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あすりか4

1 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月11日(金)14時15分49秒
心は通じ合ってる……なのに切ない。
明日香と梨華の恋模様。

元スレ
「あすりか」 http://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/998894340.html
「あすりか2」http://mseek.obi.ne.jp/kako/sea/999142658.html
「あすりか3」http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=sea&thp=1003388366
2 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月11日(金)14時19分06秒
 自宅に帰り着いて、何をさておいても、とにかく明日香ちゃんに電話。
 携帯電話を持って、ベッドの上にペタンと座りながらコール。

『もしもしぃ?』
「わ〜い! 明日香ちゃん、私、今お家に帰ったところ〜!!」
 押さえようとしてもテンションが上がっちゃう。
『…元気に帰宅できたみたいで良かったね』
「うん! ねぇ明日香ちゃん、今何してるの?」
 こんな時間に「何してるの?」っていうのも変だけど、やっぱり気になるよね。

『別に。あ、さっき吉澤から電話があったよ』
 よっすぃ〜から?!
 も…もしかして、キスマークのことばらしちゃったんじゃ。
「そ…それでどんなこと話したの?!」
『…別に何にも。何の用事だったのかも分からなかったし。相変わらず変なやつだよ
ねぇ』
 ホッ。良かった〜。
 取りあえず約束は守ってくれたみたい。
3 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月11日(金)14時20分11秒
「そっか〜。ね〜明日香ちゃん、明日は…会える?」
 電話やメールも嬉しいけど、やっぱり会いたいよ。
『私も…会いたい。会いたいよ……』
 明日香ちゃんも同じ気持ち。
『でも……』
 そう。「でも」なんだね。
『親が心配しちゃってさぁ、当分の間、仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰らなきゃい
けなくなっちゃって……』

 やっぱり。
 そんな気がしてた。
 最近、無理ばっかりさせちゃったから……。
 なのに先に謝ったのは明日香ちゃん。
『ごめん……』
「ううん。明日香ちゃんが悪いんじゃないもん。謝らないで…ね?」
 元気な明日香ちゃんが好きだから、謝ったりしないで。
 それに、ホントは無理ばかり言う私が悪いんだもん。
4 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月11日(金)14時24分59秒
『でも…』
「大丈夫。ず〜っとって訳じゃないでしょ? それに、明日香ちゃん家でのお泊まり、
楽しみにしてるから。私が行く分には大丈夫でしょ?」
 明日香ちゃんだけじゃなくて、自分も納得させようとする言葉。
 ――私のネガティブ、出てこないで。
『ごめ…』
「前に明日香ちゃん、私に言ったじゃない。『ごめん』は禁止って。ね?」
 ――これ以上謝られたら、私、泣いちゃいそうだから。

『うん』
「私は平気! メールや電話で元気をもらえるから」
 ――でもホントは会ってお話ししたい。
「そんなことより、今日ね、あいぼんがね……」
 ――会いたい…会いたいよ〜、明日香ちゃん。
 くだらない話をいっぱいして、自分を騙して、いっぱい笑った。
 笑ってないと悲しすぎるから……。
5 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月13日(日)01時07分27秒
 その後、ずっと梨華ちゃんと話してた。
 梨華ちゃんは、今日あったいろんなことを教えてくれて、たくさん笑わせてくれた。
 梨華ちゃんも笑ってた。
 なのに…どこか寂しい。
 寂しいから、たくさん話して、話せば話すほど、余計に寂しかった。

 ――会いたいよ。
 ――会いたいね。

 関係ない話ばかりしてても、伝えたい思いは互いに同じ。
 でも、最後まで言葉にすることはなかった。
 言葉にしてしまうと、会えないっていう現実が目の前に現れてしまうから。
6 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月13日(日)01時08分05秒
 時計はもうとっくに真夜中を過ぎてる。
 さっきから気づいてたくせに、後もうちょっとって伸ばし続けて。
 でも、もう限界だね。
「……あ、もうこんな時間。梨華ちゃん、もう遅いから寝た方が良いよ」
 さも今気づいたように言った。
 ため息が聞こえないように、注意しながら。
『…そうだね。明日香ちゃんも朝、早いもんね』
「うん……」

 それから…互いに無言の時間が流れて。
 吸い寄せられるように唇を通話口に近づける。
 チュッ。
『チュッ』
 ほとんど同時に、電話のこっちと向こうでキスの音がする。
 まるでそれが必然のように。
7 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月13日(日)01時08分41秒
「……じゃ。おやすみ、梨華ちゃん」
『うん。おやすみ、明日香ちゃん』
 言い終わると同時に電話を切る。
 一瞬でも躊躇うと、もう切れそうもないから。

 何だか鼻の奥がツ〜ンとして、胸がモヤモヤしてる。
「は〜ぁ」
 大きなため息一つ、電話を机の上に置いて、着替えようと服を脱いでいく。
 ブラを外したところで、案の定、彼女たちが自己主張してた。
 前はこんなこと無かったのになぁ。
8 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月13日(日)01時09分19秒
 ――だって寂しいんだもん。構ってよ。あんたも寂しいんでしょ?
 そうだよ。寂しいさ。だけどねぇ……。
 ――理屈で誤魔化すのは、やめなよ。私たちには分かってるんだから。
 …………。

 説得されたことにして、ふらっと歩いてベッドの上に横たわる。
 ――早く♪ 早く♪
 鼓動と同期して小さく震えながら、乳首ちゃんたちが合唱してる。
 おずおずと両手を伸ばして……彼女たちを包むと同時に、私も、梨華ちゃん
のイメージに抱かれていった。
9 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月14日(月)06時49分35秒
 電話を切った後、ベッドの上にタオルを敷いて、さっさと全裸になってまるで
当然のように胸元に指を這わせる。
 だって明日香ちゃん欠乏症で、どうにかして不足分を補わなきゃいけないから。
「ふぅ……」
 やわやわと乳首ちゃん達と戯れ遊ぶ指先。

 この指は私。
 この指は明日香ちゃん。
 可愛かった昨日の明日香ちゃんを思い出しながら、自分の身体に明日香ちゃん
をダブらせてた。
10 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月14日(月)06時50分37秒
 私の指が明日香ちゃんを愛撫する。
 親指の柔らかい部分で、乳首ちゃんを軽く弾くように撫でられる。
 ピョコンッて小さく震えてる乳首ちゃん。
「ぁ…ん…」
 明日香ちゃんの喘ぎ。耳から頭の中に響いてゾクゾクしちゃう。
 ねぇ、明日香ちゃん。気持ちいい?
11 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月14日(月)06時51分18秒
 明日香ちゃんの指が私の乳首ちゃんを撫でる。
 軽く弾かれるようにされて、身もだえしちゃう私。
「ぁ…ん…」
 乳首ちゃんから腰の裏側を電流が走り抜けて、堪えきれずに声がもれる。
 私も、その気持ちよさに熔けていった。

 一つの指の動きから、二通りの性感が身体を伝っていく。
 イメージと感覚が交錯し、快感が二乗になって襲ってくる。
 明日香ちゃんを気持ちよくすると、私も気持ちよくなれるの。
 だから、もっと……。
12 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月15日(火)16時41分54秒
梨華を責める明日香
あんまり想像できないですね
H関係はどうみても梨香華の方が1枚上手だからな(w

ところで羊の石川福田組が油断してたら・・・・
13 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月16日(水)11時09分41秒
>>12
 そうなんですけどね。
 明日香も一生懸命なんですよ(藁

 石川福田組、本当だ…復活しますかねぇ?
14 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月16日(水)11時10分20秒
 梨華ちゃんを気持ちよくしてあげたい。
 だからレッスンのつもりで、客観的に見ると笑っちゃうくらい真剣に、自分の身体
を梨華ちゃんだと思って触ってた。
 自分でも動きがぎこちなく感じてしまう指に、ちょっとイライラしながら、すぐに
梨華ちゃんのようには出来ないって自分に言い聞かせる。

「焦んなきゃいいんだよ。慌てず、ゆっくり、ソフトタッチ」
 吉澤のアドバイスを思い出して、指先に集中して触れるか触れないかでゆっくりと
動かす。
「ぁ…」
 今までのぎこちなさが嘘みたいに、梨華ちゃんに触れられた時と同じ快感が走る。
15 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月16日(水)11時10分53秒
 前に一度、梨華ちゃんと触れ合ってるうちに、無意識にマネしてたことがある。
 あの時、梨華ちゃんは本当に感じてくれてた。
 今もあの時と同じ感じ…だと思う。
 自信はないけど……。

 そのうちに、だんだん息が荒くなってきた。
 梨華ちゃん…もう、良いかなぁ?
 躊躇いがちに、ゆっくり手を下の方に伸ばす。
「……ぅぁ……」
 すっかり準備万端。
 湿り気を帯びてて、指を滑らかに受け止めてくれる。
16 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月16日(水)11時12分44秒
 り…梨華ちゃん、入れるよ?
 もう精神的に余裕が無くなってる。
 のどはカラカラ、唇はカサカサ。
 ドキドキしながら、改まった気持ちで指を進める。
 やっぱり上手に愛してあげたいから……。

 でも、いくら梨華ちゃんだと思っても、実は私自身なわけで……一生懸命にやれば
やるほど、あっと言う間に、ふわふわって気が遠くなってきた。
 今度は梨華ちゃんを悦ばせてあげられるかなぁ……。
 目の前がチカチカ光る中で、ただそれだけを考えてた。
17 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月17日(木)00時30分08秒
 イメージの中で明日香ちゃんは昨日と同じようにイッちゃって……ついでに
私も……。
 二人だけの喜びの時間を味わってる。
 何とか明日香ちゃん欠乏症も治まってくれそう。

 しばらくそのままボ〜ッてしてたら、昨日の明日香ちゃんの言葉を思い出し
た。
「どっちかがどっちを気持ちよくするだけじゃ嫌じゃない?」
 明日香ちゃんは真剣な顔で言ってたけど……どうだろう。
 私は無理しなくてもって思うんだけど、明日香ちゃんに言わせると、
「二人で幸せになるため」 
ってことらしいし……。
18 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月17日(木)00時30分47秒
 別に私はイヤじゃないし、明日香ちゃんが一生懸命に考えてくれるのは嬉し
いけど、あんまりにも明日香ちゃんが真面目だから心配になっちゃうよ。
 自分を追い込んじゃってるように見えなくもないし。
 私はホントに、明日香ちゃんが良かったら、それで満足なのに。
 それじゃダメなのかな〜?

 ちょっと寒くなってきたし、お風呂に入った。
 身体を洗いながら、まだ引っかかる。
 明日香ちゃん、何でそんなことが気になっちゃうんだろう?
 自然な流れに任せてれば良いんじゃないかなって思うんだけど。
19 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月17日(木)00時31分23秒
 私は、恥ずかしそうにモジモジしてる明日香ちゃんもスキ。
 いつもキリッとしてて、他の誰にも見せない姿、私だけの明日香ちゃんだか
ら。
 今のままの明日香ちゃんで、私は十分スキなのに。
 って言うか…ホントは、明日香ちゃんが離れていっちゃいそうで心配で……。

 一つくらいは私に頼りっきりなこと、残しておいてほしいの。
 いつまでも、私に抱かれて身もだえしてる明日香ちゃんでいてほしいよ。
 でも、明日香ちゃんは根っからのしっかり屋さんだから……。
「は〜ぁ」
 ため息出ちゃうね。
 お風呂から上がってパジャマに着替えて、バサッてベッドに倒れ込む。
 降りたブラインドの隙間から、チカチカッて街明かりがこぼれてた。
20 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月18日(金)19時13分24秒
 翌日も、お母さんに
「早く帰ってきなさいよ」
って言われながら仕事に送り出される。
 ……ずいぶん信用なくしちゃってるなぁ。

 でも、それも仕方ないかな。
 連続で外泊したり、夜に雨に打たれながら歩いて帰って来たり……。
 心配しない方がおかしい位。
 私のことを思ってくれてるわけだから、親には感謝しないと。
21 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月18日(金)19時14分05秒
 ……それでも梨華ちゃんには会いたいよ…。
 だから、今は我慢して信頼を取り戻さないとね。
 まずは、家に梨華ちゃんを呼んでお泊り会が出来るまでには回復させなきゃ。
 仕事をしながら、そんなことをあれこれ考えてた。

 昼休みにメールを送ったら、梨華ちゃん、
「メールありがとう! これで明日香ちゃん欠乏症が治っちゃったよ♪」
だって。
 思わずクスッて笑いながら返信する。
「私も梨華ちゃん不足が解消されたよ」
って。
22 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月18日(金)19時14分38秒
 何だか急に周りがポカポカしてきた。
 会えないことは切なくて、寂しくて……。
 でも、会えなくたって梨華ちゃんと私は繋がってるよね。

 メールとか電話とか、手段は何だって良い。
 おしゃべりだって文字だって、少しでも触れ合うことさえ出来れば、互いに元気に
なれるから。
 切なさなんて忘れられる。
 梨華ちゃんも頑張ってる。
 私も頑張らないとって。
23 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月18日(金)19時15分08秒
 メールをもう一度読み返して、
「よしっ!」
って気合いを入れ直す。
 梨華ちゃんのお陰で午後の仕事もはかどって、帰りには両親にケーキまで買っちゃった。
 これでご機嫌をとって、お泊まり会を許してもらおうって魂胆。

 ワクワクしながら家路を急ぐと、寂しげな黄昏時の人影さえ、何だかユーモラスに感じて
くる。
 梨華ちゃんと抱き合ったあの公園の横を通って、笑顔で帰宅。
 さぁて、お泊まり会開催を認めさせなくちゃ。
 梨華ちゃんと私の未来は、交渉手腕にかかってくる。
 気を引き締めていかないとね。
 ドアを開けた瞬間から、私は名外交官に成ってるはず。
「ただいまぁ!」
24 名前:完名無 投稿日:2002年01月20日(日)07時08分07秒
家族と同居の恋人持ち…は
そこが大変なわけですよね。
大事なところ。
25 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月21日(月)10時53分56秒
>>24
 カキコ、ありがとうございます。
 梨華ちゃんとの時間を切り開くため、明日香には頑張ってもらいますよ。
 「なちふく」に負けないように、頑張りまっす!
26 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月21日(月)10時54分53秒
 明日香ちゃんからのメールを何度も読み返す。
 私だけが寂しいんじゃない。
 明日香ちゃんだって、ジッと耐えてる。
 たった一回のメールのやり取りで、
「私も梨華ちゃん不足が解消されたよ」
って、喜んでくれる。

 私だって頑張るゾ!
 やる気満々で、午後からの雑誌の取材に臨む。
 新曲への思いとか、最近はまってることとか、ワイワイにぎやかに受け答えする。
「…え〜と……これはインターネットで見かけた情報なんで、本当かどうか分からな
いんですが」
 そろそろ取材時間も終わりってところで、記者の人がそう前置きして質問してきた。
「石川さんが、脱退した福田明日香さんと一緒にいたのを見たっていう情報なんです
が…これ、本当ですか?」
27 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月21日(月)10時55分30秒
 瞬間、ヒヤッとしたものが背筋を走った。
 別に一緒にいたって問題ないよねって思いながら、でも、もしそれ以上のことが
バレたらっていう心配がのどを塞いでた。
 私が黙っちゃったことで、イヤな空白が広がる。
 ど…どうしよう。
 何かに圧迫されてるみたいに息が苦しくなって、もうパニックだった。
28 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月21日(月)10時56分21秒
「そうなんですよぉ」
 声がした方に、一斉に視線が集まる。
 飯田さん……。
「前に明日香がコンサートに来てくれて、その時に、仲良くなったみたいでぇ。私も
二人のこと、応援してるんです」
 突然のことで、私は話についていけずに、どう話を合わせたらいいのかも分からな
かった。
「それは…どういう……」
 でも、それは記者の人も同じだったみたいで、怪訝な顔で飯田さんを見つめてた。

「明日香と石川は、同い年なんですよぉ。だからぁ、『一緒に遊んであげてね』って。
ね?」
 平然とそんなことを言う飯田さん。
 私はただ肯くのが精いっぱいで……。
 リーダーの横顔が、何時にも増して頼もしかった。
 ……何となく、だったけど。
29 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)00時52分33秒
 ダイニングに入ったら、お父さんがテレビを見てた。
「よぉ、お帰り。今日は早いんだな」
「うん。まぁね…」
 いきなり釘を刺された感じ。

「それよりさぁ、ケーキ、買ってきたよ」
「へぇ、どうしたんだ? 何か、ねだろうって言うんじゃ…」
 ……バレバレだったかな?
 でも、ここはとぼけるしかないよね。
「そんなんじゃないよ。ここのケーキ、友だちに好評だったからさ。家にも買っ
て帰ろうかなって」
「ふ〜ん…そっか。じゃ、晩飯の後にみんなで食べよう」
「そだね」
 言いつつケーキを持ってキッチンの方へ歩いて行く。
30 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)00時53分02秒
「お母さん?」
「あら、お帰り」
 チラッて壁時計を見る。
「ちゃんと早く帰ってきたのね」
 …そんなに信用無くなってんのか、今の私……。

「うん。ねぇ、ケーキ買ってきたから、食後に食べよ?」
「あら、珍しい。高いケーキにならなきゃ良いけど」
 中を覗きながら、極太の釘を刺してくる。
 まぁ、そのつもりでいてくれた方が、話が早いって考え方も…ある…かな?
 ちょっと、先行き心配だなぁ。
31 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月22日(火)10時06分42秒
「石川はぁ、ネガティブなんですよ。コンサートのことでいっぱいいっぱいになって
たみたいだから、元メンバーの明日香だったらそういう気持ちも分かるだろうしぃ、
だから『石川と仲良くしてあげてね。お願い』って感じで」
「…はぁ、そうですか」
 飯田さんから私の方へ視線を戻しながら、記者の人は曖昧に肯いてる。
 今度こそ、私がお話ししなきゃ。
 お…落ち着いて……。

