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ハジマリ ノ マエ。

1 名前:婆金 投稿日:2002年02月13日(水)01時21分27秒
初めて、モノを書きます。

しかもモー娘。気になりだしたのが最近で
お互いの呼び方など、至らぬ点が多々あるかと思いますが
大目に見てもらえれば嬉しい限りです。

それでは、よっすぃーが主役です。
2 名前:ハジマリ ノ マエ。 -01- 投稿日:2002年02月13日(水)01時22分58秒
3階まで吹き抜けの高い天井が印象的な、広くて明るいエントランス。

やっぱりM女って、お嬢校だ。
「吉澤、おのぼりさんみたいだから。
 ちょっと、キョロキョロしない!」
私がM女の校舎にビビってたら、急に石黒センセーに怒られた。
「何で怒るんですか!?
 私、ただ見学してただけじゃないですか。
 見学しろって言ったのはセンセーでしょ?」
私が必死で弁解してるのに、センセーの
視線は私とは全く別の方に向いていた。
3 名前:ハジマリ ノ マエ。 -02- 投稿日:2002年02月13日(水)01時24分13秒
センセーの視線の方を向くと、
「彩っぺ!お待たせ〜、久しぶりやなぁ!!
 元気やった?
 学校の方はどない?
 ダーは元気?
 誰、この子?」
と関西弁でまくりたてるように喋りながら、
こっちに歩いてくるヒトがいた。
金髪の細身の女の人、20代後半〜30歳くらい?
この関西弁が、石黒センセーの友だちって人?
じゃ、この金髪関西弁がM女の先生なわけ!?
ちょっとM女、ダイジョーブ?

「祐ちゃん、相変わらずだね〜。
 元気だった?
 私は元気だよ。
公立中にも慣れたし、楽しい教諭ライフを送ってる。
 ダーともラブラブだし☆
 それから、コレは吉澤。
 吉澤、この人が私の友だちでM女高等部の中澤先生」
石黒センセーは、中澤先生の質問に見事に答えながら
眼で私に『中澤先生へあいさつするよう』促している。
「コレ扱いだなんて、ひどいっすよセンセー」
まず石黒センセーに噛みついて・・・。
4 名前:ハジマリ ノ マエ。 -03- 投稿日:2002年02月13日(水)01時25分32秒
「はじめまして。T市立H中学3年の吉澤ひとみです!!」

「吉澤か。元気やなぁ!
 いい目をしてるやない。M女に来えへん?」
「あ、やっぱ祐ちゃんも、吉澤、M女に合うと思う?
 アタシは絶対、吉澤はM女を受けるべき思ってるんだけど」
「うん。何かこの子は、M女っぽいわ。
 ところで、彩っぺ。
 ダーのライブビデオ、持ってきてくれた?」

・・・あのぅ、石黒センセーに中澤先生、私の存在を忘れてません?

「モチロン、持ってきた!
 どこ行く?私、7号館のカフェに行きたいんだけど」
「懐かしいなぁ。
 よくあそこで一緒にお茶したなぁ、そういえば。
 じゃ、行こか」

・・・だから、石黒センセーに中澤先生、私の存在を忘れてません?
あっヤバイ、私を置いてどこかに行こうとしてるよ!
5 名前:ハジマリ ノ マエ。 -04- 投稿日:2002年02月13日(水)01時26分48秒
「あのぅ、石黒センセー!私はどうしたらいいんですか?」
私の声に、石黒センセーは一瞬、ハッとした顔を見せた・・・。
石黒センセー、忘れてましたね?私という教え子の存在を!
私を拉致同然の行為で、M女まで見学に連れてきたくせに!
M女は“吉澤が一番、輝くことの出来る場所”って
言って、私にここを受験するよう薦めたくせに!

センセー悲しいよ、私は。
私をちゃんと見てくれている、石黒センセーの存在を
ありがたく思ったのに。
何だか、存した気分だよ。
6 名前:ハジマリ ノ マエ。 -05- 投稿日:2002年02月13日(水)01時28分22秒
「あぁ、吉澤・・・。
 テキトーに見学してて、ってもM女は広いしなぁ。
 祐ちゃん、誰か吉澤に付けてやって」
「そやなぁ。誰かおらんかなぁ?」

中澤先生は、生徒がまばらにいるエントランスを見回して
「あっ、後藤がいてるわ。
 後藤!ちょっと後藤、来い!!」
と、ある生徒に声をかけた。

後藤と呼ばれた生徒は、広いエントランスの端の方から
めんどくさそうに、こっちに向かって歩いてくる。
遠目でも分かる。
後藤サンって、めちゃくちゃ美人だ。

「後藤。また一人でおったん?
 やることないんやったら、早よ帰りぃ」
「祐ちゃん、用が無いんだったら帰るけど?」
そう返事する後藤サンはやっぱりどこか、めんどくさそうだ。
「先生のこと“祐ちゃん”呼ぶなて言うてるやろ?
 それから、用はあんねんて。
 この子、M女を見学しに来たH中の吉澤さんって言うねんけど。
 学校、ちょっと案内したってんか?
 よろしゅう、頼むわ」
7 名前:ハジマリ ノ マエ。 -06- 投稿日:2002年02月13日(水)01時29分40秒
「あっ、H中3年の吉澤です。よろしく」
私は後藤サンに、出来るだけの笑顔を向けてあいさつした。
だって・・・。
M女の中で、石黒センセーや中澤先生に見捨てられたら
頼りはもう、後藤サンしかいないのだから。
後藤サンには逃げられては、ダメなのだ!

「あぁ、中等部3年のゴトーです。よろしく」
後藤サンは、やる気無しっぽいけど
それでも私にあいさつしてくれた。
ヤッタ!後藤サンには見捨てられずに済みそうだ。

「じゃ吉澤。アタシたち、ちょっとカフェで話してくるね。
 1時間ちょっとくらいで、このエントランスに戻ってくるから。
 その間、ちゃんとM女を見学してきてね」
「後藤、1時間ちょっとしたら
 吉澤さんをここまで連れて帰ってきてな。頼むで」
そして、二人のセンセー達は消えていった。
8 名前:夜叉 投稿日:2002年02月13日(水)23時03分57秒
なんて無責任な教師なんだ(爆)。
やや放置気味な吉澤に期待してます。
9 名前:婆金 投稿日:2002年02月13日(水)23時20分11秒
夜叉さん、早速のレス、どうもありがとうございます。
初めてモノを書いて、初めてスレ立てて、と
初めてづくしだったので、とても嬉しいです!
10 名前:ハジマリ ノ マエ。 -07- 投稿日:2002年02月13日(水)23時21分51秒
後藤サンと二人きりになってしまった・・・。
どうしようかな。

とりあえず私は、後藤サンの顔色をうかがう。
目鼻立ちがハッキリしてて、相当の美人。
・・・って、悠長なことは思ってらんない。
後藤サンは『アンタ、何でここに居るの?』って
感じで、私の方を見てるし・・・。

まずは私の今までの経緯を全部、後藤サンに聞いてもらおう!

「じゃあさぁ、吉澤さんは塾へ行く途中で、
 祐ちゃんに会いに、M女へ向かっていた石黒センセーに
 発見されて“見学”を理由にそのまま、ここまで拉致されて
 その上、放置までされたわけ?」
後藤サンは、少し笑いながら言った。
あっ、初めて後藤サンの笑顔を見たぞ。
なんか、かわいい。
11 名前:ハジマリ ノ マエ。 -08- 投稿日:2002年02月13日(水)23時23分36秒
私はちょっとだけ、嬉しい気分になって答えた。
「うん。拉致られた、って、ちょっと情けないけどね・・・。
 あっ“吉澤さん”じゃなくていいよ。
 友だちはみんな“よっすぃー”って呼んでるし」
「じゃ、私も“ごっちん”で!」
「OK牧場!」
「???」
「あぁ、私的に流行ってる言葉だから気にしないで。
 それより。
 M女見学しろって言われたけど、どうしよう?」
「つか、だるくない、見学って?
 フリースペースがあるから、ジュースでも買ってそこ行かない?」
「フリースペース?行ってみたい!」
私はノリ良く返事したけど・・・。

ごっちんは何に対しても、めんどうだとか、だるいだとか感じてるのかな?
ちょっとした疑問が、私の中に生まれた。
何か、ごっちんの生体反応が薄く感じられるのは、私の気のせい?
まぁとにかく今はジュース買って、フリースペースとやらに行きましょ〜。
12 名前:ハジマリ ノ マエ。 -09- 投稿日:2002年02月13日(水)23時25分17秒
「ひゃ〜!エントランスもすごかったけど、ここもすごいね。
 このテレビ、でけぇ!しかもこのソファ、座り心地よくない?
 うぁ!ファッション雑誌まである。しかも最新号!
 ここって誰でも自由に使っていいの?」
吉澤、至れり尽くせりのフリースペースに大興奮っす!

「ウチの学校には、こんなスペース無いよ。
 ジュースの自販機だって
 牛乳とコーヒー牛乳とイチゴ牛乳と、バナナ牛乳しか無いし。
 M女みたく、ジュースとかおいてないよ」
私はそう言いながら、さっき買ったペプシを一口飲んだ。

「多分、フツーの公立中には無いんじゃない?
 ジュースもフリースペースも。
 ウチの学校の理念は“生徒の自主性を重んじること”なんだって。
 それを中等部から女子大まで一貫して通してるから、
 割と自由がきくんだよね。
 このフリースペースは、だいたい女子大生が使ってるんだけど
 原則的には誰が使ってもいいことになってんだ。
 でも実際に中等部・高等部で利用できるのは
 ごく限られた人たちだけなんだけど・・・」
そこで、ごっちんは急に口ごもった。
13 名前:ハジマリ ノ マエ。 -10- 投稿日:2002年02月13日(水)23時27分14秒
何でごっちん、口ごもったんだろ?
『ごっちんも“限られた人たち”に入るんだ?』って
すっごく聞いてみたい気がするけど。

でも今、ごっちんは確かに“ヤバッ!”って顔してるし。
聞いちゃダメなのかな?
でも今は私、M女の部外者だし、これからM女を受けるにしても
聞いておいた方がイイよね。
ヨシ!聞こう。

「ごっちんも、フリースペースを使える
 “限られた人たち”の中に入ってるんだ?」

なるべく平静な顔をして、聞いたつもり。
でも、ごっちんからは返事が返ってこない。
14 名前:ハジマリ ノ マエ。 -11- 投稿日:2002年02月13日(水)23時29分20秒
ごっちんは、大きな窓からグラウンドの方を見てるばかりだ。
あっちゃ〜、聞いたのは失敗だった?
でももうちょっとだけ、ごっちんの返事を待ってみよう。
何も答えが帰ってこなかったら、別の話題を振ればいいや。
『この窓、大きいね』とかさ。

つか、今気がついたけど
本当にこの窓は大きい。ここのフリースペースは
10階くらいある校舎(というか校ビル?)の一階部分なんだけど、
グラウンドに面した一面には、壁のかわりにガラス窓を配している。
そのガラス窓からは、外の光が入ってきて
このフリースペースは、もう日が暮れようとしているのに
とても明るくて、暖かい。

この学校には、光が溢れている。
嫌いじゃない、この感じは。
15 名前:ハジマリ ノ マエ。 -12- 投稿日:2002年02月13日(水)23時31分12秒
ガラス窓の向こうには、グラウンドで部を活やってる人たちの姿が見える。
女子サッカーとソフト、そしてグラウンドの隅の方ではテニス。
テニスコートは4面とっているみたい。
M女のグラウンドは、広い!

それにしても、みんな楽しく部活やってるみたい。
センセーやコーチの指導が厳しくないのかな?
それとも“生徒の自主性を重んじてる”M女の理念が
みんなを楽しく部活させてるのかな?

私は、ここに来る途中に石黒センセーがM女に対して言った
『けっこう、のほほん体質』だとか
『キラキラした空気感』って言葉を思い出した。

目の前の、楽しそうに部活をやってる人たちと比べて
私は楽しくバレーをやってこれたかなぁ?
指導が厳しくて、部活から逃げたくなることが何度もあったし
友だちと遊べないのがイヤで、バレーをやめたくなることも
やっぱり何度もあった。
そんな私だけど、M女だったら楽しくバレー出来るかも?
16 名前:ハジマリ ノ マエ。 -13- 投稿日:2002年02月13日(水)23時32分40秒
ぼんやりそんなことを思いながら、グラウンドを見渡していると
テニスコートの中で、一人の女の子が派手に転けた!
さっきまでコートの中を走り回って、一生懸命ボールを追ってた子だ。
結局、ボールに追いつけなくて、転けたみたい・・・。

その子はまだ立てずに、しきりに膝を気にしている。
血でも出ちゃったかな?
回りにいる子達も心配そうだ。
あ〜ぁ、せっかくの細い足なのに・・・。

んっ!?私、エロ視線じゃない?
でも確かに転んだ子は、いい足してるんだよなぁ。
それにスタイルもいいし!
まぁ、ちょっと色黒だけど・・・。
でもあれだけ一生懸命、アウトドアでテニスしてたら
どれだけ日焼け対策してても、少しは黒くもなるってもんでしょう。
ここからテニスコートが遠くて、顔がよく見えないのが残念だけど・・・。

んっ!?私、さっきよりエロ視線が鋭くなってない?
17 名前:ハジマリ ノ マエ。 -14- 投稿日:2002年02月13日(水)23時34分21秒
「・・・すぃー?、よっすぃー!」
ごっちんの声?
「ちょっと、よっすぃー!トリップしないでよ!!」
「あっ、ゴメン。トリップしてた?」
「してたよ、もぅ。しかも顔、にやけてるよ」
マジっすかぁ!?ハズイ。
あっ、顔が赤くなってきてるのが分かる・・・。
「ちょっと、よっすぃー。何考えてたの?顔赤いよ!」

『テニス部のかわいい子に見とれてました』なんて
恥ずかしくて言えるわけがない!
とりあえず、話題を変えよぅ!!

「えぇっとぉ。ご、ごっちんは(あぁ私、まだあせってるよ・・・)
 フリースペースを利用できる、限られた中等部・高等部の
 人なんだよね?」
「そうだよ」
あれっ!?ごっちん、案外あっさり認めちゃったよ。

じゃ何で今さっき同じ質問をしたときは、
何も返事をしてくれなかったのかな?
それにさっきのごっちんの“ヤバッ”顔は
何だったんだろう?
18 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月14日(木)08時54分02秒
テニス部員に静かに期待。。
19 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月14日(木)14時27分00秒
同じく、テニス部員に期待。

追伸:作者さんへ 「祐ちゃん」でなくて「裕ちゃん」では……
オリキャラだったらゴメンなさい。
20 名前:婆金 投稿日:2002年02月14日(木)23時38分22秒
ハッ!そうでしたか、裕ちゃん・・・。
思いっきり、変換間違えです。
スミマセン。
これからも、間違いがどんどん出てくると思います!
どなたでも
もしよかったら次回からもご指摘、お願いします。
21 名前:ハジマリ ノ マエ。 -15- 投稿日:2002年02月14日(木)23時41分49秒
ここはもう、単刀直入に聞くしかない!
『単純バカ』と人から言われても、私は釈然としないことを
そのままほっとけない性格だ。
ただ、私の安易な好奇心で、
誰かを傷つけるようなことはしてはいけない。
それだけは注意して・・・。

「あのさぁ、ちょっとつっこんだ質問してもいい?」
私は胸のつっかえを取るべく、ごっちんに話しかけた。

「んっ?いいけど」
ごっちんは、ちょっとだけ警戒した顔つきになった。
当たり前か。
だって初対面の人に“つっこんだ質問”されるんだもんね。
私がごっちんの立場でも、警戒するってもんだ。
それでも私は、ごっちんに聞く。
22 名前:ハジマリ ノ マエ。 -16- 投稿日:2002年02月14日(木)23時44分29秒
「今さっき、ごっちん“ヤバッ”って顔しなかった?
 それって、ごっちんがフリースペースを利用できる人って
 ことと関係あるの?
 モチロン、答えるのイヤなら返事しなくていいから」
「はぁ!?」
ごっちんの、素っ頓狂な声がフリースペースに響いた。
フリースペースにいた人たちが一斉に、こっちを向く。
私とごっちんは、照れ隠しにお互いの肩をこづきあって
クスクス笑うしかない。

「よっすぃー、何か考えすぎじゃない!?
 ゴトーがここを利用できるのは、飯田先輩と安倍先輩って
 ここの女子大生に、かわいがってもらってるからだよ。
 ただそれだけ」
ごっちんの答えに、私はまた顔が赤くなった。
「え〜、先輩絡みってだけのこと?
 もしかして私、勘違いクンだった?」
「うん、ちょっと。
 あっ、でもねゴトーが“ヤバッ”って顔したのはホント」

何でかな?
ごっちんは、さっきのかわいいテニス部の子の方を見てるみたい。
そういえばごっちんはさっきも、グラウンドの方を見ていたな・・・。
もしかして、テニスコートを見ていた?
23 名前:ハジマリ ノ マエ。 -17- 投稿日:2002年02月14日(木)23時45分58秒
『何で?』と私が聞く前に、ごっちんは喋りだした。
「ほら、あそこの。
 テニスコートに座ってる子、見える?ちょっと色黒の。
 “石川梨華”っていって、ウチらのいっこ上なんだけど」

あぁやっぱり、ごっちん、あの子を見てたのかぁ。
ウチらより、いっこ上ってコトは、高1ね。
それにしても“梨華”ちゃんかぁ。
名前までかわいいよ〜。
何てフラチなことを考えていたせいか

「うん、見えるよ。
 何か、かわいい子だよね」

つい余計なことまで、ごっちんに言ってしまった・・・。

「えっ!?よっすぃー、アレがかわいいの?」
何故か、ムッ!

「ボール追って転んじゃうほど
 部活に一生懸命なのって、かわいくない?
 そりゃ、顔はあんまり分かんないけどさぁ」
何故か、梨華ちゃんを擁護してしまう。

「顔はかわいいよ。学校の中でも外でも、めちゃくちゃ人気あるし」
「じゃ、ごっちんは何で
 石川サン(まさか“梨華ちゃん”なんて口には出せない!)の
 ことを、かわいいと思わないの?
 それに何でごっちんは、石川サンに対して“ヤバッ”顔になるの?」
何故か、もう聞かずにはいられない。
24 名前:ハジマリ ノ マエ。 -18- 投稿日:2002年02月14日(木)23時47分09秒
「うっとうしぃから。
 それに梨華ちゃん、私に気が付いちゃったみたいなんだもん」

はぁ!?
ごっちんからは、私が全く予期していなかった答えが返ってきた。

『何で?』と私が聞く前に、またごっちんは喋りだした。
「あっ。テニス部の練習が終わったみたい。
 来るよ、よっすぃー」

『来るよ』って何がだよ、ごっちん・・・。
25 名前:ハジマリ ノ マエ。 -19- 投稿日:2002年02月14日(木)23時49分21秒
テニスコートでは、梨華ちゃんたちが
ボールやネットの片づけをしている。

みんなと何か喋りながら、たまにカラダ全体を使って笑って・・・。
私には、梨華ちゃんは
かわいい女の子にしか見えないんだけど。

でもごっちんは、この愛らしい梨華ちゃんが“うっとうしい”らしい。
何故だろう?
いつの間にか残り半分になってたペプシを飲みながら
考えてみてるんだけど・・・、謎です。

「そろそろだよ」
ごっちんが、つぶやいた。
私はもう、梨華ちゃんから視線を外せなくなってしまっている。
まだ変わった様子はない。

あっ!?
26 名前:ハジマリ ノ マエ。 -20- 投稿日:2002年02月14日(木)23時50分30秒
私の眼が、ダッシュし始めた梨華ちゃんをとらえた。
梨華ちゃんの姿は、どんどん大きくなってくる。

「こっちに来てるのかな?」
私はごっちんに聞いてみた。
「うん」
ごっちんの答えはシンプルだ。

数秒後、梨華ちゃんは
私たちとグラウンドを隔てている
ガラス窓に、ピッタリへばりついた。

わぁ梨華ちゃん、かわいい顔してるよ〜!
バンザ〜イ!!

私はもう、ごっちんの『梨華ちゃんって、うっとうしい』
なんて言葉はどうでもよくなってる。
やっと梨華ちゃんを等身大で見られて、感動さえ覚えてる。

梨華ちゃんは美少女で、
スタイル良くて(全体的に細いのに、出るとこ出てるし!)
少し色黒の肌に、白いテニスウェアが似合ってて
何だかお姫様みたいだ〜。
27 名前:名無しさん 投稿日:2002年02月14日(木)23時51分09秒
ごちむに期待
28 名前:ハジマリ ノ マエ。 -21- 投稿日:2002年02月14日(木)23時53分32秒
あれっ!?待て、自分。

梨華ちゃんってば、ごっちんの方ばっかり見てない?
ごっちんも、梨華ちゃんの方を向いてるし
もしかして・・・。
二人、見つめ合ってる〜!?
そして私、軽くショックを受けてる?

