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近づく!

1 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時29分49秒
どうも。お久しぶりになります。
また娘。小説を書き始めたので原点どおりにここで書きます。

ずばりやぐちゅーです。しかも甘めにします。
まだまだブランクがあってヘンなトコもありますけど、
頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。
2 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時31分22秒
…あの時のキモチを言えば、そんなにショックじゃなかった。
確かに悲しかったけど、どうしようもないくらいだなんて思わなかった。

「…あなたにとってモーニング娘。とは?」
「青春! ですね!!」

…なるほどなぁ。
あたしって意外とサバサバしちゃってるな。
紗耶香のコトもあったから慣れちゃったのかも。

「やぐっちゃん?」
「はいよ」
「はいよって…落ち着いてるね〜。あんなに仲良かったのに…」
「別に会えなくなるわけじゃないし。遊びにだっていけるし…」

その通りだった。
あたしがゆうこのウチに遊びに行くのなんかゼンゼン難しいことじゃないし。
仕事で会わないだけでプライベートではいつもどおりに会うだろうし。

寂しいけど、絶えられないほどの寂しさじゃない。
一緒に仕事をする機会もたくさんあるだろう。
そう思うと、ゆうこか自分のやりたいことをやるには今が一番いいかもしれない。
3 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時32分15秒
「やぐっちゃんって…冷たい…」
「は? ヤグチが? ど〜してさ!?」
「フツーさ、『愛しのゆうこがいなくちゃイヤ〜』とか言って泣かない?」
「…ヤグチはごっちんと違うから…」

でも、あんまりナミダが出ないのは何でなんだろう?
どこかで厄介払いできて嬉しいのかなぁ?

ヤグチって…イヤなオンナノコかも…
4 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時32分53秒
「お疲れさまぁ〜!!」

モーニング娘。の中澤裕子としては最後の…打ち上げだった。
でも、みんなから悲壮感は感じられなかった。
ゆうこがいないのは確かにつらいかもしれないけど…
頑張らなきゃってキモチがすごい働くみたい。

「やぐち〜」
「…もう酔ってんのかい…」
「なんや〜! えらい冷めてんなぁ!」
「別に…そんなコトないけど…」

確かに今日のあたしは冷めている。冷め切っている。
ゆうこがいなくなってもっとヘコんで、ナミダぐらい流すかと思ったのに…
ゼンゼン違う。全てのコトがしっかりと受け止めているようにすら思える。

「その…なんや、怒ってるんか?」
「えっ? 何で? 何でヤグチが怒らなきゃいけないの?」
「そりゃまあ…なあ…矢口に相談せずに卒業してもうたし…その…」

目を泳がせて困ったように頬をかく。
そんなゆうこの姿がちょこっと幼くて…かわいく見えた。
まるで、待ち合わせに遅刻してきた恋人のいいわけのように…
5 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時33分32秒
「ヤグチがそんなコトで怒るわけないでしょ…」
「…ほんまに?」
「だって…いい加減なキモチで卒業したわけじゃないんでしょ?」
「…」
「だから…ヤグチはゆうこのやることにはいつでも賛成するよ」

…なーんかチョットカッコつけちゃったかな?
この後、このヒトが何してくるかなんてすぐにわかる。

「ダイスキや〜!! も〜! ホンマにかわええなぁ!!」
「むさくるしいから…張り付くなぁ! ばかゆうこ!!」
6 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時34分11秒
「とゆ〜ことで解散で〜す! お疲れ様でした〜!!」

…結局、いつもこうなるんだ…分かってるんだよ…

「あーいつもすまないね」
「…慣れてますからいいです」
「酔っ払うと中澤さん、矢口さんとしか帰らないってダダこねるから…」
「ったくね〜…イイトシして何言ってるんですかね〜」

ホントだよ。これじゃどっちが年上なんだか分かりゃしないよ。
でも…酔ったゆうこはいっつもシアワセそうで、ニコニコしている。
そんな姿もまた…よかったりするんだけど…

「じゃあ、お先に失礼します」
「んじゃね〜♪ また明日元気に会おうぜっ!!」
「…ゆうこは卒業したからカンケーねーだろーが…」
「ほらほら!! タクシー来たから帰ろーよー!!」

しかし…いつになくゆうこのテンション高いなぁ…
なんかチョットイガイなんだよね。
ゆうこはナキムシだから最後にメチャ大ナキすると思ったのに…
7 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時34分46秒
「へへっ♪ 矢口と帰れて嬉しいなぁ(はぁと)」
「ゆうこが酔っ払うといつも一緒に帰ってるでしょ?」
「そうやねぇ〜…矢口おらんとうち帰らへんもん」
「まあ、別にいいけどさ…」

こんな会話も今日が最後なのかと思うとちょびっと寂しいかもしれない。
これからあたしとゆうこの道はハッキリと別れるんだから…

「…何や〜? 辛気臭いカオすんなや〜」
「し…してないよぉ!! 別にヤグチはゆうこがいなくたって…」
「やっていけるやろ? だからうちは…卒業を決めたんや」

そんな言いかたってあるかな…
まるであたしがフッ切れるの分かってて…あたしのせいみたいだって聞こえるよ…

「…ゆうこ」
「……」
「…寝てんじゃねぇよ…も〜…」
8 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時35分29秒
「さてっと…んじゃ、ヤグチ帰るね〜」

とりあえずソファにゆうこを転がしておいた。
だいぶ酔いは覚めたみたいだけど、カラダを起こすほど元気じゃないみたいだ。

「帰ってしまうんか…?」
「そりゃね。明日は早くないけど、一応仕事あるから」
「…そっか…」
「なになに〜泊まってほしかった?」

ゆうこの家に泊まったことは…ある。
もちろん、あたし一人だったわけじゃないけど。他にもメンバーがいた。
二人きりで泊まったことはジツはなかったりする。

「…ちょこっとだけ」
「ちょこっとだけなんだ〜。ふ〜ん…」
「…また、怒ってるんか?」
「またって、別に怒ってないよ〜…チョット怒ってるかも」
「何やねん? チョットだけっちゅーのは…」

あたしが納得いかないのは…あまりにもゆうこがサバサバしているコトだ。
どんなコトがあって…実際に何が理由で卒業するのか分からないけど…
それにしては冷め切っている。それはあたしだって分かる。
9 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)00時36分02秒
「なんかさ…泣かないよね? ゆうこ、ジツはすごいナキムシなのにさ…」
「…それゆーたら、何で矢口は泣かないんや? うちが…いなくなるのに」
「それは…それは…ゆうこだって一緒じゃん…」

「……」
「……」

…なんで黙っちゃうの? でも…あたしも答えられないよ…
分かんないんだよ…ゆうこがいなくなったらタイヘンだって…
ヘーキじゃないって分かってるのに…

ナミダ出ないんだよ…

「…ヤグチ…帰るね」

ゴメンね…ゆうこ…
10 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月30日(金)00時45分25秒
うわ〜、大御所復活バンザ〜イ!!
期待してますよ〜!
ひさしぶりにHPの方も覗かせてもらおうかな。
11 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)01時28分01秒
ををっ! 早くもレスがついてビックリだ(ヲイ
さっそく返させてもらいます。

>>10 名無しさん
覚えていて下さって大変光栄です。大御所はウソ(わら
ちまちまとリハビリで書いていきますが、温かい目で見てやってください。
それと…HPはリニューアルしてますよ(にやり
12 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)01時28分54秒
矢口のヤツ…なんで黙ってんねん…
ホンマにうちがおらへんでもだいじょぶなんかなぁ…
ヘーキなんかなぁ…

うちの存在って…矢口の中でそんなに小さいんか…?

