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きみのためにできること―。
- 1 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時31分45秒
- 仕事も落ちついてきたんで、また駄作を始めさせていただきたいと思います。
今回は あまりウケは狙わずに書いていこうかと。
ちょっと間があいてしまったんでボケてます(爆)。
よろしくお願いします。
- 2 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時34分28秒
「はぁはぁ…」
「ホラ!あと2分!」
「くぅ〜…!」
キつい!…心臓がはちきれそうだ…。
閉めきった蒸し暑い部屋で、今にもあたしの記憶はブっ飛びそうになっていた。
一心不乱でサンドバックを叩き付ける。
自分の拳の感覚が すでに無くなっていた。
「3…2…1…終了。吉澤、お疲れ。」
「はぁはぁはぁ…。した…。」
ボタボタと汗が流れ落ちる。
ガクガクと膝が笑っていて
その場にあたしは崩れそうになったが
何とか堪え、息を整え始めた。
あたしがボクシングを始めて今年で1年になろうとしていた。
ここは門下生50人を抱える有名なボクシングジムで。
最初は軽い気持ちで門をたたいたのだが
予想以上に自分にあっていたって事と
試合で勝った後の何ともいえない余韻に
心奪われ、あたしは今も続けている。
- 3 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時36分51秒
- 女の子はあたし一人だけ。
最初 入った頃は20人もいたんだけど
全員がダイエット目的でやっていて。
それを見た飯田さんが
『そんな目的でボクシングやらないで!』
と…一喝したらさぁ...みんな逃げるように
ここを出ていった。
『アンタもでしょ!早く荷物まとめな!』
『あたしは違います!好きだから。』
真っ直ぐな強い目であたしを見る飯田さんの視線が印象的だった。
…最初は信じてくれなくて中々こうして親しく
話してもらえず、練習になんか付き合ってくれなかったんだ。
で、ある日あたしは試合を組んでもらった。
飯田さん曰く、あたしが本気でやってるのか
本気で好きなのかって試しの試合だったらしい。
そんな飯田さんの考えなんて
その頃は全く知らなかったあたしは嬉しくて嬉しくて!
毎日、黙々と走りこみ
サンドバックを叩いて
そしてシャドーや、スパーリングを繰返した。
- 4 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時39分20秒
- そして待ちに待った試合当日。
見事に あたしのアッパーが決まり
2ラウンドKO勝ちという名誉な一勝を上げる事が出来たのだ。
あたしも飯田さんも涙を流しながら喜びあったっけ。
その日を境に、あたしと飯田さんとの絆は深まった。
…なんてカッケ〜言い方。
「吉澤、今日バイト何時からなの?」
「今日っすか?…え〜っと。5時ですかね。」
「マジ頑張るよね。カオには出来ない。」
ここのジムの娘、そしてセコンドも担当する飯田圭織さんがニコニコ笑って
タオルを渡してくれる。
一瞬にして大量の汗が染みこんでゆく。
あたしはここが終われば
近くのラーメン屋で朝の1時までバイト。
結構 自給がいい。
それが終われば新聞配達の仕事が入っていた。
大体、月…13万円位か?
- 5 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時41分33秒
- そしてクタクタになりながらも全部のバイトが終われば
やっと床につくことが出来るのだ。
でもって5時間位、睡眠を取ってまたジムへ…。
毎日毎日同じ事の繰返しだけど、あたしはこの生活に
十分過ぎる程の満足感があった。
「あ!そうだ…。家賃はバイト代が入ったらでいいっすか?」
「家賃なんていらないって言ってるっしょ?」
「そうはいかないっすよ。」
溜め息混じりで嘆く飯田さんを横目にあたしは黙々と汗を拭き続けた。
あたしはジムの3階を借りていた。
家賃は要らないって飯田さんの親父さんも、お袋さんも
飯田さんも言ってくれた。
- 6 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時42分47秒
-
けど…あたしは甘えたくなかった。
あたしは天蓋孤独の身で。
今から話す事は漫画の世界っぽいけど。
まぁ、聞くだけでも聞いてくれれば。
って誰に言ってんの?変なあたし。
小さい頃、家族を事故で失ったあたしはその後親戚に預けられた。
とても優しい叔父さん夫妻は、あたしの事を本当の
子供のように可愛がってくれて。
桜が舞い散る優しい季節に
あたしは一つの決心をしていた。
いつまでも迷惑かけてられないと思ったあたしは、
高校卒業後、東京でやりたい事があると言って叔父さん夫妻に
頭を下げた。
『俺の知り合いの印刷工場で働いたらいいじゃないか』
と、中々上京する事を許してもらえなかった。
だからこそ、あたしはここにいちゃダメなんだと思った。
本当の気持ちを話し、あたしは
一つの約束を交わして何不自由なく育ててくれた叔父さん夫妻に
感謝し、家を出る事が出来た。
- 7 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時43分54秒
『困ったり、どうしようも出来なかったら何時でも戻ってこい。』
って。
帰ってくるよ。
何時かは帰ってくるけど、あたしは尻尾を巻いて
逃げて帰ってくるような事だけはしたくなかった。
とにかく出来る事は自分で何でもやりたい。
他人様に迷惑をかけたり、頼る事だけは絶対にイヤだ。
最初は寮があるトコで働いて、お金を貯めてからアパートを
借りようと思っていた。
で、たまたまその話しを聞いた飯田さんが、
何か感動しちゃって…
『ここの3階は好きに使っていい!っつーか使え!』
って。
半ば強引に話しは今に至る。
そして毎月2万円、家賃として払っている。
お風呂もついて、十分過ぎてお釣りが出るくらいの
生活用品が揃ってるあたしの部屋。
こんな素晴らしい部屋を2万円の家賃で貸してくれる
トコなんか探しまくってもないだろう。
だから最初に、あたしは5万円支払ったら…
- 8 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時46分26秒
『何コレ?要らないってカオは言ってるの!』
って。
もの凄い形相で睨まれたっけ…。
でも1円も払わないのはあたし自身がイヤなので、
『貰っていただけないのなら、あたしは他を探します!』
飯田さん親子に告げた。
そしたら親父さんがしっかりと電気代やらガス代、食事代など
計算してくれて、
『2万円払いな。それ以上の金額は貰わないよ。』
と強く言われてしまった。
でもそれを、こっそり内緒で親父さんが あたし名義で
貯金してくれてる事を…あたしは知っていた。
- 9 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時53分25秒
「じゃあ、そろそろ時間なんで。いってきます。」
「おう!頑張れよ!」
「はい!お疲れっした!…はい!」
クルっと背を向けるあたし。
飯田さんがバシ!っと背中を叩いた。
これがバイトに出る前の飯田さんとあたしの日課になっていて。
日課とゆーか 飯田さん曰く、儀式なんだって。
前につんのめるのを必死で堪えようとするんだけど、
…まだまだ飯田さんには敵わなかった。
「明日は堪えます!」
「毎日、聞き飽きたよ!」
甲高い声が背中を押す。
シャワーを急いで浴び、ピーカン照りの空の下、
ダッシュで商店街を目指し あたしはバイト先に向かうのだった。
―…
- 10 名前:理科。 投稿日:2002年03月18日(月)21時54分52秒
更新しました。今回は、ゆったりとした感じで
内容もペースも進めていきたいなと考えています。
- 11 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時23分47秒
「ちょっと!付いてこないでって言ってるでしょ!」
「ですが…親父に言われてるんで。」
「私がいいって言ってんの!帰ってよ!」
ゾロゾロと私の後についてくる大男3人集。
道行く人達がみんな不思議そうに見ていた。
「何…見てんだ?あ?」
「い、いえ…見てませんけど…」
「見てんじゃねぇか!!」
「ヤメて!もぉ!帰ってってば!」
私が叫んだその隙に
見ず知らずの男の人は逃げるようにその場を
走り去って行ってしまった。
いつもだ。
私がブラっとその辺にお買い物に行こうとしても
犬の散歩に行くとしても
とにかく何処へ行くにしても
この大男達3人はいつも私の後をついてくる
- 12 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時24分28秒
- 私のお父さんは…
関東にその名を示しているヤクザの組長なの。
そんなんだから、私は恐がられて友達なんていない。
しかも19にもなって未だに彼氏なんていないし…
「最悪〜!!私が何をしたって言うのぉ〜(泣)!」
「「「お嬢さん?」」」
―…
- 13 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時25分26秒
-
「ちわっす!」
「吉澤、まだ早いんじゃない?」
「お疲れです!吉澤さん。」
「お疲れ、愛。…あ!ホントだ。」
「ラーメン食べさせたいけど…試合近いもんねぇ。」
「気持ちだけで嬉しいっす。」
フワっと醤油とチャーシューのいい匂いがあたしを迎えてくれた。
その匂いに釣られてか
グ〜っと、あたしの腹の虫が元気良く鳴ったのだ。
ダイレクトに二人の耳に入ったのか笑われてしまった。
正直、減量中にここでのバイトは辛かった。
いい具合に豚の背脂と醤油が混合された
どんぶりに麺を入れ、手馴れた手つきで作っている
ここの店主の保田さん。
ちょっとキツそうな顔をしてるけど
とても優しくて、あたしを可愛がってくれる。
あたしも保田さんの事は、姉のように慕っていた。
- 14 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時26分56秒
ゴホン。…余談なのだがそんな彼女はパチスロ狂い。
よく保田さんに連れられてあたしも行くんだけど
リーチ目がどうだとか
入ってるだとか
イマイチよくわかんなくて。
ボクシングをやっているせいか、
ただ単に動体視力がいい為か
よく『目押し』とやらをさせられる。
そしてもう一人のバイト仲間、高橋愛。
この子は近くの高校に通う1年生。
凄く頑張り屋さんで、仕事も難なくこなす
最近新しく入って来たコだ。
- 15 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時30分09秒
「早いけど仕事させてください。」
「そー言うと思ったよ。じゃあ早速で悪いんだけどコレ切ってくれる?」
手を休めずに保田さんは目でまな板に置かれてあったネギを挿した。
『ヤッス〜のラーメン屋』と書かれた
エプロンを付けグイっと腕まくりし、あたしは言われた通り
ネギと格闘する。これまた余談なのだが
あたしはいつも仕事中に思う事があって。
どうでもいい話しなのだが…この店の名前ダサくない?って。
前に保田さんが休憩中にパチンコ行ってる時があって、
愛と二人っきりになったのを見計らって聞いてみたんだ。
- 16 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時32分09秒
- 『…名前さぁ、ヘンだよね?』
そしたら なぜか真っ赤な顔をしてコクンって頷いた。
愛も同じ事を思ってたらしい。
「…プ。」
「吉澤?どした?」
「い、いや…何でもないっす。」
キョトンとした顔で保田さんが見ていた。
隣で愛がつられてクスっと笑った。
今日も何も変わらず、いつもの和やかな
雰囲気が場を和ませていた。
あたしはこのゆったりとした空間が好きだ。
鼻歌交じりに、あたしは短くなってゆくネギを
見つめ速度を速めた。
- 17 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時35分36秒
- 「それにしても…外が騒がしいわね。それに客も来ないわ。
吉、見てきてくれる?」
「はい。」
ネギ臭くなった手を洗い、エプロンを外してあたしは表に出た。
「…あ。」
人ゴミでざわつく商店街の中にあるウチの店。
その前で 女のコがシクシクと泣いていた。
その周りをこの暑い中、黒色・青色・そして金色
のスーツ姿に身を包んだ大きな男達が
オロオロしていて何だか可笑しかった。
なんて噴出してる場合じゃない。商売の邪魔になっちゃってる
んだから早く注意しなきゃ!
「すいません。店の前で揉めないでもらえます?」
「あぁ?何だ、お前。」
「あたし?あたしはここの従業員ですけど。」
「…どこで何しようが俺達の勝手じゃねぇか?」
ズイっと今度はあたしの周りをとり囲む男達。
そんな脅したって恐くは無い。
むしろあたしはムっとした。
- 18 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時37分56秒
- 「お〜い、吉…。!!って、ア、アンタ何やってんのよ!」
「ああ!!吉澤さん!」
中々帰って来ないあたしを変に思ってか
店の中から保田さんと愛が出てきた。
二人は『すみません』なんて言いながらペコペコ頭を下げながら
あたしの腕を引っ張ったけど、それを振りきった。
「営業妨害なんすよね…。」
「何が営業妨害だ!クソ生意気な事、言ってんじゃねぇよ!」
「だから!やめてって言ってんの!!」
今まさに喧嘩が始まりそうな雰囲気の中
輪の中にその子は溜め息を吐きながら入って来て
あたしの顔を見上げた。
- 19 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時40分14秒
- 「…ゴメンね。これ…迷惑かけちゃった分。」
そう言って彼女は分厚いピンク色した財布から3万円抜き出し、
あたしの手に包ませ、その場から立ち去ろうとした。
男達は『チっ!』っと舌打ちし、あたしを睨み続けていたけど
フーっと息をついてこう言った。
「良かったな。お嬢さんが優しい方で。」
男達がそう言ってあたしの肩をポンっと叩く。
何コレ?どーゆう意味なわけ?
あたしはスゲー腹がたって そのお金を強く握り締めた。
「…待てよ。」
「…え?」
あたしは彼女達を呼びとめた。
早足で歩み寄る。
「何?」
「…。」
- 20 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時42分22秒
- あたしは不思議そうな顔をして顔を見つめてるそのコの頬を軽く叩いた。
そして乱暴に金を投げつけてやった。
揺るやかな風にのり、ヒラヒラと舞い落ちるお金。
「要らないよ!こんな金なんて!バカじゃないの?
何でも金で解決するなんて思ってんの?何やってる人のお嬢さん
だか知らないけど、もう少し勉強してきたら!」
彼女は頬を押さえたまま、ポカンとしている。
困り果てた顔をしながら、その場にワーっと泣き崩れてしまっていた。
- 21 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時45分42秒
- 「クソガキ!お嬢さんに向かって!」
「何だよ?いい年こいた男がこんな小娘に頭も上がんないの?
ヤルならやってやるよ!」
凄い剣幕で男達はあたしの胸ぐらを掴む。
それを手で払いのけ あたしはファイティングポーズを取り
身構えたまま男達を睨みつけた。
懐からキラリと光る物が顔を出し
あたしは一瞬ビビったが…
ここで食い下がってなんかいられないよ!
周りには凄い人だかりが出来ていた。
「…いい根性してやがる。」
「…道具にしか頼れないの?」
ゴクリと唾を飲みこむ音が やけに強く聞こえた。
「もぉヤだよぉ〜!帰る!!」
「あ…お嬢さん!…覚えてやがれ!」
「はぁ?」
- 22 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時47分27秒
- いきなり泣き叫びながら走って行く彼女の後姿を
男達は追って行った。
緊迫していた場の雰囲気はあっけなく幕を閉じたのだ。
「…何だよ、アイツ等。」
ファイティングポーズを解き、フーっと溜め息をつく。
あたしは強張った体中の力を抜いた。
クルっと後ろを振り向くと保田さんと愛は、
腰を抜かしていて地べたにヘタリと座りこんでた。
「大丈夫っすか?」
「よ、よ吉…。あの女の子…」
「や、ヤヤヤヤヤーさんの娘さんですよぉ。」
「そんなの恐くないっすよ。さ…中入って仕事しましょう。」
- 23 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時48分49秒
(…やりすぎたかなぁ。今度会ったら叩いた事だけ謝ろうかな。)
あたしは保田さんと愛を引っ張り立たせる。
フラフラと覚束無い足取りが…何だか酔っ払いみたいで
可笑しかった。
オオーっと周りから歓声があがり...
その中を 髪をかきあげ、仕込も残っていた
あたし達は何もなかったように店に入っていった。
- 24 名前:理科。 投稿日:2002年03月19日(火)05時49分22秒
- 更新しました。
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月19日(火)05時59分13秒
- ピンクの財布のお嬢さんか…
面白くなりそうですね(ニヤリ
- 26 名前:夜叉 投稿日:2002年03月19日(火)14時34分45秒
- お待ちしておりました。
また、理科。さんの作品が読めると思うとうれしくって(笑)。
この展開、かなり好きなんで、がんがってください。
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月19日(火)19時19分46秒
- 新作おめでとうございます。理科。サンの作品好きです。
マターリと続ききお待ちしております。
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月19日(火)19時38分13秒
- 前作も毎回楽しく読ませていただいてました。
作者さんの作品がまた読めるとは、嬉しい限りです。
でもって、こういう展開もモロ好きだったりします。
続き頑張って下さい。
- 29 名前:じじ 投稿日:2002年03月19日(火)23時33分37秒
- 理科。さんだぁ!
新作初めておられたんですね!
ヤクザの娘にキターイ!
- 30 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月20日(水)19時37分40秒
- うぅ。気付くの遅れました。
新作おめでとうございます! がんがってください!
- 31 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月21日(木)00時59分57秒
- うわぁ〜、始まってる・・・。
また理科。さんの楽しいお話が読めてラッキーです。
吉、男前っスねぇ〜。
保田店長、期待しちゃいます。
『ヤッス〜のラーメン屋』と書かれたエプロン、ちょいと思い描いてみました・・・(w
それにしても“分厚いピンク色した財布”って!?
- 32 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月21日(木)09時43分28秒
- おぉ!理科。さんだっ!
お待ちしてましたよ〜!
更新、頑張って下さい!
- 33 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時06分43秒
- <名無し読者さん。ピンクといえば、あのお方しかいません(ニヤリ)。
面白くなるように頑張ります。
<夜叉さん。私もまた、こうやって小説がかけて嬉しい限りです。
そう言っていただけて嬉しいでっす♪がんがりまっす♪
<名無し読者さん。ありがとうございます♪私の書く駄作が好き
と言っていただけて嬉しいです(照)。
マター梨(違!)お待ちしててください。
<名無し読者さん。毎回読んでくださったんですか?
ありがとうございます。今回もまたお付き合いください♪
頑張って書かせていただきます。
<じじさん。お初です♪また新作始めてみました。
ヤクザモノってムズかしいですが、自分なりに
考えて書かせてもらおうかなっと思ってます。
<師匠!ご無沙汰です〜…。がんがりますです、ハイ。
師匠もがんがっていきまっしょい!
- 34 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時07分19秒
- <M.ANZAIさん。始まっちゃいました!私もまた、
メール欄を読む楽しみが♪今回、よっすぃ〜男前に書こうかと。
…ヤッス〜は、言わなくてもわかりますよね?またお付き合いください。
<吉胡麻系さん。おぉ!吉胡麻系さんだ!待っててくれて
ありがとうです♪更新、頑張りますよ〜♪
たくさんのレス、ありがとうです。そしてお久ぶりでっす。
やっと仕事が落ちついてきたので、また始めました。
みなさんまたヨロシクです。
- 35 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時07分57秒
- 「お、お嬢さん…。ご飯ですが。姐さんも親父も待ってますよ?」
「いならい!いいから一人にしといてよ!」
大好きなアフロ犬の『ふ〜ちゃん』に寄り添って
私は自分のお部屋で泣いていた。
『要らないよ!こんな金なんて!バカじゃないの?
何でも金で解決するなんて思ってんの?何やってる人のお嬢さん
だか知らないけど、もう少し勉強したら!』
さっきから頭の中で、あの子の言葉がリピートされていて。
思い出す度に私は恥ずかしくなった。
あんな風に頬を叩かれ叱られたのは…
生まれて初めての出来事だった。
今まで私は、お父さんの教えどうりに
何でもお金で解決してきた。
それが全て正しいと…思ってた。
何もかもがうまくいっていて―。
…でも世の中って簡単じゃないって思ってたけど
こんな風に簡単に物事が進まなかったコト
私にとっては初めての体験だった。
- 36 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時08分41秒
- 「…なんて強い目をしてたコなんだろ。」
ボディガード達にも恐がらず、真正面から
どうどうと立ち向かっていた姿が頭から離れない。
いつしか私は彼女について、非常な感心を抱いていた。
「…明日、行ってみようかな。あぁ…。でもまた頬っぺた叩かれちゃったら…。
ううん!そんな事…しないよね。多分…。ふ〜ちゃん、私…頑張るね?」
ふ〜ちゃんの頭を撫でて私は明日どうやったら
一人であそこに向かえるか考えた。
…けど
いくら考えても一人で外に出るのは容易ではない。
って言うか、とうていムリだよね。
必ず見張りが付けられてしまう。
付けられてもいいけど、やはり同性が良かった。
- 37 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時09分27秒
- 「あ!そうだ!!」
備え付けの電話で私はお母さんに誰にも聞かれたくない
大事な話しがあるからと言い、自分のお部屋に呼び出した。
「梨華?なんだい、話しって。」
紫の着物に身を包んだお母さんが息を切らして
勢いよく襖をあけた。まだ息が整っていないお母さんに
間髪いれずに私は言った。
「お母さん。私に明日、矢口を貸してくれない?」
「はぁ?矢口を?どうして…」
私より3コ上の矢口。
お母さんも凄く気にいっている付き人(?)。
何をするにも矢口を連れて行くのだった。
背は小さいけど負けん気が強く口も達者なの。
もちろん喧嘩も強いんだよ。
矢口の家も代々からのヤクザ屋(?)さんで
私の家に仕えていたのだった。
「お願い!」
「…ったく。仕方ないねぇ。」
- 38 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時10分37秒
- 着物の袖から電話を取り出し、
お母さんは矢口を呼び出したのだった。
スタスタと廊下から足音が聞こえてきて
入り口の前でピタリと止まると
すぐさま、襖を叩く音が聞こえて来る。
「入りな!」
「失礼します…。お呼びですか?姐さん。」
「矢口…明日、梨華に一日付きな。」
「お嬢さんにですかい?」
「そ。矢口がいいらしいのよ。」
「お願い!矢口!」
「わかりました。喜んでお供させていただきます。」
スっと頭を下げる矢口。
トレードマークの金髪は 今日もキラキラと光り輝いている。
- 39 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時11分24秒
- 「じゃあ、アタシは行くよ。梨華、飯はどーすんだい?」
「いらない。今から矢口と明日の予定教えるから。
ねぇ?お母さん。矢口を私のボディガードにくれないよね?」
「…矢口をかい?ムリだね。」
そう言って、フっと笑いを残しお母さんは行ってしまった。
やっぱりムリだったかぁ…。
本当に気にいってるもんね。
「ねぇ、矢口?」
「へい。お嬢さん。」
頭を下げた格好で矢口はいまだにかしこまっていた。
そんな矢口に苛立ちを覚えた私は
「もぉ!私と二人の時は敬語は無しって言ってるでしょ!」
「ですが…。矢口も修行の身…。そんな」
「だから!やめて!年上でしょ!」
- 40 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時12分14秒
- 矢口はフーっと軽く息を吐くと 困ったような顔を見せ
私に笑いかけたのだった。
「石川と…こんな風に話してんのがバレたら…おいらエンコつめなきゃなぁ。」
「え…?指?そそそそれは困るけど…。
でも何かお友達とお話してるみたいで私は楽しいけどなぁ。
ねぇ?矢口…。お友達が出来ると楽しいだろうね。」
「お嬢さん…。」
何だか矢口の顔が曇ってしまったようだった。
こ、こんなつもりじゃなかったのに…。
「や、矢口!明日の事なんだけどさ…」
「へい…あ!お、おう。」
私は咄嗟に話題を明日の予定について矢口に振った。
- 41 名前:理科。 投稿日:2002年03月21日(木)20時13分04秒
更新しました。
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月22日(金)03時51分07秒
- 母さんは当然あの人やなぁ(w
- 43 名前:夜叉 投稿日:2002年03月22日(金)10時17分27秒
- 自分も>42さんの意見に同意。あの人しかおらへんわ(笑)。
お嬢さんが吉に興味を示した時点で小躍りをしてしまいましたが何か(笑)。
でも、何かと大変そう…(^^;;。がんがってください。
- 44 名前:じじ 投稿日:2002年03月22日(金)16時11分50秒
- 母さんはあの人でしょうね(ニヤリ
子分の矢口がイイ!
今回は矢口に期待!!!
- 45 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時04分19秒
- <名無し読者さん。母さんは…あの人しかおりまへん(w
<夜叉さん。小躍りといわず、ガンガン踊ってくださって結構です(w
…仕事にも私生活にも追われて大変です(自分でいうやつ)。
がんがります!
<じじさん。あの人の年齢は3(略
これからの矢口に期待していてくださいね。
(〜^◇^)<キャハハハ♪
- 46 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時06分16秒
- ―…
「えぇ!それはムリだよ!」
「ムリじゃない!」
『あっちゃー…』
っと、矢口は私の顔を見るなり天井を仰いだ。
そして大きく息をつき、私の顔を覗きこむ。
「え…っと。話しをまとめると。明日、矢口は石川の友達で…そんで、
そのアマんトコについて行けばいいんだよね?で、その間は
喧嘩もダメ!あのさぁ…タマ狙われても知らないよぉ?」
「いいの♪お願い!矢口〜…」
『マジで無くなりそうだよ…指5本じゃ足りないかも』
なんて言いながら、さっきより深い溜め息を吐く矢口。
その瞳は微かに潤んでいました。
- 47 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時07分34秒
- 「それと!その下品な言葉も使わないって約束♪アマなんてはしたないよ。」
「えぇ〜!!そ、そんなぁ…。わ、わかった!わかりましたよ!
