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約束〜あの日と同じ笑顔で二人

1 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)18時08分17秒
娘。バンド物語を書いてみようと思います。
小説初めてなので色々ご指摘お願いします。
頑張りますので。
2 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)18時13分01秒
ここは、朝比奈中学3年1組の教室。
一人、机で読書に励む金髪の女・・・彼女の名前は辻 希美。
中学3年生の彼女は、ロック雑誌を真剣に読んでいる。
他の女生徒は、化粧をする人、ファッション雑誌を見ている人などさまざまである。
今の時刻は8時15分朝のホームルームにはまだ、時間はある。

「ちょっとー、あいつまた見てるよ。」

「頭おかしくない?マジで・・・いきなり金髪にしてきたらと
 思ったら、今度はロック雑誌かよ。わけわかんない」

「いっつも一人で何考えてんだか!馬鹿じゃん?」

数人で固まって話していた3人組が希美を見て言った。

希美はそんなこと知ってか知らずか真剣に雑誌を読んでいる。
そして、独り言のように呟いた。

「ギター・・・やってみようかな」

3 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)18時16分45秒
チャイムと同時に朝のホームルームが始まった。
担任の先生と一緒に髪を赤髪に染めた少女が教室に入ってくる。

「ええー、今日は転校生を紹介する。加護 亜依さんだ。みんな
 仲良くするように。それじゃあ加護さん挨拶して」

「・・・加護亜依です。」

彼女は笑顔など見せず、無愛想に頭を下げた。

それを見たクラスの女生徒らは「なんだよあいつ・・・」
といった感じでざわつき始めた。
しかし、そんな中で希美だけは何か自分と近いモノがあるような
そんな感じで彼女を見ていた。

4 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)18時50分33秒
――辻 希美
中流家庭でとくに不自由なく暮らす少女。
だが、小さい頃から引っ込み思案な性格で友達がいなかった。

希美自身そんな自分が嫌ではあったが、特別なにか趣味があるわけ
でもなく、会話にもついていけず(イヤ正確には着いていこうとも
しなかったのだが)結局今を迎える訳で・・・。

そんな希美が最近音楽に興味を抱くようになった。

きっかけは兄に嫌々ついていったアマチュアバンドのライブだった。
その時希美は、自分の中で衝撃を受けた。

自分の心臓を激しく打つような力強いドラム。
低音の凄まじいほどのウネリでまるで全身が金縛りに遭うようなベース。
その音に負けじとメロデイを声で唄うボーカル。
そしてなんといっても希美自身一番衝撃だったのが、ギターだった。
耳を劈くような激しいバッキングとメロディアスで胸に残るギターソロ。

希美は音楽そしてバンドに非常に興味を持った。
いろんな雑誌を見ている内にさらに音楽に引き込まれていった。
5 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)19時56分56秒
人混みの中を金髪の少女が歩いている。
学校が終わったあと、希美は家への帰り道をちょっと寄り道をして
目的の店へと歩いていた。

目的の店とは、レンタルCD屋だ。
希美の今の楽しみは学校帰りに持ってる限りの小遣いで
CDを借りて家でずっと音楽鑑賞することだった。

「今日は、何を借りようかなー?」

借りるCDは決まっていない、ジャケットの格好良さや
インパクトがありそうなバンド名のやつを希美は借りるのだ。
これによって、時にはガッカリしたりあまりの良さに心から痺れたりしてるのだ。

6 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)20時25分04秒
目的の店についた希美は今日も同じように、
なにか格好いいアルバムはないか?
メジャーなバンドは結構聞いた。
今はちょっとマニアックにインディーズのCDに走っている。

「君最近よう来るなー、何探してるん?」

金髪の大人の女性が希美に話しかける。

「え?えと・・・色々」

急に話しかけられた希美は、ビックリした。
見た感じ20代後半、派手な服装で目はカラーコンタクトだろうか?

「そんなビックリせんでもええやん、私はここの店長。
 最近あなたよう来るから、何探してんのかなー?思うて」

えらい馴れ馴れしく話しかけてきた女性の名は中澤 裕子。
ここCDレンタル屋の店長。関西訛りの口調が印象的だ。
この女性が希美の人生を大きく変える人となる。
この時の希美には知る由もない。
7 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)20時36分40秒

「店長さんですか?この前まで男の人だったような?」

「ああ、それはウチの叔父やねん。私も最近こっちに
 引っ越してきたんよー、んでまあ叔父に変わって私が
 店長する事になったんよ。」

「はあ、そうなんですかー」

中澤の圧倒的なしゃべりで希美もタジタジである。

「今日君の学校に転校生きたやろ?亜依っていうんやけ
 ど、ウチの妹みたいな奴やから知ってたら仲良くしてな、
 外見は赤髪やから一発で分かるから」

「はあ、(ん?赤髪?)あ、知ってます、ウチのクラスです。」

「そうなん?ちょうどええわー、仲良くしてな、あの子かなり人見知りやから」

「はあ、(そうなんだ、仲良くしたいな)」

希美は、あの朝のホームルームのことを思い出した。
見た瞬間赤髪の彼女になにか親近感を抱いた。
授業も始まって話してみようか?とも思ったが
やはり話しかける勇気もなく結局は話すことができなかった。
クラスのみんなも話す様子はなかった。

そうなにか自分には近づくな!といわんばかりに彼女も
私と同じように心を閉ざしていた。

8 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月25日(火)20時44分26秒
先が楽しみでーす。
9 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)21時39分59秒
「そうそう私が君ぐらいの年の頃な・・・よう音楽聞いたわ、まあそん時は
 私、京都におってな、なんかいうたらCDをテープに録音してのびるまで
 聞いてたで、んでそんころ流行ってたのがな・・・(中略)・・・聞いてるか?ほんでなー・・・」

畳み込まれるようにそこから中澤の音楽談義に希美は、
完璧に圧倒された。

その空気に水を差しに来たのは、赤髪の亜依である。

「ただいまー!!」

元気の良い声と共に店の扉が開いた。

「おう!帰ったか!亜依、同じクラスの・・・名前なんやったけ?」

中澤は希美を指さし亜依に紹介するが、名前をまだ、聞いていなかった。

「えと・・・辻希美です。よろしく」

希美は少々緊張しながら、亜依を見ながら言った。

途端に亜依はバツの悪そうな顔をして何も言わずに奥へと消えていった。

「ごめんな・・・あんな子やねん」

すまなそうに中澤が希美に言う。

10 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)21時42分34秒
希美はひとしきり中澤の話を聞いた後、CDを借りて店を出た。
店を出た瞬間、なにやら音色が聞こえる。
――ギターだ。
ギターの音色が聞こえる何の音楽かはわからないが聞こえる。
この時、希美は亜依と話がしたい!今度話しかけようと心に誓った。

――次の日放課後

教室には亜依、希美。あとは数人の生徒しか残っていない。
明日は休みの土曜日で都合2連休、となればさっさとかえって遊ぶ計画に走るのは当たり前である。
もう帰ろうとしている亜依を、希美が呼び止めた。

「あのさ、話があるんだけど・・・」

「・・・わたしはない」

そう言ってきびすを返した亜依に希美が駆け寄る。

「あのね・・・私にギター教えてくれない?」

希美がそういった直後、亜依の表情がゆるんだ。

11 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)21時45分39秒
「ギターに興味あるん?」

「うん・・・まだ、もってはいないけど絶対買いたい」

それを聞いた亜依は笑顔で希美に話した。

「そっか!やっぱあんたは何か違うと思ってん!んじゃ今からウチの家来る?」

希美は急に笑顔で話し始めた亜依に戸惑いつつも、やっぱり話しかけて良かったと思った。

「うん!いいの?」

「いいよ!そういえば名前なんだっけ?私、亜依。あいぼんって呼んで」

「分かった、私、希美!」

「んじゃ『のの』やな!『のの』でいい?」

ここから二人が友達になるのにはさほど時間はかからなかった。

―――そういえばこうやって仲良くなったんだね・・・なつかしいなあ・・・
12 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)21時53分49秒
>名無し読者さん ありがとうございます
ほんとアホな文章で申し訳ないですが(w
期待に応えられる小説になればうれしいです。
13 名前:RUCH 投稿日:2001年12月25日(火)23時52分22秒
「ここがウチの部屋や!まあ入って!」

にこにこしながら希美を部屋に通す亜依。

亜依の家に行く途中、希美はいろいろと質問した。
1.どうして中澤さんと一緒なのか?
2.なぜギターを始めたのか?
3.なんで赤髪なのか?
解答は、
1.父母を小さい頃なくして親戚の裕ちゃんの所に居候させてもらっている
2.裕ちゃんの影響で音楽が好き!ライブもよく見に行った
3.別に意味はない。ただ、普通の人と一緒じゃ嫌だった。

自分とは近いモノがある・・・当たっていた。
希美は亜依と同じ気持ちの部分が多々ある。
なにより希美は最近思っていた。普通の人からすれば変わり者なのかも知れない。
やりたいことをやる!愛想いいことなどしたくない!
普通の友達などいらない。本物の友達以外いらない。
普通の女性からすると「なに?それ?」であって、
社会から「NO!」と言われ続けてきたそれがロックなのかな?って。
音楽にずっと埋もれていたいなそう思ってた。

親にも言ったことがない。でも亜依なら分かってくれるそんな気がした。
そして、亜依は共感してくれた私の生き方に・・・。
14 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)00時20分09秒
「すごい・・・」
希美は、亜依の部屋を見て驚いた。

ギターが2本、ベースが1本。マーシャルと書かれた大きなアンプになにやら希美にもわからない機材類。普通の女の子の部屋ではない。部屋の周りにはhideのポスターがいっぱいに貼ってあった。

「ののに見せたいものがある」

そういって奥からギターケースを持ってきた。
希美はあまりのすごさに声も出ない。

「ギブソンのレスポールカスタムや、これメチャ高かってん」

「ギブソンってすごい高いよね・・・」

希美は雑誌で色々と勉強していたからある程度の事は分かっていたが、本物を見るのは勿論初めてである。というよりギターを始めてみようとは思ったがギター自体実際にこんな間近で見るのは希美は初めてだった。
15 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)00時23分26秒
「ほんじゃさっそく練習しよか?」
「う、うん!そうだね!」

そういって亜依が希美に差し出したのは、ギブソンではなくエピフォンと書かれたレスポールギターだ。

「レスポールが初心者には使いやすいと思うよ、ハイ!」
そういって亜依は希美に渡す。

ズシリと重い。希美は改めてギターをじっくり見た。
そして6本の弦を指ですこし鳴らしてみた。
――シャラーン♪

「すごーい!初めてだよーギター」
小学生のようなまぶしい笑顔で希美は亜依を見る。

「よっしゃ!練習するでー、まずはコードを覚えないとダメだから教えるね!」

そういって、亜依が自分のお気に入りのスタインバーガーをもって教えていく。

「これがC、これがG、D、E、A・・・」

次々に亜依は希美にコードを教えていく。希美も亜依の指を真似ながら必死でついていく。

16 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)00時26分22秒
・・・練習開始から2時間が経過、空はもう暗くなってきた。

「まあ、最初は苦しいけどコードチェンジが
しっかりできればあとは応用やから」

亜依は苦しんでいる希美に優しく言った。

「うう・・・指が痛いよー」

弦をずっと押さえていた指に豆ができてきた。はじめの頃はこれにも悩まされる。

「大丈夫!!今は痛いかもしれへんけど
慣れれば指も固くなって痛くはなくなるから。
最初は誰だってそうやから」

「うん!!じゃあ今日はそろそろ帰るね、また、明日来ていい?」

とりあえず、今日はこのぐらいで良いだろうと思い希美は言った

しかし
「アカンアカン!やっと覚えてきたのにー
 今日は泊まってええよー」
亜依は希美にそう言った。

結局強引に泊まらされることになった。でも、自分と同じ気持ちを持った亜依と一緒にいることが希美は嬉しかった。

裕ちゃんとあいぼんと食べる食卓は、とても楽しく希美は初めて心の底から笑えた気がした。こんな楽しい!と感じられたのはいつぶりだろう・・・希美は涙がとまらなかった。

17 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)00時29分56秒
裕ちゃんとあいぼんと食べる食卓は、とても楽しく希美は初めて心の底から笑えた気がした。こんな楽しい!と感じられたのはいつぶりだろう・・・希美は涙がとまらなかった。

夕食後、ギターの練習。
あいぼんいわく「身体で覚えなアカン!」らしい。
みっちり練習をやって疲れ果ててお互い同じ布団に寝ころんだ。
そして、ゆっくりと希美に話しかけた。

「なあ、のの。ギター楽しい?」
「指が痛いけど・・・楽しいよ」
「そっか、分からないことあったらどんどん聞いてな。ウチ最初、無愛想でごめんな・・ ・悪気はないねん。でも話しかけてくれて嬉しかった。まだ、言いたいことはたくさん あるんやけど・・・」
「そんなことないよ・・・ありがとう。あいぼん」

二人の長い夜は話も尽きず、夜が明けるまで続いた。
18 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)02時28分18秒
あいぼんと仲良くなって2週間が経った。

その間、学校以外はほとんどあいぼんの部屋でギターの練習。
コードチェンジは大分スムーズになったし、指の豆も固まった。
でも、うまくならないときは、ついあいぼんにきつくあたったりもして
喧嘩になるときもあったが、それでさらに結束が固まったような
気がする。
パワーコードもすんなりできた。アルペジオ、そしてミュートの使い方や
ブラッシング。
今、考えるとよくできたと自分でも感心するぐらい。(へへへ、ちょっと調子がいいかな?)

実は裕ちゃんもギターすごおくうまくてびっくりした。あいぼんが師匠と呼ぶにふさわしい人だった。(人は見方によらないなー)

そして私はバイトを始めた。理由は当然ギターや機材を買うため。
裕ちゃんがここで(CD屋)働いていいというので、あいぼんと共にバイトしている。
学校&ギターの練習&バイトでかなりきついはずなのに不思議と辛くはなかった。
むしろ毎日が充実している感じで楽しかった。

19 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)13時26分21秒
「のの!スコア貸すからこれコピーしてきて」

バイトが終わり帰ろうとする希美にあいぼんが言った。

「シャムシェイド?」

知ってはいたがメジャーな曲しか知らない。
確かにあいぼんはシャムをとにかく聞け!って言ってたっけ。

「アルバムも貸すからよう聞いてからコピーしたらええ」

亜依はそういうとアルバムとスコアを渡した。

「亜依・・・辻ちゃんにいきなりシャムはきついんちゃう?」

カウンターにいた中澤が言う。

「大丈夫や!ののはやればできると思う。とにかくやってみて!」
「う、うん!わかった!じゃあね!あいぼん!」

希美はそういうと店を出て駆け足で家へと帰った。

「亜依、大丈夫なん?」

中澤が心配そうに亜依に聞く

「あれが、できれば大きな自信にきっとなると思うねん」
「まあ・・・たしかになあ」

亜依は早く希美にうまくなってほしいその思いが強かった。

20 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)13時31分52秒
「どれどれー」

ここは希美の部屋。音楽を聞くようになって
この部屋も大分変わってきてた。

帰ってきてさっそく亜依に借りたスコアを開いた。

「たしか・・・RAINって曲だったよね・・・あった・・・う゛ぇ?」

「難しいそう・・・」これが希美の最初の答えである。

初っぱなのイントロのリフでつまづいた希美・・・。
音を聞いてさらに驚く。
早いのだ、自分が思っていた以上に・・・。

「頑張るしかない!」

亜依に借りたギターと亜依が小さい頃使っていたという小さいアンプにヘッドフォンをしてこの日、深夜までギターは鳴り止まなかった。

21 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)14時02分46秒
――朝、昨日の練習の疲れからか起きるのが辛い。
結局昨日は夜遅くまでギターやってたがあまり進歩はできなかった。

「希美ー!ごはんよー!」

希美の母がなかなか起きてこない希美に呼びかけた。

「はあい!今行く!」

母の声にうながされてベットから飛び起きる。
カーテンを開けると今日もまぶしい光が希美を指した。
食卓へつくと、父が珍しく話しかけてきた。

22 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)14時05分45秒
「希美、最近なにか変わってきたなぁ」

「はあ?」

いきなりの言葉に希美はあっけにとられる。
さらに父親は続ける。

「金髪にいきなりしたときは、びっくりしたが最近明るくなった
 なぁ、」

「なにのんきなこと言ってるんですか!最近この子、帰りも遅い んですよ!夜遅くまでギターとかやって!希美!あんた最近 不良の人と仲良くしてるんじゃないでしょうね?」

父の横に座っていた、母が不機嫌に希美に言った。

「・・・(なんでギターやってるだけで不良とか出てくるの!)」

希美は、あえて言いたい言葉を押し殺して無言で食事をとった。

「はあ、どうして普通の女の子らしくできないのかね!」

母には希美のやりたいことは理解できなかった
23 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)14時08分39秒
スコアを借りてから3日が経った・・・。

ちょこちょこはできているのだが、一曲通してはできない。難関はイントロリフ、
Aメロは一定に弾くのがとても難しい。早くてついていけてない。
ギターソロも感じが出ない。

一方、あいぼんはというと、最近学校を休みがちである。
本人は「なんで、学校なんて行かなあかんねん!」といった感じだ。
そりゃあ私も大嫌いだけど・・・ずる休みはしたくはない。

しかし、学校とバイトでギターする時間があまりない。
こうなったら休みは徹夜する覚悟でいかないと・・・。
あいぼんを絶対驚かせてやるんだから!!

「やったるでえーー!!」

「は?」

先生やクラスのみんながきょとんとしている。

「あっ!?(しまったあ!授業中だった!は、恥ずかしい・・・)」

希美は亜依出会って、変わってきたのかも知れない。
24 名前:RUCH 投稿日:2001年12月26日(水)15時22分30秒
しまったあ!!
>23は
『亜依出会って』ではなく、『亜依に出会って』でした。
申し訳ない・・・
25 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)01時21分53秒

その日の夜、バイトも終わり希美は亜依の部屋にいた。

「どんな感じ?どこまでいった?」

途中経過を知りたい亜依は希美に問う

「まだまだ、全然わかんない・・・あいぼん!お手本見せて!」

一度亜依が一曲通して弾くところを見てみたい!そう希美が思ってた。

「お手本?ええよ!じゃあ見ててな!」

そういうと亜依はレスポールカスタムを手に取りアンプ直の大音量で
RAINのイントロを弾く。

亜依の小さい指がギターの指板の上を軽やかに舞う。
イントロ、イントロ2と激しいバッキングのリフ、Aメロも亜依が弾くと
やけに簡単に見える。希美は改めて亜依のギタープレイに驚いた。
ギターソロも完璧だ、まさにCDで聞いていたそのもののように希美は感じた。

26 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)01時24分26秒
「どう?どうでっか?」

弾き終えた亜依が希美に問う。

「凄いよ!本物じゃん!」

「えへへー当たり前やんかぁ」

得意気に亜依が鼻をこすりながら言う。

「すごい!」希美は正にこの一言であった。
それと同時にあいぼんの凄さに尊敬した。
最高のライバルを前にして希美はいつか追いついてやりたいと意欲を燃やした。

「あんなぁ、のの。ウチとバンド組まへんか?」

亜依がい
27 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)01時31分45秒
「あんなぁ、のの。ウチとバンド組まへんか?」

亜依がいきなり真面目な顔で希美に話す。

「ええ?バンドって?ののとあいぼんで?」

いきなりの亜依の真面目な顔に戸惑う希美。

「うん、そうや!あとボーカルとベースとドラムを探して・・・」
「いいよ!やろうよ!」
会心の笑顔を希美は亜依に見せながら言った。

「ほんで!ほんでな!ビッグなミュージシャンになるんや!
 でっかい会場にお客さんいっぱい集めてライブすんねん!」
亜依は、にこにこしながら希美に言う。
「ウチの夢はな、いっぱいのお客さんの前でこのレスポールもっ て最高のギタープレイをすること・・・。そしてお客さんからいっ ぱいの拍手をしてもらいたいんよ!」
ののと二人でその夢を叶えたい!!
ウチのギターの相方はののだけ!!
一緒に夢叶えよう・・・。
亜依の目が希美にそう語りかけてくる。
28 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)01時33分26秒
「うん!!ののもずっと音楽していきたい!あいぼんと一緒に!!」
希美は、亜依の思いと同じだった。自分が初めて見たあのアマチュアバンドを見て感動したように、今度は自分たちが感動させてあげたい!!

二人はこの時約束をした・・・。
絶対プロになって、いっぱい自分たちのCDを出して、たくさんの人に聞いてもらう!
そして、二人でステージの上でギターを弾こう!

「約束やで!!のの!」
「うん!約束する!」
お互い手を握り合って誓った・・・。

こうして二人は中学卒業と同時に二人は本格的に音楽活動へ入っていく。
希美には家庭で進路の問題とかいざこざもあったが希美の思いは強く
両親も押し切られた。
二人は今、スタートラインへ立った。
これから色々あるだろう期待と不安を胸に・・・。
29 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)16時12分23秒

――都内のライブハウスDIO
4階建てのコンクリートの建物の2階にライブハウスDIOはある。
「結構客おるなぁ、のの」
「ふぁ・・・なんかすごい緊張してる」
「なんで、ののが緊張すんの!」
希美と亜依はライブハウスの客側にいた。
ここで今日ライブイベントが行われる。二人の目的はメンバー勧誘であった。

・・・3日前

「あんたらに良い知らせを持ってきたでぇ!」

練習していた二人に中澤はチラシのような物を見せる。
二人はチラシに目を通した。

「ガールズライブ??」
二人は不思議そうに中澤を見上げる。

「ガールズライブ、ようするに女の子だけのバンドが勢揃い!!
 ちゅうこっちゃ!二人でこれを見に行って勧誘してきたら?」
中澤は二人のために色々と調べて置いてくれたのだ。
「DIOは月に一回こういったイベントをしているみたいなんや、
 これは、良いチャンスやで」

「わぁ、裕ちゃんさすが!!」
二人は会心の笑みを浮かべる。

「よっしゃ!のの日曜行くで!」
「うん!!」

30 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)16時13分48秒
これは、チャンスである。バンドをやりたい女の子などなかなかいなくて、
希美も亜依もメンバー探しに苦労していたのだ。ただでさえ、交流が苦手な二人にはメンバー探しは困難をきわめた。
しかし、このイベントには女の子バンドしかいない。なんとか交流を持って自分たちのバンドに引き抜こう!かなり強引ではあるが二人はそう考えた。

31 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)16時19分14秒
―――ライブハウスDIOの客席
とはいったものの、席が置いているわけではない。もちろんスタンディング客のほとんどが大半が男である。あとはバンドの友達の女の子達といった所か、すごい熱気を二人は感じていた。女の子バンドなんて少ないのに、なぜこのようなイベントをやるのか?それは、男性客の多さで分かった。

DIOの入り口でもらったチラシを見てみると、今日演奏するバンド3組のようだ。
「やっぱ、女の子バンドは少ないで」
チラシを見て亜依が言った。

しかし、3組でも集めた方なのだ。やはり女の子バンドはそうはいない。

「これがバンド名かな?出る順番も書いてあるよ!」
希美がチラシの4枚目を見ながら言った。
「ホンマに?」
亜依が希美のチラシを覗く。

1.ぷりちー&プリチー
2.ピンクネガティブ
3.白玉ポンチ

「・・・・・・・・・。」
「・・・え?なんや?これ?」
二人は顔を見合わせた。すると同時にライブが始まった。

32 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)16時22分05秒

――――ぷりちー&プリチー

・・・ジュディ&マリーのカヴァーである。

希美も亜依も正直気持ちは一緒だった。
(はっきりいって、お世辞にもうまいとは思えない)

「・・・なにがぷりちーやねん」
(はっきりいって、お世辞にもプリティーには思えない)

演奏はバラバラまったくもって亜依らふたりには問題外である。

(あとの2組に期待するしかないなぁ・・・)
希美もさすがにこれには辛口であった。

33 名前:RUCH 投稿日:2001年12月27日(木)16時35分08秒

――――ピンクネガティブ

・・・オリジナル曲であろう。
演奏はうまいとはいえない。
演奏自体は前のバンドと同じぐらいのレベルといったところ。
しかし、前のバンドに比べたらヴォーカルが格段に良い。

声量もある。声質もいい。
「・・・ヴォーカルだけで全然違う」
(これだけのヴォーカルはそうはおらへん)
亜依が独り言のように呟いた。

希美もヴォーカルだけに視線を寄せる。
(うまい・・・凄い胸へ突き刺さってくる。)

ヴォーカルの彼女は見た感じおしとやかなお嬢様といった容姿だが、
荒々しい声、優しい声まで自由自在にこなしていた。
そしてなにより、唄うことに喜びを感じるそう二人には思えた。
(もったいない、これだけヴォーカルはうまいのに他のメンバーが足をひっぱてる)

(この娘。が入れば・・・)
亜依が乱暴にチラシをめくる。ピンクネガティブメンバー紹介の欄には、
VO.梨華 と書かれていた。
34 名前:RUCH 投稿日:2001年12月28日(金)16時07分39秒
――――白玉ポンチ

今日のイベント最後のバンド・・・。
どんなバンドなんだろう?
(でも・・・白玉・・・やからな)
その亜依の嫌な予感は的中した。

最後に出てきたバンドはアイドル系バンド。
演奏もたいしてうまくはない。

「期待はずれや・・・。」
亜依は期待を抱いていただけにショックも大きかった。

しかし、客の男達のヒートぶりは凄い。
待ってましたとばかりに大暴れだ。

後ろで見ていた、亜依と希美にはため息が漏れる。
(しゃあない・・・でもあの梨華って娘。だけでも収穫やで)

隣にいた希美に「出ようか?」と目で合図をする。
希美はこくりと頷いた。

35 名前:RUCH 投稿日:2001年12月28日(金)16時12分54秒
白玉ポンチの曲を4曲ほど聞いてから亜依と希美はDIOを出た。

色々と二人で感想やらを述べる。
ライブハウスDIOの前の自販機前亜依と希美は腰を下ろした。

「飲み終わったら、楽屋に挨拶しに行こうか」
亜依がオレンジジュースを片手に希美に言った。
「そだね!でもさぁさっきから気になったんだけど、お客さん全然出てこないね」
希美がライブハウスを見ながら言った。

そういえば変だ。確かに途中で抜けてきたけど最後のバンドは、4曲唄ったぐらいで
「次で最後の曲です!」とか言ってたのに・・・。
あれからもうすでに20分は過ぎている。
客達がアンコールでもやっているのか?それとも・・・。

「なんか気になるなぁ、のの、ちょっと行ってみよっ!」
そう言って亜依は缶ジュースをゴミ箱に入れると駆け足でDIOへと戻る。

36 名前:RUCH 投稿日:2001年12月28日(金)16時15分09秒

―――中へ入って驚いた。

ステージにはさっきのアイドルバンドではない。
ドラム、ベース、ギターの3ピース。三人の女の子がいた。
先ほどのアイドルバンドの演奏なんかとは比べ物にならない。正に別格。
ギターの娘がボーカルも担当しているようだ。

「・・・すごい!メチャうまいで!あの人!」
亜依が少々興奮しながらギターの娘。を指差す。
(ギターもそうやけど、あのリズム隊もメチャ息が合ってる!)
「あいぼん!すごいよ!このバンド!」
希美もさすがに驚きを隠せない。

(一体どういうことや?うますぎるで!あのギターの娘ヴォーカルもすごいわ)
二人はいきなりの出来事にまだわからないでいた。
そして演奏が終わった。

37 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月28日(金)18時14分31秒
タイトル見て一瞬びっくりしたんですが
作者さんRaphaelファンですか?

おもしろかったです。がんばってくださいー。
38 名前:RUCH 投稿日:2001年12月28日(金)19時00分37秒
名無しさん>ありがとうございます。はい!大好きです。
        ちらほらいろんなバンドの曲が出てきます。
39 名前:RUCH 投稿日:2001年12月28日(金)19時12分03秒

ギターのショートカットの娘がマイクを握る。
「・・・えっと今日は、うちらDIOを見に来てくれてありがとう!
 今日で・・・解散ですが、最後まで盛り上がってください!」
客達が悲鳴を上げる。それもたしかに当然である。こんなにも良いバンドなのに・・・。

(へ?DIO?解散?なんで?)
亜依と希美は訳が分からなくなる。
二人の混乱をよそにDIOは最後の曲を迎えていた。

「・・・最後の曲です!」
ギターの娘。が汗か涙か顔を手で拭いながら、客達に言う。
ベースのストレートで茶髪の娘も涙を拭っている。
「この曲は・・・。みんなに・・・そしてメンバーに送る曲です!
 聞いてください・・・『ever green』」

40 名前:RUCH 投稿日:2001年12月29日(土)14時58分40秒
イントロからギターの音色が響く。
その音色は華やかでそして悲しくも聞こえた。
『澄み渡る青空 泥まみれの青い夏』
『走る喜びを分かち合えたあの頃』

ストレートなロック調の曲に懐かしくも感じる歌メロが響く。
曲はサビヘと進んでいた。

『なにより輝く時代は 誰よりも早く』
『過ぎ去っていく 儚いもの戻れない夢』
『なにより眩しい絆に 夢をちりばめて』
『色褪せない永遠の思い出 もう一度戻れたら・・・』
ギターソロが亜依の胸に突き刺さる。
亜依はこの曲にどっぷりとはまってしまった。
(すごい!なんかもうわからんけど!凄いとしか言いようがない)

希美は固まっていた。
解散、涙、DIO、それだけが頭の中を駆けめぐっていた。

DIOの最後の曲が終わった。
歓声と悲鳴が飛ぶそんななかギターをかき鳴らしながら、ショートカットの娘がマイクを握る。

41 名前:RUCH 投稿日:2001年12月29日(土)15時00分54秒

「最後に!メンバー紹介します!」
そういうとギターの娘が後ろを振り向きドラムを指差す。

「ドラムー!!!!ひとみ!」
ひとみと呼ばれたその娘。は凄まじいドラミングでそれに答える。

「ベース!!・・・ベース!真希!!」
真希と呼ばれたその娘は溢れ出る涙を拭い、チョッパーで重低音のあるベースを聞かせるそして、真希がマイクを握る!

