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1 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)15時06分28秒
紺野ちゃん視点のこんののまったりモノです。
初めてなのでおてやわらかに…
2 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)15時07分16秒
名もない花には名前をつけましょう
この世に一つしかない
冬の寒さに打ちひしがれないように
誰かの声でまた起きあがれるように

いつも通りの屋上でした。
いつも怒られたりしてくじけそうになったときにくる屋上でした。

日差しは暖かいけれど風は少しきつく
ぴんと音をたてて耳を掠めていました。

この頃の風が私は一番好きなんです。
背筋がぐうっと押し出されるような、えっと…
ちょっと違うな…猫の伸びのような…えっと…
3 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)15時07分53秒
「こんのちゃ〜ん!」

声のする方を振りかえると真っ黒いツインテールの髪が
うさぎの耳のようにぴょんぴょんの揺れてその影が私の足元を
擽っていました。

「辻さん」
「てへ」

辻さんの口元から八重歯がこぼれました。
それを見て私の口も横に、上に、伸びていきました。
さっきからあたっていた風の所為でほっぺがきゅんと
音をたてて山を作りました。

「おひさまがあったか〜い!こんのちゃんはいっつもここで
「きゅうけい」してたんだね?」

辻さんはててと音をたてて私の方へそう言いながら向かってくると
私を通り過ぎ錆びたフェンスにつかまり伸びをしました。
そのときフェンスから「ごり」と音がしたのは轟音を運んだ
冷たい風と私だけの秘密です。
4 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)15時08分32秒
「はい。中は暖房が効きすぎているので大体は
この屋上で「休憩」しています。」

「そ〜なんだ〜!いいな〜いいな〜」

ぐわぐわとフェンスにつかまり身体を揺らす辻さん。
その度ひいひい、ぎしぎしとフェンスは悲鳴をあげています。
ご愁傷様です…

「みて〜!こんのちゃん!あそこ!あそこ!」
「え?」

指された指の先をたどるとそこはこのビルから歩けば
10分程度の位置の公園沿いの桜並木。
…とはいえまだ北風が吹く季節。
並木は茶色の肌を寒そうに犇き合わせているだけでした。
5 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)21時37分09秒
「桜…?」
「へ?ちがうのです。あそこ!ほら〜!ヤキイモやしゃ…
へっくしゅ!………ふえ〜…」

ふと辻さんを見ると辻さんはコートとマフラーを着込んだ私とは違い
ねずみ色のパーカーと折り返しの大きいジーンズを着ていただけでした。

ひょっとしてさっきつんく♂さんに怒られた私のこと
探しに来てくれたんですか?
そうしてこんな寒い所で私を励まそうとしてくれたんですか?

「辻さん、行きましょう」
「あ、もうもどるの?」
「いいえ」
「?」
「ヤキイモを買いに行きましょう」
6 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)21時37分48秒
   季節はずれのヤキイモ屋さん。
   もう少し、もう少し待ってください。
   お金はちゃんと持っています。
   今日は沢山買っちゃいますから。

飯田さんの分、安部さんの分、保田さん、矢口さん
後藤さん、石川さん……

えっとそれからスタッフの中村さんと市ヶ谷さんと
それからそれから…

もちろん忘れちゃいけない辻さんの分。
7 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月12日(火)21時38分27秒
   ちょっとおでぶなうさぎさん
   ぴょこぴょこツインテールのお耳を弾ませて
   小さなおててをがんばり屋さんのたぬきさんに
   引かれて走る走る…


「こ…こんのちゃん!は…はやいのです〜!」
「ヤキイモ屋さんをなんとしても捕まえるんです!」
「ほえ!?」

   ちょっとまぬけなたぬきさん
   くりくりおめめを前を見るため見開いて
   大好きな食いしん坊のうさぎさんを振りまわして
   花のない桜並木を走る走る…

桜並木が切れそうな頃甘くこげた匂いが
私の鼻に飛び込んできました。
しっとりとした土の匂いと火の匂いもします。
8 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時46分45秒
「お、いらっしゃい。お嬢ちゃん達、走ってきたのかい?
そんなに急がなくっても芋は逃げやしないさ」
人のよさそうな白髪混じりの不精髭を生やしたおじさんは
息を上げている私達を見て笑いました。
なにがおかしいのですか!
私は辻さんの為にヤキイモを買いたいんです。
お金じゃ得る事のできないあたたかいものを私の胸に
届けてくれた辻さんに…
おじさんをじっと見つめると無意識に私の喉はごくと鳴りました。
握った財布が熱く感じます。

「おじさん。ヤキイモ37人分ください」
9 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時47分30秒
初めは冷やかしかと思われているのがみえみえの表情を
見せていたおじさんも、私と目が合ううちにみるみる
驚きに変わり顎がぐうっと前に出てきていました。

「ええ!?そんなに!?…いいのかい?」
「かまいません」
「ぜ…ぜ…が…ごんのぢゃん…」

私はしがみつく辻さんをよそにほくほくと湯気を上げる
新聞紙の袋を受け取りました。
「これはおまけだよ」
そう言っておじさんは飛びきり大ぶりで少し欠けた
売り物にならないヤキイモを辻さんの胸に抱かせました。

「うっわ〜い!」

さっきの息消沈振りはどこかに飛んで行ってしまった辻さんを見て
私はまた口が勝手に伸びていくのを感じました。
10 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時49分23秒
さっきは二人で走りぬけてきた桜並木を今度はよろよろずるずると
歩き始めました。

「はぐはぐ…」
大きなヤキイモに顔を埋める辻さん。
あ、私が小さい頃じゃがバターを公園で食べている時に
こんな写真を撮られた気がする…
「おいしいですか?」
「はい〜!はい、こんのちゃん、あ〜ん」
「あ、はい。あ〜…」
あ、歩きながら食べるなんてお行儀悪いですね。
でも…歩きながら食べるとなぜかおいしいんですよね…

がぶり

「…おいしい…」
思わず口から言葉が流れ出ていました。
11 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時49分54秒
口の中にゆっくりと甘く暖かい感じが広がって行きます。
喉にぎゅっと詰まった暖かさは辻さんの笑顔に似ていました。
「そりゃ、おいしいれすよへ〜ほぐほぐ…」
辻さんのほっぺたが限界と音をあげるほどに膨らんでいて
てっぺんには、かぶりついた時についたお弁当。
「ちょっとまってください。ほら、ほっぺについてますよ」
「ありゃりゃ〜」

そう言って立ち止まってほっぺたをこすっている辻さんの後ろに
明るい色がぽつんと佇んでいるのが見えました。

「つぼみだ…」
「ほえ?」

私が駆け足で辻さんの後ろの桜の木に近づくと目線より少し上の枝に
小さなつぼみが身を堅くして眠っていました。
12 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時50分44秒

「…ふふ…」
「どうしました?辻さん」
「この桜の木、こんのちゃんみたい…」
「え…」

ふっと淋しそうな瞳で辻さんはつぼみを見つめていました。
隣ではごうごうと車がひっきりなしに走っています。

「まだ寒いのにさ…他の木よりちょっと違う所でがんばって、他の木よりがんばって
沢山の花を咲かせるんだよ…」
13 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時51分49秒
その木は沢山日を浴びる事のできるビルの切れ目の道路沿いにありました。
でも光があると同時にすごい量の車と人。
排気ガスにまみれて根元にはたくさんのゴミが放置されていました。

「ちょっと…ののとも似てるかな…?みんなと一緒じゃなくって
のけ者にされるのは…この木のがんばっている所はこんのちゃんみたいだけど
人に邪魔者扱いされるのはののと一緒です…」

辻さんはいつでも背負っている…
自分が追加でモーニング娘。に入ったこと。
同じ時期のみんなが活躍している時に笑顔で
裏方で笑ってピエロを演じていたこと。
…もちろんそれは私も一緒だったけれど…
14 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時53分22秒
「この木は邪魔者なんかじゃないさ。」

「…さっきのおじさん?」
軽トラックの上からさっきのおじさんが笑顔を投げてきました。

「この木は昔、害虫にやられてほとんど腐ってしまってね…」

「かわいそう…」

辻さんは下から上まで木を眺め上げるとそっと小さな手で
その木を撫でました。
15 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時53分59秒
「でもな…ここら一体の木は一本もやられなかった。
害虫は強く、大きく、味のある木を好む…だからこの木は
犠牲になったんだよ…みんなの…」

「…」
「…」

「でもやっぱりこの木は強かったんだな…
また少しづつ大きくなって今じゃこの並木道のどの桜よりも
立派で綺麗な花を咲かせるんだよ…それは毎年
人をひきつけて行くんだ…お嬢ちゃん達もこの木の
強くなれる力にひかれたのかもしれないな…
…ほら2人とも。ヤキイモ冷めちまうぞ。さっさとお家にかえんな。」

おじさんはそう言い残すとトラックを走らせました。
16 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時54分43秒
私達はごうごうと耳を指す風を構わず
少しずつ重く冷めていくやきいもにもかまわず
その神々しい桜の木の芽を見つめていました…

「こんのちゃんはさ…こんのちゃんだよ…」
てへへと辻さんは舌と八重歯を出しました。
「辻さんだって…辻さんです…他に代わりは誰もいません。
辻さんになれる人は一人です。この世にたった一人しかいません。」

私達はてへへと笑い、みんなのところに駆け出しました。
17 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時55分18秒
「ね〜こんのちゃん」
「なんですか?」

信号待ちのときに辻さんは後ろを振りかえり
もう遠くなった桜並木に向かっていました。

「きっとあの桜を見に行こうね」

   うさぎさんの大好きなお菓子もってジュースもって…
   みんなには内緒にしてそうっと手をつないでこよう…
   みんなと違っていても、つよいつよいココロをお土産に
   どんなに冷たい風が吹こうとも…
18 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時56分33秒
「はい!」

   たぬきさん、もう泣かなくても良いんだよ
   うさぎさん、もう背負わなくて良いんだよ
   2人はこれから花を咲かせるつぼみだから
   花びらの数と同じだけ悩んだ二人の心は花を咲かせるよ。   


   ほかの桜よりもっともっときれいで澄んだ色の花を…

19 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月13日(水)16時58分48秒
名もない花には名前をつけましょう
この世に一つしかない

冬の寒さに打ちひしがれないように
誰かの声でまた起きあがれるように

−FIN−

……

「なっちのヤキイモ冷めちまったべ〜
どうしてくれるんだよ!紺野!」
「えっと…あの…その…」
「加護のもちっちゃいよ〜!紺野ちゃんずるいやんか!」
「てへてへ」
20 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時02分33秒
もう一つのせておきます。
こんのの+かごの話です。
う〜ん…精進せねば…
21 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時03分19秒
―朝顔―


   夜が明ければ君に会えるのに
   朝を待てない朝顔のようにさ…



22 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時03分50秒
「まだ…約束の時間まで6時間24分有りますね…」

私は薄暗い部屋の中、お気に入りの白いゆったりとした
ネックのセーターとタータンチェックのミニスカートを身に着け
布団の上に正座をしてじっと7時に針が向いている
めざまし時計を見つめていました。
ちちと外から朝の鳥の声が聞こえます。
まだ車があまり走っていない時間帯なのです。

「念には念を入れて…約束の時間まで6時間23分…」

私は結局待ち合わせ場所に辻さんが来る2時間前から待っていました。
23 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時04分45秒
「ひゃっほお〜!くれーぷなのれ〜す!ちょこあじなのれす!」
「しっ!辻さん…そんなに跳ねてたら何の為に帽子とサングラス
かったのかわからなくなるじゃないですか…」
「あ…わりぃわりぃ…」

今日は初めて辻さんと若者が集う街に遊びに来ました。

さっき雑貨屋さんで買ったチューリップハットと
左右の色がピンクと黄色の蝶々をかたどったサングラスは
どうやら人の視線を見ると辻さんの狂気乱舞振りで
役に立たなくなったようでした…がっくり…
24 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時05分43秒
「それにしてもすごい人…辻さん、よくこんなところを
すいすいと歩いて行けますね」
はふと私はため息をつきながらイチゴのクリームがたっぷり入った
クレープにかぶりつきました。
辻さんはくりっと私の方を向き蝶々のサングラスを鼻の方にずらして
上目づかいで私を見ながら「ちちち」と言いました。
…ふるいですね…

「ののはよくあいぼんと遊びに来ていたのです!
だからこのへんは慣れっこなんですよ」
そういってにぱと辻さんは口を開きました。
25 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時06分32秒
あ、チョコクリーム

そう思う前にちくと胸に痛みが走りました。
なんなのでしょう?
ちょっと淋しいようなどうしたらいいかわからなくなる感情でした。

そうしてこのあいだのことを思い出したんです。
26 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時07分39秒
控え室で床に散らばっているお菓子を一人で必死に
拾っている辻さんをみましたよ。
加護さんと四六時中一緒にいた時は必死に
一人占めしようとしていたお菓子を辻さんは加護さんと
仲良くしたくて差し出したんですよね?

