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恋情 〜きっと離れられない二人〜
- 1 名前:うっぱ 投稿日:2001年12月24日(月)07時41分27秒
- 銀板でほのぼのとした小話を書いてる者です。
安倍さんと保田さんという他にない組み合わせです。
時間がありましたらお付き合いください。
- 2 名前:落華(うれい) 1 投稿日:2001年12月24日(月)07時47分29秒
- 「え〜、そんなのひどいよ〜。せっかく楽しみにしてたのにぃ」
『ごめん。急にユニットのほうの新曲レコーディングが決まっちゃって、どうしても
アタシだけ抜けることができないんだ』
「三日もオフが取れたから旅行にでも行こうって誘ってくれたのは圭ちゃんじゃない」
『それはそうなんだけど・・・・・・』
「せっかく飛行機のチケットも早割で取ったのにさ・・・」
『・・・ホントにごめん』
「・・・もういいよ。そんなに相手にしてくれないんなら浮気でもしちゃうからね。
もうメールなんて絶対に書かないんだから」
一方的に電話を切った後、ベッドに身を投げ出したなつみはひどく後悔の念に苛まれていた。
- 3 名前:落華 2 投稿日:2001年12月24日(月)07時54分02秒
- 「とはいっても・・・辛いのはなっちだけじゃないんだよな〜。あ〜あ、なんであんなこと
言っちゃったんだろ。サイテー」
枕を抱え、一人呟くなつみは更に後悔し続ける。
「それに電話してくれた圭ちゃんも淋しそうだったし・・・・・・誰が悪いわけでもないのに」
ベッドの側に立てかけてある写真立ての中の写真 ―初めて二人だけで富良野へ行った時に撮った想い出―
そこに写る屈託のない笑顔を見せる圭を見つめながら、なつみは自己嫌悪に陥っていた。
- 4 名前:落華 3 投稿日:2001年12月24日(月)08時02分06秒
- しばらく落ち込んでいたなつみはベッドから起きあがり、テーブルの上に置かれてある
ノートパソコンに電源を入れた。
電化製品に目がない圭が初めてなつみの誕生日にプレゼントしてくれたものだ。
機種は既に古いのだが、愛着があって今でも使っている。
「メールで素直に謝っとこっ・・・・・・ん?一通届いてる。なんだろ?」
なつみは怪しげなメールを疑うことなく読んでみた。
「なになに・・・『あなたもチャットに参加してみませんか?素敵な出会いがあるかも』・・・
何これ、テレクラの文句と一緒じゃない。なんでこんなモン届いてるんだろ?」
- 5 名前:落華 4 投稿日:2001年12月24日(月)08時10分36秒
- なつみは頭に?マークを浮かべながらしばらく考え込んだ。
いつもメンバーからなつみは疑う事をしないくらい純粋だからすぐ騙されるんだと言われていた。
そう言われると、自分がとてつもなくダメな人間だと思ったなつみは、最近よく考えるようになった。
しばし考えては見たものの、これといって気にするでもなく無視して圭宛にメールを送信し、
あくびを一つしてベッドへ潜り込んだ。
「オヤスミ、圭ちゃん」いつもの台詞を呟いて目を閉じ、数秒もしないうちに夢の世界へと旅立っていった。
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)05時03分25秒
- うおぉぉぉ!!圭なちっすか!?
この組み合わせ大好っきっす!!!
応援してます!がんばってください!
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月26日(水)09時06分12秒
- 私も好きだー!
てか、先の展開が面白そう。期待して待ってます!
- 8 名前:うっぱ 投稿日:2001年12月27日(木)10時11分29秒
- 6>名無し読者さんへ
初レスありがとうございます。
あんまりこの組み合わせで描かれた小説がなかったもので、
思わず描いてしまいました。
期待に添えるようやっていきます。
7>名無し読者さん
気に入ってもらえて恐縮です。
ご期待に添えるようやっていきます。
果たしてこの後どうなる事やら・・・。
- 9 名前:落華 5 投稿日:2001年12月27日(木)10時20分51秒
- 翌日、なつみはマンションの真下で訪問販売をしていたパン屋の売り文句で目が覚めた。
毎朝けたたましいくらいに鳴り響く目覚し時計の音でなかった分、心地よい目覚めだった。
窓を開けると、既に真上に昇った日の光が差し込み、下からは食欲を誘う香ばしい焼き立ての匂いが
眠気を冷ます北風にのってあがってくる。
大きくひと伸びをしてカレンダーに目を向ける。
清々しい目覚めの気分が少しだけ落ち込む。
「本当なら今日から楽しい旅行だったはず・・・・・・残念だなぁ」
ぼそっと呟いてみても、状況が変わる事はなくただ空虚感だけがなつみを被っていた。
そんな気分を払拭したくて、なつみは久しぶりに街へと繰り出してみる事にした。
- 10 名前:落華 6 投稿日:2001年12月27日(木)10時28分50秒
- その日、東京は悲しいほど晴れていた。
週明けともあって街行く人々はスーツ姿の社会人たちがせわしなく行き交い、主婦は今夜の夕食の品定めに余念がない。
そんな動の世界とは対照的に穏やかな日差しを浴びながら、お年を召した方々が立ち話や散歩する姿も見られる。
色々な人々が午後の一時を有意義に過ごしていた。
この土地に越してきて随分と地理にも詳しくなり、よく行くお店の店員さんとも顔見知りになった。
そんな居心地のよさそうな商店街の様子を横目に見ているなつみに、異性のいい掛け声で新鮮な野菜を売りさばく
八百屋のおばちゃんが声をかけてきた。
- 11 名前:落華 7 投稿日:2001年12月27日(木)10時34分16秒
- 「おや、なっちゃんじゃないの。今日はお仕事お休みかい?」
「うん、今日から三日間オフなんだ」
「そうかい、そうかい。ゆっくり休んだまた元気な姿、見しとくれよ」
「なにそれ、今がまるで元気ないみたいじゃん」
「アハハハ、冗談だよ。それより今日は何かいるかい?いい野菜入ってるよ」
「こないだ、実家から送ってもらったから、まだいいよ」
「そうかい。でもたまには北海道産以外の野菜も食べとくれよ。負けないぐらい美味しいからさ」
「うん、アリガト」
「奥さぁ〜ん、これくださいな」
「はいよぉ。じゃ、なっちゃんまたね」
「うん」
商売の邪魔にならないよう、その場を後にした。
都会といってもまだまだこういったほのぼのとした光景が残っている、そんな街がなつみは好きだった。
- 12 名前:落華 8 投稿日:2001年12月27日(木)10時41分07秒
- 活気のある商店街から、枯葉舞い落ちる街路樹が立ち並ぶ大通りへと抜け、なつみの足はいつしか
街の中央にあるひときわ大きな公園内を歩いていた。
すっかり夏の青々とした色合いから冬景色へと衣替えを済ませたし敷地内は、やはり閑散としていた。
夏の間、活躍していたボートたちが淋しく停泊している大きな池のほとりをなつみは一人黄昏ながらゆっくりと進む。
なつみの横をボートに乗った一組のカップルが楽しそうに追い越していった。
(前はあんな風に二人でのんびりできたのになぁ〜。忙しくなってそんな余裕なくなっちゃったなぁ)
立ち止まって戯れる二人を羨ましそうに見ていたなつみの心のアルバムが北風に煽られ、そっと開かれていく・・・。
- 13 名前:りか 投稿日:2002年01月03日(木)14時10分03秒
- なっち&けいちゃんですか!
ここにはあまりない組み合わせですね。
続きが気になります。早く書いてください。
- 14 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月04日(金)00時32分52秒
- 13>りかさん
読んでいただいて恐縮です。
二十歳を過ぎた者同士のお話もいいかな〜と思いまして書いてみましたけども
いかかでしょうか?
では、せかされてしまったので、続きをどうぞ
- 15 名前:憧憬(よりどころ) 1 投稿日:2002年01月04日(金)00時46分47秒
- 中澤裕子。・・・なつみにとってデビュー前から痛みも苦みも分かち合ってきた
かけがえのない存在だった。
時には母親のように厳しく叱り、時には姉のように優しく寄り添い、またある時には
友達のように親しく冗談を言って笑い合える、そんな頼り甲斐のある裕子になつみはいつしか
淡い恋愛感情を抱くようになった。
しかし・・・
そんな儚い想いを直接本人に打ち明ける事なく、恋の華は静かに散っていった。
あの娘が裕子と親密な関係になっていることを知ってしまったから。
それから数ヶ月の間、なつみは心身ともに不安定な時期が続いた。
もちろんそれは過酷なスケジュールからくるストレスも原因の一つではあったが、失った恋心の
痛手に比べればそんなことはちっぽけなものだった。
裕子への気持ちを整理しようとすればするほど、裕子自身が執拗以上に絡んで来たりなどしてくるため
なかなか裕子と距離を置くことができないでいた。
- 16 名前:憧憬 2 投稿日:2002年01月04日(金)01時02分20秒
- やっとの思いで裕子への気持ちを絶ち切ったなつみは平常心を保ちながらも、どこかで
安心して落ち着ける心のよりどころを探し求めていた。
そんななつみに光の手を差し伸べてくれたのが一つ年上の圭だった。
グループ加入当時の圭は、水面をもがくスワンのように必死になって自分をアピールしていた。
それは自分も通ってきた道だと思っていた当時のなつみにとって圭はそれほど印象深い存在ではなかった。
だが、そんなスワンに対して周囲からはいつも冷静沈着で、一歩引いた視点で物事を考え行動し、的確な判断力を持つ
縁の下の力持ち、といった評価が挙がっていた。
やがてその勇姿は当然の如く、メンバーにも認知され裕子と同等に頼れる存在へと変貌していった。
なつみも次第に圭に視線を注ぐようになっていった。
圭は裕子に勝るとも劣らないほど頼れるみんなのお姉さん的存在としてなつみの目にも映っていた。
当然なつみの不安定な精神状態をいち早く察知したのも、他ならぬ圭だった。
- 17 名前:憧憬 3 投稿日:2002年01月04日(金)01時12分15秒
- 「どうしたの、最近元気ないね」
「そ、そうかな?」
「・・・・・・」
「なに?そんなにじっと見つめて。て、照れるじゃん」
「・・・・・・」
誤魔化そうと無理して取り繕う小さな肩に両手を添えて、圭はじっとなつみの瞳の奥深くを見つめていた。
「な、なに? どうした・・・の?」
「悩んでると自分をダメにするよ」
「悩みなんて・・・ない・・・よ」
「隠しててもわかるよ」
「なんでわかるの?」
「歳の差・・・かな」
「一つしか違わないじゃん」
「一歳の差は大きいよ」
「・・・・・・」
なつみは全てを見透かされたようで何も言えずに目の前で微笑む綺麗な瞳を見つめていた。
- 18 名前:憧憬 4 投稿日:2002年01月04日(金)01時24分05秒
- 「あたしには何もできないことかもしれないけど、話ぐらいは聞くこと・・・できるよ」
そう言って手を取って、自分と同じ目線で一緒に心配してくれる他人思いの仲間になつみの心の奥で眠っていた
淡い恋心が再燃し始めた。
しかし、その恋心にストップをかける別の気持ちが浮遊していた。
(私、また同じような人に恋してる・・・・・・誰かに頼ってなきゃ何もできないなんて・・・・・・。
なんでこんなに弱いんだろう・・・・・・頼れる人が傍にいなきゃ私は前に進めないんだろうか?)
自然と一筋の雫が頬を伝っていた。
そんな邪まな気持ちに打ちのめされてゆくなつみの心を察してか、圭は取り出したハンカチでそっと雫を拭き取り
静かに弱ってゆくなつみに向かって語りかけるように言った。
- 19 名前:憧憬 5 投稿日:2002年01月04日(金)01時35分42秒
- 「アタシでよかったらずっと傍にいてあげるし、いつまでも見守っててあげるよ。
それでも不安なら強く抱きしめててあげるから」
「そんなんじゃ圭ちゃんが苦しむだけだよ?」
「そんなに頼りないかな?」
「そんなコト・・・・・・ない」
「じゃあこれでどう?」
なつみは温かい腕に包まれた。そこからは人を労わる優しさが感じられた。
自分を見つめる大きな瞳の奥に燃える強い意志に偽りはなかった。
いつもまにか、頬を伝っていた悲しみの雫は嬉し涙に代わっていた。
なつみは真っ直ぐな言葉を信じてみたいと思った・・・・・・。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月04日(金)02時51分27秒
- あうぅぅ…なんかせつないっすねぇ…。
この小説の圭ちゃんに自分も惚れてしまいそうっす!
圭ちゃん!なっちをよろしく頼むぜ!…って感じっす。
更新楽しみにしています!ファイト!!
- 21 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月05日(土)12時09分50秒
- 20>名無し読者さん
読んでいただいて恐縮です。
私の中では保田さんはクールでカッコイイ印象があるので
それが伝わっていただければと思って描いてます。
果たしてどうなるんでしょうか、近日公開予定。
では。
- 22 名前:憧憬 6 投稿日:2002年01月07日(月)01時41分14秒
- それから二年の月日が経っている。
圭と共にいろんなところへ行き、いろんなものを感じ、たくさんの事を話し、何度かの夜も過ごした。
なつみの大切な恋人は変わりなく優しくて、そして変わりなく頼れる存在だった。
(色々な愚痴や相談にいやな顔ひとつせずに、まるで自分の事のように真剣になってのってくれて、多少の我侭にも
付き合ってくれて、私だけにしか素顔を晒さない本当の圭ちゃん。悲しい時や辛い時、一緒になって泣いてくれた
思いやりのある圭ちゃん。私を抱きしめてくれた時の、少し火照った顔をした圭ちゃんが、私の圭ちゃん・・・)
そんな圭に対して何一つ不満なんかなかった。
むしろそんな最高の恋人ができたことに誇りを持っていた。
けれども・・・最近、なつみにはもう一つの思いが頭の中を浮遊していた。
- 23 名前:憧憬 7 投稿日:2002年01月07日(月)01時50分19秒
- (そんな圭ちゃんから私は少しずつ離れようとしている・・・・・・)
それは昨日今日に限った事ではなかった。
仕事に対して妥協しない姿勢がなつみにそう思わせてしまう原因だった。
歌や踊りに関しては常に完璧さを追い求め、身体を酷使する姿は他の誰をも寄せ付けず、また傍から見ていても
痛々しいものだった。それを間近で見ていたなつみは、知らないうちに自分の存在が彼女に負担をかけているのではないか、
そしてそんな彼女に対して自分は何も助けてあげられない、そう感じるようになり無性に自分の無力さを恥じ、嫌った。
さらに圭の仕事に対する真剣な姿勢は、後から加入して来たメンバーに崇められるようになり、微笑ましい光景を見つけただけでも
嫉妬するようになっていた。
- 24 名前:憧憬 8 投稿日:2002年01月07日(月)01時54分33秒
- そんな悲観的な思いこみが徐々になつみの中を駆け巡り、いらぬ疑いをも生み出す。
(いつも私に向けてくれる笑顔、優しく包み込んでくれる温かさ、それらは本当に私に対してなのかな・・・・・・
私が勝手にそう思いこんでただけなのかな・・・・・・ホントは私じゃなくてもよかったのかな・・・・・・
わたし、知らないうちに圭ちゃんのコト、疑ってる・・・・・・)
二つの相反する思いがなつみの心を支配していった・・・・・・。
- 25 名前:憧憬 9 投稿日:2002年01月07日(月)02時07分21秒
- これといって何をするわけでもなくなつみの一日が過ぎていった。
夕食と入浴を済ませ一人淋しくベッドの上に座り、なつみは携帯を眺めていた。
見ると三件のメールが届いている。
それは全て圭からのものであり、レコーディングの合間を縫って送ってくれたものだった。
「そんなに謝らなくてもいいのに・・・・・・気、遣い過ぎだよ」
メールの内容は全て今回のドタキャンの件への謝罪文。
なつみはなるべく機嫌を損ねないような内容で返信し、しばらくベッドの上で横になった。
(メールで明るく振舞ってみたけど、やっぱり一人はちょっと淋しい・・・)
なつみの手が自然とダイヤルしていた。
- 26 名前:憧憬 10 投稿日:2002年01月07日(月)02時13分16秒
- 『なっち? どうしたの?』
「あ、あのさ、明日ヒマ?」
『それがさ、明日辻と映画見に行く約束してて・・・』
「そうかぁ・・・」
『どうしたの、急に?』
「うん、明日ヒマでさ」
『あれ、なっち昨日から旅行って言ってなかったっけ?』
「あれ? そんなコト・・・言ったっけ?」
『言ってたじゃん。矢口がなっち誘おうとしたけど、旅行のコト聞いて仕方なく、裕ちゃんと
買い物にでも行ってやるかなんて言ったぐらいだし』
「そ、そうなんだ・・・」
- 27 名前:憧憬 11 投稿日:2002年01月07日(月)02時18分51秒
- 通話を終えたなつみに空虚感が襲いかかる。
(なんか一人、取り残された感じ・・・淋しいな・・・・・・)
そう思うなつみの脳裏にふと、昨日見た一通のメールが頭をよぎった。
起き上がってパソコンの電源を入れ、改めてそのメールを読み返してみる。
「素敵な出会い、か・・・・・・」
なつみは自らの意志の趣くままそのサイトの扉を開けた。
ただの遊びだと思って。
・・・数十分後。
いつの間にか、口元が緩むほどの楽しさに時間を忘れのめり込む自分がそこにいた。
- 28 名前:6 投稿日:2002年01月07日(月)04時32分27秒
- うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!
駄目だよぅ!なっちぃ!!!
そんなものにのめりこんじゃ駄目だぁ!!
け、圭ちゃん!!緊急事態っすよ!
なっちを助けたってくれぃぃぃぃ!!!!
- 29 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月09日(水)01時33分46秒
- 28>6さん
読んで頂いて恐縮です。
かなり興奮していらっしゃるようで。
いやぁ〜嬉しい限りであります。
果たして圭ちゃんは助けられるのでしょうか!?
- 30 名前:妖雲 1 投稿日:2002年01月12日(土)01時48分41秒
- 次の日、なつみはお昼過ぎに目を覚まし、昨日と同様に街へと買い物に繰り出した。
めぼしいものは昨日のうちにチェックしておいたのでスムーズに買い物を済ませ、帰り際また公園へと足を運んだ。
池のほとりのベンチに腰掛け、ボートに乗って戯れる人々を眺めていた。
「ふわぁ〜、ねむぅ〜い」
大きなあくびを一つすると、どっかで聞き覚えのある声が耳に届いた。
「な〜にでっかいあくびしてんねん」
「別にいいっしょ。眠いんだもん」
「あはははは。何怒ってんの?」
西日を浴びながらミルクティー片手に笑うみちよがそこにいた。
相変わらずの彼女の笑顔になつみの顔も緩む。
- 31 名前:妖雲 2 投稿日:2002年01月12日(土)01時55分43秒
- 「怒ってなんかないもん。それよりなんでみっちゃんがこんなトコにいるのさ」
「たまたま近くに用事があっただけや。まぁたいした用でもあらへんけどな」
「ふぅ〜ん」
「なっちこそどないしたん? オフなんやろ? こんなトコでひとり黄昏てて淋しい娘やなぁ〜」
「い、いいじゃん。別になっちがどこでなにしようと・・・」
「ええけど、大あくびだけはやめとき。カッコ悪いで、自分」
「だって、眠いんだもん・・・」
「ん〜? さては夜中、怪しいコトしとるんちゃうん? あかんで、そんなコトしたら」
「ち、ちがうべさ! ただ遅くまでチャットしてたから・・・」
「チャット? なっちそんなんしてるんか?」
「昨日、初めてやってみたけど、これが結構面白くってね〜」
不思議な魅力にとりつかれたなつみの顔が更に綻んでゆく。
- 32 名前:妖雲 3 投稿日:2002年01月12日(土)02時03分15秒
- 道行く人々の視線が二人を捕らえている事にも気付かず、話ははずんでいく。
「へぇ〜、で、そのハンドルやったっけ? なっちはなんて言うん?」
「ムース」
「は? ムース? ・・・・・・あ、あはははは」
「な、なんで笑うのさ?」
「アハハハハ。なんなん、その名前。おかしいで、自分、ウハハハハ」
「だって、ムースポッキーのCMやってたし、それにあれ好きなんだもん。美味しいし」
「・・・・・・フハハハハ、ヒハハハハ。おもろい、おもろいでなっち。ウハハハハ」
「わ、笑い過ぎだべ!」
なつみはムキになってみちよに突っ掛かり、真意を説こうとした。
だが、そんな説得もみちよには単に笑いを提供するだけだった。
- 33 名前:妖雲 4 投稿日:2002年01月14日(月)02時15分37秒
- その夜、湯上がりの身体にポカリを一口流し込み、なつみは昨日に引き続きパソコンを立ち上げ
サイトへアクセスしようとした。その途中一件のメールが届いている事に気付き、開いてみた。
『 愛しのムースさんへ
明日、ひまやったらどっか行かへんか?
お昼に渋谷Bunkamuraの一階のラウンジで待ってるで
ロックボーカリスト H 』
「なにこれ・・・へんなの。バレバレじゃん」
なつみは画面の前で笑ってしまったが、内心一人でオフを持て余していたので、みちよからの誘いは
このうえないほど嬉しいものだった。
- 34 名前:妖雲 5 投稿日:2002年01月14日(月)02時24分32秒
- オフ三日目、なつみは修学旅行のような気分で朝を迎えた。
浮かれた気分で今日の準備に取りかかる。
鼻歌交じりで支度する手がちょうど鏡の前で一瞬止まり、そこに映る等身大の自分に向けて呟いた。
「こんな気分、久しぶりだな・・・」
少しだけお洒落をして自宅を出た。待ち合わせ場所までの足取りが妙に軽かった。
普段、着慣れないような服装で街を歩くとなんだか自分が別人のような気がして自然と顔が綻んでしまう。
あと数分で午後になろうかという頃に一階のラウンジに着いた。
平日だけあって疎らな空間からみちよを探した。
既にみちよは来ていて、なつみを待つ間に購入したであろうコーヒーは既に空になっていた。
- 35 名前:妖雲 6 投稿日:2002年01月14日(月)02時30分40秒
- 「へへ〜しょうがないから今日は付き合ってあげるよ」
「来てくれる思ってたわ」
「でもさ、みっちゃんていつもヒマなの?」
「んなわけあるかい! 失礼やで」
「ごめんごめん。だってみっちゃん、最近あんまりみかけなかったからさ」
「・・・それ以上言わんといて。悲しくなるわ、ほんまに。ほな行こか」
先を行くみちよに手を握られ、なつみは少しだけ顔に熱を感じた。
初めて圭と手を繋いだ時の事がフラッシュバックする。
(なんか、圭ちゃんとデートしてるみたい・・・)
不思議な感覚でなつみの午後は始まっていった。
- 36 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月14日(月)02時34分32秒
- 今回、連休だったので、間を空けずに更新してみました。
今書いてて思うんですが、標準語以外の言葉って結構難しいんですね。
つくづく言葉の大切さを身にしみて感じております。
ご感想がありましたら遠慮なく申し出てくださいませ。
ではまた来週(?)
- 37 名前:6 投稿日:2002年01月16日(水)01時14分15秒
- はぐぅ!!こ、これはまさか…
なっつぁん、心揺れてます?
い、いかん!!いかんよなっち!!!
圭ちゃぁん!カムバックプリ〜ズ(号泣)
- 38 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月19日(土)02時57分50秒
- 37>6さん
いつもいつもご愛読ありがとうございます。
マイナー過ぎて誰も見向きもしなく感がありますが、
6さんのために続き、おくります。
ではどうぞ。
- 39 名前:妖雲 7 投稿日:2002年01月19日(土)03時09分14秒
- 平日の昼間だけあって、人込みもそれほどなく二人は渋谷の街を
日頃のストレス発散でもするかのように徘徊した。
とは言うものの子供のように後先考えずに、はしゃぎ過ぎた訳ではなかったが
それでも体力的にはかなりきつかったほど色々動き回った。
お陰で少し早い夕食後、なつみはへとへとだった。
だが、目の前に座るみちよはまだまだ元気一杯のご様子で笑顔が耐えず、平然としていた。
「ふぅ〜なんだかいつもより疲れちゃったよ。それにしてもみっちゃんて元気だね」
「そうか? このくらい普通やで」
「え〜、なっちもうへとへとだよぉ」
「なに言うてるん、あたしよか若いくせに。なんならウチで休んでく?」
「えっ、でも悪いよ」
「ええって、遠慮しなさんな」
「う、うん・・・」
「なっちは気ぃ遣いやなぁ〜。誰かさんとはえらい違いやで」
みちよはそう言いながら、なつみが持っていた荷物を取り上げて、ニカッと笑う。
その笑顔はまるでライブが終わったあとに見せる、爽快感を思わせる笑顔だった。
その頃、
「へっくしょいっ!」
某所では大きなくしゃみが一つ、辺りに豪快に響き渡った。
隣りにいた小さな娘が驚くほどの快音で・・・。
- 40 名前:妖雲 8 投稿日:2002年01月19日(土)03時17分36秒
- 外の冷え込みが本格化する頃、みちよの部屋でなつみは荷物を置いてゆっくりとソファーに腰掛けていた。
以前遊びで来た時とは全く変わっていない空間の中で、なつみはそっと目を閉じる。
新鮮な芳香剤の香りが鼻孔を刺激し、時を刻む音がはっきりと聞こえてくるほど
静寂がなつみの周りをまったりと包んでいた。
額に冷たい感触が襲う。
目を開けてみると、みちよが冷えたビール缶を片手にしながらじっと立っていた。
「今日もお疲れさん。これしかないけど、勘弁して」
「ア、アリガト」
プルタブを開け、お互いの缶から透き通った音が響く。
そして一口。ビール独特の苦みがなつみの喉を潤していく。
まだそれを美味しいと思えるほど慣れ親しんではいないが、気分が安らぐ効果は充分過ぎるほどであった。
- 41 名前:妖雲 9 投稿日:2002年01月19日(土)03時26分39秒
- ビールの冷たさで落ち着きを取り戻した頃、なつみは口を開いた。
「ねえ、みっちゃん。どうして今日誘ってくれたの?」
「ん? なんでやろなぁ〜」
みちよはどこか遠くを見ているような様子でさらっとその言葉を聞き流していた。
しかも、いつもの彼女とは違い、どことなく大人ぶった素振りを見せてもいた。
それはまさしくロックボーカリストの名に相応しいかのように。
「なんだよ〜それぇ」
「じゃあ、なんでなっちは今日、ウチに付きおうてくれたん?」
「えっ、それはその・・・・・・みっちゃんが誘ってくれたから・・・」
「ウソ・・・・・・言わんといて」
自分でもわかるような白々しい嘘に戸惑い、なつみは目線を壁に掛かっている時計に向けた。
既にあと二時間ほどで一日が終わろうとしていた。
「なんで今日・・・ウチに付きおうてくれたん?」
みちよはゆっくりとなつみと向い合い、再度同じ質問をぶつけてきた。
そこにはみちよの中にある何か特別な気持ちがこもっているかのようだった。
- 42 名前:妖雲 10 投稿日:2002年01月19日(土)03時30分00秒
- なつみはそのいつにない真剣な眼差しを向けるみちよの気迫に押され
思わず目を逸らしつつ、言葉を探していた。
(ホント、どうして私はここにいるんだろ? 何かを期待してた・・・のかな・・・)
「答えてくれへんの?」
「えっと、その、なんて言うか・・・」
「・・・・・・」
「なんでだろ・・・?」
- 43 名前:妖雲 11 投稿日:2002年01月19日(土)03時39分51秒
- なつみは困ったような顔つきでみちよを見た途端、思いっきり強く抱きしめられた。
だが、なつみはそれに驚くでもなく、拒むでもなく当然のことのように彼女の腕の中でじっとしていた。
そしてゆっくりと抱きしめられていた力が抜け、みちよの整った綺麗な瞳が目の前に現れた。
熱い視線が全てなつみに注がれていた。
「アタシは、安倍なつみが好きや。友達でとか遊びでとか、そんなんじゃ無しに本気で好きや」
「みっちゃん・・・」
「対人間として安倍なつみと言う女性を愛してる。アタシはなっちが、なっちの全てが欲しい・・・・・・」
「みっちゃん、なっち・・・好きな人い・・・」
なつみのその一言を遮る形でみちよはゆっくりと唇を重ねた。
それは遊びでするような軽いタッチのものではなく、まして無理矢理するような荒々しいものでもなく
愛し合っている者同士が交わす・・・心地よいキス。
そしてそのままなつみの身体は拒むことなくみちよに支配されていった。
みちよの気持ちが込められたボディアプローチになつみは混沌とした気持ちで
一夜限りの逢瀬を過ごした・・・。
- 44 名前:妖雲 12 投稿日:2002年01月19日(土)03時45分13秒
「なにバカな事やってんだろう・・・・・・」
灯りのない部屋でなつみはベッドに横になりながら、自分の過ちを考えていた。
『アタシは安倍なつみ好きや。友達でとか遊びでとか、そんなんじゃ無しに本気で好きや』
『対人間として安倍なつみと言う女性を愛してる。アタシはなっちが、なっちの全てが欲しい・・・・・・』
(心の隙間は快楽でしか埋められないんだろうか・・・私は本当に圭ちゃんの事が好きなんだろうか・・・
あの時、気持ちは絶対に圭ちゃんの元にあると思ってた・・・でも・・・・・・
でも、今はそう言いきれる自信がない・・・)
言いようのない不安がなつみの心を被い始めていた・・・。
- 45 名前:6 投稿日:2002年01月19日(土)10時48分23秒
- かはっ!!(吐血)
お、恐れていた事がついに…(滝汗)
圭ちゃぁん!!あんたこの非常時に何をしてるんすかぁ!(号泣)
みっちゃんいい娘だけど…やっぱりやだぁ!!!
あぁぁぁもぉ!!!続き期待してるっす!!
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)11時22分28秒
- なっちと圭ちゃん最近仲良さげで好きです
早く圭ちゃんに登場して欲しい!
続きを楽しみにしてます。頑張って下さい!
- 47 名前:NK 投稿日:2002年01月19日(土)15時03分08秒
- ふふふ、みてますよ。静かにROMしてますが、ちゃんとチェックさせていただいています。
しかし...しょんなー!!なっちの『うま しか』〜!!ひじょいよ〜! ...ばたり...ぴくぴく
ま、負けないぞ〜!み、未来はきっと明るい!...はず。
それでは.続きまってま〜す。
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月20日(日)01時32分31秒
- 圭ちゃんのライバルとして、みっちゃんですか…
非常に説得力のある、ライバルですよね。
圭ちゃんとみっちゃん、どっちもシッカリとした雰囲気をもっている大人(?)だから、
この先どうなるのか、ドキドキです。
なっちの幸せは、どちらに任せればいいのでしょう?
あー、楽しみです。
- 49 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月21日(月)02時39分46秒
- な、なんとこんなにも読んでいてくださる方々がいたとは・・・
いやぁ〜銀板のほうがすべっただけに、嬉しいものであります。
45>6さん
いつもホントに支持して頂いて感謝してます。
え〜圭ちゃんは、設定の上ではレコーディング中にしてあります。
なので出番はもう少し先です。
46>名無し読者さん
ご愛読ありがとうございます。
そろそろ圭ちゃんが出てくると思いますので
もう少しだけ待っててくださいませ。
47>NKさん
これはこれははじめまして。
いやぁ〜未来は明るいんでしょうかね?
ご期待に添えない結果になるかも・・・?
48>名無し読者さん
ご愛読ありがとうございます。
圭ちゃんに似合いそうなライバルを考えるとみっちゃん以外に
いなかったんです。
歳もそう離れてないし、お互いしっかりしてて大人だし。
でも、受け入れて貰えて良かったです。
少しだけ余力があるので、更新しておきます。
ではまた。
- 50 名前:声香 1 投稿日:2002年01月21日(月)02時50分49秒
- 久しぶりにメンバー全員が集まっての仕事はオフを挟んだせいか、みな生き生きとしていた。
いつもよりも騒がしい楽屋には様々な話題が募り、その勢いは止まるところなく収録にまで影響を及ぼし、
スタッフも舌を巻くほど豪快かつ賑やかなものだった。
結局後で注意を受けたのは言うまでもない。
そんな喧騒の最中、なつみはずっと圭の姿を追っていた。
いつものように周りからは少し離れた場所に座り、カバーの掛かった本を読んでいる。
淵無しの眼鏡を掛けたその容姿は、誰をも寄せ付けないほどミステリアスな雰囲気で
さながら博識高き学者のようでもあった。
時折、近くの会話に耳を傾けつつも心はそこに有らずといった様子で、羅列された文字を追っていた。
(いつもおしゃべりの輪に入らないでひとり読書にふける圭ちゃん。・・・私はあの本と同じように
圭ちゃんに好かれているのかな? ・・・それとも、いつかあの本が古本になるように私も・・・・・・)
なつみの中で大きかった圭の存在が徐々に薄れ、消えかかっていた。
- 51 名前:声香 2 投稿日:2002年01月21日(月)03時11分50秒
- 「お疲れさま〜」
気がつけば今日のスケジュールが終わっていた。
周りでは既に帰宅の準備に取り掛かっているメンバーと明日の予定を確認している
マネージャーの姿が目に映った。
既に圭は連日続いているレコーディングの為に、人足先にその場を後にしていた。
ここ数日、まともに会話をした記憶がない事に気付いたなつみは、大きな溜息をついた。
「なっち、どうしたの? 溜息なんかついて」
「えっ、別になんでもないよ」
「ねえ、ご飯食べに行かない? 圭織いいお店見つけたんだ。
最近オープンしたばかりなんだけど、お値段の割にすごく美味しいんだ」
「ご飯」という言葉に敏感に反応した小人二人が、すかさず圭織の後ろに回りこんだ。
「「行きましょう、飯田さん!」」
- 52 名前:声香 3 投稿日:2002年01月21日(月)03時16分45秒
- 無邪気な幼稚園児のような笑顔で二人は圭織を見つめていた。
「なんであんたたちが付いてくんのさ!」
「え〜、飯田さんのけちぃ」
「そうや、そうや」
希美、亜依の「連れてけ」コールが次第に威力を増してゆく。
それを隣で聞いていたなつみが折れた。
「じゃあ、なっちの代わりに行ってきなよ」
「え〜安倍さんも行きましょうよぉ」
「そうだよ、圭織はなっちを誘ったんだからぁ」
「今日は遠慮しておくよ」
「しょうがないですね。じゃあ飯田さん、行きましょう!」
夕飯までお子様の面倒を見る事になった圭織に更なる追い討ちが待っていた。
- 53 名前:6 投稿日:2002年01月22日(火)00時52分39秒
- そんな感謝だなんて…。
こちらこそいつもドキドキしながらめっちゃ楽しませて
もらっってるんすからお礼をいうのはこっちのほうっす!!
