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サンキュ。

1 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)11時38分58秒

ごとーにとって市井ちゃんは、世界でいちばん大切な人。

市井ちゃんがいれば、もう何もいらないよ。

誰にも負けないくらい、すっごくすっごく大好きだよ。
2 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)11時41分29秒
主な登場人物



◎石川女子学院生徒

後藤真希  高1。紗耶香と付き合っている。

市井紗耶香 高3。真希と付き合っている。バスケ部のキャプテン。

吉澤ひとみ 高1。真希の親友。バスケ部の期待のエース。

石川梨華  高2。学院長の娘。
3 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)14時40分13秒
いつの間にか、もうこんなに寒い季節になっていた。

指先までシンシンと冷えてしまって、四六時中温もりを探してる。

けどその温もりがすぐそばにあるから、生きていける。



なかなかチャイムが鳴らない。

めんどい授業の日は特に、時間の流れが遅く感じる。

鳴るのはごとーのお腹の虫だけ・・・・





〜〜♪



ヤバッ!!ケータイの電源切るの忘れてた!





バコンッ



慌てるヒマもなく、頭に当たったのは丸めた教科書。
4 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)14時47分19秒
「後藤、あんたは校則破るために学校きとんのかぁ!?授業中は電源切れっちゅーねん。」

「ナカザー・・・」

「アホ!そんな目したってダメやで!カワイイけどダメ!!」

なんじゃそりゃ・・・・

「没収!!はよ携帯よこしぃや。」

「え〜、またかよ〜・・・」

しかたなく先生に携帯を渡そうとした時、チラッと画面が見えた。

【Eメール1件・市井ちゃん】

思わず携帯を持っている手を引っ込めた。

「あ、コラ!フェイントすんなや!」

「先生!!」

「な、なんや?」

「今日も綺麗だね。」

「へ?あ、当たり前やないかい・・・って後藤!!ちょっと待ちぃや〜!!」


そのまま廊下に飛び出て走り出した。




大好きな人に会うために。

5 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)15時00分41秒
向かったのは屋上。

いっつもここは2人の集合場所なんだ♪





ガチャッ



まぶしくて右手をおでこに翳した。






「市井ちゃん。」



そう呼びかけると、フェンスから外を見ていた視線をこっちに向けた。






「おいで。」




優しく手招きする。その手に向かってそっと歩き出す。




あと1メートルってところでピタっと足を止めて




両手をめーいっぱい広げた彼女の体にもたれるように抱きつく。




ギューッって抱きしめると、優しく返してくれる。




やっぱり彼女は一枚上手。
6 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)15時05分14秒
「いちーちゃんっ。」

「後藤・・・痛いよ。」

「会いたかったよぉ・・・・。」

まだまだめーいっぱいギューって抱きしめる。

「あたしも。」

「えへへっ。」








こんなに笑顔でいられるのは、いちーちゃんのおかげ。












あたしが好きっていっぱいいっぱい言うから、市井ちゃんは全部受け止めてくれる。




おっきい優しさで返してくれる。












それでもまだ好き・・・・好きで好きでしょうがないの。













大好き・・・市井ちゃん。
7 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)15時15分58秒
「今日早いね、市井ちゃん。」

「うん。ヤスケイの授業ペース早いからさ、いっつも早く終わるんだよね。」

「い〜な、保田先生。裕ちゃんの授業って、チャイム鳴るの遅いんだよね〜。」

「あはは、なんじゃそりゃ。後藤、ちゃんと授業聞いてるか?」

「聞いてるよぉ〜っ!!でも昼休みの前は全然集中できないよ。
だって、もうすぐ市井ちゃんに会えるんだ〜!って思うと落ち着かないんだよね!」

「そりゃぁど〜も!けど授業はちゃんと聞くんだよ?留年したら困るだろ。」

「しないって!あはは〜。」




市井ちゃんとのこのひと時が大好き。




2人っきりで色んな事話して、笑ったり、泣いちゃったり。なぐさめられたり。







市井ちゃんの全部が大好き!!

8 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)15時56分03秒
「後藤、ちょっと携帯見して。」

「うん?」

市井ちゃんは携帯を受け取るとメール欄を見た。

「ほら〜、またメール見ないで来たでしょ!」

「え?あ、ごめんごめん!いつもの事だろーなーって思ったから・・・」




「・・・・今日はいいコト書いてあげたのにサ。」


市井ちゃんは携帯を返すとそっぽ向いてしまった。


「いいコト???」


とりあえずまだ未開封のままのメールを開いた。

いつもなら【屋上で待ってる。by紗耶香】って書いてあるんだけど・・・・

今日はひとこと付け足ししてあった。






【早く会いたいな。】







「市井ちゃん・・・・」




「見ないと思ってたからなんとなく書いただけだよ・・・・」




「でもこれはホントでしょ?」




後姿でわかるよ。市井ちゃん、超照れてる♪
9 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)16時00分11秒
「・・・・・・・っていうか・・・・。」


「え?聞こえないよぉ〜」



「だから・・・・・・ごとぉに・・・・早く会いたくて・・・・・・」



「えぇ?聞こえないってばぁ!!」



ちょっとイジワルしてみたりしてはあとはあと




そしたら市井ちゃんマジになっちゃってさ。










「1秒でも後藤に早く会いたかった。」







そっと頬に置かれた市井ちゃんの右手。








甘い甘い口付け。



マジ、ぶっ倒れそうだよ。



「な、なんで市井ちゃんはそんなに冷静でいられるの?あたしが愛してばっかり・・・。」






そう思うとちょっぴり悲しくて、涙が出そうになった。










「バーカ。あたしだって理性ぶっ飛ばないように抑えるのに必死なんだから。」

10 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)16時12分11秒
「ホント?」


「・・・・そーだよ。だってこんなに後藤の事好きなんだから。」


「だったらもっと好きって言ってくれればいいのにぃ・・・・」


「ダメだよ、あたしの売りはクールなんだから。」


「キャハハ!!なにそれ〜っ!市井ちゃん全然クールじゃないよぉ〜!!」

「・・・っ!じゃぁどうなんだよっ!」

「市井ちゃんは、ごとーの前では甘えていいんだよぉ?」

「甘えるっていったって・・・・後藤が甘えんぼなんだろ〜」

「えへへ、まぁね〜。でもごとーはどんな市井ちゃんでも大好きだよ!!」



ごとーが直球で【大好き】言ったら、市井ちゃん優しく微笑んでくれた。
11 名前:とみこ 投稿日:2001年12月27日(木)18時10分51秒
とりあえず今日の交信終わりです。




問1 上記の中で、誤字はどれでしょう。
12 名前:M.ANZAI 投稿日:2001年12月28日(金)09時21分47秒
答1 名前mail欄の「いちごま☆イチゴマ☆ICHIGOIMA」が「…☆ICHIGOMA」

こんにちは、ついに新しい小説が始まりましたね。
今度は王道物ですね。
今後の展開を楽しみにしております。
13 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)09時29分57秒
さすが!M.ANZAI様っす!!(^^)
ICHIGOIMAになってるんです。
あと、「更新」が「交信」になっています・・・(゚皿゚)になってます(w

今回はいちごまで責めたいと思います!!
14 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)09時41分02秒
教室に戻ると、また憂鬱な授業が始まる。



授業中楽しいと言えば、こっそりよしことメールする事。

あ、よしこってゆーのはクラスメイトで、ごとーの親友。




市井ちゃんより、もっともっとクールで、冷静で、無愛想でさ。

でもごとーの前では時々笑ってくれる。

それがすっごいさわやかでカッコよくって、もちろんよしこはモテモテ。


この学園で1番モテるのがよしこで、2番が市井ちゃん。


でもごとーにとっては、やっぱり市井ちゃんが1番だよ。


あ、別によしこが嫌いなわけじゃないけどね。


よしこはすっごくいい友達だと思ってるんだぁ。
15 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時04分06秒
今日は保田先生の授業。(通称ヤスケイ・ヤッスー)

授業が早く終わるのはいいんだけど、早すぎて付いていけない。


いつものように制服のポケットから携帯を取り出してメールを打つ。



【よしこの後姿、カッケー!by真希】




送信っと・・・・



2つ前の席に座っているよしこが、サッと携帯を取り出した。


そして画面を見て、少し固まる。アハッ呆れたかな。


でもクールなよしこをからかうのは結構楽しいんだよね〜。


よしこはすぐには返事を打たない。何しろ3位以内をキープしてるほどの秀才なのだ。



すごく速いペースで右手でノートを写しながら、左手でメールを打つ。



すげぇ・・・・・
16 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時12分05秒
ブルブルッ

さっそくメールが来た。



【あたしばっか見てないで、黒板も見なさい。byひとみ】


一瞬冷たい言葉のように感じるかもしれないけど、


よしこはごとーの事を心配してくれてる。勉強とかは、すっごい熱心に教えてくれるし。


ちょっと市井ちゃんと重なっちゃう。




んでもってあたしはすぐに返事を返す。


【ごめんごめん、よしこに見惚れてた。なんちって(^^*)by真希】




送信っと・・・

17 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時18分31秒

よしこが携帯を取り出す姿をニコニコしながら見つめる。


どんなリアクションするだろう・・・・



画面を見ると、特に反応はなかった。


しかし!なんとすぐに返事を打ち始めた。


いつもなら2分くらいは放置しとくのに・・・・



そしてメールはすぐに届いた。


【今ごろ言われても、もう遅い。】







・・・・・ん?
18 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時22分56秒

【今ごろって・・・・どういう意味?】


思ってたことをそのまま打ち込んだ。



よしこはまたすぐに返事を打ち始めた。




キーンコーンカーンコーン・・・・



チャイムの音と同時に、みんなが起立した。


ちょうど打ち終わったのか、よしこは携帯をしまった。



ブルルッ


急いで携帯を取り出そうとして、あやうく先生にバレるところだった。







・・・・・・・画面を見て、今まで緩んでた顔が少し引き締まった。







【ごっちんの事が好きだったから。】

19 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時25分40秒
好き・・・・?




ごとーの事が・・・?




好き【だった】?


過去形っすか?



教室にはもうよしこの姿はなかった。



いつもなら5分休みは雑談するのに・・・・



まぁたしかにこんなメール交換したんだからきまずい・・・・か。


廊下に出ると、よしこが階段を降りていくのが見えた。




「よしこ!」
20 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時30分09秒
聞こえなかったのかな・・・・・


何もなかったようにスタスタと階段を降りていく。


追わないわけにもいかないので、よしこに続いて階段を駆け下りた。



「よしこ!よしこってば!」



1階の廊下についた時、よしこの足が止まった。



「なに。」

「え・・・なにって・・・・・・ど、どこ行くの?」

「散歩。」


「え?」


「ごっちんは?」


「え、ごとーはさっきのメールが気になってて・・・追いかけてきた。」




うわ、ごとーってば何言ってんだろ。
21 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)10時37分19秒
「メール・・・あぁ、あれか。」

「う、うんっ。」


なんて答えるんだろう・・・・




「っつーか・・・、前は好きだった。」



「へ?」



「市井先輩と付き合うまでは。」




いくらバカなごとーでも、それくらいは理解できた。


でも・・・ごとーが市井ちゃんに告白するまで、ずっと協力してくれたじゃん。


ごとーの事好きだったのに、協力してくれたの・・・・?



なんでそこまで優しいの?
22 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)16時18分39秒
「告白するつもりはなかったから、ごっちんが市井先輩と付き合って安心してる。」


「安心って・・・・」


「今は恋愛感情持ってないから、ごっちんも安心して。」


「・・・・うん、ありがとう。」


「じゃ、あたし戻るよ。」


そういってよしこはごとーの頭をポンッって優しく叩いて去っていった。



変なの。
23 名前:とみこ 投稿日:2001年12月28日(金)16時28分55秒
自宅――――


「ただいまぁ。」

「おかえり、姉ちゃん。」

「ユウキ帰ってたんだ。」

「うん。アイスあるよ。」

「こんな寒いのに食えっかっつーの!!」




部屋に戻ってソファーにもたれこんだ。







【今は恋愛感情持ってないから、ごっちんも安心して。】





よしこのあの言葉がまだ小さく響いてる。




恋愛感情持ってないって言われると・・・少し寂しいな。



そりゃぁごとーは市井ちゃんが好きだけどサ・・・



よしこだっていい友達だし、なのにあんな事言われたら


なんか他人みたいじゃん。



でもそう思うって事は、






うちらの関係って今まで恋愛感情でつながってたわけ?



う〜ん!!よくわからん!もう寝るよぉ!!



zzz・・・・・
24 名前:夜叉 投稿日:2001年12月28日(金)17時24分44秒
新スレ、おめでとうございます。
たどり着けました(w。
今回はいちごまですか、登場人物見る限りでは、いしよしも(略。
期待してますね、頑張ってください。

前スレで気になることがあったのですが、いいです?
自分、小説書いてませんけど、何か?(w。
もしかして、同じHNで小説書かれている人いるんでしょうか?
ドキドキしてます(汗汗。

ただいま下書き中。
25 名前:とみこ 投稿日:2001年12月29日(土)17時21分46秒
>>夜叉様

>新スレ、おめでとうございます。
ありがとうございますvvv

>自分、小説書いてませんけど、
すみません、多分深紅さんと間違えたとかそのへんだと思います(w

>ただいま下書き中。
マジっすかぁ!?是非是非読ませてくださいね!

26 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月29日(土)17時26分25秒
よしこと出会ったのは、たしか中1の夏かなぁ・・・・


―――――――――――

特別バージョン・過去編  【おせっかいなアイツ。】




先生が、学校は遊ぶところじゃなくて勉強する所だって言ってた。

けどあたしは違うと思う。

学校は友達や大切な人がいるところ。

勉強はおまけ。

そうじゃないとやってらんないっす。
27 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月29日(土)17時33分15秒
「おい。」

「へ?」

「なにしてんだ、お前。」


ってゆーかあんた誰だよ・・・・・せっかく新しい学校にも慣れて

最高のお昼寝場所(ってかただの屋上だけど)見つけたのに。

ジャマすんな・・・・。


「・・・・誰あんた。」

「あんたが例の転校生?」

人の話全然聞いてないし・・・・

「そうだけど。」

「あんた、前のガッコでだいぶ問題児やってたんだって?」

「別に・・・・」

「あたし、吉澤ひとみ。あんたの世話係。」

「はぁ?」

「先生に頼まれたんだよ。転校生の世話しろってね。」

問題児扱いされんの嫌なんだけど・・・・


「あたしが問題児だから?」

偽善ってゆーんだよ、そういうの。

あたしは偽善が大嫌い。



「友達になろうか。」

彼女の意外な言葉に少し驚いた。ってか退いた。

「世話なんてめんどいし。友達になろ?」

「は?やだよ。友達なんていらない。」

「それは困るよ。世話してるトコ見せなきゃダメだもん。
友達になれば一緒にいるから世話してるよーに見えるじゃん?」

ニコッと笑った彼女の顔が魅力的だったのと、その悪知恵に納得したので、

結局吉澤ひとみと友達になった。
28 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月29日(土)17時35分14秒
前の学校で、あたしはかなり問題児だった。

授業中は寝てたし、遅刻しないで来た事はなかった。

入学式からキンパで、先輩に目ェつけられてた。

そんでケンカもいっぱいしてた。

そのうち行くのもめんどくなっちゃってサ。

そんなふうにバカやってたけど、あたし友達いなかった。

いっつもひとりで、さみしかった。

けどあたし強がりで素直じゃないから、泣かなかった。




ちょうど親の仕事の関係で引っ越す事になった。

誰も知らないうちに転校した。どーせ知られても泣いてくれる人なんていないんだから。
29 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月29日(土)19時23分07秒
期待期待期待!!!
30 名前:夜叉 投稿日:2001年12月29日(土)20時39分25秒
転校前とその後と今、明らかにごっつぁんの態度、違ってますね。
これには、いちーちゃん、吉が大きく絡んでるみたいで。
楽しみにしてますね。

あ、あまり期待しないでくださいね。なんせ、駄作の上、速度が遅いし。
もしかすると、闇に(略。
31 名前:とみこ 投稿日:2001年12月30日(日)10時44分29秒
新しい学校では、もうワルい事ばっかりするほどの熱はない。

でも友達もいらない。こんな強がりで素直じゃないあたしなんかに

友達を作る資格もないんだから。






けど・・・・あのおせっかいなアイツのせいで・・・いや、おかげで素直になれた。

あの時のよしこは、まだ全然クールなんかじゃなくて、

おちゃらけてて、でもどこか優しくて強くて、カッコよかった。
32 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)10時48分21秒
中1の秋・・・あたしとよしこはもう大親友になっていた。



ガチャ

「おい。」

「うわっよしこ!!ビックリしたぁ。」

「またこんなとこで・・・」


こんなとこって言ったって、あたしにとっては癒しの場だよ。アハッ


「よく屋上なんかで寝れるね。」

そういいながらあたしの隣に座った。


「ごっちんが授業サボるから、あたしが使われるだろーが。」

「え?もう授業始まってんの?」

「アホ!はやく教室もどんぞ、コラ。」


「イヤだよ〜だ。よしこも一緒にお昼寝しよ?」


「ごっちんさぁ・・・・」


呆れ顔のよしこ。



数分後




「あー幸せ。」


2人仲良く並んでお昼寝はあとはあと


「おぬしも悪よのう。」


2人の声がそろって笑った。



「お前ら何しとんねん。」

「「あ、裕ちゃん。」」


また声がそろう。
33 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)10時51分31秒
「吉澤まで一緒に寝てどないすんねんアホ!!」

「だってぇ・・・グスン。」

「いいって言うまでここで正座しときぃや!!」

「「は〜い・・・」」


こんな時まで声がそろってしまう。




「ごっちんのせい。」

よしこがぼやいた。

「結構人気あるのになぁ、あたし。こんなすがた見られたら・・・・」

「え、よしこ正座嫌なの?」

「嫌だよ〜。」

「あたしは結構好きだよ。だってよしこが一緒だもんはあとはあと

「・・・・バカ。」



俯いたよしこは、少し照れてるっぽかった。(カワイイはあとはあと
34 名前:とみこ 投稿日:2001年12月30日(日)12時10分07秒
>名無しさん

ありがとうございます!がんばりますです。


>夜叉さん

>転校前とその後と今、明らかにごっつぁんの態度、違ってますね。
そうですねぇ〜。市井ちゃんと吉はかなり関係してます。

>あ、あまり期待しないでくださいね。
いえ、期待させていただきます。
35 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)12時19分01秒
2学期の期末考査。

教室の前には上位20名の成績が書かれていた。


もちろんあたしの名前なんかないけどサ。



・・・・ん?



え!?

マジでぇ!?

この数ヶ月間よしこと一緒に過ごしてきて、よしこが頭いいのは知ってたけど・・・


8位の所に『吉澤ひとみ』の名前が書いてあったのだ。


うっわ〜っ。8位とかいってスゴすぎ!あたしフツーに最下位組だし。


一瞬、よしことは違う世界の人間のような気がしてしまった。


たしかによしこがスゴイ。

勉強もできるし、スポーツ万能だし、顔もかなり美人だし。



あたし、友達でいていいのかなぁ・・・
36 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)12時25分56秒
「よしこぉ!!」

教室に戻って、すぐに駆け寄った。

「おぅ、ごっちん。どうしたの?」

「スゴくない!?8位!!」

「え・・・・」

一瞬表情が曇った漢字がした。

どうして?あたしなんか悪い事言った?


「すごいじゃん!嬉しくないの?」

「・・・あぁ、嬉しいよ。」


え・・・あたし今変な事言ってないよね?

8位・・・嬉しくないのかな・・・


「でも前より落ちたから、順位。」

「え、そうなの?でも8位だからいーじゃんかよぉ。」



・・・・変なの。
37 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)12時26分56秒
>>36

漢字=感じです。
38 名前:深紅 投稿日:2001年12月30日(日)12時50分04秒
おめでとうございまーす!!
新スレ設立。
お気に入りにも追加おっけぃ!ですし。
やっぱとみこさんのごっちんカワイイっす!!
よしこもいちーちゃんもかっけぇーし!!
自分のトコのよしこはバカ道まっしぐら(違)ですから(苦笑)
これからもがんばってください!!
期待大!ですね!!!
39 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)13時01分05秒
「よしこぉ〜、放課後渋谷行かない?」

「あ、ごめん。あたし部活入ったんだ。だから忙しくって・・・」

「え、ウソ!何部?」

「バスケ。」

「へ〜そうなんだぁ・・・ん、じゃぁまた今度行こうね。」

「うん、わかった。」



どうして部活に入った事教えてくれなかったんだろ・・・

なんかだんだんよしこから突き放されてるような気がして、寂しいよ。

初めてできた友達なのに、たった数ヶ月で離れていっちゃうなんて・・・ひどいよ。

40 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)13時10分25秒
しかたなくひとりで渋谷に行った。

しばらくそのへんのショップをブラブラしていた。

けどやっぱりひとりだと渋谷の街も楽しくなくなってしまった。




辺りもだいぶ暗くなってきたから、ハチ公前のベンチで少し休む事にした。



ひとりになると、よしこの事が頭に浮かぶ。


最初の方はよしこのペースに引っぱられっぱなしだったけど、

今はよしこがいないとすごく寂しくて、

よしこに冷たくされるとどうにもたまらなくなる。


この頬を流れる涙が、そう教えてくれる。
41 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)13時24分58秒
「ねぇねぇ、今ひとり?」

茶髪の高校生が話し掛けてきた。

「・・・うん。」

「俺もひとりなんだよね〜。お茶しない?ゴチるからさ。」

ナンパかよ・・・・

「やだ。」

「そんな事言わないでさぁ、ね?いーじゃん。」

「イヤっつってんだろ、このタコ!」

ガツンと相手の足を蹴った。

「痛ってぇな!何すんだよ、ブス!てめぇなんか興味ねーんだよ!!」

捨てゼリフを吐いて逃げていった。


「ハァ・・・・」

なんか・・・ひとりになると、ワルやってた頃に戻ってきてるみたい。



「ねぇ、あれ後藤じゃね?」

「あーホントだぁ!」


そういいながら近寄ってきたのは、かなりギャル風の中学生。

そのコらの制服に見覚えがあった。
42 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)13時32分55秒
「後藤だよね〜?」

「・・・・・・・・・。」

あたしは黙ってそいつらを睨みつけた。



前の中学校のヤツらだ。

しかも、あたしがキンパだった時に目ェ付けられてて、ケンカした先輩。



「アハハ、マジ変わってるしぃ〜!!あのキンパはどこいったんだ〜!!」

「黙れよ。」

「は?何言ってんの、後藤のくせに。キャハハッ」

「性格変わってねぇし!!ウゼ〜!!」

「ねぇ、後藤。」

ひとりがあたしの襟を掴んで立たせた。

「あの時の仕返ししてやるよ。ちょっと来い。」

そいつの手を振り払った。



「かかってこいよ。」
43 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)13時49分25秒
相手は3人。

ケンカすんの久しぶりだし、どうなるかわかんない。

けど売られたケンカは買うっきゃないでしょ。


そいつらに連れられて、暗い路地裏に行った。


「カバン、置けよ。」

素手でって事か。

言われた通りカバンを床に置くと、いきなり突き飛ばされた。

「・・・っ!!」

あたしは壁に追いやられて座り込んだ。

見上げると、すでに3人に囲まれた状態になってしまった。


「二度と動けないよーにしてやるよ!!」


ドガッ

「うっ・・・!」



悔しい、悔しいよ・・・・



お腹を抱えて横に倒れこんでしまった。


「キャハハ、こいつもう動けなくなってるよ?」

「超ダサいし〜。もっとやっちゃえ!」



ガツンッ

バキッ

ドカッ




鈍い音だけが壁に響く。










もうどうなってもいーや。









そのままフッと意識が途切れた。
44 名前:夜叉 投稿日:2001年12月30日(日)14時23分58秒
ごっつぁん、自暴自棄になってはいかんでござる(泣)。
やはり、いちーちゃんと吉が関係してきてるのね。
続き、楽しみに待ってます。
45 名前:M.ANZAI 投稿日:2001年12月30日(日)16時42分40秒
ごっちんの過去編が始まってる〜。
転校前の不良キャラから如何に変って行ったのか・・・
ってごっちん、意識無くしてるじゃんっ!
誰か〜!
46 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)19時34分21秒
>夜叉さん

>やはり、いちーちゃんと吉が関係してきてるのね。
はい、そうです!見事に的中でございます(^^;)

>続き、楽しみに待ってます。
ありがとーございますvv

>M.ANZAIさん
>ってごっちん、意識無くしてるじゃんっ!誰か〜!
その誰かっつーのが今から出てきます!
ごっちんが目を覚ましたその先には・・・
47 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)19時38分42秒
フッと目を覚ました。


「あ、起きた。」


誰かがあたしの顔を覗き込んだ。


まだ意識が朦朧で、誰だかよくわからない・・・



「おい、生きてるか?」



・・・どうなんだろ。生きてんのかなぁ・・・・死んだかもね・・・・・アハ。


それよりココどこ・・・?天国かなぁ・・・まさか地獄??


