インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板
あねおとうと〔ねずみのココロ〕
- 1 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時27分08秒
- 雪板から引っ越してきました。というかまだ向こうにも住んでいます。
いしよしでなんだけれども・・・・・・一応。
詳しくは>>2->>4で。
- 2 名前:ハム太郎 投稿日:2002年03月24日(日)02時28分55秒
- 雪板の『あねおとうと』
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=snow&thp=1003855965
を最初から読んでくれているみんなは、たぶん予測していたと思うのだが
(というかこの物語では必然なのですが)裕五郎くんとなつみちゃんは
スキスキどうしになって結婚してしまうのだ。ボクもびっくりなのだ。
だから、梨華ちゃんと一夢くん(よっすぃー)は義理の姉と弟になって
しまったのだ。
いったいどうなってしまうのだ〜!
タタタタタタタタタタタタター(走り去る音)
- 3 名前:リボンちゃん 投稿日:2002年03月24日(日)02時30分27秒
- もう、ハム太郎くんたら困りまちゅわ。じゃぁ後はあたちが。
ここではこの四人、梨華ちゃん一夢くん裕ちゃんなっちが家族になってから
十数年後の事を、一夢くんの一人称で進行していくとのことでちゅわ。
後はえ〜と・・・そうでちゅわ!
雪板の『あねおとうと』とは同時進行でいくってさっきpuppuとかいう
作者さんが言ってまちたわ。
ハム太郎く〜ん! タタタタタタタタタタタター(走り去る音)
- 4 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時32分33秒
- [主な登場人物]
【一夢(ひとむ)】♂
十五歳、中学三年生。僕。
【梨華】♀
十五歳、高校一年生。一夢の姉。
【裕五郎】♂
心は二十八歳。父親が京都で経営している会社の東京支店長。梨華の実の父。
【なつみ】♀
心は二十歳。裕五郎と結婚してからは専業主婦。一夢の実の母。
【ケイ】♂
黒猫。道に捨てられていたのを梨華と一夢に拾われる。今は大事な家族の一員。
【真希】♂
十五歳、中学三年生。一夢の親友。
【あゆみ】♀
十五歳、高校一年生。梨華の親友。
- 5 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時34分19秒
- -1-
人が心から恋をするのはただ一度だけである。それが初恋だ。
ラ・ブリュイエール
「王子様とお姫様は結婚するんだよぉ」
「しってるよ。ぼく、りかちゃんお嫁さんにするつもりだもん」
「うん。あたしよっすぃーのお嫁さんになる。やくそく」
「うん。やくそくだよ」
初恋に勝って人生に失敗するというのは良くある例で、
初恋は破れるほうがいいと言う説もある。 三島由紀夫
- 6 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時35分17秒
- -2-
愛とは相手に変わることを要求せず、相手をありのままに受け入れることだ。
ディエゴ・ファブリ
- 7 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時36分12秒
- 僕と梨華が最初に出逢ったのは、二人が二歳の時だから、もう十年以上も
前の話になる。
シチュエーションが某百貨店の迷子ルームだったというのは、いささか
格好悪いものはあるが、それでもそこは僕にとって、今でも時々夢に
登場してくるほどとても素敵な思い出の場所となっている。
そこで僕らは、お互い一目で惹かれあった。何がそうさせたのかは
分からない。どこか似ているところがあったからかもしれないし、
反対にまったく似ていなかったからかもしれない。
とにかく僕らは出逢い、一緒に遊ぶようになった。
その頃はまだ僕の母親と梨華の父親が結婚していなかったので、僕らは
とても仲のいい友達だった。いや、その年齢で恋人同士と呼ぶ事が
許されるのなら、僕らは間違いなくその恋人同士というものだっただろう。
僕らはまるでS極とN極を併せ持つひとつの磁石のように、お互いを
必要とし求め合った。
そして出逢って数ヶ月。親達が結婚した。
- 8 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時36分58秒
- 最初の頃はただただ嬉しかった。梨華と同じ家に住めるということが。
僕と梨華は朝も昼も夜も、起きている時も寝ている時も、一日中ずっと
ずっと一緒に過ごした。
まるでぎゅっとみえない紐で縛られているかのように、僕らは片時も
離れる事はなかった。
しかしそれが続いたのは、梨華が幼稚園に通うようになるまでの
ほんの短い期間だった。
僕は最初、梨華と一緒に幼稚園に通えるものだと思っていた。
だからそうじゃないと知ると、僕は泣き叫んで自分の気持ちを訴えた。
『どうしてりかちゃんと一緒にいちゃいけないの?』と。
その時は父さんと母さんにいくら説明してもらっても、僕と梨華が