さて本題……
なぁっちぃぃぃ〜…圭ちゃんの存在が消えるって…
お姉ちゃん悲しいよ…(号泣)
圭ちゃん、もぉ!!レコーディングも大事だけど、
読書もいいけど、もっとなっちにかまってやってよぉぉぉ(切実)
あぁぁもぉぉ!!この2人はどうなってしまうのでしょう…?
- 54 名前:NK 投稿日:2002年01月23日(水)14時09分08秒
- なっち...
あなたが幸せなら...シクシク
しゃくしゃしゃん(作者さん)...罪な人だ。
でも続きが読みたい自分である次第です。
- 55 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月25日(金)02時32分45秒
- 53>6さん
毎回、心の叫びが耐えないご様子で。
え〜もっと悲しくなるかもしれません。
それに耐えられますでしょうか?
しばらく、本編はなっちの日常になります。
54>NKさん
やっぱりみっちゃんとの場面はかなりインパクトが大きかったのでしょうか?
予想外の反響に私は戸惑っております。
NKさんの言う通り、罪な人間なのかな?
とりあえず、更新します。
- 56 名前:声香 4 投稿日:2002年01月25日(金)02時41分19秒
- 「おごり、だよね?」
横から真里が満面の笑みを浮かべて輪に加わる。
「え〜そうなんですかぁ? やったぁ〜」
手を叩きながら歓喜の表情を見せる梨華。
「なんで、矢口や石川まで来るのさ!」
「「お・ご・り、お・ご・り」」
本人の承諾無しにご馳走してもらうことになって喜びの舞を舞う二人と、
肩を組んで勝手に「おごり」コールをハモる別の二人。
その声に誘われたようにやって来た裕子が顔を出す。
- 57 名前:声香 5 投稿日:2002年01月25日(金)02時47分45秒
- 「なんや、楽しそうやな」
「あっ、裕ちゃん! 今日圭織がおごってくれるんだよ!」
「ホンマ? 裕ちゃんも行きたい!」
「行きましょ、行きましょ。中澤さんも一緒に行きましょ」
希美が裕子の手を取り、左右に振り回す。
「ということで、今日の夕飯は圭織のおごりーっ!」
「「「「いえ〜いっ!」」」」
「ちょっと、誰もおごるなんて言ってないってば!」
「お・ご・り、お・ご・り」
「「「「お・ご・り、お・ご・り」」」」
即席の小さな合唱隊、結成。見事なまでにハモる。
そしてその勢いで圭織を外へと押し出してゆく。
圭織の悲しい叫びだけが楽屋に残っていった。
なつみはそんな光景を見送ると、自分も帰宅の準備に取り掛かった。
- 58 名前:声香 6 投稿日:2002年01月25日(金)02時55分54秒
- 帰り際にコンビニに立ち寄り、夕食を久しぶりにお弁当で済ますことにした。
自炊を始めてから滅多に手にはしなかったコンビニのお弁当も、随分と凝ったものが多く
少しだけその種類の多さに感心した。
そんな中から二つのお弁当を手にする。
栄養バランスが摂れた幕の内弁当にするか、旬の素材をふんだんに使った季節限定メニューにするか、
なつみはコーナーの前で二つを見比べながら十分ほど悩む。
そして・・・
ペットボトルのお茶とお弁当を抱え、家路を急いだ。
- 59 名前:声香 7 投稿日:2002年01月25日(金)03時02分45秒
- 帰宅したなつみは、陽気なDJがしゃべるFM放送を聴きながら束の間の幸せを楽しんだ。
勝敗を決めたのはタケノコだった。あの歯ごたえを久しぶりに味わいたかった。
そのタケノコを箸で摘み、口の中へと運ぶ。
文句無しに美味しい。
選んで正解だと思った。
一番組が終了する頃には気分もお腹も満たされ、今度は一日の疲れを癒すために浴槽に湯を張る。
程よく温まった湯船に疲労した身体を浸す。
「ふい〜っ、今日も一日お疲れっと」
心地よい湯加減に独り言が漏れる。
何となく「極楽じゃ〜」と言いたくなる気持ちがわかったような気がした。
- 60 名前:声香 8 投稿日:2002年01月25日(金)03時13分13秒
- お風呂から上がるとソファーに腰掛けながら髪の毛の水気を吸い取っていると、不意に
窓の向こうに輝く蒼い月が目に飛び込んできた。それはまるで屈託のない笑みを浮かべた少女のようだった。
なつみは部屋の灯りを消してカーテンを開けて窓辺に座った。
しばらくその少女の笑顔を見つめてみる。
周りに浮遊する雲を寄せ付けないほど、その笑みは輝いていた。
やがて視界には近くに聳え立つ高層マンションが入ってきた。
そのうちの一室から窓辺にもたれる女性が同じように外を眺めているのが見えた。
はっきりと顔は見えないけれどもその姿が妙に切なそうで、見ていたなつみを同じような気持ちにさせていた。
自然とその女性がなつみには最愛の人とダブって見えた。
無性に心が痛くなった。
(逢いたい・・・声が聞きたい・・・)
- 61 名前:NK 投稿日:2002年01月25日(金)04時25分30秒
- 戸惑うなんてそんな...
こう、なっちの心が少しふわふわしててどうなっちゃうんだ〜!って思ってるだけなんです。(はまってますw)
戸惑う必要や自分が罪なんて思うことないです。
さくしゃしゃんの思い描いてるこの先が読みたいのです。
ではでは。がんばっとくれ〜!
しかし...最後の辺り気になる...だ、誰?
- 62 名前:6 投稿日:2002年01月26日(土)20時34分40秒
- こ、これ以上悲しくなるなんて…
〜想像中〜
…そんなの嫌だぁぁぁぁぁ!!!
すさまじく悲しい内容を考えてブルーを通り越して
真っ黒になってしまいました…。
作者様…お手柔らかに…。
そして最後に出てきた人は…??
誰だ、誰だ、誰だぁ〜部屋の窓辺に見える人
(某戦隊アニメのテーマ曲に合わせてお読みください)
続きに期待してるっす!!
- 63 名前:6 投稿日:2002年01月26日(土)20時36分05秒
- すいません!興奮のあまりさげるのを
忘れてしまいました…。
ごめんなさい!!
- 64 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月27日(日)03時11分37秒
- 61>NKさん
ハマって頂いて光栄です。
これからの内容にもっとはまってもらえると
こちらとしてはありがたい事です。
62>6さん
真っ黒にさせて申し訳ないです。
そんなに辛い話しにはならない(個人的には)と思ってますが。
でも見かたによっては肩を落としてしまう・・・かも?
あと、ageて下さって構いませんよ。
むしろ、自分で上げるのが恥ずかしかったですから。
- 65 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月27日(日)03時14分10秒
- 追伸
最後に出てきた人を皆さん気にしてらっしゃいますが、
特にストーリーには関係ないですよ。
ドラマでいうとエキストラみたいなものですので。
- 66 名前:NK 投稿日:2002年01月27日(日)07時31分41秒
- ちくちょ〜!!やられた〜!!エキストラとは...予想もしなかったです。くやち〜!!
どっぷり...はまってる音でした。
- 67 名前:6 投稿日:2002年01月28日(月)01時21分57秒
- エ、エキストラ…。
やられた…、やられましたよ作者サン…。
まさかなんも関係ないひととは…。
そんなにつらい話にならないとわかりちょっと安心しちゃいました。
これからもドキドキしつつ楽しませていただきます!!
そして最後に一言…
圭ちゃ〜ん!なっちを放置しないでぇぇ!!
さみしがってるっしょ!!もぅ、メッ!!
- 68 名前:うっぱ 投稿日:2002年01月28日(月)02時34分24秒
- NKさん、6さんへ
物語を惹きたてるにはやっぱりこういったちょい役は必要不可欠だと思うんですよね。
そうした方が、場面設定や状況把握とかがわかりやすくなると思ったので。
テレビドラマでもこういう人って必要でしょ?
という訳で(どういうわけだ?)更新します。
では。
- 69 名前:声香 9 投稿日:2002年01月28日(月)02時43分58秒
- 近くて遠い、触れそうで触れられない、そんな苛立たしい気持ちを感じながら
なつみはいつのまにか手に受話器を持ち、ダイヤルしていた。
(ホントは圭ちゃんといつまでも恋におちていたい・・・明方まで圭ちゃんを傍で感じていたい・・・
そんな私の本当の想い・・・・・・圭ちゃんの胸に届いて欲しい・・・・・・)
しかし・・・・・・
受話器から響く声はなつみが聞きたかった声とは違う、無感情の機械的な声。
ゆっくりと受話器を下ろし、頭を垂れる。膝を抱え、肩が震える。
いつの間にか蒼い月の輝きも分厚い雲に遮られていた。
なつみをこんな気持ちにさせた窓辺の女性の姿も今はない。
なつみの想いがこもったテレフォンラインは最愛の人の心へは繋がらなかった。
- 70 名前:離愁(わかれ) 1 投稿日:2002年01月28日(月)02時52分12秒
何事もなく過ぎる毎日。
ほんの少しだけ気だるい日々を感じながら、なつみはいつしか物事を悪い方向へと考えてしまう癖がついてしまった。
例え嬉しい事や楽しい事があっても、それは全て冷めた自分への慰めに他ならない、そういった悲観的な考えを
巡らしながら日々の職務をこなしていた。
それと同時に、しばらく人との接触を仕事以外の場では避けていた。
圭織から以前に誘われた夕食の事も適当に理由をつけて断り、みちよから来るメールも読まずに捨ててしまった。
そして圭から来るメールも目を通すだけで、返信する事はなかった。
- 71 名前:離愁 2 投稿日:2002年01月28日(月)03時00分05秒
- そんな憂鬱さを晴らすようになつみは毎晩、見えない相手との会話に夢中になった。
どんなに時間がなくても、見えない相手とする会話が自然と気持ちの和むオアシスになっていた。
今日は雨が降っていたとか、大阪は寒いとか、明日は何時に起きるなど、他愛のない会話でも
なつみにとっては一番の楽しみであり、安らぎにもなっていた。
そんな環境の中で、なつみは悩みや相談事などにも真剣に耳を傾けているうちに、自分の悩み事を
隠すことなく打ち明けていた。
「恋人のこと、本当に好きかどうか迷ってます」
『どうして?』
「その人に内緒で浮気しました」
『浮気した相手のことは好きなの?』
「嫌いじゃないけど、でも・・・」
『でも?』
「愛してるとかそういった気持ちは全くないんです」
自然と言葉が画面に羅列されていった。
- 72 名前:離愁 3 投稿日:2002年01月28日(月)03時05分56秒
- 『恋人に全てを打ち明けてみたら?』
「全てを?」
『お互いの気持ちを確認した方がいいかもよ?』
「恐い・・・」
『どうして?』
「だって、言ってしまったら何もかも失いそうだから」
『それじゃなんの解決にもならないし、前に進めないよ』
なつみは知らないうちに見えない相手に自分の全てを委ねるようになっていた。
(名前も知らないこの人が今、一番私のこと理解してくれてる気がする・・・)
なつみの中で一つの決断が下された。
- 73 名前:NK 投稿日:2002年01月28日(月)06時04分00秒
- う、うわぁ〜っ!!!きっと離れられないが...離れてく〜
どうなるの?ねぇ、なっち答えてよ!!
こ、恐いよ〜!つづき読むのが恐いよ〜!!
つづき凄まじく待ってます!(w
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月28日(月)13時48分07秒
- 怖いなぁ…どうするよ?って感じっすね。
- 75 名前:6 投稿日:2002年01月28日(月)23時36分00秒
- ひえぇぇ〜!!
なっち!!どんな決断をしたんすか!?
続き見るのが恐ろしいよぉ、怖いよぉ。
でも気になる……。
もぉ、作者様のいぢわるう!!!……でも好き。
あぁぁ、葛藤だわぁ。
ちゅうわけで続き大期待っす!!
- 76 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月11日(月)05時37分17秒
- 管理者の方々にはホント感謝しております。
心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました&お疲れさまでした。
- 77 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月11日(月)05時39分51秒
- NKさん、名無し読者さん、6さんへ
レスありがとうございます。
また新たに続けたいともいますのでなにとぞよろしく願います。
さて、なっちゃんはどんな決断をしたことやら・・・
- 78 名前:離愁 4 投稿日:2002年02月12日(火)02時04分34秒
- 数日後、別々の仕事だったせいで遅くなりつつも、なつみは意を決して圭の自宅へ足を運んだ。
歩く度、自分に突き当たる冷たい風がまるで先へ行かせまいと強く吹きつけてくる。
通い慣れた道のりも、今日はいつもより長く険しいような気がした。
大きく息を一つ吐いて、インターフォンを押す。その指が微かに震えていた。
『はい、どちら様ですか?』
「あっ、圭ちゃん? なっちだけど」
『ちょっと待っててね』
突然の訪問に圭は驚く事もなく、口元に笑みを浮かべてなつみを中へと迎え入れた。
その微笑に挫けそうになりながらもなつみは黙ってリビングに進んだ。
(本当にこれでいいんだろうか・・・)
一瞬、躊躇いが脳裏を横切った。
- 79 名前:離愁 5 投稿日:2002年02月12日(火)02時12分05秒
- 荷物を持ったままその場にしばらく佇んでいたなつみは、自分の前に立っていた圭の存在に気付いた。
どこか素っ気無いようでも、しっかりとした表情の彼女はいつもどうりになつみに接する。
「どうしたの?」
「あっ・・・・・・」
「元気、ないね。何かイヤなことでもあった?」
「そ、そんなこと・・・ないよ・・・」
「・・・・・・」
圭は黙ったまま、なつみの顔を見つめている。
その顔は既になつみの心の変化を読み取っているようで、次第に無表情になっていく。
なつみは俯いたまま、話すきっかけが欲しくて圭のほうから話しかけてくれる事を願っていた。
デジタル時計が二十二時を告げる機械的な音を発した。
- 80 名前:離愁 6 投稿日:2002年02月12日(火)02時18分35秒
「急に来るなんて珍しいね。だから何も用意してないや」
いつもと違うなつみの様子を察し、圭はなるたけ普通の会話で場を和ませようとした。
しかしその一言はなつみに話すきっかけを与えたにすぎなかった。
「・・・なっち、圭ちゃんのこと本当に好きじゃないのかもしれない・・・」
「どうして?」
「だってなっち・・・」
『内緒で浮気しました』
「・・・・・・」
「・・・最低・・・だよね・・・」
圭はなつみの顔をじっと見つめたまま話の内容を聞いていた。
身動き一つとしない観葉植物のように、ただただじっと聞いていた。
「ごめん・・・ごめんなさい・・・」
- 81 名前:離愁 7 投稿日:2002年02月12日(火)02時24分32秒
- なつみのその言葉を聞いて、圭はゆっくりとなつみに背を向けて話し始めた。
「ここ数ヶ月、仕事に明け暮れてた気がする・・・。でもね、ふと、気がついたんだ。
いつの間にか大切にしていたものが、自分の周りからなくなってたな〜って。
完全に自分を見失ってた・・・」
「・・・・・・」
「一番・・・一番大切ななっちゃんを失いたくないよ・・・」
圭はそう言い切ると振り返って、なつみの肩を抱いた。
初めてなつみの前で圭が弱気な姿を見せた瞬間だった。
その眼の奥には明らかに淋しさが宿っていた。
(圭ちゃんは何も悪くはない・・・悪いのは私だけ・・・・・・ごめん)
- 82 名前:離愁 8 投稿日:2002年02月12日(火)02時28分26秒
- なつみは心を鬼にして言った。
「今、チャットで相談にのってもらっている人がいるの。顔も名前も全然知らないんだけど、
その人が今、一番なっちを理解してくれてる人・・・・・・だから・・・だから・・・」
なつみは最後の言葉を言い出せないまま、後ろ髪を引かれる思いで圭のマンションを後にした。
なつみが出て行った玄関を圭は何も言わずにただ見つめていた。
- 83 名前:離愁 9 投稿日:2002年02月12日(火)02時34分22秒
肌寒い秋の夜空の下、圭はベランダに出て空を眺めた。
時折吹き抜ける小さな風が妙に威力のあるように感じられる。
雲に隠れていた月がひょっこりと姿を現し始める。
それはまるで今の圭の立場を象徴するかのように、ちょうど片方が欠けている半月だった。
不意にその月に対して背を向けた。
そのままその場に崩れかかるように座り込んだ。
透明な雫が一滴、音をたてずに滴り落ちた・・・。
- 84 名前:6 投稿日:2002年02月12日(火)03時08分29秒
- ノ、NO〜〜〜〜〜!!!!!
いやぁぁぁぁ!!!ぬごぉぉぉぉぉ!!!
…スイマセン、取り乱しました…。
なっちぃ……(号泣)
お姉ちゃん悲しいよ…。
圭ちゃん!なっちを取り戻すんだぁぁ!!
- 85 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月13日(水)03時47分48秒
- 84>6さん
取り乱せちゃいましたか?
いやぁ〜なんだか罪悪感が・・・
- 86 名前:離愁 10 投稿日:2002年02月13日(水)03時53分56秒
- 脱ぎ捨てられたまま椅子にしおれた衣服。
今まであった何かが急になくなったような空っぽの部屋の隅では壊れかけていた
腕時計がゆっくりと時を刻んでいる。乱れたベッドには一人流した悲しみの雫の湖。
孤独な日々は身体を合わせて、空虚な時間は唇を合わせていつも両腕に最愛の人を感じてきた。
そんなひとつひとつの温かさにいつも励まされてきた。それだけで充分安心し、幸せだった。
けれども・・・そんな生活をなつみは儚くも自らの手で葬り去ってしまった。
- 87 名前:離愁 11 投稿日:2002年02月13日(水)04時01分41秒
-
それからなつみは孤独で眠れない日々が続いた。
何もない日にはシーツに包まって一日を過ごしていた。
何も考えずただじっと何かを眺めていた。
そうしている時が一番落ち着いていた。
そして夜になれば、ずっと見えない相手に自分の全てを話し続けていた。
友達やメンバー、そして家族にも言たことのない全ての思いを。
もちろん、自ら捨てた恋心も曝け出していた。
「それで、全てを打ち明けました」
『で、結果は?』
「私から一方的に離れました」
『恋人はなんて?』
「一番大切な私を失いたくない・・・そう言ってくれました」
『なのに別れちゃうんだ?』
「好きでいる自信がなかったから・・・」
- 88 名前:離愁 12 投稿日:2002年02月13日(水)04時07分00秒
- なつみは名前も知らないこの人に自分がどうすればいいのか、決めてもらいたかった。
そんな思いを込めてはっきりと打ち明けた。
「お願いがあります」
『なんだい?』
「一度、私と会ってくれませんか?」
『どうして?』
「会って直接相談にのって欲しいんです」
『唐突だね』
「何かヒントを見つけたいんです」
『会っても何の手助けもできないよ?』
「それでもかまいません」
『・・・・・・』
「お願いします」
『・・・わかった。君がそういうならいいよ』
(前に進める気がする・・・)
なつみはそんな気がした。
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月14日(木)00時45分16秒
- なっちぃ〜〜〜(泣
- 90 名前:6 投稿日:2002年02月14日(木)01時19分47秒
- 上に同じく…
なぁっちぃぃぃぃぃ…(号泣×10)
- 91 名前:Tea Break 1 投稿日:2002年02月14日(木)03時23分06秒
- 『大当たり』
圭 「ちぇっ、またハズれた・・・」
なつみ「くじ運、悪いね」
圭 「前は結構当たってたのにぃ〜。・・・・・・そっか!」
なつみ「???」
圭 「なっちゃん当てて、運使いはたしちゃったんだ(ぎゅっ)」
なつみ「い、いやだぁ〜もう〜」
- 92 名前:Tea Break 2 投稿日:2002年02月14日(木)03時27分16秒
- 『幸せってなんだっけ?』
なつみ「幸せってなんだろ?」
圭 「どうしたの、急に?」
なつみ「なんとなく、ね」
圭 「う〜ん、そうだなぁ〜」
圭 「きっとこうかな」
なつみ「何?」
圭 「こういう話をしている毎日(ギュッ)」
なつみ「えへへっ」
- 93 名前:Tea Break 3 投稿日:2002年02月14日(木)03時32分21秒
- 『長雨』
圭 「雨が続くね」
なつみ「早くやまないかな〜」
圭 「明日も雨らしいよ」
なつみ「やだな〜雨の日って」
圭 「アタシは雨の日って好きだよ」
なつみ「なんで?」
圭 「だって、さ・・・」
なつみ「???」
圭 「二人で雨ごもりできるからね(ギュッ)」
なつみ「きゃぁ〜(はあと)」
- 94 名前:Tea Break 4 投稿日:2002年02月14日(木)03時38分02秒
- 『乙女心』
圭 「(なつみを見つめる)・・・」
なつみ「なぁ〜に?」
圭 「・・・好きだよ」
なつみ「(ぽっ)」
圭 「たまには言ってみるものですよ」
- 95 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月14日(木)03時42分47秒
- 89>名無し読者さん
90>6さん
あわわわ、泣かないでください。
お詫びに、少しだけ甘〜いお話、サービスしておきますから。
これで、少しだけ和んでください。
続きは週末に更新します。では。
- 96 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月14日(木)23時49分47秒
- なっち
少しだけでも甘甘(w
ありがとうございます
- 97 名前:6 投稿日:2002年02月15日(金)02時39分52秒
- うっひょ〜〜〜〜〜!!!(狂喜乱舞)
はぁ!また取り乱してしまいました!
本編が自分的にとても悲しかったのでもう嬉しすぎて鼻血でそうになったっすよ!!
2人がまたこんなふうに甘〜くなれる日が来るよう観音様に祈ってます…(遠い目)
て〜か自分更新のたびに叫んでるような…
も〜〜〜!!うっぱさん天才っす(w
- 98 名前:Tea Break 5 投稿日:2002年02月16日(土)02時16分02秒
- 『子猫のよう』
圭 「今夜は冷えるねぇ〜」
なつみ「そう? なっちはそんなでもないよ」
圭 「冷え込んでるって」
なつみ「圭ちゃんが寒がりなんだよ」
圭 「まぁ、朝になればわかるけど、ね」
〜明け方〜
なつみ「ZZZ〜(ぴったり)」
圭 (寒いとすり寄ってくるんだもん・・・)
- 99 名前:Tea Break 6 投稿日:2002年02月16日(土)02時20分54秒
- 『熱帯夜?』
圭 「ピッ(部屋の暖房を切る)」
なつみ「今夜は冷えるよ。暖房入れておこうよ」
圭 「というか、たぶん暑くなると思うんだよね」
なつみ「だって今年一番の冷え込みだって・・・」
圭 「そうじゃなくて・・・」
なつみ「???」
圭 「ごく個人的に・・・ね(ギュ〜ッ)」
なつみ「きゃぁ〜(嬉)」
- 100 名前:Tea Break 7 投稿日:2002年02月16日(土)02時24分52秒
- 『カイロ』
圭 『あっ、なっちゃん?今、仕事終わったから
コタツに入って待っててくれる?』
なつみ「?」
〜数十分後〜
圭 「今帰ってきたよぉ〜」
なつみ「早かったね」
圭 「(ギュ〜ッ)あったかぁ〜い」
なつみ「ひぇ〜つめたぁ〜い」
圭 「やっぱ人肌が一番イイや」
- 101 名前:Tea Break 8 投稿日:2002年02月16日(土)02時27分54秒
- 『ホントのところは・・・』
なつみ「あっ、雪だ・・・」
圭 「・・・・・・」
なつみ「? どうしたの、圭ちゃん?」
圭 「い、いや、その、くしゃみが出そうだったからさ」
なつみ「そっか」
圭 (見とれてたなんて、口が裂けても言えないや)
- 102 名前:Tea Break 9 投稿日:2002年02月16日(土)02時33分46秒
- 『信頼?』
なつみ「圭ちゃんを好きになってよかった」
圭 「アタシもよかったと思うよ」
なつみ「すっごい頼りにしてるよ」
圭 「そう? 嬉しいなぁ」
なつみ「だから・・・」
圭 「だから?」
なつみ「一緒に寝てぇ〜(ブルブル)」
圭 「寝る前にホラー映画なんか見なきゃいいのに・・・」
- 103 名前:Tea Break 10 投稿日:2002年02月16日(土)02時37分23秒
- 『ご馳走様』
圭 「つくづく可愛いと思うよ」
なつみ「照れるよぉ〜」
圭 「そんな恋人がいるアタシは世界一幸せものだなぁ〜」
なつみ「それは違うよ」
圭 「なんで?」
なつみ「世界一幸せものは他にいるよ」
圭 「誰?」
なつみ「そんな恋人がいるなっち(はあと)」
- 104 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月16日(土)02時39分37秒
- ・・・なんか自分で書いてて真っ赤になりそう・・・。
次から本編に戻ります。
では。
- 105 名前:6 投稿日:2002年02月17日(日)00時16分51秒
- ほぇぇぇ…。(とろけてます)
幸せ……。
うっぱさん!!ありがとうっす!!
- 106 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月18日(月)02時52分37秒
- 96>名無し読者さん
甘〜くなっていただけたでしょうか?
また切りのいい所でのっけます。
97、105>6さん
幸せになってください。
これぐらい礼にはおよびませんから。
- 107 名前:紅糸(めぐりあい) 1 投稿日:2002年02月18日(月)02時58分18秒
- 今年も夜を着飾る季節がやって来た。
その日、なつみは朝から緊張していた。
そんな彼女の気持ちとは裏腹に東京の空は清々しいほど晴れていた。
冬の空は何処となく硬く見える。
予定よりも早めに今日の仕事が終わり、なつみは一人タクシーに乗り、ある場所へと向かっていた。
車窓から見える街並みは冬一色に覆われ、イルミネーションが冬のお洒落を演出させている。
- 108 名前:紅糸 2 投稿日:2002年02月18日(月)03時04分37秒
- 「はい、着きましたよ」
運転手の愛想の良い声でなつみは我に戻り、料金を支払うと車外へ出た。
青いアクリル板でつくったような空がそろそろ夕闇へと移り変わろうとする景色を背に、
巨大な赤い鉄塔がひとつ、天高くそびえたっている。
なつみはゆっくりとした足取りで展望台へと向かった。
眼下に夕闇の東京を見渡しながら、なつみは時計に目を送る。
予定よりも早い到着に気を緩し、ホッと息をひとつ吐き出した。
まだ見ぬ未来にどんな結末が待っているのか、はやる気持ちを押さえて
期待と不安を胸に、なつみは待ち合わせ時刻の午後五時を迎える。
- 109 名前:紅糸 3 投稿日:2002年02月18日(月)03時09分51秒
- 室内には徐々に寄り添うカップルが増えてくる。
この季節にはひとつの風物詩みたいなものである微笑ましい光景は、
今のなつみにとってあまり気にはならなかった。
ふと、隣にいる一組のカップルの会話が耳に入ってきた。
内容はどうやら中島みゆきの『夜会』を待つ話だった。
聞こえてくる楽しげな会話に、なつみは去年の冬の事を思い出していた。
- 110 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月18日(月)03時11分41秒
- 《お詫び》
これから進んでゆく内容は12月辺りの内容なので
あまり気にしないでください。
なにしろ、原稿書いてた時がその時期だったものですから。
- 111 名前:6 投稿日:2002年02月19日(火)00時31分34秒
- はぁ…。
なっち…本当に会いに行くんだね…。
いや、何も言うまい!
自分は君を信じているぞ!!!
…ってやっぱ悲しいよぉ…。
- 112 名前:NK 投稿日:2002年02月19日(火)14時49分53秒
- そうか...こんな事に
しかし、なっちの行動に心動くのは相変わらずw
未来図はどんな模様かな?
続きお待ちしております。
- 113 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月20日(水)01時50分34秒
- 111>6さん
圭 「なっちゃん、6さんが悲しいって」
なつみ「なっち、悪いコトしてるのかな〜? ごめんね(ニコッ)」
圭 (か、可愛すぎる・・・)
112>NKさん
圭 「なっちゃんの行動は人を動かすみたいね」
なつみ「圭ちゃんは心動かないの?」
圭 「えっ・・・そ、それはそのぉ〜(そんなコト言えるわけないじゃない)」
- 114 名前:紅糸 4 投稿日:2002年02月20日(水)01時57分44秒
毎年、忙しいこの時期は仕事に明け暮れていたが、たまたま先方の都合で予定していた
取材がキャンセルになりその日のスケジュールが終わった時だった。
帰り支度をしていたなつみのもとへ、圭はこっそりと歩み寄ってそっと耳打ちした。
「なっちゃん。これからさ、コンサートでも行かない?」
「なんのコンサート?」
「中島みゆきさんの『夜会』なんだけど」
「う〜ん、でもなっちさ、中島みゆきさんの唄、あんまり知らないんだよね」
「大丈夫、大丈夫。すごくいいコンサートだから」
渋るなつみをよそに、圭は何処か自信に満ちたような表情で会場へと足を運んだ。
- 115 名前:紅糸 5 投稿日:2002年02月20日(水)02時05分32秒
- 普通のコンサートとは何処か違う空気がそこに存在していた。
なつみは会場に入った途端、言いようのない何かを感じていた。
その違いを見極めるべく、なつみはステージに集中していた。
圭が言っていた通り、素晴らしいコンサートだった。
なつみは思わず歓喜の涙を流してしまった。
改めて詩という言葉の持つ影響力と音の魅力をまざまざと教えられたような気がした。
感傷に浸るなつみの隣りに座っていた圭がステージに目を向けたまま、独り言のように呟いた。
「いつか、こんな風に人の心を動かせるようなコンサートができたらいいな・・・・・・」
その一言は今でもなつみの胸の奥深くに刻まれたまま、消えることなく残っていた。
- 116 名前:紅糸 6 投稿日:2002年02月20日(水)02時16分04秒
(今年の冬は一人ぼっち、か・・・)
なつみは視線を窓の外へ戻した。
電飾が灯された街並みがロマンチックな雰囲気を煽っている。
さっきまで気にならなかった周りの人々の楽しそうな様子が今は無性に気にかかった。
そしてそれは今、一人でいるなつみにとって淋しさを募らせるものになっていた。
そんな落ち込んだ気分を漂わせているなつみの元へ、ゆっくりと歩み寄るひとつの影。
徐々になつみへと近づいていき、丁寧な口調の呼びかけと共にそっと片手をなつみの肩に添える。
「あの、今晩約束していた方ですか?」
(来た・・・来てくれたんだ、私のために)
その合図に一度だけ深い深呼吸をしてから、なつみはゆっくりと振り返った・・・。
- 117 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月20日(水)02時41分21秒
- 中島みゆきの「夜会」ですか・・・、さすが圭ちゃん、お目が高い。
私も、一度だけ行ったことがあります。
だいぶ昔の話なのですが、誘われたため、気軽な気持ちで、気軽な格好で行きました。
多分、その「夜会」コンサートでは、最年少の部類に入っていたでしょう。
妙に浮いた自分の存在に、戸惑った覚えがあります。
しかし、歌が始まると、これまでになかった感情と興奮で、日頃の若気の至りというものを、
反省したりしました。
自分を一皮剥かせてくれた、貴重な体験でした。
そんなコンサートを、話の演出に使うなんて、この小説の深さを感じます。
圭ちゃんとなっちの、微妙な心の機微、上手く表現していて楽しみです。
これからも、きれいなお話し、よろしくお願いします。
- 118 名前:6 投稿日:2002年02月21日(木)00時00分23秒
- はぐぅ!!
い、いきなし失礼いたしました!!
まさかなっちに微笑んで頂けるとは!
