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ハンサムな彼女
- 1 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)21時08分24秒
- −プロローグ−
賑やかに人が混み合っている日曜の渋谷の人混み。
あたしは、いつものようにヒマ潰しに109の前のガードレールに
腰をかけて、道行く人を眺めていた。
ここにいれば決まって逆ナンされる・・・。
「今、1人ですか?」
ホラ、また声かけられた。
一見して可愛ければ、そのままOKして、その子とお茶したりして遊ぶ。
ヒマ潰しにはもってこい。
「ゴメン。人と待ち合わせてるから」
好みのタイプじゃなければ即断る。
意外に面食いなのかな。まぁ仕方ないけど・・・。
どうせ遊ぶだけなら、やっぱり可愛い子の方がいいに決まってる。
帽子を深々と被り、どうみてもパッと見には男にしか見えない風貌。
ちょっとおおざっぱで背も高いから良く男と間違われて声をかけられる。
- 2 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月24日(月)21時09分20秒
- ホントは、これでも女なんだけどな。
でも、それを逆手に取ってあたしは、こうしてまた渋谷に来ていた。
「離してくださいよ〜」
顔をあげると、すぐ近くで女の子が数人の男達に囲まれていた。
(ナンパか・・・)
「どうせ1人なんだろ?一緒に遊ぼうよ…」
最初は興味なく見ていたけれど、あまりにしつこいのであたしは
そのまま、どうするのかジッと様子を見ていた。
「いえ、人と待ち合わせているから」
彼女は泣きそうになりながら消え入りそうな声で言っている。
(仕方ないな。いっちょ助けてやるか・・・)
あたしは更に帽子を深く被り直して立ち上がると、数人の男の輪の中に入って行った。
「ゴメン。待った?遅れてごめん」
彼女の肩を抱くと、あたしは素早くその場から立ち去ろうとする。
意外にも男達はあっさりと引き下がっていった。
「ちぇっ。彼氏いんなら、最初から言えよな!」
男達がいなくなるのを見届けるとあたしは彼女から手を離した。
- 3 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月24日(月)21時09分55秒
- 「大丈夫だった?」
「ありがとう」
あたしは、その女の子を見る。
(結構可愛いじゃん。ふぅん・・・)
泣きそうに八の字に下がった眉毛。小麦色の健康そうな肌。
肩にかかるくらいの髪の長さ。潤んだ瞳。それに、一度聞いたら
忘れられないようなアニメのような声。
しかしお礼の後に続いた彼女の言葉は・・・
「これって助けたフリをする逆ナンですか?」
「はぁ???」
あたしの方が面食らってしまう。
「何言ってんの?」
彼女も完全にあたしの事を男として見ているようだった。
「誰が、お前みたいなヤツ助けるか!」
カチンと来たあたしは、つい言い返してしまった。
「なっ、なにそれ!!図星なんでしょ!」
彼女もムッとしたらしく言い返して来る。
「人が助けてやったのに、なんだ、その言い方は!!」
「あなたの方こそ、いい気になってんじゃないわよ!!」
「なんだと!!」
- 4 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月24日(月)21時16分57秒
- あたしが更に言い返そうとした瞬間に背後から声がした。
「吉澤!何してんの?またナンパ???」
げっ。その声は・・・。タイミングが悪い。
「紗耶香・・・」
紗耶香を見た途端、彼女はしたり顔で言い放った。
「ほら、彼女いるんじゃん。それもハンサムな彼女がさ!最低!!」
彼女は、それだけ言うとわざとあたしの肩にぶつかるようにして
人混みに紛れていってしまった。
あたしと彼女の出逢いは最悪だった。
そして、その後もあたし・吉澤ひとみには不幸が訪れるのだった。
- 5 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月24日(月)21時19分30秒
- タイトルだけ辻ちゃんが好きな漫画家さんからいただきました。
中身は全くのオリジナルです。別に市井さんを指しているわけでもありません(w。
学園ラブコメディになると思います。
- 6 名前:夜叉 投稿日:2001年12月25日(火)12時03分12秒
- 吉澤に訪れる不幸…、今後の展開が気になります。
期待してます。
- 7 名前:とみこ 投稿日:2001年12月25日(火)15時06分16秒
- 始めたばっかりの小説を見るのってすきなんですよ〜vvv
がんばってください!
- 8 名前:紗耶香とカオねーちゃんとなちねーちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)20時23分44秒
- むかつくアニメ声の彼女の姿が見えなくなると、
あたしは今度は紗耶香の方に振り返り、怒りを露わにした。
「紗耶香ぁ。なんで、そうタイミング良く出てくるわけ?」
「わ・ざ・と」
面白いと言った風に笑う紗耶香。市井紗耶香は私より2つ年上だけど
家が隣同士なので、小さい頃から一緒に遊んでいた。もう腐れ縁みたいなもの。
幼稚園から今通ってる高校まで、全部一緒。しかも同じクラス。
紗耶香も風貌は一見して男に見えるし性格もさばさばしている。
あたしと結構似ている。似てないのは、あたしみたいに軟派じゃないとこか。
「ハンサムな彼女かぁ。このあたしが、ひとみの彼女ねぇ」
さっきの事を思い出して紗耶香は腹を抱えて笑っている。
あたしは、さすがにムッとして
「最初から見てたんだろ!相変わらず性格悪いよなー。
そういう時に限って、人のコトを姓字で呼ぶしな」
あたしは深く溜息を吐くと、またガードレールへと腰を降ろした。
- 9 名前:紗耶香とカオねーちゃんとなちねーちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)20時24分52秒
- 「だって、男だと思われたいんでしょ?だったら、ひとみなんて言えないじゃん」
「別にそういうわけじゃないけど」
「逆ナンばっかしてるから、バチが当たったんだよ。いい気味」
紗耶香は他人事だと思ってまた笑い出す。
「笑いすぎ!大体さぁ、待ち合わせてもいないのに何でいるわけ?」
あたしは不機嫌な声を出す。
「まぁいいじゃんか。これに懲りて、ひとみも逆ナンやめれば?」
「うるさい!もう帰るよ」
気分を悪くしたあたしは本当に帰ろうと立ち上がった。
今日は気分が乗らない。
- 10 名前:紗耶香とカオねーちゃんとなちねーちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)20時25分50秒
- 「ひとみ〜!」
「カオねーちゃんに、なちねーちゃん…」
いつの間にか、あたしの双子のアネキたち、圭織となつみが傍に来てた。
あたしより4つ年上で20になった。
全然容姿は似てないんだけど、これでもカオねーちゃんとなちねーちゃんは双子だった。
幼い頃に両親を亡くしてるから、必然的にカオねーちゃんとなちねーちゃんが
あたしの母親代わりだった。
まぁ殆どカオねーちゃんに世話になってる感じだけど。
なちねーちゃんは自分の事ばっかりでいっぱいいっぱいだし。
その点、カオねーちゃんはホントに良く面倒を見てくれる。
ただ、交信するクセがあるのが、ちょっと難点なんだけど。
「ひとみ、アンタ誰と喋ってるの?交信の術を身につけたか?」
カオねーちゃんは、さすがそう言う事には鋭くて、すかさず聞いて来る。
ほんと、すごいと思う。なんたって「宇宙と交信」してるんだからね。
- 11 名前:紗耶香とカオねーちゃんとなちねーちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)20時26分56秒
- 「折角だからさ、今日は外で食事して帰らない?」
「なっち!今日の食事当番、アンタでしょ?」
「たまには、いいっしょ!ね!決まり!!」
なちねーちゃんは強引に決めると、あたしとカオねーちゃんの腕を取る。
まぁ、いつもの事なんだけど。
「いっつも、そう言って食事当番サボるよねぇ。まぁいいか」
基本的にカオねーちゃんも、なちねーちゃんには甘い。
「ねぇ、あたしも一緒に行ってもいい?」
図々しくも紗耶香が割り込んで来る。
「「いいよ」」
「やった!」
「ちぇっ。図々しいよな、紗耶香は」
諦めたようにあたしは笑うと勝手にしろと言うように先に歩き出した。
- 12 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月25日(火)20時29分59秒
- 皆さん、レスありがとうございます。嬉しいです。
>6 夜叉さん
不幸というか誤解と言うか言えませんが、期待していただけて嬉しいです。
>7 とみこさん
とみこさん、たくさん小説書いてらっしゃいますよね。凄いっす。
ありがとうございます!がんばります!
- 13 名前:梨華ちゃんと真希ちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)21時49分12秒
- 「まだ怒ってんの?」
「だってさぁ、聞いてよ!もうホント腹立つよぉぉー!」
あたしは石川梨華。さっきのコトは…ホント思い出しても腹が立つ。
さっきから同じセリフの繰り返し。
そんなコト分かってる。分かってるけど言わずにはいられない。
「でも、怒ったって、その声じゃ迫力ないんだけどね」
頬杖をつきながら、真希ちゃんはつまらなそうに答える。
怒りながら渋谷の雑踏にあのまま紛れていったあたしだけど、待ち合わせは
109だったから、そのまま1周して仕方なく元の場所に戻ったの。
まだ、あの男の子がいたらイヤだったけど、いなくてホッとした。
あたしがムッとしながら幼なじみの真希ちゃんに会うと「またかい」って顔をして
あたしの手を取ると、近くの喫茶店に入った。
目の前にいる真希ちゃん。後藤真希はあたしの幼なじみ。
あたしの方が1つ年上だけど、家が近所でいつも遊んでいた。
今も、同じ高校に通っている。
あたしより年下のくせにあたしにはない色気とか持ってる。
ちょっと悔しい時もあるけど、それは仕方ない。背もあたしより高いし。
- 14 名前:梨華ちゃんと真希ちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)21時50分23秒
- 「その男の子に感謝しないとダメじゃん。最終的には助けてもらったんでしょ」
「そうだけど」
それを言われるとあたしは黙るしかない。真希ちゃんの言う通りなんだから。
「今度会ったら謝った方がいいよ?」
「う、うん」
「梨華ちゃんは小心者のクセに、そういうトコ強く出るよねぇ。
相手の男の子もきっと傷ついてると思うなぁ」
「真希ちゃんは、その男の肩持つんだ?」
またあたしは怒り出してしまう。
「違うけどさ。もう忘れれば?」
いい加減真希ちゃんも疲れて来てこの話は打ち切りにしたがってる様子だったけど
あたしは、やめられそうになかった。
「彼女がね、『吉澤』ってその男のコト呼んだの。だから、その吉澤探しをしないと!」
あたしはテーブルをドンッと叩いた。
「えーーー。探してどうすんの?もうそういうのやめなよ、梨華ちゃん」
真希ちゃんは「またなの?」と言う顔をしている。
- 15 名前:梨華ちゃんと真希ちゃん 投稿日:2001年12月25日(火)21時51分10秒
- 「そういうのって?」
「またダマされるのがオチだよ?」
「今度こそは!」
真希ちゃんが言いたい事は分かる。
あたしって、男運がないのか付き合っても長続きしないと言うか、すぐ振られてしまうし。
だから…まだキスもした事がなかった。って、これは余計な話だった。
「結局…怒ってるけど、気になってまた好きになっちゃったんでしょ?」
「ちがうよ」
あたしは真希ちゃんに、そう言ったけれど、自信がなかった。
なんだか知らないけど、凄く気になる。気になる…彼の事が。
すっかり氷の溶けたレモンティに、あたしはやっと口を付けた。
- 16 名前:悲劇的な再会 投稿日:2001年12月25日(火)23時07分35秒
- 「もう、ひとみ遅れちゃうよ!!」
紗耶香の朝のセリフはいつも恒例と化していた。
「いつものコトじゃん!先に行ってて!」
遅刻寸前で、ひとみは、ゆでたまごを1つ掴んで家を飛び出ると自転車に飛び乗る。
当然、その後ろには紗耶香がちゃっかり座っている。
「たまには、紗耶香が漕げよ!」
「やだよ。そういうの、ひとみ得意でしょ」
「チャリ漕ぐのに得意もクソもあるか。ちょっと急ぐかんね」
ひとみは勢いつけてペダルを漕ごうとするが、紗耶香に遮られてしまう。
「忘れ物した! いいや、ひとみ先に行っていいよ」
紗耶香はそれだけ言うと早々に家の中にバタバタと駈けて行く。
「了解っ!」
ひとみは素早くゆでたまごの殻を割ると、そのまま口に放り込んだ。
(うまい!最高!!)
ひとみは美味しそうに玉子を飲み込むと、颯爽と自転車を漕いで行った。
- 17 名前:悲劇的な再会 投稿日:2001年12月25日(火)23時08分06秒
- もう12月も上旬。
今朝は一段と寒さが増していた。枯れ葉が舞い北風も吹いている。
(でも、あと少しで休みだもんね。その前にテストがあるか。憂鬱だな。)
ひとみは遅刻寸前と言うのに呑気に冬休みの事を考えながら
角を曲がろうとした瞬間
― ガシャン!! ―
前から歩いて来た女子高生とぶつかってしまったらしい。
お互い倒れると一斉に「「いったぁい…」」とハモッたのだった。
「大丈夫?」
ひとみは倒れている自転車よりも、ぺたんと地べたに座り込んでいる女子高生の方に
気遣い声をかけた。
「あたしの方こそ、ごめんなさい」
その女子高生が顔をあげると、ひとみは「あっ」と小さく声をあげた。
(昨日の…。)
ひとみは急にまた腹が立って来た。
- 18 名前:悲劇的な再会 投稿日:2001年12月25日(火)23時08分36秒
- 「あなた…」
その女子高生は梨華だった。
梨華はひとみの肩をつかむと、ぶつかった事も忘れてるようにひとみに問いかけて来た。
(これは運命かも!)
「ねぇ、あなた吉澤さん…ですよね?」
「はい」
(昨日の今日だし。覚えてるよね?まだ何か言う気?)
ひとみは構えの体勢に入った。
「吉澤さんに、弟さんかお兄さんっている?」
「は?」
思いもよらぬ質問に、ひとみは言葉に詰まった。
「昨日、渋谷で吉澤さんの兄弟に助けてもらったの」
どうやら梨華は昨日助けてもらったのが、ひとみとは思っていないらしかった。
- 19 名前:悲劇的な再会 投稿日:2001年12月25日(火)23時09分13秒
- 「あたしに兄弟なんて…」
いないんだけど と続けようとしたら、また紗耶香が割り込んで来た。
「昨日の彼女じゃん!」
ひとみと梨華は紗耶香の声に振り向く。
「ハンサムな彼女だ」
梨華も気付いて反応する。
「ははっ。覚えてたんだ。ひとみに兄弟いるよ」
「ですよね!」
梨華は途端に笑顔になる。
(なんなんだ、この子。って言うか紗耶香、調子に乗りすぎだよ。)
「名前はねぇ『ひとむ』って言うんだ。『ひとみ&ひとむ』名前まで良く似てる双子でしょ?」
(おいおい、紗耶香何言ってんの?アンタ。ひとむって…。)
しかし、梨華は真に受けて目を輝かせた。
「ひとむクンって言うんだ。会わせて!ひとみちゃん!」
「………」
馴れ馴れしいなと思いながら、ひとみは、このおめでたい梨華に一言言った。
「いいよ」
今思えば、ちょっとした悪戯心が、こんな大変な事になるとは思ってもみなかったわけで…。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月26日(水)01時44分04秒
- おおー!おもしれー
もう続きどんどん書いちゃてくらさい
なんか新鮮なお話なのれす
- 21 名前:ARENA 投稿日:2001年12月26日(水)04時10分55秒
- ホントすごい面白い・・・!!
楽しみが増えましたヽ( ´ー`)ノ
- 22 名前:夜叉 投稿日:2001年12月26日(水)16時19分34秒
- ひとむ登場(爆)。
作者様、うれしすぎます。これからの吉の一人時間差攻撃に期待(w。
頑張ってください。
- 23 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)10時22分41秒
- やべぇな、次の小説で「ひとむ君」登場のハズだったのに、ネタが被った(w
- 24 名前:ひとみちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時12分10秒
- 遅刻寸前のところを更に梨華と再会したものだから、当然今日も遅刻。
尤も遅刻の常習犯なので、ひとみ自身もさほど気にしていなかった。
授業中、ひとみは朝、ひとむに渡してくれと頼まれた梨華手製の名刺を
ボンヤリと眺めていた。
――名前と携帯番号とメールアドレス。そしてプリクラが貼ってある。
今時の女子高生というのは、ご丁寧に、こんなモノをわざわざ作って
交換したりするのかと、自分も今時のクセに、ひとみは半ば感心半ば呆れて見ていた。
梨華を見た時、つい紗耶香の悪ふざけに乗って、勝手に『吉澤ひとむ』なんて
いもしない双子の弟を作り上げてしまったが、今になってみると、やはり
少しからかいすぎたかなとも思う。
と、同時に昨日は人の事を罵倒したクセに一転して『会わせて♪』と言い、
しかも人に名刺まで渡す、この図々しさにも、ひとみは納得行かないものを感じていた。
ちょっと、軽すぎるよ、石川梨華――。
- 25 名前:ひとみちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時12分45秒
- しかし、ひとみも梨華の事は気になる存在だった。
名乗りもしないで、いきなり馴れ馴れしく『ひとみちゃん』と呼ばれたのも
面食らったが、悪い気はしなかった。
普段、ひとみは『よっすぃー』と呼ばれているし『ひとみ』と呼ぶのは
二人の姉と紗耶香だけ。『ひとみちゃん』などと呼ぶ人は誰もいなかったし
『ちゃん付け』なんて、もってのほかだった。
梨華の事は気にはなるが、彼女の瞳に映っているのは、自分ではなく
『吉澤ひとむ』と言う偶像である事が、ひとみには哀しかった。
どうしようかな――。
ひとみは梨華の名刺を、まだ暫く眺めていた。
- 26 名前:夢見る梨華ちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時14分41秒
- 昼休み、食事も終わって梨華は上機嫌で真希の教室に来て、
朝の話を、また繰り返していた。
「あたし、運命感じたの」
「良かったね。そりゃ」
窓際の席で昼食を食べたあと、日溜まりの中、尤も眠くなる
このひとときを真希は梨華の声を子守歌(声)代わりに半分寝ながら
適当に相槌を打っていた。
「もう真希ちゃん。ちゃんと聞けぇ!」
両手を真希の頬に乗せると、バチンと叩いた。
「いたっ」
真希は半分夢の中に誘われていたのに、梨華の頬挟みでいっぺんに現実に引き戻される。
(んあー。あたしの貴重なお昼寝タイムを…)
- 27 名前:夢見る梨華ちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時15分31秒
- しかし真希は内心そう思いながらも
「ちゃんと聞いてるって」
真希はオーバーに頬をさすると大きく頷いてみせた。
(どうせ、今回もまた、すぐに振られるんでしょ?)
「今度はうまく行く気がするんだ。真希ちゃんも、そう思わない?」
目の前の梨華は、まさに恋をする少女マンガのヒロインのように目を輝かせていた。
「そりゃ誰だって最初から、うまくいかないなんて思わないでしょ」
真希は夢心地だったのを起こされた事もあって、至極現実的な事を言ってみせる。
「真希ちゃんって、ホント冷めてるんだから」
梨華は否定された事を不服に思っているのか、つまらない顔をした。
「あたしまで、梨華ちゃんみたいなキャラクターだったら、あたし今頃生きてないよ」
「ひどーい!」
生きてないまでも言われて、さすがの梨華も傷ついたようだった。
しかし、それでも梨華は、ひとむの話をするのが嬉しいらしく、今の話は
聞いてないような素振りで、またひとむ話を続けようとする。
- 28 名前:夢見る梨華ちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時16分12秒
- 「あたしも、そのひとむクンとやらに、会ってみたいな〜。梨華ちゃんが夢中に
なる位だからよっぽど、カッコいいんだろうね?」
真希も昼寝は諦めて、梨華のひとむ話を煽るように自分もひとむの話を始めた。
持ち上げるように言えば梨華が、1時間でも2時間でも話すのを真希は知っているからだ。
「カッコいいって言うか、中性的な感じ。ひとみちゃんもそうだったけど…」
「ひとみちゃんって、ひとむクンの双子のお姉さん?」
「うん。ソックリなの。茶髪でピアスしてて瞳が大っきくて、肌は白くて背も高くて瓜二つ」
「でも梨華ちゃん、彼、帽子深く被ってたんでしょ?よくそこまで分かるよね」
真希は呑気そうに見えて時々鋭く突っ込んで来る。
「だって今のはひとみちゃんを見て言ったから。それにピン!と来たから
ひとみちゃん見た時『あっ!』って思ったの。あの時あたしは神様はいるって思ったんだ」
真希は顔をしかめた。
「梨華ちゃん、前の彼氏の時もそんな話してたよ?」
しかし梨華はそれには触れず
「今度はホントに思ったの。絶対!!」
「ハイハイ」
これもいつもの事だから、真希は軽く受け流した。
- 29 名前:夢見る梨華ちゃん 投稿日:2001年12月27日(木)20時16分59秒
- 「でも梨華ちゃん、1つ忘れてない?」
「なに?」
ニコニコ嬉しそうに聞き返す梨華。
「ひとむクンって、ハンサムな彼女がいるんでしょ?」
数秒の沈黙の後、梨華はみるみる顔がネガティブに。
「そうだった…」
梨華はさっきとは打って変わって暗くなった。
「朝、その彼女にも会ったんでしょ?なんで言わなかったの?」
真希は内心面白いと思いながら、梨華に質問を浴びせる。
「ひとみちゃんの方に気を取られちゃって…。彼女の方までは」
梨華はションボリしながら言った。
「取りあえず、ひとむクンからの返事待ちなんだねっ。ゴトーも楽しみだよ」
真希は話を切り上げると、梨華に本鈴が鳴った事を告げた。
梨華は慌てて自分の教室に戻っていった。
真希は梨華の後ろ姿を見つめながら「なんか面白くなりそう」と呟いたのだった。
- 30 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月27日(木)20時21分42秒
- なんだか、新作はやはり調子が出るまで時間がかかるなぁ(鬱)。
>20
ありがとうございます。マンネリ気味だったので趣向変えてみました。
と言っても、また学園モノなんですけど(w。
>21 ARENAさん
面白いと言ってもらえて嬉しいです。正直自分で面白いと思っても
読み手はそう感じない事もあるので、ホッとしました。
>22 夜叉さん
はい。バレたかも知れないけど(謎)がんがります。あっちもこっちも(w。
>23 とみこさん
「ひとむ君」大人気ですね。ココのひとむクンは、意気地なしの予定です。
被っても仕方ないかも知れませんね。気にせずに書いて下さい。
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月27日(木)23時47分53秒
- 面白いです。
これからも読ませてもらいます。
更新がんばってください。
- 32 名前:夜叉 投稿日:2001年12月28日(金)16時30分40秒
- 暴走に拍車がかかる石、チャーミー化(w
続きが気になります。
頑張ってくださいね。
- 33 名前:気になる彼女 投稿日:2001年12月28日(金)19時21分16秒
- 放課後、紗耶香がひとみのクラスにやって来た。
幼なじみと言っても朝一緒に登校するぐらいで借りは一緒に帰る事は
殆ど無いのだけれど、梨華の出現で、ひとみがどんな行動を取るのか
紗耶香は興味津々らしい。
「もう連絡は取ったの?」
紗耶香はひとみの肩に腕を回すと、ひとみの目を覗き込んで言う。
その目は好奇心に溢れていた。
「また面白がってる」
ひとみは紗耶香の質問には答えず、紗耶香の腕をほどいてカバンを
掴むと教室から出て行く。
- 34 名前:気になる彼女 投稿日:2001年12月28日(金)19時21分47秒
- 「面白がってる。じゃなくて面白いの。日本語は正しくね」
「バカらしい。大体紗耶香が悪のりするから」
「ひとみだって、かなりあのコのコト、怒ってたじゃん。
いいじゃん、1回会って、振ってやればいいんだよ」
「振るって…」
紗耶香のセリフにひとみは言葉が詰まる。
と同時に自分は梨華と会っても振るとか、そんな感情は全くなかった事に気付いた。
――あたしも好きになったのか?石川さんのコト…。
「…もしかして、ひとみもあのコのコト、好きになったトカ?」
胸の内を口に出したのかと思い、ひとみはドキリとして紗耶香を見つめた。
紗耶香はひとみの表情が一瞬変わったのを見逃さなかった。
「まさか!!」
「そっか。結構、ひとみのタイプのような気がしたけどね。石川梨華ちゃん」
敢えて紗耶香は、ソレ以上触れずに全く別の話に移っていったが、ひとみは殆ど
頭に入っていなかった。
- 35 名前:初めての電話 投稿日:2001年12月28日(金)19時25分01秒
- 家に帰ってからも、ひとみは制服から着替えずに梨華の名刺をずっと眺めていた。
今日、このまま連絡しなかったら、きっと梨華は、明朝今日出会った場所で
待ち伏せしているかも知れない。それはそれで、また会えるけれど…。
ひとみは、梨華が電話で、どんな反応をするのか興味を持った。
ひとみは携帯を取り出すと名刺を見ながら梨華の携帯番号を押す。
まだ完全に梨華を信用した訳ではないから『184』を押す事も忘れない。
基本的に声色まで変えるつもりはないから、ひとみは名乗らずに、梨華が
どっちだと思って発言するのかも興味があった。
(非通知じゃ出ないかもな。でも番号出したって見慣れない番号だったら出ないか)
- 36 名前:初めての電話 投稿日:2001年12月28日(金)19時25分32秒
- しかし、ひとみが名乗る前に梨華は
『もしもーし!ひとむクン?』
馬鹿でかいアニメ声が響き、思わずひとみは電話を耳から遠ざけた。
しかし、何を話せばいいのか分からないひとみは無言のままだった。
「……」
『ひとむクンだよね!?』
梨華の声は確信に満ちていて弾んでいた。
ここで「ひとみだけど」と言ったら、どう反応するのだろうか?
酷く落胆するのだろうか?そんな事を考えながら、ひとみは
「ひとむだけど…」と言ってしまった。
これから、吉澤ひとむを演じる自分に苦笑いをしながら――。
- 37 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月28日(金)19時32分39秒
- あまり長い話にするつもりはないのですが、なかなか進まない(苦笑)。
ただ、結末は既に決まってるので(どのパターンにするかは未定)
気楽なんですが。と書くと大体分かってしまいそうですね?(w
>31
レスありがとうございます。励みになります。
>32 夜叉さん
石川さん暴走気味ですね。最初は校門で待ち伏せも考えたんですが
やりすぎかなと思いましてやめました(w。
- 38 名前:REDRUM 投稿日:2001年12月28日(金)19時41分54秒
- ワクワクする展開っすね。
作者さんの作品が短く終るはずが無い。
と、勝手に期待を込めて予想してしまってますよ。
- 39 名前:重ねる嘘 投稿日:2001年12月28日(金)21時23分35秒
- ひとみの声が素っ気なかったのか、梨華の声は急に沈んだ。
『やっぱり、怒ってるんだ?昨日のコト』
「え?」
あぁそうだった。昨日お互い怒って別れたんだっけ。
と言うより、梨華が勘違いして勝手に怒って行ってしまっただけだけど。
ひとみは朝会った記憶が一番新しいので、そんな事は忘れていた。
『ごめんなさい。でも電話してくれてありがとう。
ひとみちゃん、ちゃんと名刺渡してくれたんだ』
”ひとみちゃん”の言葉が、ひとみの心をくすぐる。
――なんか、いいな。でも、あたしに言ってるんじゃないのか。
『ひとみちゃんってひとむクンのお姉さんなんでしょ?
すっごく似てるよね。あたし、朝会ってビックリしちゃったんだ』
――そりゃ似てるに決まってるよ。ひとむはひとみなんだから。
梨華はこっちが何も喋らなくてもペラペラと話し出す。かなり上機嫌のようだ。
何も話さなくていいのはラクだけど、本当に梨華は完全に、ひとみとひとむは
双子の姉弟だと思っているようだった。思いこみって恐いね。
- 40 名前:重ねる嘘 投稿日:2001年12月28日(金)21時24分45秒
- 『ひとむクン聞いてる?』
「あぁ、聞いてるよ」
『じゃぁ、これから会ってくれるよね?』
「えぇぇぇぇーーー?」
いつの間に、そんな話になっていたのだろう?ひとみは素っ頓狂な声を上げてしまった。
『話聞いてなかったの?』
「ゴメン。もう1回」
『ヒドイ…』
「ゴメン」
なんで自分は謝ってるのだろう?と首を傾げながらもう1度ひとみは謝った。
『近くに住んでるんだよね?これから○○公園で会えない?』
「あの…。近くに住んでるって、どうして?」
『だって一緒に住んでるんでしょ?ひとみちゃんと』
梨華は尤もな事を言う。そりゃそうか。
- 41 名前:重ねる嘘 投稿日:2001年12月28日(金)21時25分22秒
- 「いや、あた…僕は訳あって、ひ、ひとみとは、家族とは一緒に住んでないんだ」
どもりながら、なんとか言い繕った。
自分の事を「ひとみ」なんて言うのは照れくさかった。と言うよりひとみは
自分の事を名前で呼ぶヤツが嫌いなので、こんな形とは言え、言うのが非常にイヤだった。
姉の圭織となつみは、自分の事を「カオ」「なっち」と言っているが、
それは許せるのだった。都合がいいけれど、子どもの時から聞き慣れているから。
一緒に住んでるなんて言ったら、早速家まで押し掛けて来そうな感じがしたから。
『でも近くに住んでるハズ!』
「なんで?」
『だって、連絡来るの早かったもん』
「携帯で聞いたから」
『じゃぁ、まだあたしのラブラブ名刺もらってないの?』
「…うん」
ラブラブって…。あれは、そう呼ぶものなのか?
- 42 名前:重ねる嘘 投稿日:2001年12月28日(金)21時26分12秒
- 『じゃぁひとむクンの携帯番号教えて?』
「へ?」
『だってこれ非通知だし』
「あ、あの…。家からかけてるから。携帯まだ買い換えたばっかで覚えてないんだ」
自分の携帯を教える訳にはいかないので、ひとみは嘘をつくが、
梨華の鋭いツッコミにひとみは冷や汗をかいていた。
鋭くはないのかも知れないが、ひとみからしたら、嘘に嘘を重ねる事で大変だった。
メモッとかないと、自分でも忘れちゃうぞ、こりゃ…。
- 43 名前:重ねる嘘 投稿日:2001年12月28日(金)21時27分12秒
- 『そんなのすぐ分かるでしょ?』
「使い方覚えてないし」
『じゃぁ、これから持って来て。あたしが見てあげる』
「いや、携帯持っていかないから」
『どうしてよ?』
「いし…君にそこまでする必要ないし」
石川さんと言いそうになって慌てて言い直した。言い直す必要なんてないのだけれど。
それにしても、梨華は、昨日や今朝の印象とだいぶ違う。
こんなに積極的なのか…。なんだか、もう「実は嘘でした」なんて軽々しく
言えない状況まで追い込まれているような気がした。
『やっぱり…怒ってるのね』
今まで勢い良く話していた梨華の声が急にまた沈んだ。
「いや、そうじゃないんだけど。あんまり電話好きじゃないんだ」
『あたしも本当はそうだよ。会って話がしたい。会いたい』
結局、ひとみは梨華と会う約束をつけてしまった。
- 44 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月28日(金)21時29分10秒
- >38 REDRUMさん
あぁ…今までの作品全部Part3以上逝ってますもんね(謎)。
良くおわかりで。鋭いし仕事早いですねREDRUMさん(笑)。
案の定、既に予定よりも長くなっております(w。
息抜きにならんな、こりゃ(苦笑)。
- 45 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月28日(金)22時15分00秒
- >44
ごめんなさい。内輪ネタになっちゃいました。
もう少し更新します。
- 46 名前:ハンサムな彼女 投稿日:2001年12月28日(金)22時16分14秒
- 携帯を切ると、梨華は隣りにいた真希に抱き付いた。
「ヤッター!これから会えるよぉー!」
「凄いよ、梨華ちゃん。そのパワーにはいつも恐れいるよ」
いつもの事だが、梨華が恋をしはじめると、そのパワーは計り知れないモノがあって、
そのおかげでパワーを出しすぎて、その恋も、すぐに終わってしまうのだが、
今回は、どうなのか真希にも分からなかった。
携帯を見つめながらニコニコしている梨華に、またもや真希は質問をする。
「でさ、彼女のコトは、また聞かなかったわけ?」
「あ…」
話せただけでも嬉しかった梨華は、またもや彼女(紗耶香)の事をすっかり
忘れていたのだった。
「多分、あの人は、ひとみちゃんの友達だよ。だって今朝もいたんだし」
梨華は勝手にこじつける。都合の良い自己解釈というやつだ。
- 47 名前:ハンサムな彼女 投稿日:2001年12月28日(金)22時17分33秒
- 「ま、姉弟の友達が彼女って言うパターンも珍しくないしね」
真希は、意地悪く言ってみる。
「ヘンなコト言わないでよ。真希ちゃん」
否定するものの、梨華の声は小さくなる。
「あたしも、その場所に行ってもいい?興味あるんだ。ひとむクン」
「ダメ!ダメダメ!!2人っきりで会いたいんだから、邪魔しないでお願い」
梨華は懇願するように顔の前で両手を拝むポーズを取る。
「わかったよ。ま、頑張ってよ、梨華ちゃん。応援するからさ」
真希は苦笑混じりに言う。
「なんだか、心のこもってない感じがするけど、ありがと、真希ちゃん」
「いつものコトだからね」
真希は手をヒラヒラさせながら、帰って行った。
しかし、真希はそのまま帰ったと思いきや足をピタリと止める。
「あたしが、このまま帰るわけないでしょう」
真希はニヤっと笑って独り言を言うと、梨華の後をつけていった。
- 48 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)22時31分04秒
- ひとみは結局梨華の言葉に従ってしまい、約束の公園へと向かっていた。
服装は昨日と同じ格好である。
髪を後ろに束ねていたけれど、帽子は被っていなかった。
ひとみはマフラーをきつく巻き、コートに手を突っ込んだ。
雪が降ってもおかしくないくらい、しんしんと冷えていた。
「うぅ。寒い…」
公園につくと、既に梨華は来ていた。
「まだ帰ってなかったんだ」
制服姿の梨華を見つけて、ひとみは呟いた。
なんて声をかけようか迷っていたら、急に梨華が振り向いた。
そして、途端に嬉しそうな顔になる。
「ひとむクン!!」
「やぁ」
梨華も圭織みたいに交信技でも身につけているのかと内心焦りながら
ひとみは片手をあげて、梨華に微笑んだ。
- 49 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)22時40分03秒
- 「ごめんね。呼びつけたりして」
「うぅん。別に構わないけど」
梨華は、ひとみの顔をまじまじと見つめる。
そんなに見られたら、バレ…る? バレない??