「いらんてゆうてるやろ!」
みんながシャワーを浴びていて私がタオルを取りに
戻った時に加護さんのつんとした声が聞こえてきて
控え室を覗きこんだからなんです。
私は何かいけないものを見てしまった気になって
肩を揺らしてカバンを乱暴に掴んでドアーに向かう
加護さんの背中を隠れてみる事しかできませんでした。
27 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時08分36秒
下を向いていた辻さんの目はいつにも増して
潤んでいるように見えました。

   「あんまり遠くへ行かないで…」

   いつでもそばにいてくれたからなおさら
   少しでも近くにいて欲しい…
28 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時09分58秒
「辻さん、はい」
「ほえ?どしたの?こんのちゃん」

イチゴクリームのクレープを差し出した私を辻さんは
不思議そうに見つめました。

「一口どうぞっ!」

私は両手でがっちりとクレープを握ってしまって
嫌に力の入った言葉を発してしまいました。
辻さん苦笑い。私、苦笑い。てへへ

「じゃ、のののもど〜ぞ。はい」
辻さんはびりびりと巻かれている紙を乱雑に剥ぐと
私にクレープを手渡しました。
「ありがとうございます」
29 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時10分56秒
……

「「こっちもおいしい!」」

辻さんは私を見て一瞬きょとんとしましたけれど
すぐにへらと顔を崩して八重歯をこぼしました。
わたしもへらと笑いました。
「こんの〜!つじ〜!食べてる時は口をあけたら
だめだべ!気ぃつけなよ〜?」
…安部さんのお弁当を食べている時のお説教が頭に巡りました。
この言葉の後、安部さんは私の前髪を直して
辻さんのねじれていたオーバーオールの肩紐を直してくれました。
あのときも私達は何だか幸せでへらと笑いました。
30 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時13分24秒
あっという間に辻さんといた時間は過ぎて、辻さんはミニモニ。の
撮影があるというので2人で駅まで歩いて行きます。
それにしても東京の電車はどこから乗ったらいいのかも
この電車に果たして乗っていいのかもわかりませんね。
さすがはコンクリートジャングルです。

「じゃね!きょうはすっごくたのしかったよ」
「はい。私もです」

ホームは平日の昼間の所為かいつもより人が少なくて
なんだか他の所に迷い込んでしまったような気がしました。
31 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時14分43秒
こんなところから辻さんを送り出してしまったら辻さんは
もう私と遊んでくれなくなってしまうんじゃないでしょうか?
都会に慣れた加護さんの所からもどってこなくて
田舎モノの小さい私なんかすぐ忘れてしまうんじゃないでしょうか?



ルルルルルルルルルル……

「あ、でんしゃでる」
「……はい」

   「このままどこへも行かないで」
   本音がほろり出てしまいそうになるから
   電車のドアーよ早く閉まって…

ぷしゅ……っ

32 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時15分41秒
辻さんがドアー越しに手を振りました。
私は一生懸命振り返しました。
じっと辻さんの笑顔を見ていました。
ずるずると辻さんの笑顔は電車に引きずられて行きました。

…電車は行ってしまいました。
ごっと強い風とひどく軋んだ音がしました。

見送った辻さんの笑顔はなんだか誰かが支えていないと
倒れてしまう朝顔のように見えました。
日の光がないと咲けない朝顔のようでした。
33 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時16分42秒
…でもね?辻さん…
朝顔は日の光がなくっても朝を待てずに咲いてしまうんです。
だから日の光がなくても咲くことはできるんです。
地にはいつくばってでも咲くんです。
34 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時17分39秒
……

ウチはへらへら且何度も振り付けの練習をするののを見ていた。
黒髪のサラサラツインテール。黄色いボンボン。
それが動くたびにかわいくしなやかに跳ねる。
軽いくせっ毛で猫っ毛なウチにあてつけか!?
ナンも努力せんでへらへらしとるやつはウチ好かんのや。
…そうや…ののなんかはじめっから好きなんかやあらへん。
…そうなんやったらそうなんや!…
35 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時19分27秒
「…痩せたな」
「そうかな〜?」
「お茶なんか飲むん?コーラあるで?」
「紺野ちゃんがお茶が体にいいって言ったの〜」
「……」

…嫌味通じんやんけ……

「なんか…言葉が丁寧になってへんか?」
「?…あ〜…こんのちゃんの敬語のせいかな?
5期めんば〜はみんなののにまで敬語つかうから」
「…ふ〜ん…」

…また紺野かいな……
36 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時21分47秒

   何だか少し痩せちゃったね
   言葉も少し変わってしまってたけど…

「な〜…ウチのこと嫌いか?」
「ほえ〜!?なにいってるんれすか!?
ののはあいぼんのこと”らい”すっきれすよ!」
「…昔っからそのだらしない顔やめっていってるやろ…
もっとアイドルらしく笑えや…」
「てへへ…」

   笑顔は今もあの頃のまま…

37 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時23分43秒
「やったよ!私、モーニング娘。に亜依ちゃんと一緒に
入れるよ!あ…補欠だけどね…てへへ」

   「あんまり遠くへ行かないで…」

   いつでもそばにいてくれたからなおさら
   少しでもそばにいて欲しい…

−FIN−
38 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)22時25分37秒
<<OMAKE>>…辻を送った後の紺野…

「あれ?紺野だべ。こんなとこでどした〜?」
「えっ!?安部さん…どうして私だって…」
「変なサングラスしてる人がいるな〜と思って
顔を見たら紺野なんだもんな〜なっち、びっくりしたよぉ」
「…」
39 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月14日(木)23時33分34秒
<<アトガキラシク…>>

「桜」と「朝顔」を書いてみましたけど
2人とも補欠合格して同じ気持ちを味わったから
人にやさしくなれるし自分を持って成長していけると思います。
辻ちゃんが最近痩せたり、加護ちゃんに
頼らなく(見える)なったのも5期メンバーが
はいったことが関係してると思うし、同じ境遇の
紺野ちゃんとはお互いイイ関係を築けることを
確信しております…それにこの2人結構ぼけぼけの
癒し系だからなあ…

こんなこといいつつ自分は元祖(?)癒しの
なっちファンです…

こぶろく
40 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時27分45秒
―ハンマー―


   ハンマーが振り下ろされる 僕達の頭の上に
   ハンマーが振り下ろされる 世界中いたる所で   


41 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時28分39秒
その日、辻さんがジャンケンで負けてみんなのお菓子を
買いに行ったとたんに雨が降り出しました。
しとしとと降りつける雨は雲行きからいっても通り雨では
なさそうでした。
「あ〜雨降ってきちゃったね〜」
愛ちゃんがそう言うと理沙ちゃんが先輩達の顔色をちらと
みると満面の笑みで言いました。
「私、辻さんが心配ですぅ!だいじょうぶかなぁ〜?」
麻琴ちゃんも負けてなるものかとため息をつきました。
「本当…辻さん、かわいそうですね〜」

42 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時29分44秒
「わ…わたしっ!」
私は腕を突っぱねてテーブルから立ちあがりました。
「辻さんのこと迎えに行ってきます!」

どて

「紺野、紺野」
思いきり顔面からひっくり返りくらくらとしながら
瞬きしていたらちょっとダサめの白いコートが肩にかかりました。
そうして手にはコンビニ傘を握らせて頭には白い手が
ふわふわと動いていました。
「外はさむいべ〜。ほら、もう転ばないようにしっかり
歩いて行かなきゃだめだぞ〜」
「安部さん…」
43 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時30分25秒
私は一番近くのコンビニに足を走らせました。
さっき、私はどうしてあんなこといっちゃったんだろう…
さっき理沙ちゃんの言葉を聞いて胸がかっと熱くなった。
悪いけど…ちょっと麻琴ちゃんのことをずるいと思った。
あ、そもそも2人は先輩受けの為に言ったんだ…

   安っぽいメッキなら すぐに剥がれてしまう
   カラッポの言葉なら 僕はもう聞き飽きた

そっか…そうかそうか…
44 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時31分13秒
「…あれ…」
一番近くのコンビニに駆け込むと辻さんの姿は見当たりませんでした。
お菓子
お弁当
デザート
雑誌
アイスクリーム
ジュース…
トイレまでくまなく見回ってみたけれど辻さんはいませんでした。
45 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時31分45秒
「コンビニに行くって…いってたのにな…」

言いようのない淋しさ。
どくどくと胸がなって顔が紅潮して自分の心が
焦っているのが手に取るようにわかりました。
辻さん、こんなにずっと雨に打たれていたら風邪引いちゃいます…

   外は春の雨が降って 僕は部屋で一人ぼっち
   外は春の雨が降って 僕は部屋で一人ぼっち

とぼとぼと私は元来た道を歩くしかありませんでした。
足取りは重いです。ここまで来るのに5分かかるかかからないか。
でも雨はさっきからますます勢いを増していました。
私の顔には風によって弾かれた雨か、それとも別の物かつかない
水滴がいくつも流れていました。
46 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時32分39秒
「はれ?こんのちゃん?」
「!」

目の前にはずぶ濡れになってコンビニの傘をさしている
辻さんがいました。

「辻さん!?どこにいらっしゃってたんですか!?」
「ほえ?」

ちらと辻さんの持っている袋を見ると私がさっき行ったコンビニより
もう少し時間のかかるコンビニの袋でした。

「あのね〜みんこっちのほうのお菓子が好きっていうでしょ?
とくに『にーがきちゃん』がこのチョコドーナツおいしい〜×2って
いってたからどうしても買ってきたかったのです」
47 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時33分13秒
また胸がかっと熱くなりました。
「でも…つくまでにずぶ濡れになっちゃったんですよね?」
「てへへ〜だってのの、みんなに喜んで欲しいもん。
そのほうほうがわかるならその道をえらんだ方がいいよ〜」

   でたらめばかりだって耳をフサイでいたら
   何にも聞こえなくなっちゃうよ

「…わたしも…そのチョコドーナツ、ダイスキです」
「うん!ののも”らい”すっきれす!
み〜んなでたべよう!あ、ポップコーンつぶれてないかな…」
48 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時34分03秒
辻さん…無邪気に笑っているけどなんだか大人ですね。
私は安部さんに借りたコートを辻さんの肩にかけました。
私達は笑いました。てへてへ

「このコート…なっちゃんのでしょう?」
「え?はい」
「やっぱダサいれすね…」
鼻水をすすりながら笑う辻さん。

「まこっちゃんには『いのきのとーこんべんとー』をかってきたのです」
49 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時35分39秒
私達は雨の中、アスファルトやコンクリートに叩きつけられる
水の音に負けないくらい大きな声でうたいました。
「♪あ〜めあ〜めふ〜れふ〜れ、こんのちゃんが〜
じゃのめでおむかえうっれしいな〜♪」
「♪ぴっちぴっち↑ちゃっぷちゃっぷ
らん↑らん↓らん」
みんなが心配していたよ、とだけ言いました。
いやはや、てへてへと辻さんは笑います。
これでいいんです。これで。
60億の個人的な憂鬱があるんです。1個くらいなくなったって
神様はハンマーを振り下ろさないでしょう…
50 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)00時37分26秒
   外は春の雨が降って 僕は部屋で一人ぼっち
   外は春の雨が降って 僕は……

−FIN−

「なっちのお夜食忘れるなんてひどいべさ!」
「すまんのです…」
「よっすぃ〜のべーぐるいただくべさ」
「おとといきやがれ!かもんな!」
「あ…よかったら私の…」
「ラブラブ!先輩!私の…」
「にーがきのはいいべさ…」
51 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月15日(金)06時10分23秒
こんのの、いいですね。ほのぼのしました。
ちょっとだけジーンともしました。
文章も読みやすくていいですね。

また次の作品も読ませていただきます。
頑張ってください。
52 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)14時24分19秒
>>51
ありがとうございます!
初めてだったのでどきどきしながら
載せたけれどほのぼの感が伝わって良かったです。
ほのぼの+ちょっとじーんがこんののには
ぴったりだと思うので。

スレ使い潰すまでもうすこし作品を書いてみたいと
思います。マターリ具合にお付き合いいただければ幸いかと。
53 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時24分14秒
一つ「ロクデナシ」というストーリーを書いたのですが
あまりにもひねていたので自粛。
書くもの書くものあんまりほのぼのしてなくてなんだか…
めっちゃマターリなこんののが書きたいのに…
54 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時25分06秒
私はステージの中央に立ちました。
ちりっと熱くスポットライトが照らされました。
ひゅうと音がして私の胸に空気が吸い込まれていきます。
音が一瞬消えます。

―you―

   言葉にはならない思い 心の中
   伝えたくて きつく抱きしめてる

55 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時25分55秒
「今日は紺野が初めのフレーズだからね」
「えっ!?」
メイクさんにグロスをぬってもらっていたときに
飯田さんにそう告げられて顔を横に向けると私の頬にはピンク色の
てるてるとした色の線が一本引かれました。
「口裂け女」
そういって愛ちゃんはころころと笑いました。
「おばさんぽいぞ〜!」
そう麻琴ちゃんにからかわれました。
「やだ〜こどもっぽ〜い」
理沙ちゃんに言われたくないです。
56 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時26分45秒
メイクを直してもらいリハーサルに入りました。

中央に立ちます。

手を組みます。

ギターの音がステージ一杯に響きました。

「…あ…………」

ぐるぐるぐるぐる…
いくつものライトは流線型の残像を残しています。
ちかっと強いライトが目に入りました。
すぐ真っ暗になりました。
57 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時27分48秒
「こんのちゃん!」
辻さんの声。

「何やってるんだよ!紺野!」
「あんなに練習しだだろ〜!どうしただよ〜」
「もうちょっとがんばんなよ」

わ…私…

「ちょっときぶんが悪くなっただけだよね?
このスポットライト、つよすぎてあついのれす」
私の肩をぎゅっと掴んで辻さんが言いました。
でも…辻さんの腕はがくがくと震えていました。

