ナイフと封筒

1 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)18時25分18秒
 中学校にあがるときに横浜でジャングルナイフを1本、買った。
 ここ3年間貯めていたお年玉が全部吹っ飛んだ。
 それは皮製のベルトであたしの右腿に留められている。
 破られたスカートのポケットからいつでも取り出せるあたしの精神安定剤。
2 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)18時32分59秒
「まこっちゃん?」
 ふいに腕を引っ張られて立ち止まる。
「ああ、やっぱそうだまこっちゃんだなっつかしぃなぁあたしのこと覚えてない? ほら小学校のとき一緒だった」
 クリスマスだった。雪がちらついてて朝から寒くて3年前の事故の後遺症でまともに動かなくなった右足をひきずりながら、自分の吐く白い息にうんざりしながら昇っていた駅の階段。
「あー髪パーマあてたんだねぇすごい大人っぽくなってたから一瞬わかんなかったけどだけどまこっちゃんはやっぱまこっちゃんだし」
 この人はいったいどこで息継ぎをしてるんだろう?
3 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)18時39分54秒
 発作的な咳のように一気に言葉を紡ぎ出すビー玉のように黒い眼をした線の細い美少女(と言っても差し支えがないだろう)
「だれ?」
 うざそうにそう言うと、彼女は輪ゴム鉄砲でも食らったようにきょとんとしたような表情をした。
 マンガみたいだった。
「あー、覚えてないかな。あたし」
「悪いけど」
「アイだよアイ。タカハシアイ。高い低いの高いに日本橋の橋でタカハシ。そんでもって愛情の愛と書いてメグミって読まずにアイと読むタカハシメグミ」
 名前を聞いてもわかるわけがない。
 私には3年よりも前の記憶がない。ないものは思い出せるはずもなかった。
「そう」
「ひどいよー幼稚園小学校と6年も同じクラスだったじゃんよー」
4 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)18時47分07秒
「とゆーかその前に突っ込んでよ。そこはタカハシアイだろって。ちょっとーねぇ、まこっちゃんってば。ノリ悪いよー、ノリ。何とか言ったらどうよ?」
「なんとか」
「そーじゃなくて、いやそれでもいいんだけど、つーか、あんたホントにまこっちゃん? オガワマコトで合ってる?」
 その前に名乗った覚えもありませんが。
 けど、名前は合っていた。あり得る話だ。
 ここが自分が産まれてから小学5年生まで過ごした場所だということは、一昨日貰った資料に書いてあった。
 昔の知人に会わないはずもない。
「たぶんひとちがい」
「えー・・・だってどっから見たってまこっちゃんじゃんよー・・・」
「いそぐから」
5 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)18時56分10秒
 微妙に足をひきずって3番線のホームに下りる。
 反対側のホームにはタカハシアイがもの問いたげに私を見ていたが、私はきわめて完璧にそれを無視した。
「だれ? 知り合い?」
 イシカワさんが傍目にはそうとはわからないように私の耳に囁いた。チラリと視線を走らせるとイシカワさんの目線はあさっての方角を向いている。双眼鏡で覗いていたって我々が会話しているようには見えないだろう。
「いいえ。全然」
「そう・・・それならいいわ。くれぐれも」
「契約の内容は完全に頭に入ってます。ご心配なく」
「・・・」
 ホームに入ってきた電車の音で会話は途切れた。
6 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)19時21分13秒
 イシカワリカ。
 仕事上のパートナーという名前の体のいい監視役だった(逆を言うなら、彼女の監視役は私であるのだけど)

 司法取引という言葉がある。
 刑事事件で検察官と被告弁護人が法廷外で話し合い、決着を図る制度のことだ。検察側が起訴事実の一部を取り下げたり、軽い罪名に変更するかわりに、被告側が罪を認める場合が多く、裁判費用と時間の節約につながるとされる。
 ではすでに結審した事件で、罰の軽減を目的に司法機関と取引することを何というのか。その言葉を私は知らない。
 知らないが、私たちはそれなのだ。
 名目上私たちはは『保護観察処分中』で釈放されていることになる。
 その一方で、私たちの身分は別にある。国家権力が発行した身分証が印刷された黒い手帳とともに。

 学生刑事。

 私たちはその名で知られている。
7 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)19時39分22秒
 もっとも私たちに逮捕の権限はない。
 警察側からは潜伏捜査しにくい学校施設に生徒として潜入し、物的証拠を稼ぐだけである。
 殺傷力のある武器も支給されない。
 情報もマスクされたものしか入手できない(ひどいときは最有力容疑者の名前すら伏せられる。未成年である被疑者の人権を考慮しての措置らしい)
 それどころか自由すらない。
 パートナーの規則からの逸脱を密告するだけで、自由になれるためのポイントを稼ぐことができるのだ。
 学生刑事なんてバカバカしいことこの上ない矛盾だらけのシステムだった。
8 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)19時49分33秒
 私たちがこれから潜入するのは、『海星女学園』という私立のお嬢様学校である。
 幼稚舎から小中高大と18年間の一貫教育で浮世離れしたお嬢様が出来あがるって寸法。
 そこの高等部で殺人事件が起きた。しかも連続。これまでに3人が死んだ。
 3年生2人。2年生1人。
 それとイシカワさんの前のパートナーで、全部で4人。
 彼女らは全員、手芸部に所属していた。
9 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)19時55分25秒
うお。他のスレに風穴を開ける雰囲気ですね。
10 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)20時39分36秒
デス・ゲームと同時開催でびっくりしました。オリジナル・パクり(なにそれ)で
バトルものと微妙に路線が・・・恐い偶然ですね(^^;