は、鼻血がぁぁ!!!(大量出血)
中島みゆきさんのコンサート、自分は行った事ないのですが
うちの母が行った事があり、素晴らしかったと興奮して
帰ってきた事を思い出してしまいました。
さて、続きはどうなってしまうんだろう…。
- 119 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月22日(金)03時19分03秒
- 117>名無し読者さん
なつみ「圭ちゃん、お目が高いだって」
圭 「そうかな? やっぱりいち歌い手としては
チェックしておきたい大先輩だからさ」
なつみ(やっぱり圭ちゃんには敵わないなぁ〜)
118>6さん
圭 「なっちゃん、63が鼻血出しちゃったって」
なつみ「ホント? じゃあ、なっちがティッシュ鼻につめてあげなきゃ」
圭 (余計に鼻血出させなきゃいいんだけど・・・)
- 120 名前:6 投稿日:2002年02月23日(土)02時15分20秒
- はぇぇぇぇ…。
い、生きててよかった…(感涙)
もうボルテージ最高にあがってます!
アドレナリンが大放出っす!!(意味不明)
はぅ!!興奮のあまり両方から出血がぁ!!
自分には刺激が強すぎたみたいっす…。
なんか読み返してみると毎回×2自分のレスってやかましいっすね…。
ご迷惑でしたらごめんなさい。
なんかちょっと気になったもんで…。
- 121 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月23日(土)03時06分33秒
- 120>6さん
圭 「読んでくれるだけでありがたいですよ」
なつみ「なっちはレスしてくれる人、好きだよ」
圭 「アタシは?」
なつみ「・・・教えてあげない」
梨 華「じゃあ、保田さんは私が貰っちゃいますぅ〜」
圭、なつみ「「!!!」」
- 122 名前:紅糸 7 投稿日:2002年02月23日(土)03時17分11秒
- 目に映ったのはグレーのコートに黒いパンツ姿の女性だった。
そして視線を徐々に上げていったなつみは、その顔に言葉を失った。
自分より少しだけ身長の高い女性。歳にして二十歳前後。
首にマフラーを巻き、少し茶色がかった髪と少しだけ赤くなった頬。
淵無しの眼鏡を掛けたその女性は驚くなつみの顔を優しく見つめていた。
「ウソ・・・・・・なんで???」
「・・・どうしたんですか? 何かおかしなところでも?」
目の前の女性は首を傾げながら、微笑んでいる。
なつみの頭の中は既に真冬の故郷といったご様子で、今だ信じられぬ状況に
目をしばたかせながらも目の前にいる、「見えない相手であった」はずの女性を見ていた。
- 123 名前:紅糸 8 投稿日:2002年02月23日(土)03時25分33秒
- 「なんで・・・なんでここにいるの?」
「今日約束してました、よね?」
「約束って・・・」
「会って下さいって」
「じゃあ・・・なっち、いままでずっと・・・」
「そういうことになりますね」
なつみの頭の思考回路は徐々に整備されつつも、伝達機能はまったく働かなかった。
そんな混乱状態のなつみの手をその女性はそっと握り、手を引きながらその場から出ようとしていた。
- 124 名前:紅糸 9 投稿日:2002年02月23日(土)03時33分03秒
- 「えっ、あ、あの、何処へ?」
「ここだと人が多いですから、別のところへ移動しましょうよ」
「で、でも、一体何処へ?」
「いつものところへ行きましょう」
「だ、だってもう遅いし、寒いよ」
「大丈夫ですよ」
二人は人込みをすり抜けるように展望台を後にした。
いつもの笑顔にいつもの口癖、そしていつもの態度。
なつみの視界の先にはそんないつもと同じ風景と、いつもの圭がそこにいた・・・。
- 125 名前:6 投稿日:2002年02月23日(土)23時58分19秒
- おぉ!そうきましたかぁ。
なっちは圭ちゃんの事をずーっと本人に相談してたんですね。
やっぱり離れられない二人なんですねぇ。
…つうわけで梨華ちゃん、悪いけど圭ちゃんは諦めてね(w
あ、代わりに自分なんかいかがっすか?(殴
…(ただいま梨華ちゃんの師匠から教育的指導を受けてます)…
ま、まぁとにかく次回まってま〜す!!
- 126 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月24日(日)02時30分50秒
- 125>6さん
なつみ「色々と大変だね、圭ちゃん」
圭 「ふぅ〜なんか疲れて眠くな・・・っちゃ・・・」
なつみ「お休み、圭ちゃん(ナデナデ)」
梨 華「や、保田さぁ〜ん(涙)」
みちよ「なっちぃ〜(涙)」
- 127 名前:紅糸 10 投稿日:2002年02月24日(日)02時39分12秒
- 二人は公園を抜け、通りでタクシーを拾った。行き先を告げる圭の隣りでなつみは今だ
状況が把握しきれていないのか、車内で一言も口を開けることはなかった。
圭もそれがわかっているかのように敢えて話し掛ける事をせず、流れ去る景色を見つめていた。
目的地へ着き、タクシーを見送ると圭はなつみの手を引いて歩き始めた。
なつみはただ黙って圭の横顔を見つめていた。
街灯に照らされたその横顔は、鋭角的な頬を際立たせ、一瞬見知らぬ人のようになつみの目に映った。
近頃、ユニットで作曲を考えているとかで、ますます忙しさが増してゆく圭の表情は何処かやつれているようだった。
そんなシャープな横顔からは以前のようなあどけなくて優しい感じがした。
それと同じになつみの存在など頭にないほど他人のような冷たさも感じた。
- 128 名前:紅糸 11 投稿日:2002年02月24日(日)02時45分08秒
- そんな姿を見ていたなつみの心では、胸の奥底に宿っていた不安が静かに目を覚ます。
(前に進みながら少しずつ変化してゆく圭ちゃん。・・・そんな前向きな圭ちゃんに
私はついていっていいのかな・・・。私がいることで迷惑になってないのかな・・・)
しばらくの沈黙のあと、圭はふと一言漏らす。なつみはその言葉で視線を前へと向ける。
「久しぶり、だね。ここへこうやって二人でくるのも」
「そうだね。・・・・・・二ヶ月ぶりぐらい・・・かな」
- 129 名前:紅糸 12 投稿日:2002年02月24日(日)02時52分40秒
- 二人は京浜島へ来ていた。
東京湾にある埋め立て地は、羽田空港と向い合っていて、島の端と滑走路が
川を挟んで平行に並んでいる場所がある。そこからわずか数百メートル先には
飛行機が離着陸している様子がはっきりとわかる。目と鼻の先と言っていいくらい
絶好の場所で、巨大な鉄の塊が空へと舞いあがってゆくシーンは壮観だった。
圭は初めてなつみに連れてこられた時、言葉にならないほどの迫力に呆然と見入ってしまった。
ゆっくりと滑走路ヘ入ってくる飛行機が徐々にスピードをあげてゆく。
滑走路が終わる直前で車輪が浮き、飛行機が空へと顔を上げて上昇して行く。
- 130 名前:紅糸 13 投稿日:2002年02月24日(日)03時01分09秒
- それは信じられないほどゆっくりとしていて、まるで今にも加速をなくして
真っ逆さまに海へと落ちていってしまうような、そんな風情を圭は直に体感した。
そして言うまでもなく圭はその光景に虜になっていた。いつどんな時に来ても、
何度見ていても飽きる事はなかった。
「すごいでしょ? 落ちそうで落ちないんだよね〜、あのでっかいのがさぁ」
なつみはまるで自分の飛行機のように得意げな顔をしていた。
河からの風に吹かれて他愛のないお喋りをしながら最終便まで眺め続けた事もあった。
からっと晴れたオフの日、照りつける太陽の日差しを浴びながらずっとそこにいたこともあった。
そして今も、そこへ二人でやって来た。
- 131 名前:紅糸 14 投稿日:2002年02月24日(日)03時09分09秒
- 夜の滑走路がブルーのライトで縁取られ、機体に灯りを点滅させた飛行機が一機、
煌く夜空の星を目掛けて飛び立っていく。
昼間とはまた違った夜の眺めは、イルミネーションで煌く街並みよりも、
日本三大夜景よりもずっとずっと素晴らしかった。
そしてそれを二人で眺めている時が、どんなデートよりも最高に楽しい一時でもあった。
「あいかわらず、いい眺めだなぁ〜」
圭の口元が緩んだ証拠だった。自然と言葉が空気に乗り、辺りに響いた。
久しぶりの情景に吸い寄せられるかの如く、圭の足がゆっくりと前へと進んで行く。
- 132 名前:紅糸 15 投稿日:2002年02月24日(日)03時14分59秒
- それを横目に見ながらなつみは思う。
(今夜の圭ちゃんはいつもと変わらないようで、どこか違う人のような気がする。
あの日からお互い言葉を交わさなくなっても、普段通りに接してた・・・。
でも・・・今夜はなんだかいつもは見せない表情を私に見せてる。
私のせいなのかな・・・?)
なつみの手が急に暖かさを増した。
「寒くない?」
「ううん、大丈夫」
圭の視線がどことなく大人っぽかったせいで、なつみはそっと答える。
身体の中から熱が込み上げてくる感覚がした。
- 133 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月24日(日)15時17分37秒
- 今日発見し一気に読ませて頂きました。
なっちの切ない心理描写や、全体の雰囲気がとても綺麗で、感動してしまいました。
美しい文学を久々に読んだ気がします。どうもありがとうございました。
やっと向き合う姿勢が出来た2人の今後を、
ハラハラドキドキしながら楽しみにさせて頂きます。うっぱさん頑張って下さい。
あ。それと・・圭ちゃんも早く素直になるんだよ!
・・・失礼しました。1保田ファンの戯言ですのでお気になさらずに(笑)
- 134 名前:6 投稿日:2002年02月25日(月)01時19分33秒
- せつない気持ちになって約二ヶ月…
とうとう!やっと!ついに!(しつこい)向かい合ってくれるのれすね!!
…長かったわ…あ、なぜか頬に水滴が…。
後は二人が素直になるだけさ!自信を持って互いの気持ちをぶつけちゃえ!
さぁ!俺の胸に飛び込んでこ〜い!!(殴
…こんなお馬鹿な自分をいつも許してくれるうっぱさん、
なっち&圭ちゃんに心よりお礼申し上げます。(遅いわ!)
- 135 名前:ビギナー 投稿日:2002年02月26日(火)18時39分26秒
- 一気にぜーんぶ読ませていただきましたぁ。
最初、めっちゃ切なかったです。
でも、間に入ってるちっちゃいお話で心がなごんだりしました。
何か、意味不明ですみません。
こんな大人な保田さんは、ビギナーには無理だなって思いました。
いつも、誰かしらに振り回されてるので・・・
ということでがんばってください。
幸せになりますよね?
- 136 名前:ビギナー 投稿日:2002年02月26日(火)18時43分02秒
- すいません。あげてしまいました。
ほんと、すみません。
ごめんなさい。
- 137 名前:りか 投稿日:2002年02月26日(火)22時42分57秒
- いや〜切ないです・・・。泣いてしまいます。
けいちゃん&なっちは好きな娘。なのでいいですね。
ご本人にも読んでほしいですね。(けいちゃんとなっちに)
なんかけいちゃんいいですね♪ますます好きになりました。(笑
作者さま 続きがんばってくださいね。
- 138 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月27日(水)02時21分11秒
- 133>名無し読者さん
134>6さん
なつみ「ねえ、圭ちゃん。なんか皆さんが感極まって涙してるらしいよ」
圭 「そうみたいだね。で・も・そんなに世の中うまくいくとは・・・」
なつみ「圭ちゃん、ストップ! ストップ!(口を封じる)」
圭 「フガ、フガッ」
なつみ「あっ、あははははっ。気にしないでくださいね〜」
135>ビギナーさん
なつみ「なっち、幸せになれるのかなぁ?」
圭 「アタシは今、幸せだけどね」
なつみ「なんで? どうして?」
圭 「だってこうやってなっちゃんと二人でしゃべってるから」
なつみ「・・・・・・(顔を真っ赤に染める)」
137>りかさん
なつみ「圭ちゃん、りかさんが好きだって」
圭 「へっ? 石川がアタシを?」
なつみ「いや、そうじゃなくて・・・」
圭 「そんな急に言われてもアタシには既になっちゃんがいるのになぁ〜」
なつみ「・・・・・・(耳まで真っ赤っか)」
- 139 名前:6 投稿日:2002年02月27日(水)04時10分53秒
- なぬ!!
け、圭ちゃん…今なんとおっしゃいましたか?(滝汗)
これから幸せになれると勝手に思ってしまったけど…
違うのれすか?勘違いなのれすか??
あぁぁぁぁ、またうっぱさんに踊らされてる気が…。
まるでお釈迦様の掌で踊る孫悟空になった気分…。
うっしゃぁ!!気合入れて続きまってます!!
- 140 名前:うっぱ 投稿日:2002年02月28日(木)03時17分27秒
- 139>6さん
圭 「フッ」
なつみ「フッフッフッ」
少し多めに更新します。
- 141 名前:悲霧(なみだ) 1 投稿日:2002年02月28日(木)03時25分52秒
- なつみは思いっきり冷えた夜の空気を吸いこんだ。
向こう岸には一日の務めを終えた飛行機が、羽根を休めて眠っていた。
なつみは小さな土手の斜面に生い茂る草の上にそっと腰を落とす。
圭はそのまま土手の麓にあるコンクリートでできた1メートルほどの杭に凭れ掛かっている。
「・・・綺麗な景色だね」
「そうだね。昼間だと埃とかが散ってて真っ黒になっちゃうけどね」
「感動してるのにそんなコト言わないでよ」
「あ、そうか」
しばらく美観に浸っていると、圭が向こう岸でまだ輝いている滑走路のライトの列を
眺めながらさらっと口をすべらした。
- 142 名前:悲霧 2 投稿日:2002年02月28日(木)03時31分41秒
「今度さ・・・カップリング曲の作曲、任されることになったんだ・・・」
「そう・・・・・・」
なつみは何と言ってよいのかわからないままただ頷く事しかできなかった。
自分の事のように嬉しいのに、なんの感情も湧かなかった。
そんな無感情な自分の態度に腹が立ってしまう。
「それだけ?」
なつみの反応に圭は、少しだけ苦笑してしまう。
「えっ、あっ、お、おめでとう・・・」
なつみは気の効いた台詞のひとつも言えない自分に、完全に嫌気がさしていた。
- 143 名前:悲霧 3 投稿日:2002年02月28日(木)03時39分07秒
(やっぱり、圭ちゃんといるとどうしても自分がみじめに見えてくる。いつでもどんな時でも
私の気持ちを知っているような態度をする圭ちゃん・・・。ダメだよ・・・もうこれ以上は
耐えられないよ・・・壊れちゃいそうだよ・・・)
なつみは湧き上がる邪まな気持ちをこらえるべく、唇を噛み締めて目をつぶる。
膨れあがるマイナスの気持ちが更になつみを酷にさせてゆく。
自然と噛み締める唇に力が加わってしまう。
「一体どうしたの?」
「えっ・・・」
いつの間にか圭が正面にしゃがみこみ、両手をなつみの頬に添えて顔を覗きこんでいた。
- 144 名前:悲霧 4 投稿日:2002年02月28日(木)03時45分10秒
「今回のこと。急によそよそしくなったり、メールの返事もしてくれなかったり、
どこか変じゃない?」
「・・・・・・・・・」
「それに一方的に別れようなんて・・・・・・どうしちゃったの?」
「だってなっち・・・圭ちゃんに内緒で、浮気したんだよ?」
「知ってるよ」
「圭ちゃん以外の人と寝たんだよ?」
「それもわかってるよ」
「そんないい加減で、最低ななっちが圭ちゃんにふさわしいわけ・・・ない・・・よ」
圭の見えない圧力に押し潰されそうになるなつみの声は、徐々にか細くなっていった。
- 145 名前:悲霧 5 投稿日:2002年02月28日(木)03時54分51秒
- 「・・・・・・なっちゃんはアタシが知っている人の中で一番わがままじゃない子だね。
心をうまくコントロールしてる、しっかりした女の子」
「心をコントロールしてる?」
「そう。普通の女の子なら、気持ちを簡単に表情や態度に出してる。
まあ、いつもいる人たちが普通じゃないから余計にそう見えるのかもしれないけどね」
「なっちは・・・普通の女の子だよ」
「違うよ。かなり優秀な子だよ。人に気を遣う心優しい子」
「そんなこと・・・ないよ」
「一番近くにいるアタシがそう思ってるんだから間違いないよ。だけど、たまには
普通のわがままも言っていいと思うよ。言いたい事を言わないで大人しくしてる事が
全ていいって訳じゃないよ」
圭の言葉は、冷静なぶんだけ余計になつみの全身をすくませるものだった。
- 146 名前:悲霧 6 投稿日:2002年02月28日(木)04時00分46秒
- 「こないだのオフの事で怒ってるの? それともアタシが内緒で相談にのってた事が
気に入らなかったの?」
「・・・ち、違う。そうじゃないの! そんなんじゃない・・・」
「じゃあどうして?」
「それは、なっちが・・・なっちが勝手に思いこんで・・・誤解して・・・
勝手に落ちこんでただけなの・・・」
「それだけじゃ・・・ないよね?」
「えっ・・・?」
「ちゃんと話してくれる、よね」
全てを見透かされたなつみは、どうしてよいか全くわからなかった。
そして今まで心の内に溜めていたものを全て吐き出すように喋り始めた。
- 147 名前:悲霧 7 投稿日:2002年02月28日(木)04時07分30秒
- 「圭ちゃんは・・・いつも目的があるの。それはなっちとかが夢とかと呼ぶよりも
確実で形のある目標なの。勿論、なっちは圭ちゃんが頑張れるように応援するんだけど、
そうやっているうちに何も持っていないなっちがずっと傍にいていいのかなって」
「傍にいてくれればいいじゃない」
「ダメだよ。そんな何の助けにもならないなっちじゃ、いつかは圭ちゃんも飽きちゃうよ」
「そんなことないよ。すごく助かってるよ、今も昔も。それにこれからだって・・・」
「それは・・・できない・・・よ」
「えっ?」
「無理・・・なの。もう、一緒に見たり感じたり助け合ったりする事なんてできないよ。
一度、離れちゃったら・・・・・・」
「それ・・・どういう意味?」
圭は今まで見たこともないほど大人びた表情を浮かべて語るなつみに驚いた。
- 148 名前:悲霧 8 投稿日:2002年02月28日(木)04時17分36秒
(いつの間に、こんな大人びた表情をするようになったんだろう・・・)
圭はなつみの本当の姿を目の当たりにしたような気がした。
内心驚いている圭をよそに、なつみは尚も語りつづける。
「圭ちゃんは離陸した飛行機なんだよ。もう飛び立っちゃってるの。
・・・で、なっちはここでこうやって『いってらっしゃ〜い』って手を振ってるの。
圭ちゃんは遥か空の上・・・圭ちゃんは・・・完全に、離陸した・・・飛行機なんだよ。
・・・自分の操縦で・・・」
なつみの身体が嗚咽と共に震え出す。
「なっちはさ・・・地上で・・・自分の・・・滑走路も見つかってない・・・・・・
みっともなく・・・うろうろ・・・してる・・・だけ・・・・・・」
完全に涙声になりながら、遠くで離陸しようとしている飛行機を見つめ話を続ける。
「だから・・・だからもう・・・二度と・・・一緒には・・・・・・だからぁ・・・・・・」
なつみは全てを打ち明ける事よりも、自分に対する情けなさに打ち砕かれ、その場から
全速力で駆け出してしまった。
- 149 名前:悲霧 9 投稿日:2002年02月28日(木)04時24分48秒
- 「あっ、なっちゃん!」
圭はなつみが急に立ちあがった反動で、斜面を転がり落ちそうになった。
けれども、なんとか態勢を整えると急いで斜面を登った。
しかし、時折吹く冷たい風に煽られ、何度も横転しそうになる。
「なっちゃん、待って!」
圭はできるだけ全速力で追いかけた。あまり脚力に自信がない事などお構い無しにとにかく
目の前の米粒ほどの大きさになったなつみを追いかけた。
しかし、そんな彼女の後ろ姿が大きくなることはなかった。
- 150 名前:悲霧 10 投稿日:2002年02月28日(木)04時30分10秒
- なつみは後ろを振り返ることなくバス停まで来ると、ちょうど最終便が滑り込んで来た。
それに飛び乗るとほとんど乗客のいないバスの中で静かに泣き悔やんだ。
(ごめんね、圭ちゃん・・・ごめんね・・・これでもう・・・・・・
これでもう終わりだから・・・ホントに最後だから・・・・・・)
なつみを乗せたバスは、運転手が気を遣ってくれたかのように、まるで一人も
乗車させない貸し切りの状態でずっと走り続けていた。
- 151 名前:6 投稿日:2002年03月01日(金)01時05分13秒
- ……しくしくしくしく……(号泣&鼻水)
うぅ、再起不能っす…。
まさかこんな展開になろうとは…。
続きが気になるけど見るのがこわいよぉ(怯
- 152 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月02日(土)03時30分54秒
- >6さん
なつみ「うわぁ〜ん、圭ちゃんのバカぁ〜」
みちよ「ホンマやで、圭ちゃん。さあなっち、あたしの胸に
飛び込んでおいで」
なつみ「みっちゃ〜ん」
みちよ(やっとなっちがアタシの振り向いてくれたわ)
なつみ(・・・やっぱり、圭ちゃんのほうが居心地がいい)
〜物陰から〜
圭 「フッ」
- 153 名前:悲霧 11 投稿日:2002年03月02日(土)03時39分32秒
- いつもなつみの前では穏やかだった圭が、はっきりと怒りを表したのは初めてだった。
怖い・・・正直になつみは思った。
それは圭が怖いのではなく、自分がこれから体験するであろう未知の事全てがひどく怖かった。
時々圭と一緒にいるのがものすごく辛くなる。何故だかはわからないが、一緒にいると
自分がすごく平凡に見えてしまう、そんな思いがなつみを悲しくさせていた。
出会った頃は同じスタートラインに立っていた、いやむしろ、一歩自分のほうが
リードしていた筈の距離が、いつの間にか追いつけないほど離されていた。
そしてそんな自分を圭に見せることがみっともないことのようで怖かった。
(いつか離ればなれになるのなら、いっそ自分から去っていった方がきっと楽だよ・・・)
圭を残してその場を去ってしまったのは、不意にそう思ったからだった。
- 154 名前:悲霧 12 投稿日:2002年03月02日(土)03時50分11秒
自宅に戻ったなつみは、玄関のドアを閉めた瞬間、今までにない後悔にさいなまれた。
(こんな簡単に諦めてよかったのだろうか・・・? こんな終わりかたで本当に自分で
納得するんだろうか・・・?)
部屋の明かりもつけずにリビングへ進む。
ふと傍らに置いてある写真が目に映った。
屈託のない笑顔を見せる自分と、心が和むような表情で微笑む圭。
なつみはそれを手に取ると、しばらくじっと二人の顔を見つめていた。
その写真に映る二人が今のなつみに問い掛けてくる気がした。
『あなたは本当にそれでいいの? 諦めちゃっていいの?』
なつみの目が潤い始めた。
- 155 名前:悲霧 13 投稿日:2002年03月02日(土)04時02分05秒
(ホントは・・・ホントは圭ちゃんの優しい笑顔を見ていたいのに・・・
圭ちゃんの温かい心と頼れる腕でそっと抱きしめて欲しいのに・・・
挫けそうな時に圭ちゃんの一言が聞きたいのに・・・
圭ちゃんが一番大切で、誰よりも本気で好きなのに・・・
涙が出るぐらい大好きなのに・・・圭ちゃんに愛されたいのに・・・)
なつみは窓に歩み寄り、カーテンを開けた。
窓の外には明るい窓が立ち並び、ビルの間から寒さで黒ずんだような公園の木々の影が
わずかに見えた。時折、マンションの真下からは車の行き交う音が響き渡る。
(ごめんね、圭ちゃん・・・・・・こんなわがままな女で・・・・・・
ごめんね・・・・・・ごめ・・・ん・・・)
遠くで悲しく揺れる木々の影が、ぼんやりと雨に滲んでゆく。
だが、実際に雨が降り出したのはなつみの目の中だった。
その雨は、しばらく暗闇で窓際に座りこんだか弱き乙女の中で降り続けた・・・。
- 156 名前:6 投稿日:2002年03月03日(日)00時15分08秒
- しくしくしくしくしく…(大号泣)
…ずび…ちぃ〜ん!(鼻水)
しくしくしくしくしくしく…(エンドレス)……
- 157 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月07日(木)03時56分46秒
- >6さん
なつみ「あ〜あ、6さんを泣かしちゃった・・・」
圭 「えっ、ア、アタシのせい???」
なつみ「どうするの?」
圭 「とりあえず、なっちゃんが慰めてあげたら?」
なつみ「えっ・・・(ポッ)」
〜はたしてなっちゃんは慰められるのだろうか?〜
- 158 名前:6 投稿日:2002年03月08日(金)01時16分00秒
- なぁっちぃ…なんで逃げるのさぁ…。
ちゃんと圭ちゃんと向き合って…って私と向き合ってどうするのさぁ!!(赤面)
…え?慰めてくれる?
い、いやそれより圭ちゃんと…(なにやら邪まなことを考え中)
……ニヤリ………ハッ!!!
け、圭ちゃん?なんか目線が怖いんすけど…。
うち悪い事なんか考えてないから!
そんななっちを今だけ我が物にできるかなぁ…なんて考えてないよ!!(墓穴)
……と、とりあえず続きまってますです!
- 159 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月08日(金)02時35分23秒
- >6さん
圭 「やっぱり、慰めちゃダメッ!」
なつみ「えっ、あっ・・・」
圭 「なっちゃんは誰にも渡さない(抱)」
なつみ「(ポッ)・・・ありがと」
更新します(これより甘〜くなりますのでアシカラズ)
- 160 名前:希流(きずな) 1 投稿日:2002年03月08日(金)02時46分43秒
- いつの間にか目の中で降り続けていた雨は止んでいた。
日付も変わり、一人暗闇の中で遠くに輝く蒼い月を眺めていた。
テーブルの上に淋しそうに置いてある文庫本に手を伸ばした。
『竹取物語』
近頃、古典の世界に興味を持ち始めて購入した文庫本だったが、
ストーリーを思い出すとまた涙が込み上げてきた。
(竹取の姫がどんな気持ちで今生の別れを迎えたんだろう・・・
最愛の人と離れる勇気と覚悟が私にも持てるんだろうか・・・)
今まで傍でずっと精一杯の愛情をもって可愛がってくれた老夫婦のもとを離れてゆく姫の気持ち。
自分とは立場や状況は異なるけれども、好きなのに別れなくてはならない宿命をなつみはひどく痛感していた。
- 161 名前:希流 2 投稿日:2002年03月08日(金)02時55分07秒
- 視界が再び歪み始めた頃、
“ピンポーン”
背後で来客者を告げる音がはっきりと響いた。
その音で一瞬なつみは身を固くする。ゆっくりと振り返り、玄関の方を向いた。
“コン、コン、コン”
今度はドアをノックする音。時刻は既に深夜一時を半分ほどまわった頃。
今宵は特に誰も約束は入れてはなかった。
それでも鳴り止まない音は次第に強さを増してゆく。
近所迷惑を考え、観念したようになつみは玄関へと赴く。そしてゆっくりとドアノブをひねる。
まるで自分の心の扉を誰かが開けているような、そんな感じでドアが開いた。
- 162 名前:希流 3 投稿日:2002年03月08日(金)03時04分08秒
「大事な事を聞かずに一人で先に帰っちゃうなんて、結構なっちゃんも慌てものなんだね」
真っ直ぐな視線をなつみへと向けたまま、圭がはっきりと言った。
無表情のような、怒っているような、でもどこか優しそうな曖昧な顔だった。
冷気に当てられて来たせいか、いつもよりも頬が赤みを帯びていた。
「ど、どうして・・・・・・」
「ハァッ、ハァッ・・・ちょっときつかったけど・・・久しぶりにいい運動を・・・
させてもらったよ・・・ハァッ、ハァッ・・・」
圭がウインクをしておどけた。それはなつみだけの特権でもある幸せの証。
肩で大きく呼吸を整えている。額から一筋の汗が流れる。ここまでどうやら走ってきたようだった。
そんな圭をなつみはドアノブを握ったまま、何も言わずに立ちすくんでいた。
- 163 名前:希流 4 投稿日:2002年03月08日(金)03時13分00秒
- 「!!!」
そんななつみを圭はゆっくりと自分の懐へと誘うように抱きしめた。
久しぶりにしっかりと抱いたその小さくて壊れやすい身体は、やっぱり
いつもとは変わることのない気持ちのいい感触だった。
それを自らの身体で感じつつ、諭すような口調で圭は囁き出した。
「飛び立った飛行機が予期せぬ事故で墜落する事もあるし、仮にうまく飛びたてても、
着陸する場所がなければ、いずれ燃料切れで落っこっちゃう事だってありうるんだよ」
「・・・・・・・・・」
「確かに今は、なっちゃんの言う通りかもしれない。だけど、もしかしたら一年後かそこらで
落ち目になってこの世界にいないかもしれない。他の人が何年もかかってやって来た事を
二十歳そこそこで無くしちゃう可能性だってある。その頃になっちゃんが今のアタシのように
張り切ってるかもしれないじゃない」
「・・・・・・・・・」
圭の腕に抱かれ、なつみはただ黙って圭の話を聞いていた。
- 164 名前:希流 5 投稿日:2002年03月08日(金)03時21分49秒
- 「それにアタシはなっちゃんが思っているほどすごくはないんだよ。いつだって不安はあるんだ。
その不安を無くしてくれるのが、一番身近にいてくれるなっちゃんなの。自分の周りに向かう
幾重もの輪があるとするとね、その一番内側に自分の強力な味方としてなっちゃんにいて欲しい。
飛び立ったアタシを迎え入れてくれるのがなっちゃんなんだよ」
「・・・・・・・・・」
「それと同じように、飛び立ったなっちゃんを無事に迎え入れてあげるのがアタシの役目でもあり、
義務でもあるの。・・・安らぎを与えるって言ってもいいかな」
なつみは口元をへの字にして涙を堪えていた。
「少なくとも今はそのつもりでなっちゃんとこれまで付き合ってきたんだけど、
この気持ちは伝わらなかったかな?」
なつみは圭の腕の中で頭を振った。
「口ではうまくは言えないけど、いつでもそう思ってる・・・・・・」
圭は、艶やかななつみの髪を撫でながらそう呟いた。
- 165 名前:希流 6 投稿日:2002年03月08日(金)03時29分30秒
「・・・ごめんね」
「謝らないでよ。謝る必要なんてないよ。アタシもきちんと言葉にしてればこんな事にはならなかったんだし」
ゆっくりと身体を離され、なつみは顔を上げて少しだけ背の高い圭を見つめた。
意外にもその口元には笑みがうっすらと漏れていた。
「それに、たまには愛する人に苦労させられるのも嫌いじゃないよ。たまに、だけどね。
なっちゃんに置いてきぼり食わされて結構衝撃だったよ」
「し、衝撃?」
「うん。“マズイ! 追いかけなくちゃ”って思った。だからここまで走ってきちゃった」
圭の笑みははっきりとした笑顔になった。
なつみの目の中でまた雨がしとしとと降り出した。
けれどもそれはひどく温かいものだった。
- 166 名前:希流 7 投稿日:2002年03月08日(金)03時37分32秒
「たまには慌てさせられるのも悪くはないかな。毎回はさすがにきついけどね」
「なっち、そんなに圭ちゃんを慌てさせてるかな?」
「ははは。ちょっとしたジョークだってば」
「圭ちゃん・・・」
目の中でさっきとは違った温かくて優しい雨を降らせながら、なつみは再び
圭に抱きついた。素の自分を目一杯出せる、安心のできる恋人の胸の中へと。
「ところでさ・・・」
圭は困った顔つきでなつみに問う。
「中に入れてくれないかな? 玄関に立ちっぱなしでいるほどカッコ悪い
奴じゃないと思うんだけど・・・」
- 167 名前:6 投稿日:2002年03月09日(土)00時00分28秒
- うっひょ〜〜〜〜い!!!(大歓喜)
圭ちゃん!!あんたやっぱかっけ〜YO!!
なっちに慰めてもらえなかったのはちょいと残念…って嘘っす!!
ちょっとしたオシャレなジョークです!!
