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妖精達の住まう街
- 1 名前:雪音 投稿日:2002年02月28日(木)00時28分54秒
- 青版の「Blue Dahlia」スレ内の「ハルの精」の続きのようなものです。
カップリングは一応いしよし、いちごま。
そのほかにやぐなち、オガタカも入ってくるかも・・・
つたない文章ですがよろしくです。
- 2 名前:新学期前夜−市井の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時29分54秒
- 「じゃーん!これ何だ?」
そう言ってマキが差し出した物、それは・・・・・・
「朝女の・・・制服?」
「あたりー!」
・・・うちの学校の制服だった。
「マキ、それどーしたの・・・」
「あのね、明日からあたしもいちーちゃんと同じがっこー通うの!」
「はぁ!?」
突然のマキの爆弾発言にあたしは凍り付いてしまった。
このマキという子は、春休み中に偶然拾った(でいいのかな?)春の精で、あたしの彼女・・・だったりするのだが。
春の精って学校行けるのか?手続きとかはどーなってるんだ!?
「どーやって入学手続きとかしたんだ・・・」
「あのねぇ、あたしたちの長がいろいろやってくれたの。で、あたしはいちーちゃんのいとこで両親が亡くなってて一緒に住んでるって事になってるの。」
あたしの知らない間に色々と・・・そんなことが出来るなんて長って何者?
「マキ、勉強の方は大丈夫なのか?」
「だいじょーぶ!試験は実力で受かったから!精霊って学術的な知能はけっこう高いんだよー。」
そうなの?けっこうマキってノーテンキな感じだけど・・・頭良かったのか・・・
- 3 名前:新学期前夜−市井の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時30分30秒
- 「あとねぇ、名字、っていうのもつけてもらった。精霊って名前だけだからそれじゃ手続きできないって事で。」
「へー。どんな名字?」
「あのね、ごとーだって。後藤真希って名前でこれからがっこー行くんだー。」
「何か、意外と普通だな・・・」
「なんかねー、別の次元にいるアイドルの名前だって長が言ってたけど。」
べ、別の次元?次元まで越えられるのか?長って・・・
しかも、アイドルの名前・・・マキならアイドルでも似合うかも・・・って違う違う!
何か、ますます長がわからなくなってきたぞ・・・
「あは、これからいちーちゃんとがっこーでも一緒にいられるね!」
マキは楽しそうに笑ってるし、まぁマキがうれしいなら・・・って、ちょっと待て。
「マキ、お前何年生の編入試験受けた?」
「んー?2年生だよー。」
・・・言わない方がいいかなー。でも明日学校行ってからショック受けるより今言った方がいいか・・・
- 4 名前:新学期前夜−市井の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時31分02秒
- 「マキ、学校でもずーっと一緒ってわけにはいかないわ・・・」
「えー!?何でー!?」
「学年が違う。あたし3年。」
「あ、そっか・・・じゃあ一緒にがっこー行こうね!」
「いや、一緒の登校も初日はやめといたほうが・・・」
これにはマキも怒ってる・・・ああ、辛い・・・
何で一緒に登校できないかって言うと・・・実は、自慢かもしれないがあたしはかなりもてる。しかも同性に・・・(泣)
そのため、どこかにあるらしいあたしのファンクラブの奴らとかがマキに嫉妬して襲ってこないとも限らない。
そんな連中からマキを守るためなんだけど・・・やっぱりマキはかなり不機嫌だなぁ・・・
「マキ、これはマキのためなんだ。初日から一緒に行って変な噂立ったら困るだろ?ちゃんといとこってHRとかで紹介された後ならいいけど・・・」
「やだやだ!いちーちゃんといっしょに行きたい!」
「我慢してくれよマキ・・・一緒に帰ってやるから・・・」
しばらくマキは悩んでたけど・・・かなり経ってからようやく納得してくれた。
はぁ・・・先が思いやられる・・・・・・
- 5 名前:新学期前夜−吉澤の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時31分41秒
- 無事に一人前になったリカちゃんをつれて部屋に帰ってきたあたし。
リカちゃんは大きくなって何か感覚がまだ変みたいだけど、それでもすごく楽しそうにあたしの横を歩いてた。
・・・まぁ、パッと見コスプレみたいな格好のリカちゃんに注目が集まってたのは・・・この際見なかったことにしよう。
「ひとみちゃん、これからはずーっといっしょだねぇ。」
なんてにこにこ笑いながら言ってるリカちゃん・・・うっ、心が痛む・・・けど、言わなきゃ・・・
「リカちゃん、ずーっと一緒にいるわけにはいかないんだよね・・・あたし明日から学校だし・・・」
「え・・・そっかぁ。人間ってがっこーとか行ったりするものだってマキちゃん前言ってたし・・・わかった。私まってる。」
ちょっと寂しそうなリカちゃん・・・うわー、学校さぼってでも一緒に居たい・・・だめだだめだ。
「うん、あ、あと他の人に見つかるとやばいから、あんまり外でないほうがいいかも。」
「うん。私いいこにしておうちでまってるね。」
うっ・・・反則的に可愛い・・・自分では理解してるんだろうか・・・理解してないんだろうな。
- 6 名前:新学期前夜−吉澤の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時32分28秒
- 「それじゃああたしもう寝るから・・・」
「あ、あのねひとみちゃん・・・」
「ん?何?」
リカちゃんはもじもじしながら何か言いたそうにしてる。どうしたんだろ。
「あの、あのね・・・一緒に寝よ?」
上目遣いでそう言ってくるリカちゃん・・・むちゃくちゃ可愛い。
「え・・・だめだめ。リカちゃん一人で寝れないと・・・」
「でも、ちっちゃいときは一緒に寝てくれたのにぃ・・・」
だーかーらー、その目であたしを見ないで・・・自分の今の姿よく解ってないでしょあなた・・・
実際問題、大きくなったリカちゃんはものすごーく美人な上に、やたらスタイルがいいのだ。
今着てるあたしのパジャマもすこしウェストがゆるかったうえに、あたしのブラをつけた時、
「ひとみちゃぁん・・・ちょっときついよぉ・・・」
なんて言われて・・・さすがにへこんだ。
そんなリカちゃんが隣で寝てたら・・・理性保てるかな・・・
- 7 名前:新学期前夜−吉澤の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時35分12秒
- 「リカちゃん我慢しなくちゃだめだよ。」
「でも、ベッドもいっこしかないし・・・」
「あたしソファーで寝るから。リカちゃんベッド使っていいよ。」
「だめだよぉ!ひとみちゃんかぜひいちゃうよ!だから、一緒に寝よぉ?」
ちょっと潤んだ目でこんなこと言われて・・・いやだって言えるわけないよなぁ・・・
「わかった、一緒に寝てあげる。」
「ほんと!?やったぁ!」
うれしそうに飛び跳ねてるリカちゃん。なんていうか・・・純粋すぎて扱いに困るなぁ・・・
- 8 名前:新学期前夜−吉澤の部屋− 投稿日:2002年02月28日(木)00時35分43秒
- 「ひとみちゃん、はやくはやくぅ!」
「はいはい。ちょっと待っててね。」
がんばれー、がんばれひとみ。ちゃんと理性保ったままでいるんだぞー。
リカちゃんはもうベッドにちょこんと座って待ってる。
その横に入っていって・・・って、かなり狭いんですけど。
「おやすみ、ひとみちゃん。」
「おやすみ、リカちゃん。」
何て言ったはいいものの・・・ベッドが狭いからすごく密着した状態になってて・・・
やばい、かなりドキドキしてきた。
リカちゃんはそんなあたしの気持ちなんておかまいなしにぐっすり寝てるし。
あー、やっぱ布団買わなきゃな・・・こんな状態じゃあたしの身が持たない・・・
なんて事を考えながら、あたしも眠りについた・・・
- 9 名前:雪音 投稿日:2002年02月28日(木)00時37分28秒
- とりあえずこんなもので。吉澤さんがなんかやばい人になってるかも・・・
春の精2人組はお互い相手をひっぱりまわしてますな。
- 10 名前:名無し読者。。。 投稿日:2002年02月28日(木)01時46分03秒
- 新スレおめでとうございます♪
リカちゃんかわいいっすね〜!
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月28日(木)03時20分59秒
- 前スレのも読んでますよ。かわいいので期待期待
- 12 名前:夜叉 投稿日:2002年02月28日(木)12時42分37秒
- 新スレおめでとうございます。
あれからどうなるのか、期待しております。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月28日(木)16時00分08秒
- 実はハルの精の続きをこっそり願ってたのでそれが実現されて
すごく嬉しいです!凄く可愛いお話しで読んでて顔がにやけてしまう(w
<いしよし、いちごま、やぐなち、オガタカも
全部スキカプなのでさらに期待♪
- 14 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年02月28日(木)21時28分25秒
- 前回のお話から読ませていただきました!
すごーーーくかわいい話なので、期待しています。
がんばってください!!
- 15 名前:雪音 投稿日:2002年03月02日(土)14時25分51秒
- 沢山レスがついてて、嬉しい限りですな。
>10さん
リカちゃんかわいいですか。彼女は純粋、無邪気、世間知らずの3拍子をそろえて、可愛くなるよう頑張りました。
>11さん
かわいい・・・この意見が多いのはうれしいです。ほんわか、かわいくがコンセプト。
>夜叉さん
前作からずっと読んでくださってましたよね。感謝感謝。
この後・・・単純な学園物にはしたくないけど、学園物になってしまいそうな雰囲気が・・・どうにかせねば。
>13さん
ハルの精の続きを願ってましたか。じつはいちごま書いた後に「絶対続編書こう」って決めてました。
この話、自分で書いてて楽しいっす。
やぐなちはけっこーすぐ出てきますが、オガタカはちょーっと後になる予定・・・
>よすこ大好き読者さん
前作から読んでくださってましたか。サンクスです。
何回も言ってますが、かわいくなるようがんばります。
- 16 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時26分22秒
- −Side Hitomi−
「じゃあリカちゃん、行って来るね!」
「うん、いってらっしゃい!」
なんて言って新婚さんみたいに玄関まで送ってくれるリカちゃん。
朝ご飯を一生懸命作ってくれてたので、エプロン姿がまたさらに新婚気分になる。
まぁ、肝心の料理の方は・・・あんまり触れないでおこう。
うーん、かっわいいなぁ!今着てるあたしの服もリカちゃんが着るとイメージだいぶ違うしね。
そんなことを考えながら歩いていると、向こうに知った人影を見つけた。
「圭ちゃーん!おはよー!」
「お、吉澤。早いじゃないの。」
この人は隣の部屋に住んでる保田圭さん。教育大の3年生。
「圭ちゃんこそ、珍しくスーツなんて着ちゃってさー。何かあるの?」
「今日講義が終わった後新入生の歓迎コンパがあるのよ。やっぱいい男捕まえてかなきゃねー。」
「そのセリフ、去年も聞いたけど・・・」
「うっさいなぁ!」
- 17 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時27分32秒
- いつものようなやりとりが続く中、後ろから声がかかる。
「まあまあ、圭ちゃんに彼氏が出来ないのは今に始まった事じゃないでしょ。」
「あんたまで言うか、紗耶香・・・」
「市井先輩、おはようございまーす。」
この人はうちの高校のバレー部の市井紗耶香先輩。近所のアパートで一人暮らし。
プレースタイルがすげーかっけーんだよね。見習わないと。
バレー部と言えば、うちの学校、朝比奈女子高等学校のバレー部はけっこう個性的というか、変わり者の先輩が多いことで有名なんだけど・・・まぁ、それはまた今度にしとこう。
「ったくもー、高校生が生意気になってきて・・・ただでさえあのチビッコどもがうるさいのに・・・」
「誰がチビッコだー!」
「ののは、ちびじゃないのれす!」
- 18 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時28分23秒
- お、また後ろから来たぞ。この双子みたいな子たちは近くの中学に通う加護亜依ちゃんと辻希美ちゃん。
辻ちゃんもバレー部で、中・高の交流とかでよく会ってるから、自然にいつも一緒にいる加護ちゃんとも仲良くなった。
「ちっこいじゃないのよ。あんたたちまだ150センチいってないでしょ。」
「おばちゃんにはうるさいこと言われたくないぞー!」
「そうなのれす。」
「誰がおばちゃんだって!?」
「「わー!おばちゃんが怒ったー!!」」
「待てこらー!!」
そう言って辻加護コンビを追いかけていく圭ちゃん。やたらやかましいけど、けっこうこんなのが日常的だったりする。
「さて吉澤、うちらも学校行くか。」
「そうっすね。」
こんな感じで、あたしたちはいつものように学校に向かった。
- 19 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時28分55秒
新学期、クラス替えはあったが、何人か知った顔を見つけることが出来て一安心して、その子たちと話してると、担任の先生が入ってきた。
平家先生だ。去年もあたしの担任だったから、ちょっと気が楽になる。
「はいはい、みんな席付いてー。今日は、転校生が居ます。おいでー。」
転校生かぁ、どんな子だろ・・・とか悠長に考えてたんだけど、その転校生の顔を見てあたしは一瞬凍り付いた。
これは、偶然なんだろうか?
その転校生は、以前リカちゃんといる時に会った春の精、マキにそっくりだった。
「後藤真希です。よろしくお願いします。」
名前まで一緒かよ!?まさか本人・・・なわけないか。
「後藤はな、3年の市井のいとこで、去年両親が亡くなって今は市井のとこに住んどるから。」
い、市井先輩のいとこ?なら、やっぱ別人か・・・
- 20 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時29分31秒
- 「うーんとなぁ、じゃあ後藤の席は・・・吉澤の隣が開いてるな。」
席まで隣・・・すごい偶然が重なる日だな・・・何て思ってる間にも、後藤さんはこっちにやってきた。
「えーと、吉澤さん?よろしくー。」
へらっ、て笑う後藤さん。やっぱあたしのことは知らないっぽい。あたりまえか。
そうだよね、春の精が学校来れるならリカちゃんにも学校きて欲しいっつーの。
「あ、よ、よろしく、後藤さん。」
平静を装おうとしたがやっぱり無理だったみたいで、あたしの声はすこしどもっていた。
−Side Maki−
人間のがっこーに通うなんてきんちょーする。
とりあえず、案内されたクラスに入って、先生の言ったとおり吉澤?っていう人の隣に座る。
「えーと、吉澤さん?よろしくー。」
「あ、よ、よろしく、後藤さん。」
この人、なんかきんちょーしやすいタイプなのかな?あたしよりどもってる。
- 21 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時30分01秒
- 「あは、どーしたの?おもしろーい。」
「いや、ちょっと知ってる子に似てたからびっくりしただけ。」
なんだ、そーか。あたしがヘンなことしてたとかじゃないよね。
「それにしても、市井先輩のいとこかー。あんま似てないね。」
「え?いちーちゃんのこと知ってるの?」
「うん、バレー部の先輩。」
へぇー。そうなんだ。いちーちゃんバレーやってるんだ。かっこいいだろうなぁ。
「いちーちゃんて、どんな先輩?」
「え?すげーかっけー先輩だよ?後藤さん知らないの?」
「え?ああ、うんうん。あたし遠くに住んでてなかなか会えなかったから。」
やばいやばい。ここでいとこじゃないってばれたら変な目で見られちゃうもんね。
「吉澤、後藤・・・仲良くなるのはいいけどホームルームくらい聞いてや・・・みっちゃん悲しいわ・・・」
「うわ!す、すいません!」
吉澤さんが慌てて前を向いてる。おもしろい人だなー。
がっこー、楽しくなりそうだぞー!