>>9 ども。よくみれば圧倒的にバトルものが多いですね緑板。適当によろしくです。
11 名前:サカナ 投稿日:2001年12月24日(月)20時56分14秒
12 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時22分16秒
「吉澤せんぱぁい、こんなかんじでいいですかぁ?」
 中等部の3年生がひとしごとを終えた充実感に頬を上気させて勢いよく振り返った。
 ストレートの髪がさらっと流れて彼女の美少女ぶりを印象付ける。
 中等部一の美少女として近隣校にまでその名が知れ渡っている高橋の愛ちゃんだった。
「んー、ナイスあいちゃん! まさにっそんなかんじっ!! ベリぐッ」
 あたしは髪をかき上げながら笑顔で親指を立てる。この仕草は後輩にものすごくウケがいいのだ。
 十中、八、九――
13 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時29分48秒
 ―― 頬を赤らめて眼を伏せられるか。
「あははっ、なんですか先輩、それぇ。へんへんへん。へんですよ絶対へーん!」
 大爆笑される。どうやら彼女は後者だったらしい。
 仕方ないので、あたしも笑った。
「ま、これで完璧ってとこかな。さすが手芸部」
 1−3の教室の半分が家政部、残り半分が我が手芸部のクリスマスバザーのブースになっている。
 天皇誕生日である祝日のあとのクリスマス当日、海星女学園では生徒会主催のバザーが開かれる。
 生徒会主催という学校行事というよりは自主参加のボランティアな行事ではあるんだけど、ほぼ全校生徒が参加する。
 普段は女の園である構内が一般開放されるとあって、文化祭なみに盛りあがる行事だった。
14 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時36分45秒
 一般開放といっても、実際のところ招待券が渡された生徒の父兄とその友達がやってくるのがせいぜいってところなんだけど。
 バザーに出品されるのも、全国レベルの文化部生徒による手びねりのぐい呑みから、書道師範代の書跡、全国高校文化祭出品レベルの生徒の筆による油絵やら日本画、麗しい手の込んだレース編みに、なんとか流の家元の娘が生けたという見事な華々など華やいだ品物から、押し花にした栞にパンチで穴を開けた他愛のないものまで、千差万別だった。
 見映えがする商品が人気があるというのかというと、そうでもないのが面白いところで、人気のある生徒の出した品物なら、なにがなんでも手に入れたいというのが人情というもので。
 たとえばあたしなんかが出品すると、フェルトにパンヤを積めただけのマスコット人形なんかが飛ぶように売れたりする。
 いや、まじで。
15 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時42分39秒
「一般開場って何時からでしたっけ、先輩?」
 そわそわしたように時計を見上げて、愛ちゃん。
「10時。あと30分ね。なに、どこか回りたいとこあんの?」
「ええ、ちょっと・・・」
 ふっと言いにくそうに視線を落として、愛ちゃん。
「ははーん。わかった。書道部ね?」
 ずばっと答えると、愛ちゃんの頬はぱぱぱーっと朱に染まった。わかりやすいコだ。
16 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時48分45秒
 書道部の五年生に市井紗耶香がいる。
 なんでも書道の師範代だとかで、彼女の書跡は実に見事なものだという。興味ないからどんなんか知らないけど。
 去年は5枚しか出品されていなかったそれを市議会議員夫人が合計10万円で競り落としたという逸話があるぐらいだとか。
 彼女の神秘的な美貌とその高級感のある伝説があいまって、彼女の作品は全校生徒の垂涎の的、だという話だ。ま、どうでもいいけど。
 全部が全部でどころのあやしげな噂っぽいのは、わざわざこのあたしに市井先輩の話をするような人間がいないからだ。
 なぜかなんて理由を説明する気はないけどね。
17 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)00時54分51秒
「いいわよ、いってらっしゃい。開場までには帰ってきてね」
 笑顔、ひきつってないといいんだけど、で手を振ると、愛ちゃんはうれしげに頷いた。この調子じゃ露骨にヤな顔してても絶対気付かないって勢いだ。
「はぁい。必ずっ!!」
 元気よく返事をしながら扉を開けて、前も見ずに走りだそうとする。
「わ」
「きゃっ」 
 出逢い頭の衝突事故が起こるのも必然だね、こりゃ。
18 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)01時17分03秒
m-seek内では稀な文章力!期待。
19 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時21分40秒
「大丈夫、愛ちゃん? 立てる?」
 扉から顔を出して外を窺う。
「すみません先輩、なんとか大丈夫みたいです・・・」
 派手にこけてた愛ちゃんの腕をひっぱって立たせてやる。
「まぁね。そりゃあ人一人下敷きにしてればね・・・」
「・・・え?」
 愛ちゃんは今はじめて気がついたってなふうに、おそるおそる地面を見る。
 真新しい制服に身を包んだ少女が一人、スライディングでスチールでも決めたかのような格好で横たわっていた。
「あ・・・わぁ、ごめんなさいごめんなさい」
 愛ちゃんは慌てて、倒れていた少女を抱き起こした。
20 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時32分23秒
「まこっちゃん・・・?」
 愛ちゃんが呆然としたように呟く。
 少女は憮然としたように愛ちゃんの手を振り払った。
「・・・知り合い?」
「え? う、うん。たぶん・・・」
「違います」
 曖昧に肯定しようとした愛ちゃんの言葉を遮って、少女はきっぱりと否定した。
 不思議と印象に残る少女だった。
 意思の強そうな瞳。
 あてられたばかりパーマっ気のあるうっすら脱色された髪。
21 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時33分46秒
>>18 どもです。稀な悪筆、ってことでしょうか? 七転八倒してます(w
22 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時42分11秒
「うちのクラスの転校生なの。小川さん」
 まるで場にそぐわないおっとりとした声。
「梨華ちゃん・・・」
「ごきげんよう、吉澤さん」
 近隣の学校に伝説的な人気を博した安倍先輩が卒業した今、高等部一の美女と名高い石川梨華が、写真に撮ったら1枚1000円は下らない値段が付きそうな完璧な笑顔でそこにいた。
 今時まるで流行らない、汚い言葉は死んでも使わないという誓いでも立てているらしい教師なら誰でも一度は夢に見るような理想的な女学生の姿を体現している。
 まさに絵に描いて額にいれたような優等生。
23 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時49分45秒
「やたら転校生多いわね、うちのクラス」
 この石川梨華も今年の4月に転入してきたばかりだった。それで2学期のクラス委員になっているのだから、先生方の信望も並大抵のことではない。
「そうねぇ・・・人数がほかのクラスよりも少ないからじゃないかしら?」
 梨華ちゃんはおっとりと答えた。
 そう、確かにうちのクラスはほかのクラスに比べて人数が少ない。今年になってから2人ほど『不慮の事故』で亡くなっている。
「あ、じゃあ4年生、なんだ・・・」
 愛ちゃんは気が抜けたように呟いていた。聞き流したその言葉を、もう少し深く追求しておけば良かったと思うのは、それからかなり経ってからのことだ。
24 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)01時50分40秒
■==+==+==+==■
25 名前:flow 投稿日:2001年12月25日(火)10時32分14秒
始めまして、デスゲーム書いてるものですが、自分も書き始めたときびっくりした
クチです(w
それにしても、すごい偶然ですねー!!しかも内容が、めちゃめちゃ頭良さそうな
展開でびっくりです!
一読者としてこれからも読ませていただきますので、よろしくお願いしま〜す。

26 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)14時47分24秒
カタ○の小川萌えっ
27 名前:ミカ・ニネン 投稿日:2001年12月25日(火)17時38分00秒
ども、最近緑の住人になったものです。

>>10
>ども。よくみれば圧倒的にバトルものが多いですね緑板。適当によろしくです。
といわれて、そーいえば私の書いてるのもバトルものだなぁと、
今さらながら気が付いた今日この頃。
クルマが出てくるとか、人死には出なそうとか、違う点もあるけど(笑

