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いちばん信頼できる人
- 1 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月14日(金)21時47分59秒
- いしよし小説です。甘めというか切ない系になる予定です。
他のメンバーも何人か登場いたします。
- 2 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時48分40秒
- 都内のあるボクシングジム。
吉澤ひとみはサンドバッグを相手に無心に闘っている。
彼女のスケジュールは、夕方に起きてこのジムで一汗流して、シャワーを浴び、
それから仕事に行き、朝帰ってきて寝る。
ほぼ毎日、コレの繰り返しで、はや3年になろうとしている。
今日は日曜日で、ひとみの仕事は休みであったが、ジム通いは日課になっている。
シャワーを浴びた後、夕食のための食材を買い求めて、スーパーに寄った。
- 3 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時49分16秒
- ビニール袋を下げて、マンションに向かう。
ちなみにひとみの住んでいるところは、女性専用の5階立ての最上階。
オートロックであり、管理人も常時勤務のため、男子は基本的に入れないようになってる。
もちろん、お年頃の女性達がいるところだから、こっそり入ってきている男性がいるのは、
当然といえば当然なことだ。
マンションの前に2人の人影があった。
遠くから見てもわかるほど、何か言い争いをしているようだった。
ひとみは歩きながら、目を凝らしてその人物を見る。
- 4 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時49分46秒
- (あれ?あの人、ウチの隣りの部屋の人だよなぁ)
彼女は普通のOLらしく、朝はひとみが仕事帰りで彼女が出勤、
夜は仕事に行く前にジムから一旦家に帰るのだが、そのときに、
今日のように会ったりするので、普通に挨拶をする程度の仲ではある。
相手は男の人のようだ。単なる恋人同士のケンカであろうか。
とりあえず、ひとみは、少し手前で足を止めて、様子を見ることにした。
- 5 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時50分34秒
- 「だから、もう来ないでって言ったでしょ!家にも会社にも」
「お前のことが心配なんだよ!」
「私たち、もう別れたんだから、心配なんかしてくれなくていいの」
「オレは別れたなんて思ってない!ちゃんと話合おう」
「話合うことなんて何もない」
男が彼女の腕をつかんだ。
「お前がオレの話、聞いてくれるまで、帰んねーよ!」
「やめてよ、放してよっ!」
「だから、ちゃんと話ししてくれるんなら、放してやるよ」
「この前、話したでしょ?アレが私の気持ちの全部だから、もう話すことなんてない」
「そんなお前の一方的な気持ちなんか、オレは納得してない」
「あなた、自分がどんなことしてきたか、わかってるの!?」
- 6 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時51分16秒
- なかなか決着のつきそうにない争いを、入り口の前でやられてしまって、
ひとみはマンションに入るに入れないで、困っていた。
(うーん、どっちが悪いっていうもんじゃないけど、とりあえず、隣の人だし、
助けておこうかな)
ひとみは、2人に近づいていった。
「あのー、すみません、入りたいんですけど」
女性の方が、驚いて頭を下げる。
「あ、すみませんっ!」
男は頭を下げることはもちろん、ひとみの方を見ることすらしなかった。
彼女が腕を振り解こうとするも、不可能なようだった。
- 7 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時51分48秒
- 「彼女、イヤがってるじゃないですか?」
落ち着いた声で、男に向かって言う。
「あんたには、関係ないだろ」
男は聞く耳持たずという態度だ。
「そりゃ直接は関係ないですけど、こういうところで、こういうことされると、
住民としては迷惑なんですよ。とりあえず、帰ってもらえませんか?」
「オレはこいつが話ししてくれたら、帰るって言ってんだよ!」
「だから、もう話すことなんてないのっ!」
彼女の方は、涙目になっていた。
- 8 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時52分22秒
- (仕方ないなぁ)
ひとみは、彼女の腕を掴んでいた男の腕をグッとひねりあげる。
ボクシングで鍛えているので、腕力には自信があるのだ。
男は思わず、腕を放してしまう。
「な、なにすんだよっ!放せよ」
ひとみは、男の腕をまだ強く掴んだままだった。
「あなたが帰るっていうまで、放しません」
ひとみはいたって冷静に答えた。
女は、ひとみの背中の方に隠れてはいたが、どうしたらいいのかわからず、
おろおろしているようだった。
- 9 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時52分58秒
- 男は、逆の手でひとみの腕を掴むが、力の差ははっきりとしていた。
痛みで顔がゆがんできて、脂汗まで出てきている。
「わ、わかった…今日のところは帰る…」
ひとみが腕を放すと、男は女の方を見た。
「また来るからな」
「もう来ないで!」
男はその言葉は聞かずに、ひとみをチラリとだけにらみ、走っていってしまった。
- 10 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時53分39秒
- 男の姿が完全に見えなくなったのを確認すると、ひとみは女の方を向いた。
「大丈夫だった?」
「あ…すみませんでした…」
彼女はボンヤリとしながらも、深々と頭を下げた。
ひとみは、ニコッと微笑んで首を横に振った。
そのまま、何もなかったかのように、オートロックを開け、マンションに入っていく。
彼女もそれに続いた。
エレベーターに2人揃って乗り込む。
すると彼女はやっと完全に安心できたせいなのか、体を震わせ、泣き始めた。
- 11 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時54分50秒
- 「あ、あの、大丈夫?」
ひとみは、女の涙には非常に弱かった。
「…コレさ、よかったら使って」
ひとみは自分のジーンズのポケットから、ハンカチを取り出し、彼女に渡した。
「…あ、ありがと…」
彼女は鼻をグズグズいわせながらも、それを受け取り、涙を拭いた。
そうしてるうちに、目的の5階に着いた。
エレベーターから下りても、彼女の泣き止む気配はなかった。
- 12 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時55分23秒
- 「あ、あのさ、よかったら、ウチ、話し聞こうか?
人に話しするだけでも、気が紛れることもあるだろうし」
「で、でも…」
彼女は戸惑っているようだった。さらに、まだ涙は止まらない。
そして、部屋の前に着いてしまう。
「ま、どうせ、隣なんだし、何かあったら、チャイム鳴らしてくれればいいから」
あまり付きまとうのも、大きなお世話かもしれないと思い、
じゃあというように、片手をあげて、ひとみは自分の部屋のカギを取り出した。
- 13 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月14日(金)21時55分53秒
- と、手をふいに掴まれた。
「あ、あの、迷惑じゃなければ…話し聞いてもらっても、いいですか?…」
彼女はすがるように、ひとみをうるんだ目で見上げた。
ひとみは、一瞬ドキッとしてしまった。
(…この子、結構かわいいんじゃん。今までちゃんと見たことなかったけど)
「うん、今日休みだし、暇だから、全然いいよー。あ、ごはん食べた?」
彼女は首を横に振った。
「あ、じゃあ、よかったらウチで食べてってよ」
「えっ?でも…」
「1人分も2人分も作る手間、同じだからさ」
ひとみは、自分の手にしているスーパーの袋を『コレだよ』というように上に上げた。
そして、ひとみはドアを開けて、彼女をうながした。
- 14 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月14日(金)21時59分11秒
- 更新です。
年齢の設定は全員が今より5歳くらい上の成人になります。
よっすぃーは21歳っつーことです。
更新時期などまちまちになってしまうと思うのですが、
よろしかったらお付き合い下さいませ。
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)23時11分05秒
- 年齢大人ないしよし
楽しみ
- 16 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月14日(金)23時56分14秒
- 師匠の新連載待ってました!!
ガンバッテ下さい!!!応援してます!
- 17 名前:ポー 投稿日:2001年12月15日(土)00時24分47秒
- う〜ん(´u`)いしよしいいっスか!?続きが早くみたいです☆
- 18 名前:ポー 投稿日:2001年12月15日(土)00時28分21秒
- 変な言葉になってる↓...いしよしっスか!?です。。
- 19 名前:理科。 投稿日:2001年12月15日(土)03時21分51秒
キャ〜!お待ちしてました♪
頑張ってくださいね〜!
- 20 名前:夜叉 投稿日:2001年12月15日(土)23時58分33秒
- あわわわ〜。
新作ありがとうございます。
心待ちにしてました♪。
楽しみにしてますんで、頑張ってください。
- 21 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時44分45秒
- このマンションの部屋はほぼ全て同じ作りの1DKで、わりと広めのものである。
ひとみは、元々キレイ好きだし、あまりモノもないので、部屋はきちんと片付いていた。
「あ、そのソファーにでも座っててー」
テレビの前にテーブルを挟んで、ローソファー―1人ならゆったり、2人だと少し狭いサイズ―
が置かれていた。
彼女は腰を下ろした。
ひとみは、キッチンでやかんに火をかけると、こちらにやってきて、テレビをつけた。
「あの、さ、すごく失礼なこと聞いていい?」
彼女は少し不安そうな顔になったが
「…はい」
と小さく答えた。
- 22 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時47分54秒
- 「…名前、なんだっけ?」
ひとみは、彼女が引っ越してきた半年くらい前に、ちゃんと自己紹介してもらったのだが、
すっかり忘れてしまっていた。
彼女は、自分に尋ねられたことがあまりに意外すぎて、ポカンとした表情になってしまった。
「あ、ウチは吉澤。吉澤ひとみ」
とりあえず、自分のことを紹介する。たぶん、彼女の方も覚えていなかっただろう。
やっと、質問の意味が理解できて、安心したのか、少し微笑みながら彼女は答えた。
「…石川、梨華です」
「梨華ちゃんかぁ。改めまして、よろしくね」
ひとみがペコリと頭を下げる。
すると、お湯が沸いたことを知らせるやかんの音が鳴り響いた。
- 23 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時48分27秒
- ひとみはキッチンへ行くと、まもなくして梨華の方に戻ってきた。
「はいどうぞ。ゴハン前になんだけど、少し落ち着くかなって」
ホットココアの入ったカップがテーブルに置かれた。
「ゴハンできるまで、テレビでも見ててね」
そのカップの横に、テレビのリモコンも並べられた。
しばらくして、ひとみがお皿を運びはじめた。
「お待たせ〜。苦手なもんあったら、気にしないで残していいからね」
野菜の煮物、焼き魚、炊き込みご飯にお味噌汁といったものが、並べられた。
- 24 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時48分57秒
- 「じゃ、食べようか?」
梨華の隣に座って、ひとみが声をかける。
梨華は、テーブルの上の料理を見つめながら、ボー然としていた。
「…もしかして、和食ダメ?食べられるものないとか…」
梨華はブンブンというように横に首を振る。
「和食、大好きだよ。おいしそうだし、すごいなぁって思って」
梨華の目は期待に溢れるようにキラキラとしていた。
やはり、食事をつくっている時間で、少し落ち着いたのであろう。
梨華は、先ほどまでの不安そうな表情ではなくなっていた。
「よかったぁ!じゃ、食べて食べて」
「うん、いただきます!」
梨華はまずご飯を一口食べた。
「おいしいっ!」
「あははは、ありがと」
梨華はおかずにも手を伸ばしていって、一口食べるごとに『おいしい』を連発していた。
食事の間は、お互いの自己紹介のような会話をしていた。
- 25 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時49分27秒
- 年は梨華の方が1つ上だが、早生まれなので、ひとみと生まれ年は同じだった。
実家は神奈川なので通えないこともないのだが、短大を卒業して、
社会人になったのをきっかけに1人暮しをはじめて半年くらいになる。
ひとみは、実の親を知らない。小さい頃、孤児院で育ち、小学校にあがるときに、
ある夫婦が引き取ってくれることになったのだ。
とても優しく本当の子供のように育てられたひとみだったが、
大学受験をひかえた高校3年の冬に悲劇は起こった。
交通事故で両親とも他界してしまったのだ。
たまたまひとみは受験勉強で家に残ってため、1人無事であった。
血の繋がりのないひとみは肩身を狭く感じ、親族の遺産争いに巻き込まれるのも、
嫌だったため、大学をあきらめ家を出て、働こうと思ったのである。
そのとき、事情を知った近所に住むお姉さんが、今の店の店長を紹介してくれ、
お世話になることを決めたのであった。
- 26 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時50分03秒
- 「…今のお店の人もお客さんもみんないい人でさあ、ウチ、
本当に周りの人に恵まれてると思うんだよねー」
ひとみはそんな自分のことあっけらかんと話していたが、
聞いていた梨華が涙目になっていた。
「…吉澤さん、そんな、そんな、苦労してきたんだね…」
「ナニ言ってんの、全然苦労なんかしてないよ〜。
あ、そんな『さん』付けしなくていいよ。『よし』って呼んでくれればいいから」
「え〜、なんか男の子みたいじゃない?」
ひとみは、その言葉に一瞬ドキッとしていた。
「あ、じゃあ『よっすぃー』って呼んで!」
「よっすぃー???」
「うん、ウチの常連さんがつけてくれたあだ名なんだ、なんか面白いでしょ」
「うん、じゃそう呼ばせてもらうね、よっすぃー!」
梨華はニコニコとうれしそうに言うので、ひとみも微笑み返した。
- 27 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月17日(月)12時50分39秒
- 「…ごちそうさまでした。あ、洗い物は私がやるよー」
「あ、じゃあ、お願いするね」
2人で流し台まで食器を運ぶと、梨華がはりきって洗いはじめた。
「そうだ!梨華ちゃん、ワイン飲める?」
「うん、好きだよ」
「この前もらったんだけど、家で1人であんま飲む気になれなくてさあ、飲もうか?」
「うんっ!」
梨華が洗い物をしている横で、ひとみは簡単なおつまみを作り始めた。
梨華は横目で感心したように見ていた。
「一応、仕事でやってるから、ね」
ひとみの勤めているところはバーなのだが、わりと食事もキチンとしていると
評判の店なのである。
「すごいなぁ、今度、お料理教えてくれる?」
「そんな人に教えるほどの腕前じゃないよー」
「そんなことないよー、すごいもん!」
梨華が戻ってきたときには、すでにワインとグラス、そしておつまみが
テーブルの上に並べられていた。
ひとみが、いい音をさせてコルクを抜くと、また梨華はキラキラとした目で、
「すごーい!」
とつぶやいていた。
- 28 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月17日(月)12時59分29秒
- 更新です。ちょっと暗めのトーンでまったりといくことになりそうです…
>15さん
どうもです。大人な年齢の設定のモノって、あんまりないかなと思って挑戦してみました(笑)
>Charmy Blueさん
師匠なんてとんでもございません!
たくさんの良い作品をずっと続けられているなんて、本当にスゴイですよ!
>ポーさん
はい、いしよしです(笑)やっぱり自分が好きな二人なもので…
>理科。さん
ありがとうございます。いつも笑わせてもらってます(笑)
理科。さんみたいなタッチのものも書いてみたいんですけど、私には無理です(笑)
>夜叉さん
ありがとうございます。ご期待に答えられるか不安ですが、がんばります!
- 29 名前:夜叉 投稿日:2001年12月17日(月)20時22分11秒
- >ちょっと暗めのトーンでまったりといくことになりそうです…
暗いですかね?そんなことないですよ。
このまったり感が何とも言えず、心地いいのですが、何か?(w
優しくて、大人の吉に萌え。
- 30 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月18日(火)00時35分03秒
- 大人な、いしよしも良いですね。
誰が何と言おうと私にとっては、ラッキーさんが師匠です!(w
あぁ迷惑なら・・・心の中で勝手に想い続けます(いいですよね?
- 31 名前:理科。 投稿日:2001年12月18日(火)05時35分47秒
わぁ!読んでくれてるんですか?あの恥ずかしい駄作を…。
って、このよっすぃ〜カッケ〜です!!
また楽しみが増えて良かった…。ありがとぉ!ラッキーさん!!
- 32 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時16分25秒
- お酒が入ってきたので、話しやすくなったためか、自然と恋の話しになっていった。
ひとみには、もう付き合って2年以上になる彼氏がいる。
ジムで知り合った人で、昔はボクサーを目指していたのだが、
今はあきらめて、新しい夢であるお店経営をするために、居酒屋で修行中である。
「じゃあ、将来結婚とかしたら、2人でお店できるんだね〜
なんかいいなぁ、そういうのって」
梨華が遠くを見つめながら、夢見る少女のように言う。
「あー、そういうのもアリかもね。
でも、ウチは自分で経営とかするより、雇われてる方が気楽でいいんだけどな」
「でも、彼氏は一緒にやりたいんだよ、きっと!」
「ん〜、どうなんだろ?」
「いいなぁ、幸せそうで…私なんか…」
梨華は急にさみしそうな表情になり、うつむいてしまった。
「…さっきの人って、彼氏、だよね?」
ひとみも聞きづらいと思いながらも、口を開いた。
「…うん、でも、先週、別れ話しはしたんだけどね…」
- 33 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時17分16秒
- 梨華は彼と2年前の春に同じサークルの2つ先輩として知り合った。
学生時代は本当に仲良くやっていたのだが、お互い就職して、
しかも彼はサービス業で土日が休みではないのが基本で、すれ違いの日々が続いていた。
ある平日の夜、梨華は会社の男の先輩に誘われて、2人で飲みに行ったことがあった。
帰り道、その先輩は梨華と並んで歩いているとき、肩を組んできたのだ。
梨華も先輩だから拒否するのも悪いし、酔っ払っているからだと思い、
あまり気にせずにそのまま歩いていた。
もちろん、それ以上のことはなかったのだが、それをたまたま、彼が目撃してしまっていた。
その場では、声をかけられなかったのだが、すぐにその後、電話がかかってきて、
梨華は問い詰められた。
もちろん、梨華はやましいこともないので、全てありのまま伝えたのだが、
それから、彼はやたらと会社の人に嫉妬をするようになった。
- 34 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時18分38秒
- ある日、梨華が出社すると、なぜか彼がビルの前に立っていて、
ビルに入っていく男の人をことごとくにらみつけているのだ。
驚いて梨華が声をかけると、『お前のことが心配だから』と言う。
梨華が『やめて』といくら言っても、自分が休みの平日には朝から晩まで、
そうやって会社の前にいるのだ。
土日が休みにあたったときは、今日のように梨華の家の前で待つという行為が、
1ヶ月ほど続いた。
梨華もすっかり変わってしまった彼のことが、いい加減イヤになってしまい、
別れ話しをしたのだが、彼は全く納得をしなかったので、
一方的に別れを告げるという形になってしまったのだが。
「今じゃ本当に怖いとしか思えなくて…なんかずっと見られてるような気分で」
梨華はおびえるように目を閉じた。
- 35 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時19分19秒
- (それって、ストーカーだよなぁ)
「もしさ、これからも続くようだったら、警察に言った方がいいかもね…」
「…警察?」
梨華は思いもよらない答えが返ってきたように、きょとんとしていた。
「ほら、そういう人って、自分で悪いことしてると思ってないから、
警察に1度注意されるだけで、やめる人が多いって聞いたことあるからさ」
「・・・」
「もちろん、それだけ付き合ってたんだし、そんな警察に突き出すなんて…
って思うんだろうけどさぁ…」
梨華はハッとしたように顔を上げる。
「会社の方は警備員さんとかいないの?ここだったらさ、管理人さんに
話ししておいた方がいいかもしれないし」
梨華はまだ考えあぐねているようだった。
「ま、私がいるときだったら、今日みたいに追っ払うことぐらいはできるけどね」
ひとみがニッコリと微笑むと、梨華もやっと安心したのか、少し表情が和らいだ。
- 36 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時19分59秒
- そのとき、ひとみの携帯が鳴った。
ひとみは梨華に「ゴメン」と言って、電話をとりながら、部屋に入ってドアを閉めた。
「よっすぃー?矢口だよー」
「あ、真里さん?どうしたんですか?」
電話の相手は、お店の常連の矢口真里からであった。
『よっすぃー』というアダ名をつけた超本人でもある。
「よっすぃー、明日、お店出る?」
「はい、行きますよ」
「じゃ、早い時間に行ってもいいかな?」
「でも、店長いないっすよ、いいんですか?」
「うん、いないときに行きたいんだ〜もう、ひどいんだよ〜今日もさぁ…」
常連の上に店長の彼女である真里を邪険にすることはできず、
グチを30分以上も聞かされることになってしまった。
- 37 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時20分45秒
- やっと解放されて、リビングに戻ると、梨華はソファに丸くなって寝息をたてていた。
(気持ちよさそうに寝てるし、少しこのままにしてあげようね)
ひとみは布団を持ってきて、梨華にかけてやった。
ひとみは、クッションを置いて枕代わりにして床に横たわり、
借りてきていた映画のビデオを見始めた。
しかし、その内容があまり面白くなかったせいか、いつもは起きている時間なのに、
そのまま眠ってしまっていたようだった。
気がつくと、自分に布団がかけられていた。
(あ、梨華ちゃん…)
ひとみが、ソファの上に目をやると、彼女はいなかった。
(あれ、帰っちゃったかな…)
- 38 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時21分22秒
- ひとみが起き上がろうとすると、
「…ん…」
自分のすぐ隣から、声がした。
「梨華ちゃん!?何してんの?」
梨華は床の上で、ひとみの隣に寝ていたのだった。
「…あ、よっすぃー、起きた?」
梨華は、目を覚ましたときに、ひとみが寝ていたので、
自分にかけてもらっていた布団をかけてあげたのだ。
でも、このままで自分の部屋にも帰れず、どうしようかと思っていたと言った。
「なんか、そしたらまた眠くなっちゃったから、隣で寝させてもらったの」
「起こしてくれてよかったのに…」
「だって、気持ちよさそうだったから、悪いなって思って」
(あはは、ウチもさっき同じこと思ったな)
- 39 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時22分03秒
- 「まだ寝足りないんなら、ベッド、あっちの部屋にあるから、寝てっていいよ」
「…うーん、よっすぃー、一緒に寝てくれる?」
「なんだよ、それー。子供じゃないんだからー」
「だって、よっすぃー、すごくあったかくって、なんか安心するっていうか、
ホント、お母さんと一緒に寝てるみたいなカンジなんだもん」
本当に子供のような口調で、梨華はひとみの腕にしがみついた。
「もぉ、早く大人になって、親離れしないとダメだよ〜」
ひとみは、微笑みながら、なだめるように梨華の頭を撫でた。
「うー、子供じゃないもん!」
梨華は今度はすねたようになった。
(そんなとこが子供じゃん)
ひとみはクスッと笑いながら
「梨華ちゃん、明日仕事なんでしょ?お風呂入って、ちゃんと自分の布団で寝た方がいいよ」
「…あー、明日、仕事…行きたくないよお…」
「ダメ!ほら、起きて!」
- 40 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月18日(火)13時22分43秒
- ひとみは、梨華の腕をつかんで、体を起こした。
「やだやだやだー!」
梨華は首を振って、ひとみの胸に顔をうずめた。
(つーか、まんま子供じゃん)
ひとみは、ちょっとあきれたように、梨華を抱きかかえた格好のまま立ち上がった。
「また今度、隣で寝てあげるからー」
「ホントに?」
「うん、そのときは、ちゃんとベッドで寝ようね?」
「うんっ!」
梨華は笑顔で答えて、自分の部屋に帰っていった。
(ま、親元離れて半年とかだと、ホームシックとかもあるんだろうな。
いろいろ大変なんだなあ…しかし、それにしても年上とは思えないよ)
子供のような梨華の行動を思い出して、ひとみは自然と笑みがこぼれた。
- 41 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月18日(火)13時30分51秒
- 更新しました。
ちょっと設定説明がウダウダと長くてすみません。
そろそろ、他の人たちも出て来はじめますので…
それにしても、FLASH、いいですね〜(笑)
>夜叉さん
どうもです。これからもまったり路線でいかせてもらいます(笑)
>Charmy Blueさん
ありがとうございます。迷惑なんてことはありませんが、恐縮です(照)
>理科。さん
ボクらのヤッスー最高です(笑)
そういえば、ココのよっすぃーもお店で「ヨシ」と呼ばれてることになってます。
かぶってしまってスミマセン…
- 42 名前:夜叉 投稿日:2001年12月18日(火)17時51分09秒
- FLASH見て思ったんですが、石、腿のあたりにお肉が(略。w
個人的にはエスカレーターでの写真に爆笑。<あまりの凄さに(爆)。
まったり、まったり♪
少しずつでもいいから、二人の距離が縮まってほしいと思いますね。
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月19日(水)01時17分00秒
- 2人とも彼氏付きかぁ。これからどうなるのかなー
>>42
あれ、肉というか、服短すぎてちょっとお尻が見えてるんですよエッチぃ(w
- 44 名前:理科。 投稿日:2001年12月19日(水)02時11分04秒
カブるとかそんな事、気にしないでくださいな♪
全然私はそんなの構いません。
…いいですねぇ。この先、どうやってもっていくか
楽しみです♪
- 45 名前:吉胡麻系 投稿日:2001年12月19日(水)17時06分15秒
- どうも、初めてレスします。
いや〜、みなさんから師匠と呼ばれているだけあって上手いです!