「ギターヴォーカル!!」
涙声の真希がギターの娘を指差す。
「ギターヴォーカル!!・・・紗耶香!!」
紗耶香と呼ばれたその娘は最後にありったけの力でギターソロを奏でる!!

こうしてDIOの解散ライブは終了した。

42 名前:37 投稿日:2001年12月29日(土)19時54分06秒
僕もRaphael好きですよー。
Evergreenまで出てきてなんか少し嬉しかったり(笑)
43 名前:RUCH 投稿日:2001年12月30日(日)18時26分59秒
>37さん  ありがとうです!!曲を知ってる人はさらに楽しめ        るのではないでしょうか・・・。ちょっと正月は更新で        きないですが、ちょこちょこ書いていくのでよろしくで        す。
44 名前:RUCH 投稿日:2001年12月30日(日)18時32分19秒

――――DIOのライブが終わって、また、DIOの前の自販機に二人は腰を下ろしていた。

「なんだかな・・・ビックリやね」
亜依が希美に言う。
「でも、あのまま気づかないでいたら危なかったね・・・」
「そやなぁ・・・」

ライブが終わって外に出るとき、ライブハウスの店員みたいな人に二人は聞いた。
なんでも、このイベントでDIOが出るのは当たり前で、みんな知ってるのでチラシは作っていなかった。

なぜ、ライブハウスと一緒の名前かというとドラムのひとみさんのお父さんが経営してるからだそうで、お父さんがバンドの名前をそのまま付けたらしい。
なぜ?解散かは、ギターヴォーカルである、紗耶香さんの留学が原因だという。
45 名前:RUCH 投稿日:2001年12月30日(日)18時34分35秒
「どうしようか?あいぼん」
希美は亜依の答えを待っていた。

「・・・行くしかないやろ、楽屋へ!」
「うん!!行こう!」
二人はそういって、また、ライブハウスの中へ入っていく。

二人は楽屋を探していた・・・。
しかし、勝手に入ってきてもいいのだろうか?
不安を抱えながら楽屋を探す。

その時、ライブハウスの自販機のところで話し声が聞こえる。
ふたりはそっと顔を出して誰か確かめた。

自販機の所には先ほど解散ライブをやった中心人物ら、三人がジュースを片手に
話している。
(今や!今行くしかない!!)
亜依と希美は顔を見合わせてから、ゆっくりと三人の所へと向かった・・・。

―――緊張したね・・・でも、この勇気もなければ夢も夢のままだったのかもね
46 名前:RUCH 投稿日:2002年01月05日(土)21時53分39秒
「あのぅ・・・」
亜依と希美は、DIOのメンバーの所にゆっくりと近づき話しかけた。

紗耶香、真希、ひとみが二人を見る。

「なに?あんたら」

亜依と希美に一番近い紗耶香が二人に応じた。
真希やひとみはというと、いきなりの訪問者が金髪と赤髪でびっくりといった感じか。

(なに?この金髪赤髪コンビは?)

47 名前:RUCH 投稿日:2002年01月05日(土)21時56分09秒
「あの・・・私達、さっきライブ見て・・・」

亜依が、おそるおそる話す。

「ん?さっそくFANになっちゃったって感じ?」
紗耶香が笑顔で聞く。

「ハイ!!びっくりしました!あの、私達も楽器やってて・・・んで、その・・・」
亜依はまだ、緊張してるようだ。そこに希美が割って入る。

「あの、みなさんのバンドに入れてもらえないでしょうか」

希美はストレートに切り出した。あまりの突然の発言に紗耶香らもポカンとしている。


48 名前:RUCH 投稿日:2002年01月05日(土)21時59分16秒
「のの!!あんた直球すぎやで!順番ってあるやん?」
ツッコミよろしく!希美のあまりに素直な発言に戸惑う亜依であったがとりあえずつっこんでみる。

「ハハハ!!面白いねぇ、二人とも!ねえ後藤」
紗耶香が大笑いしながら真希に言う。
「・・・・・・そうだね」
真希がすこし笑って答える。

「ハハハ、いいね!二人とも今からうちら打ち上げするんだけどあなた達も来ない?話も聞きたいし・・・いいよね?」

「ええっ!?ホントにいいんですか?私達が来ても・・・」

紗耶香のいきなりの誘い・・・。
亜依は驚いた。でも、(良かった!いい人達で・・・)そう思っていた。

「全然OK!だよ。いいよね?後藤、よっすぃ」

「市井ちゃんがいいなら・・・私はべつにいいよ」
「いいんじゃないですか?多い方が楽しいし」

「ありがとうございます!!」
亜依と希美は笑顔で挨拶した。
49 名前:RUCH 投稿日:2002年01月05日(土)22時04分52秒
「んで、どこでやるんですか?打ち上げ」
亜依達は、どこかほっとした様子で紗耶香に話しかける

「ん?あそこだよ!ステージで飲むの」
そういって紗耶香がステージがある方指差す。

「ステージ??さっきライブした所?」
「そう、ひとみのお父さんが経営してるの。だから大丈夫だよ」
笑顔で紗耶香が答える。

「よし!!ちょっと買い出しいってくるから、後藤!いこっか?」
「・・・うん」
紗耶香はそう言って後藤と出口へ向かう。

「二人はひとみとおしゃべりでもして待ってて!」
「は、ハイ!」
亜依と希美がうなずくのを見て、紗耶香らは買い出しへと向かう。

50 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時33分24秒

―――ひとみ、希美、亜依の三人は先ほどまで行われていたライブステージにいた。

「そういえば、名前聞いてなかったね。私は吉澤ひとみ。みんなから『よっすぃ』
 って呼ばれてるから『よっすぃ』って呼んで」

ひとみが笑顔で話しかける。

ドラムを叩いてるときの男っぽい顔つきから優しい女性の表情に希美らはほっとしていた。

「加護 亜依です。よろしく!(怖い人かと思ってたらすごいええ人やん)」

「辻 希美です。よろしくです(ああ、この人ならいいや)」

二人も自己紹介をする。
ひとみの明るいキャラに亜依と希美はすぐに馴染んでいく。
お互い同じ音楽が好きで、楽器をやってりゃ話はやっぱり音楽。
そして、バンドのことを話す。

51 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時35分36秒

「なるほどねー、まあ市井さんが抜けてごっちんともこれからどうしようか考えてはいた んだよね。」

「あの、真希さんはさっき不機嫌そうに見えたんですが大丈夫ですか?」
希美は気になっていたことをいきなり話した。

亜依はまた(なにをいきなり言うねん)といった表情である。

「ああ〜ごっちんのことね、ごっちんは普段知ってる人にはすごい優しいんだけど、
 知らない人とはあまり話したくないっていうか・・・人見知りするからねぇ」

ひとみの話を聞いて、希美と亜依はなんとなく分かった。少し前まで自分たちもそんな感じであったし、自分たちに知らない人達が話しかけたら真希と同じような態度をとるだろう。

52 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時37分43秒

それはそれとしてとりあえず紗耶香らが来るまで、ひとみと希美と亜依は話し込む。
それは自分たち以外で初めて音楽話とかを話す、女の子でもあった。

「でも、ふたり幼く見えるねぇ。うちらと二つしか違わないのに」
ひとみが亜依達の容姿に改めて言う。

「そうですか?そう言われても喜んでいいんのか分かんないんです」
亜依は慣れない標準語で話す。
53 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時40分39秒
「ハハハ!ごめんごめん!でもさ、外見は赤髪や金髪でピアス とかしてるから最初何者?って思ったよ」

「そうですか?自分たちは全然気にしてないし周りがどう見ようと 勝手だと思うしやりたいことやりたいって感じなんです」

希美もハッキリと言う。
希美も亜依の影響もあってかピアスにも最近凝っている。

「・・・でも、分かるよ気持ちは、私も小さいときから人と同じ事す るの大嫌いだったし表向きの顔もしてたけど、深い友達なんて 真希と市井さんぐらいだしね。学校も嫌いだった。私にとって人 と違う事っていうのがドラムやってるとき、すごい優越感に浸れ て気がする」

ひとみは、そういうとドラムの椅子に座りなにやらドラミングを始める。

54 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時43分16秒
亜依らにとっても、ドラムの生音を聞くことはあまりなかった。
バスドラの音が亜依達の胸を強く打つ。
ツーバスのドコドコした響きが脈を打つ感覚になる。
改めて、ひとみのドラムの上手さに感心する。

これほどまで力強いドラミングを続けるには身体も鍛えないといけないだろうし、なにより男のドラマーにもなかなかいない繊細さも持っている。

「なあにやってんだよう!よっすぃ」

声が聞こえた方を亜依達が見ると、大きなビニール袋を二つ持った紗耶香がいた。
後ろにはさらに三つビニール袋を持っている、真希の姿が見える。

55 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)17時45分43秒

「おかえりぃ!今日はいつも以上に大荷物だね」
ひとみがスティックをスネアの所に置いて二人に駆け寄る。

「やっぱ可愛いお客さんが二人もいるからねー飲ませないと!」
紗耶香が亜依達を見てウインクをする。

「なに言ってんの!市井ちゃん」
真希が不機嫌に言う。
「冗談!冗談だよーごっとー」
紗耶香が真希の肩を掴んで抱き寄せる。

「よいっ!しょっと。かなり思いじゃん。なに買ってきたの?」

紗耶香から受け取った袋をステージに運んだひとみは袋から中身を出す。

56 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時09分09秒
>55の所で、
「よいっ!しょっと。かなり思いじゃん。」間違えました。
正しくは
「重いじゃん」の方です。
申し訳ない。。。
57 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時13分58秒
中から出てきたのは、お菓子、酒のつまみが袋一杯に入っている。
もう一つの袋からは500の缶ビール6缶が2ケース。

「こっちがもっと重いよ、よっすぃ」
真希がそういってステージに3つの袋をおろす。

袋の中からこれまた大量のお菓子とビール。

希美と亜依の二人はその量にも驚かされていたがそれをきつい顔1つ見せず持っていた
真希に驚いていた。

58 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時17分45秒
(・・・今日は死ぬんちゃうやろな)
亜依はこれから行われる飲み会が怖くなっていた。
亜依は時々裕ちゃんの飲みに付き合いはしていたが一方的に飲むのは裕ちゃんで、自分は350の缶ビール1本で満足といった感じであった。

(・・・お酒って飲むの初めてだな。楽しみだなぁ)
亜依とは逆にお酒という物をよく分かっていない希美は楽しみであった。

「おっしゃ!!さっそく飲みますか!」
紗耶香のその一言で宴が始まった。
5人がステージ上で輪になり腰を下ろす。
真希とひとみがテキパキとビールやお菓子類をみんなに回す。

59 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時20分29秒

「んじゃ、みんなビール持ったね・・・今日はお疲れ!
 私はさ、脱退しちゃうけどこれからも楽器続けなよ。」
紗耶香がそう言うとひとみと真希はなにも言わずコクンと頷く。

「ライブお疲れさまでした!乾杯!!」

「かんぱーい!!!」
みんなでビールを傾ける。
紗耶香は全員と缶を傾けたらすぐにビールを飲む。
紗耶香は一気に飲んでしまった。

60 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時24分18秒

「よし!とりあえずコップにみんなうつそうか、そっちのほうがいいから・・・」
紗耶香が袋から透明の紙コップを出す。

亜依と希美にはなぜコップを使うのかはこの時分からなかった。

とりあえず乾杯した後亜依も希美をビールを飲む。それぞれの思いはというと・・・。

(う〜ん・・・最初の一杯目はおいしいなぁ、でも後からはおいしくもなんとも思わへん)
 
(にが!!苦いよ!!ビールって!全然おいしくないよぅ)

「ほらほら、二人もコップに変えて!」
この場をしきっている紗耶香がコップを亜依と希美の前に出す。

二人は飲んでいた缶ビールの残りをコップへとうつす。
61 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)18時26分42秒

「市井さ〜ん!またアレやるんですか?」
ひとみは困惑の表情で紗耶香に言う。

「当たり前じゃん!よっすぃ!これはうちらだけではないよ、バンドやっている人間にと っては、飲み会では当たり前だよ。まあバンドだけでもないとは思うけどね」
紗耶香がコップにビールをうつしながら言う。

「え?え?何ですか?アレって」
亜依が不安に襲われながらも紗耶香に聞く。

62 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)20時47分45秒

「じゃあお手本を見せましょう!!」
紗耶香が不敵に笑う。どうやら標的は決まっていたようだ。

「よっすぃ!!お疲れ!!」
紗耶香はそう言うとひとみを見ながらコップを掲げる。

「えっ!!私?マジ?・・・お、お疲れ!です!!」
ひとみもそういうとコップをあげて、そして一気にコップに入っていたビールを飲み干す。
それと同時に紗耶香もコップのビールを一気に飲み干す。

「ああ〜もうやばい!!」
一気飲みをしたひとみはすでにもう顔がほんのり赤くなっていた。

63 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)20時52分00秒

亜依と希美はまだ、よくわからなかった。
そこに今まで黙っていた真希が二人に言う。

「お二人さん!お疲れ!」
そういって真希がビール半分くらい入っているコップを掲げる。
今まで、顔色ひとつ変えなかった真希が突然、少し笑みを浮かべて亜依と希美を見る。

「え?あ!?お疲れ!です!!」
いきなりの真希のお疲れ宣言に戸惑ったが、声をかけてくれて正直二人は嬉しかった。
希美と亜依はとにかく自分のコップを挙げる。

真希がビールを一気に飲み干す。
二人は真希の一気を見て初めて自分たちもしなければいけない事に気づく。
しかし、亜依も希美も先ほどからチビチビも飲んではおらず、コップ一杯にビールが入っている。

(なるほどーこういうことか・・・しかし、これやってたらホントに死んでしまうで)
そんなことを思いながらも、亜依はビールを一気に飲み干す。
それを見た希美も一気にビールを飲み干す。

「おお!?いいねえ!いい飲みっぷり!!」
紗耶香は二人の飲みっぷりが気に入ったようだ。

64 名前:RUCH 投稿日:2002年01月07日(月)21時05分15秒

「っても、こればっかりやっちゃうとさすがにやばいから、たま〜にやるのがコツ!」

紗耶香もさすがに次は自分に標的がくるのを察知してか釘をさす。

「そ、そうですよね・・・毎回これじゃきついです。なあ、のの」
「・・・へい」
(アカン、ののはもう酔っぱらってるで)

「なに言ってるんですか!!市井さ〜ん!お疲れで〜す!!」
先ほどの紗耶香の発言を完璧に無視してひとみがコップを掲げる。

「え〜?マジでか!よっすぃ〜よっしゃあお疲れ!!」
最初にこのルールを持ってきた紗耶香として引き下がることは絶対にできない。
真希に注いでもらってまた、それを一気に飲み干す。
ひとみも満面の笑みで一気のみする。

(すさまじい宴会にきてもうたな・・・)
亜依はちょっと後悔もしたようだ。

しかし、宴はまだまだ、始まったばかりだ。
65 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月09日(水)20時17分34秒
今、発見して全部読んだとこです。
おもしろいっす。これからも頑張ってください。

1つ思ったのが、ののちゃんの小さい手で
ネックの太いレスポールはきついと思うんですが。
手の小さい女の子にはジャガーが一番良いと思いました。
いえいえ、文句を言うつもりはないんです。
更新、楽しみにしてます。
66 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)18時18分42秒
>65 名無しさん

ありがとございます。たしかにそうなのかも・・・。
まあ、その辺は勘弁してやってください。
これからも頑張りますのでよろしくです。
67 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)18時20分12秒

――――宴会が始まって2時間経った

「ギャーハッハッハ!!亜依!!いいよ!あんた最高!!」
紗耶香は、亜依の物真似に手を叩いて喜んでいる。

「ホンマですか?嬉しいなぁ!ヒック」
亜依はもうかなり酔っていた。自分でもなにをやっているのかわからなくなっていた。

希美は亜依の物真似を見てけたけた笑っている。

実際の所大量のビールを希美は空けているが、基本的に酒に強いのであろうか、
まだまだ、ビールを口に運んでいる。その勢いは止まらない。
紗耶香もさすがに強い。
希美と同じくらいの量いや、それ以上を飲んでいるが楽しい酒で裕ちゃんのような絡み酒ではないし、一般的には良い酔い方である。

68 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)18時22分39秒

「ほら〜よっすぃ、起きて〜」
希美がひとみの身体を揺するがひとみは完全につぶれている。どうやら熟睡している。

「あれ?そういえば、ごっちんおらへんな?市井さんどこいったんですか?」
そういえば先程から真希の姿はない。亜依は彼女がどこにいったのかわからなかった。

「あっ!?何いってんの?亜依がごっちんに買いに行かせたんだよ〜」
紗耶香は平然にそう伝える。

「え?なにを?」
どうやら酔っていて何を言ったか、もう忘れていた。

「酒!!まだまだだよねー、な!希美!」
紗耶香が希美の肩に手を回して言う。

「あたりまえですよ!ま〜だ大丈夫です。えへへ」
希美も笑顔で答える。

「もうええやん〜明日普通にうちらバイトあるやん」
亜依は、明日いやもうすでに今日になるがバイトが心配である。

69 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)18時24分17秒
「あいぼん!!!」
希美が少し強い口調で亜依を見る。
「な、なんや?」
いきなりの希美の強い口調にびびりながら亜依は聞く。

「私と〜私と一緒には飲めないというのれすか!?」
「なにをいうとんねん!飲んでるやん!今!」
「じゃあオッケーれすね」
「・・・・・・はい(もういやや・・・)」
とほほといった所か、亜依は希美の迫力に頷くしかなかった。

「あいよ〜!買ってきたよ、お酒」
真希が大きな袋を片手に帰ってきた。その量からするとまだまだ、飲まされそうである。

「お疲れさん〜さあてそいじゃこの辺で普通に真面目な話するか?」
紗耶香はそう言って、真面目な顔をする。
「そうだね、バンドの事話そうか」
真希が買ってきた缶ビールをコップに注ぎながら言う。

70 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)19時20分38秒

「そうですね・・・じゃあ簡単に言うと、ウチとののは音楽、バンドに かける情熱は誰にも負けないって思ってます。ふたりですごい 話し合って自分らには音楽しかないって・・・で、約束したんで す。バンド組んで、あこがれの日本武道館でライブしよう!って ・・・」

亜依はいきなりの真面目な自分の意見に少し恥ずかしくなるが紗耶香や真希に伝える。

「なに恥ずかしがってんの?夢を語ってる時はビッとしようよ!」

真希は、亜依達の夢が自分たちと重なる夢だからこそ敢えて厳しく言う。

「うちらもさ、何も取り柄がない馬鹿なやつだったんだけどさ、音 楽に関しては誰にも負けないぐらい強い思いがあってさ・・・音 楽ってかっこいいなって、臭いけどそう思った。ずっと音楽に埋 もれていたいなって・・・そう思う」

真希が熱く語る。普段の後藤真希ではない、バンド、ベーシストの真希の姿がそこにあった。

71 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)19時24分19秒

「・・・そんな中でもね、音楽って言っても幅広いじゃん?市井ちゃんは自分の思いはアメリカにあって、同じ上を目指すんだけどお互い違う場所でしか叶わない夢を持ってるんだ。はっきり言って寂しい・・・でも、市井ちゃんの夢だから。会おうと思えばいつでも会えるし・・・ね、市井ちゃん」
真希が涙声になりながら紗耶香に聞く。

「うん。思いは一緒だよ。だからさ、あたしも頑張るからあんたらも絶対夢をあきらめるなよ。私は、あと2週間後ぐらいには旅立つけどさ、その前にさ、真希とひとみそして、亜依と希美の4人で一回だけ演奏してくれないかな?「ever green」を。私がボーカルやるから」
紗耶香は、亜依と希美の音楽にかける情熱を確かめたかった。
口では何とでも言える。だから実際にバンドでやって二人の思いを受け止めたい。
紗耶香はそう思っていた。

72 名前:RUCH 投稿日:2002年01月12日(土)19時25分57秒
「わかりました。ぜひやらしてください!」

亜依は、二人の音楽にかける情熱を感じ、それと共に自分らの思いも伝えたい言葉はいらない、音で伝える。その思いでいっぱいだった。無論希美も同じである。

「んじゃ後でテープ渡すから!」
真希は、二人の目が市井ちゃんと同じ夢を持った瞳が見えていた。

「よっしゃ!それでは、一週間後にまた、ここで。」
紗耶香が下を指差しながら言う。

「わかりました!よろしくお願いします!」
亜依と希美はペコっと頭を下げる。

「ということで・・・飲みますか?」
紗耶香がにやりと笑う。

「飲みましょう!!もう一回乾杯しましょう!」
希美がコップを片手に言う。

「よっすぃ!起きろ〜!」
紗耶香がひとみを揺すって強引に起こしてコップを持たせる。

そして・・・。
「カンパーイ!!」
五人がコップを傾ける。
見えないゴングが鳴ったような気がしたのは亜依だけではないようだ。
73 名前:RUCH 投稿日:2002年01月18日(金)20時22分45秒

――――あの、衝撃の飲み会から三日がたった

「こんなんどうやろ?」
「もっと派手にやってもいいんじゃない?」
「そうやなぁ、今回の曲はウチのギターの方は色づけみたいなもんやから」
二人は亜依の家で「ever green」の練習をしていた。
もともと、この曲はドラム、ベース、ギターのいわゆる3ピースであった。
しかし、今回はツインギターである。
結局の所、ドラム、ベース、サイドギター、リードギター、そしてボーカルの五人体制。

紗耶香らからもらったテープを聴くと、ギター自体はパワーコード主体の演奏である。

それは、紗耶香はボーカルもやっていたので、ギターを弾きながらのボーカルだから演奏自体はコード主体になるのは当たり前である。

ギターが二人になって、その上ボーカルもちゃんといるのだから、ギターが二人ともコードを弾くのはおかしい。やはりギターは色づけが必要になる。
亜依と希美は、話し合っていた。

74 名前:RUCH 投稿日:2002年01月18日(金)20時25分43秒

ちなみに・・・。

リードギターを担当するのは、亜依である。
一般的にリードギターは、バンドをひっぱっていく大事なパートである。ギターソロや高いポジションでの演奏など目立つパートでもある。ある程度の技術がないとこのパートは難しいだろう。

一方、サイドギターを担当するのは希美である。
一般的にサイドは、バンドを支えるリズムキープ命なのである。つまりは、派手さはないがアルペジオやコード主体のこのパートがしっかりしていないとバンドとしては苦しいであろう。

バンドでギターが二人いる場合は、ギターがうまい方がリードをやるので、この二人の場合は明白である。

75 名前:RUCH 投稿日:2002年01月18日(金)20時27分44秒

「この曲は、のの次第でかなりいい感じになるで?」

「ええ?そんなプレッシャーかけないでよぅ」

「いやいや、でも、この曲はウチはもう色づけぐらいやからののがこの曲は引っ張っていかなあかんよ」

「頑張る!・・・でも・・・大丈夫かな?」
やはり希美は不安は隠せない。

「大丈夫や!!なんかあったらウチが助けたるから、なんでも聞いてな」

「ありがと・・・あいぼん」

まだまだ、子供っぽさがぬけない希美がにこっと笑顔で亜依をみる。
亜依はその希美の表情を見るとほっとする。
76 名前:RUCH 投稿日:2002年01月18日(金)20時33分10秒
いつからだろう・・・。

ののを守ってあげたい!ののといつも一緒でいたい!
バンド仲間というのを越えた、友情であり愛情。
そんな感情が亜依にはあった。

(大好きやで・・・のの)
希美がどう思ってるかは知らないが亜依は、希美の事が好きだった。
なにか守ってやりたくなる。本当の気持ちを伝えたいが、今はバンドのメンバーだ。
変な感情を出すと、バンド自体に支障が出るんじゃないか?
亜依は希美に気持ちは伝えないでいた。

「・・・いぼん、あいぼん?」

「ん?な、なに?」

「なにか、ぼーっとしてたから・・・ねえここのBメロはダウンがいい?」

「いや、してへんよ。そやなダウンピッキングの方がスピード感でて良いと思うで」

そう言われて希美は、ガシャガシャとギターを鳴らす。

(絶対このバンドで上へいってみせる!あとは、ヴォーカルを探さないと・・・)
そんな思いを胸に、ギター練習をする亜依だった。

77 名前:RUCH 投稿日:2002年01月18日(金)20時36分39秒

「やってんなー亜依!」
中澤が部屋へとは行って来る。

「なんや?なにか用?裕ちゃん」
亜依がギターを奏でつつ聞く。

「バンドすることになったんやろ?」

「まだ、わからへんけど・・・多分ね」

「オリジナル曲できたら、ウチに聞かせてな!頼むで!」

亜依は、一瞬なんで?と聞きたかったが、今は練習に集中したいので、こくんと頷く。

中澤はそれを確認してからスタスタと部屋を出ていく。

この日は、夜中まで二人は練習と話し合いを繰り返す。
ギターアレンジは自分たちで決めないといけない、バンドを組むのは二人は初めてなので今から緊張していた。

とにもかくにも、もうすぐバンド初練習日である。
78 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時24分45秒
―――辻加護が練習に励んでいるとき、市井紗耶香はある女性を喫茶店で待っていた。

「遅いなぁ・・・相変わらず遅刻癖は直っていないのかな?」

紗耶香は時計を見て、ここにきて2杯目のコーヒーを飲む。

「おまたせ!!遅くなっちゃった!ごめんごめん!」

笑顔の可愛い女性が紗耶香の前に来た。

「なっち!遅いよぅ!」
「ごめん!道に迷ったさ!ひさしぶりだから」

彼女の名前は安倍なつみ。
今はボイストレーナーとして頑張ってる。
その前はバンドを組んでガールズバンドとしては初めてインディーズの頂点までいった。
メジャー間違いなしだったけど、いきなりの解散・・・。ファンの間では解散について色々な噂が飛んだ、メンバー内で仲が悪くなったとか、でも、私は知ってる。
本当の理由を・・・。
だって、私はそのバンドのギターのローディーをしていた。
ようするに、付き人。ギターの名はユウコ。
なっちは、ボーカルだった。年も近いことからすぐ仲良くなった。

79 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時28分37秒

「まあいいけどね・・・でも、ひさしぶりですね!!」
「なあに、かしこまってんの?なに?用件は・・・」
「いやね・・・良いバンド見つけたんだよねぇ、多分これはカンだけどなっち達の上いくかも知れない。」

紗耶香はニヤリとなつみを見る。

「もしかしてそれって、裕ちゃんが言ってるバンド?」
なっちと呼ばれた女性が紗耶香に聞く。

「裕ちゃんが?わかんない。知らないよ」
「なんか、自分の知り合いの子がバンド始めたんだって!たしか・・・亜依って言ってた」

「へー・・・そうなんだ!って!え?亜依?(え?それって・・・)」
紗耶香は飲んでいたコーヒーを戻しそうなる。

「なんか最近裕ちゃんからひさしぶりに電話があって、そんなこと言ってたよ!紗耶香と同じように・・・。」

その時、紗耶香は確信した。
(やっぱあの娘!関西弁が裕ちゃんの関西弁そっくりだったし、これはすごいバンドになりそうだな・・・)

80 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時30分08秒

「紗耶香・・・あんたそんだけでなっち呼んだの?」

なつみが、大きな瞳で紗耶香を見る。

「アハハッ!いやいや、でも良かった!分かったから」
「なにが?なっち全然分かんないよ〜」

「あのね・・・・・・」
紗耶香がいきさつを話す・・・。

「・・・へえ!それは、楽しみだね!そうか裕ちゃんの・・・それはそうと紗耶香ももうすぐアメリカいくんでしょ?」

「うん!そうだよ!だから、なっち、その娘達・・・よろしくね。」

「よろしくって言われてもね・・・とりあえずカオリと圭ちゃんにも話しとくよ。」

「うん!よろしく・・・」

紗耶香は、なつみにペコリと頭を下げた。

81 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時31分54秒

――――ついに、練習日がやってきた。

今日は日曜、青空で快晴である。
緑が輝きを増しているように希美は思えた。
(ever greenって感じだな〜)

約束の時間は10時。二人は30分前には練習場所のDIOに来ていた。
荷物が多いので裕ちゃんの車で送ってもらったのだ。

「ちょっと早いけど、もう行こうか?のの」

「そうだね〜なんか緊張するね!」

「ウチらのギター見せつけるで!頑張るぞ!」

「おう!あいぼんも!!」
希美が手を天へと掲げる。亜依も一緒に掲げた。

「え?え?お、おう!!」
恥ずかしくなりながらも亜依も手を天へと掲げる。

DIOの中にはいると、すでにドラムの音とベースの音が聞こえる。

「早いなぁ、もう来てるんだぁ」
希美はその音を聞いて、さらに緊張が高まる。
その音が聞こえる方向へ歩く。目の前には、前にライブを見に行ったときのいりぐちのドアがある。

82 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時34分37秒

「中入るで!のの」

亜依はそう言うと、ドアを開けた・・・。

中を見てみると、すでに真希とひとみは練習していた。
息がぴったりのリズム隊コンビは、亜依らが来たことに気づいて演奏を止める。

「来たね!早速準備しなよ!」
普段笑顔をあまり見せない真希が満面の笑みで亜依と希美を迎える。

「ひさしぶりだね!!二人!」
ひとみが、軽快なリズムを叩きながら声をかける。

「よっよろしく!!お願いしま〜す!!」
亜依と希美は大きな声で答える。

「堅い堅〜い!!そんなにかしこまらなくて良いから!!」
亜依と希美の後ろから、元気の良い声が響く。

亜依達は、ビックリして後ろを振り向く。
「市井さん!!いつから後ろにいたんですか?」

「アハハ!ええと、そうだね・・・手を空に掲げている時ぐらいからかな」
紗耶香が笑いながら先程の亜依達のポーズを作る。

「そんなとこから??ののが手挙げるからやで!もう・・・」
亜依はちょっと恥ずかしくなる。

「ええ?だって気合い入ってきたんだもん!!」
亜依の言葉に希美は、ほおをふくらませた。

これには、全員が爆笑した。
83 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時36分26秒
「おし!!二人早く準備して!!私はいつでも良いよ!!」
紗耶香はマイクを確かめると、そのマイク越しに二人へ話す。

「はっはい!!やろか?のの」
亜依はそういうと手に持ってたギターをとりあえず置いて、エフェクターを取り出す。

希美も買ったばかりの、コンパクトエフェクターを2、3個取り出す。

亜依のエフェクターは、通称マルチ。サイズは大きいがこのひとつでいろんな音を出すことができる。当然、オーヴァードライブからコーラス、ディストーション。クリーンやディレイ、ワウといった音が出すことができる。コンプレッサーやイコライザーもあるので、これひとつで(マルチ)OK。もちろんチューナーも内蔵されている。
横についている車のクラッチみたいなのはボリュームペダルだ。ソロやバッキングがある亜依には必需品である。

希美のは、コンパクト。マルチではないのでひとつひとつがその役割をする。
希美が持ってきたのは、RATというコンパクトエフェクタ、オーヴァードライブである。それに、イコライザー、そしてチューナーである。

84 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)21時37分59秒

それらを二人はアンプに接続する。そして、ギターケースからギターを出す。
亜依の今日持ってきたギターは、前に希美に自慢していたギブソンのレスポールカスタムである。ボディには『亜依』とカッティングされている。このギターは、実際は裕ちゃんと二人でお金を出しあって買ったが、ほとんど亜依の物になってしまっている。

希美は、エピフォンのフライングV。前に亜依から借りていたギターと同じメーカーということもあり、そしてなによりネックが細いので、希美は使いやすいようだ。
RATとの相性も良くて、希美だけではなく亜依自身も、その音は気に入っている。

準備は万全!!あとは、やるだけ!自分たちの力をギターにぶつけるだけ。

亜依は、裕ちゃんの言葉を思い出す。

「亜依、バンドで演奏するとき、練習でもええ、演奏は喧嘩と同じや!真剣勝負なんや。力抜いたらそこで終わりやで・・・」

(よっしゃ!この喧嘩買うたる!)

