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†怪人屋敷†
- 1 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月22日(火)00時38分44秒
- 海板で書いていた者です。
今回こちらで書かせて頂きます。
とてつもないも駄文になる予定ですが
よろしくお願いします。
いしよしです。
- 2 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月22日(火)00時58分38秒
- 【吸血鬼】
人の血を吸う魔物。
現世にも生き残りは確実に存在していて
夜な夜な人間の生き血を吸い続けていると言われる。
昔は男女同じ数だけ存在したが、現在確認されているのは男のみで
女は極少数生存しているか、もしくは絶滅している。
- 3 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月22日(火)01時07分08秒
- 国語辞典を閉じ、本棚に閉まった
あたし、吉澤ひとみもその『魔物』の一人だ
でもなりたくてなったわけじゃない
これは家系上しょうがない事なんだ
それより吸血鬼って言ったら
『若い女の血を好む』
って言うけどさ
年々若い子の血は不味くなってきてるね
「お前ら何喰って生きてんだよ」
とあたしは言いたい、マジで
- 4 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月22日(火)01時15分02秒
- 親が居るのに肝心な親は何を喰わせてるんだか…
小さい頃からうちに両親は居なかった
爺さんの話しによると
お父さんとお母さんは魔女狩りで
心臓に十字架の杭を打たれて死んだそうだ
その時あたしはまだ小さかったから
更正できるだろうって殺されはしなかったんだけど
変わりに教育係が付けられた
名前は確か…矢口真里だったっけ…
あたしが初めて出会った人間
そしてあたしが初めて殺した人間
- 5 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月22日(火)01時34分05秒
- 彼女のおかげで性格は温厚になったと思うけど
本能まで更正する事はできなかったみたいだ
まぁ今となっては昔の話…
だってあたし100年以上生きてるし
もう正式な歳なんて覚えてない
魔物の寿命は驚く程に長いんだ
大広間の柱時計の針が0時を指した
「さぁ、そろそろ出掛けるか」
午前0時を過ぎたらあたし達魔物の時間
次に日が登るまでに食事を摂らないと
次の日の夜まで食べる物が無い
光の強い日中は家から出る事ができないから
今日はどんな子にしようかな…
- 6 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月22日(火)01時35分04秒
- 更新終了。
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月22日(火)04時26分11秒
- オカルトチック+いしよしですか。
面白くなりそう。期待してます
- 8 名前:夜叉 投稿日:2002年01月22日(火)20時26分35秒
- ぼー然。
頑張ってください。
- 9 名前:白死 投稿日:2002年01月22日(火)20時40分18秒
- 新作待ってましたよ〜!頑張って下さいな!
- 10 名前:白死 投稿日:2002年01月22日(火)21時37分03秒
- 新作待ってましたよ〜!頑張って下さいな!
- 11 名前:白死 投稿日:2002年01月22日(火)23時43分31秒
- なんか二重になってる…。失礼しましたm(__)m
- 12 名前:石川視点 投稿日:2002年01月23日(水)02時16分46秒
- 突然、部屋の明かりが消えた
「あ、電気切れちゃった」
部屋の中はテレビの明かりだけが
世話しなく光っている
もう0時近いしこのまま寝ちゃえばいいんだけど
今日はまだ眠くない…
よし、夜道はちょっと怖いけど
コンビニに行って買って来よう
- 13 名前:石川視点 投稿日:2002年01月23日(水)02時22分49秒
- 身支度をして玄関の前に立つと
小さい頃から聞いていた
母親の口癖を思い出す
『吸血鬼が出るといけないから
なるべく早めに帰ってきなさいよ』
なんて非日常的な会話
でもそれは仕方のない事だった
わたしの家は代々
吸血鬼を退治して来た家系らしい
- 14 名前:石川視点 投稿日:2002年01月23日(水)02時30分12秒
- 一昨年前都心の高校に合格して
今の家から遠いから1人暮しをすると言ったら
あっさりOKしてくれたんだけど
『じゃあこれを持って行きなさい』
…って拳銃をわたしに握らせた
なんて親なんだって思ったけど
その拳銃は対吸血鬼用のものらしくて
人間を撃っても死なないんだって
吸血鬼なんてそんな頻繁に
出るわけないと思ってるんだけど
念の為バックに拳銃を入れて家を出た
- 15 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月23日(水)02時43分29秒
- 夜道をのんびり歩きながら
目だけは獲物を見逃さぬよう光らせていた
吸血鬼だからといって
耳が尖っていたり、空を飛んだりするわけでもなく
外見は人間と全く変わらない
違った所と言ったら鋭い牙ぐらいだ
おかげで何の問題も起こらず
この街で過ごせてるんだけどね
暫く歩いていると
向いから女の子がやって来た
お…今日はこの子にしようかな
- 16 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月23日(水)02時50分28秒
「ねぇ君、ちょっといい?」
相手があたしが女という事に気付いて
油断した隙に後ろに回り込んで血を吸う
これがあたしの手口
「はい?」
うわ、声可愛い
何て言うかすっごいアニメ声
おっと感激してる場合じゃないや
素早く後ろに回り込んで
思いきり彼女の肩に喰らい付いた
- 17 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月23日(水)03時07分05秒
…あれ?
飲み込んだ血はあの人と同じ味がした
しかも血を吸われているにも関らず
この子は平然としている
普通吸血鬼に血を吸われたら
ミイラ化して死ぬはずなんだけど…
その時爺さんが耳にタコができそうなくらい
何度も言っていた言葉を思い出す
『血を吸われた人間が死ななかったらすぐに逃げろ
そいつはわしらの敵だ、もし逃げられない状況なら殺られる前に殺ってしまえ』
ああ、この子敵なんだ…
今更逃げるなんてあたしには無理な話だった
口が離れてくれないんだ
この味をもっと味わっていたい
…あの人と同じこの味を…
- 18 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月23日(水)03時14分50秒
- 更新終了。
>>7
有り難うございます、頑張ります。
>>8
何故ぼー然なんでしょうか…?
頑張ります。
>>9
二重でも三重でも
書いてくれるだけで嬉しいです!頑張ります!
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月23日(水)03時24分09秒
- 石川はそっちサイドで登場ですか。。なるほど
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月24日(木)18時57分28秒
- (・∀・)イイ!!
キターイしてますよ〜!!
- 21 名前:石川視点 投稿日:2002年01月24日(木)23時31分24秒
- コンビニへ向う道を歩いていると
向いから女の子?が歩いて来た
「ねぇ君、ちょっといいかな?」
声を聞いてその子が女の子だとわかり
少しホッとする…何の用だろう?
「はい?」
返事をした時はすでに
視界からその人はいなくなってた
同時に肩に痛みが走る
もしかして…
- 22 名前:石川視点 投稿日:2002年01月24日(木)23時37分14秒
- 母親がわたしに拳銃を渡した時に
真剣な顔で言っていた事を思い出す
『もし吸血鬼に出会ったらこの銃を抜きなさい
1発で仕留めるのよ、大丈夫、私達は血を吸われても死なないから』
ついにこの時が来てしまったのね
突っ立てる場合じゃない
銃を抜かなきゃ…
- 23 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月24日(木)23時43分46秒
- 気付くと彼女はこっちを向いていた
そこには口を半開きにして
いかにもまぬけ面なあたしと
あたしの額に銃を突き付けてる彼女がいた
両手を上に上げて銃を見つめる
あ、この銃見覚えある…
たしか家のどこかに…
そうだ、お父さんの書斎に飾ってあったやつと同じだ
- 24 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月24日(木)23時50分06秒
爺さんの得意げな顔で
何度も聞かされた武勇伝を思い出す
『この拳銃はな、わしの戦利品だ
激しい死闘の末敵に打ち勝った時に持って帰って来たんだ』
やっぱりこの子は…あたしの敵なんだ…
ここであたしの人生おしまい?
おい、まだまだする事とかいっぱいあるぞ
冷蔵庫にあるベーグル
食べときゃよかったかなぁ…
- 25 名前:石川視点 投稿日:2002年01月24日(木)23時57分20秒
- 銃を突き付けてみたものの
引きがねに掛かった指が動かない
今わたしは少し迷ってる
どこからどう見ても
この子は人間と何も変わりがない
ここでわたしが引きがねを引いたら
血を吸った蚊を殺した時みたいに
この子は血を流すのだろうか…
それじゃあわたしは人殺しになって
この子と同罪になるじゃない
…でもこの子を生かして置くと
次々とこの街の人が被害に遭うのよね…
- 26 名前:石川視点 投稿日:2002年01月25日(金)00時00分23秒
- 何とか平和に解決できないかしら…
そこでわたしはひらめいた
これは我ながら名案だと思う
「吸血鬼さん」
「はい?」
「あなたまだ死にたくないでしょ?」
「そりゃもちろん」
「わたしにいい提案があるの」
- 27 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月25日(金)00時08分58秒
- 彼女の出した提案とはこんなものだった
「わたしはあなたが人を殺すから
それを防止する為にこうやって銃を向けてるわ」
「うん、そうだね」
「でもわたしは血を吸われても死なないの
だからわたし以外の人間の血を吸わないって約束できるなら殺さないであげる」
あたしにしたら願ったり叶ったりな提案
あの人と同じ血の味…
それをずっと吸い続ける事ができるなんて
まさに夢のような話だ、断る理由なんかない
「その話のった」
「じゃあ交渉成立ね」
- 28 名前:石川視点 投稿日:2002年01月25日(金)00時16分02秒
- よかった…これで誰も死ぬ事がないわ
わたしの出した提案に
彼女は安心したような
寧ろ嬉しそうな顔をしていた
「あなた名前は何て言うの?」
「吉澤ひとみ、君は?」
「わたしは石川梨華」
「こういうのもなんか変だけどよろしく」
「よろしく」
わたし達は契約の握手を交わした
- 29 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月25日(金)00時24分10秒
- 石川さんは
「血が吸いたくなったらここに来て」
と、住所を紙に書いてくれた
契約を交わしたのはいいんだけど…
あたしにはその契約を守れる自信がない
自分で言うのもなんだけど
可愛い子を見付けたらすぐにでも
血を吸ってしまう自信だけはあった
「もし…守れなかったら…?」
「殺すわ、確実に」
今まで額に当てられていた銃口が
今度はこめかみにねじ込まれる
こいつは本気だ…
- 30 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月25日(金)00時30分12秒
- 「あの…お願いがあるんですけど…」
「なに?」
「一緒に住んでもらえませんか…?」
「なんで?」
「なんてゆーか…守れる自信ない…」
「情けないわね」
「…すいません」
おっしゃる通りです…はい
石川さんは仕方ないと言わんばかりだったけど一応了解してくれた
これで2度目だ、人間が家に住むなんて…
- 31 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月25日(金)00時34分55秒
- 更新終了。
>>19
そうです、彼女達は敵同士なんです。
>>20
有り難うございます
期待して頂けるなんて嬉しいです
頑張ります。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月25日(金)04時53分29秒
- これは美味しい展開
文字どおり
- 33 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)02時57分48秒
- 吉澤さんの家を見て驚いた
辿り付いた先は大きなお屋敷だったから
「ここなの?」
「一応ね」
このお屋敷の存在は知ってたけど
てっきり空き家だと思ってた…
「まぁ中に入ってよ、部屋に案内するから」
すごいのは外装だけじゃなかった
家のあちこちに絵画やら鎧やら
典型的なお金持ちの家
純和風なわたしの実家とは大違い
- 34 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時04分48秒
「部屋はこっち」
吉澤さんは階段を上り始めた
階段を上っている途中で一枚の絵画に目が止まる
他にも絵画は沢山あるのに
なぜかその一枚がすごく気になった
「…綺麗な人」
それは1人の女性が笑って椅子に座っている絵
絵の事はよくわからないけど
この女性に対する想いが伝わって来るような絵だった
- 35 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時11分21秒
- それに目が行くとわね…
「これは誰が描いた絵なの?」
話さなきゃなんないのかよ…
「あたしが描いた」
「すっごーい、上手なのね」
「そう?」
「誰なの?この人」
…聞く必要ないだろ…
「ん、知り合い…」
「へぇ〜」
これ以上過去を掘り起こされたくない
絵から遠ざかる為に階段を上る足を速めた
「じゃあ、部屋ここだから」
それだけ告げて自分の部屋へ向った
- 36 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時17分01秒
- なんか悪い事聞いちゃったのかな…
顔…怒ってる感じだったし…
案内された部屋は
今まで住んでいたアパートと同じくらいの広さだった
家具も1式揃っている
それはとても嬉しいんだけど…
ハンガーラックに唯一持ってきた制服を掛けながら
わたしは1人でネガティブになっていた
もっとポジティブに考えなきゃ…
- 37 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時23分35秒
- そうよ、ポジティブに行かないと!
