は帰ってきていた。
「あっお疲れ〜裕ちゃん。」
「お疲れさん。」
紗耶香はお茶を飲みながらじっと私を見ていた。
「ん?なんや?どしたん?」
鞄から着替えをだしながら、私は特に何も気ニせずに聞いた。
これから少しずつ、私達の歯車は動き出してしまった。
いや、すでに歯車は動いていたんだ。
それは…ゆっくり、ゆっくり。
でも…今、歯車は・…
急速にスピードをあげて回り始めた。
誰も止める事ができないくらいに。
そして私は、まだその事に気がついていなかった。
気付いたとしても、どうにもならなかったけど。
それが結果としてよかったのか、悪かったのか?
まだ、わからなかった。
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月23日(日)19時59分59秒
- 更新されてる(w
今日も・・・待ってまーす。
- 162 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)01時43分43秒
- マタ−リ待ってるよ。>作者さん
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)16時45分05秒
- いいところで・・・更新が・・・(w
- 164 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)21時32分22秒
- 複雑な四角関係が・・・どうなっていくのか
気になってしょうがないでーす。
- 165 名前:作者です。 投稿日:2001年12月26日(水)19時50分34秒
>>161さん。
レス有難うございます。
ごめんなさい。更新してなくて。
待ってくださっていたのなら本当に申し訳ないです。
>>162さん。
レス有難うございます。
待ってくださってますでしょうか??
そう言っていただけるとうれしいです。
本当に遅くてごめんなさい。
>>163さん。
レスありがとうございます。
すみません!!更新が…
早く更新しようとは思ってるのですが…。
>>164さん。
レス有難うございます。
これから話が展開していくってハズだったのですが…
更新できてなくてごめんなさい。
早いうちに更新しようと思ってますので!!
読んで、待ってくださっていた皆様へ。
更新が全然できてなくて本当に申し訳無いです。
言い訳にしかならないのですが、何故か
かなり忙しい年末になってしまいPCを触る事もない
数日間でした。
できる時があれば絶対にすぐに更新しますので
お許しください。
完結今年中なんて甘い考えをしてた作者はバカでした。
放置だけは絶対しないつもりですので
許してくださる方はこれからも宜しくお願いします。
- 166 名前:15 投稿日:2001年12月27日(木)08時08分10秒
- それぞれ、ネットとは違う生活があるものです。
焦らずゆっくりと、作者さんのペースで更新していってください。
お体を壊せぬように。
またーりと待っていますよ。
では、失礼します。
- 167 名前:作者です。 投稿日:2001年12月28日(金)19時21分35秒
>>15さん。
レスありがとうございます。
そう言っていただけると安心します。
これからもよろしくお願いします。
- 168 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月28日(金)19時38分40秒
「裕ちゃんさぁ。」
紗耶香はじっと私の顔を見つめながら口を開きだした。
「後藤ともう別れてるんだって?」
私はじっと紗耶香の顔を見ていた。
なんでそんなん聞いてくるんや?
私とごっちんが別れた事が紗耶香にそれ程関係無いはず・・・。
「うん。別れたで。」
私の言葉を聞いた紗耶香の顔が少しゆがむ。
まるでそうであってほしくなかった…といっているように。
「そんな…裕ちゃんと後藤が…。」
それ以上…紗耶香の口から私達の事を聞きたくはなかった。
紗耶香の口からごっちんの名を…。
私が封じ込めていた不安が一気に現われる。
矢口のあの笑顔を思い出す。
紗耶香を見つめるあの顔を・・。
その笑顔が、私の本心を揺さ振った。
だって、その笑顔は私が1番守りたいものではなくなっているから。
見たくない顔に変わってしまっているから。
隠していた自分の気持ちがもう隠せなくなってしまっていた。
- 169 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月28日(金)19時59分37秒
「私とごっちんが付き合ってたから…何や?」
ダカラ矢口ト付キ合ッタ。
紗耶香の顔を見て答えがわかる。
しかし紗耶香は言葉にせずに黙っていた。
「紗耶香は誰が好きなんや?」
私のその質問に紗耶香の目が泳ぐ。
「矢口…やないんか?」
「裕ちゃん…。」
「紗耶香が好きなんは誰なんか…そんなん紗耶香しかわからんやろ?」
私はじっと紗耶香を見ていた。
紗耶香もじっと私を見ていた。
「市井は・…。」
カタ。
紗耶香がそう言った瞬間、私達の背後で音がした。
振りかえった私達は・・・愕然とした。
「や…矢口、なんで…。」
紗耶香は何も言えずにじっと矢口を見ていた。
青ざめてジッと紗耶香を見つめている矢口。
「紗耶香・…矢口じゃないの?」
「矢口…。」
私は矢口の顔を見つめる事しかできなかった。
矢口の笑顔を壊してしまったのは…私だ。
- 170 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)15時48分04秒
- おお!!更新だ!
マタ−リでもいいので頑張ってください。
- 171 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2001年12月30日(日)06時30分51秒
- 最近、飲み会に行ったり、オールすることが多く感想言えなくて
スミマセン。ここは一番好きなので、作者さん頑張ってください。
- 172 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月30日(日)13時53分21秒
- カップル入れ替わるのかな?
王道の・・・やぐちゅー&いちごまに(w
- 173 名前:作者です。 投稿日:2001年12月30日(日)20時17分54秒
>>170さん。
レスありがとうございます。
かなり少しでしたが…。
がんばりまっす!!
>>171 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
いえいえ、作者もそういった理由も含めて
なかなか更新してませんでしたから…。
お気にいってくださってるんですか?マジですか??
めちゃめちゃうれしいです(涙
がんばります!!
>>172さん。
レスありがとうございます。
そ・・それは…まだ秘密です・・が・・。
やぐちゅー&いちごまは王道ですね。
だんだん話も展開を見せてきたのでこれからも
よろしくお願いします。
- 174 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)20時24分34秒
私は矢口の顔を見たまま何も言えずにいた。
矢口は紗耶香だけを見ている。
信じられない事を聞いたように、ただじっと。
「矢口…。」
紗耶香がそう矢口に呼びかける。
しかし矢口はそんな言葉を求めているわけではなかった。
「…紗耶香。紗耶香は矢口の事好きじゃなかったの?」
矢口の声が震えている。
矢口の声が私には悲鳴の様に聞こえた。
「…。」
何も言わず矢口を苦い顔して見つめている紗耶香。
嘘でもいい。
紗耶香、矢口に言葉かけてやって・・。
私は矢口のこんな顔…見たくないねん。
矢口の笑ってる顔を求めていたのに。
私のせいであの笑顔は消えてしまった。
でも…紗耶香の気持ちを表面に押し出したのは私だ。
それは・・矢口の笑顔がみたくなかったから。
紗耶香にだけ向けるあの笑顔を…。
私の欲で全てを壊してしまった。
- 175 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)20時34分34秒
「紗耶香…何か言ってよ。」
矢口は力なくそう呟くと紗耶香に向かって足を向けた。
紗耶香はその矢口の動きに反応し…目を瞑った。
それは全てを言うためだったのか?
それは矢口の顔が見たくなかっったからだろうか?
自分の言葉で傷つく小さな少女の顔を。
「矢口…ごめん。」
ただそう言うと紗耶香はもう矢口を見なかった。
見ることができなかったのか?
紗耶香の気持ちはわからない。
ただ、その後ろ姿は泣いていた。
「紗耶香…。」
足を止めてその言葉を受け止めた矢口は…
最後にもう1度その名を呟いた。
本当に最後に。
そして、反応が無いのを感じるとはじけた様に部屋を飛び出して
行った。
「やっ矢口!!」
私は慌ててドアの所まで矢口を追いかけたが…
追いかけるのは…私が追いかけていいのだろうか?
ドアの所から廊下の角を曲がって行く矢口の後ろ姿を
目で追う事しかできなかった。
あの子の幸せを潰した私が追いかけるべきではないのはわかっている。
ただ、私の本能は矢口を追いかけるように私に指示していた。
- 176 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)20時56分22秒
「裕ちゃん…追いかけてよ。矢口を頼むよ・・。」
紗耶香の呟くようなその声に私は振りかえった。
「紗耶香・・。」
俯きながら涙を流している紗耶香がいた。
「裕ちゃん…市井だって…矢口の事は好きなんだよ。
でもね、一緒にいれば一緒に居る程、辛いんだ。
楽しかったら楽しいだけ後藤を思い出す。」
私は動く事ができず、紗耶香の声だけを聞いていた。
「裕ちゃんが後藤と付き合ってるって聞いた時、
連絡もしてなかったし、市井の気持ちも自分で
はっきりわかってなかったから別にそうなんだって
思ってた。矢口の事、嫌いじゃなかったし付き合った
んだ。でも居れば居る程自分の気持ちは矢口に向いて
ないって思った。」
そう言うと力なく笑って私を見上げた。
「市井は後藤が好き。」
「…紗耶香。」
私は何を言ったらいいのかわからずただ紗耶香を見ていた。
「裕ちゃんと後藤が別れたって聞いた途端、
矢口とは居れないって感じたんだ。
後藤が私の事を好きじゃなくてもいい。
でも私は後藤が好きだから…矢口をもう
追いかけて行くことはできないよ。」
「…そうか。」
- 177 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)21時05分00秒
「裕ちゃん、矢口の事任せていい?
矢口の事頼んだよ。」
私は返事もせずに部屋を飛び出した。
自分の気持ちに正直な紗耶香。
私も自分の気持ちに正直になろう。
私の気持ちは…今すぐに矢口の所へ行って…
抱きしめたい。
「裕ちゃんの矢口を見る目に教えられたんだけどね。
裕ちゃんの矢口への気持ちに私は勝てなかったんだ。」
紗耶香が最後にそう呟いた事なんて
私の耳には入っていなかった。
矢口!どこや??
私は当てもなくテレビ局を走りだした。
楽屋に素直に帰るはずはない。
娘。の楽屋の前でそう思った。
でも私は楽屋を通りすぎる事はできなかった。
中には矢口はいない。
だが、ごっちんがいる。
私は勢いよく楽屋のドアを開けた。
- 178 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)21時15分08秒
「ごっちん!!」
私は他のメンバーの驚いた顔を見ることなくごっちんの腕を
掴むとまた走りだした。
「ゆっ裕ちゃん?」
私に腕を引っ張られたままごっちんは訳のわからない顔を
していた。
私は何も言わずにごっちんをここに連れてきた。
私と紗耶香の楽屋へ。
「…ごっちん…紗耶香を頼んだで。今傍におれんのは
ごっちんしかおらんねん。」
息を切らしながらそう言う私の顔をごっちんはしかめっ面で
見ている。
「い…市井ちゃん?」
閉まっているドアをみながらそう呟く。
「そうや。ごっちん、紗耶香を頼んだで?」
私はそうごっちんに言うと再び矢口の走っていった方へ
走り出した。
紗耶香。ごっちん。
私ができるのはここまでや。
いや、コレぐらいはしなあかんと思う。
今まで二人を遠ざけてたんは私なんやから。
ごめんな。
でも、私は矢口が1番やねん。
- 179 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)21時25分06秒
まるで迷路のようなテレビ局を私は走りまわった。
矢口!どこおるんや?
矢口の事やから誰もこーへんような所で
1人ぼっちで泣いてるんやろ?
どこや?どこにいるんや?
調度廊下が分かれている所に私は居た。
ここは見覚えがある。
確か…
私は一つの廊下を選んでまた走り出した。
あそこに、あそこにおってや!!
頼むわ!
願うような気持ちで私は1つの倉庫の前にいた。
額に汗が浮かぶ。
私はそれを乱暴にふくと倉庫のドアに手をかけた。
「矢口?」
薄暗い倉庫に向かって声をかける。
「矢口おるんやろ?なぁ、頼むわ、矢口、返事して。」
私はゆっくり倉庫の中に進んでいった。
「・…裕ちゃん。」
私の目線の先の方から私の名を呼ぶ愛しい声が聞こえた。
「矢口!よかった…。」
私はゆっくりと声の聞こえた方に歩いて行った。
- 180 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月30日(日)22時50分01秒
私の目に矢口が写る。
しゃがんで小さくなっている矢口。
矢口をこんな目に合わせてしまったのは私のせいだ。
私は矢口の前に肩膝をついて座った。
「裕ちゃん…なんで?なんで来たの?」
膝に顔をうずめたまま矢口はかすれた声で言った。
顔は見れないけどまだ泣いているのだろう。
涙がまだ溢れているんだろう。
「ほっといてよ・・。今は誰とも喋りたくない。」
1度も顔を上げずに、矢口は私を拒絶した。
矢口の為に、紗耶香をここに無理やりにでも連れてこれば
矢口は笑ったかもしれない。
顔を上げて笑ったかも。
でも、私にはもうできない。
矢口を紗耶香に渡したくない。
矢口を誰にも渡したくないから。
「私とも喋りたくないんか?ここで。」
静かにそう言うと少し矢口の肩がゆれた。
ここは、矢口と私の二人だけの秘密の場所だったから。
矢口の相談をここでいつも聞いていた私達の場所…。
- 181 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月31日(月)17時33分15秒
矢口は何も言わなかった。
「隣座ってええか?」
矢口は何も答えない。
私は気にせずに腰をおろした。
「よいしょっ…。」
隣で小さくカタを揺らす矢口。
私は何を言ってあげればいいんやろ?
矢口に私は何が言える?
今私の口からは私の気持ちが出てくるだろう。
それは矢口をきっと困らせる。
矢口はもっと悩んでしまうかもしれない。
でも私は我慢ができなかった。
私の気持ちを伝えたい。
今、1番近くにいるこの子に。
もう我慢できひんのや。
もう矢口を他人に渡すなんて私にはできひん。
気持ちを言わず、ずっと近くに居る事を望んでた
中澤裕子はもういーひん。
今ここにいるのは矢口を1人占めしたい、
我侭な中澤裕子や。
私は決心していた。
- 182 名前:中澤裕子 投稿日:2001年12月31日(月)17時53分03秒
「なんで来たの?」
矢口が重い口を開いた。
「矢口が心配やったんや。」
「…ここすぐにわかったんだ?」
「紗耶香の事考えるんやったらここかな?って思ってん。」
まだ涙声の矢口。
抱きしめたかった。
「なんで…」
「…。」
「なんで…裕ちゃんなの?」
私の声が聞こえたとき、矢口は迷ってたんやろう。
すぐに返事せんかった。
矢口は私じゃない。私を求めてはいない。
でも…返事してくれた。
黙って無視することもできたのに、
矢口はちゃんと私に答えてくれた。
「ごめんな、紗耶香じゃなくて。でも、私は
矢口ほっとけへんかってん。」
矢口は少し顔を上げて私を見た。
目から涙がポロポロでていて、真っ赤な目をしていた。
「・・・・ぅ。」
え?今矢口なんて言った?
私の聞き間違いかもしれへんけど…。
「裕ちゃんは矢口を探し出してくれるって思ってたよ。
どこにいても。矢口を見つけ出してくれるのは
紗耶香じゃなくて裕ちゃんかな?って・・。」
さっき矢口は…『ありがとう。』って
囁くように私に言った。
- 183 名前:作者です。 投稿日:2001年12月31日(月)17時57分30秒
2001年の更新はここまでです。
なんとか終盤にさしかかってきました。
次の更新は以外と早いかもしれません。
かなり遅いかもしれませんが…。
今年、いろいろとお付き合いありがとうございました。
2002年、来年もなにとぞ宜しくお願いいたします。
それではよいお年を…。
- 184 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月31日(月)18時19分06秒
- 作者様、更新ありがとうございます。
作者様の小説、読めるだけで幸せなので、
御自分のペースで、がんばって下さい。
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月31日(月)23時33分39秒
- 大晦日まで更新ご苦労さまです。
沢山のやぐちゅーありがとうです。
今年は、かなりお腹一杯にさせていただきました。(w
来年もやぐちゅーをご馳走して下さい。(w
ごまゆうの浮気もちょっぴり楽しみにしています。
では・・・作者さんも良いお年を・・・
- 186 名前:15 投稿日:2002年01月02日(水)00時40分04秒
- あけまして、おめでとうございます。
今後、更なる活躍を期待しております。
これからも、頑張ってください。
応援し続けますので。
では、これで失礼します。
- 187 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)15時03分57秒
- あけおめです。
最初からずーっとROMさせていただいております。
今年も、痛いそして・・・甘い・・・絶妙な作品お待ちしております。
- 188 名前:作者です。 投稿日:2002年01月06日(日)02時27分01秒
- 明けまして、おめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
挨拶が遅れてしまって申し訳ゴザイマセンでした。
>>184さん。
レスありがとうございます。
更新後すぐにお読みいただいたんですね。
ありがとうございます。レスを頂けるだけで
幸せいっぱい胸いっぱいです!!