読みやすい文章でよろしいですな。
まぁ、ちょくちょく読んでいくんで、よろしくなぁ〜
28 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)18時12分52秒
>>25
ありがとうございます。思わず最初の人物表と照合しながら書いてしまいました
(でもなんか間違ってるというか1学年飛ばしてしまった気が・・・紺野が入る
場所が・・・あああ) こちらも更新楽しみにしています。
>>26
実は自分がリハビリ中です。てかマッサージに行ったら余計に痛く!Σ(T△T)
>>27
こちらこそよろしくです。読みやすいですか? ウーン(^-^; 正直、四苦八苦して
います。F1はミカ・ハッキネンという人名を聞いたことがあるけど何者か判ら
ないレベルですが、リザルトを出すのは面白いですね。
29 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)18時13分25秒
■==+==+==+==■
30 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)22時14分01秒
 スカートの埃を払って立ち上がると、私は後ろも見ずに歩き始めた。
 イシカワさんは、やたら美形の女生徒と二言三言会話を交わして、小走りに追いすがってきた。
「きのうのコね」
「さあ。覚えてませんね」
「・・・そうなの?」
 イシカワさんは上目遣いに探るような視線を向けてきた。
「あいにく記憶力は悪いほうなんで」
「まった。聞いてるわよ、編入試験の成績。満点合格で文句なしだったって」
 イシカワさんは苦笑した。
31 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)22時20分02秒
「資料ってそんなことまで回されるんですか?」
「まさか」
 露骨に不機嫌になった私を、イシカワさんは一笑に付した。
「さっき聞いたのよ。職員室で担任の先生から。今度来る転校生は優秀だって」
「ああ、そうですか」
「態度悪いね、キミ」
 イシカワさんはしかつめらしい顔でくるりと振り返って人差し指を付き付けた。
「そんな態度じゃ悪目立ちしちゃうぞ」
 どんなふうに目立ってもイシカワさんやタカハシさんや先程の女生徒ほどは目立たないと思う。
 思わず浮かんだ厭味な台詞を呑み込んだ。
32 名前:サカナ 投稿日:2001年12月25日(火)22時31分31秒
「どっちにしろ転校生なんて目立つ存在ですからね。愛想が悪ければ、そのうち誰からも相手にされなくなります」
「ばかね。人生、楽しまなくっちゃ損よ。そう思わない?」
 あまり。
「折角の学生生活、満喫しなきゃ。無くしてから勿体無いなんて思ったって遅いのよ」
 どこか芝居がかった口調でイシカワさん。もっともイシカワさんが芝居がかってなかったことなんて、無いんだけど。
「だいたい完了する任務があると思ってるの?」
 だから、周囲の喧騒に呑み込まれそうなほどの小声で、殆どひとりごとのように呟くような声で言われたその言葉を聞き逃さなかったのは奇跡に等しい。
33 名前:よっしー 投稿日:2001年12月25日(火)22時59分15秒
セリフがかっけー
34 名前:サカナ 投稿日:2001年12月26日(水)02時35分11秒
■==+==+==+==■
35 名前:サカナ 投稿日:2001年12月26日(水)02時37分27秒
>>33
有難うございます。これからもベタな科白の応酬になるかと思いますが。
36 名前:サカナ 投稿日:2001年12月26日(水)22時22分18秒
■==+==+==+==■
37 名前:サカナ 投稿日:2001年12月26日(水)22時55分39秒
 ここにいるはずのないひとだった。
 どこにもいないはずのひとだった。
 あたしはそれを識っていた。
 ぎんいろのメリー・ゴーラウンド。
38 名前:サカナ 投稿日:2001年12月26日(水)22時56分02秒
■==+==+==+==■
39 名前:サカナ 投稿日:2001年12月27日(木)02時40分44秒
「今のはだれ?」
 私語は無駄だ。無駄なことは趣味ではない。イシカワさんの主義主張は事件解決には何ら寄与すまい。
 私は頭を切り替えた。
 イシカワさんの表情も真面目なものに変わる(別の言葉で表現すれば、無表情になった、とも言う)
「背の高いほうが吉澤ひとみさん。私たちと同じ4−2よ。背が低いほうはたかは」
「中等部生の名前はいらない。聞くだけ無駄」
「なんで知ってるの?」
 遮った私の言葉に、イシカワさんは鋭く切り返した。
40 名前:サカナ 投稿日:2001年12月27日(木)02時54分16秒
「クラス章が付いてたでしょう? 胸のとこ」
 私は自分のそれを指し示した。4−2とだけ書かれた素っ気無いブルーの小さなピンスが留められている。
 彼女のピンスには3−2とあった。一学年下だ。
「目ざといのね。さすが満点とるだけあるわ」
 イシカワさんの声音には、本当はまだ中学生のくせにという揶揄が含まれている。
 私は溜息を吐いた。
「丸暗記しただけですよ」
 編入試験の解答は事前に渡されていたのだ。すべて選択問題で、文章問題がまるでなかったのが幸いした。証明問題や作文を求められたらお手上げだった。
「記憶力ないって先刻言ってなかった?」
41 名前:サカナ 投稿日:2001年12月27日(木)03時01分18秒
「暗記と記憶とは全然別ですね。テニスとバトミントンぐらい違いますね」
「元テニス部部長から言わせてもらうと、殆ど同じよ、それ。ポートボールとバスケットボールぐらいには似てるわよ」
「訂正します。テニスと羽子板ぐらい違います」
 時折、笑い声を上げながら私たちは情報を伝達した。
 手芸部にはあと3人、5年生の矢口、4年生の柴田、3年生の紺野という人がいるという。
 亡くなった手芸部の生徒は、6年生が村田と斉藤、5年生が大谷という名前だったそうだ。
42 名前:サカナ 投稿日:2001年12月27日(木)03時09分30秒
「5年生とか6年生という数え方がややこしい」
「中等部2年生、高等部2年生と呼ぶよりはややこしくないわよ」
 私の文句に、イシカワさんはアッサリと切り返した。
 手芸部の亡くなった3年生や2年生というのは要するに高等部の3年生と2年生のことで、この学校ふうに言うなら6年生と5年生になるのだという。
「小学校が無視されるのも納得いかない・・・」
「十年生、十二年生なんて却って呼びにくいじゃないの」
「どっちもどっちだよ」
 私は呆れて言った。この学校には色々と特殊な規律や決まりごと、習慣がある。
 べつのときにこの学校に来ていれば風雅に感じたかもしれない。
 しかし、今の私にはすべてが不合理で無駄に思えて仕方がなかった。
43 名前:サカナ 投稿日:2001年12月27日(木)03時10分49秒
■==+==+==+==■
44 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月28日(金)12時36分54秒
このお話、好きです。がんばってください。
45 名前:サカナ 投稿日:2001年12月28日(金)23時47分22秒
>>44
有難うございます。今回こそはなんとかしたいッス。頑張ります。
46 名前:サカナ 投稿日:2001年12月28日(金)23時52分44秒
■==+==+==+==■
47 名前:サカナ 投稿日:2001年12月29日(土)00時04分14秒
くるくるまわるぎんいろのひかり。
まっしろなゆきにさく赫いはな。
じんじんとしびれるわたしのひざ。
かみさま、ここはとてもさむいです。
48 名前:サカナ 投稿日:2001年12月29日(土)00時04分49秒
■==+==+==+==■
49 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)00時34分39秒
うまく言えないんですが…凄くイイっ!
ドキドキしながら読ませて戴いてます
50 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)01時23分09秒
いいですね。
娘小説でアグレッシブなスタイルってあんまりないんだよね。
エスパー真希とかかな。
51 名前:サカナ 投稿日:2001年12月29日(土)02時17分14秒
>>49
ありがとうございます。最後まで持続させることができればいいのですが。
>>50
エスパー真希はエキサイティングでしたね。幕の引きかたが鮮やかでした。
52 名前:サカナ 投稿日:2001年12月29日(土)17時23分40秒
■==+==+==+==■
53 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)00時35分08秒
>>52
パパの嘘つき・・・
54 名前:サカナ 投稿日:2002年01月10日(木)01時51分20秒
>>53
少し書き溜めてからまとめて更新しようと思います。
55 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月12日(土)00時38分22秒
>>54
うぃ。気長に待ってます。
56 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月12日(土)11時08分54秒
花って……もしかしてあれかな?
ほほお……なるほど。
57 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)02時58分57秒
>>55 ありがとうございます。
>>56 あれがどれを差しているのかわかりませんが、正解なら見苦しくて申し訳ない。
58 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)02時59分37秒
■==+==+==+==■
59 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)09時35分01秒
「吉澤先輩、あの、これ、一生懸命作ったんです」
「ああ、ありがとう。クッキーだね」
「よかったらみなさんでどうぞ」
「わぁ、マフィンか。ありがとう。みんな喜ぶよ」
「これ、食べてください」
「ありが」
 押し付けるだけ押しつけられて、猛ダッシュで去っていく下級生たちの背中を見ながら、あたしは溜息を吐いた。
 一人で店番してると、次から次へとひっきりなしに誰かがやってきて、差し入れを押しつけてさっていく。
 それはそれで可愛らしくはあるんだけど、さすがに受付に山のように積み上げられたそれらを一人で食べようと思ったら1週間はかかるだろうし。それに手作りモノって割とNGなんだよな。高熱でよく火が通ってるクッキーならともかく、マフィンはちょっとやばい。この前も、調理実習で作ったとかいう鮭のムニエルもらって、お腹、壊したんだよなぁ……
 よし。次に来たお客さんに少し押しつけちゃえ。全部食べ切れないからって言えば、きっとカドも立たない(たぶん)。よし決めた。
「あの……」
60 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)09時46分50秒
「このマスコット、売り物なんですか?」
 さっき梨華ちゃんと一緒にいた転校生だった。
 山積みされたマスコット人形をいくつか手にとって眺めている。
「ええ。ひとつ300円よ、オガワさん」
「これ、中身なにが入ってるんですか?」
「パンヤだけど?」
 オガワさんは哲学的な顔をして考え込んだ。
 あたしは、その間もひっきりなしにやってくる下級生たちの差し入れやら買い物やらを華麗にさばいた。愛ちゃん、早く帰ってこないかな……
「……人形の胸のとこのボタン、誰のアイディアなんですか?」
 しばらく経って、その存在も忘れた頃、オガワさんが口を開く。
「誰だったかな……愛ちゃんだったと思うけど。家で大量に綺麗なボタンが余ってるから使いたいって……可愛いアイディアよね」
61 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)10時17分40秒
「愛ちゃんて、さっきの?」
「そうそう。元気なコでしょ? いっつも走りまわってるの」
「そんな感じですね」
 オガワさんは軽く頷いて、マスコットをふたつ買った。
 ひとつは赤いボタン、もうひとつは青いボタンのアクセントが付いたものだった。
「毎度ありがとうございました」
 声を掛けると、オガワさんは振り返って少し笑った。笑うと印象が華やかになる。綺麗な笑顔で笑うコだった。
「っただいまかえりましたーっ!」
 そんなオガワさんの向こうにある扉が勢いよく開き、一気に叫ぶようにして愛ちゃんが戻ってきた。例によって例のごとく前も見ずに。
 鈍い音がして、オガワさんも愛ちゃんも引田天功のマジックのように視界から消えた。
62 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)10時52分40秒
「……大丈夫……?」
 受付からやっとの思いで声を掛けると、愛ちゃんはおもむろに顔をあげて、あたしのほうを睨みつけた。
「だいじょーぶじゃないですっ……っていうか先輩っ、笑ってるでしょ?!」
 人差し指をつきつけてくる。もうだめ。苦しい。
「や、だって、二人ともオカシすぎだって……ヨシモトじゃないんだからさ」
「二人って……うわっ」
 本気で今頃オガワさんの存在に気付いたように愛ちゃんがびびったのがおかしくて、また笑った。
 オガワさんは憮然として新品だった制服の埃を払って立ち上がる。
「ごめんね何度も。ほんっとゴメンナサイ」
「別に。こちらも不注意だったから」
「……」
 急に無愛想になった(そりゃそうだ。あんなに何度もぶつかられちゃね)オガワさんの顔を、愛ちゃんは失礼なぐらいまじまじと見た。
「ねぇオガワさん。オガワ先輩、やっぱりあなたものすごくあたしの知り合いに似てるんだけど! 名前教えてよ、フルネーム」
 開場のチャイムが鳴る。
63 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)11時05分24秒
 やば。机の上の差し入れ、なんとかしなきゃ。
「オガワさん!」
 名前を呼ぶと同時に、レースのハンカチーフでくるまれたクッキーを投げる。
 オガワさんはびっくりしたような顔をして片手でキャッチした。
 それがあまり鮮やかだったので、面白くなってもうふたつみっつ投げた。
 オガワさんはそのすべてを見事に取る。これだけの反射神経と運動能力があるなら、一日にそう何度も愛ちゃんにぶつからないと思うんだけどな……
「それあげる。後輩のお詫び」
「……、ありがとうございます」
「敬語要らないわよ。同級生なんだから」
 オガワさんは会釈をして、教室から出ていった。
「ああもう、先輩のせいで聞けなかったじゃないですか〜」
「愛ちゃんさあ。いくら転校生とはいっても先輩なんだから。言葉はきちんとしておかないと。名前教えてって何よ。オガワさんでしょ?」
「や、苗字じゃなくて名前が……」
「口ごたえしないの。悪いところは認めなさい」
「はい。すみませんでした」
 あたしは先輩らしく愛ちゃんを嗜めた。
 あとから思えば、ここは突っ込んで聞くところだったんだよなぁ……何度でも言うけど。
64 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)11時06分31秒
■==+==+==+==■
65 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)23時08分32秒
 廊下を歩きながら、今買ったばかりの赤いボタンと青いボタンのマスコット人形をお手玉にしてみる。
 3回続けたところで、青いボタンの人形を取り損ねた。
 なるほどね。
 納得して人形を拾おうと身をかがめると、細い足が視界に割り込んだ。
「どこ行ってたの? 買い物?」
 聞きながら、代わりに拾ってくれた。
「ちょっと、気になることあって。イシカワさん、ソーイングセット、持ってます?」
「持ってるけど?」
「貸してもらえますか? ハサミ」
 イシカワさんは少し不思議そうに小首を傾げて、制服の胸のポケットからピンク色のソーイングセットを取り出した。
「何を……あっ」
 私は、小さなハサミでフェルトの両端を留めた縫い目を切っていく。
 白いパンヤの中から、ナフタリンでも入れるような小さな透明な袋のなかに黄色い粉末がパッケージされたものが出てくる。
 私は袋を指でつまみあげて、目の高さに持ち上げた。
「どういうことか説明してくれます?」
66 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)23時23分14秒
「どこで買ったの?」
 イシカワさんは視線を落とすようにして早口に言った。
「貰った資料のことなんですけど」
 とりあわずに耳元に低く囁くと、イシカワさんは少し怯んだ。
「抜いてましたよね、何ページか」
「気付いてたの?」
「図星でした? あてずっぽです」
 イシカワさんは唇を噛んで、私を睨み付けるようにした。
 ざわざわとした人の気配が近付いてくる。廊下の窓から見下ろした校庭には、校内に向かう父兄たちの姿が見えた。
 私は粉末をポケットにしまった。
「だってそうでしょう? 数が全然合わないんですから」
 イシカワさんは髪をかきあげると溜息を吐いた。
「説明するわ。来て」
67 名前:サカナ 投稿日:2002年01月14日(月)23時31分17秒
■==+==+==+==■
68 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)00時17分53秒
>>67
何のURLかと思ったら・・・
69 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)02時56分51秒
おお更新されてるよ!まだ読んでないけど。あいだ空け過ぎ。
70 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)04時15分43秒
お待ちしとりました
読んでる時のドキドキ感がたまらないです
(* ´D`)
71 名前:サカナ 投稿日:2002年01月15日(火)23時27分51秒
>>68
あっ。。。それはネタバ(略
>>69
これほど間隔が空くことはもうないでしょう。たぶん。
>>70
有難うございます。最後まで引っ張ることができればいいのですが。
72 名前:サカナ 投稿日:2002年01月15日(火)23時32分40秒
■==+==+==+==■
73 名前:サカナ 投稿日:2002年01月18日(金)02時30分05秒
「ご質問は?」
――まず貴方のパートナーの名前と、死因から聞きましょうか。
「手元に資料がいってなかった?」
――イニシャルがKYで墜死としか書かれてませんでしたね。
「それだけ?」
――ええ。彼女はいつ亡くなったんですか?
「先々月上旬。体育の日よりは前だったかしら。中間考査に重なってたわ」
――連続殺人事件が起きたのも、時期的にはそのぐらいですよね。
「そうね」
――貴方はいつからこの学校にいるんですか?
「どうして?」
――二学期も半ばに転入した生徒に学級委員をやったりはしませんよね?
「……」
――そろそろ『私』の本当の『任務』を教える気になりませんか?
74 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)01時37分20秒
( ´D`)ノちょっとだけ更新されてて嬉しいのれす
75 名前:サカナ 投稿日:2002年01月19日(土)17時08分33秒
 開け放った天窓から冬の冷気が流れ込む。
 どこからかジングルベルが聞こえてくる。
 嵌め殺しにされたステンドグラスが、階段室を豪華に彩っていた。
 イシカワさんは私から視線を逸らして、風になぶられた髪を耳の後ろへとまとめた。セミロングの髪が肩を撫でるように踊る。
「だから、連続殺――」
「嘘はわかりますよ。あなたは事件が起きる前からこの学校にいた。違いますか?」
 イシカワさんは私から完全に背中を向けた。背中を丸め、首を傾げていて、普段の姿勢の良さはどこかに消えていた。
 動揺している。もう少し押せば、何かを得られそうな手応えがあった。
「ねぇ、どうして貴方の元パートナーは死んでしまったんですか?」
「……もぅやめて……」
 イシカワさんが声を絞り出すようにして言った。
 この反応は意外だ。
 私の言葉は、明確に弱点を突いていた。ここを突けば確実に彼女は崩れるだろう。しかし、それは私の予測とは違った。なぜ、ここで崩れるんだろう?
 用意してきた科白を言うべきか一瞬迷って、結局私はそれを口に乗せた。
「貴方が殺したんじゃないんですか?」
「違う! 違うわ! あたしじゃない!!」
76 名前:サカナ 投稿日:2002年01月20日(日)18時14分32秒
■==+==+==+==■
77 名前:サカナ 投稿日:2002年01月20日(日)18時52分08秒
>>74 そう思ってもらえて自分も嬉しいのです。