どう違うのかが全く理解できなかった。それは、僕らは二人でひとつだと
思っていたから。
誰かが意地悪をして、無理矢理僕と梨華を引き離そうとしているのだと
思い、その日の夜、僕はご飯も食べずにその誰かだかを殴るつもりで、
家中の障子に穴を開けまくった。
- 9 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時37分39秒
- 僕は普段人一倍おっとりしているので、親達はとてもびっくりしていた。
でも結局、『よっすぃーイイコだからがまんしよ、ね?』という
梨華の一言で僕はいつもの僕に戻った。
僕らの関係を明確に意識しだしたのは、梨華の方が先だったみたいだ。
僕の頭のてっぺんには、父さんにもらったちっちゃなたんこぶが一つ、
髪に隠れてくっついていた。
梨華が幼稚園に行っている間、僕は真希と遊ぶようになった。
真希は僕と同い年の近所に住んでいる男の子だ。
彼といつ友達になったのかは思い出せないけれど、一番最初はお互い
睨み合ったという事だけは覚えている。
周りの人たちは皆口をそろえて、僕と真希は雰囲気が似ていると言う。
僕と真希は睨み合って殴り合いの喧嘩をし、次の日は仲良く遊んでいた
ということだ。
そして今ではお互い親友と呼べる仲になった。
梨華にもその時、僕と同様今では親友と呼べる友達が出来た。
あゆみちゃんだ。
- 10 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時38分15秒
- 梨華とあゆみちゃんは同い年で、幼稚園での組が二人ともたしか桃組みで
一緒だった。
入園式当日、割と人見知りしてしまう梨華が初めて言葉を交わしたのが
このあゆみちゃんだったらしい。
あゆみちゃんの家も割合僕らの家に近かったので、よく遊びに来るように
なった。
僕と梨華、真希、あゆみちゃんの四人はその頃から仲がいい。
四人で色んな所に冒険にいったりもした。
危険な場面(大きい犬を飼っている家の前を通ったり、少し高い木に
登ったりする時)で女の子達がてこずっていれは、当然のように
僕が梨華、真希があゆみちゃんを助けた。
梨華が中学生になってからよく口にするようになった言葉がニつある。
一つは『よっすぃーは私の弟だもの』
そしてもう一つは『私はよっすぃーのお姉ちゃんでしょ』だ。
でも僕はそう言う梨華の声でさえいとおしく感じられる。
ただの自意識過剰かもしれないが、その口調には事実を述べると
いうよりも、諦めのニュアンスが多く含まれているように僕は思っている。
- 11 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時38分56秒
- しかし実際のところ、その頃から僕にとって梨華と一つ屋根の下で
暮らすのは嬉しい事であり、そして同時に悲しい事にもなっていった。
梨華も僕もまだ小学生の時、雨が降れば、僕らは学校から帰ると
よく二人で家の縁側にならんで、雨で煙った庭の景色をぼんやりと
ガラス戸ごしに眺めていた。
足を投げ出し、僕は障子にもたれて座る。そして梨華は僕の右肩に
もたれて座る。少し湿った梨華の髪のあまい香りが、雨の日特有の
砂利臭いにおいに混じって僕の鼻腔をくすぐった。
雨の粒が木の葉っぱにあたるぱたぱたという音を聞きながら、
僕らはいつも同じ会話をした。
「雨やまないね」
「そうだね」
「お外出られないね」
「そうだね」
「よっすぃー退屈?」
「退屈じゃないよ」
僕の応えに梨華は軽く微笑む。
- 12 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時40分07秒
- そしてしばらくすると、彼女は僕にもたれかかったままスースーと
小さな小さな寝息を立て始める。
僕は目を閉じて彼女の温もりを感じ、いつまでも飽きる事無くその
雨にかき消されそうな程の微かな音に、じっと耳を澄ませていた。
ずっとこういう日が続けばいいと願いながら。
僕は梨華を愛しているし、梨華もおそらく僕を愛しているだろう。
僕達は男と女で、それはちっともおかしな事じゃない。
しかし僕らは愛し合ってはいけないらしい。
なぜなら、梨華と僕は姉と弟だから。
それでも僕は梨華を愛し続けるだろう。
梨華は僕の姉であるとともに、一人の女性でもあるのだから。
そしてそれが梨華なのだから。
- 13 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時42分10秒
今回はこのへんで・・・・・・。
- 14 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時42分54秒
- まだ書き初めなので手探り手探りです。
ストックも何もあったもんじゃねぇ。
勢いでおしていきます。おしていきます。おしていきます。
よろしくおねがいします。
- 15 名前:puppu 投稿日:2002年03月24日(日)02時43分44秒
- 重ね重ねよろしくおねがいします。
- 16 名前:yo-na 投稿日:2002年03月24日(日)03時13分14秒
- 実は「あねおとうと」から愛読してます(笑)
ちゃんと読んでますので ガンバッテ下さいね!
