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恋をしちゃいました4
- 1 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月03日(木)20時37分01秒
- 早いもので4部突入です。
1は赤の倉庫。2と3は同じ空板の下の方に沈んでいます。(いずれ倉庫逝き?)
かなり長いので奇特な方だけお暇な時にでも読んで下さい(w。
吉澤×石川&矢口×後藤(高橋?)メインの学園モノです。
- 2 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-1- 投稿日:2002年01月03日(木)20時38分04秒
- −1−
ひとみと中澤が写真の販売を巡って喧嘩をしてから数日が経った。
しかし、皮肉な事に、体育祭の写真は予想以上に売れていた。
当然、ひとみは面白くない訳だし、部活にもあれ以来出ていなかった。
部活が終わった後、矢口は中澤からその事で呼び出された。
「なぁ矢口。お前はどう考えとるんや? 正直意見聞かせてもらおうやないか」
中澤は腕組みをして、矢口に問いかけて来た。
「何とか吉澤には学園祭に出てもらう方向で考えていますが」
そうは言ったものの矢口にも自信がなかった。
ひとみも頑固な所があるから、ちょっとやそっとの事では折れそうにないからだ。
「ほんまに、そう思っとるか?」
「………」
「さすがにウチも頭に来たからな、代役立てた方がえぇと思うんやわ。
もう日にちもあらへん。誰か考えて引っ張ってこんとな。その辺は矢口、お前に任すわ」
「私がですか?」
思わず矢口は自分を指差して聞き返した。
「当たり前やがな。主役のいないミュージカルなんて話にならんわ。急いでな」
中澤は「おつかれさん!」と言って矢口の肩を軽く叩き出て行った。
「お疲れさんじゃないよ、まったく」
矢口は一人佇んでいた。
- 3 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-1- 投稿日:2002年01月03日(木)20時38分57秒
- * * * * * * * * * * *
「だから、お前しか頼めないんだってば」
「ヤダよ〜。いくら、やぐっつぁんのお願いだってそれはダメ! 出来る訳ないでしょう?」
勿論お願いされてるのは、矢口の恋人の真希。
今年の夏に、初めて結ばれた熱々カップル。今では主役のひとみと梨華よりも熱いと
一部で噂されている。しかし、今度の春で矢口が卒業するとそのまま矢口は名古屋へ
旅立つので、熱いのは今のうちとも言われている――。
「そこを何とかさぁ〜。真希ちゃぁん」
矢口とて、真希に頭を下げるような事はしたくないのだが、部の命が掛かっている為
今年は矢口最後の学園祭にもなるため、そう簡単に引き下がれなかった。
矢口は真希に後ろから絡むように抱き付くとわざと甘えた声を出した。
「そんな時だけ、名前で呼んでくれてもねぇ…」
それでも真希は矢口の手を握りしめている。
「出来るだけ週末はサービスするからさぁ」
その言葉に真希は一瞬動きが止まる。
「そのサービスって、アレのコト?」
真希は矢口をそのまま引き寄せると唇が触れ合う位まで顔を急接近させた。
- 4 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-1- 投稿日:2002年01月03日(木)20時39分50秒
- 「どれかは想像に任せる…よ」
(近づかせすぎんだよ! バカ! びっくりするだろ!)
「じゃぁ、アレのコトかな」
真希はニヤッとすると矢口から離れた。
「アレって、どれ?」
「多分ねぇ、やぐっつぁんが想像したのと一緒♪」
「じゃぁご飯大盛り、デザート付きってコトだな」
わざと矢口は違う事を言う。しかし真希も
「デザートは、やぐっつぁんだね♪」
「あ゛」
真希は、あはっと笑うとそのまま矢口を押し倒した。
たちまち矢口は真希にキスの雨を降らされる。
矢口も盛り上がって来て、学園祭の主役の話など、頭の片隅まで追いやられてしまった。
しかし、矢口は何とか理性が働き、真希のキスから解放されると再び話を元に戻した。
- 5 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-1- 投稿日:2002年01月03日(木)20時40分25秒
- 矢口は乱れた制服を直しながら
「じゃぁお願い出来るよな?」
一応確認のため、矢口は聞いた。真希は頷いたが
「でもさぁ、よっすぃーが悪いのに、なんでこっちがとばっちり受けるんだよー。
よっすぃーが中澤に謝れば済む話なのに。よっすぃー子どもなんだよね。
おかげで楽しみにしてた旅行だって、危ぶまれてるのにさぁ…」
引き受けたものの真希は全部納得した訳ではなかった。
真希の言い分も分かるだけに、矢口も何も言えない。
「大体、やぐっつぁんは何も悪くないのに…。もう少し全体的に物事を考えて欲しいよね。
よっすぃーにはさ。私からも言っておくけど」
真希の珍しく? まともなコメントに矢口は感心する。
「後藤、お前大人になったなぁ…。なんかおいら嬉しいよ」
「マジ?」
真希は嬉しそうに矢口に笑顔を返した。
「うん。おいらがいなくなっても…」
そう言いかけて、真希の表情が曇ったので矢口は言うのを止めた。
「それは言わないで」
「スマン。でもな安心だよ。前だったら不安だったけど」
「私は不安だよ。やぐっつぁんいなくなったら…」
真希は矢口の肩に顔を埋めた。
「そういうコト言うなよ。今は先のコトよりも目の前の学園祭だ」
矢口は軽く真希の頭を撫でる。
「うん」
学園祭が無事終了するまでは、道のりは長いような気がする。
なんとなく矢口は、まだまだ波乱が待ち受けていそうで深い溜息をつくのだった。
- 6 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月03日(木)20時41分50秒
- 取りあえずここまで。
更新はゆっくりになると思います。
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)22時29分10秒
- いよいよ始まりましたね〜!
楽しみに待ってました!
これからも頑張って下さいね!
- 8 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月03日(木)22時31分04秒
- いよいよ第4部開始ですね
マターリ逝きませう
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月03日(木)23時32分32秒
- 高橋も絡むんですか!?あいごま勝手に期待(w
- 10 名前:夜叉 投稿日:2002年01月04日(金)02時37分53秒
- 作者様、新スレおめでとうございます。
約束通りの連載開始、楽しみにしてたんで。
このまま、吉の横暴な?態度が膠着してしまうと、お楽しみが(略。
続き、期待しております。
某板も期待しております。
- 11 名前:理科。 投稿日:2002年01月04日(金)04時03分55秒
師匠、今年も飛ばしますねぇ〜♪
私も楽しみにしてました!
いしよしより甘いやぐごま。キャ!←(壊)
がんがってください。
- 12 名前:名無し男 投稿日:2002年01月04日(金)13時22分38秒
- 第4部ワッショイ!!
長生き!長生き!
- 13 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月04日(金)13時37分16秒
- 新スレ開店、おめでとうございます♪
いよいよ学園祭に向けて波乱の始まりですね。
無理して背伸びしてるのか、なんとなく真希がけなげで可愛く見えます。
吉の出方が気がかりですが、ここは矢口部長の健闘見守って行きましょう。
新春早々の更新、お疲れ様です。
某板?も期待してます。
- 14 名前:名無し梨華 投稿日:2002年01月05日(土)10時34分10秒
- 楽しみでなりません。
やぐごまがどうなるか。
作者さん頑張って♪
- 15 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-2- 投稿日:2002年01月06日(日)18時05分21秒
- −2−
ひとみはひとみで、全然部の事を考えていない訳ではなかった。
ただ、日が経つにつれ、行きにくくなる一方なのは確かな訳で、部活が終わってから
相手役の小川麻琴には、申し訳ないなと思いつつも、練習に付き合ってもらっていた。
「今日部活が終わってから矢口部長、中澤先生に呼ばれてましたよ」
練習が終わり、帰る支度をしながら小川は今日あった事をひとみに報告していた。
「そうか。ありがと、小川さん。迷惑かけるね」
ひとみは小川の頭を撫でた。
きっと代役の話なんだろう。日にちも迫って来てるし、中澤もひとみ抜きで進める事も
本格的に考えているのかも知れない。
「でも吉澤先輩。私、やっぱり先輩が相手の方がいいです。
今、代理で矢口部長がしてるんですけど、なんかしっくり来なくて」
「小川さん、矢口先輩好きじゃなかったっけ?」
「これとそれは別ですよ。それにどうせだったら後藤先輩の方が…」
「ちゃっかりしてるなぁ」
ひとみは苦笑いする。
「私も体育祭の写真買っちゃったダメな生徒ですけど、やっぱり、吉澤先輩には
学園祭に出て欲しいんですよね」
「うん。分かった。中澤許してくれるか分からないけど、今夜あたり家に行ってみるよ」
- 16 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-2- 投稿日:2002年01月06日(日)18時07分09秒
- 小川と駅で別れると、ひとみは梨華に渇を入れてもらってから、中澤の家を訪ねようと
梨華のバイト先へと足を向けた。
梨華が退ける時間には、まだ早いので、少しだけ話してからにしようと保田に時間をもらった。
「吉澤、今回大変だったわね。出来るコトがあったら、この保田に言ってちょうだいね」
少しは責任を感じているらしい保田は気を利かせて言った。
「ありがとうございます。写真の件は、もういいんですよ」
「なんだ、あっさり諦めるのね」
結構気にしてるのかと思えば、そうでもないらしい。
「いや、そうじゃないんですけど、今回の件で、矢口部長や部のみんなに迷惑かけちゃったから」
「そう思うんなら、早いとこ裕ちゃんに謝るコトだね。鬼じゃないから言ってきかないとは
思わないからさ。健闘を祈るわよ、吉澤」
保田は吉澤の肩を軽く叩くとウィンクをした。
(うぅ……怖いんですけど………)
店に戻りかけて、保田は「あぁ石川呼んでくるんだったわね。ゴメンゴメン」
そう言い残して店に入っていった。
- 17 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-2- 投稿日:2002年01月06日(日)18時07分48秒
- 「ひとみちゃん」
「梨華、これから中澤んとこに行って来るよ」
「大丈夫なの? ひとみちゃん」
梨華が心配そうにひとみの顔を見た。
実際、あれ以来、中澤とは口を聞いていないし、矢口と真希ともまともに話をしていなかった。
自然と溝が出来てしまうのも当然な訳で―――。
「うん。いつまでも自分の我が儘で迷惑かけられないしね。中澤に会う前に梨華に会って
おきたかったから。心配かけてゴメンね。梨華にも迷惑かけちゃったね」
「私は別にいいんだけど…」
「じゃ、私に渇を入れてくれる? あの応援団のヤツみたいな」
ひとみがリクエストすると、梨華はちょっと照れたように、ひとみにリアクション付きで言った。
「ひとみちゃん! ファイッ!!」
「おぉ〜、やる気出て来た! 行って来るよ! 梨華の顔見たら頑張れそうだしね。じゃ!」
ひとみは、なんて事ないって顔をして梨華には笑顔を返していたが実際はかなり憂鬱であった。
もともと中澤とは折り合いが良い訳ではない。それに今回折れる最大の理由は、やはり
4人で行く温泉旅行の事があった。勿論矢口にも多大な迷惑をかけているのは重々承知だったり
するのだけれど。
- 18 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-2- 投稿日:2002年01月06日(日)18時08分46秒
- 「こんなコトなら、すぐに謝っちゃえば良かったなぁ」
今さら言っても仕方ないけどね。大人みたいに、悪くない事でもすぐに謝れる程、
ひとみはまだ大人になりきれていなかった。
真希にも言われてしまった。「よっすぃーは全然周りのコトを考えていない」と。
真希に言われるとさすがのひとみも、かなり堪えるのだった。
「くそっ。ごっちん、1人だけ大人に…女になりやがって!」
最後の一言は余計だったりするのだけれど。
ぶつぶつと、つまらない事を考えていたら、すぐに中澤の住むアパートに着いた。
築20年くらいの、およそ綺麗とは言えないボロアパート。
ひとみは中澤の住む201号室へと早速足を進めて行く。ギシギシと階段を上るときに
イヤな音がして、ひとみは顔をしかめた。
夜遅く帰って来たら近所迷惑になると思うほど、音は響いているような気がした。
ドアの傍の窓からは灯りが漏れているので、中澤はいるようだった。
(はぁー。既に酒飲んでできあがってたら、どうしよう…)
既にドアをノックする前から、ひとみはドアの前でオロオロしていたのだった。
- 19 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月06日(日)18時09分36秒
- なんかいきなり、イヤな展開に…。
>7
ありがとうございます。皆様の声援あっての小説です。
>8 むぁまぁさん
既にマターリしております。
>9 名無しさん
既に、ちょこっとだけ、あいごまになってましたが今は………。
>10 夜叉さん
吉もあまり大人気ない行動ばかり続けているとマズイので
これから中澤に謝らせに行きますので、どうか見守ってて下さい(w。
>11 理科。さん
実はやぐごま書くのが楽しかったり(笑)。波乱のある2人なんですけどね。
>12 名無し男さん
ワッショイありがとうございます。早くFinalStageを書きたいものです(笑)。
>13 M.ANZAIさん
ここの後藤は矢口一筋ですからね(笑)。そんな2人を見守りつつ高橋の
存在も忘れてはいけません。って作者が忘れそうになってました(爆)。
>14 名無し梨華さん
はい。頑張ります。ありがとうございます!
- 20 名前:夜叉 投稿日:2002年01月06日(日)18時22分02秒
- お、吉、重い腰をあげたようですね。
でも、姐さん見た途端に引けてしまわなければいいのですが(爆)。
黙って見守っております。←すでに(略。w
- 21 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月06日(日)20時10分08秒
- とうとう吉の方が折れてきましたか。
まあ、今後の事を考えればこういう選択になるんでしょうけどね。
それにしてもいくら中澤ねーさんが先生だからって、ボロアパートってことは。
まだ嫁入り前のうら若き女性なんですから(w
ってこんな時刻に言って、一人っきりで部屋にいるもんですかね、ねーさん。
(ちょっといろんな小説に毒され気味なこの頃・・・)
応援する梨華ちゃん、かわいいですね。
もうすぐ17歳ですね。またもアレるのかなぁ。
(あっ、ここはまだ秋だった・・・)
- 22 名前:インターフェロン 投稿日:2002年01月06日(日)21時30分41秒
- わあああ久しぶりに来てみたら4部が始まってたなんて!!!!
すっごく楽しみにしてましたよ。歌ネタでイチャつく二人、激萌えです!!!(w
- 23 名前:インターフェロン 投稿日:2002年01月06日(日)21時31分15秒
- ごめんなさい、ageちゃいました…。
- 24 名前:理科。 投稿日:2002年01月06日(日)23時40分44秒
この先、波乱アリですかね?(w
展開が楽しみです♪
きしむ階段を上がってくよっすぃ〜。
…何だかオバケ屋敷に(略
- 25 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-3- 投稿日:2002年01月07日(月)21時26分08秒
- −3−
しかしひとみはなかなかドアをノックする事が出来ない。
「はぁー、ダメだなぁ…」
ひとみは両頬をパシッと叩くと、ファイッ! と気合いを入れてドアをノックした。
すぐにドアが開き、目の前に立っていたひとみは顔面を直撃した。
「いってぇ〜」
目から星が出て来るような衝撃を受けたひとみは、オデコを押さえながら屈み込んだ。
「吉澤、お前いつからずっと突っ立ってんねん。ぶつぶつぶつぶつ怖いっちゅーねん!
近所迷惑になるやろっ。とっとと入り」
中澤は怒ってはいたが、それほど怖くはなかった。
「す、すみません。いつから気付いてたんですか?」
いつものクセで、こういう時はすぐに謝ってしまう。
中に入ったひとみは、中澤が酒臭くないので少し安心していた。
「階段上った時から気付いてたわ。2階もギシギシ音がするからな、でもあがった途端
音がやんだやんか。誰か来よった思たけど」
「お邪魔します」
奥の部屋で、つまみと缶ビールが見えると、ひとみは「やっぱり飲んでるのか」と
すぐに不安になった。
- 26 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-3- 投稿日:2002年01月07日(月)21時26分51秒
- 「教師なんかやってると気苦労が耐えへんからなぁ。問題起こす生徒もおるし」
「この間はすみませんでした」
ひとみは不本意ながらも、膝をつくと中澤の目の前で土下座をした。
ここまでするつもりは、ひとみにはなかったのだが、やりすぎて悪い事はないだろうと思い
生まれて初めて土下座をした。
さすがに土下座するとは思っていなかった中澤は少し驚いたようだった。
「吉澤、顔あげ…」
「…はい」
「お前、本気で悪い思ってるか? 矢口に悪いとか部のみんなに悪いとか思って
言うてる訳じゃないんやろな?」
「………」
「自ら悪い思て言うてるのか聞いとるんや」
「あ、あの…」
ここで中澤と喧嘩をしたら…。それを思うとひとみは本心を言えない。
緊張の余り、喉がカラカラに乾いてヒリヒリし出した。
「ビクビクせんでえぇから、ちゃんと言うてみ」
「私はですね、中澤先生の……そのやり方には一部気に入らない部分があるのは事実なんです。
ただ自分も言いすぎたと思ってますし、写真の件はもう別に怒ってません。
確かに先生の言う通り、部の為とか言う気持ちもありますが、やはりせっかくのお祭りですから
無事成功させたい気持ちもあります。軽はずみな発言、申し訳ありませんでした」
もう一度ひとみは頭を下げた。
- 27 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-3- 投稿日:2002年01月07日(月)21時27分56秒
- 中澤は無言である。
あぁ…また怒らせたかな。とひとみは思ったが、中澤はひとみの肩に触れると
「ん。吉澤の気持ち分かったわ。早よ、そう言えばいいのに。吉澤も素直やないからなぁ」
中澤は物わかりのいい先生になったのか、すぐにひとみの事を許してくれそうな雰囲気だった。
「ただなぁ、今日矢口に代役のコト依頼したばっかりなんや。まぁ矢口のコトだから
誰に頼むかは目に見えてるけどな」
中澤はニヤリと笑う。
「ま、主役は吉澤で、他にもメインを立ててもおかしくないからな、そのまま行くコトにするわ。
ミュージカルは多い方が華があるしな。吉澤、日にちも少ないんやから、頑張りや」
「はい…」
- 28 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-3- 投稿日:2002年01月07日(月)21時28分30秒
- それから、ひとみはオレンジジュースをご馳走になって時間も遅いのですぐに帰る事にした。
「じゃぁ、遅くにすみませんでした」
ひとみは玄関にクルリと背中を向けドアのノブに手をかけた時、帰り際に中澤は言った。
「ウチも悪かったな。写真の件。半分冗談やったんやけど…。ま、そのお金は使うコト
せぇへんから、安心しぃ。いざとなったら裕ちゃんの貯金崩してでもダンス部は盛り上げて
行くからな。心配せんでえぇで。矢口にもそう伝えておき」
「分かりました」
どこまで本当の話なのか怪しかったが、全部嘘でもなさそうだ。
ひとみは頷くと、中澤は案外良い先生なのかも知れないと思った。
「あとこれだけは忠告しておくけどな、人前でチュッチュするのは禁止やで。学園祭でもな」
「はい」
ひとみは中澤のアパートを後にすると、行きよりも足取りが軽かった。
「よし、これで主役は揃いそうやな。これで後は石川も巻き込めば完璧やな」
ひとみが帰ると、中澤は、ニヤリとした。
- 29 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月07日(月)21時33分56秒
- なかよしシーン終了。結局企んでるのは変わらない訳で。
なかなか自分の書きたいシーンに辿り着かなかったり。
と言うより、どうしようかと悩んでいたり…。はぁ。
>20 夜叉さん
姐さんよりボロアパートに引けてしまいましたが(笑)。
>21 M.ANZAIさん
すみません。ありきたりな展開で。
あと姐さんすみません。ボロアパートで(苦笑)。
ここの小説はなかなか季節が変わりません(爆)。
石川さんは果たして17歳になれるのか(苦笑)。
>22.23 インターフェロンさん
小説楽しみにしています! 謎な石川さんの行動注目してますよ。
age sageはご自由に。あまり気にしないで下さい。
>24 理科。さん
オバケ屋敷って(w。
- 30 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月07日(月)22時55分44秒
- なかよしシーン、やっぱりねーさんは一枚も二枚もうわばみ・・・もとい、
一枚も二枚も“うわて”ですね。
もはや体育祭であの場面やらかしてたら、
どうしたって次の学園祭では一番の呼び物ですよ、
この“バカップ”は。(w
主役はダブルキャストで、友情出演アリの特別演出アリの
とても楽しそうな出し物が繰り広げられそうで今から楽しみです。
- 31 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月08日(火)00時12分26秒
- >この“バカップル”は。
です。間違えたので、“ル”抜きに深い意味はないのです。
- 32 名前:夜叉 投稿日:2002年01月08日(火)13時53分12秒
- 姐さんの素敵なボロアパートでしたね、まぢで。
だいたい姐さんの住むとこって、結構イイとこの作品が多いし(w。
吉、一難去って、また一難(w
何かが起こる予感…。
- 33 名前:インターフェロン 投稿日:2002年01月08日(火)18時36分36秒
- うっわー…姐さんの”ニヤリ”…。
このシリーズはある意味、姐さんの独壇場なのでは?(w
- 34 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-4- 投稿日:2002年01月08日(火)18時36分53秒
- −4−
ひとみは暗い夜道を歩きながら、何か引っかかっていた。
あの中澤が簡単に許してくれるなんて。何か裏がある、絶対あるに違いない。
ただ…、あまり逆らう事はもう出来ない気がした。
旅行の事が無ければなぁ…。どうせ中澤の事、また何か企んでるんだろうな。
ひとみは、そのまま家には帰らずに電話を入れると矢口の家に向かった。
「お邪魔しまっす」
ひとみが矢口家の玄関を開けると、矢口の後ろから抱きつくように
真希も顔を出した。
「吉澤、久しぶり」
「こんばんわっす。ごっちんもいたんだ」
「今日はバイト休みだからぁ…」
更に真希の後ろから矢口の妹ミキも抱きついてくる。
「ひとみちゃん、いらっしゃぁーい」
「あぁ、こんばんは」
「お、おめぇよ…」
2人に寄りかかられている矢口は重さに耐えかねて中腰になっていた。
「矢口先輩、モテモテっすねぇ」
ひとみが靴を脱ぎながら冷やかすように言うと、矢口は苦し紛れに言った。
「どこが! ミキはからかってるだけだろっ! 自分の部屋戻ってろよ」
すぐに矢口から離れると
「ちぇっ。つまんなぁい。また聞き耳立ててよっかなー」
ミキは舌を出すと、ひとみに「ごゆっくり」と言って部屋に戻って行った。
「ホント、生意気に磨きがかかってるよなー」
矢口は口を尖らせながら文句を言うと
「ウチの中等部も個性派揃いですからねー」
「辻と加護には負けるけどな」
- 35 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-4- 投稿日:2002年01月08日(火)18時38分13秒
- 「ミキちゃん背ぇ伸びたっすか? 成長期っすもんね」
ひとみは悪気なしに言ったのだが、矢口が過敏に反応する。
「お前、おいらに喧嘩売ってんのか?」
「え? あ、あぁ、違いますよ! 私もまだ伸びてますけどね」
ますます悪い。
「吉澤ムカつくヤツだなぁ。どうせおいらの成長期はなかったよ!」
「別にそういう意味で言ったんじゃないっすからね!」
「よっすぃー悪意ぃ〜!」
真希も面白がって言うが
「でも私はやぐっつぁんは小さくても平気。小さいからやぐっつぁん!
気にするコトないよぉー」
(小さい小さいって、後藤、お前も……)
また矢口に抱きつく真希に、ひとみは「はぃはぃ」と苦笑いする。
最近のこの2人のイチャつき振りには、ひとみも目に余るモノがあった。
他人の事は言えないのだけれど。
話を済ませたら、とっとと退散しようとひとみは思うのだった。
- 36 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-4- 投稿日:2002年01月08日(火)18時40分04秒
- ひとみは中澤に謝罪しに行った事を話した。
「だから、さっさと謝ればこんなコトにならなかったんだよ」
真希は、さも ひとみが悪いと言わんばかりに今回の代役(主役)
話の事を指摘した。
「ごっちんも出るコトになったの?」
むろん初耳なので、ひとみは驚いた顔をする。
尤も、矢口に依頼したら誰を抜擢するのかは目に見えているけれど。
「ほんの数時間前に決まった話だけどね。主役が戻って来たんなら
私は、もう関係ないじゃん」
「いや、なんか多い方が良いって話で、そのまま話は進むらしいよ」
「なにそれ? 結局さぁ中澤に良いように使われてるんじゃん」
真希は、はぁーっと溜息を落とす。
「まぁ、吉澤が問題起こさなくても結果は同じだったかもな。
中澤の考えるコトって、いつもそうだし。だからこのままでは済まないかもな」
矢口が含んだ言い方をしたので、ひとみは気になった。
「やっぱり、矢口先輩も、そう思います?」
「あぁ。きっと石川あたりも巻き添えに…」
「えぇー!? それはダメっすよ! 私の梨華に」
「何が私の梨華だよっ! 私なんかとっくに巻き添え喰らってるのに!」
真希はひとみを羽交い締めにする。
「…く、苦しぃ……」
「体育祭で人前で堂々とキスしちゃってさー! (羨ましかったんだから)」
「あれは…」
「恥を知れ! 恥を!!」
「じゃぁごっちんも学園祭でやっちゃえばいいじゃん」
中澤にキス禁止令を出されたのは黙っているひとみ。
- 37 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-4- 投稿日:2002年01月08日(火)18時41分26秒
- 「やっちゃえばって、吉澤! ダンス部を何だと思ってんだよ!」
矢口は呆れながら2人を交互に見つめていた。
しかし真希も便乗する。
「そっかー。詳しく知らないけどキスするっぽいシーンあるもんね。
どさくさに紛れてやぐっつぁんにチューしちゃうのもいいカモね♪」
「そのパートナーは、多分矢口ではありません!」
矢口はいい加減にしなさい と言った口調で言うが
「やぐっつぁん以外にチューしちゃったら問題アリだもんなぁ。あはっ」
真希は簡単に言う。
「矢口先輩以外だったら、愛ちゃんあたりが妥当?」
「ぶほっ」
思わず矢口は飲みかけていたジュースを吹き出しそうになりむせた。
(吉澤。ったく黙っていれば…何言い出すんだよ)
「愛ちゃんとキス? あははっ。愛ちゃん気色悪がりそうだよー」
ここに高橋がいたら完全に赤面状態であっただろう。
思わず矢口は、高橋と真希がキスをする所を想像してしまった。
(案外、絵になるかも…って何言ってんだ、おいらは)
「大体、高橋は出ないだろっつーの。勝手に話し盛り上げてんなよ」
「出しちゃえばいいじゃん。私だって出るつもりなかったんだから。
ゴトーの相手役は、やっぱりやぐっつぁんがいいなー」
「私は小川さんの相手役ですが、何か?」
「別にキスする訳でもないじゃん」
「でもセリフ回しが…」
いつも梨華を思い浮かべて言ってるのは言うまでもない。
なんだかんだで真希もやる気になっているのは良い事なのか悪い事なのか。
良い方に取ろう。取りあえず無事に学園祭が終わればいいや。
矢口は勝手に盛り上がってる2人を無視して残りのジュースを飲み干した。
- 38 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月08日(火)18時49分09秒
- 何故か石川さんが絡まなくても、やぐよしごまでも萌える私って一体…。
と言うより、いしよしヲタなのに最近殆どそういうシーンが無い…。<いいのか?
>30-31 M.ANZAIさん
すみません! 後藤BDすっかり忘れてました。今回2の残りで高橋の独白を
今までのこの小説のDIGEST風に書いてみましたが、機会あれば書きたいと思います。
指摘されるまで、記憶の中からスッポリ抜け落ちていました。はぁ。
>この“バカップ”は。(w
バカップでも良いような気が(爆)。
あまり期待されても学祭は、どうなるのか私にもまだ分かりません。
>32 夜叉さん
姐さんの住む場所ってイイとこ多いんですか! 知りませんでした(爆)。
あんまり姐さん主役? の小説って読んでないもので。いしよし小説でも
全部読み切れてないのに。ってか新作も多いのぅ。
>33 インターフェロンさん
名前間違えてすみません! 姐さんはやりたい放題ですからねー(w。
って私が勝手にそういうキャラに仕立ててる訳ですが。
- 39 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月08日(火)20時36分06秒
- 結局、中澤先生の思惑にピッタリとはまってしまう運命なんですね。
しかも梨華ちゃんだけでなく、高橋まで引っ張り出されそうな雰囲気で…
>「ウチの中等部も個性派揃いですからねー」
>「辻と加護には負けるけどな」
すごい顔ぶれなんだよなぁ、中等部だけでも。
なんだかこんなにいろんな登場人物を自由自在に動かせるCharmy Blueさんを
あらためて尊敬申し上げます。
番外編、まさかあんな(略
あっちもこっちもそっちも、楽しみにしてますです。
- 40 名前:夜叉 投稿日:2002年01月08日(火)22時06分33秒
- つか、自分の読んだ分で考える限りなんで、多いとは言えないかも…(汗。
姐さん主役の分は読んだことないけど、脇役で出てくるのがそうだったような。
気になったのがそれだったのか…(苦笑。
只今スランブ中にて巡回の旅(鬱)。
- 41 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-5- 投稿日:2002年01月09日(水)21時55分35秒
- −5−
ひとみが、矢口の家を後にすると、梨華に報告しようと携帯を取り出す。もう帰っている頃だろう。
それにしても、矢口と真希は、ひとみが見ても羨まし過ぎる位熱々だった。
勿論、絡んで来るのは真希の方からなのだが、前は恥ずかしいのか、かなりイヤがっていた
矢口も最近では、イヤがる素振りは見せるものの、殆どそれは演技に過ぎなかった。
「あの矢口先輩がねぇ…」
人間変われば変わるものだ。それを変えさせた真希も凄いと思う。
ひとみが梨華に電話をしようとしたら、逆に梨華からかかってきた。
「ぅわっと!」
これが以心伝心なのか! ひとみは嬉しげに電話に出た。
『ひとみちゃーん?』
妙に梨華が意気込んで出て来たのが、気になったがひとみは
「はいはーい。梨華だけの、ひとみですよー」
中澤から許しももらえたし、後は学園祭に向けて頑張るだけのひとみは陽気に出たが
『ひとみちゃん何言ってんの?』
どうも梨華の様子がおかしい。何かあったのかと思いひとみは
「どうかしたの? 梨華」
と呑気に聞いた。
『どうかしたのじゃないよー』
梨華は早口で家から帰ったら留守電が入っていた事を伝えた。
見る見るひとみから笑顔が消える。
- 42 名前:訂正 投稿日:2002年01月09日(水)21時57分58秒
- >41と呑気に聞いた。
はカットして下さい。日本語がおかしい。
- 43 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-5- 投稿日:2002年01月09日(水)22時14分57秒
- 「な、中澤のヤツ!! やっぱり企んでたんだ。道理でおかしいと思ったんだよ」
ところ変わって、ここは梨華の部屋。
今日は遅いし電話で済まそうと思ったひとみだったが、梨華の話を聞いて慌ててやって来た。
「でも、どうして中澤は梨華の家の電話を?」
「平家先生に聞いたみたい」
「へ、平家のヤツぅ〜」
梨華の担任なのだから、電話番号を知っていてもおかしくはない。
「私、中澤先生の電話番号知らないから、まだ返事してないけど…。
でも急に言われても困るな…」
梨華は、どうしよう と言う顔をして、本当に困った顔をしていた。
説明しなくとも既にお気づきだと思うが、留守電の内容は、学園祭・ダンス部ミュージカル
へのお誘いだった。
お誘いと言うよりも半強制的なモノで有無を言わさぬモノであった。
しかも、保田に断りを入れて、練習が増えるのでバイトの休みまで事前に入れる手の回しよう。
「あのね、ごっちんも実は出るコトになってるんだよ」
「そうなの?」
まだ詳しい話を聞いていなかった梨華は、顔をあげた。
「結局、中澤先生の良いように動かされた訳なんだね」
はぁーっと梨華は溜息をついた。既に梨華は諦めている様子。
「梨華、ゴメン」
さすがのひとみも、こういった事態になるとは思ってもいなかったのでショックを受けていた。
- 44 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-5- 投稿日:2002年01月09日(水)22時16分51秒
- 「ひとみちゃんが謝るコトじゃないよ。それに断ったりしたら、4人で行く旅行も
ダメになっちゃうかも知れないしね。ここは頑張ってやらないとダメだよね」
梨華が殊勝な事を言うので、ひとみは目頭が熱くなった。
それに比べて自分は、写真が売られたくらいで喧嘩したりして…。
随分と子どもじみていたと反省した。
ひとみは梨華の両手を握りしめる。
「梨華。私も恥じないように頑張るよ!」
「う、うん」
いきなり、ひとみが元気に言うものだから、梨華は目をしばたたいた。
結局ひとみは単純だから、梨華が頑張ろうとする姿を見れば自分も頑張ろうとする。
「梨華のコトは私がフォローするから。だから心配しないで」
「ありがと、ひとみちゃん」
自然に梨華を自分に引き寄せると、ひとみは急に歌い出した。
だから あわてず行こう 青年♪
そうさ 人生つまり Step By Step
まあ BABY BABY 今夜はForget
オ・ド・リ・ませんか! PARADISE
「どうしたの? ひとみちゃん」
「今度やるミュージカルの歌だよ。今、まさにそんな感じ」
やっぱり、ひとみは単純なのかも知れない。
学園祭まで、あと3週間を切っていた―――。
- 45 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月09日(水)22時25分46秒
- 一応10月中旬あたりの話になってます。
姐さんは仕事が早いですな(w。吉は単純だし分かりやすい。
>39 M.ANZAIさん
高橋もキャストに入るのでしょうかねぇ。
本当はこんなにメンバー出すつもりなかったんですけどね。新メンだって。
カップリングも石吉以外は作るつもりなかったし。話の流れでやぐごまが
出来た感じですし。さすがに限界が。
学園祭の話も無理矢理に話持っていってますしね。だからあの人も出る?
>40 夜叉さん
ボロアパートに住む教師もたまには、いいんではないかと(笑)。
- 46 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月10日(木)03時31分21秒
- いやぁ、吉が謝りに来るのを見越して平家先生から梨華ちゃんちの電話番号を入手しておく
中澤ねーさん、もはや計画的犯行(あっ犯罪ではないですね。)
あのミュージカル仕立てでやるとすると、まだ誰か足りないような・・・
- 47 名前:Nami 投稿日:2002年01月11日(金)04時49分24秒
- 初めまして♪
1週間前に『恋しちゃ〜1』見つけて、
それからほぼ毎日読みまくって、やっとここまで追い付きました♪
男前キャラのやぐっちゃん、
ちょっと危ない平家先生にドキドキ(笑)
今度のミュージカル、あの人は出るのかな?
楽しみにしてますー!!
- 48 名前:145 投稿日:2002年01月13日(日)23時59分46秒
- やっと読めた〜!
4が開始されたのがわかったたのに時間がなくて今日やっと読めた〜
お久しぶりで〜す♪元真里っぺ♪です♪
ミュージカルどうなる事やらって感じですね。
最後に一言!やっぱりやぐごま最高!
続き楽しみに待ってますね。
- 49 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-6- 投稿日:2002年01月14日(月)16時36分19秒
- −6−
翌日、ひとみが再び部に戻ってから、本格的に練習が始まった。
しかし、顧問の中澤は、まだ不満そうな顔をしている。
「主役は吉澤で確定やけど。準主役は2人おらんと格好つかへんなぁ」
強制的に準主役の1人、真希も今日から駆り出されてきていて
「あと1人?」と首を傾げていた。
「誰を引っ張ってきますか?」
部長の矢口は中澤に訊く。
「もう決めてあるんやけどな。元演劇部の安倍なんか、どうや?」
「どうや? って言われても、もう卒業してるじゃないですか」
既に決めてあるんならもったいつけずに言えよ。と矢口は心の中で思った。
「何も在学中の生徒だけってコトあらへんからな。矢口、お前、辻にも声かけ頼んだやろ」
「そうですけど」
矢口は辻をチラッと見た。
辻は矢口と目が合うと「ピースサイン」を送った。
「今日は来てないけどな、辻が声を掛けたのは、元部長の飯田や」
「カオリがOK出したんですか?」
矢口は思わず声をあげるが、体育祭でも、辻と一緒にいたし、そうなのかと納得した。
- 50 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-6- 投稿日:2002年01月14日(月)16時37分34秒
- 「実は安倍には昨日確認取ってある。飯田が出る言うたら、安倍も即OKやった」
相変わらず仕事が早いと矢口は感心した。
ただ、安倍は準主役・飯田はその他のバックダンサーに過ぎない。
差が激しすぎないだろうか? まぁいいか。
確認取ったと言うより、また脅したんじゃないのか?
矢口はチラッとそんな事が脳裏にかすめたが、黙っておいた。余計な事は言わない方がいい。
「じゃぁ、保田さんが出てもいいってコトっすか?」
今まで黙っていたひとみが手をあげて、中澤に質問する。
隣りにいた梨華は、ひとみのシャツを引っ張った。
「保田さんまで出たら…」
「圭坊? アレはダメや。圭坊は体育祭に引き続きカメラマンやってもらう予定やから」
「去年出たじゃないですか。ヤラセで」
ヤラセの一言で、中澤の眉毛がピクッと動く。
「吉澤、一言多いねん。ヤラセやない。アレは厳正に手を挙げた人から抽選で選んだんや!」
ミエミエの嘘を良く平気で言うなぁと、保田と一緒にヤラセ要員に駆り出された真希は呟いていた。
「オバちゃんはダメやねんなぁ。一気に平均年齢あがってしまうやん」
加護が、またどうでもいい事に突っ込んでくる。
中澤の前で禁句な事を良く言えるものだと、矢口は加護はチャレンジャーだと思った。
- 51 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-6- 投稿日:2002年01月14日(月)16時39分41秒
- 「あがったから、どないなるんや! 余計なコト言わんと加護も誰か探せや!」
「あのぅ、加護はですねぇ…」
中澤の脅迫に加護はたどたどしく言いかけながら、咄嗟に思いついたのか真希を見て思い出したのか
「図書委員の中等部3年の高橋愛先輩が、いいと思いますがぁ〜」
いきなり敬語になり、何故か高橋の名前が出て来て、矢口も真希もひとみも梨華も
一瞬顔を見合わせた。
「な、なんで高橋が出てくるわけよ?」
明らかに動揺している矢口に、真希のライバルだと敵視? している小川も口を挟む。
「そうですよ! 高橋先輩はダメです!」
「ダメって、小川ちゃん、なんでダメなん?」
あんまり分かっていない加護は純粋に聞き返すが、それを矢口が阻止した。
「まぁまぁまぁまぁ、これは高橋に訊いてみないとなぁ」
こんなところで、高橋は真希が好きな事をバラされても困る。
矢口は小川を睨み付けた。
小川は矢口の言いたい事が分かったのか「はいはい」と言った顔をして黙り込んだ。
こういう時、矢口は飯田のように交信出来ればいいなと思ってしまう。
ところが肝心の分かっていない、鈍感な真希は
「愛ちゃんイイかもね〜。だってバレエやってたんでしょ? 踊りもうまそうだよ。
愛ちゃんがゴトーの相手だったら、やりやすいカモ♪」
小川に火に油を注ぐようなコメントをした。
勿論小川は高橋がバレエをやっていた事は知る由もなく、悔しそうに唇を噛んだ。
- 52 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-6- 投稿日:2002年01月14日(月)16時40分57秒
- 「まこっちゃん、吉澤先輩に対して失礼だよ」
紺野の隣りに再び座った小川は、紺野にたしなめられた。
「だってさ〜」
「まこっちゃんは、吉澤先輩の相手役なんだよ? それでなくても羨ましいのに…」
「仕方ないじゃんか。私が好きなのは後藤先輩だもん」
ひとみ相手なだけでも羨ましがられる存在なのに、肝心の小川には、全くその気がない。
逆にひとみにとってはやりやすかったりするのだけれど。
「まぁえぇわ。じゃぁ高橋も一応メンバーに入れておくねんから、これはぁ…
矢口、お前説得して連れて来いや。以上! これでメンツ揃った言うコトで
もう日数もないねんから、気合い入れていくで〜!」
中澤は一人で言うと、早々に体育館を後にした。
「気合い入れていくで〜! 言われてもなぁ。バラバラなメンツで揃って出来るのかよ」
早くも部長の矢口は、荷が重すぎると感じていたのだった。
- 53 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-6- 投稿日:2002年01月14日(月)16時41分42秒
- 部活が終わって、梨華はひとみと先に帰り、矢口と真希は一足遅れて帰っていった。
「愛ちゃんのコトはさ、ゴトーに任せてよ」
「任せるって?」
「やぐっつぁんも大変でしょ。そのくらい私がやるから。説得してみせるよ!」
真希は胸をドンッと叩いて張り切って見せる。
「高橋って、何となく人前に出るの嫌がりそうなタイプじゃないか?」
「大丈夫。いざとなったら愛ちゃんを口説いてでも連れて来るからさ」
(口説かなくても充分、お前のコト……)
「口説いたら逆に喜ぶぞ、アイツ」
冗談めかして矢口は言うが、真希はあははっと笑う。
「まっさかぁ。案外やぐっつぁんに言われた方が喜ぶかもよ?
だってね。最近しょっちゅうやぐっつぁんの話するし、愛ちゃん」
「?…」
それは矢口に取っては初耳だった。
自分と居る時はそんな素振りも見せないのに。尤もそんなに高橋といる時間が多い訳でもないが。
「お前の方こそ、冗談が過ぎるぞ。そんな訳ないからな」
矢口は口にしたものの、どこか引っかかる感じが否めなかった。
- 54 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月14日(月)16時48分01秒
- そろそろキャストも揃うと言う事で(お約束ですが)。
殆ど強制的なキャスティングですな。
>46 M.ANZAIさん
姐さんは確信犯ですから。殆ど脅(略。
>47 Namiさん
毎日読んで下さってたんですか? 恐縮です!(by梨元)
私も、ここの矢口には吉澤以上に思い入れが(w。
予想通り? あの人も当然出ます。昨日のMUSIX!で、なっち萌えに(爆)。
>48 145さん
やぐごまの番外編も読んで下さいね〜(って読んだかな?)。
私もやぐごまマンセーです(w。
- 55 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月14日(月)22時36分07秒
- さてさてどうなるのかな?
- 56 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月15日(火)00時48分17秒
- ついに、ついにあの“伝説の娘達”が集結するんですね♪
現役、OG、他の部活の先輩、後輩の枠を超えたこの娘達をはたして何と名づけるか?
