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シンデモイイ

1 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時39分28秒
初めての投稿です。緊張してます。

内容はいしよし、甘めですけど痛め?です・・・・。

どうぞよろしくお願いします。
2 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時40分47秒
真っ暗で、見えない。
アナタハドコニイルノ?

煙草の匂いと、あなたの汗の匂い。
シンデモ、イイ。アナタトイッショナラ。




3 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時41分33秒
「今日、ウチでご飯食べない?」

仕事が終わって、帰り支度を済ませた私は、聞き慣れた声に振り向いた。
いつもと変わらない、笑顔。長い睫毛に縁取られた瞳は、私の返事を待っている。

「・・・・うん、いいよ。何食べよっか?」
「うーん、何でもいいけどねっ。私は梨華ちゃんが食べたいなーなんて」

・・・もう。いっつもそうなんだから。皆がいる前で、よくそんなこと・・・。

真っ赤になって黙ってしまった私に、からかうような目をした彼女は、ウソダヨ、と笑いかけながらコートを羽織った。

「さ、行こっ。もう私すっごくお腹すいちゃって我慢できないよー」

はしゃいでそう言うと、彼女は当たり前のように私の手を取ってドアを開けた。



4 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時43分13秒
「・・・・・寒い、ね」
「・・・・・うん」

暑いくらいにエアコンが効いていたスタジオから一歩外に出ると、信じられないくらい冷たい空気が頬にあたる。

私がポケットに両手を入れると、彼女は不満そうに振り返った。

「梨華ちゃん、こっちおいで」

近寄った私に向かって、何も言わず、ぶっきらぼうに片手を差し出す。



ひとみちゃん、カワイイ。



私は笑いながら彼女に向かって片手を伸ばした。彼女はてへへ、と照れたように笑って私の手をしっかりと握りしめて、歩き出す。



5 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時44分39秒
「・・・・・ね、ひとみちゃん。本当に何食べるの?」
「だーかーらー、梨華ちゃんだって」

・・・・じゃ、私は何を食べればいいのっ!!

「梨華ちゃんは、私を食べるんでしょ?」
「・・・・・ふざけてないで、ホントに決めてよ。何食べるか」

ゴメンゴメン、と彼女は私の手を握り返して、鍋食べようよ〜♪とはしゃぎながら、
角のコンビニに入っていく。


鍋、ね。材料切って入れるだけだから、一番簡単だし。

「そうでしょ?だって梨華ちゃん、料理ヘタなんだもーん」




・・・・・はっきり言わないでよ。傷つくじゃん。

ふてくされた私に気付くと、彼女は微笑みながら私の頬に手を伸ばす。



6 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時46分51秒
「・・・・・こんな所で、キスしないでよ」
「いやだった?」
「・・・・・・・やじゃ、ない」
「じゃ、いいんじゃん?」


いっつも、そう。私とあなたは、こんなペース。
あなたのワガママでも何でも、こんな仕草で、全部許してしまう。
その宝石みたいな瞳で見つめられて、
その瞳がゆっくり閉じていくのを見ているだけで、
何もかもどうでもいい、って思ってしまう。


こんな感じを、ハマッテル、って言うのかな。




7 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時48分24秒
「んー、おいしかった。ごちそうさま♪」
「・・・・いえいえ、お粗末さまでした」
「やっぱり鍋だねー。冬は♪」

ホントに材料切って入れただけの、鍋。ダシもレトルトだし。



「でもね、梨華ちゃんと一緒に食べると、何でも一番おいしいよ。レトルトでも、何でも」
「・・・・そんなこと、よくさらっと言えるよね。いっつも」
「だって私、梨華ちゃんのこと大好きなんだもーん」
「・・・・・・」



ホントはすっごく嬉しいんだけど、さ。




8 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時50分31秒
後片づけをしていると、テレビを見ていた彼女が「梨華ー、梨華ー」って叫んでるのが聞こえた。




「何」
「ね、梨華ちゃん。今、死んでもいいって思う?」


これはまた唐突な。


「そんなの、ヤダよ。まだ16歳なのに」



そんな私の答に、不満そうに口をとがらせて、彼女は続けた。

「知ってた?loveって言葉ね、昔は「死んでもいい」って訳されてたんだってよー?
すごいロマンティックじゃない?
「愛してる」っていうのは「死んでもいい」ってことなんだって」



得意そうに、たった今仕入れたばっかりの知識を披露する彼女に、意地悪な質問。

「じゃ、ひとみちゃんは?今死んでもいいの?」
「んー、今死んだら梨華ちゃんに会えないからやっぱり私もヤダ」


9 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時52分05秒
笑いながらそう言うと、彼女は煙草に火を付けた。


「ひとみちゃん、煙草だめだって」
「いいの。もうオトナなの」
「・・・それに似合わないよ、ひとみちゃんに煙草なんてさ」



彼女の口から吐き出される薄い煙が、私の視界を遮る。



「もう、いっつも言うこと聞いてくれないんだから」
「すねんなよ〜〜」

ふざけたように抱きついてくる彼女の腕の中は、消えたばっかりの、煙草の匂い。
私の口の中に入ってきたあなたの舌も、煙草の味。



でも、その後には、アナタの、味。




10 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時54分05秒
「・・・・ね、梨華ちゃん。お風呂、入っておいでよ」
長い長いキスの後、耳元で彼女がささやいた。


「え?」
・・・・・いっつも、一緒に入ってるのに。なんで?



「いいからさ、入っておいで。上がった時のお楽しみがあるからさ♪」



また、なんか企んでるな。コイツ。



「さ、入った入った」

押されるようにしてバスルームに向かった私は、もう一度彼女の方を振り返る。その瞬間、息が詰まるくらいに抱きしめられた。


「好きだよ、梨華ちゃん」
「・・・・・分かってるもん」


体を離して、彼女は、ユックリデイイヨ、と笑って部屋へ戻っていった。





11 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時55分53秒
私には少し大きすぎる彼女のパジャマを着て、こっそり部屋を覗いてみる。




「おっ、上がった?おっかえり〜♪」





「・・・・・何、ソレ。コスプレ?」
「ま、そんなとこよ」



得意そうに振り返った彼女は、男物の黒い細身のスーツ。
濃いブルーのシャツの首元には、真っ赤なネクタイと、金色のネクタイピン。


「へへ、似合うでしょ?やっぱり最近テレビで着慣れてるからね〜」
「ていうか、そんなモノ、どこで買ったのよ」
「いいじゃんいいじゃん、そんなこと。それよりかさ、どう?似合ってる?」



改めて彼女を見ると、やっぱり・・・・・・カッコイイ。
窮屈そうにネクタイを触ってる仕草も、細身の体に張り付いたスーツも、何もかも。


12 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時57分42秒
「・・・・・カッコイイ、かも、ね」
「んん、なぁに〜?きっこえないな〜〜?」
「カッコイイ、かも」
「はははっ、惚れ直したかぁ?」


笑ってそう言いながら、また煙草をくわえる。

でも、今の彼女には、似合ってた。






彼女の瞳が、甘く濡れて、私を見つめている。

ソンナメデ、ミナイデ。オカシク、ナッチャウヨ。




彼女の手が、私の方に伸びてくる。その瞳に耐えられなくて、私は目をつぶった。


13 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)01時59分38秒
いつもよりも熱を帯びた唇が、私の唇に重なるのを感じる。
性急に差し込まれる舌も、いつもより、アツイ。



お腹の辺りが、じぃんとしてくる。
それを見透かしたように、彼女の手が私の胸に触れる。



「・・・ぁ、ひ、とみ、ちゃん・・・」

やっと解放された私の唇から、その言葉が漏れた時。
私の胸をさぐっていた彼女の手が、止まった。



・・・・・え。何?


すがるような目で彼女を見上げると、彼女の甘い瞳の奥に、いつもと違う、何か。


ナンダカ、コワイ。


14 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時01分08秒
「・・・・梨華ちゃん。ベッドに、行こ」
「・・・うん」




素直にベッドに横たわろうとした私は、乱暴にベッドに押し倒された。





「・・・・やっ」
「・・・・いいから、しゃべらないで」




何かが、違う。今の彼女の格好のせいだけじゃ、ない。




両肩を押さえつけられたままの私に、彼女はまた乱暴な口づけ。
性急に入ってくる舌には、いつもと違う、・・・・狂気。


15 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時03分19秒
でも、その狂気に、私は・・・・・・・感じてる。
その証拠に、いつもよりも痺れてる、私の、頭の中と、私の、大事な部分。





唇が離れた。ゆっくり目を開けると、彼女の顔が、ぼんやり見えた。



何で、そんな目をしてるんだろう。そんな哀しい目を。





「・・・梨華ちゃん、手、出して」



戸惑う私の両手を、自分から引き寄せると、
彼女は自分のベルトで私の手を器用に結んで、
ベルトのもう片方を、ベッドのパイプに結びつける。


16 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時04分38秒
「!!」

驚いてもがく私の両手を、彼女は優しく撫でた。




「梨華ちゃん、心配しないで。イタイこと、しないから」



・・・・イタイことって。そんなことしたらホントに許さないに決まってるじゃん。


私の感情に気付いたのか、彼女は優しく私に口づける。
今度は、いつもと同じ、優しく、甘い口づけ。
でも、唇は、やっぱり、いつもよりも熱かった。




17 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時06分47秒
熱い唇が、私の首筋に移動したのを感じる。
何度も何度も、首筋にキスを降らせる。


彼女の手は、いつの間にか痛いくらいに膨らんだ私の胸の突起の上で遊んでいる。




「・・・ん、あっ・・・・」


我慢できずに思わず漏れた声といっしょに、ベッドのパイプがぎしぎし、と音を立てた。







部屋の中は、暑いくらいにヒーターが効いている。


彼女の首元のブルーが、汗で濃くなってる。


私から体を離すと、彼女は上着を脱いで、
首を締め付けている窮屈なネクタイを緩めた。
18 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時07分54秒
「はは、やっぱり暑いや」