さてさて 二人はどうなる?
う〜〜ん微妙ですね
そして パパママの経過も知りたいじょ(笑)
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月24日(日)07時30分20秒
- 待ってましたよ、思春期ヴァージョン
この時期ならではの展開期待してます…
- 18 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年03月24日(日)12時18分07秒
- こんなに速く思春期の二人を読むことが出来るとは思いませんでした(嬉
どっちも、期待していますので、がんがってください!
- 19 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年03月24日(日)14時45分05秒
- 私も「あねおとうと」から読んでます。
楽しみに待ってます。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月25日(月)01時28分01秒
- 幼児期編→まったり、ほのぼの、温泉気分!
思春期編→ちょい甘、ちょい痛、いしよしマンセー
って感じでいいのかな?両方楽しみです。
二重生活大変だと思いますが、自分のペースでまったりと。
吉一人視点というところに期待大!
状況説明&二人の感情表現が大変だと思いますががんばってください。
- 21 名前:名無し男@ベッカムカット失敗でハゲチャビンの旅(クリリン) 投稿日:2002年03月26日(火)02時38分29秒
- しんすれおめ〜
障子の穴を破ってお母ちゃんにおケツペチペチ叩かれたのはみんな一緒なんだね(w
(;●`ー´●)<おい!そこのおめえ!ガゼルをみなかったべか?
- 22 名前:吉胡麻系 投稿日:2002年03月28日(木)13時17分52秒
- 新スレおめでとうございます!
私も「あねおとうと」から読んでいます。
今後、この2人がどうなっていくかすごく楽しみです。
頑張って下さい!
- 23 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月31日(日)20時52分31秒
- お引っ越し〜はたのしいな〜。
成長した二人、ちっちゃい頃のようにはいかないかな〜。
少々切なめな感じ…ん〜どうなりますやら。
- 24 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月02日(火)00時54分35秒
- 近親相姦?