さすがです!尊敬します〜!
それに比べて私のはヘッポコっすは。(ニガワラ
- 46 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時32分15秒
- その翌日の夜。ひとみはいつものようにジムに行った後、出勤した。
「タカ、おはよう」
「あ、ヨシさん、おはようございますっ!」
タカこと、高橋愛は、この店で唯一のひとみの後輩にあたる。
この店は、一番下の2人に、開店準備と客の少ない開店直後の店を任す方針でやっている。
今日も2人で清掃を終え、料理の下ごしらえをしていた。
「よっすぃ〜!!」
店の扉が開いて、真里が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「あ、真里さん、いらっしゃいませー」
カウンターに腰掛けた真里に、愛がおしぼりを持っていく。
「いつものでいいっすか?」
「うん、お願い。あ、タカちゃん、すごく評判いいらしいじゃない?」
真里が言うと、愛は照れたように微笑む。
「ありがとうございますっ!でもまだまだ全然なんで、先輩見習ってがんばりますっ!」
- 47 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時33分10秒
- 「うん、えらいねぇ。そういえば、タカちゃんって、付き合ってる子いるの?」
「いや、いないんっすよ。この店来るお客さん、キレイな人が多くて、
いいなって思うんですけど、お客さんとそういう関係は禁止されてるし」
「キャハハハ!ゆうちゃん、自分のこと棚にあげてよく言うよ」
「真里さんとは、店で知り合ったワケじゃないから、いいらしいですよ」
シェーカーを振り終わったひとみが、カクテルグラスに注ぎながら、
ニヤッとしながら答えた。
愛が、割り箸と突き出しを出して、間もなく、真里の前にミモザが置かれた。
「ま、確かにそうだけどさー。あ、よっすぃーは、どうなの?彼女できた?」
「あー、ウチ、もてないっすから」
「ナニ言ってんすか!ヨシさん、超モテモテじゃないっすかぁ!」
「よっすぃー、理想高すぎるんじゃない?どんな女の子がタイプなの?」
真里に聞かれて、ひとみは一瞬答えにつまってしまった。
(好きな『女の子』のタイプなんて、考えたことないよ…)
- 48 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時33分45秒
- そう、この店はいわゆるレズビアンバーなのである。
ひとみにここの店長を紹介してくれた近所のお姉さんは、以前働いていた人だったのだ。
背が高く、キレイで男前ともいえる顔立ちをしたひとみのことを見かけては、
『女の子にモテるタイプだよなぁ、絶対人気出るのに』と思っていたらしい。
幸か不幸か、そういうチャンスが巡ってきて、もう3年近くも前になるが、
店長である中澤裕子に会うことになった。
一目で、裕子はひとみのことを気に入ってしまい、
部屋を探すこと、高校はちゃんと卒業させてあげることはもちろん、
普通のOLとの給料の違いまで説明して、説得した。
- 49 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時34分16秒
- 『きたないスケベなおっさんを相手にするワケやないしな』
『…はぁ…』
ひとみはこのとき、自分にとっては現実離れしている話を理解できないでいた。
『うちの客は、ほとんど20代30代で、しかもキレイな人がなんでか多いねんなー。
普通に楽しい仕事やと思わへんか?』
確かにその通りなのであるが…
『…あの、ですね』
『ん?なんや?』
『私、今はいないけど過去に彼氏もいたし、女の人を好きになったこともないですよ。
それでもいいんですか?』
真剣な顔でたずねられて、裕子は思わずふき出してしまった。
『あはははっ、そりゃもちろん、いいに決まってるわー。
ま、そういう人のことを気持ち悪いとか態度に出さないでくれればな』
『そんな風には思いませんけど…』
『ん、じゃ、逆に客に手出したりとかしないだろうから、却っていいかもしれんな』
裕子はまだおかしそうにニヤニヤしている。
『…じゃ、別に彼氏作ってもいいんですよね?』
『ああ、もちろんええで。でも、そのことはお客はもちろん、
できれば他の従業員にも秘密にしておいてほしいけどな…』
- 50 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時34分55秒
- ひとみは、この店で働きはじめて、確かにキレイな人やカワイイ人と接することが
多くなったが、やはりその程度の感情で、恋愛対象になることなかった。
それどころか、彼氏ができて、裕子との約束を守り通しているワケである。
ちなみに彼は、ひとみの生い立ちはもちろん、このような店で働いていることも知っている。
ひとみがノーマルなのもわかっていたので、
『女相手の仕事なら安心だ』と笑っているくらいである。
- 51 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月20日(木)01時35分54秒
- 「…うーん、好きになった人がタイプっすかねぇ…」
ひとみは、非常に苦し紛れの答えをした。
「なんだよそれー…じゃ、今度、恋人のいないオススメの子連れてくるから、
よかったら付き合ってみない?」
「いいなぁ、真里さん、自分にもお願いしますよー」
愛が頭を下げる。
「うん、いいよー。何人か連れてくるから」
「やった!よろしくお願いしますっ」
愛はうれしそうにバンザイまでしていた。
「よっすぃーも、ホントに誰かと付き合った方がいいよ。
昔の人を引きずるのは、いい加減やめてさー」
彼女を全然作らないのは少し不自然かと思い、
前に付き合っていた人を忘れられないということになっているのだ。
(『彼氏』がいる、なんて言ったら、この人たちどんな顔するんだろ?)
- 52 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月20日(木)01時36分56秒
- 更新です。
実は娘。の男キャラ(?)が働くレズビアンバーっていうのをやりたくて、
この作品を書きはじめたのです(笑)
なので、のちのち他にも従業員は出てきますので…
>夜叉さん
確かにちょっと太りましたよねー、梨華ちゃん。
でも、個人的には今くらいがいいかな(笑)
あいかわらず、まったりしていきますよ〜
>43さん
大人の設定だし、そういうパターンからのいしよしもあってもいいかなと思いまして…(笑)
>理科。さん
ありがとうございまっす。今回、自分も新メンをはじめて入れてみたのですが、
いまいちまだキャラをつかみきれない…
紺野も入れたいんですけどね、やっぱオチ的になってしまいますよね(笑)
>吉胡麻系さん
自分を師匠なんて呼んでくれるのは、Charmy Blueさんくらいかと思うのですが…
もちろんCharmy Blueさんみたいな方にそう言われるのは、光栄ですが、
申し訳ないくらいです…
大したものは書けませんが、これからも、よろしくお願いします。
- 53 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月20日(木)08時37分27秒
- なんかパラダイスサーティを思い出してしまう(笑)。
今後出てくる従業員も楽しみです。師匠楽しみにしています!
- 54 名前:ARENA 投稿日:2001年12月20日(木)16時02分23秒
- 無理ない設定がすごくよくて、しかも面白いです。
がんばってください。
- 55 名前:夜叉 投稿日:2001年12月20日(木)19時09分44秒
- ノンケの吉に萌え(w。
登場人物にいろいろと秘密がありそうですね。
これからもまったりとお願いします。
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月21日(金)05時01分15秒
- ニュータイプないしよし凄く良い感じですね!
それに文章もとても上手ですし。
ここからどうやっていしよしがムフフ(w、な関係になるのかとても気になります。
とりあえずお気に入りに……
更新頑張って下さい。
- 57 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時22分15秒
- そして、その数日後。ひとみは仕事を終えて、朝、家に帰って来た。
部屋のカギを開けていると、隣の家の扉が開いた。
「…よっすぃー、おかえりなさい」
梨華がひょこっと顔を出した。
「ああ、おはよう。今から仕事?」
「ううん、今日は土曜日だからお休み…」
梨華の顔色はあまりよくなかったし、表情もなんとなく暗かった。
「梨華ちゃん、具合でも悪いの?」
「ん…昨日、いろいろあって、なんか寝れなかったの…」
「…また、彼のこととか?」
梨華はコクンと頷いた。
ひとみは、おせっかいだなと思いながら、梨華をまた部屋に呼んだ。
(なんか、ほっておけないんだよな…)
梨華をソファに座らせ、ホットミルクを出してあげ、ひとみは隣でコーヒーを飲んだ。
「…実は、昨日、彼が会社に来て…」
- 58 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時23分33秒
- 週に1回くらいとはいえ、1ヶ月も前からココに朝から晩までいて、
社員をにらんでいるだけなんて、あやしい以外の何物でもない。
おそらく、社員の誰かが警備の人に話しをしたのであろう、
それで『何をしているのか』と警備員が話しを聞きにいったようだった。
そこに運悪く、梨華が出勤してきてしまったのだ。
彼は突然『自分の彼女を心配して何が悪い!』と叫んで、暴れだしたのだ。
当然、警備員に取り押さえられ、警察官まで来る騒ぎになり、
梨華も事情聴取を受け、その後、上司に慰められながらも、
『男を見る目を養え』と変な注意をされてしまったのだ。
そんなこともあったため、遅くまで残業するハメになり、
さらに、同僚が気を使ってか食事をおごってくれた。
- 59 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時24分06秒
- で、帰宅したのはかなり遅くなってしまったのだが、
彼が今度はマンションの前にいたのである。
梨華は、もう顔を見るのもイヤだったので、裏口の自転車置き場から、
こっそりとマンションに入った。
彼にはばれなかったのだが、部屋に入り電気をつけたことを気づかれたようで、
少しすると部屋のインターフォンが鳴った。
こんな夜中の訪問者なんてありえないし、絶対彼だと思い、出ないでいたら、
しつこく鳴らしているのだ。
梨華はインターフォンのスイッチを切り、電気も消して、布団に包まってじっとしていた。
もし、このマンションの住民の誰かが帰ってきたときに、入り込んだりして、
部屋の前とかまで来られたらどうしよう…そう思うと、全然寝られずに朝が来た。
で、隣の家のカギを差し込む音が聞こえたので、安心して、
顔を出したということなのだ。
- 60 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時24分45秒
- 梨華は話しをしながら、涙を流していた。
「…マンションの前にはいなかったし、今日はもう大丈夫だよ」
ひとみは、梨華の肩を軽く叩いて、慰めてやっていた。
「私、どうしたらいいんだろう…」
ひとみはどう答えていいのか、わからなかった。
単なる慰めならいくらでも言えるけど、
解決できるようなことはひとつも言えない気がしたからだ。
ただ、梨華の肩に置いていた手に軽く力をこめてあげることしかできなかった。
「…梨華ちゃん」
梨華はそれまでずっと下を向いていた顔を、ひとみの方に向けた。
「ウチ、大したことはできないけど、
できることがあれば、何でも言ってくれればいいから」
梨華は、驚いたように、目を見開いた。
- 61 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時25分18秒
- 「…ありがとう…よっすぃーみたいな人がお隣さんでよかった…」
涙目ながらも、ニッコリ微笑んだ。
「ウチは、梨華ちゃんみたいな人が隣だと心配でしょうがないよ」
ひとみは、照れ隠しもあって冗談っぽい口調で返した。
「もう、よっすぃーってば!」
梨華はひとみの腕をパシッと叩いた。
「痛いなぁ!梨華ちゃん、実はウチより力あるんじゃないの?」
「ひどーい!」
「『ひどーい』って、ソレがひどいじゃん!」
梨華は、やっと声もあげて笑い、ひとみにからんでいった。
ひとみは、まるでじゃれてくる子犬と遊んでやっている気分で、梨華をからかっていた。
- 62 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時25分50秒
- 「あー、なんか安心したら、ちょっと眠くなってきちゃった」
梨華はあくびをした。
「ん、ウチもそろそろ寝ようかな…」
ひとみが立ち上がって、使っていたカップをキッチンに運ぶ。
「あ、やっておくから帰っていいよー。おやすみー」
ひとみは、カップを洗い始めた。
すると、後ろからギュッと抱きしめられた。
「一緒に寝ようよ〜」
「はぁ!?」
「この前、約束したじゃん」
「あんなの冗・・・」
『冗談に決まってる』と言おうと思って、振り向いたら、
梨華が本当に寂しそうな目をしていた。まさに捨てられた子犬の状態なのだ。
「…ウチ、これからシャワー浴びるから、まだ寝ないよ」
「じゃ、私もお部屋行って、寝る準備してくる!」
「あのねー…」
「じゃ、またあとで来るねっ!」
梨華はさっきまで泣いていたのが嘘のように、元気良く飛び出していった。
(はぁ、あの子って…ホント調子狂うよ)
- 63 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時26分24秒
- ひとみがシャワーを浴び終えて、髪をドライヤーで乾かし、
肌のお手入れをしているところに、インターフォンが鳴った。
ドアを開けるとピンクのパジャマに着替えた梨華が、
キティちゃんのカバーのかかった枕を抱えていた。
あまりの子供っぽさに、ひとみは、思わず笑ってしまった。
「何がおかしいの?」
部屋に入りながら、梨華が唇をとがらして言う。
「いや、何でもない」
と言いつつ、ひとみの顔はニヤけていた。
「あー、もしかして、キティちゃんなんて子供っぽいとか思ったんでしょ?」
「いや、枕を持ってくるとか、そのパジャマとか全部が…」
(だいたい、一緒に寝ようなんて言うことじたい子供だよー)
- 64 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時27分04秒
- 「もう、いいもん!一緒に寝ない!」
「へっ?別にいいよ、ウチは」
梨華は、自分で言ってしまって失敗したと思ったようだ。
「ほ、ほら、早く寝ないと、今日のお仕事、大変だよー」
梨華は、さっさとベッドに入ってひとみの枕の隣に自分のキティちゃんを並べた。
「いいよー、梨華ちゃん、1人で寝てくれてー」
ひとみは、ちょっと意地悪っぽく言ってみた。
梨華はまた寂しそうな表情になった。
(だからぁ、そんな顔するなよぉ…)
「よっすぃー、そんなこと言わないで、一緒に寝ようよ…」
「…もう、ホントに子供だよ、梨華ちゃんは!」
ひとみは、あきらめて梨華の隣に横になった。
梨華がうれしそうにピタッと寄り添ってくる。
「うん、やっぱ、よっすぃーが一緒だとホッとするよぉ」
「はいはい、ありがと」
- 65 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時27分43秒
- 間もなく、梨華の寝息が聞こえてきた。
梨華のあまりの無邪気さに、少しあきれながらも、なんだかうれしかったりもする。
(なんか思い出すなぁ…)
ひとみが孤児院でいた頃、1つ年下の女の子がやってきたのだが、
昼間は元気いっぱいに遊んでいるくせに、夜になるとさみしくなるらしく、
よくひとみの布団に入ってきていた。
気が強いくせに泣き虫だった彼女のことを慰めるのも、ひとみの役目だった。
まるで本当の姉妹のように、すごく仲良くしていた子だった。
(でも、梨華ちゃんは私よりお姉さんなんだよな)
クスッと笑って、昔の妹を慰めるかのように、梨華の髪を撫でてやった。
梨華はなんだか気持ちよさそうに、ひとみにもっと寄り添ってきた。
(こういうのって、確かに落ち着くよなぁ…)
梨華も言っていたように、家族の安らぎのようなものをおぼえ、ひとみは深い眠りにおちた。
- 66 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月21日(金)22時28分37秒
- それからというもの、ひとみと梨華は週末は、一緒に眠ることがほとんどだった。
生活パターンが違うので、一方は昼寝の感覚で寝ているのだが、
ひとみの仕事帰りの土曜日と日曜日の朝、
そして日曜日の夜の梨華が次の日の仕事に備えての睡眠の内、
いずれか1度は必ず共にして1ヶ月くらいがたった。
ちなみに、ある日たまには梨華の部屋で寝ようということになったのだが、
あまりのちらかりように、『同じ部屋とは思えない』と、ひとみが掃除をするハメに。
それからというもの、一緒に寝るのは基本的にひとみの部屋ということになった。
- 67 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月21日(金)22時30分20秒
- 更新です。
>Charmy Blueさん
そういえば清水美砂がそういう役どころでしたね。なつかすぃーですね!
「師匠」ははずかしいです…慣れません(笑)
>ARENAさん
そうなんですよねー、自分で書いてても、こんな普通に女同士の恋愛ってないだろうなー
と思って、今回はこういうカタチにしてみました。
でも、レズビアンバーが舞台だから、全然そういう恋愛なんですけどね(笑)
>夜叉さん
はい、あんまり登場人物を多くするのはやめようと思ってたのですが、
書いているうちに、なんだかたくさんでてくるようになっちゃいました(笑)
チョイ役とかでもいろいろ秘密は持ってますので(笑)
>56さん
お気に入りにしていただいてありがとうございます(笑)
他にあまりないものを書きたくて、こんなカンジになってます。
いしよしもだんだんとひかれあっていく予定ですので、お楽しみに
- 68 名前:ARENA 投稿日:2001年12月21日(金)23時43分40秒
- 正直、吉澤に甘える石川は、っていうかこういう展開はかなり萌えます(w
強いし、なんでもできるし、吉澤は本当に頼りになりますね。
これからが、ものすごい楽しみです。
- 69 名前:理科。 投稿日:2001年12月22日(土)02時23分15秒
梨華ちゃんと、よっすぃ〜…改めていいなぁって
感じる作品ですねぇ。ハァー…。
私が書いてる駄作が、とても恥ずかしくなってきました(鬱)
- 70 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時54分31秒
- そして、ある木曜日のこと。
梨華は会社の上司や同僚と何人かで食事に行くことになった。
1軒目を終え、次の店にも誘われたが、梨華は同期の柴田あゆみと共に先に帰ることにした。
「もう、あんなおじさんたちと、飲んでたって楽しくないよねー」
あゆみのつぶやきに、梨華も頷いた。
「梨華ちゃんの家って、ここから近いんだよねー」
「うん、電車で3駅だよ」
「いいなー、都会で。今度、電車なくなったら泊めてくれる?」
「うん、いいよー」
(あ、そのときは、よっすぃーに頼んで掃除しておいてもらおう…)
梨華は自分の部屋の汚さはわかっているのだが、整理整頓が苦手なのである。
- 71 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時55分18秒
- 「あ、そういえば、この辺ってさぁ…」
あゆみが何か言いかけたとき、梨華は道路を挟んだ向かい側の道のコンビニから、
袋を下げて出てくる人物が目に入った。
「あ、よっすぃー…?」
バーテンダーのようなスーツに身を包んでいて、一見男の人かと思うほどだ。
「ん?知り合いなの?」
梨華の視線の先をあゆみが追う。
「…うん、たぶん…」
「よっすぃー!!」
金髪の小柄な女性―真里―が、ひとみに向かって走っていった。
ひとみが、優しく微笑んで立ち止まる。
何か2、3言葉を交わしているようだが、こちら側の道までは、内容は聞こえてこない。
ひとみが歩き出すと、真里はひとみに腕を絡ませてついていった。
ひとみたちは、その通りから、曲がって3軒くらいの黒い扉の店に入っていった。
「ふーん、なるほどねー。梨華ちゃん、ホントにあの人と知り合いなの?」
あゆみが、意味ありげにニヤニヤしながら言う。
- 72 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時55分54秒
- 「同じマンションの人なの。名前もいっしょだし、本人だと思う…」
「じゃあさ、あの店、入ってみようよ!」
あゆみが梨華の腕を引っ張る。
「だ、だめだよ。そんな突然行っても迷惑だよ」
「いいじゃん!お客なんだから、大丈夫だよ。
私、この手の店、一回行ってみたかったんだよねー」
「あゆみちゃん、バーくらい行ったことあるでしょ?」
「だから、こういうゲイバー?レズバーっていうのかな?