「話してみたら、あす…福田さんは、本当に私のことを分かってくれて…すごい励ま
してくれたんです。だから…今、一番元気をもらえる人です」
 自分でもビックリするくらい、スラスラ話せた。
 だって、全部本当のことだから。
 私のこと、一番分かってくれるのは、明日香ちゃんだから。
「へぇ、そうですか。じゃ、今でも会ったりしてるんですね」
「梨華ちゃんだけじゃないですよ」
 安倍さんが、とても嬉しそうに言った。
「電話で話したり、メール送ったり。明日香は、なっちの妹ですから」
32 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月22日(火)10時07分28秒
「え〜! 明日香は矢口の妹だい!」
 矢口さんが口を尖らせる。
「それじゃ、なっちはその上のお姉さんってことで」
 安倍さんは、隣に座ってる矢口さんの頭をポンポンッてしながら、そう言った。
「何だよそれ!」
 ツッコミながら、矢口さんは笑ってる。
 みんなも笑ってた。

「皆さん、仲が良さそうで…じゃ、そろそろ時間なんで。今日はありがとうございま
した」
 記者の人が立ち上がりながら頭を下げてる。
『ありがとうございました!』
 声をそろえて言いながら、心の中でホッと胸をなで下ろしてた。
33 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月22日(火)12時25分27秒
いいらさんの失言に少し期待してしまった・・・
でもこの騒動?はこの先も続くんでしょうか
34 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)12時34分20秒
>>33
 ここで失言しちゃうと、リーダーとしてあんまりなので……。
 今回の取材は、後々の複線になる…はず(藁
35 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)12時35分22秒
 両親と弟と一緒に夕食を食べる。
 お祖母ちゃんはもう店に降りちゃってるから、一家全員ってわけじゃないけど、四人
そろっての夕食は、本当に久しぶりだ。
 和やかな団らんのひととき……にはならなくて、弟は「友だちと約束があるから」と
か言って、バクバク食べ散らかして、さっさと出掛けちゃった。
 それでも家族って良いなって思っちゃうのは、吉澤のこととか、いろいろあったから
かな。

「…それで?」
 私が買ってきたケーキとコーヒーを目の前にして、お父さんが私を見つめてた。
「何が?」
「何か話があるんだろう?」
 先刻お見通しって訳で……。
 キッチンから手を拭きながら戻ってきたお母さんが、お父さんの隣に座る。
 向かい合ってた私も、思わず座り直しちゃう。
36 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)12時36分15秒
 いや…何か、深刻な場面になってきてない?
 重大な告白に相応しい場面って言うか……。
 ともかく私としては、機嫌の良さそうな時に、ほんの軽い感じで、
「ねぇ、今度、家でお泊まり会してもいいでしょ?」
って言おうかって思ってたのに。
 そんな雰囲気じゃなくなっちゃったじゃん。

「で? どこの誰なんだ?」
 誰…って?
 梨華ちゃんのことを聞いてるのかな?
「石川さん…」
「石川…その子のところに泊まってたのか?」
 間髪入れずに尋ねてくる。
「そう…だけど」
「そうか……」
 何かやっぱり、空気が違う。
37 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月22日(火)12時37分11秒
 しばらくは無言。
 必要以上に深刻な雰囲気がジワジワと広がっていく。
 一体、この重さは何?
「あのぉ…お父さん?」
 耐えきれずに声を掛けた私をジッと見て、一つ咳払い。
「それで…明日香は…好きなんだな?…その男の子のこと」
 ……ハァッ?!

「ちょ…ちょっと、お父さん! 何の話?!」
 驚いてる私の顔を見て、お父さんもお母さんも、怪訝な表情。
「何の話って……外泊するほど明日香が好きな男なら、父さん達も真剣に考えなきゃ
ならんと……」
 うっそ…何だかものすごくショックだった。
 お父さん達には私、そういう風に見られてた訳?
38 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月22日(火)13時49分57秒
 次のお仕事への移動で車に乗り込んだ時に、さり気なく飯田さんの隣の席をキープ
する。
「飯田さん、さっきはありがとうございました」
「? 何がぁ?」
 不思議そうな顔。

「明日香ちゃんの質問…必要以上に焦っちゃって……」
「あぁ、さっきのあれね。別に気にしないでいいよ」
「ありがとうございます」
「いいって」
 笑ってる飯田さんは、また一段と美形で…。
 でも大丈夫だよ、明日香ちゃん。
 惚れちゃったりしないから。
39 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月22日(火)13時51分29秒
「石川…明日香とは上手くいってるんだね?」
 突然、そんな風に確認してきた。
「はい♪」
「ふ〜ん……」
 ちょっと首を傾げて私の目を、ジ〜ッと見つめる飯田さん。

 ……そんなに見つめられたら、ドキドキしちゃうじゃないですか。
 普通、絶対に誤解されますよ?
 でも、私は大丈夫だからね、明日香ちゃん。
 私には明日香ちゃんがいるから、明日香ちゃんだけで満たされてるから♪
40 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月22日(火)13時52分01秒
「……やっぱり、明日香の気持ち、分かんない」
 飯田さ〜ん! 大真面目に考えた結論が、それですか?!
「石川…あんた自分で、何で明日香に気に入られたか分かる?」
 そんなの私に聞かないでくださいよ…悲しくなっちゃうじゃないですか。
 なのに飯田さん、私のこと、まだ見つめてる。
 明日香ちゃ〜ん、助けて〜!!
41 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月23日(水)00時36分35秒
 けど、梨華ちゃんとのことは、お父さん達が言うような意味合いもあるかも
知れない訳で……。
 ある意味、鋭いのかもしれない。
 でもそんなことは、今言うようなことじゃない。
「…石川さんって、モーニング娘。の石川梨華さんだよ?」
「……そうなのか? 父さん達に嘘ついてるんじゃないのか?」
「本当だって!」
 あんまりにも私のこと信用してないから、ちょっと腹が立ってきた。

「自分達の娘を信じなさいって」
 やっと不信を拭えたのか、二人とも、あからさまに安堵の様子が表情に現れ
てる。
「そうか…そうだな」
 ホッしながら、カップを口に運んでる。
 一気に空気が弛んだ。
 今がチャンス!
42 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月23日(水)00時37分24秒
「…それであのぉ…信用ついでにお願いするんだけど……」
「何だ?」
 明らかにさっきとは違って気安い調子の返事。
「その石川さんがさぁ…また家に遊びに来たいって言ってて…お泊まり会、し
てもいいでしょ?」
「家で? そうだなぁ…母さんが良いって言うなら、父さんは別に……」
 やった! 第一段階クリア。

「石川さんって、この間も来てた子でしょ? 母さんだって、別に構わないけ
ど…良さそうな子だったし」
 おぉっ! 梨華ちゃん、お母さんに好印象じゃん!!
「…ちょっと声がキンキン響くのが、あれだけど」
 一言余計だよ、お母さん…。
「でも大丈夫なの? 忙しいのに、家なんかに来てもらっても、大したことで
きないけど」
「良いんだって。しゃべってるだけでも楽しいって言ってくれてるし。気分転
換になるってさ」
「それなら良いけど……」
 よしっ! すべてクリア!!
43 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月23日(水)00時38分03秒
「じゃ、石川さんの予定聞いて、それで日程決めるからね?」
「はいはい…でも、あんまり急には困るわよ」
 う…やっぱり明日って訳にはいかないか…そりゃそうだよね。
 まぁ、それは仕方がない。
 お泊まり会が実現できるんだから、無理ばっかり言うわけにはいかないよね。

 浮き浮きしながら部屋に戻ろうとして、ダイニングのドアのところで振り返る。
「お父さん、お母さん…」
「ん?」
「…ありがと…ね」
 お父さんはカップ片手に、お母さんはキッチンに向かいながら、同じように
笑ってた。
44 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月23日(水)15時49分25秒
「ウッソ〜?!」
 思わず叫んじゃった。
 だって、明日香ちゃんからのメールに、
「お泊まり会、OKだよ。いつが良い?」
って書いてあったから。

 会える。明日香ちゃんに。
 息が止まりそうなほどに胸が高鳴って、見つめすぎて視界が曇っちゃってた。
「石川?……交信中?」
 飯田さんに言われちゃうほど、携帯電話を両手で顔の前に持って、穴が開くほど見
つめてた。

「石川? ホントにどうしちゃったの?」
 今度こそ、本気で心配になったみたい。
「お泊まり会……」
「は?」
 キョトンとした飯田さんの方に向き直る。
45 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月23日(水)15時50分05秒
「明日香ちゃん家でお泊まり会するんです!」
 二回、三回と瞬き。
「…ふ〜ん…あっそう…良かったね…」
 あ。飯田さん、何でそんなに冷たい反応なんですか〜?
 一緒に喜んでくださいよ。
「何でかなぁ?…石川がはしゃいでると、何か、素直に喜べないって言うかぁ」
 ひ…ひどい……。

「まぁ、でも良かったっしょ。明日香も喜んでるなら、それで良し!」
 明日香ちゃん…今でも皆さんに愛されてるね。
 私は……まぁいいや。
 明日香ちゃんの愛だけあれば……寂しくなんて……シクシク。
46 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月23日(水)15時51分01秒
 始めてでもあるまいし、何でこんなにドキドキしてるんだろう。
 梨華ちゃんに会える。
 そのことが、こんなに心をときめかせるなんて……。
 折角、梨華ちゃんを家に迎えるんだから、何かでおもてなししないとね。
 何にしよう?

 ♪〜。
 浮き浮きしながら、あれこれと考えてたら、梨華ちゃんから返信メール。
「やった〜! 今日の夜からでも行きたいよ。でも、それじゃご両親に迷惑かけちゃ
うからガマンだね。私、四日後がオフなの。その前の夜からお泊まりしたいな。大丈
夫かどうか、ご返事待ってるね。☆☆梨華☆☆」
47 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月23日(水)15時51分42秒
 明々後日かぁ。
 ため息出そうなほど先のことにも思える。
 でも、会える日が決まれば、腹も決まるよね。

 お母さんに確認したら、
「その日、お母さん、地区の寄り合いで出ちゃうわよ」
って。
「いいよ別に。私が待ってれば、それで十分」
 自分で、自信満々の自分に驚くくらい、キッパリ言い切る。
「それなら、その日でもいいけど……」
 お母さんは、「ホントに大丈夫?」って感じだったけど、全く問題なしだよね。

 梨華ちゃんと私が直接会う。
 その一大イベントだけで、もう十分。
 後のことは、ほんの些細なこと。
 私自身がどうやって梨華ちゃんを迎えるか、それだけを考えれば良かった。
 部屋に戻って、ああでもない、こうでもないってワクワクしながら企画を練り続け
てた。
48 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月24日(木)02時01分36秒
お泊り会がリーダーからあのお方の耳に入った時が
心配だ。
49 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月24日(木)09時40分18秒
>>48
 あ、展開読まれてる(藁
 どうなるかは……お楽しみってことで。
50 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月24日(木)09時41分04秒
 明日香ちゃんから、「OK」のメールをもらって、心はもう三日後。
 お仕事から明日香ちゃん家に駆けつけて、ドアを開いたら明日香ちゃんが待ってて
くれて……。
 後はもうアツアツのラブラブ♪
「キャ〜ッ!」
 両手をほっぺに当ててジタバタしたり。

「……梨華ちゃん? 何してんの?」
 見上げたら、ごっちんが不思議そうな顔で私を見てた。
「エヘヘ〜。知りたい?」
 顔が弛んじゃってるのが自分でも分かる。
「…ううん。別に」
 何故だか一、二歩後ずさりながら、ごっちんはそんなつれないことを言う。
51 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月24日(木)09時41分46秒
「ウッソ。知りたいくせに〜」
「いや、ホント。別に知りたく…」
 皆まで言わなくても教えてあげちゃう。
「あのね〜今度、明日香ちゃん家にお泊まりに行くんだよ」
「へぇ…良かったね」
 口の中で「あ〜ぁ」って感じの呟きを飲み込んだのは、聞こえなかったことにしよう。

「うん! もう楽しみで仕方なくて〜」
「あ…うん。そうだろうねぇ」
「でしょでしょ? ごっちんもそう思うよね〜?」
 もう浮かれちゃって、その後も一方的にしゃべり続けてた。
52 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月24日(木)09時42分33秒
 ペシッ!
 後頭部に軽い衝撃。
「あ痛っ!」
「梨華ちゃん、しゃべりすぎ。うるさい」
 振り返ったら、怖い笑顔を浮かべたよっすぃ〜が仁王立ちしてた。

「痛〜い。ひどいよ、よっすぃ〜」
「梨華ちゃんがうるさいからいけないんだよ。ごっちん、困ってるじゃん」
「そんなことないよね〜?」
 楽しくおしゃべりしてただけなんだからって、ごっちんに同意を求めた。
「えぇと…」
 ごっちん、何で困った顔してるの〜?

「そんなことあるの!」
 よっすぃ〜決め付ける。
 睨み付けられてタジタジッてなったところを、よっすぃ〜はごっちんの手を引いて
行っちゃった。
 よっすぃ〜の怒りんぼう!
53 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月24日(木)09時48分51秒
 結局、別にパーティーって訳じゃないから、部屋の飾り付けをする必要もなく、かと言って、大したプレゼントを買えるわけでもなく、取り敢えず手作りのデザートでもてなそうって考えた。
 メニューは「お茶のムース」に決定。
 何でかって言うと……レシピも見ずにちゃんと作れるのは、これしかなかったんだよね。
 我ながら、ちょっと情けない。

 「それでもね」って、気を取り直す。
 梨華ちゃんと一緒にデザートをつつきながら、たくさんおしゃべり出来たら、それだけで幸せだから。
 大体の材料は、普通に手に入る。
 味の決め手はお茶な訳だけど……これだけは普通のお茶じゃ芸がない。
 これくらいは凝らないとね。
54 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月24日(木)09時49分35秒
 都内でも美味しいお茶は手に入らないことないけど、前にお祖母ちゃんがお土産に
買ってきたお茶で作ったムースが、これまでで一番の出来だったから、何とかそのお
茶を使いたい。
 でも…どうしたら手に入るんだろう?
 !!
 うんうん唸りながら考えてたら、パッ!と閃いた。
 確かアイツの実家、あのお茶の産地のすぐ近くじゃなかったっけ?
 取り敢えず確かめてみる価値はある。
 アイツに、また貸しをつくるのは癪に障るけど、まぁ、そんなことは大事の前の小
事。
 躊躇わず電話を掛けた。
55 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月24日(木)13時34分05秒
またアイツか
でも個人的にはアイツの株は急上昇してる。
56 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月25日(金)12時12分33秒
>>55
 そうアイツです。
 株、急上昇してますか。良かったぁ……。
 アイツだって、ただの悪役じゃないつもりなので。
 今後の展開にもお付き合いくださいね。
57 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月25日(金)12時13分04秒
 同じ楽屋の中にいるのに、よっすぃ〜から「あっちいけビーム」が放射されてる。
 …もしかして、妬いてるのかな?
 まさかね。
 ごっちんとは、おしゃべりしてただけだし。
 ……でも。

 ごっちんと楽しそうにおしゃべりしながら、時々私と目が合うと、あの怖〜い目で
睨まれる。
 よっすぃ〜もやきもち焼きだね。
 素直じゃないし。
58 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月25日(金)12時13分42秒
 そんなこと考えてたら、ドアから安倍さんが入ってきた。
 ゾクッ。
 何か殺気が……。

「梨華ちゃん」
 気がついたら、目の前で安倍さんが微笑んでた。
 満面の笑み。
 なのに怖い……。

「圭織から聞いたべさ…お泊まり会だって?」
 あ…安倍さ〜ん……。
「なっちは梨華ちゃんを、そんな風に育てた覚えはないよ?」
 いや…あの…育てられた覚えもありません。
 でも、そんなことは怖すぎて言葉に出来ない。
59 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月25日(金)12時15分29秒
「明日香…と梨華ちゃんを、不良の道から更正させないと」
 不良の道って…更正って……。
「あの…安倍さん?」
 天井の一点を見つめて、拳を振りかざしてる。
「お泊まり会、断固阻止!」
「えぇ〜!!」

「『えぇ〜!!』って何だべか」
 ギロッて睨まれた。
「いえ…だって、別にお泊まり会なんて、みんな普通にやってるじゃないですか」
「みんなは良いの。でも、明日香と梨華ちゃんはダメ!」
 そんな理不尽な〜。
 遠くで、よっすぃ〜の携帯が鳴ってたみたいだけど、私の耳にはただ安倍さんの
「ダメ!」って言葉だけが聞こえてた。
 泣いちゃいそうだよ〜。
60 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月25日(金)22時32分42秒
なっちぃ〜〜!!
なっちも一緒に行こうぜ〜!と、なにげに、なちふくヲタ(W
61 名前:完名無 投稿日:2002年01月26日(土)01時10分13秒
>>60
そんなことを書いてはいか〜ん!(w
そういう展開を想像するとそりゃ、それはそれでもちろんときめくけど(w
でも、作者の行きたいところに行きたいように行って欲しいじゃないか。

カップリングとして考えるとやっぱり
なっちより梨華ちゃんのが相性は上な気がするんですがいかがでしょう?
体の関係有りで、明日香受だと特に…ね、そう思い知らされますんですけど。

62 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)03時19分27秒
>>60
 なちふくヲタ、ハケーン!(藁
 この作品ではねぇ、なっちの愛はなかなか報われんように出来てるん
ですよ(シミジミ
 それでも負けないなっちを見守ってやってください。

>>61
 なちふく、やっぱりときめきますか(藁
 なちふくはねぇ、あまりにピッタリ過ぎるように思うんですよね。
 梨華ちゃんの方が、明日香がいないとダメって感じが強くて、その分
いろいろバランスが取りやすいです。体の関係含めて。
63 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)03時20分02秒
 電話を掛けたら、すぐにつかまった。
「もしもしぃ?」
『…あぁ、明日香…さんですか。面白い時に掛けてくるね』
 面白い時?
 って言うか、名前と「さん」の間が、わざとらしいっての。
『今ちょうど、梨華ちゃんと安倍さんがバトルの最中だよ』
 梨華ちゃんとなっちが?!
 何やってんだ、あの二人?

