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セルロイドのつき。

1 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月26日(火)15時16分09秒
森板で短編を細々と書いていたものです。
ちょっと長めの話を思いついたので、こちらに引っ越してきました。
交信は一週間に一度くらいに出来ればいいなと思っています。
それでも宜しければ、どうぞご付き合いください。

いちお、いしよしごまをメインに、話が進んでいく予定です。
2 名前:一つの終わり。そして―― 投稿日:2002年02月26日(火)15時17分16秒
屋上へと続く階段(みち)をひたすらに走っていた。
単調な空間の中、聞こえるのは自分の吐く呼吸だけ。
普段運動しない体が、キシキシと悲鳴を上げているのが判った。
だけど走るのを止める事はできない。
全身の――と言っても、特に両足だったが――鈍い痛みを我慢し、最後の階段を登り終える。
キィっと鈍い音を立てて開くドア。
それを叩きつけるように閉める。

ガシャンッ――――

思ったよりも大きな音を立てて、重い扉は閉まった。
何度か呼吸を整えて顔を上げた先に見えたのは、フェンスの向こう側で肩ほどの
――正確には肩をやや超える位だろうか――明るめの茶毛を風に靡かせる一人の少女。
「どうして――っ」
言葉を紡ごうとするけれど、からからの喉は、思うように言葉を発してはくれない。
だけど、目の前の少女はそれすらも判っていると言うように、
「やっぱり来ちゃったんだ」
いつもの優しい微笑を浮かべたまま、ぽつりと、小さく呟く。
フェンスを間に挟んだだけなのに――手を伸ばせば届く距離しか無いのに――
その距離は果てしなく遠い。
3 名前:一つの終わり。そして―― 投稿日:2002年02月26日(火)15時18分46秒
フェンスの向こう側に立つ少女は、一瞬だけ苦味を含んだ表情を浮かべると、
「ごめんね、一緒に連れて行くことが出来なくて」
といって、笑った。
(ちがう、そんな言葉が聞きたいんじゃない)
そう思うけれど、想いは言葉にならなくて。
「でも…あなたの事を思うから、いっしょには連れて行けないの。
ごめんね…ごめん……だけど、あなたのことあ…………」
涙の混じった声が、次第に元来の声を浸食していく。
ゴウッ!
一際大きな風が吹いた。
それは最後の少女の言葉をかき消して、そして少女自身の体をも凪ぎ飛ばしていく。
4 名前:一つの終わり。そして―― 投稿日:2002年02月26日(火)15時19分16秒
「いやだあぁ……っ!
置いていっちゃいやだあぁぁぁっっっっ!」

ようやく出せた声は、まるで絶叫に近い嘆願。
そんな様子を愛おしいと思うのか、宙を舞う少女顔は、風が吹く前となんら変らずに、
優しい微笑を浮かべていた。
ゆっくりと、まるでスローモーションのようにふわりと地上に落ちていく少女。
屋上からその姿が見えなくなり、それを追うように聞こえる鈍い音。
フェンスを握り、身を乗り出すようにしてなんとか地上の方を見やる。
だけどそこには少女の姿はなくて、
ただただ少女であったものが、地面に赤い花を咲かしているのが見えただけであった。
5 名前:一つの終わり。そして―― 投稿日:2002年02月26日(火)15時19分50秒




これは、一つの物語の終わり。
だけど、この終わりを起点とするかのように、一つの物語が始まろうとしていた。


6 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年02月26日(火)15時34分05秒
とりあえず、今回はここまで。
今週中…は無理でも、来週の頭ぐらいには
続きを掲載する予定です。
7 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月26日(火)19時13分47秒
力作の予感
8 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月27日(水)13時57分30秒
なんか、鳥肌が立っちゃいました。(w
どんな展開になるか、楽しみです。がんばってください。
9 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月03日(日)14時30分19秒
彼女がいなくなったあの日から、もう一週間が過ぎようとしていた。
彼女を最後に見たあの屋上は閉鎖され、今は立ち入り禁止となっている。
まあ、あんな事が起こればそれは当然と言うものだろう。
地面に広がった赤い花も、今では完全とまでは行かないが薄れ、
もう元の色へと戻りつつある。
彼女がいなくなっても、世界はその歩みを休む事無く進めている。
ただただ、あたしだけを置きざりにしたまま……。
10 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月03日(日)14時30分50秒



あたしだけが一人、彼女の「死」に囚われ続けていた。



11 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月03日(日)14時32分09秒
彼女は明るい茶色の髪をいつも風に靡かせていつも笑っている人だった。
初めて出会ったのは高校の入学式。
遅刻して自分のクラスが判らずに途方にくれているあたしに、
「どうしたの?」
と、優しく声を掛けてくれたのが彼女だった。
「あ…その、遅刻しちゃってクラスが判らなくて……」
恥ずかしそうに――実際に恥ずかしかったのだから仕方ない――そう答えるあたし。
ややつっけんどんになってしまったが、彼女はそんな事は気にせずに、にっこりと笑ってくれた。
あたしはその笑顔を見て、「ああ、笑うってこう言う事なんだな」と、
15年生きてきて始めてそう思ったのを、今でもはっきりと記憶している。
「そっかぁ。私も遅刻しちゃったんだぁ。同じだね」
くすっと鳥がさえずる様に笑う、彼女。
あたしはただ、不恰好に「あはは…」と笑う事しかできなかった。
同じ年頃の女の子なのに、どうしてこんなにも違うのだろうと少しだけ神様を恨んだ。
12 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月03日(日)14時32分44秒
「でもクラスがわからないって事は、あなた新入生なんだよね?」
「え…あ、はい」
「じゃあ、一緒に探してあげるよ」
そう言ってあたしの手を取り、ぐいぐいと引っ張る。
あたしがあっけに取られていると、急にくるりと振り返って、
「あなたの名前、何て言うの?」
「え…、ごとうまき」
「ごとう…まきちゃんね」
と、生徒手帳らしきものを取り出して、あたしの名前を書き込んだ。
そして「字はこれで合ってる?」などと尋ねてきた。
そこにはいかにも女の子らしい、丸っこい字で「後藤真希」と書いてあって、
あたしは手帳の文字を確認すると、返事の変わりにその時できる精一杯の笑顔で笑った。
そして彼女も、笑った。それはとても嬉しそうな笑顔だった。
13 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月03日(日)14時33分42秒
彼女に手伝ってもらって、クラスは簡単に見つける事が出来た。
もちろん入学式初日から遅刻した事で、
担任らしき金髪の女教師にこっぴどくお説教されてしまったが、
それはそれ。遅刻した自分が悪いのだから仕方ない。
だけど、そんなお節介よりも何よりも、彼女と出会えた事の方がそのときの私には重大な事で。
女教師のお説教なんて耳に入る状態ではなかった。