明日だけだよ?矢口に…出来るかなぁ。」
「やったぁ♪矢口、大好き!」
私は矢口に抱き付いた。
「ちょ…!お嬢さん?」
「だから!お嬢さんはダメ!石川って呼んで!」
「い、石川〜…」
矢口はすっかり困り果てた顔で私のお部屋をそそくさと出ていった。
矢口には悪いけど…私は早くも明日の事で頭はいっぱいだ。
「…何て声かけようかなぁ。」
まだ会えるかもわからないのに一人でドキドキしながら
何度も何度も私はふ〜ちゃんの頭を撫でたのだった。
- 48 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時09分14秒
- ―吉澤視点―
「終わったぁ〜…眠い。風呂行かなくちゃ…」
カーテンの隙間から挿しこむ日差しが やけに眩しい。
早朝の配達も終わり、タンスからバスタオルを取りだし
一先ずあたしは倒れるように自分のベットへ流れ込む。
「あぁ…気持ちいい…」
一気に疲れが体を蝕む。
首と背筋に鈍い痛みを覚え、首をグルリグルリと回し
大きな欠伸をした。
そしてあたしは考えた。
- 49 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時10分01秒
- …さっきのコ。
まだ泣いてたりして。
あたしと同じ位の年のコかな?
ヤーさんの娘さんかぁ…。
結構、大変なんだろうな。
あのコはあのコなりに苦労とか悩みとか
あるんだろうね。
う〜ん…あんなに泣くとは思ってもみなかったよ。
でも…可愛かったなぁ。
マジでお嬢サマって感じだったし…。
ってか それってどうよ?
ふぁわぁ〜…ムニャムニャ…。
やっぱショックだっ……
―あたしはそのまま彼女の事を考えていてそのまま眠りについてしまっていた―
- 50 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時12分14秒
- ―…
「お、おはよっす!すんません!遅くなりました!」
「吉澤!たるんでるよ!」
ムっとしたジム内では すでに黙々と各自、練習を始めていた。
物凄い剣幕の飯田さんに睨まれ、あたしは一瞬体が硬直した。
時計は12時を指していて…。
18分の遅刻だった。初めてだよ…遅刻したの。
「ロードワークに行くよ!それが終わったらスパーリングね!」
「っす!お願いします!」
あたしはナイロンのセットアップを素早く着て、
ご機嫌斜めの飯田さんの後を追った。
- 51 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時13分24秒
- (…何時の間にこんな暑くなっていたんだろ)
季節は夏を迎えていた。
太陽はすでに頂点に達していて、
ジリジリと激しくあたしと飯田さんを照らしつける。
シャカシャカとナイロンの擦れる音と
うるさいくらいに鳴いている蝉の声が耳の中に大きく響く。
「はぁはぁ…」
「ほら、頑張れ!」
この季節にこの服装はヤバい。
少ししか走っていないのに すぐに体が水分を要求してくる。
カラカラになった喉が以上なほど熱くて―。
焼けただれるような痛みと、激しい目眩があたしを襲う。
―飯田さんの持っていた笛がピっと鳴る。
あたしは立ち止まりその場でシャドーを始めた。
あまりの熱さに意識がもうろうとする。
そして2度目の笛が鳴り全速でダッシュ。
これを5キロの走りこみで何度組み返されるのかは
飯田さんにしか分からない。
「もう少しだよ!」
「はぁはぁ…っす。」
- 52 名前:理科。 投稿日:2002年03月22日(金)17時15分31秒
- 更新しました。
- 53 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月22日(金)19時02分57秒
- 矢口がなんか(・∀・)イイ!
また毎日のように理科。たむの小説読めるのが楽しみだす。がんがって下さい。
- 54 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月22日(金)23時12分41秒
- 真夏っスか!? 吉、ぶっ倒れちゃうんじゃ・・・。
>紫の着物に身を包んだお母さん
なんか想像すると実にハマリ役ですね。
>…おいらエンコつめなきゃなぁ
あぁ、振りまわされる矢口、楽しみ〜♪
- 55 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時00分38秒
- <師匠!矢口(・∀・)イイ!ですか?
嬉すぃお言葉。しかも楽しみなんて…(オロオロ
ありがとうございます。がんがらせていただきます。
<M.ANZAIさん。真夏っすよ。今のところ、倒れません(w
あの人のイメージが紫って感じがしてたまりません。
矢口さんは…今後は(略 まぁ、いつものパターンで(w
やはりメール欄、最高です♪
- 56 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時03分12秒
- ―石川視点―
「え?バイトは5時から?」
「そ、そうですけど。」
私は矢口と昨日のラーメン屋さんに来ていた。
お昼の忙しい時間帯も終わっていて、店主らしき人が
手にイッパイの雑誌を持ちながら
『今日こそ万枚よ!でもこの時間じゃ…ムリね。でも気持ちはいつでも万枚!』
…なんて言いながら満面の笑みで何処かへ出かけようとしていた時だった。
あまりよく見えなかったけど、
『サンダーV2はこの目を狙え!』
『目指せ!万枚!!』
- 57 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時04分51秒
- …とかなんとか書いてる雑誌だった。
サンダーって雷の事だよね?
この目って…台風の目と一緒の意味なのかな?
よくわかんない…。
それと…さっきから気にはなってるんだけど
なぜか私と目を合わせないのは気のせい?この人。
- 58 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時05分40秒
- 「今って…何処に居るか知ってますか?」
「今は、ジムじゃないかしら?飯田ジムって知ってる?」
(…うう。この隣の金髪女。さっきからあたしと雑誌を睨んでばかりじゃないの。)
「飯田ジム?…矢口知ってる?」
「あぁ。ボクシングのだろ?有名だよ。こっからだと…結構遠いかもな。
そうだよなぁ?オバちゃん。」
「オバ…!えぇ、そうよ。」
(ムカつくチビね!誰がオバちゃんよ!)
「ありがとうございます。行こう、矢口。」
「行くの?邪魔したな!おばちゃん。」
矢口がその場所を知ってたのは好都合だった。
買い物でごった返す人垣をかき分けて早速
私達は飯田ジムを目指して歩いた。
「…吉澤。アンタ、ついてないわね。それにしても
オバちゃんって何よ!あの女イラつくわね!
あらヤだ!こんなトコで時間食ってる場合じゃないわよ!
ってか、お昼休み終わりじゃないのよぉ〜!あおう!!」
―…
- 59 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時06分57秒
- 「うわぁ〜!矢口!見て見て♪」
「そんなに走んなって…」
こんな場所があったなんて私は知らなかった。
空を見上げると雲一つない青い空が広がっていて、
下を見下ろすと、大きな川が流れていて
おじいちゃんがのんびりと煙草をふかしながら釣りを楽しんでいる。
私と矢口はその川沿いの土手を歩いていた。
道の端には、小さな色とりどりの花達が楽しそうに咲き乱れていて、
合間に流れる心地よい風が頬をすり抜けて行く。
「楽しいね♪」
「そっか…?」
「楽しいよ!」
「はは。良かったな。」
- 60 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時11分17秒
- こんな風に肌で自然を感じるのって本当に久しぶり。
矢口には悪いけど…ここは好きな人と一緒に歩いたら
どんなに楽しいだろうと私は一人思いながら口元を緩ませていた。
「お嬢さん…!危ねぇ!」
「もぉ!矢口、お嬢さんって…あ。」
そんな事を考えてたら、目の前から自転車に乗った女の人と
その先を真夏だとゆうのにナイロンジャージを着ながら
全速で走る男の人が通りすぎていった。
咄嗟に矢口が私の腕を引っ張ってくれて
その人達と接触する事態は防げたのだった。
- 61 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時12分30秒
- 「…っぶねぇな、コラ!待てよ!」
キーっと自転車のブレーキの音。
少し離れた場所でその二人組は足を止め
私達の方を振り向いたのだった。
矢口はその人達の所までジリジリと歩み寄り
自転車に乗ってる女の人の胸倉を掴んだ。
「…危ねぇだろ?ケガでもしたら どう責任取ってくれんだよ?」
低い声でそう言って、矢口は下から女の人を見上げた。
「や、矢口!やめてよぉ…。」
「それは悪かったね。でも…いきなりカオの胸グラ掴むって、どーゆー事?」
真っ直ぐな目で矢口を見下ろす長身の彼女。
すると隣にいた黒のパーカーを被った男の人が矢口の
腕を掴み上げ、スっと離したのだった。
- 62 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時14分46秒
- 「ぶつかりそうになったのは謝ります。…けど、いきなり胸倉を掴む
ってのは…あまりいい気はしませんね。」
「…んだとぉ?謝る時はフード取って謝んのがスジってモンだろ!」
矢口はその男の人の言葉にいきり立ち
勢い良くジャンプし、パーカーを脱がせようとした。
が…難なく交わされてしまいバランスを崩してしまった。
「…わかりました。すみませんね。」
「ああ!!昨日の…!」
男の人だとばかり思っていた人は
私がとても会いたがっていた人だった。
「あれ?昨日の…」
「吉澤!行くよ!こんな人達なんか相手してたら日が暮れちまう!」
「あ、はい…。じゃあ。」
都合悪そうに吉澤さんはぺコリと頭を下げ
目深にフードを被り直し行ってしまった。
いきなりの出会いに、私はバカみたくポカンと
口を開けて走り去る二人の後姿を
見えなくなるまで目で追っていた。
- 63 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時15分34秒
- 「ちくしょう!あのデカ女…!ブっ殺してやる!」
「え…?矢口!ダ、ダメ!そんな物騒な物なんか出さないでよ!」
「わかったよ…。それにしてもスゲ〜力だな。あのもう一人の女…。」
『イテテ…』
なんて言いながら矢口は懐の拳銃をしまいこんだ。
「…吉澤さん。矢口…!あの人、吉澤さんって言うんだ!」
「あぁ?吉澤?…そっか。覚えてやがれ。」
私は何度も心の中で『吉澤さん』と言う単語を繰返していた。
その度に何だかワクワクしていた感情に気付く。
とにかくもう一度会ってゆっくりお話しがしたくてたまらない。
「矢口!さっきのラーメン屋さんに戻ろう。」
「はぁ?マジで?…今日だけだからな。ワガママお嬢さん!」
私と矢口は今来た道を早足で戻り、
ラーメン屋さんで彼女を待つ事にしたのだった。
後ろで矢口がブツブツ何か言っていたようだったけど聞き流していた。
私はとにかく吉澤さんの事が気になって仕方ないの。
…ゴメンね?矢口。
- 64 名前:理科。 投稿日:2002年03月23日(土)04時17分16秒
- 更新しました。
- 65 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月23日(土)06時42分16秒
- よしこかっけ〜っす!
めちゃくちゃ男前ですね!
ヤッス〜のセリフもかなりウケました。(w
- 66 名前:じじ 投稿日:2002年03月23日(土)15時09分54秒
- 矢口さん拳銃は出さないでください!!!
相変わらず印象の悪い出会い方しかしませんね。
ラーメン屋に期待!
- 67 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月23日(土)19時23分48秒
- 矢口はじきはヤバイだろ(w。
でも矢口最高!吉かっけー!
- 68 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月23日(土)23時07分50秒
- 金髪女vsおばちゃん・・・(w
それにしても保田店長の手にしてる雑誌、それって!?
金髪女vsデカ女・・・、
もう、ワクワクしちゃうほどの展開なんですけど?
- 69 名前:理科。 投稿日:2002年03月24日(日)05時42分25秒
- <吉胡麻系さん。(O^〜^O)<うへへへ…。カッケ〜すか?
よっすぃ〜のキャラもヤッス〜のキャラもいつもと変わ(略
ヤッス〜、狂ってます(爆
<じじさん。(〜^◇^)<おう♪悪かったな。きゃはは!
はい。相変わらずです(w
もう少し後になりますが、ラーメン屋にご期待していてください。
<師匠!私も正直、ネタ切れですが(爆
今日うPすると、ストックがないです…。あううう…!
(〜^◇^)<はじきはいつでも持ってないとダメなんだよ。
<M.ANZAIさん。店長の手にしてる雑誌ってアレです(w
金髪vsデカ…。前のタンポポを思い出してしまいました。
川T皿T)<……。>(T◇T〜)
もっとワクワクしていただけるように精進します(w
- 70 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月24日(日)05時46分37秒
- 「こんちわ〜。」
「……。吉澤。お客さんがお待ちよ。」
「吉澤さん、お疲れです…。」
練習が終わり、あたしはいつも通りにバイト先にやってきた。
いつもと変わらず、店内にはいい匂いが充満していた。
お客さんはそれなりに入っているんだけど、店内は静かで―。
保田さんも愛も何だか顔を強張らせあたしを見ていた。
「どしたんすか?…なんかヘンな空気なんすけど…。」
すると保田さんは、あたしのTシャツを引っ張り
コッソリと耳打ちした。
「…石川。いるんだけど。」
「石川?誰っすか?それ?」
(石川?石川って誰よ?)
「おう!よっすぃ〜!待ってたぞ。」
唐突に声がする方を見る。
よっすぃ〜って?誰、それ。
奥の方に座っていた人物が手を挙げあたしに話しかけてきた。
よっすぃ〜ってあたしの事なのかな?
きっとそうなんだろう。
小さい人があたしの顔見て、そう言ってんもん。
って…アレ?さっきの飯田さんに突っかかってきた人じゃん。
って事は、あのお嬢さんも一緒だろうね。
- 71 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月24日(日)05時48分24秒
- 「あ、あの…。吉澤さん。」
「あ…さっきはど〜も。」
恥ずかしそうにモジモジしてる目の前の女のコ。
「…吉澤。少し時間あげるから。公園にでも行ってきたら?」
「え?でもバイトの時間なんで…」
「いいから。大事な話しがあるそうよ。」
「そっすか…じゃあ頼みます。愛も頼むぞ?」
「はい。いってらっしゃい、吉澤さん、。」
保田さんの目が血走っていて...凄く恐かった。
まぁ、いつも恐いけど。
そしてあたし達は公園に向かった。
その途中…何も会話がなかった事はみなさん承知の上だろう。
―…
- 72 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月24日(日)05時51分17秒
- 「で?話しって?」
あたしはドカっとベンチに座る。
見上げた先には、さっきから顔を真っ赤にしている石川さん。
…この時間帯は学校帰りの学生や、
会社帰りのサラリーマン達でごった返していることだろう。
保田さんや愛は今頃、テンパってるだろうなぁ…。
こんなトコで時間食ってるワケにはいかないんだよね。
「あの…昨日はごめんなさい。」
彼女は消え入るような声でそう呟いた。
「あ〜…あたしもゴメンね。いきなり叩いちゃって。
でも、お金を投げつけた事については謝らないよ。」
サラっと答えるあたし。
痒くもないのに頭をポリポリかく。
だって事実じゃん。
- 73 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月24日(日)05時53分21秒
- 「いえ。吉澤さんが謝らないでください。私が…悪いんですから。」
それ以降 会話が止まってしまった。
正直さぁ… あたしはこうゆうタイプは苦手だ。
ハッキリしなさそうだし。
どっちかと言うと、あっちの方で煙草を吸いながら
『うめぇ〜♪』
なんて言ってるあの小さい人の方が気が合うかもしれない。
まぁ、そんな事はどうでもいいんだけど。
時間も勿体なかったし…
謝ったことだし…
あたしはバイトに戻ろうと思い重たい腰を立たせる。
「じゃあ…あたし、仕事あるから…。」
「あ…あの。」
「何?」
- 74 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月24日(日)05時54分14秒
- シャギシャギと木々からなだれ落ちてくる蝉しぐれの中、
ベンチの影が濃くなってゆく。
あたしはその影を目で追って行くうちに
自然とあたしの視界には彼女が映る。
そのコは相変わらずモジモジしながら下を向いていた。
用もないなら話しかけるなっちゅーの!
少し苛立ちを覚え、
「用も無いなら…」「私、石川梨華って言います。」
唐突に名前を言われ、あたしは面食らった。
石川梨華さんねぇ…。
何だ。話せるじゃん。
しかも…間近で見るとやっぱ可愛い。
がさつなあたしと違ってホントお嬢サマって感じ。
「梨華ちゃんか…。あたしは吉澤ひとみ。」
「ひとみちゃん…、かぁ。」
照れたように微笑む彼女。
お忙しい人だね。
- 75 名前:理科。 投稿日:2002年03月24日(日)05時56分20秒
- 中途半端なのですが、時間がないのでここまでで。
- 76 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月24日(日)13時27分31秒
- 保田店長と愛ちゃん2人きりでキリキリ舞いしてるだろうとお店を心配する吉、
そんな吉の目の前でモジモジしたり急に笑顔になったりする梨華ちゃん、
そんな2人をほったらかしてベンチでタバコをふかしてるやぐっつぁん、
まだ夕暮れとは言いがたい夏の太陽、青い空、白い入道雲・・・・
あれ!?「よっすぃ〜」って、いつの間に・・・?
- 77 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月24日(日)16時10分44秒
- やっとい一気に読むことが出来ましたです。(嬉
吉にボクシングやっぱり似合いすぎですね。(笑
私的に「ヤッスーのラーメン屋」の、ネーミングにカナーリうけました。
これからの展開に期待しています。がんがってください。
- 78 名前:じじ 投稿日:2002年03月25日(月)04時26分41秒
- ついにちゃんと出会いましたね!
でもよっすぃー石川さんに興味なさそう…。
興味を持ってください!!!(w
- 79 名前:理科。 投稿日:2002年03月25日(月)05時40分32秒
- <M.ANZAIさん。
(〜^◇^)<お嬢さんが『オイラに吉澤さんって言うんだって!』
ってトコで名前を知ったワケだけど、そこでオイラは
『よっすぃ〜』って呼ぶ事にしたんだ。すまねぇな、作者の
書き方が悪くてよぉ。きゃはは!これからも読んでやってくれよ。
<よすこ大好き読者。さん。
(O^〜^O)<おれはボクシング一筋さ…。ヤッス〜のラーメン屋って
ヘンだと思わない?作者の頭の足りなさが物語ってるYO!
ありがとう!これからも頑張るよ、ベイベェ〜♪
<じじさん。
(T▽T)<…うぅ。ひとみちゃんがつれないんですぅ…。
私、寂しくて寂しくて…。でも今回はマター梨進めて
いきたいって作者さんが言ってたし。いつか持ってくれるよね?
ひとみちゃん…。
- 80 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時43分13秒
- 「…あのホッペ、どーしたの?」
「へ?…あぁ、コレでさ。」
あたしはシュシュっと軽快にワンツーを打ってみせた。
そして軽くステップもつけてやる。
どうよ?
カッケ〜!あたし!
…自分で言うなっての。恥ずかしいじゃん…。
今日のスパーリングで相手に右の頬を打たれ
赤く腫れあがってしまったのだ。
腫れはちょっと酷いけど、痛みはさほどでもない。
少しは痛いよ?さほどだから。
(…あれ?)
さっきまで終始、ニコニコしてた彼女の顔は
何だか泣きそうになっていて。
- 81 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時43分53秒
- 「腫れてるよ…?」
「ん、いつもの事だからね。可愛い顔が台無しだよ!なんちゃって!」
ハハハって笑うあたしに梨華ちゃんはいきなり
ソっと…頬に手を当てた。
何やらつけているのか彼女からフワっと優しいいい匂いがした。
「あ…」
「…痛いよね。」
キュっと薄い唇を噛み 梨華ちゃんはあたしの顔を見上げた。
痛みを帯びていた頬も
心なしか感じなくなっていくようだった。
何かドキっとしてしまう。
右の頬に全身の血が集中していくような感覚にあたしは強く動揺した。
梨華ちゃんの瞳に何だかあたしは引きこまれそうになってゆく。
- 82 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時44分38秒
- (…なんて悲しそうな目をするんだろう。)
キュンと胸が痛んだ。
懐かしく…
どこか甘酸っぱい感情がこみ上げてくる。
「お〜お〜。何かいい雰囲気じゃねぇか。」
「や、矢口。」
スー…と惜しみながら一息吸い、
煙草を足でもみ消し、ニタニタしながら矢口さんは
梨華ちゃんとあたしの顔を交互に見た。
パっと梨華ちゃんの手が離れる。
すると咄嗟にあたしはその手を掴んでしまった。
「ひとみちゃん…?」
「え…?あぁ!あ、あたし…。ゴメン。」
- 83 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時45分30秒
- 「なぁ、よっすぃ〜。オイラ、腹減っちまったよぉ。」
場の雰囲気を蹴散らすように 矢口さんは自分のお腹を押さえ、
『ほら…。』
と言うと、ググ〜と腹の虫の音を響かせた。
マジで腹減ってんだよ!ってくらい凄いいきおいだった。
「きゃははは!凄くねぇ?矢口、すげぇよ!」
「もぉ!矢口!女のコでしょ!」
その時だった。グ〜…と申し訳なさそうに
梨華ちゃんのお腹も鳴った。
もしかしたら、あたしの聞き間違いかしら?なんて思ったけど違ったんだ。
「あれ…?」
「きゃははは!石川〜!」
「っプ!梨華ちゃん、面白すぎだよ!」
- 84 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時46分03秒
- 真っ赤な顔をしてお腹を押さえつけてる梨華ちゃん。
それがあんまりにも可笑しすぎてさ!
あたしと矢口さんはなぜか抱き合いながら笑った。
ん…?さっきから痛いなぁ〜なんて思ってたあたしは
お腹にゴツゴツと何か当たってる事に気付いた。
あたしは…マジでビビった!
きっと今まで生きてきた中で一番ビックリした!!
抱いていた矢口さんを突き飛ばしそうになったけど我慢したのだ。
だって…拳銃が入ってんだもん(泣)。
梨華ちゃんはまだ真っ赤になりながらも
『…私もお腹減ったよぉ〜…。』
ささいな事なのになぜだか笑いが止まらなかった。
こんなに笑ったのって久ぶりだ。
何だか今日は気分が最高にいい!
思いきってオゴっちゃいますか?
ってかオゴってやる!
- 85 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時47分02秒
- 「よし!今日はあたしのオゴリでラーメンでも御馳走するか。
友達記念日って事で。ウマイよ!あたしの作るラーメン。」
「え…今何て?」
「ふぇ?今からオゴリでラーメンって。」
梨華ちゃんはブルブルと顔を横に振り、
『違う!その前!』
って。
あたし…何かマズイ事言ったのかな?
…あぁ!記念日とかワケわかんない事言っちゃったから?
「友達記念日って言ったけど…。」
最後なんか声が消え入りそうなくらい
あたしは下を向いてボソボソと話していた。
何が記念日なんだろ。
別に記念日なんて言う事ないじゃんね…。
…何だか恥ずかしくなった。
- 86 名前:―吉澤視点― 投稿日:2002年03月25日(月)05時47分36秒
- 「や、矢口…聞いた?」
「おう!バッチリだぜ!良かったじゃねぇか。」
「うん!ひとみちゃん!私とお友達になってくれるの?」
梨華ちゃんはあたしの両手を握り締め、
目は潤んでいたものの、その瞳はキラキラと輝いていた。
「う、うん。友達…。」
(…そんな何回も言わなくてもいいよ。)
「…うわ〜ん!嬉しいよぉ!」
「うわぁ!ちょ…梨華ちゃん?」
彼女はあたしに飛びついてきて
ワンワン泣いていた。
あたしはワケが分からず、とにかく子供をあやすように彼女の頭を
撫でつけ、助けを求めるように矢口さんの顔を見た。
再度煙草に火をつけ、あたしと視線が合うとニッコリ笑っているだけで。
でも悪い気はしない。
…むしろこのままでいたかったのかもしれない。
「と、とにかく梨華ちゃんも矢口さんも、お店に行きましょう!」
一日中照りに照った太陽の熱気を、夕風が冷やし始めていた。
- 87 名前:理科。 投稿日:2002年03月25日(月)05時48分39秒
- 更新しました。
- 88 名前:夜叉 投稿日:2002年03月25日(月)15時27分35秒
- 来てない間に二人の距離が近くなりつつあるのにビクーリ(笑)。
では、お言葉に甘えて、全身を使って踊りたいと思います。
知、セーフティ解除しないでね(爆)。
- 89 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月25日(月)21時58分39秒
- 少しづつ距離が縮まって行く2人がイイですね。
吉もかっけーですけど、矢口も気に入ってしまいました!
あやゃは出なさそうですね。残念(w
- 90 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月26日(火)20時32分24秒
- >だって…拳銃が入ってんだもん(泣)。
ああ、そんな所に入れてんだぁ、やぐっちゃんて。
携帯とかコンパクトとかと一緒にポシェットにでも入れてあるのかと思った。
(♪パカッパカッパカッ、とかする…)
ストラップで首から下げてるとか。
(ブラブラして危ないことこの上ない…)
ふところにって、どうしてんだろ?