ゆっくりペースですがこれからもよろしくお願いします。
>>185さん。
レスありがとうございます。
年越し前の貴重な時間…ここに寄って頂いて本当に
有難うございます。
やぐちゅー押しの1年でした。
今年もやぐちゅーで行きたいと思ってますので
どうかお付き合いの程よろしくおねがいします。
ごまゆうの浮気も…やらせていただきとうございます。
- 189 名前:作者です。 投稿日:2002年01月06日(日)02時28分55秒
-
>>186 15さん。
レスありがとうございます。
本当に去年はいろいろとお世話になりました。
今年も本当によろしくお願いいたします。
処女作からずっとお付き合いしてくださって…
レスをくださる度に奇声を上げて喜ばせていただいてます。
>>187さん。
レスありがとうございます。
最初からってマジですか??
いやぁ〜有難うございます。マジでうれしいです。
これからもよろしくお願いします!!!
レスくださった皆様方、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
- 190 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月06日(日)02時42分48秒
私は真っ赤な目をした矢口から目を離せなかった。
まだ涙を流している矢口。
その顔は一生懸命笑おうとしていた。
私を安心させようと。
「いつもここで裕ちゃんに話聞いてもらってたもんね。」
矢口は手で目をこすりながら少し回りを見渡す。
「先に矢口が来て…いつもあそこから入ってくるのは
裕ちゃんだった…。」
入り口を眺めながら矢口はぽつりぽつりと喋り出した。
私は何も言わずに矢口の声を聞いていた。
あの時間…矢口と二人っきりで過ごせる時間。
紗耶香の事やったけど、矢口は私を見ていなかったけど、
私は矢口と時間を共有できて幸せやった。
「数え切れないくらいここに来たね。」
「…そうやな。」
仕事が終わると当たり前のようにここで落ち合った。
楽屋には紗耶香が居たのに、
矢口は自分の時間を私にくれとったんや。
「ごめんね。それ・・全部無駄になっちゃった…。」
矢口は笑顔で私を見た。
やっとできた作り笑いで。
私を安心させようと精一杯作った笑顔で。
「…無駄ちゃうよ。」
- 191 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月06日(日)03時08分27秒
矢口の笑顔は見たいけど、ずっと見ていたかったけど、
私が見たいんはこんな無理な顔ちゃう。
こんな泣きそうな笑顔見続けるんは私にはできひん。
そんな笑顔みせんでええねん。
作らんでええねん。
そんな無理な顔して…。
矢口が私に笑顔みせなあかんって思ってるんやったら
もう見せんでええようにするわ。
私は矢口を思いっきり抱きしめた。
「無駄ちゃう…私には夢のような時間やった。」
「裕ちゃん?」
苦しそうな矢口の声。
でも私は腕の力を緩めなかった。
「私はここで矢口と一緒に、誰にも邪魔されずにおれるんが
うれしかったんや。」
「裕ちゃん?何言って・・。」
困惑しているのが矢口の体から伝わる。
今から私が言おうとしている事がわかっているのだろう。
顔は見えないけど、きっと矢口は困った顔をしている。
こんな時にそんな事ゆう私を矢口はきっと卑怯やと思うやろ?
こんなときにしかそんな事いえへん私を卑怯やと思うやろ?
私を嫌いになったらそんな笑顔作らんでええんや。
その笑顔が私を傷つけてるって知らんやろ?
- 192 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月06日(日)03時26分51秒
矢口に嫌われたくなかったけど…
ずっと傍におりたかったけど…。
その笑顔は私には絶えられへん。
そんな笑顔を作らせる私があかんねん。
私が中途ハンパな所に居るから
矢口が無理をするんや。
隠しとおすんはもう無理や。
私の心はずっと矢口に知ってほしがってる。
「矢口の事好きやねん。」
こんな卑怯な私を嫌いになったやろ?
もう笑顔も作らんでよくなったやろ?
きっともう矢口は私と喋ってくれへん。
紗耶香との事応援する振りをしていただけの私を。
信じてくれとったけど、ずっと裏切ってたんやもんな。
近くにいれへんようになるんは辛いけど、
気持ち言えたら少しスっとしたわ。
もう無理する必要なんてないんやで。
私に笑顔見せる必要なんてないんや。
笑顔は見ていたかったけど、
無理をさせてまではいらん。
矢口の引きつった顔を私は見ていられへんねん。
- 193 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)04時38分29秒
- あけましておめでとうございます。
とうときましたね。(w
どうなるのか・・・
私も作者さんの・・・痛みの中の甘さ信者です。
今年もやぐちゅー&ごまゆうで私を幸せにして下さい。(w
いつか・・・ヒマが出来て気が向いたらやぐなっちゅー書いてもらえませんか?
ほんとに気が向いたらで良いので。(w
- 194 名前:作者です。 投稿日:2002年01月07日(月)00時57分25秒
>>193さん。
あけおめです!
そして、レスありがとうございます。
やぐちゅー&ごまゆうですね。
それにしてもごまゆうって人気あるんですね。
いやいや、いい事です。
やぐなっちゅーですか?へいっ!
最近の更新ペースでいくと相当遅くなる気がしますが…
軽く今度向こうで書いてみますよ!
- 195 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月07日(月)01時10分37秒
私の腕の中から力が伝わってきた。
私を引き離そうとする力。
私は離したくなかったが、素直にその力に従った。
もうこの温もりを感じることはできひん。
「な、何言ってるの?裕ちゃん…。」
矢口は私を引き離すとじっと私の顔を見ていた。
「同情でそんな事いわないでよ!」
「同情なんかとちゃう…。ホンマに好きなんや。」
矢口はすぐに私の視線から逃げた。
私はそれでもじっと矢口を見続けた。
だってこんな傍で矢口を見ていられるのは…。
「もう隠せへんようなってん。矢口の事が好きって事。
言いたかったんや。」
矢口は無言で横を向いていた。
今、矢口に想いの全てを伝えよう。
伝えきれずに後悔したくない。
全て伝えて終わりになるんなら…諦められるかもしれん。
- 196 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月07日(月)01時30分37秒
「ずっと言うつもりはなかってん。ほんまは。
でも…もう眼界や。矢口が他の誰かに見せる
顔を見てられへんようになった。
ずっと傍におるだけでもええって思ってたけど、
それじゃぁあかんようになった。
私は矢口の全てが欲しくなったんや。
私だけのものにしたい。
傍におったらその気持ちで一杯になんねん。
だからもう矢口の相談も聞いてやれへん。
矢口が他に見せる顔見てられへんから。
・…こんなに欲が膨れ上がってくるなんて思ってなかったわ。
矢口が私の中でこんな大きくなってるなんて
気付いてなかったわ。」
私は一気に捲し立てた。
他にも伝えたい事はあるが頭の整理がおいつかない。
今思っている事をとりあえず全て伝えようと私は
喋り続けた。
「そんなの…勝手だよ…。」
矢口がボソッと呟いた。
「…うん。そやな。勝手やな。
でも好きやねん。矢口が紗耶香を好きみたいに。
だから矢口が私を好きちゃうって事もちゃんと
わかってる。でも知って欲しかったんや。」
- 197 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月08日(火)00時40分44秒
- 今日から♪いや〜な学校♪だけどこの小説を読んで〜
元気を出す〜♪ 作者さんがんばって下さい。
- 198 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月08日(火)01時14分03秒
- きた〜!!!
とうとう姐さんが・・・告白・・・頑張れ!
矢口の気持ちは・・・???
- 199 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月08日(火)15時25分00秒
- 更新されてた!!
先が・・・どうなるのか・・・気になるよー。
はやく〜!!!読みたい!(w
- 200 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)05時23分17秒
- 200GET!!
今年もかげながら作者さんを応援しつつ・・・作品に浸ってます。(w
- 201 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)17時04分03秒
>>197 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
作者も大学始まってしまい…鬱です。
休み中にやればよかったレポートの嵐…
この小説読んで元気だしていただくなんて…
がんばりまっす!!
>>198さん。
レスありがとうございます。
来てましたきてました。遂に告白です。
矢口は…
>>199さん。
レスありがとうございます。
すみません・・遅くて…
更新しまーす!
>>200さん。
レスありがとうございます。
そして200GET素晴らしい!!
応援ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
こんな駄作に浸っていただけるなんて…涙
- 202 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)17時28分41秒
矢口は黙って下を向いていた。
なんて言えばいいかわからんのやろう。
でも…もういいんや。
無理に気を使わせたくなかったから、私は腰を上げた。
「言いたい事言えてすっとしたわ。付き合ってくれてありがと。
ごめんな。こんなん今ゆーて。
もう遅いし帰ろう…いつまでもここにおれへんし…。」
矢口は何も言わなかった。
「…矢口?」
そら、矢口は帰りたくないやろう。
まだ紗耶香の事が整理つけられへんやろうし。
1人で考えていたいやろう。
「…もうちょっとしたら帰りや。」
傍におっても邪魔なだけや。
黙って座りこんでる矢口をもう1度見て、私は歩きだした。
私も自分の気持ちの整理つけなあかんねんから。
今日・・ここで最後や。
矢口とこんな近くで喋るんなんて。
私はそんな大人ちゃう・・・
当分引きずってしまう。
最後ぐらいカッコよく去ってもいいやろ?
- 203 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)17時36分46秒
倉庫出て、楽屋に向かう最中、
足がガクガク震え始めた。
誰にも見られんように急いで近くのトイレに駆け込む。
矢口…矢口…矢口ぃ・・・
ずっと好きやったんや。
私には矢口を忘れる事なんかできひん。
でも…矢口のためには忘れなあかん。
トイレの個室で私は目から止まってくれへん涙を
拭き続けた。
いつになったら枯れてくれるんやろ?
いつまでも流れ落ちる涙は私の矢口への
気持ちを益々強めていった。
矢口…あんたは強い子や…
紗耶香の事…早く吹っ切りや。
TVの向こうのFANはあんたの笑顔を見たいんやから。
私を安心させる矢口の笑顔早く見せてな。
そうじゃないと…私は吹っ切れへん・・・。
- 204 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)17時45分17秒
どれくらいトイレに居たやろう?
私は大人の意地でなんとか涙を押さえてトイレをでた。
私の向かう反対にはさっきまで居た倉庫。
もう矢口はおらへんよな?
確認するために足をむける。
矢口の顔見て、私は冷静でいれるのか?
大人の対処ができるのか?
不安を抱えながらも私は倉庫の前に立った。
少し空いたままのドアから中を覗く。
なんの音もしない。
さっきまで聞こえていた小さなすすり泣く声も。
うっすら見えていた人影も消えていた。
私は少しホッとしてドアを閉めた。
娘。の楽屋の前を通って帰る。
中には誰もいないのか電気が消えていた。
矢口も帰ったんだろう。
矢口…がんばりや。
私は誰もいなくなった自分の楽屋に入った。
自分の荷物がポツンと置いてある。
何かむなしさが心に広がった。
あ〜…終わったんやなぁ。
全部終わってしもたんや…。
- 205 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)17時54分05秒
トロトロと帰る準備をする。
楽屋の鏡に写る自分と目があう。
腫れた目。
疲れた顔。
こんな自分は見たくない。
私は自分の荷物を掴むと急いで楽屋を出た。
早足でTV局から出る。
前に止まっていたタクシーに乗って一息ついた。
早くここから出たかった。
それだけなのか?
私はここに居たくなかった。
膝の上に置いた鞄を通して車の振動が伝わる。
あまり気にせず、外の景色を眺めながら、
ステレオから流れてくる流行曲に耳を傾けていた。
クリスマスソングが多い。
あ〜もうそんな時期なんだ…。
外の夜景がぼやけたまま流れて行く。
ぼやけているのはまだ溢れ出ようとしている
私の涙のせいだった。
- 206 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時05分59秒
ボーっとしていた私の耳に突然入ってきた声。
『聖なる鐘が響く夜』
矢口の歌声が車に溢れる。
誰かのリクエストなんだろう。
1番で終わった。
もっと聞いていたかったけど・・
今1番聞きたくない声。
外の夜景がぼやけて見えなくなった。
ハンカチをだそうと鞄を開ける。
鞄の中から明かりが点滅して漏れる。
私は携帯を取り出した。
ずっと鳴っていたんだろう。
膝に伝わっていた振動がなくなった。
車やなかったんや?
私はボーっとしたまま携帯を開いた。
保田 圭
090-****-****
ディスプレイの文字をじっくり見てから
私はずっと震えたままだった携帯に出た。
「もしもし?」
- 207 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時15分43秒
「裕ちゃん??やっと出た〜。」
興奮気味に圭ちゃんが電話の向こうで叫ぶ。
「ごめんごめん。マナーにしとったんや。」
「もー!それよりさぁ、矢口知らない?」
圭ちゃんのそおの言葉に一瞬胸がギクッとする。
「え?…知らんで?帰ったんちゃうんか?」
自分を落ち着かせようとしながら声をだす。
「それがね、楽屋に荷物がおきっぱなしなんだ。
局内には居ないみたいで…携帯も置きっぱなしだし・・。」
「圭ちゃん今楽屋おんのか?」
「うん。スタッフの人が出て行く所見たって言ってるんだけど。」
私は自分の鼓動がだんだん早くなるのを感じた。
「…わかった。私も探すわ。」
「私となっちと圭織もここらへん探すから。
携帯音にしといてよ!?」
「わかった!」
私は急いで引き返すように運転手に頼んだ。
どこにいるんや 矢口!
変な事…考えてへんやんな?
- 208 名前:すんまそ 投稿日:2002年01月10日(木)18時24分46秒
- 更新中にレスっす♪〜いっぱい書いてくれるかな〜?邪魔してすんまそん。
毎日チェックしてますよ、ここ。今日の更新もめちゃ嬉しい!
- 209 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時25分09秒
局の近くでタクシーを降りると私は走り出した。
ここらへんで、矢口の思い出に残ってる所って何処や?
コンビニやもう閉まってしまっている本屋などを
片っ端から見て行く。
ここらへんにはおらんのか?
私は握り締めていた携帯を見る。
紗耶香…あんたならわかるか?
私はいそいでダイヤルを押した。
「もっもしもし?」
電話から紗耶香の声が聞こえる。
「あっ紗耶香?あんな…。」
「裕ちゃん?今心辺りを回ってるんだけど…。」
紗耶香の少し息切れた声。
「おったか?」
「ううん、今のとこ。全部回ってみる。」
「頼むで。」
電話を切ると私は回りを見まわした。
矢口の行きそうな所…
頭の中がグチャグチャになってくる。
横浜?ディズニーランド?
紗耶香も探してくれとるんやでっ矢口!
- 210 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時35分30秒
無茶苦茶でもええわ!
片っ端から探したらええ。
誰かが見つけれたらええんや。
私は誰も探しに行こうとせんとこを見にいこう。
私はタクシーを捕まえると、
「ディズニーランドまで!」
と叫んだ。
運転手が変な顔をしたが私の真剣な顔を見て急いで
向かってくれた。
ディズニーランドにおらんかったら横浜や。
スピードを出してどんどん車を追い越して行ってくれる
運転手に感謝しながら私はメールを打ち始めた。
『おったか?皆どのへん探してるんや?
局の近くにはおらんかったで!』
圭ちゃんに送る。
しばらくしてメールを受信した音が車内に響く。
『紗耶香とごっちんは心辺りを。圭織となっちは矢口の
マンションらへん。私は楽屋で待機しながら電話で
知ってる店に聞きまわってる』
親切に全部教えてくれた。
紗耶香…ごっちんと一緒に探してるんか?
誰もさすがに千葉までは行ってないみたいやな。
まっ矢口が行ってるとも思わんけど。
一応矢口がいつも行きたがってた場所やし。
- 211 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時44分56秒
夜遅いせいかもうすぐ着くみたいだ。
「もうすぐですから。」
運転手が小さく口を開いた。
「すみません…こんな時間に遠くまで。」
「いいんですよ。あっ見えてきましたね。」
前方に明かりのほとんど消えたディズニーランドが見えてきた。
携帯の時計を見るともう0時を過ぎている。
さっきから娘。達からのメールがどんどん届く。
『居ないよぉ。どこに居るんだろ矢口』
『心辺りは全部見たんだけど…』
『だめだったよ。知ってる店にはいない
裕ちゃんはどう?』
まさかディズニーランドとうつわけにもいかず、
『まだ探してる最中や。もうちょっと探そう!』
と全員に送っておいた。
そうこうしている内に、明かりの消えた、
夢の国 ディズニーランドに着いた。
- 212 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)18時54分43秒
驚く程の金額だったが冷静に払い、私は車を降りた。
「ありがとうございました。」
「いやいや、こちらこそ。」
私は礼を言うと急いで入り口に向かった。
入り口ってここだけなんかな?
締め切った柵の前で私はうろうろしながら中を覗きこんだ。
「矢口ー!!」
私は叫びながら柵に沿って走り出した。
ずっと叫びながら走り続ける。
誰もいない静かな暗闇に私の声は響きわたった。
ホンマにどこにおんねん!?
なんで私千葉におるんやろ?
