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大好きだった
- 1 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時47分06秒
- 同時進行w
冬休みなんで書いてみます。
あんま面白くないと思いますが
よろしくお願いします。
- 2 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時48分27秒
- いつもの控え室。いつもの笑い声。いつもと同じマネージャーさんの声。
でも、アタシにとっては、あの日から、何かが変わってた。
そう、あの人がいなくなった時から、アタシの心は、何処か止まっていた。
「市井ちゃんが居た頃は良かったよなー...」
「なぁに後藤?まぁた紗耶香?いい加減ふっきれってばぁ。」
先輩...の矢口さん。やぐっつぁんって呼んでるけど、今日は呼ぶ気になれない。
なんだか...市井ちゃんがいないのに、そこまで笑える、そこまで楽しめるコイツが許せなかった。
同期で入ったくせに、自分だけ楽しんでるコイツが大ッキライだった。
こんなやつの市井ちゃんの何が分かる。市井ちゃんの気持ちちっとも考えた事なんて
これっぽっちも無いくせに。先輩面されるのはもうウンザリだよ。
- 3 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時49分11秒
- 「なに後藤?何か言いたそうな顔してるけど。」
「つぅかさぁ...アンタ」
そこで私の言葉は打ち切られた。
扉が開いた。番組ADさんが何か伝えてる。
ぞくぞくとみんなが控え室から出て行く。
でも、アタシはついて行く気にならなかった。
- 4 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時50分07秒
- 言いたい事を言えないまま本番に臨む程のやる気はとうに失せてる。
やりきれない思いであの人との最後の収録をしたあの日。
どうして...やめちゃったんだろう...
「オイ後藤!いつまでもボケーッとしてる時間は私たちには無いわよ!
さぁ早く!収録10分前なんだからね!もうっ!」
「んっ...圭ちゃんコワ...」
- 5 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時50分49秒
- 今日はハロモニの収録だ。この番組面白い時は面白いんだけど
つまんない時はとことんつまんないんだよねぇー。
コントの収録も終わり、あとはぴょ〜ん星人、ハロプロニュースだけ。
暇だな...あっ、よっすぃ見っけ。向こうも暇そうだし、ちょっとぐらい喋ってても平気かな。
それにちょうど今はハロプロニュースの収録中で、いつものお邪魔虫はいないし。
- 6 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時51分39秒
- 「よっすぃ、今暇かい?」
「んっ、あぁ、ごっちん。暇で暇でしょうがないよね。特にこの番組。」
「後藤もそう思うよー。ていうかさぁ、私たち揃うのコントと新メン企画ぐらいじゃん?」
「そうだね、そうなるね。」
「だからさー、アタシ暇な時はホンット暇なんだよねー。コントも出演すんのほんの1分ぐらいだし。」
「あははっ、そうだねー。ごっちんは私とおんなじ。私もさぁ、コントぐらいでさぁ。」
「あはっ、似たもんどーしだね。」
「あはははっ」
ふと後ろから聞こえたADさんのOKの声。
そして徐々に近づいてくる足音。
そして、例のアニメ声。
「よぉ〜っすぃ〜♪」
やっぱり来ちゃったよ。
- 7 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2001年12月26日(水)08時52分30秒
- 「あっ、梨華ちゃん。収録終わったんだ。いいの?中澤さんに挨拶しなくて。」
「いいの、後で。今は、よっすぃ〜とお喋りしたいんだもん♪」
「あはは。。。ごっちん、どうにかしてよ...ごっちん?あら、どこ行った?」
いっつもベストタイミングで割り込んでくるな、梨華ちゃん...
ホンット、梨華ちゃんの運が良いのか、後藤の日ごろの行いが悪いのか。
どっちにしろ、後藤にはもう居場所なんて無いんだけどね。
その時のアタシには、梨華ちゃんの中に、昔市井ちゃんに甘えていた頃の
私が見えたような気がした。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月27日(木)00時13分34秒
- ごっちんガンガレ〜!
いちごま?orよしごま?・・・どちらも好みなので楽しみです!
- 9 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2002年01月02日(水)19時21分58秒
- 私はなんでモーニング娘。に入ったの...?
楽しそうだったから?親に進められたから?当時からの夢だったから?
この答え...結局わかんないよ...市井ちゃん...