(だからポケットがあるんだよ、ドラ○もんみたいに…)
- 91 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月26日(火)21時48分54秒
- ついに友達に!
よかったね石川さん!!!
矢口と吉澤もこれで友達?
銃持った友達は…こわひ
- 92 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時33分43秒
- <夜叉さん。じゃあ、私も全身を使っての踊りを。
このまま段々近づく二人…?
(〜^◇^)<わっかんねぇよ!危なくなったらいつでもバーン!だぜぃ!
セーフティ解除するかも。
<師匠!ありがとうございます。でも…難しいです、今回…(ボソー梨)。
あやゃですか?…出ますよ?下書きの方ではすでに(略
(〜^◇^)<何?オイラの事、気にいったってな?キャハハハハ♪
テンキュウ〜♪
<M.ANZAIさん。
(;〜^◇^)<そうだぜ!オイラのポッケには、なぁ〜んで入ってるぞい!
そうだ!チャカ回そうか?なんちゃってな!そんな事したら
姐さんに殺(略
っつーかドラえモンでっす♪キャハ〜!
<某さくしゃさん。
(;^▽^)<ありがとぉ〜♪ひとみちゃんってカッコいいよね♪
梨華大好き!…あ。言っちゃった。
明日、甲子園って…何ですか?もしかして出るんですかぁ!?
- 93 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時37分11秒
- 「すんません!保田さん。」
「いいよ。で、話しは終わったの?」
「はい。」
店内には5人程お客さんがいて
忙しくラーメンをすすっている。
矢口さんと梨華ちゃんをカウンターに座らせたあたしは
急いで手を洗いどんぶりを2つ出したのだった。
そして保田さんにこっそり耳打ちをする。
「この2つ分のお代は、あたしのバイト代から引いておいてください。」
「分かったわ。吉澤は…まだダメなの?」
「はい。もう少しなんすけど。」
「そっか。測定が終わったら、アタシの特製ラーメンでも食べさせてやるよ。」
ハハハと笑いながら保田さんはギョーザを焼きはじめた。
愛は愛で、懸命に洗物をしている。
- 94 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時38分03秒
- ―石川視点―
目の前で、ひとみちゃんがラーメンを作っていた。
手際よくどんぶりを出し、何か色々な調味料を入れ
程よく湯だった麺を熱いスープの中に放りこむ。
保田さんと呼ばれていた店主さんは隣でギョーザを焼いている。
「お水どうぞ。」
「悪いね。姉ちゃん若いなぁ。バイトか?」
「私ですか?」
「おう。」
矢口に話しかけられた女の子は
少し緊張した面持ちで
「矢口さんも十分若いじゃないですか?」
「矢口?はは!若いねぇ〜…。もぉ33なんだけどな。」
「え?本当ですか?」
「ウソだよ!なワケないじゃん!」
…何かお年寄りみたいだよ。
でもいいなぁ…矢口って。
気さくな人柄で誰とでも親しくなれる。
私も見習いたいよ。
- 95 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時39分09秒
- 「ラ〜メン♪ラ〜メン♪ひっさしっぶりぃ〜♪」
「そう言えばそうだね。ラーメン食べるのって。」
「だろ?矢口もいつからか食ってねぇもんなぁ。」
矢口は子供みたいに割箸を握り締め、
ひとみちゃんの作るラーメンに釘付けになっていた。
そういえば…
こうして外食するなんて何年ぶりだろう。
いつもお家でしか食べない私は、何だか嬉しかった。
「はい、お待ちぃ〜♪熱いからね。」
「お!ウマそうじゃん!いただきまーっす!」
「凄い!コレ…ひとみちゃんが作ったの?」
「今作ってたじゃん。梨華ちゃんってやっぱ面白いね。」
ひとみちゃんはハハって笑うと次の仕事に取り掛かろうとしていた。
隣の矢口は早速食べ初めていて。
「うんめぇ!マジで美味いよ!石川、伸びちゃうぞ!」
「え、うん。」
せかされるように、私はラーメンをすすった。
「ホントだ!美味しい!ひとみちゃん美味しいよ!」
「そりゃ良かった。」
- 96 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時40分02秒
- ニッコリと照れたように微笑みながら首をすくめて
ネギをリズム良く刻む。
本当に美味しい。
今までで食べたラーメンの中で一番かも。
私と矢口は何も話さないで無心に食べ始めた。
「このギョーザも美味しいわよ。なんてったってアタシが作って焼いたモノよ!
これはアタシからのプレゼントよ。心して食いなさい!」
「わぁ!ありがとうございます!」
「マジかよ!オバちゃん悪いなぁ。」
キョトンとした顔をして矢口の顔を見ていた
保田さんはハァー…と溜め息をついた。
- 97 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時41分14秒
- 「オバちゃんって…。アタシはスロプロ・保田圭。そして若いわ!
アンタは矢口何よ?」
「オイラ?オイラは矢口真里。圭ちゃんか、覚えといてやるよ。
ん?スロプロ?そんなウマいのか?まぁ矢口にはかなわないと思うけど。
あ、そうだ。何か困ったような事があったらココに電話くれれば。」
「そっくりそのまま返すわ!今度、勝負でもする?」
「いいよ。まぁ…矢口に勝とうなんてムリな話しだけどな。」
ニタリと笑う矢口。
私は矢口と保田さんの話しの内容なんて
全然わからなかったけど、楽しそうだったので良かったなって思ってた。
そして照れたように保田さんは笑いながらお皿を目の前に
出してくれた。その後に保田さんは矢口から貰った名刺を
マジマジと見て懐にしまい込んだのだった。
- 98 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時42分02秒
- その熱々のギョーザも凄く美味しくて。
私と矢口は最後の一個を取り合う程だった。
…結局、最後のギョーザは矢口の胃の中へと収められたのだったけど。
あっとゆーまに食べ終えた私達はひとみちゃん達のお仕事を見ていた。
次から次と、仕事をこなして行くひとみちゃんが
とってもカッコ良く見えた。
普段あまり味わうことのなかった至福な時が流れる。
「そろそろ帰るか。石川…。」
「うん。もぉ7時だね。」
「姐さんも心配してるだろうしな…。」
楽しい時間って、あっと言うまに過ぎてしまうんだね。
…こうして矢口とひとみちゃんのラーメンを
一緒に食べる事なんてこれから先ないんだろうなぁ。
明日からはまた、お嬢さんとお母さんの付き人としての
生活に戻ってしまうんだ。
急に私は悲しくなってきた。
- 99 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時42分38秒
- 「また来なよ。」
「そうよ。また来なさいよ。」
「そうですよ。」
矢口は、『有難いなぁ』っと力なく笑った。
何だかその表情が寂しそうに見えた。
「…ヤーさんだってみんなも知ってると思うけど、
オイラ達はこんな風にカタギの生活なんてしてらんないんだよ。
今日は特別にお嬢さんの頼みで矢口が付き人っていうか…
友達の振りしてよっすぃ〜に会いにきたんだ。」
「矢口…。」
「お嬢さん…。今後、仲良くやっていくにもここは全部話した方がいいんですよ。」
矢口の口調はいつものに戻っていた。
ウンウンと頷き、ひとみちゃんも保田さんも愛ちゃんも…
真剣な眼差しで矢口と私の顔を見ていた。
- 100 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時43分20秒
- 「こんなんだからよぉ、お嬢さんは友達もいないし。オイラだってそんなんいないしさ。
正直、辛いよ。親がヤーさんだからってこんな風な生活しか出来ないし。」
何だか矢口は…自分の気持ちも一緒に言ってるような気がした。
そして煙草に火をつけ一息ついて話しを続けるのだった。
「オイラも、お嬢さんも…今まで金で何でもモノを言わせてきた。
それが正しいんだって思ってた。世間様の一般常識なんて…あまりよく
知らないし。いつもいつもベソベソ泣いていたお嬢さんが、よっすぃ〜と会った事で
積極的に自分から友達になりたいなんて言い出した。矢口は何だか嬉しくなったよ。」
シーンと静まる店内は…
丁度良く私達しかいなくて。
一瞬、気詰まりな沈黙が流れた。
- 101 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時43分55秒
- 「…友達なんてさ、ムリに作ろうと思ってできるようなもんじゃないよ…。
あたしは本当に友達になりたいなって思ったからさ…。」
ひとみちゃんがボソっと口を割った。
「…オイラ、今日は喋りすぎだ。」
「…矢口さんも梨華ちゃんも。いつでも来てよ。あたしも保田さんも愛も
待ってるから。だって…友達でしょ?...なんてクサイ台詞だね。へへ…。」
ニッコリ笑ってひとみちゃんが私達の元へやってきて
子供をあやすような感じで頭を撫でてくれた。
私はそれがとっても嬉しかった。
ポロポロと涙がこぼれて、みんなの顔が歪んで見える。
「へへ…。みんなとは...もっと違った形で友達になりたかったな。
何てオイラもクサイ台詞言ってみたりして!さ!お嬢さん。そろそろ出ますか。」
「うん…。」
- 102 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時44分26秒
- 矢口は煙草をもみ消すと、目頭を押さえたのでした。
「…矢口。アタシさぁ、何て言っていいかわかんないけど。
また…ギョーザ食べに来ていいわよ。ってか来なさい。そしてスロット勝負よ!」
「わかった。絶対また来るよ。」
「…私も待ってますから。」
「姉ちゃん。…頑張りなよ。こんないいトコでバイトしてんだからさ。」
「はい…。それと私、高橋愛って言います。」
「愛ちゃんか。姉ちゃんじゃ失礼だもんな。」
私と矢口はぺコリと頭を下げ、お店を後にしたのでした。
「矢口…。今日はどうもありがとう。」
「いえ…矢口もいい体験が出来て嬉しかったです。」
「また…一緒に来れたらいいね。」
「へい…。そうですね…。」
―…
- 103 名前:石川視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時45分18秒
- あたりには人影もなく静まり返り、ものさびしい夕闇が
迫っていた。帰り道、矢口はソワソワしていて。
いくら聞いても『何でもないですよ』としか
言わない。明らかに何か隠してる様子はするんだけど。
お家の前では、お父さんとお母さんが門の前で
立っていた。その周りを男達が取り囲んでいた。
矢口はハっとした顔で急いでお母さんの前に走り寄り
土下座したのだった。
「…矢口。いったい今何時だと思ってんだい。」
「…申し訳ございやせん。門限6時を破ってしまいやした。」
「え…本当なの?矢…」
―バシ!―
「梨華にもしもの事があったらどう責任取るんや!エンコじゃすまれへんよ!」
「お母さん!!」
「…すみません。」
- 104 名前:石川視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時46分02秒
- かなり興奮していたみたいで、お母さんは関西弁丸だしで
矢口の事を怒鳴り散らす。
そして次の瞬間、矢口は思いっきり殴られ小さい体が勢いよく
庭の松の木にまでフっ飛ばされた。
口元からは真っ赤な血が流れていた。
門限があるなんて一言も聞いていなかった。
私が楽しそうにしていたから
きっと矢口は…言わなかったんだ。
「ち、違うの!お母さん…」
「梨華。これはウチと矢口の問題や。口出しせぇへんで。」
「いいんですよ。お嬢さん。」
「...裕子、もういいじゃねぇか。…おい。矢口。次はねぇと思えよ。」
「…へい。ありがとうございます。」
- 105 名前:石川視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時46分45秒
- その場はお父さんが割って入ってくれたので事は済んだ。
矢口は地面に頭をこすり付けたまま
お母さんや、お父さんがお家に入るまで
決して顔を上げようとはしなかった。
「…矢口。お前、明日から梨華につき!ウチはそんな風に
約束を破るヤツはいらへん。」
「え…ホント?お母さん、ホントなの?」
「明日からやで!今日はまだあたしの付き人や。
矢口!さっさと部屋行って掃除でもしな!」
「へ、へぇ!」
矢口が私に付いてくれるのは嬉しかったけど
お母さんとの信頼感が無くなってしまった事を
矢口に対して私は申し訳なかった。
矢口もシュンとした顔で流れている血を拭き取っていた…。
- 106 名前:矢口視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時47分20秒
- 「矢口です…失礼しやす。」
「入り。」
「へい。」
今日で姐さんの身の周りのお世話は最後だ。
姐さんの元に付いて今年で5年になろうとしていた。
オイラは掃除道具を持って部屋に入った。
さっきの事があって、何だかオイラは部屋に入りづらかったけど、
こればかりは避けて通ることは出来ない。
「では失礼して…」
「矢口。」
掃除を始めようとしたオイラを姐さんが手招きで呼んだ。
こんな事は初めてだったので少し戸惑いながらも
道具を持って急いで歩み寄る。
「矢口。今日は何処へ行ってきたんだい?」
「今日…ですかい?」
「今晩は掃除はいい。今日、何処で何をしたか…ウチに
聞かせてくれないかい?」
- 107 名前:矢口視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時47分55秒
- 姐さんはそう言うと煙草を取り出した。
オイラはそれに遅れを取らずにライターを取り出し
姐さんが咥えてる煙草に素早く火をつける。
「…やるようになったじゃないか。…口の中は大丈夫かい?」
「ありがとうございます。大丈夫です。」
「早速だが聞かせておくれ。」
「へい…今日は―…
オイラは…
よっすぃ〜の事
ラーメンを食った事
お嬢さんに本当の友達が出来た事
今日の出来事…全部話した。
もしかしたらお嬢さんが
少しは普通の生活をしても
許されるんではないかと…淡い期待心を持っていた。
…極道が本当はこんな気持ちを持っている
事態ダメなのだが。
- 108 名前:矢口視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時49分51秒
- 「…そうかい。下がっていいよ。」
「…へい。お喋りが過ぎたようで、すいやせん。」
深々と頭を下げ、オイラは部屋を出ようとした
その時―。
「矢口…。梨華の事、頼むで…。今までご苦労やったなぁ。」
姐さんが関西弁を口にするときって、すっげ〜怒ってるか機嫌が
すこぶる悪いときしかでない。でも…別に怒ってるワケでもないしなぁ…?
「…なんやねん。その顔。あ…今は怒っとらんで?安心しぃ…。」
姐さんは、オイラの心を察したかのように
そう言って優しい笑顔を覗かせた。
へ…?オイラに言ってんだよなぁ?
ポカンと口を開けていたことに、オイラは全然気付かなかった。
姐さんが『なんや!はしたないなぁ。』と、クスっと笑っていたんで
我に返ることが出来たのだった。
- 109 名前:矢口視点 投稿日:2002年03月27日(水)19時50分35秒
- 「へ、へい!ごっつぁんです!何があろうとこの矢口、命にかえても
お嬢さんをお守りいたしやす。矢口も…姐さんから色々
教わる事が出来て幸せでした。感謝させていただきやす!」
ヤバい!声が震える…!
ニッコリと微笑んでくださった姐さんの笑顔に
オイラは一瞬、遠く離れた自分の母親とダブって見えた。
掃除道具を脇に抱えオイラは部屋を出る。
ふすまを閉める時、姐さんが鼻をすすっていたのは夜風が寒かったからだろう。
…悪いことをしたな。
あんな風に優しくお言葉を頂いたのは
この石川組に仕えて初めての出来事だった。
危なく姐さんの前で涙を流しそうになったが…
グっと堪えることが出来た。
「…オイラも強くなったな。...日々精進っと♪」
...フと真っ暗な夜空を見上げると
満天の星がひしめき合っていて、その中に
大きな満月が恥ずかしそうに顔を出していた。
―…
- 110 名前:理科。 投稿日:2002年03月27日(水)19時52分15秒
- 更新しました。…ここのところ飲み会が続き
中々、更新しないでスイマセン…。
- 111 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月28日(木)00時42分32秒
- >へへ…。みんなとは...もっと違った形で友達になりたかったな。
ううう〜(TT)
お金じゃ買えない、何か尊いものを手にすることができました。
ありがとうございました。
さっ、矢口と梨華ちゃんのコンビの活躍を期待したいですね。
- 112 名前:ぷー 投稿日:2002年03月28日(木)04時17分33秒
- どうもお初でございやす。おもしろいっすねぇ〜。
ヤッスーが言ってたスロプロってなんだろう?スローイングプロかな?
と一人で考えてました。スロットプロだったんですね!
また1つ賢くなった☆理科。さんゆっくりでいいんでがんばってください。
- 113 名前:ぷー 投稿日:2002年03月28日(木)04時21分18秒
- ああっ!すいません!さげ忘れだけはしないように
気を付けてたのに…。ほんっとすいません!
- 114 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月28日(木)13時18分38秒
- 矢口と姐さんのやりとりに泣けました!
・・・なんか「プリズンホテル」読みたくなってきた。(w
理科。さん、あまり無理をしない程度に頑張って下さい!
- 115 名前:池孫四葉 投稿日:2002年03月28日(木)13時22分45秒
- ・・・いや、本当に申し訳ないです。
あいさつが遅れました、池孫四葉です。
ハショッてしまいました。すいません。
本当に無理をしない程度に、頑張って下さい!
- 116 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月28日(木)17時31分27秒
- なんか泣けました。
姉さんも優しいっすね。
矢口さん感動しましたよ。
- 117 名前:理科。 投稿日:2002年03月28日(木)18時18分18秒
- <M.ANZAIさん。
(OT〜T)<…世の中、お金で買えないものなんてイパーイあるYO!
(;〜^◇^)^▽^)<ふふ♪矢口、私達…期待されてるわよ?
お嬢さん…よっすぃ〜はいいんですかい?
しかも意味が違うんじゃ…。
<ぷーさん。お初でございます。
( `.∀´)<スローイングって何投げればいいのよ!代え玉でも投げれば
いいのかしら?ホホホ♪…ウソよ。勿体ない。
あげたことなんて気にしない気にしない!
<池孫四葉さん。
(〜^◇^)<青板の小説、オイラ大好きだぜぃ!キャハハ♪
作者も反省して、今日からまた毎日更新頑張るって言ってたぜぃ。
池孫四葉さんも頑張ってくれよな!オイラ応援すっから!
<某さくしゃさん。
(〜^◇^)<感動なんて…照れるぜぃ!!キャッハ〜!
(#^▽^)〜`O)<…あの。例の小説…毎回読ませて頂いてるのですが…
恥ずかしくて感想(レス)、書けなくて…。
読む度にうちの作者が顔を真っ(略
- 118 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時20分37秒
- 「矢口!お散歩行くわよ。」
「へい。あ…ちょっと待ってもらえんですか?」
「いいわよ。」
今日から私のボディガードとして矢口が付く。
私は朝からウキウキ気分で終始ニコニコしていた。
矢口は麦わら帽子に手には軍手、
首からタオルをぶら下げ、完全防備で
庭先で苔がみっしりとついて緑色になった
石段を、小さな体をチョコチョコ動かしては
せっせと掃除している真っ最中だった。
そんな頑張る矢口を私は目で追っていた。
そしてそれが終わると伸び放題に伸び、
繁り放題に枝を繁らせた木々の若葉のお手入れ。
その間からは、微かに日が差していて。
- 119 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時24分07秒
- 「矢口。今日は何時から頑張ってるの?」
「今日ですかい?え〜っと...4時ぐらいからですかね。」
矢口は働き者だ。
その頃まだ私はと言うと…。
ぐっすりと夢見心地で眠っている時間だった。
顔を上げニッコリと笑うと、すぐさま仕事に取り掛かる矢口。
私は大きな石の上に乗っかり、その頑張る姿を
飽きることなく見ていた。
「お待たせいたしやした。今日はどこまで。」
「ひとみちゃんのトコだよ。」
「あ…へい。気付きませんで。へへ…。」
タオルで汗を拭きながら矢口は側までやってきて
首をすくめて笑い、そして恥ずかしそうに鼻をグイっとこする。
見事に矢口の鼻の下には泥がベッタリとついたのだった。
- 120 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時25分16秒
- 「矢口…動かないでね。」
「へ…?うわぁ!汚れますぜ!お嬢さん!」
私はハンカチを取り出すと矢口の泥を拭く。
恥ずかしいのか矢口は目を瞑り
プルプル震えていて。
それが何だか可笑しかった。
「はい、できたよ。シャワー浴びてきたら?」
「えぇ!ダメですよ。下っ端のオイラが…」
「いいの!汗かいて気持ち悪いでしょ?」
矢口は黙って私の顔を見ていた。
私も私でそんな矢口の顔を見ていた。
庭の松の木からは、日が射し込み
今日も小鳥達の囀りがうるさいくらいに響き渡る。
「「…プ!あはは!」」
- 121 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時27分42秒
- 「楽しそうだね。梨華に矢口。」
「あ、おはよう。お母さん。」
「おはようごぜぇやす。姐さん。」
いつの間にかお母さんが縁側に立っていて
矢口の掃除した石段と木々を交互に見て
溜め息をついた。
「矢口。これ…お前が一人でやったのかい?」
「へい。少し荒れていたようだったので…。」
矢口がぺコリと頭を下げた。
「頑張るねぇ…梨華。アンタも矢口を見習いなよ。
矢口、シャワー浴びといで。汗かいて気持ち悪いだろ?
アタシからあの人に言っとくから。それから出かけな。」
「ありがたいお言葉。では早速…。」
矢口はお母さんと私に頭を深く下げ、
足早にお風呂場へ向かったのでした。
「勿体ないねぇ…。矢口を手放したのは。」
「そんなぁ。でも…今日から矢口は私の付き人だからね。」
「分かってるよ。朝から気分がいい。」
お母さんは鼻歌を歌いながら自分のお部屋に戻って行った。
こんな日は何かいい事が起こりそう。
私は矢口が来るまでの間、キレイになった庭先を、
ジっと見つめていた。
―…
- 122 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時39分53秒
- 「お、お嬢さん…そ、そんなに走らなくても…」
「矢口!早く!だってひとみちゃんに会いたいんだもん!」
今日もいいお天気で。
ひとみちゃんのバイトが始まる頃まで私と矢口は
川辺沿いの道をお散歩していた。
そして時間が来ると急いでバイト先まで走って。
いつでもどこでも、私の頭の中はひとみちゃんのことでいっぱいで。
私のことを普通の友達としてみてくれたのは
ひとみちゃんが初めてといっていいかもしれない。
ううん。かもじゃないよね。
初めての…
ホントの友達だ。
「こんにちわ!」
「いらっしゃ…あ、梨華ちゃんに矢口さん。」
「ラーメン2丁な♪よっすぃ〜!」
ワクワクしながらお店の戸を開ける。
それはまるで、お誕生日の日にプレゼントの箱を開けるときの
心境と同じ感じがしてたまらなかった。
目の前にはひとみちゃんが
昨日と変わらずにラーメンを作っている。
当たり前のことだけれども私は嬉しく感じた。
その時…
- 123 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時41分48秒
- 「ああ!!昨日のデカ女!!」
「そういうアンタはチビ女!!」
「や、矢口?」
「い、飯田さん?」
私はひとみちゃんにしか目がいってなかったけど、
店内には、お客さんとして…
昨日、矢口が胸倉を掴んだ女性と
もう一人見た事のない女のコがいた。
そのコが私に気付き、飯田さんと呼ばれていた
長身の彼女を押さえつけながら
軽く会釈をしたので私もつられて会釈した。
「昨日はよくも…!オイラをバカにしたなぁ…?」
「フン!カオは何も悪くないっしょ!」
「矢口ってばぁ〜…。」
「飯田さん…。」
私は矢口を…
そして彼女は飯田さんを…
必死になって押さえつけていた。
- 124 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時42分31秒
- 「はいはいはい!ケンカは止めてねぇ〜?」
「吉澤!」
「よっすぃ〜!」
二人の間に入ってきたひとみちゃん。
いとも簡単に二人を引き離す。
ニッコリ笑ってカウンターの上にタイミング良くラーメン4丁、
そして保田さんがギョーザを4人前出してくれた。
「熱いうちにどうぞ。」
「さっさと食いなさい!」
私達4人は顔を見合わせる。
その輪をピョン!と、いち早く抜け出したのは
矢口だった。
- 125 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月28日(木)18時45分47秒
- 「いっただきぃ〜♪」
「ちょ…カオも食べる!」
私は呆然と…
もの凄い勢いでラーメンを食べている2人の姿に
釘付けになっていた。
(二人供…食べながら睨み合うのってよくないよ…。
違う!食べてないときだって睨み合うのっていけないよね。)
よく解らない解釈をしていた私に
「…飯田さんったら。あ…私達も食べよっか?」
「え…?う、うん。あの…」
隣にいた彼女が声をかけてくれた。
そして、あ!っとした表情をすると
「ジムの総務担当、松浦亜弥です。」
「…石川梨華です。」
「梨華ちゃんか。私達もいこ。」
「うん。」
亜弥ちゃんはニッコリと笑うと
私の手を引っ張り、飯田さんの隣に座った。
―…
- 126 名前:理科。 投稿日:2002年03月28日(木)18時46分33秒
- 更新しました。
- 127 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月28日(木)19時33分13秒
- あやゃ登場っすね! 期待です。
- 128 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月28日(木)19時39分45秒
- やっぱりイイコンビですね、梨華ちゃんと矢口っつぁん。
そして因縁の対決が・・・
あっ、三人祭の二人揃った… り―――ち!!