- 22 名前:新学期 投稿日:2002年03月02日(土)14時30分35秒
始業式、ってのが終わって、あたしはよしこと教室で話してた。
あ、よしこってのは吉澤さんの事ね。
よしこはやっぱり思ってたとおりおもしろくて、かなり気が合いそうだった。
ちなみにあたしはよしこに「ごっちん」って呼ばれてる。
この名前のもとになったアイドルのあだ名がたしか「ごっちん」だったから、前の学校で何て呼ばれてたって聞かれた時こう答えた。
そーやっておしゃべりしてたら、教室にいちーちゃんが来た。何で?あたしクラス教えてないよ?
あ、『あいのちから』ってやつ?だったらいいな。
「マキ、帰るぞー。」
「いちーちゃん、なんであたしのクラスわかったの?」
「玄関にクラス分け表貼ってあるだろ。あれ見てきた。」
なんだ、『あいのちから』じゃないのか。残念。
「じゃあごっちん、あたしも帰るわ。」
「あ、じゃあよしこまたねー。」
そう言ってよしこは先に帰っていった。
「さーて、じゃあうちらも帰るか。」
「うんっ!わーい、いちーちゃんと一緒に帰れるー。」
こんな感じで、あたしの楽しいがっこーせいかつは始まりましたっ!
- 23 名前:雪音 投稿日:2002年03月02日(土)14時31分55秒
- 更新です。今回は人物紹介編かも。
そして次回もそんな感じかもしれない。
・・・ああ、リカちゃんあんまり出せなかった・・・
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月02日(土)17時55分29秒
- 梨華姫、お留守番だけじゃ寂しいねぇ
- 25 名前:しあわせな放課後 投稿日:2002年03月02日(土)23時56分05秒
- 「リカちゃん、ただいまー。」
帰ってきてリカちゃんに声をかける・・・けど、返事がない。
り、リカちゃん!?どこ行ったの!?
「リカちゃん!?リカちゃん・・・」
リカちゃんは部屋の窓のところでじーっとしてた。ずっと外を見てたみたい。
「リカちゃん、ただいま。」
「ふえっ!?ひ、ひとみちゃん!?」
リカちゃんは本気であたしが帰ってきたのに気付いてなかったみたいで、かなりびっくりしてた。
「どーしたの?ぼーっとしちゃって・・・」
「うん、あそこのお花、元気ないなぁって・・・」
そう言ってリカちゃんが指さしたのは、日陰になっているところに咲いている花たち。
アパートとアパートの隙間で、その花たちは陰に隠れて咲けなくなっていた。
「あー、日が当たらないからねぇ。」
「ねぇひとみちゃん、お外でていいかなぁ?」
急に言い出したリカちゃん。どうしたんだろ?
- 26 名前:しあわせな放課後 投稿日:2002年03月02日(土)23時56分40秒
- 「いいけど・・・何するの?」
「お花、私の力で咲かせたいなぁって。」
「あっ、そっか。リカちゃん春の精だもんね。」
「うんっ!」
にっこり言うリカちゃん。周りの空気もほんわかしてくるなぁ。
「じゃあ、あたしも行っていい?」
「うん、ひとみちゃんも一緒にお花咲かせよ!」
こうして、あたしとリカちゃんはアパートの外に出ていった。
「誰も、見てないよね・・・リカちゃん、大丈夫だよ。」
「うんっ!じゃあいくねっ!」
そう言って集中し始めるリカちゃん。
リカちゃんの周りに光が集まってくる。すごく幻想的な光景が広がる。
リカちゃんの髪がふわふわと浮いてくる。
手の平にも光が出てきて・・・その光が広がってく。
そして、あたりが光に包まれて・・・
次の瞬間には、周囲の花がきれいに咲いていた。
「すごい・・・すっごいよリカちゃん!」
「やったぁ!いちにんまえになったばっかりでうまくできるかわかんなかったんだぁ!」
リカちゃんはすごく嬉しそうに喜んでる。
そんなリカちゃんを見てるとあたしも嬉しくなる。
なんか、こういうのっていいなぁ・・・
こんな毎日が、これからきっと続いてく。そう考えたら、なんかものすごく楽しくなってきた。
- 27 名前:バレー部ファイト! 投稿日:2002年03月02日(土)23時57分28秒
- 新学期が始まって今日で3日目。新入生歓迎会も終わって、今日から部活再開!
「吉澤―!部活行くぞー!」
放課後、早速市井先輩が呼びに来た。
「いちーちゃん!よしこ!あたしもバレー部行っていい?」
ごっちんが話しかけてくる。ごっちんバレーに興味あるのかな?
「うん、いいよ。入部希望ならさらに大歓迎だけど。いいですよね、市井先輩?」
「まぁ、邪魔しないんなら来ても大丈夫だけど?」
「わーい!やったぁ!」
と、こんな感じでごっちんもついてくることになった。
- 28 名前:バレー部ファイト! 投稿日:2002年03月02日(土)23時57分58秒
体育館について、部活のジャージに着替える。
ネットを張って準備を進める。これは先輩後輩関係なく早く来た人の仕事。
ごっちんは隅っこの方で見学してる。
「お、紗耶香によっすぃー!早いねー!」
甲高い声が響く。矢口真里先輩だ。
矢口先輩は145センチのちっちゃい伸長で、どう見てもバレーに不向きなんだけど、ものすごい跳躍力でそれをカバーしてるすごい人だ。
「あれ?その子誰?新入生の子?」
矢口先輩の横にいたマネージャーの安倍なつみ先輩がごっちんに気付いた。
ちなみに、矢口先輩と安倍先輩は中学校の時からずっとクラスまで一緒らしくて、すごく仲がいい。
「あ、あたしのいとこの後藤真希。転入してきたばっかで、バレー部見たいって言うからさ。」
「紗耶香のいとこかぁ。あたしは矢口真里。よろしく、真希ちゃん。」
「あたしは安倍なつみ。なっち、って呼んでね。」
「あ、よろしくお願いします。あたしもごっちんって呼んでください。」
ほのぼのした自己紹介が繰り広げられる。
- 29 名前:バレー部ファイト! 投稿日:2002年03月02日(土)23時58分39秒
- そして、他の部員の人達が集まってくる中、焦って入ってくる人物が一人。
「ごっめーん!遅くなって。」
部長の飯田圭織先輩だ。
「圭織おそーい!紗耶香とよっすぃーは矢口たちより先だって言うのに、部長がギリギリでどーすんのさ!」
「ほんとだよー!いっつもなっちがギリギリで来た時は怒るくせにー!」
矢口先輩と安倍先輩に怒られてる飯田先輩。けっこう珍しいかも。
「ごめんごめん・・・あれ?その子誰?」
「紗耶香のいとこだって。バレー部興味あるみたいだよ。」
さっき説明したことを簡単に飯田先輩に伝える矢口先輩。
「へぇー、じゃあ、ゆっくり見てってね。」
そして、部活が進んでいった。
部活が始まってしばらくして、パス練習をしてると、ふと入り口に居る人影が目に入った。
「何してんのー?入部希望?」
その子たちに声をかけてみる。
「あ、は、はい。そうです。」
「あの、見に来たんですけど、練習始まってて、入りにくくて・・・」
すこしびくびくしながら話すその子たち。そこに飯田先輩が近づいてくる。
「何?入部希望の子?」
「「は、はい!」」
揃って答える。よっぽど緊張してるっぽい。
- 30 名前:バレー部ファイト! 投稿日:2002年03月02日(土)23時59分10秒
- 「そんな緊張しなくても平気だよ。なっちー!」
安倍先輩を呼ぶ飯田先輩。安倍先輩が寄ってくる。
「何?圭織。」
「予定変更。新入生来たから、新入生も混ぜて出来るメニューにしよう。」
「おっけー。みんな集合―!」
安倍先輩が声をかけると、他の人達も集まってきた。
「じゃあ、自己紹介して。」
「あ、はい。1−Eの小川麻琴です。」
「1−Eの紺野あさ美です。マネージャー希望です。」
紺野さんの言葉を聞いた安倍先輩は急に嬉しそうになる。
「マネージャー希望!?助かるー!なっち一人だし、今年で引退だしで大変だったんだよー。」
「じゃあ小川さんはちょっと一緒に練習してみようか。紺野さんはなっちのやってること見て覚えてね。」
「「はい。」」
- 31 名前:バレー部ファイト! 投稿日:2002年03月02日(土)23時59分42秒
- そう言われてコートに入ってく小川さん。
市井先輩の撃つサーブをけっこう的確に返してて、上手い方だった。
「おお、小川さんいいね。スパイクとかもきれいだし、これなら早くにレギュラー狙えるかも。」
「そ、そんなことないですよ。」
照れながらも嬉しそうな小川さん。
「ねぇ、あたしもやってみたい!」
今まで黙ってたごっちんが、小川さんのプレーを見てやってきた。
「じゃあ、後藤さんもやってみる?」
「うんっ!」
コートに入っていくごっちん。市井先輩がトスを上げて・・・
ズドォッ!!・・・とかなりいい音がして、ごっちんのスパイクが決まった。
市井先輩も意外だったみたいで、目が点になってる。
「ご、ごっちん・・・すごすぎ・・・」
「あは!バレーってたのしそーだね!よしこ!」
にこにこ笑って言うごっちん。
今年の朝女バレー部、かなりすごいことになるかもしれない・・・
- 32 名前:週末の約束 投稿日:2002年03月03日(日)00時00分55秒
- ごっちんのすごいプレーを見せられたり、新入部員が入ってきたりで今日の部活はかなり中身が濃くて疲れた。
家に帰って、ご飯を食べて、お風呂に入って、リカちゃんと話して。
それだけで、かなり癒された気分になってくる・・・
「ね、ひとみちゃん、そろそろ寝よぉ。私ねむいよぉ・・・」
かなり眠そうなリカちゃん。時計を見たらもう12時近かった。
「そーだね。じゃあ寝よっか。リカちゃん。」
とは言ったものの・・・未だに布団を買っていないので、狭いベッドで添い寝状態である。
リカちゃんは嬉しそうだし、実際あたしも嬉しいけど・・・ちょーっと、身が持たないかな・・・
そこで、あたしはリカちゃんに話しかける。
- 33 名前:週末の約束 投稿日:2002年03月03日(日)00時01分32秒
- 「ねぇリカちゃん、今度の日曜日に一緒に買い物行かない?」
「え?おかいもの?」
「うん。やっぱりベッド狭いし、リカちゃんの服とかも買わなきゃ。」
そう。リカちゃんはあたしの服を着てるんだけど、ちょっとサイズ合ってないのもある。
やっぱり、リカちゃんの好きな服着てて欲しいってのもあるしね・・・
「わかったぁ。ひとみちゃんといっしょにおかいものだあ!」
ベッドの上で飛び跳ねるリカちゃん。
「じゃあ寝よう。おやすみリカちゃん。」
「おやすみ、ひとみちゃん。」
リカちゃんと一緒に買い物かぁ。日曜が楽しみだぞー!
- 34 名前:雪音 投稿日:2002年03月03日(日)00時06分01秒
- 更新。これでだいぶメンバー出たかな・・・
高橋さんはしばらく出ません。だからオガタカがかなり後、と。
>24さん
梨華姫お留守番はさみしいっすか・・・もーすぐ出番増やす予定っす。
次回はいしよしお買い物です
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月03日(日)04時37分45秒
- 買い物期待
- 36 名前:いちゃいちゃして過ごす 日曜? 投稿日:2002年03月03日(日)23時20分57秒
- 待ちに待った日曜日。今日はリカちゃんと買い物に行く日だ。
リカちゃんは準備万端って感じで、あたしのことをせかしてる。
「ひとみちゃん、はやくー!」
「ち、ちょっと待ってってばリカちゃん!」
ちなみに、リカちゃんのカッコはロンTにミニスカート、あたしはパーカーにジーンズ。
ちょっとカップルとかに見えるかな?と思ってわざと男の子っぽい格好にしてみたり・・・
「お待たせ。じゃあいこっか。」
「うん!」
リカちゃんはほんとにうれしそうにしてる。うん、楽しみだなぁ。
- 37 名前:いちゃいちゃして過ごす 日曜? 投稿日:2002年03月03日(日)23時21分34秒
街に出て、とりあえず家具屋に行ってみる。
やっぱ、布団買わないとな・・・
「ひとみちゃん、なに買うの?」
「うーん、とりあえず布団買おうよ。」
「うん。わかったぁ。」
他愛もない話をしながら家具屋の中を回って。たまーに聞こえてくる声の中に、
「ずいぶん若いカップルだね・・・同棲でも始めるのかね。」
とかがあったり。やった、男っぽい格好にしてきたの成功かな?