彼女はおどけたようにそう言うと、ネクタイを完全に外した。
その赤いネクタイが私の視界をふさぐ。






私、目隠し、されてる。





ドウシテ、コンナコト、スルノ?
アナタガ、ミエナイ。



長い長い、間。
あなたがどこにいるのか、分からない。
ミエナイ。


体の隅々が敏感になって、あなたを探そうとしてる。
19 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)02時10分17秒
とりあえず今回はここまでです。

こういうの、やっぱり嫌いな人いるだろうなあ・・・(汗)
でもあくまで「超ソフト」なので・・・・よろしくお願い致します(汗)
20 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)02時27分10秒
リアルタイムで読ませてもらいました。
こどもでちょっとダークなよっすぃーが、かっけーです。
続き、めちゃめちゃ期待してますよー。
21 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)03時19分08秒
いやいや、大好きですよマジデ
22 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時28分33秒
はぅ、嬉しい、読んで下さっている方がいらっしゃる(感涙)
もうそれだけで「死んでもいい」んですけど(笑)

ご期待に添えるかどうか分かりませんが、がんがってみます。
ということで、調子に乗って少しだけ更新です。
23 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時30分19秒
「・・・・梨華、好き」
低い声が囁く。

その声だけで、私の中で何かが、壊れた。





「・・・・・ふっ、う」
酸素を求めて、私は唇を開く。
そこに、彼女の唇。




彼女の姿は、ミエナイ。
その甘くて優しい瞳も、茶色い髪も、何かも。


彼女を確認できるのは、彼女が囁く声と、
その熱を帯びて濡れた唇と、
私の口の中で、まるで生き物のように動いているその舌と、
かすかに香る汗と、煙草の匂い。



それが今の私にとって、彼女のすべて。




24 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時31分36秒
自由の利かない両手と、見えない目。



・・・でも、いつもよりもずっと、彼女を感じてる。
何千倍も、何万倍も。




いつもよりも熱いモノが、下半身から溢れてるのを、感じた。
まだ、ソコを触られても、いないのに。





彼女の手が、パジャマのボタンをゆっくりと外すのを感じる。

ただそれだけの行為で、私の頭の中は痺れていく。
25 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時33分08秒
彼女に触れて欲しくて、口づけて欲しくて、私はまるで子供みたいに欲求を口にする。




「・・・ひ、とみちゃん、ひとみ、ちゃん、お願い、触って」




「・・・・分かってるよ、梨華」


彼女はそう言いながら、私の胸に直接、そっと触れた。
でも、その頂点には決して手を触れない。


「あぁん、もっと、ん、もっと、ひとみ、ちゃ」



きしむパイプの音が部屋に響いた。
その音が私の頭に響いた時、濡れた舌が私の胸の頂点に絡みつく。



26 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時34分35秒



「んあっ、あぁ、ん、やだ、ん」
いつもと違う感覚が、私の中を貫いた。

下の方は、もう、きっと十分過ぎる程に、潤んでいる。




「・・・いやなの?」
いつもみたいな、からかう声。



・・・・コイツ、悪魔だ。



でも、今の私にとっては、その言葉さえも、私の内部を熱くする。



返事もしないで、不自由な両手を動かそうともがく。

いつのまにか何も着ていない私の下半身に、熱い指が触れる感覚。
電流が、走った。
27 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時35分55秒







「・・・・梨華の、すごく、濡れてる」
耳元で囁く声。
ゆっくりと、優しく、まるで別の生き物みたいに動く、彼女の指。

私の体に、ねっとりと絡みつく、彼女の舌。


私は声を抑えることも忘れて、
ただ、彼女を求めて、体をよじらせた。
28 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時37分01秒




ぽた。

何かが、私の胸の下辺りに、落ちた。


ワタシニハ、ミエルノ。
アナタノ、カラダカラ、オチテクルモノ。




「・・・・・暑」


彼女が自分のシャツのボタンを外してる、気配。
彼女の全ての動きが、私の周りの空気を揺らす。

そんな、感覚。
29 名前:うたかた 投稿日:2001年12月13日(木)04時38分22秒
と、ここまでです。

調子に乗って張り切りすぎたかも・・・。
こんなペースでは持ちませんね(苦笑)
30 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)05時15分01秒
こういうシュチエーション大好きっす(w
期待しとります
31 名前:popi 投稿日:2001年12月13日(木)09時45分17秒
いいですね〜。
何か、まっすぐですね。
32 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月13日(木)19時38分36秒
エロ吉マンセー!(w
感じてる石川さんも(・∀・)イイ ですね。
33 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月13日(木)21時13分54秒
大変!!この小説サイコーなんですけど。。
おもいっきりツボです!!作者さん頑張ってください。
できれば長めにお願いします(w
34 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時36分16秒
またまた更新です。

ちょっとレスをしてみたり・・(ハズカシイ)
>名無し読者20さん
こどもでダークな吉澤さん、気に入って頂けましたでしょうか?
この振れ幅が・・魅力に感じて頂ければ。
本当に吉澤さんはきっとダークではないけれど(苦笑)

>名無し読者21さん
本当にそういって頂けると嬉しいですマジデ
期待していただいていいのかな〜?がんばります。

>名無し読者30さん
私もこういうの好きなんです(笑)
相手のことを好きすぎて、自分を抑えられないっていうのがイイんですよね。

>popiさん
まっすぐ、と感じていただきましたか?
吉澤のこの直情っぽさ?が私にとって彼女の一番の魅力なんですよー。

>Charmy Blueさん
毎日がエロ吉マンセーです、私にとって(笑)←意味不明
新参者ですがよろしくお願いします。

>名無し読者33さん
そ、そんなに誉めていただくとハズカシクテ穴に入ってしまいます
ご期待に添えるかどうか・・・とりあえずできるだけやってみますー。

それでは、続きます。
35 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時38分00秒


「・・・・・梨華ちゃんも、暑い?」



きっと、私の首筋にも光っている、汗。
彼女の舌が、優しくそこを這うのが分かる。


その震えるような感覚が、少しずつ私の体の上を下がっていく。
生暖かいその感覚が、私の一番、湿っている部分に達した時。


何かがはじけた。
私の体の一番奥が。



もう、ダメ。
36 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時39分27秒



どのくらいの時間がたったのだろう。
気が付いて目を開けると、私の目の前には、優しく微笑む彼女。
いつもと同じ、甘い微笑み。

自由になった両手で、彼女の顔に触れた。


アナタハヤッパリ、ココニイタノネ。




「・・・・梨華、おいしかったよ」
そう私の耳元で囁く彼女の言葉に真っ赤になった私を、彼女はおかしそうに見つめる。


37 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時40分35秒


「・・・ゴメン、梨華ちゃん」
「・・・・・謝るくらいなら、あんなことしないで」


その言葉とは裏腹に、体中があなたを求めていたあの感覚が甘く蘇る。
また、熱くなる、体。


叱られた子供みたいに、私を見つめている彼女の瞼に、そっと唇をつける。



「・・・・・へへっ」
たったそれだけで、無邪気な笑顔。

やっぱり、許してしまうんだ、私。


38 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時41分35秒



「お返し♪」
いきなり抱き寄せられて、キス。



あなたの、味。
甘くて、ニガイ。





「・・・・・ね、ひとみちゃん」
「なに?」

長い睫毛は、子鹿みたいに瞬いてる。
さっきみたいに、哀しい目じゃ、ない。




もう一度、質問。

「ひとみちゃんは、今、シンデモイイって、思う?」

39 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時42分52秒



「・・・・ん〜と、ねえ・・・」



ありゃ、今度は真剣に考え込んでるみたい。



彼女は、はだけたままのシャツの胸元を触りながら、テーブルの上の煙草を引き寄せる。



青い、煙。

煙の向こうの彼女の瞳は、黒く濡れて、とても、綺麗。



「梨華ちゃん、こっちおいで」
空いてる方の左手で、彼女は私を抱き寄せた。



40 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時44分15秒


「ね、梨華ちゃん」
「・・・・ん?」




「梨華ちゃんが一緒にいるんなら、私、シンデモイイ、って、思う」
「・・・・・ん」


初めての、こんな愛の告白。


そう、こんな風に。
あなたの匂いがするところで。
あなたの甘い瞳に見つめられながら。




ワタシモ、オンナジダヨ。
アナタト、イッショナラ。

アナタト、イッショナラ。
41 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時45分29秒



彼女は右手の煙草をテーブルの灰皿で消すと、笑いながら私の手を取った。


「さ、お姫さま、参りましょう」
「・・・え、どこに」


「梨華ちゃん、いっぱい汗、かいちゃったでしょ?」
ツイデニシタノホウモネ、と囁く彼女。


・・・オヤジ。
42 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時46分36秒



「・・・・ひとみちゃんも、汗かいた、でしょ」
「ははっ、そりゃあ今日はがんばっちゃったもんね〜」


湿ったブルーのシャツは、あなたと、煙草と、アタシの、匂い。


「いこ」

差し出された右手をしっかり握った。
さっきは、掴めなかった、手。



「もー、よしこ早くシャワー浴びたいよー」
「じゃ、早くいこっ」


私は笑いながら、彼女の手を、もう一回、握りしめた。
43 名前:うたかた 投稿日:2001年12月14日(金)01時50分30秒
今回はここまでです。
ほんとにちょっとになってしまいましたが・・・。

本当は、ここで終わらせようかな〜?とも思っていたんですけど、
私自身もこれから書き足そうかな?っていう気になってますメチャクチャ(笑)

もしよろしければ、これからも続けさせていただきたいと・・・。
まだネタはまったく浮かんでいないのですが(笑)