すでに“ダンス部”ではおさまりがつきませんよ。
>昨日のMUSIX!で、なっち萌えに(爆)。
あのエピソード、知ってはいたけど本人の口から聞かされると、ホロッとさせられる・・・
- 57 名前:Nami 投稿日:2002年01月15日(火)06時31分09秒
- やっぱり、予想通りなっち出ますか (w
やぐっちゃんの男前キャラって、あんま見れないんで、ここのやぐっちゃん見るのかなり楽しみにしてます〜♪
あと、平家さんも (w
>昨日のMUSIX!で、なっち萌えに(爆)。
あたしもなりました (w
特にお酒を口に入れた直後のなっちは可愛かったです (w
- 58 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-7- 投稿日:2002年01月15日(火)18時11分30秒
- −7−
翌日の昼休み。図書当番に当たった真希は、それとなく高橋に学園祭の話を振った。
「じゃぁ、ごっちん先輩も出るんですか?」
まだ真希が出る事を知らなかった高橋の顔が一気に明るくなる。
「うん。それも何故か準主役」
「すごいじゃないですか!」
高橋は拍手するマネで(実際叩きはしなかったが)嬉しそうに真希を見つめた。
体育祭の応援団で真希の詰め襟姿を見てから男役もカッコいいと改めて思っていた高橋なので、
非常に喜んでいた。
「私、宝塚も好きなんですよっ。だから嬉しい。今から楽しみにしてます♪」
真希は高橋が予想以上に喜んでいるので少々戸惑っていた。
「う、うん」
「よっすぃー先輩は、もろ男役って感じですけど…。ごっちん先輩も似合いますよね」
そう言って高橋は、想像しているのか真希をうっとりした目で見つめる。
「そっそうかな」
真希は何故か一瞬ドキリとして、高橋から視線を外した。
そんな真希に気付いたのか、高橋はすぐに謝って来た。
「ゴ、ゴメンなさい。私、調子に乗って…」
「そんなコトないよ。そう言ってもらえて嬉しいヨ」
真希は動揺を悟られないように、わざと笑顔で返した。
真希は高橋が予想以上に喜んでいるので少々戸惑っていた。
結局、言えなかった―――。
- 59 名前:訂正 投稿日:2002年01月15日(火)18時15分45秒
- >>58
最後の3行
真希は動揺を悟られないように、わざと笑顔で返した。
の後の「真希は高橋が予想以上に喜んでいるので少々戸惑っていた。」は削除して下さい。
- 60 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-7- 投稿日:2002年01月15日(火)18時24分01秒
- * * * * * * * * * *
「まだ言ってないの?」
放課後、部活が始まる前に真希は、すぐに矢口のクラスに、すっ飛んでいった。
「なんか言うタイミング逃しちゃって…」
矢口は真希の表情を見て"らしくない"と思ったが敢えて言わなかった。
「おいらから言った方がいいな。時間ないし」
「ゴメン。やぐっつぁん」
真希がすまなさそうに拝むポーズをする。
「いいヨ。元からおいらが言うんだったし」
矢口は真希の肩に軽く手を置くと、高橋のクラスへと向かった。
真希の視線を背中に感じながら矢口は「…まさかね」と呟いた。
* * * * * * * * * *
高橋のクラスに着くと高橋の姿は見えなかったが、松浦が目に止まったので矢口は松浦に声
をかけた。
「おーい、松浦」
矢口の声に松浦が振り返った。
「矢口さん、元気ですか?」
最初出会った頃は、お互い第一印象も悪かった2人だったが今では、そんな事もなく
会えば話をする程度になっていた。
「おかげさまでな。松浦も元気そうだな」
「ハイッ! バッチリです」
屈託なく笑う笑顔に、矢口は純粋にカワイイと思った。
ここで「柴田とはどうなの?」と訊く程、矢口は他人の恋愛に首を突っ込みたがるタイプ
ではなかったので、すぐに高橋の事を訊いた。
「高橋さんなら、今日は図書室の掃除当番ですよ」
「そっか、サンキュ。松浦も頑張れよ。じゃぁな」
「ハイ。矢口さんも、色々と大変でしょうけど学園祭頑張って下さいねっ」
「おぅよ!」
矢口は松浦に手をあげて応えると図書室へと向かった。
- 61 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-7- 投稿日:2002年01月15日(火)18時50分35秒
- * * * * * * * * * *
図書室の前に着くと、矢口は深呼吸をした。
こういう静かな場所に足を踏み入れるのは苦手だから矢口は恐る恐る扉を開けた。
―ガラガラ―と言う音がやけに大きく響き、扉を閉めると再び静寂が戻る。
上履きの音だけが、歩く度にキュッキュッと鳴り響いた。
(高橋のヤツ、いるのかよ)
声を出すのもはばかられて、矢口は奥側から1つ1つ本棚を見て回った。
一番奥の書棚に高橋は居て、脚立に乗って本の整理をしているらしかった。
後ろを向いているから、そっと近づいた矢口には気付いていないらしく、急に呼ばれて
高橋は手に持っていた何冊かの本を落とし、脚立から危うく落ちそうになった。
矢口が、素早く支えた―――ハズだったが、そのまま折り重なるようにして2人は倒れた。
(いってぇ〜………)
矢口は起きあがろうとしたが、高橋が覆い被さるように抱き付いているので身動きが出来なかった。
「高橋、大丈夫かよ」
あまりに至近距離なため、矢口はちょっと躊躇いがちに声をかけた。
真希とだって、こんな近くで会話をする事など滅多にない。
高橋は矢口に声を掛けられハッとして慌てて顔を上げ、矢口を見つめた。
―ドキン!!―
急に高橋の鼓動が早くなると同時に頬も赤く染まる。
「だ、大丈夫…じゃありません…」
そのまま高橋は再び矢口の上に被さった。
「お、おい! 高橋! しっかり!!」
抱き付かれたまま言っても、あまり説得力がなかった。
何とか矢口は半身を起こすと、高橋の顔を心配そうに覗き込む。
- 62 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-7- 投稿日:2002年01月15日(火)18時52分27秒
- 「高橋、マジで大丈夫か? 保健室連れて行こうか?」
「大丈夫ですよっ」
「今、大丈夫じゃないって」
「身体は大丈夫なんですけど…(気持ちが……)」
高橋は矢口から視線を外すと床に目を落とした。
散らかったままの本が目に入る。
(早く片づけなきゃ…)
とにかく高橋は矢口から気持ちを逸らそうと、関係ない事を思い浮かべた。
しかし、そんな高橋の気持ちに気付かない矢口は、どんどん高橋の心の中に入ってくる。
「高橋? 痛いかもしんないけど立って」
高橋は再び顔をあげると、矢口に言われるまま立ち上がった。
下敷きになった矢口の方が痛かったハズなのに、矢口の優しい気遣いに高橋の心は揺れる。
矢口は高橋の制服についた埃を払ってやると、しゃがみ込んで背中を出し「ホラ」と言う。
「え?」
(もしかして、おぶってくれる…トカ?)
「おいら小さいから、吉澤みたく抱きかかえるコトは出来ないけど、おんぶぐらいなら出来るからさ」
と言って、背中を出す。
しかし高橋は低頭にお断りをした。
矢口の行為に甘えてしまっては、ますます自分は矢口の事を好きになってしまう。
「平気ですよ。矢口先輩…」
「遠慮するなよ。元々おいらが急に声かけたのが悪かったんだから」
「でもですね。もうホントに平気ですから」
本当は矢口に甘えたかった高橋だったが、やはり真希の事も考えて頑なに拒否をした。
矢口もいつまでも押し問答するのは苦手らしく、あっさりと引き下がった。
- 63 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-7- 投稿日:2002年01月15日(火)18時53分40秒
- 「平気ならいいけどさ。あまりムリすんなよ」
「ハイ。ありがとうございます」
高橋はペコリとお辞儀をした。
「じゃぁな!」
片手をあげて立ち去る矢口に高橋は「あっ」と小さく声をあげた。
「どうした?」
振り返る矢口に、高橋は一言。
「矢口先輩、私に用があったんじゃ……」
それを聞いて矢口も同じく「あ゛っ」と言う顔をした。
肝心の事を忘れていた。真希の事をとやかう言えた義理じゃないなと矢口は苦笑いした。
再び矢口は高橋に近づくと
「今日も高橋バイトだろ?」
高橋は頷く。
「バイト終わったらさ、一緒にメシでも食わねーか? そん時に話すよ。
さっきのお詫びもあるし。な?」
「ハイ」
矢口はニッコリ笑うと「決まりなっ。じゃ、あとでまた」と言って再び去って行った。
「…矢口先輩」
高橋は呟くと、矢口の後ろ姿を見つめていた。
そして、本棚の物陰から、その光景を見ていた人物が1人―――。
「何だか面白くなりそう」
彼女は口の端を歪めると、フッと笑った。
- 64 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月15日(火)19時03分36秒
- 矢口カッコ良く書きすぎですか?(w。主役は誰なんだ?って感じですが。
いしよしは穏やかなんでなかなか出番が(爆)。(石川放置だし(苦笑))
波乱が起きるのは、やぐごまたかの方だし。
後藤の気持ちも微妙に? 高橋の気持ちは…?
まぁ、誰が見ていたのかは、今までの話の流れで殆どバレてるかなぁ。
>55 むぁまぁさん
まだ一筋縄では、いかなさそうです。
>56 M.ANZAIさん
伝説だったのか(w。名づけるのか?て全然考えてないんですが。
>57 Namiさん
今回も矢口が男前だったり。
平家先生殆ど出てないんですが、石川のお尻狙いでまた登場?(爆)
予想通りですが、なっち出ます(笑)。殆どこの小説では出番がなかったんですけど。
- 65 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月15日(火)19時44分15秒
- 主役・男前矢口。な展開が面白いですね。
もうひとつの記念日を考慮してあえてしてるのかと・・・
昨年の学園祭でも『ミニモニ。』『デカモニ。』と名づけていた中澤先生が
これだけのメンバーが揃ったんだから何か考えるんじゃないかと、チームの名前。
で、ずーっと学園の中で語り継がれていく訳ですよ“伝説の娘達”として。
そんなことより!
誰だろう?図書室に潜んでいた人影とは?
ここの登場者で放課後に図書室行くような人物がいたかなぁ〜(w
- 66 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月15日(火)22時36分00秒
- ふむ
さて「何だか面白くなりそう」と言った人物とは?
いやいや楽しみですねぇ
- 67 名前:Nami 投稿日:2002年01月15日(火)23時35分20秒
- カッコ良すぎです、、 (w>やぐっちゃん
平家先生がまた石川のお尻狙いで登場!?
それは楽しみにしてないと (w
>本棚の陰から、その光景を見ていた人物
だ、誰だっ!? (w
まだ出てきてないあの子とか!?
続き、かなり楽しみにしてます!!
- 68 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-8- 投稿日:2002年01月17日(木)19時30分08秒
- −8−
矢口が急いで着替えて行くと既に殆どのメンバーが揃っていた。
真希と梨華は、今日も顔合わせと言う事で、出ていた。
と言うより、これからは殆ど強制的に出なくてはいけないのだが。
「矢口先パァイ、2分15秒の遅刻でぇす」
ひとみが、嫌味ったらしく言うので、矢口は「こまけーよっ!」と走りながら返した。
「どこ行ってたんすか?」
「ちょっとな…」
「ちょっとなって、あやし〜」
「怪しくねぇよ! じゃぁ始めるぞ!」
矢口のかけ声で、練習が始まろうとしていた。
「矢口ぃ〜! 頑張って部長やってんじゃん」
元、ダンス部の部長だった飯田が、同じく元、演劇部だった安倍と一緒に並んで歩いて来た。
いわばOG組。
「あぁ、カオリに、なっち。ひさぶり〜」
「ひさぶり〜って、体育祭で会ってんだろ〜。何言ってんだよ」
飯田が間髪入れずに、突っ込むと、加護は
「飯田さんと、タイで話してるやん。矢口先輩、おっとこまえ〜」
「いいらさんと一緒に踊れるのは、嬉しいのれす」
辻は純粋に嬉しいらしい。
「一気に平均年齢が、あがったやん」
「シーッ! あいぼん聞こえちゃうのれす」
辻は、人差し指を口に持っていく仕草をする。
「平気。今日は、中澤の三十路ババァは、おれへんから」
「結構、中澤は地獄耳なのれす。気をつけないと、あいぼん。あとでお仕置きが」
「のの、ヘンなコト言わんと。平気やっちゅーねん!」
加護は、中澤が居ないのを良い事に、言いたい放題である。
- 69 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-8- 投稿日:2002年01月17日(木)19時31分49秒
- 「なんだか懐かしい顔ぶれだね。去年を思い出すよ」
安倍も去年を懐かしむように、ダンス部のメンバーを見渡した。
新規に入ったメンバーもいたが、辻や加護、ひとみあたりはお馴染みのメンバー。
「お久しぶりっす」
ひとみが気軽に挨拶をする。
「よっすぃーだっけ? 相変わらず人気あるねぇ。体育祭じゃ、かなりハデにやってたっしょ!」
安倍は、ニコニコしながら、ひとみに返した。
「いやぁ。それほどでも」
なんて、ひとみは言いながら、髪を掻いている。
「あれ?」
安倍は、不思議そうに真希と梨華を見た。
去年は、確か、真希はプチモビクスで、梨華は、その後の告白タイムとやらで
見かけたような。真希は告白タイムでも出て来ていたけれど。
それに気付いた真希は安倍に説明する。
「私達はですねぇ、安倍さんと同じく脅迫されて、じゃなくて(似たようなもんだけど)
中澤先生に言われて、出させられたんですよ」
「あぁ、そうなんだ。やりそうな感じだよね」
安倍は、またニコニコしながら微笑み返した。
- 70 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-8- 投稿日:2002年01月17日(木)19時33分33秒
- 「なっちには、あん時は悪かったよな。ホントに」
飯田は安倍の肩を叩く。
「そんなコトないよ。廃部寸前だった演劇部を救ってくれた中澤先生のおかげ…。
って、今日はいないんだ」
「今日は職員会議あるみたいで欠席なんだ。会いたかった?」
矢口が説明する。
「いや、別に」
「なっちに聞きたかったんだけどさ、中澤に、どう口説かれたわけ?」
矢口は、疑問に思っていたので、そのまま聞き返した。
「いやぁ、この前、先生と偶然会ってね」
(偶然じゃないと思うけどね)と矢口は心の中でツッコミを入れる。
「で、そのまま食事した後、カラオケに連れていかれてさぁ。
適当に歌ってたら、急に『ヨシ! 合格! やっぱり、なっちに決まりや!』なんて
言って、そのままなんだか『学園祭に出てや〜』って言われて勝手に決まってたんだけど」
あー、やっぱり と矢口も飯田も頷く。
「『吉澤だけのヴォーカルじゃ、心もとないから、サポートとして、なっちと後藤に
お願いするようなもんや』とか言ってたなぁ」
それを聞いたひとみは「そんなコト言ってたんすか!!」とちょっと心外と言った顔をした。
ひとみ本人の前で、そのまま言う安倍も安倍だが、ひとみは結構今の安倍の発言に少なからず
ショックを受けていたようだった。
(適当に歌ってた、なっちさんに負けてるって…(涙))
- 71 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-8- 投稿日:2002年01月17日(木)19時35分05秒
- 「ゴトーが歌うまいって、中澤どこで聞きつけたんだろ?」
真希は、けなされてる訳ではないから、呑気に呟いた。
「別に、うまいとは言ってないじゃん」
ひとみは、悔しいらしく、真希に言い返してくる。
「ひがまない、ひがまない」
「ひがんでないもん。大体、ごっちんが選ばれるのは、お見通しだった訳だしさ。
矢口先輩が代役として、連れて来る相手なんて、ごっちんしかいないじゃん」
まだひとみは負け惜しみを言う。
「ひとみちゃん、そんなに悔しがらなくても。私だって、音痴なんだから」
ひとみのシャツの袖を引っ張りながら梨華はフォローするが、それは全然フォローになっていなくて。
「梨華。全然慰めになってないよ、ソレ…。それに音痴まで言ってないじゃんかー」
ひとみは梨華に抗議をする。
「だぁって、ひとみちゃんが…」
途端に梨華はネガティブに。
「梨華が落ち込むコトないじゃん」
ひとみは梨華を抱き寄せる。が、すぐに真希に引き離される。
「そこで、イチャイチャは禁止ね! お2人サン!」
「ひがむなよ、ごっちん!」
ひとみはさっきのお返しに言い返してやる。
矢口がパンパンと手を叩いて、話は中断された。
「まぁ、募る話もあるだろけど、キリがないからよ、ここで終わりにして始めるぞ!」
「「「「「「「「「「はぁ〜い」」」」」」」」」」
こうして、高橋(仮)を除き、参加メンバーが揃い本格的に練習が始まった―――。
- 72 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月17日(木)19時45分56秒
- マターリと更新です。
>65 M.ANZAIさん
チーム名の名前ですか。全然考えてませんが(汗)。
そこまで話が行く前にも波乱がありそうなんで、もう少し時間かかりそうです。
潜んでいた人物は別に、着いていったのかも知れないし分からないですよ?
って大した事ないので、あまり考えないでください。
>66 むぁまぁさん
先の事考えたら後藤が可哀相になってきた(w。
>67 Namiさん
やはりカッコ良すぎでしたか。その後誤解されそうな展開に?(謎)
平家先生もそろそろまた出しますね。
>まだ出てきてないあの子とか!?
あの子は趣味じゃないので(略 既に出て来てるメンバーです。
- 73 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月17日(木)22時09分46秒
- スミマセン、勝手な事書き込んでしまった・・・。
なっちをカラオケに誘う中澤先生、出すとこには惜しまずって感じですね。
これから本番用にどれだけぶっこむのか・・・(w
>私だって、音痴なんだから
う〜ん、ここでもそうなのかぁ。(って、あと何処よっ!)
自分で言っておいて自分で落ち込ませる、
そんなアップダウン激しい梨華ちゃんが見ていて楽しい。
登場人物の会話が誰の言葉なのか良く分かるように書き分けられていて、
すんなり読めてしまうんですけど、師匠、すごいですよ、これは。
ということで、図書室に隠れていたのが未だ不明なまま、次回を期待〜♪
- 74 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月17日(木)22時24分57秒
- むむ
そういう展開になるんすか やっぱ?
後藤さん...
- 75 名前:Nami 投稿日:2002年01月18日(金)01時06分23秒
- >あの子は趣味じゃないので
あはは、あたしもそうです (w
誰だろー。出て来てる人かぁ。
あっ、後藤さんが可哀相にってことは!!??
続き楽しみにしてますー (w
- 76 名前:名無し男 投稿日:2002年01月18日(金)13時11分59秒
- 大波が来るぞ〜
ゴァァァァアアアアア!!!!
ザッパァァァァァァ・・・・!!!!!
- 77 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時02分52秒
- −9−
練習も終わり、ひとみと梨華はすぐには帰らずに昇降口でたむろしていた。
矢口が来ると、既に待っていた安倍と飯田が食事に誘う。
「これからなっちとご飯食べるんだけど、矢口も来るよな?」
半強制的に言われて矢口は「え? おいらは、あの…」と濁す。
「矢口ぃ。後藤と一緒に四六時中ベッタリ過ごしたいのは分かるけどさぁ」
「そんなコト思ってないよ」
「つき合えよ。ダンス部の話も聞きたいし」
飯田は矢口の肩を抱きながら言う。
”この後予定がある”とも言えずに矢口は、そのまま安倍と飯田と3人で食事に行く事
になり行ってしまった。
少し遅れて辻と加護と真希がやってくる。
「アダルトチームは、もう帰ったんか?」
まだ残っていたひとみに加護は履き替えながら訊いた。
「3人で食事に出かけたよ。ごっちんは良かったのかな?」
下駄箱の前で立ち止まっている真希に、ひとみはもう一度声をかけた。
「ごっちん?………どうかした?」
「へ? あっうぅん。なんでもない」
真希はメモらしきものを急いで丸め込むとポケットにしまい靴に履き替えた。
- 78 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時04分47秒
- 「いいらサンも先に帰っちゃうなんてヒドイのれす」
辻は飯田と食事をしたかったのか少し淋しそうだ。
「えぇやん。ヤングチーム残ってるし。前みたくみんなで食事せぇへん?」
と言っても、前のメンツの小川と紺野は既に先に帰っているし当然高橋はいない。
「私は遠慮しとくよ」
ひとみは当然梨華と2人の方がいいから断る。
真希も前回ので懲りているらしく
「私も遠慮する。辻と加護、2人で行けば?」
と素っ気ない。
「ののと2人じゃ、いつもと変わらへん」
「それは、ののも一緒なのれす」
そこへテニス部の練習が終わった松浦と出くわす。
「梨華先輩。お久しぶりです」
相変わらず礼儀正しく挨拶とお辞儀をする。
「亜弥ちゃん。元気そうだね。って、柴ちゃんから良く話は聞いてるけど」
松浦はにっこり微笑むと、ひとみや真希にもそれぞれ挨拶をした。
「ダンス部楽しみですね!」
梨華と真希が学園祭に出る事はあゆみ経由で既に聞いているらしかった。
「さすが情報が早いね」
梨華は苦笑いしている。
- 79 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時05分48秒
- 「あゆ先輩から聞いてますからね♪ 応援に行きますよ」
それを聞いていた加護は大げさに溜息をついて見せた。
「松浦先輩も柴田先輩いるし、えぇなぁ。ウチなんか誰もおらへん」
「でも、紺野ちゃんも小川ちゃんも片想いなのれす。あいぼんだけじゃないのれす」
辻は2人の名前を出すが
「でも恋はしてるっちゅーねん」
「じゃぁ、あいぼんも恋をすればいいのれす。例えばぁー」
辻は上を見るように考えて―――。
「中澤とかぁー」
「三十路近いババァやっちゅーねん。こっちから願い下げや」
「平家先生とかぁー」
「オバチャンやねん」
「保田さんとかぁー」
「これまたオバチャン…」
「じゃぁーーー、安倍さん?」
「どっちにしろオバチャンやんか!!」
加護が”いい加減にしろ”とばかりに声を段々と大きくした。
「だぁって、今残ってるのってその辺くらいしかいないのれす」
「残りもんばっかやん」
加護も言っている事が、かなり酷すぎである。
- 80 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時06分32秒
- 松浦は目を丸くして2人の会話を聞いていたが、丁度途切れたところで
「じゃぁお先に失礼します」と言って帰って行く。
梨華は「一緒にご飯でもどう?」と誘ったが「2人のお邪魔はしませんよ♪」
と言って帰っていった。
「気が利くねぇ、松浦さん…」
ひとみは松浦の後ろ姿を見送りながら呟いた。
半年前の出来事がウソのようだ。
「私もさぁ、そろそろ帰るよ」
真希はひとみと梨華に言うと「じゃぁ…」と言って帰ろうとする。
「ごっちんは居てヨ。邪魔なんて思ってないし」
「ありがと。でもちょっと疲れちゃったからさ。ゴメンね」
真希はちょっと微笑むと「また明日ね」と言って帰っていった。
「なんかごっちん、元気ないね。矢口先輩いないからかな」
「疲れてんのかな、ごっちん…」
ちょっと真希の様子がヘンなのが気にかかり、梨華とひとみは真希の後ろ姿を見つめていた。
辻と加護は、まだどうでもいい話に花を咲かせていた。
- 81 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時07分30秒
- * * * * * *
飯田・安倍・矢口は近くのファミレスに入っていた。
「矢口ぃー。さっき言わなかったけどさぁー、矢口も隅に置けないね」
安倍が三日月の目をして、ニヤけながら言う。
「何がだよ」
「なっなに? 何のハナシ?」
飯田も安倍の言い方に、面白そうだと感じて身を乗り出して来る。
「今日さ、なっちちょっと早めに着いたから図書室行ってたんだけど…」
”図書室”という単語が出て来て矢口は、イヤな予感がした。
「そしたら矢口が、中等部の生徒と………」
わざと安倍は一旦そこで区切る。
「何よ、何してたの?」
飯田は更に身を乗り出している。
(前は、カオリそういうハナシ嫌いだったクセに…)
矢口は飯田を見ながら心の中で呟いた。逆に安倍は、その手の話が大好きだった。
「もぉ〜、なっちの口からは言えませんっ」
わざと口を押さえる安倍。
(だったら最初から言うなよ…)
矢口はくだらないと言った顔で水を一口飲んだ。
「なっちさぁ、あんまり誤解招くような言い方よしてくれる?
ただでさえこっちは疲れてんのに」
「えー? 何々? カオにも教えてよ」
矢口の言葉は無視して飯田は安倍に早く教えろと言わんばかりに急かす。
- 82 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-9- 投稿日:2002年01月18日(金)22時08分05秒
- 「ゴメンね矢口。でも図書室で抱き合うのはマズイッしょ」
「………」
(結局言ってんじゃん…って、そういう言い方は適当じゃねぇよ!)
「抱き合うぅぅぅ〜〜〜?」
飯田は大きな目を更に見開いて矢口を見つめた。
(カオリ、そのカオ、すっげーこぇーよっっ!)
「なっち。あれは事故。どうして床の上で抱き合わなきゃいけないんだっつーの!」
「床の上? 矢口、一体部活始まる前に何やってんだヨ、お前はよ!」
さっきとは一転して、いきなり怒り口調になる飯田。
「だからさぁー2人共ちゃんと聞いてくれよ。おいらはあと1人学園祭のメンツに
入れるために、その高橋ってコに会いに行っただけだよ」
「だからってよぉー矢口。身体使って落とすってのは、良くないんじゃねーのか?」
飯田は完全に勘違いしている。
「あのねー。脚立から落ちてきてぶつかって一緒に倒れただけだよ」
これだけの事を説明するのに、どうして、あれこれと想像出来るのだろう。
だから噂と言うモノは恐いのだと矢口はつくづく思う。
「なんだよ、だったら最初から、そう言えよなー」
飯田は、なぁんだと言う顔をする。
「大体、なっちがいけないんだろー。含みのある言い方するから」
「ゴメンゴメン。だって、矢口が後藤以外のコと2人でいるのって
見たコトなかったからさ。ついね…」
「ついじゃねぇよ、まったく」
矢口は、また溜息をついた。
(そう言えば、ごっつぁんと今日はあんまり話してなかったな…)
飯田と安倍は既に別の話に移っていた。そして矢口は外をぼんやりと眺めていた。
- 83 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月18日(金)22時12分03秒
- 取りあえず一旦区切って、後藤と石吉シーンは明日に。
>73 M.ANZAIさん
いえいえ。別にいいんですが、妙にプレッシャー感じてしまって。
あとあんまり考えてないんで(苦笑)余計に。
会話のシーンは難しいですね。そう言っていただけると嬉しいです。
>74 むぁまぁさん
でも可哀相になってきちゃって。っていいのか自分。
>75 Namiさん
消去法で消していけばすぐに(爆)。ってバレバレ?
>76 名無し男さん
いつも楽しいレスありがとうございます。
- 84 名前:闇の住人 投稿日:2002年01月18日(金)22時20分30秒
- ひさぶりっす!
安部ちゃんもカオリンも復活したんですねぇー!
去年の出来事が懐いっす。
それにしても、高橋の想いはどーなるんだろ?
ごまやぐもうすぐ離れ離れになっちゃうというのに、せつねぇー!
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)01時09分21秒
- このあとの矢口高橋のシーンはかなり重要なるのでは。
お互いかわいそうな展開だなんて。気になって仕方ないですよ。
- 86 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月19日(土)01時59分14秒
- なんと、なっちだったとは・・・。
でも、これじゃ噂話好きのオバチャンだなぁ。
勝手に話し膨らまされて、無実なのに攻められて、
こっからまた尾ひれがついて広まって、矢口も大変だなぁ。
ごっちんが手にしてたメモらしいものって何だろ?
この後の“ごまいしよし”シーンを待とう♪
- 87 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月19日(土)09時05分25秒
- なっちだったのか・・・
ごまの態度も気になるし うーん続きが非常に楽しみである
- 88 名前:名無し男 投稿日:2002年01月19日(土)15時36分43秒
- 石川記念日わショーい
おばはんなっち面白い(w
- 89 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-10- 投稿日:2002年01月19日(土)17時48分45秒
- −10−
後藤は1人帰りながら、あのメモの事が気になっていた。
誰だろう? あんなメモを入れた人物は………。
下駄箱の上に小さく畳まれたメモには、こう書かれていた。
−
矢口さんは、今日、高橋愛さんと図書室で
抱き合っていました。
内緒で付き合おうとしているみたいです。
−
わざと定規を使って角張った字にして筆跡を変えている。
冗談にしては度の過ぎるモノだ。
それに最後の行は、どっちとも取れる書き方をしている。
「バカらしい…」
口に出して言ったものの、気になってしまうのは確かだ。
いつもだったら一笑してしまうようなモノでも、何故だか真希は笑えなかった。
今日の放課後、矢口が高橋に会ってる事は分かっている。
その後、どうなったのかは知らないけれど。
暫く真希はその場で立ち止まってメモを見つめていたが、ふとある考えが浮かんだ。
- 90 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-10- 投稿日:2002年01月19日(土)17時50分06秒
- 『愛ちゃんの好きな人って、もしかして……やぐっつぁん?』
一旦そうなのかな? と思うと、どうしてもその考えが頭から離れられなくて
それと思う事を関連づけてしまう。
「既に付き合ってる人がいる」「知らない人です」
どれを取っても、そうとしか考えられなくなり、真希は青ざめた。
そりゃ、自分の付き合ってる人が好きなら知ってる人とは言えないハズである。
「愛ちゃん…」
相手が高橋だから、真希は更に複雑になる。妹みたいに思っていた高橋。
「でも、まさかね…」
否定してみるものの、一回浮かんだ疑惑はなかなか晴れなくて…。
昼休みに、学園祭の話をした時に、高橋が見せた笑顔は、可愛くてドキっとしたのだが
その笑顔さえも偽物なのかと思い始めた真希だった。
しかし、不思議と怒りや嫉妬と言うモノは生まれない。
何故なのか分からないけれど。しかし複雑な心境なのは確かだった。
真希は既にメモに書かれた事の真相よりも、再び高橋の好きな人は誰なのか?
の方に気持ちが行ってしまっていたのだった。
- 91 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-10- 投稿日:2002年01月19日(土)17時51分04秒
- ひとみと梨華は、辻と加護と途中まで一緒に帰り、2人は梨華の最寄り駅前の
ファミレスに入っていた。
「疲れた? ゴメンね。早く帰った方が良かったかな」
ひとみは出されたおしぼりで手を拭きながら梨華に謝ってくる。
「うぅん。ひとみちゃんが謝るコトないじゃない。足引っ張らないか心配だなぁ…」
梨華も手を拭きながら、早くもプレッシャーなのか心配そうだ。
「大丈夫。梨華なら出来るよ。それに私が手取り足取り教えてあげるし」
(なんなら、身体ごと…)さすがにこれは言えないが。
「ありがと。ひとみちゃんがいるから、安心してる」
「いざとなったらアドリブでやっちゃえばいいんだから」
「アドリブって?」
体育祭の応援団の時みたいなアドリブだったら赤面モノだ。
「今回はアレだよ。ホントにブチュッとしちゃったって分かりゃしないよ」
「やだぁ、ひとみちゃん…」
梨華は赤くなりながらテーブルに目を落とす。
「だって、ホントにキスするような振りがあるじゃん。あそこだけは張り切って
やっちゃうなぁ。何回練習してもオッケーだね」
既にひとみはやる気マンマンである。
「恥ずかしいナ…。2人きりなら、いいけど。人前となると…」
まだ梨華はおしぼりで手を拭きながら俯いている。
「大丈夫だよ、梨華。ヨシコに任せて。任せてOK牧場さ♪」
そう言ってひとみは、はははと笑う。なんだか逆に不安になる梨華だった。
- 92 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月19日(土)17時53分04秒
- PCがなかなか立ち上がらず焦りました(泣)。そろそろヤバイのかしら…(鬱)。
梨華ちゃん、セブンティーンですね。おめでとう♪
どうしても雑誌を思い浮かべちゃうなセブンティーン。当時は読んでました。懐かしいです(苦笑)。
>84 闇の住人さん
( ● ´ ー ` ● )<安倍だべさ!
女性自身、思わず銀行で破りたくなりました(爆)。
私が気付いた時は、次の号が(泣)。スキャンきぼんぬ(w。
>85
矢口高橋のシーンは後日の方が重要になるかも。
不幸は重なるモノなのですね。(それは次回)
>86 M.ANZAIさん
分かりにくいと思いますが、なっちではありません。
って簡単に引っかかっちゃダメですって。って私の書き方も悪いですね。
なっちが口の端歪めて笑う姿想像出来ないし(w。
正確には見てたのは2人と言う事になるんですが、なっちはこっそりとは
見てなかったと言う事で(苦しいか)。←だったら気付けって。
>87 むぁまぁさん
後藤は高橋が…と思うんですけど、これまた勘違い(でもないか)して
しまうんですね。お互い気持ちがすれ違って…。
と言うか高橋の気持ちはどっちにあるんだか。かなり矢口寄りに。
>88 名無し男さん
福井にいるんですなぁ。石川記念日です。
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)18時15分53秒
- まさかもしかしてあの子ですか?口の端歪めて見てたのは。
なんかすっごい真相が知りたいです。
- 94 名前:Nami 投稿日:2002年01月19日(土)23時58分32秒
- 1人ずつ消去していくと、
口の端歪めても似合いそうな子が1人。。
やっぱあの子なのかなー。 (w
負けるなごっちん♪頑張れー♪
- 95 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月20日(日)23時08分53秒
- むむむ・・・見事に引っ掛かってしまった・・・悔しい・・・
- 96 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-11- 投稿日:2002年01月21日(月)00時04分49秒
- −11−
矢口は時計をチラチラと見ていた。相変わらず飯田と安倍は話しに花を咲かせている。
そろそろ出ないとマズイ時間だ。それに気付いた飯田が
「矢口、さっきから時計ばっか見て。この後約束でもあるの?」
「え? あぁ、ちょっと…」
「なぁんだ。後藤と会うのかよ〜。ホントに熱々だよな、お前らはぁ」
飯田は、茶化して言う。
「そんなんじゃないけど」
「さっき抱き合ってたコと会うんでしょ?」
安倍がニヤリとして言う。
「そういう言い方やめろって」
矢口は、またからかわれるのかと思うとウンザリした。
「そっかー。だから矢口コーヒーしか頼まなかったんだ。おかしいと思ったんだよ」
「そういうコト。じゃ、これで」
矢口はコーヒー代だけテーブルに置くと、早々に退散した。
飯田と安倍に久しぶりに会えて話せるのはいいが、いつもからかわれるから矢口は
それがイヤだった。仲が良くても一応先輩にあたるから、強く言えない部分もあるし。
真希に電話をいれようと矢口は携帯を取り出したが、バッテリー切れだった。
「ちっ。ついてねぇなぁ」
矢口は公衆電話で、かけてみるが、真希の携帯は何度も鳴らしているのに繋がらなかった。
ますますついていない。「ま、いいか」矢口は受話器を戻すと、高橋のいる「カントリーマート」
へと向かった。
- 97 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-11- 投稿日:2002年01月21日(月)00時05分45秒
- * * * * * * * * * * * * * * * *
もうすぐバイトの時間が終わる。高橋は時計をさっきから時計を見ながら、この後の
矢口との食事を楽しみにしていた。それに気付いた店長のりんねは
「愛ちゃん、さっきから時計ばっか見て。この後なんか約束あるの?」
「分かります?」
高橋は嬉しそうな顔を隠そうとした。顔にまで出るなんて、かなりバレてる?
「すっごく嬉しそうだよ。まぁ誰なのかは、敢えて聞かないけどね」
りんねは笑うと、また奥へ引っ込んで行った。
* * * * * * * * * * * * * * * *
真希は家に帰りご飯を食べ、再び部屋に戻っていた。
携帯を何気なく見ると「着信アリ」の表示。しかし、公衆電話の表示に、悪戯? と思い
すぐに消してしまう。そして、ためらったが矢口の携帯に電話をする。
しかし、矢口の携帯は電源が切ってあるのか、何度かけても留守番サービスセンターに接続
されてしまう。「ちぇっ…」真希は舌打ちすると、矢口の自宅に電話をする。
しかし、矢口はまだ帰っていないらしい。
まだ、飯田と安倍と一緒にいるのだろうか? 3人で食事に出かけたらしいから。
でも、それとは違う何かを真希は感じていた。何と言われても困るけれど。
飯田と安倍に連絡を取ろうにも、2人の携帯番号なんか全然知らない。
高橋に電話するのも、何故だかこの時は躊躇われた。
(私、何意識してんだろ…)
真希は携帯を脇に置くとベッドに寝そべった。
- 98 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-11- 投稿日:2002年01月21日(月)00時06分38秒
- * * * * * * * * * * * * * * * *
矢口がカントリーマートに着くと、高橋は既に外で待っていた。
「ゴメンな。待たせた?」
矢口は駅から走って来たのか、少し息があがっていた。
「全然です。矢口先輩もお疲れさまです」
「いやいや、昼間は悪かったな」
「気にしないで下さい」
高橋は心が躍っていた。
「ホントはさ、後藤も連れてこようと思ったんだけど、連絡つかなくて」
そう矢口が言いかけた時、高橋はハッとした。
今まで、矢口の事ばかり考えて、すっかり真希の事を忘れていたのを。
当然、矢口と2人で食事をするモノと考えていた。
少なからず、そう思っていた事に高橋は愕然とした。
―――私、ごっちん先輩より矢口先輩の方がいいの…かな? まさか。
さっきまで躍っていた気持ちが風船が萎むように、高橋の気持ちは沈んでいった。
高橋が黙り込んだので、矢口は真希が来なくてガッカリしたと思ったらしく
「ゴメンな。期待してただろ? おいらだけじゃなぁ…」
そう言って矢口は笑う。
「ち、違うんです。そうじゃなくて…」
しかし、その後の言葉が続かない。
(ごっちん先輩の事、忘れてたなんて、言えません)
「ん? なに?」
「なんでもないですっ。早く行きましょう!」
高橋は矢口の腕を取ると駅の方へ足を速めた。
- 99 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-11- 投稿日:2002年01月21日(月)00時07分33秒
- * * * * * * * * * * * * * * * *
ファミレスを後にすると、ひとみは梨華をカラオケに誘った。
「1時間でいいからさ、ちょっと歌ってこうよ。練習もかねて」
部活の時に安倍に言われた事がショックだったのか、はたまたストレス発散なのか
梨華の音痴振りを拝見したいのか、少し強引に誘って、近くのカラオケボックスに入る。
ひとみは案内された部屋に入ると、飲み物を注文して、すぐにペラペラと本を捲る。
既に歌う曲は決めてあるのか、勝手に入れていく。
「梨華は、コレ歌ってみて」
と言って、体育祭の時に流れた「恋人は心の応援団」を入れる。
「私も歌うの?」
梨華が少し驚いた顔をして、ひとみに言うから、ひとみは当たり前だと言う顔をする。
「当然です。梨華の歌ってるの聞いてみたいし。(音痴かどうかも)」
そう言えば、2人でカラオケに行った事は、今までになかった。
「ひとみちゃんは何歌うの?」
「私はぁ、もちろん今度やる『ミスムン』だよ。今度、ごっちん連れて練習しないとなぁ」
「あの歌ってかなり難しいよね。大丈夫? ひとみちゃん」
「大丈夫じゃなくてもやらないと。あと、振り付きでやるから」
「私、まだ全然覚えてないよ?」
「大丈夫。梨華は、そのままでいいからさ」
結局、ひとみが単にやりたいだけらしい。
そうこうしているうちに、イントロが流れる。
「はい、梨華歌って!」
ひとみに言われるまま、梨華はマイクを渡されると仕方なく歌い始めた。
- 100 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月21日(月)00時11分27秒
- 同じ時間帯でシーン区切ってますが、読みにくかったらごめんなさい。
いしよしは脳天気です。このカップルだけは平和みたい(w。
>93
まだ真相は…。でも、もう気付いてますよね。
>94 Namiさん
やっぱり似合いますかね?(w 後藤が、面白い位にまんまと…(泣)。
>95 M.ANZAIさん
もうちょっとしないと、犯人出てきませんけどね。(犯人って)
- 101 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月21日(月)00時15分17秒
- キャー更新されてるぅ!寝る前に見に来て良かったです。
やっぱり矢口と後藤がラブラブなのもいいのですが
矢口と高橋のなんとも言えない雰囲気もイイっ!!
私はやぐオタなので矢口が出れば心躍るのですがー。
最近、特に今回すれ違ってばかりのやぐごまが切ない。
3月には離れちゃうのに〜って感じっす。
作者さんの書くお話はいつも楽しませてもらってます。
これからも頑張って下さいね。
毎日何回も更新チェックしちゃって・・・。
- 102 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月21日(月)00時17分07秒
- あわわわ
リアルタイム?!
更新中に割り込まなくてよかったです。
- 103 名前:Nami 投稿日:2002年01月21日(月)00時34分12秒
- 音痴連発って (w
こちらは平和なカップルでよかったです!!
それにしても、本当にまんまとごっちんがー!!
こーゆーごっちんも結構好きかも。。(w
やぐっちゃん、ごっちん助けて (w
- 104 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月21日(月)08時09分18秒
- やぐごまのスレ違いと高橋の接近?
うーん、目が離せませんなぁ
- 105 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月21日(月)19時04分35秒
- ごっちんの胸騒ぎが・・・。このすれ違いって何とも切ない。
そんな事態も知らずにカラオケに興じるバカップル・・・
- 106 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-12- 投稿日:2002年01月21日(月)20時16分56秒
- −12−
真希は落ち着かないので、やはり高橋に電話をする事にした。
既に駅前のファミレスに入り注文も済ませていた矢口と高橋。
携帯が鳴ると、高橋は中座をして入り口まで出ていった。
矢口も丁度トイレに席を立っていたところだった。
ディスプレイを見ると、『ごっちん先輩』の表示が。
ドキッとする胸を押さえて、高橋は電話に出た。
「も、もしもし」
高橋は緊張の余り、声が裏返ってしまった。
『愛ちゃん?』
「は、はい…」
高橋の様子がいつもと違うのに気付いた真希は、少しだけ不安が広がった。
『バイト終わった頃だと思うんだけど、今いいかな?』
「大丈夫ですよ」
そこへ、矢口がトイレから出て来るのが見えた高橋は、すぐに
「あ、あの、今、矢口先輩と一緒なんです」
『え…』
予想していなかった(少しはしていたのかも知れない)言葉に真希は一瞬固まった。
「いま、変わりますね」
こちらに歩いてくる矢口をつかまえると、そのまま携帯を差し出して自分は席に戻ってしまった。
言われるまま携帯を受け取った矢口だったが、誰なのか分からないので首を傾げながら
矢口は取りあえず電話に出た。
- 107 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-12- 投稿日:2002年01月21日(月)20時18分16秒
- 「はい、お電話変わりました」
よそよそしい矢口の出方に、真希は一瞬詰まった。
『あの、後藤だけど…』
その声を聞いて、矢口の声は、すぐにいつもの口調に戻った。
「なんだ、ごっつぁんか。連絡取れなかったからさ。良かったよ」
『それはこっちのセリフだよ』
真希も何故だかホッとして言った。
「バッテリーあがっちゃっててさ。さっきまでカオリ達と一緒だったんだけど、
高橋に会うから、ごっつぁんも誘おうと思ったら連絡付かないからよ」
『もしかして、公衆電話からかけてくれた?』
何故、高橋と今から会わなければいけないのか、真希は思ったがそれは言わなかった。
「うん。ゴメンな。今からお前も来ない? 駅前のファミレス。って時間遅いからあれか。
実はさ、昼間言えなかったんで、今から例の話するんだ。多分大丈夫だと思うけどな」
『言えなかったって、どうして?』
「え? ……まぁ、ちょっとな…」
矢口は言葉を濁した。さすがに図書室の話を詳しくする気が矢口にはしなかった。
ヘンに誤解されるのもイヤだったし。しかし、それが却って裏目に出てしまった。
- 108 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-12- 投稿日:2002年01月21日(月)20時18分56秒
- 『私にも言えないようなコト?』
真希は矢口が口ごもった事に不安を覚えて、つい強い口調で言ってしまった。
「は? 何言ってんの? そんなコトある訳ないじゃん」
矢口は笑って言い返そうとしたが、真希が核心に触れる事を言いだした。
『じゃぁ何で口ごもるの? ホントは愛ちゃんと図書室で抱き合ってたりしてたんでしょ』
「―――な、なんでソレを…」
矢口は驚愕して、思わず肯定するように呟いてしまった。
『――やっぱり本当だったんだ。噂じゃなかったんだね!』
真希は怒って言うと、一方的に電話を切られた。
「え? ちょっと、ごっつぁん?」
なんで、それを真希が知っていたのか?