「ひとみちゃん、あたしたち、『こいびとどおし』にちゃんとみえてるのかな?」
なんてリカちゃんが言ってきたりして、すっげー嬉しいっす。
- 38 名前:いちゃいちゃして過ごす 日曜? 投稿日:2002年03月03日(日)23時22分11秒
- しかし、家具屋の中回ってて気付いたけど、リカちゃんってピンク系統の小物が好きみたい。
リカちゃんにピンク。うーん、似合うなぁ。
結局、リカちゃんの気に入ったピンクのカバーの布団を買って。明日には届くみたい。
今日もくっついて寝るのか・・・嬉しいような困るような。
そのあとは、いろんなお店を回ってリカちゃんの洋服とかを買った。
リカちゃんはやっぱりというか何というか、女の子らしい洋服を選んでた。
しかも、それがめちゃくちゃ似合ってて。こんな子が恋人なんてかなり幸せじゃないか?あたし・・・なんて思ってみたりした。
- 39 名前:いちゃいちゃして過ごす 日曜? 投稿日:2002年03月03日(日)23時23分16秒
一通り買い物を終えて喫茶店に入る。
リカちゃんは今日買ったピンクの膝丈くらいまでのワンピースに着替えてる。
「ねぇひとみちゃん、これって『でーと』なんだよねっ!」
「え、り、リカちゃん?誰に聞いたの?そんなこと?」
「マキちゃん。にんげんの『こいびとどおし』でいっしょにおかいものしたりおちゃしたりしていちゃいちゃするのって『でーと』って言うんでしょ?」
マキちゃんって、リカちゃんに何教えてたんだ?
とりあえず、これをデートって思ってくれてたのはすごい嬉しいけどね・・・
「そうだね。これもデートみたいなもんだね。」
「うれしいなあ。ひとみちゃんと『でーと』だぁ。」
目の前でにこにこ笑ってるリカちゃん。
やっぱ、傍目から見てもこれって普通にカップルがデートしてるように見えるのかな?
それって、嬉しいような複雑なような・・・だって、そう見られてたら確実にあたし女扱いされてないわけだし・・・
- 40 名前:いちゃいちゃして過ごす 日曜? 投稿日:2002年03月03日(日)23時23分51秒
- それからは、いつもしてるようにのんびりと喫茶店でお茶とか飲みながら会話して。
やっぱりリカちゃんは外のこと気になるみたい。家の中でじっとしてるのはつまんないか・・・やっぱつまんないよね。
でも、全くの他人と住んでるってばれてヘンな噂流れるのもなぁ・・・
「あっ!ひとみちゃん!みてみて!!」
あたしがちょっと考えてると、リカちゃんが何かに気付いたみたいに話しかけてきた。
「え、どーしたの?リカちゃん?」
「あれ、マキちゃんだ!」
リカちゃんが指さす方向には、市井先輩と・・・ごっちんの姿。
「人違いじゃない?あの子、うちのクラスのごっちんだよ。」
「ううん、そんなことないよ。春の精っておんなじ春の精のことはすぐわかるもん。」
「うーん・・・そうなの?」
「そうなの!」
リカちゃんは必死になってる。こんなんじゃ信じないわけにいかないって・・・
「よし、わかった!じゃああの人達がお店出たら聞いてみよう。本当にマキちゃんならリカちゃんにも気付くだろうし。」
「うんっ!」
ホントにごっちんはマキちゃんなのかな・・・最初にごっちんを見た時に思ってたことがあたしの中にもまた出てきた。
- 41 名前:こんな偶然もありですか 投稿日:2002年03月03日(日)23時24分36秒
- 「ごっちーん!市井せんぱーい!」
日曜日、いちーちゃんと買い物に来てしあわせー!とか思ってたら後ろから声をかけられた。
誰だー!あたしといちーちゃんのらぷらぶでーとを邪魔するのはー!とか思って振り返ったら、そこにいたのは・・・
「よしこ!それに・・・リカちゃん!?」
えー?何で!?何でリカちゃんとよしこが一緒にいるの!?
「ほら、ひとみちゃん。やっぱりマキちゃんだったでしょ?」
「でも、向こうあたしのこと知らないみたいだったし。」
ちょっと待って、ひとみ、ひとみ・・・あっ!
「あーっ!思い出した!あの時リカちゃんと一緒にいたひとみって人!よしこだったんだ!」
「ち、ちょっとマキ、どーなってんだ?お前吉澤のこと知ってたの?」
いちーちゃんはわけがわかんないみたい。そりゃそーか。
とにかく話さなきゃ・・・ってことで、あたし達は近くの公園にむかってった。
- 42 名前:こんな偶然もありですか 投稿日:2002年03月03日(日)23時25分11秒
公園はあんまり人がいなくて、けっこう安心した。
「とりあえず、吉澤。あんたはマキのこと知ってたの?」
「あ、はい・・・確信は持てなかったし、他人のそら似だと思ったんで言わなかったんですけど。」
いちーちゃんはよしこに話しかけてる。そりゃそっか。いちーちゃんはあたしたちが会ったことあるなんて知らなかったし・・・
「次に、その子はマキと同じ春の精・・・ってことでいいんだね?」
「はい、リカちゃんもごっちんと同じで春の精です。」
「・・・マキ、何で言わなかったんだよ・・・」
いちーちゃんが疲れた顔してこっち見てる。ごめんねいちーちゃん。
「あはは、あたしすっかりリカちゃんと一緒にいた人のことなんて忘れてて・・・」
「何だよ・・・吉澤には隠す必要無かったのか・・・」
完璧に疲れ切ってるいちーちゃん。悪いことしたな・・・
- 43 名前:こんな偶然もありですか 投稿日:2002年03月03日(日)23時25分46秒
- 「あの、こっちも質問あるんですけど・・・」
こんどはよしこがいちーちゃんに質問してる。
「ごっちん、どーやって転入してきたんですか?っていうか春の精って学校行けるんですか!?」
「マキたちの長がいろいろやって転入手続きとか済ませたらしい・・・」
「えっ!?リカちゃんたちの長ってそんなこと出来るの?」
よしこは知らなかったみたいでかなりびっくりしてる。
「うーん・・・あっ、そっかぁ!長にたのめばよかったんだぁ!」
「リカちゃん・・・リカちゃんも気付いてなかったのね・・・」
よしこも疲れた表情になってきた。まぁ、リカちゃんのこういうとこはいつもどおりだけど。
「でも、ごっちんが転入してきたって事は、リカちゃんも学校来れるんだ!リカちゃん、長に頼んできてよ!」
「うん!あたしもひとみちゃんといっしょにがっこー行きたい!」
お、リカちゃんもがっこー来るの!?やった!
- 44 名前:こんな偶然もありですか 投稿日:2002年03月03日(日)23時26分22秒
- 「でも、リカちゃんも一人前になったんだねぇ。かなりそういうこと疎いと思ってたから。やっぱリカちゃんはよしこと両想いなの?」
「えっ!?やだマキちゃん、はずかしいよぉ。」
この様子からすると、リカちゃんとよしこもいい感じなんだろうな。
「あは、照れない照れない。あたしといちーちゃんもいい感じだよねー。」
「ま、マキ!何言ってんだよ!」
「しっかし、市井先輩とごっちんがいとこじゃなくて恋人とはねぇ・・・」
「こら、吉澤!お前だって同じだろうが!」
いちーちゃんはかなり慌ててる。おもしろーい。
このあと、あたしたちはかなりおしゃべりしてた。いちーちゃんとふたりっきりのデートじゃなかったけど、こーいうのもいいかも。
しかも、これからはリカちゃんもがっこー来るなんて・・・うんうん、ますますがっこーが楽しくなってきたっ!
- 45 名前:雪音 投稿日:2002年03月03日(日)23時27分59秒
- 更新です。何か展開無理矢理だなぁ・・・
もーちょっといしよしお買い物に凝れば良かったかも・・・
これからはリカちゃんも学校に来るので、だいぶ出番も増えるかな?
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月04日(月)04時05分15秒
- かぁぃくて頬が緩みます(w
- 47 名前:夜叉 投稿日:2002年03月04日(月)14時08分14秒
- これからどんな学校生活が始まるのか楽しみです。
期待してますので、頑張ってください。
- 48 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年03月06日(水)19時46分44秒
- う〜ん。かわいいっす。かわいすぎます。
梨華ちゃんも、学校に行けるみたいだし・・・・。
これからの展開に期待しています!
- 49 名前:雪音 投稿日:2002年03月08日(金)19時22分42秒
- みなさま口々に可愛いと・・・ありがとです。
どんな学校生活にしようかな・・・浮かばねぇ(爆)
ちょっと(かなり?)後の方の展開は決まってるんですが、そこにたどり着くまでの経緯が・・・
浮かばないので前スレの方に短編書いてきました。
こことは全く雰囲気違う話です。
- 50 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時23分04秒
- 夏がやってきた
リカちゃんが転入してきて3ヶ月。
最初、リカちゃんは体が弱くて転入が遅れたって事になってた。
ラッキーなことに市井先輩と同じクラスだったから、教室でのことは市井先輩に頼んでおいたし。
ちなみに、リカちゃんは石川梨華って名前で学校に通ってる。これも別次元のアイドルの名前だとか・・・
さらに、リカちゃんはうちのバレー部のマネージャーになってくれて(安倍先輩もかなり喜んでた)部活にもさらに力が入るし。
そんな楽しい生活を続けて今は7月。夏真っ盛り。
初めて人間の世界で夏和迎える春の精たちは・・・
「よしこぉ〜、あーつーいー・・・」
バテてた。
「ごっちん、授業始まるよ・・・」
「あつい・・・起きれない・・・」
ごっちんは机に突っ伏したまま起きあがれないでいる。
なんでも、半人前の時は春しか人間の世界に来れないし、春の精の世界は春の気候に保たれているので夏は本当に初めてだとか・・・
気温が上がりはじめてかからはごっちんはいつもこんな調子だった。
- 51 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時23分34秒
一日の授業が終わって、放課後。
「ごっちん起きなよ。放課後だよ。」
「んあ?放課後、放課後・・・・・あっ!よしこ急ごう!いちーちゃんとリカちゃんのとこ行こー!」
「起こしてたのはあたしだって・・・」
市井先輩のところに行く時はホントにごっちん元気だよな・・・
そんなことを考えながら、あたしはごっちんに引っ張られながら市井先輩とリカちゃんのクラスに向かった。
「市井先輩、リカちゃん、部活行きましょう。」
先輩達のクラスに着いて、待っていた市井先輩に声をかける。
「いちーちゃん!会いたかったー!」
「昼休みに会ったばっかりだろ・・・リカちゃん、吉澤来たよ。」
ごっちんに飛びつかれながらリカちゃんに声をかける市井先輩。リカちゃんもその声を聞いてこっちを向いた。
かなり顔色悪い・・・大丈夫かなリカちゃん・・・
「あ、ひとみちゃん・・・」
リカちゃんが立ちあがろうとして・・・
- 52 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時24分08秒
- ガタガタッ!と言う音がする。
見ると、リカちゃんはそのまま倒れてしまっていた。
「リカちゃん!大丈夫!?」
ごっちんがリカちゃんに駆け寄る。返事がない。
「よしこ、どーしよー!リカちゃん起きないよ!」
「ごっちん、市井先輩、先に部活行っててください。あたしはリカちゃんを保健室に連れてくんで。」
「わかった。マキ行くぞ!」
「う、うん。」
ごっちんはかなり心配そうにしてたけど、市井先輩についてった。
あたしは、ぐったりとしてるリカちゃんを抱えて保健室に向かった。
- 53 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時25分44秒
保健室でリカちゃんを寝かせる。先生の言うことによると熱射病のようなものらしい。
ただでさえ暑さに弱い春の精で、ごっちんほど体力があるわけでもないので倒れちゃったんだろうな・・・
「ん・・・あれ?ここどこ・・・?」
「あ、リカちゃん起きた?ここ保健室だよ。」
「ほけんしつ・・・そっか、あたしたおれちゃったんだ・・・ひとみちゃん、部活は?」
「市井先輩に遅れるって伝えてもらった。」
「だめだよぉ!ひとみちゃん部活いかないと・・・」
そう言ってリカちゃんは立ち上がろうとして・・・またふらついてベッドの横に座ってたあたしにもたれかかる。
「ふぇ・・・あたまくらくらする・・・」
「暑さに弱いんでしょ?無理しちゃダメだよ。」
「でもぉ・・・・・・」
「どっちみちリカちゃん心配で部活手につかないだろうし。ちゃんと連絡してるから大丈夫だって。」
リカちゃんはまだ何か言いたそうだったけど黙ってた。
「ほらほら、リカちゃんはゆっくり休んで。」
「うん・・・ごめんねひとみちゃん・・・」
ちょこん、とベッドの中から顔を出してるリカちゃん。暑さのせいか目がボーっとしてる。
うっ・・・変な気起こしそう・・・いかんいかん、ここは学校だぞ!
- 54 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時26分16秒
- 「じ、じゃああたしは部活行ってるよ。リカちゃん大丈夫そうだしね。」
「うん。あ、あのねひとみちゃん・・・」
「何?」
リカちゃんが少し照れながら行ってきた次のセリフは・・・
「あのね、『りょうおもい』のしるし、してほしいな・・・」
はい!?それって、「キスして」ってことだよね?
「わかったよ、リカちゃん」
そう言って、あたしはベッドに寝ているリカちゃんにそっとキスをする。
唇が離れてから、リカちゃんは微笑んで
「ありがと、ひとみちゃん。部活がんばってね。」
何て言うもんだから。もうこの後の部活にもかなり気合いが入りそうだぞー!
- 55 名前:夏がやってきた 投稿日:2002年03月13日(水)15時26分55秒
「よっすぃーと梨華ちゃんが遅れる、と。これでいいの?紗耶香。」
「うん。ごめんねなっちいきなり。」
「仕方ないって。梨華ちゃん倒れたんでしょ?」
なっち先輩といちーちゃんが話してる。よかったー。これでよしことリカちゃん遅れてきても平気だね。
でも、そのあとのなっち先輩のセリフが、あたしの中にひっかかることになった。
「まぁ、初めてだろうしね、夏は。まぁ何年かこっち居れば慣れるっしょ。」
あれ?『夏が初めて』って・・・ここでの夏が初めてって意味?
それとも・・・なっち先輩は春の精のこと、知ってる?
「なっち先輩、それって・・・」
話しかけようとしたけど、なっち先輩はもういなくなってた。
すごく、あたしの心のどこかになっち先輩の言葉がずっともやもやし続けることになった。
- 56 名前:雪音 投稿日:2002年03月13日(水)15時29分13秒
- はい更新です。いきなり夏(爆)
最後にちょこっとなっちに関する謎を残しました。
ちなみに、言われる前に書いておきますがなっちは春の精じゃありません。
- 57 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月13日(水)15時51分15秒
- お待ちしておりました(w
なっち何かを知っているようですね(にや
相手は誰だ(爆)
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月14日(木)22時51分10秒
- >57
1をもう一度読んでみよう!!
答えが書いてあるよ〜ん。
大人になっても小さいままだったのね・・・。
外れてたらスマン!