これからだって何が起こるかわからないんだから
そうだ、アパートの解約手続きしなきゃ
荷物も少しづつ運んでこなきゃいけないし
大きな家具とか買わなくてよかった
なんだかこれから忙しくなりそう…
「…はぁ」
時計を見ると午前1時…
明日も学校があるし
これ以上ネガティブにならない為にも
今日はもう寝よう…
- 38 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時30分01秒
- 「ん…」
自分の部屋に入ってベットに寝転がっていたら
いつの間にか眠っていたらしい
いつもだったら朝になっても気付かないのに
今日だけは朝が来た事がはっきりわかった
厚いカーテンで絶対遮断してあるはずの光が
これでもかって程に盛れていた
「うわああああああああ」
あたしの叫び声が聞こえたのか
石川さんが部屋に駆け付けてきた
「どうしたの!?」
「光…ひかりぃ!!」
- 39 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時35分27秒
- 手で『カーテンを閉めろ』の
ジェスチャーをしてみたけど
彼女には全く通じていない
「光がどうしたの?」
ったくあたし達の事何もわかってないのかよ!
吸血鬼が光に弱い事くらい普通わかるだろ!?
これ以上言っても通じそうにないので
目を瞑ったまま窓まで向い
手探りでカーテンを閉めた
「あ…」
今ごろ気付いても遅いよ…
- 40 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時43分01秒
- …またやってしまった
昨日からやること全て裏目に出てる気がする…
…この家のカーテン全部開けてきちゃった…
急いで屋敷中のカーテンを閉め直す為に部屋を出た
全てのカーテンを閉め終わると
吉澤さんが不機嫌そうな顔で階段を降りてくる
…それは低血圧だからとかじゃないよね…?
「ごめんなさい…」
「いいよ…もう」
「あの…」
「何」
「どこで食事すれば…」
これ以上吉澤さんに世話を掛けるのも気が引けたんだけど
しょうがないじゃない、何もわからないんだもん
- 41 名前:石川視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時47分53秒
- 溜息をついて面倒臭そうに
連れてってくれた部屋は
豪華な食堂だった、テーブルが長い
でも何か食べるものは…
すると奥の部屋から吉澤さんが出てきて
手にはベーグルの入った包み紙を持っていた
「これ、食べなよ」
「いいの?」
「他に何もないから…」
「あ…ありがとう」
- 42 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時52分25秒
- まったく…小さな親切大きなお世話だ
敵の弱点くらい知っとくはずだろ
見る限りわざとじゃないみたいだし…
しかも唯一あたしが大好きな人間食の
ベーグルをあげるハメになるなんて
自分から招いたとは言え
早くも失敗したかもしれない…
- 43 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月26日(土)03時58分53秒
- 石川さんが学校へ行った後
眠気も覚めてしまい
普段だったら寝ている時間なのでする事もなく
大広間でずっとテレビと睨めっこしていた
「あは、めずらしいじゃん
よっすぃーがこんな時間に起きてるなんて」
「そっちこそ」
石川さんに1つ言い忘れてた事があった
この屋敷にはもう1人…
いや、もう1匹同居人が居る
- 44 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月26日(土)04時02分02秒
- 更新終了。
>>32
美味しいですか?
これからどうなることやらです。
- 45 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月26日(土)16時10分39秒
- もう一匹ってやっぱりあの人かな・・?
次回更新ももの凄く楽しみっす!!
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月28日(月)03時42分05秒
- 奇妙な共同生活ですねぇ
ハンターの武器持ってる石川の方がなぜか遠慮してるみたい。
性格か(w
- 47 名前:石川視点 投稿日:2002年01月28日(月)23時53分49秒
- やっと学校が終わり
吉澤さんの家…今は自分の家でもあるか…
とりあえず家に帰ろうとした時
どこからかパンの焼けるいい匂いがした
匂いの出所はもちろんパン屋さん
「あ…パン…」
そう言えば今日の朝貰ったベーグルって
やっぱり吉澤さんの好きな物だったのよね
あれしか食べる物ないって言ってたし…
よし、仲直りの口実にベーグルを買って帰ろう
引越しの手伝いもお願いしたいし
きっと喜んでくれるよね…
- 48 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月28日(月)23時59分26秒
- 玄関でドアが開く音が聞こえた
石川さんが帰ってきたみたいだ
その音に反応する人がもう1人
「誰か来たね」
「ああ、そう言えば…」
同居人はあたしの言葉を聞こうともせず
玄関に向ってのろのろと歩き出した
あたしも玄関へ向う
「おかえり」
「ただいま…この子誰?」
思った通り石川さんはあたしの横を指差した
- 49 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時04分38秒
- 「ってゆーかそれあたしの台詞…」
こらこら、ケンカ腰になるなって
「言うの忘れてたんだけどね
この子もこの家に住んでんだ、後藤真希って言うんだけどね」
「あ、そうなんだ、わたしは昨日から
ここに住ませてもらう事になった石川梨華です、よろしくね」
「ふーん、よろしく…」
興味があるんだかないんだか…
まぁ夜行性だから仕方ないか
- 50 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時12分17秒
- 石川さんを見ると手にはコンビニの袋と
あたしの好きなパン屋の袋を持っていた
その袋からは焼きたてのパンのいい匂いがする
もしかして…ベーグル?
「あの…これ食べない?」
石川さんはパン屋の袋の方を差し出してきた
「食べる」
受け取った袋の中を覗き込むと
思った通り、中にはベーグルが入っていた
彼女なりに気を使ったのだろう
まだ申し訳なさそうな顔してるし
「ごっちんも食べる?」
「いいや、また寝る」
ごっちんが気だるそうに自分の部屋に戻った後
石川さんと食堂に向い
あたしはベーグルの包み紙を剥がした
お、ゆで卵入ってる♪
- 51 名前:石川視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時19分10秒
- よかった…
食べてくれなかったらどうしようかと思った
わたしは1人で胸を撫で下ろしていた
隣の席では吉澤さんが美味しそうにベーグルを食べている
わたしはと言うとコンビニのお弁当
すると吉澤さんから鋭い質問が
「もしかして料理苦手?」
「…そんな事ないよ」
こっちを見もせずにもくもくとベーグルを食べていた
吉澤さんの口はわずかに引き攣っていた
「あ、今笑ったでしょ」
「別にぃ」
「嘘、絶対笑った」
「自意識過剰だよ」
もう怒ってないみたいね…
- 52 名前:石川視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時27分38秒
- 初めて会話らしい会話をしてる時に
突然食堂の扉が開き、勢いよく後藤さんが顔を覗かせた
「よっすぃー、いちーちゃんに会ってくる!」
「んー、いってらっしゃい」
嵐が去ったかのように再び部屋に静けさが戻った
さっき玄関で見ただるそうな顔が
嘘だったみたいに輝いていた
…扉の隙間から見えた後藤さんの後ろ姿
…玄関で会った時はそんな物なかったけど…
……しっぽが…生えてたような…
そんなわけないよね…疲れてるのかな…
「しっぽなんか振っちゃって」
自然と出てきた吉澤さんの一言で
わたしの目の錯覚じゃない事が証明された
「な…なんでしっぽが…」
- 53 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時33分09秒
- 石川さんの目は点になってた
そりゃ無理もない、しっぽ生えてんだもん
これから一緒に住むんだから
説明ぐらいはしておいた方がいいかな…
「彼女ね、狼女なんだ」
「へ!?」
「ほら、もうすぐ満月じゃん?そのうち狼になると思うよ」
「はぁ?!」
「まぁ…そういう事だから」
驚いてもしょうがない
ここは正真正銘の怪人屋敷なんだから
石川さんがここに居る事の方が驚きなくらいだよ
- 54 名前:石川視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時40分33秒
- このお屋敷はなんなのよ…
吸血鬼と狼女?信じられない
こんな事ってあっていいの?
後藤さんがここに住んでる理由を聞いてみると
吉澤さんは少し面倒臭そうに答えてくれた
雨の夜道を歩いていたら
偶然しっぽの生えた後藤さんに会って
しっぽなんて出して歩いてたら危ないし
雨宿りさせるつもりで家に招いたら
自然と住ませる形になっちゃったらしい
「まぁお互いの事には触れないから何の問題もないし」
もしかして…わたしって重い存在?
- 55 名前:石川視点 投稿日:2002年01月29日(火)00時58分07秒
- 吉澤さんは紙袋を丸めて立ち上がった
あ、食べ終わっちゃったんだ
待っててくれてもいいじゃない…
「あ、お願いがあるんだけど…」
「ん?」
「いつでもいいから…引越しのお手伝いして欲しいんだけど…だめ?」
「うーん…」
そう言うとゴミ箱に紙袋を捨てて
そのまま扉に向って歩き出した
…やっぱだめかなぁ…
少しがっかりしていると
吉澤さんは扉の前で振り返って
「ベーグルごちそうさま、明日の夜にでも荷物運ぼっか」
そのまま扉を開けて出て行った
出会ってから初めて見る笑顔
その笑顔に少しだけどきどきしていた
- 56 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月29日(火)01時07分27秒
- ベットに寝転んで天井を見つめる
あたしは2つの思わぬ収穫に満足していた
1つはベーグル…もう1つは…
…人間の思いやりの気持ちに触れたのは何十年ぶりだろう…
ごっちんとあたしはお互いに干渉し合わないから
居ても居ないようなもんだし
そもそも人間じゃないしね…
久しぶりに触れた人間の気持ちはとても温かいものだった
それにしてもおかしな話だ
敵対するはずの物同士が一緒に住んで
しかもお互いに気を使い合うなんて
こんなおかしな話はどんな昔話にだって存在しないだろう
でもこんなのも悪くない…
久々に昼間起きてたせいか眠くなってきた
部屋は暖房器具がなくて寒かったけど
ベットの中とあたしの心の中はとても温かかった
- 57 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月29日(火)01時13分28秒
- 更新終了。
>>45
正体はわかりましたね。
楽しみって言って頂けると励みになります。
有り難うございます。
>>46
性格です。
ネガテブシンキングの持ち主ですから(w
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月29日(火)03時15分25秒
- 吸血鬼に狼人間ときたら、フランケンも欲しいな、なんて(w
怪物くんかよ
- 59 名前:石川視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時22分55秒
- 食事を終えて自分の部屋に戻ると
昨日は無かった電気ストーブが置いてあった
スイッチはすでに入ってて部屋が暖かい
吉澤さんが持ってきてくれたのかな
実は優しいにかも…
わたしの吉澤さんのイメージはとてもクール
でもさっきの笑顔とか、こんな思いやりとか…
まだまだわからない事が沢山あるみたい
彼女の事…もっと知りたいのかもしれない…
- 60 名前:石川視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時32分01秒
制服を脱いでベットに寝転がると自然と瞼が落ちた
体に重みを感じて初めて寝ていた事に気付く
重い…何…?