矢口また1人で泣いてるんちゃうやろな?
誰でもええ!早く矢口を見つけて!
頭の中にいろんな思いが思い浮かぶ。
私は名を叫びながらいつまでも続く柵に沿って
走り続けた。
そうして遠くに何かあるのを発見した。
あ・・・あれは…
- 213 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)19時10分37秒
私の前に聳え立つ・・・それは・・・
ディズニーシー。
1回取材で来た事あったからすぐ思い出した。
アホか。
めちゃめちゃ探す所増えたやんけ…
やけくそになりながら私は矢口の名を叫んでいた。
これが昼間だったら私はもうTVに出れないだろう。
きっと相当きもがられる。
でも…矢口探すためやったらそんなん気にせんと
私は叫ぶで!
口では矢口を叫びながら頭は訳のわからない事を考えていた。
「あっ・…。」
私は足をとめて…矢口を呼ぶのをやめた。
私はさっき振られたばかりだった。
もう矢口と会ってもうまく喋ったりできないって。
例えここに矢口がいても、私が現われたら
逃げて行ってしまうんじゃないだろうか?
それに…今まで頭に浮かんだ気持ちを振り返ると、
私は吹っ切るどころか矢口への思いを深めていた。
その気持ちが…これが1番矢口には迷惑なものやのに。
- 214 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)19時21分18秒
私の役目は…同じ事務所の…
元同僚を探すだけや。
たったそれだけや…。
何考えてたんやろ…。
とりあえず…ここ見終わったら帰ろう。
矢口も…子供じゃないんやから大丈夫やろ。
それよりも、私は怒る側にいかなあかん。
周りに迷惑かけて、何考えてんねん!って。
未練たらしく矢口の事思ってられへん…
私はのろのろと歩いていた。
左手で掴んでいる荷物が重い。
右手の中の携帯はメール受信のランプを光らせていた。
『だめだよ。見れるところ全部見たけど…
マンションのチャイム押しても誰もでないし。
もしかしたら部屋に居るのかもしれないけど。』
『どこか行きたいとか言ってなかったよね?』
行きたい所…それでこんな千葉まで来て…
ただの同僚探すだけで私は何してるんやろ…
そう思っていても、本心は少しもそう思っていない。
むしろ早くここを見終わって次に行けと言っている。
- 215 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)19時29分30秒
私は遂に柵に持たれかかっていた。
走ったから体がすごくだるい。
だけど、まだ見ておかなければならない場所が
あるから帰ろうとは思わない。
ぼーっと矢口の言っていた事を思いだす。
「ぷーさんって超かわいいよねぇ。」
「行きた〜い!ディズニーランド行きた〜い!!」
「ディズニーシーもU・S・Jにも行きたい!」
矢口…遊園地ばっかりやん。
思い出すんはここが遊園地やからやろうけど。
・・・・・・・。
U・S・J…?
大阪か・…
はっ!何考えてんねん…明日も仕事やのに
行けるわけないやんか。
しかももう電車止まってるっちゅーねん!
・・・・・・。
私は柵に持たれかかったまま地面に座りこんだ。
あかん。全然できひん。
矢口の事全然吹っ切れへんやん。
- 216 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)19時43分11秒
私が矢口の事好きなままやったら矢口が困るねん。
矢口は私のこと好きちゃうんやから諦めろって。
私は自分にがんばってそう言い聞かせた。
いや、言い聞かせようとした。
…ならええわ。ディズニーシーの入り口全部見たら…
見て矢口おらんかったらきっぱり吹っ切る!
だから、それまでは、矢口の事好きって気持ちで
探そう。探すだけや。
私は立ち上がると再び矢口を呼びながら走り出した。
「矢口ー!矢口ー!どこやー??」
懐かしいディズニーシーの入り口を端から端まで念入りに探す。
「矢口ー!」
確かもう1つ入り口があったような…。
ネズミ一匹いないのを確認すると私はまた柵に沿って
矢口を探しに走り出した。
ほんまにこの年でテーマパークの端から端まで走るんは
辛いわ…
でも矢口はもっと辛いはずや…。
はやく探してあげな!
紗耶香とごっちんのペアよりまだ私に見つけられたほうが
ええやろ?
- 217 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)19時57分50秒
探し始めてどのくらいたったんやろう?
1時間以上たってるやろな。
相変わらずみんなからのメールは進展なしだ。
だけど、誰一人諦めていない。
心の底から矢口を心配して探している。
皆にこんなに心配させて…
「おらん…な…。」
私はここで探す所は全部探した。
始めからやはりこんな所まで矢口は来てなかったのだ。
「ハハ…アホやなぁ。」
私は荷物をボスッと落とすと再び座りこんだ。
もう当分立とうとは思わない。
「疲れたなぁ。」
そう呟くと鞄にたまたま入っていた水を
一気に喉に流しこむ。
矢口…どこおんねん…
いいかげん圭ちゃんの所にでも現われ〜や。
皆困ってるんやで…。
あかん…次会ったらまじで怒ったらな。
- 218 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月10日(木)20時16分12秒
あ〜しんど…
こんな運動したんミュージカル以来やわ。
汗が引いてだんだん夜風が寒くなってきた。
…矢口、寒くないかな?
風邪とかひかんとってや。
ほんまに…どこいったんやろ?
「矢口ぃ。」
ぼそっと呟いてみる。
静まり返っているのでそんな声もやけに響いて聞こえた。
私は膝の上に手を組んで顔をうずめた。
矢口も1人で今寂しいんかな…。
「何してんの?」
上から声が聞こえる。
「・・・。」
私は何も答えずじっとしていた。
一応私も芸能人で見る人が見れば知ってるだろう。
こんな所で1人でいるのをみられたら不審がられるだろう。
黙りこんでどこかへ行くのを待った。
「こんなところで何してんのって聞いてんの?」
しつこいなぁ。はよどっか行ってくれへんかな?
はよ私も帰ろ。
こんなところで絡まれてる場合ちゃうねん。
- 219 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)22時05分21秒
>>208 すんまそさん。
レスありがとうございます。
今日はたくさん更新できたと思います。
毎日チェックってマジっすか?
あわわ…ありがとうございます。
更新遅くてすいませんでした。
途中レス、邪魔なものですか!!
いつでもレスはありがたいです。
それではこれからもよろしくお願いします。
- 220 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)22時06分23秒
スレ流し…しとこうかな?
- 221 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)22時07分31秒
もう1回しときましょう。
邪魔ですか?ごめんなさい。
あまり意味はないですけどね。
- 222 名前:すんまそ 投稿日:2002年01月10日(木)22時12分59秒
- 作者さん、さっきまでうたば○中でした?(んなわけない?)更新→レス返に微妙な時間差が(w
ねえさんに声かけたんが誰か知りたくて、何度かうたば○中(しつこぃ・・・笑)にアクセスしてました。
今日は気になるトコでおしまい・・・うぅ
- 223 名前:作者です。 投稿日:2002年01月10日(木)23時35分19秒
>>222 すんまそさん。
レスありがとうございます。
あらバレた(笑
アクセスしてくださってたんですか?
それはすみません。
今は来てくださっていた例の場所をとりあえず急いで
書いてきました。
向こうがちゃんとすんだらまた戻ってきますよ。
戻ってこれたら…(怒らないで!こなくても…
次いつ更新するのか不安定なんでかけるときに
書いとかないと…
向こうもこっちもリアルタイムレスを下さってたんで…
これからもこんな適当な作者ですがお付き合いください。
- 224 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月11日(金)12時28分36秒
- 更新されてる・・・しかも両方とも(w
いいところで・・・(涙
誰なんだ?運命的に矢口だったらいいけど・・・(w
- 225 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月12日(土)16時44分59秒
- お忙しいでしょうが・・・ヒマな時頑張って下さい。(w
- 226 名前:作者です。 投稿日:2002年01月13日(日)02時21分00秒
>>224さん。
レスありがとうございます。
両方みていただいたんですか?
うれしい限りです。
これからもよろしくお願いします!
>>225さん。
レスありがとうございます。
すいません。更新がまちまちで…。
できる時はできるだけ更新いたしますので
間があいても見捨てないで頂きたい次第です。
- 227 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)02時31分24秒
私は顔を伏せたままじっとしていた。
前に居ると思われるその人はなかなか動こうとしない。
女っぽい声やったけど…。
私は早く立ち去るのを願うばかりだった。
「なんで無視するんだよぉ…。」
聞き覚えのある声。
さっきまでとは違う悲しそうな声だった。
「・・・。」
聞き違いのような気がして私は顔を上げられなかった。
「散々人の名前呼んでたくせに!」
「えっ?」
私が顔を上げたのと、その人が走り出すのは同時だった。
あの後ろ姿…
私が探し続けていた矢口そのものだった。
「矢口?ちょぉ待って!!」
私は急いで立ち上がった。
少し離れた所を走って行く矢口。
追いかけようとした私は焦って自分の荷物に
足を引っ掛けてしまった。
視界から矢口の後ろ姿が消える。
- 228 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)02時42分19秒
「いっ!!!」
私は豪快に転んだ。
なんとか顔は打たなかったが足や手を強打する。
「裕ちゃん!!」
だけど、お陰で矢口が戻ってきてくれた。
「大丈夫??」
矢口は凄く心配した顔で私を起してくれた。
「痛ったぁ…。」
コンクリートにすれた手足からは少し血が流れていた。
「ごめん…矢口が逃げたから・・・。」
矢口は泣きそうな顔で私の傷を見ていた。
「ううん。ごめん。私が悪いねん。」
私はそう言うと矢口を抱きしめた。
「よかったぁ・・・矢口見つかって・・・。」
心の底から安心した。
2度と逃げられないように抱きしめる両手に
少し力をいれる。
「裕ちゃん・・・。」
矢口は私の腕の中で小さくそう呟いた。
「みんなめっちゃ心配して探してたんやで!」
私は少しキツイ調子でそう言った。
- 229 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)02時49分23秒
「・・・ごめん・・・。」
矢口は腕の中で小さくなっていた。
「めちゃめちゃみんな心配してたんやから。
圭ちゃんもなっちも圭織も・・・
紗耶香もごっちんもや!」
矢口の体が少し強張る。
「・・・見つかってよかった…。」
私は矢口を抱く腕を解いた。
もうどこにも行けないように左手でしっかり矢口の腕を掴む。
黙っている矢口を少し見てから私は携帯で圭ちゃんに
電話をかけた。
「もしもし?」
1コールなるかならないかで圭ちゃんが電話にでる。
「もしもし?圭ちゃん?」
「見つかった?こっちはまだ見つかってないのよ!」
焦る声が携帯から漏れる。
矢口にも聞こえたのか、ばつが悪そうに下を向いた。
- 230 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)03時07分30秒
「圭ちゃん、ちょっと落ち着いてや。」
私は苦笑しながら矢口を見た。
「これが落ち着いてられる??もうっ!矢口一体
どこいったのよ!?」
激しい圭ちゃんの声。
「大丈夫。今見つけたから。連れて帰るわ。」
「えっ?ほんと?…よかったぁ…。」
圭ちゃんの声からヘナヘナと力が抜けて行くのがわかる。
「で、どこにいたの?ちょっと矢口に代わって!」
私は無言で矢口に携帯を渡した。
矢口は恐る恐る携帯を受け取る。
「もしもし…。」
圭ちゃんの声ははっきりわからなかったけど、
矢口の持つ携帯から声が漏れている。
「うん。…うん。ごめん。…ごめんね、心配かけて。」
矢口は何度も謝っていた。
私はそんな矢口をじっと見ていた。
電話が終わると矢口は無言で私に携帯をよこした。
「圭ちゃんまだ怒っとった?」
「うん。」
「でも、ほんまに心配してたからやで?みんな同じ気持ちや。」
- 231 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)03時17分45秒
「それにしても…ほんますれ違わんでよかったわ…。」
私は少し周りを見渡した。
「ずっとここにおったん?」
矢口は首を少し横に振ると私を見た。
「もっとあっちにいた。」
私がとおりすぎた方向を見る。
「なんや?気付かんかったけどなぁ。」
「少し離れてたから。裕ちゃん塀沿いに走ってたでしょ?」
「よーわかったな。」
「あんな大声で名前呼ばれたらわかるよ。しかも走っていっちゃうし。」
早く矢口に会いたくて私は走り続けてた。
「なんでここに裕ちゃんが居るのかわかんなくて一瞬ボーって
してたんだけど、裕ちゃんが走り去っていったから
慌てて追いかけてきたんだ。・・裕ちゃん足速いね。
全然追いつけなかったよ。」
「まだまだ裕ちゃんは若いからなぁ。」
矢口はチラっと冷たい視線を私に浴びせ、1つ咳払いをして
また喋りだした。
「…それでやっと追いついたら座りこんでたから話かけたの。
そうそう、なんでずーっと無視してたの?」
- 232 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)03時27分01秒
「え?あぁ、疲れてぼーっとしててん。
だからちゃんと声聞いてなくて矢口やと思わんかってん。
うっわ、絡まれた〜思ってどっかいくの待ってたんや。」
「そうなんだ?全然顔上げないからどうしようかと
思ったんだよ?」
「ごめんなぁ。」
私がそう言うと矢口は何か不思議そうに私を見ていた。
「ん?何?」
「なんで裕ちゃん…ここに来たの?」
矢口は言葉を続ける。
「普通…来ないでしょ?こんなとこ…。」
私は右手で荷物を掴みながら答えた。
「矢口が行きたいとこどこやろ?って考えたら
ここが思い浮かんでん。最初はディズニーランドの方
行ってたんやけどな?」
私は矢口の左手を掴んだまま歩き出した。
「それでも…ここ千葉だよ?」
矢口は私の手にひかれながらついてきた。
「居るかどうかもわかんないのに…。」
- 233 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)03時36分57秒
「そやな…私も全然自信なかったけど…。
矢口の行きたがってる場所他に思い浮かばんかったから。」
「おかしいよ…。」
「ほんまやな。私も自分であきれるほどおかしいと思うわ。」
でも…矢口の為やもん。どこにでも探しに行くで。
もちろんこの言葉は口にしない。
私は矢口をもう愛せないんだから。
「なんで矢口はここに来たん?」
矢口はポツリポツリ話し出した。
「…逃げたかったんだ。現実から。…信じたくなかった。
1人で考えてたら急にいてもたってもいられなくなって。
大好きなディズニーランドに来たの。
夢の国だから…全て忘れられるって思ったから。」
私は無言で歩き続けた。
「財布だけもって飛び出して、ここに来て…。
矢口はシーの方に始めから来たんだけど。
・・・・逃げられなかった…。」
矢口の声が少し詰まる。
泣き出しそうになっていた。
- 234 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月13日(日)03時48分12秒
「静かで…全然夢の国の気分なんて味わえなかった。
頭に浮かぶのは紗耶香の事ばっかり。
ここに一緒に来たかったな、とか。
でも、誰にも顔を合わせなくていいから
気が楽だった。」
矢口の手に少し力がこもる。
矢口が鞄とかを置いて出てきたのは最後の賭けだったんだろう。
誰か見つけて。矢口を探し出して。…紗耶香、矢口を見つけて。
紗耶香もここを思い浮かべたかもしれない。
ただ、ごっちんと一緒にいる。
それならこんな所まで探しには来ない。
居るって強く思ったって、絶対止められる。
紗耶香1人だったら来たかもしれないけど。
「裕ちゃんに言われた事も…考えてた。」
矢口のその言葉に体が反応する。
その先の言葉が聞きたくなくて、私は閉じていた口を開いた。
「…ええ。私のことはもういいから。言わんといて。」
今は聞きたくない。
矢口の答え、ちゃんと聞くのは
せめて別れ際にして。
全部、わかってるから…。
- 235 名前:作者です。 投稿日:2002年01月13日(日)03時49分48秒
スレ流し━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━
- 236 名前:作者です。 投稿日:2002年01月13日(日)03時50分23秒
とりあえずここまでです。
- 237 名前:作者です。 投稿日:2002年01月13日(日)03時51分16秒
スレ流し━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━
- 238 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)04時50分39秒
- あー残念。一時間遅かった。
リアルタイムだったら更新増量UPだったのに(w
でも大量更新ありがとうです。
矢口の裕ちゃんに対して考えた答えが・・・気になるよ。(w
- 239 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)22時08分46秒
- マタマタいいところで・・・
作者さん頼みますよ(涙
- 240 名前:15 投稿日:2002年01月13日(日)23時40分41秒
- 更新お疲れ様です。
もう、前回の更新から、心臓がバクバクいってますよ(笑)。
現実から逃げたかったって言うのが、なんとも胸が痛い感じです。
裕ちゃんの必死さが、すごく伝わってきて、胸がドキドキしました。
これから、また動きがあるのですかね。
とりあえず、楽しみです。
忙しそうですが、頑張ってください。
では、失礼します。
- 241 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月15日(火)00時19分34秒
- 十日から、法事で地方まで、行ってました。
その間、この小説の続きが気になってしかたがありませんでした。
作者さんがんばって下さい。
- 242 名前:作者です。 投稿日:2002年01月15日(火)23時01分25秒
>>238さん。
レスありがとうございます。
おおっ調度1時間違いっすね?