「後藤?どしたぁ?」
ハッと息を呑む。同時に、スタジオ内のスタッフからメンバー、裕ちゃんまでもが
私の顔をジッと見ているのに気が付いた。
あたし...どうしてたんだろうか...
「どした後藤?悩んでるの?」
「いえ...そんなんじゃないんで...スイマセン。」
謝ったけど、この空気は戻らない。どうにも居づらい。
空気に絶えられなくなった私は、このスタジオから逃げ出してしまった。
- 10 名前:名 無 し 山 陰 人 投稿日:2002年01月02日(水)19時22分38秒
- 後ろでどよめきが起こってるのが分かる。スタッフさんのキョトンとした顔が想像できた。
ふと立ち止まる。自分の頬を撫でる。濡れてる。泣いてる。アタシ、泣いてるんだ。
ブワッと急に涙が押し寄せてきた。咄嗟に上を向くけど、間に合わない。
大粒の涙が、アタシの頬を伝って、服に落ちてる。
こんなに悲しいのは2度目?違う、市井ちゃんの時より悲しい。
どうしてだろ?涙が止まんない。理由が分からないのに、涙だけは絶えず流れてくる。
「ウッ...ウッウッ...ヒック...いちぃちゃぁん...ウゥッ...どうして..どうしてだよぅ...」
スタッフさんが来るまでずっと泣いてた。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)14時56分00秒
- え???
市井ちゃんより悲しいって???
いちごまかと思ったが・・・まさかごまゆう???
相手が???ちょっと楽しみ!
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)17時55分57秒
- このスレもらっていいですか?
- 13 名前:名無し回収業者 投稿日:2002年02月17日(日)19時13分07秒
- 廃物利用OK。環境にやさしい。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)19時17分44秒
- じゃあ明日までに何も書き込みなければなにか書こうかな
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時05分25秒
- じゃあ書きます。元ネタありです。いまやってる某ドラマです。初小説で
駄文なんでsageで…読む人いなくてもいいや(よくないけど…)
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時09分06秒
- 「癌です」 は?
「もってあと半年でしょう」 なんですと?
「ただ入院すればあと一年は生きることができます。
もちろん寝たきりに近い状態になりますが…
普段どおりの生活を続けるとしたらあと半年でしょう。
好きなほうをお選びください。」
…マ、マ、マジっすかー!!!
私の名前は市井紗耶香。今は17歳で青春まっさかりだったのですが…
先程、癌を告知されてしまいました。病院に閉じ込められるのも嫌なんで
普通の生活を続けることにしたんだけど…あと半年かぁ。
何しよっかなぁ。なんて考えながら歩いているうちにいつもの店に着く。
「うぃーす。」「おー市井ちゃん。いらっしゃーい」そういって市井を
出迎えるのは後藤真希この店のマスターだ。
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時11分12秒
- 「なんや市井辛気臭い顔して」
「んなこたぁない」
「うわ!今のタモリ?全然似てへんやん。タモリはこうやって。んなこたぁ・
あれ?んなこたぁ」
「もういいっつの。加護の物真似いつも微妙なんだから」
「うそーん。じゃこれは?ガクト」
「加護もう諦めなって」
後藤に言われて渋々物真似をやめる。
でもまだぶつぶつ言ってるのは納得がいってないんだろう。
この関西弁の物真似少女は加護亜依。二人とも中学のときの友達で
バスケ部のチームメートでもあった。
- 18 名前: 名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時13分45秒
- 「今日辻は?」
「んー知らない」
「あっきたで」
加護の声にあわせて店の入り口をみると
お団子頭の少女がなにやら慌てた様子で店に入ってくる。
「だ、大変れすよー」
「なんやどうしたんのの」
「や、やすらがベンツに乗ってるのれす」
「「「なにー!?」」」
「あいっつふざけやがって」
「保田のくせに生意気や!」