「何でうちもナミダが出ぇへんのかな…」

フシギだった。
今は懐かしい加入当時なんかコトあるごとに泣いていた気がする。
市井が辞める時だってあんなに泣いたのに…

いざ、自分の番になるとそんなにナミダが出ない。
悲しくもない…と言えばウソになるんやけど…
耐えられないほどじゃない。

「はぁ〜…何なんや…あっさりしすぎやなぁ〜」

卒業決めて…ソロが決まって…娘。離れて…
もっとイロイロこじれたり、自分の中でも葛藤とかあったりするかと思ったのに…
あっさりだった。何の障害もなくここまで来てしまった。
13 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)01時29分31秒
(矢口のコト…やっぱりイチバン心配なんやな…)

卒業するにあたってイチバン心配だったのが矢口だった。
それは矢口自身でもあるし、うちの矢口に対する感情もだった。
べったりしているようで、しっかりと引かれた線がうちと矢口の関係だった。

ここまで来ると自分は果たして、純粋に矢口をどう思っているのか分からない。

「…まあ…何とかなるか…矢口だってコドモじゃあらへんからな」
14 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)01時30分08秒
「おっはよぉ〜!!」

楽屋に駆け込んだあたしは…まるでいつもと一緒だった。
遅刻ギリギリの、寝坊している、育ちざかり(と言い張る)、いつものあたし。

「やぐっちゃん!! ま〜たチコクしそうだね〜」
「ごめ〜ん。寝過ごしちゃったよ〜」
「…そうだよね…なかなか寝れるわけないか…」
「? 何で?」

昨日はゆうこの家を気まずいながらも帰ってきて…
あたしからすればかなりオサケも入っていたせいか、シャワーも浴びずに寝てしまった。

「そりゃ…ゆーちゃんいないから…」
「あ…そうだね。今日からゆうこ…いないんだよね…」
「…やぐっちゃん?」
「何だよぉ…何でごっちんにそんなフシギそうに見られなきゃいけないの?」

「…やぐっちゃんって…ホントに冷たいね」
「か、悲しめばいいってモンじゃないでしょ!? ゆうこはそれを望んでないし…」
「そうじゃなくって…ホントに悲しくなさそうだね…」
15 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年11月30日(金)01時30分59秒
ごっちんにそう言われて…あたしはドキっとした。
自分でも分からないぐらい…キライになりそうなぐらいに…
悲しくない、まるで悲しんでない自分がいるから。

「ち、違います!!」
「…そうならいいけどね…あたしだってゆーちゃんいなくて悲しいよ…」

そー言えば…そうだ。
今日の楽屋はいつもみたいな活気がどことなく鳴りを潜めている気がする。
やかましいコトには代わりないけど、何か違うような…

「…みんな…そんなにゆうこに依存してたんだ…」

ゆうこにイチバンなついているのはあたしだと自他ともに認めるけど…
まさか、ここまでメンバー全員に影響があるとは思わなかった…

どくん…どくん…

それに気づいたら…今まで感じたコトのないコドウが聞こえてきた。
16 名前:ま〜 投稿日:2001年11月30日(金)23時56分12秒
おおおおおおお!!!!
お久しぶりでございます・・。
BOOTLEG復帰万歳!!
17 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月01日(土)01時42分53秒
「はぁはぁ…」

ダメだ…カラダがすごい重たいよ…
何でだろう…何でこんなにカラダが重いんだろう…

「どうしたの? 矢口…」
「あ、けーちゃん…」
「もうバテちゃった? 珍しいね。ちびっこたちよりもスタミナないんじゃん?」
「おかしいなぁ…いつもじゃこれぐらいじゃ…」

通しでライヴのダンスを一セットやっただけだ。
かなりキツイけど、こんなにカラダが重く感じたのは初めてだ…

「でも…しばらくは本調子出ないと思うけどね」
「…なんでよ…?」
「何言ってんだよ…ゆーちゃんいないんだから、当たり前だって」
18 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月01日(土)01時44分05秒
…当たり前なんかじゃない…
ゆうこがいなくたって…ちゃんとやれるんだ…
だから、ゆうこは卒業したんだ…あたしがちゃんとできるから…

こんなんじゃ…ゆうこにカオ向けできない。

「…よし…もう一セットやろう」
「は?」
「五分休憩したらもう一回通しでやり直す…」
「ちょ、チョット…ムリしすぎだよ!」

あたしはみんなとは違う。
ゆうこがいなくたって…だいじょぶなんだから…

どくん…どくん…
19 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月01日(土)01時44分53秒
「じゃあ、記者会見があるまでは待機ということで」
「分かりました」

ぱたん…

…一人か…
メンバーでいた時間が長いから楽屋が広く感じる。
部屋っちゅーのはこんなに静かなんやな…

「…何か…えらい寂しいんやな…」

テーブルの上に載っている新聞や週刊誌が新鮮に映った。
あまりイイ楽屋じゃないと雑誌の取り合いがよくあった。

(ちょ、これはヤグチが読もうとしてたやつ!!)
(そんなコト言うなや! この前スキなヤツ矢口が選んだんだから、今回はうちや!)
(決めてないよ!! 第一、こんな服、ゆうこ着ねーじゃんかよ!!)
(矢口がどんな好みか知りたいんや!! ええやんか!!)

…思い出してもうた…
えらいハズカシイ思いをしたなぁ…あん時は…
20 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月01日(土)01時45分46秒
「…ええんかな? 一人っちゅーのは…」

うちの目標はソロで活動することだった。
このためだけに何年も走りつづけた。それだけを目標に頑張ってきた。
グループのリーダーを務めて…投げ出したいぐらいキツイ道を駆け抜けてきた。

そして、夢は叶った。

でも、何かが違った。
駆け抜けてくる過程でうちの目標は…変わったのかもしれない。

「…やぐ…ち…かな?」

ふっといつもの笑顔が思い浮かんだ。
屈託のない、曇りのない、無邪気な矢口の笑顔。
うちだけに向けてくれる…うちだけが独占していたあの笑顔…

それが遠のいたのが…無性に悔しく感じた。

「…矢口…」

雑誌を開く気分にはなれずにうちは俯いた。
少しずつ…矢口に会いたい気持ちで押しつぶされそうだった。
21 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月01日(土)01時49分06秒
最大UPリミットが512字になってしまっていて読みにくいかも…
マターリと書いていきます。このフレーズも懐かしい(わら

>>16 ま〜さん
えらいお久しぶりになりますね! 青板で一緒になって書いてた以来ですか?
自分的にはそんなに久しぶりってカンジがしないんですね。
なにせ青板の話、読んでいるから(わら
22 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月03日(月)03時10分36秒
「……」

どうしたんだろう…やっぱり今日のあたしはヘンだ…
どんなに自分を疲れさせても、踊っても、歌っても…ドキドキが止まらない。
何をしても不安が湧きあがって、落ち着かない。

「すごかったねー…今日のやぐっちゃん」
「あ…ごっちん…」
「やっぱり、やぐっちゃんの言う通りだね。ゆーちゃんいなくてもスゴイよ」
「……」

そうだよ!…ってさっきまでなら胸を張って言えたかもしれない。
でも、コトバが出なかった。
あたしは…ゆうこがいなくてもホントにだいじょぶなのか分からないから…

その不安をごまかそうとして…強がっているのかもしれないから。

どくん…どくん…
23 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月03日(月)03時11分12秒
「…やぐっちゃん、カオが怖いよ?」
「…そんなコトないって…」
「だって…」

「チョット、矢口!」

急にコトバが割り込んできて…あたしはカオを上げた。

「けーちゃん…?」
「今日、この後ヒマ?」
「えっ? う、うん…別にだいじょぶだけど…」
「それならチョット付き合ってくれない?」

…そっか…さすが、けーちゃんだね…
分かるんだ…あたしがヘンだってコト…

「…やぐっちゃんとけーちゃん、アヤシイな〜」

…ごっちんっていつもこんなカンジでラクだろうなぁ…
24 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月03日(月)03時11分54秒
…しゃあないわな。
うちのためじゃあらへん。どーせ矢口のコトだから…うちがいなくて悲しんでるから…
だから、会いに行くんや。