はぁ…圭ちゃん本当かっけ〜なぁ…。
…惚れそう(ボソ)
- 168 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月09日(土)02時21分57秒
- >6さん
なつみ「ダメッ! 圭ちゃんはなっちのもの!」
圭 「へ? な、何言ってんの、急に大声で」
なつみ「だって6さんが惚れそうだって言ってたからつい・・・」
圭 「じゃあ、6さんにはみっちゃんで我慢してもらおうか?」
なつみ「うん!」
みちよ「ち、ちょっと圭ちゃん、アタシの思いはどうなんの、ねえ?」
圭 「・・・知らないっと(逃)」
みちよ「ちょっとぉ〜置いてかないでぇ〜!!!」
- 169 名前:希流 8 投稿日:2002年03月09日(土)02時29分49秒
- 部屋に入ると圭はそのまま月明かりの見える窓際へと歩み寄り、腰をおろした。
そして月光に照らされながら、じっと蒼白く微笑む月を見つめていた。
そっと寄り添うようになつみの頭が圭の肩を陣取った。
お風呂上りのようなシャンプーの心地よい香りが圭の鼻孔を刺激する。
しばらくしてから、ポツリと圭が呟いた。
「あの月を見ながらここに来る時にね、ある物語を思い出したんだ」
蒼い月に吸いこまれている圭の横顔をなつみはじっと見つめている。
柔らかい視線を受けつつ、自らの目線を逸らすことなく続けた。
- 170 名前:希流 9 投稿日:2002年03月09日(土)02時43分39秒
- 「古い物語なんだけど、綺麗で上品なお姫様が育ててくれた老夫婦のもとを去ってしまう
お話なんだ。で、なっちゃんがそのお姫様で、アタシがその老夫婦なの。時代も立場も
全く違うのに、なんか気持ちだけは同じような気がした」
そう言って照れ笑う圭は子供のような笑顔を見せる。
反対になつみはそのことを聞いて驚愕していた。それと同じに感激もしていた。
自分と同じ事を同じ時に、圭も思っていた事が何よりも嬉しかった。
なつみはそこではっきりと確信した。
自分の気持ちはどんなに離れていても、目の前にいる最愛の人のもとにあったのだという事を。
例え人生がいばらの道であっても、二人はきっと離れられない関係なのだという事を。
- 171 名前:希流 10 投稿日:2002年03月09日(土)02時52分44秒
「あっ・・・」
なつみの唇に柔らかい感触が伝わった。
さっきまで無邪気な笑顔を見せていた圭が、一転して真剣な顔つきでなつみの
透き通った瞳を見つめながら呟いた。
「言いたいこともうまく言えないまま、さよならなんてしたくない・・・・・・
今ならまだ、間に合うかな?」
なつみには圭が何を言いたいのかわからなかった。
その代わり、なつみを包みこむ温かさが更に大きくなった。
圭は一息おいてはっきりとした口調で言いきった。
- 172 名前:希流 11 投稿日:2002年03月09日(土)03時00分53秒
「なっちゃんが変わってゆく全てをずっと見つめていたい・・・・・・
だから、これ以上アタシから離れていかないでよ。・・・傍にいてよ」
弱々しい声の中にも強い想いがこもっていた。
自然となつみの目に三度、雨が滴り始める。
「・・・・・・なっちが傍にいていいの?」
「うん」
「ホントに・・・ホントになっちでいいの?」
「うん」
「また圭ちゃんを悲しませるかもしれないよ?」
「傍に・・・傍にいて欲しいよ・・・なっちゃんに」
自分の頭を撫でてくれている手のひらの温もりを感じながら、なつみは誓った。
もう一度、この人を信じてみたい・・・と。
- 173 名前:6 投稿日:2002年03月11日(月)01時10分43秒
- いやだなぁ、なっちってば、
圭ちゃんを取るわけないじゃないっすかぁ(w……(ちょい残念)
でも次に今回のようなことがあったら…フッフッフッフッフ…(邪笑)
みっちゃんかぁ…へたれなとこがかわいいよねぇ…。
でもいいの!!二人のことをいつまでも見守ってるわ!!
だんだん甘甘になってきて嬉しい限りです(w
続き楽しみにしています。
- 174 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月11日(月)02時01分20秒
- >173 6さん
みちよ「いやぁ〜さすが6さん、ようわかってはりますやんか」
圭 「みっちゃんてへたれでもいいんだ(ボソッ)」
みちよ「なんか言うた、圭ちゃん?」
圭 「いえ、なんにも・・・(焦)」
なつみ「みっちゃんてへたれなんだ〜。よかったみっちゃん選ばなくて」
みちよ「しくしく(涙)」
- 175 名前:黎明(はじまり) 1 投稿日:2002年03月11日(月)02時08分27秒
どのくらい経ったのだろうか・・・・・・ゆっくりと薄目を開けて辺りを見回した。
薄暗い空間には見慣れた自分の寝室。時刻はまだ四時を五分ほど過ぎた頃。
安堵感から再び目を閉じ、深い眠りへと我を誘う。自然と態勢を反対にして眠る。
やがて、どこか懐かしいような匂いに誘われて、眠りに入ろうとするなつみの意識を覚ます。
深く吸いこむと消えてしまいそうな、デリケートな香り。
そっと目を開けると、大人びた顔がじっとなつみの表情を覗き込んでいた。
まだ寝ぼけと暗闇ではっきりとは見えないけれども、自分に向けられているであろう
柔らかい視線を静かにキャッチした。
- 176 名前:黎明 2 投稿日:2002年03月11日(月)02時17分41秒
- 「うぅ〜ん・・・・・・おはよぉ〜」
「起こしちゃった、かな?」
「ううん。そんなことぉ・・・ないよぉ・・・」
意識がまだ虚ろななつみの唇に、圭はそっと風をなぜるような軽いキスを送る。
久しぶりの感触に新鮮な気持ちになる。
そんな意表をついた行動で意識を完全に目覚めさせられたなつみの頬は、赤みを帯び
身体の芯から温まるような感覚に思わず視線を逸らす。
「もう・・・・・・急なんだから」
「だってさ、見てたらなんだかすごくいとおしくて・・・つい」
恥ずかしいような台詞をさらっと言い切る圭の一言に耳まで真っ赤になってしまった。
それを面白がって圭はしばしその美顔を拝見していた。
「み、見つめないでよ。恥ずかしいから」
「なんで? いいじゃん」
「だってまだ寝起きだし、それに・・・」
「それに?」
悪戯心が働いて少しだけ口元を緩ませて、圭はなつみを見つめ続けた。
- 177 名前:黎明 3 投稿日:2002年03月11日(月)02時26分40秒
- 圭はおもむろに布団を剥ぎ取ろうとした。
それをさせまいとなつみは必死で布団を頭まで被る。
「やだぁ。圭ちゃんやめてよぉ」
「いいじゃん。もっと見てたいんだ、なっちゃんの全てを」
「今はヤダッ! 情けない顔してるから」
「そんな風にされると余計に見たくなるよ」
「ダメェ〜、ダメだってばぁ!」
「大丈夫、大丈夫。誰も見てないから」
「そういう問題じゃないの!」
数分の間、布団を捲ったり被さったりと格闘が続く。
その反動で巻き起こる微風が二人の肌を直撃する。
「うぅ〜寒い〜。早く布団、返してぇ〜」
捲れた布団を元に戻した。
まるで猫が炬燵の中で丸くなるように、なつみの身体が布団の中でコンパクトに丸まった。
- 178 名前:黎明 4 投稿日:2002年03月11日(月)02時34分08秒
- しばらく経って、なつみの頭が布団から出てきた。
そしてまだ震えながらも、何か企んでいるような目つきで圭を見つめる。
「何?」
「なんでもない・・・・・・」
「何か企んでるね?」
「・・・・・・」
その途端、布団の中でなつみは圭の身体に抱きついた。
世の中で一番温かいものを手に入れたなつみは、嬉しそうに言った。
「カイロみたいで温かいや」
「どういたしまして」
「肉まんよりも温かい」
「なんかヤだなぁ。肉まんと一緒にされるのは」
「じゃあねぇ・・・」
しばらくほのぼのとした空気の中で、他愛のない話に花が咲いた。
- 179 名前:黎明 5 投稿日:2002年03月11日(月)02時40分12秒
- 「そういえば、なっち言いたかったことがあったんだ」
「ん? なに?」
「作曲家デビュー、オメデト」
「ありがと。でもまだ本当にそうなるかわからないけどね。見送られるかもしれないし」
「なっちも何か始めよっかな。このままだと圭ちゃんにどんどん離されちゃうから」
「何か計画でもあるの? あるなら聞きたいな」
「まだわからない・・・わかんないけど何か始めなくちゃ、前に進めないような気がするんだ」
腕に力を込めて強く抱きしめた。自分の意思を込めて。
そして自分に言い聞かせるようにリフレインしてみる。
「とにかく、何か、しなくちゃいけないと思うんだ・・・・・・何かを」
- 180 名前:黎明 6 投稿日:2002年03月11日(月)02時47分37秒
- 「なにか、ね・・・・・・」
「そう。何かを・・・・・・」
「奥さん、すれば?」
「えっ?」
なつみの目線が上がると、圭の横顔が小さな笑みを浮かべて目を閉じていた。
それは冗談を言った時に浮かべる笑みと似ていた。
けれども、そっと肩を抱いてくる腕からは、その言葉に偽りがないことを示すような
熱意が、充分過ぎるほど伝わってきた。
その熱意を感じながらなつみはそっと目を閉じた。そして心の中で尋ねてみる。
(なっちは立派な奥さんになれるかな? そしたら圭ちゃんがなっちの旦那さんだ・・・)
- 181 名前:黎明 7 投稿日:2002年03月11日(月)02時53分51秒
(どうして?)
(だって圭ちゃんの名前って男っぽいじゃん)
「・・・・・・」
(あれ、怒った?)
「傷ついた」
「へっ?」
ハッとして目を開けると、圭は布団を抱き込むようにしてなつみに背を向けていた。
再び、体温が一気に下がってゆく。
「ごめぇ〜ん」
「ヤダ、許さない」
「え〜許してぇ」
「おやすみ」
「圭ちゃぁ〜ん、布団、返してよぉ〜」
「ヤダ」
「寒いよぉ〜凍えちゃうよぉ〜」
「知らない」
「風邪ひいちゃうよぉ〜」
「ひけば?」
「いじわるぅ〜」
諦めかけていた二人の愛にもうすぐ夜明けが訪れる・・・・・・。
- 182 名前:黎明 8 投稿日:2002年03月11日(月)02時57分34秒
〜 First Impression 完 〜
- 183 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月11日(月)03時00分06秒
とりあえず一区切りつきました。
ご意見、御感想等ありましたら何なりと申し出てください。
- 184 名前:NK 投稿日:2002年03月11日(月)04時07分38秒
- 読ませていただきました。全部。
とりあえずひと区切りしたようで、お疲れ様です。
いやぁ、始めの頃はなっちの行動にこちらまでふらふらにされてしまいました。w
しかしこうして甘いひとときを覗き...いやいや見学...ありゃ。なんか違う様な...とにかく良かったです。w
しかし圭ちゃん幸せ者ですなwなっちもね。
それにしてもこのお話はなんともいえずいいです。
こう、二人だけがしってる世界で動いていて。
これから先あるのなら必ずやチェックさせていただきます。
それではおふたりさん仲良くね。(言わなくても大丈夫かw
- 185 名前:6 投稿日:2002年03月12日(火)00時47分14秒
- まずはうっぱさん、お疲れ様でした。
途中どうなることかとハラハラしましたがやはり離れられない
二人だったようで本当にほっとしました(w
所で一区切りということは続編を期待してしまってよいのですか(w
もしあるのならもちろんチェックしちゃいますよ!!
うっぱさんの書く文章が大好きです!
これからもぜひぜひ頑張ってくださいね(w
- 186 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月13日(水)02時18分43秒
- >NKさん、6さん
なつみ「読んでくださいましてありがとうございます」
圭 「よかったらまたお付き合いくださいね」
- 187 名前:Tea Break 11 投稿日:2002年03月13日(水)02時23分30秒
- 『雲』
圭 「なっちゃん、何してるの?」
なつみ「入道雲に見てたの」
圭 「へぇ〜」
なつみ「あの上を歩いてみたいな〜って。
まるで豊かな森みたい・・・」
圭 (ロマンティストだなぁ)
なつみ「わたがしの・・・」
圭 (ガクッ・・・感動して損した)
- 188 名前:Tea Break 12 投稿日:2002年03月13日(水)02時27分25秒
- 『ナデナデ』
圭 「なっちゃんの髪って綺麗だね」
なつみ「そうかな?(照)」
圭 「触ってもいい?」
なつみ「いいよ」
圭 「ん〜スベスベのサラサラ(ナデナデ)」
なつみ「・・・・・・」
圭 「? あれ? なっちゃん?」
なつみ「Zzz・・・」
圭 「条件反射で寝ちゃったよ」
なつみ「うにゃうにゃ・・・」
- 189 名前:Tea Break 13 投稿日:2002年03月13日(水)02時37分25秒
- 『甘い誘惑』
〜真夜中〜
なつみ「ああ・・・クリームチーズタルトォ・・・」
圭 「ん〜ん〜」
なつみ「しっとりと柔らかくて、口の中でふんわり
とろけるクリームチーズタルトォ・・・」
圭 「ん〜、ん〜、あ〜」
なつみ「舌触りのいい生クリームとみずみずしい
イチゴのショートケーキィ〜」
圭 「ん〜、あ〜、う〜」
なつみ「紅茶の香りとあまぁ〜いケーキが私を誘ってるぅ〜」
圭 「(ガバッ)ちょっとなっちゃん。お腹が空くような
寝言いわないでよ〜」
なつみ「ケェキィ〜、うにゃうにゃ・・・」
- 190 名前:Tea Break 14 投稿日:2002年03月13日(水)02時41分38秒
- 『即席料理』
圭 「ハァ〜お腹空いたぁ〜」
なつみ「じゃあなっちが美味しいもの作ってあげるよ!」
圭 「ホント!?」
なつみ「まかせてよ!」
(ダダダダダッ! ゴォーッ、シャンシャンシャン!)
なつみ「はい、はい、はいっ!」
圭 「あのぉ〜材料入ってないけど」
なつみ「料理は愛情(チュッ)」
圭 「食べれないよぉ〜」
- 191 名前:Tea Break 15 投稿日:2002年03月13日(水)02時47分03秒
- 『サイズチェック』
〜ある日〜
なつみ「圭ちゃんてなで肩だよね(スリスリ)」
圭 「ん?」
〜次の日〜
なつみ「ちょっと脈、計らせて」
圭 「へ?」
〜更に次の日〜
なつみ「こうしてると落ち着くんだよね〜(抱)」
圭 「・・・・・・」
なつみ「なぁに?」
圭 「今年はセーター?」
なつみ「え〜どうしてわかっちゃったの???」
圭 (そりゃ誰でもわかるよ。あれだけ触ってたら)
- 192 名前:Tea Break 16 投稿日:2002年03月14日(木)00時42分00秒
- 『いつの間にか』
なつみ「圭ちゃんに手編みのセーターあんであげる」
圭 「楽しみだなぁ〜」
〜数分後〜
なつみ「これはどういう事なんだろ? 意味わかんないよぉ(焦)」
圭 「ん〜、これはこーじゃない?」
なつみ「あ〜そうかぁ(納得)」
〜更に数分後〜
なつみ「う〜、う〜」
圭 「ほら、ここはこうやってこーだよ」
〜そんなこんなで数日後〜
圭 「なっちゃんより編物が上手くなっちゃった・・・」
なつみ「圭ちゃぁ〜ん、マフラーあんでぇ〜」
- 193 名前:Tea Break 17 投稿日:2002年03月14日(木)00時48分36秒
- 『おみくじ』
圭 「末吉かぁ。良くも悪くもない一年か・・・」
なつみ「きゃぁ〜圭ちゃ〜ん、見て見てぇ〜」
圭 (いいな〜なっちゃんは。今年も絶好調で。
少し運、分けて欲しいよ)
なつみ「見て〜、“凶”」
圭 (ズルッ)
なつみ「生まれて初めて、うれしぃ〜」
圭 「あのさ、普通は落ち込むんじゃないの?」
なつみ「なんで? 凶ってことは今がどん底でしょ?
あとは幸せが待ってるんだよ、嬉しいじゃない」
圭 (??? あれ? そうなの?)
- 194 名前:Tea Break 18 投稿日:2002年03月14日(木)00時51分43秒
- 『女心』
なつみ「ねぇ、なっちのこと愛してる?」
圭 「うん」
なつみ「ちゃんと言ってよぉ」
圭 「ひどいなぁ」
なつみ「なんで?」
圭 「こないだそう言ったら、らしくないって大笑いされたもん」
なつみ「だっけ?(焦)」
- 195 名前:Tea Break 19 投稿日:2002年03月14日(木)00時55分19秒
- 『女心 2』
なつみ「ねえ、圭ちゃん。そのカメラ、壊れてない?」
圭 「無事だけど」
なつみ「おかしいよ。じゃあ圭ちゃんの腕が悪いんだ」
圭 「へ?」
なつみ「だってなっち、こんなに丸くないもん」
圭 「そりゃすいませんでしたね」
- 196 名前:Tea Break 20 投稿日:2002年03月14日(木)01時00分24秒
- 『ホット、ホット!』
〜レンジでチンしたら温かくなるぬいぐるみを貰ったなっちゃん〜
なつみ「えへへ。圭ちゃんのぬいぐるみに改造しちゃった」
圭 「嬉しいなぁ〜(照)」
なつみ「レンジでチンしてあったかぁ〜い(抱)」
圭 「あっ・・・」
なつみ「ほっかほか〜(ギュ〜ッ)」
〜その時、本物の圭ちゃんは〜
圭 「なんか悔しくて羨ましいぞ! 人形のアタシ!(メラメラ)」
- 197 名前:6 投稿日:2002年03月15日(金)01時09分23秒
- おぉぅ!!更新されてるぅ(w
いいじゃん!いいじゃん!EE JUNP!!ってな感じ!(どんな感じだ)
人形に餅をやくなんて圭ちゃんてばもうかぁわいい(w
なんなら自分がお慰めいたしますよ!!
…って駄目×2!なっちに怒られちゃうわ(w
またここの二人が読めてめっちゃ嬉しいっす!続きはあるのかな?
なんにしてもこれからもうっぱさんにくっついていきます!(大迷惑な奴)
- 198 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月15日(金)02時52分04秒
- >197 6さん
みちよ「アッ、圭ちゃん。6さんが慰めてあげるって言うてるよ」
圭 「え、で、でもぉ〜」
みちよ「ほれ、人の親切は素直に受けるモンやで、圭ちゃん」
圭 「っちょ、みっちゃんてば・・・」
みちよ「フッ。これでなっちはアタシのモンや(ニヤリ)」
- 199 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月15日(金)02時56分06秒
- 『お知らせ』
近日、2nd Impression を公開します。
ただ、話の内容が真冬の設定なのでそこのところは大目に見てくださいませ。
ではのちほど。
- 200 名前:NK 投稿日:2002年03月15日(金)03時54分43秒
- おぉ!ひっそりと読んでいたら朗報が!!
季節なんて読んでる間は冬です!まだ冬なんです!(意味不明w)
しかし思ったよりはやく続きが...嬉しいなぁ。
あれから二人はどうしてるんだろう?
きっと.....あんな事やこんな事を....ポッ
2nd楽しみにしてまぁす。
- 201 名前:6 投稿日:2002年03月16日(土)00時55分01秒
- みっちゃん…懲りないねぇ…。
大丈夫!ちゃんとあなたも慰めてあげるから!
だからど〜んと玉砕して来〜い!(結果を決めつける超失礼な奴w)
おぉぅ!2ndっすか!!
季節が冬?そんな自分の心は万年冬っす!!(爆
もうカモ〜ナ!っすよ!!(壊
楽しみにしてます!
- 202 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月16日(土)02時46分47秒
- >200 NKさん
圭 「NKさん200ばん、おめでと〜。
ご褒美になっちゃんからプレゼントがあります」
なつみ「えっ? なに? なっち、そんな事聞いてないよ」
圭 「え〜なっちゃん特製の投げキッスで〜す」
なつみ「え・・・やだっ・・・そんなダイタンなこと・・・」
圭 「ほら、はやく」
なつみ「(もじもじ)・・・ちゅっ(はあと)」
圭 「か、可愛すぎる・・・」
>201 6さん
みちよ「よしっ、6さんの後押しもあるからどんと行ってみますか!」
みちよ「なっち、あ、あの、その、えっと・・・」
なつみ「なに、みっちゃん?」
みちよ「えっと・・・す、す、す」
なつみ「お酢は身体にいいんだよ(ニコッ)」
みちよ(可愛すぎる・・・)
月曜日あたりに始めたいと思ってますのでしばしお待ちを。
では、また。
- 203 名前:6 投稿日:2002年03月16日(土)23時50分07秒
- ………。(一部始終を傍観中)
みっちゃん…ごめんなぁ…。
すっごく失礼だとわかってるんだけど一言だけ言わせてね。
…やっぱ君へたれやわ…。
どうしてもこれだけ言いたくてついレスしてしまったよ…。
どんと行くんちゃうかったけ?
……まぁなっちかわいいししゃあないか…。
んじゃ約束通り…さぁ存分に俺の胸で泣きたまへ!(まだ玉砕してないっつ〜の!)
- 204 名前:雪渓(はからい) 1 投稿日:2002年03月18日(月)02時28分32秒
未来への静かな夜と待ちわびた貴重な時間。
聖夜の日は誰もが夢を見ている。
白く冷たい空の下、道行く人々に清らかな鐘が鳴り響く。
珍しいくらいに降り積もった雪の輝きが大きなツリーを飾る。
白く輝いた通りの向こうでは、店頭売り出しの金切り声が辺りに響く。
ほんの少しのスペースでは、プレゼントを抱えたまま愛を確かめ合う恋人達。
なつみは誰にも擦れ違わず、クリスマス一色の街並みを歩いていた。
誰もがこんな夜に幸せを呼ぶ鳥を探し、見つけたように彼女もまた心の中で
覚えていた温もりと優しい笑顔を届けてくれる幸運の鳥の元へと急いでいた。
- 205 名前:雪渓 2 投稿日:2002年03月18日(月)02時36分27秒
凍る街路樹を行きながら、ふとウィンドウのガラスに映る自分を見つめた。
白いコートを身にまとった小柄な自分の姿・・・。
「やっぱり白じゃ変に見えるのかな〜」
なつみはその姿をじっと見つめながら、意識はさっきの楽屋の事を思い出していた。
「あ〜そのコートいいねぇ」
「そうかな?」
「でも、汚れとか目立たない?」
「一応は気をつけてはいるけれど。
でも、着心地がよくってお手ごろな値段だったから」
じっとコートを見つめていた圭織がなつみの全身をなめるように見た。
そして、口元がフッと笑っていた。
- 206 名前:雪渓 3 投稿日:2002年03月18日(月)02時46分42秒
「何さー、その含み笑いは」
「なんかなっち、雪だるまみたい・・・」
言いえて妙な例えにその場にいたメンバー数人が笑い転げていた。
なつみは懸命に否定したが、結局真里に『可愛いからいいじゃん』と言い包められてしまい
納得がいかないまま仕事場を後にしようとした。
しかし、そんななつみには救いの女神がついていた。
落ち込んだまま仕事場を出ようとした時、後ろから不意に肩を抱かれた。
なつみに驚く間を与えることなくその女神はそっと耳元で囁いた。
「クリスマスに舞い降りてきた妖精みたいで可愛いよ」
そう言ってもうひとつの仕事場へ急ぐ彼女の微笑みは本物の女神のようだった。
- 207 名前:雪渓 4 投稿日:2002年03月18日(月)02時52分49秒
ウィンドウの向こう側にいた人と目が合ったなつみは慌ててその場を離れた。
しばらく時空を旅していたらしい。歩きながらそっと呟いた。
「クリスマスに舞い降りた妖精か・・・。さしずめ圭ちゃんはそんな妖精を見守る精霊、かな?
なんかクリスマスっぽくなってきたなぁ」
近頃だいぶ心にゆとりができたなつみは、いつになく浮かれていた。
そんな楽観的ななつみは、聖なる夜のキャンドルライトに浮かぶ二つの影を思い描きながら
待ち合わせ場所へと歩を進めていった。
- 208 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月18日(月)03時03分42秒
- 2nd Impression 始まりました。
まあ、前から読んで頂いている方にはあまり関係ないのですが、
一応登場人物なるものを紹介しておこうかな〜と思いまして。
安倍さん&保田さんが主体でそこに平家さんが絡みます。
で、2nd のみ意外な人(少女)が絡みます。
あとは、飯田さんと矢口さんが脇役というところです。
まあ興味がありましたらこっそりと読んで下さい。
ではまた。
- 209 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月21日(木)17時53分50秒
- 《お詫び》
登場人物は最初の予定通り、安倍さんと保田さん、平家さんのみで進めます。
以前、どなたかが二人だけの世界が動いていてイイとおっしゃってくださったので
その方針にのっとって展開していく事にしました。
まあ興味がありましたらこっそりと読んで下さい。
ではまた。
- 210 名前:6 投稿日:2002年03月21日(木)23時23分47秒
- おおぅ!久々につないでみたら2ndが始まってる(w
みっちゃんが二人にどう絡んでくるのか楽しみです!
更新お待ちしております!!
- 211 名前:NK 投稿日:2002年03月22日(金)05時18分00秒
- 2nd始まりましたね。登場人物に変更があったそうで。
読ませてもらっているこちらとすれば、気にせずに作者さんの書きたい様にしてもらえればいいです。w(読めるだけで楽しみ
...というか、以前二人だけの世界感がいいと書いた様な...(汗
申し訳ないです!いやぁ、あそこ自分でも言い方変えようかな?と悩んだ末ついそのままクリックを...だけを消そうかなぁと...
と、とにかく作者さんの書きたい風に進めていってください。
投げキッスもラッキーな事に手に入れたこのNK。カゲながら応援しております...では!トゥッ!!
- 212 名前:NK 投稿日:2002年03月22日(金)05時29分10秒
- 2nd始まりましたね。登場人物に変更があったそうで。
読ませてもらっているこちらとすれば、気にせずに作者さんの書きたい様にしてもらえればいいです。w(読めるだけで楽しみ
...というか以前二人だけの世界感がいいと書いた様な...(汗
申し訳ないです!いやぁ、あそこ自分でも言い方変えようかな?と悩んだ末ついそのままクリックを...だけを消そうかなぁと...
投げキッスもラッキーな事に手に入れたこのNK。カゲながら応援しております...では!トゥッ!! なっちありがとねw
- 213 名前:NK 投稿日:2002年03月22日(金)05時32分50秒
- 二重投稿ごめんなさい....駄目なヤツです...泣きたいです...
- 214 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月23日(土)01時04分46秒
- >210 6さん
なつみ「ついに始まっちゃいました」
圭 「はぁ〜」
なつみ「どうしたの圭ちゃん?」
圭 「ふぅ〜」
なつみ「ねえ、教えてよぉ。どうしたのぉ?」
圭ちゃんの溜息の真意は・・・?
その答えは2ndで。
>211 NKさん
なつみ「これからも恥じないように頑張りまっしょい!」
圭 「頑張るのは作者さんじゃないの?」
なつみ「レスの返しは二人でやってるじゃない。だから」
圭 「なるほど。で、どんな風に頑張るの?」
なつみ「えっと、投げキッスやなっち特製微笑返しや・・・」
圭 (いいなぁ〜アタシもこっそりレス付けようかしら)
- 215 名前:雪渓 5 投稿日:2002年03月25日(月)02時41分58秒
賑やかに人々が行き交う風景をレンズ越しに眺めながら、圭は缶コーヒーを一口啜った。
三日ぶりの今夜の待ち合わせに遅れないように急いで来たものの、待ち人はまだ来ていなかった。
普段でもそうなのだが、遅刻ぐせのある彼女があまり嫌いにはならない。
最近二人の生活は違い過ぎて、会える時は夜明けまでの短い時間の時が多い。
けれどもそんな眠れない夜が二人にはとても大切で、一番幸せを感じる時でもある。
人影が見え隠れする公園のベンチに腰掛け、圭は道行く人たちの流れを見つめていた。
さよならを告げられた夜のような蒼く澄んだ夜空の下で、あらゆる場所であらゆる人々が
あらゆる表情を見せながら幸せ色に湧き上がっていた。
そんな風景の中から一人、こちらへ向かってくる小さな白い妖精が見えた。
- 216 名前:雪渓 6 投稿日:2002年03月25日(月)02時49分32秒
- あまり背が大きくないせいもあって、擦れ違う人たちの中へと埋もれながらも
何とか前へと人垣を押し分けて進む姿が圭の目には健気に映る。
何度かぶつかるその度に、頭を下げる白い妖精が圭の視界の中で正確に捉えた時、
“ガァン”
鈍い金属音がした。
見ると人込みをよけた際に、近くに立っていたポストに激突したようである。
(相変わらずおっちょこちょいなんだから)
自然と笑いが込み上げてくる。
周囲から失笑が起こっているにもかかわらず、妖精はポスト相手に頭を下げていた。
- 217 名前:雪渓 7 投稿日:2002年03月25日(月)02時58分40秒
-
ようやくお目当ての人の元へ辿り着いた妖精は、少しだけ火照っていた。
首を傾げ、とびっきりの笑顔を添えながら言った。
「えへへっ。遅れちゃった」
「そりゃ遅れるよね、あれだけ謝ってたら」
とびっきりの笑顔に対し、圭は少しニヤけるように答えてみた。
「あ〜、見てたんなら声掛けてよ」
「なんか邪魔しちゃ悪いと思ってね」
「いっつもそうやってなっちのことからかって遊ぶよね?」
「だって見てても飽きないから」
「もぉ〜今日はついてないや。もっと早く着いてる筈だったのに〜」
「なっちゃんが遅刻するのには慣れてるから、そんなに気にしてないよ」
「ひどいよ。なっち、最近は遅刻してないもん」
「仕事の時はね。で・も・アタシとの待ち合わせはいつも遅いよね?」
「うっ・・・」
いたいところを突かれしゅんとしてしまった。
- 218 名前:雪渓 8 投稿日:2002年03月25日(月)03時07分18秒
- 圭は少しからかってみる。
「なんでかなぁ〜?」
「そ、それは、その・・・なんて言うか・・・」
「そ・れ・は・なに?」
「だって・・・圭ちゃんが先に来て待っててくれると・・・」
「待ってると?」
「待っててくれるとすごく安心するから・・・それに」
「それに?」
「それに・・・なっち、待ってるの嫌なんだもん。なんか淋しくって・・・・・・」
恥ずかしさと淋しさがこもった口調にいつしかなつみは下を向いていた。
けれどもそんなマイナス感情は長く続く事はなかった。
躊躇いがちに差し伸べられたその腕に吸い寄せられるように、なつみの身体は圭に包まれていた。
恥ずかしさで真っ赤になった頬と、淋しさで潤んだ瞳で見上げると、微笑みながらそっと抱きしめる
大好きな人の温かさが身体の芯まで行き届くように感じられた。
言葉などいらない、愛する人の確かなメッセージ。
今のなつみにはそれだけで十分満足だった。
- 219 名前:雪渓 9 投稿日:2002年03月25日(月)03時15分18秒
幸せな余韻に浸るなつみをよそに、少し浮かれた口調で圭は尋ねる。
「今日はどうしよっか? どっか行く?」
「今日は・・・圭ちゃんに任せるよ」
「今日はどうしちゃったの? いつもなら率先して誘うのに」
「なんとなく・・・今日はそういう気分なんだ」
「わかった。じゃあ行こうか」
抱きしめられていた腕が解かれた瞬間、なつみはとてつもない孤独感に襲われた。
人目を気にすることなく咄嗟に圭の後ろから抱きついた。
何故そんな大胆な行動にでたのか、訳などなかった。
あるとすれはそれは、どうしようもなく心が騒ぐだけ。
記憶をなくすぐらい抱きしめていたい、それだけだった。
- 220 名前:雪渓 10 投稿日:2002年03月25日(月)03時23分43秒
- 「ちょっとなっちゃん? 一体どうしたの?」
圭は突然のなつみの行動に動揺した。
普段はこういう大胆な行動はあまり人前では見せたことはなかったから。
理由を考えてみるも、あまりこれといった原因が見当たらない。
それだけに余計不安が募った。
圭はゆっくりと振り返ると、今度は胸元目掛けてなつみが飛びこんできた。
震えている肩をそっと抱くと、顔を埋めたまま淋しげな声でなつみが話し始めた。
「もう・・・・・・いかないで」
- 221 名前:雪渓 11 投稿日:2002年03月26日(火)01時53分29秒
- たった一言・・・それが圭の心の中にずっしりと響いた。
「どこにも行かないで。・・・・・・傍にいてよ」
「どうしたの、急に?」
「怖い・・・」
「何が?」
「圭ちゃんが急にいなくなっちゃうのが怖い。どうしようもなく怖いの」
「なっちゃん・・・・・・」
はっきりとした口調で圭に訴えかけるなつみの目には涙が光った。
そしてそれは目尻からゆっくりと流れ落ちてゆく。
一点の曇りのない透き通った雫を圭は優しく綺麗に拭きとってあげる。
そしてこれでもかといったような満面の笑みを彼女に捧げながら、空を見上げて言った。
- 222 名前:雪渓 12 投稿日:2002年03月26日(火)02時01分42秒
- 「大丈夫。今、こうしてなっちゃんと見上げている星座は春になれば全て変わるけれど、
アタシの愛はそのまま変わらないよ。アタシはいつまでもいつまでもなっちゃんのもので、
そんななっちゃんはいつまでもいつまでもアタシのものだから・・・・・・。
なんか今の台詞、カッコよすぎるね」
そう言って圭は自分からなつみを抱きしめ、しなやかな髪をそっと撫でた。
少しだけキザな台詞に恥ずかしくなったけれども、キザな台詞と温かな感触を受けて
優しく頷くなつみにこれ以上の言葉はいらなかった。
いつしか聖夜を祝う冬の空に雪が舞い降り、途切れることのない粉雪が街並みを
白く消してゆくほど永遠に続く夜だった。
- 223 名前:6 投稿日:2002年03月26日(火)03時19分21秒
- 圭ちゃんかっけ〜!
なっち…やっぱ君かわいいよ…。
淋しがりなっちに萌え(なっちごめんよ)
こんなちょっと切なくも甘甘な二人がどうなってしまうのか…?