『今度、お泊まり会するんだってね』
 何でこいつが知ってるの?
 相変わらずタメ口だし。
『安倍さんがそのこと聞いて、ダメ〜!って騒いでるよ』
 あっちゃ〜…。
 思わず天を見上げた。
64 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)03時20分49秒
「…だいぶ激しそう?」
『そうだねぇ。かなり揉めてるよ』
 吉澤は何だか楽しそうだ。
 まったく、トラブルが好きなヤツだなぁ。

「何とか治められない?」
『私が? 何でそんなことしなきゃいけないんだよ。大体、梨華ちゃんはとも
かく、安倍さんは私じゃ無理。自分で何とかすれば?』
 そう言うと思ってたよ。
「…この電話、なっちに替わってくれる?」

 電話の向こうで、
『安倍さ〜ん』
って吉澤が呼ぶ声。
『何、今取り込み中』
なっちの不機嫌そうな声が聞こえる。
『いいですから、ちょっと』
『もう!』
65 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)03時22分49秒
『もしもし?』
「…あ、なっち?」
『明日香ぁ!?』
 いや、なっち…そんなに叫んだら耳痛いっす。
『何、何? どうして明日香が?』
 まぁ、そんなことは良いじゃないすか。
「なっちにお願いがあるんだけど…」
 ちょっと声で可愛子ぶっちゃったり。

『言ってご覧。なっち、明日香のお願いだったら、何でも聞いてあげる』
 …なっち、単純すぎ。
 あの笑顔が目に見えるようだよ。
「もう聞いたと思うけど…お泊まり会するの許してほしい」
『え……そ、それはダ……』
「お願い!」

 無言のなっち。
 たぶん、眉を寄せて可愛く困った顔してるんだろうなぁ。
「ね? なっち、お願い」
『ん〜…明日香の意地悪…』
 しかし、この人の可愛さは、こういう時に実感するよね。
 拗ねても、取り乱しても、とにかく可愛い。
 生まれつき可愛いんだろうね。
 まぁ、それはそれ。
 今はとにかく説得あるのみだね。
66 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月26日(土)03時23分43秒
「明日香ぁ!?」
 よっすぃ〜の携帯に向かって、安倍さんが叫んでる。
 え、何で?!
 明日香ちゃんが?
 よっすぃ〜の携帯に?
 しかも安倍さんとお話ししてる。
 何で私じゃないの…?

 眉が寄って、目尻がつり上がり気味に。
 自分でも、みるみるうちに機嫌が悪くなっていくのを感じた。
 イヤだな。やきもち焼くなんて。
 でも…でもね、やっぱり気になっちゃうよ。
67 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月26日(土)03時24分21秒
 何で、よっすぃ〜に電話してきたの?
 何で、私じゃなくて安倍さんとお話しするの?
 そんな他愛もない疑問。
 でも、私にとっては重要なことなの!

 明日香ちゃん。
 他の人なんて気にしないでほしい。
 私だけを見ててほしいよ。
 明日香ちゃん…明日香ちゃん……電話なんかつながってなくても、いつでも
返事をしてほしい。
 無茶苦茶なお願いしてるね。
 自分でも分かってる。
 でもね、明日香ちゃん。
 私、明日香ちゃんだけには、無理なお願いがしたいの。
 きっとそれは…明日香ちゃんが、他の人じゃ替えられない私の特別だから……。
68 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)10時17分21秒
 電話の向こうじゃ、なっちの長〜いため息。
『……分かった』
「ホント?! なっちって物分かりが良いから好き」
 私も案外、調子がいいなぁ。

『エヘヘ』
 それでも素直に受け止めちゃうのって、なっち、感心するほど単純だね。
 でも、好きっていうのはホントだよ。
 もちろん、梨華ちゃんへの好きとは違うけど。
69 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)10時18分19秒
『でもでも、今度はなっちも明日香ん家にお泊まりしたいよ』
 え?!
「…今度ね。考えとく」
『絶対だよ? ウソッこ無しだよ?』
 なっちが、しつこいくらいに繰り返すから、思わず
「うん…分かった」
って言っちゃった。
 まぁ、何とかなるでしょう。

 電話の向こうで大喜びしてるなっちを、何とか落ち着かせて、吉澤に替わっ
てもらう。
『よっすぃ〜で良いの? 梨華ちゃんは?』
 今のところは、お茶を手に入れることが先。
 梨華ちゃんには、またゆっくりと電話するから良いよ。
『ふ〜ん…じゃ、よっすぃ〜に替わるね』
 やっと本題に入れる。
 梨華ちゃんのためにも、何とか吉澤を説得しないとね。
 頑張るぞ!
70 名前:60 投稿日:2002年01月26日(土)15時33分20秒
怒られちった(W
いや、あすりかヲタでもあります
負けないなっちを見守りたいと思います。
なっちは本当に明日香家に行けるのか!?(行けなさそう(W
ま、チャーミー銀杏さんが書きたいようにいっちゃってください!
楽しみに待ってますんではあとはあと

でも、あすりかでもなちふくでも結構どっちもなっちって不憫な役かも(W
なっちが強烈すぎて明日香が引くんでしょうか
その分、梨花ちゃんは甘え上手っていうか(W
71 名前:完名無 投稿日:2002年01月26日(土)17時35分06秒
>でも、あすりかでもなちふくでも結構どっちもなっちって不憫な役かも(W

ほんと〜に、まったくもってその通りですよね…。
なんでそうなんだか…(w
梨華ちゃんの甘え上手さというか特攻精神(wというか
そのへんが明日香のお相手には必要な気がしますよね。
だからやはり梨華ちゃんのほうが恋人としての相性は
上かと思わざるを得ない…。

72 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)19時53分32秒
>>70
 確かに不憫な役が多いなっちですが、それが似合ってしまういじらしさ(藁
 なっちのことを、ここだけでなく、引き続き見守ってあげてください。

>>71
 梨華ちゃんの場合、まさしく特攻精神、それも神風特攻(藁
 その悲壮感が明日香を突き動かすのかも。
 でも、なっちには「いじらしさ」という武器があるわけで……。
 なちふく、楽しみにしてます。
73 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月26日(土)19時54分14秒
『梨華ちゃんは?』
 安倍さんの声がはっきり聞こえて…ドキドキしちゃった。
 やっぱり明日香ちゃん、私のことが最優先だよね。

『ふ〜ん…じゃ、よっすぃ〜に替わるね』
 え?!
 何で〜!!
 私に替わってくれないの?
74 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月26日(土)19時54分54秒
 携帯をよっすぃ〜に渡して、ニヤニヤしてる安倍さんの方へ迫る。
「ひ…ひどいじゃないですか、安倍さん!」
 いくら直前にケンカしてたからって、電話くらい替わってくれても……。
「だって、明日香が替わらなくて良いって言ったから」
 ガ〜ン…あ…明日香ちゃん……何で〜?!

 弔鐘のように響く絶望の音色が、繰り返し繰り返し聞こえてくる。
 ガ〜ン…ガ〜ン…ガ〜ン……。
 もしかしたら…明日香ちゃんに見捨てられちゃった…の?
 泣いちゃいそうだよ。
 いや〜!!
 明日香ちゃん、私を捨てないで〜!!
75 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)19時56分00秒
 何だか一瞬、梨華ちゃんの叫び声が聞こえたような気がしたけど…気のせい
かな。
『もしもし? 私に用なの?』
「うん…あのさぁ、お願いがあるんだよね」
『へぇ。明日香…さんからお願いとはねぇ』
 …言い方がいやらしいけど、気がつかないふり。

「お茶…なんだけど」
『はぁ?! お茶って…飲むお茶?』
 素っ頓狂な声。
「そう。確か狭山茶って地元の名産じゃなかったかなぁって思って」
 地元の名産くらい、知ってるよね?
『…あぁ、そんなのもあったかも』
 大丈夫?
76 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)19時56分34秒
『確か近所に店があるよ』
 それだ!
「そこでパウダーのやつ、買ってきてくれないかな?」
 パウダー状のものが売ってるってことは調査済み。
『パウダー?! しかも何で私が……』
 あからさまな不満の声。
「お願い!」
 ここで退いてなるものか!

 まだ無言の吉澤に、
「お願い!」
って、重ねて頼み込む。
『…まぁ、ホントにすぐ近所だし、良いけどね』
 やった!
「ホントに?! 嬉しい!」
 こういうときは、素直に喜んでやるのが礼儀ってもんでしょう。
 現に吉澤も満更じゃない様子。
『でもさぁ、何でわざわざこっちのお茶が欲しいわけ?』
 そりゃ……梨華ちゃんのためだもん♪
77 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)19時57分11秒
 …そういうことは言葉にせずに、
「折角だからさぁ、良いお茶が欲しくて。『色は静岡 香りは宇治よ 味は
狭山にとどめをさす』って謳われてるくらいだから」
『…何それ?……何でそんなこと知ってんのさ?』
「いや、ちょっと…ね」
『まぁ良いけど』
 とにかく、これで準備は万全。
「Thanks! 恩に着るよ」

 思わず口をついた言葉に、吉澤がとんでもないことを言い出した。
『じゃあ…今度、ちゃんと抱かせてくれる?』
 妖しい声にのって、そんな言葉が脳天直撃。
「え?!……」
 絶句とは、まさにこのことで。
78 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月26日(土)19時57分42秒
「そ…そそ、そんなの、ダ…ダメに、き…決まって……」
『ちょっとぉ、そんなに怯えないでよ。ちょっとした冗談じゃん』
 冗談…かなりホッとしながら、心の中で、
(いや…それは無理っす。あんたの怖さは身にしみちゃってるからさ)
って呟く。

『とにかくさぁ、お茶の件はOKだから。明日か明後日になると思うけど、買っ
たら電話するってことでいい?』
「あ、うん…ありがとう」
 それにしても……普通の会話の流れで、「抱かせてくれる?」なんてことが
言えるなんて、こいつは……。
 改めて吉澤の恐ろしさを実感しながら、気を引き締める私だった。
79 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月28日(月)00時06分17秒
 何だか楽しそうに話してるよっすぃ〜を恨めし気な目で睨みながら、すっか
りネガティブな私。
 …明日香ちゃん、私より安倍さんやよっすぃ〜とお話する方が楽しいのかな?
 私に替わってくれなかったのって、もしかして……。
 次々にイヤな想像が湧いてきて、胸の奥がシクシク痛む。

 こういう時って、イヤなことが重なって起こるもので……。
「石川、ちょっといいか?」
 マネージャーさんに呼び出されちゃった。
「はい?」
 何を怒られるのかとビクビクしてたら、おもむろに何かのコピーを見せられ
た。
80 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月28日(月)00時07分01秒

103 名前:名無しさん
 ヲレ、こないだチャーミーが明日香と二人で歩いてるのハケーンしちゃったゼ

104 名前:名無し募集中。。。
石川と明日香は同い年だし、会うことあってもおかしくないが……
だが、今度は石川が脱退ってこともあるかもな。

105 名前:名無し娘。
>>103
ソースは?

106 名前:名無しさん
>>105
ブルドッグ(w
いやでも、ホントに見たよ。
81 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月28日(月)00時07分46秒
 何これ?
「雑誌の取材で話題に上ってたろ? インターネットで流れてるんだよ」
 ウソ〜…この後も、私が脱退するんじゃないかって話で盛り上がってるみた
い。
 何か怖い……。

「取材の時も言ってたが、福田と会ってるのは本当なんだな?」
「…はい」
 まずかっただろうか。
 でも、明日香ちゃんと会うこと自体は、別に問題ないよね。
「ま、噂っていうのはこんなもんだから。別に俺たちも気にしてる訳じゃない」
 ホッ。
82 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月28日(月)00時08分25秒
「ただな……」
 ドキッ。
「見つからないように、もっと気を配ってくれ」
 思わず目を伏せちゃう。
「はい…」
 でも本当にそうだ。
 第一、明日香ちゃんに迷惑かかっちゃうかもしれないし。

「これからは気をつけます」
 今度はちゃんとマネージャーさんの目を見て、言葉にした。
「頼んだぞ」
「はい」
 マネージャーさんはそんなに怒ってなくて、それどころか微笑んでた。
「…福田によろしくな」
「はい!」
83 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月28日(月)10時50分34秒
 お茶以外の準備も目途が立って、さて部屋を片づけようかなって時に、無性に梨華
ちゃんの声が聞きたくなった。
 さっきは電話でのニアミスになっちゃったしね。
 梨華ちゃんも、そろそろ仕事が終わる頃。
 携帯電話に手を伸ばす。

『…もしもし…明日香ちゃん?』
「もしもしぃ。梨華ちゃん、どうしたの? 元気ないよ?」
 いつになく不安そうな声だった。
『ふ…ふぇ〜ん…ごめんなさ〜い』
 ど…どういうこと?!
 何で泣いてるの? 梨華ちゃんってば。
84 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月28日(月)10時52分06秒
「梨華ちゃん、落ち着いて。ん? 何があったの?」
『明日香ちゃん…私のこと、キライになったりしてないよね?』
 一体、何事?!
「そんな訳ないじゃん。ホントにどうしちゃったの?」
『だって…明日香ちゃん、よっすぃ〜には電話して来たのに、私に替わってくれなかっ
たし……』
 え?…そんなこと?

「梨華ちゃん、気にし過ぎだよ。確かに梨華ちゃんに替わらなかったのは悪かったけ
どさぁ、あの時は、吉澤に用事があったから……」
『…用事って…何?』
 う…まだ梨華ちゃんには内緒にしておきたい。
 けど、何も説明しない訳には……。
「お茶…狭山茶って美味しいお茶が、安く手に入らないかなって。吉澤ん家の近くの
名産だから」
『ふ〜ん……』

 一応納得してくれたみたいだけど、それでもまだ暗〜い雰囲気。
「梨華ちゃん、ごめんなさい」
 考えてみれば、目の前に私とつながった電話があるのに話せないなんて、ちょっと
ブルーになっても仕方ないかも。
 私がその立場だったら、やっぱり「何で話をしてくれないの?」って思うよね。
「ねぇ…許して、梨華ちゃん」
85 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月29日(火)07時34分05秒
 電話の向こうで、明日香ちゃんが心配してる。
 ダメだな〜私。
 いっつも明日香ちゃんに心配かけちゃう。

「…ううん。明日香ちゃんは別に悪くないよ。そのことはもう、納得したから」
『ホント?』
 明日香ちゃん、『良かったぁ』って呟いて、『でも』って続ける。
『梨華ちゃん、まだ暗い感じがするよ?』
 分かっちゃった。
 明日香ちゃんには隠しごとは出来ないね。
86 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月29日(火)07時35分25秒
 まだ私の中で、インターネットのことが心に引っかかってた。
「あのね、明日香ちゃん…インターネットでね…私たちが一緒にいるのを見たっ
ていうのが流れてるらしいの」
『へぇ、誰かに見られちゃってたんだね……それで?』
 明日香ちゃんは、全然平気みたい。
 あれ?
 これって、そんなに悩むようなことじゃないのかな?

「マネージャーさんから、見つからないように、もっと気を配ってくれって言
われちゃった」
 これ以上、明日香ちゃんに迷惑をかけられないもんね。
 十分、気を付けないと。
『そっかぁ…』
 相変わらず明日香ちゃんは淡々としてた。
 そんな明日香ちゃんの様子に、段々、私も大した問題じゃないのかもって思
えてきた。
87 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月29日(火)07時36分20秒
 日ごろから結構ネットはチェックしてる私だけど、最近は、梨華ちゃんとの
こともあって、前ほどパソコンの電源を入れなくなった。
「でも、何か問題になってる訳じゃないんでしょ? これから目立たないよう
に気を付ければいいじゃん」
『うん…でも、何かいつも見張られてるみたいで…怖い』
 そっかぁ。
 怖いか。
 そりゃそうだよね。

 でも一々気にしてたら、梨華ちゃんの方が参っちゃうよ。
「あんまり気にし過ぎない方がいいよ? キリがないからさ」
『うん。ありがとう』
 ちょっと明るい声になってきたかな?
 梨華ちゃんには、いつもポジティブでいてほしい。
 笑顔でいてくれないと、私も笑えないからさ。
88 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年01月29日(火)07時37分09秒
 楽しい話題に切り替えようよ。
「それでさぁ、お泊まり会だけど…」
 なのに梨華ちゃん、まだネガティブ・モードから抜け切れてないみたい。
『うん……私、行っても良いんだよね?』
 何でそんなこと聞くの?
 来ていいに決まってるのに。

『…見つからないように気を付けて行くね』
 やっぱり、マネージャーさんの一言が、気になっちゃうんだね。
「大丈夫だよ。脱退直後はともかく、最近は、家の周りも人目は無いから」
『…うん。楽しみだな〜』
 梨華ちゃんらしい明るさが、やっと戻ってきた。
 やっぱり、梨華ちゃんはそうでなくっちゃ。
89 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月30日(水)03時03分32秒
 その後は、明日香ちゃんのペースに引き込まれて、楽しいおしゃべりが出来た。
 明日香ちゃんとお話してると、私、元気になれるの。
 不思議だよ。
 ネガティブな私をポジティブに変えてくれる魔法使いだね。

 魔女っ子・明日香ちゃん。
 黒いローブでホウキにまたがって、呪文を唱える明日香ちゃん。
「フフフッ」
 想像したら何だか可笑しくなってきて、笑いが止められなかった。
90 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月30日(水)03時04分10秒
『梨華ちゃ〜ん? もしもしぃ…どうしちゃったの?』
 いけない。
 お話の途中だった。
「ごめんなさい。ちょっと…ね…」
『えぇ〜何、何?』
 こんなこと、いくら明日香ちゃんでも言えないよ。

「ダメ〜内緒」
 笑われちゃうもん。
『あ〜何か嫌な感じ』
 言いながら明日香ちゃんも笑ってる。
『あ。もうこんな時間か…』
91 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年01月30日(水)03時05分18秒
 え?!
 時計を見たら、もう一時間以上お話してた。
『じゃ…また電話するね』
 まだまだおしゃべりし足りない感じだけど……時間は意地悪だから。
「うん。絶対ね」
『絶対かけるよ。お休みなさい』
「お休みなさ〜い」

 明日香ちゃんのお陰で、心が軽い感じ。
 ベッドに潜り込んだら、あっと言う間に眠気が襲ってきた。
 お仕事、明日も頑張ろう。
 それから、いっぱいいっぱい楽しいことをするの。
 明日香ちゃんに、楽しいことをいっぱいお話したいから。
92 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時33分49秒
 翌日も、合間合間にメールを梨華ちゃんに送りながら、仕事とお泊まり会の
準備で、何気に忙しく過ぎていく。
 吉澤からはまだ連絡がなくて、ちょっと焦り気味。
 まぁ、いざとなったら、手に入れられないって物でもないし、何とか買いに
走れるだろう。
 …懐に激痛が走りそうな気がするけど。