85 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月19日(土)21時56分42秒
更新早くてうれしいです。
楽しみにしてます。
それにしてもまだマルチを使っているようじゃ亜依ちゃんもまだまだですね。
特にツインギターの場合は歪系のコンパクト繋ぐぐらいしないとね。
86 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)22時13分46秒
>85
感想ありがとうございます!!
しかし、マルチでまだまだってのはどういうことですか?
音的に?ということなら今やっているのはライブハウスなので、
ラックとかは早いかな?と思いマルチにしました。
ちなみに亜依はラックで積んでます通常は。
ライブハウスならBOSS GTー5でいけますから
87 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)22時35分18秒

「それじゃあ、さっそくやってみようか!」
軽い音合わせも終わり、紗耶香がみんなにマイクを通して声をかける。

「いいよ〜ひとみ!カウント!」

・・・チッチッチッチ
ひとみのカウントを数え、それにベース、ギターが絡む。
亜依のイントロのソロがステージに響きわたる。
希美は、きっちりリズムを刻む。
真希のベースは相変わらずの低音。ボーカルの紗耶香は、4人の演奏に身体をゆだねる。

(想像以上・・・すごい・・・本物だよこいつら)
3人、正確には、紗耶香、真希、ひとみが二人の演奏に酔いしれる。
(面白いじゃん・・・市井ちゃんの時とはまた違った感覚・・・これがツインギターか)
真希はニヤリと笑みを浮かべる。

誰に聞かせるわけでもない、空っぽの客席に紗耶香のボーカルが映える。

88 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)22時38分47秒

亜依は、感動していた。ギターを弾きながらこんなにもバンド演奏というのが気持ちいいこととは思ってもいなかった。

(まさに喧嘩や!すごい!すごいで!少しでも力抜くと押しつぶされそうになる!)

希美は演奏に集中していた。この曲は、私のリズムが崩れたら終わり。
あいぼんからも何回も言われてた・・・絶対弾ききってやる。
アップテンポのこの曲でダウンピッキングは、かなり辛い・・・。でも、そんなこといってられない。

曲はサビヘと向かっていた。
ひとみの力強いドラミング、真希のうなるようなベース。
希美の正確なリズムワークは裕ちゃんの教えの賜である。
亜依の絶妙な絡み、ソロでは、心に染みわたるような楽しくも悲しくも感じる音色。

4人の演奏に負けない紗耶香のヴォーカル。

紗耶香自身、DIOのメンバーに送った曲が、亜依と希美が入ると、さらにとてつもない名曲を歌っているような感じを受ける。


89 名前:RUCH 投稿日:2002年01月19日(土)22時40分15秒

(合格だよ・・・この二人は!安心して行けるな・・・アメリカ)

そんなことも思いつつ、サビの歌へと入っていく。

『気づけば 失う感性』
『握りしめたまま 自分はこのまま変わらぬ大人になっていく』
『逆らえない時の中で 自分ができること』
『心の中は変わらぬ 素敵な大人になること』

自分への詩でもあり、メンバーへの詩でもある。
紗耶香は、最後のever greenを熱唱する。

亜依のギターソロが、紗耶香の胸に刻まれる。
曲の雰囲気を壊さず、真っ直ぐに突き刺さるギターソロ。

紗耶香は感動していた、そして、これからの未来へ・・・歌った。
90 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月20日(日)01時24分33秒
僕も高校生でバンドやってるんですけど
マルチはコンパクトに比べると歪系ではやっぱり細いですね。
GT-5、GT-6でかなり改善はされてますけど、
空間系とかはマルチで、基本の歪をコンパクトでやるっていうのがベストですね。
特にツインギターになると相手がコンパクトとかアンプ直だったり
P.U.がアクティブだったりするとかなり負けてしまいます。
それに出来るだけエフェクター繋がないでアンプ直のほうがいいですよ。
91 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月20日(日)01時26分11秒
>>90
の言い忘れ。
面白いです。文句を言いたいわけじゃないので。
加護ちゃんもこれから成長していっていろいろわかってくれることを
祈りつつ、これからも応援してます。
92 名前:RUCH 投稿日:2002年01月20日(日)14時53分46秒
>90、91

いえいえ、ありがとうございます。
私も言い方悪かったですね。申し訳ない。
大変参考になります。
この助言を生かしつつ書いていこうと思います
ありがとうございます!
93 名前:RUCH 投稿日:2002年01月20日(日)15時53分03秒
書きためたいので、ちょこっと休憩。
一応、これまでの登場人物やこれから出てくる人物の紹介。
94 名前:RUCH 投稿日:2002年01月20日(日)15時55分29秒
簡単な登場人物の紹介、これから出てくる登場人物の紹介

【辻希美】・・・この物語の主人公。ギターの腕前はまだまだ、発展途上。

【加護亜依】・・希美の親友であり、相方。腕前は裕ちゃん以上?ギターセンスは抜群。希美のことが好き。

【市井紗耶香】・楽器は色々とこなす。裕子の元付き人。アメリカへと夢を追い求める。

【後藤真希】・・普段は大人しい性格の彼女。ベースの腕前は紗耶香も認める。紗耶香の恋人でもあるが・・・。

【吉澤ひとみ】・ドラムを小さい頃からやっているだけあってうまい。真希とは親友。

【石川梨華】・・ヴォーカルとしては一級品。実は、ひとみの事が好き。

【中澤裕子】・・前は有名なバンドDaysのギタリスト。亜依や希美にギターを教える。

【安倍なつみ】・Daysの元ボーカル。今はボイストレーナー。

【矢口真里】・・Daysの元キーボード。今はいろんなバンドのヘルプでやっている。

【飯田圭織】・・Daysの元ベース。モデルとして今は活動中。

【保田圭】・・・Daysの元ドラム。今は、ドラム教室で先生をしている。
95 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)21時59分27秒

希美らが初の音合わせをする。2ヶ月前。

――――とあるバンドスタジオ

「お疲れー!!」

「お疲れさまぁ、みんな来週練習いれとくね」

楽器のメンバーに、ヴォーカルの石川梨華が伝える。
彼女は、バンド、ピンクポジティブのリーダーである。
小さい頃の音楽への憧れ、歌を歌う。ヴォーカルの姿に魅了され、高校も中退した。
本気で音楽をやるために・・・。
しかし、思いは空回りメンバーは次々に脱退、追加を繰り返していた。
固定のメンバーも組めない。オリジナルもドンドンやっていきたいのだが、メンバーが固定しないと話にならない。

96 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時01分07秒

「ごめ〜ん!!梨華!来週は合コンあるから・・・無理」
ギターの娘が手と手を合わせて謝る。

それと同時に、ドラムの娘もベースの娘も梨華に謝る。
「ごめんね!!来週はマジ予定合って、無理だよ」
「私も・・・多分来週以降はわかんない。高校の友達とも遊ぶしさ」

「え?だって!ライブも近いんだよ!やらないとダメだよ!」
梨華は3人の言葉に戸惑いながらも説得しようとする。

「うーん・・・つーかさあ、梨華みたいに私達音楽本気じゃないから遊びじゃん?うちら」
「え?・・・でも・・・」
何とか説得しようとする梨華もこれを言われたら返す言葉もない。

「じゃあね!お疲れ!!」
そういうと梨華を除く三人は、スタジオを出ていく。

97 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時02分44秒

「ちょっ!ちょっと待って!!」
梨華が追いかけるが三人はスタスタと帰っていった。

(私が間違ってるのかな?本気で音楽やるっておかしいのかな?)
三人が帰る姿を見つめながら梨華は、そんな思いにかられていた。

もう少しでライブハウスDIOで、ガールズライブがある。
私自身、初ライブだしかなり気合い入っているのに・・・。
これじゃあ、良いライブなんてできるわけないよ。
どうすれば・・・?

そうだ!電話しよ!吉澤さんに・・・。今回は無理ってことを伝えよう・・・。

98 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時04分19秒

よっすぃを初めて見たのは、ライブハウス。

私はすごいガールズバンドがいるって聞いて、ライブハウスDIOへ足を運んだ。
バンドDIOを見たとき驚いた・・・。女の子でこれだけの演奏ができるんだって・・・。特に、ドラムなんか女の子が座るとでかいし、力一杯叩かないといけない。
でも、吉澤さんはその辺の男らにも負けていなかった。むしろ、上をいっているくらいに思えた。

そして偶然にも、ジュースの自販機の前で会えた。勇気を振り絞り声をかけた。

『あの・・・DIOのドラムの方ですよね?』
『うん!そうだよ!何か用ですか?』

よっすぃは、笑顔で私に答えてくれた。
これが、きっかけで仲良くなってバンドで出てみないか?と誘われた。

99 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時06分54秒

梨華は、ポケットから携帯電話を取り出して電話をかける。

(・・・プルルルル、プルルルル、カチャ)
「はい?もしもし〜」
「もしもし・・・吉澤さん?」
「どうしたの?」
「あのね・・・えっとね、その・・・」
せっかくのライブの誘いをしてくれたひとみに、梨華は申し訳なかった。

「もう梨華ちゃん、よっすぃでいいよ〜ライブもうすぐだね!練習してる?」

「え?う、うんやってるよ・・・」

「そっかぁ、楽しみにしてるよ!!初めて聞くから梨華ちゃんのヴォーカル!」

「そ、そんなあんまり期待しないでよぅ、緊張するから」
(っていうか、絶対緊張するんだけどね・・・。)

100 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時08分23秒

「あっもう行かないと!!市井さんに怒鳴られるよ〜」

「あ・・・そうなんだ分かったごめんね・・・じゃあね」

「うん!!ばいば〜い!!」

(カチャ・・・ツーッツー)

「やっぱ今更言えないよね・・・頑張るしかないな」
そういうと、梨華は携帯をしまうとバンドのメンバー3人の後を追いかけていった。

そして・・・。
私は、なんとか3人を説得して今回限りを条件にライブへ出ることにした。

歌うのが好きなんだもん!!絶対、あきらめない!!
メンバーはまた、集めればいい!!
頑張ろう!!
101 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時10分54秒
ライブまでの数週間、梨華は必死で練習した。

今ある楽曲の強化、メンバーも私の気迫に押されたのか頑張ってくれた。
よっすぃに良いところ見せてやりたいし、何より人前で堂々と歌える。
頑張るしかない・・・。

ライブ当日は、緊張しっぱなしだった。
朝9時くらいに、ライブハウスDIOへ集まり挨拶もそこそこにさっそくリハーサル。

逆リハって聞いていたから、最初はDIOからだった。


相変わらず、よっすぃは力強いドラムで引っ張っていた。
たまに目が合って、ニコッと笑う。
ちょっと恥ずかしかった・・・。

102 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時13分05秒

DIOの次に白玉ポンチというバンドがリハを済ませる。

次は、私達のリハ。
私はすごい緊張してた。でも、ウチのメンバーもそれ以上に緊張している。

なにか、ひとこと言って楽にしてあげよう。

「ポジティブだよ!!ポジティブ!!ね!!」

「・・・はあ?」
・・・三人の緊張をさらに高めてしまった気がした。

リハの時、DIOのメンバーも含め他のバンドも客席から私達を見る。
私は歌いながら、よっすぃと目を合わせた。
よっすぃは、笑顔で頷いていたので、ほっとした。

103 名前:RUCH 投稿日:2002年02月12日(火)22時15分52秒

――――時はあっというまに本番を迎えた

ステージに行く前に、よっすぃが私の元に駆け寄ってきてくれた

『梨華ちゃん!自信持って!!大丈夫!』
私の肩をポンと叩いて笑顔で言ってくれた。

よっすぃの笑顔を見たら自然と緊張が消えたような気がした・・・。

ようし!!やるぞ〜!!

私は一生懸命歌った。最初は、緊張したけどステージでは力が抜けたのか。
声はしっかり出た。お客さんのノリの良さにも助けられて、私は最後まで歌うことができた。
歌うことが楽しいし、私が昔感じたように一人でも歌をもっと好きになって欲しいから。
私は、音楽を、これからもやっていくことを決意したライブでもあった。
104 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)14時56分42秒

その後どうしてるかって?

バンドは解散しちゃったし、メンバーを募集しているけどまったく、返事もない。
大学とかも当然行ってないし今は、バイトとライブハウス通い。
目的は、メンバー募集の張り紙を貼ることと楽器をやっている女の子を探すこと。

今日は、家でゆっくりしてるけど・・・。

でも、なかなか女の子はいない。いたとしても、即話せるわけでもないんだよね・・・。はあ・・・どうしよ。よっすぃ、どうしてるのかな?
市井さんも脱退したみたいだし・・・。

私がヴォーカルで入るってことできないのかな?

その時、ちょうど梨華の携帯が鳴る。
珍しい・・・鳴ることと言ったら親ぐらいなのに・・・。
ディスプレイを見ると、吉澤ひとみとでていた。
(よっすぃ!?嘘?)
105 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)19時08分18秒
・・・カチャ

「もし、も、もしもし!?」
いきなりのひとみの電話に戸惑いながら梨華は電話に出る。

「梨華ちゃん!おっはぁ!忙しかった?」
「え?ううん!全然大丈夫!ど、どうしたの?」
「・・・うん、あのさぁ今度ライブあるんだけど見に来てくれない?」

「え?ライブ?行く行く!どこ?DIO?」
「そうだよ〜あのさあ梨華ちゃん最近バンドはどう?」

「・・・えっとね、解散しちゃった。ごめんね、連絡しようと思ってたんだけど・・・」「・・・そっか・・・じゃあ今度のライブ絶対来て欲しいんだ。梨華ちゃんに」
「私に?うん!分かった絶対行くよ!」
「じゃあ、今度又電話するよ。じゃね!」
「うん!!バイバイ!」
カチャ
106 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)19時10分45秒
(・・・メンバー揃ったんだ、あのバンドのことだからすごいヴォーカルもすごいんだろうな)

「やっぱり、よっすぃにヴォーカルやりたい!!って言えば良かったなあ」
梨華は、そう独り言のように呟くと自分の部屋のベットへと身体を預けた。

ベットに身体を預けて間もなくまた、梨華の電話が鳴る。

「・・・あれ?よっすぃかな?」
ディスプレイも見らずそっこう電話を取る。

「はい?もしもし・・・」

「もしもし?私!分かる?」
電話の向こうから聞き覚えのある声が返ってきた。

107 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)19時12分56秒

「・・・柴ちゃん!?」

「そうだよー梨華ちゃん元気にしてた?」
久しぶりの古い友人の声に梨華に笑顔が戻る。

梨華と話している相手の名は、柴田あゆみ。

梨華と同じく歌うことが何より好きで、歌を歌うためにアイドルを目指し、見事オーディションで選ばれた。
今は4人グループのアイドルグループとしてテレビやラジオといったメディアでも活躍している。梨華のひとつ年上だが、昔からの親友であり、家も近いことから昔はいつも一緒にいた。

「久しぶりだね!!元気だよ!!柴ちゃんは?」

「うん!!元気!!頑張ってるよ!!」

「そっか・・・テレビでもたまに見るよ。すごいね!!」

「アハハ!・・・ありがとう!梨華ちゃんは?頑張ってる?」

「え?・・・うん・・・頑張ってるよ」

「夢・・・あきらめてないよね?」

舞台こそは違うが同じ夢を二人は誓い合っていた。

108 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)19時15分17秒

「・・・うん。大丈夫だよ!!梨華、頑張ってる!」

「・・・そっか!!良かった!応援してるからね!私もラジオとか最近やってるからさ、絶対梨華ちゃん達ゲストで呼ぶからね!!覚悟しといてね!」
梨華の頭の中に天使のような笑顔の柴田あゆみの顔が浮かぶ。

「うん!!待ってて!!頑張るから!!」
無理に笑顔を作り梨華は答える。

「うん。分かった・・・それじゃ!!」
「うん、バイバイ・・・」
(・・・チャ)
109 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)19時17分43秒
電話を切って、梨華は、部屋に置いていた。ギターを手に持つ。
そして、おもむろにギターをかき鳴らす。

(言葉では・・・何とでも言える・・・でも、実際の私は・・・)

「なにも・・・できない!!」

ギターの1弦が、梨華の言葉と同時に勢いよく切れた。

梨華は、涙が止まらなかった。
(なにをやってるんだろう・・・私は・・・)

110 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月13日(水)21時38分10秒
お待ちしておりましたー
うーむ梨華っちどうなる(w
111 名前:RUCH 投稿日:2002年02月13日(水)21時53分32秒
>名無し読者さん
待っていてくれてありがとうございます。
実は、なかなか筆の方が進まなくてこっからどうしようか悩んでましたが(w
とりあえず、再開します。深夜にもう一回更新する予定です。
112 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月14日(木)00時31分53秒
おお!(w
お待ちしておりますだ(w
113 名前:RUCH 投稿日:2002年02月14日(木)04時45分51秒

――――三日後、よっすぃ達のライブの日。
ライブハウスへと梨華は向かっていた。

「はあ・・・楽しみな反面複雑だな・・・」
とぼとぼとライブハウスへ足を動かしながら梨華は呟く。

紗耶香が抜けて後、DIOはどうなるのか?
梨華自身、DIOのヴォーカルをやりたいと思うようになっていた。

「ライブをやるって事はメンバーは、揃ったんだろう。ヴォーカルも・・・」
(あの、バンドのことだ。きっとすごいヴォーカルを見つけたんだろう・・・)
その、思いを胸に梨華は、ライブハウスへと足を運ぶ。

梨華がそんな思いにふけている時、梨華の前の自販機でジュースを買っている女の子がいた。

普通なら梨華も気づいてよけて通るが、なにせいろんな思いが頭の中を巡っていて目の前の女の子にも気づいていなかった。

114 名前:RUCH 投稿日:2002年02月14日(木)04時49分02秒

(・・・ドン!!)

「痛っ!!」

梨華は、その女の子に気づかず体当たりをくらわせてしまった。

突然の出来事にジュースを買っていた女の子も思わずよろける。

「・・・あっ!!ご、ごめんね!!」
体当たりしてやっと気づいた梨華は、目の前の女の子に即座に謝る。

「ちょっ!!なにすんねん!!ドアホ!!」
梨華に体当たりされた女の子は、さすがに怒っている。

「あぁ〜・・・私、あの・・・ごめん!!気づかなかった・・・アハハ」
「アハハやあらへん!!なんや?喧嘩売ってるんか?」

梨華から見ればどうみても年下だろう・・・。
しかし女の子は、カンカンに怒っていた。
というより、梨華本人は、凄い反省してるのであろう。
しかし、梨華の言葉がさらに女の子を逆上させてしまっている。

115 名前:RUCH 投稿日:2002年02月14日(木)04時50分35秒

「嫁入り前やで!!こっちは!!わかっとんかい?ああ!?」
綺麗な赤髪を奮い立たせ女の子は怒っている。

「ごめんなさい!!ほんとにごめんなさい!!」
年下であろうと、この関西的口攻撃に恐れを感じ、梨華は何度も頭を下げる。

「ほんまに・・・!冗談やあらへんわ!!こっちは、さっきトランプで負けてメンバーにパシられてその上、あんたから体当たりされるんじゃ。たまったもんやないわ!!」
(ののは、一緒に来てくれもせんし!!)

「ごめんなさい!!ほんとに・・・」
梨華は何度も頭を下げる。

116 名前:RUCH 投稿日:2002年02月14日(木)04時54分23秒

「チッ!!もうええわ!!あんたも女やったらシャキシャキあるかんかい!!」
そういうと女の子は、手のひらいっぱいに4つジュースを持つとライブハウスの方へと歩いていった。

「・・・・・・あぁ〜〜怖かった・・・。ほんとに・・・・」
赤髪関西人から解放され心から胸をなで下ろす梨華。
ライブハウスへと入っていく赤髪の女の子を後ろから眺めていた。

「あの娘も、ライブ見に来たのかな?それとも・・・」

一方、赤髪関西人こと、亜依は、ライブハウスへとジュースを持って帰ってきた。
(ホンマ、今日は最悪やで!!こうなったらライブはめっちゃ暴れたる!・・・そういや、あの娘、どっかで見たことあるような・・・?)

梨華と亜依の初めての対面であった。

117 名前:RUCH 投稿日:2002年02月14日(木)04時56分36秒
作者です・・・。
更新を深夜にするといっておきながら、早朝になってしまった。
申し訳ない・・・。
118 名前:RUCH 投稿日:2002年02月15日(金)20時38分24秒
梨華はライブまで時間があったので少し寄り道をした後ライブハウスへ向かった。

ライブハウスにつくと、客の数が予想以上に多い事に気づいた。
しかも、半分以上が男性である。

「もしかして・・・これって全部よっすぃ達のお客さん??」

まだ、会場30分前だというのに、入り口に並んでいる客もいる。
「今まで・・・だと、DIOはいつも最後だったから最初から客も並ぶ事しなかったけど、もしかして、出る順番は最初辺りなのかな?」

もちろん、梨華の独り言なのだが、いつも以上に独り言が爆発している。

「どうしよ?私も並んでいた方がいいのかな???」
男達に紛れて並んでいると、男達の話が嫌でも聞こえてくる。

(マジ!!あのバンドはすごいぜ!?)
(しかも、全員メチャ可愛いんだよな!!)
(ああ、演奏もしっかりしてるしさ!曲もかなりカッコイイよな?)
(マジで、一発で俺ファンになったよ!)
梨華の後ろの男達は、どうやら目的のバンドを見に来ているようだ。

119 名前:RUCH 投稿日:2002年02月15日(金)20時40分36秒

梨華は前の男達の会話に耳を澄ます。

(お前、誰ファン?)
(当然!真希っしょ?俺、DIOの時から見てるんだから!)
(いやー俺は、亜依ちゃんだねー!あの、ルックスでメチャメチャ激しいギターのアンバランスさにマジ惚れた!)

「(へー・・・亜依って人が、ギターで入ったのかー、ヴォーカルは?)」
梨華がそんなことを思っていると、突然後ろから声をかけられる。

「ねえねえ!君もDAY STRIP REGを見に来たの?」
先程の男達が梨華に声をかける。たしかに、こんなにも男達の列の中にポツンとひとり女の子がいる、しかも、美少女と来たら声をかけるのも普通である。

120 名前:RUCH 投稿日:2002年02月15日(金)20時43分35秒

「え???あ〜・・・いやその・・・」
あまり男と会話をしたことがない梨華は、声をかけられて緊張していた。

「もしかして、友達?DSRの!」

「・・・いや、そんなんじゃないです。あの・・・DIOじゃないんですか?」

「DIOは解散したんだよ、んでそのDIOの真希ちゃんとひとみちゃんが新たに組んだバンドなんだよーそれが、DAY STRIP REG。意味は良く知らないけどね」

「俺らと一緒に見ない?」
「いや、・・・結構です」
「いいじゃん!いいじゃん!ってゆーか君どっかで・・・」
その時、梨華の携帯が鳴る。

これをきっかけに梨華は、男達の列から出る。

121 名前:RUCH 投稿日:2002年02月15日(金)20時45分09秒

「はい!もしもし・・・」
「もしもし〜梨華ちゃん?いまどこ?」

「え?もう来てるよーDIOに」
「あっ!そうなの?それじゃあさあ関係者出入り口から入ってきなよ!」

「え?いや、いいよー・・・」
「そう?じゃあライブ終わったらさ、また、電話するからDIOにまだ、居てね」
「うん!分かった・・・頑張ってね」
「まかせなさ〜い!っていってもまだ、曲は3曲だからね」
「そうなんだ・・・じゃあ見てるから」
「うん!!バイバイ!また、後でね〜」

(・・・・・・チャ)
ひとみとの電話を切ったあと、すぐに開場が開始された。
客達は、どかどかとDIOの中に吸い込まれていく。

122 名前:RUCH 投稿日:2002年02月16日(土)17時38分24秒

――――開場されて人混みに揉まれること5分あまり梨華はやっと中へ入った。

すでに、客席は満員御礼。
ステージ前には大きい幕のようなものがあり、ステージの中はまだ見れない。
SEがかかっている、激しいギターリフや重低音の響きが客をさらに煽っている。
SEの中、ギターやベースの音が、ガガっとなる。最後の音チェックであろうか?

客はすでにSEに合わせて相づちを入れる。
熱気が凄まじい・・・。
「Oi!!Oi!!Oi!!」
すでに、ライブが始まったかののような客の熱気ぶりに梨華は圧倒されている。

123 名前:RUCH 投稿日:2002年02月16日(土)17時41分08秒

SEも終盤にさしかかった・・・その時!!
幕がゆっくりと開く・・・。
客の熱気は最高潮に達した。
しかし、ステージはもぬけのカラ・・・。
アンプやドラムだけがどかどかと小さいステージに敷き詰められている。
ドラムの上の方に『DAY STRIP REG』と走り書き文字で書かれている。

(いきなり!?一番最初なの??)
梨華は、今まで見たことがないような雰囲気を感じ取っていた。
そして、今からあるだろう出来事にドキドキいや、ワクワクしていた。
自分自身感情を忘れてしまいそうな・・・それほどの雰囲気・・・。

下手からDAY STRIP REGのメンバーか?一人現れる・・・。
客が叫ぶ!!声援が凄い・・・。

124 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)20時38分13秒
さ〜はじまる(w
はじまるぞぉ(w
125 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時38分50秒

(あの娘!!さっきの!?)
赤い髪を立てて、持っていたギターをかき鳴らす。
彼女の煽りかたが凄い・・・。客に向かって汚い言葉を吐き散らす。
それとは、逆に客は、さらにテンションは上がってくる。

続いて、他のメンバーが出てくる。メンバーは全部で4人。
全員が髪の毛を立てて、顔は真っ白なメイクビジュアルバンドを匂わせる。
(ギターが二人・・・ベース、ドラム・・・ボーカルは?)
梨華は、ボーカルを捜す。しかし、ボーカルは見当たらない。

ひとみや真希CO2をまき散らし、客を煽る。
ひとしきり、DAY STRIP REGのメンバーは客を煽ると楽器のセッティングをする。 

そして客から、希美と呼ばれたギターの娘が立てられたマイクを持つ。

126 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時41分22秒

「いくぞーーー!!!!てめーら!!!!」
希美が客を指差し、吠える。
それと同時に間入れず、ドラムのカウント共に爆音が鳴り響く。

凄まじいリフと共にDAY STRIP REGの弦楽器隊3人は、激しく頭を振る。客のヘッドバッキングも凄い!
ボーカルは、どうやら希美のようだ・・・。ギターボーカルという形である。

(す・・・凄い!!全員・・・よっすぃも髪をたてて化粧もしてる・・・カッコイイ!)
「すごいよ!!この、バンド!!」
梨華は、女でいることをこのときは、忘れた・・・。

男達の中に混じって、盛り上がる。髪も滅茶苦茶になりながら時には、頭を激しくゆらし、ときには、握った拳を上にかざす。
ギターを弾きながら、亜依が、梨華に気づく。

127 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時43分06秒

「熱いじゃん!!お前上がってこいよ!!」
そう言ってるように、亜依は梨華を指差す。

梨華のテンションも最大まで上がっていた。
気づけば、一番最前列まで、来ている有様だった。
2曲目も、激しい曲。亜依のソロが凄まじい・・・。
その、曲の途中でメンバー紹介をDAY STRIP REGは始める。
ドラムはリズムをずっと刻んでいる。

「はい!!!ここでメンバー紹介します!!!」
希美の言葉に客がさらに声を上げる。

128 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時45分51秒
曲は2曲目の途中である。
ドラムが一定に刻みながらここで自己紹介へとはいる。

「リードギター!!!亜依!!!!」
亜依は、ステージの一番前までやってきて、リフを弾きながらゆっくり客を眺めていく。そして、最後にピックを投げる。

「ベース!!!!真希!!!!」
亜依の時と同様、すごい声援である。
真希は、表情一つ変えず凄まじいベースを披露する。

「ドラム!!!!ひとみ!!!」
ひとみは、真希とは逆ににやりと笑い激しいドラミングを叩く。
その目は、間違いなく梨華に向けられていた。

「ギターヴォーカル!!!希美!!!」
亜依が希美を指差す。
そして、希美と亜依のギターコンビが背中を合わせギターソロを弾く。

亜依の攻撃的かつメロディアスなメロディ、希美の華麗なバッキングが梨華の胸に突き刺さる。


129 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時47分32秒
(・・・凄い二人が入ってきたな〜・・・)

歌いたい・・・その、思いが梨華のなかでさらに強くなる。
このバンドで歌いたい・・・

DAY STRIP REGのボーカルとして・・・

梨華は、いつになく鋭い目線で、DAY STRIP REGを見る。

バンドの核ともいうべき、力強くそれでいて、繊細なリズムを叩くひとみ。

心臓をえぐり取られそうになるほど、低音で太いベースを弾く真希。

ヴォーカルも担当しながらしっかりとリズムを刻む希美。

攻撃的で強烈なギターソロからリフに至るまで
DIOとはまた、違った色を見せつける亜依。

130 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時49分12秒

(・・・すごい!・・・この4人なら・・・私も・・・)

頑張れるのではないか・・・?
DAY STRIP REGに・・・入りたい!!
梨華がそんな思いにかられている間に、曲はラスト一曲となった。

「もっと!!!暴れろや!!おまえら!!」
亜依が客席を煽る。
彼女はこの客のノリでも満足はしてない・・・。

希美が叫ぶ。
「ラストー!!!ever green!!」

DIO時代のラスト曲であった、ever greenの復活。
客の歓声が凄い・・・もう、聞くことはないと思っていたのだろうか?

