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桃色アプローチ

1 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時33分51秒
-1-

―はぁ…今日もだ…。

 吉澤ひとみは都内の女子校に通う高校一年生。
 今朝も通学途中の電車の中で既に憂鬱になっていた。それは数日前の事。

―どう考えても…コレって痴漢されてるんだよなぁ。

 最初は違うと思っていたが、さすがに決定的な事をされては、いくら鈍感なひとみでも
否定する事は出来なかった。
 最初はお尻、そして、その行為は次第にエスカレートしていき、ついにスカートの中まで及んだ。
 車内は当然毎朝ラッシュですし詰め状態。ひとみは声を出す事も出来ずに黙ってされるがまま
にされていたが、もう限界だった。

―絶対、犯人を突き出してやる!!

 乙女心も身体も傷つけられたひとみは、今日と言う今日は勇気を振り絞って痴漢を捕まえようと
決意していた。
2 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時35分05秒
「…ぁっ……」
 ひとみは思わず声を漏らしてしまい、慌てて口を噤む。
 なんと、その手は、何もしない事をいいことに、ついにひとみのショーツの中にいきなり
侵入し、まさぐり始めたのだった。

(やっ……。なんて事…ハァ…)
 ひとみは不覚にも気持ちよくなってしまい、必死で耐えていた。
 電車が揺れる度に、その振動で更に刺激されて、ひとみは痴漢を突き出すよりも堪える方に
神経が行ってしまった。手を掴もうにも、身動きも出来ない状態で、ひとみは早くもピンチを
迎えていた。自分の目の前に立っている女性に気付かれないかと動揺し、自分は今、どんな顔を
しているのだろう? とか、嫌悪感を抱いているのに身体は反応している事に対する情けなさ。
色々な気持ちが混ざって、ひとみはどうする事も出来ないでいた。

 しかし、このままここで我慢をしていたら相手の思うツボ。 
 ひとみは何とか、その手首を掴むと強引に引っ張り出した。その手は意外に抵抗をしなかったと
同時に妙に細い手首だと感じていた。
 そして次の駅で犯人と共に電車を降りた。
3 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時36分44秒
-2-

「一体、どういうつもりなん…」
 言いながら振り向いたひとみに映った痴漢の正体は…。
 中年オヤジを想像していたひとみの予想とは、あまりにもかけ離れていた。
 目の前にいる女性は、自分と同い年か、ちょっと年上。自分より背は低く、
肩にかかるくらいのセミロングで少し茶髪。肌の色はちょっと黒くて…。
 そして驚いたのは、ひとみを見て微笑んでいたのだった。
 ひとみは、あまりの驚きに言葉を失っていた。

(え? 何? どういう事? それとも私、間違えた?)

 そうとしか思えない。こんな可愛い女性が痴漢なんかするハズがない。
 ひとみは、まだ彼女の手首を掴んだままだった。
 それに気付き慌てて離すと、ひとみはひたすら謝った。
4 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時37分36秒
「ゴ、ゴメンなさいっ」
(ぅわーん。私ったらなんてことを…)

 痴漢と間違えたなんて言ったら、彼女も傷つくだろう。
 ひとみはとにかく相手の顔も見れずに謝り続けた。

「嬉しいヨ」
 意外な返答に、ひとみは戸惑った表情で彼女を見つめた。
 それより声がアニメのように特徴のある声なのが印象的だった。
 一度聞いたら忘れられないような…。

 彼女の方が今度はひとみの手首を取ると、駅のトイレに連れていかれた。
 訳の分からぬまま、ひとみは彼女と一緒に一番奥の個室へと入った。

(な、なんで一緒に入ってんだろ?)
5 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時38分13秒
「あなた、名前なんて言うの?」
 入るなり、いきなり彼女は聞いてくる。
「吉澤ひとみ…ですけど……」
 今思えば、答える必要なんてなかった。そして自分は彼女の名前を聞くのを忘れていた。
 彼女は「ヨシザワヒトミ」と復唱すると嬉しそうにこう言った。

「ひとみちゃんかぁ。可愛い名前だね」
「はぁ…」
「やっと声かけてくれたネ♪」
「やっと? やっとって、どういう意味ですか?」
 彼女の言っている意味が理解出来なくてひとみは聞き返した。
 彼女は、フッと笑うと
「ひとみちゃん、可愛いから、ついついイタズラしたくなっちゃって…」
 まだ彼女はニコニコ微笑んでいる。
6 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時39分55秒
―イタズラって…? え? やっぱりこの人が???

 ひとみの脳に到達するまで、かなり時間を要した。

「やっぱり…痴漢!!?」

 ひとみは驚きのあまり、また言葉を失った。

 だって、痴漢って普通は男の人が女の人にするでしょ?
 女の人が男の人にっていうのもあるけど、女が女に?!

「ひとみちゃん、人聞き悪ぅ〜い♪ 恋人同志だったら、そんな行為も愛情表現の一種だよ」
 彼女は悪びれた風でもなく、いきなり抱き付いて来ると、くちびるを突き出して来た。

―いったい、この人は………。

 ひとみは恐ろしくなり、彼女を突き飛ばすと、慌ててトイレから逃げ出したのだった。
7 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時41分38秒
-3-

 当然? 学校には遅刻をし、遅刻の本当の理由も言えずに、ひとみは、どう言い訳を
しようかと考えていたら、幸いな事に、まだ出席はとっていないらしかった。

「よっすぃーラッキーじゃん。でも遅刻なんて珍しい」

 隣りの席の、クラスメイト”ごっちん”こと、後藤真希が声をかけてきた。
 真希は遅刻の常習犯だが、ひとみは遅刻をした事など、今までなかったからだ。
 珍しがるのもムリはない。ひとみは適当に誤魔化し、真希と他愛もない事を喋っていた。
 そこへ扉が開いて、生活指導である保田圭(26)が入ってきた。

「なんでダーヤスが?」

 真希は密かに言う。ざわついていた教室が一瞬で静かになった。
 保田は中澤裕子の次に、生徒から恐れられている教師である。
 ヤッスー、ダーヤスと呼ばれていた。
8 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時42分19秒
「聞こえるよ、ごっちん。悪魔の接吻が待っていたりして…」
「やめてよぉ。気持ち悪い…」
 真希は顔をしかめた。保田はやたらと接触したがるので、生徒からセクハラ教師とも
密かに言われている。勿論、面と向かって言えるような強者は居ない。
 同じ教師である矢口真里や安倍なつみにも、抱き付いたりしているのを見ているから
レズ疑惑の噂も出ているほどだ。

「ご存じの通り、石黒先生が産休に入ってますが、いつまでも担任不在と言う訳にも
 いかないので、今日からこの1年A組の担当になってもらう先生を連れて来ました。
 入ってきて」
 保田は扉の方に向かって声をかける。
 クラス全員が見守る中、おずおずと扉を開けて入ってきた新米教師。
 ひとみは興味がないから、入って来た時は見ていなく窓の外を眺めていた。

「今日から、このクラスを受け持つ事になりました。石川梨華ですっ。
 不慣れな事も多々あると思いますが、皆さん仲良くして下さいね」

 まるで転校生が自己紹介をするような挨拶で、クラスがどよめく。
 実際、見た目も若い梨華は、同級生と言っても過言ではないくらいのルックスである。
9 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時42分58秒
 その特徴のあるアニメ声に、ひとみは教壇に立つ、彼女・石川梨華を見て思わず席を立ち、
声を上げた。

「あ゛〜〜〜〜〜〜っ!!」

 梨華も、ひとみに気付くと
「ひとみちゃん。ここの生徒だったんだ…。よろしくねっ♪」
 梨華はひとみだけに、笑顔を振りまくとウィンクまで投げてよこした。

――よろしくって…。

 2人のやり取りに、クラス中が、騒がしくなる。

「やだ、よっすぃー、石川先生と知り合いだったの? さすが隅におけないねっ」
 真希は、からかい半分で面白そうに言うと、ひとみの肘を引っ張った。
「知り合いな訳ないじゃない!」
10 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時43分29秒
「ひとみちゃんは、今朝、電車の中で痴漢に遭ってる所を助けてもらったの。
 あの時はありがとうね♪」

――痴漢を助けた? なにを言ってんの? よくそんな白々しいウソを…。

 尤も、自分が痴漢していたのを捕まえられたなんて言う方がおかしいが。 
 ひとみは開いた口が塞がらずに口をパクパクさせていた。

「なぁんだ。それで遅刻したんだ。さすが、よっすぃーやるコトが、かっけ〜!」
 真希は納得すると、今度は脇腹をどつかれた。

 その後、梨華は生徒から質問責めにあっていたようだが、ひとみの耳には入っていなかった。

――最悪…。私に痴漢(痴女?)したのが、自分の担任になるなんて…。

 ひとみは青ざめると、机に突っ伏したのだった。
11 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時44分53秒
-4-

 ひとみは休み時間になると、一目散で職員室へと駆け込んでいく。
 が、その前にひとみを待ちかまえていた人物がいて、行く手を阻まれた。

「ひーちゃん、どこ行くの?」
 両手を広げて通せんぼをする、その少し怒った顔に、ひとみは諦めたような顔をした。
「あやゃ、どいてよ…」

 あやゃと呼ばれた女性は松浦亜弥。ひとみと家が隣同士で、幼なじみ。
 ひとみより1つ下で、中等部の3年に属している。
 「ひーちゃん」「あやゃ」と呼び合う仲で、ひとみをこう呼ぶのは亜弥だけだった。

「今日から担任になった石川先生とは、どういう関係なの?」
 勝ち気そうな瞳が光る。
「どうって別に…」
 それにしても、相変わらず情報が早く回ると、いつもひとみは感心する。
12 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)16時45分57秒
「全然別にじゃないじゃない。今だって、先生に会いに行こうとしたんでしょ?」

 図星だけど、別に会いたくて会いに行く訳ではない。
 亜弥に捕まるといつもこうだ。
 ひとみは、その風貌とルックスから校内でも目立つ存在でモテるので、亜弥としても
心配らしく、いちいち首を突っ込んで来るのだった。

「あやゃには、関係ないじゃん」
「関係ある! だって、石川先生って、さっきチラッて見たけど…。危ない感じがする」

 どう危ないのかが気になるけど、それは外れてないかもね。

「あやゃが心配するようなコトは、ないからさ〜。そこどいてってば!」

 ひとみは隙を見ると、亜弥の横をすり抜けて、また駈けていった。
 その後ろ姿を見つめながら亜弥は呟いた。
「ひーちゃんの…バカ……」
13 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月11日(月)17時26分08秒
最高!痴漢石川先生萌え〜
設定から激アツですね!
保田が高齢なのもイイ!
松浦ネタはちょっと鬱だけどイイ!
さすが神です。
14 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時42分25秒
-5-

 ひとみは職員室の前に着くと一呼吸おいてノックをした。
 そろそろと開けてみると、保田の隣りで一生懸命説明を受けているらしい梨華の姿が目に入った。
 どうやら、保田が梨華の教育指導係らしい。
 不自然に梨華の身体に触れている保田を見てひとみは、あぁと思う。
 保田の毒牙にかかるのも、いいかもなんてひとみは思いながら梨華の方に近づいていく。

 保田より早くひとみに気付いた梨華は嬉しそうに声をあげた。
「ひとみちゃん」
「せ、先生ちょっと」
 と言って半ば強引に梨華の腕を取ると廊下に一緒に出た。
 人目につくのがイヤなので、ひとみは、そのまま屋上へと梨華を連れだした。
15 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時43分14秒
「あの、”ひとみちゃん”って呼ぶのよしてもらえませんか?」
「でも、ひとみちゃんじゃない。おかしい?」
「別におかしくないですけど。なんかあるって思われたら嫌だから…」
「じゃぁ、2人っきりの時だけは、こう呼んでもいいよね? ひとみちゃん!」
 梨華はひとみの腕に自分の腕を絡めると嬉しそうに言う。
「あ、あの。私は、あなたのコト、先生なんて認めませんから!!」
 梨華の胸が自分の腕に当たるのを感じながらドギマギして、ひとみは梨華から視線を外す。
 しかし、梨華は逆に嬉しそうな声を出した。
「先生って思ってくれなくてもいいから、そのかわり…」
 一旦、梨華はそこで区切る。
「なんですか?」
 再び梨華に視線を戻す。
「ひとみちゃんの彼女になりたいなぁ。だからぁ、名前で呼んでくれていいよ♪」
「はぁ…」
 ひとみは呆れて物が言えなかった。

 この人は頭がおかしいのではないか? とさえ思えてくる。
16 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時44分13秒
「大体、さっきだってなんですか? 自分が触っておいてからよく、そんなウソ言えますよね。
 教師としての自覚なんてないじゃないですか。ここの生徒だって最初から知ってたクセに…」
「だって本当のコト言ったって誰も信じないでしょ?」

 そりゃそうだ。誰が信じるか。普通はね、普通は。

「からかうのもよしてください。私、あなたのコト…」
 ひとみは言いかけて、梨華に瞳を覗き込まれて思わず梨華を見つめ返した。

 今にも涙があふれ出しそうな潤んだ瞳で見つめられて、ひとみは戸惑っていた。
 可愛い。そんな反則な顔で見つめられたら…。

「なに? 言ってよ」

 唇が触れ合いそうな位まで接近されて、ひとみは身動き出来ないでいた。

「ぃや、別に、なんでもありません…」

 ひとみの方から梨華の切ない視線を外した。
 不覚にも可愛いと思った自分が腹立たしい。
17 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時45分18秒
「私、ひとみちゃんのコト、好きだから…。絶対諦めないよ」
「勝手なコト言わないで下さい!」
「だって好きになっちゃったんだもん」
「だもんって、一体、あなたは幾つなんですか!」
「22歳。大学出たばっかりだけど?」
「真面目に答えてどうすんですか! どうして、こんな中途半端な時期に来る訳ですか?」

 そう、この時期(6月)に新米教師が入って来るなんて、そもそもおかしい。

「どうせ噂ですぐに入ると思うけど、私、中澤先生と従姉妹なの」
「それって…」
「そう。まぁ簡単に言っちゃえばコネってコトだよね。たまたま空きが出たからって
 理事である叔父様からも声がかかって。で、中澤先生もいるこの学園に入ったってわけ。
 ラッキーだったなぁ。私が目につけてた、ひとみちゃんと同じ学園に入れるなんて。
 それも、ひとみちゃんの担任になれるなんてね。神様に感謝しなくちゃ!」
 梨華は両手を組んで胸に持っていって天を仰ぐポーズをする。

「そうですか…」
 ひとみは、最悪な事が重なる物だと、その神を呪った。
18 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時46分22秒
「ひとみちゃんさぁ、さっきから”あなた””あなた”って他人行儀過ぎない?」
「あなたが馴れ馴れしすぎなんですよ! じゃ、じゃぁ不本意ですけど先生って呼びますよ」
(先生なんて思ってないけどね。この変態!!)
 心の中では悪態をつきながら、ひとみは叫んだ。
「2人っきりの時は、”梨華”って呼んでくれていいんだよ?」
「呼びません!」
「照れてるんだぁ。カワイイ!」
 そう言って梨華は赤く染まっているひとみの頬をサラリと撫でた。

 勘違いもここまで来ると甚だしいと言うか、ひとみは言い返す気力も失っていた。
 梨華と居ると自分のペースが乱れてしまう。

「も、もういいです。引き留めてすみませんでした!」
 全然悪いと思っていないが、一応そう言うとひとみは頭を下げた。
19 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時47分22秒
-6-

 屋上から下へと続く階段へ向かうと、亜弥と鉢合わせた。
 どうやら一部始終見ていたらしい。

「今の何? ねぇ!」
「うっさいなぁ。だから、あやゃには関係ないって」

 まとわりついてくる亜弥をムシしてひとみは階段を足早に駆け下りていく。
 が、踊り場で、またしても亜弥に行く手を阻まれた。

「すっごい親密に見えたんだけど。なんで先生と…」
「知らないよ、こっちが知りたいよ!」
「ひーちゃん、石川先生と付き合うなんてコトないよね?」
「はぁ? 何心配してんの? そんなコトあるわけないじゃんか」
 ひとみは笑い飛ばそうとしたが、実際は、亜弥に言われてドキッとしたのだ。
20 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時48分31秒
「だって、石川先生の目、ひーちゃんに恋してるって感じだったもん」
「そんな遠くから見てわかんの?」
「先生の目から、胸キュン光線出てたし…」
「な、なに? ソレ?」
 亜弥も時々意味不明な言葉を発するので、ひとみは聞き返した。
「私には分かるの!」
「あやゃに分かったって私には分かんないよ」
 ひとみは適当に受け流すと、また階段を下りようとする。
「分かってよ!」
「なんでよ」
「も〜! 私がひーちゃんのコト好きなの知ってて…」
 亜弥が急に声を落として俯いたので、ひとみは慌てた。
「あやゃの言いたいコトは分かったから」
 実際は良く分かっていなかったが、その場を納める為にひとみは頷いた。
21 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時49分24秒
 亜弥の機嫌を損ねると時間がかかるのが分かっていたから、ひとみはいつものように
亜弥を抱き寄せると、亜弥の髪を撫でてやる。
 しかし、今日はそれでは収まらなかったらしい。亜弥は、キッと顔を上げると
「いつまでも子ども扱いしないでよね!」
 と言って、ほっぺたを膨らませた。
「あやゃは子どもだよ」
 ひとみは人差し指で、ほっぺたをつついた。
「ひーちゃんと1つしか違わないじゃない」
「そんな拗ねんなよ」

 亜弥が自分に好意を寄せてる事は、ひとみ自身も気付いていたが、それは一時的な物と
思っている。小さい頃から一緒に居る亜弥は、どう見ても妹的な存在にしか自分には映らなかった。
22 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時50分43秒
「吉澤さん!」

 いきなり声をかけられて、ひとみは振り返った。
 梨華が居るのに気付かなかったのだ。良く考えて見れば下へ下りる階段は、ここしかない訳で
梨華が来るのも分かっていた筈だったが、すっかり忘れていた。

「そちらは?」

 亜弥は、ひとみから離れようとしなかった。

「ひーちゃんの彼女の、中等部3年B組。松浦亜弥です」

――おいおい、あやゃも何言い出すんだよ!!

「ふぅん。そうなんだ」
 梨華は手を顎に当てると、じっくりと上から下まで亜弥をチェックするように見ていた。

「先生。彼女じゃないですよ、勿論。ただの幼なじみですから」
 ひとみは亜弥を無理矢理自分から離そうとしながら言った。
 別に弁解しなくとも、ウソなのは明白なのだが。

「ふふっ。まぁいいわ。吉澤さんは、いずれ私の……」
 そこで区切ると梨華はニヤッと笑って先に下りていってしまった。
23 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月11日(月)19時51分28秒
「私の…なんなのよ! 感じ悪い!!」
 亜弥は、プンプン怒っている。

 それにしても、あの自信は、どこから来るのだろうか?

「あやゃも、関わらない方がいいよ。先生頭おかしいっぽいから。相手にしない方が…」
「じゃぁ、ひーちゃんも約束してくれる?」
 亜弥が、ひとみに縋り付いてくる。
「なにを?」
「石川先生と関わらないって」
「なるべくね。だって担任だから、全くって訳にもいかないし」
「先生、私のコト、ライバルの目で見てたもん。悔しい! 私負けたくないよ」

 負けるも何も、ひとみは亜弥も梨華も、そんな対象で見ている訳ではない。
 勝手に言ってるだけだ。

「あやゃも、もう忘れなよ。行こう」
 ひとみは亜弥の手を取った。



 梨華は、職員室へと戻りながら、何故か燃えていた。

(あの松浦って子が、私のライバルかぁ。まぁチョロいもんね)

 逆にライバルがいる方が燃えるタイプの梨華は、俄然張り切るのだった。
24 名前:名無し 投稿日:2002年02月11日(月)19時55分49秒
新作はいつも出だしだけ好調だったり。
見ての通り、実年齢は一部ムシしています。

>13 某さくしゃさん
もっと変態石川先生を出したかったんですが、これじゃぁただの…(略。
一応先生役のメンバーは実際より+5歳上と言う設定にしてますので。
じゃぁ、中澤は……(w。
松浦ダメですか?T_T 可愛いあやゃを書きたいんですけど…。
25 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月11日(月)20時30分31秒
更新早い!イイ!
可愛いあやゃイイ!中澤30超えイイ!石川超積極的イイ!
最近吉あやの噂が多くて敏感になってました(w
気にしないでくださいね。神に憑いていきます!
26 名前:夜叉 投稿日:2002年02月11日(月)20時47分56秒
変態です、石川梨華先生(爆)。
あややVS石、すでに戦いの火蓋が切って落とされてますねぇ。
二人に翻弄されるであろう?吉が早く見てみたいです。
5歳増しということで、従姉妹の中澤姐さんの登場が待ち遠しい(大爆笑)。

27 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月11日(月)21時14分38秒
チャーミーに翻弄されるよっすぃー(w
続き楽しみに待ってます!
28 名前:名無しバイク 投稿日:2002年02月11日(月)22時10分36秒
新作ハケーン!

変態石川先生 (・∀・)ノ イイ!!
キターイキターイ。
29 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月11日(月)23時24分05秒
あやゃ可愛いっすな。こんな松浦いいかも。
何より優しげな吉澤に、萌え〜。
30 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月11日(月)23時29分48秒
すごくいいです!
あややかわいい♥
期待してます!
31 名前: 投稿日:2002年02月12日(火)00時35分30秒
おもしろい!
32 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年02月12日(火)01時34分44秒
変態な石川先生に身悶えて、可愛いあやゃに萌えまくってます。
三十路越えの中澤先生の登場も楽しみにしております。(w

更新がんがってください。応援してます!
33 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時04分13秒
-7-

 6限目の授業は音楽。なんとそれは梨華の授業であった。
 また梨華の自己紹介が始まる。

「実は、チャーミー石川って言う別の名前もあるんですよ」
 梨華は親指と人差し指をL字型にしてポーズまで取って見せた。

 一体、それが音楽と何のつながりがあるんだか…。
 ひとみは頬杖をつきながらつまらなさそうに話を聞いていた。

―――チャーミーねぇ…。自分で言うなよ。

 一見嫌味に聞こえそうなネーミングも、梨華は実際可愛いから、嫌味に聞こえないのも
ひとみから見ると、なんだか面白くなかった。

「平家先生は、どうしたんですか?」
 ひとみは、まだ平家の授業の方が面白かったので、わざと聞いてみた。
 平家とは、いつも音楽を担当していた平家みちよの事である。
 ロックボーカリストのオーディションを受けて優勝した経歴の持ち主でもあり
歌唱力は定評があった。
34 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時05分08秒
 と言う事は、梨華も音大卒と言う事か? それにしても、どう考えてもそのアニメ声からは
立派な歌唱力は、なさそうな気がした。尤も、声楽を専攻していなければ、別に歌唱力は
なくとも関係ないが(なくはないが)。ピアノあたりが妥当か。

「吉澤さん、良い質問ですね。平家先生とは交代で、受け持つ事になりました」
 一体、これのどこが良い質問なのか、理解に苦しむ。

 梨華の授業は、その大半がどうでもいい話で潰れた。

「一体やる気あんのかね…」
 授業が終わると、ひとみは教科書を閉じながら、真希に話しかけた。
「まぁ、いいんじゃないの? どうせ音楽なんてさぁ退屈だし…」
 ひとみと真希が立ち上がると、ひとみだけ、梨華に呼ばれた。

「ちょっと吉澤さん、いい?」
「はい…」
「早速じゃん」
 真希はニヤリと笑うと、ひとみに肩を置いて「お先に」と言って先に教室に帰って行った。
「ごっちん、何か勘違いしてんだよなぁ…」
 ひとみは溜息をつくと、仕方なく梨華の方に行く。
35 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時06分22秒
「なんですか?」
 ひとみは、素っ気なく聞く。
「放課後、私に付き合ってくれないかなぁ? ひとみちゃん」
 途端に、また馴れ馴れしくする梨華に、ひとみは即不機嫌になった。

「なんで付き合わなきゃいけないんでしょうか? 理由がありませんが」
 梨華の発言に、いちいち突っかかっては、梨華が逆に喜ぶと思い、ひとみはあくまでも
冷静さを保った。―――つもりだった。 

「理由なら、あるよ…」
 また梨華は必要以上に、ひとみに顔を近づけてくる。
「な、なんですか…」
 ひとみは思わず顔だけ梨華から遠ざけた。
「ひとみちゃんのコト、もっと知りたいからはあとはあと
「………」

 梨華はそれだけ言うと、ひとみから離れて
「さぁてと、ホームルームやって帰りましょうか。吉澤さん、行きましょう」
 いきなり、梨華は先生モードに入ると出席簿を持って、ツカツカと先に音楽室を出て行った。

「先生…。ホントに、良く分かりませんよ……」
 ひとみは呟くと、自分も音楽室を後にした。
36 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時08分13秒
-8-

 HRも無事終わると、真希がニヤニヤしながら聞いてくる。

「ねぇ、石川先生と何話してたの?」
「ん? べ、別に」
「早速デート誘われたとかぁ?」
「そんな訳ないじゃん…」

 さすが真希は、こういう事に関しては鋭い。
 まぁ、普通でも大体察しはつくと言うものだけれど。

「誘われたとしても、私が行く訳ないでしょ? なんで行かなきゃいけないのよ!」
「そんなにムキにならなくたっていいじゃん」
「ムキになってなんか!」
「手がグーになってる」
 そう言って真希は、ひとみの手を指差す。無意識にひとみは握り拳を作っていた。
37 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時09分10秒
「まっつーも、気が気じゃないだろうねぇ…」
 まっつーとは、亜弥の事である。真希は彼女を、そう呼んでいる。

「あやゃは関係ないじゃん」
 既に一悶着あった事は、今は真希に言わないでおいた。どうせいずれバレるだろうけど。
「なんでよ。”ひーちゃん””ひーちゃん”って、よっぽどよっすぃーのコトが好きなんだろうね。
 必死になってて逆に可愛いんだけどさあ」
「じゃぁ、ごっちん付き合えばいいじゃん」
「なんで私が…」
 ひとみも無責任な事を言う。今は、真希と亜弥の話に付き合ってる余裕などなかった。

 にっくき変態教師、石川梨華に小一時間問いつめたい気分だった。
 そうか。やはり、ここは今日は会って話をキチンとした方が良さそうだ。
 ここはビシッ! と言ってやるしかない(出来るか不安なのだが)。

「よ〜し!!」
 ひとみは握り拳を突き上げると、途端にやる気マンマンになった。
 真希はキョトンとした顔でひとみを見ていたのだった。
38 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時10分57秒
-9-

 梨華に付き合うのは、いいが待ち合わせとかを決めていなかった事に気付いた。
 取りあえずまた、職員室に向かい、ドアを開けると、なにやら保田が梨華を誘っている風に見えた。
 ひとみが立っている場所からは2人の会話は聞き取れないが、どう見ても…。

 今日の誘いは、流れるかな。なんてひとみは思いながら2人のやり取りを見ていた。
 初日から、色々と説明を受ける事もあるだろうし普通は先輩教師の誘いに乗るものと思っていた。

 酔った勢いで、保田に犯られる梨華を想像したら、なんだかひとみは急に腹が立ってきた。
 勿論、ひとみの勝手な想像なのに、保田に犯られる位なら、自分が梨華にされる方がマシだ。
なんて、一瞬でも思った自分に、ひとみは愕然とした。

(ったく、私は何考えてんだか! 全て石川梨華が悪い!!)