完全に開き切らない目で
真っ暗な部屋で唯一ぼんやりと光る
電気ストーブの明かりを頼りに重みの原因を探す
誰かがわたしの上に乗ってる?
これは…吉澤さん…?
徐々に吉澤さんの顔が近付いてきて
首筋に生暖かい感触が触れた
背中に痺れが走り抜ける
一瞬、ほんの一瞬だけこのまま何が起こるのか
期待していた自分がすごく恥ずかしくなって
「っいや!」
思いきり吉澤さんを押し退けた
- 61 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時37分47秒
- 噛み付こうとしたその時
視界がぶれたと同時に後頭部に激痛が走る
「いってぇー…」
「っ何するのよ!」
頭を擦りながら電気を点けると
石川さんは耳まで赤くして布団に身を隠していた
「何って…約束したじゃん、血ぃ吸わしてくれるって
眠ってたから起こさないように吸おうと思ったのに」
- 62 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時43分23秒
- あたしの言い分を聞くと
石川さんの顔はますます赤くなった
石川さんはおかしな感違いをしてたみたい
もっと赤くさせたくなった…
再びベットに歩み寄る
「もしかして…もっとオモシロイ事されると思った?」
石川さんの目の前でにっこり笑ってみせると
今度は頬に激痛が走った
「ばか!出てってよ!」
クッションを投げ付けられて部屋から追い出された
- 63 名前:石川視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時51分41秒
- 人を馬鹿にするにも程があるわ!
前言撤回!あの人全然優しくなんかない!
何なのよ!?あの人をナメきったような目は!!
…そりゃ…感違いしてたわたしもどうかしてるけど…
廊下から違う部屋のドアが閉まる音が聞こえた
…少し悪い事をしたかもしれない
血を吸わせるって言ったのはわたしの方だし…
…でも悪いのはあっちよ!
血を吸いたかったら謝りに来ればいいんだわ
再びドアが開くのを待ってたけど
いくら待ってもドアが開く気配はない
…血を吸わないとどうなるんだろう…
- 64 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月30日(水)00時56分36秒
- とんだ大失敗をしてしまった
100年以上生きてると
その人の心の大きさみたいなものが
見ただけでわかってしまう
あれ以上茶化したら石川さんは怒るってわかってたのに
なぜか歯止めが効かなかった
契約者を怒らせてどーすんだ、あたしは
血を吸えなくなるじゃないか
誰かがドアをノックしてきた
ドアを開けると立っていたのは石川さん
まだ怒り足りないのか?
- 65 名前:吉澤視点 投稿日:2002年01月30日(水)01時02分24秒
- 「…どうしたの?」
「あ…その…血を吸いたいんでしょ!!」
相変わらず眉が逆八の字になったままだけど
一応心配はしてくれてるんだ…
「うん」
「じゃあ中に入れて?」
「あ、今ちょっと部屋汚いからだめ」
「じゃあ…ほら…吸いなさいよ!」
何だかよくわかんないなぁ…
「ありがとう」
部屋の中に入れるわけにはいかなかった
久しぶりにあの写真を出してたから
- 66 名前:石川視点 投稿日:2002年01月30日(水)01時08分49秒
- 結局わたしから折れてしまった…情けない…
肩に付いた歯型から流れる血を
ハンカチで拭き取った
「はぁ…」
疑問が1つ
見た限り吉澤さんの部屋は汚くなかった、寧ろ綺麗な方
なのになんで嘘までついて中に入れないようにしたんだろう…
「あー、納得行かない事ばっかり!」
ベットに潜って目を瞑ったけど
瞼に焼きついて離れない吉澤さんの顔
もぅ、何なのよ…この気持ちは…
- 67 名前:†怪人屋敷† 投稿日:2002年01月30日(水)01時11分15秒
- 後藤のお話。
- 68 名前:後藤のお話 投稿日:2002年01月30日(水)01時18分41秒
- あたしは小さい頃から1人だった
今のあたしにわかる事は
名前と自分は人間じゃないって事だけだった
最初はなんで満月が近付くとしっぽが生えるのかわからなかった
でもある街の図書館で読んだんだ
『狼男』って本を
そして自分の正体がわかった
あたしは狼女なんだ、って…
- 69 名前:後藤のお話 投稿日:2002年01月30日(水)01時27分41秒
- 満月の夜が怖かった
制御してくれる人も場所も持ってなかったから
満月の夜になると自分の意志とは関係なしに
狼に変身してしまう
あたしは狼になってる時の記憶がない
もしかしたらその間に人を殺してるかもしれない
そう思うと怖かった
だから満月が近付くと
人目に付かない場所の木に体をロープで縛り付けて眠った
しっぽが生えてなくっても
いつも人の目に触れないようにビクビクして
身を隠しながら街を転々としていた
- 70 名前:後藤のお話 投稿日:2002年01月30日(水)01時32分12秒
- その夜あたしは公園で泣いていた
なんであたしだけこんな目に遭わなきゃいけないの…
気付くと公園の入口に誰か立ってて
ずっとこっちを見てる
思わず身を強張らせた
- 71 名前:後藤のお話 投稿日:2002年01月30日(水)01時36分21秒
- 「何やってんだ?」
「…何でもないです」
「何でもないってこんな夜遅くに女の子1人で、家に帰った方がいいぞ」
「……」
「もしかして…帰るとこないのか?」
「……」
「うち、来るか?」
初めて触れる人の優しさ
でもどうしたらいいかわからない…
- 72 名前:後藤のお話 投稿日:2002年01月30日(水)01時43分26秒
- 甘え方なんて知らないし、警戒心の方が強かった
「怖い事なんかないよ」
優しさが滲み出た笑顔
でも…今のあたしにはしっぽが生えてる
これを見たらその笑顔は…
1歩1歩こっちに近付いて来る
その瞳に見つめられると動けなかった
あたしの手にその人の手が触れた
「ほら、手ぇこんなに冷たいじゃん」
自然と視線があたしの背中に向けられた
…きっと笑顔は消える…またあたしは1人…
「今まで怖かったろ」
え―――――――――――
「あたしの名前は市井、寒いからうちでコーヒー飲もう」
- 73 名前:綾瀬 投稿日:2002年01月30日(水)01時47分33秒
- 更新終了。
>>58
フランケン…リーダーが浮かびました(w
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月30日(水)03時40分29秒
- ごま狼とちゃむも良し。ちゃむは人間?
- 75 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月30日(水)17時22分33秒
- 今、はじめて読みました!!
いいですね(w
頑張ってさい(w
- 76 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)00時47分30秒
- 市井さんは今まで嗅いだ事のないいい匂いがした
触れているだけだった手をギュッと握ってくれた
「さ、行こう」
初めて入る『部屋』はとても温かくて
今まで見た事もないような物がたくさん置いてある
市井さんが持ってきてくれた『コーヒー』は
甘い味がしてとても美味しかった
「お前、名前とかあるのか?」
「後藤…真希…」
「ふーん、可愛い名前してんじゃん」
初めて人から褒められた
なんだかくすぐったい感じ
- 77 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)00時52分37秒
- 「お前結構可愛い顔で笑うね」
え?
「…今あたし…笑ってた?」
「うん」
あたし…笑える事ができたんだ…
市井さんみたいに笑えてたかな
「あ、そうだ後藤、風呂入るか?」
「ふろ?」
「おお、入れてやるよ」
- 78 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時02分27秒
- 『風呂』と言う場所は普通の部屋と違う所だった
それよりあたしが驚いたのは水が温かいという事
今までこんな温かい水がある事を知らなかった
温かい水の事をお湯と呼ぶと市井さんは教えてくれた
「温かくて気持ちいいだろ?」
「はい」
「はは、敬語なんか使うなよ」
「…うん」
あたしが「市井さん」って呼んだら
「市井でいい」って言われた
だからあたしは「いちーちゃん」って呼ぶ事にした
そしたらいちーちゃんは笑った
「なんだよそれ、誰にも呼ばれた事ないよ」
それなら尚更『いちーちゃん』でいいと思った
あたしだけの呼び名
遠くから呼んでも、見えない所から呼んでも
あたしが呼んでるってわかるじゃん
- 79 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時09分34秒
いちーちゃんと初めて過ごす満月の夜がやってきた
あたしが事情を話すといちーちゃんは
「ずっと側に居てやるから、後藤は心配すんな」
そう言ってあたしの手を握って一緒に寝てくれた
誰かが側に居てくれる事は
すごく心が落ち着く
…いちーちゃんだからなのかもしれないけど…
やがてあたしの意識は遠くなって
意識を取り戻した頃には空が明るくなり始めていた
あたしは隣で寝ているいちーちゃんを
無理矢理起こして昨日の事を聞いてみた
- 80 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時15分41秒
「あ、あたしどーなってた?」
「可愛い狼だったよ?」
いちーちゃんが見たのは柴犬みたいだったって
あたしが想像してたのは大きい狼だったんだけど
今まで心配し過ぎてたのがバカみたいじゃん
でもこれで安心していちーちゃんの側に居られる
いちーちゃんはあたしの知らない事を
いっぱい知ってて、いっぱい教えてくれた
ある日テレビを観てて
なんでこんな事するのかわからなくて
いちーちゃんに聞いてみた
- 81 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時23分11秒
「ねーいちーちゃん、この人達は何してんの?」
「んー?…えー…っと、それはなぁ…」
テレビの画面の中で
外国の男の人と女の人が口と口をくっ付けてる
「ねー、何してんの?」
「…キス」
「きす?ふーん、じゃあなんできすすんの?」
「あ、え、好きだからだろ…」
なんでいちーちゃんは顔赤いんだろう?
- 82 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時28分52秒
「じゃあさ、あたしはいちーちゃんにきすしていいの?」
「ばっ、何言ってんだよ!」
いちーちゃんの顔はもっと真っ赤になった
「え?だめなの?」
「お互い好き同士じゃないとだめなんだぞ」
「いちーちゃん、あたしの事嫌い?」
「そーじゃなくてっ…」
そうじゃなくての後は聞きたくなかった
好きじゃないのがわかるのが怖かった
だからあたしは無理矢理きすをしたんだ
- 83 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時36分06秒
- でもいちーちゃんはあたしの事
遠ざけようとしなかった
それが逆に不安になったから口を離した
「…いちーちゃん?」
「ばか…心の準備ってもんがあるだろうが…」
今度はいちーちゃんからきすしてくれた
じゃああたし達は好き同士なんだね
「いちーちゃんもあたしの事好き?」
「…まぁな」
その後きすはカタカナなんだって
いちーちゃんが教えてくれた
- 84 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時43分33秒
ずっとこんな日が続くと思ってたのに…
別れの日は突然訪れた
「後藤」
「んあ?」
「暫くの間お前と一緒にここに居られない事になった」
「え…?」
いちーちゃんの海外留学が決まったんだって
ずっと一緒に居たかったんだけど
海外で歌を勉強するのが
いちーちゃんの夢だって聞いてたし
あたしには止める事ができない
付いて行きたかったけど
夢の邪魔はしたくないからこの事は言わないでおこう
- 85 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月12日(火)01時51分08秒
- 「後藤、ごめんな…」
「ううん、やっといちーちゃんの夢が叶うんじゃん
あたしの事は心配しなくていいから頑張ってきてね」
「ありがとう、3年経ったらここに戻って来るから…
この家で待っててくれないか?お前に迎えて欲しいんだ」
「うん!あたしいちーちゃんの事ずっと待ってる!!」
いちーちゃんが旅立つ日まで
あたしはいつも以上に明るく振舞った
いちーちゃんに心配掛けたくないから
そしていちーちゃんを乗せた飛行機は空高く飛立った
- 86 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月12日(火)01時57分16秒
- 更新終了。
>>74
ちゃむは人間です。
>>75
有り難うございます。
そう言ってもらえると励みになります。
頑張ります。
フカーツワショーイ
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月12日(火)04時57分30秒
- 留守番狼カワイイ
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月12日(火)14時59分15秒
- 祝・再開!