「だいじょーぶ??おーい!!」

「・・・・ん?」

「あ、生きてた。大丈夫?」



え・・・・・




よしこ・・・・?
48 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月30日(日)19時45分47秒
ショートカットの髪の女の子・・・男?いや、女の子だ・・・・

よしこっぽい・・・・・でもなんでよしこが・・・・・・


重い体をそっと起こした。


「よしこ・・・?」

「え?」

だんだんボヤけてた視界がハッキリしてきた。



「悪いけど、あたしは【よしこ】じゃないよ?」

「・・・・え?」

「市井紗耶香。助けてもらったんだから、顔と名前くらい覚えときな。」

「市井・・・・ちゃん?ここドコ?」

「変なあだ名つけんなよぉ・・・・ここはあたしの家。っていうか寝てろ。ケガしてんだから。」

「へ?」

ズキッとそこら中が痛んだ。



あ・・・そうだ、アイツらにボコられてそのまま・・・・



ここは市井ちゃんの家・・・・・



あ、あたし助かったんだ。市井ちゃんに助けてもらったんだ・・・・



ちょっと安心したぁ・・・・



なんか・・・・・・






眠いよぉ・・・・

49 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)11時04分09秒
「おーい、起きろ。」

「ふぇ・・・?あ、いちーちゃん、おはよぉ〜」

「バカ、もう昼だよ。」

「え、ウソ!?お腹すいた〜なんかちょーだーいっ。」

「ガキかお前は!!」

結局いちーちゃんがホットケーキをつくってくれた。



「いっただっきまーすはあとはあと

市井ちゃんも向かい側に座って一緒に食べた。

しばらくすると、市井ちゃんがじ〜〜〜〜〜っとあたしの顔を見てきた。

「な、なに!?」

「やっぱりそーだ!!」

「え?」

「あんた、1年の後藤真希でしょ?」

「そ、そうだけど・・・」

「1学期に転入してきたよね?うちの学校に。」

「へ?ってことはいちーちゃん、同じガッコ?」

「そーみたいねー。」

市井ちゃんはアハハと笑った。




驚いたぁ・・・

いちーちゃんが同じガッコだったなんて。





これってちょっと・・・いや、かなり運命チックかもはあとはあと
50 名前:夜叉 投稿日:2001年12月31日(月)13時42分56秒
いちーちゃん、助けてくれて有難う。
ここから二人が始まるんですね、楽しみです。
51 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)17時32分42秒
「後藤、ケガは平気なの?」

「うん、もう大丈夫。」

ソファーにいる市井ちゃんの横にそっと座った。

近くで見る市井ちゃんは、すっごく落ち着いてて、綺麗で、少しドキッとした。

「・・・・いちーちゃんはどうしてあたしを助けてくれたの?」

「そりゃぁあんな所に人が倒れてたら助けるでしょ。」

「え、でもよくあんなところ通ったね。」

「いや、たまたま通りかかったらギャルっぽいやつらが飛び出てきたからさ。」

「あ〜、あたしそいつらに殴られて気ぃ失ったのかな?」

「・・・・悔しくないの?」

「う〜ん、そりゃぁ悔しいけど・・・悔しがってもしょうがないことかなぁ〜って。」


そういうといちーちゃんはフッと優しく笑ってくれた。

初めて市井ちゃんの笑顔を見て、なんだか忘れていたものを思い出したような気がした。
52 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)17時33分39秒

「強いのな。」

「え?」

「あたしも後藤みたいに強くなりたいよ。」

「え〜??ごとーは強くなんかないよ?」

「・・・自分で後藤って言うなよ。」

「だっていちーちゃんが後藤ってゆーからつられたの!」

いちーちゃんの肩をポコポコ叩いた。

「アハハ、元気なやつ。」



いちーちゃんの右手が、あたしの頭を優しく、優しく撫でてくれた。



おかしいな。



まだ会ってからほんの少ししか経ってないのに、こんなにいちーちゃんに惹かれてる自分がいた。
53 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)17時40分47秒
「ごとー、まだ〜?」

「今行くー!!」


ここはあたしの家。

すっかり仲良しこよし♪になった市井ちゃんと一緒に学校に行く事になった。


「おせぇ〜よ。」

「ごめーんっ!!」

制服に着替えて、マンションから走って出てきた。

「・・・っ!」

いちーちゃんはあたしの制服姿を見て真っ赤になった。

「ん?どうしたの、市井ちゃん。」

「いや・・・後藤は・・・制服の方が可愛いね。」

「え!?あ・・・ありがと。そんな事言われたの初めてだよぉ・・・」

「いや、マジ可愛いよ。いや、私服もカワイイけどね、うん。」

「・・・・・。」

そんなに誉められたら、こっちまで真っ赤になっちゃうじゃん・・・・


「・・・じゃ、行こっか。」

「うん!!」



ちょっとぎこちないけどさりげなく手を繋いで、学校へ行った。
54 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)17時49分56秒
正門に入る時、向こうからよしこが歩いて来た。

まだ眠そうな顔で前髪をサラッとかきあげた仕草が、少し色っぽかった。


ちょうどあたし達とよしこは同時に正門をくぐった。

「おはよ、よしこ。」

「・・・・ん。」

よしこは市井ちゃんを見た。

そしてそのまま視線を下に落として、繋いでいた手を見た。

「あ、ちがっ・・・!!これは・・・その・・・」

あたしは慌てて手を離した。

「ごっちん、市井先輩と付き合ってたんだ?」

「へ?」

そのままスーッと校舎に入ってしまった。
55 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)18時02分52秒
「よしこ!!」

「どうしたの。」

教室に入るなり、よしこを壁に追いやった。

「あたし、市井ちゃんと付き合ってないよ!?」

「・・・そっか。」


やっぱり冷たいよ、よしこぉ・・・・


「それに・・・なんであたしの事避けるの?どうして冷たくするのぉ・・・・?」

ポロポロこぼれる涙に、さすがのよしこも困っていた。

「ちょっ、泣くなよ・・・・」

「だってぇ・・・よしこが、よしこが冷たいんだもん・・・ずっと友達だったのに!!」

クラスメイトの視線が全部こっちに向いているのもおかまいなしに泣いた。

これくらいしてやんないと、よしこわかってくれないもん!


「と、とりあえず場所変えよう!!」



そのまま屋上へ行った。
56 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2001年12月31日(月)18時11分42秒
屋上――――

「で、どうして泣いてるの?」

「よしこのせい。」

「え・・・あたし?」

「いっつも2人でバカやってたのに・・・いきなりよしこ冷たくなってさぁ・・・」

大切な【友達】なのに・・・

「他人みたいにあたしの事避けてさぁ・・・どうしていきなり態度変わっちゃうのぉ?」

大好きな【親友】だったのに・・・



よしこの大きな腕が、あたしの体をそっと抱きしめた。



2人の影が重なって、あたしの泣き顔はよしこの肩にうずくまった。



「不安にさせてごめんね・・・傷つけてごめんね。」

「よしこぉ・・・」

「色々悩んでてさ、そのことばっかり考えてて、ごっちんの事考えてあげられなかった。」

「・・・ううん、いいの。あたしこそワガママ言ってごめんね。」

「・・・ありがとう。」



あたしはよしこの【悩み】というモノを聞こうとはしなかった。



もういいよ。



また、友達に戻ろう?
57 名前:M.ANZAI 投稿日:2001年12月31日(月)18時48分42秒
うわっ、こんな日にごっちんと市井ちゃんの出会いの場面がっ!
しかもいきなりフレンドリーだし。
(市井紗耶香様、誕生日おめでとうございます♪)

なにげによっすぃーの気持ちが・・・聞けないのかな?
何だろう、よっすぃーの悩みって・・・
58 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)17時41分17秒
読者の皆様

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願いします。

2002 元旦  とみこ
59 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)18時01分51秒
「ごっちん、今日部活ないから一緒に帰ろ。」

「うん!」

やったぁ〜!!久しぶりによしこと帰れるよぉ〜はあとはあと






正門に行く途中、小柄な女の子がこっちに向かって歩いて来た。


そのコは一瞬あたしの方を見てから、よしこに視線を向けた。

「あの・・・・」

その強烈なアニメ声に、よしこもあたしも少し退いた。

「吉澤さん、だよね?」

「うん、そうだけど。」

「あたし、2年の石川梨華っていうの。覚えといてネ。」

それだけいうと走り去ってしまった。



・・・よしこ狙いか?


「よしこ、あんたモテるねぇ〜。」

「石川サンってもしかして・・・学院長のの娘の?」

「あ!あの人が学院長の!!スゴイじゃん、よしこ!」



なーんて言ったって、よしこって恋愛には興味なさそうなんだよね。

今まで何人も・・・・いや、何十人もよしこに告白してきたけど、全部断ってるし。

っていうか、よしこってメチャメチャモテるんだよ!!

影ではファンクラブがあるとかないとか・・・

60 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)18時02分56秒
学院長のの娘の=学院長の娘の

新年早々まちがえました(w
61 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)18時07分41秒
「石川先輩って・・・よしこの事好きっぽくない?どうすんの?」

「っていうか・・・ちょっとタイプかも。」

「え!?マジで?」


よしこがそんな事言うなんて思ってもいなかったから、おもわず大声を出してしまった。

「カワイくない?梨華ちゃん。」

よしこがニヘッと笑った。

なによ、【梨華ちゃん】とか呼んじゃってさっ





「なに、妬いてる?」

イタズラっぽくあたしの顔を覗き込んできた。

「バ、バカ!やいてなんか・・・」

「ほんとかよ〜。」


イヒヒっと笑って更にあたしを挑発する。



耳まで真っ赤になったのがバレバレ・・・



恥かし〜っっ
62 名前:夜叉 投稿日:2002年01月01日(火)21時30分26秒
開けました、作者様。
早々の更新有難うございます。
ひょっこり、石の登場ですね。そろそろ、もう一組の(略。
吉の悩みって、あれのことですかな?
63 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)21時42分55秒
>>M.ANZAI様

新年レス1番乗り、ありがとうございます^^

>うわっ、こんな日にごっちんと市井ちゃんの出会いの場面がっ!
そうなんですよねぇ〜(?)よしごま・いちごま・どっちも好きなもんで・・・
っていうかゴッツァンがすきなんですけどね(w


>>夜叉様

早々の更新です、ハイ。
なんでもヒマなもので・・・ガッコの宿題以外やることないんですよ〜(やれよ)

>吉の悩みって、あれのことですかな?
あれってどれですか?(死
吉が冷たくなった原因は・・あれっすかね〜?(どれだよ)
後ほどわかると思います。


☆ちょっくり予告

吉の悩みは家庭内の事が関係ありますよん。
64 名前:とみこ 投稿日:2002年01月01日(火)21時50分15秒
「ごっちん、こないだ借りたCD返すよ。」

「あ、いつでもいいよぉ。」

「ウチ寄ってく?誰もいないし。」



【誰もいないし】





「うん、じゃぁ寄ろうかなっ」

「おぅ。」


少し前を歩くよしこの姿は少しおちゃらけてる感じがして、

あぁ、いつものよしこだぁ〜って思えた。

クールなんて似合わないよ。

そーゆーよしこの方が、結構好きだよ?
65 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)21時58分10秒
吉澤家。

そう、豪邸としか言いようがない。

よしこの家はお金持ちだ。小さい頃にお母さんを亡くして、今は4人家族。

あ、弟が2人いるらしーんだけど。

なんたって、お父さんが教育委員会のお偉いさんらしい。

だから結構勉強には厳しいのかな?

まぁ、学年で10位以内入るほどだから・・・さぞかし期待されてるだろぉな〜。



ガチャッ

カギを開けて、力いっぱいドアを開けた。

なにしろ両開きのドアだから、メッチャ重そう。


「ただいま〜って言ったって誰もいないんだけどね。」

「いっつもひとりなの?」

「まーね。親は帰ってくるの遅いし。弟たちは塾。」

「へ〜、弟も頭いいんだ?」

「いや〜、あいつらはバカだから。今の小学校だってコネで入ったし。」

「ふ〜ん。」

「あたし着替えてくるから。部屋で待っててね。」

「はぁ〜い。」

そう言われて2階にあるよしこの部屋に入った。
66 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)22時29分01秒
よしこの部屋はやたら天井が高くって、日当たりもいい。

いい暮らししてるね〜。ってオバサン化してるよ・・・オイ。

とりあえず広い床に座り込んだ。

ガチャッ

「おまたせ〜。」

「お〜、よしこカッケー!!」

私服のよしこは何回か見てるけど、今日は特別カッコよく見えた。

赤のパーカーにダボッとしたジーパンで、かなり男の子っぽく見えるのに、

サラサラの髪と大きな瞳、綺麗な白い肌が少し色っぽく見える。

「あ、これCDね、ありがと。」

「うんっ。」

「寒くない?平気?」

「・・・うん。」



ヤバイ・・・よしこの顔見れないよ・・・


「どうしたの。」

「・・・なんでも・・・ない。」

「なんでもないわけないじゃん。具合悪いの?」

あたしの目の前に座り込んで、顔色を眺めた。

・・・超近いし。近くで見ると、かなり美人だなぁ・・・よしこ。

「顔赤いよ?熱あるんじゃん?」

パーカーの袖からスッと出た右手が、おでこにピタッと触れた。



心臓がバクバク言ってる。



マジで・・・・・・ヤバぃ・・・・
67 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月01日(火)22時37分00秒
ビクッと体が震えた。

拒んでるわけじゃないけど、これ以上よしこがそばにいたら、頭オカしくなりそ・・・

「ごめん、手冷たかったね。」

「・・う、ううん。そういうわけじゃないよ・・・」

「でも顔真っ赤だよ?ホント、大丈夫?」

「だいじょーぶだよぉっ!よしこ心配しすぎだよぉ?」



意外な行動に目を見開いた。


長い腕が肩に回ってきたのだ。



そしておでことおでこがコツンと触れ合った。


目を離すことができない・・・・




「よしこ・・・・ごめん・・・」

「え?」

「もうガマンできないよ。」



最初から近かったからすぐに触れた。



よしこの薄い唇に、あたしの熱い吐息がかかった時、



理性が音を立てて燃えた。
68 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)12時42分53秒
「ごっちん・・・?」

驚いて、それでもよしこは冷静にあたしの名前をよんだ。

「ごめん・・・」

それ以外に思いつく言葉がなかった。


そんな関係じゃないのに、あたしの気持ちが一方的に揺れ動いてて、

どうしてキスしたのかもわからない。

よしこのことを好きかどうかもわからないのに・・・




あたし、最悪だよ・・・








「どうしてキスするの。」


1番イヤだった質問。



「・・・・・。」

「どうして?」





「わかんないよぉ・・・・」

69 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)12時54分18秒
「泣かないで、ごっちん。」

「あたし・・・最悪だよぉ・・・よしこの気持ち全然考えないでこんな事して・・・」



涙で目の前が見えないぐらい泣いた。

泣いても泣いても、この複雑な思いが伝わる事はないのに・・・




「あたし・・・よしこが好き。」

「え・・・?」

「よしこは1番大切な友達だって思ってたのに、他の女の子といると胸が苦しくて、
泣きたくて、どうにもならなかった。いきなり冷たくされたときはもう何も考えられなくて
好きっていう気持ちに気付くのが怖かったの。今までの関係が壊れちゃうみたいで・・・
けど素直になれない自分が1番キライで・・・・
どんな自分でも受け止めてくれるよしこがいちばん好きなの・・・」



この気持ちが【好き】っていうんだ・・・
70 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)13時16分42秒
「もし、よしこがあたしの気持ちに答えられないなら、友達もやめる。」

「どうして?」

「友達に戻ったら、また好きになっちゃうから。恋人か他人かしか選べないなんてやっぱりワガママだけど、やっと気付いた気持ちに、ハッキリ整理をつけたいから。」

今度はしっかり目を合わせる。

強張らないで、自分の気持ちを全部出し切った。



結果は、よしこ次第。















「あたしは・・・ずっとごっちんの事大切な友達だと思ってた。
他の女の子に告られた時とは違って、ごっちんが好きって言ってくれて嬉しいよ。」







「けど・・・」




けど・・・?








「ごっちんとは付き合えない。」
71 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)18時02分44秒
ピンポーン・・・




「はーい、どなたですか?」


「・・・ごとー。」


少し震え気味な低い声で言った。





ガチャッ






「後藤・・・・どうしたんだよ。」

「いちーちゃん・・・ごとー、よしこにフラれちゃった・・・」

「え・・・?」

「もうダメだよぉ・・・涙止まんなくって・・・ヤバいよぉ・・」


自分でも何言ってるのかわからなかった。

けど、いちーちゃんならきっとわかってくれると思ったから。


だから真っ先にこのマンションに来た。



「とりあえずあがりなよ・・・ね?」

こくっと頷いた反動で涙がポツリと靴に落ちた。
72 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)18時13分18秒
ごとーをリビングに連れてくると、いちーちゃんはソファーに座った。

「座って。」


震える足でバランスを崩しそうになりながらも、いちーちゃんの隣に座った。


「どうしたの。」

「・・・よしこにフラれた。」

「後藤は吉澤の事が好きだったの?」

コクッと頷いて、わけを話し始めた。



「あたし、いっつもよしこの隣に居るのが普通なんだって思ってて・・・だけどいきなり冷たくされた時にすごく胸が苦しくて、いっぱいいっぱい泣いたの。」

いちーちゃんは、優しくごとーの背中をさすってくれた。

「・・・うん。」

「いきなり突き離されて、いきなり優しくされて、もうわかんなくなっちゃって・・・」

「・・・・・うん。」

「それでも追いかけたいって思った。・・・その気持ちが【好き】なんだってわかった。」

「・・・・・・・・うん。」

「気付きたくなかったの・・・・こんな風になる事わかってたから・・・・」

「・・・そうか。」

73 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月02日(水)18時14分51秒
「友達のままでよかったのに・・・好きって言っちゃったの。そしたら・・・」












「泣くな。」








「・・・・いちー・・・ちゃん?」








「後藤は笑ってる方が可愛いよ。涙は似合わない。」



「ありがと・・・。」



バカ・・・・・市井ちゃんも、泣いてるじゃん。



どうしてごとーの為なんかに泣いてくれるの?



優しすぎるよ・・・いちーちゃん・・・
74 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月02日(水)18時24分18秒
うわあ〜ごっちんフラれちゃったー!!
75 名前:夜叉 投稿日:2002年01月03日(木)00時24分27秒
ごっつぁん、まさかの惨敗???
ん?でも、吉は…???
作者様、どうなんですか???(w。
76 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時00分20秒
>名無しさん

そうなんです・・しくしく・・(?
でも幸せはすぐそばに!!


>夜叉さん
いつもありがとうございます!!

>ごっつぁん、まさかの惨敗???
そうですね〜。吉にも分けがあるんですよ〜。

じゃぁ・・・もうすぐ吉編過去編行きます!!
77 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時03分42秒
あれから時間はどんどん過ぎていった。

いちーちゃんの肩にそっともたれたまま、涙の跡を手で触れる。



ごとー、市井ちゃんに会ってからちょっと運命感じてた。

よしことは違う、いちーちゃんにはいっぱい甘えられるんだ。


多分、よしこの事好きだったから、嫌われたくないからって、遠慮してたのかも。





も少し素直に甘えたかったな。



ごめんね、よしこ。




さよなら・・・・。
78 名前:とみこ(後藤真希☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時12分29秒
「いちーちゃん、色々ありがとね。」

「んにゃ、あたしには・・・このくらいしかできないけどさ。」

「ううん、すっごく嬉しかったよ。ごとーの話聞いてくれて。」

「・・・そっか。」


荷物を持って玄関へ向かった。

いちーちゃんも玄関先まで来た。


「送ろうか?」

「ヘーキ。」

「そっか。元気出せよ。」

「ありがとぉ・・・じゃぁね。」

「ん。」




ガチャ



「あ、待って!後藤。」

「え?」





「あたしでよければ、吉澤の代わりになるよ。」


いちーちゃん・・・



「あ、でも返事はまだいいよ。後藤、今は勢いでOKしちゃいそうだから・・・」

「うん、わかった。ホント、色々ありがとね。」


「おぅ、気を付けてな。」



バタン。
79 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時13分50秒

後藤真希過去編終わりです。

次は吉澤ひとみ☆過去編で〜す。
80 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時16分22秒

【完璧】でなければいけない。



あたしは期待されてるんだ。



吉澤家の長女として、あたしは完璧を目指さなければいけない。



常に完璧でなければならないんだ。







吉澤ひとみ 過去編 【孤独】

81 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時27分25秒

カリカリカリカリ・・・・



教室中にシャーペンの甲高い音が響く渡る。


私立石川女子学院の、高等部入試試験。

この学校は中高一貫だけど、あたしは高校からの入学となった。

といっても受かるかどうかなんてわからないんだけど・・・





今朝、お父さんはこう言った。


『中学入試の時ように、首席で入ればいい。それが吉澤家の長女として当たり前だ。』

『はい・・・。』






お父さんは教育委員会のお偉いさんだ。

あたしが小3の時に、看護婦だったお母さんが事故で死んでしまってから、

お父さんはあたしを完璧に育てようとし始めた。

お母さんは優しかった。あたしに自由をあたえてくれてたから。

なのにお父さんはあたしに自由をくれない。

あたしは常に勉強が出来て、運動ができて、礼儀が正しい人間として育てられ、

それが当たり前だという。


家は結構金持ちだし、何一つ不自由してないけれど、

その自由とは違うんだ。




あたしがほしいのは、本当の自由・・・
82 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)09時31分27秒
そして合格発表の日―――――



大きな掲示板に、番号がズラりと並んでいる。



1149・・・1150・・・1151・・・1152・・・



あった。



特別嬉しいわけじゃない。



合格できる事は確実にわかっていたから。



問題は、首席かどうかだ。






首席・1153番



よかったぁ・・・



安心したのは、お父さんに叱られないから。
83 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月03日(木)11時56分37秒
新年早々、話しの展開がずーっと進んでました。
ごっちん、よしこに振られちゃったんですね。
っていうかごっちんの真っ直ぐな気持ちを受け止められないほど
この時のよしこは思い悩んでいたのかも。
唐突に梨華ちゃんが現われて過ぎ去って行きましたけど、
今後の絡みが興味を引きますね。どうなるんだろ?
市井ちゃんとごっちんは・・・こっちは安心して眺めてるんですけど。

てなわけで、新年早々の更新、お疲れ様です。
次の進展も楽しみにしております。
84 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)13時43分52秒
>M.ANZAI様