夜の6時とは言え、外はもう真っ暗だ。外灯の灯りだけで照らされる梨華の顔。ひとみの顔。
「ホントに似てる。ひとみちゃんと…」
「!!」
「…でも、ひとむクンの方がカッコいい」
それを聞いてひとみは笑い出しそうになった。
同一人物なのに、どこが違うと言うのか?
しかし、カッコいいと言われてひとみも満更ではない。
カッコいいなんて言葉は、学校でも外でもよく言われるから聞き慣れている言葉だが
梨華に言われると、なんだかとても嬉しいのだった。
- 50 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)22時43分32秒
- 「顔が良く見えないなぁ…」
真希は隠れて覗き見をしているのだが、丁度真希のいる位置からは
ひとみの顔は見えないのだった。
それにしても梨華ちゃんの嬉しそうな顔。ホントに好きになっちゃったんだね。
真希はもう少し見える場所に、そっと移動した。
- 51 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)23時01分19秒
- 「昨日はゴメンね。ホントにごめんなさい」
梨華は眉毛を八の字にさせながら、ひとみの顔を覗き込むようにして謝って来た。
「ぃ、ぃゃ、別に、もう怒ってないよ」
そんな顔で謝られたら誰も怒れないだろう。そうひとみは思った。
なんだか梨華のペースに呑まれている気がする。
「良かった。あたし、あれからずっと、ひとむクンのコト考えてた。
そしたら今朝、あなたのお姉さんに偶然会って、これは『運命』だって思った。
まさに『This is 運命』って感じかな」
「……(そのままじゃん)」
「ひとむクンは、どうなの?」
「どうって、そりゃビックリしたよ。こんなコトもあるんだなってね」
「あたし達、運命を感じない?」
「それは分かんないけど」
このまま話していたら、またボロが出て来そうで、ひとみは早々に退散したい気分に
なってきた。元々、梨華に会いたいけれど、それは「ひとみ」としてであって
「ひとむ」としてではない。なんだかややこしくなってきそうだ。
- 52 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)23時12分50秒
- (へぇ。なかなかカッコいいじゃん。でも、女にしか見えないけどなぁ…)
真希は、ひとみが良く見える場所に移動すると内心呟く。
「もういいかな。この後約束があるんだ」
ひとみは話を切り上げようとしたが。
「あの!」
「なに?」
「この前、連れてた彼女…。誰なんですか?」
別に連れてた訳じゃないのに とひとみは思いながら
「あれは、幼なじみだよ。だから勘違いしないで」
こちらとしても紗耶香が彼女と間違えられるなんて心外だった。
が、言ってしまってから、ひとみは別の意味に取られたのではないかと心配する。
案の定、梨華の顔は嬉しそうだった…。
「勘違いして欲しいんじゃなくて、紗耶香が彼女なんてきもいから、それだけ。
別に…君に弁解するつもりはないから」
- 53 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)23時15分13秒
- ひとみは梨華の事をなんと呼べばいいのか分からなくて電話と同じく「君」と呼ぶ。
が、梨華は不服のようだ。
「ひとむクン。あたしのコト、名前で呼んでくれない?」
しかし、ひとみは
「なんで?別に、君とは何もないんだしどう呼んだっていいだろ?」
意地悪するつもりはないけれど、ひとみは素っ気なく言ってしまう。
「何かあったら、名前で呼んでくれるの?」
「そういうわけでは…」
途端にまたひとみは弱気になる。
梨華といると自分のペースが乱れてしまう。
- 54 名前:再会 投稿日:2001年12月28日(金)23時20分52秒
- (梨華ちゃん積極的だなぁ。仇にならないといいけどね。既にひとむクンひいてる感じだし)
真希は呑気に傍観者として眺めていた。
「とにかくさ、もう帰るよ。じゃぁね」
ひとみは梨華の方を見ないで、そのまま帰ろうとしたが、梨華に両手を広げられて
通せんぼをされてしまう。
「ダメ。まだ話は終わってないの」
「こっちは、もう話するコトないよ」
「重大な話はこれからなの」
梨華の真剣な眼差しに、ひとみは諦めると「どうぞ」と言った。
「あたしと…石川梨華と付き合って下さい!!」
- 55 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月28日(金)23時24分51秒
- 今夜はこれにて更新終了。思ったよりも石川のキャラがなんだか…。
ひとむは、石川に押され気味だし。
- 56 名前:ARENA 投稿日:2001年12月29日(土)05時42分51秒
- うわ!またイイところで・・・!(w
それにしても28日でかなり更新されてるので驚いた、とともに嬉しい限りです。
攻めてこその石川、期待してます・・・
- 57 名前:アーカス 投稿日:2001年12月29日(土)12時59分28秒
- 積極的な石川とてもおもしろいです。
ひとむくん精一杯がんばってください。
続き楽しみにしてますよ。
- 58 名前:夜叉 投稿日:2001年12月29日(土)16時56分53秒
- すごい勢いで石の猛烈ラッシュ(汗汗。
ひとむがマタドールなら、石は闘(略。w
そのマタドールもどこまで耐えられるか…。
大漁交信ありがとうございます。
息抜き、ということで…(w。
やはりそうでしたか、心にそっとしまい込んでおきますね。
これからの展開に期待してます。
- 59 名前:とみこ 投稿日:2001年12月30日(日)11時59分11秒
- ひとむの正体をバラした時の修羅場がちょい楽しみ(w
応援してます。
- 60 名前:名無し男 投稿日:2001年12月30日(日)17時03分30秒
- こんだけ積極的に来られたら防御のし様がない
- 61 名前:失恋 投稿日:2001年12月30日(日)21時30分58秒
- 「もう泣かないでよ、梨華ちゃん」
真希は梨華の頭を撫でながら慰めていた。
さすがに振られる瞬間を見ていたなんて言えないから、真希は
また梨華のリピート話に付き合わされていたのだった。
「ぅんっ。えっく……っく…」
梨華はしゃくりあげながら泣いているので、真希は黙って背中をさすってあげていた。
いつも梨華は先走り過ぎるのだ。だから相手はひいてしまいすぐに逃げて行く。
今回も例外ではなかった。と言うより今回はジェット並の早さだった。
玉砕するのも早かったけど。今までの最短記録更新。会った次の日に告白して自爆か。
あれじゃぁ仕方ないよな。
でも「吉澤ひとむとしては付き合えない」と言った、あの言葉にどんな意味があるのだろう?
なんか、あの『ひとむ』は怪しい感じがする。うまく言えないけれど。
真希も違う意味で、吉澤ひとむに興味を持ったようだった。
- 62 名前:失恋 投稿日:2001年12月30日(日)21時31分34秒
「でもね、あたし今回は諦めないんだ」
梨華は涙で濡れた顔をそっとあげると、真希に言う。
「珍しいね。いつもは、あっさり引き下がる梨華ちゃんが」
「いつもは、かなり酷い振られ方するけど、今回は違うの。
『付き合えない』って断られたけど、でもその後に、ひとむクンは…」
付き合えないって言って去って行こうとしたのだが、梨華が派手なくしゃみをした時に
ひとむは、黙って自分のコートを脱いで梨華に着させてくれた。そしてマフラーも
梨華の首に巻いてくれたのだ。
但し、返すのは『ひとみに返して』と一言添えて――。
「ふぅん。優しいんだね。ひとむクンは」
真希も一部始終見ていたから、言わなくても分かるのだが。
真希はその時『コイツ、女の扱い慣れてるな』と思ったが、それは言わないでおいた。
「もう一度アタックする!真希ちゃん見てて!」
梨華はもう泣いてなかった。
- 63 名前:-12- 投稿日:2001年12月30日(日)21時34分02秒
- ひとみはポケットに手を突っ込みながら、早足で家に急いでいた。
ひとみは家に着くなり、キッチンへ入った。
食卓では、圭織となつみが既に食事を取っていた。
ひとみの姿を見るなり、圭織は
「ひとみ!こんな寒いのにコートも着ないでどこ行ってんのさ?」
「ん?あぁ…。ちょっとねぇ」
ひとみは寒そうに手をこすりあわせながら、ストーブに手をかざした。
「あれぇ?出かける時、コート着てなかったっけ?」
なつみが突っ込む。
「人に貸したんだ」
ひとみは見られてたのか と言う顔をして手を洗いながらなつみに言った。
「あの黒いコートでしょ?あれ、カオがひとみに買ってあげたやつだよね。
貸すって、どういうコトよ」
圭織は目を更に大きく見開いて、ひとみに言った。
- 64 名前:-12- 投稿日:2001年12月30日(日)21時34分46秒
- 「だって相手が寒そうにしてたからさ。別にいいじゃん。あげたわけじゃないんだから」
「そうだよ。そんなコトより、ひとみも早く食べな」
なつみは食事の途中を中断される方が嫌らしく、ひとみに促した。
「またオムライスかよ」
ひとみは舌打ちした。
いくら、ひとみの今のマイブームがオムライスだからって週に何度もオムライスだと
さすがに飽きてしまう。昨日は外食だったけれど。
「またって、圭織となっちの作るヤツは違うよ。なっちの方がオイシイんだから」
「何言ってんの。カオの方がオイシイよ!」
また始まった…。どうでも良い事で、いつも喧嘩する。
「あ〜、カオねーちゃんのもなちねーちゃんのもオイシイから。喧嘩しないでよ!」
ひとみは、とってつけたように言うと、なつみ特製のオムライスに手をつけた。
結局、あたしは……石川梨華を振ってしまった――。
- 65 名前:名無し作者 投稿日:2001年12月30日(日)21時39分31秒
- 思った方向と違った方に話が進んでいきそうな気配。
明日も更新します。年内に終わらせるのはムリだったみたい(苦笑)。
>56 ARENAさん
攻める石川さんは、まだまだ続きますよ。
でも、後藤もひとむに興味がある様子。どう動くのかも重要に。
>57 アーカスさん
頑張れるのかな、ひとむ(w。
>58 夜叉さん
やはり…ですか(苦笑)。年末は忙しいっす。
>59 とみこさん
ありがとうございます。バレる時がエンディングになる訳ですけど(苦笑)。
>60 名無し男さん
あっさり、ひとむは振ってしまいましたけどね(w。
- 66 名前:頭の中は殆ど彼女 投稿日:2001年12月31日(月)13時46分03秒
- 告白した時の彼女の瞳は真っ直ぐで、ひとみも思わず『うん』と頷きそうになった程だ。
しかし、ひとみは負い目も感じて素直に首を縦には振れなかった。
梨華と付き合うと言う事は、つまり、そういう仲になると言う訳で、その時にバレてし
まうのなら、最初から振ってしまう方がまだマシだとひとみは判断をして梨華を振った。
ひとみとしてなら――自分はOKしたのだろうか?
「ちょっと、ひとみ! 全然進んでないじゃないの!」
なつみは、まだお皿に半分以上残っているオムライスを見てひとみに注意した。
「やっぱり、カオが作った方がオイシイんだよね?」
圭織は嬉しそうに言うが、ひとみは「別にあの時はただお腹が空いてただけ」とだけ
言おうとしたが、やめておいた。これ以上つまらない喧嘩を長引かせたくない。
「あ。いや、考え事してたからさ。すぐに食べるから」
ひとみは顔をあげて、なつみに言うと、急いで残りを口に詰め込んだ。
(結局、なちねーちゃんは自分の事だけなんだから)
早く後片付けがしたいと顔に書いてあるようなものだった。
- 67 名前:頭の中は殆ど彼女 投稿日:2001年12月31日(月)13時47分54秒
- 「考え事って、ひとみ、また女のコトか?」
圭織がひとみの隣りに座る。
「またって…」
違わないのだから、ひとみは後が続かなかった。
「どうしてひとみは、女しか興味持たないのかなぁ…」
「大きなお世話だよ」
「ひとみは女にモテる顔立ちしてるからなぁ」
「大きなお世話! ご馳走様」
ひとみは席を立つと、「まだ話は終わってないわよ」と言う圭織の言葉を無視して
自分の部屋へと行ってしまった。
- 68 名前:頭の中は殆ど彼女 投稿日:2001年12月31日(月)13時48分53秒
- 部屋の灯りがつくと、いきなりベランダから声がした。隣の家の紗耶香だ。
ベランダが隣接していて、そのまま渡って相手の部屋まで行ける程狭かった。
「ねぇ、梨華ちゃんに会って来たんでしょ?」
ひとみがベランダの窓を開けるなり、紗耶香はひとみの部屋に入って来た。
「梨華ちゃんて。紗耶香馴れ馴れしいな」
「丁度さ、ひとみが出て行くの見えたから」
「――紗耶香の言う通り、振って来たよ。満足でしょ?」
ひとみはそれだけ言うとベッドに寝転がった。
「マジかよ?」
紗耶香は、ひとみがもし梨華に告られたらOKするものと思っていたので意外に思った。
「別に驚くコトないじゃん」
「かなりひとみ好みのコだと思ったんだけどねぇ。意外だなぁ」
紗耶香もベッドの方に行くとひとみの隣りに腰掛けた。
「意外って。大体、石川さんのコト何も知らないんだよ?何年生だかも知らない。
知らないコトだらけだもん。それなのに『付き合って』なんてバカみたい」
「ムキになっちゃって。何も知らないクセにいつも逆ナンして遊んでるひとみが
言うセリフとはね」
「ムキになってなんかないよ」
ひとみはうるさいと言った顔をして紗耶香を眺めた。
- 69 名前:頭の中は殆ど彼女 投稿日:2001年12月31日(月)13時50分56秒
- 「ま、別にいいけどさぁ。あたしには関係ないし」
「でも…彼女に、マフラーとコート貸してあげたけど」
「はぁ?」
紗耶香はひとみを見つめた。「何それ?」
「読んで字の如しだけど?」
「振った矢先にそんなコトするひとみの方がバカじゃないの?」
「だってくしゃみするから。あれで風邪ひいた責任取れって言われる方が嫌だもん」
「結局、ひとみは梨華ちゃんのコト好きなんじゃん」
「好きとかじゃなくて、悪いなって思ったからだよ! もう紗耶香うるさい!出てってよ!」
一人になりたいひとみは、紗耶香を追い返した。
吉澤ひとむなんて、もう封印するんだから――。
- 70 名前:待ち伏せ 投稿日:2001年12月31日(月)14時27分12秒
- ひとみはたまには早く学校に行ってやろうと珍しく早起きをして
紗耶香をムシして学校に行く事にした。
そろそろ期末テストも始まるので勉強の1つでもしてやろうと思った事もある。
相変わらず頭の中は石川梨華の事でいっぱいだったりするのだけれど――。
梨華の幼なじみの真希も、珍しく早起きをして、昨日梨華がひとみとぶつかった
場所で、ひとみの事を待ち伏せしていた。
昨日、梨華はもう1度ひとみと会って、ひとむに会わせてくれと頼むと言って聞かなかった
のだが、真希は何とか梨華を説き伏せて納得させ、自分がひとみと偶然会ったフリをしよう
と目論んでいた。
そして――
前方から颯爽と自転車を漕いでくる女子高生が目に止まった。
(アレ、そうかな?)
昨日ひとむの事を見ていたとは言え、明るい場所でハッキリと見た訳ではない。
(ちょっと自信ないけど一か八かだ)
真希はカムフラージュの本を片手に前から走って来る自転車にわざとぶつかるように
歩いて行った。
当然、自転車は真希がわざと寄って来るとは思いもしない訳で、そのまま通り過ぎ
ようとしたが、真希は軽く接触する形で、その自転車にぶつかって行った。
- 71 名前:待ち伏せ 投稿日:2001年12月31日(月)14時27分47秒
- つもりが――
軽くではなく、かなり派手に接触したらしく、ひとみはそのまま自転車ごと倒れたのだった。
「いってぇ……」
昨日に続いて今日もまたかよっ!とひとみは内心舌打ちしながら、すぐに起きあがる。
そして、同じく路上に座り込んでいる真希の方に目をやった。
「大丈夫ですか?」
落ちているカバンと本を拾い上げると、真希の顔を覗き込んだ。
「はい」
真希もすかさず「ちょっとやりすぎた」と思いながら、ひとみの顔をしっかりと見つめ返した。
じっと見つめる真希に、ひとみは聞き返す。
「あの、なにか?」
しかし、ひとみは真希の手に血がついてるのを見て、すぐにハンカチを取り出した。
「血が出てる。ごめんなさい」
真希は「平気です」と答えると(本当はじんじんしているのだけれど)
「もしかして、吉澤さんですか?」
と、ためらいがちにひとみに問いかけた。
真希は既に梨華が話したひとむ像と昨夜自分が見たひとむ像を照らし合わせて確信して
いたのだが、一応そのように言った。
- 72 名前:待ち伏せ 投稿日:2001年12月31日(月)14時28分50秒
- ひとみは目の前の女子高生に見覚えがないが、どこかで会ったかな?と一瞬にして
頭の中を回転させた。しかし、初めて見る顔だった。
それに、鼻筋の通った顔の整った彼女の顔は、一度見たら忘れる事はないような気がした。
「そうですけど」
なんで、彼女は知っているのだろう?と言った顔でひとみは真希を見つめた。
「良かった。違ってたらどうしようかと…」
真希はすまなさそうに言う。
(ヨシ!これで後はこっちのペースに…)
「あたし、石川梨華の幼なじみで後藤真希と言います」
真希は、とびきりの笑顔でひとみを見つめた。
- 73 名前:-15- 投稿日:2001年12月31日(月)15時04分23秒
- ――また、石川梨華絡みか…。
ひとみは、ふぅっと心の中で溜息を吐いた。
「あの、それが?」
ひとみは努めて平静を装って言った。
「吉澤ひとむクンのお姉さんでよろしいんでしょうか?」
真希はニコニコしながら言うが目は笑っていなかった。
確かにソックリである。同一人物でも違わないくらいに。
しかし、いくら双子でも全く同じではないハズだ。
この吉澤ひとみを良く観察して今度は吉澤ひとむにも何とか
理由をつけて会わなければいけないと真希は思っていた。
「そのコトで、ちょっとお話ししたいんですよね。
それにぶつかったお詫びも兼ねて、これから朝マックしません?」
そう真希が言った時には既にひとみの腕は真希の手に掴まれていた。
「朝マックって、後藤さんもこれから学校でしょ?」
ひとみは別に構わなかったが、一応悪いと思って真希に問いかける。
「いいの、いいの。どうせ遅刻するのはいつもだから」
そう言って笑うと、ひとみの腕を離して倒れている自転車を起こした。
- 74 名前:-15- 投稿日:2001年12月31日(月)15時04分59秒
- 「あたしも、遅刻の常習犯なんだ」
自転車をひき、歩きながら、ひとみと真希はうち解け始めていた。
他愛のない、お互いの高校の話をしながら駅前のマクドナルドへと入る。
ガラス張りの外が良く見える場所に座る。
既にラッシュは始まっていて、道行く人は忙しなく歩いていた。
「ごめんなさいね。梨華ちゃんが、あんな性格で」
お互い食べ終わると、早速真希は話を切りだしてきた。
外の風景とは裏腹に、これから登校するとは思えないようにひとみと真希は
のんびりしている。
「別にあたしは、何も迷惑かけられてないし」
そう、別にひとみとしては、何も迷惑されていないのだ。
「もうひとむクンから聞いてるかも知れないけど、梨華ちゃん
ひとむクンに交際申し込んだらしいんだけど…振られたんだよね」
真希はひとみを探るような視線でひとみに話しかける。
「そう言えばそんなコト電話で言ってたような」
ひとみは視線をわざと真希から外して言った。
ひとむは封印したのに、すぐに封印を解くハメになるとは――。
- 75 名前:-15- 投稿日:2001年12月31日(月)15時06分44秒
- 本来、ひとみは嘘をつくのが苦手。なんだか真希を見ていると
見透かされそうな感じがして、ひとみは汗をかいていた。
このままじゃマズイかも――。
「梨華ちゃん、諦められないんだって。だからもう1度会うチャンス
もらえないかなぁ?吉澤さんからまた頼んでもらえない?
あたしが口出しするコトじゃないんだけど、あまりに梨華ちゃんが可哀相だから」
「言うのはいいけど、会うか会わないかを決めるのは、ひとむだから」
ひとみはそう言って視線を落とした。
なんだか心が痛い。別に梨華本人に直接言ってる訳ではないのに何故か心が痛む。
やっぱり、あんな嘘つかなければ良かった――。
- 76 名前:-15- 投稿日:2001年12月31日(月)15時07分25秒
- 「そうだよね。でも一応ひとむクンに伝えておいて。
あと、これはあたしのおせっかいで、梨華ちゃんが言ったコトじゃないから。
あんまりのんびりしてると、更に遅刻するからこのヘンでお開きね」
そう言って真希は立ち上がる。
「うん」
「ごめんね。呼び止めたりして」
「こちらこそ」
「また会えるかな?」
真希は携帯の番号をメモに書くと
「なんか、吉澤さんのコト気に入っちゃった。友達になりたいな♪」
嬉しそうに微笑みながらひとみに手渡す。
自分も番号を書かないといけないのかと躊躇していると真希は
「気が向いたら電話してね」とだけ言って先に行ってしまった。
「なんだか、また面倒くさそうになりそうだなぁ」
ひとみは呟いたのだった。
- 77 名前:偶然の再会 投稿日:2001年12月31日(月)20時51分58秒
- 放課後また、ひとみは紗耶香と一緒に帰る事になった。
朝、一緒に行かなかった事と梨華の幼なじみに会った事を知ると目を輝かせて
「どうせ帰る方向一緒だし」と言って、勝手に着いて来たのだった。
「今度は、幼なじみまで登場かぁ。なんか面白くなって来たね!」
紗耶香は部外者だから面白そうに言う。
「全然面白くないわい!」
ひとみはフンと言った感じで後ろに乗っている紗耶香に言った。
- 78 名前:偶然の再会 投稿日:2001年12月31日(月)20時53分16秒
- * * *
「真希ちゃん、なんで今朝遅刻したの?」
こちらも下校途中、梨華は真希と一緒に帰りながら、しつこく聞いて来た。
「なんでって寝坊したからに決まってんじゃん。どうしてそんなコト聞くの?」
昼休みにも同じ質問を浴びせられて真希はいい加減うんざりしていた。
勝手な事をすると梨華は怒るから、今朝待ち伏せしてひとみに会った事は内緒だった。
それもいずれバレるのは時間の問題なのは分かっているけれど。
(吉澤さん、電話くれるかなぁ…)
「真希ちゃん。明日はさぁ…朝、ひとみちゃんに会いに行ってもいいよね?」
梨華は、もう何度言っても無駄だと悟ったらしく話を変えた。
「もうちょっと間をあけた方がいいんじゃないの?」
「でも、コートとマフラー借りてるし。返さないといけないしさ」
「ま、それ口実に会えるからさ、朝それだけ言って、ちゃんと会う約束取れば?」
「あ、そっか。真希ちゃん頭いい!」
梨華は感心しているが、そんなのは普通考えつかない?と真希は思う。
(梨華ちゃんは単純バカだから仕方ないのか。)
- 79 名前:偶然の再会 投稿日:2001年12月31日(月)20時53分48秒
- 「昨日の朝、ここで会ったじゃない。また会えないかなぁ。ちょっと待ってみない?」
丁度昨日2人がぶつかった場所に来ると、梨華は大して期待もせずに言ってみる。
「時間の無駄だよ、梨華ちゃん。行こ」
今朝、自分がひとみを待ち伏せした事を棚に上げて真希は一瞬立ち止まった梨華の腕を取った。
「やっぱり、そうだよね。偶然なんて、そう何度もあり得ないもんね」
しかし梨華と真希がそこで立ち話をしていたところへ、ひとみと紗耶香が自転車に乗りながら
やってきたのだった。まだ、ひとみと紗耶香は2人に気付いていない。
梨華より先に真希はひとみに気付いたのだが「あぁなんてコト…」真希はバレないように
何とか梨華を先に行かせようとしたが、自転車との距離はみるみる縮まって行く。
(ムリだな、こりゃ)真希は諦めると梨華に「ひとみちゃんだよ」と呟いた。
「えぇ!?」
梨華はスローモーションのように、ひとみの自転車がこちらに近づいて来るのを見た気がした。
――やっぱり、運命を感じます!
梨華の瞳は再び輝きを増したのだった。
- 80 名前:夜叉 投稿日:2001年12月31日(月)23時19分12秒
- 今日、二度の更新、お疲れさまでした。
早いお年玉のようでうれしいです。(w
しかも、紅白後(略。
作者様に来年も良い年でありますように。
- 81 名前:名無し男 投稿日:2002年01月01日(火)17時36分41秒
- あけおめ!
ことよろ!
鼻の穴をおっ広げて吉澤に猪突猛進する石川萌え〜(妄想タイム)
- 82 名前:もう1つの恋の予感 投稿日:2002年01月02日(水)14時40分54秒
- ひとみは紗耶香と喋りながら自転車を漕いでいたが、前方の視線に気付き、
慌ててブレーキをかけた。急ブレーキをかけたので紗耶香は前のめりになった。
「ちょっとひとみ! 急にブレーキかけないでよ!」
しかし、ひとみが黙っているので紗耶香は様子がおかしいのに気付いて前を見た。
ひとみはすぐに自転車から降りると、目を輝かせている梨華の前を素通りして
真希の方に歩いて行った。
「朝はどうも。あれから保健室行ったの?」
「あ、あぁ。こんなの平気だから」
真希は手に貼った絆創膏をひとみに見せた。
ひとみと真希のやりとりに、梨華は目を白黒させていた。
それよりも自分をムシして真希に話しかけたひとみに梨華は少なからずショックを受けた。
そして、朝ひとみと会っていた事を隠していた真希にも。
- 83 名前:もう1つの恋の予感 投稿日:2002年01月02日(水)14時42分02秒
- 「真希ちゃんとひとみちゃんって朝、会ってたの? だから遅刻したんだ」
ヤバイと真希が思った時には既に梨華の目には涙が溢れそうになっていた。
さすがの真希も、帰りにもひとみと会うとは思っていなかったので動揺していた。
「石川さん、後藤さんを責めないで。あたしが黙っててって頼んだんだから」
「え?」
思わぬ助け船に声をあげたのは真希だった。
「後藤さんとは偶然会っただけだし、でもなんか話が合っちゃったんだよね」
そう言って、ひとみは笑った。
「それとどうして黙る必要があるの?」
思わず梨華は、ひとみに詰め寄る。長い睫毛が涙で濡れて光っていた。
(可愛いな、やっぱり――。でも振っちゃったんだよな。)
ひとみは今さらながらに、振った事を少し後悔していたのだった。
「石川さんヘンな心配すると困るしさ。それに、ひとむのコトがあるし」
「ひとみちゃんも、もう聞いてる…の?」
突然梨華の声のトーンが下がった。
- 84 名前:もう1つの恋の予感 投稿日:2002年01月02日(水)14時42分58秒
- * * *
先ほどからすっかり存在を無視されている紗耶香に真希は釘付けだった。
「あの、あたし後藤真希って言います。あなたが噂の?」
梨華とひとみのやりとりを見ていた紗耶香にいきなり真希に声をかけられ、
紗耶香は真希の方に視線を移した。
「噂って何?」
「梨華ちゃんが言ってた『ハンサムな彼女』です」
真希は何故か語尾が消え入りそうになり、真っ赤になって俯いている。
「あぁ、勘違いってヤツね。ひとみとは幼なじみなんだよ。後藤さんと
梨華ちゃんと同じようにね。あたしは市井紗耶香」
「市井紗耶香」
真希は頭の中でも何度も繰り返した。
「カッコいい名前ですね」
「え?」
「いえ、なんでもありません」
真希は手を左右に振って答えた。
既に真希の頭には、梨華とひとみの事など記憶の隅から消えていたのだった。
後藤真希も一目惚れをしてしまったのかも知れません――。
- 85 名前:もう1つの恋の予感 投稿日:2002年01月02日(水)14時44分24秒
- * * *
「うん、それとなく聞いたよ」
「そっか…」
梨華は力無く肩を落とす。
やはり、そぅとぅショックだったのだろう。
梨華の哀しそうな顔を見ているとひとみまで胸が苦しくなる。
「でも、ひとむは石川さんのコト嫌いであんなコト言ったんじゃないと思うんだ」
「?」
梨華はひとみを見つめる。
「なんていうか急に告白されて戸惑ってたみたい。それだけだと思うんだ」
「じゃぁ…もう一度チャンスをくれる? て言うか会わせてもらえる?」
梨華はひとみと息が触れ合うくらいまで接近していて本人は意識していないのだろうけど
ひとみの心臓は既に激しくなっていた。
「う、うん」
「良かった」
梨華はとびきりの笑顔で答えた。
思わず「うん」と言ってからひとみは、また心の中で「しまった」と思う。
「ひとみちゃん、これからあたしの家に来ない?」
「は?」
結局、真希と紗耶香も立ち話をしていたから、梨華は「ここでバイバイ」と言って
ひとみを半ば強引に家に連れて帰ってしまった。
- 86 名前:梨華の妹 投稿日:2002年01月02日(水)14時46分42秒
- 梨華の家は、ひとみの家からさほど離れていなかった。
歩いても10分くらいだろうか。
ひとみが返事をしないうちに、梨華に連れて来られてしまったが。
(緊張するなぁ…。なんであたし石川さんちに来てるんだろ?)