「…今日は新垣に代わってもらうか?」
ざわざわと周りが沸き立ちそんな声が洩れてきました。
ちらっと理沙ちゃんを見るとすごくうれしそう…

私が…ここで譲れば私は緊張して怖がらなくてすむし
みんなに迷惑かからないし理沙ちゃんは喜んでくれるし…
58 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時28分29秒
「ちがうんれす!こんのちゃんは普通の女の子なんだよ!
だからどきどきしてるんだよ!ののだってはじめはくらくらしたよ!
でも…むすめ。のみんなが支えてくれたから「ぱらっぱらっ」て
ちゃんとうたえたんれす!
だから…いま…みんなでこんのちゃん支えなきゃだめだよぉ…」
「辻…」
みんなは何かすまなそうな顔をして私達2人を見つめていました。

「もう一回やろ〜みんな〜立ち位置に戻ろ〜」
そう言い始めたのは後藤さんでした。
「だ〜よなあ〜!ごっつあんのいうとーりだよ〜」
吉澤さんも満面の笑みで私の後ろにつき始めました。
理沙ちゃんはちょっと残念そうに私の方を見ていました。

「辻さん」
「こんのちゃん」
私達は笑い合いました。
59 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時29分17秒
「こんのちゃん!次こそがんばるのれすよ!」
「はい。ありがとうございます」
そういって辻さんはぽんぽんと私の頭を軽く叩きました。
これってよく安部さんや飯田さんに辻さんが慰められる時
やってましたよね?
そうしてちょっと照れたように八重歯で下唇を噛みました。
「一人って怖いもんね?でもねみ〜んなこんのちゃんのみかただよ?
ののだっているし、一人じゃないんだよ?」

   君の弱さも強さも 気まぐれなそぶりも 意地っ張りも
   照れ隠しのウソも 君の全てを映した この歌のように
   「支えるから」なんていえたらいいなぁ・・!
60 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時30分12秒
私はステージの中央に立ちました。
ちりっと熱くスポットライトが照らされました。
ひゅうと音がして私の胸に空気が吸い込まれていきます。
音が一瞬消えます。

じゃらららら〜〜〜〜〜〜……んん………

「愛をく〜だ〜さ〜……」

「い〜〜〜〜〜〜〜〜!」

その後の「わ〜お」の中に舌ったらずな声で
「やったのれす!」という声が聞こえたのは気のせいなのでしょうか?

61 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時31分14秒
辻さん。支えてくれてありがとうございます。
辻さん。お願いします。私を支えてください。
私も辻さんを支えることができるよう、努力しますから。
一緒に歩いて行けるよう駆け足で追いかけますから…

   流れる時のスピードを 追い越さぬよう
   いつも2人 同じ歩幅で…

−FIN−
62 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月15日(金)17時32分59秒
「紺野、なっちと初めのフレーズ練習するべ?」
「こんのちゃんののといっしょに「あ〜いをく〜だ〜さ〜い〜」の
れんしゅ〜するのれす!」
「…田舎臭さと舌足らず…キャラとしてどっちがイイでしょう…」
63 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年03月16日(土)00時50分45秒
どっちも最高です。判断がつきかねる。
64 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月16日(土)22時50分56秒
>>63
紺野ちゃんはどっちにもなり得るしなって欲しくもないし…
判断付かないですよね…あの不思議キャラは
なかなかなくてとても好きなんですが…

次はこんのの+…!?
65 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月16日(土)22時51分57秒
―MinD ESCAPE―

   風にとけてく このメッセージ
   あの娘にも 教えてあげようか

66 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月16日(土)22時52分28秒
「も〜〜〜〜お!やだあっ!」
「…」
私と辻さんは控え室に残されています。
隣ではブースに入りみんなが歌を歌っています。

「おまえら…わかってないな…」

そう言ってつんく♂さんは私達をレコーディングに参加させて
くれませんでした。
もちろん意地悪でないのはわかっているのですが…

「なんでつんくさんはいっつもののをいじめるんれすか!」
「…私なんか…全然CDのA面に歌を入れたことがありません…」

ふと私たちは目が合いました。
沈黙…
67 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月16日(土)22時53分07秒
「…逃げちゃいましょうか…二人で…」
「……」
辻さんは八重歯を見せました。
「はい〜」

私達はばれないようにしてマネージャーさんにはトイレに行くといって
すれちがった和田さんには「先輩達にお茶を…」とでまかせをいって
微笑を投げかけていただきました。
ああ…良心が痛みます…
焦った私は辻さんの手を引き走って顔から転び、辻さんは
一緒にころんだ後、私を起こそうとしてひっくり返りました。
苦笑いをして和田さんは私達を起こし「気を付けて」と言いました。
和田さんは笑いながら自分がつんく♂さんなら二人をユニットにして
「ドジモニ。」として売り出すよと言いながら去って行きました。
68 名前:こぶろく 投稿日:2002年03月16日(土)22時55分33秒
給湯室は1階の端にあって低いところに大きめの窓がありました。
これくらいならののだってと辻さんは意気込んで窓にしがみつきましたが
足が床に届かず蹴り出せなかったので私が辻さんのお尻を押しました。

「きゃっ!!!」
「ほえ〜〜〜〜!!」

私はあまりに辻さんに力を入れすぎてしまい辻さんモロとも窓の外に
転がってしまいました。
嗚呼…スローモーションになって回りがぐるぐると落ちていきます。

「んあ!?」

ぐへっ…
69 名前: 投稿日:2002年04月01日(月)22時07分13秒
いいね、こんのののほのぼの感。
かおのの好きなオイラとしては、この感覚がたまらんな。
70 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月01日(月)22時24分07秒
希望としては、吉澤辺り出してほしいな。
なんたって『欲しい物=辻希美』な訳で(W
71 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時37分37秒
はうっ!更新遅れてたら感想が…

>>69
かおののもダイスキです!あのぽえぽえとしたかんじは
いいですよね…まったりした雰囲気はののたんの
甘え上手のおかげでしょうか?

>>70
ええ!?よっすの欲しい物は辻だったのかあ!
…知らないで続編書いちゃったよ…
後半このネタ少し使わせてもらって変更しました

では、更新作業開始!お待たせしました!
72 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時38分37秒
一階だったのでそれほどの衝撃はありませんでした。
でも、どしんとはいわずにぐへ…
私はきょろきょろとあたりを見渡しました。
辻さんは座りこんだ私の足元を見て目を真ん丸くしていました。

「あ〜!?新しい子と辻ちゃんだ〜」

私のお尻の下にはEE JUMPのユウキさんが後藤さん(姉)と同じ気の抜けた
笑顔でフードをかぶって倒れていました。
さっき和田さんがいたからユウキさんがスタジオにいてもおかしくは
ないですけど…ここにいるのは明らかにおかしいです。
フードをかぶってしまうと本当に後藤姉弟の見分けは
初期の辻さん加護さんレベルまでわからなくなっています。
73 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時39分10秒
「だいじょぷ?怪我してない?」
辻さんはおどおどとユウキさんに声をかけました。
「ん〜?……かすり傷…」
薄暗くなった夕暮れ時でもユウキさんの頬についたかすり傷は
はっきりと見えました。
この様子を見るとはいつくばっていた所に私が落ちてしまい
腕のバランスを崩して顔を擦ってしまわれたのでしょう…
「あ…あの!本当にごめんなさい!」
ユウキさんは目をぱちくりとさせました。そのあどけない仕草は
お姉さんにそっくりです。
そうしてまた口を大きくあけてえへらと笑いました。

「だいじょ〜ぶ。あ、そーだ。ふたりもエスケープしてきたんでしょ?
俺と一緒にあそびにいこ〜よ」

「「え」」
74 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時39分57秒
辻さんと私は同時に声を漏らしました。
さすがはユウキさん…事務所を混乱させただけのことはあります。

「だめなのれす!」

隣に一緒に一緒に座りこんでいた辻さんがぴっと指をユウキさんに
指してはっきりと口に出しました。
気が付けば私達は向かい合って正座しています。

「ゆーきさんはまた「そにん」さんをこまらせるんですか!?
そんなのだめです!かわいそうです!さみしいですよ!
仲間がいなくなっちゃうのはしんぱいです!」

口をへの字に曲げて辻さんはユウキさんを見据えました。
75 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時40分53秒
…辻さん…もし私がいなくなったら…そんな顔で
「しんぱい」してくれますか?
そんな風に「さみしい」って言ってくれますか?

日はだんだん落ちています。
辻さんのほっぺもユウキさんのほっぺも真っ赤に染まります。
私のほっぺもこんな風に染まっているのでしょうか。

それに…都会でもこんなに空が赤くなるんですね…
私はちらと目を上にそらしまだ名残惜しそうに光を残す夕焼けを
私は目に映しました。
東京に来て初めて見た夕焼けでした。
76 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時42分07秒
ユウキさんはちょっと困った顔をするとふとため息をつきました。

「だって、君たちだって出て来てるジャン。」

「「あ」」

私たちはまた声をそろえました。
そうして目を合わせます。
辻さんはそのまま目を伏せてしまいました。

「…ま、俺は自分も君達のことも逃げだとは思ってないけどね。」

そう言うとユウキさんは立ちあがりぱぱっと土をはらいました。
77 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時43分05秒
「ダメな時はだめなんだよ。落ちこぼれはおちこぼれ。ま、それが
オレなわけだけどさ…でもさ〜自分で勝負!って時は他人関係ないじゃん?
その勝負決めんのは自分だと思うんだよね。」

    本気を出すのは 今だ!と決めるのは
    先生でもママでもないから

私はちょっと鼻の付け根がぐっと痛くなりました。

ユウキさんは柵を飛び越えるとくると私たちの方を向きました。
78 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時43分58秒
「俺の勝負はまだなんだよね。まだ全然同い年の奴より経験少なくって
勝負する度胸なんてないや。」

そう言い残すと後ろ手で手をひらりと振り走り去って行きました。

灰色の冷たいアスファルトに長く長くのびているユウキさんの影。
小さな小さなユウキさんは薄紅色のビルの間をゆらゆらと渡っていきました。

    不安になるのは自分でいたいから
    涙を恐れてちゃ だめさ

「こんのちゃん」
辻さんは私を見てにっこりと笑いました。

あ。この顔いいな…
79 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時44分33秒
「つ〜じ〜!!!つ〜じ〜〜〜!どこいった〜!」
吉澤さん…なぜか虫取り網を振り回しています…

「こここここんの〜!?なな…なっちがわるかったべ!
もう紺野の分のおかずをウソついて一品とったりしないべ!」
…いや…いいんですけど…知らなかったです…

「のの〜っ!どこいった〜!カオリが悪かったよ!
だから出ておいで!もう大福とメキシコの話はしないから〜!」
飯田さんはほら貝を持ちながら錯乱しています。

「紺野!ここか!…ちっ…」
…矢口さん…私は矢口さんみたいに二段ロッカーには入れないですよ…

いまいち真剣さに欠けるところですが窓からそっと辻さんと廊下を覗くと
こんなある意味では地獄絵図な光景が広がっていました…
80 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時45分47秒
どうやら私達がいなくなったことで大騒ぎになっているようです。

「紺野〜!一緒にがんばろうっていったじゃんか〜!
隠れてないででておいでよ〜!」
…まこっちゃん…
私…いっつもまこっちゃんに心配かけてるな…
下を向いたら少し足もとのブロックがぐしゅと歪みました。

「のの!のの!加護、のののこと嫌いになったんとちゃうから!
ただ…ちょっとやきもち焼いて甘えてみたかったんや…
だからいなくならんで!のの!のの!」

「あ…あいぼん…」
そう洩れた辻さんの声の後にぐずっという音が続きました。
81 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時46分34秒
「チャーミーが!チャーミーがいけないのかな!
あやまるっ!あやまるからっ!ああ!チャーミーってば悪い子!」
…い…石川さん…?あの…華が散ってますけど…

「辻!紺野!くだらないことで隠れたりしないでよ!
あんた達がいなかったら私らは一体どこで気を抜いてればいいのよ」
保田さん…

「辻さん!紺野ちゃん!わだし、二人いないとさみしいよ〜!」
「私だって!隠れてないででてきてください!」
あいちゃん…りさちゃん…
82 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時47分34秒
「…だーれもあんたたちのことお荷物だなんて思ってないよ。
み〜んなあんたたちのこと大好きなんだからさ。」

その声は私たちが息を潜めていた壁のすぐ裏側から聞こえました。
83 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時48分12秒
「…ゴトーもね」

窓から顔を出し下を覗きこみました。
そこには窓の下の壁にもたれて方足をたてて座っている後藤さんがいます。
私たちと目が合うとえへらと表情を歪ませました。

あ…さっきのユウキさんとおんなじ笑顔だ…
84 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時49分18秒

「せやからゆーたろ?」

声のする方を見るとつんく♂さんが立っています。
いつも通り縦線がいくつもはいった関西ヤクザのような
不思議なスーツに身を包んでいます。
そしていつもながらに自信満々の表情です。

私たちを見るとにやと口元を歪ませてつんく♂さんは笑いました。

「おまえらに足りなかったのは『仲間意識』や。
いっつも自分がのけもんだと思ってたやろ?でもそれは
お前等が勝手に考えた事。要するに周りの仲間を信じてへんてことや」
85 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時50分25秒
私は思わずうつむきました。
またさっきと同じ鼻の付け根がじんとしてきました。