クラスを探す間、あたし達はいろんな事を話した。
お互いの名前、好きな芸能人やテレビ番組。
少し大人ぶって、普段はあまり興味も無いブランドの話もしたっけ。
「ねえ、真希ちゃんは…あ、ごめん」
「んぁ、なに? どうしたの?」
「つい名前で呼んじゃった。えっと、後藤さんは……」
「良いよ良いよ。名前の方が呼びやすいならそっちで…」
「ほんと? じゃあ、真希ちゃん!」
「ん、なあに?」
「えへへ。なんとなく呼んでみただけ」
くすくすと笑うあたし達。
こんな日が続くとずっと信じていた。
信じていたんだよ、梨華ちゃん……。
14 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月03日(日)14時36分01秒
>>9-13
少しだけ交信。続きは時間さえ取れれば今週中にと考えています。

>7
予感だけで終わらないように、頑張ります(−−;

>8
よっすぃーがでてくるのはまだ先になりそうな感じで申し訳ないですが、
頑張ります!
15 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月04日(月)03時53分41秒
冒頭部分にどう物語がつながってくるのか・・
今後が気になります
16 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月06日(水)19時03分57秒
これからどうなるんでしょ?
吉がどんな形で出てくるんだろう?
がんばってくださいね。
17 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月11日(月)17時28分21秒
出会ったあの日から、あたし達は急速に仲良くなっていった。
あたしは1年生。梨華ちゃんは2年生。しかもオンナノコドウシ。
だけど、そんな学年の違いや性別なんてあたしの……ううん、あたし達の邪魔にならなかった。
梨華ちゃんが好き。
梨華ちゃんの傍にいたい。
全身がそう訴えていた。
このあたしがだよ?
こんなに誰かを好きになるなんて事がありえるなんて思わなかった。
18 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月11日(月)17時28分54秒
初めて体を重ねたのは出会って直ぐの夏。
二人だけでどっかの海へ出かけたときだった。
一泊二日の小旅行。
一生懸命バイトして溜めたお金と、今まで貯金してたお小遣い全部を使って、
あたしたちはあたし達に出来る精一杯の豪華なプランを立てて、旅行へと出かけた。
「海、綺麗だね…」
列車の窓をあけ、目の前に広がるコバルトブルーの海に目を細める梨華ちゃん。
「うん、きれいだねー」
本当は海なんかよりも、梨華ちゃんのほうがきれいだって思ってたけど、
それはまだ恥ずかしくて言えなかった。
キラキラと太陽の照り返しに輝く海と、それを見つめる梨華ちゃん。
ただただ、その二つだけがあたしの心を支配して、絶対のものとなっていた。
まるでアイドルに恋をする少年のように、あたしの心の中は梨華ちゃんでいっぱいになっていた。
「もし、今の私が終わるときはこんな所がいいな……」
と呟いた、彼女の言葉に気付けなかった程に。
19 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月11日(月)17時29分30秒
夏の海はまるでお祭の様だった。
水着姿の梨華ちゃんをみて、鼻血を出しそうになったり、
ナマコを投げあったりと、色々な事をやったっけ。
あたしが何かをする度に、梨華ちゃんは「きゃーーーっ!」ってその甘い声で悲鳴をあげる。
それが嬉しくて、それが楽しくて。あたしはいろんな事をやったね。
でも、どんな楽しい時間にも終わりはやってくる。
楽しければ楽しいほど、それは早く訪れる。
あたしたちは日の暮れかけた真っ赤な砂浜にちょこんと座ると、
日が落ちるその瞬間まで手を繋ぎ、ずっと沈んでいく太陽を見つめていた。
「お日さま、沈んじゃったね……」
「うん。きれいだったね」
「でも、なんだか悲しい風景だよね。消えていくお日さまを見てると、切なくなる……」
梨華ちゃんは目を伏せ、握っていた手をきゅっと強く握りなおす。
20 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月11日(月)17時30分57秒
「でも、お日さまはまた明日も昇るよ?
消えちゃう訳じゃなくて……そうだ。休んでるんだよ! 働きすぎは体に毒だもんっ!
お日さまにも労働基準とかあるんだよ、きっと!」
自分でも何を言ってるのか良く判らないことを、たくさん並べた。
こんなの自分のキャラじゃないなぁ、なんて思わないわけじゃなかったけれど、
梨華ちゃんにあんな寂しい顔をさせたくなかった。
「ありがと、真希ちゃん…」
少しだけ笑顔になった梨華ちゃんは、ちょこんとあたしの肩にもたれかかるように、体を寄せた。
そんな梨華ちゃんの肩を抱いて……あたしたちは初めてのキスを交わした。
初めてのキスは甘くて、ほんの少しだけ潮の味がしてしょっぱかった。
21 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月11日(月)17時34分13秒
>>17-20
ほんのちょこっとなんだけど、交信してみました。
交信スピードが遅くてごめんなさい。
当分、このペースになりそうです…(−−;