 梨華がひとみに気付くと、梨華は保田に一言二言言って礼をすると、早々にひとみの方に
歩いてくる。梨華はひとみに、小声で話した。
39 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時11分52秒
「すぐ終わるから、昇降口で待っててくれる?」
「平気なんですか? だって、ヤッスーだ先生と…」
 つい、ヤッスーと口走りそうになって、慌てて「だ」を付けたら却ってヘンになってしまった。
「保田先生の約束より、ひとみちゃんの方が大事に決まってるじゃない」
 当然だと言わんばかりに梨華は言うと、保田の方をチラッと見た。
 保田も、こちらをジッと見つめている。
「で、でもですね。私なんかより…」
「いいから。ひとみちゃんは心配しないで」
 別に心配はしていないが、何よりも保田の視線が怖かった。

 取りあえず、ひとみは職員室を出ると、そこには亜弥が腕を組んで待ちかまえていた。

40 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時12分38秒
「約束が違う!」
 いきなり亜弥に強い口調で言われ、腕を掴まれ、思わずよろけそうになった。
「危ないじゃんか!」
「相手にしない方がいいって言ったのは、ひーちゃんなのに!」
 亜弥は明らかにムッとした態度で言った。
「だからさぁ…。ちょっとした事情があって…」
「聞きたくないっ。今日は、ひーちゃんと一緒に帰るんだから」
「部活あるじゃん。ちゃんと出ないとダメだよ」
「そうやってまた…。今も石川先生と」
 亜弥は自然と拳を作ると、ひとみ目掛けてパンチを飛ばそうと構えた。
 それに気付いたひとみは小走りで逃げ出そうとする。
「あやゃが心配するようなコトはないから!」
「信用出来ない!」
 亜弥はひとみを追い掛ける。ひとみは階段を駆け足で降りながら逃げていると
 中等部2年の加護亜依とぶつかった。
41 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時13分38秒
「いったいねん! どこ見て歩いてんねん!」
「ゴメン…なさい」
 ひとみは謝るがぶつかった相手が加護だと気付いて、良かったと咄嗟に思う。
「よっすぃーか。そんなに急いでどこ行くねん」
 そしてひとみの後ろで恐い顔をしている亜弥に気付く。
「亜弥ちゃんこんなとこにおったんか。部活始まるで!」

 加護は亜弥と同じくテニス部に所属している。
 亜弥より1年年下だが、亜弥とは仲が良く、ひとみの事も『よっすぃー』と
呼んでいた。もう1人加護と仲が良い辻希美もいるが、今日は一緒ではないらしい。
 ひとみは亜弥を加護に突き出すと
「じゃぁ、あやゃを宜しく!」
 と言って背中を押した。
「ひーちゃん!!」
 亜弥は叫ぶが、既にひとみは階段を駆け下りて姿が見えなくなっていた。
42 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時14分42秒
-10-

 ひとみは帰り支度をしながら、亜弥のヤキモチにも、ほとほと困っていた。
 しょうがない。亜弥が部活から帰ってきたら、また甘えさせてあげなきゃな…なんて
ひとみは思っていた。

「よっすぃー♪」
「ごっちん…」
 既に帰ったとばかり思っていた真希が、まだ残っていたらしくイヤらしい笑いを
しながらひとみに声をかけてくる。
「やっぱり先生とデイトなんでしょ?」
 真希はひとみの肩に手を回すとニヤリとした。
「違うって。ちょっと今朝のお礼がしたいってさ…」
 ひとみは出任せを言った。
 どうせ何を言っても信じてもらえないなら最初から嘘を付いても同じだ。
43 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時15分35秒
「なんかドラマみたいだよねぇ」
「なにがよ」
「これが男子校の生徒とだったら、まさに禁断の恋愛だよねぇ」
「女同士だって禁断だと思うけど」
 ひとみは突っ込みを入れるが真希は聞いていない。
「お礼になんて口実で自分の家で、その生徒をモノにしちゃうの。
 うわ〜イヤらしいなぁ」
 その割に真希は喜んでいる。
「モノにって、やらしい言い方。それに展開が早すぎ」
 しかしひとみは不安になった。電車で、あんな事をするくらいだから
実際家に連れ込まれたら何をされるか…。ひとみは思わず身震いをした。
44 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時16分31秒
「男なんてバカだからさ、年上の女性にされちゃったらハマッちゃったりして。
 『石川先生…』『吉澤君…』『梨華って呼んで』『梨華…』」
 真希の一人芝居が始まり、両手で抱き締めるポーズまで取って、ひとみは
真希の横で冷めた目で見ていた。
「私は男かよっ!」
(やっぱり名前で呼んで欲しいもんなのかな…。)
 真希の馬鹿芝居を聞いていて、ふとひとみは思った。
「よっすぃーのチェリーは、石川先生に貰われちゃうんだね。合掌!」
 真希は面白く言うと、手と手を合わせた。
「勝手に決めるなっ!!」
 案外シャレにならないかも知れないから、本当に笑えない。
45 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時17分28秒
「まぁそれは冗談だけどさ」
「当たり前だよ」
 本当に冗談と言えるんだか…。
「石川先生って結構晩生っぽいもんねぇ」
「どこが!!」
 すかさずひとみは突っ込んだ。
「そう見えない? まぁ見た目だけじゃ判断出来ないけどさ」
「そうだよ」

 見た目なんて当てにならない。これは今朝、ひとみが実感した事だ。

「よっすぃーなんて、かなりハデに遊んでそうだけど、そうじゃないし」
「うっさいなぁ。関係ないじゃんか! いちいち私を出さないでよ」
46 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時18分56秒
 実際、ひとみの方がかなり大人しいのだ。勿論そんな経験は、まだない。
 だから、そう思うと朝、梨華にされた行為は……。
 ファーストキスより先に、大事な部分を触られたなんて! 
 これは一生言えない話であろう。

 しかし、ひとみ自身は気付いていないが、とっくにファーストキスは寝ている間に
亜弥に奪われていたのだった。これを知っているのは、亜弥しか知らないのだが。

 ひとみは時計を見ると、慌ててカバンを掴んだ。
「ゴメン。もう行くわ。じゃーね!」
「また明日ね。報告楽しみにしてる♪」
 真希はそう言って軽く手を振った。
47 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時21分34秒
-11-

 ひとみが急いで下駄箱に行くと、玄関の前で待っている梨華の姿が目に入った。
 ひとみは立ち止まって暫く梨華を見ていた。

 黙っていれば、可愛いと思うよ、ホントに。
 梨華の素性を知らなければ自分だって、梨華は可愛い教師に映っただろう。
 
「先生。お待たせしました」
 ひとみは明るく言うと、梨華と肩を並べて歩き出した。

「ひとみちゃん、なに食べたい?」
(もう食事の話かよっ!)
「あの、まだ食べる時間には早いんですけど…」
「そうだよね。じゃぁ取りあえず家に来る?」
(来た!!)
 さっきの真希の再現ドラマが甦って、ひとみは思わず梨華と抱き合う自分を想像してしまった。
「だ、だめですって!」
 ひとみは顔を真っ赤にさせながら手を左右に大げさに振る。
 その姿に梨華はキョトンとしたが、すぐにクスッと笑った。
「ひとみちゃん、何想像してるの? ヤダなぁ…」
「!!?」
(げっ! 墓穴掘ったか?)
48 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時22分20秒
「思春期の男の子みたいだね。まぁそういう想像するのはおかしくないけど」
「………」
(いや、おかしい。絶対おかしい。今の自分はおかしい!)
 梨華と一瞬でも想像した自分に、ひとみは落ち込む。
「あの…私。別に先生のコト何とも思ってませんから…」
「でも、想像したでしょ? 私との…えっち……」
「ぃあ、その……」
 否定も出来ず、ひとみはしどろもどろになる。
「嬉しい♪」
 梨華の足取りが途端に軽くなる。
「は?」
「だって、ひとみちゃんは私のコト、そういう対象として見てくれてる訳でしょ?」
「違います! 絶対違います!!」
 ひとみは断固否定する。
「でも!」
 梨華は人差し指をひとみの顔の前に立てる。
「なんですか?」
「さっき会った、ひとみちゃんの幼なじみの松浦さんは、そういう対象で見てないでしょ?」
「当たり前じゃないですか! 何言ってるんですか」
 子どもの時から一緒に過ごしている亜弥を、そんな目で見る方がおかしい。
49 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時23分08秒
「ほらね。勝った!」
 梨華は「ヤッタ!」と言わんばかりに嬉しそうに腕を上げるとひとみにピースをした。
「勝ったって…。中学3年生を相手に喜ぶようなコトですか?」
 ひとみは梨華を小馬鹿にしたように言うと溜息をついた。

「中3を馬鹿にしちゃいけないわよ、ひとみちゃん。中3だって立派な女性。
 少なくとも、松浦さんは、ひとみちゃんのコト女として見てるわね」
 梨華は断定的でモノを言う。
「女でも男でもいいですよ、もう。あやゃの話は出さないで下さい」
 今夜、亜弥を宥めなければいけないと思うと、うんざりだった。
「そうはいかないわよ。私のライバルになるんですもの」
「ライバル?」
「私、ライバルがいる方が燃えるし。それに、私のひとみちゃんは、
 先生方からも、かなり指示されてるみたいだし?」
 そう言って梨華は流し目を送る。
「私のひとみちゃんって、気色悪い言い方しないで下さい。
 私は誰のモノでもありませんから!」
50 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時23分40秒
 しかし、先生方って誰だろう? 自分が思いつくところでは
国語の矢口真里先生しか思いつかない。美術の飯田圭織先生も怪しいと思う節があるが、
辻が密かに憧れている先生だから、自分は気付かない振りをしていた。怪しいと言えば
平家先生も、ちょっと視線が怪しい時がある。なんて言い出していたら、どの先生も、
怪しく見えるので、それは単に自分の自惚れだと思う。ただ、ハッキリ言えるのは、
中澤先生と保田先生からは、良く思われていない事は、実感していた。
 特に保田には刺す視線を感じる事がある。思い過ごしではなくて。
 さっきも梨華と話してる時に、保田の視線が痛かったくらいだ。
 
 本当に損な役回りだよ。まったく。
51 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時25分13秒
-12-

 ひとみが利用している駅と同じ駅で梨華も降りた。どうやら最寄り駅は同じらしい。
 しかし、ひとみとは逆の口に向かったので、ひとみはホッとしていた。
 これで、家まで近所だったりしたら、イヤだったからだ。

「ひとみちゃんも、この駅だよね」
「はい」
「毎朝、ひとみちゃんの真後ろに並んでたから。それも今日でお終いだけどね」

 それに気付かなかった自分も間抜けだが、ピタッとくっつかれてたのかと思うと
ひとみはゾーッとした。

「あの…。もう、そういうコトしませんよね?」
 ひとみは恐る恐る聞く。
「しないよ。だって、そんな必要なくなったしね」
「ホントに、先生がやったんですか?」
 まだひとみは信じられなかった。梨華が犯人だったなんて。
 どこかで信じたくない気持ちがあったからだ。
52 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時26分01秒
「どうしてそんなコト聞くの?」
「だって…。そういうコトやるようには見えなかったし」
「でも、ひとみちゃん感じてたね」
 朝の事を思い出して梨華が笑った。
「そういうコト言わないで下さい!」
 ひとみは真っ赤になると先に歩き出した。
(やっぱり先生が。ホントに人間って分からないよ。先生は誰でもそんな事してるの?
 誰でもいいの? 私以外でも? って何言ってんだ自分。論点がズレてる…)
53 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時26分58秒
「怒っちゃった? ゴメンね。でも、ひとみちゃん可愛かったから…」
「可愛かったからなんなんですか! 誰にでもあんなコトしてんですか?」
 何怒ってるんだろう? もう分かっているハズなのに認めたくない自分がいた。
「してるわけないじゃない。もしかして、妬いてる?」
「妬いてる? って誰に対してですか! いい加減にして下さい!」

 いい加減にして欲しいのは自分のほうだった。
 急に人の前に現れたと思えば、もう心の中にまでしっかりと入り込んで…。
 もっと好きになる相手に対しては、素敵な出会い方があると思ってた。
 こんな会い方ってあるだろうか? 好きって何? 私は先生が好きなんだろうか?
 まさか。今日会ったばっかり。気になるだけで好きなんかじゃない。
 先生なんか…大嫌い…大嫌い…大嫌い…大好き!
 
 ひとみは、そんな歌もあったなと、ふと思い出して思わず笑いそうになった。
54 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時27分37秒
「何がおかしいの?」
「いえ、なんでもありません」

 気が付けば、もう梨華の住むマンションの前に着いていた。
 外装から見ても立派な造りの4階立て。家賃も高そうだ。

 梨華の家に通されると、中も広くて驚かされる。そして何よりも驚いたのが
一面のピンク色。亜弥もピンクが好きだが、ここまでではない。
 
「奥の部屋にはピアノが置いてあるの。一応これでも音大生だったからね」
 やっぱり専攻はピアノだったか。まぁ普通はそうだろうな。
「ちゃんと弾いてますか?」
「卒業してからは、殆ど弾いてないね。ホントはいけないんだけどね…」
「今度弾いて下さいよ」
「そうね。機会があったらね…」
「機会なんて幾らでもあるじゃないですか」
55 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月12日(火)18時28分30秒
「でも私は…」
 いつの間にか梨華がひとみの背後に回っていた。
「ひとみちゃんを奏でてみたい…」
 ひとみの細く長い指を取ると、自分の口に運んでいきそっとキスをした。
「………」
(それって………)
「お茶いれるね。紅茶でいいかな?」
 ひとみは、ポーッとして最後の言葉は耳に入っていなかった。

 なんで、こんなにドキドキしてるんだろう?
 梨華に指を触わられてキスされただけで、もう心臓が爆発する程波打っていた。
56 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月12日(火)18時38分11秒
>>33-55 7話−12話まで一気に更新しました。
次の更新で、第一部は終了になります(早っ!)。
たくさんのレス嬉しいです! 新作は面白いのかどうか不安になるもので…。

>25 某さくしゃさん
この作品はキャラクターが勝手に動いてくれるのでラクですわ(w。
神に憑くって…(w。

>26 夜叉さん
最初だけで、あんまり変態加減が出てませんね。これじゃぁただの…(略。
中澤姐さんは、今のところ、出番あるのかないのか…。
いしよしあやを中心に話を進めたいので。先生陣は話だけで脇役です(w。

>27 名無しさん
チャーミーのみならず、あやゃにも翻弄されそうでっす!

>28 名無しバイクさん
石川はあまり自覚のない先生なんですけどね。
57 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月12日(火)18時39分34秒
>29 名無し読者さん
ぉぉ。あやゃ可愛いって言ってもらえて、かなり嬉しいです。
今まで酷い役回りしか(単に愛がなかっただけ)使ってこなかったんで今回は準主役!(w

>30 名無し☆さん
あやゃも吉澤杯争奪戦に挑みますので、宜しくお願いします!

>31 さん
そう言っていただけて光栄です。

>32 ごーまるいちさん
HN変えたんですね?(笑) 調子良く書けてますので、このまま突っ走りたいですけど
仕事がたまってきたので、そろそろ失速…かも。
58 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月12日(火)20時12分29秒
おもしろい!!
私は個人的に純情でモテるよっすぃ〜が好きなので、この話はとてもタイプです!
吉澤杯争奪戦の参加者はもっと増えないでしょうか?
59 名前:夜叉 投稿日:2002年02月12日(火)20時44分03秒
いいえ、ストーカーもれっきとした変態です(爆)。
吉の気持ちに変化が現れましたね。じわりじわりと浸食されている吉、読んでてつっこみを入れている自分も(略。
ただ、先生は金で大学に入ったと思われ(笑)。吉同様、ピアノ弾いてるところが見てみたいですね、ほんとに専攻してたのか、っと。
あ、先に吉が弾かれるのね(爆)。
60 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月12日(火)20時52分12秒
遅くなりましたが、新スレ開店おめでとうございます♪
また一味違ったいしよしが新鮮で楽しませてもらってます。
保田先生(26)にはど真ん中ではまってしまいそうです(w
61 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月12日(火)20時58分16秒
やっぱりあややがかわいいです♥
よっすぃ〜のことを「ひーちゃん」って呼ぶのがいいですね。
がんばってください!
めっちゃ期待してます。
62 名前:某さくしゃ@憑物 投稿日:2002年02月12日(火)21時29分51秒
確実に先生に惹かれていく吉澤くんがいいです!
奏でますか…それとも奏でられますか…
まさか…これはえっちな話なんですか!?
63 名前:名無しバイク 投稿日:2002年02月12日(火)21時43分37秒
 奏でる、と弾く、じゃ全然表現が違って見えますね。
奏でる の方がやわらかいエロのイメージになる(w
あやゃ イイですねー。今回は愛が入っているのね(w

 第1部はもう終わるのですね。では、第2部を早速キターイ(w
64 名前:名無し男 投稿日:2002年02月12日(火)22時22分43秒
なんと!今回は石川さんがキティーチャソに朝鮮!?

なんか吉澤の心も傾いてきてるし?
今後の展開が楽しみe
65 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月13日(水)05時16分26秒
更新はや!
イイっすねぇ。なんかチャーミーのキャラがものすごく好きです!
中澤さんもでるし。これからもごまの出番もあるのかな?
これからどうなるのか楽しみっす。
66 名前:理科。 投稿日:2002年02月13日(水)07時12分15秒

早速来ました!そして読みました!
ってか師匠、早すぎです♪石川さんが凄すぎ♪素敵すぎ♪
あゃゃも可愛いし!あおぅ〜…(壊)
またこうして師匠の作品読めて幸せでごじゃいます。
67 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)18時58分16秒
-13-

 しかし、その後は、ひとみの期待? を裏切って、梨華はひとみに迫ってきたり
意味深な言葉を発する事はなかった。結局、夕飯もひとみが断ったら、あっさり引き下がったし
帰り際も「気をつけて」の一言しかなかった。

 ひとみは梨華のマンションを後にして、なんとも言えない気持ちになった。
 半分何かを期待していた自分―――。実際何かあったら、それこそ問題なのだが、その辺りは
梨華も教師だし、わきまえているのだろうと、ひとみは解釈していた。

 一方梨華は、ひとみを帰してから、悶々と過ごしていた。
 もう一歩のところで、ひとみを押し倒したい衝動に駆られていたが、何とか理性で
押さえていた。
 勿論、今日何もしなかったのは、作戦である。

 初めて部屋に入れた日に、いきなり…なんて相手に警戒心を持たれてしまう。
 それでなくても、ひとみからは既に一歩(いや十歩)ひいた目で見られている事は
重々承知の上だった。

「暫くは様子見ね…。はぁ…耐えられるかな…」
 梨華は独り言を呟いた。
68 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)18時59分08秒
 梨華がひとみを知ったのは、1週間前。既にひとみの通う学園に赴任が決まってからだった。
 朝の通勤電車内で、偶然ひとみと向き合うカタチで満員電車に揺られていた時の事だ。
 たまたま急ブレーキで押され倒れそうになった時、抱きとめてくれたのがひとみだった。
「大丈夫ですか?」「ハイ…」これだけで梨華はひとみに恋してしまったのだ。
 当然、この事はひとみは覚えていないだろう。

 梨華にとって、ひとみはまさに理想を絵に描いたような人物だった。
 中世的で整った顔立ち。大きく透き通った瞳。背が高く、優しそうな性格。
自分を守ってくれそうな逞しい腕。私の王子様―。後半からは妄想も入ってしまっているが
梨華は既にひとみしか見えなくなっていた。ハマると一直線の性格。
69 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)18時59分52秒
 翌日から、何とかきっかけを作ろうと試みるが、どれもうまく行かない。
 そして、梨華が思いついたアイデアは『痴漢』だった。最初は、間違えて男のお尻を触って
しまい鬱になる梨華だったが、翌日からは先日の反省も踏まえて、ひとみをピッタリマークし
見事、ひとみのお尻に触る事に成功。思ったよりも柔らかく形の良いヒップに、梨華は感動さえ
覚えたものだ。この時梨華は、痴漢は許されない行為だと思っていたが、ちょっとだけ気持ちが
分かったような気がした。しかし、ひとみ自身は、気付いているのか気付いていないのか、
いまいち良く分からなかった。満員電車で、まして自分より背の高いひとみの様子を伺い知る
事は、まず皆無であろう。2〜3日、同じ事をしていたが、ひとみが、あまりに無反応なので
ついに梨華は強硬手段に出た。そう、それがひとみに御用された日。今朝の話である。
70 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時00分42秒
 今、冷静に考えてみれば、自分も良くあんな大胆な行動に出てしまったものだと反省している。
 しかし、ひとみが声を漏らした瞬間は、聞き逃さなかった。あの時は不覚ながら、梨華自身
萌えてしまった。その後、暫くして、ひとみの力強い手に捕まえられて梨華は嬉しかったのを
覚えている。
その後の事は、既に現在に至る訳だが、ハタから見れば変態行為でも、梨華からすれば、真面目な
ひとみゲット作戦だったのだ。

「ひとみちゃんっ。大好きはあとはあと
 梨華は抱き枕に告白してキスをすると、思い切り抱きしめた。
71 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時02分29秒
-14-

 ひとみは家に着き着替えて、ベッドに寝そべると、ずっと梨華の事を考えていた。
 完全に梨華に遊ばれていると思った。からかっただけなのかと。それにしては酷いと思う。
 ひとみは涙が出てきた。
「バカみたい…」
 ひとみは呟くと目を閉じた。

 そして夜も8時を過ぎた頃、隣の家の2階に灯りが点いた。亜弥が帰って来たらしい。
 ひとみは電気もつけずにいたから、すぐに気付いた。
 亜弥の部屋とひとみの部屋はベランダを伝っていけば容易に行き来する事が出来る。
72 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時03分24秒
 ひとみは起きあがるといつものように亜弥の部屋に移動した。

「お帰り」
 着替えている途中だった亜弥は、完全にひとみには気付かなかったらしく急に声を掛けられて
悲鳴を上げてしゃがみ込んだ。
「きゃぁ〜!!」
 逆に驚いたのはひとみの方だ。
「ゴメン…」
 ひとみに下着姿を見られて、恥ずかしいのか亜弥は真っ赤になり、まだ座り込んだままだった。
「見ないで!」
「スミマセン…」
 何だか見てはいけないものを見たような気持ちと覗き見していた男のように思われた
ショックとでひとみは、また落ち込んだ。そして、さっきの梨華の言葉がフラッシュバックする。

『中3だって立派な女性。少なくとも、松浦さんは、ひとみちゃんのコト女として見てるわね』

(くそっ。先生が余計な事言うから却って意識しちゃうじゃんかよ!)
73 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時04分51秒
 しかし、考えて見ればいつの頃からか、一緒にお風呂に入らなくなった。いつからかは覚えて
いないが、それは亜弥の方から自然と避けるようになった気がする。

(あやゃはとっくに意識していたとか? まさか…。)

 そんな風に考えたら時々、亜弥と今でも一緒に寝ている時、亜弥はどんな気持ちを抱いて
いるのだろう?

(考えすぎか―――…)

 ひとみは亜弥に背を向けながら、そんな事を考えていた。

「驚かしてゴメン」
 もういいだろうと思い振り向いたひとみだったが、亜弥はまだ下着姿だった。
 ひとみは、もろに亜弥の、その姿を見てしまい、また慌てて亜弥に背を向けた。
 思ったより女らしい身体つきになっている亜弥を見て、ひとみは妙にドキドキしてしまった。

(あやゃ、いつの間にあんなに胸でかくなったんだよっ! まさに「あやや!」だよ!)
74 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時07分33秒
 意識して見ていた訳ではないが、ひとみの記憶では自分より胸は無かった筈だ。
 ったく、こんな妙な気持ちになるのも、全て梨華が悪い。梨華が!!

「ひーちゃん、えっちなコト、考えてたんでしょ!?」
 急に亜弥がピタッと後ろからくっついてきて、亜弥の胸がもろに背中越しに当たるのを感じた。
 いつもシャワーをこの後浴びるから、恐らくノーブラにTシャツ姿だろう。
「アホか!!」
 ひとみは頭に浮かんだピンク色の妄想を振り払うと亜弥の方に向き直り、亜弥の額を小突いた。
 誤魔化さないと、亜弥に自分のドキドキが悟られてしまいそうだったから、ひとみは焦った。
75 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時08分37秒
 亜弥は口を尖らすと、残念そうに言った。
「そうだよね。ひーちゃん、私となんかじゃ、そんな気持ち起きないよねっ」
 ひとみはドキッとする。
「私はいつでもオッケーなのに…」
 なんて言いながら亜弥は、ひとみの胸の少し上のあたりに「の」の字を指でなぞる。
 またしても、ひとみはドキッとする。

(あやゃ、一体お前はどこで、そんなの覚えてきたんだよ!!)

「冗談はいいから、早く風呂入ってこいよっ!」
 ひとみは亜弥の目をまともに見れず、そう言うと亜弥をくるりと回転させ背中を押した。
76 名前:桃色アプローチ 投稿日:2002年02月13日(水)19時09分46秒
 吉澤ひとみを狙うピンク(桃色)が大好きな梨華と亜弥。
 2人は更にひとみに接近(アプローチ)してきて…?
 梨華と亜弥の桃色片想いは、どちらが両想いになれるのか? または―――?

 第一部終了。第二部へと続く。胸キュンピ―――――――ッチ!!(w
77 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月13日(水)19時24分43秒
 一部は、梨華との衝撃的な出逢いと幼なじみの亜弥を意識した目で見るようになる
吉澤君までを描いてみました。
 っつっても、これ1日目の話だけじゃん! とか言うツッコミはナシにして(w。
 最後までタイトル思いつかなくて、でもこじつけで決めました(笑)。


>58 名無しさん
純情吉好きですか? 私も好きです。かなり奥手と言う設定です。
吉澤杯争奪は、参加者増えると大変なんで、一応2人で。

>59 夜叉さん
確かに石川の行動はストーカーですな(苦笑)。
やっぱり金で大学入ったと思いますか? 私もです(爆)。

>60 M.ANZAIさん
ヤッスー先生も二部あたりから登場させないといけませんね。姐さんも。

>61 名無し☆さん
あやゃが呼ぶと、こんな感じかなと。(こじつけ)
今回のあやゃ自分で気に入ってるんですけど、どうでしょう?
78 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月13日(水)19時25分29秒
>62 某さくしゃ@憑物さん
石川が気になりつつ、あやゃも気になる揺れる吉澤くんです。
えっちに持ってこうと思いましたが、早すぎなので、まだまだ先?
あと、長編は読まなくていいですよ。全然エッチじゃないし。

>63 名無しバイクさん
やわらかなエロ目指したいですね。そういうシーンは、まだ先でしょうけど。
あやゃ某所では、冷たい目で見られてますけど、私は応援します(泣)。
いしよし第一なのは、変わりませんが。

>64 名無し男さん
石川の一直線な性格がそうさせたと思って目を瞑ってください(爆)。

>65 名無し読者さん
姐さんは二部から出す予定です。ゴマも一応クラスメイト役なんで
ちょこちょこは出す予定です。予定は未定ですけど。

>66 理科。たむ
凄いのか石川さん(w。にしても、赤の続き気になるのに、また障害が?(泣)
赤で楽しみな小説3つあるんだけどなぁ…。

 二部は、あやゃと過ごす夜から始まる訳ですが(w。
 雪板も、いつ飛ぶか分からないので保存しておきます。
 なるべく早い更新を心がけますので、宜しくお願いします。
79 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月13日(水)19時52分35秒
http://hn.ws4.arena.ne.jp/cgi-bin/read.cgi?dir=snow&thp=1013412831
              ^^^^^^^
これで読んで下さい。これで読めるハズっす。
80 名前:某さくしゃ@憑物 投稿日:2002年02月13日(水)20時15分27秒
そろそろ更新してると思ったら的中でした(w
石川先生ってば作戦だったんですね。まったくなんて作戦を…
えっち有り無しは気にしないですよ。むしろなくてもよいです。
神様のお弟子様?の小説も大好きですしね。
81 名前:夜叉 投稿日:2002年02月13日(水)21時26分15秒
悶々と石川先生の夜は更ける、っと(笑)。
やや揺れ気味で純情な吉の気持ちはどうなるんでしょうか?気になるばかりです。今晩の行方も(略。w
悪魔の触手が勝るか、小悪魔の触手が勝るか、乞うご期待(爆)。

作者様、予告、かなりツボです。次回もよろしくお願いします。


そして勝手に次回予告(爆)。

やはり、金かコネか?恐るべし、石川梨華。
新米教師に忍び寄る年増の影。
はっきりしてよ、ひーちゃん!迫り来る桃色吐息。

以上、三本の予定です。
この予告は某モー。の予告より当てになりませぬ。
それでは、いったんスタジヲにお返ししまーぁす。
スタジヲの作者様ぁ?


暴走いたしました、逝ってきます…。

82 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月13日(水)23時57分12秒
何もされずに帰って意識してしまった担任と、
今までとは違う感情を持ってしまった幼馴染との間で
今後どのように吉が揺れ動くのかが見モノですね。

亜弥を「まっつー」とオリジナルネームで呼ぶごっちんに・・・。
あー、あの写真に添えてあったコメントですね。
でも、なんで最近のごっちんは"唇突き出し無表情"なんだろ?
83 名前:理科。 投稿日:2002年02月14日(木)10時29分12秒

…嗚呼。とうぶんの間、師匠や他の作者さん達の作品が
読めないなんて(鬱!!
あやゃ、恐るべし!!よっすぃ〜と梨華ちゃんは永遠に不滅と
思ってるのは私だけ?密かに『まっつー』萌え〜かも(爆)!
…今から旦那とPC出して来ます…。
師匠…しばしの別れでございます…。

84 名前:名無し男 投稿日:2002年02月14日(木)14時17分46秒
オヨヨーン
イシカワサンオソロッシャゴゼーマース
85 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月14日(木)22時11分12秒
やっとハケーン!!したと思ったら1部がおわってる!
更新の早さにびっくり!でごじゃいます・・・。
積極的な、石川先生とあややにめちゃくちゃ萌えです。
吉は、どっちを選ぶのでしょうか?気になるーーーー^^;)
がんばってください!
86 名前:REDRUM 投稿日:2002年02月14日(木)23時03分41秒
新作おめっとさんです。
復活したと思ったら嵐のような更新の連続に尊敬
気持ちが揺らいできてる吉がイイね。暴走石かと思いきや策士なところもナイス
これからも期待させてもらいます。
87 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月14日(木)23時13分42秒
あややかわい〜!!
よっすぃ〜ファンなのにこの小説ではあややの方が・・・^^;
お気に入りです^^でもよっすぃ〜もかわいいですよ。
第2部も期待してます!がんばってください!!
88 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時47分39秒
-1-

 亜弥がシャワーからあがって食事も済ませて自分の部屋に戻ってくると、今度は亜弥から
ひとみの部屋に入ってきた。アイスを2本持ってきて1本をひとみに渡した。
 良く、こうして2人でアイスを食べながら窓から星空を眺めて他愛のない話をするのだが、
今日は何となくひとみは亜弥を意識してしまって、まともに話せなかった。
 ひとみはアイスを囓りながら、ベッドの横に座っている亜弥を見つめる。

 こうして、いつの間にか亜弥も大人になっていくんだな…。
 ちょっぴり嬉しいような哀しいような、何とも複雑な気持ちになった。

「どうかした?」
 亜弥もアイスを囓りながら、ひとみの方に振り向く。
「ん? あぁ別に…」
 ひとみは何となく目を合わすのが照れくさくて亜弥から視線を外した。
「なんか、おかしいよ?」
「そんなコトないよ…」
 亜弥が気付く位だから、相当おかしいのだろうか。
「ひーちゃんのコトは何でも分かるから」
「まさか。私の心の中までは、分からないでしょ?」
 別に意地悪で言った訳ではないが、そう取られたのか亜弥は一瞬哀しそうな顔をした。
「もっと……。ひーちゃんのコト知りたい」
89 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時48分36秒
「じょ…」
 冗談と言おうとして、あまりに亜弥が思い詰めた顔で言うから、ひとみは何も言えなくなった。
 そして目を瞑り亜弥は、ひとみに顔を近づけていく。
「!??」
 このままだと、ひとみと亜弥のくちびるはくっついてしまう。ひとみは顔の位置をずらした。
 当然、そのまま亜弥のくちびるは逸れて、ヒンヤリとした亜弥の柔らかいくちびるが、
ひとみの頬に命中した。
「ちぇっ…」
 亜弥も、こうなる事は分かっていたらしく、つまらなそうに舌打ちした。
「キスしようなんて、あやゃには10年早いぞ」
 ひとみは、そう言うと亜弥に自分の食べかけのアイスを口に突っ込ませた。
 亜弥は、ひとみのアイスを食べると再びひとみに返しながら言い返す。
90 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時49分25秒
「キスなんて、日常茶飯事じゃない」
「え?」
 驚くひとみをよそに、亜弥は話し出す。
「だって挨拶代わりにキスしたりしない?」
「く、くちびるに?」
「ぅん。私、加護ちゃんともしたし…」
「なにぃ?」
 初耳だったひとみは思わず大声をあげてしまった。
「加護ちゃんは辻ちゃんともしてたけど…」
「や、そういう問題じゃなくて」
 ひとみは自分はまだなのに先を越されたとか、そんな次元じゃなく
やはり、亜弥が既にキスは体験済みなのがショックだった。
91 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時50分03秒
「ひーちゃんは、まだしたコトないんだ」
 亜弥の目が悪戯っ子のように光る。
「キスは神聖なもんなんだよっ。友達となんか出来るか! もっと大事にしなきゃ。
 亜弥がそんな子だと思わなかったよ。好きな人とするのが筋ってもんだろ!」
 ひとみが真剣に怒るから、亜弥は困ってしまう。
 ひとみが寝てる間に、ひとみにキスをした事を知ったら、ひとみはどんな顔をするだろう?
「大丈夫。好きな人にファーストキスは捧げたから。加護ちゃんは2人目だよ」
「なっ……」
 ひとみは、更に目を大きく見開いて亜弥を見つめた。
(なんだよ、もう好きな人とぉぉぉ〜〜〜! いつの間に!!)
「あやゃ、好きな人いるのか? なんで紹介してくんないんだよぉ」
 自分に言わなかった亜弥にちょっとショックを受けつつも、平静さを保とうとするひとみ。
92 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時51分00秒
「あ、でも…。その人は気付いてないかも」
「なんだよ、ソレ…」
「だって、寝てる間に自分から…したから……」
(寝てる間にって、そんな間柄なのか!!)
 ひとみは頭が混乱して来た。
(自分以外にあやゃと寝てるヤツって…)

 ひとみがブツブツ何かを言ってる横で亜弥は、やっぱり…と溜息をつく。
 それが自分だと言う事に、やはり気付いていないらしい。
「その人、鈍感だから。いつもは優しいんだけどね。1つ年上なんだけど」
「ぅん」
「小さい頃から一緒で…」
「ぅん。…んあ?」
「ずっと…好きだった……」
「………」