人の紹介とかないと行きづらいじゃん」
「えっ…」
実は梨華はひとみに、働いてるバーに行きたいと何度か言ったことがあるのだが、
『恥ずかしいからイヤだ』とか『お子様はダメ』などとはぐらかされていた。
自分の店に来てほしいと思うのが普通かと思っていたのだが、
そんな風に拒否されていたのは、そういう店だからだったのかもと、梨華は思った。
- 73 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時56分41秒
- 「この辺にあるんじゃ、そういう店だよね?
さっきの女の人もうれしそうに腕組んでたしさー…あ、あれ見て」
あゆみの視線の先を見ると、男の2人連れが道の真中でキスをしていた。
「!!」
梨華は本当に驚いていた。
「たぶん、私たちもカップルに見えるんだよ、ココでは」
あゆみは笑いながら、梨華の腕をとって、ひとみが入っていった店に向かっていった。
あゆみが、店の扉を開ける。
「だ、だめだって!私、帰るよぉ!」
「こんばんはー」
店の中は、ひとみと愛、そして真里がカウンターの端にいるだけだった。
- 74 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時57分16秒
- 「いらっしゃいませー!あ、初めての方ですか?」
愛が、カウンターから出て声をかける。
「はい、そうです」
あゆみは、梨華がブツブツ言っているのを無視して答える。
「いらっしゃいませ」
ひとみもこちらの方も見て、声をかける。が、驚いて固まってしまう。
「…梨華ちゃん?…」
「よっすぃー、違うの、ごめん、私、帰るから…」
梨華はひとみの方も見れずに、どうしていいのかわからなくなっていた。
「なんだー、ヨシさんの知り合いですか?こちらどうぞ」
愛が、カウンターの席を用意する。
あゆみが座ると、梨華もあきらめて座ることにした。
- 75 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時58分05秒
- 愛がオーダーを受けたドリンクを出して、2人と話しをはじめる。
ひとみは驚きを隠せないまま、とりあえず、2人のことは愛に任せ、
真里と話しをしていた。
「ヨシさん、こんなカワイイ人たち知ってるんだったら、
もっと早く連れてきてくれたらいいのにー」
「あ、私は知らないんだけどね、彼女が同じマンションに住んでるんだって」
あゆみが答える。
「へー、そうなんだ。ヨシさん、女の人、部屋に連れ込んでたりしてない?」
「えっ?…いや…」
梨華は答えに困ってしまった。
「バカなこと、言ってんじゃねーよ」
話しが聞こえていたのか、ひとみが愛の頭を軽く叩く。
「だって、ヨシさん、本当に彼女いないのかなってー」
「いないって言ってるだろが」
ひとみは、なるべく意識しないようにして、梨華をチラリと見ると、
梨華の方がうつむいたままで、全然こちらを見ようとしてくれない。
- 76 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時58分44秒
- 「よっすぃー、本当にいないの〜?
あのさ、ストレートの黒髪で、ちょっとたどたどしい日本語の女の人とか、
マンションで見たことない?」
真里が面白がって、梨華に向かってたずねた。
「…ない、です…」
梨華は、なんとか答えた。本当に見たことはなかった。
「あはは、それって、アヤカさんのことっすか?」
「だからー、別に付き合ってなんかないですってー」
「そう?なんか2人、いい雰囲気だしさー、
彼女いないとか言って、相手がアヤカだから秘密にしてるのかと思ったんだけどー」
「絶対、アヤカさんにそんなこと言わないで下さいよ!」
「ヨシさんが好意もってるって思ったら、アヤカさん、その気になって、
ヘリとかで迎えに来て、そのままハワイに連れていかれそうですよね」
愛と真里が笑う。ひとみは、本当にそうなりそうなのと、梨華がいる手前笑えない。
- 77 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時59分17秒
- 「ね、そのアヤカさんって、そんなすごい人なの?」
あゆみが愛に尋ねる。
「すごいのなんのって…」
実はこの店のオーナーはアヤカの母親なのである。
ここの店長である裕子は、もともとは別の店で働いていた。
そのときのお客に、アヤカの母親がいて、裕子のことがお気に入りだった。
旦那が沢山の店を持つオーナーであり、
その中の店をいくつか任されていたのもあり、裕子に独立を持ちかけたのだ。
その娘のアヤカは、生まれは日本だが、親が家を持っていたため、
学生時代はずっとハワイで過ごしていた。
大学を卒業後は、日本に帰ってきて、親の仕事を手伝っている。
そして、この店にも顔を出すようになり、ひとみに好意を寄せるようになった。
ひとみは、相手が相手なだけに、とくに慎重に接しているのだが、
海外育ちのせいもあってか積極的にせまってこられて、非常に困っているのだ。
- 78 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)16時59分50秒
- 「いーなー、ヨシさんもいずれは独立とかできるんじゃないですかー」
愛がからかうように言う。
「別に独立なんかしたくないし、アヤカさんとこれ以上の関係にもならない」
「いーなー、アタシもハワイにお家欲しいなあ」
「もう、真里さんまでー。やめて下さいよ!」
あゆみも一緒になって笑っていたが、梨華はまだこの雰囲気になじめてなかった。
- 79 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時00分28秒
- 「梨華ちゃん、何か別の飲む?」
ひとみが、そんな梨華に気づいて、声をかける。
「あ、あゆみちゃんは、どうする?」
あゆみのグラスも空きそうになっていた。
「うーん、どうしようかなぁ…」
「じゃ、オリジナルのカクテルなんてどう?」
愛が言うと、あゆみはうれしそうに微笑んだ。
「うん、じゃそれお願い。梨華ちゃんもいいよね?」
「…あ、うん」
「何か、入れて欲しいのとかあるかな…」
愛が並べてあるリキュール類のビンを指さしながら、たずねる。
「梨華ちゃんは、桃好きだったよね?」
「…うん…」
ひとみは、ピーチリキュールのビンを出して、つくりはじめた。
ひとみがシェーカーを振る姿に、梨華は見とれていた。
(よっすぃー、かっこいいな…アヤカさんって人が好きになるのもわかるかも)
そして、カクテルグラスに注がれた、キレイなピンク色に梨華は目を輝かせた。
あゆみには、愛がつくっていたが、こちらは緑色で、メロンをベースにしたものだった。
「おいしー。梨華ちゃんのはどう?」
「…うん、おいしいよ」
やっとぎこちないながらも、梨華が微笑んだのを見て、ひとみはホッとした。
- 80 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時01分02秒
- 少しすると、客もだんだん来はじめて、店は混み合ってきた。
従業員も増えてきたものの、やはり、ひとみの人気は高いようで、
いろんな客から声をかけられていた。
ある1人でやってきた子は、もうすでにお酒が入っていたせいもあるのか、
店に入ってきた途端、ひとみにベッタリとくっついて離れようとしなかった。
「こらー、あいぼん、よっすぃーを独り占めするなぁ!」
真里が、あいぼんこと加護亜依をひとみから引き剥がしながら言った。
「ええやんかー、なかなかよっすぃーに会われへんのやからー」
「ダメ!だいたい、よっすぃーはお仕事中なんだから!」
言い争っている身長の小さい2人を、ひとみは微笑んで見下ろしていた。
「あいぼん、今日、お休みなの?」
「うん、さっきまで、お店でちょっと飲んでたんだけど、
よっすぃーに会いたくてこっちに来ちゃった!」
「あははは、ありがと」
ひとみは、亜依の頭を撫でながら、カウンターの真里の隣りの席に座らせる。
(よっすぃー、ホントに人気あるんだな…)
梨華はずっと、横目でひとみの様子を気にしていた。
- 81 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時01分40秒
- 亜依の携帯が鳴った。
不満そうに応対していたが、仕方がないというように電話を切ると席を立った。
「あのねー、おばちゃんが来たから、お店に来いって言われちゃったぁ」
「おばちゃんって、圭ちゃんのこと?」
真里の問いに、亜依は大きくうなづく。真里は大笑いをする。
「そっか。でも、うれしいじゃん、自分に会いに来てくれるんだからさ」
亜依の肩を抱いて、ひとみは見送りをしに、店の入り口まで行く。
扉の前で立ち止まり、亜依はひとみにギュッと抱きつくと、おもむろに唇を重ねた。
「あっ!!」
その光景を見ていた梨華は、思わず声をあげてしまった。
「どうしたの?」
あゆみは、愛との話しが盛り上がっていたため、全然気づいてなかったようだ。
「ん、ううん、何でもない…」
もう1度、ひとみの方を見ると、そういうことをされ慣れているのか、慌てた様子もなく、
何事もなかったかのように、扉を開けて、亜依をうながした。
- 82 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時02分18秒
- 「あー、梨華ちゃん、そろそろ、帰ろうかー?」
あゆみが腕時計を見ながら言う。11時を過ぎていた。
「あ、そうだね…」
「タカちゃん、もう帰るね〜」
「えっ、もう帰っちゃうの?」
愛がさみしそうに言う。
お会計をしようとすると、意外と安いことに驚いていた。
「あ、さっきのカクテルはサービスしとけって、ヨシさんが…」
「ホント!?ありがとう」
「そのかわり、また来てよ!」
愛が2人を見送るとき、ひとみにも声をかけた。店の扉の外まで、一緒に出る。
- 83 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時02分58秒
- 「本当にまた来てもいいかな?」
あゆみが言うと、愛はすごい笑顔になった。
「もちろん!ね、ヨシさん」
「ああ、待ってるから」
ひとみも笑顔で返した。梨華は、少し不安げにひとみを見ていた。
2人が、道を曲がるところまで見届ける。
曲がるときに、一瞬、梨華がひとみの方を見た。
ひとみはニッコリとしたが、梨華の表情は少し固かった。
「ヨシさん、あの子いいっすよ〜惚れちゃいそうっす!」
「えっ?どっち?」
ひとみは、少しあせっていた。
「2人ともいいっすけど、やっぱりあゆみちゃんの方がタイプっすかねー」
ひとみは、なぜかホッとしていた。
「彼氏いるらしいんすけど、ちょっとがんばっちゃおうかなー。
あ、梨華ちゃんにまた2人で店に絶対来るように言って下さいよ!」
「ああ、わかったよ」
ひとみはそう言ったものの、先ほどの梨華の固い表情が目について離れなかった。
- 84 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時03分37秒
- (あんな風に、他のお客さんからとかもキスとかされてるのかな?
それ以上のこととかもしてるのかな?…)
帰り道、1人になった梨華はいろいろと考えていた。
(でも、私と一緒に寝てても何もないし…
ただ単に私のことタイプじゃないからなのかなぁ…)
(よっすぃーは本当は女の人には興味ないんだろうな、きっと。
彼氏いることも隠してるみたいだし…)
(ああいうお店で働いてて、女の人は好きじゃないなんてばれたら、まずいんだろうな…)
梨華はひとみとの夜のことをなんとなく思い出してみたが、
そもそも、抱きついたりするのは自分の方からであって、
ひとみの方からすることなんて、妹にするかのように頭を撫でたりするくらいだった。
(私、よっすぃーにとって、お客さんと同じような存在なのかな…)
梨華の携帯が鳴る。あゆみからメールが届いた。
『今日は楽しかったね〜また行こうね!』
(楽しかった、かなぁ?私の知らないよっすぃーは見れたけど、
なんか、悪いことしちゃったのかも)
- 85 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月22日(土)17時04分11秒
- 留守電が入っていることに気づく。聞いてみると、母親からだった。
今までは月に2回は実家に帰っていたが、ひとみと週末を過ごすようになってから、
1度も帰っていなかった。
実家に帰ると本当に安心するのだが、ひとみといるときもちょっと違うが、
安らぎをおぼえていたので、実家に帰りたいと思うこともなかった。
とりあえず、久しぶりに週末は実家に帰ろうと思った梨華であった。
- 86 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月22日(土)17時09分14秒
- 更新です。アヤカまで出しちゃいました(笑)
実際すごいお金持ちだと聞いたので、こんなキャラですが…
>ARENAさん
萌えていただいて、ありがとうございます(笑)
がんばりまっす!
>理科。さん
何をおっしゃいますか!
理科。さんの書くいしよし、サイコーですよ!(笑)
それにしてもいしよしっていいですよねー(はあと)
- 87 名前:ARENA 投稿日:2001年12月22日(土)17時57分27秒
- 毎日のような更新、お疲れ様です。
読者としては嬉しい限りです。
うーむ。モテる吉澤に石川が複雑な思いを抱いてますね(´ー`)y ─┛~~
あまり見られたくない所を見られる、なんて展開もまたいい・・・(w
- 88 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月22日(土)18時38分08秒
- やっぱりモテモテですね、よっすぃー。
実際、あんな感じのコが2丁目界隈にはいそうですが(笑)。
アヤカやメロンには笑いました。
梨華たむが、気になる気持ち分かります。
- 89 名前:夜叉 投稿日:2001年12月22日(土)21時05分03秒
- アヤカは神戸に住んでいたらしいですよ。>小さい頃。
神戸といえば芦屋ぐらいなんでしょうか。>金持ち。
徐々に狭まる二人の距離、まったりしてて好きです。
石のお店での表情、つか、切ないですわ。
吉もそうだけど、気になります。
- 90 名前:理科。 投稿日:2001年12月23日(日)19時47分36秒
いしよしいいですよねぇ♪昨日は最高に面白かったです!
もちろん、ラッキーさんが書く小説も大好き&面白いです!
- 91 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時41分04秒
- その土曜日の朝、だいたいいつも通りの時間にひとみは部屋に帰ってきた。
いつもならば、部屋のインターフォンが鳴るのに、今日はしばらく待っても何もない。
(やっぱ、嫌われちゃったかな…)
ああいうお店で働いてたら、女同士とはいえ警戒されて当然だ。
一緒に寝てたなんて、実は何かされてたのかも、と思われても仕方がない。
ひとみはあきらめて、シャワーを浴び、眠りについた。
日曜日の朝も、梨華はやってこなかった。
(もう、今までのようにはできないのかな…)
ひとみは、とりあえず、いつも通りその日の夕方にはジムに行った。
- 92 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時41分43秒
- 一方、梨華は、金曜の夜から実家に行っていたので、
今日の夕食はひとみと食べようと、早めに帰ってきて、駅に着いていた。
(そういえば、今、よっすぃー、ジム行ってる時間だよな)
駅からすぐのところにジムがあると聞いていたが、
マンションとは反対方向なので、梨華は知らなかった。
ひとみは引越しをして、たまたまこの辺りを歩いているときに、
そのボクシングジムを発見したのだ。
亡くなった父親がボクシングが好きで、一緒にテレビを見ていたことを思い出し、
はじめようと思ったらしい。
(あ、ココだ!)
ボクシングジムの看板が見えた。
ガラス張りになっているので、外からは中の様子がよく見える。
男の人に混じって、女の人も何人かいた。
『ボクシングっていうか、ボクササイズっていって、
減量目的で来てる女の人も多いんだよ。別に試合するわけじゃないし。
普通にスポーツジム通うのと一緒だし、梨華ちゃんもやってみない?』
ひとみに、そんなことも言われたこともあったが、梨華は怖いと断っていた。
- 93 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時42分17秒
- (よっすぃーだ!!)
壁の鏡に向かって、シャドウボクシングをしているひとみの姿があった。
全身汗だくである。
(かっこいいなぁ…なんか、普通の男の人よりもよっぽど男っぽいよなぁ…)
「あ、見学したいんなら、中入っていいっすよ」
しばらく、ジムのガラスにへばりついて見ていたので、
ジムの中から、男の人が現れて、梨華に声をかけてきた。
「いえ、結構です…」
梨華は、その場を離れて、スーパーに買い物に行った。
- 94 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時43分05秒
- 部屋に帰ると、梨華はまず部屋の掃除をして、
それからキッチンに向かって、料理本を片手に夕食をつくりはじめた。
「がんばっちゃうもんね〜」
格闘の末、なんとか料理はできあがったが、
ひとみがいつも帰ってくる時間になっても帰ってこない。
それから1時間くらいしても、帰ってきた気配がなかった。
一応、部屋のインターフォンを鳴らしてみる。が、応答はない。
「なんか、予定があったのかなあ」
確認しようにも、実は、携帯の番号を交換していなかったのだ。
確かに会うのは、お互いの部屋で、決まった曜日に決まった時間だったので、
いちいち連絡をとる必要もなかった。
結局、日付が変わる時間になっても帰ってこなかったので、
梨華はあきらめて、寝ることにした。
(やっぱり、お店に行ったこと怒ってるのかな…嫌われちゃったかな…)
- 95 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時43分56秒
- ひとみはトレーニングを終え、ジムを出たところで、
「よぉ!」
と声をかけられた。
ひとみの彼は、今時珍しく、携帯電話もパソコンも持っていない。しかも電話嫌い。
彼は今はジムには通っていなかったが、ひとみに用事があるときは、
こうやって、ジムにやってくるのだ。
「久しぶりだな」
「うん、元気そうだね」
「おう、今から飯でも食おうぜ」
彼は仕事も忙しい上に、調理の勉強もしているし、友人も多く、
ひとみとは付き合ってるとはいえ、月に1、2回会う程度なのだ。
そういえば、ここ1ヶ月半くらいまともに会っていなかった。
ひとみは、彼自身はもちろんだが、彼とのこういう付き合い方を気に入っていた。
梨華の付き合っていた彼のように、束縛するようなタイプは最も苦手だった。
- 96 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時45分36秒
- 夕食を済ませたあと、彼の部屋に行く。
(梨華ちゃん、今日はどうしてるのかな。夕飯何食べたかな?)
いつもならばこの時間は一緒にいるはずの梨華のことを思い出す。
彼とベッドを共にするのも久しぶりであったが、
絶頂に達するとき、なぜか梨華の顔を思い浮かべてしまっていた。
(…ウチ、どうしちゃったんだろう?)
「…なんか、今日のお前、いつもと違ったよ」
「えっ?そう、かな?」
「男できたワケじゃないよなぁ…あ、お前の場合はさては女か?」
彼が冗談っぽく笑って言うが、ひとみはぎこちなくしか笑えなかった。
- 97 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時46分13秒
- そのまま、朝まで彼の隣に寝ていたのだが、ひとみはすごく違和感を感じていた。
彼のことは好きだし、他の男の人は考えられない、とは思う。
でも、何かが違うとも思っていた。
たぶん、梨華と一緒に寝ることに慣れすぎてしまったのだろう。
(梨華ちゃんは、妹、あ、お姉さんみたいなカンジで、一緒に寝てて安心なんだよな。
そりゃ男の人と寝るときとは違う感覚は当たり前だよな、うん)
ひとみは、自分のそんな感情を納得させようとしていた。
彼と朝食を済ませたあと、ひとみは自分の部屋に帰った。
梨華はすでに仕事に向かっている時間だ。
(週末、1回も会わなかったのって、はじめてだな…)
- 98 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月23日(日)21時46分50秒
- その次の日の朝、ひとみが仕事から帰ってきて、エレベーターを下りると、
梨華が出勤するところだった。
「あ、いってらっしゃい…」
「あ、お帰りなさい、お疲れ様…」
なんとなく二人は目線を合わせられなかった。
「…軽蔑してるよね?」
「えっ?」
梨華が聞き返したときには、エレベーターの扉は閉まっていた。
(よっすぃー、なんかさみしそうだったな…軽蔑なんかしてないのに…)
- 99 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月23日(日)21時48分07秒
- 更新です。
>ARENAさん
そろそろストックがやばくなりそうなので、更新量が少なくなっていきます(笑)
ありがちな展開ですが、自分、結構ベタなものが好きなので…(笑)
>Charmy Blueさん
たぶん、2丁目にいます(笑)
そんなお気づかいなさらずに…レスは一言でもうれしいですので(笑)
>夜叉さん
そうですね、アヤカの出身は神戸ですね〜
今は都心のすごいところに住んでるらしいですけど…
2人の距離は縮まりながらも、微妙なカンジですすんでいきそうです(笑)
>理科。さん
ケンカコントですか?(笑)アレはよかったですね〜
おほめのお言葉ありがとうございます…(照)
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)02時46分50秒
- 今日初めて読みました。
めちゃくちゃ面白いです。だんだん意識し始めた二人が
どうなっていくのか?とても気になります。
これからも頑張って下さい。いや〜、面白い!