- 25 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時43分07秒
- -3-
恋の悩みほど甘いものはなく、恋の嘆きほど楽しいものはなく、
恋の苦しみほど嬉しいものはなく、恋に苦しむほど幸福なことはない。
アルント
- 26 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時43分43秒
- 今日はクリスマスイブ。
そして、父さんが母さんにプロポーズした日でもある。だから毎年
二人は必ず、この思い出の日にまた新たな思い出を刻むため、どこかに
旅行に行く。父さんにとっては結婚記念日よりもこの日の方が
大切らしい。
二年前まで僕と梨華もその旅行についていっていたのだけれど、
梨華の受験を機に僕らは二人を見送る事にした。
その代わり、ささやかだけれども、真希とあゆみちゃんを家に呼んで
僕らはクリスマスパーティーをする事にした。今年で二回目になる。
目を覚まさせたのは、梨華が僕の部屋をコンコンとノックする音だった。
「よっすぃー、起きてる?」
「・・・・・・うー」
しばらくして僕はかすれた声で、ドアの向こう側にいるであろう梨華に
返事をする。ほんの今まで見ていた夢を思い出しながら、とりあえず
毛布を捲くって体を起こした。体が熱い。
「よっすぃー入るよ?」
梨華が僕の返事も待たずにドアノブをひねる。
少し寝癖のついた髪を撫でながら、僕はぼんやりと彼女が入ってくるのを
見ていた。
- 27 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時44分17秒
- 梨華は後ろ手でドアを閉め、まだ僕が寝ぼけ顔で座っているベッドに
向かってゆっくりと音も立てずに絨毯の上を歩いて来る。
「よっすぃー、顔少し赤いよ?」
「なんでもない」
「そう。・・・まだ寝てたの?」
目を擦りながら黙って頷く僕に、梨華はクスッと小さく微笑み
そのままベッドに腰を下ろした。
「昨晩も遅くまでお勉強頑張ってたもんね。でもちゃんと朝には
起きなきゃダメだよ」
僕の目にかかった髪を細い指で優しく払いながら梨華が言う。
僕は今中三でもうすぐ受験がある。梨華と同じ高校に通うために、
僕は毎晩眠いのを何とか堪えて勉強しているのだ。でも一緒の学校に
行きたいがために頑張ってるなんて、もちろん梨華には言っていない。
梨華もよく遅くまで僕の勉強に付き合ってくれる。
それに夜中の十二時を過ぎた頃に、おにぎりとか鍋焼きうどんとか
そういったものを作って、毎晩僕の部屋に持ってきてくれる。
そして僕が食べている間はずっと一緒にいて、今日どんな事があった
だとか、あのテレビ番組がおもしろかっただとか、いろいろな話をして
僕を気分転換させてくれるのだ。
- 28 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時44分54秒
- だから、梨華も睡眠時間は僕と大して違わないはずだ。
それなのに梨華は休みの日でも朝は必ず八時前に起き、母さんと一緒に
庭の花たちに水をあげたり、掃除をしたり、猫のケイと遊んだりしている。
それから、僕や父さんがいつまでたっても起きてこないと部屋を覗きに来る。
梨華曰く、『朝早く起きると、その日一日が気持ちよく過ごせるの』
だそうだ。
僕も小学校の低学年くらいまでは朝早く起きて、母さんには父さんを
起こすという名目で、よく梨華と一緒にまだ寝ている父さんのベッドに
潜り込み、父さんの顔にヒゲを描いたり、耳を引っ張ったり、ケイを
パジャマの中に入れたりして遊んでいた。
寝ている父さんを挟んで見るイタズラする梨華の笑顔は、とてもキュートで、
今でも鮮明に目に焼きついている。
父さんにはいつも『なんでこんな事するんやぁ〜。もうちょっと寝かし
といてくれ〜』とマジックのついた顔や、ケイの引っかきキズのある顔で
泣かれたものだ。
でも何度も何度も、梨華と僕は父さんにイタズラしていた。
してはいけない事をするという快感に、子供心に僕はドキドキしていた。
またそれは、梨華と僕と二人っきりでしか出来ない、ある意味秘め事と
いうので、余計に楽しく感じられたのかもしれない。
- 29 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時45分31秒
- またしたいな、と大きくなった今でも時々思ってしまう。
あの時の父さんの布団の匂いがなつかしい。ほんわかあったかくて、
柔らかくて、春のお日様のようなそんなかおりだ。
でも受験生の僕には父さんへのイタズラよりも、今は朝寝が勝ってしまう