矢口は動転して、切られた電話に向かってまだ真希の名前を呼んでいた―――。
矢口は諦めて高橋のいる席へと戻っていった。
携帯を返しながら浮かない顔の矢口に、高橋はすぐに何かあったのだと悟った。
「どうかしましたか?」
「なんでもない…。それより、昼間話せなかったコトなんだけどさ…」
矢口は今すぐにでも真希の元へ行って誤解を解きたかったのだが、ダンス部である
部長の立場を今は取ったのだった。
- 109 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-12- 投稿日:2002年01月21日(月)20時19分29秒
- 梨華が歌い終わると、ひとみは梨華のアニメ声に酔いしれていたようだった。
「梨華、最高♪ 可愛い!! はぁ…」
思わず抱き付くひとみに、梨華は戸惑った顔を見せた。
「私は別に歌うコトないと思うんだけど。苦手だし…」
マイクを戻しながら、梨華は遠慮がちに言った。
「ヨシコ、梨華にノックアウトだよ。全てがラブね!」
「ひとみちゃん?」
今日のひとみは何故だかハイテンションだ。お酒が入ってる訳でもないのに。
ミスムンのイントロが流れると、ひとみは梨華から離れて歌い始めた。
― 愛をくださいぃ〜♪ ―
「この部分は、多分紺野さんか小川さんかになると思うんだ」
ひとみはマイクを持ち直すと、躍りながら歌い出した。
合間合間にいちいち歌いながら説明を入れてくれるひとみに、梨華は手拍子を入れて
盛り上げていた。カラオケって2人だとイマイチ盛り上がりに欠けるハズなのに、
歌っているひとみ自ら、盛り上げ役も買って出ているので、何故だか盛り上がっている。
不思議な光景だと梨華は思っていた。
- 110 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-12- 投稿日:2002年01月21日(月)20時20分02秒
- 「梨華も立って!」
急に言われて、ひとみに言われるまま梨華は立ち上がると、セリフのところに入った。
「Oh! 心が痛むというのかい? う〜ん、BABY それは 恋…恋煩いさ」
(ひとみちゃん? なんだか目が…。逝っちゃってる…)
梨華はひとみに肩を抱かれながら思わず見つめた。
「きっと、僕と出会ったから…梨華は恋をしたんだね」
(あの…セリフが違うんですけど……)
「さあ、もう大丈夫、僕はここにいるよ、おいで、踊ろう!」
ひとみは既に世界に入っているらしく、その後も突っ走っていった。
そして例のブチュッの部分に―――。
本来なら歌うところなのに、カラオケが流れたまま、ひとみはマイクを置くと、
そのまま梨華に迫りブチュッと、かましたのだった。
当然、その後は歌どころではなく、キスだけが続行された。
ようやくくちびるが離れた時には、ひとみはうっとりした表情で梨華を見つめていた。
「イヤだった?」
「………」
(イヤだなんて…。ひとみちゃん知ってて意地悪なんだから…)
梨華はわざと瞳をうるうると潤ませると、また瞳を閉じてみせた。
- 111 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月21日(月)20時20分48秒
- バカップルも近くにいるのに、一方では一大事に…。
>101-102 ももたろうさん
初めまして。番外編の方に先にレスしていただいてましたね。
やぐヲタからも読まれてるとは光栄です。
この後、波風立ちまくりです。ちょっと可哀相なんですが。
最近は矢口を書くのが楽しいもので、主役を差し置いて(w。
>103 Namiさん
はい。吉澤の方が特にバ…(略。
タイミングは悪く重なるもので。
>104 むぁまぁさん
高橋より矢口が接近してるような…。矢口も基本的にフェミニストなんで。
>105 M.ANZAIさん
対照的すぎますかね。またバカップルにも波乱を?
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月21日(月)21時28分41秒
- やぐっつぁんかっけーけど後藤とどうなってしまうんだよ。
誤解が誤解をよんで…。波風立ちまくりっていうのを密かに期待してしまうなんて。
やぐもフェミニストなのか、やさしいからね。野性的で。
渦中の高橋の気持ちはどこに行くんだろうか。
やぐ!浮気なんて…してしまうのか!
- 113 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月21日(月)21時58分55秒
- いやーん。やぐとごまはどうなってしまうのだ。
やぐはごっちん一筋のはずだーーー
ごっちん、拗ねてないでやぐの言葉を聞いてーーー!!
ふぅ。今日も楽しませてもらいました。
ごちそうさまです。
- 114 名前:さるさる。 投稿日:2002年01月21日(月)22時23分19秒
- ひさぶりに読んだら、愛ちゃんが浮気してる・・・爆
少なからずショック笑
しかも後藤と矢口にひともんちゃくありそう。
ごまヲタの私はせつなくてつろーございます。
石吉のアツアツっぷりに癒されませう。
どうなることやら・・・ドキドキです!!!
- 115 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月22日(火)07時50分53秒
- やさしさはまわりも不幸にする時がある・・・
今の矢口って前の吉澤の心境に似てるんじゃないですかね
いしよしは相変わらず突っ走ってるなぁ(w
- 116 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月22日(火)09時42分21秒
- 電話ってある意味不便なものですね、真意が伝わらない・・・
その辺の微妙なところ、やきもきしますね。
一方で何にも知らずに盛り上がるバ(略
- 117 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時00分16秒
- −13−
「―――と言うわけで、高橋も候補に挙がったからお願いしたくて」
一通り矢口は簡単に説明した。
注文を終えて、高橋はじっとテーブルに視線を落としていたが…。
「私に出来るハズないじゃないですか」
予想通り、高橋は断って来た。
「そこを何とか!」
矢口は手を合わせて頼む仕草をする。
「でも…」
「今回ゲストいっぱいだし。元部長の飯田とか演劇部だった安倍とか。それに石川に後藤だろ…」
矢口は指折り数えながら言う。
「その4人が選ばれるのは分かりますが、何で私が?」
飯田、安倍はOGで去年も出演したし、梨華と真希は、それぞれ彼女だから選ばれたのも分かる。
自分はパッと考えても、どこにも該当しない。
強いて言えば単に真希と同じ図書委員、バイト仲間なだけであり、選ばれる理由が分からないのも
当然であった。
加護が咄嗟の思いつきで高橋の名前が出た事は勿論言えずに矢口も苦しい言い逃れをした。
「いや、ほら高橋はさぁ、後藤のコト好きだし一緒に躍りたいだろ? 良い思い出になるじゃん」
「私なんか足手まといになるだけですよ」
なかなか高橋は簡単に頷かない。
「平気平気。後藤も石川も初めてだし、分かんないトコは、おいらがまとめて面倒見るしさ」
矢口は自分で喋りながら、何でこんなに熱くなってるんだろうと思っていた。
全然平気でない事は、矢口自身が一番良く分かってるはずなのに…。
- 118 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時01分52秒
- 先ほどから遠巻きに2人の様子を窺っていた人物が1人―――。
(なんで、そんなに熱心に口説いてんの?)
自分の窓際の奥の席からは2人の会話はハッキリと聞こえては来ないが、様子からして
矢口がかなり熱心に高橋の事を誘っているのは、身振り手振りからして明らかだった。
矢口が、そこまでして高橋を入れようとする趣旨が分からなかった。
矢口が真希に対する高橋の気持ちに気付いてないとは思わない。当然知っている筈だ。
それなのに何故、わざと2人を近づけるような真似を?
自分がわざと、矢口と真希の間に波風を立てるようにし向けたのも、ちょっとした
嫉妬からであった。自分が思っていたよりも矢口と高橋の仲は親密に見えて―――。
(案外、予想じゃなくて本当なのかも………)
そんな事を思っていると、真希が自転車に乗って、こちらに来るのが見えた。
(もしかして、呼んだの?)
自分の席は窓際の一番奥。真希に気付かれないように慌てて下を向いた。
そう言えばさっき矢口は高橋に携帯を返していた。多分電話の相手は真希だったのだろう。
だから、ここへ真希を呼びつけてもおかしい事はない。
しかし、真希は店に入ってくる気配が一向になかった。
- 119 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時03分42秒
- 矢口は、なかなか首を縦に振らない高橋に手こずっていた。
「じゃぁさぁ、どうしたら引き受けてくれる?」
こうなると矢口は意地でも高橋を引き込むつもりでいた。
高橋はちょっと考えて、そして言った。
「私と1日付き合って下さい。そしたら良いですよ」
当然、矢口は断るモノと思ったから冗談半分で言ったつもりだった。しかし―――。
「そんなんでいいのか? オッケーに決まってんじゃん!」
急に矢口の顔は明るくなる。
「―――え?」
予想外の返事に高橋は戸惑う。しかも―――。
「おいらでいいのか? それとも後藤とデートしたい? ムリしなくていいんだぜ。
何とか言って後藤連れ出してくるから」
矢口はこれでOKならお安い御用だと少し興奮気味に言う。
「別にムリしてないです。で、でも本当にいいんですか?」
今さら冗談でしたとも言えず逆に高橋は聞き返していた。
「いいに決まってるだろ? ホントにいいのか?」
思わず矢口は身を乗り出し、高橋に迫る勢いで同じ事を言っていた。
「ハ、ハイ」
高橋は、また近くで見つめられて頬を染めながら下を向いた。
* * * * * * * * * * * * * *
「なんなのよ、アレは!!」
店には何となく入りづらくて店の外から2人の様子を窺っていた真希だったが、矢口の態度に
無性に腹が立っていた。さっきも電話をかけ直してくるかと思えばそれっきりだったし、
店に来てみれば2人は楽しそうに話をしている。
どっちにしろ真希にとっては、面白くない光景だった。
- 120 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時06分29秒
- * * * * * * * * * * * * * *
「あぁゴメンな。嬉しくて、ついな」
矢口は乗り出していた身体を引っ込めながら謝った。
「嬉しいのは私の方です」
高橋は、つい本音を言ってしまって、慌てて口を押さえた。
「ありがとう高橋。助かったよ。ガンバローなっ」
矢口は高橋の言葉には、特に気にせずに微笑み返した。
「はい」
高橋は再び胸の鼓動が高鳴り始めた。
(私、やっぱり矢口先輩の事………好きなんだ)
「じゃぁ、そろそろ帰ろうか。遅くなるしな」
矢口は伝票を掴むと立ち上がった。
矢口が立ち上がったので、真希は慌てて身を隠した。そして、そんな自分に腹が立つ。
「なんで私が隠れてんのよ!」
- 121 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時08分23秒
- 矢口と高橋が店から出て来て立ち止まって話している会話が聞こえる場所にうまい具合に
真希は移動した。
「ホントにいいんですか? ご馳走様です」
高橋はお辞儀をしている。どうやら食事を奢ったらしい。
(ったく、お金ないくせに。カッコつけたがるんだから!)
「気にすんなって。誘ったのはおいらだし、高橋口説くのにこんくらいは大したコトないよ」
「そんな…」
しかし、高橋の顔は嬉しそうだ。
(またカッコつけてるし!)
「また一緒にメシでも食おーぜ!」
勿論、この言葉に下心など全くないのだが、真希にとっては怒りに更に火が点いてしまった。
(だったら、私を誘えよなっ!!)
そして追い打ちをかけるように
「もう遅いから、家まで送っていくよ」
暗い夜道を1人で帰すのは危ないと言う気持ちと責任から、ひとみと同じく自然に出た言葉だったが。
- 122 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-13- 投稿日:2002年01月22日(火)19時09分14秒
- 「そんな悪いからいいですよ。それより先輩は、ごっちん先輩のところに早く行ってください。
私は大丈夫ですから」
さすがの高橋も真希に悪いと思ったのか、断って来た。しかし矢口は
「ダメだよ。高橋に万一のコトがあったら…。ちゃんと送り届けてから行ったって大して
変わらないよ。ウチらのコトは心配するなよ」
そう言って矢口は高橋の肩に手を置いた。
(ムカッ! さっきから聞いてれば私より愛ちゃんの方が大事なの?何が『送っていくよ』だよ。
よっすぃーじゃないんだからカッコつけんなよっ!!)
真希は既に怒りの頂点に達していた。
矢口からしてみれば、カッコつけてる訳でもなく、ひとみと同様に当然の事をしている訳だが
何分タイミングが悪かった。そして、怒る真希が近くに居る事など知る由もない矢口は
高橋と共に肩を並べて高橋を送るため、駅向こうに歩き出していた。
2人の姿が完全に見えなくなると、真希は「やぐっつぁんのバカ!!」とぶつぶつ言いながら
自転車に乗って、家に帰ろうとペダルをかけたところで声をかけられた。
- 123 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月22日(火)19時10分59秒
- 結構今日はペンが進んだのですが、区切りの良いとこで切ります。
まぁ、呼び止めたのは誰なのか、100%バレバレだと思いますが(w
ホントは好きなんだけどな、なんかイヤなヤツにしてしまった。
>112さん
後藤が完全に切れてしまいましたが…。そうとも知らずに矢口は高橋と接近中。
>113 ももたろうさん
やぐの言葉を聞くのは、結構先になりそうです。いや書くシーンが多すぎなので(汗)。
>114 さるさる。さん
高橋は浮気と言うか、矢口の事も、かなり好きに…。
石吉は対照的にわざとバカ風にしてみました(w.
>115 むぁまぁさん
そうですね、前の吉澤に似てますね。前はチクられた訳じゃないですけど。
ただ石川は大人しい方でしたけど後藤は…。
>116 M.ANZAIさん
電話のシーンは、この後も出てきますけど。
ちょいといしよしはバカに、やぐたかは良い雰囲気に、やぐごまは険悪になりそうっす。
- 124 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月22日(火)20時32分52秒
- 一番乗り〜♪
ごまがめっちゃ女の子してて可愛い!!
嫉妬しまくり!!
ごまがせつないのはかなしーけどやぐたかもいいすね〜(^◇^)
また、更新楽しみにしてます。
仕事の疲れが吹っ飛びます!ほんまに!
- 125 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月23日(水)07時54分42秒
- あらららら 「やっちゃった」って感じでですね。
ごまの運命は如何に〜
- 126 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月23日(水)10時43分05秒
- 2人の様子を遠巻きに伺っているごっちんがイジラシイです。
しかしファミレスにいたもう1人が未だに分からないオイラって・・・
もう一度読み直さなきゃ。
- 127 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時25分50秒
- −14−
「後藤先パイッ!!」
真希は声の方に振り返った。見れば小川が店から出て来ていた。
まだ制服姿。練習が終わって今までいたのだろうか?
「小川ちゃん…」
「先輩、怖い顔して、どうかしたんですか?」
「…マジ? あはっ何でもないよ」
真希は無理矢理笑顔を作るが、それは引きつったものでしかなかった。
「後藤先輩、ムリしないで下さい。理由は何となく分かりますから」
「…?」
一体、何が分かると言うのか? ムリに笑顔を作ったものの苛立ちを隠せない真希は
そのまま帰ろうとした。
「私、ずっと店の中にいたんですけど。矢口部長に声かけにくかったんで…」
小川は語尾を濁した。真希は一瞬顔色を変えたが、
「私はたまたまこの辺通っただけだから。別に関係ないし」
明らかに分かる嘘を真希は平気で言って「じゃぁ」と言って再び自転車に乗ると去っていった。
後ろ姿を見送りながら、小川自身が実は一番驚いていた。
まさか、こんなにうまい具合(悪い具合?)に進むとは思ってもみなかったし
実際、矢口と高橋が、かなり仲良さげだった事も小川には驚きだった。
「このままじゃ、さすがにマズイな…」
小川が、そう呟いた時、帰ったハズの真希が戻ってきた。
「小川ちゃん、ちょっと話が聞きたい」
真希の顔は真剣そのものだった。
- 128 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時26分50秒
- 矢口と真希の仲がこじれ始めている事も知らず平和なバカップルが、カラオケボックスから
出てきた。
結局梨華は瞳を閉じたが、次に入っていた歌、またしても『恋人は心の応援団』のイントロが
流れ始め、すぐにマイクを渡されたのだった。
そして、その次はまた『ミスムン』で同じような事が役1時間繰り返されていた。
「楽しかったね〜。また来ようよ♪」
ひとみは上機嫌で梨華の肩に手を回しながら言った。
「そ、そうだね」
一応梨華は返事をしたものの、果たして、これが練習になったのかどうかは甚だ疑問に残っていた。
無論、ひとみと何回もブチュッとした事は嬉しいのだけれど―――。
「確かにレモンのような香りはしないよねぇ〜」
(ひとみちゃんのくちびる、ちょっとコーラの香りがした)
「梨華、なんか言った?」
ひとみは梨華の顔を覗き込みながら言う。
「べっつにぃ〜」
ひとみが、また顔を近づけて来たので、梨華は慌てて顔をそむけた。
やはり、梨華はひとみと違ってまだ人前では抵抗がある。
梨華が移した視線の先に、真希の姿が見えたような気がした。
「ごっちん?」
梨華が思わず呟くと、ひとみも同じ方向に視線を移した。しかし、ひとみには見えなかった。
「ごっちんが、こんなトコにいる訳ないよ」
「そうかなー。私の見間違いかな?」
そう言われると梨華も自信がない。
梨華は帰り際、真希の様子がいつもと少し違って見えたので、真希の事は気になっていたのだった。
- 129 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時27分40秒
- まだ梨華はチラチラと店の中を見ていたが、ふいにひとみの両手が梨華の頬を包みこまれ
そのまま顔をひとみの方に向けさせられた。
「梨華ちゃぁん。ヨシコを見てよぉー」
急にひとみは拗ねた声を出して来た。
「ちゃんと見てるよぉ」
梨華は宥めるように言いながらも、少しは真希の心配もして欲しいと思っていた。
取り越し苦労ならいいのだけれど―――。
「ひとみちゃん、もう帰ろっ。明日も学校、練習あるし」
梨華は言いながら、ひとみの手を下ろさせた。
「はぁーい」
ひとみは素直に言うと、梨華の自転車に乗った。
「ここからは一人で帰るからいいよ。ひとみちゃんもお疲れ! おやすみ」
「家まで送らせてよ。いつも通り。ね?」
ひとみをここで帰して、真希なのかを確認しようと思ったが、やはりムリなようだ。
どんなに遅くなろうとも、必ずひとみは家まで送り届けてくれる。
それは付き合い始めた頃から変わっていなかった。
「うん、そうだね」
梨華は諦めると、曖昧に微笑んだ。
- 130 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時29分02秒
- 矢口と高橋は、雑談をしながら歩いていたので、あっと言う間に家に着いてしまった。
元々、駅から歩いても5分とかからない所にある。
丁度、石川の家と逆方向になるようだった。
初めて高橋の家に行った矢口だったが、場所も分かりやすい場所にあった。
「今日は付き合わせちゃって悪かったな」
帰り際に矢口は言う。
「私の方こそ、ご馳走になったり、色々ありがとうございました」
高橋はペコリとお辞儀をした。
「いや、おいらの方が助かったよ。また明日な。おやすみ」
矢口は片手を挙げると元来た道を帰ろうとした。
―――本当はもう少し一緒にいたい………。
自然と高橋の心の中でわいた気持ちだった。
「矢口先輩!」
矢口は立ち止まり、ゆっくりと振り返る。
「なに?」
呼び止めたものの高橋は言葉が続かなかった。
「あっ。おやすみなさい」
高橋も小さく手を振る。
矢口はニコッとすると、何故だか横ピ〜スをして、もう一度「おやすみ!」と言って帰って行った。
- 131 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時30分43秒
- 高橋は矢口が見えなくなるまで後ろ姿を見つめていた。
―――矢口先輩の事、本気で好きになっちゃったカモ。
だからと言って真希がどうでもよくなった訳でもなく、真希も今までと同じ位好きであった。
一時期悩んでいた時、救ってくれたのが矢口だった。本来憎まれてもおかしくないのに逆に
励ましてくれた。きっとその頃からもう矢口に惹かれていたのだ。今さら言うまでもなく。
おかげで、高橋はまた真希と普通に接する事が出来るようになった。
いまだに自分の気持ちに気付かれていない事も最初は哀しかったが、今では逆に助かっている。
「ごっちん先輩を想って泣いた夜もあるのに」
高橋は自分で言って笑った。
- 132 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-14- 投稿日:2002年01月23日(水)19時31分48秒
- 矢口は角を曲がって高橋から見えなくなると、猛ダッシュで電話ボックスに駆け込み
テレカを差し込むと真希のNoを素早く押した。
―――が、電源は切ってあるらしく、留守電サービスもご丁寧に解除されていたのだった。
「ちっくしょ!」
矢口は乱暴に受話器を戻すと、戻ってくるテレカをいらいらしながら引っこ抜いて
真希の家へと駈けだしていった。
何としてでも誤解は解かないといけない―――。
しかし矢口は走りながら、すぐに誤解が解けるとは到底思っていなかった。
ここしばらく平穏に過ごしていたが、小川が自分のファンだと言う事を黙っていただけでも
部活の練習最中に怒鳴り込みに来たくらいだから、真希の嫉妬深さは矢口自身が身にしみて
分かっている。確かに言葉を濁したのは、自分が悪かったと思っている。
それにしても、どうして真希は図書室の事を知っていたのだろう?
安倍は噂好きのオバチャン的な所があるが、それを彼女の真希に言う程、性格はひねていない筈だ。
それに話が広がるのが早すぎる。
他にも誰かに見られていた?
そうとしか考えられない。たまたま見た生徒が面白がって真希に告げ口したのだろう。
一難去って、また一難。
矢口はこれからの事を考えると、また頭が痛くなりそうだった。
- 133 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月23日(水)19時37分14秒
- おがごまシーン次も続きます。結構今書いてる所はツラいかも。
こうやって1日のシーンが長いから、なかなか日数が経たないのですね(泣)。
バカップル書いて気を紛らわせてます。
>124 ももたろうさん
ゴマ可愛いっすか? 自分は、こんな先輩いたらいいな〜って思って矢口書いてますが。
こんな小説でも楽しみにしていただけて嬉しいです。
>125 むぁまぁさん
はい、やっちゃいました(w.
>126 M.ANZAIさん
読み直しても分からないと思われ。ってもう犯人登場してますが。
- 134 名前:アーカス 投稿日:2002年01月23日(水)19時57分24秒
- ここへ来ての亀裂はそうとう深くて辛いですね。
でもいしよしシーンを読んでると、やはり頬が緩みます。(w
- 135 名前:Nami 投稿日:2002年01月24日(木)02時22分03秒
- やっぱり小川だった♪ (w
んー、横ピースで『おやすみ!』っていいなぁ。
ちょっと高橋に嫉妬♪ (w
- 136 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月24日(木)12時13分03秒
- うわっ、小川だったのか・・・
こーんな重要な役を彼女に持たせる作者さんの彼女への入れ込みようが(略
家まで送って立ち去っていく先輩がカッコイイ〜♪
- 137 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月24日(木)12時38分09秒
- むぅ
二人の愛の行方は如何に...
- 138 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-15- 投稿日:2002年01月24日(木)20時03分43秒
- −15−
小川は再び真希と共にファミレスに入っていた。
これで今日は何杯目のコーヒーだろう? なんて苦笑いしながらまた口をつける。
小川は真希に問われるまま、自分の見た事を多少脚色して答えていた。
「じゃぁ会話の中身までは聞こえてこなかったんだ」
真希は落胆した顔を隠せないでいた。
「私だって盗み聞きは良くないと思いますし、それにちょっと離れてましたからね。
とにかく声をかけようにも何となくかけづらかったんですよ」
元から声などかけるつもりはなかったのに、小川は平気で嘘をついた。
「珍しいね。小川ちゃんって、そういうの気にしない人だと思ってた。結構ハッキリもの言うしさ」
逆にそれが真希にとって不安要素になった。
小川さえも、声がかけられない状況って ―――。
自分の最後の方は覗き見をしていた訳だから、小川の言った事が、あながち間違ってもいないと思う。
自分ですら、贔屓目なくしても、仲良げに見えたのは確かだった。
「後藤先輩に、こういうコト言うのもナンですけど…。高橋先輩って矢口部長のコト
好きなんですかねぇ。なんか、そうとしか思えないですよ」
自分も思っていた事を小川に言われて真希は思わずむせてしまった。
「…げほっ…っ!!」
「大丈夫ですか?」
(後藤先輩、分かりやすすぎ。そんなトコも好きですけど)
小川は心配そうに真希に声をかけながら、心の中ではそんなコトを思っていた。
- 139 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-15- 投稿日:2002年01月24日(木)20時05分45秒
- 「ごめんね」
真希はおしぼりでテーブルを拭きながら、ぼんやりと言った。
「愛ちゃん、やっぱ、やぐっつぁんのコト…好きなんかな」
それ以前に小川は本当に真希は高橋が自分を好きな事に全く気付いていない事に更に驚く。
―――自分に鈍感なところも、好きなんですよ。後藤先輩?
「やっぱって、思い当たる節でもあるんですか?」
小川はわざと訊いてみた。
「え? 別に…。何となく思っただけ」
真希は誤魔化す。下駄箱に置かれたメモの事には触れたくなかった。
あんな悪質な悪戯…。気にする自分にも腹が立つが書く方も書く方だ。
実のところ、全く外れていなかったと言うオチだから、尚更悪い。
真希の顔が再び眉間に皺が寄り険しい表情になっていった。
「後藤先輩! また怖い顔になってますよ」
「あぁ…ゴメンね」
「私は後藤先輩の笑顔が大好きですから。そんな顔しないで下さい」
そうするようにしたのは自分なのに、確信犯だなぁなんて思いながら小川は真希を励ました。
「アリガト。小川ちゃん」
「後藤先輩。こういう時に言うのは何ですけど。私のコトも少しは見てくれませんか?」
「ん?」
「私が後藤先輩好きなのって、結構冗談に取られてるっぽいですけど、私だって先輩のコト
好きなんですよ」
真希はどう答えていいか分からず、微笑を浮かべた。
- 140 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-15- 投稿日:2002年01月24日(木)20時07分43秒
- 「やっぱり、矢口部長のコトが好きだったのに、後藤先輩に乗り換えたのが原因ですか?」
「そんなの関係ないよ」
急に小川が真面目な口調で告白し出したので、真希は焦り始めた。
「小川ちゃんの気持ちは嬉しいけどさ。今はそういうの考えらんないし、私はやぐっつぁん
しか頭にないから…」
「それは分かってます。だったら、先輩も矢口部長のコト信じてあげて下さいよ。
何があったか知りませんけど、後藤先輩が信じなくてどうするんですか!」
いつの間にか真希は小川に説教されていた。
「信じるって言ったって、やぐっつぁん私に嘘ついたもん。どう信じろって言うのよ。
何もやましいコトなかったら、ちゃんと言うでしょ?」
真希が強い口調で言うので、小川は口を噤んだ。
図書室の事を言っているのだろう。やはり、言ったんだ。それで口げんかになって?
「そ、それでも部長の言い分もちゃんと聞いた上で…。お互い判断した方がいいですよ」
「そんなコト、言われなくたって分かってるわよ!」
真希に即行で返されて、小川は小さく「はい。すみません」と謝った。
それに気付いた真希も、すぐに謝ってきた。
「ゴメン。小川ちゃん何も悪くないのに」
「いえ、言い過ぎましたね。何も分かってないのに…」
(悪いのは私なんですよ。まさか、こんなコトになるなんて…)
「もう私帰りますね」
バツが悪くなった小川は伝票を掴むと席を立った。
「あ、それ私が払うよ…」
別に矢口の真似をした訳ではないが、真希は小川に当たった事もあり自然に口に出していた。
- 141 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月24日(木)20時14分11秒
- ちょいと明日以降の更新は微妙と思われ。全く書いてないので。
モー。たい見ながら他の小説打ち込んでました。はぁ。
>134 アーカスさん
あんまり考えてないので、深いけどでもなんとかなるように考えます(苦笑)。
温泉旅行も、どうなるんでしょうね??? その前に学園祭の危機!?
>135 Namiさん
分かりやすかったですか?(w
高橋は幸せ気分ですけど、矢口はこの後、モー。たいへんでした状態に。
>136 M.ANZAIさん
別に小川に入れ込むつもりはないんですけどね。ここの話だったら高橋が一番好きですし。
本体の娘。と小説の娘。押しが必ずしも一致しないんです私(苦笑)。
まぁ言わなくても石吉は、一致していますけどね。
>137 むぁまぁさん
後藤が切れてしまうと…大変なんです…ね。
- 142 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月24日(木)22時21分02秒
- 小川がものすごい確信犯ですね。うかうかしてると主役が食われてしまう・・・
やっぱりごっちんの怒りの矛先は矢口に向うんでしょうね。恐そう〜
- 143 名前:Nami 投稿日:2002年01月25日(金)00時23分43秒
- モー。たいへんでした状態。。。
や、やぐっちゃん頑張れ (泣)
- 144 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-16- 投稿日:2002年01月25日(金)19時45分35秒
- −16−
矢口は、いざ真希の家の前に着いたものの、どうしようかと迷っていた。
いくら親しくしているとはいえ、夜も10時を過ぎていればインターフォンを押す事が躊躇われた。
それでも矢口は、今日どうしても真希に会わなくてはいけないと思い、非常識ながらも思い切って
インターフォンを押した。
暫くすると面倒臭そうに男の声がした。
『ハイ…』
多分弟のユウキだろう。矢口はかしこまって言う。
「夜分遅くすみません。矢口ですけど…。ごっ…真希さんは………」
インターフォン越しのユウキは笑っている。
『矢口さん、そんなかしこまんなくっていいって。今、開けっから』
風呂上がりなのか、首にタオルをかけて弟のユウキが出てきた。
ほんと、後藤にソックリだよなぁ。と思いながら矢口は首を長くして玄関の中を見ていた。
「姉キなら、結構前に出てったよ。当然矢口さんに会いに行ったと思ってたのに。違うんだ」
よく見れば真希の自転車が無かった。
丁度、矢口が真希と電話して少し経ってから出ていったらしい。
―――後藤、もしかして、来た?
イヤな予感がして矢口はユウキに「ありがとう」と言うと、また駈けだして行った。
「どこにいんだよっ。後藤のヤツ!!」
矢口は一旦家に戻ると、自転車に乗って駅前のファミレスまで、また吹っ飛ばして行った。
- 145 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-16- 投稿日:2002年01月25日(金)19時47分07秒
- ひとみは梨華を家まで送り届けていた。
送ってくれるのは嬉しいけれど、長く一緒にいるほど別れ際は寂しくなるわけで…。
今日も梨華は例外ではなかった。だからと言って自分の我が儘でひとみを家にあげてしまえば
ますます別れるときが寂しい。だから敢えて梨華は自分から誘うような事は言わなかった。
ひとみも、梨華に気遣っているのか「寄っていく」とは言わなかった。
「梨華、今日は付き合ってくれてありがとう。本当はもっと一緒にいたいけど遅くなるし
梨華も疲れてるだろうから今日は帰るよ」
さっきのハイテンションは何処へやら、いつもの紳士的なひとみに戻っていた。
そして梨華をギュッと抱きしめると額に、そっとおやすみのキスをした。
「おやすみ」
「うん。また明日ね、ひとみちゃん」
梨華は小さく手を振る。ひとみは逆に大袈裟に大きく手を振ってみせた。
クスッと笑う梨華に、ひとみはVサインをするともう1度手を振った。
―――別れ際は、湿っぽくなく明るくね。
それがひとみのモットーだった。
- 146 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-16- 投稿日:2002年01月25日(金)19時54分40秒
- ファミレスから出て来ると、小川はバツが悪いのか、そこで真希と別れるつもりだった。
結局真希にご馳走になってしまい、小川としても自分のした事に対し良心が痛んでいた。
「すみません。却ってなんか、ご馳走になっちゃって…」
「私の方こそゴメンね。話、聞けて良かったよ」
何も知らない真希は、本当に悪いと言う顔をしていた。
「それじゃぁ失礼します。おやすみなさい」
小川は頭を下げるが、真希に腕を掴まれてしまった。ビクッとして小川は顔を上げ真希を見つめた。
真希はさっきとは打って変わって優しい目をしていた。
「遅いから、家まで送っていこうか」
「―――?」
予想しなかった言葉に小川は一瞬言葉が出なかった。
「私が言うとヘンかな? やっぱ、このセリフってよっすぃーとかやぐっつぁんのみ有効?」
真希はそう言って苦笑いする。
「そんなんじゃないですけど…。意外って言うか…。いや、ヘンな意味じゃなくて…。
後藤先輩も優しいですね」
小川は純粋に嬉しくて、照れるように笑った。
「小川ちゃん、そうやって普通に笑う方がカワイイよ」
真希が冗談ではなく真顔で言うから、小川はなんて返事をしたら良いか迷ってしまう。
- 147 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-16- 投稿日:2002年01月25日(金)20時00分32秒
- そして、真希に優しくされると、さすがの小川も更に良心が痛んでくる…。
こんな姑息な真似をしなくても充分真希とも仲良くなれるチャンスは幾らでもあったのだと
今さらながらに思うのだった。
黙っている小川に真希は勘違いしたのか、
「私が言ってもダメだよねっ。でもマジで思ったから…。でもさ、誰にでも優しいってのは、
良いんだか、悪いんだか………」
真希は独り言のように言うと、小川のカバンを前のカゴに入れた。
「後ろに乗りなよ。その方が良いでしょ」
「2人乗りですか?」
小川が当たり前の事を真剣に訊くから、真希は笑い出してしまう。
「私と小川ちゃん以外に誰がいる?」
「そ、そんなに笑わなくたっていいじゃないですかぁー」
小川は真っ赤になりながら口を尖らせて言った。
「小川ちゃんって案外面白いね」
真希はまだ笑っている。小川は普通に訊いただけなのに真希にはツボに入ったらしかった。
「じゃぁ遠慮しないで…。失礼しまっす!」
小川は自転車の後ろに横向きに座った。腰に手を回そうか躊躇っていると「ほらぁ」と言って
真希に自ら手を腰に持っていかれた。
「ちゃんと掴まってないと、落っこちるよ」
「…う、運転乱暴ですか?」
小川は恐る恐る訊く。
「失礼なっ。私は安全運転だよ〜。まぁ、人を選ぶけどねっ」
「え?」
「なんでないっ。じゃぁ行くよー。方向はこっちでいいの?」
「ハイ」
「んじゃ、あとはナヴィゲーター宜しく!」
真希は小川を乗せると勢い良くペダルを踏んだ。
- 148 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月25日(金)20時06分22秒
- ここで区切ります。何も知らない後藤は小川にも優しいのでした。
と言うか、良い人すぎなのかなぁ私が描くキャラクターは…。
でも、後藤は矢口には厳しく当たります。多分きっと…。
>142 M.ANZAIさん
元々小川は策士的でしたからねぇ。でもなんか可哀相になってきました。
この落とし前、どうしましょう?(w
矢後シーンは、もう少し先になります。引っ張ってる訳ではないんですが。
>143 Namiさん
矢口、ホントに大変(苦笑)。それにしても一体矢口は何人の人に会ってるんだか(w.
- 149 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月26日(土)00時50分26秒
- きっと、矢口のことには何でも本気になってしまうごっちんだから、怒る時も本気なんでしょうね。
本気でぶつかり合える2人ならきっと・・・
- 150 名前:Nami 投稿日:2002年01月26日(土)01時02分53秒
- >後藤は矢口に厳しく当たります。多分きっと。
ごっちん、ほどほどにお願いします (泣)
それにしても。。
後小の会話シーンから、小川が気になって (w
実はそんなに悪い子では無かったのね♪ってカンジで (w
- 151 名前:インターフェロン 投稿日:2002年01月26日(土)17時25分37秒
- あああ久々に来たらとんでもないことに!!!
いやぁ、半泥沼化ですね(w
時々放置されるいしよし、本当にバ(略
そういえばレス38での『名前を間違え』られた…って何でしょう?
素でわかりません(w
見る限りでは間違えられてませんが…?
- 152 名前:インターフェロン 投稿日:2002年01月26日(土)17時26分30秒
- ぎゃぁぁまたageました!!!
急いでて気付かなかったもので…うううごめんなさい(泣
- 153 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月26日(土)23時20分25秒
- 3日間パソコン壊れてました。
でもネットカフェで見てたのだぁ〜
以前はageてしまってほんとうにすみませんでした。
ごまの怒り狂う姿とやぐのモーたいへんな姿を
想像すると・・・よだれが・・・。
- 154 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-17- 投稿日:2002年01月27日(日)14時03分35秒
- −17−
そして数分して矢口は、さっきまで高橋といたファミレスに戻ってきていた。
当然いないだろうとダメもとで再び店内を見渡すが、やはりいなかった。
「くそっ。やっぱりいないか」
矢口は諦めて真希の家の前で待とうと再び真希の家へ戻ろうとした。
「長い1日だぜ。まったく…」
矢口は吐き捨てるように言って、また自転車に乗った。
途中、缶ジュースを買おうと公園前の自販機に立ち寄った。
そう言えば、この公園は真希と初めてキスした場所でもある。
丁度1年前ぐらいか。懐かしいな。
矢口はこうこうと光る自販機に凭れるとジュースを一気に飲んだ。
さっきから走ったり自転車に乗ったりと喉が乾いていたから、気持ちが良かった。
こういう大事な時期に真希と問題を起こすのは、またダンス部内にも影響が出てしまう。
最悪、真希がやっぱり出ないなんて言いかねない。
謝ったところで、すぐに機嫌が直るとも思えない。それ以前に矢口は謝る気もなかった。
「アレは事故なんだ。やましいコトなんかしてねーよっ」
「どこにいんだよっ。くそったれ!」「いちいちそんなんで怒ってんじゃねーよっ!」
「もっとおいらを信じろよっ!」
強気に口に出して言ってみるものの真希の前で言えるかどうか…。しまいには
「ごっつぁーん。話聞いてくれよぉー」「おいらは後藤だけなんだからよ〜」
泣き言に変わっていた。
- 155 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-17- 投稿日:2002年01月27日(日)14時05分15秒
- 「矢口先輩? ヤバイですよ? どーしたんスか?」
自販機の前でうずくまってる矢口を通りかかったひとみが見つけて声をかけてきた。
ヤバイって何だよ? いきなりそれはないだろ? と思ったが口にはせず声の方に顔を上げる。
「なんだ吉澤か…」
「酔ってんのかと思いましたよ。矢口先輩も今まで飯田さんとかと一緒だったんスか?」
ひとみが、のほほんと聞いてくる。
「飯田ぁ〜? とっくに別れてるよ」
飯田、安倍と会った事など、遠い昔のように思えた。
「じゃぁ、どうしてここに?」
「それはこっちが聞きてぇよ! 後藤のヤツ……」
「ごっちん? ごっちんが、どうかしたんスか?」
ひとみも自販機でジュースを買うと矢口の隣りに来てしゃがみ込んだ。
「どうにもこうにも…」
矢口は簡単に経緯をひとみに話した。ひとみは黙って聞いていたが、
「それは、矢口先輩が悪いっすよ」
「えぇ――? そうかなぁ…」
そう言われると矢口も、やっぱりそうか とも思う。
「でも、誰がごっちんにチクッたんすかねぇ。…そう言えば…」
ひとみは帰り際、真希の様子がおかしいのを思い出していた。
「どうかした?」
「ごっちん、帰る時、なんか様子おかしくて。疲れてるんだろうなんて特に気にしないで
たんですけど。やっぱり、そうなのかなぁ」
「やっぱりってなんだよ?」
「梨華と食事してから、カラオケしてたんですけどね」
- 156 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-17- 投稿日:2002年01月27日(日)14時18分45秒
- (ったく、おいらは大変な思いしてるってのに、お前らはよっ!)
ここでひとみを怒っても仕方ないので、矢口はキリキリしながらもひとみの話を聞いていた。
「それでっ?」
「出たところで、イチャイチャしてたら…」
「イチャイチャぁ? もぅお前らの話はいいから、話進めろよっ!」
結局怒ってしまう矢口だった。
「梨華が、『ごっちん?』って言うんですよ。ファミレスの方見て」
「ファミレス?」
真希は誰かと会っていた?
「それって何時頃の話だよっ!」
矢口は無意識にひとみの胸座を掴んでいた。
「く、苦しいですよぉ。落ち着いて下さいよ!!」
さすがのひとみも大声を出した。
「あぁ、ゴメンな」
矢口は慌ててひとみから手を離した。ひとみの話を聞く限りでは、矢口は高橋ととっくに
帰った時間であった。と言う事は、その後に真希は誰かと一緒にファミレスに入ったと
言う事になる。
「でも、ごっちんかどうか分かりませんよ。私は少なくとも確認出来なかったし」
「石川はちゃんと見たんだろ? だったら石川を信じる」
自分より梨華を信じる矢口に、ちょっと不満に思いながらも仕方ないかと思いひとみは
「まぁごっちんに聞けば済むコトじゃないっすか」
と、制服を直しながら言った。
- 157 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-17- 投稿日:2002年01月27日(日)14時19分37秒
- そこへ噂の本人、真希が通り過ぎようとする。2人の話し声に真希は気付いたが、一瞥すると
そのまま行こうとした。すかさず、ひとみが呼び止める。
「ごっちーん! 矢口先輩が話しあるって」
その声に、真希は自転車を止めると、こちらを見た。
ひとみは立ち上がると「じゃぁ部外者は消えますから、お2人でどうぞ」と言って自分は
立ち去ろうとする。が、矢口がひとみの腕を掴む。
「おいおい。帰るのかよっ!」
「だって、私は関係ないじゃないですか。第三者が入るとややこしくなりますしね。
じゃ、あとは宜しく」
ひとみは矢口に肩を置くと耳元で「健闘祈りますよ」なんて囁いて笑って帰ってしまった。
(くそっ。吉澤のヤツ!!)
しかし、ここでひとみに文句を言っても仕方がない。
矢口は男らしく(?)諦めると、自分も立ち上がって真希の方に近づいていった。
明らかに真希は顔が怒っている。目は笑っていない。
(はぁ―。こういうの苦手なんだよなぁ。)
矢口は泣きそうになりながら真希に話しかけた。
- 158 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月27日(日)14時24分08秒
- 次は矢口VS後藤。まだ考えていなかったり。
しかし学祭の前に話を膨らませたら既に158も使ってしまった。
この第4部で完結させたかったけどムリかも知れません。
>149 M.ANZAIさん
矢口もキレやすいので、どうですかねぇ。とか。
>150 Namiさん
後藤の方が矢口より強いイメージあるんで(苦笑)。
小川も悪い子じゃないっす。はぃ。
>151.152 インターフェロンさん
いしよしはバ(略 ですので(w。
えーと名前の件、フォロンと書いてしまいました。ごめんなさい!
適度にageてくれていいです(爆)。それを予測して自分はsage更新してるし(笑)。
>153 ももたろうさん
わざわざネットカフェで…。ありがとうございます。
ageかsageは気にしないで平気です。
> ごまの怒り狂う姿とやぐのモーたいへんな姿を想像すると・・・よだれが・・・。
よだれって、もしかして楽しんでますか?(可哀相な矢口…)
やぐごまと言えば「愛車ローンで」のカラオケのもありますね♪
いしよしに気を取られてましたが、この前ひさぶりに見て発見しました。
- 159 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月27日(日)14時31分13秒
- リアルタイムバンザーイ
えへへ・・・ケンカするってことは仲が良いってことじゃないッスかぁ〜
やぐごまが現実でももっと絡んで欲しいっス!!
やぐVSごま。勝つのはどっちだ〜!!
- 160 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月27日(日)14時40分21秒
- この2人ってあんまり言い合いしないで口もきかずに睨み合うか、
逆に全く無視し合うって感じなんですけど、どうでしょう〜?
そんな2人の関係修復には、はたして・・・?
- 161 名前:名無し男 投稿日:2002年01月28日(月)02時14分53秒
- 矢口 対 後藤
題:『戦車ローンで』
お粗末。
- 162 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月28日(月)08時29分10秒
- いよいよ次回対決?するのかぁ
どうなるのかなぁ?
- 163 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-18- 投稿日:2002年01月28日(月)20時07分33秒
- −18−
「あ、あ、あ、あのさ〜」
いかん! 既に声が裏返っている。焦る矢口に真希は冷たい眼差しを向けた。
「なによ? 私は別に話すコトないんだけど…」
(ヤバイよー。完璧に怒ってるよ、ごっつぁん。ひぃ、さすがの矢口もこえーよ!)