これからも応援し続けるであります!!
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月12日(火)19時21分19秒
- 再開(w
柴犬みたいな狼(・∀・)イイ!!
- 90 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)01時26分15秒
- いちーちゃんは旅立つ直前
もし寂しくなったらここへ行ってみろって
誰かの家の住所が書いてある紙を置いてってくれた
だけどあたしは1人でも大丈夫
だっていちーちゃんと一緒に過ごして学んだんだ
今まで知らなかっただけで
人間は怖くない、優しいって
…でもそれはすぐに嘘だとわかった
- 91 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)01時35分37秒
- 始めて1人で人ごみの中を歩いた
いつもはいちーちゃんと一緒だったし
夜は危ないからって家から出してもらえなかったんだ
人ごみを歩いてる中、空はだんだん暗くなって
あたしのお尻からしっぽが顔を出し始めた
あたしは全然気にしてなかったんだけど
…皆があたしを見て笑ってた
まるでおかしなものを見るような目で見てきた
たしかにあたしは魔物だけど…
微かにあたしの耳に入ってきた人の声
『何アレ、キモくね?』
『おい、バケモンが出たぞ』
『なぁ、病院連れてってやれよ、やっぱ動物病院?』
『ぎゃははははははは』
- 92 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)01時41分27秒
- いちーちゃんに初めて会った時にしたいい匂い
あれは『心のキレイな人』の匂いだったんだ…
今まで街の匂いだと思ってたこの匂いは
あたしの嫌いな匂いだった
でもこの匂いは街の匂いじゃなくて
『心のキタナイ人』の匂いだったんだ
…いちーちゃんに会う前の記憶が蘇えった
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ
その場から全速力で逃げ出して家に帰った
- 93 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)01時48分48秒
- 人間なんて優しくなんかない、怖い物の塊
優しいのはいちーちゃんだけ…
あたしが信じられるのは…いちーちゃんだけ…
でもいちーちゃんは側に居ない
部屋に残るいちーちゃんの匂いは
あたしをすごく寂しい気持ちにさせた
匂いだけが残る家に居るのが嫌になって
真夜中雨が降ってるけど傘もささずに家を出た
行く宛てもないまま歩いていると
誰かが声を掛けてきた
…もう、いちーちゃんだけしか信じない…
- 94 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)01時58分40秒
「おい、そんなもんぶらつかせてると
怖い保健所のおじさんに連れてかれるよ」
「あ、そう」
「とにかくしっぽが引っ込むまで家ん中に居なよ」
「あんたにカンケーないじゃん」
人の目に入るのも人を見るのも嫌だったけど
家には居たくない、あたしが寂しいと思うほど
いちーちゃんの匂いを強く感じてしまうから
「君、後藤真希だろ?」
何コイツ、なんであたしの名前知ってんの?
「あんた誰?」
「市井さんが住所書いた紙置いてってくれただろ?
その住所あたしの家の事なんだ」
「そーなんだ」
「うちに来なよ、なんも心配しなくていい、あたしも怪人だから」
- 95 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)02時07分05秒
- 偶然すぎる出来事に驚いた
同じ魔物…でもあたしはあんたの事信じないよ
でも…いちーちゃんの匂いがする家に居るよりはいいかも
テキトーに脳天気キャラ降る舞っときゃいいや
そうすれば何のいざこざも起きないだろうし
彼女の名前は吉澤ひとみ
あたしの嫌いな匂いはしない
するのはあたしと同じ魔物の匂い
いちーちゃんが帰って来るまでここに居させてもらおう
- 96 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)02時15分55秒
- いちーちゃんを待ち続けて今年でようやく3年目
そんな記念すべき年に吉澤ひとみは
1人の女の子を家に連れてきた
石川梨華とか言ういかにもオンナノコって感じの子
彼女も嫌な匂いはしなかった
吉澤ひとみと石川梨華からは
お互いの存在が気になってるって匂いがした
2人のやりとりは
人間の怖さを知らないでぬくぬくと
生きてきた者同士みたいな感じがして
あたしはその光景と匂いに少しイライラした
でもいいんだ、いちーちゃんが帰ってくる
それだけであたしは救われるんだ
こんなキタナイ人間が溢れてる世界から
- 97 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)02時29分47秒
- 部屋の窓からぼんやり空を見ていると
下の道で人が立ち止まってこっちを見てる
3年ぶりに見るその優しい笑顔
「おかえり」
「ただいま、待った?」
「待ったよ、すごい待った」
「悪い悪い」
「もうどこにも行かない?」
「後藤は?」
「あは、行くわけないじゃん」
「じゃあ下りて来いよ」
「うん!」
- 98 名前:後藤のお話 投稿日:2002年02月15日(金)02時37分59秒
- 久しぶりにいちーちゃんの顔を見て、声を聞いて
ただそれだけの事なのに
なぜかあたしは泣きそうになっていた
あたし達はお互い会ってなかった時間の
埋め合わせするみたいにいっぱい喋った
「後藤、帰って来てくれるよな?あの家に」
「当たり前じゃん」
「じゃあ荷物まとめたりしなきゃなんないだろ?
今日は吉澤の家に戻んな、あたしは家で待ってるから」
「わかった」
吉澤ひとみの家に戻ってきたけどなかなか寝付けず
キッチンで時間を持て余していると
吉澤ひとみがやってきた
まぁ家にすませてもらってたわけだし
最後に会話でもしておこうかな
- 99 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月15日(金)02時50分39秒
- 少ないですが更新終了。
後藤のお話はここまでです。
>>87
忠実さはハチ公並ですよ(w
>>88
サザエ氏に感謝です
有り難うございます
応援よろしくお願いします
>>89
ありがとうございます
実は柴犬じゃないかも…(w
- 100 名前:白死 投稿日:2002年02月15日(金)03時41分06秒
- いやはや、無事復活してよかったっす!!これで、また綾瀬さんの作品が読める(^o^)
ところで、突然すごく私的な事で申し訳ないのですが、復活後はiモードから小説を見ようと思っても見れないのです。以前はちゃんと見れたのに・・・。どなたかどーやったらまた携帯から小説見れるようになるか教えて頂けないでしょうか?自分は家にあんまり居なくて携帯から見てることの方が圧倒的に多かったもので。作品とは全く関係ないレスでほんとすいません!こういう事をどこで聞いたらいいのかもわからないもんで(;_;)
- 101 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月15日(金)04時30分13秒
- ↓ここから見ても駄目なんですか?
tp://www.ah.wakwak.com/~yosk/in.html
僕はiじゃないんでわからないんですけど
- 102 名前:白死 投稿日:2002年02月15日(金)14時46分11秒
- 赤とか青とか各板まではいけるんですけど、そこから各スレッドを見ようとするとエラーになるんです(;_;)やはりPCで見るしかないでしょうか?
- 103 名前:白死 投稿日:2002年02月15日(金)14時46分17秒
- 赤とか青とか各板まではいけるんですけど、そこから各スレッドを見ようとするとエラーになるんです(;_;)やはりPCで見るしかないでしょうか?
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月15日(金)18時34分14秒
- 市井の前ではちぎれんばかりに尻尾ふってそう(w<ごま狼
- 105 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月18日(月)02時03分06秒
- 不思議な感覚に襲われる…
閉められたドアの前であたしは立ち尽くしていた
何考えてんだかわかんない
でも一緒に居て飽きない、だから飽きないのか?
唇に手を当てると血が付いた
まだほのかに温かい
なんだろう…この感じ…
あの頃のと同じ感じ…
喉が乾いたので食堂へ飲み物を取りに行くと
先客が椅子に座っていた
「ああ、帰ってたんだ」
「ただいまぁ」
- 106 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月18日(月)02時12分39秒
- ごっちんが手をひらひらとさせている
「なにしてんの?」
「んあ?なんか寝るのもったいなくて」
「やっと帰って来たんだもんね、市井さん」
「うん」
食堂の奥にあるキッチンの冷蔵庫から
ミネラルウォーターを取り出してごっちんの横に座った
「ねぇ、よっすぃー」
「ん?」
「梨華ちゃん、可愛いじゃん」
「…よくわかんないや…」
「新しい恋に踏み出すのも悪くないと思うよ…」
「今日は良く喋るね」
「あは、ごめんごめん」
- 107 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月18日(月)02時20分35秒
- そう言うとごっちんは食堂から出て行った
知ったような事を言われてムキになってたかもしれない
…少し悪い事したな
ごっちんが元気になるのも無理ないか
ようやくご主人様の所に帰れるんだもんね
結局、ごっちんの心を開かせる事できなかったな
初めてあった時から気付いてたんだ
このごっちんは本当のごっちんじゃないって
どこか自分を偽ってるって…
それにしても市井さんにお礼貰わなきゃな
市井さんとの出会い、それは突然だった
だって彼女、いきなりうちに来たんだ
- 108 名前:市井沙耶香との出会い 投稿日:2002年02月18日(月)02時28分10秒
「市井ってもんだけど、お前怪人なんだろ?」
確かに当たってるけど初対面の人に
対して第一声でそれはないだろう
マスコミの人間かな?
とりあえずシラ切ろう
「なんかの間違いじゃないすか?」
「嘘付け、あたしはお前を2度と
悪さできない体にできるんだぞ」
「馬鹿言わないでくださいよ
第一どうやってやるって言うんですか?」
「魔方陣書いて見せようか?」
もしかしてこの人…魔術師かなんか?