あっ、梨華ちゃんが
スパッツの(チッ、今どき、娘。はアンダースコートはいてないのかよ!)
ポケットから何か取り出した。
何だろ?紙きれ?

梨華ちゃんはガラス窓に、その紙きれを張り付けた。
何か書いてあるみたい・・・。

《寂しくしてない?》
《浮気してない?》

主語こそ書かれてないものの、その紙に書かれた質問は
梨華ちゃんから、ごっちんへのメッセージなんだろう。
二人の関係って、何?
29 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月15日(金)11時53分19秒
なんでも知りたがりな吉坊に笑い
30 名前:夜叉 投稿日:2002年02月15日(金)14時44分45秒
親父気味な吉の視線が面白い(笑)。>アンダースコート履いてないのかよ!
自分も二人の関係が気になる。
頑張ってください。
31 名前:婆金 投稿日:2002年02月16日(土)00時15分51秒
>27さん
 ごちむ???それって、食べられるモノですか?
 スミマセン、全然分かりません。
 ホント最近なんです「娘。面白いかも?」って思ったのが。
 あぁ私、場違いかも?

>29さん
 ここの、よっすぃー氏は終始、知りたがり屋サンです。ハイ。

>夜叉さん
 レス、ありがたいです!
 よっすぃー氏って、ビミョーにヲヤジが入ってそうな気がして!!
 まぁ、中澤氏ほどではないでしょうけど。
32 名前:ハジマリ ノ マエ。 -22- 投稿日:2002年02月16日(土)00時18分46秒
ごっちんは、あからさまにウザそうな顔をしていた。
「ここ4カ月、毎日なんだよね。
 ウザイよね?
 ある意味、イタズラされてるようなもんじゃん。
 あっ、ちょっとイタズラ返ししてやろう」
ごっちんは、つぶやくようにそう言った。

そして私に向かって、こう続けた。
「よっすぃーって結構、かっこいい系だよね」

え〜!?そうっすか?
きれい系の、ごっちんにそんなこと言われると何か照れるなぁ。
あっ、でも実は。
バレンタインにはクラブの後輩や他校の生徒に
チョコもらったり、たまに告られたりするっす。
アハッ、うちの中学って共学なのにね・・・。

また一人でトリップしかかっていると
「よっすぃー、ちょっとゴメンよ」
って、ごっちんの声が聞こえてきた。

次の瞬間、私の右肩に何か柔らかい感触が・・・。
33 名前:ハジマリ ノ マエ。 -23- 投稿日:2002年02月16日(土)00時20分06秒
ひゃ〜!!!
ごっちんの、ごっちんの乳が
私の右肩にくっついてる!
何、何、何?
何が一体どうなってるの???

パニくるな、私。
ちょっと、冷静になってみよう。

・・・・・・。
冷静に、今の状況を見てみると
ごっちんの乳が私の右肩にくっついている訳ではなくて
私の右側に座っているごっちんが、
私に抱きついているだけだった。

・・・・・・。
もっと冷静に、今の状況を見てみると
これって結構、ヤバい?
34 名前:ハジマリ ノ マエ。 -24- 投稿日:2002年02月16日(土)00時21分36秒
「ご、ごっちん?何してるの?」
私は慌てて
(でもちょっとオイシイ状態なので、自らごっちんから離れることはせず)
ごっちんに聞く。

「よっすぃーに抱きついてんの。まぁ、少しの間だから」
私の慌て様なんてまるで気にしない、ごっちんの答え・・・。
だんだん分かってきた。
ごっちんは、とってもマイペースな人だ!

とりあえず、ごっちんはいいや。
それより、梨華ちゃん!
梨華ちゃんはどんな思いで、
どんな顔をして、私とごっちんを見ているのだろう?

私、梨華ちゃんに、こんなところを見られるのはイヤかも?
何故か、そう思いながら梨華ちゃんの方を見てみる。
35 名前:ハジマリ ノ マエ。 -25- 投稿日:2002年02月16日(土)00時22分25秒
梨華ちゃんのかわいい顔は、どんどん赤く染まっていってる。
そして梨華ちゃんは、ガラス窓に張り付けていた紙を下げ、
空いた方の手を前に出した・・・。

『ガシュ』って音と同時に
ガラス窓が開いて、梨華ちゃんがフリースペースに入ってきた。

『私がガラス窓だと思っていたのって、ドアだったんだ。
どうりで、デカイはずだよ---』って普段の私なら
ここでトリップしてしまうところだけど、今はダメだ。
だって目の前に、生梨華ちゃんが居るのだから!
36 名前:ハジマリ ノ マエ。 -26- 投稿日:2002年02月16日(土)00時23分50秒
「ごっちん、何してるのよ!
 市井さんが泣くよ?」

梨華ちゃんが眼にいっぱい涙をためて、細い声で言う。
『イチイサンが泣く』って言ってるみたいだけど、
そう言ってる梨華ちゃん自身が、もう泣きそうだ。

ドキドキする、梨華ちゃんの声に。
ドキドキする、梨華ちゃんの姿に。

それにしても“イチイサン”???
新たな謎が、私の中に生まれた。
謎が謎呼ぶ、私のM女見学。
37 名前:ハジマリ ノ マエ。 -27- 投稿日:2002年02月16日(土)00時24分53秒
流石にもうごっちんは、私から離れているけど
「梨華ちゃん泣かないでよ、ダイジョーブだよ。
 ゴトーが、いちーちゃん以外の人に
 ココロを奪われるわけ無いじゃない?
 つか、梨華ちゃん。
 ゴトーのこと信じてないんだ?」
と梨華ちゃんに毒づく。

「ちょっと、ごっちん。何もそんな言い方しなくても。
 石川サン、かわいそうじゃない!」
「えっ!?」

おっと、思わず梨華ちゃんを援護しちゃった!
だけど梨華ちゃんは、面識のない私が自分の名前を知っていた
ことに驚いてるみたい。
しまった!
そういえばまだ自己紹介してなかったっけ・・・。
どーぞ、梨華ちゃんに“危ないヤツ”って
思われてませんよぅに。
38 名前:ハジマリ ノ マエ。 -28- 投稿日:2002年02月16日(土)00時26分01秒
「あっ、はじめまして。
 私、H中3年の吉澤ひとみっていいます。
 あの、ウチの石黒センセーってセンセーに
 半分ムリヤリ、ここに連れてこられて。
 M女を見学しろって、それでM女を受験しろって・・・
 ごっちんは、中澤先生って先生に頼まれて
 私にM女を案内してくれてて。
 でもお喋りばっかりで、見学は全然して無くて。
 で、石川サンのこともちょこっとだけ・・・。
 だから、ごっちんとは今さっき合ったばかりで・・・」

ん〜私、緊張して何言ってるか訳ワカラ〜ン。
39 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月16日(土)16時57分37秒
必死で、言い訳している吉・・・・・笑っちゃいます。
続き期待しています。がんばってください!!
40 名前:夜叉 投稿日:2002年02月16日(土)21時15分16秒
しどろもどろですなぁ、吉(笑)。
いちーちゃんが出てきて、ごっつぁんとつき合ってて、石は…?

裕子姐さんはおやぢというか、セクハラ上司というか(笑)。
41 名前:婆金 投稿日:2002年02月16日(土)23時53分32秒
>38
○会ったばかりで ×合ったばかりで
ハァ〜、変換ミスです。

>39 よすこ大好き読者さん
レス、ありがとうございます!頑張ります!!

それから、よっすぃー氏は、必死でした。
でも一人で空回ってるだけっぽいかも?

>40 夜叉さん
度々のレス、ありがとうございます!励みになっています。

中澤氏はセクハラ上司ですか。
私、まだまだ勉強が足りませんね!もっと精進しなければ!!
42 名前:ハジマリ ノ マエ。 -29- 投稿日:2002年02月16日(土)23時55分48秒
梨華ちゃんは、何だか肩で笑ってるみたい。
やっぱ、今さっきの私の自己紹介はまずかった?

「はじめまして。高等部1年の石川梨華です。
 吉澤さんって、何か面白いね?
 ねぇ吉澤さんが言った、石黒先生って
 バンドやってる人と結婚した石黒先生?
 先生、元気?」

えっ!?梨華ちゃん、石黒センセーのこと
知ってるの?

「ハイ、めちゃくちゃ元気ですけど・・・。
 石川サン、センセーのこと知ってるんですか?」
「うん。石黒先生が教育実習生だったころに
 家庭科、習ったからね。
 懐かしいなぁ、また会いたいな。
 M女に来てるんだよね?どこに行ってるんだろう?」
「祐ちゃんと、カフェに行くって言ってたよ。
 それにしても、以外に繋がってるもんだねぇ」
そう、ごっちんが言った。

そういえば、石黒センセーもM女出身って言ってたっけ?
ホント、人の縁って以外な所で繋がってるもんだね。
私は、梨華ちゃんとの繋がりが見えて嬉しくなった。
43 名前:ハジマリ ノ マエ。 -30- 投稿日:2002年02月16日(土)23時57分26秒
でも依然、繋がりが全然見えていない人もいて・・・。
“イチイサン”ってダレ?
梨華ちゃんと、ごっちんの関係も分からないし。

しかし、いつの間にかウチら3人
結構、和やかな雰囲気になってるよね。
この機に乗じて“イチイサン”のこと、聞いてみるか。

「ねぇ、ごっちん。
 “イチイサン”ってダレ?」

「あれぇ!?
 ゴトー、いちーちゃんのこと
 よっすぃーに、まだ話してなかったっけ?
 おかしいな、いちーちゃんは一番なのに」

ごっちんのマイペースぶりには慣れたつもりだったけど・・・。
何が『いちーちゃんは一番』だってのさ!?
44 名前:ハジマリ ノ マエ。 -31- 投稿日:2002年02月16日(土)23時58分38秒
「全然、聞いてません。
 それに、ごっちんと石川サンと“イチイサン”の関係もね」
「う〜ん。どこから話そうか」

ごっちんが、話あぐねていると
「私、ちょっと着替えてくるね。それで、また戻ってくるから」
と、梨華ちゃんが言った。

そういえば梨華ちゃんはテニスウェアのままだった。
まだ残暑厳しい時季だといっても、部活でかいた汗が乾いて
体温を奪って、寒い思いをしていたかも知れない。
気が回らない自分に嫌気がさした。

「あっ、長く引き留めてスミマセンでした」
「いいの。自分がここに居たい、と思って居ただけだから」
梨華ちゃんは、私に優しい言葉を返してくれた後、
フリースペースから出ていった。

そういえば、梨華ちゃんもフリースペースを利用できる
数少ない、中・高等部の生徒なんだ。
梨華ちゃんはかわいいから、きっと先輩達にも好かれているんだろう。
去っていく梨華ちゃんの後ろ姿を見ながら、そう思った。
45 名前:ハジマリ ノ マエ。 -32- 投稿日:2002年02月17日(日)00時01分30秒
私は再び、ごっちんと二人きりになった。
そして、いろんなことを聞いた。

“イチイサン”は、市井紗耶香サンって名前の人で
M女の高等部2年生だということ。
でも一学期終了時から、休学しているということ。
今は留学先のイギリスにいるということ。
そして梨華ちゃんは、市井サンの幼なじみだということ。
他にも、いろいろと。

「ゴトーはさ、結構、遊んでたんだよね。
 で、大勢の遊び仲間にいちーちゃんもいて・・・」

生体反応が薄いと思ってたごっちんからの、意外な言葉・・・。

「まぁ、ゴトーの遊びと、いちーちゃんの遊びは違ってたから
 一緒に遊ぶってことは、殆ど無かったんだけど・・・。
 いちーちゃんは友だちとかとナイトクラビングばっかして遊んでたし、
 ゴトーは隣のJ大付属の男の子たちとコンパしたり、男の子中心に遊んでたし。
 でも、いちーちゃんはM女の先輩だっだからかな?
 会う度に、優しく接してくれたんだよね」

バレーばっかりやってた私は、同い年のごっちんの
遊び方に驚かされるばかりだ。

「うん」
お子ちゃまな私は、うなずくことしか出来ない。
46 名前:ハジマリ ノ マエ。 -33- 投稿日:2002年02月17日(日)00時04分26秒
「で、今年の春頃からゴトー達の遊びが
 ちょっとエスカレートして・・・。
 ハイになれるドラッグやったり、どっかのオヤジと
 少し時間を共有してあげて、お金もらったり?
 モチロン、ドラッグつってもゴーホー的なものだし
 オヤジとは何にもやってないよ。
 でもあのまま遊び続けてたら、どうなってたか分からないケド」

ごっちんは一気に喋ったものだから、のどが渇いたのか
右手に持ってた缶コーヒーをがぶ飲みしてから、
また喋りはじめた。

「ある日ね、いちーちゃんが髪を思いっきし短くしたんだ。
 学校で初めてその姿を見たとき、ドキッとした。
 でさ何故かその日の放課後、いちーちゃんに呼び出されて」
「うん?」
次の言葉を促すような、中途半端な声が出た。

「いちーちゃん、ゴトーに何て言ったと思う?」
「そんな、分かんないよ。
 何て言われたの?」
早く、続きが聞きたいゾ!っていう
私の思いを感じ取ったのか、
ごっちんはそれ以上、私に話を振ろうとはしない。
47 名前:ハジマリ ノ マエ。 -34- 投稿日:2002年02月17日(日)00時06分17秒
「『いちーは2大決心をしました!』って言われたのね。
 何だよ『2大決心』って、って思うでしょ?
 それに勝手に決心してろって、思わない?」

ハイ、思います。

ごっちんは話を続ける。
「『第1決心!いちーは、この夏から留学します!!』
 って、いちーちゃんが言ったとき、
 何故だか心臓が凍り付くような気がした・・・。
 いちーちゃんが居なくなる?って思っただけで
 不安で不安で仕方なくなって・・・。
 いつの間にかゴトーは、いちーちゃんのこと
 好きになってたんだよね。
 でもずっと気付かなくて、やっと気が付いたときは
 もういちーちゃんが居なくなる直前で・・・。
 ゴトーはバカだよね?」

かける言葉が見つからない私を後目に
ごっちんは喋り続ける。

「涙と鼻水でボロボロになったゴトーの顔を、
 いちーちゃんは両手で優しく包んでくれて・・・
 『弟2決心!いちーは後藤をお嫁さんにしま〜す!!
  だから後藤、もうヤバイ遊びはしちゃダメだよ?
  他のヤツとつき合うのも、モチロン厳禁!
  だって後藤は、いちーのものだから・・・』
 って言ってくれたの!キャッ☆」
48 名前:ハジマリ ノ マエ。 -35- 投稿日:2002年02月17日(日)00時10分00秒
『キャッ☆』って?
えっ!?
もしかして、のろけ?
今さっきまで、私、のろけ話を聞かされていただけ!?
ごっちんのこと、心配しながら話を聞いていたのにぃ。

つか、ごっちんは幼妻だったのか!
ダンナ様は女子高生か!!
ごっちんが市井サンとつき合ってるって、
かなりビックリだけど、今日は謎&ビックリが多すぎて
私の中の何かが麻痺してしまったのか、すんなり受け止められる。
第一、私も梨華ちゃんのこと・・・かも?だし。

チッ、急に悔しくなってきた!

「で、ごっちんに悪い虫が付かないようにするためと、
 前の遊び仲間から離れたごっちんが、寂しい思いをしないように
 お守りするのが、市井サンの幼なじみの石川サンなわけ?」
ちょっとつっけんどんに聞いてみる。
「そう。
 梨華ちゃんは律儀だから、毎日ゴトーの様子見にくるんだよね。
 ちょっとウザクなってきた」

「私、ウザイ?」

ビクッ!
ごっちんと私が後ろを振り返ると
眼を真っ赤にさせた梨華ちゃんが、仁王立ちで固まっていた。
49 名前:夜叉 投稿日:2002年02月17日(日)18時53分45秒
はっ!!!石川仁王像発見(冷や汗。笑)
絡まる4本の糸がコレで解けて見えやすくなりました。
いちーちゃんの話になると人格とろけてしまうごっつぁんに笑いました(笑)。
50 名前:婆金 投稿日:2002年02月18日(月)00時27分57秒
>49 夜叉さん
モノを書くのって、難しいですね!初めて書いて、痛感しました。
4人の関係、分かりづらかったですね・・・。反省、反省です。
それに、後藤氏をかなり酷く扱ってしまったような?
後、少しで終了なのに・・・。
51 名前:ハジマリ ノ マエ。 -36- 投稿日:2002年02月18日(月)00時29分41秒
紺のブレザーに、グレーのスカート。
それに紺のハイソックス。
M女の制服に着替えた梨華ちゃんは清楚な感じで、一段とかわいらしい。
それに悲しげに怒った表情にも、クラッときちゃう。

おっと、クラッときてる場合じゃない。

梨華ちゃんは今にも泣き出しそうだし、
ごっちんは、今更反省しているのか
下を向いたままでいる。

もぅ、二人とも何してんだか・・・。
もどかしい。
私、もう部外者じゃないよね?
首、突っ込んじゃえ!
52 名前:ハジマリ ノ マエ。 -37- 投稿日:2002年02月18日(月)00時30分44秒
「あのぅ、石川サン?
 ごっちんは石川サンのこと、ウザイとかって
 思ってないと思いますよ」
「えっ?」
私がいきなり喋ったから、ビックリしたのかな?
梨華ちゃんの顔、少し赤くなってきてる。

「だって、ホントにウザイって思ってたら
 シカトすればいいだけでしょ?
 石川サン、毎日ごっちんの様子を見に来てて
 一回でもごっちんに無視られたことあります?」
「・・・ない、です。」
消え入りそうな声で、梨華ちゃんが答えた。

「ねっ!
 そりゃマイペースなごっちんだから
 石川サンのテンションに合わすのが辛いってことは
 あるかもしれない。
 でも、絶対ウザイとは思ってないはず。
 そうだよね?ごっちん」
「・・・・・・うん」
ばつが悪いのか、ごっちんは明後日の方を向いて答える。
その答えに梨華ちゃんの表情は、パァッと明るくなった。

「ごっちんも・・・」
一度喋りだした私の口は、止まらなくなってしまった。
53 名前:ハジマリ ノ マエ。 -39- 投稿日:2002年02月18日(月)00時32分12秒
「ごっちんもさ、気が付いてるんでしょ?
 石川サンが、ごっちんを純粋に心配してくれてるってこと。
 いくら幼なじみの市井サン?に頼まれたからって、
 ごっちんのことをホントに心配していないと
 毎日なんか様子見に来ないよ?
 っていうか、ゴニョ」
私は最後の方の言葉を、ごっちんに耳打ちした。

「???」
梨華ちゃんは、真っ赤になっていくごっちんの顔を
キョトンと見ている。

『っていうか、さっきごっちん、家に帰らずにエントランスに居たのも
 梨華ちゃんが部活終わってから、自分の所に来てくれるのを
 待ってたからでしょ?』

まんま当たっていたのか、ごっちんは何も喋らなくなってしまった。
私、ちょっとイジワルだったかも?
まぁ、かわいい梨華ちゃんを怒らせてしまったのだから
このくらいのイジワルはいいか。
54 名前:ハジマリ ノ マエ。 -39- 投稿日:2002年02月18日(月)00時34分08秒
ごっちんは市井サンが好きで好きでたまらなくて、
でも会えない寂しさもあって・・・。
それを少しでも埋めてくれようとしている
梨華ちゃんに、つい甘えてしまうんだね。

それにしても最初は生体反応が薄く感じられた
ごっちんなのに、今はとてもかわいく思える。
きっと市井サンと、梨華ちゃんの優しさのせいだね。

今、確信した。

ごっちんがいつの間にか市井サンを好きになっていたように
私も、いつの間にか梨華ちゃんを好きになってしまったみたい。

かわいい梨華ちゃんが、好き!
優しい梨華ちゃんが、好き!
55 名前:ハジマリ ノ マエ。 -40- 投稿日:2002年02月18日(月)00時35分30秒
「何や、こっちにおったん?
 ちゃんとエントランスにおれって、言うたのに!
 もうちょっとで、校内アナウンスしてもらうとこやったわ。
 『本日もM女にご登校いただきまして、誠にありがとうございます。
  ただいま校内で、吉澤ひとみちゃんとおっしゃる
  15歳くらいのお子ちゃまが迷子になっております』ってな!」
んっ?
このけたたましい関西弁、どっかで聞き覚えがある・・・。

あっ!
中澤先生だ!!
そう言えば、石黒先生からも
『1時間ちょっと経ったらエントランスへ帰ってこい』って
言われてたんだっけ!?
ケータイで時間を見ると、今、6時半過ぎ。
1時間半近く、喋ってたのか・・・。
それにしても私って結構、人見知るのに
今日は初対面のごっちんと、何か楽しく喋れたなぁ。

そうだ、ケータイ出してるついで(?)に
ごっちんとケータイ番号とメアドを交換しとこう!
「ごっちん、ケータイの番号とメアド、送ってイイ?」
「いいよ。
 ゴトーのメアドは---」
56 名前:ハジマリ ノ マエ。 -41- 投稿日:2002年02月18日(月)00時36分53秒
私とごっちんが、ケータイ番号とメアドを教え合っている最中
石黒センセーは、梨華ちゃんの存在に気が付いたみたい。

「アレッ!石川じゃない?
 やっぱそうでしょ?私のこと、覚えてる?
 教育実習で家庭科、教えたんだけど」
石黒センセーが、梨華ちゃんに話しかける。
「ハイ!覚えてます!!
 お久しぶりです。
 石黒先生、お元気でしたか?」
梨華ちゃん、うちのクラス担当ごときに
そんなにかわいく答えなくてもイイよ。

「石川、またかわいい度が増したね〜。
 それに高校生になって、ちょっと色気も出てきたか?
 カレシでも出来た?」

えっ!?
今、センセー何て聞いた?
57 名前:夜叉 投稿日:2002年02月18日(月)16時05分38秒
ごめんなさい、そんなつもりで書いたのではないのですよ。
なんだか気を悪くさせてしまったのでは?と反省しております。
ほんとにごめんなさい…。

続き期待してますね。
58 名前:婆金 投稿日:2002年02月18日(月)18時58分38秒
>57 夜叉さん

夜叉さんのレスは、励みにこそなっても、気が悪くなるなんてこと
全くないです!
こちらこそ、気分を悪くさせてしまったのではないでしょうか?
いつも夜叉さんのレスには、元気づけられています。
ありがとうございます。

実は(?)私、根が“のほほんダウナー系”なので、
元々、反省が趣味かも?スミマセン・・・。
59 名前:ハジマリ ノ マエ。 -42- 投稿日:2002年02月18日(月)19時00分01秒
かなりセクハラっぽい質問だったけど
その答え、めちゃくちゃ気になる!

