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ののかご外伝〜チャーミー乙姫物語〜
- 1 名前:レイク 投稿日:2002年01月05日(土)00時04分50秒
- モ板(羊)と花板で連載していた者です。
のの太郎とかごや姫の外伝を書かせていただきます。
この作品を読むにあたり、関連作を事前に読んでいただければと思います。
関連作「のの太郎とかごや姫」「一寸ヤグチ」「のの太郎とかごや姫2」は
http://yokohama.cool.ne.jp/reiku/
にあります。
童話を取り入れた小説です。
- 2 名前:プロローグ 投稿日:2002年01月05日(土)00時06分38秒
- *昔々、遠く深い海の底に1匹の竜が住んでおった。*
*ある日、その竜は人の姿となり、海の外へ出たそうな。*
*その姿を見たものは、人の姿をした竜を天女と呼んだという事じゃ。*
*その竜はその時に、恋に落ちたそうな…。*
- 3 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)00時07分58秒
- かごやが生き返ってから1ヵ月後の事。
突然呼んでもいないのに、ののの家に彼女はやってきた。
「こんにちわぁ〜♪チャーミー乙姫でっす♪」
「あっ!!チャーミーしゃんれすよ!!」
「ホンマや、どないしたん?」
仲良く手をつなぎながら家の中から出てきたののとかごや。
「仲いいんですね♪」
「まぁなー、つんくさんとねーさんなら山と川に行ったでぇ〜♪」
「なっちしゃんは畑にいるれすよ、圭しゃんは読書中れす。」
「さっきなっちさんに会いましたよぉ〜♪小さい芋掘り返してましたぁ〜♪」
「!?なんやてぇ〜!?あのブタまたやっとんのかっ!!」
かごやは家の外に出、なっちに向かって歩く。
「何、育っとらん芋、生で食ぅーとんねんヴォケ!!」
猫づかみ。
「ごめんべさ、ごめんべさ、つい、つい出来心だべさ。」
「出来心で毎回掘り返されたらたまらんで!!ちょお来ぃ!!!」
なっちはかごやに引きずられ、のの達の視界から消えた。
つまり、家の裏に連れて行かれたのだ。
のの達の耳になっちの悲鳴と、かごやの怒声と、ニブイ音が聞こえてきた。
- 4 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)00時08分29秒
- 「一度ウチみたいにシんで何も食えん生活してみぃヴォケェ!!」
「ごめんべさ。嫌だべさ!!食べ物食べられない生活なんてかんが…ギャァァァ!!!!」
ガス!ドカッ!ゴン!!バキッ!!ドスッ!!ボコッ!!
しばらく、そんな音を聞かされ、その後、静かになり、かごやが手拭いで手を拭いながら戻ってきた。
「なんや?見せもんちゃうで自分ら。」
と不機嫌そうに奥に入っていく。
のの達は目をそらすのが精一杯だった。
「いつもこうなんですかぁ〜?」
チャーミーはののに先ほどの行為が頻繁に行われているかを尋ねた。
「まぁ、いつもれすね…アハハ…。」
ののはニガワライ。
- 5 名前:レイク 投稿日:2002年01月05日(土)00時10分35秒
- 本日はここまでです。更新はゆっくり目です。
- 6 名前:名無し読者2 投稿日:2002年01月05日(土)15時24分41秒
- 思いがけず、ののかご外伝がハケーンできてよかったです。
これを楽しみに生きていきます。
- 7 名前:レイク 投稿日:2002年01月05日(土)23時24分29秒
- >>6
ハケーンしていただきありがとうございます。(w
期待にこたえられるようがんばります。
- 8 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)23時26分22秒
- そこに、顔が腫れあがり、鼻血を流したなっちが帰ってきた。
「はぁ〜、怖いべなぁ〜…痛っっ…ねーさんより怖くなったべぇ〜…。」
そう言って、なっちは水瓶の水を掬い顔に出来た傷を洗う。
水を患部に当てては痛がるなっちの姿に少し哀れみを抱くチャーミー。
「そうそう、紗耶香さんはどうしてますかぁ〜♪」
「紗耶香しゃんは、あの後、ふもとの村のお医者しゃんのところに住み込みで昼働いて、
夜勉強してるれす。」
「へぇ〜♪医者になりたいんですかぁ〜?」
「そうみたいれす。オランダ行って蘭医学?れすか?を学びたいって言ってたれすよ。」
「ふ〜ん♪素敵ね♪夢を持ってがんばる人♪」
「そうれすね。紗耶香しゃんはすごい人なのれす。」
そんな会話をしている二人と、顔を洗っているなっちの元に奥から圭がやってきた。
「ののちゃ〜ん。かごちゃん怒ってたけど、どうしたの?」
「あ、なっちしゃんがまた芋掘り起こしたれすよぉ〜。」
「なぁ〜んだ。なっちも懲りないね……あれっ?根暗?」
圭はチャーミーの存在に気付く。
「チャオ〜♪圭さん♪」
小さく手を振るチャーミー。
- 9 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)23時27分09秒
- あ、そっか…今日だったよね。墓参り。」
「はいっ♪2年に1度の今日ですよっ♪」
きょとんとしているのの。
ののは何のことかわからない様だ。
「わざわざ迎えにきてくれてありがとね、根暗。」
「いえいえ♪行きましょ♪圭さん♪」
「なんのことれすか?のの、よくわからないのれす。」
「ごめん、ののちゃん。まだ話して無かったね。」
そう言って、ののの方へ向き直る圭。
「実は、今日は鬼の暦で、お盆に当たる日なんだ。」
「お盆れすか?」
「そう、お盆。2年に一度、今日この日にお墓参りするんだよ。」
「初耳だべさ。」
ようやく、傷の処理が終わったなっちが話に加わってくる。
「それでね、根暗が迎えに来てくれたんだよ。鬼ヶ島が遠いからさ。すっかり忘れてたけど。」
「なるほどれす。」
「じゃあ、これから二人で行くんだべか?」
「根暗と二人っきりは嫌だから…ついてきてもいいよ。」
「え〜、なんですかぁ〜♪悲しくなっちゃいますよぉ〜…ぐすん。」
「ホラ、こうやって暗い奴相手にしなきゃなんないでしょ?だからついてきてほしいわけ。」
- 10 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)23時28分42秒
- その答えに、最近暇を持て余していたののは満面の笑みを浮かべる。
「やったれすぅ〜。ののもいくれすぅ〜!!わーい、わーい。」
お祭りごとに行くのが決まったようにののは喜ぶ。
「ウチもいくでぇ〜。」
ちゃっかり、聞き耳を立てていたかごやが顔を出した。
「みんなで行く。」という圭の決定に少し不満な表情をしたチャーミー。
(ちぇっ、圭さんと二人っきりが良かったなぁ〜…。)
「ねぇっ!!根暗っ!!」
「は、はい?」
「いいでしょ?ののちゃん達連れて行っても。」
「…はい…。」
(はぁ〜、ダメっていえないチャーミーのバカバカバカッ…。)
「ほな、出かける準備しよか〜。そのお盆何日かかるん?」
「う〜んと、1泊二日ってかんじかなー。あんま詳しくないんだ。
根暗の方が詳しいかもしれないけど。」
- 11 名前:出現 投稿日:2002年01月05日(土)23時29分36秒
- 「さよかー、ほななっち、あんた留守番やで。」
「えっ!?何でだべさー!!なっちも行きたいベー!!」
「あかん。さっきの場罰や。しかもこの家空けるのあかんやろ、泥棒はいったらどない
すんねや自分。つんくさんもねーさんも帰って来てへんのやし。」
「そんなぁ〜、なっちも行きたいべさぁ〜。」
しゅんとするなっち。
「ウチらが帰って来たとき、畑の野菜減っとったらコロヌで自分。」
笑顔でかごやは、なっちの肩をポンポンと2度叩いた。
「わかったべ…、る、留守番しておとなしくしてるべさ。」
あまりのかごやの恐ろしさに、承諾してしまうなっち。
そして、ののとかごやと圭は仕度を始めた。
- 12 名前:名無し男 投稿日:2002年01月06日(日)14時53分51秒
- ハケーン!!
芋畑荒らすって・・・なっち猪みたい(w
- 13 名前:L.O.D 投稿日:2002年01月07日(月)09時01分26秒
- あかん、、、ここのなっちを見ると、
自分の小説でまで芋掘らせたくなる・・・・・・
- 14 名前:全権特使 投稿日:2002年01月07日(月)13時23分00秒
- ははは、待ってましたよ♪
頑張ってくださいな♪
おれも芋掘らせたくなってきた・・・。
- 15 名前:おでかけ 投稿日:2002年01月07日(月)23時23分21秒
- 「ねーさんと、つんくさんによろしく伝えてほしいれす。」
「わかったべさ。気おつけて。」
そう言葉をなっちとののは交わし、圭とかごやとののは竜となったチャーミーにまたがる。
「いいですかぁ〜?よーくつかまってくださいねー♪」
そのチャーミーの言葉にしっかりとつかまる三人。
「ばいばいべさぁ〜。お土産よろしくだべぇ〜。」
手を振るなっち。
チャーミーは徐々に浮き上がる。
そして、鬼ヶ島の方向に身体を向けると
「チャーミーいっきまぁ〜す♪」
と言い、カタパルト発進のように高速度で飛び立っていった。
見送るなっち。
「ばいばいべさぁ〜。っと、あっという間に見えなくなたベー。」
ニンマリするなっち。
「鬼の居ぬ間にという言葉があるべさ。圭ちゃんの居ない間ってのは言葉のまんまだべ。
ここはかごやちゃんが鬼に当たるべさ…。今のうちに芋掘りの続きするべさ〜。」
なっちは芋畑に向かって、若いまだ実が育っていないさつま芋を掘り返す。」
「なんていっても、人間食欲だべぇ〜、性欲よりも先にくるべなー。」
- 16 名前:おでかけ 投稿日:2002年01月07日(月)23時24分15秒
- そのとき、その行動を見ていた人物がなっちに話し掛けてきた。
「なぁ、なっちぃ〜。今日は芋掘りによう精出しとるなぁ〜。」
「そうだべさー、なっちは芋がす…!?」
今度は洗濯帰りの中澤に見られていた。
顔が鬼の形相化した中澤が仁王立ちしている。
「アハハハハ…ヤマンバみたいだべ。」
苦笑いを浮かべ、掘り返した芋を埋め返すなっち。
「あんた…氏ぬ?」
中澤はなっちに近づくと、肩をぽんと叩き、引き攣った顔でニッコリ微笑んだ。
「ほな、ちょっと家の裏行こかー?」
そう言って、家の裏へとなっちを連れて行く中澤。
家の裏からは、中澤の怒声、なっちの悲鳴、鈍い音が聞こえた。
「何ウチの畑の芋勝手に掘り起こしてんなぁ〜!!!」
- 17 名前:おでかけ 投稿日:2002年01月07日(月)23時24分47秒
ガス!!ドス!!ドガッ!!ボキャッ!!
「ギャーッ!!助けてべさー!!」
「アンタの(不適切な言葉なので略)に芋ぶち込んでヒイヒイ言わしたろかー!!!」
バキッ!!ゴン!!ガスッ!!ズガッ!!ズガッ!!
「命だけは助けてべさぁ〜!!!ぎやああああああ!!!!」
渡る世間は鬼ばかり…。
- 18 名前:レイク 投稿日:2002年01月07日(月)23時27分01秒
- >>12
モグラにウチの祖母の畑はやられました(ww
どうも、お待たせです(w
>>13
たくさん掘らせてやってください。
こちらはあんまり掘らせられないので(w
>>14
がんばります。
ありがとうございます。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月07日(月)23時44分55秒
- ひさしぶりのののかごハッケソで楽しみです。
チャーミーの恋人。どんなんでしょ?(w
- 20 名前:名無し男 投稿日:2002年01月08日(火)20時05分23秒
- 芋っ子だからピッタリ(w
- 21 名前:おでかけ 投稿日:2002年01月09日(水)00時21分35秒
- 海王竜に乗り数時間。
のの達は鬼ヶ島に着いた。
鬼の館の北にある墓場へと4人は向かった。
途中で摘んだ花を墓にたむける。
数十の墓に一つずつ花をたむけ終わると、4人は手を合わせた。
その墓には、古びたもの、しっかりしたもの、簡素な出来のものがあった。
ふと、チャーミーが口を開く。
「圭さん…圭さんの名前の由来知っていますか?」
「知ってるよ、昔、鬼一族の英雄だった人からとったんでしょ?」
「そうです♪彼女は強くて…優しかった…。」
『圭』と鬼語で書かれた墓を見つめるチャーミー。
「どうしたんれすか?チャーミーしゃん。」
「今日はここに泊まるんですよね♪ちょうどいい機会だからチャーミーと鬼一族との
関係を話しますね♪」
そう言って、チャーミーは鬼の館へと戻っていく。
- 22 名前:おでかけ 投稿日:2002年01月09日(水)00時22分05秒
- 「「「???」」」
不思議そうな顔を浮かべた3人は顔を見合わせて、首をかしげ後に続いて歩いた。
館に戻った4人。
「どないしたん?ちょおおかしゅうない?チャーミー。」
そう問いかけながら、チャーミーの隣りに座るかごや。
「今日はね、圭さんに…いや、みんなに聞いてほしい事があるんです…。」
「さっき言ってた事れすか?」
そうののに聞かれ、チャーミーはコクッと頷く。
そして、視線が集中する中、チャーミーはゆっくり静かに
過去の出来事を話し始めた。
「今から、約100年ほど前のことでした…。」
- 23 名前:100年前 投稿日:2002年01月09日(水)00時22分57秒
- 竜宮城にて
「暇ねぇ〜♪何かいいことないかしらぁ〜♪」
机に自慢のアゴを乗せて、ぼけーっと前方を見つめるチャーミー。
「お客様も来ないし〜♪」
ふぅ、とため息をつく。
目の前には亀が横切っている。
何を思ったのか、チャーミーはその亀に話し掛ける。
「ねぇ♪ちょっと、そこのあんた♪」
亀のくせに、いや、亀だからか、チャーミーに呼び止められ、ビクっとし、
神業的速さで甲羅に閉じこもる。
チャーミーは、立ち上がり、その亀に近づいた。
にっこりチャーミーは、
「アナタ、飛んでよ♪」
亀はおっかなびっくり首を出して、横に首を振る。
- 24 名前:100年前 投稿日:2002年01月09日(水)00時23分27秒
- 「出来ないっていうのッ?チャーミーの命令が聞けないっていうのッ!?