 仕事からの帰り道、思い出してシャンプーを買い足す。
 梨華ちゃんと同じ香りのシャンプー。
 あれからずっと、これを使い続けてる。
 そのせいかどうか、私はどんどん梨華ちゃんに染まって行ってるね。
93 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時34分46秒
 急に振り返った時とか、自分の髪の香りが梨華ちゃんと同じで、何だか嬉し
くなるんだよね。
 いつも梨華ちゃんと一緒にいられる。
 今度のお泊まり会、二人で頭を洗い合ったりして……。
 そんなこと想像してる自分に気づいて、一人で真っ赤になったりしてる。
 イカンねぇ。

 部屋を片づけるつもりが、いつの間にやら模様替えみたいになってる。
 もう客間の布団も運び込んだ……梨華ちゃんは「いらない」って言うかもし
れないけど。
 それがちゃんと敷けるように場所を確保しようとしたら、自分のベッドがちょっ
と邪魔で。
 あれこれ考えたら、入り口のすぐ横しかなかった。
94 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時35分20秒
 でもねぇ。
 いきなりドアを入って、すぐ横にベッドがあったら梨華ちゃんが……。
 まさかね。
 …いや…そうとも言い切れないか。
 ベッドを移動するべきかどうか、真剣に悩んじゃったよ。

 ちょっと…私も自意識過剰かなぁ?
 結局、答えも出せないまま。
 でも、そろそろ梨華ちゃんに電話を掛けないとね。
 部屋の模様替え計画は、取り敢えず一時中断。
 携帯電話を手に取って、ピピッて「梨華ちゃん」を表示。ダイヤルした。
95 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月10日(日)21時35分59秒
『もしもしぃ?』
「明日香ちゃ〜ん、待ってたの。愛してるよ〜」
 受け取って、私の愛の言葉よ。
『あ、うん。どうも』
 ドギマギしちゃって、可愛い〜。
 もう、明日香ちゃんの照れ屋さん♪

 でも、電話がかかってくるの、本当にずっと待ってたんだから。
「明日香ちゃん、今日、どうだった〜?」
 メールとかで教えてくれてるけど、やっぱり聞いちゃう。
『ん〜部屋の掃除とか…お泊まり会の準備してたよ』
「私は? 私、何か準備することある?」
 何だかワクワクするね。
96 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月10日(日)21時36分46秒
『梨華ちゃんが準備すること?…ん〜……無い…んじゃないかなぁ?』
「え〜……」
 私も何かしたいよ〜。
『いや、え〜って言われても……家まで迷わずに来てください。それだけ』
 そんなのつまんな〜い。
 明日香ちゃんの意地悪。

 結局、明日香ちゃんは最後まで、私にお手伝いさせてくれるとは言ってくれなかった。
 良いもん。
 自分で勝手に準備して行くから。
 そうだな〜…何か一品、手料理を持っていこう。
 何が良いだろう……。

 うん。やっぱり…大学イモ!
 ある意味、二人の思い出の料理だもんね。
 よ〜し、決〜めた!
 今度こそ、安倍さん直伝の大学イモで、明日香ちゃんを喜ばせちゃうんだから!
97 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時37分34秒
 梨華ちゃんは、何かやりたそうだったけど、それじゃ、お迎えする側として
は面目が立たないって訳で。
 お客である梨華ちゃんには、しっかり、くつろいでてもらわないとね。

 さて……部屋の模様替えが残ってるけど……。
 やっぱり、ベッドを移動することにしますか。
 その方が、何かと部屋を広く使えるんだから仕方がない。
98 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時38分14秒
 まだ明日も一日あるし、大仕事になりそうだけど、何とか間に合わせてみま
しょう。
 いざとなったら…弟を人手に借り出すことにして、取り敢えず動かせるもの
から模様替えを始めた。
 今回のお泊まり会は、Hなこと抜きで、ちょっとマッタリめにしたいなぁ。
 …梨華ちゃんがどう言うか知らないけど。

 でも、別に私たちはHのために会う訳じゃないんだし……まだちょっと、私
に自信がないっていうのもある。
 だってさぁ、やっぱり…やるなら、それなりにキチンとしたいじゃない。
 何か嫌なんだよ…何となく、雰囲気だけで流されちゃうみたいなのって。
 いろいろ考えちゃうんだよね。
 梨華ちゃんとは、ただの気まぐれじゃないから。
99 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時38分57秒
 思い出して、大切にしまってあったあの星形ピアスを取り出す。
 片方ずつ黄色と空色で色違い。
 買ったときは、梨華ちゃんの一生懸命さに押し切られた感じだったけど、今
となっては二人の大切な宝物。
 それをしばらく見つめてて……机の上に折り畳んだハンカチを置いて、その
上にソッとピアスを乗せた。
 やっぱり当日はこれを付けよう。
 きっと梨華ちゃんも付けてくるだろうから、二人でオソロ。
 何だかちょっと…想像したら、嬉しくなってきちゃった。

 その後もちょっとだけ準備をして、区切りがついたところで、ベッドに潜り
込む。
 気になって机の方に目を向けたら、星形ピアスが光ってた。
 それを見たら、自然に笑顔が浮かんでくるよ。
 もうワクワクが止まらなくて、何度か深呼吸をして、無理矢理自分を落ち着
かせて、やっと眠りについた。
100 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月10日(日)21時42分08秒
Get>>100あすりか(藁
祝・復活ということで、早速更新してみましたっす。
こちらが使えない間に、「なちふく」の完名無さんには、お世話になりま
した。
復活後も、あちらでもよろしくお願いします。
101 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月11日(月)05時40分04秒
「おはようございます〜」
 ほとんどスキップ状態で楽屋に入った。
「…おはよう、石川」
 手帳を覗き込んでた保田さんが、私の勢いにビックリしてる。
 だって、とうとう明日はお泊まり会!

「保田さ〜ん、今日もハッピーですか〜?」
 否が応でもテンションは高くなる訳で。
「……あんたに会うまではね」
 何だか呆れ顔の、そっけないご返事だけど。
「またまた〜。そんなこと言っちゃって!」
 今の私は、最強のポジティブ・モードですから、そんなお言葉にも負けませ
んよ。
102 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月11日(月)05時40分55秒
「…ま、あんたにとっては、明日香とつき合うの、プラスになってるみたいだね」
 もちろんです!
「明日香ちゃんは、勇気の女神様ですから!」
「……あんた…言ってて、本当に恥ずかしくない?」
 何でですか〜?
「いや、いいんだけど」
 明日香ちゃん=勇気の女神様って、ピッタリじゃないですか。
「凛としてて、格好良くて、強くて、優しくて、笑顔が可愛くて、それからそ
れから……」

「もういいから」
 保田さんの意地悪!
 まだまだ、たくさん言いたいことあるのに。
「それはいいから。どこでもラブラブ光線出すの、やめなさい。マネージャー
からも注意されたでしょ?」
「何で保田さんが知ってるんですか?」
「サブ・リーダーだから」
 そういうもんですか〜?
103 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月11日(月)05時41分53秒
「明日香は、あんたのことを一人の女の子として見てくれるだろうけど、周り
からしたら、モーニング娘。の一員・石川梨華、なんだから」
「そんなこと、分かってますよ」
 マネージャーさんに言われて、すごい不安になってるんですから。
「分かってないから言ってるんでしょうが!」
 ツンッて人差し指で、おでこをつつかれる。

「とにかく」
 大きなネコさんみたいな目が、私を見つめてた。
「今、ちょっと騒がれ始めてるみたいだから気を付けなさい。分かった?」
「…は〜い」
 まるっきり子ども扱いで、何かヤな感じ〜。
「ハァ〜」
 保田さんが深いため息。

「あんたのために言ってあげてるのに……」
 あ、ヤバ…顔に出ちゃってた?
「ごめんなさい」
「いいよ…もう。だけど、みんなの迷惑になるようなことだけはしないでよ?
 明日香も、それが一番困るんだから」
「はい」
 保田さん、ちょっと笑って私の肩をポンッて叩いて行っちゃった。
 いっつも心配ばかりかけちゃってて、本当は感謝してるんです。
 …本当ですよ?
104 名前:完名無 投稿日:2002年02月11日(月)10時33分26秒
>>100
すみません、ここの復活までに全然間に合ってなくて、
全然お役に立ててないです…(泣
でも、復活した今でも地道な保険的保存作業を続けます。
一人でも多くの方に読んで欲しい。
「あすりか」に出会えて、本当によかった。
105 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月12日(火)00時25分08秒
>>104
 いえいえ。
 不安になりかけてた時に、あそこの存在は本当に嬉しかったですから。
 私のほうこそ「なちふく」と完名無さんに出会えてよかったです。
106 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月12日(火)00時25分54秒
 明日はもう当日。
 仕事中も吉澤からの返事が無くて、やきもきしてた。
 帰る頃になっても、まだ連絡がない。
 こっちから電話しようかと思ってたら、やっと掛かってきて……。

『もしもし、私』
 何か馴れ馴れしくないか?
「…もしもし。どうだった?」
『手に入ったよ。え〜と、どうしよっか…私、明日の午後からオフなんだよね。
持って行ってあげても良いよ?』
「いや…いいよ」
 はっきり言って、あんたに貸しをつくるのは怖すぎるから。
107 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月12日(火)00時26分25秒
『いやいや、遠慮しないで。自宅まで持って行ってあげるよ』
 え?!
 家に来るの?
「い…いや、本当に良いよ」
『何でそんなに慌ててるのさ? やだなぁ、変なことしたりしないよ』
 さわやかな笑い声。
 そんなの信用できるかっての。

『信用無いなぁ』
 今までの自分の言動を思い出してみなよ。
『とにかく自宅まで行くからさ。一度、寄ってみたかったんだよね』
「マジで来る気?」
『明日の夜まで、ごっちんは仕事でさぁ、暇なんだよね』
 暇つぶしってことか。
108 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月12日(火)00時27分06秒
「…本当に変なこと…しない?」
 ちょっと怯えた声になっちゃっても、今までのことがあるから仕方ないよね?
『お望みならしないこともない』
「全っ然、お望みじゃない!」
 電話の向こうで、きっとニンマリ笑ってるんだろうけど、ここはキチッと否
定しとかないとね。
『ちぇっ、詰まんないの』
 あのねぇ…そういう問題じゃないでしょうが。

『ま、3時頃になると思うけど、大丈夫でしょ?』
「何とか間に合う…と思う」
 作るのには、そんなに手間取らないと思うし。
『じゃ、そういうことで』
 早っ!
 毎回、勝手に切っちゃう訳ね……。

 まぁ、これで全部揃うんだから、明日の準備は万端。
 それから弟を捕まえて、ベッドとタンスを運ばせて、部屋の模様替えも完了。
「何で、オレが…」
とかブツクサ言う声は無視してと。
 もう一度、部屋の中をグルッと見渡す。
 いいじゃん。
 後は明日、特製お茶のムースを作って待ってればそれで完璧。
 明日が待ち遠しいなぁ。
109 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月13日(水)14時46分53秒
 明日香ちゃんに電話したら、
『梨華ちゃん? 明日の準備、もうバッチリだから。楽しみにしててね』
って、すごい意気込み。
 いつもクールな明日香ちゃんらしくないけど…そんな明日香ちゃんもステキ♪

「本当? あ〜早く明日にならないかな〜」
 すっ……ごい楽しみだよ〜。
『それでさぁ、明日は何時頃になりそう?』
 ん〜…撮影次第だけど……。
「7時…くらいかな〜。もしかしたら、もっと早く終わるかもしれないけど……」
 早く終わらせちゃいたいけど、こればっかりは私一人が頑張ってもどうにもならな
いよね。
『そっかぁ…じゃ、お出迎えの準備して待ってるからね』
110 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月13日(水)14時47分29秒
 ワクワク。
 お出迎えってどんなだろ?
 も、もしかして……。
「ご飯にする? お風呂にする? それとも……あ・た・し?」
とか言っちゃったりして〜!
「そうだな〜…君にしよう」
なんて、私って大胆!
 キャ〜♪

『もしもしぃ?…お〜い、梨華ちゃん?』
 ……ハッ!
 思わず妄想の世界に入っちゃってた。
「ご…ごめんなさい。ちょっと考えごとしちゃって」
『働き過ぎで疲れちゃってるんじゃないの? よ〜し! 明日はリラックスできるよ
うに頑張っちゃうからね』
「本当?! 嬉し〜」
 明日香ちゃんって、本当に優しいね。
111 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月13日(水)14時48分19秒
『じゃ、今日はお話はこれくらいにしようか』
 明日香ちゃん、気を遣いすぎ〜。
「え〜! まだおしゃべりしたいよ」
『駄目駄目! 今日はしっかり休んで、明日に備えること』
 もう……。

「…は〜い……」
 自分でも、つまらなさそうな声してるなって思う。
 明日香ちゃん、あやすように優しく声を掛けてくれた。
『元気な梨華ちゃんを待ってるからね?』
 そう言われちゃったら、大人しくベッドに向かうしかないよ。
「は〜い!」
 今度は元気なお返事で、二人してクスクス笑いながら、「おやすみなさい」を言っ
た。
112 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月14日(木)00時23分08秒
 梨華ちゃんに言った手前、自分も早めに寝て、朝はパッチリ早起き。
 今日はとにかく力が入ってる。
 何せ、仕事も休みをもらっちゃって、あちこち雑巾でふいてピカピカの出来
ばえ。

 お母さんの
「あら、珍しい。雪でも降るんじゃないかしら?」
って、皮肉たっぷりの言葉にも、
「たまには掃除の手伝いくらいしないとね」
とか、余裕の返事ができちゃう。
113 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月14日(木)00時24分18秒
 そんなこんなで昼も過ぎて、最後の買い出しに向かった。
 家を出るときに、ふと、あのおそろのピアスを付ける。
 今日はこれでお出迎えしないとね。
 ニヤニヤしながら買い出しに出発。
 吉澤が三時頃に来るって言ってたから、それまでに帰って来ないとね。
 奥の方から一番新しい牛乳を引っぱり出したり、フルーツを一個一個入念に
選んだり、他愛もないけど、何だか充実した時間が過ぎていった。

 気がついたら二時半で、慌てて家へと向かう。
 通り慣れた近道をぬって、どんどん進んでいく。
 その途中には、星空の下で梨華ちゃんと抱き合った、あの公園もある。
 公園を突っ切って行くのが、また近道なんだよね。
 迷わず公園の中へ入っていく。
114 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月14日(木)00時26分02秒
 ここは住宅地の真ん中だからか、もう少しして学校が終わった子どもたちが
遊びに来るまでは、ほとんど人がいないから、無造作に足を運んでいった。
 そしたら、影の中からガサガサッていう音がして、思わずギョッて。
 音のした方を見てみると、丁度、あの夜、二人で横たわってた植え込みの中
みたい。
 足音がしないように、ゆっくり近づいたら、どうやら二人の男の人が道路の
方を向いて座り込んで、何だか話してた。
 もうどこから見ても怪しさ大爆発な感じだ。
 さらに近づいて、木の陰に隠れて耳をそばだててみる。

「…本当なのかよ?」
 疑いと好奇心のおり混ざったような声。
「大丈夫だって…一昨日から張り込んでるんだからさ。駅からはこの前の道を
通るのは間違いないし」
 張り込み?!
 ちょっと覗き込んだら、その男はカメラを手に構えてる。
 それも、安いコンパクトカメラなんかじゃなくて、一眼レフっていうのかな?
 高そうなカメラだった。
115 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月14日(木)00時26分53秒
 まったく…やっと雑誌とかの取材が無くなってきたと思ったのに、今度はカ
メラ小僧?
 私なんかじゃなくて、もっと撮り甲斐のある可愛い子はいっぱいいるだろう
にさ。
 触らぬ神に祟りなし――見つからないように立ち去ろうと思ったんだけど……。

「だけどさぁ…本当に石川が来るのかよ?」
 石川?!
 狙われてるのは梨華ちゃんなの?
 ホントに?
 どうして?
 疑問がいっぱい浮かんできて、私の足はその場に釘付けになった。
116 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月14日(木)22時20分56秒
 いよいよだわ!
 明日香ちゃん家でお泊まり会っ♪
 もう朝からドキドキワクワクして待ちきれないよ〜。
 何とか落ち着かなきゃって思って、鏡の前に座る。

 入念にお化粧。
 とは言っても、厚化粧にならないように気をつけながら、丁寧に丁寧に……。
 こうしてると、何だか心が穏やかになるから不思議だよね。
 やっぱりもう一人の「私」になれるから?
117 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月14日(木)22時21分30秒
 鏡に映る「私」。
 素の「私」より、ちょっとだけ背伸びしてる。
 明日香ちゃんのお眼鏡にかなうかしら?
 鏡に向かって、おすまし顔。
 にらめっこみたい。何だか変なの〜。

 お洋服はもう決めてある。
 前に明日香ちゃんから「可愛いね」って言ってもらったピンクのジャケット
と膝丈のスカート。
 後は、おそろの星形ピアスで決まり!
 準備も整って、もう一度、鏡を覗く。
118 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月14日(木)22時23分00秒
 お化粧……良し。
 お洋服……良し。
 ピアス……良し。
 それから、お土産……良し!
 今朝一番で作った明日香ちゃんの大好きな「大学イモ」。
 もうね〜会心の出来!
 早く明日香ちゃんに食べさせてあげたいよ〜。

 タッパに入れて、バッグの底に大切に隠す。
 もう一つ、これは大きなタッパ。
 あいぼんとツ〜ジ〜用の「大学イモ」。
 明日香ちゃん用のを食べられちゃったら大変だから、これもとっても大事な
アイテムよね。
 最後に忘れ物がないか、もう一度確認して、いざ出陣!
 明日香ちゃん、待っててね〜♪
119 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月15日(金)12時23分20秒
あすりか撮られちゃうのか
でもそれはそれでおもしろそう