リアルタイムで更新量増加はこっちでもしましょう♪
>>239さん。
レスありがとうございます。
微妙なとこで切ってましたね。
すぐ更新するつもりで…
すみません。いつも更新遅くて。
さてさて二人は・・・
>>240 15さん。
レスありがとうございます!
いつもありがとうございますね。
感想をうれしく読ませていただいてます。
動き…まだまだ続きそうです…。
これからもよろしくお願いします!
>>241 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
法事お疲れさまでした(w
続きが気になるだなんて…うれしい限りです。
そんなに更新できてませんでしたが…。
これからもよろしくお願いします。
- 243 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月15日(火)23時15分56秒
矢口の左手を掴む私の手に力が入る。
無意識の反抗だった。
「裕ちゃん…。」
「ほんまに。今は私の事とかええから!」
矢口が何か言いたそうにしていたが私はソレを拒否する。
せめて帰るまでは…
矢口の口から私の事を聞きたくなかった。
私は夢中で歩き続けた。
私の歩調が早く、矢口がしんどそうにしてるのに気がついたのは
隣につづく塀がディズニーランドの物に変わって少し歩いた頃だった。
「…ハァ…ハァ。」
私の少し後ろでそんな呼吸が聞こえた。
何かわからずに首だけ後ろにむける。
矢口は左手を少し前に突き出して、少し小走りのように
私の後ろにいた。
「あっ…ごめん。早かった?」
思わず私は立ち止まった。
「う・・うん、ちょっとね。」
呼吸の乱れを私に隠しながら矢口は笑った。
「ほら、裕ちゃんとすこーしだけ長さちがうからさっ。」
明るく努めようとする矢口に胸がつまる。
「何が少しや。かなりの間違いやろ?」
私は少し手を引き、矢口を隣に来させてからゆっくりと歩きだした。
- 244 名前:?! 投稿日:2002年01月15日(火)23時16分05秒
- もしやタイムリー?!バンザイ×3!!!
携帯からいつもチェックしています。今日は久々にパソ(会社・・・w)で雨〜を読み返してました。やっぱ作者さん描くやぐちゅ〜最高です。甘さも切なさも優しさもエロさも・・・
- 245 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月15日(火)23時26分38秒
「何がかなりだよっ!」
「痛ぁっ!蹴るかぁ?普通…。」
矢口が少しいつもの矢口に戻っているのに安心する。
作っているだけだとしても、作れるぐらいに回復している
という事だ。
「それよりさぁ、裕ちゃんはどこに向かってるの?」
矢口が周りを見渡しながら聞いてくる。
「ん?タクシー乗り場やけど?」
途端に矢口の顔が呆れ顔に変わる。
「はぁ?今の時間ここらの乗り場にタクシーいるの?」
「あっ…そやなぁ。ごめん、さっき降りた所に行こうとしてたわ。」
「あいかわらずドジな所はドジだねぇ。」
矢口はキャハハと笑いながら私を見る。
その顔は…やはりまだまだ悲しみを持っていたが、
大分いつもの顔に戻ってきていた。
「どうしょう?おらんかなぁ?」
私はその顔から目を離すと前方に目をこらした。
「まぁ、もしかしたら居るかもしんないしさ、行ってみよ。」
矢口はさっきとは逆に私の手を引いて歩きだした。
今だけでも…紗耶香の事忘れられたらいい。
- 246 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月15日(火)23時36分49秒
「乗り場におらんかったらタクシー会社に電話したらええか。
来てくれるやろ?」
私も矢口に会わせて明るく振舞う事にした。
いつもの私と矢口のやり取りが少しでも紗耶香を忘れられるので
あればそうするに越した事はない。
そうする事も最後かもしれないし。
かもしれない、なんて少しでも希望を持つ考えをしている自分に
気付いて苦笑してしまう。
さっき答えはでたやんか。
直接的な言葉を受けるまで私は諦めないつもりか?
それの方が傷つくなんて事はわかっているのに。
つくづく馬鹿だな、と自分に皮肉を言う。
「そうだね。電話したらいいんじゃん。さすが元リーダー!」
「やろ?もう道もさっきより空いてるし結構すぐ帰れるんちゃう?
あっそや、荷物どうなってんの?」
圭ちゃんが見ててくれた荷物。
「あぁ、持って帰ってくれるって。だから帰りに取りにいくよ。」
「ふーん。じゃぁ、直で家に帰ったらええんやな?」
- 247 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月15日(火)23時48分24秒
私は少し安心した。
圭ちゃんが局で待っているといえば紗耶香達もきっと一緒に
待っていただろう。
さすがに家となると、圭ちゃんが帰るように言っているだろう。
矢口はごっちんと一緒にいる紗耶香を見ずに済む。
「うん。…圭ちゃん怒ってるだろうなぁ…。」
これから会う圭ちゃんを想像してため息をつく矢口。
圭ちゃんは矢口がこんな行動を起した理由を知らない。
知ってるのは4人だけ。
きっと理由を問いただすだろう。
それは矢口を思って。
「そやなぁ。」
私はただその1言だけ口にした。
他に何か言ったら紗耶香をより思い出させてしまうだろうから。
「でも…皆心配してくれるんだ…。」
矢口が何気なく呟いた言葉がひっかかる。
「当たり前やんか!矢口の事心配せん子なんて
おらんよ。」
「…そっか。なんかうれしいな。」
矢口の横顔は飛びっきりの笑顔だった。
- 248 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月15日(火)23時59分23秒
「あれ?あれ車っぽくない?」
矢口の横顔を見ていたら矢口が前を指差して叫ぶ。
前を向いて見てみると、1台の車がとまっていた。
「なんか上についてるくない?タクかな?」
暗くてよく見えないがついてるようにもみえなくもない。
徐々に近づいていくとそれは幸運にもタクシーだった。
「まじで?なんで居るんだろうね?」
矢口はうれしそうにタクシーに近づく。
「あっ!」
私も近づいていくとそれは私が乗ってきたタクシーだった。
たまたま私は運転手の顔を覚えていた。
「いやぁ、もしかしたら東京に帰るのかな?と思って。」
私達が乗りこむと運転手さんは笑っていた。
「どうせ私も帰るから東京まではタダでいいですよ?
ここまで高かったでしょう?」
「いやぁ、そんなん悪いですよ。」
「家とかに行かれるんですか?じゃぁ、東京に入ったら
メーター動かしますね。」
私と矢口が何か言う前に車はゆっくり闇を走り始めた。
「本当にいいんですか?」
矢口が遠慮気味に言う。
「ええ。どうせ東京までは客拾わないし…帰っても
この時間客を拾えるかわからないしね。
私の方は全然いいんですよ。」
- 249 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)00時11分04秒
私達はその親切に甘え、つかの間のドライブを楽しんだ。
矢口はじっと外の景色を見ている。
私はそんな矢口の姿をたまに見つつ、シートに持たれかかった。
車に乗って、座った途端、全身に披露が走る。
コキコキと首を鳴らしながら、私も外の景色を見続けていた。
先に圭ちゃんのマンションに寄る。
「ちょっともらってくる。」
矢口はそう言うと入り口に消えて行った。
圭ちゃんも何も言わずに荷物だけ矢口に渡したようだ。
矢口はすぐに帰ってきた。
「ごめんごめん。」
矢口が乗りこむと再び車は走り出した。
「なんかゆーてた?」
「ううん。ゆっくり休みなさいよね、っていわれただけ。」
矢口が笑って私に答える。
「そっか。」
「明日かなぁ、圭ちゃんの雷がおちるの。」
矢口は鞄から携帯を取り出すと少しいじっていた。
「あっなんか皆からメールきてる。帰ったらかえそっと。」
矢口は携帯をパタンと言わせて閉じ、鞄にしまった。
なんとなく…その動きに違和感を感じた気がする。
- 250 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)00時18分57秒
矢口のマンションの前につく。
「それじゃ、裕ちゃん…ありがとね。」
矢口は降りながら笑顔を見せた。
「ううん。はよ寝や。」
私がそう言うと矢口は頷きながら笑った。
「裕ちゃんもね。それじゃ。」
矢口は手を振りながらドアから離れる。
私は矢口に手を振り返しながら矢口を見ていた。
『ありがとう』
矢口の口が動く。
車がゆっくり発車する。
再び矢口は口を動かした。
『バイバイ。』
私も、バイバイ、と口を動かした。
車が動き、矢口が視界から消える。
私は後ろの窓から振りかえって矢口を見た。
矢口はずっと手をふりながら『バイバイ。』と言い続けていた。
すぐに小さい矢口は見えなくなってしまったけど。
- 251 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)00時22分53秒
- リアルタイム?
更新中にごめんなさい。(w
でも・・・作者さんが・・・増量してくれるって上記に書いてあったので・・・
こっちのスレ知らない間に250まで来てたんですね。(w
- 252 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)00時29分51秒
矢口を降ろしたタクシーはスイスイと街をすり抜けて行った。
私は携帯をとりだし、矢口にメールを入れる。
『今日はもう風呂入ったらサッサと寝や?
裕ちゃんも帰ったら即効バタンキューや。』
つっこみ所満載のメールを送った。
「ありがとうございました。」
本当に東京内の料金だけを受け取ってタクシーは行ってしまった。
私は行きに大分財布が涼しくなってしまっていたので
本当にうれしかったのだが。
優しい人もいるものなんだなぁ、とそんな事を考えながら
私は家帰った。
「ただいま〜。」
誰もいない、真っ暗な部屋に声をかける。
まっくらな玄関で靴を脱いでリビングに向かう。
電気をつけ、荷物を置くと私はそのまま冷蔵庫に向かった。
ビールをとりだしてその場であける。
「・…っぷは〜!!」
私は缶をもったまま風呂に水をはり、着替えに行った。
再びリビングに帰って来た時には既に中身は
なくなっていたのだが。
- 253 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)00時38分44秒
楽な格好に着替えて、新しいビールを2本ほど持って、
私はソファーに腰をおろした。
適当にテレビをつけて部屋に音を与える。
なにかじっとしていられなかったから。
酒のせいではない何かが私の鼓動を少し早くする。
なんやろ?
正体のわからない不安を押し流す様に
私はビールに口をつけた。
思い出したように私は携帯を見た。
メールマークが1つ。
『おつかれさま。明日はあんまり矢口を責めないでおくね。
それじゃ、おやすみ。』
圭ちゃんから。
理由はしらずとも、なにか感じたのだろう。
矢口とは1番関係が深い。
『圭ちゃんもおつかれ。明日仕事やろ?はよ寝や?
矢口の事は頼んだで。お休み。』
そうメールを送ると私は携帯をテーブルに置いた。
私は矢口からのメールを待っていた。
それが不安と関係あるともしらずに…。
- 254 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)00時52分27秒
>>244 ?!さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
いつも携帯でチェックしてくださってるんですか?
ありがたいです!
会社で雨〜を読んでくださっていたなんて…
せっかくの戦場の休息を…ウレシハズカシ…!!
いやいやぁ、気に入ってくださってうれしいです。
これからもよろしくおねがいします。
雨〜スレ見ていただいてるって事は今回のコレが
○○系って事は知ってくださってますよ・・ね?
またそういう方向に進み出しましたが…。
『甘さ切なさ優しさエロさ』にない言葉なんですが…
↑これすごくうれしいです。
>>251さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
増量いたしましょー!!
更新中でも構いません。レスつくと凄くうれしくて
もっと更新しようって1人で喜んでます。
おぉ!ほんとだ!250まできてましたね。
400くらいまで書けるんでしたっけ?
作者…ちょっとやぼ用(フ○ で更新が今から少しの間
されませんが、宣言通り更新増量しますので。
もしリアルタイムで読んで下さってる方がいらっしゃいましたら
すみません。
ちゃんと今日は帰ってきますので!
- 255 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)01時00分43秒
- アイさが見ながら待ってるで〜(w
- 256 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)01時43分15秒
>>255さん。
レスありがとうございます。
待っててくださるなんて…ありがとうございます。
リアルタイムって結構いはるんですね?
すごいなぁ。かなりうれしいです。
アイさがいいなぁ。作者は『中澤×平家』以来
見てないです。見れなくなったんですよね。
その放送局が。うらやましいです。
今回は年初めのMC交代はなかったんですか?
それではアイさが堪能した後は是非お越しください(w
- 257 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)01時52分13秒
矢口からメールがくるのを待っているのだが、
いつもなら送ったから返事を待つなんて事は
した事がなかった。
『帰ったらかえそっと。』
矢口が隣で呟いた言葉。
それが今の私の行動に繋がっている。
とりあえず、なんでもいいから私は矢口からのメールが
欲しかった。
『もう風呂はいったか?また今度一緒にディズニーシー
行こか?矢口に誰も相手がおらんかったらな。
また、今度!会うまでに身長伸ばしときや。』
再びメールを打つ。
私の心は不安で一杯になってた。
最後に見た矢口の姿。
いつまでも手を振る矢口。
バイバイ。と口を動かしながら。
いつもと違う。
そら、いつもと今日が違うのはわかってる。
しかし、あの矢口の姿はそういった、違う、とは
なにか違っている気がした。
- 258 名前:らん 投稿日:2002年01月16日(水)01時59分57秒
- アイさが ! 見終わって、寝る前の儀式として覗いてみたら、
なんと、ここを見つけたではないですか、感激です。
うーん、もうひとつのところで「痛めでも長編ちゃぐちゅーを」と、リクエスト
してはいますが、切ないです。
やぐちゅー好きの、ハッピーなヤグチが大好きな私としては、
いつもながらに、上手な心理変化に、ドキドキと冷や冷やを繰り返します。
いいものを提供してくださって、ほんとうにありがとうございます。
- 259 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時00分52秒
携帯が鳴るのを待ちながら、私はビールを空けていた。
テレビの中の笑い声が無意味に部屋に広がった。
いつもなら、矢口は結構ちゃんとメールを返してくれる。
寝る直前に、お休み。、とだけ返してくる事もあった。
私は自分の胸騒ぎを押さえる事ができなかった。
言い様のない不安。
何があるというのか?
そこまではわからない。
ふと携帯に視線を落とす。
3時を回った所だった。
風呂にも入らず、すぐに寝たんやろか?
多分、矢口の携帯に届いたメールはなっち達からのメールだ。
あの時は返す気でいた。
矢口と別れてすぐ私はメールを打ったので
返すのなら私にも返すだろう。
私が嫌われたのなら別だが、最後の矢口の姿はそう想像しにくい
ものだった。
あの姿は…
携帯は一向に鳴らなかった。
- 260 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月16日(水)02時01分14秒
- 更新中だったら、ごめんなさい。
作者殿。続きが待てないでございます。
- 261 名前:らん 投稿日:2002年01月16日(水)02時02分12秒
- ↑ちゃぐちゅーって、なんだ?
ごめんなさい。
やぐちゅーです。
やぐちゅー好きを自認している身としては、非常に恥ずかしい…
- 262 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)02時04分56秒
- 今アイさが見てたら、久しぶりにやぐちゅーの絡みが見れて
やぐちゅーが恋しくなってこちらに来ちゃいました(笑)
作者さんのお話大好きです〜
- 263 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時14分26秒
タクシーの中で矢口が携帯を見ていた時、何か違和感を
感じた。
そうや、何かを見て急いで携帯を閉じたんや。
何か?メールやろう。
そう言ってたし・…。
なっちとからやろうけど…。
怒ってるメールとか?
なっち達はそんなことをメールで送るような子やない。
安心した、とか多分そういったのを送るはずや。
じゃぁ何?
私は鳴らない携帯を見つめながらじっと考えていた。
「あっ!!」
紗耶香や!肝心な所を忘れてた。
紗耶香がごっちんとうまくいったとか、そういった事を
送ってたのかもしれん。
それなら携帯を閉じたくなった気もわかる。
でも…それがこの胸騒ぎとなんの関係があるんや?
そういえば、矢口は最後、
『ありがとう。』
って言っていた。
なんや?おかしい気がする…。
その時、ずっと沈黙を守っていた携帯がメール受信を
私に告げた。
- 264 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)02時19分12秒
- メールの内容が!!!
今・・・あきらかに!!
ドキドキ!
- 265 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時26分29秒
私は急いでメールを開いた。
『メールありがと。バタンキューって古いよ(笑)
今日は本当に迷惑かけました。いろいろあって、
まだ頭が混乱してるけど。本当に裕ちゃんには
お世話になりました。ごめんね、いろいろと。
ディズニーシーは行きたかったな。裕ちゃんは
行った事あるんだよね。いいなぁ。裕ちゃんこそ
早く行く相手見つけなよ?
