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Only 10 Days

1 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月13日(水)17時35分00秒
初めまして、池孫四葉と申します。
更新スピード、遅いかもしれませんが頑張ります。
ちなみに、いしよしです。
2 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)17時43分29秒
「うぅ・・・、終わらないよぉ・・・」


あたし、吉澤ひとみは、重要な書類の編集作業に追われていた。
この書類を、今日中に送らなくちゃいけない。
タイムリミットは迫ってきている。
この大切な仕事を終わらせないと、成績がヤバイ!
なんとしてでも、終わらせないと!
気合を入れなおして、机に向かったその時。


――ピンポーン――


だ、誰だよ!気合入れなおしたばっかりだったのに!
あたしはしぶしぶ椅子から立ち上がると、
玄関まで急いで走った。

ドアののぞき穴から外を覗き込むと、1人の女性が立っていた。
その女性はピンクのエプロンをしていて、
旅行カバンみたいな大きなバッグを手に持っていた。
3 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)17時51分25秒
まさか・・・、書類を取りに・・・?

でも、まだ取りに来る時間じゃないし、
第一、そんな人がエプロンして、バッグなんか持ってくるか?
・・・来るわけ、ないよなぁ・・・。
とりあえず、チェーンをしたまま、ドアを開けた。
ゆっくりとドアを開けると、その女性は顔を上げた。

うわっ、めっちゃかわいいんですけど・・・!

あたしが見とれていると、その女性はこう言った。


「初めまして!お手伝いに参りました、石川と申します!」


・・・は?お手伝い?
あたし、そんなの頼んでないぞ・・・?
4 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)17時56分07秒
「とりあえず・・・、そのチェーンを外してもらえますか?」
「あ、はい・・・」
あたしは彼女に言われるままに、チェーンを外した。
「では、上がらせていただきますね」
「え、あ・・・」
彼女はチェーンが外れると同時に、ドアを開いて中に入ってきた。
・・・つーかさ、許可ぐらいとれよ・・・。
しかも、くつ脱いじゃってるし。

何者なんだ、この人は!


「結構片付いてるんですねー、キレイです!」
彼女はちゃっかりスリッパを履いて、部屋を見回している。
・・・っていうかホント、この人は誰なんだよ・・・。
5 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)18時01分02秒
「あ、まだ自己紹介がまだでしたね。すいません。
 私、石川梨華と申します。今回はご利用いただき、ありがとうございます」
「はぁ・・・」
「あなたの・・・、お名前は?」
「あ、あたし?えっと・・・、吉澤ひとみです、初めまして」
あたしは戸惑いながらもペコリと頭を下げた。


っておい!あいさつしてる場合じゃないだろ!
あたし、何か重要なこと忘れてるような気がするんだけど・・・。


あ!仕事だよ!
あたしはとっさに時計を見る。
ヤバイ、もうすぐ来ちゃうよ~!

6 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)18時06分45秒
「すいません、すごーくいろいろお伺いしたいことあるんですけど、
 あたし、今大変な仕事抱えてるんですよ。
 だから・・・、終わるまで待っていただけますか?」
「はい、おかまいなく。頑張って下さいね」

彼女・・・じゃなくって、石川さん・・・だっけ。
石川さんは全然嫌がらずに、笑顔で答えた。

なんだろう、なんかすごく気合が入ったんですけど・・・。
よぅし、早く終わらせないと~!



そのあと、すごいスピードで仕事を終えたあたしは、
時間通りにやってきた受取人に無事渡す事ができた。
その間石川さんは何も言わず、ただ笑顔でずっと待っていてくれた。
7 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)18時15分27秒
さて、仕切り直し。

あたしは椅子から立ち上がり、石川さんと向かい合うようにして座った。
石川さんはそんなあたしの態度に、ビックリしてるみたいだった。
あたしは、一息置いてから話し始めた。


「えっと・・・、あたしは、石川さん・・・というか、
 お手伝いさんを頼んだ覚えはないのですが・・・」

最近、会社とか友達以外に電話をかけた時なんてないし、
ましてやお手伝いさんなんて・・・。
なにかの手違いとしか思えない。

「でも、言われた住所はここのものですし、名前も『吉澤ひとみ様』と
 なっているのですけれども・・・」

石川さんはポケットから1枚の紙切れを取り出した。
その紙はどうやら、利用契約書のようだった。
確かに、書いてある住所はまぎれもなくここのものだし、
名前だってあたしの名前だし、
ケータイの番号だって・・・、あたしのものだ。
さて、どうしたことか・・・。
偶然にしては、出来すぎている。
8 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)18時25分04秒
「もしかしたら、会社のミスかもしれません。
 ちょっと電話してみますね」
そう言うと石川さんは、ケータイを取り出して電話をかけた。

「・・・あの、石川です。中澤さんいますか?・・・はい、お願いします」
中澤さんって人は、石川さんの上司みたいだなぁ。
「・・・あ、中澤さん、石川です。予定時刻に着いたんですけど、
 お客様は頼んだ覚えはないっておっしゃってるんです。
 ・・・はい、ちょっと待ってください」
石川さんはあたしに、ケータイを差し出した。

「電話に出ていただけますか?」
「あ、ハイ・・・」
あたしはケータイを受け取り、電話に出た。


「もしもし」
『あ、吉澤さんでいらっしゃいますかー?
 私、「10 Days」社長の中澤と申しますー』
その人は女性で、関西弁みたいだ。・・・って
しゃ、社長!かなりエライ人じゃんかよっ!
『申し訳ありません、会社のミスで突然色黒な社員が押しかけてきてしまって・・・』
まぁ、押しかけてきたけど、色黒って・・・。
あたしは思わず石川さんを見た。
するとバッチリ目が合ってしまって、あわててそらした。
9 名前:Only 10 Days ―1日目― 投稿日:2002年03月13日(水)18時35分59秒
「いや、でも別に気にしてないので」
『そうですかー、それなら良かったー。では、10日間、よろしいでしょうか?』
「はい?」
『会社のミスのお礼です。もちろんお代はいただきません。
 10日間、お願いできませんでしょうか?』

そんな急に言われても・・・。
でも、無料だったら、いいかな・・・。
料理作ってくれるだろうし、洗濯とかそうじとかやってくれそうだし・・・。
・・・よし、決めた!

「はい、わかりました」
『ありがとうございますー!それでは10日間、お願いします』
「はい」
『それと・・・、石川に代わっていただけますか?』
「あ、はい。わかりました」

あたしはケータイを離すと、石川さんに渡した。
「もしもし代わりました、石川です。・・・え、いいんですか?・・・はい、頑張ります!
 では、失礼します!」
石川さんは嬉しそうな表情で電話を切った。
そして、あたしの方を向いた。

「では、改めまして、10日間、お願いします」


こうして石川さんとあたしの10日間は始まった。


10 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月13日(水)18時39分13秒
1日目終了です。
できればタイトルにある通り、10日間で完結させたいと思っています。
感想などあれば、気軽にレスして下さると嬉しい限りです。
11 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月13日(水)18時39分38秒
なんかおもしろそうですね(w
頑張ってください
12 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月13日(水)21時50分08秒
何をおねがいするんでしょう…
13 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月14日(木)21時57分51秒
目覚し時計の機械的な音で起きたあたしは、
ソファの上で大きく伸びをした。
ふ~・・・、ソファで寝たのなんてヒサブリだなぁ。

昨日は大変だった。
突然石川さんが訪ねてくるし、
仕事はギリギリだったし、
石川さんの会社の社長さんと電話で話したし。
その上、「ソファでいいです」と言い張る石川さんを
無理矢理ベッドに寝させたから・・・。
石川さんって、結構ガンコなんだなぁ・・・。

すると、キッチンの方からいい匂いがしてきた。
え、これってもしかして・・・。
あたしはソファから降りると、急いでキッチンへと向かった。
キッチンには、朝食を作っている石川さんがいた。
14 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月14日(木)22時05分46秒
「お、おはようございます・・・」
「あ、おはようございます」
石川さんは振り返ると、笑顔であいさつをしてくれた。
「今、出来たところです。座っててくださいね」
あたしは言われるがままに椅子に座った。
向かいにあった物置用になっていた椅子はすっかり片付いていて、
ちゃんと座れるようになっていた。

石川さんを見ると、ごはんやみそ汁を盛り付けているみたいだ。
な、なんか照れるな・・・。こういうのって・・・、
新婚さん、みたいだ。

「はい、どうぞ」
石川さんからごはんが盛り付けられた茶碗を受け取る。
「あ、ありがとうございます・・・」

うっわーーっ!めっちゃ照れるよっ!恥ずかしいっ!
あたしがアホみたいに照れていると、あっという間に朝食が並んだ。
すげぇ・・・。朝食なんてヒサブリに見たよ・・・。
15 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月14日(木)22時13分00秒
「どうぞ、食べてください」
「い、いただきます・・・」

あたしは箸を手に取り、おそるおそる煮物を口に運んだ。
もぐもぐ・・・。
・・・!!すっげぇ!

「めっちゃ美味いですよ、石川さん!石川さんも食べてくださいよ!」
「本当ですか?じゃあ、私もいただきます」
石川さんはエプロンを取って、向かいの椅子に座った。
「では、いただきます。・・・うん、ちょうど良い味になってる」

「料理上手ですね。あたしは家事とか全然ダメで」
あたしは苦笑いしながら言った。本当にダメなのだ。
作れるといったら、ゆでたまごとか、すごい簡単なものぐらい。
難しいものに挑戦すると、必ず失敗してしまう。
「私はもともと料理するのが好きなんですよ。
 だから、こういう仕事に就けて良かったです」
「そうですね~、好きなことが職業になるっていいですよね」

16 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月14日(木)22時20分50秒
あたしはかなりおいしい朝食を食べながら続けた。

「石川さんの仕事って、どういう内容なんですか?」
お手伝いさんみたいだけど、
普通、10日間だけだったら通いでやるもんだろうし、
一緒に食事とかしないだろうし・・・。
「家政婦の短いバージョンみたいなものなんですよ。
 でも、妻っていう役割もあって」
「妻!?」
あたしは思わず、口に入れようとしたごはんを落っことしてしまった。
「そんなにびっくりしないで下さいよ~」
いや・・・、普通ビックリする・・・でしょ?
だって・・・。

「妻って、その、つまり・・・、依頼主が男の人とかだったら・・・。
 すいません、朝からこんな話で・・・」
「いえいえ、よく聞かれますよ。でも、私の会社は女性しか受け付けないんですよ。
 だから、妻というよりはお母さん、みたいな感じなんです」
そうなんだ。ちょっと安心。

「中には、妻のほうがいいっておっしゃる方もいらっしゃいますけどね」
石川さんは笑いながら言った。
さっきのは・・・、あたし的に、ちょっと複雑、かな・・・。
17 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月14日(木)22時30分31秒
時計を見ると、もう8時を回っていた。

「あ!ヤバい!もう行かないと!」
「もう行っちゃうんですか?」

石川さんは悲しそうな目であたしを見た。
う・・・、そんな目で見ないで下さいよ・・・。
行きたくなくなっちゃうじゃないですか・・・。

「ま、まぁ、仕事ですから・・・。じゃあ、着替えてきますね」
あたしはそう言い残して、部屋に戻った。


・・・ふぁーー!ヤバかった・・・。
めちゃくちゃカワイイよ、石川さん・・・。
なんか好きになっちゃいそうだよ・・・。
おっと、早く着替えないと。
ちゃっちゃとスーツを着て、髪をセットし、
適当に必要なものをバッグに入れた。


部屋を出ると、玄関に石川さんが立っていた。
「何時ごろ、お帰りになるんですか?」
参ったな・・・、あたしの仕事は、いつ終わるかわかんないから・・・。
「じゃあ、ケータイに電話するんで、番号教えてください」
「あ、はい。わかりました」
あたしは番号を登録すると、ケータイを大事にポケットに入れた。

「じゃあ、行ってきます」
「はい、いってらっしゃいませ。気をつけてくださいね」
なんか夫婦みたいだなぁ・・・。照れる。
そんなことを思いながら、家をあとにした。

18 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月14日(木)22時37分57秒
2日目、半分更新しました。
明日早く帰れるかもしれないので、更新量を多めにしようかと考えています。

>11さん
はい!期待に答えられるよう、頑張ります!

>12さん
それは秘密ってことで。(w

それと、みなさんに相談があります。
2人の呼び方なんですけれども、
このまま「石川さん」「吉澤さん」で敬語を使うのと、
「梨華ちゃん」「ひとみちゃん」でタメ語にするのとでは
どちらがいいでしょうか?
みなさんの答えがないと、前に進めないんです。
よろしくお願いします。
19 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月14日(木)23時12分23秒
意外と「石川さん」「吉澤さん」でいいんじゃないかな?今のところは
20 名前:ラヴ梨~ 投稿日:2002年03月15日(金)00時58分27秒
いいね~
かなり好きなタイプのいしよしだ~♪
呼び名ですけど最初は私も「石川さん」「吉澤さん」がいいかと…
甘そうで楽しみっ!
頑張ってね
21 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月15日(金)02時25分22秒
おもしろそ~♪
最初は自分も『石川さん』『吉澤さん』でいいかと・・・
親しくなったらね♪(w
22 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月15日(金)16時12分56秒

「よしこ、なんかいいことあった?」
書類を片付けていると、同期のごっちんが話し掛けてきた。
「べっ、別に・・・。何もないよ」
「ウソつけ!くちもと緩んでるぞ!」
ごっちんはニヤけながらあたしのくちもとを指差す。
あたしはつい、くちもとを手で隠してしまった。

「隠したってことは・・・。やっぱり何かあったんだ!
 教えてよ~!ねぇ、何があったんだよ~!」
ごっちんはしつこく言い寄ってくる。
あたしが右を向くと右を向くし、
左を向くと左を向く。
こうからまれては仕方ない。
・・・話すか。

「昨日、家にお手伝いさんが来たんだよ。それだけ」
「お手伝いさん?よしこが頼んだの?」
「なんか会社のミスでさ。お詫びにって、無料で10日間」
「無料!?いいなぁ、それ!」
ごっちんはかなりうらやましがっている。
23 名前:夜叉 投稿日:2002年03月15日(金)16時15分43秒
面白そうな展開ですね、期待してまっす♪。
自分も『石川さん』『吉澤さん』でいいです、最初のうちは…(笑)。
24 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月15日(金)16時23分09秒
「もしかしてさぁ、そのお手伝いさんって、
 よしこのタイプだったりしちゃうの~?」
「ばっ・・・!何言ってんだよっ!」
「きゃ~!赤くなっちゃってるぅ~!」
ごっちんにそう言われて、あたしの顔は心なしか熱くなった気がする。
しっかし、コイツは・・・!
なんでこんなに、・・・当てちゃうんだよ!

「でもさ~、お手伝いなんてごとーがしたげるよ?」
「ダメだよ。ごっちんは料理作っても全部1人で食べちゃうから」
「よしこひどい~!」
ごっちんはぷく~っと頬を膨らませて怒っている。
全く、すぐふくれるんだから。
「ま、いーけどさ。ごとーはいちーちゃんがいるもん!」
・・・なんか話がズレてるような気がするんですけど・・・。

「あっ、もうこんな時間だ!じゃあね、よしこ!
 タイプであるお手伝いさんに早く会いたいなら寄り道しちゃダメだぞー!」
ごっちんはそい言い残して走り去っていった。
ったく、一言多いんだっての!
25 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月15日(金)16時35分15秒

珍しく早く仕事が終わった。
時計を見るとまだ6時。
こんなに早く終わったのは始めてかもしれない。
さて、電話しないと。
ケータイを取り出し、朝に登録したばかりの番号をダイヤルする。

「もしもし、石川さん?吉澤です。今から帰りますんで」
『はい!わかりました!夕食作って待ってますね!』

短い会話だったけど、すごく幸せに感じた。
もしかしたらすごくニヤけていたかもしれない。
本当にニヤけていたら、そぅとぅアブない人だと思われただろうな・・・。
そんなことを思っていると、あっという間に家に着いた。

ドアを開けようとしたら、カギがかかっていないのに気づいた。
あたしが帰ってくるのを見計らって開けておいたのかな?
でも、危ないから一応言っておこう。

「ただいまー」
ドアを開けると、夕食の匂いが漂ってきた。
「あ、お帰りなさいませ!もうすぐ出来るので着替えてきてくださいね!」
石川さんがひょこっと頭を出して言った。
そんな石川さんの攻撃に、あたしはノックアウト寸前だった。
だって突然・・・、あんなことされたら・・・もぅ!
なんとか気持ちを抑えつつ、自分の部屋に戻った。
26 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月15日(金)16時44分40秒
・・・あれ?部屋がキレイになってる・・・。
ばらまかれていた書類はまとめられ、
たくさんの資料や本はきちんと棚に並べられていた。

「あ、少しですけど片付けておきました。書類とか、下手に捨てたりすると
 悪いかなって思って机の上に上げて置いただけですけど・・・」
石川さんはわざわざ部屋の前まで来て説明してくれた。
「そうじしない方が良かったですか・・・?」

「いえ・・・、すごく嬉しいです。それに、気を遣ってくれて・・・」
必要な書類は会社に置いてるから、別に捨てても良かったんだけど・・・。
小さな気遣いが、そても嬉しく感じた。
「それなら良かったです。じゃあ、早く着替えてきて下さいね」
石川さんは小走りでキッチンの方へと戻っていった。

それからあたしは、すっかりキレイになった部屋を見回していたけど、
待たせちゃ悪いと思って急いで着替えた。

あたしが台所へ行くと、すでに食事の準備が整っていた。
テーブルいっぱいに広がる料理の数々。
やっぱりすごい、と改めて思った。
「さて、食べましょうか」
あたしはたくさんの料理に感激しながら席に着いた。
27 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月15日(金)16時51分48秒
これから出掛けるので、更新を中断します。申し訳ないです。
帰ってきてもし時間がありましたら、更新しようと考えています。

>19さん
そうですか、ありがとうございます!
今のところはこのままで行きます。

>ラヴ梨~さん
ラ、ラヴ梨~さんだっ!光栄です!
私なりに甘い場面をいろいろと考えているので、
楽しんでいただければ幸いです。

>21さん
はい、親しくなったら・・・ですね♪(w

>夜叉さん
おぉ!夜叉さんからもレスをもらえるとは・・・!(喜)
期待に答えられるよう頑張ります!

みなさん、ご協力ありがとうございます!
今後、またみなさんに質問する時があるかもしれませんが、
その時もどうぞよろしくお願いします!
28 名前:とみこ 投稿日:2002年03月15日(金)20時49分09秒
ずっと見てました!!
すっごくすっごく楽しいです。がんばってください!!
29 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月16日(土)16時29分16秒
あたしは、夕食を食べながら自分のことを話した。
出身地とか、どうしてこの職業に就いたのか・・・など。
石川さんもいろんなことを話してくれた。
石川さんは神奈川県出身で、3姉妹の真ん中らしい。
兄弟が女の子だからかな?こんなに家庭的なのは。
あたしなんか弟2人いるからなぁ・・・。
毎日ケンカばっかりで、男っぽくなってしまったのかも。
他にもいろいろと話をしながら、夕食を食べ終えた。
やっぱり料理上手だなぁ・・・。

夕食後、部屋に戻って今日の仕事の整理をした。
この書類は・・・。よし、これは・・・いいんだな。
今日は早く寝られるかも。重要な仕事も片付いたことだし。
書類を少し片してから、リビングに行った。
すると、石川さんが荷物を持ってウロウロしている。

「どうしたんですか?」
「あ、荷物なんですけど・・・。どこに置いたらいいかわからなくって・・・」
そっか、昨日はすごくバタバタしてたし、
早く休みたかったからすぐ寝ちゃったんだった。
30 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月16日(土)16時40分42秒
「それじゃあ、あたしの部屋に置いてくださいよ」
「え、でもお邪魔になるんじゃ・・・」
「大丈夫ですよ。結構部屋広いんで」
石川さんが片付けてくれたおかげで、すごく広くなったし。
片付ける前だったら絶対無理だったね。
あたしが促すと、石川さんは素直に頷いて部屋に入ってきた。

「あ、お仕事中だったんですか?」
「いや、ただ書類とか整理してただけなんですけどね」
あたしは横目で、重ねられた書類を見た。
「大変ですね、吉澤さんのお仕事って」
「まぁ、そうですね。でも、職場は女の人だけなんでやりやすいですよ」
あたしの職場は少し変わっていて、全員が女の人。
社長を含めて大体30~40人しかいないんだけど、
仕事が速い、丁寧ってことで信頼を得ている。
それからか、とても人気があって、倍率がすごく高い。
入社したいけど厳しいなーって思っていたら、
社長である平家さんにスカウトされた。
同期のごっちんも、同じようにスカウトされて入社した。
理由はなんでだかわからないんだけど・・・。
31 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月16日(土)16時48分52秒
「女の人だけの職場って、雰囲気がいいですよね」
「確かにそうですね~。落ち着いて仕事ができますから」
あんまり気を遣うこともないし、
第一、人数がすごく少ないからみんな仲が良い。
まぁ・・・、付き合いとかが多くなるのには閉口しちゃうけど。


その時だった。
石川さんの後ろに積み上げておいた箱がグラリと揺れた。

「危ない!」
「きゃっ!」

あたしはとっさに石川さんをかばった。
あたしの背中に、箱に入れておいた本が次々に当たる。
角とか当たって、かなり痛かったけどなんとか耐えた。
くっ・・・、こんなに入れとくんじゃなかった・・・。
32 名前:Only 10 Days ―2日目― 投稿日:2002年03月16日(土)16時54分56秒
「石川さん・・・、大丈夫ですか?」
「あ・・・、はい・・・」
石川さんは顔を真っ赤にしてあたしを見ていた。
なんだろう?と思ったら、今の2人の姿勢がヤバかった。
つまり・・・、あたしが石川さんを組み敷くような感じだった。

「うわわっ!ごっ、ごめんなさいっ!」
あたしは急いで石川さんから離れた。
あたしの体温が、急速に上がっていく。
もぅ、何やってんだよ、あたしはっ!
いくらあわてていたとはいえ・・・。あんな姿勢で・・・。

それから何度か会話を交わしたけど、
どこかギクシャクしていた。
はぁ~・・・。めっちゃ警戒されちゃったよ~・・・。
33 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月16日(土)16時59分29秒
2日目終了です。
更新遅すぎですね・・・。申し訳ないです。

>とみこさん
はぅ!とみこさんじゃないですか!感激!
すごいですよね、たくさんの作品を書いていらして・・・。
とても見習いたいです。
更新頑張って下さい!
34 名前:とみこ 投稿日:2002年03月16日(土)18時49分46秒
あれ、もしや自分有名人?(逝け
いやぁ~、たくさん駄作を書いていくうちにマシになったまでですよ。
応援ありがとうございます。
池孫四葉さんも頑張ってください!この小説好きですから。
35 名前:夜叉 投稿日:2002年03月16日(土)19時29分46秒
へけさんの会社ってのが気になるこの頃(笑)。何の会社なんでしょうか?
咄嗟に石を庇う吉、いいですね。かっけ~

更新中にお邪魔してすいませんでした、以後気をつけますです。
36 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月16日(土)20時00分44秒
照れるヨシコが可愛いですね。
更新早いですよ。頑張って下さい。
37 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月16日(土)21時19分07秒
本日一気に読みました。
どんな10日になるのか楽しみです。
がんがってください!
38 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月17日(日)01時29分32秒
中澤社長~!
私ん家にもお手伝いさん一人おねがいします~。

新妻リカ、最高っ!!
作者さん、がんばってください。
39 名前:yo-na 投稿日:2002年03月17日(日)03時54分16秒
やば!良い所発見<いしよし 微妙に いちごま
「中澤家政婦所」に申し込みしたい!
石川さん「10日間臨時派遣」じゃ無く
吉澤家に「永久就職しちゃいましょう」(笑)
う~ん 今後も【要ちぇけらっちょ!】
40 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月17日(日)18時06分56秒

昨日と同じように朝食を摂って出勤した。
昨日の夜よりは会話を交わしたけど、
時折、2人とも黙り込んでしまったりして、
まだギクシャクしてた。
そりゃあ、突然あんなことされたら誰でもビックリするよなぁ、
たとえ事故でもさ・・・。


「よっ!おはよっ!」
「あっ、市井さん!」
会社への道を歩いていると、市井さんが後ろから声を掛けてきた。
市井さんは同じ会社の先輩。
あたしと同期のごっちんと付き合っていて、すごくラブラブだ。

「珍しいですね。いつもごっちんと一緒に出勤するのに」
「あははっ、まあな。ごとーのヤツ、突然『おなか痛い』なんて言うから焦ったよ」
「ごっちんが?珍しい」
「大事をとって休ませることにしたんだ。だから今日は1人で出勤」
市井さんは少し寂しそうな顔をしていた。
41 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月17日(日)18時15分01秒
「だったら、あたしを呼んで下さいよ。
 市井さん、あたしが1人で出勤してること知ってるじゃないですか」
「それも考えたんだけどな、もしごとーに誤解されたらたまんないよ」
まぁ・・・、確かに。
ごっちん、普段はぼーっとしてるけど、
市井さんに関してはすごく敏感だし、
やきもち焼きだしなー。
浮気なんてしたら、ヤバそうだもん。

「そう言えば吉澤、お前彼女できたんだって?」
「はぁっ!?彼女?あたしに!?」
「なんかごとーが言ってたぞ。お手伝いさんがどーのこーの・・・」

あんのごとうまき!
すぐ人に言うなよな!
市井さんだったらからよかったものを・・・。

「で、どうなんだ?本当に彼女できたのか?」
「あの人は・・・ただのお手伝いさん、ですよ」
「ふーん、なんだ。つまんないな」

そう言うと市井さんは「用があるから」と先に走っていってしまった。
珍しいな、いつもだったらもっと深く追求するのに。
・・・気遣ってくれた、とか。
まさかな~!
42 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月17日(日)18時24分03秒
・・・でも、あたしにとって石川さんは、
本当にただのお手伝いさんなんだろうか?
さっきこのことを口にした時、なぜか詰まってしまった。
自分の中で、本当にそうなのか?って思った。

石川さんと話すたびに、顔を合わせるたびに、
彼女の存在が・・・、大きくなっている。
もしかして、あたしは・・・。


「おはようございます、吉澤先輩!」
「うわっ!」
道の真ん中で立ち止まって考え事をしていると、
突然後ろから声をかけられた。
市井さんとごっちんの他に、あたしに不意打ちで声をかけるのは・・・。
あいつしかいない。
振り返ってみると、予想通り。
上目遣いのあの子が。

「あ・・・、おはよう、あやや」
「どうしたんですか?道の真ん中で立ち止まって」

あやや・・・、松浦亜弥は、あたしの1つ下の後輩。
返事が良くて、あいさつもできて、かわいいときたもんだ。
仕事もできるから、先輩たちに気に入られている。
ホント、すごくいい子なんだけど・・・。
ごっちんが言うには、あややはあたしのことを好きなんだそうだ。
もう、態度でバレバレだけど・・・。
43 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月17日(日)18時31分06秒
「あ、あやや、今日は遅いんだね」
「はい!吉澤さんに合わせてきたんです!」
あややは迷いもなく笑顔でしかも大声で即答した。
これじゃあ、周りにバレるのも仕方ない。
あややがあたしを好きっていう話は、
すでに会社中に浸透済み。
まぁ、小規模の会社だし・・・。

ウワサが広まるのは別にいい。
いや、ホント言うとイヤなんだけど、
その話によって、先輩たちにいろいろ言われるのが1番イヤだ。

「おっ、吉澤、松浦をくどいてんの?朝から元気だね」
「ちっ、違いますよっ!」
「若いっていいねぇ!」

くそぅ・・・。思ってるそばからコレだもん。
コレさえなければ、なんとかかわしていけるのに。

「あの・・・、吉澤さん、もう会社に行かないと・・・」
「あ、そうだね。じゃあ、行こうか」
あたしとあややは、会社に向かって歩き出した。
44 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月17日(日)18時49分41秒
少しですが更新です。
3日目はもう少し長くなります。

っていうかかなり感激です!
すごくいっぱいレスがついていて・・・。
みなさん、本当にありがとうございます!

>とみこさん
この小説を好きと言ってくれるなんて、嬉しすぎます!
文才ですか?全くありませんよ。(w


>夜叉さん
平家さんの会社はですね、
記事とかを編集する会社です。
かばうシーンは、もう少し臨場感を出したかったんですけど・・・。
もっと勉強しないと!

>名無しベーグル。さん
マジですか!?あの名無しベーグル。さんからレスがもらえるなんて・・・。
夢のようです!
名無しベーグル。さんの作品、いつも拝見させていただいています!
これからも頑張って下さい!

>よすこ大好き読者。さん
一気にといっても、全然少なくてホント申し訳ないです・・・。
10日間、いろんなことを考えているので、楽しみにしていて下さい!

>38さん
(^▽^)<中澤さん!38さんの所へお手伝いに行ってきます!
現実にあったら嬉しいですよね。(w

>yo-naさん
永久就職ですか、それもいいですね。(w
ホント駄文ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
45 名前:36 投稿日:2002年03月17日(日)18時55分48秒
リアルで読んで得した気分です♪
色々なメンツが揃った会社に私も入りたいです。
しかも、あやゃは吉ファンとな?(w 私のツボに入りましたが何か?(w
頑張って下さいね! 新妻的な石も可愛いです。
46 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月17日(日)23時49分26秒
楽しい“10日間”を読ませていただいてます。
みんなで会社勤めって楽しそうな職場ですね。
吉澤さんと石川さん、ビジネスライフな関係からいつしか・・・
な~んて期待しながら楽しませてもらっています。
47 名前:とみこ 投稿日:2002年03月19日(火)15時14分02秒
エプロン姿の石に・・・(略
48 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月20日(水)10時12分16秒

今日の仕事は大変だった。
ごっちんがいない分の仕事が全部あたしに回ってきた。
分担ぐらいしてくれたっていいじゃないか~!
おかげでいつもの2倍以上の仕事量になった。
ごっちんが休みって聞いた時、
それなりに予想はしていたけど、ここまでとは・・・。
残業をしたけどそれでも終わらなくて。
先輩たちも手伝ってくれたけどそれでも終わらなくて。
結局、家に持ち帰ってすることにした。

石川さんに、家でも仕事をしなくちゃいけないことを伝えた。
いつも通りの返事に聞こえたけど、
少し声が沈んでいたように感じたのは気のせいかな?


家に着いたのは11時過ぎで、
それでもまだ、灯りのついている窓は多かった。
ポケットからカギを取り出して、ドアを開けると、
チェーンがついてないことに気づいた。
・・・今度はチェーンか・・・。
また言っておかないと。
49 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月20日(水)10時20分53秒
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい!」
玄関にはすでに石川さんが立っていて、
ちょっとビックリした。

「荷物、お持ちしますね」
石川さんは、あたしが右手に持っていたバッグに手をかけた。
「あっ、あの、いいですよ、
 今日はいろいろ入ってますから、重いですよ」
「いいえ、大丈夫ですよ」
石川さんは笑顔で答えてたけど、
本当に今日のは重いって・・・。

だけど石川さんは、あたしのバッグを持った。
「!! お、重い・・・」
石川さんはなんとか笑顔でいようと必死だったけど、
ちょっと無理がある笑顔をしていた。

「だから言ったじゃないですか~」
くつを脱ぎ終えたあたしは、石川さんからバッグを取ってひょいと持ち上げた。
50 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月20日(水)10時29分57秒
「吉澤さんって・・・、力持ちなんですね」
「え?いや・・・、いろいろとスポーツをやってたんで・・・」
バレーボールでは結構有名な選手だったし、
K-1に憧れてボクシングをやったこともあった。
とにかくあたしは、体を動かすのが好きだからなぁ。

「強い人ってステキです」
石川さんは尊敬のまなざしてあたしを見る。
なんか・・・、すごくドキっとしたんですけど・・・。
「あ、じゃああたし、仕事始めますね」
「はい。頑張って下さい」


あたしは机に向かうと、バッグから書類を取り出した。
ざっと見積もって・・・、2時間ぐらいかな?
「うっし!」
あたしは気合を入れると、仕事に取り掛かった。


それから1時間が経過した。
思うように進まなくて、これじゃ2時間以上かかってしまう。
もう12時半だ・・・。
51 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月20日(水)10時49分39秒
「あの・・・、吉澤さん?」

あたしは石川さんの声に気づき、首だけを動かして後ろを見た。
石川さんは、手にどんぶりを持っている。
「石川さん、あたしまだ仕事が・・・」
「気分転換も必要ですよ。長い間机に向かっていると、
 思うように進まなくなってしまうでしょう?」
確かに・・・、それは言える。
「これ・・・、お夜食のラーメンです。
 ワンパターンかなって思ったんですけど・・・」
石川さんは部屋の真ん中にあるテーブルにどんぶりを置いた。
ラーメンの匂いがすごく漂ってくる。
どんぶりからは白い湯気がゆらゆらと上がっている。
ごくっ・・・、おいしそう・・・。
「あ、ありがとうございます・・・。じゃあ、いただきます!」
あたしは椅子から降りると、すぐラーメンにかぶりついた。


「ごちそうさまでした!」
夕食も食べずに仕事をしていたあたしは、
5分ちょっとでスープも全部飲み干した。
いや~・・・、仕事に集中してて、おなか減ってたの忘れてたよ。
52 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月20日(水)11時10分10秒
「器、お下げしてもいいですか?」
「あ、はい。ありがとうございました」
石川さんはどんぶりを持つと立ち上がった。

あ・・・、そういえば石川さん、
これから何をするんだろう?
「石川さん・・・、片づけが終わったら、何をするつもりでいるんですか?」
「私ですか?もう特にすることもないですけど・・・」
「じゃあ・・・、あたしの部屋にいてくれませんか?」
「えっ・・・」
うわっ!言葉が足りないって!

「あっ、いや、別に変な意味じゃなくって、
 ただ、お互いに1人は寂しいかな~・・・なんて思って・・・」
あたしは必死に弁解した。
これがキッカケとなって、またギクシャクするのはゴメンだ!