- 129 名前:夜叉 投稿日:2002年03月28日(木)21時37分42秒
- >二人供…食べながら睨み合うのってよくないよ…。
たやすく想像してしまえた自分がいますが何か(笑)。
知は働きもんですねぇ…、お母さん感心しちゃう。
飲み会っすか、自分も今度焼き肉…。 Σ(`.∀´#)
- 130 名前:理科。 投稿日:2002年03月29日(金)19時33分27秒
- <師匠!
Σ(;^▽^)<亜弥ちゃんの登場…私は期待していいのかしら?
ななななんて思ってないですぅ…。
師…じゃなかった!ベーグルさんもファイ♪
<M.ANZAIさん。
(#^▽^)<私でしょ?亜弥ちゃんでしょ?あと一人は…
(〜^◇^)<…加(略
おっと…!オイラってカッケ〜か?なぁ、カッケ〜のか?
キャハハハ〜♪っとくらぁ!
<夜叉さん。
Σ(`.∀´#)←…ヤッス〜もビクー梨です。
(〜^◇^)<働かざる者、食うべからず!ってな。
オイラのおっ母さんがいつも口にする言葉なんだぜぃ!
- 131 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月29日(金)19時35分35秒
- 「…食った。やっぱ…うめぇ。」
「…そうだね。やっぱり吉澤の作るラーメン…
圭ちゃんの作るギョーザ…高橋が持ってくるお水…最高。」
「…おい。何か最後…笑っちまったぞ。」
矢口と飯田さんは『ハッピ〜!』って感じで
ボーっとした顔のまま椅子に寄りかかり天井を見ていた。
さっきまで凄い勢いで睨みつけていたかと思えば…。
「…ふふ。飯田さんは、どうやら矢口さんが気にいったみたい。」
「え?どうして分かるの?」
「直感かな?」
「直感かぁ…でも私もそんな感じするかも。」
嬉しそうに亜弥ちゃんが口元を歪ませる。
私もつられて笑った。
「お〜お〜♪マツに梨華ちゃん。楽しそうだね。あたしも中にいれてよ。」
- 132 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月29日(金)19時36分12秒
- ひとみちゃんが手をエプロンで拭きながら
『どっこいしょ!』なんて私の隣に腰を下ろす。
そして保田さんが小さな丼にラーメンを入れて持ってきてくれたのだった。
『いつもスマないねぇ…』なんて。
...ちょっとお年寄りみたいだよ。ひとみちゃん。
「マツは梨華ちゃんといつ知り合ったの?」
「え?今だよね?梨華ちゃん。」
「う、うん…。今…だね。」
『そっか』…と頷きながら箸を割る。
ひとみちゃんは嬉しそうな顔で私の顔を覗きこむ。
「梨華ちゃん。友達作るのって簡単でしょ?」
「え?簡単?…なのかなぁ。」
私はひとみちゃんの言ってる事が
よく分からなかった。
ぼんやりと ひとみちゃんの姿を
飛び越して、私は棚の上にあるメニューに目を泳がせていた。
- 133 名前:微妙な二人(達)…? 投稿日:2002年03月29日(金)19時36分46秒
- 「マツも飯田さんも、梨華ちゃんが極道の娘さんって事と
矢口さんもそのスジの人って…知ってるよね?」
ひとみちゃんが指で頬の上から下に、ツーっと線を引くと
横に置いてあった お水を一気に飲み干し、
ラーメンをすすった。
「うん。よっちゃんが昨日、言ってたもんね。」
(えぇ!ひとみちゃん…みんなにバラしたの?酷いよ…。)
私はこの場から逃げたくなった。
一瞬、高校の時の事を思いだしてしまった。
―…
- 134 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時40分45秒
- お友達がお家に遊びに来たいと言い出したので
私は学校帰りにそのコを連れて帰ったんだけど…
『うわぁ!立派な家!梨華ちゃんのお父さんって何やってる人なの?』
『え?お父さん?極道だよ。』
…そのコはお家に入ることなく顔を青くして逃げるように帰ったっけ。
次の日から私の周りには誰も近寄らなくなったのだ。
いつも気さくに話しかけくれたコ達も…全然来なくなっちゃったし。
お掃除も、日直も、そしてグループを組むときも…
私はいつも一人ぼっちだった。
しかも敬語なんか使われた日には、たまったものじゃなかった。
その日以来、私は極道の娘という肩書きを隠して生きてきたけど
…でもそんなの隠し通せるワケはなくて。
いつもいつも肩身の狭い思いをしては、一人お部屋で泣いていたっけ。
―…
- 135 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時42分01秒
- (きっと亜弥ちゃんも私から離れて行っちゃうんだろうな。)
私はひとみちゃんを少し睨んだ。
そんな私とは対照的に、ひとみちゃんはいつも通りの笑顔で
優しく笑いかけていた。
目頭が自分でも段々と熱くなってくるのが分かる。
こみ上げて来る涙を止めようとしても
すでに制御出来なくなってしまっていた。
「でも私はそんなの気にしないよ。って…!梨華ちゃんどうしたの?」
「へ?うわぁ!泣いてんの?梨華ちゃん!!」
「あぁ!お嬢さん!よっすぃ〜何やらかしたんだよ!」
「…さすがね。さすがは吉澤だわ。ジゴロ泣かせ。ククク…。」
「そんなのシャレになんねぇよ!圭ちゃん!しかもキショイ!」
私はどうしていいかわからずに、ワンワン泣いてしまった。
みんな私の周りを取り囲み、必死になって
あーでもない、
こーでもない、
と、言い合っていた。
- 136 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時43分27秒
- 「と、とにかく…落ちついて。石川…って…!!」
「飯田さんが落ちついてよ!」
飯田さんと亜弥ちゃんが私に抱き付いた。
「石川、アンタどうしたのよ?う、嘘よ!ジゴロとかアタシ、あんま意味
知らないのよ!こ、今度スロットに連れていってあげるから。」
「ダメだよ!圭ちゃん!今度はオイラと行くんだろ?」
保田さんに矢口は…
スロットとか言う話しに夢中で。
「梨華ちゃん!」
「は、はいぃ!!」
- 137 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時44分23秒
- 私はいきなり呼ばれたのでバっと顔を上げる。
視界に飛びこんできた彼女の顔が、歪んでよく見えなかったけど
そこには恐い顔をして私を睨んでるひとみちゃんがいた。
私はこんな彼女の顔を見たのは初めてで、
少し焦ってしまった。
そしてフワリと私の両手を優しく掴み
「ダメだよ。そうやってメソメソすぐ泣いちゃ!それに人の話しは
最後まで聞かなくちゃ…ね?」
「う、うん…。」
そう言うとひとみちゃんは手を離し、
いつものニコニコ顔に戻って
両頬を優しく包み込んだ。そして少し乱暴に親指で
涙を拭きとってくれた。
- 138 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時45分37秒
- 「マツ…。」
「うん。私は梨華ちゃんが極道の娘でも、そんなの全然
気にしないって言ったんだよ。飯田さんも気になんてしてないし。ね?飯田さん。」
「おう。極道の娘なんてカッケ〜じゃん。石川はネガティブすぎるよ。
人間みな平等。これ鉄則!(ビシ!)」
「梨華ちゃんが過去に何があったかなんてさ、いちいち聞こう
なんて思ってもいないし。今が楽しけりゃ、それでいいじゃん。」
私は昨日からずっと泣きっぱなしだ。
どうしてひとみちゃんの周りには...
こんなに優しく笑いかけてくれる人達が集まるんだろう。
...もっと早くひとみちゃん達に出会いたかったよ。
- 139 名前:―絆― 投稿日:2002年03月29日(金)19時46分30秒
- 「話しは終わったかしら?って石川エ〜ンド松浦!ラーメン伸びちゃってる
じゃないのよ!不味くなるでしょ!さっさと食う!これ鉄則!(ビシ!)」
「ちょっと圭ちゃん!しかもカオとかぶってるよ!ダメじゃん!」
「…スマソ。い、いいから食いなさい!」
こーゆー事なんだね。
…ひとみちゃん。
ホントだ。
一人で私は頷き、軽く涙を拭き取った。
そして私と亜弥ちゃんは伸びきったラーメンに手を伸ばしたのだった。
- 140 名前:理科。 投稿日:2002年03月29日(金)19時47分30秒
- 更新しました。
- 141 名前:某さくしゃ 投稿日:2002年03月29日(金)20時02分45秒
- 石川さんの学校生活を思うとまた涙が…。いじめとは違うけど可哀想…。
今回は良い人ばかりで良かったです、はい。
追伸・無理は禁物です(w
最後に「このエロ河童」と一言貰えれば充分です、はい。
- 142 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月30日(土)04時32分13秒
- 男前な矢口っつぁんの上をいきそうな大きい器の飯田さん、イイっすね。
保田店長も愛ちゃんもマッツーも、なんか吉を含めた周りには
梨華ちゃんにとって初めて遭遇する人達がいっぱいです。
温かいのは決して目の前のラーメンの所為だけではないはず・・・。
○ッチモニとタン○ポ、どっちがツモれそうかなァ・・・(w
- 143 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月30日(土)10時40分11秒
- >…そうだね。やっぱり吉澤の作るラーメン…
圭ちゃんの作るギョーザ…高橋が持ってくるお水…最高。
これ最高にウケました。(w
高橋が持ってくるお水って・・・。(w
石川さんの学生時代・・・。悲しいですね。
学生時代に受けた傷を、吉澤さんはじめみんなで癒して欲しいなって思います。
- 144 名前:理科。 投稿日:2002年03月30日(土)22時02分00秒
- <某さくしゃさん。
(T▽T)<…いいんです。別にいぢめられたってワケじゃないですから。
グス。石川は…石川は強く生きてきます。
(〜^◇^)<…エロ河童ってレスってきたぜぇ!キャハハ!
<M.ANZAIさん。
川゜皿゜)〜^◇^)<やい!オイラの方がうつわ、でっかいぞ!
…カオには負けるね。
(OT〜TO)<温かいのは決して目の前のラーメンの所為だけではないはず・・・。
感動したYO!梨華ちゃん、聞いた?
<吉胡麻系さん。
川゜皿゜)<高橋はお水係りなの。今のトコは…。
( ^▽^)<みんなで癒してね♪…特に、よっすぃ〜(ボソ。
(;O^〜^)<…。梨華ちゃん、ももももももちろんだよほぉ...。
( ^▽^)<キャ♪照れちゃって…。
- 145 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時04分47秒
- ―吉澤視点―
梨華ちゃん達と出会ってから1ヶ月が経とうとしていた。
あれから毎日のように顔を出してくれる。
それが保田さんにとっても、愛にとっても…当たり前になっていて。
っつーか、あたしにもだけどね。
前に一度だけ、家の用事とかでこれない日があったんだ。
そしたら保田さん…
『吉澤!アンタ電話しなさいよ!テルミ〜!!なんかあったんじゃないの?』
なんてさ…。
ラーメンひっくり返すんだか、
注文は間違えるわで…
『やだわぁ〜!アタシ!ファイ!よ!ヤッス〜♪』
なんて片手挙げてヘンなポーズ取るし。
寒いこととか平気で言うし。
すっげ〜取り乱してんの!笑っちゃうよね?
あっはっはっはぁ〜!
って。あたしが笑ってどーするの?
…そんなあたしも心配して失敗したりしてたんだけどね。
- 146 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時06分13秒
- 愛は矢口さんの事が...お気にいりのようで。
懸命に矢口さんに自分で作ったラーメンを出しては
ってか、愛...勝手にラーメン作っていいのかぁ?
恋の力は偉大だね。
『どうですか?どうですか?』
って、食い終わらないうちに何回も何回も聞いてんの。
そしたら矢口さんがニヤリと笑って…
『オイラに惚れちゃ…ケガするぜ』
…矢口さん!あたしもその台詞使わさせてもらいます。
なんていいんだけどさ!…あ〜...ハズかしい。
- 147 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時06分53秒
- 飯田さんやマツも、今ではすっかり仲良しさん。
マツに至ってはジムのPCで、梨華ちゃんとメールしてるぐらいになってさ。
ってかいつの間に?って感じなんだけど。あたしにしてみれば!
「吉澤!手元がお留守になってるわよ!気合よ!ラーメンは!!そして
隠し味は...愛よ!うっふんv」
「っす!!…ってか愛って。」
保田さん…アンタ恋してるんですか?誰にっすか?
もしかして、あたしぃ〜!?んな訳ないか。
っつーか素直に...キショイ!!!!!
『…んな訳あるかもよ?』
ニヤリと不気味にほくそ笑むヤッス〜...。
ボディーにめっちゃ重たいヘビー級のパンチをくらったような
衝撃的な振動にかられたあたしは…
その夜、保田さんに追いかけられるとゆー...最悪な夢を見たのだった。
でも…何であたしの思っていたことが解ったのか?
...まぁ、そんなわけで今日も 練習を切り上げ
バイト先でラーメンを作ってる途中だった。
- 148 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時07分30秒
- 「こんにちわ〜。」「よぉ!今日もマジメに働いてるか?キャハハ!」
「吉澤、カオお腹減った!」「どぉもぉ〜。」
4人が一気に入ってくるなり店内は騒がしくなる。
フと、梨華ちゃんと目が合った。
ニッコリ笑う彼女の顔は、今日も変わらず輝いて見え、
あたしは一瞬、ドキっとしてしまっていた。
いつも通り、ラーメンとギョーザを食べ終えたみんなは
他愛もない談笑を始める。
「あ!そうだ。梨華ちゃん、明日ヒマ?」
「お嬢さんは毎日ヒマしてんだよ。そんな可愛そうな事、聞くなよ、まっつ〜。」
「酷い!矢口!」
顔を真っ赤にし下を向いたまま、梨華ちゃんは恥ずかしそうに
「…でも、そうかも。明日何かあるの?」
と、フフっと笑みをこぼしながら話しを続けるマツ。
- 149 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時08分32秒
- 「うん、明日よっちゃんの試合があるんだけど、良かったら観に
いかないかなって思ったの。」
「ひとみちゃん!明日試合なの?行きたい!ひとみちゃんの事、応援したい!」
「お、お嬢さん…落ちついて。」
勢いよく立ちあがる梨華ちゃんは、あたしの顔を見つめたまま
快く『行きたい!』って言ってくれた。
っつーか、マツ…。あたしが梨華ちゃんに言うつもりだったのになぁ。
まぁ、いいか。
正直、梨華ちゃん…来てくれないんじゃないかなって思ってたんだけど。
「すっごい、カッコいいんだよ!よっちゃんの闘う姿…」
「普段もカッコいいよ。ひとみちゃんは!…闘う姿かぁ…。キャー!」
「でしょ?んもぅ!梨華ちゃんと私って話しがあうかも!ってかライバル?」
「嬉しい!亜弥ちゃん!!え?ライバルって…?」
- 150 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時09分45秒
- …あのさぁ、いったい何のお話しですか(照)?二人供…。
しかも仲良さげで、よし子ちょっとジェラシー感じてますが。何か?
いい加減、抱き合ってないで離れたら?
「ひとみちゃん!明日、私も応援しに行っていい?」
「あぁ、いいよ。でも...梨華ちゃんさぁ…?血とか平気?」
ニコニコしていた梨華ちゃんの顔が急にスピードを上げ
サーっと血の気が引いていくのがわかる。
(でも笑ってるままの顔なんだよ?)
そしてそのまま後ろに倒れてしまった。
- 151 名前:梨華ちゃんって…? 投稿日:2002年03月30日(土)22時10分21秒
- ちょうど良くそこには、矢口さんと保田さん、飯田さんが
スロットの話しに夢中になっている最中だった。
運良く、倒れた場所には保田さんがボタンを押す仕草を
取っていて、うまい具合に床に頭を打つ事態は防げたのだ。
「指が痛ぁ〜い!!しかも重い!石川!アンタのせいでボタン押せなくなったら
どーしてくれんのよ!って…何よ!どーしたよ?石川!!発情期?」
発情期って。保田さんじゃないんすから。
…はたして明日、梨華ちゃんが無事に試合が終わるまで
気を失わないでいることが出来るのだろうか…。
後で矢口さんから教えてもらったんだけど、
梨華ちゃんは打ち合い系は全然ダメらしい。
じゃあ、明日は梨華ちゃんの為にソフトなボクシングを…
と言うのはウソであり。
...神様。明日、梨華ちゃんが無事、試合を最後まで観ていれますよーに。
―…
- 152 名前:理科。 投稿日:2002年03月30日(土)22時12分23秒
- 更新しました。今回は下げて、ひっそりと
やろうかと思っていながら…嗚呼。
逝ってきます…。
- 153 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年03月30日(土)22時48分27秒
- 月日の流れるのは早いもので、いよいよ吉の試合が行われるみたいです。
>じゃあ、明日は梨華ちゃんの為にソフトなボクシングを…
どこまでも人がいい・・・人にやさしい吉、でも一度ゴングを聞くと・・・
とんかく好試合を期待しています。
「とくばん」シャッフルのアノ組4人を先に揃えている理科。さんて(略
- 154 名前:じじ 投稿日:2002年03月31日(日)05時34分00秒
- 吉澤さん試合ですね!
倒れる石川さんに期待!(w
矢口さん、銃は抜かないでね(w
しかしヤッスーがおもろすぎです!
- 155 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月31日(日)12時43分29秒
- おぉ!吉澤さん試合ですね!
ぜひ私も観戦してみたいですね〜。
(0^〜^0)<ボクサーは僕さ!
吉澤さんの勝利と、石川さんが倒れない事を祈ってます。(w
- 156 名前:理科。 投稿日:2002年03月31日(日)21時09分32秒
- <M.AMZAIさん。
(O^〜^O)<ソフトなボクスィング♪…梨華ちゃん。
実は、人になんかやさしくないよほ。。。
(T▽T)<…。
シャッフルは偶然です(w 自分でも驚いております。
毎日、お楽しみありがとうございます…南無。
<じじさん。メール欄…笑ってしまいました(w
(〜^◇^)<いくらオイラでも、試合中はチャカなんて抜かねぇよ。
安心して観てな♪キャハ!
(;^▽^)<…多分、大丈夫です…。ほい。
<吉胡麻系さん。ん?課題とは?
(#´▽`)<ボクサーは僕さ!…よっすぃ〜、カッコいい!
(0^〜^0)<梨華ちゃん?吉胡麻系さんも試合、
観にきておくれYO!
(#´▽`)〜`O)<ありがとう…。
- 157 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時20分10秒
- 「いい?吉澤。今日の相手は…いつものとは違うからね?
でも大丈夫。普段通りにやれば、必ず勝てるから!」
コクリと頷き、あたしは一人黙々とシャドーをしながら
飯田さんの言葉に耳を傾ける。
今日は調子がいい。スムーズにパンチも打てて、
何よりステップを踏む足取りが軽い。
昨日の夜は悪夢(ヤッス〜)を見ることもなく
ぐっすりと眠れたしね。
今日の相手は安倍ジムの後藤真希こと、【ごっちんv】
リングネームがあだ名なんて、何だか可愛いかも。
しかも最後の方に『ハート』マークついてるし。
…って何を考えてるんだぁ?
あたしとタメで、今までの成績は8勝0敗8KOと、
いい数字を叩き出している。
あたしは相手の試合のビデオを何回も何回も繰返し、
穴があくほど観て研究をしてきた。
- 158 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時20分45秒
- ごっちんは…あたしと同じようなタイプで
とにかく力で押してくる。
でもスタミナがないらしく、5ラウンドまでは持たないとか。
早めにいいのをお見舞いして試合を決める。
しかも今日は…梨華ちゃんや、矢口さんが観にきてくれてるから
負けられない!
「…時間です。」
「吉澤…行くよ!」
「…っす。」
毎回感じることだけど、リングにあがるまでの道のりって
緊張するな。でも、この緊張感が闘争心を燃えさせる。
ひしひしと伝わる緊迫したムード。
あたしは静かに目を閉じながらリングに向かった―。
- 159 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時21分22秒
- ―石川視点―
「…お嬢さん。すぐに気分が悪くなったら…矢口に言ってくださいね?」
「矢口!大丈夫だよ!」
心配そうな顔で、こっそりと私に耳打ちする矢口。
その手には、しっかりと熱冷まシートとタオルが手に握られている。
口では大丈夫なんて言ったものの...正直、私は
生で観る試合にドキドキしていた。
しかも大事な人が殴り合いするんだからなおさらだよ!
「あら?石川、お顔が真っ青よ?吉澤なら勝つわ!絶対に!」
「…そうですよね!」
「梨華ちゃん、よっちゃんの事、しっかり応援しようね!」
「矢口さん。愛も矢口さんのこと、応援していいですか?」
「はぁ?何言ってんの?お前。…まぁいいけど。」
「やった!!」
私の両隣には、亜弥ちゃんと矢口が挟んで座っていて、
しっかりと手を握ってくれていた。
で、その矢口の隣には愛ちゃんが嬉しそうにピッタリくっついて
リング上を見下ろしていた。
- 160 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時21分55秒
- 「今日の相手はごっちんか…。よっちゃんと同じタイプだね。」
「強いの?」
亜弥ちゃんの顔が険しくなる。
「…ん。パンチ力がね...強いから、ボディーに一発もらっちゃ
さすがのよっちゃんもヤバいかも。…でも、勝つよ!」
(ごっちんって…試合が始まるっていうのに、リングサイドの椅子で
グタっとしてるコだよね?…力が強そうには見えないけどなぁ。)
フワぁ〜っと大きな欠伸をしながら、フニャっと笑う彼女。
今から試合をするようには到底、見えない。
一方、ひとみちゃんはというと…
トーントーンと軽くジャンプしながら、首をグルグル回している。
いつもの、ほんわかとしたひとみちゃんの姿はそこにはなかった。
- 161 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時25分44秒
- 彼女の顔はとても険しく、いつもニコニコし、
お喋りをしながらラーメンを作ってるあのひとみちゃんではない。
そんな彼女を目の前にした私は全身に鳥肌がたつ。
ひとみちゃんが今から必死で戦う。
私もこの試合、どんなことがあっても
彼女から目を離さないと、心に誓った。
―…
- 162 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時26分34秒
- ―吉澤視点―
(…やる気あんのかよ!)
相手のだらしない姿を目の前に…あたしの怒りは爆発寸前だった。
試合が始まるというのに椅子に座ったままで、ぐたっとしている。
とにかく鐘がなったら速攻、打ってでようと思っていた。
「後藤選手!立ちなさい!」
「…ふぁ〜い。」
スタスタと歩み寄ってきて、あたしの前に立つと
「よろしくね?吉澤選手。あは!」
…何がよろしくだ!何が!!!
しかも白い歯を見せて笑うな!!
マジで強いのか?このコ。
いや…油断大敵だ。
ここは落ちついて。
もしかして...相手の策略かもしんないし。
作戦変更!やっぱ様子を見てからにしよう。
- 163 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時30分06秒
- ―カーン!―
(あれ…?)
さっきまでの彼女とは明らかに違った。
まるでそこには別人がいて…あたしは面くらってしまっていた。
屈託のない笑顔はどこへやら…。
鐘が鳴ったのと同時に、彼女の顔は
試合モード100%…いや、それ以上にもの凄く険しいものに
豹変していた。なんとも言えない圧倒感が、あたしの心身に
ビリビリと強く伝わってきた。
そこに、素早く繰り出される【ごっちんv】のワンツーを、あたしは見事に
貰ってしまっていた。
(あつ…。)
ジーンと鈍い痛みだけが残り、
手で鼻を擦りながら、あたしは咄嗟にガードに周った。
グローブの上から睨みつける彼女の目はとても鋭く、
あたしは一瞬、背筋にイヤな汗が流れる。
- 164 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時40分55秒
- (…くそ!)