近いうちに、また更新する予定ですのでよろしくお願いします。
44 名前:夜叉 投稿日:2001年12月14日(金)02時16分56秒
一気に読ませてもらいました。
こんな吉、萌え萌えです♪
続き、良かったら書いてください。
かなり、「ハマってる」自分がいます(w。
45 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)03時41分35秒
俺も続き読めるならシンデモイイ(w
46 名前:33 投稿日:2001年12月14日(金)10時25分52秒
やっぱかなりツボですねぇ!!
ゆっくり待ってますんで続きお願いします。
47 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)15時44分34秒
どんどん続けちゃって下さい(w
48 名前:名無し 投稿日:2001年12月16日(日)12時30分46秒
>loveって言葉ね、昔は「死んでもいい」って訳されてたんだってよー?
金八せんせーっすね。
続き楽しみにしてますよ。
49 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月16日(日)17時53分16秒
>>48
>続き楽しみにしてますよ。
そう思うならsageスレはsageにチェックしてから
書き込んでください m(__)m
50 名前:名無し 投稿日:2001年12月16日(日)18時57分44秒
>>49、作者さん
すいません・・・
51 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時12分47秒
思ったよりも時間がたってしまいました(苦笑)

一応、この話は今回の更新で終了です。
でも、まだ番外編がいくつも続くと思います。
おっと、もちろんいしよしですが(笑)

>夜叉さん
ありがとうございます〜。
これからも「ハマって」頂ければウチの吉澤も本望でしょう(笑)

>名無し読者45さん
生きて下さい(笑)

>名無し読者33・46さん
いつもありがとうございます!
まだまだ書くつもりですのでよろしくお願いします。

>名無し読者47さん
どんどん続けちゃいますよ♪

>名無し48さん
そのキンパチ、私見たんですけども実はそれがネタ元ではなかったり(笑)
でも吉澤が見てたのは「金八先生」だった、ということで(笑)

>名無し読者49さん
ご指摘ありがとうございます。
まあ、でもsageに死ぬ程こだわっているワケでもないので「なるだけ」sageでってことで(笑)
みなさまよろしくお願いします。

では続きを。
52 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時14分42秒



シャワーの栓をひねって、熱いお湯を全身に浴びると、
何だかさっきのコトが夢みたいに感じる。




「・・・・は〜・・・・・って何見てんのよ」


さっきまで、はしゃぎながらバスタブのお湯をはね散らかしてた彼女。




いつの間にか浴槽の縁に肘をついて私を眺めてる。
湯気の向こうの、黒い瞳。

53 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時16分02秒



「・・・・続けてよ」

そんな風に見つめられて、そのままハイそうですかって言える人は、いないでしょ。



黙ってにらみつけても、彼女は真剣な顔。



「・・・もう」
諦めてため息をつくと、スポンジを泡立てた。
54 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時17分09秒




・・・・彼女が、私を見てる。
ずっと。
あの、甘い瞳で。



ハズカシイ。
ハズカシイ。


ドウシテ、ソンナニミツメルノ?
オネガイ、オネガイダカラ、ヤメテ。



・・・・でも。
体のどこかが、熱くなってくのを、私は、感じてる。


こんなに、ハズカシイって、思ってるのに。
こんなに、イヤだって、思ってるのに。


頭の中が、痺れてる。


55 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時18分31秒

なぜか、ベッドの中のさっきの自分がフラッシュバックする。
私を見つめてた、彼女の瞳。


どんな風に私を見つめてたのかなんて、
見えなくても、ちゃんと分かってた。



その瞳が、今、私の姿を、見てる。





「・・・・梨華ちゃんの体、キレイ」

さっき、あれだけ聞いた言葉なのに、その言葉だけで。
また、私の中で、何かが疼いてしまう。


そんな感情が、彼女にばれてしまうのが恐くて、
黙ったまま、私は再びシャワーの栓をひねった。


56 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時19分30秒


目を閉じて、熱いお湯を体中に浴びる。
麻痺してしまった私の頭が、再び動き出すように、って。





「・・・・もー、我慢できない」
彼女の低い声が浴室に響いた。

どんな顔をしてるのかは、もう、湯気で、見えない。


彼女が、ゆっくりとバスタブを出て、私の後ろに立った。
そのまま、シャワーの熱い雨の中で、抱きしめられる。

57 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時20分23秒

彼女は、私の首筋に顔を埋めて、何かを確認するみたいに何度も口づける。
私の肌にいくつも咲く、赤い、薔薇。


彼女の指は、私の胸の突起を弄ぶ。


膝が震える。
タッテランナイ。


アツイ。


私は首を傾けて、彼女の唇を探す。
ゆるく開いた私の唇に、シャワーの雨。


水浸しの、キス。
窒息、しそう。
58 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時21分21秒


休息を知らない、あなたの指。
そのままの体勢で、ゆっくりと下の方に這ってくる、熱い指。


あなたの指は、すぐに私の蕾を探し当てる。
ゆっくり表面を撫で上げられる。



もう、私に、そのままの体勢を保つ理性は、ない。





崩れるように膝をつく。
それでも、あなたの指は休まない。


耳を甘く噛まれると、我慢してたはずの声が大きくなる。
ごはんを欲しがる猫みたいに、私は鳴き続けた。



59 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時22分06秒


いつの間にか正面にある、あなたの瞳。
雨の向こうの黒い瞳は、今、私だけを、欲しがってる。
私の、全部を。



「・・・・梨華が、欲しい」
そう耳元で囁くと、私の内部に入ってくる、アナタ。
シャワーで洗い流されるヒマもない、私の、感じてるシルシ。


激しく、甘く動いてるあなたの指。
私の足の間の水音は、シャワーの音でかき消される。


私の体の内部で、熱い何かが、頭の中まで上がってくる。
この、感覚。
もう。



60 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時22分58秒


「・・・・我慢しないで」
彼女の声が、頭の中で反響する。



モウ、ナニモカンガエランナイ。



「・・・・・ちゃんと、言って?梨華の口から、聞きたい」

イク、って。

61 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時23分37秒



耳元で囁く彼女の言葉が、私の体の中をかけのぼる。


指の動きが、速くなる。


「言ってよ」
彼女の休まない指が、私のあの瞬間を、待ってる。







62 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時24分20秒



そんなに広くないバスタブの中で、私は、不機嫌そうな彼女の頬に触れる。




「・・・・・な〜に怒ってんのよ」

冗談ぽく笑っても、相変わらずふくれてる、彼女。
長い睫毛に縁取られてるはずの瞳も、私の方を向いてない。



「・・・・だって、梨華ちゃん、私の言うこと、聞いてくんないんだもん」
やっと開いた彼女のクチからは、意外な言葉。



・・・・アンタのワガママちゃんと聞いてる人って、私ぐらいでしょうが。


63 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時25分15秒



「何でよ」
「・・・・・ちゃんと、言ってくんなかった。アレ」
「アレ?アレって」
「・・・・・最後の、アレ」



・・・・・あ。



真っ赤になった私の方にやっと向き直った彼女の瞳には、いつもとかわらない、
いたずらっぽい光。


「あーあ、やっと聞けると思ったのになあ、梨華ちゃんから、あの言葉」
「・・・・・絶対言わないもん」


今度は、私が不機嫌になる番。

64 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時26分02秒


「はは、ま、いっか、今度頑張ろうっと。吉澤の名にかけて♪」



笑いながら、彼女は私に口づける。
湯気で湿った、キス。


私の心の中も、濡れてくる。
そんな、子供みたいな、アナタに。


唇を離すと、彼女は甘く囁く。


「・・・・声が涸れちゃうまで、言わせるからね」




65 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時27分10秒
二人でベッドにもぐり込む。
まるで生まれた時から決まってたみたいに、彼女は私を抱き寄せる。



アッタカイ。



「ね、梨華ちゃん」
「ん?」


「スキ」
「・・・・バカ」


何でそこでバカになるんだよー、何でだよー、と私の頭をくしゃくしゃにする彼女。

66 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時28分08秒

返事の代わりに、自分の顔を彼女の胸に押しつける。
息を吸い込むと、やっぱり彼女の匂い。


彼女の匂いと、彼女のぬくもり。
こんな時が、一生続けばいい。


そう思いながら、私はいつの間にか眠りに落ちていった。
67 名前:うたかた 投稿日:2001年12月18日(火)21時30分48秒
今回のエピソードはこれで終了です。
お付き合い頂いた皆様、どうもありがとうございました。

でも、まだまだ番外編が続きますのでまたよろしくお願いいたします(笑)
次回の更新は、まだ未定ですが・・・。

あ、ついでに「うたかた」ってのは話の題名ではなく私の名前なので以下お見知り置きを(笑)
68 名前:33 投稿日:2001年12月18日(火)23時23分07秒
うたかたさんサイコー!! 題名だとばっかり思ってました(笑)
>・・・・アンタのワガママちゃんと聞いてる人って、私ぐらいでしょうが。
なにがこんなにツボなのかと思ったら↑こーいう会話?やりとりでした。
今一番この小説が楽しみなんで頑張って下さい!!長々すいません。








69 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月19日(水)02時22分01秒
マジ最高っすよー
イタズラっ子みたいな吉に困りつつも
ちゃんと受け入れる石川さんが良いっすねぇ

番外編にも期待です!

70 名前:ポー 投稿日:2001年12月19日(水)18時38分46秒
うたかたサン!最高っス!!もう..ヤバイ。。。
71 名前:夜叉 投稿日:2001年12月19日(水)23時28分16秒
は、鼻血が…(w
引きつけられましゅ、なんかお腹いっぱいです。
は、早く番外編をぉっっ…(爆)。

我慢できるんでしょうか…。(鬱。w
72 名前:うたかた 投稿日:2001年12月21日(金)03時32分10秒
さて、番外編です。意外と早かったかな(笑)
今回からは、番外編ってことでタイトルを入れますので。

>33さん
いつもご愛読ありがとうございますってトシヨリクサッ(笑)
そんなに楽しみにしていただけるなんて、作者冥利につきますm(__)m

>名無し読者69さん
いたづらっこ吉。よしよし石川。
うーん、やっぱりいしよしマンセー(笑)

>ポーさん
最高ッスか(テレ
これからの番外編も、ウチのいしよしと共にかわいがってやってくださいませ〜

>夜叉さん
いつもありがとうございますm(__)m
鼻血は・・・とまりましたでしょうか(笑)
私のエロは、自分ではあんまり好きじゃあないんですけどね(笑)>読むのは
あ、書くのはだいすっきです(アセ

では、番外編をどうぞ。
あ、今回は吉澤くん視点です。
73 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時35分15秒
「・・・・んはぁっ・・・」


何で、私今こんなに走ってんの?