今どきガメラだって空飛ぶわよっ♪ホラ、アナタも飛んでみなさいよッ♪」
そう言って、チャーミーは亀を両手で持ち上げ、
「行くわよっ♪1,2,3ハイッ♪」
天井に向かって投げた。
もちろん亀は成す術がなく逆さまに落ちた。
「んっもう♪つまんないっ♪プンプン♪いいわよ♪ずっとひっくり返ってなさいっ♪」
逆さまになって、起き上がれずにもがく亀をチャーミーは無視し、暇つぶしの
策を練っていた。
- 25 名前:レイク 投稿日:2002年01月09日(水)00時26分01秒
- >>19
どんなのでしょうか?いずれはっきりすると思います。
見つけてくださりありがとうございます。
>>20
芋っ子なっちは、芋掘りが得意です。(w
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)23時49分42秒
- あのぉ、今回は魚さばきますか?(w
- 27 名前:名無し男 投稿日:2002年01月11日(金)15時00分07秒
- また暴走し始めたか(w
- 28 名前:100年前 投稿日:2002年01月15日(火)01時06分01秒
- チャーミーは自分の自慢のアゴに手を添えて竜宮城内を
何処へいくでもなく歩き、何をしようか考えていた。
(海老の生きてんぷら…)
(油が跳ねて、熱そうよねぇ〜…。)
(海鮮生き鍋…)
(やっぱり内臓は取り出したほうが…。)
(!!)
「そうだっ、いつもここにいる理由は特にないわよねぇ〜♪
何もしないのは時間の無駄だわっ♪」
- 29 名前:100年前 投稿日:2002年01月15日(火)01時07分50秒
- (思い立ったら吉日♪)
そう思いながら、チャーミーはすばやく海に出るため竜化し、
彼女は久しぶりに海の外へ出た。
海面へ出ると
「竜の姿だと、人が腰抜かしちゃうわね♪」
そう言って、チャーミー人化する。
人化したチャーミーは肌の色こそ黒いが、当時人々が思い描く
「天女」の姿そのものだった。
鱗は着物に、翼は羽衣となる。
って…翼取り外し可能なんですね…。
- 30 名前:レイク 投稿日:2002年01月15日(火)01時11分03秒
- >>26
ちょっとむごい事を考えるだけにとどまってしまいました。
スイマセン(w
>>27
暴走は特性です。
ええ。(w
- 31 名前:26 投稿日:2002年01月15日(火)02時01分29秒
- ぐぁっ・・・寸止めだぁ(w
でも最高です。
- 32 名前:序に 投稿日:2002年01月15日(火)02時09分42秒
- 竜宮城は退屈で、チャーミーの残酷な暇つぶしマンセー(w
先が気になる展開を毎回楽しませてもらってます。
がんばってください。
- 33 名前:名無し男 投稿日:2002年01月17日(木)15時45分45秒
- 随分便利な造りやねえ・・・
りくつな〜(方言)
- 34 名前:保田娘。 投稿日:2002年01月18日(金)22時29分45秒
- 変身する瞬間はどうなるんだろうか???
そこんところをささやかに期待しながら……
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月19日(土)03時15分30秒
- 自慢のアゴワラタ
- 36 名前:100年前 投稿日:2002年01月27日(日)17時47分22秒
- 久しぶりの空。
しかし、海風が強く大荒れだった。
それでも快適に空を舞うチャーミー。
「ん〜っ、気持ちいい〜♪一先ず陸に向かおうかしら♪」
そんな時、チャーミーの千里眼は空を飛ぶ一羽の鶴を捕らえた。
鳥が嫌いなチャーミー。
でも何故か、喋りかけるつもりになった。
鶴に向かっていくチャーミー。
そして、チャーミーは鶴に話し掛けた。
「こんにちわ、鶴さん♪」
「こんにちわ。」
その鶴はチャーミーに言葉を返した。
「えっ!?」
面を食らうチャーミー。
何故なら鶴が喋ったのだから。
- 37 名前:100年前 投稿日:2002年01月27日(日)17時48分11秒
- 鳥嫌いなチャーミーが何故か話し掛ける気になったのも、
この不思議な鶴の放つ何らかの雰囲気によるものだったのだろう。
「おどろきました?」
「ええ♪喋れるんですね♪」
チャーミーは鶴と並走するように空を飛ぶ。
「もうすぐ千年鶴『ヨッスィー』になれるんですよー。だから最近喋る能力が身についたんです。」
(そっか…。この鶴さん、もうすこしでヨッスィーになれるんだ…。)
「ふ〜ん♪ヨッスィー候補なのね♪がんばってね♪」
「はいっ。あの…もしかして貴女は…乙姫様?」
「そう♪改めて、チャーミー乙姫でっす♪」
「カッケー!!!本物だぁ〜。あ、すいません。」
「ふふっ♪チャーミーって呼んで♪」
「そ、そんな、恐れ多い海神様である乙姫様を呼び捨てなんて……チャーミー。」
「恐れ多く思ってないわね♪まあいいわっ♪」
- 38 名前:100年前 投稿日:2002年01月27日(日)17時48分58秒
- 「あの、話に聞いてたんですけど…綺麗ですね。」
「ふふふ。そうかしら、ありがとう♪」
「でも、今日はどうしたんですか?海が荒れるのを教えに来たんですか?」
「えっ?ただ暇だから出てきたんだけど…確かに天気悪いわね♪」
「私、嵐が来そうだから非難しようと飛んで………!!!!」
「どうしたの?」
急に喋るのを止めた鶴の様子をみるチャーミー。
「目、目の前っ!!あ、あぶないっ!!」
そう言った途端に鶴は向きを変えチャーミーの傍を離れていった。
「どうしたのっ?ねぇっ…!!!!」
目の前には大きく発達した竜巻が現れていた。
会話に夢中になり、その存在に気づいてなかったのだ。
「キャアアアアアアア!!!」
そして、チャーミーは竜巻に巻き込まれた。
- 39 名前:レイク 投稿日:2002年01月27日(日)17時52分22秒
- >>31
どうも、すん止めです。(wハイ。
>>32
チャーミーのこれから展開していく物語
一体これからどうなるか…ご期待ください。
>>33
ええ、便利なつくりになっています。
取替えも可能なのかもしれませんね(w
>>34
前作同様の変身の仕方です。
特に変化はありません(ww
>>35
最近はアゴがウリの様です(w
- 40 名前:名無し男 投稿日:2002年01月28日(月)01時57分54秒
- このドジ具合がイイ!!
- 41 名前:鬼と鶴 投稿日:2002年02月10日(日)23時58分25秒
- その鬼は嵐が明けた翌日、海岸で釣りをしようと館の外へ出た。
波は普段通り。
釣りに最適な海模様だった。
「さむいね。厚着しようかな。」
館の入り口にかけられた毛皮の上着を取り出し上に着込んだ鬼。
性別は女性であるが体格などを見ると男鬼に匹敵する姿だった。
その彼女はある功績から鬼の中で英雄と呼ばれていた。
古来から人と鬼は対立し、激しい戦を繰り広げてきた。
その結果、繁殖能力の劣る鬼は苦戦を強いられ、
その数は激減し、島や山奥などに追いやられ、そこで居住するようになったのだ。
それでも、鬼は人にとって脅威であり、常にその存在に怯えていたのだ。
- 42 名前:鬼と鶴 投稿日:2002年02月10日(日)23時59分02秒
- そんな実情の中、育ったその鬼は、1年前のある日の深夜
鬼ヶ島を船で攻めてきた人々を、偶然目が覚めていたその鬼は
一人で追い払い、さらには船を二隻沈めたことから英雄と呼ばれるようになった。
- 43 名前:鬼と鶴 投稿日:2002年02月10日(日)23時59分37秒
- 習慣で今日もその鬼は海上の監視がてらに釣りに出たのだ。
そんな時、一羽の鶴がその鬼の元へ飛んできた。
「めずらしいね、鶴が向かってくるよ。」
その鶴は、舞い降りるとその鬼に話し掛けてきた。
何か焦るように翼をばたつかせながら。
「大変なんです!!たすけてください!!」
面を食らう鬼。
なぜなら鶴が喋ったからである。
しかし、一先ず捕って食わずに話を聞くことにした。
「どうしたの?」
「あのっ、海神様が!!」
「海神…?もしかして…海底に人の姿で住むといわれる竜の神様の事かい?」
「はいっ!!珍しく海から出ていらっしゃって…それで昨日の嵐で竜巻に巻き込まれて…見失って
それで、必死に探して、さっきこの島に打ち上げられてるのを見つけたんです。」
そう、その鶴は嵐の日にチャーミーが出会った鶴である。
必死に訴える鶴の話に嘘ではないと受け取った鬼は
「そう…それで何処に…?」
と鶴に尋ねた。
「こちらです。」
その鶴は舞い上がると鬼を先導するように飛んでいく。
ひとまず確かめるだけなら…とその鬼はついていくことにした。
- 44 名前:鬼と鶴 投稿日:2002年02月11日(月)00時00分55秒
- しばらくついていくと、視界に着物らしき布が打ち上げられている事がわかった。
鶴はそれの付近に舞い降りる。
その鬼が近づいていくとやはり人であることが分かった。
一目見て…
「綺麗だ…。」
と、その打ち上げられたチャーミーを見てひとこと漏らした。
(肌黒いけど…。)
「この人…本当に海神さまなんだね。」
「はい。間違いなく。」
- 45 名前:鬼と鶴 投稿日:2002年02月11日(月)00時01分34秒
- 「わかった。じゃあ、この人館へ連れて行くよ。」
そう言って、その鬼はチャーミーを抱きかかえると立ち上がる。
「あの…。」
「何…?」
「ついていっていいですか?私も。」
すこしその鶴の申し出を受け、その鬼は考えた。
そして、何かを決めたかのように鶴に言う。
「あんた、今日からあたしが飼うから。」
「へ?」
「そうでもしなきゃ、他の取って食われるよ、あんた。あたしの飼い鳥って事にすれば安全だから。」
「はい…。」
「あんたは他の鬼の前で喋っちゃダメだ。元凶の存在だと思われて裁判にかけられる。いいね。」
「はい…。」
「この娘もどうなるかわからない…いくらあたしが海神だといったところで
裁判でどうなるかわからない…でも、あたしには感じでわかるこの娘はただの人ではないって…。」
「…………。」
そしてチャーミーを抱きかかえたその鬼は鬼の館へ帰っていく。
鶴はその鬼の肩に止まった。
- 46 名前:レイク 投稿日:2002年02月11日(月)00時02分40秒
- >>40
ドジ具合も健在です(ww
- 47 名前:名無し男 投稿日:2002年02月11日(月)11時26分21秒
- ほほう
鬼の世界にも裁判が
中世の魔女裁判並に滅茶苦茶そう(w
- 48 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月13日(水)00時03分29秒
- 館へ戻ると、いい匂いがしてくる。
ここには鬼一族が全員住んでいる。
そしてこの匂いの元は女鬼が朝食の準備をしている台所からなのだ。
チャーミーを抱えたその鬼も女性ではあるが、英雄なので特別扱いされており、
会合での発言力もそこらの男鬼より持っていた。
「おう、圭。なんか有ったか?…それ人か!?」
チャーミーを抱えている鬼は『圭』という名を与えられていた。
圭に話し掛けてきた男鬼は、明らかな嫌悪感を示していた。
- 49 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月13日(水)00時04分07秒
- 「いいのか!?ココへ連れ込んで。」
「見てみろ…この姿とこの美貌。人間でこれほどの美貌を持った者が居るとは思えない。」
「確かに…そうだが…こいつをどうするんだ。圭。」
「私が思うに、こいつは海神…乙姫様かもしれない。」
「確かに…美しい。しかし何処にも証拠なんてもんはない…しかも人を連れて帰るのは重罪だぞ。」
抱えられたチャーミーを見た鬼はそう漏らした。
「長にかけ合って目覚めるまで様子を見てみようと思っている。」
「そうか、英雄の圭がかけ合うなら長も認めてくれるだろう…でも裁判となれば処刑は必至だぞ。」
「わかっている。何気なくただの人じゃないんだよこの娘は…。」
- 50 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月13日(水)00時04分40秒
- 「そこまで言うなら何も言わない…すぐ長のところへ行け。」
「ああ。」
そうして、圭はチャーミーを抱えて長の元へ向かおうとする。
「圭っ。」
先ほどの鬼が後ろから声を掛けた。
「なんだ?」
「肩に乗ってる鶴、なんだ?」
「…今日から飼う事にしたんだ。懐っこくてな。」
「そうか…。」
その鬼は圭の後姿を見つめ何かが起きそうな気がしてならなかった。
そして、数人の鬼に見られながら、圭は長の部屋のノックをする。
- 51 名前:レイク 投稿日:2002年02月13日(水)00時06分01秒
- >>47
そうですね。どうなる事やら(w
確かに科学的な確証なんて無い時代ですしねぇ。
チャーミーの運命はいかに!?ってことで。ハイ
- 52 名前:名無し男 投稿日:2002年02月13日(水)15時32分56秒
- 長がいい人でありますように
- 53 名前:名無し男 投稿日:2002年02月13日(水)15時48分19秒
- &藁ってコラえて
http://www.joc.or.jp/saltlake/member/bobsleigh/abe.html
- 54 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月14日(木)23時37分25秒
- 「誰じゃ?」
「圭です。お話があります。」
「入れ。」
そう聞こえると、圭は一先ず石川を下に降ろし、寝かせてから戸を開け、再び抱えて中に入る。
「おはようございます、長。」
長は圭に背を向けて人間でいう神棚らしきものに祈りをささげていた。
「圭よ…。何か生き物を2匹連れ込んでいるな…。」
「はい。その通りでございます。抱えている人間らしきものと、私の飼っている鶴でございます。」
「抱えているものは人ではない…匂いだな…。意識はないが生きておるようじゃな。」
「長…。わかりますか…。」
「うむ。」
- 55 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月14日(木)23時38分03秒
- 長が振り返る。
その目は閉じられていた。
その昔、この長は人との戦いで視界を失っていた。
それが幸いしたのか、その以後人との戦はせず唯一の長者として生き残り
鬼一族の長となっていた。
「容姿は?」
「まるで人のようで…しかもとても美しい女性です。まるで天女を見ているような感覚さえも…。」
「うむ…。触らせてもらえぬか?」
「はい。」
長の目の前にチャーミーを寝かせると、長の手を引きチャーミーの顔に触れさせる。
「美しい女性じゃな。」
「はい。」
「して、この女性を何処で…?」
「はい、先ほど私が釣りに外へ出かけたところ…打ち上げられているのを発見いたしました。」
- 56 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月14日(木)23時38分34秒
- 「そうか…。して、何か考えがあるのであろう。ここにつれてくる考えが。」
「はい…。私の考えでしかないのですが、この者は海神様かと…。」
「なるほど…。人の姿で人ではない…、物の怪か海神様のどちらかじゃな…。」
「このものが目覚めるまで私が預かりたいと思うのですが…。」
「わかった…朝の会合ではわしにそのように言ってほしいわけじゃな。」
「はい…。」
「しかし、みなのものがすぐに納得はしないであろう。」
「そこを長のお力で。」
「うむ…。…ならばおぬしの部屋で面倒を見るのでなく、牢獄へ閉じ込め、おぬしが面倒を見る
事であれば皆も納得するであろう。」
「はい。」
- 57 名前:鬼の館 投稿日:2002年02月14日(木)23時39分10秒
- 「目覚めた時、海神さまだとわからなければ裁判となるだろう。よいか…?」
「はい。」
「おぬしに賭けておる。その目は真実を見抜く力を持っている気がしてな…。」
長はニッコリ笑った。
「ありがたきお言葉。」
かしこまる圭。
「皆を集めよ。」
「はっ。」
そして、鬼一族全員が集められ長の口より、
チャーミーは牢獄に入れられる事。
監視は圭が勤める事。
海神だとわからなければ裁判を執り行う事。
この三つが告げられた。
その言葉に鬼たちはどよめいた。
人らしき者が発見されれば直ちに殺すのが鬼一族の常、決まりごとだった。
故に今回の処置に鬼たちは動揺を隠せなかったのだった。
- 58 名前:レイク 投稿日:2002年02月14日(木)23時41分49秒
- >>52-53
圭だからこそ認めてくれたのかもしれません。
- 59 名前:名無し男 投稿日:2002年02月15日(金)01時18分04秒
- ヨカタヨカタ
でもこのまま無事に行けるのか?