- 101 名前:ARENA 投稿日:2001年12月24日(月)04時37分29秒
- こういう誤解からのすれ違いの展開もまたいいっす(w
- 102 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月24日(月)11時06分39秒
- 何故か吉の彼氏に嫉妬(苦笑)。
私も師匠に習って毎日更新してたんですが最近はストックもなく
その日に書いたら更新の日々です。師匠もムリしないで頑張って下さい。
- 103 名前:吉胡麻系 投稿日:2001年12月24日(月)14時28分54秒
- 嗚呼、すれ違い・・・。(寂)
バーテンダーのよっすぃ〜、見てみたい!
>Charmyさん
>>吉の彼氏に嫉妬
激しく同意!!(w
- 104 名前:名無し男 投稿日:2001年12月24日(月)14時37分06秒
- ども、お初にお目にかかります。
この微妙なすれ違いが堪らん
- 105 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時08分01秒
- その日、ひとみがジムの帰りにマンションに一旦戻ると、
マンションの前に、梨華の元彼がいた。
(アイツ、まだ懲りないのかよっ!)
見上げると、梨華の部屋には明かりはないので、まだ帰ってきてないのだろう。
「ちょっと、アンタさ」
ひとみが、声をかけると、男は驚いたように顔を上げたが、そのまま顔をそらした。
「梨華ちゃんはアンタのこと、もう好きでもなくて、怖がってるだけなんだよ」
男は完全に無視をしていた。
「もう、いい加減、来るのやめてもらえないかなあ」
ひとみは、かなりいらだっていた。
「…アンタには関係ない」
「関係あんだよっ!いいから、もう帰れよ!」
- 106 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時09分19秒
- 「うるせーな、アンタこそ、帰ってくれよ」
普段怒ることのないひとみの怒りがここで爆発してしまった。
「ちょっと来いよ!」
ひとみは、マンションの裏手の人気のない駐車場に、男を連れていった。
ボクシングをやっているとはいえ、ケンカはしたことなかった上に、
男の人相手ということも忘れていたが、ひとみは男をボコボコにしていた。
男の方は、見るからに弱そうだったし、一発頬に殴られた程度で、
ひとみの圧勝であった。
「…もう、絶対来んなよ。今度来たら、これくらいじゃ済まないからな」
男は声も出せない状態だったが、かろうじて頷いていた。
- 107 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時10分02秒
- マンションの入り口に戻ると、ちょうど梨華が帰ってきたところだった。
「あ、梨華ちゃん…」
梨華が振り向くと、ひとみの頬に傷があり血が出ているのに気づく。
「よっすぃー!?どうしたの、その顔?」
梨華は、有無を言わさず、自分の部屋にひとみを連れていった。
「ボクシングで?それともケンカでもしたの?」
梨華は救急箱を持ってきて、ひとみの傷口を消毒液で拭いてやる。
「うっ…まぁ、そんなとこ…」
しみるのか、ひとみはしかめっ面になる。
「ダメだよ、女の子なんだから。それにこれからお仕事でしょ」
「…うん」
梨華は傷口に薬を塗った。
「バンソウコウ貼る?」
「あ、うん」
(なんか、今日はお姉さんらしいじゃん)
ひとみは、思わずニヤけてしまっていたらしい。
「もう、笑ってたら、うまく貼れないよ〜」
「あ、ゴメン…」
「はい、これでよし!」
- 108 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時10分50秒
- 部屋のインターフォンが鳴った。
「…はい……もう、来ないでって言ったじゃない!」
梨華が受話器に向かって叫んでいる。
「もう話したくないの!最後って言ったって、もうイヤなの」
受話器を置くと、梨華は少し震えているようだった。
「アイツ、また来たの?」
「…うん、最後だから、一目でいいから会って話したいって」
「…一緒に行ってあげるから、会ってきなよ。下にいるんでしょ?」
「うん、でも…」
「大丈夫だよ、ウチがいるから」
ひとみは、梨華の手をとって、部屋を出た。
- 109 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時11分26秒
- 男は、傷だらけの状態で、マンションの前に立っていた。
ひとみは男を観察できる位置で、マンションの中で待つことにした。
梨華は彼の姿に驚きつつも、とりあえず少し話しをして、
とくに言い争うこともなく、男に手を振ると、ひとみの元に帰ってきた。
梨華はひとみを見て微笑んだ。
「よっすぃー、もうちょっと手加減してあげてよね」
「…ごめん」
ひとみがペロッと舌を出すと、なんだかやんちゃ坊主を叱っているような気になり、
いつも頼っていたけれど、子供なところもあるんだなぁと梨華は思っていた。
「ま、おかげで、彼ももう来ないって言ってるけど」
「…そう…」
「ありがとね」
「…ううん」
- 110 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時12分06秒
- 荷物を置いてきてしまったので、一旦、梨華の部屋にひとみも戻った。
玄関を入ってすぐに、ひとみはギュッと梨華に抱きしめられた。
「…どうしたの?」
「なんかね、すっごく、よっすぃーに会いたかったんだよ。
週末、実家帰ってて会えなかったし…」
「…実家帰ってたんだ」
「うん、最近帰ってなかったから、親に文句言われちゃった」
「そっか…」
「よっすぃーも、日曜日の夜、帰ってこなかったよね?彼のとこ?」
「えっ?あ、うん、そう…」
「そっか、彼にもしばらく会ってなかったんだよね」
「…うん」
ふと梨華が顔を上げて、ひとみを見る。
「軽蔑なんてしてないからね!」
「あ、ああ…」
「働いてるよっすぃー、すごくかっこよかったよ!」
梨華の目がキラキラとしているように見えて、ひとみは恥ずかしくなり、目をそらした。
「…ありがとう」
「また行ってもいいよね?」
「…うん、もちろん」
「よかったぁ!」
梨華はもう1度、ひとみの胸に顔をうずめた。
(やっぱり、子供だなぁ…)
ひとみは、さっきのお姉さんみたく世話をやいてくれるのよりも、
こういう梨華の方が似合ってるなあと思っていた。
- 111 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時12分44秒
- 「ああっ!!」
「どうしたの?」
「今、何時!?」
ひとみが慌てて時計をみると、いつもの出勤時間を30分過ぎていた。
「やばっ!」
携帯を取り出し、店に電話をかける。
「あ、タカ?」
『ヨシさん?どうしたんっすか?今日、遅いじゃないっすか?』
「ごめん、今から行くから、あと30分後くらいになる」
『あ、大丈夫っすよ。今日、珍しく、イチさん、来てますから』
電話の向こうで『なんだよ、珍しくってーのは』などと声が聞こえる。
『でも、ヨシさん、こんなの初めてじゃないっすか?
もしかして、側に女がいたりしますかー?』
「えっ!?ま、まぁ、そんなとこだな!
じゃ、なるべく早く行くから、イチさんにもよろしく!」
ひとみは慌てて電話を切った。
「ごめんね、私のせいで…」
梨華が心配そうに、ひとみを見つめる。
「あ、全然大丈夫」
(確かに、『女』には違いないからなぁ)
- 112 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時13分28秒
- ひとみが店に行くと、案の定、愛から真っ先に突っ込まれた。
「なんすか!全然聞いてないっすよー」
「いいじゃねーかよ。で、どんな女なんだ?」
イチこと市井紗耶香は、ひとみのすぐ上の先輩だ。
この店のことは、全て紗耶香から教わったのだ。
「いや、別に、そういうのじゃないっすから…」
「じゃ、どういうのなんだよぉ」
後ろから首を締められて、ひとみは苦しがっていた。
「よっすぃー、その顔どうしたの?」
ひとみの顔についてるバンソウコウを見て、
紗耶香の恋人、後藤真希がぶっきらぼうながら心配そうな声を出す。
- 113 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月26日(水)11時14分06秒
- 今、この店にいるのは、ひとみと愛、紗耶香そして真希。
紗耶香と真希は高校の頃からの付き合いで、そのまま付属の大学に上がったので、
今でも先輩後輩の間柄でもある。
大学生の2人は今日、学校帰りにデートをして、そのまま、この店に来たのだ。
「ああっ!もしかして、ヘンな男に絡まれてる女の人を助けて、
そのあといいカンジになっちゃったとか!?ヨシさん、やるなぁ!」
「なるほどな。で、どんな女なんだ?」
真希だけは「大丈夫?」と、ひとみの頬に優しく手を触れていた。
「だからー、なんでもないんですって。さ、仕事しましょ、仕事!」
ひとみは、そのまま、更衣室に入っていった。
(確かに、ちょっといいカンジになってたかも…)
さきほど、梨華に抱きしめられたことを思い出し、口元を緩めた。
- 114 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月26日(水)11時15分28秒
- 更新です。いちごま登場しました(笑)
>100さん
うれしいお言葉、どうもありがとうございます!
もっと面白いと思っていただけるよう、がんばっていきます(笑)
>ARENAさん
今回のすれ違いはちょっと軽いモノにしておきました(笑)
また、ちょこっとすれ違うときがでてくると思いますが。
>Charmy Blueさん
お気遣いありがとうございます。
ここ数日更新してなかったのに、ストックも増えてないですが(笑)、
よっすぃーの彼氏はいいヤツなんで、許して下さい(笑)
>吉胡麻系さん
よっすぃー、バーテンの格好、似合いそうですよね〜。
でも、結構ああいうのって誰でも似合いそうかな(笑)
MUSIXのバーウッドストックのコーナー、未成年ゲストにして、
カクテルジュースとかつくってほしいなんて思ったりして…
あいののにつくらせたら、ひどいことになりそうだけど(笑)
>104さん
はじめまして、よろしくお願いします。
次のすれ違いをお楽しみに(?)
- 115 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月26日(水)11時16分49秒
- すみません、あげてしまいました…ホント、ごめんなさい!
- 116 名前:夜叉 投稿日:2001年12月26日(水)16時54分19秒
- 吉の怒りの鉄拳、かっけぇ。
何か距離が縮まった感じですね。
おや?次回もすれ違っちゃうの?
- 117 名前:理科。 投稿日:2001年12月26日(水)18時14分15秒
おお〜♪よっすぃ〜カッケ〜ですね!
段々いい感じになってきたな(ワクワク)♪
- 118 名前:ARENA 投稿日:2001年12月27日(木)05時36分49秒
- つ、強すぎ・・・(w
今回もピッタリしてますな〜♪
- 119 名前:睦 投稿日:2001年12月27日(木)08時20分04秒
- いしよしの思いが段々通いつつあり。
やぐちゅーがあり。
いちごまがあり。
・・・・・・最高です。
ツボつかれまくりです!!(w
しかも、ちょっと加護と保田の関係が気になったり・・・。(w
加護の常連が、保田なのかなと思ってみたり・・・。
お店は違うようですが。
とにかく、続きが楽しみです。
長レス失礼しました。
では。
- 120 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時41分47秒
- その週末は、ひとみと梨華は、今まで通り仲良く過ごした。
日曜日の夜は、梨華が『私が作る!』といって、梨華の部屋で夕食をとることになった。
作っている間、ひとみは部屋の掃除をしていたわけだが…
一緒に料理をすることはあったが、梨華1人が作った料理を食べるのははじめてのことだった。
ひとみはうれしい反面、心配でもあったが、
出来上がったパスタやサラダは見た目はあまりよくなかったが、味は悪くなかった。
「うん、おいしいよ」
「ホント!?いっぱい作ったからもっと食べてね」
梨華は本当にうれしそうに、ひとみが食べるのを見つめていた。
そして、寝る時間になり、2人でひとみの部屋に行く。
梨華のベッドはシングルだが、ひとみのはセミダブルなので、
やはり一緒に寝るのは、こちらの方が都合がよいのだ。
布団に並んで入ってからも、ひとみのお店に来る面白いお客の話しとか
しばらくくだらない話しをしていた。
- 121 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時42分36秒
- 「あのね、よっすぃー…」
「ん?」
「この前、お客さんと帰り際にキス…してたよね?」
「あ、見てたんだ…」
「うん、ごめんね…いつもあんなことしてるの?」
「ま、向こうからされたら、拒否はできないね、お客さんだから。
でも、自分からはしたことないよ」
「じゃ、ホントはイヤなんだ?」
「うーん、自分のこと好きになってくれるのはすごくうれしいんだけど、
キスはちょっと、ね…」
「私も、よっすぃー、好きだよ!」
梨華は、上半身を起こして、上からひとみの顔を覗き込む。
「へっ?ああ、ありがと」
鼓動が早まったのを、ひとみは感じていた。
(ナニ、動揺してんだか…)
- 122 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時49分05秒
- 「でも、イヤがられたくないから、チューはしないから安心して」
梨華がニコニコと微笑む。
「…別にイヤではないんだけど…」
「あ、それってして欲しいってこと?」
梨華がひとみに顔を近づける。
「そ、そんなこと言ってないよ!」
ひとみは慌てて、梨華に背中を向ける。
「うふふふ、冗談だよー。よっすぃー、カワイイ!」
「も、もう、梨華ちゃんと一緒に寝ないっ!」
ひとみがベッドから出ようとすると、梨華が腕をつかんだ。
「ダメ!…ごめん、もうヘンなこと言わないから」
ひとみは、そのまま梨華の方を向いて、布団に入り直した。
「こっちこそ、ごめん、なんかムキになっちゃって」
「…なんか、最近、よっすぃーと一緒に寝るときが一番落ち着くときなんだ…」
「…ウチもそうかも…」
「ホント!?なんかうれしいなぁ」
梨華は、ひとみに寄り添っていった。
「このまま、ずっと友達でいようね、ずっと仲良くしていこうね…」
「うん、そうだね」
(ずっと友達で、だよな…)
ひとみは、梨華の頭を優しく撫でつつ、なぜか複雑な気持ちをおぼえていた。
- 123 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時49分35秒
- その数日後、仕事に向かう途中で、ひとみの携帯が鳴った。
この週末にやっと番号を交換した梨華からであった。
『よっすぃー?』
「梨華ちゃん?どうした?」
『今日、あゆみちゃんとお店に行ってもいいかなぁ』
「うん、もちろん、いいよ!」
『これから食事して、その後行くけど、そんなに遅くはならないと思うから』
「はい、お待ちしてまーす」
店に着いて、梨華たちが来ることを告げると、愛は大喜びだった。
「マジっすか!?超気合入りますよ!」
梨華とあゆみが店に着いたときは、まだ他のお客が来ていなかったので、
4人で楽しく話しをしていた。今日は梨華も、とても楽しそうにしていた。
- 124 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時50分20秒
- 「おはよーっす!」
店の扉が開いて、紗耶香が入ってきた。
「「おはようございます」」
紗耶香は、カウンターに座っている梨華とあゆみに気づく。
「うわー、君たちカワイイねぇ。はじめて?」
紗耶香は間に立って、さりげなく2人の肩を抱く。
「あ、この前、イチさん、お休みのときだったんですね」
愛が紗耶香に2人を紹介する。
「梨華ちゃんが、ヨシさんと同じマンションらしいっすよ」
「なんだって!?ヨシ、お前、まさか、部屋に連れこんだりしてないだろうなぁ!」
「べ、別にいいじゃないですか!隣に住んでるんだから!」
「えっ?しかも隣かよっ!」
ひとみは『しまった』という顔をした。
- 125 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時50分59秒
- 紗耶香は優しく、梨華に話しかける。
「あのさー、コイツの部屋から女の声とか聞こえてこない?」
「…こないです…」
梨華は、おどおどしながらも答えた。
「ヨシさぁ、自分のことあんまり話さないからさぁ、
どんな女と付き合ってるのか興味あるんだよねー」
「だから、付き合ってる女の人なんていませんよ!」
「おお、そうか。じゃあ、梨華ちゃん、だっけ?
コイツの部屋行くときは気をつけた方がいいよ、欲求不満だろうから」
「ナニ言ってるんすか!早く、着替えてきて下さいよ!」
「んな、怒るこたねーだろーがぁ」
紗耶香はブツブツ言いながら、更衣室へと向かっていった。
「そうっすよね、ヨシさん、全然彼女作ってないんですよね。
欲求不満にもなりますよね」
「ウチは、大丈夫だから!そんなのにはならないっつーの!」
- 126 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)02時51分29秒
- 「じゃ今度、私がよっすぃーの相手してあげる〜」
「「あゆみちゃん!?」」
梨華と愛が同時に叫んだ。
「だって、よっすぃー、かっこいいからいいかなと思ってー。
私、女の人と経験ないしー」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
隣を見ると愛がキツイ目をしてにらんでいる。
梨華も心配そうに、あゆみとひとみを交互に見ている。
(ウチはないもしてないっつーの)
「じゃあ、オレが2人の相手しちゃおうかなぁ!」
紗耶香が、更衣室で話しを聞いていたらしく、着替えが終わるなり、
また2人の肩を抱いてきた。
「イチさんは関係ないじゃないですか!今はヨシさんの話しですよ!」
今度は紗耶香に愛の怒りが向けられた。
「なんだよ、お前が怒ることねーだろうが」
「自分だって怒りますよっ!」
普段、愛は先輩に対してこんなに強気に出ることはなかったが、
やはり恋というものは人を強くさせるのだろうか。
- 127 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月28日(金)02時53分45秒
- 更新です。途中でまたあげてしまってすみません…
>夜叉さん、理科。さん、ARENAさん
やっぱり、よっすぃーは強い人で梨華ちゃんを守って欲しいなと思いまして(笑)
いいカンジの2人でも、友達以上に踏み切るには壁がありそうです(笑)
>睦さん
どうもありがとうございます♪
今回は基本いしよしなので、他のカップルの具体的なことは書くつもりはないので、
定番(やぐちゅー、いちごま)以外では、結構、ヘンなカップリングをつくってたりしてますねー。
愛ちゃんと柴ちゃん、アヤカとよっすぃーとか…(笑)
ちなみに、あいぼんと圭ちゃんの関係は次回にはっきりしてきます(笑)
- 128 名前:睦 投稿日:2001年12月28日(金)12時49分57秒
- イチさんの女ったらしぶりが、最高です!(w
後藤大変なんだろうなと思ってみたり(w
そして、かなーり微妙ないしよしの関係に萌え萌えです(w
どうなっていくんだろうと、はらはらです。
愛と柴の組み合わせは、これから期待です!
なかなか見れないものを見せていただける感じ(w
後は、加護と圭ちゃんの関係・・・次の更新が待ち遠しいです。
またーりと、いろいろ想像しつつ待たせていただきます(w
では、この辺で失礼します。
- 129 名前:夜叉 投稿日:2001年12月28日(金)16時45分16秒
- キャプ柴発言(汗汗。
いちーちゃんの鋭いつっこみが二人の壁を(略。w
加護とやっすのことも気になりつつ。
頑張ってください。
- 130 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時35分28秒
- 「こんばんは〜ゆうちゃん、来てる?」
店の扉が開くと、安倍なつみが現れた。
「あ、お疲れっす!店長、来てないっすよ」
「もう、話しがあるから、早めに来てって言ったの自分なのにー」
ソファの方に、なつみが座ると、ひとみがおしぼりを持っていった。
「あ、なっち、ジンジャーエールでいいや」
「はい、かしこまりました」
「なっちー、元気〜?」
紗耶香がなつみに抱きつく。
「うん!お店はこっちと同じで、相変わらず忙しいよー」
なつみは、この近くでここの姉妹店の店長をしている。
この店の店員が男っぽいのに対して、なつみの店の店員は女の子っぽい。
先日この店に来た亜依は、なつみの店で働いている。
まだ未成年のため年はごまかしているのだが…
- 131 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時36分12秒
- なつみは、カウンターに座っている梨華を見ると、ツカツカと近寄ってきた。
「あなた、OLさん?」
「はい、そうですが…」
「お仕事、忙しいの?」
「いえ、普通の事務職なんで、そんなには…」
「じゃ、お休みの日とか、仕事終わってからとか、ウチで働かない?」
「「えっ!?」」
梨華とひとみが同時に叫んだ。
「あなた、絶対、人気でるわよー、うん、すごくいい!」
なつみは梨華の全身をなめまわすように見て、言った。
「なっちさん、彼女、ノンケなんで…」
「あー、そうなの?でも、もし、少しでも興味あったら、言ってね」
なつみは微笑んだまま、ソファーに戻り、愛が運んだジンジャーエールを飲んだ。
「よっすぃー、『ノンケ』って何?」
梨華が小声で聞く。
「あー、ノーマルってこと。同性愛者じゃないってこと」
「やっぱり、働いてる人って、みんなそういう人なんだよね?」
あゆみが聞くと
「そうだねー、中にはバイの人とかもいるかもしれないけど、
女の人が好きじゃなきゃ、こういう仕事はできないでしょー」
愛が答える。
ひとみは、口の端を上げるだけで、とくに何も言わなかった。
梨華は複雑な心境で、ひとみを見ていた。
- 132 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時36分45秒
- 「おはようさーん」
今度は、裕子が入ってきた。
「「「おはようございます」」」
「お、いらっしゃーい」
裕子は、梨華たちを見ると、ニコッと微笑んだ。
「ウチの店長だよ」
愛が説明をする。
しばらく、裕子となつみはなにやら仕事の話しをしていたようだった。
その間、紗耶香を中心に、5人で話しは盛り上がっていた。
- 133 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時37分16秒
- 「ハーイ!久しぶり〜」
「あ、おはようございます、アヤカさん!」
アヤカは入ってくるなり、ひとみに抱きついて、頬にキスをした。
「どうも、ご無沙汰です」
ひとみは、ニッコリとアヤカに微笑んだ。
「あの人が、噂のアヤカさんなんだね」
あゆみが梨華にささやく。
「…キレイな人だね」
(よっすぃーとお似合いかも…)
「うん。本当によっすぃーのこと、好きみたいだね」
ひとみに腕を絡めたまま、話しをしている。
「アヤカぁ!ちょっとこっち来てや〜」
裕子の声に、アヤカは渋々、ひとみから離れて、席に着く。
一応、仕事の話しをしに来たようだ。
- 134 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時37分46秒
- そして、他のお客が来ると、ひとみはそちらの相手をしはじめた。
(なんか、さみしいな…)
「…あゆみちゃん、そろそろ帰らない?」
「ん、そうだねー。明日も会社だしね」
「えー、もうちょっといてよー」
愛が残念そうに言う。
「また来るから、ね」
ひとみは、接客をしながらで、カウンターの中から
「ありがとうございましたー」
と声をかけただけで、扉の外まで送ってくれたのは、愛と紗耶香だった。
- 135 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時38分32秒
- 梨華とあゆみが2人っきりになった帰り道。
「タカちゃんってカワイイってカンジだよね。母性本能くすぐられるみたいな」
ちなみに、今日、愛とあゆみは携帯番号を交換していた。
「…もし、タカちゃんに付き合ってとか言われたらどうするの?」
「うーん、OKかな?」
「彼いるのに?」
「もしデートとかしてもさ、女のコと会ってたっていえば、
彼だって疑わないし、浮気してるなんて思わないでしょー」
「もし、タカちゃんを本気で好きになっちゃったら、彼と別れるの?」
「たぶん、別れないよー。だって、やっぱ男の人は男の人の良さがあるだろうし」
(よっすぃーも、そんな風に考えたりするのかな…)
- 136 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月28日(金)21時39分04秒
- 「梨華ちゃんは、どうなの?」
「えっ!?ワタシ?」
「いいと思うよ、絶対梨華ちゃんに気があると思うしー、かっこいいもんね」
「そ、そうかなぁ…」
(よっすぃー、私に気があるように見えるのかなぁ)
梨華は何だかちょっとうれしく思った。
「今度、どっか行こうって誘ってみる?タカちゃんとイチさんと4人で」
「うん!…えっ?イチさん?」
「えっ?そうだよ。イチさん、梨華ちゃんのこと口説いてるくらいの勢いじゃなかった?」
「…そうだったかなぁ」
実際、梨華は軽いノリの紗耶香の話しをあまり真剣に聞いていなかった。
「…よっすぃーは?」
「あー、よっすぃーってクールだし、自分から口説いたりしなさそうだよねー?