自分の間合いを取ろうと、警戒しながら
後ろに1,2歩後退する。
ごっちんも、あたしとの間合いをうまく掴んでいるようで、
難なく軽いステップを踏みながら近づいてきた。
その時だった。
ごっちんのガードが少し甘くなった一瞬の隙を
あたしは見逃さなかった。
『パン!』と、左でジャブを打ってやる。
いい感じで頬を捉えた。
ごっちんの顔が歪む。
彼女も手で鼻を擦ると首を軽く捻りながら
ジ...っとあたしを睨みつけたのだった。
―カーン!―
ガードしていた手を解いた。
たいして動いてはいないのだが…疲労感が体を包む。
あたしは大きく溜め息をつき、
今までの相手とは違うってこと…
勝負するトコを早く決めなければ勝てない相手だということ…
あたしはこの1ラウンドで感じた。
―…
- 165 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年03月31日(日)21時43分05秒
- ―矢口視点―
「きゃ!…ひとみちゃん…。」
隣に座ってるお嬢さんの体が、小動物のようにピクリと反応を示す。
よっすぃ〜が出会い頭のパンチを貰ったときのことだ。
オイラの手を握り締める、お嬢さんの細い指からは
ギュ!っと力がこめられた。
目を反らすことなく真剣な面持ちで、リングの上で激しく戦ってる
よっすぃ〜の雄姿に、目が釘付けになっていて…。
この調子なら倒れることなく、試合が終わるまでは大丈夫だろうと
ホっと胸を撫で下ろし、オイラもよっすぃ〜の試合に目を見張るのだった。
―…
- 166 名前:理科。 投稿日:2002年03月31日(日)21時44分47秒
- 更新しました。これから展開が早くなっていきます。
ある場面に時間をかけたいので…。
- 167 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月01日(月)03時27分48秒
- 吉の対戦相手が後藤選手とは・・・。
安倍ジムって事はリングサイドにあの方も? (ここでミスムン揃うとは!?)
梨華ちゃんの目の前で繰り広げられる好試合を期待。
いざ進め!
- 168 名前:夜叉 投稿日:2002年04月01日(月)18時15分33秒
- をうっ、花見してる間にずいぶん進んでる… Σ(`.∀´#)
作者様の展開について行かなくては…(^^;;
がんがってくださいね。
- 169 名前:じじ 投稿日:2002年04月01日(月)19時04分06秒
- リングネームがごっちん。
ちから入んねー!(w
でも強そう(w
好試合期待してます。
- 170 名前:理科。 投稿日:2002年04月01日(月)22時36分40秒
- <M.ANZAIさん。
(0^〜^0)<ごち〜ん!強いね…。(ボソ。
SO!リングサイドの緊張感を♪
お聴きください、躍動感を♪
(;^▽^)<…答えになってないよ。ひとみちゃん…。
でも、そんなひとみちゃんも好き!
<夜叉さん。
(〜^◇^)<は、花見ぃ〜!いいなぁ、オイラも行きてぇよ!
!!タンアて見花>(`.∀´#)
(;〜^◇^)<…圭ちゃん、読みにくいよ。
ありがとう…。がんがるよ。…夜叉さんは小説、あと
書かないのか?
<じじさん。
(;〜^◇^)<…ロ?ま、まぁいいじゃねぇか!(何が?
オイラのリングネームは…何だろ?
っつーか、オイラにはないか♪キャハハハ!!
じじさんもムリしてないか?がんがっていこうぜぃ♪
- 171 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)22時38分18秒
- ―石川視点―
―カーン!―
…何とかこのラウンドはもつことが出来た私は、
フーっと息を吐いた。
額に汗が滲み出ていて、ハンカチで拭いながら
隣の亜弥ちゃんに話しかけた。
「ひとみちゃん…大丈夫かなぁ…。…?亜弥ちゃん?」
亜弥ちゃんはリング上にまだ目を向けたままで
そしてそのままの姿勢で、ボソっと口を開いたのだった。
「…梨華ちゃん。私ね?…この試合が終わったら…
よっちゃんに告白するつもりなの…。」
「…え?」
いきなりの亜弥ちゃんの発言に...私は後頭部を硬い何かで
殴られたショックにかられた。
「…梨華ちゃんには悪いと思ってるけど、私…ずっと前から
よっちゃんの事が好きで。この状況から早く抜け出したかった。
でも、よっちゃんは本気で私が言ってるって思ってなくて。
梨華ちゃんにいつ言おうって...ずっと迷ってて…。
何言ってるのかわかんないやぁ…。…ゴメンね。」
- 172 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)22時38分59秒
- 亜弥ちゃんはそう伝えたあと、シクシクと泣いてしまった。
私はその姿を見て、彼女を攻める権利なんてない―。と思った。
むしろ言ってくれて嬉しかったのかもしれない。
…それなりにショックはあったけど。
亜弥ちゃんとこうして今まで仲良くやってきて、ひとみちゃんの仕草を見て
カッコいいね!って騒いできた。
…私の中では、それはただ単に部活の先輩に憧れるときのような...
感情だったような気がする。亜弥ちゃんもそうだろうと思っていた。
でもたまに亜弥ちゃんが本気でひとみちゃんのことが好きなのかな?って...
ずっと思ってはいたんだけど
普通の好きとかじゃなく、恋愛感情って言うのかな…。
ふと、自分の心の中で小さなモヤモヤした何とも言えない
迷いがあることに気付いた。
今までにないような感情がこみ上げてくる。
- 173 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)22時39分31秒
- (本当に私は憧れだけで、彼女を見ていたの?)
考えれば考えるほどに、それはどんどん大きくなってゆく。
ギュ…っと、胸が絞めつけられる苦しい痛みと、
激しくなる鼓動。
―いつのまにか、試合は4ラウンド目まできていた。
―…
- 174 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)22時40分14秒
- ―吉澤視点―
―…
はぁ、はぁ…。
…試合は4ラウンドまできていて。
2ラウンドは、1ラウンドと同じペースな内容で。
3ラウンドでは、ごっちんの方から打って出てきた。
やはりスタミナの心配からだろう。
ガード上からでもバシバシと、重たいパンチを
関係なく打ってくる彼女。
それに合わせてあたしも打って返した。
飯田さんが
『相手に合わせちゃいけない!』
って言っていたのにもかかわらず、あたしは夢中で
打ってでたのだ。
彼女の予想以上のパンチが効いている。
きっと彼女もそうだろう。
あたしも、ごっちんもすでにフラフラだ。
(ヤバい。…マジでヤバいかも。)
体の自由はすでに利かず、思考回路が鈍り始めた。
苦しいのは相手も同じはず。
- 175 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)22時40分44秒
- ―吉澤視点―
―…
はぁ、はぁ…。
…試合は4ラウンドまできていて。
2ラウンドは、1ラウンドと同じペースな内容で。
3ラウンドでは、ごっちんの方から打って出てきた。
やはりスタミナの心配からだろう。
ガード上からでもバシバシと、重たいパンチを
関係なく打ってくる彼女。
それに合わせてあたしも打って返した。
飯田さんが
『相手に合わせちゃいけない!』
って言っていたのにもかかわらず、あたしは夢中で
打ってでたのだ。
彼女の予想以上のパンチが効いている。
きっと彼女もそうだろう。
あたしも、ごっちんもすでにフラフラだ。
(ヤバい。…マジでヤバいかも。)
体の自由はすでに利かず、思考回路が鈍り始めた。
苦しいのは相手も同じはず。
- 176 名前:理科。 投稿日:2002年04月01日(月)22時46分03秒
- …更新の途中ですが、うpしてる最中に
なぜか下書きが全部消えてしまい、…しかも二重書きこ(汗汗…。
ここでくぎります…すみません…。逝ってきます…(泣)
- 177 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)23時10分24秒
- そんなことを考えてるあたしに、ごっちんの重みのある
パンチがまたまた飛んで来る。
(…く!どこにまだこんな力が…!)
何とか避けることは出来たが、彼女はパンチを止めない。
(…やっぱ、スタミナがないんだ。)
とにかくここは我慢だ。
ガードしながら相手に出来るわずかな隙を
つこうと、あたしは待つことにした。
と...その時だった。
それはすぐさまやってきたのだ。
汗で滑ったのだろう。
一瞬、ごっちんの態勢が崩れ、ストレートを出すタイミングが
ずれ、ボディに隙間があいたのを
あたしは見逃さなかった。
態勢を低くして、彼女の懐に潜り込み
そして体重をかけた右フックを腹に打ちこむ。
- 178 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)23時11分01秒
- 『…あぅ!』
苦悶の表情のごっちん。
体が【く】の字型になり、そしてあたしは顔面に渾身の左ストレートを
お見舞いしてやった。
それは見事な感触だった。
プっと鼻からは真っ赤な血が噴出し
その瞬間、足元がグラつく。
(…やった!)
ダウンを奪うことが出来た。
あたしはグローブの下で拳を強く握りながら
ごっちんの方に目を向けた。
レフリーがごっちんの近くまで行って様子を確かめる。
だが一向に置きあがろうとはしない。
あたしは自分の勝利を確信した。
…だが、彼女は立ちあがったのだ。
可愛い顔からは大量の血が出ていて。
でもなぜか凄く艶やかにあたしに映る―。
(…なんで。)
ファイティングポーズをとる彼女。
目は朦朧としてるのだが、その目は死んではいなかった。
背筋にまた汗が流れ落ちる感触に、
あたしは再度、ゾクリとした。
(…何?この寒気は…。)
そして鋭い目付きのまま、彼女はあたしを睨みつけている。
- 179 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月01日(月)23時11分40秒
- (…最後まで気ぃ、抜けないね。)
パン!とグローブを叩き、あたしは気合を入れる。
でもここで一気に勝負をかけたかった。
とにかく打ってでようと判断したあたしは打って打って….。
ガードなんかお構いなしに必要以上に打ってでたのだ。
そのときだった。
(…え?)
ポン...と触れられただけのパンチに、あたしは呆気に取られた。
その瞬間だった。
ごっちんの全身をかけてのストレートが...あたしの顔面を捕らえたのは。
周りがスローモーションのように、やけにユックリと見えて、
額から噴出した血が、中を舞っていた。
それが凄くキレイで。
...あたしの回路はそこで止まってしまった。
―…
- 180 名前:理科。 投稿日:2002年04月01日(月)23時12分43秒
- (中血半端な)更新しました。
- 181 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月02日(火)02時42分50秒
- 立ちあがれ!もう一度その足で!立ちあがれ・・・
- 182 名前:理科。 投稿日:2002年04月02日(火)06時13分44秒
- <M.ANZAIさん。コナゴト、今までありがとうでした。
(0^〜^0)<立て!立つんだ、ジョ〜!
( T▽T)<…ひとみちゃんが立ってよぉ〜…。
…昨日、あまり焦ってしまい、【中血】←中途と書こうとしたのに
これって何て読むんでしょう(鬱...
- 183 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月02日(火)06時15分18秒
- ―石川視点―
後藤さんが倒れた時点で
ひとみちゃんが勝つものだと、私はずっと思っていた。
私達が見つめる目線の先には、信じたくない光景が映っていて。
後藤さんのパンチがひとみちゃんの顔を見事なくらい、突き刺した。
空を舞うひとみちゃん。
ヘッドギアをつけていたのにもかかわらず、
額からは凄い量の血が噴出し舞っていた。
一瞬の出来事に、私はただただ呆然としていて。
矢口が私の手を強く握り締め、我に返ることが出来た。
リングの上では、夥しい血痕が流れていて。
飯田さんがひとみちゃんの側まで急いで駆けつけ、
ゆっくりと置きあがらせながら止血を始める。
未だにひとみちゃんはグッタリとしていて、ピクリとも動かない。
- 184 名前:理科。 投稿日:2002年04月02日(火)06時16分02秒
- 相手の後藤さんも…
勝ち名乗りを聞いてすぐに倒れ、セコンドの人が
タオルで顔を拭いていた。
「…よっちゃん、よっちゃん!」
亜弥ちゃんが隣で泣いていて、
席を立ち、出口のほうへと走っていった。
「お嬢さん…オイラ達もよっすぃ〜のトコ…行こうぜ!」
「う、うん…。」
私も矢口達と一緒に向かおうと、スっと立ちあがった。
そのとき軽い目眩がして、倒れそうになるのを
後ろから、矢口と保田さんがしっかり支えてくれたおかげで
私は何とか踏ん張ることができた。
愛ちゃんはすでに意識を失っていて、矢口におぶさっていた。
階段を降りながら、私はどんな風にひとみちゃんに声を
かけようかと考えていて、控え室に向かう足取りは重く
私はここから逃げたくなっていた。
- 185 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月02日(火)06時16分51秒
- 「まっつ〜...」
控え室の前で亜弥ちゃんが顔を覆って泣いていた。
すると私達に気がついたのか、
「…梨華ちゃ〜ん...」
と、力の抜けた声で私のことを呼ぶと
そのまま抱き付き、ワンワン声をあげて泣いてしまったのだ。
ずっと我慢していたのに、亜弥ちゃんの泣く姿を見ているにつれて
私も目頭が熱くなる。
「…まっつ〜。顔でも洗ってこようぜ。よっすぃ〜にそんな顔見せんなよ。な?」
「そうよ…。吉澤は頑張ったわ…。」
矢口と保田さんは私から亜弥ちゃんを引き離し
優しく肩を抱き、そのままどこかへ行ってしまったのだ。
そんな4人を、ボーっと見ていたら
くるっと後ろを振り向きざま、矢口は私に目で
合図を送っていたことに気付いた。
私は…ただ頷くだけが精一杯で。
このドアの向こうにひとみちゃんがいる。
自然と足が震え、入ることに私はためらったけど
覚悟を決め、ドアをノックしようとしたとき…
- 186 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月02日(火)06時17分40秒
- 「あ…石川。カオ、ちょっとさ、今から審判の控え室に行かなきゃ
なんないの。…良かったぁ。誰か来てくれて。吉澤についてやっててよ。」
「あ…はい。」
飯田さんの目と鼻が真っ赤になっていて、
私はそんな飯田さんの顔を直視出来ないでいた。
そのまま彼女はニッコリと笑うと、長い髪を振りかざし
急いで走り去って行ってしまった。
(…もしかしてこのお部屋にひとみちゃん一人?)
一応軽くノックをして、私はお部屋に入った。
そこには...大きなタオルで顔を隠し、まだ肩で息をしている
ひとみちゃんが寝そべっている。
ガチャっとドアの閉まる音に、ピクっと体を反応しながら、
ひとみちゃんはそのままの態勢で
「…飯田さん、早かったっすね。」
私は何も言えなかった。
そして手でタオルを取りながら、ゆっくりと起きあがり
飯田さんではない事を確認した彼女は、フイっと横を向いてしまったのだ。
- 187 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月02日(火)06時18分25秒
- 「…あの。ひとみちゃん…?」
「……。」
イヤな沈黙が場を包み込む。
「…カッコ悪いでしょ?あたし。」
「そんなことない!カッコ悪くなんかないよ!」
咄嗟に私は叫んでいて。
ひとみちゃんは私の方を向いてくれて
クスっと笑みをこぼす。
さっきは気付かなかったけど、その顔は...真っ赤に腫れあがり
額には痛々しくも、白い包帯が巻かれてあった。
そして唇にも無数の切った後があって
試合の生々しさを物語っていた。
何だか胸が熱くなっていることに気付いた私は
ゆっくりと彼女に近づき、目線を合わせるようにしゃがんだ。
震える手で、私はその勲章に触れた。
ひとみちゃんは何も言わずに、とても悲しそうな瞳で私を見つめる。
- 188 名前:SLOW JAM... 投稿日:2002年04月02日(火)06時19分12秒
- 「…ひとみちゃんは一生懸命、頑張ったよ。」
「…梨華ちゃんに何がわかるって言うの!負けたら意味がないんだよ!」
カっとなり、ひとみちゃんは急に立ちあがった。
その顔には涙が伝わっていて。
恐くて身動きが取れなかったけど...
彼女のその顔がキレイで、私は見惚れてしまっていた。
すると私の両手首を強く掴み、私は何も言えず
そのままひとみちゃんの顔を見つめる。
ほんの一瞬の出来事だった。
乱暴にひとみちゃんは貪るように私にキスをした。
「んん…!…やだ!…ひとみちゃん、こんなのひとみちゃんじゃない!」
鉄錆びのような味が口に広がり、私は咄嗟に彼女を突き飛ばし
部屋を後にした。
涙が溢れ出す。
私は今までに味わったことのない激しく高鳴る鼓動を
静めようと、胸を押さえつけた。
―…
- 189 名前:―それぞれの夜...想い、願い。矢口視点― 投稿日:2002年04月02日(火)06時20分16秒
- 季節は梅雨を迎え 雨にふりこめられたむし暑い日々が続いていた。
庭には色鮮やかな紫陽花の花が 所狭しと咲き乱れていて。
梅雨なのだから雨は降る。当たり前の事なんだけど…
今日の雨は、よっすぃ〜の気持ち...そのままって感じがしてたまらない。
でも…試合が終わって、控え室から帰ってきてからのお嬢さんの様子が
おかしかったのは...矢口の気のせいなのかな?
―お嬢さんのガードに付くようになって
早1ヶ月が経とうとしていた。
オイラは毎晩、姐さんの部屋へと呼び出され
今日はどこどこへ行ってこうしたとか、
ああしたとか、まぁ早い話しが報告をしに通ってるワケだ。
姐さんも姐さんで、一喜一憂しながら
矢口の話しに耳を傾けてくれた。
何だかオイラもそれが嬉しくて。
つい調子に乗ってでしゃばってしまう…。
今日は、お嬢さんの友達の よっすぃ〜の試合について
熱く語ってしまった。しかも演技付きで…。
- 190 名前:―それぞれの夜...想い、願い。矢口視点― 投稿日:2002年04月02日(火)06時21分26秒
- 「失礼しやした。」
興奮冷めやらぬオイラは薄っすらと額に滲み出てる汗を拭き取った。
せっかく風呂に入ったのになぁ…と苦笑いしながら
何時ものように、姐さんの部屋から出ると
長い渡り廊下をくだって突き当たりの自分の部屋につく。
そして煙草に火をつけ、今日あった出来事を矢口なりに
一人解釈し、柄にもなく日記をつける。
「…はぁ〜あ!」
大きな欠伸をし、ペンを置く。
そして咥え煙草で布団を敷きながら時計に目を移した。
時計はすでに1時を回っていて。
- 191 名前:―それぞれの夜...想い、願い。矢口視点― 投稿日:2002年04月02日(火)06時22分08秒
- ...お嬢さんが、よっすぃ〜と出会ってからと言うもの
毎日毎日が凄く楽しそうだ。生き生きしてるのが
オイラにもガンガン伝わってくる。
何をするにも前向きでさ。
ここ最近は塞ぐこともないし、何よりも表情が変わったな。
よっすぃ〜の試合を観ていたお嬢さんを見て、
オイラはつくづく肌で感じた。
よっすぃ〜と出会う前なんて...
もぉ死んでんだか生きてんだかわからないほどだったんだ。
オイラはそんなお嬢さんが正直嫌いだった。
いつもウジウジしてて…
ベソかいて…
たまに自分から進んで何かをすると空回り…
そして極めつけが、何かイヤな事があった日にゃ…
部屋から一歩も出ないし。
- 192 名前:―それぞれの夜...想い、願い。矢口視点― 投稿日:2002年04月02日(火)06時23分16秒
- 「オイラ何て事考えてんだぁ?」
ポカポカと頭を叩くと、何時の間に長くなっていたのか、
煙草の灰が膝の上にポトリとこぼれた。
「ぅあっちぃ〜!」
パンパンと払いのけ、急いで煙草をもみ消し、
何だか無償に悲しくなってきたオイラは障子と窓を同時に少し開け
真っ暗な外の景色に目をやる。
雨のせいか、苔の青々しい匂いが強くオイラの鼻に飛び込んできた。
ふと遠目に見えるお嬢さんの部屋からは微かな明かりがこぼれていて。
きっとまた よっすぃ〜のことを考えてるんだろう。
お邪魔しちゃ悪いなと思い、静かに窓を閉めた。
そして布団に倒れこみ目覚ましをセットする。
- 193 名前:―それぞれの夜...想い、願い。矢口視点― 投稿日:2002年04月02日(火)06時24分03秒
- …よっすぃ〜ならもっと、お嬢さんを変えてくれるかもしれない。
もっともっと前向きに。
いい方向に持って行ってくれるに違い無い。
そんな変わっていくお嬢さんを見るのが、ここ最近のオイラの
楽しみでもあった。
(じゃあ、オイラには何が出来んだろ…。)
ふいにそんな事が頭をよぎった。
...ちょっと深く考えすぎたかな。
まぁ…オイラはオイラで
ずっ〜とそんな二人を見守っていくことかなと
ちょっとカッコ良く思い、そして一人照れながらも
床につくのだった。
―…
- 194 名前:理科。 投稿日:2002年04月02日(火)06時25分02秒
- 更新しました。しかも…ageてるし。
逝ってきます…。
- 195 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年04月02日(火)08時40分55秒
- よっすぃ〜・・・。残念です。
これからどうなるんでしょう・・・?
楽しみに待っています。
>中血
ちゅう・・・けつ?(w
- 196 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月02日(火)13時58分18秒
- 吉の闘いにかける想いがとんでもない方向に!?
あまりの出来事にどうなる?梨華ちゃん・・・。
矢口、2人を頼んだよっ!
- 197 名前:じじ 投稿日:2002年04月02日(火)23時18分01秒
- 負けてしまいましたか…
一回距離を測られてからのストレート、綺麗に貰う吉澤さんが目に浮かびます(w
立ち直れ!再起だ再起っ!!!
最終回は打倒アリの娘ですか?
- 198 名前:夜叉 投稿日:2002年04月03日(水)19時30分13秒
- 自暴自棄気味な吉に鉄拳制裁(爆)。
時間が解決するのでしょうか…、何やら気がかりです(^^;;
これから、知のことを「兄貴」と呼ばせてもらいやす、よろしゅう。
- 199 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月03日(水)23時36分54秒
- 何気に、今後後藤がどうからんで来るかだな。
- 200 名前:理科。 投稿日:2002年04月04日(木)17時51分29秒
- <吉胡麻系さん。
(0ノ〜T0)<…あおぅ。痛いよ…。残念ってか悔しいっす。
中血…?ちゅうけつで(略
何か...先に進まないで申し訳ないです。
<M.ANZAIさん。メール欄が新しくなってる!
( ^▽^)<…よすぃ。(ボソ
(〜^◇^)<…オイラもどうしていいか。っつーか作者も
しっかりしろよな!
<じじさん。
(0^〜^0)<…キレイすぎてオイラじゃないみたいだぜ、ベイベェ〜。
勿論、ヤラれたままじゃやだし。…夜にでも(略
( T▽T)<…。ふぁいよ…。じじさんも、よっすぃ〜も。
<夜叉さん。…まだ半分も逝ってません…。(鬱
中々進まないですよほ...。
(〜^◇^)<何?オイラのコト、兄貴だと?いいぜぃ。今日から
お前は舎弟だ!子分だ!パシリだぁ〜!…スマソ。
<名無し読者さん。後藤さんは…まだまだ先になります。あうぅ…。
読んで頂いてるみなさん…話しが中々進まなくて&駄作ですみません…。
自分でもこんな風になるなんて(爆!!