「あんな〜仮にお前等がモーニングセットの目玉焼きについている
ブロッコリーとにんじんやとするやろ?確かにそれ単品では
商品にはなれへんかもしれん…でもただ目玉焼きを皿におくだけじゃあ
客に出す料理にはならへん。それにな自分が付け合せならどうして
最大限自分の出来る『メインを見せる』ことに力を精一杯注ごうと思わんのや。
周りを見せる仕事だって最高のショウビズや」

つんく♂さんは私達の前まで歩いてきました。
前屈みになるとおもしろそうに、いじわるそうに笑って小声でこぼしました。
86 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時51分16秒
「おまえらははっきりいって今は付け合せや。
でもな、いつかトーストや目玉焼きになれる可能性がある。」

サングラスが外されます。
そうしてウインクしました。

「しかもごっつい確率でや。
俺が拾った最高の食材や。こんなところで腐ってもらったらこまるで〜」

つんく♂さんは私と辻さんの頭をごしごしと撫でるともと来た廊下を
ゆっくりと戻ってブースに入っていきました。
87 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時51分58秒

   風にとけてく このメッセージ
   あの娘にも 教えてあげようか

ーFINー

「つ…つじ〜〜〜っ!よしざわわ…よしざわわなあああ〜〜っ!」
「ぐ…ぐるしいです…よっすぃーあんまほっぺぐりぐりやめてくだしゃい…」
「ののっ!もうカオリ、おまえのこと離さないぞっ!」
「あうう〜いいらしゃんまで…ぐりぐりやめれくらしゃい…」

「こんの〜わるかったべさ!もう立田揚げ3個のを1個とって
二個とかウソつかないべさ…」
「いや…いいんですけど…あの…土下座は…その…」
88 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月01日(月)23時52分53秒
なんだかコミカルちっくになったなあ〜
でも2人の劣等感の真相みたいな所がかけて
満足です…
89 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月03日(水)13時26分22秒
笑えました(w
だけどこーゆうのも好きっす
みんなに愛されてるって分かりますし(w
また楽しみにしてます♪
90 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月04日(木)21時46分51秒
>>89
ありがとうございます!
こんののはみんなに愛されてるだろーなって
ハロモニ。とかみるとつくづく感じます。
そういう感じがいいな〜モー娘。全体の雰囲気を
和らげていて。その分二人の存在自体コミカルでも
あるのですが(ワラ

自分もライブに行けなかった口なので気持ちわかります…
2DAYSの地元に行けないのは歯がゆいっすよね…
91 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月05日(金)07時23分45秒
いつも読んでますよ。ほのぼのとした作者さんの独特な世界観がすきです。
コメディタッチもいいですね。頑張ってください。楽しみにしてます。


短編集とかにも出て欲しいなあ、とか言ってみるテスト。
92 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月05日(金)23時27分40秒
>>91
ありがとうございます
ほのぼの〜はなんだか二人を見るとそのまま
情景が浮かんでくるんですよね。
桜だと紺野ちゃんが辻ちゃんの手を引いて走るシーンとか
ヤキイモをほおばるシーンとか。
とりあえず頑張りましょう!…なんて(恥

短編集か〜…でもマッタリではなくなりそうなので
もう少しこの名作集に揉まれてから参加して見ようかな。
93 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月05日(金)23時30分07秒
もしこんののやこんのの+αでリクエストがあったら
書いてみたいのでなにかある方はご一報ください(ぺこ
94 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)23時15分18秒
前の方の朝顔って作品にもチラっあるけど、
こんののが仲良くてやきもちをやくあいぼん
を辻視点、加護視点、紺野視点の3作品でみてみたいです。


いや、無理だったら気にしないで下さい。
95 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月07日(日)17時37分37秒
>>94
ありがとーございます。
やきもち…実は好きな設定だったりします。
視点替え小説。やりたいけれど3作品書く自信がないのです…
一本で切り替え切り替えでイメージ通りになるか不安だけれど
ちょっと挑戦します。根性と文才のない私をお許しください。
すこーし長めに書いて見ます。それでも良ければお付き合いください。
96 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月07日(日)17時38分30秒
―ボクノイバショ―

   近くじゃないと 見えないこともある
   遠くじゃないと 言えない事もある
97 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時39分05秒
「1時間だけあのお祭りに行ってもいいってさ」
昼の公演がおわったあとに飯田さんはののに笑ってそうゆいました。
飯田さんは笑うととっても丸い顔になるので
笑った飯田さんのほうがののはダイスキなのです。

「ほ…ほんとれすかあ〜!?」

ののは思わず声に出してとびあがりました。
二日間、この会場から見えたいっぱいいっぱいの屋台。
おいしそうなにおいもしたし、きらきらしてたし
ののはどうしても行きたかったんだけど飯田さんは
ファンも一杯いるから混乱しちゃうでしょうってゆって
のの、行けなかったんです。
98 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時39分40秒
飯田さんは人差し指を立ててそっとののの耳元でゆいました。
「でも誰にもばれないようにね?こっちにおいで。
ののの髪型、かえてあげるから。そんでこのフチありの眼鏡かけてきな。
ヘタに隠すよりその方が見つからないから。」

「はい〜♪」

うれしいな〜うれしいな〜
お祭りだ!お祭りだ!わっしょいわっしょい!
99 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時40分17秒
「ののの髪はさらさらで綺麗だなーカオリ、ずっと触ってても
きっとずーっとあきないよ…」
そうゆって飯田さんはののの頭をなでました。
「てへへ…いーださんから髪、結ってもらうのののは
らいすっきですよ〜?」

飯田さんはののの髪の毛を前からぐっと持ち上げて
ひっつめ(?)という髪型にしました。
なんだかのの、真面目みたいでした。
でもこれならみんなのののこと気が付かないかもしれません。
飯田さん、やっぱりすごいなあ・・・
100 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時41分10秒
「いいらさ〜ん…いいらさんも一緒に行くの?」
ののの髪の毛をゴムで止めながら飯田さんは鏡越しに
ののと目を合わせて困った顔をしました。
「ごめんな〜これからちょっと打ち合わせがあるんだよ。」
「ええ〜っ!?」

ののは後ろを振り返りました。
こらっと怒られました。
しゅいません…
101 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時42分08秒
「いいださんといっしょがよかった…」

のの…わがままもうゆわないって決めたけど
でもひとりぽっちでお祭り見てもつまらないよ…

「そうだ、加護〜おまえ、ののと一緒にお祭り行ってきなよ」

「…加護ね〜今、疲れてるから子守りなんてやってられんのよ」

今度はあいぼんと鏡越しに目が合いました。
でもあいぼんはさっと”しせん”を反らしました。
…最近、ののはあいぼんに嫌われているみたいです…
きっとののがいつまでものろまで、新メンバーが入ってきても
しっかりできてないからあいぼんはののにあきれてしまったのです…
仕方ないんだよね…
102 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時42分38秒
ののはため息をつきました。

「こらっ!加護!」

…飯田さん…いいんです…のの、子供だから…
のの…まだナンにも出来ないから…あいぼんのゆってること本当だから…

だから…あいぼんのこと怒らないであげて…
103 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時43分30秒
私は踊りの確認をした後、コンビニに行くと言ったまこっちゃんと
愛ちゃんと別れ、廊下で静かな所で勉強がしたいと言った理沙ちゃんと
わかれて私は一人で控え室に向かいました。

「まわるめりーごーらん♪めくるめくひゅーちゃー♪
まっけーな〜い・くっら〜いし〜んじて〜♪」

鼻歌を口ずさみながらドアを開けると飯田さんの怒声が聞こえました。
きっと辻さんがまたつまみ食いでもしたのかもしれません。
そうでなかったら…

「お、紺野」

思考を巡らせていると間髪いれずに飯田さんが話しかけて来ました。
控え室には鏡の前に座ってる…辻…さん?と加護さんと
飯田さんと私しかいません。
104 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時44分12秒
「丁度良かった。紺野、おまえ今から暇だろ?
ののと一緒にそこのお祭り、行かないか?」

お祭り…私はそっと視線を窓に移しました。
おなじみのライブ会場の模擬店です。
辻さんと一緒。
無邪気で優しい辻さんとお祭りに行けば楽しいに違いありません。
二人で行った原宿だってとっても楽しかったです。
思わず私はにこにこと笑っていました。

「はい!行きたいです!」

それに前々から胡散臭い「北海道直送!とうもろこし」の看板を掲げた店の味を
ご賞味させて頂いてどうにかこうにか小1時間問い詰めたいと
思っていたところでした。
105 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時44分54秒
「じゃ〜…紺野にはこれ…」

そう言うと飯田さんは手元にあったヘアカラースプレーを
からからと振りました。

「これで髪染めてやる。逆算すれば今からならシャワー浴びれない
時間でもないだろうし…ばれる事考えればな。」

「はい。お願いします」

飯田さんの手に握られていたスプレーの缶の色は「金」でした。
飯田さん?金髪に…?矢口さんのように…?

ぼーっとそんなことを考えているとミニお局様のような辻さんが
私に笑いかけてきました。

「楽しみだね〜」

満面の笑み。この笑顔、私大好きなんです!
106 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月07日(日)17時45分30秒
「はいっ!」

からからとヘアスプレーの缶を振る音がしました。

「うちもいく」

「え…」
「…あいぼん…?」
私と辻さん、そして飯田さんも加護さんの方を見ました。
107 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月07日(日)21時42分20秒
うちは辻なんか嫌い。
なんでもうちの真似してうざったいしやる気も上に登ろうとする
意志もあらへん。
そんな根性なし、うちは嫌い。

多分、うちはずっと辻のこと優越感だけで見てて
今度は辻が新しい後輩に優越感を感じ始めたからうちは
こんなにいらいらしとんのや…
ちょーしこくんでないで、ホンマ。
108 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月07日(日)21時42分47秒
特に辻はあの紺野にやけに先輩風ふかしてる。
むかつくわ…だからついてって紺野が大好きな
辻先輩のアホ面みせたるわ…

ほんとにむかつくわ…
109 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月07日(日)22時32分29秒
うーんと何だかまとまらないので
今回の更新は打ちきります。
お、紺野ちゃんだーかわいい〜♪
大の字大の字…
110 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月08日(月)12時23分01秒
昨日の番組でも言われてましたが
自分も辻と紺野は癒し系だと思います。
昨日の4人はなんかバランス良かったな。
いしよし、北海道師弟コンビ、大の字仲間。
111 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月08日(月)23時56分20秒
>>110
あの4人…なんかいいですよね。
見ててとろーんとしてしまう…
こんのちゃんのパンチが見れなかったのが
残念でしたけど…
あの4人+ののたんでユニットが作れそうですね。

更新作業開始します!
112 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月08日(月)23時56分54秒
「わたがしなのです〜!」
「つ…辻さんっ!大声出さないでください!」
さっそくののはこんのちゃんに怒られました。
金髪のこんのちゃんは外人さんみたいです。もともと
こんのちゃんは目も丸くってお人形さんみたいだから
似合っていました。
あいぼんは帽子をかぶってのののことを睨んで
ののとこんのちゃんの後ろを歩いていました。
…そんなにのののこと嫌いなんですね…

「辻さん、はい」
「ほえ…」
113 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月08日(月)23時58分09秒
目の前にミニモニ。の絵が印刷されているピンクの袋が
つきだされました。
そのかげからこんのちゃんの顔がぴょことでてきました。

「辻さん、ぼーっとしてるから買ってきちゃいました。
はいっ、どーぞ。」

こんのちゃんはわらいました。

「ありがとう…」

辻は食べました。
あまいです。
ふわふわです。
口の中ですぐなくなりました。
口をひらいたら口の横がくっつきました。
あまいです。
手もべろべろとなめました。
あまいです。
紺野ちゃんにおぎょうぎわるいですといわれました。
でもあまいです。
114 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月08日(月)23時58分51秒
「はい、こんのちゃんもどーぞ」

そういうとこんのちゃんは笑いました。
ゆっくりとわたあめをつまむとそおっとだいじそうに口の中に
はこんでました。

「おいひいです…」
こんのちゃんはうれしそうに口の中で舌をうごかしていました。
よかった〜うれしいな。こんのちゃんによろんでもらえて。

ちらっと後ろを見ました。
「あ…あいぼんも…」
私はあいぼんの前にわたあめの袋の口を広げて持っていきました。
115 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月08日(月)23時59分30秒
「いらん」

そうゆってあいぼんは人ごみの中に入っていきました。
ののは開いたままになったわたあめの袋を見ました。
ふわふわのわたあめがたくさんはいってます。
印刷してある絵ではののとあいぼんはなかよくしてます。

ごめんね、あいぼん。
ののがダメな子だから…
116 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時00分02秒
私は辻さんと一緒に混雑する屋台通りに入っていきました。
どこからかこげた匂い、甘い匂い、たくさんのお祭りの匂いが
胸に流れ込んできました。

「わたがしなのです〜!」
「つ…辻さんっ!大声出さないでください!」

そうさっき言った後辻さんは急に元気をなくしてしまいました。
私がきつく言い過ぎたかな…そう思っているとどうやら
加護さんが一緒に歩いてくれないのが原因のようです。

やっぱりまだ加護さんが1番なんですよね…

わかっているけれどやっぱり淋しいな…
こうやって二人で屋台を見ていても辻さんは加護さんの
ことが気になっている…じゃあ…私の居場所はどこなんでしょう。
117 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時00分47秒
何かでつなぎとめておきたくて、辻さんに見て欲しくて
私は白くて甘い綿を買いました。
柔らかくて暖かい綿菓子を胸に抱きました。
綿を紡げば糸になります。この綿菓子が私と辻さんを
繋いでくれる糸になってくれればいいのですが。

ぬくもりのある飛んでいってしまいそうに軽い膨らんだ袋を
私は辻さんの手に手渡しました。
辻さんは早速輪ゴムを外し柔らかい綿を掴みました。

その袋はまだ暖かくて開けるとむくむくとした白いかたまりが
たっぷり入ってました。
甘くてどこかこげたようないい匂い。
ほわほわした匂いは辻さんのような気がしました。
118 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時01分21秒
辻さんは私に綿菓子をすすめてくれました。
ひとつかみして口にほおりこむとじんわりと甘いのです。
すうと口の中で蕩けて私の頬をきゅうきゅうと喜ばせました。

まるで辻さんの笑顔です。
119 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時01分59秒
うちは帽子をかぶって外に出た。
屋台通りはものすごく込んでいて頭が痛くなった。

いろんな匂いがした。
ずっと前、のの…辻といっしょに行ったお祭りの匂いとは違った。
全部ウソの匂いがした。
あのときは…仲良しのののやった。そのののといっしょにかいだ
匂いはもっともっと甘くて華やかで暖かかった…
120 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時02分55秒
二人はどんどん歩いて行った。

綿菓子の屋台が有った。
ののは甘いものが大好きで綿菓子を二人で喧嘩しながら
分けたっけ…
そう思っていると紺野が屋台に歩いていって綿菓子を買っていた。
そうしてそのまま辻に渡していた。

鈍間な辻に綿菓子を買う。
その役目はウチのもんやったやんか?