ちと心配ですな
- 60 名前:現在1 投稿日:2002年02月17日(日)23時28分27秒
- 暖炉を囲むように座るチャーミー、圭、のの、そしてかごや。
「ってわけですよぉ〜♪まぁ、目覚めるまでの話は後からヨッスィーに聞いたんですけど♪」
にこやかに100年ほど前の話をするチャーミー。
「あんまり鬼社会で生きてたわけじゃないけど、
確かに、そういう風習だったのは書物からわかるね。」
圭は短かった鬼社会の生活を思い出す。
「どうして、鬼と人は仲良くなれなかったんれすか?」
「せやな、仲良かったら殺し合いもせーへんでよかったしな。」
- 61 名前:現在1 投稿日:2002年02月17日(日)23時29分55秒
- 「多分。エゴですね…人間も鬼も考えて、喋れて、字もかける高等生物ですから♪」
「こうとうせいぶつ?なんれすか?」
「つまり…頭のええ生き物って事やな。」
「そういうことです♪」
「かごしゃん、頭いいれすね。さすがおねぇちゃんれす。」
かごやはフゥ〜とため息をつき呆れた顔をした。
「あんなぁ、のの。ののウチがおらへん時、まともに寺子屋で勉強せぇへんかったやろ?」
「てへてへ。ののお勉強苦手れす。かごしゃんがいた時は、かごしゃんに教えてもらえたのれすが、
いなくなってからお勉強わかんなくなっちゃったのれす。」
ののは恥ずかしそうに頭をポリポリ掻いた。
「あれ、あたしののちゃんに勉強教えたよ?でもののちゃんすぐに諦めちゃうんだよ。
あたしが一生懸命人の文字を1ヶ月で覚えて、教えたのにさー。」
圭も呆れ顔。
- 62 名前:現在1 投稿日:2002年02月17日(日)23時30分45秒
- 「あかんでーののぉ〜ちゃんと勉強せなー。来月から寺子屋始まるさかい、ウチとまた勉強しよな。」
「うん、れす。のの、かごしゃんとならいっぱい勉強するれすよ♪」
そんな、ニコニコしあう姉妹を見て、チャーミーと圭は目を見合わせ笑った。
「なんれすか?何かおかしいれすか?チャーミーしゃん、圭しゃん。」
「なんでもないよ。やっぱあんたたちはいっしょにいないとダメだね。」
「まぁ、ウチが居ーへんとホンマ、ののは何にもでけへんさかい。おねぇちゃん、
ののが嫁いけるかどうか心配やで。」
おねぇちゃん顔をし、エッヘンとするかごや。
「なんれすかぁ、かごしゃんのキレぶりみたら、お婿さんが逃げていくれすよ。
何もできないののの方が早くお嫁にいけるれす。」
「ゆうたなぁ〜。」
両頬を抓って、笑うかごやと、抓られてもニコニコするのの。
「アハハ、あんたたち二人とも嫁にいけるのは当分先みたいだね。」
「ですね♪」
「なんでれすかー!!」「なんでやねん!!」
4人は笑い合う。
- 63 名前:現在1 投稿日:2002年02月17日(日)23時31分35秒
- 「あ、もうそろそろかな。」
そう言うと圭は立ち上がった。
「なんやねん、もうそろそろかなって。」
「ああ、お風呂、ウチの風呂は火に風送らなくても沸かせるんだよ。さっき、火をつけてきたし。」
「そうでしたねぇ〜♪」
「ちょっと、湯加減見てくるね。」
「「「はーい♪」」」
圭は風呂場へ行き湯加減を確かめた。
「うん。ちょうどいいね。」
そして、風呂場を出ると3人に湯加減を報告する。
「湯加減丁度いいし、風呂も広いから4人ではいろっか。」
「はいっ♪」
チャーミーは『一緒に入る』との言葉に一番に嬉しそうに反応した。
「根暗、あんた何でそんなに嬉しそうなのよ、なんかキモイわねぇ、あんた一人で入んなさいよ。」
「ええっ!!そんなぁ〜…ぐすん♪」
「うそよ、一緒に入ろう。根暗。」
「はいっ♪だから圭さんスキッ♪」
すこし圭は嫌な顔をした。
- 64 名前:レイク 投稿日:2002年02月17日(日)23時32分47秒
- >>59
一息入れる感じで、現在にすこし戻してみました。
今後もこのような感じで進行していきます。
- 65 名前:名無し男 投稿日:2002年02月19日(火)13時38分33秒
- わしもコソーリ入らしてもらうかのお
- 66 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時13分02秒
- (似てきてるなぁ…だんだんと…。あの人に…。)
チャーミーは服を脱ぐ圭の後姿を見て、過去を思い出していた。
(驚いたんですよ…圭さん…。貴方の名前を始めて聞いた時…。)
チャーミーは約100年前に出会った圭という名の鬼と今の圭を重ね合わせていた。
(これって…なんかの運命なのかなって…ずっと思っていました…もしかしたら…
彼女の生まれ変わりなんじゃないかなって…。)
「…くらっ!!」
「あっ…ハイ!?」
「何じーっとあたしの身体みてんのよ!!ホントキモイわねぇっ!!」
「あ、すいません…ぐすん。」
「いいからあんたもぼさっとしてないで服脱ぎなさいよ!!」
「はいっ♪あ、待ってくださいよぉ〜皆さぁ〜ん♪」
もたもたしているチャーミーを置いて浴室へ入る3人。
- 67 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時13分38秒
- 鬼の館にある風呂は広い。
時間帯を分けて、その昔、男女鬼は各々この風呂で身体を癒したという。
鬼の館にある風呂だから、地獄にあるような熱い風呂とおもいきや
そうでもなかったりする。
43度程度が鬼にとっても心地よいようだ。
「!!!!」
「どないしたん?のの。」
「ひろーいれすっ!!わぁ〜い。」
ドボ〜ン。
- 68 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時14分12秒
- ののは飛び込んだとおもいきや、水面に顔を出すと犬掻きを始めた。
「ののぉ〜、相変わらずガキやなぁ〜。」
「なんでれすかっ!!かごちゃんもやるれるよー。こんなおっきいお風呂はなかなかないれすよ。」
バシャバシャ泳ぐののは本当に幼く見えて可愛い。
そんなののを見て微笑む圭とかごや。
「しゃーないな、ウチもやったるわ。」
そう言って、かごやも風呂に入って犬掻きを一緒になって楽しんだ。
そのとき、丁度、服を脱ぎ終わったチャーミーが浴室へと入ってくる。
「ねぇ、圭さーん。背中…流させてもらえないですかぁ〜♪ってダメですよね♪」
「何よ、いきなり。キモイわねぇ…。まぁ、そんなに洗いたいっていうんならいいわよ。」
「ホントですかっ!?チャーミー嬉しい♪ハッピー♪」
「なによそれ…。」
「いえ、なんでもないです♪」
犬掻きしている二人は放っておいて、圭とチャーミーは先に身体を洗う事にした。
- 69 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時14分59秒
- 木製の腰掛けに腰をかける。
手ぬぐいを泡立たせて、圭を背中をゴシゴシ擦る。
「圭さんの背中…大きいですよね…。」
「??なんか変よあんた…。」
「なんでもないです♪」
それは当然である。
鬼は女性でも180cmを超える大柄なのだから…。
「!!!!ちょっと!!根暗っ!!怒るわよっ!!」
チャーミーは後ろから圭に抱き付いていた。
- 70 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時15分35秒
- 「…………。」
「根暗…?」
「…こし。もう少しこのままで居させてください…。」
圭は背中に何か雫が落ちるのを感じた。
チャーミーは涙を流していた。
「…………離して。いいから離して。」
「もう少し…もう少しこうさせてください…。」
「ダメ。離れて。」
「えっ…。ハイ…ごめんなさい…。」
涙を拭いながら圭の身体を離れるチャーミー。
圭は自分の身体を洗いながら、チャーミーを見ないで言った。
「いい?根暗…あたしはあんたが求めてる人じゃないんだよ…代わりなんて冗談じゃないから…。」
「…ごめんなさい…。ただ…。」
「わかってるよ…。」
圭は振り向き、チャーミーと向き合う。
「根暗、後ろ向いて。今度はあたしが洗う番。」
- 71 名前:お風呂 投稿日:2002年02月19日(火)23時16分09秒
- 「はい。」
そして、今度は圭がチャーミーの背中を洗い始める。
「あたしは…あたしだから…。」
「うん…。」
「今日、すべてをみんなに話したら、もうあたしに過去の人の影を追わないでね…。
おねがいだから…あたしをあたしとして見て。」
「はい…。」
チャーミーは自分が情けなくなった。
圭が成長していくにつれて、100年前に逢った『圭』と照らし合わせ、
その過去を引きずっていた事を。
(今日で、忘れよう…。あの人の影を追うのは…。)
そう心に誓った。
- 72 名前:レイク 投稿日:2002年02月19日(火)23時17分30秒
- >>65
そのように出来たらいいですね(w
- 73 名前:名無し男 投稿日:2002年02月20日(水)11時02分49秒
- ( T▽T)
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)20時03分59秒
- 「レイク」と言う名前に目が行きこのスレをハケーンし、リンクも辿って全部読ませて頂きました。
失礼かもしれませんがレイクさんと言えば某小説の鬼畜イメージ(w)が強くて、
こんなに優しく更にピリリと笑いの効いた話が書ける人だったなんて思いませんでした。
激しいギャップが・・・レイクさん凄すぎです(w
読みふける事2時間、恥ずかしながら良い大人が涙してしまいました。(ニガワラ
本編でも石川の強烈なキャラに加え保田とのやり取りに泣き、
感動してしまったのでこの番外編はカナーリ楽しみです。マターリと頑張って下さい♪
- 75 名前:お風呂 投稿日:2002年02月25日(月)23時04分29秒
身体を洗い終える二人。
そこにののとかごやが身体を洗いにやってくる。
二人の隣りに座るののとかごや。
「どうしたんれすかぁ〜?チャーミーしゃん圭しゃんを抱きしめてたれすよねぇ〜?」
風呂と洗い場は離れている為、会話こそ聞こえないが、その動作をののとかごやは見ていた。
- 76 名前:お風呂 投稿日:2002年02月25日(月)23時05分02秒
- 「なに?あんたらデキとるんかぁ〜?」
ニタニタしながら問い詰める。
色恋沙汰には興味津々のようだ。
それが思春期の特徴といったもの。
「そんなわけないでしょッ。根暗が女色気があるだけだよっ!!ホント危なかったわぁ〜。」
ごまかしながら、石川にアイコンタクトを送る。
「そ、そうなんですよ〜。実はチャーミーは女の人が好きなんですぅ〜♪ウフフフッ。」
「なるほど。だから圭しゃんは身の危険を感じて、のの達を連れてきたんれすねぇ〜。」
「ま、そゆこと」
「え゛ぇっ!?そうなんですかぁ〜!?そんなぁ〜…ぐすん。」
「ウチは、ソノ気は無いさかいな、チャーミー襲わんといてーな。」
「大丈夫ですよぉ〜♪ガキには興味ないですから〜♪」
- 77 名前:お風呂 投稿日:2002年02月25日(月)23時05分34秒
「なんやて…?今…ガキゆうたな…ウチの事を…。」
カゴヤのこめかみに血管が浮いた。
「い、いえっ…なんでもないです…。」
そしてののとかごやが身体を洗い終えると、
4人は風呂に入った。
- 78 名前:お風呂 投稿日:2002年02月25日(月)23時06分07秒
- 「あ゛〜〜〜うぃ〜〜〜キモチイイ。」
圭は手ぬぐいを頬に当てながらそんな言葉を吐く。
まるで中年オヤジ同様の言葉の吐き方だ。
「あ"〜〜とか言ってるれすよ。圭しゃんおばちゃんれすね。」
「ホンマホンマ、圭ちゃんはおばちゃんやって、さらに確信したわ〜。」
「フン!そう言ってなさいよッ、あんたらもおばさん扱いいつかされるわよっ!!ねぇ、根暗っ!!」
「え?あ、まぁ……ぐすん。」
チャーミー乙姫、このとき15972012532歳。
この年齢の呼び名をどう表現していいのだろう…。
(チャーミーはおばあちゃん以上じゃないですかッ!!)