 亜弥の熱い視線に、まともにぶつかり、さすがに鈍感のひとみも気付いてしまう。
 それって、どう考えても自分の事だ。
93 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時51分56秒
「あやゃは……それで良かったの?」
「……ぅん」
「そっか」
 ひとみは何と答えて良いやら返答に困る。
 自分にキスされたと言われても全く覚えがないし、また、亜弥の大事なファーストキスの
相手が自分なんかで良かったのか? と申し訳ない気持ちになってくる。
 自分を慕ってくれるのは嬉しいが、いずれ亜弥にだって素敵な男性が現れれば自然と
自分から離れて行くだろうし、その時までにファーストキスは取っておいて欲しかったと
まだ現れぬ未来の亜弥の彼氏を思い浮かべた。
 黙り込むひとみの様子に亜弥は恐る恐る口を開いた。

「ひーちゃん、怒った? ゴメンね…」
「なんで謝るんだよ」
「え?」
「ただ…大事なファーストキスは未来の彼氏に取っておいても良かったんじゃないの?」
「彼氏なんていらないもん。私はひーちゃんが好きだから。ファーストキスもソレ以上のコトも
 ひーちゃん以外考えられないし…」

 ソレ以上って…。亜弥は、そんな風に自分の事を見ていたのか?
94 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時52分44秒
 食べかけのアイスが、どんどん溶けていくのに気付き、ひとみは亜弥の言葉には答えず
「アイス食わないと溶けちゃうぞ」
 そう言って溶けかけのアイスを口に含んだ。
 亜弥も残りのアイスを一気に口に入れる。
 冷たい感触が口一杯に広がり亜弥は思わず顔をしかめた。

「一気に食うと頭がキンキンするよな」
 ひとみは亜弥を見ながら笑うが、亜弥は話を元に戻す。

「ひーちゃん、ホントにキス…まだだったんだ」
「―――あぁ…。悔しいけど、あやゃに先越されたな」
 その相手であるひとみには、自覚がないから、やっぱりキスはまだと言う認識が強かった。
「まだ……してないんだよね?」
「ん? 誰と?」
 亜弥は自分から梨華の話をするのはイヤだったが、敢えて話を振る。
「石川先生…」
「!!! 何言ってんの?」
 驚いて亜弥を見つめるひとみに、亜弥はホッとする。
 ひとみがウソをついているか、いないかは、ひとみの反応ですぐ分かる。
「ずっと気になってたから…」
95 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時53分53秒
「大体、今日初めて会ったばっかだし…」
 ひとみは動揺していた。亜弥から梨華の名前が出ただけで、数時間前の出来事が蘇って来る。
「石川先生は、ひーちゃんのコト特別な目で見てるから…。だから心配なの」
「バカなコト言うなよ。そんな訳ないじゃん…」
「ハッキリ言いきれるの? ひーちゃんが一番良く知ってるクセに…」
 即行で言い返されて、ひとみは何も言えなかった。
「ひーちゃんが先生にも人気あるのは知ってるけど…。でも今まで誰からの誘いだって
 断ってたじゃない。矢口先生だって飯田先生だって…。どうして石川先生の誘いには乗るの?」
「そ、そりゃ担任だし……」
「それだけじゃないでしょ。ひーちゃんも…石川先生のコト……気になってる…ハズ」
 いきなり核心をつかれて、ひとみはつくづく亜弥の鋭さには驚くのだ。
「あやゃ、いい加減に……」
「石川先生だけは絶対ヤダ。ダメ!」
 そう言うと亜弥はひとみに抱き付いてきた。
「大丈夫だから…。私はあやゃの傍にいるよ」
 ひとみは、ホントにそうだろうか? と自問自答しながら亜弥の背中を優しく撫でていた。
96 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時54分57秒
-2-

 ひとみは眠れずに天井を眺めていた。
 今日1日は色々ありすぎた。
 痴漢の犯人を捕まえたものの、それは自分の担任でやたらと自分に絡んでくる。
 かと思えばそうでもなく自分の心の中に波風を立てただけの教師・石川梨華。
 そして、幼馴染み・松浦亜弥の告白。
 何も同じ日に…と思ったが、それは梨華の出現を危惧しての亜弥の見切り発車だった。

 今までも何度かひとみに告白する相手は後を絶たなかったが、いつもひとみの方が興味がないから
亜弥もそんなに心配はしていなかったのだ。
 しかし、梨華は違う。初日からの積極的なアプローチに加えて、それに押され満更でもない
ひとみの態度。そういう事は今までなかった。亜弥は初めて危機感を覚えた。
 ひとみに告白するのは、自分の誕生日と密かに決めていた亜弥だったが、それでは間に合わない。
 だから、急遽今日言ってしまったのだった。
 しかし告白したものの、ひとみの態度はハッキリしなかった。
97 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時56分10秒
「ひーちゃんも眠れないの?」
 亜弥が手を握り、ひとみに寄り添って来た。
「んー。ちょっとね。起こしちゃった?」
 ひとみは亜弥の髪を優しく撫でる。
 亜弥の気持ちを知ってて、今まで通りに接するのも難しいものだとひとみは思う。
 ただ、ひとみはやはり亜弥とは、今までの関係でありたいと思っていた。

「私も眠れないから…」
「そう言えばさ、あと少しであやゃの誕生日だろ。今年は何が欲しい?
 そろそろ買いに行かないとなぁ…」

 もうすぐ亜弥の15回目の誕生日が来る。
 毎年この日は2人で祝っていたし、事前に亜弥に欲しいものを聞いてひとみは亜弥に
プレゼントを渡していた。

「今年は、当日に発表しまっす」
「当日? 間に合わないじゃん」
「大丈夫。間に合うから」
「あんま高いもんはカンベンな」
 ひとみは冗談っぽく言う。
「ふふっ。内緒はあとはあと
 そう言って亜弥はひとみの肩越しに顔を埋め、思い切り息を吸い込んだ。
98 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月15日(金)18時56分51秒
 ひとみの匂いを感じて安堵感が広がってくる。

―――ひーちゃんの匂い……落ち着く………。

 亜弥は、そのまま眠りに落ちていった。

(高いもんだったらヤダな。金足りっかな……。)
 ひとみの心配をよそに、隣りでスースー寝ている亜弥を見ながらひとみはしみじみ思う。
(亜弥も、もう15か。早ぇーな。にしても、いつキスしやがった? 亜弥のヤツ。)

 こうやって寝顔を見つめながら…一体どんな気持ちで?
 ひとみは位置をずらし、自分は半身を起こしながら亜弥を見ていた。
 そして自分も目を瞑ると亜弥のくちびるに顔を近づけていった―――。
99 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月15日(金)19時12分09秒
2部スタートです。結局今日仕事中に書いちゃった(爆)。
この後、ちょいエロっぽくなるのにあげちゃったよ(鬱)。
すみませんが逝って来ます。真夜中に更新するかも知れませんが分かりません。
明日は横アリ逝って来ます。

>80 某さくしゃ@憑物さん
石川先生は暫く様子見をするらしいです。多分。

>81 夜叉さん
勝手に予告笑いました。

>やはり、金かコネか?恐るべし、石川梨華。
この辺は、他の先生方の飲み会の肴になりそうです?(笑)

>新米教師に忍び寄る年増の影。
年増って…(w。あと訂正。保田はまだ誕生日迎えてないから25歳ですね。
去年の6月の設定だって事を忘れてました。

>はっきりしてよ、ひーちゃん!迫り来る桃色吐息。
桃色吐息好きなんですが何か?(w

>82 M.ANZAIさん
ネタは取り入れますので。
後藤さん、今回は茶化すキャラになってます。

>83 理科。たむ
あぁ小説読めないのが寂しいです。絶対帰って来てくださいね!
いしよし(#´▽`)´〜`0 ) は永遠に不滅ですよ。
この小説は、どうなるか分からないですけどね。
100 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月15日(金)19時16分47秒
>84 名無し男さん
やっぱり、ちょっとイッチャッテル役回りです。石川さん。

>85 よすこ大好き読者さん
どもども初レスありがとうです。初な気がしませんが(w。
思いつくと大量に出来るんですが。頭に入ってても文章にするの難しいです。

>86 REDRUMさん
おおお。後で吉澤君家見て来ます。復活マンセー!
REDRUMsanも、がんがってください。

>87 名無し☆さん
>あややかわい〜!!
( ̄ー ̄)ニヤリッニヤリッ
私もあやゃ萌え(w。なので、あやゃにも幸せになってほすぃです。
どうなるやら。いつもレスありがとうございます♪
101 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月15日(金)23時05分40秒
よっすぃー!ちゅ〜しちゃダメっす!
あやゃのプレゼントって(略
やばい!あやゃに惹かれてる!?
102 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月16日(土)16時16分05秒
なんか、あややの、「ひーちゃん」という呼び方に、密かに
萌えてる私ですが・・・・・何か?(w
吉には、やっぱりかちゃんと引っ付いて頂きたいのですが・・・・・。
びみょーーーーぅですな。(w
103 名前:名無し男 投稿日:2002年02月16日(土)16時54分28秒
2部のハナからかっ飛ばしてますな(w
104 名前:夜叉 投稿日:2002年02月16日(土)22時15分58秒
大変申し訳。

吉:「(恋なんて)そんなの分かんないよ…」に500ドングリ(笑)。
う〜む、あややの桃色光線に負けっぱなしですね、吉。

予告、気に入って頂けて安心しました(密かにビビってる自分。笑)。
桃色吐息、自分も好きですが何か(笑)。


105 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月16日(土)22時53分05秒
きゃー!!よしあや!!
いいです☆サイコーです!
ひーちゃんとあやゃがやっぱ好きです♪
もちろんいしよしも期待してますよ♪
がんばってくださいね!!応援します!!!
106 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時32分22秒
-3-

 あと数センチと言うところで、ひとみはハッとして顔をあげると何事もなかったように
照れながら自分もまた、ベッドに潜り込んだ。

(一体、自分は何してんだよっ!!)
 自分の取った行動に一番驚いたのは、他ならぬひとみ自身だった。

あやゃと同じ事してどーすんだよ。梨華と同じ事して…。梨華………。

(くそーっ。今頃思い出すなんて。先生は、からかっただけなのに。
 今頃は私の事なんか忘れてグーグー寝てんだよ。石川梨華のバカ!)

 こんな夜更けに梨華を想って眠れないなんて何だか損した気分だ。自分だけ…。
 ひとみは無性に腹が立って強引に目を閉じたのだった。
107 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時33分36秒
 その頃、渦中の梨華も眠れぬ夜を過ごしていた。 
 こちらの方はちょっと意味合いが違うのだが―――。

「あ〜〜〜ぁんっ…ひとみちゃんっ……」
 梨華は相変わらずピンクのイルカの抱き枕を抱きしめながら1人悶えていた。
 ひとみと出逢ってからと言うもの、夜な夜な抱きしめているものだから、既にヨレヨレに
なっている抱き枕に想いを馳せて梨華は今夜も喘いでいた。

 これが薄い壁のアパートだったりしたら、毎晩励んでいるのか? と隣人が誤解しても
おかしくない程の悩ましい声だった。
 特に今夜は眠れるハズもなく…。やっとひとみと出逢い、話も出来たのだから、梨華の喜びようは
一言では表現出来なかった。
108 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時34分13秒
「…くっ…ふぅ……もぅガマン出来ない…ヨ…」
 梨華はついにショーツに手を伸ばしてしまう。
 ひとみを想っても決して1人の行為は行わないと自ら禁じていた梨華だったが
あっさり破ってしまった。
「ひとみちゃんが…いけないんだ……ヨ」
 自分でも分かるくらい驚く程に梨華のソコは濡れていた。
 今までも何度かそのような行為に耽った事はあるが、触る前からこんなに感じていた事はなかった。
「ぅぅんっ…ぁっ…ぁんっ……あんっ………」
 梨華は朝、ひとみのうっすらした茂みに手を大胆にも入れてしまった事や、ひとみが漏らした声を
思い出しながら指を動かしていた。
「ひとみちゃんっ…すごぃ……ヨ…。ぁっっんっはぁん……」
 梨華の指は、ひとみにされているものと想像し、左手で自分の胸の突起も摘むと
荒々しく揉み始めた。梨華の上の蕾も下の蕾も、もうビンビンに立っていた。
 そして自ら厭らしく腰を動かしながら梨華は、ひとみを求めて何度も名前を呼ぶ。
 そして梨華は、呆気なくイッてしまった………。
109 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時35分03秒
「はやっ…。最短記録かもしんないナ…」
 梨華は馬鹿な事を言いながら、それでも汗はビッショリかいていた。汗以外の×××も…。
 それと同時に不安も広がる。 
 実際ひとみと愛し合った時、こんなに早くイッてしまったら勿体ない…いやいや恥ずかしい。
 それに早漏だと思われるのは……イヤ。
「早くイカない練習しなきゃ。これからの梨華の課題♪ 
 それに私の方が年上だしリードしなきゃね。ファイッ♪」
 梨華は自分にエールを送ると早速また下に手を伸ばしたのだった。

 石川梨華。やはり………××教師―――。
110 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時36分14秒
-4-

 翌朝―。

「石川先生、どうしたんスか? 目の下クマ出来てますよ?」
 隣りの国語の教師、矢口真里が声を掛けてくる。身長は小さいがその小さい体からは
パワーが溢れていた。茶髪でハデそうな感じがするが明るく面倒見が良いと評判の教師だった。

 夜な夜なひとみを想い、一人行為に耽っていたとは到底言えず、梨華は適当に誤魔化した。
「ちょっと…難しい課題がありまして…」
 他人が聞いたらバカな事でも、梨華にとっては、とっても大事な課題である。
「石川先生見かけによらず勉強熱心っすねー。初日1日目を迎えて緊張で眠れないのかと
 思ってましたよ」
 真に受けた矢口は感心していた。
「それほどでも…。どうしても乗り越えないといけないんですよね。ハァ…」
「やる気マンマンっすね」
 梨華は溜息混じりに呟くと、心は既にひとみにいってしまい矢口の言葉など耳に入っていなかった。
111 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時36分57秒
 これからひとみに毎日逢えると思うと凄く嬉しい半面、あからさまに喜んではいけないと梨華は
昨日の行動を反省する。はしゃぎすぎたと。
 ここ数日は何もない素振りで接しようと思っている梨華だったが、どうしてもひとみに目が
行ってしまう。朝、出席を取るだけでも梨華の心臓の鼓動は高まるのだ。

「課題がまた1つ増えたわね…」
 朝のHRが終わり、扉を閉めると梨華は呟いた。
112 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時37分53秒
「なんか石川先生ふつーじゃん。昨日のはっちゃけぶりは、どこ行ったんだろうね?」
 真希はわざとひとみに聞いてくる。それはひとみも気になっていた。
「からかっただけだったんだよ。それに振り回された私ってバカみたい」
 ホントにバカみたいと思うが、同時にやはり気になる。
 かと言って必要以上に絡まれても困るのだけれど。

「よっすぃー今日日直でしょ? 相手の子、休みで1人だし…。これはチャンスだよ」
 真希の目が光る。
「なんのだよ…」
「学級日誌に愛を告白。新しい告り方。これ、どうよ?」
 ひとみは書きかけの日誌を閉じると、そのまま真希の頭をソレで軽く叩いた。
「そんなのに書いたら、クラスみんなにバレるじゃん。頭わるすぎ」
 そんなアホな告り方出来るか! って何で話がそーなるの?
「じゃぁ日誌の中に、さりげなくラブレターを挟んでおくとか…」
(ごっちん、キミはまだ言うか!!)
「あのねぇー、私が先生に気があるみたいに思ってるけど、違うからね。
 それに面白がってんじゃないよ。他人事だと思って」
「だって他人事だもん」
 真希は平然と言ってのける。
113 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月16日(土)23時38分34秒
「ちぇっ。呑気でいーよ。ごっちんは」
 再びひとみは日誌を開くと、そちらに目を落とした。
「なんか実感こもってんね。そう言えばさ、まっつーとは、どうなの?」
「どうって?」
 ひとみは視線をそのままで話を続けた。
 真希は普通に聞いてくるのに、それが抱いた何かあった時だった場合が多いので
いつもドキッとさせられる。
「まっつーが、一番ヤキモキしてるでしょ。石川先生の出現で。
 昨日もすごかったもんねー。なんか可愛いんだけどさ」
「あやゃとは仲良いよ。昨日だって一緒に寝たしさ…」
「ホント仲良いよねー」
「妹みたいなもんだし」
「よっすぃーに、そんな仲良しの幼馴染みが中等部にいるなんて知ったら石川先生どうすんだろ」
 また他人事だから、真希が面白そうに言う。
「もう知ってるけど…」
 あっさり言うから、真希は聞き流しそうになった。
「そうなの? さっすが早いね」
「あやゃを宥めてる時に先生に会っちゃってさ」
「素敵な展開っ! まさにドラマみたいっ」
「面白がるなっつーの。その先は先生に聞いてみたら?」
 真希の相手をするのも疲れて、ひとみは休めていた手を再び走らせた。
(何を書こうかな……)
114 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月16日(土)23時40分27秒
昨日は見てる人いなさそうなので再更新しませんでした。
一応ここまでうp。続きは明日。
すみません。横アリ行ってきました。へけ姐さんのチョコ発言に
凹みましたが、まぁあやゃが可愛かったので(泣)。

>101 某さくしゃさん
一応まだしません(まだ?)。
>あやゃのプレゼントって(略
それは、たぶん・・・。

>102 よすこ大好き読者さん
私もそうなんです。「ひーちゃん」萌えです(w。

>103 名無し男さん
はい。飛ばします!ぴゅ〜ん!

>104 夜叉さん
よしあやは、爽やかに。いしよしは×××に描こうと思うのですが。
どうなりますやら。

>105 名無し☆さん
最高っすか!でも、よしあや、どうなるか…。よしの気持ちが…。
115 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月17日(日)00時01分31秒
××教師ですね〜
隣の部屋に住みたいものです(w
妹は妹ですよ!とか言ってみました…。でも…
116 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月17日(日)00時43分19秒
昨日みてましたよ。すんごく楽しみにしていました。
梨華先生はやくよしこをとらないとあややにとられてしまうぞ。
なんかそんなような気がしました。
ヤッスーが梨華先生を襲うとこちょっと見たかったりしました。
ごめんなさい。
更新楽しみに待っています。頑張ってください。
117 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年02月17日(日)00時49分45秒
失速どころか、めちゃ調子良いですね〜。
本当に師匠の仕事の早さに感動&尊敬します!
××教師石川さんの、自分にエールを送る姿に笑ってしまいました。
118 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月17日(日)02時03分15秒
更新ハヤッ!!でも、めちゃ楽しいですなーー
最短記録をつけてる石に、萌え!
ピンクのよれよれイルカに、妄想まっしぐら!!(w

119 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時29分24秒
-5-

 梨華が職員室の扉を開けると、梨華の隣りの席に保田と目が合った。
 昨日の事を怒ってるのかなと梨華は思い、社交的に挨拶をした。
「保田先生。昨日はホントすみませんでした。今日は空いてますけど先生のご都合は?」
「今日は会議があるから、また今度にしよう。それより石川先生」
「はい」
「もう少し教師としての自覚を持ってくださいね」
 保田はビシッと言うと席を立ち、職員室から出ていった。

(私、何か悪い事したかなー。)
120 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時31分00秒
 保田が居なくなると、安倍なつみがレール付きの椅子で、そのまま梨華の席まで
ビヨーンと移動してきた。安倍は保健の先生であるが、こうして良く職員室には遊びに
来ているのだ。梨華から見ても白衣が似合うなぁと思う。

「気にしない気にしない。保田先生は、いつもあぁだからね」
「そ、そうですか」
「なっちも昔は良く注意されたから」
 そう言って安倍は人懐っこい笑顔を浮かべた。
「はい。全然気にしてませんから」
「ほぇ〜、そうかい。その調子なら大丈夫そうだね。頑張って石川先生」
 安倍は苦笑いしながら、梨華の肩を叩いた。
121 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時31分44秒
 そこへ飯田圭織が戻ってくる。
「石川先生。慣れました?」
 美術の教師でスラリとした長身が栄え、その長い黒髪と大きな瞳が印象的だった。
「いやぁ、まだまだですねぇ」
 飯田も梨華の目の下のクマをめざとく見つけると
「あぁ寝不足なのね。新任だと緊張するし眠れないよねぇ。
 カオリなんか、いっつもクマ出来てるけどさぁ」
 飯田は勝手に納得すると
「じゃぁ今日の石川先生の歓迎会は後日に延ばした方がいいかもねぇ。ねぇなっち?」
「ん? そうだねぇ」
 毎週のように仲の良い先生だけ集まって飲み会をしているのが単に延びるだけの話だった。
「すみません。でも私、あんまりお酒強くないんですよ」
「平気だって。なっちだって全然飲めないんだし。烏龍茶で盛り上がっちゃうんだから。
 どうせ呼ぶのは、なっちと矢口とカオリとそのくらいかな」
「はぃ。じゃぁ来週にでも…」
 梨華は、そんな時間があるなら、ひとみと会いたいと思うのだが、ここはグッと我慢。
 付き合いと言うのもあるので、社交的な笑みを浮かべた。
「やっぱり、中澤先生や保田先生も呼んだ方がいいのかなぁ? なっちどう思う?」
122 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時32分36秒
「中澤先生酒豪だしねぇ。あ゛…ゴメンね」
 言いかけて安倍は謝る。中澤が梨華と従姉妹だから気を遣ったつもりだった。
「平気ですよ。ホントのコトですから。裕ちゃ…ぃえ、中澤先生、家の集まりでも……」
 校内では「中澤」と呼べと言われている梨華は、つい普段の通り「裕ちゃん」と呼んでしまう。
「やっぱり家でも良く飲んでるんだ。そうだろうねぇ。カオリもビックリしちゃったもん」
 飯田は実際見た訳でもないのに、しきりに、うんうんと頷いている。
「でも保田先生も、負けじと良く飲むけどねぇ。なんて噂してると戻って来そうだから
 そろそろなっちは保健室に戻ろうかな…」
 言いかけて安倍は椅子を戻し席を立つと、タイミングを計ったように保田が戻って来たから
飯田も梨華も思わず笑ってしまった。
 当の保田は訳が分からず不思議そうな顔をしていたのだった。
123 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時34分04秒
-6-

 昼休みになると、またいつものように亜弥が顔を出しに来た。
 そして、ひとみの腕を取ると屋上へと連れて行く。
「なに? どうした?」
「これ!」
 そう言って亜弥が差し出したのは、ピンクのふきんに包まれた弁当だった。
「なにこれ?」
「お弁当! 見れば分かるでしょ?」
「どうしたの?」
「だ〜か〜ら〜! ひーちゃんの為に作ったの! どうして、ここまで言わないと分かんないのよ!」
 ワンテンポ遅れて、ひとみが驚いた顔をした。
「あやゃが作ったの? あやゃのお母さんじゃなくて?」
「もぅ疑り深いんだから。私だってお弁当くらい作りますよ!」
 亜弥は既にむくれ顔だ。
「ごめんごめん。マジだったんだ」
 そう言えばひとみが朝目が覚めた時には、もう亜弥の姿はなかったのを思い出した。
「ひどいなぁ。ひーちゃんの為に愛情込めて作ったのにさぁ…」
 亜弥はブツブツ言いながら、ひとみの上着ポケットの上あたりを人差し指でグリグリと回した。
124 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時35分45秒
(ぅ。そう言う仕草はやめなさい。可愛いじゃんか…。)
「ありがとう。素直に受け取るよ」
 ひとみはガラにもなく照れると、頭を掻きながら受け取った。
「どうせ、また学食行こうと思ってたんでしょ?」
「うん…」
「これからは毎日私が作るから、ひーちゃんは私の愛妻弁当を食べるコト!」
「ぶっ……」
 ひとみは舌を噛みそうになり、口を押さえた。
(愛妻弁当って………)

 ひとみは涙目になりながら、早速お弁当の蓋を開けた。
 中身はオーソドックスに、卵焼きやウィンナーなどが入っている。そしてゆで卵。
「さすが、あやゃは私の好きな物知ってんねぇ。でも無理しなくていいよ。
 私、ベーグルとゆで卵だけでも生きていける人だから」
「ダメです! 健康管理はしっかりしなきゃ」
「あやゃ。気持ちだけで嬉しいよ。朝早いんだろ? その分寝てろよ」
「でも…」
「不安なの?」
「じゃぁさぁ…」
「なに?」
 ひとみは、卵焼きを食べながら口をもぐもぐさせていた。
125 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月17日(日)14時37分13秒
「これから毎日…」
「うん」
 亜弥は顔を真っ赤にして俯いていた。
「………」
「どうした? あやゃらしくないなぁ。いつもハッキリ言うクセに」
「一緒に寝てもいい?」
「いい…けど。どうしてわざわざ聞く?」
「だって…。ひーちゃん、ヘンに意識しちゃったりしてないかなぁって」
「バカ。んなわけないだろっ」
 そう言って、亜弥の髪をクシャリと撫でる。
「良かった。でも…少しは意識して欲しい」
 亜弥は上目遣いで、ひとみを見つめる。
「なんだよ、注文の多いヤツだな」
 ひとみは優しく微笑み返した。

 その笑顔。いつまでも独り占めしたいと亜弥は思う。
 絶対、梨華には負けたくないとも亜弥は思う。
 梨華の事を思うと途端に亜弥の表情は険しくなる。

「亜弥? どうかした?」
「ぅうん、なんでもない。食べよっか」
「もう食べてるよ」
「はやっ。私もコレ食べる!」
 と言ってひとみの卵焼きを1つ摘むと即口に運んだ。
「あ゛。最後の! あやゃのにも入ってるんだろ。返せ!」
「いやですぅ〜!」

 じゃれ合う2人は姉妹のようでもあり、恋人同士にも見えた。
126 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月17日(日)14時51分06秒
いしよし祭りが多くて嬉しい今日この頃。

>115 某さくしゃさん
早く石川先生と絡ませたいのですが(爆)なかなかそうもいかなくて(w。
私も隣の部屋に住みたいです。

>116 いしごま防衛軍さん
初めまして。いしごま小説は自分もコッソリ読んでるのでお名前は拝見してましたが。
ヤッスーの気持ちが、まだハッキリしないっす。もうちょい先ですヤッスーの出番は。

>117 ごーまるいちさん
頭には先の先までストーリー出来てるので多少はラクです。
ごーまるいちさんも、ラストに向かってがむばって下さい。

>118 よすこ大好き読者さん
楽しいですか? 段々シリアスになりそうな気もしますが、どうなりますやら。
127 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月17日(日)15時15分40秒
なんか、あややの独走のような予感がしないでもない。
ヤッスーの出番がひそかに楽しみです。
梨華先生頑張れ!!
更新楽しみにお待ちしております。
128 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月17日(日)15時38分44秒
吉の心の針が大きくあやゃに傾いた瞬間、62.8%、な場面、とてもイイ雰囲気の2人です。
職員室で先生軍団に取り囲まれている石川先生にはまだまだいろんな事が起きそうな予感が。
保田先生、そういえばまだ一言もお声を聞いてない気が。
129 名前:夜叉 投稿日:2002年02月17日(日)19時07分11秒
よれてるのね、ピンク(略。w
これからが気になりますねぇ、×××ですか(冷や汗)。
やすの方も冷や汗もんですねぇ(笑)。
130 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月18日(月)00時05分54秒
よしあやいい感じですねぇ〜☆
なんだかじゃれあう姿が想像できます^^
あやゃになりたいですっ!
だってよっすぃ〜、よすぎ!!
131 名前:名無し男 投稿日:2002年02月18日(月)01時21分21秒
さあ今年もやって参りましたヨッスィーズステークス
注目は新馬戦から無敗の一番人気シャクレノチャーミー
対するは昨年の覇者ァャャ
毎レース物凄い勢いで外ラチ沿いに突進するニチャンネルヤスダにも要注意
そして最年長8歳馬のトシマノユーチャン、こちらはかなりイレ込んでいるようです

さあ、恋多き乙女達の戦いが今火蓋を切って落とされようとしています!
(ガシャコン!!)
今ゲートが開かれ一斉にスタート致しました
まず先頭をとったのは昨年の覇者ァャャ
その後2馬身ほど遅れてシャクレノチャーミーがつけています
おっとニチャンネルヤスダ早くも外ラチを破壊して森に突っ込み失格!
そして中ほどミクロウーマン、ロボットイーダ
ロボットイーダをピッタリとマークするようにツジチャンデス
その横カゴチャンデス
その後ろ微妙な位置にミッチャンイーコ
しんがりはやはり年と気性の荒さのせいなのかトシマノユーチャン
これはかなり速いペースの展開となっております!
132 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月18日(月)01時21分44秒
恋人同士に見えますね。
むしろ恋人にしか見えない(w
敗 北 宣 言 ! には早いですよね!
133 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時33分58秒
-7-

 放課後。日誌を付け終わると、ひとみは職員室へと向かった。
 これを返せば、今日の日直は終わる。結局、梨華との接触もないまま1日が過ぎようとしていた。

 職員室へ行ったが、梨華の姿は見えなかった。
 まぁいいか…とひとみは少し残念に思いながら日誌を置き、職員室を後にすると、
そこへ矢口が戻ってきた。
「よっすぃー、探してたんだよ」
「へ? 何すか? 矢口先生」
「石川先生が倒れちゃってさぁ」
「えぇぇぇーーー?? それ、どういうコトっすか?」
 ひとみは思わず矢口の胸座を掴んでいた。
「く、苦しいよ、よっすぃー…。ぐぇっ……!」
「あ、あぁすみませんっ」
134 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時34分44秒
 矢口と共に保健室へ行き、安倍に詳しく話を聞けばなんて事はない、単なる寝不足だったらしい。

「もぅ、ビックリさせないでくださいよ。倒れたなんて言うから」
 ひとみは矢口に文句を言いつつ内心はホッとしていた。

「昨日あんまり寝てないみたいだし、疲れも出たんだと思うよ」
「だろうねぇ。なんか難しい課題があるって言ってたしなぁ…」
 矢口も頷いている。

 先生、昨日あまり寝てないんだ。じゃぁ…私と一緒?
 難しい課題って、なんだろう? どっちにしろ先生はちゃんと教師らしい事してるんだ。

 ひとみは、そのバカな課題が仕事関係の事だと思い込んでいたから少し反省した。
135 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時35分19秒
「そこで吉澤さん、相談なんだけど」
「はい?」
 安倍に肩を置かれて、何となく嫌な予感がした。
「石川先生をいつまでも寝かせておく訳にもいかないし、連れて帰ってもらえない?」
「私がですか?」
 ひとみは自分で自分を指差して安倍に聞き返した。
「あなた以外に誰がいるの?」
 ひとみは矢口の方に視線を移す。目が合った矢口は冗談! と言った顔をして手を左右に振った。
「よっすぃー、矢口は背が小さいんだから無理だよ。それに、自分の担任だろ。責任持ちなさい」
「はぁ? なんでですか? 関係ないと思うんですが…。ってか起こせばいいだけじゃ…」
「吉澤さん、あなたは昨日も石川先生のコト痴漢から助けたんでしょ? 同じコトよ。
 さっさと連れて帰りなさい」
「全然関係ないと思うんですけど?」
 疑問を残しつつ、ひとみは後から矢口が持ってきた梨華の荷物を持たされ半ば強引に
梨華をおぶわされて保健室を後にした。
136 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時36分38秒
「なんで私がこんな目に…」
 ひとみはぶつぶつ言いながら、取りあえず梨華の目を覚まさせようと空いている教室に入り
梨華を椅子に座らせる。
「起きてくださいよ! 先生!!」
 ひとみは梨華の頬をペチペチと軽く叩く。
「んんっ……」
 梨華はひとみの手を軽く払うと、また気持ちよさそうに手をさげて眠ってしまった。
「マジかよ」
 ひとみは諦めると再び梨華をおぶって仕方なく靴に履き替えると校門まで歩いていく。
 これから、電車に乗るのかと思うとひとみは憂鬱だった。
 女子高生が若い女性をおぶって電車に乗ると言う光景は、どう考えても注目の的に
なりそうだからだ。