期待してます(w
- 224 名前:ビギナー 投稿日:2002年03月26日(火)11時31分12秒
- 甘いですねぇ。すっごく。
なっつぁんが、かなり可愛いです。
圭ちゃんも、キザでかっこいーですしね。
そのあと照れてるのも好きです。
でも、平家のみっちゃんが絡んでくると・・・
がんばってくださいね。
- 225 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月29日(金)02時45分51秒
- 223>6さん
224>ビギナーさん
圭 「なっちゃん可愛いってさ」
なつみ「いやぁ〜照れるなぁ」
圭 「でもこのあとの展開を皆さん気にしてらっしゃるみたいね」
なつみ「またなっちファンが増えちゃったよ。罪な女だなぁ」
圭 「あの〜なつみさん? 聞いてます?」
なつみ「少しフェロモン抑えなきゃ」
圭 (フェロモン???)
なつみ「ね・え・圭・ち・ゃ・ん(はあと)」
圭 (は、鼻血が・・・)
〜ただいま圭ちゃん誘惑中〜
圭 「い、生きててよかった・・・」
- 226 名前:青炎(はらん) 1 投稿日:2002年03月30日(土)02時22分04秒
年が明け、今年も一年の始まりは恒例になった冬のコンサートからだった。
初日から大変な盛り上がりを見せた今年は、勢いを背負ったままあっという間に
最終公演まで突っ走ってしまった。幸先よい一年のスタートが切れたようだ。
コンサートの興奮冷め止まぬまま宿泊先のホテルへと移動する途中、前を歩く
圭になつみはさりげなく声をかけると同時に後ろから抱きついた。
「け〜いちゃん」
「っと、なんだなっちゃんか。お疲れ」
「お疲れ様ぁ。ねえ、このあと暇?」
「暇って別に用はないけど?」
「えへへ。じゃあなっちと打ち上げしよ〜よ」
「いいよ。ならどうしよっか?」
「十時にロビーで待ってるから」
「わかった」
他の子たちに聞かれないようにそっと耳打ちをした瞬間、なつみの温かい唇が
圭の蒸気で火照った頬にあたる。でもそれはいつもの事で最近ではあまり気にならなくなった。
- 227 名前:青炎 2 投稿日:2002年03月30日(土)02時31分24秒
二人が深い関係にあることは今だ誰にも知られていない。
隠すような事でもないが、かと言って報告するような大げさな事でもないので
曖昧なまま今日まで至る。
特に仕事に支障はなかったけれども、なつみは言いたくて仕方がない。
なぜなら、周りに認められればそれだけ圭に対してやきもちや嫉妬をしなくなるから。
けれども圭の事を考えるとそれはそれでマズイと思ってしまう。
圭が他人の冷やかしといった類いの事に対し、免疫が薄いから。
だからなつみは口に出したりはしないのだ。
それが圭に対する自分なりの優しさだ、となつみは密かに思っている。
- 228 名前:青炎 3 投稿日:2002年03月30日(土)02時42分07秒
- ホテルの部屋に戻ったなつみはまず浴室で、一日の疲れを癒すことにした。
自分たちが主役のコンサートではなかった分、それほど汗をかいた感じはしなかった。
けれどもやはり気分的にリフレッシュが必要だった。
入浴後、さっそく身支度に取り掛かる。とは言っても着ていく服もこれから行く所も
全て限られているのでそれほどお洒落をする必要もなかった。
そんなこんなで既に約束の時間まであと数分になっていた。
なつみは急いで部屋を出て、エレベーターへと向かった。
するとエレベーター前で、あの日以来なるべく避けていた人物と出くわしてしまった。
- 229 名前:青炎 4 投稿日:2002年03月30日(土)02時50分27秒
- ほんの数秒、間が空く。気まずい雰囲気が辺りに漂う。
その沈黙を破ってなつみがその場を立ち去ろうと、下へ降りるボタンを押そうとした時、
いつもと変わらないその人の声がなつみを呼び止めた。
「そんなに急いでどこ行くん?」
「ちょっと、用事があって・・・」
「そっか。まあええわ。そや、なっち、今度のオフ、空いてる?」
「えっ・・・」
「映画見にいかへん?」
「ご、ごめん。もう予定が入ってて・・・」
「ほんなら、その次はどうや?」
「ごめん。ダメなの」
「なっち・・・」
「もうみっちゃんの誘いには・・・」
みちよの突然の誘いに、なつみの心が揺らぐ事はなかった。
- 230 名前:青炎 5 投稿日:2002年03月30日(土)02時55分43秒
- しかし・・・
「なんで? 別になっちに付きおうてる人がいても構わんよ」
「そうじゃないの。そんなんじゃない」
「なんでよ? 昔みたいに軽く付きおうてくれてもええやん」
「・・・ごめん。どうしてもダメなの」
「・・・・・・」
「ごめんね、みっちゃん」
申し訳なさそうになつみは下を向いた。
「なぁ」
「なに?」
「アタシじゃなっちの助けにならんの?」
「えっ・・・」
みちよがなつみの前まで歩み寄り、俯いたままのなつみの肩に両手をのせて尋ねた。
- 231 名前:青炎 6 投稿日:2002年03月30日(土)03時01分06秒
- 「アタシよりももっとなっちを大事にしてくれる人、おるんか?」
「みっ・・・ちゃ・・・ん」
「答えて」
「・・・いるよ」
「その人はなっちの身近にいる人なん?」
「・・・うん」
「その人のこと、好きなんか?」
「うん」
なつみの肩からみちよの両手がゆっくりと離される。
ゆっくりとなつみは顔を上げ、みちよを見つめる。
その目には何かに見切りをつける時のような潔さが宿っていた。
- 232 名前:青炎 7 投稿日:2002年03月30日(土)03時05分26秒
- 「最後に・・・最後にひとつだけ、聞いてもええか?」
「なに?」
「その人にアタシが勝たれへん理由はなんや?」
「・・・わかんない。わからないけど、その人じゃなきゃ、なっちはダメなの」
「・・・・・・んな」
「えっ」
「そんなんで・・・」
「みっ・・・ちゃん?」
「そんなんで簡単に諦められへんわっ!」
みちよはなつみの両腕を壁に押しつける形でなつみに詰め寄った。
そして次の瞬間・・・
- 233 名前:6 投稿日:2002年03月30日(土)23時57分59秒
- み、みっちゃん!?
なにをなさるおつもりなんすか?!
みっちゃんとは思えぬその強気な態度…。
いつものへたれみっちゃんはどこへ行ってしまったのさぁ!
へたれなとこが好きだったのに…。
そんなのみっちゃんじゃないやぁぁぁぁぁい!!!(号泣&逃走)
- 234 名前:うっぱ 投稿日:2002年03月31日(日)03時09分43秒
- 233>6さん
圭 「ほら、みっちゃん。6さんがご立腹だよ」
みちよ「アタシは生まれ変わったんや。今までのアタシとちゃうでぇ」
圭 「だったら、当然本業もブレークするんだよね?」
みちよ「うっ、そ、それはそのぉ・・・」
圭 (なんだ、変わってないじゃん。ホッとした)
- 235 名前:青炎 8 投稿日:2002年03月31日(日)03時17分15秒
- みちよの唇がなつみの柔らかい唇を奪った。
「・・・んはっ、や、やだぁっ! みっちゃん、やめてぇっ!」
「いややっ!」
「んんんっ・・・は、離してっ! やぁ・・・」
「んなら、はっきり理由聞かしてや!」
再び、なつみの唇を荒々しく奪う。
徐々になつみの身体から抵抗力が抜け落ちてゆく。
あの時と同じようにまたなつみの意識の中にみちよが進入し、支配してゆく。
完全になつみの膝が折れた時、
“チンッ”
エレベーターが止まる音が響き、ゆっくりとドアが開いた。
- 236 名前:青炎 9 投稿日:2002年03月31日(日)03時24分22秒
- 「!!!」
みちよを挟んだ恰好で互いの目が合ってしまった。
そこには、あまりにも遅いなつみを心配して迎えに来た圭がスッと立っていた。
なつみは信じられないような目つきで、一方圭はいつもの眼差しで相手の出方を窺っていた。
ほんの数秒が異様なほど長く感じられた。
みちよは急に大人しくなったなつみを見て、ゆっくりと視線を飛ばす。
なつみはただ目を見開いたまま、エレベーターで固まり続けている圭を見つめる。
「あっ、圭ちゃん・・・こ、これは、その、つまり・・・」
「・・・・・・・・・」
「だ、だから、その、なんて言うか・・・」
しかしみちよの言い訳を聞かぬまま、無言の圭を乗せたエレベーターは
静かに下へと降りていった。
- 237 名前:青炎 10 投稿日:2002年03月31日(日)03時37分20秒
- 不意にみちよはその場にいるのが辛くなり、駆け足で自分の部屋へと消えて行った。
(あんな形でなっちを欲しかったんやない。アタシはなんてことしてもうたんやろ)
いつもの自分ではなかった。何故あのような大胆な行動に出たのか、分らなかった。
みちよはベッドに顔を埋め、自分の過ちをひどく後悔していた。
その場の取り残されたなつみも自分の部屋へと戻るとそのままベッドへ身を投げ出す。
静かに目を閉じ、みちよに委ねられそうになった自分の邪まな心を呪った。
そして、決して見られてはならない姿を晒してしまった事に一人涙した。
(なんでもっと激しく拒まなかったんだろう。あれだけ心に誓ったはずなのに・・・
なんで、なんで・・・どうして・・・)
オレンジ色に照らされた部屋には絶え間なく嗚咽の声だけが木霊していた。
- 238 名前:青炎 11 投稿日:2002年03月31日(日)03時45分16秒
衝撃的な光景だった。今まで幾度となく危ない綱渡りを乗り越えてきたが、
今回ばかりは鮮明すぎるほどの光景を目の当たりにしただけに、いつものような冷静さを欠いていた。
いつでもどんな状況においてもなつみを信じてあげられたが、今はそう思える自信がなく、
頭の中を懐疑の念だけが駆け巡っていた。
(アタシは何をどうしたらいいんだろうか。なっちゃんにどう接してあげたらいいんだろうか)
一階へ戻ってきた圭は、しばらくホテルのロビーで画面のないテレビのブラウン管を見つめていた。
打ち上げから戻ってきたスタッフやメンバーに声をかけられても、ただただじっと黒い画面を見つめていた。
- 239 名前:青炎 12 投稿日:2002年03月31日(日)03時51分32秒
- 部屋に戻ってみても何もする気にはなれなかった。
夕食も入浴も睡眠でさえ今の自分にはとてつまないほど迷惑で、邪魔なものに思えた。
ただ暗闇に見える街の灯りを何も考えずに見つめている時が、全ての事を洗い流せるくらいに
落ち着いていた。
打ち上げに参加していた出演者やスタッフがほろ酔い気分で眠りについた頃、三人は
各々の部屋でこの先に見え隠れする自分の未来を見つめていた。
- 240 名前:NK 投稿日:2002年03月31日(日)03時53分28秒
- 暫く静かにROMっていようと思ってたら....
なっち...2ndになっても君の事でふらふらにされそう...
みっちゃん...切ないね..だけどね...
はぁ...圭ちゃんが心配です...
相変わらずはまってます...続きが気になるよぉ
- 241 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月03日(水)01時45分25秒
- 240>NKさん
圭 「相変わらず人気高いね、なっちゃんは」
なつみ「えへへ。そうかなぁ?」
圭 「相変わらずハマってらっしゃるようだし」
なつみ「なっちもハマってるよ」
圭 「え、そうなの?」
なつみ「うん。圭ちゃんに(抱)」
圭 「Thanks!」
- 242 名前:青炎 13 投稿日:2002年04月03日(水)01時51分15秒
- この日を境に圭は何かに取り憑かれたように遠くを見据えながら、時間を過ごす事が増えた。
自宅にいる時も、移動中も、楽屋にいる時も一人群れから外れて黄昏ていた。
そんな雰囲気が変わった圭に当然メンバーは不安の色を隠せなかった。
最初は冗談まじりにからかって遊んでいた希美や亜依でさえ、今ではまるで腫れ物にでも
触るかのように距離を置くようになっていた。
見かねたリーダーの圭織が収録後、恐る恐る話し掛けてみる。
他のメンバーは固唾を飲んでその様子を見つめていた。
- 243 名前:青炎 14 投稿日:2002年04月03日(水)01時57分03秒
- 「ね、ねえ圭ちゃん」
「ん?」
「あ、あのさ、最近様子が変だけど、その、何かあったの?」
「そう? いつもと変わんないけど」
「そ、そうかな? 圭織にはそうは見えないんだけどね。
なんかさ、こう、圭ちゃんらしさが出てないっていうか・・・」
「そんなにひどい?」
「う、うん。それにあんまり圭織たちとかとしゃべんないし、
何か気に障るようなこと言ったりしたかな?」
徐々に不安の色が濃くなってゆく圭織の物言いに、圭は今、この場で
自分が見せられる最高の顔つきで答えた。
- 244 名前:青炎 15 投稿日:2002年04月03日(水)02時04分10秒
- 「そんなコトないよ。ただね、最近ちょっと疲れが溜まっててね。
そんな状態でコミュニケーションとっても、相手に悪い思いさせちゃうから
少し距離を置いてたんだ」
「な、なんだそうだったんだぁ。圭織、心配してたんだからね」
「うわっ、ち、ちょっと圭織ってば」
ぱっと表情が明るくなった圭織が急に圭に抱きつき、少しだけ焦った。
それを見ていた希美と亜依が勢いよく二人に抱きついた。
いつの間にかそこにいたメンバーが誰かしらに抱きついていた。
自然と笑い声が湧き上がる。
圭はこっそりとその輪から外れて、その和んだ様子を見ていた。
しかし、心の内では全くそんな気分にはならなかった。
そして人足先に、一人その場を後にした。
- 245 名前:青炎 16 投稿日:2002年04月03日(水)02時13分31秒
未なが安堵に胸を撫で下ろしている頃、なつみは一人逆の気持ちになっていた。
あの晩以来、今度は圭のほうから接触を拒まれる状態になっていた。
今までは、どちらかと言えば自分のほうから接触を避けていたなつみにとって、
初めて逆の立場に立ち、その心境は想像以上に辛いものだという事を身にしみて痛感した。
(圭ちゃんのほうから避けられるのがこんなに辛いなんて思わなかった。
圭ちゃんは今までこんな辛い立場にいながら、ずっとなっちを信じて見守っててくれたんだ・・・)
そう思うと無性に淋しさが込み上げてくる。
それは今まで自分が感じてきた淋しさではなく、別のものだった。
不意にクリスマスの夜に圭が言ってくれた言葉を思い出した。
- 246 名前:青炎 17 投稿日:2002年04月03日(水)02時19分16秒
『今、こうしてなっちゃんと見上げてる星座は春になれば全て変わるけど、
アタシの愛はそのまま変わらないよ。アタシはいつまでもいつまでもなっちゃんのもので、
そんななっちゃんはいつまでもいつまでもアタシのものだから・・・』
(もう、圭ちゃんはなっちのものじゃなくなるのかな・・・・・・
そして・・・なっちは圭ちゃんのものでもなくなるのかな・・・・・・)
なつみはさっきまで圭が座っていた椅子を見つめていた。
- 247 名前:6 投稿日:2002年04月04日(木)01時28分19秒
- …戻って来ました…。
が、しかし!!切ない…(号泣)
圭ちゃん、なっち…。
うわぁぁぁぁぁぁん!!!(大号泣そして再び逃走)
- 248 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月06日(土)01時59分47秒
- 247>6さん
圭 「ほら、なっちゃん。また6さんが逃げちゃったじゃん」
なつみ「え〜っ、なっちのせい?」
圭 「だってなっちゃん一押しじゃない、6さん」
なつみ「そ、それはそうだけどぉ・・・」
圭 「今日ぐらいは慰めてあげたら?」
なつみ「いいの?(期待)」
圭 (目がマジだ・・・)
と言うわけなんで6さん、なつみさんが慰めてくれるそうです(笑)
- 249 名前:心願(さけび) 1 投稿日:2002年04月06日(土)02時12分18秒
- 「あつ〜い! なんでこんなに暑いんだろ?」
圭織が手で風を送る仕草をしながら床に腰をおろした。
同様にそこにいた全ての人間が同じように行動を共にする。
一向は大きめのスタジオで春のツアーに向けてのダンスレッスンに励んでいた。
いくら外が真冬とはいえ、身体を動かせばその分熱を帯びるわけで、部屋の中には
空になった飲料水のペットボトルがあちこちに散乱していた。
なつみは鏡の前に座ってタオルで噴き出す汗を拭っていた。
ふと手を止めて鏡に見入ると、そこには疲れた表情をした自分が覗き込んでいた。
鏡越しに周りを見渡すと、不意に隅のほうでタオルを首にかけながらじっと自分を見つけてくる
みちよの姿が視界に飛びこんできた。
その顔は澄ましているようでもなく、かと言って微笑んでいるわけでもなかった。
なつみを見つめながら物思いに耽っているような、そんな雰囲気をした表情だった。
- 250 名前:心願 2 投稿日:2002年04月06日(土)02時22分44秒
- これまで幾度となくなつみへアプローチをかけてきたみちよだったが、あの時以来
滅多に近づいてくる事もなくなっていた。だから最近ではよそよそしくなっていた。
そのうち鏡の中に真里が映り、みちよと何やら笑談をしていた。
時折なつみのほうへ向ける視線が少しだけ気にはなったけれども、あえて気づかないようにして
その場をやり過ごそうとしばらく隣りにいた真希に話し掛けた。
いつの間にか自分に向けられる視線もなくなり、一安心して束の間の休憩を過ごした。
「よぉ〜し、じゃあ続き始めるよ!」
後半戦の合図が響き渡り、休息時間が終わりを告げた。
何気なく立ちあがったなつみは一瞬だけ、圭と目が合った。
けれども・・・
視線を先に外したのは彼女のほうだった。
- 251 名前:心願 3 投稿日:2002年04月06日(土)02時33分59秒
- 梅の花が咲き乱れる頃から始まったダンスレッスンは、連日のように相変わらず
笑い声と悲痛の叫びが絶え間なく飛び交う日々だった。
ようやく休憩時間に入り、なつみはいつものように鏡の前に座って、吹き出る汗を拭っていた。
すると、急に冷たい感触が額に走った。思わず情けない声をあげてしまう。
「ひえっ!」
その声に犯人も驚いたような表情を見せて、すかさず笑い転げる。
「あっはっはっはっ」
「もう、なにすんのさ。びっくりしたじゃん!」
「今の声、可愛らしかったで」
手にアイスノンを持ったみちよが隣りに腰掛けてきた。
それを自分の額にあてながら、気持ちよさそうにしている。
急なみちよの行動に動揺したなつみは、自然体を装うもかえって抵抗感が出ていた。
それは彼女が大人びていたからかもしれない。
- 252 名前:心願 4 投稿日:2002年04月06日(土)02時46分14秒
- そんな大人びたみちよが、少しだけ声のトーンを下げて話しかけてきた。
「アタシ、なっちに謝りたい事あんねん」
「な、なに?」
「こないだのこと・・・あん時、アタシどうかしてたわ。ホンマにごめんな」
「もう、いいよ。過ぎちゃったことだし、気にしてないよ」
「ありがとう」
「・・・・・・」
「ところでなっち、今夜、空いてるか?」
「今夜? 別に予定はないよ」
「大事な話しがあんねん。行ってもええか?」
「う、うん。いいよ」
約束をとり付けるとみちよは、その場を静かに離れていった。
その後ろ姿を追っていくと、ドア付近で熱心に稽古に励んでいた圭がいた。
一心不乱に踊るその姿にしばらく釘付けになった。
すると鏡越しにまたもや目が合った。
けれども・・・結果は同じように目を逸らしたのは圭のほうだった。
- 253 名前:心願 5 投稿日:2002年04月06日(土)02時58分20秒
一日のスケジュールをこなすと、なつみはさっさと自宅へ戻った。
そして休む間もなく、部屋の掃除にとりかかる。
最近、ハードスケジュール続きで自宅に戻っても寝るだけの生活だったために、
あちらこちらに様々な物が散乱していた。
急いでそれらを整理整頓し始めたが、その手は数分後に止まることになる。
周りに散らばっていたものを片付けようとすればするほど、圭の面影が顔を覗かせていた。
至る所にその面影が浮かび、いつの間にかなつみの部屋に彼女のテリトリーが存在していた。
(こんなところにも圭ちゃんがいたんだ・・・知らなかったな)
自然と整理する手が止まっていた。
しばらく部屋の風景を見渡していたなつみの耳に、来客を告げるチャイムが聞こえ、
なつみは慌てて玄関へと向かって行った。
- 254 名前:心願 6 投稿日:2002年04月06日(土)03時08分46秒
約束の時間よりも少しだけ早く、みちよはやって来た。時間に厳しいところは圭に似ていた。
昼間とは一風変わって、ラフな恰好でやって来たみちよをなつみは室内へと招く。
来る途中で仕入れてきたであろう手みあげを渡される。
こういう律儀な事を何気なくしてしまう辺り、やはり圭とうりふたつだった。
「ごめんな、急に押しかけてしまって」
「気にしないでいいよ。外、寒かったでしょ? 何か温かいものでも出すよ」
なつみはキッチンヘ向かい、煎れ立ての紅茶を持ってみちよのもとへ戻る。
湯気を立てながら注がれる紅い液体をみちよは黙って見つめていた。
それを目の前に差し出されて、一口含んだ。文句なく美味しい。
なつみはみちよの反応を見届けると、同じように一口つけた。
なんともいえない温かさが喉を通りすぎていった。
- 255 名前:心願 7 投稿日:2002年04月06日(土)03時22分13秒
- しばらく沈黙が辺りを覆う。カップからは香ばしい匂いが漂う。
「あの時のコト・・・はっきりさせたくて」
みちよは開口一番にこう切り出してきた。
けれども視線はさっきから目の前の紅い液体を見つめたままだった。
「正直に、答えてくれへんか?」
「あ、あのね、みっちゃん。なっちも聞きたいこと、あるんだ」
「なに?」
「どうして・・・どうしてなっちなの?」
「えっ?」
「どうしてなっちにそんなにこだわるの? ごっちんとか、梨華ちゃんとか、
他にも可愛い娘、いっぱいいるじゃない。どうしてなっちなの?」
「・・・前にも言うたやろ? アタシはなっちじゃなきゃだめやねん。
アンタ以外のコには何も感じないねん。けど、なっちにはアタシを惹きつける
何かを感じんねん。だから、それが何なのか、確かめたいねん」
「なっちは・・・普通の女の子だよ」
「いいや、違う。なっちはそこいらにいる同世代の子とは全然違う」
なつみは何も言えなくなってしまった。
何故なら、同じ台詞を全く同じようにあの人にも言われたから・・・。
- 256 名前:心願 8 投稿日:2002年04月06日(土)03時30分38秒
- なつみは面と向かって真剣に話すみちよを見ることができなかった。
ここで何か言い返したら、再びあの人を裏切る事になりかねないと思ったから。
だからなつみはただ黙って、みちよの想いを聞くことしかできなかった。
「前に訊いたこと、もう一度訊くで?」
「・・・・・・」
いつしか、みちよがなつみの隣りに移動し、優しく両肩に手を添えた。
「アタシじゃダメなんか? アタシじゃなっちを支える事できないんか?」
「・・・ごめん。やっぱり、その人のコト、これ以上傷つけたくないから・・・」
「その人とはどれぐらい前から付きおうてるの?」
「・・・みっちゃんが告白してくれるずっと前から」
「じゃあなんで・・・なんであん時、あたしに身を任せたん?
大切な人がいるのわかってて、なんであん時アタシに抱かれたん?」
「そ、それは・・・」
今更あの時は気持ちがふらついていたなどと言えるわけがなかった。
- 257 名前:心願 9 投稿日:2002年04月06日(土)03時39分33秒
- 「なんで・・・なんでいつもそうやって黙ってるん? 結構辛いんやで、アタシも」
みちよはそう言うと、なつみをその場に押し倒した。
二人がもつれたように倒れた反動で、テーブルのカップから紅茶が零れ出る。
なつみの視界が天井を向いた途端、冷たい表情を見せるみちよの顔が近づいてきた。
そしてそのまま唇を荒々しく奪い取ってゆく。
「・・・んはっ、や、やだっ! みっちゃん、離してぇっ!」
「・・・・・・」
「いやぁーっ!」
みちよは無表情のまま、なつみの両手首を左手で押えこむと、空いた右手で
なつみの着ている衣服に手をかけようとする。
「いやだっ! みっちゃん、お願い、離してっ!」
「・・・・・・」
「やめてぇーっ! いやぁーっ!」
みちよの手が荒々しさを増していった。
- 258 名前:心願 10 投稿日:2002年04月06日(土)03時51分51秒
- 「お願いっ! これ以上はやめてぇ。やだぁ・・・」
「・・・・・・」
「いつものみっちゃんに戻ってよぉっ!」
号泣しながら懸命に訴えるなつみをよそに、みちよの理性は前へ押し進もうとしている。
ゆっくりとなつみの上半身を覆っていた衣服が捲られていく。
みちよの眼前になつみの透き通った白い肌が晒される。
「お願いだからぁ・・・元に戻ってぇ・・・おねがい・・・いつもの・・・みっちゃんにぃ・・・」
「いつものアタシに・・・? なに寝言、言うてるん。これがホンマのアタシやねん」
みちよがその言葉を発したと同時に、さっきまで必死になって抵抗していたなつみの
身体に漲っていた力がウソのように消えていった。
そして、涙で濡れて光る顔を背けるようにして、なつみは半ば放心状態に陥っていた。
- 259 名前:ビギナー 投稿日:2002年04月06日(土)07時07分59秒
- 平家さん、黒い・・・
そしてなっちさん・・・
可哀想です。
でも、圭ちゃんが一番可哀想な気がしてしまいます。
なっつぁん、どうにかしてあげてください。
おねがいします。
- 260 名前:6 投稿日:2002年04月07日(日)00時11分21秒
- ごふっ!!!(鼻血&吐血)
……な、なっち、慰めてくれんのは嬉しいけど…
今はそれどころじゃないっしょ!!
なっちも好きだが自分は圭ちゃんも大好きなんだよぉぉ(涙)
二人が悲しいと自分も悲しいんだよぉぉ(号泣)
みっちゃん!!!どーしてもなっちでないとあかんか???
なんなら私なんてどうや?
こうみえてもあなたと同じ関西人やで?(マジです)
…動揺のあまり訳わからんレスになってしまいました…。
とりあえずなっちに慰めてもらうのは全部落ち着いてからという方向で…(爆
- 261 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月08日(月)02時40分05秒
- 259>ビギナーさん
なつみ「圭ちゃん、なっち汚れちゃった・・・(泣)」
圭 「そんなことないよ(撫)」
なつみ「だってみっちゃんの黒い手が・・・」
圭 「あたしが守ってあげるから。ね、泣かないの」
なつみ「・・・うん。アリガト」
みちよ(アタシなんか悪い事したっけか?)
260>6さん
なつみ「みっちゃんのバカぁっ!」
みちよ「な、なんで? アタシはなっちのことが・・・」
なつみ「みっちゃんなんて大っ嫌い!(去)」
みちよ「そ、そんなぁ・・・」
圭 「アタシもみっちゃんの事、見損なったよ」
みちよ「ええっ! 圭ちゃんまで・・・」
圭 「みっちゃんって最っ低!(去)」
みちよ「なんでぇぇぇ〜」
- 262 名前:心願 11 投稿日:2002年04月08日(月)02時48分44秒
「もう抵抗せえへんの? このままやとなっちを抱いてまうよ、ええの?」
しかし、なつみは唇を噛み締めたままずっと黙秘を続けている。
みちよは一端動きを止めて、なつみの様子をうかがう。
その横顔は更に欲情を煽るほど妖艶だった。
止めていた動きを再開しようとした時・・・
“ガシャーン”
すぐ傍で何かが落っこちる音が静寂の中に響いた。
- 263 名前:心願 12 投稿日:2002年04月08日(月)03時02分23秒
- みちよの目と鼻の先には、今落ちたガラス張りの写真立てが目に映った。
再び手の動きを止めて、その写真立てに手を伸ばした。
その写真を見た瞬間、みちよの中で何かが崩れ落ちていった。
「なっち、アンタこれ・・・・・・」
「・・・・・・」
みちよが目にしたその写真は・・・初めて二人だけで行った富良野で撮った時の
あの思い出の写真であり、ラベンダー畑を背に無邪気そうな笑顔のなつみと、
屈託のない微笑を見せる圭がそこにいた。
そしてそんな二人の間をまるで裂くように亀裂が入ってしまっていた。
みちよはその写真を見たとき、というかその亀裂を見た瞬間、自分の存在がこの
亀裂を産んでしまったのではないかと思った。
それと同時に、この恋には最初から勝ち目はなかったのだという事を確認した。
- 264 名前:心願 13 投稿日:2002年04月08日(月)03時09分08秒
- 写真からなつみへと視線を移すと、なつみは瞳から透き通った雫を流しながら
呪文のようにひたすら何かを呟いていた。
「なっち・・・?」
「・・・っちが・・・なひとは・・・」
「えっ?」
「なっちの好きな人は・・・こんな事・・・しなかったよ。・・・どんなになっちがぁ
黙ってても・・・どんなになっちが・・・悪くても・・・ずっとなっちを・・・
なっちを待っててくれた・・・何も言わずに抱きしめてくれたよ・・・」
「なっ・・・ち・・・」
「みっちゃんに抱かれたって言っても・・・別れようって言っても・・・ずっとずっと
なっちを・・・なっちだけを待っててくれた・・・ずっと見守っててくれたんだ・・・」
淡々と語るなつみの言葉がみちよの心の中にずっしりと響いた。
- 265 名前:心願 14 投稿日:2002年04月08日(月)03時16分27秒
- 「そんな人を・・・そんな素敵な人を・・・裏切れないよ・・・
これ以上その人を・・・圭ちゃんを裏切れないよ・・・」
なつみの口からはっきりと発せられた「圭」と言う名前に、みちよは完全に我を取り戻した。
自分の思いのままに行動していたこと、相手のことを考えずにいたこと、そして思いのままに
ならないと我慢できずに実力行使に出てしまったこと、全ての面で自分のほうが情けなかった。
みちよはなつみの乱れた衣服をそっと元通りにし、なつみを起こすとハンカチで涙を拭いてあげた。
そして俯いたままのなつみに謝罪の意を込めて言った。
- 266 名前:心願 15 投稿日:2002年04月08日(月)03時23分53秒
- 「ごめん。アタシ、やっと気付いた。自分がいかに未熟な人間やったなって。
アタシはなっちには相応しくないわ。だから、もう諦めるわ」
「みっちゃん・・・」
「アタシじゃ正直、なっちの恋人に勝たれへん。て言うか、周りにいる連中でも
絶対かなわへんやろ? 圭ちゃんが相手じゃ」
「・・・・・・」
恥ずかしさを隠すように俯くなつみをよそに、帰り支度を始めるみちよ。
そして、支度が整うとなつみの肩に手を添えて言った。
「他の子らに取られへんように頑張りや」
「誰にも・・・渡さないもん」
なつみがようやく見せた笑顔を見たみちよは、そのまま部屋を後にした。
- 267 名前:心願 16 投稿日:2002年04月08日(月)03時29分53秒
- 部屋を後にしたみちよの視界が徐々に歪んできた。
自然に歩くスピードが落ち、それに代わって目から溢れる雫の量が増した。
けれども、それは悔しいものではなくむしろ喜びに近いものだった。
大きなものを失ったけれども、代わりにもっと大きなものを得る事ができた。
人を愛するのに必要なものが何なのかという事を・・・。
そして・・・そんな機会を与え、教えてくれた二人に深く感謝した。
- 268 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月08日(月)03時35分42秒
- 《お知らせ》
え〜ストーリーの途中ですけれども一息いれます。
(2nd は痛めメインなので)
急でごめんなさい。
ではまた。
- 269 名前:Tea Break 21 投稿日:2002年04月08日(月)03時39分47秒
- 『シャッターチャンス』
〜縫い物をしているなっちゃん〜
圭 「おっ!」
なつみ「スカートのほつれぐらい自分で縫わなきゃね!」
圭 「そんな姿を一枚」
“パシャッ”
なつみ「あっ! スカートまで一緒に縫っちゃった!」
圭 「あ〜あ、せっかく女の子らしいところを撮ったのに」
なつみ(シクシク)
- 270 名前:Tea Break 22 投稿日:2002年04月08日(月)03時43分06秒
- 『フルコース』
なつみ「今日のランチはフレンチでまとめてみました」
圭 「えっ、ほんとに?」
なつみ「フレンチトーストにフレンチフライ」
圭 「おお〜っ」
なつみ「デザートがひとひねりあるんだ」
圭 「なに?」
なつみ「フレンチキッス(チュッ)」
圭 「ごちそ〜さま」
- 271 名前:Tea Break 23 投稿日:2002年04月08日(月)03時47分13秒
- 『もっと見せて!』
圭 「う〜ん、目が疲れるなぁ」
なつみ「あっ、それなら」
圭 (目薬持ってきてくれるのかなぁ?
それともひんやりシートかなぁ?)