しかし、そんな事を言っている場合ではなかった。誤解を解かなければいけない。
「取りあえずさ、自転車から降りてくれよ。おいらの話を聞いてくれ」
矢口は真希の自転車のハンドルを掴んだ。
「ちょっと何すんのよ! 寒いしもう遅いから帰る。明日にしてよ!」
完全に聞く耳を持たない真希に、矢口は必死になって頼んだ。
「そんなに長い時間かからないからさ。お願い!」
それでも渋々真希は自転車から降りた。
(矢口先輩って、やっぱりごっちんに頭上がんないんだぁ…)
帰ったハズのひとみは、こっそり隠れて2人の様子を見ているわけだが―――。
真希も気が強い所があるから、今回の件は一筋縄では行かなさそうだ。
でも、ここで2人に亀裂が生じると、それはダンス部にも関わってくる事で、そのヘンは
真希はどう考えているのだろう? ひとみみたいに放棄する程、子どもでもないと思うが、
その辺は微妙だった。
- 164 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-18- 投稿日:2002年01月28日(月)20時08分57秒
- 「言い訳だったら聞きたくないよ。それが事実なら、どうしてちゃんと言わないわけ?」
冷たく言い放つ真希だが、表情は哀しげだった。
「あれは、不可抗力だったんだよ。高橋が脚立から落ちて来て、おいらと一緒に倒れたんだよ。
やましいコトなんかしてないんだ。信じてくれよ」
おろおろしながら言う矢口は、既に泣きそうな顔になっている。
「言い訳ならいいって言ったでしょ。それに電話切った後、なんですぐかけ直して来ないのよ!
それに、家にも来ないしさ。結局愛ちゃんの方が大事なんじゃんか!」
「別にそういう訳じゃないけど…」
矢口は完全に真希に言い負かされていた。さすがのひとみも矢口が気の毒になる。
しかし、ここで出て来ては、また真希が逆ギレしても困るので、ひとみは固唾を呑んで
見守っていた。
「安心して。学園祭には出てあげるから。私はよっすぃーみたく子どもじゃないしね」
そんなトコで私を引き合いに出さなくても とひとみは思ったが、その瞬間、今度は矢口が
切れたらしい。
「出てあげるって何だよ! その言いぐさは!」
「読んで字の如しだよ! そっちから頼んで来たクセにさ!」
もうこうなると痴話喧嘩と言うかイタチごっこだ。
- 165 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-18- 投稿日:2002年01月28日(月)20時10分19秒
- たまりかねて、ひとみが割って入って来た。
「2人ともやめなよ〜〜〜!!!」
「吉澤、お前はすっこんでろ!」
「よっすぃー、まだいたんだ。どうせよっすぃーは、やぐっつぁんに言いくるめられて
やぐっつぁんの味方なんでしょ! いいわよ、どうせ! フン!」
真希の憎まれ口に、ひとみはショックを受けながら、ここは何としてでも仲裁に入らないと
いけないと思っていた。
「だから落ち着いてよ。2人とも!! ごっちんも、そんな頭ごなしに怒らないで、
矢口先輩の話を聞いてあげてよ」
真希は、ホラやっぱり と言う顔でひとみを見返す。
「結局、私に会う前にやぐっつぁんと私の悪口でも言ってたんでしょ?」
その瞬間、―バシッ!―と乾いた音が夜空に届くかのように響いた。
「いい加減にしろよ!!」
ひとみは目が点になっていた。
(もしかして、今のって平手打ち???)
初めて見たものだから、ひとみは固まっていた。
真希も咄嗟に手を頬に押さえたが、次の瞬間真希も無意識に手をあげていた。
―バシッ!―
「何すんのよ!! 上等だよ!」
(ひぇ〜。ごっちんもマジだよ…)
普通は一方が叩かれると、もう一方は落ち込んだりするものだが、ここの2人は
逆に火が点いてしまうようだ。
矢口も、叩かれるとは思ってもいなかったらしく、矢口の方はショックを受けているようだった。
頬に手を当てたまま、固まっている。
「後藤………」
真希はハッとすると手を下ろして「やぐっつぁんなんか大っキライ!!」と言い残して
自転車で走り去っていった。
- 166 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月28日(月)20時17分16秒
- かなり険悪になってしまいました。ホントはこういう展開になるハズじゃ
なかったのですが、手が勝手に動いて、気付いたら二人とも手をあげてました(汗)。
>159 ももたろうさん
この喧嘩が仲が良いと取れるのか、どうか…。微妙―――。
>160 M.ANZAIさん
それはフジのX'mas特番のせいでは?
結構私のイメージだとやり合う方が似合いそうです。
>161 名無し男さん
>題:『戦車ローンで』
また笑ってしまいました。何がローンなのか分かりませんが(w
>162 むぁまぁさん
まだ勝敗は・・・。
- 167 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月28日(月)22時05分03秒
- あわわわ 想像していたよりもえらいことになってるぅ!
あわわわわ どうなる?どうなる?やぐごまーーー
別れちゃ(略
で、でも続きが楽しみなのに怖い・・・
- 168 名前:ゴミ虫 投稿日:2002年01月29日(火)00時54分37秒
- ごまかわいそ〜
そういやごまは昔テレビで結構泣いてたな〜(カンケーなくてスマソ)
しかし旦那ってことは作者さん女性!?
しかも既婚!?
- 169 名前:名無し男 投稿日:2002年01月29日(火)02時54分32秒
- ウオー!!
後藤いてまえ〜!!
いや、まちごた(w
早よ止めんかゴルァ!!!!
誰か助けたって〜!!
- 170 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年01月29日(火)02時58分05秒
- うわっ、思いっきり真正面からいっちゃったよ。
どーすんすか、簡単にはおさまんないっすよ、この展開…
- 171 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月29日(火)11時28分49秒
- むぅ
やぐごまはこうなるのね
- 172 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-19- 投稿日:2002年01月29日(火)19時15分57秒
- −19−
矢口は、呆然としていたが、すぐに我に返ると自分も自転車に乗り真希の後を追いかけた。
「ああ、あの先パ〜イ!!」
ひとみは一人残され「はぁ〜」と溜息をついていた。
真希は泣きながら必死にペダルを漕いでいた。
「やぐっつぁんなんか、大嫌い!! 大嫌い!! 大っ嫌いだぁ〜!」
矢口も必死で真希の後を追う。
今頃になって叩かれた頬がジンジンと熱を帯びてきた。頬に当たる夜風がそれでも冷たかった。
矢口は、すぐに真希に追いつく。
「後藤〜〜〜〜!!!!!!!」
矢口は力の限り叫び、すぐに併走した。
「待てよ!!」
しかし、真希は矢口の方は見ないで更にスピードをあげようとした。
「うるさいっ!」
「止まれって!」
矢口は強行手段に出る。危ないと思いつつ、真希のハンドルを掴もうとしたが、すぐに
真希に交わされてしまう。ムカついた真希は矢口の自転車の横を足で蹴った。
大して力を入れたつもりはなかったのだが、矢口はバランスを崩して自転車もろとも転倒
してしまった。
- 173 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-19- 投稿日:2002年01月29日(火)19時16分55秒
- 「う゛……」
矢口は呻いた声を出すと、その場に倒れ込んだ。
さすがの真希もビックリして、慌てて自分も自転車から降りて矢口の傍に駆け寄り抱き起こす。
「やぐっつぁん?」
「ったく、ハデに蹴りやがって…」
矢口は頭を押さえた。
「だ、大丈夫?」
心配そうに矢口を覗き込む真希に、矢口はうっすらと笑った。
「…後藤。お前こそ大丈夫なのか?」
自分が倒れたクセに真希の心配をする矢口に真希は苦笑いしてしまう。
「大丈夫だよ」
「……それならいいけど」
(あれ? おかしい。意識が……)
矢口は喋りながら、視界がぼやけていくのが分かった。
真希はすぐに矢口の様子がおかしいのに気付いた。
「やぐっつぁん??」
「………おいらは、なんと言われようとも後藤が一番好きだから(ガクッ)」
矢口はそのまま意識を失ってしまった。
「やぐっつぁん??? ちょっと冗談やめてよ? やぐっつぁぁ〜〜ん!」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
矢口はそのまま救急車に運ばれて行った。こうして、矢口の長い1日は幕を閉じた―――。
- 174 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時20分14秒
- −20−
そのまま矢口は半日入院する事になる。医者の話では軽い脳震盪を起こしているとの事だった。
命に別状はなかったが、真希は心配で自分にも責任を感じていたから矢口の傍にずっと付き添
っていた。
(私が、やぐっつぁんのコト、突き飛ばしたりしたから…)
眠っている矢口の手を真希はギュッと握りしめた。
翌日―――。
矢口が入院した話はあっと言う間に学園内に広まっていた。
小川がその話を耳にしたのは、紺野からだった。
「まこっちゃん知ってる? 矢口部長、救急車で運ばれたんだってよ」
紺野が、顔を曇らせて言う。
「え?」
小川はギョッとして紺野を見つめた。
「どうして?」
小川はムキになって聞き返していた。
「なんか自転車で転倒して頭打ったんだって。それで意識失って救急車で運ばれたらしいよ」
「なんで転んだりするの?」
「それがさ〜…」
紺野が急に声を潜めて小川に耳打ちをした。
「吉澤先輩から聞いたんだけど…、後藤先輩と口論になって、それでなんか色々あった
直後の話みたい」
紺野は小川から離れると
「怖いよね〜。でもあの2人って仲良く見えたけどね。分からないもんだね」
小川は既に紺野の話は入っていなく顔が青ざめていた。
(私のせいだ。きっと……。どうしよう―――)
「あれ? まこっちゃん? 顔色悪いよ? どうしたの? 後藤先輩ならケガはないみたいだって」
「なんでもないよ」
小川はそれだけ言うのが精一杯だった。
- 175 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時21分52秒
- 小川は早退をして、どこから聞きつけたのか矢口が入院している病院に来ていた。
矢口の病室に入ると、真希はいなかった。
「小川?」
矢口は意外な声をあげた。小川は矢口から見れば、ただの部の後輩に過ぎない。
わざわざ見舞いに来る程の仲でもなかった。まして学校を早退してまで。
それに、矢口は入院と言っても昼には退院するし、大けがをした訳でもなかった。
小川は軽く一礼をすると
「後藤先輩は?」
と聞いてきた。
「今、一旦家に帰ってるよ。もうすぐ戻ってくると思うけど。それより、なんでお前が来るんだ?」
「あの…。今回の件は、私が原因かと思って…謝りに来ました」
小川は全てを話そうとしていた。
「小川、最後に後藤と会ったんだろ? 話は聞いてるよ」
「私が余計なコトしたばっかりに、こんなコトになっちゃって…」
小川は俯きながら、目には涙が溢れそうになっている。
矢口は真希からメモの話を聞いていて何となく察しはついていた。疑うような事はしたくないが、
話をトータルすると、浮上してくる人物は1人しかいなかったからだ。
「小川。後藤には何も言うなよ」
「え?」
小川は顔を上げた。
「これ以上、もめ事起こしたくないしな。今回の件だけで充分だよ。
お前もつまらない小細工とかしないで練習に励めよ。おいらが言ってるコト分かるよな?」
小川は矢口を驚いた表情で見つめていた。
(知ってたんだ、矢口部長…)
- 176 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時23分08秒
- 「でも…」
「分かったな? この話はお終いだ。お前も学校戻れよ。こんなコトで早退してくんな!
それにウチらは大丈夫だから。かなりハデに喧嘩したけど平気だから」
「矢口部長……」
「んな辛気くさい顔すんなよ! おいらも明日から学校行くからよ」
安心させるように言うと、矢口は笑った。
決して責めるでもなく、口は悪いけれど、言葉の中に優しさがある。
小川は胸が熱くなった。
「ありがとうございます…」
小川は深々とお辞儀をした。目には涙が伝っていた。
小川が学校に戻ろうとすると、入れ違いに制服姿の真希が戻って来るところだった。
「小川ちゃん? どうしたの?」
真希も意外に思ったのだろう。声をかけてきた。
「後藤先輩。心配で来てしまいました。何ともなくて良かったです。
…矢口部長って、やっぱり素敵ですね。私、やっぱり部長のファンに戻ろうと思います♪
じゃぁ、失礼します!」
小川はそれだけ言うと、軽やかに病室を後にした。
「やぐっつぁん?!」
真希の厳しい声を背中に、小川はフフッと笑っていた。
- 177 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時24分28秒
- 昼休み―――。
いつものように、ひとみは梨華と昼食を取っていた。今日ばかりは、いつものように
「あ〜ん」と食べる気分にもならず、おのおの食べていた。
「ひとみちゃんも大変だったね」
「ごっちん。パニクッちゃっててさ、私も来た時は、矢口先輩が気絶してるからビックリしたよ。
今日は半日入院するらしいよ。大したコトないらしいけどね」
ひとみもその後の現場に居合わせた1人だった。
ひとみが来た時には真希は半狂乱のように矢口の名前を叫んでいた。
救急車を呼んだのもひとみだった。その後、ひとみは病院には残らずに帰ったのだが。
「なんだかダンス部も大変なコトになっちゃったね。大丈夫かな」
梨華も弱気になる。部長が倒れたとなれば、ダンス部の安否も気になるのは当然だろう。
「…そうだね」
今回ばかりは、ひとみも自信ありげに「大丈夫」とは答えられなかった。
「それにしても、そんなにハデな喧嘩してたんだ。2人共」
「ハデなんてもんじゃないよ。私、びびっちゃったもん。まさか張り手打ちになるとは
思わなかったなぁ。あーいうの見ちゃうと、ウチらなんかカワイイもんだと思うよ」
「ふふ。ひとみちゃんたら」
梨華はひとみの肩に頭を預けてきた。ひとみは梨華の肩に手を回そうとしたが…。
- 178 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時25分32秒
- 「よっすぃー先輩!!」
高橋が、血相を変えてこちらにやってきた。慌てて梨華とひとみは離れた。
「愛ちゃん。なに?」
「なに? じゃないですよ! 矢口先輩大丈夫なんですか? 病院教えて下さい!」
「愛ちゃん落ち着いてって。先輩なら大丈夫だし、もう昼には退院するんだから」
ひとみが高橋を宥めるように言うが、高橋は自分にも責任を感じているようだった。
「昨日、私の事送ってくれた時は、全然普通だったのに…」
高橋は今にも泣き出しそうだった。
「あ、あのね、愛ちゃん。気持ちは分かるけど、ホント大したコトないんだって」
「でも、ごっちん先輩と矢口先輩、なんかあったっぽいし。電話来た後、様子おかしかったし。
私が電話に変わらなければ良かったんだと思うと…」
「そんな自分責めちゃダメだよ。高橋さんのせいじゃないんだから。これは事故なんだし」
梨華も慰める。
「そうそう」
ひとみも梨華に同意するが、高橋は逆にムッとしだした。
「先輩達は心配じゃないんですか! よっすぃー先輩は現場に居合わせたんですよね?
どうして平気でいられるんですか!」
どうしてと言われても、医者から平気だと言われたからなんだと言っても納得しそうにないなと
ひとみは思っていた。
「ここで怒ったってどうしようもないじゃん。愛ちゃん落ち着けって!」
「落ち着けません! 先輩は薄情ですよ!」
高橋はそれだけ言うと、くるりと背中を向けて走っていってしまった。
- 179 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-20- 投稿日:2002年01月29日(火)19時26分43秒
- 「私に当たったって仕方ないじゃん」
高橋の後ろ姿に呟くひとみに、梨華は
「高橋さん心配なんでしょ。矢口先輩のコト好きだから…」
「愛ちゃんは、ごっちんでしょ?」
真面目に言うひとみに、梨華は溜息を1つ。
「ひとみちゃんも鈍感なんだからなぁ。あの瞳は、どう見たって恋する目でしょ」
「そ、そうだったの?」
ひとみは驚いて目を丸くした。
「多分、矢口先輩は気付いてないだろうけどね。あそこのカップルは、自分の事には疎いから」
「じゃぁ梨華は、自分のコトにも鋭いわけ?」
ひとみも鈍感だと言われた事に対しひとみは軽く突っ込み返す。梨華は口ごもった。
「ぅ、ぅん。多分ね…」
「そっかー」
ひとみはニヤニヤしている。
「な、なに? ひとみちゃん」
「なんでもないよ〜♪ 部活終わったら先輩に会いに行こう」
そう言ってひとみはウィンクをした。
梨華は、なんだかはぐらかされたような気がしたが「うん」と頷いたのだった。
- 180 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月29日(火)19時33分44秒
- こんな展開にして非難起こりそうだけど、早く修復するにはこれしか
思いつかなくて、矢口には悪い事をしました。m(_ _)m
2人で倒れるとか、色々考えたんですけどね。
>167 ももたろうさん
自分でもえらいことしたと思ったので、矢口に死んでもらいました(w。
>168 ゴミ虫さん
ゴマも故意的ではないと言え酷いんですけど(苦笑)。
えぇ、そうですが。いない時にコソーリ更新しております。はぁ。
>169 名無し男さん
これを機に二人の絆は深まるのです。
>170 M.ANZAIさん
簡単に納めましたが何か? って期待ハズレだったかも。すみません。
あんまり寄り道してちゃいけない事に気付きましたので(汗)。
既に1/3も使ってしまった。ひぃ。
>171 むぁまぁさん
私のイメージだと、お互い言いたい事言い合ってな、感じです。
- 181 名前:ももたろう 投稿日:2002年01月29日(火)20時54分35秒
- お〜〜!!こうなったか!
どきどきして更新を待ってましたぁ。
良かった良かった。
やぐが何気に人気あるのもうれしかったり・・・。
ごま、ナイス蹴りっ!!
- 182 名前:車団吉 投稿日:2002年01月30日(水)00時34分57秒
- 石川・・・影薄くね?
- 183 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年01月30日(水)12時28分45秒
- これでいんでないかい
って言ってもトラブルの種が増えたように思えるのは気のせいでしょうか?
- 184 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-21- 投稿日:2002年01月30日(水)22時37分11秒
- −21−
時間を少し前に戻して再び矢口が入院している病院へ―――。
「やぐっつぁん?」
怖い形相で、真希が病室へ戻ってきた。
「な、なんだよ。怖い顔しちゃって〜」
「なんだよじゃないよ! 小川ちゃんに今会ったけど、素敵って、どういうコト?
また部長のファンに戻るって、どういうコトぉ?」
「し、知らねぇよ!」
(一体、小川何言いやがったんだよ! っとによぉ(涙))
「昨日は私に告白したってのに、小川ちゃんってフラフラしちゃってぇ。
私とやぐっつぁんのどっちが好きなんだか」
「おい、ちょっと待てよ。その告白ってのは、聞いてないぞ?」
矢口は聞き捨てならない言葉を聞いてすかさず突っ込んできた。
「え?」
(いけないっ。クチすべって言っちゃった)
真希は慌てて手を押さえたが、逆にすぐに開き直った。
「それより、やぐっつぁん、小川ちゃんと何話してたのよ! それに、なんで彼女が
わざわざ来るわけ? おっかしいじゃん」
「なにって、部活の話とかだけど…。後藤と最後に会っただろ? だから気になったらしいよ。
小川も後藤のコト好きだしな。って、いいから早く学校行けよ」
- 185 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-21- 投稿日:2002年01月30日(水)22時38分11秒
- 矢口は内心焦りながら不審そうな目をしている真希を見ると目で合図をした。
「あやしいなぁ…」
「あやしくないっつーの! なんともなんないから心配するなって」
「当たり前だよ! また、愛ちゃんみたいなコトになったら…」
「それは事故だって。今回のだってただの事故。学校で何か言われてもお前、何も言うなよ。
おいらが勝手に転んだだけだってな」
矢口は真希を決して責めたりしなかった。今回の転倒事故も、自分のせいだと言い張るのだ。
それを言われると真希の胸は痛む。
「やぐっつぁん…」
さっきの威勢の良い声はどこへやら。真希の声は途端に沈みがちになり目を伏せる。
「後藤。ありがとうな。ずっと付き添ってくれて。嬉しかったよ」
こんな時でも、矢口は感謝の気持ちを素直に言って、真希の両手を握ってきた。
それは温かく優しかった。
「当たり前じゃない。私は、やぐっつぁんの…彼女なんだから…」
真希の声が涙混じりに聞こえて来る。
「こんなんで泣くんじゃねーぞ、バーカ!」
わざと矢口はそう言って、舌を出した。
「な、泣くわけないでしょ! もぅ、学校行くね」
真希は涙を見せないようにパッと顔をあげ、矢口の手をほどくと、すぐに矢口に背中を向けた。
(涙もろいよな、最近の私って…)
カバンを取って行きかける真希の背中越しに矢口の声が響いた。
「週末が楽しみだな! とか言ってみる…。行ってこ〜い!」
真希にも、その意味が分かって途端に照れてしまう。それは………。
きっと、矢口も照れ笑いをしている事だろう。真希は振り向かないで手だけをあげると
軽く振って、病室から出て行った。
- 186 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年01月30日(水)22時45分53秒
- なんだか、もういしよし放置すぎ。ホントに私はいしよしヲタなのか?と小一時間(略。
今日は仕事で疲れたから書くつもりなかったけど結局書いてしまいました。
先週のアイさが!で紺野が小川にお雑煮のお餅を食べさせてたのが萌え(爆)。<ぉぃ
>181 ももたろうさん
今は吉澤よりも矢口の方が一部で大人気だったり(w
それでも紺野は吉澤一筋です。小川はどうなんでしょう?一番狡い女かも。
>182 車団吉さん
石川目立たせようにないんですよねぇ。すみません。
吉澤でさえ影が薄くなりつつある今日この頃。
>183 むぁまぁさん
トラブル増えたような気がします? 遠からず近からず。
- 187 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月11日(月)13時58分26秒
- 復活しましたね。続き待ちきれなくて。
これから楽しみにしてますので、がんばってください。
やぐごまも仲直りしたみたいですね。やぐ、かっけー!高橋どうするんだろう。
- 188 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-22- 投稿日:2002年02月11日(月)22時32分27秒
- −22−
放課後。高橋は、部活ではなく、矢口の家へと向かっていた。
授業中も、矢口の事が心配で手がつかなかったほどだった。
玄関のドアが開くと、中から普段着姿の矢口が出て来た。
「あ。高橋。どうしたん?」
矢口の姿を見て、高橋は思わず矢口に抱き付いた。
(高橋……?)
「矢口先輩…。無事で良かったです。もぅ心配で心配で…」
高橋に抱き付かれた矢口は慌てて片手で玄関のドアを閉めた。
また、こんな所を誰かに見られていて何か言われたらたまったものじゃない。
(妹はまだ、帰ってきてないな。よし。)
「平気だって。そんなに心配しなくても…。吉澤から聞いたろ?」
「だって、よっすぃー先輩薄情なんですよ! 全然心配してないんですもの。
呑気に石川先輩と、イチャイチャしちゃって…」
別に梨華とイチャつくのは勝手だろうが、それだけ自分の事を心配してくれる高橋に
矢口は素直に嬉しいと思う。
「サンキュ。この通り、ピンピンだからさ。明日から復帰するよ。
学園祭も迫ってきてるし、本当は今日だって出たかったんだけど…。まぁあがれよ」
「無理するコトないですよ。休んでください」
高橋もあがると、矢口の背中を押した。
「人を病人扱いすんなって」
- 189 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-22- 投稿日:2002年02月11日(月)22時33分32秒
- 階段をあがり、矢口の部屋に入る。
そう言えば、高橋は初めて矢口の部屋に入った事を今頃思い出した。
「あ。これ。お見舞いにもなりませんけど…ケーキです」
そう言って高橋は小さな箱を矢口に渡す。
「気ぃ遣わなくたっていいのに…」
「昨日もご馳走になりましたし」
「ありがと。気持ちよく受け取っておくよ」
「はい!」
「一緒に食おうか」
矢口はそう言うと、お茶をいれに下へ下りていった。
高橋は適当に腰を降ろすと部屋を見渡す。
無駄な物がない部屋でスッキリとしている。
くまのプーさんが好きらしく、グッズが何点か置いてある。
(見かけによらず、プーさんが好きなんだ。可愛い。)
高橋はクスッと笑う。
そして机の上に飾ってある、真希と矢口の2ショット写真。
2人仲良く横ピ〜スなんかをしている。
(やっぱり、お似合いだよなぁ。矢口先輩とごっちん先輩…)
と、そこへ矢口の携帯が鳴った。思わずディスプレイを見ると、やはり真希からの着信だった。
(もしかしたら、これからごっちん先輩も来るのかな…)
高橋自身は、自分が原因で真希と矢口が大喧嘩した事は知らない。
と言うよりも、図書館の件を見られていた事自身知らないのだから当たり前なのだが。
高橋は矢口の携帯を掴むと、キッチンにいる矢口の元へ下りていった。
- 190 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年02月11日(月)22時37分40秒
- めっちゃ久しぶりです。seekに帰って来たぁ!って感じですね。
相変わらず、いしよし放置ですが(余所で書いてる分、こっちは…)。
>187 名無し読者さん
ありがとうございます。励みになります!
レスがあると、ホントやる気になります。
これからも矢口を宜しくお願いします(おい
- 191 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月11日(月)22時43分47秒
- よし!
復活マンセー!!
色んな所で更新、お疲れ様です。
これからのやぐごま、やぐたかが楽しみ?
いしよしは・・・
- 192 名前:夜叉 投稿日:2002年02月12日(火)11時28分50秒
- おかえりです(爆)。
お待ちしてますねぇ〜。←何を?(笑)。
- 193 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月12日(火)11時34分23秒
- お帰りなさ〜い♪
- 194 名前:ワタクシ 投稿日:2002年02月12日(火)14時25分03秒
で、ニィニィは?
そんなことより「旦那」って、…奥様かよっ!(←反応遅いけど)
しかも「更新したいんですけど隣りに…。いるから出来ない(w 」って、内緒かよっ!
「旦那がヤッスー写真集買う」って、…それはいいのか。オレも買お。もちAmazon.co.jpで!
- 195 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年02月14日(木)11時53分13秒
- おお復活してる
さて高橋はどうなるんでしょね
- 196 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月21日(木)17時39分51秒
- どうも、お久しぶりです!
・・・って、赤のスレにもレスしたんですけどね。(w
なんかすごいことになっててビックリしました。(w
今後の展開に期待してます!
- 197 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-23- 投稿日:2002年02月23日(土)19時20分41秒
- −23−
高橋が下りていくと、丁度矢口がコーヒーをいれ終わる頃だった。
「おぅ。わざわざ来てくれたのか。サンキュ!」
「あの、ごっちん先輩から電話あったみたいです」
と言って高橋は携帯を渡す。
「なんだよ、さっき会ったばっかなのによ」
そう言いながらも矢口の顔は嬉しそうだ。
しかし留守電を聞くより先に、玄関のインターフォンが鳴り、それが真希である事は
確かめなくても分かってしまった。高橋と顔を見合わせると、矢口はフッと笑って玄関を開ける。
「やぐっつぁ〜ん!」
真希は矢口に抱き付こうとしたが、もう1つ学生靴があるのに気付いたのと同時に
キッチンから高橋が顔を出したので、真希は一瞬表情を固くしたが、すぐに笑顔になった。
「あぁ、高橋も今見舞いに来てくれてさ、これからケーキ食おうと思ってたんだけど」
「こんにちわ♪ ごっちん先輩」
「そ、そうなんだ。愛ちゃん、オッス!」
真希は手に持っていた箱を後ろに隠した。
(これ、どうしよぅ)
真希も同じくケーキを買ってきていた。隠したところですぐにバレてしまう訳で。
矢口は目ざとく隠し持ったケーキを指摘する。
- 198 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-23- 投稿日:2002年02月23日(土)19時22分00秒
- 「何隠した? それおいらにくれるんじゃないの?」
図々しくも矢口は真希に聞くが、真希は「別に…」と誤魔化した。
しかし矢口はケーキの箱を強引に真希から奪い取ると
「コレも食っちゃおうか。せっかく後藤が持ってきてくれたんだしな」
「べ、別にいいよ〜。自分で食べる用に買ってきたんだから」
「ウソつけ!」
矢口はその場で箱を開けようとするが、真希が慌ててそれを押さえた。
「なに? 勿体つけんなよ」
真希は矢口の腕を掴むと、リビングへと行き小声で囁いた。
「2個しか買ってないんだよっ!」
「じゃぁ後藤とおいらで半分づつにすりゃいいじゃん。高橋に1個あげてさ」
「そういう問題じゃなくて…」
小声でコソコソ話している2人を背に、高橋が話しかけた。
「あの…私、帰りますね。2人のお邪魔しちゃ悪いし……」
「え? そんなコトないぞ。高橋も一緒に食おうぜ! それ高橋の分なんだし」
矢口は振り返ると帰ろうとする高橋を引き留めようとした。
「そうなの? 残念だけど、じゃぁまた今度ね、愛ちゃん!」
全然残念そうではない真希は笑顔で高橋に手を振る。
「あの…カバン上にあるんですけど…。取ってきますね」
高橋はそれだけ言うと2階へ駆け上がっていった。
- 199 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-23- 投稿日:2002年02月23日(土)19時32分45秒
- 「ごっつぁん、そんな追い返すみたいに言わなくたって」
矢口は高橋が上に行ったのを確認すると真希に少し怒った風に言った。
「別にそんなつもりないけど? それとも愛ちゃんと食べたかったの?」
真希がイヤらしい言い方をするから、矢口はムッとしてしまった。
「そんな訳ないだろ。いい加減にしろよな!」
「ゴメンやぐっつぁん」
真希が言い返すかと思ったら意外にあっさりと謝るから矢口は驚いてしまう。
「あの…別に怒ってないし。後藤も昨日からあんまり寝てないだろうから疲れてるよな。
ゴメンな。気遣ってやれなくて」
矢口は俯く真希を抱き寄せた。
「ぅぅん。私の方こそゴメンね…」
真希は矢口の肩口に顔を埋めた。
「後藤は謝るようなコトしてないだろ」
矢口は真希の髪を優しく撫でながら言う。
「でも昨日……」
「あれは事故だったんだからさ。もう言うなよ。おいらは平気だから」
「ぅん」
2階から下りてこようとしている高橋は2人の会話に、なかなか下りる事が出来ずに
どうしようかと迷っていた。
(帰りにくいなぁ…。かと言って、このまま立ち聞きしてるのもなんだか…)
- 200 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-23- 投稿日:2002年02月23日(土)19時42分03秒
- 「やぐっつぁん…」
「なに?」
「んーっ」
真希は目を閉じると前屈みになって口を突き出す。
すっかり真希は、高橋が居る事など忘れている様子。
(おいおい、ここでかよっ! 大体高橋が上に……)
矢口は高橋が気になってしようがない。しかし、ここで躊躇しては更に気まずくなりそうなので
矢口は躊躇いがちに、真希に軽くチュッとキスをした。そんなキスで真希が納得する訳もなく
更に真希は要求してくる。
「もっと、してよ」
「えぇー? 早くしないと紅茶冷めちゃうし…」
矢口はどうでもいいような事を理由に拒むが真希の目はすでに虚ろだった。
「意地悪なんだから、やぐっつぁん」
(完全に高橋の事忘れてるよな、後藤…)
矢口は溜息を吐くとリビングに連れて行きドアを閉めた。
(高橋ゴメンな)
矢口は高橋に心の中で謝ると、真希をソファに座らせて深くくちづけた。
真希は矢口の背中に手を回すと、そのままソファに倒れ込んだ。
(ちょっと、このままだとヤバイ展開だぞ、おい!)
キスをしながらも、高橋が気になる矢口は気が気でない。
矢口はくちびるを離そうとするが真希がそれを許さなく、更に深いものにしていく。
そして真希の舌が矢口の口内に入り込んで来た。
(あぁ…。ごっつぁん…。マズイって!!)
- 201 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年02月23日(土)19時51分19秒
- ひさぶりに更新しました。ぼちぼち再開致します。
と言うより見てる人いますでしょうか?(w
>191 ももたろうさん
やぐたか、なかなか出来ませんな。ごまが甘えん坊なんで(w。
いしよし…すみません! 最近書いてない(爆)。
>192 夜叉さん
お待たせしてしまってすみません! って待ってなかったりして(汗)(泣)。
>193 M.ANZAIさん
ただいまですぅ。
>194 ワタクシさん
>で、ニィニィは?
豆は出しません!(キパーリ) ところで雪で書いてる作者さん?
桃板で書いてたのを引用されても(w。ヤッスー写真集3/1ですね。みんな買えよ!(強制)
もう、やぐごま小説ですね。いしよし目当ての方、すみませんです。<既にいなかったり(爆)
>195 むぁまぁさん
高橋は、こんな感じで。新曲目立ってますね。高橋。
私は、やはり小川萌え〜(w。マニアと言われてもゴキメンじゃ小川押し!
>196 吉胡麻系さん
おひさです。赤の方もレスサンクスです。
- 202 名前:名無し読者。。。 投稿日:2002年02月23日(土)21時23分28秒
- うぉ〜!再開待ってましたよ!!作者さんこれからもがんばってください♪
それとよければ赤の方の題名も教えてくれるとうれしいです。
- 203 名前:名無しバイク 投稿日:2002年02月23日(土)21時27分06秒
- いますよ、ココに(w
ぶっちゃけ、ヒサブリなんでちょっと遡って読んで来ました(^^;
わたくし、五期メンじゃ高橋推しですが何か?(w
再開がんがって下さいね〜。
- 204 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月23日(土)22時14分27秒
- 待ってましたぁ!!
いやほんと再開嬉しいです。
高橋を忘れるごまイイッ♪
頑張ってください。
- 205 名前:夜叉 投稿日:2002年02月24日(日)14時36分57秒
- …ずっと、待ってました…(笑)。「まちぶせ」の如く(爆)。
高橋が気になる…。
- 206 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月24日(日)21時50分20秒
- 鉢合わせ・・・でもってごっちんが思いのほか積極的ですね。
高橋、もはや惨敗か?
お帰りなさい。
写真集、3月に発売ですね。待ってま〜す♪
- 207 名前:145 投稿日:2002年02月25日(月)01時30分59秒
- ちゃんと見てますよ!
も〜やぐごま最高!これからも頑張って下さいね!
- 208 名前:名無し男 投稿日:2002年02月25日(月)11時21分37秒
- のわーーーーーーー!!!!!
さあどうするダダ!?
- 209 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-24- 投稿日:2002年02月25日(月)21時43分07秒
- −24−
「……っ…!」
矢口も真希の絶妙な舌使いに、段々と痺れていく。
(ごっつぁん………)
矢口もいつの間にか自分も舌先を絡めていた。
そんな事がリビングで行われているとも知らない高橋は、下へ下りてきていたが
このままムシして帰るのも悪いから、挨拶して帰ろうとノックをした。
しかし中で盛り上がっている2人はノックの音には気付かなかった。
高橋は静まりかえっているので不審に思い、もう一度大きくノックをした。
その時、玄関が開いて妹のミキが帰ってきた。
リビングの前で立っている高橋と目が合い軽く会釈した。
「あ、高橋先輩ですよね?」
ミキが靴を脱ぎながら言う。
「はい」
「妹のミキです。姉がいつもお世話に…って、それはいいんですけど何してるんですか?」
「帰ろうと思うんですけど、声かけた方がいいかなって。でも中から返事がないし」
それを聞いたミキはニヤッとした。
「もしかしなくても、お取り込み中かも」
「お取り込み中?」
高橋は言った意味を理解すると顔を赤らめた。
「全く、お客さんが来てるって言うのに、お姉ちゃんも真希ちゃんもお盛んだから」
「お盛んって…」
高橋は絶句しそうになるが、頭に2人の抱き合う姿を容易に想像して俯いてしまった。
- 210 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-24- 投稿日:2002年02月25日(月)21時44分32秒
- ミキはドアをドンドンと叩くと同時にドアを開けた。
そこには予想通りソファでいちゃついている矢口と真希の姿が。
慌てて矢口は身体を起こしてドアの方に振り返った。
「ミキ!」
したり顔で立っているミキに矢口は立ち上がるとバツが悪そうに立ち上がった。
真希は、まだソファに横たわっているが、邪魔された事に少し不満顔だ。
「高橋っ! ごめんな、ちょっとな」
矢口の顔からは冷や汗が、どっと流れている。
「お姉ちゃん最低! 高橋先輩顔、真っ赤っかだよ」
最低と言いながらミキは嬉しそうな顔で言うから、それが矢口にとっては憎たらしい訳で。
しかし、分が悪い矢口は何も言えなかった。
高橋は高橋で、ミキが言う通り顔を赤くさせながら入り口で俯いている。
「ちょっと送っていくからよ!」
矢口は高橋の背中を押すとリビングの扉を閉めた。
「ミキも、とっとと2階へあがれよ」
矢口は追い払うように言う。
「あの、矢口先輩、大丈夫ですから、ごっちん先輩と…」
高橋はもごもご言う。
「後藤はそのままでも平気だから」
「平気じゃないって!」
そう言いながら、しっかり会話を聞いていた真希が扉を開ける。
丁度盛り上がっている時に中断された事で、真希は不機嫌極まりなかった。
(まったく、どいつもこいつも!!)
矢口が困り顔でいると、またインターフォンが鳴った。
- 211 名前:Charmie Blue 投稿日:2002年02月25日(月)21時45分34秒
- 適度に下がったり上がったり(w。
>202 名無し読者。。。さん
ありがとうございます。ちゃんとチェックしてくださってて嬉しいです。
赤の方は雪の方で答えておきましたよ?
>203 名無しバイクさん
やぱ高橋ですか。旦那曰く「山口紗弥加」に似てるって。そうかなぁ?
やぱ加藤晴彦の方に似てると思う。
>204 ももたろうさん
今回のゴマ、なんか酷い(w。自分本位で(w。
>205 夜叉さん
石川ひとみ結構好きだったんですけど(爆)。
高橋ちょと可哀相でしたかね。
>206 M.ANZAIさん
ただいま♪ ゴマの方が積極的なんすよ。その方が書きやすいし。
いつものように妹が邪魔しました(w。
>207 145さん
がんがります。やぐごまメインになりつつありますが(汗)
いしよしも、忘れないでくださいね(w。<オマエガナー
>208 名無し男さん
いつものパターンでした。スマソ。
そうそうさせませんよ(w。
- 212 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月25日(月)21時54分40秒
- わーい♪
やぐごまばんざーい♪
自分勝手なごま、最高に可愛いんすけど!!
高橋も気の毒に・・・
- 213 名前:名無しバイク 投稿日:2002年02月25日(月)22時47分53秒
- わっちゃわちゃちゃしている やぐイイ(w
もはやいしよしは遠い彼方へ・・・。戻ってこーい(w
むぅ、私は高橋、持田真樹に似ていると思いましたが・・・。
- 214 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月25日(月)23時07分38秒
- お取り込み中、恐縮ですっ!(w
顔から火を吹いてる高橋にしてみたら一刻も早く
ここから立ち去りたいところ、またもや玄関に来客が?
矢口家の玄関とリビングを舞台に繰り広げられる修羅場に新たな参戦者?
- 215 名前:145 投稿日:2002年02月26日(火)01時54分44秒
- はじめに思った妄想が愛ちゃんも参加か!というアホなことを・・・(w
さて次の来客はだれだ!
- 216 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年02月26日(火)08時21分04秒
- 面白い展開になってますね
しかし誰だべ? 更なる嵐を呼ぶ訪問者なのだろうか??
期待は膨らむばかり
- 217 名前:夜叉 投稿日:2002年02月26日(火)14時47分21秒
- ミキちゃん、 (・∀・)イイ。
ごっつぁん、かなりお怒りなのでは?知も大変…(汗)。
高橋、下向き純情路線ですね(笑)。
つか、作者様。いしよしは…(汗)。
- 218 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-25- 投稿日:2002年02月26日(火)18時35分39秒
- −25−
「なんだよ、うるせーなぁー」
矢口は苛立ちながら玄関のドアを開ける。
ドアが開くと同時に、ひとみと梨華が揃ってケーキらしき箱を矢口の前に突きつけた。
「「矢口先輩♪ お見舞いに上がりましたぁ♪」」
(またケーキかよっ! お前らコーラス隊かよっ!!)
3度目のケーキの差し入れにゲンバリしながら矢口はそれでも笑顔で受け取った。
「部活終わるには早すぎないか?」
「今日は矢口先輩の追悼も兼ねて休みになりましたよ」
ひとみが泣くマネをしながら言う。
「追悼って……。人を勝手に殺すなよ」
「後から飯田さんと安倍さんも来るみたいに言ってましたけど」
(カオリとなっちも来るのかよっ!)