何だか長くなりそうです...。
- 201 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時53分19秒
- ―吉澤視点―
「…ふぁーあ!っと…。」
止まることのない欠伸に、あたしは付いて行けなくなっていた。
ふと時計を見ると...3時を回っていて
外は少しづつ日の光が射し込むようになっていた。
明日は…ってかもう今日だね。
昨日あたしは試合で初めてKO負けをくらった。
ごっちんの何気ないパンチに、あたしは呆気に取られ
一瞬、呆然となったトコまでは記憶があるが…
その後はと言うと…
もうろうとした意識の中、気付いたら薄暗い控え室にいて
ぐしゃぐしゃに顔をしかめ泣いていた飯田さんの顔があったっけ。
あたしは結果を聞く前に自分が負けたのだと悟った。
試合後、打たれた場所はあまり痛くはなかった。
とにかく悔しくて。初めて人前で涙を見せてしまった。
しかも最悪なことに…あたしは梨華ちゃんにあたってしまった。
- 202 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時54分11秒
- 『…ひとみちゃんは一生懸命、頑張ったよ。』
『…梨華ちゃんに何がわかるって言うの!負けたら意味がないんだよ!』
…今になってきて痛みは激しさを増していき、
鏡の前には今までに見たことのない自分が顔を出していた。
今日から5日間、練習もないし、ラーメン屋、配達のバイトもない。
とにかく体を休ませることって飯田さんに強く言われ、
保田さんは保田さんで
『そんな腫れぼったい顔しながらラーメン作られちゃ、客が逃げるわ!』
涙を流しながら言ってくれた。彼女なりの励ましと…優しさなんだろう。
- 203 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時54分56秒
- さて―。
今日から、どうやって退屈な日々を送ろうかとぼんやりと考えていた。
そして今、手持ち無沙汰のあたしはテレビ番組を観てたが
あまり面白くなかったので途中で電源を切る。
ボーっとしたまま天井を見つめていると
なぜかマツの顔が頭をよぎった。
丁度良く、飯田さんが氷を貰いに行ってる間に顔をくしゃくしゃにした
マツが入ってきた。
...そしていきなりの告白。
『…本当は今、今ね…?こんな事言うのは何だけど…。
よっちゃんの事、私は本気で好きなの!いつもいつもはぐらかさないで!』
唇を噛み締め、涙を流しながら叫ぶマツに…
『…マジであたしの事、想っててくれてたんだ。
でも…マツのこと、そんな風には見れないよ。』
- 204 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時57分32秒
- 「…マツ。」
イヤな答え方したなって、わかってる…。
でもあの時のあたしは、ああしか言葉が出なかったんだ。
自分が恥ずかしくて、情けなくて…。
今までに見たことのない...マツの悲しそうな顔が、
あたしの脳裏に焼き付いて離れないのだ。
いつも冗談を言い合って笑って…
買い出しも毎回一緒に行って…
『よっちゃん、カッコいい!大好き!』
なんて…いつもいつも言われてたっけ。
あたしはその言葉を軽くとってた。
でも、マツにとっては…
今日はもぅ考える事はやめようと、頭をブンブンと振る。
切れた額に激痛が走り、あたしはその場にヘタリこんだ。
- 205 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時58分03秒
- …包帯を取り、切った場所にバンソウ膏を何枚も何枚も
丁寧に張りながら、水が入らないように保護した。
『3日は頭を洗わないでくださいね』
と、病院の先生に強く言われたけど、あたしは3日も頭を洗わないなんてこと、
絶対に我慢が出来なかった。
顔面に貼ってあった湿布薬と、目元に張ってあるバンソウ膏をはがしながら
シャワーを浴びに重い足取りで風呂場へと向かう。
(…最悪だ。)
あたしは自分の愚かさを洗い流すかのように、
冷たいシャワーを体中にかける。
無数の傷後が残っている唇を、あたしは指で
ゆっくりとなぞる。梨華ちゃんの柔らかい、しっとりとした
唇の感触が...未だに残っていた。
どうしてあんな行動をとってしまったのか、自分でもわからない。
次に会うとき、あたしはどんな顔で彼女に会ったらいいんだろうと
何だか悲しくもなり、強く後悔した。
- 206 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時58分42秒
- …最初出会った頃は梨華ちゃんが嫌いだった。
正直な話、あたしは心の隅で梨華ちゃんに嫉妬していたんだろう。
何不自由もなく暮らしてきて、自分の好きなように生きてきて―。
口ではキレイ事言ってた。そんな自分が嫌いだった。
その醜い思いを打ち消そうとしたけど、あたしはそこまで器用じゃないから...。
でも…最近、あたしは梨華ちゃんのことが気になって仕方がない。
今日、マツに告られて…あたしは自分の本当の気持ちに気付かされたのだ。
試合が終わって、梨華ちゃんがあたしのことを励ましてくれたとき、
あたしは抱きしめたかった。彼女の胸で泣きたかった。
…でも、あたしは梨華ちゃんにとってカッケ〜存在でいたい。
梨華ちゃんの前ではいい格好もしたい。
だからこそ彼女の前で、そんな姿は見せたくもなかったし、
弱い自分をさらけ出したくもない。
- 207 名前:―それぞれの夜...想い、願い。吉澤視点― 投稿日:2002年04月04日(木)17時59分13秒
- …現にあたしはさらけ出してしまったのだが。
なのに…昨日、あたしは梨華ちゃんに…。
いくら後悔しても時間は戻らないー。
「…情けないよ。」
彼女が持っていて、あたしには持っていないもの―。
あたしが持っていて、彼女には持っていないもの―。
梨華ちゃんのささいな仕草に
あたしは目を奪われる。
あたしは心を奪われる。
「…あたしには何が出来るんだろう。梨華ちゃんには何が出来るの?」
いつのまにか熱くなった体。
自分が持っている感情に、あたしは蓋をする―。
―…
- 208 名前:―それぞれの夜...想い、願い。石川視点― 投稿日:2002年04月04日(木)18時00分41秒
- ここ最近、私は泣くようなことはなかった。
お部屋に戻ってから、私は口の中に広がる
鉄錆びの匂いを消し取ろうと、何回も何回もうがいをした。
ひとみちゃんに激しいキスをされ、私はあの時かなり
驚いたけど、頭の奥底がズシリと重くなり、彼女の舌使いに
多少は感じてしまっていた。
それが凄く恥ずかしくて…
それが凄くイヤらしくて…。
忘れようとすればするほど、それは鮮明に頭の中を
駆け巡るのだ。明日から、ひとみちゃんは5日間のお休みを頂くらしい。
私は胸を撫で下ろす。
だって…ひとみちゃんと5日間、顔を合わせなくてもいいのだから。
- 209 名前:―それぞれの夜...想い、願い。石川視点― 投稿日:2002年04月04日(木)18時01分18秒
- 胸の周りがまた騒ぎ出す。
亜弥ちゃんの告白があってからと言うもの、
私がひとみちゃんの事を考えてると…こんな風に
胸が苦しくなる。
いくら鈍い私でも…自分の本当の気持ちに気がついてしまった。
私はひとみちゃんのこと、
ただの憧れではなく、恋だと言う事…。
それは急激にスピードを増し、止まることなく…
私の中で大きく大きく変わっていったのでした。
「…ダメ。今までの関係でいいんだ。…治まってよぅ。」
その夜、私は朝方まで一人モヤモヤし...
寝つけないでいた。
―…
- 210 名前:理科。 投稿日:2002年04月04日(木)18時02分04秒
- 更新しました。
- 211 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月04日(木)19時41分18秒
- 気付いちゃった・・・?
(メール欄、苦にしないで下さい、)
- 212 名前:夜叉 投稿日:2002年04月05日(金)00時09分54秒
- 兄貴っ!舎弟1号でやす。これからも宜しゅうに。
誠に申し訳ありません。
誤解を生んでしまいました。逝っています…。
- 213 名前:じじ 投稿日:2002年04月05日(金)18時41分08秒
- お互いが蓋を・・・。
蓋を開けましょう。
顔を合わせないでいいって悲しい響き・・・。
- 214 名前:よすこ大好き読者 投稿日:2002年04月07日(日)02時02分47秒
- 吉。カッケーーー。(感動
これからの展開気になります。
明日は「堂本兄弟」で、ガッツに吉がボクシング!!ですね。
この話の中の吉が、明日見れるかも・・・・。(謎
そして、全然駄作じゃないですよ!!
ヤッスーのキャラが、大好きだし・・・。
がんがってください!!
- 215 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月07日(日)02時23分48秒
- 『忘れられない日々』の頃からの理科さんファンであります。
理科さんのヤッスー、ホントに好きです。
ヤグ兄貴にも期待。
(それなら自分は舎弟2号で(w)
- 216 名前:理科。 投稿日:2002年04月07日(日)16時03分57秒
- <M.ANZAIさん。はい♪気づきました!今回の、私ヤバかったです。
(O^〜^O)<抱きしめて♪
(#^▽^)<…ポv
…ホントありがとです。
<夜叉さん。
(〜^◇^)<おう♪よきにはからえ!キャハハ!!!!
オイラにも舎弟が出来た♪出来た♪
いえいえ!!全然気にしてないですよ!逝かないでくださいーーーーー!!
<じじさん。(T▽T )<………。>(OT〜T)
(;〜^◇^)<…あおぅ。どーすればいいんだぁぁぁぁぁぁ!!
二人の固い蓋をこじ開けるのは…まだ決まってません(泣。
<よすこ大好き読者さん。
(O^〜^O)<イェイ♪オレってカッケ〜かい?イカしてるかい?梨華。
( ^▽^)<そんなの聞くまでもないわ!イカしてるなんて…今時
言わないけどね(ボソ。
ありがとうございます。がんがります。
<ごまべーぐるさん。
(〜^◇^)<何だよ、オイ!舎弟が二人も出来ちまったぜぃ♪
オイラに、しっかりついてこい!
そんな初期から読んでいただいてたんですね。嬉しい限りです…(恥。
- 217 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時08分22秒
- ―矢口視点―
「お嬢さん!おはようございます。さ♪今日もいい天気ですぜ?」
あぁ...。梅雨に入ったとゆーのに今日は晴天!
日の光りと、太陽の匂いを取り入れようと
オイラは部屋中の窓を全開にした。
「あれ…?お嬢さん?」
いつもこの時間なら起きていて、しっかり着替えもすませてあるハズの
お嬢さんは…まだ布団の中でうずくまったままだった。
今日から、よっすぃ〜は休みに入るってぇ〜のはみなさまも
ご承知だろう。ってか、みなさまって誰サマだよ?オイラサマかぁ?
おい!何で矢口だよ!ギャッハッハッハ!
...おかしいよオイラ。そして虚しいよ、一人ツッコミ…。
何だか圭ちゃんに似てきたような…?
出会い頭をくじかれたオイラは、もちろんそのまま黙っておくワケなんてない。
- 218 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時09分06秒
- 「どうしたんですかい?
…!まさか具合が悪いとか…マジでどうしたんですか?」
…返答がない。
オイラは布団の周りをウロウロし始めた。
ここ1ヶ月こんなことはなかった。
―その時、おいらの脳裏にネガティブ石川の姿がよぎる!ギャー!!―
↑
(…なんでだよ。) (絶叫。)
ダメだ!ダメだ!矢口!オイラがしっかりしないでどうする!
そしてお嬢さんを信じないでどうする!
オイラはアゴを前に付きだし、『パン!』と手を叩く。
そして前後に手を振り、お嬢さんの大好き(?)な
猪木のマネをしながら、もう一度
起こす事に決めたのだ!
- 219 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時10分04秒
- 「しゃー!このヤロー!起きろ、石川ぁ〜!」
一気に布団を捲し上げた。
…あれ?いつからお嬢さんはアフロ犬になったんだ?
なんで?なんで、ふ〜ちゃんが寝てんの?
「…プ!やだぁ!矢口ったら!あははは!」
「お、お嬢さん…!」
タンスの影から、ジーっと矢口を見ていたらしい…。
慌てふためるオイラを見たかったなんて…。
人が悪いぜ、お嬢さん…。
...っつーかさぁ?オイラ何やってんだろ。
すっげー悲しくなってきた。
「お、お嬢さん!人が悪いですぜ?」
思っていた事を口に出してみせた。
「ふふ。ちょっとビックリさせようかなぁ…って。」
口元を手で隠しながら、クスクスと笑ってるお嬢さん。
- 220 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時10分57秒
- 「ビックリしまくりですよ。っつーか恥ずかしい…。トホホ…。
まぁ、いいですけどね。さ!それより、今日から夢のような日々が始まり
ますね♪今日も元気によっすぃ〜んトコ行きましょうか?」
ありゃ?どうしたんだ…?さっきまでニコニコ笑っていたお嬢さんの顔が
一気に曇り空になっちまったぞ?何か悪いこと言っちゃたのかぁ?
「…いいの。…あ、そうだ。今日はお部屋で矢口とお話ししたいな。」
「はぁ?オイラとですかい?よっすぃ〜はいい」
「いいの!決めたんだから。早くいこ…。」
「は、はぁ…。」
んん〜…ムム!
おかしいなぁ…。
嬉しくないのかなぁ…?
ま、まぁ、こんな日もあるだろうな。
- 221 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時11分30秒
- !…あ!そっか。
オイラって…何て鈍くさいだぁ…(泣)。
すいません!お嬢さん!
そうですよねぇ…
そうですとも!
昨日の今日だし…嗚呼!オイラって…
(…ネガティブ矢口?い、いや、使い方が違うなぁ。)
「矢口?どしたの?」
「は?あわわわ…。すんません!ネガティブなんて
滅相もねぇ!…行きやすか。」
「…ヘンな矢口。」
キョトンとした顔でオイラを見るお優しいお嬢さん。
そんなお嬢さんの顔を、オイラはまともに見ることが出来ずにいた。
(オイラってなんてデリカシーのない…うぅ。)
小走りにかけより、深々と頭を下げる。
その時なぜだか無償に、
オイラはよっすぃ〜の顔が見たくなった。
(…あとで、よっすぃ〜にはメールでも打っとこう。サラっとな。あくまでソフトに…。)
―この日は、オイラもお嬢さんも...どこか上の空だったのは言うまでもないだろう…―
―…
- 222 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時12分03秒
- 「おかしい…」
「え?何か言った?矢口。」
「い、いえ!何も。」
なんでだ?
なんでオイラとお嬢さんは、今日も
『ピンクの部屋』(…お嬢さんの部屋のことな。)
にいるんですかい?
てっきり、オイラは今日こそ よっすぃ〜んトコ行くもんだと
思ってたのに…。
っつ〜かさぁ、話は変わるけど、よっすぃ〜からはメールの返事はこねぇし。
いつもならすぐに返ってくるハズなのになぁ。
あと何かがおかしいんだよね。
お嬢さんの様子が。
オイラがよっすぃ〜の話しをしようとすると
『あ!あのね、矢口!!!』
って話題を変えるし。
よっすぃ〜の『よ』の字さえだそうとすれば
一人、あわてふためいてるし…。
しかも、ボーっとしたまま、時折見せる
切ない顔…。
- 223 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時14分15秒
- (…何かあったな。)
こんなにも態度に出る人っているのかぁ?
解りやすいお嬢さんだ…。
仕方ない!ここはオイラが一肌脱いでやりますか。
って要らぬお世話?
んなの関係ねぇ!...関係あるかな?
よくわかんないけど、任せな!
「すみません…。オイラ、これから病院の時間なんで…。」
「矢口、どこか悪いの?私も一緒に行ってあげるよ。」
「めめめめめ滅相もない!大丈夫です!あ…!そうだ!
帰りにお嬢さんの大好きなケーキでも買ってきますから。」
「でも…」
「マジで!マジで大丈夫ですって!ね?すぐ来ますから。」
ああ!!!
お嬢さん!すんません!ホント、すんません!
嘘なんです。
オイラは…初めてお嬢さんに嘘をついたんです。
(〜T◇T)<あううううう…。
- 224 名前:…初めての。 投稿日:2002年04月07日(日)16時15分05秒
- オイラは腹を抱えたまま、
『う!腹が…!』
なんて言いながらピンクの部屋をあとにフェードアウト...。
物凄く心配そうな顔をして、オイラの顔を見ていたお嬢さん…。
…でも何か胃が痛いんだよなぁ。
これは本当の話。まぁ矢口の話しはいいんだ。
お嬢さんのおさがりの自転車に乗り、
…っつーか足が地面につかないぞ!
無事にオイラは石川家を一人で出る事に成功した。
「あ…。ケーキだけは買ってこよっと♪今日はいい天気だなぁ…。」
とにかくジムに行って、よっすぃ〜と話しをしよう。
それから帰りにお嬢さんの大好きな
イチゴのショートケーキの土産を買って…
あ!ダメだ。その前によっすぃ〜にも買っていこっと。
ペダルをこぐオイラの足は、実に軽やかだった―。
―…
- 225 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時17分45秒
- まだ早い時間なのに、ジム内はもの凄い熱気で
包まれている。荒い呼吸、滴る汗、力強くそして激しく
サンドバックを叩く音に…オイラはムズムズしてくる。
(そーいえば最近…ケンカしてねぇなぁ。体、鈍っちまうよ。)
見様見真似で、オイラは何気にパンチを繰り出して見るが、
近くにいた練習生に笑われてしまう…。
っち!じゃあ教えろよ!どんな風に打つんだよ!
などと言えないオイラって...弱いか?
「ほら!もっと前前前!そう!そうだ!」
そんな中、圭織が声を張り上げて
選手達に激を飛ばしてる最中だった。
いいねぇ♪そうだ!もっと気合入れて打つべし!打つべし!
キャハハハ♪…って!!!
- 226 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時18分41秒
- (…はぁ?)
…オイラ、目まで悪くなったのか?
あのリングの上に居るのって...
「圭ちゃん!?」
圭ちゃんだよ!間違いねぇよ!ヘッドギアで
余計に目がつりあがってるけどあの顔は
保田圭…だ。
ってか何やってんだよ!!
オイラはなぜかカルチャーショックを受けた。
何でか知らねぇけどさぁ。
でも何でいんだろ。
…しかも相手は男で、体格もめっちゃいい。
ブンブンと重たい拳を振り上げ、圭ちゃんに打っていくが
空を舞うばかりで、まったくといっていいほどあたらない。
反対に圭ちゃんはと言うと...
- 227 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時19分22秒
- 「ほほほ!そんな鈍らパンチ、打ってんじゃないわよ♪」
軽やかなステップを見せ付けている。
そんな圭ちゃんを、男は不思議そうな顔をして首を捻るのだった。
そして『パン!』と自分のグローブを
叩いて威嚇したが、あの圭ちゃんには通用するわけでもなく…
ニヤリと不適な笑みを溢すと、
鋭い(どっちかとゆーと、ヘナチョコって感じ。)パンチを
両手で交互に繰り出した。
(おお!まさに猫パンチ(?)!!)
それが全部、男に当たって…
っつーか当たってんじゃねーよ...。
見事に相手は床に叩き付けられダウンを奪ったのだ。
- 228 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時21分44秒
- 「ニャオ〜ン♪今!まさに新・ヒーロー誕生の瞬間!」
ニャオーンって…!
しかも新・ヒーローって…!
じゃあ前・ヒーローって誰だったの?
訳、わかんねぇ〜!!!
&
絶対にあり得ねぇ〜!!
なんて右手を高く突き上げている圭ちゃん。
そんな姿にオイラも精神的にダウンをくらった感じがしてしょうがない。
何であんなヘボっちぃ、パンチがあたるんだ?
しかも圭織は圭織で拍手してるし…。
ここのジムに『未来』と言う文字は存在するのか?
まぁ…オイラには関係ない話だが。
- 229 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時22分25秒
- 「凄い!凄いよ!圭ちゃん!ジムに入ってよ!」
「おい!圭織!!」
「あれ?矢口。いつの間に?今日、石川は?」
「う〜ん…何か腹が痛ぇらしくて来ないよ。」
「そうなんだ。」
「...なぁ。何で圭ちゃんがやってんの?」
圭織はオイラの問いかけにニッコリと微笑み
「面白そうだからって。」
「はぁ?面白そうだからってやっていいのか?
ケガとかしたらどーすんだよ!」
「大丈夫っしょ?圭ちゃんだもん。」
「…まぁな。」
いまだにリングの上では嬉しそうに圭ちゃんが
ニャンニャンポーズを取っている。
しかし…ピタリとその奇妙な動きを止め、
こっちにすましてつかつか歩いてきやがった。
その顔、キショ!!!
- 230 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時23分01秒
- 「アタシでもケガすんのよ!大丈夫なワケなくない!」
「何で聞こえんだよ!あ〜あ...もぉ!圭ちゃんに構ってる時間ないんだ。
ところで圭織、よっすぃ〜は?」
「吉澤?吉澤なら河原にでもいるんじゃないかな?」
「ちょっと!アタシを構ってよ!」
オイラも圭織も圭ちゃんを言うまでもなく、放置することに
目で合図を交わし同意した。
河原〜?なぜに?
まぁ、こっからだとそう遠くもないしな。
「あ、そうだ。コレ。土産。美味いぜ?ここのケーキ。あとで
まっつ〜にも食わせてやってくれよ。」
圭織に渡そうとしたら、ロープを掴み
激しく揺らす圭ちゃん。
そんな姿が猿のように見えたのですが、何か?
- 231 名前:新・ヒーロー? 投稿日:2002年04月07日(日)16時23分39秒
- 「アタシには?ねぇ、アタシには?」
「勝手に食えよ。」
「…勝手に全部?」
「全部はダメ!とにかく圭織に渡しておくわ。はい!」
「ありがとぉ〜♪あ…矢口、ちょっと。」
ケーキを受け取り、嬉しそうな顔をしていた圭織が
急に何かを思い出したかのようにオイラの腕を
グイっと引っ張り、オイラはされるがままに着いて行く。
【事務所】らしいそこの部屋はキレイに片付けられていて
圭織は机にケーキを置いて、深い溜め息を吐いたのだ。
- 232 名前:歯車 投稿日:2002年04月07日(日)16時24分56秒
- 「ま、座りなよ。」
「サンキュ。で…どしたんだよ?」
「あのさぁ…松浦いるじゃん。」
コップを出し、冷蔵庫からコーラ取り出す。
注ぐ手はなぜか少し震えていた。
「…何かおかしいんだよね?」
「はぁ?おかしいって何が?」
口を紡いだまま、グラスを渡す圭織。
カラカラに喉が乾いていたオイラは、それを一気に飲み干した。
ポカンと口を開けて見ていた圭織も、なぜか
一気にコーラを飲み干すと、ゴホゴホとむせ返る。
そして苦しそうに
『カオ、コーラ飲めないんだ。ホントは…』
- 233 名前:歯車 投稿日:2002年04月07日(日)16時26分31秒
- じゃあ、飲むなよ!しかもオレンジ(きりり)もあるじゃねーか!
...って、ツッコミたかったが、
今はそんな状況じゃないこと、わかってた。
背中をさすってやってるうちに
落ちつきを取り戻した圭織は
真っ赤な顔をしながら、再びコーラを注ぐ。
「…ジムに帰ってくる途中、ずっと何も喋らないんだ。二人供。」
「二人…?よっすぃ〜とまっつ〜か?」
コクリと頷く。
「まぁね。試合に負けたから気まずいって感じはあると思うんだけど…
何て言うのかなぁ?よそよそしい…っての?」
- 234 名前:歯車 投稿日:2002年04月07日(日)16時28分12秒
- 「…オイラ、よっすぃ〜に会ってくるよ!コーラごちそうさま!」
「あ!矢口…」
「あ!それと、その缶ジュース!2本貰うな!」
勝手にオイラは冷蔵庫を開け、きりりを2本取りだし、
逃げるようにその場を飛び出した。
「矢口!何処行くのよ!このアタシ、セクシ〜キャッツ・IN保田
と勝負なさい!」
「いいよ!オイラの負けで!しかもINって…意味わかんねぇ。
とにかくさっさと仕事しろよ!」
「…冷たいわね。矢口…。グスン。」
「キショ!…あ〜!もぉ!悪かったよ!明日、スロット行こうぜ!じゃ!」
…やっぱりオイラの知らないところで何かが起きていたんだ。
ジムを飛び出し、自転車を必死で漕ぐ。
―…
- 235 名前:理科。 投稿日:2002年04月07日(日)16時30分20秒
- 更新しました。ずっとしないですみませんでした。
福岡にライブ観にいってきました。
よっすぃ〜も梨華ちゃんも…
そして我等のヤッス〜も輝いてましたよ。
板違いですね…。
- 236 名前:夜叉 投稿日:2002年04月07日(日)21時50分08秒
- 兄貴には、こま有りのチャリがよく似合う(爆)。 し、失礼しました…(^^;;
セクシ〜キャッツって何よ何なのよ(笑)。 Σ(`.∀´#)
姐さんがアイさがでやってた劇団「ひまわり」とミッキ○・ロ○クを思いだした自分は逝って吉ですな(^^;;
兄貴ぃ、急いでくださいよ!!お願いします、二人を…。
きゃーあ、自分も早くライヴ逝きたいっす。
- 237 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月08日(月)14時48分51秒
急げっ!!
- 238 名前:じじ 投稿日:2002年04月08日(月)18時29分03秒
- もはやいしよしよりもヤッスーの行動が気になってます(w
新・ヒーロー誕生の瞬間見たいかも!
いしよしの今後が気になりますがヤッスーの今後の人生も気になりまくりです(w
- 239 名前:理科。 投稿日:2002年04月08日(月)19時48分31秒
- ―…<夜叉さん。いえいえ、九州在住ではないです。4日の朝に飛行機で旦那と
一緒に出て、その日の夕方に着き、6日のライブを観て次の日
帰ってきました。疲れたです…はい。
(〜゜◇゜)<コラ!
( ^▽^)<何よ!
<M.ANZAIさん。
(〜^◇^)<おうよ♪急ぐとも!
<じじさん。
( `.∀´)<アンタ、お目が高いわ!タカタカよ!!
このアタシが気になるなんて…。(ポ
アアアアアタシは高いわよ!(ドキドキ
( ^▽^)<…うふ。保田さん嬉しそう...。
- 240 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時49分11秒
- 「よっすぃ〜...。」
夏の心地よい風が緑色の草達を揺らす。
サワサワというその音が、オイラの耳には
群がる小さな虫の羽音のように聞こえてくる。
ポツンと哀愁漂うその後姿は…
子供が悪さして、で…怒られていじけてる。
そんな風に感じたオイラは、口元から小さく息が漏れた。
膝を抱え、川に向かって小石を投げる仕草。
大きな体が小さく見える。
今は真夏だとゆーのになぁ…。
よっすぃ〜の周りだけが何だか寒そうだぜ。
大きく息を吸い、オイラは覚悟を決めた。
「よ!元気か?コンニャロー!!」
「や、矢口さん!」
- 241 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時49分55秒
- よっすぃ〜に挨拶程度のヘッドロックをかける。
『苦しいっす!』と…ギブを専念させ、
オイラは『よっしゃあ!』と喜びを体全体で表し手を解いた。
キョトンとしてるよっすぃ〜。
オイラはニッコリ笑って、本日初めての煙草に
火をつける。
ああ…今日も元気だ、煙草が美味い♪ってか?