- 59 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時15分56秒
- 「なっちが何か知ってる?」
「うん、そう。」
あたしは、なっち先輩についての疑問を家に帰ってからいちーちゃんに話した。
よしことリカちゃんにも頼んで来てもらってたりする。
「でも、前になっちの家に行った時誰も他にいなかったぞ。」
「うん。なっち先輩も放ってるオーラみたいのは普通の人間と変わんないし・・・」
「何なんだろうね。っつーかばれてるんだったらリカちゃんもごっちんもやばくない?」
「えぇ?ばれちゃってたらもうみんなとがっこーいけないのぉ?やだな・・・」
「「「「うーん・・・」」」」
みんなそのまま考え込んじゃった。どーしたもんかなー・・・よしっ!
- 60 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時16分33秒
- 「じゃあさ、今度の引退試合の時あたしなっち先輩に聞いてみる!」
「ま、マキ!?大丈夫なのか!?」
「大丈夫だよ。引退したらあんま会うことなくなるし、もし知ってて、やばそーでも口止めしとけばさ。」
「それは大丈夫なのか・・・?」
いちーちゃんのセリフも気にしない気にしない・・・
「だってさ、このまま何もわかんないのやだし。」
「じゃあ、みんなで行こうよ。いいですよね、市井先輩?」
「ま、まあ・・・」
よしこナイス!いちーちゃんもこれで納得し(たというかなにも言えなくなっ)てるし。
「じゃあ決定!それじゃ引退試合が終わった後、ね。」
- 61 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時17分08秒
そして引退試合の日。なっち先輩に早く聞かなきゃってこともあってあたしはむちゃくちゃ気合い入ってた。
そのせいでいちーちゃんとかよしことか矢口先輩とかに「ごっちん、怖いよ・・・」って言われちゃったけどね。
でもまぁ、そんな気合い入ってたおかげで試合には勝てたし、なっち先輩も気分良さそうに矢口先輩と話してる。
部室には他に誰もいないし・・・よしっ、チャンス!
「なっち先輩、ちょっと聞きたいことが・・・あ、矢口先輩ちょっとどこか行っててもらえませんか?」
「なんだよー!オイラは入っちゃだめなのかよー!?バレーの事じゃないの?」
「いや、ちょっと・・・あはは・・・」
矢口先輩かなり怪しんでる・・・まずいかも・・・
「いいよ、ごっちんたちが聞きたいことは何となくわかるし。矢口は大丈夫。全部知ってるから・・・」
へ!?矢口先輩も知ってる!?どーゆーこと?
「ごっちんたちが聞きたいのは、どーしてごっちんたちの正体を知ってるか、でしょ?」
あたしたちはみんな無言でうなずいてる。
- 62 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時17分38秒
- 「なっちも正確に知ってるわけじゃないよ。何の妖精かはわかんないし・・・」
「え?それってどーしてなんですか?」
「うーんとね、なっちは雪の精なのさっ!」
「「「「えええええーっ!?」」」」
ま、まだ妖精がいたの!?でも・・・
「でも、なっち先輩から出てるオーラって普通の人間のような・・・」
「5年以上もこっちにいるしね。まぁ雪の精同士ならこれでもばれるよ。」
そ、そうなんだ、びっくりした・・・
「矢口先輩が知ってるってことは、なっち先輩と矢口先輩も『りょうおもい』になったんですかぁ?」
リカちゃんがあたしも思ってたことを聞いてくれた。
「違うんだよねぇ。雪の精が一人前になる条件は『暖かい気持ち』だから。」
「暖かい・・・気持ち?」
「そ。なっちの冷たくなってた心をあったかくしてくれたのは矢口だからね。」
「ほんっと、最初会った頃のなっちは別人だったよー。ぜんっぜん笑わないしあんま喋ってもくれないし。矢口も苦労したんだから。」
「もぉ!それは言わない約束っしょ!」
「アハハ、ごめんごめん!」
なっち先輩と矢口先輩、楽しそうだな・・・こういう関係もすごくいいかも。
- 63 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時18分16秒
- 「それより・・・あんたたち、今の話を聞くとあんたたちの条件は『両想いになること』みたいだけど・・・相手は誰だぁ!?」
矢口先輩が興味津々って顔でこっち見てる・・・どーしよ。
「ごっちん、市井先輩、リカちゃん・・・どうする?」
「なんか隠しても無駄な感じするけど・・・」
「ふぇ?いっちゃだめなの?」
「そんなハッキリ言ったら恥ずかしいでしょうが!まぁ、言うしかないって感じもするけど。」
「しかたない、言うか・・・」
そー言っていちーちゃんはあたしの手を握ってきた。
- 64 名前:なっちと矢口と妖精達と 投稿日:2002年03月15日(金)00時18分54秒
- 「マキの相手はあたしです。まあ、マキがあたしの親戚って事にしてる時点で気付いたかもしれないけど・・・」
「そっかー。紗耶香がごっちんってことは・・・よっすぃーと梨華ちゃんか。」
「ええ、まぁ・・・」
「うん!私とひとみちゃんは『りょうおもい』だよ。」
「りっ、リカちゃん!」
よしこが口ごもってる横でハッキリ言っちゃうリカちゃん。まぁ、リカちゃんらしいけど。
でもこれで、また隠す必要がなくなった人が増えたのか。それはそれで楽になったけどね。
「照れない照れない。なっちと矢口だって両想いみたいなもんだし。ねー矢口?」
「おいっ!なっちも言わないでよー。」
そのあと、みんな笑ってた。矢口先輩はかなり恥ずかしそうだったけどね。
最後になっち先輩はちゃんと他のみんなには黙っておいてくれるって言ってたし。
こうして、あたしたちの慌ただしい試合の日は終わりました。
- 65 名前:雪音 投稿日:2002年03月15日(金)00時24分49秒
- 更新です。こういうことでした。
>58さん
相手自体はあってますが・・・
このレスを読んだ時「ひっかかってるひっかかってる」とほくそ笑んでたり(性格悪っ!)
ほとんどの人はひっかかったんじゃないですかねー。
補足。『両想い』は恋愛で『暖かい気持ち』は家族愛のような感じでとってください。
妖精達はそれぞれ一人前になる条件が違うのですが・・・このあとの話ではそれがけっこうキーになってたりします。
この次はやぐなち番外編を書こうかなー、と。二人の出会った頃のお話。
- 66 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月15日(金)06時01分14秒
- 番外も期待
- 67 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月15日(金)20時11分41秒
- 矢口が妖精かと思っていたら、なっちだったんですね(w
しかも雪(w
オガタカはどーなるのかな(w
- 68 名前:58 投稿日:2002年03月16日(土)09時14分58秒
- はめられた・・・。
もうあなたについていくしかないわ!
責任とってね(爆)。
私も番外期待です!!
- 69 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月16日(土)20時27分20秒
- そっかーなっちか・・・・。(笑
はまりましたです。
番外編期待しています!!
- 70 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時05分04秒
『強い想いを込めて初雪のひとひらを手に取れば、雪の妖精が舞い降りる』
そんな話を聞いたのはいつだったか忘れたけど。
- 71 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時05分56秒
初雪の日。あたしは泣いていた。
父と母が離婚する。そう聞かされて、何も考えられなかった。
二人ともあたしを見ていなかった。うっとおしい物のようにあたしを見て。
耐えられなくなって、雪の中飛び出していった。
そんなときふと思い出した言葉
『強い想いを込めて初雪のひとひらを手に取れば、雪の妖精が舞い降りる』
その言葉を、完全に信じたわけじゃないけど。
「父さんと、母さんの離婚を、止めて・・・・・・あたしを一人にしないで・・・・・・」
そう言って手を伸ばしたら、降ってくる雪が手に集まって。
その手に積もった雪がまぶしいくらいに光り輝いた。
- 72 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時06分34秒
目を開けると、人形くらいの大きさの少女が目の前にいた。
ショートカットが似合う可愛い子だった。
「あんた、何?雪の精?」
少女は、無言でうなずいた。表情は変わらない。
「名前は?あたし矢口真里。」
「・・・・・・・・・ナツミ。」
「ナツミかぁ。よろしくね!」
ナツミ、と名乗った少女に手をさしのべる・・・が、握り返してこない。返事もないし、表情も全く変わらなかった。
雪の精って、人形・・・なわけないか。ちゃんと考えてるみたいだし。
「な、ナツミってさぁ、雪の精でしょ?やっぱりこの雪もナツミが降らせてるの?」
ナツミはまた無言でうなずいた。ほんとに人形みたい・・・
「じ、じゃあさ・・・」
なんとかあたしがナツミを喋らせようとしている時・・・
『ぐうぅぅぅ〜っ』
・・・・・・これって・・・・・おなかの音?
ふとナツミを見てみると、あまり表情は変わってはいないけど、恥ずかしいのかうつむいてた。
「あははははっ!お腹すいてんの?よーっし、うち来なよ!そろそろ晩ご飯だし何か食べさせてあげる!」
「え・・・・・・」
「よーっし、行くぞー!」
そう言って、あたしはナツミを抱えて家に帰った。
- 73 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時07分39秒
家では冷たい空気が流れてた。会話のない食卓。
「あ、あたし部屋で食べるから!」
そう言って、食事をお盆に載せてナツミが待っている部屋に戻った。
ナツミは、机にちょこん、とやっぱり無表情のまま座ってた。
「ナツミ、ご飯持ってきたよ。一緒に食べよ。」
と、ナツミに勧めてみたけど、サラダ以外食べようとしない。
「ナツミ、何でサラダしか食べないの?あ、もしかして野菜しか食べれないとか!?」
「ううん・・・・・・」
「じゃあどうしたの?」
そう聞いたら、ナツミはまた顔を伏せてこう言った。
「あついの、苦手・・・・・・」
「え?」
そう、ナツミは極度の猫舌だった。やっぱり雪の精だから?
- 74 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時08分17秒
- 「ぷっ・・・あははははははっ!なーんだ!最初から言えばいいのに・・・おっかしー・・・」
あたしは爆笑してた。ナツミはそんなあたしを見てあっけにとられた顔をしてる。
「はー、おかしかった・・・こんな笑ったの久しぶりかも・・・ナツミのおかげだね。」
「あたしの、おかげ?」
「そう。ナツミのおかげ。よかったら、しばらくここにいたら?あたしもその方が楽しいし。」
そう言うと、ナツミはしばらく考え込んでたけど、その後照れくさそうにうなずいてた。
それから、ナツミとあたしの生活が始まった。
毎日部屋で食事を一緒にとって。母さんは不思議がってたけど気にしなかった。
帰ってきたらナツミと話す。少しずつだけど、ナツミの口数も増えてきた。
ナツミとずっと一緒にいる生活が当たり前になっていて。ナツミが雪を降らせる所も見せてもらった。
思えば、あの時の願いは叶えられたのかもしれない・・・あたしは、一人ではなくなってた。
ただ一つ気になること・・・ナツミは、いくらたっても笑顔を見せてくれなかった。
- 75 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時08分48秒
2月に入って、離婚が確定的になった。
「ナツミぃ、あたしどうすればいいんだろうね・・・どっちも選びにくいなぁ。」
「・・・それは矢口が決めることだよ・・・」
「わかってるって。でも・・・どっちに行ってもナツミはついてきてくれるでしょ?」
そう言った時、ナツミの言葉が止まった。
「あたし、行けない・・・・・・」
「え・・・?」
「あたしは半人前だから・・・冬が終わったら帰らなきゃ・・・」
「あ、そっか・・・そうだよね。あはは・・・ナツミも帰っちゃうのか・・・」
それからは何を話したのかよく覚えてなかった。
ただ覚えてたこと・・・あたしの言葉は、ひどくぎこちなかった。
- 76 名前:5 投稿日:2002年03月20日(水)21時09分22秒
それからもナツミとあたしは表面的には変わらなかったけど、あたしはどうしたらナツミがいなくならないか・・・そればかり考えていた。
両親の離婚よりも、たった2ヶ月程度しか一緒にいなかったナツミとの別れがひどく辛い。
いつのまにか、あたしの中でナツミはとても大きな存在になっていた。
そして、別れの時が来た。
- 77 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時10分39秒
「ナツミ・・・もう行っちゃうの?」
「うん。冬が終わるから・・・・・・」
「そっか、仕方ないんだ・・・」
ナツミの顔は変わらない。いつもの無表情のまま・・・それがひどく悲しかった。
「ナツミ、ありがと。ナツミがいたからあたし寂しくならずにすんだよ。」
必死に笑顔を作る。
「ナツミがいなかったら、あたしは人生に絶望してたかもしれない。」
こらえきれない涙が、頬を伝う。
「元気でね、ナツミ・・・あたしのこと、忘れないで・・・あたしも、忘れないから・・・」
涙が止まらない。きっとあたしはひどい顔をしてるんだろうな。
- 78 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時11分14秒
- そこにはナツミの姿。
ナツミも・・・泣いていた。
「ナツミ・・・?」
「矢口・・・あたし、変・・・帰らなきゃ溶けちゃうのに、わかってるのに、帰りたくない・・・」
無表情だったナツミの初めて見た泣いた顔。
・・・・・・初めて見る表情のある顔が、泣き顔って言うのも辛いな・・・・・・
「いっしょにいたいよ・・・でも、でもダメなんだよ・・・辛いよ、矢口・・・」
「ナツミ、来年も来てよ。あたし、待ってるから。絶対ナツミを呼ぶから・・・」
「うん・・・約束だよ、矢口・・・」
そう言ったナツミの顔は、暖かい笑顔で。
その瞬間、ナツミの体から光が溢れた。
- 79 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時11分44秒
目を開けた時にあったのは、あたしと同い年くらいの女の子の姿。
ショートカットがよく似合うその顔は、間違いなくナツミのもの。
「な、ナツミ・・・?」
「あれ・・・これって・・・一人前に、なった・・・?」
ナツミも訳がわかっていないようで唖然としてる。
「一人前って・・・?」
「あ、あのね・・・一人前になれば、普通の人間みたいに、一年中こっちにいられるの・・・」
「え、ってことは・・・」
「離れなくて、いいの・・・」
離れなくていい?ずっとナツミといられる?