梨華の家の前に来て、急にひとみは怖じ気づいてしまう。別に悪い事なんかしてないのに。
立ち止まるひとみに気付いた梨華は、振り返ると、ひとみの腕を取った。
「どうしたの? ひとみちゃん?」
「へ? あぁ、なんでもないよ」
ひとみは、ここまで来たらもう仕方ないと諦めて深呼吸すると梨華の後に続いて
石川家へと入って行った。
- 87 名前:梨華の妹 投稿日:2002年01月02日(水)14時48分06秒
- 玄関を入るとひとみはキョロキョロとした。
「誰もいないから、そんなに緊張しなくても平気だよ」
梨華は靴を脱ぎながら言ったが、キッチンから背の小さい女の子が顔を出した。
「梨華ちゃんおかえりー」
お菓子を食べているのか、口をもぐもぐさせながら出て来る。
「あぁ、あいぼんいたんだ。あたしの妹 亜依。こちらはあたしの友達の吉澤ひとみちゃん」
いきなり紹介されて、ひとみは取りあえず頭を下げた。
「へぇ。梨華ちゃんが他校の生徒連れて来るなんて珍しいねぇ。
いっつも真希ちゃんしか連れてこないのに」
亜依はひとみを珍しいモノでも見るような目で見つめていたが、ペコリとお辞儀をする。
「吉澤ひとみです。よろしくぅ」
(何がよろしくなのか、良くわかんないけどね)
「そこの制服、うちの学校と同じで可愛いんですよねぇ。ハロー学園ですよねぇ。
あたしもそこの学校行きたかったんですよぉ」
亜依はひとみの制服を見ながら羨ましそうに言う。
- 88 名前:梨華の妹 投稿日:2002年01月02日(水)14時48分57秒
- ひとみの通っているハロー学園も制服が可愛い事で有名だった。
紺のブレザーにチェックのネクタイ。チェックのスカート。ひとみも良く似合っていた。
梨華の通うモーニング学園は対してチェックのリボン。こちらも可愛さでは
ハロー学園に負けていない。レベルも同じくらいである。
「亜依ちゃんって何年生?」
見た目小学生と言っても通用するようなルックスだった。
「あたしはぁ中等部2年なんです」
「モーニングは中等部からあるもんね。ハローは高校からだけど」
「カッコいいですよね。なんかファンになっちゃいそう」
「あははっ。良く言われる(って自分で言うなって?)」
- 89 名前:梨華の妹 投稿日:2002年01月02日(水)14時49分43秒
- しかし梨華はそれを聞いて
「やっぱり、ひとみちゃんもそうなんだ。ひとむクンもカッコいいもんね。
羨ましい双子だなぁ。あたしなんか、あいぼんが妹だもんね」
「梨華ちゃん、それどういう意味だよぉ?」
亜依がすかさず梨華のコメントに対して不満そうに突っ込んだ。
「もう生意気盛りでさぁ。困っちゃうんだよね」
梨華は亜依の頭を小突きながら言うが、仲が良い事は2人のやり取りを見ていれば良く分かる。
「ひとみちゃん、梨華ちゃんの部屋に入って驚かないでね?」
亜依はそれだけ言うと、「ごゆっくり」と言ってまたキッチンへと戻っていった。
- 90 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月02日(水)14時58分08秒
- あけましたおめでとうございます。
>80 夜叉さん
お年玉ですか(遠い目)。
読者様にも良い年でありますように。
>81 名無し男さん
猪突猛進するんでしょうか?するんでしょうね、きっと。
一応、今まで自分であんまり出してない人選にしてるつもりですがイマイチだな。
「いちごま」は書いた事ないし。脇役だからまぁ期待はせずに。
- 91 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月02日(水)14時59分04秒
- がが名前自ら出してしまった。鬱だ。
- 92 名前:招かれた部屋 投稿日:2002年01月02日(水)15時32分46秒
- 梨華の部屋へと続く2階への階段を上りながら、ひとみは
「驚くって、なに?」と梨華に訊いていた。
「なんでもないんだよ。気にしないで。ホントあいぼんは一言余計なんだから」
しかし、梨華の部屋に入ってひとみはその意味がすぐに分かった。
殆ど全部ピンクに統一された部屋を見て、ひとみは絶句した。
「ひとみちゃんどうしたの? 入ってよ」
入り口で立ち止まっているひとみを梨華は促した。
「そうだね…」
(すげー、見事にピンクだらけだよ。)
そう言えば、渋谷で会った時も梨華は全身ピンクで目立っていたのを思い出す。
「石川さんて、ピンク命なんだ」
「命ってほどでもないよ〜」
梨華はそう言いながらも嬉しそうだ。
「あたしはピンクなんか似合わないけど、石川さんには似合ってるよね」
「ホントにそう思う?」
「うん」
この前もそうだったね。と言おうとして、ひとみは言葉を飲み込んだ。
ひとみは梨華とは制服姿でしか会ってない事になっている。
- 93 名前:招かれた部屋 投稿日:2002年01月02日(水)15時34分05秒
- 「ひとみちゃん、あたしのコト、名前で呼んでくれていいよ?」
「…なんか、照れますよ」
「呼んで欲しいなぁ」
梨華は、しなを作りながら上目遣いで、ひとみに言う。
「あ、あ、あの…り、梨華さんは、そう言えば何年生なんですか?」
ひとみは梨華に見つめられどもりながら聞き返した。
そんな目で見られたら――。
「ヤダぁ、ひとみちゃん。梨華さんなんて照れるぅ。あたしは2年生だよ」
「あんまり名前で呼ぶコトってないんで。あたしは1年生です」
紗耶香は幼なじみだし、あとは姉を○○ねーちゃんと呼ぶくらいだし
他は姓字で呼び捨てたりしてる。あまり名前+ちゃんで呼ぶ事はなかった。
だから、初対面でいきなり「ひとみちゃん」と呼べる梨華がある意味羨ましかったりもする。
「梨華って呼んでくれてもいいよ?」
梨華は悪戯っぽく笑うと、ひとみにウィンクをした。
「そ、そんなのもっての他です!!」
ひとみは耳まで赤くさせながら抵当にお断りした。
すぐに梨華は残念そうな顔になる。
- 94 名前:招かれた部屋 投稿日:2002年01月02日(水)15時35分05秒
- 「そっかー。なんかひとみちゃんと話してるとね、ひとむクンと話してる錯覚に陥るんだ。
って当たり前だよね。ホント似てるなぁ、ひとみちゃん…」
梨華はジッとひとみを見つめる。
「似てるも何も、あたしとひとむは同じですよ」
ひとみはサラッとわざと言って梨華の反応を見た。
一瞬間があったが、梨華は、すぐに笑い出した。
「ひとみちゃんウマイ! 同じなのは分かってるよ」
いや、分かってないと思います――。
「そんだけ似てると、やっぱり困るコトってあるよね?」
やっぱり分かってないな、なんてひとみは心の中でまた溜息を1つつく。
「好きな人が一緒だったりね」
(別にこれは困る事ないのか)
- 95 名前:招かれた部屋 投稿日:2002年01月02日(水)15時35分44秒
- 「?!」
梨華は目をまんまると見開くと
「ひとむクン好きな人いるの? ひとみちゃんも?」
「驚くコトですか?」
「だって一緒って…。ひとみちゃんも女の子好きなの?」
「…ああ、あの。あたしの場合は好きって言うか気になるのが、たまたま女の子なだけで」
ひとみは説明するが、梨華は
「ひとみちゃんカッコいいもんね。分かる気がするなぁ。あたしの学校も女子校じゃない?
だから、ひとみちゃんみたいにカッコいい子は人気あるもんね」
「梨華…ちゃんは、そういうのってどう思ってるの?」
ひとみはいつも好きになるのは同性ばかりだから、そのヘンはやはり気になるのだ。
「どうって、憧れるのは分かるけど、あたしにはあんまり分からないなぁ」
「……そっか」
告白する前に振られた気分だな…。ま、ひとむの事があるから告白する勇気なんて
最初からなかったりするのだけれど。
「でもね、あたしひとみちゃんみたいな人だったらOKだよ。で、ひとむクンも好きな人いるの?」
「例えばの話ですよ。今の話じゃないです」
「そっか。良かった…」
ホッと胸をなで下ろす梨華に、ひとみは『全然良くない』と思っていた。
- 96 名前:ひとむの携帯 投稿日:2002年01月02日(水)16時27分51秒
- 結局ひとみが梨華に解放されたのは、それから1時間後。
梨華の家で食事も呼ばれて、梨華とは携帯番号も交換させられた。
そして、ひとむと会う約束もさせられたのだった。
「友達としてでいいからお願い」そう言われたらひとみも何も言えなかった。
ひとみは自分の家に戻って着替えると駅前まで行って携帯の2台目を買う事にした。
勿論、ひとむ用に。「思わぬ出費だよ」そう思いつつもひとみは、どれにしようかなと
楽しそうに機種を眺めていた。
「ひとみ何してんの?」
「ぎゃっ!」
いきなり肩を叩かれて、ひとみは振り返った。
「紗耶香…」
そう言えば真希と親しげに話してたのを尻目に梨華と先に帰ってしまったのを思い出した。
「紗耶香こそ、今まで何してたのさ」
携帯を元に戻すと紗耶香に聞く。
- 97 名前:ひとむの携帯 投稿日:2002年01月02日(水)16時28分51秒
- 「あの後藤って子とさぁ、お茶してたんだよね」
「ふぅん。仲良くなったんだ」
「別に。あたしは興味ないけど。それよりさ部屋で何してたの?」
紗耶香は真希の事よりも、ひとみと梨華の事が気になるらしい。
「何って、話してただけだよ。ヘンな想像したって無駄だからね。
それにあたしは梨華ちゃん興味ないし」
再び携帯に目を移す。
「進展してんじゃん。梨華ちゃんだなんてさ」
紗耶香はニヤリとすると、ひとみの脇腹をつつく。
「そう呼んで欲しいって言うから仕方なくだよっ!」
ひとみは場所を移動する。
(ホントにうるさいよ、紗耶香は)
「その割に顔ニヤけてるよ?」
紗耶香に指摘されて、慌ててひとみは頬を押さえた。
「ひっかかった! やっぱり図星でしょ?」
「うっさいなぁ…。ほっとけよ〜!」
ひとみは紗耶香に冷やかされながら2台目の携帯を購入すると、うるさい紗耶香を
先に帰らせて、自分はそのまま梨華の携帯に電話した。
- 98 名前:初デート? 投稿日:2002年01月02日(水)18時04分44秒
- そして、次の日曜日に、梨華はひとみ扮するひとむと会う事になった。
いつもより気合いの入った感じのひとみに、出がけ間際に、圭織からツッコミが入る。
「ひとみぃ〜。今日はデートなの?」
「なんで?」
「結構気合い入ってんじゃん? それとも、またナンパかぁ?」
「カオねーちゃん!!」
ひとみはキッと圭織を睨むと「今日はご飯いらない」と言って家を出て行った。
圭織はすぐにツッコミたがるが、からかってるだけで真剣に聞いている訳ではなかった。
- 99 名前:初デート? 投稿日:2002年01月02日(水)18時05分41秒
- 待ち合わせ場所は、最初に会った公園。
ひとみは急ぎ足で向かう。いつもの事だが彼女を先に待たせておくのは嫌な性格で
待ち合わせる時間よりも1時間前に着いている事も珍しくなかった。
しかし、ひとみが来た時には既に梨華は来ていた。
「梨華ちゃん、早すぎるよ…。まだ50分もあるじゃん」
ひとみは両頬を手でパシパシと叩くと、ヨシ!と気合いを入れて梨華の元へと駈けて行った。
「随分と早いね」
その声に梨華は嬉しそうに微笑みながら振り返った。
「ひとむクン!!」
- 100 名前:初デート? 投稿日:2002年01月02日(水)18時06分28秒
- どうしてバレないんだろう? ひとみは不思議に思いながら梨華を見つめる。
ひとむ用に携帯を買ってから何度か梨華とは電話でやり取りをしていた。
最初は罪悪感のあったひとみも、次第には慣れて来て自分の中で『ひとむ像』を作り上げていた。
それでも実際、ひとみは梨華と2人で出かける事はなかったから、そのヘンは慎重だった。
「もし抱き付かれたりした時」そんな事まで予想して、ひとみはサラシまで巻いていたのだ。
(念には念を入れないとねって、なんだか期待してるみたいでイヤだけど)
ひとみは自分で言い訳をして苦笑いをする。
ひとみとして梨華との恋が実らないのであれば、ひとときでも、ひとむとしてでも
ひとみは梨華と楽しい時間を過ごす方を選んでしまった。
勿論、それがいずれバレて、哀しい結末を迎える事が分かっていても――。
「梨華ちゃん、行こうか」
ひとみはポケットから手を出すと、梨華の手を自分の手で包み込んだ。
梨華は満面の笑みで頷いた。
- 101 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月02日(水)18時10分27秒
- 更新終了。鬱なんで逝って来ます。
- 102 名前:夜叉 投稿日:2002年01月03日(木)00時37分24秒
- あぁ、帰ってきて、作者様。
でも、びっくりしました、普通に、さらっと…(汗汗。
今回もお年玉、有難うございます。
をぅ、初デートだ(w。
これからですね、楽しみです。
しかし、サラシを巻くのはどうかと…(苦笑。
ドラマ、おいしく頂きました。
やや、鬱です(w。
- 103 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)16時14分16秒
- 気付いてました・・・
めげずに頑張って下さい
- 104 名前:名無し男 投稿日:2002年01月03日(木)16時42分28秒
- かええってこ〜〜〜いよぉ〜♪(一応歌)
名前がなんぼのもんじゃい!
そんな事でめげちゃいかん!!
俺は今、石油ストーブの石油が無くなって命の危機にさらされておる!
20aの雪の中凍え死にそうなのを必死で頑張っているんだ!
だから帰ってきて(説得になってないかw)
- 105 名前:渋谷へ行こう 投稿日:2002年01月03日(木)19時01分41秒
- 「どうする? 渋谷にでも行く?」
あまり地元でうろついていると誰かに見られていそうで早いところ出かけてしまいたかった。
本当は待ち合わせ場所だって、こんな地元の公園じゃなく渋谷あたりが良かったのだけれど
梨華が早くから一緒にいたいと言うので仕方なく、ひとみは折れた。
「あたし、ひとむクンとだったら、どこでもいいよ」
「そっか」
こういうのが一番困る。ひとみも優柔不断な所があるから相手が決めてくれた方が気楽だった。
「じゃぁ映画でも見に行く?」
ひとみは早くこの場所から立ち去りたくて別に見たくもないが映画が無難だろうと思い提案した。
「うん」
梨華は頷くと、ひとみもニッコリと笑い、梨華の手を握りしめたまま自分のコートの
ポケットにそのまま入れる。
「こうすれば寒くないよね」
(ひとむクン優しい♪)
梨華はこの時点で、ひとむのポイントがかなりあがっていた。
ひとみにとっては、この位はまだ序の口だった。
- 106 名前:一方的な片想い 投稿日:2002年01月03日(木)19時03分01秒
- * * *
「いちーちゃん!」
「後藤…」
一方こちらは、真希が紗耶香に夢中で追いかけ回していた。
おかげで真希のひとみ身元調査は呆気なく幕を閉じ、真希は紗耶香にしか眼中がない様子。
ただし、こちらは真希の一方的な片想いだった。
「あたしさぁ、しつこいの嫌いなんだよね」
それでも真希は負けていない。
「今日は、梨華ちゃんもひとむクンとデートなんですよ。
あたし達もどこか遊びに行きましょうよ」
「ひとむねぇ…。もうどうでもいいよ、あっちの話は」
真希の猛烈なアタックに、さすがの紗耶香もグロッキー気味だった。
今は、ひとみの事よりも、この真希の事が気になっていた。
別に嫌いだとか、そういう感情ではなく、何度か真希とは会って話しているが
紗耶香にとっては、真希は、恋愛対象には見れないのだった。
その辺を何度説明しても、真希は諦めてくれない。
- 107 名前:一方的な片想い 投稿日:2002年01月03日(木)19時03分52秒
- 「いちーちゃん。じゃぁあたしに勉強教えてくれない?」
「勉強?」
「今って試験勉強期間中だから」
それは分かっている。それなのに、仲良くデートをする、ひとみの気が紗耶香には
知れなかった。ひとみはそれほど頭が良い訳ではないし、最初から赤点覚悟で試験に
望むのか、そのヘンは紗耶香も分からなかった。
「なんであたしが後藤の勉強見なくちゃいけなんだよ」
「ゴトーよりいちーちゃんの方が2年先輩だし♪」
勿論、勉強なんて口実で真希は紗耶香と一緒なら、どこでも良かった。
紗耶香も諦めると「じゃぁ、どっか行くか」といつものパターンで折れたのだった。
- 108 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月03日(木)19時06分33秒
- 明日は「ナマタマゴ」見に行くです。
ののかお&やぐごま見れるかなぁ。
>102 夜叉さん
いつもの調子で書いてしまいましたがな(爆)(鬱)。
初デイトもすんなり行かなかったりして(笑)。
>103
殆どの人が気付いてると思いましたけど自分のマヌケさに(藁。
>104 名無し男さん
今日も寒かったですね。なるべく更新するようにします。
灯油が使えるのはいいですね。ウチはだめなのでガスかオイルヒーターどす。
- 109 名前:理科。 投稿日:2002年01月03日(木)19時10分31秒
師匠、みぃ〜っけ!ひさぶりに見て歩いてます。
どうも、おめでとうです!師匠♪
梨華ちゃんの押しもイイもんですなぁ♪
- 110 名前:とみこ 投稿日:2002年01月03日(木)20時05分19秒
- 一瞬よしごまかと思った・・・(w
いちごま大好きなんで、くっついてもらいたいです!
頑張ってください。
- 111 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月03日(木)20時06分23秒
- >109 理科。さん
おー久しぶりです。理科。さんの小説(ヤッスー)読めなくて
寂しい今日この頃です。ここの梨華ちゃんは思いこみが激しいので(w。
もう少し更新します。
- 112 名前:昔の彼女 投稿日:2002年01月03日(木)20時07分25秒
- 渋谷に着くと映画館で流行りの映画を見る。
内容は良くある恋愛映画だった。ひとみはつまらないと思いながら見ていたが
梨華は結構楽しんで観ているようだった。
(梨華ちゃんが楽しいならいいか…)
その後食事をして、適当に服を見たりCDショップに寄ったりしていた。
Jポップコーナーで適当に見ていたが、果たして梨華は楽しいのだろうか?と
ひとみは疑問に思う。
ひとみは、こういったデートは、かなり久しぶりだった。
(っつーかデートでいいのかな)
一応ひとみは梨華の交際を断った訳で友達から始めましょうと言う事で梨華とは
付き合っている。ただ、その線引きが微妙でひとみには良く分からなかった。
別のコーナーにいる梨華を遠目で見ていると、突然肩を叩かれ、ひとみはびっくりして
後ろを振り返った。
- 113 名前:昔の彼女 投稿日:2002年01月03日(木)20時08分54秒
- 「!!」
振り返れば、金髪で背の小さい黒目がちの少女、矢口真里が立っていた。
「よっすぃー久しぶりだね」
「や、矢口さん!!」
矢口は今年卒業したひとみより3つ年上の先輩。かつてのひとみの最初の恋人だった。
今は都内の専門学校に通っている。別れた理由は矢口の浮気だったが、ひとみが振った
事になっていた。以来ひとみは自分の校内の生徒とは付き合わないようにしている。
噂ほど恐いものはないし、あれこれ尾鰭をつけて話のネタにされるのがイヤだったからだ。
驚いているひとみに矢口は黒目がちの瞳を揺らす。
「そんなに驚くコトないだろー。あたしだって渋谷ぐらい来るよ〜」
キャハハと笑って矢口はひとみの腕に絡みつく。
- 114 名前:昔の彼女 投稿日:2002年01月03日(木)20時10分04秒
- 「そりゃビックリしますよ。誰かと一緒ですか?」
ひとみは声が上擦りながら、矢口の腕をさりげなくほどこうとする。
「一人だけどさ、何かマズイの? しきりに彼女のコト気にしてるみたいだけど?
よっすぃー? でも相変わらずよっすぃーはかっけーなぁ。振ったのは勿体なかったかな」
矢口がからかうように言うと、わざと腕をきつく絡めて来た。
「べ、別にそんなコトありませんよっ。それに彼女じゃありませんし」
照れ隠し半分ひとみは強く否定した。
「ふぅん。そっか。デート中なのにこんな現場見られたら彼女に怒られちゃうよね。
お邪魔虫は、とっとと退散しろって? ひどいよ、よっすぃー」
「あの、あたし何も言ってませんけど…」
ひとみは、参ったなーと言う顔をしながら場所を移動しようとした所へ梨華と目が合ってしまう。
「梨華ちゃん…」
「ひとむクン……」
梨華は哀しそうに瞳を伏せるとそのままフロアを去って行こうとする。
- 115 名前:昔の彼女 投稿日:2002年01月03日(木)20時10分54秒
- 「ちょ、ちょっと待ってよ! 梨華ちゃん!!」
「あららら、勘違いしちゃったみたい」
矢口はあまり悪びれた風でもなく言う。
今まででもそのような場面は出くわした事があるからだった。
「あららじゃないですよ。もう」
ひとみは肩を落とすと梨華の後を追いかけようとするが矢口に掴まれてしまう。
「でも、ひとむって誰よ? それに彼女じゃないならいいじゃん」
「誤解されてるじゃないですか! 取りあえず失礼します」
ひとみは礼をすると梨華の後を追う。
ひとみは外に出ると混雑する人混みに何度もぶつかり合いながら梨華を追いかけた。
幸いピンクのハーフコートが目印になり見失う事はなかった。
こういう時は役に立つんだ。なんてひとみは思いながらすぐに梨華に追いついた。
しかし、悪い事は重なるモノでまた、ひとみは声をかけられる事になる。
「梨華ちゃん!」
ひとみはそれでも少し肩で息を切らしながら梨華の肩に手をかける。
いつもの押しの梨華はいなく、そこにはネガティブな梨華が居た――。
- 116 名前:嫉妬 投稿日:2002年01月03日(木)20時26分43秒
- 落ち込む梨華を喫茶店に連れて行き説得するのに30分。
ようやく梨華も納得してくれたようだったが――。
「やっぱりひとむクンモテるから彼女くらいいるよね」
それでもまだ梨華の声は沈んでいた。
「もう別れて1年以上経つよ。それに梨華ちゃんにだって別れた彼氏と
偶然出会うコトだってあるよねぇ?」
同意を求めるようにひとみは言うが梨華は否定した。
「あたし、長い期間続いたコトないから。それに振られてばっかりだし…」
どうも逆効果だったようだ。梨華は昔を思い出したかのように、また視線をテーブルに落とした。
しかし同時にひとみもショックを受ける。
「やっぱり梨華ちゃんにもいたんだ。彼氏…」
あれだけのルックス、プロポーションなんだから男が放っておく訳がない。
と言う事は、もう……?
ひとみは勝手に想像をして、その男共に激しく嫉妬をしていた。
- 117 名前:嫉妬 投稿日:2002年01月03日(木)20時27分34秒
- 「ひとむクン?」
いつの間にかひとみは握り拳を作って恐い顔をしていたらしい。
梨華に指摘され、慌てていつもの柔らかい表情に戻る。
「ゴメン。想像したらちょっと妬けたから…」
普段だったら決して口にしないセリフをサラッと言ってしまう。
ひとむクンが嫉妬?
それだけで梨華の心はたちまち真っ赤に染まってしまう。
なんだか嬉しい。こんなあたしに嫉妬してくれるなんて。
「今の忘れて。嫉妬なんて自分らしくないや」
ひとみは今のセリフを撤回するとブラックコーヒーに口をつけた。
(う゛、苦い…)
少し背伸びをしてブラックにしたものの、ひとみには、まだ苦い味だった。
- 118 名前:嫉妬 投稿日:2002年01月03日(木)20時28分31秒
- 「でもね、手を繋ぐ段階まで行かないで終わりになっちゃうの。おかしいでしょ?
だから、ひとむクンとが一番進展してるんだよ。これでも」
手を繋いだくらいで進展と言うのも、可笑しなモノだが梨華の言い方が可愛くて
ひとみは思わず微笑んでしまう。と同時にホッとしていた。
梨華は、まだなんだ………。良かった、良かったよ。
本人からしてみれば良くないのかも知れないが、ひとみは神様に感謝をした。
「そっか…」
ひとみは自然と笑みが零れていたらしく、また梨華に突っ込まれた。
「良かったとか思ってるんでしょ。ズルイな」
「そりゃ、やっぱり…ね」
まだひとみは笑みを消せないでいる。
しかし、だからと言って自分がモノに出来る訳でもないのでそれを思うと
喜んでもいられなかった。気持ちは複雑である。
- 119 名前:嫉妬 投稿日:2002年01月03日(木)20時29分27秒
- 「あたしは嫉妬したよ。さっきの矢口さんに…」
梨華が嫉妬? 嬉しい気持ち半分、複雑な気持ちも半分。
今、梨華と会話しているのは、ひとむであって、ひとみではない。
自分は梨華と話をしていても、梨華から見れば、ひとむなのだ。
これがバレた時は、どうなるのだろう?
そう考えるとひとみは頭が痛かった。
やはりその場しのぎではなく、キッパリと断るべきだったのだ。
今さら言っても仕方のない事なのだけれども。
自分はもう、梨華の事が好きになっているのだから――。
黙っているひとみに梨華は続ける。
「やっぱり矢口さんとは、それなりに深い関係が…」
言いかけて梨華は口を閉じる。
「……ま、まぁね」
矢口とは長く続いたし、すぐに肉体関係になったのも事実だった。
そこまで梨華に話す必要はないのだけれど。
「でも、それは昔のコトだよ。今はフリーだし、ずっとしてないし」
あぁ、最後の一言は余計だったか。遅いけど。
見れば梨華は顔を真っ赤にしている。露骨すぎたかな。
「取りあえず出ようか…」
ひとみは伝票を掴むと席を立った。
- 120 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月03日(木)20時31分24秒
- 更新終了。
>110 とみこさん
よしごま一度甘いの書いてみたいんですけどね。私が書くと後藤が攻撃的になるので
困ったモノです(w。いちごまは書いた事ないので。どうなりますやら。
- 121 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)02時54分59秒
- びっくりでんがな、まんがな(意味なし)。
はぁ、ひとむを見てときめく石に鬱。
いつも、この距離が歯がゆくて、いいのですわ(w。
デート、どうなることやら。
- 122 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月04日(金)12時13分38秒
- はじめまして。
この小説、今日になって見つけました。
ちょっと出遅れ気味です。
ありそうでなかなか見かけない展開なので楽しく読ませてもらってます。
男役を演じる吉の振り回されようが面白いですね。
積極的かと思えばすごく落ち込む“ジェットコースター”梨華ちゃんもカワイイし。
何気にいちごまも絡んでたりして・・・。
これからの展開も期待しておりますです。
- 123 名前:芽衣 投稿日:2002年01月04日(金)16時18分46秒
- はじめまして
あけおめ&ことよろです
てかえーーー〜?
自分ずっとROMってましたが、
貴方様の正体まっさら気づきませんでしたよ、ハイ
おもしろい話だなぁと思ってたから余計ビクーリしました
これからの続き期待しております
- 124 名前:一難去ってまた一難 投稿日:2002年01月04日(金)18時08分03秒
- 会計を済ませ外に出ると、ひとみは気を取り直す様に言った。
「ま、過去のコトは僕は気にしないよ。梨華ちゃんもそう…でしょ?」
梨華がまだなのに気を良くしたひとみは気軽に言ったが――。
「…そうだね。女の子は初めてでもアレだけど。男の子はそれなりに経験がある方が…」
梨華は顔を真っ赤にさせながら言っていた。
「あぁ…」
(別にそういう意味で言った訳ではないんだけどな。まぁいいか。良くないな。
あたしだって女だし。ま女同士でも経験ある方がそれなりに…あれかな)
「それよりさ、梨華ちゃん次どこに行きたい?」
ひとみが、そう言いかけた時だった――。
「ひとみぃ〜! 奇遇だねぇ」
全然奇遇ではない、わざとさっきから見ていた風にタイミングを計って出て来たような登場の仕方。
これは―――。
- 125 名前:一難去ってまた一難 投稿日:2002年01月04日(金)18時09分08秒
- ひとみは振り向きざまに圭織の口を押さえ込むと、そのまま傍にある自販機に押さえつけた。
「んがっ……!!」
ひとみは圭織に目で訴える。
(ねーちゃん! あたしに話合わせて!)
ここでバレてしまうのは、まだ早い。
(あんた、姉に向かって何するのよ!)
(お願いだから!)
(ひとみ、いつの間に交信を!)
圭織は梨華の事よりも、ひとみが交信技を身につけた事に感動しているらしい。
(そんなのはいいから、話合わせてね。あたしは”ひとむ”だから)
(でも、そろそろなっちもこっち来るわよ。勝手に来ちゃったからね)
(なちねーちゃんは交信出来ないんだっけ?)
(なっちはダメなんだよなぁ。双子のクセにさ〜)
ひとみは自分が圭織と同じく交信出来るのを複雑に思いながら、こういう時は
役に立つのだと別の意味で感心していた。
- 126 名前:一難去ってまた一難 投稿日:2002年01月04日(金)18時09分59秒
- そんな光景を不思議そうに眺めている梨華。
ひとみは圭織の口を離すと、梨華に圭織を紹介する。
「前も話したと思うけど、姉の圭織。目ぇ悪いからさぁ時々、ひとみと間違えるんだよね」
と言って、あははと笑う。
「姉の圭織です。ひとみからいつも話は聞いてますよー。あなたが噂の石川梨華ちゃんね?」
「は、はい! ひとみちゃんもひとむクンにもお世話になってます」
梨華は姉だと分かりホッと安心した顔になる。
「ふぅん。可愛いわね。ひとみが惚れるのも分かるわ」
圭織が顎に手をやりながら、ニヤッと笑う。
「カオねーちゃん! ひとみじゃなくて!!」
ひとみは焦りながら言い直そうとする。
こんなところで、自分の気持ちをバラされては元も子もない。
「あぁ、ひとむね。どっちにしろ、ひとむにも勿体ないわよ。アイツナンパ野郎だから」
「ナンパ野郎…」
「ちょっとカオねーちゃん!」
(調子に乗りすぎだっちゅーの!)
圭織は、ひとみをからかうのが面白いらしく更に続けようとした。
- 127 名前:一難去ってまた一難 投稿日:2002年01月04日(金)18時10分42秒
- 「圭織、ここにいたんだ。あ、ひとみもいたのね。圭織、急にいなくなるんだもん」
なつみがつまらなさそうにバッグをぐるぐる回しながらこちらにやって来た。
「これが、もう1人の姉のなつみ。なちねーちゃんも目が悪くてさぁ…」
状況を理解出来ないなつみは、目をパチクリさせている。
ひとみは圭織の隣りになつみを押しやると、後はお願いと言う顔をした。
「邪魔しちゃ悪いから、このヘンで失礼するわね。梨華ちゃんも今度ウチに遊びに来てよ。
ね? じゃぁ、帰りましょ、なっち」
圭織はなつみの腕を強引に取ると「じゃぁね」と手をヒラヒラさせながら渋谷の雑踏へと
紛れていった。なつみは不思議そうな顔をしながら何度も振り返っていた。
ひとまず何とか誤魔化せたと、ひとみはほっと胸を撫で下ろした。
しかし梨華を見ると圭織が言った『ナンパ野郎』を気にしているらしく
ひとみの顔をじっと見つめていた。
「アレはね、カオねーちゃんがからかって言ったんだよ。真に受けてるの?」
さっきから梨華の機嫌取りばかりさせられてるような感じがして、声を掛けてきた
矢口にも圭織にも恨みたい気分だった。
- 128 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月04日(金)18時17分31秒
- 「ナマタマゴ」見て来ました。嗚呼切ない…。
明日は中野です。曲目見たらあまり…(略。
>121 夜叉さん
デートには邪魔者が入るのが付き物でして(w。
歯がゆい思いは私もしています。手を繋ぐだけなんて、欲求が(爆)。
>122 M.ANZAIさん
見つかってしまいましたか(苦笑)。
いつまで男役が出来るかにかかってますね。そろそろ…。
>123 芽衣さん
ぐわーん。バレてなかったのかぁ。やはり悔しい(苦笑)。
とても悔しいです。
- 129 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月04日(金)21時58分35秒
- 絶妙なタイミングで登場する圭織に思わず膝を叩いてしまいました。
なにげに吉と交信しているし。
しかも吉ったらあの頃から比べると格段に交信が出来るようになってるし・・・(w
梨華ちゃんの機嫌を取りまくるナンパ野郎な吉に明るい未来は来るんだろうか?
(正体がばれた時の梨華ちゃんの豹変ぶりが今から怖い・・・)
- 130 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)23時12分51秒
- こ、交信してるよ…(汗汗。
ずっと、石のご機嫌取りしてる吉、情けない(w。
次は、誰が来るのかな???(爆)。←ヲイヲイ…。
- 131 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月05日(土)01時56分11秒
- カオリと姉妹になると今なら漏れなく交信が付いて来る?(なっちを除く)
- 132 名前:ARENA 投稿日:2002年01月05日(土)05時20分53秒
- 交信、禿げしくワラタ!