国道沿いの橋の上で、立ち止まる。
もうどのくらい、走ってきたんだろ?


大きく息をついて、乱れた呼吸を落ち着けた。


橋げたにもたれて空を見上げると、星が、いっぱい。
冷えた空気が澄んで、私の瞳にしんと突き刺さる。


・・・ああもう、どうでもいいや。


74 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時36分40秒


煙草を取り出して火をつける。

指の間の、ちっちゃな灯りが、冷たい空気の中で揺れてる。



これも、お星さま、なのかな?

・・・・・んなわけないか。
75 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時37分38秒

再び見上げた空には、こんなにキレイなお星さま。
ホントなら、今、私の隣には。

あの人が。



なぜか、涙がにじんでくる。




「・・・・・っくしょ」

ごしごしと目をこすって、再び走り出す。


・・・最後に、あの場所に、行ってみようか。



76 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時38分23秒
77 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時39分14秒

なんで、こんなことになっちゃったんだろ。


ほんの、一時間前まで。

いつもみたいに、ふざけあって。
いつもみたいに、じゃれあって。

いつもみたいに、いっぱい、キスしてた。




きっかけは、ささいなこと、だったはず。


78 名前:うたかた 投稿日:2001年12月21日(金)03時40分16秒

私の携帯から流れた、電子音のメロディー。

液晶画面には「後藤 真希」の文字。


・・・・ごっちんだ。




腕の中の彼女に、ちょっとゴメン、って断って通話ボタンを押す。


「あ、ごっちん?」

『・・・・んくっ、よっ、よっすぃ?』




・・・・・ごっちん、泣いてる?
79 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時41分08秒


「どうしたの?何?どうした?」

『ひ、ん、よっすぃ〜・・・・う、』

「な、泣いてちゃ分からないじゃん、ホント」


私が心配そうな声を上げた時。
隣に座ってた彼女の、綺麗な眉が曇った。

80 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時42分06秒


「どした?ごっちん?何か仕事のことなの?それとも」

『・・・よっすぃ、い、今から、会える?』

「え、今から?」

『・・・ん、うん』


い、今は、ちょっと・・・・・・





・・・・でも、ごっちん、泣いてるし。
何か、ホントに大変なことが起こっちゃったのかも、しれない。
81 名前:up 投稿日:2001年12月21日(金)03時43分02秒

「・・・・ごっちん、今どこなの」

『・・・・あ、あの、ね、今』



・・・・ピッ。


え?



振り返ると、思いっきり不機嫌な顔をした、彼女。

その手には、私の携帯。

82 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時44分03秒

「・・・・行くつもり、なんでしょ」
「な、何してんだよ」
「あの人のとこ、行くつもりなんでしょ?」


再び鳴り出す携帯。


奪い取ろうとする私の手を振り払う、彼女。


思わず立ち上がった私の方は見ないで、そのまま窓を開けると、
鳴り続ける携帯を思い切りベランダに放り投げた。



ごんっ。


鈍い音がして、電子音は鳴りやんだ。
83 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時44分56秒

「・・・お、おま、何やってるん」
「もう、壊れちゃったよ、携帯」
「だから、何を」
「・・・・あの人、絶対ひとみちゃんのこと好きなんだ」


は?


彼女が何を言ってるのか、どういう意味で言ってるのか、
理解するのに、たっぷり10秒はかかった。


「いっつもいっつも、ひとみちゃんのこと見てるもん、あの人。
 私とのこと、知ってるクセに、あんな電話、してきて、ずるいと思」


がんっ。


「・・・・いー加減に、して」
84 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時46分11秒

私がテーブルを叩いた音に、彼女は大きく目を見開いた。
その大きな瞳から、ゆっくりとこぼれる、涙。


「・・・そんなことされたら、私どうしていいかわかんないじゃん?
 何、それとも私、梨華ちゃん以外の誰とも口聞いたらいけないワケ?
 友達、作ったらいけないワケ?」


そう静かに言った後、ベランダに落ちたままの携帯を拾いに行く。
彼女の方は見ないまま。


・・・・ありゃ、こりゃ本格的にいっちゃってるわ・・・。

85 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時47分09秒

ため息をついて振り向いた。

「梨華ちゃん、だからさ」


彼女は、いなかった。



残ってたのは、彼女の、甘い香水の匂いと。
さっきまでの、気まずい雰囲気。

86 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時48分05秒



財布もなんにも、持たずに。
上着も、着ないで。

彼女は、どこかに行ってしまった。



急いでマンションの廊下に出て、左右を見回す。
変に明るい廊下には、ただひんやりとした空気。



「・・・・全く、世話、かけやがってっ・・・!」



もう一度部屋に戻って、コートをひっかける。
その隣には、彼女の、グレーのコートがかかってた。

舌打ちして、彼女の分のコートを乱暴につかんだ。
ごとっ、とハンガーが床に落ちる。



・・・あんなことくらいで、どこに消えたんだよ?



彼女のコートを抱えて、私は、街に飛び出した。
87 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時49分03秒

最後にたどり着いたのは、小さな公園。

街灯に照らされたベンチは、夜露で光ってた。




私にとって、一番大事な場所。

そして、きっと、彼女にとっても。



ベンチに座って、初めて、手を繋いだ。
今まで、ふざけて繋いでたそれとは違う。



彼女の手は、あったかくって。

ワタシ、ズット、コレヲサガシテタンダ。

心からそう思えた。

88 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時50分24秒


微笑む彼女の目は、ゆっくりと潤んで、私を待ってた。

そっと顔を近づけると、ソンナコトワカッテタヨ、って感じで、
閉じてゆく彼女の瞳。


でも、唇は、ほんの少しだけ、震えてた。
ホントに、触れただけの、キス。


触れただけで、壊れそうだった。
大事に、大事に、そっと、抱きしめた。





89 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時51分13秒



・・・・・ここにもいない、か。

一つ、ため息をついてベンチに座った。
ひんやりした感覚が、体中に広がる。


煙草をくわえて、ぎい、とベンチの背もたれに寄りかかる。


煙の向こう側には、またたく街灯。





・・・かたん。


目を上げると、そこには。

呆然と立ちつくす、彼女。
なきはらした、目をして。
90 名前:up to you 投稿日:2001年12月21日(金)03時52分17秒


「・・・・梨華」

無意識のうちに、彼女の名を呼ぶ。



私の声を、聞いて。
彼女は顔をくしゃくしゃにして、くるりと踵を返すと、
公園の外へと、走り出した。



「・・・・待っ」



公園の正面には、建設中の小さなアパート。
階段をかけあがる、彼女。


「・・・・ちょ、ちょっと待てって、梨華」
もつれそうな足で、彼女のあとを追う。


小さな、階段の踊り場。
狭い、冷たいコンクリートの上で。

彼女はうずくまって、泣いていた。
91 名前:うたかた 投稿日:2001年12月21日(金)03時56分48秒
今回の更新はここまでになります。

ていうか、今回私はアセっていたのか??何を?というくらいにいっぱい間違いました・・。
タイトルも間違っているところありますし、しかも一回ageてしまった(鬱
私がageてどうするんじゃい、マジで・・・はぁ。鬱氏。
本当に申し訳ありませんでした・・・。

今回は、甘いのを期待されていた方には拍子抜けですが、最後は甘甘ですので
ご安心を。
というか、このあとは、エロ街道へと突入しまくる予定なのでそちらの方?も
ご安心を(笑)
92 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月21日(金)16時01分21秒
修羅場ですね。甘甘も早く〜
93 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)16時04分07秒
上げてしまいました
ああ、スイマセン・・・
94 名前:夜叉 投稿日:2001年12月21日(金)21時26分49秒
ぢゃ、安心しときます(爆)。
鼻血の用意を(略。

ごっつぁんと吉の視点、タイトル変わってますよね?
わかりやすくて、良かったです。
もしかして、偶然間違ってるのがそうだったって言うことは(略。

自分もエロ、読むの好きなんですがねぇ…(汗。
95 名前:ポー 投稿日:2001年12月21日(金)22時29分06秒
なんか、キューン(´,`)ってなった。。ごっちんはどうなったのですか?
96 名前:33 投稿日:2001年12月23日(日)23時47分35秒
いつも楽しみに読ませて頂いております。トシヨリクサッ←パクリました(笑)
かなり気になるとこできりますねぇ。(笑)
頑張ってください!!
97 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月26日(水)21時48分52秒
続き期待してますきほし
98 名前:うたかた 投稿日:2001年12月28日(金)12時32分00秒
長い間更新滞っておりまして申し訳ありません・・・(T-T)
私事で恐縮ですが、仕事の年末進行で地獄が続いておりまして・・

次回の更新はどうやら年明け早々になりそうです。
途中まではできているんですが、どうせならこの話は一気に最後まで更新
してしまおうと思っていますので、もう少し、お待ち下さい。

読者様へのレスは、その更新時に。

それでは、読んで下さっている皆様にとって、来年が良い年でありますように。
あと、石川さんと吉澤さんにも良い年でありますように(笑)
99 名前:うたかた 投稿日:2001年12月28日(金)12時41分21秒
もちろん、ごっちんにとっても良い年でありますように(笑)
というよりも娘。さんたち、良いお年を〜♪
100 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月30日(日)16時32分58秒
年明けにまっとりますよ〜!
101 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)01時34分42秒
続き期待してまってますね。
102 名前:れもん 投稿日:2002年01月07日(月)18時45分46秒
レスはしてなかったんですけど最初から読んでました(w
切ない感じに物凄く惹かれます。
よっすぃ〜がかっけー(w

お仕事も小説も頑張ってください!
更新、楽しみに待ってます。
103 名前:うたかた 投稿日:2002年01月08日(火)05時04分33秒
更新ものすごく滞ってて申し訳ありませんm(__)m