「保田、車マニアだったもんねぇ」
辻のいうやすら(正しくは保田)というのは彼らの元顧問である。
では何故彼らが保田を嫌っているのか。それは中学最後の試合での事件が関わっている。
その試合負けたのは保田の采配ミスが原因であった。しかし保田は負けた原因を
市井になすりつけたのである。
それを知らないメンバーの1人は市井を責め、
気まずい関係になっている。
この店に4人しか集まらないのもそれが原因である。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時14分35秒
- 「くっそーどうするよおい」
「どうするいうたかて…」
「どうしようもないのれす」
「盗んじゃうとか」
・・・「「「それだ(や)(なのれす)!!!」」」
「よっしゃ!じゃあチーム結成や!朝比奈中学バスケ部復活や!」
「いやバスケ部じゃねーって」
「チーム名考えるのれす」
「う〜ん」
「「「「う〜ん」」」」
「盗むんだからなんとか怪盗団か?」
「ネーミングセンスないなぁ市井…」
「うっせーな。じゃあなんかあんのかよ!?」
「しねしね団とかは?」
「そりゃねーよ後藤」
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時15分42秒
- 「おもらし団?」
「なんでやねん!どんなチームや!!」
「女怪盗団だからやっぱキャッツアイじゃない?」
「それええやん」
「まじかよ後藤、加護」
「辻も賛成れす」
「え〜」
「「「決定!!!」」」
「じゃあよっすぃーも誘いに行くのれす」
…沈黙がながれる。よっすぃーというのは吉澤ひとみ。
同じく中学時代のバスケ部メンバーであり、
例の事件以来市井ときまずい関係になっている人物である。
「のの…おまえなぁ…」
「市井ちゃん…」
「?」
「…そーだな。行くか」
辻を除く二人がほっと一息をつく。
「なーにきまずい空気になってんだよ。行くぞ」
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時16分39秒
- 「「「「吉澤さんあーそーぼー」」」」
「なかなかでてけえへんな」
「いないんじゃない?」
「いるはずれすよ今日学校休みのはずれすから」
「休みだからいるとはかぎらねぇんじゃねぇの?」
「彼氏と過ごしてるとか」
「あいつにかぎってそれはないわ」
「あいつ恋愛下手だからなぁぷぷっ」
「しかもやたら一途やしなぁいまどきぷぷっ」
「しかも男嫌いなのれす」
「「あっはっはっは」」
「ごらぁ!人の家の前で好き勝手言ってんだよ」
がらっと二階の窓が開いて吉澤が顔を出す。
「「「「あっ」」」」
「なんやおるんやん」
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時17分19秒
- 「よしこー」
「なんか食わしてくらさーい」
「ひさしぶりー」
・・・・・・
市井の顔をじっと見る。少し驚いているようには見えたが、
嫌がっているようではなかった。
「・・・久しぶり」
「家あがんでー」
「あっちょっと待って」
「おかまいなくー」
「おいっ!!」
吉澤の制止も空しく4人はずかずかと部屋にあがって行った。
「あいっかわらず汚いなぁ」
「うるさい!だから待てっつたろ」
「おなか減ったのれす」
「よしこなんか食べ物―」
「お前ら…」
3人が騒がしくしている中で市井が吉澤に話しかける。
「久しぶり吉澤」
「…うん」
- 23 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時18分13秒
- やはりどことなくぎこちない感じが漂う。
それをみかねてか加護が間に入ってくる。
「相変わらずぎこちないなぁ。まだあのことひきずってるん?あ
れは保田のせいやって言うたやん」
「分かってるよ」
「市井ちゃん責めちゃったこと気にしてるんでしょ」
「もう気にすることないのれす」
「分かってる」
「吉澤…」
「市井…」
ゆっくりとした時間が流れる。
「このゆで卵食べていい?」
「…だめ」
「市井…もうちょっと気のきいたこと言えへんのかい!」
「あはは市井ちゃんよしこが卵譲るわけないって」
「じゃあののにくらさい」
「だーめだっつの。貴重な食料なんだから」
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時19分52秒
- なんやかんやで市井と吉澤とのわだかまりも消えて元の5人にもどっていた。