いざとなると人間の能力ってすごい(w
こういうハプニングもまたいいですね〜ヽ( ´ー`)ノ
- 133 名前:名無し男 投稿日:2002年01月05日(土)16時24分11秒
- 交信コワー
- 134 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時03分43秒
- 「ねぇ、ひとみが連れてた、あの子って良く話してた子?」
「そうそう石川梨華ちゃん。もういつの間にって感じだよね…」
圭織達も、適当に茶店に入ると腰を落ち着かせた。
「慌てた感じだったけど、なんかあったの?」
さっきの2人の行動がいつもと違うので、なつみは聞き返した。
「ひとみのヤツ、男になりきって付き合ってるらしいんだわ」
「えー? いくらなんでもそれはないっしょ。どう見てもひとみは女だよ」
なつみはバカらしいと言った口調で笑って言う。
- 135 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時04分14秒
- 「なっち、ウチらは毎日ひとみと居るから分からないと思うけど、
ひとみパッと見、男でも通用するでしょ」
「そりゃパッと見はね。でも一緒にいたら分かるっしょ、ふつーは」
「梨華ちゃんは、ひとみに惚れてるから分からないんだよ」
「にしても騙してるひとみも、なんなんだか。いずれバレるのにね」
「それより、なっち聞いて! ひとみ、交信出来るようになったんだよ。
カオ、嬉しくてさぁ。そっちの方が重要だったりするよ。なっちは出来ないからねぇ」
「そんなの出来たって特にならないっしょ」
「なるってば!」
また始まった。交信話は、なっちウンザリだよぉ。
ここからは放置だね。なつみはレモンティに口をつけた。
- 136 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時04分54秒
- 「梨華ちゃんはさぁ、どっちの話を信じるわけ?」
さも、ひとみは哀しいと言った感じで梨華の瞳を覗き込んだ。
「そりゃ、ひとむクンだけど…。でも、さっき圭織さんの口塞いで
暫く見つめ合ってたけど、あれは?」
まさか交信してたとも言えずに、ひとみは適当に誤魔化した。
「なんかカオねーちゃん、余計なコト言いそうだったから。一言多いんだよね。ほんとに」
「でも後から来たなつみさんだっけ? あの2人仲良いんだね。一緒に買い物なんて」
「そうだね。2人共彼氏いないから、よく一緒にいるよ」
話題が逸れた事で、ひとみはホッとして、自分も一言多い事を言う。
「ひとむクンは?」
「へ?」
「そう言えば、ひとむクンは、ひとみちゃんと出かけたりしないの?」
「……」
「やっぱり同じ年だし、出かけたりするのかなぁって」
「女同士じゃないし、出かけないって…。それに紗耶香と居るコトの方が多いよ」
- 137 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時05分48秒
- 紗耶香、どうしてるだろう? 今日は確か真希と一緒だったような。
「紗耶香さんかぁ。そう言えば、真希ちゃんずっと紗耶香さん追いかけ回してるよね」
「紗耶香イヤがってるみたいだけど、結構満更でもないんだよ、あれで」
「真希ちゃん今まで女の子に興味なかったクセになぁ。不思議だよね」
「好きになったら、男も女の関係ないんじゃない?」
「そうだけど…」
(やっぱり梨華ちゃん、女同士って抵抗あるのかな…。普通はあるよね。
はぁ…ますます言えないよな…。ノンケの女の子はなぁ。
でも梨華ちゃん気付いてないだけで、梨華ちゃんも…)
ひとみは梨華にバレないように、深く溜息をついた。
- 138 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時07分10秒
- 紗耶香と真希は駅前のマックに来ていた。
ちゃんと教科書やノートを広げているが、真希が見つめているのは教科書ではなく紗耶香。
「後藤さぁ、ちゃんとやるならやる。やらないならやらない。どっちかにしなよ。
あたし落ち着けないよ」
見つめられていて、落ち着いて食べられない紗耶香は真希に注意するが。
「いちーちゃん見てる方が落ち着くんだ」
「後藤はそうかも知れないけど、あたしは違うんだよ!」
「怒った顔も、カッコいい…」
うっとりと見つめる真希に、何を言っても無駄だと悟った紗耶香はある提案を出した。
それは、期末テストが全部平均点以上だったら、真希と一緒に行きたい所へ行くと言うモノ。
真希はそれを聞いて2つ返事でOKをした。
- 139 名前:それぞれの休日 投稿日:2002年01月06日(日)14時07分45秒
- 「やる! 絶対やる! いちーちゃんの為にゴトー頑張る!」
(別にあたしの為じゃなくて自分の為だろ!)
紗耶香のせいで成績落ちたなんて言われるのも心外なので、紗耶香は単純だと思ったが
真希に言ったところ、簡単に答が返って来た。
「じゃぁ家に帰って勉強するから、いちーちゃん今日はゴメンね。もう帰る」
真希は早々にテーブルの上を片づけると残っているオレンジジュースを飲み干して帰って行った。
「ほー、後藤やる気じゃん。前からこの方法にすれば良かったんだな」
紗耶香は、やっと落ち着いて食べられると思い、すっかり冷めたハンバーガーを手に取った。
- 140 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月06日(日)14時14分13秒
- 左親指の横が内出血してる。サイリュームをヘンに振ったからかな(爆)。
一旦、切ります。また更新しますが。
>129 M.ANZAIさん
正体がバレる日は意外に近かったりします。
豹変する前に、吉が失態を…(謎)。
>130 夜叉さん
年上の女には頭の上がらない吉なので(笑)。
>次は、誰が来るのかな???(爆)。←ヲイヲイ…。
誰か来ますよ(苦笑)。
>131 132 ARENAさん 133名無し男さん
交信も時には役に立つと言う事で。
- 141 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月06日(日)14時40分29秒
- >>140
窓から見てますから( ̄ー ̄)ニヤリッ
- 142 名前:お邪魔虫登場 投稿日:2002年01月06日(日)14時51分26秒
- 梨華の妹・亜依も渋谷に、友達の辻希美と遊びに来ていた。
希美は亜依と同じ学校の同じクラスで、いつもつるんで遊んでいた。
「あいぼんのお姉ちゃんも、今日渋谷にいるって言ってなかったっけ?」
既に歩き疲れた希美は、これから梨華に会わないかと亜依にダメもとで言ってみた。
お店に入るにもお金がかかるので、梨華に会って奢ってもらおうと言う魂胆だった。
「梨華ちゃん、確かデート中だったような…。さすがに邪魔しちゃ悪いじゃん」
「珍しい…。あいぼんが邪魔しちゃ悪いなんて言うなんて。いつも邪魔する方なのにね」
希美は亜依から貰ったキャンディーを口に放り込むと意外な顔をした。
「まっさかぁ〜」
亜依の瞳が、悪戯に光ると
「のの。これから邪魔しに行こうかー。喉も乾いたし、梨華ちゃんにたかっちゃお〜!」
「賛成!!」
勿論、希美も異存はなかった。
- 143 名前:お邪魔虫登場 投稿日:2002年01月06日(日)14時53分16秒
- 梨華の携帯が鳴る。亜依からだった。
梨華は最初ムシしようかと思ったが、急用かも知れないと思い取りあえず出た。
『もしもし梨華ちゃん?』
「あいぼん、どうしたの?」
『今、梨華ちゃんも渋谷なんだよねぇ?』
「そうだけど…」
『これからどっかで落ち合えない?』
「なんで?」
折角のデートを邪魔する気? とは言えない梨華は声を潜めた。
『ののと2人でいるんだけどさぁ。あんまりお金ないし、なんか奢って欲しいの』
相変わらず、亜依は言う事がストレートだ。
「あいぼん、あたし1人じゃないんだけどな…」
『うん。知ってるよ。だからひとむクンと一緒でも、あたしは構わないから』
アンタが構わなくてもこっちが構うんだよ! 梨華は心の中で叫びながら
ひとみがいる手前口に出して言えないので梨華は、どうしようかと躊躇していた。
- 144 名前:お邪魔虫登場 投稿日:2002年01月06日(日)14時54分55秒
- そのやり取りを聞いていた、ひとみは「別に構わないよ」と言う。
「でも、ひとむクンあたし達、今出て来たばっかりじゃない」
なんとか断る方向で話を進めようとする梨華に、ひとみは
「いいじゃん。梨華ちゃんの妹だって大切な人だよ。折角会いたがってるのに
断るのも、どうかと思うけど」
これ以上断ると、今度は梨華の性格を疑われそうな気がして、さすがに梨華も
「じゃぁ来れば?」と、素っ気なく言って電話を切った。
<あいぼん、このツケは大きいわよ! 梨華>
すかさずメールを亜依に送ると梨華は携帯をしまった。
「あいぼんのお姉ちゃん、なんだって?」
希美は亜依の後ろから覗き込むようにして携帯を見ていたが
すぐに梨華からメールが来て、亜依は苦笑いをしていた。
「やっぱり梨華ちゃん怒ってるなぁ。でもOKもらったからこっちのもんだね! のの!」
亜依は希美を見ると、ニッコリ笑ってVサインを送った。
- 145 名前:亜依の恋愛談義 投稿日:2002年01月06日(日)16時32分04秒
- 「梨華ちゃん怖い顔して、どうしたの?」
梨華はひとみに指摘されて、慌てて表情を作ったが、引きつってしまった。
「なんでもないよ。すぐに、あいぼん達も来るみたい」
(あいぼんのせいで! もう!!)
「梨華ちゃんと亜依ちゃん、仲良く見えたんだけどなぁ。そうでもないんだ?」
「そ、そんなコトないよ。仲良いけど。ただ気が利かないなぁって…」
「そうなの?」
「だってさ、折角ひとむクンと2人きりなのに…。邪魔するなんて」
結局梨華は言ってしまった。
妹想いの姉を演じるつもりはないけれど、もう少し気を遣ってくれてもね。
散々出る時に言ったのに、もう忘れてるのか、はたまたわざとなのか。
「別に邪魔なんて思ってないけど。それにたくさんいる方が楽しくない?」
「でもさっき、圭織さんやなつみさんが来た時、ひとむクン…」
お互い自分の身内が絡むと、やりづらいと言う事か。
- 146 名前:亜依の恋愛談義 投稿日:2002年01月06日(日)16時34分24秒
- 「こうして外で会うコトって滅多にないから、嬉しいよ。亜依ちゃん友達連れて来るの?」
「うん。辻希美ちゃんって言って、しょっちゅう2人でいるの」
「そっか。いいじゃん。たまにはさ…」
と言いかけて、ひとみは とある事に気付いた。
(やべぇ。亜依ちゃんのコト知ってるのって、ひとみの方だったっけ)
梨華にバレたら、ひとみから話を聞いた事にしておこう。こういう所でボロが出てしまうのかも。
気をつけなければ。
「梨華ちゃぁ〜〜ん!」
ほどなくして、元気な声が響いて来た。
そう言えば、ひとむとして亜依に会うのは、これが初めてだったような。
梨華も、もう諦めたのか亜依と希美を見ると、紹介を始めた。
「ひとみちゃんから聞いてるかも知れないけど、妹の亜依。生意気盛りな中学2年生」
「亜依です。姉がいつもお世話になってます」
亜依は、人なつこそうな笑顔で、ひとみを見る。ひとみも軽く微笑み返した。
- 147 名前:亜依の恋愛談義 投稿日:2002年01月06日(日)16時36分38秒
- 「そして、亜依の友達の辻希美ちゃん。只今食べ盛りって感じかなぁ」
梨華も一言多い紹介だが、希美は別に気を悪くした風でもなく、ひとみを見て目を輝かせていた。
「あ、吉澤ひとむです。ヨロシク」
「ひとむさんって言うんれすか? とってもカッコいいのれす…」
希美はひとみを憧れの眼差しで見つめていた。
「梨華ちゃん、ひとむクンは梨華ちゃんの何?」
わざと亜依は梨華に意地悪く聞き返す。
「何って…」
「彼氏じゃないんだよねぇ。だって1回振られてるから」
これまた亜依はハッキリと言って、梨華を困らせる。
「あいぼん!」
「してるコトはデートと変わらないみたいだけど、ひとむクンは梨華ちゃんのコトどう想って
るんですか? 望みがないようなら、早く振った方が梨華ちゃんの為でもあるし、ひとむク
ンの為でもありますよ」
「あいぼん! いい加減にしなさい!!」
梨華はたまりかねて怒鳴り始めた。
- 148 名前:亜依の恋愛談義 投稿日:2002年01月06日(日)16時37分28秒
- 「亜依ちゃん。僕は梨華ちゃんのコト、大切な友達だと思ってるよ。それじゃダメかな?」
友達だなんて、都合の良い言葉だと、ひとみは思う。
「ひとむクン。友達ってのが一番傷つくんですよ」
ズバリ亜依に指摘される。
「梨華ちゃんにヘンに期待持たせてあとで、振るなら、もう気持ちハッキリさせた方が
いいと思いますよ」
ズケズケものを言う亜依に、さすがのひとみも少したじろいだ。
「亜依! さっきから聞いてればあたしがひとむクンに振られるみたいな前提で
話してるじゃない。あたしに恨みでもあるわけ?」
「別にないけど。梨華ちゃんも、きちんと相手の気持ちを聞いておいた方がいいよ?
そうしないといつまで経っても同じコトの繰り返しだからね」
なんだか聞いていると、どちらが姉なのか分からない。
亜依はかなりしっかりしている。と言うよりも梨華と対照的で何だか怖い―――。
- 149 名前:亜依の恋愛談義 投稿日:2002年01月06日(日)16時38分17秒
- そして、この後、喫茶店に入っても亜依の恋愛談義は続き、希美は隣りに座って
目の前のひとみを見つめては、てへてへと笑って会話には参加していなかった。
ようやく亜依と希美と別れた時は既にとっぷり日は暮れていた。
先に2人を帰らせた梨華とひとみも、もう帰ろうかと言う話になり。
「ゴメンね。やっぱり断れば良かったね。帰ったら亜依にはキツく叱っておくから」
「うぅん。亜依ちゃんの言うコトは一理あるよ。なかなか言えないから」
結構身にしみた部分もあったりした。亜依の言葉にドキリとさせられた部分も多かった
ひとみは、そろそろ梨華との関係も終わりにしようかと考えていた。
それは自分の正体がバレる日でもあるわけだが。
- 150 名前:悲劇再び 投稿日:2002年01月06日(日)16時39分37秒
- それから、何度かひとみは梨華とデートを重ねた。
そして月日は流れてクリスマスも間近の、とある日――。
「梨華ちゃん…。最初に会った日から、梨華ちゃんのコト好きだったんだ。
あたしと、付き合ってくれる?」
目の前の梨華は、嬉しそうに頷いた。
「あたしも、ずっと前から…ひとみちゃんのコト好きだったの」
「ヤタ!! 両想いだったんだ!! 嬉しいよ梨華ちゃん!!!」
ひとみは梨華を抱き寄せると、くちびるも引き寄せた………。
何回も都合の良い夢を見続けるひとみは、既に夢を見てる時点から、これは夢なんだと
気付いていた。最初は、狂喜乱舞で喜んでいたひとみだったが次第に虚しくなり、今では
もう、こんな夢なんか見たくもない! と思い始めていたのだった。
今回だって、同じでしょ。だって、だってこんな現実一生来やしないのだから――。
- 151 名前:悲劇再び 投稿日:2002年01月06日(日)16時40分25秒
ところが、今日はヤケにさっきからリアルに表現されているのだ。
くちびるが妙に柔らかい感触に包まれていて、少し温かさも混じって心地良い。
本当にくちびるが重なっている感じさえ受けている。
はは、まさかね。梨華ちゃんが此処にいるなら、ともかくさ。
ひとみは夢から醒めようと、面倒臭そうに目を開いた。
「………!!」
目の前には、梨華がいた――。
- 152 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月06日(日)16時44分47秒
- >141
思わず窓の外を見てしまいました(爆)。
そろそろこの話も終わります。思わぬところで…な感じで。
ひとみの悲劇が始まりつつ、話も終盤へ。
- 153 名前:夜叉 投稿日:2002年01月06日(日)19時24分35秒
- 作者様、返す言葉もないくらいです。今気づきました(鬱)。
はぁ…。申し訳ありません。
- 154 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月06日(日)19時35分28秒
- お邪魔虫な亜依&希美がかわいいですね。
それにしてもいきなりの展開、いったいひとみと梨華に何が〜!?
そう言えば、1月に誰か誕生日迎えるって、・・・な予感が。
- 155 名前:理科。 投稿日:2002年01月06日(日)23時49分48秒
加護ちゃんと辻ちゃんが可愛いですねぇ〜♪
ってキスしちゃったんですか?気になります、師匠!
ANZAIさんが言うように今月は…(ニヤリ)。
- 156 名前:名無し男 投稿日:2002年01月07日(月)18時47分21秒
- 何ななああなあなあああなああななな・・・ナンダ? (。o゜)? (゜o。)?
- 157 名前:キス のち ビンタ 投稿日:2002年01月07日(月)19時45分32秒
- 「り、り、梨華ちゃぁん!????」
ひとみは慌てて布団から飛び起きると、目の前に起きた現実にはすぐには直視出来ないでいた。
夢と現実がごちゃ混ぜになっているのもあるのだけれど。
梨華は、呆然としていて動きが止まっている。
「あ、あ、あのっ、ご、ごめんなさいっ!!」
ひとみは謝ると、何度も何度も梨華に頭を下げた。
何かを言っていたのだろうか? とか、梨華に好きと言っていたのか? とか
色々頭の中を駆けめぐったが、最初に出た言葉は、ごめんなさい だった。
「どうして、あたしの部屋に……」
それ自体が、そもそもおかしい。自分の部屋に梨華がいるなんて。どうして?
- 158 名前:キス のち ビンタ 投稿日:2002年01月07日(月)19時46分25秒
- しかし、ひとみはすぐにピンと来た。
(また、カオねーちゃんの仕業かよっ!!!!)
そう思った時には、ひとみの頬に乾いた音が部屋中に響き渡った。
――― パシンッ!! ―――
「……!!!!?????」
梨華に殴られたらしい。ひとみは殴られたショックで一瞬目の前が真っ暗になった。
いや、梨華が目の前にいた時点で、既に真っ暗になっていたのだけれど。
「ひとみちゃんのバカッ!!」
梨華はそれだけ言うと、すぐに部屋から出て行った。
暫くすると、頬がジンジンとして熱くなってきた。
「最悪じゃんかよ…」
梨華はそぉとぉ怒っていたから、きっとキスをしてしまったに違いない。
それにしても「バカ」と言われて殴られて……。
自分は告白すらしていなかったのに、告白する前に、あっさりと振られてしまった。
自業自得と言われればそれまでだけど、それは、ひとむに対するモノであって
ひとみとしては、何もこんなに簡単に幕を閉じなくても…と、我ながら情けなくなる
ひとみであった。
- 159 名前:First Kiss 投稿日:2002年01月07日(月)19時47分54秒
- 「はぁー、あたし何やってんだろ…」
ひとみの家を飛び出して、梨華はズンズンと元来た道を歩いていた。
先日、ひとみの家に電話をした時に出た圭織に、今度遊びに来れば? と誘われたので
テスト休み中に、ひとみの家を訪ねたのが、今日。
圭織は「ひとみはまだ寝てるけど、勝手に入っていっていいから」と言って2階の
ひとみの部屋を案内してくれた。(と言っても2階の右手の部屋と言う説明のみだったが)
そして、梨華は、まだ寝ているひとみの傍に座ると、暫くひとみを見ていたのが
ほんの10分くらい前の話。
話は梨華がひとみの部屋に来た時までさかのぼる――。
- 160 名前:First Kiss 投稿日:2002年01月07日(月)19時49分17秒
- 梨華は、ひとみの寝顔を、うっとりと見つめていた。
どう見ても、ひとむに見える梨華は、何度も躊躇いながら、ひとみに顔を近づけたり
していたのだった。ひとむと錯覚してしまうくらいだった。
そして、暫くひとみを見ていた梨華の心に、とある出来心が芽生える。
それは、勿論『キス』
何度かデートを重ねた、梨華とひとむだったが、いまだにひとむは手を繋ぐだけで
それ以上の事をしてくれなかった。それに不満を持つ梨華は、狡いカモと思いながら
こんなチャンスは滅多にない! と、目の前のひとみに「ひとむ」をダブらせていた。
ひとみに対して失礼だと思いながら、梨華は思い込むと「ひとみ」が「ひとむ」にしか
見えなくなり、既に顔を近づけた時には、梨華の頭には「ひとむ」の事しか頭になかった。
- 161 名前:First Kiss 投稿日:2002年01月07日(月)19時50分09秒
- 「梨華…ちゃ…ん」
梨華は急に自分の名前を呼ばれて、ひとみをマジマジと見た。
暫く梨華は様子を見ていたが、ひとみは「むにゃむにゃ」と口を動かすと、また
眠りに就いたようだった。
(ひゃぁ〜、ビックリした…。寝言か……)
それにしても、ひとみちゃんって睫毛長いんだなぁ…。色も白いし寝顔も綺麗。
それに比べてあたしはなぁ、色黒いし。
梨華は、思わず溜息を漏らす。
ぼんやりと、ひとみを眺めていたが、梨華は気を取り直すと、またひとみの顔に近づけていく。
自分の髪が、ひとみの顔にかからないように注意しながら…。
- 162 名前:First Kiss 投稿日:2002年01月07日(月)19時50分58秒
- そして、その時!!
「梨華ちゃん…。好き…」
ひとみが呟いたかと思うと、ひとみの腕が伸びて来て、梨華の腕を掴むとグイッと
引き寄せられていた。
それは、あまりにも一瞬の出来事で、自分から顔を近づけていた梨華には
到底回避出来る訳もなく、ひとみの口唇と梨華の口唇は、当然お見合いをしたのだった。
お見合いと言うよりは、あまりに、しっかりと塞がれていたけれど――。
当然? 梨華にとっては、これがFirst Kissだった。
こ、これが夢にまで見ていたキスなの??
それも、寝ぼけてされたキス……。こんなのってアリ???
ひとみちゃんは、ひとみちゃんでやっと目が覚めたらしく、凄く驚いた顔をしている。
驚きたいのは、こっちの方だよ。なんて暫く放心状態だったんだけど…。
そして、ひとみちゃんはあたしに謝って来た。
謝るひとみちゃんに、何故だかあたしは、気付いたら手をあげていた―――。
だって、謝って済む問題じゃないじゃない。あたしのファーストキスをこんな形で奪うなんて。
- 163 名前:First Kiss 投稿日:2002年01月07日(月)19時52分22秒
- そう、そして気付いたらひとみちゃんの家を出て早歩きで歩いているあたし。
気が動転しちゃってたけど、あたしは、ひとみちゃんにキスをされたんだ。
でも、待って? ひとみちゃんは「梨華ちゃん。好き」って言った。
って、ひとみちゃんは、あたしの事が好きだったのおおおおお???????
その時、あたしは気付いた。そう言えば前にひとみちゃんは、ひとむクンの話をした時に
「好きな人が一緒だったりね」と言った。それって、もしかして、あたしのコト?
ひとむクンもあたしのコトが好き。(←かなり自意識過剰)って、それは自惚れかな…。
でも、そう考えるとしっくりくるし、ひとみちゃんの寝言にも合致する。
石川梨華、同時に二人から想われてるってコトなの???
既に梨華は少女マンガのヒロインにでもなったかのような振る舞い方になっていた。
この後、梨華にも悲劇が訪れる事も知らずに―――。
- 164 名前:名無しベーグル 投稿日:2002年01月07日(月)19時59分02秒
- ここの石川さんは思いこみの激しい性格だなぁ(w。
>153 夜叉さん
別に謝らなくても平気っす。
>154 M.ANZAIさん
いきなりの展開ですみません。今までがマターリしすぎたのでそろそろ完結に向けて…。
亜依&希美なかなかこの2人は書くのが自分では難しいです。
圭織&なつみもそうなんですけどね。紗耶香&真希もそうなんですけど。
敢えてあまり出さないキャラを今回出してみたけど失敗だったかも(苦笑)。
>そう言えば、1月に誰か誕生日迎えるって、・・・な予感が。
これは? 一応クリスマスで終わる話なんで予定にはないんですけど。
>155 理科。さん
はい、キスしちゃいましたが何か?(w
1/19ですか? また青の残りスレで番外編でも書けと?(w
風の番外は青の残りで書いたんですけど気付いた人(←若干2名?(爆))。
ちょっと欲求がたまったら書くつもりではいたり…(爆)。しかしネタが…。
>156 名無し男さん
急展開で戸惑ってしまいましたか? あぁスマソスマソ。
- 165 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月07日(月)20時00分59秒
- ってか、またHN間違えてるし(爆)。逝ってヨシ
- 166 名前:芽衣 投稿日:2002年01月07日(月)21時09分14秒
- ありゃ、こんな展開だったとはちょっと
予想外でした
てか自分ところの小説と少しかぶってる処がある(w
自分の方はまだ書いただけで載せてないから平気なんですけど、
あぁでもそこの部分は載せるつもりだし・・・
もし自分とこの小説見てここか?って思ったとこがあっても
けしてパクったって訳ではないんで、ハイ
あ、でもイヤな気持ちにさせてしまったらごめんなさい
続き楽しみにしております
- 167 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月08日(火)00時00分06秒
- 梨華とひとみか一気に進展・・・、かと思えば思いっきりビンタ。
しかもひとみとひとむの関係にまだ気がつかない梨華、
いったい彼女にこの後どんな悲劇が!?
えっ?1月のイベントは某所でですか?(w
ここで言われるまで気がつかなくて、
今ごろクリスマスと大晦日の心温まる(?)
エピソードを読ませてもらってます。
教えていただき、ありがとうございます。
- 168 名前:ARENA 投稿日:2002年01月08日(火)11時31分54秒
- これまた怒涛の展開!!
ラブコメまんせ〜
この後、信じられない光景が!
- 169 名前:恋は儚く… 投稿日:2002年01月08日(火)19時10分37秒
- ひとみは冷やしタオルで打たれた頬に当てながら、圭織を恨んでいた。
「カオねーちゃん、ひでぇよ」
しかし、ひとみはぶたれたショックの方がまだ大きかった。
「派手にバチーンって、やられてたねぇ。見かけによらず梨華ちゃんってやるねぇ」
圭織は手の平でスナップを利かせながら、わざと平手打ちの真似をする。
「ふざけんな…」
「ひとみ、いきなり襲っちゃったとか?」
圭織が冗談半分興味半分で訊いてくるものだから、さすがのひとみも腹が立ってくる。
「寝てんのに襲えるかよっ! (逆ならともかく)
それに元はと言えばカオねーちゃんが勝手に梨華ちゃん2階にあげるから」
ひとみは無駄と知りつつ、やはり抗議せざるおえなかった。
- 170 名前:恋は儚く… 投稿日:2002年01月08日(火)19時12分02秒
- 「普通はすぐに起こしたりするでしょ、梨華ちゃんが。結構間があったから
寝顔見つめていたのかもね〜♪」
なんて圭織が言うものだから、ひとみは想像して赤くなった。
寝顔を見られてた?
しかもあんな夢見て、寝言聞かれてキスまでして……。
相当マヌケ面をしていたに違いない。あぁ、なんて事だろう。
私の恋は、儚く散ってしまった………。
相当落ち込むひとみを見て圭織は
「でもひとみ、アンタ梨華ちゃん騙してんだから自業自得だよ。
にしても、どうして殴られたわけ?」
「それは、こっちが聞きたいよ!」
嗚呼、梨華ちゃん。
既に「ひとむ」どころではなかった。
ひとみで振られたなら、もう…何も言う事はない。
ひとみはショックで、この日は一歩も外に出なかった。
当然? 梨華から連絡はないし、敢えて自分から電話を入れる勇気もひとみにはなかった。
- 171 名前:恋は儚く… 投稿日:2002年01月08日(火)19時12分56秒
- さすがに紗耶香は心配して部屋に来てくれたが、紗耶香は紗耶香で真希とそれなりに
うまく行っているらしかった。
自分が不幸のどん底にいる時は他人の幸せは恨めしかったりするが、ひとみはもはや
どうでも良かった。
「紗耶香が、うまくいってるならいいじゃない」
「ひとみ、落ち込むなよ…。それに、そろそろ潮時だったのかもよ」
確かに、もうそろそろ言わないといけないとは思っていた。
でも、それは「ひとむ」の事であって…。
「梨華ちゃんから直接話聞いてる訳じゃないから分からないけどさ、
多分、冗談でキスされたと思ってるんでしょ? だから梨華ちゃんもビックリして
咄嗟に手が出たんじゃないかな」
「………」
「ひとみ! 物事は良い方に捉えなきゃ」
それが良い方なのかは別として、一回梨華には、ひとむの件も含めてそのヘンは
話して誤解を解かなければいけないとは思っていた。
「冗談でキスか…。かなり本気なんだけどな」
ひとみはうなだれた。
- 172 名前:恋は儚く… 投稿日:2002年01月08日(火)19時13分34秒
- 「梨華ちゃんにしてみれば、ショックだった訳でしょう?」
「でも、あれがひとむだと思ってたら、喜んでたんでしょ? それ思うと更に複雑だなぁ」
「そんなにうじうじしてるなんて、ひとみらしくないよ。当たって砕けて来ちゃいなよ、もう。
それでスッキリしてクリスマス迎えた方がいいよ? 梨華ちゃんには酷かも知れないけど」
「分かったよ。イヤなコトはすぐに済ませて来年を迎えないとね…。自分で蒔いた種だしね」
紗耶香には、そんな風に言ったが、やはりひとみは、まだ梨華と話す勇気が出なかった。
もう、これでピリオド…だね―――。
結局、この日、ひとみは梨華には電話をしなかった。
- 173 名前:名無し作者 投稿日:2002年01月08日(火)19時20分16秒
- 梨華とひとみの想いを交互に書いてる訳ですが…。
>166 芽衣さん
被るのは気にしないし、仕方ないと思いますよ。特に学園モノなんかは。
なので、亜弥まらなくても平気っす。どんどん書いちゃって下さい。
楽しみにしてますんで。
>167 M.ANZAIさん
悲劇と言うか、あんまり期待されると肩すかしかも知れないので
別に大した事ないです(汗)。
1月のイベント。時間があれば…。翌日は矢口ですけどね。
あと心温まるって全然そんなのないんですが(爆)。
欲求たまらないし、書かないかもしれませんしね。
>168 ARENAさん
しょっちゅう信じられない光景が!(w
石川さんが鈍すぎて可哀相なので、そろそろ気付かせてあげるつもりです。
それが悲劇なのか喜劇なのか…。
- 174 名前:名無し男 投稿日:2002年01月08日(火)19時59分27秒
- 寝耳耳耳耳耳耳耳耳耳に水!!!!
何てこっちゃ!
- 175 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月08日(火)20時54分49秒
- 紗耶香の方がうまく行ってる・・・
やっぱ困らせるぐらい積極的なのが功を奏したのですね。
それに比べてひとみは・・・。
1月のイベント、なんとやぐっつぁんもやっていただけるのですか!?
ありがとうございます。某所を捜して期待してお待ちしてます♪
- 176 名前:レモンのような 香りはしない 投稿日:2002年01月09日(水)19時40分09秒
- 梨華は、そのまま家に戻る気にならず、いつもの公園に来ていた。
すぐに帰ったら、妹の亜依に、またからかわれそうな気がしたからだった。
12月も中旬を過ぎて、それでも風はなく陽が当たると、まだそれほど寒くはなかった。
時間は、まだ10時。公園は人影もまばらだった。
梨華は、ベンチに腰掛けると、ひとみとキスした事を改めて思い出して顔を赤らめた。
「はぁ…。あたし、キスしちゃったんだ」
梨華はボーッとしながら、無意識に口唇に人差し指を当ててみる。
ひとみちゃんの口唇、すっごく柔らかかったなぁ。ふわふわしててあったかくて。
女の子のって柔らかいんだぁ。ひとむクンも同じように柔らかいのかな。
事故とは言え、梨華にとってはファーストキスだった。
でも、レモンの味はしなかったな。ってマンガの見過ぎかな、あたし。
そう、キスの味は、何も味がしなかった。
時間が経って落ち着いて来ると、梨華は、ひとみをぶった事に申し訳ないと言う気持ちを抱いた。
- 177 名前:レモンのような 香りはしない 投稿日:2002年01月09日(水)19時41分32秒
- でも、あたしの口唇を奪った罪を思えば軽いもんだよ。
でも、ひとみちゃんは、あたしの事、好きって言った。本当なのかな。
本当だとしたら―――。やっぱり、ぶった事はひとみちゃんから見れば相当ショックなハズ…。
ひとみちゃんの気持ちは嬉しいけれど、あたしは、やっぱりひとむクンが好き!!