- 79 名前:レイク 投稿日:2002年02月25日(月)23時08分54秒
- >>73
たしかにすこし切ないシーンですよね。
>>74
ありがとうございます。
鬼畜のイメージですか(w
確かにあの作品と比較するとギャップが生じるのもわかります(ww
基本的には童話ベースの小説を書いています。
- 80 名前:全権特使 投稿日:2002年02月25日(月)23時44分53秒
- φ(.. )メモメモ<チャーミー乙姫、このとき15972012532歳。
- 81 名前:名無し男 投稿日:2002年02月26日(火)15時34分47秒
- 159億7201万2532歳
これが値段だったらビル街の一角が買える(w
- 82 名前:お風呂 投稿日:2002年02月27日(水)23時08分49秒
- 「で、根暗。話の続きは?長いんでしょ?」
「ああ、はい。それで…まぁ、2〜3日チャーミーは意識を失っていたみたいなんです…。」
- 83 名前:落し物 投稿日:2002年02月27日(水)23時09分27秒
- 牢獄にて。
牢獄の中で圭は寝ているチャーミーの様子をみていた。
「乙姫様大丈夫ですかねぇ…。」
鶴のひとみ(千年鶴以前の名前)は圭の肩から舞い降りると心配そうにチャーミーの顔を見た。
「どうだろうね…。」
圭はフゥと、ため息をついて言うと、チャーミーの手を取って脈と体温を確かめてみる。
「脈は普通だし、体温も普通。別に体調自体は悪くないと思う。
ただ目覚めるかどうかはわかんないけど…。」
圭もひとみもチャーミーを見つめる。
「綺麗だね…ホントに。」
「そうですね。この美しさはこの世には二つとないと思いますよ。」
このとき、既に圭はチャーミーに対して不思議な感情を覚えていた。
ただ、眠り続ける絶世の美女の美しさに圭は惹かれていた。
このまま眠り続けていてくれたらいいのにと思う感もあった。
- 84 名前:落し物 投稿日:2002年02月27日(水)23時10分00秒
- そんな時、牢獄に訪れる影があった。
「おねーちゃんっ。警備の時間だよっ。」
そこに来た人物は新餓鬼、圭の妹だった。
いかにもコネやら、えこひいきが好きそうな顔をしている。
「ああ、わりい…。もうそんな時間か。」
頭をポリポリ掻きながら外へ出ようとする圭。
「もうっ、いつも呼びに行かなくても時間がわかってるのにどうしちゃったの!?」
「さぁ?そういう時もあるさ。あ、新餓鬼、この娘の監視、頼むな。鶴もここに残っていて良い。」
そう言って、金棒を担ぐと牢獄を出た。
「ねぇっ、おねーちゃん。この鶴言葉分かるの〜?」
「ああ、飼い主の言葉だけ分かる。」
そう言って手を振って、圭は一先ず部屋に戻った。
- 85 名前:落し物 投稿日:2002年02月27日(水)23時10分31秒
- 牢獄に残った新餓鬼とひとみ。
「ふ〜ん、確かに綺麗だけど〜…なんかむかつくなぁ。おねぇちゃんなんでこんな人間に
うつつ抜かしてるんだろ。変な鶴は飼い始めるし…。早く殺しちゃえば良いのにこんな女。」
例え姉妹といえど、新餓鬼は圭と考える事はまったく異なり、チャーミーの存在を快く思わなかった。
表面はイイコぶっているが、中身は残酷な考えを持っているのだ。
チャーミーの顔を見ると気分を害す新餓鬼は、御座を頭にかぶせた。
「人間の癖に鬼を誘惑するなんて…。」
歯をギリっと噛み締めた。
- 86 名前:落し物 投稿日:2002年02月27日(水)23時11分01秒
- そのころ圭は、部屋に戻り、壁に掛けてあるホラ貝を手にとって、門の外へ向かっていた。
監視役の鬼はそれぞれ、ホラ貝を持っている。
人間の襲来があればホラ貝を吹き、仲間に知らせる為だ。
圭のホラ貝は黒紫の光沢のある物。
大きさも立派で、独特の音をもっている。
これは亡くなった親の形見で圭に持つ権利が与えられた。
この手のホラ貝はほかに早々無いという話を長から聞いていた。
門で皮の上着を羽織ると、外へ出る。
この日の夜は、風邪も無く波も穏やかだった。
穏やかであるという事は人間にとっていいチャンスである。
故にこんな夜は襲来を気をつけなければならないのだ。
- 87 名前:落し物 投稿日:2002年02月27日(水)23時11分32秒
- 「静かだね…。」
月夜に海に映りだす月。
波の音と風の音しかしない平和に見える海。
一先ず、ぐるりと圭は島の周りを一周することにした。
島であるが故に、何処から襲来があるかわからないのだ。
ふと、島を歩いていると、月明かりに反射して光る物が見えた。
近づいてみる圭。
なにやら布にも見えるがキラキラのした長い反物のような布切れ。
「流れ着いたのかな?」
手にとって、よくよく見てみる。
きめの細かい絹のような布。
布とは思えぬほど軽く、ソフトな感触。
圭は珍しいと思い、その布キレをくるくるまいて懐にしまった。
漂流物を採集する癖が幼少からある圭は当たり前といえば当たり前の行為だった。
「さて、仕事、仕事っと…。」
再び海へ視界を向け、島の周囲を歩き出した。
- 88 名前:レイク 投稿日:2002年02月27日(水)23時13分16秒
- >>80
ええ、かなりの年寄りのようで(w
でも気分は相当若いつもりのようです。
>>81
一角買い放題ですね。(w
- 89 名前:名無し男 投稿日:2002年02月28日(木)15時22分12秒
- 新餓鬼ワラタ
- 90 名前:目覚め 投稿日:2002年02月28日(木)23時04分43秒
- 歩いて10分。
島の北側、つまり陸に近い方向に不審な明かりが見えた。
焚き火のような炎が近づいてくる。
来襲だ。
その明かりは20〜30程度ある。
おそらくは三艘程度の船である。
その炎を見つけた圭は、ホラ貝を取り出し吹いた。
その音は島中に鳴り響く。
鬼全員がその音を聞き取り、臨戦体勢に入った。
鬼の館内はざわめきが発生し、騒々しくなる。
男衆は金棒を担ぎ、外へ向かい、女衆は子供のみの確保に走る。
その音に新餓鬼も立ち上がり、牢獄に錠を掛け、金棒を手に館入り口付近に配置付く。
「男勢は外へ!!女勢は子供の安全を確かめてから入り口周辺へ付け!!」
その長の命令に従い、それぞれが臨戦態勢についた。
その折に、チャーミーは目覚める…。
- 91 名前:目覚め 投稿日:2002年02月28日(木)23時05分15秒
- (綺麗な音色…。)
(何の音…?人が歩く音…?)
うっすらと瞳を開く。
視界が徐々に正常化してくる。
何か枯れ草のようなものが目の上をおおっている。
自分の手でそれをどけた。
「乙姫様!!」
その声に半身を起こすと、そこには羽をばたつかせる鶴がいた。
「ああ、鶴さん♪おはよう。ここ…どこ…?」
あたりを見渡すチャーミー。
すると周りの状態が見える。
木製の格子が左側に、右、正面、後ろは壁になっている。
「牢屋…?なの?」
「はい…。乙姫様は嵐に遭われて、鬼ヶ島に流れ着いたんです。」
「あ、そうなの♪」
楽観的な表情をしているチャーミー。
自分が乙姫とわからなければ処刑させることを知らずに、ニコニコしている。
「ニコニコしている場合じゃないですよっ!!乙姫様っ!!」
「何でそんなに怒ってるのぉ〜♪案外短気なのねっ♪」
- 92 名前:目覚め 投稿日:2002年02月28日(木)23時06分06秒
- 「そんなことどうでもいいですよっ!!ちょっと私の話を聞いてください!!」
「はいっ♪鶴さんどぉぞ♪」
「いいですか…実は…」
ひとみは羽をバタバタ必至のジェスチャーなどを交えながら、
チャーミーの置かれている状態を説明した。
「ふ〜ん…危ないわねっ♪」
「だからどんな場合じゃないんですってばっ!!」
「でも大丈夫よッ♪チャーミーが竜に化ければいいんでしょ?カンタンカンタン。」
チャーミーは煙を発生させ、竜に化けようとする。
が、
化けられない。
- 93 名前:目覚め 投稿日:2002年02月28日(木)23時07分29秒
- 「あれっ?」
煙から現れたのは先ほどと全然変わらぬチャーミーの姿。
「どうしたんですかっ!?」
「竜に…戻れないのぉ〜!!」
「ハァッ!?」
改めて自分の周りを確認してみる。
服は着ている、これは鱗になる。
髪飾りはある、これは角になる。
羽衣は無い…つまり翼が無い。
「どおしましょぉ〜…3つ揃ってないと変身できないのぉ〜!!」
やっと焦りだすチャーミー。
このまま変身が成功したとしても
角があって、大きくて、鱗がある爬虫類。
恐竜?怪獣?オオトカゲ?あるいは…ゴジラ?
つまり、竜には見えないということである。
それどころか、翼が無ければ空を飛ぶことも出来ず、水中も泳ぐ事が出来ない。
なにより力も1/3まで減少してしまうのだ。
「アハッ♪ホントにやばいかもっ♪」
すこし、チャーミーのノー天気さにひとみは呆れた。
- 94 名前:目覚め 投稿日:2002年02月28日(木)23時08分03秒
- そのころ鬼ヶ島の外では、激しい戦闘が繰り広げられていた。
船3艘に20人程度の人間、島には15人ほどの鬼。
鬼に向かって飛んでくる火のついた矢。
金棒で叩き落す鬼たち。
反撃に鬼たちは投石を開始する。
そして、圭は一番近い船を狙い助走をつけて跳んだ。
鬼の身体能力は人間の比ではない。
おそらく走り幅跳び5輪選手が跳べる距離の4倍は
その脚力から生じる。
船に飛び移る圭。
目にもとまらぬ速さで飛び乗る圭
その船に乗っていた人間はただ驚くばかりで何も出来なかった。
圭は金棒を振り回し、赤子の手をひねるように人間に打撃を与えていく。
接近戦となれば俄然鬼が有利なのだ。
あっという間に一層の船は圭によって制圧された。
もう2層は圭を狙おうとするが、鬼達の投石や、味方がジャマになり矢が放てなかった。
圭は、続けて不安定な船で跳び、隣りの船に飛び移った。
再び振り回される金棒。
飛び移りを予測していた人間は刀を引き抜く。
不安定な船で乱戦が繰り広げられる。
しかし、刀を抜いた人間相手では先ほどのようにはいかなかった。
そのとき、圭が乱戦を繰り広げる船にもう一人鬼ヶ跳び移ってくる。
- 95 名前:レイク 投稿日:2002年02月28日(木)23時08分57秒
- >>89
新餓鬼登場です。おそらく新メンで登場するのは彼女だけかもしれません。
- 96 名前:目覚め 投稿日:2002年03月01日(金)12時36分59秒
- チャーミーをつれて帰った日最初に会った男鬼、ユウ鬼だった。
「圭!!手助けするぞっ!!」
「わりーな。頼む。」
コンビネーションを繰り出すかのように息のあった攻撃に
たちまち金棒によって人間は殴られ、船から落とされる。
「ありがとよ、ユウ鬼!!」
「へっ!!水くせえよ!!」
そして、あっという間に2隻目も制圧された。
いざ3隻目と赴こうとした瞬間だった。
6つの矢が圭に向かって飛んでくきた。
避けられない。
そうおもった瞬間…
「あぶねぇっ!!」
ユウ鬼が盾になった。
- 97 名前:目覚め 投稿日:2002年03月01日(金)12時37分32秒
- ト…トトトトト…。
ユウ鬼の背中から聞こえた。
「ユウ…鬼…?」
ユウ鬼は力なく圭に倒れこんだ。
「まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。」
口角から鮮明な紅が顎へと伝うとユウ鬼は事切れた。
「ユウ鬼っ!!うそだろ…?ユウ鬼っ!!おいっ!!」
友の死。
それは圭に激昂を呼び起こした。
「うああああああ!!」
圭はユウ鬼の身体をどけると、飛んでくる矢にかまわず、不安定な船からもう1隻に飛び移った。
鬼がキレる。
止まらない…誰にも止められない。
金棒を振り回し、人間に向かってそれを振り落とす。
人間の頭が豆腐のように砕け、飛ぶ。
それこそ今までの二艘には見られなかった地獄絵図だった。
嵐が過ぎ去ったかのように静かになる。
船は真っ赤に染まった。
そして、圭もその姿を紅く染めていた…。
- 98 名前:残された言葉 投稿日:2002年03月01日(金)12時38分26秒
- 風呂で圭は身体についた血痕を洗い流していた。
友の死に直面した。
『まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。』
頭の中で、ユウ鬼の最後の言葉と最後の瞬間が巡る。
「なんだよ…ニブイって…。」
お湯を頭からかぶる。
下を向いて、髪の毛から滴る紅く染まった水滴を見ていた。
「こんなのってありか…?あたしは…あたしのせいで…?あたしが船に乗り移ってなかったら…」
自責の念に狩られる。
いつしか、視界がゆがんでいた。
一人しかいない風呂場に響く嗚咽。
流れ伝う涙。
「ゴメン…ゴメンネ…ユウ鬼…。」
やりきれない感情。
何故、鬼と人戦わなくてはならないのか…。
何故、ユウ鬼は死んだのか…。
「辛いよ…こんなに辛いのは…初めてだよ…。」
- 99 名前:残された言葉 投稿日:2002年03月01日(金)12時38分59秒
- ひとしきり泣いた。
身体が冷えているのがわかると、湯船に入って風呂を出た。
服を着て、風呂を出ると葬儀の準備が始まっていた。
ユウ鬼の葬儀だった。
新餓鬼が圭が出てくるのを待っていた。
「おねぇちゃん!!」
涙いっぱいの新餓鬼が圭に抱きつく。
「どうして!!どうしてっ!?何でユウ鬼は死んじゃったの!?」
「…………。」
答えられない…
「ユウ鬼はおねぇちゃんの事スキだったんだよっ!?なのにっ、
おねぇちゃんのステキなだんなさんになるはずだったのにっ!!どうしてっ!!どうしてっ
- 100 名前:残された言葉 投稿日:2002年03月01日(金)12時39分35秒
- 『まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。』
「名誉ある死だよ…無駄死にじゃない。」
「それだけっ!?ねぇっ!!それだけっ!?」
それしかいえなかった…。
そして、ユウ鬼の葬儀は始まった。
穏やかな顔だった。
微笑にも見える死に顔だった。
誰もが涙した。
男鬼としては下っ端だったユウ鬼だったが、懐っこく親しみが持てる鬼だった。
それが故に誰からも愛されていた。
ユウ鬼は二度と起きることなく地の下で永い眠りに付いた。
- 101 名前:名無し男 投稿日:2002年03月01日(金)18時31分18秒
- [ ´ Д `]<おら〜はしんじまっただ〜♪
- 102 名前:ソバニイルコト 投稿日:2002年03月02日(土)23時20分40秒
- 土葬が済み、墓に最後まで圭は残っていた。
「現実なんだよね…これ。」
『まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。』
「兄弟みたいに思ってたんだよ、あたしは…。」
『まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。』
「ガキのころからいっしょだったしさ…。」
『まったく…ニブイ女だよな…おまえ。鈍すぎだよ…。』
「だけどさ、失ってみると…なんだろ…。」
圭の頭の中でなおも木霊する最後の言葉。
式では一切涙を流さなかった。
泣いたのは風呂場で身体を洗った時だけ。
- 103 名前:ソバニイルコト 投稿日:2002年03月02日(土)23時21分12秒
- 「じゃあね、ユウ鬼。」
墓前にいるのが辛くなり、圭は館へ戻った。
館に戻ると、新餓鬼がチャーミーが目覚めた事を報告してくれた。
「なんか、あの人間起きたらしいよ。」
「そっか…。」
そして、虚ろな瞳をしたまま牢獄へ向かう。
そこには鶴と半身を起こしたチャーミーが居た。
「起きたの?」
牢獄の錠を外し中へ入り、チャーミーの正面に座る。
「はい♪おかげさまで…。圭さんですよね?」
そう聞かれ、コクっとだけ頷く。
なぜか圭はチャーミーと目をあわせられなかった。
その圭の頬にチャーミーを手が触れた。
「悲しい顔ですね…、誰か大切な人失ったんですね…。」
「えっ?」
驚いた、見透かされているのだから。
その頬に触れた手は、圭の頭の後ろに回り、そのまま引き寄せた。
チャーミーはそっと圭を抱きしめた。
- 104 名前:ソバニイルコト 投稿日:2002年03月02日(土)23時21分47秒
- 「強がっちゃダメですよ…。泣きたい時は泣いてください…。」
堰を切ったように、圭の瞳から涙が流れ出す。
チャーミーは暖かい笑みを浮かべ、悲しみに凍える圭を包んだ。
どのくらい泣いたかわからない…。
いつしか泣くのをやめ、今日の出来事を圭はチャーミーに打ち明けた。
言葉にならない感情も必死に伝えた。
チャーミーはうんうんとだけ頷いた。
こんな事を知り合ったばかりの人物に話せたのは
チャーミーの独特の母性にも似た雰囲気による物からだったのかもしれない。
ひとしきり泣いて話し終わった後、圭の表情はスッキリしていた。
「ゴメン。聞いてくれてありがとう。」
「いえいえ♪」
「あんた、乙姫様なんでしょ?」
「ええ♪」
「多分、明日裁判があるから、そこで乙姫様だって証明すればいいよ。そしたら帰れるから。」
- 105 名前:ソバニイルコト 投稿日:2002年03月02日(土)23時22分19秒
- 「それが…証明できないの…。」
「?」
「竜に化けられないの…。」
「何で…?」
そう問いかけたとき、牢獄に鬼がやってくる、長から呼び出しらしい。
「ごめん、ちょっと呼び出しかかった。」
そう言って、圭はチャーミーの牢獄を離れた。
「ね、乙姫様。いい人っぽいでしょ?さっきの人。」
「うん♪」
「彼女なら何とかしてくれますよ、きっと。」
チャーミーは圭の後姿を目で追っていた。
- 106 名前:レイク 投稿日:2002年03月02日(土)23時23分18秒
- >>101
ええ、チョイ役登場させました(w
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)23時57分15秒
- 毎日更新嬉しいな♪現在の圭と同じ様な出来事があったんすねー・・・ジーン
- 108 名前:名無し男 投稿日:2002年03月03日(日)15時53分20秒
- はごろもフーズプリーズ!!