今から風呂に入って寝ます。
今日は深い眠りになりそう…。
今度会う時までに身長なんて伸びないよ。
結構すぐかもね?
おやすみ。 』
1文字1文字丁寧に読む。
メールを読んだら不安が解消されると思っていた。
でも、どうだ?
無くなるどころか、心臓が凄いスピードで鳴り出した。
おかしい。何かが変だ。
何気なく下ボタンを押し続けていた。
「えっ…?」
そこに現われた言葉。
『さようなら。』
- 266 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時36分38秒
「やっ矢口??」
私はその文字が信じられなかった。
どうゆうことや??
なんで?さよならって何?
私の不安はコレだった。
そして今私の頭の中にある考え・・…
それは、『自殺』だった。
私はそのままの格好で携帯と鞄を掴むと部屋を飛び出した。
少し離れた表とおりまででてタクシーを拾う。
急いで矢口の住所を告げると私は矢口に電話をかけた。
呼び出し音が頭に響く。
矢口?変な事…考えてないやんな?
再びメールを見る。
矢口の文章が私の考えを象徴する様に携帯に浮かぶ。
『ディズニーシー行きたかったなぁ。』
過去形。もう行けなくなるって事か?
『今から風呂入って寝ます。深い眠りになりそう。』
風呂で手首切って死ぬとかちゃうやんなぁ?
これが全て私の憶測であって!!
- 267 名前:255の名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)02時45分17秒
- 大量更新感動〜!
アイさがの後、ワテも作者さん同様フ○入ったで〜(w
ちなみにワテのところアイさが一週遅れなんやわ。
ハロプロの舞台裏・・・皆の中で号令かける姐さんかっけ〜!!
後、懐かしのアイさがシーンでDVDを購入決定してもーた。
作者さんも購入お勧めとくで。もちろんやぐちゅーシーンもあったで〜(w
かっけー姐さん・・・矢口を助けるんやで〜!!
- 268 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時46分55秒
自分の考えに体が震える。
そんなことない。そんなことない。
頭で何度そう繰り返したか。
矢口がそんなんするわけない。
電話出ないのも普通に風呂入ってるからなだけや。
矢口に電話しっぱなしでいる。
呼び出し音がますます私を不安にさせた。
「もしもし。どうしたの、裕ちゃん。」
今すぐにでも矢口が電話にでてそう話すのを待つ。
私は急にディズニーランドで矢口が呟いた言葉を思い出した。
『でも…皆心配してくれるんだ。』
もしかしたら、その時から覚悟してたのかもしれない。
矢口は私の横で自殺を考えていたのかもしれない。
あの時、少ししか私の頭にひっかからんかった。
なんで、私は気付かんかったんや?
矢口はあんなに合図だしとったのに。
別れるときも、バイバイ。って。
あれはホンマのお別れを意味しとったんか?
なんであんな笑顔で言ったん?
死ぬのが笑顔になるくらい、今辛かったんか?
なんで私は気付いてあげられへんかったんや!?
- 269 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月16日(水)02時58分41秒
矢口のマンションの前につくと私は急いでお金を渡し、
玄関に走り込んだ。
玄関のオートロック。
私は何度か矢口と一緒に来たことがあったので番号を
覚えていた。
今までは覚えてても使った事などない。
しかし、今日は後でなんと言われようと
私はその番号を押した。
『318121』
ピーっという音がして錠が解除される。
自動ドアが開くや否や私はエレベーターに走り寄った。
矢口の部屋は8階。階段を使いたい気分だったがこっちの方が
早いだろう。カチャカチャとボタンを押しながらエレベーターが
下りてくるのを待つ。
乗りこむと『閉じる』を押してから8を押した。
やけに今日は遅く感じる。
エレベーターの浮く感覚が私に吐き気を覚えさせた。
降りると私は矢口の部屋の前に立った。
ドアの隙間から光が漏れている。
私は震える指でチャイムを押した。
- 270 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)03時00分59秒
- 318121って=幸いに?(w
助けてくれるのか?(w
- 271 名前:らん 投稿日:2002年01月16日(水)03時04分53秒
- 読みながら、涙が出てきています。
「雨に・・・」以来の、胸の痛みを感じます。
ヤグチ、裕ちゃんに飛び込んでいけ。
ヤグチには、裕ちゃんが一番なんだぞ。
今日のアイさが ! で、裕ちゃんに抱えられ、ごねていた姿に熱く叫んだことを、
ここでも言ってしまいました。
今夜のやぐちゅーは、切ない・・・
- 272 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)03時08分14秒
- 318121って、「さやか」ですよね。
姐さん、そういう意味をわかっていて、ボタン押すなんて、辛いですよね。
涙が出てきます。
姐さん、矢口の全てを受け止めてやってください。
- 273 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)03時10分30秒
- 今日はここまでという事で…
>>258 261 らんさん。
リアルタイムレスありがとうございます。
見つけてくださいました?
両方お世話になってます。
ハッピーなやぐちゅー…今日はかなりそれとは
かけ離れてしまいました…ね…。
例のリクはコレの次に書く予定ですので。
これは軽く見てやってください。
寝る前の儀式最高!
>>260 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
リアルタイムレスありがとうございます。
更新中でも全然かまいません。
ありがたい事この上なしで候。
続き・・すこしでごめんなさいでございます。
>>262さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
アイさがにやぐちゅーが!?
いいなぁ、見れて…。
今日は『アイさが』のお陰で読者様がおおいんですね?
『アイさが』ありがたや〜!
話を気に入っていただけて光栄です!
- 274 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)03時23分02秒
>>264さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
メールの内容いかがでした?
ドキドキ…
>>267 255の名無し読者さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
帰ってきてくださったんですね?
感謝感激!裕ちゃんかっけ〜っぽ〜(w
DVD…購入すべきでありますか?
いやぁ、今日はやぐちゅーだったんですね?アイさが
ハロプロの舞台裏…めっちゃ見たいです!
教えてくださってありがとうございました。
>>270さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
あぁ、そういう読み方もできるんですね。
その案いただき!いつか使わせてもらいます!
>>271 らんさん。
リアルタイムレスありがとうございます。
最後までお付き合いくださってありがとうございます!
アイさがの姿…見たかったです。
熱く叫んだらんさん(w
涙だなんて…こんな駄作にもったいない。
雨〜もダメダメです…
でもそう言っていただけて本当にうれしいです。
- 275 名前:作者です。 投稿日:2002年01月16日(水)03時45分04秒
>>272さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
ビンゴ!なつかしのポケベル読みでそうなんですよ。
一応…。それを矢口が押すのを横で見ていて覚えた
姐さん…少し辛さが伝わったでしょうか?
そこまでわかってもらえて感激です。
今日は沢山のレス、どうもありがとうございました。
すごく励みになりました。
今こんなに読んで下さってるんだと思うと、
自然に更新量もふえます。
これからも、暇なときにでもお立ちよりくだされば
光栄です。
今日は本当にありがとうございました。
- 276 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)07時14分49秒
- 切ねー…。
今数有るやぐちゅー小説の中でも一番に期待してる作品です。
あぁ、ねーさんに幸せは訪れるのか…
- 277 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月16日(水)22時47分32秒
- ど、どうなるのだろう?期待待ちです。
- 278 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)00時54分48秒
- やべぇ・・・。
中澤姐さんの想いに、思わずちょっと涙ぐんじゃいました。
切な過ぎる・・・。
正直、読んでて泣きそうになった娘。小説、初めてです。
続きも期待してます。
- 279 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)20時35分30秒
- 矢口は姐さんに救われるのか?
- 280 名前:作者です。 投稿日:2002年01月18日(金)02時11分18秒
- 今日はレスだけです。すみません。
明日に更新する予定ですので待ってくださっていた方々、
本当に申し訳ございません。
>>276さん。
レスありがとうございます。
期待なんてそんな…うれしいです。感謝感謝。
これからもよろしくお願いします。
>>277 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
更新遅くて申し訳ございません。
明日必ず!!
>>278さん。
レスありがとうございます。
泣きそうになったって…マジっすか??
なんかうれしくて…どう表現していいのか…。
書いててよかったな、と思いました。
これからもよろしくおねがいします。
>>279さん。
レスありがとうございます。
その答えは明日明らかに…
(これで明日更新しなかったら殺されるな…。)
- 281 名前:作者です。 投稿日:2002年01月18日(金)02時11分54秒
- アッチガパンパンニナッテキタ…
ドウシヨウ…アマッタカラカイテタノニ
タリナクナルナンテ。イマノモオワリキラナサソウダシ
アタラシイノタテルベキカナ?アッチヲシッテクダサッテルカタハ
ゼヒゴイケンクダサイ。
- 282 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)02時38分48秒
- モチロン新スレ誕生バンザーイ!(w
おめでとう!!!
もっと読めるなんて(w
- 283 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月18日(金)11時33分24秒
- 新スレ立てましょ♪バンザイ×6!
……気付いてくださいましたか?バンザイ、すんまそ、名無し、undefined、その他もろもろでレスしていたものです。
これからも楽しみにしています。
- 284 名前:作者です。 投稿日:2002年01月18日(金)17時31分03秒
>>282さん。
レスありがとうございます。
スレたてていいですかね?
それだったらちゃんと宣言してる分を処理できる
のでよいのですが…。
その際はよろしくお願いします。
>>283 名無しさん。
レスありがとうございます。
undefinedさんもそうだったんですか??
すごくお世話になってますね(w
新スレ立てたいと思いますので
またよろしくおねがいします。
(立てたいのは山々なんですがスレッド名が…。
そういうのつけるのめっちゃ苦手で…。
なにか思いつくまでは。
何かいいのありません???(w )
- 285 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月18日(金)17時39分39秒
ピンポーン。
静かな廊下にチャイムの音が小さく響く。
私は耳をすまして中の様子をうかがっていた。
何の音も聞こえてこない。
私は何度もチャイムを押した。
ピンポンピンポンピンポンピンポン。
普段だったら矢口はキレて出てくるだろう。
しかし、今夜は何の反応もなかった。
私は思わずドアのノブに手をかけた。
カチャ…。
開きっぱなしのドアがますます私の不安をあおる。
「矢口!矢口!」
私は靴も脱がずに家の中に入った。
「どこや?矢口!!」
私は家の中を捜しまわった。
キッチン、寝室、リビングにも矢口の姿はない。
主人の居ない部屋には何の音もしなかった。
背後から聞こえる水の音が私の耳に響き渡っていた。
- 286 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月18日(金)23時18分10秒
- あわわ・・ま、まさかそんな無事であって欲しい
ということで、期待待ちしてます。
- 287 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)03時29分07秒
「やっ矢口??」
私はその音に引き寄せられる様に、風呂場へ向かった。
どうしても来たくなかった。
自分の考えを信じたくなかった。
私はここを避けて今まで部屋を探しつづけていた。
「矢口!?」
私は勢いよく風呂場のドアを開けた。
中からはムワッとした湯気が出てくる。
両手でソレを振り払って中を見た。
「矢口!矢口!矢口!」
何回叫んだだろう。
私は急いで矢口を浴槽から引きずりだしていた。
Tシャツに短パンという格好で浴槽に浸かっていた矢口。
きっと誰かに発見された時に為に着ていたんだろう。
「何してんねん!矢口ぃ…。」
浴槽の水はピンク色をしていた。
それはとても綺麗な…。
- 288 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)03時44分45秒
私は必死に叫びながら矢口の頬を叩いていた。
「矢口!矢口!」
片手で手首を押さえる。
床に私の手を通して少し血が流れていた。
「・…ん…。」
「矢口??おいっ!矢口!」
どれくらいたったんだろう?
矢口が意識を取り戻した。
「矢口!わかるか?寝てんと起き!!」
私は矢口の頬を叩き続けた。
「ゆ…裕ちゃん??」
矢口がゆっくりと目を開けた。
私は力いっぱい矢口を抱きしめていた。
「矢口!何やってんねん。」
「裕ちゃん・…泣かないでよ…。」
私の目からはいつのまにか大量の涙が流れていた。
私は矢口が生きているのを確認すると
体中の力が抜けた様に矢口に体を預けていた。
- 289 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)03時53分44秒
「そうやっ!手ぇ見せ!」
矢口の手首を掴み上げる。
「…傷…あさそうやな。」
矢口の手首から流れる血はほとんど威力を無くしていた。
「…軽くしか切れなかったから。」
力なく矢口が呟く。
私は矢口を抱きかかえるてリビングの方に運んだ。
「救急箱って何処にあんの?」
「え?あそこの棚。」
まだボーっとしているのか、矢口はうつろな表情で棚を見る。
私は急いで棚に向い、それとおぼしきものを持ってきた。
「とりあえず、血をとめなあかんから…。」
私は箱の中をあさってガーゼと包帯を取り出した。
矢口は黙って私を見ていた。
ボーっとしたままの矢口を見ながら、
私はなんとか傷を押さえた。
「…血、とまるかなぁ…病院行った方がいいかな。」
「大丈夫だよ、裕ちゃん。止まるよ…。」
「でも、矢口大丈夫なんか?」
「のぼせちゃって…少し頭がくらくらするだけだから。」
- 290 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)04時00分56秒
「だって…軽くしか切れなかったし…。
皮膚しか切れてないよ。」
「と、とりあえず、血とまるかみよ。
全然止まらんかったら救急車呼ぶからな。」
私は矢口を寝かしたまま、キッチンにむかい
タオルを冷水で絞った。
「大丈夫か?意識はっきりしてるか?」
矢口の額にタオルを乗せる。
「うん。…気持ちいい…。」
矢口は目を閉じながら呟いた。
私は矢口の片方の手を握り締めながら
傷の様子を見ていた。
なんとか血は止まってきているようだ。
ふとテーブルに目をやるとビニール袋があった。
そしてその横には何かのカラの箱が。
よく文字を見ると、それはカッターのカラ箱だった。
私は唾を飲み込んで再び矢口の顔を見た。
- 291 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)04時02分20秒
- 良かった・・・矢口無事で。
こんなのみたら姐さんのほうが・・・ブッ倒れそう(w
- 292 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)04時09分29秒
「なんでこんな…死のうなんて…。」
矢口は黙って目を瞑っていた。
「なぁ、2度とこんな事せんとって…。」
矢口が少し目をあける。
「裕ちゃん・・泣かないでっていってるのに…。」
再び私の意思とは関係なく涙がこぼれはじめる。
「だって・・矢口がこんなっ・…。」
矢口は私が握り締めている手をぎゅっと握り返した。
「もう大丈夫だから…。心配しないで?」
小さく呟く。
「もうこんな事しないって約束するから。」
そう言うとゆっくり体を起して、下を向いていた私の背中に
腕をまわして私を抱きしめた。
「ごめんね、裕ちゃん。」
私はどれくらい泣き続けていたんだろう?
落ち着くまで矢口はずと私を抱きしめたままでいてくれた。
片手は握り締めたままで。
握り締めた手から矢口の温もりが伝わってきて、
私はだんだんと落ち着く事ができた。
- 293 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)04時20分06秒
「ごめん。私がこんななって…。ちょっとガーゼ見せて。」
矢口は私の後ろに回していた腕をゆっくりほどき、
手を私の前に持ってきた。
「くっつかないガーゼあってよかったわ。
はがすで?…・あっもう血、止まったな。
よかった〜…。」
私は新しいガーゼを傷の上に当てて、それからしっかり
包帯でつつみこんだ。
「これで様子みよ。傷口ひらかんようにしなあかんで。」
「うん。わかった。ありがとう。」
矢口は包帯の巻かれた手首を見ながらそう言うと、
立ち上がろうとした。
しゃがみ込んでいる私が握り締めたままの手がその動きを
防ぐ。
「どこいくん?」
「着替え…ビチョビチョだし。」
私は一緒に立ち上がる。
手はまだ繋いだままだった。
「今日はずっと一緒におるから。寝るまで
1人にはさしたらんからな。」
矢口は一瞬びっくりした顔をしたが、すぐにニッコリと笑って
少し頷いた。
- 294 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)04時29分16秒
>>286 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
矢口助けちゃいました。
無事ですよ。もっと更新する予定だったのですが…
明日は20ほど更新できるようにがんばりますので
今日はお許しください。
>>291さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
矢口無事でした…。
3割くらいは殺そう(なんかこの表現恐いっすね。)
と思ったたんですが、助ける事になりました。
たしかに姐さんぶったおれそうですね。
今日は2つほどしか増量できませんでした。
明日その分結構更新するつもりですので
お許しください。
- 295 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)04時30分02秒
- スレ流し━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
- 296 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)04時30分58秒
- スレ流し━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
- 297 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)04時34分06秒
- 从# ~∀~ #从<スレ流しやで?