下手に逆らわない方が良さそうだな…
- 109 名前:市井沙耶香との出会い 投稿日:2002年02月18日(月)02時36分27秒
「…怪人だったら何なんですか?」
「この子を預かって欲しいんだ
名前は後藤真希っていう」
そう言って差し出してきた一枚の写真
そこには市井さんと1人の女の子が写っていた
「へぇ、可愛い子っすね、でもなんであたしが?」
「この子な、狼女なんだ」
「ふーん、でもなんであたしが預かるんすか?」
「ちょっと海外に出掛けなきゃいけなくなったんだ
それで、こいつを…後藤を止められるのは
多分あたしとお前くらいだと思ったから頼みにきた
一応部屋に狼になった後藤が出れないように
結界を張ったけど不安なんだ
後藤の威力は普通の人間では止められないから…」
- 110 名前:市井沙耶香との出会い 投稿日:2002年02月18日(月)02時48分29秒
- そりゃそうだ、狼女なんて野放しにしてたら
当然被害者が出るだろう
しかも狼の一族は理性がない分破壊思考が強い
「あたしは1週間後に旅立つ、次の満月までに
後藤が現れなかったらお前がこの家に行って欲しいんだ」
市井さんは住所の書いてある紙をくれた
「自覚はしてるんですよね?」
「…してない…あたしは嘘吐いたんだ
お前は人に危害を加えるような怪人じゃないって…」
「はぁ、なるほど」
「だからお願いだ、預かってくれ」
「わかりました、まぁ空き部屋なんて
有り余ってますからなんの心配もいらないっすよ」
「ありがとう…でも手ぇ出すなよ」
「出しませんよ、誰のモノかぐらい把握してますから」
「…ならいいんだ、じゃあよろしく頼む」
- 111 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月18日(月)02時53分58秒
- それで偶然ごっちんに出会って、家に連れてきて
満月の夜を迎えて、ごっちんは狼に変身した
ごっちんの威力はハンパじゃなかった
話しを聞いてた時は余裕かましてたけど
結界の張り方くらい教わっとけば良かったなって思ったもん
あたしが全力出してやっと互角くらいだった
ちょっとショックだった
力だけには自信あったからね
- 112 名前:石川視点 投稿日:2002年02月18日(月)03時00分43秒
- 目覚し時計の音で目が覚めた
朝なんだしせめて自分の部屋くらいはと
勢いよくカーテンを開ける
差し込む朝の陽射しが気持ちいい
窓辺で伸びをしているとドアをノックする
音が聞こえたので慌ててカーテンを閉めた
この前みたいに機嫌悪くさせたら大変だもん
「はい」
予想は外れて中に入って来たのは後藤さんだった
「あ、後藤さん」
「ちょっといいかな?」
「はい」
「急なんだけどさぁ、よっすぃーの事どう思う?」
- 113 名前:石川視点 投稿日:2002年02月18日(月)03時08分55秒
- 本当に急な話だった
どう思うって…自分にもよくわからない
嫌いだと言ったら嘘になるし
だからと言って好きだと言い切れるわけでもない
「どうって言われても…」
「そーだよね、いくらなんでも急すぎるよねぇ
そうそうあたしさ、いちーちゃんの所に戻るから
そうよっすぃーにも伝えといて」
「あ、わかりました…」
「敬語なんて使わなくていーよ、あと後藤さんじゃなくて
テキトーに呼んでよ、堅苦しいからさ、じゃあね〜」
そのまま後藤さんは部屋を出て行った
…なんだったんだろう…
『よっすぃーの事どう思う?』
学校に来ても頭の中に
後藤さんの言葉がぐるぐる回っていた
後藤さんが変な事言うから意識してきちゃったじゃない…
- 114 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月18日(月)03時19分43秒
- 部屋に戻ってきてからどれくらい経ったんだろう
外が明るくなってきているのがカーテン越しにもわかる
あたしの頭からはごっちんの言葉が離れなかった
新しい恋って…ごっちんは知ってたのかな
あたしがかつて1回だけ恋をしてたって事…
写真を石川さんに見られたくなかったのは
あの人の事に触れて欲しくなかったから
この想い出だけは自分の胸だけに仕舞っておきたかった
誓いを忘れない為にも…
写真立てに目をやる
そこに写ってるのは
小さい頃のあたしと矢口真里――――
- 115 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月18日(月)03時24分33秒
- 更新終了。
>>白死さん
前作から有り難う御座います
携帯からは見れるようになりましたか?
>>104
もうガンガン振ってますよ、dできそうなくらい(w
- 116 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月19日(火)01時33分14秒
- ふむふむ。過去も気になりますな
- 117 名前:白死 投稿日:2002年02月19日(火)14時11分32秒
- いえいえ、こちらこそいつも良いモノを読ませて頂き有難う御座居ます。携帯からは直接URLを入力することで見れる事が判明いたしました。結構手間は掛かりますが頑張ります!!
- 118 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月20日(水)20時07分16秒
- 今日初めて読みました。
ゴマ狼、可愛いッスね。
続き楽しみにしてます!
- 119 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)01時44分14秒
- 両親がいなかったあたしは
ただ1人優しくしてくれる彼女の事が好きだった
初めて抱いた恋心は
自然と眠っていた本能を呼び醒まさせた
『この人の血を吸ってみたい』って
あたし達魔物の成長過程は人間と違う
8歳になった時点で
見た目は人間の10代半ばくらいになる
そこから老けるまでがとてつもなく長い
8歳になった時あたしは決めたんだ
『彼女の身長を越した日に彼女に告白をしよう』って
- 120 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)01時52分56秒
- その時が来るのに大して時間は掛からなかった
そしてついにあたしは想いを伝えたんだ
彼女は返事に困ってた
果てしなく続きそうな沈黙に
痺れを切らしたあたしは何を思ったか
矢口真里の血を吸った――――
そこからは地獄絵図を見ているようだった
血を吸う毎に体が萎れていき
ミイラ化してその場に崩れ落ちた彼女を
あたしはただみつめる事しかできなかった
- 121 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時00分09秒
- 血を吸う事、血の味を覚えたあたしは
きっとこの行為を止める事ができないだろう
でもこんな思いをしなきゃいけないのか
…すごく胸が苦しい、涙が…止まらない…
こんなに感情移入してると血なんか吸ってられない
だったらもうこんな感情捨ててしまえばいい
そして誓った、『愛してはいけない』と…
それなに石川さんに対するあの感情はなんなんだ
できれば気のせいだと信じたい
殺したはずの感情が表に出ようと暴れ出す
- 122 名前:石川視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時05分31秒
- 吉澤さんに出会った次の日
学校で新しい友達ができた
名前は加護亜依ちゃん
わたしの学校は中高一環で
あいぼんは中等部の子で
最近引っ越してきたばっかりなんだって
渡り廊下でぶつかったのがきっかけで
今ではお昼ご飯を一緒に食べる仲になった
- 123 名前:石川視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時11分10秒
- 「なあなあ、梨華ちゃんはどこに住んでるん?」
「この街に大きなお屋敷があるじゃない?そこに住んでるの」
「あそこ?すごいやん、家族と住んでんの?」
「ううん、友達と」
「へぇ〜、今日行ってもええ?」
どうしよう…
わたしはただの同居人だしなぁ
ちょっとくらいなら…問題ないよね…
「うん、いいよ」
「やった〜、じゃあ放課後下駄箱で待っててな!」
「うん、わかった」
- 124 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時15分53秒
- なんだか玄関が騒がしい
石川さんが帰ってきたのかな?
それにしたら声が多い気がするけど…
玄関に出向いてみると
そこには石川さんと…小さな女の子
「ただいま…この子友達の加護亜依ちゃん」
「はじめまして!加護亜依です」
「いらっしゃい」
「上がってもらっても…いい?」
「構わないよ」
- 125 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時20分12秒
「吉澤…やっと見つけた…」
ただならぬ殺気を感じたと同時に
彼女は通学鞄から光るモノを取り出した
出てきたソレは石川さんとは型は違うものの
紛れもなく対吸血鬼用の拳銃
「うちはな、お前を退治しにこの街に来たねん」
他にもいたのか…
- 126 名前:石川視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時24分31秒
- 「なんで…あいぼんが…?」
「ごめんなぁ、ダシに使ってもうて
梨華ちゃんから匂いがしてたんよ、獣の匂いが…」
「そんな…」
「梨華ちゃんには悪いけど
このあんちゃんには死んでもらわなアカンねん」
「あんちゃんじゃないよ」
吉澤さんそんな事言ってる場合じゃない!
- 127 名前:石川視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時29分41秒
- あいぼんが狙いを定める前に
わたしの体は自然と動いていた
「いや!!」
「石川さ…」
わたしは必至に吉澤さんをかばっていた
自分の行動が理解できない
「梨華ちゃん何かばってんねん!
そいつ吸血鬼なんやで!!」
「知ってるわ!でもだめなのっ!!」
「なんでやねん!」
「なんでも!!」
何を言ってるのわたしは
これじゃあただの駄々っ子じゃない…
- 128 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時41分51秒
- 何言ってんだわたしは…って顔してる
こっちだってビックリしてんだけど
あっちも相当ビックリしてるみたいだよ
「何駄々こねてんねん…」
黒目がちで大きな目をさらに大きくして
半ば呆れ顔で立ち尽くしてる
拳銃もあさっての方向向いちゃってるし
拳銃取り上げるなら今のうちかな?
「あ、何すんねん!」
取り上げた拳銃を上へ掲げると
必至に跳び付いてきた
「こら返せ!」
取り返そうと努力してるみたいだけど
身長差…もっと考えようよ
「石川さん、契約の事説明してあげれば
この子も考え直してくれるんじゃないかな?」
「そっそうね」
なんで体張ってまであたしの事助けようとするんだ?
石川さんだって本当はあたしの事殺すはずだったじゃん?
- 129 名前:石川視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時48分49秒
- とりあえずあいぼんを大広間に案内した
吉澤さんは部屋に戻って行ったみたい
「…と言うわけだから、吉澤さんは
この街にとって無害そのものなのよ」
「ふ〜ん…梨華ちゃんはホンマにそれでええんか?」
「え、平和的解決だと思わない?」
「ちょっと…吉澤に会ってきてええか?」
「なんで?」
「拳銃返してもらわなアカンし
ちょっと話あんねん、大丈夫、殺さへんから」
「…わかった」
嘘は吐いてないと思うんだけど…
話ってなんだろう?
- 130 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時54分48秒
- 「吉澤ー、おるかー?」
ドアの外で加護さんの声が聞こえる
玄関で感じた殺気はない、納得してくれたのかな?
…それにしても、ノックを知らないのか
「はいはい、おりますよ」
写真立てを伏せる
ドアを開けても顔を下に向けないと
視線を合わせる事ができない
- 131 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月21日(木)02時59分47秒
- 「何の用?」
「拳銃返せ」
年上には敬語使おうよ
「はい」
拳銃を差し出すと素早く取って
大事そうに通学鞄にしまったけど
一向に帰る気配がない
「まだなんか用あるの?」
「お前、どうなるかわかっててやってんのか?」
「はあ?」
「梨華ちゃんが血を吸われ続けたら
どうなるかわかっててやってるんかて聞いてんねん」
「…どーゆう事だよ」
- 132 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月21日(木)03時07分51秒
- 更新終了。
>>116
そう言ってもらえると嬉しいです
気にしてもらえると励みになります
>>白死さん
見れたんですか?良かったですね
手間掛かりますか、頑張って下さい
>>118
呼んでくれて有り難う御座います
頑張ります。
- 133 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月21日(木)04時15分00秒
- どうなるんですかー・・
- 134 名前:白死 投稿日:2002年02月21日(木)11時47分23秒
- どーなるんじゃあ〜!?激しく気になりますなあ。
加護の態度のでかさが面白い\(~o~)/
- 135 名前:石川視点 投稿日:2002年02月23日(土)05時53分00秒
- 遅いなぁ…あいぼん…
吉澤さんの部屋に行ったまま帰って来ない
わたしは1人で大広間に残されてた
静かだから揉め事にはなってないみたいだけど…
「梨華ちゃん待たせたな〜」
やっとあいぼんが下りてきた
「何話してたの?」
「ん?ちょっとな、それよりうちもう帰らな
なんか引っ掻き回してごめんな」
「ううん、解決したからいいよ」
「じゃあ明日も一緒にお昼食べてくれる?」
「うん」
あいぼんが帰った後
吉澤さんは階段を下りて来なかった
引越しの手伝いしてくれるって約束したのに…
もしかしたら1回も部屋から出てきてないかもしれない
今夜は血を吸いに来なかった
- 136 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時00分53秒
『お前、何も知らんで血ぃ吸うてたんか?』
そんな事になるなんて考えもしなかった
血を吸われて何も起きないなんて
そんなうまい話あるわけなかったんだ
どうして気付かなかったんだろう…
『どうなるって言うんだよ』
『確かに今は梨華ちゃん元気やけどな
お前がずっと梨華ちゃんの血ぃ吸うてたら
梨華ちゃんはお前と同じ体になってしまうんやで?』
『同じって…吸血鬼になんの?』
『せや、でもな、人間は吸血鬼の体に
堪える事ができないねん、そしたらどうなるかくらいわかるやろ?』
『……』
『…梨華ちゃんは死んでしまうんよ』
- 137 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時08分51秒
- あたしが何も言えずにいると
加護さんは溜息を吐いて部屋から出て行った
静かに閉められたドアは
何かの終わりを告げられているような感じがした
時だけが無駄に過ぎて行く
やっぱりあたし…石川さんを好きになってる…
これで2度目だ『死』は怖いものだと感じたのは
自覚してしまった今、誓いなんて意味がない
石川さんだけは死なせたくない…死なないで欲しい…
過去の過ちを繰り返さない為にも…
もう…彼女の血を吸うのはやめよう…
- 138 名前:石川視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時19分05秒
- 吉澤さんはあいぼんに会った日から
わたしの血を吸わなくなった
夜に外出してる様子もない
あいぼんに聞いてみても知らないって言うし…
引越しの手伝いはしてくれたけど
血を吸ってないせいか足取りがふらついてた
今も顔色が悪いし、病人そのもの
見ればベーグルばかり食べている
どうしてなんだろう…
血を吸われたいわけではないけど
吸ってもらわないと逆に不安になる
その日の夜中、玄関のドアが開く音がした
…後藤さんなわけないし
ドアを開けたのは吉澤さん?