梨華ちゃん、何て返事するのかな?
ドキドキして、心臓が止まりそう。

私、ごっちんのメアドを確認するフリしてるけど
梨華ちゃんの答えが気になってしようがないよ〜!

一瞬、梨華ちゃんの方を向くと、目が合ってしまった!
すぐに目をそらしたけど、
梨華ちゃん、顔真っ赤になってた。

やっぱ、カレシいるんだろうな・・・。

だって梨華ちゃんは、すっごくかわいくて、すっごく優しいから。
ごっちんも『学校の中でも外でも、めちゃくちゃ人気ある』って
言ってたし・・・。
私が鈍いショックに打ちひしがれていると、か細い声が聞こえてきた。

「あの・・・。
 ・・・そんな、カレシなんていません」
60 名前:ハジマリ ノ マエ。 -43- 投稿日:2002年02月18日(月)19時00分53秒
今の声、梨華ちゃんの声だよね?
確かに『カレシなんていません』って言ったよね?
ウォ〜!嬉しくて涙しそう・・・。

吉澤ひとみ、起死回生。
梨華ちゃん、かっけー!

「そう?その割に、顔真っ赤だけど・・・。
 まぁいいか。
 でも石川はきれいになったよ」
もう!石黒センセー、変な質問しないで下さいよ。
私、心臓止まるとこでしたよ!!
61 名前:ハジマリ ノ マエ。 -44- 投稿日:2002年02月18日(月)19時02分07秒
「石川と再会できて、嬉しいよ。
 だって石川は、私の初めての生徒だからね。
 じゃ吉澤、そろそろ帰るか?」
ポンッと掌を私の頭の上に置きながら、石黒センセーが言った。

「はい。
 ごっちん、今日はサンキュ。
 またメール送るから。
 石川サン。
 ごっちんのお守り、私からもお願いしますね!」

二人と別れなきゃいけないのは正直、寂しい。
(中澤先生と別れるのは正直、寂しくない)

「ゴトー、よっすぃー好きになったよ!」
ハハッ、ごっちん、アリガト。

「吉澤、M女受けるんやで」
しっかり名前も覚えてもらったようで
ありがとうございます、中澤先生。

「吉澤さん、あのぅ・・・」
何ですか、梨華ちゃん?下向いてちゃ
声、聞き取れないんですけど・・・。

このままお別れ?
それはちょっと、悲しいかも。
62 名前:ハジマリ ノ マエ。 -45- 投稿日:2002年02月18日(月)19時04分06秒
私は、いま持ってる勇気を全部振り絞って
自分の右手を、梨華ちゃんに差し出した。
下向いてる梨華ちゃんでも、握手しようとしてる
私の手は見えるでしょ?

「石川サン、今日はどうもありがとうございました。
 お会いできて、嬉しかったです!」
「そんな、私こそ・・・。
 ありがとう。
 ま---」
「あっ!梨華ちゃんだけ、ずるい!
 よっすぃー、ゴトーも握手する!!」

梨華ちゃんがまだ喋っているというのに
ごっちんが、横から口を(手も!)出してきた。

しょうがないな、もう。
「はい、クロス握手!」
私は、右手でごっちん、左手で梨華ちゃんと握手した。
ごっちんにはナイショだけど、右手より左手に
力と愛を込めてマス・・・。

「もう行くよ?吉澤」

私は石黒センセーとM女を後にした。
63 名前:ハジマリ ノ マエ。 -46- 投稿日:2002年02月18日(月)19時05分40秒
きびきびと走る石黒センセーの黒いミニ・クーパーの中で、
私はずっとM女でのことを反芻していた。

楽しそうに部活をしていたM女の生徒達のこと。

何も気負うことなく、楽しくお喋りできるごっちんのこと。

未だ謎の多い市井サンのこと。

それから、ココロの底から好きになってしまった、梨華ちゃんのこと。
64 名前:ハジマリ ノ マエ。 -47- 投稿日:2002年02月18日(月)19時07分06秒
「ホントに学校の前で良かった?
 家でも塾でも、送って行くけど?」
私は石黒センセーにH中の前まで送ってもらった。

「ここで、いいです。
 ちょっと一人で考えながら帰りたいですし。
 それに今日はもう塾、サボります」
「ダイジョーブ?」
センセーもしかして、私に悪いと思い始めてる?
拉致した生徒に塾をサボられちゃ、フツー罪悪感も感じるかも・・・。
別にいいのに。

「ダイジョーブです。
 センセー、今日はありがとうございました。
 楽しかったです!
 それから、今日のことはダレにも言いませんから。
 石黒センセーにM女まで拉致られました!なんて。
 そのかわり、またミニ・クーパーに乗っけて下さいね!」
「吉澤・・・。こっちこそ、サンキュね!
 じゃ、また明日」
石黒センセーは車の中から、私に手を振り
それから、ギヤをバックに入れた。

私は、センセーのミニ・クーパーを見ながら
やっぱりM女のことを思っていた・・・。
65 名前:ハジマリ ノ マエ。 -48- 投稿日:2002年02月18日(月)19時08分07秒
あっ石黒センセー、帰っちゃう。
その前に、言わなきゃ!

“コンコンッ”
私は、運転席側の窓をノックした。
その音に気付いたセンセーは、
窓ハンドルをグルグル回して、
手動の窓を必死で開けようとしている。
66 名前:ハジマリ ノ マエ。 -49- 投稿日:2002年02月18日(月)19時09分45秒
半分くらい窓が開いたところで
私は石黒センセーに、大声で言った。


「私ゼッタイ、M女、行きます!」




〜 Fin 〜

67 名前:婆金 投稿日:2002年02月18日(月)19時16分51秒
終了です。
今まで読んで下さった皆さん、どうもありがとうございました。
ドキドキしっぱなしの一週間でしたが、とても楽しかったです!

振り返ると、内容的に支離滅裂だったかも!?
全然、エロくもなかったし・・・。
(初めから、私にエロは無理かもしれませんが)
まだまだ、ですねぇ。

それでは、また。
68 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月18日(月)22時21分19秒
ハジマリノマエだけに始まる前で(涙
続編としてハジマリ&その後を期待してみたり
69 名前:夜叉 投稿日:2002年02月19日(火)18時37分42秒
エロ無しで構いませんよ、この作品にはエロはいらないです、はい。(勝手なこと言ってすいません。汗)
こちらこそ訳わからん感想を書いたりしてすいません。
ここで終わってしまうのはちっともったいないような気はします、良かったらその後も書いてみてください。かなり期待してみたり(笑)。
いい作品を有難うございました。新作お待ちしてます。
70 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月20日(水)18時02分14秒
私も、続きを激しく期待!!したいと思います。
続編&ハジマリ&その後待っていますので、がんばってください。
71 名前:婆金 投稿日:2002年02月20日(水)19時24分25秒
>68 名無し読者さん
>69 夜叉さん
>70 よすこ大好き読者さん
レス、本当にありがとうございます。
感激です!
続編、書いてもイイですか?
でも、すこし時間がかかるかも知れませんが・・・。
というのも、一度、最後まで書いておかないと
一生終わらない気がするから・・・。
できるだけ、マッハで頑張ります。
また駄文で、お目(?)を汚してしまうかも知れませんが
よろしくお願いします。
72 名前:夜叉 投稿日:2002年02月20日(水)19時29分04秒
おおっ、こちらこそよろしくお願いします。
>また駄文で、お目(?)を汚してしまうかも知れませんが
全く持ってそんなこと無いですよ。がんがってください。

マッハ…(笑)、文○を連想する自分は逝ってきます。
73 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月23日(土)19時57分36秒
続編ぜひ!お願いします。
マッハじゃなくても、待っていますのイでがんばってください。
74 名前:婆金 投稿日:2002年02月23日(土)23時20分17秒
>72 夜叉さん
>73 よすこ大好き読者さん

レス、どうもです!恐縮です。
○朱で、がんがってます。もう少し・・・。
75 名前:ハジマル。 -01- (50) 投稿日:2002年02月23日(土)23時31分09秒
右へ左へ、梨華ちゃんがコートの中を走るたび
彼女のサラサラな髪が揺れる。

抱きしめたい!
って思いは、梨華ちゃんに対してか
ドキドキが止まらない自分の気持ちに対してか、分からない。

最近はもぅホント、胸の鐘がキュンキュン鳴りっぱなしで
うるさくて、フツーの思考回路が保てない!

あっ。梨華ちゃん、自分のプレーが終わったのかな?
今度は審判台に上ってる。

梨華ちゃん、私も気持ちもジャッジして☆
まっ、結果は分かってるけど・・・。
私、梨華ちゃんにラブゲームで負けてる。
でも私は素直に、負けを認められずにいる。
76 名前:ハジマル。 -02- (51) 投稿日:2002年02月23日(土)23時32分52秒
どうして梨華ちゃんの前だと
いつもの“明るくて、優しいよっすぃー”じゃ
いられないんだろう?

梨華ちゃんには、そっけない態度しか表せない。
自分でもビックリな、変な発言も多くなるし・・・。
カッケーとこ見せたい!って思いが、空回りしてばっかだ。
77 名前:ハジマル。 -03- (52) 投稿日:2002年02月23日(土)23時34分49秒
頭ン中ほとんど、梨華ちゃん。
こんな気持ちは、初めて。
何か、難しい。
分からない、自分が。

「何や、神妙な顔して。
 そんなに難しいか?」

「ハイ、難しいです」

「そうか?そんなに難しい問題、やってナイねんけどな。
 何が一番、分からへん?」

「自分が・・・」

「・・・、そら難問やな。
 この天才・中澤先生も吉澤のこと、よう分からへんし。
 って、吉澤!
 今は補習中やで、黒板に集中!!」

あっ!しまった・・・。
今は月曜テストの補習、真っ最中だったんだ。
78 名前:ハジマル。 -04- (53) 投稿日:2002年02月23日(土)23時37分09秒
窓際の席に座れたから、テニスコートを
ずっと見てたんだよね。
クラブに一生懸命な梨華ちゃん、かわいいんだもん!
思いだし笑い、ぐふふ。

「ったく、キショい顔しやがって。
 これ終わったら居残り補習や、吉澤!
 数学教科室へ来るように」

あ〜ぁ。
裕ちゃん'sルーム逝きかぁ・・・。ツイテナイ!
裕ちゃんに捕まったら、なかなか放してくれないんだよね。
しかも数学教科室って、ここと違う校舎だし。遠い!
学校がデカイってのも、善し悪しだよ。
79 名前:ハジマル。 -05- (54) 投稿日:2002年02月23日(土)23時39分13秒
心地よい初夏の風が吹き込んでくる窓から
もう一度、視線を外へやると
帰宅部の一団が校門から出ていくのが見えた。
今週はじめに、替わったばかりの夏服のせいか
彼女たちはとても軽やかな風に見える。
ただ歩いている様子も、青く広がる空に
今にも飛び立ってしまうんじゃないか?と思うくらいで。

夏も、もう近い・・・。

中3の秋からの猛勉強が報われて、私がやっとM女高等部の
入試にパスしから、2カ月が過ぎたんだ・・・。

中等部から、持ち上がりで女子大まであるM女。
高等部への入試が一番難しく、倍率も高いことを知ったのは
受験をすると決めてからだったから
私はホント、寝る間も削って受験勉強した。
このM女へ入るために。

それはつまり---。
ここへ見学に来たときから、仲良くなった
ごっちんと同じ学校へ通うため、であり、
ここへ見学に来たときから、ダイスキになった
石川梨華ちゃんと再会するため、である。
80 名前:婆金 投稿日:2002年02月23日(土)23時48分11秒
『ハジマリ ノ マエ。』の続編を、書かせて頂きます。
タイトルを変えてしまいました。今回は『ハジマル。』・・・。

一度終わりまで書いてから、載せるつもりでしたが
思わず、見切り発車してしまいました・・・。

再び、よろしくお願いします。
81 名前:夜叉 投稿日:2002年02月24日(日)14時24分04秒
『ハジマル。』、続編ありがとうございます。
お待ちしておりました、楽しみで楽しみで…。
頑張ってくださいね。またよろしくです。
82 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月24日(日)19時31分01秒
始まって良かった良かった
83 名前:婆金 投稿日:2002年02月24日(日)23時31分08秒
>81 夜叉さん
 ホントにいつも、レスありがとうございます。
 今回は出来るだけアッパーな感じで、逝きたいと思います!
 
>82 名無し読者さん
 始めてしまいました・・・。
 まだ終わりまで行き着いてません(泣
 どうしましょう・・・
84 名前:ハジマル。 -06- (55) 投稿日:2002年02月24日(日)23時34分28秒
「しかし珍しいなぁ、吉澤が月テの補習に出てくるなんて。
 さっき説明したトコ分かったら、もう帰ってええで」

私の予想を反して、裕ちゃんの居残り補習は簡素だった。
一応、一礼して裕ちゃん'sルームから出ようとしたとき
後ろから声がかかった。

「やっぱ待て、吉澤。
 どうせ今日はもう、部活に出えへんかってもイイんやろ?
 家に直帰するだけやったら、ちょっと話していかへんか?
 コーヒー入れたるから」

オーマイガッ!やっぱり裕ちゃん'sルームからは
ただでは出られないのか・・・。

「ハァ、いいですけど。
 でも裕ちゃん、よく“月テ補習の時は部活に出なくてイイ”って
 バレー部の規則、知ってましたね?
 私なんか、昨日の部活ン時に初めて
 矢口マネから聞きましたよ」

「えっ!?あっ?それは・・・。
 ウ、ウチが何年、M女の教師やってると思ってるん?
 今年の春から高等部に入ってきた吉澤とは、年期が違うんじゃ!」

裕ちゃんの戸惑い具合、ちょっと気になるけど、まぁいいや。
せっかく今日は、早く家に帰ることが出来るのだから
余計な詮索はしないでおこう!
85 名前:ハジマル。 -07- (56) 投稿日:2002年02月24日(日)23時35分56秒
裕ちゃんは、慣れた手つきでコーヒーメーカーを扱いながら
独り言のように言葉を発し続けている。

「でもまさか、吉澤と後藤の担任になるなんて
 思わへんかったな。
 吉澤、去年ここに見学に来たときは、まだ
 かわいげがあったのに・・・。
 今じゃ、すっかり生意気になって。
 先生のこと‘裕ちゃん’呼ぶなて言うてるやろ?」
でも言葉と裏腹に、顔は全然、怒ってなくて。

「裕ちゃん、昔のことばっかり回想するのって
 年寄りの特徴ですよ?」

「いい度胸しとるやないか、吉澤。
 どんなコーヒー飲むハメになっても知らへんで!」

『ブラックで!』って頼んだのに、砂糖が思いっきり入った
甘ったるいコーヒーを飲まされた・・・。
86 名前:ハジマル。 -08- (57) 投稿日:2002年02月24日(日)23時37分28秒
「ところで、吉澤。
 最近、後藤の様子はどう?
 何か変わったこと、あらへん?」
「えっ、ごっちんですか?
 別にフツー、ですけど・・・」
ごっちん、どっか変なところあったっけ?別にナイよね。

「そうか。
 やっ、そうやったら別にエエねんけどな。
 最近、後藤は授業中にボケーっとしとること、多いねん」
「そうですか?」
「吉澤も授業中、ボケーっとしてるからな。
 気が付けへんかったやろ?
 そんなことやから、月曜テストでも60点下回るんや。
 石川のことばっかり考えとったらアカンで!」
「裕ちゃん、なんでそれを!?」
「アホ、生徒のことなんてお見通しや。
 まぁ後藤は、ちょっと分かり難いねんけどな・・・。
 だから吉澤。
 少し、後藤のこと気にかけといてや」
87 名前:ハジマル。 -09- (58) 投稿日:2002年02月24日(日)23時40分03秒
たまに思うけど、私って、先生達に恵まれてるかも?
中3の時に担任だった石黒センセーも
いい先生だったし(少し難アリ、だったかも?)、
裕ちゃんだって一見すると、ただのスキンシップ狂の
セクハラ教師なんだけど、ホントは生徒のことをちゃんと
見てる、いい先生なんだよね。

さっきまで真剣な顔つきだった裕ちゃんが
今度は、口を締まりなくニヤつかせて聞いてくる。
「なぁ、吉澤?石川とは、チュウしてるん?
 うらやましいなぁ。
 石川の唇って、厚すぎず薄すぎず、思わずキスしたくなる
 上物やもんなぁ」
裕ちゃん・・・。さっき誉めてやったばかりなのに(心の中でだけど)
もうセクハラ教師に逆戻りか!

「そんな!全然、ですよ。
 っていうか、見てるだけで十分なんです」
「じゃ、まだ告ってもないんか?」
「ないですよ。
 だから、見てるだけでイイって言ってるじゃないですか!」

『ハァ〜』と大きくため息をついて、裕ちゃんが喋りはじめた。
88 名前:ハジマル。 -10- (59) 投稿日:2002年02月24日(日)23時41分47秒
「『見てるだけでイイ』?そんなん、恋に恋してるだけやん!
 えぇか、吉澤。
 恋愛って、二人でするもんなんで。
 相手に、自分のことを知って欲しい。
 自分も、相手のことを知りたい。
 二人だけで居たい。
 って、思うモンなんやで。
 欲張ってばっかで、でもいつの間にか無欲になってて。
 って、モンなんやで。
 それに恋愛ちゅうのは---」

あ〜ぁ、ノンストップ☆裕ちゃんになっちゃった。
でも裕ちゃん、何でこんなに盛り上がってるんだろう?
もしかして、誰かと恋愛中?
まさかね。
だって裕ちゃん、もう三十路見えかけだし・・・。

裕ちゃんの恋愛論、まだ続いてる・・・。
このまま置いておけば、三日三晩ぐらいでは終わらなさそうな
なげー話を要約すると、大体
『一つ、恋愛は一人じゃ出来ない!
 一つ、無欲な恋愛は、あり得ない!』
ってことらしい。
はぁ?私にはワカリマセン・・・。
89 名前:夜叉 投稿日:2002年02月25日(月)14時22分43秒
姐さんはもしや…(略。
さすが教壇に立ってるだけあります、長そうなんだもん(笑)。
吉には中澤先生の言葉に惑わされず?頑張って欲しいものです。
90 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月25日(月)18時20分36秒
そうね。見てるだけじゃダメ
読者的にも(w
91 名前:婆金 投稿日:2002年02月25日(月)23時11分51秒
>89 夜叉さん
 中澤センセー、どうなんでしょうね?
 でもあんまり期待しない方がイイかも???