らしい。
ベッドの上でいつまでもじっとしている僕に背を向け、梨華はベランダに
通じるガラス戸のカーテンを開けに行く。
「ねえ梨華ちゃん、今何時?」
僕はそのまま梨華を見ていた。
「もう十時過ぎだよ」
それから彼女は、参考書やノートやらで散らかっている僕の机に片手を
ついて、その前にある窓のカーテンをもう一方の手で開けようとした。
背伸びして手を前の方に伸ばしているため、スカートが少し上に引っ張られて
梨華の太腿から上が見えそうになる。しかし僕の視線に気付いたのだろうか、
梨華は前を向いたままスカートの裾をきゅっきゅと引っ張った。
僕は窓から差し込む日差しが眩しい振りをして、もう一度毛布に潜り込んだ。
- 30 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時46分12秒
- 梨華がベランダに出て、すぐそこにいるらしいケイを呼ぶ声がする。
「ねえ、父さんと母さんは」
毛布をかぶったまま僕が言う。
「もうとっくに家でちゃったよ」
「そっか・・・」
「よっすぃーは寝かしといてあげなさいって」
「うん」
毛布の中で目を閉じると、ついさっきまで見ていた夢が瞼に映った。
夢の中で僕は女の人と二人きりで、どこかのホテルのベッドに腰掛けて
いる。そこは薄暗くて相手の顔はよく見えないのだけれど、僕には
なんとなくそれが梨華だとわかる。彼女も僕も真っ白なバスローブ一枚
だけで、向かい合って座っている。おそらく彼女はブラも着けていないの
だろう。大きく開いたバスローブの胸元から見える彼女の豊かな胸の谷間は、
まるで僕を誘っているかのようだ。僕はそのまま彼女をベッドに押し倒し
長い長いキスをする。そして、ゆっくりとローブの紐を解き彼女を裸にする。
首筋に唇を這わすと、シャワーを浴びて間もないであろうしっとりとした
彼女の肌が、吸い付いてくる。暗くてよく分からないが、彼女は恍惚の
表情をしているのだろう。激しい喘ぎ声が僕の耳を支配する。
- 31 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時48分16秒
- 僕はそのまま彼女への愛撫を続け、何度も何度も彼女の名前を呼ぶ。
そして僕が梨華の中に入ろうとした瞬間、
コンコンとドアがノックされる音で目が覚めたのだ。
僕にはよく見る夢が二つある。一つは今の夢で、これは必ずと言っていい程
ベッドでしかみない。そしてもう一つは、梨華と出合った時の夢だ。
これらの夢はいつも同じ場面で違う夢に切り替わるか、目が覚めてしまう。
目が覚めるというのは、ほとんどの場合自発的なのだが、たまに人に
起こされる時がある。ベッドでの夢を見ている時は、やはり人には
起こされたくないものだ。しかしこんな時に限って・・・・・・。
それが母さんなら、ドアから顔を覗かせて声をかけるだけなのでまだましだ。
それが父さんなら最悪だ。父さんは三ヶ月に一回程のペースで、休日の
朝の早くから僕をキャッチボールに誘いに、突然部屋に押しかけて来る。
いつもは遅くまで寝ているのに、こんな時にかぎって僕が寝ているベッドに
ダイブしてくるのだ。そして赤くなっている僕に父さんはニヤッとしながら
『あらあら、一夢くんも思春期なのね』と一言残して去っていく。
もちろんその日のキャッチボールは、僕がわざと外したボールを追いかけて、
父さんは筋肉痛になっているという事は言うまでも無い。
- 32 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時49分04秒
- そして、それが梨華なら・・・・・・とても気まずい。
毛布の中は僕の吐き出す息で生暖かくなっている。そして下着の中も、
同じように生暖かい。
もし僕が今梨華を毛布の中に引きずり込んだら、彼女はどういう表情を
するのだろう。夢の中でのように、黙って僕を受け入れるのだろうか。
それともやはり「私はよっすぃーのお姉ちゃんでしょ」と眉を下げる
のだろうか・・・・・・。
そこまで考えた時、被っていた毛布の端が軽く持ち上げられ何かが
するりと僕の隣に滑り込んできた。柔らかい毛が僕の頬を撫でる。フゥ。
僕はため息を一つつくとゆっくりとソレに手を伸ばし、そっと抱きしめた。
フワフワとしてとても柔らかい。最近ちょっと太ったかな。おなかの
あたりが少したるんでいる。僕がそこをぎゅっと摘むと慌てて逃げようと
する。なおも僕が捕まえて体中を摘む。毛布の中で僕らがバタバタして
いると、ふふふ、と笑う梨華の声が聞こえてきた。そう。梨華がコイツを
毛布の中に入れたのだ。
「早く、用意してね」
梨華はそれだけ言うと僕の部屋を後にした。