何しに出てったの?
- 139 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時26分36秒
- 加護さんの話を聞いてから
1回も血を吸ってない
夜にしか外出できないあたし達吸血鬼は
日中寝てるのが普通なんだけど
あたしは石川さんに出会ってから
昼型になってしまった
もちろん活動してるからお腹が空く
でも目の前に人間がいるのに血は吸えない
ベーグルで空腹を満たせても
栄養源にはなってないから
力は出ないし、眩暈はするし
…今の生活は拷問同然だった
…もう…我慢できない…
- 140 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時34分48秒
- 夜中、石川さんに気付かれないように家を出た
ふらつく足で道を歩いていると女の人が横切った
誰でもいいや…
「…ねぇ君…ちょっといいかな?」
「はい?」
スピードはいくらか衰えていたけど
いつもの手口で肩に噛み付いた
血をすべて吸い終わった瞬間…
「…っうぇ」
―――嘔吐―――
なんで…?
こんなに体が求めてるのに…
血が特別不味かったわけじゃない
久しぶりに多量摂取したからじゃない
体が石川さんの血以外受けつけなくなってる…?
- 141 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月23日(土)06時43分09秒
「なにしてるんれすか?」
後ろを振り返ると小さな女の子と
背の高い女の人が立っていた
まずい、見られた…
その場から走って逃げようとしたら
大きい方に捕まった
「逃げたらヤバイよ」
「今もヤバイじゃないすか…」
「ヤバくないよ、あたしも仲間だもん」
大きい方はニッと笑って牙を覗かせた
…この街にはあと何人怪人が存在するんだ…
突然担がれるように抱き上げられ
その人達の家に連れてかれた
- 142 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月23日(土)06時49分30秒
- 少ないですが更新終了。
今夜再び更新する予定です。
>>133
こうなるんですー・・
>>白死さん
加護からすると吉は敵ですからね
なんか裕ちゃんみたいな口調ですけどι
- 143 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月23日(土)09時47分49秒
- 新たな怪人って誰なんだろう・・
ドキドキっす!
- 144 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)02時55分24秒
- 「なにするんすか…」
「だってあんたフラフラじゃん」
2人の名前なんだけど
大きいほうがカオリで小さい方は辻って言うみたいだ
小さい方は大きい方を
『いいらさん』って呼んでるから
多分大きい方はいいらカオリって名前なんだろう
「ってゆーかなんでそんなに衰えてんの?」
「…ある人の血しか吸えない体になったんす
でもその人の血を吸う事ができなくて…」
「ああ、血の契約を交わしたんでしょ?」
「…血の…契約?」
- 145 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)03時03分42秒
- 何の事だかわからない、確かに契約はしたけど…
『血の契約』なんてそんなかしこまったものじゃないし
「もしかして何も知らないの?」
「…はい」
「じゃーカオリが教えてあげる
あのね、この世界には稀に契約できる人がいるの
契約を交わせば危険な目に遭わなくても
好きな時に血が吸えるじゃない?
でね、血の契約ってゆーのは
2回以上同じ人の血を吸った事をゆーのね
契約を交わしたらその人の血しか吸えないの」
「でも吸われる側はいずれ死ぬじゃないすか」
「そうだよ、死んだら契約解除なの」
- 146 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)03時11分24秒
- …そうだよって…
横に居るのは契約者なんじゃないのか?
辻さんはこの事を了解済みなのか?
いいらさんは辻さんの事大事に思わないのか?
いいらさんにとって契約者は物同然なのか?
「…理解できない…」
「えー、もっ回ゆおーか?」
「違う…相手が死ぬのをわかってて
契約を交わす神経が理解できない…」
いいらさんは何か言おうと口を開いたけど
それを辻さんが止めた
「辻にも言わせてくらさい」
「うん」
- 147 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)03時20分04秒
- 「辻はいいらさんと一緒にいれるだけでいいんれす
辻が死んでも辻の血はいいらさんの
体に残るんれすから」
「カオリも辻の事はずっと忘れないよ、なっちの事だって」
「…なっち?」
「なっちはねー、前の契約者なの
カオリの初めての契約者で初めての理解者」
2人とも平気な顔して話してるけど
死ぬって事はこの世からいなくなるって事じゃないか
血が体に残るって言っても血に意志はない
喋る事もなければ笑いもしない
あたしは石川さんと言う形を持った人間と
一緒に生きて行きたいんだ
- 148 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)03時24分36秒
- 「…やっぱりあたしには理解できないっす」
「でも血を吸わなきゃあんたが死んじゃうよ」
「その方が成仏できます…」
これ以上居ても意味がないので
挨拶もせず家を出た
石川さんを見た時、なぜすぐ血を吸った?
こんな気持ちになるってわかってたら
血なんか吸わなかったのに…
- 149 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月24日(日)03時30分44秒
「ちょっと待ってくらさ〜い」
歩いてきた道を振り返ると
辻さんが息を切らせて走ってきた
「どうしたの…?」
「どうしてもあなたにはわかってもらいたいんれす」
「…ごめん…無理だ」
「じゃあ話だけでも聞いてもらえますか?」
「…いいよ」
- 150 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月24日(日)03時45分15秒
- 今日の分は更新終了。
>>134
正解はリーダーでした
- 151 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月24日(日)07時26分13秒
- いいらさんでしたか(w
辻ちゃんが健気で良いっすねぇ・・・・
- 152 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月24日(日)10時03分07秒
- 一気に読ませていただきました。吉がドラキュラって・・・。(w
すごく面白いです!つーじーの話が気になります。
期待していますので、がんばってください!
- 153 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)00時50分47秒
「辻は孤児だったんれす――――――」
- 154 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)00時56分39秒
- 辻にはお父さんもお母さんもいなくて
小さい頃から孤児院にいたんれす
そこで辻はいじめにあってました
大事なぬいぐるみを隠されたり
ぶたれる事もたくさんありました
それは多分辻があんましゃべんない子
だったからだと思うんれす
その日もいつもみたいにいじめにあってたんれす
「おい、お前なんか喋れよ」
「……」
「喋んないとぶつぞ」
「……」
- 155 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)00時59分56秒
「やめなよ」
突然女の人が孤児院の中に入ってきて
辻の事を助けてくれたんれす
辻にはその人が女神さまに見えました
「おいで、こんな所に居ない方が良い」
そのまま手をひっぱられて
その人の家につれてかれました
- 156 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時06分24秒
- 「あの…、あの…」
「急に連れ出したりしてごめんね
いつも孤児院の前を通る時気になってたの
迷惑だった?」
「いっいえ、ありがとうございました」
「そっかー、良かった
あたし飯田圭織ってゆーんだ、ヨロシク」
「あ、あ、わらしは辻希美って言います」
いいらさんはとても優しい人れした
辻にお母さんがいたら
きっとこんな人だったんだろうなぁって思って
それをいいらさんに言ってみたら
「カオリはそんなおばさんじゃないよ」
っておこられました
- 157 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時12分54秒
- 辻はいいらさんと一緒に住んでるうちに
だんだんしゃべれるようになったんれす
ある日いいらさんはしんけんな顔で
辻の事を呼びました
「なんれすか?」
「カオリさ、辻にまだ話してない事あんだよね」
「?」
その時いいらさんが吸血鬼だってわかったんれす
「…カオリの事、嫌いになった?」
「なってないれす」
辻はあんまおばけの話とか好きじゃないんれすけど
その話を聞いた時はぜんぜんこわくなかったんれす
- 158 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時21分45秒
- 1つ不思議に思いました
いいらさんはいつ血を吸ってるんだろう?
「いいらさんはいつ血を吸ってるんれすか?」
「…今はねー、ちょっと吸う気になれなくて…」
聞いていいかわからなかったんれすけど
辻はなんで血を吸わないのか聞いてみたんれす
「…なんで吸わないんれすか?」
「大事な人をなくしたばっかりなんだ…わかってたんだけどね」
よく意味がわからなかったんれすけど
きっとショックで血が吸えないんだって思ったんれす
辻はいいらさんのためになんかしたいって思ったんれすけど
なんにも思いうかばなくて…
でも吸血鬼って血を吸わないと死んじゃうじゃないれすか
だから辻はことわられると思ったけど言ってみたんれす
- 159 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時29分04秒
- 「いいらさん、辻の血を吸ってくらさい」
「え?いいよ…」
「だって血を吸わなきゃいいらさん死んじゃうんれしょ?」
「そうだけど…吸われたら辻の方が死んじゃうんだよ?」
「いいんれす、これで助けてもらった恩返しになるなら
辻はよろこんでいいらさんに血を吸ってもらいたいれす」
「…あたしはいやだよ」
「なんでれすか?」
「せっかく辻とも仲良くなれたのに…そんなの…」
「じゃあ辻の事は思い出として残しといてくらさい」
- 160 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時36分27秒
- 「…辻は本当にそれでいいの?」
「いいんれす」
「…本当に?」
「はい、吸ってくらさい」
「ごめんね…ありがとう…」
それで辻の血を吸ってもらったんれすけど
辻は死ななかったんれす
「辻、死んでないれすよ?」
「…ホントだ、これで2人目だ」
「2人目?」
「うん、さっき話した大事な人ってゆーのはね
辻みたいに血を吸われても死なない子の事だったんだ
その子の名前はなっちって言ってね、あたし達は血の契約を結んだんだ」
- 161 名前:辻のお話 投稿日:2002年02月26日(火)01時44分37秒
- 「けいやく?」
「うん、もう少し一緒に居られると思ったんだけどね
つい2週間前契約が切れちゃったの」
「けいやくが切れちゃうとどうなるんれすか」
「…その子が死んじゃったら契約は自然に切れるの」
でもそのけいやくをすれば
いいらさんと死ぬまで一緒にいられるんだ
「辻とけいやくしてくれませんか?」
「だめだよ、せっかく死ななかったのに
ずっと血を吸われてたらいつか死んじゃうんだよ」
「いいんれす、この命をいいらさんにあげたいんれす
さっきかくごはできてたんれすからこわくないれす」
「…もし怖くなったらこの家から逃げるんだよ?」
「にげたりなんかしないれす」
いいらさんにけいやくの内容をくわしく聞いて
辻といいらさんはけいやくをしました
- 162 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月26日(火)01時52分45秒
「―――で辻が言いたいのは
けいやくをした人が死んれも
2人で築いてきたものはかわらないんれす
どうせわらし達人間はあなた達より
先におばあちゃんになって死んで行くんれす
だったら好きになった人のそばで死ねる事は
辻にしたら最高の最期なんれすよ
あなたのけいやく者さんもきっとそう思ってるはずれす」
「うん…でもな、まだ彼女が
あたしの事好きかどうかわかんないんだよ」
「きっとあなたの事好きれすよ
好きじゃなかったら何回も血を吸わせようなんて
いくらせいぎ感が強い人でも思いません」
「…ありがとう」
- 163 名前:吉澤視点 投稿日:2002年02月26日(火)02時00分01秒
- 「わかってもらえましたか?」
「君といいらさんの気持ちはわかった
でも残念だけどこの気持ちは変える気ないんだ
もしかしたらあたしは死ぬかもしれないよ
大事な人を失うのだけはもう嫌なんだ」
「…そうれすか…せっかく新しいお友達ができたと思ったのに
みんなであそんだりしたかったれす…」
「ごめんね…っていいらさんにも言っといて」
「はい…」
「じゃあね…」
- 164 名前:綾瀬 投稿日:2002年02月26日(火)02時10分03秒
- 更新終了。
>>151
なんかそんなイメージがあるんですよね。
…買い被りすぎか?