>90 名無し読者さん
 がんがれ!がんがれ!! ファイッ!
92 名前:ハジマル。 -11- (60) 投稿日:2002年02月25日(月)23時14分24秒
「じゃ・・・。
 恋愛って、相手に、自分の一方的なエゴを
 押しつけるってことですか?」
私が思ったことを、素直に質問すると
裕ちゃんはまた『ハァ〜』と、大きなため息をついた。

「まだまだやな、吉澤。
 お子ちゃまに、裕ちゃんのラヴ・レクチャーを聞く資格ナシ!
 コーヒー飲んだら、お家にお帰り!」

酷い言いぐさ・・・。
自分で引き留めたくせに。

『コーヒー、ゴチでした』と裕ちゃん'sルームから脱出できたのは
結局、フツーに部活が終わって帰るのと、殆ど同じ時間・・・。
しかもここからクツ箱までが、また遠いんだ。

それでも、広い校舎を歩いていると
『私、ホントにM女の生徒になったんだ』って
再認識できて、ちょっと嬉しかったりするんだけど・・・。
93 名前:ハジマル。 -12- (61) 投稿日:2002年02月25日(月)23時15分41秒
それにしても、ごっちん・・・。
何か悩み事でもあるのかな?
ホントに何にも、聞いてないけど。
私じゃ、相談に乗れないのかな?
ちょっと寂しいけど、こっちから話を振るのも何だよね?
深刻な悩み事なら、なおさら・・・。
これから少し、ごっちん様子を気にかけておこうか。


 “ガッタン!
  ガチャガチャ、ゴロゴロゴロ・・・”


ドッキー!!!

長い廊下を一人、とりとめのないことを
思いながら歩いていたから
突然の物音に、マジでビビった!
何だよ〜?
何の音???
94 名前:ハジマル。 -13- (62) 投稿日:2002年02月25日(月)23時17分58秒
音の出所は・・・・・・、保健室みたい。
圭ちゃん、ドジッて何か落としたな?

そうだ!
ちょっと保健室に寄っていこう!!
どうせもう、早い時間の帰宅はムリだし・・・。

それで圭ちゃんに、さっきの裕ちゃんの恋愛論を解説してもらおう!
モチロン、裕ちゃんは信頼できる人だけど、やっぱ、教師だし。
好きな人の話とか、しづらいもんね。

養護教諭の圭ちゃんは“保健室のオバチャン”としてM女に
今年採用になったばかりだから若いし、
フツーの教師より、生徒に近い存在っぽい気がするから、話し易い。

でもみんなもそう思ってるみたいで
最近は保健室に行っても、誰かしら先客がいるんだよね・・・。
95 名前:ハジマル。 -14- (63) 投稿日:2002年02月25日(月)23時19分22秒
今も誰か、いるかな?
いたら、話しづらくなるから、ヤだな〜。
特に中等部の辻&加護コンビ。
ちょこっと背が高くて、バレーやってるせいかな?私が、
女の子にモテモテなのを
♪よ〜す、吉、吉
 よ〜す、吉、吉
 ユカイ、痛快、よっすぃ〜クンはM女ランドのプリンスだい!
 カワイコちゃんには弱いけど
 オバチャン、裕ちゃん、何でもこい(何でもこい)♪
とか歌って、からかうんだよね。
『M女ランドのプリンス』って何だよ!?
それに、人を怪物みたく扱わないで欲しい・・・。

でもあの歌、何の歌だろう?
辻ちゃん、加護ちゃんは
『親がビデオで見てた、昭和アニメの歌をアレンジしたのです』って
言っていたけど・・・。
まっ、いっかそんなこと。

とりあえず保健室に入ろ!
96 名前:ハジマル。 -15- (64) 投稿日:2002年02月25日(月)23時20分56秒
「圭ちゃ〜ん!よっすぃーデッス☆
 大きな音立てて、何、落としてんの!?」
そう言いながら、保健室のドアを元気良く開けた。

だけど次の瞬間、私の目に入ってきた人物は、圭ちゃんではなく・・・。

「り、石川センパイ・・・」

私の声に、少し驚いて振り向いたのは、高等部2年の石川梨華ちゃん。
去年初めて出会って以来、ずっと私のココロを占有し続けてる人。
つか、私の一方的な片思いだけど。

「よっすぃー?」

『よっすぃー、よっすぃー、よっす・・・・・・』
私に向かって梨華ちゃんが発した言葉が
頭ン中で、オートマチックにリピートされる。

中学ン時は、受験勉強で必死だったからムリだったけど
M女高等部に入ってからは、もともと梨華ちゃんと知り合いだった
ごっちんの協力の下、私は梨華ちゃんとの距離を
少しだけ縮めることができた。
でもそれは、ほんの数ミリくらいで・・・。
97 名前:ハジマル。 -16- (65) 投稿日:2002年02月25日(月)23時23分26秒
ホントは『よっすぃー』じゃなくて、名前で呼んで欲しい。
私も『石川センパイ』じゃなくて、名前で呼びたい。

アレッ!?
今、頭の奥でかすかに『無欲な恋愛は、あり得ない!』って
裕ちゃんの声が、聞こえたような気がするけど・・・ムシ、ムシ!
だって私が、自分の欲を梨華ちゃんに押しつける訳ナイし。

「よっすぃー?」
今にも泣き出しそうな“困った顔”で、梨華ちゃんがこっちを見てる。
私、梨華ちゃんそっちのけで、マイ・ワールドにトリップしてたかな?
このクセ、中学ン時から直らないんだよね・・・。
98 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月25日(月)23時40分09秒
怪物くんの歌を、すんなり歌えた私って・・・・(w
昭和アニメの人ですな・・・・・(w
ま、それはいいとして、保健室で何が起こるのやら・・・。
99 名前:ハジマル。 -17- (66) 投稿日:2002年02月26日(火)00時00分13秒
「アッ・・・。石川センパイ、どうしたんですか?
 圭ちゃんは?」
慌てて梨華ちゃんに聞く。

「保田先生、今日は会議で、朝からいないんだって。
 私、ちょっと足、捻挫しちゃったみたいで・・・。
 他の先生に言って、保健室の鍵を借りてきたんだけど・・・」

なるほど、梨華ちゃんの右足首は
見てるこっちが痛々しくなるほど、真っ赤に晴れ上がっている。
ソックスも、はけないみたい・・・。
しかも足下には、バンソーコーの入った缶やシップ薬の箱とかが散乱してる。

右足を“くの字”に曲げて、左足だけで立ってる
梨華ちゃんの姿から、容易に想像がつく---。
片足立ちのまま、薬品戸棚の上の方にあるシップ薬を
取ろうとしたんだけど、バランス崩して
いろいろと落としちゃったんだろう。

もぅ梨華ちゃん、おっちょこちょいなんだから。
でもそんなところも、かわいらしく思えるから不思議デス。
100 名前:ハジマル。 -18- (67) 投稿日:2002年02月26日(火)00時02分07秒
「でもどうして捻挫?」
せっかくのキレーな足なのに・・・。

「あのぅ、ちょっと恥ずかしいんだけど・・・。
 後輩にのせられて審判台から飛び降りたら、着地に失敗しちゃって・・・
 テヘッ」

後輩にのせられたぁ?
あぁ私、バレー部じゃなくて、テニス部に入れば良かった!
・・・、じゃない。
おでこを軽く掻きながら『テヘッ』してる梨華ちゃん、かわいすぎ。
・・・じゃない、じゃない!
101 名前:ハジマル。 -19- (68) 投稿日:2002年02月26日(火)00時05分33秒
「石川センパイ、私が片づけますから・・・」

「えっ、そんなイイよ、自分で出来るから。
 それよりよっすぃー、帰る途中だったんじゃない?」

ホントに私に悪そうに、梨華ちゃんが答える。
そんな梨華ちゃんって、マジかわいい。
それで梨華ちゃんって、マジ優しい。
今も私のこと、気にかけてくれちゃって・・・。
実際、家に帰る途中だけど、そんなことより(父・母ゴメン!)
梨華ちゃんと一緒に居る方が、ずっと大事。

アレッ!?
今、頭の奥でかすかに
『恋愛って、二人だけで居たい。って、思うモンなんやで』って
裕ちゃんの声が、聞こえたような気がするけど・・・ムシ、ムシ!
だって私は、梨華ちゃんを見てるだけで十分!・・・な、ハズだから。
102 名前:ハジマル。 -20- (69) 投稿日:2002年02月26日(火)00時06分54秒
「N0〜!
 帰る途中だったけど、予定変更!!
 石川センパイの足を看て、それから・・・。
 ・・・・・・、送っていきます」

オーマイ!
私、何言ってんの???
梨華ちゃんの家なんて、どこにあるのか知らないのにぃ!
変だよ、私。
何で口が勝手に動くんだ?

「メーワク、かけられないよ?」
梨華ちゃんが言う。
私の様子をうかがうような、少し上目遣いな梨華ちゃんの表情。
梨華ちゃんを底抜けにかわいらしい!って思うのは
こういう顔を見せてくれる時。

キュン、キュン、キュン、キュン、キュン。
あっ、胸の鐘が鳴り出した。
ヤバイ!
胸の鐘が鳴り始めたら、私は制御不能に陥ってしまう!!
自分の体なのに、自分のココロなのに・・・。
103 名前:ハジマル。 -21- (70) 投稿日:2002年02月26日(火)00時08分39秒
「えっ!?ちょっと、よっすぃー!
 イイよ、そんなことしなくても・・・。
 私、重いし。
 それに、一人で歩けるよ?」

んっ!?
梨華ちゃんの声で、我に返る。

うぉー!私、梨華ちゃんを抱き上げてる・・・。
しかも、お姫様抱っこ!?
いつのまに???

どうしよう、どうしよう?
私、これから、どうしたらいい?
梨華ちゃん、私の腕の中でバタバタしてるし・・・。
104 名前:ハジマル。 -22- (71) 投稿日:2002年02月26日(火)00時11分13秒
「ダメです。
 センパイ、一人で歩いて
 足がこれ以上悪くなったら、どうするんですか?
 テニスにだって、影響するかもしれませんよ?」

おぉ、私の口が勝手に喋ってる!

「よっすぃー。
 ごめんね、・・・ありがとう」

あっ、梨華ちゃんが静かになった。
もしかして、私の今さっきの言葉が効いた、とか?
でもこれから、どうしたらいいンだろ?

ポフッ。

「ハイ、ここに座ってて下さいね。
 あっち片づけちゃってから、シップ薬、持ってきます」

おぉ、またしても勝手に、私の口と体が動いてる!

梨華ちゃんは、すっかりおとなしくなって
ベッドの上に、ちょこんって座ってる。
かわいい・・・。
105 名前:婆金 投稿日:2002年02月26日(火)00時44分13秒
スミマセン。更新途中で止めて、YVに夢中になってました。

>98 よすこ大好き読者さん
 保健室では何が起こるんでしょう?
 ・・・、期待しない方がイイと思います。

 それから、私も(‘も’は失礼!?)思いっきり昭和チルドレンです!
 
106 名前:婆金 投稿日:2002年02月26日(火)00時55分08秒
>105 
 『YV』って、何!?
 初めっから『テレビ』って、書けば良かった。
 あ〜、ハズカシイ。

 後、読み直してみたら、脱字とかいっぱい・・・。凹む。
 ずうずうしいですが、脳内変換等、よろしくお願いします。

 それから、この機を借りて・・・。
 レスを下さるみなさま。
 いつもsageで、ありがとうございます。
107 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)05時04分13秒
お姫さま抱っこでそのままお持ち帰りしませう
108 名前:夜叉 投稿日:2002年02月26日(火)14時35分52秒
勝手にしゃべれるかっけーロボット、よしこ。一家に一台(爆)。
なーんてあったら、迷わず買い、即買い、大人買い(笑)。

姐さんの言葉が頭の中をリプレイする吉、思うつぼです。>姐さんの。
>107さんの意見に同意(爆)。
109 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月26日(火)21時59分35秒
制御不能の、吉くん。いいっす。
お持ち帰りしちゃってください!!(w
110 名前:婆金 投稿日:2002年02月26日(火)23時32分42秒
>107 名無し読者さん
 お姫様抱っこは、かなり突発的行動なので、これからどうなることやら?

>108 夜叉さん
 大人買いって!一体、何体購入予定ですか?

>109 よすこ大好き読者さん
 吉澤氏、どこまで暴走するつもりでしょう?
111 名前:ハジマル。 -23- (72) 投稿日:2002年02月26日(火)23時34分40秒
床に散らばった、薬の箱などを片づけているうちに
少し気持ちが落ち着いてきた。

それにしても・・・。
制御不能な私には、自分でもホント、驚かされる!
口や体が、勝手に動くンだもん。

そう言えば私、
梨華ちゃんに『送っていく』って言ってたよね。
言ったからには、送っていかねばね。

「石川センパイ、家どこですか?」
「自転車で、30分くらいの所。
 でも、悪いし・・・」

梨華ちゃんと、2ケツ!?
ムフフ。

「ダイジョーブ!
 全て、吉澤に任せて下さい!!」

吉澤、俄然、ヤル気が出てきました!


缶入りバンソーコーを、棚に戻して・・・。ヨシ!
床の後かたづけ、終了。
112 名前:ハジマル。 -24- (73) 投稿日:2002年02月26日(火)23時36分28秒
「センパイ、ちょっと冷やッとするかもしれませんけど
 我慢して下さいね」
適当な大きさにカットしたシップ薬を手にして、
梨華ちゃんの右足首を持とうとしたら
「あっ、ダメ!」
と、強い拒絶反応が返ってきた。

「何で!?私に触られるの、イヤですか?」
とっさに、思ってることが口に出た。
梨華ちゃんは、すぐに頭を振って『ちがう』って答えてくれたけど
それっきり、両手をギュって握って、うつむいちゃった。

「シップ薬、貼らないと・・・」

困ったな。
私、何か悪いことでもしたかな?
まだ梨華ちゃん、うつむいたままでいる。
何か、焦る。
113 名前:ハジマル。 -25- (74) 投稿日:2002年02月26日(火)23時38分03秒
「だって・・・」
梨華ちゃんが、ようやく喋りだす。

「だって、汚いから。
 制服に着替えた時に、一度洗ったけど・・・。
 また汗かいちゃったし・・・」
あっ、やっと顔上げてくれた。
でも真っ赤になってる。

「何だぁ〜、そんなコトかぁ。
 私、何か悪いことしちゃったかと思って、ビクビクしましたよ?」
あ〜、ホッとした。

「『そんなコト』じゃないもん!」
梨華ちゃん、今度は怒ってる。
さっきまで何も喋らず、うつむいてたのに・・・。
忙しいね、梨華ちゃん。
そんなとこも、かわいいデス・・・。
114 名前:ハジマル。 -26- (75) 投稿日:2002年02月26日(火)23時39分41秒
「私、バレー部っすよ?
 汗かきまくってる足へのテーピングとか、日常サハンジですよ!」
この言葉、そのまま私自身への言葉だ。

だって『こんなの、日常サハンジだ!』って自己暗示でもかけなきゃ
照れて、梨華ちゃんの足になんて、とうてい触れなさそうだから・・・。
足に触れないと、シップ薬が貼れないし・・・。
捻挫、早く何とかしてあげたいのに!

照れるな、自分!

でも・・・。
ドクン、ドクン、ドクン。
やっぱ、緊張。

吸って吐いて、吸って吐いて・・・
とりあえず、深呼吸。

スー、ハー スー、ハー
もいっかい、深呼吸。

それでは。
失礼して、触らせて頂きます。
115 名前:ハジマル。 -27- (76) 投稿日:2002年02月26日(火)23時40分52秒
 梨華ちゃんの足は、細くて
《うわぁ、変な気分になってきた・・・》

 筋肉ついてるのにも関わらず、妙に柔らかくて
《ホントに、私が触っててもイイんだろうか?》

 汗で、少し湿ってて。
《でも、もっと触っていたいかも?》


何だろう?
この感じは。
116 名前:ハジマル。 -28- (77) 投稿日:2002年02月26日(火)23時42分15秒
「よっすぃー、ありがとう」
その声に上をふり仰ぐと、ニッコリ笑顔の梨華ちゃんが・・・。
あっ、いつの間にか私、シップ薬を張り終えてたんだ。

梨華ちゃんの足の感覚、
もう、覚えていない・・・。

あぁ!?
せっかく触ったのに!
梨華ちゃんの足に!!

私のばか、ばか、ばか。

吉澤、俄然、ヤル気がなくなりました・・・。
117 名前:ハジマル。 -29- (78) 投稿日:2002年02月26日(火)23時45分10秒
後のお楽しみって・・・?
おぉ、まだ梨華ちゃんとの“2ケツ”が残ってた!
ムフフ。ヤル気、復活!!

「じゃ、石川センパイ、帰りましょうか?」
今度はハッキリ意識を持って、梨華ちゃんをお姫様抱っこする。
「キャッ、よっすぃー?
 一人で歩けるよ!」

柔らかな、皮フの感触。
梨華ちゃんだけの、匂い。
めちゃくちゃ近くに、梨華ちゃんを感じる。
シアワセ。
あっ、胸の鐘が鳴りそう・・・。
でもガマン!また自分が、制御不能になるのはイヤだし・・・。
118 名前:ハジマル。 -30- (79) 投稿日:2002年02月26日(火)23時46分39秒
「一人で歩く?また、そんなコトを・・・。
 ダメです!
 シップ薬を貼ったからって、すぐに足が良くなるわけじゃないですよ。
 明日になってもまだ痛みが残ってたら、ちゃんと
 病院に行って下さいね?」
「歩けるもん!それに・・・。
 これ以上、よっすぃーにメーワクかけらんないよ?」
「ダメだって言ってるじゃないですか!
 それに全然、メーワクじゃないですって」

たまに梨華ちゃんって、自分のキャパを越えた頑張りをするんだよね・・・。
そういう時の梨華ちゃんは、危なっかしいったらナイ。

だから、守ってあげたくなる。
119 名前:婆金 投稿日:2002年02月27日(水)00時22分40秒
更新終了です。

激しく場違いで、別にどうでもイイことですけど
'Jane Birkin'リスペクトしてます。
120 名前:夜叉 投稿日:2002年02月27日(水)12時20分02秒
↑思わず柏手(笑)。そんな自分は逝って吉(爆)。

吉の一人暴走はまだまだ続きそうですね。つーか、さらに大変な事態を引き起こしそうで(汗汗)。
暴走吉、逝って吉。  …逝ってきます(鬱)。


121 名前:ハジマル。 -31- (80) 投稿日:2002年02月27日(水)23時26分05秒
保健室を出るべく(早く2ケツ、2ケツ!)
ドアの所まで来たんだけど・・・。
梨華ちゃんをお姫様抱っこしたままだから
両手がふさがってて、ドアを開けることが出来ない。
どうしようかな?
梨華ちゃんに、開けてもらおうか?


『ガチャ』

Oh,ラッキー!
勝手にドアが開いた。
実は保健室のドアって、自動ドア?

んなわきゃナイ、か・・・。

ドアの向こうには
髪が長くて、背の高いキレーな人と
眼がクリクリで、かわいい顔立ちの人が立っている。
二人とも私服だから、高等部の生徒ではナイらしい。
保健室のドアを開けたのは、この人達みたい・・・。
誰?
122 名前:ハジマル。 -32- (81) 投稿日:2002年02月27日(水)23時29分56秒
二人はビックリ顔で、ドアの前で立ちつくしている。

「あっ、飯田先輩!安倍先輩!
 お久しぶりです」
私の腕の中で梨華ちゃんが言うと
その言葉がきっかけになったのか、二人が同時に口を開いた。

「石川・・・、何やってんの?」背の高い方が、言う。
「よっすぃー、だべさ?」眼がクリクリな方が、言う。

何だ、3人とも知り合い?
眼がクリクリな方が『よっすぃー』って言ってたみたいだけど、
ひょっとして私のコト、知ってる?
123 名前:ハジマル。 -33- (82) 投稿日:2002年02月27日(水)23時31分17秒
「誰ですか?」
お姫様抱っこされてる梨華ちゃんに顔を近づけて、そっと聞く。
梨華ちゃんを近くで感じてしまって、
また自分が制御不能になりそうになる・・・。
ガマン、ガマン!

「飯田先輩に、安倍先輩。
 あっ、背が高い方が飯田先輩ね。
 二人とも、ここの女子大の2回生」
梨華ちゃんが、私の耳元でささやくように答えてくれる。

キュン
ヤバ!今、胸の鐘が鳴りかけた。
胸の鐘が鳴ると、マジで自分が制御不能になるから・・・。
ここがガマンのしどころデス!

それにしても『飯田センパイと安倍センパイ』って
どっかで聞いたことあるような・・・。どこで聞いたんだっけ???
ン〜、ン〜。 ・・・思い出せないから、イイや!
124 名前:ハジマル。 -34- (83) 投稿日:2002年02月27日(水)23時32分48秒
「「驚いたべさ!王子様とお姫様がいた!!」」
二人が、ほぼ同時に言った。

王子様???お姫様???