そう! うちのためじゃあらへん。
寂しい気持ちをしてるからしゃーないなぁってキモチで矢口に会いに行くんや。

「…そうや。うちが会いたいからじゃあらへん。リーダーとして…」

恥ずかしくなった。
もう、うちは娘。のリーダーじゃあらへん。今はカオリがリーダーや…
じゃあ、今のうちは…何なんやろうか…?
25 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月03日(月)03時12分30秒
「…どうしようか…」

ふと、足が止まる。
もし、会って矢口に「ゆうこなんかいらない」みたいな態度をとられたらどうしよう…
面倒くさそうなカオをして「疲れたからじゃあね」とか言われたらどうしよう…

「ああ…何をうじうじしてるんや…うちは…」

行くべきか、行かないべきか…
急に自分がソロになって疎外感を感じる。ホントはうちが卒業したのに…
メンバーがうちから卒業した気分になる。

「…何をしてるんですか? 中澤さんは…」
「は!? あ…イヤ…何でもあらへんです。イヤ、ホンマに…気にせんといて下さい」
「それじゃ、わたしはこれで失礼します。ではまた明日…」
「あ、はい…お疲れ様です〜」

…マネージャーにまで怪しまれるようになったらおしまいやな。

「ふう…行くか…」

やっぱり、何でも、どうしても…矢口のカオが見たかった。
26 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月04日(火)01時11分13秒

 いや〜ドキドキします。
 がんばってくださいね!やはりおもしろい!
27 名前:007 投稿日:2001年12月05日(水)00時24分43秒
BOOTLEGさんのFANです。(w
まさかまたBOOTLEGさんの小説読めるようになるとは・・・うれしいな(w
めちゃくちゃ楽しみにマタ−リ更新待ってます。
いつか・・・YOUだったですかね?ごまゆう&やぐよしの続編書いてくれませんか?
カップル戻してもいいですよ(w やぐちゅー&よしごまに(w
本当にBOOTLEGさんの書く痛め小説大好きです!!
28 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月05日(水)03時34分40秒
「…矢口」
「……」
「チョット…頑張りすぎだよね」

…俯いたまま、あたしはカオを上げることが出来なかった。
けーちゃんは…果たしてこのあたしの心境が理解できるんだろうか…

「ホントはゆーちゃんがいなくて…すごい不安なんでしょ?」
「!!」
「そ、そんなカオで見ないでよ…まあ、矢口は単純だからすぐに分かるね」
「う、うるさいよぉ…」

この保田圭という人物は…何者なんだろーか…?
一緒に入ったときからそれは思っているんだけど…どうしてこんなに把握できるんだろう?

「そんなにゆーちゃんがいないのが不安?」
「違うよ!! ヤグチは別に…」
「今のメンバーでイチバン焦ってるの、矢口だよ。しかも理由もないのに」
「それはね…ヤグチだって、そろそろ娘。長いし…それに…」

あたしはコトバが止まった。
コーヒーに口をつけているけーちゃんはそっぽを向いて両目を閉じていた。
29 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月05日(水)03時35分16秒
「チョ…話聞いてるの!?」
「…別に強がる必要なんてないのに」
「…」
「思いっきり泣いたって…落ち込んだって…矢口のコト、誰も責めないよ」

どくん…どくん…

さっきからこのコドウだけだ…このイヤな音しかしないんだよ…
何かに怯えているみたいで…何かを取られたみたいで…

とくん…とくん…

「…あ…」

ココロのどこかで一本の糸がやっと切れたような気がした。
ずっとずっと…捻り上げるようにキツく張り詰めた糸が…切れた…

「…そうだよ。そうやって…泣けばいいのに」
30 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月05日(水)03時35分52秒
自分の瞳が…燃え上がるように熱くなった。
それから…信じられないように…珠のようなナミダが…

止まらなかった。

「あ…あれ? 何で…ヤグチ泣いてるんだ…?」
「……」
「どうして…どうしてこんなに…」

悲しいの…?

年上で、どうしようもない横柄な性格で…
でも、傷つきやすくて、ナミダもろくて…
みんなから愛されて、ちょっかいだして、怒られて…

でも、どうしようもないくらい…コトバに出来ないくらい…スキだった。

「けーちゃん…」
「……」
「何でさ…何で…ゆうこ…辞めちゃったの?」
「……」
31 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月05日(水)03時36分24秒
「ヤグチがこんなに…こんなに…ゆうこのコト、スキだって…気づかなかったのかな…」
「…それは矢口だって…気づいてなかったでしょ?」
「…そうだよね…こんなにスキなのに…」

こんなにスキだったんだ…
自分が悲しいのか分からないくらい…ショックだったんだ…
あまりにもショックで、悲しくて…ココロがどうしていいか分からなかったから…

「…スキなのに…ゆうこのコト…ダイスキなのに…」
「……」
「どぉして…辞めちゃたんだろう…ヤグチのコト、キライになっちゃったのかな…?」

あたしがハッキリしないから…ゼンゼン認めようとしないから…
それだから…キライになっちゃったんだよ…

「…ゆうこに…逢いたい…」
32 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月05日(水)03時43分02秒
まだまだブランクのせいか甘いです。イマイチですが、今はこれが限界。
頑張って書いていこうとは思いますが…どうも気合がカラ回りしてるかも(わら

>>26 名無しさん
序盤は話が少し暗くなりそうですけど、甘めです(わら
決して痛くならないように書いていきます。

>>27 007さん
これもまたお久しぶりなお客様で(わら
どうもです。原点帰って白板にて書いていますけど、昔と勝手が違いますね。
やぐよし・ゆうごまに関してはハンドル違うんで伏せておいて下さい(わら
続きはかなりムリっぽかったりする。一応三部作というコトになってるから(わら
33 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時39分55秒
「…ゆうこに…逢いたいよ…」

…どうしても…どうしても…このキモチを伝えたい。
今まで分からなかった分まで…ムダに過ごしてきた時間を早く埋めたい…

それだけだった。

「……」

直接行くことしかアタマになかった。
カオを見て…ゆうこの笑顔を見て…このキモチを伝えたい。
髪を撫でられたり…あたしに微笑んだり…キスしてほしいよ…

pipipipipi…
34 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時40分30秒
えっ? ええっ?
何で…何で…こんな時間なのに…

ゆうこから…

「もしもしっ!」
「うおっ! 何や…えらいビックリしたわ!」
「ゆ、ゆうこ…」
「お〜、ゆーちゃんやで〜」

……
しまった…不意をつかれてアタマの中が真っ白だ…

「……」
「……」

「…あ、イヤ…その…元気か?」
「う、うん…そっちはどう? 今日は…舞台の記者会見だったでしょ?」
「まあまあやったよ。いつもどおりや」
「そうなんだ…」

沈黙…
今日のゆうこ…なんかヘンだ…
どうしよう…やっぱりキラわれちゃったのかな…?