もともとこの5人は仲がいいのである。だからこそ吉澤は市井を責めて
しまったことを気にしていたのだが。
「で、何の用なわけ」
「あっ!そーだった。保田のやつがさなんと
ベンツに乗ってるらしーんだよこれが」
「なにー!?」
「それで生意気やからそれ盗むゆーことになってな」
「ほー」
「でチームを組むことになったの」
「ふむふむ」
「それれよっすぃーをそのチームに誘いにきたのれす」
「なるほどね」
「で、どーよ?もちろんやるだろ?」
「うんおもしろそーじゃん。でチーム名は?」
「女怪盗団ゆうことでキャッツアイ、朝比奈キャッツアイや」
「…」
「…ふざけた名前だろ?市井は反対したんだけどさぁ」
「…」
「よしこ?」
「か、かっけー」
「…マジっすか」
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時21分34秒
- 一旦店に戻り作戦会議を立てることになり5人は店に向かうことにした。
店に向かう途中・・・
「あっあれみてくらさい」
「んっ?」
「「「「あっ」」」」
「保田だ…」
「まじでベンツ乗っとるやん…」
「それより横に乗ってるのって…」
「梨華ちゃんなのれす」
「なーんで石川が保田とドライブしてんだ?」
「なんや市井知らへんの?あいつら付き合うてるんやで」
「まじかよ…たしかにうちの中学男子いなかったからなぁ…
女と付き合ってる奴いるって聞いたことはあったけど…
だからってなにも女と付き合わなくても…なぁ?」
「まったくや。男と付き合ったほうがまだマシやで。」
「い、市井ちゃん、加護」
「「んっ?」」
後藤によばれて二人が振り返る。
「なんだよ後藤」
なにやら後藤が指差している。そこにいたのはぷるぷる震えている吉澤。
「な、なんやどないしたんやあいつ」
「ふたりとも知らないの?」
「「何が?」」
「よっすぃーは梨華ちゃんが好きらったんれすよ」
「「うそぉ!!」」
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時23分39秒
- この保田と付き合っているという少女の名前は石川梨香。5人と同じ中学であり
バスケ部のマネージャーでもあった。といっても部活に顔を出すのは稀であったが。
それに加えヤリマンだという噂が流れていたため5人は敬遠ぎみに付き合っていた。
が、実は彼女は処女でありごくごく普通の能天気な女の子であった。
ただ容姿端麗だったため僻みやいじめをうけることも多くそういう類の噂も
その一部であった。
「あいつ石川に恋してたんや」
「ついに女に走ったか。あいつ…」
「ん?なんか様子がおかしいのれす」
「よしこ?」
「いや、やすらのほうなのれす。」
「ああ、なんかもめてるねぇ」
車の方を見るとなにやら保田と石川が口論している
「なにそれ馬鹿じゃないの?」
「なによ!みんな言ってるわよ」
「もういい!」
バタンとドアをあけて石川が車から降りる。どうやら5人に気づいたようだ。
「お、おいなんかこっちに向かってくるぞ」
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時24分24秒
- 「いちおう顔みしりやからなぁ」
「ともらちではないのれすか?」
「とりあえずむこうはそう思ってないんじゃない?」
「なんや吉澤の名前叫んでるであいつ」
「二人仲よかったのかなぁ」
「もしかして昔付き合ってたんじゃねぇの?」
「それはないれしょう…多分」
「よっすぃー」
吉澤の名を叫びながら吉澤に抱きつく。
・・・が吉澤は抱きつかれるとは思わなかったのか
二人とも倒れてしまった。
「久しぶりー」
「…ひ、久しぶりでござる」
「あかん…口調変わってるわ…」
「よしこ〜」
「やっぱり付き合ってわなかったのれす」
「だからってござるはねぇだろぷぷ」
「あっ他の4人も久しぶり〜」
「おう」市井が答える。
(また胸でかなってへんかあいつ?)
(相変わらずかわいいしねぇ)
(二人とも人のこといえないのれす…)
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時25分36秒
- 「何やってんの?」
「それはれすねぇ…ふがっ」
辻が石川に説明しようとしたところで加護が辻の口をふさぐ。
(なっなんれすか)
(あほっ石川なんかにこれからのこと話したら絶対)
「おもしろそ〜あたしもやる〜」
(って言うに決まってるやろって…あれ?)