- 33 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時50分12秒
- 僕は起き上がり、ケイの両脇に手をいれて顔を見ながらブラブラ揺らす。
「オマエ、男だろ? だったらさぁ、僕の気持ち分かるよね? これからは
梨華ちゃん来る前に起こしにこいよ!」
ケイはブラブラと尻尾の先まで揺れているのが楽しいのか、上がり気味の
目を細くして、にゃぁにゃぁと鳴いている。
「オマエさぁ、ホント分かってんの?」
「にゃっ」
「だからさl・・・・・・」
ケイの頬が心持ちフニャっと緩んだ気がした。それで僕は思い出した。
ケイがほとんど毎晩、梨華と一緒に寝ていると言う事を。おそらくコイツの
事だから梨華にピタッとくっ付いて、甘えた声を出しているのだろう。
「コイツ・・・・・・」
まるで空き缶をゴミ箱に捨てるように、僕はポイッとケイをベッドに
投げつける。そして、仰向けになってしゃかしゃかと足を動かしている
野郎を毛布でぐるぐる巻きにして、掛け布団をかけた。パンパン。
なかなかの出来だ。
僕は下着を替え洋服を着てリビングに向かおうとした。ノブに手を掛けて
パッとベッドの方を見やると、布団がゆさゆさ揺れている。一旦戻って
その上に枕を投げると静かになった。
「今日一日そうしとけ」
笑いながら僕はそう言って、部屋を出た。
- 34 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時50分57秒
今回はこのへんで・・・・・・。
- 35 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時51分29秒
- 長い間更新していなくて読んでくれている方すみません。
だいたい方向が決まりましたので、これからは週一くらいの
ペースでやっていけると思います。
- 36 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時54分07秒
- >yo−naさん
レスありがとう。
ここは『あねおとうと』と違って、ほとんどパパママは出てこないと
思います。
>17さん
レスありがとう。
この時期ならでは・・・春ですね。
>よすこ大好き読者。さん
レスありがとう。
期待に応えられるようがんばります。
>名無しベーグル。さん
レスありがとう。
こちらの方もよろしくお願いします。がんばります。
>20さん
いつもレスありがとう。
本当にいい例え方してくれるね。もうピッタリです。
三人称の方がいろんな視点で書けるので、その時々で書き方を
替えられるけど、一人称はそう出来ないので、書きやすいようで
書きにくいです。でもがんばります。
- 37 名前:puppu 投稿日:2002年04月09日(火)23時55分00秒
- >名無し男さん
いつもレスありがとう。
ハム太郎・・・だって好きなんらもん。癒し系で。
ミニハムズが出てくる前からスキ。
ああ崩れてしまった。
〔ねずみのココロ〕ではseriousにいきますんで。
そこんとこよろしく。(矢沢)
>吉胡麻系さん
いつもレスありがとう。
勢いで新スレたててしまいました。たてたからには、
『あねおとうと』とうまく絡ませていきたいと思っています。
がんばります。
>23さん
レスありがとう。
やはり人間は、いつまでも子供のままではいられないようで・・・。
大人になるといろいろやっかいです。
>名無しさんさん
レスありがとう。
「きんしん‐そうかん(‥サウカン)【近親相姦】 血縁の近い男女が
性交を行なうこと。」だそうです
だからちょっと違うかな。
- 38 名前:1111 投稿日:2002年04月10日(水)02時13分22秒
- 更新お疲れ様です。
今回も良い感じですね。まさに思春期というか、初春というか・・・。
とても暖かいっす。
でも、これから熱い夏も来るし、厳しい冬もやってくる・・・。
う〜む、自分でレスしながらわくわくしてきた(恥)。
しかし、こっちでも向こうでも名乗ってないのに何で私だって分かるかな?<20
私のレス、気に入ってもらったようなので今度から固ハンで行きます。
これからもよろしく・・・。(魔獣合成かよ!)
- 39 名前:名無し男 投稿日:2002年04月10日(水)10時54分27秒
- シリアスと言いつつも笑う部分も充分にに含まれてる(w
マジできっちりしてますな
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月10日(水)21時54分34秒
- 一夢は自分でパンツをこっそり洗うのだろうか?