あと2シーン程度で終わる計算ですが、どうなることやら…
78 名前:サカナ 投稿日:2002年01月20日(日)22時38分06秒
■==+==+==+==■
79 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月26日(土)03時12分03秒
放置かゴラ
80 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月26日(土)05時39分55秒
>>79
落ち着け、まだ一週間もたってないぞ。
81 名前:サカナ 投稿日:2002年01月26日(土)17時01分54秒
>>79-80 2週間待て。
82 名前:サカナ 投稿日:2002年01月27日(日)18時56分04秒
■==+==+==+==■
83 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月14日(木)02時49分44秒
( ´D`)<気になってお菓子も喉を通らないのれす・・
84 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時58分30秒
待ってますよー。
85 名前:サカナ 投稿日:2002年02月26日(火)19時43分01秒
飼育って保全の必要ありましたっけか。続きを書く気はものすごくあるので
自分で保全。週1でいいのかな。
86 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月27日(水)01時29分27秒
保全はそんな頻繁でなくてもよかったような。
月に1回書き込みがあればたぶん大丈夫、だと、思う。
87 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月06日(水)03時08分20秒
待機。
88 名前:サカナ 投稿日:2002年03月13日(水)01時57分35秒
自分で保全。
89 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月08日(月)21時04分15秒
保全
90 名前:読み手 投稿日:2002年04月18日(木)04時22分58秒
まだ?
91 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月04日(土)22時50分21秒
保全
92 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月25日(土)23時36分47秒
保全‥待っております
93 名前:サカナ 投稿日:2002年06月17日(月)22時03分53秒
わ。ぼんやりしてるうちに一番底に。とりあえず自分で保全。。。
94 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月26日(水)22時18分23秒
待ってます
95 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)15時55分04秒
お待ちしてます
96 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月17日(水)03時29分28秒
もうここの事忘れちゃった?
97 名前:王大人 投稿日:2002年08月15日(木)16時30分16秒
死亡確認!
98 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月17日(土)17時34分22秒
無茶苦茶面白いので、いつまでも待ってます。
99 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月18日(日)14時34分02秒
放置最低
100 名前:サカナ@CM 投稿日:2002年08月18日(日)18時52分21秒
おやん? あがってる。丁度いいから宣伝〜。

えー。全然関係ありませんが、こんなんやってます。おひまなら是非ご参加
ください。
http://bad.adam.ne.jp/bbs/mibbs.cgi?mo=p&fo=good&tn=0031
1の発言のVOTEをクリックすると投票画面に移動します。投票に関する雑談
などはスレッドでどうぞ。新たな投票は誰でも作れます(セッティングする
のに少し時間かかりますけど)のでそのへんも併せてよろしく。
101 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月19日(月)00時04分24秒
いやいや、宣伝はいいから。
102 名前:七誌 投稿日:2002年08月19日(月)02時47分23秒
結局、いつも放置だな。
103 名前:サカナ 投稿日:2002年08月19日(月)19時17分19秒
いやー。なんてーか。いい加減一人で流行ってるように見せかけるのも限界なんで
誰か来てーってのが本音ですが。俺だって毎日見るのが自分のスレだけなら嬉々と
して更新するさぁ。