「よっ吉澤〜」
加護の考えも空しく店には石川も含めた6人がこれからの作戦会議に参加していた。
当の吉澤はといえば…石川の横に座りにやにやしたり固まった表情になったりと
落ち着かない様子であった。
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時27分26秒
- 梨香になってる(T∇T)ミスッタ
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時28分56秒
- 「じゃあ始めんぞ。まず保田は最近ベンツに乗って生活してるらしい。」
「ほんまに?」
「ああ間違いない。寝泊りしてるとこ辻が何回か見たってさ。」
辻がうんうんとうなずく
「じゃあ寝てるとこを襲うわけ?」
「いや、あくまで盗むのだけが目的だからそれはやめとこうと思う。」
「じゃあどうすんねん」
「多分慣れが生まれてるだろうからちょっとでかけるくらいのことなら
鍵挿したままにしてると思うんだ。その一瞬を使って盗む」
「そんな上手いこといくんか〜?だいたいその一瞬がいつかもわからへんやん」
にやっと市井が笑う
「だからその一瞬を石川に作ってもらおうと思う。」
待ってましたとばかりに石川が笑顔になる。
「任せといて!色気使っちゃうんだから〜。いや〜ん」
吉澤が複雑な表情を浮かべる。やはり保田と石川の関係が気になっているようである。
「よっしゃじゃあ決まりな!」
こうして朝比奈キャッツアイの活動が始まった。
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時32分28秒
- 盗み役→市井、加護
見張り→後藤、吉澤、辻
色仕掛け?→石川
それぞれ役割をつけて作戦を実行する。本来ならば見張り役は車の近くにいるはずなのだが、
吉澤は保田の見張りをやるといってきかなかったので見張り役を一人増やすこととなった。
「つーかよしこは保田の見張りつーか梨華ちゃんの見張りみたいだね」
「まぁいいれはないれすか」
保田は今日は学校に残ってなにやら仕事をしてるらしく、石川と吉澤は朝比奈中学へと向かった。
「ふ〜疲れる〜教師なんてやるもんじゃないわね」
たくさんのテスト用紙を前にしてつぶやく。
明日の月曜にはこのテストを生徒にかえさなければならない。暇な時間は
いくらでもあったのだがなにぶん車に夢中だったため
こんな時間まで採点をやるはめになってしまった。
「あ〜なんかお腹空いてきたわ夜食買いにいこ。…ベンツで。むふっ」
不気味な笑みをうかべながら保田は車に向かっていった。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時33分45秒
- 「だ〜いじょうぶだってばよっすぃー。あたしのボデーにかかればいちころだって。
それが心配?やだーよっすぃー何言って…あっ保田でてきた。もう切るね」
「ツーツー…うう梨華ちゃん大丈夫かなぁ…」
「保田せーんせ」
「あっ梨華…」
「おでかけ?」
上目づかいでかわいい声をさらにかわいくする。完璧だ
「う、うん」
ほら動揺してる
「あたしも付いてっていい?仲直りしよっ?」
「う、うん!」
やたらと笑顔になる保田。楽勝だ
「じゃ、じゃあ行こうか」
保田がキーをさしたところで梨華が苦しんだふりをする
「ううっ」
「ど、どうしたの?」
「ちょっと持病が」
「ええっ?そ、そんなのあったの?」
「う、うんほらあたしちょっと肌が黒くなってるもん」
「そ、そうかな?いつも黒い気が…」
「ああっ(怒)?じゃなくって家に薬があるんだけど…」
「う、うんわかった。じゃあまずはそっちにいこう」
石川はお腹を抱えるふりをして「完了」と市井にメールをうった。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時35分11秒
- 「OK!もうすぐ保田こっちにくんぞ」
「やるやん石川―」
「後藤ー辻ーもうすぐ来るからなー」
「おっけー」
「了解なのれすー」
しばらくするとかなりスピードをだした車が市井たちの待機していた
石川のマンションに到着する。
「く、薬とってきて。戸棚の一番上に入ってるから。これ家の鍵」
「わ、分かった。中で待ってて。」
保田が慌てた様子で石川の部屋に向かう。石川の部屋は八階。
エレベーターに向かうがそこには故障中の張り紙がしてあった。
「もうっ!それにしても汚い字ねぇ」
ぶつぶつ言いながら階段へ向かう。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時35分58秒
- それを見たあとで市井と加護が現れる。
「汚い字で悪かったな…」
「なんや上手いと思てたん?」
ぺしっと加護の頭をたたいて車にむかう。そこには目を輝かせた石川が待っていた。
「石川やるじゃん」
「任せといてって言ったでしょ?」