(まったく、人に迷惑ばっかりかけて…)
137 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時37分58秒
-8-

「亜弥ちゃん、アレ、よっすぃーやないかぁ?」
 部活の練習途中で、梨華を背負っているひとみを目ざとく見つけて加護は亜弥に話しかけた。

「え?」
 亜弥は加護の話で校庭に目を移す。そのままテニスボールは亜弥の脇を逸れて転がっていった。
 亜弥は転がるボールには目もくれずに、そのままコートを抜けてひとみの方に駈けだして行った。

「松浦!! 練習中だぞ、ゴルァ!!」
 部長の声も亜弥には届いていなかった。
138 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時38分50秒
「ひーちゃぁん!!」

 亜弥の声にひとみは「あぁやっぱり…」と溜息をついた。
 余程早く走って来たのか、肩で息を切らしている。

「そんなに走ると練習に響くんじゃないの?」
「それよりっ………なんで、石川…せんっ…せいと。はぁ…はぁ…」
「安倍先生に押しつけられたんだよ。仕方ないよな」
 ひとみの言い方に、あまり嫌がった様子が見れなかった亜弥は途端に不安になる。
 子どものようにひとみの背中に背負われて寝ている梨華を見て、亜弥は無性に腹が立つのだった。

―――その背中は、ずっと私だけのモノだったのに…。

 今でこそ、もう背中でおぶわれて眠る事はないが、小さい頃は、よくひとみの背中におぶわれて
 連れて来てくれたものだ。広くて温かいひとみの背中が大好きだった。
 それなのに、今、その場所は梨華が占領している。
139 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時39分51秒
「寝てるだけなんでしょ? 起こせばいいのに!」
 亜弥はそう言うと、テニスラケットで、梨華の頭を叩こうとした。
 それに気付いたひとみは、咄嗟によけた。
「起こさなくていいよ。ってか、そのくらいじゃ起きないと思うけど」
「どうして?」
 亜弥はムッとして言う。
「さっき起こそうとしたけど無理だったから」
「放っておけばいいでしょ? 大体石川先生はひーちゃんに甘えすぎだよ。
 なんでひーちゃんがそこまでしなきゃいけないのよ!!」
「頼まれたらしょうがないじゃん。いつまでも保健室で寝かせておく訳にもいかないって。
 安倍先生が言うし…」
「じゃぁひーちゃん、私が今ここで倒れたらどうすんの? 私のコト助けてくれる?」
「倒れてないじゃん」
「石川先生放って置いて私を助けてくれるの?」
「子どもみたいなコト言うなって。あやゃが倒れたらいつでも助けに行くから。じゃぁな。
 あやゃも部活の途中だろ? 早く戻れよ」
 それだけ言うとひとみは、梨華を背負い直して、また歩き出した。
140 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時40分41秒
 自分は何とかひとみに近づこうと努力しているのに、梨華は何の努力をしなくても
ひとみと、こうやっていつの間にか接近しているのが、亜弥に取っては非常に面白くなかった。

「ひーちゃんの…バカ!!」

 段々小さくなる、その後ろ姿に亜弥は思いっきり叫んだ。
141 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時43分04秒
-9-

 恥ずかしい思いをして、電車から降りるとひとみは、あともう少しだ! と自分を励ましながら
昨日来たばかりの梨華のマンションへと向かう。
 幾ら梨華が軽くても、やはりずっと背負っていては、さすがのひとみも疲れが出てきた。

 なんとか梨華の部屋の前に辿り着くと、カバンから鍵を取り出して中へ入った。
 ひとみは気が緩んだのか、玄関先で、そのまま梨華を背負ったまま、つまづいて倒れてしまう。

「いったぁ……」
 ひとみは思わず声をあげるが、梨華は、動じないでまだ眠っている。
 と言っても梨華は、ひとみがクッションになっているから痛い思いをしていないのだが。

「地震が起きても、そのまま死んじゃうタイプだね」
 ひとみは顔をしかめ身体を起こしながら、眠る梨華に言った。
142 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時43分46秒
 ひとみは梨華を抱きかかえると、最後の力を振り絞ってベッドまで運んでいく。
 そして、なんとかベッドに梨華を沈めると、ひとみは「ふぅ〜」っと声を出して座り込んだ。
 
 一息つくと、眠る梨華をひとみは見つめていた。

「いつまで寝てるんだよっ。こらっ!」
 ひとみは梨華の頬を、また軽くペチペチと叩いた。
 梨華は微笑むと、寝返りを打ってしまった。
「しようがないな…」
 この様子だと、明日の朝まで目が覚めないかも知れない。
 しかし、夜中に目が覚めないとも限らないから、ひとみは再び梨華の家を出るとコンビニで
弁当やお茶などを買い込み冷蔵庫にしまった。お腹が空いても、これでなんとかなるだろうと言う
ひとみの配慮だった。

 ひとみはメモで、その旨を書き、鍵はドアポストに入れておきます。と書き残して
梨華の部屋を出て行こうとした。
143 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時44分23秒
 最後にもう一度、梨華の名前を呼ぶ。
「先生…」
 完全に眠り込んでいる梨華に、ひとみの声は届いていない。
 諦めて、ひとみはカバンを持つと立ち上がった。
「ひとみちゃん…」
「?」
 帰り際に、名前を呼ばれて、ひとみは梨華を見つめるが、それは寝言だった。

 ひとみはカバンを再び置くと、梨華を見つめた。

 長い睫毛が時々揺れて、ひとみは何故だかドキマギした。
 そして、吸い寄せられるようにベッドに腰掛けると、梨華の頬に手を添えた。

「梨…華……」

 梨華の名前を思わず口に出して、ひとみは誰が見てる訳でもないのに照れた。
144 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時45分10秒
 亜弥が自分にした行為を梨華で試す訳ではないが、無防備の梨華に悪戯したくなったひとみは
これぐらいしてもバチは当たらないだろうと勝手に納得して梨華の柔らかそうな、ツンと立った
くちびるに顔を近づけていった。
 しかし、ひとみの理性が邪魔をして、やはりあと数センチの距離で梨華から顔を離した。

―――悪戯でも、こんな事しちゃいけないよね。

 ひとみは自分に言い聞かせると、両手で自分の頬をパンパンと叩いて梨華の部屋を出ていった。
145 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時45分59秒
-10-

 場所は移動して、ここは、とある居酒屋。
 飯田や安倍、矢口が週に一度は必ず行っているので行きつけの店と言っても過言ではなかった。

「石川先生、大丈夫でしょうかねぇ? よっすぃー送り狼なんかになってないよなぁ…」
 矢口は自らひとみに、梨華を任せたものの、やはりその後の事が気になっていた。
「そんなに心配だったら、矢口自分で送れば良かったのに…」
 安倍は烏龍茶を飲みながら、隣りの矢口を小突いた。
「石川先生送ったら、この飲み会に遅れるじゃん」
「矢口は、石川先生より飲み会の方が大事なのかよっ」
 その隣りにいる飯田がツッコミを入れる。
「当然!」
「ダメじゃん。にしても結局石川先生もねぇ…」
 飯田はサワーを飲みながら、お通しを口にする。

「今日は誘わなくて正解だったね」
 安倍はサラダに手をつける。

 既に注文の品が続々とテーブルに置かれる中、酒を飲まない安倍は専ら食べる担当だった。
146 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時46分32秒
「案外勉強熱心なのかもな。でも、なんの課題なんだろ? あんまり音楽は分かんないけど」
 矢口もサラダを食べながら、そう言うがあまり興味はなさそうだった。

「でもさ〜。初日から遅刻してくるっていい度胸してるよねぇ。教師の自覚ないんじゃない?
 学生気分が抜けてないのかも」
 飯田が悪口ではないが、梨華を咎めた。
「あれは、痴漢に遭って、吉澤さんが助けたんでしょ? 実際、いつも遅刻しない吉澤さんが
 遅刻して来たから、ウソじゃないみたいだし…」
 安倍もフォローではないが、一応付け足す。
「石川先生、痴漢に遭いそうな顔してるもんな」
 矢口もポソリと言う。
 まさか、その梨華がひとみに痴漢をしていたなんて思いもしないこの3人は頷いた。
147 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時47分34秒
「カオリも、あんまり石川先生の悪口言わない方がいいよ。一応、中澤先生の従姉妹なんだから」
 矢口が諭すが飯田も言い返す。
「悪口じゃないじゃん。悪口って言うのは、石川先生がお金で大学入ったかも知れないとか
 そう言った類でしょ?」
「あらららら。カオリも言うねぇ」
 安倍が呑気に言う。
「どうしてそう思うの?」
「音大なんてさ、今は学生の数も少ないから、コレがあればどうにでもなるみたいだし」
 そう言って飯田は親指と人差し指を丸めて¥マークを作る。
「そんなのわかんないじゃん」
「大体ウチの学校入ったのだってコネでしょ? 普通は4月から赴任出来るハズなのに
 この2ヶ月間は遊んでた訳でしょ? まぁいい身分だよね」

「カオリ、なんかあったの? 石川先生に恨みでも?」
「別に。ちょっと吉澤と接近しすぎかなって思っただけ」

 矢口はサワーを飲みながら聞き流していたが、正直飯田が怖いと思っていた。
 自分もひとみの事は好きだが別に固執する程ではない。確かに昨日赴任して来てひとみと
絡む機会が多いような気もするが、それに目くじらを立てる程でもないと思うのだ。
148 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時48分29秒
「保田先生は、知らないんでしょ?」
「なにが?」
「石川先生が中澤先生の従姉妹だってコト…」
「マジ?」
「ほら、その説明があった時、保田先生居なかったじゃん」
「そうだっけ」


 この時、奥の奥で聞き耳を立てて一人酒を飲んでいた保田は思わず吹き出しそうになった。

―――な、なに? 石川先生って裕ちゃんの従姉妹なの!!??

 丁度、さっき矢口がそれを言った時は聞き逃していたらしい保田は耳を疑った。
 今日は梨華には、会議があると断ったが、その会議とは、こうして時々他教師の会話を
盗み聞きする事である。

―――そうか。だから、こんな時に新任で入ってきたのか。おかしいと思ったんだよ。
149 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月18日(月)18時49分41秒
 しかし、保田はそんな事はどうでも良かった。
 気になるのは、梨華とひとみの関係。最初に矢口が言った、ひとみが梨華を送り届けた話が
気になるのに、もうそんな話は出てきそうになかった。梨華が裏口入学しただの、そんな話ばかり。
 だからと言って、ここで出て行く訳にもいかず、追加注文をすれば見つかりそうなので
注文も出来ず、保田はただただ残った酒をちびちびと飲んでいた。

 結局、この後は梨華の話から学校の話や全然違う話に移っていき、この3人からは有力な話は
聞き出させそうになかった。尤も梨華が赴任してから、まだ2日目。そうそう話が出てくる訳がない。

―――カオリも矢口も吉澤のファンとか言っておきながら、頼りにならないわね!
 こうなったら、自分で行動するしかなさそうね。

 保田の目がキラリと光った。
150 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月18日(月)18時59分17秒
>>133-149 7-10話更新しました。
明日以降の更新は微妙っす。っつーか風邪ひいたな、こりゃ(泣)。

>127 いしごま防衛軍さん
まだ石川先生は本格的に行動してないんで、あやゃが1歩リードしてるっぽいですけど。
ヤッスーこんな形で出しました。まだこれからですね。

>128 M.ANZAIさん
62.8%って、どこから?(w。
中澤先生も、もうそろそろでてきます。平家先生も出さないとですね。

>129 夜叉さん
使い込みすぎなんで。ピンカ(昔ありましたね。CXで)。

>130 名無し☆さん
ちゃんとフォローも忘れないよっすぃ〜です。
隣りのお兄ちゃん的存在にしてるんですが、どうでしょう?

>131 名無し男さん
シャクレてニチャンネルてトシマノて笑いました。あやゃもシャクレてますが(w。

>132 某さくしゃさん
吉澤の気持ちが、まだ微妙なんですよね。
そろそろ石川も動かさないと…。
151 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月18日(月)19時29分49秒
ヤッスーは何を考えているのか。
よっすぃーの気持ちが揺れ動きすぎですなあ。いったいどっちを選ぶのか。
すごく楽しみです。更新楽しみに待っています。頑張ってください。
152 名前:夜叉 投稿日:2002年02月18日(月)19時36分42秒
風邪ですか、気をつけた方がいいですよ。
気が付いたらインフルエンザってことありますから。

何かだんだん予告が(略。w
保田先生には是非眼鏡を掛けていただきたいです(笑)。
続き、まったりお待ちしております。
153 名前:REDRUM 投稿日:2002年02月18日(月)19時48分43秒
只今インフルエンザの警報が出てるらしいっす(関西では)
お体には充分気をつけましょう。

ダウン石は始め石の小芝居かと疑ってしまいました・・・
154 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月19日(火)01時20分45秒
>―――悪戯でも、こんな事しちゃいけないよね。
良いと思います。しちゃってください(w
ヤッスー怖ひ!なにをする気やら・・・
155 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月19日(火)10時45分31秒
よっ!居酒屋トーク!!
156 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月20日(水)00時20分50秒
やきもちをやくあやゃがかわいい〜^^
石川先生とよっすぃ〜もどうなることやら・・・。
でもやっぱりよっすぃ〜&あややはいいですね!
保田先生も気になる・・・^^;
これからもがんばってくださいね☆
157 名前:名無し男 投稿日:2002年02月20日(水)11時15分16秒
まあ、飲みに逝くと愚痴を言う奴は絶対いるわけで(w
158 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月20日(水)17時17分37秒
腰痛を患ってる間に・・・大量更新ですね。
いしよしオンリーの私なのですが、あややもいいっすね。
モテよっすぃーどうするか?
159 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時30分06秒

-11-

 散々だった部活が終わり機嫌の悪い亜弥が、加護、辻達と共に控え室に戻ってきた。

「亜弥ちゃん、そんなに気ぃ落とせんと。この後、パァーッと
 何か食べに行こうや。なぁ? のの」
「OKなのれす」
 加護は励ましのつもりで、亜弥を誘うが、亜弥はやはり断ってきた。
「気持ちは嬉しいけど、2人で行って」
「それじゃぁ意味ないねん」
「2人でも全然OKなのれす」
 一番乗り気なのは、やはり辻だった。

 亜弥が携帯の着信メールに気付き、それを見た途端亜弥の顔がパッと明るくなる。

  <<校門で待ってる。 ひとみ>>

「ひーちゃんと帰るから、お先!」
 亜弥は急いで着替えを済ませると風のように控え室を出ていった。

「即行ダッシュやねん。よっすぃー優しいねんなぁ…」
 加護の言葉には、少し羨ましさも混じっていた。
160 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時31分48秒
 亜弥が校庭を駆け抜けていくと、塀に凭れていたひとみが亜弥に気付き振り向いた。

「あやゃお疲れ」
 ひとみは普段着に着替えて自転車で迎えに来ていた。
 ひとみは当然のように亜弥の荷物を持つとカゴに入れた。

「ど、どうしたの?」
 亜弥は嬉しさを隠せないが、わざと聞いてみる。
「これからラーメンでも食いに行こうと思ってさ」
「ラーメン?」
「お弁当作ってくれたお礼。それにずっと行ってないじゃん。あそこのラーメン屋」

 時々、ひとみと亜弥が食べに行く穴場のラーメン屋で、店内は狭く汚いが
味は美味しかった。特に亜弥の好きな塩ラーメンは絶品である。
 亜弥がずっと立ったままなので
「あやゃは食べない? だったら私一人で…」
 と言いかけるひとみに、亜弥は自転車の後ろに飛び乗った。
「行くに決まってるじゃん!」
 ひとみの腰に腕を回すとギュッとしがみついた。
「そんじゃ行きますか」
 ひとみはゆっくりとペダルを漕ぐ。
161 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時33分58秒
「ひーちゃん、ここまで遠かったでしょ」
 学校まで30分ほどの道のり。これから行くラーメン屋は駅から離れているから
自転車で行く方が都合いいのだ。

「別に。こんなの大したコトないよ」
 実際梨華を送り届けていて疲れていたひとみだったが、亜弥が気になり迎えに来たのだった。

「久しぶりだね。こうして乗るの」
 亜弥は更に力を込めて抱きついた。
「そうだな。あやゃ、重くなったよな」
 ひとみは笑いながら言うが、亜弥はムッとした。
「ヒドイッ! 重いってなによぉ」
「子どもん時に比べたらって意味だよ。マジになんなって!」
「別にマジになんか…」
 亜弥はひとみの背中に顔をピトッとくっつけた。
「…どうかした?」
「うぅぅん。ひーちゃん、やっぱり優しいね…」
「優しくなんかないよ。あやゃが気になったから。
 それより、練習の途中で抜け出したりしちゃダメじゃん」
162 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時34分54秒
「だぁーって…」
 亜弥は数時間前の事を思い出し、また不機嫌になる。
「あやゃが心配するようなコトしてないからな。送り届けてすぐ帰って来たんだから」
 何だか言い訳がましく聞こえるが嘘はついていない。
 ひとみは一旦自転車を停めて亜弥の方に振り返ると、ふくれている亜弥を見て笑い、
髪をクシャリと撫でた。
「亜弥は笑ってる方がカワイイよ」
 ひとみは、そう言うとまた自転車を走らせた。
「別に怒ってなんか、ないもん」
 亜弥は微笑むと、再びひとみの腰に手を回した。
163 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時36分15秒
-12-

 食事も終わり、小さい頃良く2人で遊んだ家の近くの公園に2人は来ていた。
 そして昔の話に花を咲かせる。

「子どもの頃はさ、広いなって思ってたけど、今こうして見ると小さいよね」
 亜弥とひとみはブランコに乗りながら、ユラユラと揺れていた。
「それだけ、あやゃが大人になったってコトだよ」
「良く、ひーちゃんと遊んだよね」
「あやゃはすぐ疲れて眠っちゃうから、いつもおぶって帰ってたの覚えてないだろ」
「覚えてるよ。ひーちゃんの背中暖かかった」
「そうか?」
「うん。今でも私が眠ったらおぶって帰ってくれる?」
「あぁ。当たり前だろ。相変わらず甘えん坊だな、あやゃは」
「ひーちゃんだから甘えるの!」
「あんまり世話焼かせるなよ」
 ひとみはそう言って足を軽く蹴ってブランコをこぎ出す。
「迷惑?」
 亜弥はブランコから下りると、ひとみの前に来て揺れているブランコを強引に止めた。
 そしてチェーンを握っているひとみの手に自分の手を重ねた。
164 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時37分15秒
「亜弥?」
「昨日の告白…。真剣に受け止めてくれないの? 私……」
「それ以上言うな」
 ひとみは亜弥の言葉を遮ろうとするが、亜弥は構わず続ける。
「私、ひーちゃんが好きだもん」
「私だって好き…」
 ひとみがそう言いかけた時、亜弥のくちびるがひとみの口を塞いだ。
 ひとみは一瞬時が止まったような感触を受けた。目は見開いたままだ。
 亜弥はすぐにくちびるを離した。
「亜弥!!」
 ひとみは亜弥を怒ろうとしたが、亜弥の切なそうな目に言葉を呑んだ。
「もっと私を見て欲しい」
「見てる…だろ? 今だって、こうして…」
 再び息が触れ合う位に、亜弥は顔を近づけてくる。
 ひとみは顔を逸らすと、亜弥を抱き締めた。
「ひーちゃん?」
「亜弥、もっと…キ、キスは大事にしなさい。急にするんじゃないよ」
 ひとみは今頃になって、キスされた事に自覚を持ち始めた。頬が熱くなってくる。
「急じゃなければいいの? 私、もうひーちゃんとしかキスしないから」
165 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時41分23秒
 別にそんな宣言されてもね…。なんてひとみは思うけれど、そんな事を言う亜弥は可愛いと思う。

「そんな約束しない方がいいと思うぞ」
「どうして?」
「どうしても」
「教えてよ」
「ヤダ」
「じゃぁ私が教えてアゲル」
 亜弥は顔をあげると、またひとみにくちづけて来た。
 今度は触れるだけでなく、ひとみのくちびるに合わせるように確かめるように
亜弥のくちびるが重なった。

「亜弥!」
「怒った?」
 亜弥のウットリした瞳で見つめられて、ひとみは首を横に振った。
「何回も人のくちびるを…」
 亜弥には甘いひとみが怒れる筈もなく、溜息混じりに呟いた。
「ひーちゃんのくちびるって、柔らかい♪」
「バカ! もう帰るぞ」
 ひとみは強引に立ち上がる。
「やっぱり寝てる間にするキスより全然良い!」
「今度したらタダじゃおかないからな!」
 ひとみは顔を真っ赤にして言うと、さっさと自転車に乗って帰ってしまった。
166 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時46分54秒
-13-

 ひとみは亜弥を置いて(と言っても家まで数分)家に帰ると、ひとみの母が出てきた。

「ひとみ、石川先生から電話あった?」
「は? なんの話?」
 ひとみは首を傾げる。大体、梨華に携帯の電話なんか教えていないのだから
かかってくる筈がない。
「さっきね、先生から電話があったからひとみの携帯教えたのよ」
「えぇー? なんで教えるんだよ!」
「だって急用だって言うから…」
 ひとみは服をまさぐるが、携帯を持って出るのを忘れていた事に気付いた。
 まだ話している母を置いて、急いで自分の部屋に入ると、携帯を取り出す。
『着信あり』がディスプレイに浮かんでいた。
 留守番電話サービスセンターに接続するとご丁寧の5件もメッセージが入っていた。
 その全部が梨華からだった。

 最後のメッセージには
『ひとみちゃん…。寒いよぅ』の一言。時間は、数分前だった。
 それを聞いてひとみは「あのバカ…」と言って、ジャケットを掴むと外に飛び出した。
167 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時48分16秒
 飛び出したものの、どこにいるか分からないが、梨華の事だから自分の家の
近所にいるだろうと思い、探してみる。しかし、梨華は見あたらない。

 もう帰ったのか? と考えたが、その可能性も薄かった。
 そしてひとみはピンと来て、さっきの公園へと向かう。
 梨華は全て公衆電話からかけてきていたから、この近所で電話があるのは
そこしか思い当たらなかったひとみの判断だった。

 ベンチに梨華らしき後ろ姿を見つけてひとみはホッとした。

「ホントに世話の焼ける人ですね」
 財布だけ持ち出して出てきたのであろう梨華は、少し寒そうに腕をさすりながら
ベンチに座っていた。
「ひとみちゃん!」
 梨華はひとみの声に、思わずひとみを見上げた。
 ひとみは梨華の横に座ると持ってきたジャケットを梨華に羽織わせた。
「そんな薄着じゃ風邪ひきますよ。もう眠いのは覚めたんですか?」
「ひとみちゃんが家まで私を?」
 ひとみはコクッと頷く。
168 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時49分50秒
「ゴメンね。全く記憶がないから。目が覚めたらベッドの中でしょ?
 ホントにビックリしちゃったんだ」
 梨華はありのままを口に出すからひとみは笑ってしまう。
「余程疲れてたんですね。ちょっとのコトじゃ全然起きなかったですから」
 ひとみは呆れるよりは感心した様子で話した。
「ゴメンなさいっ」
 梨華は両手を自分の頬に当てると、申し訳ないと言う顔をした。
「別にいいですよ。ちょっとのコトじゃ驚きませんから」
 大体、梨華との出逢いも衝撃だった訳で、この位で驚いていたら後が続かないだろう。
「ひとみちゃんゴメンね…」
「もういいですよ。ところで、なんの用だったんですか?」
169 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時50分33秒
「え? あ? あぁ…お礼を言いたくて…。気が付いたら、外に飛び出してた」
 それを聞いてひとみは笑い出す。梨華は「?」な顔をしていたが、そんな
ひとみをジッと見つめていた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
「だって先生、おかしすぎますよ」
「そんなコトないわよ」
 思ったよりも長い時間笑われて、梨華は少し怒った口調で答えてしまった。
「すみません。怒っちゃいました?」
 さすがにひとみも悪いと感じたのか、謝ってきた。

―――別に…怒ってなんか、ないけどね。私って、やっぱりおかしいかしら?
170 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時51分38秒
「先生、カワイイですね」
 ひとみのこの言葉に深い意味はなかったのだが、梨華は、この言葉に殺られてしまう。
「ひとみちゃんは、カッコいいよ」
「……あの、そういう意味じゃなくて…」
 ひとみは困った顔をすると同時に視線を落とした。

 梨華はハッとすると、思い直してこう言った。
「ひとみちゃん、今日のお礼、今度するから。忘れないで」
「別にいいですよ」
「ぅうん、ダメ。今度一緒に食事にでも行きましょう。じゃぁ私帰るね」
 
 梨華は何とか堪えると、スクッと立ち上がった。
 が、同時にクシャミをしてしまう。
171 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時52分26秒
「大丈夫ですか?」
 ひとみは心配そうに梨華の肩を抱く。それに甘えそうになりながらも梨華は必死で耐えた。

(まだ、だめなのよ。まだ、まだなのよ。我慢なのよ、梨華!)
 梨華は心の中で自分に言い聞かせていた。

「ホントはまだ寒いんじゃないんですか?」
 ひとみはそう言って梨華を包み込むように優しく抱き締めてきた。

(!!! ちょ、ちょっとひとみちゃん???)
 驚いたのは梨華の方だ。避けられてると感じていたのに、思いの外
優しい態度のひとみに梨華は戸惑いを隠せなかった。
172 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月20日(水)18時53分02秒
「あっと、すみません」
 ひとみは謝るとすぐに梨華から離れた。

(あれー? もう終わり??)
 戸惑ったものの嬉しかった梨華は、ひとみがすぐに離れたから残念そうな顔をしてしまった。

「お、おやすみなさい」
 ひとみは梨華の顔も見ずに、一礼をすると走っていってしまった。

「ひとみちゃん?…」
 梨華は、今のひとみの行動をどう解釈すればいいのか分からず首を傾げるのだった。
173 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月20日(水)19時02分52秒
>>159-172 11-13話更新しました。
昨日出来てたんですけど、調子悪くて更新出来ませんでした。今も悪いですけど。

>151 いしごま防衛軍さん
ヤッスーより吉澤の気持ちが…(w。

>152 夜叉さん
お気遣いありがとうございます。かなーりしんどいっす。
週の始めからひくと損した気分に…。
ヤッスーの眼鏡姿いいかも(w。

>153 REDRUMさん
石は小芝居するほど、賢くないので(ぉぃ

>154 名無し読者さん
吉からキスさせるのに、なんか抵抗感じちゃって。
で、先にあやゃと…って流れを作りたかったので。
思ったよりもどかしい関係になるかも?

>155 M.ANZAIさん
居酒屋トーク第二弾も、また近々(w。

>156 名無し☆さん
あやゃにも少しの幸せを…。
優柔不断の吉澤が、ここにも(苦笑)。

>157 名無し男さん
石川先生には、この後も邪魔されちゃいそうです。受難は続く…。

>158 よすこ大好き読者さん
腰痛大丈夫っすか? お大事にです。
いしよしオンリーですか。私は色々(苦笑)。書いてるのが楽しいのはいしよしですが。
174 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月20日(水)19時27分25秒
よっすぃーの気持ちがわからん。いったいどっちなんだ。
あややか梨華先生かはっきりしなかったら後々大変な展開になりそう。
しかしながら、よっすぃーと梨華先生のやりとりには萌えました。
あややもなかなか良いのですが、自分的にはあいぼんとあややが
ハァハァしてほしいかな。
居酒屋トークもいいですなあ。またあるのか楽しみです。
この後どうなるのか気になります。更新楽しみに待っています。
頑張ってください。
175 名前:夜叉 投稿日:2002年02月20日(水)19時47分08秒
どこまでも、何があっても理性と戦っている石川先生、素敵っす(笑)。
優柔不断というのか、自分の身に降りかかっていることを理解できていない吉も (・∀・)イイ。
あやや、マシ〜ンのように光線発射しとりますなぁ、吉が溶けてしまわないように、っと(笑)。

ほんとに無理をしないで下さいね。
お母さん、心配…。
176 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月20日(水)21時49分58秒
>『ひとみちゃん…。寒いよぅ』
この一言でご馳走さまです(w
先生可愛い!
177 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月20日(水)21時52分59秒
>我慢なのよ、梨華!
なんでやねん!って思わず突っ込みたくなりましたよ!(w
やさすぃーよっすぃーは、やっぱイイ!!

調子悪いのに人の体まで気遣っていただけるとは・・・・・!?
感謝です。(泪)がんばってください!!
178 名前:名無し男 投稿日:2002年02月21日(木)14時30分15秒
まあ、釣りみたいなもんですな
179 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月22日(金)17時50分47秒
こちらのスレには初レスです!
さすが師匠!ホレます!もちろんよしこにも。(w
この先、どうなるんですかー!?
気になります!頑張って下さい!

どさくさにまぎれて、「師匠!」なんて呼んじゃったり。(w
180 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時19分54秒
-14-

 ひとみは家へと走りながら、自分の取った行動に驚いていた。

―――なんで、抱き寄せちゃったんだろ? そんなつもりなかったのに…。

 しかし梨華の反応は…。戸惑っていた風に見えた。
 別に梨華を試している訳ではないが、やはりひとみから見ると梨華は自分には
そういう気持ちがないように思える。

―――やっぱり、先生にはからかわれてるんだろうな。

 考えてみれば、梨華から見ればひとみは自分よりも6つも年下なのだ。
 そういう対象に見る方がおかしい。
181 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時20分48秒
 そして気になる亜弥の存在。

 キスされてしまった。無意識にひとみはくちびるに手を当てた。
 真剣な亜弥の視線。今思い出しても、頬が熱くなる気がした。

―――こんなに自分の事想ってくれてるなんて。

 正直嬉しいけれど、戸惑いも隠せない。やはり妹的な存在の亜弥に、恋愛対象として
見る事はすぐには無理だった。しかし、亜弥の真っ直ぐな気持ちは大切にしたいとも思う。

 今日も亜弥は泊まりに来るのだろうか? 
 こんな気持ちで一緒に寝る事は出来るのだろうか?