辻が手についた綿菓子をなめるのをやめろと止める。
その役目はウチのもんやったやんか?
121 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時03分43秒
いらいらしていると辻はウチのところに綿菓子の袋を
もって歩いてきた。

「あいぼんも…」

なんか鼻がつんとした。
唇を噛んだ。

「いらん」

そういうのが精一杯やった。
声が震えていた。

辻がまた紺野のところに戻って行った。

二人で分け合った綿菓子の味を思い出した。
視界がおかしくなったから目を擦った。
鼻を鳴らした。
122 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月09日(火)00時04分13秒
綿菓子…ただの砂糖の塊…何の栄養価もなければひねりもない。
でもみんな欲しがって口に含めば幸せになれて。

まるで辻の笑顔みたいやな…
123 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月09日(火)00時05分23秒
とりあえず今回の更新終了。
ねむい〜…
124 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月11日(木)21時47分44秒
94です。リクにお応えいただきまして、感謝してます。
辻の天然さと、紺野のひたむきさ。そして、加護の嫉妬。
やっぱり、作者さんの書く辻と紺野はいいですね。
どうなっていくのか楽しみです。


マターリと完結お待ちしています。
125 名前:こぶろく 投稿日:2002年04月18日(木)00時13分50秒
>>124
励ましの言葉ありがとうございます。
やっぱりこういう感想のレスはなによりの
栄養剤ですね。心の。

これから学校が始まったので更新が
著しく遅くなります。

ご了承ください。
126 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時15分05秒
「金魚だ!かーわいー!」
辻さんはそう叫ぶと一目散に金魚すくいの屋台に走って行きました。

まさか…!?

…いくら辻さんだって金魚を食べたりしませんよね?
紺野あさ美失礼にも程がありますね。
お詫びに金魚の真似を全身全霊をかけて辻さんの前で
やり遂げて見せましょう!
127 名前:Konkon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時16分04秒
ぱくぱくぱく

ぱくぱくぱく

あ。変な目で見られてる。
そういえば辻さんは走って屋台に行ってしまわれていました。

「きゃああああああっ!」
128 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時17分12秒
うちはあいかわらず紺野と辻の後ろを着いて回っていた。
どうしてこんなにお祭りが楽しくないんやろ。
昔は目が回るくらい、息が詰まる位楽しくて楽しくて仕方なかったのに。
ウチが大人になったから?それとも。

何かが足りないから?
129 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時18分25秒
認めたくなかった。
そんな訳あらへん。
ウチはなんでも一人でやってきた。
顔も誰よりも可愛く見られるよう研究しとるし
自主トレーニングだって人一倍しとる。
なのになんで辻なんか必要なん?
ウチは人気だって上から数えた方が早いんやで!?
あの辻なんか下から数えた方が早いブービーやんか。
認めへん。絶対認めへんからな。
みんなから愛されてるだけの辻が羨ましくて
悔しい何て絶対みとめへん。
130 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時19分24秒
「きゃあああああああ」

けたたましい叫び声。
どんな雑踏の中でだってわかる。
これは…

「のの!」

大好きなののの声や!
ウチを呼んでるんや!
131 名前:Aibon Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時20分07秒
仮に辻が紺野を呼んでいたとしてもかまわへん。

ウチはののが好きだから。だからかまわへん。
ののがいないとウチはウチでいることができひん…
わかってた…わかってたけど…
淋しくて仕方なかった…いつか離れて行くののを思うと
寂しくて辛くて…

でももう迷わへん。

ウチはののの黒い髪の束をつかんでいるごつい腕に噛み付いた。
132 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時20分50秒
のの、金魚ってあんまり好きじゃなかったけど
きょねんあいぼんがいーっぱいきんぎょすくいで
金魚とるのみて好きになりました。
だってあいぼんは金魚すくいが得意でだいすきだから。
あいぼんがすきなものはののも好きになりたいんだ。

それと紺野ちゃんの金魚の真似がおもしろかったので
金魚は大好きなものになったのです。
133 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時21分28秒
金魚すくいがあったのでみんなでいきたくてののは走りました。
前からちょっと怖そうなおにいさんが歩いてきます。
ののはよけて屋台に向かうとおにいさんはそのまま
ののとおなじほうにきました。

どっ

「いたっ…」

ぶつかりました…
134 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時22分10秒
「ってーな、餓鬼が!
走りまわってんじゃねーよ!ぶくぶくしたナリしやがって!」

え…?
ののが…わるいんですか…?

「…がうよ…ちがう…おにーさんが…
ぶつかってきたじゃない…ですか…」

のの…まちがってないよ?

おにいさんからぎりぎりって音がしました。
たぶん怒って奥歯をかんだんです。
のの、ものすごく怖くなりました。
135 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時22分48秒
「んだと!?調子乗ってんじゃねーぞ!くそ餓鬼が!」

「きゃあああああ!!!!!!」

そのひとはののの髪をひっぱりあげると地面に
ののをたたきつけました。
そうしてまた髪をひっぱって上までもちあげました。
まわりのひとは"とおまき"にみているだけで知らんぷりしています。

「あやまれよ。ブス」
136 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時23分32秒
怖い…こわい…
いたいよ…

助けて…

のの…やっぱりだめなこだから…
一人じゃなんにもできないよ…

「ののっ!」
「辻さん!」
137 名前:Nono Side 投稿日:2002年04月18日(木)00時24分08秒
「ぎゃああああ!!!!!」

おにーさんはうずくまってののは下におとされました。

紺野ちゃんのお腹への真拳突きとあいぼんの腕へのかみつきは
見事決まっていたのです。

「…う…あいぼん〜ごんのぢゃん〜」

ののはないてました。
138 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月04日(土)05時43分43秒
学校お忙しいですか?マターリとお待ちしてますよ。
139 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月04日(土)18時11分02秒
再開キボンヌ。ガンガレ。
140 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月07日(火)23時25分39秒
こんこんお誕生日おめ。再開まだですか?
141 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月10日(金)22時58分55秒
心に思いを秘めるこんこんも
ちょっと拗ねた感じのあいぼんも可愛いですv
また是非まったり更新して下さい。
142 名前:   投稿日:2002年05月11日(土)18時34分58秒
マターリ、待ってます。
143 名前:こぶろく 投稿日:2002年05月12日(日)13時30分46秒
あ〜…怒涛のような学校生活…
携帯で少しづつ作ったものがやっと出来た…(泣

>138
正直忙しいッす(泣
でもこんのの萌えでがんばりますう…

>139
キボンヌさんくすです!
やっとの再開です!

>140
おたおめですよね!このネタものも
かきたいけど…無理だろうなあ…

>142
心の広いお方…ダイスキです!
がんがりますう!

…たくさんの励ましレスありがとうございます!
では更新作業です。
144 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時31分38秒
他愛のない相手でした。
力の使い方がわかっていないのがはっきりと伝わってきます。
お兄さん、腕っ節じゃ私を倒せませんよ。
私は突いた拳を戻し足を回してバランスを取ると息を吐き
辻さんのほうを見ました。

辻さんは加護さんにすがって泣いていました。
145 名前:Aibon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時32分44秒
うわ…圧し掛かったらあかんて…
のの、あんためっちゃおも…重いって!
…髪…ばらばらになって…
綺麗な髪なのに…乱暴に掴まれて…
ウチはののをなでた。昔、ののが上手くダンスできひんて
ウチの家に練習がてら泊まりにきたときもこんな風に
ののの頭を撫でたっけ…
146 名前:Aibon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時33分35秒
…つーか!ビービー泣くなや…
やっぱりウチがいなきゃだめやねんなぁ…
絡まれたら逃げなあかんやろって…
何であそこで”たいまん”はっとんねや…
とろっくさいしアホなやっちゃな…
147 名前:Aibon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時34分10秒
でもま…そんな素直で頑固で純粋なところは
一目おいといてやるけどな。
そこだけやで?ホンマ。
148 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時35分08秒
胸に重圧がかかった気がします。
喉が気味悪くごろっと音をならしました。
私は思わず唇を噛みました。
そうなんです。私がいくら辻さんの笑顔や表情
言葉や仕草に安堵を得て勇気をもらってもその笑顔や表情、
「今の辻さん」を作ってきた経過に私はいないんです。
その「今の辻さん」を作った何分の一かに含まれいている
加護さんは私なんかよりずっと辻さんに頼られ、愛されて…
仲良しなんですよね…

私は…
149 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時35分44秒
「ありがとう!こんのちゃん!」

「!」

辻さんは笑いました。
私に向けられた私だけの笑顔。
少し泣きました。
150 名前:Nono Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時36分25秒
ごめんね…ごめんね…
二人ともごめんね…

ごめんね…ごめんね…
あいぼんごめんね…

ごめんね…ごめんね…
こんのちゃんごめんね…

ごめんね…ごめんね…
こわいおにいさんごめんね…
151 名前:Nono Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時37分18秒
ごめんね…ごめんね…
のの…よわくってこわがりで…
なきむしで…だめっこで…

ごめんね…

ののはあいぼんに頭を下げました。
つかまれてばらばらになった髪の毛が
のののめのまえにばらばらって落ちてきました。
ごめんていうときっとあいぼんは悲しみます。
だからののわらいました。
てへてへ…
152 名前:Nono Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時39分17秒
ののはみんなを悲しませるためにいるんじゃないのです。
おちこぼれのののは…みんなをたのしくしてあげたいです。
こんのちゃんにもあやまるのを止めます。
だからそのかわりお礼を言わなくちゃ。

「ありがとう!こんのちゃん!」
153 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時41分05秒
私達は3人で手を繋いで楽屋に帰りました。
正確に言うと強制送還です。
周りにばれたんです。
辻さんの強烈な泣き声で。
いえ…責めてはいませんよ…決して…
154 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時43分02秒
「ああああああ!そんなにとって!
あいぼんずるい!ののの!のののわたあめ!」

「うっさい!ぼーとしてるほうがわるいんや〜!」

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜!くったああああ!」

「へっへ〜んだ!お腹に入っちゃえばこっちのもんだも〜ん!」

そういって加護さんはお腹をポンと叩きました。

辻さんと加護さんは二人で取り合って
綿菓子を食べていました。
久しぶりにこんな風景を見た気がします。
二人は幸せそうでした。
私はそれを遠くから見るしか出来ませんでした。
155 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時43分43秒
二人がもっと強くもっと大きな
なにかに気づくまでは…

近くじゃなぜか見えないこともある
遠くじゃなぜか言えない事もある

視界が潤みかけました。
156 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時44分36秒
「行ってきな」
「え…」
私の肩を叩いたのは飯田さんでした。
やさしく笑っていました。
なんでもわかってしまっているようです。
私は何だか我侭のようで恥ずかしくて下を向きました。

「わたあめ…食べてきなよ…」
辻さんはこっちをみていました。
にこっと笑いました。

「こんのちゃ〜ん!いいらさ〜ん!
いっしょにわたあめたべよーよー!」
「だめや!うちの取り分がなくなる!」

辻さんも加護さんも笑っていました。
157 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時45分32秒
「わ…わたしのとうもろこしも一緒に食べましょう!」

私は思わず口に出しました。
手にはまだ温かいやきとうもろこしが2本あります。
辻さんはぴょんと飛びあがって私の方にきて
抱きつきました。

「うれすぃ〜のでっす!
おいしそうな匂いがすると思っていたのですよ!」

加護さんにも抱きつかれました。

「だ〜か〜ら〜!うちに抜け駆けすんなよ!」

「ほら、カオリがこの二つ、半分ずつにしてあげるから…」
158 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時46分48秒
飯田さんは私達さんにんの頭を撫でると
さすがは道産子、手際よく袋の外から力をかけ焼きとうもろこしを
半分ずつにして私達に渡しました。