なつみ「ハイッ! なっちの写真集、未公開カット!」
圭 「(ボッ!!!)・・・・・・」
なつみ「どう? 目が元気になったでしょ?」
圭 「っていうか、戻らないんですけど・・・(ギンギン)」
〜気になる未公開カットの中身とは・・・?〜
- 272 名前:Tea Break 24 投稿日:2002年04月08日(月)03時51分46秒
- 『生麦、生米、生卵』
圭 「なっちゃん、何飲んでるの?」
なつみ「きな粉ドリンク」
圭 「何かに効くの?」
なつみ「こつしょしょうしょうにいいんだよ」
圭 「えっ?」
なつみ「だから、こつしょしょうしょう、あれ?
こっしょひょうしょう? こひょしょうひょう?
圭 「骨粗しょう症でしょ?」
なつみ「こしょうそしょうそう? こしょうそうしよう?」
圭 「だめだこりゃ」
- 273 名前:Tea Break 25 投稿日:2002年04月08日(月)03時55分36秒
- 『一番欲しいもの』
なつみ「えへへ。宝くじ、当たっちゃった」
圭 「なんか嬉しそうだね、なっちゃん」
なつみ「圭ちゃんさ、今一番欲しいものって何?」
圭 「欲しいもの? そうだなぁ〜、今はなっちゃんの笑顔、かな(照)」
なつみ「なんだ、つまんないの(憤)」
圭 「へ?(なんで???)」
- 274 名前:暖感(おやごころ) 1 投稿日:2002年04月10日(水)03時58分03秒
- 一日の勤務を終えて家路を急ぐ人々に混じり、なつみもその波に乗るように脚を進ませる。
一つの塊になっていた人の群れが徐々にバラけはじめ、吹きつける本格的な寒さが余計に身にしみる。
自宅近くまで辿り着くと、なつみはとある一件の古びた定食屋の前で歩を止めた。
どこか懐かしいような店構えに誘われるように、そこの門をゆっくりと開けて中へ入った。
「いらっしゃ・・・オウ、なっちゃんじゃねえかい。今日も一日お疲れさん」
「おやおや、寒そうにして。今、なんか出すから座って待っててね」
なつみは誰もいない店のカウンターに荷物と着ていたコートを置き、腰掛ける。
差し出された熱い玉露を一杯すすると、毎度のようにご主人と奥さん相手に世間話を始めた。
- 275 名前:暖感 2 投稿日:2002年04月10日(水)04時06分58秒
- なつみがこの場所を知ったのは、かれこれ一年以上も前になる。
何気なしに入ってみると、そこにはどこか懐かしい空気が店内に漂っていた。
実家にいた頃、近所にあった顔見知りの定食屋さんと同じ匂いを感じてしまった。
店の雰囲気もさることながら、そこのご主人と奥さんも家庭的な匂いのする夫婦だった。
初見のなつみに対し愛想良く話しかけてくる様は、まさに近所の定食屋さんとそっくりだった。
いつしかこの場所は、京浜島と同じくらいになつみのお気に入りの場になった。
第二の故郷とでも言うべきだろうか。
情緒不安定な時には必ずここを訪れた。
そして世間話をするだけで自然と自分の中にあったモヤモヤが消えていた。
だから、今日もここへ寄ってしまった。
- 276 名前:暖感 3 投稿日:2002年04月10日(水)04時15分05秒
- 「・・・ん。なっちゃん」
「えっ? なに?」
「なぁ〜に、ボケェ〜っとしてやがんでぇ。今日はなんにする?」
「え、ああ。ん〜そうだな〜、今日のお勧めはなんだったの?」
「今日は牡蠣フライ定食だな」
「じゃあ、それにしようかな」
「あいよっ!」
なつみはしばし自分の世界に浸っていた。
だが、それを気にするでもなくご主人は手際良く調理を進めてゆく。
カウンター越しに見るご主人の手さばきは、見ていて飽きなかった。
間近で見ていたために、なつみの料理の腕が上達していったのは言うまでもない。
いつもなら一人でその様子を見ているのだが、今日は暇を持て余している奥さんの
大好きな(?)世間話の相手をする事になった。
- 277 名前:6 投稿日:2002年04月13日(土)00時54分01秒
- おぉぉぅ!!!
1週間振りにネットにつないでみたら大変な事になってる…。
みっちゃんの馬鹿ぁぁぁ!!
…と言いたいとこだけどよく考えてみると彼女もちょいとかわいそうっすね…。
暴走しちゃうくらいなっちのこと好きだったんだね…。
切ないっす…。みんなが幸せになれることを祈ってます。
- 278 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月13日(土)02時16分21秒
- 277>6さん
みちよ「ううっ・・・なっちぃ・・・」
圭 「そんなに泣かないでよぉ」
みちよ「もとはと言えば、圭ちゃんが悪いんやないの!」
圭 「(ギクッ!)」
みちよ「あたしの青春、返してや!」
圭 「アタシにどうしろ、と?」
みちよ「それは・・・」
〜はたして圭ちゃんの運命やいかに?!〜
- 279 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月13日(土)02時20分31秒
- 《お知らせ》
以前、銀板のほうで載せた『宇宙(そら)』という小話があるんですが、
それの Remix バージョンをこちらで載せたいと思ってます。
当然主人公はなっちゃんと圭ちゃんです。
2nd が終わった頃に載せますのでよかったら読んでやってください。
では。
- 280 名前:6 投稿日:2002年04月13日(土)23時32分38秒
- みっちゃん駄目よ!
圭ちゃんはなっちの物なのよ!!(物なのかよ!)
…ってまだそうと決まったわけじゃないっすね。
すみませんちょっと早まってしまいました。
おぉぅ!Remix!!
あのお話も好きです。
ちょっといぢわるな圭ちゃんにポッ…って感じでした。
2ndもRemixも楽しみにしてます!
- 281 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月14日(日)04時09分04秒
- 280>6さん
なつみ「あっ! なにしてんのさ、みっちゃん!」
みちよ「あっ、な、なっち・・・」
なつみ「圭ちゃんには指一本たりとも触れさせないっ!」
みちよ「でも6さんがそうと決まったわけじゃないって言うてるで?」
なつみ「ええっ! そ、そんなぁ・・・(暗)」
〜果たして、二人は離れていってしまうんでしょうか?〜
- 282 名前:暖感 4 投稿日:2002年04月14日(日)04時27分18秒
- お茶をすすって、奥さんが切り出してきた。
「最近はどうだい? 上手くいってるのかい?」
「上手くいってるって何が?」
「あらあら、この娘ったらとぼけちゃって。あの娘とだよ。
前に連れてきてくれたじゃない、目鼻立ちのはっきりとした・・・」
「ああ・・・まあ、それなりに・・・」
一度だけ、圭をこの場所へと連れてきたことがあった。
夫婦の勧めと翌日がオフだった事もあってか、かなりのペースでアルコールが入り、
気が付けばその場で一夜を明かしてしまったという苦い体験が甦ってくる。
「また連れておいでよ。あの娘、うちの娘よりもしっかりしてて
アタシはホントの娘にしたいくらいだよ」
「そんなコト言っていいの?」
「構いやしないよ。アタシが何言ったって聞く耳なんか持ってやしないからね」
「んなこと聞いたらあいつ泣くぞ?」
「あの娘が泣くわけないじゃない? 何言われたって平然としてるんだから」
奥さんは暴言にも似た発言を清々した様子でまくし立てていた。
- 283 名前:暖感 5 投稿日:2002年04月14日(日)04時35分04秒
- 「いいか、なっちゃん。こんな暴言ばっか吐いてる母親にはなっちゃおしめえだぞ」
「何言ってんだい。じぶんだって、あの娘がいる間ずっと鼻の下伸ばしてたくせして」
「バ、バカ言ってんじゃねえ! あれはなぁ・・・」
「あっはっはっはっは。何赤くなってんだい、父ちゃん。いいかい、なっちゃん。
こんなスケベ顔したオヤジに取られないようにしなよ」
「いい加減無駄口叩いてる暇があったら、飯ぐらいよそれってんだ!」
どうやら奥さんのほうが一枚上手だったらしい。
成す術がなくなったご主人は淡々とフライを揚げていた。
けれどもそんな家庭的な雰囲気の中にいても、なつみは心のそこから笑えなかった。
- 284 名前:暖感 6 投稿日:2002年04月14日(日)04時42分58秒
- 「おや、どうしたの、なっちゃん? 元気ないじゃない」
「えっ、そ、そうかな? そんなに弱々しく見える?」
「そりゃ毎日いろんな人を見ながら商売してるからねぇ」
「そういうもんなの?」
「侮ってもらっちゃ困るぜ、なっちゃんよぉ。はいよ、牡蠣フライ定食、お待ち」
「あっ、アリガト」
出来立ての牡蠣フライから食をそそる香ばしい匂いが立ち込める。
それを一つ摘んで口へ運ぶ。文句なく美味しい。
その一口を機にどんどんと箸が進んでいった。
「ひょっとして、あの娘と喧嘩でもしたか?」
一日忙しなく働いた調理器具を手入れしながら言い放ったご主人が言った。
その一言で進んでいた箸と食欲が同時に止まった。
- 285 名前:暖感 7 投稿日:2002年04月18日(木)01時51分00秒
- 「まあ仲が良いほど喧嘩するって昔から言うからねぇ。たまにはそういう日もあるさ」
そう言って奥さんは茶柱が立ったお茶をすすった。
「違うの・・・そんなんじゃなくて・・・」
なつみは箸を置いて自分に起こったコトの顛末を事細かに打ち明けた。
自分でも驚くほど言葉が色々出ていた。まるで自分の親と話している感じがした。
全てを話し終えるまで二人はじっと耳をを傾けていた。
そしてしばらく静寂が訪れた後、ふとご主人から言葉が漏れた。
- 286 名前:暖感 8 投稿日:2002年04月18日(木)01時57分38秒
- 「ようやく5合目まで来たとこだな」
「?」
なつみには例えが高等過ぎてさっぱりだった。しきりに首を傾げていた。
「こういう問題に対して、第三者である人間は何もしてやれないんだな。
唯一出来ることといえば、その人の話を聞いてやる事ぐらいだな。
それを登山に例えるとな、一緒に5合目まで登ってきたところなんだよ。
そして、そっから先は自分の力で登っていくしかないんだよ。
つまりはな、自分で決めろってことよ。
自分で蒔いちまった種は最後まで面倒みて育てなくちゃな」
そう言い残してご主人は店じまいの支度を始めた。
- 287 名前:暖感 9 投稿日:2002年04月18日(木)02時06分35秒
- 隣に腰掛けていた奥さんが補足するように語りかける。
「父ちゃんの言う通りだよ。頂上に何が待っているかはわからないけどさ、
自分の力で登った結果がどうであれ、納得がいくんじゃない?
仮に頂上に何もなかったらまたここに来ればいいさ。
あたしらは逃げも隠れもせずに麓で待ってるから、そしたらまた一緒に
頂上を目指して登ろうよ、ね?」
いつの間にか涙が溢れていた。人の温かさを直に触れた気がした。
「ほらっ、早くご飯食べちゃって。今日はもう遅いから泊まっていきなよ。
こんな日に一人、部屋に帰って淋しく寝るよりも、たまには家庭的な団欒もいいじゃない」
なつみは止まっていた箸を動かし始めた。
冷たくなったご飯がやけに塩辛かった。
でもそれはどんな高級レストランで食べる料理よりも最高に美味しかった。
- 288 名前:6 投稿日:2002年04月19日(金)02時40分04秒
- …ええ夫婦やぁ…(感涙)
なんかジ〜ンとしちゃいました。
なっち!頂上目指してがんばれよ!!
- 289 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月21日(日)04時18分52秒
- 288>6さん
なつみ「なっちはやるよ!」
圭 「何を?」
なつみ「登山といったら富士山だよ」
圭 「なるほど。頑張ってね」
なつみ「ホラ、圭ちゃん行くよっ!」
圭 「えっ、ちょっ、アタシはカンケー・・・」
なつみ「富士山を制覇たら次はマッキンリーで決まりっ!」
圭 (せめて高尾山にしようよ・・・)
- 290 名前:初霞(ならく) 1 投稿日:2002年04月23日(火)02時54分14秒
- レギュラー番組の収録終了後、なつみは全てを打ち明ける覚悟で圭に接触を試みた。
一歩踏み出せればすぐ傍にお目当ての彼女がいるのだが、肝心なところで脚が石に
なったように重く前へと進まず、その場から動けなくなってしまう。
自分の意志とは無関係なところで何かがなつみを制御していた。
「な〜に一人で黄昏てんだよぉ、なっちぃ〜」
相変わらずのハイテンションぶりを惜しみなく披露する真里のタックルを食らった。
「いたたたっ・・・もぉなにすんのさ、いきなり」
「ごめんごめん。それよりさ、これからご飯でも食べにいかない?」
「えっ、あっ、いや、その」
「矢口とじゃイヤ?」
少しだけ背の低い真里の上目遣いになつみはたじろいだ。
いつもは自分が圭にしていたことを逆にされると、何処となく恥ずかしい。
その間にも荷物の整理をし終わった圭が「お疲れ」の挨拶を残して、
人足先に楽屋を出ていこうとする。
「ご、ごめん矢口。また今度誘って」
なつみも慌てて自分の身支度を整えて、楽屋を後にした。
- 291 名前:初霞 2 投稿日:2002年04月23日(火)03時06分07秒
- 急いで外へ出ると、外は雨が降りしきり、暗黒の世界とも言うべくどんよりしていた。
そんな不吉な空模様の中、懸命に圭の姿を探した。
そろそろ春になろうかという季節の映り変わりを無視して、冬の凍てつく風と雨が
最後の抵抗を見せるようになつみの瞳に突き刺さる。
しかめっ面をするなつみの視界に、暗闇と同化してゆく一つの見覚えのある後ろ姿を捉えた。
(待って、圭ちゃん! 今日こそ言わなくっちゃっ!
神様、どうかなっちに、なっちに勇気とチャンスを頂戴っ!)
なつみは見慣れた後ろ姿を見失わないように追いかけた。
- 292 名前:初霞 3 投稿日:2002年04月23日(火)03時19分58秒
- 徐々にその姿が大きさを増し、数メートル先まで近づいた途端、なつみは不思議な感覚にとらわれてしまった。
そこへは何人たりとも踏み込めないような強力なオーラが圭の全身を包み込んでいるように感じられた。
それを感じ取ったなつみの意志が萎縮し始める。
(今言わなくちゃ、前に進めなくなっちゃう)
心の中で自分に渇を入れた。
しかし、そんな気合の鞭を嘲笑うように別の気持ちが語りかけてくる。
(でも、なんて言えばいいんだろ? 言ってもし嫌われたら・・・)
あやふやな心持ちのまま一定の距離を保って歩いていた時、不意に前を行く歩の動きが止まった。
圭の足元を見つめながら追いかけていたなつみも同時に脚を止める。
ほんの僅かな間があいて、ゆっくりと圭が振り返った・・・。
- 293 名前:6 投稿日:2002年04月24日(水)23時23分16秒
- がんばれ!なっち!!
でないと今度こそ圭ちゃんとっちゃうぞ!!!
はぁ、再び二人が「LOVE×2過ぎて困っちゃう〜♪」
となれることを心から祈っております…。
なんまいだ〜(←何かが間違ってる奴)
- 294 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月27日(土)01時50分36秒
- 293>6さん
なつみ「えへへ。そんななっちと圭ちゃんがラブラブ過ぎて困っちゃうだなんて、
なっち、困っちゃうなぁ〜。で・も・たまには圭ちゃんをメロメロに
しちゃうのもいいかな〜。ん〜でも圭ちゃんに愛されるのも悪くないし・・・
なんだか、恥ずかしくなってきちゃった・・・顔が熱いよぉ〜どうしよ〜」
- 295 名前:初霞 4 投稿日:2002年04月27日(土)02時01分38秒
- どことなく淋しそうで、いつになく冷たい視線がなつみに向けられていた。
吹雪のような鋭い視線になつみは目を合わせることさえ出来ず、しばらく視線を泳がせてしまった。
あれだけ気合を入れていたにもかかわらず、いざとなるとその気合は彼方へと遠ざかっていた。
恐る恐る視線を戻すと、やがてお互いの視線がぶつかった。
しばらくそんな状態のまま時が流れてゆく。そして・・・
「あ、あの、その・・・なっち、圭ちゃんに言わなくちゃいけない事があって・・・」
溶けることのない鋭い視線を全身に受けながらも、なんとか自分の思いを声にのせることができた。
けれども、そんな勇気を振り絞って吐き出した言葉は、今なつみが聞きたくない一言で遮られてしまった。
- 296 名前:初霞 5 投稿日:2002年04月27日(土)02時11分48秒
「ごめん。今は一人にして・・・」
そう言い残し、闇夜に消えてゆく圭をなつみは懸命に後を追った。
行く手を阻むように前に立つも、圭はただじっと前を向いたままその脇をすり抜けて行く。
けれどもなつみも必死になって食い下がっていく。
「待ってよ、圭ちゃん。怒ってるならちゃんと謝るから」
「一人にしてって言ったよね?」
「なっちの話、聞いてよ。お願いだから」
「・・・・・・」
行く手を阻むなつみを前にして一瞬立ち止まった。
のも束の間、再び脇を通り抜けていく。
そしてすり抜けて行く際、なつみは信じられない言葉を耳で捉えた。
『しばらく離れよう』
- 297 名前:6 投稿日:2002年04月27日(土)05時33分07秒
- け、圭ちゃぁ〜ん(大号泣)
……。(言葉も出ないっす…)
- 298 名前:ビギナー 投稿日:2002年04月27日(土)17時26分43秒
- やぁ、痛い・・・
ビギナーは痛いのが甘いの以上に下手なので尊敬です。
ただ、圭ちゃん冷たすぎ・・・ふぅ
なっつぁん、ファイトですっ。
- 299 名前:初霞 6 投稿日:2002年04月30日(火)01時54分48秒
なつみの中で時間が止まった。
ハッとして振り返ると、圭は既に五十メートルほどなつみから離れていた。
そして何もかも忘れるくらいに大きな声で泣き叫んでいた。
「いやだっ! そんなのやだっ!」
その声に圭の歩みが治まった。
それを確認もせずなつみは涙声で訴え続ける。
「やだよぉ・・・行かないでよぉ・・・圭ちゃんが・・・
圭ちゃんがいないと、なっちは・・・なっちは・・・」
「・・・・・・」
「これから・・・これから先・・・どうしていいかわかんないよぉ・・・」
さっきまで強く降りしきっていた雨足が緩くなった。
- 300 名前:初霞 7 投稿日:2002年04月30日(火)02時03分52秒
- 「まだなっち・・・圭ちゃんにもらったもの・・・何にも返してないのに・・・
何にもしてあげてないのに・・・そんな時に別れるなんてそんなの・・・そんなの・・・」
強いビル風が凍てつくような音と共に吹き荒れる。
すぐ側で工事中の青いビニールシートらしきものが、二人の視線を遮るように風に煽られる。
シートを濡らしていた雨露が一斉に灰色の空に舞った。
「きゃぁっ!」
風の勢いでなつみはビニールシートの攻撃を正面からくらった。
その反動で軽く後方へ吹き飛ばされ、ふらついていたなつみは尻餅をついた。
それと同時になつみの真上では妙な音がしていた。
- 301 名前:初霞 8 投稿日:2002年04月30日(火)02時12分53秒
- なつみの悲鳴に思わず圭は後ろを振り返った。
アスファルトに倒れこんだなつみが、弱々しい動作で起き上がろうとしている姿が
圭の視界の中心に映った。
だが、視界にはもう一つ、彼女のいる真上辺りから何かが落ちかけている物も映った。
(まさか・・・!!!)
次の瞬間、持っていた傘や鞄を放り投げ、一目散になつみの元へ駆け寄る自分がいた。
言葉でははっきりと「別れ」を告げていたはずなのに、身体は無意識のうちに彼女へと向かっていた。
あと数メートルのところで、その物体が崩れ出した。
咄嗟に圭はなつみ目掛けてダイブしていた。
- 302 名前:初霞 9 投稿日:2002年04月30日(火)02時18分41秒
- 圭の一言がまだ尾を引いていて、全身に力が入らなかった。
それでも何とかして圭を引きとめたいという気持ちがなつみを奮い立たせ、
ゆっくりではあったが起き上がる。
そして視線を前方へと向けた瞬間、数メートル先にいたはずの圭が、
自らの傘を放り投げ、自分に向かって走り寄って来るのが見えた。
(なんで? どうして圭ちゃんが走ってくるの?)
そう思った矢先、頭上で何かが崩れ落ちるような音が聞こえた。
- 303 名前:初霞 10 投稿日:2002年04月30日(火)02時30分06秒
- 轟音に反応して頭上を見上げてみると、冷たい雨と一緒に工事現場に積んであったと思われる
木材の塊が、何かしらの弾みで崩れ落ち、なつみ目掛けて降ってくるのが見えた。
「なっちゃんっ!!」
状況がまだ完全に把握できていないなつみを圭は間一髪のところで抱きしめた。
そして彼女の頭と身体を自分の身体と両腕で庇うようにし、縺れるようにその場から舗道に転がった。
その直後、雨音しか聞こえなかった暗闇にはけたたましいくらいの騒音が響き渡る。
なつみは自分を包み込んでくれているオーラの中で、じっと目を閉じて時の過ぎるのを待った。
そんな中、聞いてはならないような鈍い音が数回ほど耳に届いた。
- 304 名前:うっぱ 投稿日:2002年04月30日(火)02時40分52秒
- 297>6さん
298>ビギナーさん
みちよ「圭ちゃん、アタシよか酷いやんか」
圭 「いや、それはその・・・」
みちよ「アタシのほうが見損なったわ」
圭 「なんていうか、つまり・・・」
みちよ「少しむこうで反省したほうがええで」
圭 「・・・はい(去)」
みちよ(よっしゃぁ! これでなっちはウチのモンや!)
〜こうしてみちよさんはなつみさんを励ましにいくんですが・・・
- 305 名前:6 投稿日:2002年05月01日(水)02時19分43秒
- みっちゃん…
いや今はみっちゃんより圭ちゃんよ!!
ちょっと!!!洒落にならないっすよぉ!!(号泣)
圭ちゃん!!死んじゃ駄目だぁ!!(勝手に殺すな!!)
あぁぁぁ!もう!!!もし圭ちゃんになんかあったら、
みっちゃんの事末代まで祟ってやるぅぅぅぅ!!!(逃走)
- 306 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月03日(金)02時35分55秒
- 305>6さん
圭 「祟ってやる」
みちよ「えっ、なんであたしが? ウチなんもしてへんやんか」
なつみ「呪ってやる」
みちよ「なっちまで・・・ウチは潔白や、何もしてへん!」
圭 「今までの悪行を改めるがいい」
なつみ「そしてその身で償うがいい」
バキッ、ドカッ、ガスッ、ポコッ、ガン、ビシッ、
みちよ「ウチは無実やぁぁぁ〜」
- 307 名前:6 投稿日:2002年05月06日(月)03時09分25秒
- みっちゃん…相変わらずへたr(略
それより微妙に棒読みっぽい二人が妙に怖いんすけど…(汗
あれ?私のせい??(動揺)
まぁそれも新鮮なんで良いとしよう(…いいのか?)
保田悪太郎となっちのからみに萌えてしまった駄目×2な自分…。
て〜か悪太郎カッコ良すぎ!!
なっちも惚れ直した…かな??
- 308 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月06日(月)03時56分04秒
- 307>6さん
みちよ「ふん! へタレでもええわい。あたしはなっちさえいてくれれば
それでええねん!」
なつみ「・・・・・・」
みちよ「なっち、あたしが幸せにしたるよ。安心せえ!」
圭 「(みちよの前を通り過ぎて一言)なつみ、行くよ」
なつみ「あっ、待ってよぉ〜圭坊(スタスタ)」
みちよ(なつみに圭坊!!! そんなに進展してたんか、あの二人は!!
- 309 名前:初霞 11 投稿日:2002年05月06日(月)04時04分36秒
再び、雨音だけが辺りに戻ってくる。
なつみはただじっと目を瞑っていた。
ふと何か暖かいものが自分の身体全体を覆っている事に気が付いた。
微かではあったけれども心音が傍で聞き取る事ができる。
そしてゆっくりと目を開けて、真っ暗だった視界に光を戻す。
真っ先に飛び込んできたのは真っ黒のコートだった。
なつみは圭に抱きかかえられた状態で横たわっていた。
そしてゆっくりと視線を上に上げた。
次の瞬間、なつみの目は一気に見開かれることになる。
- 310 名前:初霞 12 投稿日:2002年05月06日(月)04時12分34秒
「!!!」
目に映る信じられない光景。
額からこめかみにかけて、雨と鮮血で濡れた傷口が無気味に笑っていた。
傍には水分を多めに含んだ重たい木材が一本。
どうやら何本かの一つが頭を掠めたらしい。
そして・・・目を閉じたまま微動だにせず、口元から吐いてはならない
真紅の液体を滴らせる最愛の人。
「圭ちゃん? ねえ、圭ちゃん、寝てちゃダメだよ? 起きてよ、風ひくよ?」
なつみは圭の頬に手を添えた。
- 311 名前:初霞 13 投稿日:2002年05月06日(月)04時23分43秒
- 伝わるの機械のように冷たい感触だけ。
「イ、イヤァーッ!!! 圭ちゃん、しっかりしてぇーっ!!!」
なつみは起き上がって持っていたハンカチを傷口に当て、意識が戻らない圭の名を何度も呼んだ。
ずぶ濡れになる圭を片手で抱きかかえ、なつみはひたすら圭の名を呼び続ける。
「圭ちゃん!! 目ぇ開けてぇっ!! 圭ちゃんってばぁっ!!」
みるみるうちに純白だったハンカチが真紅に染まってゆく。
かなりの出血になつみは気が動転し始める。
ハンカチの上から今度はハンドタオルを傷口へとあてがう。
無理に体を揺するわけにもいかず、なつみは自らの呼び掛けと体温で圭を救い出す。
「ヤダァーッ!! 死んじゃヤダァッ!! 目ぇ、開けてぇ、圭ちゃぁぁん!!」
しかし、なつみの必死の努力を嘲笑うかのように、真冬の寒さが容赦無く
二人の体温と圭の意識を奪い去ってゆく。
- 312 名前:6 投稿日:2002年05月08日(水)01時17分20秒
- うおぉぉぉぉぉぉぉい!!!!!
マジっすかっ?!!
け、圭ちゃぁん!!!死んじゃ駄目だぁぁぁぁ!!!!
きっとこれは圭ちゃん流のジョークなのよ!!
そう!きっと「僕は死にましぇ〜ん!!」
とか言って普通に起き上がってくるに違いないのさ!!!
…って何言ってんだ自分…。
すいません、今本気で動揺してます…。
と、とりあえず救急車よ!110番よ!!
- 313 名前:6 投稿日:2002年05月08日(水)01時22分10秒
- うぉ!!間違えた!!
救急車は119番ですね…。
動揺したせいか素で間違えました…。
逝ってきます…。
- 314 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月10日(金)02時49分40秒
- >312 6さん
なつみ「イヤァー、死んじゃイヤダァーッ!(圭ちゃんの胸にグリグリ)」
圭 「あ、あの、ちょっとなっちゃんてば」
なつみ「イヤイヤァーなっちを置いてかないでぇー(更にグリグリ)」
圭 「っちょっとぉ〜なっちゃ〜ん、だめだってぇ」
なつみ「ふぇ? 何?」
圭 「あ、あのさ、胸の辺りで顔擦りつけるの止めてくれる?」
なつみ「どうして?」
圭 「いや、あの、なんか、変な気持ちに・・・なっちゃうから・・・さ」
なつみ「・・・圭ちゃんの・・・エッチィ」
- 315 名前:NK 投稿日:2002年05月11日(土)03時12分40秒
- ...チラッ .....
...コソコソ ...
...おひさしぶりです。NKです。読んでましたです。(ひそひそ)
静かにしてたんですが事態が事態じゃないですかっ!!(悲)
...なち圭への欲望...違う!!愛情も限界です...(号泣)爆発寸前です!溢れる臨界ですっ!!(...何がだろ?)
圭ちゃん...なっち...今は何も言えません。無事を祈るだけです。
暖かいあの大きな瞳にまた愛しい笑顔がうつりますように..
- 316 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月11日(土)03時37分56秒
- >315 NKさん
なつみ「ああ〜NKさんじゃないですかぁ、どこいってたんですか?
もう全然、お顔見せてくれないからなっち心配しちゃったんですよぉ」
圭 「たまにはご意見、聞かせて下さいね〜」
なつみ「一応、ここの『常連さん名簿』にお名前入ってますから」
圭 「そんなのいつの間に作ってたの?」
なつみ「・・・教えない」
圭 「じゃあ他には誰がいるの?」
なつみ「お・し・え・て・あ・げ・な・い」
- 317 名前:ビギナー 投稿日:2002年05月12日(日)08時01分27秒
- どうなるんですかー?(ですか?)
はーらじゅーくだし(えっ?) おーひとーもうじゃーうーじゃ
原宿では、ないと思います・・・
・・・けど死んじゃってたらどーしよ・・・
さっきから意味不明です。
ごめんなさい。
生き返ってくたさい。保田さん。
- 318 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月13日(月)03時38分10秒
- >317 ビギナーさん
なつみ「なんか圭ちゃん死亡説が多いね」
圭 「ええっ!! アタシ今ここにいるじゃん!」
なつみ「ホントに圭ちゃん?」
圭 「ええっ!! なっちゃんまで・・・」
なつみ「ホントの圭ちゃんなら答えてよ」
圭 「な、何を???」
なつみ「なっちのこと何回抱きましたか?」
圭 「!!! えっとぉ、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ・・・」
- 319 名前:初霞 14 投稿日:2002年05月13日(月)03時48分47秒
- 雨粒が更に酷くなると同時に、なつみの瞳から零れる雫も酷くなった。
二つの作用が圭の瞼を刺激するうちに、うめくような声と共にうっすらと圭の瞳が開いた。
「!!! 圭ちゃん! わかる、圭ちゃん!?」
間だ視界がおぼつかない圭には暗闇しか映っていなかった。
徐々に暗闇から幾つかの光が差込み、それによって初めてなつみの存在に気付いた。
「・・・あぁ、なっちゃ・・・ん?」
「そうだよ、なっちだよ。わかる、圭ちゃん?」
「なっちゃ・・・ん・・・だ・・・。だい・・・じょう・・・ぶ・・・?」
「うん。大丈夫だよ。なっちは大丈夫だからぁ・・・」
なつみは傷口を押さえながら、空いたほうの手で優しく圭を抱きしめた。
涙で顔はぐしゃぐしゃになっていたけれども、とにかく意識を無くさせないように
ずっと圭に話しかける事に専念した。
- 320 名前:初霞 15 投稿日:2002年05月13日(月)03時57分19秒
- 「なっちゃん・・・ごめん・・・ね。またアタシさ・・・なっちゃんにさ・・・
迷惑をさ・・・かけちゃったよ・・・ダメな奴だね・・・」
「そんなことないよ! そんなことない! 圭ちゃんのせいなんかじゃ・・・
圭ちゃんは・・・悪くなんか・・・悪くなんかぁ・・・ない・・・よぉ」
「なっちゃん・・・また泣いてぇ・・・・・・ホント、泣き虫・・・だなぁ」
「・・・ち、違うよぉ。これは・・・あ、雨で濡れたせいだって・・・なっち、
泣いてない・・・もん・・・」
「あははっ・・・なっちゃんらし」
急に圭の表情が険しくなった。そして・・・
「ガハッ!!」
「け、圭ちゃん!! しっかりしてぇ!!」
多量の血がなつみの衣服に飛び散った。
尚も圭は吐血を催していた。
- 321 名前:初霞 16 投稿日:2002年05月13日(月)04時07分04秒
- 「ご・・・ごめんね。血が・・・血がなっちゃんに・・・かかっちゃ・・・たよ」
「そんな事ぉ・・・そんなこと気にしなくてぇ・・・いいよぉ・・・」
「はぁ、はぁ・・・ちょっと・・・息がさ・・・出来なくて・・・」
「もう喋っちゃダメだって。喋ったらぁ・・・苦しくなってぇ・・・」
「なんかさ・・・こ、呼吸する・・・はぁはぁ・・・身体の・・・左側がぁ・・・
無性にさ・・・痛むんだよぉねぇ・・・はぁはぁ・・・」
「大丈夫だからぁ・・・すぐに助かるからぁ・・・」
「そ、それとさぁ・・・アタシさぁ・・・なんかね・・・左足のぉ・・・感覚がさぁ
そのぉ・・・ないんだけど・・・・・・どうなってるのかなぁ・・・?」
なつみは圭が苦しまみれに訴えた左足のほうへと視線を飛ばした。
「!!!」
なつみは目を大きく見開いたまま、声を失った。
むしろ、目をも背けたくなるような凄まじい光景を目の当たりにした。
- 322 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月13日(月)17時32分14秒
- 初めまして。一気に読んじゃいましたよ〜。
圭ちゃん・・・。圭ちゃん・・・・・。
圭ちゃんっっっ!!!!!
どーなるの!!??
・・・・・心が痛いっす。このままでは眠れないっす。
くそーーーっ!今は、なっち、あなたが憎いです。
- 323 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月15日(水)02時06分57秒
- >322 ゆっちんさん
なつみ「新しい読者さんだ。初めましてぇ」
圭 「でも、なっちゃんが憎いって」
なつみ「ええっ!? なっちなんか悪いコトしたっけな?」
圭 「心が痛くて眠れないって」
なつみ「わわわ・・・け、圭ちゃん、ど、ど、どうしよぉ〜」
圭 「いつもの特製スマイルでもやってみたら?」
なつみ「う、うんわかった。ご、ごめんね(ニコッ)」
みちよ(か、可愛すぎる!!!)