そもそもさっさと閉鎖するかどうにかしろという相談には乗れませんがー。
ああ、なんかこう、おもしれーこと起こんないかなあ。

更新はまた底に沈んだ頃合にすることもあったりなかったりするでしょう。では。
104 名前:サカナ 投稿日:2002年09月29日(日)15時57分35秒
そろそろやばいので自分で保全。
105 名前:通りすがり 投稿日:2002年10月06日(日)17時47分37秒
作者の人格に問題があるな。

大した表現力も無い上に、作品に対する情熱がないから
皆から無視されるのだよーん。
106 名前:サカナ 投稿日:2002年10月06日(日)21時01分03秒
へいへい。では退散するとしやしょう(w
107 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月07日(月)01時34分31秒
や、続き書いてよ
108 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月06日(水)23時17分36秒
人格がどうであろうと面白いものは面白い。作者様、続きお待ちしております。
どうかお願いします。ageることをお許し下さい。
109 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月18日(月)01時14分55秒
一度も話を完結させた事ない人だからなぁ……<作者

>>108
あがってると更新あったのかと思ってほんのちょこっと期待しちゃうから
あげないで下さいな。
110 名前:リエット 投稿日:2002年11月30日(土)04時25分38秒
待ってますよ〜。
111 名前:サカナ 投稿日:2002年12月31日(火)08時39分01秒
一度ならず完結させたことはあるっつーの。
112 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月05日(日)20時29分35秒
これも完結させろっつーの。
113 名前:Light your ero 投稿日:2003年01月06日(月)22時48分45秒
今頃になって読ませて頂きました。
言葉をたくさん知ってていいなぁ。
そしてその言葉たちの使い方が巧くていいなぁ。
言葉を知って巧く使えればこうやって短くまとめられる事を知りました。
まだ終わりではないんですよね?マターリお待ちします。
114 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月02日(日)16時46分59秒
更新age待ってるつーの。
115 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)13時16分07秒
待ってますよ・・・
116 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月15日(土)16時39分09秒
&heart
117 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月13日(日)01時28分57秒
どうなのさ
118 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月03日(土)16時21分55秒
待ってます
119 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月06日(日)21時41分08秒
まだでしょうか?
120 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月27日(日)15時28分10秒
頼むから早うageて!
121 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月09日(土)21時30分27秒
たのーむ帰って来ておくれよー。・゚・(ノД`)・゚・。
122 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 02:16
人間として終わってる。
123 名前: 投稿日:2003/09/11(木) 21:23
まだageんのには早いんだよね。。。知らない人が読んじゃったらまずいっしょ。
124 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/24(水) 09:58
どういう意味?
もしや書く気があるんでつか?
125 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/28(日) 17:34
>123
その発言に釣られて良いのかい…(*´д`)アハァ…?
126 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/08(水) 01:47
 イシカワさんは目を覆い肩を震わせた。
「――……」
 次に言うべきはずだった言葉を見失って、私は溜息を吐いた。
 悪に惹かれてる者、既に悪に手を染めている者達の方が、そうでない者達よりも他人の悪に、より気付きやすい――何の科白だっただろうか。この言葉を思い出すたびに、自分たちのことを皮肉られているように感じるのだ。
 罪を犯した私達は、まさにその罪を犯したということによって、今の身分を手に入れたのだ。彼らは我々に過大な期待を抱いていながら、決して我々を信頼しようとはしない――なぜならそれは――……
 今更のような疑問が浮かぶ。イシカワさんは何故、ここにいるのだろう? 成績優秀・容姿端麗・礼儀正しい理想を絵に描いて額に入れたような彼女は、何の罪を犯して私の前にいるのだろうか?
 そして、彼女は今、泣いている。――本当に?
「話してくれませんか? 私たちの任務のことを。この事件のことを、すべて」
 ここですべてのカードを切って、手の内を晒すのは危険だ。私は会話の主導権を取るのをやめた。
127 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/08(水) 17:37
作者さんキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!
待っててよかったーよ( *´ー`)フゥー...
128 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 14:19
ずっと待ってました!
作者さんペースでいいんで、お願いします
129 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/16(火) 22:37
   §ノヽ§ §ノヽ§§ノヽ§
   (・e・)ノシ (・e・)ノシ(・e・)ノシ
   /   〈  /   〈 /   〈
   ||  |  ||  | ||  |
   U   |  U   | U   |
    |  | |   |  | |  |  | |
    |  | |   |  | |  |  | |
   (__)__) (__)__)(__)__)
130 名前:サカナ 投稿日:2003/12/27(土) 22:32
放棄します。スレ整理の前に宣言しておくべきでした。次のスレ整理の折にでも
倉庫逝きにするなり、そのまま削除するなりして頂ければ幸いです。資源を無駄
に貸借してしまったことをお詫び申し上げます。
131 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:20
……と思ったけどやっぱり書きます。出来るだけですが。
132 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:20
■==+==+==+==■
133 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:21
そしてすべてがぎんいろにそまっていく。
メリーゴーランドはうごかない。
赫いはなはかれました。
そしてかみさま、あのひともおきあがりません。
134 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:21
■==+==+==+==■
135 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:21
 じっと待っていた。
 かじかむ手をスカートのポケットに差し込み、ふぅと息を吐く。うずくまるイシカワさんがとても弱く見えて、私は優しさをかけるべきかと思うけれど、結局口を開かない。私の少ない経験と勘が告げている。まだ隠れている何かがあると。
「よくある話よ」
 声は落ち着きを取り戻していた。凛として通り、階段室に響く。
「聞きます」
「ずっと昔、私はこの近くの学校に通っていたの――」
 この部屋の雰囲気とかすかに響く歌声のせいだろうか。まさに懺悔するかのようにイシカワさんは口を開きぽつぽつと語り出した。ほとんどが私の予想通りで、結末だけが異なったありきたりのストーリーを。
136 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:22
 眉目秀麗、頭脳明晰のイシカワさんは小学校の頃から憧憬と期待に囲まれ常に孤独だったと言う。自分の意見を内に封じ込め言われたことを完璧にやり遂げる、そんな彼女の中にいつしか悪魔が巣喰った。そして悪魔は仲魔に誘われる。

 あなたの気持ち、あたしも解る。……おいで。

 そんな簡単な殺し文句で文字通りイシカワさんは殺された。それまで築いた過去と輝く未来――イシカワさんにはどうでもいいものらしいけれど――を引き換えに背徳の喜びを手に入れた。
 そして3年前、突然に入手出来なくなった「それ」を求めてイシカワさんは罪を犯した。
137 名前:サカナ 投稿日:2004/01/20(火) 21:23
「保田さんは真面目な人で、取り引きに乗ってこなかった」
 冷たい瞳でとうとうと続けるイシカワさんの瞳にはきっと私は映ってないだろう。ポケットの中で手をぎゅっと握りしめ、そんなことを思った。
「それどころか私を告発するって」
「だから殺した?」
「私じゃない……!」
 勢い良く遮られ私は眉根を寄せる。
「私は考えただけ。実行してない!」
 ほとんどが繋がってしまった。この任務をするたび思うのは、世の中できれいなのは言葉だけだと言うこと。目に映る現実は歪んで撓んで汚れて濁っている。
 ふと気付けばジングルベルがまだ聞こえた。
138 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/21(水) 01:16
書くなら書くではっきりしやれヽ(`Д´)ノ
ってか最後まで書いてよ。それが最低限のマナーでないかい?
139 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 12:03
>>138
おっしゃる通り。マナーも知らぬ厨房で申し訳ない。
140 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 12:03
■==+==+==+==■
141 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 12:04
 保田さん――イニシャルY。下の名前は聞くまでもないだろう。
「貴方は賢いわね。貰ってた資料と全然違う」
「……違う、とは?」
 イシカワさんは私の知るイシカワさんに戻っていた。完璧で隙がない。笑みを浮かべた顔は懺悔をし終えた罪人のそれなのか、切り札を握ってる余裕から来るそれなのか。
「いつも口を開けている、ですって」
 絶句する私の側にすっとイシカワさんが歩み、耳に唇を寄せ、吐息とともに呟く。
「オガワマコトに本当の任務を与えます。ここで起きるすべての事件に」
「目を瞑れ、とでも?」
 沈黙が降る。ジングルベルはいつ止んだ?
 睨まれ、表情が消え、微笑まれる。私の腕にイシカワさんが腕をからめる。
「貴方は本当に賢いわね」
「貴方は本当に馬鹿ですよ」
「失礼ね」
 イシカワさんは美しい微笑みを崩さず、階段室を出ていった。私はポケットの中で手をもう一度だけ握ると、わざと長く息を吐いた。――落ち着くための儀式。
142 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 12:04
 きゃいきゃいと騒いでる生徒の間をすり抜ける。バザーはいよいよ華やかになり、誰もが終焉までの短い時間を楽しもうと一生懸命。
 私は「彼女」の元へ、歩く。
 イシカワさんは事件とほぼ同時にこの『海星女学園』に来た。元の学区の高校でも過去をすべて消せる遠くの高校でもなく、世間から切り離され編入生には馴染み辛いであろう一貫教育校のここへ。それは任務だろうか?
 そして転校生としては異例の早さで抜擢されたクラス委員。目立たず事を為せ、という鉄則をあっさりと無視している。
 結論――イシカワさんは近付こうとしている。それも任務としてではなく3年前みたいに「あれ」の入手に困ることが無いよう、「あれ」を扱える人もしくは立場に。
 イシカワさんの言葉が蘇る。