- 109 名前:会合 投稿日:2002年03月03日(日)23時06分41秒
- 長の部屋には鬼のほとんどが集まっていた。
「お呼びですか?長。」
「うむ。そこへ座れ。」
「はい。」
「実はな、ユウ鬼が死んで早々なのだが、牢獄に閉じ込めた者について論議を行っている。」
「はい。」
「皆の意見は全員一致しておる。」
「どのような?」
「裁判はせず、『処刑』じゃ。」
圭は慌てた。
- 110 名前:会合 投稿日:2002年03月03日(日)23時07分26秒
- 「ちょっと待ってください!!彼女は乙姫様かも知れないんですよ!?」
「わしもただの人間でないのはわかっておる。皆の意見なんじゃ。」
「確かめてないじゃないですか!?彼女が乙姫で無いという証拠を!!」
分が悪いと思った。
先ほど、チャーミーは証拠がないと言っていた。
証拠が無い、つまり乙姫とは言えない。
さらに、今日ユウ鬼が死んだ事で反人間感情が高ぶっている、まともな論議じゃない。
「明日の朝、あの者を処刑することとなったのだ。」
「そんな!!」
「新餓鬼から情報があった。あの者に何らかの魔術をかけられ圭が魅了されていると。」
「そんなことはありません!!」
そのとき、新餓鬼が立ち上がる。
「おねぇちゃんは騙されているんだよ!!最近のおねぇちゃんおかしいんだよ!!たかが人間に
あんなに一生懸命に看病してっ!!どうにかしてるんだよ!!」
- 111 名前:会合 投稿日:2002年03月03日(日)23時08分05秒
- そうだそうだ!!と同調する鬼達。
「皆の意見がもうひとつある。それは『圭を処刑が終わるまで部屋へ閉じ込める事』じゃ。」
「なっ!?」
「すまぬ。わしは力になれなかったようじゃ…。」
そう言って、長は圭に背を向けた。
男鬼が3人立ち上がり圭の両腕をつかみ、外へ連れ出される。
そして、圭は自室に閉じ込められた…。
「くそっ!!出せ!!出せゴルァ!!」
戸を必死に叩くがそれもむなしく、錠を施された。
- 112 名前:会合 投稿日:2002年03月03日(日)23時09分09秒
- 「どうしたんですか?」
圭の後ろから声が聞こえた。
振り返るとひとみが居た。
「あのあと、さっきの鬼に、この部屋につれてこられましたよ…。」
「…………。」
「で、どうしたんですか?閉じ込められたっぽいですけど…。」
「あまりにも勝手すぎる…ユウ鬼が死んだのはあの子のせいじゃない…。
明日の朝、処刑するってさ。」
「処刑!?そんな!!明日、裁判じゃなかったんですか?」
「鬼たちの一致した意見なんだってさ…。反論したけど、この通り。」
「どうしたら…乙姫様を助けられますか…?」
「…1つ…。」
「ひとつ?」
「ひとつしかないかな…。ちょっとあんたにも協力してもらうよ…。」
「はいっ!!」
- 113 名前:レイク 投稿日:2002年03月03日(日)23時12分50秒
- >>107
ありがとうございます、喜んで頂きこちらも光栄です。
現在、4月に2ch復帰を目標にしてこの話を書いています。
>>108
はごろもフーズ…缶詰かなんかの会社ですよね(w
- 114 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月04日(月)00時00分45秒
- ひとつ。何をする気なんだろう・・・ドキドキ
- 115 名前:名無し男 投稿日:2002年03月04日(月)11時08分05秒
- ひとつ
検 問 所 突 破 !!
んなこたぁない(タモソ)
- 116 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時03分29秒
- 深夜。
ほとんどの鬼が寝静まったころ。
圭の部屋でひとみが騒ぎ始める。
はねをバタバタ、時折鳴き、戸をつつく。
おまりの五月蝿さに、圭の部屋に前に立つ鬼は錠を外し中の様子を見た。
圭が倒れていた。
驚いた鬼は中へ入り、圭を抱き起こした。
口角から顎にかけて紅い筋が伝っている。
「自殺か…?」
そう呟いた途端、圭の大きな瞳が見開き、鬼の頭をつかんで頭突きを食らわした。
- 117 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時04分06秒
- 「ッ!!」
その鬼はとっさに圭を離し、よろめいた。
そして、ひとみがその鬼の視界をジャマするように、襲い掛かる。
「ぐっ!!どけっ!!」
ひとみに気を取られている隙に、圭は金棒をつかんでその鬼の頭を殴った。
無論死なない程度に弱めたが、うまい具合に失神してくれた。
荒い息をしながら、圭は荷物の詰まった袋を担ぎ、ひとみと共にあたりを警戒しながら
部屋の外へ出て、牢獄へ向かった。
さすがに深夜とあって、鬼は眠りについたのか、牢獄まで一人も遭遇する事は無かった。
遭遇すればまた仲間を傷つけてしまう。
それだけは出来る限り避けたかった。
牢獄の様子を見ると、そこには一人,鬼が居た。
- 118 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時04分40秒
- 新餓鬼だった。
(あいつなら…わかってくれる…。)
そうおもって、思い切って牢獄へ歩む。
その圭の姿に気付く新餓鬼。
「おねぇちゃ…!!」
とっさに手で口を塞ぐ。
「わかって…お願いだから…おねぇちゃんの最後のお願いだから…。」
そう小さく新餓鬼だけに聞こえるようささやいた。
新餓鬼は返答しない。
圭は新餓鬼の口を塞いだまま身体を探る。
腰あたりに掛けてある鍵を探り当てると手に取りひとみに渡した。
ひとみはうまい具合に鍵を咥え鍵穴に鍵を差込み錠を外した。
- 119 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時05分15秒
- 「乙姫さま、外へ出て。」
「はい…。」
乙姫は戸惑いながらも、牢獄から出た。
圭は新餓鬼の口から手を外す。
「おねぇちゃん!!どうして!!どうして、そんな子がいいの!?」
「さぁ…たぶん…好きだからかな…新餓鬼、こんなおねぇちゃん許してね…じゃあね。」
そう言って、チャーミーの肩を抱いて足早に牢獄を去った…。
取り残された新餓鬼が呟いた…。
「行っちゃう…おねぇちゃんが行っちゃう…。」
新餓鬼は眉間にシワを寄せ、鬼のような形相で大声で叫んだ。
「人間が逃げたぞー!!!!!人間が逃げたーーーー!!!!」
その大声に起きだす鬼たち。
- 120 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時06分08秒
- 「逃げるよ、乙姫様。」
そう言って、チャーミーを見つめ微笑んだ。
圭はチャーミーの手を離さぬように強く握って走った。
鬼の館裏口へ。
裏の入り口には、一艘の小さな舟が泊まっていた。
「乙姫様、乗り込んで!!必死に漕いで!!」
「あなたは!?」
「そんなんいいから!!はやく、乗ったら必死で漕いで!!」
チャーミーはコクッと頷くと、舟に乗り込み、漕ぎ出す。
ひとみも羽ばたきながら、舟に乗り込んだ。
圭は漕ぎ出したのを確認すると、金棒を構える。
裏の入り口には既に3人ほどの鬼が現れていた。
金棒が交じり合う。
「逃す気なのか!?圭!!」
- 121 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時06分42秒
- 「フン、逃がす気じゃないよ………逃げる気なんだよ!!」
そう言い放つと、3人を渾身の力で突き飛ばすと後ろを振り返り、助走をつけて
舟に飛び乗った。
「いくよ、必死で漕いで!!」
「はいっ!!」
そうして、追っ手がこれぬよう必死に漕いで鬼ヶ島を離れた…。
鬼ヶ島を出て2日が経過していた。
とにかく夢中で鬼ヶ島を逃げ出した為、方向がわからなくなっていた。
「二日目ですねぇ〜…。」
ただ広い海を見つめるチャーミー。
「だね…。」
圭も遠くを見つめながら答える。
正直二日何も食べていないと、体力も限界である。
そのとき、上空を飛んでいたひとみが帰ってきた。
「どう?」
「ココから舟の向いている方向に進むと島がありますよ。」
「じゃあ、一先ずそこへ行こう。何かあるかもしれない…。」
そうして、力を振り絞り島へ向かった。
- 122 名前:逃避 投稿日:2002年03月04日(月)23時07分15秒
- 島へ辿り着く。
先に圭が地面へ降り立つ。
「乙姫様。」
圭はチャーミーに手を差し出した。
チャーミーは圭の手を取って、降り立った。
二日ぶりの地面の感触が懐かしく感じた。
舟に揺られた感覚が残る。
「無人かな…?」
あたりを見渡す。
「上空から見た感じだとそんな感じでした。」
そうして、二人と一羽のサバイバルな生活が始まった。
- 123 名前:レイク 投稿日:2002年03月04日(月)23時09分11秒
- >>114
ええ、こんな感じの『一つ』です。
>>115
あくまで4月復帰は予定なので…(w
- 124 名前:名無し男@オマリー祭 投稿日:2002年03月05日(火)09時41分38秒
- まず薪を拾い集めるべし
- 125 名前:全権特使 投稿日:2002年03月05日(火)12時25分02秒
- 水を探すべし。
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月05日(火)20時01分28秒
- 獲物を狩るべし
- 127 名前:レク 投稿日:2002年03月05日(火)20時48分40秒
- 連日更新おつかれです。
コネ餓鬼の使い方にワラタ
- 128 名前:現在2 投稿日:2002年03月05日(火)23時07分07秒
- 「それで、二人とヨッスィーとの生活が始まったんですよー♪」
「なんかすごい話れすね〜…。」
「せやな。」
風呂上りの身体を拭いながら、会話をする。
「でもね、それはそれで幸せだったんです♪短い間だったけど幸せでした…。」
服を着て、居間に戻る4人。
暖炉の火が消えかかっていたので、薪をくべる。
そんな時、鬼の館をノックする音が聞こえた。
「誰れすかね…?こんな時間に…。」
「圭ちゃん。ちょお様子見てきたら?」
「うん…。」
慎重な面持ちで圭は入り口に向かった。
戸を開く。
「こんばんわ…深夜にごめんなさい。」
「ヤグチもいるぞー!!」
- 129 名前:現在2 投稿日:2002年03月05日(火)23時07分43秒
- そこにはヨッスィーとヤグチが立っていた。
「どうしたの?二人で。」
「うん、ヨッスィーがね、圭ちゃんとチャーミーは多分今日はココにいるって言っててね、
ヨッスィーが鬼ヶ島に墓参りすよう用があるって言ってて、ヤグチも付いてきたんだ。」
「そういうことです。さっき献花してきました。」
「そっか…。じゃあ、入って、根暗やののちゃんとかごちゃんもいるよ。」
そう言うと、圭は二人を招きいれた。
「あ、ヨッスィー♪ヤグチさんも♪お久しぶりです♪」
「ひっさしぶりー、元気だったー?」
久しぶりの再会とあって、はしゃぎあう。
やはり女の子が何人も揃えば大賑わいだ。
「今れすねぇ〜、チャーミーしゃんが100年位前のお話をしてくれていたのれすよ。」
「えっ…。」
すこし、ヨッスィーは驚き、チャーミーを見た。
「もう、あのころの話をしてもいいかなって思ったの♪」
チャーミーは微笑を浮かべそう言った。
「そうなんですか…。」
ヨッスィーはチャーミーの隣りに座る。
さらに隣りにはヤグチが座った。
- 130 名前:現在2 投稿日:2002年03月05日(火)23時08分24秒
- 「ねぇ、何の話?」
ヤグチは一ヶ月ほど前、ヨッスィーとチャーミーが知り合いだったのを知って
困惑したのを思い出した。
そう、チャーミーが落雷に遭って重傷を負った時の事を思い出したのだ。
彼女達は相当の長生きである、その二人が知り合いだった。
何かがあるのは考えられなくもない。
ヤグチはそれについて知りたかったが、ヨッスィーに話をいつも
はぐらかされて聞くことが出来なかった。
ヨッスィーはその質問に、すこしためらいながら答える。
「100年程前に、私はチャーミーを知り合ったんですよ。」
「うん…。それで?」
ヨッスィーはチャーミーに聞いた。
「チャーミー何処まで話したの?」
「えっと、ひとみちゃんと、あの人と、私で無人島に辿り着いたところまで♪」
「そう…じゃあ、ヤグチにはそこまで私から簡単に話しますね…。」
ヨッスィーはそう言って、100年程前の話をヤグチに話しはじめた。
- 131 名前:現在2 投稿日:2002年03月05日(火)23時08分54秒
- ヨッスィーとチャーミーが上空で出会ったこと。
チャーミーが竜巻に巻き込まれ、行方不明になったこと。
発見したのは鬼ヶ島だったこと。
圭という鬼に助けてもらった事。
人間の襲来で反人間感情が高ぶり、目覚めたばかりのチャーミーは即座に処刑する
決定がくだされた事。
その当時、羽衣をなくしてチャーミーが変身できなかったこと。
そして、圭という鬼はチャーミーを檻から連れ出し、里を捨て一緒に逃げた事。
- 132 名前:現在2 投稿日:2002年03月05日(火)23時09分26秒
- 「そっか…そんなことあったんだ。」
「はい。」
「で…?そのあとは…?」
「それからは…チャーミー、いっしょに話そうよ。」
「うん♪」
チャーミーはそう返事をすると、再び続きを話し始めた。
「島に辿り着いて、生活が始まったんです、あの人は…無人島の生活でも
すっごく頼りになりました…。」
「簡単な家は建てちゃうし、釣りやら、狩りは出来ちゃう人だったもんね。」
「そのおかげで生活には不自由は特に無かったんです。」
「あの人とチャーミーのラブロマンスが始まっちゃって、私は肩身が狭かったけどね。」
そう言ってヨッスィーは笑った。
「ゴメン♪」
「いいよ、幸せだったもんね。うらやましいほどお似合いだったな。うん。」
「あのころは…しあわせでした…………」
- 133 名前:レイク 投稿日:2002年03月05日(火)23時14分35秒
- 1週間連日更新させていただきました。
以降は通常更新となり、近々1週間程度お休みを頂き
その後最終更新となると思います。
>>124
火をおこす。大事ですね。(w
>>125
飲み水を探す。大事ですね。(w
>>126
食料の確保。大事ですね。(w
>>127
連日更新も今日が最終日です。
新餓鬼は企画当初からすこし使おうかなと考えていました。
- 134 名前:名無し男 投稿日:2002年03月06日(水)14時59分27秒
- 充電の後の大量行進ですか?ガムバテーくらさい
さすがはジャングルの王者ケーサン、何気に建築学を齧ってるのか?