「お気持ちは嬉しいんですけど・・・、私がいると邪魔になりませんか?」
石川さんは申し訳なさそうに言った。
「全然大丈夫ですよ。邪魔になんてなりません」
っていうか、逆にいてくれた方が・・・。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・、片付けが終わったら行きますね」
石川さんは止めていた足を再び動かして部屋から出ていった。

うっし!よくやった自分!
あたしは小さく、だけど気持ちは大きくガッツポーズをした。
53 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月20日(水)11時16分12秒
少しですが更新です。まだ3日目は終わりません。(ニガワラ

>36さん
リアルタイムで読んでたんですか?
私、キー押すのとても遅いので申し訳ないです!
あやゃの位置が、これからの2人に影響を及ぼすと思います。
自分もわかりません。(w

>M.ANZAIさん
1度、こういう小説を書いてみたいなって思っていたので。
細かい設定はあまりないんですけどね。

>とみこさん
裸にエプロンなんてやったら思いっきり路線外しますね。(w
やめときましょうかね。(w
54 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月20日(水)11時37分01秒
吉澤さん、わずかに一歩前に出るみたいですね。
お夜食のラーメン、玉子とか落としてくれるとさらに美味しい・・・、
あっ、作ってくれる人がいるっていうのが何よりも美味しくさせますよね。
55 名前:とみこ 投稿日:2002年03月21日(木)09時57分30秒
2人っきりでどうして何も・・・?(w
56 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月21日(木)15時34分16秒
なんか、にやけちゃいますね。(笑
そろそろ何か次の展開がある?と、密かに(?)期待しています。
57 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時27分53秒
一気に読ませていただきました。
とても気がつく梨華ちゃんと、よっすぃ~の関係が
凄い好きです。続き期待してます。がんがってください。
58 名前:夜叉 投稿日:2002年03月22日(金)10時29分02秒
玄関のドアのすぐ向こうに立っている石に萌え。何か考えがあっての行動だと勝手に脳内変換(笑)。
続き、期待してます、がんがってくださいね。
59 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)19時12分10秒
しばらくすると、石川さんがそっとドアを開けて入ってきた。
「あ・・・、片付けご苦労様でした」
「いえ、私の仕事ですので・・・。ところで、私は何をしてればいいんでしょうか?」

ん~、そうだよな~。こんなところにいてもすることなんてないだろうし、
ぶっちゃけ、本心である「ただいてくれるだけでいい」な~んていうのは
キザったらしくて寒気がするし!
絶対ハズすし!

「じゃあ、気が向いたら、気分転換にでも話し掛けてくださいね」
石川さんはそう言うと、ソファに腰掛けた。


それからあたしは、ラーメンに入っていた玉子のおかげで、
バンバン仕事を進めていった。
気がつけばもう2時を回っていて。
予定よりオーバーしちゃったけど、なんとか終わった。
60 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)19時30分42秒
書類を重ねて、トントン、と音を立てて端をそろえる。
ん~!この瞬間がいいんだよね~!
達成感があるっていうか、やったぞ!って感じで。


・・・あ!石川さん!
仕事に集中しちゃってて、全然話し掛けなかったよ・・・。
せっかくいてもらったのに、悪い事しちゃったな~。

「石川さん、すいません!・・・ってあれ?」
あたしがソファの方に目を向けると、
石川さんは座ったまま眠っていた。
背もたれに体重を預けて、ぐっすりと眠っているようだ。

いつのまに眠っちゃってたんだろう・・・。
疲れてたんだろうな~。本当に申し訳ない。
あたしは椅子から立ち上がると、
音を立てないようにゆっくりとソファまで歩いた。
61 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)19時36分52秒
「石川さ~ん。寝ちゃってますか~?」
あたしは耳元でささやいたけど、石川さんはびくともしない。
本当に寝ちゃってるみたい。
とりあえず、ベッドまで移動させよう。
こんなところで寝ると、風邪ひいちゃうよ。

「ちょっと動かしますね」
あたしは一応断ると、石川さんをゆっくりと抱き上げた。
うわっ!軽いっ!
石川さんって、こんなに軽いんだ・・・。
石川さんの体は、思ってたよりもかなり軽くてビックリした。

そのあと、ベッドまで移動してゆっくりと降ろすと、
やさしく毛布とかけぶとんをかけた。
しっかし、よく起きないよなぁ・・・。
あたしだったら絶対起きてるな。
さて、と・・・。シャワーでも浴びて寝よっかな!
あたしが立ち上がろうとしたとき、
突然後ろから引っ張られた。
62 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)19時47分46秒
「どわっ!」
あまりにも突然だったので少し倒れそうになったけど、
なんとか耐えて後ろを振り返ると、
石川さんがあたしのシャツをがっちりと掴んでいた。

「ちょっ・・・、石川さん・・・?」
あたしは声を掛けたけど、石川さんは何も答えなくって。
どうやら眠りながら掴んだみたいだった。
「眠りながら掴むなんて器用だなぁ~」
そんなことをつぶやきながら、
シャツを掴んだ手を外そうとした。

・・・が、迂闊に動かすと起きちゃうし、
シャツを脱いで脱出しようにも無理がある。
む~・・・、どうしよう・・・。
シャツを引っ張られながらも、解決策を一生懸命考えていると、
突然、また引っ張られてしまった。
63 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)19時54分07秒
「だあっ!」
さっきよりも引っ張る力が強かったこともあって、
さすがに今回は耐えられず、後ろに倒れこんでしまった。
・・・くっ・・・、耐えられなかったか・・・。
もっと鍛えないとな~。
そんなことを思いながら、前を見ると、


「えぇっ!?」


幸せそうに眠っている石川さんの顔が、すぐそこにあった。
そして、逃げることもできないまま、
石川さんのシャツを握っていない方の手があたしの首に回ってきた。

いやっ、ちょ、ちょっと・・・!ヤバイ、ヤバイって!
めちゃめちゃ顔近いって!
2人の顔の間は5cmもなくって。
あたしの心臓が、壊れそうなくらい脈を打っている。
64 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)20時01分22秒
「よし・・・」

ん?石川さん、起きたのかな?
あたしは、さっきまでそらしていた目線を石川さんに戻した。
だけど石川さんは起きてなかった。
はぁ・・・。寝言か・・・。

・・・って「よし」って誰!?
あたし!?まさかあたし!?
んなわけないよね!

「・・・これで味付けはバッチリ・・・」

・・・なんだよ・・・。そういう意味の「よし」かよ・・・。
かなり期待しちゃったよ・・・。
うっわ~、何1人で騒いでたんだろう、恥ずかしい。

「吉澤さん・・・、喜んでくれるかな・・・」

えっ!?今度こそ・・・あたし、だよね・・・?
どっ、どんな夢みてるんだろう・・・。
65 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)20時14分05秒
だっ、ダメだ!
早く寝ないと!明日は会社があるんだから!
でも、こんな状態じゃ眠れないよ~!
たっ、とっ、とりあえず、目を閉じよう・・・。
あたしは必死に目を閉じた。


・・・何分経っただろう・・・。
さっきの体勢と変わらずに、あたしはずっと目を閉じ続けていた。

目を開ければ、すぐそこに石川さんの顔。
目を閉じていても、石川さんの規則正しい呼吸が聞こえ、
やわらかい息が、あたしの顔にかかる。
あたしの心臓は、あれからずっと速く脈を打ったまま。
本当に壊れちゃうんじゃないかってぐらい速い。


必死の思いで閉じていた目をそうっと開けてみると、
そこには天使のような顔で眠っている石川さんがいた。
すごくかわいいよなぁ・・・。
反則だよ、この寝顔。
ちょっとでも顔を動かせばキスできるのに、
その「ちょっと」ができない自分が悔しい。

「くそぅ・・・、こんなの拷問だよ・・・」
眠れないまま、夜は更けていった。
66 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月22日(金)20時27分05秒
3日目、終了です。
眠っている間に、石川さん猛烈アタックしてます。(w

>M.ANZAIさん
玉子、出してみました。(w
結局、吉澤さんは石川さんにヤラれちゃいましたけど。

>とみこさん
それだけ純情なんですよ、2人とも。(w

>よすこ大好き読者。さん
「ニヤける」という言葉、とても嬉しいです。
私は「自然にニヤけてしまういしよし」を目指していますので。(w

>理科。さん
だっはぁっ!りっ、理科。さんじゃないですか!
めちゃくちゃ光栄です!
理科。さんの書くヤッス~好きです!頑張って下さい!

>夜叉さん
石川さんは知らず知らずのうちに、吉澤さんにアタックしていますので。(w
これからも、石川さんにはいろいろとしてもらいます。(ニヤリ)

それと私、明日から少しガイシュツしますので、
次の更新は25日以降になります。
書き溜める予定なので、どうぞよろしくお願いします。
67 名前:Only 10 Days ―3日目― 投稿日:2002年03月22日(金)20時28分06秒
メール欄シパーイ。
鬱・・・。(ニガワラ
68 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月22日(金)20時29分01秒
67は私です、申し訳ないです。
69 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月23日(土)00時01分16秒
拷問・・・、たしかに。
いっそ、ひとおもいにやっ(略

>玉子、出してみました。(w
いえいえ、元気をつけていただければ、それでなによりです。
70 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)03時51分41秒
梨華ちゃん力強すぎ(w
あわてふためるよっすぃ~もいいですね。
ってかそのままチ(略
期待してます。がんがってください♪
71 名前:とみこ 投稿日:2002年03月23日(土)10時31分37秒
ぶちゅっとしちゃみましょうよ(w
なんか純粋なよっすぃがイイ(・∀・)
72 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月24日(日)10時35分22秒
>「くそぅ・・・、こんなの拷問だよ・・・」
はい。私にも拷問です。(笑
梨華ちゃんが、夢の中で味見するのを、密かに期待・・・・・(w
がんがってください。
73 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月24日(日)12時55分51秒
よすこの拷問がうらやましいのは
私だけでしょうか…(w
74 名前:ぷー 投稿日:2002年03月25日(月)03時05分26秒
最初から見てました。おもろいっす!
いいなあ、明日ぐらいりかちゃん来ないかな?
吉、我慢は体に良くないちょ-。
75 名前:夜叉 投稿日:2002年03月25日(月)15時48分34秒
寝てる間に服を掴んで動けなくするのは、反 則 で す よ 、 石 川 さ ん (笑)。
そんなあなたに吉が場外乱闘?(爆)。
続き、楽しみにしてます。
76 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時11分17秒
・・・結局ほとんど眠れなかった。
途中で抜け出そうとしたけど、逆に力を入れられて無理だったし。
・・・ちょっと嬉しかったけどね。
今でもまだ、石川さんの感触が残っているような気がする。
でも・・・、会社で寝ちゃったりしちゃったらどうしよう・・・。
保田先輩、仕事に関してはすごくうるさいからなぁ・・・。
ま、その時はその時で考えよう!
深く考えすぎて気が滅入っちゃうのは嫌だし。

「朝ごはんできたかな~?」
あたしは能天気な声で独り言を言いながら部屋を出た。


部屋を出ると、すぐにみそ汁の匂いが漂ってきた。
キッチンに行ってみると、予想通り準備が整っていて、
あたしを呼びに行くところだったのだろうか、
石川さんはエプロンを外していた。
う~ん、あたしってばナイスタイミング!
77 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時24分05秒
「さて、食べましょうか」
あたしは明るく呼びかけたけど、
石川さんから反応が返ってこない。

あたしはずっと下を向いている石川さんの顔を覗き込んだ。
「・・・石川さん?」
「えっ!あっはい!そうですね、食べましょう!」
突然、石川さんのなんとも言えないソプラノボイスがあたしの耳を直撃した。
うぅ・・・、さっきまでの眠気が全部吹き飛んだみたいだ・・・。
だけど、いくらあたしが突然覗き込んだとはいえ、
あの驚き方は変だよな・・・。
何かあったのかな?


それから平凡な会話を交わしながら朝食を摂った。
だけど、石川さんの返事はどこかぎこちなくて。
あたしの問いかけなんか上の空で、他に何か考え事をしてるみたい。
何があったんだろう・・・。聞いてみようかな。
あたしは箸を置いた。
すると石川さんもかしこまったような姿勢をした。
78 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時31分05秒


「「あの」」


あたしも石川さんも同じ言葉を口にしていて、
お互いに顔を見合わせた。
「いっ、石川さん、用件はなんですか?」
「よっ、吉澤さんからどうぞ!」
それじゃあ、お言葉に甘えて・・・。
「じゃあ、あたしから話しますね」
「はい」

「あのですね・・・、率直に言いますけど、石川さん、何かありました?
 話し掛けても、ずっと考え事をしているみたいで・・・」
さっきの会話だってそうだし。
何か特別な事でもあったに違いない。
「もし、その考えている事が悩み事とかだったら、気軽に言って下さいよ。
 あたしでよければ、力になりますんで」
あたしは胸を張った。
だけど石川さんは俯いたままで。
「石川さん・・・、本当に何があったんですか?」
あたしは、石川さんが何も話さないから、だんだん心配になってきてしまった。
まさか、病気・・・とかじゃないよね?
もしそうだったら、大変だよ!
79 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時42分05秒
「あの・・・」


あたしが心の中でオロオロしてると、やっと石川さんが口を開いた。
「な、なんですか?」
「聞きたい事があるんですけど・・・、いいですか?」
「はい、どうぞ」
あたしはちょっと覚悟しながら、俯いたまま話している石川さんを見た。

「あの、昨日・・・。私、何かしました?」
「え?」
「吉澤さんが一生懸命仕事をしている後ろ姿をみてから記憶がなくって・・・。
 気がついたら、吉澤さんが隣で寝ていて・・・」
うん、確かにあたしは石川さんの隣にいた。
寝てはいないと思うけど・・・。

「私、ビックリしちゃって・・・。ずっとその事が気になっていて・・・。
 昨日・・・、何もありませんでしたよね?」
「何も、って・・・?」
「その、つまり・・・、私と、吉澤さんが、その・・・」

石川さんの声はだんだん弱くなっていって、
しまいには全然聞こえなくなってしまった。
それに、声が弱くなれば弱くなるほど顔が赤くなっていって、
最後の方にはゆでダコみたいになってしまっていた。
そんな石川さんを見て、あたしは思わず笑ってしまった。

「わっ、笑わないで下さいよ・・・!」
「いや・・・、すみません」
80 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時55分44秒
「それで・・・、どうなんですか?やっぱり・・・」
「いえ・・・、石川さんが考えているような事はありませんよ。
 あたしが仕事終わって、ソファで寝ようとして、石川さんを移動して、
 そのまま石川さんと一緒に寝ちゃっただけですから」
あたしは一通り昨日の夜の事を話した。
「寝ちゃった」っていうウソを除いては、全部本当のことだ。
・・・肝心なことは言ってないけど。

「それに、突然襲うなんて事しませんよ。野獣じゃあるまいし。
 相手に了解を得ないでするなんてもってのほかですよ」
・・・キスはしたくなったけど・・・。


「・・・じゃあ、私がお願いしたら、してくれるんですか?」


はっ!?
「えっ、いっ石川さん、どういうことですか・・・?」
それって・・・え?ええっ!?
「吉澤さん、ジョークですよ、ジョーク。本気にしないで下さいよ~!」
石川さんは、さっきまでの暗い表情がウソのように笑いながら言った。
っていうか、ジョークにもほどがあるっていうか・・・。
81 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月25日(月)19時59分22秒
「あっ、あの、もう時間なんで行きますね!」
「はい、わかりました」
あたしは箸を置いて、部屋に走っていった。

・・・あれは本当にジョークなのかな・・・。
あの時の石川さんの顔、本気のように見えたんだけど、
やっぱり違うのかなぁ・・・。
でもぶっちゃけ、あたし的には・・・ジョークであって欲しくないというか・・・。
なんというか・・・。

あたしは複雑な心境で家をあとにした。
82 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月25日(月)20時18分06秒
やっと4日目です。この先どうなるかは私もわかりません。(ニガワラ

>M.ANZAIさん
吉澤さんに試練与えすぎでしょうかね?(w
まあ、そのうっぷんはそのうち晴らしてもらうってことで。(謎)

>理科。さん
(^▽^)<やるときゃやるのさー!
吉澤くんにはガマンしてもらいます。
ガマンしたあとにはいいことが待っていると思います。(w

>とみこさん
吉澤君は純情な人間なんですよ・・・。(w

>よすこ大好き読者。さん
書いてる私にも拷問でした。(w
「よしこ、やっちまえよ!」って思いながら書きました。
矛盾してます。(ニガワラ

>73さん
いえ、私もかなりうらやましいです。(w
石川さんはこれからもさりげにアタックすると思いますよ。

>ぷーさん
最初から読んでいらしたんですか?更新遅くて申し訳ないです!
明日にでも石川さんをですか・・・?
从~∀~从<ウチ自ら行くで!
・・・社長の中澤さんではダメでしょうか・・・。(ニガワラ

>夜叉さん
確かに反則です。(w
それに抱きつくなんてもっと反則ですね。
そして吉澤君を困らせる私はもっと反則です。(w
83 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月25日(月)20時25分16秒
吉、あまり我慢させると、そのあとの反動が・・・こわい。
でも石川さんはどんな想いで吉の帰りを待っているのか、一端が覗けた気が。
84 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月25日(月)21時53分46秒
いしかーさん、可愛い!萌え~!がんがって~ください。
85 名前:yo-na 投稿日:2002年03月26日(火)03時15分11秒
梨華ちゃん家政婦ですよね。!
じゃ…よしこ、裕ちゃんに…
86 名前:とみこ 投稿日:2002年03月26日(火)08時32分40秒
2人の気持ちがだんだんひとつになってきましたね!
よすこ大胆に行こう!!
87 名前:名無し73 投稿日:2002年03月26日(火)11時20分56秒
さりげなくアプローチしてる石に萌え!
よすこ…一日石川さん貸してください!(w
88 名前:夜叉 投稿日:2002年03月26日(火)15時30分05秒
石川さんの大胆な発言にこっちまでドキドキしてしまいましたがな(^^;;
やや、気持ちが見えてきたような…。
続き、期待してますね。
89 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)12時46分08秒

「よしこ、ごめんね!」

昨日の仕事を提出しようと思って、
バッグから書類を取り出そうとしたところにごっちんが突然謝ってきた。
「な、なんだよ急に・・・」
「だって、そのよしこがやってきた仕事・・・、本当はごとーの仕事でさ、
 しかもそれはすごく急用の仕事でさ・・・。よしこはこの前の重要な仕事
 上がったばっかりだったのにまた大変な思いさせちゃって・・・」
ごっちんの目にはだんだん涙がたまってきて、
今にもこぼれ落ちそうだ。
「全然大丈夫だよ。先輩たちが手伝ってくれたからだいぶはかどったし。
 それよりごっちん、体の方はもういいの?」
あたしは微笑みながら言った。
ごっちんはめったに病気なんてならないから、
仕事より心配なんだよ~!
「よしこ・・・、よしこってば最高にいいヤツだよね!
 よしこだ~い好き♪」
するとごっちんは突然抱きついてきた。
「ちょっ、ちょっとごっちん苦しいって!」
あたしは必死にもがいた。
苦しいのもあったけど、それ以上に恐かったのが・・・市井さん。
横目でそうっと見てみると・・・、こっちを見てる。
市井さんは笑顔だったけど、それが恐いんだよー!
90 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)12時57分04秒
「ほ、ほら市井さんがこっち見てるって!」
「いちーちゃん!?いち~ちゃ~ん!」
あたしが市井さんの名前を口にすると、
ごっちんはすぐ離れて、市井さんのもとへと走っていった。

・・・ったく、単純だよなぁ。
市井さんも嬉しそうな顔しちゃってさ。
さてと、書類を出しに行こうっと。
あたしは、出しかけだった書類を手に取り、席を立った。


「はい、保田さん。昨日の仕事です」
あたしは保田さんの机の前に立つと、保田さんに書類を渡した。
「昨日の仕事って・・・?」
保田さんは目を白黒させながら言った。
「昨日の仕事は昨日の仕事ですよ。忘れちゃったんですか?
 保田さんも手伝ってくれたじゃないですか」
「もしかして・・・、あの仕事?」
「そうですよ」
保田さんはポカンとしていた。
そりゃそうだよね。
あんなたくさんの量を終わらせるなんて、自分でもビックリしたもん。
91 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)13時08分54秒
「へぇ・・・、たいしたもんね、吉澤。この仕事を終わらせるなんて」
「頼まれた仕事は確実に終わらせたいですから」
「ははっ、吉澤らしいわね。OK、受け取るわ」
保田さんは微笑むと、書類を大事そうに机の上に置いた。

「じゃあ、あたしはこれで」
「あ、吉澤」
自分の机に戻ろうとすると、保田さんに呼び止められた。
「なんですか?」
「みっちゃんが呼んでたわよ」
えっ!平家さんが!?
一体、何の用だろう・・・。
「用件は知らないけど・・・、早く行った方がいいんじゃないの?」
「はい!」

「あ、吉澤」
社長室に行こうとしたら、また保田さんに呼び止められた。
も~・・・、なんだよ~!
「・・・なんですか?」
「いつ、『けいちゃん』って呼んでくれるのよ」
「え~・・・。いつでしょうかね~?」
あたしは笑ってごまかした。
早く行きたいってのもあったし、
正直、・・・まだ保田さんのこと恐いし。
「後藤はもう呼んでるじゃないの」
「ごっちんはごっちん、あたしはあたしです。
 じゃ、あたし急ぎますんで」
保田さんはまだ何か言いたそうだったけど、
あたしは逃げるようにその場を去った。
92 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)13時27分44秒
ところ変わって、ここは社長室の前。
いくら小さな会社でも、社長ってのは特別な存在。
この立派なドアを見てると・・・、緊張してくる。
よ、よし、行くぞ!
ドアをノックしようと、1歩前に出たその時。


「きょ~もいい朝やな~!っとくらあ!」


ガチャッと音をたててドアが開き、妙な歌を歌いながら平家さんが出てきた。
当然、前に出ていたあたしはドアにぶつかって、
運悪くドアの角が額にヒットした。
ちょ、マジ痛いっすよ・・・。
あたしはあまりの痛さに、その場にうずくまってしまった。
「よっ、よっすぃ~!!しっかりせい!とりあえず中に入れ!」
あたしはなんとか立ち上がり、平家さんに支えられながら社長室へと入った。


「大丈夫か?悪気はないねん、許してや~」
平家さんは申し訳なさそうに謝った。
「いえ・・・、大丈夫ですよ。じきに痛みは治まりますから」
あたしは、おそらく赤くなっている額をおさえながら言った。
93 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)13時37分47秒
「堪忍な~。・・・それでよっすぃ~、ウチに用があったんやないの?」
「はい、保田さんから言われて来たんですけど・・・」
「あぁ、そやった。けいちゃんに伝言頼んどいたんやわ」
平家さんはぽん、と手をたたいて、
いかにも「思い出した!」みたいな顔をした。
・・・忘れてたのかよ!
あたしはすごく緊張してるってのに!
すると、平家さんはあたしをまっすぐ見つめた。

「あのな、よっすぃ~。ちょっと聞きたいことあってん」
「は、はい・・・。何でしょうか・・・?」
平家さんがあまりにも真剣な目で見つめるから、さらに緊張が高まった。
「ほんまに言いにくいねんけどな・・・」
「はい・・・」

まさか・・・、リストラとかの相談じゃないよね・・・?
だけど、この会社って業績悪かったっけ・・・?
確か、いい方だったと思うんだけど・・・。
でも、今の時代、そんなことがあっても不思議じゃない。
あたしは覚悟して、平家さんの言葉を待った。

「ええか?聞いても・・・」
「・・・はい!」
94 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)13時48分47秒

「お手伝いさんと、どうやの?」


その言葉はあたしが予想していたものと全然違って、
仕事に全く関係のないものだった。
はぁ・・・、よかった~。リストラの話じゃなくって。
リストラなんてされたら、大変だったよ~・・・って
「なっ、なんで平家さんが知ってるんですか!?」
「よっ、よっすぃ~!そんなに大声出さんといてや~!鼓膜が破れてまう」
あたしは普通の声で話したつもりだったけど、
すごく声が大きかったのだろうか、平家さんは耳を強く抑えていた。
「あっ・・・、すみません・・・。でも、どうして平家さんがお手伝いさんのこと
 知ってるんですか?」
「どうしてって・・・、依頼したんはウチやで」

はっ!?いっ、今何て言いました?
「へっ、平家さんが頼んだんですか・・・?」
「そうやで~!これにはちょっとしたいきさつがあってな」
平家さんは嬉しそうに話し始めた。
95 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)14時02分24秒
「社員の中で恋人がおらん人って結構おるやん?例えば、けいちゃんとか
 あややとかな。そんでもってよっすぃ~もや。
 恋人がおったら、生活しやすいやろ?だけどな、けいちゃんやあややは
 家事できるから心配いらんのやけど、よっすぃ~は全然ダメやろ?」
「はい・・・、そうです・・・」
確かに家事はできない。全くできない。
食事はほとんどコンビニで済ましてたし、
そうじなんて全くと言っていいほどしなかったし。

「そこでや!そんなよっすぃ~をあわれと思った優しい優しいみっちゃんはやな、 
 お手伝いさんを頼もうと思ったんや!」
平家さん・・・。そんなにあたしのこと、心配してくれてたんですか・・・。
吉澤、感動しました!
「そんで、そんなにお金も出せへんし、よっすぃ~が嫌がったらかわいそうやな思うて、
 期間も料金も手軽な『10 Days』に頼んだんや!」
平家さん、そこまで考えてくれてたんですか・・・!
めっちゃ嬉しいです!

・・・あれ?でも石川さんがやって来たあの日に、
あたしは勘違いだと思って、無料でいいとかなんとか・・・。
・・・ヤバくないですか・・・?
96 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)14時13分55秒
「で、どうやの?生活はどうやの?」
「平家さん・・・、すいません。あたし、勘違いしちゃって・・・、
 その日、お手伝いさんのところの社長さんとお話したんですよ・・・」
「はっ!?なんやて!?」
さっきまでニヤけていた平家さんの顔は、
一瞬にして真顔に変わった。
「それで、お詫びにって、無料で10日間・・・」
「む、無料!?ウチの優しさが水の泡やがな!」
「すいません・・・。もう払っちゃったんですか?お金」
「いや、まだなんやけど」
・・・まだなのかよ!
平家さん、すごいリアクションするから、もう払っちゃったと思ったよ。

「ほな、一応電話せんとなー。こういうのは社長さんと話さんとあかんな。
 よっすぃ~、社長さんと話したんなら、名前わかるやろ?」
「あ、はい。確か『中澤』って言ってましたけど・・・。
「なにっ!?中澤!?」
平家さんの顔は以前にも増して真顔になった。
なっ、何!?あたし、変なこと言いました・・・?
「中澤ゆうたら、ゆうちゃんやないの!ゆうちゃんしか考えられへん!」
えっ、ってことは・・・、
97 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)14時19分05秒
「もしかして平家さん、中澤さんと知り合いなんですか・・・?」
「知り合いも何も、昔っからの親友や。みっちゃ~ん、ゆうちゃ~んゆうてな、
 よく空き地で遊んだもんやで~」
平家さんは何か遠いものを見つめるようにして言った。
いや、別に平家さんの思い出とか聞いてないんですけど・・・。

「ゆうちゃんも社長さんになったんやな~。小さい頃から、
 『女社長になったる!』ってゆうてたもんなぁ・・・」
「はぁ」
「ゆうちゃんが社長さんやったら、別に言わんでもええかな~」
「いや、それはヒドいと思いますけど・・・」
「・・・ボケたんやて」
平家さんはそう言ってたけど、さっきのは誰が聞いても本気で言ってた。

「ま、ええわ。ゆうちゃんにはちゃんと電話しとくから、心配せんでもええで。
 よっすぃ~は仕事に戻り」
「はい、わかりました」
「あ!そうや、忘れとった!」
あたしが仕事に戻ろうと席を立つと、平家さんに呼び止められた。
・・・このパターン、今日3回目・・・。
98 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)14時26分43秒
「はい、なんでしょうか」
「あさって、よっすぃ~に休み与えたろ」
「えっ?どうしてですか?」
あたしは、平家さんの突然の発言にビックリした。

この会社では、月の初めに決められた日数の中で
自分で自分が休む日を決めるから、臨時休業なんてめったにない。
しかも、個人的に休みを与えるなんてよほどのことがないと実現しない。
あたしには、その「よほどのこと」がなかったから・・・。
「だってな、最近よっすぃ~頑張っとるやないの。
 この前の大切な仕事にしたって、昨日のすごい量の仕事にしたって。
 せやから、ウチからのボーナスや」
「いいんですか・・・?」
「ええよ~。・・・それに、そのお手伝いさんとも、10日間経ってもうたら・・・
 お別れなんやで?いろいろと思い出作りたいやろ?」

そっか・・・、石川さんと過ごす時間は限られてるんだもんな・・・。
あたしは途端に悲しくなってしまった。
99 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月27日(水)14時32分28秒
「せやから、その一瞬、一瞬を大切にしていかなアカンよ。
 今という時間は、2度とやって来いひんのやから」
そうだよね・・・。同じ時間は2度と、やって来ないもんね・・・。
大事にしていかないと。

「ほな、よっすぃ~はあさって休みってことで!はよ仕事戻り」
「はい!」
あたしは大きな声で返事をした。
やっぱり平家さんはすごいや・・・。尊敬しちゃうよ。
「それじゃ、失礼します!」
「はいよ、仕事頑張るんやで~」

あたしはなんとも言えない想いを胸に、社長室をあとにした。
今、か・・・。
大切にしていかないとな・・・。

あたしが歩き出した時、社長室からは嬉しそうに親友と話す
平家さんの声が聞こえてきた。
100 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月27日(水)14時52分04秒
4日目、まだ続きます。
更新量は今までになく多いのに、いしよしシーンは全くありません。(ニガワラ
しかも100だというのに、まだ4日目が終わっていません。(爆)
先が思いやられます。(w

>M.ANZAIさん
そのうち石川さんの気持ちもハッキリしてくると思います。
あの発言はジョークではない、と思われ。(w

>名無しベーグル。さん
石川さんのキャラは、お姉さん子供、みたいな感じです。
ワケわかんないですね。(w

>yo-naさん
从~∀~从<アカン!石川はウチの大切な社員や!
・・・さて、どうなるんでしょうか。(w

>とみこさん
進級おめでとうございます・・・って中2!?
いいですね、若いって。(w
まだまだ長くなりそうですが、最後までお付き合いして下されば嬉しいです!