「はい!残りはうらみっこ無しのジャンケンだよ!」
159 名前:Aibon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時47分26秒
のの…ありがとう…
ウチちょっとあせってた…
のの…ありがとう…
そばにいてくれて…
のの…こんなふうにずっとウチの心の居場所になってな…
160 名前:Nono Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時48分06秒
とうもころし…とうもころし…とうもころし…
ぜったいののがげっとなのです!
161 名前:Konkon Side 投稿日:2002年05月12日(日)13時48分58秒
「じゃんけんぽん!」
「はい!紺野の勝ち!」

「「え〜!?」」

私達は顔を見合わせ笑い合いました。

近くじゃないと見えない事もある
遠くじゃないと言えない事もある
162 名前:Konkon 投稿日:2002年05月12日(日)13時49分36秒
時々涙が出るのは仕方ない事
でも今はこんなに遠い君のそばが
僕の居場所

-Fin-

「…(ま…まずい…!べちゃべちゃしてて瑞々しさの欠片も
感じさせない…こんなの誇大広告も良い所ですね…)」

「うまいのれす!」
「ん〜!やきとうもろこしうま〜!」

「…あの…これ…お二人でどうぞ…」
163 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)00時21分21秒
優しく見守るいいらサン、イイ!
ちなみに、『みんな大好き!』の写真集に、ののかおの写真があるよ。
164 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月15日(水)13時22分54秒
お忙しい中の完結お疲れ様でした。
ほのぼの紺野といえば、この作品集といわれるぐらいになってますので、
学校が大変でしょうが、お時間があれば次作を期待してます。
165 名前:こぶろく 投稿日:2002年05月15日(水)21時44分02秒
>163
ありがとうございます!
どうしてもこんののは先輩道産子と
絡ませたくなりますなあ…
ののかお…ちょっとときめいてみたりして…

>164
ありがとうございます…
っていうか!ほのぼの紺野をいったい
どこで評されているんでしょう…
差し支えなければちょっと本気で聴きたいです…

次回作も携帯でちびちび作って多分
あぷできると思います。
いろんなひととこんののをからませたいな…
166 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月19日(日)04時43分09秒
大変面白く読ませてもらってます。
しかしながら作者さんに御願い。
もう一人の同い年・小川をこんのの+加護に
絡ませた4人ものを読んでみたい。
忙しいとは思いますが、手の空いた時にでも
御願いします。
167 名前:こぶろく 投稿日:2002年05月19日(日)19時03分42秒
>>166
何と温かい言葉を…(涙
まこっちゃんはいつかは使いたいと思っていた
けれどなかなか情報不足で使いこなせていません…
でも最近ますます可愛くなるまこっちゃんはドキドキ…

それと近日中に森にもう一つマルチカップリングの
作品集を立てようと思っています。
いちごまとにいにいのソロストーリーが出来ています。
よろしく…とご挨拶を…

っていうか…忙しさと暇にムラがあるなあ…
168 名前:名無し 投稿日:2002年06月06日(木)12時58分41秒
毎回面白く読まさして頂いております。

これからも頑張ってください
169 名前:名前ってなあに? 投稿日:2002年06月06日(木)22時55分50秒
昨日見つけて一気に読ませていただきました!
こんのののふわふわマターリした感じがいいですねぇ…

個人的には「MinD ESCAPE」がお気に入りです
あの曲の詞好きなんですよ〜 自分にも重なるところもあって…
またあんな感じの詞に当てはめたようなストーリーも大期待してます!
170 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月07日(金)22時08分30秒
やっとテストが終わった…(泣

>>168
応援してくださってありがとうございます。
本当にこういう言葉があるとものすごく
励みになってもう(泣泣)
頑張りまっする!

>>169
ふわふわまた〜りは私のストーリーを書く上での
表現で意識してる事なのでそう感じてもらえるなら
嬉しいです。
「MIND〜」はまさにこの二人の劣等感に
つながるな〜と…曲自体もマターリですし…
大期待…あひゃ〜!

こんのの…踊る!でなにかあるといいなあ…
171 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時23分09秒
ふわあ・・・やっと…やっとできた!
前かいて没にした作品のリメイクで
こんのの+小川+加護!できましたっ!
ちょっと性格わかりにくいですけど…
172 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時23分53秒
―ロクデナシ―

   劣等性で十分だ
   はみだしものでかまわない


173 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時26分20秒
「みんな〜!アイス買ってきたよ〜!」
飯田さんががさっと頭上にアイスクリームが詰まった
袋を掲げました。
後ろにはてへてへと笑い八段アイスを両手に持って
満足そうにしている辻さんもいました。
撮影待ちの間、こっそり飯田さんが抜け出して
近くのアイスクリーム屋さんに行ってきたようでした。
安部さん…目、きんらきらしてますね…
やっぱり……以下自粛です。
174 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時27分00秒
「こんのちゃん!はいっ!」
「え…これって…」
辻さんは八段アイスの片方を私に向かって突き出しました。
「は〜い〜♪8”らん”あいすれす!」
8段の段と言う時に辻さんはチョコミントの
アイスクリームを舌で掬い取りました。
「あ…いいんですか…?」
「こんのちゃんはまだ食べた事がないって
いっていってたでしょう?食べてみたいって言ってたから。
すご〜くおいしいから”らべて”みて!」
「はい…ありがとうございます…」
175 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時28分38秒
八段アイス。
辻さんを誘惑し辻さんが愛して止まない魅惑のデザート…
と言うより迫力の一言です…

ぱく…

あ…おいしい…
ベースのクリーム自体に濃厚な牛乳や生クリームをふんだんに
つかって丁寧にこしてありますね…

「うっわあ〜!おいしそう!一口っ!」
「きゃっ!」
そうアイスクリームに飛びついてきたのはまこっちゃんでした。
癖のある黒いセミロングの髪がいい匂いをくるくると振りまいて
私の目の前を掠めて行きました。
まこっちゃんは3段目のチョコレートにかじりつきました。
176 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時29分30秒
「ん…」
「…?」
頬っぺたに茶色のクリームをつけて唇を上から下までくるっと
下でなぞるとまこっちゃんの口はにかと開きました。
「おいっし〜!」
「れしょう!?」
また辻さんがアイスを舐めながら笑いました。

「ばっかみたい!そんなんばっか食べるから
ぶくぶくぶくぶく太るんや!」
そう言って加護さんは食べていたアイスを半分だけ食べて
冷凍庫にしまいました。
辻さんは不思議そうな顔をして加護さんを見ています。
しかしすぐ辻さんはしまったという表情を浮かべました。
「あいぼん…ひょっとして…」
177 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時30分11秒
私とまこっちゃんは顔を見合わせました。
加護さんは安堵の入り混じったなにかはにかんだような
表情になり、真っ赤になりました。
「ひょっとして…はち”らん”あいす食べたかったのですか?」
私とまこっちゃんは向かい合ってた顔をぐるんと
加護さんのほうに向けました。
加護さんは私とまこっちゃんを見て少し唇を歪ませると
辻さんを思いきり睨みました。
「もう…ええわ…」
辻さんはまた不思議そうな顔をして八段アイスを舐めました。

「にしてもこれはおいしいね。辻さんがハマルの
わかるな〜…」
そう言ってまこっちゃんはまた私の手に握られている
八段アイスにかぶりつきました。
178 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時31分45秒
いつもは大人っぽいまこっちゃんなのに本当はこんなに
素直で甘えん坊なんです。
いえ…きっとこっちのまこっちゃんが本当のまこっちゃんで
ありのままのまこっちゃんなんだと思います。
まこっちゃんは大人っぽい割にかわいらしく子供っぽい表情をします。
でもしっかりしてて、その反面泣き虫で…
私とまこっちゃんは支えたり支えあったりしてます。
アイドルとしての天然の「光」のようなものを持っているあいちゃんや
アイドルとしての「らしさ」を持っているりさちゃんと私達はなんとなく
違う気がして…

私はいつのまにかお得意の妄想モードに入っていたようです。
アイスクリームがずるずると溶け始め重心がずれて来た事に
まったく気が付く事ができませんでした。
179 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時32分38秒
「こんのちゃん!ちゃんと支えてないとあぶないよ!」
「え…」

べちゃっ…

「ぎゃあああああああああああああ!!!!!」
けたたましい叫び声。
何者かが地獄の業火に焼かれたのでしょうか!?
…そんなはずはありませんでした…

「あ…」
「こおおおおんのおおおおおおおおお!
なんてことすんだよ!!!」

目の前には金髪を8色に染め上げた矢口さん。

「ご…ごめんなさ…」
私はポケットからハンカチを取り出すと矢口さんに近づけました。

ばしっ!

私の頬がぴんと音をたてて弾けとんだ気がしました。
どこを向いたらいいかわからなくなりました。
頭のどこかでがちゃんと音がしたのできっとテーブルかイスに
私の身体はぶつかったのでしょう。
180 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時33分44秒
「ふざけんな!あやまりゃすむとかくだらない事思ってんだろ!?
あたしはあんたのそ〜ゆ〜態度がだいっきらいなんだよね!」
「そ…そんな…わ…わたし…」

口が回りません。
矢口さんの目は片一方が溶けたアイスクリームで見えないけれど
もう片方からの怒りの感情でどんな風になっているかは容易に
想像できました。
目の前がばちばちといってきて涙がたまっていくのがわかりました。
181 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時34分16秒
「矢口さん!あさみちゃんだって悪気はないんです!」
まこっちゃんが私の前に出ました。
「悪気がなけりゃなにやってもいいのかよ!あああああ!
もおう!いらいらすんな〜!」
まこっちゃんの足は震えていました。
「だって…だって!あさみちゃんは…その…」

ドジな私のために…

胸がずきんとしました。
涙で歪んだ視界に厚ぞこのスニーカーと二人で買いに行った
まこっちゃんの水色のミュールが目に入りました。
182 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時35分11秒
「いっつもとろとろとろとろしやがって!さいってーだよ!役立たずだし
あんたなんかモーニング娘。にはいんなきゃよかったんだよ!」
そう言って矢口さんは頭を振り乱しました。
ぼたっと音をたてて水色のクリームが視界に入りました。

何かが弾けた気がしました。
みんなしんとしています。もちろん補欠の私にこんな事を言うのは
反則だと誰もがわかっているからの沈黙でしょう…
183 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時36分11秒
「!!いくらなんでもひどいです!」
「まこっちゃん…もう…もういいから…」
矢口さんはふんと言います。
「小川…さっきからあんた『悪気ない』とか『酷い』とか…
そんな慰めばっか言っててどうしようもないじゃない?
くだらない慰めでこの状況の何が変わるんだよ!」
まこっちゃんはびくっと身体を振るわせると前屈みになりました。

…あ…私の所為で…私が…

   おまえなんかどっちにしろ いてもいなくてもおんなじ

「や…やめでぐだしゃいっ!」
184 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時38分39秒
ぐずぐずとはっきりしないけれどはっきりとした意志を持った言葉。
それは沈黙の部屋の中にのたのたと広がっていきました。

「辻。なんだよ」
「つ…辻さ……」

沈黙を破ったのは辻さんでした。
辻さんは矢口さんにすがりつくと涙でぐしゃぐしゃになった顔を
何度も上と下に必死に振りました。

「ののが…わるいの!ひぐっ…ののが…ののが
むりやりこんのぢゃんに…ひっ…はぢ…は…”はぢらんあいず”を
がっで…うっ…らがら…らがら…ひっく…」
185 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時39分43秒
「ののが…わるいの!ひぐっ…ののが…ののが
むりやりこんのぢゃんに…ひっ…はぢ…は…”はぢらんあいず”を
がっで…うっ…らがら…らがら…ひっく…」

辻さんは矢口さんを見つめました。
ずっと鼻をすすり口をへの字にして矢口さんの睨んだ瞳の前に
身を晒していました。
辻さん…私が…私がボーっとしていたからいけないんです!