- 135 名前:暮らし 投稿日:2002年03月08日(金)23時07分59秒
- 無人島で先の見えない生活が始まった。
圭はサバイバル能力に長けていた。
狩りは出来るし、力もある、それに持ち合わせた優秀な頭脳があった。
ひとみは自分の食事は自分で取るようにした。
鶴なのだから小魚が取れるのは当たり前なのだが。
チャーミーは本来の力があればいとも容易く、漁はできる。
しかしながら、変身の出来ないチャーミーには限られた能力しかなかった。
一つは料理である。
圭は男勝りに鬼たちの先頭に立って戦っていた、故に料理の仕方を知らない
その面をカバーしたのはチャーミーだった。
圭が釣りをして何匹か獲物をとってくる。
それを裁いて調理するのはチャーミーの仕事だった。
- 136 名前:暮らし 投稿日:2002年03月08日(金)23時08分33秒
- 無人島にきて数日、すっかり仲良くなった。
圭はチャーミー乙姫をチャーミーと呼び、チャーミーは圭さんと呼んでいた。
ひとみは二人からはひとみちゃんと呼ばれるようになった。
ひとみも圭と同じくチャーミーと呼び、チャーミーと同じく圭を圭さんと呼んだ。
今日も圭は収穫があったようだ。
「今日は4匹かな。うん。」
笑顔で帰ってくる圭は実に誇らしげだった。
「あのぉ〜、圭さ〜ん、生きたまま持って帰って来てほしいんですけど。」
「なんで?」
「新鮮が一番ですよッ♪生きたまま裁くのが大好きなんでっす♪
なんていうかぁ〜、もがき苦しむ姿って言うかぁ〜。口がパクパクしてるところとかぁ〜。」
「え"っ…。」
すこし引いた…。
- 137 名前:暮らし 投稿日:2002年03月08日(金)23時09分09秒
- 「ムリならムリでいいんですよぉ〜♪せっかく捕って来てもらってるのに、
そんなこと言える立場じゃないのはわかってますからぁ〜♪」
「あ…そう。アハハ…できるだけ生きてもって帰ってこれるようにしてみるよ。」
「よろしくお願いしますぅ〜♪」
正直、刺身などを作るのはチャーミーはプロ並だった。
ただ、調味料がないので、生でそのまま食べることになるが。
「チャーミー上手だよね。捌き方うまいよ。うん。」
「そんなぁ〜、圭さんがもってきてくれた小刀が良く切れるだけですよぉ〜。」
「また謙遜を。」
- 138 名前:暮らし 投稿日:2002年03月08日(金)23時09分39秒
- ニコニコしながら会話する二人。
そこからすこし離れた場所でひとみは二人の様子を見ていた。
(なんか、あの雰囲気はいりずらいなぁ〜うらやますぃ〜もうアツアツだし…。
私にもいい人できないかなぁ〜。早く人に化けてぇなぁ…。)
浜辺で、小石を蹴った。
- 139 名前:レイク 投稿日:2002年03月08日(金)23時10分39秒
- >>134
博学であるかもしれません。
賢い設定です。
- 140 名前:名無し男 投稿日:2002年03月09日(土)00時50分28秒
- ( `◇´)<ヘークション!!
あ゛〜杉花粉dj
- 141 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月09日(土)02時30分30秒
- 圭さん・・・・出来るだけ生きたままお願いします(w
- 142 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月11日(月)20時21分31秒
- 「ののかご」の新作が始まってたなんて、知らなかった。
早速、お気に入りに追加しました。頑張ってください。
- 143 名前:暮らし 投稿日:2002年03月13日(水)00時03分17秒
- そんなこんなで食事を終える二人と鶴一匹。
決して満足行く量ではないが、それなりに腹は満たされる。
「ねぇ…圭さん。」
「なに?チャーミー。」
「本当に鬼ヶ島出てきちゃって良かったんですか…?」
「…良かったんだよ。チャーミーを逃して、残ってもあたしは重罪。だったらいっしょに
逃げちゃった方が良かったわけ。」
「本当にごめんなさい…。」
「謝んなくていいよ。なんつーか、あたしがそうしたかっただけだから…。」
「圭さん…。」
- 144 名前:暮らし 投稿日:2002年03月13日(水)00時04分10秒
- なんか、またラブラブな雰囲気である。
居心地の悪いひとみ。
「あのぉ〜…私どこか行きましょうか…?」
別に申し訳なさそうにする必要もないが、申し訳なさそうに
そう言いだす。
「あ、ごめん。ひとみちゃん。あたしらがどっかいったほうがいいね。チャーミーちょっとおいでよ。」
圭は立ち上がり、チャーミーに手を差し出す。
その手につかまって立ち上がり砂をはたいた。
「はいっ♪」
そう答えるチャーミーは恋する乙女。
頬が赤黒く染まった。
- 145 名前:レイク 投稿日:2002年03月13日(水)00時08分54秒
- >>140
花粉症は大変ですよね。(w
>>141
生きたままの鮮度のいい魚を…(ww
>>142
発見してくださって、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
えー、今日より1週間お休みを頂き
3/20日0時より最終更新開始予定です。
それまで、しばしお待ちください。
- 146 名前:名無し男 投稿日:2002年03月13日(水)10時36分19秒
- 役回りに恵まれない時は
スタッフサービスにお電話を
- 147 名前:音 投稿日:2002年03月20日(水)00時01分08秒
- チャーミーを連れ出す。
繋がれた手と手。
(この手が一生はなれませんように…。)
そう願う乙女の気持ち。
地球へ来て早何十億年。
荒れた世界も美しく変わった。
そして生物も進化してきた。
そう自分の星のように、滅亡へ向かっている事も手に取れていた。
今までのチャーミーの人生に於いて恋がなかったかといえば
それは定かではない。
されど、この星に来てはじめて恋に落ちた。
相手は鬼…。
数万年前にやってきた宇宙人の子孫。
非常にこの星で進化した人間に酷似するが
独特の異文化と特異な身体能力、角をもっている。
もはや、子孫には自分たちは別の星からやってきたなどという
知識や、認識はないだろう…。
- 148 名前:音 投稿日:2002年03月20日(水)00時01分47秒
- 海の風が心地よく感じる海岸で二人は夜空の美しい星を眺めていた。
輝く星、その一つ一つに思いを馳せながら、今ここで偶然の一致で鬼といる。
「なに考えてる?」
「何も。圭さんは?」
「あたしは色々かな、里のこと、死んだ友のこと、そして…。」
「そして…?」
「チャーミーのこと…。」
「えっ…。」
瞳と瞳が見つめあう。
それぞれの瞳が相手を映し出す。
チャーミー瞳に映った圭は徐々に近づく。
「好きだよ…チャーミー…。」
重なり合う唇と唇。
大きく見開くチャーミーの瞳。
圭の瞳が閉ざされている事がわかる。
そして、チャーミーの瞳も同じように視界を閉ざす事を選んだ…。
- 149 名前:音 投稿日:2002年03月20日(水)00時02分20秒
- 離れる唇…。
鼓動を耳の先まで感じる。
「私も…圭さんが…好き…。」
頬を赤黒く、より赤黒くしながら小さく呟く。
「ありがとう…嬉しいよ。」
月夜に照らされ、作られた二人の影はひとつになった。
しばらく抱き合った後、急に恥ずかしくなり二人は離れる。
何処へやって良いかわからぬように視線を下に向けている。
「あ、圭さん。この貝なぁに?」
チャーミーが指をさしたのは、圭の腰についているホラ貝だった。
「ああ、これ?聴かそうと思って持ってきたんだよ。さっき。」
「聴かそう…?」
「そう、これね、ホラ貝なんだけど笛みたいに使うんだ。あたしたち鬼が人間の来襲を発見した時
緊急的に吹く貝なんだよ。」
- 150 名前:音 投稿日:2002年03月20日(水)00時03分00秒
- 「綺麗ね…。すごく綺麗…。」
「うん。綺麗だろ。他の奴とは全然違う音色だし、貝自体も色がちがうんだ。」
「聴かせて、圭さん。」
「いいよ。」
圭はホラ貝を手にとって、口につけた。
・・・・・。
ホラ貝とは思えぬほど綺麗な音を奏でる。
「あ…。この音…。」
「ん?」
「私聴いたの…この音を…間違いない、あの時、私が目覚めた時に聞いた音…。」
「あ…そうかもしれない…あの時チャーミーが目覚めたんだよね。」
「圭さんが吹いてたんですね。」
- 151 名前:音 投稿日:2002年03月20日(水)00時03分39秒
- チャーミーは圭からホラ貝を受け取る。
月明かりに照らされるこの貝はとても綺麗に見える。
「吹いてみていい?」
「どうぞ。」
口に咥えて、息を吹きだしてみる。
スーー…
「あれっ?」
スーー…
何度も試みるが音が出ない。
そんな一生懸命に吹くチャーミーをいとおしく感じながら笑った。
「何がおかしいんですかっ」
「貸してみな。こいつにはコツがいるんだよ。吹ける様になるまでにはかなりかかるんだ。」
そう言って、ホラ貝を咥えると簡単に音を奏でた。
「私は聴くほうがいいかなっ♪いつまでも…これからもずっとずーっと…。」
「あたしも…いつまでも聞かせたい。これからもずっとね…。」
「圭さん…。」
「チャーミー…。」
再び二人は唇を重ねた。
- 152 名前:ひとみ 投稿日:2002年03月20日(水)00時04分20秒
- そのころ、ひとみは焚き火の近くで毛づくろい。
「ふぅ…。チャーミーも圭さんもお互い好き同士だなぁ。いいなぁ〜〜あんな関係。
圭さんカッケーし、チャーミー綺麗だし。」
ひとみは、焚き火が消えそうに小さくなっていることに気付き、
枝を咥えて、火の中に枝を放る。
「早くヨッスィーになりたいなぁ…ヨッスィーになってステキな人にめぐり合いたいなぁ。
あと50年…長いなぁ〜…。」
「くさい…。」
何か焦げている。
「くさいよね……アッ!!熱ッ!!」
翼、引火してました。
- 153 名前:ひとみ 投稿日:2002年03月20日(水)00時04分54秒
- 「コワッ!!コワッ!!コワッ!!」
慌てて翼をばたつかせるが消えない。
「ヤベーヤベーヤベー!!」
焦ったヨッスィーは、飛びもせず、跳ねながら海に飛び込んだ。
ジュッ…。
「ふぅ〜…アブねぇアブねぇ…死ぬ所だった。って…サムッ!!」
今度は冬の海、身体が濡れて寒さが倍増。
「サムッサムッサムッ!!!」
慌てて、また焚き火の近くに戻った。
「うぅ…私って…何?」
自分のアホさ加減に呆れた。
「どうしたの?ひとみちゃんびしょびしょじゃない?」
ちょうど二人が帰ってきた。
「あはは…なんでもない…。」
笑ってごまかした。
- 154 名前:不安…。 投稿日:2002年03月20日(水)00時05分39秒
- 無人島に来てから数日。
無人島の中で湧き水もなぜか発見できた、
火の起こし方も知っている、簡易的な風よけ程度になる小屋も作った。
食料もそれほど困らない、困ったらひとみを食えば…
んなぁこたあないと。
深夜、簡易的な小屋の中でひとみとチャーミーは眠りについていた。
お互いが寒くないよう、抱き合ってチャーミーと圭は寝るようになった。
圭は暗がりの中、不安を感じていた。
(元に戻れない原因…聞いて良いものなのかな…。)
(聞いてしまったら…もし、それが簡単な原因なら…チャーミーは
それを克服したとき、居なくなっちゃうのかな…竜宮城に帰っちゃうのかな…。)
(それは嫌だ…。彼女を失いたくない…こうしている今にも…彼女を失ってしまう
恐怖を抱いている。)
(チャーミーがいなくなったら…ひとみちゃんもいなくなるだろうな…そしたら
里を捨てたあたしは…確実に一人なんだよな…。)
(明日勇気を持って聞いてみようか…。出来るかな…あたし…。)
- 155 名前:不安…。 投稿日:2002年03月20日(水)00時06分18秒
- どうして良いかわからない悩みを抱えながら、チャーミーの頭を撫でる。
気持ちよさそうで、幸せそうなチャーミーの顔…。
この笑顔を手放したくはないと圭は改めて痛感した。
そんな圭に、チャーミーに、ひとみに朝は訪れた。
いつしか眠りについていた圭。
その傍でチャーミーが目を覚ます。
「ん…。」
あたりを見渡すと、眠りに就いた時同様に圭はチャーミーのそばに寝ていた。
暖かな手がチャーミーの手を握っている。
きゅっ…と握ってみた。
眠っているはずなのに何故か返事を返すようにその手はすこし握り返した。
そっと身体を寄せて寝顔を間近で見る。
圭の大きな瞳は閉ざされていた。
目を閉ざした圭の顔は勇ましさは感じられず
むしろ、可愛く見える。
「…………。」
静かにチャーミーは圭の唇に自らの唇を重ね合わせる。