>名無し73さん
(0T~T0)<お願いだから持っていかないでYO!
すいません、吉澤さん泣いて拒否してるんで見逃してやって下さい。(ニガワラ

>夜叉さん
私もドキドキしてしまいました。(w
このシーン思いついたの自分の部屋だったんで助かりました。(w
101 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月27日(水)15時04分15秒
石川さんが吉澤さん宅へ派遣されてきた経緯が判明しましたね。
そういうことだったんですか。しかも旧友再会というオマケまで・・・。
しかし平家さん、しっかり者なんだかあわてん坊なんだか。
(「アイさが!」最終回の対決でも負けて罰ゲームで空中ブランコに乗る平家さん・・・)
102 名前:夜叉 投稿日:2002年03月27日(水)17時29分40秒
平家社長は嗜好まで考えてらっしゃったのでしょうか?(笑)
これで、経緯が分かりました。関西繋がりってことで(^^;;
明後日の臨時休業が気になりますね、期待して待ってます。
103 名前:名無し73 投稿日:2002年03月27日(水)19時37分40秒
平家さんみたいな上司がほしいです!(w
次はいしよしシーンですか?
期待してます。
104 名前:ぷー 投稿日:2002年03月28日(木)03時56分10秒
そう言われればいしよしシーンはないけど、
引き込まれますね!作者様の文章に。
平家さんが社長で大丈夫なんですかね?
この会社は。←こら!失礼だぞ!
105 名前:理科。 投稿日:2002年03月28日(木)18時52分31秒
…こんな会社で働いてみたいなぁ(ぼそ。)
(O^~^O)V ←しかも、こんな後輩がいたら。
休みの日は何をなさるのでしょうか…。
とっても楽しみです♪頑張ってくださいね!
106 名前:とみこ 投稿日:2002年03月29日(金)12時24分19秒
なんかいいですね~この小説。
いしよしシーン期待!
107 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)18時47分27秒

「・・・石川さん、あさって遊びに行きませんか?」

夕食も食べ終わり、シャワーも浴びて、
明日に備えて寝よう!っていう時に、
あたしは石川さんに言った。
「実は、休みをもらったんですよ」
「そうなんですか~」
「あたし、あんまり街を歩かないからいいお店とか知らないんですけど、
 せっかくの休みだし、家で過ごすよりはいいかな~って思って」

いいお店も何も、ただあたしは石川さんとの思い出を作りたかったし、
街へ遊びに繰り出すなんて長い間してなかったから、
外へ出て、思いっきり遊びたかった。
「でも・・・、私なんて邪魔になるだけですよ?」
「そんなことありませんよ。行きましょうよ!」
「いいんですか・・・?」
「いいに決まってるじゃないですか!」
あたしは、石川さんの不安げな表情を吹き飛ばすように、
にかっと笑って答えた。
「ね、行きましょうよ!」
「・・・はい!」
石川さんは、満面の笑みで答えてくれた。
よし!まずは一歩前進!
108 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)19時00分27秒
「じゃあ、行き先とかは、石川さんが決めていいですから」
「え・・・、でも、それじゃあ吉澤さんのせっかくのお休みが・・・」
「いいんですよ。いつもお世話になってるお礼です」

石川さんは、いつも家事を頑張ってるし、
あたしにいつも元気をくれるから・・・。
きっとそんなことを言えば、石川さんは「それも仕事のうちですから」って言うだろうけど、
あたしは本当にお礼がしたいんだ。
2つの大きな仕事だって、石川さんからもらった元気がなかったら、
きっと終わってなかったかもしれない。
そのくらい、あたしにとって大きいものなんだ。

「じゃあ、考えておいて下さいね。おやすみなさい」
「わかりました。けど・・・、吉澤さんも考えて下さいよ?
 それでは、おやすみなさい」
いつものあいさつを交わすと、石川さんはベッドに、
あたしはソファへと向かった。
109 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)19時23分05秒

それからあたしは、電気を消してソファに寝転んでいたけど、
眠らないで、いろいろと考え事をしていた。
仕事のこと・・・。当分は大きい仕事は回ってこないだろうなぁ・・・。
友達のこと・・・。地元の友達、今頃なにしてるだろうなぁ・・・。

そして何より・・・、石川さんのこと。
4日間一緒に過ごしてきて、石川さんのいる生活が当たり前に感じていたけど、
今日、平家さんから言われてハッとした。
石川さんと過ごす時間は・・・限られている。
永遠に続くものじゃなくって、10日間だけ。
すでに4日は経っていて、あと6日しかない。
これから、朝が来るたびにため息をついちゃうんだろうか。
このまま夜が続けばいいのにって、思ってしまうんだろうか・・・。

そんなあたしの考え事を打ち砕くように、外から風の音が聞こえてくる。
・・・珍しいな、こんなに強い風が吹くなんて。
やだなぁ、天気悪くなりそうだな・・・。
さってと、もう寝ようかな。
あたしが毛布を掛けなおしたその時だった。
110 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)19時29分28秒
あたしの部屋から、かすかに足音が聞こえた。
ん?石川さん起きたのかな?
あたしが首だけ動かして後ろを振り返ると、
予想通り石川さんが立っていた。

「どうしたんですか、石川さん。何かあったんですか?」
だけど石川さんは答えなくて。
「石川さん?話さないとわかりませんよ?」
今回はあたしは何もしてない。
まさか、あさっての行き先を考えていて眠れなくなっちゃったとか?
石川さんならありえるかもしれないけど、
わざわざ起きて言いに来るだろうか。

「あの・・・、1つお願いがあるんですけど・・・」
石川さんは、俯いていた顔を上げて言った。
心なしかその顔は、少し赤くなっていた。
「なんですか?そのお願い事って・・・」
「聞いてくれますか・・・?」
「は、はい・・・」
111 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)19時38分20秒


「あの・・・、一緒に寝てくれませんか・・・?」


え・・・?一緒に・・・?
「いえっ、変な意味じゃなくってっ、ただ、私風の音が恐くって・・・」
一生懸命手を横に振って弁解する石川さんは、さらにかわいく見えて。
ほんっと、かわいいよな~。あたしと大違い。

「・・・いいですか?」
・・・あたしが断るわけないじゃん!
「はい、いいですよ」
あたしは快くOKの返事をすると、ソファから抜け出した。

ベッドにはあたしが先に入った。
石川さんは、朝食の支度とか、洗濯とかしなくちゃいけないから、
ベッドから出やすいようにと思って。
「じゃあ、電気消しますね」
「はい」
あたしは、枕元にあるスタンドライトのスイッチを切った。
112 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)19時46分58秒
電気を消した途端に、部屋の中が一気に暗くなった。
今は風が治まっているのか、しんと静まっていた。

「・・・静かですね」
「本当に。話し掛けるのをためっちゃうくらいです」
「どうしてですか?」
あたしは、顔を石川さんに向けて尋ねた。
「だって、お隣さんとかに聞こえてそうじゃないですか」
石川さんも、あたしの方に顔を向けて答える。
ははっ、そんなことまで気にするなんて。
ホント、石川さんらしいな~。
「大丈夫ですよ。こう見えても防音設備とかされてるんですよ」
「へぇ、そうなんですか~。・・・でも、風の音が聞こえるって事は・・・」
「多分・・・、窓かなんかが原因じゃないですかね?」
「あ~・・・、よくありますよね」

なんか・・・、たいして強くない風なのに、
唸り声みたいな音で、すごく強い風みたいに感じる音。
だけど、さっきソファの上で聞いた音は、
本当に強く感じた。
天気予報でも、強風注意報が出てるって言ってたしな・・・。
113 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)20時01分21秒
「そういえば、どうして風が恐いんですか?すごい気持ちいいじゃないですか」
自転車で坂道を下っている時に感じる風とか、
春風に吹かれて、桜の花びらが舞ってる風景とかがすごい好きなんだけどなぁ。
「そよ風とか、ゆるやかな風はいいんですよ。でも、小さい頃に、何かの番組で
 風によって家が吹き飛ばされてしまう映像を見てしまって・・・。
 それからなんですよ」
「あ、よく見ますよね、そういう映像」
「今でも、そういう特集があったりすると絶対見ませんもん」
「今度、そういう番組あったら、一緒に見ません?」
「嫌ですよ~!」
あたしと石川さんは、顔を見合わせて笑った。


その時だった。
獣の雄たけびのような荒い音を立てて、強い突風が吹いた。

「きゃっ!!」

石川さんは風が吹いた瞬間、あたしに抱きついてきた。
とてもかすかだけど、石川さんの体は震えていた。
本当に恐いんだ・・・。
114 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)20時06分02秒
吹き始めた風は、まだ吹き止まない。
あたしは耐えられなくなって、震えている石川さんをぐいっと引き寄せて抱きしめた。

「よし・・・ざわさん・・・?」
「・・・大丈夫ですよ。あたしがいますから」

自分でも恥ずかしいって思ったけど、あたしはどうしても言いたかった。
抱きしめたかった。
すると石川さんも、あたしの胸に顔をうずめてきた。

「・・・こうしていると、すごく落ち着きます・・・」
「・・・あたしも、ですよ」
あたしはさらに強く、石川さんを抱きしめた。
115 名前:Only 10 Days ―4日目― 投稿日:2002年03月29日(金)20時17分04秒

それからあたしは、抱きしめる力を緩めなかった。
石川さんの体温が、石川さんに触れている部分から伝わってくる。
なんかホント、落ち着くなぁ・・・。
人間の体温って、こんなに心地いいものだったかな・・・。

あ!そうだ!
あさっては遊園地に行こう!
ちょっとワンパターンだけど、ヒサブリに行ってみたいし。
「ねぇ、石川さん・・・」
あたしがそのことを伝えようと、石川さんに話し掛けると、
あのソプラノボイスの代わりに、規則正しい呼吸が聞こえてきた。
「ありゃ、寝ちゃったか・・・」
あれからだいぶ時間経っちゃったしなぁ・・・。
眠っちゃっててもおかしくない。
・・・仕方ない、起きたら言おうっと。

風は今も、少し弱くはなったが吹き続けている。
「石川さん、朝になったら言いますね。それと・・・」
あたしは優しくささやくと、目を閉じて眠りについた。
116 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月29日(金)20時35分57秒
やっと4日目終了です。
吉澤さんが何をささやいたのかは秘密です。(w
5日目は・・・、ちょっと波を入れようかな?(謎)

>M.ANZAIさん
レス速いですね!ビックリしました。(w
平家さんは一応みんなに尊敬されているってことで。(w

>夜叉さん
これから中澤さんと平家さんには活躍してもらう予定です。
予定ですけどね。(w

>名無し73さん
从~∀~从<ウチじゃアカンのかっ!?
すいませんすいません、平家さんのAA分からなかったんです。
いしよしシーン・・・、こんなもんで良いですか?(ニガワラ

>ぷーさん
从~∀~从<みっちゃんは大丈夫やで!・・・多分。
中澤さんが胸張って言えないのでヤバイみたいです。(w

>理科。さん
(0^~^0)<いつでもおいでYO!大歓迎だYO!
( ´ Д `)<んあ~、大歓迎・・・zzz・・・。
2人とも大歓迎だそうです!(w

>とみこさん
そう言ってもらえると嬉しいです!本当に励みになります!
とみこさんも頑張って下さい!
117 名前:理科。 投稿日:2002年03月29日(金)20時41分18秒
リアルタイムで読ませていただきました。
しかも石川さん、いいトコで寝ちゃってるし。
よっすぃ~...何言ったんだろ(ボソ)。
毎回、楽しみにしてます♪
118 名前:名無し73 投稿日:2002年03月29日(金)20時57分16秒
いしよしシーン甘くていいですねぇ
デートは遊園地ですか、次回が楽しみです
それにしても…石川さんいい所で寝ましたね(w
119 名前:ぷー 投稿日:2002年03月30日(土)02時21分15秒
おお~!!きましたね?いしよし♪いしよし♪
石川サ~ンアナタネタラダメネ~。
ハヤクオキテ!オキテ!
120 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月30日(土)04時06分28秒
つっ、ついに一緒のベッドへ!!
…って期待しすぎ!? とりあえず良い夢見てください。
121 名前:とみこ 投稿日:2002年03月30日(土)08時45分19秒
いつタメ語&下の名前で話すのかな~と思ってたけど
吉澤さん・石川さんもなかなかイイと思い始めました^^
あと6日・・・お互いに複雑な気持ちなのでしょうか。
122 名前:夜叉 投稿日:2002年04月01日(月)18時46分37秒
あぁ、遂にやってきたのですね(O^~^O)ノ”
波乱、上等(爆)。
二人もドキドキでしょうが、こっちもドキドキもんですよ。
がんがってくださいね。
123 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月01日(月)22時10分03秒
皆さん、いつもレスありがとうございます!
重ね重ね、お礼申し上げます。

私は今、5日目を書いているのですが、
自ら「波を入れる」なーんて言ってしまったため、
少し滞り気味です。(ニガワラ

ところで、みなさんに質問があります。
あややって自分のことを、なんて呼んでますか?
私は「松浦」かな?って思ったんですが、なんか違うような気がして・・・。
もし、知っている方がいれば、教えてください。
下書きでは「松浦」で書きますが、
指摘があればその呼び方で書き込もうと思っています。

更新はできれば明日にします。
皆さんへのお返事も、次の更新時にしようと思っています。

それでは、お願いします。
124 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月02日(火)02時35分48秒
松浦亜弥ちゃんが自分を指して言う時、
「アタシ」と「あやゃ」と使い分けているような気がします。
そんなに詳しく見ているわけではないのですが。
でも会社勤めしているのなら「松浦」って呼んでも差し支えないかも。
125 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)08時39分45秒
5日目の朝、あたしは不意に目を覚ました。
外からは雨の音が聞こえる。
やっぱり、天気悪くなったか・・・。
もうすでに隣にいた石川さんはいなくて、
かすかにぬくもりだけが残っていた。
ちぇっ・・・、なんか残念だな・・・。

時計に目をやると、まだあたしの起きる時間じゃない。
もう一度眠りにつこうと思ったけど、雨の音が部屋に響いて眠れない。
あたしは目覚ましを止めてベッドから降りると、
カーテンを少し開けて、外を見てみた。

窓には結構水滴がついていた。
雨・・・、強いのかな?
あたし、傘持って歩くのってあんまり好きじゃないんだけどな・・・。
外は、まだ時間が早いこともあってわりと静まっている。
126 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)08時50分10秒
あたしは基本的に雨が嫌いで、
気が滅入っちゃうことがよくある。
だけど・・・、明日は石川さんと遊びに行く予定だし、
よし、今日も頑張りますか!
・・・あ!石川さんにあのこと言わないと!
あたしはそう思いながら、キッチンの方へと向かった。


キッチンでは、石川さんが朝食の準備をしていた。
あたしがいることに気づいていないのか、
陽気に鼻歌を歌いながら目玉焼きを作っている。
たはっ・・・。なんで気づかないかな~?
よし、驚かしてやろうっと!

「い~しか~わさんっ!」
「きゃっ!」

あたしがゆっくり近づいてぽん、と肩を叩くと、
石川さんは本当にビックリしたのか、一瞬動きが止まっていた。

「も~!吉澤さん、驚かさないで下さいよ~!」
「ははっ、すいません。ほんのいたずら心ですよ」
あたしは微笑みながら、テーブルの方へと歩いていった。
テーブルの上には何か灰色な物が乗っかっていて。
最初は何だ?と思ったけどそれは朝刊だった。
どれどれ・・・。今日のコボちゃんはっと・・・。
127 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)08時58分41秒
「今日、起きるの早いですね。何かあったんですか?」
あたしが新聞(コボちゃん)を読んでいると、
石川さんが心配そうな声で尋ねてきた。
「いや・・・。なんか目が覚めてしまって。もう一度寝ようとは思ったんですけど、
 雨の音がうるさくて・・・」
「あ・・・、そうですよね。結構強いですよね、雨」
外からは、雨があらゆるところに叩きつけられる音が聞こえてくる。

「そういえば・・・。石川さん、昨日はよく眠れました?」
昨日・・・、石川さんが『風が恐い』と言うので、一緒にベッドに寝た。
「あ、はい・・・。吉澤さんが守ってくれてる感じがして、
 とても・・・、落ち着いて眠る事ができました」

・・・あ!そうだった!
あたしってば、つい場の雰囲気に流されて抱きしめたんだっけ・・・。
しかも、あんなことまで言っちゃってさ・・・。
今思えば、めっちゃ恥ずかしい事してるな、あたし。

「どうしました?顔赤くなってますけど・・・」
「あっ、はいっ、大丈夫っす!」
突然声を掛けられて、あたしは変な答え方をしてしまった。
128 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時06分43秒
「ところで・・・、朝食、出来ちゃったんですけど、まだ早いですよね。
 あとで食べますか?」
キッチンの方へ目をやると、確かに準備はできている。
まぁ、時間は早いけど・・・。
「いえ、もう食べましょう。できたてが1番ですから」
あたしは笑顔で返事をした。


「あ、今日はパンなんですね」
運ばれてきた朝食は今までの和食と違い、洋食だった。
「はい。私は和食系を作るのが得意なんですけど、
 たまには洋食にもチャレンジしてみようかなって思って・・・。 
 ・・・ダメでした?」
「いえいえ。全然かまいませんよ」
石川さんの作るものはなんでもおいしいですよ!
・・・なんて言えたらねぇ・・・。
言ったら言ったで、またお互いに照れちゃいそうだし。
さっきの言葉は、心の中にしまっておこう。
「じゃあ、いただきます!」
「いただきます」
あたしは早速、手作りのコーンスープを飲んだ。
・・・くぅ~っ!めっちゃうまい!
市販されてるものよりはるかにうまいね、絶対!

・・・あ、そうだ。
遊園地の事言わないと。
129 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時16分48秒
「あの・・・、明日の休みなんですけど・・・、遊園地なんてどうですか?」
「遊園地、ですか?」
「はい」
「・・・私も、考えてたんですよ。『遊園地がいいなぁ』って」
「え・・・?じゃあ、遊園地でいいですか?」
「はい、わかりました」
あたしと石川さんは、お互いに幸せそうに笑った。
遊園地かぁ・・・。何乗ろうかな?
ってこれは気が早すぎか。ははっ。

「それにしても奇遇ですね。2人とも同じ事を考えていたなんて」
「確かに・・・そうですよね。似てるんですかね?あたしと石川さん」
「う~ん・・・。そうなんでしょうかね~?」
石川さんは不思議そうな顔をして笑った。
でも・・・、あたしと石川さんの間に、共通してる事ってあるのかなぁ?
出身地が関東地方だってことぐらいしか思いつかない。
だけど・・・、石川さんと同じ事考えてたなんて、なんか嬉しいな・・・。


「えっ!?」


突然、目の前にいる石川さんが手を止めた。
130 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時23分26秒
「どうしました?石川さん?」
だけど石川さんは赤くなってしまって。
あたし、・・・何かしたかな?

・・・はっ!まさか!
「・・・石川さん、あたし、さっき何って言いました・・・?」
「・・・私と同じ事考えてたなんて、嬉しいって・・・」
石川さんは俯きながらも答えた。

だああっ!心の中でつぶやいたハズなのに!
あたしのバカやろうっ!


「でも・・・、私も嬉しいですよ。吉澤さんと同じ事考えてたなんて」


「え?」
「はい、ごちそうさまでした!」
石川さんはあたしの問いかけをはぐらかすようにして席を立った。
だけど、耳まで赤くなっていて。
さっきの発言といい、今までの発言といい・・・。
もしかして、石川さん・・・。

・・・いや、そんなわけないよな・・・。


あたしは残っていたコーンスープを飲みながら外を見た。
いつのまにか、雨は上がっていた。
131 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時37分29秒


「おっ、吉澤。明日休みだって?」


区切りのいいところで仕事を中断し、
大きく伸びをしているところに市井さんが話し掛けてきた。
「あ、市井さん。なんで知ってるんですか?」
「圭ちゃんから聞いたよ。臨時だってな」
「はい、そうなんですよ」
「いいな~、臨時休業!いちーの次の休みはだいぶ後だしな~」
「ごっちんと合わせて休み取るからですよ」
「ま、いいじゃん!」

前にも言ったとおり、この会社では自分の休日を決める事が出来る。
旅行とか行きたいときとか、まとめて取れるからすごく便利。
・・・当然、恋人がいる人は恋人の休みに合わせて取るわけで。
いいよね~、そういう人って。
見てるとうらやましくなってきちゃうよ、ホント。

「・・・それで、あのお手伝いさんとはどうなのよ?」
「なっ、なんですか突然」
市井さんはあたしの顔に自分の顔をぐいっと近づけて言った。
あまりにも近いので、あたしは思わずのけぞった。

「なぁ、進展したのか?」
「別に何もないですよ・・・」
「ウソつけ!5日間も一緒に暮らしてて何もないわけないだろ~!」
確かにそうだけどさ~・・・。
普通言わないでしょ、他の人に。
132 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時37分56秒


「おっ、吉澤。明日休みだって?」


区切りのいいところで仕事を中断し、
大きく伸びをしているところに市井さんが話し掛けてきた。
「あ、市井さん。なんで知ってるんですか?」
「圭ちゃんから聞いたよ。臨時だってな」
「はい、そうなんですよ」
「いいな~、臨時休業!いちーの次の休みはだいぶ後だしな~」
「ごっちんと合わせて休み取るからですよ」
「ま、いいじゃん!」

前にも言ったとおり、この会社では自分の休日を決める事が出来る。
旅行とか行きたいときとか、まとめて取れるからすごく便利。
・・・当然、恋人がいる人は恋人の休みに合わせて取るわけで。
いいよね~、そういう人って。
見てるとうらやましくなってきちゃうよ、ホント。

「・・・それで、あのお手伝いさんとはどうなのよ?」
「なっ、なんですか突然」
市井さんはあたしの顔に自分の顔をぐいっと近づけて言った。
あまりにも近いので、あたしは思わずのけぞった。

「なぁ、進展したのか?」
「別に何もないですよ・・・」
「ウソつけ!5日間も一緒に暮らしてて何もないわけないだろ~!」
確かにそうだけどさ~・・・。
普通言わないでしょ、他の人に。
133 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時46分55秒
「もしかして・・・、明日の休みは一緒に遊びに出掛けちゃったりするんだろ?」
「なっ・・・!」

うっ、図星。
図星すぎて、あたしは何も言えなくなった。
「うははっ!ビンゴー!ほんっとに吉澤ってわかりやすいよなー!」
「市井さんっ!」
市井さんは誇らしげに笑ってた。
くそぅ・・・。なんでこんなに、当てちゃうんだよっ!
ごっちんも市井さんも2人して!

「ま、吉澤頑張れよ!いちーは応援してるぞー」
そう言うと市井さんはどこかへ行ってしまった。

「応援って・・・」
わけわかんね~・・・。
ま、応援してくれるなら嬉しい限りだし、いっか!
さて、仕事早く片付けて帰ろう!



うっし!今日の仕事終わり!
早く帰ろう!と思いながら支度をしている時に外を見てみると、

「げっ、雨!!」

どしゃぶりではないが、結構強い雨が降っている。


134 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)09時53分42秒
やっば~・・・。家出る時にはもう青い空が見えてたから、
もう降らないだろうと思って、折り畳み傘持ってきてないよ~!
・・・コンビニで買うか。
「じゃ、お先に失礼します」
あたしは残っている人たちにあいさつをするとオフィスを去った。


確か、コンビニだと500円ぐらいだよな。
でも、この前100円ショップで傘売ってるの見たような気がする。
だけど、近くにショップないしな~。
かといって、傘のために500円も使いたくない。
明日のために、少しでも節約したいし。
よし、駅まで走るか・・・!
健康にもいいし!
階段を下りながら考えていると、
あっというまにビルの玄関に着いた。
そこには、1つの女性・・・いや少女らしき人影があった。
・・・あれ?あれってもしかして・・・。
135 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月02日(火)09時56分00秒
今日中にまた更新をするので、
その時に皆さんへのお返事を返します。
2重投稿、めちゃくちゃヘコむ・・・。(鬱)

ちょっとこれから出掛けます。
136 名前:とみこ 投稿日:2002年04月02日(火)11時35分24秒
二重投稿気になさらないで下さい。私もよくあります。
少女とはもちろん・・・?
エプロン姿だったらいいのに(w
137 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月02日(火)12時32分06秒
邪魔者の予感。。。
138 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月02日(火)17時24分50秒
えっ!?邪魔者・・・?
139 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)17時56分46秒


「あやや?」


あたしが自信なさげに呼ぶと、
予想通り、その人影はあややこと松浦亜弥だった。
あややはあたしに気づくと、少しビックリしたような動きをした。

「どうしたの、こんなところで・・・。誰か待ってんの?」
「あ、いえ、あの・・・」
「どうした?」
「・・・吉澤さんを待っていたんです」

あややの目は完全にあたしを見ていて。
さっきのしどろもどろな動きがウソのようだ。

「・・・あたしを待ってたの?」
「はい」
「どうしてあたしなんか・・・」
「・・・さっき吉澤さん、雨が降ってるってわかって、嫌な顔してたじゃないですか」

あ・・・、そういえば・・・。
あたしが雨に気づいた時、あややぐらいの身長の人が入り口にいたような気がする。

「それで、『傘持って来てないのかな』って思って・・・」
「だから、待ってたってこと?」
「はい」

へぇ・・・、すごいなぁ。
あたしだったら気にも留めないでさっさと帰っちゃってたかも。
140 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)18時02分14秒
「あの・・・、これ使ってください」

そう言って、あややが差し出したのはピンクの折り畳み傘。
桃みたいな模様がついてるみたいだった。

「・・・いいの?」
「はい」

嬉しい、嬉しいんだけど・・・。
ピンクってのがな・・・。
ま、ワガママは言えないやな。

「ありがとね。・・・あややの傘は?あたしに貸してくれるってことは、
 もう1つあるんだよね?」
「いえ・・・、ないです」
「え?・・・じゃあどうやって帰るのさ」
「松浦は・・・、走って帰りますから」
141 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月02日(火)18時10分16秒

「そんなの、悪いよ」
「いいんです、吉澤さん使ってください」

いや・・・、それは困るよ・・・。
だってコレ、あややのだし。
普通に考えれば、あやや優先でしょ。

「いいよ、あたしが走って駅まで行くから。
 あややが使いな。この傘はあややのものなんだし」
「いいんです、松浦走って帰りますから、吉澤さん使ってください」

・・・困ったな・・・。いくら言っても聞きそうにないし・・・。
あややの分があるなら喜んで借りるけどさ、
1つだけしかないってなると・・・。
雨に打たれて、風邪なんかひいたら大変だし。

・・・あ、そうだ!

「ねぇ、あやや。あややって電車で通勤してるよね?」
「え?・・・はい、そうですけど・・・」


1つしかないのならば・・・。
1つのものを分けて使えばいい。


「じゃあ、駅まで一緒に帰ろう」
あたしはピンク色の傘を開いた。
142 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月02日(火)18時23分04秒
5日目、まだ続きます。
吉澤さん、そんな行動に出ちゃっていいんでしょうか。

>理科。さん
いや、ホントに私の小説はリアルで読まないほうがいいですよ。
だってキー打つの遅いし、何度か推敲しながら打ってるんで、
さらに遅くなってしまうという。(ニガワラ
吉澤さんが何を言ったのか、それはあとでわかるかもしれません。(w

>名無し73さん
「甘い」、そう言ってもらえるとホント嬉しいです!
石川さんはいつも献立を考えているので、疲れちゃうんですよ。
だから、安心するとすぐ寝てしまうという困ったっちゃんなんです。(w

>ぷーさん
あのシーン、吉澤さんが話し掛けた時に起こそうかなって思ったんですけど、
それじゃあおもしろくないやい!と思いまして、
あのようになりました。
だけど(以下略)

>M.ANZAIさん
あややの呼び方のアドバイス、本当にありがとうございます!
少し悩みましたが、「松浦」を使うことにしました。
飲み会・・・、大変ですね!
私は未成年なので飲めません。ってか飲んじゃいけない。(w
143 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月02日(火)18時30分41秒
一応、分けます。

>とみこさん
考えたんですけど、このまま最後まで
石川さん・吉澤さん、そして敬語で行こうと思っています。
タメ語Ver.はまたの機会にでも・・・。(w
メール欄、食べていたラーメン噴出しそうになりました。(w

>夜叉さん
果たして波乱といえるほど大きなことになるんでしょうか。
私、波乱とかそういうものを書くのが苦手なので・・・。
吉澤さんは、今複雑でしょうね。
って、作者の私がわからなくてどうする。(ニガワラ

>137さん
はい、あややを出しました。
予感的中ですね。すごいです。
あややの動き次第で、いろいろ変わると思います。
144 名前:理科。 投稿日:2002年04月02日(火)19時54分54秒
あやゃの登場ですね。やっぱり一筋縄ではいきませんか。
ってか楽しみです♪どう絡むのか。
( T▽T)<…よすぃ。
私も寝ぼけてる時に更新して、後で読み返すと…絶句。
てな感じですよほーい…(鬱。
がんがってください。
145 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月02日(火)20時39分58秒
あやや、よっすぃーには梨華ちゃんがいるんだ。わかってくれ。
146 名前:名無し73 投稿日:2002年04月02日(火)23時13分41秒
てっきり石川さんかと思いきやあややでしたね
でも吉にはやっぱ梨華ちゃんしかいないでしょ!(w
続き期待!
147 名前:とみこ 投稿日:2002年04月03日(水)12時46分15秒
ヨッスィ~!!梨華ちゃんがいるんだから、
あややに胸がキュルルンしちゃだめよ!
148 名前:夜叉 投稿日:2002年04月03日(水)19時48分37秒
自分も石川さんだとてっきり…。(^▽^ ;) )))コソーリ…
すでに波乱の兆候が現れておりますな。
お母さん、雨が心配で心配で…、いえいえ、吉が心配です。
149 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年04月03日(水)20時00分09秒
いしよしヲタなのに最近は、よしあやにも萌える私は逝ってヨシですか?
150 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月03日(水)20時01分47秒
ヨシです
151 名前:ぷー 投稿日:2002年04月04日(木)01時37分13秒
はぅっ!?あやゃ来ちゃったよー。
よっすぃー頼むぞ。信じてるぞ!
ほんっとにお願い…(切実)
152 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月04日(木)20時26分40秒

会社から駅までは、大体歩いて20分。
その20分の間に、いろいろと考え事が出来るので、
あたしはこの道のりをすごく気に入っていた。

いつも1人で往復するから、
あややがいるとなんか変な感じだ。
しかも、すぐ側にいるから、もっと変な感じがしていた。

「吉澤さん?」
「え?あ・・・、ゴメン。どうかした?」
「いえ・・・、何回呼んでも返事がなかったので、どうしたのかなって思って」
あややは、心配そうな表情であたしを見た。
いや・・・、たいしたことじゃないんだけど、
「ちょっとね、考え事」
「・・・お手伝いさんのことですか?」

あたしは、ドキリとした。
お手伝いさんのことは、平家さん、市井さん、ごっちんしか知らないハズ。
なのにどうして、あややが知ってるんだろう・・・。

「吉澤さん!すいません・・・。松浦、吉澤さんが市井さんや後藤さんと話しているのを
 聞いてしまって・・・」
あややはすごく申し訳なさそうな表情で言った。
153 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月04日(木)20時43分55秒
「聞くつもりはなかったんですけど・・・」
「あたし的には隠していたつもりだったけど・・・。
 わかっちゃったなら仕方ないね」
「ごめんなさい・・・」
「あややが謝る事じゃないよ」

あたしはできるだけ優しく言った。
あややが・・・、そても悲しそうな顔をしていたから・・・。

「あの・・・、聞いていいですか?」
「なに?」
「そのお手伝いさんって・・・、どういうことをしているんですか?」
あたしは、あややの質問に少し驚いた。
そんなこと聞いて何になるのかな?って思ったけど、
あややの目はなぜか真剣で。

「そうだな~・・・。家事全般かな。ごはん作ってくれたり、掃除、洗濯・・・。
 いろんなことをしてくれるんだ」
「そうなんですか~。・・・吉澤さん、嬉しそうですね」
「え?」
あたしはあややの言葉にびっくりした。
え・・・?嬉しそうって・・・?
「吉澤さん、お手伝いさんの話になると、嬉しそうな顔するんですね」
「あ・・・、ははっ、そうかな~」
へぇ・・・、知らなかった。
あたし、そんなクセあるんだ・・・。
ちょっと意外。

154 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月04日(木)20時54分41秒
「吉澤さん、もう1つだけ質問して・・・、いいですか?」
「うん。どうぞ」
あたしは快くOKした。
だけど、そう言うあややの声はなぜか冷たく感じて。
少し・・・、気になった。
「言いますよ」
「うん」


「吉澤さんは・・・、そのお手伝いさんのこと、どう思ってますか?」


あたしはその質問に驚き、何も言えずあややを見た。
あややはあたしの視線に気づいていただろうけど、
あたしの方を見なかった。
まっすぐ、ただまっすぐ前を見つめていたけど、
あややの身体は、こわばっていた。

「どう、思ってるって・・・」
「そのままです」

あややの口調は強かった。
どうしても聞きたいんだ、そう感じた。

だけど・・・。
155 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月04日(木)21時02分17秒
だけど、まだ自分でも、自分の気持ちに自信が持てないのに、
キッパリと「あの人のことを好きなんだ」なんて言えない。
かと言って、「ただお手伝いさん」じゃ
自分自身の気持ちにウソをつくことになる。

きっと、あたしは石川さんが好きだ。
多分、今まで会った人の中で1番好きだと思う。
だけど、まだ自信が持てない。
本当にあたしは、石川さんを好きなんだろうかって、
疑問に思ってしまうことがある。

それはきっと・・・、石川さんが「お手伝いさん」だから。
石川さんの行動の全てが、「仕事」に見えてしまうから。
ちょっとした気遣いも、「サービス」に思えてしまうから。
それを否定できる証拠がない。勇気がない。

だけど・・・、そう思ってしまっても、
あたしが石川さんを好きかもしれない、きっと好きだって思えるのは、
あたしにとって、石川さんは特別だから。
そう・・・、


「あの人は・・・、あたしにとって特別な人だよ」
156 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月04日(木)21時09分21秒
「特別な人・・・、ですか?」
「そう。特別な人」


まだ、自信を持って「好きだ」と言えなくても、
これだけは自信を持って言える。

「あなたは特別なんです」

と。



・・・それからあたしとあややは、話題を変えた。
話の内容はよく覚えてないけど、おもしろい話をしたような気がする。
いつのまにか、駅に着いてしまっていた。

「あたしはこっちなんだけど・・・、あややは?」
「松浦はあっちです」
あややは、あたしの帰る方向と反対の方向を指差した。
「そっか・・・、じゃあ、ここでお別れだね。
 傘、ありがとね。楽しかったよ」
「いえ・・・。変なこと聞いてすみませんでした!」
「いいよ、いいよ。じゃ、気をつけて帰りなよ。じゃあ」
「はい、吉澤さんも気をつけて・・・。さようなら」

あたしとあややはさよならを言うと、
お互いに背を向けて歩き出した。
157 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月04日(木)21時24分00秒
5日目、まだ続きます。
早く遊園地シーン書きたい・・・な?(w

>理科。さん
あややはまだ出す予定です。
だけど、もうその時には・・・。(謎)
今回の更新分はすごく悩みました。
悩みすぎておかしくなってしまって悲惨です。(ニガワラ

>145さん
人‘ 。‘ 人<わかってますよ。わかってるから・・・。
       気持ちは“止めらんない♪”
(T▽T)<止まれ!

>名無し73さん
皆さんのレスを見て、石川さんが傘を届けに来るのもいいな、と思ったんですけど、
ちょいと波を起こさないとな、と思ってそのまま更新しました。(w

>とみこさん
(0^~^0;)<わ、わかってるYO!
         わかってるけど・・・。
メール欄にまたやられました。(w
158 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月04日(木)21時33分23秒
>夜叉さん
すいませんすいません、あややでした。
波乱・・・、ネタバレですけど、
7、8日目あたりにまた・・・。(謎)
石川さん視点も書いてみたいな・・・。(遠い目)

>名無しベーグル。さん
あちらではどうもです。(w
よしあや・・・、どうなるんでしょうかね?(w
石川さんも大変です。

>150さん
ヨシです、・・・ってあれ?

>ぷーさん
そんなにお願いされると・・・、揺らぎますね。(w
私、書いたところまで更新するので、
皆さんのレスって結構小説の内容に関係してるんですよ。
だから、いろいろと要望があれば、何かある・・・かも?(w
159 名前:名無し73 投稿日:2002年04月04日(木)23時13分14秒
吉よく言った!(w
今度は石川さんに言えるといいな~
遊園地シーンを期待してます!
160 名前:ぷー 投稿日:2002年04月05日(金)03時25分17秒
吉の核心をついたナイスな質問だあ。
あやゃ出てきて良かった。
これ読んでる五分の間に2回もトイレ行きました…。
痛いよ~(T▽T)↑メール欄読んじゃって♪

161 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月06日(土)02時54分58秒
いろんな場面想像してヒヤヒヤしてましたけど、ここは吉に気付かせる場面だったのですね。
明日は晴れるといいなっ!(だからって今夜に期待しないわけが無い・・・)
162 名前:夜叉 投稿日:2002年04月06日(土)19時48分07秒
一歩前進と言うことで。>吉。
喜ばしい限りなのですが、…そうですか…、覚悟しておきますよ(爆)。
石川さんの答えも気になりますね、まぢで。
163 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月07日(日)08時46分17秒

「あ、明日晴れるみたいですよ」

TVを観ていると、天気予報が流れていて、
希望通り晴れのマークが表示されていて、降水確率もだいぶ低かった。
「本当ですか?」
「はい。しっかりとこの目で見ましたもん」
ぱたぱたと小走りでやってきた石川さんに、
あたしは目を大きくして言った。
「ふふっ、そんなに大きくしなくても信じますよ~」
「だって、少し疑ってたじゃないですか~」
「だけど、よかったですね。私、今日雨が降ったから、明日も降りそうだなって
 思ってたので」
「そうですね~。せっかくの遊ぶチャンスを、雨でムダにしたくなかったですから」

今日1日、明日のために生きてきたようなもので、
めちゃくちゃ楽しみにしてる。
でも・・・、あたし以上に楽しみにしてるのは、きっと石川さんじゃないかな?
だって、あたしが明日の事を石川さんに提案した時、
声には出さなかったけどすごく喜んでたし。
よ~し、石川さんの為にも、明日はよしこ張り切っちゃうぞ~!