ごめんね。ひとみちゃんの気持ちには応えられない。
梨華は一人で盛り上がっているので、背後から、亜依と希美が来た事には全く気付いていなかった。
「梨華ちゃん、何一人で盛り上がってんの?」
頭上から、亜依の声が突然響いて、梨華はビックリして飛び上がった。
「あいぼん!!」
梨華は慌てて振り返る。
亜依が呆れた顔で、希美が口を半開きにして(いつも)立っていた。
「一人でぶつぶつ言ってニヤけちゃって。ハタから見たら、すっごい怖いからやめてよねー」
「危ない人なのれす」
口に出してないつもりが、しっかり口に出していたらしい。
梨華は慌てて口を押さえたが、そんなのはナンの役にも立たなかった。
「石川さんちの梨華さんは電波系とか言われたらイヤだよ、あたし」
「なんで、そんな話になるのよー!」
- 178 名前:レモンのような 香りはしない 投稿日:2002年01月09日(水)19時42分44秒
- 梨華はそれでも真っ赤になりながら、どの辺から亜依達が来て立ち聞きしていたのか気になった。
でも、聞けない。聞いて墓穴を掘ってしまったらと思うと聞けなかった。
「それより、なんでこんなトコにいるのよー!」
「これから遊びに行こうと思ったら、たまたま梨華ちゃんが目に入って、それでだよ。
梨華ちゃんこそ、なんでこんなトコにいるの? ひとみちゃん家に行ったんじゃなかったっけ?」
「行ったけど、とある事情があって帰って来ただけよ」
梨華は、また亜依に突っ込まれる事をビクビクしながら、それでも強気に発言した。
「梨華ちゃん気付いたの?」
「え? あいぼん何が?」
梨華は言ってる意味が分からなくて聞き返した。
「その分じゃ、まだ気付いてないみたいなのれす。ののよりバカなのれす」
希美は、梨華を小馬鹿にした風に言うが、
「ののだって気付いてなかったじゃん。梨華ちゃんのコト言えないよ?」
と、梨華と同じだと言わんばかりの口振り。
「ののは、ひとむサンは、カッコいいって思ったのれす」
この前、渋谷で、ひとむに会って、希美は憧れに近い感情を抱いていた。
- 179 名前:レモンのような 香りはしない 投稿日:2002年01月09日(水)19時44分24秒
- 「普通はすぐに気付くよ。それに、あの真希ちゃんもダマされてたなんてねー」
「後藤さんは、最近、市井さん追っかけてるから、それどころじゃないのれす」
「あ、でも真希ちゃんは、最初に怪しいって思ってたらしいけど」
「ちょっと、さっきから、あいぼん何言ってるのか、さっぱり分かんないんだけど?
気付いてないとか、ダマされたとか?? ちゃんとお姉ちゃんに説明して!」
亜依は、仕方ないなぁと言う顔をして
「梨華ちゃん、ホントいつまで経っても鈍すぎるよねぇ。こんな姉を持って妹は哀しいよ。
思いこみが激しいと言うか、おめでたいと言うか」
梨華はなかなか言い出さない亜依に、苛ついていた。
「あいぼん、余計な話はいいから、早く話して!」
「ホントに、梨華ちゃん分からないの?」
念を押すように亜依は、再び聞き返す。
「分かってたら、いつまでも、ひとむサンとデート重ねたりして ウキウキしないのれす」
横から口を挟む希美に、梨華は少々キレ始めた。
「もう、ののちゃんは黙ってて!!」
「へぃ…」
希美はシュンとして、口を噤んだ。
- 180 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月09日(水)19時49分21秒
- さて、そろそろバレる時が? それも妹からなんて…(w。
>174 名無し男さん
寝耳にWaterですか。更に石川さんにとっては…。
>175 M.ANZAIさん
ひとみは、やっぱりへなちょこなんで。
それと矢口まで書けそうにありません。と言うか書けるかどうかは未定です。
約束して書けなかったらアレだし。
それまでに、この小説を終わらせないと…。あと数回で終わらせたい予定(爆)。
- 181 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月10日(木)03時16分17秒
- とうとう妹の口からバラされるのですかね。
と言うより、あそこまでしておいてまだ気がつかない方が・・・
>名無しベーグル。さん
このお名前で呼ぶのはこれが最初ですね。
そうですか、こちらの作者さんなら書けそうな気が・・・
(何を根拠に・・・)
あそこの“花屋さん”だったら勢いで石(略
- 182 名前:ARENA 投稿日:2002年01月10日(木)03時33分06秒
- あー!バレるーー!!ヽ( ´ー`)ノ
こういう正体を隠すモノ?は、バレそうな時とバレる時が一番面白いんですよ〜(w
それにしても、「あいぼん」の姉をおちょくる所がかなり笑えた(w
- 183 名前:理科。 投稿日:2002年01月10日(木)15時04分08秒
ちょっと来ないうちに…。
とうとうバレるのですか?(ドキドキ…)
- 184 名前:更なる勘違い のち 失神 投稿日:2002年01月10日(木)20時29分18秒
- 「梨華ちゃん、驚かないで聞いてよ」
(って言うよりいい加減気付くだろ、ふつ〜)
亜依は心の中で悪態をつきながらも、梨華がどんな反応を見せるのかも違う意味で楽しみだった。
それは、希美と、とある賭けをしていた事も絡んでいる。
梨華が事実を知って、どういう反応を見せるか? キレて怒り出す か 泣き出すか
それとも全く別の反応を見せるのか?
「梨華サン、ひとむサンが女だったら、どうしますか?」
黙れ! と言われたばっかりなのに、希美は、梨華の反応が見たくてウズウズして
フライングをかました。
「のの! もう余計なコト言わないでよ! これからが肝心なんだから!」
亜依がピシリと言うが、
「2人共、なんなのよ! さっきから訳の分からない話ばっかりして。
って、ののちゃん、今なんて言った?」
- 185 名前:更なる勘違い のち 失神 投稿日:2002年01月10日(木)20時30分15秒
- 梨華が、やっと日本語が理解出来たのか「ひとむ」=「女」に反応を示した。
希美は嬉しそうに、てへてへと笑うと
「読んで字の如しなのれす」
「え、えええええーーーーー!!!!! ひとむクンが女ぁ???」
しかし、梨華の勘違い思い込みの激しさは手のおいようがなく………。
(ひとむクンは女。ひとみちゃんと双子の姉妹だった!!)
梨華の衝撃は大きく、そのままショックで倒れてしまったのだった。
かくして、亜依と希美の賭けは、そのまま持ち越しになった。
- 186 名前:更なる勘違い のち 失神 投稿日:2002年01月10日(木)20時31分54秒
- * * *
梨華が目覚めると、そこは梨華の部屋だった。いつの間にかベッドで寝かされていた。
心配そうに見つめる母の顔がすぐに目に飛びこんで来た。
そのまま梨華は驚きのあまり気を失ったらしく、亜依と希美が何とか梨華を連れて
家に運んで来たらしい。
「梨華! 亜依がいなかったら、どうなってたか。ホントにビックリしたわよ」
「お母さん…」
『亜依がいなかったら、自分は倒れてなかったわよ』とも言えずに梨華は曖昧に微笑んだ。
「具合悪いんだったらムリしちゃダメよ? 今日は休んでなさいね」
母はそう言うと部屋から出て行こうとした。
「お母さん、あいぼんとののちゃんは?」
「どこかに遊びに行ったわよ」
「…そう」
- 187 名前:更なる勘違い のち 失神 投稿日:2002年01月10日(木)20時32分41秒
- まだ話は途中なのに、勝手に遊びに行ってしまうとは!
自分が勝手に倒れる方が悪いのだが、運んでくれた事に感謝しなければいけないのだが
そこまで今の梨華には頭が回らなかった。
それにしても、あたし、なんで倒れたんだっけ?
あ゛、ひとむクンが女だって聞いて倒れたんだった。
じゃぁ、なんで、わざと男のフリをしたんだろう?
どっちにしろ………あたしが好きになったのは、女性だって事?
梨華は本当に頭痛がしてきて、頭を抱えた。
- 188 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月10日(木)20時37分12秒
- ここまで鈍だと…(略。
>181 M.ANZAIさん
のののフライングで、更に勘違いする石川さん。
きっと妹の亜依も、更に呆れかえってると…。
放置中の小説も気になってるので…嗚呼。
>182 ARENAさん
バレそうでバレない。焦らしすぎですか。
そろそろトドメを刺しましょうか(苦笑)。
>183 理科。
一応、ひとむが女である事は分かったような分からないような?
- 189 名前:名無しベーグル。反省中 投稿日:2002年01月10日(木)21時33分36秒
- >188
理科。さん呼び捨てにしてました。ごめんなさいっ!!
- 190 名前:芽衣 投稿日:2002年01月10日(木)22時03分53秒
- 鈍感すぎるイシカーさんが可愛すぎます(w
てかバレたけどバレてねーって感じで笑えました(w
あぁ続きが気になります
- 191 名前:名無しバイク 投稿日:2002年01月10日(木)22時54分50秒
- ココでは初カキコになります・・・。
いやぁ〜勘違い石川、カワイイっすねぇ。
このまま勘違いし通しても良いですけど・・・それはねぇ(w
続きはどうなるのかな・・・?。タノシミタノシミ
- 192 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月10日(木)23時36分08秒
- う〜ん、勘違いもここまで来ると…。
ここまで来るといったいどうやって事実に気づかせるのか、腕の見せ所ですね。
ですねっ♪
- 193 名前:ARENA 投稿日:2002年01月11日(金)03時54分16秒
- つーか、「ひとみちゃんと双子の姉妹だった!!」・・・。 おい!!(w
と、ツッコミたくなるくらい純?な石川もいいかも・・・(w
- 194 名前:理科。 投稿日:2002年01月11日(金)05時16分22秒
気にしないでください(w
ってか梨華ちゃん、しっかり!
ここまで鈍いとは(w
- 195 名前:名無し男 投稿日:2002年01月11日(金)14時47分14秒
- あ゜〜早よ気付け!!
- 196 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月11日(金)19時21分41秒
- 今日は更新出来ないのですが、青板があぼ〜んされたので(爆)(泣)
石川記念は書けなくなりました。風はスレッド警報が出てるので
もう書けないし、空は、後藤記念を今書いてる最中だし、他の話を
入れるつもりもありません。よって書く場所がないのです。
ここのスレに途中で書くのも、なんだか…。桃板の小説で書くのが
ベストかなぁ。と勝手に独り言。でも書くとしたら風の2人を書きたいので
スレ違いなのかなとか、いろいろと。うぅスマソ。逝って来ます。
- 197 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月11日(金)22時47分57秒
- え〜!?それは残念でなりません。
もはや「石誕祭」は花屋さんに期待するしかないのかなぁ・・・。
あっ、後藤記念日も楽しみにお待ち申し上げております。
- 198 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月11日(金)23時57分06秒
- >>196
見てないのでなんともいえないけど、普通に書いていたなら
消すなんてことしないよ。倉庫行きになってないか
確認してから、サザエに理由を尋ねてみれば?
間違えかもしれないから。
- 199 名前:小さな賭け事 投稿日:2002年01月12日(土)23時36分41秒
- 梨華を家に運んでから、今度は希美の家で作戦会議をする亜依と希美。
「梨華ちゃんじゃ、全然賭けにならないよ。まさか倒れるとは」
さすがの亜依も、梨華の心配より、あまりの梨華の鈍感さに心底呆れた様子。
「じゃぁ、ひとむサンの方に賭けるのれす」
「ひとみちゃんかぁ…」
亜依は呟くと、何かを思いついたらしく、ニヤッと笑った。
「明日あたり、ひとみちゃんに電話してみようか。どういう反応見せるか」
亜依は、いつの間にか梨華の携帯からひとみとひとむの携帯番号を抜き出してメモに書き出していた。
- 200 名前:小さな賭け事 投稿日:2002年01月12日(土)23時37分20秒
- 「明日じゃなくて、今日でも…」
「今日じゃダメだよ。明日以降の方がいい。どうせ梨華ちゃんのコトだから明日も寝てるハズ。
ひとみちゃんに電話してお見舞いに来てもらうってのは、どう?」
「ののは、ひとむサンの格好で来て欲しいのれす」
希美は、お菓子を食べる手を止めないで言う。
「いや、ひとみちゃんで来てもらわないと。って同じじゃん」
「ひとみサンの私服も、ひとむサンと変わらないと思うのれす」
「そっかー」
そう言えば、ひとみの姿は制服姿でしか見た事がない。
これは、良いチャンス!
「やっぱり、ひとみちゃんから梨華ちゃんにはハッキリ言ってもらわないとダメだな」
亜依は納得すると、ジュースを一気に飲む。
「じゃぁ、今度はジュース2本とお菓子付けて賭けるのれす」
「よし! それで手を打とう」
「で、どうするの?」
希美の瞳が、また輝き始めた。
- 201 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月12日(土)23時46分11秒
- 少しですが更新。
>190 芽衣さん
鈍すぎますね。幾らなんでも失礼すぎ(w。
>191 名無しバイクさん
バイクで「止まれ」を一時停止した、かっけ〜○○さんですね。
ホントかっけ〜かったです。またどこかで会えるといいっすね。
>192 M.ANZAIさん
妹も呆れたらしいので姉は放置らしい(爆)。
>193 ARENAさん
純ではなく鈍(どん)な石川。まぁ純でもあるんですが(w。
>194 理科。さん
鈍なんで(しつこい)。
>195 名無し男さん
引っ張りすぎたので、そろそろ完結に向けて。すみません。
>197 M.ANZAIさん
後藤記念は今日アップしておきました。
石川BDの方は、桃板の『石川さん』スレで書く事にしましたので。
って書ければの話ですが。この日は福井にいるんですよね、石川さん。
>198 名無し読者さん
調べたら私以外の小説もあぼーんされてますね。別板もですが。
一応途中までは保存してあったので良いのですがレスの返事してなかったのが申し訳なくて。
- 202 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月13日(日)00時45分58秒
- >じゃぁ、今度はジュース2本とお菓子付けて賭けるのれす
おいら、あくまでひとみとひとむを双子だと信じる梨華ちゃんに一票〜♪(w
>名無しベーグル。さん
桃板「石川さん」ですか、捜してみます。
- 203 名前:理科。 投稿日:2002年01月13日(日)05時35分24秒
- 明日も寝てるって…(w
加護ちゃん辻ちゃん可愛いすぎです!!
- 204 名前:名無し男 投稿日:2002年01月13日(日)13時34分12秒
- 賭博容疑でタイーホ(w
賭け方が可愛らしくてヨイ
- 205 名前:キョンビニが好き♪ 投稿日:2002年01月13日(日)17時24分58秒
- 翌日の10時頃に、亜依は、ひとみの携帯に電話をした。
「ひとみちゃん! 梨華ちゃんが昨日倒れちゃって…」
亜依は、さも梨華の状態が悪いようにわざと声を沈ませて言う。
この一言だけで充分だった。ひとみは1つ返事ですぐにこちらに来てくれるらしい。
亜依は電話を切ると、ほくそ笑んだ。
自転車に乗って、かなり急いで来たらしく、ひとみが来たのは電話を切って十数分後。
ひとみは肩で息を切らしながら、石川家のインターフォンを押した。
(梨華ちゃん、キスぐらいで、そんなにショックだったんだ)
倒れた直接の原因を知らないひとみは、てっきりキスが原因で倒れたモノだと思い込んでいた。
これじゃぁ、真実を話したら、ショック死をしてしまうかも知れない。
ひとみは大袈裟気味かと思ったが、梨華の場合は、多少オーバーでも一向に構わない所がある。
「これじゃぁ、ますます言えないよ…」
ひとみはガックリ肩を落とす。
- 206 名前:キョンビニが好き♪ 投稿日:2002年01月13日(日)17時25分47秒
- 「ひと…みちゃん? いらっしゃぁい♪」
玄関が開くと、姉が倒れていると言うのに、呑気に亜依と希美が迎い入れてくれる。
「あ、あの…。梨華ちゃんの具合は?」
一刻も早く梨華に会いたいひとみは、亜依に状態を訊こうとする。
「ひとみサン、お見舞いの品は?」
石川家の住人でもないのに、図々しく希美がお見舞いの催促をしてきた。
「あ゛。急いで来たから忘れてた!」
希美に指摘されて、ひとみは、しまったと思った。
やはり見舞いに来たのに手ぶらと言うのは、ダメなのかと思いひとみは
「なんか買ってから出直して来るよ」
そう言いかけたが、希美がひとみの腕を取る。
「キョンビニでジュースとお菓子でもいいれすよ」
それって、ののちゃんが単に欲しいだけでは? とひとみは思ったが言わない事にして
ひとみは希美を連れて近くのコンビニに行く事になった。
- 207 名前:キョンビニが好き♪ 投稿日:2002年01月13日(日)17時26分28秒
- 2人を見送った亜依は「のののヤツ、うまい具合にジュースとお菓子手に入れたなぁ」
なんて、感心していた。「まぁいいか。ジュースとお菓子ゲットだもんね」
亜依の予想通り、今日も梨華は具合を悪そうにして、布団を被って寝ていた。
勿論、ひとみに電話をした事は梨華には内緒にしてある。
今回の希美との賭けは、ひとみを見て、どっちだと思うか? であったが
亜依も希美も揃って「ひとむクン」「ひとむサン」と答えた為、あえなく賭け事は成立しなかった。
本当の賭けは、ひとみが、どう出るかであった―――。
暫くすると、大きな袋を下げて、ひとみと希美が帰って来る。
結局、ひとみは2000円分ぐらい買わされてしまったのだった。
一体、これのうち、どれくらいが梨華に渡るのだろうかと思いながら。
- 208 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月13日(日)17時32分32秒
- 少しの更新で申し訳ないです。
>202 M.ANZAIさん
>>じゃぁ、今度はジュース2本とお菓子付けて賭けるのれす
2本と言わず大量にひとみから巻き上げたらしいです(爆)。
>おいら、あくまでひとみとひとむを双子だと信じる梨華ちゃんに一票〜♪(w
これが厄介な事になりそうで。
桃板「石川さん〜」底に沈んでますので。放置中の小説…。嗚呼スマソ
>203 理科。さん
PCの調子どうですか? 辻加護カワイイですか。良かったです。
>204 名無し男さん
この位なので許してあげて下さい(w。
- 209 名前:走梨華 のち ひとみの心は雨模様 投稿日:2002年01月13日(日)21時39分33秒
- 500mlのペットボトルを2本持って行くと、ひとみは2Fの梨華の部屋へと上がっていく。
ひとみは、深呼吸をするとドアをノックした。
「………」
返事はない。ひとみは勝手に寝てるのだと解釈して「お邪魔します」と言ってドアを開けた。
ドアから覗くようにして、ひとみは顔を出した。
「梨華ちゃん?」
梨華は布団を顔までスッポリ被って寝ている様子。ピクリと動きもしなかった。
起こさない方がいいかな…と思ったが、ひとみは梨華の傍に行くと飲み物を枕元に置いて
暫く、そのまま布団を見つめていた。
なんだか、昨日と逆パターンだな…。
と、急に布団がバサッとあがって、梨華が顔をのぞかせる。
そして、一瞬2人は目が合った―――。
「ひとむクン?」
「え?…」
- 210 名前:暴走梨華 のち ひとみの心は雨模様 投稿日:2002年01月13日(日)21時40分25秒
- 今日は特に誰と決めて来た訳でもなく、梨華がどう判断したのか「ひとむ」と呼ばれ
一瞬、ひとみは、どう返事をしようかと迷った。
「ぃ、ぃゃ、あたしは、ひと…」
その瞬間、梨華の力とは思えないくらい凄い力で、ひとみは抱き寄せられてしまった。
梨華は、頭の中で「ひとむ=女」の公式を思い出し、ひとみの胸を思い切り掴んだ。
(ひとむクンが女なら、その証拠を!!)
「ぎゃぁぁぁぁ〜〜〜 !!! 」
慌ててひとみは胸を押さえる。
一瞬、何が起こったのか分からず、目をパチパチさせていた。
そりゃぁ、いきなり病人だと思ってた梨華に、胸を掴まれた日には………。
かすかとは言え(失礼)胸の感触を手にした梨華は、ガッカリした顔になった。
(やっぱり………ひとむクンは………おんな………)
- 211 名前:暴走梨華 のち ひとみの心は雨模様 投稿日:2002年01月13日(日)21時41分02秒
- かなり落ち込んだ表情の梨華に、泣きたいのは、ひとみの方だった。
「り、梨華ちゃん。いきなり、酷いじゃない!!」
ひとみだって、一応女である。それを好きな女性から、なんの前触れもなく掴まれた挙げ句
その後ガッカリした顔をされては、さすがのひとみの心もズタズタであった。
そ、そりゃ小さいけどさ…。って、そういう問題じゃない。
って待てよ? 今、梨華ちゃんは、ひとむと言った。そして胸を掴んだと言う事は―――。
ひ と む が 女 だ っ て バ レ た ?
ひとみは、梨華の方を恐る恐る振り返った。
- 212 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月13日(日)23時03分06秒
- 桃板にて、Triangle Blueの番外編書き始めました。
期間限定ですがヨロシクです。
- 213 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)23時22分30秒
- ワーイ!更新されてるー
桃板もがんばってくださーい!
- 214 名前:名無しバイク 投稿日:2002年01月13日(日)23時40分52秒
- 更新されちょる(^^)
思い切り掴んだ石川萌え
桃板も楽しみにしてま〜す
- 215 名前:理科。 投稿日:2002年01月14日(月)02時10分16秒
- 思いっきり胸を掴む石川さん!!激しく笑いました!
やっぱりここの辻加護、大好きですうぅー!!
…師匠、PC。マジヤバイっす。
- 216 名前:名無し男 投稿日:2002年01月14日(月)02時18分29秒
- 胸座掴むんやなくて胸掴むって・・・
でもワラタ(w
- 217 名前:名無っすぃ 投稿日:2002年01月14日(月)09時39分17秒
- 面白いっすね!始まった頃からずっと読んでます〜!ところで、お恥ずかしいんですが、桃板とは何処に??
- 218 名前:ひとみの憂鬱・亜依の嘆き 投稿日:2002年01月14日(月)11時44分38秒
- 廊下で梨華の部屋のドアの前に耳をピッタリつけて、聞き耳を立てていた亜依と希美は
ひとみの絶叫で、思わず顔を見合わせた。
「な、なにが起こったの!?」
「ひとむサン、酷いって言ったから、梨華サンが何かした模様!」
「そのくらいは分かるよ!」
再び、亜依と希美はドアに耳をつけた。
しかし、ひとみはすぐに疑問を生じる。
ひとむが女ってコトは、あたしと同じ人物だと思ってないわけ???
梨華は涙目になってるし、泣きたいのは、あたしだよ! と言いたいのを堪えて
ひとみは梨華に尋ねる。
「梨華ちゃん。なんで、む、胸触るの!」
- 219 名前:ひとみの憂鬱・亜依の嘆き 投稿日:2002年01月14日(月)11時45分28秒
「「胸ぇ〜〜!!」」
盗み聞きしていた、亜依と希美は思わず揃えて声をあげた。
かなり、大きくて慌てて口を押さえたが、中の2人には気付かれていないようだった。
それどころではないような雰囲気。
「梨華ちゃん、痴女かよ!」
自分の姉が、痴女だなんて…。
嘆いている亜依の隣で、希美は「ちじょって、なんれすか?」と聞いてくる。
「痴漢の反対。男の人に悪戯する女…」
こんな説明している自分が哀しくなる亜依だった。
「梨華サンが、ひとむサンに…? でも、ひとむサンは女なのれす。
女の人が女に悪戯するのは、なんて言うのれすか?」
「……。知らないよ! もぅ、のの黙っててよ!」
そして、またドアにピッタリ張り付く2人。
- 220 名前:ひとみの憂鬱・亜依の嘆き 投稿日:2002年01月14日(月)11時47分17秒
- 「だって、ひとむクンが女だって聞いたから、確認するには、その…」
梨華は恥ずかしそうに俯くが、今さら遅い。
「だからって、胸掴まなくたっていいじゃない!」
(触るとか、揉むなら、まだしも、掴むって! 幾らなんでも)
「「掴むぅ〜〜??」」
またしても、亜依と希美は声を揃える。
亜依は、姉の行為に妹として、もはや羞恥を超えていたのだった。
何を根拠に梨華は、ひとむと断定するのか分からないが、それでも
ひとむ=女って誰から聞いたのだろう?
「だから、あたしは、ひとみなんだってば! どうしたら信じてくれるの?」
信じるもなにも、ひとみもひとむも同じ人間だって、梨華は、まだ気付いていないのだろうか?
「って言うかさ、ひとむなんて、最初から居ないんだよ?」
(あ゛。言ってしまった!)
「おおお〜〜〜! ひとみちゃん、ついに言ったぁ!」
「ひとみサン、言っちゃいましたぁ!」
- 221 名前:ひとみの憂鬱・亜依の嘆き 投稿日:2002年01月14日(月)11時50分46秒
- 「何言ってるの? おかしな、ひとむクン」
「おかしいのは…」
と、ひとみは言いかけて、逆に梨華が怖くなって来た。
人間一旦、思い込むと、なかなか真実には気付かないものなのか? それにしても梨華の場合は…。
(い、一体、梨華ちゃんって…)
「おかしいのは、梨華ちゃんやろ〜!」
「梨華サン、鈍すぎなのれす〜。どんです、どん〜!」
さすがの亜依も、たまりかねて、ドアを開けようとするが、希美が制止した。
「面白くなりそうなのは、これからなのれす♪」
「じゃぁ、証拠を見せて? ひとみちゃんって証拠」
何故だか勝ち誇った顔の梨華に、ひとみは戸惑ったような視線返した。
証拠って―――。
- 222 名前:口唇は覚えている 投稿日:2002年01月14日(月)12時24分11秒
- 「「証拠ぉ〜〜??」」
またしても外野の2人は声を揃える。やたらと驚きが連続の盗み聞きである。
これだけあると、聞き甲斐があると言うもの。
証拠と言われても…。しかし、ひとみはすぐに思いつく。
が、それをしてもいいのか、どうか、今のひとみには躊躇われた。
自分は、梨華のくちびるの感触を覚えているけれど、梨華は、どうなのだろう?
でも、こんなカタチで、梨華と再びキスなんかしたくない。梨華だって同じだろう。
もっとキスと言うのは、こうロマンチックに背伸びしてって、これは曲のタイトルで(謎)
ロマンチックにしたいもの。
あ、でも、もう梨華と、そんなキスは望めないのか。だったら、何したって一緒なんだ。
- 223 名前:口唇は覚えている 投稿日:2002年01月14日(月)12時25分04秒
- ひとみは納得すると、梨華の両肩に手をかけた。
「梨華ちゃん、昨日の事故覚えてる?」
そう、あれは事故なんだ。キスなんかじゃなくて。
梨華は、頷いた。
「梨華ちゃんのくちびるは、あたしのコト覚えてるよね?」
この時点で、ひとむではないと言う事が分かるハズなのに、分かってて言ってるのか? と
ひとみは考えたが、梨華の事だから、分かってないのだろう(溜息)。
それを知りつつ、キスをしようとする自分は、確信犯だなんて思いながら
目を閉じて、ひとみのキスを待つ梨華に顔を少しづつ近づけて行った。
- 224 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月14日(月)12時39分39秒
- 全く話が違う方向に進んでしまってます(汗)。困った!(w
>213
ありがとうございまーす。
>214 名無しバイクさん
「止まれ」の落書き消しご苦労様です(笑)。
桃板もヨロシクっす。
>215 理科。さん
盗み聞きしてる辻加護はどうでしょうか?
PCせめて、石川記念までは持つといいですね。嗚呼。
>216 名無し男さん
ここの石川は行動が大胆と言うか、なんと言うか(笑)。
>217 名無っすぃさん
始まった頃からですか、ありがとうございます。桃板はですねぇ、説明するの3回か4回目だ(w。
ttp://green.jbbs.net/music/866/soundchaser.html
ここの50以降に下がってる、石川さんなんちゃらってとこにあります。
- 225 名前:名無っすぃ 投稿日:2002年01月14日(月)13時07分00秒
- 説明ありがとうございます。この時代にこの歳でアナログ人間な自分なもんでweb上で目的地まで辿り着くのも苦手…。しかし!苦労をしてでも貴方様の作品は読む価値大ッス!これからも頑張ってくだせえ!期待しとりまする。
- 226 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)13時12分48秒
- 一気に読ませていただきました!
なんだ、作者さんはあの方だったのか〜。(ニヤリ)
梨華ちゃんの鈍感さに驚愕。(w
更新頑張って下さいね!
私の正体は、受験生、って言うとわかると思われ。(w
- 227 名前:訂正。220と221の間 投稿日:2002年01月14日(月)14時29分11秒
- >>220と>>221の間に一行入ります。まぁあってもなくても支障ないですけど。
「ひとみサン、言っちゃいましたぁ!」
しかし、鈍なめでたい梨華は、まだ気付いていないようで、ひとみの一言を一笑した。
「何言ってるの? おかしな、ひとむクン」
- 228 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月15日(火)00時28分32秒
- コワッ!
梨華ちゃん、多少おかしなところがあると思っていたけど、ここまでとは・・・
・・・呼ばないで、の話の方はなんだか楽しく?盛り上がれそうですね。
(この書き込みだけじゃ謎?)
- 229 名前:正しいハートの行方 投稿日:2002年01月15日(火)19時08分36秒
- あと数cmで、梨華のくちびるに到着すると言うところで、ひとみは止まってしまう。
本当に、このままキスしてしまっていいのか?
本当に梨華が好きなら、こんなのでキスするのは…。
「ゴメン。やっぱり出来ないや」
ひとみは梨華の肩から手を放し、自分も梨華から離れると、フッと寂しく笑った。
「梨華ちゃんのくちびるってなんれすかね? 出来ないとか」
希美は、本気で分からないのか、首を傾げている。亜依は安易に想像出来たが。
今、まさに扉の奥では、2人がキスしようとしている! それを思うとさすがの亜依も
ドキドキしたが、今ひとみが「出来ない」と言ったのだからしていないと言う事になる。
「あぁ、じれったい! 早くするならしてよ!!」
亜依は、そう言いながらドアを開けようとしたが寸手の差で、またもや希美に腕を掴まれる。
「まだ、まだれすよ? あいぼん。突撃は、この後なのれす」
- 230 名前:正しいハートの行方 投稿日:2002年01月15日(火)19時10分04秒
- 梨華は閉じていた目を開けると、目の前の意気地のない? ひとみに挑戦的に言った。
「ひとむクン…ひとみちゃんが出来ないのなら、あたしからする」
それを聞いたひとみは、驚きのあまり、目をまんまるくした。
梨華は何を意地になってるのか、何が引けないのか、あくまでもキスをしようとしていた。
「あのね、梨華ちゃん、そういう問題じゃないんだよ」
「だって、ひとみちゃんあまりに意気地なしだから」
「意気地なしって…」
梨華はひとみの腕にすがるように掴むと、素早くくちびるを重ね合わせた。
「……!!」
咄嗟の事で、目を閉じるのも忘れたひとみは、更に驚いた表情で、梨華にされるままになっていた。
そして、すぐに昨日の夢の感触を思い出し始めていた。
ひとみも、ゆっくりと目を閉じると梨華の腰に手を回した。
「……っ。んふっ」
自分から仕掛けたクセに、まだ初心者の梨華は、すぐに主導権をひとみに握られていた。
軽く重なるだけの口づけも、段々と深いモノになっていく。
なんだか身体が熱くなって行く感じに囚われていく梨華は、昨日の事を思い出していた。
(この柔らかいくちびる…。ひとみちゃんの…だ……)
- 231 名前:正しいハートの行方 投稿日:2002年01月15日(火)19時11分23秒
- 急に静まりかえったので、ドアに耳をつけてへばり付いていた亜依と希美は一斉に耳を離した。
「ついに、やったのかなぁ、梨華ちゃん…」
「へ? やったって??」
希美は不思議そうな顔で亜依を見上げた。
「もう、突撃しても、えぇんちゃう?」
すっかり突撃するタイミングを逃したらしい2人は、今さら、勢い良く開ける事も出来ずに
暫くその場に突っ立っていたが、亜依は急に思い出したように希美に言う。
「このままにしといたら、梨華ちゃんの貞操の危機や!」
亜依は切羽詰まると何故か関西弁になるクセがあった。
「て、ていそうってなんれすか?」
「説明は後! のの!いざ出陣や!!」
亜依が勢い良くドアを開けると、希美は後に続きながら「あいぼんて、難しい単語良く知ってる」
と感心していたのだった。
- 232 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月15日(火)19時18分23秒
- 自分で書いてて、この先どうなるのは分からなくなって来ました(泣)。
あいののに任せようっと(w。
>225 名無っすぃさん
どちらかと言うと空板に力を入れているので、そちらを宜しくお願いします。
とか言ったりして。こちらはラクに書いてるつもりです。
>226 名無し読者さん、こと YGKさん?(w
バレちゃいましたか(w。受験がんがってね。
で、また小説書いてね。楽しみに待ってます。
>228 M.ANZAIさん
怖がられてしまったよ、梨華たん(号泣)。
・・・呼ばないで の話自体は、今重いんですけどね。中断してるんで。
楽しく石川記念を過ごしたいですね。
- 233 名前:名無っすぃ 投稿日:2002年01月15日(火)21時07分16秒
- 空板の方もちゃんと読んでますよ〜。当然、1の頃から。かなりの大作ですよね!トライアングルブルー(バカだから英語の綴りわかんない…)も、その前身の青板の作品もしっかり読んでます!トライアングルブルーはかなり感動させて頂きました!しかし、作者さんは色んなタイプの話が書けるんですね〜。自分も小説書いてみたいとは思うんですが、なかなかね…(W
- 234 名前:ARENA 投稿日:2002年01月16日(水)00時29分43秒
- い、石川がすごい積極的だぁ!!ドキドキ
またしても怒濤の展開・・。突撃でどうなるのか楽しみっす。
- 235 名前:yo-na 投稿日:2002年01月16日(水)03時02分52秒
- 桃板「Triangle Blue」探しに…
あれれ迷子だ。。番外編も観たいけど本編すら...