エロ☆スランプに陥ってまして・・・・
明日には、更新できそうですのでよろしくお願いします・・・

ああ、エロ書くのはムズカシイ(^^ゞ

104 名前:夜叉 投稿日:2002年01月08日(火)14時45分08秒
いえいえ、作者様のペースで更新してくださいね。
まったりお待ちしてます。
105 名前:うたかた 投稿日:2002年01月15日(火)02時23分28秒
どうも、大変お待たせいたしました・・・
まだ待っていて下さる方がいらっしゃるならば、ですけど(w
本当に申し訳ありません。
しかも、いま超長文レスを書いて投稿したために、エラーが出て、
全て今書いたレスが消えてしまってちょっと鬱です(w

それでは、ちょっとレスを。

>92さん
修羅場は今回で終わって甘甘になった・・・・つもりがエロエロになってしまいました(アセ
自分では甘甘のつもり、なんですけども・・(w

>夜叉さん
いつもありがとうございますm(__)m
ごっちんと吉の視点、タイトルが変わっているのはですね、実は偶然間違ったのが
そうだっ(略
あはは、自分では気付きませんでした〜
今回はエロ風味ですので(w
106 名前:うたかた 投稿日:2002年01月15日(火)02時27分04秒
>ポーさん
ごっちん。。。ううむ、どうしましょうか(w
自分で登場させながら何も考えてなかったり・・・
ううん、ごっちん好きだからなー、いやな思いはさせたくないなー・・・

>33さん
いつもご愛読ありがとうございます〜
気になるところで切った、というより私はいつも出来てるところまでで適当に
切ってしまうんです(w
今回もよろしくご愛顧のほどを・・・
107 名前:うたかた 投稿日:2002年01月15日(火)02時31分08秒
>97さん、100さん、101さん
まとめてレス、失礼いたします・・
本当にお待たせして申し訳ありません。まだ読んでいて下さってるなら、
これからもよろしくお願いします〜

>れもんさん
ご愛読ありがとうございます!
これからもどうぞよろしくおねがいします。
カッケーよっす、私大好きなんです(w
でも、でも、最近のテレビで見る吉はちょっとだけ、ア(略
はははは、でも、ア○吉も大好きです、少年のようで(ちょっと違うか・・・)

それでは、続きをどうぞ。
108 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時32分56秒
「・・・・梨華」
小さな声で、呼びかけた。




うずくまっている彼女の肩は、とても華奢で。
あの日と同じように、触れたら、壊れてしまいそうだった。


とても、無防備な。
その肩に。


私はそっと手をかけた。


「・・・・梨華?」
もう一度、彼女の名を、呼んだ時。
109 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時34分07秒



ゆっくりと顔を上げた、彼女。

涙でぐしょぬれの、その顔が、私の目に飛び込んでくる。




「ひ、ひとみちゃん、ご、・・・ごめ、ん」
「ごめんって、梨華」


しゃくり上げながら、彼女は必死に言葉を紡いでる。


私の心に、何だか、アッタカイものが滲んでくる。




「あ、あんなことして、ごめ、ん、なさい、・・・ひっ、
 ひと、ひとみちゃんは、何も、わ、ひくっ、悪くない、のにっ」


「・・・梨華?梨華、もう、いー、よ?」


震えてる、華奢な彼女の肩を、前みたいに、そっと抱きしめる。

私の腕の中に、いつもの、ぬくもり。
110 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時35分16秒


「いーよ、梨華」

「・・・っ、でも、私、あ、あの時、じ、自分のことしか、考えてなかっ・・・」



彼女の必死の言葉は、私の唇で、塞がれる。
ひんやりしてる、彼女の唇。


「・・・・・寒かったでしょ?」
「・・・・ん」


相変わらずの濡れた瞳で、私を見上げる。

私の、私だけの、彼女。

頬をつたってる涙を、そっと唇で拭う。



「・・・・ね、もう、いいから」
「・・・・ん、で、も」



・・・・こんなコに惚れた、私の負けだわ、こりゃ。


もう一度、優しく口づける。
抱きしめてる腕に、ぎゅっと、力を込めて。
111 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時36分23秒



「・・・・・携帯、壊れちゃった、ね」
「ん?はは、もういいってそれは」
「・・・・でも、ひとみちゃん困る、でしょ?」
「お、じゃあ、梨華ちゃんに買ってもらおうっ♪超たけーヤツを♪」
「・・・・いいよ」
「ウソだよ」


階段の踊り場から、星を見上げて。
そんな、他愛もない会話を交わしながら。


私は、

ほんの少しだけ、

・・・・他の人のこと、考えてた。



・・・・・ごっちん。

大丈夫、かな?

あんなごっちん、初めてだったし。




112 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時37分34秒


「・・・・・ひとみちゃん?」

そこには、ちょっと心配そうな、彼女の瞳。
その奥には、甘い光が瞬いていて。



・・・・私の心配は、その甘い光に、消されてしまう。



「・・・何でもないよ♪」
そう言って、彼女の唇にそっと口づける。


まだ、冷たい、彼女の唇。


「・・・・もっと、暖かくしないと、風邪ひいちゃうよ」
「え?・・・あ、ひとみちゃん私のコート持ってきてくれたんだ?
 ありがと・・・って」


性急な私の口づけに、彼女は、少しもがくような素振りを見せる。
その体を、しっかりと両腕で、押さえる。


彼女が、どこへも、行ってしまわないように。
113 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時38分41秒



「・・・・・ん、はぁ・・・・っ」
ゆっくり唇を離すと、我慢できずに漏れる、彼女の、甘い声。


私の心に、火がついた。




コンクリートの壁に、彼女の肩を押しつける。
怯えたような、彼女の瞳。


「・・・・何にも、ワルイコト、しないから」
そっと顔を傾けて、彼女の首筋に、口づけた。


まだ冷たい、その細い首筋。
でも、それが、少しずつ、少しずつ、熱を帯びてくる。
114 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時39分47秒


彼女のセーターの下に右手を差し入れる。
下着をずらして、直接彼女のひんやりした肌に触れた。


私の手の中で自己主張する、小さな突起。


もう、止まんないよ?私。



「・・・んなっ、な、何すんの、ひとみちゃん?」

彼女の言葉は、私の耳を素通り。

指で、胸の突起を転がすと、我慢できない彼女のため息が、私の心に突き刺さる。



「い、やだ、・・・・っ、こんな、所でぇっ・・・・」

「・・・・誰も、来ないよ」


彼女のセーターをそっと上にずらすと、形の良い胸が露わになる。
冷たい空気に触れて、ますます堅くなった突起に、唇をあてる。



115 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時40分47秒


「ふ、・・・あっ、ん」

彼女の、甘い声。


・・・・そんな声聞かされて、ここで終われるわけ、ないでしょ?


彼女を味わいながら、ゆっくりと彼女のスカートの中に手を差し入れた。


下着の上から、そっと、なであげる。


「・・・何だかんだ言って、こんなん、なってんじゃん」

「ん、やっ・・・そんな、こと、言わない、でっ・・・」



下着の上からも、はっきりと分かるくらい湿ってる、彼女の、大事な部分。
指を滑らせるたびに、みるみる、湿度が上がっていく。


116 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時41分58秒


何かを訴えてるみたいに、小さく開いた彼女の唇。

そこから漏れるため息に混じって、私の名を呼ぶ、声。



私の名前を、こんなにキレイに呼んでくれる人は、きっと、あなただけ。



遊んでいる指はそのままで、その唇を、私の唇で、塞ぐ。

舌を絡めるたびに、私の指は、どんどん湿ってく。




冷たいコンクリートの空間を照らす、小さな灯り。

響く、水音。


117 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時43分01秒


私は、指を滑らせて、下着の横から、そっと彼女に直接、触れた。



「いっ、やぁっ・・・・!」


彼女は膝を震わせて、まるで尻餅をつくみたいに、コンクリートの床に座り込む。


私も、床に膝をついて、彼女を楽しむ。

指で。
舌で。




「・・・こんなところで、こんなになっちゃって、恥ずかしい?」


私の言葉には答えずに、ぎゅっと私に抱きついてくる、彼女。

118 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時43分52秒


彼女から、体を離す。



「ど、どしたの?」

驚いたように、彼女が私を見つめる。


その瞳を覗き込んで、私は、自分の指を彼女に見せる。


「ほら、こんなになってる」


けげんそうに私を見つめていた彼女は、私の言葉の意味を解した瞬間、
かあっと首筋まで朱に染まらせた。



その反応を心のどこかで楽しみながら、私は自分の指をくわえる。



「・・・ん〜、梨華の味っ」


「!ちょっ、ひとみちゃん、やめてっ・・」


私の指を唇から引き離そうと、彼女は必死で私の腕をひっぱる。
119 名前:up to you 投稿日:2002年01月15日(火)02時44分44秒


ははっ、腕力で私に叶うわけないでしょ?