 ――あなたの気持ち、あたしも解る――

 海星の生徒で、イシカワさんと同世代で、クラス委員を勤める事で近付けて、イシカワさんにこんなこと言えるカリスマ。段々とふるいのきめを細かくしていけば、無用なものは振り落とされ自ずと探しているものだけが残る。
 私はスピードを緩める。壁に貼られた達筆の書を横目に、静かにドアをくぐった。
143 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 12:04
■==+==+==+==■
144 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/21(水) 17:04
きついこと逝ってスマン。
自分も最後までつき合わせてもらいますんでガンガレ
ファイトーー!( ゚ロ゚)乂(゚ロ゚ )イッパーーツ!!
145 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 19:18
>>144
ありがとう。でもあと2シーンで終わると言ったのは嘘になりそう。
146 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 19:18
■==+==+==+==■
147 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 19:46
 入ってすぐ、私の背より大きな紙に書かれた「画竜点睛」の言葉が目に入る。これだけの大きさにも関わらず崩れない字体ってだけで凄いことは私にもわかる。わかるが、買った人は馬鹿だと思う。他人事ながら心配になる。売約済みの札に書かれた値段は15万円だった。学校のバザーとは思えない価格。
「気に入ってくれた?」
 振り返るとショートカットの女生徒が居た。切れ長の瞳に薄い唇の整った顔立ち。……何だろう、この感じ?
 彼女はまず私の足に目を移し、それから私の顔へ戻した。
「凄いと思いました……買った人が」
「でもそれ、最高の半紙に最高の墨に最高の筆に最高のコンディションを待って書き上げたんだから割と相応の値段なんだけど」
 ちらと目を走らせる。署名欄には――市井紗耶香。この人が。
「儲けたお金はどうするんです?」
「決まってる。最高の半紙に最高の墨に最高の筆を買うのさ」
「……手芸部に寄付するんじゃないですか?」
 ぴくりとイチイさんの右眉が動く。私が投げつけた青いボタンのマスコット人形は、その左手で簡単に受け止められた。
148 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 20:03
「それ300円で買ったんですよ。中には末端価格100倍以上のオマケ入りなのに」
 イチイさんは黙っている。1件目でビンゴのようだ。
「その差額ってどこの誰が出してるんでしょうね? 生徒会長さん」
 ぽん、とマスコット人形が返ってきて、私は慌てて受け止める。イチイさんは流れるような仕草で前髪をさらと流し、笑顔。
「その呼び方は止めてよ。せめて市井ちゃん、とかさ」
「誰が出してるんでしょうね? ……市井さん」
 くっくっとむせるように笑いをかみ殺しながら、イチイさんが言う。
「可愛いね、小川さんは」
「ありがとうございます。初めて言われました」
149 名前:サカナ 投稿日:2004/01/21(水) 20:12
「本当、可愛いよ」
 苦手だ。こういう人は昔から慣れない。……昔から。
「すべて貴方の仕業ですか」
「何のことだか解らないけど、仮にそうだと言ったら?」
 その目にはまだ余裕が見える。ふと今がまだバザーの途中だと思い出した。この場所だけが切り取られたように――静かだった。
 イシカワさんよりこの人は何倍も上だ、と思った。かまをかけても動揺させても崩れない。切り札のカードはどっちの手にあるんだ?
 私はすぅと息を吸い、口にした。ここまで来て負けはない筈だ。
「罪を償ってもらいます」
 言ってからふと何か小さなしこりが胸に残った。……小川さん?
150 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/22(木) 15:21
普段CPものしか読まない私ですが、
やっぱり面白いなぁ。
続きが気になって仕方がないです
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!ってなります。
最近ヘタレな小川さんが多い中、デビュー当時の凛々しい小川さん読めて
逆に新鮮で嬉しいです^^
話長引いても全然結構なんで、最後までガンガレ!
151 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 17:52
>>150
喜んでもらえればこちらも嬉しいです。あの頃の小川を思い出しつつ筆
を進めてる甲斐があります(w
152 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 17:52
■==+==+==+==■
153 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 17:53
「ごめんね。次からは子供にも手の届く値段で書を売るよ」
 しれっとした顔で、イチイさん。きっとこの人はポーカーやブリッジが好きだろう。そしてプレイ中はこの顔をしているんだろう。
「ついでにマスコットは子供の手の届かない場所に片付けてください」
「口が悪いなぁ。海星の評判に傷がつきそう」
「……あと、どうして私が小川だと解りました?」
「生徒会長だからね。一度憶えた名前と顔は忘れないよ」
 そんな生徒会長聞いたことありませんが。それに会うのも初めてなんですが。……初めて? そう、初めて。
「高橋愛と同じ3年生」
「いえ。石川さんや吉澤さんと同じ4年生です」
 ヨシザワ、という言葉にイチイさんはうぇっ、と舌を出す。
「……そっか。勘違いしたかな。ごめん」
 私の右足とクラス章を見ながらイチイさんが、癇に障る笑みで口だけの謝辞を告げる。息を吐く。埒があかない。私はポケットに手を差して「切り札」を握り締めた。
 ――使ってみるか。
154 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 18:01
「……へぇ。本当にあるんだ。で、ヨーヨーも持ってるの?」
「マンガの見過ぎです」
「よくマンガだって解ったね」
「見せるたびに言われますから」
 私は手帳をポケットにしまう。生徒手帳よりちょっと大き目の、女子高生に不似合いの黒い手帳。
「それで? そんなの見せて何をしたいわけ?」
「石川さんも保田さんも、私の仲間です」
「圭ちゃんが……」
 イチイさんの口が薄く開き、閉じる。その喉が上下した。ケイちゃんとは保田さんのことだろう。仲でも良かったのだろうか? 意外なカードが切り札になった。
「……そう、か」
「石川さんだって溺れていたわけじゃない。貴方を泳がせていたんですよ」
 嘘をついた。
「水泳大会だね」
「釣り大会ですよ。大物が釣れました」
 イチイさんがくっくっと笑った。
155 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 18:02
「4人も人が死んで、手芸部は無くなるでしょうね」
「そうだね。そして次年度は刺繍部とか編みぐるみ部とかが新設されてバザーに出る」
 イチイさんが壁に寄り掛かる。壁の書がくしゃと小さな音を立てた。
「ずっと無くならない――筈だったんだけどな」
「貴方独りで始めたんですか?」
 そんな筈はないと、思いながら聞いた。これだけのシステムが個人の力な訳はない、共犯者は必ず居る。私に出来る限りさり気なく口に乗せて。
「……生徒会長は選挙じゃなくて指名で決まる。私は安倍さんから指名された」
 安倍さん。その名前は資料で見た。やぱり生徒に人気だったと。
「安倍さんは飯田さんから。飯田さんは中澤さんから。その前は知らない」
156 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 18:03
 壁の時計を見ると、バザー閉幕まで1時間を切っていた。こっちの方が早く終わるかも知れない。しかしもう終わったみたいに静かだ。
「名門女子校の生徒って大変なんだよ。見た目よりずっとハードでストレスも多い」
「その続きは弁護士にどうぞ」
 雑談は嫌いだ。
 もう私は4人の殺人の実行犯の名前しか興味ありません。
「変わったね、小川は。なんか圭ちゃんと話してるみたい」
 イチイさんは目を細めて微笑む。
「……変わった、とは?」
「3年前のお前は皮肉じゃなく可愛かった」
 ふと、目の前のイチイさんの姿がぼやけた。真っ白の霞――いや、銀色?
157 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 18:05
「小学生がラリったまま外に飛び出し車に轢かれてさ、証拠とルートをもみ消すのに安倍さんと飯田さんは必死になってた。一時的に販売も中止して」
 イチイさんは視線をゆっくりと下げて、私の右足で止めた。
 暖房の効いたこの部屋で私の指先に寒気が走り出す。この感覚は?
「帰って来るって言うから温かく迎えてあげれば学生刑事とか言い出すし」
 視界が切り替わる。教室と外を行ったり来たり、イチイさんがショートカットになったりボブカットになったり。
「まぁこっちも小等部の生徒に罪を全部おしつけて逃れたんだから強く言う資格はないか」
 頭痛と吐き気。
 思いがけないカードを切られた。
 お腹を裂かれるために売られるマスコット人形。
 くるくると落ちる雪はメリーゴーランド。
 スカートから覗く右足はぐにゃりと折れ曲がっている。
 積もった雪にぼたぼたと血は赫く。
 痛くないです怖くないです悲しくないです。