 ひとみは、自信がなかった。
182 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時23分01秒
-15-

 そして3日が過ぎて、6月25日になった。

 ひとみの方が意識してしまい、なかなか亜弥とうまく喋る事が出来ないでいた。
 亜弥は普通に接してくるのだが、ひとみの方が照れてしまっている。
 それでも、亜弥は毎晩泊まりに来るのだった。

 一方梨華との関係も変わらず…。

 梨華の方は、仕事に追われ、ひとみどころではなかった。
 一応教師らしい事もしているらしい。
 やっと仕事も一段落して、今日は、ひとみを食事に誘おうと梨華は張り切って
放課後ひとみを呼び出したのだが―――。
183 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時23分43秒
「すみませんっ。今日は特別な日なんで、お断りします!」
 などと、爽やかに、しかもあっさりと振られてしまった。

―――悔しいけど、断り方も、カッコいいわ、ひとみちゃん!(涙)

 それにしても私の誘いを断るなんて! 一体どんな特別な事があると言うのだ。
 梨華は、知らず知らずのウチに、ひとみの後を尾けていたのだった。
 しかし、そんな梨華の後ろにも更に一人梨華を尾ける人物が―――。
184 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時25分09秒
「あやゃ、帰ろう」
 もう誰もいない亜弥のクラスに、ひとみは入っていった。
「ひーちゃん。待って」
「ん?」

 亜弥は、どうしようかと迷っていたようだが決心して言った。

「ここで、ひーちゃんから誕生日プレゼント貰おうかな」

 廊下でコッソリ2人の会話を聞いていた梨華は、やっと分かった。
(今日は松浦さんの誕生日なのね。また松浦さんかよっ!)
 
 ここ数日で、ひとみと亜弥が噂されてるのも気になっていたが、有力情報も掴めぬまま
今日まで来てしまったのだ。
185 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時26分03秒
「貰うって。あやゃから何もリクエスト受けてないんだけど?」
「ひーちゃんがいれば大丈夫なの」
 そう言って亜弥はひとみの手を取った。
「私が?」
「ぅん…」
「なに? 早く言って」
「キスを……ください……」

(なにぃぃ〜〜〜!!!!!!!!)
 思わず梨華は大声を出しそうになったが、何とか堪える事が出来た。
(松浦、子どものクセに!! ひとみちゃんがする訳ないじゃない!)
 自信ありげに心の中で叫ぶ梨華だったが…。

 ひとみは驚いた顔と同時に真っ赤になりながら言った。
「キスって…。この前……したじゃんか」

(したぁぁぁ〜〜〜!? いつの間に、ひとみちゃん!! 酷いよ、私がいるのに)
 すぐに崖から突き落とされる梨華。
 いつの間にかハンカチを出して涙を拭う始末。
186 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月22日(金)19時27分25秒
「だって、あれは……。私からだったし…。それに、ひーちゃん…」
 亜弥は、そう言いながらひとみの背中に腕を回し、背中で「の」の字を書き始めた。
「……(それ反則だからやめろって!)」
「ひーちゃんからキスしてくれないし…」
「…出来るわけ…ないじゃん……」
「どうして?」
 切なげにひとみを見上げる亜弥の瞳に、ひとみはドキンとする。

(そうそうひとみちゃんがする訳ないのよ!!)
 しかし梨華は無意識にハンカチを食いしばっていた。

「どうしてって……」
「ひーちゃん私のお願い断ったコトなかったよね…」
「そうだけど」
「じゃぁ…してよ」
 そしてまた亜弥は上目遣いでひとみを見つめると、そっと目を閉じた。
187 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月22日(金)19時29分31秒
>>180-186 14-15話をちょこっと更新です。

>174 いしごま防衛軍さん
よっすぃーの気持ちは、今はあやゃに傾いてるっぽいです。
もうそろそろ石川先生も動き始めそうです(遅いって)?

>175 夜叉さん
早くやってしまえばよかったのに石川(w。
よっすぃーには、もう少し揺れ動いてもらいます。

>ほんとに無理をしないで下さいね。
>お母さん、心配…。
ありがとうございます。お母さんでしたか(爆)。

>176 某さくしゃさん
可愛いですか。さくしゃさんもがんがってください。

>177 よすこ大好き読者さん
石川はタイミング悪いもんで、あやゃがリードって感じですね。
お腰大事になさって下さい。おらも、まだ風邪が(泣)。

>178 名無し男さん
やはり釣られるのは、吉澤くんですかね(w

>179 吉胡麻系さん
ひさぶりです。高校も決まって良かったね!
師匠でも何でもないので今後呼ばないように(マジで(泣))。
188 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月22日(金)21時05分42秒
あやゃ可愛い……。
お誕生日くらいは篭絡されちゃってくださいよ、ひーちゃん(w
189 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月22日(金)21時30分05秒
なんだかすれ違ってばかりの2人、
年齢差、だけじゃ無いですね、
邪魔しているのは・・・。
190 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月23日(土)00時24分14秒
あーーー師匠の書くあやぁに萌え中ですが・・・・何か?(w
あやゃと吉って、「いしよし」推しの私的には「ん?」だったのですが、それもあり?
と、思えるようになったのは、この小説に出会ったときから・・・・。
そんな、私はアホウドリ・・・・・とか言ってたらカオリンになりそうなのでこのへんで(w
続きに期待!!ですが、お体には気をつけてくださいね。
191 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月23日(土)00時28分31秒
あやぁも可愛い。
でも・・・せめて先生の目の前だけはやめて欲しいでやんす。
理解してよっすぃー!
192 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月23日(土)02時20分18秒
梨華先生遅いよ。もう完全によっすぃーはあややに傾いているじゃないか。
この後梨華先生はどういう行動にでるんだろう。そして梨華先生のあとを
つけているのは誰なのか。だいたい予想はつくけど気になる。
梨華先生、あややにはるかに遅れをとってしまった。
梨華先生優勢から敗北寸前へ!!風前の灯かな。頑張れ梨華先生。
更新楽しみに待っています。頑張ってください。
193 名前:夜叉 投稿日:2002年02月23日(土)10時41分29秒
あがががが…、ある意味修羅場ですなぁ(汗汗)。
ニヤニヤしながら読んでる自分は作者様の思うつぼなのでしょうか?(笑)
石川先生の反撃と後ろの影に期待してます。
194 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)17時16分11秒
-16-

 沈黙が続く中、梨華は不安になり、こっそりと教室を覗き込んだ。
(まさか、ひとみちゃんホントにするんじゃ……)

 ひとみは暫く困った表情で目の前で目を閉じている亜弥を見つめていたが、
 亜弥の前髪をあげると額にそっとくちづけた。

「……!!」

 亜弥は、目を開けるとひとみの顔を覗き込む。
 こういう結果になるのは分かっていたように言った。

「私を子ども扱いしないでよ…」
「あやゃ…」
「ひーちゃん、お願ぁいはあとはあと
 そう言って再び目を閉じる亜弥を目の前に、ひとみの心は、かなり揺れ動いていた。
 ひとみは軽く溜息をつくと、決心したように亜弥の肩に自分の手を乗せた。

(ひ、ひとみちゃん!?)
195 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)17時17分16秒
 ひとみも目を閉じると自分より約10cm程低い亜弥の顔に近づけていく。
 ひとみは訳もなく緊張して震えていた。なんとか亜弥のくちびるに辿り着くと軽く触れる。
 まだ震えているひとみに、亜弥は応えるようにしっかりとひとみのくちびるに重ねた。

(ひゃぁぁぁ〜〜〜!!!)
 梨華は思わず大声をあげそうになるが寸手の所で口を塞がれて腕を掴まれた。
 不意打ちで、梨華は自分以外にも傍に人がいた事に気付かず、今度はそちらの方に悲鳴を
上げそうになるが口を塞がれているから声が出ない。じたばたと、もがく梨華にぐいぐい引っ張られ、階段のところまで引きずられてしまった。

 ひとみからくちびるを離すと、亜弥を抱き寄せた。
 目を合わせるのが照れくさかったからだ。
「誕生日おめでとう。あやゃ…」
「ひーちゃん。嬉しいよ。ありがとぅ…」
「バカ…」

 ひとみは1つ年下の幼馴染みが愛おしく感じ始めていた。
196 名前:名無し男 投稿日:2002年02月23日(土)17時18分38秒
石 川 さ ん は 
日 清 焼 豚 屋 の C M の 
本 山 状 態 で す か ?

吉澤完全に傾いてるよ(アワワワワ)

197 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月23日(土)17時27分27秒
少しだけですが更新です。

>188 名無し読者さん
しちゃいました! お誕生日って事で。しかし吉の気持ちにも変化が…。
押されると弱いタイプのようで。

>189 M.ANZAIさん
そうですねぇ。邪魔が入りまくりですね。この先も多難かも?

>190 よすこ大好き読者さん
あやぁって(w。あやゃって156cmなんすね。
今日は恥ずかしかったですがUP to Boy買ってしまいましたよ。ヤッスーマンセー!(爆)
よっすぃー表紙以来のUP買い。はぁ。

>191 某さくしゃさん
ぅぅ。すみません。先生も見てしまいました!

>192 いしごま防衛軍さん
遅いですね。吉は、その間にあやゃに…。
石川をつけてたの誰だか分かりましたよね。あの人か、あの人しかいませんので(笑)。

>193 夜叉さん
>175で言い忘れてた事が(爆)。私、それ入ってるCD持ってますよ!(爆)懐かしい!
懐かしいと言えば堀ち○みのベスト昨日聴いてましたが(爆)。
石川の反撃は、まだ先になりそう…かな? ハッキリ決めておりませぬ。
198 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月23日(土)17時35分19秒
よかったねあやや^^
でもよっすぃ〜の気持ちはどうなんだろ??
あと石川はどうなったのかな^^;
やっぱいいですね☆がんばってください^^
199 名前:名無し男 投稿日:2002年02月23日(土)18時05分59秒
誰だ!?
一体誰に拉致られたんだ石川!!
この先信じられない事態が!?

さっきのちょっと被っちゃってスマソ
200 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月23日(土)19時05分16秒
あやぁになっていましたね。^^;)
あやゃにおされ気味の吉、どうなんでしょ?
石川先生の反撃に期待!!(w
201 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時05分35秒
-17-

「梨華!! アンタまた覗き見しとんのか!」
「離してよぉ!」
 梨華は涙目になりながら掴まれている腕を振り払った。

「あんまり良い趣味とは思えんけどな」
 中澤は梨華を見下ろし腕組みしながら答えた。

「裕ちゃん…。ぁっと、中澤先生…」
 慌てて梨華は言い直す。
「別にえぇで。もう放課後やしな。しかし梨華! 性懲りないねんなぁ」
 中澤は呆れたように言う。
「裕ちゃんに言われたくないよ…」
 梨華は視線を落とす。
「まぁえぇわ。早よ、立ちや」
 まだ座り込んでいる梨華を無理矢理立たせる。
「………」
「ショックで声も出ぇへんのか? 梨華、マジで吉澤のコト?」
 噂では中澤は梨華が、ひとみに気があるらしい事は聞いていた。
 梨華はハンカチを握りしめながら頷いた。

「これから久しぶりに飲もうや。付き合え梨華」
 中澤は梨華の肩に手を回した。
202 名前:名無し読者。。。 投稿日:2002年02月23日(土)21時06分40秒
う〜この小説のあややいいっすねー!たまらん!!
石川先生は誰に拉致されたんだろう・・あの人かなぁ〜
203 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時06分45秒
「もう帰ろうか…」
 暫くそのまま2人は抱き合っていたが、ひとみから口を開いた。
「そうだね…」
 亜弥は、ひとみから名残惜しそうに身体を離した。
 ひとみは意識しすぎて思うように亜弥と会話が続かない。

 昇降口で亜弥を待ち、一緒に帰ろうとすると、亜弥が自然と腕を絡めてきた。
 キスに気を良くした亜弥は、更にひとみにお願いをする。
「ひーちゃん、もう1つお願いがあるんだけど」
「うん。なに?」
 ひとみは優しく聞き返した。亜弥はひとみの耳に近づくと小声で言った。
「えぇー?」
 ひとみはビックリして思わず亜弥を見つめてしまう。
「校門の前まででいいから…。ね? お願いひーちゃん♪」
 亜弥に拝むポーズまでされて、ひとみは仕方ないなぁと言った顔で頷いた。
「特別だぞ。全く…」
「だから好きなんだ。ひーちゃんのコト!」
 亜弥はそう言ってひとみの頬に軽くキスをする。
 それだけで顔をサーッと赤く染めるひとみに、亜弥は嬉しそうに微笑んだ。
(ひーちゃん、大好き! 絶対石川先生には渡さないもん!)
204 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時07分17秒
「カバンが邪魔になるんだよなぁ…」
 ひとみは、亜弥を抱き上げると、少し顔をしかめた。
 梨華の方が軽かった。なんてこの前抱き上げた事をひとみは自然と思い出していた。
「お姫様抱っこ♪」
 亜弥は嬉しそうにひとみに顔を擦り寄せてくる。
「甘えん坊のお姫様だな、あやゃは…」
 すっかり甘い世界に溶け込んでいる2人に中澤は割るように会話に入っていった。

「相変わらず仲良ぇのう。お二人さん♪」
 背後から声を掛けられて、ひとみは慌てて振り返った。
 見ると中澤がニヤけて立っていて、その隣りには、梨華が泣きはらした目で見つめていた。
205 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時08分23秒
-18-

「先生…」
 ひとみは絶句する。
 一番見られたくない場面を見られたような気がしてひとみは梨華から視線を逸らした。
「今日は亜弥の誕生日ですから、特別ですよ」
 ひとみは中澤に対して言う。
「特別か。若いってえぇなぁ…」
 梨華は何も言わない。
「ところで、お前ら付きおうてんのか? 最近噂が絶えへんで」
 中澤は単刀直入に切り込んで来る。
「本当ですか! って言わなくてもバレバレですよね?」
 勿論即答したのは亜弥の方。ひとみは戸惑いがちに亜弥を見るが、敢えて否定もしなかった。
 否定したところで、噂なんか消える訳がないからだ。
206 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時09分07秒
「吉澤は、どうなんや? 松浦のコト好きなんか?」
 亜弥の答えは分かり切っているから、中澤は敢えてひとみにも話を振ってきた。
「ま、まぁ付き合ってるって言うか、なんていうか…」
 ひとみの方は何とも歯切れが悪かった。
「なんや、ハッキリせぇへんなぁ。なぁ梨華?」
 突然話を振られて、梨華は顔をあげた。
「へ? そうだね」
(梨華、何マヌケな返事してんねん! 言ったれ!!)
 中澤は目で梨華に合図をするが、当の梨華は全く気付かず、ボーッと突っ立っているだけだった。

「あ、あの。私達失礼します」
 ずっと亜弥を抱き上げたままの姿勢で既にひとみは腕が疲れ始めていたし、このまま梨華達と
話を続けるのもイヤだったから、ひとみは早々に退散しようと軽く一礼すると足早に歩き出した。
207 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時09分48秒
 黙って黙々と歩き続けるひとみに、亜弥は、やはり不安の種は消えないでいた。
 梨華を前にすると、明らかにひとみの様子がいつもと違くなるのだ。それはハッキリしていた。

―――やっぱり、ひーちゃんは石川先生の事…。

 亜弥は寂しげにひとみを見つめるが、ひとみは前を見たまま歩き続ける。
 ひとみの気持ちが、梨華に少しでもある事は感じ取っている。それでも梨華には負けられない。
 日増しに、ひとみの事が切なくなる位に好きになっている亜弥は、どうしても、ひとみを譲る事
は出来ないでいた。
208 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月23日(土)21時10分28秒
 小さくなるひとみの後ろ姿を眺めていた中澤と梨華だったが、中澤が怒ったように梨華に言う。
「梨華! いつから、そんなヘタレになってん!」
「だって…。ひとみちゃん、あんな風に優しげに松浦さんに言うんだなぁって」
「なに感心してんねん!」
「私に対しては、敬語使ってよそよそしいし…」
「そりゃ、梨華は担任なんだから当たり前やろ! タメ口だったらウチだったら許さへんで」
「私、出遅れたみたい」
 しょぼくれている梨華を見て中澤は渇をいれる。
「敗北するには、まだ早いで? 飲みながらゆっくり話そうや、いろいろとな」
 中澤は梨華を宥めると、学校を後にした。
209 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月23日(土)21時17分17秒
本日2度目の更新。
早く石吉にも展開を見せたいのですが、なかなか進まず。
石がネガティブに入ってしまい、どう行動的に動かすかが(w。

>198 名無し☆さん
よっすぃ〜は、あやゃが可愛いと傾きつつも、石川が気になると言う。優柔不断ですな。
あやゃも気が抜けない状態です。

>196.199 名無し男さん
予想通りでしたか?

>200 よすこ大好き読者さん
早く石川さん反撃して欲しいです。

>202 名無し読者。。。さん
あやゃいいって言ってもらえると、いしよしヲタのクセに顔がニヤけます(w。
ありがとうございます!拉致って言うか、まぁそんな事出来る人は中澤姐さんしか
いません!ヤッスーでも良かったんですが、それはさすがに強引かなぁと(笑)。
210 名前:名無し読者。。。 投稿日:2002年02月23日(土)21時28分32秒
さっきは1分差で途中にカキコが入っちゃたみたいで・・・
申し訳m(_ _)m自分もいしよしヲタですが最近よしあやもいいなぁと(ニヤリ)
211 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月23日(土)23時55分34秒
さすが神様!更新早いですね!ちょっとは見習わなきゃ…。
よっすぃー…しちゃいましたか…。
泣きはらした先生可哀想…。
でも…まだ脈有りの雰囲気。
212 名前:パム 投稿日:2002年02月24日(日)04時56分29秒
今日が始めてですが楽しく読ませていただいてます。
あやゃいいですね!。かな〜り萌えです。
今後の展開に期待して更新まってます!。
213 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月24日(日)09時25分15秒
中澤先生登場ですか。梨華先生には強い味方ができましたね。
たしかに敗北するにはまだ早いかも無条件降伏を受け入れてはだめだ梨華先生
最後まで戦うんだ。梨華先生なんか切ないです。思いがうまく伝わっていないのだから。
頑張れ梨華先生!!更新楽しみに待ってますよ。
214 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月24日(日)13時38分10秒
おっ!中澤さん登場ですね♪
今後、どのような動きを見せるのか・・・、期待してます!

ってか、あやゃかわいい。(w
215 名前:夜叉 投稿日:2002年02月24日(日)14時14分35秒
迫り来る影は姐さんだったのか。自分はてっきり(略)。
でも、石川先生にとっては強い味方になりそうなんですが、もしかすると不発の核弾頭か!?(爆)
吉の気持ちも揺れ〜るぅ。続き、楽しみです。

ややっ、持ってらっしゃるんですか?自分も昔大好きだったんですよ(爆)。
つい最近、それと2枚目、その他諸々のCD-Rをもらったんでご満悦。
堀ち○みとは…、作者様 (・∀・)イイ(爆)。
216 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時49分12秒
-19-

 校門の前に着くと、ひとみは亜弥を降ろした。
「これからどうしようか? 帰って着替えてから出かける?」
 ひとみは、いつもの調子に戻っていた。
「ひーちゃんの部屋に一緒にいたい…」
「それじゃいつもと変わらないじゃん。それにプレゼントもまだだし」
「それは、さっき貰ったし。ひーちゃんと一緒なら、毎日が誕生日だよ」
「大袈裟だな、あやゃは。もっと欲しいもんあるだろ?」

 本当に欲しいもの。それは、ひとみの心。
 私だけを見てくれる瞳。

 亜弥は考える振りをして、ニヤッと笑って言う。
「ひーちゃんの身体!」
「……!! バ、バカ、何言ってんの?」
 ひとみは動揺すると亜弥を見返した。
「冗談に決まってるじゃない。帰ろっ」
 亜弥は、ひとみの腕を取ると駅に向かってスキップするように歩き出した。
「もっと気の利いた冗句にしろよなー」
 ひとみは苦笑いしながら言う。
217 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時49分56秒
 冗談と言ったものの、亜弥は結構本気だった。と言うより、ひとみになら抱かれても
いいとさえ考えていた。但し、ひとみは絶対に拒否するのは目に見えているのだけれど。

 ひとみは、梨華が気になっていた。
 なんで泣いてたんだろう? まさか、保田になんかされたとか?
 そんな考えしか浮かばない自分に情けなくなる。
 中澤と一緒だから、きっと彼女が梨華を慰めるのだろう。それはそれで面白くないが
自分は今、亜弥と一緒だし、梨華とはただの生徒と先生の関係だけ。
『自分は何を先生に求めてるんだか…』ひとみは首を振って梨華の事は思い出さないようにした。
218 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時50分32秒
 中澤と梨華は、中澤行きつけの居酒屋に来ていた。
「梨華も遠慮せんと飲めや」
 中澤は梨華のグラスにビールを注ごうとしたが、梨華が慌てて押さえた。
「遠慮じゃなくて飲めないんだってば!」
「相変わらず飲めないんか。付き合い悪いで梨華」
「飲むと気持ち悪くなるし…」
 梨華は酒に弱かった。気持ち悪くなるだけならいいが、やたらと絡む癖もあるから
おちおち飲み会には出る訳にもいかなかった。

「まだ歓迎会とかしてへんのか? 圭織とか毎週飲み会開いてると思うとったけど」
「もうそろそろあるみたいな話は聞いてるけど」
 梨華は空のグラスをもてあそびながら答えた。
「圭坊からは誘われへんの? 梨華の教育指導係やなかったかいな?」
 中澤は既に乾杯する前に、1杯飲み干していた。
 それを横目で梨華は見ながら「すごい」と呟いていた。
「保田先生、いまいちまだ性格とか掴めなくて…」
「圭坊の好みそうなんやけどなぁ、梨華は…」
 中澤は梨華をチラッと見るが、梨華は聞いてなかったようで聞き返した。
「何? 裕ちゃん…」
219 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時51分35秒
「なんでもない。それより、梨ぃ華ぁ」
 中澤の目つきが急に変わる。
「なによ」
 梨華はムスッとして、運ばれて来た烏龍茶を自分で注いだ。

「さっきの話やけどな、覗き見は感心せぇへんで。大学の時から変わっとらんやないかぁ」
「あれは覗き見じゃなくて、たまたまなの! それに裕ちゃんだって私の後を尾けてた訳だから
 一緒じゃない」
「梨華の言い分は尤もらしく聞こえるけどな、覗きは覗きやねん」
 そう言って中澤は出されたツマミに箸をつけた。
「だって、ひとみちゃん私の誘い断るから…。そしたら、やっぱり松浦さんが…」
「梨華も吉澤が好みなんか? どいつもこいつも吉澤吉澤って、矢口まで…」
「矢口先生が、どうかした?」
「ぃや、なんでもあらへん」
220 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時52分27秒
 中澤は咳払いをすると
「梨華の気持ちが本気なら何も言わへんけどな。吉澤の性格よぅ知らんのか、梨華は。
 アイツは押されると弱いタイプや。それは松浦との関係見てて分かるやろ。
 こうなったら強引に部屋に連れ込んでやな…」
「ちょっと待ってよ。そんなコト…」
 梨華は言いかけている中澤の話に割って入るが。
「大体、梨華は駆け引きがヘタやねん。どうして初日の日に、何もせぇへんかったんか?」
「だって最初から、そんなコトしたら警戒されちゃうでしょ?」
「アホやなぁ。既に部屋に入った時点で、もうOKみたいなもんや」

 男と女なら、そうかも知れないが、そんな風に思うものだろうか?
 さすがの梨華も疑問に思い首を傾げた。
221 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月24日(日)16時53分32秒
「今度吉澤を部屋に呼んだら、酒でも飲ませてやってまえ!」
「裕ちゃん…」
「もたもたしとるから、松浦に吉澤持ってかれてしまうんやで。
 その辺分かっとるんかいな梨華は」
「分かってるよ」
「分かってへんから、7つも年下の松浦に先越されるんやろ!」
「それは言わないでよ!」

 中澤は梨華が、まだ未経験なのを知っている。キスさえまだな事も。
 しかし、ひとみに痴漢行為をした事は知らないが。

「キスぐらい…簡単だよ」
 梨華はグラスを握りしめながら言った。
(夢の中じゃ何度もひとみちゃんとは数え切れない位キスしてるんだから!
 キス以上の事も、もちろん!!)
 そんな事を言っても虚しいだけだが、梨華は、ひとみゲットを真剣に考え始めていた。
222 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月24日(日)17時02分46秒
吉君ハッキリしなさい! な感じで1つ…。
あやゃの追加も当たって一安心。

>210 名無し読者。。。さん
空にも感想どうもです。赤の方はハンサムな彼女です。
今、ちょこっとだけ(もごもご。そちらも読んで下さい。

>211 某さくしゃさん
まだ脈有りですよ! 吉の方が気になってる感じですね。
短編なんとかは参加した事ないです。自分のでいっぱいいっぱいなんで。

>212 パムさん
あやゃ良いですかぁ。嬉しいですぅ。でもあやゃの幸せは長くは……(泣)。

>213 いしごま防衛軍さん
強い味方と言うか、なんと言うか。
梨華先生も再び吉に近づきそうですね。ってか遅いんですけど。

>214 吉胡麻系さん
なかなか2人っきりに出来ないんですよねぇ。

>215 夜叉さん
姐さんは不発かも(爆)。

うしろ○とかは、あんまり興味ないっすねぇ。
石川○美のベストも持ってますが何か?(爆)
223 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月24日(日)18時22分29秒
石川先生。酒でも飲ましてやってしまうのか??
もうこのまま、押して押してやっちゃって!!
てな、感じです。
224 名前:名無し男 投稿日:2002年02月24日(日)20時34分16秒
裕チャソ、ソレハヤリスギアル。
225 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月24日(日)22時23分41秒
中澤先生の“恋愛指南役”は石川先生に吉なのか凶なのか・・・。(吉であってほしい)
でも部屋に連れ込んで酒飲ませてっていうのはもしかして犯罪かも。
あっ、痴漢行為は犯罪ですけど。覗き見ってどうなんだろう?(そんな話で無く)
226 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月25日(月)00時44分40秒
よしこの気持ちがぐらついてる間にお酒を飲まして…
とんでもない教師だ(w
先生がんがれ!
227 名前:夜叉 投稿日:2002年02月25日(月)14時07分32秒
姐さんは(略。藁
石川先生の強行突破、楽しみにしてますね。
228 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月25日(月)19時52分58秒
石川先生にとうとう動きが?!
あやゃはどうするのかが気になります!
うちはよしあや押しなんで^^;
でもみなさんはいしよし派ですよねぇ。
とにかく期待です^^
229 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月26日(火)02時58分10秒
本当に梨華先生はおそいよ。あやや独走中でな。
いくらよっすぃーの中に梨華を思う気持ちがあったとしても
あややの攻勢にはかなわんでしょう。更新楽しみに待っています。
頑張ってください。
230 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時52分21秒
-20-

 ひとみと亜弥は、亜弥のリクエスト通り、ひとみの部屋に居た。
 どうも会話が弾まないので、ひとみは自分の部屋なのに居心地が悪い。
 そして、梨華の事も気になっていた。極力気にしないようにしてはいるが、
ふとした時には、梨華の事を考えていた。
 中澤に何かされてないか? とか、酔っていないか? とか…

 折角の亜弥の誕生日なのに、心の中で謝りながらひとみは遠くを見つめていた。

 そんな様子のひとみに亜弥が気が付かない訳がなく―――。

231 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時53分14秒
「ひーちゃんっ!」
 亜弥は努めて明るく言うと、ひとみに抱き付いた。
「あやゃ、こんなとこにいてもつまんないだろ? せっかく部活も休みもらったのに
 いつもと同じじゃさぁ…」
 ひとみは亜弥の髪の毛を撫でながら言う。
「そんなコトないよ。ひーちゃんと一緒だもん♪」
「いつだって一緒じゃんか」
「そうかな…」
「え?」
 ひとみの手の動きが止まる。
「ぅぅんっ。なんでもないよ」
 亜弥は顔をあげると、ひとみを見つめる。
 亜弥の真っ直ぐな瞳で見つめられて、ひとみは心の中まで見透かされそうで自然に目を逸らした。
 しかし、亜弥は手でひとみの顔を自分に向かせると、おもむろにくちびるを塞いだ。
「……!?……あやゃ…」
 ひとみが驚いた目で亜弥を見つめる。亜弥はくちびるを離すとくちびるを噛み締めて言った。
232 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時54分23秒
「そんなに気になるんだ。石川先生のコト…」
「……そんなんじゃないよ…」
 否定したものの、それがウソである事は一目瞭然だった。
「ウソ。ひーちゃんのコト小さい頃からずっと見てるから大体分かるよ」
「………」
「今日だって、石川先生に会った後から、ひーちゃんの心は、ここにあらずだもん。
 そんなのイヤ」
「あやゃ…」
「さっきのキスだって、ホントはしたくなかったんでしょう?」
 亜弥の目が途端に曇り始める。
「そんなコトないよ!」
「だって、ひーちゃんからキスしてくれたコトなかったし、言ってくれなきゃしてくれないなんて
 私イヤだよ。それに、ひーちゃんの心には、石川先生がいるし…」
「違うってば! そりゃ気になるコトは気になるけど…。でも、先生は私のコトなんか…」
「気にしてないと思ってるの? 私だってひーちゃんのコト好きだから、先生のコト何となく
 分かるよ。ひーちゃん意識してるのも! それが分からないのは、分からない振りしてるのは
 ひーちゃんの方だよ!」
233 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時55分11秒
「違う! 話戻るけど、あやゃにキスしたのは、別に頼まれたからじゃなくて…
 ホントにしたいって思ったから。あやゃのコト好きだからだよ。じゃなかったら頼まれたって
 キスなんかするかよっ!」
「ホントにそうなの?」
「ぅ。ぅん…」
 勢い余って言ってしまったものの、勿論ウソを言った訳でもないが、聞き返されると
 途端に気弱になってしまうひとみだった。
 その言葉に、亜弥は取りあえず梨華の事は置いて置いてひとみににじり寄ってきた。
「じゃぁ、私にも分かるように、もう一度キスしてくれる?」
「分かるって……なにを?」
 1つ年下の幼馴染みに押され気味のひとみは、身体を仰け反らせながら言った。
「キスをすれば、ひーちゃんが、ホントに私のコト想ってくれてるか、どうか分かるから」
「…まさか」
 ひとみは、亜弥を見ながら目を瞬いたのだった。

 キスで何が分かるというのだろう? 大体ひとみはキスの経験は、亜弥にされたのと
さっきの一度のキスしかないのだ。
234 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時55分59秒
「私は本気だよ? いつだって本気でひーちゃんだけを見てきたんだから…」
「亜弥…」
 その真剣な気持ちが、どうして自分に向けられるのか、嬉しいような複雑な気分でひとみは
亜弥を見つめていた。
「ねぇ、キスしてよ! ひーちゃん」
「そんな風に言われてキスなんかしたくない」
 ひとみは亜弥に背を向ける。
「キスは、こう…もっとムードがないと…」
 ひとみが言い訳めいた説明をしていると亜弥が大声を出した。
「意気地なし!」
 亜弥は後ろからひとみに抱き付くと、ひとみの首筋に顔を埋めた。
「ぁっ…っ」
 ひとみはゾクッとした感触が身体に走り、思わず首を竦めた。
「ひーちゃんの方が1つ上なのに、なんでそうなの?」
「なんでって聞きたいのは、こっちの方だよ、あやゃ!」
 ひとみは亜弥の方に振り向くと手首を掴んで亜弥を抱きしめた。
「ひーちゃん…」
「そんなに急いでどうすんだよ。ゆっくり進めばいいじゃないか」
「それじゃ遅いんだよ」
235 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年02月26日(火)20時57分10秒
 亜弥の頬には涙がいつの間にか涙が伝っていた。
「泣くコトないだろ…」
 ひとみはそう言いながら指で涙を拭ってやる。亜弥の涙に弱いのだ。
「泣かせたのは、ひーちゃんじゃない」
「………」
 ひとみは一瞬視線を落としたが、意を決したように亜弥の顎を指で軽く押し上げると
自然とくちびるを重ねた。

(ひーちゃん!??)