- 324 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月16日(木)00時53分36秒
- なっち・・・、圭ちゃんを助けて。
心配で抱っこしてるのもいいけれど、誰かを呼ばなくちゃ。
内容と関係ないけれど、今週の美少女教育は、なっち&圭ちゃんが
非常に色っぽくていいですよね。
時々見合す二人の視線も、結構意味深に妄想できるし・・・
しかし、ヒツジの水色なっちはとっても可愛い。
ヒョウ柄圭ちゃんは、大人の雰囲気満点。
今週は夜更かしの毎日です。
- 325 名前:らん 投稿日:2002年05月16日(木)00時57分20秒
- 324の者です。
こちらでは、名前を書き込むと、なっちと圭ちゃんに呼ばれるようですね。
是非とも、私も呼んでいただきたい。
あー、なっちと圭ちゃん、「らん」をよろしくお願いします。
- 326 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月16日(木)03時18分23秒
- >324&325 らんさん
なつみ「おおっ、またまた新しいお客さんだ」
圭 「最近活気付いてるねぇ、なっちゃん」
なつみ「えへへ。だってなっちと圭ちゃんの仲を認めてもらいたいんだもん!」
圭 「いやぁ〜て、照れるなぁ〜(真っ赤)」
なつみ「これからもよろしくね、らんさん(ニコッ)」
圭 (で、でたぁ〜なっちゃん特製スマイルぅ!!! もう死んでもいいや・・・)
- 327 名前:お知らせ 投稿日:2002年05月16日(木)03時22分05秒
- え〜ようやく2nd 完結しました。
あとはちょこちょこ推敲しながら載せるので、
初夏を迎える頃には終わる予定です。
その後、以前予告していた短編を載せます。
まあ、お暇があったら読んでくださいませ。
ではでは。
- 328 名前:NK 投稿日:2002年05月16日(木)04時58分23秒
- がっ!?かはぁっ!!(吐血)
セ、2nd完結ですか。む、むぅ...圭ちゃんの容態が木になる....はわぁっ!!?き、気になる...です。
いつの間にやら圭ちゃんの体と私の健康が連動してしまいましたwく、くるし〜よ〜。きっとこのまま圭ちゃんの身に何かおきたなら、私めも.....い、いやぁ〜〜〜〜っ!!!
でも大丈夫さ...圭ちゃんの側には最愛の天使が...(うらやますぃ)
- 329 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月16日(木)17時45分47秒
- あぁ!なっちのニッコリが・・・・・。
え〜の〜。こころにしみる〜。
ごめんなさい。なっち。ペコリ
だって、オイラは、オイラは、
けーちゃんを I LOVE YOU なんだ!!!!
シンパイなんだーーーーーーっ!!!ハァハァハァ。
ガクッ。バタリッ・・・・。
- 330 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月17日(金)02時28分44秒
- >328 NKさん
圭 「アタシの傍にいる最愛の天使って・・・」
なつみ「いやだぁ、もう圭ちゃんたら、なっち困っちゃう」
圭 「なっちゃんは違うでしょ」
なつみ「ええーっ! なんでさ!」
圭 「だってなっちゃんはクリスマスに舞い降りてきた妖精だって
本文中に出てきてたじゃない」
なつみ「・・・そっか。じゃあ一体誰?」
圭 「ん〜んん〜」
>329 ゆっちんさん
圭 「いやぁ、I LOVE YOUだなんて(照)」
なつみ「(むうぅ〜)」
圭 「あれ、どうしたの、なっちゃん?」
なつみ「圭ちゃんの浮気ものぉ〜」
圭 「ち。ちょっとぉ〜、と、とりあえずゆっちんさん
ありがとうございます(チュッ)」
なつみ「バカァ〜(逃)」
- 331 名前:初霞 17 投稿日:2002年05月17日(金)02時39分27秒
- 三本の木材が重なり合うようにして無造作に組み落ちていたが、その一番下には
圭の左足が妙な方向へと向いたまま、その木材の全重量を支えていた。
更に、この状態では足の指先まで血液が行き届いているかも怪しく、素人見でもわかるほど
複雑骨折をしているのがわかる悲惨な光景だった。
ようやく騒ぎを聞きつけた近所の人々が駆けつけ、事の重大さに驚き、慌てて警察と救急車を手配し始めた。
その間にその場に居合せた人々総出で木材撤去作業に取り掛かる。残った人たちで雨で冷え切った二人の体調を
回復すべく色々と暖かな手を指しのべてくれた。
圭の意識がそろそろ限界に達しようとした頃、ようやく救急隊が到着し、応急処置が施される。
そして二人は近くの大学病院へと搬送されていった。
- 332 名前:悲霧(なげき) 1 投稿日:2002年05月17日(金)02時47分17秒
- 親切な人達のお陰もあって、なつみは事無きを得た。
幸い、どこにも怪我を負わなかったものの、まだ覚束ない足取りで圭が運ばれていった所へ向かった。
緊急手術の行われているオペ室の前でなつみは、じっと紅く光るランプを見つめていた。
すると中から慌てて一人の医師が出てきた。
なつみはその医師に掴みかかるような勢いで尋ねた。
「あの、圭ちゃんは、圭ちゃんはどうなるんでしょうか?
今、どうしてるんでしょうか? 助かるんでしょうか?」
「お、落ちついてください」
若い医師は興奮しているなつみを抑えつけ、神妙な顔つきで淡々と語り出した。
- 333 名前:悲霧 2 投稿日:2002年05月17日(金)02時56分49秒
- 「頭部と左胸部から腹部にかけてかなり強打しています。吐血もまだ完全に治まった訳ではないので
まだまだ予断を許さない状況です。それと左足の骨折も予想以上にひどく、少し時間が掛かりそうです」
医師はなつみの顔色を窺うように現状況を説明する。
不安の色が見え隠れするなつみは、懸命に医師の言葉をきっちりと受け止めてゆく。
「はっきりした事は術後にお伝えしますから、今しばらく辛抱していて下さい」
そう言い残して医師は一礼した後、迅速にその場を離れ、数分後、何かを手にして戻ってきた。
輸血用の血液だっただろうか、一瞬だけ赤いものが見えたが、なつみにははっきりと確認できなかった。
オペ室に入る前に医師は振り返り、なつみに一言告げた。
「必ず、救ってみせます」
そう言って過酷な戦場へと戻っていった。
- 334 名前:悲霧 3 投稿日:2002年05月17日(金)03時04分04秒
- なつみはもう何も考える事ができず、近くに設置してあった長椅子に身を預けると
そのまま意識を失いかけた。何もかもが夢であって欲しい、そう願いたかった。
(もうなっち、わかんないよ・・・誰か助けてよぉ、怖いよぉ)
そう思った時、ふらつく身体を無理矢理起こし、公衆電話へ向かった。
そしてなつみの指は自然とある番号を押していた。
今はただ、誰かに傍にいて欲しかった。
自分を支えてくれる誰かを・・・
ワンコール足らずで聞き慣れた声が耳に届いた。
- 335 名前:悲霧 4 投稿日:2002年05月17日(金)03時11分04秒
- 「ハイ、平家ですけど、どちらさんでしょうか?」
「みっちゃん・・・なっちだけど・・・」
「おう、どうしたん? えらい元気ないねぇ」
「ううっ・・・みっちゃ・・・ひっく・・・圭ちゃんがぁ・・・圭じゃんがぁ・・・」
状況を説明する前に言葉が詰まってしまい、嗚咽だけが受話器の向こうへ伝えられていった。
しかしそんななつみの心理をみちよは直に察してくれた。
「今、どこにいんの?」
「えぐっ、えぐっ・・・○○大付属病院・・・」
「わかった。今行く。待っとき」
それだけ言うとみちよからの声は途絶えた。
なつみは受話器を掴んだままその場にへたり込み、視界が徐々に暗闇に包まれていった。
- 336 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月17日(金)17時36分32秒
- う・・・・。
圭ちゃんのチュウ・・。もう死んでもいいっ!
つーか、今すぐ駆けつけてオイラの血を輸血してーーーー!
がんばってね!圭ちゃんにはオイラがついてるぞ!
もちろんなっちもだよね。ちゃんと付いてないと、奪うぞ〜!
- 337 名前:6 投稿日:2002年05月18日(土)02時00分52秒
- んがっ!!!
ひ、久々に来てみたら…(動揺)
こんなに大変な状態だったんすね…(滝汗)
圭ちゃん…あんたすげぇよ…。体張ってなっちを守ったんだねぇ…。
まさに男の中の男!!(違)よっすぃ〜よりかっけぇよ!
モー娘No1の男前だよ!!(だから違うっちゅうに)
…ってんなこたどうでもいいんだよ!!!
圭ちゃぁぁぁん……。
圭ちゃんとなっちが再び笑い会える日が来ると信じて…
フェ〜ドアウト〜〜(byチャ〜ミ〜石川)
- 338 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月18日(土)03時39分07秒
- >336 ゆっちんさん
なつみ「ダメだよっ! 圭ちゃんにはなっちが輸血するの!(熱い抱擁)」
圭 「・・・・・・」
なつみ「それに圭ちゃんはもうなっちのものなんだから(更に抱擁)」
圭 「・・・・・・」
なつみ「なっちは圭ちゃんの全てを知ってるんだから!(もっと抱擁)」
圭 「・・・るし・・・」
なつみ「??? どうしたの、圭ちゃん?」
圭 「背骨がぁ・・・お、折れるぅ〜」
>337 6さん
圭 「フッ、今頃お気づきでしたか、6サン」
なつみ「ど、どうしたの、圭ちゃん? そんなカッコつけて」
圭 「なつみ・・・」
〜なっちゃんの顎に手を添えて上を向かせる圭ちゃん〜
圭 「これからもずっと愛してるよ、なつみ」
なつみ「カァ〜ッ(紅潮)」
圭 「もう離さない・・・君の傍にいるから」
なつみ「は、はいっ(カッコイイよぉ〜)」
- 339 名前:悲霧 5 投稿日:2002年05月20日(月)04時06分24秒
(・・・ここ、どこだろう?)
なつみは、見たことのない大草原に立っていた。
辺り一面にはこれでもかと言わんばかりの真紅の薔薇が咲き乱れている。
いくら日本と言えどこれだけの広さの土地に、これほど美しい空気と植物が
共存している場所はないだろう。
なつみの故郷である北海道でもこれほどの大草原はお目にかかった事がない。
そんな場所に一人立っていた。
次第に薔薇の香りがなつみの嗅覚を刺激し、感覚を麻痺させようとする。
そしてなつみの身体から徐々に力が抜けてゆき、意識をも奪ってゆく。
立っている事に耐えられず、その場に腰から砕け落ちるように転がった。
(あははっ・・・なっち、なんだか気分がよくなってきたよ・・・)
- 340 名前:悲霧 6 投稿日:2002年05月20日(月)04時12分11秒
- 徐々に瞼が重くなってゆくなつみの視界に、見覚えのある姿が映った。
その影は、なつみに向かって必死に離しかけている。
しかし、なつみの五感は薔薇の香りによって失いかけていた。
見覚えのある影なのだが、今は思い出す事さえままならない。
(誰かが・・・なっちを・・・呼んで・・・い・・・る・・・・・・)
心地よい香りの中でなつみは、眠りについていった・・・。
- 341 名前:悲霧 7 投稿日:2002年05月20日(月)04時19分28秒
- ・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「・・・ち・・・っち、なっち?」
「・・・ふぁ? ああ、みっちゃん・・・」
「なっち、大丈夫か?」
息を切らしながらも表情は柔らかいみちよの顔がそこにあった。
その隣には、同じように息を切らしながらも、険しい様子を見せるマネージャーがいる。
「なっちはなんともないんか? どっか怪我とかしてへんか?」
「なっちは無事だけど、圭ちゃんが、圭ちゃんがぁ・・・」
「落ち着き、なっち。大丈夫。圭ちゃんのコト信じてあげな、圭ちゃん悲しむで」
その一言がなつみには重く感じられた。
そして今だ消えることのない赤いランプを見つめた。
- 342 名前:悲霧 8 投稿日:2002年05月20日(月)04時28分10秒
待っている間、マネージャーに事の顛末を伝えた。
その壮絶な事態を知った二人は、非常に重苦しい雰囲気を漂わせる。
圭を襲った不幸に対して、どうする事も出来ない三人はただじっと待つことしかできなかった。
圭がオペ室へ入ってはや二時間が経とうとしていた。
なつみは時計を見ると、既に新しい一日を刻んでいた。
「なっち、少し休んだほうがええよ」
「大丈夫だよ、なっちは。なっちは・・・だいじょう・・・ぶだけ・・・ど・・・・・・」
自分に大丈夫と言い聞かせる度に、大量の雫が溢れ、滴り落ちる。
と同時にあの時の光景がフラッシュバックする。
- 343 名前:悲霧 9 投稿日:2002年05月20日(月)04時35分45秒
・・・・・・。
思い出したくもない惨劇に身体が震え出す。
それを必死に耐えようと自らの腕で、自らの身体を抱いた。
「なっち、どないしたん? 怖いんか? 寒いんか?」
「・・・・・・」
「大丈夫。心配ないって」
みちよに励まされてもなつみの心の不安は消える見込みはなかった。
なおも鮮明な映像がなつみの脳裏をかすめ、支配していく。
身体の震えも一層激しさを増してゆき、発狂しそうになる。
「しっかりせい、なっち」
「具合が悪いなら、横になったほうがいいぞ」
身の心配をする二人の言葉など届かないくらい、なつみの精神は限界に達しようとしていた。
すると、急に温かい感触がなつみを包み込んできた。
- 344 名前:悲霧 10 投稿日:2002年05月20日(月)04時44分11秒
- どこか懐かしくて、それでいていつも近くで感じていた、自分だけにしか
味わう事のできない独特の感触がした。
そんな何かがなつみの頬を伝う雫をそっと拭き取っている感触がした。
それはまるで何かのおまじないのようで、なつみの涙はそこでピタリと止まった。
(なんだろう・・・すごく心地良いし、安心する)
まだ温かい感触はなつみの身体を覆っていた。
そしてどこからともなく聞き覚えのある声が、なつみの心の中に響いてきた。
(大丈夫、大丈夫。いつでも傍にいるよ・・・)
その声と共に、自分を覆う感触が熱を帯びていくのがわかった。
なつみはその声と熱に導かれるままにじっとしていた。
- 345 名前:悲霧 11 投稿日:2002年05月20日(月)04時53分06秒
・・・・・・。
いつしかなつみの身体の震えも止み、あの忌まわしい光景も脳裏からは消え去っていた。
そして、温かった懐かしい感触もいつしか消え去っていた。
不思議な現象に囚われていたなつみはゆっくりと辺りを見た。
しかし、そこにいる二人は心配そうになつみを見ているだけで、廊下の冷たさが
身にしみる以外何もなかった。
「なっち、大丈夫か? 苦しないか?」
「・・・今、誰かが話しかけてくれた・・・」
「あたしら何も言うてへんよ。それに誰も通らなかったで」
マネージャーも頷きながら、薄暗い廊下の左右を見回している。
ちょうどその時、暗闇に怪しく光っていた赤色ランプが消えた・・・。
- 346 名前:ビギナー 投稿日:2002年05月20日(月)19時22分38秒
- よしっ。消えたっ♪
助かったー、ばんざーい♪ばんざーい♪ですよね?
じゃなかったら・・・・・
圭ちゃん、ちゃんと生きてないと、なっつぁん取られちゃいますよ。
ファイトー!オー!!
- 347 名前:読んでいる人 投稿日:2002年05月20日(月)23時27分23秒
- 圭ちゃんあとはオイラに
任せとけ!!!!
なっちを幸せにするぜぇ〜
by矢口
- 348 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月22日(水)02時33分34秒
- >346 ビギナーさん
圭 「ん〜取られないようにするには、どうしたモンか・・・」
なつみ「心配し過ぎだよぉ、圭ちゃんは」
圭 「でもさ、もしもって時のために・・・」
なつみ「そんなになっちのこと信頼できないかな?」
圭 「い、いや、そういう訳じゃ・・・なくて・・・(焦)」
“ちゅっ”
なつみ「・・・これでもダメ?(照)」
圭 「十分過ぎますです(真っ赤)」
>347 読んでる人さん
圭 「まずは矢口が相手か。手強そうだなぁ」
みちよ「安心し、圭ちゃん。圭ちゃんがやられても
アタシがなっちを幸せにするから」
圭 (そうだった。一番の敵はみっちゃんだったんだ・・・)
みちよ(圭ちゃんがいない間になっちに急接近・・・かぁ〜たまらんっ!!)
- 349 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月22日(水)15時51分18秒
- どうなっちゃうんでしょう!!!???
オイラはけーちゃんに
ついていくよ〜ん。
- 350 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月23日(木)03時28分33秒
- >349 ゆっちんさん
なつみ「いいなぁ〜圭ちゃんは」
圭 「なんで?」
なつみ「だって強力な親衛隊がいるんだもん」
圭 「なっちゃんも欲しいの?」
なつみ「そりゃ欲しいよ。圭ちゃんにいてなっちにいないなんて不公平だもん」
圭 「募集してみたら? 殺到するんじゃない?」
なつみ「やってみるよ。という訳でなっち親衛隊募集中です。待ってるよぉ」
みちよ「応募しますぅ!!!」
圭 (早っ)
- 351 名前:悲霧 12 投稿日:2002年05月23日(木)03時36分29秒
- 三人の顔に緊張の色が浮かぶ。
誰かの息を飲みこむ音が、やけに大きく聞こえた。
数秒後、重い扉の開く音が廊下中に響き渡り、執刀医が現れた。
所々に血痕が付着していて、顔には疲労を表す汗が滲み出ており、いかに手術が
大掛かりなものだったのかを物語っていた。
医師はゆっくりと歩み寄ると、一礼をして口を開いた。
「あの関係者の方で?」
「は、はいっ!」
マネージャーが上ずった口調でそう告げると、医師はやや重苦しそうな様子で続けて言った。
- 352 名前:悲霧 13 投稿日:2002年05月23日(木)03時42分34秒
- 「ご説明を致しますので、こちらへどうぞ」
医師は後から出てきた看護婦に用件等を伝え、一礼するとその場を後にした。
「ではこちらの方へどうぞ」
看護婦は先頭に立ってなつみたちを誘導しはじめた。
三人の中にこれから告げられるであろう結果を素直に受け止める事が、はたして
できるのかという不安が重くのしかかる。
なつみは、先ほど医師が垣間見せた重苦しい雰囲気を見逃さなかった。
だから余計に、不安が小さな心と身体に襲いかかる。
夜中の院内に冷たい足音だけが虚しく響き渡った。
- 353 名前:鐘愛(ささえ) 1 投稿日:2002年05月23日(木)03時56分04秒
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
なつみたちは言葉の「こ」の字も出なかった。
医師の口からはっきりと告げられた、曲げようのない事実。
想像を絶するような結果を伝えられたなつみとみちよは、もはや自力で
立っていられないほどのダメージを受けた。
一生残る額と背中の傷、折れた肋骨がもたらした肺への損傷、左膝半月板損傷、
膝から下にかけて広がる骨折の数々、そしてアキレス腱の断裂・・・。
- 354 名前:鐘愛 2 投稿日:2002年05月23日(木)04時06分04秒
- 「と、とりあえずこのことを連絡しにいって来るから・・・」
もたつきながら暗闇の院内へと消えて行くマネージャーに残された二人は、
這いつくばるように近くの長椅子へと腰掛けた。
未だに意識が中を舞うなつみに、みちよは健気に言った。
「傍にいたいやろ? 行っといで」
しかし、なつみは迷っていた。
ずっと傍にいてあげたい気持ちと、どんな顔をして圭に会えばいいのかという
罪悪感の二つの気持ちの中で葛藤していた。
「行かへんの?」
「どんな顔して会えばいいのかわかんないよ」
「今更何言ってんの。しっかりしい。圭ちゃんは今必死になって闘ってるんやで。
それを助けてあげるのがなっちの役目じゃないんか?」
「いいの・・・かな?」
こんな時に上手く行動に出せない自分が少しだけ悔しかった。
- 355 名前:鐘愛 3 投稿日:2002年05月23日(木)04時14分16秒
- 「身体張ってまでなっちを救ってくれたんやから、それぐらいしてあげてもええんとちゃうん?
なっちには多少辛いかも知れへんけど、それが今なっちにできる事やとアタシは思う」
「・・・・・・」
「命がけで大切な人を守るって男の人でもそう簡単にはできないことやで。そんな男顔負けの圭ちゃんを
ほっといてもええんか? なっちの圭ちゃんへの愛はそんなちっぽけなモンなんか?
このまま圭ちゃんがなっちの元に戻らなくてもええんか?」
みちよは少しきつく捲くし立てると、なつみを自分の方へと向かせて最後の忠告をする。
「アタシはここで待ってるから、圭ちゃんとこ、行っといで」
「・・・わかった」
なつみは力強く頷くと、その足で圭が寝ている病室へと向かって行った。
- 356 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月23日(木)04時20分38秒
- 《お知らせ》
こっから先はもしかしたら(?)ハンカチかティッシュが必要になるかも・・・。
なので早めにお手元にご用意してお楽しみ下さい。
ではまた。
- 357 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月23日(木)16時08分15秒
- そんな〜〜〜。(タキノヨウニナガレルmyナミダ
げえ゛ち゛ゃ゛〜ん゛!!!
ハンカチ?ティッシュ?
とっっっっっっくにあるよ〜〜〜!
かわってやりたい・・・・・。
- 358 名前:6 投稿日:2002年05月24日(金)23時48分04秒
- な、なんと〜〜〜〜〜!!!!(驚愕)
マジっすか!!!圭ちゃぁぁぁん!!(号泣)
立て!立つんだ圭!!君はそんな事でくたばるような奴じゃぬぁい!!
早く起きなさい!でないとなっち親衛隊隊長の座は副隊長の私が奪うぞ!!
(…いつお前は親衛隊に入ったんだ?そしていつの間に副隊長になったんだ?
というツッコミはご容赦下さいませ)
…ん?親衛隊の隊長って圭ちゃんだっけ?
いや!圭ちゃんが隊長にならずして誰がなる!!
みっちゃん?いや!私が認めません!!(ごめんねみっちゃん)
さて、これからに備えてハンカチ&ティッシュを買い込みに行くか…。
- 359 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月25日(土)02時51分11秒
- >357 ゆっちんさん
なつみ「あ〜あ、また読者さん泣かせちゃってぇ」
圭 「ア、アタシじゃないよ?」
なつみ「え〜だってゆっちんさんは圭ちゃん一押しじゃん?」
圭 「けどさぁ・・・」
なつみ「今度は圭ちゃんが慰めてあげたら?」
圭 「!!! で、できるかなぁ〜」
>358 6さん
なつみ「なっち親衛隊隊長って圭ちゃんだったんだ?」
圭 「アタシ応募してないよ? みっちゃんはしてたけど」
なつみ「だって副隊長の6さんがああ言ってるし」
圭 「6さんに譲るよ、隊長の座は」
なつみ「じゃあ、圭ちゃんはどうするの?」
圭 「アタシは・・・プロデューサーでいいや」
なつみ「プロデューサー?」
圭 「そう。アタシがなっちゃんをプロデュースするの。
Produced by K.Yasuda ・・・いいねぇ」
という訳で、6さん。親衛隊長就任おめでとうございます(笑)
- 360 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月25日(土)02時57分14秒
- 《訂正》
332から始まる『悲霧(なげき)』ですが、題名間違えてしまいまひた。
正しくは『悲響(なげき)』です。
終わってから気付きまひた。ごめんなさい。
- 361 名前:鐘愛 4 投稿日:2002年05月27日(月)03時18分35秒
- 真夜中の院内に響く足音は、どこかの怪談に出てきそうな雰囲気を醸し出していた。
そしてその足音は、とある病室の前で止む。
まだ真新しい入院患者の名前が明記された表札を確かめて、なつみは一度呼吸を整えた。
そっと右手を差し伸べて、ゆっくりとドアを開け、中へ入った。
白い布のしきりの奥に横たわる彼女のシルエットが、窓から微かに漏れる月明りで見えた。
そのままベッドへ近づいて、枕元まで辿り着く。
目の前には麻酔の効果で眠っている恋する恩人の規則正しい呼吸を聞きながら、なつみはパイプ椅子へと腰掛けた。
「・・・な、なんだ、寝てたんだ。なっちはてっきり圭ちゃんが淋しくて泣いてるかと思ったのにぃ。
もうほんと、圭ちゃんはどこでも良く寝るよね」
視線を合わせることなく一人で明るく振舞った。
そしてようやく右半分の圭の寝顔を見つめた。
- 362 名前:鐘愛 5 投稿日:2002年05月27日(月)03時27分44秒
- 今、自分が見ている所だけは、普段と何ら変わりはなかった。
けれども視界には頭部に巻かれた真っ白い包帯が映り、あの時の光景を思い出させる。
そしてゆっくりと視線をずらしてゆく。
膝から下を頑丈にギブスで固定してある左足が痛々しく見えた。
「や、やだなぁ、圭ちゃん。こんなの着けちゃって。コントじゃないんだよ。
なっち、そんなんで笑ったりしないからね」
徐々になつみの発言力が弱まっていく。
不意に圭の右腕が、ベッドから零れ落ちそうになった。
その腕は、いつも自分を抱きしめていてくれた頼り甲斐のある腕とは違い、
蒼い血管が白い肌から綺麗に透けて浮き出るほど酷く弱々しいものだった。
- 363 名前:鐘愛 6 投稿日:2002年05月27日(月)03時35分29秒
- 「バ、バカだよね、なっち。一人で勝手に突っ走ってさ、圭ちゃんに散々迷惑ばっかかけて。
・・・いつもなっちが悪いのに・・・つまんない意地張っちゃって」
なつみは蒼白い手を握った。
今まで感じる事ができていた温かさがなくなったその手の感触に、言いようのない感情が一気に込み上げてきた。
「ちゃんとあの時・・・素直に全部話して謝っとけばさ、こんな事には・・・・・・。
バカだよねぇ〜。笑っちゃうよねぇ〜、ホントにさ・・・・・・」
なつみは冷たい手を自分の頬に当てた。
自分が持っている熱が素通りしていくように、その手には何の変化も現れない。
今日でどれくらい流したかわからないが、なつみの涙腺は干ばつをしないようだ。
いつしか、頬を雫が伝っていった。
- 364 名前:鐘愛 7 投稿日:2002年05月27日(月)03時46分49秒
- 「た、たまにはさぁ・・・本気でなっちのこと叱ってよ。圭ちゃんはいっつも・・・
優しくするんだからたまには怒ってもいいんだよ? ねえ、圭ちゃん、判ってる?」
堰を切ったように止めど無く雫は溢れ出てくる。
そんななつみに圭は何もせず、ただその場に横たわっているだけ・・・。
「ううっ・・・・・・圭ちゃん・・・なんで・・・・・・どうして圭ちゃんは・・・
いつもそうやって・・・なっちをかばうの・・・・・・? ひっく・・・えぐっ・・・
どうしてそうやって不幸をしょいこんじゃうの? どうしてぇ・・・なっちをぉ・・・
叱ってくれないのさぁ・・・・・・ねえ教えてよぉ、圭ちゃぁん・・・」
必死になって止まらないマイナス感情を押し殺して訴えかけるも、いつものようにその答えを
優しく教えてくれる大好きな声は返ってこなかった。
- 365 名前:鐘愛 8 投稿日:2002年05月27日(月)03時54分35秒
- 「えぐっ、えぐっ・・・やっぱりぃ・・・ダメだよぉ。なっち、ひとりじゃ・・・えぐっ・・・
何もできない・・・・圭ちゃんがぁ・・・圭ちゃんが傍で・・・えぐっ、ひぐっ・・・
傍にいないと・・・なっち、なにも・・・・・・」
言葉にならない魂の訴えさえも、目の前の圭には届かない。
いつもの笑顔は影を潜めたまま、規則正しい息遣いだけが聞こえてくるだけだった。
「ずっと傍にいるから・・・・・・なんでもしてあげるから・・・・・・だから・・・
だからぁはやく・・・・・・はやくなっちに・・・笑顔を・・・見せ・・・て・・・よ」
なつみの嗚咽だけが薬品の匂い漂う真っ白な部屋に響いた。
「えぐっ、えぐっ・・・泣き虫の・・・・・・なっちを・・・この腕で・・・ぐずっ・・・
抱きしめて・・・・・・なっちを・・・なっち・・・ひとり・・・・・・置いてかないで・・・」
寝静まる院内に、ひときわ悲しい叫びに似た願いと嗚咽が響き渡った。
- 366 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月27日(月)16時03分17秒
- あ、駄目。
心が痛すぎるぅ・・・・。
ねぇ、圭ちゃん。
お願いだから起きてよぉ。
そんでオイラの側で慰めてよぉ(ニヤ
- 367 名前:ビギナー 投稿日:2002年05月27日(月)19時23分31秒
- ぅうん〜涙が。
鼻がジンジンしてきます。
なっちも圭ちゃんも、うぅ〜・・・
これもすべてみっちゃんがいけないっ!!
今度ビギナーの所で書くお話も痛くなっちゃうじゃないですかぁ。
みっちゃん、どーにかして。
- 368 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月29日(水)02時15分39秒
- >366 ゆっちんさん
なつみ「・・・・・・(ムスゥ〜)」
圭 「なっちゃん、どうしてそんなにムクレてんの?」
なつみ「だって、なっちの圭ちゃんにゆっちんさんが
チョッカイ出してくるんだもん」
圭 (はは〜ん、さては焼きもちやいてんなぁ〜)
なつみ「こんな状態じゃ夜もおちおち寝てらんないよぉ」
圭 「んじゃあ、添い寝してあげよっか?」
なつみ「・・・(カァ〜ッ)」
圭 (こういうとこが好きなんだけどね)
>367 ビギナーさん
みちよ「ええっ!!! ウチ何もしてへんよ?」
なつみ「みっちゃん、なっちの圭ちゃん返してよ!」
みちよ「だからウチは潔白やって」
圭 「ビギナーさんとこでなっちゃんの寝顔見てニヤけてたじゃん」
みちよ「いや、あれは、その、つまり・・・」
なつみ・圭「「どーにかしてよ、みっちゃん!!」」
みちよ「そんな殺生なぁ〜」
- 369 名前:鐘愛 9 投稿日:2002年05月31日(金)01時22分57秒
- その時、涙で濡れた圭の手が微かになつみの手を握り返した。
なつみの視線がそこへと集中する。
「・・・・・・」
徐々に握る力が強くなり、温かさが甦ってくる。
そして、弱々しいけれどもなつみが大好きな声が空気にのってやって来た。
「・・・・・・なに言って・・・・・・なっちゃ・・・ん・・・らしく・・・ない・・・よ」
「・・・け・・・いちゃ・・・」
目を閉じたまま微かに漏れる口元からは、確かに自分が聞きたかった声質が届く。
「それに・・・こう・・・なったこと・・・・・・何とも・・・思って・・・ない・・・よ・・・」
「け、圭ちゃん・・・」
「どんな・・・状態・・・でも・・・・・・どんな・・・時・・・でも・・・どんなに・・・
離れても・・・・・・アタシは・・・なっちゃんの・・・そばに・・・いるし・・・あたしの・・・
そばには・・・いつでも・・・なっちゃんが・・・・・・いるんだよ・・・」
そこまで言い切ると、圭がゆっくりと目を開けて、握られた手の傍で縮こまり、
濡れた瞳を晒す彼女の方へと向ける。
いつもなつみに見せていた笑顔を添えながら。
- 370 名前:鐘愛 10 投稿日:2002年05月31日(金)01時30分36秒
- なつみは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔でその笑顔に見入った。
なんだかとても懐かしい、そんな気がした。
「ふっ・・・・・・なっちゃ・・・ん・・・さ・・・目から・・・鼻水・・・
垂れてる・・・・・じゃん・・・」
「グズッ・・・い、いいじゃん。ズズッ・・・い、今はさぁ・・・」
「やっぱり・・・・・・泣き虫・・・さんだね・・・なっちゃんは・・・・・・」
「だって・・・だってぇ・・・・・・」
溢れんばかりの気持ちが涙と共に流れ出た。
自分の顔が醜くなっていようが、泣き虫だといわれようが、何しようがなつみは思いっきり泣いた。
夜の病院だろうが、隣の人の迷惑だろうがなんだろうが、とにかく一杯いっぱい泣いた。
- 371 名前:鐘愛 11 投稿日:2002年05月31日(金)01時39分12秒
“コンコン”
二回ほどのノックのあと、ドアが開き、みちよがそっと入ってきた。
「アララ、アタシはお邪魔だったみたいやな」
「みっ・・・ちゃん・・・・・・ほら・・・なっちゃん・・・みっちゃんが・・・
呆れて・・・見てるよ・・・」
しかし、なつみはみちよの存在などお構いなしにずっと手を握ったまま泣き続けている。
さっきまで流した悲しみの涙は既に枯れ、嬉しい気持ちを言葉でなく涙で表していた。
(きっと二人が出逢った時から、アタシには入り込む隙間もなかったんやろなぁ・・・)
なつみの感情剥き出しの姿と、それをそっと支えるように見つめる圭の視線を眺めていたみちよは、
改めてこの二人の絆の深さを思い知った。
- 372 名前:お知らせ 投稿日:2002年05月31日(金)01時43分07秒
- え〜次週ついに2nd完結します。
つきましては、そこでこの板での更新は終わる(?)かもしれません。
長い間、ご愛読してくださった皆様方に感謝の意を表しながらご挨拶にかえさせていただきます。
ではまた。
- 373 名前:ゆっちん 投稿日:2002年05月31日(金)18時04分43秒
- 良かったよぉぉぉぉぉぉ!!!