ありがとうございます。
よしこの悩みっちゅーのを、よしこ編で説明してゆくつもりっす。
応援よろしくおねがいします^^
85 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)16時16分06秒
「ただいま。」

「「姉ちゃん、おかえり!」」

コイツらは小4生と小2の弟だ。すっごいやんちゃで、頭も悪い。

だから期待は全部あたしの方に向いてしまうんだ。

弟たちがもう少し頑張ってくれればなぁ・・・



「お父さんは?」

「仕事じゃん?今日遅くなるって言ってたし。」

「ふ〜ん。ゲームばっかしないで勉強しなよ。」


「は〜い。」




トントンと階段を上って自分の部屋に入り、ベッドにダイブして、天井を見上げた。





最近何もかもつまらない。



友達はみんな秀才組で、勉強の話は弾むけど、周りからは

いい気になってるとか、秀才はいいよねとか・・・



あたしだって好きで勉強してるわけじゃないのに。



あたしは・・・フツーの毎日を過すのがキライ。



もっと楽しくて、毎日ハジけてるような感じがいいんだ。



そんな事・・・親が許さない。




ばか・・・
86 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)18時15分57秒
「ひとみ、降りてきなさい。」

「はい。」


お父さんが帰ってきた。

家族の会話なんて、成績の事しかない。



「お帰りなさい。」

あたしはいつものようにコーヒーを入れながらお父さんに挨拶をする。

吉澤家の名を守るためには、礼儀も必要らしい。



「どうだったんだ?」

「首席で合格しました。」

「そうか。まぁそれが当たり前だな。」

「はい。」

「入学後は3位以内を維持する事。」

「・・・はい。」

「それから、なぜ女子校にさせたか忘れてないだろうな?」

「・・・はい。」

「他校の男子との交際などは許さんぞ。」

「わかってます。」

「部屋に戻って勉強しなさい。」

「はい。」













YESしか答えられない自分が情けない。



自由がほしいなら言えばいいのに・・・




言えない自分が悔しい。情けない・・・

87 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)18時26分20秒
ごめんなさい、みなさんもお気づきかと思いますが、設定がおかしくなってしまいました。
中1に後藤が転校してきてヨッスィと仲良くなるはずだったのに、
吉澤過去編では、ヨッスィが高校からの入学って事になっちゃってます・・・
ホントすみません・・・(;;)
どう謝ればいいのやら・・・(超泣)

とにかく>>81を修正します。

そしたら内容がなんとか戻ると思うのですが・・・
それでもわかり辛かった場合は、申し出ていただければ幸いです。



本当にごめんなさい。(;;)
88 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)18時29分34秒
>>81 の修正



カリカリカリカリ・・・・



教室中にシャーペンの甲高い音が響く渡る。


私立石川女子学院の入試試験。

小学校も私立だったけれど、中学校も受験という形になった。


といっても受かるかどうかなんてわからないんだけど・・・





今朝、お父さんはこう言った。


『必ず首席で入りなさい。それが吉澤家の長女として当たり前だ。』

『はい・・・。』






お父さんは教育委員会のお偉いさんだ。

あたしが小3の時に、看護婦だったお母さんが事故で死んでしまってから、

お父さんはあたしを完璧に育てようとし始めた。

お母さんは優しかった。あたしに自由をあたえてくれてたから。

なのにお父さんはあたしに自由をくれない。

あたしは常に勉強が出来て、運動ができて、礼儀が正しい人間として育てられ、

それが当たり前だという。


家は結構金持ちだし、何一つ不自由してないけれど、

その自由とは違うんだ。




あたしがほしいのは、本当の自由・・・









という感じに直したんですけど、おわかりでしょうか?
89 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月03日(木)20時15分12秒
もう少し反省してから再会します。(;;)
90 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)02時43分55秒
吉の悩み、少しだけ分かってきたような。

でも作者様に悩みが…。
あまり、気にしない方がいいですよ。
自分みたいに一度に二つのこと考えて混乱するよりは(略。苦笑
91 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月04日(金)11時58分00秒
よしこの悩みが次第に解明しつつありますね。

更新並びに一部訂正、ご苦労様です。
気にせずどしどし再開して下さいませ。m(__)m
92 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月04日(金)21時44分19秒
首席てなに?
93 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月04日(金)23時21分23秒
>92
成績一番の人。
94 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)11時36分55秒
もう1度ダイジェストに話をまとめてみて、色々反省した事もありました。

みなさんの励ましレスで元気が出ました。(^^
ありがとうございます。


では、>>86の続きから書きたいと思います。
95 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)11時44分42秒
吉澤ひとみ☆過去編



1学期中間テスト。

3位以内を取る。いや、取らなければならない。

そう自分に言い聞かせた。



学校から帰ってきたらすぐに塾へ行って、3時間勉強をした。



家に帰ると家庭教師が来ていて、夜遅くまで勉強する。


睡眠は2時間ほどしかなくて、朝早くから勉強。



勉強ばっかり。


テスト1週間前は、毎日これだ。

もちろん遊ぶ事もできない。

大好きなショッピングだってできないし、スポーツもできない。

96 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)11時47分32秒
なのに・・・3位以内に入っても全然嬉しくない。

苦労の成果だなんて思えない。




こんなに頑張ったのに、親は誉めてくれない。

こんなの当たり前だと言う。

もっと勉強しろと言う。






お父さんの期待は、中1のあたしには重すぎるよ・・・
97 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)12時32分11秒
中1の夏―――

1学期の期末が終わった頃だった。



順位表を見て教室に戻る途中に、校内放送が流れた。


【1−A 吉澤ひとみ。至急職員室まで来なさい。】



中澤先生の声だった。


・・・なんだろ。




「失礼します。」

ガラッ

「おー吉澤。悪いなぁ!」

「いえ。で、何か用ですか?」

「あのな、あした転入生が入ってくるんやけど、そいつの世話をしてほしいねん。」

「世話?」

「後藤真希っていうんコなんやけど、前の学校で問題児やってたんや。せやから、この学校で問題起こされても困るやろ?」

「でもどうしてあたしが・・・?」

「順位表見たやろ?学年1位の吉澤がついとったら平気や思てな。」


そんな事言われたって・・・
98 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)12時34分16秒
「・・・でも勉強とか忙しいんです。お断りします。」

「そんな事言わんで、な?」

「学年1位だからこそ忙しいんです。なのに問題児の世話なんか・・・」

「そうか・・・わかった。すまんな、呼び出して。」

「・・・失礼します。」





「友達ぐらいはなってやってな。」

職員室を出る直前に先生が言った。

けど、あたしは何も答えずに去っていった。




なんであたしが問題児の世話なんか・・・


それに、そんなのと一緒に居たら、絶対に成績が落ちる。




それが親に知られたらおしまいだ。
99 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時08分26秒
次の日――――

例の転入生は、転校初日から遅刻した。

本当に問題児なんだ・・・あの時OKしなくてよかったと思った。








お昼休み、ひとり屋上へ上っていく少女がいた。



・・・屋上は立ち入り禁止なのに・・・

まさか例の転校生?


ちょっと茶髪だったし・・・
100 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時17分14秒
ガチャッ


さっきの茶髪の少女が寝ていた。



「おい。」

「へ?」

その少女は起きてこっちを向いた。

日に当たってさらに明るくに見える彼女の髪。

黒目の多い瞳には、どこか切ない細い二重。




「なにしてんだ、お前。」



「・・・・誰あんた。」

ッチ、生意気なやつ。

「あんたが例の転校生?」

「そうだけど。」

「あんた、前のガッコでだいぶ問題児やってたんだって?」

「別に・・・・」

無愛想だなぁ・・・

「あたし、吉澤ひとみ。あんたの世話係。」

「はぁ?」

「先生に頼まれたんだよ。転校生の世話しろってね。」

断ったけど。


「あたしが問題児だから?」

・・・問題児は特別じゃないよ。

いーじゃん、自由で。あんたみたいになりたいよ。


彼女はあたしを睨みつけてきた。





【友達ぐらいはなってやってな。】




昨日の先生の言葉が頭に浮かんだ。



友達ねぇ・・・

101 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時21分30秒
あたしがどうこうっていうより、このコが友達になるのを拒みそうなんだよなぁ・・・



「友達になろうか。」

予想通り、彼女は驚いた顔をしていた。

友達になろうって言われた事、ないのかな・・・


「世話なんてめんどいし。友達になろ?」

「は?やだよ。友達なんていらない。」


素直じゃないのな。


「それは困るよ。世話してるトコ見せなきゃダメだもん。
友達になれば一緒にいるから世話してるよーに見えるじゃん?」



そんなある事ない事言って、ホントはこのコに興味があった。



このコ、あたしには持ってないものを持ってる。



本当の自由をもってる。








少し・・・羨ましかった。
102 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時24分19秒
それからごっちんこと、後藤真希とは大親友になった。

ごっちんはあたしの事よしこって呼んでくれるし・・・。



なんかカワイイんだよね、ごっちんはあとはあと

でろーんってしてて、マイペースで、いっつも引っぱられてばっかり。


けど、こんなに笑えた友達は初めて。



学校が楽しくなってきた。
103 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時27分12秒
2学期 期末考査――――




すっかり忘れてた。勉強の事。



初めて本当の友達ができて、楽しくてしょうがなかった。




なのに・・・・







恐れていた事がこんなにも早く訪れてしまった。








廊下に張り出された上位20名の順位表。



8位 吉澤ひとみ






【3位以内は維持すること。】




守れなかった。

お父さんとの約束を守れなかった。

吉澤家の名に傷をつけてしまった。



悔しい、悔しいよ・・・
104 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時30分51秒
「よしこぉ!!」

ごっちんがうちのクラスに入ってきた。


「おぅ、ごっちん。どうしたの?」

「スゴくない!?8位!!」




「え・・・・?」


1番言われたくない事を言われた。




言葉が思いつかなくて、目を泳がせていた。

ごっちんは不思議そうな顔をしてる。


「すごいじゃん!嬉しくないの?」

「・・・あぁ、嬉しいよ。」


嬉しくないとかそういうレベルじゃないって・・・



「でも前より落ちたから、順位。」

「え、そうなの?でも8位だからいーじゃんかよぉ。」



心の中では叫びたかった。
105 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時35分57秒
「ただいま・・・」

「「おかえり、姉ちゃん!」」



「ひとみ、帰ってるのか?」



リビングからお父さんが呼んだ。


怖い・・・怖いよ・・・



ガチャッ

お父さんがリビングから出てきた。

いつもと同じ無表情なのに、それが怒りに変わる・・・



「今帰りました。」

「どうだったんだ?」




「は・・8位・・・・でした・・・」




「なんだと?」


きっと聞き間違いだと思ってるに違いない・・・


あたしはただ泣く事しかできなかった。



「もう1度言ってみろ。」




「8位・・・です・・・。」

「ふざけるな!!!」



パンッ
106 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時39分46秒
思いっきり叩かれた頬を抑えて座り込んだ。



台所からは、弟たちが驚いて見ていた。


「3以内を維持しろと言っただろ!!どうしてわからないんだ!!」

「ごめんなさい・・・」

「お前は私に恥じをかかせたいのか!!」





どうして・・・どうして・・・・



あたし、何も悪い事してないのに・・・



どうして叩くの?どうして怒るの?



おかしいよ・・・お父さん・・・・



もう・・・ヤだよ・・・・
107 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月05日(土)14時44分08秒
あたしは部屋に戻って泣いた。

お父さんに聞こえないように、声を殺して泣いた。

家でも気を使っていないといけない・・・

どうしてこんな家に生まれたんだろう・・・

お金持ちなんかじゃなくてもいい、自分の部屋なんかなくてもいい。

こんな家に生まれたくなかった・・・




けど・・・・





やっぱりお父さんの言いなりで生きていかなきゃいけないんだ。



何年もそうしてきたじゃん・・・・






またもとの自分に戻ろう。




友達なんかいらないんだよね。
108 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月05日(土)15時49分56秒
うっわ〜かなすぃー!!
ごっちん、よっすぃーを救ってやれ!
109 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月05日(土)23時10分40秒
よしこの悩み、その一端を垣間見た気がします。
彼女がごっちんから離れるような素振りをするのは、
決してごっちんが嫌いなのでなくてこんな事情を抱えていたんですね。
でも、何故かとても救われない泥沼に嵌まりそうなよしこが辛い・・・
よしこが閉じ込もうとする殻をなんとかごっちんにこじ開けてもらいたいです。
110 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)13時41分35秒
>名無しさん

よしこは自分で悩みを抱えちゃって、ごっちんにもいえないって感じなんす(;;)
よしこと市井ちゃんの出会いもあり。


>M.ANZAIさん

そうなんです・・・決してごっちんを嫌いになったわけじゃないんですね。
それに気付かないごっちんもかわいそうで・・・(自分で言うなや
でもきっと助けてくれる人がいるはず!!
111 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)13時44分30秒
なるべく家に居たくなくて、朝早く学校へ来た。

「誰も来てないし・・・」



ダンダン・・・ダンダンッ



「・・・ん?」


だれだろ・・・こんな時間から体育館使ってる・・・



ガラッ・・・

そっとドアを開けて中をのぞいた。



朝練かな・・・ひとりでやらないか、フツー。



「入れば?」

「え・・・」

彼女はそう言ってまたドリブルを始めた。



ガラガラ・・・



シューズがキュッっと音を立てる。



シュートをするたびに彼女の汗が輝る。



青春ドラマみたい・・・
112 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)13時47分48秒
シュッ――――――パシィッ

突然パスされたボールを反射的に取った。



「かかってこいよ。」

ヒョイっと手招きをする。



・・・のぞむところだ。



ダン・・・ダン・・ダンダンダンダン―――――――


彼女のすばやい技をヒョイヒョイとよけながらコートを走る。

「なかなかやるね。何年生?」

「1年っ。」

「ふーん。あたしは3年の市井紗耶香。あんたは?」

「吉澤ひとみ。」

「吉澤ね。うしっ!あたしが先に点取られたらバスケ部入れ。」

「・・・・いいっすよ。」



そんなのよゆー!!


ダンダンダン――――

あっというまにゴールの前まで来た。



キュッ
113 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)13時48分53秒

あたしが先に点取られたらバスケ部入れ。

じゃなくて

あたしが先に点取ったらバスケ部入れ。


です。
114 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)13時52分20秒
ボールを両手で持ち前に伸ばす。

そのまま後ろに倒れる形で・・・・



シュート!!



ヒュッ―――――――――






入るか・・・?















ガンッ




やばっ、ハズした・・・!!



「いただき♪」


ダンッダンッダンッダンッ



うっわ、足はやっ!!



追いつけない・・・



ゴールの目の前で彼女は高くジャンプした。



まさか・・・







ガタンッッ――――――


「・・・っ!!」




ダンク・・・マジで!?


ゴールがミシミシと揺れる。



スタンッ・・・





「入部届け、今日中に出しといてね。」




そういって彼女は去っていった。
115 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時07分08秒
しばらく転がるボールを見つめていた。





すっげぇ、市井紗耶香・・・。



あ、先輩か。市井センパイ、超カッケー!!



ちょっと部活が楽しみになった。
116 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時12分54秒
ガラガラッ

放課後体育館に行くと、すでに練習が始まっていた。

「おー、遅いぞ吉澤!!」

市井先輩だ・・・

「はい!今行きます!」


「みんな、ちょっと集まって!!」

練習してた部員が市井先輩の周りに集まった。


「1年の吉澤ひとみじゃん!!」
「本物だぁ〜!!美人・・・」
「スタイルいい!」
「キャー!吉澤先輩だぁ!!」


とかゆう声援を浴びた。

あたしって結構知られてんのかな??なんでだろ・・・



「新入部員の吉澤だ。あたしが認めた選手だから、さっそくレギュラーになってもらう。」

「レ、レギュラー!?聞いてないっすよ!!」

「いーの!お前実力あんだから。」

「でも・・・」

「じゃぁそういう事で。練習戻るぞ!」

「「はい!!」」


部員の人たちはコートに戻って練習を始めた。


「で、あたしが部長の市井です。今朝も言ったけど、よろしくな。」

「はい!」
117 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時18分13秒
部活に入ってから1週間。まだ体が慣れてないのか、毎日筋肉痛に悩まされていた。



「よしこぉ〜、放課後渋谷行かない?」


ごっちん・・・・・



「あ、ごめん。あたし部活入ったんだ。だから忙しくって・・・」

「え、ウソ!何部?」

「バスケ。」

「へ〜そうなんだぁ・・・ん、じゃぁまた今度行こうね。」

「うん、わかった。」





ごめんね、ごっちん。



もうごっちんとは遊べない。



前みたいにバカやってたころには戻れないの・・・





バスケ部に入ったのは、都合のいい言い訳になってしまった。
118 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時24分41秒

『お母さん!逆上がりができるようになったよ!』


『お母さん、掛け算の九九を全部覚えたよ!』


『お母さん、テストで100点を取ったよ!』



大好きなお母さんのために、いい子になりたいって思った。


けどお母さんはいっつも言ってた。


『ひとみが優しい子に育ってくれるだけで、お母さん幸せだよ。』



お母さんが大好きだった。





大好きだったお母さんが・・・・病院のベッドで動かなくなっちゃった。





白い布を顔に置いて、何してるの?




わかんないよ・・・




どうして?





また優しく頭を撫でて・・・
119 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時27分55秒

「・・・・夢か。」


お母さんと過した短い8年間が、夢となって時々思い出す。



あたしは前髪をクシャッと掴んでしばらくボーっとする。



「お母さん・・・」
120 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時31分47秒
「ねむ・・・。」

いつもより少し遅れて学校へ行った。


今日は部活ないんだっけ・・・・



向こうから歩いてくるのは・・・・ごっちんと市井先輩??

なんであの2人が・・・



「おはよ、よしこ。」

「・・・・ん。」

そのまま視線を下に落とすと、2人は手を繋いでいた。


「あ、ちがっ・・・!!これは・・・その・・・」


ごっちん、慌てすぎ・・・



「ごっちん、市井先輩と付き合ってたんだ?」

「へ?」



ごっちんも幸せ見つけたんだ・・・。


じゃぁもうあたしがいなくても大丈夫だよね?
121 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時34分56秒
「よしこ!!」


ごっちんが突然うちのクラスに入ってきた。


「どうしたの。」

ズイズイと壁に追いやったと思ったら・・・


「あたし、市井ちゃんと付き合ってないよ!?」





・・・・・・・。




「・・・そっか。」


だからってあたしに言わなくても・・・



「それに・・・なんであたしの事避けるの?どうして冷たくするのぉ・・・・?」

ごっちんの瞳からポロポロとこぼれる涙。


さすがに泣かれると困ってしまった。


「ちょっ、泣くなよ・・・・」

「だってぇ・・・よしこが、よしこが冷たいんだもん・・・ずっと友達だったのに!!」



こっちにだって事情があるんだから・・・



「と、とりあえず場所変えよう。」



そのまま屋上へ行った。
122 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時38分02秒
「で、どうして泣いてるの?」

「よしこのせい。」

「え・・・あたし?」

「いっつも2人でバカやってたのに・・・いきなりよしこ冷たくなってさぁ・・・」



バカやってたから成績が落ちたんだ・・・

あたしはお父さんの期待を裏切ってしまった。



ごっちんと一緒に居たらダメなんだよ・・・



「他人みたいにあたしの事避けてさぁ・・・どうしていきなり態度変わっちゃうのぉ?」



じゃぁ教えてよ・・・どうしてあたしの邪魔をするの?


あたしは勉強をしなければいけない。

3位以内を取らなきゃいけないの・・・




けどごっちんは何も悪くない・・・・



傷ついたなら・・・・



そっとごっちんの体を抱きしめた。


「不安にさせてごめんね・・・傷つけてごめんね。」

「よしこぉ・・・」

「色々悩んでてさ、そのことばっかり考えてて、ごっちんの事考えてあげられなかった。」

「・・・ううん、いいの。あたしこそワガママ言ってごめんね。」

「・・・ありがとう。」



もう・・・わかんないよ・・・。
123 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時40分01秒

気付いてたんだ。




あたし、ごっちんの事・・・好きになりかけてる。



けどそれに気付いたら、またお父さんの期待を裏切ってしまう。



だから気付きたくなかった・・・



知られたくなかった。



『好き』という言葉も言えない。



そこまでお父さんに縛られてるんだね・・・あたし。
124 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時44分54秒
「ごっちん、今日部活ないから一緒に帰ろ。」

「うん!」

パっとごっちんの顔が明るくなった。


やっぱりごっちんは笑顔が1番だよ・・・









――――――――――――――
正門に行く途中、小柄な女の子がこっちに向かって歩いて来た。


「あの・・・・」


すっげぇアニメ声・・・

でもちょっとカワイイ・・・この子。

「吉澤さん、だよね?」

へ?あたし!?

「うん、そうだけど。」

「あたし、2年の石川梨華っていうの。覚えといてネ。」

それだけいうと走り去ってしまった。


「よしこ、あんたモテるねぇ〜。」

「石川サンってもしかして・・・学院長の娘の?」

「あ!あの人が学院長の!!スゴイじゃん、よしこ!」

「石川先輩って・・・よしこの事好きっぽくない?どうすんの?」

「っていうか・・・ちょっとタイプかも。」


だってカワイイんだもん・・・声高いし。

「え!?マジで?」


ごっちん、声デカイってば。
125 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時46分47秒

「カワイくない?梨華ちゃん。」

ついニヘッと笑ってしまった。



あ、ごっちんなんか怒ってる?


まさか妬いてる?



それもちょっと嬉しいかも・・・


「なに、妬いてる?」

イタズラっぽくごっちんの顔を覗き込んだ。

「バ、バカ!やいてなんか・・・」

「ほんとかよ〜。」




梨華ちゃんもかわいいけど・・・ごっちんが1番だよ・・・。
126 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時51分01秒
「ごっちん、こないだ借りたCD返すよ。」

「あ、いつでもいいよぉ。」

「ウチ寄ってく?誰もいないし。」


「うん、じゃぁ寄ろうかなっ」

「おぅ。」



家に着くと、ごっちんは家の外見を見て固まっていた。


ってか・・・口開きっぱなしだよ、ごっちん。



「ただいま〜って言ったって誰もいないんだけどね。」

「いっつもひとりなの?」

「まーね。親は帰ってくるの遅いし。弟たちは塾。」

「へ〜、弟も頭いいんだ?」

「いや〜、あいつらはバカだから。今の小学校だってコネで入ったし。」

「ふ〜ん。」

「あたし着替えてくるから。部屋で待っててね。」

「はぁ〜い。」
127 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時54分14秒
「おまたせ〜。」

「お〜、よしこカッケー!!」

物珍しそうにあたしの服を眺めた。

・・・・ちょっと近すぎ、ごっちん。



「あ、これCDね、ありがと。」

「うんっ。」

「寒くない?平気?」

「・・・うん。」



あれ?なんかごっちん真っ赤だよ・・・


「どうしたの。」

「・・・なんでも・・・ない。」


?さっきまで元気だったのに・・・


「なんでもないわけないじゃん。具合悪いの?」

ごっちんの目の前に座り込んで、顔色を眺めた。

うーん・・・顔色は悪くないと思うんだけど・・・

「顔赤いよ?熱あるんじゃん?」

ごっちんのおでこにピタッと触れた。


うーん、やっぱ熱い。


っていうかだんだん熱くなってきてない??
128 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)14時59分28秒
その時、ごっちんの体がビクッと震えた。

「ごめん、手冷たかったね。」

「・・う、ううん。そういうわけじゃないよ・・・」

「でも顔真っ赤だよ?ホント、大丈夫?」

「だいじょーぶだよぉっ!よしこ心配しすぎだよぉ?」



そりゃ心配するよ・・・


好きだもん・・・ごっちんの事。


なーんて言えないけどね。


無意識にごっちんの肩に腕を回した。




そしておでことおでこがコツンと触れ合った。




けど、絶対に好きって言っちゃダメなんだ。

もしあたしとごっちんが付き合ったらどうなる?