昔の人を忘れられなくて、彼女つくってないなんていうのも、
なんか硬派ってカンジだしね。
あ、梨華ちゃんはよっすぃーがお気に入りなの?」
「えっ!?あ、いや、ほら、お隣さんだし、話しやすいかなぁって」
「そうかなぁ、話しやすいのは、イチさんの方だと思うけどー」
「ほ、ほら、もともと、知り合いだったから、ね…」
(…でも、やっぱり、よっすぃーが一番かっこいいとは思うよ…)
- 137 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月28日(金)21時39分42秒
- 更新です。
姉妹店店長のなっちが登場です(笑)
そこの店員、あいぼんのお得意様が圭ちゃんという設定です。
2人が絡むシーンは今のところ予定はないですが(笑)
>睦さん
いちーちゃんのタラシっぷりと、ごっちんの苦労は出てくる予定でおります(笑)
愛&柴は、一応進展はありそう???
>夜叉さん
どうもです!
この先、いちーちゃんといしよしの絡みがポイントになるのかもしれません(笑)
- 138 名前:夜叉 投稿日:2001年12月29日(土)17時23分11秒
- をう、ターニングポイントになるんでしょうか?(期待の眼差し。w
なっちのお店で石が働いていたら、そりゃあもう(略。
もち、やっすは加護から鞍替え?吉は常連?(大爆笑)。
ちょこっと、アヤカの行動も気になったりします。
期待してます。
- 139 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)18時47分44秒
- 硬派=一途な市井君
軟派=フラフラ吉澤君
っていう感じが定番だったので、こういう逆パターンに興奮気味です。
- 140 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月30日(日)01時04分41秒
- 一方、その日の閉店後。
「ヨシー、梨華ちゃんって付き合ってる人とかいんの?」
「この前、彼氏と別れたばっかりみたいですけど」
「じゃ今、傷心な状態だったりするのか…チャンスだな!
ヨシ、今度、家遊びに行ってもいい?」
「ナニ言ってんすか、イチさんには真希がいるでしょうが」
「もう5年も付き合ってるんだぞ、ちょっとくらい浮気してもいいじゃんか」
「イチさんは、ちょっとくらいじゃ済んでないと思いますけどー」
愛が突っ込む。確かに、紗耶香は真希とはずっと続いているが、
かなりの浮気症で、いろんな女のコと遊びまくっている。
真希にもほとんどバレているのだが、ちゃんと、真希は待っているのだ。
「あくまで浮気は浮気。本命は真希だからいいの」
(真希はホントにいいのかな、こんな人で…)
- 141 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月30日(日)01時05分30秒
- 「梨華ちゃん、いいよなぁ…顔も好みだけど、スタイルすげーよくない?
ちゃんと出るとこ出てるしよぉ」
(確かに、出てるかも…)
ひとみは、抱きしめられたときの梨華の胸の感触を思い出していた。
「なにニヤついてんだよ、やらすぃーな、ヨシは」
「な、なに言ってんすか!イチさんにそんなこと言われたくないっす!
だいたい、梨華ちゃんはダメっすよ!」
「なんでだよぉ。男も女もいないなら、全然いいじゃんか」
「ダメなもんはダメです!」
「はーん、さては惚れてんのか?梨華ちゃんにー」
「ち、違いますよ!な、なんつーか妹みたいに思ってるから、
そんなイチさんみたいな人に遊ばれたくないんですよっ」
「別に遊びでも、そのとき幸せな気分にさせてあげれればいいじゃん。
ノンケの子を目覚めさせるのって、特に気合入るんだよなー」
「でも…」
「ま、誘ったりするのは別にいいよな?
どうにかなるかどうかは、梨華ちゃんの気持ちしだいなんだからさ」
「…わかりましたよ…」
ひとみは、渋々というように納得した。
(そうだよな、ウチが口出しすることじゃないよな…
梨華ちゃんは、イチさんに誘われるのうれしいと思うかもしれないんだし)
- 142 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月30日(日)01時06分03秒
- 「よしっ!タカ、4人で飯食いに行こうって、あゆみちゃんのこと誘え!」
「マ、マジっすか?」
「今度の日曜とか、いいよな」
「はいっ!大丈夫っす!」
(今度の日曜は梨華ちゃんといっしょにいれないのか…)
ひとみは、小さくため息をついていた。
- 143 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月30日(日)01時06分35秒
- そして、土曜日の朝、梨華がひとみの部屋にやってきた。
「明日ね、あゆみちゃんと、タカちゃんとイチさんと一緒にドライブに行くんだ」
「えっ、ドライブ?…楽しそうだね」
(なんだよ、単なる食事じゃなかったのかよー)
「よっすぃーは誘われなかったの?」
「あー、うん。だってウチが行ったらジャマじゃん」
「ジャマなんかじゃないよ、行こうよぉ」
「梨華ちゃんがよくても、イチさんに怒られるから」
「そっか…」
梨華がすごくさみしそうな表情になる。
ひとみは、なんだか自分が悪いことをしたような気持ちにさせられた。
「じゃあ、来週はウチとどっか行こうか?」
「えっ!?」
「いつも、部屋でばっかりだからさ、たまには外で遊ぶのもいいよね」
「ホント!?じゃ、じゃあね、映画見たいなぁ…あ、遊園地もいいな…お買い物も…」
梨華はいい提案をしようと、一生懸命考えはじめた。
「あはは、何でもいいよー。梨華ちゃんの好きにしてくれれば」
「うん、じゃ来週までに考えておく!あーあ、早く来週にならないかなぁ…」
ひとみは、うれしそうな梨華を見て、自分もうれしくなっていた。
- 144 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月30日(日)01時07分08秒
- 更新です。
>夜叉さん
ありがとうございます。
自分もそんな店があったら行きたいっす(笑)もちろん、梨華ちゃん担当で(笑)
>139さん
どうもです。
そういえば、自分が過去に書いたヤツも、そのパターンでした(笑)
(市井が硬派、吉澤が軟派)
- 145 名前:ARENA 投稿日:2001年12月30日(日)02時32分30秒
- おお!毎日更新してるんですね。すごい・・・
吉澤の「石川のこと、どう思ってんだ!?」って言いたくなる感じが良いですね。
たまらなく(w
- 146 名前:夜叉 投稿日:2001年12月30日(日)14時57分18秒
- じゃ、自分は吉担当で(笑)。
二人のデート、自分も楽しみです。でもその前のドライブも(w。
やっぱり二人の間に流れる時間、まったりしてて好きです。
微妙な距離間も(w
- 147 名前:名無し男 投稿日:2001年12月30日(日)17時12分55秒
- ここで一波乱ありそうな予感
- 148 名前:REDRUM 投稿日:2001年12月30日(日)21時24分31秒
- 大人ないしよしも良いですね!
ホント「好きなんだろ?」と小一時間問い詰めたいです。
ほっといたらイチさんに梨華ちゃん持ってかれるよ。
- 149 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月30日(日)23時16分06秒
- ホントにいちごま付き合ってんのか?ごまかあいそう…
- 150 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時20分20秒
- そして翌日。
ひとみは、いつもより長い時間、ジムで過ごしていた。
なぜかムシャクシャする気持ちを、追い払いたかったが、かなわなかった。
夕食を自分でつくる気にもなれず、コンビニでお弁当を買ってそれで済ませる。
(梨華ちゃん、今頃、イチさんたちとおいしいものでも食べてんのかなぁ…)
(そういえば、梨華ちゃんが見たいって言ってたの借りておいたんだったな…)
梨華に内緒でレンタルしていた映画のビデオがあったのだが、
レンタル期間は今日までだったので、とりあえず1人で見ることにした。
内容はありきたりのものだったので、延長することもないかと、
返却するために、外へ出た。
そろそろ11時になろうというのに、梨華の部屋に明かりは灯っていなかった。
ひとみはレンタル屋で、見逃していた少し前のドラマのシリーズのものを選んだ後、
コンビニに寄り立ち読みをして、アイスクリームを買った。
- 151 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時21分04秒
- マンションに近づくと、見覚えのある車が止まっている。
(…アレ、タカの車だ)
ひとみは、なんとなく、身を隠して様子を見ることにした。
後部座席から、梨華と紗耶香が降りる。
紗耶香が、さりげなく梨華のことを抱き締めて、耳元で何かをささやいていた。
梨華は首を横に振ると、紗耶香は梨華の髪を軽く撫でて、手を振り、また車に乗りこんだ。
梨華が助手席の方に声をかけると、車は出発した。
ひとみは、出て行くにも行けずに、梨華がマンションに入っていくのを見届けてから、
自分も戻ることにした。
- 152 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時21分36秒
- エレベーターを降りると、一足先に戻った梨華が、
自分の部屋のカギを開けているところだった。
ひとつ深呼吸をして、ひとみは声を出した。
「りーかーちゃん!」
「あ、よっすぃー!おでかけしてたの?」
「うん、ビデオ借りてきた。あ、今日はどうだった?」
「…楽しかったよ…あとで、お部屋行ってもいい?」
「いいよー。じゃ、あとでねー」
それから、一時間ほどして、寝る準備を整えた梨華が、あくびをしながらやってきた。
「なんか、今日は疲れちゃった」
「じゃ、もう寝る?」
「うん、お布団に入ってお話しよ…」
「そうだね」
- 153 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時22分10秒
- 2人はベッドに向かうと、ひとみは仰向けで、
梨華はひとみの方を向いて横向きの状態で、布団に入った。
「…あのね、よっすぃーって、今まで女の人と付き合ったことある?」
「ん、ないよー。この仕事はじめて、すぐに今の彼と付き合いはじめたし」
(…イチさんにコクられたのかな?)
「…じゃあ、付き合ってなくてもキス以上のことってしたことある?」
「ないない。あ、襲われそうになったことは、何回かあるけど」
「えっ?どんな風に?」
「一番すごかったのは、やっぱ、アヤカさんかな…」
- 154 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時22分41秒
- ひとみが、店に勤め出して間もない頃、アヤカに出会ったのだが、
その次の日に家に呼び出された。
オーナーの娘さんだし、何か仕事のことかもしれないとすぐに向かった。
お屋敷というのがふさわしい家に着くと、お手伝いさんが、アヤカの部屋まで
連れていってくれた。
部屋の扉が閉められた途端、抱きしめられて、キスをされた。
ひとみは、それが女の人との初めてのキスだったこともあり、
驚いてボー然としていると、今度はアヤカが服を脱ぎはじめたのである。
そして、ベッドに入り、ひとみにも来るようにすすめたが、
『自分が好きになった人以外と、そういうことはできません』と断った。
その言葉が逆に、アヤカの気持ちを余計ひきつけるものとなってしまい、
『絶対、私のこと、好きにさせてみせる!』
と言わせてしまうほどになったのだ。
- 155 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時23分13秒
- 「ま、他にも、女の子の部屋で飲んでて、そのまま寝ちゃったら、
服を脱がされかけてたなんてこともあるしねー」
「…よっすぃーって、ホントにモテるんだね…」
「っていっても女の人からだしねぇ」
ひとみは苦笑いをした。
「そんなに女の人からモテても全然好きになったことないんだ?」
「うん、キレイとかカワイイとは思うけど、それ以上は思ったことないなあ」
「そーだよね、そういう気持ちがあったら、アヤカさんみたいなキレイな人に
せまられたら、即OKだよね」
「…梨華ちゃんはどうなの?もし、女の人からせまられたら?」
(ちょっと意地悪な質問かな?)
「えっ!?…あの、あのね、今日ね…」
「うん、どうしたの?」
「イチさんにキスされちゃった」
「えっ!!」
- 156 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時23分49秒
- 梨華たちを乗せた愛の車は横浜に向かった。
観光名所をいくつか見て、中華街で食事の後、
夜の山下公園を紗耶香と梨華、愛とあゆみというカップリングで歩いていた。
みんなの前では、ハイテンションでしゃべりまくっていた紗耶香だったが、
梨華と2人っきりになってからは、黙りこくっている。
一方、愛とあゆみの方は、普通にカップルに見えるくらいに、
仲良く手をつないだりして楽しそうにはしゃいでいた。
そんな2人を横目に見ながら、紗耶香がやっと口を開いた。
『あのさー…梨華ちゃんのこと、好きになっちゃったみたいなんだよね…』
梨華が驚いて、紗耶香の方に顔を向けた…と同時にキスをされた。
一瞬唇が軽く触れるだけのキスだった。
『!!』
紗耶香はニッコリと微笑んだだけで、そのまま、愛とあゆみの方へ向かい、
2人のジャマをしていた。
帰りの車の中では、前の2人には気づかれないように、さりげなく、
紗耶香は梨華の手を握ってきた。
梨華はなんとなく拒否することもできず、車を降りるまでそのままでいた。
- 157 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時24分26秒
- 「さっきね、タカちゃんが、マンションの前まで車で送ってくれたんだけど、
イチさんが部屋に寄りたいっていうの…」
(ったく、あの人、手が早すぎだよ…)
ひとみは、内心、あきれはてていた。
「今日はもう遅いからって断ったけど、もし、部屋に呼んだら、
それってOKっていう意味になるのかなぁ」
「…梨華ちゃんは、イチさんのこと、どう思うの?」
「うーん、優しいし、かっこいいし、面白いけど、やっぱり女の人だしね…」
「そうだよね…」
「あー、でも、あんな風にキスされて、ちょっとドキッとしちゃったけどね」
梨華はクスクス笑っていたが、ひとみはかなりムカついていた。
- 158 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時25分00秒
- 「もしさぁ、イチさんがもっと強引にきたら、断れる?」
「うーん、私、イチさんのことそういう風に考えられないからなぁ…でも…」
「…でも?」
「イチさん、すごく雰囲気作りがうまいと思うから、
人によってはそれに流されちゃうかもしれないね」
「…梨華ちゃんは?」
「大丈夫でしょ、たぶん」
「たぶん、なの?」
ひとみは眉間にしわを寄せた。
「だって、私、今、彼氏もいないし、欲求不満とかになって、
してもいいかな、なんて思っちゃうかもしれないしー」
「そ、そんなのダメだよ!そんなの相手が誰でもいいってことじゃん!」
ひとみは、思わず上半身を起こし、梨華を見下ろす体勢になった。
「じゃ、そういうときは、よっすぃーが相手してくれる?」
「へっ?」
しばらく、2人は見詰め合っていた。
- 159 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時25分31秒
- 「…なーんてね、冗談だよ」
「も、もう、そういう冗談やめてよー」
ひとみは、梨華に背を向けて、再び横になった。
「…ごめん」
ひとみは、梨華のさびしそうな声が耳に入ると、いたたれなくなり、
梨華の方に向き直り、梨華の髪を優しく撫でた。
梨華はそのまま、ひとみの胸に顔をうずめた。
(でも、イチさんにされるくらいなら、ウチがしたいかも…)
自分に触れている梨華の体の部分が、すごく意識されてきた。
(梨華ちゃん、ホントに胸あるんだよな…髪もキレイ…腰は細いし…)
(キスはもうされちゃったんだよね…)
そんなことを考えていたら、鼓動が高まってきた。
(わわわ、バッカじゃないの!相手は女の子だってば!)
ひとみは、全く関係ないことを考えようと必死になっていた。
- 160 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時26分17秒
- 「?…よっすぃー?」
「…ん?何?」
「…ん…いいや、なんでもない…」
このとき、梨華はひとみがドキドキしていることに気づいていた。
(ヘンなこと言っちゃった…よっすぃー、私とHすることでも考えちゃってるのかなぁ)
(でも、実際、欲求不満とかで、そういうことしたくなったら、
イチさんよりもよっすぃーにしてもらいたいかも…)
ひとみの指が梨華の髪をやさしくとかしている。
(…う…私までドキドキしてきちゃった…これじゃ寝れないよう…)
梨華は「おやすみ〜」といって、さりげなくひとみと離れ、背中を向けた。
「あ、おやすみ」
ひとみも梨華に背中を向けたが、しばらくしても寝れそうもなかった。
とりあえず、梨華が眠ったのを確認すると、ベッドを出て、
借りてきたビデオを見ることにした。
- 161 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時26分54秒
- ひとみは結局朝まで、ビデオ鑑賞をしていた。
そして、朝食を2人分用意して、梨華を起こしにいく。
梨華は、ひとみの枕を抱いて気持ちよさそうに眠っていた。
(カワイイなぁ…)
ひとみは、ベッドのすぐ側にしゃがみこむと、梨華の寝顔を観察しはじめた。
(カワイイくせに、なんか色っぽいんだよなぁ…)
「…ん…」
梨華の唇が一瞬動く。とても艶かしく見えた。
(イチさん、この唇にキスしたんだよな…)
ひとみは、無意識に目を閉じて、自分の唇を梨華のに寄せていった。
が、触れる直前に、ひとみは目を見開いた。
「うわぁっ!!」
自分自身の行動に驚いて、飛び退く。
(な、なにやってんだ、ウチ…)
- 162 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時27分31秒
- 「う…ん………あ、よっすぃー…おはよう」
ひとみの叫び声のせいか、梨華が目覚める。
「お、おはよう…あ、朝ゴハン、できてるから…」
ひとみは、梨華の方をまともに見ずに、部屋を出ていった。
「わーっ!おいしそう!!」
今日の朝食は、お手製のベーグルサンドに、フルーツの入ったヨーグルト。
「はい、どーぞ」
梨華がテーブルの前に座ると同時に、ひとみがコーンスープを運んできた。
「ありがと。いただきまーす」
ベーグルを頬張る梨華を見て、ひとみは自然と笑みがこぼれた。
「?何がおかしいの?」
梨華が、不思議そうに聞く。
- 163 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時28分13秒
- 「いや、梨華ちゃん、おいしそうに食べてくれるから、うれしいなって」
「だって、おいしいよ!よっすぃーの作ってくれるのって何でも!」
「あは、そんな喜んでもらえるんだったら、毎日でも作るよ」
「うふふふ、なんかプロポーズみたいだね」
梨華がニコニコと、ひとみを見つめた。
「へっ!?…いや、あの、そんなつもりじゃあ…」
ひとみは真っ赤になって、うつむいた。
「あれ?もしかして、よっすぃー、照れてるー?」
梨華が、ひとみの顔をのぞきこんだ。
「な、なに言ってんの!女同士なんだから、プロポーズなんてありえないでしょうがー」
ひとみは、梨華に顔を見られないよう、横を向いた。
「んー、でも、私、本当によっすぃーに毎日、ゴハンつくってもらいたいなぁ」
梨華の甘えたような声に、ひとみはどうも弱い。
- 164 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2001年12月31日(月)03時29分16秒
- 「いいけどぉ…梨華ちゃんは何してくれるの?」
「うーん…お掃除、お洗濯は?」
「ダメ、ウチの方がうまいもん。自分でやった方がいいよー」
「えー…じゃ、優しくしてあげる!」
「はぁ?ナニそれ?」
「よっすぃーがして欲しいことはなんでもしてあげるぅ。
なんか買って来てっていうなら行ったりするしー…
あ、それと欲求不満になったら、解消させてあげるよ〜」
ひとみは、飲んでいたスープを噴き出した。
「きゃっ!」
梨華が慌てて、テーブルの上や、ひとみの服をふきんで拭く。
「…バッ、バカなこと言わないのっ!」
「だってー、私にできることって、それくらいしかなさそうなんだもん…」
梨華はシュンとしてしまった。
「ウチは、梨華ちゃんが側にいて楽しそうにしてくれてれば、それだけでうれしいから」
梨華はハッとしたようにひとみを見ると、赤面したままだがやさしく見つめてくれていた。
今度は梨華の方が顔を赤らめて、うつむく。
「…ありがと」
(…ウチの言ったこと、なんだか口説き文句みたいだったな…)
ひとみは自分の言葉にも恥ずかしくなった。
2人はその後、一言も口をきかずに、赤い顔のまま食事を続けていた。
- 165 名前:ラッキー 投稿日:2001年12月31日(月)03時30分54秒
- 更新です。ベタな甘々シーンですが、結構好きだったりします(笑)
>ARENAさん
わりとストックされてるので、順調に更新できてます(笑)
ここまできても、まだ自分の気持ちに気づいてない吉澤クンだったりします(笑)
>夜叉さん、147さん
デートの前にちょこっと波乱がありそう(笑)
>REDRUMさん
そろそろそろそろ、自分の気持ちに気づきそうなカンジではありますが(笑)
>149さん
ちゃんと、2人もうまくいくと思いますよ(笑)
- 166 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月31日(月)12時06分16秒
- 最高です!やっぱり師匠の描くいしよしは最高であります。\(^-^)/
今回のシーンは、かなり良かったです。お砂糖吐きそうでした(笑)。
読んでるこっちもドキドキしてしまいました。
- 167 名前:吉胡麻系 投稿日:2001年12月31日(月)14時40分15秒
- もうかなりいいです。トロトロです。
PCの前でかなりニヤけてました。(w
>「イチさんにキスされちゃった」
その瞬間、頭を抱え込んだ自分がいた。(w
- 168 名前:夜叉 投稿日:2001年12月31日(月)14時41分54秒
- きゃ、あまあま、ありがとうございますぅ。
やや、距離が詰まってきたかな…、なんて自分のことのようにうれしくなってみたり。
今回、DLした「へっよろ」聞きながら読んでたら、吉が石の話をよくするので、さらに
萌えまくり(w。
普通に話してて話題に上る人って、自分の気になる人のことが多いような気がしますが、何か?