ひとみがふてくされている真希を見つけて声をかける。
「ごっちん、どうしたの? なんか機嫌悪そう…」
「別に…」
真希がご機嫌斜めなのは、自分のせいだと思った高橋は
「す、すみません。私が…なんか……邪魔しちゃったみたいで…」
そう言ってまた俯く。
「愛ちゃん邪魔ってなに?」
ひとみが聞き返すと同時に矢口が慌てて間に入ってきた。
「いやいや、別に邪魔なんかしてないよっ」
「ひとみちゃん聞いてよ。お姉ちゃんったらね…」
まだ2階へあがっていなかったミキが喋ろうとするから、矢口はミキの口を塞いだ。
「あ〜〜〜〜っと、何でもないったら! ケーキやるから、とっとと2階行ってろよ!」
矢口はミキの背中を押しやる。
「ハイハイ。邪魔者は消えますよん」
ミキは肩を竦めると「ごゆっくり」と言って2階へ駆け上がっていった。
- 219 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-25- 投稿日:2002年02月26日(火)18時37分29秒
- 訳の分からないひとみと梨華は顔を見合わせた。
「じゃっ、じゃぁ私、バイトあるんで帰ります」
高橋は早口で言うとみんなに礼をして、そそくさと逃げるように帰ってしまった。
「ごっちんもバイトあるんじゃないの?」
「今日、休むよ…」
真希の気のない辺機に矢口は真希の腕を掴むと廊下の隅に連れて行った。
「後藤、そんなに怒んなよっ」
「だって…」
大体、真希から仕掛けてきたのに、なんで自分が宥めなければいけないのか疑問に思いながら
矢口は真希のご機嫌を取っていた。結局、損な役回りなのである。
「あとで、その…甘えさせてやるから……」
「ホントに?」
真希の顔が明るくなる。矢口は頷く。
隅でコソコソ話している真希と矢口の後ろからひとみが割って入ってきた。
「秘密の会話っスか?」
「わっっ。びっくりすんじゃねーか!」
矢口がギョッとして後ろを振り返ればニコニコ笑っているひとみがいた。
「なんか楽しそうッスね」
「楽しかねーよっ」
矢口はパッと真希から離れるとキッチンへと入っていく。
「私達もケーキ食べたいんスけど…」
ひとみと梨華も続いて入っていく。
「お前ら何しに来たんだよ」
すっかり冷めた珈琲をレンジに入れ、これを温め直して妹に渡せばいいやと考えながら
矢口は再びヤカンを火にかける。
- 220 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-25- 投稿日:2002年02月26日(火)18時38分23秒
- 「矢口先輩、元気で良かったですよ」
やっと梨華が嬉しそうに口を開いた。
「そのケーキ、梨華と私の分も入ってるんスから」
しかし梨華はひとみの袖を引っ張るとそっと耳打ちした。
「私たちも邪魔みたいだから帰った方がいいみたい」
ひとみは梨華の顔を見る。
「邪魔って?」
そういう事には、鈍感のひとみは不思議そうな顔をした。
有無を言わさず梨華はひとみの腕を取ると
「私たち、急用思い出しました。帰りますね」
と言ってカバンを掴むと、ひとみの「ケーキ、ケーキ!」と言う言葉を
無視して矢口の家を後にした。
「梨華、急用って何? それにケーキ…」
まだ名残惜しそうにケーキを口にする、ひとみに梨華は苦笑いする。
「ひとみちゃん気付かないの?」
「何が?」
本当に分からないらしいひとみは真面目に聞き返す。
「ダメだなぁ〜、ひとみちゃんは…」
梨華は軽く溜息をつくと、ひとみの腕にギュッと絡みついた。
「ねぇ梨華。何がダメなの?」
「そんな鈍感なトコも好きなんだけど…」
「ん? 教えてってば!」
「自分で考えてね。今日はhバイト行くから、ひとみちゃんバイバイ」
梨華は自転車に乗ると、手を振って行ってしまった。
「梨華ぁ〜!」
ひとみは訳が分からず、暫くその場にいたが、やはりケーキが食べたいので、
再び矢口の家へと足を向けた。
- 221 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-25- 投稿日:2002年02月26日(火)18時39分12秒
- そして時間は少し前にさかのぼり、ひとみと梨華が帰った直後―――。
「さすが石川先輩、察してくれてるよなぁ〜」
真希は矢口の後ろから肩に顎を乗せて、とっくに閉まった玄関のドアに向かって呟いていた。
「吉澤はその点、全く気が付かないよなっつーか、後藤、お前がいきなりキスなんかすっから」
一番災難だったのは、他ならぬ高橋である。
「イヤだったの?」
真希がそのまま後ろから矢口の顔を覗き込む。
「べ、別にイヤじゃねぇけどさぁ。高橋いんのに気が気じゃなかったんだぜ」
「だって…したくなっちゃったんだもん」
真希が口を尖らせて言う。矢口が向き直ると
「まぁ2人っきりん時はいーけどな」
ボソッと言う。
「ねぇー、さっきやぐっつぁんが言ったコト…」
真希が急に甘えた声を出し、矢口に抱き付いてくる。
「なに?」
矢口はドキドキしながら真希から目を逸らす。
何回か、こういう場面を経験しているが、相変わらず慣れない矢口である。
「ホントにいいの?」
耳元で囁くものだから、矢口の鼓動は早く鳴りっぱなしだった。
「あっぁぁ。矢口に二言はないよ…」
それを聞いて真希は力いっぱい矢口を抱きしめた。
「あはっ。嬉しい♪ 週末も楽しみだけど今日も楽しみぃ〜」
―――ギュウゥッゥゥッ〜―――
(く、くるしい……(涙))
そして再びインターフォンが鳴ると同時に、ドアが開き「吉澤でーす」の声と共に
玄関前で抱き合う真希と矢口をモロに見てしまうひとみであった。
- 222 名前:Charmie Blue 投稿日:2002年02月26日(火)18時40分26秒
- いしよしちょこっと入れてみましたが、すっかり脇役!(w
なんつーか、もうここの2人は、してなくても、もう安泰なんで
書きようがない…とか言ってみたり(汗)。
>212 ももたろうさん
ゴマは甘えん坊なので。高橋は、こんな役回りでスマソ。
>213 名無しバイクさん
いしよし脇役です。なんか某板で更新報告載るのも既に悪い気がしてきてます。
高橋、持田にも似てますよね。それは私も思いました。
>214 M.ANZAIさん
吉澤は鈍感なんで、場の空気が読めないのです(笑)。許してあげて下さい。
>215 145さん
それって、さん○(略
そういうのは、某さくしゃさんにお任せです(w。
>216 むぁまぁさん
そろそろいしよし出さないとだったんで、こんな形で。
別に、かおなちでも良かったんですけどね。
>217 夜叉さん
知は、板挟みでモー。大変なんですよ。
いしよし・・・すみませんっ!
もはや、この小説でいしよし求めてる人いるのかしら?(汗)
- 223 名前:ももたろう 投稿日:2002年02月26日(火)20時13分20秒
- 邪魔されてもめげないごま強い!!
抱きそうふたりを見た吉は・・・
うへへ。
- 224 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月26日(火)23時26分10秒
- 鈍感よっすぃー、もはや脇役というよりも敵役に?(意味違うかも)
いやいや、「悪役が居ないとドラマも成り立たない」って保田さんも言ってたし。
でさらに邪魔者(後輩思いの先輩方)も来るって!?
まだまだ『矢口家の夜』はこれから・・・・?
- 225 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年02月27日(水)12時21分41秒
- しっかし吉澤 間が悪いっていうか何というか(笑
後からかおなちも来るって言ってたっけ・・・
どうなることやら
- 226 名前:夜叉 投稿日:2002年02月27日(水)12時33分03秒
- 鉢合わせしてるよ、吉(苦笑)。
この気まずい雰囲気をどう対処するのでしょうか、知先輩は(笑)。
脇役でも (・∀・)イイ←つーか、自分、いしよし(略。藁
- 227 名前:名無し男 投稿日:2002年02月27日(水)17時45分35秒
- 8:吉澤が物凄い勢いでケーキを食べつづけるスレッド(671)
- 228 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-26- 投稿日:2002年03月01日(金)22時05分59秒
- −26−
「あぅ…!」
ひとみは、そのまま開かれたドアを閉めようとしたが、我に返って再び思い切り開けた。
「っとに、玄関先で、ナニしてんですかぁ〜〜〜!」
(う、羨ましい!!)
ひとみの声に、矢口と真希はパッと離れた。
「も〜、よっすぃー何の用?」
まさか、ひとみが又来るとは思いもしなかった真希は不満そうに声をあげた。
「だから…ケーキを…」
真希のタダならぬ顔を見て、ひとみの声は小さくなった。
さすがにひとみもマズイと思ったのか、矢口の腕を取ると「ケーキ2つお持ち帰りで」
と小声で呟いた。
矢口は少しひとみに感謝しながら、ひとみ達が持ってきたケーキの箱を開けると
ひとみが指定したケーキを2つ取り出し、小さい箱に移し替えてひとみに渡した。
「お邪魔しましたぁ」
ひとみはもの凄い早さで矢口の家を出ていった。
- 229 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-26- 投稿日:2002年03月01日(金)22時07分15秒
- 「なんか今日はタイミング悪いな…」
矢口はそう言いながら真希の方に振り返る。
「そう言えばさぁ、後で飯田さんと安倍さんも来るって言ってなかったっけぇ?」
壁に凭れていた真希はつまらなさそうに言う。
「言ってたような…」
「そしたら、また出来ないじゃん!」
「噂してると来るぞ」
―――ピンポーン♪―――
そして玄関が開くなり、飯田と安倍と、そしてオマケに加護と辻まで付いてきた。
「「矢口ぃ〜〜! お見舞いに来てやったぞ〜!」」
飯田と安倍は、そう言いながら、ケーキらしき箱を矢口に渡す。
「あぁ、ありがと…」
(またケーキかよっ!)
大して嬉しくなさそうに矢口はケーキを受け取ると、飯田が不服そうな声を出した。
「なんだよ、その顔はぁ。嬉しくなさそうだな」
「べ、別にそんなコトは」
キッチンに置きっぱなしになっているケーキの箱を隠さないと…なんて矢口は思っていたが、
一緒についてきた加護と辻が勝手に上がり込んで来て、すぐにケーキを見つけられてしまう。
- 230 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-26- 投稿日:2002年03月01日(金)22時08分18秒
- 「ここにもケーキがあるのれす♪」
「ヤッタ! やっぱり来て良かったで〜」
「ののの勘は、良く当たるのれす」
嬉しそうに言う辻に、矢口は呆れ顔で2人を見ていた。
「矢口、びっくりしたよ。一体どうしたんだよ? あの後なんかあった?」
なんかなければ、こんな事にもならないって。と言いたい矢口だったが
真希もいる手前言葉を濁す。
「別に。まぁ、矢口の不注意なんだよな」
「にしてもさぁ、矢口と別れてから結構時間経ってたじゃん。高橋と会って、その後、後藤と?」
安倍が容赦なく話し始める。
「いいじゃんかよ。それよりさ…」
矢口は冷や汗をかきながら、話を学園祭の話に戻した。
再び放置され気味の真希は、面白くなさそうに既に断りもなくケーキを食べている
辻と加護に混じって自分もケーキに口を付け始めた。
(やべぇ。後藤が…)
矢口は真希を気にしつつも、飯田と安倍の相手もしなくてはいけないから気が気でなかった。
今日も眠れないのかな。矢口は心の中で呟くと、自分に合掌した。
- 231 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年03月01日(金)22時09分04秒
- 本当は、この後の話は続けずに、一気に学園祭間近の話にする
つもりだったのですが…。取りあえず話を続けてみました。
>223 ももたろうさん
吉は既に脇役に…。石は更に(略。
>224 M.ANZAIさん
悪役かよっ!(w ヨシコの目当てはケーキなので(汗)。
>225 むぁまぁさん
矢口は、いっつも大変なのです。色々と振り回されて。
>226 夜叉さん
私がレスした途端、危篤ですか(泣)。
>227 名無し男さん
吉は、石と一緒にケーキ食べたんでしょうか?食べて欲しいですね(他人事?)
- 232 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月02日(土)03時34分23秒
- う〜ん、結局は矢口とごっつぁんよりもケーキが気がかり、と。
そういえば学園祭、出し物の出演者決めるのにてこずってたり、
部長の矢口が入院したりとアクシデント続きで大丈夫?
- 233 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年03月02日(土)19時47分21秒
- お邪魔虫の度重なる襲来でますますご機嫌斜めの真希ちゃん
その後藤とお邪魔虫に挟まれてオロオロする矢口さん
笑っちゃいけないんでしょうけど・・・
- 234 名前:145 投稿日:2002年03月03日(日)01時17分26秒
- ご機嫌斜めのごっちん最高!!
なんか想像するとメチャ可愛い!!!
あわてるやぐっつぁんも最高!!!!
なんだかんだあったのですっかり学園祭わすれてました(w
- 235 名前:夜叉 投稿日:2002年03月06日(水)10時36分22秒
- 知家は回転率の早い吉○屋のよう(笑)。
ごっつぁんの機嫌も急降下!?
- 236 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-27- 投稿日:2002年03月09日(土)19時14分35秒
- −27−
飯田と安倍と辻と加護が帰ったのは、それから約1時間後。
帰ったと言うよりは、帰ってもらったと言う方が正しかった。
その頃には、もう母も戻ってきており、ミキも既にいるから2人きりにはなれかったのだが。
いつものように、真希と夕飯を食べている矢口だったが、既に疲れ切っていた。
真希のご機嫌は、まだ斜めである。
「真希ちゃんも疲れたでしょう? ゴメンなさいね。真里ったら、ホントにドジなんだから」
本当の事を知らない矢口の母は、つきっきりで病院にいてくれた真希には感謝をしている
らしかった。
「いえ。全然そんなコトありませんよ。当然のコトですから」
真希に否があるから矢口を責める事は真希には出来なかった。
「お姉ちゃん、結構ドジだからなぁ…」
「お前に言われたくねぇよ!」
ミキに突っ込まれ、矢口もすかさず言い返した。
- 237 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-27- 投稿日:2002年03月09日(土)19時15分58秒
- 「真里! アンタ、もう少し女の子らしい話し方出来ないの?
春から名古屋の叔父さんのとこにお世話になるんだから、ちゃんとしなさいよ」
「分かってるって」
名古屋。真希とて忘れている訳ではないが、やはり、まだ現実として受け止める事は
出来ないでいた。4月になれば、いや早くて3月の下旬には、矢口は東京からいなくなってしまう。
それを考えたら、こんな風に喧嘩をしたりも出来なくなる訳で、1日1日矢口との日々を
大切にしなければ…とも思う。真希は急に切なくなってしまった。
「後藤?」
急に黙り込み、箸も休めている真希に、矢口は心配そうに真希の顔を覗き込んだ。
うっすらと涙を浮かべそうになった真希だったが堪えると矢口に笑顔で返した。
「なんでもないよっ。今日は、やっぱり帰るね。やぐっつぁんも疲れてるだろうし」
「う、うん」
確かに疲れているのは事実だが、それは真希も同じ事だろう。しかし、敢えて強要する事も
出来ないので、矢口は、そう答えるしかなかった。
- 238 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年03月09日(土)19時24分29秒
- やぐごま小説に決定(泣)。ちょこっと更新。少しですみません。
いしよしシーンは申し訳程度に出すので、なんだか却ってわざとらしいかも。
>232 M.ANZAIさん
学園祭何も考えてないので、どうなりますやら。
>233 むぁまぁさん
矢口も大変なんです(苦笑)。でも後藤一筋です!
>234 145さん
学祭忘れてたんですか。じゃぁ、このまま(w。
自分自身も忘れそうに(w。読み返さなきゃ(謎)。
>235 夜叉さん
後藤さんも切ないのですよ。ここの2人は幸せになってほしいですね。
いしよし…。一体、何処へ?(爆)
- 239 名前:ももたろう 投稿日:2002年03月09日(土)19時27分01秒
- わーいリアルタイム♪
ひさぶりです!!
ごま、帰らんとやってけ(w
ここのごま可愛い・・・。
- 240 名前:名無し男 投稿日:2002年03月10日(日)14時21分00秒
- ナーカシターナーカシター
セーンセーニーユーテヤロー
- 241 名前:夜叉 投稿日:2002年03月10日(日)14時40分11秒
- 学祭のことより、知が名古屋に行くことを忘れていた自分は逝って吉?(^^;;
がんがれ、ごっつぁん!
- 242 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月12日(火)00時13分26秒
- 更新されてる。嬉しいです♪
食卓を囲む矢口家族&ごっちんの画が思い浮かぶ場面です。
>やぐごま小説に決定(泣)。
ここはひとつ、『矢口っつぁん新曲センター記念♪』でこのままツッ走ってください。
(しかも今の曲、裏センターが圭ちゃん・・・?)
- 243 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-28- 投稿日:2002年03月12日(火)18時44分44秒
- −28−
「やぐっつぁん、そろそろ帰るね」
食後、少しだけ矢口の部屋でのんびりしていた真希だったが、そう言うとベッドから
起きあがり、読んでいた雑誌を元に戻した。
「ごっつぁん」
引き留めるのも躊躇われ、矢口は言葉が続かない。
「ん?」
「あのさ、ホントに…いいの? 今日泊まっていけばいいのに。別にさ、遠慮しなくても。
それに…おいらは、まだ一緒に…いたいし…。でもあれだな、後藤も疲れてるよな」
歯切れの悪い言い方に、真希はプッと笑い出した。
「あはっ。やぐっつぁんカワイイねっ」
「な、なんだよ、それはよ〜」
真希に抱きしめられながら、矢口も抱きしめ返す。
「素直に言えばいいのに」
「後藤の代弁しただけだよ…」
「私は別に…」
「そうかぁ?」
矢口は真希の方に向き直ると、真希の瞳を覗き込む。
「そうだよ」
改めて見つめられると却って照れてしまうから、真希は視線をわざと外した。
「ちゃんと見ろよ」
矢口はそう言って、真希の頬に両手を添えると、軽くキスをした。
「…やぐっつぁん……」
「っとに、お互い素直じゃないから困ったもんだよなっ!」
すぐに真希から離れると、矢口はそっぽを向いた。矢口も照れているのだ。
「私は、いつでも素直だよ」
真希はそう言って、また後ろから矢口に抱き付く。
「ぅわっ。重ぇーよっ!」
「失礼ね! 重くないわよっ!」
真希はわざと力を入れて矢口に抱き付いた。
- 244 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-28- 投稿日:2002年03月12日(火)18時45分55秒
- 「梨華、おかえりっ」
梨華がバイト先から帰ってくると、ひとみが先に梨華の部屋で待っていて出迎える。
「ひとみちゃんっ! どうしたの?」
ひとみに合い鍵をプレゼントしてるから、部屋に来るのは構わないのだが、梨華は不思議そうな
顔でひとみを見ながら靴を脱いで家にあがった。
「梨華と別れた後にさぁ、矢口先輩のとこに戻ったじゃん。そしたら玄関前でナニしてたと思う?」
「何してたの?」
梨華は手を洗おうと、ひとみの横を素通りして洗面所に行きかけた。
「ごっちんと2人でさー」
ひとみは梨華の腕をふいに掴むと抱きしめ深く深くくちづけした。
「!!?(ひとみちゃん!)」
「こんなコトしてたんだよ」
くちびるを離すと、ひとみは笑いながら言った。
もう少し遅かったらしていたかも知れないが、実際には、キスはしていない。
「…もぅ、ひとみちゃんったら ホントにしてたの?」
梨華は洗面所に行き、蛇口をひねり、手を洗う。
「してたよ。私に見せつけるようにさぁ〜。こう、ギュゥゥーッと」
そう言いながら、ひとみは梨華の後ろから、また抱きしめる。
「ひとみちゃんっ!」
「羨ましくなっちゃったなぁ〜」
ひとみも、真希達に負けず劣らずイチャイチャしているのだが自覚していない。
- 245 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-28- 投稿日:2002年03月12日(火)18時48分17秒
- 「ひとみちゃんだって…今、してるじゃない」
梨華はヤレヤレと言う顔をして手を拭きながら、されるままになっている。
「見せつけなくたって、いいじゃんかぁ…」
梨華の背中に頬を寄せてスリスリしているひとみは、甘えん坊の猫のようだ。
「ひとみちゃんが来るの知ってて、してたわけじゃないでしょ?」
「あぁ、そうか」
ひとみは梨華から離れると、マヌケな声を出した。
「あぁ、そうかじゃないよぉ。ひとみちゃん、しっかりして! 学園祭まであと少しだよ!」
梨華はひとみと向き合うと、ひとみの両肩を掴み渇を入れる。
「そうなんだよねぇ。なんかさぁ、実感湧かないよねぇ。去年は梨華に告白しようって
言う目標があったけど、今年はなんか始まる前からドタバタしちゃってるしね」
「そんなコト言わないで。私なんか初めてステージあがるんだから…」
急に梨華は不安そうになる。いきなり中澤に言われ、踊れと言われては、それはそうだろう。
- 246 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-28- 投稿日:2002年03月12日(火)18時49分11秒
- 「そうだね。よし! 今年は梨華と一緒に出られるんだから、そのあとの、温泉旅行を
目指して頑張るよ。って、忘れてないよね? 梨華?」
「お、覚えてるよ。もちろん」
実はちょっと忘れていたので、少し焦りながら梨華は曖昧に微笑んだ。
(あぁ、ひとみちゃんとついに? なんて期待しちゃってよいのかな? なんて…私ったら
なに考えてるの! それなのに忘れてたなんてひとみちゃんに言えないな。ゴメンね)
「まぁ、今日は取りあえずケーキ食べようよ。そのために来たんだから」
(もうケーキの話? っていうか、ひとみちゃん今日はケーキケーキって…)
ひとみは、そんな梨華の気持ちには気付かずに、冷蔵庫からケーキを嬉しそうに出すのだった。
- 247 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年03月12日(火)18時55分43秒
- FLASHマンセー(w.
久しぶりに、いしよしぃ。やっぱり、石吉最高!!(w
っつぅかケーキかよっ!ケーキ食べたい(ぼそ)。
>239 ももたろうさん
はい、やぐが引き留めましたよ。
ごまカワイイですか? 嬉しいです。
>240 名無し男さん
どの先生に言うのでしょうか?(w
>241 夜叉さん
やっぱり放置は良くないので、少しいしよし。
露天風呂も忘れてたりして?←思いついてから何ヶ月も月日が。書く意力が既に失せ(略。
>242 M.ANZAIさん
新曲、矢口より高橋の方が目立ってるような気が(汗)。
私は「カモーナ!」が好き。
- 248 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月12日(火)20時10分20秒
- >FLASHマンセー(w.
いいっスねぇ、あの写真。(カラーならもっとイイ〜♪)
学園祭、どんな風に荒れるのか、楽しみですね。
(えっ、荒れるの!?)
- 249 名前:名無し男 投稿日:2002年03月13日(水)11時30分47秒
- 13:吉澤が物凄い勢いでケーキを食べつづけるスレッド〜2軒目〜(426)
1 :名前 :投稿日
店のもの食べ尽くしちゃったYO!
2 :名前 :投稿日
2ゲット!!!!!!
やった、ついに俺はやったぞ!!!!!!!
感動で涙が止まらない。
3 :2 :投稿日
2
7 :名前 :投稿日
前スレも貼れや
304 :名前:投稿日
\(^▽^)/新スレおめでとうございま−す♪
426:名前:投稿日
で、スレの趣旨なんだっけ?
- 250 名前:夜叉 投稿日:2002年03月15日(金)18時49分16秒
- いいえ、吉の言葉で石と同じように思い出したなんて、大きな声で言えませんが何か(笑)。 なげぇーよ(w
いいでしゅ、なんて言っておきながら、今回ので萌えてしまいました(笑)。
さすが、師匠。
- 251 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-29- 投稿日:2002年03月21日(木)16時26分40秒
- −29−
そして学園祭も間近に迫ったある日。
結局、小川がやった事は矢口の胸に留まり、あのメモは誰が置いたのか真希には
分からなかった。そんな事も忘れる程、学園祭前の練習は連日遅くまで続いた。
「ようやく何とかカタチがついてきたね。良かったよ。一時期どうなるかと思った」
去年飯田も部長で纏めてきたから、矢口の苦労は良く分かる。
こと、今年は部員以外からのメンバーが多い事もあって、大変さは去年以上であろう。
練習が終わり、飯田と矢口は2人でファミレスに来ていた。
「ホントだよ。もう疲れたよぉカオリぃ」
矢口はそう言いながら、出されたおしぼりで顔を拭いた。
「オヤジくさいぞ、矢口」
飯田は笑いながら、「あ゛ぁ〜気持ちぃー!」と満足気に言っている矢口を見た。
- 252 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-29- 投稿日:2002年03月21日(木)16時28分37秒
- 「大体、中澤は言うコトが無茶苦茶過ぎるんだよなぁ」
「そんなの今回に始まったコトじゃないじゃん。でもあれだね、カオリさぁ
ホントは、ホントはぁ…」
飯田は、含みのある言い方をする。
「なに? 気になるじゃん」
「ミニモニ。やりたかったんだよねぇ。今年もやるんでしょ?」
「ん…ぁ? まぁね。でも正直矢口には、あのフリキツイもんあるんだよなぁ」
「んなコト言うなよ〜。カオリどうなっちゃうんだよ?」
「辻とか加護は、まだ若いからいいんだけどさ、結構息切れしちゃって」
結構矢口も矢口なりに、色々と悩みもあるらしい。
「キツイって言えばさ、ミスムンだって結構キツイじゃん。あれを素人にやらせようって
言うのもね」
「でも心配してた吉澤も石川も結構なんとかなってきたし、安心したよ」
「それより、後藤、結構うまいじゃん! あのままダンス部でもやってけるんじゃないの?」
飯田の目が光ると、身を乗り出す。
「えぇ? ダメだよ、後藤は」
矢口はすぐに否定する。
(一緒の部なんて恥ずかしいじゃん。)
- 253 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-29- 投稿日:2002年03月21日(木)16時30分05秒
- 「そっかー? アイツ結構いい線まで行くと思うよ、カオリの勘だけど」
「後藤やる気ないから。何か目標あればやると思うけど」
「その目標をあげるのが矢口の務めじゃんか」
「なんだよ、務めって」
「注目浴びるのが嫌なんだ? 体育祭でも、結構後藤に声援あったもんなぁ。
アイツにも隠れファンって結構いるんじゃないの? 分かんないけど」
「そんなんじゃないけど…」
「まぁいいけどな。カオリは、もう卒業しちゃったし。
でも矢口も来年卒業だろ。ダンス部どうなっちゃうんだか…」
丁度、その時にオーダーした物が運ばれて来て話は中断した。
ダンス部の今後よりも、やはり真希の事が気になる矢口だった。
- 254 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年03月21日(木)16時33分59秒
- 久しぶりにちょこっと更新。
>248 M.ANZAIさん
今週もFLASH買いましたが何か? あぁんっ!
学園祭、そろそろ突入。スレがなくなる前に(^^;)。
>249 名無し男さん
もの凄い勢いだったのか。まぁ食べられて良かったね、よっすぃー(w.
>250 夜叉さん
もう夜叉さんの小説で涙しましたが何か?
予感はしてたんですけどね。切ない。
- 255 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年03月22日(金)08時57分20秒
- ご無沙汰です
いよいよ学園祭に突入ですか
安定している?いしよしよりもやぐごまが気になる今日この頃
続き楽しみにしてます
- 256 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月24日(日)21時57分28秒
- いよいよ学園祭がやってきますね〜♪
ミスムン、衣装は絶対あっちのバージョンですよね。
(なんか衣装のこと言ってた場面、あったっけかなぁ…)
「ハロプロコンサート」ビデオ見てどんな感じか想像しておきます。
- 257 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月26日(火)18時51分47秒
- まだかなまだかなー
ドキドキドキ
- 258 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年03月30日(土)14時14分16秒
- マターリ逝こうね
- 259 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-30- 投稿日:2002年03月30日(土)16時11分28秒
- −30−
ゲネプロも通して、後は本番を迎えるだけとなった学園祭前日の夜―――。
「いよいよ明日になっちゃったね。凄くドキドキしてる…」
梨華は、帰り道ひとみと歩きながら胸に手を当てながら言うと、
自転車をひいているひとみは、1年前を懐かしむように言った。
「去年を思い出すね。緊張してる私に、梨華は、おまじないしてくれたよね。
嬉しかったなぁ。両手でぎゅ〜っと握ってくれてさ」
ひとみは思い出しながら、顔を緩ませた。梨華も思い出すと顔を赤らめる。
「ヤダ。覚えてるんだ。ひとみちゃんが緊張する気持ち良く分かった気がする」
梨華は光り輝く星空を見上げながら言う。
やはり実際舞台に上がるとなれば、緊張するのも無理はない。
「私の場合、梨華に告白するって決めてたから…。あれから1年早かったね」
「そうだね。今度は、ひとみちゃんが私におまじないを…してくれないかな…」
「おまじない?」
梨華が立ち止まると同時にひとみも止まった。
「うん。あがらないおまじない」
そう言って、梨華は目を閉じた。
「梨華…」
何度も数え切れない程キスは重ねてきているけれど、改めて言われると、いまだに
妙に照れてしまうひとみだった。
辺りを見回して誰もいないのを確認すると、ひとみは梨華のくちびるにそっと重ねた。
「明日は、成功させようね!」
ひとみは、そう言って笑った。
- 260 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-30- 投稿日:2002年03月30日(土)16時13分00秒
- 一方こちらの2人も―――。
「やぐっつぁん覚えてる?」
「なにが?」
1年前と同じく公園のベンチに腰掛けている矢口と真希。
真希の意図する事は分かっていたが、矢口はわざと聞き返していた。
「もう覚えてるクセに。1年前の今日もさ、ここに座って喋ってたじゃん」
「そうだっけ?」
ファーストキスが奪われた日を覚えていないなんて事は絶対ないが、矢口は照れ隠しの為、
わざととぼけて見せた。
「ったくぅ〜!」
真希はそう言って矢口に寄りかかる。
「1年早いな。こうしてまた、ごっつぁんと一緒に過ごせて良かったと思ってるよ」
矢口は急に真面目になると、真希を見つめた。
「ヤダなぁ、なにしみじみ急に言うのよ」
真希は急にこみ上げてくるものを感じて慌てて視線を逸らした。
「まぁおいらも今回が最後だしな、成功させたいよ。ごっつぁんも出てくれるし
ありがたいよな。みんなのおかげだよ」
「やぐっつぁん何マジんなってんの?」
真希はわざと茶化すように言う。でないと涙が出てきそうだったからだ。
「マジになっちゃいけないのかよっ!」
矢口は真希を再び見ると、真希が今にも泣き出しそうな顔をしているので口を噤んだ。
- 261 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-30- 投稿日:2002年03月30日(土)16時14分50秒
- 「だって…」
「後藤…。取りあえず今はよ〜、明日の成功を祈ろうぜ。そしたら、その後は温泉じゃん。
楽しみだよな」
「………」
真希は黙っている。
「楽しみじゃないのかよっ!」
「楽しみだけど…」
「歯切れ悪いなぁ。そんなんじゃ矢口の彼女失格だぞ」
そう言って矢口は真希の額を軽く小突いた。そしてふいに抱き寄せると真希のくちびるに
軽くくちづける。
「やぐっつぁん…」
少し驚いた感じの目をして真希が矢口を見つめ返した。
「去年、ごっつぁんにくちびる奪われちゃったからな。お返し!」
矢口は笑うと、真希もつられて微笑み返した。
「うん。ごっつぁんは笑顔が似合ってるよ。おいらの前では笑っていて欲しいからよ。
泣いたりしたらぶっ飛ばすからな!」
矢口はわざと拳を突き上げる。
「んなコトしたら、後藤も負けずにちっちゃいやぐっつぁんぶっ飛ばしてやる!」
真希も負けじと拳をブンブンと振り上げた。
「ちっちゃいが余計なんだよ!」
矢口はふざけて真希に拳をかざす真似をした。
- 262 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年03月30日(土)16時19分20秒
- 学園祭当日はもう少し先。まだ説明しなければいけない事が(笑)。
>255 むぁまぁさん
どもども。やぐごまも安泰ですよ。あ゛でも後藤も人気が出て来る気配が?
>256 M.ANZAIさん
衣装あっちって女装じゃない方ですね(w。
まだ学祭の事をちゃんと考えてないので(ぉぃ)もう少し考えます。
>257 名無し読者さん
更新遅くてすみません。学祭まであと少しお待ち下さい。
>258 むぁまぁさん
マターリ逝かせていただきます。ありがとう。
- 263 名前:no-no- 投稿日:2002年03月31日(日)16時41分42秒
- お初です。
学際期待してますよ。
- 264 名前:夜叉 投稿日:2002年04月01日(月)20時23分50秒
- ささ、最終確認も終えたところで(笑)。
楽しみの学祭と温泉旅行〜♪期待しまくりなのですが何か(笑)。
マターリお待ちしております。
- 265 名前:名無し 投稿日:2002年04月03日(水)09時39分22秒
- 続きがんばってください
たのしみにしてます
- 266 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月07日(日)20時42分28秒
- あ〜。もう学祭突入ですか。
最近ヒサブリに『1』を読み返してみました。
そういや、いしかーさんはヤッスーのコンビニでバイトしてたんだよなーとか、
何だか懐かしかったです。
温泉にも期待。
- 267 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月07日(日)21時22分31秒
- 学祭&温泉楽しみです!
がんがってください!!
- 268 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-31- 投稿日:2002年04月11日(木)18時58分21秒
- −31−
高橋はさっきから何度も溜息をついては、天井を見上げていた。
既に時間は午前0時を回っている。高橋は眠れぬ夜を過ごしていた。
矢口から念を押されるように、頼まれたのもつい数時間前の事…。
「そんなコト、私出来ませんよ」と言って断ったものの、矢口に強引に押し切られてしまった。
「ごっちん先輩に告白…。それもみんなの前で…。…出来る訳ないよ」
高橋は情けない声で小さく呟いてみる。
その声は暗闇に吸い込まれていくようで、高橋自身このまま消えてしまいたい気分だった。
「だって…私が好きなのは…矢口先輩だもん……」
口に出して言うだけで高橋の心は揺れる。
今回のダンス部に出るのだって矢口がいたから、頼まれたからであって、
真希が出るからではない。
勿論、今でも真希の事は憧れているし好きである事に代わりはないが、
好きになった当初の時のようなときめきはなかった。
そして、いつの間にか心の中にいたのは、矢口だった。
矢口は高橋は真希が好きなのだといまだに思っている。無理もないけれど。
だから明日『矢口が好き』と告白したら、矢口はどんな反応をするのだろう? なんて
想像するだけで、高橋の心はドキドキが止まらなくなる。
言うべきか、言わずに心の中にしまっておくべきか…。そうなると真希の反応も気になる。
だからと言って『真希が好き』と告白するつもりは、毛頭なかった。
でも、矢口はそれを望んでいる―――。
「どうしたらいいんだろう…」
高橋は出口のない迷路の中を彷徨っている気分だった。
- 269 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年04月11日(木)19時04分21秒
- 短いですけど更新です。次はいよいよ学祭突入。長かったです。
>263 no-no-さん
こちらでもどうもです。
>264 夜叉さん
既に私が忘却なので読み返さないと(汗)。
夜叉さん遅らばせながら、やっと小説読ませていただきました(おせぇよ!)。
タンポポの話は私も大昔に書いた事がありました(w。こんな素敵な話じゃ
なかったですけどね(w
>265 名無しさん
更新が遅くて申し訳ないです。
>266 ごまべーぐるさん
読み返したんですか恥ずかしいです。
もうすぐで1年経ちます。早いですね。他人事のように驚いています。
温泉は自分も楽しみです♪(まだ先ですけど)
>267 よすこ大好き読者。さん
あいあい。がんがります!
- 270 名前:no-no- 投稿日:2002年04月12日(金)15時31分27秒
- おー、更新されてるー。
知は高橋にそんな頼み事をしてしまったのね。
何を考えてそんな事を言ったのだろう?
最近ネットカフェに入り浸りぎみです。
なんだかなー、ダメダメです.逝って来ます。
- 271 名前:夜叉 投稿日:2002年04月12日(金)18時53分47秒
- ぬをっ!もしやの番狂わせがあるのでしょうか?期待してますよ、師匠。
有難うございます。今度は路線が違う物です(^^;;
- 272 名前:ももたろう 投稿日:2002年04月13日(土)00時36分22秒
- なんかドキドキしてきました。
高橋がどんな答えを出すのか、やぐとごまがどんな反応なのか・・
わーめちゃくちゃ楽しみです!頑張って下さい!
- 273 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年04月13日(土)20時54分55秒
- 果たして高橋はどうするのだろうか?
非常に興味しんしんなのれす
- 274 名前:value 投稿日:2002年04月15日(月)01時24分54秒
- 〜!
- 275 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-32- 投稿日:2002年04月16日(火)18時59分13秒
- −32−
まだ誰もいない講堂に一人高橋は舞台に佇んでいた。
結局、殆ど眠れないまま高橋は学校に訪れた。
一年前。ひとみが、真希が告白したこの場所で、まさか自分も一年後に同じ事を
しようとは夢にも思っていなかった。
ただ違う事は…ひとみと真希とは違って、結末は結ばれないと言う事―――。
それなのに………。
「ひどいよ、矢口先輩…」
高橋は手をきゅっと握り、胸に押し当てた。
こうしている今でも、もう心臓はドキドキしている。
「私に恥をかかすつもりですか?」
こんな事なら松浦に代わってもらえば良かったと後悔するが、当日の朝に思っても後の祭り。
- 276 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-32- 投稿日:2002年04月16日(火)19時00分26秒
- 「高橋! お前早いな!」
舞台の裾から矢口が顔を出した。
「や、矢口先輩…。先輩こそ、どうして?」
矢口の事を考えていた時に、本院が現れるから高橋は、かなり動揺を隠せなかった。
「おいらは、もう最後だからさ。こっそり練習しようかと思って早く来たつもりだったんだけど…。
高橋の方が早かったな」
高橋の方に歩きながら矢口は話しかけてくる。
「あの…私は……緊張しちゃって…」
胸にとを当てながら高橋は俯いた。
「大丈夫かよ? そんなに不安? それとも、おいらのせいか?」
矢口は高橋の肩に手をかけると、下から顔を覗き込んだ。
「矢口先輩…。わ、私……」
「…ん? どうした?」
矢口に見つめられて高橋の鼓動は一層早くなる。
「私、やっぱり出来ませんっ!! ごめんなさいっ!」
高橋は深く礼をして、謝る。
(自分の気持ちに嘘ついてまで、告白なんかしたくない…。)
「………」
矢口は黙っている。矢口の足元を見つめる高橋だが、動く気配がなかった。
いつもの調子で言い返して来ると思っていた高橋は逆に不安になり、恐る恐る顔を上げた。
- 277 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-32- 投稿日:2002年04月16日(火)19時02分08秒
- 矢口の黒目がちな瞳が揺れると、深呼吸して、こう言った。
「ゴメンな。やっぱり…無理だよな」
「え?」
意外な矢口の答えに高橋は矢口を見つめた。
矢口はポケットに手を突っ込むと、空を仰ぐように少し高橋から離れて言った。
「高橋と後藤がさ、おいらが居なくなった後に、仲良くなれればいいなって思ってたけど
気持ち考えてなかったもんな。後藤だって高橋の気持ち全然気付いてないようだし…」
『矢口先輩! 貴女もですよ』と言いたい高橋だったがぐっと堪えた。
- 278 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-32- 投稿日:2002年04月16日(火)19時02分55秒
- 「急に言われても困るよな」
そう言って矢口は高橋の方に振り返る。
「………」
「おいらが何とかするからさ。気にするなよ」
「何とかって…」
何とか出来ないから、自分に頼んで来たのではないのか?
「そうだなー、松浦あたりにでも当たってみっか」
矢口は呑気に言う。
「とにかくよ、これでもう肩の荷が下りただろ? ダンス部の方に身を入れてくれよな!」
矢口は高橋の肩をポンと叩くと、ニッコリと微笑んだ。
「でも、それだと…」
言い淀んでいる高橋に、矢口は更に肩をガシッと叩いた。
「お前さっき、出来ないってハッキリ言ったじゃん。だからいいよ。もう」
高橋の目に自然と涙が溢れて来る。
(う…なんで私泣いてるんだろう? どうして矢口先輩は優しいんだろう…)
「お、おい高橋! 泣くコトないじゃん」
矢口は急におろおろしだした。その姿が、なんだか可笑しくて、高橋は泣きながら笑ってしまう。
「泣くか笑うか、ハッキリしろよ!」
(なんなんだよ、訳わかんねぇよ!)
「矢口先輩…。好きです……」
意外にもすんなりと、その言葉は高橋の口から滑り落ちていった。
- 279 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年04月16日(火)19時11分15秒
- ちょっと意外でしたか? えぇ私自身がビックリです。ヲイ。
学園祭いつ始まるんだよ!
>270 no-no-さん
戻ってきて下さい(w。
さて、知はどうするんでしょう?
>271 夜叉さん
連載抱えすぎて(汗)。1週間に1度は更新しないとと思っておりますです。
路線が違うんですか? 楽しみです。ってもう始まってますか?(泣)
>272 ももたろうさん
高橋も此処で告るつもりなかったみたいなんですけど…。
>273 むぁまぁさん
告白しました!
>274 valueさん
ageないようお願いします。
tp://easter.ne.jp/bagel1444/novelnote/sweet17.htm
全然、こちらも、いしよしじゃなくなったので、上記で新作書き始めました。
もう読んでる方はスマソです。エロです。スイマセンスイマセン。
一応、吉澤誕生日続行中です(w。
- 280 名前:no-no- 投稿日:2002年04月16日(火)19時57分56秒
- 更新御疲れ様です.
知よ、告白したら逆にギクシャクしそうな気がするのだが、、、
高橋も知に告白しちゃって、学際も今から、問題が山積みだ―。
続きもマタ―リ待ってます。
- 281 名前:夜叉 投稿日:2002年04月16日(火)20時41分30秒
- つ、ついに…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル。
生暖かく、続きをお待ちしております。が、がんがって下さい、師匠(^^;;。
とはいうものの、師匠の凄さに脱帽っす。
- 282 名前:ももたろう 投稿日:2002年04月16日(火)21時41分01秒
- つ、ついに!!
やぐ!男ならびしっと返事してくれよう!
ごま、焦って!
最高です!続きをお待ちしております・・・
がんがってくらさい。
- 283 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月16日(火)21時54分23秒
- そうきたか!!
高橋も切ないっすねぇ。
さ、学祭へGO!!
- 284 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月16日(火)23時24分36秒
- ひとみが真希に...はつっこむべきなの?
- 285 名前:284 投稿日:2002年04月16日(火)23時27分56秒
- 失礼、なんでもないです
- 286 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年04月17日(水)07時49分14秒
- おお! 告白しましたね
やぐの反応は!?
- 287 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年04月17日(水)11時22分45秒
- ついに告白しちゃったのね、高橋。
知がどんな反応を示して返事を返すのか楽しみです。
吉誕生日続行小説も楽しく拝見させてもらってます♪
がんがってくださいねー。
- 288 名前:145 投稿日:2002年04月17日(水)23時10分20秒
- お〜〜〜久しぶりにきたらめっちゃえらいことになってる!!
愛ちゃん告っちゃいましたね〜♪
やぐっつぁんどうするのかすっごく楽しみです!
これからも頑張って下さい寝!
- 289 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-33- 投稿日:2002年04月24日(水)21時33分00秒
- −33−
「…今、なんて言った?」
矢口は空耳かと思い、もう一度聞き返した。
「矢口先輩が好きです」
高橋はゆっくりとハッキリ言った。
「………」
(えぇーと、落ち着け矢口! 高橋は後藤が好きなんだろ!?
なんでオイラ?)
矢口は混乱する頭を整理しようと、深呼吸して落ち着かせようとする。
『冗談だろ』なんて言える雰囲気ではなく高橋は真剣で…。
視界が霞んで良く見えない高橋だったが、矢口があたふたとしている
様子は何となく分かった。
「全然気付いてないところも、ごっちん先輩とそっくりですね」
「…鈍感で悪かったな!」
矢口はハンカチを取り出すと、押し付けるように高橋にソレを差し出した。
(後藤も気付いてなけりゃオイラも気付いてないって似たもの同士かよ!)
- 290 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-33- 投稿日:2002年04月24日(水)21時34分00秒
- 「矢口先輩の…そんなところも大好きです」
高橋はハンカチを大事そうに握りしめながら言った。
「あのなぁー高橋…」
矢口が言いかけるのを遮るように高橋は話を続ける。
「分かってます。ホントは言うつもりじゃなかったんです。
でも嘘ついてまで、みんなの前で言うのは嫌だったから。
いくら矢口先輩の頼みでも、自分の気持ちには正直でいたいです」
「嘘って…」
「後藤先輩のコトは今でも好きです。でもそれ以上に矢口先輩が好き。好きなんです」
さっきから”好き”を連発されて、いつも真希に言わされている身の
矢口としては、妙に照れくさかった。
しかし、それはストレートに矢口の胸に伝わって来る。
でも高橋の気持ちには応えるコトは出来ない。
「高橋…。気持ちは嬉しいんだけど…」
矢口は言いにくそうに言う。これだけはハッキリと言わないと。
「私、矢口先輩と後藤先輩が仲良いのを見るのがもっと好きなんですよ。
だから…フラれるの分かってて…告白しました。
矢口先輩は…卒業しても後藤先輩と…ずっと…」
急にまた涙がこみ上げてくる。矢口の困った顔がぼやけて見え始めた。
「…ぅっく…ずっと……」
「分かってるよ。後藤とは別れるつもりないから…。だから泣くなって」
矢口は宥めるように高橋の肩を抱いた。
- 291 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年04月24日(水)22時08分41秒
- 相変わらず少しの更新で申し訳ないです。
やっと学祭突入(苦笑)。長かった。
昨日のMUSIX!の、やぐごま、オープニングの知の「デェト♪」が(・∀・)ノ イイ!!