それって、私と梨華ちゃんのこと?
他に人いないし、
私、梨華ちゃんをお姫様抱っこしてるし・・・。
でも二人してその驚きよう、ちょっと大げさすぎじゃない?
今も、二人でハイタッチして喜んでるし・・・。

「あの・・・。
 私“吉澤ひとみ”ですケド?」
タップリ、不信感を込めて言う。

「あぁ、安倍なつみです。
 ゴメンね、いきなり勝手に盛り上がっちゃって。
 なっち、王子様を初めて生で見られて、カンドーしちゃったからさ」
安倍センパイって、自分のこと“なっち”って言うンだ・・・。

「私は、飯田佳織。カオリも---。
 保健室のドア開けたら、いきなり目の前に
 王子様とお姫様がいてビックリして・・・」
飯田センパイって、自分のこと“カオリ”って言うンだ・・・。
125 名前:ハジマル。 -35- (84) 投稿日:2002年02月27日(水)23時34分27秒
「さっきから・・・。
 王子様とか、お姫様とか。一体、何なんですか!?」
飯田センパイと安倍センパイに聞いた。

だけど二人から答えが返ってくる前に
私が耳にしたのは
「よっすぃー、おろして?」
という、私の腕の中にいる梨華ちゃんの声。

「そんな、何で!?」
「ちょっと、ハズカシィ。・・・かな?」
私は全然かまわないんだけど
梨華ちゃんがそう言うなら、仕方ない・・・。

またベッドに梨華ちゃんを座らせて、自分は隣に座る。
飯田センパイと安倍センパイも、その辺の丸イスに座った。
126 名前:ハジマル。 -36- (85) 投稿日:2002年02月27日(水)23時37分07秒
「で、王子様とお姫様って?」
再び、二人に聞く。

「知らないの?もぐりだね」
飯田センパイ・・・、ちょっとムカツク。

「王子様とお姫様は、なっちとカオリが高等部の
 生徒会やってたころに始めた、生徒会のウラ企画なんだよ。
 それで---」
安倍センパイの説明によると
高等部生徒会が毎月発行する、M女ウラ会報誌(学校非公認!)には
中・高等部の全生徒を対象に行う『M女の王子様&お姫様はダレだ!?』
というアンケートの結果が載せられるらしい。

そのアンケートで年間一位をとった生徒は、自動的に
秋の文化祭に行われる生徒会主催ウラ企画
『ポラ撮影&握手会』の餌食に・・・。
まったくヒドイ企画!
でも、かなりの集客率を誇ってるみたいで
近所の商店街のおっちゃんとか、M女の理事長とか(何故!?)
毎年必ず来る、固定ファンもいるとか・・・。

因みに、去年まではずっと
ごっちんの恋人で、今はイギリスに留学してる市井サンと
梨華ちゃんの二人が、王子様&お姫様だったらしい・・・。
しかも、ぶっちぎりの人気で!
やっぱ梨華ちゃん、人気あるんだ・・・。
ちょこっとブルー。
127 名前:ハジマル。 -37- (86) 投稿日:2002年02月27日(水)23時55分43秒
「でも、ごっちんだって、かなり美人じゃない?」
「ごっちんはね〜。
 王子様とお姫様、両方に票が入っちゃって
 結局、どっちでも5位くらいに落ち着いちゃうんだよね。
 もったいない!」
私の質問に、安倍センパイが答える。

『そっか、それはもったいないね』そう言いかけて、止める。
問題は、そこじゃない。

「石川センパイって中等部ン時からずっと、お姫様だったんですか!?」
「・・・・・・、ウン」
すごく恥ずかしそうに梨華ちゃんが、小さくうなずく。

そっか梨華ちゃん、お姫様だったんだ・・・。
それで今までいっぱい、いろんな人と
2ショットで写真撮ったり、握手したりしちゃったんだ? 
ダレだ、そいつら?
うらやますぃ・・・ゾ、ゴルァ!
128 名前:ハジマル。 -38- (87) 投稿日:2002年02月27日(水)23時57分17秒
「今期は、紗耶香が休学してるから
 王子様、ダレになるかと思ってたんだけど・・・、ね?」
「ねっ!活きのいい王子様が入ってきたべさ」
飯田センパイと安倍センパイは、申し合わせたように私の方を見てる。

「えっ!もしかして、私が王子様?
 やめて下さいよ!
 つか、飯田センパイと安倍センパイが
 今でもその『王子様&お姫様』企画やってるんですか?
 二人とも、もう大学生なんでしょ!?」
「だから。
 カオリ達は、今は外から楽しんでるだけだよ。
 今は、今の生徒会がやってるんだよ。
 会長のヤグチが、先頭に立ってね!」

矢口マネが!?
確かに矢口マネは、バレー部のマネージャー業と
高等部の生徒会会長を両立してる・・・。

根っからの陽気な性格と
黙ってても、にじみ出る人の良さで
回りのみんなから好かれてる、矢口マネ。
そんな矢口マネを、私はソンケーしてたのに・・・。
ウラで、何やってンですか!? 

何か、どっと疲れが出た・・・。
129 名前:ハジマル。 -39- (88) 投稿日:2002年02月28日(木)00時03分30秒
「石川センパイ、帰りましょうか?
 飯田センパイと安倍センパイも、一緒に出て下さいよ?
 鍵、返さなきゃイケナイし」
「あっ、先帰っていいよ。ていうか、先帰って?
 なっちも鍵、持ってるから。
 ちゃんと責任持って、締めて出るし・・・」
歯切れの悪い返事を返す、安倍センパイ。

「そうだ、なっち。
 人いるかどうか、ちゃんと圭ちゃんに確認しなかったの?」
「したべさ!」
んっ?何、二人でこそこそ言ってンだろ?

何となく、二人の視線を
私と梨華ちゃんが座っているベッドあたりに
感じるのは、気のせいだろうか?

「よっすぃー、悪いから・・・。
 二人で先、帰ろ?」
訳ワカンナイ・・・。
けど梨華ちゃんがそう言うなら、二人で帰ろう!
2ケツで帰ろう!!
130 名前:婆金 投稿日:2002年02月28日(木)00時11分26秒
>120 夜叉さん
 吉澤氏どころか、婆金(バァキン)自身が一人暴走気味?
131 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月28日(木)03時28分42秒
萌え企画ですね(w
132 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月28日(木)19時19分59秒
王子様と、お姫様ですか〜〜〜〜(w
ふたりには、ぴったりですよね。
このまま暴走しちゃってください!!(w
133 名前:夜叉 投稿日:2002年02月28日(木)19時23分48秒
なんだか、いいらさんとなっちが気になる…。石も何か知ってるみたいだし。
よく分かんなくてとりあえず暴走してる吉、ツボです(笑)。
自分も負けずに暴走してますが何か(w
134 名前:ハジマル。 -40- (89) 投稿日:2002年03月01日(金)01時35分06秒
梨華ちゃんと2ケツ、メチャクチャ嬉しい!
しかも梨華ちゃんのチャリだよ!!

・・・、だけど。
何かが決定的に、違う!

私が思い描いてた、2ケツっていうのは
【私の腰に、後ろから梨華ちゃんが腕を回してきて
 ピタッとピタッと、くっついて☆って感じで・・・。
 背中にバンバン、梨華ちゃんの柔らかな胸を感じながら
 『スピード出しすぎないでね?』とか
 言ってくる梨華ちゃんに
 『もっと飛ばすよ?しっかり掴まってて!』なんて
 言い返すと、梨華ちゃんが今度は
 『もぅ、ひとみちゃん!いじわる言わないで』って
 言いながらが、更に‘ギュッ’してきて・・・】
だったんだけどなァ・・・・・・。

現実は、そんなに甘くないみたいデス・・・。

梨華ちゃんはサドルの縁を握っていて、
私の腰に腕を回すどころか
一カ所だって、私達が触れている場所なんて、ナイ!
135 名前:ハジマル。 -41- (90) 投稿日:2002年03月01日(金)01時36分36秒
つか、梨華ちゃんも、何か喋ってほしいンだけど・・・。
2ケツしてから、妙な沈黙が続いてるし
その間に私のモーソー、どんどん膨らんじゃうよ〜!

あ〜、もぅ!
とにかく何か喋ろう!
何喋ろうか?
えぇっと、二人共通の話題って、何だろ?
共通の話題、共通の知人・・・。
あっ、ごっちん!

「あ、あの。石川センパイ?」
「あっ、ハイ」

何か・・・、ヘンな雰囲気じゃない?
136 名前:ハジマル。 -42- (91) 投稿日:2002年03月01日(金)01時38分44秒
「あの・・・。
 今日、裕ちゃんに言われたんですけど。
 ごっちんの様子が、最近おかしいンじゃないか?って。
 そんなことナイですよね〜?
 裕ちゃん、何言ってンでしょうね」

「・・・・・・・」

アレッ?
返事が返ってこない・・・。
うわぁ、どうしよう?
私、何かヘンなこと聞いちゃった???

「よっすぃーって、いつもクールだから
 もっと大人なんだって思ってたけど・・・。
 けっこう、お子ちゃまだね」

はぁ!?
えっ、何で???
何でそんなコト、言われなきゃいけないの?
137 名前:ハジマル。 -43- (92) 投稿日:2002年03月01日(金)01時40分04秒
「えっ、そんな石川センパイ、急に
 おねえちゃんな発言、やめて下さいよ?」

「だって私、おねえちゃんだもん!
 よっすぃーは、ごっちんの気持ち、分からないの?」

???ワカリマセン????

「・・・スミマセン、分かりません」

「別に、私に謝るコトじゃないよ。
 私だって、ごっちんから何か聞いてる訳じゃないし・・・」

「何も聞いてないのに、石川センパイは
 ごっちんの気持ち、分かるんですか?」

「正確には・・・
 『分かる』って言わないのかも知れない。
 でも、ごっちんの気持ちを分かりたい!って思えば
 見えてくるコトもある、でしょ?」

???アリマスカ???

「・・・スミマセン、何も見えません」

「だから、私に謝られても・・・」

私には、分からないコトって何だろう?
私には、見えないコトって何だろう?
138 名前:ハジマル。 -44- (93) 投稿日:2002年03月01日(金)01時41分02秒
「よっすぃーの・・・、バカ。
 何で、分かんないの?
 ホントに、お子ちゃまなんだから・・・」

また『お子ちゃま』って、言われてしまった。
ほんの数十分前、裕ちゃんにも同じコト、言われたンだよね。
私が『お子ちゃま』じゃ、何か悪いのか?

「後、2カ月も経たないうちに
 市井さん、帰ってくるんだよ?」

梨華ちゃんが、ぽつりと言った。
139 名前:ハジマル。 -45- (94) 投稿日:2002年03月01日(金)01時44分43秒
「心配なんじゃないかな?ごっちんは。
 市井さんからも、メールが来てたけど・・・。
 二人とも、久々に会う相手が恐いんだよ・・・、きっと」

私は、梨華ちゃんが何を言おうとしているのか
さっぱり分からなくて、ただ話を聞いているばかり・・・。
何か言葉をかけたい気持ちはあるのだけど
現実として、何も出てこない。・・・、情けないや。

「1年も会わずにいた恋人に、再会するんだもん。
 いくらメールのやり取りは、してるっていっても
 私だったら絶対、不安になる。
 相手がもう、自分の手の届かない存在になってたらどうしよう?って。
 自分が、相手が慕っていてくれた自分とは違う存在になってたら
 どうしよう?って・・・」

・・・だんだん、分かってきた。

「私だったら・・・。
 会いたい気持ちと、不安な気持ちとの間で
 押しつぶされそうになる・・・、と思う」

そっか、そうだよね。
・・・私、バカだった。
ここまで梨華ちゃんに説明されないと
ごっちんや市井サンの気持ちが、分からないなんて・・・。

ごっちんが、私に悩みを相談してくれないのは当然だ。
っていうか相談されても私、理解できなかった・・・。
あぁ、私ってホントに『お子ちゃま』だったんだ。
140 名前:ハジマル。 -46- (95) 投稿日:2002年03月01日(金)01時46分48秒
どんどん神経が研ぎ澄まされてくるのが、自分でも分かる。
初めて自分を、ちゃんと自分自身で受け止めている気分。

後ろから聞こえる『ンク、ウぅ』って音・・・。

梨華ちゃんが、声を殺して泣いてる。

ごっちんと市井サンの為に流しているだろうその涙は
だけど、私の無神経さが流させている涙でもある。

私は『キッ』とブレーキを鳴らして、チャリを停めた。
同時に『ゴツンッ』と、私の背中に
梨華ちゃんのおでこが、あたった。

私の夏服に、梨華ちゃんの涙がにじむ。
141 名前:ハジマル。 -47- (96) 投稿日:2002年03月01日(金)01時49分34秒
「ゴメン・・・、なさい」
後ろを振り向けず、前を向いたままで言う。

「ンク。・・・っすぃー、さっきから謝ってばっか。
 もぅ、謝んないで?よっすぃーは、何も悪くないんだから」

「でも・・・」
「ヘーキだよ?私は。
 市井サンが帰ってきたら、みんなでどっか遊び行こう、ね?」
私ずっと、梨華ちゃんの
スゲーかわいくて、スゲー優しいトコばかり見てて
梨華ちゃんの“強さ”を見過ごしてきた・・・。

「ったかい」
「えっ?」
「石川センパイ、あったかい」
「何、言ってんの!?
 ほら、早くペダル漕いでよ!」

振り向かなくても、分かる。
梨華ちゃん、もうきっと笑顔に戻ってる。

「ホイッ!」

またチャリを走らせる。さっきよりずっと、ずっと速く。
頬に感じる風は、昼間と比べて、じっとり重い感じがする。
そろそろ梅雨入り、カナ?
142 名前:婆金 投稿日:2002年03月01日(金)01時56分05秒
>131 名無し読者さん
 そんなアンケート実際あったら、速攻、二人に票を入れますが、何か?

>132 よすこ大好き読者さん
 暴走というか、迷走でした。
 ストックが底をつきましたので、後は野となれ山となれデス。

>133 夜叉さん
 どちらで、爆走中ですか?
143 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月01日(金)03時41分06秒
甘いながらもさわやかでいい雰囲気ですね
144 名前:夜叉 投稿日:2002年03月01日(金)20時07分07秒
ええ、もちろんここで(爆)。
2ケツのシーン、かなりツボでしゅ。二人ともむちゃかわいい(爆)。
ごちそうさまでした。合掌。
続きマターリお待ちしております。
145 名前:婆金 投稿日:2002年03月02日(土)01時14分05秒
>143 名無し読者さん
 気に入っていただけたなら、嬉しい限りです!
>144 夜叉さん
 暗中模索気味で更新してましたので、お言葉、有り難いです!
 
この後のストックがないので、マッハでがんがりますが
次に更新できるのがいつになるか・・・。
もしこの駄文を読んでいて下さる方がいましたら、マターリよろしくです。
146 名前:夜叉 投稿日:2002年03月04日(月)14時45分31秒
あーい。マターリでしゅ。待ってま〜ぁす。
147 名前:ハジマリ ノ マエ。 -48- (97) 投稿日:2002年03月05日(火)00時01分13秒
「このところヘンだ、ヘンだと思ってたけど・・・」

昨日、どうやって家まで帰ったか覚えてない。
(まぁ、電車で帰ったンだけど)

「よっすぃー!マジメに練習しろ!!」

だって帰り際、梨華ちゃんに『ありがとう、ひとみちゃん』って
言われたンだよ?

「よっすぃー?矢口マネ、そろそろキレそうなんだけど」

今度、タメ口で喋ってみようかな?

「あっ、矢口マネ?止めて下さいよ、コート中でごさる!」

二人の距離、近づいたよね?私の錯覚じゃないよね?

「放せ、あさみ!バレーボーラーの情けじゃ」

しかし梨華ちゃん、かわいかったな。

「バレーボーラーって、矢口マネはプレーヤーじゃないでしょ!?」

どうにかまた、2ケツできないかなぁ〜?

「矢口マネ〜、あんまりボールは蹴らないで欲しいです〜!!!」

『バンッ』
痛でっ!
148 名前:ハジマリ ノ マエ。 -49- (98) 投稿日:2002年03月05日(火)00時02分58秒
「ちょっと矢口マネ!何すンですか!?」
頭、メチャ痛む。
「よくヤグチが蹴ったって、分かったね?
 あんだけどっぷり、トリップしてて」
「意識はハッキリしてるんです!」

そう意識はハッキリしている。
ただ、梨華ちゃんへの溢れる気持ちを
止められなくなっただけ。

「逆ギレるなって。
 練習に身が入ってなかったのは、よっすぃーでしょ?
 昨日の、裕ちゃんの居残り補習がハード過ぎた?」
「矢口マネ、よく私が
 裕ちゃんに居残り補習させられたって、知ってましたね?」
「えっ!?あっ?それは・・・。
 ヤグチが何年、M女の生徒やってると思ってるの?
 今年の春から高等部に入ってきた、よっすぃーとは年期が違うんだよ!
 あっ、ほら、よっすぃー!?
 雨、降り出したみたい。
 外で部活やってる人達はカワイソーだね。
 そういえば裕ちゃん言ってたっけ、梅雨入りしたって」
矢口マネの戸惑い具合、ちょっと気になるけど、まぁいいや。

そんなコトより・・・。
149 名前:ハジマリ ノ マエ。 -50- (99) 投稿日:2002年03月05日(火)00時05分01秒
「聞きましたよ!矢口マネ。
 『王子様&お姫様』企画。
 もぅ、何やってンですか!?
 私、王子様に選ばれても、握手会とか絶対出ませんからね!」

王子様の私がボイコットしたら、
お姫様である梨華ちゃんの『ポラ撮影&握手会』もなくなるかな?
そしたら、梨華ちゃんをヲヤジ達の魔の手から守れるンだけど。

「えっ!?それは困る・・・。
 人気企画だし。第一、アレは生徒会の大切な収入源・・・。
 ここは、逃げの一手だな」
「何、ブツブツ言ってンですか?」
「あっ、ほら、よっすぃー!?
 あっちに、石川がいるよ!」
「えっ、どこ?
 どこッスか!?
 どこにも居ないじゃないですか!!
 って、何で石川センパイのコト知ってるんですか?
 あっ矢口マネ、どこ行くんスか!?
 逃げるな〜!」
矢口マネの姿はもう、体育館の出入り口の方に小さく確認できる程度。
ったく、逃げ足はえ〜よ。
150 名前:ハジマリ ノ マエ。 -51- (100) 投稿日:2002年03月05日(火)00時06分05秒
『今日はもう、解散!』と叫びながら
去っていく矢口マネの姿を呆然と見送っていると、
矢口マネとは逆に、何かを胸に大事そうに抱えて
体育館に急ぎ足で入ってくる生徒が見えた。

わき目もしないで、こっちに突進してくるのは・・・、
梨華ちゃんだ!

スゴッ!矢口マネ、ウソから出たマコトだ。
カッケー!!

梨華ちゃん、急ぎ足なのに、かなりスピードを出してる。
昨日の捻挫は、もうダイジョーブみたい。
良かった。
151 名前:ハジマリ ノ マエ。 -52- (101) 投稿日:2002年03月05日(火)00時07分29秒
「ハァ、ハァハァ。
 ひとみちゃん、いまダイジョーブ?」
やっぱり『よっすぃー改めひとみちゃん』になってる!
嬉すぃ〜!!
「あっ、うん。
 今さっき、部活終わったばっかだから・・・」
恐る恐る、タメ口をきいてみる。
「よかった!」
笑顔の梨華ちゃん。それってタメ口、OK牧場ってコトですよね?
「どうしたンですか?」
・・・タメ口慣れてないから、また敬語に戻っちゃった。
「昨日のお礼、持ってきた。
 ハイッ!」
差し出された紙袋の中身を覗くと、
ベーグルとキュウリの漬け物が・・・。

「おいひそ〜う!」
スミマセン、ウソです。吉澤ひとみ、ウソついてます。
ホントは、小学ン時の給食に出てきた
『ピクルスの汁を吸い込んだコッペパン』が思い出されて
何とも言えない気分。

「やだ、ひとみちゃん。変な顔しないで?
 ハナの下がのびてるよ〜!」
私のホントの気持ちを知らない梨華ちゃんは、
私の顔を見て、キャッキャッと喜んでる。

どんな理由でも、梨華ちゃんの喜ぶ顔が見られるのは嬉しいね!
152 名前:ハジマリ ノ マエ。 -53- (102) 投稿日:2002年03月05日(火)00時08分55秒
梨華ちゃんの喜んでる顔を見てたら
あることに気が付いた。

いつもサラサラな髪の毛が、今日は頬に張り付いている・・・。

「アレッ!?
 梨華ちゃん、濡れてる?」
調子に乗って『梨華ちゃん』って呼んでみる。
「そうなの。
 今日は部活休んじゃったんだけど、ちょっとだけ様子見に行ってたら
 雨、降り出しちゃって。
 慌ててここまで来たんだけど・・・」
梨華ちゃんは、私が初めて『梨華ちゃん』って呼んだことに
気付いてないみたい・・・。
それだけ自然に言えたんだろうけど、ちょっと
嬉しいような、悲しいような・・・、フクザツ。
 
「あっ、でもね
 ベーグルとキュウリの漬け物は濡らしてないよ?」
「何言ってるンですか!
 そんなコトより、梨華ちゃんの体の方が心配!
 制服、濡れてるし。
 風邪ひいたらどうすンですか!?
 コレ使って?」
タメ語と敬語がごっちゃになってる、変な言葉を吐きながら
自分のスポーツタオルを、差し出す。
153 名前:ハジマリ ノ マエ。 -54- (103) 投稿日:2002年03月05日(火)00時11分09秒
「コレ、ひとみちゃんが使うんじゃないの?」
「今日は練習って練習、全然しなかったから・・・」
濡れた制服と髪を拭きやすいように、
梨華ちゃんの肩にスポーツタオルをかけてあげる。

「!!!ヴッ!!!」

「ひとみちゃん、どうしたの!?」

『ひとみちゃん、どうしたの!?』じゃアリマセン!
梨華ちゃん、シャツが雨に濡れて
ブラが透けてます!!!