新たに編曲がなされて、完成された作品。
亜依と希美の加入で、DIOとはまったく違ういろんな表情が付け加えられている。

131 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時51分02秒
梨華は、その曲に聴き入っていた。
はしゃぐことも忘れ、じっとDAY STRIP REGのメンバーを見つめる。

亜依が、笑顔で希美の所に駆け寄り、邪魔をしたりしてふざける。
真希も微かに笑みをこぼしている。ひとみも笑顔だ。
さっきまでの2曲とはまた違う意味で、Ever Greenは客を、会場を包み込んだ。会場が一つになるとは、まさにこういうことなのか?

客は全員、ジャンプしている。マサイ族??といった感じか・・・。
最後に、希美が歌を歌い終わると、曲は最後の伴奏へ入る。
その時、梨華は希美と目が合う。
希美は、笑みをこぼすと梨華に向かってピックを投げ入れた。

DAY STRIP REGの熱いライブが終わった・・・。

132 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時53分36秒
5/4 ライブハウスDIO(対バン)
    ★DAY STRIP REG★
V&G.希美 G.亜依 B.真希 Dr.ひとみ

〜セットリスト〜

1.KILL ME(作曲 亜依 作詞 亜依)
2.STRIP (作曲 亜依 作詞 亜依)
3.Ever Green(作曲 さやか 作詞 さやか)

133 名前:RUCH 投稿日:2002年02月18日(月)16時57分37秒
>名無し読者さん
始まりまして終わりました(w
どうも、ライブの感じを文で伝えるのが難しい・・・。
134 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月21日(木)15時03分50秒
終わりましたか(w
梨華っちはこれからどうなるのでしょう(w
135 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時30分23秒

・・・凄いライブだった。

梨華は、DAY STRIP REGのライブが終わると足早に外へ出た。

滅茶苦茶になった髪の毛を整える。

そして、水分を補給しながら自販機の横に座る。

(疲れた・・・これほどの熱気は初めて・・・)
「まいったな・・・あれだけのライブを見せつけられると・・・」
梨華は、自分が客としてみているのが辛かった。

(よっすぃはたしか、待っててくれって言ってたから・・・ここで待ってればいいかな)

休んで5分経ったぐらいか、梨華の携帯が鳴る。

136 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時32分23秒

「・・・はい、もしもし」

「梨華ちゃん!?お疲れー!!」

「よっすい?お疲れさま!!かっこよかったよ!!ライブ!」

「アハハ!!ありがと!それより、梨華ちゃんの盛り上がり方もよかったよ!」

「え?やっぱり見られてた?(笑)だってーほんとにかっこよかったから・・・」

「でさぁ、会って話がしたいから関係者入り口から入ってきて!!」

「え?う、うん、わかった・・・」


電話を切ると梨華は、一度だけ入ったことのある関係者用の出入り口へと向かう。

ドアを開けると、ひとみが待っていた。
シャワーを浴びたのか?髪の毛はまだ、濡れている。
ライブ後の火照りで顔もうっすら赤くなっていた。

137 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時37分46秒

「ハハハッ!!梨華ちゃんもなんかライブやった後みたいだね!」
ひとみが笑顔で笑っている。
たしかに梨華は、メンバーに負けないぐらいのテンションではしゃぎまくっていたので顔はまだ赤い。

「だって、熱気が凄いんだもん!熱かったー」

「ハハハ!んじゃ、こっちきてー」
ひとしきり笑っていたひとみが奥へと促す。
梨華は、わけも分からずにとりあえずついていく。

ひとみは、控え室と書かれているドアを開ける。
「お待たせ!連れてきたよー」
ひとみが中にいる人に呼びかける。梨華は一瞬(え?)固まる。

「(もしかして、いきなりメンバーと会うの!?)」
ひとみが、梨華を控え室へと連れていく。

梨華の目の前には、ひとみと同じように火照った顔でジュースを飲む、希美と亜依の姿があった。衣装もステージで着ていたやつをまだ、着ていた。

「あれ???この人???」
希美が不思議そうに梨華を見る。
「あっ!?ぶちかまし娘や!!」
亜依が笑いながら梨華を指差す。

138 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時40分57秒

「えっと・・・お疲れさまです!!」
梨華はどうしたらいいか分からずとりあえず、ペコッと頭を下げる。

「新しいヴォーカル候補だよー!!」
ひとみが笑顔で梨華を見る。

「え?私が!?」
梨華は、全然聞いていない話に戸惑う。
しかし、DAY STRIP REGでヴォーカルとして歌いたかったのは事実。驚きと喜びの中で梨華は戸惑いを隠せない。


「え?いや、あの、その・・・」
梨華は、テンパっていた。今の状況もいまいち飲み込めない。

「おおっ!!新しいヴォーカルか!?そら歓迎やで!正直、ののではきついか・・・と」亜依が悪戯な笑みを浮かべて希美を見る。

「それは、どういう意味だあ!!あいぼん!」
希美が亜依の背後に回りスリーパーに入る。

「ごめん!!のの!堪忍やー、チョークチョーク!!はいってるて!ギブギブ!!」

希美と亜依のはしゃぎっぷりにひとみと梨華は、笑っている。

139 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時44分18秒

「こんな二人だから、梨華ちゃんもすぐにとけ込めるよ!」
ひとみがぽんと梨華の肩を叩いて言う。

「え?でも、私・・・」
ひとみの言葉でも、まだ、自分がヴォーカルやることに戸惑いが梨華にはあった。

そうこうしてると、控え室にシャワーを終えた真希が帰ってくる。

「・・・あれ?お客さん?」
真希が梨華を見た後にひとみに聞く。

「ごっちん!お帰りー、この前話してたヴォーカルの・・・」
ひとみが真希に梨華を紹介する。

「なるほどね、梨華ちゃんはこれから予定あるの?」
紹介を終えて真希が梨華に聞く。

「いや、なにもないけど・・・」
梨華が答える。
後ろでは、希美と亜依がまだ、じゃれあっている。

140 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時49分55秒

「んじゃあ、今日は打ち上げこれるよね?その時話をしようか・・・」
真希が珍しく優しい笑顔で梨華に話す。

「うん・・・わかった!」
梨華も笑顔で真希に答える。

「ところで、なんで亜依は梨華ちゃん知ってるの?」
ひとみが不思議に思い亜依に言う。

「簡単な話、ぶちかましをくらったんよ!痛いわ!ホンマに・・・」

「なにそれ???」
真希とひとみが亜依に聞く。

亜依が事を説明すると、梨華を除く全員が爆笑した。


141 名前:RUCH 投稿日:2002年02月24日(日)06時54分10秒
とりあえず、今日の更新はここまで。

>名無し読者さん
もう分かると思いますが梨華っちがボーカルです。
やっとメンバーが揃いました。
今、考えるとかなり長くなりそう・・・。
142 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)21時48分29秒
おぉ(w
予想通りですね(藁
さーこれからどんどんどんな展開になっていくのか(w
143 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時41分38秒

以外にバンドは上下関係が厳しい・・・。
今回、対バンで出演したDAY STRIP REGは、先輩バンドの楽器の搬入など手伝いをしなくてはならないのだ。

バンドとして、付き合いも大事である。
行きたくもない打ち上げにも積極的に参加する。
廻りはほとんどが男の連中、飲み会の席でナンパしてくる輩も少なくはない。

すでに、DAY STRIP REG(DSR)は、ワンマンをはれるぐらいの動員数を増やしてはいるが、対バンなどの先輩バンドとも仲良くしておけば、ライブに出演できる回数も増える。
今、DSRがめざしているのは名前を覚えてもらうこと、ワンマンの場合、見たい人しかほとんど来ないが、対バンなら他の違うバンド目的で見に来る人もいるからその人達も引き込もうという考えである。

今回は、主催のバンドは打ち上げは個々でするということなので、DSRのメンバーは、主催バンドの手伝いをした後、自分らだけで打ち上げをする予定である。

144 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時44分25秒

「あっ!!ごっちん!!今回、裕ちゃんも打ち上げ来るって言ってたで!」
亜依が主催バンドの搬入を手伝いながら真希に話しかける。

「そう・・・じゃあ、お酒いっぱい買ってこなくちゃいけないな」
真希もステージや客席の掃除をしながら、答える。

「いやいや、なんか裕ちゃんが酒は買ってくるって!!だから、こっちでまっとけばええ!!」

「・・・・・・そっか」

(なんか・・・うまくいきすぎて、怖いな・・・)

真希は、手伝いをしてるメンバーを見回しながら思う。
そして、独り言のように呟いた。

「インディーズ・レーベル・・・か」

145 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時47分06秒
(市井ちゃん・・・私頑張るよ・・・)

・・
・・・
・・・・・
亜依と希美と初めて音合わせしたあの日・・・。

『いいよ!!初めての音合わせでこんなに感触良いのは初めてだよ!!』

市井ちゃんが自分のことのように喜ぶ。
この人は、どうしてこれほど喜んでくれるんだろう・・・。

初めて市井ちゃんにあったときもそうだったな・・・。

そのころの私は、人と話すことがなにより嫌で学校でも孤立してた。

私の唯一の楽しみは、学校の音楽室になぜか置いてあった。古ぼけたベース。

今考えるとチューニングも合っていないようなベースを昼休みになったらぽろぽろ弾いてたんだっけ・・・。
146 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時49分05秒

でも、ベースを弾いてるとなにか優越感に満たされた。

アドリブで弾いて、カッコイイフレーズができたら一人で震えながら感動してた・・・。その頃から、ずっと音楽ばかり聴いてたから見よう見まねでベースのフレーズを探す。

あの時も、お昼休み。

みんなが外とかに遊びにいくが、私はいつも通り音楽室へと向かう。

誰もいない音楽室のなかにアコースティックギターとともに、端っこにちょこんと置いてあるベース・・・。
楽器屋で買ってきたピックを使い、ただ、弾く・・・。

楽器屋にあるスコアを立ち読みしつつ、フレーズを頭のなかで覚えて置いて、次の日の昼休みにさっそくためしに弾いてみるといった感じの毎日。

『・・・えっと・・・どんなんだっけ?』

覚えて置いたフレーズが出てこない・・・こんな感じだったっけ?それとも・・・。
自分で試行錯誤を繰り返していた。

その時・・・。

147 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時50分37秒

『その曲は、Gからやってみなよ!』
声の方に振り向くと、笑顔の市井ちゃんがいた。

初めてこの時出会った。

市井ちゃんは、アコギを持つと私が弾こうとする曲を奏でた。
そして、私を見る。優しい笑顔で私に問う。

『音楽好き?』

『・・・・・・うん』

『楽器好き?』

『?・・・・・・うん』

『楽器は、仲間と一緒に弾くともっと楽しくなるよ!!』
市井ちゃんは笑顔で私に言った。

『名前は?』

『・・・・・・後藤・・・真希』

148 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時52分21秒

『私は、紗耶香!!市井紗耶香!よろしくね!!』

私とは正反対な会心の笑顔で私と握手を求める。


音楽をきっかけに私達は仲良くなった・・・。


それからは・・・市井ちゃんとずっと、一緒・・・。
市井ちゃんの紹介で、よっすぃにも出会った。
私が苦しいときは、いつも市井ちゃんがいてくれた。


学校を中退して、音楽の道へ行くと決めた市井ちゃんは、DAYsというバンドのローディーをしながら、プライベートは私と遊んでくれた。

DAYsが解散して、私達はバンドを組んだ、とはいっても私が強引に誘ったんだけどね。練習では、厳しい市井ちゃん・・・。

でも・・・一歩、音楽から離れると天使のように優しい市井ちゃん・・・。

好きだよ・・・
149 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時56分51秒
いつからだろう・・・?

こんなに好きになったのは・・・。

市井ちゃんの前では、私は素直になれた・・・。

喧嘩もした・・・弱音も吐いた。

そんなとき市井ちゃんは、私を抱きしめてくれた・・・。

好きだよ・・・市井ちゃん。

市井ちゃん。これからも思いはずっと変わらない・・・。

音楽やり続けるよ!!市井ちゃんのそばにいる気がするから・・・。

アメリカへ行っても・・・。



150 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)01時58分50秒


『バンド名、考えたんだ!!』
市井ちゃんが私やよっすぃ、亜依、希美の前で言う。

『え??なになに???』

『DAY STRIP REG!!』

『デイ、ストリップレグ??』
私達は顔を見合わせた。

『意味は・・・まあ簡単に言えば一日をさらけ出す!!みたいな』

『レグは?』
亜依と希美が聞く。

『お前ら二人のこと!!REDとGOLDを混ぜたんだ!いいでしょ??』
市井ちゃんが会心の笑顔で説明する。

『・・・は、はあ』
結局このバンド名で落ち着いたんだよね・・・。

151 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)02時01分39秒

『ロックってさ、私は良い意味で裏切るってこともするんだよね・・・だからさ、最初は自らをメチャクチャ飾り立てるの!んで、自分たちでこの時だ!ってときに飾るのをやめちゃうの・・・』

DAY STRIP REGのプロデュース市井ちゃんって感じ・・・。
でも、反対する人は誰もいなかった・・・。

そして、プロデューサー最後の仕事が、裕ちゃんの紹介・・・。
インディーズレーベルを立ち上げる人を紹介してくれた。
亜依の親変わりもしてる裕ちゃんだけど、亜依自体も、レーベル立ち上げることは知らなかった。極秘でどうやら進めていたらしい・・・。
立ち上げ人は、裕ちゃんを含めたDAYsのメンバー・・・。
所属バンドは、DAY STRIP REGしかまだ、いない。

ぎりぎりの旗揚げ・・・。

『立ち上げたっていうても、まだ、なにもできんからな・・・とりあえずは、少しのプロモーションぐらいやろな!とにかく、今は曲作りと練習あるのみやで!名前を売るのはもちろんのこと、期待してるで!』
亜依と同じ口調で、裕ちゃんは話す。
どうなるのかな・・・これから・・・。まあいいか・・・。

・・・・・
・・・・
・・・
・・


152 名前:RUCH 投稿日:2002年02月26日(火)02時05分48秒
とりあえず今回はここまで。


>名無し読者さん
これからどうなるか、私も分かりません(w
153 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月07日(木)01時04分33秒
ひさぶりにきた(w
どんどん進んでますね、これからもがんばってください
154 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時23分19秒
ライブから二日が経った・・・。
ライブの後打ち上げで、梨華が正式にDAY STRIP REGの一員となった。
そして、これからに向けての打ち合わせを元Days兼レーベル社長の中澤と話し合った。
一方、その梨華はというと、さっそくDSRの手荒い洗礼を受けて、打ち上げでは完全に酔っぱらってしまった。そのおかげですっかりDSRにもとけ込めたようだ。

バンド練習は、今日はない。
つい最近ライブがあったので、曲作りも兼ねての少しの休み・・・。
しかし、曲を作るのはほとんどが亜依なので、みんなは個人練習である。

その中のひとみも例外ではなかった。
特に休みはやることがないのでドラムの練習に時間を費やす。
ひとしきりドラムを叩いたあと、休憩をしていたら携帯が鳴る。
ディスプレイには「後藤真希」と表示されている。

ディスプレイを見た瞬間、「またか・・・」とひとみは思う。
とりあえず、電話に出る。

155 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時29分21秒
「・・・もしもし、なに?」
いつもの明るい表情であるひとみが真希の電話では厳しい顔になる。

「よっすぃ?今暇?・・・私、寂しいんだよね・・・」

「ごっちん・・・やめようよ・・・こんな関係」

「どうして?よっすぃ・・・このところ冷たくない?」

真希の寂しそうな声を聞いてひとみは、悩む。そして、
「・・・今から?」
厳しくは言えなかった・・・。

「アハハ!!さすが、よっすぃ!今から来て!待ってるから・・・」
一方的に電話は切れた・・・。

「・・・・・・ふう」
ため息にも似た声を出して、ひとみは真希の家へと向かっていった。

156 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時35分55秒

それから三日後・・・。
日を改めて裕ちゃんは、DSRのメンバーに元DAYsのメンバーを紹介する。
紹介の前に、亜依が中澤に聞く。

「ねえ、どうしてレーベル立ち上げたの?」

「・・・これは、私の独り言と思って聞いてくれ・・・道をつくるんや・・・女の子でバンドしたくても周りにいない子は沢山おる。ウチらがその道さえつくれば、そんな子達の夢も叶えさせてやることができると思ったんや・・・。バンドやってるときからそれは、思ってた。だから、ウチらはその道を作る。そして、勘違いじゃなければ実力あるバンドを見つけることができた・・・そのバンドがその架け橋としてみんなに夢を与えるバンドになってほしいんや。」

「お〜〜!!カッコイイ!!裕ちゃん!」
横にいる安倍が笑顔でちょっかいを入れてくる

「ええから!そんなんは!・・・んじゃあとりあえず」
裕ちゃんが元DAYsのメンバーを紹介する。

「梨華、あんたの師匠になる。なつみさんや」

「よろしくね、梨華ちゃん」
なつみが梨華に握手を求める。

157 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時37分12秒

「はっ、はい!!」

「ひとみ、あんたのドラムの師匠になる。圭ちゃんや」

「よろしく!!」

「は、はあ」
ひとみは、よくわからないがとりあえず圭と握手をする。
「ほんで、真希。あんたを教える人は圭織や」

「真希ちゃんね、よろしく」

「・・・・・・・」
真希は無言で握手をする。こういった場に似合わないことは自分でも分かっている。

「え?ほんでウチらは?」

「誰なんですか?」
亜依と希美が中澤に聞く

「は?なにゆうてんの!ウチにきまっとるやろ」
中澤が自分を指差す。

「ええーーー!!!??」

「厳しくいくからな!覚悟しいや!ほんでわからんことあったらちゃんと聞くんやで」

一通りの紹介は終わる。そして、DSRとDays Recordsのメジャーまでの道のりが始まった。
158 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時45分24秒

――――DAYSのメンバーとの対面から二日が経った

「いらっしゃいませー!!」
希美は、いつもの週間通り、裕ちゃんのCD店のバイトをしている。
もちろん、亜依も一緒である。

しかし、この店もあと2,3日で終わることになった。
・・・というのも、ここがインディーズ・レーベル『Day Records』の事務所となるのだ。だから、今はそういった機材関連の物が次々に届いてくる。

「はあ・・・バイト探さないといけないな」
希美が適当にCDを整頓しながらしながら独り言のように呟いた。

いくらレーベルに所属したといっても、今のところ給料などもらえるわけではない。
生活費や楽器や機材の資金は、すべて自分たちでなんとかしなければならない。
そのかわり、DIOだけではない、いろんなライブハウスに出演させてもらうことができそうである。少しではあるがプロモーションもしてくれる。

「のの、なにボーっとしてるん?」
亜依が、店の奥から顔を出す。

「うん、バイトのこと・・・」

「そやんなー、どうしよか?特にうちらこんな髪してるから食事系のバイトは無理やで」
亜依が自分の赤髪を摘みながら言う。

159 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時50分55秒

「そうだよー!!どうしよ?あいぼん!!」

「バイトとかじゃなくても一つだけ良い方法があるんや!!」

「え?なになに?」
希美が亜依の元に駆け寄る。

「えへへ、それはあとで分かるでー」
そういうと亜依は2階へと上がっていった。

「ケチー!!今教えてもいいじゃん」
頬を膨らませて希美は怒るが、なんとなく亜依の考えは分かったような気がした。
というのも今日はこの後、バンドの練習である。
そのうえ、亜依はメンバーに新曲2曲を今日までに絶対覚えておくよう念を押していた。

「こら!!希美!仕事せい!!給料へらすぞ!」
裕ちゃんの怒声が響きわたる

「それはやめてくだしゃい・・・」
頬を膨らませて希美は、渋々仕事場に戻る

160 名前:RUCH 投稿日:2002年03月08日(金)21時54分26秒
>名無し読者さん

毎回アリガトです。とにかく早く完結めざしてがんばります。
161 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月21日(木)23時19分23秒
お待ちしてますよ(w
162 名前:パム 投稿日:2002年03月22日(金)08時14分15秒
今日見つけて一気に全部読ませてもらいました。
面白いっす!。昔自分もほんのちょこっとベースかじってました(w
ってことで自分的イチオシはごっちん!(w
ごっちんがチョッパー,,,かっけぇぇ!!。
次も楽しみにしてマタ〜リまってるっす。ガンガッテくだせぇ!
163 名前:RUCH 投稿日:2002年03月23日(土)21時15分24秒

その日の夜、DIOへと向かう亜依と希美。

「さあて、いっちょ気張るでー!!」

「やっぱり、録音するの?」
希美もだいたい分かっていたがとりあえず聞いておく。

「そうや、裕ちゃんが作ったらええって!んで、いろんな所で売りさばけば大丈夫やん?きっと!!」

「でも、まだ、3曲だよー」

「大丈夫!!新曲もみんなに聞かせてあるし、詩もできあがったから心配あらへんよ。まだ、曲のストックもあるから徹夜で今日はやるぐらいでいけば大丈夫やろ」
亜依には確かな自信があった。

DIOへと到着したら、すでにベース、ドラム、そして、マイクを通した声が響いている。

「相変わらず、早いなー!!予定より30分早いでー」
亜依が時計を見ながら言った。
「梨華ちゃんとの音合わせは今日が初めてだねー」
希美は初の梨華との音合わせにワクワクしていた。

164 名前:RUCH 投稿日:2002年03月23日(土)21時17分55秒

「おいーーっす!!」

「梨華ちゃん、チャーオー!」

いつもの練習場所である、ステージがあるドアを開けつつ二人が挨拶する。

「来た来た・・・」

「遅いぞー!!おまえらー」

「おはよー!!」
真希やひとみそしてヴォーカルの梨華ちゃんが笑顔で声をかける。

「30分前やん!!ってか梨華ちゃんも夜やし!」

亜依のツッコミに真希やひとみも苦笑いを浮かべている。

「んじゃあ、とりあえず今日は新曲の練習と・・・。できたら今日録音もしたいんやけど」
DSRのリーダー?である。亜依が皆に言う。

「そうだね・・・でも、録音はどうやってするの?」

「録音の仕方は、よっすぃも分かるし、あと深夜に裕ちゃん達も様子見に来るって言うてたから、そんときでええやろ。まあ、うちらの一作目がライブアルバムってなんか良い感じやん?それまでは新曲2曲の練習と今ある楽曲の強化やね」
真希の質問や指示をテキパキと亜依が出す。

その間、希美は自分のと亜依の分のセッティングをこなす。
DSRのいつもの光景である。

「オッケー!!じゃあやろうか!」
ひとみのバスドラの音が練習の始まりを告げる。

165 名前:RUCH 投稿日:2002年03月23日(土)21時19分59秒

――――練習から4時間が経った

初の梨華との音合わせも良い感じである。
久々に、なにか紗耶香とやった時を希美は思い出していた。

新曲の方も、最初は全員苦戦していたがやっと形になってきた。
そしてなにより、梨華のヴォーカルが凄い。
水を得た魚のように、歌えば歌うほど声がよくなる。

「おっしゃ!とりあえず休憩かな!なんか良い感じやん?」

「そだねー、すっごい良いよ!!梨華ちゃん!」
亜依と希美は、上機嫌である。

「そう?良かったー!!なんかすっごい緊張した」
梨華も確かな手応えを掴んだようだ。

「ねえ、よっすぃ。最後のベースどうだった?今までとはちょっとフレーズ変えてみたんだけど、リズムとりにくい?」

「いや、最後のテイクの方がリズム取りやすかったよ」

ひとみの言葉に満足して真希は頷く。

「じゃあ、今回は新曲を2曲いれて、全部5曲を録音しよか?」

亜依がそういうと全員が頷いた。

「・・・お腹空いたー!!!」
希美が叫ぶ

「もう・・・あんたそればっかりや!」

とりあえず、良い感じでDSRは第2のスタートを切った。

166 名前:RUCH 投稿日:2002年03月23日(土)21時26分16秒
>名無し読者さん
お待たせしました。最近忙しいんで少しづつ書いていきます

>パムさん
ありがとうございます!!ごっちんのチョッパー映えるのでかっこいいかなと(w
少しづつですが書いていきますので暇なとき見てやってください
167 名前:RUCH 投稿日:2002年03月25日(月)22時23分27秒

深夜を過ぎ、ひとみは梨華は買い出しに向かう。
その道中、やっとお互いがゆっくりと話す機会になった。

「どう?梨華ちゃん、DAY STRIP REGは?」

「うん!凄い楽しいし、ヴォーカルだけに集中できるのが大きいかな」

「ん?というと?」

「私、今までピンクポジティブのリーダーやってて・・・本当はリーダーなんて向いてないんだけど自分がやらないことには進まなかったから・・・ね」

少し沈んだ表情の梨華を見てクスッとひとみは笑う。
それは、梨華をバカにしてるとかそういったことではない、今でさえメンバーに振り回されてきている梨華が、リーダーとしてバンドを引っ張っていたことが想像がひとみにはつかなかった。

「そっか!やっぱ梨華ちゃん誘って良かった!どこか空回りしてる感があったから」

「アハハッ!そうなんだよね・・・いっつも空回りしてた。だから、よっすぃに誘われたとき、すっごく嬉しかったんだ。やってやろう!!って気持ちになった」

梨華は、笑顔でひとみを見る。

168 名前:RUCH 投稿日:2002年03月25日(月)22時28分54秒

「ウチはさ・・・リーダーはいないんだけど、バンドをやっていく上で色々まとめてくれる加護がいるし、冷静に現状を受け止めて、アドバイスを出すごっちんもいるし、辻と私は実際は二人に任せきりな部分がすごいある」
ひとみがいつもは決して口に出さない本音を吐く。

「でも、みんなすごい主張するよね?お互いがすごい刺激し合ってるっていうか・・・」

「そうだね、確かになにかやるときとかは絶対みんなで話し合うからね!どんなことでも、曲が一人でも気に入らなかった奴がいたら即話し合い。だから新曲に関してもプリプロにはすごい時間かかるねー下手なバンドだから!!アハハ!!」

「そうなんだあ。話変わるけどごっちんってさ、すごいクールだよね!なんかカッコイイなー!」
梨華の発言に一瞬、厳しい表情をひとみが浮かべる。
しかし、余計な心配はかけたくない・・・。

「・・・いやいや、そんなことないんだよー凄い甘えん坊な部分あるしねぇ・・・」
とりあえず、梨華には普通にコメントする・・・が深くは言わなかった。

「そうなんだぁ、へぇ」
梨華も、ひとみの表情が変わった気がしたが気にはしなかった。

169 名前:RUCH 投稿日:2002年03月25日(月)22時31分33秒
「・・・って、コンビニ通り過ぎてるじゃん!!」

「え?嘘!?」

ひとみのツッコミは正しかった。
いつのまにかコンビニを通り過ぎてかなりの距離を歩いていたようだ。

一方、DIOで待っている三人はというと・・・。

「遅いなあ・・・なにやってんねん、お腹空いたわ」

「お腹空いた!!早く帰ってこないかなー!!」

なかなか帰ってこない二人に苛立ちをかくせない。
真希も同感である。

「たしかに遅いよね・・・今のうち加護、イントロもう少し練ろうよ」

「そやなぁ、のの!やるで!」

「やだ!!食べてから!!」

「んもう!小学生やないんやから・・・」

「アハハハッ!!しょうがないね・・・しばらく寝よ」

「・・・!?」
真希の言葉に驚き、亜依は、視線を寄こしたらすでに寝息を立てる。真希がそこにいた。

・・・どうやらマイペースに二人を待っていたようだ。

170 名前:RUCH 投稿日:2002年03月25日(月)22時37分15秒
録音作業を始めて三日後、後にインディーズ業界を揺るがす大ヒットを記録する一枚のみにアルバムが産声を挙げる。