>15
冒頭のシーンまで後もう少し、と行ったところです。
イライラしそうなペースではありますが、気長にお待ちくださいませ。

>16
吉は次の章でバリバリ活躍してくれると思われ。
はい、がんばります!
22 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月12日(火)03時57分11秒
感傷的な雰囲気萌えです
23 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月21日(木)07時19分23秒
「ほんとうにいいの…?」
「うん……」
初めてキスを交わしたその夜。梨華ちゃんはあたしの下で、俯きながらそう答えた。
豆電球だけの頼りない灯りの下で、あたし達は一つの布団にくるまっていた。
夏なのにひんやりとした梨華ちゃんの肌は、火照った身体にとても心地好くて、
貪るように華奢なその身体を抱いた。
もちろん、それまで誰かとこんな事をするなんて無かったあたしのそれは、
とても稚拙で、ただお互いの色んなところにキスしたり
触れたりするだけの幼稚なものだったけれど、
それでもこんなに気持ちよいものが世界にあるのだという事を、あたしは初めて知ったんだ。
「梨華ちゃん……っ、りか……りかぁ……」
その存在を確かめるように、何度も何度も名前を呼ぶ。
梨華ちゃんはその度に、あたしを慈しむように抱きしめる力を強めた。
ただただ梨華ちゃんが愛おしくて、そしてそれだけが全てだった。
24 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月22日(金)05時26分10秒
「……ねえ、今何時……?」
「えっと…ちょっと待ってね…ぁ…っ」
「……ん、梨華ちゃん可愛い……」
「もう、真希ちゃんたらぁ……あ、時間ね、4時みたい」
「四時…? もうそんな時間なんだぁ……」
「ん…っ、ぅん……、ずっとしてたから……はぁ…っ」
「そろそろ寝る? 朝ごはん、8時だって旅館の人言ってたし…」
「やぁ…真希ちゃ……ん、んん…そうだね。そろそろ寝よっか」
「うん……でも…」
「でも…あ、そこ…くぅ、んっ…」
「もう一回だけ、しよ…?」
「……………………うん」
25 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月23日(土)21時05分42秒
……萌え……
26 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月24日(日)10時12分37秒
>「もう一回だけ、しよ…?」
「……………………うん」
に、カナーリ萌え!
マターリお待ちしていますね。
27 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月27日(水)01時14分44秒
寝不足のふらふら頭のあたし達は、朝食を早々に済ませると、
帰りの列車へと飛び乗った。
途中、梨華ちゃんと目があって、なんだかくすぐったい気持ちになったのを、
今でも覚えている。
顔を見合わせ、くすくすと微笑を零すあたし達。
夏の強すぎる太陽も、この日だけはとても穏やかに、海の水面を照らしていた。
がたんがたんという、普段なら耳障りなだけの列車の音も、
五月蝿いくらいに鳴くセミの羽音も、全てがやさしく感じられた。
世界の全てが祝福しているかのようにさえ、あたしは感じたんだ。
どちらともなく互いの手を強く繋いで、優しく微笑む梨華ちゃん。
その微笑みがずっと続くのだと、あたしは漠然とだけど、そう思っていた。
あたし達の未来には、ずっと今日の太陽の様な優しい光りで包まれていると信じていた。
その光りが、半年後には永遠に失われるなどと知らずに―――
28 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年03月31日(日)12時23分58秒
夏はあっという間に通り過ぎて、そして秋が訪れた。
憂いの秋とはよく言ったもので、あたしの隣で微笑む梨華ちゃんのその顔にも、
翳りが日に日に差してくる。
日を増すごとに、憂いを帯びてくるその面は、冷たく遠い。
「どうしたの? 悩み事?
後藤に出来る事があったら、相談にのるよ?」
「ううん、なんでもないの」
「なんでもないって顔じゃないよ…」
「大丈夫だから…。気にしないで。ね?」
困った子ねとでも言うようにため息をつく梨華ちゃん。
そんなため息をつきながら言われたって、信じられないよ…。
だけどその言葉は唇に登る事無く、飲み込まれる。
「それよりも……ね?」
まるで話を変えるように、梨華ちゃんはぎゅっと抱きつくと耳元で囁いた。
”抱いて――”
心が一つにならないまま、あたし達は身体だけを重ねた。
明らかにそれは、あの夏の日に交わしたものと同じでいて非なるもの…。
こんな風に梨華ちゃんが抱きたいわけじゃない。
なのに、誘われると断れない自分が情けなくて、悲しかった。
29 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月01日(月)01時14分14秒
凄いいいです。更新楽しみにしてるんで頑張ってくださいね。
石川、何があったのか非常に気になります。
30 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月01日(月)01時15分26秒
あげちまった・・・。失礼いたしました。
31 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月03日(水)02時42分11秒
石川さんの憂いと、それを見つめる後藤
もう涙してしまいました‥‥
32 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月03日(水)23時15分29秒
「ねえ、真希ちゃん…」
「んぁ?」
「真希ちゃんは生まれ代わりって信じる…?」
「生まれ変わり…?」
「そう。死んでもまた新しい人生を生きるの」
「ごとーは特に信じてないけれど…、でも、どうしたの。急に」
「そっか…。あ、ううん。理由なんてないの。ふと思いついただけ」
「ふーん」
寝物語にポツリと洩らした会話はちぐはぐで、
二人の心を結びつける実のあるものではなかった。
手を伸ばせば届くのに、その心は果てしなく遠い。
ねえ、どうすればあなたを捕まえる事が出来るのですか?
どうすればあなたの心を振り向かせる事が出来るのですか?
判らない。判らないよ、梨華ちゃん―――
33 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月03日(水)23時16分00秒