 でも神様、とても寒いです。
158 名前:サカナ 投稿日:2004/01/22(木) 18:06
■==+==+==+==■
159 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/22(木) 23:52
ははーん、そこで小川さんの過去と繋がってくるわけですか。
この先どうなるのかますます気になってきちゃいましたよΣ(´д`;*)
ところで、市井さんにとっての吉澤さんって??
160 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/01/23(金) 01:14
再開おめ!
期待してます。
161 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:36
>>159
どうも。繋がるまでに2年掛かりました(^^;
>>160
ありがとう。期待は控え目に見守っていただけたら嬉しい所存です。
162 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:36
■==+==+==+==■
163 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:36
 んんっ、と欠伸を1つ。
 このお祭りも終わりまであと長針1回転を切った。やっと差し入れ軍団も途切れ、我が手芸部の売り物も順調に在庫を減らし残り少ない。愛ちゃんも居ない。つまり暇な訳だ。
「吉澤さん」
 慌てて口を抑えた。
「見えちゃった。大きな欠伸」
 ころころと笑うイシカワさん。ばつが悪くてあたしは頬を掻く。
「こちら、いただけますか」
 そう言うイシカワさんの指差す先には、赤いボタンのマスコット人形と青いボタンのマスコット人形。ぴかぴかした爪が蛍光灯の光を跳ね返している。
「どっちを?」
「どちらも」
 茶色い紙袋にさっと積め込み、600円と交換。意外だな。イシカワさんはこういう手作りの人形より、見目麗しいテディベアなんかを愛でていそうなのに。
「毎度有り。可愛いでしょ、それ」
 優しさと気高さを感じさせる笑みでイシカワさんは、ゆっくりと頷いた。
「……えぇ。胸のボタンが特に」
164 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:37
「実は用事がもう1つあって――」
 とイシカワさんは右手を自分の胸に寄せ、そっと白い封筒を引き抜いた。
「これを代理で渡しに来たの」
「中、見て良い?」
 こくん、と言葉を発せずにイシカワさん。糊付けされていない口を逆さにすると2つに折られた紙がするりと降りてくる。入部届。名前の欄には――小川麻琴。
「小川って、さっきの小川さんだよね?」
 下の名前は麻琴って言うのか。って言うか女の子らしい丸っこい字体がちょっと意外。
「ああ見えて意外と手芸とか好きなんですって。お願いね、部長さん」
 意外づくしだ。イシカワさんの毒舌も含めてね。とそれは口に出さず封筒をポケットに滑り込ませる。部員が少なくなってしまった今、入ってもらえるのはありがたいけど……。
「出来れば本人から受け取りたかったな。熱意とか、腕前とか見たかった」
「あら、私でごめんなさい。代わりに何か縫いましょうか?」
「結構でございます」
 顔を見合わせる。あたし達は笑った。
165 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:37
「……もうお祭りも終わりね」
 イシカワさんが窓の外に視線を移す。あたしも連られて。
「どうだった? 初めてのクリスマスバザー」
「初めてじゃないの」
「え、そうなの?」
 窓の外では雪がいつの間にかちらちらからしんしんに変わっていた。それでもまだ制服姿以外のお客様もちらほら。
 まぁ、そう言った人達は高価で良い物は買うけどうちらが取り扱うようなそれなりの値段でそれなりの物には近寄りもしない。その証拠に売り子のあたしが目にしたのは見慣れた制服ばっかだし。
「ずっと前に知り合いに連れられて手芸部のマスコットを買ったの。懐かしいな」
 その知り合いの名前でも聞こうかと思って止めた。どうも独り言っぽい。窓の外を見つめる横顔が、ちょっとセクシーで、同性だけどどきっとするぞ。
「ねぇ、吉澤さん」
「……うん?」
「人生、楽しまなくっちゃ損。そう思わない?」
 何ですかいきなり?
166 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:37
「思う」
「吉澤さんは更正した犯罪者って人達を信じられる?」
 だから何ですかいきなり?
「えっと……犯した罪と人柄に依るかな」
「世間は許してくれないわ。更正しても過去は消えない。それなのに――」
 イシカワさん、まさか泣いてないでしょうね?
「あの子も保田さんも……本当の馬鹿はどっちよ」
 訳わからん。
 紙袋を抱えたイシカワさんが出ていってしばらくしてから、しまったと思った。まだ余ってる差し入れを分けてあげるべきだった。ふぅとため息を1つ吐いてから、あたしは食べ飽きたクッキーをまた口に運んだ。
167 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:38
 最後の1枚を口に積め込んでるときに愛ちゃんが帰ってきた。かと思えば入るなりマスコット人形の数なんかチェックしてるし。
「どうしたの?」
「あ、いえ。別に」
「そうは思えないけど……」
 いつもの元気さが微塵もなくて、心なしか顔が青い。……そう言えば。
「愛ちゃん、小川さんの名前知りたがってたよね。はい、これ」
 そう言って封筒――さっき預かった入部届――を渡す。中を見た愛ちゃんは、美少女らしからぬ怖い顔。何だ何だいったい? さっきのイシカワさんといい今の愛ちゃんといい。そりゃ最近手芸部には事件が多いけどさぁ。
「オガワマコト……入部するんだ」
「こら。さん付けで呼びなさい。先輩なんだから」
「遅いよ先輩……いっそ見せてくれないほうが良かった」
 呆然とした。クチ悪っ。
 ねぇ、あなた本当にあの愛ちゃん? 元気でおきゃんで愛情の愛と書いてメグミって読まない高橋さん家の愛ちゃんですか?
「おーい……」
 するりと出て行かれ気が付けばあたしだけ。あぁもう、誰か説明してくれよぉ!
168 名前:サカナ 投稿日:2004/01/23(金) 19:38
■==+==+==+==■
169 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/24(土) 21:37
∬´▽`)ノ更新乙です。
愛ちゃんもなにやら関係しているようですね。
楽しみだなぁ(´д`*)
2年かかってるだけあって話が更にいりくんで
ややこくなってきてるんで、
私の頭がついていけるか心配です(TーT)
170 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:51
>>169
書いている方の頭も大した事ありませんので無用な心配かと…。
171 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:52
■==+==+==+==■
172 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:52
 クリスマスバザー。
 両親や友達を連れて楽しそうに参加する子達の中で、私だけが俯いている。来ると約束した両親は朝になって1枚のメモと紙幣を渡して来て、そのメモは読まずに破って捨てた。
「どうしたの? せっかくのお祭り、楽しまなくっちゃ損だよ」
 顔を上げると声の主は見知らぬ制服姿。目を細めて笑っている。
「……誰ですか?」
「悩み多き小羊の味方。イチーチャンと呼びなさい」
 イチーチャンは私の手を引いて走り出した。

 ……やめて……
173 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:52
 連れていかれた教室ではたくさんの人形が私達をお出迎え。そしてその中心には腰まで黒髪を伸ばしている、フランス人形みたいに美しい背の高い人。目が合った。
「お嬢ちゃん、お名前は?」

 ……もう見たくない……
174 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:53
「麻琴かぁ。可愛い名前だね」
 魔法使いカオリンと名乗ったその人が微笑みを浮かべながら私の頭を撫でた。たったそれだけで私は100メートル走の後よりも鼓動を速めている。
「よし、じゃあ淋しがり屋の麻琴にとっておきの魔法を教えてあげる」
 そっと手のひらで踊り出すマスコット。くるくると回るたびに胸に縫われた赤と青のボタンが光を跳ね返している。可愛い。
「深夜12時。この子達のお腹から袋を取り出すの。それをココアに溶かして飲みなさい」
「……この子達を殺しちゃうの?」
「また来年、ここにいらっしゃい。そしたらこの子達にまた会わせてあげる――」