理由は・…言ったら意味無いから内緒や。
- 298 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年01月19日(土)11時16分06秒
- 助かってよかったよ〜。作者殿お許し下さいなんて
別にいいですよここの小説はしっかり更新していただいてるんで。
- 299 名前:作者です。 投稿日:2002年01月19日(土)17時17分53秒
>>298 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
お許しがでて一安心です。更新もやったりやらなかったりと、
不定期ですが、これからもよろしくおねがいしますね。
- 300 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)17時28分09秒
矢口と一緒に寝室にむかう。
矢口の体からは水が少ししたたり落ちていた。
「タオルでふかなあかんな。タオルここにあるん?」
「風呂場に置いてる。」
「なら急いで取って来るし、寝巻き用意しとき。
すぐ来るからな?」
私は繋いでいた手を離した。
「うん。わかった。」
矢口のその返事を聞いて、私は急いで風呂場に戻った。
タオルを数枚手に取る。
私は浴室に目をやる事ができなかった。
まださっきのままの状態だ。
あの情景が頭に浮かぶ。
私がここを何とかしなければいけない。
私はタオルを持って行ってから再び帰ってくる事に決めた。
「はい。コレでよう拭き。風邪ひいたら大変やし。」
「ありがとう。」
矢口はタオルを受け取ると髪を軽くふきだした。
「着替える間だけ向こういってるわ。だから着替えたら1回
向こうにきてや?」
「うん。ありがと。」
- 301 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)17時36分32秒
私は静かに寝室のドアを閉めると急いで再び浴槽に向かった。
ドアを開ける。
さっきより薄くなった蒸気の壁が私の前にできる。
浴槽の中はいまだ、ピンク色をした水が湯気を放ちながら
微かに動いていた。
私は勢いよく栓をはずす。
徐々に目の前の水が吸い込まれて行く。
ふと横を見ると、刃が少し赤くなっているカッターが
刃を光らせて落ちていた。
「・・・。」
そっとソレを手にとる。
新しいそのカッターは不気味な光を放っていた。
思わず、その刃を浴槽の水につける。
生々しい血が水にさっと広がる。
私は刃を閉じて、自分のポケットのなかにソレをしまった。
シャワーで浴槽を流す。
何の後も残らないように、全てを無くしてしまうように、
私は隅から隅まで新しい水をかけていった。
- 302 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)17時44分06秒
調度、なんとか後始末かできてリビングに戻った時、
矢口も着替えをすませて寝室から出てきた。
「おっ着替えられたか?」
私が声をかけるとゆっくり頷く。
「とりあえず、もう遅いし…明日仕事やろ?
今日はもう休み。」
「う…ん。」
矢口から少し歯切れの悪い返事が返ってきた。
「どうしたんや?」
私は矢口に近寄って頬を軽く触った。
「眠れない…。眠れないよ、裕ちゃん。」
少し青ざめた顔で私を見上げる矢口。
「ずっと横についとったるから…。」
私はまだ少し濡れている髪をそっと撫でた。
「恐かったんか?」
無言でコクンと頷く矢口を軽く抱き込んだ。
矢口の体は微かに震えていた。
- 303 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)17時55分13秒
-
私の腕の中で震えながら矢口がゆっくり言葉を吐き出す。
「だんだん意識が遠くなっていって…死ぬんだ…って思ったんだ。
のぼせてただけなんだけど。でも最後には恐くて仕方なかった。
矢口の血が水に広がっていくのを見てたらすごく怖かったんだ。」
私は矢口の背中に回した腕に少し力を入れた。
「頭がボーっとしてきてたんだけど、最後に…人の顔が
浮かんだんだ。」
「矢口…ええから。わかったからもう今日はいわんでええ。
ゆっくり休む事だけ考え。」
私は恐かった。
矢口の口からその名前を聞く事が。
矢口の背中に回していた腕を解いて、再び寝室に
矢口を連れて行く。
「ずっと横におったるから…ゆっくり寝ぇ。」
矢口をベッドに上がらせる。
「裕ちゃん…。」
矢口は不満そうな顔で私を見上げた。
「ずっと横で手ぇ握っといたるから。心配になったら
握り返し。すぐに握り返したるからな?」
私は矢口がその先を話したそうにしているのに
気付いてない振りをした。
- 304 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)18時05分25秒
「明日話ゆっくり聞くから、な?明日何時に起きたらええの?」
私は徐々に話をかえていた。
「え…っと…明日は9時に起きたらゆっくり間に合う。
仕事昼からだから。裕ちゃんは?」
「うちも昼からや。ちゃんと9時に起こしたるからな?」
私は床に膝ま付きながら矢口の右手を握り締めていた。
「ねぇ、裕ちゃんも横で寝てよ。」
矢口が寝転がりながら右の方にスペースを作る。
「え?ええよ。ここでずっと握っといたるから。」
「だめだよ。裕ちゃんも明日仕事でしょ?
ちゃんと寝てくれないと…。」
矢口が悲しそうにそう言ったので、私は素直にそれに従う事にした。
矢口の横に横たわる。
ベッドがそんなに大きくないので矢口の体と少しくっつきあう。
私は矢口の右腕を自分の胸の上に持ち上げた。
「あっ、なんか安心する。裕ちゃんの体温が伝わって…。」
矢口は目を閉じてそう呟いた。
もう眠りに引き込まれているんだろう。
私は軽く矢口をみながら小さく呟いた。
「おやすみ。」
- 305 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)18時17分43秒
Pipipipipipi
私の耳元で携帯がなる。
「う・…ん。もう9時か…。」
私は開こうとしない瞼をなんとか押し開ける。
隣の矢口を見るとスゥスゥと寝息をたてて眠っていた。
昨日は何度も矢口が眠っていることを確認し、
しっかりとは眠れなかった。
握り締めあっている手から矢口の温もりが伝わってくる。
「矢口?矢口、9時やで?起きや?」
手は握り締めたまま右手で矢口を少し揺り動かす。
「・…う…う〜ん。」
眠たそうに左手を上に突き出して伸びをする。
その手には昨日の後がしっかり残っていて…
白い包帯が私の頭を覚醒させた。
「矢口?おはよう。起きたか?」
矢口はゆっくり瞼を開いて私を見る。
「ん?…おはよう。」
少し私の顔を見つめる。
「裕ちゃん…昨日はありがとう。ゆっくり寝れたよ。」
- 306 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月19日(土)18時27分39秒
私と矢口は起き上がってリビングへ向かった。
まだ手は繋ぎあったままで…。
私は矢口の傷口の様子を見たかったのだが、
昨日の事を思い出させる様で、なかなか口に出せなかった。
「お腹すいたねぇ。なにかあったかな?」
矢口は無邪気な笑顔で私を見ていた。
「そやなぁ。あれやったら・…。」
コンビニで買ってくるで?という言葉が続けられなかった。
テーブルの上に昨日置かれていた袋。箱。
頭にフラッシュバックする。
「ん?まぁ、何かあるよ。ちょっと待ってね。」
矢口は私の考えていることには気がつかず、私の手を
離してキッチンの方に小走りで行った。
昨日の形跡はほとんど処理していた。
袋やカッターはすでに私の鞄の中に突っ込んでおいた。
昨日の事を思い出すような物はここには残しておきたくなかった。
(服も持っていきたかったが。)
「あっそうだった。パンとか買っておいたんだった。」
矢口が片手でパンを持ち上げて私をみていた。
その手には包帯が…。
私はあいまいに頷きながらも、視線を外すことができなかった。
- 307 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)18時35分04秒
- 矢口・・・姐さんを幸せに(w
今日は、姐さんのタイ特番で幸せ一杯。象と戯れる姐さん萌でした。
- 308 名前:278 投稿日:2002年01月20日(日)01時25分34秒
- よかった・・・。
これから、どうなっていくのか分かりませんが、矢口と姐さんには幸せになって欲しい。
そう思わせるような、素晴らしい展開です。
期待!です。
- 309 名前:作者です。 投稿日:2002年01月20日(日)03時41分52秒
>>307さん。
レスありがとうございます。
象をみて後ろにジャンプした姐さんがよかったです。(w
一瞬だったけど。ずっと笑ってましたね、象を見て。
綺麗でした。
>>308 278さん。
レスありがとうございます。
これからは…ラストに向かって突き進むだけですね。(w
このスレで終わらせなきゃ!!
素晴らしい展開だなんて…うれしいお言葉ありがとうございます。
- 310 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月20日(日)03時50分03秒
「裕ちゃんもパンでいいよね?コーヒー?座っててよ。」
矢口は何も構わないように聞いてくる。
「う…ん。」
私はそう答えるとテーブルについた。
傷は大丈夫なんやろか?
痕とか…残ってへんかったらええけど。
私は矢口が支度をしてくれている間、ずっと包帯から
視線を外す事ができなかった。
「おまたせ〜。」
お盆に二人分の朝食を乗せて矢口がやってきた。
「ありがとう。なんや?いつもちゃんと食べてんの?」
手馴れた感じの朝食。
「まぁ、焼いただけだけどね。さっ食べよ。」
私の前に並べられた朝食が実感させる。
矢口が生きている事を。
私は矢口が用意してくれた朝食を食べていた。
普通にバターを塗って焼いただけのパンなのだが
妙に美味しい。
コーヒーもインスタントとは思えないくらい美味しかった。
- 311 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月20日(日)03時58分00秒
パンを食べ終わって、2杯目のコーヒーと紅茶で
一息つく。
「コレ飲んだらソレ・・見よか?」
私は矢口の手首に目線だけ送った。
「うん。わかった。」
矢口はそう言って紅茶をすすっていた。
ゆっくりと包帯をほどく。
ガーゼには薄く血がついていた。
「あっ全然めだたないじゃん。」
矢口が傷跡を見て明るく言う。
矢口の手首には薄く1本の線があった。
よかった…ホントに皮膚だけを切ってたんや。
私は安心してそこを一応消毒する。
「でもまだ無茶したらあかんで。傷口開くかわからんからな。」
消毒した後、私は迷った。
もう1度、ガーゼをして包帯を巻きたかった。
しかし、そうすればこの出来事がばれてしまうだろう。
自殺未遂をしたって騒がれてしまうかもしれない。
矢口はそんな私の気持ちに気がついたのか、
「大丈夫そうだし、包帯はいいよ。」
- 312 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月20日(日)04時05分49秒
「じゃぁ、大きめのバンソウコウ貼っとこか。」
私は救急箱をあさる。
「うーん。まぁ、それなら疑われないかな?」
矢口はシブシブその案を受け入れた。
「とりあえずや。テレビの仕事とかやったらとらなあかん
やろうしな。無茶せんかったら大丈夫やと思うけど・・。」
私はガーゼを細くきり、傷口にあてがってからバンソウコウを
貼って固定した。
「よっし。…痛くないん?」
「うん、全然。大丈夫だよ、裕ちゃん。」
矢口は笑顔で私を見ていた。
その笑顔が私を安心させる。
「矢口アホやし心配やわ。」
「アホって言うなよ!」
私達は少し笑った。
昨日から、アレから、初めて笑った気がする。
「今日裕ちゃん仕事何時まで?」
矢口が笑顔のまま、そう私に聞いてきた。
- 313 名前:名無し読者で 投稿日:2002年01月20日(日)04時09分35秒
- このまま、ラストまで突っ走ってっ。中澤ね〜さん大好きっ(w)
- 314 名前:中澤裕子 投稿日:2002年01月20日(日)04時16分14秒
「ん?今日はなぁ、多分7時ぐらいまでや。」
私は救急箱を片付けながらそれに答えた。
「じゃぁさ、今日一緒にご飯食べよ?」
昨日の事だろうか?
いろいろありすぎた1日。
「ん。わかった。矢口もそれぐらいの時間なん?」
私は何もなかった、普段の約束のように答えた。
「うん。矢口は今日もうちょっと早い。ミニモニの
収録ばっかりだし。」
「そっか。どうする?どこで食べる?」
「じゃぁ、今日は矢口がご飯作るよ。
だからここに来て?」
「わかった。終わったら電話するな。」
矢口はもう死ぬ気はなくなったんだろうか?
生きてくれるのだろうか?
私はまだ不安を持っていたので、
今夜の約束が気分を楽にさせた。
今夜、何があるかはわからないまま…。
- 315 名前:作者です。 投稿日:2002年01月20日(日)04時20分13秒
>>313さん。
リアルタイムレスありがとうございます。
増量…めっちゃ切りがいいところまで書けたので
次の更新でいいですか?
ラストもうすぐになったんで(汗
どっちの結果にするかじっくり考えますので…
↑おいおいっ
20書くとかいいつつ半分のこのアリサマ…
ずびばぜん(涙
- 316 名前:名無し読者で 投稿日:2002年01月20日(日)04時41分10秒
- 遅いのは全然OKっすっ。中澤ね〜さんさえ、幸せになってくれれば・・・・。
幸せにしてっってか、幸せになったのが読みたいっ(切実)
お疲れ様です^^
- 317 名前:らん 投稿日:2002年01月20日(日)08時28分08秒
- 一体どうなるのでしょう?
「作者です。」さんが残す、一行予告(?)みたいな文に、いつもドキドキしています。
昨日の、タイレポート番組は良かったですね。
現地の日本人に対してのインタビューも丁寧だったし、安心して見ていられました。
象と戯れる…っていうか、遊んでもらっている姿に大笑いしました。
動物が絡むと、ヘタレ発揮で、私としてはツボなんです。
今度は「ヤグチと来たいやね」なんて、思ってたらいいなー。
- 318 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月23日(水)00時47分39秒
- いいところで・・・いつもキリますよね(涙
いつまでも待ってまーす。(涙
- 319 名前:作者です。 投稿日:2002年01月25日(金)00時17分14秒
- 今日はレスだけです。ごめんなさい。
>>316さん。
レスありがとうございます。
遅くていいですか?すみません。
ラストを決め悩んでまして。
幸せ派なんですね?そうか…(考
レス下さったので考慮にいれておきます。
>>317 らんさん。
レスありがとうございます。
『一行予告』…あいまいな感じですみません。
タイなかなかおもしろかったですね。
またどこか行ってほしいですね。
今はドラマの短縮に驚きです。
SMAPはスゴカッタ…。
>>318さん。
レスありがとうございます。
半端なとこで切ってしまっていてすみません。
待ってくださるというので安心しました。
ラストに悩み中なんです…。
が、さっさと決めちゃってキリきり更新して行きたい
と思ってますのでもう少々お待ちを。
- 320 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月27日(日)01時53分48秒
- 待ちくたびれたよー(w
- 321 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月29日(火)22時20分00秒
- 最初から読みました。のめり込んじゃった(w
更新楽しみに待ってます。
- 322 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月11日(月)23時25分56秒
- やっと書き込めるようになった。長かったなぁ〜
それでは改めまして。いつも応援してます。がんばって下さい。
- 323 名前:らん 投稿日:2002年02月16日(土)00時21分33秒
- ここが復活されたこと、作者さんは気がついていないのでしょうか?
毎日、チェックしています。
更新、お待ちしています。
- 324 名前:作者です。 投稿日:2002年02月18日(月)15時13分30秒
- >>320さん。
レスありがとうございます。
とんでもなく放置状態になってましたね。1ヶ月ぐらい。
すみません。
>>321さん。
レスありがとうございます。
最初から??おぉ〜ありがとうございます。
それなのに更新の遅い事…
>>322 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。11日に復活したんですか?
もっとかかると思って全然きてませんでした…。
ちょっとあまりにも放置期間が長かったので
忘れがち…いそいで考えます。
>>323 らんさん。
レスありがとうございます。
気がついてませんでした…(汗
ごめんなさいです。
急いで先を考えます。
今日、明日中に少しでも更新しますからお許しを〜
- 325 名前:バンザイ 投稿日:2002年02月18日(月)15時27分06秒
- 作者さん、ようやく気づいてくれたんだ!ありがとう!!
続きを楽しみにしています。
・・・・・・さらに、復活にご尽力くださった管理者に敬意を込めて。
バンザイ!!
- 326 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月19日(火)08時55分08秒
- 気づいてくれたー!感無量です。これからも、頑張ってください。
- 327 名前:作者です。 投稿日:2002年02月20日(水)00時15分15秒
- >>325 バンザイさん。
レスありがとうごいざいます。
ようやく気がつきました。
本当に遅くてごめんなさい…
本当に管理人さんに、バンザイの嵐ですね。
>>326 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
ほんとうに長らくお待たせしてすみませんでした。
読んでもらってるのにこんなに更新遅くて失礼きわまりない
のは重々承知しています。
今日、このサイトの存続カンパを振り込むつもりで
昨日あぁ書いたのですが、振り込めなかったので
明日振り込みにいきます。
きちんと少しでもカンパしてから再開させてもらうつもりでいますので
明日に更新を伸ばそうと思います。すみません。
やはり場を提供していただいている分、ここは押さえとかないと…。
だから是非明日まで待ってほしいです。
- 328 名前:作者です。 投稿日:2002年02月21日(木)22時00分42秒
- ・・・・誰か振り込んだ人います?
何故か振り込めないんですが?どうしてだろ?