なんて、どうでもいいことを想像してしまいました
- 41 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月14日(日)01時49分58秒
- 仰向けでシャカシャカしているケイに笑いました(w
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月21日(日)14時22分51秒
- なかなかケイ、おいしい目をしてますな。
まあそのおかげで今日一日は…
男の子のよっすぃなにかと大変だね。
- 43 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時11分14秒
- 真希とあゆみちゃんは四時頃来る事になっている。
それまでに僕と梨華の二人で、クリスマスパーティーのための買物を
しておかなければならない。
僕がリビングにいくと、梨華がソファに座り小さな声で何かぶつぶつ
言いながら顔を上方に傾け、ペンを持った手の人指し指を顎のところに
あてたり、かと思えば、慌ててテーブルの上に置いてある小さな紙に
何かを書き込んだりしている。
その梨華の一つ一つの動作が余りにも女の子っぽくて、でもそれは
彼女にとても似合っていて、僕は思わず微笑んでしまう。
洗ったばかりの顔をタオルで拭きながら、僕は梨華の隣に腰を下ろした。
ソファにもたれ、少し濡れてしまった前髪も一緒にがさがさと拭いている
僕を見て、梨華は目を細め歯を見せないで笑う。
こういうちょっとした仕種は色っぽいな、と思ってしまう。
体を前に曲げペンを走らせる梨華の背中や、少し茶色がかった髪の間から
ちらちら見えるうなじはとても華奢で、そしてあまりにも綺麗で、
無意識のうちに手を伸ばしてしまうんじゃないかと僕はいつもはらはらする。
- 44 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時12分12秒
- 「ねえ、よっすぃー。牛乳まだあったかな?」
「ん? たぶん。見てこようか?」
「じゃあお願い。あっ、それとバターも」
「わかった」
都合よくというかなんというか、僕は内心ほっとして席を立った。
僕は冷蔵庫の中をチェックし、喉が渇いていたので牛乳をグラスに
そそいだ。そして、テーブルの上のお皿に入れてあったゆで卵(おそらく
母さんが出かける前に茹でてくれたのだろう)を一つ持って牛乳を飲み
ながらリビングに戻る。
「バターは半分くらいしか残ってなくて牛乳はこれで最後」
梨華に牛乳の入ったグラスを見せる。
「よっすぃー、お行儀悪いよ。ちゃんと座って飲まなきゃ」
「はいはい。分かってるって」
梨華はそのまままたテーブルに向かった。
僕はさっきと同じ場所に座り、テーブルの上にグラスを置いて灰皿の上で
ゆで卵を剥き始める。
梨華はいつの間にか母さんと同じような事を言うようになった。
それはただ単に、大人の女性に近づいてきただけの事なのかもしれない
けれど、僕は梨華のなんでもない一言一言に頭を悩ます。
- 45 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時13分06秒
- 梨華はどういう心でこれらの言葉を口にするのだろう。梨華は僕の
お姉ちゃんだから、僕は梨華の弟だから、だから彼女はこんな事を
言うのだろうか。もし僕と梨華がなんでもない普通の友達、もしくは
恋人同士なら、こんなどうでもいい事に頭を痛める日なんておそらく
一生こないだろう。
ぼんやりしながら僕は剥いたゆで卵を目の高さに持ってきて、小さい
殻のかけらがついていないかゆっくりと一周まわして確認する。
「ありがと」
卵を咥えたばかりの僕に突然、梨華が顔を上げて言う。
「う?」
「冷蔵庫見てきてくれて。まだ言ってなかったから」
声が出せないのでうんうん頷く僕に、梨華は今度は歯をみせて笑い、
「それちょっと頂戴。よっすぃー飲んでるの見たら欲しくなっちゃった」
と、僕が半分程飲んだ牛乳のグラスに手を伸ばした。
その、グラスを持つ小さいけれどすらっとした細い指に、こくこくと
いう音にあわせて動く艶かしい喉元に、軽く伏せられた長いまつげに
僕は自然と見とれてしまい、ものすごく困ってしまう。
見てはいけないと思いながらも目を離せないで、僕はただゆっくりと
口を動かし卵を砕いていた。
- 46 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時13分47秒
- 「あっ、全部飲んじゃった」
「うっ!」
いきなり笑いながらそう言う梨華に、僕ははっと我にかえる。そして
反撃するため慌てて卵を飲み込みこんだ。
「もうそれでおわりなんだよ」
「ごめ〜んよっすぃー」