…でも意気地なしの私はただ見つめることしかできませんでした。

「ららぐなら…うくっ…たたくならののを…
ののをたらいでぐらしゃいっ…ごんの…ごんのぢゃんを…
おがわぢゃんを…ふだりを…お…おね…ぐず…
おねがいれすから…いじめらいで……ひくっ…」
186 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時40分36秒
矢口さんはなおも辻さんを睨んでいました。
私の目は頬にいくつか筋を作ったおかげで
しっかり辻さんの姿を捉えることができました。

「…―っく…!」
まこっちゃんは…泣いていました。
声を噛み殺して。

矢口さんは斜め下をふと向くと奥歯を噛み締めまた頭を振りました。
ピンクやオレンジ色の雫がぼたといくつも床に張りつきました。
「…あ〜くっだんね〜!何が虐めだよ!可愛い笑顔で謝るくらいの
度量はないのかね〜!……ほんっとろくでもね〜の!」
187 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時41分39秒
辻さんを振りほどくと矢口さんはシャワールームに入っていって
しまいました。
辻さんはがくりとひざを立てて、間を置くことなくぺたんと
床に座りこみました。

   役立たずと罵られて 最低と人に呼ばれて
   要領良く返事できず 愛想笑いも使えない


188 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時43分40秒
「辻…さん…」
辻さんは私を見ると涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を
思い切り歪ませて笑いました。
「ごめんれ〜」

「…まこっちゃん…」
はっとしたようにまこっちゃんは私の方を向きました。
あわてて顔をごしごしと擦ると子供のようににっこりと
屈託なく笑いました。
「…へへ…」

   全ての僕のような ロクデナシの為に
   この星はぐるぐると回る

「「「矢口さん」」」
シャワーのドアー越しに私達は大声で矢口さんを呼びました。
189 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時45分30秒
きゅく………っ

水がタイルを叩く音は消え直前に何かがこすれる音と水が重くぼたっと
タイルに叩きつけられる音が耳に届きました。
「…なんだ?紺野と辻と小川かぁ?」
ちょっと怒ってます。
「あのっ…私…さっき…ごめんなさい…」
私はなるべく丁寧になおかつ早く言葉を紡ぎました。
「…」
返事がありません辻さんが心配そうに私の方を見て
口を開きました。

「あの…ののも…ごめんなさい。わがままいって…」
「…」
辻さんがまだちょっと赤い腫れぼったい目を曇らせて私を見ました。

「ここでひいちゃってどうすんのさ」
まこっちゃんがそう私に耳打ちしました。
190 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時46分33秒
私は口を結びなおして深呼吸しました。

「すいませんでしたっ!」

シャワールームの硝子が軽くぐわんと音を立てました。

「紺野」
「は…はい!!」
不意に矢口さんの声が私に届けられました。
背筋がびしいっと音を立てたように伸びました。

私はぎゅっと目を瞑って矢口さんから怒鳴られる準備をしました。
隣で辻さんも目も手もぎゅっと力を入れています。
まこっちゃんも…
まこっちゃんは真っ直ぐ前を見つめていました。
全てから目をそらさないように…真っ直ぐに…

「アイス…矢口の抹茶あるから食べてきな。
さっきほとんど矢口の頭に食べさせて食べてないだろ」
「…え…」
191 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時48分09秒
そのとき辻さんと私は見詰め合って目を丸くしました。
辻さん越しに見えたまこっちゃんはほっと胸をなでおろしていました。

「でも…」
私はもう一度ごめんなさいと口に出そうとしました。
「八段アイスうまかったぜ〜キャハハハ〜……」

「…矢口さん…あの…あの…ありがとうございます…」
矢口さんの心遣いを無にする訳には行かないですよね…
私は見えるはずがないのに脱衣所で頭を下げました。
それを見た辻さんもわたわたと頭を下げまこっちゃんも
ゆっくり頭を下げました。

ぱしっと肌がタイルを打つ音がしました。

「……紺野………………その………
ぶったりして…………………ごめんな…」
192 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時49分04秒

きゅっ…

また水の規則的な音が聞こえてきました。
全てのわだかまりを流していくように。

「辻さん…矢口さんのアイスクリーム、4人で分けましょう」
「ほえ?」
そういって辻さんは小首を傾げました。
まこっちゃんはにっこりと笑いました。
「もちろん私を庇ってくれた辻さんとまこっちゃんとです」
辻さんはぱっと表情を明るくしました。
可愛い八重歯もご健在です。
「私はいいや、さっきも食べたしね」
まこっちゃんは言いました。
193 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時50分20秒
「うちのもわけていーよ」
そう言ったのは加護さんです。
「うちは”だいえっとちゅう”だからな…
丁度残ったアイスクリームが余計だったんや」
辻さんはにこっと笑いました。
「じゃあ〜このアイス矢口さんと〜こんちゃんと〜
まこっちゃんと〜あいぼんと〜ののでわけるんですね!?」
加護さんは照れたように焦って辻さんに迫りました。
「だ…だからうちはええっていってるやろ!」
辻さんは不思議そうに、でもとても柔らかくふんわりと
笑顔を返しました。
「今日くらい『ぶれーこー』です!
みんなで食べたほうがおいしいですよ?あいぼん」
加護さんは少し切なそうに笑うとせやなと呟きました。
194 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時51分03秒
「あ」
辻さんは何かを思い出したようで自分の鞄に駆け寄りました。
鞄から出てきたのはポッキーです。
「こら!のの!お菓子は禁止されてたはずやろ!?」
辻さんはしまったと舌を出しました。
そして笑いました。
「今日はぶれーこーじゃないれすか〜」
「じゃあ…辻さんは毎日無礼講ですね〜」
まこっちゃんが笑いながら言います。
「てへてへ」
なんだか嬉しくて可笑しくて私たちはくすくすと
笑いつづけました。
195 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時51分35秒

「じゃあおまけにのののぽっきーをみんなのアイスにつけてあげましょう」
「いいですね」
ふふと私は思わず笑いました。
「公平にな」
加護さんは真剣です。
「あれ?加護さんさっきダイエット…」
「あ〜…あれは明日からの予定や」
もうとつぶやいてまこっちゃんは笑いました。
「んと…ののはさっき八段アイスをたべちゃったので…
太るからいっぽん…」
寂しそうに辻さんはポッキーを一本お皿におきました。
「こんのちゃんはにほん」
お皿に2本
「まこっちゃんはこんのちゃんをかばったからさんほん」
お皿に3本

196 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時52分21秒
「あいぼんには…アイスもらったからさんぼん」
「…だいえっとちゅうやっていうとるのに…」
そんな風にむくれている加護さんの顔には確実に
笑顔が刻まれていました。
お皿に3本
「んで〜やぐちさんにはののとこんのちゃんとまこっちゃんと
み〜〜んなをゆるしてくれたおれいによんぼん。
アイスクリームにさしておいてあげましょう。てへへ」
「はい」
そう言ってお皿には13本のポッキーが並びました
私達は思わず呟きました。
「13人、モーニング娘。!?」
197 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月12日(水)22時53分40秒
1本は私。1本は辻さん。1本はまこっちゃん。1本は加護さん。
そっか…全部揃わなきゃ13本の輪にはならないよね…

   劣等性で十分だ
   はみだしものでかまわない

−FIN−

「な…ないのれす!まっちゃのアイスクリームがないのれす!」
「本当だ…」
「ん?抹茶?さっきあまった抹茶ならなっちがくっちゃったべさ。」
「「えええええええええええ!?」」
「どした〜??」
198 名前:車泥棒 投稿日:2002年06月14日(金)18時46分57秒
更新お疲れ様でした!まこっちゃんとの絡みが見れて嬉しい限りです!
やぐっさんもイイ!
199 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月14日(金)22時38分05秒
>>198
ありがとうございます。
けっこうまこっちゃんて扱いにくいけど
書いてみると可愛いですねえ…
矢口は感情の高ぶりが激しいので
おもしろいです。また使いたい(w
200 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)03時12分05秒
正直、今回の話の矢口の扱われ方には納得がいかない。
あの書かれ方では、矢口は弱者(この場合年下の後輩)に対して、平気で暴力を奮う
(直接的にも言葉の上でも)キャラとしてしか認識出来ない。
また、最後にアイスを譲った件でバランスを取っている積もりかも知れないが、
あの場面で矢口が直接謝っているのは、腕を挙げた件に関してだけである。
暴言に関してのフォローは何もない。

それに、矢口があそこまでキレていたら、年長組が何かしらのフォローが
あって然るべきだと思う。
201 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月17日(月)20時16分30秒
>>200
実は小川の位置が飯田さんだったので改訂前は
辻褄が通っていたのですがやっぱりがたがきました…
やはりこういうコミュニティーの場では
そういう部分は丁寧に書くべきでした。
いいわけ、となってしまいますがここに出した矢口さんは
素直になりきれない自分の象徴で出したつもりでした。
ぶったりして…の間合いの部分に素直になれなかった
矢口さんの気持ちがあるんですよ。
新しい子への焦り、苛立ち。
積もり積もった先輩なら必ずある小さい黒い感情。
202 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月17日(月)20時17分11秒
そこの心理を情景で表現したかったんですけど
これじゃあ見事に悪者ですね…もっと精進したいです…
矢口さんの純粋なまでの上を見る姿勢と重ね合わせて
使いたかったんだけれど…

という長めのカミングアウトでした(^^;
最後になりますが200さん気分を害してしまいすみませんでした&
感想ありがとうございました。
203 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)22時56分45秒
>>200
まあ、確かに矢口が悪役になりすぎてる感じはあるが、
そんなに気にすることじゃないでしょ。
流れの上で、誰かが憎まれ役やらなけりゃ行けないわけだし、
ここでは矢口が一番キャラを壊さなくて良いのは間違い無いんだから。
もっとひどい悪役にメンバーをしてる作品、他にもあるしね。
それより安倍がただのアホのように書かれてる方が気になる。(w
204 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月18日(火)22時33分54秒
>>203
やっぱりリアリティーを出すとなると
捕らえ方が増えてしまうのでいろいろ感想が
ばらつくなあと参考になりました。
なっちは自分なっち大好きなので毎回落ちで使わせて
もらってます(ニガワラ
愛あってのお馬鹿さんなのでお許しを(^^;)
ま、いつもはマッタリの作風なのに今回は
ちょっときつめにキャラを作った感があったので
マターリキボンな方にはやっぱりマイナスですな〜。
作者反省こそしてますがこういう意見も嬉しいので
めげずにがんばります!
205 名前:200 投稿日:2002年06月19日(水)00時35分41秒
どうも誤解をされている方がいるようだが、あれが矢口だからあのレスを
付けた訳ではなく、例え新垣であっても同じ内容のレスを付けたと思う。
(ちなみに、新垣はあまり好みではない)

作品中の情景描写から読み取れるのは、その場所で、そのままのメンバーで
まだ仕事が残っていると云うことだ。
(移動という話題が出てこない、加護が後で食べるためにアイスをしまう等から)
それが、雑誌のスチール撮りであれ、TV収録であれ、コンサ等のリハであれ、
まだ仕事が残っている状況で、その場の雰囲気が悪くなるような行動を安易に
するようなメンバーがいるとは思えない。
さらに、メンバーの顔や体が『商品』であることを自覚していないような娘も
いないと思う。
206 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月19日(水)20時32分02秒
>>205
なるほど〜私は物書きとして余念のない
調べ物という点を萌えに(ワラ)まかせて手を
抜いていたみたいですね。
ストーリーはフィクションであっても娘。の
意識をかえてはいけない。
難しいけれど物書きとしてはレベルアップできる
部分ですね。
今回は娘。の意識の持ち方と態度へ語弊があったので
好きこそ物の上手なれ。
もっともっと娘。にはまってがんばります!
207 名前:名無し 投稿日:2002年06月19日(水)22時51分20秒
>>205
こう言っては作者氏に失礼に当たってしまうかもしれないが、
小説スレは作家としての自分を生活の糧にしている人はいないのだから
そこまで細かく注文を付ける必要はないと思いますが。
208 名前:166 投稿日:2002年06月23日(日)04時25分47秒
いろいろと意見があるようですが、期待通りの面白い
内容だったと思います。是非この4人ものをまた書いてください。
209 名前:こぶろく 投稿日:2002年06月29日(土)20時11分05秒
うわ・・・学校忙しくてレス出来ませんでした。
ごめんなさい…

>>207
失礼ではないですよ(^^)
登場する人物に思い入れするのは当然ですし
逆に雰囲気を楽しむのに現実との思い入れを
区別すると言うのもまた当然。
人それぞれ感じたかが違うのももちろん当然。
作者の考えとしてはこんな感じでしょうか?
でも反省点はちゃんと考えますよ。

>>208
ありがとうございます!
おもしろいという言葉は本当に心の応援団です!
あ〜もう!オガコン萌萌なんですがどうしましょう…

踊る!のの…何気に可愛い!
紺野ちゃんもお人形さんみたいだ…
210 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時17分06秒
―相談天国―

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう


211 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時17分43秒
「今度はみんなで仲良くな」
そう言っていただいたアイスクリーム。
…あ〜あ…みんなに取って行かれちゃった…
トイレにいってた辻さん悔しがるだろうな…
残ったのはチョコレートのアイスとバニラのアイス。
どっちがいいかな?

辻さんに相談してみよう。

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう

「…ののどっちも食べたいなあ…
そうだ!半分こしよう!ね?こんのちゃん!」

甘い冷たい温かい…

胸がそう鳴きました。
212 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時18分47秒
私達は二人で冷蔵庫に首を突っ込みました。
冷蔵庫にアロエヨーグルトとプッチンプリン。

私達は向かい合います。

辻さんに相談してみよう。

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう

「アロエヨーグルトが食べたいんですか?
でものののヨーグルトはゆずれません!」

…ちょっとがっかりしちゃいました…
そしてプリンを手に取りました。

プッチンさんに恨みはないですが…
今日はとろりとしたコクのあるヨーグルトと
口でさわやかに弾けるアロエを感じてみたいと
ほんのちょっとだけ…
本当にチョットだけ思ったんですけど…

「やっぱやーめた!プリンがいい〜!」
「あ」

私の手に冷たいアロエヨーグルトが押しこまれました。

優しさと冷たさが心地よかったです。
213 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時20分18秒
今日こそ…言おう…

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう

「こんのちゃ〜ん!」
辻さんに聞こう。

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう

「こんのちゃんてば!」
チョット怖いけど…

   相談しよう そうしよう
   相談しよう そうしよう

「どうしたの?」
それがもし同情だとしても…
214 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時21分12秒




「辻さんはどうしてそんなに私に優しいんですか!?」




215 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時22分15秒
辻さんは八重歯を見せて明るく笑いました。
私はなぜか胸が痛みました。
切なくなるほど明るかったんです。

それは私のこころを慰めてくれる天国のような…

「こんのちゃんがののに優しくしてくれるからですよ」

また胸が痛みます。

「そんなことないです…」

なんにもできない私…
迷惑をかけてばかりの私…

「あるよ〜!だってののはこんのちゃんといると
な〜んか落ちつけてほんとのののになれる気がするんだ」

「え…」

216 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時22分53秒
辻さんは恥ずかしそうにしました。

「のの…おちこぼれだから…こんのちゃんにたよられて
すごいうれしくって…がんばろうっておもって…」

辻さん…

「ほら…みんなはののはこどもだってゆってなんでも勝手に
きめちゃうでしょう?…でもこんのちゃんはののにいろいろ
『相談』してくれて…なんか…うれしくて…」

「なんかこんのちゃんとおんなじの気がしたんだ」
217 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時23分38秒
私の天国。
私が安らげるふわふわした場所。

それは辻さんだったのに。
辻さんも
そう思ってくれていたんですか?