そして最後の冬が訪れた。





34 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月03日(水)23時16分46秒
あたし達はすれ違ったまま、ずるずると身体の関係だけを続けていた。
心は梨華ちゃんのことでいっぱいで張り裂けそうなのに、
でも、その気持ちは届く事はなくて。
行き場所のない思いだけが膨らんで、破裂寸前。
いっそ壊れてしまえば。
そうすればあの人はあたしを見てくれるのではないだろうか……。
あの人が困っても構わない。
あの瞳の中にあたしを映して欲しかった。
そう思うのはいけない事なのだったろうか。
35 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月04日(木)19時52分48秒
このままいしごまでいいじゃん・・
36 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年04月04日(木)23時24分30秒
初レスです。めちゃのめりこんでしまいますな。
梨華たんはいった何に悩んでいたんだろうか。ごっちんがいるのに
なぜ自殺なんかしたんや。すんごく気になります。
もしかしてよしこは梨華たんの生まれ代わりとしてでてくるのでは?
更新ドキドキしながら待ってます。
37 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月08日(月)15時12分04秒
情交の後の気だるい雰囲気。
梨華ちゃんはあたしの肩に頭を預けて、とろんとした様子。
「ねえ…」
二人しかいないのだから声を潜める理由なんてないのだけれど、
無意識に声は小さくなった。
「梨華ちゃんは…あたしの事好き?」
「何を言ってるのよ、今更」
「今更じゃないよ。答えて……」
怪訝そうな表情で見上げる梨華ちゃんに、あたしは少しばかり語調を強めた。
「好きじゃない人とこんなことしないよ」
「判ってる。でも、聞きたいの。梨華ちゃんから好きって…」
「なんで?」
「だって……」
嘘でも良いから言ってもらえれば、その言葉に縋れるから…。
38 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月08日(月)15時12分53秒
「だって……」
「変な事ばっかり言わないで。真希ちゃんったらもう……」
小さくため息をついて、梨華ちゃんはあたしから離れた。
床に脱ぎ捨てていた衣服を手に取ると、おもむろにそれを身に纏う。
あたしはそれには返事せずに、服を着る梨華ちゃんに背を向け、
シーツの海の中で丸くなっていた。
衣擦れの音だけが響く中、
あたしはあたし達の中で、何かが急速に冷えていくのを感じていた。
あの夏の感情は何処へ行ったのだろう。
あたしの中では今もなお、壊れそうなほど思いは募るのに、
この人の中ではそうではないのだ。
後ろから聞こえていた、衣擦れの音が止まる。
「じゃあ、私、もう行くね」
「……………うん」
遠ざかっていく足音は、まるであたし達の心の様だった。
追いかけるのをやめれば、ほら。
ただ遠くなっていくだけ。
あたしが前に進めなくなってしまっても、梨華ちゃんはあたしを待ったりしない。
もう、あたしを待っていてはくれないのだ。
39 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月08日(月)15時13分53秒
その日からあたし達は、二人で会うことが無くなった。
元々学年も違う。趣味も違う。
お互いが会おうと思わなければ、断ち切れてしまうだけの関係……。
澱んだ澱の中で眠る、梨華ちゃんへの思い。
忘れよう。
人の気持ちは変わるのだ。
たとえ燃え上がる様な恋だったとしても、それはいつしか消える。
そういうものなのだ。
そういう…ものなのだ。
40 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)15時19分50秒
交信、お疲れ様です。
心臓を掴まれたような痛みを感じます。
41 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年04月09日(火)01時47分20秒
うむむなんかなあ。
なんでこうなるんだ。梨華たんなんでだー。
ごっちんが可哀想だ。でも梨華たんもおんなじ気持ちなのかもしれない。
42 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月10日(水)20時37分27秒
痛い。痛すぎるぅ〜!
交信、マターリ待っていますのでがんがってください。
43 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月13日(土)01時39分58秒
梨華ちゃんと会わなくなって何日経ったのだろう。
この頃の記憶は、混沌としていてよく思い出せない。
クラスの友人達と、適当に話し、笑う。
毎日が同じことの繰り返すだけの、退屈な時間。
「最近の真希ってすっごく感じいいよね」
「んぁ?」
「前はほら…あの2年の何とか先輩?
あの人にべったりで、付き合い悪かったじゃん?」
薄っぺらい笑顔を貼り付けて、髪を金色に染めた小柄なクラスメートが笑った。
「……り…石川さんのこと?」
「そうそう、その石川先輩。でもさ、さっさと見切りつけて正解だよ、真希。
あの先輩、あんまりいい噂聞かないしね〜」
目を細め、詰るように笑うクラスメートに、あたしもつられたように笑う。
そんなときだった。
「真希ちゃん…っ」
後ろからかけられた、高い声。
噂をしていた人物が現れ、隣で笑うクラスメートの顔が一瞬固くなった。
44 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月13日(土)01時40分39秒
振り向かなくても、誰だか判るその声が、あたしの名前を呼ぶ。
「ねえ、真希。呼んでるよ?」
あたしの脇を小突いて、後ろを視線で差し示すクラスメート。
だけどあたしは振り返らなかった。
いいの――?
目線だけでそう聞いてくるクラスメートにあたしは嘲うと、
「なんか空耳聞こえなかった?
なんかすっげーキショイ声が聞こえたんだけどさ」
まるで昔のドラマに出てくる敵役の少女のような意地悪な声
――あまりにも意地悪な声で、自分でも少しびっくりしたのだけどね――で、
そう吐き出した。
「真希が言うんならそうかもねー」
クラスメートはあははと笑うと、残酷にその存在――梨華ちゃんをシカトする。
「真希ちゃん………」
後ろから追いすがる声は震えていて、濡れていた。
だけど、あたしはその声に振り返る事は無かった。
もう、二人の時間は終わったのだから―――
45 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月13日(土)01時41分29秒
でもね、今思えば、あれが梨華ちゃんからの最後のSOSだったのかもしれない。
いつもだったら気付いたはずの、縋るような声音。
馬鹿なあたしは、それに気づかずに、
梨華ちゃんの手を振り払ってしまったのだ……。
46 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月13日(土)01時43分25秒
その日からきっちり一週間後、あたしの元へ一通の手紙が届いた。
差出人の名前の無い、ピンク色の封筒の手紙。
最初は悪戯かなって思って、捨てようとしたんだ。
何気無くゴミ箱にぽいっと捨てる。
だけど、不意に嫌な予感がして、ゴミ箱を漁り手紙の封を切る。
生ゴミの入ってなくてよかったよ。
それは梨華ちゃんから届いた初めての手紙であり、
そして最後の手紙――遺書だった。
47 名前:りょういち 投稿日:2002年04月13日(土)14時52分06秒
ごっちん、ちょっと酷いですね!
48 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年04月13日(土)22時17分22秒
なんでやーごっちん。でもなんともいえん。
なんか呼んでて涙が出てきたでー。うがーこの二人がこのまま
わかりあえぬまま梨華たんが自殺してしまうと思うと
なんともいえん複雑な気持ちになる。
49 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月14日(日)00時08分12秒
梨華ちゃん……。
50 名前:LINA 投稿日:2002年04月16日(火)04時55分06秒
号泣。。。
梨華ちゃーーーん(泣)
51 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月16日(火)08時45分52秒
『真希ちゃんへ。