PS梨華っちの妄想かわいすぎです。
120 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月15日(金)14時29分07秒
>>119
 撮られちゃう…以上の事件です。姉さん!(w
 妄想、ポジティブ・サイクルの回り過ぎです(w
121 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月15日(金)14時29分47秒
 自分で言うのも何だけど、梨華ちゃんのこととなると私は人が変わっちゃう。
 今も、
「だけどさぁ…本当に石川が来るのかよ?」
の一言で「見つからないように逃げる」っていう選択肢が、すっかり頭の中から消え
てしまった。
 また梨華ちゃんが傷つけられちゃうっていう予感と恐れへの反発で、怒りがこみ上
げてきた。
122 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月15日(金)14時30分40秒
「オレを信じろって。インターネットで情報を見つけてから、何度かこの辺りをうろ
ついたりしてるんだから」
 インターネット!
 そう言えば、梨華ちゃんがマネージャーに注意されたって言ってたっけ。
 梨華ちゃんに、「大丈夫」なんて簡単に請け負っちゃって、その結果がこれ?
 私の注意力と警戒心って何なんだ。
 自分に対して腹立たしくて……。

「ここを通ったら、それをこれで……」
 構えたカメラのレンズがギラッと光る。
 もうねぇ……後で考えたら無茶なことなんだけど、その時は頭に血が上っちゃって
たから。
123 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月15日(金)14時31分17秒
 何でこんなに激しい怒りにとらわれちゃったのか。
 それだけ梨華ちゃんが大切で、しかも、ここは二人にとって大切な思い出の場所だ。
 今でも、あの夜の降り落ちてくる星たちが目に浮かぶ。
 梨華ちゃんの輝く瞳と一緒に……。
 なのに、コソコソ隠し撮りなんて絶対に許せなかった。

「いい加減にしてよっ!」
 気がついたら木の陰から飛び出してた。
 二人の男は流石にギョッとしたみたい。
「アンタたち、そんなこと卑怯だと思わないの?!」
 噛みつくように続けて叫んでる私を、目を丸くして見つめてた。
124 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)01時52分47秒
明日香、大丈夫かな…(ドキドキ)
125 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月17日(日)12時52分07秒
>>124
明日香、ピンチッ!
…一方その時梨華ちゃんは。
126 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月17日(日)12時52分38秒
「おはようございま〜す。お土産、持ってきましたよ〜」
 楽屋に入るとすぐに、大きい方のタッパを差し上げた。
「わ〜い!」
 あっと言う間に、あいぼんとツ〜ジ〜に取り上げられちゃった。

「おイモだ〜」
 さっさとふたを開けて、二人で覗き込んでる。
 可愛いな〜。
「でも、食べ過ぎちゃダメだよ? みんなで食べるんだからね?」
127 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月17日(日)12時53分13秒
「ん〜おいしいよ〜」
「おいしいれす〜」
 ……二人とも、私のお話、聞いてる?
「梨華ちゃん、食べへんの? おいしいで?」
 これ、私が持ってきたんだけど……。

 ため息をついてると、スッと安倍さんが近づいてきた。
「…梨華ちゃんが作ったの?」
「あ、はい!」
 安倍さんは、「ふ〜ん」って感じで一つをつまんで眺めてる。
 今回は大丈夫なはず……なんだけど、あ〜! 緊張するよ〜。
128 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月17日(日)12時53分43秒
 パクッて一口かじって……。
「…うん」
 私の方をチラッと見て、小さく肯いて離れて行っちゃった。
 その時の安倍さんの優しい目。
 何も言ってくれなかったけど、安倍さん、認めてくれたみたい。
「はあ〜ぁ……」
 良かったよ〜!
129 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)13時55分16秒
明日香やばいよ
チャーミー!大学イモもいいけど早く助けに行け
ここはよっしーでもいい誰か・・・
130 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月17日(日)23時21分17秒
明日香ぁ…。本気で心配してしまう(W
131 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月18日(月)13時13分04秒
>>129
 一応、どちらも無法な二人組の相手をしてるってことで(藁
>>130
 ますます心配な状況に……。
132 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月18日(月)13時16分50秒
 二人とも私よりずっと大きくて、睨むためには見上げなきゃいけなかったけど、そ
の時は全然怖くなかった。
 ……後になって考えれば、もっと怖がれよ!って感じなんだけどね。
 ともかくその二人は、突然飛び出してきた私を呆然と見つめたまま。
 さっき「…本当なのかよ?」とか言ってた男が、
「……福田明日香だ……」
って一言呟いたきり、言葉を失ってる。
 もう片一方の男は胸の前にカメラを持ってて、それは丁度、私の目の高さにあった。
 私にとってそれは、梨華ちゃんを傷つける存在の象徴。

 バシッ!
 いきなりカメラを持つ手を叩いてやったら、取り落としたカメラが地面に激突して
ガシャッて派手な音がした。
「あぁっ! 何しやがるんだよ!!」
 慌ててカメラを拾い上げても、もう遅い。
 大体、カメラをホールドする時に、ストラップも使わずにそのまま持ったりするこ
と自体、素人まるだしだっていうの。
 私たちがお世話になったプロのカメラマンは、本当にカメラを大事に取り扱ってた
もんだよ。
133 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月18日(月)13時17分43秒
「ウソだろう?! レンズが…24万もしたんだぞ!」
 そんなこと知るもんかっ!
 割れたレンズを覗き込んで嘆く姿が、余計に腹立たしい。
 あんた達のしようとしてたことは、もっと人を傷つけることなんだぞ!!
 もう怒りが全身を駆けめぐって止めようがない。
 斬りつけるような視線で、ギリギリと男を貫き通していた。

 そしたら突然、カメラ男がキレちゃったみたい。
「こいつ! 許さねぇ!!」
って叫んで飛びかかってくる。
 不思議なことに、そんな状況でも私は冷静に男の動きを見てた。
 いや、ホントはアドレナリン全開なんだけどね。
134 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月18日(月)13時18分41秒
 肩を掴もうとする手を咄嗟に取って、サッと懐に飛び込む。
 ズシ〜ン!
 こんな時に、「モーニング刑事。」で練習した一本背負いが決まるなんて…私って
結構、才能ある?
 自分でも信じられない大技が決まって、そんな変な優越感にひたってたのが間違い。
 それがかえって隙を生んじゃった。

「よくもやりやがったな!」
 もう片方の男に背中から羽交い締めにされて、体格で圧倒的に負けてる私はもうジ
タバタもがくしかできなかった。
「痛ててて…くっそう」
 投げ飛ばしたカメラ男も腰を押さえながら立ち上がって、私を睨み付ける。
 パシッ!
 私の頬が乾いた音を響かせ、後から痛みがジワジワと広がっていった。
135 名前:  投稿日:2002年02月18日(月)19時25分59秒
強よ!!
136 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月19日(火)12時04分48秒
>>135
 「そうですよ〜。明日香ちゃんは強いんです!」byチャーミー石川
137 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月19日(火)12時05分24秒
 最初のお仕事が終わって楽屋で一休みしてると、ごっちんがあいぼん、ツ〜ジ〜と
遊んでた。
 あれ? ごっちん、まだいたんだ。
「ごっちん、プッチ組はもうお仕事終わりじゃないの?」
 意外だったから思わず声を掛けちゃった。

「うん。そうなんだけど…よっすぃ〜と待ち合わせ」
 待ち合わせ?
 さっきまで一緒にお仕事してたのに?
138 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月19日(火)12時05分59秒
 そう言えば、よっすぃ〜の姿はもうないね。
「何か、ちょっと頼まれごとしてるからって」
 そう言うごっちんは、ちょっとつまらなそう。
「そうなんだ〜…」

「でも、すぐに戻ってくるって言ってたから。そしたら、一緒に買い物と食事に行く
んだぁ」
 気を取り直したみたいに、ごっちんは言って笑ってる。
「そっか〜…ごっちん、よっすぃ〜って……優しい?」
 上手くいってるのかな〜?
「うん! とっても優しいよ」
 キッパリ言い切るごっちんは、とっても嬉しそうで……。
139 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月19日(火)12時06分30秒
 私もちょっとホッとしちゃうよ。
 だって、よっすぃ〜とごっちんが上手くいっててくれないと、私たちに被害が及ぶ
んだから。
 もうあんなこと、絶対にイヤだもんね。
 私は明日香ちゃんだけのもの。明日香ちゃんは私だけのものだから。
「梨華ちゃんも、明日香ちゃんに優しくされてるみたいだね」
 私の表情を見て、ごっちん、ニヤニヤしてる。
「……うん」

 それは良いんだけど……。
 明日香ちゃんのこと、ごっちんに「明日香ちゃん」って言われると、何だかドキッ
てしちゃう。
 これはその〜…別にジェラシーってわけじゃなくって……やっぱりジェラシーかな〜?
 でもでも、私は明日香ちゃんのこと信じてるから。
 ね? 明日香ちゃん、大丈夫だよね?
140 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月20日(水)06時38分48秒
 平手打ちしたカメラ男をキッて睨む。
 痛いけど、悔しいけど、絶対に泣いてなんかやらないんだ。
 涙を見せれば、こいつらつけあがるに決まってる。
 自分が優位に立って少し落ち着いたのか、ニヤニヤだらしなく笑った顔を近
づけてくる。

「福田明日香が、自分の方から挨拶に来てくれるとはな」
 煙草臭い息を吹きかけてくるから、嫌悪感も倍増。吐きそうだ。
「高いカメラの弁償も兼ねて、ちょっとくらいサービスしてくれるよな?」
「……馬ぁ鹿」
 
 パシッ!
 さっきと同じように平手が飛んできた。
 ジンジンする頬の感覚が、自分の惨めな状況を鮮明に伝えている。
 目の前には相変わらずの、やらしい笑顔。
 その視線が、顔から下の方へと移っていく。
141 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月20日(水)06時40分27秒
 虫酸が走るってこんな感じなんだ。
 カメラ男の視線の動きに合わせて、私の身体の表面をおぞましさの固まりが
這い回る。
 何とか逃れられないかと、一層ジタバタしても、羽交い締めにしている男の
腕に更に力が込められて、益々身動きがとれなくなる。
 嫌だ…嫌だ…嫌だ…気持ち悪い。
 その鳥肌の立つような嫌悪感が最高潮に達したとき、カメラ男の手が胸に伸
びてきた。
 繊細さの欠片も無いような、無造作で無遠慮で無品格なまさぐり。
「うぁ…柔らけぇなぁ……」
 鼻の下伸ばしただらしのない顔。

 最低…最低…最低……。
 自分の身体だけじゃなく、梨華ちゃんとの大切な思い出の場所を汚された。
 その悔しさで泣き叫びそうになる自分を、唇を噛みしめて堪える。
142 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月20日(水)06時41分49秒
 ゲシッ!
「げふっ…」
 突然、背後で物音とうめき声がして、羽交い締めにしていた男が崩れ落ちる。
「な……」
 カメラ男も私の背後を呆然と眺めてる。
 何が起こったのか分からないけど、チャ〜ンス!

 ゲシッ!
 意識をそらしたカメラ男の股間を、思いっきり蹴り上げてやった。
「うっ……」
 手で股間を押さえて内股の恰好のまま、カメラ男は踞って、後はウンウン唸っ
てた。
「あんた、こんなところで何遊んでるの?」
 振り返ったら……吉澤が立ってた。
 足下には、カメラ男と同じように股間を押さえて気を失ってる男を横たえて……。
143 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月20日(水)16時57分11秒
やっぱりよっすぃーだ


最近なぜかあすよしに萌えます
作者さんすいません
144 名前:value 投稿日:2002年02月21日(木)05時32分47秒
明日香無事でよかった。
よっすぃ〜。マンセー!
145 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)06時28分18秒
>>143
 そうです。よっすぃ〜っす。
 あすよしもOK! どんどん萌えちゃってください。

>>144
 危機は回避っす。でも…続きはまた。
146 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月21日(木)06時28分51秒
「はい、OKで〜す」
「お疲れさまでした〜」
 今日のお仕事、信じられないくらい順調に進んで、終了予定の五時半キッチ
リに終わっちゃった。
 こんなこと初めて。
 いつもは予定より一時間押しちゃうのなんて当たり前なのに。
 やっぱり日頃の行いが良いからよね……明日香ちゃんの。

 もうルンルン♪気分で帰り支度を整えて、心はもう明日香ちゃん家に。
「お疲れさまでした〜♪」
 返事も待たずに外に急いで出る。
 ほとんどスキップするみたいに飛ぶように駅へ急いだ。
147 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月21日(木)06時30分24秒
 ポツッ、ポツポツ。
 あれ? あれれ?
 空を見上げたら、どんより暗い雲が広がってた。
 ポツポツ、ザ〜ッ。
 雨!
 もう! 何でこんな大切な日に降るの〜?

 駅までもうすぐだったから、急いで駆け込む。
 折角のお洋服も髪も濡れちゃったよ〜。
 グスン……。
 やっぱり日頃の行いが悪いからかな?……私の。
 そりゃ、いっつも明日香ちゃんに迷惑ばっかりかけちゃってる。
 付き合い始めからそうだもんね……。
148 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月21日(木)06時31分44秒
 ……ハッ!
 いけない、いけない。
 ネガティブになってる場合じゃないよね。
 ポジティブにならなきゃ、ポジティブに……。

 そうだ!
 明日香ちゃん家に着いたら、すぐにお風呂借りよっと。
 それで、それで…また一緒に入ったりして〜。
 キャッ♪
 どんどんと楽しいことが浮かんできて、雨の中を進む電車の音も、カタンカ
タンッて軽やかに聞こえてくるから不思議。
 ルンルンッ♪
149 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)12時53分58秒
 吉澤が助けてくれたの?
「ありが……」
「お茶、届けに来てみれば、男二人とイチャついてるし…何やってんだか」
 いきなり人聞きの悪いことを言い放つヤツ。

「…あのねぇ……」 
 ニヤッて笑ってるし。
 冗談のつもり?
 やっぱりこいつは、何考えてるか、さっぱり分からないや。
150 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)12時57分28秒
「ほらっ」
 突然、包みを投げて寄こす。
 危なく落としそうになったけど、何とかキャッチ。
「頼まれてたお茶。ちゃんと買ってきた上に、襲われてるのを助けてあげたんだから、
この貸しは大きいよ?」
 その笑顔が怖いんだって!……一難去ってまた一難。

「それにしても、あんたってホントによく襲われるよね……抱き心地が良さそうに見
えるのかな?」
 変なこと言うな!
 ……何だかジロジロ見てるし。
「ふむ…やっぱり一回くらい抱かせてもらおうかなぁ……」
 おいおい…それは…やめてよ。
「チェッ…けち!」
 だから、そういう問題じゃ無いでしょって。
151 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)12時58分18秒
「そ…そうだ、あのさぁ」
 何とか話をそらさないとね。
「…この人たち、どうしたらいいかなぁ?」
 地べたで唸ってるヤツらをどう処理すべきか。

 そしたら、吉澤が事も無げに言った。
「放っとけば良いんじゃない?」
 え…でも……。
「…警察に届けなきゃ……」
「事が大きくなるだけじゃない? カメラも壊れてるみたいだし、念のためにフィル
ムを抜いて、放っとけば良いよ」
 なるほどね。
 それにしても、何だか吉澤ってこういう事態に慣れた感じ……怖いから、これ以上
考えるのはよそう。
152 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)12時58分56秒
 結局、カメラに装填されてたフィルムだけじゃなく、持ってたもの全部を取り上げ
ただけ。
 …吉澤は、「念のために」もう一度股間を踏みつけてたけど…見なかったことにした。
「さてと…家、寄って行く?」
 紅茶とケーキくらいは出すよ?
「ううん。ここで良い。この後、ごっちんを待たせてるんだ」
 ニカッて良い笑顔だった。

 やれば出来るじゃん。
 是非このまま、私たちと関わりのないところで幸せになってほしいものだ。
「じゃ!」
「うん…ありがとね?」
 返事の代わりに不適に笑う姿が、ちょっと男前っぽかった。
153 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月21日(木)13時00分00秒
 気を取り直して家に帰る。
 嫌なことは忘れるに限る!ってことで、早速、ムースの準備に取りかかって、今手
に入ったばかりのお茶をはじめ、材料を一つ一つ確認しながら並べていく。
 よしっ! 全部揃ってる。
 いよいよ作業ってことで、念入りに手を洗って……。

「…あれ?」
 チラッて覗いた鏡に、何となく違和感を感じて、もう一度よく確かめる。
 ちょっと頬が赤くなってるけど大したことないし、別に何も変なところは……。
「あぁっ!」
 異変に気がついて、みるみる青くなる。
 星形ピアスの片方が……無い。無くなってる!

 さっきカメラ男に平手打ちされた時……。
 考えるよりも早く駆け出してた。
 公園に向かって。
 すごい勢いでドアを飛び出したら…雨だった。
 もう! こんな時に。
154 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月23日(土)11時09分12秒
 いろいろ想像(妄想?)してたら、あっという間に降りる駅に着いちゃった。
 明日香ちゃん…可愛かった〜……。
 ……ハッ!
 いけない、いけない。
 自然と顔がニヤけちゃうよ。

 取り敢えず駅のコンビニでビニール傘を買って、足取りも軽く明日香ちゃん家に
向かう。
 ♪ピチピチ チャプチャプ ランランラン〜
 傘をクルクル回したりしながら、初めてピンクの長靴でお出かけした時みたいに、
はしゃいじゃってた。
155 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月23日(土)11時09分55秒
 だんだん明日香ちゃん家が近づいてくると、何だかもう最高にハッピー!
 周りの風景なんて、全然目に入ってこない。
 とにかく、明日香ちゃん家に向かう道だけが、何故だかハッキリ、クッキリ見え
てた。
 一歩一歩近づいて、一瞬一瞬「生きてる!」って実感した。
 だって、心臓のドキドキをしっかり感じることができたから。

 どうしようかな…ドアが開いたら、いきなり抱きついちゃったり…キャッ♪
 でも、明日香ちゃん、怒るかも…やっぱり…やめた方が良いかな。
 いろいろ迷ってるうちに、明日香ちゃん家の玄関にたどり着いちゃって。
 ピ〜ンポ〜ン♪
「は〜い」
 トトトッて足音が近づいてきて、ドアの向こう側で止まる。
156 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月23日(土)11時10分25秒
 ワクワク、ドキドキ。
 ガチャッ。
 ドアが開いていくのも、スローモーションに見える。
「いらっしゃい」
「……こんにちは」
 そこに立ってたのは……明日香ちゃん…のお母さまだった。
 良かった〜。抱きつかなくて……。

 でも…明日香ちゃんは?
「ごめんなさいね。あの子、帰ってきたと思ったら、またいなくなっちゃって……
どうしたのかしら。今日のこと、あんなに楽しみにしてたのに」
 え〜、明日香ちゃん、どこ行っちゃったの〜?
「それと…私も地区の寄り合いがあって出掛けないといけないの。明日香、きっと
すぐ戻ると思うから、上がって待っててくれるかしら?」
「はい」
 どうしたんだろ〜、明日香ちゃん。
 何だか胸騒ぎがするよ〜。
157 名前:fan 投稿日:2002年02月25日(月)18時44分09秒
最近、感想が無いのは、スレに邪魔が入るみたいで、
遠慮してるのでは?私も、これで最後まで書きませんが、
がむばれ。
158 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)22時19分26秒
1からずっと読んでます。チェックするのが殆ど日課のような状態
です。これからも楽しみにしてますが、あまりご無理なさらず。

>>157
 確かに、なんか小説スレって感想を書くことすらはばかられる空気って
たまに感じますね。どうしてなんでしょう?
159 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)23時04分14秒
やっぱり小説スレっていうのは
その小説の雰囲気があるからではないでしょうか?
なんか、レス入れると、空気壊しちゃうみたいな感じで。
でも、書いてる方は感想欲しいけどな、って
チャーミー銀杏さんじゃないんですけどね。
スレ違いスマソ。

明日香…。何してるんだろう大丈夫かな?
>何だか胸騒ぎがするよ〜。
って言葉が気になる…
160 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月26日(火)09時19分58秒
>>157
 ありがとうございます。がむばりまっす!