「試合…惜しかったな。ま!次はリベンジ決めんだろ?」
「…はい。あ、あの…今日は梨華ちゃんは…。」
「ああ。何か腹がいてぇとかで来てないよ。」
「…腹?大丈夫なんすか?」
「食いすぎだろ。大丈夫だよ。」
クスっと笑うよっすぃ〜。
でも何かがおかしいんだ。
…よっすぃ〜に会って、やっぱり
いつもと様子が違うとオイラは確信した。
試合で負けたからって...そんなモンじゃないのだろう。
- 242 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時50分35秒
- お嬢さんとよっすぃ〜。
そしてマッツ〜...。
3人に何かあったんだ。
絶対そうだ。
ここでオイラがでしゃばるのは…
迷惑極まりないことだろう。
でも…3人がいつまでたってもこのままなんて
オイラにしてみれば絶えられないこと。
お嬢さんの以上なくらいのハイテンション―。
よっすぃ〜の以上なまで暗さ―。
マッツ〜は…まだ会っていないけど、大丈夫なんだろうか?
いつのまにか根元まで火がきていた煙草に気付き
携帯灰皿にもみ消す。
「…矢口さん、いつも持ち歩いてんですか?」
「え?あ、コレ?…今日からだよ。お嬢さんに言われたんだ。」
- 243 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時51分18秒
- 沈黙―。
おいおい!いつもならここでさぁ、よっすぃ〜が何かしら
ツッコミいれんだろ?
何だよ?ここってどこだよ?
そして隣にいんのはマジで、よっすぃ〜かぁ?
ネガティブよっすぃ〜?
ヤター!キター!お嬢さんと同じ種類だ―!
は!お、オイラ...また走りすぎだぁ。
まず落ちつけ。
そうだ!オイラ、落ちつくんだ...。
さっき、コーラを飲んだばかりだと言うのに、
オイラの喉はすでにカラカラに乾ききっていた。
「…よっすぃ〜。なぁ…何があったんだ?お嬢さんも
マッツ〜も…。よっすぃ〜もおかしいぞ?」
重たい口を開き、オイラはよっすぃ〜の顔を見上げた。
今にも泣き出しそうなよっすぃ〜。
初めて見せるそんな顔に…
オイラはただ素直に切なくなった。
ピシピシと喉の奥が割れるような渇きを覚え、
オイラは無理矢理に唾を飲み込む。
- 244 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時51分55秒
- 「…あたし。梨華ちゃんに。あ…その前に。あの…。マツに…。」
「なぁ…、よっすぃ〜。座ろっか?」
よっすぃ〜の額からはタラタラと汗が滴り落ちていた。
拭っても拭っても汗は次から次へと流れ落ちて来る。
見かねたオイラは、ハンカチをよっすぃ〜に渡した。
「すみません…」
「いいよ。」
申し訳なさそうに、グイっと汗を拭き取るよっすぃ〜。
「暑っちぃから橋の下にでも行って話そうぜ。日陰出来てっから
ここよりは断然涼しいかも。かもじゃねーな、涼しいぜ。キャハハ♪」
「…はい。」
「あ…その前に。ちょっと待ってろ!」
- 245 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時52分38秒
- さっき貰ったジュースを取りに行くため、 オイラは土手を駆け登った。
足に絡みつく雑草がうっとおしい。
転ばないように、オイラは慎重に一歩一歩
腿を高くあげ、大地を踏みしめた。
何とか目的地までやってきて、オイラはカゴの中に
入ってるジュースに手を伸ばした。
「ぅあっちぃ!」
炎天下の空の下、ずっと自転車のかごの中に置いていた
忘れられていた、きりり。
それは熱くて手に持っていられない程になっていた。
「…こんなの持てないよなぁ。」
ジーっと睨み合いが続く。
その間にも、きりりはどんどん熱くなっている。
- 246 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時53分20秒
- 「お!」
ピン!とひらめいたオイラ。
…もしかしたら破裂するかもしんない。
したらしたで、面白いかも!
何てヤツだ!オイラってば!
でもオイラもよっすぃ〜も喉がカラカラ。
ここから近くにある販売機は、結構の道のりだ。
「おい!よっすぃ〜!逃げろぉ〜♪」
仕方ないので、オイラはそれをよっすぃ〜の方、
目掛けてブン投げた。
『うわぁ!』
なんて言って、立ち上がりドンピシャで避けたのだった。
滑り降りるように、オイラは小さい体を重力に身を任せ、
よっすぃ〜の側まで駆け寄った。
「ナイスタイミングだったな!」
「…矢口さんらしいですね。」
…笑った。
さっきまでの作り笑いじゃなくて
ニッコリと白い歯を見せながら、普段のよっすぃ〜が顔を出す。
オイラも嬉しくなり、腰に手をあてがって笑った。
―…
- 247 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時53分50秒
- 熱くなったきりりを川の水で冷やすことにした、オイラとよっすぃ〜は
日陰に座りこみ、他愛のない話をしていた。
ふと会話が止まる―。
そしてまたまた沈黙―。
「…あのさぁ、よっすぃ〜。」
「…わかってますよ。」
「…うん。」
笑顔が消え、じっとオイラの顔を見る。
さっきまで突き刺すような日の光はどこへやら。
雲がお日サマを隠し、遠くのほうではゴロゴロと...
雷が鳴り始めていた。
下を向き、よっすぃ〜は静かに目を瞑りながら
ポツリと口を開き始める。
オイラはそんな姿を食い入るような目で見つめた。
「…あたし、マツに―…
―…
- 248 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時54分21秒
- すっかりと暗くなった空―。
よっすぃ〜の話しにのめり込んでくうちに、
突然オイラの胸が苦しくなった。
何だか息が出来ないような…
閉めきった部屋に閉じ込められたような胸苦しさを覚えたのだった。
蒸し暑くて汗が額を筋をひいて伝わったが、悪寒が背筋を通る。
よっすぃ〜が全部話し終えると、ふぅっと息を吐いた。
その顔は…
とても切なく。
とても憎く。
オイラは呆然と足元にある小石を見つめた。
...段々に、心の奥底に眠っていた怒りを押さえようと
必死に我慢していたけど、オイラはそんなに器用じゃない。
ギリっと奥歯を噛み締め、そしてよっすぃ〜の胸倉を掴んでいた。
暗くて見えないが…
きっと今のオイラの顔は真っ赤になっていることだろう。
- 249 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時54分53秒
- 「バっカじゃねぇ〜の?!吉澤!」
張れあがったよっすぃ〜の顔をブン殴る。
殴った拳がジンジンと熱くなってきて。
吹っ飛ばされたよっすぃ〜は何も言わず、
その場で頬に手をあててるだけだった。
そんな姿が余計にオイラの気持ちを高ぶらせる。
「…矢口さんにはわかりませんよ。」
「あぁ!わかんないね!わかろうともしないや!弱虫の気持ちなんてさ!
勝手に一人でイジけてろ!バァ〜カ!」
「…んだとぉ!弱虫ってなんだよ!お前みたいなチンピラに
あたしの気持ちなんかわかんないんだよ!」
- 250 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時55分28秒
- 売り言葉に買い言葉。
ち、チンピラだぁ?
あーあー、そうだとも!オイラは立派で可愛いチンピラさ♪
カーっときたのか、よっすぃ〜は起きあがり
オイラ目掛けてストレート。
来ると分かってた。
…でも、やっぱりボクシングを
やってるよっすぃ〜のスピードにはついていけず、
オイラは有難く頂戴したのだった。ゴチ...。
…っつーか、殴って(喧嘩)いいのか?
「…弱虫のパンチなんて痛くないもんね!だから後藤にも
やられんだよ。お嬢さんをお前なんかにやれないね♪」
…痛くないわけないだろ?
痛い。痛いよ、よっすぃ〜...。
確実に口の中は切れている。
だって鉄錆びの味が口一杯に広がってんだもん。
- 251 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時56分02秒
- 「…関係ねぇこと言うんじゃねーよ!」
「関係なくねぇだろ!…お嬢さんはオイラが貰う!
オイラ...お嬢さんのことが好きだ!」
「…も、貰うとか貰わないとかの問題じゃない!」
「じゃあ、どんな問題なんだよ?よっすぃ〜はお嬢さんのこと…
どう思ってんだよ?ハッキリしろよ!」
お嬢さんの事を口に出すと、ぐぅの音も出ないよっすぃ〜に
オイラの怒りは頂点を超え、今まさに爆発した。
ブンブンと怒りまくりのよっすぃ〜の拳をギリギリで避ける。
―さて。
冗談はここまで―。
喧嘩なんてヒサブリ♪
さっきまで余裕(?)のオイラだったけど、
喧嘩にゃあ、マジでいかせてもらうぜぃ!
マジでかかんないと、よっすぃ〜には勝てない。
勝てないとか勝つとかの問題じゃないけど…
...ん?問題なのか?
- 252 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時56分47秒
- ...わかんない。
オイラ馬鹿だから。
馬鹿だから...こんな時に自分の本当の…
気持ちに気付いてしまう。
…オイラはお嬢さんのことが好きなんだ。
あ、いや…。ゴホン!
…何だかオイラも、本気で頭にきてんだよねぇ…。
足元の砂利を手に取り、よっすぃ〜に向けて投げつける。
「…きったねぇ!」
「きたねぇなんて言ってる場合か?」
両手で払ってるとこに、オイラはケガしてる場所目掛けて殴る。
『うわぁ!』と…小さい声を発し、
ゴロリと額を押さえつけ倒れるよっすぃ〜の腹を、今度は足ゲリ。
ボクシングでは勿論、反則だ。
反則もいいところだ。
- 253 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時57分17秒
- でも今は―
喧嘩なんだ。
何をしてもいいんだ。
とにかく何をしても―。
「!!」
いきなり、よっすぃ〜が足を掴み思いきり引っ張る。
今度はオイラがゴロリと倒れてしまった。
馬乗りになったよっすぃ〜はオイラに殴りかかった。
(…ヤバい!)
段々と殴られて行くうちに、何だか気持ちが良くなって来る。
…オイラの記憶が無くなって来始めた。
目に映る全てが真っ赤に染まる頃―。
―ふとお嬢さんが悲しそうな目で見つめてる姿が浮かぶ―
(そんな顔で見ないでください…。)
ギュっと目を瞑り、何度も何度も打ち消そうとした。
今は…今は何もかも忘れるんだ―。
―…
- 254 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時57分53秒
- 痛さと悔しさで涙が流れる。
目に入っていた血が、全部流れ落ちたころだと
オイラは思った。
静かに再度目を開け、オイラの視界には
手を休めずに、殴りかかってるよっすぃ〜の姿が。
(…負けらんない!)
…オイラは、こんな修羅場を何度も何度も経験してきたんだ。
喧嘩で負けるようなことは、絶対にしたくなかった。
よっすぃ〜が大きく振りかぶり、顔面めがけてパンチを放った
と同時にオイラは小さい体全体をいかして横に背ける。
「!…いってぇ!」
よっすぃ〜の拳は地面を思いきり殴る形となって。
「ジ・エ〜ンド♪」
しゃがみ込んでるよっすぃ〜に、オイラは
渾身の力を振り絞りブン殴った。
―…
- 255 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時58分38秒
- 雨は段々と強さを増していた。
川の水も勢いを増し、ゴーゴーと流れている。
あぁ...!そうだ!
きりりは大丈夫なのだろうか?
流れてはいないか?
不安に思っていたけど、それは仕方のないこと。
容赦なく降り注ぐ雨に、オイラの頭から流れ出る血は
キレイさっぱりに洗い流される。
懐から血と雨で湿った煙草を取り出し、火をつけようとしたが
震える手では、その仕事は難しかった。
何とかつけることができ、オイラは勝利の余韻に浸る。
「…情けねぇなぁ、よっすぃ〜は。
お嬢さんには…ニ度と近づくんじゃあねーぞ。」
- 256 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)19時59分09秒
- スタスタと覚束無い足取りでオイラは川渕に進み、
きりりのある場所まで移動する。
それはなんとか流されまいと、懸命に踏ん張っていたんだ。
何も言わず大の字で寝転んでるよっすぃ〜に
川の水で冷たくなっていたきりりを横に置き、
オイラはフタを開け、そんなよっすぃ〜の側で
ゆっくりと乾いた体に浸透させるようにジュースを
一口一口、大事に飲み込む。
そして大きく息を吐き、煙草に火をつけた。
「…矢口さん。」
「…あ?」
いつもより掠れた声でよっすぃ〜はオイラの名前を呼んだ。
- 257 名前:歯車 投稿日:2002年04月08日(月)20時02分30秒
- 「…強い、っすね。」
「…まぁな。」
「…小さいから。油断…しちゃ、いました、よ。」
「…へ!油断大敵だぜ、よっすぃ〜...じゃあな。」
「…じゃ。」
そぅとぉ激しく口の中が裂けてるなぁ、よっすぃ〜。
発する言葉が途切れ途切れになっていて、よく耳をすまして
聞かないと逃がしそうなほどだった。
ま、でもそんくらい口が訊けるなら大丈夫だろ。
雨で湿った土手を登る。
「…ありゃ?」
いつの間に空は、星達が顔を出していた。
そんな中…オイラは雨で濡れた自転車にまたがり石川家までの
道のりをゆっくりとペダルを漕ぎ進んだ。
―…
- 258 名前:理科。 投稿日:2002年04月08日(月)20時03分02秒
- 更新しました。
- 259 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月08日(月)22時25分39秒
- 星は・・・すべてを見ているよ、きっと。
- 260 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月08日(月)22時37分56秒
- ヤグ兄貴、カッケーっす!!
一生、兄貴についていきやす!!
- 261 名前:じじi 投稿日:2002年04月09日(火)17時00分44秒
- まさに男らしい喧嘩ですが顔はダメです!ボディーにしな(w
- 262 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月09日(火)18時58分29秒
- 二人ともおっとこ前ですな。(笑
これ読んだら、きりりが飲みたくなったので買ってきまーす!
- 263 名前:理科。 投稿日:2002年04月09日(火)21時46分31秒
- <M・ANZAIさん。☆∴☆∴☆...
(〜ノ◇T)<いってぇ…。(グス。
一部始終、見られたのかなぁ…?
<ごまべーぐるさん。
(〜^◇^)<キャハハ!オイラについてくるってぇ?
…辛ぇぞ?(キラーン☆
<じじiさん。
(〜^◇^)<わざわざ携帯から見てくれたのかぁ?
ボデーか?…そうすりゃあ、良かったなぁ。
<よすこ大好き読者。さん。
(〜^◇^)<おっとこ前♪>(O^〜^O)
( ^▽^)<きりり…町内会でイパーイ貰ったんですよほ…。
今回は多めに更新します。
がんがりますよほ。
- 264 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時47分37秒
- 「ど、どうしたの!!矢口!!」
「…へい。ちょっと。へへ…。」
コッソリと裏の門から入れば、誰にも気付かれないだろうと
思っていたが…。足元が覚束無いオイラは、ハデに自転車から転げ落ちる。
同時に止まっていた血が噴出したのだ。
そして見事にお嬢さんに見つかってしまう。
…こんなことになるなら、最初から正面から入れば良かった。
―…
- 265 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時48分09秒
- お嬢さんの部屋で、オイラは傷の手当てを受けていた。
予想以上に腫れあがってくる頬。目の上にはサックリと切れた傷跡。
ホントは縫わないといけないくらい、切れたけど
面倒くさいし、こんなの日常茶飯事!
気合で止まるんだよ!...多分。
でもなぁ…。
可愛い顔が台無しだよ…トホホ。
「...ふぅ。血は…何とか治まったね。」
「…お嬢さん、血ぃ見てなんともないんですかい?」
「ん...。何かねぇ...。慣れちゃったみたい。」
「…はぁ。」
慣れるもんなのか?
でもまぁ、倒れないし、お顔が青くはなっていないから
それは事実のようだ。
パタンと救急箱に蓋をして、オイラの顔を見るお嬢さん。
- 266 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時48分44秒
- 「…ねぇ、矢口。どーしたの?」
「…へ?あ、あぁ。あの…ケンカしまして。」
「ケンカはわかってるけど…矢口がここまでやられるなんて…
よっぽど腕っぷしに自信があった人なんだね。…痛くない?」
風呂から上がったばかりなのか…
お嬢さんの温かなな体温と
シャンプーの匂いに
オイラはドキリとしてしまう。
たまに見せるこの表情に、オイラは何もかもが
どうでもよくなってしまうのだった。
包帯とガーゼで覆われてるおかげで、オイラの顔色を
隠す事が出来て良かったな、って思う。
「…女のコなんだから、もうケンカは止めてよ?」
「…はい。あ…手当て有難うです。おやすみなさい…。」
「矢口…。」
スクっと立ちあがり、オイラは自分の部屋に帰ろうと
お嬢さんに背を向ける。
- 267 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時49分25秒
- …ずっと閉まっていた気持ち...
今なら聞ける気がする。
「…一つだけ。聞いてもいいですかい?」
「うん。どうしたの?」
「オイラ、お嬢さんのこと。好きです。…正直に!
…お嬢さんは。オイラと、よっすぃ〜…どっちが好きですかい?」
「…え。」
答えはわかっていた。
わかっていた事だけど、どうしても本人の口から聞きたかった。
硬く握り締めた拳が痛い。
不思議なことに、オイラは恥ずかしさを感じなかった―。
「…矢口も、ひとみちゃんも同じくらい好き…だよ…。」
…嘘だ。
オイラは勇気を振り絞って聞いたのに。
お嬢さんも…
よっすぃ〜も…
正直にって言ったのに!
- 268 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時50分08秒
- 「…結局、よっすぃ〜と同じで弱虫ですね。」
「ひとみちゃんと同じって…?もしかしてその傷…。!あ!矢口!」
部屋までの距離はたいしたものじゃなかったけど、
真っ暗闇というのは想像以上に恐いものだった。
オイラの心に覆い被さりそうな勢いだった。
柔らかくねっとりととした闇が、海の水のように前身に絡みついてきて。
そんな中を、オイラは必死で走った。
…自然の中では月や星や蛍が、なにがしらの薄明かりをもたらしてくれる…
…きっと明日、ハッキリする。
噛み合わなかった歯車はまた周り出す。
お嬢さんとよっすぃ〜はまだ迷っているだけ。
想いは同じなんだから。
あとは素直になれるか…
なれないかだけだ。
- 269 名前:歯車 投稿日:2002年04月09日(火)21時50分43秒
- …とにかく明日、オイラはお嬢さんとジムへ向かおう。
いや…。よっすぃ〜が出向いてくるだろう。
あ…でも家…。知らないか…。
まっつ〜は今頃何してんだろ?
それも明日だな…。
うぅ〜...!!!
明日なんて来なけりゃいいのに!
「チックショォ〜!!」
…でも何だか気分がいいのはなぜだろう?
今日はオイラ、頑張った。
何にたいして頑張ったかなんて知らないよ?
でも頑張ったんだ!そうだぞ!矢口!
ふぁあ〜...寝る…。
おやすみ…(泣。
―…
- 270 名前:それぞれの… 投稿日:2002年04月09日(火)21時54分01秒
- …口。
…矢口…。
……ん〜?
誰だぁ…?
オイラ、まだ眠いんだよ…!
「矢口…。顔、腫れちゃってるね…?」
「…んだよぉ…。??お、お嬢さん?!」
な、なんでココに???
ココってオイラの部屋だよな??
ヤバ!!オイラ寝過ごしたのかぁ??
プーさんの時計をガシ!っと掴む。
あれれ??
まだ4時だぞ?
いつもお嬢さんを起こす時間は決まって8時なのだが…。
しかもオイラの起床時間は5時だし。
どっちにしろまだ早いぞ?
- 271 名前:それぞれの… 投稿日:2002年04月09日(火)21時54分35秒
- 「ど、どうしたんですかい?まだ…」
オイラは眠たい目を擦りながらお嬢さんの顔を見る。
黙って俯いたままだったが、キュっと薄い唇を噛むと
顔を上げ、真っ直ぐな視線でオイラを見た。
「私…矢口に嘘、ついてた。」
「…お嬢さん。」
あれから眠ってないのだろうか?
薄っすらと涙ぐむお嬢さんの目の下には
浅いクマが出来ていた。
「…私、ひとみちゃんのコトが好き。矢口も好きだけど…
それ以上に…ひとみちゃんが好きなの。」
ゆっくりと思考回路が回り出す。
完全に起ききっていないオイラの脳内で
お嬢さんの言葉がガンガンと響く。
本当は悲しいはずなのに、
なぜだかオイラは嬉しかった。
ただ今は素直に嬉しかった。
自分の口からハッキリと気持ちを伝えたお嬢さんの姿に
オイラはなぜか感動していたんだ。
ブルっと全身が震え出す。
- 272 名前:それぞれの… 投稿日:2002年04月09日(火)21時55分20秒
「…ありがとうございます。正直に言ってもらえて。」
「…矢口。」
オイラはニッコリと微笑んだ。
ずっと我慢してたんだろう。
お嬢さんは『ゴメンね…ゴメン…』って。
しゃっくりあげて泣き崩れた。
「…今日は、よっすぃ〜んトコ、行きますよね?」
「…うん。行って…会って。そして自分の気持ち…伝える。」
「…そうですね。それがいいです。」
「…あたって砕けろ!だね…?」
「ええ…。あ、でも砕けてネガティブにならないでくださいね?」
「ならないよ!」
アハハって笑った。
久しぶりに見る、お嬢さんの笑顔。
「…少しは寝てください。しっかり8時には起しにいきますから。
そんなクマ作って行ったらよっすぃ〜の奴、ビックリしちゃいますぜ?」
「もぉ!仕方ないの!すぐにクマ…できちゃうんだから!」
「はいはい…。ささ、お部屋に戻って。」
『うん』と頷き、部屋を出ようとしたお嬢さんは
何かを思い出したような顔をして、振り向いた。
そしてグスっと鼻を鳴らし、頬に流れる涙を、お嬢さんは手で払いながら
オイラにこう言った。
「…いろいろありがとう。矢口のおかげで、私…少しは強くなれたよ。」
「お嬢さん…。」
- 273 名前:それぞれの… 投稿日:2002年04月09日(火)21時56分02秒
- ...こんなオイラでも、誰かのために役に立つんだな。
結果なんてわかってる。
大丈夫ですよ?お嬢さん。
そんな心配しないでも。
「…オイラも。お嬢さんのおかげで、自分が好きになりました。」
「…おやすみ。」
「…へい。おやすみなさい。」
パタン...と戸が閉まるまで、オイラはずっとその後姿を目で
追っていた。フラれはしたが、実に清々しい気分でいっぱいだ。
やっぱさぁ、オイラってヘンだ。
ヘンでもいいよ。
別に。
「…もう一眠りすっかな。」
カーテンの隙間からは、日の光が
とても申し訳なさそうに漏れていて―。
わずかなオイラの睡眠時間を邪魔してるかのように思った。
―…
- 274 名前:いざ!出陣♪ 投稿日:2002年04月09日(火)21時56分43秒
- 「よ♪圭織。今日も暑いな。」
「おはようございます。」
いや〜。暑いっす。
マヂで。
オイラ、声を大にして言いたいね!
あっちぃぃぃ〜〜〜〜〜〜!!
…失礼。
今日もジム内は外の気温に負けないぐらいに熱い!
必死で練習に励む若者の熱気ってすげぇなぁ。
「あ!おはよう!って…矢口!アンタ、その顔どーしたの!!」
「あぁ?ま、まぁアレだ。喧嘩…。」
首から白いタオルを下げ、トレードマークの長い
髪を一本に結び、リング上でスパーリングしてる
選手に向かい激を飛ばしていた圭織。
ハァー...っと溜め息を吐き、
鋭い目でオイラを一喝した。
- 275 名前:いざ!出陣♪ 投稿日:2002年04月09日(火)21時57分14秒
- 『女のコなんだからサァ…や・め・な・さい!!(クワ!』
恐かった!
蛇に睨まれる蛙の気持ちって…こんな感じ?
全身にドっと汗が噴出し、ガタガタと体が物凄く震えだした。
こんな体験をしたのは生まれて初めてかも。
…初体験ってヤツ?
キャ〜〜♪
…って、お嬢さんと同じ事を言われると
少しは大人しくしようと思うオイラはだけど…
出来ません!はい。喧嘩はオイラの生き甲斐だもん♪
「石川、お腹は大丈夫なの?」
「え…?お腹ですか?」
「あ、いや!だ、大丈夫なんだよ!ハラは!な…? お嬢さん…。」
「え…あ。うん。何となく。」
全然、話が見えていないお嬢さんは
オイラの気迫で押されたのだろう。
見事に答えてくれた。
- 276 名前:いざ!出陣♪ 投稿日:2002年04月09日(火)21時57分48秒
- 「そう。カオ、ずっと心配してたんだよ?石」
「げげげ!!圭ちゃん???」
圭織が何かお嬢さんに言っていたが、
オイラの目にはもはや、
リングの上でしたたかに
そして華麗に舞いながら
闘ってる新・ヒーロー圭ちゃん(そう呼べって言われたんだよ!)