「…矢口」
「は、はい…」
「ハイって…どっか調子でも悪いんちゃうか?」
「そ、そんなコトないよ…そっちだって…」

「…今から…矢口のトコに行ってええかな? 逢いたいんやけど…」
35 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時41分12秒
言ってしまった…
これで…もし、これで断られたら…
うちは二度と矢口に逢えなくなる…声をかけることすら出来なくなる…

…頼むから…ハイって答えてほしい…

「……」

…やっぱり戸惑うか。
結局、勝手なうちの思い込みやったんやな…

「…ズルイ…」
「は?」
「…ゆうこ…ズルイよ…ヤグチが…今日はヤグチが誘うとしたのに…」
「…はあ…」

…何がなんだか分からん…
うちはズルくて、今日は矢口が誘おうとした…

矢口が誘おうとした!?
36 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時41分54秒
「そ、そそ、そうやったんか…」
「…今から…そっちに行きたい」
「イヤ、ええから…どこにおるんや? うちが行くから…」
「いいの!! 今日はヤグチが行くって決めたんだから!!」

うおっ…!!
ホンマに今日の矢口…わけ分からんわ…
とろんとしてるみたいな…

「…ゴメン…でも、どうしても今日は…ゆうこのトコに行きたい」
「わ、分かったわ…自宅におるから…今日の矢口ヘンやで? だいじょぶか?」
「…だいじょぶなんかじゃないよ…こんなキモチになってるんだから…」

あ、電話切りよって…結局、怒ってるやん…
しゃあない…駅まで迎えに行ったるか…

怒ってても、笑ってても…矢口に逢いたいんやから…
うちも変わってしもうたな…
37 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時42分36秒
「お…あれちゃうかな?」

…ちゃうか…
うち、さっきからずっとソワソワしてるな…
確かに矢口が来てくれるのは嬉しいんやけど…

どうも、ひっかかるなよなぁ…
いつもの矢口と違って明るさみたいなのがないし…
もしかしたら、うちに「今日で最後っ!」っていうつもりで会いに来てるかもしれないし…

「…耐えられへん…そんなコト…」

どうしても弱気になる。
解散して…まだゼンゼン時間が経ってないのに…
もう、矢口がいなくなったことで自分を支えられなくなっている。

「…もう…逃げられへんけどな」

タバコのケムリが夜空に舞い上がる…
ふっと…夜空が見える。
ビックリするぐらい、星がよく見える。空を見上げるほど今までは余裕がなかった。

…矢口がいなくなってしまったから…
38 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月07日(金)02時43分10秒
「あ…」

スーツ姿の中に埋もれそうになっている一際、小さな影。
きょろきょろとしているけど…急ぐようにヒトの波から抜け出した小さな影。

紛れもなく、矢口だった。

「…矢口〜」
「あ…」

タイミングが悪すぎた。
あまりにも行き過ぎてから声をかけてしまったうちも悪かったような気がする。
うちの声に気がついて振り返って…ムリな態勢で…足を取られる。

ずしゃ!

「……」
「…あのね、イタイのは分かるんやけど…そんな訴えられるような目で見られても…」
「…ゆうこだ…」
「まぁなぁ…ほら…」

うちが手を差し出す。
うずくまって…俯いている矢口が…うちの手を…

両手で掴んだ。

「…?」
「あのね…ゆうこ…」

きっちりカオを上げて…矢口のカオが見える。
キラキラとして目元も…その瞳も…コトバまでまっすぐだった。

「ダイスキ」
39 名前:穏健派 投稿日:2001年12月08日(土)02時46分20秒
甘い!チョー甘っすね。

ところでBOOTLEGさんの小説をNovel Directoryに登録してもよろしいでしょうか?
あまりこういうの好きそうじゃなさそうだけど・・・。
とりあえず完結したのだけでもダメですか?
40 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月09日(日)01時36分21秒
…は?
あたしは…何を言ってるんだ…?

「……」

握っているゆうこの手が…ちょこっと暖かくて…
擦りむいた足が…かなり痛くて…

何とも言えないフンイキだった。

「…あー…」
「あ、イヤ…その…」

急に頬の辺りに熱を感じて…ゆうこのコトが見れなくなった。
むちゃくちゃハズカシイ…前代未聞なコクハクだ…
ホントはもっともっと…落ち着いて話したかったのに…

「あの…なあ…その…何ちゅーか…」
「さ、寒いから!! 早くゆうこのうちに行こうよ!!」
「…矢口」
「は、はいっ!」

困ったように…ゆうこが頬をかいているのが見えたけど…
あたしは俯いたままだった。とてもカオを上げられる勇気なんてない。

「…足…だいじょぶか?」
「…うん…擦りむいただけだから…」
「それじゃ…行こうか?」
「…えっ?」

右手を強引につかまれて…あたしは歩き出した…

「…ええんやな?」
「へっ?」
「今の…今の矢口のコトバ…信じてええんやな?」

半ば引きずられるように歩くあたしにかけたゆうこの声は…

真剣だった。

「…うん…」
41 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月09日(日)01時37分33秒
ゆうこの家は駅からすごく近い。
歩いて五分くらいで着いちゃうくらい近い。

でも…今日は近いのがすごく悲しかった。

「……」

さっきから一言もしゃべっていない…
あたしの手を握って歩いているゆうこは…
とにかく、緊張しているのだけが伝わってきた。

「…ゆうこ?」
「……」
「ゆうこってば…話聞いてるの?」
「…は?」

は…? じゃないよ…
ゼンゼンあたしの言う声が聞こえてないじゃん…
42 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月09日(日)01時38分20秒
「あのね…そんなにチカラこめられたら…手がイタイんだけど…」
「あ…ゴメンな…」
「そ、そうじゃなくて…手はつないでてもいいからさ…」

…何でこのヒトはこんなにキンチョーしてるんだ?
なんかあたしのほうが落ち着いちゃってきてて…逆じゃないのかな…

「…ゴメンなぁ…」
「…?」
「うち…今、アタマの中、真っ白や…まだ理解できへん…」
「そんなに意外だったかな…?」

「イヤ、そうやないんやけど…その、今日…」
「……」
「今日、矢口にどうしても逢いたくて…うちから声かけようか悩んでたから…」
「そうだったの…?」

これじゃますますあたしとゆうこがお互いのコトを分かり合ってるみたいだ。
あたしだって…今日はどうしてもゆうこに逢いたくて…逢いたくて…

…もう、家に着いちゃった…

「…矢口」
「……」

「うちも…矢口のコト…ダイスキやで」
43 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月09日(日)01時45分05秒
ちょっと間が開いてしまいましたが更新です。
書き方はほぼ復活ですかね…

>>39 穏健派さん
甘いですけど…どことなく甘さの中に「鋭さ」があるので…
お腹イッパイになるような甘さではないのが残念です。まだまだ…

Novel Directoryの登録ですが…あるんだから使いましょうか(わら
ゼンゼン構いませんよ。読んでくれるヒトが増える分には全く問題ないし。
レスが増えれば書くほうとしては気合も入りますんで。
44 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月11日(火)01時56分58秒
「…ありがとう…」

嬉しそうに…ホントに嬉しそうに微笑んでくれる矢口が…
すごくカワイかった。いとおしく感じた…

「…矢口」
「ひゃっ…」

自然とカラダが動いた…
玄関のドアに寄りかかるように…

矢口をきつく抱きしめた。

「…コトバにならん…」
「きゅ、急に抱きついたから…ビックリしたよ〜」
「……」
「あ、チョット感動のあまりに、このヒト話聞いてないよ…」

くすくすとうちの胸元で笑う矢口が…ホントに幸せそうだった。
自分の胸に収まってしまうほど小さい矢口が…
自分の中ではとても抑えきれないほど…溢れた存在になっていた。

「…ねぇ…自分の家の前の玄関でこんなコトしてるヒト…あんまりいないと思うけど…」
「ちぃっとはこーゆー感覚味わっておかんと…自分が回復できないんや…」
「……」
「ああ…くそっ…悔しいなぁ…むっちゃ満たされてるわ…」
45 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月11日(火)01時57分38秒
見上げる矢口がチョット意外そうなカオをして…俯いて…

その腕がうちの腰に巻きついた…

「…ゴメンね…ヤグチがもっと早く…このキモチに気づいてたらいいのにね…」
「別にええよ。ある意味、しゃあないやんか…ほら、うちらってすごく近いのに…」
「そう。どこか…離れてて…お互い、なかなか踏み出せなくって…」
「あの時のカンケイが壊れるのが…怖かったんやろうな…」

矢口も同じキモチやったんか…
娘。っていういつも同じなかにいると…踏み出せなくなる。
あまりにも一緒にいる時間が長くて…カンケイが壊れるのが耐えがたい恐怖になる。

二人が別の環境になって初めて…お互いが大事だって気づいたんやな…

「いたた…」
「…ん?」
「やっぱ…足、イタイかも」
「あ、そうやった!! 先に足のケガのほうを何とかせんとあかんやん!!」
46 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月11日(火)01時58分18秒
「……」
「こりゃ、結構イタイやろ?」
「まあ…ってゆーかかなりイタイけど」
「洗ってきや。ホータイとか用意しておくから…」

矢口のケガは思ってたよりもヒドかった。
膝頭を擦っているだけやったけど…あれは足を曲げるだけでもイタイはずだ。

「あ、タオルとか使っていい?」
「ええよ」

えっと…救急箱はどこにあったかな…
あんなモンあんまり使わへんからどこにやったか忘れてしもうた…

「あのさ、メンドくさいからついでにシャワーとか浴びていいの?」
「キズに触らん程度にしとけよ〜」
「はぁ〜い」

足だけ洗うんだったら確かにシャワーとか浴びたほうがええ…って…?