「あの・・・、吉澤さん、私、片付けが残っているんですよ」
「あ、わかりました。じゃあ、先にベッドに入ってますね」
そう言うと、あたしは自分の部屋、石川さんはキッチンへと向かった。
164 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月07日(日)08時55分47秒
・・・そう、あたしと石川さんは、残りの期間、一緒に寝る事にした。
今日の朝、思い切って石川さんに言ってみたら、快くOKしてくれて。
理由は・・・、寒いっていうのもあったし、寂しかったし。
石川さんの側にいたかったから・・・。

あたしは自分の部屋へ戻ると、すぐにベッドに入った。
だけど、石川さんが来るまで眠らないことにした。
石川さんを待つ間、明日の日程の復習をした。
まぁ、日程と言っても、たいしたものじゃないんだけど・・・。
今日、会社で明日の日程を一生懸命考えていると、
保田さんがやってきて、あやうく見つかるところだった。
市井さんが助けてくれなきゃ、説教されてたかも・・・。
市井さん、感謝します。

そうこうしているうちに、片づけを終えたのか石川さんが部屋に入ってきた。
「・・・早かったですね、片付けるの」
あたしは、少し上体を起こして、石川さんに言った。
「あ・・・、起こしちゃいました・・・?」
「いや、もともと起きてましたから」
「そうですか。なら良かった」
石川さんは安心したような笑顔を見せると、ベッドに入ってきた。
165 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月07日(日)09時05分22秒
「ちょっと失礼しますね」
「あたし・・・、もっと奥に行きます?」
「いえ、大丈夫ですよ」
石川さんが完全にベッドに入ると、あたしは枕元のスタンドライトを消した。


「明日、楽しみですね」
「そうですね~。私、遊園地なんて久しぶりなんですごく楽しみです」
「あたしも何年かぶりですよ。小さい頃に行ったきり」
「多分・・・、私も吉澤さんと同じ位行ってないかもしれませんね」
へぇ・・・、ちょっと意外かも。
あたし的に、石川さんって遊園地大好きで、2ヶ月に1回は行ってそうなイメージがあったから・・・。

「吉澤さんは、遊園地の乗り物では何が好きですか?」
「乗り物ですか?う~ん・・・」
別になんでも好きだけど・・・、やっぱり、
「ジェットコースター系ですかね」
これっきゃないでしょ。
あの疾走感が最高!
「そうなんですか?私、少し苦手なんですよ・・・」
石川さんは少し弱々しい声で言った。
「え~、おもしろいじゃないですか~!」
「だって、恐いじゃないですかぁ・・・」
確かに・・・、有名なヤツだと恐いものもあるけど・・・。
「大丈夫ですよ!明日は一緒に乗りましょうね!」
あたしは弱気な石川さんを励ますようにして言った。

166 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月07日(日)09時16分13秒
だって・・・、ジェットコースターに1人で乗るなんて
めっちゃ寂しいじゃんか・・・。
「そう・・・ですね。頑張ってみます」
石川さんは少し元気を取り戻したような声で言った。
・・・よし、これで寂しい思いはしなくていいな。

「・・・じゃあ、石川さんの好きな乗り物ってなんですか?」
あたしは顔を石川さんに向けて尋ねた。
「う~ん・・・、そうですね~。メリーゴーラウンドとか好きですね」
嬉しそうに話す石川さんの姿に、あたしは思わず笑ってしまった。
「どっ、どうして笑うんですか~!」
「いや・・・、あたしの予想がバッチリ当たってたんで・・・」

石川さんって、少しメルヘンチックな雰囲気・・・っていうか、
多分、その雰囲気は特徴的な声から来てると思うんだけど、
コーヒーカップとか、メリーゴーラウンドとかそこらへんかな~って思ってたら、
ズバリ的中した。

「でも、いいじゃないですか~。今すぐにでも王子様が迎えにきてくれそうで」
「王子様・・・ですか?」
「はい。白馬に乗った王子様」
そう話す石川さんの表情は夢見る少女のようで。
だけど・・・、今時『白馬に乗った王子様』って・・・。
む~・・・、ちょっと悩みものだな~・・・。
167 名前:Only 10 Days ―5日目― 投稿日:2002年04月07日(日)09時23分42秒

「・・・あのですね、吉澤さん・・・」
「はい?」
遊園地話も終わり、少し静まっていた時に石川さんが口を開いた。
「私・・・、本当に嬉しいんですよ、明日のこと。今までお手伝いさんをしてきて、
 1番嬉しい出来事かもしれません」
石川さんの声は、さっきまでの声とは裏腹に、改まったような声だった。
そんな石川さんの声に、あたしは自然と石川さんを見つめた。
「だけど・・・、まだ遊んでないですよ・・・?」
「誘ってくれたこと自体が、嬉しいんです。本当にありがとうございます」
石川さんはあたしの方を見ると、ちょこんと頭を下げた。
「そんな・・・、とんでもないですよ・・・。あたしはただ、石川さんにお礼がしたくて・・・」
それと・・・、石川さんとの思い出を作りたくて。

「・・・さて、明日に備えて、寝ましょうか」
「そうですね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
あたしと石川さんは、明日への期待を胸に、ゆっくりと目を閉じた。
168 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月07日(日)09時32分46秒
5日目、終了です。次はいよいよ遊園地です!

>名無し73さん
そうですね、吉澤さん、今度は石川さんに言えるといいですね。
遊園地シーンは・・・、ちょっとお決まり・・・かな?(w

>ぷーさん
おなかの方は大丈夫ですか?
牛乳の賞味期限切れは恐いですよね~・・・。
あややは狙ってますから。名づけて「吉ハンター」(w

>M.ANZAIさん
そうなんです、気づかせる場面だったんですよ。
でも、あややはこれだけじゃ終わりませんから。
7・8日目あたりに注目して下さい。

>夜叉さん
あややの攻撃にも、吉澤さんがもっと自信をつければ大丈夫かと。
(0^~^0)<向かう所敵無し!
になればいいんですけどね~・・・。(ニガワラ
169 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月07日(日)09時58分48秒
遊園地って電車で行くでしょ、一緒の車両に乗ってる見ず知らずの人達の筈なのに
もうあといくつ左記だって辺りからみんなでワクワクした気分になるんですよね。
楽しいですよね~。
170 名前:名無し73 投稿日:2002年04月07日(日)13時01分57秒
これからずっと一緒に寝るんですか?
いいですね~(w
石川さんのメリーゴーランドは私も予想が当たりました(w
遊園地でどれだけ二人の距離が近づくのが楽しみです!
171 名前:理科。 投稿日:2002年04月07日(日)15時44分30秒
楽しみです♪遊園地編。
梨華ちゃん、絶叫系乗るとどうなるんでしょうか。
あと4日間ですか?一緒に居られるのって…。
よっすぃ~…(ボソ。
172 名前:とみこ 投稿日:2002年04月07日(日)16時47分34秒
先が読めなくてすごく楽しいです。
173 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月07日(日)21時55分44秒
初レスです。
自分も社会人ですが、ここのお話を読んでると、(^▽^)を一日でいいから派遣してくれ~と
願ってやみません。(0^~^0)の会社に転職したひ(w

174 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月07日(日)22時00分41秒
一緒に寝ててよく我慢できるもんだ。と思っているのは私だけでしょうか?(笑
メーリーゴーランドと、梨華ちゃんはまりすぎ!
楽しみです。6日目。がんがってください。
175 名前:ぷー 投稿日:2002年04月08日(月)01時04分39秒
心配してもらってすいません。治りました(w
あやゃは確信犯なんですか?!なんてこったい!
それじゃあ明日の遊園地を楽しむっきゃない!
そんでできれば吉、りかちゃんに告(略
176 名前:夜叉 投稿日:2002年04月08日(月)17時23分57秒
そりゃ、遊園地も向かうとこ敵なしで行ってもらいたいですね(笑)。
二人の距離が縮むこと、間違い無しですわ。 ←勝手に脳内変換(爆)。
177 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月10日(水)12時39分03秒
続き期待!!
おもろいっす!
178 名前:とみこ 投稿日:2002年04月11日(木)17時30分03秒
遊園地シーンお待ちしてます。
179 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)19時11分30秒


「おっ、結構すいてる!」


あたしと石川さんは、ある遊園地の入り口に立って、中の様子を窺っていた。
人はわりと少なくて、思いっきり遊ぶのに都合がいい。
まぁ、今日は平日だし、すいてて当然かな?
「天気予報、当たってよかったですね~!」
隣に立っている石川さんが、空を見上げて言った。
「そうですね、遊園地日和って感じです!」
あたしもそう言って、空を見上げてみる。
空には、元気よく輝く太陽と、ゆっくり動く白い雲。
さすがに入道雲は無いけれど、初夏みたいにさわやかな天気だ。

「吉澤さん、早く行きましょうよ!」
「石川さん、そんなに急がなくても大丈夫ですよ~!
 遊園地は逃げていかないですから~!」
石川さんは、何かをねだるような表情をしていて。
くぅっ・・・、今日は一段とかわいいよぉ!

180 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)19時35分36秒
そんな石川さんの服装は、白いノースリーブにピンクのロングスカート。
上に薄い上着を羽織っていて、少し髪をアップにしている。
大人の女性っていうより、清楚な女子高生って感じ。
対するあたしは、ロングのTシャツに、色違いのTシャツを重ね着。
下はやっぱりジーンズで決めて、髪は少しワックスで整えただけ。
そして、ちょっとしたチェーンをジーンズに装着。
まぁ、簡単に言えば普段の服装と同じ。
もうちょっとオシャレした方がいいと自分でも思うんだけど、
またTシャツとかパーカーとか買っちゃいそうだし。
今度、石川さんに教えてもらおうかな?

「吉澤さん、早く~!」
気が付くと、石川さんは先に行っていて。
「ま、待ってくださいよ~!」
あたしは急いで、石川さんの後を追った。


あたしは、2人分のパスポートを購入すると石川さんに渡した。
石川さんはすごく申し訳なさそうな顔をしていたけど、
あたしはこの日のために、節約してたんだから!
今日はなんでも、あたしに頼ってOK牧場!
それに、石川さんにお礼がしたいから、
これぐらい、当然のこと!

181 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)19時41分24秒
「さて・・・、何に乗ります?」
「そうですね~・・・。あ、吉澤さん、ちょっと待っててくれますか?」
あたしが遊園地のマップを広げていると、
石川さんは思い出したように言った。
「すぐ戻ってきます!」
「はい、じゃあ待ってますね」
あたしが答えると、石川さんはどこかに走って行った。
なんだろう?なんか嬉しそうな顔してたけど・・・。
・・・気になる~。


しばらくすると、石川さんが走って戻ってきた。
「待ち・・・ました?」
「いや、全然OKですよ。・・・息切れてるみたいですけど、
 少し休んでから行きますか?」
「いえ、大丈夫です!」
石川さんは笑顔を見せると、あたしが広げていたマップを覗き込んだ。
「まず・・・、どこに行きます?」
「石川さんが好きな乗り物でいいですよ」
「いいんですか?・・・じゃあ、メリーゴーラウンドがいいです!」
石川さんは、メリーゴーラウンドの位置を指差し、笑顔で言った。
「ははっ、早速ですね!よし、行きましょう!」
あたしはマップをポケットに突っ込んだ。
182 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)19時47分40秒

少し歩くと、前方にメリーゴーラウンドが見えてきた。
「あ、あれですよ!」
メリーゴーラウンドの周りには、コーヒーカップとかいろんな乗り物があったけど、
1番人がいたのは、メリーゴーラウンドだった。
やっぱり・・・、人気があるものなのかな?メリーゴーラウンドって。
ほとんどの遊園地にあるもんな。
遊園地の定番、と言ってもおかしくない。

「じゃ、石川さん行ってきて下さいね」
「えっ?吉澤さんは乗らないんですか?」
石川さんは不思議そうな顔であたしを見た。
いや・・・、だって、あたしメリーゴーラウンドってガラじゃないし・・・。
20歳過ぎて、コレに乗るのには少し抵抗があるっていうか・・・。

「乗りましょうよ~」
石川さんは子供のようにねだって言った。
そ、そんな顔されたら、あたし・・・。
「・・・わかりました」

あたしは観念して、メリーゴーラウンドに乗ることにした。
183 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)19時56分49秒
パスポートを係員に見せると、早速メリーゴーラウンドに乗り込んだ。
・・・係員が不思議そうな顔をしていたのは気にしない!
このメリーゴーラウンドは2階建てで、
2階の方がいい景色が見れるだろうと思って、
あたしと石川さんは、2階のほうに乗ることにした。

うっわ~、ホントヒサブリだな、メリーゴーラウンドなんて。
友達と乗って、それっきり乗ってないもんな。
さて、どれに乗ろっかな~。
上下に動く椅子も笑えていいけど、
やっぱり乗るなら馬でしょ!
あたしは白馬にまたがると、石川さんを見た。
すると、石川さんは馬車の中に座っていた。
「石川さん、馬車にするんですか?」
「はい。私、メリーゴーラウンドは馬車って決めてるんです」
石川さんは笑顔で、あたしの質問に答えた。

でも・・・、馬車ってあんまり動かないよね・・・?
意味も無く、脇に置いてあるベンチぐらい。
つまんなく・・・、ないのかな?
あたしは小さい時でも、無理して馬に乗ってたけどな~。
ま、人それぞれだしね。
あたしが前を向くと、メリーゴーラウンドが動き出した。
184 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時08分43秒
うぅ・・・、まだちょっと抵抗あるかも・・・。
あたしは白馬に、後ろ向きに乗りながら思った。
子供とかいたらまだわかるけど、
大人が2人でメリーゴーラウンドってのはな~。
でも、石川さんが楽しそうだからいっか!
馬車に乗っている石川さんはすごく嬉しそうで。
本当のお姫様みたいに見えた。
「何笑ってるんですか~?」
「いや、なんでもないですよ~!」
石川さんに言われて、あたしはあわててごまかした。
あたしってば、また笑ってたのかな~?
気をつけないと、怪しい人って思われちゃうな~・・・。
しばらくすると、メリーゴーラウンドはゆっくりと止まった。


「次は何に乗りますか?」
あたしと石川さんは、近くにあったベンチに腰を降ろしてマップを広げていた。
「あたし、ここの遊園地初めてだからよくわからないんですよ」
「えっ、そうなんですか?吉澤さん、メリーゴーラウンドまでの道を
 間違えないで進むから、てっきり何度か来たことあるんだろうなって
 思っちゃいましたよ」
「それは・・・、マップがあったから行けたんですよ~」
あたしはそう言って、広げていたマップを指ではじいた。
185 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時14分10秒
「でも、すごいじゃないですか。私なんてマップがあっても間違えちゃいますよ」
石川さんは苦笑しながら言った。
ははっ、石川さんらしいや。

「ところで、次は何に乗りますか?」
「さっきは私が決めたから・・・、次は吉澤さんが決めてください」
「じゃあ・・・、どうしよっかな~」
あたしはマップとにらめっこしながら悩んだ。
コレもいいし、アレもおもしろそうだし・・・。
あ、観覧車は最後に取っておいて・・・。
・・・よし、コレにしよう!
あたしは悩んだあげく、マップのはじっこの方を指差した。
そこには、『ジェットコースター』の文字が。
それに気づいた石川さんの表情が、少し険しくなった。

「ジェットコースター・・・、ですか?」
「はい!石川さん、乗るって約束しましたよね?」
昨日の夜、確かに『頑張る』って言ったハズ。
186 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時21分24秒
「でも・・・、恐いですよ・・・」
「大丈夫ですって!あたしがいますから!」
あたしは石川さんを励ますように言った。
ぜひとも、石川さんにはジェットコースターのおもしろさを知って欲しいし、
・・・1人で乗るの嫌だし。

「・・・じゃあ、1回だけ、ですよ?」
石川さんは怯えているような顔をして言った。
「よし!じゃあ行きましょう!」
あたしは張り切って、ジェットコースターまで歩き出した。


「うわ~、結構大きい!」
なかなか足が進まない石川さんの歩調に合わせてゆっくり歩いているうちに、
ジェットコースターのりばまで着いた。
そのジェットコースターは予想していたものよりも大きくて、
だいぶ高い所から降下するみたいだった。
これは・・・、あたしでもちょっと恐いかも。
石川さんはというと、目を大きく開いて、その場に立ち尽くしていた。
「石川さ~ん、大丈夫ですか~?」
「・・・あっ、はい!大丈夫です!」
その時、今乗っている人たちの悲鳴が聞こえてきて、
石川さんの身体がビクッとなった。
・・・本当に大丈夫かな・・・。
187 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時31分29秒
「じゃあ、乗りましょうか」
あたしと石川さんは、係員にパスポートを見せると、
1番前に座らせられた。
おっ、1番前!?
あたし、1番前に乗ったのなんて初めてだよ~!
あたしはわくわくしながら、シートベルトなどを装着した。
「吉澤さん・・・、コレ、突然外れたりしませんよね・・・?」
隣で石川さんが、ベルトを指差して心配そうに言った。
「大丈夫ですって!外れたりなんてしませんよ!」
「でも、万一外れたりしたら・・・」
「大丈夫ですってば」
石川さんは本当に怯えているような表情で。
こんなに恐かったんなら、止めさせた方が良かったかな・・・。
・・・とは言っても、今更後には戻れない。

「では、出発しまーす」
出発のベルと共に、車体がガクッと揺れて動き出した。

頂上までは、まだだいぶある。
ダ、ダ、ダとジェットコースター特有の音を鳴らし、着実に上へと上っていく。
ひゅー、ここの緊張感がいいんだよね!

「・・・」

石川さんは何も言わず、あたしにぴたっとぴたっとくっついている。
ははっ、くっついてくれてるのは嬉しいんだけど、
あたしもちょっぴり恐いかな~、な~んて・・・。
188 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時37分52秒


「うわぁあぁああぁぁっ!」
「きゃあぁぁぁああぁっ!」


いつのまに頂上へと着いていたのか、
突然車体がガクンと下がり、
新幹線に負けないくらいの超特急で下に急降下した。
石川さんはさらにくっついて、すごく悲鳴を上げている。
後ろからもたくさんの悲鳴が聞こえてくる。
あたしの耳元では風がヒュンヒュン鳴り、
周りの景色が全く分からないほど速い。
急に右に曲がったり、左に曲がったり、また急降下していると、
あっというまにスタート地点へと戻ってきた。

うっわ~・・・、すっげ~・・・、かっけー!!
今までのジェットコースターよりすごくおもしろい!
最高っすよ!やみつきになりそうだー!
189 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年04月13日(土)20時47分01秒
さて、石川さんはというと・・・。
目を閉じて、がっちりとあたしに抱きついていた。
「石川さん・・・、終わりましたよ~」
あたしが静かに言うと、石川さんは目を開けて、あわててあたしから離れた。
「すっ、すみません・・・」
「全然いいですよ~。さ、早く降りましょう」
あたしは平静を装っていたけど、
正直、心臓がドッキドキしっぱなしだった。
だって・・・、当たってたんだもん・・・、あたしの身体に。
言わなくてもわかるっしょ・・・?
一緒に寝てる時もそうだったかもしれないけど、
今回はなんかすごく意識しちゃって・・・。
・・・ヤバかった。

あたしと石川さんは、ちゃっちゃとベルトなどを外すと、車体から降りた。
のりばから出ると、近くにあったベンチに腰を降ろした。
「どうでした?ジェットコースターは」
「・・・すごく速くて、恐かったですけど、楽しかったです」
石川さんは微笑みながら言った。
良かった。楽しんでもらえたみたい。
・・・あたしは必要以上に、ドキドキしてたけど。
190 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月13日(土)20時58分10秒
6日目に突入です。やっと遊園地シーンです。
ちょっと今バタバタしてて、思うように更新できません。
多分・・・、週末に更新するようになるかもしれません。
ちなみに、石川さんの服装は、ハミルトンの服装を参考に。
吉澤さんの服装は、思いっきり私の普段着です。(w

>M.ANZAIさん
TDLとかそうですよね。
私も最近、姉と行ったんですけど、みんな嬉しそうに降りますからね。
私もそのうちの1人だったりします。(w

>名無し73さん
遊園地では、もっと距離を縮めるつもりでいます。
萌えどころは大きく分ければ2つ・・・かな?
これからあの2人が出るので、それも合わせれば3つですね。

>理科。さん
石川さん、絶叫系に乗ると抱きついちゃうみたいです。(w
ジュラシックパークの映像を参考にしていただければ。
あと4日・・・、その間で吉澤さん、すごくかっこいいことをしてくれます。(w

>とみこさん
期待に答えられるか心配です。(ニガワラ
お待たせしてすみませんでした!
191 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月13日(土)21時11分25秒
>ごまべーぐるさん
こちらこそ初めましてです。
(0^~^0)b<いつでもおいでYO!
( ´ Д `)<けいちゃんが場所どくってさ~Zzz・・・。
∑(`.∀´)<なんですって!?

>よすこ大好き読者。さん
ホントそうですよね~。(w
でも吉澤さん、まだ自分の気持ちに確信が持てないんで。
だけど、そのうち自信が持てる出来事があると思います。

>ぷーさん
治りましたか。それは良かったです。
告白ですか。それもいいですね。(w
あややの攻撃は、吉澤さんさえ自信を持ってくれれば・・・。

>夜叉さん
次の更新で、あの2人が登場します。
だけど、妨害するんじゃなくて、きっといい方向にへと・・・。

>177さん
おもしろいと言って頂けると、本当に励みになります!
よろしければ、最後までお付き合い下さい!
192 名前:REDRUM 投稿日:2002年04月13日(土)21時44分23秒
ほんのり甘いです。ヌルイデス。素敵です。
なんだか中学生のカップルのような初々しさがたまりません。
(0^~^0)のカッケー姿に期待してます。
193 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月13日(土)21時51分38秒
波瀾までの甘いヒトトキって奴ですね
甘くてイイ!!平家&中澤の活躍に期待!
194 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月14日(日)01時12分01秒
わ~い“OK牧場”~♪
大人になっても遊園地が楽しめるってステキですよねぇ~。
195 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月14日(日)03時57分29秒
HEY×3のUSJスペシャルで、いしかーは思っきし隣のヨシコにしがみついてましたな(w
いや、何か爽やかでいいっす。
二人の距離がこれで縮まれば・・・。
196 名前:とたす 投稿日:2002年04月14日(日)09時23分53秒
はじめまして。
楽しく読ませてもらってます。
こんな二人ほんとにあったらいいなーと。
これでよっすぃーがもっと勇気を出してくれたら、もう。。。

更新待ってます(w
197 名前:とたす 投稿日:2002年04月14日(日)12時22分35秒
ごめんなさい。
sageが入って無かったです。
すみませんでした。
198 名前:とみこ 投稿日:2002年04月14日(日)12時39分53秒
ヨッスィの格好を思い浮かべるとちょっとニヤリ(w
かっこいいっすね、よしこは。
199 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月14日(日)12時54分27秒
吉び必死にひっつく石に萌え!(w
なんかいい感じに二人の距離が近くなってきましたね
これからの展開に期待!
200 名前:ぷー 投稿日:2002年04月17日(水)15時09分57秒
こういう初々しい感じの2人もいいですね!
なんか徐々に仲良くなっていくっていうのが。
けどもう6日目デスカ…。早いっすね。
やっぱ10日経ったら終わるんですか?
201 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月02日(木)02時41分09秒
作者さん応答願います!
もうそろそろ続きを・・・。
202 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月02日(木)16時55分26秒
続きが読めるなら!!
マターリ×2まってますよ~ん。
203 名前:池孫四葉 投稿日:2002年05月03日(金)18時15分56秒
えー・・・、本当にすいません!
なかなか筆が進まず、それに加えて身の回りも落ち着かず、
全く更新できませんでした。
本当に申し訳ありません。
ただ、絶対に放棄はしません!それだけは絶対にありません。
更新は遅くなってしまいますが、最後まで完結させます。
たとえみなさんに忘れ去られても、です。

次回の更新の予定はまだ定まっていませんが、
近いうちにしようと思っています。
その時に、みなさんからの暖かいレスの返事をさせていただきます。

こんな作者ですが、最後までお付き合い下さるととても嬉しいです!
みなさんの期待に答えられるよう、頑張ります!
204 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月04日(土)18時32分39秒
更新いつまでも待ってますんで、
がんばってください!!
205 名前:ぷー 投稿日:2002年05月06日(月)01時22分40秒
放棄じゃなくて良かった。
そうと分かれば寝て舞ってますよ!
ゆっくり考えておくんなまし!
206 名前:ぷー 投稿日:2002年05月06日(月)01時24分57秒
↑すいません…。逝ってきます…。
207 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時06分20秒


「「・・・ひっく、ひっく・・・」」


あたしと石川さんがベンチに座っていると、
突然、後ろからすすり泣く声が聞こえてきた。
ビックリして後ろの垣根の裏を見てみると、
そこにはおだんご頭の女の子が2人、うずくまって泣いていた。
なんだろう・・・。迷子かな?
どうしよう・・・、どうしよう・・・。

「どうしたの?お母さんたちとはぐれちゃったの?」
あたしがオロオロしていると、石川さんが2人に優しく話し掛けた。
すると2人は、おそるおそる顔を上げた。
だいぶ泣いていたのか、目が真っ赤になっている。
真っ赤というか・・・、はれちゃってるみたいな感じ。
「おねえちゃん・・・、わるいひとじゃない?」
「わるいひとやない?」
そう言う2人は怯えているような表情をしていて。
「大丈夫。まず、こっちにおいで」
そんな2人を安心させるように、石川さんは優しく声を掛けた。
208 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時07分15秒
石川さんの言葉と表情で、半分安心した2人は、
あたしたちの方に移動してきて、石川さんの質問に答えていた。
どうやらこの2人は双子で、
関西弁で話す方があいぼん、舌ったらずに話すのがののと言うらしい。
今日は両親と4人で来たらしいんだけど、
ののが売店の前に居座ったり、
あいぼんがトイレの鏡の前にずっといたりしているうちに、
いつのまにかはぐれてしまったらしい。
いわゆる、迷子ってわけ。

「吉澤さん・・・、どうします?親御さんを探すにも、顔がわからないし・・・」
「そうですよね・・・」
あの子達の親を探したい。
早く安心させてあげたいって思ってるんだけど、
親御さんの顔はわからないし、
あの2人に親の顔を聞いても、すぐわかるほどあたしは想像力が豊かじゃない。
・・・そうだ!
209 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時09分43秒
「石川さん、迷子センターに連れて行けばいいんじゃないですか?」
「迷子センターですか?」
「はい」
やっぱり、こういうことはプロに任せた方がいい。
それに、親御さんだってこの2人を探してるだろうから、
迷子センターの前にいるかもしれない。
この場所にずっといるよりも、迷子センターに行った方が
見つかる確率は高い。
「いくらなんでも、この2人を放っておくことなんてできませんから」
「・・・そうですよね、じゃあ、行きましょう!」
石川さんはマップで迷子センターの位置を確認すると、
並んで座っていた双子の方をしゃがんで見た。

「いい?これからお姉ちゃんたちがののちゃんとあいぼんちゃんのお母さんとお父さんを見つけてあげるから、
しっかり付いてくるんだよ?」
石川さんはできるだけゆっくりしゃべっていた。
2人が理解しやすいようにと、石川さんなりの配慮なんだろう。
「おとうさんとおかあさん、みつけてくれるんれすか?」
「うん、そうだよ」
「ほんまに?ほんまにみつけてくれるんか?」
「うん、絶対に見つけてあげる」
210 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時11分03秒
石川さんがそう答えると、さっきまでどこか暗い表情だった2人は、
ぱあっと明るい笑顔を見せた。
「よっしゃ、いくで、のの!」
「れす!」
ほぼ同時にベンチから降りた2人は、あたしと石川さんを置いて一目散に走り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ~!」
きゅ、急に走り出すなよ~!
あたしと石川さんは、嬉しそうに走り出した2人の後を追った。


それから4人無事に揃って、迷子センターまでの道を歩いた。
はぁ・・・、結構遠いな~・・・。
ジェットコースターの位置と全く反対の場所にあるからな~。
双子ちゃんは、あたしと石川さんの間で、手をつないで歩いている。
あたしと石川さんにすっかり慣れたようで、嬉しそうな顔をしている。
・・・しっかし、よく似てるよなぁ。
身長も同じくらいだし、髪型も一緒だし・・・。
声のトーン、しゃべり出すタイミングもほぼ合ってる。
ここまで似てる双子ちゃんって、そうはいないよな~。
211 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時11分55秒
「2人のお母さんとお父さんってどんな人?」
石川さんが、隣で歩いているののに話し掛けた。
「おとうさんは~、せがたかくて、やさしくて、ちからもちなのれす。
 そこのおにいちゃんにそっくりなのれす!」
ののは笑顔で答えながら、あたしを指差した。
「へっ?あたし?」
「そうれす。こえもにてるのれす!」
へぇ~、2人のお父さんにあたしがねぇ・・・。
・・・ってか、『おにいちゃん』って。お父さんに似てるって。
・・・いいけどさ。

「じゃあ、お母さんはどんな人?」
今度はあたしがあいぼんに聞いた。
「おかんはな、りょうりがじょうずで、やさしくて、おしゃれやねん。
 そこのおねえちゃんにそっくりや!」
次はあいぼんが石川さんを指差した。
「私に似てるの?」
「うん、そうや。だってはじめてみたとき、おとんとおかんがみつかったんやないかって
 おもったもん。な、のの」
「そうれす。びっくりしたのれす」
へぇ、不思議なこともあるもんだね~。
でも、親御さんに似てるってことは、あたしと石川さんが、夫婦に見えたってことでしょ・・・?
・・・なんかすごい照れるんですけど・・・。
212 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時12分55秒
「いつも2人は、何をして遊んでいるの?」
再び石川さんが2人に話し掛けた。
「そうやなぁ・・・、ちかくにすんでるりさちゃんとか、あさみちゃんとか、
まことちゃんとかといっしょにおにごっことか、おままごととかしてるで」
お~、結構近所に友達がいるんだ。
あたしも小さい頃、近所の幼なじみとか1つ上の人とかと、
毎日外を走り回ってたっけ。

「それと、おとうさんはよくかたぐるまとか、ぐるぐるをしてくれるのれす」
「ぐるぐる?どういう遊び?」
「ん~、あしをつかんで、ぐるぐるまわしてもらうんれす」
あ~、いわゆるジャイアントスイングね。
これも親にしてもらったなぁ。
「ののはかたぐるまがだいすきやねんもんな。うちはあんまりしてもらわんのやけど」
「そうれす!おとうさんのかたぐるまはすごいのれす!」
2人は顔を見合わせて嬉しそうに言った。
そっか~、肩車か~。
・・・よし、やってやろうじゃん!
213 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時13分57秒
「のの、あたしが肩車してあげよっか?」
あたしはののに、言うとその場にしゃがんで態勢をを整えた。
「え・・・、いいれすよ、ののおもいれすよ」
「大丈夫だって!肩車好きなんでしょ?」
「・・・いいんれすか?」
申し訳なさそうにしているののに、あたしはにこっと笑った。
だって、会社の集まりとかで先輩が子供さんを連れてくるから、よく肩車するし。
もうかなり慣れたもんだよ。
「じゃあ、おことばにあまえるのれす!」
ののは嬉しそうに返事をすると、あたしの後ろに回りこんで、お馴染みのスタイルであたしの肩に乗った。

とその時、あたしの身体にののの全体重がかかった。
こ、こんなにこの年代って・・・、重かったっけ・・・?
・・・いやっ、大丈夫!!
あたしは気合を入れ直すと、ののの足を掴んだ。
214 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年05月06日(月)11時14分33秒
「しっかりつかまってるんだよ?」
「れす!」
あたしは一呼吸置くと、一気に立ち上がった。

「おぉ!すごいのれす!たかいのれすー!」
あたしはちょっとフラついたけど、なんとか耐えた。
「おー、すごい!おとんもさいきんつらいからってやらんのに」
「吉澤さん、すごいです!」
石川さんとあいぼんは、あたしを尊敬のまなざしで見ていた。
誉められるのは嬉しいんだけど・・・。
・・・ちょっとキツイ・・・かも。
215 名前:池孫四葉 投稿日:2002年05月06日(月)11時25分53秒
遊園地シーン、あの2人が登場です。
親御さんは、次回登場の予定です。(w

>REDRUMさん
初めまして、池孫四葉と申します。
ほんわ~としたいしよしを目指しています。(w
私はコースター好きですよ。
コースターに乗ると、叫ぶんじゃなくて、笑ってしまう方です。(w

>193さん
甘いですか?ありがとうございます!
社長コンビはラストあたり、かなり重要になってくるので、
この2人も注目してて下さい!

>M.ANZAIさん
大人になっても遊園地を楽しむ、あんまりないかもしれませんよね。
ここのいしよしは特殊?(w
でも、そういう心を持ってるっていうのは、いいですよね。

>ごまべーぐるさん
USJ、あの映像はもう殿堂入りです。(w
ってか、いしよしの画像は全部殿堂入りだったりしますが。(w
216 名前:池孫四葉 投稿日:2002年05月06日(月)11時38分41秒
>とたすさん
こちらこそ初めましてです。
なんかとたすさんとは気が合うような気がしてなりません。(w
ってか、いしよしヲタの方とは全員気が合うような気がしますが。(w

>とみこさん
(0^~^0)<かっけー!
吉澤さんがさらにかっこよくなってくれることを願ってます。(w

>199さん
今回の更新ではあまりいしよしシーン出してませんが、
次、その次ぐらいでたくさん。(w
でも、その後には波乱が待っているんですよね~。

>ぷーさん
何気に200GETおめでとうございます。(w
もう6日目ですか。あと4日。
10日経ったらですか。そこらへんは秘密です。(w
放棄はしませんので!ご心配おかけしました!
217 名前:池孫四葉 投稿日:2002年05月06日(月)11時45分06秒
>201さん
本当に申し訳ありませんでした!
これからもまた遅くなってしまいますが、お付き合い下されば嬉しいです!

>よすこ大好き読者。さん
必ず完結させますので!
それまで待っていてくれますでしょうか?

>204さん
ありがとうございます!
とても励みになります!
みなさんのためにも頑張ります!

それと、age、sageなんですが、
どちらでも構いません。
私も更新終了の時は、わざとageていますので。
age、sageに関わらず、レスが付いている事が嬉しいので。(w
218 名前:よしいし読者。 投稿日:2002年05月06日(月)12時56分01秒
おおぉ~~更新されてる!!
待ってましたよ~。。
良いっすねーこの2人、ほんわかしてて(W

作者様のペースで無理せずがんがってください。
219 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月06日(月)13時43分53秒
いつまでも、待ちますよ~

でも、吉、肩車は・・・次の日に筋肉痛になりそうです。
ま、尊敬のまなざしで見られて、満足だろう(笑

作者さんの、ペースでがんがってくださいね。
220 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年05月06日(月)16時09分08秒
更新、お疲れ様です。

幼い?双子ちゃんにとって、二十歳過ぎの大人の人ってなかなか打ち解けられないだろうに、
さすが石川さん、ですね。吉澤さんもなにげに若いパパみたいに振舞っているし。
ちょっとしたハプニング、でも楽しいエピソードになりそうですね。
続きも楽しみにしております。
221 名前:ぷー 投稿日:2002年05月07日(火)01時38分45秒
わーい!更新うれしいY♪作者さんいつもお疲れ様ですたい。
あら~200ゲットしてたの言われてから気づきました。
若い夫婦がこれだけ似合うのってやっぱこの二人しかいないですよね!
222 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月07日(火)19時56分19秒
更新されててうれしいです!
ののを持ち上げられるとは・・・さすがヨシ(w

(♯^▽^)<カッケー!!

>ののが売店の前に居座ったり、
 あいぼんがトイレの鏡の前にずっといたりしているうちに

迷子の理由に二人の個性の違いがよく現れてて感心しました(w

森から海板に引っ越しましたが、またよろしくお願いしますm(__)m


223 名前:とみこ 投稿日:2002年05月17日(金)16時16分55秒
のの重いのね・・・(鬱
ここのよっすぃーはカッコイイですね!!
224 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)03時53分57秒
待ってます
225 名前:ぷー 投稿日:2002年06月19日(水)00時29分02秒
自分も待っとりやす。
226 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)18時21分13秒


「あいぼん!のの!」


あたしが必死にののを肩車をしていると、
後ろから甲高い声で2人を呼ぶ声が聞こえた。
ゆっくりと振り返ってみると、全身ピンクに包まれた・・・石川さん?
・・・いや、石川さんはあたしと一緒にいる。
ってことは・・・、まさか・・・!