      1stライブミニアルバム
      『LIVE STRIP』
Vo.梨華 G.亜依 G.希美 B.真希 Dr.ひとみ
1.KILL ME      (作曲.亜依 作詞 亜依)
2.STRIP       (作曲.亜依 作詞 亜依)
3.HOLD ON ME  (作曲.亜依 作詞 亜依)
4.CALLING YOU (作曲.亜依 作詞 亜依)
5.EVER GREEN (作曲.さやか 作詞 さやか)

all arrangement.DAY STRIP REG

Special Thanks. Days

171 名前:パム 投稿日:2002年03月26日(火)07時13分30秒
更新お疲れ様です。バンド内の恋愛模様にけっこう萌えてます。(w
やっぱりごっつぁんは(゚∀゚)イイ!!。(w
次も期待してマターリ待ってます。ガンガッテくだせぇ!。
172 名前:RUCH 投稿日:2002年03月27日(水)00時20分29秒
結局、アルバムができあがったのは三日後であった。

亜依がこだわっていたDAY STRIP REGの音楽を求めた結果、3日、一発録音に時間を要した。
自費出版(インディーズ)だけど、初めて自分たちの音楽がCDになった。
CDを作った感動や嬉しさが涙となってこぼれた。

そしてなにより、一発録音ということもあり勢いがすごく詰まったアルバムとなった。

「やっぱでも、録音状態良いとはいえんなー」

「しょうがないじゃん、自作アルバムなんだから・・・」

亜依の言葉に、ひとみがフォローを入れる。
ここは、Days Recordsの本社、といっても元はCDレンタル屋である。

CDが完成したとの報告にDSRの5人は中澤に呼ばれたのだ。

「まあまあ、とりあえずジャケットも完成したし・・・これでええんやな?デザインは」
DAYs Recordsの社長である中澤が、CDジャケットを見せる。

「はい!!オッケーです」

メンバーの顔も心なしか明るいあれほど大変だった作業にも関わらず笑みさえこぼしている。
173 名前:RUCH 投稿日:2002年03月27日(水)00時24分27秒

「よっしゃ、ほんならこのアルバムをひっさげてライブや!とりあえず、地元のライブハウスに交渉してOKもらったから行って来い!CDをちゃあんとアピールしてくるんやで!」

「はあい!!!!」
裕ちゃんの檄にDSR全員が明るく返事をする。

「ほんで、矢口の紹介でインディーズ雑誌の取材も予定してるし、地元のラジオにももしかしたら出演するかもしれん。結構忙しくなるやろうから覚悟しとくんやで!んで5人マネージメントを担当する圭織の言うことをちゃんと聞くんやで!そんで・・・なんたら・・・・かんたら・・・」

「・・・相変わらず長いなあ」
希美はあきれていた、というより長い説明が頭に入っていかなかった。

「・・・・・・zzz」
真希にいたっては、立ったまま寝息を立てている。
まあ、それもわからなくはないが・・・。

梨華と亜依は中澤の長い話に必死で食らいついていた。

174 名前:RUCH 投稿日:2002年03月27日(水)00時35分53秒
中澤の話はさらに続く・・・。

しまいには昔話まで入ってくる始末、話し出して30分は過ぎていた。

(・・・さすがに、これはきついで。ウチならまだしも)
亜依は、他の4人をちらりと見たがげっそりとした感じである。

「おい!亜依聞いてるか?ちゃんと聞いとけ!」

「・・・はいな!聞いてるで」
(アカン・・・ののももごっちんも寝てるで)

「・・・んでまあ、そんなわけでこれから気合入れて頑張りや!!ええか!?返事は?」

「・・・は、はあい!!!!」
中澤の長い話が終わり五人に明らかに安堵の表情がうかがえる。

中澤は、余韻に浸っているのか笑顔を浮かべていた。

175 名前:RUCH 投稿日:2002年03月27日(水)00時40分41秒
>パムさん
ありがとうございます!恋愛模様に関してはうまく書いていける難しいのですが(w
まあ、色々考えつつ書いていこうと思ってます。
176 名前:パム 投稿日:2002年03月28日(木)02時23分02秒
更新お疲れ様でっす。
中澤ねぃさんヮロタですよ(w
う〜ん、にしてもいしxよしxごまの関係が気になりすぎで逝きそうです(爆
なにげに、ののかごも。
このバンドの成功を祈りつつ次に激しく期待してマターリとまってまっす。
ガンガッテでっす!。
177 名前:RUCH 投稿日:2002年03月28日(木)02時37分08秒

こうしてDIOでの定期的ライブとともに、地元神奈川のライブハウス4カ所を廻る、『ぶちかましGIG』(亜依命名)がスタートした。
チラシや告知ポスターなどにもDAY STRIP REGが考え、デザインも担当。

全てに置いて、自分たちでやらないと気が済まないのでできる限りいろんなことに挑戦している。そして、そんなデザインなどで手腕を発揮したのが以外にも、希美である。
バンドのロゴやチラシなども希美のセンスが光る。これには、亜依もひとみらも驚きを隠せなかった。そして、全員でチラシやポスターを各レコード店などを廻り宣伝する。

ライブ自体はというとたったの4カ所廻っただけだが、廻るごとに観客動員を増やしていった。
全部が対バンであるので、負けてたまるかという感もあった。客をこっちに引きずり込んでやる!!その気迫がライブでは見事に発揮された。

梨華にとっては、DSRとして初めてのライブではあったが元々ヴォーカルとしてライブをやっていたので慣れるのには時間はかからなかった。そして、希美がヴォーカルとしてやっていたときとはまた違った血を、DSRへ注入したのである。

178 名前:RUCH 投稿日:2002年03月28日(木)04時37分21秒
それもあってか1stライブアルバムの売れ行きも好調である。行った先々でCDは即完売・・・。事務所の方にも電話が殺到した。これほどまでは予想もしてなかったので急遽、追加発売をする形となった。

その間に、それぞれの師匠の元で練習を欠かさずやってきたDSRの5人は、飛躍的に成長していた。梨華は安倍の元で、亜依と希美は中澤、真希は飯田、ひとみは保田、各々メンバーの積極的な練習の賜がライブを見せるごとにレベルアップしていったのだ。

そして、ぶちかましGIGの最後の場所は、DAY STRIP REGのホームグラウンドであるDIO。

今回は、DAY STRIP REG主催のライブ、告知ポスター、チラシ、チケットら全てを自分たちで考え、デザインもした。

179 名前:RUCH 投稿日:2002年03月28日(木)04時56分51秒
DAY STRIP REGは異様な早さでついにホームグラウンドながら主催という形となった。いわば、いろんなバンドがひしめく対バンの舞台のトリを飾るのである。
それだけに、メンバーもいつも以上に興奮、そして気迫が感じられる。

さらに、中澤らの紹介で大手レコード会社の方がDAY STRIP REGを見に来てくれるというのだ。メジャーデビューという道が開けるかもしれない・・・。
しかし、DSRの面々はそんなのに媚びるつもりは毛頭になかった。
ついには、

「今回はうちらのライブ見に来る人全員黒服でお願いします」

亜依のこの一言で今回のぶちかましGIGは黒服限定となった。

DSRは黒という色を強く支持している、こだわっているからこそこの主催イベントはお客さんも黒服で、ということである。
それは、勿論レコード会社や関係者にも言えることだった。

180 名前:RUCH 投稿日:2002年03月28日(木)05時00分53秒

  「全員黒服」


別に調子に乗っているという訳ではない、メンバー全員が今はその時期ではないことを自覚している。まだまだインディーズでやり残していることが山ほどある。
自分たちは、まだまだヒヨッコであってもっと経験を積んでからでもなんら遅くはない・・・。
急ぐ必要はないと考えたからである。

そして、黒服限定GIG。
当日は凄まじいことになるのである・・・。
181 名前:RUCH 投稿日:2002年03月28日(木)05時04分17秒
>パムさん
ども、ありがとうございます。
恋愛模様に関しては次辺りで進展があるかもしれません。
わかんないですが(w
182 名前:パム 投稿日:2002年03月29日(金)01時01分50秒
更新お疲れ様でっす!。
そういやぁ、知り合いのバンドの「仮装ライブ」(意味あんのかな?w)に
逝ったことあったなァ。みんな仮面つけててコワカタですよ(w
をぉ、次回進展アリですか?。期待してるっすぁ!。がんばってくださいっす!!。
いつも駄レスで申し訳ないです。
183 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月29日(金)01時09分08秒
楽しみに見てますよ。
中澤さんのとこから出すのはインディースでいいんでしょうか?
自費製作とインディーズは違いますけど。

経験者は語る。
バンド内恋愛はバンドを破滅させます。(痛い経験だった・・・)
だからこそ、小説の中くらいでは是非成功を・・・
184 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月29日(金)22時35分09秒
バンドのこととかギターのこととかはよく分からないんですけど、
ストーリーが面白くていつも読んでます。
これからも期待してますね。
185 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)03時52分24秒

時は黒服限定GIGを前日を控えた土曜日・・・。

吉澤ひとみは、DSRのベーシスト真希の自宅へと向かっていた。

「今日こそは言わないといけない・・・!」

ひとみは、足早に真希の家へと向かう。

後藤真希、彼女は人前では人一倍クールで弱みやそういったことは絶対見せない。
逆に音楽に関しては、誰よりも熱意があり彼女の言葉にはすごい重みを感じる、そのため、バンドに置いては亜依と同じくバンドを影で引っ張る役としてメンバーにも信頼されているしその存在感は大きい。
しかし、そんな真希がひとみとそしてアメリカへ行った市井にだけ見せるもう一つの一面がある。

それは・・・

186 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時00分11秒

「待ってたよ・・・よっすぃ」
いつもは見せない柔らかい笑顔、瞳はどこか潤んでいるようにも思えた。

「入って・・・」
そういうと真希は、ひとみを家へと招き入れる。

ひとみが真希の部屋へと入ったその刹那、後ろから真希が抱きつく。

「よっすぃ、久しぶりに来てくれたね・・・嬉しいよ」

真希は振り返るひとみの唇をそっと口づける。


長い沈黙の中、真希が唇を離す。

「ごめん・・・もうやめよ」

ひとみが真希の肩を掴み自分から引き離す。

「どうして?私何かした?」

「そういうんじゃないよ。私はこういうのを望んでない・・・。ごっちんのこと好きだよ・・・。でも、こういうのは嫌だ」

「どうして?好きだったらいいじゃん」
真希は微笑してひとみの肩に腕を回す。


「あのさあ・・・、市井ちゃんの代わりでしょ?私」

187 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時02分24秒

市井の名を出した途端、真希は明らかに動揺した様子を見せる。

「ち、違うよ!私はよっすぃを・・・」

「違う!最初から私は望んでなかった・・・ごっちんの事好きだけど、こういうのは望んでなかった。」

「じゃあどうして、私を抱いてくれたの!?どうして?」

「ごめん・・・」
「・・・もういいよ。帰って!」

「ちょっとまって!!これだけは分かって!私はごっちんのこと好き!親友だよ!これからもずっと・・・だから!私を嫌わないで欲しい!私、不器用だし・・・恋愛の事ってよく分からなかった。だから・・・ごめんね」

ひとみは真希を抱きしめそれだけは伝えた。

「・・・よっすぃは優しいね。優しすぎるから甘えちゃうんだよね・・・私」
真希は涙声になりながら思いを伝えた。

188 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時08分39秒
ひとみは泣いていた・・・。
自分が良かれと思いしてしまったことが、真希にとって寂しさゆえの思いを高ぶらせていた。
市井がいなくなったあとでも一人でもやっていけるはずだった真希を、自分が壊していた・・・。

「ごめんね・・・私がいけなかったでも、ごっちんの力になりたかった市井さんがいなくなって私が支えてあげたいって思った。でも・・・」

「ううん、いいよ。ありがとう・・・明日は、頑張ろうね!」

「・・・うん」

ひとみが真希の家をあとにするとき真希がひとみに声をかける

「よっすぃさあ、好きなんでしょ?梨華ちゃんのこと!なんか私分かるんだよねー」

「・・・・・・」

「ううん、大丈夫!私は今バンドで精一杯な気がするから!じゃね!」

ひとみは何も言わなかった、もしかしたらそうなのかも知れないと自分で思った。
でも、今は恋のことよりバンドに集中したい!ごっちんには本当に申し訳ない気持ちのなかで音楽をやっていく気持ちがさらに高まった気がしていた。

そして・・・ついに、明日は黒服GIGである。

189 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時21分37秒
>182パムさん
仮面ライブですか?不気味な感じですね(w
進展というか、ちょっとうまく伝えきれない感じになっちまいました。
難しいなぁ・・・。

>183名無し読者さん
ご指摘どもです!うーん、実は私自身よく分かっていなかったです。
申し訳ない・・・。たしかに、違うっすよね!
まあ、なんというかその辺はやわらかく見ていただけたら幸いです。

>184名無し読者さん
ありがとうございます!!皆様のお声がすごい励みになります!
更新は遅いですが、また、見に来ていただけたら嬉しいです。
190 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時25分33秒

―――黒服GIG当日の朝


時間は朝の7時・・・。
すでに、DAY STRIP REGのメンバーはDIOに集合していた。
今日は自分たちが主催したライブイベントである。
DIO時代に一度体験している、ひとみと真希が先頭なり着々と準備をこなしている。

今日、出るバンドはDSRを入れて6バンド。
各バンド持ち時間は40分。
主催のDSRは1時間といったところか・・・。
DSRがリハの準備をしていると、他のバンドの方が続々とDIOへと入ってくる。

「今日は、よろしくお願いします!!!」
バンドの方々が、DSRに挨拶をしてくる。悪い気持ちはしないこちらも「よろしくお願いします!!」と返す。

そして、全バンドが集まったところでDSRのひとみが挨拶をする。

「みなさん、今日はよろしくお願いします!!リハは逆リハなんでウチらから始めるんで次のバンドは準備の方よろしくお願いします!!」

軽く会釈をするとひとみは、ドラムのセッティングへと移る。

191 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時33分30秒

ステージ下では、他のバンドが用意を開始する。

そこに、DSRのひとみを除いたメンバーが挨拶廻りをする。
これは、DIOの時から市井がやっていたことである。
地元のライブ仲間としてスキンシップは欠かせない、希美や亜依にとっては最初こそ戸惑いもしたが徐々に今は慣れてきている。


挨拶をした後は他愛もない話などをしつつギスギスした雰囲気を和らげていく。
これらのことはDIOではいつもの光景である。

みんなで良いイベントとなるようにDSRを含む全バンドが仲間なのである。
192 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時40分50秒
リハでは、他のバンドの視線を感じつつ行っていく。
実は以外に緊張する時でもある。
一曲を一通り演奏した後、PAと音を確認する。

「すみませーん!!ドラムですけどもう少しベースをもらえますか?」
ひとみが手を挙げてPAに伝える。PAも「はあい!」と合図を送る。
PAとは、簡単に説明すると生音では音が小さく限界があるためマイクを通してお客さんに伝える事である。その際に、演奏者のモニターにはそれぞれのドラムやベース、ギター、ヴォーカルの音(声)が届くのである。

それを見て亜依と希美は顔を近づけてなにやら話をする。
「なーんか、えらいよっすぃ、張り切ってる気がせえへんか?」

「なんか良い事でもあったんじゃないかな?」

「なんか、ごっちんもすがすがしい顔してるんよー今日いきなりウチ叩かれたから!」

「え?どうして?」

「え?なんか・・・元気かー!!ってこずかれたんや」
動作までつけて亜依は希美に伝える。

「ちょっとー!!私も仲間に入れてよー!!」
亜依と希美が話をしてると、泣きそうな梨華が近づいてきた。

193 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時48分47秒
「えーい!やかましい!!ほらリハやるで!!」

「もう、梨華ちゃんはいいから!」

亜依と希美はそういうと梨華を突き放した。

「ひどーいっ!!もう、ごっちん酷いと思わない??」
突き放された梨華は、真希に助けを求める。

・・・が!

「梨華ちゃん、邪魔!!」
真希のお怒りを買ってしまっただけの梨華であった。

真希の助けも入らずとぼとぼと、マイクチェックをする梨華にステージ下からは笑い声が漏れていた。


194 名前:RUCH 投稿日:2002年04月02日(火)04時52分45秒
今回は多めに更新しました。
ライブが始まる始まると書いてはいるが、なかなか始まらないのですが(w
もう少しで始まります(w
195 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月02日(火)18時51分11秒
「白の集い」を思い出しました(笑
196 名前:パム 投稿日:2002年04月03日(水)00時17分36秒
更新お疲れ様でっす!。
なんかよっすぃ〜大変そうっす(w
梨華っち可愛そう・・・(w
仮装ライブですがほんとに不気味でしたよ(w
後ろからヘットバット食らって痛かった以外はかなりよかったっす。(w
こっちの黒服ライブもかなり楽しみにしてまっす!。ごっちんにもキタ〜イ!!
がんばってくだせぇ!。
197 名前:RUCH 投稿日:2002年04月03日(水)05時30分39秒
今日の開演は昼の2時。
DSRは最後なので時間はたっぷりとある。
その間はそれぞれ昼食を取ったり用意をしながら待つ

「うっわー!!かっけー」
ひとみが控え室から見える外の様子をみた瞬間驚きの声を上げた。

「どうしたの?よっすぃ」
一緒に控え室にいて本を読んでいた梨華であったが、ひとみの驚きの声に駆け寄ってきて言った。

「ほら、見て!!」

ひとみのその先には、黒い人集りができているのである。
もしかしたら、他のバンドを見に来た人も黒服で来ているのではないだろうか?
それを考えても異常なほどの黒い客達の数である。
その数、200、それ以上いるのかもしれない、いやいや、まだ時間は12時。
まだまだ、増えることが予想される。

「す、すごい・・・私達を見に来たんだよね・・・」
「うん!!」
梨華の言葉にひとみは大きく頷く。

198 名前:RUCH 投稿日:2002年04月03日(水)05時33分02秒

こんな普通のライブハウスに、すぐ近くには住宅街も広がるこのライブハウスに・・・。
一つの約束を守って、集まってきたお客さんにひとみは感動していた。

ライブハウスDIO、史上最も人が集まった日となるのではないだろうか。
もう、DSRはこれだけのお客さんを集めることができるバンドになっていたのである。


「どうしたの?梨華ちゃんによっすぃも・・・?」

控え室に入ってきた希美が不思議そうに尋ねる。
手にはおにぎりを3つもって、そのウチの1つを口に含みながら希美が二人に近づく。
口元にはだらしなくご飯粒まで付けている。

199 名前:RUCH 投稿日:2002年04月03日(水)05時35分06秒

「のの!!ちょっと見て!!かっけーから!!」
ひとみに言われ希美は指差された方に顔を向ける。

「・・・なんかアリさん達みたいだね」

「もうちょい驚けよ!」
ひとみがツッコミを入れる。

「ふわぁ、でもすごいね・・・全部私達のお客さんかな?」
おにぎりに夢中で、あまりリアクションは取らなかった感じの希美であったがさすがに外の風景に目を奪われる。

「多分・・・そうじゃないかな?大丈夫かなぁ・・・MCどうしよぅ」

DSR梨華の恒例?のネガティブモード梨華に、どうやら入ってきたようだ。

梨華自身、徐々にライブになれてはきたがMCの方には相変わらず自信がなかった。
希美、亜依いわく普段からお寒い空気を漂わせている梨華にとってMCが今最大の敵であった。バンドがバンドなだけにMCは決して多い方ではないのだが、今まで亜依からのダメ出しがなかったことはない・・・。

200 名前:RUCH 投稿日:2002年04月03日(水)05時42分13秒

「大丈夫だって!!私は梨華ちゃんのMC好きだよ!!」

「ホントに!?ありがとう!!よっすぃ大好き!!」
天使の声に梨華もこれには満面の笑み、よっすぃに向けられた言葉は多分・・・本音であろう。

「私も梨華ちゃんはアレでいいと思うよ!」
そして梨華の前にはもう一人希美という天使がいたのだ。

これには、ネガティブ梨華も打つ手はない・・・。
一気に、ポジティブモードへ以降する。

「のんちゃんありがとぅ!!嬉しいなっ!よぅし!ガンバ・・・」

ガチャ(ドアの音)
「コラッ!梨華っちょ!!亜依ぼんのMC講座の時間やでぇー」
二人の天使な励ましもむなしく、亜依という子悪魔が牙を向けたのである。

201 名前:RUCH 投稿日:2002年04月03日(水)05時52分23秒
>名無しさん
白の集いとは?小説ですか?

>パムさん
いつもありがとです。
なかなかライブの方始まらないのですが(w
多分次回辺りから入っていけると思われます。

本当は、黒服の客達の情景みたいなのを伝えたかったのですがそれだけじゃ少ないんで、梨華っちのいじられキャラ第2弾としてしまいました(w
202 名前:パム 投稿日:2002年04月04日(木)02時26分51秒
更新お疲れ様っす!。
梨華っちのいじられキャラ、イイです!。(w
ライブ前の細かい情景なんかも面白いっす!。
だから作者さんのペースでがんばってでっす!!。
黒服ライブかぁ、、知り合いがリアルでやってくれんかな?(w
203 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)22時55分37秒
質問ですが、この小説に出てくる歌で
「EVER GREEN」という歌がありますが実際は誰が歌ってるんですか?
204 名前:RUCH 投稿日:2002年04月13日(土)17時41分09秒
>パムさん
ありがとうございます。
マイペースで今後も更新していきます。

>名無しさん
実際は、Laphaelというバンドの曲です。
もう解散しちゃったんですが私が大好きなんで入れちゃいました。

更新は今忙しいんで月末ぐらいを予定してます。
205 名前:パム 投稿日:2002年04月16日(火)03時46分19秒
ういっす!。マタ〜リ待ってるっす!!。がんばってくださいっす!!。
206 名前:パム 投稿日:2002年04月29日(月)04時17分22秒
忘れてないですぜ!。いつでも良いんでがんばってくださいっす!。
プレッシャーになってたらスマソです。
207 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)16時31分55秒

―――ぶちかましGIGツアーファイナル、黒服限定ライブin DIO

DAY STRIP REG主催の今日のイベントは、残すところ主役の登場だけとなった。
時間は夜6時、ライブハウスの外にいた黒服の客達が一斉にライブハウスDIOへと吸い込まれていく。

中はというと、決して大きくはないこのライブハウスDIOに詰められるだけ詰めた客達は、自分のポジションを定めると、ただ前を向く。後ろを振り返るスペースなどない。皆それぞれが楽しみと戸惑いも若干あるのだろうか・・・、カーテンで閉じられたステージを見入っている者もいれば、まだかまだかと落ち着きなく連れと会話をしている者もいる。

全員が黒服・・・どこかの宗教団体のような不思議な雰囲気がすでに会場を包み込んでいる。男性客も多いが、女性客も少なくはない、DAY STRIP REGに共感した女性達も多いのだ。

208 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)16時34分50秒

DSRのメンバーの名を、呼ぶ、叫ぶ客達も増えてきた・・・。

そして、それと同時に今まで小さかったBGMが胸を心臓を打つほどの音に変わった。

その音に客達は、煽られさらにテンションが高くなる。


GIGの始まりは・・・。

・・・近い。

209 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)16時38分11秒

そんな客達の状況を知ってか知らずか、DAY STRIP REGのメンバーはまだ控え室にいた。
誰も話をしようとはしない、一人一人が集中を高めている。
すでに全員メイクを終え舞台衣装を纏いマネージャーを担当している圭織の指示を待つ。

控え室には、DSRのメンバーを含め今日のライブを見に来たなつみ、真里、圭の面々もいた。しかし、部屋の中は静かである。

ただ、椅子に座って目をつぶっている真希、寝ているのではないか?と心配になるがこれはいつものことである。

手と足を使ってなにやらリズムをとるひとみ。

梨華は詩の書かれた紙を持ち口ずさんでいる。

亜依は、楽屋ギターを手に持ちどこか聞いたことのないメロディーを奏でていた。

希美は、廊下にいた。ただあてもなく歩いている。けして長くはない廊下を何度も往復して集中を高めているのであろうか・・・。

しばらくすると、圭織が控え室へとやってきた。

210 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)16時41分44秒

「はあい!そろそろ用意してね〜!」

その言葉を聞いたDSRメンバー達は、控え室の中央に集まる。
往年のビジュアルメイクに髪は逆立ち、黒い衣装を纏った五人が部屋の中央で円陣を組む。

「・・・今日は、DIOということなんで気合い入れさせていただきます」

輪になって集まった五人のなかで梨華が周りにいるなつみや真里に向けて言う。


「気合い入れるぞ・・・いきまぁー!!!!」

「「「「「っしょい!!!!!」」」」」

そのかけ声と共にメンバーが控え室を出ていく。

ぶつかましGIGツアーファイナル、黒服限定GIGのスタートである。
211 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)16時48分22秒
ひさぶりの更新です。

>パムさん
ありがとうございます!待ってくれている方の声がすごい励みになります。
連休にちょこちょこ書いていこうと思ってます。
なんとか黒服GIG終了まで。
待っててくれてほんとに嬉しい限りっす!
212 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時17分43秒

舞台では、すでに客電も落とされ幕も開いているステージには沢山の機材が置かれている
それぞれのアンプの前にはギターやベースが立てかけられている。
客側から見て、ステージ右側が亜依のメサ・ブギー。ヴォーカルを挟んで左に真希のアンペグ。次に、希美のJAZZ CHORUSがある。

大音量のSEがかかっている。
客達の声がすごい・・・。

すでにライブが始まっているかのような凄い熱気を感じる。
そして、暗闇のステージにメンバーの姿が現れる。
メンバーを呼ぶ声黄色い声援が飛ぶ。しかし、メンバーは黙々と準備をしている。
ガガッ!!とギターだろうか?音が鳴る。
最後のチェックといったところか、バスドラの音がどんどん!となる。
それが始まりを告げた。

SEが止まり照明がメンバーを照らす。
メンバーを含む全員が黒服に身を包んでいて少し異様にも感じられる。

一瞬ではあるが静けさを感じた、そして感じたかと思うと同時に爆音がライブハウスを支配する。

213 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時22分00秒

「てめーら!!!!ダレんじゃねーぞ!!!!」

最後に現れたヴォーカルの梨華が吠える。


一曲目『KILL ME』

基本的に発狂系。

ツインギターの強烈なリフが耳に残る。
DSRのメンバー、そして6人目のメンバーである黒服ほぼ全員がヘッドバッキング、亜依のセンスが爆発したギターソロが早くも始まった。
亜依がノリを重視して作ったと言われるこの『KILL ME』

DAY STRIP REGの一発目を飾るこの曲は、DSRの『激』の部分を前面に押し出している。ロックというよりヘヴィーメタルなこの曲は、スピードをかなり早いのでドラムは大変だろう。ツーバスのドコドコした音が心臓に響いてくる。
この早さに、顔色一つ変えずたたくひとみの表情も印象に残る。

214 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時24分29秒

亜依の小さい指がフレット一杯に動く、不協和音な叫びにも似たギターソロが黒服の客達を襲う。
しかし、それにも負けず客達の盛り上がり方は凄い・・・。
ここまで、客達を虜にさせてしまうDAY STRIP REGの世界をまざまざと見せつけた一曲となった。

(ああ、やっぱライブは最高や・・・ウチはこういうのに憧れてたんや)

亜依は、ライブの虜になっていた。今まではずっと見る側だったが希美と出会い、真希やひとみ、梨華に出会って最高のメンバーでライブをやる側になった。
間違いない・・・この五人なら、絶対イケル!!その思いが亜依には確かに存在していた。

一曲目が終わり、間を入れずに次の曲へと入っていく。
215 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時26分51秒
2曲目は、『STRIP』

痛快ロックといった感じか。バンド名にも書かれているこの曲・・・。メンバーのこの曲への思いが感じられる。
亜依の処女作となったこの曲は、亜依が一番好きなロックテイストを十分に含んでいる。
普通に聞いても格好いいリフやロックフレーズを織り込んでいる。歌メロも良い・・・。
それにしても、この曲はベースがよく聞こえる。真希が得意とするテンポでもあるので、ただの8ビートの中に絶妙に絡めるコード進行はさすがの一言である。

ソロでは、亜依がステージ正面を陣取り華麗なギターソロを展開する。すかさず、梨華が上手へ移動して客を煽る。
下手の真希と希美は近づき合ってリズムを刻む、亜依のギターソロの後ろでギターとベースのユニゾン、ピッタシ息もあっている。本当にバンドを結成して半年ぐらいのバンドなのだろうか?そんなことは微塵も感じさせないまさに圧巻の一曲である。

(・・・希美もうまくなったね、ほんとに・・・こいつら最高だよ!!)