突然こんな手紙を出してゴメンネ。
直接言おうと思ったんだけど、真希ちゃん、私に会いたくないみたいだから、
だから…お手紙にします。

私は今夜死にます。

急にこんな事を言っても信じてもらえないよね?
今、私の事頭がおかしくなったって思ったでしょ?
それか悪い冗談? そんな風に思ってるでしょ?
……冗談だったら良かったんだけどね。
でも、ごめんね。本当の事なの。
52 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月16日(火)08時46分37秒
私は今夜死にます。
もう決めた事だから…ごめんね。
こんな事を真希ちゃんに言っても、
きっと真希ちゃんを困らせるだけなのに……。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

でも、これが最後だから。
真希ちゃんを困らせたりするの、最後だから…。
ごめんなさい。
最後の我侭を許してね?

私ね、ずっと真希ちゃんに言えなかった事があったんだぁ。
真希ちゃんにだけは絶対言えない。ううん、知られたくない事。
私ね、ずっと鳥になりたかった。
鳥になって遠い何処かへ消えてしまいたかったの。
綺麗な場所で、綺麗なままどこかに消えてしまいたかった。
あ、馬鹿な事言ってるって思ったでしょ?(笑)
ほんと馬鹿だよね、私。あーあ、こんなんだから、
真希ちゃんに愛想つかされるちゃうのも当然だよ。
ごめんね、真希ちゃんの気持ちに気がつかなくて。
私の事、疎ましくなってたのに、ごめんね。
53 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月16日(火)08時47分31秒
それじゃそろそろ行きます。鳥になりに(笑)
ばいばい。
大好きだったよ。

                       梨華。

ps.
最後にもう一回、真希ちゃんとえっちしたかったなあ…(笑)』
54 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月16日(火)15時19分56秒
ガーソ
悲しすぎる…
55 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月16日(火)15時20分10秒
胸の痛い展開…
56 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月17日(水)07時29分59秒
手紙を読み終え、あたしは無意識にそれをぐしゃりと握りつぶした。
なんだよこれ……。
いきなりなに言ってるんだよ、梨華ちゃん。
死ぬ…ってなんだよ。
何で死んじゃうんだよ。
そりゃあ、確かにあたしは梨華ちゃんの事をシカトしたよ?
でも、それって死ぬようなことなのかよ?
あの我侭女。いつまであたしを振り回したら気が住むんだよ。
あたしの事なんかどうでも良いくせに、
最後の最後で、どうしてあたしにこんな事言うんだよっ!!
57 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月17日(水)07時31分57秒
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
それも当然だろう。
あたしは遺書なんて貰うのは初めてだったし
――何度も貰っている女子高生と言うのも、聞いたこと無いけれど――
ましてや、相手は思っても止まない人。梨華ちゃんだったのだから。
上手く頭の中で考えがまとまらない。
ただただ、ぐちゃぐちゃと、梨華ちゃんへの罵詈雑言が湧き出るだけで。
「ユウキ、チャリの鍵借りるよ!」
それだけ言うと、あたしは弟の自転車の鍵を奪うように取って、
サドルへ跨っていた。
58 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月17日(水)07時32分33秒
「死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃダ
メだ死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃ……」

行き先もわからないまま、自転車を必死で走らせた。
あまりのスピードに、途中事故を起こしそうになったけれど、
持ち前の運動神経で、何とか免れた。
梨華ちゃん、何処にいるんだよ…っ。
じりじりとした焦りが心の中に広がる。
梨華ちゃんはああ見えて、有言実行の人だ(その割に三日坊主だけど)。
その彼女が死ぬというのだから、狂言と言う事は無いだろう。
キキキィッ……
ブレーキに悲鳴をあげさせながら、自転車を止める。
ポケットに突っ込んだくしゃくしゃの手紙を取り出し、目を落す。
59 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月17日(水)07時33分16秒
――私は今夜死にます。