圭ちゃんおはよ〜〜〜!!!!
もうすぐ終わりっすか。
お疲れさまって気持ちもありますが、ちょっと悲すぃ〜です。
でも最後まで見守っていますよぉ。
あ、あ、あの〜なつみさん?
おこんないでね。
ここにいる間だけでいいからさ♪
圭ちゃん譲って?
あーでも、新作にいたら返したくないけど・・・・・・。
- 374 名前:ビギナー 投稿日:2002年05月31日(金)19時09分33秒
- ついに、完結ですか。
この板で最後って事はほかの板でも、またあるってことですよね?
違ってたら・・・泣きます。
みっちゃん、あなたは悪い人です。
でも、圭ちゃんとなっちゃんの絆を強めてくれたんで許すっ。
なので明日ぐらいには、圭ちやんとラブラブにしてあげます。
- 375 名前:6 投稿日:2002年06月01日(土)00時29分36秒
- 圭ちゃぁぁぁ〜〜〜ん!!!
よかったねぇなっち…。やっぱ圭ちゃんはかっけ〜〜よ!!
さすがモー娘No1の男前っすよ!!
みっちゃん、末代まで祟ると言ったけどその後のなっちへのフォローに免じ
3代までにしといたげるわ!!(結局祟るんかい!)
へ!?完結??
そ、そんなせっかく親衛隊の隊長になったばかりだというのに…(泣)
圭ちゃんに手取り足取り腰取り(?)プロデュースしてもらおうと
思ってたのに…(爆)
えぇぇい!!新作を大期待してます!!
もうどこまでもうっぱさんについて行きますよ!!
- 376 名前:飛群(はばたき) 1 投稿日:2002年06月01日(土)03時37分42秒
衝撃的な事故から1ヶ月が過ぎた。
なつみは京浜島の土手に腰を下ろし、高く青い空を見つめていた。
オフになると必ずこの場所に来ては、青いスクリーンに今まで楽しかった日々を映し出していた。
初めて二人でこの場所を訪れた時のこと、自分の気持ちに自身が持てなかった時のこと、
一端は別れを告げたけれども結局はお互いの気持ちが通じ合っていたあの晩のこと、
自分の身を犠牲にまでしてくれた彼女のためにずっと傍にいると誓って泣いた夜のこと・・・
圭といた時間全てがなつみを強くしていった。
そして、その中でも一番大事なものをそっと取り出し、広げた。
- 377 名前:飛群 2 投稿日:2002年06月01日(土)03時54分37秒
- 一通の手紙・・・それは、なつみが数日前に圭から受け取ったものである。
圭は、左足の再起を賭けて一人アメリカへ渡る事を決断していた。
なつみとも離れ、しかも誰も知らない土地に一人で暮らす事は非常に辛く、淋しいと感じたが
なによりも自分の為に一日も早い復帰が必要だったし、そんな自分を待ち侘びるなつみの為にも大事な決断だった。
そして、その決意が揺るがないようになるべくなつみと逢うことを避けていた。
非常に酷な事だと思ったが、少しでもこれから訪れるであろう茨の道のりを考えると、そうするより他なかった。
これは予備練習なのだと、自分に鞭を入れ、厳しい試練に耐え続けながら残り少ない日々を過ごしていた。
そして、院内の庭先に梅の花が咲く頃、圭は異郷の地へと羽ばたいていった。
- 378 名前:飛群 3 投稿日:2002年06月01日(土)04時02分57秒
- ゆっくりと手紙を読み返すなつみ。
三枚ほどの便箋には、なつみに対する彼女なりの感謝の意と、これから訪れであろう
お互いの試練に負けぬような力強い意志が込められていた。
そして・・・最後にはいつかのクリスマスに彼女が言ってくれた言葉、
『いつまでもいつまでもアタシはなっちゃんのもので、そんななっちゃんは
いつまでもいつまでもアタシのものだから・・・』
が、綴られていた。
何度も何度も彼女が言ってくれた台詞部分だけを読み返した。
そしてなつみは心に誓った。
挫けそうな時、弱くなった時は必ずこの言葉を思い出して、勇気をもらおう、と。
- 379 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月01日(土)04時11分48秒
なつみは視線を緑色の雑草から青い空へ戻すと大きく深呼吸をした。
春の到来を告げる穏やかな空気がなつみの体内へと滑り込んでゆく。
春の息吹を肌で感じながら、季節の香りを感覚で楽しむ。
遠くで離陸する飛行機が滑走路を疾走して行く。
そしてゆっくりと機体が宙に浮かび、青い空へと羽ばたいてゆく。
「きっと・・・なっちの元に返ってきてくれるよね。ずっと待ってるからね。
だってなっちは圭ちゃんのもので、圭ちゃんはなっちのものだから・・・
ずっとずっと、いつまでも待ってるよ」
なつみは空の彼方へ消えて行く飛行機に向かって声を響かせた。
その声は京浜島全体を包み込む青い空に滲むように、そして溶け込むように
ゆっくりと吸い込まれていった。
〜 2nd Impression 完 〜
- 380 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月01日(土)04時14分00秒
- >ゆっちんさん、ビギナーさん、6さん
なつみ「最後だったのでレス無しになってごめんなさい」
圭 「読んでいただいた皆さん、どうもありがと―ございました」
- 381 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月01日(土)04時16分59秒
- ようやく(?)2nd 完結しましたので、やっと以前お知らせしました
『宇宙(そら)』のRemixバージョンが載せられそうです。
そちらの方も良かったら読んでみてください。
では。
- 382 名前:6 投稿日:2002年06月01日(土)23時17分29秒
- 圭ちゃん…なっちの為にも早く戻って来てくださいね。
あと親衛隊の為にも…。
うっぱさんお疲れ様でした。
『宇宙(そら)』のRemixバージョンの方も楽しみにしています。
- 383 名前:ゆっちん 投稿日:2002年06月02日(日)02時42分43秒
- おつかれさまっす。
最後はホッとしました。
Remixも期待大でございます。
- 384 名前:ビギナー 投稿日:2002年06月03日(月)18時59分24秒
- おつかれさまでしたぁ。
最後、悲しくなっちゃうのかなって思ってたんでハッピーで良かったです。
Remixの方も期待してます。
がんばってくださいね。
- 385 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月05日(水)03時26分47秒
- 382>6さん
383>ゆっちんさん
384>ビギナーさん
圭 「あのさぁ、なっちゃん。一つ疑問に思うんだけど」
なつみ「なに?」
圭 「みなさん安心してくれてるけど、アタシってなっちゃんと
離ればなれになっちゃったんだよね?」
なつみ「うん。だって圭ちゃんなっち置いてっちゃうんだもん(シュン)」
圭 「それで皆さんハッピーなのかな?」
なつみ「ん〜どうなんだろ?」
みちよ「アタシはめっちゃハッピーでっせ」
なつみ「みっちゃんには聞いてない!(一喝)」
みちよ「なっちぃ〜冷たいぃ」
- 386 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月05日(水)03時34分15秒
- 〜385の続き〜
圭 「でも6さんは心配してるよ?」
なつみ「どうなんだろうねぇ」
圭 「風の便りでは、既に3rd Impression 執筆中らしいよ」
なつみ「え、じゃあまだ終わんないんだ?」
圭 「しかも、舞台が海外でアタシとなっちゃんしかでてこないとか・・・」
なつみ「なんで圭ちゃんがそんな事知ってんの?」
圭 「だから風の便りではって言ったじゃない」
なつみ・圭「「どうなるんだろうね?」」
- 387 名前:宇宙(そら) 〜N&K Oriental Love Mix〜 投稿日:2002年06月05日(水)03時40分47秒
- タクシーを降りて、圭はしばらくその場に立ち止まりながら、天を見上げてみた。
排気ガスで汚れた昼間とは違い、星を散りばめたような澄んだ夜空が広がっていた。
そんな綺麗すぎる空のキャンバスに浮かぶ蒼い月が一つ。
その灯りを背にして、圭は通りを歩きながら出来上がったばかりの新曲を口ずさむ。
今回はアーティストならば誰もが唄っているラブソングだ。
Aメロを口ずさみながら、ふと昔の事を思い出した。
忘れもしない、メインボーカルの彼女が必死になって曲のイメージを叩きこんでいたあの姿を・・・。
- 388 名前:宇宙(そら) 2 投稿日:2002年06月05日(水)03時47分11秒
「あの時の、あの声にヤラれちゃったんだよなぁ・・・あの時がアタシの人生で
最大の汚点だったのかも・・・」
感情丸出しのあの声にあっさりと恋してしまったあの頃の自分が情けなかったけれども、
結果として今、十分満たされているからそれはそれでよかったと思えるようになってきた。
だから今宵もこうして疲れてはいるけれども、あの娘に逢いに行く。
そろそろ時計の針はあと二時間ほどで一日の終わりを告げる。
舗装されたばかりの歩道を歩きながら、携帯を取り出してかけてみる。
ワンコールの後、いつもよりややご立腹のような声が耳に届いた。
- 389 名前:宇宙(そら) 3 投稿日:2002年06月05日(水)03時53分21秒
- 「あっ、もしもし、アタシだけど」
「・・・遅いよぉ。十時に来るって言ったじゃん」
少しだけ不機嫌なご様子が声から伝わる。
彼女のことだ、どうせベッドの上で枕でも抱いたまま連絡が来るのを
飽きもせずに待っていたのだろう、と一人考えておかしくなった。
でも、それはいつもの事で、それをわかっている圭はいつものように言い訳を言ってみる。
「ごめん。レコーディングが延びちゃってさ」
「・・・もういいよ」
「なんで?」
「来なくていいよ。他の人、来てるし」
意地を張ってまで嘘をつくところは、付き合い出した頃から変わっていない。
「そっか、じゃあUターンするよ」
「・・・いじわる」
「今、交差点曲がったから・・・あと五百メートル」
「・・・」
自然と顔が緩んでいくのも構わず、圭は彼女が待つ部屋へと足を運んでいく。
- 390 名前:宇宙(そら) 4 投稿日:2002年06月05日(水)03時59分46秒
- 「あとぉ三百メートル」
「・・・うん」
「あと二百メートル・・・あっ、見えてきた。たしか五階だったよね?」
「ちょっと待ってて。今、灯り消すから」
「あのねぇ、モールス信号じゃないんだからさ」
「えへへっ」
圭は歩きながら目線を前方への建物へと移す。
人部屋だけ、灯りが一瞬途絶え、再び灯された。
そこから窓越しに手を振っている小さなシルエットが映った。
(ああいうとこはまだ子供なんだから・・・)
呆れてしまいながらも、自分の顔は緩みっぱなしだった。
長かった道のりを渡り、ようやく辿り着いた玄関のドアを持っていた合鍵でゆっくりと開ける。
そこには・・・お風呂上がりのように頬を赤く染めた彼女、なつみが満面の笑みを添えて迎えてくれた。
「おかえり」という安らぎの言葉と共に。
- 391 名前:宇宙 5 投稿日:2002年06月06日(木)03時41分15秒
- 脱いだ上着をハンガーにかけ、ゆっくりとソファーに凭れる。
床へと直に座るのもたまにはいい気分だなぁ、と思う。
久しぶりに見る部屋の景色と、芳香剤に混じった彼女の匂い。
その匂いに自然と心が落ちついていくのが手に取るようにわかる。
(やっぱり来てよかった)
後ろから手が伸びてきて、圭の首に巻きついた。耳元に聞き慣れた声が響く。
「今日もいつものように来たの?」
「いや、今日は歩いて来たよ」
「ばれちゃうよ?」
「サングラスしてきた」
「してても判るって」
目の前に座り直した愛らしい表情が綻ぶ。
普段とは違った自分だけの特権でもある笑顔は、圭の目元を和らげる作用を引き起こす。
- 392 名前:宇宙 6 投稿日:2002年06月06日(木)03時45分37秒
- 「誰かいるの?」
「いるかもよ。なっち、ばれても知らないから」
「平気だよ」
「え〜、そうかなぁ〜」
「なんで?」
「だってなっちがバラすもん」
「誰に?」
「フ○イデーに」
携帯を手にして電話する仕草を見せるなつみに、圭は躊躇することなく
むしろ挑戦的な態度を見せる。どこか悪戯っ子のような笑みを添えて。
- 393 名前:宇宙 7 投稿日:2002年06月06日(木)03時52分47秒
- 「・・・言ってもいいよ」
「嘘だってばぁ」
意表を突かれた返答にたじろぐ様子を見せるなつみに対し、今度はどこか
誇らしげな笑みを浮かべて、圭は更になつみを追い詰めていく。
「言えば? 好きなだけどうぞ」
「またそうやってすぐイジメるぅ〜」
頬を目一杯膨らませてなつみは拗ねる。
「イジメてないよ。・・・それ・・・消えるの?」
膨らんだ風船を指で突つきながら、なつみの背後に見えるお洒落なスタンドを指して言った。
「ライト? ・・・・・・消えるよ」
「・・・・・・消して」
なつみが消そうと身体をひねり、腕を伸ばしてスタンドを消す。
それに合わせて、後ろ姿のなつみをゆっくりと自分の腕の中へと包み込む。
暗闇の中で片方の影がもう一つの影のほうへと崩れかかっていった・・・。
- 394 名前:宇宙 8 投稿日:2002年06月06日(木)03時58分19秒
ふと何かの拍子に圭は目が覚めた。
まだ辺りは淡いブルーに包まれたまま静寂を保っている。
隣には自分の腕にしがみつく恰好で優しい寝息を奏でるなつみの顔。
まるで生まれたばかりの赤ちゃんが母親にするように寄り添っている。
自然と笑みが零れてしまう。
そんな彼女の寝顔を見つめながら、もの思いに耽る。
- 395 名前:宇宙 9 投稿日:2002年06月06日(木)04時06分26秒
急き立てるような毎日にふと傷ついて、心壊しても今できる事をしてあげたい。
昔の彼の面影など、力任せに消せる痛みなら、正直に飾ることなく、迷わずに抱きしめて和らげてあげたい。
一人で胸焦がすくらいなら、どんな些細な事でもいいから構わずに打ち明けて欲しい。
いつでも何度でも聞いてあげるよ。好きだから・・・。
「いつまでも変わらずにお互いの事、スキっていえたら素敵だね」
彼女のしなやかな髪を撫でながら、呟いてみる。
迷子のように潜んでいた愛の欠片に出会えた事が嬉しいけれど、今はそんな台詞も言えはしない。
その理由があなたにあるなんて言えないから・・・。
撫でていた手に温かさを感じた。
見ると薄目を開けて、なつみが微笑んでいた。
- 396 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月06日(木)04時11分38秒
- 【お知らせ】
現在進行中のお話ですが、容量に収まるかどうか心配なところなので、
勝手ではありますが、ストーリーが終了してからご意見、御感想等
述べていただけないでしょうか。
途中で終わると後味が悪くなってしまうので。
ご理解のほど、よろしく願います。
ではまた。
- 397 名前:宇宙 10 投稿日:2002年06月07日(金)02時01分39秒
「海の中にいるみたい・・・」
なつみは肩を寄せ合い、同じ呼吸を確かめながら呟いた。
圭は窓越しに星空を眺めていた視線をそっと隣に移す。
「ん?」
「ホラ、この部屋をお月さんの光が照らしてるから」
「なるほど・・・綺麗だね」
「うん」
なつみはそっと圭のほうを見る。
月明かりに照らされて窓の外を見ている横顔は、どこかミステリアスな雰囲気を出していて、
今宵の圭がすごく異邦人のようになつみには見えた。
- 398 名前:宇宙 11 投稿日:2002年06月07日(金)02時06分43秒
- 「なんか不思議な感じ」
「そう、かな?」
ほんの些細な仕草になつみの心が弾む。
見惚れながら目線を首の辺りにうっすらと浮き出る汗に移した。
「・・・・・・スゴイ汗」
「アンコール一回分、かな?」
「?」
「今夜は大胆だったね?」
「えっ・・・や、やだぁ・・・」
「可愛かったからいつもより頑張っちゃった」
「・・・もう、バカぁ」
「照れない、照れない。ホントの事なんだから」
「・・・知らないっ」
冗談っぽくウインクしながら言って笑う圭に、なつみの顔は
完熟トマトのように真っ赤に染まりその表情を隠す。
- 399 名前:宇宙 12 投稿日:2002年06月07日(金)02時11分35秒
- 「水、飲みたいな」
「ちょっと待ってて・・・・・・あ〜、ダァメ。返して」
なつみはゆっくりとベッドから身体を起こして、羽織るものを手にするが、
それを圭がさせまいと意地悪をする。
「いいじゃん、そのままで」
「イヤだよぉ。恥ずかしいじゃん」
「なんで?」
「だって、そのぉ・・・えっと・・・言わせないでよぉ・・・」
「聞きたいな、なっちゃんの口から」
「もぉ〜、知らないっ」
なつみは耳まで真っ赤に染めながら、素早くキッチンへと姿を隠した。
そんな彼女の後ろ姿が妙に可愛らしくて、思わず口元がニヤついてしまった。
- 400 名前:宇宙 13 投稿日:2002年06月07日(金)02時16分54秒
キッチンから優しいメロディを奏でた鼻歌が流れてくる。
「でもさ、久しぶりだよね。圭ちゃんがここに来るのって」
「そうだっけ?」
「そうだよぉ。誰と間違えてるの?」
「じゃあ、いつから付き合い出したんだっけ?」
「忘れたの〜?」
「・・・忘れてないよ」
ミネラルウォーターの入ったグラスを手にして、膨れっ面のなつみが戻ってくる。
「はい、お水」
「アリガト」
「そうやってなっちの事もすぐ忘れるんだ?」
ベッドに身を潜め、目元まで深く布団を被ったなつみが疑いの目線を圭に向けている。
そんな姿が微笑ましくて、圭はゆっくりとなつみに顔を近づけて囁くように言った。
- 401 名前:宇宙 14 投稿日:2002年06月07日(金)02時20分37秒
- 「忘れたら・・・」
「忘れたら?」
「忘れたら・・・もう一度出逢えるよ」
なつみはその台詞に、ギュッと布団を握り締めて顔を埋めた。
照れているなつみをよそに圭はまた星が降りしきる遠い空に目を向けた。
「アタシたちには出逢うわけがある。・・・・・・だからきっとまた出逢えるよ」
さっきまで少しだけ雲隠れしていた月が、満面の笑みを浮かべて星たちと共に光っていた。
- 402 名前:宇宙 15 投稿日:2002年06月07日(金)02時26分03秒
「え〜帰っちゃうの?」
「今日、早いんだ。・・・おやすみ」
いつものようにそっとなつみの身体を包みこんで軽いキスをする。
なつみの頬が桜色に染まるのを見届けてから、ドアノブに手をかけた。
「忘れ物だよ」
「ん? 何?」
「これ、カギ」
振り向いた先にあったのは少しだけ光沢を失った部屋の合鍵。
「もう来ないつもり?」
「そんな事ないよ」
「ねえ、今日の夜は来れる?」
「そうだなぁ・・・唄ってる時にサイン、送るよ」
「なんてサイン? ねえ、教えてよぉ」
「おやすみ」
ダダをこねるなつみに背を向け、圭はそのまま部屋を後にした。
- 403 名前:宇宙 16 投稿日:2002年06月07日(金)02時33分47秒
外に出ると、一日の始まりを告げるべく、東の空の彼方がうっすらと紅く染まっていた。
来た時と同じように、空を見上げるとまだ星たちが笑っていた。
(東京でも綺麗な夜空は見えるもんなんだなぁ)
スケールの大きなプラネタリウムを見つめながらそう思った。
「また、ここに来る時も今のように綺麗な宇宙が見れるといいな」
春の星座の下、圭は西の空へと傾いてゆく月に誘われるように家路へと向かって行った。
〜 『宇宙(そら) 〜N&K Oriental Love mix〜』 FIN 〜
- 404 名前:6 投稿日:2002年06月08日(土)16時23分38秒
- いいっす!!
向こうのお話も知ってるので二つを読み比べてみると
何となくこっちのお話の方が甘〜い感じがしました。
やっぱりうっぱさんのお話は暖かさがありますね。
新作の方も期待しています!
- 405 名前:ゆっちん 投稿日:2002年06月09日(日)03時36分30秒
- ははっ・・・・。
かっけ〜・・・・。
リアリティー溢れてる気がしたのは自分だけか?
うっぱさん!!!
尊敬してます!!
尊敬してる人の欄、今なら間違いなく記入してますよ。
『うっぱさん』と。
- 406 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月09日(日)04時12分49秒
- >404 6さん
圭 「(ニヤニヤ)」
なつみ「な、何?」
圭 「なっちゃんてすごぉ〜く甘えんぼさんだなぁ〜って思ってね」
なつみ「な・・・(カァ〜)」
圭 「あの娘と違うから頑張っちゃったよ」
なつみ「・・・・・・バカァ」
〜物陰から〜
梨 華「(シクシクシク)石川にも同じくらいに接して欲しかったですぅ」
>405 ゆっちんさん
なつみ「いいなぁ〜なっちも尊敬されたいよぉ」
圭 「アタシはしてるけどね、なっちゃんの事」
なつみ「たとえばどこ?」
圭 「教えない」
なつみ「教えてよぉ! ねえ、教えてよ、圭ちゃんってば!」
圭 (だって教えると単純だから、すぐ調子にのっちゃうんだもん)
- 407 名前:Tea Break 26 投稿日:2002年06月11日(火)03時27分18秒
- 『フィーバーフィーバー』
〜テトリスの勝負〜
圭 「また負けた・・・」
なつみ「へへっ」
圭 「もうやーめたっと」
なつみ「なっちに勝ったら1000円あげる」
圭 「(キラーン)ホントに?」
・・・・・・。
圭 「やったぁー連勝、連勝!!」
なつみ「なんかヤな感じ」
圭 「夕飯はなっちゃんのおごりー」
- 408 名前:Tea Break 27 投稿日:2002年06月11日(火)03時32分57秒
- 『わがままジュリエット』
〜今日から三日間のオフ〜
なつみ「どっか行きたいよ〜」
圭 「ん?」
なつみ「どっか行こーよ、ねぇ」
圭 「わかったわかった。どこ行く? 山は?」
なつみ「疲れる」
圭 「海は?」
なつみ「人が多い」
圭 「デパートは?」
なつみ「お金がかかる」
圭 「それじゃあ・・・えっと・・・」
なつみ「どっか行きたいよ〜」
圭 (堪えろ、堪えろ。ここで怒ったら負け、怒ったら負け)
- 409 名前:Tea Break 28 投稿日:2002年06月11日(火)03時37分42秒
- 『わがままジュリエット 2』
なつみ「夕飯カレーでいいかな?」
圭 「いいよ、別に」
なつみ「むうっ、ヤな言いかた」
圭 「カレーにして下さい(ニッコリ)」
なつみ「イヤイヤ言ってるでしょ?」
圭 「そんなことは滅相ございません」
なつみ「カレー作んない(怒)」
圭 (もぉ〜まるでお子ちゃまだよ)
結局この日の夕飯は・・・
圭 「なんでケーキとおはぎなの〜」
- 410 名前:Tea Break 29 投稿日:2002年06月11日(火)03時41分49秒
- 『圭ちゃんの反撃』
圭 「やっぱハ○太郎は可愛いなぁ」
なつみ「圭ちゃん好きなの?」
圭 「だって可愛いじゃん」
なつみ「そうかなぁ? なっちの方がよっぽど可愛いのになぁ(ちょっとした抵抗)」
圭 「当たり前じゃない!(キッパリ)」
なつみ「いや、あの、そんなにはっきり言われると・・・ごめんなさい」
- 411 名前:Tea Break 30 投稿日:2002年06月11日(火)03時46分36秒
- 『女性に必要なものとは?』
圭 「やっぱり女性には愛嬌と度胸が必要なんだぁ」
なつみ「!!!(ピューッ)」
圭 「ん? どこいったんだろ?」
数秒後、ドアの向こうから
なつみ「愛嬌で〜す(ニコッ)」
圭 「おー可愛いねぇ」
なつみ「度胸ですっ!(バッ)」
圭 「!!! ププーッ!!!(鼻血噴出)」
- 412 名前:ゆっちん 投稿日:2002年06月12日(水)15時43分47秒
- 圭ちゃん・・・・。
アンタ興奮しすぎだよ。
なっちの度胸ならそうなる気持ちもわかるけど・・・。
オイら的には圭ちゃんの度胸も見てみたいかも。
- 413 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月14日(金)02時54分21秒
- >412 ゆっちんさん
なつみ「圭ちゃんて意外に純情なんだね」
圭 「そういう問題じゃないと思うけど」
なつみ「だってあれぐらいで鼻血出すなんて」
圭 「っていうかなっちゃんて意外と露出願望あり?」
なつみ「ななな何言ってんのさ、そそそんなわけ、そんなわけ訳」
圭 (図星、か)
- 414 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月14日(金)03時02分27秒
- 『追っかけ』
圭 「花火でもやろっか」
なつみ「いいねぇ。でも、ねずみ花火がある。なっち苦手なんだよね」
圭 「なんで?」
なつみ「どんなに人がいても必ずなっちを追いかけて来るんだもん」
圭 「どれどれ(ポイッ)」
しゅるるる〜、パンッ!
なつみ「わっ!」
圭 「(ニヤッ)」
しゅるるる〜、「いやぁ〜」 パンッ!
しゅるるる〜、「やめてよぉ〜」 パンッ!
しゅるるる〜、「ひぃ〜」 パンッ!
なつみ「・・・(いつの間にか圭ちゃんに抱きついてる)」
圭 「すごいね。ホントに引き寄せてる(ニヤニヤ)」
なつみ「・・・こうなるの、予想してたでしょ?」
圭 「・・・バレた?」
なつみ「イジワル(ギュ〜ッ)」
- 415 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月14日(金)03時08分33秒
- 『物騒』
なつみ「ねえ、圭ちゃん。起きてよぉ」
圭 「ん? なぁ〜にぃ〜?」
なつみ「何か物音がするの。なっち怖いよぉ」
圭 「ふあ〜そりゃぁ大ふぇんらぁ」
〜物音がする場所へ〜
圭 「いい?」
なつみ「う、うん」
圭 「でーいっ!!(バン)」
なつみ「・・・・・・」
圭 「もぉ〜トイレぐらい一人で行けないとぉ」
なつみ「え?」
圭 「ここで待っててあげるから」
なつみ「ち、ちがーう!!」
圭 「ハイハイ、なっちゃんはまだお子ちゃまでちゅねぇ〜(ナデナデ)」
なつみ「違うんだってばぁ!!」
- 416 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月14日(金)03時15分23秒
- 『バイクと自転車』
圭 「友達がさ、バイクの免許取ったんだ。あたしも取ろうかなぁ」
なつみ「じゃあなっちも取るよ」
圭 「そんな無理しなくても、取ったら乗せてあげるって」
なつみ「もおっ、なっちも取るんだって」
圭 「大丈夫、大丈夫。ちゃんとカゴにちょこんと乗っけてあげるから」
なつみ「なんでカゴなのさー」
圭 「あははは」
なつみ「絶対取ってやるもん!」
圭 「でも、アタシそんなに走れないよ」
なつみ「へ?」
圭 「長い間、バイクの後ろ押さえることできないよ?」
なつみ「もおーバカにしないでよー。一人で乗れるよ!」
- 417 名前:6 投稿日:2002年06月15日(土)13時11分28秒
- なっちかわいすぎ!
圭ちゃんなにげにいぢわるなあなたにノックアウトです…。
ショートストーリーはほのぼの〜としてて
なんかほえほえ〜…って気分になりますね♪
- 418 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月16日(日)02時52分33秒
- >417 6さん
なつみ「ぶう〜、イジワルしすぎだよ,圭ちゃん」
圭 「はっはっはっ」
なつみ「いいもん、今度はなっちゃがお返しするから」
圭 「フッフッフ(ねずみ花火に点火)ホレ」
しゅるるる〜 パンッ!
なつみ「うわっ! もうヤメテってばぁ」
圭 「なっちゃんの弱点見ぃ〜けたっ(ニヤッ)」
なつみ(クソォ〜)
- 419 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月16日(日)02時57分40秒
- 『移ろいゆく日々』
〜今日は圭ちゃん宅へお泊まりしたなっちゃん〜
なつみ「あっ、アルバム見っけ」
圭 「あっ、それは・・・」
なつみ「きゃぁ〜赤ちゃんの時の写真だぁ。可愛い〜。
こんな時もあったんだねぇ〜」
圭 「(ムッ)それじゃ今のアタシに何か不満でも?」
なつみ「これからは二枚目の圭ちゃんしか見れないんだぁ〜(しみじみ)」
圭 「ななな何を、言って言って言って・・・(真っ赤)」
- 420 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月16日(日)03時04分33秒
- 『素の圭ちゃん』
圭 「今日はアタシがご飯作ったげるよ」
なつみ「ホントー!? じゃあ今日はなっちが圭ちゃん役だね」
圭 「そういうこと。ゆっくりしててよ」
なつみ「じゃあいつもの圭ちゃんのように・・・」
そう言ってソファーに寝転がり寝てしまうなっちゃん
圭 「???」
なつみ「んごぉ〜、ふがぁ〜」
圭 「ちょ、なんでいびきかくのさ?」
なつみ「いっつもそうだよ」
圭 「ええっ!?」
なつみ「うにゃうにゃうにゃ・・・なっちゃぁ〜ん、
愛してるよぉ〜(クッション抱えてキス)」
圭 「!!! そ、そこまで真似しなくて・・・」
なつみ「もぉ離さないよぉ〜(更にキスの嵐)」
圭 「もういいってばぁ!!」
- 421 名前:Tea Break 投稿日:2002年06月16日(日)03時10分14秒
- 『心配性?』
なつみ「骨が折れちゃったぁ」
圭 「だ、大丈夫!?」
なつみ「傘だよ」
圭 「なんだ・・・(ホッ)」
なつみ「あっ、財布落としちゃった!」
圭 「ど、どこで!?」
なつみ「床に」
圭 「怒るよ」
なつみ「ああっ、盗まれちゃった!!」
圭 「な、何を!?」
なつみ「ハート」
圭 「ハート?」
なつみ「圭ちゃんに盗まれちゃった」
圭 「あ、あの、その・・・・・・」
- 422 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月25日(火)14時35分22秒
- 【ご報告】
『恋情 〜きっと離れられない二人〜 』はこれにて終了します。
現在、3rd Impression を執筆中ですが、
まだ1/4程度しかできあがってません。
と同時に次作のお話も進行中です。
こちらも圭ちゃんとなっちゃんが主役です。
長い間、ご愛読頂いた読者の方々にお礼申し上げます。
ではまた。
See you again!
- 423 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月25日(火)14時52分05秒
- 今まで読んでいたのですが、レスをつけられず、
終わった今回、レスをつけるなんて、
不届きなことで申し訳ありません!
実はすごいうっぱさんのファンです。
影響を受けて、私も現在やすなちをHPでちょこちょこと書いてます。
ステキなお話をありがとうございました!
次の作品も期待してます!
- 424 名前:ゆっちん 投稿日:2002年06月25日(火)17時11分05秒
- 久々に参上〜〜!っって、終わりっすかぁ!?
お疲れさまとも言いたいけど、少し残念っす。
それで、3rdは書かないってことっすか?
自分もかなり影響うけてて、圭攻に萌えてます。
これからもがんばってください。
- 425 名前:うっぱ 投稿日:2002年06月27日(木)03時23分29秒
- >423 名無し読者さん
HP拝見したいのでよろしければ教えて下さいませんか?
これも何かの縁という事ですので(どんな縁だ?)
>424 ゆっちんさん
3rdは執筆中です。
皆さんが忘れた頃(?)にこっそりと始めます。
- 426 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月02日(火)11時27分04秒
- 423なんですけど、どうしましょう。
縁なのでなんて言われてしまってちょっと嬉しいのですがw
まだこのサイトで自分を明かすくらい勇気がないもんで…。
メルアドとか教えていただければ、
お教えするのですけども…。
どうでしょう?
傲慢で申し訳ないですー。
- 427 名前:うっぱ 投稿日:2002年07月03日(水)16時18分18秒
- >426 名無し読者さん
お便りお待ちしております。
今後ともよろしく願います。
- 428 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月04日(木)13時06分28秒
- うっぱさま。
メール欄にメッセージが入ってる場合はどうしたらいいんですか?
なんか隠しコマンド(意味不明)とかあるんですか?
いっぺん送ってみようと思ったらできなかったので…。
すいませんー…。
- 429 名前:うっぱ 投稿日:2002年07月04日(木)14時29分20秒
- >428 名無し読者さん
ごめんなさい。
素で間違えました。
- 430 名前:うっぱ 投稿日:2002年07月15日(月)02時27分38秒
- ここでの更新はホントにお終いです。
それではまた今度。
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