お願いタイトル?教えて下さい。(泣)
- 236 名前:理科。 投稿日:2002年01月16日(水)04時57分23秒
辻ちゃんに激しく笑いました!…でも一気に
笑いモードから、ドキドキモードに持っていける師匠…嗚呼。
<yo−naさん。師匠のその作品は風板にありますよ。
- 237 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)06時55分26秒
- >>235
桃板というと番外ですな。
けっこー下の方のスレで「石川さんと呼ばないで」ってタイトルだったと思います。
って、俺が言っていいのかな?
- 238 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月16日(水)10時30分54秒
- あー、ついに目の前に居るのがひとみだと気がついた梨華ちゃん、
これでこのからくりが理解で来たのかなぁ。
乱入してくるあいぼんとののの活躍やいかに!
なんだか師匠の正体、バレバレっすね♪(笑)
- 239 名前:進め! 突撃隊 亜依&のの 投稿日:2002年01月16日(水)19時16分16秒
- 「ウチの梨華ちゃんに、手ぇ出すなぁ〜!」
亜依はドアを開けながら、ひとみ目がけて突進していく。
亜依から見ると、後ろ向きになっていたひとみは、そのまま亜依にどつかれて、
前のめりになり、梨華に覆い被さった。
「ぅわっっと!」
これでは、ますます悪い。
「ひとむサン! ののにも、して欲しいのれす〜〜!」
梨華に覆い被さったひとみを掴むと、希美はひとみの身体を起こす。
「な、なに? 急に」
ひとみは急にどつかれるは、掴まれるはで、なんだか訳が分からなかった。
梨華は梨華でキスの余韻に浸っている。
「亜依ちゃん、これは?」
「これは? やないわ! いくらひとみちゃんでも、梨華ちゃんの操まで、差し上げる訳には
いかへんねん!」
「み、操って…!」
それを聞いた、ひとみの方がビックリしている。
しかし、亜依は古くさい言葉を良く知っている。
「あいぼん、ミサオって、なんれすか? 誰れすかぁ?」
希美は、相変わらずの調子で、亜依のシャツの袖を引っ張りながら訊いてくる。
「ののが喋ると、ややこしくなるから、黙っててぇな!」
亜依は、ピシリと希美に言うと、希美は「へぃ…」と小さな声で頷いた。
- 240 名前:進め! 突撃隊 亜依&のの 投稿日:2002年01月16日(水)19時17分06秒
- 「大体、梨華ちゃんも梨華ちゃんや。いつまで、ダマされとんねん!」
「へ?」
肝心の梨華は、まだ気付いていない様子。
それどころか、キスにまだポーッとしている。
「ひとみちゃんも、ちゃっかり梨華ちゃんとチュウしやがって。図々しいにもほどがあんねん」
「ちょっと待ってよ、亜依ちゃん。あたしは別にしようとは…」
なんだか自分からキスをしたような言われ方で、ひとみは否定をした。
「でも、梨華ちゃんからしたら、拒まなかったやんか! それどころか舌までいれやがって」
「えぇーー? 幾らなんでも舌入れたか、どうかなんて分からないでしょ!」
ひとみは、舌は入れてなかったから、断固否定した。
勢いで言った亜依は、バレたか と言う顔をするが、そんなのはお構いなし。
「でもなぁ、ひとみちゃん絶対下心あるやん」
隣りにいる、希美も「うんうん」と頷いている。
「う…」
それを言われるとひとみも否定出来ない。
- 241 名前:進め! 突撃隊 亜依&のの 投稿日:2002年01月16日(水)19時18分37秒
- 「今は、そんな話じゃないと思うんだけど…」
元はと言えば自分が、男だと梨華を騙した事から話は始まるのだが。
「梨華ちゃんが男だと勝手に勘違いするから、ちょっとした悪戯心で”ひとむ”って
作っちゃったんだよ。すぐにバレると思ったからさ」
(やはり、亜依ちゃん達には、気付かれていたのか。って普通は気付くよな。普通は)
「なに? ひとむクンは女の子じゃないの?」
さすがに亜依も梨華の天然には、ぶち切れそうになる。
「梨華ちゃん! まだ寝ぼけたコト! ひとみちゃんは双子じゃなくて1人しかいないんだよ!」
「そりゃ、ひとみちゃんは1人に決まってるよ」
ふふっと梨華は笑う。
「笑うな! こんなんがお姉ちゃんだと思うと情けなくなるわ!」
亜依は、拳を握りしめるとふるふると震えだした。
(あぁ、ついに、あいぼんの怒りが……)
希美は、体育座りをすると目を瞑った。
- 242 名前:進め! 突撃隊 亜依&のの 投稿日:2002年01月16日(水)19時19分23秒
- 「だぁかぁらぁ! 梨華ちゃん、耳かっぽじってよぉく聞けよ!」
ひとみもポカンとして亜依を見ているが「言い回しが古いと言うか、面白いな」なんて
呑気に思っている。自分の出番がすっかりなくて、自分も外野に回っていた。
「ちゃんと聞いてるよ。もっとボリューム小さくても聞こえるって。近所迷惑だよ、あいぼん」
梨華は、わざと耳を塞ぐようにして、亜依に言った。
「ひとみちゃんは、ひとむクンと双子の女姉妹でもない! ひとむなんて、元からいない!
わかったか!! 双子の話自体が、全くの嘘やってん。わかったかぁ〜〜!」
亜依は、更にボリュームを10くらいにして、声を張り上げて言った。
- 243 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月16日(水)19時26分12秒
- 更新です。そろそろホントに終わります(爆)。
>233 名無っすぃさん
どうもです。バレバレですね(爆)。自分がうっかり名乗ってしまったばっかりに(苦笑)。
是非、小説書いてみて下さい。案外書くと楽しいですよ。
>234 ARENAさん
あいぼんが邪魔しましたが何か?(w
>235 yo-naさん
思いっきり書かれてるし(苦笑)。嗚呼今さら読んで下さってありがとうございます。
もう今の私には、あんなドロドロな話は書けないと思います。
>236 理科。さん
ののも天然ですから(いい意味で?)。
でも、ドキドキよりはお笑いですよね、やっぱり。
>237
ここでも思いっきり書かれてるし。あぁ…。
今度新作書く時は、絶対バレないように(w。
>238 M.ANZAIさん
やっと気付いたと思います。梨華ちゃん…。長かったですな。
- 244 名前:名無しバイク 投稿日:2002年01月16日(水)21時48分54秒
- キスの余韻に浸っている石川萌え。
辻、加護出てきた時点で、シリアスに行かないとオモワレ(w
でも、こういったのも楽しくて良いかも。
ラストスパートへ向けて、がむばって下さい!。
- 245 名前:yo-na 投稿日:2002年01月17日(木)02時01分01秒
- あぁぁ やっぱあそこでヨイのですね。
お気ににハイってまちゅ<桃
すみません告知して頂いちゃって…
石吉ばんざーい
- 246 名前:ARENA 投稿日:2002年01月17日(木)06時07分10秒
- あー、ワラタ。今回はまたしても爆笑しましたよ。
とりあえず、加護に「お前は梨華ちゃんのオカンか!?」と問いたい。小一時間!(w
- 247 名前:名無し男 投稿日:2002年01月17日(木)15時37分39秒
- 辻ちゃん
何も知らなくて正解だよ
さて、最後の直線に差しかかった所ですか。
最後どうなるのか期待してます
- 248 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月17日(木)17時50分14秒
- 加護(ここじゃ梨華ちゃんの妹だから石川なのか!?)ちゃんの
説教でようやくすべてが明らかに!ってもっと早く気がつくだろうにね、梨華ちゃん。
いよいよラスト、作者さんの落し所に注目!!
- 249 名前:Game Over 投稿日:2002年01月18日(金)21時35分54秒
- 「あいぼん。一体なに言ってんの?」
梨華は池の鯉や金魚がエサを欲しがるみたいに口をパクパクさせていた。
「まだ理解出来ひんのかぁ〜! しまいにゃ黄色い救急車呼ぶぞゴルァ!!」
亜依の方が血圧が上がって運ばれて行きそうな感じだった。
「きいろいくるま?」
希美は、また分からない単語が出て来て聞き返していた。
「ドクターイエローとは違うからね」
ひとみが、ますます訳の分からない事を言うから希美は「あれれ?」と言う顔をする。
「ひとみちゃん! なに呑気なコト言っとんねん! ののは退場! ウチも席外すから
梨華ちゃんにきちんと説明するなり、懺悔するなりしてや。但し!!」
亜依は人差し指をひとみの目の前に突き出す。
「梨華ちゃんに指1本触ったりしたら、タダじゃおかへんからな!」
それだけ言うと亜依はガンを飛ばして希美と共に部屋から出て行った。
- 250 名前:Game Over 投稿日:2002年01月18日(金)21時36分35秒
- 亜依が出ていくと再び梨華の部屋はシーンと静まりかえる。
ひとみは亜依の豹変振りに圧倒されていた。
それより、肝心の梨華は―――。
「梨華ちゃん…」
「ひとみちゃん。あたし…ちょっと今、混乱してるんだけど…。
つまり、ひとむクンは、この世に存在しないってコトなんだよね…」
梨華は泣きそうな顔をしながら同意を求めて来た。
不謹慎にもひとみは、そんな梨華も可愛いと思ってしまう。
「ゴメン。騙すつもりなかったんだけど…」
ひとみはポツポツと今までの思いを梨華に語り始めた。
最初からバレた時が、この恋の終わりと分かっていたから、ひとみは静かに受け止め
自ら、この恋に終止符を打とうとしていた。
- 251 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月18日(金)21時43分34秒
- 少しですけど更新。あんまり浮かんで来ない…。
加護『石川』亜依が飛ばしすぎたため、嵐が去ったようになってしまいました。
>244 名無しバイクさん
辻加護、思いの外自分でも書いてて楽しかったです(w。
この後も、あんまりシリアスにならないと思われます。
>245 yo-naさん
既にあっちは終わりましたが。期限付きだと焦りますね。
思い浮かばないと焦ってしまうし。なんとか完結出来てホッとしています。
>246 ARENAさん
オカンのようにバカにしつつも姉の梨華を心配してるって事で(w
>247 名無し男さん
最後は、やっぱり最初考えた通りの結末にしようかどうか…。
補足的に、放置している(爆)市井と後藤も少しは書かないといけませんね。
>248 M.ANZAIさん
鈍・石川なので、気付かなかったのです。
あんまりプレッシャーかけないで下さい(汗)。
- 252 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月19日(土)03時35分22秒
- ついに!と言うか、ようやく梨華ちゃんも分かってきたみたいですね。
ここにきて、恋の終わりを覚悟している吉がちょいと辛いかも。
放置されてるもう1カップル・・・
たぶんね、誉めてもらいたい一心で猛勉強してたもんで、なかなか会ってもらえなかったんですよ、きっと。
あのー、“焦らず書きたいように書いて欲しい”とエールを送ってるつもりなんですけど。
- 253 名前:名無しなんです 投稿日:2002年01月19日(土)22時57分15秒
- 初めて読みました
石川さん鈍感ですね
そこが可愛いんですけど(w
- 254 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月21日(月)22時18分50秒
- いや〜ん、加護ちゃんとってもこわ〜い(w
が、お姉さん思いなトコがとっても可愛い。
- 255 名前:名無し男 投稿日:2002年01月24日(木)14時56分56秒
- ガンバッテー
ガンバッテー
- 256 名前:がんばれブロークンハート 投稿日:2002年01月24日(木)18時09分49秒
- ひとみは今まで思っていた事、気持ちを梨華に全部話したが、梨華は無言のままだった。
黙っていられたのでは、こちらとしても、もう何も言えなかった。
「梨華ちゃん。あたし、もう帰るね。梨華ちゃんもまだ整理つかないと思うし。
何話せばいいのか、まとまってないのかもしんないし」
ひとみは立ち上がると、俯いたままの梨華を残し「さよなら」と言って部屋を出た。
ドアを閉める時、梨華をチラッと見たが、まだ俯いたままであった。
―――終わったな………。
不思議と涙は出て来なかった。元々結末は分かっていたから。
しかし亜依が乱入して暴露され、その流れで話す事になるとは思っても見なかったから
ひとみとしては、少々予想外の展開だった。
ひとみが梨華の家を出ようとしたところ、キッチンから亜依が出て来た。
「ひとみちゃん、これで帰れると思うなよ」
人差し指を立ててチッチッチッと言う仕草をしながら亜依がニンマリと笑った。
そして、その横から希美も顔を覗かせる。
ひとみは諦めて肩を竦めると
「取り調べはファミレスでよろしいですか?」
わざとそう言って、ひとみは笑った。
- 257 名前:がんばれブロークンハート 投稿日:2002年01月24日(木)18時23分37秒
- 梨華の家を後にして、3人は駅前のファミレスに向かった。
「梨華ちゃん1人でおいてきて平気?」
ひとみは気になって、亜依に訊いて来る。
「今までの経験からして、全く平気! 2〜3日もすればケロッとして、また次の恋を
探してるよ、きっと。いっつもそうだから」
「………」
(2〜3日で立ち直るのかぁ。早いなぁ。あたしなんか矢口さんにフラれた時、1ヶ月は
引きずってたのに。あたしとの恋も、その程度なんだ…)
ひとみは落ち込む。
「でもぉ〜、今回のケースは珍しいからなぁ。それに、ひとみちゃんが初めて梨華ちゃんの
くちびるを奪ったからなぁ。予想出来ないカモ♪」
亜依はイヤらしく笑うと、ひとみを見上げた。
正しくは自分が奪われた方なのに…。でも寝ぼけながら梨華にキスをした事実は消せない。
ひとみは亜依から視線を逸らせた。
- 258 名前:がんばれブロークンハート 投稿日:2002年01月24日(木)18時26分24秒
- 同じ姉妹でも、梨華とこうも違うのかと感心する。半面、梨華は天然過ぎて鈍感過ぎ、
亜依は鋭いと言うよりは、ませすぎと言ったところか。
どっちにしろ、もう関係のない事―――。
―――3日後のクリスマスイヴの約束も当然キャンセルだろうなー。その前に全てを話す
覚悟だったから、元からないようなもんだけど。今年は1人か…。紗耶香は、きっと後藤さんと
過ごすだろうし、そうなると毎年2人ぼっちの姉キたち、カオなちねーちゃんと3人で過ごすイヴ!?
う゛―ん、それだけはカンベンだよっ!!!
「ひとみサン、顔が百面相になっているのれす。何考えてるんれすか?」
「へ? なんでもないよ」
―――あぶない、あぶない。またカオねーちゃんみたく交信するところだったよ。
ひとみは笑顔で返した。
- 259 名前:がんばれブロークンハート 投稿日:2002年01月24日(木)18時29分14秒
- ファミレスに着くと、亜依と希美は嬉しそうにメニューを広げて見ていた。
「なんでも好きな物頼んでいいから」と言うひとみの言葉に、デザートやドリンクの方にも
目を走らせていた。この位で、許してもらえるなら安いものだ。
と同時に梨華の価値は、この程度なのか? とも思う。
ひとみは、あまり食べる気もしないので、ドリンクだけオーダーした。
* * * * * * * * * * * * * *
ひとみが出て行ってから梨華は暫く動かず俯いていたが、ようやく頭が回転しだしていた。
「ひとみちゃん?」
梨華は思いだしたようにハッと顔を上げると、ひとみの名を呼んだ。
それは、ひとみが出て行ってから、10分以上は経っていた―――。
「いつの間に帰ったのよ!!」
梨華は、すっかり人気のなくなった家に1人残され、誰に言うでもなく独り言を言っていた。
- 260 名前:年上キラー 吉澤クン 投稿日:2002年01月24日(木)18時44分36秒
- 「ねぇ、あそこにいるのって、吉澤さんじゃない?」
少し離れた席に、やはり食事をしに来ていた真希は紗耶香に言った。
後ろ姿のお団子結びと2テールの2人は、亜依と希美なのは言わずもがなである。
「ひとみ?」
紗耶香は振り返ると真希が見ている方に視線を移した。
浮かない顔をしているひとみが頬杖をつきながら、目の前の2人と何か話している。
「あいぼんとののちゃんだよ一緒にいるの。でも何で梨華ちゃんじゃなくて、妹とその友達
連れて来てんだろうねぇ? 妹まで興味あったりして? 吉澤さん守備範囲広いなぁ…」
紗耶香からひとみのナンパ話や彼女の話を聞いていたから、真希はわざとからかい半分で言った。
- 261 名前:年上キラー 吉澤クン 投稿日:2002年01月24日(木)18時52分19秒
- 「ひとみは年上キラーだから、ハズレ!」
紗耶香が間髪入れずにツッコミを入れる。
「じゃぁ私もセーフだねっ」
真希はわざと安心したように言うが、紗耶香から、またツッコミが入る。
「まぁ後藤は、ひとみの趣味じゃないから最初から心配する必要ないって」
「いいもん。ゴトーは、いちーちゃん一筋だから。いちーちゃんさえいてくれればいいんだ」
そう言って真希は紗耶香を見つめる。
「ハイハイ。勝手に言ってくれ」
紗耶香は照れ隠しに適当に真希に相槌を打ちながらも、ひとみが気になっていた。
もう言ったのだろうか?
ひとみが自分に気付かないかと、チラチラ視線を送っていた紗耶香だが、丁度ランチタイムで
店内も混雑していてざわついているし、気付くのは困難に思われた。
- 262 名前:年上キラー 吉澤クン 投稿日:2002年01月24日(木)18時52分54秒
- 「いちーちゃん!!」
「―なに? 突然デカイ声出すなよ」
紗耶香は真希に呼ばれて手に持っていたカップを落としそうになりテーブルに戻した。
「さっきから呼んでるのにっ。分かった!」
真希は少しふくれっ面になりながら席を立つと、ひとみ達の居る方に歩いていった。
紗耶香は真希を見ながら『思った事は即行動に移すタイプだよなー』と感心していた。
すぐに真希はひとみを連れて戻ってきた。
ひとみのどこか暗い顔を見たら何も言わなくても大体分かってしまった。
矢口に振られた時よりも酷くはないけれど。ひとみも紗耶香を見て察したのか
「紗耶香が今、思ってるコトで大体合ってるよ」と言って力無く笑った。
状況の分からない真希は、隣りの紗耶香の袖を引っ張り「どういうコト?」と訊いてきた。
紗耶香はひとみを見る。
「後藤さんにも、ちゃんと言わなきゃね。後藤さんも騙してた訳だから」
ひとみは紗耶香と真希と向かいに座ると、一呼吸をして真希を見つめた。
- 263 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月24日(木)19時00分16秒
- 久しぶりに更新しました。全然終わりませんが何か?(w
あぁ、レス250までで終わらせて1つ短編書くつもりだったのに! ムリのようです(苦笑)。
>252 M.ANZAIさん
分かったのか、テンポがズレすぎのような気が(苦笑)。
気にせず書いてるつもりですが日によって内容が変わってしまう(爆)。
>253 名無しなんですさん
ここの石川さんは、別名が、鈍石川なんで(w。
>254さん
辻加護は、食べ物があれば良いらしいです。
あ゛加護ちゃんは、そうでもないんですけど。出すつもりなかったのにまた出しちゃいました。
>255 名無し男さん
はい。がんがります。
- 264 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月24日(木)19時21分07秒
- やっぱり年上キラーなんだね・・・吉澤君ってば。
これからの鈍石川の行動が気になるッス。
- 265 名前:ARENA 投稿日:2002年01月24日(木)19時21分18秒
- ヤター!リアルタイムで読んだよ〜♪
モーたいが始まると同時に更新が終わりましたね(w
いくら衝撃的だったとはいえ、10分もフリーズする石川はワラタ
この後の石川に期待!
- 266 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月24日(木)19時30分00秒
- からかいながらも友達思いな市井ちゃんと今までのいきさつから吉と気が合いそうなごっちん、
2人に話を聞いてもらってスッキリ・・・できるのか?吉。
- 267 名前:名無しバイク 投稿日:2002年01月24日(木)21時12分21秒
- 「いつの間に帰ったのよ!!」
固まってた石川、萌え(w
吉澤は「年上キラー」がみごとにハマリますねぇ〜。
この後の展開に期待♪
- 268 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月25日(金)21時15分01秒
- 吉澤さん、年上キラーの名にかけてがんばれ!
- 269 名前:名無し男 投稿日:2002年01月26日(土)00時37分44秒
- 石川のゼンマイ巻かねば!!
ヂーコ ヂーコ
- 270 名前:諦めるのは、まだ早い! 投稿日:2002年01月27日(日)16時38分28秒
- 「騙すって、なんのコト?」
真希は、ひとみを見つめ返した。
「単刀直入に言うと、吉澤ひとむなんて、元から居なかった…と言う訳でして……」
ひとみはクレシェンド気味に言った。最後は殆ど消え入るような声だった。
真希は「?」と言う顔をしたが、すぐに笑い出した。
あっけにとられるひとみに、真希は「やっぱりそうか〜」なんて言いながら笑っている。
「あたしは、最初からおかしいと思ったんだよ。だって、吉澤さん最初に梨華ちゃんフッた
時にさ、『吉澤ひとむとしては付き合えない』なんて言ったじゃない。そのセリフが
ひっかかってたんだよね〜」
(ちょっと待て。その時って、梨華ちゃんと2人きりだったハズ。って事は、覗き見してたのかよ〜! 道理でおかしいと思ったんだ。次の日の朝、わざと自転車にぶつかってきて…偶然装ったって訳か)
ひとみは頭の中で、瞬時に思い出していた。
- 271 名前:諦めるのは、まだ早い! 投稿日:2002年01月27日(日)16時39分42秒
- 「そりゃ、吉澤さんも男とか言ったのはアレだけど、梨華ちゃんが勝手に最初に会った時に
間違えるのが悪いんだから、そんなに気にするコトないんじゃない? それにあたしは
吉澤さんには感謝してるしさ〜」
と言って、紗耶香を見る。
確かにひとみと知り合いにならなければ紗耶香とも知り合えなかった訳で。
でも、それは別にひとみが男でも女でも良かったような気もするのだけれど。
「後藤さんが物わかりの良い人で良かったよ」
正直ひとみはホッとしていたけれど、肝心の梨華の反応が気になっていた。
「梨華ちゃんなら2〜3日もすれば、立ち直ってるから大丈夫だよ」
亜依と同じ事を真希も言ってのけた。
梨華が立ち直ってくれても、ひとみはまだ立ち直れそうになかった。
「でも、梨華ちゃんからのコメントまだもらってないんだ。まぁ諦めてるんだけどね」
ひとみはテーブルに何を書くでもなく、指でなぞりながら言う。
- 272 名前:諦めるのは、まだ早い! 投稿日:2002年01月27日(日)16時42分58秒
- 「ひとみ、イヴは梨華ちゃんと約束してるんでしょ?」
先ほどから黙って聞いていた紗耶香がやっと話しかけてきた。
「一応…ね。でも来る訳ないよ。今年は姉ちゃん達と一緒に寂しく過ごすよ」
投げやりに言うひとみに、紗耶香は渇を入れた。
「んな、ひとみらしくないなぁ。ガツンと言ってやれよ。梨華ちゃんにさぁ〜」
『自分達は旨くいってるからって簡単に言うなよ』と言いたいのを堪えてひとみは曖昧に微笑んだ。
「じゃぁあたしが、ちょっと梨華ちゃん偵察に行ってこようか?」
真希が可哀相に思ったのか、梨華が気になるのか、そう言ってきた。
「偵察って言うか、後藤、お前単に、梨華ちゃんの様子見たいだけじゃないのかよ?」
紗耶香のツッコミに、真希は「あはっ☆」と笑った。
(この『あはっ』がクセモノだよな)
しかしここは、真希にお願いするしかないと思い、ひとみは「お願いします」と言って頭を下げた。
- 273 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月27日(日)16時46分29秒
- ちょこっと更新。っつーかいい加減早く話進めろって? すみません。
>264 REDRUMさん
ここの石川はあくまでもズレてますからねぇ。
>265 ARENAさん
更新時間は、たまたまですよ(w その後もモー。たい見ながら文字打ってましたし。
ここの石川の動きは自分でも良く把握出来ていません(爆)。
>266 M.ANZAIさん
後藤は物わかりが良い(ってか普通?)ので、こんな結果に。
>267 名無しバイクさん
年上キラーと言っても年上軍団は、すでに出ちゃってますね。
保田は、ちょっと違うし(爆)。
>268さん
意気消沈の吉澤くんは、既にまた意気地なしです。
>269 名無し男さん
巻きすぎに注意(謎)。今回も笑いました。面白いレスありがとうございます。
- 274 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月27日(日)18時40分56秒
- じゃ、真希が梨華ちゃんのゼンマイを巻きに〜(w
(言ったもん勝ちだな、こりゃ☆)
終わらせることなんぞ考えず、ゆっくりと進めて行って下さい、話。
クリスマスまでだいぶ時間もある事なので・・・
- 275 名前:名無し男 投稿日:2002年01月28日(月)01時30分42秒
- 諦めたらそこで試合終了だよ
- 276 名前:再チャレンジ! 投稿日:2002年01月28日(月)18時51分38秒
- ファミレスを後にして再び梨華の家に戻るひとみ達。
亜依と希美は、まだデザートがあるからと、お金だけちゃっかりひとみに払わせて、
店内でまったりしてから、そのまま遊びに行くらしかった。あくまで抜かりはないのである。
「梨華ちゃんち行くの、久しぶりだなぁー」
紗耶香に出会って以来、真希は殆ど一方的であるが紗耶香に会っていた。
そして猛勉強をして、お望みの通り平均点以上を出し、紗耶香とイヴの日は過ごす事になっている。
「それより、梨華ちゃん家にいるのかな…」
ひとみが心配そうに訊くが、真希が即行で返した。
「絶対いるって。また布団の中にいると思うよ」
「そうなんだ」
自分から見ると梨華の行動は予測不能であるが、長年付き合っている亜依や真希からしてみれば
梨華の行動パターンは読めているらしい。
- 277 名前:再チャレンジ! 投稿日:2002年01月28日(月)18時52分36秒
- 梨華の家の前に着き、インターフォンを押そうとするひとみに真希は「いいから」と言って
勝手に植木鉢の下に置いてある鍵を出すと、ゆっくり鍵穴に差し込んだ。
「い、いいの? 勝手に入って」
「平気だって」
真希は普通に言うとコッソリと中に入っていく。
いくら幼なじみだからと言って勝手に人の家に入るのは、どうかとひとみは思ったが
そのまま真希に続いて入っていった。
「取りあえず、いちーちゃんと吉澤さんは下で待ってて。あたしが先に行って話してくるから。
で、状況によって呼びに来るからさ」
真希は小声で言うと、ゆっくりと2階へあがっていった。
- 278 名前:再チャレンジ! 投稿日:2002年01月28日(月)18時59分09秒
- 「取りあえず、いちーちゃんと吉澤さんは下で待ってて。あたしが先に行って話してくるから。
で、状況によって呼びに来るからさ」
真希は小声で言うと、ゆっくりと2階へあがっていった。
紗耶香とひとみは居間のソファに腰を降ろした。落ち着かないひとみに紗耶香は励ます。
「ひとみさぁ、梨華ちゃんのコト、ホントに好きなら諦めないでもう1度アタックしてこいよ」
「う、うん」
ひとみは歯切れが悪かった。
「叩かれたコトがショックだったわけ?」
「いや、それは別にいいんだけど。梨華ちゃんは男のひとむを好きだった訳だからさ〜」
「そんなの関係ないじゃん。ひとみは1人しかいないんだし。
本質が好きなら男も女も関係ないだろっ」
「そーだけど、梨華ちゃんがその辺どう思ってるかだよ。今まで男の人しか好きになってない
みたいだし」
ひとみはいつになく弱気だった。
そんなひとみに紗耶香はとんでもない事を言いだした。
- 279 名前:再チャレンジ! 投稿日:2002年01月28日(月)19時02分53秒
- 「そこを分からせてやるのが、ひとみの仕事だろっ。いざとなったら、ひとみのテクで
イカせちゃうとかさ」
「な、何言ってんの? 紗耶香!! キスして殴られてんのに手なんか出せる訳ないじゃん」
ひとみは急に紗耶香が、そっちに話を持っていくから顔を赤くして大袈裟に手を振った。
「何キレイゴト言ってんだよ。要は身体の相性もあんだよ」
「ちょっと待ってよ。そういう関係になる前にお互い理解を深めないと…」
ひとみが尤もな事を言うが、紗耶香に昔の話を持ち出されてしまう。
「ひとみ、お前矢口とは、すぐ関係持ったクセに良く言うよ」
紗耶香は人差し指を突き出して、ひとみの額に押しつけた。
「あっ、あれは矢口さんから迫って来たから…。それに昔の話じゃんか!」
ひとみは紗耶香の指を掴むと押しやった。
「ひとみは押しが足りないんだよ」
「そういう紗耶香だって、結局後藤さんの猛烈アタックに負けたんでしょ?
同じようなもんだよ」
ひとみは悔しさのあまり、真希を引き合いに出して言い返したのだった。
- 280 名前:鈍・石川再び? 投稿日:2002年01月28日(月)19時24分04秒
- 梨華の部屋の前に着くと真希は軽くノックをした。
中から「あいぼん?」と言う声が聞こえたので「真希だよ」と答えて梨華の部屋に入った。
予想通り、梨華はベッドの中にいた。
「真希ちゃん、久しぶりだね」
布団から顔を半分だけ覗かせている。
「うん。勝手にあがらせてもらったよ」
真希は梨華のベッドの横にある椅子に座った。
「話は吉澤さんから聞いた」
「会ったの?」
梨華は布団から顔を全部出して目を見開いた。
「偶然ファミレスでね」
「じゃぁ真希ちゃんも知ってるんだ」
「ハッキリ言っちゃうと、最初に男と思い込んだ梨華ちゃんも悪い」
梨華はベッドからガバッと起きあがると
「なんでよー!」と言って反論した。
- 281 名前:鈍・石川再び? 投稿日:2002年01月28日(月)19時28分09秒
- 「そりゃ吉澤さんも悪いけど、梨華ちゃんに告られた時、断ったのも、それがあったからみたいだよ。
ウソついてるからって」
「でも〜、その後、ちゃんと付き合ってくれたし優しかったもん」
「梨華ちゃんはさぁ、ひとむクンが吉澤さんだったからショックなの? それとも元からいなかった
コトがショックなの? ひとむクンが女だったから?」
矢継ぎ早に聞いてくる真希に、梨華は遮った。
「………分かんない。分かんないよ…。ひとみちゃんに寝ぼけてキスされて、それでビックリして
殴っちゃったけど。でも、ひとむクンにされてるみたいでホントは嬉しかったの。
さっきも、ひとみちゃんにキスしてって言ったのに、してくれないから、あたしの方からしたら…
あいぼんに邪魔されちゃって…」
- 282 名前:鈍・石川再び? 投稿日:2002年01月28日(月)19時29分04秒
- (後半からタダのノロケじゃん! 答えは出てるじゃん! あたしなんか、いちーちゃんとは
まだ手も握ってないのに!!)