 ……思い出したくないんだってば!!
175 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:53
■==+==+==+==■
176 名前:サカナ 投稿日:2004/01/25(日) 16:54
  気が付けば私の体は横にされ、そばに居るのは市井紗耶香。
「お目覚め?」
 見た通りです。私はパイプ椅子3個で造られた簡易ベッドから体を起こした。窓からは夕焼けが覗き、半紙の白い部分を橙に染め上げている。
「……どれぐらい眠ってました?」
「あれを眠ったって言うとは思えないけど、10分も経ってないよ」
 痛。
 ゆっくりと起きたのに、私の頭がずきんと悲鳴を上げた。眉をしかめる。
「辛そうだね」
 私の顔に顔を近付けて、イチイさん。あぁ、確かにこの顔だ。迷える小羊の味方。
「イチーチャン……」
「まだ眠ってなよ。閉幕式前に起こしてあげるからさ」
「村田、斉藤、大谷、保田。この4人を殺したのも貴方ですか?」
 イチイさんは静かにゆっくり、首を横に振った。
177 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:29
「私じゃない。私は渡しただけ。実行してない」
 数瞬合った目を先に逸らしたのはイチイさんの方だった。伏せた顔に睫毛が驚く程長く、その仕種が嘘を隠しているのか、真実なのか、同情されているのか、今の私には解らない。思考が頭痛に遮断されてしまう。
「じゃあもう、ここに用はありません」
「小川」
 右足を引き摺って出て行こうとする私の腕をイチイさんが取った。夕陽に照らされたイチイさんは左半身が完全に影に溶けて彫刻のようにも見える。
「どんなに罪を償っても、罪を犯したという過去を世間は忘れない」
 胸元を掴まれ引っ張られる。耳に吐息を感じた。消え入りそうな声。
 あの。頭に響くので止めてくれませんか?
「でもここは違う。ここなら小川を受け入れられる。ここはそういう場所だ」
 イシカワさんの笑顔が記憶をよぎった。確かにあの人は学生生活を満喫している。自分が犯罪者だったという過去を本当に忘れる瞬間もあるのかも知れない。
「同情をありがとうございます。どうせなら情報もいただけますか?」
 イチイさんの体を遠ざけた。
178 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:29
「やっぱり無駄か」
 イチイさんがスカートのポケットに手を差した。動きの悪い右足を軸に念のため動ける心構えをする。しかしそれは無駄で、イチイさんが取り出したのは白くて四角い――封筒?
「開けても?」
「どうぞ」
 空いている口を逆さにし封筒と同色の便箋を取り出す。意味が解らない。
「……何ですか? これ」
「お護り。それを鬼に見せたら小川はこのゲームの勝者になる」
 麻薬販売や人殺しをそんな風に言い切ってしまうんですか?
「鬼は誰です?」
「それを言ったら面白くないだろ」
 イチイさんが笑って、私の頭にはまた痛みが走った。別に面白くなくても構わないんですが。
「ずっと昔から伝わるゲームさ。この学校で一番強いのは生徒会長の書いた封筒」
 もう一度目を通す。誰が見ても市井紗耶香自身が書いたと解る、美しく整った文体が告げる言葉の意味を考える。

『この封筒を持ち主を殺してはならない』
179 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:30
「……馬鹿げてますね」
 考えた結果を前の持ち主の目を見て囁いた。
「私が? それともこのゲームが?」
「どちらも」
「圭ちゃんも同じ事を言った。封筒を私の目の前で破り捨て、結局死んだ」
 受け取った封筒をポケットに捩じ込む。ドアを開けたところで背中からイチイさんが私を呼んだ。
「3年間、何度も小川の事を考えた」
 この部屋に来るまでの間に何人もの生徒達とすれ違った。誰もが判で押したように純真そうで日々がただ過ぎ行くだけでも嬉しいかのような微笑みを浮かべていた。誰もが――つまりそれは集団に対して抱いた想いに過ぎない。
「クリスマスが終ったら晴れて小川も私達の仲間だ。歓迎するよ」
 個人では出来なくても集団なら出来る事。それはモラルの忘却。私は奥歯を噛んだ。
 有り得ない――。
180 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:30
■==+==+==+==■
181 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:30
ここにいるはずのないあたし。
どこにもいないはずのあなた。
きらきら綺麗むねのなか。
あたしのせいしんあんていざい。
182 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:31
■==+==+==+==■
183 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 03:32
 ちらちらだった窓の外の雪がしんしんに変わった。あたしはのろのろと教室を回りまこっちゃんの姿を探すけどどこにも見つからなかった。
 タイムリミットが迫っている。
 あたしは軽く引き摺られた右足と冷たい横顔を思い出し、はぁとため息をひとつ。幼馴染みが相手だなんて。あたしに出来るのだろうか? でもゲームに負けて魔法の粉が貰えなくなるのも嫌。迷うけど取りあえず今はまこっちゃんを探すしかない。……会ってから考えよう。
 そっとポケットの封筒を取り出し、もう一度指令を読み返した。

『手芸部の新入部員を殺せ』

 また動悸が始まった。あたしはスカートの逆側のポケットに手を入れる。破られた底を突き抜けて指先が腿とベルトに触れる。人肌で暖まった硬い手触りを再確認して落ち着きを取り戻そうとする、いつもの儀式。ため息をまたひとつ、ついた。
 もしかしたら「これ」を使うことになるのかも……?
184 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 10:51
 見つけた。
 まこっちゃんてばこの雪の中を、制服だけで歩いている。遠くからでもはっきり解った。両手をポケットに入れてやや猫背気味に足を引き摺るような動きで。
 すぐ側の教室へ飛び込みちらと壁の時計を見る。閉幕式まであと5分。お客さんや生徒達の姿が減ってきたのもそのせいね。
 踵を返し、階段を駆け降りる。どうしたの? あたしってば凄くその気になってる。最後の一段を飛び越えながら何度も作戦の確認なんかしちゃってる。仕方ないよ。封筒には逆らえないし、魔法の粉がなかったら元気で活発なタカハシアイは居なくなって、淋しがり屋で俯いてばかりのタカハシアイに戻っちゃうもん。
 雪空の下、コートも着ずに飛び出した。いらないんだ。今すっごく体が熱い。髪に肩に積もった雪はすぐさま溶けてるんじゃないかな? ってくらいに。
 右手をポケットに突っ込む。太腿に留めたあたしの精神安定剤を取り出し、その柄をぎゅっと握る。時間がない、これしかない。大丈夫。今日偶然に何度もぶつかったようにまたぶつかるだけ。今度はその瞬間にこれをまこっちゃんの胸にそっと刺すだけ。でもあたしってば良いの?
 ……本当に良いの?
185 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 10:51
■==+==+==+==■
186 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 10:51
 背中からの衝撃。灼けるような痛み。手足の先は感覚がないのに胸だけ熱くて、なんだかヌルヌルとしたものが流れる感触。視界には空からくるくる回り落ちる雪、そして何故か泣きながら私を覗き込んでいるタカハシさん。
「ごめんねあたしまこっちゃんが嫌いなわけじゃないんだよでもあたし昔のあたしが大嫌いでもう絶対戻りたくなくてこんなこと言ったって許してもらえるわけないだろうけどもうこうするしかないのかなって思っちゃって」
 いったいいつ息継ぎをしてるんだろう?
 視界がうっすらとぼやけて私は昔を思い出す。3年前のクリスマス。くるくると降る銀色の雪はメリー・ゴーラウンド。じんわりと咲く赫いはな。ひじもひざもじんじんと痺れて。
 すごく、眠い。
「ねぇまこっちゃんあたしのせいじゃないの封筒が悪いのこれを断ったらあたしここで生活できないここでしかもう暮らしていけないのに――」
「ただいまより閉幕式を行います。生徒は直ちに大講堂へと集合して――」
187 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 10:52
 大聖堂の鐘が鳴る。
 おごそかに流れる賛美歌と時折響くパイプオルガンの音色。
 今日だけは皆笑顔になる。
 メリー・クリスマス。

 おやすみ、良い夢を。
188 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 10:52
 ナイフと封筒 完
189 名前:サカナ 投稿日:2004/01/26(月) 11:53
次のスレ整理の折に本スレの倉庫逝きをお願いします。

サカナ
190 名前:nanananancy 投稿日:2004/01/26(月) 20:55
完結お疲れ様です。
淡々と話が進んでいったので、サラッと最後まで読んでしまいました。
大体の背景は解った?けど、個人個人の感情とか過去は、
モヤがかかってて、何か悶々するハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
何かマザーグースやグリム童話とかの不条理感?そんな感じがしました(良くわからん
すんません、知ったかブッタ感想で。
何かこの話、私的に好きとか嫌いとかそういう次元のものでは無いですね。
フとした時に思い出して、また悶々とするんだろうなぁ。
191 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/27(火) 18:59
完結させてくれてありがとうございます。
いや、物凄く良かったです。
なんだか言っちゃいけなそうな言葉ですけど、
次回作、書いてくれるのなら絶対に読みます。
信頼度も自分の中で上がりましたし(笑
192 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/29(木) 19:27
ありがとう

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