ピンクのブラが!

もぅ、何で白いシャツの下に
ピンクのブラなんて付けるかな?
いくらピンク好きって言っても、コレは反則!
『透けたブラを見て下さい』って言ってるも同然YO?
あぁ、視線がどうしても、ピンクのブラに行ってしまう・・・。
154 名前:ハジマリ ノ マエ。 -55- (104) 投稿日:2002年03月05日(火)00時12分42秒
「ひとみちゃん、ダイジョーブ?」
ピンクのブラ☆
「あぁ〜?
 ウン。ダイジョーブ」
ピンクのブラ☆
「じゃあタオル、借りるね?
 洗って、明日返すから。
 昨日からゴメンね・・・。
 私ってホント、ダメだね・・・」
ピンクのブラ☆
「そんな、ネガティブにならないで・・・」
ピンクのブラ☆
「ひとみちゃん?
 何か目がうつろだよ、ホントにダイジョーブ?」
ピンクのブラ☆
「ダイジョーブだって・・・」
ピン、クのブラ☆
「・・・・・・、ダイジョーブかな?
 そしたら私、帰るね。
 タオル洗わなきゃ。
 また明日ね、ひとみちゃん!」
ピンク、のブ、ラ★
「うん、また明日・・・」
ピ、ンクのブラ★



『バタッ!』
ピン、クのブ、ラ・・・
155 名前:ハジマリ ノ マエ。 -56- (105) 投稿日:2002年03月05日(火)00時13分40秒
「うわぁ〜!
 よっすぃー、しっかりして!!
 どうして倒れちゃったの?」
薄れゆく意識の中で、梨華ちゃんのピンクのブラと
あさみセンパイの声が交錯する。
156 名前:ハジマリ ノ マエ。 -57- (106) 投稿日:2002年03月05日(火)00時16分23秒
―よっすぃー、ダイジョーブかな?―

―失神しただけだから、ダイジョーブ―

―何で失神しちゃったんだろう?―

―さぁ。でも何かショッキングな出来事に遭遇したんじゃないかな?
 それより、さっき後藤が言ったことって、ホント?―

―さっき言ったコトって、
 ゴトーのカレシがいちーちゃんだってコト?ホントだよ―

―紗耶香はカレシなのか・・・。 まっ、それはいいや。
 そうか、紗耶香の好きなヤツって後藤だったんだ・・・ ―

―圭ちゃん、いちーちゃんのコト知ってるの?―

―んっ?まぁ、ちょっとね。
 でもさ、紗耶香がカレシなら
 後藤は何も心配しなくてイイよ。私が保証してあげる―

―エヘッ、圭ちゃんに保証してもらっちゃった―

―後藤?今、私に喋ってくれたこと・・・
 紗耶香との再会に不安な気持ちがあるってこと・・・
 吉澤に言った?―

―よっすぃー、梨華ちゃんのコトで大変そうだから何も言ってない。
 シンパイゴト増やすの、悪いし・・・ ―

―何やってンの、アンタも吉澤も。
 トモダチを何だと思ってるんだろう・・・ ―
157 名前:ハジマリ ノ マエ。 -58- (107) 投稿日:2002年03月05日(火)00時18分53秒
ここドコ?それに、
さっきから聞こえる、喋り声。
ダレとダレの声だろ?
ちょこっと、優しい気持ちに包まれてる気分・・・。
158 名前:婆金 投稿日:2002年03月05日(火)00時26分16秒
>146 夜叉さん
 全然、更新してなかったのにレス、どうもです!
 ホント、嬉しいです。涙、涙☆
159 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月05日(火)04時55分31秒
勝手に悩殺されてる吉澤にワラタ
160 名前:ハジマル。 -59- (108) 投稿日:2002年03月05日(火)23時11分30秒
「ん、んっ〜」
あぁ、ボゥ〜とする。

「あっ、よっすぃー起きた?」

「・・・ごっちん?」

「圭ちゃんもいるよ」
圭ちゃん・・・じゃ、ここ保健室か。

でも・・・。
「・・・何で?」
「体育館で倒れて、あさみにここまで運ばれてきたんだけど
 吉澤、覚えてない?
 あさみ、もう帰っちゃったから
 次、会ったらちゃんと、お礼言っとくんだよ?」
「ハイ」
思い出した・・・。
私、梨華ちゃんのピンクのブラにコーフンしすぎて・・・。
161 名前:ハジマル。 -60- (109) 投稿日:2002年03月05日(火)23時13分35秒
「何、赤くなってンの?
 よっすぃーさ、ちょっと急だけど
 今日これから、一緒に買い物行く予定、ヘンコーして
 よっすぃーン家にお泊まりに行っても、いいかな?
 明日、日曜だしさ」
「いいよ。
 雨、降っちゃってるし、人混みの中を歩くより
 家でまったりの方がラク・・・。
 明日の部活も午後からだしね」
「じゃゴトー、お泊まりセット取って来る!」

「後藤は学校にお泊まりセットを常置してるのか!?」
圭ちゃんが、ごっちんの後ろ姿に声をかけたけど
その声はごっちんに届かなかったので、代わりに返事をする。
「ごっちんのロッカーには、何でも入ってるンです。
 みんな、ごっちんのロッカーのコト“4Dロッカー”って
 呼んでますよ?」
「へぇ、そう・・・」
ウソだよ、信じるなよ圭ちゃん。
そんなんだから辻&加護コンビに『オバチャン』とかって言われるんだよ。

あっ、そういえば今って
辻&加護もごっちんも居ない・・・、チャンスだ!

「圭ちゃん?
 ちょっと相談したいことがあるンだけど・・・」
162 名前:ハジマル。 -61- (110) 投稿日:2002年03月05日(火)23時14分38秒
「ハハッ!
 石川のコトで頭がいっぱい!?
 もぅ、見てるだけじゃガマンできない!?
 ピンクのブラで失神!?
 ちょっと吉澤、おもしろ過ぎ!」
「ムカッツク!
 人が真剣に相談してるのに・・・」
「あぁ、ゴメン、ゴメン!
 あんまり吉澤がかわいくって」
「なっ、圭ちゃん!?」
「ハイ、ハイ。
 えぇっと、吉澤クン?
 君が今、悩んでることは、男子として当然の悩みです。
 もっともっと悩みなさい」
「女子デス、女子!」 
163 名前:ハジマル。 -62- (111) 投稿日:2002年03月05日(火)23時16分01秒
「何か楽しそうだね〜。
 ゴトーも混ぜて?」
知らないうちに、ごっちんが戻ってきていた。

「楽しくないよ、全然!
 ごっちん、もう帰ろう」
ベッドから飛び降りる。

「吉澤、まだムチャしちゃダメ!
 それから、ちゃんと制服に着替えてから帰れ?」
圭ちゃんの言うことなんか、もう聞くもんか!!




「後藤も吉澤も。
 今はココロが、どこかに迷い込んでしまってるんだよ。
 正直になりなさい、自分の気持ちに!」

ごっちんの手を引いて保健室から出ていこうとしたとき
後ろから、また圭ちゃんの声がした。
164 名前:ハジマル。 -63- (112) 投稿日:2002年03月05日(火)23時17分30秒
「『ココロが迷う』ってどういう意味だろうね?」
「そっちの方は、よく分かンないんだけど
 『自分の気持に正直になれ』の方は
 なんとなく分かるような、分かンないような・・・」
「ウ〜ン、難しいね」
「まっ、時間はたっぷりあるから
 ゆっくり考えよう!
 ごっちん、何飲む?やっぱアルコール?
 あんま種類、ないけど・・・」
うちにお泊まりに来ている、ごっちんとパジャマトーク。

「やっ、悪いンだけど。
 お茶とかコーヒーとか、頼める?」
「いいけど・・・、そんなんでいいの?」
「うん。ほらっ、約束してるから。
 ヤバめ系は全面禁止って・・・いちーちゃんと」
「そっか」
不用意な言葉をかけてしまったかもしれない。
ごっちんは、遠恋中の相手、市井サンと
この夏、一年ぶりに再会することに、不安を感じてるみたいだし。
「よっすぃー、悲しい顔しないでよ。
 ゴトーも悲しくなっちゃうよ?」
私を眺めて、ごっちんが言った。
165 名前:ハジマル。 -64- (113) 投稿日:2002年03月05日(火)23時19分25秒
「昨日、梨華ちゃんと2ケツしたんだよ。
 すっごいでしょ!?」
「おぉ!よっすぃー、スゲー。
 ゴトーも、いちーちゃんと、よく2ケツしたな・・・」

「あ・・・、あのね、呼び方!
 『ひとみちゃん』『梨華ちゃん』になったんだよ。
 スゲくない?」
「いいねぇ〜!
 ゴトーも、いちーちゃんに『後藤』って呼ばれてる・・・」

う〜、何か喋りづらいンですけど。

「あっ、あの。えぇっと・・・。触った!
 昨日さ、梨華ちゃんの足に触ったんだよ!!
 っていっても、シップ薬を足首に貼っただけで、
 感触覚えてないンだけど・・・
 でも、むちゃくちゃカンドーした」
「カンドーだね!それは。
 ゴトーも、いちーちゃんに・・・、いちーちゃんに
 いちーちゃん、いちーちゃん。いーちーちゃーん
 ・・・・・・会いたい よ」

堰を切ったように、ごっちんの感情と涙とが、流れ出す。
166 名前:ハジマル。 -65- (114) 投稿日:2002年03月05日(火)23時20分27秒
「訊きたい『まだゴトーのコト好き?』って。
 でも・・・、訊けない。
 ・・・いちーちゃん帰ってきても、またゴトーと
 同じ歩幅で歩いてくれるかな?
 やっぱキツかった・・・、一年」

ホントにガマンしてたンだね、ごっちん。
泣いてイイよ。
いろんなモン、ぶちまけちゃってイイよ。
・・・、トモダチだから。

167 名前:ハジマル。 -66- (115) 投稿日:2002年03月05日(火)23時22分22秒
「いつもはメールばっかなんだけど
 たまに電話で声、聞くとさ・・・」
眼を腫らして、ごっちんが言う。
「『今すぐゴトーに、帰ってきて!』って
 言葉が出かかるンだけど、それは押さえなきゃね。
 いちーちゃん、困っちゃうだろうし・・・。
 でもね、ココロの中ではいつもそう呟いてたンだ」

「うん」
私はごっちんの話を聞いてあげることしかできないけど
多分、それでイイんだと思う。

「やっと会えるのにね、いちーちゃんに。
 何でこんなに、不安な気持ちがこみ上げてくるんだろう?」

「梨華ちゃんが言ってたけど・・・。
 市井サンも不安なんじゃないかって。
 私、よく分かンないけどさ・・・
 きっと二人とも同じ気持ち、なんじゃないかな?」

「ゴトーといちーちゃんが、同じ気持ち?」

「そう」

「そっか・・・」

「そうだよ」

「そだね」
168 名前:ハジマル。 -67- (116) 投稿日:2002年03月05日(火)23時23分16秒
「いちーちゃんの不安、ゴトーが何とかしてあげなくちゃね!
 あ〜、早くいちーちゃん、帰ってこないかな?」

不思議・・・。ホント不思議なんだけど
今ここにいない、市井サンが
ごっちんの少し疲れたココロをほぐして、
不安を優しく消し去っているように感じる。

169 名前:婆金 投稿日:2002年03月05日(火)23時29分20秒
>159 名無し読者さん
 私は“ハジマリ ノ マエ。”に戻ってたのにワラタ。
 やっぱ酔って更新するのは、マズイっすね。
170 名前:夜叉 投稿日:2002年03月06日(水)10時24分53秒
酔ってたのに誤字がないのには脱帽(爆)。
吉とごっつぁんに明るい明日が来ることを願いつつ、吉の迷走にも期待(笑)。
171 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月06日(水)14時19分30秒
ピンクのブラ・・・・(w
かなり笑わせていただきました。
いちーちゃんの登場に期待!!
172 名前:ハジマル。 -68- (117) 投稿日:2002年03月07日(木)01時35分13秒
「よっすぃーは、梨華ちゃんとどうなの?」
だいぶ落ち着きを取り戻した、ごっちんが訊く。

梨華ちゃん・・・。

「何かさ、気付いちゃったんだよね・・・。
 つか、今まで気付かないフリしてた、自分の気持に」

「よっすぃー」

「梨華ちゃんのコトは・・・
 ずっと、見てるだけでイイって思ってたけど。
 裕ちゃんに言われたンだよね
 『恋愛は一人じゃ出来ないし、無欲な恋愛なんてあり得ない』って。
 ホント、そうだよね」

「うん」

相づちを打ちながら、私の話を静かに聞いてくれるごっちん。
何か、スゴクありがたい存在だ・・・。

「・・・、ぁのさ?
 明日、告ろうかな?って思ってるンだけど、梨華ちゃんに」

自分のホントの気持ちに気付いてしまったから
「好き」という言葉を呑み込むのは、もう無理。
173 名前:ハジマル。 -69- (118) 投稿日:2002年03月07日(木)01時36分21秒
「絶対、ダイジョーブだと思うけど・・・
 ファイッ、よっすぃー!」
拳を振り上げながら、ごっちんが言った。

「うん、ガンバルよ〜!
 あっ、でもドキドキしてきた」

「ゴトーもいちーちゃんと、いっぱい喋ろう!
 いっぱい気持ちを通じ合わせよう!!」

「ファイッ、ごっちん!」

何だかこういう時間って、こそばかゆいね。
でも大切だ。
174 名前:ハジマル。 -70- (119) 投稿日:2002年03月07日(木)01時37分15秒
ごっちんは午前中に帰ってった。
梨華ちゃんに告る!って決心した日曜日。


雨だよ・・・。


テニス部、練習中止だろうな・・・。
梨華ちゃん、学校に来ないだろうな・・・。

175 名前:ハジマル。 -71- (120) 投稿日:2002年03月07日(木)01時39分46秒
完全に出鼻を挫かれてショックを受けていたら、突然
机の上で、バイブモードのケータイが震えて
メールの着信を知らせた。

《オハヨー!って、もう昼近くだけどね・・・。今日、学校行くから!ひとみちゃん、部活あるよね?》

梨華ちゃん、学校、来ンの? 雨なのに!?
スポーツタオルを返してくれるためだけに?
それはちょっと・・・、悪いよね。

《オハヨー、梨華ちゃん!テニス部、休みでしょ?雨だし。タオルだつたら月曜でイイよ》

メールを返信。
でも、また間髪入れずに、梨華ちゃんからメールが返ってきた。

《ダメ!そういうのは、ちゃんとしないと。今日、返します!!部活、何時くらいに終わりそう?》
だって。
梨華ちゃんは、一度なにか言い出したら
ダレがなんて言おうと聞かないから・・・。
まっ、そういうトコも、かわいいンだけど。

《3時くらいには終われると思う》

《じゃあ教室で待ってるね。2Cだよ☆》
176 名前:ハジマル。 -72- (121) 投稿日:2002年03月07日(木)01時40分51秒
しまったァ!
あさみセンパイに、昨日のお礼を言ってたら
3時を余裕で過ぎてしまった!!

梨華ちゃん、待たされて怒ってるかな?
まさか、帰っちゃったりしてないよね?



廊下を走って、2Cへ急いでいると
窓から光がさしてきた。

雨、上がったみたいだ・・・。
177 名前:ハジマル。 -73- (122) 投稿日:2002年03月07日(木)01時42分20秒
ハァ、ハァハァ。

『ガラガラガラ』
2Cのドアを開いて、目だけで梨華ちゃんを捜す。

・・・・・・、居た。
窓側の列の後ろから3番目(梨華ちゃん、良いポジショニングです!)。

『梨華ちゃん!』って言って、走り寄りたいところだけど
今は、そう出来ない。
だって梨華ちゃん、自分の机に突っ伏して寝てるみたいだから・・・。

ゆっくり、静かに歩いていって
梨華ちゃんの前の席のイスに、逆向きに座る。
178 名前:ハジマル。 -74- (123) 投稿日:2002年03月07日(木)01時45分29秒
梨華ちゃんは『スースー』寝息をたてて眠ってる。
でも寝顔は髪が顔にかかって、よく見られない・・・。

指をそっと梨華ちゃんの顔に近づけて、ジャマな髪を耳にかける。
ドキドキする。

あまりに気持ちよさそうな寝顔。

つぶった瞳が、きれいな弓形を描いてる。
新しい発見。
梨華ちゃん、寝ている時もかわいらしい。

起こさず、見ていたい。
このまま、二人だけで居たい。
179 名前:ハジマル。 -75- (124) 投稿日:2002年03月07日(木)01時46分41秒
何となく梨華ちゃんを起こしかねて
手持ちぶさたになったので、窓から空を仰いでみた。
雨、上がったみたいだし・・・。

あっ。


思わず立ち上がって、窓を開ける。

初夏の風に、梨華ちゃんの髪が少しゆれた。



180 名前:ハジマル。 -76- (125) 投稿日:2002年03月07日(木)01時48分21秒
「っん」
頬を走る風に、梨華ちゃんは起きてしまった。

「・・・ひとみちゃん?」

「オハヨ」

「・・・ハヨ。部活、終わった?」

「ウン、終わった。
 ゴメンね、待たせて。
 ねっ、アレ見て?」

まだ寝ぼけてる、梨華ちゃんを立たせて
私は、空の一点を指さす。

「あっ!?」

梨華ちゃん、しっかり目覚めたみたい・・・。
さぁ、始めよっか。

181 名前:ハジマル。 -77- (126) 投稿日:2002年03月07日(木)01時49分33秒
「梨華ちゃん・・・」

「・・・ハイ」

「好きです、梨華ちゃんが。
 初めてあった日から・・・、ずっと見てた。
 ・・・よかったら、つき合って下さい」

「・・・ハイ」

「抱きしめて、イイ?」

「・・・ウン」

「涙、拭ってもイイ?」

「・・・ウン」

「あの虹、消えるまで、こうしててもイイ?」

「・・・ウン」

「ずっと、一緒に・・・」
「ウン、ずっと一緒・・・」


二人の未来を詰め込んだ、時間が流れ始める。

これから、ハジマル。
ここから、ハジマル。
 

  〜Fin〜

182 名前:婆金 投稿日:2002年03月07日(木)02時09分10秒
終了です。
タイトル見たら、中身は読まなくてもイイようなモンなのに
長々とスミマセンでした。しっぽりシーン、皆無でした。

>170 夜叉さん
 誤字、有りまくりですよ〜。
 例えば-54(104)-
 ×ピンクのブラなんて付けるかな? ○ピンクのブラなんて着けるかな?
 ×ピンクのブラに行ってしまう   ○ピンクのブラに逝ってしまう
 など、誤字や怪しい文章、盛りだくさんでした。
 ところで、初心者スマソな質問なんですけど・・・。
 夜叉さんって、ビー玉の?違ってたら、ホント済みません。でも好きで。

>171 よすこ大好き読者さん
 いちー氏、とうとう間に合いませんでした・・・。
 私もコレでイイのかな?とは思っていますが。
 ことごとく期待を裏切ってしまってスミマセン!

 
183 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月07日(木)19時32分04秒
ハジマルが、終わってるーーーー!!
お疲れ様でした。

>ことごとく期待を裏切ってしまってスミマセン!
いいえ、期待は裏切られてませんよ!(w
最後のシーンは、私的にかなり萌え(w

それでは、その後・・・・も、期待しちゃってもいいですか?
マターリ待ってます!!
184 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月07日(木)20時06分11秒
おぉ?!!!終わってる〜〜!!!!
お疲れ様でした、その後もあるのですか?(w
マータリ期待してます(w
185 名前:夜叉 投稿日:2002年03月08日(金)17時22分39秒
お疲れさまでした。
最後の石が起きる前のシーン、いいですね。寝ている石の様子が吉視点で鮮明に書かれてるの。頭に思い描いて一人萌え(笑)。
これからの二人がどうなるのか、ぢつは気になってみたり(爆)。
作者様の意向で構いませんので、↑は聞き流して置いてくださいね。
ほんとに有難うございました。

ビー玉のお京、ということで(謎。爆
186 名前:ハジマル。side_B -77- (126) 投稿日:2002年03月09日(土)01時18分05秒
「梨華ちゃん・・・」
あっ来る?