真希が、希美、亜依、梨華、そしてひとみへと順に視線を送る。
そして、にやっと笑みをこぼす。
最高のメンバーに出会えた喜びを真希は感じているんだろう。

216 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時29分10秒
2曲目が終わったところでMCが入る。
その間、チューニングを弦楽器隊は行う。
この、凄まじい熱気にさらには照明にも照らされているからステージは凄まじいほど熱いのである。熱くなれば徐々にチューニングも狂ってくる。そのため、早めに2曲終わったところでMCを挟んでおいたのである。

「おい、熱いだろうけど無茶しろよ!!」
梨華のこの声に観客もさらに盛り上がる。

「目の前に苦しそうな人いたら、助けてやってくれよな!!」
・・・とここまでは亜依の台本通りと梨華は思ったか思わないとか今はもうどうでもいいことなのである。

「ここには・・・男も女も関係ない!!!!全力でかかってこい!!!」
梨華の言葉に、観客も叫びで応える。
チューニングが終わった楽器隊がコードでいうところのE音を叩き出してさらに煽る。

「・・・じゃあ、次の曲行きます・・・HOLD ON ME・・・」

217 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時32分56秒

3曲目『HOLD ON ME』

これも軽快なロックナンバーである。
ミニアルバムの3曲目にもおさめられているこの曲は、軽快なロックにすこし悲しくも聞こえる歌詞が耳に残る。
しかし、客は会場が壊れんばかりの暴れっぷりでその熱気はさらに熱く燃え上がっているようにも思えた。
ギターが泣いている・・・この表現がこの曲には非常に合う。

亜依のセンスが爆発したギターソロはまさに圧巻の一言、亜依はギタリストして確かな進歩を遂げているようだ。小さい頃から友達はギターひとつだった。学校でも完璧に孤立していた。しかし、亜依にとってはそんなことはどうでもよかったのかもしれない・・・。

大好きな音楽をギターを、やり続けることができるならそれで良かったのかも知れない。

218 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時35分51秒
目立たないが希美も成長している、ギターを始めて実際の所1年も経っていない。
しかし、亜依と中澤の元で彼女はメキメキと上達していった。
その成長の早さは亜依以上と中澤からも太鼓判を押されたほどである。
しかし、そうはいっても経験の差は否めない。だから、亜依は希美にいろんなバンドを見るようにと言われた。対バンでいろんなバンドの良いところを吸収しろと命じたのである。
亜依や真希ひとみらが控え室でゆっくりしているときも、希美は客席へといって対バンの他のバンドを熱心に観察していたのである。その姿勢は、今でも変わらない。

この曲では、真希はチョッパーを披露。
ピックとはまた違った味が出て『HOLD ON ME』にピタリハマっている。

梨華の発狂系とはまた違ったこの聞かせるヴォーカルとしても確かな手応えを掴んでいるようだ。左手にマイクを持ち、右手は胸の辺りを抑えてまさに、熱唱である。

(気持ちいい・・・何度やってもステージで歌うのが楽しい・・・最高、だね!)
梨華は、ヴォーカルとして着実に力をつけていた、そしてなにより歌うことの楽しさを改めて感じていた。

219 名前:RUCH 投稿日:2002年04月29日(月)17時41分49秒
とりあえず、黒服GIG前半終了。

間違いがひとつ。

×亜依は希美にいろんなバンドを見るようにと言われた

○希美は亜依にいろんなバンドを見るようにと言われた

です。申し訳!
220 名前:パム 投稿日:2002年05月03日(金)03時22分32秒
むおぉ!。更新お疲れでっす!。仕事がサービス業なんでなかなか覗けなかったですよ・・(涙
あぁ、GWもう嫌っ!!。(w
にしてもライブ内容が細かく書かれてますね。MC入れて弦楽器のチューニングとか。
う〜ん、濃い内容でかなり(・∀・)イイですね!。
GWが死ぬほど忙しいのでリアルで更新見れないのが残念っす。
作者さんもマイペースでがんがってくださいっす!。
221 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)15時37分58秒

曲は、立て続けに4曲目『CALLING YOU』へとはいった。

どこか、聞いたこともある懐かしい歌メロで会場を柔らかに包む亜依が紗耶香の作った「EVER GREEN」を意識して作ったという。
それに似て会場を柔らかに包んでいる。

亜依や希美はステージをいっぱいに使って煽る。

二人は笑顔もちらほら見える・・・真希は顔色一つ変えず黙々と低音を刻む。

サビでは亜依が作詞で初挑戦した英訳詩が並ぶ。その英訳詩を梨華の歌声がメロディーを乗せて放たれる。

222 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)15時46分58秒

「・・・やるね。あいつら」
2階でライブをみていた真里が、一緒にいたなつみに声をかける。

「そうだね!梨華ちゃんも今日はよく声出てるし・・・」
なつみが笑顔で返す。元DAYSのヴォーカルそして、梨華のボイストレーナーを担当しているなつみはやはり梨華に目がいくようだ。

「・・・なんか昔のウチらみたい・・・音楽を楽しんでる」
真里は独り言のように呟いた、その顔には柔らかな笑みがこぼれていた。

ライブは終盤に差し掛かった。
『CALLING YOU』が終わってMCが入る。その時、弦楽器隊はチューニングをする。実際の所、この熱気で1曲もつかもたないかそれほど激しくチューニングが熱気で狂ってしまうようである。それを感じた亜依が急遽梨華に耳打ちして時間をとるようにと伝えた。

223 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)16時42分42秒

「・・・と、この辺でいろいろお知らせです!!」
チューニングの間を持たせるため梨華がマイクを持ち話し始める。

「アンケートとか書いてくれた方全員に、ステッカーを無料配布するんで、ぜひ書いてください!あと、CDもみなさん買ってください!」

中澤さんから念を押された宣伝を終えて笑みをこぼしつつ梨華は宣伝を終えたが、まだ、チューニングは完了していないようである。

なんとか時間を稼がないといけないが、アドリブが得意ではない梨華にとってこれはとても難しい。
その時、ひとり暇そうにしていた人物を梨華は見つけることができた。

ドラムのひとみである。
224 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)16時47分48秒
ここは、ひとみにマイクを渡して時間を稼いでもらおうと梨華は思い、観客に告げた。

「では!ここでドラムのひとみに今の気持ちを聞いてみようかな?」
そう告げて、梨華はひとみにマイクを渡す、観客も大歓声である。
(ここは、よっすぃにお願いして時間稼いでもらおう!よっすぃなら格好良く・・・)

いきなりで戸惑っていたひとみだがマイクを持つと笑顔でMCを始めた。

「a−ha!はあ〜い♪ひとみで〜す!みんなカッケーYO!」
この言葉に客も歓声を上げる、ひとみはさらに続けた。
225 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)16時49分08秒

「今日は、ベリーグッドでグレイトなトゥナイトを今夜はエンジョイでいってみよー!」
上機嫌のひとみの口調はとてもなめらかであるが・・・。

一瞬観客も「???」といった感じだがその言葉にさらに盛り上がる。
ひとみのMCはさらに続く。

ここでやっと亜依から「OK」のサインが梨華に出る。

「・・・毎日のエブリデイの中でも、トゥデイはグッドで超ベリーハッピーな気持ちでUP!SIDE!DOWNみたいな・・・あっ!」

梨華は、ひとみのマイクを途中で奪い何事もなかったかのように次の曲のMCへと入っていく。

(もう、よっすぃにマイク渡すのはやめよかな・・・)
梨華は、そう思ったとか思わないとかその答えは今のところはわからない。

226 名前:RUCH 投稿日:2002年05月04日(土)16時54分37秒
今回はとりあえずここまでライブも後半です。

>パムさん
ありがとうございます!
暇なとき読んでやってください!
ライブに関してはできるだけ詳しくかいていきたいのですがなにぶん文才が、へた略)
難しいっすけどがんがります!
227 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時02分11秒

「じゃあ、最後の曲です!!『EVER GREEN』!!」

梨華のMCに客側からは悲鳴にも似た歓声が飛ぶ、「最後」という部分の悲鳴なのだろう、
まだまだ、DSRの音楽を聴きたい!その思いから出た悲鳴であるといえる。

5曲目『EVER GREEN』

この曲が、まさかこれほどまでDAY STRIP REGにおいて大事な曲になるとはメンバー自身思っていなかった。
というのも、実際この曲は真希とひとみがアメリカへ行った紗耶香と組んでいたバンドの曲である。だから、DAY STRIP REGでやることはないと思っていたのだ。

しかし、紗耶香の提案で亜依と希美をいれた、『EVER GREEN』を聞きたいということになり、DAY STRIP REGでの初めての曲がこの『EVER GREEN』なのである。

228 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時04分30秒

そして、ライブでこの曲は成長していく。気づけばDSRにおいてこの曲はライブでは欠かせない代表的一曲に成長したのだ。

自然とこの曲になると、DSRのメンバーも笑みをこぼす。
相変わらず亜依はこの曲になるといたずらっ娘に変身、ステージを駆け回り真希や梨華にちょっかいを出している。
希美も負けじとステージを動き回る。

(・・・ほんと、みんなカッケー!!ああ、もう少しMCしたかったな)
ひとみも笑顔で華麗なドラミングを叩きだす、しかし、その前のMCを途中で終わらされたことに少し不満があるようである。

229 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時06分29秒

元DIOのギタリスト紗耶香が作り上げたこの詩に、今は梨華がメロディーにのせて歌う。

『なにより輝く時代は〜 誰よりも早く』

『過ぎ去っていく 儚いもの戻れない夢』

『なにより眩しい絆に 夢をちりばめて』

『色褪せない永遠の思い出 もう一度戻れたら・・・』

亜依のギターソロが観客全員をDSRの世界へ誘う。
このライブハウスDIOにいる観客そしてメンバー全員が笑顔で飛び跳ねる。
会場は完璧に一つになった。

「お前ら!!!最高や!!みんな輝いてるで!!」
亜依が叫んでいる、その声は音にかき消されて聞こえはしないが観客には確かに届いているようだ。
230 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時08分21秒
(・・・ずっとこの時間が続けばいい・・・。
できることならこのまま時間を止めて欲しい・・・ずっと輝いていたいから)

亜依のこの思いはメンバーも同じ事であろう。
気づけばメンバー全員が涙を流していた、最高のライブであったことに、メンバーに、自分自身に、そして6人目のメンバーである黒服の客達に感動しているのかもしれない、いや、多分そうなのであろう・・・。

鳴り響くギターの音色、強烈に耳の奥まで浸透してくる。

ただただ、ルートを弾いているベースだが胸にズンズンと響く。

テンポの狂いはないたまにオカズを入れながら一定のリズムを着々とこなすドラム。

その歌声に、詩に、共感を抱く者、飛び跳ねる者それぞれがヴォーカルの歌声に耳を傾ける。
231 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時10分06秒

『気づけば〜 失う感性』

『握りしめたまま 自分はこのまま変わらぬ大人になっていく』

『逆らえない時の中で 自分ができること』

『心の中は変わらぬ 素敵な大人になること』

希美、亜依、梨華、真希、ひとみ。
DAY STRIP REGの五人は、子供のような笑顔で純粋に音楽を楽しんでいた。

232 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時21分40秒

こんな時代、こんな社会の中で自分達ができること・・・。

彼女たちは『音楽』であった。

汚い大人になんかなりたくない。

心の中は子供のままの変わらない、素敵な大人になること。

DSRの強い思いが、ここにいた客達には届いたことだろう。

233 名前:RUCH 投稿日:2002年05月06日(月)05時34分21秒
今日はここまでです。

とりあえず、ライブ自体はもうすこしで終了です。
ライブの雰囲気とか伝えるのがほんとムズいなー、
なんとなく感じ取ってもらえれば嬉しいっす(w
234 名前:パム 投稿日:2002年05月07日(火)05時03分42秒
更新おつかれっす!。GWはマジで死ねましたよ(涙
ライブの雰囲気もバッチリなんですが、こう・・・なんて言うか最後の方がちょっとジーンときました。
ヨッスィーのMCはもしやハ0モニ!?(w
ワロタですよ!。エセちっくな英語が(・∀・)イイですがな!。
次回も期待してマタ〜リまってまっす。がんがってくださいっす!。
235 名前:195 投稿日:2002年05月11日(土)22時19分24秒
久しぶりに見ましたー。
レス遅くなりましたが白の集いというのはRaphaelが昔、
白い服で来た人にはCDを配布するっていうライブがあったんですよ。
それが元ネタかなーとか思ったのです。

相変わらず読み応えがあって面白いです!!
次回更新も待ってます。
236 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)10時41分01秒

黒服GIGは無事終わった・・・。
もうすでに梨華の姿はない、小さくBGMがかかり残りのメンバーが挨拶をする。

「ヘーイ!!みんなー!!今日はサンキューね!バイバーイ♪」
ひとみがヴォーカルマイクをもって最後の挨拶をする。ひとみらしく手を振りながらステージから出ていく。

観客の悲鳴にも似た歓声がすごい。

「んあー、・・・(ありがと)」
ひとみからマイクを受け取った真希はなぜか「ありがと」の部分だけをマイクオフにして言う。
そしてペコッ頭を下げてステージをはけていく。

「今日は、ほんとに楽しかったです!また、ライブきてねー」
すこし舌足らずな口調挨拶を終えるとで希美も手を振りながらはけていく。

「今日は・・・サイッ!!!コーやで!!またな!おまえら!」
亜依らしくそう告げると深々とお辞儀をして最後にステージからはけていく。

観客の悲鳴は鳴り止まない・・・そして、誰かが叫んだ。

237 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)10時45分19秒

「アンコール!!!!アンコール!!!!」
この声に、観客全員が参加する。


アンコール!!!  アンコール!!!  アンコール!!!

アンコール!!!  アンコール!!!  アンコール!!!

鳴り止まないアンコールの声。

みんなが激しく望んでいる・・・まだ、聞きたい!!まだ、弾けたい!!

その思いがアンコール!!という言葉に詰まっているように思えた。

一番驚いているのは、勿論DAY STRIP REGのメンバー本人達である。

238 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)10時49分50秒

「ちょっ!!ちょっと!ねえどうしよ・・・みんな!」

梨華があたふたしている。
確かにそうなっても仕方がない、アンコールのことなどメンバー誰もが考えてもいなかったのだから。

「ビックリだね・・・こんなの予想もしてなかった」
真希も驚きを隠せないがその顔は確かに笑みをこぼしていた。

いつしか輪になって話し合うDSRのメンバー。

「アンコール!!カッケー!!行くしかないんじゃん?」
ひとみは嬉しさでハイテンションである。

「どうする?あいぼん」

答えは分かってはいるが希美は亜依に答えを求める。
黙っていた亜依が、PAに確認をとる。

239 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)10時52分41秒
PAの答えは勿論、OK!である。

「・・・よっしゃ!あの曲やるで!」
亜依は、ニヤリと笑いみんなに告げた。

「ええ!?アレ?まだ、全部通してやったの2回ぐらいしかないじゃん!」
珍しく希美が不満を漏らす。

「私も、まだあんまり歌詞覚えてないよー」
梨華もどうやら不満であるようだ。

「・・・私はいいよ、やっても」

「ここでアレかーカッケーな!!」
真希とひとみはやる気である。

「よっしゃ!!んじゃやろか!梨華っちもののもええよな?」
亜依が勝ち誇ったように二人を見る。

「でも・・・」
希美は、まだなにか不安があるようだ。

「のの!自信もちいや!!あんたの曲やで!大丈夫!あんたの曲はメチャカッコええで!」

そう、今やろうとしている曲は、希美が初めて作った曲である。
詩は亜依が担当したが、この曲は希美がリードして製作してきた曲である。

240 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)10時58分07秒

「のの、自信持ちな!!カッケーぞ!」

「私もこの曲好きだなーののちゃんぽいよ」

ひとみと梨華も希美を励ます。

「辻・・・あんたが自信持たなきゃあたしらどうすんの?」
真希はクールに言い放った。

「ごっちん・・・」

「・・・大丈夫!」
真希はそう言うとニコッと笑った。

(これくらいのことで不安になってるようじゃダメだよ、自信を持たなきゃカッコイイ曲もカッコ良く聞こえない。辻、心配することないんだよ)

これが真希の優しさである、決して言葉には出さないが時折見せる笑顔は誰よりも優しい。

241 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)11時12分08秒
「よしっ!!やろう!!」
希美が右手で拳を作り高々と上へと上げた。

「・・・よっしゃ!みんな、速攻でステージ戻るで!」
亜依の一声に、みんなが走り出す。

「ちょっとまって!!」
希美がメンバーを呼び止める。

「なんやねーん?まだ不安でもあるん?」

「みんな手を出して・・・」

「ん?」
「え?」
「・・・」
「は?」

訳も分からず輪になってみんな中央に重ねるように右手を出す。
この瞬間、みんな何のことだかを把握する。

「・・・最後にもう一丁!!!!いきまーっ!!!」

「「「「「っしょい!!!」」」」」

こうしてDAY STRIP REGは、まだ体験していない、最高のアンコールへと足を踏み出していったのである。
242 名前:RUCH 投稿日:2002年05月12日(日)11時21分54秒
>パムさん
GWはお忙しかったようでお疲れさまです。
それぞれにもっとキャラを出していこうと思いこんな感じにしてしまいました。
なぜかライブの時だけ出てくるエセちっくな英語MCってところです(w

195さん>
レスありがとうです!!
そうなんですかー、知らなかったです(オイ)
先に知ってれば「黒の集い」にしても良かったなあ(w
週イチペースで書いていくつもりなんで、お暇なときに見てやってください。
243 名前:パム 投稿日:2002年05月13日(月)04時05分32秒
おっ、更新お疲れ様っす。
エセちっく英語いいっすね!。そのうち「吉澤ひとみの世界のジョークショ〜♪」
とかいいだしそうで(w
ごっちんは本当に(´π`)>「んあ〜」とか言ってそう(w
いっつも眠そうなのは気のせいか?。
ノノの新曲も楽しみにして次の更新待ってるっす。
がんがってくださいっす。
244 名前:パム 投稿日:2002年05月19日(日)03時36分55秒
忘れてませんよ、のレス。
スレ汚しスマソです。
245 名前:RUCH 投稿日:2002年05月19日(日)14時56分11秒

会場は熱狂の渦と化していた。
止むことのない「アンコール!!」の声、メンバーの名前を力一杯叫ぶ人。
DAY STRIP REG六人目のメンバーである黒い黒服達は、再びメンバーが来るのを待つ。
薄暗いステージにはまだ誰もいない、BGMも流れている。
本来ならもう終わりなのである。しかし、客は誰一人帰ろうとはしない。
メンバーが再び帰ってくるのを全員が待っているのだ。

DSRが演奏を終えてステージをはけてから10分ほど過ぎただろうか、まだ、誰一人帰ろうとする人はいない。逆にアンコールの呼び声はさらに高まってくる。

BGMが止まる。

そして、元々薄暗かったステージが闇に変わった。
その瞬間、客達は絶叫した。
246 名前:RUCH 投稿日:2002年05月19日(日)15時00分22秒

アンコールだ! 戻ってきた!! やった!! ウオオオー!!!
歓喜する客達。

ゆっくりとDSRのメンバーがステージに姿を現す。

ヴォーカルの梨華がマイクを握る。
客達もそれを察して、静まる。

「・・・・・・あー、お前らさー・・・・・・最高だよ、ありがとう」
梨華が照れ笑いを浮かべる。

客達も最高の歓声でそれに答える。

247 名前:RUCH 投稿日:2002年05月19日(日)15時03分48秒

「ラストの曲は新曲で、この曲はギターの希美が作曲初挑戦した記念すべき一曲なんで、みんな・・・暴れろよ!?」
梨華が希美を見る。
希美は照れくさそうにニコッと笑う。

そして、ギターのチューニングを終えた亜依が梨華のマイクを強引に奪い取る。

「この曲は、作詞がウチで作曲が希美や!・・・多分なー、初作曲にして最高の一曲になるで!お前ら覚悟して聞いとけや!」
疲れを感じさせない客達はさらにテンションは上がってくる。
凄まじいほどの歓声、完璧にDSRの世界へと皆が引きずられていた。

梨華がマイクを握る。
そして、静かにこう告げた。

「聞いてください・・・『夢より素敵な・・・』」


248 名前:RUCH 投稿日:2002年05月19日(日)15時17分08秒
短いですが更新です。

>パムさん
お待ちくださってありがとです。
ようやく黒服ライブも終わりつつあります。(・・・長かった)
ほんとに毎回レスありがとうございます。
249 名前:パム 投稿日:2002年05月20日(月)04時43分49秒
おっ、更新お疲れ様っす。
ライブ、もうすぐ終わりですねぇ・・・・。
最近あんまりライブ(娘。共々)、逝ってないんですよねえ・・・。
この小説読んでたらなんかライブ逝きたくなっちゃいました!(w
つぎの更新もマタ〜リまってるっすよ!。
娘。好き×元バンドマン×面白い小説=いくらでも待つっす!。なんで(w
250 名前:RUCH 投稿日:2002年05月22日(水)23時26分23秒
>パムさん
いつもレスありがとです!
ライブ、私も最近逝ってないです(涙
今週、土曜か日曜あたりに多めに更新しようと思ってます。
期待しないで(w 待っててください
251 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時10分44秒

チッチッチッチ!
ダダッ!ダダッ!ダダダダッ!

ドラムの4カウント共に、イントロが耳にそして胸へビリビリと響く。
低音のリズムから一転してイントロは華やかなギターソロから曲は幕を開けた。

今までとはまた違った、華やかで安らぎも感じるような柔らかなギターソロが亜依のギターから届く。のほほんとした希美らしい曲調でもある。ロックではなく限りなくポップに近い。


『ひとりきりの空 ふと気が付いた』

『見えないくらい いつも側にいた』

『そうキミの事』


252 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時15分07秒

華やかで優しい梨華の歌声を乗せて「夢より素敵な」は観客を包む。
コード的にはそんなに詰まってはいない、いや、むしろ少ない。同じようなコードをずっと使ってはいるがそんなことをまったく感じさせないメロディに客達も踊り、舞うような動作が印象に残る。


『言えない不安に 怯える夜も』

『僕よりも 僕を信じてくれた』

『そう キミの声』


EVER GREENとはまた違った世界観、同じように優しいのだが何だろう・・・全てが優しい歌メロも曲も、ソロもそう全てが・・・。
感じているのは、客だけではない。
演奏をしている本人達、そうメンバーが強く思っているに違いない。

253 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時19分29秒


『僕がいる事も 笑える事も』

『一つ一つの 小さな奇蹟』

『キミに会えたこと』


(カッケー!なんか飛んでいる感じ?とってもやってて気持ちいい・・・)
ひとみは、ドラムに関してこの曲はオカズを極力減らした。
オカズを使う必要がこの曲にはないのである、練習の時からそれを感じていた。

余計な小細工はする必要がない。

みんなとの一体感を高める。

ひとみのセンスを感じた。

254 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時25分10秒


『見えないときでも 信じ合えたから』

『目を開いて 見せてあげる』

『そう二人の世界・・・』


(市井ちゃんがこの曲聞くとビックリするだろうな・・・だって・・・)
真希は、EVER GREENを市井から初めて聞かせてもらったときと同じなにかをこの曲に感じたのである。

幼い頃に音楽を聴き、音楽に感動し震えた、あの時のような・・・なにかを。
255 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時36分33秒


『今 夢より素敵な』

『夢を見せてあげるげるから・・・』

『終わりはしない 二人の Never Ending Love Story』


(ののやつ、初っぱなから名曲書きよった・・・やっぱあいつはすごいで・・・)
今までのどの曲より優しいメロディーを奏でる亜依、希美が持ってきた曲をここまで引き立たせる最高の女房役を亜依が務めていた。
ソロが心地良く客達の心を掴む。

(だいたいよう考えてみい、半年やそこらでいくら何でもここまで上達するか?多分、ウチなんかより音楽への情熱は上や!悔しいけど・・・)

亜依は演奏しながら希美の方を見る。
そこには、天使のような笑顔を見せる希美がいた。

(・・・ほんとに、すごい奴やで・・・)
256 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時44分22秒


『どんな優しさでも 寂しさはかくせないね』

『寂しさの 一つ一つに』

『僕がいれたら・・・』


(曲だけじゃない・・・詩がとても良い、この曲はあの二人の世界・・・そう夢より素敵な・・・)
梨華にとっても、この曲の波動はなにより気持ちよかった。目の前の客達全員の顔はハッキリ見える、全員が笑顔だ。

梨華はこの曲で一体感を感じていた。
黒服の客達、メンバーとの一体感。
そしてなにより『夢より素敵な』という新しい楽曲の誕生を全員で祝っているような、そんな思いにいた。
257 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時46分42秒


『崩れそうな苦しみも 伝えられぬ夜も』

『信じてくれたね だから今僕が』

『癒してあげる』


(私が初めて作った曲が・・・受け入れられてる??みんなが聞いてくれている・・・)
希美が曲を作ったきっかけは、亜依の一言だった。




「そろそろ作ってみたら?」



258 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時49分53秒


『うん』と返事はしたものの、曲を作ることができない・・・。



どんなに考えても



亜依のようなカッコイイ曲を作ることができない。



私には才能がない



もう、ギターやってても



             

            しょうがない・・・。

259 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時52分25秒

ある日、希美はメンバーにそのことを涙声で伝えた。
怒る人はだれもいなかった・・・逆に、みんな優しかった。

「なにを言ってるの?カッコイイ曲なんて作ってこなくていいんだよ」


「ののが、自由に作ってくれば後はどれだけその曲を磨くか・・・じゃない?」


「ののが気持ちよくなれる曲作ってくればいいよ」


「よう考えや?カッコイイ曲なんてないねん。その曲をどう聞かせるか、どう感じてもらえるかが重要やねん。難しく考えないで、自分のありのままを見せてくれればええねん」



「ありがとう・・・あいぼん、みんな・・・」

260 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)14時59分14秒


『今 誰より素敵な僕で君を包むから』

『さあ 始めよう』

『二人だけの物語』


『そう 何より素敵な場所はここだから・・・』

『また逢えるよね』

『誰より素敵な君に』


『今 夢より素敵な 夢を見せてあげるから・・・』

『終わりはしない』

『二人の Never Ending Love Story』

梨華が最後のサビを歌っている。
希美は演奏の中で、誰に言うわけでもなくそっと呟く。

「みんなに出会えて、良かった・・・」




261 名前:RUCH 投稿日:2002年05月25日(土)15時04分38秒
多めに更新です。
そろそろライブも終了!一区切りしてさらに新たにスタートです。
262 名前:パム 投稿日:2002年05月26日(日)05時41分56秒
おぉ、、、なんかすっげーイイ感じだ、、。
読んでて鳥肌たっちまった。いや、マジで。
曲の詩って作者さんが考えてるんすか?。
よしこじゃないがマジで「かっけー!」っていいたいですがな(w
新たにスタートってことは第二部っすか?。いいっすね〜。
次の更新もマタ〜リ待ってるっす!。がんがってください!。
263 名前:RUCH 投稿日:2002年05月26日(日)14時42分22秒
>パムさん

ありがとうございます!嬉しいっす!
詩はRaphaelというバンドの詩です。
んで訂正です(w
新たにスタートと書きましたが、もう少し続けます。
新たにスタートは、新スレへ移行してから書こうと思ってます。
264 名前:RUCH 投稿日:2002年06月01日(土)20時21分14秒
今週はおやすみします。
ストックが切れましたので、すこし貯めてから書いていきます。
来週から再開します。
265 名前:パム 投稿日:2002年06月02日(日)01時02分54秒
お、待ってやすぜ。がんがってくだせぇ!。
266 名前:RUCH 投稿日:2002年06月15日(土)12時56分02秒
まだ更新できないー!!
すみません!!絶対放置はしないので、もうしばらく待っててください!
267 名前:華月ファン 投稿日:2002年06月16日(日)00時44分35秒
作者さんスランプなんですか?
ドンマイですよ! 我々、凡人は気長にお待ちしてます!
この話、メッチャかっこいいですわ・・・
正直、あいぼんやんは好きじゃないんですが、
この話の2人は、最高に光ってますね!
梨華ちゃん好きの私でも、全く気にならずに読めます。
余談ですが、私がラファエルの中で好きなのは、小夜曲〜悲蒼・症状3
Evergreen・不滅花・・・etc
このストーリーには合わないですね(涙
作者さんの、臨場間の溢れるLIVE風景、最高っす!!
マジ熱いストーリーなんで、続き楽しみですよ〜
268 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)21時53分35秒
>華月ファンさん

ありがとうございます!お褒めの言葉をいただき大変嬉しいっす!
Raphael好きなんですか!?嬉しいですねえ!!
俺も華月好きっす!!
完結までもう少し続きますが、どうかお付き合いください!
269 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)22時02分17秒

演奏を終えてヴォーカルの梨華が退場する、順に他のメンバーも客に手を振りながらステージを後にしていく。

演奏の余韻も残るなか、最後に残った亜依がマイクを握る。

「ウチらは・・・ウチらの音楽は間違ってないと確信してます!このメンバーでてっぺんまで突っ走ろうと思ってます!!これからも・・・よろしくお願いします!!」

言葉を終えて、亜依はペコッと頭を下げる。
その表情には、微笑みそして微かに涙もみえたような気がした。
観客が割れんばかりの拍手を贈る、声援も凄い。

ぶちかまし黒服GIGは、リーダー亜依の挨拶で最後は幕を閉じた。

メンバーがステージから去った後も声援が途切れることがなかった。
改めて、今回の黒服GIG、DSRの世界の、完成度の高さがうががえるライブとなった。


270 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)22時05分52秒
6/21 ライブハウスDIO(対バン)
   DAY STRIP REG初主催

Vo.梨華 G.亜依 G.希美 B.真希 Dr.ひとみ

        〜セットリスト〜
1.KILL ME    (作曲 亜依 作詞 亜依)
2.STRIP     (作曲 亜依 作詞 亜依)
3.HOLD ON ME (作曲 亜依 作詞 亜依)
4.CALLING YOU(作曲 亜依 作詞 亜依)
5.Ever Green (作曲 さやか 作詞 さやか)
EN 夢より素敵な    (作曲 希美 作詞 亜依)


271 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)22時09分13秒

この、ライブのあとDSRは約半年の曲作りへと専念する。

その理由は、中澤の一言が半年間の充電へとDSRをさせたのである。


「インディーズでアルバムを出さないか?」


もちろん、DSRでこれに反対する者は誰もいなかった、むしろ、全員が喜びそして明日への方向も分かった。後は、自分を信じてその方向へ走るのみ、そう思ったのである。

DSRは、また1からスタジオへこもり曲作りに励むのである、それは、DSRにとって上を目指すための充電期間でもあるのだ。


272 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)22時11分43秒

黒服GIGが話題になり、インディーズ雑誌から取材などもあった。
その雑誌に、アルバムをリリースすることをファンへ伝えたのである。


「そうですね〜とりあえず、レコーディング自体初体験みたいなもんなんで、色々吸収しつつDSRの世界観を出して行けたらと思ってますよ」


記者からのアルバムを出す意気込みという質問に亜依が答えた。


そして、そのアルバムをひっさげて全国ツアーも考えているとまでDSRは伝えた。
数週間後に、その雑誌を見たメンバーは、『超新星!!ガールズバンド!!』という見出しに照れ笑いを浮かべていた。