>>よすこ大好き読者さん
有り難うございます。
頑張りますのでこんな駄文をよろしくお願いします。
- 165 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)16時25分04秒
- 自分には八重歯のせいか、辻のほうが吸血鬼なイメージあるなぁ(w
- 166 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月26日(火)23時03分34秒
- つーじーいいやつなのれす。涙が・・・・(悲
でも、血の契約って・・・・何年ぐらいなんだろう?
気になります。(w
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)23時41分05秒
- 怪人が増えてる(w
もっと出てくるのかな?
楽しみです。
- 168 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時00分50秒
- 吉澤さんの部屋のドアをノックしてみても反応がない
やっぱり出て行ったんだ…
もしかしたら用事があって出て行っただけかも
きっとそうよ
帰ってくるまで玄関で待ってみる事にした
右手に拳銃を握り締めて…
どれくらい待ったんだろう、1時間?2時間?
暫くの間玄関の前で待っていると
ゆっくりと玄関のドアが開いた
小さな期待は簡単に踏みにじられた
中に入ってきた吉澤さんの口、服は血みどろだったから
- 169 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時06分52秒
怒りが込み上げてくる
でもそれはただ契約を違反した事に
対する怒りじゃない気がした
なぜ他の人の血を吸ったの?
それはきっと嫉妬に近い感情なんだと思う
「あ…」
「…契約したじゃない…」
「……」
「違反したら殺すって言ったでしょ!」
拳銃を吉澤さんの胸元に押し当てた
意志とは関係なく手が振るえる
- 170 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時12分07秒
「…せよ…」
「何!?」
「早く殺せよ」
吉澤さんは向けられてる銃口を握り締めた
思いもよらなかった言葉と
その冷静さに少し途惑いながらも
わたしは言葉を続けた
「なんで他の人の血なんか吸うのよ!!」
「そんなのこっちの勝手だろ?
早く撃てよ、契約違反だろ?殺せよ」
吉澤さんは涙を流していた
- 171 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時19分34秒
「…撃てるわけ…撃てるわけないでしょ!!」
「なんでだよ!今殺すって言っただろ!?
ここなら確実に1発で仕留められるじゃん!!」
静かだった口調を急に強めたと思ったら
握り締めていた銃口を左胸に移動させて
ぐいぐい押し当てていた
「撃てないわよ!!」
「何でだよ!!」
「…だって…好きになっちゃったんだから
撃てるわけがないじゃない…」
ついに言ってしまった…
「…頼むよ…殺してくれよぉ…」
吉澤さんはわたしに縋り付くように座り込んだ
いつもの吉澤さんじゃない…どうしたっていうの…
- 172 名前:吉澤視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時25分24秒
もう終わりだ…
石川さんの言葉を聞いて自然とそう思った
あたしは石川さんを殺せない
石川さんもあたしを殺せない
でも血を吸わなかったらあたしは死ぬ
このまま餓死するくらいだったら
いっその事殺して欲しかったのに…
…あなたの手で…
「もう…石川さんの血は吸えない
吸っちゃいけないんだ…」
「…どうして?」
「…あなたの事が…好きだから…」
- 173 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時32分35秒
「吉澤さ…」
吉澤さんの顔が近付いてきたと思ったら抱き付かれた
「加護さんから聞いたんだ…
これ以上石川さんの血を吸ったら
いずれ石川さんは死んじゃうって
そんなのあたしには堪えられない…
だからもう…血は吸えない…」
わたしが…死ぬ?
「だから…他の人の血を吸ったの?」
「うん、でもだめなんだ…
体が石川さんの血しか受けつけないんだ…」
- 174 名前:石川視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時40分35秒
- わたしの血しか吸えない…
その血すら吸わないでいたら
吉澤さんの方が死んでしまうじゃないの…
そんなのはいや…
「わたしの血…吸ってよ…」
「だめだよ、石川さんが死んじゃう…」
「わたしの事はいいの!!
吉澤さんが死ぬのだけはいや!!」
「たとえ血を吸って死は免れたとしても
石川さんが死んじゃったら意味がない…
石川さんには生きてて欲しいんだよ…」
どうして?どうしてこんな事になるの?
たった今、想いが通じ合ったばかりなのに…
「2人共死なない方法はないの?」
「わからない…でもお父さんの書斎なら
なんか良い方法が載ってる本があるかもしれない…」
「探しましょう?」
希望の光が見えてきた
- 175 名前:吉澤視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時50分57秒
- 契約は望んでやる事だから
解除法なんてこの家にあるはずがない…
わかっていたけど最後の望みを賭けて
石川さんと書斎に向った
部屋中に置かれている本棚から
1冊ずつ本を取り出しては調べた
探し初めてからどれくらい経っただろう
この部屋には壊れて逆回転をしている時計しかなかった
この時計みたいに時が戻ってくれればいいのに…
2回目の血を吸う前の時間に…
でも時間はあたしの気持ちを無視したまま
刻々と時を刻んでいるんだろう…
- 176 名前:吉澤視点 投稿日:2002年03月01日(金)01時58分35秒
- 何万冊もある本に囲まれて
休む事なくあるかどうかもわからない
1つの方法を2人で探していた
すでにあたしの頭は空腹のあまり
まともに物を考える事さえ困難になってきている
きっと石川さんもそんな感じだろう
彼女もこの部屋にきてから1回も食事を摂ってない
いつの間にかあたし達は名前で呼び合うようになっていた
「梨華ちゃん…」
「なーに?ひとみちゃん」
こんなの終わりにしようよ…
もう…疲れたでしょ…?
- 177 名前:綾瀬 投稿日:2002年03月01日(金)02時07分02秒
- 更新終了。
>>165
あ…そうかも…
身長優先させてました。
>>よすこ大好き読者さん
あ゙ー、わかり辛かったかもしれませんね。
契約者が死んだら契約終了です。
>>167
ありがとうございます。
もう時期終幕へ向う予定なので
新しいのは出るんだか出ないんだか…
- 178 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月01日(金)18時32分47秒
- 切ない・・・(T▽T)
これからの二人の行方が気になるです
- 179 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)01時57分55秒
- 救いが見つかるといいなぁ
- 180 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月06日(水)14時33分08秒
- >こんなの終わりにしようよ…
って、どういうことなんでしょうか??
泣きたくなります・・・・。
何か、二人にいい方法を見つけてあげてくださーーーい。(w
- 181 名前:石川視点 投稿日:2002年03月09日(土)23時24分38秒
- 本から視線を外して
ひとみちゃんの方に顔を向けた瞬間
ひとみちゃんの手がわたしの首を締め付けた
「っひ…とみ…ちゃ…」
「苦しい?苦しいよね」
そのまま床に押し倒され上に乗られた
「ぐっ…ど…して…」
「ほら…早くしないと死んじゃうよ?
あたしを撃っちゃいなよ、そうすれば助かるよ?」
「や…め…」
「やめない、あたしを撃つまで」
- 182 名前:石川視点 投稿日:2002年03月09日(土)23時32分03秒
どうして?
読んでない本がまだたくさんあるじゃない
あるかもしれないじゃない
2人が幸せに暮らせる方法が…
ひとみちゃんは笑ってた
狂ってた
きっと何も食べてないのと
この状況に耐えられなくなったからだと思う
でも…そんなひとみちゃんは
いつも以上に綺麗に見えた
こんな状況でそんな事考えてる
わたしも狂ってきてるのかもしれない
でも冷たく笑ったひとみちゃんは
本当にとてもキレイなモノに見えたんだもん
- 183 名前:石川視点 投稿日:2002年03月09日(土)23時40分01秒
- 「じゃ…あ…わたし…の…血っ…吸ってよ…
そっ…したら…ひとみちゃんの…事…撃ってあげる…っ…」
「絶対だね?」
「う…ん…」
わたしは床に置いておいた銃を取ってひとみちゃんに向けて
ひとみちゃんはわたしの首から手を離して床に手を付いた
「じゃあ、3カウントで同時にね」
「うん」
やっぱりわたしも狂ってる…
この状況を楽しんでるもの…
「いくよ?」
「「3」」
「「2」」
「「1」」
- 184 名前:石川視点 投稿日:2002年03月09日(土)23時47分00秒
「ねぇ、ひとみちゃん今日は天気がいいよ」
ひとみちゃんはずっと眠ったまま目を開けないの
いつからそうなったのかわたしにはわからない
一緒に暮らしてたのはちゃんと覚えてるんだけど
どうして眠ったままになっちゃったんだっけ?
なんかこれってさ、眠り姫みたい
ううん、ひとみちゃんは眠り王子様だね
わたしはお姫様じゃないけど
キスしたら目を覚ましてくれるかな?
- 185 名前:石川視点 投稿日:2002年03月09日(土)23時51分23秒
・・・
キスしてみたけど
ひとみちゃんはまだ眠ったまま
やっぱりお姫様のキスじゃないと起きないのかな?
じゃあひとみちゃんのお姫様って誰なんだろう?