>>158
 日課のようにチェックしてくださってるなんて嬉しいっす。
 益々がむばらねば!
>>159
 そうなんですよ。書いてる方としては感想があると本当に嬉しいんです。
 でも、他の作者さんへのレスは躊躇っちゃう(藁
 明日香は……泥遊びしてます(藁
161 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月26日(火)09時20分47秒
 無い…無いよ…どうしよぉ……。
 梨華ちゃんと私の星形ピアス。
 二人をつなぐ大切な思い出。
 それをあんな最低の男のせいで無くしちゃうなんて。

 公園に走って戻って、あの植え込みのところを一生懸命に探した。
 男達はもういない。
 その代わりに、どんどん強くなる雨が私の邪魔をする。
 濡れて身体にまとわりつく服とスカート。
 雨粒が額を流れ落ちてきて、目に入って視界を塞ぐ。
162 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月26日(火)09時21分31秒
 負けるもんか…負けるもんか。
 絶対に見つけ出すんだから。
 でも…無い…無いよ…見つからない。
 地面を這うように動き回って、足や手はもう泥だらけ。
 そんなことはどうでも良かった。
 どこに行っちゃったの?
 お願いだよ…出てきて……。

 ピアスを見つけることが、二人の絆をつなぎとめることになるんだって、そう思った。
 だから…だから絶対に見つけなきゃ!
 なのに…なのに、一体、どこにあるんだよぉ!!
 もう頭の中はパニックで、益々、闇雲に辺りを這いずるだけ。
「あぁ〜もう!!」
 イライラが口をついて出る。
163 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月26日(火)09時22分09秒
 思わず傍の木を拳でドンと叩いたら……。
 パラパラ、ザ〜ッ!
「わわわっ!」
 葉が溜めてた雨粒が一斉に降ってきた。
 もう身体がふやけるほどに全身びしょびしょ。
「…はあ〜ぁ……」
 力が抜けちゃって、その場にペタンと座り込んじゃった。

 相変わらず雨粒が目にしみる。
 額から目に入って頬を伝う雨粒……何だかしょっぱいや。
 探しても探しても見つからない。
 時間が経つにつれ、絶望感が体中に広がっていく。
164 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月26日(火)09時22分50秒
 身の震えるような、ううん、本当に手足がガクガクするほど怖かった。
 まるで梨華ちゃん自身を失っちゃうような……。
 「ただのピアス」と割り切るには、あまりにもたくさんの思いが詰まりすぎてた。
 梨華ちゃんの思い。
 私の思い。

 あの夜のことが脳裏に浮かんで、胸を締め付ける。
 今まで、「胸がキュンとする」なんて随分と短絡的な表現だと思ってけど……でも
…そうとしか言い表せないもんだね。
 思わずあの夜の星が見えないかと空を見上げて……だけど、今は星の代わりに雨が
降り続けるだけ。
 次々に目から雨粒が流れ出すから、顔を伏せた。
 そしたら…それはそこにあった。
 さっき立ってた所から、かなり離れた茂みの下で、それは小さく輝いてた。
165 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)19時35分29秒
小説スレにレスが少ないのは、下手に付けると
ネタを先にばらす事になりかねないからだろうね。
もっとも良い作品は、終わりが近くなってくると
たくさんレスがつくけど。
166 名前:名無し娘。 投稿日:2002年02月26日(火)22時09分37秒
見つかって良かったね、明日香ちゃん。
167 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)23時37分20秒
>>165
一理あるね。

今回はピアス見つからないと予想してたけど、外れた。
168 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月27日(水)13時03分16秒
>>165
 良い作品…この作品はどうなるでしょう?(藁
>>166
 そう簡単には行かないのです。
 何故なら…作者の心がねじ曲がってるから(藁
>167
 予測は近からずといえど遠からず。
169 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月27日(水)13時03分48秒
 あれから明日香ちゃんのお母様はお出かけしちゃって、私は明日香ちゃんの部屋に
一人。
 模様替えした部屋をあちこち見たり、ベッドに腰掛けて足をブラブラさせたり、窓
の外を見たり……。

 つまんな〜い。
 それにしても…一度帰ってきたのに、すぐに出て行っちゃうなんて……。
 本当にどこ行っちゃったんだろ〜、明日香ちゃん?
170 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月27日(水)13時04分44秒
 トントントンッて階段を下りて、リビングを覗く。
 明かりも点いてないから暗いし、寂しいよ〜。
 明日香ちゃん…何かあったのかな?
 どうしよう……。
 捜しに行きたいけど、この辺りのことよく分からないし……。

 何度も迷って、廊下を行ったり来たり。
「…よしっ!」
 どうしても心配だから、捜しに行かなきゃ。
 私が捜さなきゃ、誰が捜すって言うの?
 やっぱり私しかいないでしょ?!
171 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月27日(水)13時06分17秒
 決心して玄関に向かう。
 ドアを開いて出て行こうとしたら……急にドアが外から開いて、一緒に引っ張られ
ちゃった。
「キャッ!」
「うわっ!」

 抱き留められて転んだりはしなかったけど……あれ? これは…明日香ちゃん?!
 ビックリしてると、
「大丈夫?…あっ! ごめん。濡れちゃうね」
って、すぐにドアの中に押し込まれた。
 落ち着いてよく見てみたら、明日香ちゃんはずぶ濡れ。
 さっき抱き留めてくれたときも、すごい冷たかったし……。
 一体、どうしたの、明日香ちゃん?!
172 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月27日(水)17時15分34秒
 梨華ちゃんを驚かせちゃった。
 今も目をまん丸にして私を見つめてる。

「ごめん…ごめんなさい、梨華ちゃん」
 まず謝らなきゃ。
 もう謝るしかないから。

「…ど…どうしたの?」
「遅くなっちゃってごめん…それと……」
 そこで口ごもる。
 だって…嫌われちゃうかも…でも…言わないと…ね。
 深呼吸を一つ。
173 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月27日(水)17時16分14秒
「これ……」
 握ってた拳を梨華ちゃんの方へ差し出す。
 ゆっくり開いた掌には、おそろの星形ピアス。
 二人の思い出そのもの……の破片が乗ってる。
「ごめん……壊しちゃった……」

 哀しみがあふれそうで…それなのに、涙は出てこなかった。
 心の真ん中にポッカリ穴が開いちゃって、そこから涙が全部流れ落ちて行く。
 やっと見つけたと思ったのに……駆け寄ってみたら、それは無惨に壊れてた。
 それを掌に乗せて、呆然と見つめてた。
 どれくらいの時間だったのか……。
 雨に降られて冷えていく身体と一緒に、心も冷たく縮んでいった。
174 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月27日(水)17時16分57秒
「何があったの? ねぇ、明日香ちゃん!」
 必死に問いただす梨華ちゃんに対して、自分でも不思議なくらい淡々と、起こった
出来事を順番に説明していく。
「それで…一生懸命探したんだけど…こんなになっちゃってて……ごめん。本当にご
めんなさい!」
 ガバッと大きく頭を下げる。
 丁度、梨華ちゃんが拳をキュッて握るのが見えて…叩かれるのかと思った。
 それでも良い。
 二人にとって大事な、本当に大事な物を壊しちゃったんだから。

「明日香ちゃんの…バカ〜!」
 叩かれるんじゃなくて、肩を掴まれた。
 梨華ちゃん、涙を流しながら真っ赤な怒った顔。
 仕方がないよね。
「ごめん…二人の大切な絆なのに…」
175 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年02月27日(水)17時18分04秒
 そしたらブンブン首を振って、
「違う…違う違う!」
って叫んだ。
「ピアスなんかより、ずっとず〜っと、明日香ちゃんの方が大切なんだから…なのに
…何でそんな危ないことするの?! その上、こんなに冷え切るまで雨の中にいるな
んて……」
 ガバッて抱きしめられた。
 温かい……。
「明日香ちゃんが無事なら、それで良いのに……バカ…バカバカバカ〜!」

 本当だ。馬鹿だよ、私は。
 一番分かってたはずなのに。
 可愛い私の女神は、本気で私のことを愛してくれてるってことを。
 だから…こんな壊れた絆でも、こんなに冷え切って穴の開いた心でも、あっと言う
間に魔法で直してくれちゃうんだ。
 見る見るうちに心の穴が塞がって、行き場を失った涙があふれ出て、やっと頬を流
れ始めた。
176 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月28日(木)01時55分27秒
ん〜。あすりかは純粋だ!
177 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年02月28日(木)12時31分47秒
>>176
 そうです。あすりかは純粋ですよ。
 …どんな時にも、ね。
178 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月28日(木)12時33分26秒
 明日香ちゃんのこと、「バカ」だなんて言っちゃった。
 でも、本当にそう思ったんだもん。
 男の人、それも二人もいるのに飛び出していくなんて。
 もし、よっすぃ〜に助けられなかったら……明日香ちゃんは男達に襲われて……そ
んなのゾッとする。
 いつもは冷静な明日香ちゃんなのに、どうしてそんなことしちゃったんだろう?

 でも、今はそんなことより……。
「明日香ちゃん、お風呂行こう」
 ずぶ濡れのままじゃ、本当に風邪をひいちゃうよ。手も足も泥だらけだし。
 明日香ちゃんはコクンて肯いたけど無言。
 鼻をグスグスいわせてる。
179 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月28日(木)12時34分08秒
 あんまりにも明日香ちゃんが頼りなげに見えたから、肩を抱いてバスルームまで連
れて行ってあげる。
 お風呂の温度を見て、脱衣所に戻ったら、
「……ありがとう」
って笑顔を浮かべた明日香ちゃんだけど、聞いたことないくらい、か細い声だった。
 よく見たら、膝が震えてる。
 ボタンも一人じゃ外せないみたい。
 胸がギュッて締め付けられる。
 見てられないよ。

 代わりにボタンを外してあげて、服を脱ぐお手伝いをしてあげる。
 伝わってくる体温は、本当に冷たくて……。
 明日香ちゃんは何も言わないで、下着だけになってモジモジ恥ずかしそう。
 今更、明日香ちゃんと私の間で恥ずかしがることもないのにね。
 下着に手を伸ばしたら、
「やぁ…」
 身を引いて逃げようとするけど、そんなのにお構いなく脱がせちゃう。
 それから、さっさと私も裸になって、明日香ちゃんの手を引いて一緒に中に入ったの。
180 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月28日(木)12時34分38秒
 痛々しい姿に胸の塞がった私。
 そんな状態でも恥ずかしがる明日香ちゃん。
 無言のまま、熱いシャワーで明日香ちゃんを洗ってあげる。
 髪、頬、首筋、手足、背中、お腹……。
 どこも芯から冷たくて、でも、シャワーで次第に温まってくる。

 カタカタカタッ。
 最初は小さな物音。
 次第に大きくなって……。
 気がついたら明日香ちゃん、ブルブル震えてた。
181 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年02月28日(木)12時35分15秒
 私、ビックリして。
「明日香ちゃん!? どうしたの?」
 両腕で自分の胸を抱いて、明日香ちゃんは必死に笑おうとしてた。
 でも、大粒の涙がポロポロ落ちてた。
「私…私……怖かった……」
 ポツッてそれだけ言って、震え続けて……。

「うわ〜っ」
って叫ぶように泣き出す明日香ちゃんを、私は、
「大丈夫…もう大丈夫だよ。私がいるから」
って言いながら、ただ抱き締めることしかできなかった。
182 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月01日(金)06時48分42秒
 緊張が解けたって言うか…気が弛んじゃったって言うか。
 冷え切った身体をお湯で温められて、梨華ちゃんに心をほぐされて……。

 気づいたときには、もう震えが止まらなくなってた。
 平手打ちの痛みも、胸をまさぐられるおぞましさも、犯されるっていう恐怖
心も、一度に蘇って……。
 後になって赤面するくらい、ワンワン泣いた。
183 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月01日(金)06時50分06秒
 そんな私を、梨華ちゃんはずっと優しく抱き締めてくれてた。
 心も体も、すべてを包んでくれる。
 痛みも、おぞましさも、恐怖心も、梨華ちゃんの胸に吐き出した。

 どれくらいそうしてたんだろう?
 梨華ちゃんは、ようやく泣きやんでヒクヒクしゃくり上げてる私の手を引い
て、湯船に入れてくれた。
 二人で一緒に入ってるお風呂。
 何だかよく分からない安心感に浸かりながら、どうしようもなく眠気に襲わ
れて……。
 ポカポカ、フワフワ。
 いつの間にか意識が無くなってた。
184 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月01日(金)06時50分58秒
 私の肩に、頭がスッて乗ってきた。
「明日香ちゃん?」
 顔を覗き込んだときには、明日香ちゃんはもう寝ちゃってた。
 お風呂に浸かりながら寝ちゃうなんて……さっきまで、どれだけ気を張り詰
めてたかってことだよね。

 でも、このままじゃお風呂で溺れちゃうよ。
「明日香ちゃん…」
 呼び掛けても、揺すっても起きない。
 …しょうがないですねぇ。
185 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月01日(金)06時51分58秒
「よいしょ!」
 何とか抱えて立ち上がらせたまでは良かったんだけど……。
 湯船から出すだけでも一苦労。
 あっちを持ったり、こっちを担いだりしてる間に、胸とかお尻とかあそこと
かが、上になったり下になったりアップになったり。
 目移りしちゃうよ……って、それどころじゃないよね。

 それにしても……。
 そんなアクロバティックな…ある意味、恥ずかしい恰好になっても目が覚め
ない明日香ちゃん。
 …大丈夫かな?
186 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月01日(金)06時52分48秒
 とにかく、何とか抱え上げて脱衣所でバスタオルで拭いてあげて。
 そこでハタと気がついた。
 着替えがない。
 部屋で探してきても良いんだけど…その間、脱衣所の床に寝かせたままってい
うのは流石に……。

 今この家には二人しかいない訳だし、裸のまま部屋まで担いで行くことにした。
 でも、今度は階段かぁ……。
 ううん。愛しい明日香ちゃんのためだもん。
 梨華、ファイト!
187 名前:完名無 投稿日:2002年03月01日(金)10時17分50秒
冗談抜きで、明日香ちゃんに触れる梨華ちゃんのように
ドキドキしながら「あすりか」を読んで、「あすりか」に触れてます。
(梨華ちゃん並みに強引だった自覚もあります)
おかげで今、以前以上に梨華ちゃんへの感情移入度が
高くてどうしようもない。
明日香ちゃん、ねえ、目を覚まして…抱きしめて。
188 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時29分18秒
>>187
 完名無さん、感想ありがとうございます。
 何か気合が入りました!
 明日香は、目を覚まして……続きは本編をどうぞ(藁
189 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時29分50秒
 温かい……。
 目が覚めて最初にそう思った。
 見覚えのある天井。
 そっか、私のベッドの上だ。

「ん〜…」
 あれ? 耳元で聞こえるこの声は……。
「…あ、明日香ちゃん。起きたんだ」
 横を向くと、微笑む梨華ちゃんのドアップ。
 この展開はもしかして……。
 慌てて確認したら、やっぱり裸のまま布団にくるまってた。梨華ちゃんと一
緒に。
190 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時30分34秒
 流石に…こういう状況にも、慣れてきたよ。
 全然、び…びっくりなんて、しないね。
「ど…ど…どうして?」
 どもっちゃった……強がっても動揺は隠せないか。

 はい、すいません。
 梨華ちゃんと裸同士で抱き合ってる状況に、ドギマギしちゃいました。
 しょうがないじゃん!
 好きな子と抱き合ってたらドギマギしちゃうって!
 …逆ギレしても仕方ないんだけどね。
191 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時31分05秒
「だって〜明日香ちゃんがあんまり可愛い顔で寝てるから〜」
 いや、説明になってませんよ、梨華ちゃん。
「…本当は寝てる明日香ちゃんを着替えさせるのが面倒になっちゃって」
 それは…仕方ないかも。
 でも、梨華ちゃんまで一緒に寝ることは無いんじゃ……。

「だって〜明日香ちゃんがあんまり可愛い顔で寝てるから〜」
 いや、だからそれじゃ説明に……。
「…明日香ちゃんが風邪ひいちゃったら困るから。温かいでしょ?」
 うん。とっても温かいよ。
 温かいけど…恥ずかしいよ。
 だって……む、胸が当たってる。
192 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時31分49秒
「…ね〜明日香ちゃん……」
 あの…り、梨華ちゃん…胸を押しつけてこないで。
「折角二人きりなんだから…良いでしょ?」
 良くない! 良くないけど…何故だか言葉が出てこないよ。
 身体も金縛りに掛かったみたいに動かないし。
 ど…どうしよう。