目に飛び込んでくる文字に、くらくらとする頭を必死で保ちながら、
まるっこい女の子らしい文字を追っていく。
自殺するにしても、なにか手がかりがこの手紙に書かれていないだろうか。
そう思い、たくさんのごめんなさい――数えると、たった二枚の便箋の中に、
8回も書いてあった――で綴られた、その文章をもう一度読み直す。
そうして読んでいくうちに、あたしはある文章に目を引かれた。

――私ね、ずっと鳥になりたかったの。
  鳥になって遠い何処かへ消えてしまいたかったの。
  綺麗な場所で、綺麗なままどこかに消えてしまいたかった。

鳥になりたい。梨華ちゃんはこの手紙の中でそう言っていた。
あたしたち普通の女子高生が簡単に出来て、
尚且つ鳥になるなんて思える死に方なんて、
あたしには一つしか思いつかなかった。
60 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月17日(水)07時35分03秒
飛び降り…。
それを意識したとたん、心臓がドクンと大きく鼓動を打ったのを、
今でもはっきりと覚えている。
だけど心臓の鼓動とは裏腹に、頭は急速に冷めてくるのが自分でも判った。
あたしは必死で頭を働かせた。
だけど普段余り使わない所為か、中々上手く考えがまとまらない。
くそっ。こういう時にこそ、役に立ってよ…っ。
そう罵り、何度も頭を叩いた。
あたしがもし死にたいとして、飛び降りるなら何処から飛び降りる…?
やっぱりあたしが死ぬなら、知らない場所よりも、
自分が良く知っている場所がいい。
死ぬときは自分が大好きだったものに囲まれて死にたいもん。
家…はありえない。
梨華ちゃんの家は都内には珍しく一戸建てだ。
たとえ二階の窓から飛び降りたとしても、死ぬとは考えられない。
不意にひとつの場所が思い浮かんだ。
―――学校。
多分、梨華ちゃんはそこにいる。
梨華ちゃんが学校を好きだったのかどうかは判らないけれど、
でも、少しだけ自惚れていいのなら…、学校はあたし達が出会った場所だから。
梨華ちゃんは学校にいる。
なぜかそのときのあたしは、そう確信していた。
61 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月17日(水)22時04分41秒
これで冒頭につながってくるわけですね
展開はどうなるんだろ…
62 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年04月19日(金)18時12分43秒
ああ梨華たん。ごっちんがやっとやどりついても運命は変わらないんですね。
この二人が幸せのままずっと一緒にいてほしかったです。
なんで鳥になりたかったという理由で自殺なんか!!
切ないですなあ。
63 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時24分34秒
そこから学校までどうやって行ったのか良く覚えていない。
ただただ、ペダルをこぐ足を動かし、梨華ちゃんのことだけを考えていた。
まざまざと思い浮かぶ、梨華ちゃんとの思い出。
64 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時25分26秒
「あのねあのね。もし私が不意にいなくなっても、
真希ちゃんは悲しんだりしないでね?」
「なにそれ? 梨華ちゃんがいなくなったら、ごとー、悲しむに決まってるじゃん。
絶対泣いちゃうよ?」
「真希ちゃん……」
「梨華ちゃん、どっか行っちゃうの? ごとーを置いてくの?
やだよ、そんなの……」
「じゃあ、真希ちゃんも一緒に行く?」
「うん、行くっ!」
「お父さんやお母さん、お友達とももう会えなくなっちゃうかもしれないんだよ。
それでも?」
「それでも…梨華ちゃんと会えなくなる方が、ごとーはいやだよ…」
「そっか…。じゃあ、そのときは一緒に行こうね?
ずっとずっと二人で一緒にいようね」
65 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時26分30秒
こんな事を話したのはいつだっただろうか。
確か、二学期が始まって直ぐだったと思う。
梨華ちゃんの表情に翳りが出始めた頃だったと思うんだ。
今思えば、梨華ちゃんはその頃から死ぬ事を考えていたんじゃないだろうか。
ただ、馬鹿なあたしはそれに気付かなかっただけで。
ごめんね、梨華ちゃん…。
もっとはやく気付いてあげればよかったんだね…。
66 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時28分06秒
学校へ付くと自転車を乗り捨てて、あたしは校内へと全速力で走った。
靴を履き替えるのも忘れ、
土足のまま屋上へと続く階段(みち)をひたすらに走っていた。
単調な空間の中、聞こえるのは自分の吐く呼吸だけ。
普段運動しない体が、キシキシと悲鳴を上げているのが判った。
だけど走るのを止める事はできない。
全身の――と言っても、主に両足だったが――鈍い痛みを我慢し、最後の階段を登り終える。
重く錆び付いたドアノブに手をかける。
鍵はかかっておらず、キィっと鈍い音を立てるドア。
開いたドアの向こうに、梨華ちゃんは一人立っていた。
67 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時29分57秒
「やっぱり来ちゃったんだ」
来るに決まっているじゃないかっ!
そう言おうとして、声が出ないことにあたしは気付いた。
普段運動をしないため、急激な疲労に体が悲鳴をあげていた。
まるで声帯が張り付いてしまったかのように、
喉からひゅーひゅーと息が漏れるだけだった。
それを知ってか知らずか、梨華ちゃんは一人続ける。
「ごめんね、一緒に連れて行くことが出来なくて」
どうして謝るの? ねえ、謝るくらいなら、あたしもいっしょに連れて行ってよ!!
「でも…あなたの事を思うから、いっしょには連れて行けないの」
違う。そんな言葉が聞きたいんじゃない。
あたしの事なんてどうでも良いんだ。
あたしには梨華ちゃんが…梨華ちゃんがいないと駄目なんだ……っ。
「ごめんね…ごめん……だけど、あなたのことあ…………」
―――あいしてる
風の音にかき消されて、その音は届かなかったけれど、
梨華ちゃんの唇は風に飛ばされながらも、そう伝えようと動いていた。
68 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時30分49秒
ひどいよ、梨華ちゃん…。
最後の最後になって、愛してるだなんて。
こんな酷い裏切りをしておいて、今更愛しているだなんて……っ。
「いやだあぁ……っ!
置いていっちゃいやだあぁぁぁっっっっ!」
―――泣かないで、真希ちゃん。泣かないで……。
少し困ったようなそんな笑顔で、
まるで泣きぐずる赤ちゃんを宥めるお母さんみたいに、
梨華ちゃんは最後の最後まで微笑んでいた。
69 名前:絶対の偶像 投稿日:2002年04月24日(水)03時31分40秒
        そしてそれは、今もあたしの心を支配してやまない。