石川が得意げな顔で答える。
「えっとこっちがアクセルやったっけ〜?」
「おいおい運転は市井がやるって」
「なんやそんなん聞いてへんで!うちがやる〜」
「市井がやるっつーのに」
「じゃあ間をとってあたしが…」
3人がごちゃごちゃやっている間にも時間が過ぎていく。
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時36分44秒
- 「い、市井ちゃ〜ん」
そうこうしているあいだに階段で見張りをやっていた後藤と辻が走ってきた。
「な、なんだよ保田の奴もう薬とってきたのかよ。早すぎだろ」
「あ、あれ石川の部屋の鍵じゃないですからね」
「なんやて!?」
「だってそんなの渡せるわけないじゃないですか〜」
「と、とりあえずドア開けて加護」
「なにやってんのあんたたち〜」
「よっしゃ全員乗った?出発―」
凄い音をたてて車が発車する。そして凄い顔をして追いかけてくる車の持ち主。
「うわっ物凄い顔してるであいつ」
「野獣だねあれは」
「つかまらなくてよかったのれす」
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時37分35秒
- 「じゃあとりあえず学校に戻りましょ。よっすぃーも待ってると思うし」
石川が市井に話しかけるが市井は運転に夢中なのか返事をしない。
「市井さん?」
「市井ちゃん、学校に行こうってさ」
「市井―聞いてるんかー?」
ようやくみんなが市井の異変に気づいたとき市井がつぶやいた。
「いやーブレーキ壊れたみたいでさぁとまらないんだよねぇ」
「このまま進むと海に突っ込むのれす」
「「「なにー」」」
「なんではよ言わへんねん!!」
「市井ちゃ〜ん」
「と、とにかく窓とドアを開けないと」
石川の冷静な判断でやっと窓を開ける。しかし…
「ぎゃー」
辻の叫びとともに車は海に突っ込んだのであった。
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時38分23秒
- 「もーなにやってんだよみんなー」
学校でひたすら5人を待っていた吉澤であったがさすがに痺れをきらして後藤の店に戻っていた。
作戦終了後、ここで祝杯をあげる予定になっていたのである。
そして吉澤の頭に石川の顔がうかんだところで店のドアが開いた。
「いやー大成功だったね」
「どこがや!!」
「市井ちゃ〜ん」
「めちゃくちゃなのれす」
「あっよっすぃー」
石川がやっと吉澤の存在に気づく。5人のびしょ濡れの姿をみてさっぱり状況のつかめない吉澤は5人に話しを聞くところから始めた
「なるほど、それでびしょ濡れなんですか」
「そうや市井のせいやで全部」
「ごめんごめん」
笑いながら市井があやまる。
「まぁとりあえず乾杯しましょー」
石川の掛け声にあわせてみんなが「おー!」と返事する。
「「「「「「かんぱ〜い」」」」」」
- 38 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時40分03秒
- なんだかたくさんのことが起きた一日だったが6人ともとてもすがすがしい顔をしていた。
中学以来ひさびさに感じたような感覚を全員が味わっていた。純粋に笑いあえたあのころ。
そんな感じだった。
「なぁみんな聞いてくんない?」
一斉に5人が市井のほうを向く。今の感じを壊してしまうかもしれない。それでも市井は
こいつらにはどうしても伝えたいという気持ちのほうが強かった。
「あたしさぁ…癌になっちゃいましたー。」
「えっ?」
「なんか末期らしくてさあと半年しか生きれないんだって」
「市井ちゃん?」
「だからあと半年は好き勝ってやらせてもらうわ」
「…」
どういう反応をされるのだろうか?今の雰囲気を壊してしまうことは間違いなかった。
でもこいつらなら今の自分を分かってくれる。そんな気がした。いつもなら冗談ととられただろうが、
そうではないことをみんな分かっているようであった。
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)02時41分10秒
- 「寒いで市井ー」
「もうその話はなしね市井ちゃん」
「残りを楽しむしかないのれす」
「ひさびさにマジな顔みたな」
「キャッツで暴れましょー」
反応薄っ!心配していた自分が馬鹿だった…んなこと心配するやつらじゃねぇか。
「よっしゃー残り半年朝比奈キャッツアイフル回転でいくぞ!」
「よっしゃ円陣くむで」
「おー懐かしいー」
「じゃやろうか!」
「「「「「「朝比奈〜キャッツ!ニャア!キャッツ!ニャア!キャッツ!ニャアー!!」」」」」」
次の日…海から一台の車が引き上げられた。
「な、な、なんじゃこりゃー」
そして一人の絶叫も聞こえた。
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