 マゴマゴしてるうちに、ゆっくりと梨華ちゃんの顔が近づいてくる。
 抗う気持ちさえ出てこない。
 自然に目が閉じてきちゃって……。
 チュッて。
 はぁ…梨華ちゃんの唇……プックリ柔らかいよぉ……。
193 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月03日(日)02時32分29秒
 ガチャッ。
「ただいまぁ」
 お母さんだ!
 玄関から物音と一緒に聞こえてきた声に、ハッ!て現実に引き戻された。
 残念なような…「助かったぁ…」って安堵するような…その両方ともが率直
な気持ち。

「ほら、梨華ちゃん、お母さんが帰って来ちゃったから。早く服、着ないと」
「…も〜…」
 金縛りの解けた私は、元気いっぱいに布団から飛び出して、手早く着替え始
めた。
 梨華ちゃんは不満そうだけど……そんな顔も可愛いよ♪
194 名前:完名無 投稿日:2002年03月03日(日)20時31分25秒
>全然、び…びっくりなんて、しないね。
あまりに明日香ちゃんらしくて、萌え死にそう…

195 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月04日(月)09時49分45秒
>>194
 いやいや。萌え死んじゃわないでくださいよ(藁
196 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)09時50分45秒
 紅く色づいた明日香ちゃんの肌。
 それを包むように抱き締めて、肌を寄せ合う。
 互いの体温が温かい……。

 最高に気分が盛り上がってたのに……。
 もうちょっと明日香ちゃんを直に感じてたかったな〜。
 でも、ま、いっか。
 明日香ちゃんも元気が出てきたみたいだし。
197 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)09時51分17秒
 私の服もちょっと湿ってたから、明日香ちゃんが着替えを貸してくれた。
 二人そろってリビングへ降りていく。
「お帰り、お母さん」
「お帰りなさい」
 ソファに座って肩をトントンッてしてた明日香ちゃんのお母様。
「ただいま…あら? あんたたち、もう着替えたの?」

 心臓がドキンッて大きく一つ。
 ど…どうしよう。
 怪しまれちゃった?
 流石は明日香ちゃんのお母様。
 鋭く見通す目を持ってるね。
198 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)09時51分54秒
 でも、そこは明日香ちゃん。
 何でも無かったみたいに、
「ちょっと雨に降られちゃったからさ。傘持って出るの忘れてて……先にお風呂入ら
せてもらっちゃったよ」
スラスラッてそんなことを言ってる。

「馬鹿な子ねぇ。風邪ひいたりしないでよ?」
「分かってる。それよりお母さん、私たち、ご飯まだなんだ」
「まだ食べてなかったの? もう、お客さんを呼んどいて、何やってるの。石川さん、
ごめんなさいね」
「い…いえ」
 しっかり者同士の会話にちょっとタジタジッて感じ。
199 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)09時52分29秒
 お母様がお料理を温めてる間に、明日香ちゃんも何かキッチンでゴソゴソやってた。
 私も何かお手伝いをって思ったんだけど……。
「お客様はそこに座ってジッと待ってて」
 明日香ちゃんとお母様の二人から、そう言われちゃった。

 二人ともすぐに戻ってきて、楽しい晩餐。
 お母様のお料理は、まさに家庭の味って感じで、煮物なんて最高においしかった。
 私ももっとお料理の勉強しなきゃ。
 それから最後に出てきたデザートは……。
200 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)09時53分28秒
「ジャジャ〜ン!」
 珍しくハイテンションな登場の仕方で、明日香ちゃんが運んできてくれた。
 小さめのティーカップに入った緑色のムース。
「明日香ちゃんが作ってくれたの?」
「急いで作ったから……」
 明日香ちゃんは恥ずかしそうに言ったけど、嬉しい! 本当に嬉しいよ。

 慎重に一口食べたら……ジワ〜ッてお茶の苦味の上に仄かに甘くて……最高! 最
高だよ、明日香ちゃん!!
 拙いながら、絶賛の言葉を贈ったら、
「ホントに?…良かったぁ」
って。
 ほっぺをちょっと朱に染めて、嬉しそうにほほ笑む明日香ちゃん。
 その笑顔。
 それが一番のご馳走だね。
 ありがとう、明日香ちゃん。
201 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月04日(月)12時43分14秒
 お茶のムース。
 本当はもっと余裕をもって作れるはずだったんだけど…それがちょっと心残り。
 でも、梨華ちゃんは喜んでくれたみたいだから、良しとするかな。
 お母さんも交えて、結構、話も盛り上がって楽しい夕食になったし。
 結果オーライ。

「それじゃ、お母さん…私たち、部屋に戻るね」
 お菓子にペットボトルにカップが二つ。
 準備は万端。
「はいはい。あんまり夜更かしするんじゃありませんよ」
「は〜い」
202 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月04日(月)12時44分43秒
 キッチンで片づけものしてるお母さんに声を掛けてリビングを出たら、梨華ちゃん、
すぐに腕を組んできた。
 ちょっと肩をすくめて恥ずかしがってみたり。
 本当は、かなり嬉しいんだけどね。
 階段を上って部屋のドアを開ける。

「ささ。姫、どうぞ♪」
 おどけてそんな風に言ってみる。
 梨華ちゃんも、
「うむ。苦しゅうないぞよ」
なんて笑いを堪えて澄ました顔。
203 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月04日(月)12時45分30秒
 でも、目の前を梨華ちゃんが通ったとき、目に入ってきちゃった。
 星形ピアス。
 おそろだったピアス。
 胸の奥がキュ〜ッて、また縮みそうになる。
 私のせいで、おそろじゃなくなっちゃった……。

「?…どうしたの、明日香ちゃん?」
 部屋の中で振り返った梨華ちゃんが、不思議そうに見てる。
「…ううん。何でもない」
 無理に笑ってドアを締めたけど……梨華ちゃんの耳元のピアスがキラキラ輝いて…
私には眩しすぎた。
204 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)16時05分28秒
 二人でクッションを抱いて、ベッドにもたれておしゃべり。
 さっきのムースに、私がどれくらい感動したかとか、ちょっと抱きついたりしなが
ら訴える。
 恥ずかしそうに笑ってる明日香ちゃんだけど……何か違う。
 明日香ちゃんも、いろいろお話ししてくれるけど、また元気が無くなっちゃった気
がする。
 どうしちゃったんだろう?

 時々、私の目から視線がそれて……。
 すごい気になっちゃうよ。
 でも…そのことに触れられないよ。
 だって、明日香ちゃんが余計に傷つきそうな予感がするんだもん。
205 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月04日(月)16時06分24秒
 次第に明日香ちゃんは無口になって、私ばっかり話してる。
 明日香ちゃんの視線、今じゃ、何を見てるかはっきり分かるよ。
 私の耳元のピアスと…机の上に置いてある、明日香ちゃんのピアス。
 壊れちゃったピアス。
 明日香ちゃんの目が、すごい寂しそうで、私まで息苦しくなっちゃうよ。

 話が続かなくなって。
 突然、明日香ちゃんがフラッて立ち上がって、机の方へ歩いていく。
 壊れたピアスを手にとって……それを見つめる明日香ちゃんの横顔に、ホロッて涙
がこぼれて。
「明日香ちゃん……」
 切なくて…儚げで…哀しくて…そして、綺麗だった。
206 名前:名無し娘。 投稿日:2002年03月04日(月)21時24分05秒
【明日香ちゃん】この文字列に萌えるようになったのは作者さんのおかげです!
207 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)00時36分19秒
>>206
 うわぁ…そう言っていただけると、めちゃ嬉しいです。
208 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)00時37分31秒
 梨華ちゃんと話してても、どうしてもピアスが気になって……。
 キラッて輝くたびに、それに目を留めてしまう。
 今日までは、その輝きは安らぎを与えてくれた。
 なのに今は……。

 美しく輝く梨華ちゃんのピアス。
 机の上で無惨な姿で転がっている私のピアス。
 同じ物のはずなのに、さっきまで同じ輝きを放っていたはずなのに……。
 私のピアスは、くすんで見える。
209 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)00時38分10秒
 自分でも気がつかないうちに、机の前に立ってた。
 壊れたピアスを持って……。
「ど…どうしたの?…明日香ちゃん……」
 梨華ちゃんが、私を見つめて心配そうな顔してる。
 その顔が、揺れて霞んで、流れ落ちた。
「大切なピアスだったのに…大切な場所だったのに…大切な思い出だったのに…
…汚されちゃったよ…私……」

「そんなことない! 汚されてなんかないよ!!」
 梨華ちゃんが、私の肩を掴んで揺すってる。
「だってぇ……」
 心が萎えて、すべてが終わりのように感じられて……。
210 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)00時40分10秒
「明日香ちゃんが無事で私の隣にいてくれる。それだけで、身の回りのもの、
場所、これまでの思い出、全部が愛しいの。大切なまま輝いてるよ」
 私の目を突き通すように真剣な、それでいて優しい梨華ちゃんの眼差し。
「そう教えてくれたの、明日香ちゃんじゃない。汚れてなんかないって」
 もう…もう我慢の限界だった。
「梨華…ちゃん……ふぇ…ふぇ〜ん…」
 梨華ちゃんにしがみつくようにして泣いた。
 泣いて泣いて…梨華ちゃんは、ずっと私の髪を撫でてくれてた。

 思えば、今日は夕方から、ずっと泣いてばっかりだね。
 こんなに泣いたの、何時以来だろう?
 頭の片隅でそんなことを考えながら、それでも今は泣き続けてた。
 梨華ちゃんが柔らかく私を包んでくれてるのが、すごく心地よかったから。
211 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月05日(火)12時04分54秒
 お風呂で突然泣き出した明日香ちゃんには驚いたけど、今はそれほどでもなかった。
 だって、もう見るからに明日香ちゃんが傷ついてるのが分かったから。
 ネガティブ全開って感じだったもんね。
 ネガティブのプロである私には一目瞭然だった。
 ……我ながら嫌なプロだな〜。

 そんなことは置いといて……。
 しっかり抱いてあげたら、明日香ちゃん、ずっとずっと泣き続けてた。
 お風呂場でのは恐怖心による涙。
 今の涙は…きっと喪失感による涙だね。
212 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月05日(火)12時05分43秒
 明日香ちゃんのせいじゃないのに。
 明日香ちゃんが気にすることないのに。
 真面目すぎるんだよ、明日香ちゃんは。
 その間も、壊れたピアスを大事そうに両手で包むように持ってて。

 明日香ちゃん。
 交換したおそろのピアスを本当に大切にしてくれてるのが伝わってきて、私は心の
底から嬉しかったよ?
 だから、そんなに悲しまないで。
 悔やんだりしなくても良いんだよ。
 でも…今は気が済むまで泣いても良いから。
 吹っ切れるまで、待っててあげる。
213 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)15時13分51秒
 こみ上げてくるものが、ようやく落ち着いてきたら、無性に恥ずかしくなってきた。
 泣きじゃくるなんて、まるでお子ちゃま丸出しじゃん。
 梨華ちゃんの視線から逃れるように顔を背けた。

「どうしたの?」
「やだ…恥ずかしい…見ないで……」
 だって…もう涙でグシャグシャになってるのが、自分でも分かるもん。
 こんな顔、梨華ちゃんに見られたくないよ。
 なのに梨華ちゃん、追いかけるように覗き込んできて、
「そんなことないよ。泣き顔の明日香ちゃんも、とっても可愛いよ?」
なんて言う。
214 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)15時14分34秒
 そんなの嘘だよぉ。
「今までより、もっとも〜っと、明日香ちゃんがスキになっちゃった♪」
 …ホントに?
「本当だよ〜……じゃあねぇ…証明してあげる」
 言った梨華ちゃんの顔が、急に近づいてきて……。

「あ…」
 反射的に閉じた両方の瞼に、柔らかくて温かい感触。
 私の中で何かが融けて消えた。
 同時に膝の力が抜けちゃって、ヒシッて梨華ちゃんに抱きついてなきゃ、立ってら
れないよ。
 梨華ちゃん、私に何したの?
215 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月05日(火)15時15分30秒
 明日香ちゃん、膝がカクッて落ちてギュッて抱きついてきた。
 ごめんね、明日香ちゃん。
 ちょっとワザを使っちゃったよ。
 瞼って、意外に感じるの、知ってた?
 特に泣きはらした後は敏感になるみたいだよ。

 私も抱き返して、そのまま机とは反対側にあるベッドへ真っ直ぐ。
「り…梨華ちゃん」
 明日香ちゃん、ちょっと焦ってるみたいだけど、気にしない。
 哀しいときには、それを忘れるくらい愛を感じなきゃ。
 だから、私の愛をいっぱい、あ・げ・る♪
216 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)16時21分37秒
 駄目だよ。
 このままじゃ、いつもと同じ。
 受け身の私を、優しく愛してくれる梨華ちゃんって形。
 私ばっかり気持ちよくなって……いつまでもそれじゃ、嫌なんだから。
 でも…どうしたらいいか分からない。

 ここ最近、考えてたけど答えなんて見つからなかった。
 それでも、今の状況は「待った」が効かない。
 ベッドにゆっくり下ろされて……。
 私に覆い被さってる梨華ちゃんの目が優しかった。
217 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)16時22分13秒
「梨華ちゃん……」
「ん?」
「今日は…私が……」
 思い切って言ってみた。
 梨華ちゃんは首を傾げて見つめてる。

「…良いよ」
 ニコッて笑って、私の隣に横たわった梨華ちゃん。
 ……えぇと。
 まず、どうしたら良いんだっけ?
 いつも梨華ちゃんにされてることを思いだそうとするんだけど、こんなときに限っ
て焦っちゃって混乱しまくり。
218 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月05日(火)16時22分58秒
 えぇ〜い!
 と…とにかく、キス、だよね?
 いつもと違ったドキドキ感が、焦ってる自分を表してる。
 おっかなびっくり顔を近づけると、梨華ちゃんはスッて目を閉じて。
 焦るな、明日香!
 これまでだって何度か私からキスしたことあるじゃん!
 ……でも、今回は全然勝手が違うよ。

 目の前の無防備な梨華ちゃんの姿が、あらためて責任の重大さを感じさせる。
 すべてを任せてくれた梨華ちゃんの期待に、何とか応えなきゃ!
 何とか呼吸を整えて、えいや!って唇をつける。
 ぅぁ……やっぱり梨華ちゃんの唇、柔らかいよぉ…。
 思わずいつも通りに、自分の方が熔けちゃいそうになる。

 慌ててもう一回気合いを入れ直して……一生懸命についばんでた。
 ……能動的に愛してあげるのって…大変だなぁ。
 私、最後まで保つのかなぁ?
 不安いっぱいに、ぎこちなく梨華ちゃんを愛し始めた。
219 名前:完名無 投稿日:2002年03月05日(火)20時18分20秒
> 哀しいときには、それを忘れるくらい愛を感じなきゃ。
> だから、私の愛をいっぱい、あ・げ・る♪
これが…梨華ちゃんの醍醐味…くぅ。けど今は「抱きしめて明日香ちゃん」…
こんなに理想的にステキな展開でいいのかな、と声に出してつぶやいてしまいました。
すごい更新ペース! もー読んでるこっちも興奮して、
がんがんレス入れちゃえ!(いいですよね?…ダメだったら言って)
220 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)00時13分53秒
>>219
 梨華ちゃんの魅力に萌え萌えですね?(藁
 がんがんレス待ってます。
221 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月06日(水)00時14分29秒
 そう言えば前の時、
「どっちかがどっちかを気持ちよくするだけじゃ嫌じゃない?」
って、明日香ちゃん、言ってたっけ。
 ピンと来ないところもあるけど、明日香ちゃんが真剣だってことはよく分か
る。
 よ〜し!
 それじゃ、私も一肌脱いじゃいましょう。

 明日香ちゃん、必要以上に緊張してる。
 それじゃ、なかなか相手を気持ちよくさせることは出来ないんだよ。
 だから……明日香ちゃんの腰の辺りに手を伸ばす。
 服の上からス〜ッス〜ッて撫でてあげると…。
「ん!…ぅふ…」
 明日香ちゃん、突然走った快感に狼狽えちゃってる。
222 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月06日(水)00時15分08秒
 でも、これで余計な力は抜けたはず。
 その証拠に、キスがこんなに気持ちいい。
 あれ?
 でも、明日香ちゃんの瞳、ウルウルしちゃってる……。
 予想以上に感じちゃった?
 ちょっと触っただけなのに……。

 ま…まぁ、大丈夫だよね?
 明日香ちゃん、ファイト〜!
 優しく愛してね、明日香ちゃん?
223 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)00時15分57秒
 ビックリしたぁ……梨華ちゃん、急に腰の辺りを触ってくるんだもん。
 今日は、梨華ちゃんから触ってきちゃ駄目ぇ!
 だって…ちょっとだけでも、こんなに感じちゃうんだもん。
 もしかして、私の身体、梨華ちゃん仕様になってきちゃってる?
 もしそうだとしたら、益々ヤバイ。
 今日のテーマは、「梨華ちゃんを気持ちよくさせる方法とその実践」なんだ
から。

 とにかく、自分がされて気持ちいいことは、相手も気持いいはずなんだから。
 まずは…もうちょっとキスを……。
 ハァ〜…やっぱり梨華ちゃんとのキス、気持ちいいよぉ。
 ……い…いけない、いけない。
 また自分だけの世界にはまり込むところだった。
224 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)00時16分39秒
 今度は…服を脱がさなきゃ。
 でも、やっぱりまだ、梨華ちゃんみたいに手早く脱がしちゃうことは出来な
いから……。
「梨華ちゃん…服、脱いで」
 素直にお願いするのが一番。
 今出来ることで頑張るしかないからね。

「うん…明日香ちゃん、大丈夫?」
 協力してくれる梨華ちゃんと一緒に、自分も服を脱ぐ。
 それで分かったんだけど…梨華ちゃん以上に私の方が興奮しちゃってる。
 身体全体が赤く火照ったみたいになってる……。
 駄目じゃん!