- 169 名前:名無し男 投稿日:2002年01月01日(火)17時44分56秒
- あけおめ!
ことよろ!
気のある子にそんな事言われたらスープ噴き出すわな(w
無意識にチューしようとするあたりなんかは
本能と自制心の葛藤は予想以上に激しそうじゃ
- 170 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時40分58秒
- 梨華が仕事に向かうと、ひとみは、ベッドに入った。
(あ、梨華ちゃんのニオイがする…)
布団にも枕にも甘くて優しいニオイが残っていた。
ひとみは、梨華と同じように枕を抱いて眠りについた…
『…よっすぃー、起きて…』
『…ん…』
目覚めると、隣に梨華が寝ていた。それも裸で。
『りっ、梨華ちゃん!?』
『…よっすぃー、ダイスキだよ』
梨華から、唇を重ねられた。ひとみは驚きながらも、それを拒否するつもりは
全くなく、自分から深いキスをしていった。
『…梨華ちゃん…ウチもダイスキだから…』
だからいいよね?というように、ひとみは梨華の細い体を思いっきり抱き締め、
愛しはじめた…
遠くで、何やら音がする。携帯電話が鳴っているようだ。
(なんだよ、こんなときに!)
はじめてしまった行為をやめることもできず、電話を無視していた。
しかし、電話の音は鳴り止まない。
しょうがない…梨華の体を抱き締めたまま、ひとみは片手を伸ばして電話をとる。
- 171 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時42分30秒
- 「…もしもし…」
『あ、よっすぃー?ごめんね、昨日、お部屋に忘れ物しちゃったみたいなの』
「…???…梨華ちゃん?」
『うん、あのね、手帳なんだけど、テーブルの近くにない?』
ひとみは、電話に出てるのが梨華であるのはわかったが、じゃあ隣にいるのは…
…枕であった。
「…夢かよ…」
『ん?あった?』
「あ、ごめん、ごめん」
ひとみが、リビングのテーブルを見にいくと、すぐ横に手帳が落ちていた。
「あったよー。ピンクのヤツね」
『そう、それ!よかったぁ!じゃ、ごめん。お部屋の郵便受けに入れておいてくれる?』
「うん、わかったよ」
『ありがとう!じゃまたね』
「じゃ」
(なんで、あんな夢みたんだろ?まさに、欲求不満なのかな…)
(…もしかして、ついに私も、そっちの方に目覚めちゃったのかな…)
ひとみは、かなり困惑をしていた。
- 172 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時43分11秒
- しかし、ひとみは、その後の数日お店でキレイなお客を相手にしてても、
キスをされても、今まで通り、何の感情も持つことはなかった。
(たまたまあの日、イチさんのせいで、ヘンなこと考えちゃったからだよ、きっと。
別に本格的にそっちの道へ行く気持ちになったワケじゃないみたいだし…)
ひとみは、ホッと胸を撫で下ろした。
そして、土曜日の朝、仕事を終え、ひとみはマンションに向かっていた。
昨夜のうちに、梨華からメールがあり、今日は朝から実家に帰るので、部屋に来ないとのこと。
(あんな夢見ちゃって、なんとなく梨華ちゃんに会いづらいから、ちょうどよかったかも)
- 173 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時43分41秒
- 「よっすぃー!」
マンションの前で、声をかけられた。
「あれ?真希、ナニしてんの?こんなとこで」
「よっすぃーのこと、待ってたの」
真希は紗耶香の恋人であるが、ひとみは同い年ということもあったし、
趣味なども似ていて、すぐに友達として仲良くなった。
ひとみの部屋にも、紗耶香といっしょに遊びにきたことがあるので、
場所を覚えていたらしい。
ひとみは、部屋に真希を連れていき、リビングに通した。
「どうしたの?何かあったの?」
真希にあたたかい紅茶を出してやりながら、ひとみがたずねる。
「うん、いちーちゃんのこと…」
「そっか…」
- 174 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時44分16秒
- 紗耶香の浮気症は今にはじまったことではないし、
今までも何度か真希のグチを聞いてやったことはあった。
しかし、それも電話やメール、お店で紗耶香がいないときという場面であって、
こうやって部屋に来てまで話しを聞かされるのははじめてだ。
「また、いちーちゃん、気になる子がいるみたいなんだけどね、今までとなんか違うの」
「ん?どんな風に?」
「全然Hしてこないんだよねー。『毎日でもしたい』って言ってた人がだよ?
今まで、浮気してても、アタシが部屋に行ったら絶対してたのに、
ここ1週間くらい、キスしかしないんだよ?おかしいと思わない?」
紗耶香は1人暮らしだが、真希が毎日のように部屋に行ってるので、
半同棲状態であるのだ。
(ここ1週間か…それって、もしかして…?)
- 175 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時45分58秒
- ひとみの部屋のインターフォンが鳴る。訪問者は梨華であった。
「真希、ちょっとゴメン」
そう声をかけて、とりあえず玄関へ向かう。
ドアを開けると、梨華が立っていた。
ひとみは、夢のことがあったせいか、梨華の姿を直視することができずにいた。
「よっすぃー、おはよっ!」
「うん、おはよう…」
梨華は玄関先に立ったままで、部屋にあがろうとはしなかった。
「今から、実家に帰るんだけど、よっすぃーに一目会っておきたいなーって思って」
ひとみは、そんな梨華の言葉と笑顔に胸がギュッと締め付けられて、何も言えなかった。
「明日の午前中には帰ってくるから、お出かけはそれからしようね!」
(そういえば、そんな約束してたっけ…)
「あ、うん、わかった…」
「…よっすぃー、この人、誰?」
気がつくと、真希がひとみの背中に抱きつき、肩にあごをのせて、梨華を見ていた。
「え、ああ、お隣に住んでる…」
「!?…ご、ごめん、私、来ないって言ったのに来ちゃって!…おじゃましましたっ!」
- 176 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時46分36秒
- 梨華は慌てて、ドアの外に出た。
(…すごくキレイな人だったな…やっぱり、女の人、連れこんだりしてるんだ…)
(私が行かないって言った日に部屋に来てるってことは、私が部屋に行くのって、
実はすごく迷惑なのかな…)
「あ、何か勘違いされたっぽいねー」
真希が、感情のこもっていないような声を出す。
「…うん、そうみたい…」
(そんな行動とったら、そういう関係って思われて当然でしょうが!)
「もしかして、よっすぃーの彼女?」
「ち、違うよ!お隣さんで、仲良くしてるだけだよっ」
ひとみは、真希から離れて、リビングに戻ってソファーに座った。
真希はひとみの隣に座る。
「でも、すごいカワイイ子じゃん。付き合っちゃえばいいのにー」
「ノンケだから、ムリだよ」
「アタシだって、いちーちゃんと会ってからだよ、そういう気持ちになったのは。
いちーちゃんの浮気相手だって、ほとんどノンケの子だよ」
(たぶん、彼女が今回の浮気相手本人だよ)
ひとみは、そう心でつぶやいたが、真希には伝えられなかった。
- 177 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時48分33秒
- その後も、ひとみは真希のグチをさんざん聞かされた。
「…すごく不思議なんだけどさ、なんでそんなイチさんをイヤにならないの?」
ひとみは、真希の話しが一段落ついたところで、ずっと思っていたことを尋ねた。
「…わかんない…わかんないけど、大好きなんだよね…」
「じゃあさ、真希も思いきって浮気してみたら?」
「えー?」
「イチさんはさ、何してもそうやって真希が待ってくれてることに、甘えてんだよ。
真希、もてるんだから、ちょっと他の人と遊んでるのを見せつけてみて、
イチさんに真希の存在の大きさを思い知らせた方がいいよ」
真希は、紗耶香と付き合う前、中学生の頃は、いろんな男と遊びまくっていたらしい。
それに、お店に遊びに来ていると、他のお客さんから、
「あの子紹介して」といわれてしまうくらい、女の人からも人気があった。
もちろん、なつみも、梨華にしたように店にスカウトしているくらいだ。
「えー、でも、浮気するような相手いないもん」
「あ、いくらでも紹介するよ。真希、ホント人気あるんだからー」
「うーん…どうせなら、よっすぃーがいいかな」
「はあ!?ウチはダメだよ!」
- 178 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時50分53秒
- 「なんでー?彼女いないんでしょ?いいじゃん」
「そんなのバレたら、イチさんに殺される…」
「大丈夫だよ、いちーちゃん、アタシより力ないもん。よっすぃーなら楽勝だよ」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
たとえ、親友のためとはいえ、先輩を裏切る行為はできない。
あとで、真実を伝えてもいいのだけれど、
それでは、紗耶香の遊び癖は直らないような気がする。
「別にさ、相手が誰っていわなくてもさ、浮気してる証拠を見せればいいんでしょ?」
「…まぁ、そうだね」
「じゃあさ…」
真希がいきなりひとみにキスをしてきた。
それも、はじめからかなり激しいものだった。
ひとみは抵抗しつつも、その行為じたいに興奮をおぼえたが、
夢の中とはいえ梨華としたときのようなトキメキみたいなものは全く感じなかった。
(…ウチ、『女の人が好きになった』んじゃなくて、
『梨華ちゃんのことが好きになった』んだ…梨華ちゃんじゃないとダメなんだ…)
- 179 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月02日(水)15時51分24秒
- 他の人とのキスの最中に気づかされて、慌ててひとみは真希の唇から逃れた。
「…はぁ…はぁ…ダメだよ、こんなことしちゃ…」
ひとみは、子供を叱るように、真希の顔を覗き込んで言った。
「…ごめん…でも1つだけワガママ聞いて」
「うん、なに?」
「…キスマークつけてくれる?それも、目立つところに」
確かに、キスマークがあれば誰かとそういう行為をした証拠になる。
しかし、肉体的な浮気なんて、紗耶香は、どういう反応をするのだろうか?
梨華とのこともあって、紗耶香に少しイジワルをしてみたくなった。
「なるほどねー…OK。どこにする?」
「うーん、このへんとかどう?」
真希は首筋を指差した。
「たしかに目立つから、いいかもね。じゃ、いくよ?痛かったらゴメン」
ひとみは、真希の首筋にくらいついた。
とりあえず、頭の中では、相手が梨華だと思い浮かべて。
- 180 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月02日(水)15時52分29秒
- あけましておめでとうございます。更新でございます。
>Charmy Blueさん
ありがとうございます(照)
砂糖吐きますか(笑)この先、もっと吐いてもらえるようガンバリます。
>吉胡麻系さん
どうもです。トロトロにさせてすみません(笑)
頭まで抱え込んでいただくなんてうれしい限りです。
>夜叉さん
へっよろ聞いたことないんですけど、確かにいしよしはお互いの話題を
よくしてますよね〜。
プッチモニダイバーのときとか、ごっちんが「梨華ちゃんは○○だよね〜」とか
言ったのに対して、「そうかなぁ、そんなことないよ」みたいな発言をしたよしこに萌えました(笑)
自分はよく知ってるんだぞみたいなところに(笑)
>169さん
あけましておめでとうございます。
自分の気持ちに気づいたものの、なかなか素直になれそうもないですね(笑)
- 181 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月02日(水)16時07分02秒
- ワクワクする展開ですね〜。
明日の約束も波乱があるのかな?
- 182 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月02日(水)21時14分39秒
- 面白くなって来ましたね。イチさんの動きも気になるし。
ごっちんも可愛い。
- 183 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時32分01秒
- そして、その日の夜。
ひとみと愛が開店準備をしていたら、紗耶香がやってきた。
「おはよーございます。イチさん、早いっすね」
「おはようございます」
紗耶香は、何も言わずにソファに寝転んで、大きなため息をついた。
「どうしたんっすか?イチさんらしくないじゃないっすか?」
愛は驚いているが、ひとみはなんとなく予想していた通りだったのでおかしくなった。
「実はさ、先週ドライブしてからさ、梨華ちゃんのことがすごくいいなって思っちゃってね。
なんとかできないかなって、今週ずっと考えてたんだよね」
(そうはさせるかよっ!)
ひとみは、紗耶香のことをにらむように見た。
「梨華ちゃん、ガード固そうですもんね」
愛は自分がうまくいっているもんだから、余裕の発言だ。
- 184 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時33分56秒
- 「まあ、そういう子こそ、落としがいがあるワケよ。
でもさ、今朝、真希が部屋に来たらさ、アイツ、首んとこにキスマークがあんだよ」
「マジっすか?イチさんがつけたんじゃないんですよね?」
紗耶香の対応は愛に任せて、ひとみは話しを聞くだけで、手は料理の下準備をしていた。
「たぶん、昨日会ったときはなかったはずなんだよ。
つーことは、昨日の夜のうちにつけられたってことじゃんか。
で、昨日なにしてたのか聞いたら、『友達の家に遊びに行ってた』って、
それしか言わないんだよ」
「ふーん、あやしいっすね」
「アイツ、いつもだったら、いろいろ聞いてないことまで詳しく説明するくせに、
今日に限って、他に何も言わねーんだよな」
紗耶香は起き上がって、グラスを出し、バーボンをロックで一気飲みした。
- 185 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時34分46秒
- 「で、気になって『友達って誰?』って聞いたら、『いちーちゃんの知らない人』
って言われてさぁ…ったく誰なんだよ!」
「直接聞かなかったんっすか、キスマークのことは?」
「聞けねーよ。でも、どうみてもキスマークだしよぉ。
誰かしたヤツがいるのは間違いないんだし」
「他んとこにも、キスマークついてたんすか?」
「いや、真希、朝ゴハン作るだけで帰っちゃったから、何もできなかった…
あー、こんなこと、5年付き合ってて、はじめてだよ…」
紗耶香は、バーボンをもう1杯、飲み干した。
「イチさん、浮気しすぎですもん。真希さんがしてもしょうがないんじゃないっすか?」
「ダメだ!オレはいいけど、アイツのはダメ!」
「あー、よくいますよね、こういうワケわかんないこと言うオトコ…」
愛はあきれたように、ひとみに同意を求めた。
- 186 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時35分56秒
- 「とりあえず、ちゃんと確認した方がいいですよ。
もしかしたら、遊びでつけられたのかもしれないし。
ま、その前に、自分の遊び癖を直してからの方がいいと思いますけど」
「…そうだよなぁ…」
紗耶香はひとみの言葉に納得していた。
「でもイチさん、本当に真希さん一筋とかになれるんですかぁ?」
「…しばらくは、真希だけにするよ…やっぱ、アイツが一番だからさ…」
「おー!かっこいいっす!でも『しばらくは』ってどーゆーことっすか?」
「だってさ、他の子と遊ぶから、真希の良さが余計わかるわけよ。
今までいろんな子と付き合ったりしてきてるけど、
やっぱ真希以上の子っていないからよぉ」
「なんだ、結局ノロケなんっすかー。心配して損しましたよ。
でも、あんまり浮気すると、真希さんからいい加減愛想つかされるかもしれないですよ」
「…今までは、そう言われても、絶対真希が自分から離れない自信があったんだけどさ、
今日、その自信なくなっちゃったよ…」
- 187 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時36分27秒
- 「自分の付き合ってる人のことは、本当に大切にしなきゃダメっすよ。
それも、相手に伝わるようにしないと」
「なんか、ヨシさんが言うと重みがあるなぁ。やっぱ、過去の経験から学んだんっすか?」
(あ、そうか、ウチ、過去の人をひきずってるんだったな)
「うん…相手のことちゃんと見てないと、気持ちの変化にも気づかないからね」
(それらしいこと、言えてるよな?)
紗耶香がひとみの肩を強く掴む。
「ツライ思いしてきたんだよなぁ…お前、もう過去のことキレイに忘れてさ、
新しい女つくった方が、絶対いいぞ」
「いや、ウチはいいんっすよ」
「アヤカさんは、わりきって付き合う分にはいいけどなぁ、
お前の手には負えないと思うしよぉ。お客さんの中だと誰かいるかなぁ…
お、そうだ!梨華ちゃん、どうだ?うん、お前とお似合いだと思うんだけどなあ」
「だ、だから、ウチのことはいいですって」
ひとみは、真っ赤になった顔を気づかれないように、しゃがみこんで、
冷蔵庫の中を整理しはじめた。
- 188 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時36分58秒
- 「ソレいいっすねぇ!あ、今度連休があるじゃないっすか?
あゆみちゃんと4人で旅行でも行きません?
自分もその方が誘いやすいし。もちろん部屋は別にしますから」
(いつも、ウチのベッドだもんなぁ。たまには違うとこで寝るのもいいなぁ…)
「ね、ヨシさん、どうですか?」
「…もう、勝手にしろっ!」
ひとみは、ニヤついた顔を隠すように、背中を向けた。
「わかりました〜あゆみちゃんと相談しておきますね」
- 189 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)00時37分39秒
- (これから梨華ちゃんとデートだ〜♪)
その日の仕事のあと、ひとみが家に帰る足取りは軽かった。
ふと、昨日の朝のことが頭をよぎって、足が止まる。
(そういえば、真希とのこと、どう思ったのかな…
もしかして、今日のお出かけ、キャンセルなんてことになっちゃうかな…)
真希を恋人、もしくはそういう関係に思われたら、
ひとみが女の人と付き合ったことがないというのは嘘になるし、
また、梨華をもそういう対象になる可能性があると思われても仕方ない。
(結局、梨華ちゃんのことは好きになっちゃったんだけどね…)
(私には彼氏がいるんだし、梨華ちゃんだって、きっとすぐにできるだろうし。
今のちょっと特別な友達みたいな関係を続けていくのが、一番いいんだろうな)
(だから、Hなことなんて、考えないようにしないと…)
ガマンできるのか不安に思いながらも、そう決心したひとみであった。
- 190 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月03日(木)00時41分19秒
- 本日2回目の更新です。(笑)
>REDRUMさん
早速、波乱が…(笑)
>Charmy Blueさん
ありがとうございます。
イチさんもやっと改心してくれそう(笑)
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)00時44分55秒
- 二度の更新!!しかもリアルタイム!!
なんか新年早々ちょっと得した気分(w
…それにしてもよっすぃー…そんな決心はいらーん!!
- 192 名前:夜叉 投稿日:2002年01月03日(木)00時57分34秒
- やっぱ、そうですよね、交信二回…。
お年玉、有難うございます。
なんか、石の方に何かありそうな(略。
いちーちゃん、諦めてくれたんですね(ほっ。
でも、ある意味、これも波乱…??
ダイバーの頃は全くといって娘。推しではなかったです>つか、出戻り(爆)。
へっよろもラジヲでは聞けないんで、人様のお力を借りております。
今日のドラマでも同じこと言えるんですが、二人の笑い合うとこ、何者にも
負けませんね。
斜め上から見た吉、素敵で萌えまくっておりました。>私事で恐縮。(汗汗
- 193 名前:名無し梨華 投稿日:2002年01月03日(木)01時45分47秒
- ああ、大好きですこの作品。
ヨシさんがんがれ!