>280 no-no-さん
まだまだ色々ありそうな予感ですが〜。私にも分かりません。
平穏に終わる事を祈ってます。
>281 夜叉さん
全然凄くないので、夜叉さんも新作をお願いしますよほ♪
>282 ももたろうさん
高橋も実らぬ恋だと分かっているので、こんな感じです。
>283 ごまべーぐるさん
小説見に行きました。がんがってください。
>284.285 名無し読者さん
一瞬間違えたかと思ってしまいました(汗)。
>286 むぁまぁさん
矢口も寝耳に水だったようで。
>287 ごーまるいちさん
いつもありがとうございます。
あっちの方も宜しくお願いします。密かに私もアゴン三姉妹気に入ってます。
>288 145さん
sageでお願いします。告白した事でギクシャクしなければいいんですけどね。
- 292 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年04月30日(火)12時40分01秒
- 切ない恋だな
- 293 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年04月30日(火)12時41分14秒
- 更新お疲れ様でした
- 294 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)18時11分45秒
- がんばって
- 295 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-34- 投稿日:2002年05月21日(火)18時34分30秒
- −34−
本番直前の控え室―――。
既に出演者達は、着替え終わっていて、お喋りに花を咲かせていたり、
それぞれの時間を過ごしている。
今日の主役、ひとみは、誰もが見とれるほど、男装役が決まっていた。
黒シャツに白タイ、黄色いスーツ。
「2丁目に、いそうなホストって感じだね、よっすぃー」
自分もひけを取らないのに、真希は、自覚がないのか、他人事のように茶化した。
真希は、赤のスーツで決めている。
「Oh! Baby〜♪ 君だって良く似合ってるよ」
ひとみは、わざとキザに振る舞いながら、真希の顎を上に向かせた。
「な、なにすんだよ! ごっつぁんに!」
すると、黒のミニドレス姿の矢口が、慌てて飛んできて、ひとみの手を降ろさせた。
「矢口先輩、意外と女の子らしいカッコ似合いますねぇ〜」
特に気にもとめないひとみは、逆に矢口をからかっている。
「う、うるせえっ! もぅ石川も何か言えよ!」
矢口は梨華に助けを求めるが、当の梨華は、ひとみに見とれているのか緊張しているのか
微動だにしなかった。
(ひとみちゃん…。カッコ良すぎるよ)
- 296 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-34- 投稿日:2002年05月21日(火)18時35分21秒
- 「まったく、バカップルが…」
(り、梨華。けっこー胸が…でっけ〜のでは? かっけ〜!)
梨華のピンクの衣装を見つつ、ひとみは赤くなった。
真希は梨華の横に立つと、肩に手を回し、耳に顔を近づける。
「よっすぃー男の目になってるから、気をつけた方がいいよ」
「え…?」
梨華が真希を見つめると同時に、今度はひとみが飛んでくる。
「ごっちん! 梨華に近づかないで!」
そのまま真希から梨華を引き離すと、ひとみは梨華を連れて、どこかへ行ってしまった。
「コラーッ! お前ら本番間近だぞー!」
そんな矢口の声も虚しく、ひとみと梨華は出て行ってしまった。
「…ったく、緊張感ってもんがないよな。アイツらには。公私混同も甚だしいよ」
矢口はぶつぶつ言いながら、真希に言ったつもりだったが、真希は、辻と加護達と
話に行ってしまった。そして、視線は高橋とぶつかってしまった。
- 297 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年05月21日(火)18時38分53秒
- 少しの更新ですみません。マターリすぎて忘れられてるような気が(汗)。
一応、衣装はミスムンのPVの、あんまり出てない方の衣装。
吉が黄、後藤が赤、安倍が青のスーツの方で。
>292 むぁまぁさん
いつも、ありがとうございます。
>294 名無し読者さん
あーい。がんがります。
- 298 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月21日(火)19時30分20秒
- ちゃんと読んでますよ。これからも頑張ってください。
- 299 名前:ももたろう 投稿日:2002年05月21日(火)20時38分05秒
- マターリ待ってました
待つのは慣れっこです♪
視線があったたかはっちゃんと矢口。
…気になるところでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
- 300 名前:某読書人 投稿日:2002年05月21日(火)22時15分39秒
- 初めてましてです
吉は胸がでかくてもかっけーなのね(w
男の目になった吉は何処行って、何するんだろう
- 301 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年05月22日(水)07時47分40秒
- 更新キター!!
いしよしはどこさ逝ったんだべ?
さて矢口はどうするんだべな
楽しみだべ
- 302 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-35- 投稿日:2002年05月22日(水)18時00分36秒
- −35−
思わず矢口は視線を外しそうになったが、それでは高橋に失礼だと思い、
見つめ返していたが、それはあまりにも不自然すぎるものだった。
そして高橋が近づいてくる。
「矢口先輩」
いつもと変わらない笑顔で。
「う、うん」
情けない事に矢口の方がオドオドしていた。
「そんな顔しないで下さいよ。私は、もう平気ですから」
そんな筈はない。しかし気丈に振る舞う高橋が、とても健気に見えた。
「また、ごっちん先輩とラブラブなところ、見せつけて下さいね」
高橋は、真希を見ながら言った。
「高橋…」
「でも、デートはして下さいね。最初で最後のデート。忘れたなんて言わせませんよ」
高橋は大きな瞳を揺らして笑った。
「覚えてるよ。高橋口説いたのオイラだしな」
矢口は小指を差し出し、高橋の小指に絡ませた。
「矢口先輩…」
驚いて見つめる高橋に、矢口は呟く。
「指切りゲンマン…」
そんな事したら、真希に見付かる…。と高橋が思うのと同時に、真希が飛んできた。
- 303 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-35- 投稿日:2002年05月22日(水)18時01分28秒
- 「なにしてんのー! ヒミツの約束?」
真希は二人の間を割り込むようにして入ってきた。
「公然の約束。今度、高橋とデートしてくっから、後藤は留守番ヨロシク!」
ハッキリと矢口は言って高橋の指を離す。
「デートってなに?」
話の見えない真希は、二人を交互に見る。
「デートするかわりに学祭出てってオイラが頼んだからさ。
そこまでしても、高橋のコト、欲しかったんだよ」
「欲しいだなんて、やぐっつぁんヤラシー」
「そう取るお前の方がヤラシーだろっ。オイラとデートできるヤツなんて滅多に
いないんだから、高橋も有り難いと思えよな」
矢口は胸を反らせて偉そうに言う。
「愛ちゃんも口車に乗せられちゃったんだね。可哀想に」
真希は少し哀れむような目で高橋を見て慰める。
「口車ってなんだよっ。人聞き悪いな。
ま、そんな訳で、高橋と爽やかなデートしてくるよ」
矢口も言い返すと、真希は少しムッとした。
「後藤だって爽やかだもん。愛ちゃんも気をつけなね。
やぐっつぁん、こう見えて………」
含みのある言い方をして真希はニヤける。慌てる矢口。
そんな二人のやりとりを高橋は、微笑みながら見つめていた。
(矢口先輩…。ありがとうございます。)
- 304 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-35- 投稿日:2002年05月22日(水)18時03分12秒
- ひとみに手を取られ、舞台裏に連れて行かれる間、
梨華は真希に言われた言葉を頭の中で繰り返していた。
(男の目って…なんだろう。もしかして…。)
梨華は本番前というのに、そっちの緊張よりも今の状況に妙にドキドキしていた。
本番前に本番されたら…などと言う考えまで浮かんできて梨華は自分の厭らしさに、
落ち込んだ。
(私ったら、何期待してるんだろう…。もうバカみたい。)
ひとみと正式に付き合い始めて今日で丁度1年になる。
その間、数え切れない程のくちづけを交わして来たけれど、
それから先は一向に進む気配がなかった。
チャンスがなかった訳ではないが、ひとみから誘うと言う事が殆どなく、
梨華は自分に魅力がないのか? と落ち込んだりもしたが、そういう事でもない。、
ひとみはそれ以外は本当に優しかった。
「梨華…?」
急に呼ばれているのに気付き、梨華は顔を上げる。
「うん?」
「どうしたの? 思い詰めた顔して。緊張してるの?」
梨華はひとみの顔をマジマジと見つめる。
男の目には見えず、いつもと変わらない優しい眼差しだった。
「うん。ちょっと…ね」
(もう、ごっちんがヘンな事言うから!)
ヘンに期待している自分を棚に上げて、梨華は真希のせいにした。
- 305 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-35- 投稿日:2002年05月22日(水)18時04分12秒
- 「……しても…いいかな?」
ちょっと照れたように言うひとみ。
(す、するって何を? …ここで?)
肝心の前の言葉を聞き逃し、梨華は緊張と興奮で汗が流れてくる。
ただでさえ汗っかきなのに。
(あっ。メイクが落ちちゃうよ…。折角ちゃんとしたのに。)
「こ、ここで?」
梨華の声はうわずる。
「うん」
「これから?」
「そうだけど」
あまりに渋る梨華に、ひとみは首を傾げた。
「イヤ?」
ひとみの目が途端に寂しげに映る。
「イヤじゃないけど…」
(急すぎない? ひとみちゃん…。)
ひとみは梨華の肩に手を添えると、ゆっくりと顔を近づけて来た。
- 306 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年05月22日(水)18時08分27秒
- 今日も少しだけ更新。
>298 名無し読者さん
ありがとうございます。レスつくと、書こうと言う気がわきますね。
>299 ももたろうさん
待たせすぎてすみません。高橋と矢口のデートもどうなるやら。
>300 某読書人さん
吉は某所でお楽しみ中です(w。
初めてましてですね。嬉しいです。
>301 むぁまぁさん
梨華ちゃんが暴走してるだけです。
早く、本番本番!(w
- 307 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月22日(水)22時07分35秒
キタ━(^▽^)━( ^▽)━( ^)━( )━(^ )━(▽^ )━(^▽^)━!!!!!!!
石川暴走祭り実施中。
- 308 名前:ももたろう 投稿日:2002年05月22日(水)23時54分59秒
- おおおおお!!
更新ありがとうございます!!
高橋とのデートも楽しみだけどそれに妬くごまも楽しみ♪
梨華っちは暴走してるし・・・もっと暴走(w
セクシー8、がんがれ〜
- 309 名前:名無し男 投稿日:2002年05月26日(日)21時35分53秒
―ニ三( ゚▽)シュシュポポシュシュポポ
ξ
ヽ( ゚▽。)ノ ポッポー!!
- 310 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年05月27日(月)07時50分55秒
- 確かに石川さんは暴走機関車と化してますなぁ
ははは
- 311 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-36- 投稿日:2002年05月29日(水)18時27分20秒
- −36−
「おいら、ちょっと見てくるわ」
矢口は、ひとみと梨華が気になり、控え室から出て行く。
「まったく、吉澤達、どこ行ったんだよっ!」
その後に、真希が急いで着いてきた事に矢口は気付かなく、
丁度ドアを閉めた所で、真希は矢口の後ろから抱き付いた。
「ぅわっ!」
「やぐっつぁ〜〜〜んっ」
「なっななななんだよっ。ビックリすんじゃねぇか」
いつもと違って女の子らしい矢口の姿に、男役の真希は、いつにも増して
矢口が愛おしく思え、つい抱きしめていた。
当の矢口は容姿こそ女らしく黒のミニドレスだが、相変わらずの男言葉である。
「女っぽい、やぐっつぁんも素敵♪」
「はぁ?」
真希は矢口を振り向かせると抱きしめる。
「真里。今夜は離したくないよ」
「ご、ごっつぁん! 落ち着けって!」
(それに、真里って言うな!!)
口に出して言えないところが矢口の弱いところである。
矢口はひとみ達が気になり、そんなムードになっていないから一人盛り上がる真希を
放置して、視線は宙を彷徨っていた。
(まったく、本番前っつぅのに、なんで、こう緊張感に欠けるんだよ! お前らは!)
矢口は抱きしめられながら、心の中で悪態をつく。
- 312 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-36- 投稿日:2002年05月29日(水)18時28分56秒
- 「やぐっつぁん?」
急に真希は矢口から離れると、見つめ返す。
「な、なによ?」
矢口は、急に真顔になる真希に、おどおどした。
「なんかさぁ、朝から様子が変だから、後藤気になってたんだけど…」
「え? そ、そんなコトある訳ないだろ。本番前だし、最後の学祭だから
すげぇ緊張してんだよ。大体、お前らの方が余裕ありすぎだよ! 全くよ〜」
矢口は早口に一気に喋りまくる。
「妖しいなぁ…。一応、後藤はやぐっつぁんの彼女だから、そんくらい分かるよ」
「は? べ、別に」
矢口は、つい目を反らす。
(やべぇ。却って怪しまれちゃったじゃん。矢口ピンチ!)
「ウソ。ちゃんと答えて欲しいなぁ…。じゃないと…」
「なんだよ?」
矢口は真希を見返す。
「今夜は許さないから!」
そう言って真希は矢口に素早くキスをする。
「……っ!!」
「今、話さなくてもいいけど、絶対後で話してよね」
真希は少し寂しげに言うと、気を取り直して話題を変える。
「ごっつぁん…」
「まったく、よっすぃー達も、何してんだか。自覚が足りないよねぇ。あはっ」
真希は矢口に背中を向けると、ひとみ達を探しに舞台の方に歩いていった。
朝の高橋に告白された事は、勿論真希には言っていない。
と言うより、どう説明すればいいのか、矢口自身も整理がついていなかった。
「ごっつぁん。サンキュ…」
矢口は真希の後ろ姿に呟く。しかし………。
(許さないって、なにを? んーと、まさかアレか?)
矢口は少し考えて思う。
(どっちにしろ、許さないんじゃねぇのかよ!)
矢口もひとみ達を探しに、真希の後を追いかけた。
- 313 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年05月29日(水)18時33分36秒
- やぐごまの方が実はここの話は書きやすかったり…。
>307 ごまべーぐるさん
ここの梨華ちゃんは、どうも一人暴走しすぎになってしまいますね。
それに比べると、吉澤は鈍感です。
>308 ももたろうさん
後藤は邪魔に入るかも知れませんね。やぐたかってマイナーですね。
>309 名無し男さん
ξ
ヽ( ゚▽。)ノ ポッポー!!
なんか、かなり逝っちゃってますね。でもワラタ。
>310 むぁまぁさん
勘違い梨華ちゃんなんで、大目にみてやって下さい。
まだ、そういうのは先になりそうなんで(ってするのか?)
- 314 名前:ももたろう 投稿日:2002年05月29日(水)21時41分14秒
- こんな甘いやぐごま、良いなぁ・・・
いつもと立場逆転のふたりもおもろいっ!!
勘違い梨華ちゃんはもっとおもろい(w
がんがってくださーい。
- 315 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月30日(木)18時06分08秒
- けっこう、やぐごま好きな私。。。(w
石と吉がどんな形で発見されるか、たのしみっすね〜
- 316 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年05月31日(金)08時07分34秒
- 甘い♥
わくわく
- 317 名前:3105 投稿日:2002年06月04日(火)20時18分43秒
- はじめまして!
最近発見して最初から全部読ませてもらいました。
メッチャいいです!続きを楽しみにしてます。
- 318 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月10日(月)19時18分48秒
- 師匠のやぐごまはやはり萌えます。逆立場もイイ!
続き楽しみにしてます。
- 319 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-37- 投稿日:2002年06月11日(火)18時23分56秒
- −37−
梨華も覚悟を決めて、そっと目を閉じる。その時……。
ひとみのくちびるが、梨華に触れそうになった時、背後から矢口の声がした。
「こらぁ! お前ら何してんだよ! そんな舞台の隅で、こそこそと!」
その声に、弾かれたようにパッと離れる二人。
「や、矢口先輩…」
「急に離れるなんて、怪しいなぁ。お前ら、自覚持てよな!」
自分の事は棚に上げて矢口は注意する。
「まぁ終わってからは、好きにしていいけど…」
「やっぱり、ここにいたんだぁ」
ワンテンポ遅れて真希もやってきた。
「タイミング良すぎですよ、もう…」
ひとみは諦めたように言って梨華を見る。
梨華は、なんだかかなり不機嫌になっている。
「梨華? どうかした?」
キスがおあずけになった位で、そんなに機嫌が悪くなるのかと
疑問が残ったが、本番前の緊張もあるのだろうと、ひとみは納得してしまう。
「別に。先に行ってるね」
(もぅ、ひとみちゃんも矢口先輩も意地悪なんだから!)
後ろ姿を見送りながら、矢口は不思議そうに言う。
「石川どうかしたのか?」
「本番前で緊張してるんすよ、きっと」
呑気にひとみは返すが、真希が人差し指を左右に振りながら否定した。
「チチチチチ! 甘いなぁ、ひとみクン。乙女心が分かってないよ」
「?」
- 320 名前::恋をしちゃいました-4th Stage-37- 投稿日:2002年06月11日(火)18時24分58秒
- ひとみの肩に手をかけると、真希が囁いた。
「石川先輩、そぅとぅたまってるかもよ?」
ギョッとした顔で真希を見るひとみに更に続ける。
「優しくしないとねぇ…」
分かった風に言う真希にひとみは言い返す。
「優しくしてるよ?」
(たまってるって何が? ストレス?)
本当にひとみは鈍感である。
「やっぱりさぁ…」
そう言いながら矢口に歩み寄る真希。
「あ?」
おもむろに矢口を抱き締めると、いきなりキスをする真希。
あまりに突然の事で、ひとみも呆気に取られて見ていた。
「ごっちん…大胆……」
「まぁ、こんな風にさ、本番の時に強引にしてみれば、石川先輩も
よっすぃーに、うっとり♪ なんてコトになるかもよ?」
矢口を話すと、真希はさも、分かったような口調で言った。
(オイラは実験台かよ!)
突然のキスにドキドキしながら、矢口は真希を見つめた。
「ゴトー達も、よっすぃー達に紛れてしちゃおっか?」
「…バカ! する訳ないだろ。大体見せもんじゃないんだよ! もう行くぞ」
矢口は真希とひとみを残してさっさと部員達のいる元へと戻っていく。
「よっすぃーもガンバってね♪」
真希は軽くウィンクをすると真希も戻っていった。
「ガンバってねって何をだよ」
ひとみは呟いて、いよいよ近づいてくる本番の事を考えていた。
- 321 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年06月11日(火)18時26分06秒
- 此処も書き始めて1年経ったのだなぁとしみじみ。
あと少しで終わる予定なのに、全然進みません(苦笑)。
>314 ももたろうさん
やぐごまが、かなり書きたくなってますが何か?
マイナーなCPだと思いますが、結構私的にはツボだったりします。
>315 よすこ大好き読者。さん
ありがちな展開ですみません。いい加減引っ張りすぎたので本番です(w。
>316 むぁまぁさん
いしよしは、おあずけと言う事で。ヲタのしみは、学祭の後ですかね。
>317 3105さん
最近ですか。初めましてです。そういうレスは嬉しいですね。
なかなか話が進まないんですが、これからも宜しくお願いします。
>318 ごまべーぐるさん
どうもどうも。時代はやぐごまですよね。ぉぃ
もっと、やぐごま小説が増えるといいなと思ってる私はいしよしヲタ。
最近は…(r
- 322 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年06月14日(金)22時52分28秒
- にゃるほど
どんどん嵌って逝くなぁ わたす
- 323 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年06月20日(木)12時18分53秒
- おとついのMUSIX!新コーナーに出たメンバーを見てたらこの作品のことを思い出しますた
- 324 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年06月28日(金)12時26分12秒
- マターリとほぜむ
- 325 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月02日(火)01時05分18秒
- 最近、作者さんの姿が見えず淋しいかぎりです。
あれほどスランプ知らずの作者さんだった様な気がしますが・・・
更新、心よりお待ちしてますよ!
だって、ここまで話も進んでる事だし。
我々には、作者さんの復活を待つばかりですよー
- 326 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年07月08日(月)08時16分07秒
- あっしはマターリと待ちますよ
>なっつぁんさん
ほぜん乙
- 327 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年07月08日(月)18時16分06秒
- >むぁまぁさん
度々のほぜむありがとうございます。
今月中旬〜下旬には、必ず更新しますので、今暫くお待ちを。
>なっつぁんさん
ちょいと連載を抱えすぎまして(自分が悪いんですが)と言い訳ですが。
レスは有り難いのですが、sageでお願いします。m(_ _)m
- 328 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月09日(火)12時38分24秒
- 作者さんが来てくれた〜!
良かった・・・放置された訳じゃないって事が
分かっただけでも嬉しいです!
この前は上げてしまって、ほんとにご免なさい。
更新される日を楽しみに待ってますね!
- 329 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-38- 投稿日:2002年07月09日(火)23時00分08秒
- −38−
既に開演5分前。
舞台の袖から客席を覗いてみると、殆ど満席で立ち見も出ているほどだった。
「すっげ〜。去年よりも凄い! いっぱい人入ってるよ」
ひとみは、他人事のように驚いて見せた。
しかし、ひとみは、初舞台である梨華よりも余裕の表情である。
「ひとみちゃん…。緊張してきた…」
梨華は手に汗を握りながら、本当にドキドキ感が収まらずに額からも
汗が流れ落ちそうである。
「大丈夫だよ、私がついてるから」
「う、うん」
ひとみは梨華の手をギュッと握りしめた。
「ごっつぁん、緊張してない?」
「んあー、平気平気。去年のサクラ要員よりは、楽しめるかも。
なんたって歌って踊れるじゃん!」
真希は初舞台であるが、梨華と違って全然余裕である。
「良かった。ごっつぁん、良く似合ってるよ、その姿」
矢口は真面目に言うと、真希を見つめた。
「やぐっつぁんも、黒のドレス似合ってるぅ♪ 矢口姫ぇ〜♪」
真希は矢口を抱き締める。
「あぁ…あの……」
本番前と言うのに、緊張しないのも程度ものだと矢口はこの時思ったのだった。
- 330 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-38- 投稿日:2002年07月09日(火)23時00分55秒
- 「いちゃこくのは、本番終わってからにしてや!」
中澤はニヤリとしながら、矢口と真希を見つめている。
「「中澤…先生」」
矢口は離れようとしたが、真希が離さない。
「本番終わるまで待てないんですよ、先生。あまりに真里が可愛くて」
「名前で呼ぶなよ!」
矢口は顔を赤くしながら、叫んだ。
違う意味で汗をかいてしまう矢口。
「お熱いコトで。まぁえぇわ。もうそろそろ本番や。
気合い入れていきや!」
「んあ〜い」
真希の気合いの入っていない返事に中澤は、こけそうになった。
(吉澤と石川もすっかり、主役を奪われた感じやな…)
舞台袖で、小さくまとまっている、梨華とひとみを見て中澤は呟いた。
そんな矢口と真希の様子を遠くの隅で高橋は見つめていた。
(やっぱり、矢口先輩とごっちん先輩はお似合いですね…)
とにかく成功させなければならないと高橋は胸に手をやりギュッと握った。
- 331 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-38- 投稿日:2002年07月09日(火)23時01分39秒
- 「なっちは平気。わくわくしてきたべさ」
安倍も主役三人の内の一人なのだから、わくわくするだろう。
それに去年は顔を使った紙芝居のみだったのだから、OBとして
よりも気合いが入ると言うものだ。
「カオリは緊張してきた…」
去年はひとみと組んで『交信』をやった飯田だったが、今年の方が
何故か緊張する。二人で出るよりも大人数の方が緊張するのは不思議な話だが。
「いいらさん、平気なのれす。ののついてますから」
辻が、いつの間にか飯田の横にいて、手を握ってきた。
「ありがとう」
考えたら、辻は、今年もミニモニ。をやったりと忙しいのである。
ミニモニ。は去年だけの企画ユニットの予定だったのだが、
予想以上に盛り上がった為、今年も続行してやる事になっていた。
尤も、リーダーである矢口が卒業する為、今年いっぱいなのだが。
「いいらさーん。ウチもついとるで〜!」
もう一人のミニモニ。メンバーである加護も辻の隣りに来て
飯田を励ました。
「ののと加護に励まされるようになったら、カオリもお終いだね」
「お終いって…むっちゃ酷いねん。後で、ジュース奢ってな!」
加護は飯田にそう言うと、辻と共にどこかへ行ってしまった。
「ホント、緊張感のないヤツらだよなぁ」
飯田は半ば呆れて二人を見ていた。
「まぁ、その方がいいんでないかい? みんながみんな緊張してたら
まとまるもんもまとまらんべさ」
「まぁね。矢口も大変だろうしね」
大体部員以外のゲストが多すぎる時点で、矢口もまとめるのが
大変だろうと思うが、その上、辻や加護のような部員が居る事が
矢口の気苦労を増やしているような気がした。
- 332 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-38- 投稿日:2002年07月09日(火)23時02分20秒
- しかし、ここに一人、緊張している人物が…。
「まこっちゃん。もうダメだぽ…」
言わずとしれた紺野である。
「ダメだぽって何よ? ソレ?」
そして緊張知らずの小川。今回ひとみの相手役である。
緊張のあまり『だぽ』と言ってしまった紺野に笑って突っ込み返した。
ハッキリ言うと、紺野はその他大勢のウチの一人であるが、
一人一人フリが違うから、学園祭とは言え失敗は許されなかった。
何事にも完璧にこなさないと納得のいかない紺野だから尚更である。
「大丈夫だよ、紺ちゃん。終わった後に『完璧でした!』って
思えればいいんだから」
小川は笑顔で答える。
「まこっちゃん…」
小川に言われると、自信が持てる紺野だった。
「よし! 完璧完璧。パーフェクト!」
カメラマン保田は、ファインダーからステージを覗き込みながら呟いていた。
「ローアングルは、やめな〜」
隣りで見ている平家は、笑いながら開演を待っていた。
「こんな場所からローアングルは撮れないっちゅーの!」
関係者席のセンターで、保田は自分の名機材の一眼レフカメラを抱えながら
待機していた。
「えぇ眺めやなぁ…。ここからならバッチシやね」
平家は見るだけだから呑気なものである。
「みっちゃん、見るだけじゃん。私は撮らなきゃいけないんだから」
それでもカメラが好きな保田は嬉しそうだ。
「私は石川の尻アップとかあったら嬉しいんやけどな」
「まだ言うか」
平家は冗談とも本気とも取れぬ発言をした。
そして、開演を知らせるベルが鳴った―――。
- 333 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年07月09日(火)23時03分30秒
- >328 なっつぁんさん
なんとか本日時間が出来ましたので更新しました。
ありがとうございます! 地味に更新しますので
今後とも宜しくお願いします。
- 334 名前:なっつぁん 投稿日:2002年07月11日(木)20時15分57秒
- 作者さん更新ありがとうございました!
久々に話が進んで感動してます!
いよいよ幕開けですね。 今年はどうなる事やら・・・
今年も保田さん、きっちりカメラ持って参上ですね(w
続き楽しみに待ってますよー
- 335 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月14日(日)14時59分15秒
- いよいよ開幕ですね。ミチャーソのお尻ネタなつかしひ…。
川;・-・)<ダメだぽ
思わずコーヒー吹いてしまいますた(w
- 336 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年07月26日(金)07時35分19秒
- マターリとほぜむ
- 337 名前:名無しのゴンベイ 投稿日:2002年07月30日(火)09時16分59秒
- マターリ待ってますー!
頑張ってくださいな。
- 338 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-39- 投稿日:2002年07月30日(火)19時56分15秒
- −39−
矢口他メンバーが円陣を組み、かけ声をかける。
「泣いても笑っても、これが最後。がんばって〜いきまっ」
「「「「「「「「しょいっっ!!」」」」」」」」
場内も静かになり、みなステージの定位置につく。
「矢口ぃ。頑張りや」
中澤が矢口の肩を叩いた。
「うぃ〜っす」
矢口は笑顔で答え、最後に矢口がステージに着いた。
緊張に張りつめた空気。それぞれの想いをのせて、幕が上がった。
- 339 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-39- 投稿日:2002年07月30日(火)19時57分22秒
- 「愛をください♪」
小川の第一声で始まり、すぐに歓声があがり、スポットライトが眩しく光る。
相変わらず、ひとみの声援が一番多いのだが、真希も負けていない。
真希は本番に強いタイプなのか、初めてとは思えない程、堂々としたものである。
ひとみと引けを取らないほどだ。
梨華はと言うと、勿論緊張は、しているのだが、バックと言えども懸命に踊っていた。
そして、ちゃんと梨華を応援している人物が四人…。
ひとみ、真希に負けず劣らず梨華コールが起こる。
「梨華先輩〜」「梨華ちゃぁ〜ん!」
「石川さぁ〜んっ」「石川ぁ〜!!イイわよ!」
言わなくとも、松浦、あゆみ、平家、保田である。
声援が統一していないところが、また”らしい”。
しかし、梨華は踊りに必死で余裕が、あまりないから殆ど聞こえていない状態。
しかし、ひとみの方は歌いながらも梨華コールをしっかりキャッチしていた。
(梨華、人気あるなぁ〜。私も梨華からの応援が個人的に欲しいなぁ〜)
しかし、そんな願いは一緒のステージなので、無理だと言う事に気付く。
(げっ。私ってバカじゃんっ。ちょっと悔しい…)
ひとみは、一瞬顔を歪ませたが、すぐにまた、ステージに集中した。
(私には、ブチュッとレモンがある! そして、アレも…)
- 340 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-39- 投稿日:2002年07月30日(火)19時58分22秒
- 「石川さん、似合うわね。出てるとこ、ちゃんと出てるし」
平家は感心しながら言う。見ているところはお尻だけではないようだ。
「みっちゃんが言うと、何か厭らしいわよ」
保田はファインダーを見つめながら平家を窘める。
テニスコートに立つ梨華も良かったが、ステージで踊る梨華も一生懸命で
松浦は改めて惚れ直しそうだった。
「梨華先輩。ステキ」
思わず呟いた一言に、あゆみは言った。
「梨華ちゃん、可愛いよねぇ。似合うしさ」
しかし松浦は、あゆみを見つめる。
「あゆ先輩の方が可愛いですよ」
「あ、別にそういう意味で言ったんじゃないから」
あゆみは、手を振って見せた。
「どういう意味ですかぁ?」
松浦はふふっと笑う。何故かあゆみは照れて俯いてしまった。
「何でもないって」
あゆみの担任でもある平家は二人を見ていてニヤリと笑った。
「なんや、柴っちゃん、松浦さんと仲えぇやん。羨ましいなぁ〜」
ステージを見つつ、隣の二人も気になる平家は、つい茶々をいれたくなる。
「平家先生。あゆ先輩は松浦のものですからね♪」
松浦は、そのままあゆみの腕を取って絡めた。
「亜弥ちゃん?」
今まで一緒にいても、手さえ繋いだ事がなかったから、あゆみは驚いて松浦を見つめた。
「そうなん?」
松浦とあゆみが仲が良い事は周知であるが、平家はわざと驚いて見せた。
「平家先生だって知ってるじゃないですか…」
「んもーアンタ達うるさいわよ! ステージ見なさいステージ!
石川の頑張りっぷりを見なさい!」
保田に注意され、三人の会話は中断された。
- 341 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-40- 投稿日:2002年07月30日(火)20時00分14秒
- −40−
矢口は、踊りながら、チームワークの良さに正直驚いていた。
ギリギリまで決まらず、本番前もかなり不安がぬぐえなかったが、いざこうして
始まれば、どのメンバーもキチンと自分の役割を果たしていた。
特に真希は、贔屓目抜きでも、安倍、ひとみと共にメインVo.を務めている事もあって
注目を集めていた。
(ごっつぁん、お前才能あるかも…)
矢口は楽しそうに歌い踊る、真希の後ろ姿を見つめながら実感していた。
そうこうしているうちに、ひとみと小川のシーンになる。
散々梨華相手に実践も兼ねて(?)練習を重ねたひとみだから、完璧の筈だった―――。
小川の傍に寄りそう筈のひとみだったが、小川はクルリとターンをし、
後ろにいる梨華と入れ替わるように、その場に落ち着き、ひとみはエスコートするように
梨華をセンターに連れてくる。
(なっ吉澤っ。何やってんだよ! 小川も!)
一瞬みんなの動きが止まるが、ここで中断する訳にもいかない。
呆気に取られる梨華とメンバー。
ひとみは、ぬけぬけと余裕の顔で台詞を言ってのけた。
- 342 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-40- 投稿日:2002年07月30日(火)20時01分08秒
- 小川は慌てている矢口にウィンクをする。
(小川…。お前、吉澤とグルになって…くそっ)
しかし、そう思っても後の祭りである。おかげで場内は大盛り上がりになっている。
すらすらと恥ずかしいセリフを堂々と吐くひとみ。
梨華の肩に添えられた手は、滑り落ちるように梨華の腰に移動する。
「(ひとみちゃん?)…」
まさか本番まで、ひとみとするとは当然思っていなかった梨華は、
硬直のままひとみを見つめていた。
「きっと、僕と出会ったから...梨華は恋をしたんだね」
ご丁寧にセリフも変えている。(と言うより練習の時のまま)
「吉澤…。アンタ…よぅ…やったわ」
中澤は腕組みをして、袖からステージを見ていたが、怒ってはいなかった。
(もぅ、知らネーヨ!)
矢口もヤケになっていたが、小川よりも梨華が相手の方が盛り上がるのは目に見えていた訳で
実際、去年のひとみの告白よりも、かなり騒然としていた。
「おいで、踊ろう!」
「ハイ…」
思わず梨華は、ポーッとなり、頷いてしまった。
- 343 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-40- 投稿日:2002年07月30日(火)20時01分52秒
- 安倍も真希も内心苦笑いしつつ、また歌い始めていく。
このシーンが終われば、あとはラストに向かって走って行くだけ。
矢口は内心ホッと胸を撫で下ろすが、あと一つ問題の箇所が残っている事に気が付いた。
「まさか…吉澤…ホントに、ブチュッとやったりしないだろうな…」
思わず本番中と忘れて青ざめている矢口のつぶやきを聞いた小川は、コソッと返した。
「吉澤戦費…張り切ってましたよ?」
「は?」
(何をだよ?)
しかし、矢口が小川を目で追いかけるも、もう小川は別の場所に移動してしまった。
そして、紺野は事前に小川から、梨華に入れ替わる事を聞かされていたものの
実際、生いしよしシーンを見てしまうと、やはり興奮してしまい、その後のダンスが
ボロボロであった。
(まこっちゃん…完璧は…無理ぽ…(涙))
早くも紺野は泣きながらのダンスになってしまっていた。
そして、オープニングから淡々とこなしていく高橋は、ハプニングも密かに見守りつつ
矢口と真希を目で追っていた。ひとみの件で表情がクルクル変わる矢口に
『ガンバッテ!』とエールを送っていた。
- 344 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年07月30日(火)20時10分06秒
- 更新しました。
やっと他の連載が落ち着きましたので暫くは、こちらを完結に向ける
方向で書きたいと思います。ひさぶりに書きましたが、やぱ楽しい♪
(登場人物多すぎですが)
>334 なっつぁんさん
今年も、よっすぃーが少し暴走してますね。
この後、しちゃうんでしょうか?(w
保田カメラマンは、キリキリとシャッターを切ってます。
>335 ごまべーぐるさん
紺野さん、生いしよし見て、本当にダメになった模様です(w。
>336 むぁまぁさん
ほぜむ、ありがとうございます。m(_ _)m
>337 名無しのゴンベイさん
ありがとうございます。
出来ればsageでお願いします。
- 345 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年07月31日(水)08時04分25秒
- 何気に紺野が面白いスね
やはり吉澤は逝っちゃうんだろうなw
- 346 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年07月31日(水)11時34分09秒
- おわっ! 学園祭当日になってる!?
かぁ〜っ 梨華ちゃん相手に台詞を吐く吉、最高ですね。
んふふふっ 久々に覗いてみてよかったです♪
- 347 名前:オガマー 投稿日:2002年07月31日(水)15時42分54秒
- 続き期待w
梨華たんにあのセリフ…いしよしヲタの夢実現w
- 348 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月31日(水)19時49分13秒
- 次が。。。。。。 楽 し み ♪
読者も盛り上がってきました!ガンガッテください。
- 349 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年08月02日(金)07時14分49秒
- 現実は時として残酷にものを映す
また忘れなれない日が訪れようとしている
何を書いてるんだろう
すみません
- 350 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年08月04日(日)09時42分41秒
- その日までマターリほぜむ
- 351 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月19日(月)15時39分39秒
- はじめて全部よみましたよ。
やぐごまが好きなんです。
頑張ってください
- 352 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-41- 投稿日:2002年08月21日(水)20時34分56秒
- −41−
(っつーか、すぐじゃん。あの場面…。)
矢口がハラハラドキドキしながら踊っているとふいに真希に引き寄せられた。
「え?」
自分の事に全く気付かなかった矢口は、真希にキスされ唖然とするが、それも一瞬の事。
(そこ、オイラじゃないだろ…)
それと同時に大歓声があがる。
矢口は気を取られ、ひとみを見ていなかったが、どうやら実際にキスをしたらしい。
隣りの安倍と辻はノリノリで、くっつき踊っていた。
「あ、あいつら…。しちゃったのかよ!」
思わず矢口は叫ぶが、キャーッと言う悲鳴に似た歓声にかき消されて届かない。
梨華は真っ赤になっているし、ひとみは満足そうに歌い踊っていた。
(まったく…吉澤! 勝手すぎるぞ!)
矢口はひとみの事で頭がいっぱいで、自分がキスされた事など、もう記憶の彼方に
飛んでいた。
(やぐっつぁん…全然こっち見てくんない…)
矢口の視線は、ひとみに向けられている。
それを寂しく思う真希だったが、ステージは、最後の客席とのかけ声まで来ていた。
(いいもん。あとで、やぐっつぁんの事、襲っちゃうから♪)
真希は、今よりも、その後の事で頭がいっぱいだった。
- 353 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-41- 投稿日:2002年08月21日(水)20時35分44秒
- 「なんか吉澤さん大胆…」
ブチュッとしたシーンを、しっかり見ていた松浦達は、溜息を落とす。
「梨華ちゃん、素でかたまってたような…」
「吉澤やりすぎ! でもバッチリ撮ったわヨ!」
保田は片手をあげて、鬼の首でも取ったように勝ち誇り気味に言った。
「その写真売ったら、えらい儲かるやろな〜」
平家は中澤と同じような事を言う。
「「平家先生。趣味悪いですよ!!」」
松浦とあゆみが声を揃えて言った。
「もちろん、半分冗談に決まっとるがな」
「半分かよ!!」
すかさず保田が突っ込みを入れた。
- 354 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年08月21日(水)20時51分00秒
- かなり更新が遅れてすみません(大汗)。
スレが足りるか心配になって来ました。まだまだ完結には…遠い(泣)。
>343の吉澤戦費…って一体(爆)。先輩の間違いです。m(_ _)m
>345 むぁまぁさん
吉澤逝っちゃいました。
>346 M.ANZAIさん
久しぶりです。マターリと更新中です。
>347 オガマーさん
やぐごまにスポット当ててしまいました。
>348 よすこ大好き読者。さん
盛り上がってるかどうか…。なかなか話が進まず申し訳ないです。
>349 むぁまぁさん
あの話を聞いた時は、嗚呼、後藤が行ってしまうのね。と
寂しげな矢口の姿とだぶりました。
- 355 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年08月21日(水)20時52分26秒
- ヽ(`Д´)ノウワアアアァァァン一人抜けてました。すみません。
>351 名無し読者さん
はじめまして。私もやぐごま好きです。
- 356 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年08月22日(木)07時40分00秒
- ♪チューをしちゃいましたぁ(やっちゃった)
うーん 正に恋ちゃやなぁ・・・ってちゃうやん
とうとう逝っちゃいましたね、吉澤さん
しかーし自分がキスされたことも忘れて吉澤達に目を奪われる矢口が最高
後藤はちと可愛そうね
>作者殿
現実は後藤から離れて行くんですものね
- 357 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月07日(土)17時57分12秒
- 早く更新して下さい!
- 358 名前:名無し 投稿日:2002年09月07日(土)18時44分48秒
- >>357
そんな事言っちゃだめだろ。
忙しいのかもしんないし。
作者さん気長に待ってますよ〜
- 359 名前:タロイモ 投稿日:2002年09月10日(火)21時06分17秒
- まだですか?
- 360 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月11日(水)08時02分47秒
- まぁまぁマターリ待つべさ
横蟻終わるまで・・・
- 361 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-42- 投稿日:2002年09月11日(水)19時54分51秒
- −42−
真希が最後の掛け声に、さしかかった時は、もう場内は最高潮に盛り上がっていた。
(よく平気で踊ってられるよな、吉澤…)
矢口は半ばヤケくそに踊りながらノリノリのひとみを表向き笑顔で様子を窺っていた。
「A-HA!」
真希が叫ぶと場内一丸となって拳を振り上げる。
その様子は感動すら覚える程だった。
(うぉ〜カッケ〜! 鳥肌立っちゃう!)
ひとみも例外ではない。次は自分だと思うと、ひとみはワクワクして心も躍った。
「AU!...」
ひとみがシャウトして跳ねる。
真希の時よりも更に盛り上がり、ひとみと一緒に跳ねる者もいた。
「なんや、どっかのライブみたいなノリやな…」
中澤は腕組みをしつつ、ニヤリと笑って見ている。
- 362 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-42- 投稿日:2002年09月11日(水)19時55分21秒
「YEAH! YEAH! YEAH! YEAH! YEAH! YEAH! YEAH!」
一瞬場内は静まり返り―――。
「そ〜し〜て…La La La♪」
拍手喝采。手拍子の嵐。ひとみはご満悦。
矢口も笑顔で中澤を探し出し、笑顔なのを見てホッと胸を撫で下ろしていた。
(ったく心臓止まりそうだよ…)
そして、本当にクライマックス。
「(Mr.Moonlight) 今夜誓うよ
(Mr.Moonlight) 出来るだけ
(Mr.Moonlight) 愛しているよ
(Mr.Moonlight) たぶんきっと
(Mr.Moonlight) 愛しているよ
(Mr.Moonlight) 出来るだけ
(Mr.Moonlight) 愛していく…Be Up & Doing! The Future is Mine!」
「サンキュ〜〜〜!!」
ひとみは最後にマイクを突き上げ、満面の笑みでポーズを決めた。
(すんげぇ〜すんげぇ〜! カッケ〜!)