自分から寝ている人にキスをして勝手に頬を赤黒くした。
- 156 名前:不安…。 投稿日:2002年03月20日(水)00時06分48秒
- 「おはようございます…。圭さん…。」
そう呟いてチャーミーは起き上がり、
小屋を出て外の空気を吸い込んだ。
潮風はそれほど強くない、心地良いくらいの風だった。
すこし浜辺を歩いてみようか…などと思い浜辺を歩いていく。
そんな時、圭が朝を感じ目覚めた。
ぬくもりを探すように手が探る、しかし、そこにあるはずのチャーミーの手がない。
「…ん…チャーミー…? チャーミー!?」
飛び起きた。
あたりを見渡すがチャーミーがいない。
「チャーミー!?」
慌てた様子で立ち上がる。
その慌てた声にひとみも目覚めた。
「チャーミー!?どこだよっ!!チャーミー!!」
圭は小屋を飛び出ると、そう叫んだ。
浜辺を見るとチャーミーが振り返り圭を見ていた。
何事かという表情で首を傾げている。
「よかったぁ〜。」
安堵の表情でチャーミーに駆け寄る圭。
「おはようございます、圭さん♪」
「おはよう…。」
- 157 名前:不安…。 投稿日:2002年03月20日(水)00時07分19秒
- そう言って圭はチャーミーを抱きしめる。
「!?」
すこし、チャーミーは目を大きく見開いた。
「どうしたんですかぁ〜♪」
「なんかさ…いなくなっちゃったんじゃないかって思ってさ…。」
チャーミーはすこし嬉しそうに
「いなくなりません♪」
と答えて、軽く頬にキスをした。
「聞かせてほしいんだ…竜に化けられない理由…。」
「…はい。」
聞くのが怖かった。
怖かったがこれを聞かなければ二人はもっと深い関係になれないと思っていた…。
だから、聞くことにしたのだ。
「実は…。嵐に遭ってから羽衣がないんです…。」
「羽衣…?」
- 158 名前:不安…。 投稿日:2002年03月20日(水)00時08分08秒
- 「ええ。長い布切れみたいな奴で、キラキラしてるんですよ…それはチャーミーの翼になって
空を飛ぶことも、竜に戻る事も、泳げる事も出来て、本来の力が戻るのと…竜宮城に
帰ることも出来るようになるんです…。」
「…………そうなんだ…。」
圭は人間が襲来してきた日を思い出していた。
(あのとき…拾ったものが…?まさか…でも…。)
「どうしたんですか?圭さん。」
「いや…なんでもないよ…。」
(偶然の一致なんかじゃ考えられない…チャーミーの言ってる物とあれは…同じものだ…。)
(失いたくない…チャーミーを失いたくはない…絶対あれを渡す事できない…。)
圭は罪悪感を感じながらも、持ってきた袋の中にある布のことを隠すことにした…。
- 159 名前:つーる宅急便♪ 投稿日:2002年03月20日(水)00時08分43秒
- それから数日…
愛し合う事に罪悪感を感じながらも圭は布のことを隠し続けていた。
そんなある日の朝…
チャーミーが朝日を見つめながら圭に後悔はないか尋ねた。
「圭さん…本当に鬼ヶ島…出てきちゃって良かったんですか…?」
「いいんだよ…これで…。」
その会話を聞いていたひとみは、こう切り出した。
「あのー、圭さん、伝言あるなら届けますよ…。鬼ヶ島まで。もしこのまま一生、
鬼ヶ島帰らなかったとしても、貴方を信用して愛していた人たちに誤解を作ったまま
じゃ…。チャーミーとも話したんですけど、やっぱ良くないとおもうんです。」
「そうですよ♪圭さん…ひとみちゃんに鬼ヶ島の館まで伝言伝えましょうよ♪」
「………そうだね…。」
二人に押し切られた感じで返事をしたが、事実鬼ヶ島に未練がなかったわけではなかった。
約20年住んでいた場所を捨てた。
愛する人を守る為に捨てた、でも誤解されたままでは心苦しいものがあった。
そして、圭はひとみに言伝を頼んだ、無論重々気をつけることと、
長の部屋に直接入れるための窓を教えた。
- 160 名前:つーる宅急便♪ 投稿日:2002年03月20日(水)00時09分14秒
- 「気おつけて、ひとみちゃん。」
「気をつけてね♪」
「じゃ、行って来ます。」
そう言って、ひとみは大空へと飛び立っていった。
「届くといいですね♪言伝。」
「うん…。」
大空に舞ったひとみは、一先ず高く飛んだ。
より高い位置から風景を見るためだ。
自分が飛べる最高の高さまで上がると円を描きながら風景を確かめた。
「あれ…?結構近いのかな…二日も舟漕いだけど…。」
鬼ヶ島は割と近いところにあった。
およその目見当で、ひとみが飛んで半日かかるか、かからないか程度の距離だった。
(まぁいいか…とにかく伝えなきゃ。)
そう思い、鬼ヶ島に向かって飛んだ。
飛ぶこと10時間。
割と早く、日が沈みかかった頃だった。
(この館の…北側…墓が見える窓が長の部屋…。)
聞かされた場所を探しながら、館の周りを一周する。
一人見張りのような鬼が外にいたが、気付かれなかったようだ。
- 161 名前:つーる宅急便♪ 投稿日:2002年03月20日(水)00時09分56秒
- やはり圭が言ったとおりの場所に窓はあった。
中を覗くと老人が一人座っていた。
最初に島にやってきた時、圭に連れてこられ、会った鬼だった。
(あの人だ…。)
窓にはガラスが張られているわけではなく、すっと中へ入るひとみ。
物音に気付いた長は窓の方向に向いた。
「誰じゃ?」
目が見えない長であったが
「圭の鶴じゃな…。よう来た。わしに用があるのであろう。」
意表をついてズバリと言い当てる。
「!?」
(何でわかるの!?)
「面を食らっておるのか?ふふふ。わしは目が見えぬ。しかしながら見えぬからこそ
心の目で感じる事ができるのじゃよ。」
ニッコリ笑う長。
「実は…圭さんから言伝を伝えに参りました。」
「ほう…喋れるのか…、もしやおぬしは千年生きるという鶴か…?」
「はい…まだ1000年生きてませんが喋る事を習得いたしました。」
- 162 名前:つーる宅急便♪ 投稿日:2002年03月20日(水)00時10分27秒
- 「して…?奴は元気かのう…きっと圭はあの娘を連れて逃げる事はわかっておったのじゃよ…。
気は短気だが純粋で優しい。」
「はい。元気です。乙姫様と一緒に無人島に住んでいます。」
「そうか…、やはり乙姫様なのか…実は鬼たちには追わぬように言ったのじゃよ。」
「そうなんですか…、だからあんなに近くても…追っ手がこなかった…見つからなかった。」
「そう言うことじゃ…して、言伝とは?」
「あ、『今回の裏切りは長や皆に多大な迷惑をかけたと思い、深くお詫びを申し上げます。
今回の出来事は私の身勝手と受け取ってください。私にすべての責任があります。
許してくれとは言いません、戻ることも出来ません。ただ皆の幸せをこの世界のどこかで
勝手ながら祈らせていただき、私は二人で一緒に添い遂げようと思っています。』だそうです。」
「おろかな…いつもみなのことを考えておるのだな…伝えよ、『おぬしの幸せを逃さぬように』とな。」
「はい。では、失礼し……」
- 163 名前:つーる宅急便♪ 投稿日:2002年03月20日(水)00時11分09秒
- そう言おうとした時、鬼ヶ島全体にホラ貝の音が鳴り響いた。
鬼の館が一気に騒々しくなる。
そして、長の部屋の前に鬼がやってきた。
「背に隠れよ。」
そういわれ、ひとみは長の背に隠れる。
「はいれ。」
そう言い放つと、鬼が部屋へと入ってくる。
「何事じゃ。」
「申し上げます、人間の襲来です。今回は1隻や2隻などというものでなく…その、その…」
完全に慌てふためく鬼に長は落ち着くように言った。
「落ち着いてじっくり話せ。」
「はっ、概算で20隻見られます!!」
「………に、二十…、戦いに全員準備せよ。長い戦いとなろう!!子供達を蔵へ!!」
「はっ。」
その鬼は長の指示を聞き、慌てて部屋を出ていた。
「鶴よ…行け…ここは戦場と化すであろう…。」
「…………。」
無言でひとみは飛び立った。
(急がなきゃ…急がなきゃ…。)
それだけを頭の中で繰り返し、必死で空を飛んだ…。
- 164 名前:告白 投稿日:2002年03月20日(水)00時11分54秒
- 深夜。
二人は寝ずにひとみの帰りを待っていた。
「大丈夫かなぁ〜ひとみちゃん…。」
「大丈夫だよ、そのうちかえって来るさ。」
「ですよね♪」
二人より沿いながら火を囲む。
暖かいのは火の熱でなく、お互いのぬくもり。
「いつまでもこうしていたいな…。」
甘えるチャーミーの頭を手で抱き寄せる。
「あたしもこうして居たいよ…。」
その時、ひとみがやってきた。
「あ、帰ってきたね。」
「そうですね♪」
二人は立ち上がり、ひとみに手を振った。
- 165 名前:告白 投稿日:2002年03月20日(水)00時12分27秒
- ひとみは激しく疲れた様子で浜に降り立つ。
「た、大変なんですっ!!鬼ヶ島が、鬼ヶ島が…。」
「鬼ヶ島がどうしたの!?」
慌てて駆け寄る二人。
「長にちゃんと伝えました…その時…人間の襲来が…。20隻あるって…。」
「20隻…。」
圭は青ざめた…20隻などの舟での人間襲来など今までに経験がない、
ましてや、子供を含めた30人の鬼程度では到底…。
「急いで…このことを伝えなくちゃと思って…飛んできたんです…。」
「そう…。」
浜に両膝をつく、圭は落胆した…今の自分には何も出来ない事に…。
やはり、捨てたといえど妹も居る、親しい友人も居る自分のふるさとに危機が訪れて居るのだ。
圭の胸は激しくゆすぶられた。
チャーミーのとふるさとは同じほど自分にとって大事な物。
あの時拾った布を渡せば…里へ、鬼ヶ島へ向かう事が出来る…。
しかし、それはチャーミーを失う可能性があった…。
- 166 名前:告白 投稿日:2002年03月20日(水)00時13分00秒
- (あたしは…どうしたら…どうしたら…。)
「行きましょう♪圭さん…。」
「えっ…?」
チャーミーを見上げる。
チャーミーは優しい微笑みを浮かべていた…。
「私、居なくなりませんよ♪ずっとこれからも貴方と一緒です♪」
そう言って、チャーミーは懐から、丸められた布を取り出した。
「!!!!」
「ずっと黙っててごめんなさい…、この島に来た時から…知っていました。
袋勝手に見ちゃったんです…。圭さんが黙っていたのは…私がいなくなっちゃうかもって
思ったからですよね…。」
静かに圭はコクッと頷き「ごめん…。」と言った。
恥ずかしく、情けなかった、彼女の愛を疑っていた自分が…。
「謝らないで…私が逆だったら同じ事してたと思います…行きましょう♪」
- 167 名前:告白 投稿日:2002年03月20日(水)00時13分38秒
- チャーミーは圭に手を差し伸べた。
圭の頬を涙が伝う。
その細い手につかまって圭は立ち上がった。
「いこう…チャーミー。」
「はいっ♪」
チャーミーは丸まっている布を広げ肩あたりに垂れ下げた。
自分に力がよみがえってくる感覚がする。
静かに息を吐くと、チャーミーの周りから煙が発生し始め
その煙で彼女の姿が見えなくなると、すぐにその煙の中から大きな竜が現れた。
「!!!!」
海神、チャーミー乙姫は海底の城に住むと言われる。
普段は人間の姿に成りすます、本来は大きな竜。
その竜は、海王竜と呼ばれその姿をみれば海の民は大嵐が来る事を知る。
大きな翼、大きな身体、大きな口、大きな目、大きな鱗。
すべてが大きい竜の姿。
圭は驚き、その勇ましさに一瞬で惹かれた。
- 168 名前:告白 投稿日:2002年03月20日(水)00時14分12秒
- 「乗ってください♪圭さん、ひとみちゃん。」
「うん!!」
そうして、海王竜は一路鬼ヶ島へ、鶴と鬼を乗せて飛んだ。
- 169 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時14分47秒
- 豪速で飛んでいくチャーミー。
ひとみに方角を教えられながら、一層の加速をしていく。
僅か数十分で鬼ヶ島が見えてくる。
鬼ヶ島の周辺に紅い光が無数に見えた。
それは、舟に取り付けてある松明だった。
怒号のような無数の声がチャーミーの耳に聞こえてくる。
圭は金棒をぎゅっと握り締めた。
(間に合って…。)
チャーミーが鬼ヶ島上空に到着する。
「どうしましょうか…圭さん。」
「あたしは降りる!!」
そう言うが先か、飛び降りるが先かの速さで、圭はチャーミーから飛び降りた。
「圭さんっ!!」
島では、鬼たちが劣勢を強いられていた。
男女ほとんどの鬼が、館の外で戦っている。
そうでなければ侵略は防げないからだった。
館は子供達しか残されていない。
まもなく成人となる鬼が、門を守っていた。
- 170 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時15分19秒
- ドスン!!