70 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年04月24日(水)03時48分03秒
ようやく第一章終わりです。
かなり重い話しですが、次章ではもう少し軽めになると思われ。
ちなみによし子さんがメインになると思います。

>22
作者が痛め系の切ないお話しを愛してる人なので(笑)
そう思っていただけたら、嬉しいです。

>25−26
白浜も書いていて、少しだけ萌え(をい)
エロ描写は苦手ですが、こういう会話は好きなのです。

>29−30
石川さんに何があったのかは、まだまだ秘密なのです。
おいおい、出していけたら良いなとは思っていますけれど。
あと、白浜自身よくageちゃいますので、気になさらなくて良いですよー。

>31
涙してもらえるほど、読み込んで頂けるなんて、
物書き冥利に尽きますね。有難うございます。
励みなります。

>35
いしごま…だと、ここで終わっちゃうので…(苦笑)

>36
石川さんの自殺の本当の理由は、後々明らかになる予定です。
よしこさんの生まれ変わり説と言うのも、面白かったかもですねえ。
71 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年04月24日(水)04時04分17秒
>40
し、心臓ですか…?(汗)
びょ、病院病院ーーーっ。

>41
実は二人とも、根本的には同じ気持ちだったり。
それがずれていってしまったと言うか……。

>42
痛い話ですみません(汗)
で、でも次回はもう少し、痛くない話になると思います。
と、とにかく次章もがんがりますねっ!

>47−48
確かに酷いかも(笑)
まあ、白浜の書く後藤はジャイアンなので…。

>49−50
ちょっとここだけ見ると、石川さんって凄く可哀想かも。
そんな可哀想なお話を書いた自分がいうのもなんだけれど(汗)

>54−55
すみません、痛い話で…(ぺこぺこ)

>61
展開は…こうなりました。
この章は後藤さんの独白なので…(汗)

>62
梨華ちゃんの死後の後藤さんの独白なので、運命は変わりません。
でも、確実にこの最後の逢瀬は、後藤さんの中の変化をもたらしています。
72 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月24日(水)22時08分07秒
おつかれさまです。2章も期待してます
73 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年04月25日(木)01時32分13秒
ああ切ない。
74 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月29日(月)20時59分34秒
イタイイタイ!!救心を・・・・・・・。
75 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月05日(日)09時41分41秒
作者さん、続き待ってます。
GWでお忙しいのでしょうか?
76 名前:くわばら。 投稿日:2002年05月08日(水)02時12分02秒
面白いです!
77 名前:くわばら。 投稿日:2002年05月08日(水)02時13分08秒
あ、、、sageの方が宜しかったかな。ごめんなさい。
78 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年05月11日(土)19時22分19秒
現在絶不調にて、更新が止まっております。
暫くかかると思いますが、今月中には更新を再会したいと思っていますので、
もう少しだけお待ちくださいませ。
79 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年05月11日(土)19時23分09秒
再会って…(汗)
再開と間違ってるよ……。
80 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)18時39分30秒
マターリお待ちしております(w
81 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年05月16日(木)20時29分27秒
吉澤ひとみはいわゆる普通の女子高生である。
顔も怖くないし、童顔でもない。異常に身長が低いなんて事もないし、
食いしん坊でも、電波でもなかった。
なのに―――

『どうして…? どうして、私はこんな所にいるの……?』
しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく。

頭の中で啜り泣くこの声は一体なんなんだろう?
ひとみはその端整な顔を顰めると、頭が痛いといわんばかりに、
大きなため息をついた。
82 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年05月16日(木)20時30分21秒
事の起こりは一週間ほど前の事である。
その日は上位成績保持者のひとみには珍しく、居残りをさせられていた。
築何十年も経とうかと言う校舎は古く、強い風が吹くだけで、
ガラスがきしきしと悲鳴を上げていたのを、ひとみは良く覚えている。
「そろそろ帰ろうかな」
居残り用のプリントもあらかた終え、そう呟いたときだった。
戸締りの確認をするために窓へ近づいたひとみの目の前に、人が落ちてきたのは。
「え……?」
一瞬頭が真っ白になった。
ちょっと待って。こ、ここ、二階だよ?
な、なんで人が振ってくるの?
っていうか、これって…飛び降り自殺…?
ぐるぐると回る頭で、そこまで考えたとき、ぐしゃりと階下で鈍い音がした。
恐る恐る窓を開け、下を覗き見る。
「うわぁ………」
地面に広がる赤い花はとてもグロテスクで、
「……うっ」
ひとみはこみ上げてくるものを感じ、口を抑えるとトイレへと駆け込んだ。
83 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年05月16日(木)20時31分37秒
ひとみは何度も何度も吐いた。
吐くものが無くなって、胃液まで吐き出し、それがさらに次の嘔吐感を増す。
胃の中が空っぽになるまで吐き、ようやく嘔吐感が収まると、
吐瀉物でいっぱいになったトイレを流す。
そして水道で口をすすぎ、顔を洗うと、今まで麻痺していた頭が回りだした。
「ひょっとしなくても、今のって自殺だよねえ…?
せ、先生に言わないと……。」
誰に言うわけでもなく、一人ごちる。
そしてまだ気持ち悪さが残る胃を抑えながら、職員室へと走り出した。
84 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年05月16日(木)20時41分37秒
>>81-83
第二章、ちょこっとだけ更新しました。
本当にちょこっとだけですけれど(苦笑)

>72
(^▽^)第二章も石川、頑張っちゃいますので、よろしくお願いしますっはあとはあと

>73
切ない系作家を、一応目指してますので…(苦笑)

>74
(0^〜^0)うちが出てきたからには、ごっちんの思うような「痛め」にはさせないよっ!