真希の表情が険しくなり急に不機嫌になったので、梨華は不安そうに聞き返して来た。
「真希ちゃん?」
「もぅホンット梨華ちゃんって鈍感なんだから! あとは勝手にして!」
真希は怒ったように言うと梨華の部屋のドアをバタンと大きな音を立てて出て行った。
梨華は真希が何故急に怒りだしたのか、理由が分からず首を傾げていた。
- 283 名前:鈍・石川再び? 投稿日:2002年01月28日(月)19時30分04秒
- ドンドンドンと音を立てて階段から下りてくる音に気付いて、紗耶香とひとみは顔を見合わせた。
「後藤? どうしたんだよ?」
真希は怒ったまま、紗耶香の手を取ると
「あたし達は用無しだから帰ろっ。あとは吉澤さんに任せたから!! あの鈍感少女・石川梨華を
目覚めさせてやって。それが出来るのは吉澤さんだけだから。じゃっ行こう! いちーちゃん」
真希はそれだけ言うと呆気に取られているひとみを残して紗耶香を連れ去り出ていった。
1人残されたひとみは全く状況が掴めず、暫くポカンとしていた。
数時間前に梨華の家を出て、もう来る事もないと思っていたのに、また戻ってくるとは思っても
みなかった。「任せといて」なんて言った真希は、いきなり怒りながら紗耶香を連れて帰ってしまうし
ホントに訳が分からなかった。
「カッコ悪いなぁー」なんて思いながら、ひとみは重い腰を上げて、再び梨華の部屋に訪れた。
- 284 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月28日(月)20時00分24秒
- 誰も見てないかも知れないけど中断しそうなので、ここで一旦終了。
ようやく、終わりが見えて来ました。
>274 M.ANZAIさん
ゼンマイ巻く前に後藤のゼンマイが切れたみたいですが…。
クリスマスの前に話が終わってしまうかも? 終わりが見えると
あっさり完結に行ってしまうなぁ、いつも。
>275 名無し男さん
既に諦めてるし、吉澤くん。
- 285 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月28日(月)20時08分00秒
- 梨華ちゃんのおのろけ?に腹を立てるごっちんがカワイイです。
しかし梨華ちゃんって慣れると行動が分かりやすいんですね。
吉にもそんな付き合いになる時がくるのか?はたして!?
- 286 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月28日(月)20時18分46秒
- 激しく萌えました。石川さんのノロケ?に。
続き物凄くワクワクしてます。
- 287 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時46分10秒
- ――コンコンッ――
「あ、あの。吉澤です」
返事を待たずして、ひとみは名乗ったが梨華はドアの近くにいたのか「ひとみちゃん?」の
声と同時に勢い良くドアが開いた。2人は顔がくっつくくらい接近していて驚いたひとみは慌てて
梨華から離れようとした。『また殴られる!!』と言う気持ちが心のどこかにあったのかも知れない。
しかし、梨華はそのままジッとひとみを見つめていた。
最初から渋谷で会った時、男だって思ったからいけなかったの? 確かにひとみちゃんと
ホクロの位置や数まで一緒は、おかしいって思ったけど…。
梨華は一旦思い込むと、それだけで他が見えなくなるから、一般的におかしいと思うような事でも
梨華にとっては、それが当たり前に見えてしまうのだ。
今回も最初の思いこみがそもそも間違いのもとだった。
- 288 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時47分14秒
- 「ひとみちゃん?」
「はっはい」
ひとみは声が上擦っていた。スッと梨華の手が殴られた方の頬に添えられた。
――ドキッ――
温かい梨華の手の感触に、ひとみの鼓動は途端に早くなる。
(う゛―――。ほっぺた引っ張られたらイヤだな――)
ひとみの考えはあくまでも、マイナスにしか働かなかった。
ひとみは思わず目を瞑ろうとした時、梨華が言った。
「昨日はゴメンね。痛かったよね?」
そう言って、梨華はひとみの頬をなでなでする。
「痛いって言うか…ビックリした…」
ひとみは何故だか急に恥ずかしくなり、梨華から視線を外す。
こんな時、どんな顔をすれば良いのか、ひとみは分からなかったから顔を赤らめながら
あさっての方を見つめていた。
「あたしもビックリした。だってアレが、あたしのファーストキスだったんだもん」
その話をされると、ひとみは何も言えない。
- 289 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時51分02秒
- 「ゴメンなさい…」
「ひとみちゃん、さっきから謝ってばっかりだね」
「だって…」
梨華は小さく溜息をついた。
「あたしが望んでいるのは、そんな言葉じゃなくて、ひとみちゃんの本心が知りたいの」
それならさっき全部話したのだが、聞いていなかったのだろうか?
一体あの時間はなんだったのか? ひとみは更に落ち込みそうだった。
「あたしの本心?」
ひとみは梨華を再び見つめた。
「あたしは梨華ちゃんのコト、最初は何だ? って思ったけど、段々会って話していくうちに
すっごく好きになってた。でも『ひとむ』で通さなきゃいけなかったから、『ひとみ』で会う時は
気持ち隠してた。梨華ちゃんは『ひとむ』が好きなんだし、同じ人なのにって思いは複雑だったよ。
結果騙すコトになっちゃったけど、梨華ちゃんと離れるのイヤだったから。ゴメンね。
今でも梨華ちゃんのコト、好きだよ。とっても…」
ひとみは一呼吸おいて、更に続けた。
「世界で一番、梨華ちゃんが好き………」
- 290 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時54分41秒
- 梨華はひとみの告白に、既にいない『ひとむ』をダブらせていた。
頭で分かっていても、その大きくキレイな吸い込まれそうな瞳を見ていると、やはりどこかに
『ひとむ』はいるのではないか? とあり得ない期待をしてしまう。と同時に、ひとみの気持ちに
気付かなかった自分と態度に申し訳ないと梨華は思うのだった。
「梨華ちゃんの気持ちも知りたいな。フラれるのは慣れてるけど、梨華ちゃんの口から
ハッキリと聞きたいから」
―フラレル?―
あたしがひとみちゃんをフルって事? それってそれって……。
「ひとみちゃん、あたし分かんない」
急に梨華がひとみに抱き付いてきた。
「梨華ちゃん?」
「ひとむクンがいないのは分かってるんだけど。でもひとみちゃんと別れたくないっ」
「梨華ちゃん、あたしに気を遣ってんならいいんだよ、もう。あたしん中にひとむ像を映されても
困るしさ」
と言っても同じ人間、変わらないのだけれど。気持ちの問題として。
- 291 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時56分12秒
- 「違うっ!! あたし、ひとみちゃんのコト何も知らないし。それに、ひとみちゃんのコト好きだし。
それにそれに…」
梨華は必死で言葉を探しているらしかった。
「梨華ちゃん、ありがと。"好き"の言葉だけでも充分だよ」
しかし、梨華は、思いついたように顔を近づけて嬉しそうに言った。
「まだある! ひとみちゃんのくちびるが好き!」
「…!??」
(そんなホントにくちびるがくっつく位まで接近されて言われちゃったら…。
ヘンな期待しちゃうじゃん)
- 292 名前:世界で一番キミが好き! 投稿日:2002年01月28日(月)20時58分03秒
- 『ひとみのテクでイカせちゃえ』さっきの紗耶香の言葉を急に思い出して、
ひとみはまた顔を赤くした。
(ったく、紗耶香が余計な事を言うから!!)
ひとみは一瞬想像したモヤモヤをかき消そうとした。しかし、梨華はトドメの一言を言った。
「ひとみちゃんを、もっと知りたいヨ」
それって取りようによっては殺し文句になる訳で。でも梨華が言ったのは、きっとそんな事を
思って言った発言ではない事ぐらい、ひとみ自身も分かっていた。もし分かって言ったのなら
梨華は相当な確信犯である。それでも、ひとみは気を良くしたのか、
「例えば、こんな風に?」
と言って、梨華のくちびるに自分のくちびるを寄せていき、あっと言う間に梨華のくちびるを
塞いでしまった。
- 293 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月28日(月)21時01分35秒
- 本日2度目。大漁更新のつもり。キスぐらいさせないと私の欲求が(w。
>285 M.ANZAIさん
吉澤くんは、設定上まだ付き合って2週間も経ってないですからね。
>286 REDRUMさん
相変わらず仕事が早いですね( ̄ー ̄)ニヤリッ
今日は調子良く書けたので、大量にしてみました。
しかし、この続きが…(苦笑)。
- 294 名前:名無しバイク 投稿日:2002年01月28日(月)21時27分59秒
- うはは、ひとりニヤニヤしながら読んでシマタよ(w
何も考えないで殺し文句が言えちゃう石川、イイですね〜。
鈍だからこそ、言えちゃうのかもね〜。
そして、それに単純に反応してしまう吉澤もイイ(w
- 295 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月28日(月)22時03分20秒
- 素敵な展開。
はやくひとみのテ○を披露させてあげたい
- 296 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月28日(月)23時06分47秒
- ごっちん達も気になりますな〜
あいぼんとののはまだ食ってるんだろうか?
- 297 名前:名無し男 投稿日:2002年01月29日(火)01時48分38秒
- う〜ん
この先を期待しすぎて
村々すっぺ!
- 298 名前:理科。 投稿日:2002年01月29日(火)01時55分55秒
今日は時間があるので、ひさぶりに読み歩きます(w
かなり進んじゃってる(w
鈍い梨華ちゃん、可愛いですね。やっぱり師匠の展開の持って来方、好きです。
- 299 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月29日(火)02時43分20秒
- ついに天性のテクニシャンVS天然確信犯が!!
鈍である分、気づいた後は突っ走りそうな梨華ちゃんが楽しみ♪
- 300 名前:そんなキミもカワイイよ 投稿日:2002年01月29日(火)18時30分56秒
- 「後藤、どうしたんだよ?」
梨華の家を出て暫くすると、やっと真希は紗耶香の手を離した。
「だって、梨華ちゃんったら!」
真希はまだ怒りが収まらないのかブツブツ言っていた。
「ひとみのヤツ、ちゃんとうまくやってんのかな…」
紗耶香が独り言のように言うと真希が間髪入れずに突っ込んできた。
「も〜! あの梨華ちゃんに先越されたのが悔しいよ! いちーちゃん!」
「だから、なんの話なんだよ? さっきから話見えないんだけど」
「結局、梨華ちゃん、あたしにノロケただけなんだから。自分からキスしたとか!」
真希は悔しいのか、唇まで噛んでいる。相当悔しかったらしい。
「そんなんで怒るなよー。悪気があって言ったんじゃないんだろ?」
再び歩きだすと、真希は紗耶香の後を追った。
「あの天然には、さすがのゴトーも、怒りが爆発したよ〜。
分かってない所がまた腹立たしいんだよねぇ…」
「つまり、後藤は梨華ちゃんにヤキモチやいてるんだろ?」
「ヤ、ヤキモチ? そんなんじゃないよ!」
真希は途端に顔を赤らめる。
「そうか? でも、そんな後藤もカワイイよな」
紗耶香はそれだけ言うと、また歩き始める。
- 301 名前:そんなキミもカワイイよ 投稿日:2002年01月29日(火)18時32分08秒
- (カワイイ? 今、カワイイって言ったの? いちーちゃんがあたしに?)
それだけで、真希の心は浮き立ってしまう。真希もかなり単純なのである。
真希はサヤカの前に回り込むと、紗耶香の目を覗き込んだ。
「あたしってカワイイ?」
「リピートすんなよ! 可愛くないなぁ…」
「今、カワイイって言ったよね!? もっかい言ってよぉ!」
「うっさい! しつこいのはキライだって言ったろ」
サヤカは手を振り払うと、早足で先に行ってしまう。
「もぅ〜、待ってよ、いちーちゃぁん!」
真希は紗耶香の後を追った。
この2人が甘くなるのは、まだまだ先の話のようで―――?
- 302 名前:そんなキミもカワイイよ 投稿日:2002年01月29日(火)18時33分04秒
- 一方、亜依と希美は、やっとデザートを食べ終わってマッタリ気分を味わっているところだった。
「はぁ、人のお金で食べるご飯は、おいしいねぇ…」
「しかも、デザート付きだったのれす」
希美も特大のパフェを食べられてご満悦だ。
「のの。もう1杯飲物おかわりしたら、家に戻ってみようか?」
亜依がまたニヤリとして言う。
「これから、遊びに出かけるんじゃないんれすか?」
「そんなの変更変更! 今、真希ちゃんとひとみちゃんと紗耶香さんが、家にいるんだったら、
また面白いコトになってそうじゃん。どうせヒマだし見物に行こう」
油断させておいて、家に戻る。これも亜依の1つの手だった。
- 303 名前:あなたをもっと知りたくて1 投稿日:2002年01月29日(火)18時34分45秒
- ひとみはすぐにくちびるを離し、梨華の瞳を見つめた。
梨華は驚いた顔をしていたが、その瞳からは怒りは感じられなかった。
「ひとみちゃん…」
むしろ、梨華は既にウットリとした表情をしていた。
「あたしも、もっと梨華ちゃんのコト、知りたい…」
ひとみは梨華の腰元にしっかりと腕を回すと、今度はしっかりとくちづけをした。
パジャマ姿の梨華から華奢で細い腰が直に伝わって来る感じでひとみはそれだけで興奮してしまう。
(思った以上に細い! それに、胸はデカイ!)
おそらくノーブラであろう梨華の柔らかい胸が先ほどからひとみに当たってこれだけでも、
またひとみの中の血は燃えたぎりそうだった。
興奮すると同時に、ひとみには迷いも生じ始めていた。
- 304 名前:あなたをもっと知りたくて1 投稿日:2002年01月29日(火)18時36分07秒
- こんな真っ昼間から…。それに家の人が帰って来たらどうしよう。
あいちゃんとののちゃんも、フェイントで帰って来るかも知れないし。
さすがのひとみも学習機能が働いて、亜依の読みが分かって来ていた。
その予想が外れてたとしても、慎重に行動するに越した事はない。
しかし、この状況からいきなり辞める事も既に出来なかった。
梨華の服を脱がして、すぐさま愛の行為をしたい、ひとみだったが、ここはグッと我慢をする事に
決めた。と思ったものの梨華の瞳は、ひとみを求めていて(ひとみには、そう映っていた)
すっかりご無沙汰のひとみも耐えられる状態ではなかったのだった。
「ひとみちゃん?」
甘い声で囁く梨華の声に、ひとみの理性は既に失いかけていた…。
- 305 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月29日(火)18時44分08秒
- 実は迷っているのは自分だったり(w。元から、この小説はエロ無し方向で
進めてたもので。行き当たりバッタリに書いてると、こうしたツケが(泣)。
近々、辻加護も家に帰ってくる事だし(笑)。邪魔されそうですね。ってか邪魔して!
>294 名無しバイクさん
吉も女日照り(爆)が続いてたんで、辛抱たまらん状態のようです。
>295 REDRUMさん
イエローカード2枚目(謎)。テ○披露は、どうですかねぇ?
>296さん
後藤達と、あいぼんののも書いてみました。
>297 名無し男さん
多分、期待に添えられない展開になりそうです。ホントはさせてあげたいんだけど。
>298 理科。さん
どもども。いつも思いつきで書いてますが何か?(w
鈍い割に、こういうシーンの時は本人も知らないウチに物凄い力を発揮してみたり(爆)。
>299 M.ANZAIさん
天性か、どうか分かりませんが。石川さんも確信犯じゃないだろうし。
それでも吉澤くんは、やはり手が出て…(略
- 306 名前:296 投稿日:2002年01月29日(火)22時52分40秒
- >後藤達と、あいぼんののも書いてみました。
やっぱ予想通りまだ食べてましたなぁ〜。
そして、後藤達は甘くなるのはまだまだ先っすか。
でもそうは見えないかもしれないな…(どっちだよ
- 307 名前:ARENA 投稿日:2002年01月30日(水)17時12分19秒
- なんかスゲーことになってきたぞ〜 ドキドキドキドキ
- 308 名前:名無しなんです 投稿日:2002年01月30日(水)19時44分30秒
- よっすぃーにはもっと暴走していただきたい
続き期待してしまいます
- 309 名前:あなたをもっと知りたくて2 投稿日:2002年01月30日(水)21時06分18秒
- その頃、亜依と希美は家に向かっているところだった。
「今頃、ひとみサンと盛り上がってたらイヤれすねぇ〜」
「まさか昼間から、やってないでしょ。それに、梨華ちゃんショックでまた寝込んでる
っちゅーか、そのまま眠ってたりして」
この時ばかりは、希美の予想が当たっていたようだ。
ただし、希美が想像する『盛り上がる』とは、話の方を指しているのだが。
「ののは、お菓子談義なら、花が咲くのれす。ウチに着いたら、またお菓子食べるのれす。
今日はひとみサンから買って貰ったお菓子もジュースもたくさんあるし♪」
今、食べたばかりなのに、希美の気持ちは既に、また食べ物へ…。
- 310 名前:あなたをもっと知りたくて2 投稿日:2002年01月30日(水)21時08分16秒
- 「梨華ちゃん。…とってもカワイイよ」
ひとみもウットリと梨華を見つめる。
(うぅぅ。すっげーカワイイ。どうにかなっちゃいそうだよ!! くそ〜!)
それより、いつまでも入り口に突っ立っている事もないので、ひとみは梨華を抱っこすると
ベッドへと導いた。
(梨華ちゃん、軽いな。腰は細いし、胸は出てるし。今まで男に食われなかっただけでも感謝だよ)
ひとみは、神様に感謝するのだった。
ひとみはドアを閉めようと、ベッドに梨華を沈めると、立ち上がってドアに行きかけた。
しかし、もの凄い力でひとみは腕を掴まれると、そのままベッドに倒れ込んでしまった。
一体、そのか細い梨華のどこから、そんな力があるのか? と思うくらいの勢いだった。
「へ?」
梨華は目を瞑ると「早くぅ〜♪」と言って、唇を突き出す。
ひとみは苦笑いすると、梨華に軽くくちづけ、髪の毛を優しく撫でた。
「ちょっと待ってて、梨華ちゃん」
「だ〜めっ!」
しかし梨華は許してくれない。ドアぐらい閉めないとホントにヤバイ…。
- 311 名前:あなたをもっと知りたくて2 投稿日:2002年01月30日(水)21時09分28秒
- 「ドア閉めないと、誰かに見られちゃったら…」
ひとみはしきりに廊下側を気にしていた。
家でエッチをすると言う事は、それなりに気を遣うのだ。それは今までひとみが散々経験している。
亜依達が、聞き耳を立てているのかも知れないと思うと気が気でない。
聞き耳を立てられている時点で、既にアウトなのだが。
「大丈夫だよぅ。誰も見てないよ? ひとみちゃんを見てるのは、あたしだけ」
梨華はひとみにそう言うと、両手を広げて『おいで』のポーズを取る。
いちいちカワイイな。とひとみは思いつつ、ホントにエッチは初めてなのか? とも思ってしまう。
それとも、ひとみの心をくすぐりっぱなしなのは、梨華の天性のものなのか? いずれにしろ
ひとみの心は、梨華色に染まっていた。
『焦らしの吉澤』と言う異名を持つ、ひとみさえも、焦らす事は困難のように思えた。
ひとみも、もう、どうにでもなれ! と思ったのか、ドアを閉めるのを諦め、梨華の方に向くと
梨華の身体に自分の身体を沈めた。
今、思えばこれが、後々後悔する事に―――。
- 312 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月30日(水)21時14分31秒
- なんか結末が遠のいてしまったような…。と言うか、当初考えてたモノと
違った展開に(泣)。
>306 296さん
後藤達が甘くなる前にこの話が終わりそうですけど(おい
すみませんが、sageでお願いいたします。スマソ
>307 ARENA
実は私も書きながらドキドキしています(w
>308 名無しなんですさん
吉澤より、石川の方が暴走気味? いざとなると、石川の方が積極的な感じがします。
- 313 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月10日(日)21時31分17秒
- 復活マンセー!
- 314 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時33分07秒
- えっちの手前で
亜依達が家に戻ってきた。鍵がかかってない事に不用心だと亜依は思いながら玄関口に目を落とす。 亜依はニヤリと笑った。
―――ひとみちゃんの靴しかない。
亜依は希美に「シーッ」と人差し指を立てると、音を立てないように靴を脱いだ。
二階に、耳を澄ますが静まり返っている。
―――まさか、ホントに………。
亜依は、ひとみと梨華が裸で抱き合ってる姿を想像して思わず顔を覆った。
マセてると言われていても、やはりまだ子ども。行為自体の事は良く分かっていない。
顔を赤くしている亜依に希美は小声で言った。
「あいぼん。顔赤いれすよ。暑いのれすか?」
希美はあまり理解していなかった。
- 315 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時34分34秒
- ひとみは下で物音がしたような気がして敏感に反応し、パッと顔をあげた。
そろそろ亜依達が戻ってきてもおかしくない時間だった。
ひとみが周囲を気にしているのに対し、梨華はすっかり世界に入り込んでいる。
『わたしだけを見て』と言わんばかりに梨華はひとみの首に両手を巻き付けると自分に引き寄せた。
ひとみは梨華に再びくちづけをする。
(舌入れたら、ビックリするかな…。う〜ん、どうしよう…)
キスだけでも舞い上がっている梨華は、もうひとみ以外何も映っていなかった。
ふいに梨華はくちびるを離した。
「ひとみちゃん…。痛くしないで。初めてだから優しくして」
恥ずかしそうに言う梨華に、ひとみは梨華を見つめた。
痛いって…。梨華は男とエッチするのと勘違いしてないだろうか? それとも…。
いくらひとみでも、初めての女の子にいきなり指を突っ込むと言うような行為をするつもりはなかった。相手が望めば別であるが―――。
- 316 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時35分38秒
- 潤んだ瞳で見つめられて、ひとみはまだ頭の中で色々考えている自分に苦笑いする。
「梨華ちゃん。安心して」
ひとみは再び梨華にくちづけをすると、躊躇わずに舌を入れてきた。
梨華は最初ビクッとしていたが、すぐに自分も舌を絡めてくる。
お互い求め合うように2人の舌先は激しく動いていた。
「…んふっ…ぅ」
思わず梨華の口から甘い溜息が漏れる。
(梨華ちゃん、凄い…。うまいよ。ホントに初めて?)
ひとみは梨華の絶妙な舌遣いに感嘆しながら、手は既に梨華の膨らみをまさぐっていた。
パジャマの上からでもハッキリと梨華の頂にある蕾がツンと立っているのが分かる。
その尖った物を服の上から撫でると、梨華は身体を震わせながら「ぁんっ…」と、
また小さく声を漏らした。
- 317 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時37分09秒
- ―――梨華ちゃん感じてるんだ。すっげー嬉しいよ。じゃぁ、きっと下の方も…。
ひとみは想像しただけで身悶えしそうだった。やはり好きな女が自分の行為によって感じて
くれるのは、至極嬉しい事であった。同時に自分自身も凄く嬉しいのだ。例え、いつもひとみが
攻める側でも、それは変わらなかった。それだけで自分も感じてしまう。久しぶりにひとみは、
今まさにそんな気分だった。
一方梨華は、今までにない感じ方に身体が震えていた。
ひとみの巧さに梨華は、既に息が荒くなっていた。胸を触られた時点で、自分の下半身が妙に熱くなっているのを感じていた。
すっごくヘンな気分…。でもそれは不快なモノではなくて、むしろ気持ちの良いモノだった。
このまま、され続けたらホントにヘンになってしまいそうだった。
でも、やめてほしくない…。梨華は初めて生まれる感情に戸惑っていた。
ひとみは我慢しきれなくなり、パジャマの中に手を入れ直接梨華のふくよかな胸を優しく
揉み始めた。
- 318 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時37分57秒
- 「んやぁ…。ひとみちゃんっ」
梨華は恥ずかしくなり、つい否定的な声をあげてしまった。
ひとみは慌てて手を引っ込める。あくまでも相手の意思を尊重したいひとみは相手が
イヤがるのなら、決して無理強いせずに、そこでやめてしまう理性は持ち合わせていた。
「イヤ? まだダメかな…」
梨華はキスすら初めてだから、怖がる気持ちも分からなくもないひとみは優しく梨華を
見つめながら訊く。
「ひとみちゃん。恥ずかしぃヨ…」
梨華はわざとひとみと視線を合わせないように横を向きながら言った。
「梨華ちゃん、全然恥ずかしいコトなんてないよ。すっげー可愛いよ」
ひとみは溶ろけそうな顔で梨華を熱く見つめると、自然に手はパジャマのボタンを1つ1つ
外していた。そして全部外して梨華の眩しい胸が晒されると、ひとみはスルッとパジャマを
脱がしてしまう。
(キャッ! ひとみちゃん、いつの間に…)
あまりの早業に、梨華自身も気付かなかったくらいだった。
- 319 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時39分00秒
- 「梨華ちゃんの…カワイイ。食べちゃいたいくらい…」
ひとみはそう言いながら、梨華のツンと尖った先端に優しくくちづけをした。
「ひゃっ……」
ひとみの生暖かい舌先が梨華のソレを刺激すると、梨華は身体中に電流が走ったみたいに、
小さく背中を反らした。
「ひとみちゃぁん…」
梨華は初めて訪れる快感に、なんだか恐くなり夢中でひとみに抱きついた。
- 320 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時39分57秒
- さっきから階段の真下で、亜依は耳をダンボにしていたが、時々聞こえる梨華の生々しい声に、
亜依は突撃しようかどうか迷い始めていた。直接聞こえてくる梨華の声に、亜依はドアぐらい
閉めろ! と言いたくなっていた。
希美は気にせずに、キッチンでさっきひとみに買って貰ったお菓子やジュースを取り出して、
早速嬉しそうに食べたり飲んだりしている。
これ以上野放しにしておいたら、マジで、本番が始まってしまう。
妹としてここは目を瞑るべきか、やはり邪魔をさせるべきか悩んでいた。
しかし、その悩みも希美の一声で関係なくなるのだが。
状況を知らない希美は、廊下の下で不動になっている亜依を掴まえて
「あいぼんも、これ食べるのれす。おいしいよ〜♪」
希美が大きな声で言うものだから、それは当然ドアを開け放している梨華の部屋まで届いた
のだった。
「ののー!」
亜依が注意した時は既に遅かった。
- 321 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時42分21秒
- 梨華より先に反応したひとみは素早く梨華にパジャマを着させ、ボタンをかける。
その素早さと言ったら、梨華も感心するくらい早かった。呆気に取られる梨華にひとみは
「亜依ちゃん達、やっぱり帰って来てる」小さく言うと、ひとみはドアを閉めた。
「「………」」
お互い盛り上がった時に中断された時の気まずさと言ったら…。
無言のまま、2人は見つめ合った。
梨華も冷静になると、途端に恥ずかしさが倍増する。
(あたし、ひとみちゃんに胸を………。きゃぁっ!)
梨華は真っ赤になると布団を引きずって顔ごと被ってしまった。
- 322 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時43分07秒
- ひとみも後悔をする。
(やっぱり、しなきゃ良かったなぁ。こうなる事、目に見えてたのに。
つい、理性と目の前のカワイイ梨華ちゃんに目が眩んで…)
自分は、まだまだ青いと反省する。それでもひとみは顔がほころんでしまう。
(梨華ちゃんの、おっぱいでっかいし柔らかかったな…)
「梨華ちゃん、着替えて外に出ない? その方が気分転換になるかも」
ひとみは明るく言うと、梨華のベッドに腰掛けた。
梨華は、まだ恥ずかしさから抜け出せていなかったが、顔を半分布団から出すと
「ぅん…」と小さく頷いたのだった。
- 323 名前:えっちの手前で 投稿日:2002年02月10日(日)21時43分50秒
- 亜依が希美の声に、あたふたして結局、亜依は梨華の部屋に行く気が既に失せて自分も
キッチンで希美と共に妬け食い? をしていたのだった。
暫くすると、梨華とひとみが降りてきた。
亜依は別に直接見た訳でもないのに、なんだか自分の方が恥ずかしくなり、慌てて下を向いた。
「あいぼん。あたし達出かけてくるから」
「ぅ、ぅーん。いってらっしゃーい」
「いってらっしゃいなのれす」
赤くなっている亜依を見て、ひとみはニヤリとすると亜依の耳元で囁いた。
「絶妙なタイミングだったよ。まだしてないから安心して…」
「なっ!!」
亜依はビックリしてひとみを思わず見る。
ひとみは何故だかVサインをするとキッチンから出て行った。
それを見ていた希美は「何言われたのれすか?」と盛んに亜依に訊いていた。
(ひとみちゃん、おぬし、なかなかやるな)
亜依もニヤリと笑ったのだった。
- 324 名前:桃色の両想い 投稿日:2002年02月10日(日)21時46分18秒
- 家を出てから、少し経った今でも梨華の心臓はまだ少し高鳴っていた。
さっきの行為が、やはりまだ信じられない様子。
ひとみは梨華と手を繋ぐと
「梨華ちゃんは、まだ何も食べてないんでしょ? 一緒に何か食べようか」
いつもと変わらぬ様子でひとみは優しく訊いてきた。
「うん…」
なんだかひとみはさっきの事は何も無かったように振る舞うから、梨華は不安になる。
自分だけバカみたいだって、子どもかな? とも思ってしまう。それとも気を使ってるのか?
だからと言って敢えて自分から訊くようなマネもしたくなかった。そんな事を考えている事
自体が子どもじみているのか?
- 325 名前:桃色の両想い 投稿日:2002年02月10日(日)21時47分11秒
- 家を出てから、少し経った今でも梨華の心臓はまだ少し高鳴っていた。
さっきの行為が、やはりまだ信じられない様子。
ひとみは梨華と手を繋ぐと
「梨華ちゃんは、まだ何も食べてないんでしょ? 一緒に何か食べようか」
いつもと変わらぬ様子でひとみは優しく訊いてきた。
「うん…」
なんだかひとみはさっきの事は何も無かったように振る舞うから、梨華は不安になる。
自分だけバカみたいだって、子どもかな? とも思ってしまう。それとも気を使ってるのか?
だからと言って敢えて自分から訊くようなマネもしたくなかった。そんな事を考えている事
自体が子どもじみているのか?
- 326 名前:桃色の両想い 投稿日:2002年02月10日(日)21時47分44秒
- 家を出てから、少し経った今でも梨華の心臓はまだ少し高鳴っていた。
さっきの行為が、やはりまだ信じられない様子。
ひとみは梨華と手を繋ぐと
「梨華ちゃんは、まだ何も食べてないんでしょ? 一緒に何か食べようか」
いつもと変わらぬ様子でひとみは優しく訊いてきた。
「うん…」
なんだかひとみはさっきの事は何も無かったように振る舞うから、梨華は不安になる。
自分だけバカみたいだって、子どもかな? とも思ってしまう。それとも気を使ってるのか?
だからと言って敢えて自分から訊くようなマネもしたくなかった。そんな事を考えている事
自体が子どもじみているのか?
- 327 名前:桃色の両想い 投稿日:2002年02月10日(日)21時50分59秒
- あまりに梨華が黙り込んでいるので、さすがにひとみも心配になってきた。
(もしかして、嫌われちゃった? やっぱり胸触ったのがいけなかったのかな)
「梨華ちゃん、もしかして怒ってる?」
こういう場合は遠回しに言うよりかは直接言った方がいいと思いひとみは直球で訊いて来た。
「ひぇっ?」
梨華は間抜けな声を出してしまい、なんだか自分が情けなくなってしまう。
「あ、いや。自分が気にしてるだけなのかも知れないけど。自分は、すっごく嬉しかったから。
その…梨華ちゃんと……」
ひとみはそこまで言って、今更ながらに照れてしまった。
「あのっ。あたしも嬉しかったよ! すっごく。その、ひとみちゃんに愛されてるって言うか、
そういうの感じちゃったし…。あ、感じちゃったって、その感じた じゃなくて…(ってあたし
何言ってんだか! もぅヤダぁ…)」
梨華は自分で言ってる事が分からなくなり、真っ赤になりながら頬を押さえた。
- 328 名前:桃色両想い 投稿日:2002年02月10日(日)21時52分09秒
- 見るとひとみは笑っている。
「そんな、笑わなくたって…」
「ぅうん。梨華ちゃん、すっごくカワイイなぁって思って」
ひとみはそう言うと、おもむろに梨華を抱き締めた。
「ひ、ひとみちゃん?」
「梨華ちゃん、大好きだよ。絶対梨華ちゃんの心の中もあたしでいっぱいにしてみせるよ」
「それはねぇ違うよ…」
梨華は意味深に答える。
「え?」
ひとみは不安そうに聞き返す。
「もう、あたしの中もひとみちゃんでいっぱいなんだ」
そう言って梨華は自分の胸を指すと、ひとみに微笑み返したのだった。
- 329 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時55分06秒
- 12/24。今日はクリスマスイブ。
真希と紗耶香は、真希のお望み通り、紗弥加と遊園地へ来ている。
「ったく、こんな混む日にわざわざ行くなんてさー」
どのアトラクションも長蛇の列で、並んだり待ったりする事の嫌いな紗耶香は
人の波を見ただけでもすでにうんざりしていた。
ぶつぶつ文句を言う紗耶香に真希は「夢がない」なんて言いながらも、やはり
紗耶香とこうしてイブに2人で居られる事に幸せを感じているのだった。
「2人だったら、どこでも良かったけど、やっぱりムードある場所じゃないとね」
真希は嬉しそうに言うが、紗耶香は相変わらず素っ気ない。
「ムードねぇ。後藤は、そういうの気にしないと思ってたけどなぁ」
「いちーちゃんが気にしなさすぎなんだって」
「そっかぁ?」
真希はこの日既に心に決めていたのだ。
観覧車に乗って頂上に来た時に自分の気持ちを伝える事を―――。
観覧車の中で告白なんて、あまりにお約束過ぎるなんて、自分でも思うけれど、
そろそろ自分の気持ちをきちんと紗耶香に伝えておきたい真希だった。
- 330 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時55分50秒
- 「観覧車ぁ?」
予想通り、紗耶香は明らかにイヤそうな声を出した。観覧車は軒並みカップルだらけで、
女同士で並んでいるのは、真希と紗耶香ぐらいなモノだった。
「あんなの、どこが面白いんだかなぁ…」
それでも紗耶香は文句を言いながらも並んでくれる。
(いちーちゃんは文句言っても最終的にはゴトーの言った通りにしてくれるんだよ ね♪)
真希は嬉しそうに紗耶香を見ると、まだまだ遠い先頭の位置を見ていた。
- 331 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時57分19秒
- 圭織となつみは毎年恒例になりつつある、2人だけのクリスマスイブを迎えていた。
「毎年さぁ、来年こそは、素敵な恋人同士と♪ なんて言ってんのに、いつも…」
と言って圭織はなつみを何か言いたそうな顔で見る。
「それはこっちのセリフだって〜。なっちだってイヤだよ、いつまでも圭織と一緒なんてさ〜」
「はぁ、ひとみだけは毎年アレだよねぇ。今年は危ういかと思ってたけど、結局
梨華ちゃんとうまくやってるしなぁ。まぁ男じゃないとは言え、彼女と過ごしてるもんなぁ。
って妹に負けててどうすんのよ、なっち!」
「いきなり振るなよっ。こればっかりは縁だもん。仕方ないっしょ」
圭織より、なつみの方が既に諦めている感じだ。
「こうなったらさぁ、あれだ、友達呼んで盛り上がろうか?」
「友達って? この時期空いてる人って言ったら、圭ちゃんぐらいじゃん?