- 194 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時26分55秒
- ひとみは、ほとんど眠らずに、梨華が部屋に来るのを待っていた。
(午前中に帰って来るって言ってたのに…)
時計はもう12時を回っていた。
(やっぱり、真希のことで嫌われちゃったかな…)
ひとみは、梨華に電話をしようか迷いながら、携帯をいじっていたところに、
着信音が鳴り響いた。
『よっすぃー?』
「あ、梨華ちゃん」
『ごめんね〜寝坊しちゃってー。お母さんが起こしてくれないかったんだよぉ』
「ううん、大丈夫だよ」
梨華がお母さんに対して子供のように怒っている姿が容易に想像できて、
ひとみは自然と笑みがこぼれ、さっきまでの不安が嘘のようになくなった。
『さっき、家出たところなの。だから、どっかで待ち合わせしない?』
「うん、いーよ。梨華ちゃん、どこが出やすい?」
『じゃ、渋谷でいい?』
- 195 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時27分28秒
- ひとみは、すぐ家を出たので、待ち合わせの時間よりも少し早くついた。
そして、梨華が来るであろう方向をぼんやりと眺めていると、
横断歩道の向こう側で梨華が信号待ちをしているのが見えた。
(やっぱり、カワイイなぁ…)
すると、2人組の男が梨華に声をかけてきた。どうやらナンパのようだ。
梨華はイヤそうな顔をしながら、無視していた。
(なんだぁ!アイツら!)
信号が変わると、梨華は急ぎ足で歩きはじめるが、男たちも、それについてくる。
しまいには、腕をつかんできたので、ひとみは急いで梨華の側に向かった。
「ちょっと!」
「あ、よっすぃー!」
梨華は、男の腕を払いのけて、ひとみに寄り添った。
「君、女の子だよね?この子の友達?」
「カワイイじゃん!4人で遊びに行かない?」
「結構です!」
ひとみは、梨華の腕を引いて、走るように逃げた。
- 196 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時28分05秒
- 男たちが追ってこないことを確認すると、ようやく歩く速度を緩めた。
「ったく…なんなんだよぉ…」
「よっすぃー、ごめんね」
「梨華ちゃんが謝ることじゃないよ」
「でもぉ…」
梨華が立ち止まって、申し訳なさそうにうつむく。
ひとみは、そんな梨華を抱き締めたくなったが、ポンポンと頭を撫でるだけにした。
「梨華ちゃんが、大丈夫ならそれでいいから」
ひとみが歩き出すと、梨華が腕を絡めてついてくる。
「…ありがと」
ひとみは顔が赤くなったのが、バレないように、少し急ぎ足になった。
その後、2人は買い物しつつ、ブラブラと歩いていた。
ひとみは、自分の梨華へ対する気持ちに気づいてしまったせいか、
どうもぎこちない態度になっていた。
例えば、梨華が顔を近づけて話しかけてきたりすると、サッと顔を背けてしまったりしていた。
- 197 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時28分36秒
- そして、夕食がてら、雰囲気のある居酒屋に入ってお酒を飲んでいた。
「そういえば、2人で外食するのってはじめてだよね?」
「うん、そうだね」
その後、お酒はすすんだのだが、会話がなかなか弾まなかった。
「…よっすぃー、私といっしょにいて楽しい?」
「な、なんで!?」
「ん、今日なんかあんまりしゃべってくれないし…」
「いや、それは…」
あなたのことが好きだから照れてるんです、なんて言葉は飲み込んだけれど。
「いつも週末に部屋に行くのも、迷惑なのかな?」
「なんで、なんで、そんなこと言うの?」
「だって、昨日、部屋にキレイな人がいたじゃない…」
「あ…」
やっぱり、真希のことを気にしてたのかと、ひとみは思った。
「私が部屋に行かないって言ってたから、呼んだんだよね?
私、ジャマだよね?もうよっすぃーの部屋行かない方がいい?」
「そんなワケないじゃん!!」
ひとみは、思わず立ちあがって大声を出していた。
周りの人の視線が集まる。梨華もキョトンとしている。
- 198 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時29分46秒
- 「…ごめん、大声出して」
ひとみは、イスに座り直して、大きくため息をついた。
「昨日、部屋にいた人って、よっすぃーの…彼女?」
「違うよ、彼女なんていないって」
「友達にしては、親し過ぎるように見えたから…」
梨華は、さっきからグラスをまわして、中の氷の音をたてていた。
(しょうがない、イチさんには悪いけど…)
「あの子、真希っていうんだけど、イチさんの彼女だよ」
「えっ?イチさん、彼女いるの?」
「うん、もう5年くらい付き合ってる。お店にもたまに来るし、
ウチ、同い年だし、なんか気が合って仲良くしてる。
昨日もイチさんのことで相談のってあげてたんだ」
「そうなんだ…」
「わかってると思うけど、イチさん、浮気性だから、真希はいつも悩まされてるワケよ。
今回の相手は梨華ちゃんだったみたいだけど」
ひとみは、ニヤッと笑って梨華を見た。
「そっか…彼女に悪いことしちゃった」
- 199 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時30分51秒
- 「梨華ちゃんは悪くないよ。どう考えてもイチさんが悪い」
「…わかった、もし、これからイチさんに誘われることがあったら、ちゃんと断るね」
「うん。でも、たぶん、もう大丈夫だと思うよ」
「なんで?」
梨華が、小首をかしげてひとみの顔を覗き込む。
ちょっとドキッとしたが、お酒のせいだと思うようにした。
「うーんとね、真希がちょっと浮気みたいなことをしたら、すごく動揺しちゃってね。
長く付き合ってて、自分はさんざん浮気したくせに、真希はしてなかったから。
それで、真希の存在の大切さに気づいたみたい」
「…へー」
「だから、とりあえずは浮気はしないと思うよ」
「もしかして、その真希さんの浮気相手ってよっすぃー?」
「!…うっ、ゴホッ」
梨華の鋭い指摘に驚き、飲んでいたサワーが変なところに入ってしまい、
ひとみはむせていた。
「大丈夫?」
梨華はひとみ背中をさすってあげた。
「なんで…?」
「だってー、イチさんと話ししたのって、昨日の夜、お店ででしょ?
真希さんからの相談は昨日の朝されたんだよね?
だったら、よっすぃーが、その相談にのってなんとかしてあげたのかなって」
- 200 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時31分30秒
- 梨華はまだ心配そうな顔をして、ひとみの背中をさすっていた。
ひとみは、サワーを一気に飲み干し、梨華に大丈夫だというところを見せ、
新しい飲み物を注文した。
「…梨華ちゃん、スルドイね…」
ひとみは、嘘をつくことでもないと思い、認めた。
「…その、Hとかしちゃったの?」
「してない、してない!キスマークつけただけだよ」
キスをしたことは、真希と2人だけの秘密にしておこうと思った。
「あ、そっか、それなら、浮気してると思うよね」
「うん、イチさん、見事にだまされてたよ」
ひとみは、紗耶香の落ち込みぶりを思い出して、ククッと笑った。
「イチさん、大丈夫かなぁ」
「いいのいいの。あの人は、そのくらいしないと、浮気ばっかりするんだから」
「真希さん、大変なんだね」
「うん、よく絶えられるよねぇ」
「私、浮気する人なんて、絶対イヤだな」
少なくとも、紗耶香と梨華が付き合うことにはならなそうなので、
ひとみは少し安心した。
- 201 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時32分02秒
- 「そういえば、真希からは、梨華ちゃんのこと『よっすぃーの彼女?』って聞かれたよ」
「えっ!?私が?」
「ま、朝から家に来るなんて、そう思われても仕方ないと思うけど、
ちゃんと否定しておいたから」
「あ、そっか…」
「そしたら、真希が『カワイイ子じゃん、つきあっちゃえば?』だって」
「えー…」
梨華は、照れたようにうつむいてしまった。
「ちゃんと、ノンケの子だからありえないって言っておいたから」
「…うん…よっすぃーだって、彼氏いるんだもんね…」
「うん、真希もそのことは知らないけどね」
ひとみは、梨華に変な警戒心を持たれないように、あくまで友達と思っているところを
見せようと思っていた。梨華が少しさみしい表情になったのも気づかずに。
- 202 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時32分32秒
- そして、夜、2人は並んでベッドに入っていた。
ひとみは、どうしようかと悩んだのだが、一緒に寝ることを拒否するのも
逆に変に思われるかもしれないし、今日はお酒も結構飲んだし、
すぐに眠れそうな気がしたので、梨華といても大丈夫だろうと思ったのだ。
案の定、梨華はすぐにひとみに寄り添ってきた。
ひとみは、抱き締めることはガマンして、頭を撫でるだけにした。
すると梨華の方から抱きついてきた。
(くっ…とりあえず、寝ることだけを考えよう…)
ひとみは、梨華を枕か何かと思うようにして、目をつぶった。
「…私も、よっすぃーにキスマークつけちゃおうかなぁ…」
「へっ!?ナニ言ってんの?…あっ…」
ひとみが驚いているすきに、梨華はひとみの首すじに唇を寄せて、吸い上げていた。
ひとみは、全身の血液が一気に心臓に回ってきたかのような感覚に襲われた。
「り、梨華ちゃん…」
ひとみは、頭の中が真っ白になりつつも声を出すと、梨華が唇を離した。
- 203 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月03日(木)17時33分02秒
- 「ごめんなさい…真希さんの話し聞いたら、なんかイタズラしたくなって…」
「・・・」
「怒ってる?」
梨華はひとみの顔を上目遣いで見た。
「…怒ってない…びっくりしただけ…」
梨華の顔を見てると、自分からも何かしてしまいそうだと、
ひとみは梨華に背中を向けた。
「ごめんね…私のこと、嫌いになった?」
「…そんなことないよ」
むしろ好きになって困っているのだから。
「じゃ、好き?」
「…うん、好きだよ」
ひとみは、梨華に背中を向けたままだから、そんな言葉を言えたのかもしれない。
「私も、よっすぃーのこと好きっ」
梨華は背中に抱きついていた。
「ん、ありがと…」
ひとみは梨華の言う『好き』と自分の思っている『好き』は意味合いが違うと
思いながらも、梨華のぬくもりを背中に感じられるのはうれしかった。
- 204 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月03日(木)17時33分53秒
- 更新です。
先程、中野から帰ってきました(笑)
12時からの公演を見たのですが、アンコールのミスムンで梨華ちゃんが、
背中のホックをしきりに直してました。
衣装はチャックっぽかったので、ブラのホックが外れてしまったのかもしれません。
でも、ポロリとかはなかったですから(笑)
>夜叉さん
そうですね〜はいからさんでのいしよしのダンスシーンはヲタ用かと思いました(笑)
>193さん
ありがとうございます。ヨシさん、がんばってますよ〜(笑)
- 205 名前:理科。 投稿日:2002年01月03日(木)19時07分47秒
ひさぶりに小説板に来たら…。
さすがですね。ラッキーさん…。
引きこまれますなぁ…。
すんごい面白いです!頑張ってください♪
中野行ってきたんですね?いいなぁ!
- 206 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月04日(金)01時34分50秒
- この小説がツボにはまってしまったので思わず初レスしてしまいました。(w
続き期待大です。頑張って下さい!!
- 207 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)03時17分39秒
- ポロリがなくとも、十分(略。
そうなんですか、自分も楽しみにしてるんですわ、ライヴ。
石がキスマークをつけたシーンで、思わず自分も「あーっ」と叫んでしまいました(w。
何かがあるんでしょうか?気になります。
- 208 名前:名無し男 投稿日:2002年01月04日(金)13時17分37秒
- タコ星人ハケーン!!
- 209 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時43分33秒
- 「おはよー、タカ」
翌日、ひとみが店に行くと、愛はうれしそうな顔になった。
「ヨシさんっ!おはようございます!
あゆみちゃんから旅行の件、OKもらいました!」
「あ…」
ひとみは、その話しを梨華と全然していなかったことに気づいた。
「梨華ちゃんも大丈夫らしいっすよ!よかったっすね〜」
「あ、そう…」
「もっと、喜んで下さいよぉ!…アレ?ヨシさん、これってキスマーク?」
ひとみは慌てて、首筋を押さえる。
ジムから帰るときに、バンソウコウでも貼っておこうと思ったのを、
すっかり忘れてしまっていたのだ。
「へー、ヨシさん、やることやってんだぁ…彼女できたんですか?」
「違うよ、つけられただけだよ!」
「お客さんからっすか?あ、アヤカさんとか?」
「…もういいよ、その話しは…」
ひとみは、店に置いてある薬箱から、バンソウコウを取り出すと、
鏡を見ながら、首筋に貼った。
「ま、梨華ちゃんにはバレないようにして下さいよぉ」
(その張本人なんだけどさ…)
ひとみは、イタズラにしては度が過ぎるんじゃないかなぁと、
梨華を少し恨めしく思った。
- 210 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時44分53秒
- 「旅行どこがいいっすかね〜…温泉かなぁ、やっぱり」
「!!…イヤだよ、タカと一緒になんか入りたくない」
本当は梨華の裸を見ることに、抵抗を感じているのだが。
「あはは!自分だって、ヨシさんの女っぽい体なんて見たくないっすよ!
もちろん、貸切ができるところか、部屋に温泉があるとこで」
「それって、タカはあゆみちゃんと2人で入るんだろ?」
「そうっすよ、だから、ヨシさんは梨華ちゃんと2人でがんばって下さい!」
愛はテーブルを拭きながら、ガッツポーズをとっていた。
「あのなぁ、ウチら、そういう関係じゃないのに、
なんで2人温泉入んなきゃいけないんだよ」
「いいじゃないっすか、それをきっかけにそういう関係になれば」
「ウチはそんなこと考えてないし、向こうだって考えてないよ」
「でも、あゆみちゃん言ってましたよ、梨華ちゃんはヨシさんのことがお気に入りだって」
「へっ?」
ひとみは、顔が赤くなっていくのを感じながら、グラスを磨いていた。
- 211 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時45分28秒
- 「だから、ヨシさんにその気がなくても、向こうに気があるなら、
やることはやっちゃえばいいんじゃないっすか」
「バ、バカッ!ウチはそんなことはしねーよ」
「そうっすかー?梨華ちゃん、スタイルいいし、抱き心地よさそうなんだよなぁ。
そういう状況になったら、さすがにヨシさんでも、ガマンできないんじゃないっすか?」
(いつもガマンしてるっつーの!)
「ま、宿の方は手配しておきますね、自分のお客さんに旅行代理店の人がいるんで」
「あ、ああ」
(温泉に、しかも2人っきりって…さすがにガマンできないかも…)
- 212 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時45分59秒
- そして、その旅行の前日。
仕事前に、いつものようにひとみはジムに向かった。
「よぉ」
ジムの前で彼が待っていた。
「あれー?今日、仕事は?」
「ん、休み。お前は仕事あるんだろ?」
「うん」
「じゃあさ、ジムさぼって、茶でもしようよ」
彼は、優しく肩を抱いてきた。
「うん、いいよ」
ひとみは、彼から感じるぬくもりを心地よいとは思ったが、
梨華から感じるものとは、やはり違うと気がついた。
- 213 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時46分32秒
- 喫茶店で、彼と話しをしている最中でも、ひとみは梨華といるときと比較ばかりしていた。
彼はすごく優しいし、一緒にいて楽しいし、落ち着く。
それは、梨華といるときでも、感じることではあった。
でも、何かが決定的に違う…
「…お前さぁ、最近何か悩みでもあんの?」
「えっ?そんなことないよー。何で?」
ひとみは、自分の心を見透かされたようで、少しあせった。
「いやー、この前会ったときも思ったんだけど、ボーっとしてることが多いなって」
「あー、最近、ちょっとお店忙しくなってるから、疲れてるのかも。ごめんね」
「そっか、あんまりムリすんなよ」
彼がひとみにニッコリと微笑んだ。
(あ…)
彼の笑顔は、ひとみの気持ちをすごく安らかにはさせたけれど、
梨華に微笑まれたときのような、高揚感はなかった。
そういえば、彼とはじめて会ったときから安心感はあったが、
胸を締め付けられるような気持ちになったことがないことに気づいた。
でも、梨華とも時間がたてば、そういう感情はなくなるかもしれない。
目の前にいるこの人のことを、一番大切に思っておいた方がいいのだと、
ひとみは自分に言い聞かせていた。
- 214 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時47分06秒
- 「お前さ、北海道、行きたいと思わない?」
「うん!行きたい!お休みとれるの?」
「いや、そうじゃなくてさ…」
彼は、タバコの煙をゆっくりと吐き出した。
「前、お世話になった人が、北海道でお店やってて、
結構儲かってるらしくて、2軒目を出すらしいんだよ。
で、その店の店長やらないかって言われてるんだ」
「…え?」
「つまり…一緒に来てほしい」
彼は、タバコの火を消すと、ひとみを見つめた。
ひとみは、あまりに突然のことで、声も出ずに固まっていた。
確かに、彼のことは大好きだ。ずっと付き合っていきたいと思う。
でも、一緒に北海道に行くなんて…つまり結婚ということなのだろうか?
「別に、すぐってわけじゃないんだ。店のオープンは半年後くらいだし。
返事も今日じゃなくてもいい。ゆっくり考えてくれたらいいから」
「…あ、うん…」
- 215 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時47分38秒
- その日、仕事の間もひとみは悩んでいた。
(どうしたら、いいんだろう…)
一般的な幸せは、彼についていって、結婚して一緒にお店をやることだろう。
でも、今の仕事もとりまく環境も好きだし、辞めたくはない。
それと―
- 216 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月04日(金)13時48分13秒
- 「よっすぃー、おはよっ!」
ひとみが仕事を終え、部屋に帰るとすぐに、
少し大きめのカバンを持った梨華がやってきた。
「…梨華ちゃん、気が早いね」
今日はお昼過ぎに、愛が車で迎えにくることになっていた。
「よっすぃー、これから寝るんでしょ?」
「うん、シャワー浴びたら寝るつもりだけど」
「じゃ、私も一緒に寝るね。先にベッド行ってるよ〜」
梨華はカバンを持ってきたとはいえ、まだパジャマ姿であった。
(まったく、人の気も知らないで…)
ひとみは、そう思いながらも、顔は微笑んでいた。
ひとみが、シャワーを浴び終え、ベッドに向かうと、梨華はすでに寝息をたてていた。
(あはは、自分のベッドでずっと寝てればゆっくり眠れるのに…)
梨華の目を覚まさせないように、そっと布団に入ると、
ひとみは、梨華のことを優しく抱き締めた。
(やっぱり、梨華ちゃんと離れるなんて考えられないよ…)
- 217 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月04日(金)13時50分21秒
- 更新です。
>理科。さん
ありがとうございます。
理科。さんも次回作ぜひ書いて下さい!また笑わせて下さい!
>206さん
嬉しいお言葉、どうもありがとうございます!
>夜叉さん
ライブの内容は…でしたが(笑)、梨華ちゃんはかわいかったです。
ホックの件は、もしかしたら、衣装のファスナーの上についてたのかもしれません。
なんせ自分は2階から見てたもので、よく見えなかったんですわ(笑)
途中、ののと肩を組むふりのときに、ののも手伝ってあげてたけど、
結局最後まではめられなかったっぽいです。
ライブ楽しんできて下さいね〜
>208さん
ありがとうございます(笑)
- 218 名前:睦 投稿日:2002年01月04日(金)14時32分07秒
- 一言だけ。
すごく好きです!!
ドキドキしながら、次の更新待っています。
では、失礼します。
- 219 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月04日(金)14時52分42秒
- もう目が離せません!!(w
よっすぃ〜がどうするか…
続き期待してます。
- 220 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)23時24分09秒
- やはり、ライヴは…ですか。
そんな予感はしてたんですけどね(爆)。
2階席、いいですね。自分なんか…(鬱)。
吉の彼氏、核心に迫ってきましたね。
温泉も目の前になってきて、目が離せませんね。
部屋風呂…(赤面。
- 221 名前:名無し梨華 投稿日:2002年01月05日(土)00時43分37秒
- はあ、ヨシさん、我慢しなくていいのに(w
梨華たん、早くヨシさんを奪いなさい!