「やったぁーっ!これからはずっとナツミと一緒だぁっ!」
そう叫んでナツミに抱きつく。
「く、苦しいよ矢口・・・」
ナツミが苦しそうにしてたけど、それでも嬉しくてしばらくナツミに抱きついてた。
そして、気が済んでからナツミの手を取ってこう言った。
「これからもよろしくね、ナツミ!」
ナツミは少し戸惑ってから、とびっきりの笑顔でこう言ってくれた。
「・・・こちらこそよろしく、矢口!」
- 80 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時12分18秒
ナツミが長に話を聞いた所、雪の妖精が一人前になる条件は『暖かい気持ち』を持つこと。
つまり、無感情だった状態から暖かい感情を手に入れれば良かった。
あたしたちは、無意識に一人前になる条件を満たしていたんだね・・・
それから、離婚が決定して・・・あたしは、どちらも選ばなかった。
とりあえず社長なんぞやってたおかげで金だけはある父さんに頼んで、お手伝いさんをつけて中学卒業まではナツミとマンションで暮らしてた。
そして、今は・・・・・・
「矢口ぃ!やぐちやぐちやーぐーちぃー!早くしないと遅れるぞー!」
「なっち・・・そんなにせかさなくても大丈夫だから・・・」
あたしとナツミ・・・なっちは同じマンションの隣の部屋でそれぞれ一人暮らしをしてる。
理由は・・・一緒に住んでいたら妙な噂が立つので、という親の配慮だった。
まぁ、お互い合い鍵持ってるから二人で暮らしてるようなもんだけど・・・
あれから、なっちはかなり人間らしい感情をもってきた。
・・・まあ、そのかわりあたしに負けず劣らずやかましくなっちゃったけど・・・
- 81 名前:5 Years Ago−雪の妖精− 投稿日:2002年03月20日(水)21時12分56秒
- 「よーっし、行くぞなっちぃ!」
「おっけー、矢口!」
自転車の後ろになっちを乗せて、あたしたちは学校に向かう。
途中、見知った人影が4つ。
「紗耶香、よっすぃー、ごっちん、梨華ちゃん!今日も一緒に登校?」
「おー、矢口になっちか。」
「安倍先輩、矢口先輩おはようございます。」
「なっち先輩、矢口先輩おはよーございますっ!」
「あー、安倍さんと矢口さんだぁ!おはよー!」
この4人はあたしたちと同じで妖精と、その妖精を一人前にした人らしい。
しかも、春の精の条件は『両想い』なんてな・・・紗耶香もよっすぃーもやるなぁ・・・にひひ。
「矢口もなっちも毎朝一緒じゃんかよー。しかも二人乗りか。校則違反だろー?」
紗耶香が意地悪そーに笑いながら言ってくる。
「いーんだよ別に。じゃあなー!」
「みんな、また学校でねー!」
なっちが4人に向かって手を振ってる。
こんなほのぼのした光景が、今では当たり前で。
辛くて泣いていた雪の日のあたしは、この小さな雪の妖精に心を救われました。
あのときからずっと感謝してるよ。ね、なっち・・・・・・
- 82 名前:雪音 投稿日:2002年03月20日(水)21時21分23秒
- やぐなち番外編。過去話。
みなさまの期待通りの物になってるでしょうか・・・
>67さん
なっち雪の精ってのはこのスレ立てた時から決めてました。
オガタカは・・・次あたり出す予定。ちょっちシリアスっつーかにちょい重めの話になるかも・・・
>68さん
みごとにはまってくれましたのね。
責任はとらないわよ(笑)
>よすこ大好き読者さん
なっちです。はまりましたか。
番外、期待通りでしたでしょうか?
えー、重大なミスを発見しました。
リカちゃんがなっちと矢口のことを「なっち先輩」「矢口先輩」と呼んでましたが・・・
リカちゃん3年じゃん。先輩じゃねぇよ(爆)
つーわけで今回はちゃんと「安倍さん」「矢口さん」になおしましたです。
・・・こんなミス気付かない人は気付かないけどさ・・・墓穴掘り。
- 83 名前:68 投稿日:2002年03月21日(木)01時37分15秒
- >雪音さま
気付いてました(ニヤリ)。
さて、今後の展開はいかに!!
- 84 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月21日(木)21時38分05秒
- 全く気付きませんでした。(^^;恥
番外編よかったです。胸がキュンと、なっちゃいましたよ。(笑
ちっちゃいなっちも、かわいいですね。
いちごま・いしよしの、その後も見てみたいような・・・・・。
- 85 名前:naka 投稿日:2002年03月22日(金)02時14分55秒
- やはり、やぐなちはいいねぇ…
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月01日(月)15時58分52秒
- 始めて見ましたが、ほのぼのな感じでいいですね〜。
オガタカも次あたりでてくるそうで、楽しみです。
- 87 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時47分16秒
- 10月後半。なんと部長になってしまったあたし。
新人戦も終わって、なんとなく部の雰囲気も変わっていた。
まぁ、と言っても専門学校への進学が決まった矢口先輩、安倍先輩、市井先輩は毎日のように部活に来てくれてるし(市井先輩はごっちんに無理矢理引きずられてきてる感じもするけど・・・)
リカちゃんもいっつもあたしについてきてるし、飯田先輩もたまにのぞきに来てくれてるから、落ち着ける所もあるんだけど・・・
まぁ、それはともかくとして。
最近、小川の様子がおかしい。
練習が終わった後、妙に急いで帰っているし、たまにぼーっとしてるし。
しかも、誰とも一緒に帰りたがらない。
うーん、どうしたものかな・・・・・・
- 88 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時47分56秒
「うーん、それはなっちも気になってたよ。」
昼休み、思い切ってあたしはみんなに相談してみた。
あたしとリカちゃん、ごっちん、市井先輩、矢口先輩、安倍先輩の6人は最近はずっと一緒に屋上でお弁当を食べてたりする。
「やっぱりですか?何があるんでしょうね。」
「あんまり他人のプライベートとか首つっこむのもどーかと思うけど、ずっと上の空ってのも困るよなぁ。」
「ケガとかしたら危ないしねぇ。」
矢口先輩と安倍先輩が口々に言ってる。うんうん、あたしもそう思いますよ。
「でもほんとにまことちゃんどうしたのかなぁ。しんぱいだよぉ。」
リカちゃんも不安そうな表情になってる。
「じゃあさじゃあさ、みんなで調べに行こうよ!」
「ご、ごっちん!?」
また何言い出すんだこの子は・・・
「マキ・・・いきなり言うけど何するつもりだよ・・・」
「うーんと・・・家までこっそり後つけてくとか!」
また思い切ったことを言うごっちん。相変わらずごっちんの考えはわからん・・・・・・
- 89 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時48分28秒
- 「だめだよマキちゃん、そんなことしたら・・・」
お、リカちゃんがんばれ!ごっちんを止めろ!
「えー?リカちゃんも気にならない?このままじゃ小川ケガしちゃうかもだよ?」
「え、でも・・・・・・」
「ここでうちらが小川の相談に乗ってあげないと。そのためには小川が上の空な原因を見つけなきゃ。」
「う、うん、そうだね。」
・・・・・・リカちゃぁーん、言い負かされないでよ・・・・・・
「じゃあ決定!今日じゃ夜遅いから今度の日曜やってみよー!」
「ご、ごっちん、決定してないって・・・・・・」
「だめだ、こーなったらマキは止まらない・・・・・・」
市井先輩があきらめたようにつぶやいてる。
「紗耶香、大変だね・・・」
「ごっちん止めるのがんばってね、紗耶香・・・」
矢口先輩と安倍先輩が哀れみの目で市井先輩に声をかけてる。
それを聞いて、市井先輩はまたため息をついていた・・・
- 90 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時49分05秒
そして、日曜の練習終了後。
「それじゃあ、お疲れさまでしたー!」
と言って急いで帰っていく小川。
「よしっ、それじゃ後つけるよ!」
ごっちんが嬉々として先導している。あたしとリカちゃん、市井先輩(半強制的に連れてこられた)、矢口先輩、安倍先輩はごっちんについていってる。
「でも、矢口先輩と安倍先輩も来るとは・・・」
「だってねぇー。」
「可愛い後輩だもん。ほっとけないっしょ。」
なんて言いながら、顔はとっても楽しそうなんですけど・・・
この人達もごっちんと同類か・・・・・・
「何か、周り気にしてるね・・・よっぽどやましいことでもあるのかな?」
ごっちんが真剣な表情で小川の様子を隠れながら見てる。
「うーん、たしかに・・・あの様子は・・・」
「あやしいなぁ。」
「あやしいのれす。」
- 91 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時49分40秒
- 「「「「「「うわあっ!」」」」」」
いつの間にか後ろにいたチビッココンビに思わず叫び声を上げてしまった。
「い、いつの間に・・・」
「何かおもしろそーな事してるからついつい・・・」
「けっこーまえからついてきてました。」
あ、そうなの・・・よくよく考えたら目立つよねあたしらのしてる事って・・・
「あ、小川どっか入ってくよ!」
そう言う矢口先輩の声に振り向いて見ると、小川はある家に入っていた。
「あれ、ここ小川の家だ・・・・・・」
そう、その家の表札には確かに『小川』と書かれていた。
「でも、何で家に帰るだけなのにあんな警戒してるんだろ・・・」
そう言って、ふと横を見るとリカちゃん、ごっちん、安倍先輩の表情が真剣になっていた。
「ど、どーしたの?リカちゃんもごっちんも安倍先輩も・・・」
「ここのうちに、妖精がいる・・・・・・」
リカちゃんが真剣な顔のままつぶやいた・・・って、妖精!?
「マキ、ほんとか?」
「うん。妖精のオーラみたいのを感じる・・・何の妖精かはわかんないけど・・・」
「しかも、近づいてくる・・・外に出ようとしてるみたい。」
安倍先輩が言った時、がちゃり、とドアが開いた。
- 92 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時50分55秒
- そこには何かを持った小川の姿。
しかも、ぱっと後ろ手に隠した。もしかして・・・
「せ、先輩方、どうしてここに・・・」
「いや、最近様子がおかしかったから話できないかなーと思って来たんだけど・・・」
さすがに、つけてきたとは言いにくいので、曖昧に言っておく。
「ところで、何持ってるの小川?」
「え?な、何でもないですよ、あはは・・・」
明らかに動揺してる小川。必死に隠そうとしてるのはバレバレだ。
しかし、その努力も次の一声で無駄になる。
- 93 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時52分01秒
- 「な、何やこれ!人形か?」
「かわいいのれす!」
「えっ!?」
思わず、いつの間にか後ろに回り込んでいたチビッココンビの方を向いてしまう小川。
そして、隠していた物が見えてしまった。それは・・・・・・
「小川、それってもしかして・・・妖精?」
赤い帽子にベージュのセーター、赤いスカート。
大きな目が印象的な、黒髪の可愛い少女。
リカちゃん達より地味な格好だけど・・・その小さな人影はまさに妖精だった。
「あ、えーと、あの・・・」
「大丈夫だよ。矢口達は妖精達のことは知ってるからさ。ちょーっと話聞かせて欲しいなぁ。」
小川に詰め寄る矢口先輩・・・ちょっと怖いっす。
「・・・・・・は、はい・・・・・・」
小川も、矢口先輩の迫力に負けて返事をしてしまった。
- 94 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時53分34秒
「じゃあその子は秋の精なんだ。」
小川から一通り話を聞いたあたしたち(あんまり事情を知らないチビッココンビは帰した)。
小川の話では、この子は秋の精で、アイという名前らしい。
「しっかし、いろんな妖精が揃ったな・・・マキとリカちゃんが春の精で、なっちが雪の精か・・・探せばまだ居るんじゃないのか?」
「まっさかー!そんなに都合良くいるわけないよー!」
市井先輩とごっちんはそんなことを2人で笑いながら話してる。
「でも、ほんとにいっぱいいたらたのしいよねぇ。」
リカちゃん、そんな呑気な・・・
「でも、安倍先輩、石川先輩、後藤先輩が妖精なんて・・・知りませんでした。」
「そりゃばれたら大変だもん。みんな隠すさー。」
安倍先輩も笑いながら答えてる。なんでこんな妖精達って楽天的なんだろ・・・
- 95 名前:アキの精 投稿日:2002年04月03日(水)22時54分46秒
- 「で、小川はアイちゃんの手助けをするために急いで帰ってた、と。」
「私とひとみちゃんもそうだったよね、ひとみちゃん。」
「そういえばそうだったね。」
そうだ、今年の春休みにリカちゃんの手助けをして・・・リカちゃんが一人前になって。
それからずっと一緒。よく考えたらまだ半年ちょっとしか一緒にいないのかぁ。
もっと長い時間一緒にいるような気分だけどね。
「練習とか上の空で・・・すみません。でも、私アイちゃんの手伝いをしてあげたいんです。」
「麻琴ちゃん・・・」
横にいるアイちゃんが不安げに小川を見つめている。
「わかったわかった。そのかわり、練習も気合い入れてやるんだよ。」
「は、はい!よかったねアイちゃん!」
「うん!ありがとう麻琴ちゃん!」
にこにこしてる二人。ほんとに仲がいいって感じがするなぁ。
でも・・・・・・一人前になれなければ、この二人にも別れなきゃならない時が来る。
秋の精の一人前になる条件って何だろう・・・・・・とあたしは考え出していた。
- 96 名前:雪音 投稿日:2002年04月03日(水)22時57分13秒
- 今回はここまで。やっと高橋登場。
暴走特急後藤真希、もう止まりません(笑)市井ちゃんご愁傷様。
だんだん展開的にアキの精は重くなっていきます。
そしてこの後視点がどんどん変わるので読みにくいかも・・・
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月04日(木)00時17分38秒
- お待ちしてました〜
高橋は秋の精ですか(w
重くなっていくとありますが・・・
どうなっていくのか楽しみにしています
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月05日(金)21時02分28秒
- どういう展開になるか気になりますね…。
- 99 名前:アキの精−小川視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時39分04秒
- 「小川、アイちゃんの様子はどう?」
練習中、吉澤先輩が話しかけてきた。
「アイちゃんですか?ほとんど仕事終わりみたいで・・・でも、何か悩んでるんですよね。」
「悩んでる・・・そっか。」
そう言って吉澤先輩はまた練習に戻っていった。どうしたんだろ?
練習を一通りこなして家に帰ると、アイちゃんが飛びついてきた。
「麻琴ちゃんおかえりー!ほら、早くいこいこ!」
「あ、アイちゃんどしたの?何か焦ってるけど。」
「な、何でもない何でもない。ほら、早くしないと秋が遅くなって変になってまうし・・・」
ん?やっぱ変・・・だけど、その違和感を考えないようにして、あたしはアイちゃんの手伝いに出かけた・・・
- 100 名前:アキの精−アイ視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時39分32秒
- 麻琴ちゃん、やっぱあたしが変なこと気付いてるなぁ。
でも、長は一人前になる条件教えてくれないし・・・
このままじゃ期限が来て麻琴ちゃんと離れちゃう。それだけは絶対やだ!