あたし、何にも手ぇつかなくなっちゃうよ。

勉強にも手ぇつかなくなって、この前以上悪い成績取っちゃう。



けどしょうがないよ。


あたしは吉澤家の長女なんだから。期待されてもしょうがない。



自由がないのが当たり前。


頭がいいのは当たり前。



ずっとずっとこのままお父さんのいいなりで生きていかなきゃいけないだから。


「よしこ・・・・ごめん・・・」

「え?」

「もうガマンできないよ。」

129 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)15時02分37秒
一瞬だけ唇が触れた。

目の前に来たごっちんの顔が頭に焼きついた。



・・・・え?


キスしたよね?今・・・


どうして?なんでごっちんがあたしにキスしてくるの?



・・・まさか。


ごっちんがあたしの事好きなわけない・・・



もしそうだったら・・・あたしどうすればいいかわかんないよ。


ごっちんへの『好き』の気持ちをガマンしてた自分はどうなるの?



やだ・・・・好きにならないで。




これ以上あたしの歯車が狂うだけだよ・・・
130 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)15時05分12秒

「どうしてキスするの。」



「・・・・・。」

「どうして?」





「わかんないよぉ・・・・」

「泣かないで、ごっちん。」

「あたし・・・最悪だよぉ・・・よしこの気持ち全然考えないでこんな事して・・・」



あたしだってどうすればいいかわかんないよ・・・


気持ちの整理つかないよ・・・



「あたし・・・よしこが好き。」

「え・・・?」




イヤ・・・



うそだ・・・



やめて・・・!!!


「よしこは1番大切な友達だって思ってたのに、他の女の子といると胸が苦しくて、
泣きたくて、どうにもならなかった。いきなり冷たくされたときはもう何も考えられなくて
好きっていう気持ちに気付くのが怖かったの。今までの関係が壊れちゃうみたいで・・・
けど素直になれない自分が1番キライで・・・・
どんな自分でも受け止めてくれるよしこがいちばん好きなの・・・」


言わないで・・・!!


これ以上邪魔しないで!!



あたしの苦しみもわかってよ・・・・
131 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)15時08分47秒
「もし、よしこがあたしの気持ちに答えられないなら、友達もやめる。」



やだやだやだ・・・



「どうして?」

「友達に戻ったら、また好きになっちゃうから。恋人か他人かしか選べないなんてやっぱりワガママだけど、やっと気付いた気持ちに、ハッキリ整理をつけたいから。」




もう・・・やめようよ・・・




うちらは一緒にいちゃいけないんだよ。




ごっちんは自由に生きてるの・・・羨ましいくらい自由な人間。



けどあたしは親に縛られて生きている「ただの人間」





違う世界の人間なの・・・!!






やっぱりムリだぁ・・・



あたしはごっちんを好きになれない。



好きになる資格なんかないんだから・・・





ごっちんだって、きっと本当の自分を知ったら嫌になる。




そうなるんだったら・・・・最初から嫌われた方がマシだ・・・

132 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月06日(日)15時10分28秒

せめてごっちんにだけは・・・あたしの本当の姿を知られたくない。






「ただの人間」だって事を知られたくないの・・・







「あたしは・・・ずっとごっちんの事大切な友達だと思ってた。
他の女の子に告られた時とは違って、ごっちんが好きって言ってくれて嬉しいよ。」




「けど・・・」




「ごっちんとは付き合えない。」










ごめんね。
133 名前:とみこ 投稿日:2002年01月06日(日)15時15分35秒

あの日、ごっちんはあたしの事を好きと言ってくれた。




初めてごっちんの気持ちを知ったとき、気付いた。




あたしの「好き」と違うんだって。



ごっちんがあたしを愛してくれたのは純粋な【愛】であって、











あたしがごっちんに抱いていた気持ちは、本当の愛じゃないの。
134 名前:ポー 投稿日:2002年01月06日(日)18時18分57秒
よすぃこつらすぎだぁ...救ってくれるのはごっちんかなぁ..それとも。。
135 名前:深紅 投稿日:2002年01月06日(日)18時55分03秒
よっすぃー痛い痛い痛い(汗)
とみこさんの作品素晴らしスギです。
ぼくんトコのよっすぃーとかえてあげたい(ダメだって)
先が読めなくてドキドキします、この小説!
とみこさんがんばってください!!
楽しみに待っています!ウッキウキ〜(猿ちゃいますよ)
136 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月06日(日)19時04分31秒
き、気になってしょうがない…
よしごまどうなっちゃうんだろう…
137 名前:夜叉 投稿日:2002年01月06日(日)19時13分30秒
吉、つらい選択を強いられたか…。
おやぢ、殺(略。
138 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月06日(日)19時51分47秒
うぅぅ… 辛いですね。
とっても真っ直ぐなごっちん、
突き刺さるか折れてしまうかしかない矢のようで。

これ以上ごっちんから離れられなくなりそうで
よしこはごっちんを突き放してしまうんですね。

二人の行く末がとても心配なこの頃です。
139 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月07日(月)10時45分42秒
>ポーさん
ごっちんかなぁ・・・それかあのこか??
ポーさんのご想像にお任せします。

>深紅さん
>とみこさんの作品素晴らしスギです。
ありがとうございますvv
>ぼくんトコのよっすぃーとかえてあげたい(ダメだって)
こっちが取り替えてほしいですよぉ〜!!深紅さんの小説LOVEっすよ!

>名無しさん
>き、気になってしょうがない…
だいじょうぶです!がんばって更新します!けどガッコが・・・(^^;

>夜叉さん
よしこは頭の中を勉強にするかごっちんにするか迷ってたんです・・・
でもお父さんのおっきな期待を裏切らないためにごっちんを・・・ぅぅ・・(?
>おやぢ、殺(略。
(激笑)



>M.ANZAIさん
いつもありがとうございます!
>突き刺さるか折れてしまうかしかない矢のようで。
なんいい表現なんだしょ!!ANZAIさんの表現力を是非下さい!(w
>二人の行く末がとても心配なこの頃です。
そうですね・・・ここから2人の関係が変わってくるのかな?
140 名前:とみこ(吉澤ひとみ☆過去編) 投稿日:2002年01月07日(月)10時46分16秒
読者の皆さんに報告!

作者中学生なもんで(新垣ちゃんとタメ。)8日から学校なんです。
部活(りくじょー)とかも忙しいのでなかなか更新できない恐れあり・・・
パソコン自分の部屋にないんで、夜は更新できないんです。夕方しかできなくて。
私の更新方法って、寝る時ベッドに入ると内容が思いつくんですよ(?
それをどんどんメモってくんです。そんで夕方更新って。
レスがあると嬉しくて嬉しくて・・・(泣)
とにかく小説書くの大好きなんで、がんばります!!
141 名前:夜叉 投稿日:2002年01月07日(月)11時18分09秒
そうですよね、更新されてる時間見たら普通は(略。
その方法は、寝れなくなる恐れ,大(w。
乗っちゃうとガリガリ書いてしまうんで、気が付いたら「おっといけねぇ」時間になってたり。←週○実話(爆)。

小説も部活も学校も頑張ってくださいね。
今、この時しかできないこと、たくさんあると思いますんで。
「やった後悔よりやらなかった後悔の方が本当の後悔」といいますからね。
でも、あまり無理はしないで下さいね、まったり更新。

142 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)11時24分01秒
>夜叉さん

>その方法は、寝れなくなる恐れ,大(w。
そうなんですよ〜!!もう遅いからやめよーとか思ってペンから手を離すと
途端に思いつくんですよ!だから書いて、で・・・もう遅いからって・・・(w
繰り返しなんですよね〜。
朝は7時に起きなきゃいけないし、朝練の時ぁ6時だし・・・(グチ?
まぁとにかくがんばりやす!!

明日から部活が始まるので、今日大量更新しま〜す(ほんとかよ
143 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)12時15分21秒
後藤視点の過去編と吉澤視点過去編が終わったので、
今度は、後藤・吉澤関係なく過去編の続きです!
視点は特に決まってません。
>>78の続きです。






@ ひとみ視点



憂鬱だ・・・


昨日ごっちんとあんな事があったから、学校に行くのがイヤになる。


きっとごっちんもそんな風に思ってるだろう。




あぁ、憂鬱だ。
144 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)12時55分16秒
下駄箱に行くと、さっそくごっちんに会ってしまった。

あたしに気付いてないごっちんはローファーを下駄箱に置くと、階段を上っていった。







いつもみたいに、【ごっちん】って話し掛けるべきなのだろうか・・・



とりあえずあたしも上履きに履き替え・・・・ん?


あたしの下駄箱に1枚の手紙が入っていた。



【放課後中庭に来てください。石川梨華。】




石川・・・って??




あ!!!あのコか!学院長の娘の!!


あのメッチャかわいいコ・・・・
145 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)12時59分09秒
放課後かぁ・・・部活あるしなぁ・・・。

でも梨華ちゃんのためなら・・・



「あ、ごっちん忘れてた!」

さっきまでノロノロと階段を上っていたごっちんの姿はもうなかった。


やっべぇ・・・チャンス逃しちゃった。


こんな気まずい関係にしちゃったのはあたしなんだから、


あたしがなんとかしなきゃ!!
146 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)13時20分13秒



とは言いつつ、結局あたしは根性なしだ。


勇気がない・・・。ごっちんに話し掛ける勇気がない・・・



悔しいよ・・・!!





放課後―――――


「石川先輩っ!」

「吉澤さん。」

「あの、今日部活があるんですよ・・・だから明日とかじゃムリですか?」

「あ、待ってるよ。あたし今日部活ないから。」

「え、でも悪いですよ・・・?」

「いいのっ。部活がんばってね!」


梨華ちゃん(直接そう呼べない)は小さなガッツポーズをつくった。


「あ、ありがとう。じゃぁ終わったらすぐに行くんで、教室で待っててください。」

「うん。」



優しいなぁ〜はあとはあと

なんか何もかも丁寧って感じで・・・・へへっ。


かっわいいなぁ〜!!梨華ちゃん!
147 名前:夜叉 投稿日:2002年01月08日(火)13時47分20秒
石、満を持して登場(爆)。
吉、ごっつぁん放置決定か?(w
この先、期待してますね。
148 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時05分49秒
「こっちにだって事情があるんだ・・・振り回されてるのはこっちなんだよ!!!」



あたしはごっちんの事が好きだったんじゃない。


ごっちんが持っている「自由」が好きだったんだ。


ごっちんと居れば、「自由」を分けてもらえる気がしてた。


けど、ごっちんはあたしを好きになった。


あたしの本当の姿を知らないくせに。


あたしは、自分自身で作り上げた「完璧」な面を被ってるだけなんだよ!!!






所詮あたしは、”よくできる”ってだけの値打ちしかない。











【完璧】であれば、それで%8
149 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時07分08秒
はい、投稿順番間違え&最後文字化けです(死

やりなおします。
150 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時08分04秒
着替えて体育館に行くと、まだ誰も来ていなかった。


ちょっと早すぎたかなぁ・・・・



ガラガラ・・・


入ってきたのは市井先輩だった。



挨拶もせずにそのままこっちへ近づいてきた。


「市井先輩?」



突然、グィッと襟元を掴まれた。


「後藤に何した。」




「・・・え?」


「昨日泣きながらうちに来たんだよ。」


ごっちん・・・・・


151 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時09分09秒
「お前は後藤を振り回し過ぎなんだよ。」

「・・・・・・。」

「お前のいいかげんな気持ちで、どれだけ後藤が傷ついたか考えろ!」

「・・・・・・。」

「黙ってないでなんとか言えよ。」


「こっちにだって事情があるんだ・・・振り回されてるのはこっちなんだよ!!!」



あたしはごっちんの事が好きだったんじゃない。


ごっちんが持っている「自由」が好きだったんだ。


ごっちんと居れば、「自由」を分けてもらえる気がしてた。


けど、ごっちんは偽りのあたしを好きになってしまった。


あたしの本当の姿を知らないくせに。


あたしは、自分自身で作り上げた「完璧」な面を被ってるだけ。






所詮あたしは、”よくできる”ってだけの値打ちしかない。











【完璧】であれば、それで幸せになれると思ったのに。
152 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時12分13秒
「吉澤に何の事情があろうと、後藤が傷ついた事に変わりはないんだよ!」


「んな事あたしに言われても困るよ!!市井先輩には関係ない!!」


「関係あるよ!!あたしは後藤が好きなんだから!」








「勝手にすれば?」

「吉澤・・・!!」

「部活、やめます。やってらんないっす。」






ガラガラ―――――バタン。
153 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時21分45秒
なんだよ・・・・何なんだよ・・・・


市井先輩は信頼できる先輩だと思ってたのに、この様だ。


ごっちんが好きならそれでいい。付き合えばいいじゃん。



あたしには・・・関係ないんだから。







その時、下駄箱から梨華ちゃんが走って来た。

「吉澤さん!」

「石川先輩!」

「あれ?もう終わったの?」

「いえ、やめたんです。バスケ部。」

「え・・・?どうして?」


「あ、話って何ですか?」

「え?あ、あのねっ・・・・」





あたしはその時、ひとつのアイデアが頭に浮かんだ。


あたしと梨華ちゃんが付き合えばいいんだ。


そしたらごっちんからの思いも、ごっちんへの思いも断ち切れる。



それに、あたしは梨華ちゃんが好きだ。



「あのね、あたし・・・・」

梨華ちゃんが言いかけた時に、あたしは梨華ちゃんの手をギュッと握った。




「あたし・・・先輩が好きです。」


「え?」

「付き合って下さい!」

「え、ちょっとひとみちゃん??」
154 名前:とみこ 投稿日:2002年01月08日(火)14時23分52秒
「ダメですか??」

「いや、そうじゃなくて・・・」

「?」


「話があるっていうのは・・・告白しようと思ってたの。」

「え、誰にですか?」

「誰って・・・ひとみちゃんしかいないでしょ・・・?」





「先輩・・・はあとはあと

「じゃぁ・・・よろしくね?」

「ハイ!!」

155 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月08日(火)21時13分14秒
うわぁぁ〜よしごま崩壊(泣)
156 名前:カム 投稿日:2002年01月08日(火)21時21分22秒

おぁ〜、実家かえってる間に新作スタート!?

フフ…さっそく落として読みましたよ?
とみこさんの作品は展開はやくて楽しいですなぁ。
学校はじまって大変でしょうけど
無理せず学業優先でマイペースにいってください。
応援してますよ〜〜!
157 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月08日(火)22時09分59秒
なんと勢いからなのか、吉からの告白。
すっかり両想いの展開、またもや急激な進展です。

市井先輩、おそらく吉がしっかりした人間だと思うからの苦言なんだと思うけど
それだけ吉が完璧な“吉澤ひとみ”を演じられてるからなのだろうけど、
いつかそれが崩れるような事があったとしたら・・・

学業との掛け持ちご苦労様です。頑張って下さい。
ゆ〜くり待ってますから、焦らないで、良い作品にして行きましょう〜♪
158 名前:とみこ 投稿日:2002年01月10日(木)17時55分26秒
>名無しさん
よしはいしを選んだけど、本当に思いは断ち切れるのかな?ってのに注目を!

>カムさん
>とみこさんの作品は展開はやくて楽しいですなぁ。
ちょっと展開早すぎたかな??(焦
今回は結構長い作品になりそうです。見守ってやってくださいな^^

>M.ANZAIさん
>なんと勢いからなのか、吉からの告白。
簡単に言えば、よしこのひと目ぼれっすね^^
>それだけ吉が完璧な“吉澤ひとみ”を演じられてるからなのだろうけど、
>いつかそれが崩れるような事があったとしたら・・・
鋭い!!鋭すぎるっす!ANZAI様!!
でもよしこは本当の自分を出したいのかも知れないです。
完璧の「吉澤ひとみ」を誰かに崩してもらいたいのかもしれませんね。
毎度励ましレスありがとうございます。
M.ANZAIさんの感想(名言)にはいつも感動・感激していますが、
何か小説はお書きになってるんですか?
もしそうであれば是非見たいです!!
まだ書いていないのであれば、是非ANZAIさんの文才をいかした作品も見てみたいものです。
159 名前:とみこ 投稿日:2002年01月10日(木)19時33分42秒
次の日―――――


中休みに職員室の前を通ると、大量の荷物を持った中澤先生が出てきた。

「おっ、吉澤!ちょうどええわ。この荷物、準備室まで持ってってくれへん?」

「あ、はい。」

「うんうん、吉澤はホントええコやなぁ。先生もな、昔はごっつ美人でな。あ、今も・・・」



このままでは先生が延々と語りつづけそうなので、そそくさと準備室へ向かった。





準備室―――――

ドアに手を掛けようとした時、中から声が聞こえた。



「こないだの返事・・・・どうかな?」

「うん・・・。」



この声は・・・市井先輩とごっちん・・・?


荷物を持ち直して、ドアの隙間からそっと覗いた。


「あたしは・・・初めて後藤に会った時から好きだったよ。」

告白・・・か。

あ〜、市井先輩ごっちんの事好きなんだっけ。



いや、別にあたしにはどーでもいいんだけど・・・うん。
160 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月11日(金)00時21分50秒
衝撃の場面に出くわし、よしこはいったいどうするのでしょうか?
温かく見守るのか、無関心を装うのか、それとも・・・。

>とみこさん
小説は、もう書いてません。
というか、いろいろ読んでレス入れしてるだけで、文才なんてありません。
そんなおだてに乗って、もしその気になったらどうするんですか。(w
161 名前:とみこ 投稿日:2002年01月12日(土)15時42分16秒
なんでこんなにモヤモヤするんだろ・・・・



ごっちんが誰と付き合おうが・・・どうでもいいじゃん。






変なの。



しばらく途切れていた会話が、ごっちんのひとことで帰ってきた。






「うん、じゃぁ付き合う・・・。」



心臓がドクンっと音を立てた。




けど、これでいいんじゃん・・・?


あたしには梨華ちゃんもいるわけだし・・・



そっとドアに背中を任せて、天井を見上げた。



体が重いんだ。


ごっちんへの、罪悪感と・・・後悔で。
162 名前:とみこ 投稿日:2002年01月12日(土)15時48分27秒
これ以上2人の会話を聞く必要はない。


あたしはこの場を立ち去ろうとした・・・その時――――





ガラッ







部屋から出てきた2人は、すぐにドアにもたれていたあたしに気付いた。





「吉澤・・・・・」
「よしこ・・・・」




「あ、ごめん。聞くつもりはなかったんだけど・・・」




ウソつき。ホントは聞こうとして聞いてた。
163 名前:とみこ 投稿日:2002年01月12日(土)15時57分13秒
ごっちんは気まずそうに市井先輩の顔を見ていた。


「ごっちん。」

「・・・・何?」

「あの時はごめん。今は勉強に集中しなきゃいけないんだ・・・・」



言い返してくると思ってた市井先輩は、ごっちんに返事を任せた。





「・・・わかった。」




「うん。じゃぁ、これからも友達として・・・ね?」


「わかった。」


「市井先輩、ごっちんをよろしくお願いします!」




「ん。」



市井先輩はそれだけ言うと、ごっちんの手を握って去っていった。
164 名前:とみこ 投稿日:2002年01月12日(土)16時46分46秒
「ひとみちゃんっ。」



「梨華先輩。」


「一緒に帰ろっか?」

「はい。」


梨華ちゃんって声もカワイイんだよね〜。

顔はもちろん超カワイイけど。



勉強は得意なのかな。

運動は得意なのかな。

あたしのどこが好きなのかな。








もっと知りたいな、梨華ちゃんの事。



―――――――


「あのさ・・・・・『梨華』って呼んでいいよ。」


「え!?そ、それは無理ですよぉ・・・先輩だし・・・」


「え〜いいでしょ?付き合ってるんだから。ね?」

「・・・・・ハイ。」


ひとつひとつの仕種や言葉に照れるとか、嬉しいとか、たくさんの感情が芽生える。


これが好きっていうんだね。
165 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月12日(土)18時47分41秒
それでいいのか?よっすぃー!!
166 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月13日(日)01時39分09秒
勉強の妨げになるからとごっちんを遠ざけようとしているよっすぃー、
なのに梨華ちゃんとはすんなり付き合ってやっていけるのでしょうか?
なんだか却って梨華ちゃんに振り回されそうな予感が・・・
一方でごっちんには市井ちゃんと絶対良い関係になって欲しいと願ってたりもします。
167 名前:yo-na 投稿日:2002年01月13日(日)03時21分10秒
いちごま。いしよし。
既に現在の形があって いちごまラブラブだし〜〜♪
過去に遡るってかんじで 新たに展開で面白いですね。


168 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)04時45分54秒
いちごま、いしよし好きで自分にとっては理想的な展開なんですが、なぜだろう。
このお話し、あえてよしごまで結ばれて欲しかったりもするかも。
こんな気持ちになるのも作者さんの腕によるものなんでしょうね。
169 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)15時48分01秒
>名無しさん
>それでいいのか?よっすぃー!!
どうなんでしょう?よしこなりにがんばってると思います(w

>M.ANZAIさん
>なんだか却って梨華ちゃんに振り回されそうな予感が・・・
う〜ん、どうでしょう^^;
私の想像するいしよしっていうのはそういう関係なもんで・・・(w
>一方でごっちんには市井ちゃんと絶対良い関係になって欲しいと願ってたりもします。
私もです(?

>yo-naさん
>過去に遡るってかんじで 新たに展開で面白いですね。
そうですね。一応これ過去編なので・・・(汗
読者のみなさんに喜んでもらえるようにがんばります!

>名無し読者さん
>このお話し、あえてよしごまで結ばれて欲しかったりもするかも。
>こんな気持ちになるのも作者さんの腕によるものなんでしょうね。
ありがとうございますvv
そんなお言葉をいただけると気合入ります!!(闘魂)
170 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)15時50分34秒
一応これで過去編終了とさせて頂きます。

現在編に戻ります。>>23の続きから書きます。

あ、それと、『サンキュ。』の主な登場人物をひとつの画像にしてみました。
ごめんなさい、梨華ちゃん入ってないです(死

これです↓
どうでしょう?

http://www4.justnet.ne.jp/~e-hosono/sankyu.jpg
171 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時02分11秒
すみません、なんか変な内容のところ発見しました。
>>21で、「ごとーが市井ちゃんに告白するまで協力してくれたじゃん」
とか書いてあるんですけど、市井ちゃんから告ったんですね、スミマセン。
他にも色々過去編と現在編がゴッチャになってるのがあります・・・
本当にごめんなさいっっ!!