「あ!おかあさん!」
「おかあさんや!」
あいぼんは嬉しそうに叫ぶと、一目散にその女性のもとへと走り出した。
しかも、かなり猛ダッシュ。
「おにーちゃん、おろしてー!」
「あ、ゴメンね」
肩の上に乗っかっていたののがせかすように言うので、
あたしは素早くかつ安全にののを降ろした。
するとののも、ダッシュで女性のもとへと走っていった。
227 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)18時31分50秒
「2人の・・・、母親ですかね?」
「多分・・・、そうだと思いますけど・・・」
あたしと石川さんは、嬉しそうに抱き合っている3人を見ていた。
まぁ、母親でなければ、あんなに嬉しそうに走っていかないだろうし、
現に「お母さん」って呼んでたし。

「あの・・・、すみません」
するとそこに、その女性があたしたちのもとへやって来た。
「初めまして、亜衣と希美の母です。
 うちの娘を見つけてくださってありがとうございます」
深々と頭を下げながら、母親はお礼を言った。
「ずっと探していて、見つからなくて・・・。放送しても見つからなくて・・・。
 本当にどうしようかと思っていたところなんです」
よく見ると、目に涙が浮かんでいて、涙声になっている。
自分の子供だもん、そりゃあ必死で探すよな・・・。
「本当にありがとうございます」
母親は、また深々と頭を下げながら言った。
228 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)18時51分51秒
その時だった。

「のの!あいぼん!」

今度は男の人の声で2人を呼ぶ声がしたので、
そちらの方を見てみると、息を切らして走ってくるあたし・・・。
あたし!?

「あ、おとうさん!」
「おとーさん!!」
母親にがっちりと抱きついていた2人は、
今度は走ってきた男性にがっちりと抱きついた。
「おー!のの、あいぼん、探したんだぞー!」
嬉しいんだろう、男性の声は少し涙声だ。
「ホラ、よっすぃ~、このお2人があいぼんとののを見つけてくれたの」
母親がそう言うと、父親・・・はあたしたちの方を向いた。

「あ・・・、申し遅れました、吉澤と申します。
 僕の名前はひとむで、妻の名前は梨華美です」
へぇ・・・、吉澤さんって言うんだ・・・。あたしと同じ名字じゃん。
ってか、誰も名前とか聞いてないんだけど・・・。
「このたびは、うちの娘を見つけてくれて本当にありがとうございます」
するとまた、夫婦揃って頭を下げた。
229 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)19時02分00秒
「なんとお礼を言ったらいいのか・・・」
「お礼なんていいですよ。それより、見つかってよかったですよ」
「本当に。頑張った甲斐がありました」
2人の親御さんを探す途中、実はいろいろあった。
園内放送も試みたし、大声で叫びながら探しもした。
かなーり恥ずかしかったけど、
なんか2人を見ていたら、頑張るって気持ちが湧いてきて・・・。

「それに、お子さんと一緒にいて楽しかったです」
2人が話すこと、話すことがすごくおもしろくて、
ずーっと笑ってた。
なんか元気を分けられた感じがして、すごく楽しかった。
あたしにとってお礼は、2人の笑顔、それだけで十分。

「じゃあ、私達はこれで・・・」
230 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)19時11分21秒

「「もう行っちゃうの?」」

あたし達がもと来た道を戻ろうと、方向転換をした時に、
後ろから寂しそうな2人の声が聞こえてきた。
「おねえちゃん、もっとあそぼうよー」
「そうや、いろんなはなしきかせてーや、おにいちゃん」
2人はあたし達の方に走ってきてそう言った。
う・・・、あたし、こういうのに弱いんだよ・・・。

「ほら、おねえちゃんたち困ってるでしょう?ダメよ」
あたしが苦笑いしているのに気付いたのか、
母親が2人に優しく言った。
「だってぇ、のの、もっとあそびたいよぅ・・・」
「うちも、おねえちゃんたちとあそびたい」
そう言う2人の目には、うっすらと涙が浮かんでいて。
あたしは思わず泣きそうになった。
 
231 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年07月02日(火)19時22分20秒

「じゃあ、こうしよっか」

あたしは泣きそうになりながらも、とっさに考えた事を言った。
「今日はもう遊べないかもしれないけど、
 まだまだこれから遊べる日はたくさんあるから!
 その時は絶対にくるから、その日にたーくさん遊ぼう!」
あたしが笑顔でそう言うと、2人はさっきの寂しそうな顔がウソのように笑った。
「ほんと?うそじゃないよね?」
「おにいちゃん!ゆびきりや!」
「おねえちゃんも!」


「「「「ゆびきーりげんまん、うーそついたーらはりせーんぼんのーます、ゆびきった!!」」」」


「ほんとうだからね!」
「じゃあね!」
2人は両親の間に挟まって、あたし達の姿が見えなくなるまで手を振っていた。
「・・・いい子ですね」
「本当にそうですね」
あたしは固い約束を胸に、そしてある決意を胸に、
石川さんと歩き出した。
232 名前:池孫四葉 投稿日:2002年07月02日(火)19時34分59秒
迷子編、終わりです。
だけどまだ遊園地シーンは続きます。
次からいしよしシーンをわんさかと。

今まで1ヶ月以上更新してなくて本当に申し訳ありません!
かなり反省しています。
でも、忘れ去られていようが、必ず更新、そして完結させます!
この気持ちは絶対に変わりません!

>よしいし読者。さん
ほんわかですか、素直に嬉しいです。(w
逆に言えば、こういういしよししか書けないんですけどね。(ニガワラ

>よすこ大好き読者。さん
ホントマイペース過ぎですよね、申し訳ないです。
はい、学生ですよ。現役です。(w
進学校なんでかなり辛かったりしますが。(ニガワラ

>M.ANZAIさん
結局最後は吉澤さん、かなりいいパパっぽくなってますけど。(w
私の中での吉澤さんは、シャイだけど打ち解けたらガツーンと行きそうだな、と。
石川さんは将来、いいママになりそうですよねー。
233 名前:オガマー 投稿日:2002年07月02日(火)19時37分56秒
どうも!
初レスです!愉快な吉澤一家w
ヨシの決意…気になりますw
234 名前:池孫四葉 投稿日:2002年07月02日(火)19時43分28秒
>ぷーさん
ぷーさんにはいつも心配をおかけしてしまって・・・。
本当にすみません!そして、とても感謝しています。
そうですね、「夫婦=いしよし」この恒等式最高です!(w

>ごまべーぐるさん
海の方、拝見させて頂いてます。
とは言っても、あまり余裕が無くて読めないんですが・・・。(ニガワラ
そのうち、そちらの方にもちょこっとお邪魔します。(w
ごまべーぐるさん、更新頑張って下さい!

>とみこさん
吉澤さん、ちょっとカッコつけ過ぎかな?
なーんて書いてる途中、思ったりしてます。(w

>224さん
本当にご迷惑おかけしました・・・。
これからもよろしくお願いします!
235 名前:池孫四葉 投稿日:2002年07月02日(火)19時45分54秒
>オガマーさん
初めまして、池孫四葉と申します。
下の方から飛んできました。(w
吉澤さんの決意は・・・、自分で書いておきながら、
どれにしようか迷ってます。(w
これからもよろしくお願いします!
236 名前:ぷー 投稿日:2002年07月03日(水)01時36分04秒
わあ~い☆更新されてる~♪
やったー!今日はトイレ祭りだ!
わっせろーいわっせろーい!(嬉しさのあまりハイテンションです)
237 名前:夜叉 投稿日:2002年07月03日(水)17時54分42秒
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
お待ちしておりました、続きが気になって気になって…。
忙しそうですが、期待してますね。マターリお待ちしております。
238 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年07月03日(水)19時34分28秒
よかったですねー、吉澤一家と出会えて。
とても思い出深い遊園地での1日になりましたね。
さて、吉澤おにいさん?の決意が何やら気がかりですが、
次回を楽しみにしておきましょう~!
239 名前:とみこ 投稿日:2002年07月04日(木)16時38分58秒
更新だ~!!!!!
240 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月04日(木)21時11分02秒
更新、マジうれしいっす!楽しい吉澤一家かっけー!
 
( ´ⅴ`)ノ<ありがとうれす!作者しゃんもがんがってください!
241 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年07月06日(土)14時53分24秒
更新楽しみにしていました。
吉澤一家(・∀・) イイ!
次回も楽しみにしています。がんがってください。
242 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月28日(日)03時09分36秒
待ってます。またーりまたーり
243 名前:名無し 投稿日:2002年07月31日(水)08時37分36秒
まったり待ってまーす!
244 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月19日(月)20時08分26秒
まだかな~
待ってますよ~~
245 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月01日(日)01時00分06秒
マターリ
246 名前:よしよし 投稿日:2002年09月19日(木)19時59分11秒
まだですか?
速く読みたいです。
気になります。
247 名前:no name 投稿日:2002年09月23日(月)01時01分02秒
がんばってくださ~い。
248 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月02日(水)15時31分07秒
おーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

ここにも一人、待ってんのがいますよ!
249 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)18時38分30秒

「ぐるるるきゅ~」

幸せそうな4人家族と別れて、再び歩き出した途端、
情けないような、いかにも「お腹減ってます」みたいなお腹の音が、
あたしのお腹から、威勢良く聞こえてきた。
「わ、わわっ!わー!」
「? どうしたんですか?吉澤さん?」
お腹の音が聞こえないようにと、あたしは必死で大きな声を出したけど、
かえって逆効果。
ごまかすつもりが、周りの人に変な目で見られてしまった。
は、恥ずかしい・・・。

「吉澤さん、お腹すいたんですか?」
石川さんは少し微笑みながらあたしに言う。
やっぱりバレてたか・・・。
でも、後には引けないあたし。
変なプライドが、あたしにまだごまかせと指示する。
「や、そ、そんなことないですよ~。気のせいじゃないですか?」
「でも・・・、確かに聞こえましたよ?」
そりゃ、聞こえるよね。
あんなに大きい音が鳴ったら。
自分でもビックリするぐらいの大音量だったし。
時計を見ると、12時を過ぎてる。
もう昼ごはんの時間だ。
250 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)18時46分05秒
お腹減った。
でも、石川さんと一緒なのに、「おなかが鳴って昼ごはん」なんて、
かっこ悪い展開にはなりたくない。
だけどその時。


「ぐるるるるきゅ~~」


さっきよりも長い時間、そして大きな音で、
あたしのお腹の音が、鳴ってしまった。
あぁ・・・。あたしのお腹のばかやろう!

「やっぱりお腹減ってたんじゃないですか~」
「はは・・・、まぁ、そうです」
石川さんは笑顔で、あたしに問いかける。
あたしはあたしで、苦笑しながら答える。
よりによってあんな大音量で、石川さんに聞かれるとは・・・。
何気にショックだなぁ・・・。

「吉澤さん、ちょっと待ってて下さいね。荷物持ってきます」
あたしががっくりとうなだれていると、
笑顔で石川さんが言った。
そして石川さんは、ロッカールームの方へと走って行った。
251 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)18時53分15秒
荷物?なんだろう?
そういえば、遊園地に入園してすぐぐらいに、
ロッカールームに荷物入れてたっけ。
確かバスケットみたいなものだったけど・・・。
ちっとも思いつかないや。

「お待たせしました!」
あたしがバスケットの中身を考えていると、
石川さんがその問題のバスケットを片手に戻ってきた。
「石川さん、その中身はなんなんですか?」
「ふふ、秘密です♪」
石川さんは口に人差し指をあてて、
イタズラっぽく笑った。
そんな石川さんに、あたしは笑ってしまった。

「何笑ってるんですか~?」
「いや、なんでもないですよ?」
ごまかすあたしに、石川さんは甘い高い声で対抗する。
「吉澤さん、あっち行きましょう?いいところがあるんです」
石川さんは微笑むと、指差した方向へと歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ~!」
あたしも遅れて、歩き出した。
252 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)19時03分50秒

「おぉ!芝だ~!」

少し歩いて着いた所が芝の公園。
ここは遊園地の敷地内で、誰でも自由に使っていいんだそう。
奥にはフリスビーをして遊んでいる子供たちや、
おにぎりをほおばる子供を暖かく見守る親の姿も見える。
なんでここに来たんだろう・・・?
お腹減ってること、分かってるはずなのに・・・。
石川さんは周りをぐるっと見回すと、
「あそこにしましょう」と指を指し、てくてくと歩いて行った。
そしておもむろにバスケットからシートを取り出し、
丁寧に芝の上に敷いた。
・・・もしかして!

「吉澤さ~ん!お昼にしましょう?」

石川さんの元へと走り寄ると、
そこには石川さん特製のお弁当が。
ベーグルサンド、ゆで卵、卵焼き・・・、あたしの大好物ばっかり。
もちろんバランスも考えてある。
そしてなにより・・・、すごくおいしそう!


253 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)19時12分31秒
「これ・・・、食べていいんですか?」
「はい!そのために作ったんですから!」

あたしはもう耐えられなくなって、素早くスニーカーを脱ぐと、
1番最初に目についたベーグルサンドをほおばった。

う、うま~い!!

「石川さん!超うまいですよ!最高です!」
「ホントですか?良かった」
石川さんは笑顔で答えると、あたしと同じようにベーグルサンドをほおばった。
「うん、おいしい!」
「かなりおいしいですよ~!石川さん、早く食べないとあたし全部食べちゃいますよ~!」
もうホントおいしくて、全部食べるなんてレベルじゃないくらい!
もっともっと食べたい!
でも石川さんの分がなくなっちゃうから少しガマンした。
それでもあたしが食べた量は、石川さんよりかなり多かった。
石川さん・・・、ごめんなさい。

「いや~、食べた食べた。ホントおいしかったです!」
「そう言ってもらえると嬉しいです!」
石川さんは終始笑顔で、あたしもすごく笑顔で。
石川さんの料理の上手さは前から分かってたけど、
お弁当でも、すごくおいしかった。
254 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)19時23分22秒
あたしはお腹いっぱいになって、気持ちよくなって、
芝の上にごろんと寝転がった。
真っ青な空には、まぶしい太陽。
周りには緑がいっぱいあって、すごく癒される感じ。
最近仕事忙しかったからなぁ・・・。
たまにはこういう休みも、いいもんだな~。
そんなことを考えていると、少しウトウトしてきてしまった。

「吉澤さん?眠くなってきたんですか?」
「あ、いや・・・、そんなことないですよ」
昼ごはんの片付けを終えた石川さんが、あたしの顔を覗き込んで言った。
まぁ、確かに眠いけど・・・。
寝ちゃおうかな~・・・。

「私でよければ、膝枕しますよ?」

膝枕か・・・、いいなぁ。
なんかカップルみたいでいいね~。
・・・ってえぇっ!?ひ、膝枕?
驚いたあたしは、思わず飛び起きた。
「い、石川さん?」
「枕があった方が寝やすいかなって思って・・・」
まぁ、確かに、そうだけど・・・、
やっぱり、それは照れるよ・・・。
でも、してくれるなら、して欲しい。
・・・ええい!甘えちゃえ!
255 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月06日(日)19時30分44秒
「・・・じゃ、じゃあお願いします」
あたしは思い切って、石川さんにお願いした。
「じゃあ、・・・ど、どうぞ・・・」
すると石川さんは赤くなって、恐る恐る膝を出した。
や、やっぱり照れるよ・・・。
あたしも、どんどん赤くなっていくのがわかる。
でも思い切って、石川さんの膝に頭を乗せた。

「ど、どうですか・・・?」
「ち、ちょうどいいですよ・・・」

お互いすごくドキドキしてしまって緊張してたけど、
なんか膝枕ってすごく落ち着く。
石川さんの膝枕、気持ちいいなぁ・・・。
って、何考えてんだ、あたし!
オヤジみたいだ・・・。

そよ風が吹いて、周りの木の葉がさわさわと音を立てる。
すっごく気持ちいい。
あたしは石川さんの膝の上で、少し眠ってしまった。
・・・緊張して、ゆっくりは寝られなかったけど。
256 名前:池孫四葉 投稿日:2002年10月06日(日)19時46分53秒
大変お待たせしました、更新です。
忘れられている事を覚悟しています。
長い間、本当にすみませんでした!
でも、この小説を完結させる気持ちは変わりません!

>ぷーさん
お待たせしました!本当にすみません!
これからも読んでいただけると嬉しいです!

>夜叉さん
また長い時間更新をしていなくて本当に申し訳ないです!
これから、更新スピードをもっと速くできるように努力します!

>M.ANZAIさん
吉澤さんの決意はもっと後の方、もしくは6日目以内に明らかになります。
ちょっとまだ未定です。(ニガワラ

>とみこさん
とみこさんの更新スピード、とても見習いたいです!
もっと精進しないと!
257 名前:池孫四葉 投稿日:2002年10月06日(日)19時54分24秒
>ごまべーぐるさん
ごまべーぐるさんの作品、とても楽しみにしています!
ただ、長い間覗いていなかったので、今から読みます、すいません!

>よすこ大好き読者。さん
大変長らくお待たせしました、申し訳ありません!
これから先の展開は少し波乱を加えようと思っていますので、
読んでいただけたら幸いです!

>242さん、243さん、244さん、245さん、247さん
本当に申し訳ありませんでした!
これからは更新スピードを速くしたいと思っていますので、
よろしくお願いします!

>よしよしさん
これからの構成はほぼできているので、
とりあえず6日目が終われば、だいぶうまく進むと思いますので、
読んでいただければ幸いです。

>ひとみんこさん
本当にすいませんでした!
これからはこんな事がないように努力します!
258 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月06日(日)19時58分54秒
待ってました!!
またーり待つので頑張って下さい。
259 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年10月07日(月)10時10分34秒
更新、お疲れ様です。話の続きを読める事が嬉しいです。
ゆったりと、ゆっくりと続きを読ませていただきますよ。
260 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月07日(月)17時43分42秒
うわ~い、更新だ! うれしーな!

ホントこのスレの雰囲気好きなんですよ~。

無理しないで、がんがってください。
261 名前:ぷー 投稿日:2002年10月13日(日)00時18分54秒
うほほ~い!更新されてる~♪
この頃きてなくて今日ひさぶりにきたら
更新情報をキャッチしたのでぶっ飛んできました!!
それと更新は自分のペースでゆっくり書いちゃってくださいな。
食っちゃ寝食っちゃ寝して待ってまする。
やっぱここの2人の雰囲気最高っすね!!
262 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)19時02分35秒

「だいぶ人が少なくなってきましたね~」

あたしと石川さんは、あの芝の公園でお昼を摂った後、
少し乗り物に乗って、ぶらぶらしていた。
時計の針は、4時を回っている。
空は、少しオレンジを帯びていて、
空に浮かんでいる白い雲も、ほんのりとオレンジに染まっていた。
もう夕方近いからだろうか、昼に比べて人はとても少なくなっていて。
遊園地の出入り口のほうへと、人の流れができていた。

「あたしたちもそろそろ帰りますか?明日からまた仕事ですし・・・」
「そうですね。そうしましょうか」
どこに行くのかわかりもしない足どりを、出入り口の方へ向けた時、
あたしはポケットに手を突っ込んだ。
・・・とその時、小さい紙切れの感触が。
あれ?あたし、何か入れてたっけかな~?
あたしはその紙切れを掴むと、ポケットから手を出した。
263 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)19時15分08秒

「あ」

出てきたのは、2枚の乗り物券。
後2枚、ポケットに入れてたの忘れてた・・・。
「石川さん、乗り物券が2枚、あったんですけど・・・、どうします?」
あたしは券を2枚石川さんに見せて言った。
正真正銘、この遊園地の乗り物券。
・・・ただ、しわくちゃになっちゃってるけど。
その券を見るなり、石川さんは少し、笑顔になった。
そしてすぐに、すまなそうな顔をして言った。

「あの・・・、私、あと1つだけ乗りたい乗り物があるんですけど、・・・いいですか?」

乗りたい乗り物?なんだろう?
ここの乗り物は結構乗ったはずだけど・・・。
「じゃあ最後に、その乗り物に乗って帰りましょうよ」
あたしは笑顔で言った。
もう1つ、乗り物が乗れることが嬉しかったし、
・・・石川さんと、もっと長い時間いられるし。
家とは違う、石川さんとの時間。
そして石川さんは、あたしの目を見て、言った。
264 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)19時26分33秒

「・・・観覧車に、乗りたいんです。吉澤さんと2人で」

石川さんは言うなり、顔を真っ赤にしてしまった。
そんな石川さんに、あたしもつられて、少し照れてしまった。
観覧車、か・・・。

正直あたしも、石川さんと一緒に観覧車に乗りたかった。
家でも一緒にいられるけど、その空間とは違う、
まるで、恋人同士のような。
そんな時間を過ごしたいって、ずっと思ってた。
だけど、自分からはなぜか言えなくて・・・。
自分の中で『このまま帰っていいのか』って思いながら話してた。

「・・・いいですか?」
「あっ、はい、い、行きましょう!」
石川さんは心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。
とても突然だったので、すごくビックリしてしまって。


思わず、石川さんのその手を、握ってしまった。
265 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)19時41分26秒

「あ・・・」

後ろから聞こえた石川さんの声で、今自分が何をしているかやっと気付いた。
「うわわっ!ご、ごめんなさいっ!」
あたしはあわてて、握っていた手を離した。
う~・・・、あたしってば、何してるんだよ~!
突然、何も言わないで、手を握るなんて。
石川さんとあたしの距離は、少し開いてしまった。
2人とも無言で観覧車のりばへと歩く。
横目でチラッと石川さんを見ると、顔を赤くして、俯いたまま歩いている。
はぁ・・・、そりゃそうだよなぁ。突然手なんか握られたら。
誰でもビックリするよなぁ・・・。

あたしも、あたし自身の行動にビックリしている。
まだ、心臓がドキドキいってる。
ほんの少しの間しか手を繋いでないのに、
繋いだ左手が熱を持って、その熱が身体全体に行き渡ってるみたいだ。
正直に自分の気持ちを言えば、
・・・本当は、手を離したくなかった。
ずっと石川さんの手を、離したくなかった。

やっぱり、あたしは、石川さんのこと・・・。

好きなのかな・・・?


そうこうしているうちに、のりばへと着いた。
266 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)19時57分39秒

「乗り物券もらいますね」

係員に誘導されて、あたしと石川さんは1つの赤いゴンドラに乗った。
ドアが閉まると、ゆっくりと動き出した。
この観覧車は、注意書きによると、1周10分ぐらいらしい。

・・・とりあえず、今日の事を話そう。
「・・・今日は楽しかったですね!石川さんはどうでしたか?」
「はい、すごく楽しかったですよ!遊園地なんて久しぶりでしたし」
石川さんはさっきの表情とは裏腹に、明るい口調で話した。
ほっ、ちょっと安心。
それからしばらくいろんな乗り物について盛り上がった。
あの乗り物はこうだったとか、この部分がすごくおもしろかった・・・とか。
気付くともうすぐてっぺん。
外の景色はすごくキレイだった。

「すごいキレイですよー!景色!都会も捨てたもんじゃないね」
「ふふっ、何言ってるんですか吉澤さん~!」
あたしと石川さんは、顔を見合わせて笑った。
だって本当にキレイだったし、感動したから・・・。
267 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)20時04分58秒
「あ、こっちの方にあの芝の公園が見えますよ!」
うちらがお昼を食べたあの芝の公園。
上から見ても、芝の色はとってもキレイだった。
「私の方から見えないんですよ~。そっち行ってもいいですか?」
「あ、いいですけど・・・」

石川さんがあたしの方に来ようと、立ち上がった瞬間、
ゴンドラが少し、ぐらりと揺れた。


「きゃっ!」


ゴンドラが揺れたのと同時に、石川さんはバランスを崩して、
なだれ込むように、あたしの胸へと飛び込んできた。

「あ・・・」

その時、時が止まったような気がした。
あたしは、胸の中にいる石川さんを、力いっぱい抱きしめた。
初めは身体がこわばっていた石川さんも、
しばらく経つと緊張がほぐれていた。

「石川さん・・・」

ずっとこのままでいて下さい・・・って言いたかったのに、
どうしても言えなくて。
かわりにその気持ちは、力いっぱい抱きしめることで伝えた。
268 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)20時12分58秒
宙ぶらりんだった石川さんの手も、
いつのまにかあたしの首に回されていて。


「・・・少しだけ、このままでいさせて下さい・・・」


消え入るような、甘い声で、石川さんは言った。
石川さんも、あたしと同じ気持ちなのかな・・・?
このままずっと、離れたくないって。
石川さんはそうじゃなくても、あたしはそうだ。

・・・今やっと、分かった気がする。


あたしは、石川さんが好きだ。




・・・あっという間に10分が経って、あたしたちはゴンドラから出た。
もっと乗りたかったけど、券はもう無かったし、
明日から仕事だし・・・。
残念だけど、帰ることにした。
269 名前:Only 10 Days ―6日目― 投稿日:2002年10月28日(月)20時18分47秒
「また、来ましょうね、遊園地」
「そうですね、また来ましょう」
辺りはすっかりオレンジ色に染まっていて。
下から見てもキレイだなって思った。

今度は、ちゃんと言おう。

「・・・石川さん、手繋いで帰りません?」
あたしはできるだけ早口で、抑揚の無い声で言った。
単なる照れ隠し。
石川さんはきょとんとしていたけど、すぐ笑顔になって。
「はい、帰りましょう」

あたしと石川さんは、しっかりと手を繋いだ。


・・・空の隅には、黒い雲があることに気付かないで・・・。
270 名前:池孫四葉 投稿日:2002年10月28日(月)20時27分45秒
6日目、やっと終了です。
7日目からは少し波乱(?)が起こります。

>258さん
今回も更新に間が空いてしまいました・・・。
でも、これからももっと早くできるように努力します!
目標は、「更新素早い良い作品」です!

>M.ANZAIさん
お久しぶりです!お元気ですか?
これからの展開は大きくですが決まっているので今までよりは少し楽に行けそうです。

>ひとみんこさん
・・・お初ですよね?すいません、あいさつもなしに・・・。
初めまして、青板で書いてる池孫四葉と申します。
これでも学生だったりします(w

>ぷーさん
ぷーさんにはいつも読んで頂いてもらって、
本当に感謝しています。
これからも頑張りますので、読んでいただけたら嬉しいです!
271 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年10月28日(月)21時32分21秒
うわぁ~、なんだか情景が目に浮かぶようですねぇ。
でも、これから来るらしい波乱に少しハラハラと・・・

>池孫四葉さん
元気でやってます・・・と言いたいですが風邪ひいてます。
どうか健やかにお過ごし下さいませ。
272 名前:ひとみんこ 投稿日:2002年10月29日(火)22時33分56秒
やだぁ~ お初じゃありませんよぅ~(梨華ちゃん風に言ってみる)

はっはっはっはっはっはっ波乱ですか!!!!!!!!!!!!!!
でも7日目ならいいです。
10日目に幸せなら。
273 名前:保全屋さん 投稿日:2002年12月02日(月)20時51分46秒
ほぜむ
274 名前:保全屋さん 投稿日:2002年12月30日(月)08時16分33秒
ほぜむ
275 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月07日(火)22時44分56秒
( ´ D`)保全れす
276 名前:hlv 投稿日:2003年01月09日(木)14時45分56秒

初レスですぅ。おもしろくって一気に全部読んじゃいました。
あややもういっかいだしてほしいですね。
ゆっくりとまってまーす。
これからもがんばってくだされ。
277 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月18日(土)23時53分22秒
「うわっ、昨日に引き続き晴天だなー!」


真っ青に晴れ渡る空の下、あたしは幸せ気分で出勤中だった。
足取りも軽く、鼻歌なんて歌っちゃいそうな勢い。
昨日は楽しかったなぁ・・・。いい思い出になった。
弁当は相変わらずおいしいし、めいっぱい遊んだし!
観覧車では、・・・すっごくドキドキしてしまって。
石川さんにバレてたらどうしよう・・・?

しっかし、ホントにいい天気。
再び青空を仰ぐ。
雲1つないとまではいかないけど、
何も混ぜてない水色の絵の具で染めたみたいだ。


「吉澤先輩っ!」
「おわっ!あ、あやや?」
すっかり浮かれモードで歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
その声の正体はやっぱりあやや。
278 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)00時20分30秒
「朝から元気だね、あやや」
「だって、すっごくいいお天気ですよ!松浦、嬉しくなって!」
あややは手を広げ、青空を仰ぎながら言う。
その表情はまるで遠足を待ちわびていた少女のようで。
「確かに!こういう日は外での~んびりしたいよ」
つられてあたしも、笑顔になる。
なんかこう・・・、芝生の上で寝っ転がって、弁当食べて、遊んで・・・。
小学生の時に行った、遠足のようなものをもう一度してみたい!

「先輩!先輩は昨日お休みだったじゃないですかぁ~!
 昨日も天気良かったですし、先輩のことですから外で遊んだでしょう?」
「ま・・・、そうだけど・・・」
うっ、図星。
そうだよ、そうだけどさ・・・。
こういうことって、あたし飽きないから、何度でもしたくなる。
279 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)00時28分14秒

「・・・松浦、昨日寂しかったんですよ・・・。先輩がお休みだったから・・・」

すると突然、さっきまで元気だったあややがしょんぼりして言った。
「ウソついちゃダメだよ!そんなことあるわけないじゃん!」
「ホントですよぉ!ホントに寂しかったんです・・・」
そう言う松浦の目は、さっきの少女のような笑顔とは裏腹に元気がなくって。
確かに、市井さんや職場の先輩から、
『吉澤は松浦に好かれてる』とか、『松浦は吉澤の事が好きみたいだ』とか
言われるけど、本当に本気なのかな・・・?
う~ん・・・。


「ま、とりあえず今日は今日で、仕事頑張ろう!
 あたしちょっと用があるから先行くね」
「あっ、先輩!」
あたはし早口で言うと、逃げるようにあややの側から離れ、走り出した。
・・・いや、正直に言えば逃げたんだけどさ・・・。
あややには悪いと思ったけど・・・。あやや、ゴメン!
そのままあたしは、会社まで走って出勤した。
280 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)00時36分29秒

「おっ!おはよっ、吉澤!昨日はゆっくり休めたか?」

自分の机につくと、すでに来ていた市井さんに話し掛けられた。
「市井さん!おはようございます!」
「その笑顔を見ると、休めたみたいだね」
市井さんはにいっと笑って、安心したような顔をした。
「あの時の仕事は、本当に大変だったし、2度も大きな仕事をこなしたから、
 疲れてると思って。休めたんなら、良かったよ。
 カラダ壊したら、何にもできないからな」
市井さん・・・、あたしなんかの心配をしてくれて・・・。
吉澤、嬉しいっす!

「あ!よしこおはよーっ!」
「ごっちん!おはよう!」
あたしが市井さんの優しさに浸っていると、
ごっちんがあたしを見つけて、駆け寄ってきた。
「なんか1日いないだけでも懐かしく感じるよ~」
「そりゃないだろ~!」
あはっ、そっかな?と、ごっちんは得意のにへっという表情で笑う。
281 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)00時49分06秒

「そうだっ!よしこ聞いてよ~!」
「な、何?」

ごっちんが突然表情を変えて話すから驚いてしまった。
相変わらず、行動が掴めないなぁ、ごっちんは。

「昨日さ~、ごとー、すっごく仕事大変でさ~!もう半分泣いてたよ」
ぷぅーっとフグのようにほおを膨らましてごっちんは言う。
「でも、昨日の後藤の仕事は、吉澤に比べれば全然楽だよ。
 吉澤のあの仕事は、いちーだって辛いもんな」
「そ、そうですかね?」
「ま~た、そんなこと言って。あれは辛いと思うよ。
 だから、平家さんも休みをくれたんだと思う」
うん・・・、さすがにあの仕事は、すっごく辛かった。
面倒だし、複雑だし、それにお得意様だったし。
「だけど・・・、市井さんやごっちんが手伝ってくれたから、終わったんですよ。
 吉澤1人の力じゃ、無理でしたよ」
「またまた、謙虚だなぁ、吉澤は。
 後藤も吉澤みたいに謙虚になってくれればいいんだけどなぁ」
「なんだよそれぇ!」
仕事場に、あたしと市井さんの笑い声が響く。
あたしたちの話を聞いていた先輩たちもつられて笑う。
なんかやっぱりいいね、ここの仕事。
よし、今日も頑張ろう!
あたしは気合を入れて、机へと向かった。

282 名前:池孫四葉 投稿日:2003年01月19日(日)00時58分44秒
少しですが更新しました。
長い間、本当に申し訳ありません!
いくら謝っても謝りきれません・・・(泣

>M.ANZAIさん
お久しぶりです。風邪の方は治りましたか?
波乱の方はほぼできていますので、すんなり書けるかと。

>ひとみんこさん
実は波乱は3日間に渡って繰り広げられるんですよ(w
吉澤さんには悩んでもらって、石川さんには泣いて貰います(ニガワラ

>保全屋さん
ご迷惑をおかけしました・・・。本当に感謝しています。

>275さん
申し訳ないです・・・。なかなか時間がとれなくて・・・。
でも、これからはなるべく時間を作って書いていこうと思います。

>hlvさん
初めまして、池孫四葉と申します。
あややにはいろんなことをしてもらいますので・・・(w

できれば明日、また更新しようと思います。
大体土日に更新予定してますので、
お暇でしたら読んでください。
283 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月19日(日)03時02分21秒
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
284 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月19日(日)15時04分55秒
更新、お疲れ様でした!
待ちわびた甲斐がありました(感涙)
波乱が起こりそうな展開・・う~ん、すごく楽しみです。
次回更新、マタ~リお待ちしてます。
285 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時00分21秒

「先輩!今休憩中ですか?」

キリのいいところで仕事をいったんやめて、
コーヒーを飲んでいたところにあややが話し掛けてきた。
「あ、あややも休憩中?」
「そうなんですけど、ちょっと先輩に聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
あややは笑顔でこくり、と首を縦に振ると、なんだか恥ずかしそうにしている。
なんだろう?そんなに恥ずかしい事聞くのかな?
・・・答えられる質問だといいけど。
あたしはコーヒーカップを机に置くと、あややの方を向いた。

「あのですね・・・」
「うん」
「・・・今日の夜、食事に行きませんか?」

「・・・食事?」
少し間を置いて、あたしは聞き直した。
「はい!おいしい定食屋さんを見つけたんですよ。
 先輩、前定食が好きって言ってたから、どうかなぁって思って」
定食屋か~。最近、行ってないなぁ。
そういえば、まだ入社したての頃、ごっちんといろんな定食屋に行って、
お金がヤバくなったこともあったっけ。
久しぶりに行ってみたいなぁ。
・・・でも、家では石川さんが待ってるし・・・。
どうしよう?
286 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時12分45秒
「先輩、どうします?行きますか?」
「ん~・・・、ちょっと考え中。返事は今じゃないとダメかな?」
もし行くとしたら、石川さんに連絡しなくちゃいけないし、
第一、ホント迷っていて決まってない。
どちらかと言えば・・・、行きたい。
「じゃあ、決まったら教えてくださいねっ!」
「あ・・・ゴメンね。じゃあ考えておくよ」
あややはにこっと微笑むと、小走りで自分の机へと戻った。


はぁ・・・、どうしよう・・・。
行きたい気持ちはあるけど、石川さんに悪い気がして。
「はぁ~・・・」
重く、大きなため息があたしの周りに響いた。
287 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時23分57秒

「何悩んでるの?吉澤、仕事しなさい」

机にひじをついて悩んでいると、後ろから保田さんに注意されてしまった。
「あ・・・、すいません」
「いや、謝らなくていいのよ。さっきのは喝を入れたかっただけだから。
 それにしても、そんなに大きなため息ついて。
 そんなに重大な悩み事なの?」
ヤバっ・・・。さっきのため息、聞かれてたのか・・・。
今度から気をつけないとなぁ。
「アタシでよければ相談に乗るわよ。
 もっとも、今はちょっとした休憩時間だから長くは話せないけどね」
保田さんは優しい表情で、あたしの目を見て言う。
保田さん・・・。市井さんに引き続き、なんでこんなに優しいんですか?
吉澤、感動してるっす!