わざと音をたてながら、私は自分の指に残る彼女を、味わった。

時間をかけて。


とうとう顔を両手で覆ってしまった彼女を見て、私はゆっくりと微笑む。



「・・・・さ、お遊びはこのくらいにしておいて、と・・・」



私の言葉に、彼女は顔を上げて、私の瞳を覗き込む。

ちょっと、怒ったような、濡れた瞳。



その瞳が、私を、狂わせる。
120 名前:うたかた 投稿日:2002年01月15日(火)02時47分18秒
とりあえず今回はここまでです。

完結させるといいながらこの中途半端なところで切るなんて、私って・・・ウウ

予定としては、もう少しエロが続いて(w、そして、エンディングへ続く、と
なると思うのですが・・・うーん、予定は未定ですね(w
121 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)10時30分49秒
この際、ずっとエロでも(略
122 名前:夜叉 投稿日:2002年01月15日(火)15時48分25秒
どこまで貪欲なのか、吉…(汗汗。
でもそんなとこが(略。赤面)。
続きが気になりまする。
123 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月17日(木)00時23分15秒
レスするのは初めてですがずっと読んでいました。
甘くて切ない、最高です。続き楽しみ。
124 名前:れもん 投稿日:2002年01月17日(木)18時09分11秒
ここのよっすぃ〜は何してもカッケ〜
私もア○よっすぃ〜好きです(w
あの、ば(略

もう、どんやっちゃって下さい!作者様!(w
続き楽しみに待ってます。
125 名前:れもん 投稿日:2002年01月17日(木)18時10分38秒
もう、どんどんですね…
スレ汚しすみません(涙
126 名前:うたかた 投稿日:2002年01月24日(木)23時53分25秒
更新が滞っており申し訳ありませんm(__)m

次回の更新は、来週末あたりになりそうです。
申し訳ありませんが、いましばらくお待ち下さいませ・・・・
127 名前:夜叉 投稿日:2002年01月25日(金)14時25分47秒
まったりお待ちしておりますよ。
128 名前:33 投稿日:2002年01月26日(土)09時41分23秒
いつまででも待ちますよ(笑)
129 名前:うたかた 投稿日:2002年02月12日(火)15時29分30秒
復活オメデトウ!で、さっそく更新です。
>121さん
ずっとエロにしたいのは私も同じだったりし(略
>夜叉さん
いつもどうもありがとうございます。復活後もヨロシクです。
>123さん
お褒めにあずかり光栄です(テレ)。
>れもんさん
いかにして吉を「カッケー」にするかに日々精進しております(w
>33さん
いつもありがとうございます〜。お待たせしましたー。
130 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時34分43秒
「梨華ちゃん、立って」

「・・・え、立ってって」

「いーから、立って」


私の突然の言葉に、彼女はけげんそうな瞳をしてよろよろと立ち上がる。




「・・・ふふ、チカラ、入んないの?」

「そ、そんなこと、ないもん!」

彼女はそう言うと、ちゃんと背筋を伸ばして、スカートに付いた埃をぱんぱん、と手で払った。


「ほら、ちゃんと立てるよっ。ほらっ」

そう口をとがらせて主張する彼女を優しく見つめながら、私は彼女に軽く口づけた。
131 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時35分51秒
「・・・見て、梨華ちゃん。ここから、あのベンチが、見える」

「・・・あ、ホントだ」

私の言葉に、彼女は素直に外を見下ろす。


空には相変わらず星が瞬いてる。

澄んだ空気の中に、白く浮かび上がる、二人の思い出の場所。


「・・・良かった」

「ん?何が」

「ん。今も、ひとみちゃんと一緒に居るから」

「・・・私も、今、梨華ちゃんと一緒に居られて、良かった、よ?」


顔を見合わせて、二人でくすくす、と笑い合う。



こんな時間だから、道路にも人通りはない。


しんとした、空間。



−モシカシタラ、コノセカイデ、フタリキリ。
132 名前:up 投稿日:2002年02月12日(火)15時36分48秒
そんな考えが頭に浮かんでしまった自分に苦笑しながら、私は背後から彼女を抱きしめる。


「ん、何よ、ひとみちゃん」

「・・・まだ、続きがあるんだよ」

「・・・続きって、何言ってるのよ、もう」

「お遊びはおしまい、って言ったでしょ?」

「・・・本気、で言ってるの?」

「当たり前じゃん」


後ろから彼女を抱きすくめて、耳に甘く口づける。


「・・・ふ、んん、やーめてよ、ひとみちゃん」

「やめなーい」

「もー、ワガママ言わないで、よ」


そっと指を滑らせて、すっかり準備ができている彼女の足の間に、直接触れる。


「・・・こんなんなってるのに、やめられないじゃん」


そう耳元で囁くと、優しく指を動かす。


彼女の唇から漏れる、ため息。

そのため息が、私への愛のことばを、組み立てる。
133 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時38分31秒
この世界で、二人きり。

だから、誰も見てないよ。



「・・・いーよ、もっと、声、出して」

「・・・んっ、は、恥ずかし、いよぉっ・・・」

「入れて、欲しいんでしょ?」


私の言葉には応えずに、彼女は、コンクリートの壁に、両手をつく。

その手が、震えてる。


こんなに冷たい空気の中で、彼女と私の周りだけが、アツイ。

彼女の額に、首筋に、うっすらと浮かぶ、汗。

柔らかく匂い立つ、甘い香り。
134 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時39分23秒
私の指に滴る、彼女のアイノシルシ。

暗闇に浮かび上がる、白いベンチ。

満天の星空。


そっと彼女の中に指を滑らせる。

私の指の動きで、彼女は甘い鳴き声をたてる。

キレイな爪が、コンクリートの壁に食い込む。


せっかくキレイにお手入れしたのに、また塗り直さないと、ね。


「・・・・やっ、ひとみちゃん、も、もう、私、もう」

「我慢できないの?」

「・・・んぅ、ん」


汗ばんだ首筋を噛みしめて、指の動きを早める。

一瞬、彼女の体の中がひんやりしたのを感じた。
135 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時40分28秒
「イッて」

「そ、そんなこ、と・・・言わないでぇっ・・・」

「早く」

「や、やだぁっ・・・・」

「イッてよ」
136 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時41分10秒


「りーかちゃん、ちゃんと歩けてるぅ?」

「・・・・バッカじゃないの」

「あれー?何かフラフラしてんね、梨華ちゃん」


白い息をはきながらの、帰り道。

彼女は私の言葉にうつむいて、つないだ手を握り返した。


そんな様子があんまりかわいくて、つい笑みがこぼれる。


「ねえ、なんか甘いモノでも買って帰ろうか?」

「こんな時間に食べたら、太っちゃうよ?ひとみちゃん」

「いいのー」


その後にまたウンドウシヨ、って耳元で囁くと、彼女は私をにらみ返した。

手を離して、一人だけですたすた、と先に歩いていってしまう。
137 名前:up to you 投稿日:2002年02月12日(火)15時41分55秒
「おーい、りーかちゃーん」

「知らないっ」

「おーい」


角を曲がっていく後ろ姿。

私は苦笑しながら煙草に火を付ける。


きっと、あの自販機の横で、笑いをこらえながら私を待ってる彼女。


まだまだ、熱い夜は続くから、覚悟しておくよーに。


−end−
138 名前:うたかた 投稿日:2002年02月12日(火)15時47分03秒
「up to you」は今回でオシマイです。駄文を読んで頂いた皆様、どうもありがとうございます。
またウチのいしよしは番外編でガンガン続きます・・・(のはず)
それまで少しだけお待ち下さいませ。

で、この板が復活するまでに書いたゴチーン編をちょっと載せてみたり。
短いですが、お茶のお供に・・・。
139 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時50分55秒

ぽろっ。

涙がこぼれた。

何でだろ?別に、何も、悲しい事なんて、ないのに。
悲しい事なんて。


─────

・・・・今日も、誰もいない、か。

灯りのともってない自分の家の前で一つ、ため息をついた。

ま、いつものことなんだけど、さ。



留守がちの家族。
仕事が終わって、家に帰っても、誰も出迎えてはくれない。

おかえり、って言葉聞いたの、何日前だろ?
一週間?それとももっと前かな?

もう一度、ため息を付くと、ポケットから鍵を取り出した。
140 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時52分12秒
ひんやりした空気。

廊下を歩くぎしぎし、という自分の足音だけが妙に響いてる。
ドアを開けて灯りを付けると、出かける前のまんま、とっちらかった、自分の部屋。


はあ・・・・・・



今日、何食べよっかな。
自分で何か、作ろっかな。

でも、なんか面倒くさい。

あー、パスタ、ゆでて食べよう。
ソースはまだ、レトルトが残ってたはず。

ごとー、ナイスアイデア。


そーだ、誰もいないし、自分の部屋でごはん、食べよ。
音楽でも聴きながら。

も、テレビは、いいや。飽きちゃった。

あつっ。
何でゆでたてのパスタってこんなに熱いの?
やけどしちゃうよ。
141 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時53分13秒
あ、飲み物。飲み物、台所から持ってこよ。
忘れてた。
おかーさん、飲茶楼だけは死ぬほどストックしてるはず。

正直、もう飽きちゃったなーこの味。

なんてねー。

こんなこと言ってたらクビになっちゃう。


なんか、他の飲み物、買ってくればよかったかなー。
オレンジジュースとかさ。

パスタにオレンジジュース。
合わないかな?
あー、でもそれ言うならパスタに飲茶楼も合わないんじゃないかなー。
結局どっちも合わないってことで。
142 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時54分36秒


「ごちそうさまでした、と」

誰も答えてはくれないけど、ね。


今、何時だろ?
・・・10時、ちょっと過ぎか。

もう、寝ちゃおうかな。
明日も、入り、早かったはず。


あ、お風呂入んなきゃ。歯磨きしなきゃ。
お風呂にお湯入れて、それから、それから。


─────
143 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時55分48秒
一回こぼれた涙は、途中で止まってくれたりなんか、しない。
あとからあとから、こぼれる、ワケワカンナイ、涙。


ホント、ワケワカンナイ。

ナニモ、カナシイコトナンテ、ナイノニ。

ナニモ、ナイノニ。


ホントは分かってる。
この涙の、意味を。


今、私は、何をしたいの?
何を、して欲しいの?
144 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時57分26秒


分かってる。分かってるよ。
だから、暴れないで、私の心。


お願い、誰か、私を見て。
私だけを見て。


アタシダケヲ、アイシテ。
オネガイダカラ。


テレビの中で笑ってる、私じゃなくて。
心の中で、アタシヲアイシテ、って叫んでる、私を。
本当の、私を。

─────
145 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時58分10秒

何を話したかった、っていうワケでもない。
ただ、声が聞きたかった。
あなたの、声が。


私のモノじゃない、あなたの、声を。


『・・・・あ、ごっちん?』

ちょっと焦ったみたいな、あなたの声。
低めの声が、私の耳をくすぐる。


何かが、自分の中で音を立てて崩れていく。


弱い、こんなに弱いアタシ。


あふれる、涙。
声を聞くだけで、良かったの。
146 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)15時59分17秒
「元気?」って、ただそれだけを聞こうと、思ってた。
「明日遅刻すんなよ」って笑う、あなたの声を聞いて、電話を切ろうって。



私の唇は、まるで違う言葉を紡ぎだして、あなたを困らせる。

あなたを困らせたくない。
困らせたくなんか、ないのに。


電話の向こうに、あなたじゃない人の気配。
最初から、気付いてた。

それが、誰なのかも。

─────
147 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)16時00分08秒
急に切れた、電話。
無機質な発信音が、急に私を現実に引き戻す。


私、何やってんだろ。


・・・・こうなることも、分かってたんでしょ?
声聞くだけでいい、って、ホントに思ってたの?