だから、早く仕事を終わらせて、条件を見つけないと・・・
「ここも終わったね、アイちゃん。」
「え?あー、うんそうだね。麻琴ちゃん。」
またどもった返事しかできない。あーどーしよ。
「・・・やっぱアイちゃん変。どうしたのさ。」
「な、何でもないよ。心配しすぎだって。」
「ならいいけど・・・無理しちゃダメだよ、アイちゃん。」
「わかっとるって。」
ごめんな麻琴ちゃん。麻琴ちゃんに別れなきゃなんないなんて言えないよ・・・
- 101 名前:アキの精−マキ視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時40分37秒
- 「秋の精が一人前になる条件、ねぇ。聞いたこと無いなぁ・・・基本的に他の妖精の条件って知らないから。」
「そうなんですか・・・」
なっち先輩でも知らないんだ。じゃあ誰に聞こう。
「でも、秋の精の条件って秋の精自身にも教えないって聞いたから・・・すっごい大変なんだとは思うよ。」
マジ!?じゃああの2人・・・だいじょぶかな?
「ありがとうございました、なっち先輩!」
「ううん、なっちでよければいつでも力になるよ!」
そう言ってくれるなっち先輩に送られて3年の教室を出るあたし。
「ごっちーん!どうだった?」
「ダメ。なっち先輩も知らなかった。」
「リカちゃんも帰ってきたけど、やっぱ教えてもらえなかったみたいだし・・・」
「うーん、どうなんだろうね・・・」
あれからずっと、あたし達は秋の精の一人前の条件について調べていた。
でも、未だに手がかりゼロ。
- 102 名前:アキの精−マキ視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時41分09秒
- 「やっぱ、一人前になった秋の精を探すとか・・・?」
「そんな都合良くいるかなー?」
「わかんない・・・けど、それしかなくない?」
「そうだよねー・・・」
また考え込むあたしとよしこ。そこにいちーちゃんとリカちゃんが走ってきた。
「マキ!どうだった?」
「ダメだった・・・どーしよいちーちゃん・・・」
「秋の精さん、さがすしかないのかなぁ?でも・・・あたしちからよわいからずっとにんげんのとこにいる妖精はわかんないし・・・」
リカちゃんも落ち込みながら言ってる。あたしも似たようなもんだしなぁ・・・って、あっ!
「そうだ!なっち先輩に頼もうよ!なっち先輩なら妖精の気配くらいはわかるだろうし!」
「また頼みに行くの?安倍先輩迷惑じゃないかな?」
「だいじょーぶだよ!なっち先輩いつでも力になるって言ってたし!いこっ!」
そう言って、あたしたちはさっき出てきたなっち先輩の教室にまた向かってった。
- 103 名前:アキの精−吉澤視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時41分38秒
- 安倍先輩は快く承諾してくれた。やっぱり、小川達のことが心配なんだなぁ。
そしてその日の放課後。市井先輩の家で作戦会議(・・・)を行うことになって、安倍先輩、矢口先輩の2人はあたし達と一緒に帰っていた。
その途中、安倍先輩が急に真剣な顔になる。
「なっち、どうしたの!?」
矢口先輩も心配そうにしてる。矢口先輩はホントに安倍先輩のことになると必死だよなぁ。
まぁ、あたしも人のこと言えないかもしれないけど・・・
「この近くに、妖精の気配がする。しかも、なっちよりずっと力強いよ。」
「えー!?なっち先輩より強い妖精!?この辺にいたの!?」
ごっちんもびっくりしてる。そりゃそうだよなぁ、近くに住んでて気付かないんだもん。
「なっち、どこに居そう?」
「待って・・・どんどん近くなってくよ・・・・・・・・・ここっ!」
「え?ここって・・・・・・」
安倍先輩が立ち止まった部屋、そこは圭ちゃんの部屋だった。
- 104 名前:アキの精−市井視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時42分13秒
- 「はーい・・・どうしたのあんた達!?」
圭ちゃんはかなり驚いてる。まぁ、そりやそーだわな。
「圭ちゃん、ちょっと話あるんだけどいいかな?」
「いいけど・・・とりあえず入んなさい。」
そう言われて、あたし達は圭ちゃんの部屋に入ってった。
圭ちゃんの部屋はかなり整頓されてて・・・あたしの部屋とは大違いだな。
「で、話って何?」
「単刀直入に聞くけど・・・圭ちゃんは、妖精なの?」
圭ちゃんは固まってる。まぁ・・・あたりまえっちゃあたりまえだな。
「ほんとにストレートに聞いてきたね紗耶香・・・あたしは妖精だよ。」
「へー・・・あんま妖精っぽく見えないけどなぁ・・・」
「そこ黙る!ほんとに生意気になってきたわねあんた!」
「ひとみちゃん、保田さんにしつれいだよぉ。」
吉澤がちょっかいを出してる。ああ、話が進まない・・・
- 105 名前:アキの精−市井視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時42分43秒
- 「でさ、圭ちゃんは何の妖精なの?」
「あたし?あたしは秋の精よ。こっち来てからもう7年近くなるかしらね。」
7年!どうりでなっちが力が強いって言ってたわけだ。
てか、秋の精って・・・こんなにあっさり見つかるとは・・・
「じゃあ、秋の精が一人前になる条件を知ってるんだね!何なの?」
マキの質問に、圭ちゃんの顔がこわばった。
「・・・何で、それを調べてるの?」
「え、だって後輩のとこに秋の精がいるから。」
「秋の精の条件は・・・知らない方がいい。」
何で、知らない方がいいなんて言うんだろう。
それに、この部屋に圭ちゃんしか居ないことも気になる。
「それって、この部屋に圭ちゃんしか居ないことに関係あるの?」
圭ちゃんの顔がさらに険しくなった。やっぱり、関係あるんだ。
「教えてよ圭ちゃん。内容によっては、本人達には伝えない。いいでしょ?」
「・・・わかった。でも、真剣に聞きなさいよ・・・」
そう言って、圭ちゃんが語り出した話はかなり厳しいものだった。
「秋の精の条件は、『死ぬほど辛い気持ち』だよ・・・」
- 106 名前:アキの精−圭の言葉− 投稿日:2002年04月06日(土)00時43分31秒
- あたしは、7年前に人間の世界に初めてやってきた。
その時は、右も左もわからなくて、ものすごい不安だった。
そんな時、優しくしてくれたのが・・・裕ちゃんだったんだ。
その人の名前は中澤裕子。金髪にカラコン、関西弁でかなり怖そうだったけど、すごくあたしに対して優しく接してくれた。
あたしもその時は子供だったしね・・・母親みたいに思ってた。
それで、ずっと一緒にいたいと思った。でも一人前になれなくて。
すごい悩んでたな・・・条件もわかんない。期限は近づく。
それでも裕ちゃんは「がんばりや」っていつも言ってくれてた。
だから、頑張って一人前になろうと思ってたんだ。
でも、期限の1週間前に・・・裕ちゃんが、死んだんだ。
前から来たトラックと衝突して・・・即死だった。
ニュースでその事故を見て、何を考えていいかわかんなくなった。
ずっと、ずっと泣いてて・・・気が付いたら一人前になってたんだ。
その後、長に条件を聞いた。秋の精に条件を言えない理由も。だから・・・
一人前になっても、なれなくても秋の精は辛いだけなんだよ・・・
- 107 名前:アキの精−吉澤視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時44分08秒
- 圭ちゃんの言葉は、かなり重く響いた。
そんなことがあったなんて知らなかった。ずっと前から住んでて、そんな様子も見せなかったし。
「この部屋は元々裕ちゃんが住んでたんだ。あたしは裕ちゃんを忘れたくなくて今でもここに住んでる。
だから・・・その秋の精には悪いけど、教えない方がいい。後悔するだけだよ・・・」
その後、圭ちゃんの部屋を出たみんなの表情は沈んでた。
「っく・・・まことちゃんもアイちゃんも、かわいそうだよぉ・・・」
リカちゃんは泣き続けてた。でも、あたしには何もいってあげられない。
そんな自分がすごく情けなかった。
「ねぇひとみちゃん・・・秋の精って、しあわせになれないのぉ・・・?」
リカちゃんが涙目で聞いてくる。あたしは何も言えなかった。
ただ、ものすごく心が痛んでたのは自分でもわかった。
そんな、重い気持ちのままであたし達は次の日を迎えた。
- 108 名前:アキの精−小川視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時45分10秒
- 今日は先輩方の様子が変だった。
なんか気を遣ってるって言うか・・・なんなんだろ?
聞いても曖昧な答えしか返ってこないし・・・おかしいなぁ。
気になったまま帰宅して、アイちゃんの手伝いをする。
「ふう・・・アイちゃん、これで全部?」
「うん。麻琴ちゃんのおかげで早く終わったよ。ありがとう。」
にこにこしながらアイちゃんは言ってる。手伝った甲斐があるよ。
でも、その顔が真剣な表情に一気に変わる。
「で、麻琴ちゃん・・・相談があるんよ。」
「相談?何?まだ何かあったの?」
アイちゃんは言葉に詰まってる。もしかして、今まで様子が変だったのに関係あるんじゃ・・・
「あのね・・・あたし、あと1週間くらいで帰らなきゃなんないの。」
「えっ?」
アイちゃんが帰る?何で?先輩方はずっと居るのに・・・
「えっ、何で・・・」
「あたし、半人前のままだから。一人前にならなきゃずっと人間の世界には居られないの。」
それで・・・それで様子が変だったんだ・・・
先輩方も知ってて・・・だから気を遣ってたのか・・・
- 109 名前:アキの精−小川視点− 投稿日:2002年04月06日(土)00時45分43秒
- 「でね、一人前になる条件見つけるの手伝って欲しいんだ。」
「もちろん!あたしアイちゃんのためなら頑張るよ!」
「よかったぁ・・・麻琴ちゃんにさっさと帰ればとか言われたらどうしようかと思ったぁ。」
アイちゃんはにこにこしながらこっち見てる。
「それじゃ、今日は遅いしもう帰ろっか。」
「うん!」
そう言ってアイちゃんは飛び出していった・・・その時だった。
車が、アイちゃんに向かって突っこんできた。
向こうはアイちゃんの事なんて気付いてないし、あたりまえっちゃあたりまえなんだけど・・・
アイちゃんはびっくりして動けなくなってて、もう少しでぶつかりそうで。
自然に、車の前に飛び出してあたしはアイちゃんをつかんでて・・・
気付いたら、あたしの体は宙に浮いていた。
- 110 名前:雪音 投稿日:2002年04月06日(土)00時48分04秒
- はい更新。展開無理矢理っすね・・・
中途半端に重くて痛い展開・・・しかもこじつけくさい。
・・・自分の文章力の無さが嫌になるね・・・
- 111 名前:夜叉 投稿日:2002年04月06日(土)20時09分53秒
- やすは辛い経験をしてきてるんですね。ある意味、一番「一人前」ですよね。
続き、期待してますので、作者様、がんがって下さい。
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月08日(月)10時37分14秒
- 展開早いっすね。
自分も続き楽しみです。
願わくば、小川が無事でありますように…。
- 113 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月09日(火)20時56分46秒
- そっかー・・・・・。ヤッスーは、そんなつらいことが・・・。
まこっちゃんは、無事で幸せになって欲しいですね。
続き期待しています。がんがってください。
- 114 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時28分29秒
- 一瞬、何があったかわからなかった。
気付いたらあたしは麻琴ちゃんの手の中にいて。
周りを見渡したら、麻琴ちゃんは横たわってて。
「麻琴ちゃん・・・麻琴ちゃん?」
返事は、なかった。
麻琴ちゃんの頭からは、流れ出した血が広がっていってた。
その横には、慌ててどこかに連絡してる人が居て。
それから、ゆっくり、ゆっくりさっきのことを思い出してきて・・・
あたし、車にひかれそうになって・・・じゃあなんで麻琴ちゃんが倒れてるの?
もしかして麻琴ちゃん、あたしをかばって・・・・・・?
「え・・・麻琴ちゃん?やだよ。あたしのせいで麻琴ちゃんが死んじゃうなんてやだぁ・・・」
でも、麻琴ちゃんは返事をしてくれない。
そのうち、人がだんだん集まってきた。救急車の音も聞こえる。
大変だ。ここにいちゃいけない。普通の人は妖精の事なんて知らないんだから。
普通の人はあたしを見て変に思うかもしれない。
もしかしたら麻琴ちゃん、いい年して人形好きの子供っぽい子だと思われちゃうかも。
なんでいきなりそんなこと考えたかわかんないけど、あたしはこっそり麻琴ちゃんの手から離れていった。
- 115 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時29分21秒
しばらく、ふらふら歩いてた。どこに行ったらいいかなんてわかんないし。
麻琴ちゃんの家の場所もわかんなくなっちゃった。どうしよう・・・
「あれ?アイちゃんじゃない。一人でどうしたの?」
かけられた声に振り返ると、そこにはこの前会った麻琴ちゃんの先輩、安倍さんと矢口さんがいた。
「あ、あの、麻琴ちゃんが、麻琴ちゃんが・・・」
「小川がどうかしたの!?」
「麻琴ちゃん、あたしをかばって、車にはねられて、血がいっぱい出てて、それで・・・」
かなり錯乱してたと思う。説明したいけど、上手く言葉が出ない。
「小川が、事故・・・?わかった。とりあえずアイちゃんは家に来て。」
「矢口、病院行ってくるよ!今日搬送されるなら、○○総合病院のはず!」
「わかった。お願い。」
安倍さんと矢口さんはそう言って別れて、あたしは安倍さんの部屋に連れて行ってもらった。
「大丈夫。小川はきっと大丈夫だよ。」
安倍さんはずっと励ましてくれた。でも、あたしは何を考えていいかわかんなかった。
麻琴ちゃんが死んじゃったら、あたし、どうしたらいいんだろう・・・考えらんないよ・・・
- 116 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時30分24秒
しばらくして、矢口さんが帰ってきた。
あんまり、表情は明るくないよ・・・
「一命は、とりとめたんだって。でも・・・」
「でも?」
「意識不明の、重体で・・・まだ、油断は出来ないって・・・」
その言葉を聞いて、あたしは目の前が真っ暗になる気がした。
「アイちゃん、大丈夫!?」
安倍さんと矢口さんが心配してくれるけど、あたしは声にならなかった。
麻琴ちゃん・・・意識不明?油断できない?