 落ち着けぇ、落ち着けぇ。
 自分に言い聞かせながら、指を胸に這わせる。
「焦んなきゃいいんだよ。慌てず、ゆっくり、ソフトタッチ」
 あれ? これって……吉澤のアドバイス。
 唐突に頭の中に浮かんできた。
 アイツの言う通りにするのは癪にさわるけど…四の五の言ってる場合じゃな
い。
 慌てず…ゆっくり…ソフトタッチ……。
225 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月06日(水)02時10分07秒
 最初は本当におっかなびっくりって感じで、私の方がハラハラしちゃってた。
 あ、そこじゃない、とか。
 もっと落ち着いて、とか。
 力が入りすぎててそのままじゃ痛いよ〜、とか。

 自分でする方が断然、楽だって思った。
 でも、明日香ちゃんが一生懸命に試行錯誤しながら私を愛してくれてるんだ
から、それを受け止めてあげるのが、私の愛だよね。
 それでも、ちょっと身を引いたりずらしたり、手をそっと押してあげたり……。
 なるべく分からないように協力してあげる。
 そうじゃないと、明日香ちゃんの方が先に限界に達しちゃいそうだったから。
 だって、乳首ちゃんとか、もう明日香ちゃんの方が固く尖ってきちゃってるし。

 でも、だんだん明日香ちゃんも慣れてきたみたい。
 柔らかいタッチで私を愛撫してくれるようになった。
 こうなったら、後は明日香ちゃんの指の動きをしっかり感じるだけで良い。
 明日香ちゃんに誘われて、高みへ昇っていくイメージを膨らませる。
 そう…そうだよ、明日香ちゃん。
 すごい……そこ……ぁん……。
226 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時10分56秒
「あ…すごい…良い! 良いよ、明日香ちゃん」
 梨華ちゃんが望むところを探そうと、あちこち必死にやってたら、当たりを
引いたみたい。
 ビクビク仰け反る梨華ちゃんの反応に励まされて、一層頑張ってみる。
 でも…私も、もう…限界に近いよ。

 上気してた身体は、もうカッカする感じ。
 いつも梨華ちゃんがどうやってるのか、出来るだけ正確にトレースしようと
してたら、もうねぇ…実際に自分がされてるみたいに感じちゃって……。
 舌先で梨華ちゃんの乳首ちゃんが固くなってきてるのを感じて、「やった!」って
思ったら、自分のももうビンビンで。
 ちょっと肌に擦れたら、「ひゃんっ!」て声が出ちゃうくらい。
227 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時11分36秒
 後は推して知るべしで、下の方も梨華ちゃんの受け入れ準備が整う頃には、
私も大変な状態になってた。
 イメージ作戦は諸刃の剣だった。
 ……私って…想像力ありすぎなのかなぁ?
 ともかく、ボ〜ッてする頭に何とか活を入れながら、梨華ちゃんのそこに集
中する。

 そっと差し込んだ指が、梨華ちゃんにキュッて包み込まれて身動きしにくい
くらい。
 絶対に梨華ちゃんを傷つけたりしたくないから、どうしても指の動きはゆっ
くりになっちゃって。
 梨華ちゃんはそれに合わせて、
「…フゥ〜〜……」
って、長く息を吐き出してる。
 指から伝わる体温。
 すごく温かいよ。
228 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時12分24秒
 ゆっくりゆっくり、その温かさを確かめながら、梨華ちゃんの中をなぞって
いく。
 だんだん滑らかに動くようになる指。
 折り重なる花びらのような襞を、かき分けるような感触が、頭の中で自分が
かき回されているように変換されちゃう。
 よく考えたら、これは私自身がイッちゃうのをトレースしてるってことで、
正確に思い浮かべるほど、自分を追い込む結果になるわけで。
 もう…私の方がヘロヘロな状態。

 その時の私は他に何も考えられなくて、自分が一番気持ちいいところを探り
当てて、そこだけに集中して指先を這わせる。
 背筋をパシッて快感が走ったり、身体の中心から鈍く震えが広がっていった
り……。
 星なんか、目の前を降るほどチカチカしてた。
 もうちょっと…ぁ…後少し……。
 目の前の霞が真っ白になって……。
229 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時13分41秒
 そしたら、急に梨華ちゃんが短くハッ!て息を吐き出して、
「あぁん…」
って艶めかしい喘ぎ声。
 腰もカクッカクッて蠢いてた。
 梨華ちゃん?
 イッちゃった?

 這うようにして顔を覗き込んだら、すごく幸せそうな笑顔だった。
 体力を使い果たした感じで、私も横で寝てた。
 だけど身体の中心が熱くて…何か持て余しちゃう。
 梨華ちゃん、荒い息で、ハァハァ言いながら、
「……明日香ちゃん…すごい良かったよ…上手になったね」
って。
 何だか誉められちゃったけど……ちょっと恥ずかしいよね。
 よく回らなくなった頭で、そう思った。
230 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時14分26秒
 そのうち、ス〜ッて深呼吸した梨華ちゃんが、私に笑顔でにじり寄って来て……。
「明日香ちゃん、言ってたよね?『どっちかがどっちかを気持ちよくするだけじゃ嫌
じゃない?』って」
 嫌な予感がしたけど、もう身体に力が入らないよ。
「だから今度は…私が。ね?」

 動けない私に覆い被さってきて…その後は…言うまでもなく呆気ない結末で……。
 今までトレースしてたイメージ通りに梨華ちゃんが動いて、何だか分からない間に、
何度も何度も大波に飲み込まれてた。
 でもこれじゃあ、全然、平等じゃないんじゃないかと思うんですけど……。
 結局、私が頑張ったことって…あれで良かったの?
 …結論を出すよりも早く、意識の方が遠く、遠く……薄れていった。
231 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月06日(水)02時15分06秒
 明日香ちゃんは、私が思った以上に頑張ってくれた。
 最後は何の手加減もなく、明日香ちゃんの手でイカされちゃった♪
 キュ〜ッて収縮するときに、明日香ちゃんの指を芯に包み込むような感じが
残ってて……すごく確かな快感が全身に走ったの。
 オナニーの時の虚ろな後ろめたさなんかとは比べ物にならないくらい気持ち
よかったよ。

 まぁ、今の明日香ちゃんにはそこまでが限界だったみたいだけど。
 これ以上は、また頑張りましょうってことで。
 ね?
232 名前:チャーミー石川 投稿日:2002年03月06日(水)02時15分43秒
 だから感謝の念を込めて…たくさん、ご褒美をあげたんだよ?
 明日香ちゃんも、いっぱい感じてくれた。
 自分でも気がついてたみたいだけど、もう出来上がっちゃってたから、私が
ちょっと後押ししてあげたら、あっと言う間。
「ぃやん…」
って、喘ぎ声もビクビク震える身体も、全部がすごい可愛かったよ〜。

 そんなことしてるうちに、心地よい睡魔に襲われて、二人で抱き合って眠り
についた。
 明日の朝も、このまま抱き合って目覚めるんだね。
 最高に、最高に幸せだよ。
 ね? 明日香ちゃん。
233 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時16分49秒
 朝、目覚めたら…と言うより、意識が戻ったらって言った方が相応しいかも。
 だってぇ…意識不明になったまま、朝を迎えた感じなんだもん。
 腰から下も、重〜い感じ。
 梨華ちゃん、ちょっとは手加減してよ……。

 ともかく、目の前には梨華ちゃんの寝顔があった。
 幸せそうに、ちょっと微笑んだ可愛い寝顔。
 こんなに無邪気に見えるのに、私にあんなすごいことしちゃう梨華ちゃん。
 ホント、不思議だよね。
 …そんな梨華ちゃんも、好きだけどさ。
234 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時17分20秒
 いろいろ考えながら梨華ちゃんの寝顔を見つめてた。
 すごく心が軽くなって、何だか、昨日までの自分とは違う気分。
 きっと梨華ちゃんと二人で見た夢の中で、私は生まれ変わったんだね。
 じんわり心が痺れてきて、「幸せだぁ!」ってシミジミ実感。

 そしたら、ホワッて梨華ちゃんの目が開いた。
「あ…おはよう、明日香ちゃん♪」
 寝ぼけ眼のまま、ニコ〜ッて。
 まだ半覚醒状態って感じ。
 夢とも現実とも定かじゃないんだろうなぁ。
235 名前:焼き銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時18分29秒
 そんな梨華ちゃんがまた愛しくて。
「おはよう、梨華ちゃん♪」
 そう言って、頬にキスをしてあげた。
 これくらいなら大丈夫だよね?
 半分、夢の中の出来事だから。

 くすぐったそうにしながら呟いた梨華ちゃんの言葉。
「また…新しい思い出が…出来たね」
 それが私の胸に刻み込まれた。
 どうやら昨日から私は涙もろくなってるらしい。
 必死に涙を飲み込みながら、
「うん!」
って大きく肯いた。

 ささやかな、でも二人にとっては、かけがいのない思い出。
 朝日が射し込んで、机の上でキラキラ輝く壊れたピアス。
 生まれ変わった私にとっては宝物だった。
 これからも…これからも、いっぱい宝物をつくっていこうね?
 頬を触れ合わせたまま、まだウトウトしてる梨華ちゃんに、そう呟いた。

(完)
236 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)02時22分31秒
 何やら2chの方で、この「あすりか」を巡って荒れてるようなので、こちらに
飛び火してきて、完結間近に荒らさせるのは嫌だったので、一気に終わらせて
しまいました。
 あくまで一区切りのつもりです。
 ストーリー上、結論の出てないことも多いので、続きは書きたいなとは思って
ます。
 どれほどおられるかは分かりませんが、長らくお読みいただいた方々、本当に
ありがとうございました。
237 名前:三白眼 投稿日:2002年03月06日(水)05時04分05秒
続編楽しみにしてますねー!キレイなHシーン(Hって言葉も相応しくないような)
でよかった!!自分あんま明日香しらないファンなんで「太陽娘〜』手に入れて
勉強しました(^^)  作者さんお疲れさまでした!!面白かったです!
238 名前:完名無 投稿日:2002年03月06日(水)10時52分33秒
がんがんレス入れる前に終わってしまいました。残念…。
でもあなたの作品を今後もまた読みたいと強く希望しています。
239 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月06日(水)11時12分01秒
長いことお疲れさまでした・・・・って納得できる終わり方じゃない
あのスレみてれば分かるが批判してた奴は、ほとんどあすりかを
読んでないわけだし、まれに見る強烈なアンチ福田なだけ

あんな煽り気にしないで続き書いて欲しい
240 名前:名無し読者158 投稿日:2002年03月06日(水)13時51分29秒
 あのスレッドで偶然見かけてから今日まで、殆ど毎日追いかけて
きました。いつかは来るであろう瞬間は、あまりにも唐突にやってきて
しまいました。喪失感が無いと言えば、正直嘘になります。けれど、
逆に作者さんの最後の言葉にどうしても期待せずにはいられません。
「今度出会うときは必然」という事で良いですか?
241 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月06日(水)15時21分33秒
 続編に期待してくださる方がおられて、本当に嬉しいです。
 今度は5期メンも絡ませてみたいな、と思ってます。
>>237
 Hな場面は、変にいやらしくならないように気をつけたつもりです。
 ですのでそう言ってもうらえると嬉しいです。
 明日香は、知れば知るほど興味深い存在ですよ。
 これからもよろしく!
>>238
 私ももう少しゆっくり更新して完結させるつもりだったんですが、申し訳ない。
 ここでもあちらでもお世話になりっぱなしで、これからもお世話になります(藁
>>239
 納得できませんか。そうかもしれませんね。
 吉澤とか紗耶香とか、はっきりしないままですし。
 第一、明日香がやっとHに積極的になりだしたところなのに!(藁
 続編でそこらが書ききれるのかは、未熟な筆力ではお約束できませんが、とにかく、
頑張りまっすよ!
>>240
 喪失感って、そんなに大した存在ではないと思いますが、お世辞でも嬉しいです。
 ご期待に沿えるかは偏に筆力の向上次第ですが、続きに着手するお約束だけは果
たしたいな、と思ってます。
242 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月06日(水)16時29分19秒
羊時代から読んでました、寂しいですが
作者さんお疲れました。あすりかホントによかったです。
続編期待してます、ほんとのあすりかの2ショットもね
ありがと
243 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月06日(水)17時40分44秒
本当に長い間ご苦労様でした。
一番はまったてた作品だから正直残念ですけど、次回作に期待です。
244 名前:のり 投稿日:2002年03月06日(水)23時42分35秒
おもしろかったです。
いやぁ〜、なんか純粋な愛っていいですね…
245 名前:読者 投稿日:2002年03月07日(木)00時54分56秒
作者の義務は、最後まで書き続ける事。

私は、皆さんのように寛大ではありません。
「お疲れ様」など、言いません。
荒らしが落ち着くまで、構想を充分に練っていてください。
少しの間、待っています。
246 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月07日(木)01時09分23秒
2chですが、アンチファンもある意味ファンですよ。
存在を知って広めている結果になっているんですから。
とりあえず、続編を期待しています。
247 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月07日(木)09時40分15秒
>>242
 羊時代から! 長らくのご愛顧ありがとうございます。
 続編、頑張りまっす! が、その前に別作品を手がけるかも。
 今度は、「あすりか」外伝くらいの短いのも書きたいなぁと思ってたりします。
 どちらにしても明日香メインは普遍です。
>>243
 長い間おつき合いいただけて、作者として幸せです。
 次回作も頑張りまっすね。
>>244
 逆にドロドロしたのは書けないかも(藁
 ま、あすりかよ、永遠にってことで……どういうことだ?(藁
>>245
 重いお言葉、ありがとうございます。
 「少しの間」ですか……頑張ってみます。
>>246
 そうですね。今回のことで、「あすりか」って言葉を初めて見た人もいるでしょう
から。続編、頑張りまっす!
248 名前:名無し娘。 投稿日:2002年03月07日(木)14時00分01秒
作者さん長い間お疲れ様でした。自分もPart1の羊時代からずっと読んでます。
細切れに読むのがいやでいつも何日かごとに読んでいたら最終回に・・・
ピアスを交換したはじめのデートが記憶に残ってます。

明日香ちゃんと梨華ちゃん及び「あすりか」と一緒にこれからも時を過ごせると
勝手に思ってたので、なんか寂しい気持ちでいっぱいです。
作者さんの続編を探せるとは限らないし。

とはいえ、これからもポジティブによろしくお願いします。
249 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月07日(木)23時56分34秒
>>248
 ありがとうございます。
 ピアスは二人の関係性を表す象徴として重視してきたので、その最初の場面
が印象に残っているというのは本当に嬉しいです。
 続編を始めるときに、またお会いできることを祈りつつ。
 重ねてありがとうございました。
250 名前:165 投稿日:2002年03月08日(金)01時57分47秒
>>165
急に終わったから、終わった後のみになったけど、
自分が言った通り感想レスがたくさん付いているじゃないですか。
それだけ親しまれていた良い作品だったんですよ。
ファンがいればアンチもいるのは当たり前。
皆の期待通りの続編を待っています。
251 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月08日(金)10時58分50秒
>>250
 いやぁ…本当に嬉しいもんですね(藁
 逆に続編へのプレッシャーも感じたり。現金なものです。
 でも、もちろん頑張りまっすよ!
 ありがとうございました。
252 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月09日(土)15時51分45秒
昔からあすりか読んでました!この小説大好きでした。
wordに全部コピペして印刷しようとしてるぐらいですからw
今思えば色々なエピソードがあって、チャーミー銀杏氏は本当に凄いと思います。
文章の構成能力とか感情表現とか。まるで本で発売されてるような
ストーリーで、今まで一度も飽きませんでした。
むしろ徐々に「あすりか」にハマっていく勢いでしたw
終了はとても悲しいですが、まだ完全な完結ではないようなので
とても安心しました。
続編、期待してます!頑張って下さい!

253 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月09日(土)23時12分00秒
終わった後でも、毎日2回は見に来てしまう。(w
禁断症状出る前に続編頼みます。
それと、それまでの間退屈なので誰か石川福田組復活させて下さい。
自分は無理なので。
254 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月10日(日)10時25分50秒
>>252
 ホント、「あすりか」をご愛読いただいてたみたいで、ありがとうござい
ます。
 続編、しっかり頑張りたいと思います。
>>253
 禁断症状…私も「あすりか」執筆の禁断症状が出ないうちに始めたいな、と
は思ってますので。
 「後藤吉澤組VS石川福田組」、復活してましたよ。
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1015722928/l50
 ここ、まだ見てる人、ホントにいるみたいですね。
255 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月10日(日)15時46分04秒
後藤吉澤組VS石川福田組なつかしいですね
「あすりか」読んでるうちによしごまも好きになっちゃったんですが。

もう1回あすりかを最初から読み返しながら続編待ってますんで
作者さんよろしくです。
256 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月11日(月)09時15分50秒
>>255
 「後藤吉澤組VS石川福田組」は、二組のバトルというよりも、比較するなかで
それぞれの萌えポイントが探せればもめずにすむんでしょうが。
 よしごまの登場も頭に入れながら、続編に頑張ります。
257 名前:名無し娘。 投稿日:2002年03月12日(火)13時17分14秒
次作期待age
次は何か荒唐無稽の設定がいいな。
明日香ちゃんが借金取りに追われて、北の果ての炭坑で住み込み労働、
人気絶頂アイドルの梨華ちゃんと・・・みたいな(w
258 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月12日(火)16時59分08秒
>>257
 あ〜…そこまでいくともう、私の手に余るような……。
 最後まで書ききる自信がもてません(藁
 取り敢えず、「あすりか」の時間を最近まで経過させたものを書いてみようかなぁ
と。その後の「あすりか」みたいな。
 結末に納得されてない方も多いようなので。
259 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月13日(水)12時58分28秒
ここは続編が始まるまでは
作者さんと読者の集いの場という事でいいんですか

260 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月14日(木)01時16分10秒
>>259
案内板の雑談スレでやれ。更新もしてないのにageると他の作者に迷惑。
261 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月14日(木)20時30分11秒
>>258
>>時間を最近まで経過させたもの
この話の時間設定っていつだったの?
262 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月15日(金)10時03分17秒
>>261
 最後のところが五期メン加入直前って感じです。

 ところで、続編についてあれこれ考えてる段階なのですが、長かった「あすりか」
の反動か、短いのを書いてみたくなりまして、森板に「銀杏色に染められて」という
ショートショート集を立てちゃいました。
 http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=wood&thp=1016153663&ls=25
 よろしければ覗いてやってくださいな。
263 名前:チャーミー銀杏 投稿日:2002年03月15日(金)12時43分58秒
 あ、書き忘れてますが、↑のショートショート集は、「あすりか」とは全然別の
ものですので。
 カップリングも、明日香絡みだけど、「あすりか」のみじゃないし(藁
264 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月21日(木)02時08分23秒
>>257
そこまで妄想できるんなら、自分で書いてみたらどうよ?

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