 何度か角度を変えながらキスを続けながら、ひとみは亜弥の腰に手を回す。
「……っ…」
 思わず亜弥の口元から溜息混じりの吐息が漏れ始めた。
 ひとみは暫く亜弥とくちづけを続けていたが、亜弥の方からくちびるを離した。
「ひーちゃん…」
「…なに?」
「ありがとう」
「バーカ!」
 ひとみと亜弥の額に、自分の額をコツンと当てるとそう言って笑った。

 優しくされればされるほど、亜弥の心は切なくなる一方だった。
236 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年02月26日(火)20時58分09秒
切ないあやゃはLOVE涙色。
石川先生の攻撃は、このあとすぐ!(でもないです…)

>223 よすこ大好き読者さん
やっちゃってって(w。このまますんなり行くハズもなく(謎)。

>224 名無し男さん
裕ちゃんですから、やりすぎもへったくれもあるかい! なんです(爆)

>225 M.ANZAIさん
凶かも知れませんねぇ。まぁ石川も自分なりに、よしこを別の方向で
誘ったりなんかするみたいです?(そっちの話考えてたら萌えた私はバカ?(泣))

>226 某さくしゃさん
石川早く動け! って自分も思います。

>227 夜叉さん
姐さん無茶苦茶ですね。それが姐さんです。

>228 名無し☆さん
数少ない?よしあや派には、今回はどうでしたか?
あやゃもこの先やきもきが続きそうです。吉君優柔不断だから。

>229 いしごま防衛軍さん
独走するのは、ここまでかな? 分かりませんけど。
237 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月26日(火)22時15分07秒
私は、熱血な「いしよし」推しですが、なんだかここでは、
あやゃにがんばってほしいような・・・・・・(w
ダメダメと思いながら、ついあやゃを応援したくなるです。はい。(謎)
238 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)23時16分55秒
石川さん!
石川さん! 
旦那が旦那がぁー!!あんな事してるぞぉ!
239 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年02月27日(水)04時23分15秒
あやゃ可愛いーーー!!!がんがれ!あやゃ!
って、いしよし推しの自分ですが、ここのあやゃは応援したくなるっす!

石川先生の爆走にも期待しつつ、明日も会社なんでいい加減寝ます。(w)
240 名前:夜叉 投稿日:2002年02月27日(水)12時07分04秒
うーむ、あややが一歩リードですな。ニヤソ
やはり、ここぞという押しが大切ですぞ。>石川先生(笑)。
吉もぐらぐらしてる暇なさそうでしゅね、楽しみです。
241 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年02月27日(水)12時50分42秒
あややの攻勢は本当にここまでなんでしょうか?
梨華先生の攻撃があまりにも遅い!!どうなるんだ。
ヤッスーが影をひそめているけど何を考えているのだろうか。
楽しみに更新待っています。頑張ってください。
242 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年02月27日(水)14時30分56秒
あやぁが可哀想になってきた…。
なんかいちばん切ないですね…。
でも…私は先生派…。
243 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年02月27日(水)17時43分31秒
あやゃ積極的ですね〜。
先生にもそのくらいガツンと行って欲しいですね〜。

ヤッスー注意報は継続中でしょうか。(意味不明)
244 名前:名無し☆ 投稿日:2002年02月27日(水)18時05分54秒
あやゃ最高です!
このままよしあやに・・・なんてどうっすか?!^^;
いしよしもいいけど、よしあやはやっぱりいいですね^^
245 名前:名無し男 投稿日:2002年02月27日(水)18時28分51秒
波乱は・・・無しだ
246 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年02月27日(水)23時29分58秒
なんだか、あやゃの幸せの瞬間のはずなのに悲しみを漂わせている気がします。

凶とでるのか石川先生・・・、でも悪いところから始まれば後は良くなるホッケの太鼓。
今後の石川先生の行動に注目してます!
247 名前:理科。 投稿日:2002年02月28日(木)16時43分13秒

…あう。さすが!さすがです!面白いです(泣)!
あやゃ可愛いです。このま(略
…すみません。取り乱しました(爆)。
石川先生、このままでいいんですか?
248 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時17分52秒
-21-

 翌朝―――。
 梨華は重い頭を引きずりながら登校した。
 結局中澤に付き合わされサワ−一杯で、このていたらく。
「だからお酒はキライなのよ…」
 梨華はポカリスエットを一気に飲み干すと、まだ来ていない中澤の
机を恨めしそうに見つめていた。

―――今日こそ、ひとみちゃんを家に連れ込んで…裕ちゃんが言った
みたいにお酒飲ませて……。でも、それって犯罪にならないかしら?

 梨華は自分の痴漢行為は、すっかり棚に上げて、その事に悩み始めていた。
 そこへ、梨華の肩に手を置かれ、梨華は振り返った。
「石川先生、おはようございます」
「保田先生。お早うございます」
 梨華の憂鬱そうな表情を見て、保田は苦笑いする。
「夕べは遅くまで飲んだの?」
 決して嫌味では、ない聞き方だった。
「あっ…ちょっと…中澤先生と……」
 梨華は言葉を濁す。そう言えば、保田の誘いを一度断っているから
近々、保田とも付き合わなければいけないのを思い出し、梨華はまた憂鬱になる。
 いくら付き合いとはいえ、酒に弱い梨華にとっては酒の席は苦痛なのだ。
 保田も噂では中澤と同じく酒豪であると聞いている。
249 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時22分38秒
「私、全然飲めないんですけど、付き合いで1杯飲んだら、この有様ですよ〜」
 梨華も苦笑いしながら答えるが、保田のメガネの奥の目が光るのに梨華は気付かない。
(お酒に弱いのね。見た目通りだわ…。ふっ)
 保田は心の中で笑うと、梨華の腕に自分の腕を絡めた。
「明日あたり、一緒に飲まない? そろそろ期末テストも始まるし…ね」
(ぅわっ。来た……)
 梨華は内心溜息をつくが、精一杯の笑顔で返した。
「ハイ。喜んでおつきあいします♪」
 絶対、明日は飲まない! と心に誓いながら。
250 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時26分19秒
 教壇に立ち、出席を取りながら、梨華はひとみをチラチラ盗み見ていた。
 どうしても、昨日のひとみと亜弥のキスシーンが頭から離れない。
(何も人の前で見せつけなくても! はぁ…こんなんで今夜うまく行くのかしら…)
 梨華は早々に出席を取り終わると、教室から出ていった。

「先生、よっすぃーのコト、ずっと気にしてたね」
 隣りの真希が、ひとみの袖を引っ張りながら話しかけてきた。
「そうかな? 気付かなかったけど」
 真希にからかわれるのがイヤで、ひとみは気付かない振りをした。
 昨日から気になっていたひとみが気付かない訳がない。
「それに元気なさげだったしー。っつーか、アレは二日酔いかもね」
「二日酔い…」
「案外ヤッスーに、飲まされちゃったとか…」
「昨日は、中澤と一緒だったよ」
 唯一の危険人物保田と一緒なのは耐えられないひとみは否定した。
「あっそうなの? さすが詳しいねぇ、よっすぃー」
 真希はニヤリとすると、ひとみの脇腹をつついた。
「あやゃと一緒に帰る時、偶然会っただけだよ」
 余計な事を言ったと、ひとみは後悔する。
251 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時27分55秒
「そう言えば昨日って、まっつーの誕生日だったんでしょ?」
「うっぅん…」
(また、イヤな予感…)
「今年は何あげたの?」
「…まぁ……いろいろと…」
 さすがにキスをあげたとは言えずひとみは誤魔化そうとしたが…。
「なぁんかアヤしい。最近、よっすぃー、まっつーにベッタリだしさぁー。
 もう校内でも噂の公認カップルだもんね、よっすぃーとまっつーって」
「私がベッタリな訳じゃないんだけど」
「まっつーのひたむきな心に、よっすぃーもググッと来ちゃった訳?」
「やっぱりさぁ、そういう風に見えるの? 私とあやゃって」
 自分では、今まで通り亜弥には接しているつもりだ。
 そりゃ、キスはしてしまったけど、そんなに変わったつもりではいない。
252 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時29分27秒
「当ったり前じゃん。どう見たってそうだよ。まぁ、まっつーの方が
 よっすぃーにゾッコンって感じだけどさ」
「私は別に前と同じ付き合いしてるだけなんだけど」
「自覚ナッシングなんだ。でも好きなんでしょ?」
「そりゃぁね。っていうか、小さい頃から一緒だから、今更好きも何も…」
「そこへ石川先生が現れたから、まっつーも急いじゃった訳だね」
「なに言ってんの? ごっちん」
 ひとみが怪訝そうな顔で聞き返すから、真希は、大げさに溜息をついて見せる。
「まさか気付いてない訳じゃないよね?」
「なんのコト?」
「はぁー、キミは鈍感過ぎだよ。まっつーもこの先思いやられるねぇ」
 真希は嘆くように言いながら、ひとみの肩をバシバシ叩く。
「………(痛いんですけど…(涙))」
「もっとさ、まっつーのコト、考えてあげなよ。ひーちゃん!」
 真希はわざと、ひとみをそう呼んだ。
253 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時30分12秒
―――あやゃのコト考えろったって、どう考えれば?

 これ以上、亜弥とどう付き合っていけばいいのか、ひとみ自身良く分からなかった。

 昨日は結局、亜弥と口づけを交わした後、亜弥の家で夕飯をご馳走になり、
いつもと変わりなく、一緒に眠りに就いた。ひとみはすぐには眠れなかったが
亜弥の髪を撫でながら、この先、どうなるだろう? とふと考えるとひとみは
急に恐くなるのだった。キス以上の事を求められたら…。
 亜弥とキスは出来ても、それ以上なんて考えられないひとみは、それを
考えると、一緒に寝る事さえも最近では苦痛に感じ始めていた。
254 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時31分41秒
-22-

 昼休み、いつものように屋上で亜弥とひとみは昼食を取っていた。
 亜弥が作る弁当は週に1回。今日は、またもやベーグルにゆで卵。
「ひーちゃん、よく飽きないよね」
 亜弥は呆れたように言う。
「別にあやゃもマネして同じの食べなくてもいいんだよ」
 ひとみは美味しそうに、ベーグルにかぶりつきながら答える。
 本当に美味しそうに食べるひとみを見るのが好きな亜弥はベーグルに嫉妬気味だ。
「ベーグルが羨ましいよ」
 ボソッと言う亜弥に、ひとみは笑顔で返す。
「何言ってんの。あやゃのお弁当の方が美味しいよ」
 お世辞だとしても、ひとみの言葉に、亜弥の顔は途端に嬉しさを増す。
「嘘つきだぁ!」
 亜弥は、笑いながらひとみのほっぺたを突ついた。
255 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時32分32秒
「嘘ついたって、しょうがないじゃん。まぁあやゃが、もうちょっと
 料理うまくなればな。玉子も割れないようじゃ…」
「あっ、それは言わないで!」
「結構、玉子大好きなヨシコとしては、重要なんだよ」
 ひとみは笑いながら言うが、亜弥はちょっと落ち込む。
 そう、亜弥は玉子をうまく割れないのだ。殻が中に入ってしまう事もしょっちゅう。
「まぁ、でもあやゃの気持ちが嬉しいから、そんなの気にならないけど」
 そう言って、ひとみはゆで卵を口に放り込んだ。
「ひーちゃん…」
 亜弥は、思わず涙ぐみそうになる。
「だからって、いつも殻入りのオムライスとかは、イヤだからな」
「もぅ…」
 亜弥は、ひとみの肩に身体を預けるとわざと甘える仕種をした。
「甘え癖がつくから、今日は、ここまでな!」
 ひとみは亜弥を、やんわり押しのけると、立ち上がった。
「ひーちゃん?」
 亜弥が寂しそうにひとみを見上げる。
「な、なんだよ。そんな顔すんなよ」
 亜弥もゆっくりと立ち上がると、ひとみと向かい合う。
「甘えられるの…イヤなの?」
「イヤとか、そんなんじゃなくてさ…」
256 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月01日(金)18時33分27秒
 ひとみは元々亜弥には甘いから、今までも殆ど亜弥の要求を受け入れて来たが、
さすがの、ひとみも最近は、このままではマズイと思い、亜弥とは少し距離を置こうとしていた。
 それは、もう既に遅いのだけれど。

「昨日は、ひーちゃんからキスしてくれたのに…」
 亜弥はひとみの手を取ると、自分の指の間に1本づつ絡ませ始めた。
「あやゃ…」
「私から言わないとしてくれないなんて、イヤだな」
 拗ねるように言いながら、絡めた手を手持ち無沙汰に、揺らし始める。
 どうして亜弥は自分の心をくすぐるような行為をするのだろうとひとみは思いながら、
観念したように亜弥をそのまま自分に引き寄せた。
 そして目を閉じ、少し上向き加減にキスを待つ亜弥に、ひとみはゆっくりとくちびるを落とした。
257 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月01日(金)18時35分52秒
結局仕事中に(w。
明日の更新で、やっと石川と吉澤シーンです。お待たせしました。

>237 よすこ大好き読者さん
あやゃも応援してあげて下さい! 最近、よしあやでもいいかななんて思ったり(汗)。

>238 名無し読者さん
もう旦那扱いかよっ!(w 吉澤も戸惑い気味です。

>239 ごーまるいちさん
お疲れさまでした。あやゃも頑張りますけど、今度は石川の攻撃っす(笑)。
ごーまるいちさんも持ってますか、他にも持ってますが何か?(爆)

>240 夜叉さん
近々お邪魔します(謎)。石川も、ここぞと言う時に案外へなちょこだったり…。
そんな所が逆に吉にはポイント高かったり…?

>241 いしごま防衛軍さん
あやゃにも頑張って欲しくて、優しい吉を書いてしまいます。スマソ。
梨華の攻撃は、この後なんですが、果たして成功するんでしょうか?
ヤッスーと酒の席で? なんてコトに……。
258 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月01日(金)18時36分31秒
>242 某さくしゃさん
あやぁにも、まだまだ頑張ってもらいます!(キパーリ)
なかなか石川との絡み書いてないんで、今のところ自分の中ではあやゃが優勢だったり。

>243 吉胡麻系さん
石川どっか抜けてるので(w。ヤッスーも要注意です(謎)。

>244 名無し☆さん
>このままよしあやに・・・なんてどうっすか?!^^;
それもちょこっと考えていたりしますが(w。

>245 名無し男さん
波乱は、アリアリです、きっと。

>246 M.ANZAIさん
ほんと行動出るのが遅すぎですね。まぁ、どうにかなるでしょう(おい。

>247 理科。さん
お帰りなさい。あやゃ応援する声多いと、どうしても…(略。
>石川先生、このままでいいんですか?
これからですよほ(多分)。
259 名前:名無し男 投稿日:2002年03月01日(金)19時02分05秒
WOW!ヤッチャッタYO!
260 名前:夜叉 投稿日:2002年03月01日(金)19時31分51秒
>石川も、ここぞと言う時に案外へなちょこだったり…。
分かるような気がするなぁ…(笑)。そんな自分もツボだったり(爆)。

やや危篤状態かも、自分…(謎。
261 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月01日(金)19時45分13秒
またしたかぁ!
偲び難きを偲び…(w
今夜に期待!
262 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月01日(金)21時23分55秒
いよいよですね、石川先生。
はたして石川先生の想いは遂げられるのでしょうか?(昨日は影が薄かった気が・・・)
鋭い眼差しが気がかりな保田先生。(「卒業特集(架空)」は最高に面白かった。)
ひとみ揺れ動く思いは何処へ?(バカをやらなきゃすっごい美人なんだなぁ。)
本気で応援する気があるのか?中澤先生・・・(「アイさが!」3月いっぱいで終了・・・)
263 名前:理科。 投稿日:2002年03月02日(土)05時55分30秒
<保田のメガネの奥の目が光るのに梨華は気付かない。
恐い!ヤッス〜、梨華ちゃんに何を?!
よっすぃ〜…あやゃに流れ気味ですね。
でも、可愛いかも(爆)。
師匠へ。
(^▽^)<ファイ♪
264 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月02日(土)13時17分11秒
遅いけどついに梨華先生が動き出すわけですな。
楽しみですんねー。ヤッスーの野望も楽しみだ。更新楽しみにまっています。
頑張ってください。
265 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月02日(土)15時10分07秒
石川先生出陣!・・・ですか?
しかし、あやゃはかなり押してますね。
石川先生、大丈夫なんでしょうか。(ニガワラ
266 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時37分24秒
-23-

 放課後。ようやく二日酔いから落ち着いた梨華は、音楽室にひとみを呼びつけた。

「ひとみちゃん、今日は平気よね? ね??」
 ひとみが来るなり、いきなり鬼気迫る勢いで梨華に念を押されて
ひとみは、思わず頷いてしまった。
「は、はい」
 ひとみも昨日の涙の理由(わけ)も聞きたかったし丁度良かった。
「この前借りたジャケットも返さないといけないしね。
 クリーニングからあがってると思うわ」
「クリーニングなんて出さなくても良かったのに…」
「そういう訳にはいかないわよ」

 梨華は久しぶりに、ひとみと2人きりで話せて心が躍っていたが、
同時に、今夜の事を考えると興奮せざるおえなかった。
(どうしよう。今から緊張してきちゃった!)
 梨華は無意識に速る鼓動を押さえるように胸を押さえた。
267 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時38分22秒
「先生、大丈夫ですか?」
 ひとみはそれに気付き、心配そうに気遣う。
(二日酔い抜けてないんじゃ…)
「だ、大丈夫よ。ひとみちゃん、何が食べたい? 鍋なんて、どうかしら?」
 ひとみが喋る前に、梨華は自己完結している。
「この時期に鍋ですか?」
「ほら、一人暮らしだから、1人鍋ってのも寂しいし。それに簡単だから」
 確かに具を入れるだけだから簡単ではある。
「先生に任せますよ」
「じゃぁ決まりね。一緒に買い物してから帰ろ?」
 ついでにお酒も買って…なんて梨華は思い描きながら、一人ニヤニヤしていた。
 そんな梨華を不気味に思いながら、ひとみは「はい」と頷いたのだった。
268 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時39分09秒
-24-

 心配性の亜弥を気遣って、ひとみは先行して学校を後にした。
 後から梨華と駅で待ち合わせる事になっている。
 こういう事をする事自体が、何だか怪しいのだが後で変に詮索されないために、
梨華が提案した事だった。

 ひとみは駅まで梨華を待ちながら、ドキドキしているのを感じていた。
 勿論、梨華に悪戯された事は屈辱的な訳で、忘れた訳ではないが、当の梨華は、そんな事は
既に忘れているようで、ひとみとしても、敢えて自分からその話を持ち出す事もなかった。

「ひとみちゃぁ〜んっ!!」
 大きい声で手を振りながらこちらに向かってくる梨華を見つけてひとみは思わず背を向け、
他人の振りをして数歩歩き始めた。
(先生…かなり、恥ずかしすぎ……)
 自然に、ひとみの腕に梨華は絡めると、嬉しそうに言った。
「お待たせはあとはあと
「………」
 なんだかひとみは気恥ずかしくなり、下を向いてしまう。
「さ、行きましょっ♪」
 ひとみは梨華に引かれるようにして改札を抜けた。
269 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時40分05秒
「買い物が楽しいのなんて、久しぶりだなぁ」
 梨華は買い物カートを引きながら、うきうきした様子でスーパーの店内を動き回る。
「そうですか?」
 子どもみたいにはしゃぐ梨華を見て、ひとみは可愛いなんて思ってしまう。
「だっていつも1人だから。1人だと、面倒で作ったりしないしねぇ」
 食材をカゴに入れながら、梨華は目についたものを手に取っていく。
「ひとみちゃんも要る物遠慮しないでカゴに入れていいからね」
「はい」
「なんか2人で買い物してると新婚さんみたいだね」
「はぁ?」
 いきなり梨華が言うから、ひとみも、どう返せばいいのか返答に困る。
『どう考えても教師と生徒にしか見えないんですが』とも言えず、ひとみは曖昧な返事をした。

 新婚。そんな事、学生のひとみには考えつかない。
 これが亜弥とだったら? なんてひとみは考えて慌てて打ち消した。
 亜弥と自分とだったら、仲の良い姉妹って感じだろうか?きっと亜弥なら
『恋人同士はあとはあと』なんて返されるのだろう。
270 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時41分01秒
「毎晩ひとみちゃんと一緒なら、夕飯も楽しくなりそうなのにね」
 梨華はさり気なく言うと、さり気なくお酒のコーナーに行く。
 今のセリフ、結構決まったかしら? なんて梨華は自己満足に浸っていたが
肝心のひとみは、亜弥の事を考えていたので聞いていなかった。

 そして、酒のコーナーで、ひとみに飲ませるべく酒を物色していると
「先生、お酒ダメなんじゃないんですか?」
 と、当然ひとみが聞いてきた。
「お付き合いもあるから全く飲まないって訳にもいかないのよ。
 これからもお酒の席も増えそうだしね…」
 そう言いながら、梨華はズラリと並んだ酒類に目を走らせる。
 梨華は酒を全く飲まないから、良く分からないが、良くこんなに種類が
あるものだと感心する。
271 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)15時41分36秒
「無理して飲むコトないんじゃないんですか? それで身体壊したら
 元も子もないじゃないですか」
 ひとみが真剣に言うから、梨華はこれからする事に対して罪悪感が生まれる。
「ま、まぁそうなんだけどね」
(ひとみちゃん、相変わらず優しいわね。なんだか胸がチクリと痛むわ)
 それでも梨華は、缶チューハイを数本取るとカゴに入れた。
「やっぱり買うんですか?」
 ひとみは諦めたように言うと、梨華が冗談っぽく(でも本気)勧めてみた。
「ひとみちゃんも1本どう?」
「生徒にお酒勧める教師が、どこにいるんですか!」
 当然の如く一蹴された。
「ここに。案外、ひとみちゃんの方が強かったりしてね」
 あり得ない話でもないから梨華は笑えない。自分は飲まずして、どうひとみに
飲ませようかと、既に梨華の頭の中は、その事でいっぱいだった。
272 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月02日(土)15時43分27秒
ヤッスーの写真集発売と言うのにamazonから届いたのはあやゃの写真集!
ゴルァ!発売日に送りやがれ!

>259 名無し男さん
やりましたが…。

>260 夜叉さん
多分今回もダメかも?(笑)
>やや危篤状態かも、自分…(謎。
危篤かよ! あぅマターリお待ちしております。

>261 某さくしゃさん
今宵は、どうなりますやら。ダメっぽそう?

>262 M.ANZAIさん
保田も動き出しますよ。結構・・・(謎)。

>263 理科。さん
お疲れさまでした。私も感動作書きたいですよ(苦笑)。
ヤッスーも石川狙ってますから( ̄ー ̄)ニヤリッ

>264 いしごま防衛軍さん
やっとです。やっと動き始めました! 応援してあげて下さい!

>265 吉胡麻系さん
>石川先生、大丈夫なんでしょうか。(ニガワラ
さぁ? 石川かなーり抜けてますんで(w。
273 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)17時00分04秒
-25-

「先生、あんまり食べてないじゃないですか」
 ひとみは梨華が殆ど鍋に手をつけていないのを見て指摘する。
 梨華は『あの事』でいっぱいで、それどころではなかった。
 一度に同じ事を2つは出来ないらしい。
「いいのよ。私が食べるのは…(ひ・と・み・ちゃ・ん・!)きゃっ」
 梨華は意味もなく赤くなると、ひとみを見つめた。
「何食べるんですか? 全然食べてないじゃないっすか」
 ひとみは鍋をつつきながら、梨華の考えている事が分からなかった。

 気持ちだけ先走って行動が出ない梨華は食事なんか既にどうでもよく…。
 立ち上がって冷蔵庫からさっき買った缶チューハイを取り出すと、ひとみの前に置いた。
274 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)17時00分59秒
「先生…飲むんですか?」
「ひとみちゃんがね」
「私、飲めませんよ。ってかお酒勧めますか普通?」
 しかし梨華はプルタブを引き上げると、ひとみに押しつけた。
「いいじゃない。たまには。固いコト言わないで」
「じゃぁ…先生も飲みますか?」
「私!? 私は…」
 自分が飲んで先に酔いつぶれたりしたら…。本当に梨華は弱いのだ。
 ひとみも弱いらしいが、どの程度の弱さなのかは分からない。
「先生、勧めといて自分は飲まないなんて、それは無しですよ」
 ひとみも別に嫌がってはいない様子。確かにそうだと梨華は納得する。
「分かったわ。じゃぁ、ひとみちゃんから飲んでね」
 ひとみは頷くと、グイッと飲んだ。
(け、結構飲むじゃない…(汗))
275 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)17時01分41秒
「先生も。ハイ。飲む真似だけじゃ許しませんよ」
 ひとみは缶チューハイを渡しながらさり気なく釘を刺す。
「(ドキッ!)分かってるわよ。そんな姑息な真似しないわ」
 梨華も、ひとみの真似をしてグイッと飲もうとするが、思いの外多めに飲み込んでしまい
目を白黒させた。
「結構良い飲みっぷりですね。先生…」
「…ぅん……」
(ヤバイ。こんなに飲むつもりなかったのにぃ。早くもピンチかも…)
 梨華は弱気になる。すぐに酔いが回ってくるのはいつもの事で。特に今日は疲れてるから
酔いが回るのは、更に早くなりそうな気配だった。
(こういう予感って、案外当たったりするんだよね)
 急に梨華が黙り込むから、ひとみは心配して梨華の隣りに移ってきた。
「先生、大丈夫っすか? やっぱり無理しない方が…」
「ひとみちゃん…」
 早くも梨華は、ひとみにしなだれかかるようにひとみに身体を預けてくる。
 と言うより、本当に酔って来そうだった。
276 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)17時02分17秒
「先生意地張るから…。水持ってきますから待ってて下さいね」
 ひとみは立ち上がると、キッチンへと向かう。
(うわ〜ん。最悪。どうしてこうなるの? いきなり介抱されるなんて…。情けないよ)
 梨華は目をしょぼつかせながら、ひとみをぼんやりと見ていた。
 ひとみがコップに水を注いで戻ってくると、梨華にコップを渡そうとする。
「ひとみちゃん…。飲ませて」
「もぅ。どっちが先生と生徒なんだか分かりませんね」
 ひとみは苦笑いしながら、梨華の口にコップを当てがい飲ませようとした。
「ごほっ…っっつ」
 別のところに入ったのか、梨華は咽せ返った。
「すみませんっ」
 ひとみはハンカチを取り出し梨華の口を拭きながら謝った。
「ひとみちゃん口移しでして」
「口移しぃ?」
(口移しって、つまり…口に含んで、それを先生の口に入れるって事?)
 ひとみは頭で一瞬よぎらせると、想像して顔を赤くさせた。
「からかうのもいい加減に…」
 しかし梨華の目は既にトロンとしていて…からかっている訳でもなさそうだった。

 これってキスの一環に入るのかな? ひとみは意識すると梨華を見つめた。
277 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月02日(土)17時03分05秒
「ひとみちゃぁんはあとはあと
 梨華は気持ちよさそうに目を閉じながらひとみの名前を呼んでいる。
「先生。キスしたコトありますか?」
 梨華はコクンと頷く。
(夢の中でひとみちゃんと数え切れないくらい…してる…ヨ♪)

(ガーン。やっぱり、先生もキスした事あるのか。そりゃそうだよね。)

 梨華の心の台詞が聞こえる筈もなく、ひとみは落ち込むと再び梨華を見つめた。
 ふにゃぁと安心しきったようにひとみの腕の中で今にも眠りそうな梨華を前にひとみは呟いた。

「そんな無防備だと、本当にキスしちゃいますよ?」

 ひとみは、ゆっくりと水を口に含むと梨華の顔に近づけていった。
278 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月02日(土)17時04分28秒
更新終了です。
279 名前:じじ 投稿日:2002年03月02日(土)17時17分14秒
いよいよ先生の時代か!
長い間待ってたかいがありました(涙
口移し萌え〜はあとはあと
280 名前:名無し男 投稿日:2002年03月02日(土)19時11分40秒
うおーーーーーー!!
飯!メシ!めし!msei〜!!!!
281 名前:名無しバイク 投稿日:2002年03月02日(土)22時44分00秒
 なんだかんだと忙しくてレス滞っていたら、こんな事に・・・。
く・口移し激萌え。
282 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月03日(日)02時49分01秒
なぜだろう、そんなにスムースにことが運ぶわけが無い、と思って見ています。

(スミマセン、某所で吉澤選手の死亡のショックでうまいこと書けません。)
283 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月03日(日)11時09分30秒
いいところで・・・、いいところでぇっ!!