そのあと、安倍さんはあたしに気を遣ってくれたのか
「自由に、使っていいから。」
って言って矢口さんの部屋に行ってしまった。
あたしは、部屋に一人になって初めて涙が出てきた。
「ふえっ・・・麻琴ちゃん・・・ごめんねぇっ・・・」
涙は、止まらなかった・・・
- 117 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時31分53秒
安倍さんは、毎日ご飯を作りに来てくれたけど、それ以外はあたしを一人にしてくれた。
あたしは、一人でずっと泣いてた。
ごめんね、ごめんね、あたしのせいだよ。
あたしが、もっと気をつけてれば。
あたしが、あそこで動いていれば。
麻琴ちゃんは事故には遭わなかったのに。
ずっとそんな状態で何日かが過ぎた。
その日も、朝から泣いていた。
辛くて、苦しくて、胸が張り裂けそうだった。
そんな時、急に体の奥が熱くなる気がした。
なんだかわからないけど、目の前が一瞬真っ白になる感じがして。
そこで、あたしの意識は途切れた。
- 118 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時32分35秒
「アイちゃん、大丈夫?」
安倍さんの声がする。もう夜かな?
あたし、寝ちゃってたのかな?さっきまでお昼だったはず・・・
「あ、アイちゃん!?一人前に、なったの?」
安倍さんが驚いてる・・・って、一人前!?
あたしはふと起きあがって周りを見渡した。視界が違う。
鏡を見てみると、今までよりちょっと大人っぽくて、普通の人間サイズのあたし。
「一人前って、ええ?何で!?」
「・・・アキの精の一人前の条件ってね、『死ぬほど辛い気持ち』なんだって。
アイちゃん、小川が事故にあって辛かったでしょ?だからだと思う。」
「そう、なんですか・・・」
麻琴ちゃんが事故にあったせいで一人前・・・そんなのうれしくないよぉ・・・
「でも、そっかぁ・・・一人前になったか・・・じゃあ、行きますか。」
「え・・・どこにですか?」
あたしがそう聞くと、安倍さんはにっこり笑ってこう言った。
「決まってるっしょ?小川のとこだよ。」
- 119 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時34分29秒
あたしは病院の廊下を走ってた。
途中、看護婦さんに「病院内は走らないでください!」って怒られたけど気にしない。
安倍さんに教えてもらった病室、そこを目指してた。
508号室、小川麻琴。
その病室にはそう書いてあって、あたしは急いでそのドアを開けた。
「麻琴ちゃん!!」
「その声、アイちゃん?どうしたの?そんなに焦って。」
予想に反してけろっとした麻琴ちゃんの声。
見てみたら、頭とか腕とかに包帯は巻いてて点滴もしてるけど、何か元気そう・・・
「あれ?麻琴ちゃん意識不明じゃ・・・」
「はー!やっと追いついた!びっくりしたでしょ。」
安倍さんと矢口さんが息を切らせながら、でもちょっと笑って病室にやってきた。
- 120 名前:アキの精 投稿日:2002年04月14日(日)01時35分04秒
- 「ど、どういうことですか?」
「いやー、実は小川の意識は事故の次の日には戻ってたんだよねー。」
「え?え?じゃあ何で教えてくれなかったんですか?」
「あのさ、秋の精の条件知ってたから・・・どうせだからこの機会にアイちゃんに一人前になってもらおうかなーと思って・・・」
「ちょっとドッキリ仕掛けてみたんだよ。」
笑いながら言う2人。び、びっくりした・・・
安心したら気が抜けて、ベッドの横にへたりこんじゃった。
「あ、アイちゃん大丈夫?」
「うん、大丈夫・・・麻琴ちゃんが無事で良かった・・・」
「ごめんね、アイちゃん。心配かけて。」
「ううん。あたしのせいで事故にあったんだもん。あたしこそゴメンね。」
そう言った後、2人で笑った。
なんだかおかしくって。でもうれしくて。
それと同時に、一人前になったからずっと麻琴ちゃんと一緒にいられるってのもあって。
すごく、幸せな気分になった。
・・・でも、安倍さんも矢口さんも、私のためとはいえひどいです・・・
- 121 名前:雪音 投稿日:2002年04月14日(日)01時37分39秒
- はい、こういうオチでした(をい)
幸せにしてあげたくて、その結果思いついたのが・・・ドッキリ。
前回の更新の重い雰囲気はどこ行ったんでしょうねぇ。
- 122 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月14日(日)12時49分58秒
- たしかにひでー。
けど無事でよかった。
- 123 名前:夜叉 投稿日:2002年04月16日(火)20時30分21秒
- ほっとしました(^^;;。
一人前になれたのはいいけど、びっくりしたじゃないかぁ(爆)。
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月04日(土)19時44分42秒
- そろそろ続きを…
- 125 名前:雪音 投稿日:2002年05月08日(水)04時01分03秒
- すいません…更新したいのですが…
現在、かなりのスランプで…続きが思いつかなくなってしまいました。
しかも、学校が始まってしまい忙しくて…
でも、放棄だけはしたくないので、とりあえず非放棄宣言を。
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月20日(月)15時58分37秒
- 非放置でよかったっす。
スランプっですかぁ…また〜りまってます。
- 127 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月22日(水)22時11分28秒
- まってます
- 128 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月25日(土)16時19分13秒
- がんばってください
このはなし好きなんで・・・
- 129 名前:雪音 投稿日:2002年06月13日(木)20時01分14秒
- とりあえず、お詫びしたいと思います。
2ヶ月頑張ってみましたが…全く話が浮かびません。
非放棄宣言までしておいて…
無責任でしかないのですが、しばらくこの話から離れたいと思います。
またインスピレーションがわけば書き出しますが…しばらくは短編を書き連ねて行きたいと思っています。
待ってますと、頑張ってくださいと言ってくださった皆様、本当にすみませんでした。
こんな無責任な作者です。見捨ててくださっても結構です。
ただ、読んでくれている方が居るというのは心の支えになりました。
なので、お礼を言わせていただきたいと思います。
読んでくださって本当にありがとうございます。
それでは、とりあえず短編書きました。
タイトルは『覚醒都市』です。
- 130 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時01分45秒
- 朝の光に照らされ輝く街並み。
しかし、その輝きは偽りでしかなく、あたしたちは本当の朝を知らない。
戦争が起こってもう60年の月日が流れた。
一部の人間の私利私欲の為に怒った大規模な核戦争。
そのせいで地上はめちゃくちゃになり、地下シェルターに隠れた私たちの先祖は地上への道を封じた。
あたしたちは生まれてから本当の空を見たことがない。
ここにある空はスクリーンに映った偽物。
晴れ渡った姿しか見せない、偽りの空。
混み合う町の中を抜けてあたしは家を目指す。
彼女が待っているあたしの家。
- 131 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時02分21秒
家の扉を開けて彼女に声を掛ける。
「ただいま、梨華ちゃん。」
梨華ちゃんは虚ろな瞳でこちらを見て、一瞬微笑み返す。
こんな地下に隔離された生活でも、人と人の諍いは耐えなくて。
あたしも梨華ちゃんもそんな中で親を失った戦災孤児ってやつだ。
彼女はそのショックで言葉も感情も失った。
虚ろな目でこちらを見て、あたしが声を掛けると笑って、たまにただ涙を流していた。
そんなときは決まってあたしは彼女を抱きしめくちづける。
愛しさ半分、同情半分
感情のない、冷たいくちづけ。
そうすると、また彼女は微笑み涙を止める。
…まるで、そうプログラムされたロボットみたいだ。
- 132 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時02分57秒
あたしたちは幼い頃に大切な家族を失った。
そのまま施設に入れられ、ただ生きられればいいというような扱いをされて。
そのため、あたしたちは愛し合うってことの大切さとかを知らなかった。
ただ、あたしは一方的に梨華ちゃんに愛情を与えようとする。
彼女はそれを死んだ心のまま受け止める。
…これは、愛し合ってるって言うのかな?
きっと、違うんだろうな。
ベランダに出て外を見る。
風のない、よどんだ空気のこの世界。
響き渡る言い争う声を、「ああ、またか」って感じで聞き流す。
…病んでいるんだ。この世界も、あたしたちも。
- 133 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時03分29秒
今日もまた地上に出ようとした人間が殺された。
解説者であるどこかのお偉いさんは笑っていた。
美しい地上はもう幻想でしかない。地上に夢を見るのは無意味だって…
あたしも夢を見たことがあった。
まだ、あたしが幼く純粋だったころのこと。
地上が美しかった時代に書かれた本。
そこに載っていた美しい写真の空…それにあたしは惹かれていた。
でも、年をとるごとにそんな夢は無駄だと思うようになって。
そしてただ何をするでもなく毎日を生きるようになった。
あたしはニュースを見ながら腕の中の梨華ちゃんを見た。
彼女は幼い子供のように無防備な顔で眠っていた。
そして、あたしはまた眠っている彼女に一方的にくちづける。
同時に、スクリーンに映った空の色が無機質に変わった。
- 134 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時03分59秒
ある日、あたしたちの姉代わりの矢口さんが遊びに来た。
「二人とも、元気してた?」
「矢口さんも…久しぶりです。」
あたしたちはそれから他愛もない話をして時間を過ごした。
空が薄暗くなってきた頃、突然矢口さんが真剣な顔で話し始めた。
「…これから何があっても、石川を守りきれる?」
「どうしたんですか矢口さん?急に…」
「いいから!」
矢口さんは、何かに追い立てられるような、必死の顔だった。
「…守ります。何があっても…梨華ちゃんはあたしの大事な人ですから。」
そう言うと、矢口さんは安心したような笑みを浮かべた。
それが何故か儚くて…何か、凄く嫌な予感がした。
数日後、矢口さんが殺されたというニュースが入った。
矢口さんは、地上に行こうとしていたらしい。
…そう言えば、あたしたちにも地上への憧れを話していた…
- 135 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時04分37秒
あたしたちの元には何日も警察が事情聴取にやって来た。
何でも、矢口さんが最後に発見されたのがうちだったかららしい。
あたしは適当に返して、それでも警察はあたしたちも危険思想の持ち主なんじゃないかと疑ってた。
そしてある日…梨華ちゃんが警官に暴行を受けた。
質問に答えなかったから、という理由で…
彼女は話せないのに…それを知っていてあえて暴行する理由とした。
…狂ってる。警察も、この世界も、何もかも…
そんな時、ふと矢口さんが昔言っていたことを思い出した。
『地上にはきっと可能性がある。頭の固い大人の言うことよりも、実際見てその可能性を確かめたいんだよね。』
…矢口さんの言葉を、今、とても信じたくなった。
「行こう、梨華ちゃん。地上へ。」
- 136 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時05分20秒
- 家に帰って簡単な荷物をまとめ、護身用の銃を片手に持って、
やせ細った彼女の腕を引いて、ざわめく街の中を必死で駆け抜ける。
誰かにぶつかっても気にしない。
ただ、彼女の手を離さずにここから抜け出すんだ。
「お前達、止まれ!!」
衛兵があたし達を止める。
止まってなんかやるもんか。
銃を構えて並び立つ衛兵達を撃ち抜く。
ここの通りを抜ければ、地上へ続く長い階段が見えるはず…
長い階段を駆け上る。
追いかけてくる奴らを撃ち抜く。
そうやって、地上への扉…この地下シェルターの入り口にたどり着いた。
- 137 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時06分01秒
ドアを開ける。そこに広がっていたのは…緑の草原。
「…何だよ…幻なんかじゃないじゃん…きれいな地上、残ってるよ…」
60年の月日は、地上を人間が手を加える前の物に戻していた。
本で見たとおりの、美しい空。
沈み行く夕日が目にまぶしい。
「矢口さん…あなたの言うとおり、地上には可能性がありましたよ…」
そよぐ風が、あたし達の頬を撫で通り過ぎていった。
「きれい…」
ふいに、彼女が声を発した。
一緒に暮らしだしてから初めて聞いた彼女の声。
彼女は…本当に幸せそうに笑っていた…
「梨華ちゃん…」
本当に愛しくて、彼女を抱きしめる。
「…ひとみちゃん…」
彼女もあたしの名前を呼んで、あたしを抱きしめ返す。
初めての、あたしに向けられた感情。
これが、愛し合うって言うことなのかどうかはわからない。
ただ、ここにいる愛おしい人を離したくなくて、きつく抱きしめた。
- 138 名前:覚醒都市 投稿日:2002年06月13日(木)20時06分37秒
夕日はすっかり沈み、星がこぼれる。
偽りではない、本当の星空。
その星に包まれて、あたしはこの腕の中の愛しい人を抱きしめたまま眠りについた…
- 139 名前:雪音 投稿日:2002年06月13日(木)20時08分46秒
- …終わりです。
暗いしわけわかんないし…最悪です自分。
こんなのでも一応読んでくだされば幸いです。
…そして再開を期待して見た方…本当にすみませんでした…
- 140 名前:くわばら。 投稿日:2002年06月14日(金)01時48分40秒
- 初めまして。
短編読ませて頂きました。
うーん、感動。
- 141 名前:Rainy-Side Hitomi- 投稿日:2002年07月10日(水)19時12分00秒
- 最悪。マジ最悪。
今日の天気予報、1日中曇り、降水確率10%
…その10%に大当たりしちゃったわけで。
登校途中に降ってきた雨は全く止む気配はなく。
家に帰るにもかなり学校寄りの所まで来ちゃってるからどうしようもなくて。
とりあえず、雨宿りしてみたはいいけど、バスとか電車の時間はとっくに過ぎてて。
しかも、学校が始まる時間は刻々と近づいてくる。
しかたない…濡れるの覚悟で走っていくか!
なんて思った時に、不意に声を掛けられた。
- 142 名前:Rainy-Side Hitomi- 投稿日:2002年07月10日(水)19時13分41秒
- 「どうしたの?傘、無いの?」
なんだかやけに耳に残る高い声のそのお方は、ピンクの傘をさしながらあたしの顔をのぞきこむ。
あたしと同じ制服の…このリボンの色は1つ上。
「無いですよ。見ればわかるでしょ…」
相手の方をよく見ずにぶっきらぼうに答えてしまうあたし。
早く行かないとっていらいらしてるのかな?