鈍い音がすると門の前に圭は降り立っていた。
「ここから先は通させない!!」
「おねぇちゃん!?」
「!?」
振り返ってみれば、門番をしていたのは新餓鬼だった。
「遅れてごめん。あたしは里を守る為に帰ってきた!!」
金棒を振り上げ、人間の刃と激しく交える。
「おねぇちゃん!!長が…長が殺されちゃったよっ!!」
「!!!!なぜっ!!」
「目が見えないのに…長、館の外でてって…。」
「くそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
再び圭はキレた、ユウキが死んだあの時と同様に
(長は…早くに死んだ私達の両親の親代わりになってくれた人なんだ!!
どうして、どうして!!くそっ人間どもめぇっ!!!)
- 171 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時15分50秒
- 理性が飛んだ圭はトランス状態に陥る。
それは、人間に到底手におえるものではない。
刃を交えれば、刃は折れ、殴られれば即死。
そんな鬼神化した鬼をどう止める手立てがあるだろうか
圭が、あっという間に10人ほどの人間を片付けた。
あの時と同様に、身体を紅く染めて…。
いかんせん数が多すぎる。
3艘で30人…20艘で200人…。
桁が違った。
- 172 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時16分21秒
- その頃、上空でチャーミーは迷っていた。
「チャーミー!降りようよ!」
「でも…チャーミーは…海神だもの…。どちらの見方をする事は出来ないの…。」
「なんで!?どうして!?あんなに圭さんと愛し合っていたじゃんっ!!」
このときチャーミーは海神としてのあり方、恋人としてのあり方の二つで葛藤をしていた。
海神は常に表の世界を冷静に見つめている存在。
恋人は愛したひとのために戦う事…。
「馬鹿だよっ!!チャーミー!!一度くらい愛のために生きたっていいじゃん!!」
その言葉が心に響いた。
自分が生まれでから百数十億年。
いままで愛のために生きたことがなかった…。
「そうだよね…、生きてもいいよね…チャーミーがんばるっ♪」
「いこうっ!!チャーミー!!」
「うんっ!!」
- 173 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時16分51秒
- (自分に出来る事…戦う事、人と戦うんじゃない。平和のために戦うのっ!!)
チャーミーは大きな翼を羽ばたかせながら、圭の前に降り立った。
「チャーミー!!」
「グァアアアアアアアアアアアア!!!!!」
大きく雄叫びを上げるチャーミー。
人間と鬼が一瞬戦う事を止めた。
両者は口々に「海神さまだ…。」と呟いた。
圭を見てウインクするチャーミーは、前を向き人間たちに叫ぶ。
「人間どもよっ!!この場を立ち去れっ!!さもなくば、我海神が天罰を与えようぞ!!!」
アニメ声で発せられる言葉。
しかしながら、今日のチャーミーの言葉には威圧感が有った。
そして威嚇をするように火炎を吐く。
滅多に使わないが本来竜であるチャーミーは火をはくことが出来るのだ。
慌てふためき人間たちは退散していく…負傷者を残して…。
一見落着のように見えた…しかし…
- 174 名前:戦火 投稿日:2002年03月20日(水)00時17分26秒
- 「あれっ…?」
圭に鈍痛が走った…。
脇を見ると刃が突き出て、そこから多量の鮮血が流れ出していた…。
負傷した人間が絶命と引き換えに最後の力を振り絞り…圭を刺していた…。
「おねぇちゃん!!いやああああああああああああ!!!!!」
新餓鬼の悲鳴が静かな島に木霊した。
- 175 名前:別れ 投稿日:2002年03月20日(水)00時18分01秒
- あたりが白んでゆく。
感覚がなくなっていく。
何かすべてが重くなっていく。
圭は薄れ行く意識の中で倒れた…。
新餓鬼の悲鳴を聞き後ろを振り返り、事態を悟った。
「圭さん………?」
チャーミーは人の姿に身を変えると圭に駆け寄った。
チャーミーは圭を抱き起こす。
「嘘でしょ…?圭さんっ!!ねぇっ!!」
「ごめん…チャーミー…約束…ずっ…といっしょに…いるって…ムリになっちゃったよ…ごめん…。」
多量の涙が…チャーミーの頬を伝う。
視界がゆがんで何がなんだかわからずにチャーミーは首を激しく横に振る。
- 176 名前:別れ 投稿日:2002年03月20日(水)00時18分38秒
- 「この数日間…あたし…幸せだった…チャー…ミーに出会えて…初め…て恋をした…。
ありがとう…。」
「そんなことないっ!!圭さん死なないもんっ!!しんじゃだめだよっ!!!」
「泣かないでよ…涙…みたくない…。」
スッと伸びる紅く染まった圭の腕がチャーミーの頬を拭う。
その手を強く握り締め、震えるチャーミー。
「ここには…あたしの愛した人たちがいる…お願いがあるんだ…聞いてくれないかな…。」
チャーミーはコクっとだけ頷いて答えた。
「鬼たち…ここにいる鬼たちを…行く末を見守っていてほしい…鬼たちが困った事があれば…
助けてやってほしい…。それがあたしの…お願い…。」
「うん…。」
- 177 名前:別れ 投稿日:2002年03月20日(水)00時19分10秒
- 「そうだな……お盆の日に…あたしのホラ貝吹かせるから…、それを聞きつけたら…
お参りついでに…鬼たちの願いを聞いてやってほしい…。」
気付けば、生き残った鬼たちが二人の周りを囲んで涙していた。
「みんな…海神様が約束してくれたよ…よかったね…やっと…やっと…
あたしふるさとに…仲間に恩返しできた…ありがとうチャーミー…。いつか…生まれ変わったら
貴方を必ず…見つけるから…じゃ…」
その言葉を最後に、圭は永久の眠りに就いた…。
「圭さんっ!!圭さんーーーー!!!いやあああああああああ!!!」
- 178 名前:現在3 投稿日:2002年03月20日(水)00時20分37秒
- 「短い間だったけど…私幸せだったんです…本当に…。」
「うわ〜〜〜〜んん!!!!ちゃーみーしゃあ〜〜んかわいぞうれずぅ〜〜!!」
「それで、ホラ貝で二年に一度って訳だったんだね。」
「そうでっす♪でも酷いんですよっ。最初のうちは尊敬してくれていたのに
いつの間にか鬼さん達に使いっぱしりにされるようになっちゃったんですッ♪」
「根暗、あんた、その言葉の通り根暗だからそうなるんだよッ。」
「ふふふ♪そうかもしれませんね♪」
「でもヤグチ驚いたなぁ〜、圭ちゃんの先祖とチャーミーにそんな関係があるなんてさ。」
- 179 名前:現在3 投稿日:2002年03月20日(水)00時21分11秒
- 「…朝やな…。もう朝やで…。」
窓から明るい日差しが見えていた。
今日も太陽が一日が始まった事を皆に教える。
全員が立ち上がり、窓から見える太陽を見つめた。
「帰りましょうか♪お盆が終わりました♪また2年後チャーミーはきますよッ♪」
「よし、帰ろう。また二年後、根暗に乗ってみんなで来よう。」
「はい、れす。」
そうして5人はチャーミーに乗って鬼ヶ島を離れた。
(また…2年後ですね…。もうチャーミーは今、いる圭ちゃんと、あの時の圭さんを
重ね合わせたりしませんよ…今の圭ちゃんはチャーミーの新しい大事なひとっ♪
見守っていてね♪圭さん♪)
- 180 名前:エピローグ1 投稿日:2002年03月20日(水)00時22分12秒
- 先にヨッスィーとヤグチを、ヤグチ家へ降ろすチャーミー。
ヤグチは降り立つとチャーミーに耳を貸すように言った。
そっと耳打ちをする。
「チャーミー、圭ちゃんの事好きなんでしょ?」
「な、何を言ってるんですかッッ。」
慌てるチャーミーに、ニヤニヤするヤグチ。
「わかってるってわかってるって、隠さなくてヨシ。まだ続きがあるんだよ。」
さらに耳打ちをする。
「たぶんね、話聞いてたときね、圭ちゃんすっごいヤキモチ焼いてたんだよ。
だから………。」
「エェッ!!」
そう、叫んだ時
ボコッ!!
「いったぁ〜い♪」
「根暗っ!!あたし達乗ってんのに動くんじゃないわよっ!!落とされるところだったわよ!!」
「ごめんなさぁ〜い♪」
- 181 名前:エピローグ1 投稿日:2002年03月20日(水)00時22分45秒
- 「じゃ、ヤグチの助言はここまで、後はがんばってね、チャーミー。」
「はぁ…。」
「ヨッスィー、お腹へったよ。なんか作って食べよ。」
「そうですね。んじゃ、みなさん。」
ヤグチとヨッスィーは手を振って、家の中へ入っていった。
「仲良さそうれすよねー。あの二人。」
「せやな。」
ボコッ!!
「ほら!!根暗っ!!さっさとウチら家に返しなさいよっ!!ねーさんが飯作って
待ってるかも知んないでしょっ!!」
「ごめんなさぁ〜い♪」
そう言って、チャーミーはヤグチ家を飛び立ち、中澤とつんくとなっちの待つ家へと向かった。
空を飛ぶ中チャーミーは一人考え事。
(できるかなぁ…チャーミーに。う〜ん♪)
- 182 名前:エピローグ1 投稿日:2002年03月20日(水)00時23分17秒
- ボコッ!!
「根暗っ!!家過ぎてるわよっ!!」
「あ、ごめんなさぁ〜い♪」
あまりにも考え事が長すぎてつんく家を過ぎてしまった。
チャーミーは舌をぺろっと出してニガワライ。
つんく家へ降り立つと、真っ先にののとかごやは家へと向かう。
そして、圭が降りようとした瞬間。
チャーミーが浮き上がった。
「ちょっとっ!!根暗っ!!あたし降りてないわよっ!!」
そう叫ぶ圭をお構い無しにチャーミは高度を上げる。
「きいてんのねぇっ!!」
「どうしたんれすかー?降りてご飯たべるれすよー!!」
ののとかごやが叫んでいる。
- 183 名前:エピローグ1 投稿日:2002年03月20日(水)00時23分58秒
- 「ちょっとチャーミーと圭さんはこのまま旅行いっていまーっす♪」
「えっ!?誰もそんなこと決めてないわよッ!!」
「さよかー、ほないってらっしゃーい。」
のんきにののとかごやは手を振っている。
そして、チャーミーは圭を乗せて離れていった。
「ちょっと、どういうことよっ!!」
納得がいかない圭は、チャーミーに真意を問いただす。
「だってぇ〜♪圭さん、言ったじゃないですかぁ〜♪あたしをあたしとして見てって♪」
「いったけどさー。」
「だから、二人で思いで作りましょっ♪」
「…まぁ…いっか。」
「そうです♪まぁいっかで行きましょう♪」
「でもどこいくのよっ!!お金ないわよっ!!」
「あ…。」
「あ…ジャナイっ!!腹も減ったわよっ!!」
「じゃあ、チャーミーが竜宮城へ案内しますよッ♪そこでおもてなししますっ♪
『鮮魚生き捌き船盛り』ッ♪」
「いらないわよッッ!!」
- 184 名前:エピローグ2 投稿日:2002年03月20日(水)00時24分39秒
- その頃つんく家では…。
「なんや、一人居ーへんと静かやな。」
つんくが味噌汁をすすって呟く。
「れすよねぇ。でも、旅行れすから数日すれば帰ってくるれすよ。」
ののはご飯が食べれて、満面の笑み。
「…………なっちどないしたん?」
ふとなっちを見て出たかごやの言葉。
「あれやんなぁ。最近の流行やもんぁ、なぁ、なっちぃ〜?」
中澤がなっちの肩に手を置く。
ビクッとして震えるなっち。
だれだかわからないほどになっちの顔面腫れあがってたとさ…。
〜完〜
- 185 名前:レイク 投稿日:2002年03月20日(水)00時28分57秒
- これにてのの太郎とかごや姫外伝〜チャーミー乙姫物語〜完結です。
ののかごシリーズについては、いずれか外伝2を書くかもしれません。
また、今後の予定ですが、4月中旬に2chで新作をはじめる予定です。
約2ヶ月半、駄文にお付き合いくださいましてありがとうございました。
- 186 名前:全権特使 投稿日:2002年03月20日(水)21時43分28秒
- むぅ・・・、痛くなるとは聞いていたが。
最後にはチャーミー乙姫が新しい恋を見つけられてよかった♪
オチもちゃんと忘れずに入ってましたね(笑)
2ちゃん復帰も楽しみにしてますよん♪
- 187 名前:名無し男 投稿日:2002年03月21日(木)00時20分55秒
- とりあえずお疲れ様でした!!
ハピー遠藤ヨカタ
それにしても圭はチャーミーに拉致られてどこ逝ったんだ!?
最後のなっち落ちワラタ!!
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