すいません、自分を見失ってます。(w
284 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時18分49秒
-26-

 半分意識がなく眠っている様子の梨華に、今さら口移しで水を飲ませても効果がない事は
分かっているのに敢えて行動に移す自分は確信犯だなんて思いながら、ひとみは梨華のうっすら
と開いた口に自分のくちびるをあてがい口に含んだ水を口移しで飲ませた。

―――先生が…言ったんだから。

 ひとみは自分を正当化させようと心の中で呟きながら、梨華にくちびるを重ねた。
 梨華のくちびるから水が伝って端から零れる。ひとみはそれを舌で舐めると訳もなく興奮した。
「先生……」
 ひとみは夢中で何度も梨華と口づけを交わした。
「ひとみちゃん…」
 しかし梨華は夢と現実がごちゃ混ぜになり、微笑んでいるだけだ。

 ひとみは名前を呼ばれてハッと我に返り慌てて梨華から離れた。
「わ、わたし…」
 ひとみは梨華をその場に寝かせると立ち上がってうろうろし始めた。
(先生に…何回もキスしちゃった……)
 ひとみは梨華に視線を落とすが、梨華は相変わらずふにゃぁと幸せそうに眠っている。
285 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時20分00秒
(寝てる間にキスをするなんて亜弥と同じ…。)

「亜弥…」
 ひとみは急に亜弥の事を思い出して、今自分がした行為について呆然とした。
 亜弥の事を忘れていたのは勿論だが、亜弥とのキスでは味わえなかった気持ちに気付き
ひとみは混乱する。

(先生のコト……好き…? 私が?)
 ひとみは自問自答し、首を横に振る。しかし否定したもののそれは言い訳に過ぎない事は
自分自身が一番良く分かっていた。

 ひとみは梨華を抱きかかえるとベッドへ寝かしつけた。
「ひとみちゃ…ん」
 梨華はむにゃむにゃと口を動かすと横を向いてしまう。
「寝ちゃうんですか?」
 もう梨華の耳には届いていないのを知りながらひとみは梨華に話しかける。
「もう1度キスしていいですか?」
 ひとみは再び梨華に顔を近づけると、その柔らかいくちびるに、そっとキスを落とした。
286 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時21分10秒
-27-

 ひとみが梨華のマンションを後にしたのは、それから30分後だった。
 後片付けをして梨華にメモを残して。
 ひとみは何故か上機嫌で家に帰って来るが、あっ! と声をあげた。
「ジャケット返してもらうの忘れてた…」
 まぁいいか。また梨華と会える口実にもなるし。

 ひとみは風呂からあがり、いつものように冷蔵庫からアイスを取り出していると
「亜弥ちゃんが自分の部屋に来てってさっき言ってたわよ」
と母から言われ、ひとみは現実に戻される。

 自分の気持ちが既に梨華に向かっている事を知ってしまった以上、ひとみはこれ以上
亜弥に近づく事が躊躇われた。しかし、亜弥の事も嫌いではない訳で、そのヘン始末が悪い。
287 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時22分13秒
 ひとみは頷くと、もう1本アイスを取り出して2階へ駆け上がっていった。
 自分の部屋に戻りベランダ伝いに、灯りの点いている亜弥の部屋へと渡っていく。
「あやゃお疲れ…」
 ひとみが顔を覗かせると怖い顔をした亜弥が立っていた。
「ど、どうしたん……」
「ひーちゃん、どこ行ってたの?」
「どこって…先生のとこ」
 誤魔化してもどうせ何か言われるだろうから、ひとみは正直に答えた。
 予想通りの答えに亜弥は目を丸くする。
「どうして?」
「一緒にご飯食べに…」
 ひとみは亜弥の分のアイスを袋から取り出すと、亜弥の口を塞ぐように口にアイスを突っ込んだ。
「つめたっ!」
 亜弥は口からアイスを取り出すと、ひとみを睨んだ。
「早く食べないと溶けちゃうよ」
 ひとみはのんびり言うと亜弥のベッドに腰掛けた。
「ひーちゃん!」
 ひとみが、どうして穏やかに対応してるのか不審に思いながら、それでもやはり梨華との間に
何かあったのだと、これはただの勘であるが亜弥は確信していた。
「あやゃの話ってなに?」
 ひとみは美味しそうにアイスを舐めている。
 その姿が何だか憎らしくて亜弥は単刀直入に訊いてしまう。
「先生と何かあったの?」
288 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時23分02秒
 ひとみの表情が一瞬だが止まった。しかし、すぐにひとみは亜弥の方に振り向くと
「何かあってもなくても、あやゃは疑うんだろ?」
 別に責めるわけでもなく逆に聞き返すひとみの目は、どちらかと言うと優しく揺れていた。
「ひーちゃんも先生が…好きなの?」
「好きって言うか、気になる」
 亜弥の前で好きと言うのは、恥ずかしくてひとみは誤魔化してしまう。
「私のコトは?」
「勿論好きだよ。好きじゃなきゃキスなんかする訳ないじゃん」
「そんなの納得出来ない!」
 ひとみの答えは合ってるようで合って無くて、亜弥は腑に落ちなかった。
「私のコト、どういう風に好きなの?」
 亜弥はひとみの隣りに座るとひとみの肩を揺さぶった。
「どういう風にって?」
「妹みたい…なんて言う答え許さないから」
「……」
 先に亜弥に言われてひとみは黙ってしまう。
「図星?」
 亜弥は哀しげな瞳で言いながら話を続ける。
289 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)14時23分42秒
「ひーちゃんのコト、先生には渡さないんだから! やっとひーちゃんに想い伝えたのに。
 邪魔されてたまるもんですか!」
「邪魔って…先生は別に邪魔なんかしてないじゃん…」
 そう言えば、梨華は自分と亜弥の仲を知っている筈なのに、何も言わなかった。
 やはり興味がないのだろうか? そう考えたら自分一人が舞い上がっていたようでひとみは
哀しくなる。自分の片想い…。
「私がひーちゃんと先生の仲、邪魔するんだから! 絶対近づかせない」
「あやゃ?」
 亜弥が立ち上がると同時に、ひとみは亜弥を見上げる。
 亜弥はひとみの両肩を掴むとひとみを押し倒し強引にくちびるを押しつけた。
 不意な事で、ひとみも抵抗出来ず亜弥のされるままに。

(亜弥のくちびる…冷たい……。)

 ひとみはぼんやりとそんな事を思っていた。
290 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月03日(日)14時25分43秒
まだまだ多難が待ってます。でも「しないよ(謎)」

>279 じじさん
新作おめでとうございます(にや。
まだ先生にも受難が待ってます。吉澤にも。

>280 名無し男さん
まだ萌え〜な感じでもないですね。石川は寝てるし。
動き出す筈が、吉澤の方が動いてしまいました。

>281 名無しバイクさん
吉澤の独り舞台でしたね。
カオリの写真集は、どうでしょうか?(ニヤリ

>282 M.ANZAIさん
あまり他の作品のネタバレは…。って先に読んでる人が殆どでしょうけど。
>なぜだろう、そんなにスムースにことが運ぶわけが無い、と思って見ています。
です。あやゃも傷つけば吉澤もこの後傷つくし…。

>283 吉胡麻系さん
大丈夫です! 私も時々見失いますから(w
291 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月03日(日)16時08分11秒
なんどもしましたか!!!
重ねるだけのキス?
激しく萌え〜!
あやゃには悪いが萌え〜(w
292 名前:名無し男 投稿日:2002年03月03日(日)16時34分50秒
だ〜!!!
往生しまっせこりゃ(w
293 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)17時35分26秒
-28-

 亜弥はひとみを梨華に取られまいと必死だった。
 こんな事をしても却ってひとみに嫌われる事は目に見えているけれど、せざるおえなかった。
 そして、こんな事しか思いつかない自分にも呆れてしまう。

「ひーちゃん…」
 亜弥は、ぎこちなくくちびるを首や鎖骨に這わすが何も抵抗しないひとみに逆に自分が
情けなくなって行くのを感じ、段々と涙声になってきた。そして泣きながらひとみの胸に顔を埋める。
「…っくっ……っ…ひーちゃ…んっ」
 ひとみの腕が伸びてきて亜弥を捉えると優しくいつものように髪を撫で始める。
 そしてひとみはそっと身体を起こす。
「あやゃ…ゴメン。でもあやゃのコトもちゃんと好きだよ」
「ひーちゃん狡いよ…」
(ちゃんと好きって何? 私が悪いのになんでひーちゃんが謝るの?)
 亜弥はひとみの胸で声をあげて再び泣き出した。
「どぅして私じゃダメなの?…」
「ダメって言うか、やっぱりあやゃのコトは妹にしか見れないんだ。
 それに…先生のコト…好きって気持ちに気付いちゃったから……」
294 名前:桃色アプローチ2 投稿日:2002年03月03日(日)17時36分21秒
「そんなのイヤだよぅ…」
 亜弥はひとみの肩口をポカポカと叩きながら、どうしようもない気持ちをぶつけた。
 ひとみはそんな亜弥を優しく宥める。
「あやゃのコトは、ずっと好きだし傍にいるから」
「…そんな"好き"なんて…いらないっ」
 いつも優しいひとみは、最後まで優しかった。

 こうして亜弥の初恋は儚く散る…筈もなく、諦めきれない亜弥は、しつこくひとみに
まとわりつくように。ひとみも亜弥を邪険に扱える筈もなく、ひとみは亜弥と梨華の間で
更に揺れ動くようになる。その辺の動きは第3部に続く。
295 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月03日(日)17時39分33秒
突然ですが2部終了です。3部で終わるのだろうか?(汗)

>291 某さくしゃさん
あやゃが可哀相になり、こういう結果に。
さくしゃさんは関東の人?某BBSにこの件書いてるんでそっち見て下さい(謎)。
ネタじゃなくマジなんで(w。良ければDM下さい。

>292 名無し男さん
やっぱりさせるわけには・・・(w。
296 名前:理科。 投稿日:2002年03月03日(日)18時12分50秒

師匠(ポツリ)。
…あやゃが。
あやゃが可愛いんですけど(爆)。
私もまた、今度書く機会があったら
あやゃを入れてみようかなって思いました。
がんがってくらはいぃ。
297 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月03日(日)19時33分29秒
ネタばれ、スミマセンでした。
298 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月04日(月)01時41分34秒
なんともどうなるのかわかりませんねえ。梨華先生は運がいいのでしょうか。
あややに遅れをとったにも関わらずよっすぃーのハートをゲットしていっきに
逆転するとはさすが梨華先生!!でも、あややがここでひきさがるはずもない
ので今後の展開が楽しみです。更新楽しみに待っています。頑張ってください。
299 名前:名無し男 投稿日:2002年03月04日(月)11時58分21秒
頭があぼーんされました
300 名前:夜叉 投稿日:2002年03月04日(月)14時32分14秒
やはり、師匠の書くいしよしは(・∀・)イイ。悶絶してしまいました(爆)。
第3部も頑張ってくださいね。

危篤状態からICUへと移されました、依然油断を許さない状態です(謎。藁
301 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月04日(月)19時58分04秒
さて…3部ではどうなりますやら。
ご期待しつつお待ちしております。
ちなみに赤板の続きはどこで書かれるのでしょうか?
302 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月06日(水)14時00分00秒
2部まで終わってるーーーーー(w
これから、どんどん石と引っ付いていくんでしょうか?
期待です。
303 名前:名無し☆ 投稿日:2002年03月07日(木)18時04分43秒
ヒサブリにきたら、もう2部終わりですか!
しかもあやゃが切ないですね・・・。
これからどうなるのか・・・。
第3部期待してます。がんばってください!
304 名前:REDRUM 投稿日:2002年03月07日(木)22時10分50秒
やっぱいしよし。これ最強です。
一時はあやや優勢だったのでどうなることかと・・・
しかしまだ油断はできませんな
305 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月07日(木)23時11分20秒
-1-

 さすがに、その日は亜弥はベッドに来る事はなかった。
 散々泣かれてしまったけれど、これで良かったんだとひとみは思う。
 だって、これで2人の関係が壊れてしまう訳ではないのだから。
 久しぶりに一人で眠るベッドは、広くて寂しかったが、ひとみが考えしまうのはやはり梨華の事。
「先生。好き…です」
 ひとみは枕を抱きしめると目を閉じ、深い眠りに落ちていった。
306 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月07日(木)23時12分12秒
 翌朝、梨華が目を覚ますと、ひとみの姿はなく…。
「ひとみちゃん!?」
 梨華はハッとしてベッドから飛び起きると慌てて時計をガシッと掴んで見る。
 時間を見て、梨華は絶叫に近い声をあげた。
「あぁぁぁぁっ。もう朝じゃないの! ち、遅刻しちゃうよぉ」
 梨華はボサボサの髪をブラシで梳かすと、手早く着替えてマンションを後にした。
 今日は大事な朝の会議があるのだ。既に遅刻決定であるが、梨華は懸命に駅までダッシュで
走っていった。
307 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月07日(木)23時14分36秒
 ひとみは駅のフォームで電車を待ちながら、梨華はちゃんと学校へ行ったのかと少しばかり
心配していた。そして、いつものように電車に乗り込もうとすると、後ろから聞き慣れた声が
聞こえてきた。
「入れてくださぁい!!」
(せ、先生!?)
 ひとみは押し込まれながらも、梨華の方に振り向いた。
 いち早く梨華の方がひとみを見つけるが、流し込まれたひとみも安易に梨華に近づける訳も
なく、そのまま奥のドアの方まで流されていく。しかし、ひとみは何とか梨華の腕を掴むと
強引に自分の方に引き寄せた。梨華と同じ電車になるのは、痴漢されて以来初めてである。
308 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月07日(木)23時17分01秒
 静まりかえった車内の中で喋る事は憚られ、梨華とひとみは向き合ったままピッタリ密着していた。
 昨日の今日で、ひとみは早くも心臓が早まる。自分の中では梨華とは一歩進めたと喜んでいる
ひとみだったが、梨華は会議の事で頭がいっぱいだった。梨華にドキドキが伝わったらどうしよう
と思うひとみだが、梨華の顔は眉間に皺を寄せている。
(先生、どうしたんだろう?) 
 ひとみの心配をよそに、梨華は溜息をついていた。
(はぁ〜、初めての朝の会議に遅れてるなんて。裕ちゃんにも怒られるなぁ。
 それに保田先生にも…。はっ! 保田!?)
 梨華は、保田を思い出し、そして今日は保田に誘われていた事も思い出した。
(ぃゃ〜ん。今日もお酒!!)
 慌てて家を飛び出したから洋服も適当に選んでしまった。
(はぁ〜…。なんかついてないよぅ…)
 何度も溜息をつく梨華に、ひとみは梨華の心ここにあらずで、逆に不安になる。
309 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月07日(木)23時17分39秒
 降りる駅に近づき、わっと、駅ではき出されると、ひとみは梨華に声をかけようとしたが
それより先に梨華が口を開いた。
「ひとみちゃん、ゴメン。急いでるんだ。また今度ゆっくり話そうね。昨日は、ゴメンね」
 両手を合わせながら謝るが、既に梨華は足早だった。
「せ、先生…」
 呆気に取られているひとみを置いて、梨華はダッシュで改札を駆け抜けると1人先に学校
へと走っていった。
「行っちゃった……」
 ひとみは挙げていた手を降ろすタイミングを失い、梨華が見えなくなってから仕方なく降ろすと
自分も学校へと歩いていく。先ほどとは違って足取りが重かった。
310 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月07日(木)23時21分02秒
1つのレスに納まりきらなかった(泣)。

3部の始まりは暗いんですが…。
>309名無しベーグル。で書いちゃったし(恥)。
すれ違う2人は、なかなかくっつかず、もどかしい!

>296 理科。さん
是非、あやゃ入れて書いて下さい!
理科。さんもお疲れ様でした!

>297 M.ANZAIさん
いえいえ。私もショックでしたんで…。

>298 いしごま防衛軍さん
まだまだ波乱は待ってます。
あやゃにも、もっと頑張ってもらわないと。保田先生にも(w。

>299 名無し男さん
自分では、あんまり萌えないんですが(泣)。
311 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月07日(木)23時21分44秒
>300 夜叉さん
ありがとうございます。夜叉さんも頑張って下さい。

>301 某さくしゃさん
赤・・・。こっちも書かないと。某さくしゃさんみたいに
色々書いてた頃が懐かしいです。最近お疲れなんで自分。

>302 よすこ大好き読者さん
忙しいみたいですねん。会いたかったのですけど(謎)。
簡単には石とはくっつかないです。

>303 名無し☆さん
あやゃゴメンなさい。でも、あやゃ押しなんで(爆)
彼女にも、まだ頑張ってもらいます!?

>304 REDRUMさん
おかえりなさい。いしよし最強!これ常識!
でもですね、なかなか書けないのですよ。自分でももどかしいですね。
だって、この後、石は・・・。
312 名前:名無し男 投稿日:2002年03月08日(金)11時46分33秒
亀裂は更に深く
313 名前:夜叉 投稿日:2002年03月08日(金)17時09分33秒
放置気味な吉、何かかわいそうですね。あまりの放置に笑いが出てしまいましたが何か(笑)。
やっすの攻撃がどう出るか…。むむむ、気になります。

懐かしい名前を有難うございます(謎。藁
314 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月08日(金)17時21分20秒
これがキッカケで、すれ違い始めたら・・・。
ヤダな。(ニガワラ

サイズの方は大丈夫ですか?
間に合うことをお祈りしてます。
315 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)19時25分31秒
-2-

「ひとみ先輩超暗いじゃん」
 窓際の席の高橋愛は校庭をとぼとぼ歩くひとみをいち早く見つけて
前の席の亜弥に声をかけた。高橋は中等部1年の時から同じクラスで亜弥とは仲が良い。
長い黒髪とクリッとした瞳が印象的だ。

(ひーちゃん…)
 亜弥は言われるまま校庭に目を移す。
 他生徒に混じり、ワンテンポ遅れ気味に歩くひとみの姿。明らかに様子がおかしい。
「亜弥のコト、振ったからかなぁ…」
「まさか…」
 高橋は、もう昨夜の話を亜弥から聞いていたから、梨華とひとみのチェックを入れていた。
「さっきは、石川先生がダッシュで駆け込んでったしねぇ」
「そうなの?」
 高橋は何も言わなかったから、ぼんやりしていた亜弥は気付かなかった。
 ひとみが登校した事だって高橋に言われなかったら気付かなかっただろう。
316 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)19時27分28秒
「まぁ亜弥には頑張ってもらわないとね」
「なんでよ」
 昨日は久しぶりに思い切り泣いて、1人で夜を過ごした亜弥は、色々と考えていたが、やはり
ここでひとみを諦める訳にはいかなかった。
「だぁって、亜弥とひとみ先輩がくっついてくれないとさぁ、石川先生は私のモノにならないし」
「愛、石川先生狙ってたの?」
 全然気付かなかった亜弥は素っ頓狂な声をあげた。
「なんで、おかしい?」
「おかしいって言うか、愛には…」
 そう言いかけたところで、廊下から高橋を呼ぶ声がした。
「愛ちゃん!」
 明るい声が教室に響く。嬉しそうに手を振る彼女を見て、高橋はフッと笑った。
「亜弥は勘違いしてるみたいだけど、まこっちゃんとは何でもないからね」
 そう言うと高橋は小川の方に行き、楽しそうに話し始めた。
317 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)19時28分38秒
 まこっちゃんとは、1年年下で小川麻琴。高橋の幼馴染みである。ハッキリしていて明るい性格で
実にサバサバしている。亜弥と同じテニス部の辻と加護と同じクラスでもある。

「愛もサバサバしてるけど、気が多いからなぁ。まこっちゃんも大変だよ」
 他人事ながら亜弥は小川の心配をしてしまう。

 大体、この前、ひとみが気になると言ってから大して時間が経っていないのに、矢口や飯田も
気になると言ったのも記憶に新しい。梨華の事だって、きっとすぐに飽きる筈だ。いつもの
戯言だと、亜弥は聞き流そうと思ったが、良いチャンスかも知れないとも亜弥は思う。
 ただ、梨華は、ひとみに気があるのは確かだし、小川の事も考えると梨華と高橋と言う
組み合わせは、あまりに似合わないと亜弥は思った。
318 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月08日(金)19時30分09秒
新キャラとして高橋登場。紺野は出る事あるのかな。
一応、辻加護小川と同じクラスの設定ではあるんですが(w。
あんまり重要キャラでもないんですが高橋。

更新出来たら、また今夜します。

>312 名無し男さん
どうなるんでしょう? 私にも…。

>313 夜叉さん
放置プレイです(w。やっすファイッ!(謎)

>314 吉胡麻系さん
スレ違い。そして浮気な高橋君も先生を狙ってます(w。
サイズどうですかねぇ。ダメなら新スレ立てます(苦笑)。
319 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月08日(金)20時27分09秒
吉澤放置に涙。
松浦亜弥に同意。似合いません(w
320 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)23時42分21秒
-3-

 梨華が会議室に飛びこんだ時は、既に会議終了間近であった。
「……(がぁーん。やっぱり間に合わなかった…よ)」
 それに他の先生方の冷たい視線。それはそうだろう。初会議に、また遅刻とは。
 中澤と目が合った。
「梨華!! っとに、アンタは!!」
 キレまくりの中澤にフォローを入れたのは意外にも保田だった。
「中澤先生。そんなに怒らなくても」
「はぁ? 圭坊、いや保田先生、これは教師云々の前の話やで」
「今夜、私が石川先生のコトは、たっぷりと叱っておきますから」
 そう言ってニヤリと笑う。
「保田先生が言うと、なんや、怪しく聞こえんねんなぁ…。まぁえぇわ。
 梨華! もとい石川先生、保田先生に、たっぷり可愛がってもらい」
 梨華の肩に手をかけ耳元で囁くと、中澤は会議室を出て行った。
(たっぷりって、なんだか怖いよ…)
 梨華は鞄を胸に抱きかかえながら、保田をチラッと一瞥すると、ばっちり目が合った。
「今夜、楽しみにしてるわ。石川先生(にやり)」
 保田は不敵に微笑むと中澤の次に出て行った。
321 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)23時42分57秒
 他の先生達も出て行く中、矢口が囁いた。
「石川先生、ついに……かもね?」
 意味深な言葉を残して矢口も出て行く。

(ついにって、どういう意味? えぇ? なによぉ。みんなして…)
 会議室に1人になった梨華は、なんだか急に怖くなってきたのだった。
322 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)23時44分08秒
 そして、いつものように出席を取りながらも、梨華の心は、どこか上の空だった。
 中澤に叱られるのは、もう慣れっこになっているものの、保田と矢口の台詞が気に掛かる。

(先生、絶対おかしい。何かあったの?)
 しきりに飯田のように交信を試みるが、やはり梨華には届く筈もなく、業務的に出席を
取っている梨華に、ひとみは深く溜息をついた。

「えぇと、あと少しで期末テストも始まります。気を引き締めて今日も1日頑張りましょう」
 梨華は、殆ど棒読みで言うと、教室を出て行く。すかさずひとみは廊下に出た梨華に声をかける。

「先生!」
「ん?」
 梨華は振り返りひとみを見つめた。
「何かあったんですか? なんか様子がおかしいから…」
 ひとみは心配そうに訊くが、梨華が微笑むだけだった。
「大丈夫よ。遅刻しちゃってね。ひとみちゃんが心配するようなコトじゃないから。
 それより…昨日は本当にゴメンなさいね。なんか、またひとみちゃんのお世話になっちゃって」
「そんなコトはいいんです」
 昨日の話になると、ひとみは少し機嫌が良くなり始めた…のも束の間の事だった。
323 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)23時44分55秒
「私、記憶が途中からないのよ」
「え?」
 ひとみはイヤな予感がした。こういう時は当たるものだ。
「あの…、どの辺りからですか?」
「んーとね…」
 梨華は天井を仰ぐように考えるとこう言った。
「ひとみちゃんと缶チューハイ飲みっこした辺りは覚えてるんだけど…」
 そう言って眉間に皺を寄せる。
「その後は?」
「その後は…気付いたら、朝だった」
「朝………」
 ひとみの表情が見る見る暗くなっていく。
「じゃぁ…私が……先生に、み、水飲ませたのとかも覚えて…ないんですか?」
”口移し”とはさすがに言えずに、ひとみは期待せずに梨華の答えを待つ。
 梨華は頷く。
「ゴメンね。全然飲んでないのにね。昨日は疲れてたからかなぁ。
 ほんっとにひとみちゃんには悪いと思ってるのよ」
 本当に申し訳なさそうに謝る梨華に、ひとみは本当の事を言えない。言える筈もなかった。
「あ゛、いや別に。私も先生に水飲ませて寝かせてすぐ帰りましたから」
324 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月08日(金)23時47分45秒
「このお詫びは…そうね、試験終わったら。ホントにゴメンね。ひとみちゃん」
「もぅ、いいですよ。先生」
 ひとみは泣きたい気持ちを抑えて、出来るだけ笑顔で梨華を見つめた。
「良かった。じゃぁ、もう時間ないから」
 そう言って梨華は足早に階段を下りていった。
「先生。私、試験大丈夫でしょうか…」
 身が入りそうにないひとみは、既に見えなくなった梨華に呟いていた。
325 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月08日(金)23時51分38秒
吉澤傷心のところへ、保田の攻撃だ!(w
こんな事なら「3」で新スレに移れば良かったかも。

>319 某さくしゃさん
銀楽しみにしてたのに(涙)。
ちょこっと高橋にも邪魔者になってもらおうかな。
326 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月08日(金)23時57分04秒
リアルタイムで見てました(w
びみょーに振り出しに戻る?
でもよしこは戻ってないのか。もどかすぃー関係ですね。
高橋ちょっと好きなのに…。嫌いになったらどうしよう(爆
327 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年03月09日(土)01時03分34秒
今日2回目の更新なんですね、ご苦労様です。
執筆量+物語の面白さ、尊敬の念がやみません。
ヤッスーの今後の動きに期待してます!(…って自分はいしよし推しなはず/w)
しかし吉が切ないですね…がんがれ吉!(T-T)
328 名前:理科。 投稿日:2002年03月09日(土)06時07分37秒
師匠!久ぶりです。
あの…ヤッス〜が…
ヤッス〜のこれからの攻撃が恐いんですけど(泣
私も新作書きたいけど、時間が…。
続き楽しみにしてます♪
329 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)17時43分23秒
-4-

「よっすぃー?」
 ぼうっと突っ立っているひとみに、後ろから真希が急に声をかけるから
ひとみはビックリして真希の方に振り返った。
「なんだ、ごっちんか。ビックリさせないでよ」
「あんまり注目浴びるようなコトしない方がいいんじゃないの?」
「べっつに…」
「いきなり教室飛び出すから何かと思ったら…」
 自分では飛び出したつもりはなかったのだが、余程慌てていたらしい。
「いや、ちょっとね」
「ねぇ、まっつーとは旨くいってないの?」
「…なんで?」
 まさか昨夜の話が既に真希の耳まで届いているとは考えにくいひとみは逆に聞き返す。
「いや、なんとなく。勘ってヤツかな? あはっ」
「勘ね…」
 真希の、この勘ってヤツが時々当たったりするからクセモノだ。
330 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)17時44分27秒
「昼にその話するからさ。今は時間ないから」
 隠しておいてもバレるだろうから、ひとみは諦めた。
 途端に真希の目が光る。
「よっすぃーとお昼なんて、ひさぶりじゃん。やっぱなんかあったんだ。
 いっつもまっつーがお昼も独占してたもんねぇ。いやぁ楽しみ楽しみ」
 真希は元気になると嬉しそうに先に教室に戻っていった。

―――あやゃ、どうしてるかな?

 亜弥の事が気にならない訳ではない。梨華の事を気にしつつ亜弥の事も気になるのは確かだった。
331 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)17時51分21秒
 昼休み―。
 珍しく真希と2人で学食に行くひとみの目に入ったものは、ひとみに取っては不機嫌になる
ものだった。

「あはっ。石川先生、ヤッスーとお昼食べてるよ」
 真希が言う方に視線を移すと、梨華と保田が楽しそうに(ひとみにはそう見えた)昼食を
食べている姿が目に映った。
「先生…」
「早弁かなぁ。もう殆ど食べ終わってるじゃん。言いつけてやろ」
 真希は楽しそうに言うと梨華の方に近づこうとした。が、ひとみに腕を押さえられてしまう。
「やめなよ」
「よっすぃー?」
 ひとみが真剣に言うから真希はその言葉に従わざるおえなかった。
 ひとみは真希に掴んでいた手を離すと1人食券を買いに行ってしまった。
「待ってよ、よっすぃー!」
 その言葉に、梨華と保田が2人に気付き、顔をこちらに向けた。
332 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時01分20秒
「そんなにマジになんなくたっていいじゃん。冗談に決まってるじゃん」
 真希もひとみの横に急いで行くと、自分も同じくオムライスにボタンを押し、
食券をおばさんに渡す。
「別にマジになってなんか…」
 と言いかけて自然と梨華の方を見てしまうひとみに、もろに梨華と視線がぶつかってしまった。
 しかしひとみの方から視線を外した。
「どうした? よっすぃー」
「別に」
 ひとみは、なるべく梨華達から離れた席を探そうとするが、逆に保田に名前を呼ばれてしまう。
「吉澤さん! 隣り空いてるわよ!」
 そんな事は知っていたが敢えて避けていたのに、声をかけられては断れる筈もなかった。
 それも椅子まで出して待ちかまえている保田に、ひとみは親切心もありがた迷惑だと思いつつ
「ありがとうございます」
 と一応お礼を言って、隣りの席に腰を降ろした。
 梨華は斜め向かいに座っているから、イヤでも視界に入ってくる。
 続いて真希がひとみの分も持ってきて向かい合わせに座る。
 この席では、亜弥の話をするのはマズイ。早めに食べて屋上に行くか、梨華達が先に出るか
どっちかでないとロクに会話も出来そうになかった。
333 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時12分51秒
「でさぁ、朝の話の続きなんだけど…」
 真希が普通に話を続けるから、ひとみは慌てた。
「ごっちん! 先にご飯食べよ。話はその後でいいじゃん、ね?」
 ひとみはTPOを弁えない真希を睨み付けると真希の足を思い切り蹴った。
「いたっ!っつ…」
 真希は顔をしかめ下を向く。それに気付いた梨華は真希を見ると心配そうに声をかける。
「後藤さん、どうしたの?」
「ぃぇ…なんでも。よっすぃー冗談だよ。さっきからマジになりすぎ!」
 真希は涙目でひとみを睨んだ。
(ごっちんがいけないんだろっ! っとに…)
 ひとみは心の中で叫ぶと無言でオムライスを口に入れる。
 梨華の視線を感じて、ひとみの心は気が気でなかった。味も分からないような状態。更に。
334 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時17分25秒
「なんだか面白そうね。後藤さん達って」
 保田がわざと首を突っ込むように会話に入ってこようとする。
 もしかして確信犯か? とひとみは思ったが、もう後の祭りだった。
「吉澤さんって、いつも松浦さんと一緒にお昼食べてなかったっけ?」
「ぶっ…」
 ひとみは喉に支えそうになり慌てて水を飲んだ。ひとみより先に真希が答える。
「保田先生も知ってるんだ。やっぱり有名な話なんですねっ」
 真希も調子良く保田と会話を続ける。
(ごっちんのバカ! なに余計な事喋ってんだよっ!!)
「有名もなにも…ねぇ、石川先生だって知ってるわよねぇ?」
 敢えて梨華にも話を振るなんて保田は意地悪だ。やはり確信犯か? 狙いはこれか?
なんてひとみは泣きたいような気持ちで梨華を見ていた。
「知ってるって言うか、保田先生が言ってるのを私は聞いただけだから…」
 梨華は肯定も否定もしない。そして保田が言いふらしていたのかと思うと腹立たしい。
335 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時30分19秒
「わざわざ言わなくたっていいじゃないですか!」
 ムキになって言い返すひとみに、既に保田の思うつぼだった。
「吉澤さんと松浦さんは公認じゃない。なに今さら言ってんの?」
「あはっ。先生達まで公認だったんだね、よっすぃーとまっつーって」
「………」
(もう知らない。ごっちんも保田も!!)
「公認もなにも、吉澤さんって松浦さんと付き合ってるんでしょ?」

 3人の会話に梨華は、数日前の放課後の教室の事を思い返していた。
(そう言えば、ひとみちゃんと松浦さんってキスしてた…よね……)
 その光景を目にして一気にネガティブになったのは記憶に新しい。そして折角自分の部屋に
呼んだのに、肝心の事は聞かず、しかもひとみと何も起こらず(実際起こっていたが梨華は気付
いていない)今日まで来てしまっている。
336 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時34分50秒
 3人の会話に梨華は、数日前の放課後の教室の事を思い返していた。
(そう言えば、ひとみちゃんと松浦さんってキスしてた…よね……)
 その光景を目にして一気にネガティブになったのは記憶に新しい。そして折角自分の部屋に
呼んだのに、肝心の事は聞かず、しかもひとみと何も起こらず(実際起こっていたが梨華は気付
いていない)今日まで来てしまっている。

「付き合ってませんよ」
 ひとみが否定したところで、それは照れ隠しだと思われるのはオチだった。
「隠さなくてもいいのよ。石川先生は、どう思う?」
 急に保田から話を振られ、梨華は曖昧に返事をした。
「べ、別にいいんじゃないんでしょうか? 生徒の恋愛にまで口出しする気はありませんし」
 梨華は心にもない事を言ってしまう。保田や他生徒もいる手前、ひとみに好意がある事を
此処で言うのは、やはり躊躇われた。

―――別にいいって…。先生、そうなの?