まとめると、中1の時ごっちんとよしこは両思いで、
けどよしこは親の期待で勉強をさせられてばっかりだった。
ごっちんを好きって気がついたときには、もう成績はガタガタ。
だから無意識にごっちんを避けてしまって、
けどごっちんはよしこに告白した。
追いつめられたよしこは、更に告白をされて、それを重荷に感じて、
ついにごっちんを振ってしまった。
んで市井ちゃんがごっちんに告ったと。


こんな感じです・・・ハイ。
172 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時04分46秒

現在編。(>>23の続き)

後藤視点です。

――――――――――



高1の春。あたし、後藤真希は幸せな毎日を送っています。


愛しのあの人と・・・。




「いちーちゃん!」


「おぅ、後藤。」



誰より1番だーいすきっ。


世界で1番大切な人。



いつも大好きな市井ちゃんがそばに居て、

大親友のよしこがいてくれて、

本当に毎日が幸せ。



だけど、ある事がきっかけで、3人の関係が崩れていく。
173 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時07分37秒
よしこ中1の時友達になった。

あの頃は2人でバカやってて、すっごい楽しかった。


あの時のあたしは、よしこが好きだったんだ。

優しくて、カッコよくて、ちょっぴりクールで。


だけど突然よしこはあたしを避けるようになった。

苦しくて、苦しくて、胸が張り裂けそうだった。


あぁ、それが好きなんだなぁって思った。


だからよしこに好きって言ったんだ。


そしたら振られちゃった・・・へへ。


その頃から、ちょうど市井ちゃんが告白してくれたの。

運命的な出会いだったあたしと市井ちゃんは、本当にラブラブだった。
174 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時10分04秒
あたしと市井ちゃんが付き合い始めた頃に、よしこは石川さんという人と付き合っていた。

あたしとは正反対で、おしとやかなお嬢様タイプ。


かれこれあたしと市井ちゃんは3年間も続いてるけど、



よしこと石川先輩は、去年別れたらしい。


理由は知らないけど、よしこから別れたんだって。


それからは誰に告白されてもOKしてないみたい。



なんでだろー。
175 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時22分37秒
そしてつい最近、授業中によしこから送られてきたメール。



【ごっちんの事が好きだったから。】



好き【だった】。

過去形だよね。


でもおかしいよ。

だってあたし、よしこに告白したじゃん。

それで・・・よしこは断ったじゃんか・・・。


なのに好きだったなんておかしいよぉ・・・





それとも・・・・







何か他に理由があって、あたしの事振ったのかな・・・・
176 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時28分09秒
(よしこ視点)



「あの、誰か付き合ってる人とかいるんですか?」

「・・・・・ごめんね。今は誰とも付き合えないんだ。」



毎日がつまらない。

どうしてつまらないんだろう・・・楽しい事なんてひとつもない。



うちのお父さんは教育委員会のお偉いさんだかなんだかで、

吉澤家の名を有名にしたいらしい。

そのために長女のあたしを【利用】している。

つねに上位をキープし、優等生を【演じなければならない】のだ。


中1の時に、あたしは好きな人がいた。

それは今の親友でもある、ごっちん。

あたしとは違って、本当の自由をたくさんもっている。

羨ましくて、それが好きっていう感情に変わって――――――
177 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)16時31分29秒
けど、所詮あたしとごっちんとは住む世界が違った。

ごっちんと一緒に居るだけで幸せだった毎日。


ごっちんの事しか頭になかった。



だから、あっというまに成績が落ちた。


ごっちんのせいじゃなくて・・・ごっちんを好きになってしまったあたしのせい。


親には散々怒られ、二度とこんな事をするなと叱られ、泣いた。



だからあたしはごっちんを避けてしまった。


なのに・・・



捨てられた子犬みたいについてくる。


そんなごっちんを見てるのが辛くて、

ひとりで悩んでる自分が情けなくて、



あたしのことを好きだと言ってくれたごっちんを・・・振ってしまった。
178 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)18時13分11秒
その事を忘れるため、ごっちんへの思いを断ち切るために、

あたしは2年の石川梨華というコと付き合った。


どさくさで付き合い始めたわりには結構続いた。

けど、中3の夏・・・梨華ちゃんが高等部に上がったころかな。



2年間ほとんど口を利く事なかったごっちんが、話し掛けてくれたんだ。


たしかあたしが髪を切ったとき。

『あれ、よしこ髪切った?』

『え・・・』

2年ぶりの会話に驚いて、返事も言えなかった。


『似合ってるよ。』


その時は心臓がバクバク言って、頭が真っ白になった。


あたしがごっちんの思いを裏切って、傷つけて、最後には


「これからも仲良く」とか調子いい事言ってたあたしに・・・・・・



ごっちんは優しく話し掛けてくれた。



2年間胸を締め付けていた鎖を、ごっちんは一瞬で消してしまった。
179 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)18時15分57秒
どんな女の子に告白されても何も思わない。ドキドキなんかしない。嬉しくもない。


自分の中で特別だった梨華ちゃんにさえ、好きという感情がなくなってしまった。





もう、ごっちんに夢中だった。


好きだった。本当に好きだった。



今なら親の期待を裏切ってでも、ごっちんを愛せる自信があった。











けど・・・・・・・・・・・





今のごっちんは、市井先輩のもの。




一度振ったのは自分なんだから、しょうがないと思った。




けど








もう一度だけ、ごっちんに振り向いてほしかった。
180 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)18時18分41秒
『別れよう。』

『え・・・・どうして?』



『ごめんね。』



梨華ちゃんと別れた。

今思えば、ひどすぎる理由だ。


他に好きな人ができたから別れて。って言ってるようなもんだ。

それどころか、理由さえ言ってない。ただ、別れよう。と言っただけ。













梨華ちゃんには悪いことをしたと思うけど、




この気持ちは変わらない。























ごっちんを、愛してる。
181 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)19時58分31秒
ごっちんの事が好きだと気が付いた。

けど・・・今のごっちんは市井先輩のもの。




あたしに奪う権利なんてない。







ただ、ごっちんと仲良くできればそれでいいよ。













あたしとごっちんの間に空いた、大きな穴を埋めていこう。
182 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)20時01分10秒
『おーっす、よしこ!』

『ごっちん。』



あれからごっちんは、時々話し掛けてくれるようになった。


2人の関係がどんどん治っていく。


嬉しい・・・・・。







あたしの気持ちは、伝える事はできないのかな。



好きって伝えられないのかな。



市井先輩がいるから、無理なのかな。
183 名前:とみこ 投稿日:2002年01月13日(日)20時05分04秒
高等部に入ってから、一度やめてしまったバスケ部にも復活する事ができた。


今のキャプテンは、高3になった市井先輩。

もう気まずい関係はどっかに行っちゃって、今は普通に先輩後輩。


ごっちんともだいぶ仲良くなれて、いや、もう親友みたいだ。


ごっちんは、いっつもバスケ部の応援に来る。



もちろんお目当ては、市井先輩。





けどね、あたしもうやめたんだ。



ごっちんを好きならそれでいいじゃないか。


付き合わなくてもいい。この気持ちを大切にしたいんだ。



あたしはごっちんのことを、【友達】として好きだ。



だから、ごっちんに市井先輩の話をされても全然平気。


市井先輩とだって仲良くできる。




いい友達でいようね。
184 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)10時57分03秒
親の期待ばっかりを気にして、ごっちんを好きになった事を認めたくなかったあの時・・・


けど今は、ごっちんへのこの思いは決して「恋愛感情」ではないけでれど、


大きな「友情」だ。それでいい。



だから





ごっちんも、あたしにはもう恋愛感情は抱かないでほしい。




ごっちんがまたあたしの事を好きになってしまったら・・・

あたしの思いもまた戻ってしまう。



そしたらこの関係が崩れてしまう。


だから、お互いに・・・ね?
185 名前:夜叉 投稿日:2002年01月14日(月)16時29分12秒
吉は友情をとったんだね。
このまま、3人の関係がうまくいくことを願いつつ。
傷心の石は、箱根小○園に(略。w
186 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)17時48分28秒
>>夜叉さん

今のところはそうですね。
けどやっぱり最後の方にはよしこと石もかかわってきますよ〜
新キャラも登場させたいけど、誰にしようかなとか迷いつつ更新しまーす
187 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)17時54分55秒
最近、授業中にごっちんからメールが来まくる。


そして今日も、ポケットに入れていた携帯がブルった。



はぁ・・・保田先生の授業の時はノート写すの大変なのに・・・


そう思いつつ、メールを開いた。




【よしこの後姿、カッケー!by真希】


・・・・なんじゃそりゃ。



なんとなく後ろからごっちんの気配を感じる。



次々と黒板に書かれる文字をノートに書き写しながら、膝の上で返事を打った。



【あたしばっか見てないで、黒板も見なさい。byひとみ】




送信っと・・・
188 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)17時59分36秒
こういう他愛無いメールは好きだ。


友達同士でこういう事するのは、普通じゃん?


でも絶対に冗談でも【好き】とか【カワイイ】とかは打たないんだ。


いつ波乱が起きるかわかんないからね。



ブルルルッ


速っ!!ちゃんと授業聞いてんのかなー。


【ごめんごめん、よしこに見惚れてた。なんちって(^^*)by真希】





見惚れてたって・・・・・んなハズい事書くかフツー。


ごっちんは・・・市井先輩がいるのに。そういう事書いたら・・・・



期待しちゃうじゃん。



【今ごろ言われてももう遅い。】


送信っと・・・


ちょっとキツかったかな、今のメールは。
189 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)18時05分21秒
だってさー、ごっちんはマイペースすぎるんだよ。


市井先輩が好きなら好きで、あたしにこういうメール送っちゃいけないと思うんだけどなー。



【親の期待を裏切ってでもごっちんの事を愛せる】って気付くのが


もっと早ければよかったのに・・・・





ごっちんと市井先輩が付き合う前に気付けばよかった。







そうすれば・・・・この気持ちを素直に伝えられたのに。




あたしは・・・・・







ただ親の敷いたレールを歩くだけの人間じゃないって、早く気付きたかった。
190 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)18時08分34秒
【今ごろってどういう意味?】


予想通りといえばそんなような返事が返ってきた。




【ごっちんの事が好きだから。】


・・・・いや、やめよう。



すぐに打ち直した。


【ごっちんの事が好きだったから。】



うん、これでいいでしょ。

好き【だった】なら過去形だしね。
191 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)18時16分28秒
キーンコーンカーンコーン・・・




ちょうどその時、授業が終わったと同時に2人の女の子がドアの前に立っていた。


「あの、吉澤先輩。」

「あたし?」


さっとドアの方に向かった。



「あの、友達が吉澤先輩の事好きなんですよ。」



・・・はぁ?



「だから、今中庭にいるんで行ってあげてくれませんか?」

「あー・・・うん、わかった」

それだけ言うと、そのコ達は走って去っていった。



どうせ断るけど、一応いくか。
192 名前:カム 投稿日:2002年01月14日(月)20時20分28秒

のおぉー!よっすぃ、もの分かり良すぎ!!
もすこしくらい自分本位になってもいいじゃんかー!

いい意味で予想を裏切ってくれるんで、毎回更新が楽しみです。
学校との両立がんばってくださいね!!
193 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)21時03分25秒
>>カムさん

裏切っちまってすんません(w
あ、いい意味でか。^^;
ありがとうございます。
私も何書いてるか時々わからなくなるんですよね〜。(ヲイ
がんがります。
194 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)21時07分20秒
次の授業の予習をするために早く戻りたかった。


そう思うと階段を降りる足取りも速くなる。




「よしこ!!」


すごい勢いでごっちんが降りてきた。


「・・・なに。」


「え・・・なにって・・・・・・ど、どこ行くの?」

「散歩。」


なんつって。

「え?」


「ごっちんは?」


「え、ごとーはさっきのメールが気になってて・・・追いかけてきた。」


気になるって・・・・見惚れるとか普通に書くほうも気にした方が・・・

「メール・・・あぁ、あれか。」

「う、うんっ。」




あれは、本当の事を書いただけ。



だって、今は恋愛感情ない・・・ハズだもん。


「っつーか・・・、前は好きだった。」
195 名前:とみこ 投稿日:2002年01月14日(月)21時09分01秒
「へ?」



「市井先輩と付き合うまでは。」



違う・・・・



ごっちんと市井先輩が付き合う前に、本気で好きって気が付けば良かった。



「告白するつもりはなかったから、ごっちんが市井先輩と付き合って安心してる。」


「安心って・・・・」


「今は恋愛感情持ってないから、ごっちんも安心して。」


「・・・・うん、ありがとう。」


はっ、ありがとうってなんだよ・・・・



こーゆーわかんないとこが、ちょっと好きなんだけど。


あ、友達としてね。


「じゃ、あたし戻るよ。」
196 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月15日(火)04時16分23秒
そっかぁ、石川先輩とは別れてしまったんですね。
で、ごっちんとは親友として付き合っている、と。
でも市井先輩を入れた3人の関係が崩れ去る?出来事が・・・
はたして?
197 名前:深紅 投稿日:2002年01月15日(火)17時34分39秒
うっわー、なんか読んでてドキドキするぅ。
吉子はもーちょっと自分のためになんかしても
いいような気がするんですが・・・
とみこさんの小説大好きなんで、毎日チェッキング☆です!
198 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)16時13分32秒
放課後部活に行くと、市井先輩が駆け寄ってきた。


「吉澤!ちょっと頼みがあるんだけど。」

「なんスか?」

「あの・・・その・・・・今日後藤と会う約束してんだよね。だから・・・」

「いいっスよ、抜けて。あたしがまとめときます。」


はは、そんな事だろうと思った。


「サ、サンキュー!吉澤!やっぱ持つべきものは後輩だよな!じゃぁな。」

「いってらっしゃ〜い。」




ふぅ・・・


なんだかんだ言って、ごっちんと市井先輩ってかなりラブラブだよなぁ・・・





あーあ、あんなメール送るんじゃなかった。




もう恋愛感情ないなんて・・・・













ウソつくんじゃなかった。
199 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)16時18分25秒
>M.ANZAIさん

>市井先輩を入れた3人の関係が崩れ去る?出来事が・・・
まぁ>>197をご覧になってわかると思いますが、よしこがごっちんをすきなのは、
友達としてではなかったんですよ。
それに気付いた時にはもう市井先輩と・・・っていうこの状態を認めたくなかったと。
こんな感じですね。



>深紅さん
>吉子はもーちょっと自分のためになんかしてもいいような気がするんですが・・・
そうですね〜。そこんとこ難しいっす^^;
>とみこさんの小説大好きなんで、毎日チェッキング☆です!
ありがとうございます〜!!チェッキングかぁ・・・
そういえば最近やっと英語の授業で現在進行形を習いました^^
200 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)16時24分57秒
(市井視点)




あたしは市井紗耶香。極普通の高校3年生だ。

女子校に通っているわりには男っぽいところがあって、

だけど恋愛には少々不器用だ。

けど、今はある女の子に恋愛中。


2つ年下で、ほんっとマイペースでさ。

喋り方もまだ中学生みたいで、子供っぽくて、甘えんぼで、



けどそんなあのコが大好きだ。

そんな事、本人の前では言えないけどさ。
201 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時32分15秒
中1から中3にかけて、あたしは矢口真里ってコと付き合ってた。


身長がすっげぇ小さくて、健康そうな瞳に、誰もが目を惹く金髪。


中1の時知り合って、だんだん仲良くなって付き合い始めたんだ。






けど・・・・・中1の冬だったかな。




『紗耶香、あたし・・・好きな人が出来たんだ。』

『え・・・?』

『裕ちゃん。』


『はぁ?裕ちゃんって・・・中澤先生?』

『うん。あっちも好きって言ってくれたし。紗耶香には悪いと思ったんだけど・・・』

『で、でも・・・!うちらずっと仲良くやってこれたじゃん!』

『・・・・・しつこいよ。』

『え?』

『もういいじゃん、うちらはどうせ続かないよ。』

『矢口・・・っ』



『バイバイ。』
202 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時35分26秒
言い返す言葉はもうない。




本気で愛してた人に、一瞬で突き放された。



なんで?どうして別れなきゃいけないの?


中澤先生のどこがいいの?



『・・・・ちくしょう・・・』





あたしは中澤先生を憎んだ。


そして、あたしから矢口を奪った事を、一生恨んでやると誓った。
203 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時38分22秒
ある日中澤先生に呼び出された。


『市井、なんで先生の授業は参加せぇへんのや?』

『・・・・・。』

『なんでや?』

『・・・・・。』

『矢口を取られた腹いせのつもりやろ?』

『・・・・っ!!』



ふざけんな・・・・
204 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時41分44秒
『あんたなんか先生じゃない!!矢口を奪っておいて平然としてんじゃねぇよ!!』

ガタンッ

『市井!どこ行くんや!?』


――――――――――――



どうして矢口はそこまで中澤先生にこだわったのか。


あたしを捨ててまで・・・どうして・・・



それだけが知りたかった。
205 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時45分41秒
中2になった頃かな。矢口は突然学校に来なくなった。

理由は誰も知らない・・・中澤先生は知ってるかもしれないけど。





そして中2の夏―――――――



矢口が亡くなったと知らされた。





自分でも驚くほどのパニック状態になった。


どうして?ウソでしょ?




元気だったじゃん、ずっとずっと元気だったじゃん。




学校来なくなってから、何があったの??



わからない、わからない・・・・!!
206 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時50分20秒
『市井。』

『中澤先生・・・・・』

『矢口は病気で死んだんや。』

『・・・・病気?』

『この病気の事は、中1の秋にはすでにわかってたことなんや。』

『・・・じゃぁどうして・・?』



207 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時53分00秒
あたしと矢口が付き合い始めてから数ヵ月後ぐらいに、

矢口は病気にかかっていたと言う。

医者に、長くてもあと1ヶ月しかもたないと言われたらしい。


しかし、手術をすればあと半年は持つ。

そう聞かされた矢口は、その事を中澤先生に相談した。


そして、手術をする事になった。

矢口の親は、半年持たせるには東京の環境はよくないと思って、実家に帰る事になった。

そのために紗耶香に別れを告げたのだ。


そして半年後。矢口は実家の親に見守られ、息を引き取った。
208 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)17時58分04秒
『そんな・・・・・』

『あたしの事を好きになったとか、そんなのは全部ウソや。』


矢口・・・・・



『市井、矢口は最後まであんたの事が好きやった。』

『え・・・?』

『矢口はな、あと1ヶ月の命でもいいから市井のそばに居たいって言うとった。』

『え・・・?』

『そこまで市井を好きやったんや。だからこそ病気の事を言わんで去っていった。』



この世を・・・去っていった。


あたしに何も言わずに。


なのにあたしは・・・・




矢口の思いも知らずに、中澤先生を恨みつづけていた。




最悪の人間だ。
209 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)18時00分30秒
けど今は思える。


矢口はあたしを愛してくれた。

死ぬまで愛してくれた。



そしてあたしは、矢口を愛してた。


その思いだけは忘れない。

―――――――



そして、後藤と出逢った。


理由を言葉で表す事はできないけど、




あたしは後藤が好きだ。

矢口と同じくらい。



だから矢口も・・・空の上で見守っていて。



きっと幸せになるから。
210 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)19時45分31秒
ありがとう・・・・・矢口。



―――――――


「・・・いちゃん!市井ちゃん!」

「ん・・・?」


目が覚めた時、あたしの目の前には後藤が居た。

どうやら自分の教室で寝ちゃったらしい。



「市井ちゃん全然起きないんだもんっ。」

「ごめんごめん。」


窓の外を見ると、もう夕日で真っ赤に染まっていた。




「帰ろっか、後藤。」

「うんっ。」


211 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)19時52分06秒
帰り道、あたしが後藤の手をそっと繋ぐと、ニコッと笑って握り返した。


「ねぇ、市井ちゃん。」

「ん?」

「あのね、よしこがね、ごとーの事好きだったんだって。」

「え!?」


はぁ!!??


「いや、今は恋愛感情ないって言われたけど、前は好きだったって・・・」

「えぇ!?だってそれはおかしいじゃん。後藤が告白した時は・・・」


一瞬後藤の表情が曇った。ごめん、思い出させちゃったね・・・


「うん、ごとーもそう思った。でもね、もしかしてごとーの事を振ったのには、他に理由があったのかもしれないんじゃないかなぁって。」


「理由?」

「例えば、なんか悩み事があったとか・・・・」

「そうか・・・・・」



しばらく沈黙が続いた。

お互いにじっと考えた。


どうして吉澤は、今になって後藤にそんな事を言ったんだろう。
212 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)19時55分30秒
「あ、でもごとーは市井ちゃん一筋だからねっ!!」

「へ?」

「よしこの話ばっかりしたら、いやだよね。ごめんね。」

「あ・・・いや、大丈夫だよ。だってそれはあたしにも関係ある話なんだから。」

「そっか、そだね。」

「あたしは後藤の恋人なんだから。」



そっと肩に手を置いてみる。


後藤はそれを拒む事なく、少し照れながらまたニヘっと笑った。



大好きだよ、後藤。
213 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時12分10秒
(ひとみ視点)


「ふぁ〜・・・ねむ。」



ホントに眠い。眠い・・・眠い・・・・・・・・っと。

夜遅くまで勉強して、朝早くから勉強して。

マジきつい・・・・



「ひとみちゃん。」

「・・・・!?」


思わずガバッと体を起こした。


「り、り、り、梨華ちゃん!?なんで1年の教室に!?」


焦りすぎ、自分。


「教室移動で通りかかったの。」

「そ、そうなんだぁ・・・」


動揺しすぎだぁ、あたし。

落ち着け、落ち着け、吉澤ひとみ。



「ちょっとひとみちゃんに話があって・・・」

「へ?」

214 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時15分09秒
「で、話ってなんですか??」

「あのさ、あたし達・・・去年別れたでしょ?」

「そ・・・そうっすね。」


やだなー、振った事恨まれてんのかな・・・

いや、でもあれはあたしが悪いのか。

だって・・・・・理由も言わずに振っちゃったし。

まぁあの理由はいえなかったけど。




「それでね・・・・もしひとみちゃんがよかったら・・・」


え?何・・・??





「もう一度やり直さない?」
215 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時18分27秒
「あぁ・・・・・・・・・・・・・えぇ!?」

微妙な反応しちゃったよ・・・


「ど、どうかな・・・?」


「え、でも・・・1回別れたじゃん・・・?」

「うん、だから、やり直そう??」

「でも・・・その・・・・梨華ちゃんはまだ・・・」

「好きだよ。ひとみちゃんの事。」



うっわー、そんなハッキリ言うかよフツー・・・


でもなんか・・・・梨華ちゃん美人になってるなぁ。

あ、髪染めたのかぁ。かわいー・・・・


じゃなくて!!
216 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時22分03秒
「でも今は誰とも付き合う気ないんだけど・・・・・」


「そっかぁ・・・・・今付き合ってる人いるの?」

「え、いないよ。」

「好きな人がいるとか・・・?」




「・・・・あ〜〜、うん。そうそう。好きな人がいるんだっ!」

「え・・・誰?」


「そ、それは言えないよ・・・」

「じゃぁ諦めないもんっ。」

「梨華ちゃーん・・・・」


「・・・・後藤さんでしょ?」


「え!?」

「後藤さんは市井さんと付き合ってるじゃない。」

いや、まだそうとは言ってないんすけど・・・・・


「わかった!あたし、負けないからっ!梨華がんばる!」



はーい、がんばってくださーい・・・







って何をがんばるのぉ!!??
217 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時25分07秒
もー、梨華ちゃんってば・・・・

別に梨華ちゃんと付き合うのはいいんだけどさ・・・・


一応・・・ってか多分、あたしはごっちんが好きなんだと思うんだよね。

それは市井先輩がいるからって変わる気持ちじゃないし・・・・





「後藤さん!」

中庭を通ると、梨華ちゃんの声がした。

「あ、えっと・・・・石川先輩ですよね。」


うわっ梨華ちゃん何でごっちんのところに・・・・・・・・・まさか・・・・・・


木の陰に隠れて様子をうかがった。
218 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時28分57秒
「今、平気かな?」

「あ、はい。」

「ちょっと後藤さんに聞きたいことがあって・・・」


なんかヤバそう・・・・

変なこと言いそうになったら止めに入ろう。




「後藤さんは・・・ひとみちゃんの事どう思ってる?」


あぁ!?あのヤロー!!(じゃなくて・・・梨華ちゃん・・・!!!)


「え?どうって・・・そりゃぁ親友だから好きですよ。」

「好きっていうのは、市井先輩への思いと同じ好きなの?」


何聞いてんだよー梨華ちゃん!!


・・・・・でもちょっとごっちんの答えも気になる・・・・・



「うーん、似てるけど違うかな?」



ガーン・・・・・



【違う】



ごっちんの中で、市井先輩とあたしの存在はまったく違うんだ・・・



やっぱり市井先輩一筋なのか・・・・・・
219 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時32分14秒
「石川先輩は?よしこの事好きなんですか?」

「うん、大好き。」


あはは・・・・梨華ちゃん開き直ってないか?