>75
( ´Д`)なんか書けない〜って、うんうん唸ってたら、こんなに遅くなっちゃったんだって。
     更新の遅い作者でごめんね〜。

>76−77
(^▽^)有難うございますっ! もっと面白くなるように、頑張りますね。
     あ、そうそう。agesageは気にしなくても良いですよー。
     作者も良く上げてますからっ。

>80
(^▽^)お待たせしました。これからも、待たせちゃうと思うんですけど、
     気長に付き合ってくださると嬉しいです。せーのっ、はっぴー!(謎)
85 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月16日(木)23時21分07秒
第二章もまた引き込まれる始まり方で‥
楽しみにしております(0^〜^0)<よっすぃ〜参上
86 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月17日(金)00時56分42秒
ついによしこの参上ですか。第二章も梨華たんでてくるんですか。
87 名前:くわばら。 投稿日:2002年05月17日(金)03時02分10秒
頭の中のすすり泣く声ってもしや…
88 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月27日(月)23時39分53秒
(0^〜^0)やっとでた!でも、死体は・・(r
これからの展開を楽しみにしています。がんがってください!
89 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年06月19日(水)19時48分53秒
校舎には生徒はほとんど残っておらず、残っていたのは、
ひとみと、部活で遅くなった生徒たちと、屋上に佇んでいた少女。
そして数人の教師だけだった。
それでも開校始まって以来(らしい)のこの少女の死に、学校は大騒動となった。
最初はひとみのたちの悪い冗談だと思っていた教師達だったが、
ひとみにつれられて、少女の落ちた場所へと連れて行かれると、顔色をなくした。
屈強な事で名を通していた体育教師が、目の前の赤い花を一目見ただけで、
腰を抜かし嘔吐を洩らす様子は見ていて滑稽ではあったが、
そんな事を考えている場合ではないと、ひとみは小さくかぶりを振る。
「ひっ、石川さん……」
そのひとみの横で金髪の女教師が口元を抑え、小さく呟いた。
(あれは確か…現国の中澤先生……)
ひとみの隣のクラスの担任で、関西出身。
気さくな性格と、巧みな話術で進める楽しい授業で、
生徒たちの大半から好かれている教師の一人だ。
90 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年06月19日(水)19時49分53秒
ひとみは中澤へと詰め寄ると、
「先生、この人知ってるんですか?」
「あ、ああ…。に、二年の石川さんや、多分……」
俯き、歯切れ悪そうに答える中澤。
二年と言う言葉に、ひとみは少女だったモノに視線を向ける。
赤く染まった制服のリボンは、二年生の印である、青色のラインが入っていた。
「でも、なんで石川さんが……」
「そ、そんな事は後でいいですよ。それよりも警察に連絡しないで良いんですか?」
「そ、そうや…。警察……っ!」
ひとみに言われ、はっとする中澤。そして、
「ウチは職員室へ行って警察に電話してくるから、吉澤さんはここにおりや?」
と告げて、脱兎のごとく駆け出した。
「こ、ここにおりぃって言われても……」
ちらりと地面に横たわる、少女だったモノに目を向ける。
それは余りにも生々しくて、忘れかけていた嘔吐感が、
また胸の奥からこみ上げてきそうになるのを、ぐぐっとこらえる。
その時だった。
91 名前:2.普通の定義 投稿日:2002年06月19日(水)19時51分53秒
…キ……チャン……

甘く甲高い声が、ひとみの頭の中にこだました。
「な、なに、今の……」
突然の声に、こみ上げる嘔吐感も忘れ、呆然とするひとみ。

……ゴメ…ネ…キ……ン………

頭の奥深く、直接響く、不明瞭な音…言葉。
「な、なんなんだよっ!」
自分が自分でなくなるような不安。
足元からぞろりとした触手が、自分の心を絡めとろうとしている。
「や、やめ…っ!」
ひとみはぶんぶんっと両腕を振り回し、何もいないはずの空気をかき回した。
端から見ればそれは、なんと滑稽な姿だろう。
それすらも気に掛ける余裕もないほどに、ひとみの心は、
なにか得体のしれないものに捕えられそうになっていた。
意識が霞がかったように朦朧となり、そして――

マキチャン……ゴメンネ………

意識を失う寸前に聞いた言葉は…夢か現か幻か――――
92 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年06月19日(水)19時54分29秒
>>89-91
プチですが、交信です。
もう、本当に絶不調に陥っていて、
なんにも描けない状態が続いております。
まだまだお待たせしてしまうと思いますが、
見捨てないで下さると嬉しいです。
個人レスは、次の交信時に(汗)
93 名前:皐月 投稿日:2002年06月19日(水)20時46分02秒
切ないです・・・・・・・・・
泣きましたっ!

この後吉澤が同絡んでくるか重要ですね!
94 名前:aki 投稿日:2002年06月20日(木)01時51分04秒
おぉ!全く先が読めない展開っ!
確かに人の命が散った場所って強い想いとか残ってそうですよね…。
絶不調、分かります。
焦らずゆっくりして下さい。
95 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年06月30日(日)12時53分18秒
いったいどうなるんでしょうか。気になります。あせらず頑張ってください。
更新マターリ待っています。

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