・・・・あれ、違うか(w
- 222 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月05日(土)01時18分05秒
- 据え膳食わぬは・・・ですよ。吉澤君
- 223 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時29分43秒
- 「それじゃ、出発するよ〜!」
「「はーい!!」」
ひとみ、梨華、愛、あゆみを乗せた車は東京から2時間程のところにある温泉地に向かった。
途中、観光名所や、有名なお店でラーメンを食べたりしながら、
4人はとても楽しく過ごしていた。
そして宿は、愛が言っていた通り、部屋に温泉(露天風呂)がついているところで、
大浴場もある高級温泉宿であった。
「タカ、ここってめちゃくちゃ高いんじゃないの?」
チェックインをしている愛に小声でひとみが聞く。
「大丈夫ですよ。かなり安くしてもらってるんで」
「へー、そうなんだ」
「…でも、今度、その頼んだお客さんと2人でココに来るのが条件なんですけどね」
タカがペロッと舌を出す。
「ごめん、いろいろやらせちゃって」
「ナニ言ってるんすか!自分がしたいからやってるんっすよ。
ヨシさんはヨシさんで楽しんで下さいよ」
「ああ、ありがとう」
ひとみは心から愛に感謝をしていた。
- 224 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時30分39秒
- 夕食までの間に、温泉に入っておこうということになった。
部屋に入ると、梨華は大喜びだった。
「すごーい!お部屋に露天風呂があるぅ!!」
ひとみは、はしゃいでる梨華をニコニコと見ていた。
「ね、よっすぃー、入ろうよ!」
「えっ!?あ、梨華ちゃん、入っていいよ」
(2人でなんて…)
「えーっ、一緒に入ろうよー」
「ウ、ウチはせっかくだから大浴場の方に行くよ」
「じゃ、私もそうする!部屋のはいつでも入れるしね」
「へっ!?一緒に行くの?」
「うんっ!」
梨華は鼻歌を歌いながら、お風呂に行く準備をしていた。
(ここまで言われたら断れないよ…ま、2人っきりで入るよりはいいか)
ひとみはあきらめて、大浴場に向かった。
- 225 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時31分10秒
- ひとみはサッと服を脱ぐと、梨華のことは待たずに
「先行ってるね〜」
と言い、浴場に入っていった。
体を洗っていると、隣に梨華がやってきた。
「よっすぃー、色白くていいなぁ」
「そ、そう?」
「私なんか、ホント、地黒でイヤなんだよね」
ココでひとみはそれまで見ようとしていなかった、梨華の体を見てしまった。
といっても、イスに座ってかがんでいたので、脚と背中しか見えなかったのだが、
それだけでも、ひとみはすごくドキドキしてしまい、すぐに目をそらした。
「そ、そうだね、梨華ちゃん黒いね…ははは」
「もう、気にしてるのにぃ」
梨華は口をとがらせて怒っていた。
「ごめん…」
と言ったと同時に、ひとみの体に冷たいシャワーがかけられた。
「うわっ!!梨華ちゃん、ナニすんの!」
「私のこといじめたバツ!」
「い、いじめてなんかないじゃーん」
梨華はクスクス笑っていた。
- 226 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時31分40秒
- 「もうっ!」
ひとみは、熱いシャワーを浴び直して、湯船につかった。
ふと、梨華の背中が目に入る。
髪を洗っているので、ひとみの視線には気づいていないようだ。
色は黒いとはいえ、その細くてしなやかなラインと、
横からのぞく大きめの胸に見とれてしまっていた。
(梨華ちゃん、すごくキレイ…)
思わず、ひとみは梨華の体を組み敷いている自分を想像していた。
(うわっ!ダメだってーの!梨華ちゃんとそんな風にならないって!!)
ひとみは頭を振って、湯船に一旦頭から沈んだ。
- 227 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時32分10秒
- 夕食後は4人で軽くお酒を飲んだだけで、それからはそれぞれ部屋で過ごすことになった。
もちろん、愛の仕切りでそういうことになったのだ。
部屋に戻るとすぐに、ひとみは布団の上に大の字になって、大きなあくびをした。
今日はあまり寝ていないし、遊びまわったのと、昨日の彼との話しのこともあって、
かなり疲れているようだった。
「よっすぃー?」
梨華がひとみの横にちょこんと座っていた。
「ん?」
ひとみは横になったままで、目だけ梨華の方に向けていた。
「なんかあったの?」
梨華はすごく心配そうな顔をしていた。
「えっ?どうして?」
「なんか、いつもより元気なかったし、ときどき何か考え込んでるみたいだったから」
ひとみは、今日、確かに梨華の笑顔を見る度に、彼のことが頭をよぎっていた。
梨華とは一緒にいたいけれど、自分が本当に望んでいるような関係にはなれないだろう。
そんなやきもきした気持ちを持ち続けるくらいだったら、
彼についていった方が、梨華のこともあきらめがつくし丁度いいのかもしれないと、
なんとなく決心をしていたのだった。
- 228 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時32分46秒
- 「うーん、梨華ちゃんは鋭いねぇ…」
ひとみは、隠しておくこともないと彼との話しを梨華に聞かせた。
「…で、北海道行ってもいいかなって考えてたんだ」
「・・・んっく・・・」
梨華の目は涙で溢れていた。
「?…梨華ちゃん?」
梨華はひとみに思いっきり抱きついた。
「…よっすぃーと離れたくなんかないよぉ…」
ひとみの胸で、梨華は泣きじゃくっていた。
梨華が落ち着いてきたのを見計らって、
ひとみはやはり自分の気持ちは伝えておこうと思った。
「ウチだって、梨華ちゃんと離れたくないよ…でも離れた方がいいんだよ」
「…どうして?」
梨華は濡れた瞳で、ひとみの顔を見た。
- 229 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月05日(土)12時33分21秒
- 「彼のこと好きなんだ、すごく…
でも、彼以上に梨華ちゃんのこと好きになっちゃったみたい…」
ひとみは梨華の顔を見ているのが恥ずかしいのと怖いのがあって、
自分の胸にうずめさせた。
「ああいうお店で3年近くも働いてても、
本当に女の人にそういう感情持ったことがなかったんだ。
でも、梨華ちゃんにだけは…」
ひとみは、梨華の髪を撫でながら、ひとり言のように続けた。
「いつも、隣で寝てる女の子がこんな気持ちでいるのって、気持ち悪いよね…
こういうの終わりにしよう…もう、ウチの部屋に来なくてもいいから…」
ひとみは、梨華から体を離して、起き上がった。
「…ちょっと頭冷やしてくる。先に寝てて…」
ひとみは服に着替えようと、自分のカバンの方に向かった。
- 230 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月05日(土)12時34分34秒
- 更新です。あと2回くらいで終了予定です。
>睦さん
なんか照れますね〜(笑)
ありがとうございます。
>219さん
どうもです!ヨシさん、がんばりました(笑)
>夜叉さん
温泉シーンは軽くすませちゃいました(笑)
愛ちゃんとあゆみちゃんはきっと…(笑)
>221さん、222さん
ヨシさんのガマンは…次回お楽しみに(笑)
- 231 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月05日(土)18時02分35秒
- やっと言ったかヨシ。
次回期待。
- 232 名前:夜叉 投稿日:2002年01月05日(土)18時57分33秒
- 吉、自分の気持ちを告白して、気が晴れればいいのですが。
ある意味、重傷かも…(汗汗。
あと二回で終わりなんですか…、なんだか寂しいですね。
楽しみにいつも読んでたんで。
残り二回、頑張ってくださいね。
- 233 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月05日(土)20時24分16秒
- よっすぃ〜せつない…
この作品すごく好きだったので終わってしまうの寂しいですが、
続き期待してます(#´▽`)´〜`0)
- 234 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月05日(土)22時54分04秒
- こちらへレスするのははじめましてです。
また新たな“いしよし”を発見できてとても得した気分で読ませていただいてます。
吉が自分の気持ちをどこに持って行こうか悩む姿が絶妙で、
梨華が自分をぶつけて吉を繋ぎ止めようと苦心する姿が目に浮ぶようです。
周りに散りばめられた他のカップルについてもとても興味が湧きました。
もし本編が終わった後でもいいですからそちらについても番外編みたいに書いてくれる事を願っております。
それでは、思わず自分の本当の気持ちを口にして戸惑う吉と、それをどのように梨華が受け止めるのか、
今後の展開を期待してお待ちしております。
- 235 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月05日(土)23時04分59秒
- 中野から帰還してきました。と思ったら2回で終わりですか。寂しいです。
コンサートはそれなりに楽しみました。
師匠!あと2回頑張って下さい。嗚呼ヨシコついに告りましたね。
- 236 名前:ARENA 投稿日:2002年01月06日(日)04時35分06秒
- ついにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
なんでもストレートに吉澤にくっつく石川もよかったんですが、
ついに石川に告っちゃいましたね。
どうする石川!?どうなるいしよし!
- 237 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)07時59分34秒
- 作者さんの他の作品も読みたいよ!
- 238 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)21時16分56秒
- ショッキー!
あと二回ですか・・・落ち込んでおきながら早く読みたい〜と興奮気味です。
- 239 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)21時55分21秒
- 「よっすぃーのバカッ!!」
ひとみが振り返ると、梨華がすぐ後ろに立っていて、怒った顔でひとみを見上げていた。
「…私の前に、あんなにカッコ良く現れて…いつも優しくしてくれて、
いつも守ってくれて…よっすぃーのこと、好きにならないワケないじゃない!」
「えっ?」
梨華がひとみの胸に飛び込んだ。
「よっすぃー、彼氏いるんだし、あんなに女の人からも人気あって、
私なんか相手にされないと思ってた!
だから、一緒にいられる時間があるだけで幸せだと思ってた!
それ以上を望んじゃいけないんだって思ってた!」
梨華はひとみの背中を叩きながら叫んでいた。
「こんなに、こんなに、好きなのに…どうして気づいてくれないの?」
「梨華ちゃん…」
梨華は涙で溢れた目で、ひとみを見上げると、唇を重ねた。
「!!」
ぎこちないながらも、その気持ちのこもった口づけは、
ひとみの心の奥底にあったものを引き出してしまった。
どんどん激しくなるその行為に、たえられなくなり、2人は布団になだれ込んだ…
- 240 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)21時56分09秒
- 次の朝、生まれたままの姿で抱き合っていたひとみと梨華は、ほぼ同時に目を覚ました。
「あ、おはよ…」
「ん、おはよう…」
2人とも、なんだか照れくさくて、起き上がることもできずに、
しばらくその体勢のままでいた。
「…あのさ…」
「うん、何?」
「…梨華ちゃんって、結構エッチなんだね」
昨日の行為を思い出して、ひとみはニヤニヤしながら言った。
「よ、よ、よっすぃーの方がいやらしいよぉ!」
梨華は真っ赤になって、反論していった。
「そうかな?梨華ちゃんの方がすごかったよ」
「も、もう、そんなこと言う人とはしない!!」
梨華が背中を向けたので、ひとみは後ろから抱きつき耳元でささやく。
「ごめん…梨華ちゃんのエッチなとこも好きだよ」
「よっすぃー…」
ひとみが梨華の首筋に口付けると、梨華はくすぐったそうに笑った。
その後、当然のように朝からエッチなことをした2人だった…
- 241 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月06日(日)21時56分52秒
- 更新です。
ナマタマゴ見てきました。いしよし出てないのに(笑)
でもすごくよかったですぅ!
>231さん、夜叉さん、233さん
ありがとうございます。ヨシ、よかったね(笑)
>M.ANZAIさん
ご丁寧なレス、ありがとうございます。
うーん、とくに番外編などは考えてません、ごめんなさい…
なっちのお店を舞台に何か書けないかなと思ったんですが、
やっぱり、いしよし好きなもので2人が絡まないのは書きづらくって(笑)
>Charmy Blueさん
どうもです!コンサート、楽しめましたか?
オフ会?は楽しかったんでしょうか?(笑)
>ARENAさん
石もコクっちゃいました!
結構、この告白セリフ、気に入ってます(笑)
>237さん
過去にいくつか書きましたが、恥ずかしいので探していただけると幸いです(笑)
赤を見ていただければ、名前は違いますが過去に書いたものもわかっていただけるかと…
>238さん
ありがとうございます。
2回と言っておきながら、あとはエピローグ的なものなので、このまま書いてしまいます。
- 242 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)21時58分07秒
- ひとみは、その数日後に彼に会い、今の仕事を辞めたくないこと、
東京から離れたくないという話しをした。
彼はそれを承知してくれた。
「オレも、将来は東京で店を持ちたいと思ってるからさ、
何年後になるかわかんねえけど、東京に戻ってきて、
お互いの気持ちが変わってなかったら、そのときは…結婚しよう」
ひとみはその言葉にうなずいた。
自分がもし結婚をするなら彼しかいないと思っているのは事実だ。
梨華とは結婚したくてもできないのだから…
- 243 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)21時58分39秒
- 「ヨシさん、梨華ちゃんと付き合うようになってから変わりましたよね〜」
「そう?」
いつものように開店準備中に愛がひとみに言った。
「なんか、表情がすごくやわらかくなったっていうか…
あ、今までこわかったってワケじゃないですよ。いい意味で変わったってことですからね」
「ああ、ありがとう」
旅行先での朝、朝食のために合流したとき、
『エッチしたでしょ?』と愛とあゆみに、ひとみと梨華の関係はバレてしまっていた。
人から見てあきらかなくらい、2人は幸せそうな顔をしていたらしい。
- 244 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)21時59分23秒
- 「「こんばんは〜」」
開店時間直後に、梨華とあゆみがやってきた。
「あ、いらっしゃい!来るなら言ってくれたらいいのに〜」
「何?言っておいたら、なんか用意しておいてくれたの?」
愛とあゆみも、その後ちゃんとうまくやっている。
「来ちゃった」
「うん」
ひとみと梨華は照れながらもうれしそうに見つめ合う。
- 245 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)22時00分03秒
- 4人でしばらく盛り上がっているところに、
「よっすぃー!」
亜依がやってきて、ひとみに抱きつく。
ひとみは、とりあえずカウンターから出て、ソファに亜依を座らせた。
「あいぼん、今日、お仕事は?」
「うん、これから行くよ!」
亜依はひとみの頬にキスをした。
梨華の鋭い視線に、目だけでひとみは謝った。
「ヨッスィー!」
今度はアヤカがやってきた。
アヤカは亜依のことをひとみから引き離し、ひとみに腕を絡める。
「ね、今度の日曜日、空けておいて」
「へっ!?」
「ウチでパーティーがあるから、来て欲しいの」
「…はい…わかりました」
ひとみは、梨華の方を見てすまなそうな顔をした。
梨華は唇を尖らせつつも、ガマンをしていた。
- 246 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)22時00分49秒
- 「ヨシっ!てめぇっ!!」
思いっきり店の扉が開かれると、紗耶香がすごい形相で入ってきた。
そして、ひとみの胸倉をつかむ。
「真希とキスしたってどういうことだよっ!」
ひとみは驚いて固まっていた。
「あ…」
すぐに真希が入ってきた。
「よっすぃー、ごめん、つい言っちゃった…」
「真希ぃ…」
しょうがない、紗耶香に殴られてやろうかと思って、ひとみは目をつぶった。
すると、アヤカにキスをされた。しかも舌を入れてきたので、ひとみは驚いて身をひいた。
「イチ、いいじゃないの、遊びのキスくらい」
「いや、でも…」
紗耶香はひとみから離れつつも不服そうだった。
- 247 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)22時02分18秒
- 「よっすぃー!!バカッ!!」
もういい加減絶えられなくなった梨華が、ひとみの胸に飛び込んできた。
「…ごめん、その…」
「ナニ、この子?ヨッスィーのファンならファンらしくおとなしくしてなさいよ」
アヤカが怪訝そうな顔で梨華を見る。
「私は、よっすぃーと付き合ってるんですっ!!」
「…あ、梨華ちゃん…」
ひとみは、マズイという顔をした。
「はぁ!?どういうことよ!私という人がいながら!」
「いや、アヤカさんとは別にそういう関係じゃあ…」
ひとみは、さすがにアヤカには強気に出れずに小さな声でつぶやいた。
「こんな小娘のどこがいいのよっ!」
「小娘じゃありません!!」
アヤカと梨華は立ちあがって、にらみ合っている。
- 248 名前:いちばん信頼できる人 投稿日:2002年01月06日(日)22時03分04秒
- 「ちょっと、黙って聞いてりゃどういうことや!
よっすぃー、こんなオバサンたちのどこがええんや!!」
「「オバサンってどういうこと!?」」
そこに亜依まで加わっていった。
「いやー、ヨシさんモテモテでうらやましいっすよ!」
愛がからかうように笑った。
「あんまり浮気すんなよ」
紗耶香にニヤリと肩を叩かれ、アンタにだけは言われたくないとひとみは思いつつ、
目の前で繰り広げられる女の闘いに呆気にとられていた…
fin
- 249 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月06日(日)22時04分38秒
- 終了です。失敗、あげてしまった…
今まで、読んでいただいた方、ありがとうございました!
- 250 名前:理科。 投稿日:2002年01月06日(日)23時36分22秒
うう…。ひさぶりに来たら終わっちゃった(w
でも良かったです!さすがですね。、ラッキーさん。
毎回、ラッキーさんの書く小説に引きこまれていました。
さすが師匠の師匠!
とにかくお疲れサマでした。
(#´▽`)〜`O)
- 251 名前:名無し梨華 投稿日:2002年01月06日(日)23時38分52秒
- ああ!感動の嵐ですたい!
ドタバタで終わると、なんかほのぼのしてていいですよねぇ。
作者さん、お疲れ様でした♪
次回作も楽しみにしてます(プレッシャー(w
- 252 名前:睦 投稿日:2002年01月07日(月)00時33分09秒
- マジ、好きです!!(笑)。
・・・と、ではなくて。
お疲れ様でした。
とにかく、ツボつかれまくりで、楽しく読ませていただきました。
次回作も、期待しております。
番外編とか・・・(笑)。
では、失礼します。
- 253 名前:実は後藤オタ 投稿日:2002年01月07日(月)01時01分09秒
- 作者さん、ありがとうございました。
楽しいお話でした。次回作も期待しています。
いしよしっていいですね〜。
- 254 名前:ARENA 投稿日:2002年01月07日(月)03時30分39秒
- ( ^▽^)<するよ!
うー・・・、よかった・・・!
石川のカウンター告白がまた良かった。
そのあとのイチャつきも良かった。
ドタバタの最後も良かった。
微妙に気になる終わり方でしたが、本当に楽しませてもらいました(´ー`)y ─┛~~
- 255 名前:夜叉 投稿日:2002年01月07日(月)11時30分59秒
- 最後にアヤカが絡んでくるから(爆)。
毎回楽しみに読まさせてもらいました。
お手本にさせてもらわなければならないこと、いろいろ勉強になりました。
タイムリーに作品を読ませてもらったのは初めてだったもんで。
次作、楽しみにしてます。
お疲れさまでした。
- 256 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月07日(月)15時08分17秒
- 完結、お疲れ様でした。
成人に達した設定ながら登場人物が馴染みやすかったので
楽しく最後まで読ませていただきました。
最後の場面はここですべて終わるのではなく、
これからも様々な事が起こりうる日々を想像できて
またいつかどこかで、といった感じで
また次への期待を持たせていますね。
楽しい作品をありがとうございました。
- 257 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月07日(月)16時08分20秒
- お疲れ様でした!
なんかニヤけっぱなしでした。(w
すごく話のなかに引き込まれていって、とても楽しめました!
自分もこんな小説を書きたいなぁ・・・!
やっぱり師匠と呼ばせてください!(w
ありがとうございました!
- 258 名前:名無し男 投稿日:2002年01月07日(月)19時10分11秒
- 最後の最後でやってくれましたな(w
この後どうなったのか気になる(w
お疲れ様でした、楽しい作品を有難う!!
- 259 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月07日(月)19時15分24秒
- 嗚呼終わってる…。ラッキーさんお疲れさまでした。
やっぱり師匠の描くいしよしは最高でした。ヨシの彼氏もいい人だったし。
終わってしまって残念ですが、また新作期待しております(早い?)。
余談ですが、ナマタマゴ自分的にもかなり、ぐぐっと来ました。
- 260 名前:ポー 投稿日:2002年01月08日(火)16時50分19秒
- おぉ..終わっちゃって寂しいっスね〜。。毎回ドキドキしたりといろんな思いで読ませてもらいました。ちゃんと二人とも気持ちを告白することができて自分がうれしかったです☆二人をみてるともどかしかったもので..(o'u'o)自分はごっちんスキvvで、よしごまやいしよしとか好きなんですけど、やっぱいしよし最高!スね☆作者様にはやられっぱなしでした(´・`)次回作も楽しみにしててもいいですかね?それでは、長々とスミマセンでした..おつかれさまでした(_ _)
- 261 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月18日(金)12時49分17秒
- レスどうもありがとうございます!
>理科。さん
ありがとうございます。理科。さんの作品も楽しみに読んでますので〜
>名無し梨華さん
ありがとうございます。基本的にハッピーエンド好きなんです(笑)
>睦さん
ありがとうございます。告白されてるようで恥ずかしいです(笑)
>実は後藤オタさん
ありがとうございます。自分ももともと85年トリオ好きです!
今では梨華ちゃんが一番になってますが…(笑)
>ARENAさん
ありがとうございます。微妙に気にさせてごめんなさい(笑)
>夜叉さん
ありがとうございます。アヤカはわりとキーマンだったり…(笑)
勉強なんてとんでもないです…
- 262 名前:ラッキー 投稿日:2002年01月18日(金)12時49分59秒
- >M.ANZAIさん
ありがとうございます。成人の設定っていっても、そんなに大人じゃなかったですね(笑)
実はただ普通にお酒とか飲ませたかっただけだったり…(笑)
>Yさん(←ごめんなさい、どなたなのでしょうか…?)
ありがとうございます。師匠なんて、そんな大したもんじゃないです…
これからも執筆がんばって下さい。
>名無し男さん
ありがとうございます。この後ですか…ご想像にお任せします(笑)
>Charmy Blueさん
ありがとうございます。それにしてもCharmy Blueさんはいろいろ書かれててすごいですよね。
これからもがんばって下さい。
>ポーさん
ありがとうございます。やっぱりいしよしは最高だと思う今日この頃…(笑)
- 263 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月22日(火)18時53分58秒
- マターリとしてほのぼの。
それでいて大人な娘。達。
う〜ん感動したYO
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