「・・・ハイ」
この前は、私が突然泣いたりして雰囲気を壊してしまった・・・。

「好きです、梨華ちゃんが。
 初めてあった日から・・・、ずっと見てた。
 ・・・よかったら、つき合って下さい」
初めて会った日、ひとみちゃんは私をかばってくれて、凄く嬉しかった。
私もあの日から、ひとみちゃんだけを見てきた。

「・・・ハイ」
やっと、やっと想いが通じた。

「抱きしめて、イイ?」
何で、涙が溢れて止まらないんだろう?こんなに嬉しいのに!

「・・・ウン」
ひとみちゃんが伝わってきて、安心する。ここが私の居場所なんだね。

「涙、拭ってもイイ?」
ひとみちゃんと離れるの、ヤだな。寂しいよ。

「・・・ウン」
私から、ひとみちゃんを抱きしめてみた。
ゴメンちょっと、ぎこちなかったね。

「あの虹、消えるまで、こうしててもイイ?」
キャー!他の人が言ったら、絶対ひくよ。
でもひとみちゃんが言うと、素敵な言葉に聞こえるから不思議。

「・・・ウン」
虹、消えるな〜!

「ずっと、一緒に・・・」
「ウン、ずっと一緒・・・」
嬉しさも悲しさも、何でも二人で分け合おう。
未来を二人で、始めよう。

  〜 Fin 〜
187 名前:婆金 投稿日:2002年03月09日(土)01時35分21秒
>183 よすこ大好き読者さん
 最後は虹オチでした・・・。書いてて、ハズイっす!

>184 名無し読者さん
 その後・・・。番外編くらいでしょうか?マターリ、よろしくメカドック☆

>185 夜叉さん
 じゃ、私は蟹江○三か麻宮サ○を頂きます!
188 名前:夜叉 投稿日:2002年03月10日(日)14時17分55秒
いやん、番外編やってるし(^^;;
虹が消えないまま、二人のシルエットが頭に浮かんでくるです。
結構好きですが何か(笑)。
189 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月10日(日)17時19分36秒
虹オチサイコーー!!(^^
確かに、他の人がいうとひくかも・・・・・。
でも、吉だから、なんでも有り!!つーことで。(笑
190 名前:pass 投稿日:2002年03月10日(日)23時56分24秒
「吉澤がダレかに告られるなんて、
 別にいま始まったコトじゃないでしょ?
 ちゃんと断ってンなら問題ナイじゃない」

「・・・そうですけど」

「吉澤のこと、信じられない?」

「そんなことアリマセン!」

ハァ〜。
いくら私が‘生徒のカラダとココロ’をケアする
“保健室のお姉サマ”でも、こういうノロケ半分の話を
聞かされるのは、正直、疲れる・・・。

あっ、紹介が遅れちゃったけど
私は、保田圭。
“保健室のお姉サマ”やってる、養護教諭。
まぁM女に採用されてから5カ月しか経ってないから、
まだまだ新米なんだけど・・・。
年齢は、17才よ( `.∀´)!
そして主役☆
191 名前:pass 投稿日:2002年03月10日(日)23時57分19秒
えっ?よっすぃーは、どうしたって?
主役、降格よ!
王子様はお姫様と、よろしくやってンのよ!
その証拠を今見せてあげるわ。

「・・・、石川。
 石川がイチバン、好きな人ってダレ?」
「ひとみちゃんですケド?」
「じゃ、石川がイチバン、大切に思う人は?」
「ひとみちゃんです」
「イチバン、信頼してる人は?」
「ひとみちゃん」
「イチバン、自分を信頼して欲しい人は?」
「ひとみちゃん」

「だったら・・・。
 今、石川がいなきゃいけない場所は?」
「・・・、ひとみちゃんの隣り」
「分かったら、さっさと行きなさい」
「ハイ!
 話を聞いてくれて、ありがとうございました」

ホラね。
192 名前:pass 投稿日:2002年03月10日(日)23時59分15秒
ドアに手をかけた石川がその手を止めて、こちらを振り返る。
「保田先生って『いつか、カワイイ生徒をお持ち帰りする』
 ことが夢なんですよね?
 ひとみちゃんは、ダメですよ〜!」
ヨ・シ・ザ・ワ〜!
ゼッタイ他言無用ってコトで、アンタにだけ教えてあげた私の夢を、
石川との会話のネタに使ったわね!?
仕返ししてやる!

今まさに保健室から出ていこうとしている石川を
後ろから、優しく抱きしめる。

「キャッ!
 何するんですか、保田先生!?」
「吉澤のお持ち帰りは、諦めるから・・・。
 その代わり、石川をお持ち帰りしてもイイ?」
石川の頬に『チュッ』と軽くキスをする。吉澤へのプッチ仕返しじゃ!

「もぅ、中澤先生みたいなコトするの、やめて下さい!オエ
 私も、ダメです!」
すぐムキになる石川って、カワイー!

「ハイ、ハイ。他の生徒を捜します。
 それじゃ、吉澤にヨロシク」 
実は石川って、お持ち帰りしたい生徒NO.1だったんだけど、ネ。
流石に人様のモノを取っちゃうのは、ダメでしょ。
石川が吉澤ひとみとくっついて、もう3カ月も経つのか・・・。
193 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)00時01分19秒
「矢口もアカンで、お持ち帰りしたら。
 それにしても石川、ムカツクこと言いよるわ」
「辻と加護なら、のし付けてあげるで!」
石川が去っていくのを待っていたかのように、背後で声がする。

「中澤センセーも平家センセーも、
 何で石川の相談に乗ってあげないんですか?
 生徒から隠れるなんて・・・」
ベッドの下からノコノコ出てくる二人に言う。

「面倒やん、なぁ?
 せっかく保健室に休みに来てンのに」
「そや。午後からの授業にむけて、休息せな。
 だいたい、辻と加護って何であんなに元気なん!?
 私、中学教諭になったつもりやのに・・・、これじゃ飼育係?」
中等部で国語を教えてる平家センセーが言う。

保健室は‘生徒のカラダとココロ’をケアする場所で
センセー達が休む所じゃないってことを、二人は理解してないらしい・・・。
194 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)00時05分12秒
「それにしても『お持ち帰り』なぁ・・・。
 保田センセーも、なかなかオツなコトを考えてはるな」
私の夢に食らいつく、平家センセー。
ハズイから、その話は膨らませないで欲しいンだけど
しょうがない、乗ってやるワ。平家センセー、一応センパイ教師だし。

「今、私ン中で旬なのは・・・、高等部3年の柴田あゆみなんですケド。
 お持ち帰りしちゃってもイイですかね?」
「あぁ、カワイイ顔してるからな。
 でも保田センセーが、お持ち帰りしたらアカン!」
「何でダメなんですか、平家センセー?」
「私がキープしてるから」
何じゃ、そりゃ?
「じゃあ・・・、中等部の高橋愛か松浦亜弥は?」
「2人ともアカン!」
「えっ!またキープ?」
「うん」
悪びれる様子など微塵も見せずに、平家センセーが答える。
この調子だと、私がお持ち帰りできる生徒は居なさそうだワ。
195 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)00時10分08秒
『後藤・・・』と、今まで私と平家センセーのやりとりを
黙って見守っていた中澤センセーが突然、口を開いた。
「アタシは後藤をもらう。
 あの子の、クールなのに優しいとこ、めっちゃ好きやねん」

「『後藤をもらう』って・・・。
 センセーには矢口が、いてるやん?」
「そうですよ、矢口は中澤センセーのお嫁さんになるんでしょ?」

中澤センセーは私の言葉にニヤニヤしながら、また喋りだした。
「矢口は正妻。
 ということで、アタシはなっちをお持ち帰り・・・」
「「後藤じゃナイんかい!」」

平家センセーとツッコミを入れてみる。
196 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)00時11分08秒
「なぁ、なぁ?
 今ってちょっと、雨夜の品定めっぽくない?」
雨・・・ナニ???
「平家センセー、雨なんて降ってませんケド?」
「夜でもナイしな・・・。
 とりあえず、アタシが後藤をお持ち帰りってコトでえぇな?」
 


「よくない!
 後藤はダレにも渡さないから!!
 ったく、末摘花揃い踏みかよ・・・」

澄んだお声・・・。ハッ、もしや光の君サマ!?
すっかり紫の上気分で、声のした方を向くと・・・・・・。


197 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)00時12分28秒
「なんだ、紗耶香か・・・」
呆れ顔でドアの前に立っていたのは、高等部2年の市井紗耶香。
紗耶香は本来なら高等部3年のハズだけど、一年間の英国留学から
帰ってきたばかりで、今は2年の石川と同じクラスにいる。

「なんだ、じゃな---」
午後の授業開始5分前を知らせる予鈴が鳴る。
言葉を遮られて、不機嫌な顔つきになる紗耶香。

「とにかく、裕ちゃんも平家サンも授業に行きなよ」
予鈴が鳴り終わるのを待って、紗耶香が言った。

「先生のこと“裕ちゃん”呼ぶなて言うてるやろ?
 それに、アンタは授業に出ぇへんのか?」
口調こそ厳しいけれど、中澤センセーは優しい眼差しを紗耶香に向けている。

「次、英語だから・・・」
英国留学帰りだから、英語の授業をサボってもイイというものでもないが、
紗耶香の言葉に妙に納得させられてる教師が、私も入れて約3名。
198 名前:婆金 投稿日:2002年03月11日(月)00時33分13秒
“pass”は“ハジマル。”の番外編+その後です。
エロくもなく、痛くもなく、かと言って甘くもなく。
主人公さえ変わってしまいました・・・。
稚拙な文章でのお目汚し、毎回申し訳ありません。

>188 夜叉さん
 虹、結構好きですか?そう言って頂けて、ありがたいです!

>189 よすこ大好き読者さん
 吉澤氏は王子様だから、何でも許されます!っていうか、許す!!
199 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時35分24秒
「じゃ、そろそろ行こか。
 そや、保田センセー、今日ヒマやったら飲み行かへん?
 いい雰囲気の居酒屋、見つけたんや。
 パーティしよ、バーティ!シングルバーティ!!」
居酒屋で二人だけの独身パーティ・・・、とてつもなく生産性がないような気がするワ。
まぁでも、つき合いは大切にしなきゃ、ネ。もう、社会人だもの。
遊んでた学生時代とは違うんだもの。
 
「いいですねぇ〜!行きましょう!!」
「じゃ、放課後また迎えに来るわ」
「アタシは今日も、矢口をお持ち帰りするで!」

二人は、飲みかけのコーヒーを一気に飲んだ後で
『次の授業の準備がゼンゼン出来てない!』と保健室を慌ただしく出ていった。
あ〜ぁ、これでとうとう紗耶香と対峙しなければいけなくなったワ・・・。
避けてきたのに、ずっと。
200 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時36分29秒
紗耶香はヒマを持て余していたようで、丸イスに座り
細い綿棒を器用に指で回している。
私の視線に気付くと、一瞬、はにかんだような笑顔を見せた。

こうして二人でいると、あの頃と
何も変わっていないような気がする。



永遠に明けることはナイんじゃないかと思うくらいの
深くて優しい夜---

語り合い、笑い合った

同じ時間を共に過ごした

同じ景色を見ている、と思っていた・・・


矢継ぎ早にフラッシュバックされる、光景と感情。


201 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時37分36秒
「こうやってると・・・、昔に戻ったみたいだね」
私のココロを見透かしたような紗耶香の不意な言葉に、ドキリとする。

午後の日差しがキツすぎるので、淡いグリーンのカーテンを閉める。
窓は開けたままなので、風が吹くたび、カーテンはゆらゆら揺れ
その動きと連動して、床に写った陰も揺れる。
・・・何か、波みたい。

デモココハ、海ジャナイ。

「ん、でも・・・。
 昼間に喋ったことはなかったよね?」

紗耶香から目をそらして、答える。


夜ガ明ケタラ・・・
貴方ト、朝陽ヲ浴ビルコトガ出来タナラ・・・
一緒ニ、海ヘ行キタカッタ・・・



202 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時39分47秒
通い詰めてたクラブで紗耶香に会ったのは、1年半前。
お互い年齢も、昼間は何をしているのかも知らなかった。
名字も知らず、教えず、名前で呼び合った。
『紗耶香』
『圭ちゃん』
いつからだろう?
紗耶香に『圭ちゃん』と呼ばれるたび、ココロが締め付けられるように
思えてきたたのは・・・。
素性を知らない少女を、心底好きになっていたのは・・・。

203 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時41分06秒
紗耶香と二人、仲間から外れ、クラブを抜け出して、
そこなへんの安っぽいBarに入っては
始発まで、くだらないコトを喋ったりすることが、異常に楽しかった。
何より『生きている』と実感できた。

このまま夜が明けなければイイと思い、
同時に、力強い朝を二人で迎えたいとも思っていた。

私の気持ちは、矛盾だらけだった。

ある日、紗耶香から『好きなヤツが出来た』と訊かされた時には
その相手は私のことかも?と期待も抱いた。
『そいつに告ってから、イギリスに留学へ行く』と訊いて初めて
紗耶香が高校生だと知り、紗耶香の好きな相手が自分でないと悟った。
自分でも何故そんなコトしたのか説明がつかないけど、
私は紗耶香の恋を応援した。
その時も紗耶香は、一瞬、はにかんだような笑顔を見せた。

私の気持ちは、宙ぶらりんだった。

204 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時42分28秒
紗耶香の顔を見なくなってから、
私は自然と、クラブや遊び友達から離れていった。
紗耶香のいない空間は、もはや何の意味も持たなくなっていた。


元から紗耶香の住所なんて知らなかったし、
もう二度と会うコトなんてナイと思っていた。

そして私は短大を卒業し、中・高と通っていた出身校に就職した。

まさか、ここで紗耶香に再会するなんて思ってもなかった。


「帰ってきたらさ、後藤が妙に大人になってて・・・。
 まいっちゃうよね?」
後藤を思い出してか、独り言のように呟く紗耶香を見ていると
胸がつぶされそうになる。

宙ぶらりんのままだった、私の気持ち・・・甦る。


205 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時43分31秒
「私も、まいったわよ!
 養護教諭になってM女に戻ってきたら、紗耶香がいるって言うじゃない!?
 後藤から初めて、アンタのコトを訊いた時はビックリしたわよ」

今度は紗耶香への気持ち、ちゃんと吹っ切ってみせる。
じゃないと、私は次へ進めない。
前へは進めない。

「いちーだって!
 圭ちゃんが『保健室のオバチャン』になってるんだもん、ビックリしたよ!!
 圭ちゃんって何歳だったンだろう?って思ったよ」

涼しい目元、緩やかなカーブを描く顎のライン。
自然光の下、紗耶香はこんなにも綺麗だ。

「失礼ね!
 私、紗耶香と3つしか違わないわよ!!」

「ゴメン、ゴメン!
 それにしても、圭ちゃんもM女に通ってたんだよね?
 何で気付かなかったんだろうね?」

「紗耶香、ちゃんと出席してた?」

「してました!
 つか、今もちゃんとガッコ来てるし。
 圭ちゃんが、遊びまくってたんじゃない?」

こんなフツーの会話が愛おしくて、苦しい。
206 名前:pass 投稿日:2002年03月11日(月)20時46分04秒
早く、一秒でも早く紗耶香への気持ちを断ち切らなきゃ。
時は過ぎてしまったのだから。
何も変わらないように見えるけど・・・。

イヤ、変わっている。
それも目に見えて。

紗耶香の細い首に輝く、シルバーのチョーカー。
きっと後藤からのプレゼントだろう。

「チョーカーとか、昔は全然付けなかったよね?」

「あぁ、コレ?
 後藤がくれて・・・。
 『ゴトー、いちーちゃんが居ない間、寂しかったけど
  いちーちゃんも、ゴトーが側に居なくて寂しかったでしょ?』って」

左手で大事そうにチョーカーを摘み、私に見せてくるのだけど
チョーカーが放つ輝きがあまりに眩しすぎて、とても直視できない。

「カワイイよ、凄く」
うそぶくことしかできない。

平常心が保てなくなりつつある私を救うように
5限目の終わりのチャイムが鳴る。

私のココロは、どこに行くのだろう?

207 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月11日(月)21時21分07秒
いちごまがはじまってるぅ〜〜〜(w
頑張ってください(w
いしよしの事も気になるし(藁
208 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時24分56秒
突然、カーテンが『ジャッ』と開かれ、その分だけの日溜まりが出来る。

「いちーちゃん、お待たせ〜!」
体操服姿の後藤が、程良く汚れたエアプレストを履いたまま
窓を越えて、保健室へ入ってこようとする。

「後藤!クツは脱げ?」
そう言いながらも紗耶香は、両手を広げて後藤を迎え入れる準備・・・。

サンの上にいる後藤は、慌ててスニーカーを脱ぎ捨て
勢いよく、紗耶香へダイブする。

『ドンッ』とぶつかるように、紗耶香の胸へ着地。
紗耶香はバランスを崩しながらも、後藤を受け止め、しっかりと抱きしめた。
そして、耳を澄まさないと聞こえないような小声で
『後藤・・・、後藤』と言いながら、後藤の肩の辺りに顔を近づける。

「何してンの、いちーちゃん?」
紗耶香の頭を右手で抱え込むようにしながら、後藤が言った。

「んっ?後藤を確かめてンの」

「いちーちゃんは、前より寂しがりやになったよね?」

「後藤は、前より強くなった」

目の前で、イチバン見たくなかった光景が繰り広げられている。
209 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時30分01秒
ショックなはずなのに何故か、涙がこぼれることもなく
立ちつくしている私に、後藤が気付いた。

「そう言えば、圭ちゃんといちーちゃんって知り合いだったんだよね?」

紗耶香は私のコト、後藤に話してなかったの?
何故?
私は紗耶香にとって、恋人に格別、紹介する価値もない存在?

210 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時30分55秒
「知り合い、つかトモダチ。
 それも、めちゃくちゃ大切な、ね?圭ちゃん?」
今度は後藤の肩を抱きながら、紗耶香が言う。

「そんな話、ゴトー、全然訊いてないケド?」
ふくれっ面になっていく後藤を見るのは
不謹慎ながら、チョットいい気味だったりして・・・。

「“特別”だから。圭ちゃんの存在は・・・。
 後藤に何て説明したらいいのか、分からなかった。ゴメン。
 って後藤、判る?」

ココロの中に風が吹き始める。とても強い風だ。

「ウ〜ン、ウ〜ン・・・。
 判る!
 じゃあさ、いちーちゃん、行っていいよ?」
「えっ!?」
「ゴトーがワガママ言って、いちーちゃんを引き留めている時に
 圭ちゃんがいちーちゃんを必要になったら、
 いちーちゃん、迷わないで圭ちゃんの所へ行っていいよ。
 ・・・でも、ちゃんとゴトーに帰ってきてね?」
「後藤・・・。
 もう、どこにも行かないから・・・」

ココロの中を吹きすさぶ風に飛ばされるように
宙ぶらりんのままだった私の気持ちは、とうとう壊れ落ちた。



211 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時31分45秒
紗耶香は後藤でないとダメで、後藤も紗耶香でないとダメなのだ。

ココロが引き裂かれそうになるほど
残念だけれど、悲しいけれど、寂しいけれど・・・
紗耶香の隣は、私の居場所ではないのだ。

ダイスキダッタ・・・
大好きだった、紗耶香の真っ直ぐな瞳は
私を写さないのだ。
212 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時36分04秒
「海、行こっか?
 来年・・・、みんなで。中澤センセーとか、石川とかも誘って」
めいっぱいのカラゲンキ。
「ホント!?
 ゴトー、行きたい!今スグ、行きたい!!」
「後藤・・・、もうクラゲだらけだよ?
 でも楽しそうだね。
 誘ってくれてありがとう、圭ちゃん」
「え〜、海、行けないの?
 じゃ、いちーちゃんちに行く!」
「今から行くの?映画は?
 ・・・しょーがない、後藤、着替えておいで」
「いちーちゃんも行こッ!」
「更衣室に・・・?
 まっ、イイか。行こう!」
「アッ、いちーちゃん、今ちょっとヤラシー目になったよ?」

ココロから笑える日は、まだ遠そうだけど
どれほどの時が経てば、笑える日が来るか分からないけど
紗耶香も後藤も、私には大切な存在だから・・・

「ちょっと、アンタ達( `.∀´)!
 6限目、出ないつもり?
 紗耶香はさっきもサボったでしょ」
「見逃して、ね?圭ちゃん!ホラ、後藤もお願いする!!」
「圭ちゃん、好きだよ。お願い」
「ったく、しょうがないわね・・・」



213 名前:pass 投稿日:2002年03月12日(火)23時37分56秒
6限目はあっという間に過ぎた。

授業中に気分が悪くなった、中等部の紺野が
保健委員の小川に付き添われて来たり、
同じく中等部の新垣が、廊下を走っていてる時に転んで膝を強く打って来たり、
高等部の吉澤が、大量の鼻血を流しながら来たり・・・
とにかく6限目、保健室は満員御礼で私はひどく忙しかった。

その方が、都合が良かった。
紗耶香のコトを考えなくて良かったから。 


しかし、そろそろ
ヤツらが来る時間だワ。


214 名前:婆金 投稿日:2002年03月12日(火)23時45分22秒
>207 名無し読者さん
 レス、ありがとうございます。
 でも、番外編は完全に‘いしよし’ではナイです。スミマセンです。

しかし、短大卒業で高等学校の養護教諭になれるんでしょうか?
そもそも高校に、養護教諭っていましたっけ?
・・・まぁ、イイか。
215 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月13日(水)16時03分23秒
いちごま〜♪
いちごま〜はあとはあと
216 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時28分44秒
「掃除の時間なのデス!」
「のの、今日もキッチリ掃除するで!」

今日もまた、掃除の時間・・・。
保健室は、中等部と高等部の生徒が一緒に掃除することになっていて
今週は中等部から、辻&加護が来ている・・・。
コイツら『キッチリ掃除する』って言いながら、
いつも保健室の中を走り回ってるだけなんだもん。
ほこりが立って、余計に汚くなるってもんだワ。
小悪魔ね、辻と加護は。



「バ〜イ、辻も加護もぢゃんど掃除じようね?」
ダレだ、変な声を出してンのは???