泣いてる私のもとに飛んでくる、王子様。
「だいじょうぶ?」って、息を切らせながら。

「アタシがいるじゃん」
そう言いながら、私を抱きしめる、アナタ。



ホントは分かってる。
あなたの腕の中にいるのは私じゃない。

私じゃないんだ。
148 名前:See you in my dreams 投稿日:2002年02月12日(火)16時01分24秒
無造作に棚に並べてある香水の一つを、手に取る。

アナタと、同じ香りのする、その香水。

そっと首筋に吹きつけて、目を閉じる。


引き出しの中から、めったに吸わない煙草を取りだして、火をつける。
知ってるんだ、アナタの吸ってる煙草。



窓を開けて、星を眺める。
青い煙が、冷たい空気の中に消えていく。


まだ長いまんまの煙草を、灰皿に押しつける。

大きく息を吸い込んで、もう一度目を閉じる。


アナタの、香り。
アナタの、煙草の匂い。




このまま、眠っちゃおう。

目を閉じれば、きっと、アタシは、あなたの腕の中にいられる。
149 名前:うたかた 投稿日:2002年02月12日(火)16時04分04秒
−end−

↑エンドマークつけるの忘れた(w
今回のゴチーン編は言うまでもなく?、前回のいしよしの裏エピソードですのでヨロシク。

それでは今後も(今度はいしよしで)ご愛顧の程、お願い申し上げます。
150 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月13日(水)06時42分42秒
もちろん御愛顧でございます…
151 名前:夜叉 投稿日:2002年02月13日(水)22時36分47秒
大漁交信有難うございます。
裏エピソード、こういうの好きです。←はっ、告白してしまいました(汗。
いしよしは、いつもながら(略。w
こちらこそよろしくお願いしますね。
152 名前:33 投稿日:2002年02月23日(土)10時56分32秒
今後も期待してお待ちしてますm(--)m
決して、まだかなぁ〜?と言ってるわけではありません(笑)
153 名前:うたかた 投稿日:2002年02月28日(木)17時51分27秒
レスを頂いた皆様、どうもありがとうございます。
今しばらく、どうかお待ちいただければと・・・
来週中にはどうにかネタを絞り出す所存ですのでm(__)m
154 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月13日(土)13時11分16秒
作者さーーん。待ってますよ!!
155 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月21日(日)22時44分04秒
これが一番好きな小説・・・・・・・・・・・・・・・・がんばって! 
156 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)19時51分01秒
まってますよ〜〜〜
157 名前:うたかた 投稿日:2002年05月13日(月)21時49分12秒
もう忘れられているかと思っておりましたが・・・ありがとうございます>待っていて
頂いている皆様

今晩中に少しだけ、あげる予定です。
ほんの少し、お待ち下さい・・・m(__)m
158 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時33分41秒
「・・・・じゃ、お疲れさまでしたー」


ふぅ。

スタジオの隅にある椅子に座って、ペットボトルに入った水をごくり、と
一口飲んだ。



やっとオシマイ、か。
何だか今日は疲れたなー・・・。

久しぶりにきついレッスンだったからかな。
それとも私、最近運動不足なのかもしんない。


そう言えば、ここのオニク、ちょっと気になってきたかも・・。




「・・・・梨華ちゃん、何やってんの」


右腕をちょっと上げて、自分の二の腕を「カクニン」していた私のうしろで、
聞き慣れた、ちょっと低めの、あの声。
159 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時34分28秒
「あは、よっすぃー・・・・」


ちょっと慌てたフリをして振り向くと、甘い瞳が私をのぞきこんでいた。



「あはは、梨華ちゃん、もしかして、ココが気になってるとか」


笑いながら、彼女は自分の二の腕を自分でぷにぷに、と触ってみせる。




「・・・ま、そんなところ、かな?」


ちょっと恥ずかしいな。

ひとみちゃんに見られちゃった。


赤くなった顔を隠すように、私は椅子から立ち上がってシャワールームへと足を向けた。
160 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時35分35秒
「梨華ちゃん、ちょっと待って?」


え?


振り向くと、いつもの、あの「ナニカタクランデル」目が私を見つめてる。


「ね、今からうち、来ない?」


いつもの「お誘い」。

いつもと違うのは、そのタイミングがあまりにも早いこと。


まだ私、シャワーも浴びてないし、着替えてもないのに。

ひとみちゃんだってそうでしょ?


「ね?いいでしょ」

私が肯くと、彼女は満面の笑みで私の手を取った。
161 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時36分40秒
「ちょ、ちょっと待ってよ、よ、よっすぃ・・」


ん?と小首を傾げた彼女に向かって私は必死で言葉を紡ぐ。


「だ、だって私まだ、こんな格好だし、それに、シャワーだっ・・・」

「問答無用」


私の言葉を途中でさえぎって、彼女は強引に私をスタジオの外へと連れ出した。



─────

ひとみちゃんちへ向かう、タクシーの中。

私の膝の上には、やっとの思いでつかんできた自分の荷物だけ。


・・・・ていうか、こんな格好でタクシーに乗ったの、初めてだよ・・・。

グレーのTシャツに、黒の短パン。
顔を隠すための帽子も、メガネも、スタジオに置いたまま。
162 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時37分27秒
はぁ、運転手さん、どう思ってるのかなあ。

ああ、もしかしたら汗くさいかも・・・
もう私、ハズカシクテ死んじゃいたいよぅ・・・


横目で、隣に座ってる彼女の様子を窺ってみた。


彼女は、私と同じTシャツ姿でぼんやり外を眺めてた。

その瞳には、流れる夜景が映ってる。

窓ガラスに映ったその姿は、

とってもキレイ。


「・・・・ね、よっすぃ」

呼びかけても、彼女は無反応。

何すねてるんだろ。
163 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時38分18秒
「よっすぃー、ってば」

やっぱり、返事がない。


はー、って一つため息をついて前に向き直ると、彼女に思い切り肩をこづかれた。


「い、痛っ」


何すんのよっ、ともう一度彼女の方を振り向くと、彼女の指が、
曇った窓ガラスに何か文字を書いてる。



「よ」「っ」「す」「ぃ」「じ」「ゃ」


「な」「い」「で」「し」「ょ」「?」
164 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月14日(火)00時39分06秒
私は思わず微笑んで、彼女の左手をぎゅ、と握った。

それでも彼女はまだ、外を見つめたまま。

何だかわけのわかんない図形を窓ガラスに書き散らしてる。


「あんまりいたずらしてたら、運転手さんに怒られちゃうよ」


そう言うと、彼女の腕を引っ張って、体をこっちに引き寄せる。


「あいたた」

こっちに倒れ込んできた彼女の耳元で、もう一回、ささやく。



あんまりいたずらしてたら、怒られちゃうよ。



ひとみちゃん。
165 名前:うたかた 投稿日:2002年05月14日(火)00時41分40秒
何ヶ月かぶりの更新で、たったこれだけとは・・・(泣)
とにかく、放置状態にしてしまったことをお詫びいたします。

これからちょこちょこ更新して行きたいと思っております。
もし読んで下さっている方がいらっしゃるならば、これからもよろしくお願いいたします。

この後はエ(略

とにかく、また頑張らせて頂きますのでよろしくお願いします。
166 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)01時05分13秒
楽しみが増えたよ。
ガンバレ〜
167 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)04時06分10秒
お帰りなさい!うれしいぞ〜
作者さんのペースで頑張ってくださいね。
168 名前:33 投稿日:2002年05月14日(火)09時49分41秒
おかえりなさい!!
待ってましたよぉ〜
うたかたさんのペースで頑張って下さい!!
169 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)18時29分24秒
おかえりなさ〜い!
作者さんの作品大好きなんで嬉しいです♪
次回のエ(略)も楽しみにしてまっす
170 名前:うたかた 投稿日:2002年05月15日(水)01時45分41秒
今晩も少しだけ更新です。

>166さん
読者さまの「楽しみ」になれるかどうかは不明ですが(w
少しずつ、やっていきたいと思ってます。よろしくお願いします。

>167さん
ありがとうございます。まさに「牛歩」ペースですけれども、見捨てないでやって下さいませ・・

>33さん
本当にお待たせいたしました。まだ待っていて下さって、マージーデうれしいです。
これからもよろしくお願いします。

>169さん
大好きとはテレでございます。テレ
エ(略)は今回はちょっと少な目に・・・いや多いかも(苦笑)

それでは続きをどうぞ。
171 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時46分47秒
─────


やっと機嫌が直った彼女が、こっちを向いて微笑む。


「ね、びっくりした?」

「え、何によ」

「いきなり外に連れ出しちゃったから」


・・・・そりゃー、びっくりしましたよ。

その言葉を飲み込んで、別の質問。



「・・・で、なんでひとみちゃんはソンナコトしたわけ?」

「ひーみーつー」



そう言って、私の手を握り返す、彼女。

再び目線を外に向けて、流れる夜景をぼんやり見てる、黒く濡れた瞳。
172 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時47分53秒
もしかして何にも考えてないんじゃないの、なんて思っちゃうんだけどな。


ふぅ。

小さくため息をついて、膝に置いたバッグを自分の方に引き寄せた。


どさ。

バッグの中から、何かが足下に落ちた。




「・・・・あっ」

慌てて拾い上げようとする私を、今度は彼女が強引に引き寄せる。


「いーじゃん、あとで」

「あ、あとでって、今拾った方が」

「いーじゃん」


彼女はそう言うと、私の手を強く握ったまま、背もたれに深く腰掛けた。
173 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時49分20秒