いきなしシャワーですか!?

「…ど、どないしよう…?」

シャワー浴びるってことは…今日は一泊するって
ああ、考えてみたら矢口と二人っきりって初めてやんか…

「とりあえず、ベットの上片付けへんと…あ、テーブル汚れてるし…てちゃうやんか!!」

まずは救急箱だ。
ドキドキするなんか後回し、後回し…

でも…どないなるんやろ…?
うちの理性…もたへん気がする…
47 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)22時54分29秒
更新ずっとお待ちしてます。
48 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月14日(金)03時36分35秒
……

「ん…チョット…イタイかも…」
「ガマンせえよ…すぐ慣れるんやから…」
「あのさ…もう少し…やさしくして…」

「っ! イタイよぉ!!」
「さっきからうっさいわ!! 辻加護じゃあらへんのやから黙ってられんのかい!!」
「だって…マキロンがしみるんだもん…」
「イタイのはしばらくすれば収まるんやからガマンしとけ!!」

シャワーから帰ってきて、ほんのり艶っぽくなって戻ってきた矢口は…
ハンナキで戻ってきた。水をつけて痛さのあまりナミダが出たらしい。
痛みに耐えられないのは矢口の性格だ。

「ホータイとか巻く時…もっとやさしく出来ないの?」
「うちかてあんまりこんなことしたことあらへんからしゃあないやん…」
「でも…ありがと…」
「何やねん…急にしおらしくなりおって…」
49 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月14日(金)03時37分12秒
曲げても差し支えない程度にホータイを巻き終える。
…うん。なかなかうちもうまいなぁ…

「…明日レッスンなんだけど…だいじょぶかな?」
「あんまりムリせん方がええよ。何か…今日の矢口、疲れてるみたいに見えるんやけど?」
「そ、そうかなぁ…」
「ムリヤリしごかれた…娘。に入ったときのレッスン地獄のあとみたいなカオしてる」

…をや? うち…ヘンなコト言うてしもうたかな…?
さすがにそこまでは疲れてへんか…

「…ねぇ…ゆうこ…」
「…ん」
「ゆうこってさ…お世辞じゃなくってだよ…ヤグチのコト…すぐ分かるんだね」
「イヤ、別に…すぐ分かるっちゅーか…何か訴えるみたいな…」

ああ…もう、うろたえまくってる…
でもまぁ…矢口のコトはカオ見れば何をどうして欲しいのかはハダで感じられるけど…

「…やっぱ、矢口のコトがスキやから…かな?」
「…すっごいゆうこらしい答え…」
「ま、まあ…ヒトをスキになったらみんな分かるもんやで〜」

間が持たないのでコーヒーでも淹れにいこうと立ち上がった時だった。

「…ヤグチは…ゆうこのコト、もっと知りたい」
50 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月14日(金)03時38分52秒
あたしは…たまらずゆうこの背中に抱きついた。
柔らかくて…甘い香りのするゆうこのセーターが…やんわりと受け止めてくれる。

「…ヤグチね…今日…泣いちゃったんだ…」
「……」
「どうして…どうしてゆうこがいなくなっちゃったんだろうって…」

「何で…ヤグチはこのキモチに気がつかなかったんだろうって…」

自然とゆうこのセーターを握り締めてしまって…チカラを緩める。
やっぱり、自分が許せなかった。
こんなに…ダイスキなヒトに気がつかなかった自分が…許せなかった。

「…矢口は怒ってるんか?」
「えっ?」
「キモチに気づかなかった…そんな自分がキライなんか?」
「……」

ゆっくりとゆうこが前を向いた。
微妙にあたしとのキョリをとって…アタマを撫でてくれた。
51 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月14日(金)03時39分26秒
「…矢口はまだコドモやな」
「むっ! バカにしてんのか!!」
「イヤ、そうやない…それぐらい…うちのコト…」
「…そうだよ」

ぶっきらぼうに…急にハズカシくなって俯いた。
くやしいけど…どうしようもないくらいゆうこがスキだから…

「…そんなキモチ…ゼッタイ忘れちゃあかんで…」
「…?」
「うちは…思い出したかも知れへん…どうしようもないくらいスキなヒトには…」

「気づかなかった自分が許せないくらいに…スキになるって言うことを…」

チカラいっぱい抱きしめられて…あたしはコトバを失った。
さっき、玄関で抱きしめられたときとゼンゼン違う…
ココロから抱きしめてくれた…

「…もう、ゼッタイ離さへん…」
52 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月14日(金)03時42分16秒
少し開きました。でも、まあ何とかイイカンジで甘いですね。
どうしよう…痛くなりそうな予感があるんですけど(わら

>>47 名無し読者さん
何とか更新です。今年中にはあと二、三回したいですね。
53 名前:読んでる人 投稿日:2001年12月14日(金)14時43分53秒
痛いの歓迎です。
54 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月14日(金)15時36分19秒
最後さえ甘ければ痛くてもいいっす。
55 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月15日(土)00時34分41秒
BOOTLEGさんの痛い小説大歓迎(w
もちろん甘いのも好きですけどね(w
56 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月17日(月)01時23分12秒
是非痛めで(w
57 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月18日(火)04時56分18秒
とさ…

「……」

ふかふかのソファに矢口を押し倒す。
着ているコートが邪魔やけど、そんなのに構っているほどゆとりがなかった。

「……」
「……」

ただ、静かに時間が流れる…
組み敷くような態勢で見つめる矢口はチョット驚いた様子だけど…落ち着いていて…
まっすぐに澄んだ瞳でうちを見つめている。

「……」
「……」

黙ってカオを矢口に近づける。
何をされるのか分かっている矢口はその瞳をゆっくり閉じるのが見える…

「…?」

五センチ…あと五センチの距離にある唇が…
激しく遠く感じた。まるで抵抗なく横たわっている矢口が…遠く感じた。

「…ゆう…こ…?」
「……」
「…ゴ、ゴメン…ヤグチ…そんなつもりじゃなかったんだけど…」
「イヤ、そうやなくて…その…何ちゅーか…」

カラダが動かなかった。情けないくらい…萎縮していた。
キスしたかった。抱きたかった。これでもかってくらいに…自分を刻み付けたかった。

でも…出来なかった。
アタマの中が真っ白になって…何も出来なかった。
抱きしめるのはあんなにカンタンにできるのに…先がまるでできる自信がなかった。

「……」
58 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月18日(火)04時57分01秒
…意外だった。
もしかしたら、ゆうこに抱かれるかもしれない…そう思ってきたことは確かだった。
シャワーを浴びたのも、家に来たかったのも…全ては結ばれるためかもしれない。

「ヤグチは…ごめん、イキナリ失礼だよね…」
「そうやない…その、すまん…今日はそんな気にならへん…」
「そうだよね! せっかく…こんなキモチだって気がついたんだから!」

…じゃあ、何で押し倒したの…?