ひとみは軽く息を整えながら、全身で沸き起こる拍手・喝采を受け止めていた。
まだ、音楽は続いていた。
- 363 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)19時56分08秒
- −43−
いつの間にか花束を抱えた中澤がステージの袖から矢口に向かって歩いて来る。
「矢口。お疲れさん。よぅ頑張ったな…」
「中澤先生…」
予想していなかった花束贈呈に、矢口は驚いて中澤を見つめる。
「なんや、そのビックリした顔は。おかしいんかい!」
「え? そんなコトないですけど…」
矢口は急に込み上げる物を感じ、涙が溢れて来た。
そんな矢口の横にさり気なく真希がついて、矢口の肩を抱きしめた。
「やぐっつぁん。お疲れ様。成功して良かったね」
「ごっつぁん…」
「矢口部長。お疲れさまです!」「矢口お疲れ〜」「矢口先輩!」
真希を始め、部員から、お疲れの声が次々にあがり、矢口は顔を歪ませた。
「泣くのは、まだ早いって」
そう言ってる真希の目にも涙がうっすらと滲んでいる。
「泣いてねぇよ!」
- 364 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)19時56分57秒
- 「矢口先輩。お疲れさんでした!」
一人何故か余裕のひとみが矢口に声をかける。
「吉澤。お前…勝手に……」
勝手に進行を変えた事を矢口は許している訳ではなかった。
しかし、中澤が割って入る。
「まぁ。盛り上がったんやし、えぇやないか。石川と絶対チュゥすると思ってたんよ。
吉澤のコトやからな」
「げ。そうなんすか?」
ひとみは中澤の顔を見る。梨華は真っ赤になっていた。と同時に終わってホッとして
いるのも事実だった。
- 365 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)19時57分29秒
- 拍手が鳴りやまない中、中澤がマイクを握り、中央に立った。
「さて、まだまだ学園祭は終わらないで。ここからがメイン言うても過言やないな。
恒例の告白タイム!!」
一瞬場内が静まり返った後、また拍手と歓声がどっと響き渡る。
ステージの後ろにまだ残っているメンバー達は、小声で囁きあった。
「今年って誰なの?」「聞いてないけど…」
高橋に依頼していたが、断られた矢口は、中澤からマイクを自ら奪う。
「えー。今年も矢口が告白したいと思います」
「コラ矢口。話が違うやないか」
中澤が小声で矢口の肘を突く。
そこへ、今まで黙っていた高橋が、両手を握りしめて、前へと進み出て来た。
「矢口先輩。私がお話します」
「高橋。お前…無理しなくていいんだぞ」
矢口もコソコソと前に出てきた高橋に小声で話す。
「無理じゃありません。今日で片想いから卒業します」
「「「「片想い???」」」
「なんや知らんけど、おもろそうやないか。高橋、行け」
中澤は、話が見えなかったが面白そうだと、高橋の背中を押してマイクを渡した。
- 366 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)19時58分20秒
- 「高橋! いぃんだって。オイラがちゃんと話すから」
矢口だけは知っている風の言い方に、真希も不思議そうな顔をする。
「やぐっつぁん何知ってんの?」
「へ? な、何も知らない…(汗)」
急に真希に突っ込まれ、矢口はどもった。
「もぅお前らグタグタ言ってないで、高橋の話を聞かんかい!」
中澤の尾が切れた。
「「ス、スイマセン」」
(高橋………。)
矢口は心配そうに高橋を背後から見守っていた。
「中等部3年A組。高橋愛です。以前から矢口先輩に、告白するように依頼されてました。
でも、やっぱり勇気がなくて、お断りしました。去年は客席から見ていました。
吉澤先輩に石川先輩。そして矢口先輩に後藤先輩。どちらも素敵な告白に私も感動
しました。そんな告白するコーナーに私なんかが出ていいのかどうか正直悩みました。
それに…私の場合は……完全に片想いなんです。だから、場違いだし、私は告白するコト
なんかまるっきり考えてなかった。でも今朝、ちゃんと振られて来ました」
場内が一瞬どよめく。
(高橋………。)
「結果は分かってました。でも、キチンと答えをくれたコトに感謝してます。
それで、ますます好きになりました」
- 367 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)19時59分31秒
- 「愛ちゃんの好きな人って、どっち?」
ひとみは隣りの梨華に小声で囁く。
「もぅ、言わなくても分かるでしょ」
梨華は、呆れたと言う視線をひとみに投げかけた。
「まこっちゃん、…高橋先輩が…」
紺野がおろおろして小川を見つめる。
「紺ちゃん黙ってて!」
「………」
「愛ちゃん、いつの間に…。誰なんだよ〜」
真希は呑気につぶやく。隣りの矢口はハラハラしどうしだった。
「最初は、私、後藤先輩のコトが好きだったんです。…今でも好きですけど」
突然、自分の名前が出て来た事で、真希は間抜けな声をあげた。
「んあ〜? あ、あたし?」
(全部言うのか? 高橋…。)
驚く真希の横で矢口はため息を落とす。
「だから、一緒になる機会が急に増えて話すコトも増えて、本当に楽しかった。
でも、同時に、私の心の中には、もう一人の先輩の存在が大きくなっていました」
「えぇ? 私じゃないの? …って、そりゃそうか。告白されてないもんな」
真希は独り言を言いながら、まさに寝耳に水で、表情をくるくる変えていた。
「ごっつぁん。黙って聞けよ…」
- 368 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)20時00分11秒
- 「その先輩は、私が後藤先輩が好きなコトを知っていました。でも、もうその頃は
私は、その先輩のコトが好きになっていたんです。だから、今回の学園祭のお誘いを
受けた時は、ビックリしたけど嬉しかった。私に出来るか分からないけど、先輩の力に
なるならって思って引き受けました」
この時、やっと真希は誰が相手か分かったのか、矢口の顔を見つめた。
「やぐっつぁん? 知ってたの?」
「な、なにがよ? どの話? 知ってたり知らなかったりだよ」
真希が好きな話は知っていたが、自分が好きだった話は今朝告白されるまで気づかなかった。
「なによ、ソレ」
「なにって…。だって…」
高橋の告白は、まだ続く。
「そして、今朝、振られるのを覚悟で朝、告白しました。結果は勿論NO。
その答えを私は待ってました。本当は、この学園祭が終わった後でも良かったんですけど。
自分の中でケジメをつけたかったから。それに、私は満足しています。
だって、私は後藤先輩と付き合ってる矢口先輩が好きだから。二人を見ているのが好きだから。
だから、おかしいかも知れないけど、最初から叶わない恋って分かってたけど告白しました。
先輩には、迷惑かけたかも知れません。でも、もう大丈夫です。矢口先輩とたくさん想い出
作れましたから。矢口先輩と後藤先輩に出逢えて本当に良かった。ありがとうございました」
高橋は話し終えると、深々とお辞儀をした。
シーンと静まりかえっていた場内に、パラパラと拍手が沸き始め、いつの間にか大拍手に
変わっていった。
- 369 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-43- 投稿日:2002年09月11日(水)20時00分49秒
- 「なんだよ、矢口もモテモテじゃん」
「カオなんか、全然モテなかったよ。もぅ…」
安倍と飯田もぶつぶつ言っている。
「高橋先輩、カッコいいのれす」
「案外やんねんなぁ」
「愛ちゃんカッケ〜!」
「ひとみちゃん…」
ひとみは感動したのか、人一倍激しく手を叩いていた。
高橋が中澤にマイクを渡すと、中澤は、そのまま矢口にマイクを受け渡した。
「どうや、矢口からも一言」
「高橋、ありがとうな」
矢口はそれだけ言って高橋に手を差し出した。
高橋は笑顔で、矢口の手を握る。その手は、優しく温かかった。
「なんや、それだけかい。後藤は?」
中澤は不服なのか、真希にマイクを向ける。
「いやぁ…ぜっんぜん知らなかったから、すっごいビックリしてるんだけど…」
「お前ら、両方鈍感やな。まぁ、だからお互い高橋の気持ちに気づかないほどの
バカップルなんやろうけど」
「「バカップルって……」」
矢口と真希は口を揃える。
「いいんです、中澤先生。私、だから、この二人が大好きなんです」
「高橋。お前はけなげやなぁ…」
中澤は高橋の頭を撫でる仕草をする。
(だからって…認めてるって事かよ!)
それはそれで、矢口は複雑だった。
- 370 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-44- 投稿日:2002年09月11日(水)20時01分28秒
- −44−
学園祭も無事終了し、去年と同じく講堂の裏に来ているひとみと梨華。
「今年のMVPは、矢口先輩と愛ちゃんかなぁ…」
完全に主役を奪われたひとみだったが、別にそんな事はどうでも良かった。
ひとみの隣りに梨華さえいれば、ひとみは満足なのだ。
「高橋さん、凛としてカッコ良かったね」
「矢口先輩もなにげにモテるんだなぁ。ちょっと意外…」
「意外って…」
「梨華もお疲れだったね。最高に可愛かったよ」
ひとみは梨華を優しく見つめる。
「ひとみちゃん…。本当にキスするんだもん。ビックリしちゃった…」
梨華はひとみの胸元にそっと顔を近づけた。
「イヤだった?」
「…イヤな訳ないけど…恥ずかしい」
梨華はひとみを見上げる。
「ホントは、もっと熱いキスをしたかったんだけどさ」
そう言ってひとみは照れくさそうに笑い、梨華の髪を優しく撫でる。
「バカ…」
梨華は、再びひとみの胸に顔をあてる。
ひとみの心臓の鼓動が少し早くなるのを感じた。
「今、最高に幸せだよ。梨華は?」
「私も…」
ひとみの手が止まる。
「梨華。キスしようか…」
「ひとみ…ちゃ…っ」
しかし、梨華が顔を上げた時には、もう梨華のくちびるは、ひとみに塞がれていた。
- 371 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-44- 投稿日:2002年09月11日(水)20時02分46秒
- そして、もう一組のカップルの矢口と真希は―――。
「やぐっつぁん、いつから知ってたのよ!」
「いつって…。最近だよ、最近!」
なんで真希に追いかけられているのか疑問に思いながら逃げる矢口。
しかし、たちまち真希に掴まってしまうと、腕を取られ矢口はひっくり返った。
それも階段の踊り場で。
「いってぇ…」
「なんで逃げるのさ」
「別に…」
真希に組み敷かれた形で、腕を押さえながら矢口は呟いた。
「知ってたら言えばいいのにぃ…」
気づかなかった事が悔しいらしい真希は、本当に悔しそうだ。
「ごっつぁんだって気づかなかったんだろ。オイラだって今朝告られるまで気持ち
知らなかったんだから」
どっちもどっちである。
「高橋が言わないでくれって言ってんのに言えるかよ」
矢口は真希を払いのけると、腕をさすった。
- 372 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-44- 投稿日:2002年09月11日(水)20時03分18秒
- 「やぐっつぁん、私以外に告白されて、どうだったの?」
「はぁ? べ、べつに…」
「ちょっとは嬉しかったでしょ。この〜!」
真希は矢口に抱きつきながら、わざと腕を握る。
「いってぇ〜! 嬉しくねぇよ。ってかオイラには、ごっつぁんいるからよ。
高橋だって、それを承知で告白したんじゃねぇか。からかうなよ…」
「でも、最初はゴトーのコト好きだったの知ってたんでしょ? どうだったの?」
「どうって…。仲良くしてくれればいいなって思ったよ。そんだけだよ。しつこい!」
「知っててやぐっつぁんってば、狡いなぁ〜」
真希は更に力を強める。
「いったぁ〜! もぅ許してくれよほ…」
矢口は涙目になりながら訴えた。
真希は、その言葉を待ってましたと言わんばかりにニッと笑った。
「今夜は許さないよ? ね? やぐっつぁん…」
(今夜って……。はぁ…)
真希が嬉々として嬉しそうに部屋に来る姿を想像して、矢口はため息を落としそうになった。
- 373 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-45- 投稿日:2002年09月11日(水)20時04分20秒
- −45−
そして約1週間が過ぎ、温泉旅行の日も来週と近づいてきた。
もぅひとみの頭の中は、温泉でいっぱいである。
中澤には、学園祭を成功させた事もあり、何とか休みも取れそうな雰囲気だった。
と言うより駄目と言われても当然休むつもりである。
と同時に梨華は、旅行について、ひとみは、どうしたいのかが気になっていた。
矢口と真希は、もう結ばれているから、今回の旅行が初めての×××ではない。
それに、当然の事ながら二人は………(略)。
「…ひとみちゃん。どう考えてるんだろう?」
1年付き合って、キスだけっておかしくない?
梨華は、ずっと気になっている。ひとみが凄く自分を愛してくれてるのは分かるのだが
キス以上に進まない関係が、梨華にとっては、逆に不安になっていたのだった。
しかし、そんな事を訊ける筈もなく、今まで来てしまった。
チャンスがなかった訳ではない。それでも手を出してこないひとみ。
今回の旅行で、ひとみが迫ってこなければ、やはり、ここは自分から行かねばと
梨華は、妙な義務感を抱き始めていた。
- 374 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-45- 投稿日:2002年09月11日(水)20時05分04秒
- 「私が考えすぎなのかなぁ…」
最近独り言が増えて、それはいけない兆候だと思いつつ、バイトから帰って来た梨華は
鍵を差し込んだ。
―カチャッ―
ドアは閉まってしまう。
え。まさか鍵かけ忘れた?
梨華は、青ざめながらドアを開けると、そこには、意中のひとみがニッコリ微笑んでいた。
「おかえり〜♪ 梨華」
抱きしめられながら、梨華は目をパチパチさせる。
「ひとみちゃん…。来てたんだ」
「だって週末は、いつも梨華んちにお泊まりだよ?」
週末。そういえば、もうそうなんだ。
旅行が近づくにつれて、その事ばかりが気になる梨華は、すっかり忘れていた。
お泊まりと言っても、何をする訳でもなく、本当に一緒に寝るだけである。
それでひとみが満足なら、(実際満足の様子)それでいいのだが、梨華の方は不満が
溜まりつつあった。
自分の目の前で、美味しそうにアイスを食べる、ひとみを見つめ、何も考えてなさそうな
ひとみに、梨華は意味もなく怒りを覚えそうになる。そしてそんな自分がイヤになる。
- 375 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-45- 投稿日:2002年09月11日(水)20時05分36秒
- 私、疲れてるのかな。
そう思い顔を上げると、ひとみが心配そうに自分を見ていた。
「梨華。疲れてる?」
「そんなコトないよ」
ひとみは梨華の後ろに回ると、そっと後ろから抱きしめてきた。
ひとみの温かい体温が梨華の身体に広がり始める。
「今日は帰ろうか?」
ひとみは梨華を気遣ってそう言ったが。
「駄目。帰らないで!」
「梨華?」
思いの外大きな声を出してしまった梨華は、自分でも驚いてしまった。
- 376 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-46- 投稿日:2002年09月11日(水)20時06分23秒
- −46−
そんなひとみと梨華よりも、今熱い真希と矢口は、一戦交えた後だった―――。
「やぐっつぁん〜。旅行は、もっと萌えそうだねぇ…」
「オイラ、ヘトヘトだよ。勘弁してな…」
汗ばんだ身体をベッドに横たえて、真希は満足そうに矢口を抱きしめる。
ここは矢口の部屋。隣りには、当然妹の部屋。大きな声は出せない。
それでも最近真希は慣れて来て、それなりに楽しみ満足していた。
「勘弁って許す訳ないでしょう? それに…よっすぃーのとこも、そろそろ…
じゃないのかな? ウチらに刺激されて、一晩に何回もされたら私も負けたくない!」
真希は妙なところで闘争心を燃やしている。
「何回もって…。何回する…気?」
矢口は恐る恐る聞いてみる。
「何回って一晩中に決まってるじゃない」
「一晩中…」
矢口は恐ろしい物でも見るかのように、真希を見つめていた。
「まず、流星を見て一回。お風呂に入りながら二回。そして部屋に戻ってから…」
「あぁ、もういいよ。分かった! 分かったよ!」
聞いた自分がバカだったと矢口は後悔していた。
- 377 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-46- 投稿日:2002年09月11日(水)20時07分03秒
- 「やぐっつぁん体力ないよ。それじゃぁ満足出来ない! 今夜は寝かせないんだから」
「マ、マジで?」
そう言うや否や、もう真希は矢口の首筋に顔を埋めている。
「ぁ…ん…ん…。ごっつぁん…」
「シーッ!」
「?」
「声出したらミキちゃんに聞かれちゃうよ…」
真希はニッと笑う。
「それなら、これはどうだ?」
矢口はパッと起きあがり立場を逆転させる。
真希のくちびるに、そっとキスを落とす。
矢口の金色の髪がサラサラと真希の顔に伝う。
「んっ…」
そして、手は真希の胸元に這わせる。
矢口の一回り小さい手に、こぼれ落ちる真希の胸に、矢口は優しく撫で回し始めた。
「ぁぁっ。ず…る……ぃ…」
「ごっつぁんが寝かせないって言ったんだろ。許さないから…」
矢口は黒目がちの瞳をユラユラさせながら、真希に微笑んだ。
- 378 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月11日(水)20時08分25秒
- >>360-377 42-46話更新しました。
自分では大量更新のつもり…。
>356&360 むぁまぁさん
ごっつぁんの卒業も近づいてきましたね。
あんまり実感ありませんでしたが、やはり寂しい。
>357&359さん
更新遅くてすみません。
でも絶対完結させませんので、長い目で見てやって下さい。m(_ _)m
>358 名無しさん
ありがとうございます。気長に待ってて下さい。
少し煮詰まってたもので。。。
- 379 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月11日(水)20時10分04秒
- >378
>でも絶対完結させませんので
させないでどうする!(w 完結させますので。だす。
もぅ。。。鬱だ氏脳。 逝 っ て き ま す 。
- 380 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月11日(水)20時47分23秒
- 高橋とうとう告白したかぁ うんうん
しかし石川の堪忍袋はいつ切れるのか? 旅行まで持つんかいな??
>作者殿
更新乙です
いよいよ再来週ですね
- 381 名前:オガマー 投稿日:2002年09月11日(水)23時09分48秒
- 萌えw
やぐごまはもちろん
ナニはなくともいしよしにも萌えw
続き期待してますw
作者さまのペースでがんがってください。
- 382 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-47- 投稿日:2002年09月12日(木)20時18分20秒
- −47−
「あ。だってせっかくひとみちゃん来てくれたのに…」
その場の空気が悪くならないように、梨華は慌てて言う。
しかし梨華の顔は引きつっていた。
「いつでも来れるし。それに…旅行も近いから、その前に疲れさせちゃ悪いじゃん」
はにかんだように言うひとみ。
それは、どういう意味?
いつも一人空回りしてる感の梨華には、いろいろな意味に取れる。
「今日、疲れちゃってもいいんだけどな」
それとなく言う梨華。しかし、ひとみは困った顔をしている。
やっぱり、梨華の言う言葉は伝わらない。やはり鈍感。
「駄目だよ。メインは旅行なんだから。風邪でも引かれたら困るし」
「裸で寝たら、風邪ひくかな…」
「はだか?」
ハッとして口を押さえる梨華。梨華の顔はみるみる赤くなっていく。
ひとみは、やっと梨華の言わんとした事を理解した様子。
「梨華。今何考えてる?」
「え………」
急に聞かれて、心が読まれた感じがした梨華は、罰が悪そうに下を向いた。
ひとみは跪いて梨華と同じ視線で梨華を見つめる。
- 383 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-47- 投稿日:2002年09月12日(木)20時19分55秒
- 「前もこういうコトあったよね。でも梨華のコト、大切に想ってるから…だから……。
焦りたくないんだ。でも、梨華が望むなら…それが今日でも構わないけど…」
「ひとみちゃん?」
「タイミングって言うのかな。なんかそびれちゃって。それに、記念の日の方が
いいじゃん。だから、その…そういう初めての旅行の時って言うかさ…。そういうのも
ありきたりだけど。ホントは、どうやったらいいか、分からないんだよね。
裸見るの恥ずかしいし、見せるのも恥ずかしいし…って何言ってんだろね私」
「ひとみちゃん…」
「でも誤解しないで。いっつも、そんなコト考えてる訳じゃないから。
梨華とそうなりたいとは思うけど、自然にそうなればいいんだから。私は焦ってないから」
早口で言うひとみが、なんだかおかしくて可愛くて、梨華はフフッと笑ってしまう。
「なんだよ、梨華ぁ。笑うコトないじゃんか」
ひとみはほっぺたを膨らませる。
- 384 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-47- 投稿日:2002年09月12日(木)20時20分43秒
- 「私一人で悩んでた。おかしいよね。でも言えないし。欲求不満なのかなって。
私から…ってのもアレだし」
「梨華ゴメン。意気地なしで」
ひとみが少し寂しそうな顔をするから、梨華は首を横に振った。
「私の方こそゴメンね」
梨華はひとみの頬に両手を添えると顔を近づけ、そのままキスをした。
キスだけで物足りないなんて、贅沢だよね…。
充分、ひとみちゃんの愛情を貰ってるのに。
ひとみはキスされながら、真希の言った通りだったと感心していた。
梨華から、それとなく相談されたと聞いた。梨華が悩んでるなんて気づかなかった。
「梨華。明日も泊まっていい?」
ひとみは、何かを決意したような顔で言った。
- 385 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-48- 投稿日:2002年09月12日(木)20時21分34秒
- −48−
―――翌日。
矢口は慌てて、真希を残して家を飛び出して行った。
今日は、前から約束していた、高橋とデートする日なのだ。
忘れていた訳ではないが、つい真希に乗せられてハリキってしまった故、
かなりの寝不足である。
「はぁ〜オイラとした事が!!」
待ち合わせの駅前に息を切らせて矢口がたどり着くと、既に高橋は来ていた。
「すまねぇ高橋! 待った?」
その声に振り向く高橋は笑顔で答える。
「全然です。おはようございます! 忙しいのにゴメンなさい」
殊勝にも高橋は深々と頭を下げた。
「何かたっくるしいコト言ってんの。今日は思い切り遊ぼうぜ」
そう言って高橋の頭を上げさせて肩を叩く矢口。
「ハイ!」
高橋は元気良く答えた。
- 386 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-48- 投稿日:2002年09月12日(木)20時22分18秒
- 「お姉ちゃんフッた相手と良くデートなんか出来るよね」
「そこがやぐっつぁんの良いトコなんじゃん」
真希は、矢口の妹ミキと少し遅い朝食を取りながら喋っていた。
「お姉ちゃんもバカと言うか。まぁ妹としては、それが良くもあるけど。
真希ちゃんは、それでいいの?」
一応ミキは真希と姉の仲は公認している。
「愛ちゃんも良い子だからさ」
真希は、カフェオーレを飲みながら呟く。
「ふぅん。大人だね真希ちゃんは。私は嫉妬しちゃうかなぁ」
勿論真希だって、100%良くは思っていないけれど、矢口の性格を知っているし
信頼しているから、OKして今日は送り出したのだ。と言うより寝ている間に
出かけて行ってしまったのだが。
「やぐっつぁんを信じてるから。大丈夫! きっと大丈夫!」
真希はビシッと言ってのけた。
「ぉおぉ、カッケ〜! ごっちん!」
そこへいつの間に来たのか、ひとみが顔を覗かせた。
「よっすぃー…。なんで、いんの?」
すっかり自分の家とは変わらずにくつろぐ真希に、普通に入ってくるひとみ。
「なんでって、ここだと思ったから。ちょっとごっちんに相談があってさ…」
「え? なぁに?」
ひとみは真希の腕を取ると、とりあえず矢口の部屋へと場所を変えた。
- 387 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-48- 投稿日:2002年09月12日(木)20時23分04秒
- 「相談って言うかさ、梨華のコトなんだけど…」
「石川先輩が、どうかした?」
真希は、ベッドを整えながら手は休めずに動かしている。
「やっぱりさ、旅行の前に、その…」
ひとみは言いにくそうに言葉を濁した。
「何? 準備? まだ私もしてないけど…。だって1週間あるじゃん」
「違うよ! そうじゃなくてさ」
「ハッキリ言わなきゃわかんないよ」
前屈みになっている真希の後ろから、ひとみは突然抱きついた。
「ごっちん!」
「んげぇ〜! な、なにすんの!」
まさかひとみが抱きつくとは思ってもみなかった真希は変な声を上げた。
「梨華の代わりになって!」
「はぁ?」
しかし、あまりに真剣なひとみの眼差しに、真希は少なからずイヤな予感がした。
「代わりって、石川先輩いるじゃん。変なコトしないでよ!」
真希は、やんわりとひとみを押しのける。
- 388 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-48- 投稿日:2002年09月12日(木)20時23分40秒
- 「ねぇ、旅行で失敗したらどうしよう」
「だから主語がないから、さっきから分かんないって!」
ひとみは小声で真希の耳に近づけた。
「えぇー! ヤダよ私。なんで私が、よっすぃーと…!」
真希は激しく拒否をする。
「頼めるのごっちんだけなんだもん。ね、お願い」
両手を拝むポーズで頼まれても出来ないものは出来ない。
「石川先輩とすればいいじゃん。私とする必要なんか…」
「やっぱりダメかぁ…」
ひとみも予想していたらしく、あっさりと引き下がった。
「大体、こんなコトばれたら石川先輩だって悲しむよ? やぐっつぁんだって…」
真希は乱れたTシャツを直す。
「だだ、だってさ。梨華と、え、え、えっちすんの初めてなんだもん」
「だからって私を実験に使っていいのかよ!」
「だってごっちんは、経験豊富みたいだし」
「そんなコトないよ。その場の雰囲気で何とかなるんだから余計なコト考えないでさー
自然に任せなよ。変に下心見せるからダメなんだよ」
「見せてなんか…」
ひとみはシュンとする。
「今夜、なんとなぁく誘ってみれば?」
「なんにもないのに?」
「旅行の予行演習とか言ってさぁ、そんなの何とでも言えるじゃん」
「予行演習…。なるほど! それでいくか!」
ひとみはポンと手を叩くと、目を輝かせた。
「……(よっすぃーって、やっぱり単純…。)」
「なんか言った? ごっちん」
「え? なんにもぉ…」
(それより、やぐっつぁん達どうしてるかなぁ…。)
真希は、ぼんやりと矢口の事を考えていた。
- 389 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-49- 投稿日:2002年09月12日(木)20時24分36秒
- −49−
高橋と出かけた場所は遊園地。
お約束と言えばお約束な場所である。
しかし、高橋が行きたいと言うのだから矢口はそれに従った。
そして今、ソフトクリーム1つにジュース1つを持って高橋のいるベンチへと
向かうところである。
「あまりにお約束すぎるシーンだよな」
矢口は自分で言って笑う。
そして高橋は本当に楽しいのか甚だ疑問であった。
「ほい」
高橋の目の前にソフトクリームを差し出す矢口。
「ありがとうございます」
笑顔で受け取る高橋。
矢口は黙って高橋の隣りに座るとジュースに口をつけ喉を潤した。
「こういうのって憧れてたんですよ」
嬉しそうにソフトクリームを舐めながら、高橋は答える。
「あまりに、出来すぎた光景じゃん?」
矢口は振り向き苦笑いする。
「そこがいいんです。滅多に出来ないじゃないですか。照れちゃって」
「まぁな。ごっつぁんなんか、たこ焼きとか焼きそば食いたいって言うしな…。
色気ねぇよなアイツ」
ここにいないのを良いことに、言いたい事を言っている。
高橋はクスリと笑う。
「ごっちん先輩も、どちらかと言うと男っぽいですもんね」
「その点、高橋は可愛いよな…。女っぽいって言うか…」
矢口は深い意味で言った訳ではないのだが、高橋が顔を赤らめ少し俯いてしまう。
「あ、別に、、、いや、高橋は可愛いよ。うん」
そういう意味じゃないと言いかけて、それも失礼だと思い、結局可愛いを連呼して
しまい、矢口も照れてしまう。
- 390 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-49- 投稿日:2002年09月12日(木)20時26分09秒
- 「良かった」
「…ん?」
「やっぱり勇気出して振られて良かったですよ私。今でも大好きです。矢口先輩…」
あの告白された朝と同じく真っ直ぐな瞳を向けられ、矢口は正直戸惑いながらも
ドキリとしてしまう。
「ふ、振られたってあんまり言うなよ。オイラだって、高橋のコト好きだし…」
(くそ。なんで動揺してんだよ!)
矢口は無意識に手を握りしめていた。
「矢口先輩………」
「高橋……」
一瞬見つめ合う二人だったが、矢口はすぐに視線をずらし声をあげる。
「高橋! 垂れてる!!」
「え?」
ソフトクリームが二人の仲を焼くように…ではなく溶ろけさせるように
高橋の手を伝いそうになっていた。
矢口は奪い取ると高橋の指についたクリームを舐め、伝っているクリームも舐めた。
その様子を、身動きせずに、高橋は見つめていた。
だんだん身体が熱くなるのに気づいた高橋は、すぐに指を引っ込めた。
(や、矢口先輩…。刺激が強すぎます…。)
「どうした高橋? 痛かったか? あ…」
しかし矢口も気づくと、無意識とは言えやってしまった自分の行為を恥じる。
「先に食っちゃってから手を洗おうぜ。な? ってオイラも食っちゃったな」
「はぁ…」
「た、高橋大丈夫かよ? 熱あるんじゃねぇのか?」
高橋の額にスッと手を当てる矢口。
高橋の熱は、更に上昇してしまう。
「あるとしたら…それは、矢口先輩のせいです…よ?」
「んぁ…ぁっとゴメンな」
慌てて手を離す矢口。矢口の熱も上がりそうな雰囲気だった。
- 391 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-50- 投稿日:2002年09月12日(木)20時27分08秒
- −50−
微妙な空気を残しつつ、会話も途切れがちになりながらも数時間が経過。
既に辺りは暗くなり始めていた。
「最後はやっぱり、観覧車ですよね?」
高橋が珍しく矢口の手を掴むと、一番後ろの列に並ぶ。
「観覧車…」
そう言えばごっつぁんと観覧車の中でキスをしたっけ。
矢口は順番を待ちながら、真希と過ごした日々を思い返していた。
こうして、また一つ想い出が増えていく。
あと4ヶ月後の3月には、卒業して東京を離れる事。
矢口自身、まだ実感が湧かないでいた。
気づけば、もう矢口達の順番になっていた。
ゆっくりとドアが閉まる。
二人だけの密閉された空間。
矢口は高橋と向かい合わせに座ると、窓の外を眺めた。
ゆっくりゆっくり上昇していく。
相変わらず二人は黙ったまま…ゆっくりと過ぎていく。
「矢口先輩の隣りに座ってもいいですか?」
沈黙を破ったのは高橋の方。そしてハッキリと言った。
「ぅん」
矢口は少し詰めて座るスペースを残す。
静かに高橋が隣りに座るとほのかに良い香りがした。
- 392 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-50- 投稿日:2002年09月12日(木)20時27分59秒
- 「矢口先輩は、どうだか分かんないですけど、今日は楽しかったですよ」
「オイラも楽しかったぞ」
矢口は振り向く。あまりに近い距離の高橋に矢口はビクッとしたが顔に出さないようにした。
「先輩との想い出が、また一つ増えて嬉しいです。きっとこれが最後だから…」
高橋はそんな言葉を落とした。
「最後って、まだあと少しあるよ…。寂しいコト言うなよ」
「これからは、後藤先輩と作って下さい。私は、もう思い残すコトないです」
「高橋。そんな思い詰めた顔すんなよ。別に死ぬ訳じゃないんだしよぉ」
矢口は、こういった場面がかなり苦手な訳で、茶化すように言う。
それと同時に高橋が泣きそうなのも見えたから。
矢口は黙ってハンカチを取り出して高橋の手に握らせる。
「泣くなよな。涙なんかいらないから。オイラは高橋の笑顔が欲しい」
相変わらず臭い台詞を言っていると、もう一人の矢口が突っ込みを入れる。
「矢口先輩……」
矢口の言葉に、高橋は更にうぇっと声を出すと一気に泣き始めた。
(逆効果じゃん! 矢口のバカたれ!!)
「だから泣くんじゃねぇっつの!」
矢口は肩を竦めると、震える高橋の肩に手を回した。
こういう時にキスの1つでもすれば、更に盛り上がる訳だが、さすがに矢口には
それは出来ないし、するつもりもなかった。
が―――。
高橋が矢口に身体を預けてくる。
「高橋?」
またあまりにもベタな展開に矢口は困惑しはじめた。
- 393 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-50- 投稿日:2002年09月12日(木)20時29分24秒
- 「矢口…せん…ぱ…ぃ…っ」
「なに?」
鼻をぐしゅぐしゅさせながら、高橋は続ける。
「最後に…お願い…聞いてくれますか?」
(キタ―――!
キスなら出来ないぜ。オイラごっつぁん一筋だから。
っていうか、キスしたら後が怖いから………な。そういう問題かよ!)
「これは…後藤先輩からも許可取ってます」
「ごっつぁん? 許可?」
「やっぱり彼女の特権ですものね」
(なに? なんのこと?)
「キスしてくれますか?」
「……キ………ス…………?…」
(だからベタすぎるんだって。幸せですか? って何言ってんだオイラ…)
気がつけば、もう頂上は過ぎていて1/4くらいは下降し始めている。
「早くしないと!」
「しないとって、そういう問題かよ?」
さっきの空気が一転してムードもどこかへ吹き飛んでしまった。
「い、いくらごっつぁんの許可が出てても、オイラはできねぇよ!」
「私のコト、やっぱり嫌いですか?」
「そうじゃなくてな…」
そんな押し問答が何度か続き、結局下まで降りて来てしまった。
- 394 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-50- 投稿日:2002年09月12日(木)20時29分57秒
- なんだか悪い事をしたような気がして矢口も何だか気持ちが沈んでしまう。
しかし、高橋は最初から、そうなると分かっていたようだった。
「終わっちゃいましたね」
「ん…。あぁ…」
「やっぱり、後藤先輩の言う通りだった!」
「なにが?」
「後藤先輩、こう言ったんです。『やぐっつぁんは、ゴトーのコト、愛してるから
絶対他の人とはキスしないって』」
それを聞いた矢口は、俯きながらフッと笑う。
「大した自信だよな。後藤…。ってか試したのかよ! 後藤も高橋も!」
「まだ続きはあります。『だから、例え離れても、ゴトーはやぐっつぁんのコト
信じてるから平気』って…」
「後藤……」
「そんな後藤先輩も大好きです。そして、矢口先輩も!」
高橋はキラキラした瞳で眩しそうに言った。
「高橋。お前も今時奇特なヤツだよなっ」
矢口は高橋の額を小突いた。
「私、そんな自分がなんか好きですよ。バカみたいですけど。
素敵な先輩に出逢えて良かった!」
「多少、お世辞入ってんだろ!」
「そんなコトないですよ〜」
この後、高橋と軽く食事をして、家まで見送って行く矢口。
矢口も、高橋と出逢えて良かったと思えた日だった。
- 395 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-51- 投稿日:2002年09月12日(木)20時32分41秒
- −51−
「梨華…。あ、あのさ……」
「ひとみちゃん、どうかした?」
家に来てから、どうもひとみの様子がおかしい事に、梨華が気づかない訳がなかった。
大体、日曜の夜に泊まる事自体も、珍しいのだから。
それに、ひとみの目は泳いでいて、視線が定まらない。
「もぅ、さっきからハッキリしないなぁ。ひとみちゃん?
言いたいコトあるなら、ちゃんと言って?」
子供を説得させるように梨華は優しく言った。
ハッキリ言って、梨華に嫌われるのが怖いひとみは、やはりなかなか言い出せずにいる。
しかし、これ以上言わないと、また梨華を怒らせてしまいそうだから、ひとみは深呼吸すると
一気に声を大にして叫んだ。
「来週旅行じゃん? だから、その前に…梨華と……予行演習でも…と思って…」
勢いが良かったのは最初だけで、最後の方はフェードアウトするように声が小さくなっていった。
「予行演習って? 何の練習?」
「なんのって…」
まさか聞き返されるとは考えていなかったひとみは言葉に詰まった。
「それはさぁ…梨華と………ιょゃ…を迎えるに当たっての…その」
「え? なに? ひとみちゃん聞こえない…」
(梨華の意地悪! 絶対聞こえてる筈なのに!! 何度も言わせるなんて!)
- 396 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-51- 投稿日:2002年09月12日(木)20時33分19秒
- さっきからひとみが赤くなったり、一人顔がニヤけたりと、梨華は何となく察した
ものの、どう返せばいいのか迷っていた。
「ひとみちゃん無理してない?」
「無理?」
梨華の答えが予想と外れてひとみは聞き返した。
「昨日、私が言ったから…気にしてるのかなって…。だったら、もういいの」
「よくない!」
「ひとみちゃん?」
「梨華も気にして!」
「ど、どうしたの?」
ひとみは焦っていた。
そして、今度はひとみが空回りする番だった。
「ふ、風呂入ってくる!」
ひとみは顔を真っ赤にさせながらタオルを掴んだ。
バタンと閉まる音がして、梨華は呆気に取られてしまう。
「私、なんかしたかなぁ…」
梨華は不安そうに呟いた。
シャワーで軽く流して、ゆっくりとバスタブに浸かりながら、ひとみは大きくため息をついた。
「はぁ〜ダメじゃん。もぅ…。何やってんだか」
なんだかひとみは一生梨華とは、えっち出来ないような感覚に襲われた。
- 397 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-51- 投稿日:2002年09月12日(木)20時34分08秒
- 梨華が、キッチンでボーッとしていると、ひとみの携帯が鳴る。
なにげに見ると、それは真希からだった。
梨華は、そのまま携帯を取り通話ボタンを押した。
梨華が出る前に真希の元気の良い声が飛び込んできた。
『よっすぃー? その後どう? うまく進んでる?』
「ぁの…」
なんの話だろう?
しかし、真希は梨華とは気づかず間髪入れずに話を続ける。
『ゴトーも最初は緊張したけど、始まっちゃえば何とかなるよぉ』
「始まる?」
『うん。愛があれば、気持ち良いもの…って。あれ?』
さすがに真希も気づいたのか、一瞬押し黙った。
「ごっちん…。石川ですけど…。なんの話?」
『い、石川先輩? んぁぁ〜あの…よっすぃーかと思ってつい…』
真希は途端にしどろもどろになる。
「ひとみちゃんなら、今お風呂に…」
『お風呂ぉ? じゃぁ、もう終わった後とか?』
「終わった?」
『あぁ、なんでもない! 終わったら電話ちょーだいって言っておいて! じゃぁ』
一方的に電話は切れた。
「ごっちん…」
始まっちゃえばとか、愛があれば…とかって…いったい………。
あ……もしかして…。
梨華はひとみの携帯を握りしめながら、暫く固まっていた。
- 398 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月12日(木)20時36分20秒
- >>382-397 47-51話更新しました。
きっと誰も望んでないであろう、やぐたかデート(w。
いぃんです。
>380 むぁまぁさん
高橋も(・∀・)ノ イイ!!ヤシなんです。
って、これで良かったんだろうか…。
来週ですねぇ横アリ。自分は風邪を治さないと(泣)。
>381 オガマーさん
やぐごま より いしよし ここのいしよしは、なんか
よっすぃーがハッキリしなくて(w。
書ける時にはガンガン書きますので、宜しくおながいします。
っていうか、梨華ちゃんは、どうするんでしょうね?
- 399 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月13日(金)08時09分18秒
- いぃんです これでいぃんです!
さて石川はどうするのであろうか? むーん
>作者殿
来週でしたね
- 400 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月13日(金)12時36分04秒
- 大変興味深い作品であります。
- 401 名前:オガマー 投稿日:2002年09月13日(金)16時44分40秒
- ドキドキですなw
更新まっとりますわ。w
- 402 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-52- 投稿日:2002年09月13日(金)20時29分58秒
- −52−
「やべぇ〜!」
真希の慌て振りに、矢口は振り返った。
高橋と別れてから、矢口はそのまま真希の家に来ている。
律儀と言うか矢口は高橋との事を、そのまま話していた。
「どうかした?」
ベッドで寝そべっていた矢口は真希の慌て振りに顔を上げた。
「よっすぃーだと思って喋ってたら、石川先輩だった」
そう言って舌を出す真希だが、あまり焦った様子ではない。
昼間、ひとみが来て、相談を受けた事を聞いた矢口は憤慨した。
「じゃぁ吉澤、ごっつぁんのコト襲おうとした訳? あの野郎…」
「少しは妬いてくれるの? 嬉しいぃ…」
真希がじゃれるように矢口に抱きついてくる。
真希の甘い香りが矢口の鼻をくすぐる。
「妬くって言うか…そういうんじゃないけど…」
矢口はそう言いながら真希の背中に腕を回した。
(やっぱり、ごっつぁんと居ると落ち着く…)
「ゴトーは、やぐっつぁんが愛ちゃんと一緒に居る時は、少しだけだけど妬いた」
「少しだけかよ…」
段々顔を近づける真希に、矢口も、じっと真希を見つめたまま。
「やぐっつぁん信じてるから…」
「オイラだって、ごっつぁんのコト…」
二人のくちびるは自然に重なった。
- 403 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-53- 投稿日:2002年09月13日(金)20時31分17秒
- −53−
ひとみは凹みながら、早々にお風呂から上がる。
気まずい雰囲気を残してはいけないと思い、努めて明るく出てくる。
今日もいつも通り何もなく終わるのだと、ひとみは納得していた。
勿論、真希から電話があった事など知らないひとみは、梨華が妙に思い詰めた表情を
見て、自分のせいだと思いこみ、内心焦ってしまった。
「梨華?」
梨華は決心したように、何も言わずにひとみの手を取ると、電気の点いていない部屋に
ひとみを連れていく。
「あ、電気…」
ひとみは至極最もな事を言うが、梨華は無視してベッドにひとみを座らせた。
「梨華、どうし…」
ひとみの言葉は梨華のくちびるによって塞がれる。
梨華の行動に、ひとみは何が何だか分からずにされるままになっていた。
梨華のキスで、ひとみの身体は火照っていくのが分かる。
これは風呂上がりのせいじゃない。
梨華のくちびるは、ひとみの首筋へと移っていく。
「…んぅっ…っ」
思わずひとみは声を出すと、何故だか急に恥ずかしくなる。
(自分じゃないみたい…。っていうか、梨華?)
- 404 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-53- 投稿日:2002年09月13日(金)20時32分21秒
- まだ冷静さを保っているひとみは、梨華から離れようとした。
(これって全然自然じゃない…よ?)
「梨華。急に…どうしたの?」
急にひとみは怖くなり、梨華の目を覗き込む。
キッチンは電気が点いているから、真っ暗ではなく梨華の表情は見てとれる。
「だって、ひとみちゃん…」
梨華の今にも泣き出しそうな顔に、ひとみは酷く驚いてしまう。
「なんかあった? って言うか私のせい…かな」
ひとみは自分が悪い事をしたような気持ちになる。
「さっき…ごっちんからひとみちゃん宛に電話があったの」
「ごっちん…」
それを聞いて、ひとみはビビッと来る。
梨華がその後何も言わなくても察しはついた。
「勝手に出てゴメンなさい」
「そんなコトはいいよ。そ、そう。ごっちんかぁ…なんか言ってた?」
マズイ。真希に相談した事がこれではバレバレである。
ひとみは立ち上がると、そわそわし始めた。
「終わったら電話してって…。ごっちんも慌てたみたいで…」
「そっかぁ。分かった。梨華ありがと」
さっきよりも微妙な空気が流れ始め、ひとみも困ってしまう。
余計な事をしたと後悔しても後の祭りな訳で。
しかし、梨華も決心してしてくれた行為を潰す訳にもいかず、しかし
このまま続行するきっかけも作れずに、ひとみは途方に暮れていた。
- 405 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-53- 投稿日:2002年09月13日(金)20時35分00秒
- 「ゴメンね。ひとみちゃん…」
沈んだ声と共に、梨華に後ろから抱きしめられて、ひとみは梨華の両手を握った。
「なぁんかカッコ悪いよね。こういうコトって自然になるもんなのにさ。
その気もないのに…私の方こそゴメン」
「ひとみちゃんが謝るコトないよぅ…」
梨華がギュッと背中に顔を押しつけ呟く。
「でも…。梨華のコト…抱きたいのは本当……」
それは本音。人間の本能。
「ひとみちゃん…」
一瞬梨華の力が弱まった気がした。
「楽しみは来週に取っておこうか」
ひとみは照れ隠しに冗談めかして言う。
だって、心の準備が出来てないし、二人の気持ちが同じじゃないとやぱりダメだから。
「楽しみって…」
ひとみはクルリと梨華の方に向き直る。
「途中までしちゃうのもアリだけど…。でも、そうしたらきっと我慢出来なくなっちゃうから」
「それでも…ぃぃよ?」
「えーっ」
ひとみは冗談のつもりで言ったのに、梨華が真面目に返すから、逆にひとみが目を
大きく見開いて梨華を見つめた。
「ひとみちゃんなら、何をされてもいいから…」
梨華はひとみの肩口に顔を軽くつけ、背中に手を回す。
ひとみの鼓動は、また急激に早くなる。
「梨華………」
梨華はゆっくりと顔を上げると、そっと目を閉じた。
- 406 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月13日(金)20時41分12秒
- >>402-405 52-53話更新。
さて、この後は?(実は迷ってます。散々…(r
まだ、するな! と言うならしませんが(w。
Σ(;0^〜^)!<しないよ
>399 むぁまぁさん
どうする吉澤? 引っ張り過ぎたので、そろそろ…?
>400 名無し読者さん
400ゲトー。ありがとうございます。
>401 オガマーさん
私もドキドキです。
更新は、また近々します。
- 407 名前:オガマー 投稿日:2002年09月13日(金)21時26分49秒
- そろそろ…
そろそろいいんでないかい?
とか言いつつ、まだドキドキしていたい気もしつつ…
みなさん、どうでしょう?(w
- 408 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月14日(土)05時59分29秒
- ・・・もうかれこれ一年くらいムラムラしながら待ってるんですが(w
- 409 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月14日(土)09時58分02秒
- うーん 成り行きに任せて・・・
あとは作者殿に委ねるのだ!
- 410 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月14日(土)17時21分17秒
- 早く更新してくださいね。いつも楽しんで読んでます。
- 411 名前:ミニマム 投稿日:2002年09月15日(日)03時59分05秒
- お互い今まで がんばった!
いしよしいっちゃぇ〜〜いしよし ひなまちゅり♪
丁度 4thだしね(笑)いきまっしょい!