 今の梨華の言葉にひとみは、かなりの打撃を受けた。
337 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月09日(土)18時38分40秒
 さすがに真希も、ひとみの顔を見つめた。
(ありゃりゃ、石川先生。我慢しちゃって…)

「保田先生も、あんまり生徒の噂話はしない方がいいんじゃないでしょうか?」
 梨華の精一杯の抵抗だった。入り立てで、しかも今日遅刻した手前、あまり大きな事は言えない。
「まぁ火のない所に煙は立たないしねぇ」
 保田はそう言ったが、さすがに悪いと思ったのか、これで話を終わらせようとした。

 既にひとみの耳には、梨華と保田の会話は入ってこなかった。

 そして更に、噂に上がっていたもう1人の亜弥が運悪く、高橋と共にやってきたのだった。
338 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月09日(土)18時45分12秒
なんか長くなってしまいました。久しぶりに書きながらうp。
すれ違って行く2人。なんで、こうなるのか私にもさっぱり…T_T。

>326 某さくしゃさん
もどかすぃー関係は更に続くと思われ(w。
>高橋ちょっと好きなのに…。嫌いになったらどうしよう(爆
嫌いになる程活躍しないと思われ(w。分かりませんが。

>327 ごーまるいちさん
ヤッスー策士です。きっと夜は石川を…(謎)。
>しかし吉が切ないですね…がんがれ吉!(T-T)
あやゃに頑張ってもらおうかな?(結局、それかい!)

>328 理科。さん
お仕事忙しそうですね。マターリで良いんで新作待ってますよ。
その時はあやゃを絡めて…(略。
ここのヤッスーも、嫌なキャラになりそうな予感。
339 名前:REDRUM 投稿日:2002年03月09日(土)18時51分15秒
ぬうぬぬぬうぬ!!
ヤッスーめ、手強いな。
340 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月09日(土)19時32分24秒
ヤッスー。確信犯ですな。(w
梨華ちゃんも、何で覚えてないんだよ〜〜〜とか思ったりして。(笑
しかも、高橋が、石狙いとな。どうなるのか楽しみです。
がんばってください!
341 名前:名無し☆ 投稿日:2002年03月09日(土)20時35分32秒
ヤッスー、よっすぃ〜をいじめないで〜!(爆)
石川先生ねらいの高橋も登場し、
さらに続きが気になります^^
がんばってください!
342 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月10日(日)01時16分49秒
うーん、まったくどうなるのかわかりません。
混戦状態になってきましたねえ。更新楽しみに待っています。
頑張ってください。
343 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)12時47分55秒
-5-

「ひーちゃん…」
 食堂に入ってすぐに亜弥はひとみの姿を見つけた。
 どこにいても、すぐにひとみを見つける事が特技のようになっていた。

「石川先生!」
 高橋の方は梨華を見つけると、すぐさま亜弥を置いて梨華の傍に駆け寄ってきた。
「?」
 梨華は首を傾げて高橋の方を見た。
 まだ赴任して間もないし、自分の受け持つクラスですら、全員の顔と名前を一致させていない
梨華は、他の、ましてや中等部の生徒の名前まで覚えている筈もなかった。

 亜弥も仕方なく、高橋の居る方に来る。
「まっつー!」
 真希の方が先に気付いて声をかけてきた。その声に傷心気味のひとみも顔をあげた。
「あやゃ…」
「ひーちゃんも…学食だったんだ」
「うん…」

 いつもと様子が空気が違う事に気付いた保田は内心ニヤリとする。
(なんだか面白そうな展開♪ でもなんで高橋が?)
 保田が高橋の方に目をやると、既に高橋は梨華と親しげに話し込んでいた。
344 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)12時50分07秒
「高橋愛って言います。私、先生のファンになっちゃいましたぁ」
「え?」

 保田は、またか…と言った顔をすると、戸惑っている梨華を見て高橋に言った。

「高橋さん、あなたこの前、矢口先生にも同じコト言ってなかったかしら?」
「あぁ。ってなんで保田先生が知ってるんですか?」
 悪びれた様子もなく高橋は保田に聞き返す。
「なんでって、矢口先生が笑いながら言ってたし」
「あ〜、やっぱり矢口先生本気にしてなかったんですねぇ」
 笑いながらと言うのも失礼だが、やっぱり本気にしてないと答える高橋も高橋だ。
「あんまりそんなコトばっかり言ってると誰からも相手にされなくなるわよ」
「大丈夫ですよ。私のコト想ってくれる子いますから」
 高橋は自信ありげに言う。
「大した自信ね」
(むかつくわね。ホントに)
 保田は、何か言ってもすぐやり返してくる高橋がどうにも苦手だった。
 そのくらいでないと保田の相手は務まらないのだが。
345 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)12時51分13秒
「保田先生!」
 そこへ小川がやってくる。今の会話を聞いていたらしい。
「あら、小川さん…」
「ちょっと待って下さい。保田先生には言われたくないです」
「まだ何にも言ってないわよ!」
「あービックリした!驚かさないで下さい」
「高橋、アンタ全然驚いてないわよ」

―――保田先生にあんな事を言えるなんて凄い。
 完全に2人に遊ばれてる風の保田を見ながら、梨華は、高橋と小川に感心していた。
346 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)12時52分20秒
 高橋が来たのは誤算だった。肝心のひとみと亜弥は? 
 保田は適当に高橋と小川をいなすと亜弥に声をかけた。

「松浦さん。あなた達の噂をしてたところなのよ」
 亜弥が来た時に、先にコレを言う筈だったのに、高橋のおかげでかなり時間が経ってしまった。
「噂って?」
 亜弥は保田の方を見る。
「言わなくても分かってるでしょ」
 保田は不敵に微笑む。そんな保田を見ながら、さっき自分が言った事は既に忘れているのかと
梨華は溜息をついた。梨華も噂話は嫌いではないが、やはりひとみと亜弥の事は知りたくもあり
知りたくもない気持ちが入り混じっている。
「吉澤さんと出来てるって話…」
「保田先生、何もそんな言い方しなくても」
 "出来てる"とわざと言う言い方に、保田の厭らしい部分が垣間見れて、
なんだか梨華は嫌な気分になり、つい口出ししてしまった。
347 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)12時53分00秒
 しかし亜弥は別に気にする風でもなく逆に開き直った。
「まぁそうですね。毎晩一緒に寝てますし」
「亜弥!」
 その言葉に一番驚いたのは、ひとみ、そして梨華だった。
 その場にいた生徒らも、一斉に亜弥に注目した。

「い、一緒って…」
 さすがの保田も、そんな返事が返って来るとは予想していなかったらしく唖然とした。
「ひーちゃん、今日も一緒に寝ようねはあとはあと
 亜弥はひとみを見てニッコリと微笑んだ。
 ひとみは慌てて立ち上がると、亜弥の手を引いて食堂を後にした。
348 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)13時11分21秒
-6-

 亜弥の手を引っ張り、体育館の裏へと連れて行き、ようやくひとみは手を離した。
「あやゃ、どういうつもり?」
「嘘は言ってないでしょ?」
「そうだけど」

 一緒に寝てるなんて言ったら、絶対何かあると思われるのは目に見えていた。
 梨華に、どう思われたかそれが心配だった。さっきから自分に不利になる事ばかりだ。

「石川先生が気になるんでしょ?」
「………」
 ズバリ亜弥に指摘され、ひとみは黙る。
「私だって、ひーちゃんのコト好きなんだし諦めた訳じゃないもんね。
 それに…ひーちゃんだって私のコト嫌いになった訳じゃないし…」
 そう言って亜弥はひとみの首に両手を巻き付けた。

 ひとみにとっては、それも悩みの種だった。亜弥が嫌いになった訳ではない。
 むしろ前よりも好きになっている。愛しいと思う。キスした事も後悔していない。
 亜弥に冷たくも出来ず、だからと言ってこれ以上進む事も出来ず、だからひとみは、
こんな自分が嫌にもなるのだ。
349 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)13時24分27秒
「あやゃ…」
「私、愛と石川先生が似合うとは全然思わないけど、今回は応援しようかなって思ってるんだ」
「でも本気じゃないでしょ、愛ちゃんは」
 ひとみは高橋は相手にしていなかった。
「それはどうかな? でも保田先生も、相当石川先生のコト狙ってるっぽいよね」
「………」

 それもひとみの不安材料の1つである。執拗以上に今日の保田は自分に絡んできていた。
 と言うより首を突っ込みたがっていた。そして梨華の発言。
 これでは、梨華に告白しようにも相手にしてもらえそうになかった。

―――告る前に玉砕か…。

 ひとみがボーッとしていると、ふいに唇が塞がれた。
「…!!」
 すぐに亜弥のくちびるが離れると、亜弥は悪戯っぽく笑った。
「昨日の涙は無駄にしないから。私は、ひーちゃんが好きはあとはあと
「あやゃ」
 ひとみは怒る気にもなれず、そんな亜弥を見つめていた。
 真っ直ぐに自分を見つめて”好き”と言える亜弥が羨ましく思える。自分なんて…。
350 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月10日(日)13時35分44秒
「でもね、ひーちゃんの哀しい顔見たくないから、どこかで石川先生と…って思ってるんだ。
 矛盾してるけどね。世の中そんなにうまくいくもんじゃないけど」
 亜弥の意外な言葉に、ひとみは亜弥をマジマジと見る。
 そして”涙”の言葉に、梨華が泣いていた理由を、まだ聞いていない事をまた思い出すのだ。

「そんなに意外かな? やっぱりさ、ひーちゃんには、笑っていて欲しいから」
「優しいんだね、あやゃは」
 ひとみは、また亜弥の事も好きになる要素を見つけてしまう。
 自分は、亜弥に『梨華が好き』だと言ったと言うのに、そんな自分を応援すると言うのだ。
「当たり前でしょ。私は、ひーちゃんが好きなんだよ? いつでもひーちゃんの傍にいる」
 亜弥は優しい眼差しでひとみを見つめた。
「あやゃ…ありがとう」
 ひとみは無意識に亜弥を抱きしめていた。
351 名前:名無し 投稿日:2002年03月10日(日)13時44分01秒
自分はよしあや派なんだか、いしよし派なんだか?(w
途中からゴマ放置してしもうた(w。

>339 REDRUMさん
ヤッスー意地悪ですねぇ。大人げないと言うか。
松下萌子Ver.の「卒業」はイマイチですね。

>340 よすこ大好き読者さん
高橋は移り気なんで、石以外にも…(謎)。

>341 名無し☆さん
やっぱりあやゃを悪く書けない私は、こんな風になってしまいます。
どっちつかずですね、吉澤くんは。

>342 いしごま防衛軍さん
絡む人が多くなりすぎたでしょうか?(汗)
実はまだ結末はどうしようかと悩んでいたり…。
352 名前:夜叉 投稿日:2002年03月10日(日)14時02分22秒
自分が放置なうちにかなり話が進んでる…(^^;;
吉の気持ちはどこへ行ってしまうのでしょうか。
353 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月10日(日)14時30分36秒
そ こ で 抱 き し め た ら イ カ ン の で す 。
なにげいしごま祭だった今日この頃、風邪です(w
ナース吉澤にはやられかけましたけど(w
354 名前:名無し男 投稿日:2002年03月10日(日)15時16分37秒
あっちフラフラ〜
こっちフラフラ〜

大ダメージの後にこんだけ優しくされたら確かにフラフラするわな(w
仕方ないか
355 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月10日(日)15時48分42秒
混戦になるのはいっそうおもしろくなっていいのですが、
ごっちんが石川先生を狙って参戦するというのもなにげに
おもしろいかも。
更新楽しみにしています。頑張ってください。
356 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月10日(日)16時54分59秒
優柔不断な吉。かわいいです。
あやゃ強し!ヤッスーも負けてないですね。
これからまた展開が、面白くなりますね。がんばってください!
357 名前:名無し☆ 投稿日:2002年03月10日(日)17時22分34秒
あやゃ強くなってますね。いいです^^
あとよっすぃ〜の優柔不断はなかなかいいですね。
おもしろくなってます。
がんばってください^^
358 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月10日(日)18時34分17秒
あやや強い!さらに強くなってますね。
対する石川先生は・・・。(ニガワラ
ヤッスー警報鳴りっぱなしだし。(w
359 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年03月11日(月)19時54分36秒
恐るべし!策士ヤッスー!さりげないうたばんネタにも笑わせて頂きました(w)
あの〜自分は立派な(?)いしよし推しのはずなんですが…
どうしてもこちらを見てしまうと、よしあや推しになってしまうのですが(w)
360 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月11日(月)22時59分14秒
いしよしを・・・と思っていたけど、
これのあややは可愛過ぎる!このままよしあやに行っても文句言わないっす(w
それぐらいあやや、可愛いっす。
あやや、いいな〜。
361 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時04分39秒
-7-

 ―――そして夜。
 学校も退けて保田と梨華は保田行きつけの居酒屋に来ていた。
 昼休みの時は、高橋と小川、亜弥の出現によって、偉く機嫌を損ねていた保田だったが
今は、それを微塵に感じさせない程、上機嫌だった。

―――お酒の力って凄い。
 梨華は、保田の機嫌が良いのは、酒が飲めるからだと思い込んでいたが実際はそうではない。
 保田はやっと、梨華と2人きりになれた事に、心から感謝するのだった。
362 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時05分14秒
「石川。今日は仕事の話は抜きよ」
「はい」
「だから、プライベートの時は、石川って呼ぶコトにする。いいわね?」
 本当は名前で呼びたい保田であったが、さすがにそれは図々しいかと思い姓字で呼ぶ事にした。
「は、はい」
「それと!」
「はい!」
 まだ保田の話は続いていたので、梨華は思わず大声で返事をしてしまった。
「私のコトも…」
「なんでしょう?」
 見れば保田はうっすらと頬を染めている。なんだろう? と梨華が首を傾げていると
「出来ればでいいんだけど、名前で呼んでくれない?」
「…急には………」
「い、今のは忘れて」
 保田は慌てて言うと、内心残念がりながら舌打ちしていた。
(ちょっと早かったかしらね。もう少し様子見様子見!)
363 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時05分55秒
 梨華にとっては、そんな事はどうでも良かった。
 ひとみと亜弥の関係。キスを目撃しただけでもショックだったのに、
 毎晩一緒に寝ると言う事は、やはり……。梨華は想像して、頭を振った。

―――すっかり遅れを取っているうちに、松浦さんに先越されまくりだわ。
 もう、どうしたらいいんだろう。やっぱり、ここは年の功で、保田先生に訊くしか。

「あ、あの、保田先生…」
「なぁに? 石川」
「やっぱり、吉澤さんと松浦さんって、毎晩……その…してるんでしょうか?」
「ぶっ!!」
 保田は梨華と乾杯した後、サワーを少し口にしていたが、吹き出しそうになり咽せた。
「だ、大丈夫ですか? 保田先生!」
 慌てて梨華は、手元にあったお手拭きを保田に差し出した。
「大丈夫よ」
(石川、いきなり来たわね。)
「すみません」
 別に梨華は悪くないのに、やはり吹き出した事に対して謝ってるのか梨華は
申し訳なさそうにしている。
「気になるの?」
 保田はさり気なく訊く。梨華がひとみに気がある事ぐらい、とっくにお見通しであるが
梨華は、気付かれていないと思っているらしい。
364 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時07分19秒
「やっぱり吉澤さんの担任ですから」
「ホントにそれだけ?」
 保田はわざと念を押すように聞き返す。
「そ、そうですよ」
 あくまでも梨華はシラを通すつもりらしいので、保田も合わせる事にした。
「でも、さっき石川は、生徒の噂話はしない方がいいって私に言ってたようだけど」
 保田に指摘され、梨華は口ごもる。確かに保田に対して言ったのは事実だ。
「あ、あの。でも、これは噂ではなく松浦さん本人が言ったコトですし…」
「まぁそうね。アレは噂話ではないか」
 保田はあっさり言うと、一呼吸おいて言った。
「いい? 自分と自分の好きな人を想像してみて。例えば、私と石川とか…」
「はい?」
 梨華は思わず聞き返す。
「なんでもないわ。その人と同じベッドで寝るとする。そしたら石川はどうする?」
「どうって?」
「やっぱり、しちゃうでしょ」
「………(照)」
 梨華は、ひとみと想像して、赤くなり俯いてしまう。
365 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時08分05秒
「それが答えよ」
 保田はズバリ自信たっぷりに言った。
「そぅでしょうか? 保田先生もやっぱり、そうなんですか?」
「そうよ! 石川とだったら、私…」
「?」
 なんで自分が出てくるのか、素で分からない梨華は、保田を見つめた。
(い、石川。可愛すぎる。罪ね。そんなに私を見つめちゃダメよ。火傷するわよ)
 保田はカッコよくサワーを一気に飲み干すと、カタンとグラスを置いた。

「…なんでもないわっ。それより、石川なんで飲まないのよ」
「このところ、毎晩飲んでるって言うか…」
 梨華は話題が変えられた事を残念に思いながら、言葉を濁した。
 大した量を飲んでいないのに、中澤の前でも酔っぱらい、昨日もひとみの前で
失態をしてしまったので、さすがに3日目の今日は、保田の前で失態をおかす訳にはいかなかった。
366 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月12日(火)20時08分43秒
「石川、そんなに悩み事があるの?」
 いつの間にか保田が梨華の肩に手をかけ、顔が接近してきていた。
「(きゃっ!)…そういうんじゃ…ないんです…けど…」
 梨華は、思わず叫びそうになるのを何とか堪え、無意識に身体をずらし保田と距離を置いた。
(保田先生、ビックリするじゃないですか。急に…)
 しかし、保田は構わず梨華に接近していく。

「今日は、パァーッと飲もうよ、石川!」
「はぁ…」
 教育指導係の保田に断る訳にもいかず、梨華は渋々頷いた。
(またへんな事しだしたら、どうしようかなぁ…)
 梨華は、保田といる事よりも、酒を飲んだ後の事が気になり始めていたのだった。
367 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月12日(火)20時10分34秒
やっと、保田行動中。

>352 夜叉さん
吉の気持ちは、どっちでしょう? 私も決めかねています。

>353 某さくしゃさん
風邪大丈夫ですか? なかなか、石川と吉澤のシーンにならないので
暫くは、あやゃ萌えになってもらいます。(個人的希望)

>354 名無し男さん
吉は、あやゃには甘過ぎるんで。これからも、甘くなる…かも?

>355 いしごま防衛軍さん
いしごまですか。私が書くといつも敗者は後藤って決まってしまうので(w
最初から分かってるのは、どうも…。

>356 よすこ大好き読者さん
優柔不断でもよかですか? 作者自身が優柔不断なもので(w。
風板で書いてた時も、かなり優柔不断でしたね。
368 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月12日(火)20時11分12秒
>357 名無し☆さん
あやゃにエール送ってあげて下さい。私もあやゃ押しです(w。

>358 吉胡麻系さん
石川は、へなちょこすぎますね。ネタバレになりますが、早く吉澤をドライブに
誘って欲しいものです。そこまで話が行き着きませんが(w。
ヤッスー警報ですか。面白いですね。

>359 ごーまるいちさん
よしあや推しですか! なんか嬉しいですよ。
でも、ヤッスーには石川渡したくないんですけどね(w。
うたばんネタ入れる為に、小川を出しました。

>360 名無し読者さん
あやゃ可愛すぎるって嬉しいですねぇ。顔ニヤけますよ。
私があやヲタにならなければ、こんな風にはなりませんでしたし(w。
ってかチケットまだ来ないなぁ。
369 名前:じじ 投稿日:2002年03月12日(火)23時11分04秒
保田さん危ないです。
操の危機を感じるのですが。
しかしあえてヤッスーファイッ!
370 名前:名無し男 投稿日:2002年03月13日(水)11時45分37秒
ついにヤッスーミサイルが発射されたわけだが

これはピンチですか?
371 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月13日(水)13時17分05秒
ヤッスーついに行動を開始しましたなあ。
このあとが気になる。更新楽しみに待っています。
頑張ってください。
372 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)20時56分34秒
-8-

「保田先生、さっきの話に戻るんですけど…」
 梨華は仕方なく頼んだピーチサワーに軽く口をつけると、また話を元に戻そうとした。
「石川。そぉんなに吉澤のコトが気になるの?」
 やっと梨華と2人きりになれたと言うのに、ひとみの話を出され保田は機嫌が悪くなる。
 そして、ひとみに嫉妬するのだ。保田の口調が強くなったので、梨華は急いで付け加えた。
「あ、いや。気になるって言うんじゃなくて…まだ、あの2人は…多分……
 して…ないと……思うんですよ」
 梨華は控えめに言うが、保田にあっさりと否定されてしまう。
「いや、絶対してるわよ!」
 保田も梨華同様に、ひとみと亜弥は、まだそこまでの関係にはなっていないと思っていた。
 これは長年の勘でもある。しかし、そこで梨華に同意しては梨華を安心させてしまう事に
なるから、あくまでも保田は、梨華とひとみを引き離そうと企んでいた。
373 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)20時58分34秒
「………」
「大体、今時の子なんて、即やっちゃうのよ」
「やっちゃう……」
 梨華は呟くとテーブルに視線を落とした。
「確かに…教室で、吉澤さんと松浦さんがキスしたのを見た時はショックでしたけど」
「なにぃ〜〜?」
 保田には初耳だったので、いきなり大声をあげ、思わず席を立ってしまった。
まだ時間帯が早く客もまばらに入っていたが、他の客から注目を浴びてしまった。
「保田先生…」
 梨華は呆気にとられ、保田を見る。保田は口をぱくぱくさせている。
「あの2人、ホントに……」
 保田は、席に座り直すと、まだぶつぶつと言っていた。
「保田先生が、2人は出来てるって言ったんじゃないですか」
 そうだった。自分で言っておきながら何動揺してるんだろう。
 保田は深呼吸すると、すぐに冷静を保とうとした。
「そ、そうだったわね。そうなんだけど、実際見た訳じゃなかったから
 そんな話聞いたコトなかったし。悪かったわね」

 それにしても吉澤! 松浦とホントにキスしやがるとは、羨ましい。
 じゃなくてムカつくわね。その上、石川まで狙ってるとは、冗談じゃないわよ!
 石川を渡すもんですか!!
374 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)20時59分39秒
「保田せんせー…」
 梨華の口調がのんびり、呂律が心なしか回らなくなってきた。早くも酔いが回り始めたようだ。
 しかし、梨華は懸命に保田にまた質問をしようとしていた。
「なに? 石川」
「私ぃ、好きな人がいるんですけど…。どうやったら…モノに出来ますかぁ?」
「ちょっと、平気?」
 保田は梨華の背中をさすると心配そうに梨華の顔を覗き込んだ。
(いきなりモノって…なに、石川焦ってんのよ。松浦が原因?)
「平気ですよぉ」
 そう言って梨華は、へへへと笑う。全然平気ではない。
「石川…」
「この前ぇ、裕ちゃんに相談したらぁ、酒飲ませて押し倒しちゃえって言うんですよぉ」
「なっ…」
 中澤は、そんな事を梨華に言ったのか。さすが中澤だ。彼女なら言いかねない。
 などと感心してる場合ではない。
375 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時00分22秒
「それで、石川はどうしたの?」
「さすがにマズイじゃないですかぁ…。そんな未成年にお酒なんてぇ」
 梨華は笑いながら保田に絡んでくる。不覚にも保田は、そんな梨華を可愛いと思ってしまうが
続きが気になる保田は、軽く宥めながら話を促した。
「それで、り、梨華はどうしたのよ」
 どさくさに紛れて、名前で呼び保田は柄にもなく照れた。
「一緒に飲もうってコトになったんですよぉ。いきなり計画がダメになっちゃってぇ。
 結局私が先に眠っちゃって……計画はパァーですよお。あははっ」

 笑い上戸かよっ!でも良かったわ。それにしても吉澤といつの間に、そんな機会が。
羨ましいわね。絶対、石川は渡さないわよ!
376 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時00分54秒
「その後、どうしたの?」
「起きたら朝でしたよお。もぅ私ってダメですねぇ。どうやったらいいですかぁ?
 保田先生、教えて下さいよぉ〜」
 保田はしばし、考えていたが、ある案が浮かび、ニヤリとする。
「いいわよ。教えてアゲル。取りあえず場所を移動しましょう」
「えぇ? もうですかぁ? まだ来て少ししか経ってないですよぉ?」
 ぐずる梨華を立たせると、保田は伝票を掴んだ。
377 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時02分35秒
-9-

 その頃、ひとみと亜弥は―――。
 部活帰りの亜弥と落ち合い、ひとみは駅前で遊んでいた。
 大きめの半袖シャツにジーンズ、そしてつばの長い帽子を被っているひとみはそこら辺に
いる男よりも、カッコ良く映っていた。これでは亜弥が他の男に目移りなどする筈がない。
 その上、ひとみは亜弥には甘く優しいのだから。

 さっきもゲーセンで、亜弥が他の男達に絡まれた時、ひとみは助けてくれた。
「オレの亜弥に手を出すなよっ!」
 実際、ひとみ自身怖いのだが、わざと低い声で凄むと大抵の男は去っていく。
 その度に、亜弥は喜ぶのだった。その状況を楽しんでさえいるように。
 自分を男だと思われている事はある意味複雑でもあるが、それを時々うまく利用していた。

「ひーちゃん大好きはあとはあと
 ひとみの腕にキュッと強く抱きしめ、さっきひとみが取ったUFOキャッチャーのピンクの
アフロ犬を、嬉しそうに見つめていた。

(ピンクが好きなのは、先生も一緒。そう言えば、先生の部屋にもピンクのアフロあったような…。)
378 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時03分38秒
「もう1回、プリクラ撮ろうよ♪」
「あやゃはホントにプリクラ好きだよなぁ…」
 ひとみは、それほど好きでもないが、殆ど亜弥と一緒に撮ったものばかりがいつの間にか
増えていた。
「プリクラよりも、ひーちゃんの方がもっともぉ〜っと好きだけどねはあとはあと
 プリクラの台の前に立つと、亜弥は、もっとひとみに寄り添うようにピッタリくっついて来た。
 後ろから見えなくても横からは丸見えである。人前でいちゃつくのは、ハッキリ言って
ひとみは得意ではない。と言うより嫌なのであるが、亜弥はお構いなしに、ひとみにベッタリ
するようになった。敢えて嫌がる様子も見せないひとみに、亜弥は調子に乗ってわざと頬に
くちびるを寄せるような仕草をした。
「ちょ、ちょっとあやゃ。あの…」
 さすがのひとみも、亜弥をやんわりと押しのけた。
379 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時04分20秒
「どうしたの? ひーちゃん」
 横を見れば、他校の女子高生徒達が、ひとみ達を見ていた。
「見られてるだろっ…」
 ひとみは、わざと帽子を深く被り直した。女とバレる事は、まずないがこんなところを、
保田なんかに見られたりしたら、また面倒くさい事になりそうだ。
「ふふ。ひーちゃん、カッコいいはあとはあとって見とれてるんだよ」
 亜弥は構わずに、またひとみの腕に絡みついた。
「あ、暑いから離れろよ…」
「イヤ。…ねぇキスしたところで、写真撮ろうよ」
 そう言うや否や、亜弥はひとみに隙を与えずに素早くキスをすると、ボタンを押した。
 
 亜弥にキスされた瞬間、周囲から、キャーと言う女子高生の声が聞こえたような気がした。
380 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月13日(水)21時13分11秒
ヤッスーと石川・・・ちょっと危険なカオリが。
よっすぃーとあやゃは、相変わらずラブラブ?モードだったり。
そろそろ、お引っ越し考えてます。また赤に戻ろうかな。
どこも同じくらいのスレッド数なんで。

>369 じじさん
操は、平気です。ってか私がさせませんっ!!ヤスなんかに(ぉぃ

>370 名無し男さん
ピンチになるけど、なりません?(謎)

>371 いしごま防衛軍さん
ヤッスーも実は、へなちょこだったり…する?

でも、一番頑張ってるのは、今のところあやゃだったりします。
381 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時44分21秒
-10-

「絶妙なタイミングだったでしょはあとはあと
 絶妙とは、先ほどのプリクラでの話である。ばっちりキスされたところが映っていた。

 ひとみと亜弥は公園のベンチで、それも何故か亜弥はひとみの膝の上で抱えられるようにして
座っていた。端から見れば、恋人同士が、単にいちゃついているようにしか見えない。
 もう夏も近いと言うのに、熱い事である。

「あやゃは大胆だからなぁ…」
 ひとみは苦笑いする。積極的な亜弥に当初戸惑い気味だった、ひとみもだいぶ慣れて来て
しまっていた。慣れとは恐ろしいもので、あれだけ照れていたキスも最近では日常とまでは
いかなくとも、普通にキス出来るようになっていた。今でもドキドキする気持ちは変わらないのだが。
382 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月13日(水)21時45分15秒
「ひーちゃぁんはあとはあと。もうすぐ夏休みじゃない?」
「まだ、テストも終わってないのに、もう休みの話?」
「だって私、勉強嫌いだもん」
「追試とか補習になったって知らないぞ。それに、あやゃ一応受験生だろ」
「エスカレーター式なんだから、関係ないもん。あがるだけだし」
 亜弥は、ひとみの上で足をぶらぶらさせる。
「そうだけどさ。期末テストは、ちゃんとやれよ。また勉強教えっから」
「ひーちゃんに教わるのは、もっと違うコトがいいな」
「ふぅん…。例えば?」
 ひとみは気のない返事をする。
「んーとね」
 亜弥はひとみの耳に口を近づけると、囁いた。
「ひーちゃんの愛のABCはあとはあと
「………(焦)!!」
383 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時50分12秒
「ひーちゃん、休みに入ったら、2人きりで、どこか旅行行こう」
「ひぇっ?」
 愛のABCの後に言われたものだから、ひとみは思い切り意識してしまう。
「早く休みに入らないかなぁ〜」
 亜弥は、ひとみが梨華に気がある事を知っている癖に、がんがんひとみに積極的になっている。
いや、気がある事を知って以来、一層強くなった気がした。
384 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年03月13日(水)21時58分25秒
―――もぅ、疲れたわよ! ちょっと公園で一休みするわ。

 保田は、少し酔っている梨華をなんとか支えながら、ふらふらと梨華のマンションを目指して
歩いていたが、なかなか進まず、保田は疲れてしまった。
 自販機で冷たいお茶を買うと、また梨華を支えて公園の中へと歩いていく。
 何やら、中で声が聞こえてくる。

―――全く、イチャイチャしちゃって羨ましいっ! まぁ、この後、私も石川とはあとはあと
 どこの、ドイツよ、ちょっと顔でも拝見させてもらおうかしら?

 保田の方からは、男は後ろ姿しか見えない。女の方は、制服を着て、抱っこされてるような…。

―――あの制服ってウチの中等部のじゃない! こ、こんな夜中に、お、男と!!

 夏は特に風紀が乱れるから、キチンとしないとね。いきなり保田は教師の顔に戻ると、
ベンチへと近づいていった。
385 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月13日(水)22時14分40秒
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=red&thp=1016025204

赤に新スレ立たせていただきました。

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