当日の今から言って普通空いてる人いたら、おかしいよソレ」
- 332 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時58分01秒
- ”圭ちゃん”とは、2人の共通の友人の保田圭である。高校時代一緒で、今は大学生であるが、
彼女も彼氏いない歴20年である。そして彼女はDJを目指していた。
早速、圭織が久しぶりにかけてみると、案の定保田はOKだった。
圭織となつみは、「やっぱり…」と思わず溜息がこぼれたのだった。
- 333 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時58分48秒
- ひとみと梨華は、渋谷に出てきていた。
街中は溢れるばかりのイルミネーションとカップル達で賑わっている。
「あたし達もカップルに見えるかな?」
梨華はひとみと手を繋ぎながらデートを楽しんでいた。
「勿論! だって梨華ちゃん、あたしのコト男に間違うくらいだし…。
美男美女に見られてるカモよ?」
「だって、あの時はホントに男の子に見えたんだもん!」
「吉澤ひとむだったからね」
今でもひとみは、わざと「ひとむ」とか言って梨華をからかう。
梨華の中から「ひとむ」は段々消えつつあった。
「ひとみちゃんだって酷いよ。わざとからかったりしてさ…」
梨華はほっぺたを膨らませる。すかさず、ひとみはその柔らかそうなほっぺたを
指でツンツンと突ついて、またからかっている。
「ほら〜! また、そうやって」
「だって、梨華ちゃんカワイイんだもん。そういうトコ、すっげー好き」
ひとみはケラケラ笑いながらおかしそうに言った。
- 334 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時59分20秒
- 『カワイイ』ひとみにもう何回言われただろう。梨華は言われるだけで嬉しくなる。
(ひとみちゃんに言われるから嬉しいんだよね!)
と、突然ひとみが笑うのを止めて、真面目な顔で梨華を見つめてきた。
「ひとみちゃん?」
「梨華ちゃん、あのさ…」
ひとみは緊張してるのか、急にそわそわして視線を泳がせていた。
「どうしたの?」
「こんなとこで言うのはアレだけど…」
今2人がいるのは、丁度初めて出逢った場所の109の前だった。
「?」
「ちゃんと言ってなかったよね。あたしと正式に付き合って下さい!」
ひとみは『ねるとん』のように、お辞儀をしながら梨華の前に手を差し出した。
- 335 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)21時59分51秒
- 亜依と希美は、希美の家でパーティを開いていた。
大きいクリスマスツリーには、たくさん飾ってあって色の点いた電球もチカチカと光っていた。
しかし、そんなツリーには目もくれずに希美はひたすらローストチキンやらケーキを食べていた。
亜依も、かなりの食いしん坊である事は自分でも自負しているのだが、希美には負けるなと、
この時ばかりは思ってしまう。招かれておいて、こう言うのはなんだが亜依は言っても無駄だと
知りつつ言わずにはいられなかった。
「のの、ちょっと食べ過ぎ! またズボンのボタン飛ぶよ」
「あいぼん、そんなの気にしてたら何も食べられないのれす。それに、もう飛んでるのれす!」
自慢するかのように、希美は自慢のお腹をさらけ出して見せた。
「もう何も言わん」
亜依は諦めると、自分も再び食事を始めた。
亜依と希美に至っては、色気よりも恋気よりも、まだまだ食い気なのだった。
- 336 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時00分36秒
- やっと自分達の番になり乗り込む真希と紗耶香。ガチャッと閉まるとゆっくりと動き出す。
これからが本番。真希は急にドキドキしてきた。
「観覧車っていつ以来?」
真希は急に黙り込んで重い空気になるのがイヤだったから会話が途切れないように何とか
てっぺんまで話を繋げようとしていた。
「うーん、子どもに乗った時以来だから、もうかなり前だよ。後藤は?」
「あたしも、そうかな…」
「っつーかさ、遊園地なんて行くか? デートとかならまだしも、女友達とかと
行くような場所じゃないよね。それなりに楽しいかも知れないけど」
紗耶香はそう言いながら、段々と上昇していく外に目を移した。
「もしかして、いちーちゃん。今日もつまらない?」
真希はムリして紗耶香が付き合ってくれたのではないかと今の話を聞いて不安になった。
『つまらない』と返されたら告白する前に玉砕してしまう。
再び真希に視線を戻し、今にも泣きそうな真希の顔を見て紗耶香はギョッとした。
「あぁ、今のは例え話だから。後藤と居たら、どこだって楽しいよ。
そんなの気にするようなあたしじゃないのは後藤が良く知ってるだろ?」
- 337 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時02分00秒
- (あたし何ムキになってんだろ…。へんなの)
真希はホッとした表情になると、まだ少し早いかと思ったが、こう言った。
「いちーちゃん、そっち行ってもいいかな?」
普通、そう言われたら大体察しは付くと思うのだが紗耶香は怪訝そうな顔をした。
「別にいいけど、バランス悪くなっちゃうじゃん」
紗耶香はそう言いながらも位置をずらした。
「ありがと♪」
真希はお礼を言うと、素早く向かいの紗耶香の隣りに移った。
相変わらず窓の外を眺めている紗耶香に、真希は再び心臓が高鳴り始めた。
(いちーちゃん、良い匂い………。いきなり抱きついたら怒るだろうなぁ。
いちーちゃんの場合、ビックリするんじゃなくて怒るんだろうね、きっと…)
真希は想像したら、なんだか急におかしくなった。真希の気配に気付いたのか
紗耶香は真希の方に向き直る。
- 338 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時02分40秒
- 「なに、笑ってんの? やっぱり後藤、何か企んでるだろ? 言ってみ?」
「企んでるって、酷いなぁ…。さすがのゴトーもショックだよ」
真希がシュンとしたので、紗耶香は慌てて謝って来た。
「ご、ごめん。冗談だよっ。気にするなよ」
紗耶香は謝ると真希の肩を抱いた。真希はドキッとする。
そして、観覧車はいつの間にか既に頂上に近づいていた。もう時間稼ぎをする必要もないし
時間もなかった。告白するなら、もう―――。
「いちーちゃんっ!!」
真希が急に大きな声を出し紗耶香の方を見た。真希越しに映る外のイルミネーションに
紗耶香は思わず呟いた。
「おおお、綺麗じゃん!」
「へ?」
「外だよ、外。へぇ、やっぱり高いとこにあるから、夜景が綺麗だなぁ」
紗耶香の感心は夜景に行ってしまった。
色とりどりのネオンがチカチカと点滅して浮かび上がっていた。
紗耶香が急に夜景の話をするものだから既に観覧車は頂上までいき真希は告白する機会を見失った。
「いちーちゃんのバカ…」
真希は小さく呟くと唇をギュッと噛んだ。もうチャンスはない…。
それでも紗耶香が嬉しそうに夜景を見ている姿が真希には嬉しかった。
- 339 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時03分18秒
- 観覧車を降りてから暫くして紗耶香が思いついたように真希に言ってきた。
「そう言えばさっき、後藤何か言いかけたよな? なんだったの?」
真希は、もう遅いよ! と思いながら
「もういいよ。いちーちゃんに期待したあたしがバカだったかも? それとも
あたしがバカなのかな? どっちにしろ、いちーちゃんも梨華ちゃんと同じくらい鈍感さん
かもしんない。それが分かった」
「はぁ? 後藤、言ってる意味分かんないよ…」
「分かんなくっていいよ〜だ!」
真希は悪戯っぽく舌を出すと、紗耶香に背中を向けて出口に向かって歩き出した。
「おい、なんだよ、教えろよ〜!」
紗耶香は肩を竦め、そして真希の後を追った。
ここの2人の関係が近くなるのは、まだまだ先のようで―――。
- 340 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時04分02秒
- 30分ほどすると、保田がケーキとシャンパン、ワインを持って吉澤家に来た。
「今日は盛り上がろうぜ〜ぃ♪」
一見すると、コンサートのMCのようなノリの保田に圭織となつみは顔を見合わせた。
落ち込んでるかと思えば、保田が一番乗り気で、嬉しそうである。
「なっちお酒飲めないのに…」
「シャンパンくらいは、飲めるよね? 固いコト言わずになっちも乾杯くらいしようよ、ね?
乾杯ったって長渕剛の歌じゃないわよ! カオリは飲めたよねぇ…」
勝手に上がり込み、勝手に喋ると保田は、その家の主のようにいきなり取り仕切り出した。
これはいつもの事なので、圭織もなつみも驚く事でもないのだが。
「なんか、圭ちゃん、また抜群に喋りがうまくなったような…」
なつみが控えめに言うと、保田は、今の言葉を訂正した。
「ノーノーなっち! ダーヤスはグンバツにベシャリがウマーになったのよ!」
「「???」」
さすがの圭織も困り顔だ。
(ダーヤスって? ウマーって?? なに、なんなのよおお???)
この後、吉澤家が保田によって、大変賑やかになったのは言うまでもなかった。
- 341 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時05分17秒
- 手を差し出しているひとみに梨華は黙って見下ろしていた。
ただでさえ人通りの多い渋谷で、しかも109の前で、ひとみは注目の的になっていた。
一見すれば、ひとみは男に見えなくもないから、彼女に告白する彼氏にしか映っていなかった
かもしれない。梨華はひとみの手を掴むと、そのまま引きずるように109の中に入って行った。
「梨華ちゃん、なんだよお」
「もー恥ずかしいコトしないで〜」
梨華は奥の階段のところまで行くと、やっとひとみの腕を離した。
「折角、人が大告白をしたって言うのに。せめて『お願いします』って握手する
くらいのアドリブが欲しかったよ」
告白と言うよりは、先の見えているヤラセのような展開なのに、ひとみはわざと
そんな事を言ってみせる。
「何が大告白だよ〜」
「だって、まだ正式に言ってなかった気がするから。一応ね」
「その割に、ひとみちゃん…」
梨華は数日前の事を思い出して顔を赤らめた。
「なに? なにさ…」
梨華はひとみのコートの袖を摘みながら俯き加減に言った。
「結構うまかった…よ。この前…」
「あ…。あれはその……」
- 342 名前:それぞれのイヴ 投稿日:2002年02月10日(日)22時05分55秒
- ひとみも思い出したのか、途端に真っ赤になった。
そして梨華はひとみに思い切り抱きついた。
「ひとみちゃん! 受け取って欲しいものがあるの」
「ん?」
ひとみは、まだ動揺しながら、梨華が何をくれるのか待っていた。
「ちょっとベタかも知れないけど…。あの…わ、わ、わ…」
「梨華ちゃん?」
あまりにどもりがちな梨華に、ひとみは心配そうな顔をした。
「私をまるごと受け取って下さい!」
(ひぇ〜、言っちゃったよ! きゃー!)
言った途端梨華は両手を顔で覆った。
本当は「まるごと愛して♪」と言いたかったのだが、さすがに照れて言えなかった。
それだと、どこかの歌の歌詞と同じになってしまう。
梨華はこの時、もう二度と、こんな恥ずかしいセリフは言えまいと思ったのだった。
- 343 名前:ハンサムな彼女 投稿日:2002年02月10日(日)22時07分51秒
- 恐る恐る手を下げて見ると、そこには照れた顔をした、とってもハンサムな彼女の姿がありました。 ひとみちゃんは彼氏って感じだけど、やっぱり女の子だもん。王子様って感じだけど、やっぱり彼女には違いないよね。お姫様とはちょっと違うけどね。
渋谷で間違えたハンサムな彼・ひとむクンは、こうして正式に私のハンサムな彼女・ひとみちゃんになりました。
この後、どうなったかは………。教えてあげません!(照)
――The END――
- 344 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月10日(日)22時10分47秒
- 一気に載せましたがぁ、途中3重投稿とか、タイトル間違えたりすみません!
最後は「えぇー?」ってな声もありそうですけど、こんな感じで。
seekが思ったより早く復活して嬉しいです。サザエさんありがと〜♪
- 345 名前:名無しバイク 投稿日:2002年02月10日(日)23時26分42秒
- 完結お疲れさまでした・・・。って既に書き終えていたんですよね(w
鈍な石川に何度ヤキモキした事か。
でも、全体的に萌えさせていただきましたよ(w
今度は新作ですかね!?。激しく期待しておりますので(^^)
では、また〜。
- 346 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月10日(日)23時48分46秒
- おつかれ様でした。
ほんと、復活が早くて嬉しいです。
サザエさんマンセー!!
名無しベーグル。さんマンセー!
空板のも気長に待ってます。
おつかれさんっした!
- 347 名前:闇の住人 投稿日:2002年02月11日(月)00時54分01秒
- よかったねぇー、吉澤君と石川さん。
アンタらはどっからどう見ても美男美女カップルさ♪
脇役気味?だったけどここのいちごま好きです!
鈍感市井萌えー! ごま可愛いー!ってな感じで。(w
作者さん、お疲れさまです! ハンサムな彼女、最高でした!!!
- 348 名前:名無し男 投稿日:2002年02月11日(月)11時08分51秒
- お疲れやした!
ありがとやした!
もっぺんお願いしやす!
- 349 名前:夜叉 投稿日:2002年02月11日(月)19時21分33秒
- 師匠、お疲れさまでした。
復活と同時の更新、有難うございます。
さすがの師匠も復活の喜びに指が震えたのだと、勝手に脳内変換(笑)。
age後からしっかりROMりながら、読まさせてもらっておりました。
ここの二人がどうなることか心配で心配で(汗汗。
コトがしっかり進行してしまうのか、と勝手に思っていたら、違ってたり(笑)。
今までの作品と違った一面も見れてうれしかったです。
本当に有難うございました。
次回新作、某板の某箇所も楽しみにしてますよ。
- 350 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年02月12日(火)02時28分24秒
- こちらも更新お疲れ様でした。
爆裂暴走気味な石川さんと吉澤くんの恋の顛末、とても楽しく拝見してました。
- 351 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年02月12日(火)02時36分18秒
- ああ゛っ!途中で投稿してしまった(鬱)
きっちりと最後まで楽しく仕上げる腕は、さすが師匠です!
自分も見習いたいです(^^;)
これからもついていきます!よろしくお願いします。
- 352 名前:理科。 投稿日:2002年02月12日(火)04時24分33秒
師匠!お疲れサマでした。今来たら終わっちゃってる。
毎朝、自分のを更新して読むのがとても楽しみでした。
さすがに師匠の書くいしよしは読んでて溜め息が漏れます。あうう…。
次回作も期待しております。ありがとうございました。
- 353 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月12日(火)11時02分55秒
- 師匠〜、連載終了お疲れ様でした。
吉と梨華ちゃんの成り行きにハラハラしながら楽しく読ませていただきました。
また新連載がどこかのスレで始まることを楽しみにしています。
- 354 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)17時51分14秒
- お疲れ様です!M-seek復活に今日気づいたバカのとみこです(w
やっと黄板の小説も再開できました^^
ハンサムな彼女はかなり大好きな小説だったので、
また読めて嬉しかったです^^
次回作あれば期待してます。
- 355 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月12日(火)19時43分41秒
- 感想がイパーイ。嬉しいっす。
>345 名無しバイクさん
萌えていただき嬉しいです。早くうpしたくて仕方なかったですよん。
新作は、もう…バレてますね?(w 既に1部は自分の中で終了…。
>346 ももたろうさん
あっちにもこっちにもレスありがとうです。
空が、煮詰まり気味ざます。もう少しお時間を…。
>347 闇の住人さん
やっぱり、この2人はベストバカップルですよね!
脇役も良かったですか? 手は抜かずに一応書いたつもりだったので
そう言ってもらえて嬉しいっす。
>348 名無し男さん
もっぺんって何を?(w
番外編も書けたら嬉しいですけどねぇ。とか言ってみる。
今のところ、考えてませんけど。
- 356 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月12日(火)19時44分23秒
- >349 夜叉さん
なんか調子悪かったようです。(言い訳)
削除依頼を出すのも悪いので、そのまま…。
>350.351ごーまるいちさん
向日葵の方もキッチリ見届けていただきます。頑張って下さい。
あとBBS勝手に色々書いてすみませぬ(w。居心地が良いので。
>352 理科。たむ
あぁ、会いたかったっす(爆)。理科。たむの書く小説の続きが偉い気になって。
また毎日読めると思うと萌え〜です。
次作は既に始まってますので、雪板に飛んでくださいマセ。
既に暴走気味ですけど。今回は、あやゃは恋敵役! 念願の良い役回りです(爆)。
>353 M.ANZAIさん
ありがとうございます。やっぱりレスがもらえると凄い嬉しいんすよねぇ。
>354 とみこさん
とみこさんも頑張って下さい。次作は上記の通りです。
また、アホ小説です。自分には、ライトな感じの話が合ってるみたいです。
- 357 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月21日(木)17時34分06秒
- 遅くなりましたが。
感想としては、さすがCharmyさん!って感じです。
最高です。ナイスです。(w
すでに新作が始まっているそうで。
これから読もうと思います。
とりあえず、完結ごくろうさまでした!
- 358 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月23日(土)23時41分58秒
- -1-
ひとみと梨華が正式に付き合い始めてから、もうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。
そう、今日は1月19日。梨華の誕生日である。
プレゼントは、もう決めてあった。
ピンク好きの梨華の事、きっと喜んでくれるに違いない。
ひとみはワクワクしながら家を出かけた。
すると、既にひとみの家の前に梨華が待っていた。
「梨華ちゃん、どうしたの?」
かなりひとみは、これでも待ち合わせ場所(梨華の家)には余裕を持って出たハズなのに
それよりも早く梨華が家の前で待っているとは思いも寄らなかったひとみは大きな目を更に
大きくさせて梨華に言ってしまった。
- 359 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月23日(土)23時43分19秒
- 「待ちきれなくって来ちゃった♪ だって早くひとみちゃんに会いたかったんだもん」
「梨華ちゃん…」
その一言だけで、ひとみは既にノックアウト。
まさに2人にとって今は絶頂に近い位ラブラブな状態であった。
「1分でも1秒でも長くひとみちゃんと一緒に居たいもんね」
「あたしもだよ、梨華ちゃん!」
「家の前でイチャついてないで、さっさと出かけなさいよ!」
ベランダで洗濯物を干しながら、圭織が茶々を入れた。
「ぅ。カオねーちゃん、いたのかよっ!」
その声に気付きひとみは振り向くと、顔を赤くさせながら梨華の手を引いて、
角を曲がってしまった。
- 360 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月23日(土)23時44分11秒
- そんな訳でお互い何かとうるさい姉か妹がいるから、家でイチャイチャする事はある程度
制限されているので、2人の欲求はたまる一方だった。それに学校も違うから校内で…と
言う訳にもいかない。
と言っても爽やかなカップルを演じる2人は…。間違っても、あんな事やこんな事は…(略)。
勿論、ひとみとしては今日は一発もとい何としてでも梨華とムフフな事をしたいと思っていた。
ただ、せっかくの梨華の誕生日なのに、そういう事をするのもどうかと、ひとみの中では、まだ
迷いがあったのだった。全ては梨華次第。
「梨華ちゃんどこ行きたい?」
「渋谷!」
「OK!」
全ては思惑通り。
渋谷のディズニーストアに連れて行き、ピンクのプーさんをプレゼントしてその後は………。
- 361 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月23日(土)23時48分41秒
- コソーリ番外編。ホントはバレンタインに書きたかったんすけど
その前に梨華の誕生日書かないと!と思い。でもスレサイズが
足りない事に気付きました(爆)。
>357 吉胡麻系さん
こちらにもレスどうもです!
いしよし小説書いてるつもりなのに、殆ど石川さんとの絡みがないので(泣)
ちょこっと書いて欲求を(w。
数回で終わりますので、コソーリとね(w.
- 362 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月24日(日)00時03分19秒
- きゃ〜〜〜〜♪
番外だ!番外だわ!!
楽しみにしてます。
- 363 名前:REDRAM(i) 投稿日:2002年02月24日(日)18時21分50秒
- ムフフを期待しまくり
吉澤君がんばれ!
- 364 名前:名無し男 投稿日:2002年02月24日(日)19時08分23秒
- 何か数字が増えてたので見たら
番外編ハケーンした(w
- 365 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月24日(日)21時58分04秒
- あ!、番外編!!
楽しく読ませていただいてます。
- 366 名前:夜叉 投稿日:2002年02月25日(月)15時06分02秒
- めっけ!!!(爆)
楽しみにしてますよぅ。
- 367 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月26日(火)02時56分17秒
- ズワーイ!
番外編だぁ〜!
神様がんがってくらはい!
- 368 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月26日(火)22時13分10秒
- -2-
「ひとみちゃん! 嬉しいよ〜ぅ」
予想通り、梨華はピンクのプーさんに狂喜乱舞していた。
ピンク大好き星人の梨華の事、こうなる事は目に見えていたひとみだった。
梨華はニコニコしながら、プーさんを抱きしめている。
「気に入ってもらえて嬉しいよ」
なんてひとみは口では言ったものの、興味の対象が、すっかりピンクのプーさんに
奪われてしまった事に、少しジェラシーを感じたりした。
(くぅ〜私も抱きしめて欲しいよ…って、かなりたまってんのかぁ? 自分!!)
ひとみは、そんな梨華を横目で見ながら、なんだかテンションが下がりつつあるのを感じていた。
「梨華ちゃん、カラオケ行こう!」
ひとみは梨華の手を取ると、適当にカラオケボックスに入ろうとする。
- 369 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月26日(火)22時14分13秒
- 強引に引っ張るひとみに、梨華はわざと立ち止まった。
「ひとみちゃん、えっちなコト考えてる?」
「ひぇ?」
図星で、ひとみは素っ頓狂な声をあげてしまった。
「ど、どうしてよ。んな訳ないじゃん…。いくら前、そんなコトがあったからって…」
そう、前回はカラオケボックスで………(略)。
「ほんと? ならいいけど…。ねぇ? ひとむくん?」
「ひとむ?」
「うん。この子の名前『ひとむ』くんって言うの。カワイイでしょ」
梨華は嬉しそうに言うと、プーさんの頭をなでなでした。
「………」
余程恨めしい顔をしていたのか、ひとみはプーさんを知らず知らず睨み付けていた。
(くそ〜。ぬいぐるみの分際で、羨ましいぜ! ひとむぅ〜〜〜!)
「ひとみちゃん顔怖いよ〜ぅ? じゃぁ行こう、ひとみちゃん」
梨華はひとみの手を取ると、カラオケボックスに入っていった。
- 370 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月26日(火)22時15分15秒
- カラオケボックスに入っても梨華は、ひとみそっちのけで、プーさんにベッタリである。
ひとみは、一人マイクを握りしめながら、作戦失敗だと感じ始めていた。
―――最後にすれば良かったかな…。
ひとみはカントリー娘。の曲を入れると『はじめてのハッピィバースデー』を歌う。
頼んだサワーが2つ運ばれて来ると、ひとみは梨華に勧めた。
別に酔わせて云々と言うつもりではなく(多少ある)お祝いの意味も兼ねてわざと
ひとみは頼んだのだった。
「私、飲めないのにぃ…」
と言いながらも梨華は少しだけ口をつける。
今日通された部屋も、一番隅で、他の客の出入りがない場所だった。
ラッキー♪ これなら…今日も…。そうそうホテルに行く事も出来ないし、初めて2人で
迎える梨華の誕生日に、いきなりホテルに連れ込むのも…とひとみは考えて、ちょっと盛り
上がっても平気な2人きりになれる場所。カラオケボックスに、去年のイブと同様連れてきた
訳だが、別にイブの時も、それ目当てで梨華と入った訳ではない。たまたま盛り上がってしまい、
気付いたら……(略)。
もちろん、今日に日に備えてお金は持ってきたからOKなのであるが。
- 371 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年02月26日(火)22時16分10秒
- 「ひとみちゃん、顔がニヤけてるよ〜」
梨華は、ひとみを指摘すると、早速ひとみの横に座ってきた。
「うん。梨華ちゃんのコト考えてたらね…」
ひとみは敢えて否定しない。そして自分もサワーを一口飲んだ。
自分も同じものを頼んだものの酒に強い訳ではない。
気をつけないと自分も酔っぱらってしまう。梨華の前で格好悪い所は見せたくなかった。
「梨華ちゃんも何か歌いなよ」
ひとみはさりげなく梨華の肩に腕を回し抱き寄せた。
- 372 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月26日(火)22時16分57秒
- 皆様どうもです。すぐ見つかっちゃいますね(w。
>362 名無し読者さん
ありがとうございます。息抜きのつもりが、いまいち進みが悪いです。
>363 REDRAM(i)さん
引っ越しすみましたか? 青も気になります。がんがって!
>364 名無し男さん
鋭いっすね。少しの間お付き合いを。
>365 M.ANZAIさん
どうもです。楽しめてるのならいいです。
>366 夜叉さん
あちこちに感想ありがとうございます。
>367 某さくしゃさん
エロがんがってね。任せたよ(w。
- 373 名前:名無し読者。。。 投稿日:2002年02月26日(火)23時19分27秒
- オーッ!!作者様がんばってください!
ひとみちゃんもやっちゃえ〜!(笑)
- 374 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月26日(火)23時34分12秒
- やっちゃってください(w
- 375 名前:REDRAM〔i〕 投稿日:2002年02月27日(水)00時03分11秒
- 吉澤くん欲求不満は危険ですよ
襲っちゃえ!
- 376 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月27日(水)14時35分13秒
- やっちゃいますか(w
エロは書いたことないです(キパーリ
- 377 名前:名無し男 投稿日:2002年02月27日(水)15時52分19秒
- ギッシ
ギッシ
- 378 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月27日(水)23時21分22秒
- まっ、またもや密室で2人っきり・・・・
これは期待するなと言うほうがムリ・・・
- 379 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月28日(木)18時32分20秒
- やった♪番外編だ!
サイズ、間に合うのを祈ってます。
- 380 名前:理科。 投稿日:2002年02月28日(木)21時22分44秒
- よっすぃ〜のウズウズした姿に萌え〜♪
普段もピンクのプーさん抱いて寝てると思われ。
って、いつでも持ち運び?
仕事疲れ大丈夫ですかい?
師匠、あまりムリなさらず…。
- 381 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年03月01日(金)21時08分01秒
- -3-
しかし、ひとみは梨華を抱き寄せつつ、しっかりタコチュー口で、梨華の頬に口を寄せてくる。
「ひとみちゃん、もぅ酔ってるの?」
「んなわけないじゃ〜ん」
既に出来上がってる感じのひとみは、梨華のほっぺたに口を押しつけた。
「も〜ぅ。本が見えないよ〜」
いまだに、梨華はしっかりプーさんを大事そうに抱えているから、邪魔されてなかなか近づけない。
(もう歌なんか、どうでもいいよ。梨華ちゃん!)
ひとみは、隙を見てプーさんを梨華から取り上げると、梨華に素早くキスをした。
「…ゃっ…ぁ…ん」
梨華の甘えた声が漏れると、それだけで、ひとみの脳内は刺激されて、ますます梨華と
したくなってしまう。
最初の頃は、梨華の方がひとみに対して熱を上げていたようだが、最近では
ひとみの方が梨華に夢中になっている様子。
- 382 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年03月01日(金)21時09分22秒
- 「梨華ちゃん…」
ひとみは一旦くちびるを離して、顔をあげると梨華を熱っぽく見つめる。
「ひとみちゃん…。なんか…酔って来ちゃったよぅ…」
潤んだ瞳で見つめられて、ひとみは堪らなくなり、その場で梨華を押し倒してしまった。
「こんなトコで、ダメだったらぁ…」
梨華ちゃん。めちゃくちゃカワイイっす。ひとむ、もう我慢出来ないっす。
「どこでだったら、いいの?」
ひとみは、そう言いながら梨華の首筋にくちびるを這わす。
ひとみの熱い息がかかり、梨華は身体を震わせた。
「もぅ、ひとみちゃんは意地悪さん」
梨華も、しっかりひとみの背中に腕を回すと、ひとみの髪の毛をクシャクシャと撫でた。
- 383 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月01日(金)21時15分34秒
- やっぱり無理かも(苦笑)(泣)。なんちゅうタイミングが悪い(泣)。
続きは、桃非難場所の、石川さん〜の後にでも…。
>373 名無し読者。。。さん
やっちゃえって(w。なんか萌えな風に書けないです(泣)。
>374 ももたろうさん
やっちゃいそうです? ってかカラオケ屋で…?
>375 REDRAM〔i〕さん
iモードからっすか。書き溜めて一気に大量更新待ってます!
>376 某さくしゃさん
エロ大臣様が何を言いますか(w。
>377 名無し男さん
激しいですな(苦笑)。
>378 M.ANZAIさん
ちょっと始まりそうな予感(w。
>379 吉胡麻系さん
なんだか間に合わなさそうで(冷や汗)。
>380 理科。さん
ちょっと不調です。でもがんがります〜。
- 384 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)02時13分58秒
- いしよしカラオケデートネタ
恐ろしくタイムリーなことになりそうです…
桃の某スレ参照
- 385 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月03日(日)15時08分46秒
- >384
そのようですね。私もビクーリしました。
以前、カラオケボックスの中で、結構やっちゃうカップルがいるって
話を聞いた事があるので、それをネタにしてみたんですが(w。
微妙なスレサイズですが、ギリギリまで続けます。
- 386 名前:ハンサムな彼女-番外編-First Birth Day!!- 投稿日:2002年03月03日(日)15時10分37秒
- -4-
「梨華ちゃん…」
ひとみも盛り上がってここまでしてしまった手前、今さらやめる訳にもいかず
しかし、このまま続けるのもどうしようかと迷い始めていた。今なら、まだ間に合う。
「場所変えようか?」
ひとみは囁くように言って軽く梨華の耳朶を噛んだ。
「ひとみちゃんから誘っておいてぇ…狡いよぉ」
梨華は甘ったるい声を出しながら不満そうに呟く。
「”こんなトコじゃダメ”って言ったのは梨華ちゃんだよ?」
ひとみも変えようと言いつつ行為をやめるつもりは更々なく既に梨華のブラウスのボタンを
外しにかかっていた。
「だってぇ……。ぁんっ…」
ひとみの少し汗ばんだ手がスルリと胸元に滑り梨華の胸の頂上を素早く捉えた。
「ゃっ…ふ…んっっ」
梨華が過敏に反応すると梨華の口からまた甘い吐息が漏れる。
- 387 名前:ハンサムな彼女-番外編-First 投稿日:2002年03月03日(日)15時13分48秒
- もっと梨華の声が聞きたいひとみだが、いかんせんカラオケボックスだから
回りの音もかなり聞こえてきて騒がしい。その分、こちらの声は漏れていない訳だが
やはり静かに励みたいし梨華の喘ぐ声も聞きたかったひとみは、梨華の胸元から手を抜くと
ボタンをかけ始めた。
「?」
不満そうに見上げる梨華にひとみは優しくキスをすると
「もっとゆっくり出来るトコに移動しよう」
と言った。
- 388 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月03日(日)15時18分10秒
- http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=momo&thp=1002022842&ls=25
途中ではありますが、桃板避難所の『石川さん〜』スレの続きに書かせて頂きます。スマソ。
此処のいしよしと同じく場所移動(w
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