でもやだな
お姫様が突然現れたらどうしよう
ひとみちゃん、取られちゃうのかなぁ…
- 186 名前:市井視点 投稿日:2002年03月10日(日)00時03分07秒
- 何もかもが手遅れだった
でもこの事態に早く気付いたところで
あたし達の力ではどうする事もできなかった
あたしがこの街に帰ってきて、荷物整理も一段落して
後藤を預かってもらったお礼を言いに吉澤の家に行った
玄関のドアを開けってもらったその時から
この家の中はどこかオカシイ…そう思った
ドアを開けてくれたのは1人の少女
「あ、吉澤居るかな?」
「どちらさまですか?」
「あー、わかんないかなぁ…市井って言うんだけど…」
「あ、あなたが市井さんですか
どうぞ、中に入ってください」
その笑顔は造りモノのようで少しゾッとした
彼女に付いて行って辿り着いた部屋に入ると
ベットの中でこっちに背を向けて寝てた
- 187 名前:後藤視点 投稿日:2002年03月10日(日)00時13分35秒
- いちーちゃんと一緒によっすぃーんちにお礼をしに行った
出迎えてくれた梨華ちゃんの様子が少しおかしいと思った
あたしが知ってる笑顔じゃなかった
梨華ちゃんに案内されて
よっすぃーの部屋に入った時
この光景が意味するものはなんなのか
理解できないでいた
梨華ちゃんは何をしたいのかがわからなかった
あたしは匂いを頼りに屋敷中を歩いてソレを探した
一番匂いの強かった書斎の扉を開けて
どうしてこんな事になったのかがわかった
- 188 名前:後藤視点 投稿日:2002年03月10日(日)00時19分16秒
- こうなる事は大体わかってたんだ
よっすぃーが血を吸い続けたら
梨華ちゃんがどうなっちゃうか知ってたし…
でも言わなかった
だってよっすぃー踏み込まれるの嫌いだし
それにあたし自身他人の事なんて興味ないし
あたしの力でどうにかできるってわけでもないし
ってかしないけど
あたしはいちーちゃん以外信じられないから
あなた達のこの姿を見ても同情すらする気になりません
全く情が涌かないんです
- 189 名前:石川視点 投稿日:2002年03月10日(日)00時25分54秒
- 毎日のように市井さんとごっちんが
この家にひとみちゃんの様子を見にきた
でもひとみちゃんは起きてくれない
「せっかく市井さんとごっちんが来てくれてるのに…」
市井さんは家に来ると必ず
『書斎へ行ってみないか?』
そうわたしに聞いてきた
わたしは毎回その誘いを拒否した
なぜか書斎だけには行きたくなかった
それはなぜなのかわからないけど
いつも書斎を避けてるわたしがいた…
- 190 名前:石川視点 投稿日:2002年03月10日(日)00時33分13秒
- 拒否してるのに市井さんは
毎回誘ってくるので
そろそろわたしも苛立ちを感じ始めていた
「なぁ石川、1回でいいから書斎へ行かないか?」
「市井さん、少ししつこいです」
わたしがそう言うとごっちんが身を乗り出してきて
「ちょっと待ってよ、いちーちゃんはっ…」
「後藤いいよ、石川、大広間貸してくれるか?」
「いいですよ」
市井さんとごっちんは出て言った
市井さんがとめて聞けなかったけど
ごっちんが言おうとしてた事はなんだったんだろう?
それにしても…
「なんで毎回聞いてくるんだろうね?ひとみちゃん」
- 191 名前:綾瀬 投稿日:2002年03月10日(日)00時41分51秒
- 更新終了。
もうすぐ完結予定です。
>>178
(0^〜^0)<梨華ちゃん泣くなよ
>>179
もうすぐわかります。
>>よすこ大好き読者さん
どうしましょう(w
- 192 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月10日(日)07時48分32秒
- うおー!切ないぃぃぃ
もうすぐ完結ですか・・・
寂しいですが楽しみに待っとりますです
- 193 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月10日(日)17時27分06秒
- なんか、すごいことになってる??
書斎には、何が?解っていないの私だけでしょうか?
なんか、心が痛いんですが・・・・どうしましょ。
- 194 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月10日(日)18時33分16秒
- どうも、初レスです。
いやぁ、なんかすごいですね、不思議な世界ですね〜。
もうすぐ完結ですか?
頑張って下さい!
- 195 名前:綾瀬 投稿日:2002年03月20日(水)15時27分24秒
- 自宅のPCが壊れてしまった為
暫くの間更新作業ができません。
もし、これを読んでくれてる人がいたら
すいません、お待ち下さい。
- 196 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月20日(水)16時19分19秒
- PCが壊れていたのですか
完結マータリお待ちしております
- 197 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月24日(日)13時37分56秒
- マターリ待ってますよーーー!!
- 198 名前:市井視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時15分48秒
- 後藤と2人で大広間に向かい
ソファーに腰掛けた
「吉澤は眠り姫ってわけか…」
「それは違うと思うけど」
「え?」
「なんでもない…」
この件に関しての後藤の態度は
酷く冷たい感じがした
…と言うか他人の事について
2人で話し合うのはこれが初めてだった
後藤はもともと他人に
関心のない子なのかもしれない…
「それより後藤、どうしたらいいと思う?」
「直接言えば?」
「それしかないかもしれないけど…
そんな事しても石川は大丈夫だろうか…」
「あたしが調べてあげるよ」
そう言うと後藤は大広間から飛び出して行った
- 199 名前:後藤視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時24分04秒
- あたしはいちーちゃんの発言にいらついていた
さっきから石川、石川って
そんなに梨華ちゃんが心配?
だったらもう心配しなくて済む様にしてあげる
いちーちゃんがそんなに慎重になってるんだったら
あたしが直接事実を伝えてあげるよ
それで梨華ちゃんが我に帰ろうが
壊れちゃおうがあたしには関係ない
壊れたら施設かなんかに入れればいいんだし
- 200 名前:後藤視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時32分04秒
- あたしは階段を駆け上がって
よっすぃーの部屋のドアを勢いよく開けた
「あ、ごっちん」
さっきと変わらない光景
こんな光景があるからいちーちゃんが心配するんだ
だったら壊してやる
「梨華ちゃんはさぁ
いつまで思い出に縋ってんの?」
「え?」
「だからぁ、いつまで夢見てんのって言ってんの」
「な…なに言ってるの?」
後ろでいちーちゃんがあたしを
止める声が聞こえたけど
あたしの体は止まらなかった
そのままベットの中で寝てるソレを蹴り飛ばしていた
ゴトッという音と共にソレは床に落ちた
- 201 名前:石川視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時40分24秒
- 「なにするのよ!!」
「よく見てみなよ
それはよっすぃー?」
ごっちんは何を言ってるの?
人を蹴っておいて謝らないの?
「よっすぃーに謝りなさいよ!!」
ごっちんは深く溜息を吐いた
「あのねぇ、それはよっすぃーじゃないでしょ
それはただの人形
梨華ちゃんいい加減目ぇ覚ませば?」
ごっちんの言ってる意味がわからない
人形?そんなはずないじゃない
ごっちんはわたしの肩を掴んで揺すってきた
「逃げてる場合じゃないんだよ」
「いや!!離して!!」
- 202 名前:市井視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時50分02秒
- 「後藤、その辺にしてやれ」
強く言えば言うほど拒絶するんだったら
ここまで言ってしまった以上
ゆっくり、わかるまで説明するしかない…
あたしは石川の肩に優しく触れた
「石川、落ち着いてよく聞け
そこにあるのは人形なんだ、吉澤じゃない
吉澤はな、もうこの世にはいないんだよ
石川は書斎を見たんだろう?」
「し…知らない!」
石川の目が泳ぎ始めた
絶対頭の片隅ではわかってるはずなんだ
どうしてこうなったのか
お前はそれを見てたはずなんだ…
「もう1度だけ言う
吉澤は死んだんだよ…」
- 203 名前:石川視点 投稿日:2002年04月06日(土)00時53分37秒
- …ひとみちゃんは…死んだ…
……殺したのは……わたし…?
そう…わたしはひとみちゃんを殺した…
どうして書斎が嫌だったのかも
記憶が曖昧になってしまっていたわけも
全ての記憶が一致した…
- 204 名前:3カウント 投稿日:2002年04月06日(土)01時04分07秒
- あの時一緒にカウントして…
「「3」」
「「2」」
「「1」」
銃声が書斎中に響き渡る
わたしの頬に零れ落ちるひとみちゃんの涙
「ひ…とみちゃ…」
ひとみちゃんが口を付けた場所は
肩じゃなくて
わたしの唇だった…
- 205 名前:3カウント 投稿日:2002年04月06日(土)01時17分47秒
- その時ね、ひとみちゃんの唇が動いたの
わたしはひとみちゃんに
何もしてあげられなかったのに
『ありがとう』
そうひとみちゃんの唇は動いてた
心にはちゃんと声…届いたよ
ひとみちゃんの体が段々灰になっていく
「ひとみちゃん!いや!
わたしを置いて行かないで!!」
ひとみちゃんは笑顔のまま
その笑顔も見えなくなって
書斎にはわたしと灰の塊だけが残った
「ひとみちゃん」
いつもだったら聞こえるはずの
あの少し低めの声はもう聞こえなかった…
- 206 名前:市井視点 投稿日:2002年04月06日(土)01時40分27秒
- 「いやあああああああああああ!!!」
甲高い叫び声を上げたと思ったら
石川はあたしの胸に倒れ掛かってきた
気絶したのか?
「石川、おい石川!」
頬を2、3度叩いてみたけど応答がない
「ほら、あたしの思った通り」
後ろで後藤の声が聞こえた
「何が!」
「眠り姫はよっすぃーなんかじゃない
本当の眠り姫はね…梨華ちゃんなんだよ」
- 207 名前:綾瀬 投稿日:2002年04月06日(土)01時46分27秒
- 完結。
ここまで読んで下さった方
更新マターリ待ってて下さった方
有難う御座いました。
>>192
よすこ大好き読者さん
吉胡麻系さん
196
無事完結を迎えました
こんな駄文読んでくれて有難う御座いました。
続編…書くかもしれません
その時はどうぞよろしく…
- 208 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月06日(土)02時15分24秒
- 竜頭蛇尾、尻つぼみ、消化不良・・・。
待たせた挙句にこの体たらく。
期待していただけに残念です。
続編は・・・・。期待している人が居るなら頑張ってください。
私は期待していません。
- 209 名前:綾瀬 投稿日:2002年04月06日(土)02時25分07秒
- >>208
申し訳ない
ちと此方に文章力の無さがありまして…
期待を裏切る形になってしまいましたね…
勉強します。
- 210 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月06日(土)02時49分12秒
- 自分はなかなかおもしろかったけどねぇ?
更新あいたのも故意では無いみたいだし。
是非、続編で見返していただきたい
- 211 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月06日(土)23時41分42秒
- >>208
その言い方は、失礼だと思われますよ。
更新が遅れたのにも、ちゃんとした理由があるわけですし。
>作者さん
すごく面白かったです。
少なくても、私は、感動というか、
こう引き付けられるものを感じました。
続編にしろ、新作にしろ、お待ちしております。
- 212 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年04月07日(日)01時31分26秒
- 私も、すごく楽しく読ませていただいていたので、
続編を、期待したいです!!
作者様。完結お疲れ様でした。
- 213 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月08日(月)01時15分18秒
- M飼育では珍しい批判レスですねぇ(w。こう言う意見も大事だとは思いますが。
まぁ、感じ方は人それぞれですから・・・。
更新スピードに関しては作者さん次第だし。
まして、プロじゃないんだから。遅くたってこっちが文句言える立場じゃないし。
>綾瀬さん
続編ではこんなレスが付かないような名作をお願いします。
- 214 名前:綾瀬 投稿日:2002年04月16日(火)05時37分53秒
- >210、211、
よすこ大好き読者さん、213
励ましの言葉ありがとうございます。
批判もある事は解ってたのでこれを反省点に
次回があるなら頑張ります。
消化不良感を持ってしまった方
本当に申し訳ないです。
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