あたしは別のほうから聞こえてきた自分の声を無視した。
何事にもイキオイというものがあるから…だから、押し倒してしまったんだろう。

「こっちこそ、ゴメンな…でも、うちが矢口のコト、スキなのはホンキやで」
「分かってるよ。コトバにしなくたって…すごくよく分かる」
「…変わったなぁ」
「えっ?」

リビングのほうでコーヒーを入れる準備をしだしたゆうこは…
いったんその手を止めてから、こちらに視線を投げた。
59 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月18日(火)04時57分33秒
「今日の矢口、とってもセクシーやで」
「…はぁ?」
「イヤ、ホンマに…色っぽいんや。フェロモンみたいなの出てるで」

あの…急にそんなコト言い出されても困るんですけど…

「…それってジツはヤグチのコト、けなしてなーい?」
「今日はかなり誘惑されてるのが分かる。何か…うちは何も出来てへんから…」
「…出来てないから?」
「だから…それが誘惑ってコトや。だから矢口…今日はセクシーやで」

なんつー遠まわしなホメ方をするんだろう…このヒトは…
何だかあたしがこーゆーコトするといっつもうろたえてるね…

…ん!?
これはいいコトに気づいたぞ…そーゆーコトなんだ…
確かにゆうこらしいけどね。

「…ゆーちゃん」
「チョ、な、なんやねん!! そんなネコなで声だしよって!!」
「あははっ! うろたえすぎ」
「コラッ!! あんまりオトナをからかうんやない!!」

これは使えるかもしれない。
面白いから…いろいろなテを使ってゆうこをうろたえさせてやろう!

…あたしって悪いオンナかなぁ?
60 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月18日(火)05時05分56秒
さすが年末。とってもバタバタしています。
だから師走って言うんですね。言い訳になりませんね(わら
これからはコツコツと更新したいと思います…

>>53 読んでる人さん
イタイの歓迎ですか? やはり痛書きとして名が知れている証拠ですね(わら
甘いの書きたいと思うんですけど、やっぱり痛くなるのがクセです。

>>54 名無し(さん)
こちらも痛みに耐えられる方のようで(わら
甘めなので最後は甘くなる…はずです。イヤ、あくまで予定。

>>55 名無し読者さん
みんな痛いの期待しているんですね…
よし! なら、とことん甘く書いてみようと思います(わら
それが破綻したら痛くします。そんなコトできるか心配だけど。

>>56 名無し読者さん
…痛いのスキですね…みんな…(わら
今回は行き当たりばったり小説なんで痛くなる可能性はないわけじゃないです。
でも、なるべく自分の中で新境地を拓きたいと思っているので(わら
甘く書こうと思います。
61 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月18日(火)23時00分37秒
甘くなるんですか?
全然OKですよ!!やった〜 楽しみ。
もちろん途中で痛くなるのもアリですよ。
62 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月20日(木)03時29分43秒
皆さん痛いの好きなんですね。確かにBOOTLEGさんの痛いの良いですよね。
でも、逆に、痛みを伴わないヤツを、知ってる限りでは思い浮かばないので
これでもかっ!って位、甘いのが見てみたいです。
もう、砂糖菓子にはちみつをかけて食べる位、甘いヤツお願いします。
63 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)19時56分10秒
マータリ待ってまーす。
64 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時36分22秒
「…もう寝るの?」
「イロイロあって疲れたんや。明日一日うちにおるんやろ?」
「そう…だけど…」
「キモチの整理出来へんねん…明日になれば落ち着いていると思うから…」

寝れるわけなんてなかった。
でも、今日はどうしても…矢口と距離を保ちたかった。
理由はわからない。でも、どうしても…自分が納得できなかった。

(…なんで抱けないんや…?)

ショックが大きくて…さっきからそれだけだった。
カラダが萎縮したまま、まるで自分の言うとおりにカラダが動かない。
初めての時だってこんなコトにはならなかったのに…

「…ヒトリで…寝ちゃうの?」
「あ…ああ…うちがソファで寝るからええよ」
「チョット…おかしくない?」
「……」
65 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時36分58秒
「別にさ…一緒に寝たっていいと思うんだけど? そんな…しなくてもいいんだし…」
「……」
「それに娘。の時なんかしょっちゅう一緒に並んで寝てたじゃん。だから…」
「あの時とは…ちゃうで…今とゼッタイに…違う」

ぐっと…矢口が押し黙った。
唖然とした様子で…何を言われているのか分からないようなカオで…
詰め寄ってきた。

「じゃあ何!? ゆうこは今日、ヤグチがスキだって言って何もかもが変わったの?」
「そうじゃあらへんけど…いつもやってたコトが気軽に出来ない…コトもあると思うんや」
「一緒に横に並んで寝ることも!? スキなヒトと一緒に寝ることも…気軽に出来ないの…?」
「……」
「ゆうこはさ…ヤグチのコトをコドモだとか言うくせに…今日のゆうこ、もっとコドモじゃん!!」

「…そうやな…今日のうちは…あかんな…」

作り笑いが寂しく浮かんだ。
全くその通り…今日のうちはコドモや…どうしようもないくらい…コドモや…

「これじゃ…ヤグチの勇気が…ムダになっちゃったじゃん…」
66 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時38分30秒
何なの…?
そんなにあたしがダメなの? 抱くのを途中で止めて…もうやりたくないくらい…
あたしって魅力がないの?

「…なんとか言えよ…ばかゆうこ…」
「…すまん…」
「謝ってるの!? それは!?」
「……」
「そうなんだ! ヤグチの告白って…やっぱりムダだったんだね!?」
「それはちゃうで…それだけはちゃうから…」

まるで説得力のないゆうこのコトバ。
今のゆうこは何かに失敗して次に踏み出すのが怖いみたいなカオしてる。
あたしがライヴに行く前に不安なカオしてる…自分の鏡を見てるみたいなカオ…

「ゆうこはベットで寝なよ。今日はヤグチが押しかけてきたから…ソファで寝る」
「そんなコト…」
「いいから…ヤグチがソファで寝る。なにか文句ある!?」
「…すまん…ホンマにゴメン…矢口…ホンマに…」
「もう謝らないで!! ヤグチは…何か悪いことしたの!?」
67 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時39分14秒
やっぱり、ゆうこはあたしのコトがスキじゃないんだよ…
イキオイで喜んで、やっぱり後悔して…だから急に冷たくして…
そうなんだ…やっぱりあたしがゆうこをスキになるなんて…失礼なんだね…

「うちは…うちはな…」
「イイワケなんて聞きたくない…ヤグチにとって…よくないコトなんか…」

「ゼッタイにゆうこの口から聞きたくないんだもん!!」

あたしは…立っていられなくなって…ソファに座り込んだ…
68 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時40分07秒
「ゆうこ…ばかゆうこは…分かってないじゃん…」
「……」
「ヤグチがどれほど、ゆうこのコトで悩んで…キモチに気づいて…嬉しかったって…分かってない」
「それは…うちだって分かってる…」
「じゃあ、カタチにしてよ!! もうイヤなんだよ…曖昧なままにしておけないよ…」

はらはらとナミダが溢れる…
また…実感する。あたしがどうしようもないくらい…ゆうこがスキで…
今までコトバにしなかった時間がすごいムダだったって…後悔してる…

「何で…娘。の時に…気づかなかったの? ヤグチの…キモチ…」
「……」
「もしかしたら…ゆうこ…辞めないで済んだかも知れないのに…」
「……」

こんな嬉しいキモチ…あたしとゆうこだけに収めておけない…
メンバーがいて、みんなに囲まれて…ちょっかいだされて…
そんな中ならもっと楽しいのに…

「うちの卒業はカンケイあらへんよ。辞めたんじゃあらへんから…」
「…ゴメン…言い過ぎた…」
「イヤ…ええんや…矢口がそんな風に思うのも、よく分かるから」
「……」
69 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時40分39秒
「カタチって…どんなコトなんや? そんなに…セックスって大事なんか…?」
「スキなヒトに抱かれるって…大事だと思うよ。少なくともヤグチは…」
「…うちは…抱けない…」