…すげーやなやつじゃん。それって。
「そっか…困ったね…そうだ、これ使って!」
そう言って自分のさしていた傘をこっちに手渡してくる。
「え、でもそれじゃ…」
「大丈夫。私折り畳み傘も持ってるから。」
はいー?降水確率10%だったのに、用意がいい人だなぁ。
- 143 名前:Rainy-Side 投稿日:2002年07月10日(水)19時14分25秒
- 「じゃあ、遠慮無く…」
そう言って傘を受け取る時に、その女神様の顔をじっくり見てみる。
満面の笑みを浮かべてるその顔は…凄く可愛かった。
思わず、傘を受け取る手が止まってしまう。
なにこれ、まさか『一目惚れ』ってやつ?
「どうしたの?私の顔、何かついてる?」
あたしはその人の顔を見つめたまま止まってしまったみたいで。不思議そうにその人が聞いてくる。
「いっ、いえ何ともないですっ!」
「そっかぁ。じゃあね。早くしないと遅れちゃうよ。」
そう言って、その人はこれまたピンクのチェックの折り畳み傘をさして歩いていってしまった。
あ…名前、聞きそびれちゃったな。
でも、同じ学校みたいだし…探して、返そうかな。
でも、あの人どっかで見たことあるような…
- 144 名前:Rainy-Side Hitomi- 投稿日:2002年07月10日(水)19時15分44秒
- 学校には急いで行ったらギリギリで間に合った。
あたしの後ろからは、親友のごっちんが水色の傘をさしながら猛スピードでチャリをこいできた。
「おっはよーよしこ…って、あははっ!なにそれー!」
は?何顔合わせた途端に笑い出してんのさ?
「ピンクの傘って…ははっ、似合わないよー!」
ああ、そういうことですか。
「あたしのじゃないよ。傘無くて困ってたら途中で会った先輩が貸してくれたの。」
「ふーん、バレー部の?」
「いや、知らない人。」
「はぁー?名前とかも?」
「うん…名前、聞きそびれた。」
「まぁ、ごとーも知らない人に傘借りちゃったけどさ。」
「え?ごっちんも?」
「うん。でもごとーは名前知ってるもん!なっち、って言ってたな…あ!でもどこの人かわかんないや!」
「なんだー、それじゃ同じじゃん。」
なんて話しながら教室に行くと、今朝は集会があるらしくてみんな出てく準備をしてた。
急いでみんなの後に続いて体育館に向かって。
集会で、あの人見つけられるかな…
- 145 名前:Rainy-Side Hitomi- 投稿日:2002年07月10日(水)19時16分25秒
- 集会の内容は、なんか教育実習生が来るらしくて、みんなざわつきながらステージに注目してる。
でも、あたしはそんなみんなと違って別の方を見てた。
…司会をしてる、生徒会書記の先輩。
その、特徴的な高くて甘い声。
あの人、だった。だから見たことあったんだ。
選挙の時見た名前は確か…石川梨華先輩。
選挙なんてつまんなかったから覚えてなかったけど、今思い出した。
- 146 名前:Rainy-Side 投稿日:2002年07月10日(水)19時17分09秒
石川先輩、一生懸命原稿読んでるな。
あっ、ちょっとかんだ。すごく焦ってる。
先生のあいさつなんて耳に入らない。石川先輩の姿をじっと見てた。
休み時間になったら、傘返しに行こう。
そしてそれから、色々話そう。
よかったら、今度遊びに誘ってみよう。
最悪な雨は、あたしに最高の出会いを作ってくれた。
- 147 名前:Rainy-Side Maki- 投稿日:2002年07月10日(水)19時18分46秒
- あー、失敗したなぁ。
寝坊して、天気予報も見ないでチャリに飛び乗って。
学校と家のちょうど真ん中くらいに来たとこで雨が降ってきた。
しかも、だんだん強くなってるし…傘持ってないよぉ。
髪の毛とかスカートはだんだん濡れてきて…
まぁ、これがホントの『水も滴るいい女』なんちゃって。
…って、そんなこと言ってる場合じゃなくて。
一人でそんなこと考えてたら、いきなり後ろから声を掛けられた。
- 148 名前:Rainy-Side Maki- 投稿日:2002年07月10日(水)19時20分07秒
- 「うわー、びしょびしょ…傘無いの?」
水色の傘をさしたその人は思わず止まっちゃったあたしに傘をかぶせてくれてる。
「あー、寝坊して急いでて。」
「そっか…じゃあ、この傘使いなよ。」
そう言ってその人はあたしにその水色の傘を差しだしてくれた。
「ええっ!だめだよ…だってそっちが濡れちゃうじゃん!」
「いいのいいの。なっちはタクシーで行くから。」
なっち、っていうんだこの人。スーツ着てるってことは大学生さんかな?それとも社会人?
でも、なんかあたしと同い年くらいにしか見えない。
ちっちゃいし、なんか童顔…って言うのかな?綺麗、っていうよりかわいいって感じ。
「でも…」
とか、あたしが迷ってると
「もー、人の好意は素直に受け取らなきゃダメっしょ!」
って、怒られちゃった。
「じゃ、なっちは行くから。君も早く行かないと遅れるよ!」
って言って、なっちは笑顔で傘をあたしに押しつけて雨宿りできる場所を探しに走って行っちゃった。
なんか強引な人だなぁ…
でも、笑った顔が凄く可愛かったな…何だろ、天使の笑顔ってやつ?
- 149 名前:雪音 投稿日:2002年07月10日(水)19時22分15秒
- 学校にはなんとか間に合って、ふと前を見たらめずらしくいっつも早く来てる親友のよしこが歩いてた。
「おっはよーよしこ…って、あははっ!なにそれー!」
よしこの持ってる傘を見て思わず爆笑。
だって、だって…真っピンクだよ?
「ピンクの傘って…ははっ、似合わないよー!」
よしこはあたしが爆笑してるのにむっときてるみたい。
「あたしのじゃないよ。傘無くて困ってたら途中で会った先輩が貸してくれたの。」
なんて言ってる声が冷たかった。
「ふーん、バレー部の?」
「いや、知らない人。」
「はぁー?名前とかも?」
「うん…名前、聞きそびれた。」
よしこは名前聞きそびれたのか…あたしはちゃーんと聞きましたぞ。
まぁ、向こうが勝手に言ってたとも言うけど…
- 150 名前:Rainy-Side Maki- 投稿日:2002年07月10日(水)19時24分17秒
- 「まぁ、ごとーも知らない人に傘借りちゃったけどさ。」
「え?ごっちんも?」
「うん。でもごとーは名前知ってるもん!なっち、って言ってたな…あ、でもどこの人かわかんないや!」
「なんだー、それじゃ同じじゃん。」
よしこ笑ってる…まぁ、確かにその通りだけどさ…
あー、でも困ったな。傘、どうやって返そう…
教室に行ったら集会があるみたいでみんな出ていく準備中。
あたしとよしこは急いでみんなと一緒に体育館に向かった。
そして、思いがけず再会。
これって、運命とか言うのかな?
- 151 名前:Rainy-Side Maki- 投稿日:2002年07月10日(水)19時25分02秒
- 集会の内容は教育実習生の紹介。
あたしは、その中の1人を見てびっくりした。
なっちだ!なっちがいる!教育実習生だったんだ!
うれしくてよしこに言おうとしたら…よしこは生徒会の人の方をじっと見てて。
ははぁーん、さては彼女が例の先輩ですな?
なっち、これからどこのクラスに行くのかな?
あたしのクラスに来ないかな?
なっちの授業なら、なんだか寝ないで聞いてられそうな気がする。
普段は全然行く気にならないけど、職員室に行ってみよう。
ちゃんと「ありがとう」って言って傘を返そう。
また、なっちの天使の笑顔、見せてもらいたいな。
こういう日は、寝坊して良かったなと思えました。
- 152 名前:雪音 投稿日:2002年07月10日(水)19時26分33秒
- 短編更新です。あげちゃったよ…
なんかけっこう無理矢理…まあ今に始まった事じゃないので…
- 153 名前:夜叉 投稿日:2002年07月11日(木)20時37分53秒
- 短編2つ読まさせてもらいました。結構好きです。
これからもがんがってくださいね。
- 154 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)22時59分14秒
- 続きが楽しみです。
がんばって下さいね。
- 155 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時29分00秒
- ◆
何日こうしていたかはわかりません。
泣いて、泣いて。もう涙は出なくなりました。
ここは孤独だけが支配しています。
ぼろぼろの羽根が舞い散って、目の前に落ちてきます。
もう、死んでしまうのでしょうか…そんな感じがします。
…お願いです…ここから助けてください…
◆
- 156 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時29分37秒
- ◇
あたしは走る。目的地はわからないけど。
夢で泣いていた『あの人』に会うために。
この街にあのくすんだ色の太陽が現れたのはいつだったっけ。
その日から、この街に朝も昼も夜もなくなった。
人はだんだん狂い始めた。人だけじゃない…全部の生物が。
その狂った生物の一つが…『天使』の存在だった。
いつからか、『天使』と言われる生物がこのあたりに現れだした。
翼の生えた美しい人間…それが『天使』
『天使』の翼には命を長らえさせる効果がある…
それが知られた時…『天使』は『教会』に狩られるようになった。
あたしの夢に現れた美しい人。
うずくまって純白の翼にくるまり泣いていた。
…彼女は、間違いなく『天使』
昼夜の区別のないこの街で人々は狂ったように働き続ける。
あたしはその横を駆け抜ける。
あの人を、探すんだ。
◇
- 157 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時30分17秒
- ◆
この部屋は冷たい金属の壁に囲まれて、外は何も見えません。
今はいつで、私はここに来てどのくらい経つのか。
私はわからないまま眠り続けます。
朝までゆっくり眠りましょう
朝というのがいつを指すのかわかりませんが
もう、周りがよく見えなくなりました。
絶望のせいか何なのかわかりませんが、私の瞳は周りを映すことを拒絶しました。
なぜ、私はこんな体で生まれたのでしょう?
こんな翼さえなければ、こんなところに捕まらなくて済んだのに。
人々は『天使』の姿や翼を美しいと讃えます。
でも、私たちにとってはこんなものは…むしろ憎い。
…神様、私は何かしましたか?
あなたの使いの名を受けた私たちはなぜこんなに苦しまなくてはならないのですか?
ああ、隣の部屋の扉を叩く音が聞こえます。
きっと隣人が次の犠牲者なんでしょう。
そして次はきっと私。
私たちは『人間』のために命を捧げなさいと言われました。
私たちの扱いは、きっと生贄の動物と同じなんでしょうね。
◆
- 158 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時31分56秒
- ◇
狂った人間が「もうこの街は終わりだ」と叫んでいる。
あたしは何もかも無視して走り続ける。
ふと、ある光景が目に入った。
それは、一人の『天使』が『教会』で人々の前に引きだされている所。
一瞬、あの人かと思ってしまう。
でも、それは違っていてあたしはほっとする。
だって…『教会』の前に引きだされる『天使』の行く末は一つだから。
『神父』が『天使』の羽根を引きちぎり、金を払って集まっている人たちの所に降らす。
『天使』が苦しんでいようが知ったこっちゃない。
そして、全ての羽根がむしり取られて…その『天使』の体は塵のように消え去った。
『天使』の命の源はどうやら羽根らしい。
そして、命を長らえさせる効果というのは『天使』の命を削って与えられているものだ。
人々は『教会』に感謝し祈りを捧げる。
犠牲になった『天使』のことなんて誰も考えてない。
…ひどく、気分が悪かった…
あの人は、ここにはいない。
ここでは、あの人に会えない。
あたしは、また走り出した。
◇
- 159 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時32分28秒
- ◆
もう、救いなどないのでしょうか。
私はこのまま朽ちていくのでしょうか。
何も考えられなくなって、私は翼にくるまったまま床に寝そべっています。
…もし、奇跡があるのなら…
私に、外の美しい光を見せてください。
◆
- 160 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時33分32秒
- ◇
『教会』が所持している収容所。
あたしはその前に立っていた。
ここに、あの人が捕まっている。早く行かなきゃ…そんな予感がした。
入り口の見張りをしている『修道女』を殴り倒す。
中で待ちかまえている『神父』たちがあたしに銃を撃ってくる。
あたしは銃弾を受けながらも次々と『神父』達を倒していく。
傷が痛む。足がもつれる。でも止まれない。
あの人は、すぐそこにいる。
一つの鉄の扉の前…ぼろぼろになりながらもあたしはそこに立っていた。
ここに、あの人が居る。何の根拠もないけどあたしにはわかった。
扉を開けた先には…翼にくるまった女性。
流れるような栗色の髪、人形のような美しい顔立ち、黒真珠のような瞳。
…あの人だ。
ただ、夢と違うのは泣いていないことと…その目に光がないこと。
「…あなた、だれですか?もう私が人々の前に行く時間ですか?」
彼女はぼそぼそとつぶやくように言った。
「違うよ…ずっと探してた。迎えに来たよ。外に行こう」
そう言うと、よどんだ彼女の瞳に光が戻って…
彼女は、とても柔らかく微笑んだ。
◇
- 161 名前:コッペリアの柩 投稿日:2002年09月01日(日)21時34分52秒
- ◆
重い扉が開きました。
そこに、誰かが立っています。
はっきりとは見えませんが、きっと『教会』の人間でしょう。
ついに、私が朽ちる時が来たんだな…そう思いました。
「…あなた、だれですか?もう私が人々の前に行く時間ですか?」
聞いても無駄だとはわかっていました。
だって、答えはYesしかあり得ませんから。
でも…その後聞いた言葉は、私の考えを見事に裏切りました。
「違うよ…ずっと探してた。迎えに来たよ。外に行こう」
答えはNoでした。
その人はとても優しい声で「迎えに来た」と言ってくれたんです。
その瞬間、私の目の前がぱぁっと開いた感じがしました。
そして次に映ったのは…意志の強そうな大きな瞳の、綺麗な人。
私は、自然と嬉しくなって、笑みがこぼれて…
「はい!」
そう言って、差し出された彼女の手を握り、外に向かって駆け出しました。
◆
- 162 名前:雪音 投稿日:2002年09月01日(日)21時36分48秒
- えー、またワケわかんない話ですみません。
しかも終わり方死ぬほど中途半端…
- 163 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2002年09月09日(月)18時51分18秒
- ぃんゃ、イイ!です!
天使とか結構好きなんですよほ。
続き、楽しみに待ってます。
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