「・・・・もぅ」


足下に落ちたモノを拾うのはあきらめて、私も窓の外に目をやる。



流れてゆく、光の帯。

空に瞬いているはずの星は、雲に隠れてる。


雲のすきまにぼんやり浮かんでる、白い月。

その姿を確かめようと、私が目を凝らした時。

174 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時49分54秒
─────

膝の上に置いてるバッグの下に、すっと彼女の手が伸びた。


「・・・っ!」


驚いて彼女の方を見ると、目線はさっきと変わらずに外へ向いたまま。

その手は別の生き物みたいに、ゆっくり、私の足を這い回る。


「ちょ、ちょっとひとみちゃ・・・」

「静かに」

「・・・・で、でもっ・・・」

「静かにして」



175 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時50分46秒
いつもよりぎこちない、左手。



何だか痺れてきた。

どこが痺れてるのかも、ワカンナイ。

膝の上の荷物を、両腕でぎゅうう、と抱きしめた。



ぎこちない指は、いつの間にか私の足の間を、下着越しに這い回っている。

彼女の目線は、相変わらず外に向けられたまま。

いつの間にか降り出した雨が、ばしゃばしゃ、と窓に当たるのを見つめてる。


176 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時51分30秒


「・・・・雨、降って来ちゃいましたね」

運転手さんの声が、何だか遠くから聞こえてくるみたい。


「・・・そうですね」

小さく答える彼女の声は、いつもと変わらない、あの低めの声。



「・・・・でも、私、雨、好きなんです」

そう言いながら、彼女は下着の間から直接、私に、触れた。


ソウナンデスカ、と運転手さんの答える声は、もう、私の耳には届かない。



外は雨。

もう、月も見えない。


177 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月15日(水)01時52分35秒


奥歯を噛みしめて、ため息を飲み込む。

体が、アツイ。

痛いくらいに。



雨粒が、ばしゃばしゃ、と窓を叩いてる。

車の中には、雨の音と。

彼女の指が立てる、水の音。



私はただ、窓に当たる雨だけを、見つめてる。
178 名前:うたかた 投稿日:2002年05月15日(水)01時53分49秒
今回も少な目ですがここまでです。
まだまだ続くエ(略

またちょこちょこ頑張りますので・・・
179 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月15日(水)03時08分00秒
ううっ、ものすごくエ(略
やばいっす。めちゃツボっす。落ち着け自分!

さらなる展開に期待しつつ…ハアハア…
180 名前:うたかた 投稿日:2002年05月16日(木)00時20分38秒
再び更新です。
週末は更新できませんので、ちょこちょこと今のうちに。

>179さん
私の書くeroでハァハァして頂いて光栄です(w

では続きを。
181 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時21分36秒


─────


自分の頬が、焼けるように熱くなってるのを感じる。

焼けるような、痛み。

痛み、じゃなくて。

────快感。



運転手さんが、バックミラー越しにちらり、と私の顔を見た。

「お客さん、大丈夫? 気分、悪いんですか?」

ダイジョウブ、デス、と答えた声は、自分でも笑っちゃうくらいに、震えてる。


「本当に大丈夫ですか? 車、止めましょうか?」


だめだ、バレちゃう。

運転手さんが振り向こうとしたその瞬間。


182 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時22分35秒


・・・ピピピピピ。

私の足下から、電子音。

私は急いで身をかがめ、足下の携帯電話を拾い上げた。



運転手さんは、ちょっと小首を傾げると、視線を前へと戻した。

私は一つ深呼吸をして、通話ボタンを押す。



「・・・・もしもし?」

『もしもーし、石川ー?』

・・・・飯田さんだ。
183 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時23分22秒


「・・・っは、はいっ。ど、どうしたんですか?」

頭がパニックになっちゃって、自分でも何を言ってるのかわかんない。


『あー、石川今日急に帰っちゃったからさー、明日の連絡がさー』

「す、すみません」

『でねー、その明日の事なんだけど、入りの時間がねー』


遊んでる彼女の指は、こんな時なのに、一番敏感な部分を探し出す。

横目で睨みつけても、私の方を見ていない彼女は知らん顔。


・・・・ホントに、何考えてるんだか、全くわかんないよ・・・


ゆっくり押し寄せてくる波に飲まれそうになりながら。

飯田さんの声が、遠ざかったり近づいたりするのをぼんやり感じていた。



「あ、ほ、本当にわざわざ、あの、ん、、、」

思わず、甘いため息がひとつ、漏れる。


184 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時24分23秒


『はあ〜? 石川ー、なーに色っぽい声出してんの〜?』

飯田さんの笑い声が、携帯電話を通して車内にまで響いた。


もう、ダメ。
もう、限界。
もう。


私の手から携帯電話が滑り落ちる。

両手で顔を覆って、自分の手の平を噛みしめる。

その「瞬間」、膝ががくがくと震えたのを、感じた。



涙がこぼれた。

次から次から。

恥ずかしいのか、悔しいのか、怒りたいのか、
自分でも分からないまま。


ただ、涙がこぼれ続けた。

185 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時25分48秒


─────


彼女はゆっくりと私から指を離すと、私の携帯電話を拾い上げた。


「・・・あ、もしもし、飯田さんですか?吉澤です」

心配そうに声を張り上げる飯田さんの声が聞こえる。


「何か梨華ちゃん、気分が悪いらしくて・・・・はい、はい、すみません、じゃ」

ピッ。


電話を切ると、運転手さんに、ソコデイイデス、と声をかける。

不審そうな声で料金を告げる彼に、彼女は料金を払って小さく頭を下げた。


186 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月16日(木)00時27分08秒


彼女のうちまでは、歩いてあと10分くらい。

私は、降り続ける雨の中で、しゃがみ込んで顔を覆った。


冷たい、雨。
アツイ、体。

涙は止まらない。


187 名前:うたかた 投稿日:2002年05月16日(木)00時30分20秒
とりあえずここまでで。

いつも中途半端で申し訳ありませんm(__)m
188 名前:ぷー 投稿日:2002年05月16日(木)00時54分54秒
なんか感想が言いたくて思わずレスしてしまいました。
復活してくれてほんと嬉しいです。
吉はたぶんいい子なんですか(w
今からハロモニやるんで。
189 名前:179 投稿日:2002年05月16日(木)07時14分02秒
うたかたさんの書く、行為自体の描写もめちゃエ(自粛)なんですが、
そのまわりの情景とか気持ちの描写がすごく好きです。
すごく好きな文章だな〜、と。
ハマってるなあ、自分。こんな朝から(w
190 名前:うたかた 投稿日:2002年05月17日(金)01時14分09秒
また少しだけ。このエピソードは今回の更新で完結です。
次回は未定ですが(w
もちろんまた戻ってきますので。

>ぷーさん
ありがとうございます。
私が唯一録画してる番組がハロモニだったり・・・(ダメ
吉はきっといい子です。

>179さん
お褒めに与り光栄でございます・・・
文章力はまだまだ修行中です。

でわ完結編どうぞ。
191 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時15分13秒
─────


「・・・・梨華ちゃん」

小さい、雨の音で消えてしまいそうな程、小さい声。


のろのろと顔を上げた。


私の涙と、雨のせいで。

彼女の顔がぼんやりと揺れてる。
192 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時15分57秒


見えないよ。
ひとみちゃんの顔が、見えない。

もっと。
もっと近くで。

あなたの顔を、見せて。


「・・・梨華、ちゃん」

もう一度、名前を呼ばれた時。



私は彼女にしがみついて、泣いてた。

声を上げて。
まるで、ちいちゃな子供が泣くみたいに。

わんわん泣いてた。
193 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時16分50秒


何デ、アンナコト、シタノヨ
ヒトミチャンナンカ、ダイキライ
ダイキライダイキライ


背中に回されてる手は、暖かくて。

私の濡れた髪に落とされる唇は、雨で、冷たい。


ゴメンネ
ダッテ、
リカチャンノコト、ダイスキダカラ
ゴメンネ


194 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時17分43秒


暖かい腕に抱きしめられて。

冷たい唇で何度もキスされて。


私は、泣きじゃくってた。


ヒトミチャン

ダイスキ
ダイスキ


195 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時18分31秒

─────

手を繋いだ、帰り道。

雨は、小降りになってきた。


「あー、傘、持ってきたら良かったねー」

「・・・・遅いって、ひとみちゃん」


彼女のうちまで、あと少し。


「あ、タクシー代」

「うー、それは結構です」

「え?いいよ、払うよ」

「あのー、本当にいいです」

196 名前:Crazy about you 投稿日:2002年05月17日(金)01時19分40秒

少しは、反省してるのかな?


「・・・タクシーの運転手さん、気付いてたよね」

「・・・気付いてました、かね」

「あれで気付かないわけないと思うけどね」


彼女は照れ隠しに、歩きながら、何度も私に口づける。


くすぐったい。


今、東京のどこかを走ってる、運転手さん。

今日起こった出来事は、秘密にしておいて下さい。



−end−
197 名前:うたかた 投稿日:2002年05月17日(金)01時20分36秒
みじかー。
というわけでオシマイですが。

また近いウチにここでお世話になると思いますのでよろしくお願いします。
198 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月17日(金)01時58分50秒

今、東京のどこかを流している運転手さん。

ゼヒ、レポートをお願いします(w
199 名前:179 投稿日:2002年05月17日(金)02時27分16秒
切っても切れない二人って、こういうのを言うのかなーと思いました。
何があっても気持ちのベクトルは相手にだけ向かってるんですね。

更新お疲れさまでした。
次回作も楽しみに待ってます!
200 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月18日(土)02時28分13秒
やっぱりうたかたさんの書く描写って
凄く綺麗でリアルで大好っきでございます♪
今回もまことにおいしくいただけました〜

そして運転手さんレポート書い(略
201 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月04日(火)04時21分15秒
初レスです。
同じ板でしょぼいエ(自主規制)を書き散らしておる者です。
最初から読んではいたのですが、亀レスでスミマセン(;^▽^)
作者さんの綺麗な描写にただただ平伏すばかりでございます。萌え〜(*^▽^)
自分も運転手さんレポート書い(ry
では続き、楽しみにしてます。


202 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月04日(火)04時22分58秒
(;^▽^)<上のメール欄、シパーイです。スレ汚し、スマソ

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