273 名前:RUCH 投稿日:2002年06月16日(日)22時16分14秒
短いですが、更新です。

ご心配かけましたが、とりあえず方向性みたいなのが決まったので
今まで通り週イチペースで行きたいと思います。
274 名前:パム 投稿日:2002年06月16日(日)22時30分55秒
おっ、待ってやした!。
更新お疲れっす!。
DSRはどんどんでっかくなっていきますなぁ。
続きに禿げしく期待してるっす。
心に響くシーンをもう一度・・・(w
275 名前:華月ファン 投稿日:2002年06月18日(火)00時12分43秒
おぉ!更新されとる!!
作者さん、乙です。
ラファエル好きですよ〜私!
いよいよ、インディーズアルバム製作ですな。
DSRサイコ〜!!
メジャーに向けて、ガンガン行って欲しいっす。
聞いた話なんですが、最近よっすぃ〜ギター始めたらしいっすよ
マスターすれば、様になりますよね〜・・・
276 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時30分06秒


あの、黒服GIGから一週間が経った。
アルバム製作にと事を移りだした彼女たちだが、なぜか集まったのは・・・。
時計の針はは10時35分を指していた。


「ごめーん!!まったー?」

改札口に向かってホームの方から走ってきたのはDSRのヴォーカル、石川梨華。
手に持っている鞄が重いのか、鞄に振り回されながら改札口へと駆けてくる。

「遅い!!!なにしとんねん!!みんな待ってたんやで!!」

「もう、梨華ちゃん!遅いー!!」

明らかに怒りの表情を露わにして、DSRのギターコンビ加護亜依、辻希美が梨華に吠える。
277 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時32分58秒

その後ろでは笑顔で手を振っている、ドラムの吉澤ひとみである。ひとみは、梨華が遅れたことに怒る様子などはない。
それもそのはず、約束の時間に5分しか梨華は遅れていないのである。「たった、5分ぐらい全然良いじゃん」とひとみは思っているのだ。

「だいたい、普通こんなん気い利かして5分前にはきてるもんや!!」

「梨華ちゃん、アイスおごってね!」

亜依と希美の二人の機嫌はまだ治ってはいない。というよりこの二人自体約束の時間ギリギリにきたのだが、どうやら待たされるのが嫌いなようである。

「だってぇ、4人分のお弁当作るのに時間が・・・」

「だってもヘチマもあらへん!大体、お弁当係にジャンケンでなったんやから梨華ちゃんも気合いいれんとアカンよ!」

「ごめん!ごめん!!」

お馴染みにの亜依の説教パターンへの以降に気づいた梨華はすかさず謝る。
ここで、さらに言い訳を続けたら説教が長引くことを梨華は分かっていた。

「しゃあないなぁ・・・ほんじゃそろそろ行きますか!!」

こういったときは、先に謝るのが一番!(梨華談)だそうだ。

278 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時35分39秒

「オシ!いこーぜ!!」

男っぽい口調で、吉澤が先陣を切っていく。

向かう先は、そう・・・この駅の目の前の遊園地である。

「しっかし、まさかこの時期にこんな所に来るとは思わなかったねー」

小さいとき以来、遊園地に来ることがなかった希美も実際は嬉しくてしょうがないのである。

「裕ちゃんからせっかくもらった無料入場券やし、ただの紙切れになるよりマシやろー」

「そういや、なんでごっちんはいないの?」

ひとみが亜依に聞く、確かにその通りである。


279 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時40分44秒


「うーん、それはやな・・・」


そう、今回のいきさつになったのは亜依が中澤裕子に遊園地の無料入場券をもらったことにある。

自宅で亜依が、曲作りに励んでいるところに裕子から4枚の無料招待券を渡されたのだ。
そう、4枚・・・。

「4枚?せやったら誰か行けんやん!」

「それやったら心配いらん!ごっちんはウチの元でギター練習やから!」
裕子は親指を上へと上げてウインクをする。

「・・・はあ?なんで?」

「あいつ、ギターも覚えたいっていうてたからその日ウチが個人レッスンして差し上げるんや!手取り足取りな〜」

「そ、そうなん!?」

「まあ、心配すな!誰も襲ったりせえへんから!」
裕子は高笑いを浮かべジョークをいれる。

「・・・ってか、当たり前やん!そんなん!」

280 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時44分12秒

「・・・・・・って訳やねん、おおまかに言うとな」

亜依が、三人にいきさつを話す。

「ふ〜ん、じゃあしょうがないね〜」

いつの間にか売店で物色したアイスクリームをパクつきながら希美が答える。

「へー、でもごっちん、裕ちゃんにそんなこと言ってたんだ〜」

希美のアイスをうらめしそうに見つめながらひとみは言う。

「いや〜多分言ってへんやろ。ごっちんは、裕ちゃん苦手にしとるから」

腕組みをして上を見ながら亜依は言う。

「え?じゃあなんで?」

「多分、私が中澤さんに言ったからだと思う・・・」

暗い表情にすこし顔をひきつらせながら梨華が言った。
その聞いて、全員が凍る。

「え?ホンマか!?梨華ちゃんが犯人か!」
「・・・・・・」
「可哀想に・・・ごっちん・・・」

みんなのため息をよそに、ひとりアイスに夢中で食べている希美の姿が印象的である。

281 名前:RUCH 投稿日:2002年06月20日(木)20時52分19秒
更新です。
たまには、音楽を忘れて気晴らしさせるつもりです(w
でも、ごっちんが・・・。

>パムさん
毎度ありがとうございます!
お待たせしましたが、また、チョコチョコ書いていきます。

>華月ファンさん
Raphael私かなり好きなんで
DSRでもちょくちょく曲出てくると思います。
ちなみに、DSRの曲は実は私が好きな曲なんです(w
アーティストは色々ですが・・・。
282 名前:パム 投稿日:2002年06月21日(金)02時52分42秒
更新お疲れでっす!。
むおぉ、ごっちんがギターすか!?。
こりゃまた急展開ですな。
ってことはWe`re Aliveなみのチョッパーはもう・・・(w
283 名前:華月ファン 投稿日:2002年06月22日(土)23時51分42秒
おぉ! 更新されとる〜
作者さん乙です!!
久々に、音楽の世界から離れたストーリーに展開ですな。
ほのぼのした様に見えながら、ちょっと波乱の予感!?
何かワクワクしてきた。
作者さん、焦らず自分のペースで結構ですから
次の更新も頑張って下さいなっ!!
284 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時27分44秒

その頃・・・。
某スタジオに後藤真希の姿はあった。

「なんで誰もいないんだろ?もしかして今日私一人なのかな?呼び出した裕ちゃんもなかなか来ないし・・・ハア・・・」

真希以外誰もいないスタジオに、独り言がむなしく響く。

「んあー・・・寒い」

スタジオの中はクーラーのせいで肌寒く感じるほどである。

しかたなしにスタジオに置いてあるギターを手にとってメロディーを奏でる。
真希自身、ベース以外あまりやったことはない、勿論ギターに関しても市井紗耶香からちょっとだけ習っただけだった。

285 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時32分10秒

「・・・だいたい指は5本しかないのになんで6本も弦がついてんだろ?ベースなら4本、5本ぐらいだし理にかなってると思うんだけどなぁ」

そうは言ってはいるもののギターの高音などは、ベースでは鳴らないし魅力を感じるのは確かなのだ。
たまにバンドの練習の時、亜依のギターソロに惚れ惚れすることがよくある。


「やっぱ、私はベースがいいんだろうな・・・」

慣れない手つきでコードを押さえてはみるもののおぼつかない。
やはり、ギターでベースフレーズを奏でてしまう。


しばらくずっとギターをガシャガシャと鳴らしていると突然スタジオのドアが開いた。


入ってきた人は、見知らぬ女性。

286 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時35分17秒

「邪魔するで!・・・あんたが真希ちゃん?」

関西訛りの口調、中澤裕子の友達なのだろうか?しかし、幾分年は裕子より若そうである。


「・・・誰ですか??」

少しの沈黙からやっと真希が口を開いた。

「裕ちゃんが、昨日飲み過ぎてこられんようなったから私が頼まれたんよ。ギターやりたいんやろ?私の名前は平家みちよ。みっちゃんっでええよ!」

人なつっこい笑顔を見せみちよは、真希の対面にある椅子に腰をかけた。

「・・・はあ、でも私、ギターをやりたいんじゃなくていつもはベース弾いてるんですけど・・・その、作曲するにあたってギターを少し覚えたいんです」

真希は、素直に答えた。
人とのコミュニケーションをあまり取らない彼女だが、なぜかみちよにはすんなり話すことができるようだ。
それがなぜだかはわからない・・・。
ただ、みちよの人柄がそうさせているのかも知れない。

287 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時37分45秒

「アレ?裕ちゃんに聞いてた話と違うなぁ、ギターに転向とかって聞いたで」

「ええ!?全然違いますよー、私ギターに転向するなんて一度も言ってないです。っていうか裕ちゃんにそんな話自体してないんですけど・・・」

あまり物事に動じない真希だが、さすがに驚きそれを否定する。

「なんや、やっぱあの人の勘違いか・・・そやんなぁ、今良い感じで上がっているバンドのメンバーが突然楽器変えるのもおかしな話と思ったんよーしかも、自分は飲み過ぎて欠席やし・・・ホンマしゃあないなぁ」

「・・・・・・」

「まあええやん、とりあえずギターちょい教えたるよ〜とりあえず、私がなんでギターを始めたか?から話していこうかぁ、そうやな・・・」

「・・・・・・」

(何なんだ!?どうして私はここにいるの!?っていうか何で話なの!?)

「そうやなぁ、ウチが始めたのは・・・何年前やったかなぁ?うーん、確か・・・高校?いや、中学3年の・・・ん?高校行ったっけ?」

「・・・・・・」

(よっすぃ、梨華ちゃん、亜依、希美・・・助けて・・・)

スタジオのクーラーの音とみちよの話が延々とエンドレスのように流れていた。

288 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時43分34秒

「きゃーあーあーっ!!!!」

所変わり、同じ空の下では、人間的というか非人間的というか辺り1キロ四方に響きわたるぐらいの絶叫を上げているのが、他の誰でもない希美である。

「・・・お・・・!?うわ!」

亜依はというと、絶叫マシンは嫌いでこのジェットコースターにしてもなかなか乗ることをしぶった、が結局希美は勿論、ひとみや梨華の説得によって渋々乗ることになったのだが、亜依の場合怖すぎて声が出ないといった感じである。

「キャアーーー!!!!」
「うおおおおおお!!!かっけー!!!!!」

ひとみと梨華は、希美と同じようにジェットコースターを楽しみそして、絶叫している。
希美ほどの絶叫にはかなわないが二人ともに絶叫マシンは好きであるようだ。

まあ、ジェットコースターの快感とはこうして絶叫することであろう。
彼女らに言わせれば、カラオケ行って歌を歌わないようなものということになるはずだ。
こういう場なら、希美がどんなに絶叫しようともそれをとがめる人なんていない。

むしろ一層盛り上がるのがそう遊園地なのである。
289 名前:RUCH 投稿日:2002年06月23日(日)14時50分34秒
更新です。

>パムさん
大丈夫ですよーごっちんはベースで変わらないですから!
作曲程度にギターを覚える感じです!

>華月ファンさん
ありがとうございます!自分のペースで書いていきます!
よっすぃがギター始めたんですか!?
じゃあ、こっちでも習わせないと!(w
290 名前:パム 投稿日:2002年06月27日(木)11時56分08秒
おっ、更新お疲れっすぁ!。
平家ねぃさんの昔話と、吉澤の
>「うおおおおおお!!!かっけー!!!!!」
に、禿げしくワロタですよ(w
ジェットコースターでかっけーってあんた(w
次の更新もマターリまってるっす。がんがってでっす!!。
291 名前:華月ファン 投稿日:2002年07月02日(火)00時55分21秒
最近、姿が見えませんね。

作者さんファイトですよ!!
ここにカキコせんでも、楽しみに待ってる読者は
たくさん居るんだから・・・
続き、楽しみにしてますよ〜

by同じラファエル・ファンより
292 名前:RUCH 投稿日:2002年07月03日(水)01時25分38秒

最初に普通のジェットコースターをクリアすると、次に4人(後藤を除く)は、ループコースターに乗り、次にフライングバードに乗り、ブラックスクランブルに乗り、レインボーに乗り、スーパーフリーホールという回転上昇マシンに乗り、そしてこの遊園地の目玉である恐怖の急降下半ひねり旋回マシンウルトラスペシャルへと向かった。



まさに、絶叫マシン乗り尽くしである。

疲れを知らない?4人はどれも最高の絶叫を披露し雰囲気を盛り上げた。

これだけ満喫すれば、まさに遊園地冥利につきる!むろん、遊園地から感謝状が贈られてもおかしくはない。
293 名前:RUCH 投稿日:2002年07月03日(水)01時29分44秒

「あ〜〜〜これは、ちょっとすごかったね!でも、すっごい楽しい!」

女の子定番のキャッキャした声を上げながら、希美はウルトラスペシャルの出口へと歩く。


「すっげー!!かっけー!!これ、もう一度乗りたいぜぇ!」

ひとみも満面の笑みである。


「あいぼん・・・大丈夫?」

「・・・・・・う゛ー・・・もう、アカン・・・」

梨華の肩を借りて、亜依は出口へと向かう。

基本的に絶叫系が大嫌いな亜依にとって、この乗り尽くしはさすがに堪えたのである。
亜依の中では怖いという概念より今は、気持ち悪いという方へ向きは変わっていた。


「どうしたの?あいぼん!次いこっ!」

希美が亜依の状態に気づかず天使の笑顔でと誘う。
294 名前:RUCH 投稿日:2002年07月03日(水)01時34分17秒

「もう!のの!あいぼんは絶叫マシン嫌いなんだよ〜しかも気持ち悪くなったみたい・・・ののが無理矢理誘うから!よっすぃも!」

「へ?おいらも?」


「・・・ええんやって、梨華ちゃん。ウチも乗りたいって言ったんやから」

顔を青くしながら、亜依は言う。

「だって・・・(言わされたの間違いじゃないか?)」

なんとなくだが亜依の事情も梨華には分かる。
好きな人に誘われて嫌とはまず、言えない亜依の性格を察した。


「ごめんねーあいぼん!楽しいと思ったから・・・」

「ごめんなっ!!」

希美が心配そうに亜依を見ながら謝る。

そして、ひとみも謝る。

「いやいや!ええんよウチも楽しかったし(・・・ののに誘われたら断れへんよ)」

笑顔を作って亜依が答える。

295 名前:RUCH 投稿日:2002年07月03日(水)01時39分11秒

「じゃあさ!ご飯にしましょう!ちょうどお昼の時間だよ〜」

梨華がそう言って携帯のディスプレイを見せる。

梨華は時計を持っておらず、携帯が時計替わりで、目覚ましも兼用している。
これは、梨華に限ったことではなく、最近の若い者は時計をもっていない人も多くはない。


「ホンマや!お昼やんご飯にしよ!」

「やったぁ!梨華ちゃんのお弁当だぁ!」

梨華の携帯ディスプレイを覗いた亜依と希美が歓喜の声を上げる。

「よっしゃ!涼しいところで食べようぜ!!」

「そうだね!すっごい一杯作ったんだからぁ」

ひとみが先導して、輪を引っ張っていきつつ、梨華も笑顔で弁当が入ったリュックを掲げる。

亜依と希美はニコッと笑顔でお互いを見つめた。

久々に音楽とかを忘れて、遊園地を満喫するDSR(後藤を除いて)であった。






その頃・・・。
296 名前:RUCH 投稿日:2002年07月03日(水)01時47分17秒
更新です。
お待たせしました。週イチペースでやっていくつもりではいたんですが、なにかと最近忙しくて・・・申し訳ないです。

>パムさん
いつもありがとうございます!!
多分、この次のオチは大体分かるとは思われますが・・・その通りです(w
笑っていただければ嬉しいです!

>華月ファンさん
ありがとうございます!嬉しいです!
他の方見てくれてるんですかね(汗)そうだと嬉しいのですが・・・。

ただ、ロムっている人も、なにか感想なりもらえると嬉しい限りです
そんなわけないか・・・(w

297 名前:華月ファン 投稿日:2002年07月03日(水)14時25分49秒
おっ! 作者さんお帰り〜♪
更新、待ってましたよ!!
きっと、みんな書くのが照れ臭いんちゃうかな(w
絶対、読んでる人はたくさん居ると思うけどね・・・
マイペースでいきま〜っしょい!
298 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月03日(水)14時29分45秒
作者さん、お初お目にかかります。
華月ファンさんに自分の事を言われたようでドキッとしました(w
だって、丁度のぞいた時に指摘されたからね。

作者さん、今後もがんばって下さいね〜
299 名前:パム 投稿日:2002年07月04日(木)00時42分23秒
更新お疲れっすぁ〜!。
絶叫マシンの連チャンって・・・。タフですな(w
加護よ、やすらかに(ナムナムナムw
次のネタを想像してニヤソしながら次の更新を待ってるっす!。
ガンガッテ!。
300 名前:通りすがりの読者 投稿日:2002年07月04日(木)14時30分53秒
初めまして。 今日、見つけていっきに読みました。
楽器や音楽の事、よくわからないけど、
ストーリーが分かり易くて面白いですよ。
次回の更新待ってます!
301 名前:ぷーさん 投稿日:2002年07月04日(木)23時38分53秒
更新まだかなー?
期待&記念カキコ。
302 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月05日(金)16時02分35秒
作者さま、また様子見にやって参りました。
お忙しいんでしょうか?
更新、心待ちにしております・・・
303 名前:RUCH 投稿日:2002年07月05日(金)18時58分16秒
皆様レスありがとうございます!!
ほんとに更新ペース遅くて申し訳ないです!!

土曜に更新する予定です。

大体が週一回ペースの更新なんですいません、忙しいので。
304 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)17時14分35秒
その頃・・・。



某スタジオ内・・・。


「・・・いやあ、よく考えたらアレが人生の転換期やったんちゃうかな?裕ちゃんに出会ってギター習って、そうやねぇ、ほら!なんつーの?やっぱ厳しいやん!ウチもなギター以外でも酒の付き合いもよう、しよったからなーほんでな!ほんでな!ちょうどそん時ぐらいにおもろい話があんねん!・・・あーたらこーたら」

「・・・はあ、はい。」

真希と平家充代がこのスタジオで出会って2時間がかかろうとしている。
ずっと・・・この調子なのである。

二人でしゃべっている訳ではない・・・そうまさに一方的に、マシンガントークを平家が真希に浴びせているのだ。

305 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)17時16分44秒

「な?な?おもろいやろ?な?な?こっからがもっとおもろいねん!裕ちゃんがな、えーと、誰やったっけ?あのう名前、ああ!!思い出されへんがな!!んーと!な?んーっ!!な?」

「・・・なっちさん?」

「そおっ!!なっち!!そうやった!!なっち忘れてたっ!!あ!?でも、なっちやったかなぁ?」


「・・・・・・あのう」


「ん?どした?」

平家が話し出してなかなか割って入ることができなかった真希だが、平家のマシンガントークの隙をやっとつき、中へと入り込んだ。

306 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)17時28分34秒

「あの、今日他の4人は?」

平家の話が始まって2時間が経とうとしている、そんな中やっと真希は今回の疑問であることを尋ねた。

「えっ!?な、なんや聞いてへんの!?」

「聞いてないですよ!なんにも・・・みんなは今日はスタジオ来ないんですか?」

「あの・・・なぁ、うーん!言うてええんかなぁ」

「言ってください!」
真希の質問に、バツの悪い顔をして平家が重い口を開く。

「あんなぁ・・・その残りのメンバーは今日遊園地行ってるって裕チャンから聞い・・・たで」

「はあ、うん?・・・え?・・・・・・ええっっ!!!???」

真希は椅子から立ち上がり雄叫びに近い声を上げる。


307 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)17時33分15秒

その絶叫の後、カチャリとスタジオのドアが開く。

「おいっすー!!遅くなったなぁみっちゃんおおきに!!昨日飲み過ぎたわー」

金髪の髪をぼりぼりとかきながら裕子が入ってくる。

「・・・・・・裕・・・ちゃん」

「なんや?ごっちんえらい怖い顔して・・・」

「一体・・・」

「え?なに?どしたん!?」

「一体・・・どういう、どういうことなんですかっ!!!!!」

「あっちゃー・・・えらいこっちゃ」
状況にまったく気づくはずもない裕子を見て平家は天を仰ぐ。

十代の若者が、もういい大人二人を説教する、そのさまは30分も続いた。

「なんでウチもやねん・・・」

真希の怒声がスタジオに響きわたる、説教の間に平家はしょんぼりとうなだれてそれを聞いていた。
308 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)17時56分55秒
更新です。

>華月ファンさん
ありがとうございます!レスをもらうとほんとにやる気が俄然出てきます!
いつも暖かいレス感謝です!

>なっつぁんさん
はじめましてです!!はい!今後も頑張ります!
ぜひ、またいらしたらレスしてくれたら嬉しいです。


>パムさん
毎度レス感謝です!実は、あんま遊園地行かないんでどんな感じかよく知らなかったりします(w
はっきりいって適当っす(w

>通りすがりの読者さん
ありがとうございます!お褒めの言葉をいただきありがたいっす!
励みになります!!

>ぷーさんさん
はじめましてです。期待していただけて嬉しいです!
裏切らないようガンバル所存であります!
309 名前:RUCH 投稿日:2002年07月06日(土)18時03分28秒

お知らせ(忘れてたっ!)
週イチペースの更新なのですが・・・、来週はちょっと更新が難しいです。
っというのも、学校のテストとかレポートなんやらでそっちに集中させたいからです。

再来週から更新を再開させます。

ホントに申し訳ないっす!待っててください。

310 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月07日(日)02時59分02秒
こんばんわ! 更新お疲れさまです。
作者さん、学生さんなんですか?
テストやらレポート大変ですね・・・
あたしはもう、社会人なんでそんな苦労、忘れてました(笑

こういった楽しいお話を読ませてもらうだけで嬉しいです!
これからも、更新たのしみにしてますよ〜
311 名前:ベンジー 投稿日:2002年07月07日(日)03時13分36秒
初レスです。
モー娘系の小説の中では、かなり格好いいストーリーですね。
ライヴシーンとかリアルでいいっすよ!!
それに、しっかりと恋愛の色も入ってるし、
読んでて楽しいです。
エロ小説ばっか書いてる奴に読ませたいストーリーですな。
作者さんサイコーっす!!
312 名前:華月ファン 投稿日:2002年07月07日(日)03時18分03秒
作者さん、更新おつです!
だんだんレス増えてきたじゃない。 
ずっと応援してきた者としては、自分の事みたいに嬉しいよ♪
忙しいみたいだけど、更新がんばってねー

by同じラファエル・ファンより
313 名前:RUCH 投稿日:2002年07月09日(火)20時56分44秒

スタジオで真希の説教が続く中、遊園地の4人は昼食を食べ終えていた。


これだけ遊園地を楽しめば自然とお腹も減る。
日陰の涼しそうな所を陣取った4人は、あっというまに梨華が作ったお弁当をぺろっと平らげてしまった。希美にいたっては売店でホットドックやフライドポテトなども買ってきる始末・・・。

「・・・にしても遅いなぁ、トイレ混んでるのかしら?」

敷物の上にちょこんと座って梨華が呟く。

こうして見るとどこかのお嬢様といった感じだ、まさか彼女がロックバンドのヴォーカルだとは知らない人には想像もつかないだろう。

どうやら、ひとみ、亜依、希美の三人はお手洗いに行っているようである。

314 名前:RUCH 投稿日:2002年07月09日(火)20時59分13秒

「でも、、、トイレ行ってからもう20分ぐらい経つのに・・・そろそろ帰ってくるよね」

梨華の独り言がだんだん多くなってくる。
梨華は、ずっと一人だと不安になるようだ。

そんな梨華の携帯着信ボイスが高らかと響く。

「メールが届きました♪(着いちゃった!)」×2

梨華自身が作詞作曲??の本人録音ボイスである。
約1時間の説明書にらめっこで勝ち得た、機能である。

「きゃあ!!びっくりしたぁ・・・そういえば初めて聞いたよぉ!この着声、嬉しいなぁどれどれ??」

『梨華ちゃんへ ちょっとトイレが 混んでいるから あと、30分くらい待っててね!絶対こっちにきちゃだめだよ!(^〜^O)』

315 名前:RUCH 投稿日:2002年07月09日(火)21時01分55秒

「よっすぃからだぁ!・・・ん??ええっ!?そんなに混んでるのかしら??絶対きちゃダメって・・・アハッ!分かったぁ!!『これは絶対来て欲しい!!』ってことよね!よ〜しっ返事のメールを返して・・・・・・っと」

あまり慣れない手つきで返信メッセージを作る。


「・・・これでよぉしっ!よっすぃ〜待っててね〜!」

梨華はメールを送信し終えて、いそいそとお弁当、敷物を片づけると一目散にトイレへと走り出した。

316 名前:RUCH 投稿日:2002年07月09日(火)21時13分15秒
ちょっぴり更新です。
来週が更新できそうにないので今週分を載せました。

>なっつぁんさん
そう言ってもらえるとほんと嬉しいです!ありがとうございます!
来週は更新できないのですがもしかしたら隠れて更新するかも!?

>ベンジーさん
お褒めのお言葉ありがとうございます!サイコーッなんて・・・ありがたいっす!
これからも頑張りますのでよろしくです!

>華月ファンさん
忙しいですが(w
レスもらうとやる気が出てきて更新しちゃいますね(w
量は相変わらず少ないですが・・・。
いつもありがとです!
317 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月10日(水)01時46分51秒
更新お疲れさま♪
もうテスト勉強とかしてるんですか?
早く終わるといいですね(w

マメにチェックしてた甲斐があったみたいね♪
あたし一番乗りじゃない!?
さて、次回の更新を楽しみに、今夜はボチボチ寝ます。
作者さん、更新と私生活の方、どちらも頑張ってね〜!!
318 名前:華月ファン 投稿日:2002年07月11日(木)20時08分36秒
作者さん、調子の方はどうですか?
筆は進んでる・・・ってテストで忙しいんでしたっけ。
早く帰って来て欲しいです!
何せ続きが楽しみで(w
319 名前:ベンジー 投稿日:2002年07月12日(金)00時58分44秒
残念・・・更新はまだみたいっすね。
出直します! 続き楽しみにしてまっせー
320 名前:パム 投稿日:2002年07月12日(金)19時46分57秒
お、更新おつかれっすぁ!。
平家のマシンガントーク・・・安易に想像できるあたりがちとコワヒ(w
>はっきりいって適当っす(w
全然OKです!。雰囲気はバッチリ伝わってますよ!。
321 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時30分46秒

梨華がトイレへ向かう20分前・・・。
遊園地内のトイレにはお腹をおさえて苦しがるひとみ、亜依、希美の姿があった。

「腹が痛ってぇよお!なんでだろう、食中毒だよぉ!!いたたたっ!」

「梨華ちゃんの弁当のせいや!!絶対!!ぬああああ!!」

「痛っっったい!でも、梨華ちゃんも食べたじゃん!」

トイレの中で叫ぶ三人・・・。
ここのトイレはちょうど3つあってそれを先程からずっと占領している。

「そうだよ!梨華ちゃんも食ってたよぉ!」

「それはアレやねん!梨華ちゃんはせえへんねんっ!」

「え???どういうこと?痛い痛い!」

なぜか三人だけが腹痛を訴えたようだ、しかもかなりひどい・・・。

322 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時35分30秒

「とにかく!このこと梨華ちゃん知ったらショックじゃん?」

「そらそうや!どうすんねん!?」

「しばらく時間置いたら治るんじゃないかな?」

お腹が痛くなった原因は梨華ちゃんの作ったお弁当、で三人の意見は一致しているようだ

「おし!!梨華ちゃんに待っててメール送るよぉ!」

「よっしゃ良い作戦や!!頼むでっ!ぬああああっ!」

「食べ過ぎ注意だよ!これ、大切!!ホントに・・・」

ここのトイレに他のお客さんが来なかったのが不幸中の幸いである。


323 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時37分42秒

三人共にしばらくすると大分お腹の具合は落ち着いてはきたが・・・。
依然トイレからは離れられない様子。

その時ひとみの携帯がけたたましく鳴る。

「梨華ちゃんからだ!!読むよぉ!」

「梨華ちゃんメール返信早すぎやっ!!」

「え?誰々?梨華ちゃん!?」


「えっとねぇ〜・・・」

『わかったぁはあとはあと今からダッシュでそっちに向かうね!待っててねはあとはあと\(^▽^)/梨華より』

324 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時40分35秒

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「ねえ!!梨華ちゃんなんだって?」

「・・・・・・・・・・・・」

なぜ? どうして? はあ?

あれ?私、なんて送ったっけ?

こっちに来る?えっ?どういうこと?

困惑するひとみ・・・。
どうしたらいい?

腹痛を悟られたらいけないし、またトイレに行くなんてことはできない・・。

でも、、、どうすれば・・・。

325 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時44分13秒

ひとみの長い沈黙に耐えられなかった亜依が叫ぶ。

「よっすぃ!!やばいで!早くトイレから出よ!!」

「ええっ!?もうちょっとぉ」

亜依の発言に反対し怪訝の声を上げる希美。

その時、しばらく放心状態のひとみが入っているトイレをノックする音が響く。

 トントン!   トントンッ!

「!?誰?梨華ちゃん???」

ひとみがノックに気づき声を出す、突然のノックに漫画で描くところの飛び上がるような驚きである。

が、返事はない・・・。

326 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)22時48分21秒
「え?梨華ちゃんもう来たん?」

「ねえ、どうしたのぉ?」

ひとみの隣のトイレには順番に亜依、希美とまだトイレの中にいる。

トントン! ドンドン!!!

さらにノックの音は大きくなる。

「(なんだよ〜!!梨華ちゃんだと思ったじゃん!もー!そんなにノックしなくっても出るよ〜)」

ひとみ自身、やっとお腹の具合も良くなってきたのでトイレを離れても大丈夫と感じたようで他の客を待たせるわけにもいかないので、そそくさと身支度をしてドアをガチャリと開けた。

「あっ!どうもすいませ・・・え?」

ひとみがノックしていた人物をちらりと見たその視線の先には、思いがけない人物が立っていたのである。
327 名前:RUCH 投稿日:2002年07月16日(火)23時04分06秒
更新です!