絶望的だった…あたしにとって…
あたしのトシにしては…どうしようもないくらい絶望だった。

「それって…今日だけ? それとも今後一切ゼンブってこと?」
「…それも分からん。でも、今日は…抱けない…気がする」
「そうなんだ。分かった。じゃあ、質問変える」
「……」

ゆうこの切ない瞳がこっちに向けられていて…思わず目を背けたくなる。
でも、背けるわけにはいかなかった。
今のあたしには…とてつもなく、大事なことのように思えた。

「ゆうこは…オトコのヒトとセックスしたことは?」
「…ある」
「オンナのヒトとのセックスは?」
「…ない」
「分かった。じゃあ、ヤグチ以外のオンナのコをスキになったコトは?」
「…それもない」

「分かった。じゃあ…ヤグチが勝手に判断して決める」

力なくうなだれているゆうこの腕を引いて、ソファに座らせる。
そのまま、あたしは…体重をゆうこに預ける。

「ゆうこが抱かないなら…ヤグチがゆうこを抱くからいい」
70 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月23日(日)03時46分42秒
やはり痛く…というか切ない展開に(わら
甘くしようとすればするほど、書きにくいです。
とりあえず、UPが遅れたので今日はおまけでたくさん上げてみました(わら

>>61
初志貫徹がスキなんで、甘めテイストは忘れません(わら
切なめで甘めがどうやらこの小説のコンセプトになるそうです。

>>62
痛みが伴うものしか愛と認めないとか考えているせいでしょうか?(ヲイ
書いている恋愛小説は確かに痛めが多いですけど、
やはり、くどい甘さをそろそろ書けないとダメかなぁと思いまして。
試行錯誤の毎日ですね(わら

>>63
マターリと待っていて下さい(わら
なんかマターリと書くのも懐かしい気がする(わら
71 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月23日(日)18時46分43秒
矢口が抱くですか(w
いいねー!!姐さんのヘタリぶりも(w
72 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月23日(日)21時13分38秒
某所のやぐちゅー小説でシチュエーションは違うけど、
『やっちゃえ。まずやっちゃえ』
という矢口がいたのを思い出しました(笑)
あちらはコメディだったし、比べるとかそういうんじゃないけど、
ヘタレな裕ちゃん見てると、やっぱり押しの矢口を応援したくなりますね。

作者さん、がんばって下さい。
73 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月27日(木)00時21分59秒
まだかな?そろそろ更新が欲しいな。
74 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時49分50秒
押し倒されて…矢口の瞳がぐっと近づいた…
憂いの帯びたキレイな瞳だった。ただひとつ…結ばれたいという願いだけの…
純粋な、まっすぐな、ウソのない…力強いチカラを放っている。

「……」

オトコのヒトとは違ってとても手馴れた手つきで服を脱がしていく。
…固まるカラダはさらに…矢口の成すがままにしかならなかった。

「…ヤグチもね…オンナのヒト、初めてスキになったんだ」

まるで世間話をするかのように普通の口調で…
それでも黙々と矢口はうちの服を脱がしていく。

上半身が露になるまで…まるで自分が服を脱ぐような手際だった。

「オトコのヒトと何が違うなんて…ジツは今、初めて考えてる」
「…そっか…」

ただ、そう答えるのが精一杯だった。
やさしい手つきでうちのカラダに触れる矢口は…どこか熱に浮かされてるカオをしていた。
75 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時50分56秒
「…感じるのかな…? ちょっと心配なんだけど…」
「…ん…」
「イタかったらイタイって言ってね…ヤグチ、いじめてるわけじゃないから…」
「…っく…あ…」

ただ触られているだけなのに…もうすでに耐えられないほどの快感がカラダを駆け回る。
魔法にかかったように動く矢口の手が…霞んで見える。

「あっ…ちょ…」
「…ゆうこ…浅いね。何となく…分かったかも…」
「くっ…はぁ…ちょっと…待ってぇ…」
「…ゴメン。待てない…」

「あっ…くっはぁ…んんっ…はぁ…ん…」

声だけしか…出せない…
まるでうちの弱点だけが分かってるみたいに…的確に、絶え間なく責められる。

「いやぁ…ダメ…」
「……」

下半身を蠢いていた矢口の手が…止まった。

「…?」
「なんか…矢口って…何してるんだろう…こんなコトして…ゆうこ…」
「……」
「…傷つけてる…ヤグチ…サイテーだね…しょうがないのに…」

大粒のナミダが…素肌になった胸に落ちた…
76 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時51分50秒
…うちのカラダが溶かされていくようだった。
固まったキモチもカラダも…ナミダが溶かしていってくれるようだった…

かろうじて動いた腕が…矢口の髪を撫でてくれた。

「…そんなコト…あらへんよ…」
「……」
「キモチよかったで…ちゃんと分かってるヒトみたいに…出来てたで…」
「…違うの…」

「ヤグチがそうじゃないの…」
「……」
「こんなのじゃない…こんな作業みたいなのが欲しかったんじゃないの…」
「……」
「ヤグチのキモチが…ゆうこに失礼なぐらい…冷たかったの…していて…」

うちに対して怖いくらいに真剣で…ひたむきで…
自分のキモチにも妥協を許さないほど真摯に考えて…

それだけで胸がいっぱいになった。
77 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時52分42秒
「…ゴメンな…」
「ゆう…こ…」
「怖かったんや…カラダ動かなくなってしもうて…キスも出来へんくらい…」
「えっ…?」

「…矢口の前やから…カッコ悪いトコを見せたくなかったんや…」

抑え込んでいたキモチが溢れた。
堰を切ったようにコトバが止まらない…

「さっき抱こうと思ったんや…でも、出来なかった。全くカラダが動かないから…」
「……」
「…自信なくしてしまって…もし、矢口にキラわれてしもうたら…うちは…」
「そうだったんだ…」

急に視界が揺らぐ…堪えきれなくなった瞳から…
ナミダが流れた…

「…うちは…矢口にキラわれてしもうたら…生きてかれへん…」
「ゴメン…ゴメン…」
「いつものゆーちゃんだったら…出来るんやから仕方あらへん…」
「…ゆうこぉ…」

矢口が…座ったままの姿勢でうちに抱きついてきた。
ナミダ色で染まる瞳を向けると…一瞬、ためらって、でも…
しっかりとキスをしてきた…

「…んんっ…」

お互いのカラダにぎこちなく手が回った…
78 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時53分43秒
長い長いキスの間に二人のナミダが絡み合って…
フシギなキモチになった…

「…出来るじゃん…ゆうこ…いつもみたいに出来てるじゃん…」
「……」
「ヤグチのキスがスキだって…ゆうこ、分かってるし…出来てるよ…」

キス魔のゆうこはメンバーの中で誰がイチバンいいかランクをよくつけてた…
とりわけ、あたしとのキスは何度も何度も…せがまれるほどだった。

(ねえ…何でヤグチとそんなにキスしたがるの?)
(そら、矢口のキスがオイシイからに決まってるやろ?)
(そんなにオイシイの…何か食べモノみたいだね…ヤグチのキス…)
(唇がチャームポイントなんやろ? サイコーやん。つーわけでもう一回…)
(させるかよっ!! ったく〜…誰かヤグチの代わりにゆうこにキスしてやってくれ〜)

あたしは初めてキスの「味」を覚えたような気がした。
何度も何度も…せがみたくなるキモチが分かった気がした。
79 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)01時54分41秒
「…こんな風に矢口にキスされたの…初めてやな…」
「嬉しい…?」
「すっごい嬉しいんやけど…あまりに嬉しくて伝えようがあらへん」
「ありがと…」

あたしは半裸になっているゆうこに自分の放りだしてあるコートをかけた。
…今日はもういい。これから時間はいくらだってあるんだから…

「矢口…」
「寒いから…ちゃんと服着なよ。脱がしたヤグチが言うのもなんだけどさ…」
「…いつか、そう遠くない、いつか…必ずやで? うちが…」

「うちは…矢口を抱くから…ゼッタイに…矢口のコト、抱くから…」

真剣なゆうこのコトバと表情に…あたしは急におかしくなった。

「そんなコト…真剣なカオして言うことじゃないよ…」
「そ、そうやけど! でも…今の、うちのホンマのキモチは…」
「分かってるよ…ウソっぽくないから…すごくキモチが伝わるよ。だからさ…」