とろくてなんにもできなくて

いっつもボーっとしていて

みんなに迷惑かけちゃって…

こんな私なのに…
218 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月07日(日)22時25分17秒
私は唇をきゅっと結びなおし涙が出ないようにしました。

「辻さん、ものは相談なんですが…」

辻さんは小首を傾げました。
なんですか?と嬉しそうに笑いました。

私も笑いました。

「これからもずっと仲良くしてくれますか?」

-FIN-
219 名前:車泥棒 投稿日:2002年07月08日(月)02時14分20秒
何でこんなに感動してるんだろう?面白いなぁ・・・。
よく分かりませんがとにかく頑張ってください!!

追記
この小説で使われている歌詞は
ブルーハーツ、ハイロウズの他に何が使われていますか?
迷惑でなければ教えてください。
220 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月09日(火)21時23分07秒
やぱっり言葉にしにくい事も伝えてみるのは大切ですよね
作者さんのどの作品にもやっぱり暖かさがあると思います。
これからも頑張って下さい!!
221 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月13日(土)22時45分59秒
あ・・・あつい…今日一つ書き上げようと
思ってやっとPC立ち上げたのに…

>>219
感動という言葉が自分の文章に対して
きけるなんて私の方が感動してしまいました(ワラ
ありがとうございます。

>>220
こんののは暖かさ勝負ですから!
夏の暑さにはさわやかなそよ風を
冬の寒さにはほんわりとしたマフラーを…
そんな雰囲気のある二人ですから!
これからも頑張ります!

えと、ちなみに題やイメージに使っている曲は
BH、HLのほかには名前から憶測できる
凸凹フォークデュオの曲と最近下火な(失礼)革命家の曲を
使っています。
ほとんどが凸凹フォークデュオの曲で結構
こんののな感じでマターリできるのでオススメですよ。

222 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月15日(月)12時17分26秒
>>200
氏ね。
223 名前:222 投稿日:2002年07月15日(月)12時18分54秒
作者にケチ付けるべからず。
224 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2002年07月15日(月)19時05分35秒
作者さん!
このスレはマターリしてて大好きです♪
これからも頑張ってくださいね
225 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月15日(月)22時29分29秒
>>222
川o・-・)<何者にも命を奪っていいという権限はありません。
    むしろ人間の死と言う言葉自体、人間のエゴイズムにより…
( ´D`)<ま、またーりってことなのです!

>>223
200のレスは私ではないですけど私はいろんな意見があって
いいと思います。もちろん辛口なものも。
辛口なしっかりした意見を頂けると言う事は
やっぱりそれだけ気持ちを入れてもらって
読んでもらえてるわけだから作者としてこんなに
嬉しい事はありません。
作者だからこそ沢山マターリケチつけて貰いたいな〜
なんて思います。

>>224
ありがとうございます!
マターリマターリで書かせていただきます。
やっぱりこんののはいいよね!(ヲタ
226 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)15時23分02秒
こんな時間にイッキ読みしてしまいました…どおしよ…
ほんわか、じんわり楽しませていだだきました。ありがと!

え!?突っ込みカモーンナ!なんですか?
そうやね〜(w
アイス被ったまま寸劇を続ける矢口に笑えた…
( ´D`)<「やぐちさんはおやつにはいるのれすか〜?」
227 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月18日(木)22時55分58秒
短編チャット…今日こそはいってやる!

>>226
ほんわかとかマターリとか言われるとうれしいですね〜
書きながら想像してマターリしてしまうこんののヲタですが
今後ともよろしくお願いします。

色トリドリ…
八色のアイスクリーム…
矢口の金髪に真っ赤な顔…
何気にコミカルさを狙ってみてたりして…(ワラ

( ´D`)<「やぐちさんはおやつにはいるのれすか〜?」
川o・-・)<「おやつは矢口さんにはいるんですか〜?」
川 ;`〜`)|| <「あんたたち…」
228 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時05分05秒
―海―

   うみはひろいな おおきいな
   つきはのぼるし ひはしずむ

229 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時05分59秒
「ひいいい〜っ」
「つ…辻さん!焦らなくても誰もとりませんよ!」

チリン

ちりんと風鈴が鳴った。
パラソルが砂に刺さる音がした。

ゆらゆらちらちらと光をうっすら通す簾。
じっとりとした熱。

「あ〜ご…ごんのぢゃん…頭…頭いたいのです…うう…」
「だから言ったのに…」

頭をごんごんと叩いて暴れる辻さんを見て
私はふっと笑ってしまいました。
230 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時06分56秒
チリン

小さな海の家。
日に焼けたノースリーブの恰幅のいいおばさん。

眩しい煌く海と夏の光。
生きる力に漲る笑顔の若者達。

「らって…あついから溶けちゃうもん…」
辻さんは銀色のスプーンでメロン練乳のかき氷を
ざくざくと小気味いい音を立てて突つきます。

ぼったくった値段のヤキソバのソースの焦げる匂い。
磯の胸がぐっと詰まる匂い。

「はい、こんのちゃん。あ〜ん!あ〜…」
「あ〜…」
231 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時07分55秒
チリン

ずるりとかき氷の容器から雫が落ちます。
笑った辻さんから覗く舌は緑色に染まっています。

荒くて滑らかじゃないけれど心地よい洗礼を与えてくれる氷。
汗が一筋顎に向かって伸びて行きました。

最後の一口を口に含むと辻さんは乱暴にスプーンを容器にぶつけ
よしと小さく呟きながら立ちあがりました。

「泳ごう!」
「はい!」
232 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時08分59秒
夢中になって息が出来ないほどはしゃいでいる。
飛沫がきらきらしていて辻さんの笑顔もきらきらしていて
日の光とあいまって私は一瞬くらりとしました。

ざんと容赦なく波をかぶり私達は笑いました。
辻さんは私の濡れた髪を優しく分けました。
大丈夫?笑いながら心配してくれたその気持ちに
また一瞬くらりとしました。

ザーン

耳の奥で波の音。
心には辻さんの甘ったるい明るい声。
大好きな音に包まれて私は夕日を見る目を細めました。
233 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時09分54秒
「すんげ〜!きれ〜!ああっ!月も出てるよ!ほら〜!」
「本当ですね!」

水平線に向かう太陽。
水平線に逆らう月。

私達は着替えを置いておいた海の家の縁側で
身体を夕焼けで真っ赤に染め体育座りをして
じっと水平線を見つめていました。
まるでこの星に私達しかいないように…

その光は切ないほどに神秘的で。

ザーン

チリン…

意味もなくその途方もなさに泣きそうになります。
234 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時11分12秒
「すんげ〜ね〜?」

無邪気に笑いながらそう言って水平線を見つめる
辻さんの横顔を見て私は感じました。

辻さんは海のようだ…と

大きく全てを受け入れ全ての拒絶をも受けとめる。
それでもいつも自分というものを
曲げずに波打つ。

ザーン

これからも…この笑顔の裏に沢山の「痛み」を背負って。

   うみはひろいな おおきいな
   つきはのぼるし ひはしずむ


チリン……
235 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時12分52秒
「…ちゃん…こんのちゃん!」
「…?」

目を開けると目の前には辻さんの顔がありました。

「…辻…さん?」

私はソファで寝てしまっていたようです。
気が緩んでいる証拠でしょうか…

「早く行こう?」

笑った辻さんに海の鮮やかな青い光と
沈んでいく太陽の切ない赤と…そしてなにより
緑色の舌がふっとかぶって私は目をこしこしと
擦り辻さんについていきました。

−FIN−
236 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月22日(月)23時16分25秒
まんまと今日のHEYのこんののが可愛くて
書いてしまいました…絶対浴衣ものも
かいてしまうよお…
あんなに可愛いからいけないのだ!ねえ?
237 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月28日(日)20時30分07秒
ん〜擬音がうまく使われていて情景が容易にそうぞうできる・・・
素晴らしい!!
短編という暑中お見舞いありがとう。
238 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時13分28秒
>>237
いままでの紺野の丁寧妄想(笑)の形式から
少し散文ぽくしてみました。
暑中お見舞いになりえたなら最高です!
ありがとうございます!

さて、次がサイゴの更新かな?
239 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時14分15秒
―桜の時―

  右手をつないで
  優しくつないでまっすぐ前を見て


240 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時14分49秒
「きもちいいですね〜」
「そうですね…やっぱり日陰は涼しいですね」

私達はまたあの桜の木の下にいました。
手にはヤキイモではなくて冷たいアイスクリームを握って
額の汗をぬぐい遅い葉桜を見上げていました。

「紺野ちゃんにあってからいろいろあったね〜…」
「はい…」

じんじんと蝉の声。
ちらちらと動く足元に落ちる日の光。
どこかでクラクションの音。
私は背筋が伸びてこめかみに滲ませていた汗を
首筋に落としました。
241 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時15分21秒
いままで…

モーニング娘。のオーディションに合格しました。
でも歌も上手じゃないし可愛くもないし…
私、怖くて怖くて沢山の人に恨まれているの知っているから
笑顔になりきれなくて、辛くて…
私が合格した事は、それ以前に私がオーディションを
受けたことが間違いだったんじゃないか…
そんな事ばかり考えていた頃もあったけれど…

   今まであたしがしてきたこと
   間違いじゃないとは言いきれない

   ケドあなたと逢えたことで
   全て報われた気がするよ


242 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時15分54秒
そう…辻さんの笑顔に出会った。
憧れの中に一つあった私の場所。
小さくて壊れそうで…だけど暖かくて…

初めて言葉を交わした時ただひたすら
明るくて優しくて純粋で…
眩し過ぎるこの世界の中にぬくもりを
与えてくれた。

「この先…私はどうなるんでしょう…
この先に何があるんでしょうか…」
恐れていたものの全ての先にあるものを
教えてくれた。
243 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時17分29秒
「おいしいものがあるんですよ!」
辻さんは笑いました。
私は笑いました。

「おしごとするとね、ごはんがす〜〜っごく
おいしいんだよ!早く食べに行こう?」

   降ってくる雨が迷惑で
   しかめっ面したあたしに
   雨上がりの虹を教えてくれたありがとう

あの言葉に胸が熱くなったこと今でも鮮明に
覚えています…
244 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時18分15秒
「あぢ〜!アイスもういっこ買えばよかった〜!」
「おなかこわしますよ?」
「のののお腹はがんじょうだもん!」
そう言って辻さんはぽんとお腹を叩きました。
でも本当は食べる気なんてなんですよね。

知ってるんですよ?
辻さんが頑張って痩せようとしている事。

そして事務所にいわれてダイエットしてる
私に気を使っていてくれてるってこと…
245 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時19分15秒
「いきましょうか?」
「ん〜!クーラーがんがんのとこで
お昼寝しましょ〜う!」

あの時と同じ八重歯が零れる眩しい笑顔。

桜の木に二人で手を振ると私は辻さんの手を
握りました。

辻さんは恥ずかしそうに笑いました。
私もなんだか照れてしまってうつむいて
ふふっと笑いました。
246 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月28日(日)23時19分57秒
「「あつ〜い!」」

私達は焼けたアスファルトを走り出しました。

   右手をつないで
   優しくつないでまっすぐ前を見て

   どんな困難だって
   たいした事ナイって言えるように

−FIN−
247 名前: 投稿日:2002年07月29日(月)01時50分33秒
すごいよかった。
さいこうだった。
んだけどさいごにきになったこと。
安部→安倍
248 名前:こぶろく 投稿日:2002年07月29日(月)19時49分56秒
>>247
きゃ〜!!感想が嬉しすぎるのとなちファンに
あり得ない間違いに大後悔!!うう…精進だ精進…
ともあれ「○」なご意見ありがとうございます。
これからも…倒れるまで頑張れるだけがんばります!
249 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月04日(日)19時47分13秒
えっ最後なの!?
aikoの詩は僕も男ながら共感できます。
辻さんと紺野さんの手が離れないように願います。
お疲れさまでした。
250 名前:こぶろく 投稿日:2002年08月04日(日)20時50分25秒
>>249
と、いうわけで作者のレスで最後となってしまいました。
手が離れないように…いいですね。
辻&紺野にはずっと微笑みあっていてほしいです。
応援ありがとうございます。

とりあえずは別の短編集で活動します。
今までありがとうございました。

作者@こぶろく

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