かなり困ってます。
- 329 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月25日(月)00時35分52秒
- 作者殿のコメントで、振り込もうにも振り込めなくなった
情けない自分であります。(泣)
- 330 名前:作者です。 投稿日:2002年02月25日(月)16時03分43秒
- >>329 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
結局振り込めてませんが、続ける事にしました。
ATM見かける度にチャレンジしてみます。
自分が間違ってるだけかもしれませんが…(振り込み方法)
いいのかな?続けて…早く振り込める事を祈りつつ、
やっていこうと思いますのでよろしくお願いします。
- 331 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月25日(月)16時11分04秒
- そうですね。今、自分は森でちょっとした短編に
挑戦してるんですが、読み直すと、
雑な点が多くて、恥ずかしいことこの上ないです。
- 332 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月25日(月)16時15分50秒
仕事の準備をして家をでる。
矢口が鍵をかけているのを隣で見ながら私は昨日の夜の事を
思い出していた。
何故、昨晩鍵がかかっていなかったのだろう?
不自然すぎる。
けれど私はそんな事を矢口に聞ける訳も無く、
一緒に並んでエレベーターに乗った。
私と矢口の仕事先は違っていたが、同じタクシーで向かう。
「裕ちゃん、今日何食べたい?」
矢口が突然話し出した。
「ん?なんでもええで?」
私がそう答えると、矢口は少しふくれた顔をして私の腕をつかんだ。
「なんでもいいとかじゃなくてさぁ。裕ちゃんの大好物に
するからさぁ。」
「え?矢口が作ってくれんねんたらなんでもええのに。矢口の好きな
物でええよ?」
私がそう言って腕をつかんだままの矢口を見ると、
不満そうに、そしてその答えじゃ満足していない様子の矢口がいた。
- 333 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月25日(月)16時27分00秒
「じゃ、じゃぁ…そうやなぁ。」
矢口は私の答えをイキイキした表情で待っていた。
その笑顔がうれしい。
私だけのための笑顔。
「和食がええなぁ。おつまみにもなるようなもん。」
矢口の満足する答えじゃないものの、矢口は笑顔のままでいた。
「オッケー。煮物とかでいい?もっと料理名を期待してたのにさ。」
「うん、全然ええよ。ごめんなぁ、思いうかばへんねん。」
「じゃぁ、またなんか思いついたらメールして。終わったら連絡
ちょうだい。」
矢口がテレビ局で降りながら手を振った。
「うん。電話するし。がんばりや。」
私がそう言って手を振るとドアが閉まり、ゆっくり車は動き出した。
矢口は少しの間手を振り続けてくれていた。
昨日のような違和感はない。
- 334 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月25日(月)16時42分09秒
その日1日、私はずっと機嫌がよかったみたいだった。
いつも機嫌が悪いわけではない。
「中澤さん、どうしたんですか?」
マネージャーが不思議そうに私の顔を見る。
「え?」
「なんか楽しそうですよ?」
仕事が終われば矢口に会える。
そんな小さな事で、私は上機嫌だった。
実らない恋に依存していい訳がない。
けれど、今、私は矢口を想うだけで幸せになれていた。
矢口が仕事の合間をぬって頻繁にメールを送ってきてくれた。
『辻と加護が言う事聞かないよ〜。』
『後1つこなせば今日は終わり!料理期待しててね。』
私は少したまったメールを仕事の合間に見ていた。
顔がほころぶ。
マネージャーに怪しまれながらも返信作業にとりかかっていた。
いろいろな事がありすぎて、私は大事な事を忘れていたんだ。
そんな簡単な事じゃないって。
矢口のメールが現実逃避に近い手段だって事も。
矢口の傍にはごっちんが居るのに・・・・。
- 335 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月25日(月)18時04分42秒
「お疲れサマでした。」
もう矢口は仕事が終わって家にいるだろう。
何を作ってくれてるんだろう?
私は収録を終え、楽屋に早足で帰った。
(さっさと用意して帰ろ。電話しな。)
私は鞄をあさって携帯をとりだす。
「なんやこれ?」
私が携帯から離れた間に、4時間ぐらいの間に、
不在着信と未読メールがたまりまくっていた。
不在着信が9件。
不自然な数字に疑問がつのる。
はっきり言って、普段私の携帯は殆どならない。
不安の中、私は1つ1つ確認して行った。
矢口からの電話が5件。
圭ちゃん、なっち、が1件ずつ。
ごっちんから2回あった。
なんや?なんかあった…?
私は矢口じゃなく、圭ちゃんに電話をかけた。
- 336 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月25日(月)18時11分29秒
数回の呼び出し音が響くと、すぐに留守電に切り替わった。
仕事中なんだろう?
なっちにかけなおす。
やはり留守電に切り替わった。
二人に私は何もメッセージを残さず切った。
ごっちんにかけようとして一瞬躊躇する。
昨日の事なんだろうか?
ソレ以外には考えられない。
私はごっちんにかけるのを後回しにしてメールをチェックする事にした。
ごっちんと話すのは何か不安だった。
ごっちんが2回も電話してくるなんて…
普通じゃ考えにくい。
矢口に何かあったんではないだろうか?
未読メール7件という表示を見て、
私は決定ボタンを押した。
- 337 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)19時14分09秒
- 更新、待ってました。
まだまだ予断を許さない状況ですね。
>>334のメール欄を読んで、何かうれしくなりました。
今夜はまたチェックしに来ようと思ってます。
- 338 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)19時32分26秒
- 矢口を救ってくれ〜。裕ちゃん頼む!
- 339 名前:作者です。 投稿日:2002年02月25日(月)21時54分18秒
- >>331 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスサンキューです。
森早速行かせてもらいやした!!
甘くていい!!
これからもチェックさせていただきます。
がんばってくださいね。
>>337さん。
レスありがとうございます。
いきなり更新始めたのに、いきなりレス、ありがとうございます。
めちゃうれしいです。
今夜また見てくださるなんて…
できるだけ更新しますので!!
>>338さん。
レスありがとうございます。
見てくださっている方がいる事に喜びを感じます。
本当ににありがたいですね。
これからもよろしくお願いしますね。
矢口と裕ちゃんがどうなるか・・てとこですね。
- 340 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月26日(火)00時55分33秒
- 作者さん復活ですか?
お待ちしておりました!!!
つづきかなり楽しみです(w
- 341 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時00分40秒
矢口からのメールが3件連続。
『今終わったよ。今から買出し行って作りまーす。』
『終わったらメールちょーだいね。あんまり遅いとバナナ買うよ?』
『お腹すかせて帰ってきてね。』
時間はまちまちだったが矢口からの催促のメール。
ただ、そのまま返信する訳にはいかなかった。
その後に、圭ちゃんとごっちんからのメールが入ってたから。
『これ見たら連絡ください。結構急ぎだから。』
圭ちゃん。
一体なんだっていうんだろう?
『ちょっと話がしたい。後藤のせいだってわかってるんだけど。
裕ちゃんしか解決できないと思う 見たら電話して。』
ごっちんからのメールで私の動きが止まる。
解決?
私はそのまま残りのメールを見た。
『順調に作ってるよ。仕事まだかな?早く帰ってきてね。』
『そろそろだよね?お腹空かせて帰ってきてね。』
残りの2つは矢口だった。
どうしてこんなに不安が広がるんだろう?
- 342 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時14分15秒
私は気持ちを押さえながらごっちんに電話をかけ始めた。
誰かと連絡をとるまで、矢口に連絡をとらない方がいい気がしたから。
少し祈る気持ちで、だけど少し出て欲しくない気持ちで
私は呼び出し音を聞いていた。
「もしもしっ。」
―ごっちんの声。― 私は心の動揺をおさえて話しだした。
「もしもし?おつかれさん。」
「裕ちゃん。メール見た・・よね?」
ごっちんは珍しく、少し捲し立てるように話した。
「おぉ。見たで。どうしたん?矢口…なんかあった?」
もしかしたら昨日の事が皆にばれたのかもしれない。
「うん…。」
ごっちんがそう呟くと沈黙が続いた。
「なんや?どうしたん?」
私が先をせかしたい気持ちを押さえてゆっくり聞くと、
ごっちんはポツリポツリと話し始めた。
「今日ね、なんかやぐっつぁんが、少しおかしかったんだ。
だって、昨日いろいろあったし・・後藤と口聞いてくれないだろうなって
覚悟してたんだ。」
- 343 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時24分08秒
「うん。」
私はただ短く、そう相槌をうった。
それの原因は私にある。二人を早く繋いだのは私だから。
「でも違った。全然普通に、いつもみたいに、いつも以上に
元気に挨拶してくれたんだ。話もした。」
「そうなんや?ならええやんか。」
「昨日の事には触れられなかったけど…。でもね、なんか違うの。
やぐっつぁんが変な気がして・・。」
ごっちんはぼーっとしてるようで、実はちゃんと娘を見ている。
だからごっちんがそう思うならきっとそうなんだろう。
矢口は少し変だったのかもしれない。
「気分の切り替え方がうまくいかへんかったんちゃう?
矢口もがんばったんやと思うで。ただ少し空回りしたんちゃう?」
私は本当にそう思った。
「そうなのかなぁ?そうだったらいいんだけど。」
ごっちんは私の考えになんとか同意した。
「大丈夫。心配せんでもええよ。」
私が守るから。
「うん。わかった。裕ちゃんに任せるからね。」
この電話の相手がごっちんじゃなく、圭ちゃんやなっちなら、
もしかしたら未来は変わっていたのかもしれない。
- 344 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時30分54秒
私は電話を切るとそのまま矢口に電話をした。
「もしもしっ裕ちゃん?」
1コールぐらいで矢口の声が聞こえる。
「なんや、めっちゃ出るん早いなぁ。今から帰るで。」
私は片手で荷物を片付け始めていた。
「ほんと?こっちは準備万端だよ。」
矢口の元気のいい声が聞こえる。
何が変なんだろう?
いつもの矢口じゃないか。
いつもの矢口でいるという事が変なのだろうか?
「楽しみやわ。めっちゃお腹すいた。」
「いっぱい作ったから。何分ぐらいでこれそう?」
「そやなぁ、ここからやったら30分かからへんと思うわ。」
私は荷物を持って、電話をしたまま楽屋をでた。
はやく矢口に会いたい。
もし無理をしているのならはやく抱きしめて安心させてあげたい。
電話の声を聞く限りじゃ、私にはごっちんの言っている意味が
わからなかった。
- 345 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時41分40秒
あらかじめ呼んでもらっておいたタクシーに乗り込む。
まだ矢口との電話は繋がったままだった。
「今乗ったし。」
「ん。じゃ、待ってるね。」
「うん。じゃ、後でな。」
そう言って電話を切る。
顔がほころぶのが押さえられない。
矢口が私の為に料理を作ってまっててくれる。
今までにも何回かそんなことはあった。
でも、その時の矢口の中には紗耶香がいた。
今は、少なくとも今の瞬間だけは、居ない気がする。
私は途中コンビニでビールと数種のカクテルを買って矢口の住む
マンションの前に降り立った。
早く会いたい。
私は部屋の番号を押してチャイムをならした。
そういえばキーナンバーは紗耶香だった。
矢口は帰るたびに思い出すんじゃないだろうか?
矢口の元気な声が聞こえるまでのほんの一瞬、私は嫉妬に似たものを
覚えながらその番号ボタンを見ていた。
私と矢口は付き合ってもいないのに、
私の気持ちは通じてないのに、一体何を考えてるんだろう。
自分をとても醜く感じた。
- 346 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時50分50秒
「おかえり〜。」
エレベーターを出ると矢口が部屋から顔を覗かせていた。
ただいま、なんて言うのはあつかましく感じられた。
「おつかれさん。」
私はそう言うと矢口が開けてくれているドアの隙間から
部屋の中に入った。
部屋においしそうな匂いが充満している。
「うわ〜、いい匂いやなぁ。はよ食べたいわ。」
「ほんと?食べよ食べよ。」
矢口は子犬のように私の後ろをちょっとはしゃいだようについてきた。
「荷物置いてそこ座ってね。」
矢口はそう言うとキッチンに入っていった。
部屋の端に鞄などを置くと私は既に何品かの料理が並んでいる
テーブルに歩み寄った。
「うっわ、おいしそう。」
彩り豊かな料理が私の食欲をそそった。
私はコンビニ袋から買ってきた酒をとりだすとテーブルに並べた。
「座ってよ?あっビール買ってきたんだ?」
矢口はお盆に料理を乗せてやってきた。
- 347 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月26日(火)03時58分54秒
「うん。矢口のもあんで。これやったら飲めるやろ?」
カクテルを持ち上げる。
「ありがと。裕ちゃん。ビール冷えたのがあるからこれ冷やしとく?」
「まじで?うん、そうする〜。」
まるで新妻のような矢口の気配りに私は違和感など感じず、
ただただ無邪気に喜んでいた。
「いただきま〜す。」
矢口が見守る中、私は矢口が煮込んだと思われる小芋を
口に運ぶ。
柔らかい小芋からあつい出汁が口の中に広がる。
「ん〜んまいっ!!」
「ほんと?よかった〜。」
矢口はそう言うと箸をつかんで食べ始めた。
ビールを飲みながら、目の前の矢口を見ながら、
私は至福の時間を味わっていた。
とっくに頭の中から圭ちゃんやなっち、そしてごっちんの言っていた
事など消えてしまっていた。
鞄の中で震え続けていた携帯に気づく事もなく、
私は矢口との時間に酔いしれていた。
それでも、私は幸せだったんだ。
- 348 名前:作者です。 投稿日:2002年02月26日(火)04時02分51秒
- >>340 名無しさん。
レスありがとうございます。
ようやく復活です。
もう少しお付き合いくださいね。あと少しですので…。
お待たせして申し訳ありませんでした。
今夜はここまでという事で… コソコソ サッ!!
- 349 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)04時17分30秒
- いやな予感しか…
なにを考えてるんだ矢口ーー!?
- 350 名前:裕ちゃん防衛総省やぐちゅ〜推進特別委員会委員長 投稿日:2002年02月26日(火)18時20分12秒
- 始めまして〜、白板で裕ちゃん刑事小説を書いてる者です。
異様に明るい矢口か・・・
まさか、何かを料理に盛ったんじゃ・・・?
- 351 名前:らん 投稿日:2002年02月26日(火)18時20分51秒
- 待望の再開ですね。
ご苦労様です。←こういう言い方、気に障るようでしたらごめんなさい。
「作者さん」の多方面から見る、心理描写の上手さ、感服しかりです。
もうすぐ終わりだそうですが、この先の展開、楽しみにしています。
- 352 名前:15 投稿日:2002年02月26日(火)21時17分47秒
- お久しぶりです。
読ませて頂きました。
何でしょう・・・こう、胸がざわざわとします。
幸せなはずなのにって、ところが痛いです。
展開が読めなくて、ドキドキとできて、
もの凄く好きです。
では、この辺で、失礼します。
- 353 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月26日(火)23時18分13秒
- 作者殿。レスの方ありがとうございました。
一体、矢口は何を・・・?
- 354 名前:名無し娘。 投稿日:2002年02月27日(水)01時01分25秒
- ひょっとして・・・う〜んこれ以上は言うまい。
予想が当たらないことを祈ります。
- 355 名前:作者です。 投稿日:2002年02月27日(水)20時18分44秒
- >>349さん。
レスありがとうございます。
リアルタイムで??ありがとうございます。
嫌な予感のみですか?
矢口の行動にご期待、ですね
>>350 裕ちゃん防衛総省やぐちゅ〜推進特別委員会委員長さん。
レスありがとうございます。
白、レスさせてもらった事アリですよ。実は。
その委員に是非入りたいですね(w
>>351 らんさん。
レスありがとうございます。
なにも気にさわるような事ないですよ。うれしいです。
そして長々とお待たせしてすみませんでした。
この先の展開、満足していただけるものが
書けるようにがんばります。
>>352 15さん。
レスありがとうございます〜。
痛いかんじにだんだんなてきました…。
満足いただけるように書ければいいのですが…
これからもよろしくお願いします。
- 356 名前:作者です。 投稿日:2002年02月27日(水)20時23分18秒
- >>353 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
わかっていただけましたか?かなり甘さに酔わせていただきました。
矢口の行動…期待はずれにならないようにがんばります。
>>354 名無し娘さん。
レスありがとうございます。
あれ?読め読めですか?