「保田さんは悩み事、すぐ解決します?」
あたしは前から思っていたことを思い切って聞いてみた。
保田さんはいつでも、決断が速くて、行動も速い。
意見もスジが通ってるし、だけど他の人の意見にも柔軟に対応できる。
あたしが尊敬する先輩の1人だ。
288 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時34分40秒
「悩み事ねぇ・・・。あんまりないわね、悩んだ事。
 悩み事がないってことは、後先考えないで行動してるみたいで嫌だけどね」
「そんなことないですよ、それは人それぞれですから」
苦笑いしながら言う保田さんを、
あたしは少し笑いながら見ていた。
「そう?でも、悩み事があるときは、とにかくよく考えるわね。
 いろいろ考えてみて、その中から1番良い解決策を見出す」
なるほど~・・・。でもなんか難しくて大変そうだ。
それに、今はそんなに時間もないし、ゆっくり考えてるヒマはない。

・・・でももし、保田さんだったらどっちを選ぶだろう?
「・・・保田さん、もし保田さんが既婚の男だとして、同僚に飲みに誘われた時に、
 家で待っている奥さんと、同僚、どちらを選びますか?」
突然の質問に、保田さんは少し驚いていたようだけど、
すぐに考える表情になって考えてるみたいだった。
289 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時48分10秒
「・・・そうね、アタシだったら、家に帰るのを選ぶかしら」
「それって、同僚の誘いを断る・・・ってことですか?」
「そうね。だって、奥さんをほっとけないわよ」
そっかぁ・・・、そうだよなぁ。
じゃあ、やっぱり今回は・・・。

「でも、アタシはこうも考える。
 いつも誘いを断っていれば、同僚に悪い気がするわ。
 それに、いつも帰ってばかりじゃ楽しくないだろうし。
 その奥さんを大切にしているとしても、
 久しぶりに誘われたなら、アタシは同僚を選ぶ」
「はぁ・・・、なるほど」
毎回、保田さんの意見には納得させられる。
こんな小さなことにも、真剣に考えてくれるなんてホントいい先輩だ。
290 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月19日(日)21時54分27秒
「参考になったかしら?」
「はい!ありがとうございます」
「・・・松浦に誘われているんでしょう?
 ゴメンね、立ち聞きするつもりはなかったんだけど聞こえちゃって。
 昨日、あのコ寂しがってたから行ってあげたらどう?」
じゃ、仕事頑張るのよ、と言い残して、保田さんは給湯室の方へと消えた。
なんだ・・・、バレてたんだ、やっぱり。
そんな気はしてたけど・・・。
なんでもお見通しなんだなぁ、保田さんは。


やっぱり今日は、あややに付き合おう。

あたしは携帯を取り出して、石川さんへとメールを打った。
『今日は仕事の仲間と食事に行ってきます。
 遅くなりそうなので、申し訳ないんですがあたしの分の夕食は作らなくて結構です。』
送信ボタンを押して、ちゃんと送られたかを確認して携帯をしまった。

「・・・送っちゃった」
行くと決めたはずなのに、まだ少し後悔の気持ちが残った。
291 名前:池孫四葉 投稿日:2003年01月19日(日)22時00分02秒
少しですが更新しました。
我ながら更新スピード遅いなぁと(w
当分いしよしはでてきません。よしあやは大放出ですが(w

>283さん
長らくお待たせしました。
話のスジもほぼできているのであとは書く時間を確保できれば・・・。

>284さん
本当に待たせて申し訳ありません!
波乱・・・、その部分は少しだけ下書きで書いたんですけど、
自分で後から見てちょっとこれは2人にとって辛いなぁ、と(ニガワラ
292 名前:284 投稿日:2003年01月20日(月)00時41分11秒
おぉ~、今日も更新されてる~!
うれしいっす・・(感涙)
次回はよしあや大放出ですか!?
う~ん、いしよしの次に好きなCPなんで、ちょい複雑な気分です(w
松浦さんがどう出るのか、これは目が離せないですね。
更新、まったりお待ちしておりまする。
293 名前:ラヴ梨~ 投稿日:2003年01月20日(月)01時01分25秒
作者さん復活嬉しいな~!!
この石川さんカワイくて、しょうがないですね。波乱を乗り越えて幸せが待ってることを祈ります
作者さんマイペースにガンバレー
294 名前:上の者 投稿日:2003年01月20日(月)01時03分24秒
つい忘れててageてしまいました!!
ホントにスミマセン!!
295 名前:池孫四葉 投稿日:2003年01月26日(日)06時59分29秒
昨日は更新できなくてすいません!
今日の夕方ぐらいに更新しようと思います。
みなさんへのレスもその時に。
今から部活行ってきます(w
296 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)17時18分52秒
「先輩、ここですよ!」
「へぇ、こんなところにあるんだ。知らなかったよ」


今日の仕事を終えたあたしとあややは、
あややの案内で例の定食屋に来ていた。
結局、保田さんに相談して、あややに付き合おうと決めたあの後、
すぐにあややに返事を言いに行った。
するとあややはすごく喜んでいて。
つくづく、コイツかわいいなぁ、と思った。


「いらっしゃいませー」

店内に入ると、客はあたしたちの他に数人。
見つけにくい所にあるせいか、客が少ない。
店員に席に案内され、メニューを見るなり、あたしはすぐに決めた。
やっぱり・・・、焼き魚定食でしょう!
297 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)17時30分16秒
「先輩、何にするか決めました?」
「うん。あややは?」
「迷ってるんですよぉ~。う~ん、どっちにしよっかなぁ?」
大きな目をキョロキョロさせて、悩んでいるあややの姿は、
フランス人形とか、そういう系の人形みたいで。
「ん?先輩!なぁ~に見てるんですかぁ?」
するとあややの大きな目があたしの方を向いた。
プラス、得意の上目遣いで。
もしあたしが男だったら絶対やられてるよな~。
ま、それはいいとして。
「別に何でもないよ。で、決まった?」
「はい!松浦はからあげ定食にします!」
からあげか~。それもいいなぁ!
でも、やっぱりあたしは焼き魚だな~。

店員に注文をして、料理が出来上がるのを待つ間、
あたしはあややに、どうしてこの会社を選んだのか聞いた。
「そうですねぇ~・・・。学生の頃、いろいろと就職先を探している時に
 友達にこの会社を勧めてもらったんですよ。
 それで、詳しく調べていくうちに、
 あ、松浦に1番合ってるかもって思ったんです」
へぇ、なるほど。
だよなぁ、自分に合う会社が1番だよなぁ。
298 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)17時40分35秒
「先輩は、どうしてこの会社に?」
「ん~、やっぱりシステムとか新鮮に感じて、ここがいい!って思ったからかな。
 確かに仕事は大変だけど、いろんな経験ができるから後悔はしてない」
「松浦もです!」
あたしが言い終わると、すぐあややが反応して。
やっぱり、会社にって似たような人間が集まるのかな?
でもホント、この会社に入れてよかったって思う。
いい人たちにたくさん出会えたし・・・。
そんなことを話しているうちに、定食が出来上がった。


「へぇ、おいしそうだね~」
目の前にある定食は、ほぼ完璧と言ってもいいくらいに、
彩りとか配置とかキレイに出来上がっていて。
「びっくりしますよ!おいしくて!」
力説するあややの気持ちも、わからなくないかも、と思った。
「じゃあ、冷めないうちに食べよっか」
「はい!いただきます」
「いただきます」
あたしははしを取ると、早速魚をつついた。
少しつまんで、口へと運ぶ。
・・・お!うまい!うまーい!
「あやや、うまいよー!」
「でしょう?おいしいですよねぇ~!」
あたしの言葉に、あややは得意げな顔をした。
299 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)17時50分11秒
あたしとあややは、定食を食べるのにすっかり夢中になってしまって、
喋るのさえも忘れてしまっていた。
周りから見れば、20代の女性2人が、
もくもくとなにも喋らずに食べている姿をおかしく思っただろう。
でも、本当においしくって。
今度もまた来よう!


「先輩、お酒飲めますか?」
ほぼ定食を食べ終え、くだらない話をしている時に
あややが突然言った。
「え、飲めるけど・・・。どうして?」
「このお店でお酒も出してるんですよ。
 この前、市井さんにこの定食屋さんのことを話したら、
 『ここの酒はうまいぞ~』って言ってたんです」
市井さん・・・。酒豪だもんな~。
でも、市井さんの情報なら確実に当たりだろう。
「じゃあ、頼んでみる?」
「はいっ!」

あたしは店員さんに適当におつまみとお酒を頼んだ。
あたしは焼酎、あややはビールで。
でも、変わってるよな~、おつまみまで出してくれるなんて。
300 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時00分16秒
「そういえば、あややは飲めるの?」
「飲めますよぉ!そんなにたくさんは飲めませんけど・・・」
ホントかなぁ?あややはパッと見、飲めなさそうに見えるけど・・・。
「先輩のウワサはよく聞きますよ。市井さんに並ぶ酒豪だって」
「いいよ~、そんなウワサは覚えなくても」
ニコニコしながら言うあややに、あたしは苦笑いしながら答えた。

そう、自分で言うのもなんだけど、あたしはかなりの酒豪なのだ。
忘年会やら新年会やら普段の飲み会やらで、市井さんに鍛えられて。
飲みすぎは体に悪いから、最近は控えてたけど。
「そんなに飲まないで下さいよ~?」
「大丈夫、飲まないよ」
明日が休みだったら飲むかもしれないけど、
しっかり出勤せねばならないからね。自主規制、自主規制。
すると頼んだものが届いた。

「じゃあ、乾杯!」
「かんぱーい!」
301 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時08分17秒
あたしとあややは乾杯すると、あたしが一口ぐらい飲んだのに対して、
あややは勢いよく飲んでいて。
「あやや、そんなに勢いよく飲んだらすぐ酔っちゃうよ」
「大丈夫ですよ!松浦お酒強いですから!」
言い終わるなり、あややはビールを注いでいて。
ちょっとそれは飛ばし過ぎだろ~?
いくらあたしでも、そこまで速いペースで飲まない。
しかも、さっきあまり飲めないとか言ってたのに強いとか言ってるし。
「なんで先輩は、そんなにゆっくり飲んでるんですかぁ?」
いつもよりうわずった声で、少し顔を赤らめてあややが問い掛けた。
すでに少し酔っているらしい。
「お酒はガーっと飲むものじゃないよ~。味わって飲まなきゃ」
あたしは1人で飲むことが多いから、そんなに勢いよく飲まないし、
第一、そんなハイペースで飲んでちゃすぐ潰れちゃう。
これって、経験者だからわかるのかもしれないけど、
きっとあややは飲み慣れてないから、こうなっちゃうのかも。
302 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時15分54秒
「せんぱーい!ガーっと飲みましょうよ!」
あややはいつのまに頼んだのか、ビール瓶が2本に増えていて。
その2本目も、ほとんど飲み終わっている。
「あやや、そのままじゃぶっ倒れるよ・・・」
「だぁ~いじょぉぶですよぉ!だいじょおぶですっ!」
「大丈夫じゃないって・・・」
もう完全にできあがっちゃってるよ・・・。
まるで、あたしの1年前みたいだ。
あたしも、こんな風に一気に飲んじゃって、一気に酔いが回って。
居酒屋に来て10分足らずで潰れたことがあったっけ。
あの時は、一緒に来た市井さんに怒られたなぁ・・・。
「酒と金には絶対溺れるな!」って。
あややを見ると、コップ片手にうつろな目でおつまみを見ている。

あたしがおつまみを食べようと手をのばした時、
「せんぱぁい・・・」
大きな瞳をうるませて、あややがあたしの顔を見つめていた。
さっきまでの勢いがウソのようにおさまっていて。
303 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時22分00秒
「どうした?」
「もうのめませんよぉ・・・」
そう言うと、あややはあたしの方へ寄ってきて、
あたしのスーツのすそをくい、くいと引っ張った。
まるで駄々をこねてる小さい子猫みたいだ。
「じゃあ・・・、もう帰る?明日も仕事だし」
「はぁい」
参ったな・・・。ホントに酔っちゃってる。
きっと今、自分が何してるかわからないんだろうな~。
あたしは残っていた焼酎をぐいっと飲み干すと、
あややの分も含めて代金を払った。
今日はあたしのおごりだってことにしておこう。


店を出ると、涼しい風が吹いてきた。
あたしも少しだけど酔ってたから、酔い覚ましには丁度良い。
隣にいるあややは、ひどく酔っているせいか、
ふらふらしながら立っていた。
304 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時30分34秒
「あやや・・・、1人で帰れる?」
「かえれますよぉ!まつうらをあま~くみないでくださいっ!」
きっとあややは強気で言い切ってるつもりなんだろうけど、
足元がおぼつかず、呂律が回らないような口調で言われても説得力がない。
・・・まったく、仕方ないなぁ・・・。

「ほら、あやや行くよ。大通りに出るから」
あたしはあややをぐいっと引っ張ると、少し速いペースで歩き出した。
「せんぱぁい、どこいくんですかぁ?」
「タクシー拾う。あたしがあややの家まで送って行くよ」

こんな状態で外をうろついていたら、
絶対悪い奴らに声をかけられるに違いない。
先輩として責任があるし、・・・不安だし。

大通りに近づくにつれて、周りが騒がしくなってくる。
車通りが激しいのかな?
辺りには、酔っ払いたちがちらほらと見える。
道路には、鈍く光る車の赤いライトと、
激しく照らす白いライトが交差している。
あたしは素早くタクシーを拾うと、
先にあややを乗せて、次いであたしも乗り込んだ。
305 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時39分27秒
「○○アパートまでお願いします」
「はいよ」
タクシーがゆっくりと動き出し、車の流れに乗った。
ふぅ・・・、とりあえず一安心。
あややのアパートの名前、覚えてて良かったよ。
前に、あややが一方的に言って来たのをあたしは覚えていた。
そのあややは、今自分がどこにいるのかわかっていないらしく、
キョロキョロと周りを見回している。
「せん・・・、ぱい?」
「ん?」
「ここ、どこですかぁ?」
「タクシーの中だよ。今あややの家に向かってる」
あたしが少し微笑みながら言うと、
あややは安心したように笑って、あたしに寄りかかって目を閉じた。
コイツ・・・、かわいいなぁ・・・。

「お兄さん・・・、こんなカワイイ子がいて幸せ者だねぇ」
すると運転手さんが、バックミラーで見ていたのか、
突然あたしに話し掛けてきた。
「いや・・・、別にそんな・・・」
「いやいや。うらやましいよ、オレは」
運転手さんのニヤけた顔を、あたしはバックミラー越しに見た。
全く・・・、最近のオヤジって、こういうことしか考えられないのかな・・・。
306 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時44分49秒
「余計な事を言うようだけど、女の子は大切にしなよ~!
 彼女だったらなおさらだ」
「彼女なんてそんなっ・・・。ただの、後輩です」
「ほぉ、そうかい。こりゃ余計な事を言っちゃったなぁ」
運転者さんはバツが悪そうな顔をしていたけど、
それからは何も喋らずに笑顔で運転していた。
全く、本当に余計なお世話だっての!
あたしにとって、あややはただの後輩なんだから!

・・・ただの、後輩だよなぁ?
自分では分かっているはずなのに、
自問自答すればするほど、わからなくなっていく。
あたしが好きなのは石川さんなのに、
なんでこんなに、不安なんだろう・・・?

嫌な、予感がする。


307 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時52分53秒
「はい、着きましたよ」

気が付くと、すでにアパートに着いていて、タクシーのドアが開いていた。
「あっ・・・、すみません」
あたしがあわてていると、運転手さんはいいですよ、と笑顔で言ってくれて、
代金をわざわざ言ってくれた。
・・・案外、いい人なのかも。
あたしは申し訳ない気持ちで代金を払うと、
あややをどうにかして降ろして、あたしも降りた。
あたしが一礼すると、運転手さんも礼をしてくれて。
ドアが閉まるなり、タクシーは走り去って行き、周りは静まり返った。

「ほれ、あやや、着いたよ」
「はい?」
あたしの背中にだらしなく寄りかかっているあややは、
半分寝ながら返事をした。
も~・・・、仕方ないなぁ。
「んしょっ」
これじゃあ歩けないだろうと判断したあたしは、
あややをおんぶすると、階段をたん、たんとゆっくり進む。
カギをあややから受け取ると、カギを開けて、ドアを開いた。
308 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)18時59分56秒
ドアを開けると、そこはピンク一色でした。


・・・ってほどにピンクばっかりで。
カーテンも、テレビも、ソファも、カーペットも、
何もかもが、ピンク一色。
あたしはピンク系の物って持ってないから、すごく新鮮だった。
しっかし、ここまでピンクばっかりだと落ち着かない・・・。

さて、あややを寝かさないと。
あいにくあややの部屋はロフトつきで、
あややはそこに寝ているようだったから、
そこまで運ぶにも、危険だと思ってソファに寝かせることにした。
あややには悪いけど、ソファに置いてあった雑誌を足でどけると、
ゆっくりと、あややをソファに降ろした。

「う・・・ん・・・」
あっ、やばっ、起こしちゃったかな?
だけどただの寝言だったみたいで。
・・・あややの寝顔、カワイイなぁ・・・。
まるで、天使みたいだ。

309 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)19時06分41秒
「・・・そろそろ帰ろう」
いくら石川さんに断っていても、あんまり遅くちゃ悪いし。
あたしは自分のカバンからルーズリーフとペンを取り出すと、
あややに置手紙を書いた。


『あややへ
 いくら頭が痛くても出勤するんだぞ
 カギは会社で返すよ。スペアキーがあるだろうから
 お酒の飲み方をきちんと覚えたらまた飲みに行こう   吉澤』


「よし、これでいいかな」
手紙を書き終えて、テーブルの上に置いて帰ろうとしたその時。

「よしざわせんぱい・・・」
あややが突然、あたしを呼び止めた。
驚いて振り返ってみると、あややは普通に寝ていて。
なんだ・・・、寝言か。
あたしの名前を呼ぶなんて、どういう夢を見てるんだろう?
「じゃあ、また明日な」
あたしはあややに優しく言うと、部屋を後にした。
310 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)19時17分35秒
それからタクシーを拾って、やっと家に着いた。
時計を見ると、もうすぐ1時。
久しぶりだな、こんなに遅くに帰るの。
新年会とかでも、こんなには遅くならなかったし。
早く家に着きたい思いで、少し早足で階段を駆け上がる。
すると、あたしの部屋に電気が付いているのが見えた。

え・・・?まさか・・・?

あたしは素早くカギを取り出し、ドアを開けて部屋に入った。
「ただいま・・・」
恐る恐る、小さな声で言ったが返事がない。
でも、確かに電気は付いていて。
なるべく音を立てないようにしてリビングへと向かった。

・・・するとそこには、テーブルに突っ伏して寝ている石川さんがいた。
「い・・・しかわさん・・・?」
待っててくれたんですか・・・?
寝てはいるけど、待っていようとした気持ちが、その姿から伝わってきて。
「石川さん・・・」
あたしは石川さんに対して、申し訳ない気持ちになった。
石川さんは毎日、家事をしてくれて、疲れてるはずなのに・・・。
ホント、感謝しないとなぁ・・・。

「石川さん、本当にありがとうございます」
あたしは耳元でそっと感謝の気持ちを伝えると、
起こさないように、ゆっくりとベッドへと運んだ。
311 名前:Only 10 Days ―7日目― 投稿日:2003年01月26日(日)19時23分27秒
今日は、ソファで寝よう。
あたしはちゃっちゃと着替えると、毛布を持ってソファへと向かった。
毛布をソファに置くと、キッチンへと向かい、
そんなにお酒は飲んでいないけど、水を一杯飲み干した。


・・・ふう。今日は少し疲れたなぁ・・・。
そんなことを思いながら、ちょっとカーテンを開けて空を見てみる。
空には、どんよりと黒い雲が、
いつもならキラキラ輝く月や星たちを覆っていて。
・・・明日は雨なのかな・・・。
あたしはカーテンを閉めると、すぐにソファに横たわって目を閉じた。
312 名前:池孫四葉 投稿日:2003年01月26日(日)19時30分31秒
7日目更新終了です。
次回の更新は、あの問題の8日目・・・(w
てか自分、更新に約2時間かけてるとかありえない・・・。
打つの遅すぎ(ニガワラ

>284さん
よしあや、たくさん出ました!
というか、今回は完全によしあやでしたね(w
次の波乱・・・、みなさんはどういう反応をするのか心配です。

>ラヴ梨~さん
復活しました!長い間申し訳ありませんでした・・・。
これからも読んでいただけると嬉しいです!
それと、age、sageは全く気にしていませんので、
ageていただいても、sageていただいてもどちらでも構いませんよ~。
313 名前:292 投稿日:2003年01月30日(木)00時48分54秒
7日目更新、お疲れ様でした。
全編よしあやで、PCの前で何気にニヤけてました!
あやや、可愛い・・自分だったら間違いなく送り狼になりそうな予感w
でもしっかり待ってる妻・石川さんも可愛い過ぎる・・

次回はいよいよ波乱の8日目ですか!?
あややの家の鍵を持ってる吉澤さんが心配です・・
314 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)20時53分48秒
「今日・・・、雨が降るみたいですよ」


いつものように朝食を摂っていると、
石川さんが、何気なくつけていたTVの天気予報を見ながら言った。
「雨ですか?確かに今曇ってますけど・・・」
あたしはそう言いながら、窓の外の空を見てみる。
昨日の夜に見た黒い雲はなくなっていて、
少し灰色かかった雲が空一面に広がっていた。

「傘、持っていったほうがいいんじゃないですか?」
「あー、でも、荷物になるんでいいですよ。折り畳み傘も苦手だし」
あたし、どーも傘ってものが苦手なんだよね。
片手がふさがっちゃうのが嫌で。

「雨が降ってきたら、私、会社まで傘届けに行きましょうか?」
石川さんは真面目な顔をして言う。
「いや・・・、いいですよ。石川さんにはすごくお世話になってますから・・・。
 万一雨が降っても、走って帰りますから大丈夫です」
昨日だって、石川さんは遅くまで待っててくれて、
さすがに仕事といえども、そんなに迷惑はかけてられない。
315 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時10分57秒
「でも、カゼひいたら大変ですよ・・・」
「大丈夫ですよ!そんなに心配しないで下さいよ~」
あたしが笑いながら言っても、石川さんは複雑な顔をしていて。
「本当に大丈夫ですから、ね?」
念を押すように問い掛けると、石川さんは納得したようだった。

「あ、じゃあもう行きますね」
時計の針はもうすぐ8時を指す。
あたしはごちそうさまをすると、カバンを手に取り、玄関へと走った。
ドアを開けると、少しにごった光が入ってくる。
「じゃあ、行ってきます」
「はい、気をつけて下さいね」
あたしは石川さんに笑顔を見せると、ドアを閉めて歩き出した。


「吉澤先輩!!」

会社に着くとすぐに、あややがあたしの前に現れた。
待ち伏せしていたかのように現れたので、あたしは驚いてしまった。
「お、あややおはよう」
「おはようございます!・・・あの、昨日の事なんですけど・・・。
 本当にすみませんでした・・・」
あややはバツが悪そうな顔をして頭を深々と下げる。
昨日・・・?あぁ、あたしがあややを、家まで送っていったことかな?
でも、あれはあたしが勝手にやった事だし。
316 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時16分06秒
「いいよ~、謝らなくても。だってあやや、昨日1人で帰れそうになかったし」
「本当にすみません・・・」
「いいって、いいって。あ、カギ返すよ」
「あ、はい」
あたしはカバンからあややのカギを取り出すと、あややの手にぽん、と置いた。
「じゃあ、今日も仕事頑張ろうな!」
「・・・はい!」
あたしがそう言うと、沈んでいたあややの表情が明るくなって。
素直というか、単純というか・・・。
そんなあややに、あたしは苦笑いした。

―――――

「吉澤、ちょっといいか?」

それから仕事を始めて、11時頃、市井さんに話し掛けられた。
「あ、市井さん。どうしたんですか?」
「いや、ちょっとな。吉澤に聞きたい事があって」
そう言う市井さんの顔はいつになく真剣で。
「・・・ここじゃ話せない・・・事ですか?」
「・・・ちょっとな。だからついて来い」
大切な話なんだろうと感じたあたしは、
それ以上は何も聞かないで、黙って市井さんについて行った。
317 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時27分14秒
着いた所は、誰もいない休憩室。
よく利用する自動販売機が、ごうんごうん、と1人動いている。
市井さんはさっきから、あたしに背を向けて腕を組んだまま。
なんだろう・・・。市井さんから言わないのなら、あたしから聞いてみよう。

「・・・市井さん、話って、なんですか?」
すると市井さんは、あたしの言葉を待っていたかのように、
ゆっくりとあたしの方を向いた。
その目は・・・、真剣で。
少し間が空いて、市井さんがゆっくりと言った。

「・・・吉澤」
「はい」
「・・・単刀直入に聞くけど、・・・松浦と例のお手伝いさん・・・石川さんだっけ。
 吉澤、お前はどっちが好きなんだ?」

市井さんはあたしの目を見つめたまま、1度も目をそらさずに言った。
「どっち、ってそんな・・・」
「どっちだ?」
「・・・それは・・・、石川さん、ですよ」

市井さんの目に縛られているような気がして、あたしはうまく答えられなかった。
まるでヘビに睨まれたカエルのように口が動かなくて。
318 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時34分37秒
市井さんは、あたしの心の迷いに・・・気付いてる。
あややよりも石川さんの方が大切で、好きだってことは事実だけれども、
あややが気になっているのも事実。
固まってしまったあたしを見て、市井さんはふう、とため息をついた。
「・・・余計なお世話かもしれないけどな。吉澤、お前に1つだけ、忠告しておく」
市井さんは一瞬目をそらすと、また目線を戻した。
そして、またゆっくりと言った。


「真剣に自分の心に問い掛けてみろ。
 正直になれば、答えは1つしか出てこないはずだぞ」
言い終わるなり、市井さんはそれ以上何も言わず部屋から出て行った。


・・・市井さんの言葉が、あたしの心に重くのしかかる。
広い部屋に1人残されたあたしは、自分の気持ちを見つめていた。
どうしてそんなに、自分の気持ちに自信が持てないのか。
石川さんが好きだ、と言う気持ちは、なぜこんなにも不安定なのか。

・・・ふと、窓の外を見てみる。
天気は、曇りから雨へと変わっていた。
319 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時42分15秒

「ひゃー、かなり降ってるなぁ~」


少し遅めに仕事を終えたあたしは、会社の玄関前で立ち往生していた。
数日前に降っていた雨とは違い、雨量と、激しさがハンパじゃない。
まるで熱帯地方のスコールのようだ。
走って帰るにも、これじゃあ無理そうだし・・・。
はぁ・・・、止むのを少し待つしかないかぁ・・・。


「・・・先輩?」


あたしがこれからどうしようかと迷っている時に、近くで女性の声がした。
その声は妙に聞きなれている声で。
「あやや・・・?」
自信のない声で呼んでみると、
「やっぱり吉澤先輩だ」
柱の影から、にっこり笑って顔を出しているあややが現れた。
「あやや、先に帰ったんじゃ・・・」
あややは今日、早く仕事が終わって、帰ったはずなのにどうしてここに・・・?

「先輩に、・・・どうしても伝えたい事があって」
あややの顔が少し赤くなる。
「それでわざわざ・・・?」
あたしが問い掛けると、あややは黙って頷く。
そこまでして伝えたい事って・・・?
320 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)21時55分44秒
「・・・じゃあ、とりあえず歩きながら話そう?」
・・・とは言っても、あたし、傘持ってなかったんだっけ。
「あ、じゃあ松浦が傘差しますね」
そんなあたしの状態を察したのか、
あややは手にかけていたピンク色の傘を差した。
数日前と同じ、あの傘。
「久しぶりだなぁ、この傘。あの時はありがとうね」
「いえ・・・、お礼を言われるほどのことはしてませんよ~」
あややは照れくさそうに言った。
でも、それもいつもとは違う感じで。

小さい傘に入り、ゆっくりと歩き出した。
道路のいたるところに水溜りができている。
「先輩・・・、昨日はありがとうございます。迷惑かけてしまって・・・」
あややは小声だったけれども、距離が近かったから十分に聞こえて。
あややの申し訳ない感じも伝わってきた。
「いいよ、いいよ。頭は痛くならなかった?」
「あ、ちょっと・・・」
あややは苦笑いして頭をさする。
そりゃあ誰だって、あんな飲み方したら2日酔いだよなぁ。
321 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)22時00分24秒
「でも・・・、あややはどうしてそんなに、
 あたしがあややを送ったこと、気にするの?」
あたしが何気なく言った言葉に、あややは反応して。

「だって・・・、あんなに遅くに帰ったら、・・・あのお手伝いさんに悪いかな、って思って・・・」
あややは、あたしの様子を窺うようにしてゆっくり言った。
そしてあたしをチラッと見ると、すぐに前を向いた。


「・・・先輩と・・・、一緒に帰った日があったじゃないですか。
 松浦、その時すっごく嬉しくって」
あややの足が止まる。
そして、あややがあたしの方を向いた。
「でも・・・、先輩は、・・・あのお手伝いさんのこと・・・大切な人だって。
 そう、言いましたよね?」
あややが問いかける。
でもあたしは答えなくて。
あややは尚も続ける。
「先輩、・・・1つ、聞いてもよいですか・・・?」
「何・・・?」


「先輩の中では今も、あの人が『大切な人』ですか・・・?」



322 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)22時11分31秒
あややの手から、傘が滑り落ちる。
傘は、ぱしゃん、と音を立てて水溜りに落ちた。
あたしもあややも、みるみるうちに激しい雨に打たれて濡れていく。
落とした傘を拾うこともせずに、あたしはあややをじっと見つめていた。

「先輩・・・、答えて下さい・・・」

あややも、あたしの目を見つめる。
ただじっと見つめ、一瞬もそらさないで。
それでもあたしは答えなかった。

雨は、さらに激しさを増した。
雨音がいっそう大きくなる。
そんな雨の中で、あややはあたしに、こう言った。


「松浦じゃ・・・ダメですか?松浦じゃ、・・・あの人の代わりにはなれませんか・・・?」
あややは・・・、泣いていた。
顔は雨で濡れて、もはや雨なのか涙なのかはわからなかったけど、
びしょぬれになって言うあややの姿が、・・・ひどく、悲しく感じて。


「好きです、先輩・・・」


服も何もかも濡れているはずなのに、
あややの目は、言葉は・・・、熱く感じた。
323 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)22時19分38秒
・・・あたしには、分かっていた。
このまま自分の正直な気持ちを言ってしまえば、あややは傷つくだろうと。
「あやや・・・、気持ちは嬉しい。すごく嬉しいけど・・・、
 あたしにとってあややは妹みたいな存在で、
 ・・・どうしてもそんな風に見れないよ・・・。だから、ごめん」
あややの気持ちは確かに嬉しい。
素直だし、仕事もできるし、かわいいし・・・。
だけどやっぱり、あややがあたしに対して抱いてる「好き」は、
あたしがあややに対して抱いてる「好き」じゃない。
あたしの「好き」は後輩として。
あややの「好き」は恋として。
あたしはそんなあややの気持ちに答えられないと思う。
だって、あたしは・・・。


「・・・あたしは、あのお手伝いさん・・・。石川さんが、好きだから」


昨日の夜。
あんなに遅くまで待っていてくれた石川さん。
あの姿を思い出すたびに、想いが高まってきて・・・。

・・・やっと自信が持てた、あたしの気持ち。
あたしは石川さんが好きなんだって。
「ごめん、あやや・・・」
もう、迷わない。
あたしは、決意も込めてあややに言った。
324 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年02月03日(月)22時24分36秒

「・・・」


あややは何も言わず、俯いて立っていた。
そんなあややを抱きしめてやりたいと思ったけど、
そんなことをしたら、あややはもっと傷つくだろうし、
自分の気持ちにウソをつくことになる。

「送るよ、あやや」
あたしが落ちていた傘を拾おうとしたその時だった。


「・・・先輩っ・・・!」


あややはあたしにぐいっと近づくと、
そのままあたしの首に手を回してそして・・・。

―――あたしはその時、何が起こったのか分からなかった。
ただ、泣いているあややがあたしの胸に顔をうずめていて・・・。
そしてあややの肩越しに、道路の反対側で、
傘を差して、呆然と立っている石川さんを・・・、見つけた。
325 名前:池孫四葉 投稿日:2003年02月03日(月)22時30分12秒
8日目、半分くらいまで更新です。
本当はもう少し更新したかったんですけど、
親が帰ってきそうなんで・・・。すみません。


>292さん
吉澤さん、せっかく自分の気持ちに自信が持てたのに・・・。
少しヒドイ事をしてしまいました(ニガワラ
この先、どうなるかは言いませんが・・・(w
326 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月03日(月)23時13分58秒
Σ∬∬;´Д`)
あやや!!あややぁ~あややー・゚・(ノД`)・゚・
切ない…こゆの好きです。
327 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)01時16分19秒
ああああああああ・・・・・がががあがあががgぴぴぴーーー
暫くお待ち下さい・・・・・
なんて骨体・゚・(ノД`)・゚・
よっすぃ~、ズバっと誤解を解くのだ!
328 名前:ラヴ梨~ 投稿日:2003年02月13日(木)00時30分48秒
うぁぁ、ピンチよっすぃ~!!
でも、こんな波乱の展開が好きだったりするんですよね(笑)
次回がドキドキ
329 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)13時29分30秒
期待保全
330 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)22時19分06秒
保全
331 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月12日(水)22時34分31秒
期待してます、保全。。。
332 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月27日(木)16時22分59秒
hozen
333 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)10時15分19秒


「・・・っ、石川さんっ!!」


あたしは力いっぱい叫んだけれど、
石川さんはさしていた傘を投げ出し、走りだしていた。
一瞬見えた表情は泣いているように見えて。
あたしは石川さんを追おうとするが、あややががっちりと身体を掴む。

「あやや!」
「嫌です!行かないで下さい!」
抜け出そうとするあたしに、あややが腕にぐっと力を入れる。
「あやや!」
「嫌です!」
それでもなお、あややは力を緩めない。
あせりと、不安と、石川さんへの想いが募る。
「あやや・・・、頼む」
「先輩・・・」
あたしが力なく言うと、あややはゆっくりと力を緩めた。
解放されたあたしは、じっと石川さんがいた方向を見つめる。
・・・もはや追いかけても、見つけられない。

あたしは道路の反対側に渡り、1つの傘を手に取った。
石川さんが投げ出して行った・・・あの傘。
通って行く車に泥をかけられ、透明なはずの傘はうす汚く汚れていた。
・・・その泥を手だけ拭う。
手には砂交じりの泥がつき、ざらざらして少し痛かった。
だけどその泥も、激しく降る雨で少しずつ流れていく。
それはまるで、痛みを拭い去る涙のようだった。
334 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)10時16分20秒
「先輩・・・」
その場に呆然と立ち尽くしているあたしに、あややが話し掛けた。
「カゼ・・・、ひきますよ?」
「・・・いいんだ。あややこそ・・・、早く帰ったほうがいい」
「でも・・・」
「大丈夫。大丈夫だから・・・。気にしないでくれ」
あたしは心配そうな表情のあややに笑顔を見せた。
きっと笑えていない・・・、苦笑いに近い笑顔を。
今は雨できれいになった傘を持ち、あたしは歩き出した。


・・・。
・・・まだ、雨は止まないのかな・・・?
途方に暮れてただ歩くだけのあたしを、
あざ笑うかのように雨があたしを激しく打ちつける。

・・・やっと、やっとみつけたこの気持ちは、
伝えられないまま、叶わないまま壊れてしまうのかな?