「あっ、よっすぃー!
 後藤さんはどうしたんや?」
「ごっぢんば市井ザンど、6限目がら居なぐなっだ。
 今日ば私だけだよ?」
「よっすぃー、鼻に何か入ってるのデス」
「ゴレ?
 ・・・ぢょっど鼻血が出で」

ププッ。
吉澤、まだ鼻血の詰め物してたわけ?
217 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時30分34秒
「それは・・・チャンスや!
 のの、梨華ちゃんに保健室へ来るようにメール送ってンか?」
「OKデス」
ひそひそ話をしているつもりだろうけど、声が大きくて
丸聞こえだっつの!
コイツら、また何か悪巧みしてるわね?

「アンタ達、キッチリ掃除するんでしょうね?」
「オバチャンは、ちょっと黙っとってんか?」
「黙れ!なのデス」
キィー( `.∀´)!
「まぁ、まぁ。圭ぢゃん、相手ば子どもなんだがら?」
「よっすぃー、あのな?
 ウチら今度、学級新聞、作らなアカンねん。
 でな、王子様とお姫様の特集を組もうと思うてんねんか?」
「組むのデス!」
「で、ちょっとインタビューを・・・」
「え〜、ヤダ」
「そろそろ、梨華ちゃんも保健室へ来るのデス。
 二人の2ショット写真とかも、バシバシ撮るのデス!」
「ぞんな大事なゴドば、早ぐ言っでよ?
 鼻の詰め物ば、除げでおいだ方がイイね!」
  
私は放置かい・・・。
218 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時31分35秒
「ちょっと、今日も掃除しないつもり?」
「オバチャンはカメラマンでも、やってんか?」
キィー( `.∀´)!
「ののたちの学級新聞が成功するかどうかは
 保田センセーの写真の腕にかかっているのデス。
 ののはセンセーを、信じているのデス!」
「辻・・・。
 イイ子だね、アンタは・・・。
 お菓子、食べる?」

「のの、ナイスフォローや」
「カンタンなのデス」

貰いモンのサブレ、どこに置いたっけ?
引き出しにストックしてる、チョコでもイイかな・・・。



219 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時32分55秒
「ひとみちゃん!ひとみちゃんは大丈夫なの!?」
もの凄い勢いで保健室のドアが開き、もの凄い形相をした石川が入ってきた。

「梨華ちゃん・・・。そんなに髪を振り乱しちゃって、どうしたの?
 私はダイジョーブだけど?」
石川のあまりの取り乱しっぷりに、面食らったように吉澤が答える。

「良かったァ〜。
 辻ちゃんから、メールが届いて・・・。
 ひとみちゃんが、鼻血だしすぎて
 出血多量で逝っちゃいそうって・・・。グスッ
 私があんなコトしちゃったせいかな?って思って・・・。クスン」
石川は、吉澤の無事な姿に安心したのか泣き出した。
220 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時33分47秒
「辻!
 梨華ちゃんを泣かすようなコトしたら、ダメだよ!!」

「ゴメンナサイ。
 でもよっすぃー、顔がニヤニヤなのデス」

「ひとみちゃん!?
 私、すっごく心配したのに!」

「ゴメン、ゴメン。
 ちょっと思い出しちゃって、つい・・・」

「もぅ、ひとみちゃん!言わないでよ」

「でも嬉しかったから」

「ひとみちゃん・・・」

「梨華ちゃん・・・」

「そろそろ、インタビュー始めてもえぇか?
 オバチャン、カメラ用意して?」
キィー( `.∀´)!


「じゃあ始めるで」


221 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時39分04秒
加護記者:まず、お二人が出会ったのはいつですか?
王子様 :えぇっと。去年の秋ですね。
お姫様 :ひとみちゃん、まだ中学生だったよね?
     M女に見学に来てて・・・。
( `.∀´):目線、こちらに!
辻記者 :お互いの第一印象は?
王子様 :部活を一生懸命やってて、カワイイなぁ!と。
お姫様 :私は・・・、ひとみちゃん、すごくカッコイイな!って思いました。
加護記者:どちらから、何と言って告りましたか?
王子様 :自分から『好きです』ってストレートに。
お姫様 :ホントに、ホントに嬉しくて『ハイ』って答えました。
( `.∀´):石川!腕を組むフリして、吉澤に胸を押しつけるのは止めなさい!!
加護記者:どう答えたかまでは訊いてないねんけど、まぁイイか。

辻記者 :初チューは?
王子様 :それは---
お姫様 :ヒ・ミ・ツです!
加護記者:初Hは?
王子様 :それは---
お姫様 :マ・ダです!
王子様 :り、梨華ちゃん!?
お姫様 :アッ
( `.∀´):その表情、頂き!
辻記者 :じゃ最後に。お互い、イチバン好きなところはドコですか?
王子様・お姫様:「「全部!」」
( `.∀´):やってらンね〜!
222 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時39分53秒
加護記者:申し訳ありません、一つ訊くのを忘れてました。
     王子様は、美しい生徒が好物と噂される
     保健室湖の伝説の生き物“ヤッスー”から
     お姫様を守ったというのは、本当ですか?
( `.∀´):・・・喰うわよアンタを、加護?
加護記者:のの、生命の危機や!
辻記者 :逃げるのデス!!
王子様 :梨華ちゃん、ウチらも逃げよう!
お姫様 :ウン!
( `.∀´):何で、吉澤達まで逃げるのよ〜!?


223 名前:pass 投稿日:2002年03月13日(水)19時41分48秒
しかし何だったのだろう、あのインタビューは?
私なんか、今日は失恋記念日だというのに・・・。

フィルム現像代の代わりに、今日の飲み代は
平家センセーにおごってもらおう!小悪魔達の担任だからね。


224 名前:婆金 投稿日:2002年03月13日(水)19時51分12秒
>215 名無し読者さん
 いちごま・・・、あっという間に終わってしまいました。申し訳ないです。
 でも好きです、いちごま。いしよしと同じくらい。
 最近は‘FOLK SONGS’聴きながら書いています。

次回の更新で、最後です。
225 名前:夜叉 投稿日:2002年03月15日(金)18時30分41秒
外出しておりました。戻ってきたら、さらに番外編?始まってるし(^^;;
やす主役、いいですね。自分、結構好きですよ。
楽しみなのですが、次回で終わっちゃうんですか…、残念です。
でも、次回の更新、楽しみに待ってます。

虹、大好きですね。もう何年も前の話ですが、旅行先で見かけたんですよ。
きれいでしたよ。雨上がりだったんですが、曇り空の中に見える虹は。

長々と失礼しました。
226 名前:pass 投稿日:2002年03月16日(土)00時33分20秒
昨日より、昼間をずっと長く感じていたけれど
9月の太陽が、やっとその姿を隠そうとしている。
午後6時10分。

ほどなく、私と紗耶香の時間だった夜がくる。


帰国してからも、紗耶香が私との関係を
後藤に喋ってなかったコト、ショックだった。
でも“特別”だと言ってくれたから---


昼間の紗耶香は、ホント、可愛かった。
無理な体勢なのに、ガンバって後藤を抱きしめたりして---


1年半前は、もっと大人の顔をしていたのに・・・。
後藤と居る今、紗耶香は穏やかで、子どものような笑顔を見せる。
それは夜の力のせいか、後藤の魅力のなせる技か・・・
そして、どちらがホントの紗耶香なのか
私には永遠に分からないだろう---


やっぱり紗耶香のコトを思ってしまって、ダメだ。
悶々とこんな気持ちでいるつもりはナイのだけれど。

紗耶香を見ていたい。
ずっと・・・、イヤ私が次の恋を見つけるまで。
それくらいは、許されるだろうか。
227 名前:pass 投稿日:2002年03月16日(土)00時40分21秒
「どうしたんや、あかりも灯さんと?
 待たせたから、保田センセー、帰ってもうたかと思うたで?」

あっ平家センセー。

「あの、ちょっと・・・」
言葉が上手く出てこなくて、曖昧で不自然な返事をしてしまった。

「ふぅん?まぁ、えぇわ。
 あ〜、今日もよう働いたわ!つか、あの学年主任、話が長すぎンねん!
 さっ、GO!GO!居酒屋や!!」
平家センセーは一度、首を傾げたけれど、
さっきの私の生返事に、それ以上の興味は示さなかった。
助かった。
今ダレかに紗耶香への気持ちを、えらく時間のかかった失恋を語ったら
ゼッタイ、泣く。

泣かずに今日を乗り切るために、少々、アルコールの力を
借りてもイイかも知れない。後、平家センセーの力(経済力)も。
そう思いながら、
急いで帰り支度をして、平家センセーと保健室を出る。
228 名前:pass 投稿日:2002年03月16日(土)00時41分22秒
すっかり陽が落ちて、人気もまばらになったガッコウを
二人でぶらぶら歩いていると
「なぁ? 
 今日ってな、通過点やと思わへん?明日とか、未来への。
 いろんな人と出会って、別れて・・・。
 でも繋がってんねんか」
と、平家センセーが唐突に言った。
何故、突然そんなコトを言ったのか分からない。
私の気持ちを、読めるとは思わないし・・・。
でも平家センセーの言葉に、私のココロには
確かに安堵とかの感覚が、いっぺんに広がっていく。

ヤバッ、泣きそうだワ。
229 名前:pass 投稿日:2002年03月16日(土)00時42分50秒
「平家センセー、今日はおごって下さいよ?」
何か喋らないと、涙がこぼれそう。
「なんでやねん!?」
「迷惑料です。
 訊いて下さいよ!今日、辻と加護が---」
「あっ!あれ見てみ!!」

生徒の自転車置き場を指さしながら、平家センセーが大声で叫ぶ。
「吉澤!
 続きはガッコウ出てから、やりぃな!!」

私も、平家センセーに負けないくらいの大声を張り上げる。
「石川!
 そんなことしてたら、妊娠するゾ!!」

「「アハハハ」」
二人で腹の底から、笑う。
この大きな笑い声は、きっと時を越えて響き
私を明日や未来へ導いてくれるだろう。

どれだけの人や時が、私の前を過ぎていってもダイジョーブ。
寂しくなんてナイ。
ちゃんと繋がっていられるから。


そして人生は、まだまだ続いていくのYO( `.∀´)!



 〜 Fin 〜


230 名前:pass〈ヲマケ〉 投稿日:2002年03月16日(土)00時45分24秒
「ひとみちゃん!待った?」
梨華ちゃんが、私に駆け寄ってくる。

“部活帰りに、自転車置き場で待ち合わせ”
それが最近の私達の日課だ。
そして自転車置き場の隅でキス、するコトも。

梨華ちゃんと、つき合いだして3ヶ月。
キスは何度もした、ハグだって(実は、もうちょっと先も・・・)。
だけど梨華ちゃんと会う度、胸のドキドキは増す一方。
こんな調子でダイジョーブなんだろうか、私?

今日なんか、梨華ちゃんからフレンチキスをされて
しばらく鼻血がとまらなかった・・・。

「ひとみちゃん、好き」
私の首に手をまわしながら、梨華ちゃんがささやいた。
何か、今日の梨華ちゃんは積極的。

『今日・・・、今日こそ!』
モヤモヤした感情が沸き上がってきて
睫毛でくすぐる感じで、瞬きしながら
梨華ちゃんの頬に、バタフライキスをする---
「吉澤!
 続きは、ガッコウ出てから、やりぃな!!」


「石川!
 そんなことしてたら、妊娠するゾ!!」
231 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-07] 投稿日:2002年03月16日(土)00時48分40秒
やっぱり私、拉致られてる?
流れる車窓の風景をぼんやり眺めながら、
私は5分前の出来事を思い返していた。

“学校から直で塾に行くこと”それは部活を引退した私の、最近の習慣だった。
さっきも、塾へ向かう途中だった。いつも通りだった。
あの交差点で信号待ちをするまでは・・・。

信号が青に変わるのを待っていると、鋭いブレーキ音が聞こえ
私の横には、黒いミニ・クーパーが停まっていた。

「吉澤、乗れ!」
「はぁ?」
何て言うか、ただビックリ!?
「早く!信号、変わっちゃう!!」
「・・・あぁ、ハイ」
思わず乗ってしまった・・・。

それが5分前の出来事。
232 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-06] 投稿日:2002年03月16日(土)00時49分34秒
しっかし、おかしいよな。
私が通ってる塾は、学校を挟んで自宅の逆方向にある。
この人は、私が塾に通っていることなんて知ってるハズないのに。
何であんなにタイミング良く、私を拉致できたわけ?
私は、訝しげに運転席を見やった。
運転席には言葉一つ発せず、ただ革製のステアリングホイールを握りしめ
車を飛ばし続ける、私のクラス担任が座っている。
233 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-05] 投稿日:2002年03月16日(土)00時50分37秒
「石黒センセー、私、幾らですか?」
「はぁ?」
「だから、身代金。ウチそんなに金、無いですよ。
 まさかセンセー、私を拉致ってイタズラしようってつもりじゃ!?」
「あぁ?」
石黒センセーは鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔をして、私を見た。
ミニ・クーパーに乗り込んでから初めて、石黒センセーと目を合わせた。
その間、2秒くらい?

「あっ!センセー、前向いて運転して下さいよ!」
目の前の信号が、黄色から赤に変わろうとしていた。
「危ないな!もう吉澤が突然、変なコト言うから」

石黒センセーは、急ブレーキをかけながら
『やっぱり吉澤はバカ・・・』と付け足した。
ひどくない?“やっぱり”って。
つか“吉澤はバカ”もかなり、ひどい!
234 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-04] 投稿日:2002年03月16日(土)00時52分20秒
「M女へ行く途中にさ、吉澤を見つけたから声掛けたの。
 M女の教諭やってるヤツで、友だちがいるのね。
 今日これから、そいつと会う約束してて・・・」
センセー、妙に説明臭いっす。それ、ホントですか?
 
「・・・志望校、決定した?」
石黒センセーは、急にマジな声で私に訊いてきた。

秋の落ちかけた陽が、石黒センセーの横顔を照らして
センセーはとても綺麗に見える。
いつもとは違って見える。
大人の女性って感じ?
それで初めて、センセーが私を対生徒ではなく
対一個人として接しているんだと、気がついた。
235 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-03] 投稿日:2002年03月16日(土)00時54分09秒
「まだ、です」
正直に答えた。
「アタシ実は、M女出身なんだけど。
 吉澤、M女へ行くつもりない?」
「はぁ?」
「だからM女、行かない?」
「それって、受験しろってことですか?」
「そう。記念にもなるし、ね?
 つのは、ジョーダンだけど」
M女!?考えてもなかった。だってM女といえば、
成績・部活動とも上の下ってイメージしかないもん!
あっ、あと制服がかわいくて、隣のJ大付属高と
コンパしまくってるってイメージもあるか・・・。
だけど、今の私の選択肢には全く入ってない。
236 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-02] 投稿日:2002年03月16日(土)00時55分56秒
「今まで、全然考えてなかったか---」
『第一』と、石黒センセーは私の話を最後まで訊かずに喋りだした。

「第一、今の吉澤を見てると・・・、あくまでアタシの‘カン’なんだけど。
 今の吉澤を見てると、M女が一番しっくりくるような気がするんだよね。
 ・・・今、吉澤はホントの自分を出せてないでしょ?」
センセーの言葉に、ハッとした。

確かに今の自分や、これからの自分に自信がなくて
余裕なんて持てずにいて・・・。

そのせいもあってかな?
最近、友だちとバカ話してても、心の底から笑えない。
そんなことを、センセーは見抜いていた?新米教師なのに!?
ってのは、失礼か。
でも、ちゃんと自分を見ていてくれてる人が
いたってのは、ちょっと嬉しいかも。
237 名前:ハジマリ ノ マエ。 [-01] 投稿日:2002年03月16日(土)00時57分24秒
「M女ってさ---」
センセーがまた喋りだす。
「中等部から女子大まであるからかな?
 けっこう、のほほん体質なんだよね。あっ、イイ意味でね。
 教師も生徒も、変わりモンが多いのが玉に瑕だけど・・・。
 でもあの、キラキラした空気感は他には無いと思う。
 吉澤が一番、輝くことの出来る場所なんじゃないかなって
 アタシは思うけど。
 ・・・良い出会いがあるよ、きっと」
「はぁ」
“吉澤が一番、輝くことの出来る場所”なんて言われて
ちょっとハズイ・・・。
238 名前:ハジマリ ノ マエ。 [00] 投稿日:2002年03月16日(土)00時58分28秒
「もう、つくよ!
 良い機会だから、M女、見学してきたら?」
「良い機会って、センセーが勝手に拉致したんでしょう!?」
私がそう言い終わると同時に、なだらかな上り坂を走っていた
ミニ・クーパーが、右へ大きく曲がった。

まぶしい!モチロン、西日のせいだけど
私は刹那、光に包まれた。まるで光の門みたい!
光の門をくぐった次の瞬間、石黒センセーの声がした。
「M女、到着!」


239 名前:ハジマリ ノ マエ。 投稿日:2002年03月16日(土)01時00分31秒



     オ ワ リ。




240 名前:婆金 投稿日:2002年03月16日(土)01時12分17秒
完了しました。
読んで下さった方、有り難うございます。本当に、心から。
そして拙い文章、申し訳ございませんでした。
最後は『ハジマリ ノ マエ。』で終わりたかったので、
かなり“変”になってしまいました。重ね重ね、申し訳なく思います。

>225 夜叉さん
 先ず何より、博打が巧くいくことを願っています!!
 今まで多くのレス、本当に有り難うございました。
 言葉では表せないほど、嬉しく思っています。
 またコソーリ・・・!?



241 名前:夜叉 投稿日:2002年03月16日(土)20時00分33秒
へけ先生の言葉、じーんときました。何気ない一言がどすんと心に入り込んできたり。
やすもこれから始まる、次の恋に向けて。がんがれ、やす。

いえいえ、こちらこそ有難うございます。
この作品好きだったんで何度と来てしまいました(^^;;。
くだらないレスばっかりだったんで、申し訳。
ほんと、お疲れさまでした。
242 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月20日(水)05時27分23秒
完結。お疲れ様でした。
いちいちゃんも出てきましたし・・・・。ありがとうございました。
辻・加護コンビのインタビューが好き。
そして、吉にM女を薦めた石黒先生に感謝です。(笑
大好きな作品を一気に読めてよかったです。ありがとうございました。
これからも、がんがってください。
243 名前:婆金 投稿日:2002年03月23日(土)00時56分24秒
お久しぶりです、イエ、別に何もありませんデス・・・。
>241 夜叉さん
 ずっと、有り難うございました。感涙です。
 くだらないレスなど、思ったこと全くないです。どれも嬉しかった!
 そして、いつもコソーリ・・・。石川氏が(泣
>242 よすこ大好き読者さん
 最後まで有り難うございました。レス、景気づけになりました。やっぱり感涙です。
 いちー氏、やっと登場させることが出来ました。途中までは登場させるつもりな
 かったんですけど だんだん私自身が‘いちごま’にハマッてきて・・・。
 今では‘いしよし’と同じくらい好きです(でもやっぱり‘いしよし’が一番!?)。
それでは、機会があればまた。

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