っていうか、去年までと人格が変わってるような・・・・


「そうですか〜。え、今よしこと付き合ってるんですか?」

「うん。」





「ちょっと梨華ちゃん!!」






あ・・・・・・



ごっちんはこっちを見て呆然としていた。
220 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時35分04秒
「よしこ・・・何でここに・・・」
「ひとみちゃんってば、除きはよくないゾ。」



「あ・・・・っていうか梨華ちゃん!変なことごっちんに聞かないでよ!」

「別に変なことなんて聞いてないよ〜。ただひとみちゃんが後藤さんを・・・」


「あ〜!!!言うな!それ以上言うな!!わかったから、頼むから・・・・」


もうなんか・・・わけわかんないよ・・・


「ごっちん。」

「え?」

「あたし、梨華ちゃんと付き合ってないから。」



前にもこんなシーンあったなぁ・・・・



【あたし、市井ちゃんと付き合ってないから!!】



懐かし・・・
221 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時37分41秒
「も〜〜、あたしはひとみちゃんの事あきらめないからね!」

「ちょっ、梨華ちゃん!」

そのまま走り去ってしまった。



その場に残ったのは、あたしとごっちんの2人だけ。


「・・・・ごめんね。」

「え、よしこが謝る事ないよぉ〜」

「梨華ちゃん昔と全然違うよ・・・・なんかもうさぁ・・・・・」

「よしこさ、なんか垢抜けたね!」





「えぇ??」

「今までクールな優等生ってイメージだったけど、結構おちゃらけてるかんじ。」



おちゃらけてる・・・・・


222 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時40分34秒
あ、そうか・・・・・




やっとわかった。



あたし・・・これが本当のあたしだ。



今までの完璧を装った仮面を被ったあたしは、偽者。



やっとわかったよ・・・・・



ごっちんを振ってしまったのは、


あの時ごっちんが好きになったのは偽者のあたしだったから。



だから、本当のあたしを知られるのが怖くて・・・



仮面が剥がれた本当の自分を知られたら、


いつか捨てられてしまうんじゃないかって。






ずっとそれが怖かったんだ。
223 名前:とみこ 投稿日:2002年01月16日(水)22時43分05秒
そのあとのごっちんの一言は、あたしの悩みをくだらない悩みへと変えた。





「あたし、そっちのよしこの方が好きだな。」







なーんだ。



本当のあたし、嫌われなかった。



これが普通なんだよ。



優等生の仮面なんか、偽者以外のなんでもないんだよ。





いつかごっちんが、本当のあたしを好きになってくれるように・・・・



あたしがんばるよ。




もう親の期待を背負うのやめた。






ひとりで生きよう。
224 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月16日(水)23時02分51秒
そうか、波乱なのは梨華ちゃんが出てくることではなくて、
梨華ちゃんが出てきた事で、
ごっちんが“本当の自分”の方を好きでいたくれる事に気づいてしまう
吉の気持ちの方だったんですね。
気づいてしまった以上、吉はごっちんにどんな風に接していくのでしょうか。
それを市井先輩はどんな思いで見守るのか・・・。

しかし、市井先輩の過去に矢口さんとのこんな悲しい思い出があるだなんて。
あの日を目前にちょっとショックです。

梨華ちゃんのキャラが積極的になっているのも、何かあったみたいだと勝手に想像・・・
225 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)16時44分49秒
>M.ANZAIさん
>吉はごっちんにどんな風に接していくのでしょうか。
そうですね〜。やっぱり市井先輩への態度も変わるのでは?
>しかし、市井先輩の過去に矢口さんとのこんな悲しい思い出があるだなんて。
そうですね。市井ちゃんだけ過去がなかったもので・・・・(ヲイ
やぐっつぁんとごまちゃんラブなんで、どうしても出させたかったのでっす^^
>梨華ちゃんのキャラが積極的になっているのも、何かあったみたいだと勝手に想像・・・
う〜ん、特にないかもしれません(ヲイヲイ
226 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時09分26秒
「ただいまー。」

「「おかえり姉ちゃん!」」

あいかわらずハモってるね〜。



ガチャ

「ひとみ、帰ってたのか。」

「お父さん。」

「家庭教師の事で話があるから。座りなさい。」


そう言われてリビングのイスに座った。


「今の家庭教師だけでは3位以上を取れない。だからもうひとり雇おうと思うんだが。」


はぁ?今だって遊ぶ時間全然ないのに。


「・・・・必要ない。」

「何を言っているんだ。お前にはこれから1位を取ってもらうんだ。」

「1位?なんで?今の成績じゃ不満なの?」

「ひとみ!私には敬語を使うように言っただろう!忘れたのか!」









バッカじゃないの?









「うるさいな。」





「なに?」




「うるさいって言ってんだよ。」
227 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時16分24秒
「そんなに吉澤家の名前を守りたいの!?」

「ひとみ!黙りなさい!!」


「自分の名誉を傷つけないために、あたしを利用しないでよ!!自由を奪わないでよ!!」



「「お姉ちゃん・・・?」」


弟たちが心配そうに見ていた。


「あんたたちがバカだから、あたしばっかり期待されて!!もうウンザリなの!!」








パンッ




「いいかげんにしなさい。お前は私の娘だ。言う事を聞くのが【当たり前】だ。」


「・・・あんたなんか親じゃない!!あたしにいい成績を取らせて、それで自分の自慢にして、あたしを誉めてくれたことなんかあった!?いっつも【当たり前】ってそれだけで済ませて・・・」



頬に伝う涙が、16年間の痛みを流してくれるようで・・・



「あたしの気持ちにもなってよ!!もうあたしの自由を奪わないで!!!!」
228 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時23分33秒
そのまま部屋に戻って荷物をまとめた。



「ひとみ、その荷物はなんだね。」

「出て行く。これ以上こんな家に居たら、脳まで腐っちゃうよ。」

「バカ言うんじゃない。住むところもないのに。」

「うるっさいな!!こんな風にさせたのはあんたでしょ!?
都合のいいときだけ父親面してんじゃねぇよ。」




バタン




こうして私は、16年間閉じ込められていたこの家を・・・いや、この檻を。





ようやく脱出できたのだった。
229 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時34分24秒
とは言っても、どうっすっかなー、これから。

もちろんあの家に戻るつもりは一切ないけど。





「あれぇ、よしこ。」


目の前には、さっきまで学校で一緒だったごっちんが居た。


「そんな大きい荷物持ってどうしたの?」

「いや・・・・家を出たんだ。」

「えぇ!?なんで??」

「理由はちょっと・・・長くなるし。泊まるとこ探さなきゃいけないし。」

「え、でも・・・」


そんなの理由が聞きたいのかな・・・・



それともただの同情かな。



「じゃぁ今日はうちに泊まりなよ!あたしひとり暮らしなんだよね!」

「え・・・でも悪いよ。いきなり。」

「なーに言ってんの!水臭いなぁ〜。親友でしょ?ね?」


「・・・・・うん。わかった。ありがとね。」



やさしー、ごっちん。
230 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時40分49秒
本当の自分に気付いて、親の期待も捨てて、あたしは今自由を手に入れた。


そしてごっちんを本気で好きだと気付いた。


けど焦らないんだ。この16年間の傷はまだ治らないけれど、


ゆっくりゆっく時間をかけていこうとおもう。






ごっちんの家は、あたしの家と逆方向にあった。

少し高そうなマンションで、ひとり暮らしをしてるらしい。


ちょっと羨ましいな。


ガチャ

「よしこの家よりは全然狭いけど気にしないでね〜。」

「う、うん。」



部屋の中にはごっちんの香りがたくさんした。


まるで昔からここに住んでるようで、心が癒された。
231 名前:とみこ 投稿日:2002年01月17日(木)17時43分29秒
「とりあえず荷物置いてさ、そこ座ってて。今お茶入れるから〜。」

「うん、ありがと。」


――――――――


「で、どうしたの?」

「うん、それがさ・・・・」
232 名前:夜叉 投稿日:2002年01月17日(木)18時39分04秒
檻から一時解放された吉に本当の自由が訪れる日は近いのでしょうか?
なんかおやぢ(略。

ごっつぁん、吉を休まさせてやってくで。
233 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月17日(木)22時19分50秒
おもしろい!
234 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月17日(木)22時21分39秒
ごっちんのその身体全体で出している雰囲気が
吉をリラックスさせてくれるんですね。
そして語られるこれまでの吉が背負っていた物の事。
ごっちんがどのように受け止めてくれるのか、
成り行きを見守っていたいです。
はたしてこのまま“親友”という関係でいられるのか、それとも・・・
235 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時09分24秒
>夜叉さん
>檻から一時解放された吉に本当の自由が訪れる日は近いのでしょうか?
そうですね。そうさせてくれるのは他の誰でもなく、ごっちんでしょう。

>名無しさん
>おもしろい!
ありがとうございます^^

>M.ANZAIさん
>ごっちんのその身体全体で出している雰囲気が
>吉をリラックスさせてくれるんですね。
>そして語られるこれまでの吉が背負っていた物の事。
普段のぺーっとしてるごっちんも、吉にとっては憧れの存在。
そんな吉の過去を知ったごっちんの心境を書きていきたいと思います。
236 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時16分01秒
(後藤視点)



よしこはポツリポツリと過去の事を話してくれた。

それはごとーにとっても、よしこにとっても、とても深い深い意味のある話だった。



――――――――――


よしこは小さい頃から、お母さんが大好きだった。

そんなお母さんのために、いい子になろうと思ってた。

でもそれは我慢や苦しみではなく、いつもたくさんの愛情を注いでくれたお母さんへの

精一杯の恩返しでもあった。



勉強やスポーツを頑張っている姿を見て、お母さんはいつも優しい笑顔をくれた。


『ひとみが優しい子に育ってくれれば、それだけで嬉しいよ。』


その言葉が、今でも頭の中に残っている。そうよしこは話していた。


お母さんの話をするよしこは、今までに見せた事のないような笑顔だった。
237 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時27分09秒
大好きだったお母さんは、よしこに幸せをいっぱい与え、この世を去っていった。

その時は涙も出ないほどの、悲しい以上の感情を持ったらしい。



それだけお母さんが大好きだったんだね・・・



「お母さんがいなくなってから、お父さんはあたしを利用するようになった。」

「利用?」

よしこは深く頷くと、また話し始めた。



「勉強ができるのは当たり前。礼儀正しいのは当たり前。そう育てられたんだ。」



・・・・ごとーとは全然正反対だ。



「お母さんとは違って、自分の名誉のためだけに・・・
あたしは娘としてじゃなくて、優秀な『モノ』として磨き上げられた。」



【モノ】



その言葉を強調して言ったのは、それだけ訴えたい事だったのだろう。



「お父さんはいつも、【不自由のない生活をさせてやってるんだ。そのくらいは当たり前だ】ってそういうけど、あたしは一度も【本当の自由】を手に入れたことがなかった。」



本当の・・・自由。
238 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時33分38秒
「親には3位以内を取る事。そう約束されていて、あたしはそれを守っていた。守らなきゃいけなかった。」





「けど・・・・あたしはごっちんに出逢った。」

「・・・え?」


「ごっちんを知れば知るほど、自分とは違うんだなって・・・思い知らされた。
あたしが求めつづけていた自由を、ごっちんは余るほど持っていたから。」


ごとーが・・・・自由を持ってる?


「だからあたしにとって、ごっちんは憧れでもあったんだ。
ごっちんと一緒にいれば、自由を分けてもらえると思った。
それを・・・・【愛してる】と勘違いしたんだ。」



愛してる・・・・勘違い・・・・


勘違いの愛なんてあるのかな。



「いつかこの思いを伝えようと思ってた。
・・・・けど、ごっちんの自由を羨む気持ちでいっぱいになった時・・・
ごっちんで頭がいっぱいになった時・・・・あたしは成績は一気に落ちた。」



あ・・・・そうか。

あの時の【8位】を喜ばなかったのはその理由だったんだ。
239 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時36分46秒
「親には叱られて、二度とこういう事をするなって・・・・
お前は娘なんだから言う事を聞けって・・・こういう時だけ娘扱いされてた。」


ひどい・・・・・

そこまでして名誉を守る必要はないのに・・・・


よしこは完全にお父さんに縛られてたんだね・・・。


どうして気付いてあげられなかったんだろう・・・



「だから無意識にごっちんを避けた。」











「ごめん。」
240 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時39分56秒
「ううん、謝らないで。よしこは全然悪くないよぉ・・・・」


「・・・・ありがとう。」



辛い過去・・・・


なんて辛い過去なんだろう。



そこまで苦しんだ悩みを、ひとりで抱え込んでいたよしこは



なんて強い人間なんだろう。








「ごっちんに告白された時断ってしまったのは・・・・
親をかばったから。親を優先してしまったから。
そして・・・・ごっちんに思いを伝えられなかった自分が情けなかったから。
そんな自分に・・・・・・・ごっちんを好きになる資格はないと思ったから・・・・」

241 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時45分41秒
「ごっちんへの思いを断ち切るために・・・あたしは梨華ちゃんと付き合った。
けど・・・・それは間違った選択だった。本当に好きになれなかった。
だから・・・・梨華ちゃんを傷つけてしまった。やっぱり情けないのは自分だった・・・」



「別れた理由は・・・それ?」


「うん・・・。」




「けどね・・・あたし、本当の自分を出せた。今まで優等生の仮面を被ってた。
だから・・・本当の自分を知らなくて、それをごっちんに知られるのが怖くて・・・」








「だけど・・・・ごっちんは・・・やっぱり優しかった。
本当の自分を、大きな心で・・・そのまま受け止めてくれた。
嬉しかった・・・・・それと同時に・・・・」





「あたしはごっちんが好きなんだなぁって・・・わかったの。」
242 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時48分56秒
「だけどごっちんの目には、市井先輩しか写ってなかったんだ。」


「そんな事・・・っ」

「ううん、いいの。それでも好きでいようと思った。
この気持ちは、ずっとずっと変わらないと思ったから。」



「よしこ・・・・」



「だからね、あたし・・・もう優等生を演じるのはやめたの。
だから・・・家を出た。それだけ。
こんな単純なことを気付かせてくれたのは・・・ごっちんだよ。」
243 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時52分31秒
「勘違いだと思っていた愛は、本当の愛だったって事だよ。」


それだけ言うと、よしこはフィっと後ろを向いてしまった。



まるで涙を隠すように。




そうか・・・・



あのメールもそうだったんだ。



好きだったっていうのはウソでもなんでもない。



あたしが告白した時、よしこはあたしを嫌ってたわけじゃないんだね。



ただ気持ちを伝えられなかっただけ。



ひとりで悩んでただけ。



あの時すごく傷ついたけど、




今思えば、懐かしい思い出だ。
244 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時54分57秒
その日、よしこと最後に交わした会話――――――





「あたし・・・・・よしこが好きだよ。」

「じゃぁ市井先輩と別れられる?」

「え・・・?」

「いいんだ。あたしは市井先輩には適わない。
今ここでごっちんが好きになってくれても、それは過去に対する同情にすぎないよ。」



「でもよしこ・・・」


「ん?」










「ずっとあたしの事、好きでいてね。」


「うん。」
245 名前:とみこ 投稿日:2002年01月18日(金)20時56分17秒
こうして夜はふけていった。





言葉には表せない。


そんなモヤモヤした思い、初めて。



けど、よしこの過去を知ってよかった。



もっと近づけた気がしたから。
246 名前:夜叉 投稿日:2002年01月18日(金)22時08分59秒
ゆっくり羽を休ませて、次にステップ向かってに頑張って欲しいです。
吉の探してる自由はこれから始まるのだから。

作者様も頑張ってくださいね。
こちらも頑張ってます。
247 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月19日(土)02時44分26秒
>「ずっとあたしの事、好きでいてね。」
むしろよしこの方が願って止まない気持ちを、ごっちんの方から言葉にされるなんて。
・・・泣いちゃうよ?

自由を手にし続けるのは、不自由でいる事よりも苦難があるかもしれないけど、
よしこには負けずに突き進んで欲しいです、本当の自由を手に入れるまで。
248 名前:とみこ 投稿日:2002年01月19日(土)13時27分04秒
>夜叉さん
>ゆっくり羽を休ませて、次にステップ向かってに頑張って欲しいです。
そうですね。普通の人と同じ状態のスタートにたった今、
よしこは悩んだり苦しんだりしながら頑張っていくのです。
>こちらも頑張ってます。
応援してます&期待してます。

>M.ANZAI
>自由を手にし続けるのは、不自由でいる事よりも苦難があるかもしれないけど、
>よしこには負けずに突き進んで欲しいです、本当の自由を手に入れるまで。
なんていいお言葉なんでしょう・・・うぅ・・・(泣
ありがとうございますvvv
249 名前:とみこ 投稿日:2002年01月22日(火)17時16分09秒
(よしこ視点)



「おはよ〜、よしこ!」

「おはよ〜。」



人生で1番明るい朝だった。


苦しい事も、悲しいことも乗り越えた。


もう、怖いものなんて何もないよ。



「よしこぉ、これからどうするの?」

「う〜ん、とりあえずどっかアパート探すかな。」

「じゃぁそれまでうちに居ていいよぉ。」

「ありがと。」



部屋にあるものはほとんど持ってきたけれど、

やっぱり生活するには足りないものもいろいろあった。





ピンポーン


「はーい。」

「宅急便です。」



速達で送られてきたのは、あたしの荷物と手紙だった。


「何これ・・・」
250 名前:とみこ 投稿日:2002年01月22日(火)17時23分14秒
制服やカバンや少しの服とかは持ってきておいたけど、

送られてきたダンボールには、持ちきれなかった服が全部入っていた。



「・・・・お父さんだ。」

「マジで?手紙はなんて書いてあるの?」


そっと封筒を開いた。


―――――――――――――
ひとみへ

荷物を全部送ります。



私は、親として失格だ。

あの日、初めてひとみが怒ったのを見て、

今まで私が知っていたひとみは、何なんだろうと思った。

都合のいい時だけ娘と呼び、

普段は吉澤家の名のためだけに利用していた。

・・・どれもひとみの言うとおりだ。


深く反省している。

ひとみの16年間をこんなに苦しめていたのは、私だ。

こんな父親・・・いや、こんな私を許してくれ。


こうして家を出て行ったひとみの行き先もわからない。

ひとみにはどんな友達がいるのかもわからなかったから。



強制的ではないけれど、疲れたらいつでも帰ってきなさい。


―――――――――――――
251 名前:とみこ 投稿日:2002年01月22日(火)17時24分51秒
「お父さん・・・・」



こんなお父さん、大嫌いだったのに・・・



なのに・・・この手紙につく跡は、素直な涙。



許さないわけ・・・ないじゃん。



「よしこ・・・・よかったね?」




「うん。」
252 名前:とみこ 投稿日:2002年01月22日(火)17時27分02秒
あたしの部屋に飾られた、ごっちんとの何枚もの写真を見て、

きっとこのコの家に行っているのではないかと思ったと、

手紙の最後に書いてあった。



そうだよ、ごっちんはあたしの最高の友達だよ。



大好きな・・・・友達だよ。

253 名前:とみこ 投稿日:2002年01月22日(火)17時31分14秒
ピンポーン



「はーい。」



ガチャッ


「やっほー、真希!」

「なっち〜〜!!久しぶり〜!!」


突然訪ねてきたのは、ごっちんより少し背の低い女の人だった。



「よしこぉ!紹介するね。いとこの安部なつみ。なっちね。」

「あ、どうも。」

「やっだ〜!!何、真希の恋人??」

「ち、違いますよっ!ごっちんの友達です、ハイ。」





やっぱりそう見えるのかなぁ・・・



「なっち、このコは吉澤ひとみ。カッコイイでしょ?」

「超カッコイイべさ〜!!もう、なっち惚れちゃうよぉ!」

「あはは。」

適当に話を流した。
254 名前:夜叉 投稿日:2002年01月22日(火)20時57分36秒
おやぢ、許す(爆)。

冗談はさておき、おやぢの目がやっと覚めましたね。
これで心も少しは軽くなったんじゃないかな。
ごっつぁん、いい奴だ(爆)。
なっちの登場も気になるとこです。

応援有難うございます。
期待してくださるなんて、滅相もない(汗汗。
事態は急変いたしました。
某場所にて似ているもの発見(鬱)。
一時、見送ろうと思ってます。逝ってきます。
255 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)08時22分10秒
>>254

なっちの登場は結構前から考えてたんですけど、
どういう役にしようかと悩んでまして・・・
でもなんとなーく決まってきました。

小説がんばってください。
ちょちょいっと内容を変えちゃえば、なんとかなりまっせ(w
256 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時09分23秒
(ひとみ視点)

ごっちんはとりあえず安部さんをリビングにあげた。



「で、なっちはどうしてごとーのうちの来たの?」


「あのね〜、昨日北海道からこっちに引っ越してきたんだべさ〜!」

「マジでぇ!?」

「ここから結構近いところにあるんだけどね。だからちょっと真希んちを訪ねただけだよ。」


あたしはてっきり、最初からこのへんに住んでる人かと思ってた。

・・・まぁ、これだけ訛った東京人はいないか・・・


「え、じゃぁ圭織は?」

「圭織はまだ・・・・北海道にいるよ。」

「遠距離かぁ。」

「そだね。」



あたしはあえて首を突っ込まない事にした。
257 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時13分35秒
「ごめんね、友達遊びにきてたのに。」

安部さんは苦笑した。

なぜ苦笑なのかはわからないけど、

多分・・・その圭織っていう人は、安部さんにとって大切な人で、

離れてしまった事を寂しく思っているんだろう。


「あ、よしこは今日からしばらくうちに住むんだぁ。ね、よしこ?」

ちょっと微笑んで頷いた。

「え、そうなのぉ?」

「ハイ、色々事情があって家を出たんです。だからアパート見つかるまでですけど。」


あたしがそういうと、安部さんは少し考え出した。

何を考えてるのかはさっぱりわからないけど・・・







しばらくして、安部さんは口を開いた。


「じゃぁさ、なっちと一緒に住まない?」
258 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時17分27秒
「へ?」

「なっちもひとりじゃ寂しいし、ヨッスィ〜かっこいいし!!」


かっこいいは関係なくないか・・?


「え、でも悪いですよ。今日会ったばっかりなのにそんなお世話になったら。」

「大丈夫、ヨッスィ〜は何かいい人っぽいんだよね。」

「え?」


「だって、こんなに真希が心を開いてるんだもん。」



安部さんの言葉に、あたしとごっちんは目を合わせた。


「無愛想な真希が、ここまで明るくなった。そうさせたのはヨッスィではないのかい?」



どうなんだろ・・・・



たしかに初めて会った時のごっちんは、無愛想でそっけなくて、

なんか合わないなぁって思うことあった。



けどごっちんを変えたのはあたしかなぁ?