あたしはどうすればいい?


止みそうもない雨の中、あたしは歩き続けた。
335 名前:池孫四葉 投稿日:2003年03月31日(月)10時28分01秒
お久しぶりです、池孫四葉です。
長い間更新しなくて本当に申し訳ありません。
今日こそ更新するぞ!
と意気込んだのはいいものの、
これから医者に行かなければならないので、
今日中にまた更新を致します。
みなさんへのレスはその時に。
決して捨てたわけではないので、長い目で見てやって下さい。
よろしくお願いします。
336 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月31日(月)12時58分42秒
待ってました~。(;;)
337 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時38分17秒
「・・・お、上がったか」
「すいません、タオルまで借りちゃって・・・」

あたしは市井さんにバスタオルを返すと、
市井さんはタオルと引き換えに、マグカップを差し出した。
「ホットミルクだ。とりあえず飲め」
「ありがとうございます・・・」
あたしはマグカップを受け取ると、
市井さんに言われて、近くのソファに座った。
続けて市井さんも向かいのソファに座る。
「しっかし、びっくりしたよ。誰かなっと思ってドアを開けたら吉澤がいて。
 しかも全身びしょぬれで立ってるんだもんな」
ったくしょーがねー奴だと市井さんは笑いながら言う。

・・・そうだ、あたし、雨の中を歩いていて・・・。
いつのまにか、市井さんの家の前に立っていて・・・。
・・・はっきりは覚えてないけど。
「片手に傘を持ってたのに、なんでささなかったんだよ?わかんねぇなー」
「いや・・・、あの、その・・・」
「何か理由があるなら、聞かないから心配すんな」
「はぁ・・・」
「ほら、早く飲まないと冷めちまうぞ」
「あ・・・、すみません」
市井さんに促されて、あたしはホットミルクを一口飲んだ。
338 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時39分07秒


―――――あったかい・・・。


ホットミルクのあたたかさが、心の奥まで染み渡っていくようで。
この優しいぬくもり、確かどこかで・・・。

・・・石川さんだ。
石川さんの優しさに似ている・・・。


「よ、吉澤?」

市井さんの慌てている声は聞こえても、顔はぼやけていて見えなくて。
あたしのほおを、つう、と冷たい何かがつたう。
・・・あれ?あたし・・・、泣いてる?
「どうしたんだよ吉澤・・・」
「あはは、自分でもどうして泣いているのかわからなくて・・・」
あたしは市井さんに笑顔を見せようとしたけれど、
出てくるのは透明な涙だけ。
その涙が、ほおをつたってぽたり、ぽたりとミルクに落ちて混ざる。
「くぅ・・・」
涙をこらえようとしても、こらえられなくて。
出てくる涙は止められなくて。
「・・・泣きたい時は、泣いとけ」
市井さんの優しい言葉が、あたしの心に染みこんでいく。
339 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時40分14秒
・・・あたしはどうして、こんなところで泣いているんだろう?
あの瞬間の光景がふっと浮かび上がる。
今にも泣き出しそうな表情で、傘を投げ出し走り去った石川さん。
すぐ追いかける事ができなかったあたし。
投げ出され、汚れたままの傘。
雨の中に立ち尽くすあやや。
その一瞬一瞬が、嫌というほど鮮明に思い出される。

・・・もし、涙でこの出来事を洗い流せるのなら、
涙が枯れたっていい。一生涙が出なくなってもいい。
「・・・どうして・・・」
どうしてあたしは、あたしの気持ちに自信が持てなかったんだろう?
こんなにも、石川さんへの想いは強いのに。
今更後悔しても・・・、もう遅い。
過去は戻らない。変えられない。

「・・・あたしはどうすればいいんでしょう・・・?」
雨はまだ降り続けているようで、雨音が聞こえる。
「・・・吉澤、お前はどうしたいんだ?」
うつむいて泣いているあたしに、市井さんが話しかける。
「顔を上げろよ吉澤」
「・・・市井さんに泣き顔なんて見せられないですよ・・・」
「前を向け」
今までにない力強い市井さんの口調に驚いて、あたしは顔を上げた。
顔を上げたその先には、じっとあたしを見つめる市井さんがいた。
340 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時43分26秒
「お前はどうしたいんだ?このままでいいのか?」
「嫌、です・・・」
「嫌なら変えろ。・・・吉澤、下を向いてばかりじゃ前に進めないぞ」
市井さんは力強い視線をあたしに向ける。

「・・・好きなんだろ?石川さんのこと・・・」

市井さんの言葉が、広い部屋に響く。
「どっ、どうしてそれを・・・」
「なんかわかっちまったんだ。最近の吉澤見てると、
 仕事中とか、普段の表情が思いつめてるように見えてな」
バレてたんだ・・・。なんか恥ずかしい。
「でも、そうだろう?」
「・・・はい」
すると市井さんは窓を開けて、空を見つめた。
「・・・いちーも、あいつのこと好きになって・・・。
 初めの頃はバレないようにって、隠してたんだ。
 だけど、時間が過ぎていくにつれて辛くなってきてな・・・」
市井さんはタバコを取り出し、口にくわえて火をつける。
薄暗い部屋の中に、ライターの火がゆらゆらとゆらめく。
「ある時、かっこ悪くてもいいから素直に気持ちを伝えちまおう!と思って、
 あいつに正直に言ったんだ、好きなんだって。
 そしたらあいつも好きだって言ってくれて・・・」
タバコの煙がすーっと灰色の空に吸い込まれる。
341 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時44分12秒
「・・・吉澤、自分の気持ちには素直になれ。強がる意味なんてない。
 ふられるのが恐くても、かっこ悪いって思っても、正直に伝えるんだ。
 後悔する事よりも辛い事なんて・・・ないからな」
市井さんはあたしを見て微笑んだ。
そうだよな・・・、あたしは誰にも負けないような気持ちを持っているんだから、
何も恐れるものはないはず。
あたしは、ふられるよりも後悔する方が・・・嫌だ。
「・・・わかりました」
あたしは自信を持って言った。
そんなあたしを見て、市井さんはふっと笑った。
「・・・よし、じゃあ家へ戻れ。いちーが言えるのはそこまで。
 あとは吉澤が決めることだ」
「はい」
「一度招いた誤解を解くのは、難しい事だけど、
 強く想えば、自分を信じればきっと大丈夫だから」
そう言う市井さんの表情は穏やかで。
「・・・市井さん、本当にありがとうございます」
「これくらいいいよ。・・・じゃあ、頑張れ」
342 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時45分10秒
「・・・はい!」
あたしは今まで見られなかった市井さんの目をしっかり見て言うと、
すっかりぬるくなってしまったホットミルクを一気に飲み干した。

泣いてばかりはいられない。
泣かせてばかりはいられない。
涙はもう・・・十分。

あたしはゆっくり立ち上がると、深呼吸をした。
窓から新鮮な、すこし湿った空気が入ってくる。
「じゃあ市井さん、あたし・・・行きますね」
「おう。じゃあまた明日な」
市井さんに別れを言うと、あたしは外へ出た。
雨はまだ止まず、雨の音が暗闇を一層不気味にさせている。
時刻は8時。
壁に立てかけられていた傘を手に取ると、
「・・・よし!」
あたしは家へと急いで駆け出した。
涙はもういらない、と、透明な傘をさして。



家に着くと、昨日とは違い電気が消えていた。
なんだろう・・・。まさか出て行った、とかじゃないよね?
恐る恐る、ドアを開ける。
「ただいま・・・」
返事は返ってこない。
くつを脱ぎ、電気をつけながら進む。
343 名前:Only 10 Days ―8日目― 投稿日:2003年03月31日(月)15時46分17秒


「石川さん・・・」

あたしがキッチンで見たのは、泣き疲れて眠っている石川さんの姿だった。
目が赤くなっているのが、寝てしまっていてもわかった。
あたしはそんな石川さんの姿に、何も言えなかった。
テーブルにあったティッシュを片付けると、
昨日と同じように石川さんをベッドへ運んだ。
服は少し湿っていて、このままじゃカゼをひいてしまうと思って、
毛布をもう1枚掛けてあげた。
ゆっくりとドアを閉めると、あたしはソファへ寝転んだ。

・・・雨の音が聞こえる。
でもその音も、前よりはだいぶ小さくなった。
「うあ~・・・」
ソファの上で大きくのびをする。
ふっと、今日の出来事が浮かんでくる。
どうしてあの時、あたしはあややを止める事ができなかったんだろう・・・。
・・・過去のことを思い出すのは止めにしよう。
前に進むって決めたんだ。
「・・・とりあえず、寝よう」
あたしは少し乱暴に、クッションに顔をうずめて目を閉じた。
344 名前:池孫四葉 投稿日:2003年03月31日(月)15時55分12秒
8日目終了です。
10日間まであと少しですよ~。

>名無しどくしゃさん
自分は切ないシーンを書いていると切なくなるので苦手です(w
あややは一途なんで、許してやって下さい(ニガワラ

>327さん
吉澤さん、やっと決意をしたので大丈夫かと。
でも、これから重大な決断を迫られるんですねー。
何かは言いませんが(w

>ラヴ梨~さん
ここのシーンは早く書きたくて仕方ありませんでした。
でも書いてみると結構難しかった(ニガワラ

>329~332さん
ご迷惑おかけしました・・・。本当にすみません!
でも絶対に完結させます。
レス、まとめてしまってすみません・・・。

>336さん
長い間すみませんでした・・・。
近いうちに9日目を更新しようと思っています。
もう少しで書き上げますので。
345 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月31日(月)17時16分30秒
おぉぉ~、更新されてる~!
うれすぃ~でっす。
やっと気持ちに気づいた吉澤さんの9日目が楽しみです。
よしあやも密かに好きなんですが(ぼそ)
346 名前:ナナシーナ 投稿日:2003年03月31日(月)20時41分10秒
待ってましたよぉ~~~
絶対放置しないで完結して欲しいっす。

こっからの、よすぃこの踏んばりに期待ですぅ~
347 名前:ラヴ梨~ 投稿日:2003年04月01日(火)01時21分31秒
よっすぃ~石川さんを慰めてあげてくれ~
いつまでだって待ちますよ作者さん!!
かれこれ一年はファンですから
348 名前:毎日読者 投稿日:2003年04月01日(火)01時44分02秒
続きだ~
期待してます!!
349 名前:ボブ島教授 投稿日:2003年04月01日(火)21時29分49秒
うーー。更新が待ち遠しいです!!がんがってください。
350 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時30分31秒


「はぁ・・・」


・・・結局、謝る事ができなかった。
そのまま会社へ出勤。
石川さんの少し腫れている目をどうしても見ることができなくて・・・。
石川さんも、あたしと目を合わさないようにしていたみたいで。
本人は隠していたようだったけどバレバレだった。
会話だって、必要最低限の事しかしてないし。
あ~・・・、こんな調子で大丈夫なのかな、あたし。
・・・む~、やめやめ!今は仕事に集中しなきゃ!
ミスしたら保田さんに怒られる~!

「・・・おはよーございます」
あたしが仕事を始めようとしたその時、あややがあいさつをして入ってきた。
・・・心なしか、あいさつに元気がなかった気がする。
「・・・あ・・・」
あややを何気なく見ていたら、目が合ってしまって思わず目をそらしてしまった。
「・・・先輩、おはようございます」
「・・・おはよう、あやや」
うっ、気まずい。
そりゃそうだよな、昨日が昨日だから・・・。
・・・そうだ、あややにちゃんと言わなきゃ。
あたしは立ち上がって、あややの方へと向かった。
351 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時31分45秒
あややは自分のイスに上着を掛けて、仕事の準備をしている所だった。
あたしはあややの方をぽん、と叩いた。
「あ・・・、先輩・・・」
「あのさ・・・、ちょっと話があるんだけど・・・いいかな?」
「・・・はい」
あややはゆっくり立ち上がると、あたしの後ろをついてきた。
あたしは何も言わず、休憩室へと向かった。


休憩室には相変わらず誰もいなくて、自動販売機の動く音だけが響いている。
あたしはあややの方を向いたけど、あややは顔を上げない。
黙ってても仕方ないし・・・。話そう。
「あのさ、あやや・・・、カゼ、ひいてない?」
「いえ・・・。先輩こそ、大丈夫でしたか?」
「あたしは・・・、大丈夫」
少しの間が空く。
あややは依然として顔を上げない。
本当はあややの顔を見て話をしたかったんだけど、
それでもあたしは本題に入った。
352 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時32分21秒
「・・・あのさ、昨日も言ったけど・・・。あたし、あややのこと、
 恋人としては見れないよ・・・。だから・・・ごめん」
「・・・」
「あややのこと、嫌いな訳じゃない。
でも、あややはあたしにとって妹みたいな存在だから・・・」
あたしが言い終えると、あややはゆっくりと顔を上げた。
目にはうっすらと涙を浮かべている。
「・・・わかってました」
「え?」
「こう、先輩が答えること、わかってました・・・」
あややはゆっくりと話し始めた。
「昨日も言いましたけど・・・、松浦、石川さんの事知ってました。
 先輩、石川さんというお手伝いさんが来てからいつも笑顔で、
 きっと先輩はその人のこと好きなんだろうな、って思ってました・・・」
あややの目からすっと涙がこぼれる。
「あきらめなくちゃいけない、そう思ってたんですけど、
 一度好きになった気持ちはどうしようもなくて・・・」
「あやや・・・」
「昨日は・・・すいませんでした。お先に・・・、失礼しますね」
あややはあたしに一度笑顔を向けると、走り去って行った。
こうするしか、なかったんだよな・・・。
あたしは気持ちを入れ替えて、仕事へと戻った。
353 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時32分56秒


「市井、それから吉澤、ちょっと来てや」


昼休みが終わり、仕事を始めていると急に平家さんに呼ばれた。
なんだろう・・・突然。
周りのみんなも、不思議そうな顔であたしと市井さんを見ている。
「吉澤、お前何か悪い事したんじゃないだろうな?」
「市井さんこそ、借金しすぎて自己破産とか・・・」
「するかっ!」
「何言うてんねん。ま、入りや」
平家さんに連れられてやってきたその先は社長室。
狭い会社でも一応社長室は立派で。
普段こんな所に近づかないから緊張する~!
「失礼します」
あたしは身を引き締めて社長室へと入った。


「まず、座り」

あたしと市井さんは一礼してイスへと座った。
ちょっと固まりながら平家さんを見る。
「2人を呼び出したんは、他でもない、重要な話があるからや」
そう言うと、平家さんは書類を2つ、机上へと出した。
「えっ!これって・・・!」
「そうや、恒例のアメリカ研修のお誘いや」
平家さんはそう言ってにいっと笑った。
354 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時33分45秒
この会社では2年に1度、アメリカ研修に代表者が行ける。
平家さんは意外と顔が広いらしく、
日本だけでなくアメリカにも知り合い多く、この研修が実現している。
この研修に行った人の中には、独立し成功している人もいるって話。
将来独立を目指している人には大きなチャンスであるわけで。
独立を目指していなくても、これはすごい経験になる。
「最終決定は2日後や。これは強制参加やないから、無理して行くこともないで。
 研修期間は1年ぐらいにもなるから、よーく考えて決めなあかんよ」
平家さんは真剣な顔で話す。
「あの・・・、毎回1人のはずでは・・・?」
市井さんが質問する。
「あぁ、今回はな、1人に絞れなかったんや。せやから2人ってことになってな。
 2人だからって内容が薄くなったわけやないから安心し」
1人に絞れなかったって・・・。
どうしてだろう?市井さんが選ばれるはずなのに、どうしてあたしまで・・・。
355 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時34分28秒
「ん?どうした吉澤。浮かない顔して」
「あ、いや・・・。どうして自分が選ばれたんだろうって思ったんです。
 市井さんとあたしの差は明らかなのに」
すると平家さんは笑って、あたしの顔を見た。
「吉澤・・・、お前なぁ、もっと自分に自信持ち?
 確かに市井に比べりゃ吉澤は劣ってるかもしれん。けどな、それは経験の差なんよ。
 吉澤には無限の可能性があると思ってんのや。市井もやで?
 うちはな、あんたら2人に期待しとんのや。自信持って頑張り!」
平家さんはあたしと市井さんに優しい笑顔を向けた。
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
「はは、ええよ。とりあえず、仕事に戻り。明日も話あるから」
「はい。では失礼します」
「失礼します」
あたしと市井さんは書類をきちんと持って社長室を出た。
ガチャリと音を立ててドアが閉まる。
356 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年04月03日(木)18時35分36秒
「はぁ・・・、緊張した・・・」
あたしは思わず大きなため息をついてしまった。
いくらあたしと平家さんの距離が近くても、
社長は社長だからかなり緊張する。
「いちーも。こんなに緊張したのって久しぶりだよ~」
隣で苦笑いする市井さんを見て、あたしはふきだしてしまった。
「なっ、なんで笑うんだよ!」
「だって・・・、いつもクールに決めるのに珍しいなって思って」
「いちーだって緊張ぐらいするって!」
あたしと市井さんは、緊張の糸が切れて、何気ない事でも笑いあってしまった。
「じゃあ、頑張ろうぜ、お互い」
「はい!」
あたしは市井さんと別れると、すぐに仕事へと戻った。
357 名前:池孫四葉 投稿日:2003年04月03日(木)18時44分34秒
9日目、更新です。
次の更新で吉澤さん、勝負です。

>345さん
よしあや好きですか。実は自分もだったり(w
完結したら少し短編でも書こうかなと思ってたんですけど、
容量余るかな?

>ナナシーナさん
放置は絶対しません!
今度長編書くときは全部書き上げてから更新します(ニガワラ

>ラヴ梨~さん
ありがとうございます!励みになります~!
吉澤さんはこれからが勝負!ですね。

>毎日読者さん
ありがとうございます!
これからも読んでいただけると嬉しいです!

>ボブ島教授さん
今回の更新でストックが減ってしまったので、
今度はいつになるかわかりませんが、
できるだけ早く更新するように心がけます!
358 名前:ラヴ梨~ 投稿日:2003年04月04日(金)12時02分26秒
急展開ですね!!
2日後には契約切れで梨華ちゃんとお別れ…
しかも研修で海外へ…
どうするんだよっすぃ~!!
359 名前:LOVEチャーミー 投稿日:2003年05月05日(月)15時07分13秒
保全。
360 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月16日(金)11時47分19秒
吉澤さんの勝負を待ってる読者がいます。
つ、続きを・・・。
361 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)19時57分26秒


「よしっ、今日はこれでおしまいっと」
あたしは終えた仕事をとんとん、と揃えた。
この揃える瞬間がいいんだよね~。
時計を見ると、6時をまわった頃。ちょうどいい時間だ。
適当に必要なものをバッグに詰め込む。
「じゃあ、お先失礼します」
残っていた人たちに挨拶をすると、会社を出た。


外へ出ると辺りは薄暗くなってきていた。
通りには帰る人々があちらこちらに散らばっていた。
そんな中を1人もくもくと歩いていく。
・・・帰ったらすぐに石川さんに謝ろう。
悩んでばかりじゃ仕方ないし。
本当のことを言えば、きっとわかってくれるはず。
そう思いながら、歩くスピードを速めていった。


スピードをあげたおかげで、ずいぶん早く家に着いた。
早く着いた代わりに、少し息が上がってしまった。
・・・運動不足かなぁ・・・。
ドアを開けて家に入る。
「ただいま~」
「あ!・・・おかえり、なさい」
ぱたぱた、と嬉しそうに走ってきた石川さんは突然うつむいてしまった。
やっぱり気にしてるのかな・・・。
362 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)19時59分17秒
「あの・・・石川さん、ちょっと話があるんですけど・・・、待ってて下さい」
あたしは石川さんを見ながら言った。
だけど石川さんはうつむいたままで。
その後すぐに着替えに行ったから本当かわからなかったけど・・・、
石川さんは、泣きそうな顔をしていたように見えた。


「石川さん、ここに座ってください」
着替えを終えて出てきたあたしがそう言うと、
石川さんは一瞬戸惑ったような表情を見せたけどすぐに座った。
あたしも続けて隣に座る。
・・・微妙な沈黙の時間が流れる。
あたしは思い切って話を切り出した。
「あの、ですね・・・。昨日のことなんですけど・・・」
「・・・はい」
あたしは身体ごと石川さんの方を向いた。
「本当に・・・、すみませんでした!」
すると、石川さんは驚いて顔を上げた。
「いえっ、そんな、吉澤さんが謝る必要は・・・」
「いいんです。もし自分が悪くなかったとしても、
 あたしは今まで石川さんにたくさん迷惑掛けてきたし、謝らなくちゃいけないなって思うんです」
あたしは続けた。
「昨日のあの子はあたしの後輩で・・・、恋人とか、そういう間柄じゃないんです。
 だからなんだって感じですけど・・・」
363 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時00分28秒
あたしは話している途中で気付いた。
別に石川さんがあたしのことを好きだっていうわけじゃないのに、
あややとは恋人じゃないって言っても普通に思うだけだ。

「あの・・・吉澤さん?そんなに悲しい顔しないで下さい・・・。暗い話をするなんて、
 吉澤さんらしくありませんよ?」
あたしははっと気付くと、そこには石川さんの笑顔があった。
「あの時はびっくりしてしまって・・・。・・・私は吉澤さんの恋人でも、
 なんでもないのに泣きそうな顔をしてしまって・・・。
 謝らなければいけないのは私の方です。すみませんでした・・・」
そう言うと石川さんはぺこりと頭を下げた。
「いやっ、あのでも・・・」
「吉澤さん、この話はやめにしましょう?お互いに辛くなるだけでしょうし・・・。
 夕食ができてますから食べましょう?」
「・・・そうですね!」
石川さんがあまりにも笑顔で言うから、あたしもつられて笑った。
確かにこのまま話を続けていれば、埒があかなかっただろうし・・・。
とりあえず、誤解は解けたみたいだから安心した。
364 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時01分16秒
そのあとあたしは、石川さんとの久しぶりの夕食を楽しんだ。
2日連続で夕食を食べられなかったし、
一緒に食事をしても、・・・逆に辛い日もあっただろうし。
こうくだらない話で盛り上がって、おいしい夕食をゆっくり食べられるのって、
本当に幸せなことなんだなぁ・・・。

・・・ふと、机の上に置いていたアメリカ研修についての書類に目がいく。
・・・どうしよう。すごく行きたいけど・・・。
どこか迷っているあたしがいる。決定は明後日なのに・・・。
市井さんは迷わず行く!って決めてるんだろうなぁ・・・。
「どうしたんですか?早く寝ないと明日のお仕事に響きますよ」
あたしははっとして振り返ってみると、石川さんが部屋に入ってきた。
「これ、洗濯物です。ここに置いておきますね」
石川さんは、ベッドの脇に丁寧にたたまれた洗濯物を置いた。
「じゃあ・・・、早く寝てくださいね」
「いっ、石川さん!」
「はい?」
部屋から今にも出て行きそうな石川さんを、あたしは急いで呼び止めた。
石川さんは首をかしげてにっこりと笑う。
・・・あの時約束した事、石川さんは覚えてるかな・・・?
あたしはおそるおそる、石川さんに尋ねてみる。
365 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時02分13秒
「あの・・・、前に一緒に寝ようって約束した事、・・・覚えてます?」
すると石川さんの顔はみるみるうちに赤くなって。
「・・・はい」
小さく、か細く答えたのをあたしは聞き逃さなかった。
じゃ、じゃあ・・・。
「じゃあまた今日から、一緒に寝てもいいですか・・・?」
「・・・はい」
本当?本当にいいの?
「わっ、私着替えてきますね!」
石川さんは顔を赤くしたまま、早口で言ってすぐ部屋を出て行った。
・・・良かった。覚えててくれたんだ・・・。
仲直りして、すぐじゃガツガツしてそうで嫌かなって思ってたから、すごく安心した。


しばらくすると、石川さんが着替えて部屋に入ってきた。
あたしは先にベッドに入ってたから、壁際に寄った。
石川さんがゆっくりとベッドに入ってくる。
う~・・・、なんかすごくドキドキしてきた・・・。
石川さんがちゃんとベッドに入ったのを確認すると、ライトを消した。
部屋の中がすっと闇に包まれる。
昨日とは違って雨の音もなく、とても静かだ。
366 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時03分07秒
「・・・なんか久しぶりですね、こうやって話すのは」
「そうですね~・・・。遊園地に行った前の日以来ですからね」
おとといはあややと飲んで、昨日は・・・、まぁいいや。
「・・・そういえばさっき、吉澤さん机の前でぼーっとしてましたけど、
 どうしたんですか・・・?」
「え・・・?あ、あれかぁ」
あたしは数分前の事をふっと思い出した。
アメリカ研修の書類を眺めながら悩んでいた時の事だ。
このこと・・・、石川さんはどう思うだろう?
別にあたしなんかがアメリカへ行っても、寂しくないよね・・・?

「実は、社長からアメリカ研修をすすめられて」
「アメリカですか!?すごいですね!」
石川さんは驚きと嬉しさが混じったような顔であたしを見る。
暗闇に目が慣れてきたのか、表情がはっきりとわかる。
「どうしてあたしが選ばれたのかなって思うんですけどね」
あたしは苦笑いしながら言う。
いくら平家さんに自信を持てと言われても、
どうしてあたしが、っていう疑問は取り払えない。
あたしの他にも、実力がある人はたくさんいるはず。
保田さんは以前研修に行ってるけど、
同期のごっちんだって、後輩のあややだって。
可能性だったら、2人にだってたくさんあると思う。
367 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時03分48秒
「でも・・・、社長さんは吉澤さんを選んだんですから、自信を持つべきですよ。
 他に良い人がいたとしても、社長さんが吉澤さんを認めた事には変わりありませんから」
「そう・・・ですかね?」
「そうですよ、きっと!」
石川さんがあたしを励ましてくれてるって思うと、なんか元気が出た。
しっかり自信を持って前を向こう。
あやふやなまま前に進もうとしても進めないだろうし、
せっかく認めてくれたんだから、他のみんなにも悪い。

「ところで、その研修ってどのくらいなんですか?」
「約1年ぐらいですかね。詳しくは明日聞くんですけど」
「い、1年ですか・・・」
・・・ん?どうしたんだろう?
さっきの笑顔とは正反対に泣きそうな顔をしている。
「あ・・・、あたし、変なこと言いました?」
「いえ・・・、なんでもないです。研修、頑張って下さいね」
そう言って石川さんは優しく笑った。
でもその笑顔が、あたしには苦しく見えて。
気になったけどあえて聞かないでおいた。
368 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時05分07秒
それから他愛のない話をして、あたしたちは眠りについた。
・・・とは言っても、眠っているのは石川さんだけ。
あたしは考え事が多すぎて、どうしても眠れなかった。
・・・アメリカ研修。
確かに行きたい気持ちはあるけれど、何かあたしを止めようとするものがある。
それは何なのかまだはっきりしていないけど・・・。
あたしはその何かをはっきりさせてから決めたい。
・・・だけど、時間がない。

「・・・ん~・・・」
隣で寝ている石川さんが寝返りを打ってあたしの方を向く。
わ、いい香り。
シャンプーの香りかな?
石川さんの寝顔はまるで天使のようで。
「くそぅ・・・。石川さん、かわいすぎですよぅ・・・」
あたしは答えが見つからないもどかしさを、
人差し指で石川さんのほっぺにやつあたりしてみる。
・・・うっわ、やわらけー。ぷにぷにしてるよ~。
と、石川さんが目を覚ました。
やべっ!起こしちゃったかな・・・?
369 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時05分55秒
「すいません石川さ・・・ってうわっ!」
どうやら石川さんは起きてはいなかったみたいだけど、
何を思ったのかあたしの方へとぐいっと近づいてきた。
近づく、というよりは抱きついてきた感じで。
顔と顔との距離はわずか数センチ。
どのくらい近いかっていうと、その・・・、
顔を傾けるとすぐキスができちゃう・・・、そんな近さ。
もちろん、あたしは突然の出来事に心臓バクバク。
どっ、どうしよう・・・。
いや、どうしようも何も、普通に眠ればいいじゃないか!
でも、それができないから困ってるわけで。
好きな人を、大好きな人を目の前にして、普通にしてなんていられない。
どうしても、気になって眠れない。
370 名前:Only 10 Days ―9日目― 投稿日:2003年05月17日(土)20時06分28秒


ほっぺぐらいなら、・・・いーよね?


あたしは決心してゆっくり、ゆっくりと近づく。
石川さんのキレイなほっぺに優しく口づける。
・・・人間は、欲深い生き物だとつくづく思う。
どうしようもなく、本当にキスしたい気持ちが溢れてきた。


・・・寝てるから、大丈夫だよね・・・?