しか映ってはいなかった。
っつーかまた何で…。
ココにいんの?
いい加減、しっかり働けよなぁ。
しかもさぁ…
そのパンツ。
『( `.∀´)∴<せくし〜・猫(キャッツ)DA−YASU♪』
…ダーヤスって。
何処の世界でも圭ちゃんはこんなキャラな(rボソ。
- 277 名前:いざ!出陣♪ 投稿日:2002年04月09日(火)21時58分25秒
- あぁ〜〜〜〜〜!!!!
ダメだ!ダメだ!(怒
またここで圭ちゃんに時間なんか食ってらんない。
もぉ、お前は放置だ!
逝ってよし!だ!
逝っておっ圭〜♪だ!
おっ圭牧場だ!
牧場の主は勿論、圭ちゃんであり、
牛の代わりに圭ちゃんの乳…
っつーかつまんねぇんだよ!!
しかも止めろよ!
誰が飲むかよ!
オイ!誰に言ってんだよーーーーー!!!
結局、時間食っちまってんじゃねぇかよ!!
「や、矢口?」
「はぇ?」
「ど、どうかした…?」
少しの間、オイラ…飛んでた。
ふとその時、圭織と目が合ったんだけど
ニヤリと笑った顔が強烈だった…。
きっとオイラのこと...仲間だとか思ってんだよ!
- 278 名前:いざ!出陣♪ 投稿日:2002年04月09日(火)21時58分57秒
- 「な、なぁ。よっすぃ〜は?」
何とか本題に入りたいオイラ。
「吉澤は二階にいるけど?」
「お邪魔していいか?」
「い、いいけど…。何でそんな急いでんの?」
キョトンとした顔で首をかしげる圭織。
オイラはお嬢さんのお手を引っ張り、
「また後でな!」
ここで後ろなんか振り向いたら確実に
ヤバいんだ。ゴメンな…圭織…。
「あ…矢口!…行っちゃった。」
「キャー!!ちょっと見た見た?圭織♪今の猫パンチ!」
「え?あー...ゴメン、見てなかった。」
「な、何!!何よ!生返事〜♪たまにはついて来てよぉ〜って感じよ(泣)!!」
「どんな感じだよ!それ!!しかも泣くなよ!」
―…
- 279 名前:理科。 投稿日:2002年04月09日(火)22時00分35秒
- 更新しました。
やっと…次はいしよし(?)うPできます…。
ここまで長かったです、ハイ。
- 280 名前:じじ 投稿日:2002年04月10日(水)01時04分07秒
- いや〜遂に・・・
矢口かっけー!
誰かもらってやって下さい。
ヤッスー以外で・・・
- 281 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月10日(水)03時25分54秒
- 多目の更新お疲れさまでした。いしかーはヨシコに無事気持ちを伝えられるか!?
>『( `.∀´)∴<せくし〜・猫(キャッツ)DA−YASU♪』
ツボでした(w
色が気になる〜。
- 282 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月10日(水)19時31分10秒
- パンチはね『バッ!バンッ!』と…
- 283 名前:理科。 投稿日:2002年04月11日(木)07時42分30秒
- <じじさん。
(〜T◇T)<…じゃあ、お前が貰ってくれよ!
このさい、圭ちゃんでもいっかなぁ…。
( `.∀´)<このさいって何よ!プンプン!
<ごまべ〜ぐるさん。
(O^〜^O)<…秘密。
( `.∀´)<壷でよかったわ!色は…もちろんセクシ〜で
決めたいからピンクよ!(謎)
<M.ANZAIさん。
(O^〜^O)<ガッツ師匠!
よっすぃ〜カッケ〜かったっすね…。
- 284 名前:素直に... 投稿日:2002年04月11日(木)07時43分47秒
- 『YOSIZAWA』
必死で逃げてきた(?)オイラとお嬢さんは
簡単によっすぃ〜の部屋の場所まで辿りつけた。
息を整え、オイラは掴んでいた手を振り解き
お嬢さんの顔を見る。
「…いいですかい?」
コクリと頷くお嬢さん。
その顔はとても不安そうだった。
今までに見たことのない表情に、オイラまで
なぜか緊張してしまっていた。
ここまで来て後戻りは出来ないってこと
お嬢さんは知ってる。
―コンコン―
…返事がない。
―コンコンコン―
…あれ?
―コンコンコンコンゴンゴンゴン!―
ドタ!
...イテ!
部屋の中で微かな声がした。
- 285 名前:素直に... 投稿日:2002年04月11日(木)07時44分29秒
- 「…飯田さん?」
「そうよ。」
「…あ。今、開けます。」
ドアの向こうで、よっすぃ〜の声がした。
何だか昨日より声が掠れていて、オイラはふと
河原での事を思い出す。
…なぜにオイラは圭織の真似を
咄嗟にしてしまったのだろう?
素直に矢口だよって言えば良かったんだけど。
―カチャ。―
頭にタオルを巻き、顔にはバンソウ膏。
眠たそうに目を擦りながらユックリと顔を上げるよっすぃ〜。
うぉ!よっすぃ〜...顔腫れてんなぁ。
まぁオイラも人のこと言えないけどね。
- 286 名前:素直に... 投稿日:2002年04月11日(木)07時45分05秒
- 「うぃ〜っす!よっすぃ〜♪」
「…おはよう。ひとみちゃん。」
「………。」
あんぐりと大きく口を開けたまま
よっすぃ〜は固まってしまっていた。
こんな素のよっすぃ〜の姿って貴重だなと
何だか可笑しくなったオイラは、笑うのを我慢して
もう一度名前を呼ぶことにする。
「おい!よっすぃ〜!」
「あ…はい。おはようございます。」
「顔…腫れたな?」
「矢口さんこそ…。」
ふふ…っと柔らかい笑みをこぼすよっすぃ〜に
胸を撫で下ろすオイラ。
そしてオイラもニーっと笑い返す。
昨日、あんだけ激しく殴り合ったが、そんな事は次の日になれば
さもどうでもいいように思えた。
この笑みからも十分それが伝わった。
...きっとよっすぃ〜もそう思ってんだろうな。
- 287 名前:素直に... 投稿日:2002年04月11日(木)07時45分42秒
…さて。
オイラはお邪魔だろう。
ここからは二人の時間なんだからな。
「よっすぃ〜!何かお嬢さんが話があるそうだぜ?」
グイっとお嬢さんの細い背中を押し、よっすぃ〜の前に
まるで生贄を差し出すように捧げる。
いきなり目の前に突き出されたお嬢さんは案の定、顔を
真っ赤にしていた。
「…あ。や、矢口。」
「オイラ、下で圭ちゃんとボクシングしたいんで。ゆっくりと話でも
してくださいね。ゆ〜〜〜〜〜〜〜っくりと!」
後ろ歩きで手を振る。
終始笑顔を絶やさず、やっと2人の姿が部屋に
入るのを確認した。
階段の脇に、小さな窓を見つけ隙間を開ける。
フーっと息をつき、煙草を取り出す。
(…あとは、まっつ〜だな。)
根元まで吸った煙草を灰皿にもみ消すと、
オイラは圭織の居る1階へと走り出した。
―…
- 288 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時46分49秒
- 「あ…適当に座ってよ。」
「う、うん…。」
梨華ちゃんとこうして話すのが、何だか凄く懐かしい。
さほどあれから時間は立っていないんだけどさ。
梨華ちゃんはモジモジしながら、ベットの脇に置いてあった
青いソファーに腰をゆっくりと降ろすと、あたしの部屋の中を
まじまじと物珍しそうに見渡した。
「何か…飲む?」
「え…?いいよ。」
微妙にその声は掠れた。
本当は喉が乾いているはずなのに。
変わらないね?梨華ちゃんは…。
「これ…いっぱい貰ったんだ。オレンジジュースは嫌い?」
「ううん。嫌いじゃないよ。」
「良かった。」
- 289 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時47分22秒
- ニコリと微笑む彼女の顔を見て、あたしは安堵の色を隠せない。
気づかれまいと必死で平常心を保とうと、
冷蔵庫にズラーっとキレイに並べられた
きりりを2本取り出し、梨華ちゃんに手渡した。
「いただきます。」
「どうぞ。」
カシュっと心地よい音が部屋中に響き渡る。
それを両手で持ち、コクコクと口に運ぶ彼女。
それがあまりにも子供っぽくて。
あたしは顔を横に背け、声を殺して笑っていた。
「ひとみちゃん?」
「え?何?」
いきなり名前を呼ばれ、我に返ったあたしの目線の先には
不思議そうに首を傾げてるお子サマがいた。
「どーしたの?」
「何が?」
「…笑ってたでしょ?」
口を尖らせてそう言った。
- 290 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時49分10秒
- 「いや…笑ってないって。」
「ウソ!笑ったよ?」
「少し…ね?」
『もぉ!』
真っ赤になりながら、彼女はジュースを一気に飲みだし
そしてむせた。
「だ、大丈夫?」
「…ゴホ!う、うん、なんとか…。」
華奢な体を擦りながら
悪いことをしたなって思った。
「…あのね。お話が…あるの。」
「…うん。あたしも…なんだ。」
シーンと静まり返る部屋の中に
窓を開けてるせいか、下でのミット打ちの音が
微かに流れてこんできた。
いつもなら心地よい音なのに…
今はなぜだか無償に心をはやし立てる。
- 291 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時49分46秒
- 隠しきってきた気持ちを伝えたら…
今までの関係は音を立てて崩れてしまう。
それでもいいんだ。
このまま胸にしまい込んでいたら、
あたしはきっとおかしくなってしまうだろう。
後悔はしない。
一言でいいんだ。
「「あ…」」
同時に情けない声が漏れる。
ポカンと口を開き、ただただあたしは梨華ちゃんの顔を
梨華ちゃんはあたしの顔を―。
『弱虫!』
あたしの頭の中で矢口さんの言葉が過る。
…そのたった一言が出てこない。
喉の奥にまで出かかってるんだけど…。
さっきジュースを含んだというのに、すでにあたしの
喉はカラカラに乾ききっていた。
部屋は、丁度良い温度で保っていたはずなのに
妙に汗ばむ。
近くにあったタオルに手を伸ばし、あたしは
ジュースを飲みながら流れ落ちる汗を拭き
息を整えた。
- 292 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時50分17秒
- 「梨華ちゃん…。」
「は、はい!」
シャキっと背筋を伸ばした彼女の顔は真っ赤だった。
そんな梨華ちゃんを見たら、何だか強張っていた肩の力が
抜けて行くような感じがした。
ベットに座り、彼女の顔を凝視しながら…
「あたし…梨華ちゃんが好き。」
さっきまで緊張してたのがウソみたいに
サラっと言ってしまったのが、自分でも信じられなかった。
あたしが告白しても、
下を俯いたまま梨華ちゃんは黙り込んでいた。
(終わったな…)
でも後悔はない。
自分は弱虫じゃない。
弱虫だったのかもしれない。
でも今、こうしてあたしは自分の本当の気持ちを
素直に伝えることが出来たのだから。
矢口さん、訂正してくださいよ?
あ〜…何だか胸のモヤモヤが晴れてきた。
す...っとベットから立ちあがり、あたしは窓を閉めようと、
重たい足を引きずりながらもなんとかその場所まで辿りつけたのだ。
- 293 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時50分51秒
- 「ひとみちゃん…」
「え…?」
後ろを振り向くと、梨華ちゃんが立っていて―。
あたし達は向かい合ったまま見詰め合っていた。
「私も…ひとみちゃんのことが好きなの。」
黒い瞳に、あたしが映っていた―。
と…梨華ちゃんふいにその瞳を閉じたかと思うと
あたしに抱き付いてきた。
背中に彼女の震える腕がまわされ、
ギュっと抱きしめられる。
あまりにもビックリして、あたしは動けなかった。
素直にブッたまげたんだ。
「り、梨華ちゃん?」
「……。」
ゴクリと唾を飲む。
- 294 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時51分29秒
- 「ど、どうしたの?」
「……」
「ね、ねぇ。」
「……」
梨華ちゃんは額をあたしの胸にあてて、俯いている。
「梨華ちゃん」
もう一度呼ぶと、彼女はグっと強くおでこを
押しつけた。
「わかんないの。」
と、梨華ちゃんは呟いた。
「でも、なんだか急に、こうしたくなっちゃって…。」
心臓に強い衝撃が走った。
喜びを堪える時と…
悲しみを堪える時の痛みって、
何でこんなに似ているんだろう。
今まで貯めていた感情が一気に噴出した。
彼女の体をきつく抱きすくめる。
そのまま壁に押しつけるようにして、
あたしは震えながらもキスをした。
- 295 名前:通じ合う想い 投稿日:2002年04月11日(木)07時52分08秒
- 「…ん」
小さな声を漏らして、あたしのTシャツの背中を
ぎゅうっと握り締めた。
立て続けに何度も、何度もキスを繰返した後で
あたしは梨華ちゃんの細い顎を自分の
胸に抱き寄せ目を瞑った。
「…幸せ。」
「…私も。ねぇ…ひとみちゃん?」
顔をあげる梨華ちゃん。
「…ん〜?」
「あのね…?」
「なに?」
「ううん、なんでもない。」
「気になるよ?梨華ちゃん。」
すると梨華ちゃんは、ますます真っ赤になりながら
俯いて、ようやく消え入りそうな声で呟いた。
「す…好きだなーって...」
あたしは心臓を握り締めてしゃがみ込んでしまった―。
―…
- 296 名前:理科。 投稿日:2002年04月11日(木)07時52分43秒
- 更新しました。
…長かったぁ(ボソ
- 297 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月11日(木)18時40分34秒
- やったぁ〜♪ (じゃ邪魔者はコソーりと…)
- 298 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年04月11日(木)19時10分29秒
- ひさぶりです。忙しくて昨日までの分をFDに落として職場で見てました。
矢口かっけ〜っす! そして、やっとやっと、いしよしが(感涙)。
良かったです。あとは、あやゃですね…。あやゃ……。
- 299 名前:よしいし読者。 投稿日:2002年04月11日(木)22時09分02秒
- 梨華ちゃん可愛いすぎる〜〜
(0^〜^0)ノックダウンすか?(w
理科。さんの書く二人にメロメロっす。
- 300 名前:理科。 投稿日:2002年04月12日(金)05時42分40秒
- <M.ANZAIさん。
(O^〜^O)<テンキュウ♪
(#^▽^)<…もぉ!よすぃったら!
<師匠!ひさぶりです。師匠も忙しいみたいで…。私も毎日の
交信は出来なくなってきてます…(涙
(〜^◇^)b<でーじょうーぶ♪
<よしいし読者。
(#^▽^)<か、可愛いなんて…!そんな…。(ポ
(O^〜^O)ノ<っすよ♪
ありがとうございます…。嬉しいんですけど恥かしい…。
- 301 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時44分16秒
- 「あ…矢口さん。」
「まっつ〜…。」
目の前には、両手いっぱいにタオルを持っていた
まっつ〜がいた。
その隙間から見える息苦しさを訴える顔に
オイラは苦笑いした。
「何だよ、まっつ〜!」
「すみません。」
ちょっと乱暴に、その荷物の半分をオイラは
奪い取った。
フー...っと小さな息を吐き出し
ニッコリ微笑むまっつ〜。
「苦しかったぁ〜!窒息するかと思っちゃいました。」
「こんなに欲張って持つからだよ。」
6畳半の畳の部屋には
所狭しと積み重なっているタオル達。
ドサっと持っていた物を置く。
するとまっつ〜は『ありがとうございました。』と
礼を言い、テキパキと上からタオルをたたみ出した。
- 302 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時44分51秒
- 「あ!今日は見学ですか?」
「ああ…。そんなトコかな。」
『そうなんですか。』
ちょっと語尾を伸ばすその独特な喋り。
鼻歌を交えながらニコニコと仕事をこなしていく。
いたって普通に見えるその姿が…
何だか痛苦しい。
「…なぁ。」
「はい?」
手を休めずに、まっつ〜はオイラの顔を見上げた。
「…そのさ…。元気か?」
一瞬、キョトンとした顔をしたが、まっつ〜は
『あ…』っと小さな声を発してうずくまり、
忙しなく動いてた手を止めた。
「…矢口さん、どこまで知ってるんですか?」
「…ほとんど。って言うか全部。」
『そうなんですか。』
掴んでいたタオルをギュっと握る。
- 303 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時45分23秒
- 「私はズルイです。…ズルイとゆーか...きたない?」
「え…?」
『矢口さん、聞いてくれますか?』
オイラは無言で首を縦に振り、チョコンと
まっつ〜の隣に座った。
「…私、よっちゃんが梨華ちゃんのこと...好きなの知ってました。
本人から直接聞いたわけでもないんですけどねぇ。
梨華ちゃんも、よっちゃんのこと...好きなんだなってゆうのも
わかってたし。」
顔をあげて、えへへと笑うまっつ〜。
「…でもこのまま、自分の想いを押し殺して私はやってけないって
思って。きっと…じゃないなぁ。絶対ムリだろうと思ってても
言っちゃいました。でも後悔はしてませんよぉ。」
「どこが卑怯なんだよ?」
- 304 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時45分53秒
- 今までの話の中で、微塵も『ズルイ』と言う文字は存在させない。
むしろ好感がもてたんですけど?
「…と、これは都合の良い話で。」
ポツリと付け足しながらも話す。
「…試合前に私、梨華ちゃんに意地悪したんです。
この試合が終わったら告白するって…。困らせてみたかったんです。
いきなりですよ?抜け駆けって言うんですかねぇ…。
それでロッカームールに行って、よっちゃんに告白したんです。
そしてら…私のことはそんな風には見れないって…。」
静かに頬を流れ落ちる涙―。
その横顔に僅かな胸の苦しさを感じ始めた。
「そんなよっちゃんに私、何だか苛立ちを覚えて。
…そんな風にって何よ!好きな人がいるって何で正直に言って
くれないの。って…。強引によっちゃんにキスしようとした。」
- 305 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時46分25秒
- さほど部屋の中は暑くはなかったが、
何だか息苦しさを覚え、
カチ―っと側にあった冷房のリモコンを押す。
サーっと生暖かい風がオイラとまっつ〜に向かって
吹いて来る。
「…何も言わないで、よっちゃんは私の顔を見てるんです。
とても切ない顔で…。知らないうちによっちゃんのこと、
引っ叩いていました。何ででしょう…?」
グスっと鼻をすすりながら、タオルで涙を拭く。
そんなまっつ〜の手をオイラは掴み、下に持ってこさせ
顔を直視した。
「…オイラもだよ。ぞんなに自分を責めんなよなぁ。」
「…矢」
角度を変え、オイラはまっつ〜に軽い触れるだけのキスをした。
一瞬、ビクンと体を強張らせたけど、抵抗はしなかった。
- 306 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時47分14秒
- オイラ…よっすぃ〜と同じことしちまった...。
でも、まっつ〜が...その。
すっげ〜可愛くて。
すっげ〜愛しくて。
どうしても我慢できなかった。
静かに唇を離すと、どちらとも言わず吐息が漏れる。
「…。」
「…ごめん。なんか…無償に。あの…。」
真っ赤に染まった頬。
細い指で唇をなぞる。
そんなまっつ〜の顔を恥かしかったけどジっと見つめた。
オイラはお嬢さんのことが好きだった。
好きなのに。
でも…まっつ〜がその…可愛くて。
マジでキスしたくなったんだよ...。
気が多いのか?オイラ...。
「…オイラ。まっつ〜のコト。好き…。かも?」
「…へ?」
- 307 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時47分44秒
- ポカンと口を開け、キョトンとした顔でオイラのコトを
やっと正面から見てくれた。
...っつーかオイラも『かも』ってなんだよ…。
オイラも最悪じゃねぇかよ!
でも…胸の辺りがドキドキするんだ。
「…矢口さん。かもってなんですかぁ!」
「あう!いや…その…。」
「…同情とかしないでほしい。」
「同情なんかしてねぇよ!オイラ、無償にまっつ〜が可愛くて。
どーしようもなくなった!今でも胸が苦しいんだ…。
好きだよ!まっつ〜!!」
前々から、まっつ〜のことは何気に気にはなっていた。
...お嬢さんの時より心臓が痛くなるってことは
オイラ…やっぱりまっつ〜のコトが本気で好きなんだ。
- 308 名前:桃色アプロ〜チ? 投稿日:2002年04月12日(金)05時48分14秒
- オイラはなぜかタオルを握り締めながら、立ちあがり
まっつ〜に向かって言っちまった。
言ってからオイラは『ハっ!』っとして、全身から汗が噴出す。
何だか熱い!
いやに熱い!
まっつ〜は驚いた表情でオイラを見上げている。
オイラの小さな体が、全部心臓になっちまったんじゃねぇかって
ぐらいに、ドキドキが激しくなってきた。
「嬉しいなぁ…。でも順序が逆ですよぉ?」
「はう!」
まっつ〜はゆっくりと立ちあがりながら
オイラにキスした。
「…私、矢口さんのこと。好き…かも。」
「…!!!!」
- 309 名前:きみのためにできること。 投稿日:2002年04月12日(金)05時49分06秒
- かもってなんだよ!
あぁ〜(絶叫)!!!
…もぉ〜ダメだ。
オイラの記憶はここでストップだ。
あとで聞いたんだけど…
オイラ、以上なくらい真っ赤っ赤な顔して
ばったり倒れてしまったらしい。
お嬢さんもよっすぃ〜もうまくいって…。
まぁ、オイラの恋はまだスタートラインに
立ったかな?って感じだけどさ。
この先、どうなるかわかんねぇけど…
でも。
またあの頃に戻れるって気がするんだ。
みんなが初めて出会った時のように。
オイラはこれからも、お嬢さんのコトを
見守っていくし、
あ!でも、よっすぃ〜がいるからなぁ…。
まぁ、そんな感じだ。
(〜^◇^)<終わり♪
- 310 名前:理科。 投稿日:2002年04月12日(金)05時57分50秒
- …何か今回は一番書いてて焦りました。(汗
自分の好きないしよし少ないし…。
このまま書いていったらスレッドを確実に超えるなぁっと思って
ムリに終わらせてしまったかも…(鬱
最悪の駄作に終わってしまい申し訳ないです。
2部でいしよし書こうかなと思ったんですが
更新の間がかなりあいてしまったら申し訳ないしな…と。
読んでくれたみなさん。
お付き合いくださってありがとうございました♪
- 311 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月12日(金)11時57分45秒
- かもっ?? …(w
>2部でいしよし書こうかなと思ったんですが
書いて!書いて〜♪
- 312 名前:M.ANZAI 投稿日:2002年04月12日(金)12時47分34秒
- あっ、忘れてた…
よっすぃ〜、17歳、おめでとう〜♪
- 313 名前:夜叉 投稿日:2002年04月12日(金)18時03分35秒
- 作者様、お疲れさまでした。
兄貴の行動に自分は呆然としてしまいました。自分まだまだっすね、これからも精進するっす!
2部、期待してもいいのでしょうか?(爆)
良かったら書いてもらえるとうれしい、と言ってみるテスト(笑)。
- 314 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年04月12日(金)18時54分01秒
- 急展開でビックリ! しかも終わってるし(泣)。
最後まさか、○○あやになるとは…。意外でした。
忙しいみたいですね。こちらのカップルも始まったばっかりですので
続編も激しくキターイいたします。お疲れ様でした。
- 315 名前:よしいし読者。 投稿日:2002年04月12日(金)19時03分21秒
- お疲れさまでした〜
ほんといきなりでビックリしましたが…
続き期待しても良い出しょうか?
いしよしもっと見たいっす〜
(0^〜^0)誕生日おめでとうですね。。
- 316 名前:じじ 投稿日:2002年04月12日(金)19時44分34秒
- んあーっ!完結してるぅぅぅ!!!
かなり意外なラストに驚きました(w
私も続き期待しています!
密かに次回作ヤッスー主役の学園モノも期待… ←マジ(w
お疲れ様でした!!!
- 317 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年04月12日(金)22時13分05秒
- いやー、大団円でよかったっす。
(高橋はちょっとかわいそうかな?)
ヤグ兄ィ〜、舎弟2号として兄貴の幸せが自分ホンマうれしいっす!
>密かに次回作ヤッスー主役の学園モノも期待…
じじさんと同じく(w
最後にヨシコ17歳おめっとぉ〜!!
- 318 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年04月13日(土)15時19分04秒
- 完結お疲れ様でした。
最近私の車の中で、「リカイシテヨ女の子?」が、エンドレスで流れているので
つい口ずさんでしまいましたが・・・・。ヤッスーと同じですな。(謎
>続編。
皆様と同じく激しくキターイ!!
- 319 名前:池孫四葉 投稿日:2002年04月13日(土)19時01分06秒
- お疲れ様でした!
私も、理科。さんのような作品を書きたいです。
ここのいしよしには、矢口兄貴に感謝して貰いたいですね。
それでは私も、続編期待してます。
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