市井さん・・・・じゃない?
259 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時19分23秒
「はい、決定!じゃぁ、今からなっちの家いくべ?」

「え・・・あ、でも・・」


「さ、荷物もまとまってるしちょうどいいじゃん?」





結局、安部さんの家に行く事になった。
260 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時22分05秒
「じゃ、真希。たまには遊びに来てよね。」

「うん、わかったぁ。よしこ、また明日、学校で。」

「おぅ。じゃぁね。」



バタン

―――――――――――



安部さんちはかなり近いところにあって、

まだ新しい、キレイなマンションだった。


「まだ片付け終わってないからちょっとゴチャゴチャしてるけど、ごめんね。」

「あ、いえ。」



どーなるのかなぁ、これから。
261 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時25分18秒
「ひゃぁ〜、ダンボール多すぎ!!ヨッスィ、気をつけて・・・うわっ!」



ドテンッ



「いててて・・・」


安部さんも気をつけて下さいね・・・



あたしは廊下に置いてあるダンボールを2,3個いっぺんに持ち上げた。


「大丈夫ですか?」

「ありがと〜、ヨッスィ。」

「いいえ。」


ニコッと笑顔を返した。
262 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時29分28秒
だいたい片付け終わった頃には、時計の針は8時を差していた。


「ふぅ、ご飯にしよっか。」

「そうですねぇ。」
263 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)09時30分07秒
なんとなく更新しました。

なっち登場できてよかったです^^
264 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月23日(水)10時29分45秒
おお〜、なっち登場ですか!?
そんでもって、よしこはいきなりなっちの部屋に居候とは。
圭織となっちとごっちんの関係って???
とりあえずなっちとよしこの夕食が済むまで待とう〜っと。
265 名前:夜叉 投稿日:2002年01月23日(水)18時29分15秒
奇妙な同居のスタート(爆)。
この調子やと、いいらさんが(略。
吉の再スタートは吉と出るか、凶と出るか?楽しみです。

有難うございます。
とりあえず、頑張ってみます。
自分、最後まで書かないと多分(略。
別ネタで勝負!?(誤爆)

つか、作者様、この時間って…(汗汗
266 名前:とみこ 投稿日:2002年01月23日(水)19時35分27秒
>M.ANZAIさん

>おお〜、なっち登場ですか!?
>そんでもって、よしこはいきなりなっちの部屋に居候とは。
う〜ん、どうなるやら・・・
けどいやらしーシーンはないんで(というか書けないんで。
>とりあえずなっちとよしこの夕食が済むまで待とう〜っと。
そうっすね^^


>夜叉さん
>奇妙な同居のスタート(爆)。
奇妙っすか!?w
まぁかなり予想外な展開になっちまいました。
>吉の再スタートは吉と出るか、凶と出るか?楽しみです。
そうですね〜。私も続きが思いつかなくて・・・(ヲイ
>つか、作者様、この時間って…(汗汗
都内某所で、全校生徒対抗百人一首大会が27日にあるので、その振り替え休日です。
267 名前:カム 投稿日:2002年01月23日(水)21時05分49秒

なっち、ごまのイトコで登場っすか!?
すげぇ〜!それは考えつかんかった…

とみこさんのアイデアと展開力に脱帽っす。マジでうらやますぃ〜!
ベタな話しか思い付かない自分が恥ずかしいっす、ハイ。 

青板のレスありがとうございました。
とみこさんに誉めて貰えるなんて嬉しすぎて逝っちまうっす(コワレ
268 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)17時42分17秒
夕飯を食べ終えると、すごいダンボールを端に寄せた。

「ヨッスィはベッドに寝ていいよ!なっちはソファーで寝るべさ!」

「え、大丈夫ですよ、あたしソファーで。」

「いいよ、なっちがソファーで寝るってばっ」

「いえ、あたしがソファーで寝ます!」

「ヨッスィはベッド!」

「安部さんがベッドです!」




何回かこんな会話を繰り返すと、お互いに目を合わせて笑った。




「一緒に寝よっか。」
269 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)17時47分10秒
すごいダンボール=すごい数のダンボール

です。
270 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時16分53秒
>カムさん

>なっち、ごまのイトコで登場っすか!?
変な設定ですね、ハイ(w
>とみこさんのアイデアと展開力に脱帽っす。マジでうらやますぃ〜!
嬉しいですっ!ありがとうございますvv
>青板のレスありがとうございました。
>とみこさんに誉めて貰えるなんて嬉しすぎて逝っちまうっす(コワレ
逝かないで下さい(汗
271 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時24分34秒
ベッドに入るまで緊張してたけど、

安部さんのいい匂いが鼻をくすぐって、すっかり緊張もとけた。




カチ・・・カチ・・・



時計の針の音が、部屋の中に深々と鳴り響く深夜―――――







「よっすぃ、もう寝た?」


「寝てないです。」



「色々聞きたいな、よっすぃ〜の事。」







「あたしもです。」
272 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時31分18秒
安部さんはホットミルクをつくってくれた。

お茶じゃ目覚めちゃうもんね。




パジャマのまま、リビングのテーブルに着いた。




「あの真希が、どうしてここまで心を開いたのか聞きたいな。」



ごっちんは・・・あたしに心を開いてくれたのかな?



そんな事はよくわからないけど、



ごっちんのために、何かしてあげたいと思った気持ちが





こう・・・うまく伝わったのかもしれないね。
273 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時35分30秒
あたしは、ごっちんや・・・・市井先輩、梨華ちゃんの事を全て話した。



優等生を演じていた頃の事。


ごっちんに出会った頃の事。



ごっちんを好きになった時の事。



あたしの家庭の事。



親のためにごっちんを突き放してしまったこと。




無責任に梨華ちゃんの気持ちを利用してしまった事。




自分の矛盾さに気がついたこと。




ごっちんが、市井先輩の取られたこと。





今、幸せだって事。





全部、安部さんに話してみた。



あたしがそんな話をしてる時に、安部さんは一度もあたしから目をそらさずに、


真剣に話を聞いてくれた。



そして、最後にはキレイな涙を流してくれた。
274 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時37分36秒
「泣かないで・・・下さい。」



「・・・だって、よっすぃー・・・えらいよ。」




「え・・・?」



「自分の気持ちに素直になれて・・・すっごくえらいと思う。尊敬するよ。」







「安部さんの・・・」





「え?」










「安部さんの話も、聞かせてくれますか?」
275 名前:とみこ 投稿日:2002年01月25日(金)20時44分53秒
(なつみ視点)





なっちにはね、とってもとっても大切な人がいたの。



同じ北海道で生まれて、


小学校からの幼なじみで、同じ中学・高校へ行って、同じ大学に行った。



飯田圭織って言ってね、「圭織」「なっち」って呼び合ってた。



ずーっと、ずーっと小さい頃から、今もずっと。




圭織はちょっと人と違うところがあって、



男っぽかったり、すっごく大胆な発想をしたり。
276 名前:ケン 投稿日:2002年01月25日(金)20時54分17秒
よしこのお父さんの所で、すごく感動しました。楽しみにしてるので、がんばってくださいね。
277 名前:カム 投稿日:2002年01月26日(土)01時11分48秒
よっすぃの話に涙するなちこさんイイ!
なちかおの過去が気になるぅ〜。
更新おまちしております。

278 名前:とみこ 投稿日:2002年01月26日(土)21時37分31秒
>ケンさん
初めましてですね。感動したなんて言ってもらえて嬉しいです!
ありがとうございます。

>カムさん
>よっすぃの話に涙するなちこさんイイ!
ありがとうございやす!なっちは涙もろいキャラでいくかな?
カムさんの方の小説もがんばってくださいね!


PS

現役陸上部のとみこさんは、先日走り幅跳びで東京都3位を獲得しました!
銅メダルですね、ハイ。
金がいいですぅ〜(逝け
279 名前:とみこ 投稿日:2002年01月26日(土)21時46分08秒
文才や運動神経も抜群で、成績もよかった圭織。



去年の11月頃かな。




突然圭織から出た意外な言葉。



絶望的な言葉。




『あたし、大学やめる。』



最初はもちろん驚いた。


だって、2人で必死に勉強して入った大学じゃん。



なのに、やめるなんて・・・・



なっちを置いて・・・・




『どうして?なんでやめる必要があるの?』



『圭織ね、絵を描く仕事をしたいの。だから留学する事にしたの。』




『何・・・・それ・・・。』
280 名前:とみこ 投稿日:2002年01月26日(土)21時51分17秒
『アメリカに有名な画家が居て、その人に弟子入りさせてもらう。』


『そんな・・・っ、無理だよ!言葉とかだって違うし・・・』


『言葉が違っても、圭織は絵の道を進みたい。これは、ずっと前から決めてた事だから。』






やだよ・・・・・





そんなの、イヤ。






なっちを捨てないでよぉ・・・




『来年の5月には日本を出るつもりだから。それまで、いっぱい思い出作ろう?』




なに、思い出って・・・





まるで、もういなくなっちゃうみたいじゃん。




二度とあえないみたいじゃん・・・・
281 名前:とみこ 投稿日:2002年01月26日(土)21時55分38秒
『イヤだよ!圭織ズルいよ!ひとりで自分の道進んじゃって!!』


『なっち・・・・』



『ずっとずっと、圭織となっちはいつも一緒じゃないの・・?』





あたし達は、いつも一緒だと思ってたのに・・・・・・




抜け駆けはダメだよぉ・・・・





圭織がいなくなったら、なっちはどうすればいいの?






何もなくなっちゃうでしょ・・・?






『・・・・なっちならわかってくれると思ったのに、もういいや。』








最後に圭織が言った言葉は、あたしにとって・・・・



『絶望』そのものだった。
282 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)09時45分31秒
話が終わると、ただ聞こえるのは時計の針の音だけ。




静まり返ったリビング。







「圭織がアメリカに行くのは来月ごろなんだけどね、別れるのが辛いから・・・・」






「だから・・・・引っ越してきたんですか?」


「・・・・うん。」




「そんなのズルいですよ!!」



よっすぃ〜は突然立ち上がって、あたしを真剣な目つきで見た。




「飯田さんが大切なら、どうして最後まで見送ろうとしなかったんですか!?」


「・・・・っ大切だから辛いの!」





「じゃぁ飯田さんの気持ち、一度でも考えましたか?」






圭織の・・・・気持ち?
283 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)09時48分17秒
「圭織は・・・・自分の行く道だけの事を考えてた!だからズルいと思ったの!」



「じゃぁどうして安部さんに留学の事を話したんですか?」





「・・・・え?」







「安部さんの事を大切に思ってなかったら、普通話さないと思います。」




「・・・・よっすぃ・・・・・」







「ズルいのは・・・・・安部さんじゃないんですか?」
284 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)09時53分09秒
「・・・ごめんなさい、強く言いすぎちゃって・・・・」





「ううん、いいの。あたしが間違ってたのかもしれない。」





よっすぃ〜の方が、ずっとずっと大人だったのかもしれないね。





ダメだ・・・・あたし。





「・・・・ありがと、よっすぃ。」


「いいえ。」




よっすぃの白い腕が、あたしの背中をそっと包んだ。



「・・・・よっすぃの方が年下なのに、あたし甘えんぼだね。」



「そうっすね。」

285 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)10時04分01秒
(ひとみ視点)



安部さんは一時北海道に帰って、飯田さんと話をしてくる事になった。






―――――――羽田空港


「よっすぃ、留守番お願いね。」


「はい。」



「じゃぁ・・・・行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」




安部さんの後姿を見送ると、あたしは来た道を戻り始めた。






その時






「よっすぃ!!」



振り返った先には、さっきよりもちっぽけになった安部さんが居た。





「なっちが帰ってくるまで・・・・・・他の女の子・・・・好きにならないでね!」





飛んできた声は、途切れ途切れでよく聞こえなかったけど・・・・





あたしはただ、安部さんの姿が見えなくなるまで手を振りつづけていた。
286 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月27日(日)10時48分24秒
なっちとカオリのことに触れてちょっぴ大人なよっすぃー。
相手の、その相手の事まで考えてあげられるとは素敵なことですよね。
287 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)21時44分14秒
>M.ANZAI
>相手の、その相手の事まで考えてあげられるとは素敵なことですよね。
うんうん、よすこはいいやつっすよ(?


・・・・・続く。
288 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)21時55分23秒
安部さんの家に戻ると、リビングの真ん中にひとりポツンと立った。



「この部屋・・・・・・・こんなに広かったっけ・・・・」







何だか安部さんが二度と帰ってこないような気がして、怖かった。






ピンポーン





「・・・はーい。」



ガチャ


「おっす、よしこ!」


「ごっちん・・・・・」
289 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)21時59分05秒
「あれー、なっちは?」


「・・・北海道に帰ったよ。飯田さんに会いに行くって言ってた。」


「うっそー!!じゃぁ何、なっち帰ってこないの??」


「いや、帰ってくると思うよ・・・・・・・多分。」



ごっちんに説明するのもめんどくさいくらい。



なんか・・・・・・・・・・・・気抜けちゃったって感じだよ。




安部さん・・・・・・・昨日は一緒に笑ってたじゃん。



あたしの話なんかに・・・・・・涙流してくれたじゃん。







もうその笑顔も・・・涙も、飯田さんのものになっちゃうの?
290 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)22時02分14秒
「よしこ・・・・・らしくなくない?元気ないよぉ・・・」


「そうかな・・・。」


「・・・もしかして、なっちの事好きになっちゃった?」


「え?」




安部さんが・・・・・・・・好き?




そんなわけないよ。



あたし、飯田さんと安部さんが幸せになれるように・・・・・





思ってるはずなのに・・・・・・・






「よしこ・・・・?」

















「あたしって・・・ズルいヤツだね。」



「え?」



「ごっちんにずっと好きでいてって言われたのに・・・・・・・」











あたしの心は半分に割れています。






「安部さんも・・・・・好き。」
291 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)22時05分04秒



「よしこ・・・・・」



「ごめん、ウソ。」




んなの・・・・・わかんねぇよ・・・・






力ずくでごっちんをギュッと抱きしめた。




「・・・ちょっ・・・・・よしこ?」


「市井さんと別れてよ・・・・」



「何言ってんの?よしこ・・・どうしたの?」




「もう辛いってば・・・・・・・・」











こんな不安定な自分、見られたくないよ・・・・・・
292 名前:とみこ 投稿日:2002年01月27日(日)22時07分34秒
ドンッ








ドスンッ



突き飛ばされた体はあまりにも弱くて、まるで自分じゃないみたいなヘナヘナで



「いってぇ・・・・・」






「バカ・・・・・」




















バタンッ
293 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月27日(日)23時00分28秒
え〜!?マジ気になるんすけど!
頑張って下さいよ!?

ごっち〜ん…(ハラハラハラ)
294 名前:とみこ 投稿日:2002年01月28日(月)17時47分38秒
>名無しさん
>え〜!?マジ気になるんすけど!
>頑張って下さいよ!?
がんばりますよぉ!!マジで!!
>ごっち〜ん…(ハラハラハラ)
ハラハラ中申し訳ないんですけど、よっすぃー編はいったん終了です。
市井編いきまーす!!

295 名前:とみこ 投稿日:2002年01月28日(月)18時02分00秒

市井編





「いちーちゃん、今日部活あるの?」


このコというやつは・・・どこからともなく、ひょっこり出てくる。

そして笑顔満開で嬉しそうにあたしに話し掛けてくる。



これってのろけかもしんないけど、後藤って・・・

あたしといるとすっごい幸せそう。



あたし、愛されてるんだな。嬉しいな。っていっつも思うよ。


「んー、あるよ。」


「そっかぁ。じゃぁ一緒に帰れないね。また今度帰ろうね!」


「そうだね。じゃ、車に気を付けて帰りなよ。」


「なにそれー!ごとーはそんなに子供じゃないってば。」



頬をプゥって膨らまして眉毛を八の字にして。



そんなひとつひとつの仕種がすっげぇかわいいの。



あたし、後藤の事愛してるんだなぁって、いっつも思うよ。




なんちって。とにかくあたし、すっげぇのろけてんの。


だって、後藤が大好きなんだもん。




可愛くてしょうがないんだよ。
296 名前:とみこ 投稿日:2002年01月28日(月)19時01分06秒


ピピーッッ


「みんな集合して!」



あたしはバスケ部の部長でもある。

くじびきでなっちゃったんだけど、なんとなく誇りを持っている。



「えーと、今度の予選大会のスタメン決めをする。」


今年は予選から、メチャメチャ強いチームとあたる。



スタメンにあたるのは、ほとんど3年生ばっかりだ。


けど今年は特別。



「あとは・・・・・・1年から吉澤ひとみ。」

「はい。」



吉澤は運動神経抜群、頭もいいし顔もいいし、ルックスもいい。


まぁ、しいていえば完璧だ。



一度・・・・後藤が惚れた相手でもあるらしい・・・


しかも、吉澤は今後藤が好きだとか。



まぁ、後藤は絶対誰にも渡さねぇけど。
297 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月28日(月)19時47分06秒
よっすぃー、ちょっとどころでなく不安定になっちゃいましたね。
どうなっちゃうんでしょ? もしかして市井ちゃんと恋敵に!?
298 名前:とみこ 投稿日:2002年01月28日(月)22時04分40秒
>M.ANZAIさん
>よっすぃー、ちょっとどころでなく不安定になっちゃいましたね。
そうですね〜。このくらい不安定にしとくとスリルがあるかぁと思ってます。
>もしかして市井ちゃんと恋敵に!?
そこんとこノーコメで(^^;
299 名前:293 投稿日:2002年01月28日(月)22時12分04秒
でも、ごっちんは市井ちゃんと幸せになって欲しいですよー!

>ハラハラ中申し訳ないんですけど、よっすぃー編はいったん終了です。
じゃあ待ってます。どうなるんでしょうねー!
>市井編いきまーす!!
市井ちゃんのごっちんへの想いが伝わってきて、良いカンジです!
300 名前:夜叉 投稿日:2002年01月28日(月)23時02分18秒
何かがありそうな予感…(遠い目)。
ごっつぁんといちーちゃんと吉、なっちと圭織と吉、どうなるんでしょうか、気になります。
301 名前:とみこ 投稿日:2002年01月29日(火)18時14分45秒
>293さん
いちごま願う人とよしごま願う人が居て、どーしよーって感じなんすよ!
でも>>1を見ると、なーんかいちごまっぽくなっちまう気が・・・

>夜叉さん
>何かがありそうな予感…(遠い目)。
そうっすね〜。どうなるのかしら(w
>ごっつぁんといちーちゃんと吉、なっちと圭織と吉、どうなるんでしょうか、気になります。
気になってください!(w
楽しめる小説を目指して頑張ります^^



PS そろそろラストスパートかけようかな?
302 名前:とみこ 投稿日:2002年01月29日(火)18時17分11秒
まぁ今は後藤と吉澤は、フツーの友達関係らしいけどさ。


そりゃぁ後藤だってタメの友達いないとつまんないもんな。


吉澤に取られたくないっつー気持ちもあるけど、


後藤を束縛したくないっていう気持ちもあるんだよね。


だって、後藤にはいつでも自由で居てほしいからさ。
303 名前:とみこ 投稿日:2002年01月29日(火)21時51分00秒
部活が終わって、もう校舎内には人影はポツリポツリとしかいない。




「市井先輩。」


その時、吉澤が部室に入ってきた。



「おー、吉澤。」

「体育館、借りていいっすか?」


「え、いいけど。まだ練習すんの?」


「はい。だからカギ、貸してくれますか?」


「ん、わかった。」



ロッカーに入っていた体育館のカギを吉澤に渡した。



「じゃ、さよーなら。」








・・・なんか、吉澤機嫌悪いのかな?
304 名前:293 投稿日:2002年01月29日(火)22時45分23秒
機嫌悪いのか、よっすぃ…

>いちごま願う人とよしごま願う人が居て、どーしよーって感じなんすよ!
自分的にはいちごまが良いんですけれども、結果的にごっちんが幸せなら…



305 名前:読者 投稿日:2002年01月29日(火)23時02分46秒
私もいちごまがいいー!!
306 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月29日(火)23時15分27秒
いちごまがいいです〜
307 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月29日(火)23時51分07秒
同じくいちごまっ!!
308 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月29日(火)23時57分44秒
よしごま希望
309 名前:カム 投稿日:2002年01月30日(水)01時51分34秒
よしごま切望!
(でも、とみこさんが書きたい様に書いてもらえれば全然良いっす)
310 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月30日(水)02時53分12秒
>309
禿しく同意!!
好きなように書いていただければと思います。
でもよしごま希望(w
311 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月30日(水)16時55分30秒
いちごまお願いします!!!(w
312 名前:293 投稿日:2002年01月30日(水)18時13分32秒
ホント、半々ってカンジですね〜。
どっちにしても傷付かなければいいんですけど。

ごっちん、幸せになってなー。
313 名前:とみこ 投稿日:2002年01月30日(水)20時50分35秒
>293さん
>機嫌悪いのか、よっすぃ…
そうみたいっすね(?)まぁあのごっちんとの事があったから・・・^^;

>カムさん・>>310名無し読者さん
ありがとうございますっ!よしごま・いちごま両方書きます!
最後にはどーなるやら・・・


>>305>>306>>307>>308>>311のみなさん。

完全にいちごま派・よしごま派に別れちゃってますね(w
けどこんなに読んでくれてる人がいて、すっごい嬉しいです!
みなさんが納得できるような楽しい小説をモットーにがんがります!
314 名前:夜叉 投稿日:2002年01月30日(水)21時52分04秒
う〜ん、作者様が書きやすい方でいいですよ。
って、かなり登場人物が増えてるから、いろんな線が考えられますよね。
楽しみです。
315 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)09時14分44秒
黄板復活ですか???っつーかM-Seek復活??
あー、じゃぁ更新します!!
316 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月12日(火)09時15分52秒
もう辺りは真っ暗で、もう人影ひとつない・・・・・・・・いや、あった。




「後藤。」

あたしがそう呼ぶと、すっごい笑顔で走ってきて、痛いくらい抱きしめられた。

いつもの笑顔。あたしを一瞬で虜にする。

適わないよね〜、後藤には。



「いちーちゃん、お疲れさまぁ〜。」

「おぅ。まだ残ってたんだ。」


「うん、待ってたんだよ!いちーちゃんのことっ。」

「ありがと。寒かったろ?どっか寄ってこっか。」

「うんっ!!」



コートも着ないで、ずっと正門で座り込んでいた後藤の手は、


ひんやり冷たかった。


だから後藤の手をギュッと握って、あたしのコートのポケットに入れてあげた。



寒いのに顔真っ赤にして。






あ、また笑った。
317 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)09時16分32秒
>>316

すみません、名無しで投稿しちまいました。(あほ
今のはとみこです^^
318 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時30分21秒
こんな寒い中、正門でずっとあたしを待っててくれた。



やさしーね、後藤は。







だからマックでもおごってやろうかなーって思ったのが



間違いでした。







「おいしかったぁ〜!」

「ったく、後藤はよく食うんだから。」

「だって、ごとー太んないもん。」

「ばぁか。そのうち太るよ。」

「ひっどー!!いちーちゃんのバカァ!」

「はいはい。あーあ、おごるんじゃなかったー。スッカラカンだよ。」



でもいいんだ、後藤が笑ってくれたから。


その笑顔が見れるんだったら、スッカラカンぐらいどーってことないよ。
319 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時33分58秒
「いちーちゃん。・・・また明日ね。」

「送ろうか?」

「ヘーキ。ごとー、もう高校生だよぉ?」

「ばーか。そうじゃないよ。ナンパされたらどーすんだよ。」


あたしの大事な恋人なんだから。


「心配してくれてるの?」

「・・・・当たり前じゃん。」






そんな目で見つめられたら・・・・・・・・ヤバいって。







「いちーちゃん・・・・」








夜の月影が、あなたを照らすから。





チュッ
320 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時38分57秒
「・・・・なんか、久しぶりだね。キス。」


にへっと笑って言う。


こっちまで緩む。


「キスは1日1回ね。」



「えー!!やだよぉ。もっとして?」




目をつむって背伸びをする彼女を、少し見つめる。


それでも届かない彼女の身長に合わせて、少しかがんで・・・・・




チュッ




「これは明日の分だからな。」

「えー!?ズルいよぉ〜!!」




2人で笑いあう。




幸せー。





こんな毎日が、これからも続きますように。






「ごとー、愛してるよ。」
321 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時41分13秒

※真希視点



ふにゃー・・・



まだ体が熱いよぉ。


いちーちゃんと久しぶりのキス。



しかも最後に・・・・



【ごとー、愛してるよ。】





ふにゃぁ〜・・・はあとはあと



いちーちゃんといると、ごとー、ネコ化しちゃうよ・・・へへっ。




あー、幸せ・・・。
322 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時43分19秒
本当は家まで送ってもらいたかったよ。

だって、いちーちゃんと少しでも長く一緒に居たいから。



でも、いちーちゃんも疲れちゃうでしょ?四六時中ごとーと居たら。



だって、いくらごとーは大人だもんって言っても、


いちーちゃんの方がずっとずっと大人で、お姉さんなの。



だからごとーは、急いで大人にならなくたっていいでしょ?