少し罪悪感を感じながら目を閉じる。
あたしの心臓の音がすごく大きく、速く聞こえる。
ばくばく、ばくばく。
心臓の音で身体が動きそうになるのを必死に抑える。
と、その時突然あたしは強い睡魔に襲われた。
あと、あとちょっとだけでも・・・。
だけどその願いもむなしく、あたしの意識はくちびるの直前で途絶えた。
371 名前:池孫四葉 投稿日:2003年05月17日(土)20時12分40秒
9日目、終了です。
人間は誰だって眠くなります、どんなにいい場面でも(w

>ラヴ梨~さん
さ~て、どうなるんでしょう(w
ただ、これ以上の波乱はないですね。よい波乱はありますが(イミシン

>LOVEチャーミーさん
ありがとうございます!保全して下さるみなさんにはとても感謝してます。

>360さん
長い間更新していなくて申し訳ありません・・・。
気合を入れなおして、ラスト、頑張ります。
372 名前:ヤグヤグ 投稿日:2003年05月20日(火)17時34分37秒
>と、その時突然あたしは強い睡魔に襲われた。
>あと、あとちょっとだけでも・・・。
>だけどその願いもむなしく、あたしの意識はくちびるの直前で途絶えた。

最後の3行、笑いました。
いよいよラスト1日ですか。
終わりが近づいてくるのは寂しいけど、楽しみに待ってます。
頑張ってください。

373 名前:LOVEチャーミー 投稿日:2003年05月27日(火)18時44分16秒
次の更新期待してます。いしよしバンザーイ!
374 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月05日(木)16時36分58秒
10日目がマチドウシイです。
マターリ待ってますので、(・∀・)イイ!!もの期待してます。
375 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)09時25分10秒
(0^~^)保 全( ^▽^)
376 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月20日(日)22時59分42秒
保全しま~す
377 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月07日(木)22時52分55秒
10日目、楽しみに待ってますよ~
378 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月20日(水)20時04分02秒
ho
379 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 23:01
保全
380 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/17(水) 00:14
ochi
381 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 23:05
保全
382 名前:池孫四葉 投稿日:2003/10/02(木) 22:08
本当に申し訳ありません!
いろいろ話を練っているのですが思い通りにいかなくて・・・。
言い訳がましいですが・・・。
でも、いい作品を残したいという気持ちは変わっていません!
もし、スレが落ちていてもどこかにアップする予定でいます。
できるだけ早く更新しますので、もうしばらくお待ちください。。。
383 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/08(水) 08:37
待ちます。
384 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:41
あたしが目を覚ますと、辺りはまだ薄暗かった。
時計を見ると、6時ちょっと前。
出勤までまだまだ時間があったけど、起きる事にした。


・・・そういえば、昨日は・・・。
あたしってば、キスする寸前で寝ちゃったみたい。
断りもなしにキスするなんていけないことだろうけど、
やっぱり後悔の念が残るなぁ・・・。
上体を起こした状態で、あたしははぁ、とため息をついた。

ベッドから下りてキッチンへ行くと、
石川さんがちょうどエプロンをかけたところだった。
「あ・・・、おはようございます。今日は早く出るんですか?」
「いや、目が覚めちゃって・・・。どうせだし早く起きようと思って」
「そうなんですか~。でも、こんなに早く起きても、何かすることなんて・・・」

・・・忘れてた。
早く起きたのはいいけど、特にする事なんてない。
TVを見る気分じゃないし(どうせ仏教の番組だ)、
石川さんを見ていたい・・・なんて恥ずかしい事言えないし。
・・・あ、そうだ!
385 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:43

「じゃあ石川さん、何か手伝う事あります?」

ダラダラしてるよりは少し動いてた方がいいし、
・・・石川さんと一緒にいれる・・・かもしれないし。
「う~ん・・・、じゃあ、一緒に朝食を作りますか?」
石川さんの笑顔の提案に、あたしが反対するわけもなく。
2人で朝食を作る事になった。



「あ・・・、そうですそうです。吉澤さん上手ですね~」
「そりゃ少しは・・・。一応1人暮らししてますから~」
長い間使ってなかったエプロンをつけて、キッチンに立っているあたし。
う~ん、なんか・・・変だ。
一応1人暮らしには困らない程度の料理は1通り出来てたけど、
毎日仕事中心に生活してきたからなぁ・・・。
そんなあたしは専ら切るとか、むくとかそういう係。
やっぱり味付けは・・・、自信がない。
「吉澤さん、やればできるんじゃないですか~」
「面倒でやってなかったんですよ」
「いくら面倒でも、食事は大切ですよ」
だよな、食事は大切だよね。
腹が減っては戦はできぬって言うし。もっと気をつけないと。
386 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:43
「・・・吉澤さん、早くお豆腐切って下さいよ~」
「うわぁ!すいません!」
少しぼーっとしてたのかな?
あたしってば、豆腐一丁切らないでみそ汁に入れるところだった・・・。
・・・てか、豆腐ってどうやって切るべき?
手の上に乗せて、うちの母さんはやってたけど、
そんな達人芸みたいなこと、あたしには恐くてできない。
「・・・私が切りましょうか?」
「すいません、お願いします・・・」
はぁ、あたしってばすっごく情けない。
いくらなんでも、みそ汁に入れる豆腐ぐらい切れないとなぁ。
一方、石川さんは手際よく豆腐を切っている。
もう、何というか、ホント鮮やか。母さんそのもの。
むしろ、母さんより上手。仕事柄そうなんだろうけど。
こんな嫁さん欲しいなぁ・・・。


それから石川さんは手早く料理していって、朝食が出来上がった。
まるであたしの出番ナシ。でもこれは当然。
「いただきまっす!」
「いただきます」
うっは!やっぱり石川さんの料理は最高だ!
あたしも少しは料理の腕、上げなくちゃなぁ。
387 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:45
真ん中にあるおかずに手を伸ばした時、
石川さんのはしが止まっているのに気付いた。
「どうしたんですか・・・?食欲がないとか?」
「いえ、そんなことはないんですけど・・・。
・・・吉澤さんに、言わなくちゃいけないことがあって」
「え・・・?」
石川さんの真剣な顔に、あたしは出している手を引いた。

「実は、次の訪問先が決まったんです。昨日、社長から電話があって」
「へぇ・・・、そうなんですか~・・・」
「今日で最後ですね。吉澤さんとこうしていられるのも」
・・・そうだ、今日が石川さんが来てからちょうど10日目。
明日からは、石川さんのいない生活に戻る。
「早かったですね、10日間」
初めのうちは戸惑いもあったけれど、
今じゃ石川さんの存在が当たり前になってた。
でも、もうそれも・・・今日限り。
「まだ、別れるまで時間はありますけどね」
少し笑いながら言う石川さんの表情は心なしか暗くって。
石川さんは、仕事が終わりに近づくたびに、こんな思いしてたのかな・・・。
388 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:45
・・・そうだ!
「石川さん、今日の夜、パーッとやりませんか?」
「え?」
「あたし、絶対早く帰ってくるんで!酒でも飲んで騒ぎましょうよ!」
お別れパーティーは、湿っぽくやるもんじゃない、
騒いで明るくするのがいいんだ!って市井さんが言っていたのを思い出した。
「そう・・・ですね!じゃあ、ごちそう作って待ってますから」
石川さんの表情に笑顔が戻った。
ふぅ、これで一安心。安心して時計を見ると・・・。
げっ!もうこんな時間!?
会社に遅れる~!!
「やっばい!急いで支度しないと!」
「だ、大丈夫ですか?」
石川さんが心配そうに見守る中、あたしは超スピードで支度を終えた。
あたしってば・・・、こういうことは得意なんだよねぇ~。


「じゃあ、・・・行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
きっと、これが最後のお見送り。
言わなくても、石川さんは気付いてるはず。
遅れそうなのもそうだったけど、石川さんの姿を見るのが辛くって、
いつもは1回だけ振り返って手を振っていたけれど、
今日だけは・・・、あたしは振り返らずに走り出した。
389 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:46


「あれ~?よしこ、今日は遅いんだね~」
「はは・・・、ちょっとね」


なんとか間に合ったのはいいけど、
もうみんな出勤していてあたしが1番遅かった。
「休みかと思ったぞ」
「あ・・・市井さん。おはようございます」
あたしの後ろから現れた市井さんが、あたしの頭をぽん、と叩く。
「考えはまとまったのか?」
「いや・・・、まだです」
「そっか・・・。ま、あんまり焦るなよ」
「市井さんこそ、焦らないで下さいよ~?」

と、その時、あたしは市井さんの目が充血している事に気付いた。
「・・・市井さん、寝不足ですか?」
「はは・・・、ちょっとな」
「きのー、ごとーとえっちなことしてたんだもんねー」
「え?」
「ばっ・・・、バカやろう!そんなんじゃないっ!」
あわてふためく市井さんと、余裕の笑みを浮かべているごっちんの姿は、まさに滑稽。
いつもはクールなのに、ごっちんがからむとこうだもんなぁ~。
390 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:47
「吉澤っ!そんなんじゃないからなっ!?」
「はーい。わかりました~」
「そんなに照れなくてもいいのにぃ」
「まだ言うか後藤っ!」
あたしはそんな2人を見て、朝からいい気分で席に戻ろうとすると、
目の前にあややが立っている事に気付いた。
「あ、あややおはよう」
「おはようございます。・・・先輩、ちょっと・・・いいですか?」
「あ、うん・・・」
あたしはあややの複雑そうな表情に驚きながらも、
何も言わず、あややの後をついて行った。



着いた先は、もうお決まりと言っていいくらいの休憩室。
相変わらず人はいない。
「もう、終わった事を掘り返すみたいで悪いんですけど・・・」
「うん、何?」


「松浦、先輩のことふっ切れるって決めました」


あややはにこっと笑って、あたしを見る。
その笑顔は、女子中学生のようなさわやかさを感じた。
391 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:48
「いろいろ考えたんですけど・・・、ずっとウジウジしてても何もなんない、
 新しい恋、見つけなくちゃ!って思ったんです」
そう言うあややの表情は明るかったけど、どこか、強がっているように思えて。
あたしはちょっと・・・、胸が苦しくなった。
「なんか・・・ごめんね?あやや・・・」
「どうして先輩が謝るんですか?先輩は悪い事なんて全然してないのに・・・」
「でも・・・」
元はといえば、全てあたしの優柔不断さが招いたこと。
全て、あたしが悪いのに・・・。
「謝るくらいなら・・・先輩、あたしの恋に負けないような、そんな恋をして下さい。
 先輩が幸せなら、松浦も幸せですから」
あややは目にうっすらと涙を浮かべていた。
昨日の涙とは違う、強い意志を持った涙を。
あたしはそんなあややの姿に胸を打たれた。
392 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:49
「・・・わかった。ありがとう、あやや。あたし・・・、あややの新しい恋が、
 いい恋になるように応援するよ」
「ありがとうございます・・・。先輩も、頑張って下さい」
「うん。・・・じゃあ、先行くね」
「あっ、先輩!」
仕事に戻ろうとするあたしを、あややは急いで呼び止めた。

「こんなこと言うのはえらそうな感じがするんですけど・・・、1つだけ。
 幸せはすごく身近にあります。でも、その存在が当たり前すぎて、見失ってしまう事があります。
 何気ない幸せが最高の幸せですけど、その幸せを・・・大切に、大切にして下さい」
あややはゆっくりと、静かに言った。
何気ない幸せが、最高の幸せか・・・。
「・・・ありがとうね、あやや」
あたしはあややに笑顔を向けると、階段を駆け上がった。
393 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:49


「市井、吉澤、ちょっと来てや」


昼少し前に、昨日と同じように平家さんに呼ばれた。
きっと、アメリカ研修の話だ。
市井さんと一緒に社長室に入り、あたしたちが席に着くと平家さんは話し始めた。
「さて、今日はより具体的な話を・・・」
隣の市井さんは身を乗り出して、何かメモしながら熱心に聞いている。
一方あたしは、なんか内容が頭に入っていかないというか・・・。
右耳から入って左耳から抜けていってる感じ。
きっとこれは・・・、まだ迷ってるからだ。

アメリカへ行きたい気持ちは強い。
だけど、夢を叶えるためには、失わなきゃいけないものも多々ある。
その失うものが恐くて、はっきりと決めることができない。
もし、その失うものが、今感じている幸せだとしたら・・・。


「・・・ということや。吉澤、聞いとるか?」
「・・・えっ?あっ!す、すいません!」
「仕方ないヤツやなぁ。ま、今日の話はたいしたことないしな。
 よし、今日はこれでしまいや」
「ありがとうございました」
「あ、ありがとうございました」
一礼して、社長室を出る。
うわ~、ヤバイ。全然聞いてなかったよ~・・・。
後で市井さんに聞こう。
394 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:50
時計を見ると、ちょうど昼時。
周りのみんなは外に食べに出たり、弁当を広げたりしている。
「なぁ、吉澤、お前昼飯どうするつもりだった?」
と、市井さんが自分の机から顔を出してあたしに問いかける。
「今日の朝はバタバタしてて、弁当作ってもらうの忘れてたんで、
 外で済まそうと思ってましたけど・・・」
いつもは石川さんが弁当を作ってくれてたんだけど、今日は何かとバタバタしてたから、
あたしも石川さんも弁当の事をすっかり忘れてしまっていた。
「そっか・・・、じゃあ、いちーと食べに行くか!おごってやるよ」
「えっ!本当ですか」
「お前に用があるしな」
市井さんは財布を手に取ると、1人でさっさと出て行ってしまったので、
あたしも念のため財布を持って市井さんの後を追いかけた。


「じゃあ、サンマ定食2つ」
「かしこまりました」


着いた先は、やっぱり定食屋。
最近見つけた穴場なんだ、と市井さんが嬉しそうに言ってた。
店内にはまぁまぁ人が入っている。
395 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:51
「・・・市井さん、珍しいですね、おごってくれるなんて」
「まぁな。いちーだって後輩とコミュニケーションとらなきゃだろ?」
市井さんはあたしを見てニヤッと笑う。
はは・・・、どう反応したらいいのか・・・。
「あ、あたしお冷やのおかわり貰ってきますね」
「おう、よろしく」
あたしはコップを両手に席を立つと、お冷やのおかわりを貰いに行った。
・・・いや~、珍しい事もあるもんだなぁ。
あの市井さんがごっちん以外の人におごってくれるなんて奇跡的だよ。

おかわりをもらって席に戻ると、市井さんは何やら深刻な顔をしていた。
「どうしたんですか?市井さん」
「・・・なぁ吉澤、ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・」
「何ですか?」
市井さんが少し身を乗り出す。

「いちーと吉澤、平家さんからアメリカ研修勧められてるじゃんか」
「はい」
「お前は行くのか?アメリカ」
まだ迷ってはいるけど、どちらかと言えば・・・。
「そのつもりです」
「そっか」
・・・ってえ?もしかして市井さん・・・。
「・・・市井さんは行かないんですか?」
「迷ってるんだ」
「え?」
「迷ってるんだよ・・・。行くべきなのか」
396 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:53
あたしは正直、かなり驚いた。
もう市井さんはアメリカ行きを決めていて、迷いなんて1つもなくって。
だから今日も、あんなに熱心に話を聞いていたんだって思ってた。
「どういうこと・・・ですか?」
「・・・いちーは今まで、仕事に対して、誰にも負けない気持ちを持ってきた。
 もちろん向上心だってあるし、いずれは独立だって目指してる。
 だけど・・・、あいつに会ってから、少し変わったんだ」
「ごっちん・・・ですか?」
「あぁ・・・。後藤に会って、好きになって、付き合うようになって・・・。
 それからだよ、今まで仕事一本だったいちーが、
 自分にとっての幸せって何なのか考えるようになったのは」

そういや、保田さんから聞いた話では、
昔の市井さんはすごくトゲトゲしくって、恐くって。
でも、ごっちんと会ってから、すごく優しくなったって・・・。
「確かにいちーは、仕事に対する気持ちは前から変わってない。
 今の仕事からレベルアップしていくには、アメリカ研修は大きなカギだと思う。
 行きたい!・・・けど、どうしても、後藤のことが気になるんだ・・・」
「市井さん・・・」


「なぁ、吉澤。お前なら、仕事と大切な人・・・、どっちを選ぶ?」

397 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/10/15(水) 20:54

市井さんの言葉が、あたしの胸に重くのしかかる。
今まさに、あたしは市井さんと同じことで悩んでいる。
大切な人か、仕事か。
どちらを選ぶかは人それぞれだけど、あたしは一体、どっちが大切なんだろう?
両方を手に入れようとすれば、両方失ってしまう事もある。

どちらか、1つ。
明日が、あたしの決断の時。

「・・・今はまだ、決められません。でも、どちらを選ぶかは、市井さんとあたしでは違うと思うんですよ」
「そっか・・・。そうだよな、ごめんな」
「いえ・・・」


それからアメリカ研修のことになるべく触れないように、
他愛のない話をしながら食事を済ませた。
食事中もいろんなことを考えてたから、サンマの味をよく覚えていない。

・・・あと、半日。
アメリカ行きを決めるのも、・・・石川さんといられるのも、あと半日だけ。
もっと時間が欲しい。
でも時間は待ってくれないし、ただ過ぎるだけだ。

時計を見ると、もうすぐ2時。
そうだ、今日は早く帰るんだったよ!
「よっし!」
あたしは気合を入れると、全力で仕事に取り掛かった。
398 名前:池孫四葉 投稿日:2003/10/15(水) 21:01
10日目、半日分更新です。
かなり長い間、更新していなくて申し訳ありません。。。

>ヤグヤグさん
結局吉澤さんは優柔不断でヘタレですから(w

>LOVEチャーミーさん
10日目はみんな悩んだり、新しい1歩を踏み出したりしています。
立ち止まっているのは吉澤さんと市井さんですね(w
あややの新しい恋の話は、余裕があったら短編ででも書こうかな、と。

>374さん
あと半日、どうなっていくのでしょうか。
ここからはいしよしシーン。どうなるかは秘密です(w

>保全してくれた皆様
本当に心から感謝しています。
私が今こうして更新できたのも、みなさんのおかげです。
できるだけみなさんには迷惑をかけないように頑張ります。
399 名前:LOVEチャーミー 投稿日:2003/10/15(水) 23:00
更新キターーーーーーーーーーーー!
お疲れ様です。作者様!
続きを楽しみに待ってますw
400 名前:ぷー 投稿日:2003/10/16(木) 02:37
どうもお久しぶりです!覚えてますか?ぷーです♪
久々に来てみたらついに10日目になってたので慌ててレスしました!
ムリせず作者さんのペースで更新してくらはい♪
401 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/16(木) 04:25
待っててよかったー。(;;)
でも、もう10日目。もうすぐ終わっちゃうのかな・・・。
ちょっと寂しいけど、先が楽しみでもあります。
402 名前:ホッピー ◆hoppyFIM 投稿日:2003/10/16(木) 23:44
応援してます。まったりと待ってますね。
403 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/11(火) 18:31
続きが読みたいな
404 名前:ヤグヤグ 投稿日:2003/12/03(水) 23:30
更新お待ちしてます
頑張って下さいね
405 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/18(木) 20:57
ho
406 名前:名無し 投稿日:2003/12/23(火) 02:37
更新待ってます
407 名前:池孫四葉 投稿日:2003/12/29(月) 10:30
みなさん、長い間待たせてしまい申し訳ございません。
今日の夜あたりに、最後の更新をしようと思います。
読んで頂けると嬉しいです。
408 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:56


「お疲れ様でした!!」


時刻は5時。あたしってば・・・、天才かも。
「じゃーねーよしこ!」
「じっくり考えろよ!」
市井さんとごっちんの言葉に笑顔で答え、会社から出る。
・・・さてと、まずは酒買わなくちゃね。
日本酒とか缶チューハイよりも、少し値の張るワインがいいよね。
赤か白か迷っちゃうから、あえてロゼにして。
あ!花束なんか買っちゃったりして!
こういう時こそ派手にしなきゃ!
あたしは買って行くものを指折り数えながら、足取りも軽く、家路についた。


いろんな所に寄って、結局着いたのは6時ちょっと過ぎた頃。
まあまあベストな時間かな。
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい!」
ドアを開けると、ぱたぱた、と小走りで石川さんがお出迎え。
中からはすごくいい匂いがする。
409 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:57

「いろいろ買ってきたんですよ!」

あたしは両手いっぱいの袋を高くあげる。
「わぁ、お花まで!」
「2人だけだから、少しでもにぎやかにしようと思ったんです」
あたしが得意げな顔をすると、石川さんの驚きの表情は笑顔に変わって。
「立ち話もなんですし・・・」
「そうですね、早く着替えてきますね!」

あたしは急いで家に入っていくと、そこにはたくさんの料理が並んでいて。
「うわぁ、すごい!今までで1番すごくないですか?」
「ちょっと頑張っちゃいました!」
すげー・・・、石川さん、マジ料理の天才だよ!
「・・・あたし、着替えてきますねっ!」
「はい!」

部屋に入って、ちゃっちゃと着替えて再びキッチンへと向かう。
するとテーブルの上には、さっきの花が飾られていた。
「キレイですね、このお花。吉澤さんが自分で選んできたんですか?」
「思いつきで選んだんですけどねぇ」
「センスありますよ、吉澤さん」
「ははっ、そうですかね?」
あたしは照れながら席に着いた。
「じゃあ、いただきましょうか」
「よっし、いただきます!」
410 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:57
それからあたしと石川さんは、テーブルに並んだ料理をほおばりながら、
この10日間の思い出を話した。
初めて会った日のことや、遊園地へ行ったこと。
風の強い日の夜のことや、雨の日のこと・・・。
話しても話しても、会話が途切れる事はなくって。
食も酒も進んで、いつのまにか10時近くなっていた。

「石川さん、結構酒強いんですね」
「いえいえ、あまり飲んでいないだけですよ」
「そうですかね~?」
すでに酒はなくなっていて、料理もほとんど残っていない。
まぁ、酒は、明日の事も考えて、少ししか買っていなかったんだけど、
お互いそんなに酔ってなくて、適量だったかもしれない。
「あ・・・、そろそろお皿洗いますね」
「あたしも手伝いますよ」
キッチンに向かおうと、石川さんが立ち上がったその時だった。
411 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:58


「あ・・・」


目の前にいた石川さんが、バランスを崩して床に倒れこんだ。
「石川さん!?」
あたしはすぐに石川さんのもとに駆け寄り、具合を見た。
息が荒く、顔全体が赤くなっている。
額に手を当ててみると・・・、うっわ、すっげ熱い!
・・・カゼか?
あたしは石川さんと抱き上げると、ベッドへと向かった。


ゆっくりとベッドに降ろし、ふとんをかける。
石川さんは目を閉じたまま呼吸をしている。
急いで洗面器に汲んできた水に氷とタオルをいれ、
きつくしぼって石川さんの額にのせた。
どうして・・・、こんなになるまで・・・。
熱は38、9度くらいあるかもしれない。
下手に薬を飲ませるわけにもいかないし・・・。
今はこうして、休ませるのが1番だ。


「あ・・・」


と、石川さんが目を覚ました。
「私・・・、どうしてここへ・・・?」
「さっき倒れて・・・。あんまり無理しちゃダメですよ」
「そうですか・・・。すいません」
洗面器の中の氷がカラン、と音を立てる。
「このタオルも・・・、ありがとうございます」
「いえ、たいしたことしてないですよ」
あたしはふっと、笑顔を向ける。
412 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:58
時計を見ると、もうすぐ11時。
「もうすぐ・・・、お別れですね」
時計を見ていたあたしに気付いたのか、石川さんが呟いた。
「いろいろありましたね、この10日間・・・」
「そうですね・・・、本当にお世話になりました」
「いえ・・・、仕事ですから」


「そう・・・、仕事、なんですよね」
「え?」
少しの静寂の後、仰向けの姿勢のまま、石川さんは話し出した。
「私、今までこの仕事をしてきて、いろんな人に出会いました。
 明るい人や冷たい人、心の優しい人・・・。悩みを打ち明けあったり、一緒に泣いた人もいました。
人それぞれにわたしとの10日間があって、1つとして同じ10日間は無くって。
その中でも、1番印象に残っているのは、・・・吉澤さんとの10日間なんです」
「あ、あたしとの・・・?」
あたしの問いかけに、こくんとうなずく。
「遊園地へ行ったり、一緒に寝たり、料理したり・・・。
 雨の日の辛い出来事も、今となってはいい思い出です。
 語り尽くせないほど、思い出がたくさんあって・・・」
石川さんのほおを、一雫の涙がつたう。
「・・・実は、1度でも仕事に伺った人には、もう2度と会えない事になってるんです。
 だから今日が、本当に最後かもしれません」
「そんな・・・」
「ごめんなさい・・・。でも規則なんです。10日間本当にありがとうございました・・・」
石川さんは、涙を流しながらお礼を言った。
413 名前:Only 10 Days ―10日目― 投稿日:2003/12/30(火) 00:59
「・・・お礼を言いたいのはあたしの方ですよ・・・!そうじとか料理とかいろいろやってもらっちゃって・・・。
 石川さんは仕事ですから、って言ってましたけど、本当に感謝してます」
あたしはふかぶかと頭を下げた。

大学に入学して、こうして就職して仕事して、ずっと1人だった。
里帰りをしていなかったわけじゃないけど、
結局アパートに帰れば、誰もいなくて。
1人で食べて、1人でくつろいで、1人で眠って・・・。
いつからか、1人であることに慣れてしまっていた。
その時、突然出会った石川さん。
初めは少し戸惑ったけど、すぐに慣れた。
姉さん・・・というか、普通の家族みたいで。

石川さんと10日間過ごして、いろんなことに気付いた。
食事の大切さとか、そういう一般的なことはもちろんだけど、
何より・・・、誰かと一緒にいることの大切さ。
帰ってきてドアを開けて、「ただいま」って言って、
「お帰りなさい」って声が返ってくることが、こんなにも嬉しい事だったなんて・・・。
それが突然また、明日からなくなる。
用意されていた食事も、たたまれた洗濯物も、
「お帰りなさい」の声も・・・。


「・・・もう、本当に会えないんですか・・・?」
涙を必死にこらえ、顔をゆっくりと上げ、あたしは問う。
「きっといつか・・・、会えますよ」
ベッドの上に置いていたあたしの手を、ぎゅっと握り締めて答える石川さん。
あたしは今にも、涙がこぼれ落ちてしまいそうなのを必死にこらえ、
石川さんに笑顔を向ける。
石川さんも、涙で濡れた顔で笑う。


―――――あなたと出会えて、本当に良かった―――――


握った手を、ぎゅっと握り返した。
414 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:00
朝7時。いつものように目が覚める。
ただいつもと違うのは、起きた場所が床の上だった事。
・・・あのまま、寝ちゃったのか・・・。
ベッドはキレイに整えられ、部屋の隅にあった大きな荷物も、
今までなかったかのように消えていた。
そう・・・、石川さんは、もういない。

キッチンへ向かうと、イスに掛けられてあった黄色のエプロンの代わりに、
ラップで包まれた朝食と、1通の手紙が置いてあった。
「手紙・・・?」
あたしはイスに座ると、手紙を読み始めた。
415 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:01
『  吉澤さんへ

 
 このたびは「10 Days」をご利用いただき、誠に有難うございました。
 またのご利用をお待ちしております。
 
 私はこれから、次の仕事先へ向かいます。
 仕事はちょうど、12時頃からになります。
 吉澤さんはきっと、昼食を摂っている頃ですね。

 これからアメリカへ行かれるそうですが、自信を持って頑張って下さい。
 吉澤さんなら、きっと成功しますよ!
 日本から、応援しています。

 忙しい毎日が続きそうですが、
 時々、私と過ごした10日間を思い出してください。

 いつか、会える日を信じて。


                               石川』


「石川さん・・・」
涙をこらえ、手紙をしまう。
石川さんはもういないんだって、強く言い聞かされているような気分になった。
・・・そうだ、今日は研修の返事をする日。
あたしは朝食を食べると、少し早めに家を出た。
416 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:01
「市井、吉澤、平家さんが呼んでるわよ」
仕事を始めてから少し経った頃、保田さんが言った。
あたしは仕事を中断すると、市井さんと合流して社長室へと向かった。

「ちゃんと、決めてきたんだろうな」
「はい」
とうとうやってきた、この日。
あたしの人生の分かれ道と言っても過言ではない。
心臓がバクバクいってる。
手に汗をかいてきた。
「よし、行くぞ吉澤」
「・・・はい」
いよいよ社長室のドアの前に立つ。
市井さんがコン、コン、と2回ノックする。
中から「どうぞ」と平家さんの声が。
ドアノブに手をかけた市井さんと目が合い、あたしはゆっくりと頷いた。

「失礼します」
とうとう、決戦。
417 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:02
「おはようさん」
「おはようございます」
イスに座っている平家さんが、昨日と違って少し恐く見える。
「座り」
「はい」
職場とは違う張り詰めた空気が、いっそうあたしの緊張を高めていく。
「さて」
イスが揺れた。
「返事を聞かせてもらおうかな」
にいっと笑い、身を乗り出す平家さん。
いよいよだ・・・。


「そやな、まず・・・市井」
平家さんが市井さんに目をやる。
隣の市井さんが、心なしか固くなった。
でも、その目にはもう、迷いはなかった。

「行かせていただきます」

力強い言葉が、部屋に響き渡った。
418 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:02

「じゃあ、吉澤。あんたは・・・どや?」

再び空気が張り詰める。
平家さんの視線を、痛いほど感じる。
時計の音。
みんなの視線。
静寂。
「あたしは・・・」


あたしにとって、大切なもの。
仕事、仲間、家族。

ふと、石川さんの顔がよぎる。
泣いた顔、起こった顔、そして笑顔・・・。

あたしにとって今、本当に大切なのは・・・


「あたしは・・・、アメリカへは、行きません」
平家さんをまっすぐ見つめ、言い切った。


「吉澤!?」
隣の市井さんが突然立ち上がった。
「お、お前・・・!」
「市井!大声出さんでもええやろ・・・?これが吉澤の答えや。
 あんたには関係あらへんよ?」
立ち上がったまま、その場に立ち尽くす市井さんを見て平家さんは言った。
「吉澤も・・・、考えてこの答え出したんやろうし。ウチらが関与することやない。
 でもな、吉澤。こんなチャンス、めったにないで?
 それでもいいんやな?」
市井さんに向けていたその視線を、今度はあたしに向ける。

確かにこんなチャンス、人生に1度あるかないかだ。
このチャンスをモノにできれば、必ず出世できる。
でも今のあたしにとって、それは必要じゃない。
このチャンスを失ってでも、失いたくないものを見つけたから。
「・・・はい、後悔しません!」
その向けられた目に、反抗するように言い放った。
「そうか・・・、わかった。じゃあ、2人とも仕事に戻れ。
 今までのように精進せえよ。ほな」
「失礼しました」
「失礼しました・・・」
重い重圧から解放されたあたしは、大きくため息をついた。
419 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:03

「吉澤・・・、どういうことなんだ?」

市井さんが大声で言う。
そんなに大声で言わなくても・・・。
「どういうことって、それは・・・」
「・・・わかってたよ」
「え?」
「石川さんだろ?分かってたよ、お前はこの話、断るってこと。
 周りはもったいないって言うかもしれないけど、
 平家さんの言う通り、お前自身が導き出した答えだもんな」
「市井さん・・・」
なんて後輩想いのいい先輩なんだ・・・。
「オラッ!行かなくていいのか?早くしないと出勤しちゃうぞ!」
「は、はいっ!」
そうだよ!早く行かないと出勤しちゃう!
あたしはそのまま、会社を飛び出した。
420 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:04
天気は曇り。時刻は11時。
昼近い、人通りの少ない大通りを駆けて行く。
石川さんの会社までの道は覚えた。あとは間に合うかどうかだ。
間に合って想いを伝えても、返事が無ければそこで終わりだ。
果たして晴れるのか、雨が降るのか。
西の空は、依然として曇り空だ。

とにかく走る。無心で走るだけだ。
まずは間に合わなくちゃ意味が無い。
すでにわき腹が痛くなっている自分にムチを打つ。

もう絶対に戻らない。
市井さんにも、松浦にも背中を押されているんだ。
ここで立ち止まったら、申し訳ない。
それにあたし自身、後悔はしないって、決めたから。

走り続けて30分。
「10 Days」・・・、ここだな。
いよいよドアを開ける。



「・・・次の依頼先はここや。ちょっと遠いけど大丈夫か?」
「はい、歩いて行けます」
「・・・なんか元気ないなぁ、どうかしたんか?」
「いえ・・・!なんでもないです・・・」
「大方、昨日までいたトコの人でも気にしてるんやろ?それはご法度やで。
 まぁ、もし迎えに来たら考えるけどそんなヤツおらんやろ」
「わかってます・・・中澤さん」
「・・・ほな、早速・・・」
421 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:04


「石川さんっ・・・!!」


「誰やっ!」
ドアを勢いよく開けて叫んだ。
目の前にいたのは・・・、従業員と、石川さんと・・・、この人が中澤さんか。
「よ・・・、よしざわ、さん・・・?」
何が起こったのかわからずに、その場に立ち尽くす石川さん。
そりゃそうだ、あたしがここに来るなんて、思いもよらなかっただろうから。

「ど、どうしてここに・・・?」
「言い忘れた事が、あって」
ぎゅっと口を一文字に結ぶ。
吉澤ひとみ、一世一代の大勝負。
泣いても笑っても、これが最後の勝負だ。

「実はあたし・・・、アメリカへは、行かない事にしたんです」
「えっ・・・?どうして・・・」
「あたし・・・、考えました。すごく悩みました。
 自分にとって、本当に大切なものって何なんだろうって・・・。
 あたしは仕事は大切だと思うんです。あたし自身、今の仕事に誇りを持っているし、生きがいも感じています。
 でも、石川さんと出会って・・・、今までは仕事が1番だって思ってましたけど、
 それは違うかもしれないって、思ったんです」
「・・・」
「1人では、笑いあえない。怒ることも、泣くことも、悲しむこともできません。
 石川さんと10日間、一緒に暮らしてみてわかったんです。
 誰かと一緒にいることの大切さを・・・」
422 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:05
初日、突然の訪問に驚いたけど、時が経つにつれてすごくなじんでいって。
遊園地ではいっぱい笑いあったし、
あの雨の日は・・・、お互いに辛い思いをして。
始めはもうけた!ラッキーって軽い気持ちで過ごしていたけど、
いつしか、あたしにとって、大切な人になっていたんだ。

「昨日・・・、石川さんは、きっと会えるって言いましたよね。
 でもあたしは、『きっと』とか、『いつか』とかじゃなくって、
 いつも、一緒にいて欲しいんです。側にいて欲しいんです。
 あたしには・・・、石川さんが必要なんです」
「吉澤さん・・・」


「石川さん・・・、あなたが好きです」


雲間から、光が差し込んだ。
423 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:06


* * * * *

424 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:07
朝7時。いつものように目が覚める。
ただ、今までと違うのは・・・、
「おはようございます、吉澤さん」
「あ、おはようございます・・・。ねえ、いいかげんに敬語使うのと、
 上の名前で呼ぶのやめようよ~」
「そうですね・・・。あ、そうだね、ひとみちゃん」
「あはは・・・。なんか照れるね、梨華ちゃん」
今日は休みの日。
起きるのにはまだ早いけど、習慣で起きちゃった。

「市井さん頑張ってるかな?」
「後藤さんも一緒だし、きっと頑張ってるよ」
実はあたしの代わりに、ごっちんがアメリカへ行く事になった。
ごっちんは、市井さんが研修に呼ばれた時すでに、
市井さんについていくつもりだったらしい。
保田さんも相変わらず独り身爆走中だし、
松浦は新入社員の、少し年上の藤本に片想い中。
みんなそれぞれの道を歩いている。
あたしは、というと・・・。

「あの日・・・、ひとみちゃんかっこよかったぁ・・・。すごく嬉しかった」
「梨華ちゃんだって・・・、泣きじゃくりながら
 『私も吉澤さんのこと・・・好きです』って言ってくれてあたし嬉しかった」
「もう!恥ずかしいよぉ!」
あたしはあの日、石川さんに想いを打ち明けて、
石川さんもそれに答えてくれた。
それから2人一緒に暮らす事になって。
仕事の方はというと、前よりもバリバリ仕事をこなして、
順調に昇進している。

「こう、全てが上手くいってるのも、梨華ちゃんのおかげかな」
「ひとみちゃんの努力の結果だよ!これからも頑張ってね!」
「ねえ、梨華ちゃん」
「うん?」
「あたし・・・、大切にするから。梨華ちゃんのこと」
「ありがと・・・。私も、ひとみちゃんのこと、大切にする」


「「大好きだよ」」


朝7時 いつものように目が覚める
ただ今までと違うのは 隣に君がいる事

もう一度 一緒に暮らそう
笑い合って 泣き合って
いろんな幸せを 君と分かち合って行きたいから

10日間だけじゃなく
ずっと、ずっと一緒に・・・


425 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:08


Only 10 Days  完


426 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:08
ラスト
427 名前:Only 10 Days ―Never Days― 投稿日:2003/12/30(火) 01:08
隠しです
428 名前:池孫四葉 投稿日:2003/12/30(火) 01:18
Only 10 Days、完結です。
連載を始めてからあわや2年となるところでしたが、
年内に完結できてとてもホッとしています。
全ては読んで下さった皆様、保全して頂いた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました!

>LOVEチャーミーさん
やっと完結しました・・・。
今までありがとうございました!

>ぷーさん
覚えていますよ!忘れるわけありませんよ!
長かった連載も完結しました。
長い間有難うございました!

>401さん
いつも待たせてばかりで申し訳ありませんでした・・・。
読んで頂いて、ありがとうございました!

>ホッピーさん
応援有難うございました!
とても励みになりました!

>ヤグヤグさん
とうとう完結しました。
長い間ありがとうございました!

>403~406さん
保全していただき、本当にありがとうございました!

これからまた小説を書くかはわかりませんが、
もし書くことがあったら、読んで頂けると嬉しいです。
それでは!
                         池孫四葉
429 名前:ちゃみ 投稿日:2003/12/30(火) 06:45
完結、お疲れ様でした。
そうですか、もうそんなになるんですね。
改めて最初から読み直すのにトップへ行って日付を見てびっくり。
途中、別HNでレスさせていただいているのを見て当時を思い出してみたりして。
何はともあれ無事10日目が迎えられて、この上ない幸せです。
良い作品を有り難うございました。
是非とも次回作にチャレンジしてください。
430 名前:LOVEチャーミー 投稿日:2003/12/30(火) 22:49
連載を始めて約2年ぐらいですが長い間お疲れ様でした。
これでめでたく新年を迎えられると思われます♪
431 名前:名無しさん 投稿日:2004/03/03(水) 03:36
保全

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