「今度はさ…ヤグチのコト…抱いて下さい」

…このあとゆうこが爆笑したのは言うまでもない…
80 名前:BOOTLEG 投稿日:2001年12月27日(木)02時06分47秒
また間が開いてしまいました。とりあえずは一段落です。話も一段落です(わら
第一章終了でも可。これからの展開がか〜な〜り不安なんですが…
最悪、痛めに移行という可能性もあります。それはそれで難しいんですけど(わら
でも、甘めに行くでしょう。ネタも尽きつつあるので他メンも出てくるかと…

>>71
これは狙ってました。いつもはゆーちゃんが矢口を…というシチュばかりなので、
逆は逆で萌えるんじゃねーかと思いまして(わら
そこそこなんですがこれはこれでいいかなぁって…ダメ?(わら

>>72
若さ全開の矢口を書きたいんですけど、イマイチでした。
押しに弱いゆーちゃんもただのヘタレ呼ばわりされてしまい(わら
こー、納得行く書き方が出来てないです。チカラがないせいもありますが(ヲイ

>>73
少しタイミング遅れたぜ!(わら
更新したんで見たってください。
81 名前:名無し読者73 投稿日:2001年12月27日(木)03時37分28秒
読ませていただきました。
へタレ裕子もgoodだったし。
野獣?矢口もめちゃ可愛かったです。
82 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)14時13分53秒
痛・・・甘・・・が入り混じってなんかいいっす。
83 名前:たれ。 投稿日:2001年12月29日(土)19時11分21秒
やぐちゅーサイコー!です。
甘い中にも痛いのが混ざりつつ、そんな文章に酔ってます。
これからもがんばってください。
84 名前:BOOTLEG 投稿日:2002年01月04日(金)05時47分31秒
「…ゴキゲンやな…」
「ぬくぬく〜♪ あったかいな♪」
「イヤ、それだけちゃうと思うんやけど…」
「でも、やっぱり…夢が叶ったんだもん」

ぴったりと離れない矢口は…胸元で嬉しいそうな声を出していた。
ベットの中…もう、ある程度、いつもの自分が取り戻せていた。
一緒に寝ることぐらい…もう、出来る気がした。

(ムリしなくていいのに…)
(イヤ、こーゆーコトから始めたほうがええと思うんや。うちも…)
(…ゆうこは頑張り屋さんだね。ヤグチはそーゆートコもスキだよ)
(そ、そーゆー歯の浮くようなセリフは大事な時にとっときなさい…)

予想は当たった。
一緒に寝ても何でもなかった。べったりしている矢口を見ても慌てないようになった。
でも…今すぐ抱くのは…まだ、自信がなかった。

別に矢口がオンナノコだからとか、そうじゃなくて…
キモチが、自分のコトで精一杯で…矢口をどうしたいとか、二の次になる。
でも…こんなキモチがすごい大事だって…心底思える。

ゆっくりゆっくり…このキモチを噛み砕いて…矢口をスキになりたいキモチでいっぱいだった。
85 名前:BOOTLEG 投稿日:2002年01月04日(金)05時48分16秒
「…何考えてるの〜?」
「ん…何か、信じられへんなぁって思ってな…」
「さっきからゆうこ、そればっかりだよ…」
「矢口はずいぶん余裕があるんやなぁ。うちがスキだって自信もあったんちゃう?」

「…どぉだろ? うーん…梨華ちゃんとかに比べたらヤグチのほうがスキかなって…」
「それじゃあんまり自信なかったんや?」
「自信があるとかないとか…どーでもよかったかな? ヤグチはスキだと黙ってない性格だし…」
「…あんまり深く考えてないんやな…」

確かにそうかもしれない。イロイロ考えるから不安になったり…怖くなったりするのかもしれない。
だったら…自分の思ったコトをすぐに行動に移せばいい…

「ちょ…どーしたの? イキナリ…」
「も〜ヤグチはホンマにかわええなぁ! ん〜」
「こ、こらぁ! そんなに強く抱きしめんなぁ!! 苦しい!!」

何となく…何となくだけど…自分が矢口の描く「自分」になりつつあるような気がした…
86 名前:BOOTLEG 投稿日:2002年01月04日(金)05時49分35秒
「…ふぁ…」

目を覚ましたのはあたしだった。
カーテンの隙間からやんわりと光が差し込んでいる…まだ早い時間帯だ。
すぐ側には目を閉じたゆうこが…寝息を立てている。

(寝たのはヤグチが先だろーけど…よかった、ゆうこも寝てる…)

規則正しく寝息を立てているゆうこは…どことなく幸せそうなカオにも見えた。
何か昨日はイロイロ困らせちゃったけど、結果的にはゆうこはあたしを選んでくれた。
今こうして、改まってみて…やっぱり嬉しい…

(チョット…ほっぺとかつついてみたりして…)
「…ううん…」

コドモっぽい声なんか出してあたしの手を振り払う。
いつのまにか腕枕していた腕が外れてしまっている。
87 名前:BOOTLEG 投稿日:2002年01月04日(金)05時50分19秒
(カ…カワイイ…このヒトはヤグチをカワイイとかよくゆーけど…
 自分もかなりカワイかったりするコトに気づいたりしてんだろーか…)

たぶん、気づいていないだろう。
あたしがゆうこがスキな理由がカワイイなんていっても、信じちゃくれないだろう。
それ以上に、どうしようもなくあたしがカワイイと思ってるんだろうけど…

「…そうだ…」

あたしはゆっくりと、ゆうこが目覚めないようにベットから起きた。
冷え込んだ部屋にエアコンを入れて、リビングに向かう。

「少し驚かせてやろっと♪」

あたしを選んでくれたコト、あたしをスキになってくれたコト…
これがどれほど嬉しいかって…やっぱり、何としてもカタチに表したいんだよね。

ゆうこの思いっきり喜ぶカオって…何回見てもいいんだもん。
88 名前:BOOTLEG 投稿日:2002年01月04日(金)05時57分59秒
明けましておめでとうございます! 今年はW杯の年ですね(わら
そんなことはどうでもよくて…今年の始めも娘。小説で始まりました。
また、書いていくことになるかと思いますのでよろしくお願いします。
話はなんだか甘くなりつつありますかねぇ…

>>81
やじゅー矢口にヘタレゆうちゃんはこの辺で終わりにしたいですね。
あんまりスキじゃないカンジがしてます。でも、いいかも…ってどっちやねん(わら
でも、基本路線はセメとウケがハッキリしているモノになりますけど…

>>82
激甘! がこの作品を書く上での目標だったんですが…ムリでした(わら
ほのぼの激甘、そりゃーもーチクロ並に甘いのは俺ではムリだと気づいたりした。
なんだかシリアスシーンしか書けないので甘辛く行きます(わら

>>83
た…たれさんぢゃないっすか…
わざわざレスなんぞこんな作品につけていただいて嬉しい限りです…
たれさんがこの作品を書く上でのスペシャル・サンクスになってます(わら
ホントにありがとう(わら
89 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)06時26分59秒
あけましておめでとうです。
更新されているとは・・・今気づきました。
今年もやぐちゅーでお腹一杯にして下さい。(w
甘さと痛さのコントラストが絶妙で大好きです。
90 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月10日(木)02時16分17秒
あの頃(やぐちゅー)バージョンからずっとROMさせていただいてます。
作者さんの書くやぐちゅーは・・・痛さと甘さのバランスが最高でいつも作品に引き込まれてしまいます。
今年も・・・期待してます(w
91 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月22日(火)14時13分52秒
そろそろ・・・更新を・・・
92 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2002年02月18日(月)00時35分37秒
更新・・・お願いします。

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