超コジツケ…
ごっちんの顔が思い描ける<間違い電話(笑)
- 412 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
- ( `.∀´)ダメよ
- 413 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-54- 投稿日:2002年09月15日(日)21時01分13秒
- −54−
ベッドの上で、暫くイチャイチャしていた、矢口と真希だったが、
いつも、そうしている訳ではない。矢口は起きあがると、帰る準備をしだした。
「んじゃぁ、帰る。ごっつぁんも良く休めよ」
矢口は、真希の髪の毛をクシャリと撫でると、大きく伸びをした。
「もぅちょっと一緒に居たいなぁ」
矢口の手を取り、引き寄せようとする真希に矢口は、やんわりと断る。
「ダメ。ごっつぁんネボスケなんだから、もう寝た方がいいぞ。
明日から、また学校だしな」
「全く、そういう時だけ優等生ぶるんだからぁ…」
真希は口を少しだけ尖らせる。もう少し一緒に居たいのは、矢口も同じだ。
でも、許していたらキリがない。
「来週は、ずっと一緒にいられるだろ? オイラもそれを楽しみに一週間頑張るからよ」
矢口は、そう言うと真希の手をギュッと握った。
「ケチィ…」
「じゃぁな。見送らなくていいから。おやすみ…」
矢口は、おやすみのキスを真希にすると、部屋から出て行った。
パタンとドアが閉まり、階段を下りる音と玄関が閉まる音。
矢口が帰ってしまった後は、特に寂しくなる。
今まで矢口がいた空気がまだあるから、余計に寂しくなるのだ。
「あ〜ぁ。やぐっつぁんと、もっと一緒に居たい…」
真希は枕を抱きしめると、ポツリと呟いた。
- 414 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-55- 投稿日:2002年09月15日(日)21時02分39秒
- ひとみは、梨華に、そっとくちづける。
そのくちびるは、微かに震えていた。
この1年間、星の数だけ重ねたキスなのに、酷くひとみは緊張していた。
全身から汗が出るような感覚に襲われる。
本番には強いひとみ。でも、梨華に関してだけは、めっぽう弱かった。
それに、初めてする体験に、ひとみはどうすればいいのか分からない。
「梨華……」
もう一度梨華の名前を呼ぶと、ひとみは深くくちづける。
(ひとみ…ちゃん……。)
梨華も、ひとみが酷く緊張しているのは感じていた。
そんなひとみを落ち着かせるように、梨華はひとみをギュッと抱きしめる。
一旦くちびるが離れた時、梨華は、ひとみの手を握り、その手を自分の胸に押し当てた。
「ひとみちゃん…。私もドキドキしてるんだ。分かるでしょ?」
服の上からとは言え、梨華の胸に初めて触ったひとみは、あまりの柔らかさに目を
丸くした。
「梨華…。そこ心臓って言うより……」
ひとみは顔を赤らめながら俯いてしまう。
「ぅぅん。胸からでも判るよね?」
梨華はわざとギュッと更にひとみの手を押さえつけるように胸に当てる。
「梨華ぁ…」
ひとみは情けない声を出す。
梨華は、あまりのひとみの腑抜けな態度に苦笑いしそうになる。
- 415 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-55- 投稿日:2002年09月15日(日)21時03分19秒
- (もう、ひとみちゃんはダメなんだから…。そんなところも大好きなんだけど)
だから、今までキス止まりで1年来たのも頷ける。
本当は、ひとみにリードしてもらいたい梨華だったが、これでは、いつまで経っても
先に進みそうにない。
梨華は、ベッドにひとみを座らせると、梨華からくちびるを重ねた。
そして、いつものフレンチキスとは違い、梨華は舌をひとみの口に差し込もうとした。
(り、梨華。ちょ、ちょっと!)
それだけでも、もうひとみはパニック状態である。
しかし、難なく梨華は舌を入れると、ひとみの舌先を探しだす。
躊躇いがちにひとみの舌先に触れると、ひとみはそれをすぐに引っ込めようとした。
(ひとみちゃんっ。もぅ…イヤなの!?)
梨華も変な所で頑固だから、逃げようとするひとみの舌をすぐに探すと執拗以上に
わざと絡ませ始めた。
(ぁっ。ぁっっ。梨華ぁ…。そんな事…。)
ひとみは、梨華と舌が絡み合ってるだけで、既に頭の中がショート寸前になりそうだった。
- 416 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月15日(日)21時09分00秒
- >>413-415 54-55話更新。
なんか、えっちぃのか何だか分からないシーンになってしまいますた。
>407 オガマーさん
まだドキドキして下さい。こっちもドキドキっす(w。
>408 名無し読者さん
一年も! どうもすみません。もうムラムラしなくて済むかも?
>409 むぁまぁさん
成り行きに任せても、吉が動かないから梨華タンに少し動いてもらいますた。
>410 名無しさん
はい。なるべく更新するように致します。
>411 ミニマムさん
ひなまちゅりですか(w。ごっちんは、果たしてまた邪魔しるかな?
( ´ Д `)<んあ〜 よっすぃーに電話電話。
- 417 名前:オガマー 投稿日:2002年09月15日(日)22時38分33秒
- ドキドキ継続中w
- 418 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月16日(月)19時38分37秒
- 吉澤さんカワイスギ
- 419 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月17日(火)08時22分14秒
- おお石川さん積極的ぃ!
へなちょこ吉澤も頑張れー
- 420 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-56- 投稿日:2002年09月18日(水)21時27分37秒
- −56−
ひとみの力がフッと抜けると、そのまま梨華に寄りかかってきて
押し倒されたような形になる。
「ひとみちゃん!?」
「ん〜〜〜っ。梨華…スゴイ…よ」
ひとみの目はトロンとしている。
別に凄くはない。ただひとみに、その気にさせたかっただけだ。
「梨華もドキドキしてるんだね…」
梨華の胸元に耳をつけ、ひとみは目を閉じた。
「ひとみちゃん…」
梨華は手を伸ばし、ひとみの髪を撫で上げる。
「梨華といると…安心…する…」
ひとみは穏やかな気分になる。
そして数分後。
すっかり静かになり身動きしないひとみに、梨華は嫌な予感が横切った。
こういう事、前もあった。
このままだと、ひとみは完全に寝てしまう。と言うより、もう手遅れかも。
「ひとみちゃん!」
梨華は少し声を大きくして、ひとみを呼ぶ。
胸の位置にひとみがいるから上手い具合に起きあがる事が出来ない。
「梨華ぁ…しゅき…」
ひとみは梨華の声を聞きながら、もう眠りに吸い込まれていった。
―――『しゅき』じゃないよ、ひとみちゃん。
もぅ! どうしてすぐ寝るの? これからって時なのに…。
- 421 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-56- 投稿日:2002年09月18日(水)21時29分34秒
- 〜〜〜 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 〜〜〜
そこへ梨華の携帯が鳴る。梨華は手を伸ばしてベッドサイドに置いてある携帯を取った。
「もしもし…」
『あ〜石川先輩? さっきはゴメンなさい』
「ごっちん…」
『さっきのコト忘れて。んで、よっすぃーは、まだいるのかな?』
真希は同じ失敗を繰り返さないように言葉を選ぶ。
「ひとみちゃんなら私の上に…あっぅぅん、何でもないっ」
『え? なに?』
真希が聞き逃す筈がない。真希はニタニタしながら携帯を握りしめる。
(携帯の向こうでは、よっすぃーと石川先輩が!! ついに! うはぁ〜!)
真希は勝手に想像して盛り上がっていた。
「ひとみちゃん、ごっちんから電話ー!」
梨華は眠りの世界から、ひとみを呼び戻すと携帯を握らせる。
「ん〜〜ごっちん? なんだよ、もぅー。気持ちよかったのに…」
ひとみは軽く頭を振りながら、のっそりと起き上がった。
『気持ち良かったぁ〜? もぅ、ヌケヌケと…!!』
妙に興奮気味の声に、ひとみは顔をしかめる。
- 422 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-56- 投稿日:2002年09月18日(水)21時30分30秒
- 「………なに?」
まだ半分寝惚けているひとみから梨華は携帯を取る。
『もしかして、今、真っ最中だった? ゴメンっ。ゴトーってなんかいつも
タイミング悪いよね』
ひとみから梨華に代わった事に気づかない真希は、更に興奮していた。
「…ごっちん。全然悪い風に聞こえないよ…」
『…あれ? 石川先輩? い、いつから代わってたの?』
再び慌てる真希に、梨華は一言。
「ごっちんが想像してるようなコト、まだしてないから!」
またひとみに携帯を渡すと、梨華は横になった。
もう雰囲気も何もない。梨華のテンションは一気に下降する。
「あれ? 梨華、なに怒ってんの?」
ひとみは、話が見えずにキョトンとしている。
『…川先輩、ごめんなさーぃ…』
受話器の奥で、真希の声が虚しく響いていた。
- 423 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-57- 投稿日:2002年09月18日(水)21時31分46秒
- −57−
しきりに謝る真希からの電話が済み、ひとみは記憶を呼び戻す。
梨華と…どうしたっけ………。あ………。
ひとみは思い出すと、梨華に目をやった。
梨華は洋服のまま、布団にくるまるようにして頭から被っている。
さすがにひとみもマズイと思い、梨華に手を伸ばしかけたもののその手を引っ込めてしまう。
梨華が怒るのも無理はない。
自分から誘っておいて、結局寝てしまったのだから。
しかし、ここで気まずいまま一週間を過ごして、旅行に行くのは更にマズイ。
ひとみは決心して深く深呼吸をした。
「梨華…ちゃん」
ひとみは、恐る恐る声をかけてみる。
弱気な時に出る、ちゃん付け。
「………」
怒っているのか、はたまたふて寝なのか、当然返事はなかった。
軽く揺り起こしながら、布団をめくるひとみ。
丸くなっている眠る梨華に、ひとみは手を置く。
「洋服が皺になるよ」
「………」
ホントに寝てるのかな? ひとみは躊躇う。
キスで起きるかも。梨華の寝顔を見つめながら、ひとみはゆっくりと顔を近づけていった。
- 424 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-57- 投稿日:2002年09月18日(水)21時32分38秒
- (ひとみちゃんのバカ!)
当然、梨華は眠っている筈もなく、寝たフリをしているだけだった。
暫くひとみの様子を窺っていた梨華だったが、どう出るか梨華も興味津々である。
多少の事なら、怒っても許される筈。
そして、ひとみの息を緩く感じた瞬間、唇が重なる。
「………っ」
ひとみは、ゆっくりと時間をかけて、梨華の唇を味わうようにくちづけていた。
しかし………
(梨華……。ホントに寝ちゃったの? はぁ…)
なんの反応もない梨華に、ひとみは、もう諦めかけていた。
そこが、ひとみのダメなところである。
「おやすみ。梨華…」
ひとみが立ち上がる。
立ち上がる気配を感じた梨華は、心の中で叫んだ。
(もしかして帰っちゃうわけ? ひとみちゃん!!)
「ぅぅ…んっ」
梨華はわざと寝返りを打つ。
ここで帰してなるものかと、梨華も必死である。
「梨華?」
再びひとみの視線は梨華に。
- 425 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-57- 投稿日:2002年09月18日(水)21時33分21秒
- 「ひとみ…ちゃん?」
(絶対帰さないんだから!)
心の叫びとは裏腹に、梨華は目を擦りながらひとみを見つめる。
「あ、梨華起きた?」
何も知らないひとみは、邪魔にならないようベッドの縁に腰を下ろした。
「帰っちゃうの?」
「梨華眠ってたみたいだから…」
「今日も一緒って言ったじゃない…」
少し拗ねて見せる。少し目を潤ませて…。
「邪魔しちゃ悪いから…」
ひとみの消極的な態度に、梨華はまたため息。
(ひとみちゃんの…鈍感…。眠ってる訳ないじゃない…。)
梨華は起き上がると、何も言わずにひとみに抱きついた。
「梨華…」
「ひとみちゃんから…して…」
ひとみが一瞬緊張するのが梨華にもわかり、梨華は内心クスリと笑った。
(可愛い。案外、奥手なんだから…。)
するって、するって、何を? ってアレですか?
いいんですか? 梨華を私が……。って誰に言ってんだ自分。
ひとみは、額に汗をかきながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
- 426 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月18日(水)21時40分00秒
- >>420-425 56-57話更新。
すみません。さっさとヤレよ!ヤってくれ!(泣)
なんて言うメールもいただきましたが(w。
焦らしてすみません。なかなか踏ん切りがつかないんすよ。
でも、もういかせていただきますので。
>417 オガマーさん
まだまだドキドキしてもらいます。
>418 名無し読者さん
よすぃこは、ロマンティック ヘタレモードだす。
>419 むぁまぁさん
石川さんは落ち着いてます。
吉澤さんも作者も覚悟を決めますた。
- 427 名前:オガマー 投稿日:2002年09月19日(木)03時41分06秒
- ドキドキしたぁーw
二人ともかわい過ぎるぅぅぅ!!かなりツボです。
続き期待してます(w
- 428 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月19日(木)08時03分53秒
- 意外と焦らされるの好きだったりする
でもいよいよその時が来るのですね
- 429 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-58- 投稿日:2002年09月20日(金)01時35分48秒
- −58−
「ひとみちゃん…」
「…ひゃぃ?」
緊張の余り、素っ頓狂な声を上げ、ひとみは何だか可笑しくなる。
(なんだよ、ひゃいって…。カッコわる…。)
「お洋服、皺になっちゃうよね…」
さり気なく言う梨華に、ひとみは梨華が起きていた事を悟る。
(それって、それって、脱がせろって事なんですか?)
思わず、身体を離して梨華をマジマジと見つめるひとみに、梨華は微笑み返した。
こういう時、女の子の方が度胸が据わっているっていうか落ち着いていて感心する。
って、ひとみも一応女の子だけど。
「梨華……」
「ひとみちゃん…」
ひとみは覚悟を決めた。
「梨華…ちゃん。い、いくよ…」
「ぅん…」
梨華は頷き、ゆっくりと目を閉じた。
「………」
覚悟を決めたものの、今ひとつ勇気が出ないひとみ。
梨華の頬を撫でる指先が震えている。
(はぁ。緊張してきた。でも…。)
- 430 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-58- 投稿日:2002年09月20日(金)01時37分03秒
- ひとみは、梨華の頬に軽くキスを落とす。
慈しむように髪を撫でながら、ひとみの柔らかい唇が、
梨華のあちらこちらに落とされる。
「くすぐったぃ…」
梨華の囁きに、ひとみは顔を上げると「ゴメン」と呟く。
「イヤじゃないよ。ひとみちゃん」
目と鼻の先にある、愛しい顔は微笑んでいた。
「好き」
梨華は手を広げ、ひとみを抱きしめる。
梨華に重心が掛からないようにしていた、ひとみだったが、引き寄せられた事で
梨華の上に重なり落ちた。
「梨華……」
「ひとみちゃん…。大好きだよ」
梨華は、ひとみにくちびるを重ねる。
何度も何度も角度を変えて。
そのうち、ひとみの緊張も和らいでくると、躊躇いがちに先ほど梨華がしたように
舌をおずおずと忍ばせてくる。
「…ぅ…ん……っ」
(梨華の洋服…。服を……。)
ひとみは、梨華と舌を絡ませながら、梨華の洋服に手をかけた…。
- 431 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月20日(金)01時41分04秒
- 短くてすみません。58話更新です。
>427 オガマーさん
一応初夜なんで(w。ドキドキ感が伝われば。
>428 むぁまぁさん
散々焦らしたので、もぅ、引っ張りません(と思う)。
なかなか難しいですね。
- 432 名前:オガマー 投稿日:2002年09月20日(金)04時46分28秒
- ふ、服、服をはやく…ひとみちゃん…
いや、じれったくてもOK(w
初夜ムフフ
- 433 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月20日(金)07時56分39秒
- おおー
- 434 名前:名無しエロ(読者) 投稿日:2002年09月20日(金)18時34分08秒
- ドキドキしちまった(w
がんがれ!作者。
(;´Д`)ハァハァ
- 435 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-59- 投稿日:2002年09月21日(土)07時20分07秒
- −59−
キスをしながら服を脱がすなどと言う器用な事を、不慣れなひとみが
出来る訳もなく、手を置いたものの、それは不自然になる。
しっとりと汗をかいている、ひとみの手に梨華は手を重ねる。
「ひとみちゃん…。テレてるの?」
「テレてなんか…」
「ウソ…」
梨華は胸の頂にひとみの手と自分の手を重ね合わせる。
服の上からでも分かる柔らかで弾力のある感触。
(梨華の…。やっぱ大っきぃよ…。すげぇ〜…でも恥ずかしぃ…。)
まだひとみは、欲望や好奇心よりも、照れの方が先行する。
梨華に手首を掴まれて、ひとみは梨華を見つめた。
「梨華…」
「ひとみちゃん…」
熱い視線でひとみを見つめる梨華。
「分かってるよ」
ひとみは頷くと、そっと手をブラウスのボタンに伸ばす。
それだけでも心臓が飛び出そうである。大体人の洋服を脱がす事など
生まれて初めての事。それも、ずっと好きな梨華なら尚更緊張してしまう。
- 436 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-59- 投稿日:2002年09月21日(土)07時20分56秒
- (もぅひとみちゃんは、不器用なんだから…。)
手こずって、なかなかボタンを外せないひとみを見ながら梨華は、微笑む。
それでも、何とか全部ボタンを外し終えた時には、ひとみは汗だくになっていた。
(な、なんか、すっげぇ疲れた…。)
ひとみは汗を拭う。しかし、この後が、また至難の業。
「ひとみちゃんのも脱がせてあげる」
梨華は起き上がると、ひとみのTシャツを掴んだ。
ひとみのペースに付き合っていたら、夜が明けてしまいそうだから、梨華はリードする。
ひとみは、もう寝の体勢に入っていたから、Tシャツの下は何もつけていなかった。
「ぁっ…」
梨華の手がTシャツの上から触れると、ひとみは小さく声を上げた。
「だから、ひとみちゃんも脱がせてね」
平然と言う梨華だったが、内心はドキドキである。
「ぅん…」
ひとみは、おずおずと手を伸ばすと、梨華のブラウスを左右に開きスッと
両肩から落とす。少し黒い梨華の肌に、ピンクのブラが目に飛び込んで来る。
ひとみは後ろに両手を回すと、ブラのホックを外しにかかった。
- 437 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月21日(土)07時25分45秒
- 相変わらず少ない更新ですみませぬ。
>432 オガマーさん
なかなか進みません。旅行に行く前にスレが…汗。
>433 むぁまぁさん
まだドキドキして下さい。
>434 名無しエロ(読者)さん
初めまして(w。カキコありがとうございます!
ドキドキが伝われば嬉しいです。エロ…(w
来週また更新します。では、横アリで会う皆さんヨロ〜。
- 438 名前:名無し 投稿日:2002年09月21日(土)18時41分45秒
- ヒサブリに見に来たら……
わーーおっ!みたいな展開になっているでわないかっ!!
……初夜ですか…(ニヤリ)。
ガンバー!吉澤ぁぁぁぁ!そして作者さぁぁぁぁん!
- 439 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月21日(土)20時08分52秒
- これまたいいとこで(w
ぐわんばれよっすぃ〜
- 440 名前:オガマー 投稿日:2002年09月21日(土)21時14分03秒
- カナーリ萌えw
初々しすぎですよほ。。
続きキターイ(w
- 441 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-60- 投稿日:2002年09月23日(月)11時36分40秒
- −60−
「ひとみちゃんバンザイして」
梨華のブラも外して後は脱がせるだけになった時に、梨華は万歳のポーズを取る。
ひとみは、言われるまま両手を上げた。
(え……?)
ひとみが、そう思った時には、綺麗にTシャツが脱がされて白い肌が露わになる。
男前と言われていても、ひとみも一応女である。
「わっっ!」
慌てて両手で隠すひとみに梨華はクスッと笑った。
しかし、ひとみの目に飛びこむのは、中途半端に脱がされている梨華の上半身。
それが妙にイヤらしく映る。
「ひとみちゃん綺麗なんだから隠すコトないよ」
梨華は交差されているひとみの手を解こうとする。
「ダメだって。梨華も脱がなきゃ狡い」
ひとみは顔を赤くさせながら、梨華のブラウスとブラを取り去ってしまう。
ひとみとは対照的な浅黒い肌と大きな胸が露わになる。
ひとみは既に前を隠す事など忘れて、梨華の華奢な身体に不釣り合いの、
その二つの頂をじっと見つめてしまった。
「えっち……」
梨華の声でハッとするひとみは視線を上にずらし、やはり照れている梨華と見つめ合う。
しかし、それも一瞬の事で、梨華は両手を広げ思い切りひとみを抱きしめた。
- 442 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-60- 投稿日:2002年09月23日(月)11時38分47秒
- 「梨華……(あ゛っ…)」
梨華の柔らかいモノが直接ひとみのソレに密着する。
くすぐったいような、しかし梨華の少し熱い体温を感じて、ひとみは目を瞬かせる。
ひとみも、ゆっくり梨華の細い背中に手を回した。
「気持ち良いね、ひとみちゃん」
「…うん。なんか落ち着くよ」
目を閉じるひとみ。落ち着くと言っても心臓はバクバクしている。
「ひとみちゃんのドキドキが私にも移っちゃった」
梨華はそう言うと更にギュッと抱きしめてくる。
ひとみにも梨華の鼓動の音がダイレクトに伝わって来た。
「…梨華も、すっごくドキドキしてるね」
さり気なくリードしてくれる梨華に、やはりお姉さんだなとひとみは実感する。
(自分から誘っておいて、ダメだなぁ。しっかりしなきゃ。)
暫く二人は、抱きしめ合っていたが、ひとみは手を腰元にずらして、更に梨華を引き寄せた。
「梨華…」
自然に二人のくちびるは重なる。
「んっ……ぅん…」
梨華の口から微かに漏れる甘いうめき声に、ひとみはそれだけで更に気持ちが高ぶる。
- 443 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-60- 投稿日:2002年09月23日(月)11時41分54秒
- ひとみは、言いにくそうに口を開いた。
「梨華…ぁの…さ、触ってもいい?」
照れながら聞いてくるところが、ひとみらしい。
「ダメって言ったって触るでしょ?」
梨華は笑いながら、先に手を伸ばしてひとみに触れた。
「あ゛。梨華の意地悪っ」
まさか先にされるとは思わなかったひとみは、先端を触られて顔を紅潮させた。
「ひとみちゃん立ってる」
「へ?」
梨華に指摘され、ひとみは下を向いて思わず確認をする。
「り、梨華だって…」
ひとみは勢いに任せて梨華を押し倒した。
そして梨華の上になると、梨華の胸にそっと手を置いた。
ひとみは、そのまま顔を近づけ、恐る恐る梨華のピンクの先端にそっとくちづけた。
「ぁんっ…」
梨華は一瞬身体を震わせる。
ひとみはドキマギしながら、おずおずと舌を先端に這わせる。
すぐに梨華のソレは硬く立ち始める。
(梨華…。感じてるんだ…。)
ひとみは、それだけで感動である。
- 444 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-60- 投稿日:2002年09月23日(月)11時44分46秒
- 「ひとみちゃん…。恥ずかしぃ…」
梨華は恥ずかしそうに目を閉じる。
そんな恥じらう姿に、ひとみの心は更に火が点く。
「梨華。大好きだよ…」
ひとみは、ゆっくりと口に含むと舌先でコロコロと先端を舐め始めた。
「ぁぁっ。くすぐったぃよ…ぅ。ぅぅん…」
梨華の甘ったるい声がひとみの脳内を刺激する。
(ぅ。ヤバイかも。もう止まらない。)
梨華は梨華で、初めて感じる何とも言えない快感に近い気持ちに戸惑いながら、
ひとみを受け入れていた。
「梨華。もっと感じて。梨華の声が聞きたい…」
ひとみの手が優しくもう片方の梨華の胸を撫で始める。
「ぁあっ。ひとみちゃ…んっ」
梨華は、シーツの先端をギュッと握りしめた。
- 445 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年09月23日(月)11時51分22秒
- ごっちんヲタんじょうび&卒業おめでとう。
60話更新しますた。
なんか、すっごく時間かかった割に全然書けません。
ようやく吉澤のエロメーターがオン!になったので後はサクサク進めたいです(泣)。
>438 名無しさん
わーーおっ!ですか(w。吉澤くんには、これから頑張っていただきますが
どこまで描けばいいのか、まだ迷ってます。
>439 むぁまぁさん
いいとこって言うか想像するのに最近非常にエネルギーを使ってます。
ここの、いしよしは、やっぱり思い入れあるんで他のエロとは少し違った
風にしたいもので。そうなってるかどうか疑問ですが。
>440 オガマーさん
初々しさを出すのが大変です。出てますでしょうか?
- 446 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月23日(月)15時08分04秒
- ぬぉーーーーー!(・∀・)イイ!
ここで気づいたら朝だった・・・ってオチはやめてねはぁとはぁと
頼みます(w
- 447 名前:名無し 投稿日:2002年09月23日(月)17時31分37秒
- 私は2人の様子を暖かく見守っています。
- 448 名前:オガマー 投稿日:2002年09月23日(月)18時26分25秒
- 出まくりです。
初々しすぎてごっちまでドギマギ
めちゃめちゃイイw
- 449 名前:名無し読者 投稿日:2002年09月24日(火)00時57分39秒
- あああ…なんだか無性に照れる…
初々しさ、出まくりです(w
- 450 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年09月30日(月)08時10分09秒
- おらも照れるだョ
- 451 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-61- 投稿日:2002年10月02日(水)18時32分17秒
- −61−
ひとみが梨華の胸を手の平で優しく包み込むと、梨華が小さな溜息を落とした。
―――柔らけぇ〜! 梨華のってやっぱ大っきいなぁ〜。
ひとみは素直に心の中で叫ぶ。
ひとみは大切な物を扱うように、梨華の胸をゆっくり愛し始めた。
―――こういう時って、どこ見てればいいんだろ?
何もかもが初めてで、次々と疑問が浮かんでは消える。
梨華に目を移すと、うっすらと口を開いて、気持ち良さそうに目を閉じている。
―――はぁ〜。梨華って可愛い…
梨華に見とれていたら、手の方がおろそかになり、梨華に呼ばれて気付くひとみ。
「ひとみちゃん。何見てるの?」
「…へ? あぁ…ぃや…梨華が、可愛いから…」
「もぅ…ヤダぁ…」
はにかむように照れ笑いする梨華は、そのままひとみを抱き寄せた。
「…ぅっ…」
胸の谷間でギュッとされて、ひとみは息が出来なくなる。
―――でも幸せ
ひとみは梨華の胸で圧迫死してもいいとさえ思った。
- 452 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-61- 投稿日:2002年10月02日(水)18時33分29秒
- しかし、すぐに梨華の腕の力が緩くなり、目を開けると目の前で梨華が微笑んでいて、
そのままくちびるが重なる。最初は優しく交わすくちづけも、段々と深い物に変化していく。
―――梨華…梨華ぁ……。ぅぅん…。
激しいくちづけに、またもやひとみの頭はクラクラし、身体はフニャフニャと力が抜けてくる。
お互いの舌と唾液が混ざり合って、クチュクチュと厭らしい音だけが響いた。
「…ん…ぁぁっ…」
我慢しきれずに、ひとみの方からくちびるを離すと、二人の間に透明の糸が伝った。
二人のくちびるから唾液が妖しく光っている。
「梨華…」
ひとみは、今のキスの行為だけで完全にイッてしまいそうになり腑抜け状態になる。
梨華はひとみの首に自分の手を巻き付けると、ひとみの濡れたくちびるを
なぞるように舐め始めた。
梨華が動く度に密着した胸の先端も、擦れて気持ちが良くなってくる。
「あぁっ…梨華ぁぁ…っ」
完全に梨華にリードされ、ひとみはへろへろになっていた。
しかし、梨華はひとみにもリードしてもらいたいから、お願いする。
「ひとみちゃんも、お願い…」
- 453 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-61- 投稿日:2002年10月02日(水)18時34分25秒
- 「ぅん…」
ひとみも梨華がしてくれたように、くちびるを丹念に舐める。
そして、徐々にひとみのくちびるは顎から首筋、鎖骨とキスの雨を降らせながら落ちていく。
「梨華…」
ひとみのくちびるが、胸の頂に到達すると、ゆっくりとソレを口に含んだ。
「ぁっ…」
梨華の身体がビクンと震える。
「んんん…」
ひとみは構わず美味しそうに梨華の蕾に甘く吸い付いた。
舌先で撫でるように転がすと、梨華のソレは過敏に反応した。
「ぁぁっん…」
梨華は感じているのか、ひとみの頭をギュッと抱きしめた。
ツンと硬く勃っている蕾を舌で感じて、ひとみは感動すら覚えた。
―――梨華。感じてるんだ。嬉しい…。
もう片方も舌先で転がすと、同じようにすぐに硬くなり始めた。
「ひと…み…ちゃんっ。もぅ…ぁ」
シーツの端をギュッと掴む仕草が何とも可愛くて、ひとみは、
もう一度梨華に優しくキスを落とした。
- 454 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年10月02日(水)18時39分59秒
- 更新しました。相変わらずのマターリモードですみません。
と言うより、私の方がもう限界に近いんですが(泣)。
初々しさを出すのって、かなり難しくて煮詰まっております。
>446 名無し読者さん
そろそろ、割愛して朝にしても、いいでしょうか?(泣)
>447 名無しさん
ありがとうございます。さっさと…ヤ(ry
>448 オガマーさん
出てますか、それはいいんですが、書いてる自分が恥ずかしくて大変です。
予想以上に長くなってしまって(鬱。
>449 名無し読者さん
私も照れてます…。
>450 むぁまぁさん
照れまくりですね。もう少し照れるシーンが…?
- 455 名前:オガマー 投稿日:2002年10月03日(木)07時25分28秒
- 楽しみは長い方が嬉しいですが(w
引き続き、初々しさ全開で参ります。
がんがってくださいw
- 456 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年10月03日(木)12時36分11秒
- じっくり照れさせて頂きますです(w
- 457 名前:ななし 投稿日:2002年10月11日(金)00時00分12秒
- ほぜん
- 458 名前:ななし 投稿日:2002年10月11日(金)00時00分49秒
- すんません。ageちゃった…。
- 459 名前:ななし 投稿日:2002年10月18日(金)20時44分02秒
- 期待しつつほぜむ
- 460 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月20日(日)17時00分25秒
- まだですか?
- 461 名前:ななし 投稿日:2002年10月21日(月)20時37分50秒
- >>406
ageるなよ。
- 462 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-62- 投稿日:2002年10月22日(火)17時46分42秒
- −62−
「梨華。好きだよ。言葉なんかじゃ足りないくらい」
梨華の手に自分の手を重ねて、ひとみは囁く。
「ひとみちゃん。私も…」
梨華の下半身は、ずっと前から熱くなっているが、なかなかひとみは触ろうとしない。
それより上半身だけ裸のまま、二人はずっと愛し合っていた。
(ひとみちゃん、気づかないの? それとも…)
梨華は自分から言うのも気恥ずかしかったが、ひとみは胸だけで満足している節があるから
梨華は再び起き上がると、ひとみの短パンに手をかけた。
「梨華?」
驚いて梨華を見つめるひとみに、梨華は微笑みながら答えた。
「邪魔になるよね…」
そう言って、短パンを引っ張る梨華に、ひとみは慌てて手で押さえた。
「ちょ、ちょっと!」
「上だけ裸なんて、おかしいと思わない?」
「だって…」
再び顔を真っ赤にさせて困り顔のひとみに梨華は苦笑いしそうになる。
「今更恥ずかしがるコトなんか、ないのに。私も脱ぐから…」
梨華はそう言うと、自らスカートのホックを外し、スカートを取り去る。
その光景を、ひとみは口を開けて黙って見ていた。
- 463 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-62- 投稿日:2002年10月22日(火)17時48分05秒
- そして目に飛び込むのは、梨華の眩しいくらいの太股。
ひとみは思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
視線を辿れば、行き着く場所は、股の付け根……。ピンクのショーツ。
「もぅ、そんなにジロジロ見つめないでよぅ」
梨華だって恥ずかしい。だから、いくら好きな人であれ、じっと見つめられれば緊張してしまう。
ひとみはハッとすると、梨華に視線を移した。
「ごめん。梨華、綺麗だなぁと思って…」
うまい言葉が見つからなくて、そんな普通の感想しか言えないひとみに、梨華は不意をついて
ひとみの短パンを思い切り下ろした。
「きゃぁ〜!」
その拍子に、ショーツごと下ろしてしまい、ひとみは梨華に思い切り見られてしまった。
慌ててひとみはショーツを上に引っ張り上げる。
「り、梨華! 何すんだよぅ…」
「ごめんなさいっ!」
ひとみはうっすらと涙を浮かべながら梨華に背を向けた。
(梨華に見られちゃったよ…。別にいいんだけどさ…、でもね。やっぱり恥ずかしいじゃん!)
- 464 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-62- 投稿日:2002年10月22日(火)17時48分49秒
- 「ひとみちゃん、ごめぇん…」
梨華は背中ごと抱きしめると、後ろからひとみの顔を覗き込んだ。
「い、いいけどさっ! 急にビックリすんじゃん!」
尚も顔を真っ赤にさせてひとみは梨華に視線を合わせないように、視線は宙をさまよっていた。
「カワイイ。ひとみちゃん♪」
梨華は、そのままひとみの方に滑り落ちるように向き合う。
「梨華のだって、脱がしちゃうぞ!」
そう言って梨華のショーツに手をかけたものの、手の動きは止まってしまう。
案外ひとみは口だけで、なかなか行動まで及ばないらしい。
「いいよ、ひとみちゃんになら…」
梨華は優しく微笑むと、ひとみの首に両手を絡ませ、くちびるを重ねた。
- 465 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年10月22日(火)17時54分38秒
- 更新しますた。
二人が果てる前に自分が果てそう(泣)。
>455 オガマーさん
楽しみですか。ちょっと長すぎですな。
オガマーさんの小説も楽しみにしてますよ。
>456 むぁまぁさん
照れまくりで進みませんが…。
>457-461 ななしさん
すみません。なるべく早く更新したいのですが
マターリお待ちいただければ幸いです。
- 466 名前:オガマー 投稿日:2002年10月24日(木)16時24分30秒
- 続きキボンヌw
ほんと初々しい!かわいらしい!
萌え〜(w
- 467 名前:ななし 投稿日:2002年10月27日(日)13時59分57秒
- 今PCの前でニヤけています。かわいい!二人とも!
で、>>461で>>406ってありましたが>>460の間違えでした。
すみません。
(〜^◇^〜)<キャハハ!ちなみに>>460はおいらじゃないよ!
- 468 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年10月28日(月)08時13分41秒
- 恥ずかすぃ〜
- 469 名前:ななし 投稿日:2002年11月06日(水)11時53分05秒
- 保全〜。
- 470 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-63- 投稿日:2002年11月07日(木)17時46分46秒
−63−
「梨華。冗談だって…」
くちびるを離すと、ひとみは焦りながら呟いた。
梨華とは視線を合わせないように。
「冗談で、ここまで出来るの? ひとみちゃんはぁ…」
甘えた声で梨華は擦り寄り顔を近づける。
梨華の視線が強引にひとみの瞳に絡み付いてくる。
「梨華…」
「ここまで来たら、もう迷わないで…。ひとみちゃん…」
「迷って…ない…ょ…」
梨華のくちびるでまた言葉が塞がれる。
梨華の手がゆっくりとひとみの内腿に滑り込んで行った。
「ぅぅ…んっ…」
小さな呻き声と共にひとみの身体が小さく震えた。
「ひとみちゃんもお願い…」
そう言って梨華はひとみの手を自分の腿に導いていく。
ひとみがおずおずと梨華の腿に滑らせると、すぐにショーツに辿り着いた。
別に緊張する事ない。だって自分にも同じものがついているのだ。
ひとみは言い聞かせるが、やはり梨華のものだと思うと、思うように手が出ない。
そんな躊躇いの気持ちは梨華にも痛いくらいダイレクトに伝わって来る。
(ホント、ひとみちゃんは……。)
- 471 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-63- 投稿日:2002年11月07日(木)17時47分44秒
- 梨華は躊躇いがちに、自分からひとみのショーツを指で上からなぞり始めた。
「ゃっっ」
ひとみは不意を突かれ、それだけで甘美な声を漏らしてしまう。
ひとみのショーツは脱がす前から既にしっとりと憂いを帯び始めていた。
「ひとみちゃん、可愛い…」
思わず梨華は呟く。その言葉に、ひとみは酷く照れてしまう。
「梨華だって、きっと…」
ひとみは言葉の勢いで自分も梨華の内腿から手を滑らせる。
ひとみは、そのままショーツの中へと手を入れてしまった。
「ぁっ…」
柔らかい茂みにひとみの長い指が絡み付く。
「ご、ごごごごめんっ」
ひとみは顔を紅潮させ、慌てて指を抜こうとした。
いきなり手を入れるなんて、ひとみ自身がビックリである。
「ひとみちゃん!」
梨華に手を押さえつけられる。
「へ?」
額に汗をビッショリ掻くひとみの顔が目に飛び込んできて梨華は思わず
吹き出してしまった。
「ひとみちゃん、おかしいよぅ…」
クスクス笑う梨華に、ひとみもつられて笑う。
まだ殆ど何もしてないのに、すでにぐったりしているひとみは時計に目をやる。
既にかなりの時間が経っていた。
- 472 名前:恋をしちゃいました-4th Stage-63- 投稿日:2002年11月07日(木)17時48分19秒
- 「こんなに疲れるもんだと思わなかったよ…」
ひとみは、つい本音を漏らしてしまう。
「まだ、これからじゃない」
そう言うなり、梨華はひとみのショーツに再び手を伸ばす。
「あっ、ダメ…」
しかし、そう言った時には、もう下まで下ろされていた。
「もう下げちゃったもん♪」
楽しげに言う梨華に、ひとみは悔しさと恥ずかしさが入り乱れる。
「くぅ…」
ひとみは、梨華を後ろから抱きかかえると、一気に手をショーツへと伸ばした。
「梨華だってさ…、ほら…こんなに……」
ひとみの指先が、梨華の濡れている場所へと触れる。
そこは、ひとみの想像以上にしんなりとしていた。
「ん…ん…ぁ」
梨華の口から零れる甘い息に、ひとみの気持ちも高ぶってくる。
(あったけぇ…。)
ひとみの素直な感想。
柔らかな茂みの中へ、そっと指を滑らせる。
「ふぁぁっ、ぅ…ぅぅん。ひとみ…ちゃん…」
ギュッとひとみの腕にしがみつき、悶える梨華に、ひとみは梨華が一層愛おしく見えた。
「梨華…」
ひとみは梨華の名を呼び、顔を屈めてくちづけをする。
「………んぅ」
梨華の中からは、ひとみを想う液が溢れ出して来る。
見る見る梨華の下着はひとみ色に染まり始めた。
ひとみの手の動きが次第に大胆になり始め、梨華も、布一切れがもどかしくなってくる。
「ひとみちゃん…脱がせて…」
微かに掠れた声で梨華が囁くと、ひとみは頷きショーツを下げていった。
ショーツからは、梨華の愛液が絲を引く。
一糸纏わぬ姿になった梨華を、ひとみは慈しむように、そっと抱きしめた。
- 473 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年11月07日(木)17時52分55秒
- 更新しました。
もう私、ダメです。此処の二人書いてると死にそうです。。。
>466 オガマーさん
初々しいですか。ヨカタです。
>467 ななしさん
間違い指摘されるまで気付きませんでした。問題無しです(w.
>468 むぁまぁさん
書いてる私が一番恥ずかしかったり…(鬱。
>469 ななしさん
保全ありがとうございます。保全されると書かなくては!
と言う気持ちになります。
このスレが500逝くまでに、ここの二人が無事終わりますように(切実)。
- 474 名前:ななし 投稿日:2002年11月07日(木)23時49分08秒
- や、やば・・出血多量で逝っちゃうべさ・・。
いや、終わるまでは逝けません・・見届けます。
そゆことで作者さんガンガレーそして更新乙。
- 475 名前:紗耶香 投稿日:2002年11月10日(日)14時17分36秒
- なるべく早く更新してください
- 476 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月10日(日)14時18分08秒
- ほしほし
- 477 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月29日(金)19時57分02秒
- ほぜむ。
- 478 名前:紗耶香 投稿日:2002年12月05日(木)19時10分51秒
- 保全!!!
- 479 名前:むぁまぁ 投稿日:2002年12月06日(金)12時35分28秒
- ホゼム
- 480 名前:紗耶香 投稿日:2002年12月09日(月)19時00分19秒
- あの〜作者さん、
病気とかじゃありませんよね
大丈夫ですか?
更新してくれるのを
楽しみに待ってま〜す!
- 481 名前:Charmy Blue 投稿日:2002年12月10日(火)00時56分12秒
- すみませんが、更新は暫くお待ち下さい。
必ず書きますので。m(_ _)m
>474 ななしさん
まだ逝かないで下さいね。
>475&478&480 紗耶香さん
保全はありがたいのですが、お願いですからageないで下さい。
あげた場合は下がるまで更新しませんので。
(と言うより今行き詰まって書けない状態なのですが)
病気ではありませんが、忙しいのですみませんです。
>477 名無し読者さん
>479 むぁまぁさん
ほぜむありがとうございます。何とかがんがります。
- 482 名前:紗耶香 投稿日:2002年12月18日(水)19時07分19秒
- ごめんなさい(+‐+)
- 483 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月18日(水)19時11分52秒
- さようなら
- 484 名前:名無しさん 投稿日:2002年12月18日(水)20時15分47秒
- あやまらなくていいよ
- 485 名前:名無しアゴン 投稿日:2002年12月18日(水)20時52分25秒
- さげ、sage、下げ。
- 486 名前:ななし 投稿日:2002年12月18日(水)23時54分55秒
- さげ
- 487 名前:名無しアゴン 投稿日:2002年12月19日(木)08時19分00秒
- しつこくsage
- 488 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月19日(木)17時10分40秒
- 作者が書く気を無くしているので、お願いですからsageで…。
- 489 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月19日(木)17時59分35秒
- sageてsageてと言いつつ500まで埋めてしまう作戦ですか?
- 490 名前:紗耶香 投稿日:2002年12月19日(木)18時45分26秒
- sage
- 491 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月19日(木)19時05分16秒
- 作者さむがむばって
- 492 名前:名無しアゴン 投稿日:2002年12月19日(木)20時25分31秒
- 500狙うぞ! sage
- 493 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月30日(月)02時58分51秒
- >ヲイ!埋める気かよ!
と言いながらも自分も狙ってしまう罪(w
作者様がんがってくらさい。
- 494 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月04日(土)09時55分19秒
- あんたら何考えとんのや?
- 495 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月04日(土)20時54分31秒
- hozen
- 496 名前:名無しアゴン 投稿日:2003年01月04日(土)23時18分55秒
- 後、4っ!
- 497 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月07日(火)00時15分33秒
- >496
そういう身勝手なレスやめてくんない?
本気で楽しみにしてる人たくさんいるのに…。
作者様がんばってください。スレ汚しごめんなさいm(_ _)m
- 498 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月07日(火)08時18分57秒
- 作者さん、
がんばってください。
- 499 名前:Charmy Blue 投稿日:2003年01月07日(火)22時26分14秒
- こちらの残りスレで少しでも更新をと思い
書いてましたが、2つしか残りスレがない事に今日気付いたので
新スレに移行致しました。
最後は、更新を怠った私のせいで、sageと書かれてあげられたりと
荒らされた感じになってしまい、申し訳ありません。
- 500 名前:Charmy Blue 投稿日:2003年01月07日(火)22時28分31秒
- 原点に戻り、初めて立てた赤板に立てさせていただきました。
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/red/1041944924/
>497さん
ありがとうございます。楽しみにしていただける方が1人でも
いる限りは、ちゃんと完結させたいと思ってます。
新スレで、もう暫くお付き合い下さい。m(_ _)m
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