自分も予想があたらない事を祈ります(w
多分、ドンピシャかと…
文章表現力の無さを痛感いたしました。
が、「やっぱりな。」と思いながら読んで下されば
光栄なしだいです。
- 357 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月27日(水)20時34分32秒
「おいしい?味大丈夫?」
ビールを飲みながら料理をつついている私を矢口が覗きこむ。
「うん。ほんまにおいしい。」
「じゃっいいけどさ。あっもうビールないね。」
矢口は空になったビールを持ち上げてそう確認すると、
新しいものを取り出しに冷蔵庫に向かった。
「あっありがとう。」
私は少し立ち上がってそれをおいかけようとした。
「いいよ、裕ちゃん。座ってて。今日はドンドン飲んでね。」
矢口が3本程抱えて帰ってきた。
私はソレを礼を言って受け取る。
「なんや、矢口今日えらい気ぃきくなぁ?」
矢口がビールをグラスに注いでくれているのを眺めながら
私はそう呟いた。
「いっつも気がきかないみたいじゃん!」
「ちゃうで、そうゆう訳ちゃうで。裕ちゃんうれしいねん。」
私があせってそう言うと矢口はわかったわかったと笑いながら
私を見ていた。
私は矢口のいれてくれたビールを小さく喉をならしながら飲んだ。
矢口の笑顔が何故かすごく冷たく感じたから。
だけど、それは冷えたビールのせいだって私は解釈していた。
- 358 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月27日(水)20時40分52秒
その後は矢口の表情から違和感を感じることなんてなかった。
私の頭にごっちんの言葉が残っていたら、さっきのあの表情だけで
私は何かに気付けたかもしれない。
まい上がってしまった私は何にも気付くことはなかった。
でも、後悔はしていない。
私が好きなんは矢口やから。
むしろ矢口にそうしてもらえて、私はある意味矢口を
この手にいれられた。
―ずっと私が望んでいた事―
後悔なんてする訳がない。
矢口を責める訳がない。
誰も矢口を責めることなんかできないんや。
私が望んだ事なんやから。
- 359 名前:中澤裕子 投稿日:2002年02月27日(水)20時50分59秒
私は矢口の料理で大好きなビールをどんどんと消化していった。
「ちょっと裕ちゃん。もう矢口が用意した分なくなったよ。」
矢口は私が買ってきたビールを手に戻ってきた。
「え〜?ええやんか。私も買ってきたんやから。」
少し呂律が回らなくなってきていて、酔いがいいように私を
包み込んでいる状況が心地よかった。
目の前には矢口がいる。
「裕ちゃん、どうせだからあっちのソファーに行こうよ。」
矢口が未開のビールを抱えて私の横をとおりすぎる。
私はグラスに口をつけながらそんな矢口を目で追った。
「矢口ぃ〜。」
私は矢口の後を追う。
「ちょっと裕ちゃん!ビールこぼれるよ?」
すぐ後を追ってきた私に一瞬おどろいた表情をみせつつも
矢口は私を受け入れてくれた。
私はグラスを置いて矢口に抱きついた。
「はぁ、落ち着くわ〜。」
座っている矢口を横から抱きしめ、私は矢口の頭に自分の頭を寄せた。
「裕ちゃんビール臭い。」
矢口はそんなことを口ではいいつつも、しっかり私をだきしめて
くれていた。
- 360 名前:バンザイ 投稿日:2002年02月28日(木)00時06分46秒
- やぐち・・・ねえさんに何お・・・気になっておちおち寝てられん・・・
と、こうして何度もアクセスしつつ・・・今日の更新は終わったかな・・・
明日も楽しみ(・∀・)!
- 361 名前:裕ちゃん防衛総省やぐちゅ〜推進特別委員会委員長 投稿日:2002年02月28日(木)01時19分16秒
- 裕ちゃんは、ビールだけで陽気になってるのでは無い!?
どうなるんだ・・・?
作者さん、私のとこにカキコしてくれてたんですか?
(W←このマーク、もしや数々のお怒りのお言葉をしていただいた方ですか?
- 362 名前:作者です。 投稿日:2002年02月28日(木)01時55分46秒
- >>360 バンザイさん。
レスありがとうございます。
何度もアクセスしてくださってたんですか?
すみません。
明日は大量更新をめざしてがんばりますので今夜の所は
許してください。
>>361 裕ちゃん防衛総省やぐちゅ〜推進特別委員会委員長 さん。
レスありがとうございます。
委員長の所の裕ちゃんほど酒は強くないということで…。
自分は恥ずかしながら【7】でございました。
あちら痛いやぐちゅーなんですよね。
矢口と裕ちゃんの話楽しみです。
みっちゅーもいいんですが、やっぱやぐちゅー…かな。
- 363 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)01時00分25秒
矢口にだきついたままで私はぬくもりを感じていた。
矢口は何も言わずに黙って私に腕を回したままでいてくれた。
「今日はどうしたん?いっつもやったら離れたがるのに。」
私は矢口の背中に回した腕に少し力をいれて、離れない意思表示を
しながらそう呟いた。
「嫌がってほしかった?」
矢口の表情はわからない。
「まさか。そんなわけないやん。」
「今日は特別だけどね。ほら、お酒飲もうよ。」
矢口の誘いに、私は絡めていた腕を放してグラスを手に取った。
矢口が持つカクテルと矢口が注いでくれて再びいっぱいになった
グラスを軽く合わせると私はソレをあおった。
ソファーに肩寄せ合って座りながらなんでもない話を続ける。
私達は1度も昨日の事、紗耶香達の事には触れなかった。
- 364 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)01時13分39秒
「裕ちゃん眠たいの?」
隣の矢口が私を見る。
「うん・・ちょっとだけ・・。」
酒の酔いと昨日の寝不足からか、私の瞼は重くなっている。
私は気付いていたけれど。
「でも大丈夫や。もうちょっと我慢できるから。」
そう言うと少し矢口にもたれかかった。
矢口はただ少し笑って私に肩をかしてくれた。
「裕ちゃん・・・。」
「なんや?」
「私の事、本当に好きなの?」
私はフッと息を吐いてから答えた。
「大好きや。私はずっと矢口の事が好きなんや。」
矢口の肩に頭を乗せていたから矢口の表情はわからなかったけど、
矢口はほほえんでくれた様に思った。
「裕ちゃんは矢口が何しても嫌いにならない?」
「うん。私が矢口の事嫌いになるなんてないで。
矢口にやったら何されてもええ。」
矢口はわかってたやろ?
私がそう答える事なんて…。
私は矢口をずっと見てきてた。
だから矢口の事はなんでもわかっていた。
- 365 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)01時27分32秒
「矢口も裕ちゃんも事好きだよ。」
ずっと求めていた言葉。
それだけが欲しかった。
それがどんな形であっても。
「裕ちゃんを矢口の物にしたいぐらい。」
「矢口が望んでくれるんやったら私はいつまでも矢口のもんや。」
私は矢口の肩から頭を持ち上げた。
矢口の顔が見たい。
私の大好きな矢口の顔が。
「矢口だけの物になってくれる?」
矢口がそう呟く。
「うん、ええよ。」
私は矢口の顔を見つめながら答えた。
感情の消えたような冷めた矢口の顔―
「矢口の隣にいたままでええか?」
矢口の口が動いた。
消えた感情が少し戻ったような、それでいて消えたままのような、
そんな笑顔の矢口。
ビールと共に摂取した大量の睡眠薬と思われるものは
私の体中に浸透していた。
- 366 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)01時43分23秒
私の体の感覚がどんどん鈍くなっていく。
しかし、頭はさえている。
圭ちゃんやなっちと電話して喋ってたらこうはならんかったかもって?
矢口と一緒にいる事だけでまい上がるような私じゃなかったら
こうはならんかったかもって?
全てに気がついたのは、本当についさっき。
体中に浸透しようとしている薬が、教えてくれた。
まだ全てを奪わず、私に時間をくれているこの薬に
私は感謝したい。
これで、私は矢口のもの。
矢口もある意味私のものだ。
私が矢口の人生をおおきく覆う。
ごっちん。
ごめんな、忠告無視して。
矢口を助けてって私に任せてくれたのにな。
きっとごっちんは自分を責めるやろう。
もっとちゃんと言えばよかったって。
それはちがうで。
私はこの結果に満足してる。
むしろうれしいんや。
だれと喋ろうが、私はこの結果を受け入れてたよ。
- 367 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)01時57分04秒
「裕ちゃん…。」
「ん?わかってる。これでええねん。私は…。」
矢口は壊れてしまった。
「私は幸せやで。矢口の隣におれるんやから。」
壊したのは、本当は私。
「裕ちゃんはずっと矢口だけのものだよ。」
矢口の幸せ望んでたから・・・
「うん。ずっとあんたのもんや。」
これで矢口が満足するんやったら喜んでそうするで。
「裕ちゃん…矢口を責めないの?」
最後に見せた少しの感情。
「なんで?矢口のものになれるんやもん。うれしいんや。」
苦しまないような方法。
こんなに穏やかな気持ちでいけるなんて幸せや。
「矢口も裕ちゃんのものだからね。」
その言葉をそのまま私は受け止める。
「裕ちゃん今めっちゃ幸せやわ。一つお願いしていい?」
本当に最後に1つ。
一生のお願い。
- 368 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)02時13分36秒
私はいつのまにかずっと閉じたままでいた瞼を持ち上げる。
矢口の顔を忘れてしまわないように。
どんな顔だって…。
そう思って見つめた矢口の顔は、さっきまでの冷たい顔じゃなくって
まるであの子に見せてたような笑顔。
「いいよ。何?」
「膝枕してくれへん?私が寝てしまうまで。」
矢口は黙って頷いた。
私はゆっくりその膝に頭をおく。
「これだけでいいの?もっと言ってよ。」
矢口が私の顔を覗きこむ。
「んじゃ、後1つだけ…お願いしようかな…。」
だんだん、確実に私の時間は短くなってきていた。
頭にまですでに浸透している。
体はまる石のように重かった。
私はゆっくり閉じようとする瞼だけをなんとか持ち上げ続けて
矢口の目を見つめながら、本当に最後のお願いを口にした。
「……キスしたい…。」
- 369 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)02時21分53秒
「うん。」
矢口はゆっくりと顔を近づけてくれた。
私はもう頭を動かせられないから…。
「矢口ぃ…好き…やで。」
矢口との唇との距離が0になる前にそう言った。
嫌、言ったつもりだ。
それが声になってなくても、きっと矢口はわかってくれた。
だって矢口の目が微笑んだから。
矢口との最後のキス。
矢口がしてくれる最後のキス。
矢口がどんな顔をしながらキスしてくれているのかはわからない
けど、きっと私の大好きな顔。
私への矢口からのキスは私の意識をも溶かして行く、
とろけるようなキスだった。
- 370 名前:中澤裕子 投稿日:2002年03月01日(金)02時40分36秒
矢口…私はずっとあんたの傍にいるから…。
あんたを好きな気持ちはいつまでもかわらへん。
私はあんたの幸せを望んでるし。
私はほんまに幸せや。
矢口の膝のうえで、
矢口のキスしてもらいながら、
矢口のぬくもり感じて行けるんやから…。
でも…他の皆に迷惑かけるな。
仕事に大きな穴あけるんやもんな。
娘。の皆にも心配かけさせるかも。
でも…心配せんでええんやで。
私は幸せや。
頼むから、誰も矢口を責めんといて…。
矢口は悪くないんや。
本当に悪いんは私やから。
矢口をわかったって。
矢口…
私は矢口に出会えてよかった。
命をかけられるような恋ができてよかった。
ずっと矢口だけを想って待ってるから。
矢口を好きになってよかった…。
矢口に包まれながら、私は長い長い、終わりの無い眠りの世界に
引き込まれて行った。
End
- 371 名前:名無し読者で 投稿日:2002年03月01日(金)02時55分13秒
- せつね〜〜〜。
でも、姐さん的にはこれで幸せだったんだよな・・・・・
ありがとうございました。
リアルタイムで読んでた。
- 372 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月01日(金)02時59分45秒
- 姐さんにとっては
これが幸せのカタチであり結末だと・・・
久方ぶりに一から読み返したい名作でした。
誠にお疲れ様でした。
- 373 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年03月01日(金)11時58分41秒
- お疲れさまでした。切ないけど
すばらしい作品でした。
- 374 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月01日(金)19時31分37秒
- 最近、全部よんだんでなんか一気に読んだって感じが。
切ない。けどこれが姐さんののぞんだ形か・・・。
お疲れさまでした
- 375 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月01日(金)19時33分06秒
- すいませんageしてしまいました。
ほんとにごめんなさい
- 376 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)00時12分03秒
- 裕ちゃん・・・。
淋しい。
- 377 名前:らん 投稿日:2002年03月02日(土)00時17分02秒
- 最近、裕ちゃんが色んなところで死んでいく。
私としては、裕ちゃんって、幸せの方が似合うような気がするのですが、
作家さん側としては、不幸キャラ役なのでしょうか?
「作者です。」さん、今度は、甘いやぐちゅーをお願いします。
今夜は、枕をぬらして眠ることになりそうです。
(でも、昨日の「うたばん」と今日の「FUN』は笑いすぎたけど)
- 378 名前:読んでる人 投稿日:2002年03月03日(日)11時10分47秒
- 作者さん、お疲れ様でした。
今回の作品も素晴らしく良かったです。
それから・・・あの〜・・・
矢口が裕ちゃんを永遠に眠らせてしまった理由がイマイチわかんないんですけど・・・
そのあたりの矢口の心境(?)なんかを番外編として書いてくれたら嬉しいです。
- 379 名前:作者です。 投稿日:2002年03月03日(日)20時38分16秒
- >>371 名無し読者でさん。
レスありがとうございました。
リアルタイムで見ていてくださってたんですか?
ありがとうございます。
>>372さん。
レスありがとうございました。
またまたリアルタイムで??
うれしいです。
>>373 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございました。
長々とおつきあいいただいて…うれしいです。
>>374 (375?) 名無しさんさん。
レスありがとうございました。
最近よんでくださったんですか?結構長くなってたのに…
ありがとうございます。ageなど全然気にしてませんよ(w
>>376さん。
レスありがとうございました。
淋しい結末に…すみません。
>>377 らんさん。
レスありがとうございました。
いろんな所で死んでますね、裕ちゃん。
死ぬたびに悲しんでる自分なんですが…。
自分は不幸キャラじゃないと思ってるんですけどね。
何故でしょう??
甘いやぐちゅー…甘いの書けるかなぁ?
痛いのばっかなんで…いつも。
考えておきますね。
- 380 名前:作者です。 投稿日:2002年03月03日(日)20時47分33秒
- >>378 読んでる人さん。
レスありがとうございました。
そうですよね。矢口サイドも書こうと思ってるんですが、
ここもイッパイイッパイになってるみたいなんですよね?
どうしようかと思って…。
意味わからないままにしていてごめんなさい。
スレがパンパンなんで少し裕ちゃん編も削ったんですよ。
だからますますわからないですよね、やはり…。
読んでもらっときながらこんな事になってすみません。
反省しまくりです。
書いた際にはよろしくお願いします。
長い間、こんな駄作に時間をさいていただいてありがとうございました。
多々なる表現力や創造力の無さで、いろいろとご迷惑をかけたと思います。
それでも、最後まで読んでくださった方々の暖かい心に感謝の思いで
いっぱいです。
本当にありがとうございました。
- 381 名前:15 投稿日:2002年03月04日(月)21時16分37秒
- 愛があるからこその最後という感じでしたね。
更新終了お疲れ様でした。
とにかく面白かったです。
番外編などなど、お待ちしております。
では。
- 382 名前:らん 投稿日:2002年03月04日(月)21時58分25秒
- スレッド引越し警報! が、でていますね。
この警告が出るまで、ちゃんと書いてくれる方が少ない中、
内容も充実で、文章もしっかりしている「作者です。」さんは、
希少な作家さんだと思います。
最近、書店で並んでいる本でも、「こんなんで、金とるのかよー」なんて、
叫びたくなるような作品多いですよね。
ある意味、無料で、一方的にこちらだけが楽しませてもらえるなんて、
本当に申し訳ない気分になります。
どうもありがとうございます。
さて、レス返しをありがとうございます。
裕ちゃんの不幸キャラの信者でなくて、安心です。
それだけが心配だったもので。
次作も楽しみにしています。
できれば、裕ちゃんを主役で・・・。
- 383 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年03月05日(火)11時50分03秒
- あちらの方のレスありがとうございます。
自分も次回作に期待待ちです。
- 384 名前:作者です。 投稿日:2002年03月06日(水)16時01分22秒
- http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=snow&thp=1011461961&ls
上記場所にて外伝をのせました。(ちゃんといけるかな?もう1つのとこです。)
すみません。興味をもたれましたら是非呼んでみてください。
>>57>>66 本当の気持ち〜矢口真里〜狂気まで。
>>68>>70 本当の気持ち〜矢口真里〜狂気。
となってます。
>>15さん。
レスありがとうございました。
面白かったといってもらえたなら安心です。
矢口ver.もよろしければ読んで見てください。
>>382 らんさん。
レスありがとうございます。
いえいえ、読んでいただいてる事にお礼がしたいくらいです。
本とか最近読んでないのでますますヘボい文章ですが…
裕ちゃん主役…ソレ以外殆ど書いた事ないっすから・・
多分そうなりますよ。
>>383 やぐちゅー中毒者セーラムさん。
レスありがとうございます。
次回…甘いのか痛いのか、などと考えておきます。
あちら、がんばってください。めちゃ好きです。
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