だって、大人になったらいちーちゃんに甘えられないもんねっ
323 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時48分37秒
暗い夜道をてくてくと歩く。






公園を通り過ぎたとき、突然2、3人の男子高校生が道をふさいだ。



・・・なんだコイツら。



気にせずによけて進もうとした。



「おっと。」

「通さないよー。」



・・・・・何なの?
324 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時51分19秒
・・・1、2、3人かぁ。


しかも怖そうだし。


逃げるしかなさそー。




「どいてよ。」


その中のひとりをギッと睨みつけた。


「こえー。おいおい、カワイイ顔が台無しだよ。」

「ねぇ、お前後藤真希でしょ?」


なんで名前・・・


「そうだけど。何?」
325 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時54分30秒
「もしかして、K中学に居た?」

「・・・だから何?」


「俺らさー、K中学出身の後藤真希つぶせって言われてんだよね。」

「そうそう。こないだお前、K中の時の先輩に殴られたっしょ?」



・・・・・あ


あの時の記憶がよみがえる。


暗い路地で、中学の時の仕返しをされた。


ボコボコにされて、気ぃ失ったっけ。



でもなんでこいつらが?
326 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)10時56分30秒
「君の先輩さー、俺らの彼女のわけ。」

「そういうこと。」



ふーん・・・


なんとなくつかめてきた。


「だから頼まれたって事?」

「そういうことー!ものわかりいいじゃん。」



そういうと、そいつらはニコニコして近づいてきた。


「ちょっと場所変えようか。」
327 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)11時00分26秒
公園に連れて行かれて、ベンチに座られてた。



「フツーにボコっちゃつまんないっしょ?」

「すぐ済むからさー。」

「なんならボコるのチャラにしてもいいんだけどな。」



2人の男子があたしの両腕を掴んだ。


「ちょっ、やめてよ!!やめてってば!!!」

「うるせぇ、デカイ声だすな!」



制服のボタンが無理矢理外されていく。


とても力じゃ対抗できなかった。




「やめてっ・・・・ちょ・・・」


「すぐ終わるからさー、静かにしててよ。」










助けて・・・・・・








いちーちゃん・・・
328 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)11時04分11秒


ドカッッ!!


「うっ・・!!」




・・・・・え?



「てめぇ、誰だよ!!」

「ぶっ殺すぞテメェ!!」



ボコッ


ドスン・・・



その鈍い音と同時に、さっきの男子たちは足元で倒れていた。







ふっと見上げると、少し息を切らした後姿。






「・・・・大丈夫?」
329 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)11時07分02秒
「・・・・・だれ?」






フサッと頭から被さるコート。



「それ、着とけ。そんなんじゃ家帰れないっしょ。」


「あ・・・・ありがとう。」










「市井先輩に送ってもらえばよかったのに。」
330 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)11時09分41秒
「え・・・・・?」



やっと顔が見えた。



その瞬間、不安から開放された安心感で、涙がブワッと出てきた。






「よしこぉ・・・・・。」



思わず抱きしめてしまったその体は、温かい匂い。



「・・・ひっく、・・こ、怖かったよぉ・・・・」


「・・・・・・もう、大丈夫だから。」



そういって、体はそっと離された。



「もう、あたしには頼らないで。」
331 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時23分27秒
「よし・・・・こ?」



何もなかったように去ろうとするよしこの姿を、


ただ見つめる事しか出来なかった。











あたしがピンチの時、助けてもらいたい時、



心の中で叫ぶのは、いちーちゃんの名前なのに・・・・








助けに来るのは、どうしていつもよしこなの?



どうして優しくしてくれるの?









どうしてキライにならないの?
332 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時25分43秒
―次の日―


「後藤、はよ。」

「あ、いちーちゃん。おはよー。」

「元気ないじゃん、どうした?」



元気あるわけないじゃん・・・・



昨日の事で、頭ん中複雑なんだよ。




「後藤が話したくないことは無理に聞かないよ。」


「へ?」


「でも、なんかあったら、あたしに言って。」




いちーちゃん・・・・・・



やさしー・・・・
333 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時31分12秒
「ねー、後藤。」

「ん?」


「吉澤と・・・何かあった?」

「へ?」

「なんか昨日の部活ん時から機嫌悪くってさー。」



・・・・あ。



「あ、あの時のかも・・・」

「・・・あの時って?」



「あたし・・・・よしこを突き飛ばしたから。」

「はぁ?」



「よしこの言葉の意味・・・・・そういう意味だったんだ。」








【あたしって・・・ズルいヤツだね。】

【ごっちんにずっと好きでいてって言われたのに・・・・安部さんも好き】

【市井さんと別れてよ・・・・】

【もう辛いってば・・・・・】









なのにあたし・・・・・
334 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時33分26秒
「ごめん、いちーちゃん。」


あたしは走り出した。


「ちょっ、後藤!?」





よしこにゴメンネを言うために。



何がゴメンネなのかわかんないよ。



けど、あたし・・・・・




よしこを傷つけた。



曖昧な気持ちで済ませちゃだめだよ・・・・
335 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時36分03秒
下駄箱を見ると、よしこの靴があった。


「・・・・教室か。」




―――――――――


ガラガラッ



「よしこ!!」



いきなりの大声に、クラスメイトの視線を浴びまくった。



けど、そんなの関係ない。



「・・・・どうしたの。」


机で本を読んでいたよしこは、周りの雰囲気も気にせず冷静で、



ひんやりした感じ。



いつものキラキラした瞳がウソのようだった。



「ちょっと・・・・いいかな?」
336 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)16時41分42秒
中庭。


いつもよりずっと静まっていて、沈黙を引き立てる。



「・・・・何?」


「あ、あのさ・・・・こないだは・・・・・・ごめんね。」



よしこは下を向いたまま、右足で地面の砂をいじっている。



「あたしがよしこに【ずっと好きでいて】なんて、無責任な事言ったから・・・
よしこ、あたしに束縛されちゃって・・・悩んで・・・・だから、ごめん。」



自分でも何を言ってるのかわからなかった。


でも、気持ちは伝えたハズ・・・



「ごっちんはさ。」

「え?」

「無責任って事はさ、ずっと好きでいてっていうのは適当に言ったって事?」





「え?」




「別に悩んだ事を謝ってもらわなくてもいいんだ。
だけどあたしは、あの言葉を信じてたのに。だから好きでいたのに。」











「ウソだったなら・・・・・・悩んだ意味ないじゃん。」
337 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)17時59分52秒
言い返す言葉が、まったくなかった。




【ずっと好きでいてね。】



それはどういう意味だったの?


自分で言ったのに、わかんないよ。



よしこに未練があったから?


それとも、その場しのぎに考えた言葉?





ごとー・・・・どうすればいいの?



涙で目の前にぼかしが被る。



でもわかるのは、あたしの涙を見て申し訳なさそうにしているよしこ。




よしこは申し訳なくないもん。



申し訳ないのは・・・・ごとーです。




その時、足音と同時に聞こえた声は・・・



今、ほしかった声。



「後藤!」
338 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)18時03分05秒

いちーちゃん・・・・・



「後藤、何で泣いて・・・・」


その時いちーちゃんの目に入ったのは、目の前にいたよしこ。



「吉澤、お前か?」


ちがっ・・・・ちがうよ、いちーちゃん。


声が出ない・・・・・


よしこは・・・何も悪くないよ・・・・



「どういう事?説明して。」


「ごめん、ごっちん。」


・・・・え?

どうしてよしこが謝るの?

悪くないって・・・・・・



「お前・・・・後藤を泣かすんじゃねぇよ!!」


「やめ・・・て、いちーちゃん・・・」



あたしの声は届かなかった。
339 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)18時06分12秒

「もう吉澤と後藤は何の関係もないんだよ!!」

「・・・・・・。」


よしこはただ黙って下を向く。

そして、また申し訳なさそうにする。

また誤解招いちゃうじゃん・・・・



「もう後藤には近づくな!泣かせるなんて・・・・許さない。」



ちがうよ・・・・・いちーちゃん・・・・



あたしはただ泣く事しかできなくて、余計に誤解を招く。



「後藤、行こう。」


あたしはいちーちゃんに引っ張られて、その場から少しずつ遠ざかっていった。









「待ってくださいよ、市井先輩。」
340 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)18時09分55秒

「・・・・何だよ。」



「人の事言う前に、自分の事考えたらどうなんですか。」

「は?」




「ごっちんが泣いてから助けに来てどうするんですか。」



よしこ・・・・何言って・・・・



「ごっちんのこと、ちゃんと守れないくせに。恋人気取りしないでくださいよ。」


「・・・・・吉澤、何が言いたいんだよ。」


「あたしは絶対ごっちんを泣かせない。市井先輩とは違うんだから。」


「いいかげんにしろよ。意味わかんないけど、あたしと後藤は付き合ってんだよ。
少なくとも、後藤は吉澤じゃなくて、あたしを選んだんだから。そんな事いう権利はない!」
341 名前:とみこ 投稿日:2002年02月12日(火)18時11分41秒

「ごっちんが泣いたのは、市井先輩の責任でもあるんじゃないんですか。」








よしこのきつい視線をたどると、いちーちゃんが歯を食いしばっていた。






「話にならない。」
342 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月12日(火)20時28分11秒
よしこせつないな〜後藤の心情が気になります。
343 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時03分55秒
>名無しさん
今回は切ないよしこにしてみました^^;
じゃぁ後藤バージョンで行きますか!
344 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時08分22秒
よしこの姿が見えなくなった頃、あたしはやっと泣き止んだ。



「いちーちゃん・・・」


「後藤。お前、吉澤の事好きなの?」

「え・・・?」

「好きじゃないんなら、もう近づくなよ。」





なにそれ・・・・



いちーちゃん、ムキになりすぎだよ。



ひどいよ・・・・






「あたしが泣いてたのは、よしこのせいじゃないもん。」


「え?」


「あたしがよしこを追いつめたから・・・だからよしこが傷ついた!
その事を謝ってただけ・・・・でもなんか泣いちゃって・・・・・」




「なのに市井ちゃんひどいよ!!」
345 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時15分59秒
あたしはダッシュで逃げた。


だって、今日のいちーちゃんは、あたしの知ってるいちーちゃんじゃないっ!



大好きないちーちゃんと違うもん・・・・



「後藤!!」



逃げ足だけは速いあたしでも、運動神経抜群のいちーちゃんには適わない。


すぐに腕を掴まれてしまった。

「おい後藤、ちょっ待てって!」

「やだっ、離してってば!」

「後藤!」


「離してよ!!」



・・・・・あ・・・。



振り払われた手を見て、いちーちゃんもビックリしてる。



・・・・ばか、ごとーのばかぁ。



何やってんだろ・・・・・



もう・・・わかんないよ・・・・
346 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時19分18秒
「ごめん。」

「ううん・・・・。ごとーこそ、ごめんなさい。」



あぁ・・・・なんかもう疲れたよ。


どっちが好きとか決めらんないし・・・。



「後藤、これだけはわかっておいてほしい。」

「え?」





「あたしは、後藤が好きだから。愛してるから。」



いちーちゃん・・・・・





「ありがとー・・・・。」




あたし、ちゃんと話そう。



よしこと、ちゃんと話すよ。
347 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時21分43秒
―ひとみ視点―



「ひとみー、2年生の人が呼んでるよー?」

「2年??」



ガラッ




「梨華・・・・ちゃん。」

「ごめんね、突然。」

「いや・・・別に。どうしたの?」


「あ・・・ちょっと話があるんだけど。場所変えない?」

「・・・・・うん、オッケ。」
348 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時25分45秒
今日は色々あるなー・・・

ごっちんには泣かれるし、市井先輩には説教されるし。


もういいや、ごっちんの事は。



だって、【ずっと好きでいて】なんて言葉・・・


ウソだったんでしょ?



期待したあたしがバカだったよ。


―――――――――――


「で、話って?」

「あのね・・・・これ。」



そういって手渡されたのは、可愛くラッピングされた立方体の箱。



「・・・・?」


あたしは首をかしげて梨華ちゃんに尋ねた。





「あ、バレンタインの・・・・チョコ。つくったんだ。」

「え・・・・バレンタイって明日じゃないの?」

「そうだよっ、だけど・・・明日はひとみちゃん、いっぱいもらうと思ったから。」



あー・・・なるほど。

毎年バレンタインはすげぇもん・・・。



でもなんで梨華ちゃんが・・・?
349 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時26分42秒
バレンタイじゃなくてバレンタインです。間違いました。
350 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時34分36秒
「・・・・・ありがとう。でも・・・」

「あ、捨ててもいいからっ!ひとみちゃんとはもうそういう関係じゃないし・・・」



じゃぁなんで・・・・・・



「あ・・・っていうか、甘いもん苦手なんだけどさ。」

「え!?」



あ、ヤバ。言わない方がよかったかも。


梨華ちゃんショック隠しきれてないよ・・・





「ごめんっ知らなくて・・・・・・あ、捨てちゃっていいよ。それ。」


「でも・・・・」


「いいって!でも、家に帰ってから捨ててね・・・エヘヘ。」



梨華ちゃん・・・・・



ガサガサッ



「ひとみちゃん?」


キレイなラッピングをはがして、出てきたのはハート型のチョコレート。


はじっこを少しかじる。


「ひとみちゃん・・・・・」



「・・・・すっげぇ甘い・・・・」


「ごめん・・・・」









「うん、うまい。」




これが、精一杯の恩返し。
351 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時37分11秒
「帰ってからまた食べるよ。ありがとう。」

「・・・・・・・。」


「梨華ちゃん?」


「・・・・ひっく、ひっく・・・・・ひとみちゃぁん・・・・」


突然泣き出した梨華ちゃんに、あたしはビックリしまくった。


少ししかかじんなかったからかな・・・


え、あたし何した!?



「ごめ、梨華ちゃん・・・・あたしなんかした?」


「ううん、違うの・・・嬉しくて・・・・・」


「え?」



「あたし・・・・・・まだひとみちゃんの事・・・・」



















「スキ・・・・」
352 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時39分53秒


「・・・・・梨華ちゃん。」





あたしはあの別れを思い出した。



理由もなく梨華ちゃんを振った事。



あたしは新しい出会いがあったけど、



梨華ちゃんは・・・・・・ずっと思いつづけてくれたんだ・・・・






ごめんね・・・・・・・・







「もう一度・・・・やり直したいの。」



その言葉が出た時、あたしの心は決意した。
353 名前:とみこ 投稿日:2002年02月13日(水)18時41分40秒


「・・・・・うん、いいよ。」


「・・・え?」


「あたしも梨華ちゃんとやり直したい。また前みたいに仲良くしたかった。」


「ひとみちゃん・・・・・・・」






ギュッと抱きしめる体は、懐かしい感触。



そのあと触れた唇も、忘れかけてた涙をまた流し始める。









これが、あたしにとって幸せでありますように。
354 名前:夜叉 投稿日:2002年02月13日(水)22時21分09秒
それぞれにはそれぞれのスタンスがあるから、想いは空回りするんですね。
これからは一緒に歩いていけそうな気がしてなりません。って勝手に祈ってみたり(苦笑)。
作者様のことだから、もしかすると、???な展開になるかも。
楽しみにしてますね。
355 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月14日(木)00時00分26秒
またまた複雑になって行きそうだ…
よしこの気持ちが分からん。。。
356 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月14日(木)00時28分57秒
言葉よりも感情が先に出てしまってかえって伝えたい事が伝わらない…。
ごっちんも切ないですけど、吉もツライですね。
果たして梨華チャンは吉を掴んでいてくれるのでしょうか?

しばらく読めない間にだいぶ更新されていたのですね。
続きが読めることに感謝です。
357 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時18分54秒
>夜叉さん
お久しぶりです^^
>それぞれにはそれぞれのスタンスがあるから、想いは空回りするんですね。
そうですねー。複雑すぎて自分でもわかんなくって(ヲイ
でもがんばりやす!!

>名無しさん
>またまた複雑になって行きそうだ…
またまたって事は、いつも見てくださってるのですね^^嬉しいですvv

>M.ANZAIさん
>言葉よりも感情が先に出てしまってかえって伝えたい事が伝わらない…。
>ごっちんも切ないですけど、吉もツライですね。
吉の気持ちもやっと梨華ちゃんという安らぎの場で落ち着く事ができて、
けどまだ市井ちゃんとゴッツァンの関係は・・・?
そして安部さんは!?(忘れたわけじゃないです^^;
更新します。
358 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時23分11秒

「ただいまー・・・」

って言っても誰もいないんだけど。



安部さんはまだ北海道に・・・・・・・・・ん?



玄関にはあたしのほかに2足の靴。





パタパタパタ・・・




ガチャ




「ヨッスィ、お帰り!!」


「安部さん・・・」


そこにはついこないだまでこの家に一緒に居た・・・っていっても1日だけだけど。


安部さんがすっごい笑顔で迎えてくれた。




「帰ってたんですか?」

「うん、さっきね。あ、紹介したい人が居るんだけど・・・・いいかな?」




「・・・・はい。」




・・・・飯田さんかぁ。
359 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時49分45秒
リビングに入ると、ひとりの女の人がソファーに座っていた。


茶髪の少しパーマのかかった長い髪。

パッチリした瞳に合っている、整った顔立ち。


ちょっと、ドキッとした。



「初めまして、飯田圭織です。」

「あ、吉澤ひとみです。」



この人が安部さんの・・・・・



もしかして、飯田さんも東京に住む事になったとか・・・

でも留学じゃないっけ?









「よっすぃー、あたし・・・圭織と一緒にアメリカに行くことにしたの。」






「・・・・・・え?」


「ちゃんと圭織と話した結果なの。」


「・・・でもっ!」

「しばらくしたら、また東京に戻るよ。それまでここはヨッスィーに貸すよ。」






「・・・・そうじゃなくて・・」








あの時、空港を去るときに安部さんが言った言葉は・・・・?




【他の女の子・・・・好きにならないでね!】



・・・って、言ったじゃん。
360 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時53分20秒

「・・・・飯田さん、安部さんが好きなんですか?」





「・・・・うん。」



「・・・・じゃぁ、ちゃんと安部さん守ってあげてくださいね。」





「ヨッスィ・・・?」




「安部さんは、ダンボールにつまづいちゃったりしてちょっとドジなところもあるし、
涙もろいし、訛ってるし・・・・そんな人だけど・・・・いい人なんです。」



あたしの話を真剣に聞いてくれて、





泣いてくれて・・・・・



笑ってくれた。



あたしにとって、いいお姉さんだったよ。


361 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時55分22秒


「だから・・・離れたくないけど・・・・」






「飯田さんになら任せられる気がするから。」



「よっすぃー・・・・・・・」



涙もろい安部さんは、また涙を流しました。



その涙の意味が、『永遠』を誓うのであれば、





別れなんてどーてことない。











感情を大切に思う気持ちを知ったから、





今はもう、大丈夫。
362 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)16時58分11秒
―――――――――――――


次の日――――



空港まで2人を見送りに行った。



「じゃぁ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい。がんばってください!」




「うん・・・・・よっすぃーも、頑張ってね。」





「はい。」




人はきっと、涙の数だけ強くなれる。



そう信じる事が、1番大切なのだ。







あたしももう梨華ちゃんを離さないように。



しっかり守れる人になりたい。
363 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)17時05分33秒

――2月14日。


恐怖の日がやってきた。





下駄箱のふたは見事に外されていて、

溢れるチョコレートやクッキーやらのプレゼントが床にも山積みになっていた。



「はぁ・・・・・・・・」


あたしは持参していた紙袋にひとつずつ詰め始めた。



「ひとみちゃん!おはよー。」

「梨華ちゃーん・・・助けてよぉー」

「毎年恒例のモノね・・・モテモテだねーひとみちゃん。」


「ちょっと困るくらいね・・・ははっ。」



―――――――――――――


教室に行くと、机の上・机の中・イスの下・イスの上・ロッカーにも山積み・・・



「ユウウツだぁー・・・・・」




「よしこ、おはよ。」



「・・・ごっちん。」





「これ、あげるよ。」


「へ?」


「チョコ、あげるってば。」

「・・・・・義理?」


「義理と本命の間ぐらいかな?」



なんだそれ・・・。











でも・・・・・













「・・・・ありがとう。」
364 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)17時14分19秒
その後、直接渡されたチョコレートの山と合わせて・・・・数え切れん。


どうやってもって帰ろう・・・・




そんな事を思いながらも部活へ向かった。




「あ、吉澤。」


「・・・市井先輩。」



・・・あ、そういえばこないだ説教されたんだっけ。


気まずいなー・・・・・



「こないだは、ごめん。」



・・・・は!?


意外な市井先輩の言葉に、ただ驚くしかなかった。



「後藤から、全部聞いたから。」


「・・・・はぁ・・・」



「だから・・・・その、後藤とこれからも仲良くしてやってくんないかな・・?」




「・・・へ?」


「っだから、後藤と・・・・仲良くしてやって。」


「・・・・どういう事っすか?」


「・・・だから、そういう事だよ!!」


「どういう事ですかぁ!?」



どういう風の吹き回しでしょーか・・・・・・


365 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)17時17分17秒
「いちーちゃーん!!よしこー!!」



ごっちんが超笑顔で走って来た。


「じゃ、あたし行くから。」


「え、ちょっ市井先輩!?」



そのまま体育館へ戻ってしまった。



「よしこ、市井ちゃんと何はなしてたの?」


「え・・・、よくわかんなかったよ。」






「・・・・ふふふ。」



「え、なに!?」



なんか変だよー今日。市井先輩も、ごっちんも!!


なんなんだよー!!




「あのね、よしこにもチョコあげろって言ったの、市井ちゃんなんだよ!」


「・・・・え?」


「何だかんだ言って、市井ちゃんもよしこ大好きなんだよっアハッ!」


「へぇ??」

366 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)17時29分51秒


トラブル続きな毎日。



色々ありすぎて疲れちゃったりもするけど、










今は幸せなんだから。
















みんなに――――






サンキュ。







―END―
367 名前:とみこ 投稿日:2002年02月14日(木)17時35分09秒
ちょっと唐突に終わってしまいました^^;
けど、今までのなかで満足のいく作品となってよかったです。
徐々に仲良くなっていく関係を伝えられたでしょうか??
では、またとみこはどこかに現れるかもしれません。
その時はよろしくおねがいしまーす。


とみこでした。
368 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月14日(木)17時55分33秒
吉がとても人間味あふれる表情になりましたね。
頑なだった頃からの、そんな変化とそのまわりを彩るさまざまな人たちとの係わりが
ある時は切なく、ある時は微笑ましく、ある時は危なっかしく、でもその根本は
吉の「自分自身に素直になろう」という思いだったようです。

>とみこさん
素敵な作品をありがとうございました。
またどこかで書かれる時には、また読ませて下さいませ。
連載、お疲れ様でした。
369 名前:ケン 投稿日:2002年02月15日(金)00時22分21秒
いい話でしたよ。
ありがとう。
またの作品を期待しています。
370 名前:夜叉 投稿日:2002年02月15日(金)14時11分30秒
それぞれの帰るであろう場所へと向かっていけたようですね。
ここの人間味溢れる吉が好きでした。
作者様、本当にお疲れさまでした、そして有難うございました。
次回も期待しております。

もうしばらくですかね…(汗汗

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