>なっつぁんさん
どもです!今はテストの先にまずレポートに追われています(w
でも、やっぱ更新してからでないとレポート書けないです(w

>華月ファンさん
一時帰ってきました(w
筆の方はボチボチですけど今は忙しいですねえ
けど、がんばります!

>ベンジーさん
ありがとうございます!更新しました!
また見に来てください!

>パムさん
いつもどもです!
待っててくれるひとがいるとホント気合い入ります。
もーちょい続きますがよろしくお願いします!
328 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月16日(火)23時36分12秒
へっへーん! また私が一番ノリですね(w
応援のレスしようと思って来たら更新されててラッキーでした!
作者さん忙しいのにお疲れ様です。
そっかぁ、トイレから戻れない理由は梨華ちゃんでしたか・・・
この3人が必死でトイレでもがいてる姿に
思わず爆笑しちゃいした(w
吉澤さんの前に現れた意外な人物とは・・・まさか!? 
この後、腹痛より恐ろしい事が起こる予感がするんですけど・・・
次回の更新も期待してます(w
レポートの方、がんばってくださいね!

329 名前:パム 投稿日:2002年07月19日(金)03時00分33秒
更新おつかれっすぁ!。
服毒か?!。服毒なのか!?。(w
かけがえのない人ってのが悶えそうな位気になるっす!(w
その人はコワーイ顔sて佇んでる気がする・・。
次回も期待して待ってるっす!。
駄レス、申し訳ないです。
ガンガッテ!。
330 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月22日(月)00時55分57秒
作者さん、レポートの方は順調ですか?
私生活の方もがんばってくださいね!
小説の続き、すっごく楽しみにしてますよー

( ●´ー`)<ハヤクカエッテキテホシイベ・・・・
331 名前:RUCH 投稿日:2002年07月22日(月)17時57分04秒
>なっつぁんさん
ありがとうございます!!私生活の方までご心配いただきありがとうございます!
レポートは、残りあと一つ!気合いです(w
待たせてほんと申し訳ないです。
夜中辺りに更新する予定です。

>パムさん
服毒ではないようです(w
彼女の場合は、そういった効果のある料理なのです(w
ほんといつもレスありがとです!
がんがります!
332 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時12分43秒


「ご、、、ごっちん・・・」


ひとみの目の前にいる人物、そうひとみは他の客と思いこんでいたがまさか、ここにいるはずがない後藤真希が目の前にいる。
顔は笑っていない、いや、なにかとてつもないオーラを身にまとっている。
そして、それに仕える召使いのごとく真希の後ろには平家充代と中澤裕子が複雑な表情で立っていた。


「どうやら楽しんでたみたいだね・・・」


ニヤリと口元を緩めて真希は言う。


「あれぇ?ごっちん!練習は???」

「どっ!?どしたん?ごっちん!」

真希の声を聞き、希美と亜依の二人もそそくさとトイレから出てくる。

333 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時16分01秒

「私・・・だけ、のけもの?非道くない?どう思うよっすぃ・・・?」


淡々と笑顔も見せず、真希がひとみに問う。


「あの!ごめんね!そんなつもりはないからっ!その・・・・・・中澤さんが」

普段見せたことのない真希の表情にひとみは戸惑う。


「はあ・・・がっかりしちゃったなぁ、あたし」


後ろの召使いは、額の汗をハンカチで拭いながらうんうんと頷くだけ、その二人の様子に希美、亜依の二人も言葉がでない。
真希のなにかとてつもないオーラの前に声すら出ないのである。

「ごめんね、、、ごっちん・・・ほんとに・・・」

もしかすると殺されてもおかしくはないそう思ってきたひとみ、なんとか真希のこのオーラを消すために素直に謝る。へたな言い訳は今の真希には火に油を注ぐことと同じ事である。

334 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時19分44秒
「ごめんね、、、ごっちん」

「ごっちん、ゴメン!ウチが裕ちゃんにしっかり言うとけば・・・ごめん」

希美と亜依の言葉に真希はなにも反応せず、ただ黙っているそう、沈黙。


「・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・」






長い・・・。




もうどれくらい時間が経ったのだろう・・・しかしそれはこの者達にとってはである。
そう、彼女らにとって今時間は10秒が10分にも感じたことだろう・・・。

もう、2時間いやもしくは3時間それぐらいの時間沈黙が続いているような・・・そんな感じなのである。


この沈黙を破るように真希がやっと口を開いた。


335 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時22分52秒


「・・・なんだか私が悪者みたいだねぇ、いいよ、わかったよ」


髪を掻き上げ真希が言う。
その言葉のあとに今まで纏っていたオーラは消えたかに見えた。


「「「ごっちん・・・」」」


ひとみ、亜依、希美らに安堵の表情が見て取れる。
そう、それは百獣の王ライオンから見逃してもらえた獲物のよう、弱い者は強い者に淘汰されるそんな動物界に置いてそんなことはありえないのだが・・・!

ライオンを纏っていた真希は、人間である優しさを見せた。

「じゃあさ、今からみんなで遊ぼうよ。せっかく遊園地きたんだし・・・ね?」

ひとみが真希に優しく語りかける。
その言葉に、真希は『うん』と頷いた。

336 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月23日(火)00時23分33秒
作者さんこんばんわ!
そうですか。レポートの方順調みたいですね!
お疲れ様でした。 ちなみに私は高卒で社会人やってますから
レポートなんて書いた事ないんですよ。
大変ですよね・・・
(●´ー`●) <サクシャサン、モウヒトフンバリダベ!!
あ、ちなみに私、本名が夏美ってだけでけして
なっちファンって訳じゃないです。(なっちファンの方ごめんなさい)
ちなみに、なっつぁんは梨華ちゃんファンだったりする(w
でも自分の名前、なっちのお陰でちょっと好きになれました。
余計なこと書いてごめんなさい! m(__)m
近々、更新ありそうですね。 楽しみにしてますよー!
以上なっつぁんでした(w
337 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月23日(火)00時25分26秒
ごめんなさい! 更新中と知らずレスしちゃって・・・
338 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時27分40秒

雰囲気は一変した、今までの張りつめた空気からようやくほんわかとした雰囲気が漂う。
それを、感じた中澤、平家らもほっと胸をなで下ろした。

「じゃあ、ジェットコースター乗ろうよ!!ごっちん!」
「そや!こんな時はスカッと絶叫系に乗ったらええ!!・・・ウチハノランケド」

「おし!いこうぜ!!」

吉澤が和やかになったグループの先陣を切っていく、トイレの出入り口に来たとき遠くから走ってくる人物を発見・・・!。


「ん?あれは???り、、、梨華ちゃんだ・・・」


あちらもひとみに気づいたのだろう満面の笑顔で手を振り走ってくる、あちらからはまだ、真希の姿は見えてもいないだろう。

ひとみは後ろの真希を横目でチラリと見る。

後ろでは楽しそうに辻、加護、真希が話をしている、そしてその後ろには、「やれやれ」といった感じで中澤、平家が出入り口へと歩いてくる。
339 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時33分08秒

ひとみがふたたび前を見ると、もう梨華は目の前まで来ていた。

「・・・(梨華ちゃん、変なこと言っちゃだめだぞー!!)」

口には出せない思いが額に汗となってでてくる。


嫌な予感・・・。


「ごめーん!!!!トイレの場所がわかんなくて!行ったことないから・・・あれえ???なんで???なんでごっちんがいるのぉ???」

みんなの前へと来て、梨華の第一声はストレートだった。


「「「「「・・・!?」」」」」

・・・梨華以外の全員が凍り付く、ひとみが真希の様子をおそるおそる見ると・・・。

オーラを纏った真希の姿がそこにはあった・・・。


それにしても、真希はなぜひとみらがトイレにいることが分かったのか???
それは、永遠の謎である。
340 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時38分29秒
>なっつぁんさん
どもです!更新中だったのでびっくりしましたが別に気にしないでください!
そうですかぁ夏美・・・いい名前ですねえ。
そう言う私は辻ファンだったりします(w
レポートも終わり、次はテストです(泣
341 名前:RUCH 投稿日:2002年07月23日(火)00時42分34秒
遊園地編終わりました。

さてさて、そしてこの遊園地編は番外編感覚で読んでください。
本編とは特に関係もないですから(w

次回から本編の後半へといきます。
342 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月23日(火)01時38分17秒
作者さんごめんなさいね!
もうチョー最悪なことしちゃって・・・恥かしい。
作者さん、読者の皆さん申し訳ないです!

>作者さん
名前ほめてくれて素直に嬉しいです! ありがと(w
作者さんは「ののファン」でしたか。
考えたらこのストーリーは、辻さん視点から始まってましたしね!
遊園地編・・・もう少し見たかったなぁ・・・なんて言ってみたりして(w

作者さん、テストがんばってくださいね!
以上なっつぁんでしたー (●´ー`●) <マタクルベ!
343 名前:華月ファン 投稿日:2002年07月29日(月)01時55分05秒
お久しぶりです。
久々に来てみたら遊園地編、終わってましたね。
俺もなっつぁんさんと同じく、後藤の加わった遊園地編
見てみたかった気が・・・(w
レポートやらテストやら大変ですよね。
忙しいでしょうが、また更新の方もお願いしますね!
待ってます。
344 名前:RUCH 投稿日:2002年08月02日(金)00時49分18秒
皆様レスどもです!
さて、テストも終わり今週週末あたりから更新のほうを再開する予定です。
また、よろしくお願いします。

実は、最近はどっかの短編にひっそり参加してたりしとりました(w
345 名前:RUCH 投稿日:2002年08月12日(月)15時54分06秒

アルバム製作・・・ついにDSRとしては初めてのフルアルバムを出す。もしかするととんでもない破壊力を秘めたアルバムになるやもしれない。そんな人々の期待も胸にDSRの五人は都内のスタジオへと足を踏み入れた。
楽しかった遊園地&休暇を終えDSRの面々は、初のレコーディングをすることとなる。


一度、ライブアルバムという形のレコーディングは経験があるが、あの時は、勢いを売りにして全員が演奏しているのを一発録音とした形だったが今回はバラバラで録っていく。

より高いクオリティのある、レベルアップしたアルバムを作りたいからだ。


まずは、アルバムを作るにあたってのDSR流アルバム完成までの手順を解説していこう。

346 名前:RUCH 投稿日:2002年08月12日(月)15時56分51秒

まずは、おおまかな流れとしては以下のとおりである。

@ 曲作り
A プリプロ
B リズム録り
C ギター・ダビング
D ヴォーカル・ダビング
E トラックダウン
F マスタリング


@ 曲作り。まずは、なんといっても曲がないと始まらないまずは@曲作りである。普段から曲を書き溜める人もいれば、他のスケジュールをカットして曲作り専用の期間を作る人もいる。DSRの場合、曲を作るのは、亜依と希美と真希の三人で、それぞれが普段から曲を書き溜めているのだ。


A プリプロ。正式名称はプリ・プロダクション。サウンドの方向性やレコーディングする曲の決定、最終的アレンジの煮詰めなどを行うこと。最近のプリプロでは本番と変わらないレベルの録音をすることもある。


B リズム録り。一般的なレコーディングは、ドラム/ベースの録音からスタートする。ライブのノリを重視するバンドの場合は、ドラム/ベース/バッキング・ギターなどをリズム録りの時に一発で録ってしまうことも多い。DSRは今回は前者の方での録音である。
347 名前:RUCH 投稿日:2002年08月12日(月)16時00分26秒

C ギター・ダビング。ギターは、バッキングとギターソロ、アコギ、効果音・・・といった感じで、ほかのパートよりも録音するものが多いため時間もかかる。DSRならなおさらである。


D ヴォーカル・ダビング。一番大事なパートにも拘らず、スケジュールが押して時間的余裕がない中で行われることも多い。そのため、ギター・ダビングと同時進行になることも多く、この辺が“レコーディングの佳境”といえる。


E トラックダウン。TDとも呼ばれる。録音した各楽器の音質やバランスを決め最終的なサウンドに仕上げる作業。最近のミュージシャンはこれには余り参加しないおもに、プロデューサーとエンジニアで進めることが多いためミュージシャンはその間暇をもてあましていることも多い。DSRにとっては、初めてのこのレコーディング、なんでも自分たちが吸収できるいい機会であるから当然参加である。


F マスタリング。TDで仕上げた曲に、最終的なイコライジングを施すこと。各音の音を決めるのがTDで、全体の音像を決めるのがマスタリングだと思ってほしい・・・。アルバムの場合は、曲順や曲間の長さなどもここで決める。



348 名前:RUCH 投稿日:2002年08月12日(月)16時10分28秒
おおまかに説明してきたレコーディング手順をふまえ、DSRは実際にレコーディングを行っていく。

最初こそ意気揚々に始めた五人だったがのちにレコーディングの難しさを痛感することになる。

スケジュール的にはこのアルバムをリリースして全国ツアーをスタートさせたい五人は時間との戦いでもある。

そんなDSRにメジャーデビューの話もでてきたのはちょうどこの時期である。

その話は後にして、とにかくまずはレコーディングである。
インディーズにしてその楽曲の完成度は高いDSR、アルバムに関してもやはり高い完成度でないとファンは納得しないだろう・・・。

期待と不安の中でレコーディングはスタートした。
349 名前:RUCH 投稿日:2002年08月12日(月)16時16分17秒
更新です。

今週に更新すると言っておきながら2週間ぐらいのごぶさたで申し訳ないです。
ここからの構成を練っていたらわけわかんなくなってしまって、とりあえずふんぎりがつきましたので更新しました。

350 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月12日(月)21時31分39秒
今日、初めて読んで一気に読破してしまいました。
なんか文章に独特のリズムがあって、イイ!!

自分。最初は無名な人間が努力してのし上がっていく、この話みたいなサクセスストーリーがツボなんで、これからも自分のペースで更新していって下さい。
351 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時06分29秒


「ねえ・・・少し休もうよ・・・」


都内の某スタジオ内。

プリプロを始めて3日目、DSRは曲を煮詰める段階で異常なほど時間をとりまだ、現段階でアルバム中一曲のみの進行具合である。

『あーでもない、こーでもない。』

楽器を持ち演奏を繰り返しそしてまた論議の繰り返し・・・。
すでにスタジオ入りして五時間がたつ・・・さすがに疲れからかドラムのひとみがたまらずメンバーに声をかける。

「うん!!そうしよ!ね?みんな?」

ひとみの声にビビッドに反応したのは梨華、このプリプロ段階では特に何もすることがない彼女だからこの休憩は嬉しかった。

「・・・そうやね、一息つこうか!」

亜依もいささか疲れているようだ、作曲だけにかからわず亜依は、DSRの曲全作詞を担当している。
352 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時11分42秒
思ったよりも難航しているにもかかわらずメンバーは明るい、それは充実という観点でとらえているからであろう。

「しっかし!ほんとウチら下手なバンドだね!」

ひとみが苦笑いを浮かべスタジオを出て行く。


「あっ!よっすぃ!待ってよぉ!」

梨華がひとみの後を追いかけてスタジオを出て行く。


「いつになってもウチらプリプロこうなんやろな〜」

「妥協は絶対したくないもん!いいんじゃない?」

ギターを片手に希美は笑顔で言う。

「へー・・・言うじゃん!辻!」

真希もいつも通りのふにゃっとした笑みで辻を突く。

「んあー、まあ遅いけど納得いくまで煮詰めてあせらずいこう」

「そ、そやな・・・」

真希の言葉に亜依も頷く。
353 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時16分20秒

「あのう・・・」


「「「ん?」」」


「私ってなにもせずにずっと聞き続けて三日が立つんだけど・・・なにもしないからすごい疲れる・・・んだけど」

スタジオ入り口のドアから顔だけをぴょこっと出した梨華が、亜依、希美、真希に問う。

確かに今は曲を煮詰める段階でそんなにヴォーカルの出番はない。「曲ができるまで休んでていいよ!」のその声をもらうべく梨華は三人に問うたのだ。



「「「がんばれ!!」」」

「・・・・・・・・・」

答えは随分とあっさりしていた。

354 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時20分15秒

序盤こそプリプロでは遅れをとったが、そこはさすがのDSR着々と曲を1曲つづ生み出していく。一度流れに乗ればサクサクと曲が産声を上げる・・・。

今回アルバムに収録される曲は10曲。

すでにライブでもやっているナンバー3曲と新曲が7曲という構成だ。

希美はプリプロの中で、さらに自分を磨くことができた、すぐ隣に自分よりもギターが上手い亜依を見て、プリプロの中でさらにいろんなギターパターンやリズム、リフ、コード進行、スケールなどを吸収している。

真希は、今回初の作曲をした。それは、DSRに新しい風を吹き込んだ真希の世界は亜依や希美とはまた違う新しい曲だった。真希がイニシアティブをとる時はベース音のみなのでみんなでジャムりつつ曲の方向性サウンドを決めていく。これには真希自身が求めていた、思い描いた方向と違うおそれも出てくる。
しかし、真希は言う。

「まあ、アウトラインは決まっているんだけど偶発的に生み出されていくものの方がロックっぽいかなって思ってる」

355 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時28分21秒

亜依はというと自分の引き出しをフルに使いそして、また新しいものを詰め込んでいるという印象を受ける。DSRに入ってから常に先頭に立ってバンドの方向性なり、指示を出してきたが最近では、副班長的役割でバンドの根元を支えている。それは、悪い意味ではなく、希美の成長と真希の積極さが大きな要因である。

「まあウチはバンドをひっぱっていく柄ではないし、もちろんリーダーでもないんやから・・・。それにウチは話を聞くのが好きやし、バンドではまず全員の意見を聞いたあとで自分なりの意見を言うって感じ。」

・・・とそんなことを亜依は中澤に話したらしい。

しかし、最近亜依は気になることがある。

それは梨華の音楽への姿勢が最近薄れている気がするのだ・・・。
だんだん感じつつあったのだが梨華はひとみに惚れている、まず間違いない。

バンド内恋愛・・・そのようなことは本気で音楽をやる上ではあってはいけないのだ。

亜依はもうすこし様子を見ることにする、ひとみは気づいているのだろうか?

356 名前:RUCH 投稿日:2002年08月21日(水)20時34分23秒
>名無し読者さん

ありがとうございますっ!!独特のリズムですか〜嬉しいです!
希美の成長がかなり早いと思われますが(w

素質があるってことでお許しください。
357 名前:RUCH 投稿日:2002年08月31日(土)18時31分22秒
そんな亜依の心配をよそにその次の日、ひとみと梨華が行動にでる。

「よっすぃ!一緒に帰ろう!」

スタジオを出ようとしていたひとみに梨華が声をかける。
相変わらず、レコーディング以外で話し合いがメンバーの間で行われていて、今も楽器隊の三人がセッションしている最中である。

その間、風呂でも入って気分をすっきりさせようとひとみは自宅へ帰ろうとしていた。

「あれ?梨華ちゃんスタジオ残ってなくていいの?」

「うん、別にいてもすることないし・・・まだヴォーカル録りじゃないから」

「・・・ふーん」

ひとみは気づいていた・・・。最近の梨華ちゃんの行動、言動ひとつひとつに感じられる・・・。

「(でも勘違いかもしれない・・・)」

「ん???どうしたの?よっすぃ?」

「え?いやあ、なんでもない!さあ帰ろうか!」
358 名前:RUCH 投稿日:2002年08月31日(土)18時34分16秒


・・・何を期待しているんだろう・・・

ひとみの中にある、不安と期待・・・。

もし・・・ウチらが付き合ったらバンドはうまくいくんだろうか・・・

・・・そうか、秘密にしておけばいい。二人だけの秘密。でも・・・。




・・・私のことどう思ってるんだろう?・・・

梨華の中にある、不安と期待・・・。

   好きだよ・・・って言えれば楽になれるのに。

・・・でも、怖い・・・その一言で関係が終わっちゃうかも知れない。

359 名前:RUCH 投稿日:2002年08月31日(土)18時38分41秒
二人は微妙な距離で横に並び、歩く。

家路への距離がこの時だけは近く思えた。

会話も少ししたら途切れた・・・なにかお互いにもやもやした何かが包む。

「ねえ・・・」

ひとみがそれをこじ開ける。

「え?なに?」

「梨華ちゃんさ・・・最近バンドに集中できてる?」
ひとみの質問に一瞬梨華は空を見上げる。

「うん、できてるよ!」

梨華は笑顔でそう答える。

「ウソ!梨華ちゃんさあ、ウソつく時絶対上を一瞬見上げるんだよね」

「そっそんなことないよ!!」

「・・・そう?それならいいんだけど」

ひとみはあえてこれ以上は言わなかった・・・。これ以上言ってしまえばその後の展開が見えるような気がして・・・。
しかし、これはひとみだけの思い、考え。

梨華にとって見ればこんな中途半端に話を切られたらいい気持ちはしない。
いや、するはずがない。
360 名前:RUCH 投稿日:2002年08月31日(土)18時43分05秒


「・・・確かに今、集中してないかも知れない」


梨華の言葉にひとみも、梨華も歩くのを止める、そしてお互いを見る。


「じゃあ、集中しようよ」


ひとみはあっさりと言った、「どうして?」と言うべきところなのだが「どうして?」とは言えなかった。


「どうして!?どうしてよっすぃは聞いてくれないの?」

梨華の声がいつもより高く感じる、言葉を強めさらに続ける。

「どうして?なんで?とかどうして聞いてくれないの!?」

「・・・・・・」

「ねえ、どうして!?」

「・・・もし、もし仮に私がどうして?って聞いたら何て答えるつもり?」
ひとみが静かにそう聞いた。

周りにの住宅街はしんと静まりふたりだけの声が響く・・・。

周りに人はいなかった。

361 名前:RUCH 投稿日:2002年09月05日(木)20時48分20秒

一瞬時が止まったような、二人は見つめあい時間だけが過ぎる。

意を決したように梨華がひとみに近づく。

「・・・私は、その・・・よっすぃの・・・ことが・・・好」

「まって!!それ以上は言わないで!」

梨華の言葉を途中で遮り、ひとみは声を荒げる。


「どうして?なんで言っちゃいけないの!?」

「・・・・・・・・・」

ひとみは下を向いている、その仕草に梨華も混乱してくる。

「よっすぃ!!私はあなたの事っ!」

「聞いて!!私は音楽が好きなの!バンドが、DSRが、好きなの!今はそれ以外考えきれない!私から音楽とったらなにもないの!」

梨華の言葉をまたも途中で遮り、ひとみは話し出す。

ほのかに雨も降ってきた人の通りはさらになくなる。
362 名前:RUCH 投稿日:2002年09月05日(木)20時51分57秒


「亜依がね・・・ちょい前に私言ったの、あいつ希美の事好きじゃん?でもね、告白は絶対しないんだって・・・思いは伝えないんだって。どうしてだと思う?」


「・・・そんなのわかんないよ!」

梨華にとって今亜依の事はどうでもよかった。



「あいつは、それだけ今のバンドのこと愛してるんだよ。音楽が、DSRが好きだから関係になったらバンドがうまくいくはずない。ただの馴れ合いバンドの音楽じゃ、私達の音楽聞いてくれる人達の心を打てるはずないからって・・・」



「・・・・・・・・・」



「私、不器用でなかなかうまく伝えることできないけど・・・わかってほしい。いつかちゃんと自分から言うから・・・約束する。でも今は、バンドに専念したい・・・。私も亜依に負けないぐらい音楽が、DSRが、メンバーが好きだから・・・」


顔を真っ赤にしてひとみは梨華にそう告げる。
363 名前:RUCH 投稿日:2002年09月05日(木)21時01分59秒


「よっすぃ・・・」


「ずるいよ、梨華ちゃん。私だって言いたいんだから」

そう言うとひとみはそっと梨華を抱きしめた。


「今は、バンドしか見えてないけど・・・いつか必ず私から言うよ。・・・待っててくれる?」


「・・・うん!!待つ。・・・待つよずっと!!ずっと待ってるから!!」

梨華の目には大粒の涙がたまっていた、そしてゆっくりと零れ出す。


「ありがとう・・・梨華ちゃん」


「私のほうこそごめんね・・・よっすぃ困らせちゃったね・・・」


「ううん、そんなことないよ」


「バンド・・・頑張ろう!」


「でっかいバンドになろうぜ!!」


「・・・そうだね」

二人はしばらくの間、抱きしめあった。
364 名前:RUCH 投稿日:2002年09月05日(木)21時06分11秒


音楽を、バンドをやっていくのに恋愛はあったって良い・・・。




ただ今は、夢を追い求めたい・・・。




五人で掴み取ったチャンス、さらに羽ばたけるチャンス。




今を一生懸命生きるため、自分たちの夢を叶えるため、走り続ける・・・。






そう誓ったんだ・・・。
365 名前:RUCH 投稿日:2002年09月05日(木)21時15分44秒

>>357-364更新しました。

毎度毎度、更新が不定期で申し訳ないです。
366 名前:RUCH 投稿日:2002年09月15日(日)19時37分57秒

DSRがレコーディングを開始してから一ヶ月がたった。

インディーズバンドにしてはこの時間は長い・・・。初めてというのもあるうえに、妥協は決ししないバンドであるから当初の予定より大幅に遅れている。

今もなおレコーディングは進行中でこの間メンバーはライブも行わず、地下へともぐってひっそりとレコーディングに明け暮れる日々・・・。


そしてDSRの初レコーディングは話し合いのたびに止まることもあった。

もともとちゃんとしたリーダーというのは決まっていなかったので話し合うときはもちろん全員である。

DSRは、1曲1曲ディスカッションしながら曲を誕生させていく手法である。もちろんメンバー間で対立もある。

しかし、それがなくなったらバンドなんて終わりだろう。
367 名前:RUCH 投稿日:2002年09月15日(日)19時41分07秒

話して話して、理解できるまで、レコーディングはストップ。

例えば、亜依と希美がぶつかる、でもガンガンぶつかって1+1が2ではない、もっと大きなものになる。

これがメンバーにとってもの凄く刺激的であるのだ、だから何時間も弾かないで、DSRは話し合いばかりしている。

これも、DSRのレコーディング時間の大切な時間なのである。

DSR初のフルアルバム、インディーズとはいえライブではそのおそろしいほどの楽曲の完成度。

それを洗練し研ぎ澄ました今できる力を最大限まで高めそれを録り完成までもっていかないといけない。

DSRにとってこの初レコーディングで得たモノは大きい。

メンバー内で衝突もあった、「弾けない!!」と弱音を吐いてスタジオを飛び出したこともあった、しかしDSRは着実に進化の階段を上っていた。

メンバー内の結束、スタッフとの結束もより深まった。お互いが信頼できるからこそさらに上を目指してやってこれたのだ。






アルバム完成の日は刻一刻と近づいてきている・・・。


368 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月29日(日)21時27分57秒
保全 sage
369 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
370 名前:RUCH 投稿日:2002年09月30日(月)20時18分34秒

━━━━某ファミレス

入り口から入って右奥のテーブル座席に、二人の女性が座っていた。

一人は、一見背が低く子供のようにも見えるが肩に届くぐらいの金髪そして容姿は可愛い顔してどこか幼さの残る美少女・・・そう希美である。

もう一人は赤髪で、背は希美より若干低めか・・・しかし、容姿は希美とはまた違った色っぽさも感じる。しかし、結局のところ幼く可愛い印象を受ける・・・。そう亜依である。

レコーディングの合間にふたりだけでひさびさに食事にいくことになったのだ。

「いや〜まいったわ!ののがあの曲、ああやってくるとは思うてもおらんかったから、ウチ何すればええんかわからんよ〜!」

「エヘヘ・・・ちょっとね、あいぼんのギターに刺激されちゃったからどうしてもあのフレーズ弾きたかった」

特に他愛もない話でもないが、たまには二人で最近の近況を話し合うのもいいだろう・・・特に最近、ゆっくりと話す機会も減ってきたそれだけ忙しくなったのだから当たり前といえば当たり前である。
371 名前:RUCH 投稿日:2002年09月30日(月)20時22分17秒

「ホンマ、好きとはいえこんな音楽漬けやったら気分転換もしたくなるわな〜」

「そだね〜・・・う〜ん・・・」


希美はなにか考え事をしてるのか視線を亜依からテーブルへと移す。

「ん?なになに自分なにをそんな悩んでんの?」
その仕草にすぐさま反応し希美に振る。しかし、すでに亜依はわかっている希美が悩むなんて事はないことを・・・。

楽天的天然少女=希美。

豪快かつ天才肌、のほほんという感じがぴったりあてはまる。

極上のマイペース人間。


この線はどんなときでも固い、鉄板だと亜依は踏んでいる。大方今回の場合は、「なにを注文しようか・・・」ということであろう。それで悩んでいる・・・亜依の考えは正しかった。
372 名前:RUCH 投稿日:2002年09月30日(月)20時26分28秒

「(どうせ、ハンバーグにしようかお子様ランチにしようかで悩んでんのやろな・・・ふっ、いつまでたってもガキやな。なんもわかってへん!ウチの大好物のオムライスで万丈一致や!)」

「・・・うーん、あのね〜」

「なんや?お子様ランチならやめとき!店員に「えっ?」って言われるで・・・」

「う〜ん、もちろんそれもあるけど〜」

「なんや?デザートか?そんなん後で頼めば・・・ほれ」
仕方なしにもう一度メニューを取って亜依は希美に渡そうとする。

「あのね〜ごっちん・・・脱退しちゃうかもしれない・・・」


「・・・え?」

亜依の右手にあったメニューがポトリと落ちた。

「いらっしゃいませ〜!」
レストランの店員の声のみ響き渡っていた。
373 名前:RUCH 投稿日:2002年09月30日(月)20時51分13秒
>368 名無し読者さん
保全どもでした。

金板の方へ新スレ立てました。
そちらへお引越しします。もし、見ていただけてくれている人いらっしゃいましたらこれからもお付き合いください。

約束〜あの日と同じ笑顔で二人〜U
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