両手を顔の前で合わせて僕を見る梨華が可愛くて、もう少し言って
みたくなる。
「じゃあ、今日のお昼は梨華ちゃんのおごりね」
「なんでー? 私よっすぃー起こしてあげたでしょ。だから
よっすぃーのおごり」
「ええっ! 関係ないよ。それにもう起きてたよー」
「うそだぁ。よっすぃーの目ちょっと腫れてたもん」
「ちがうよぉ、もとからだって。ほら」
僕が顔を近づけると、梨華はすっと目を逸らして僕の両肩を両手で押す。
「もう、分かったから。お金はちゃんとお父さん達から預かってるの」
それだけ言うと梨華は目を逸らしたまま立ち上がり、メモした紙を半分に
折りたたんで『ケイのお昼ご飯用意しなきゃ』と行ってしまった。
- 47 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時14分23秒
- ただの僕の思い過ごしなのかもしれないけれど、梨華の頬は少しだけ
赤くなっていた。
実際はそんなに考え込むことなんてないのかもしれない。
僕はなぜかおかしくなって、そのままソファに寝転んで少し声を出して
笑ってみた。
- 48 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時16分02秒
少しですけど
今回はこの辺で・・・・・・。
- 49 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時17分25秒
- すぐに変な方向に走ってしまいそうな自分がいます。
seriousだseriousだと言い聞かすの大変。というか難しいです。
- 50 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時18分39秒
- >1111さん
そうそう。暑い夏も厳しい冬もちゃんと用意しています。
私の頭の中で。しかしこのペースだといつになる事やら(w。
魔獣合成された1111さんのわくわくを満たせるようにがんばります。
雪板のほうは1111さんって書かない方がいいですか?
あと、長レスはとても嬉しいです。
>名無し男さん
笑う部分がありましたか? そうか・・・迂闊だった(w。
でもきっちりって言ってもらえて嬉しいです。
シリアスっていうのは暗めとかじゃなくて、雪の方のはちゃめちゃとは
違って、ただ真面目にまめんめに書いていこうと思っています。
あ、あましんて・・・尼崎信用金庫。バスケット?
- 51 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時20分17秒
- >40さん
もう、こっそりね。
お風呂に入る時、誰にも見つからないようにこっそりもって行って
ちゃんと自分で手洗いしてます。そして自分の部屋に干しています(w。
一夢の他はケイだけしか知らない・・・と思っているのは一夢だけです。
>名無しさんさん
これくらいではケイはびくともしません。丈夫だから。
ケイは一夢くんと梨華ちゃんが大好き(ヲタ)です(w。
いつも二人の様子を影から覗っているようです。
>42さん
梨華ちゃんはまだケイの本性に気付いていません。あのぎらぎら
光る眼を見れば一目瞭然なのにね(w。
seriousめっちゃ好きですか? それはよかったです。
これをseriousと呼ばずになんと呼ぶ、くらいにシリアスっていきますよぉ。
- 52 名前:puppu 投稿日:2002年04月22日(月)00時21分50秒
- おしまい
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月22日(月)01時57分48秒
- これ、映像化してみると面白いだろうな〜って思います
よっすぃ〜の表情とか(w
- 54 名前:1111 投稿日:2002年04月24日(水)01時18分14秒
- 更新おつかれさまです。
ここでも向こうでも私は1111♪ 今日も懲りずに長レスで。
今回も甘酸っぱくて・・・。おっさんの私には少々こたえますね。
一夢、がんばれ。いきなり襲い掛かるなよ。
ちゃんとお風呂覗くとか下着盗むとかしてから(略。
puppuさん、自問自答は良いことですよ。もっともっと悩んでくださいな。
私は見るだけしかできませんけどね。puppuさんの「マジ」についていきますよ。
自分のペースで、納得いくものを出していってください。
つまんないときは正直つまんないといいますんで。
- 55 名前:名無し男 投稿日:2002年04月24日(水)18時27分45秒
- 凄いレモン味な内容なのに
なぜか日本印度化計画が聞きたくなった(w
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月01日(水)21時10分04秒
- よっすぃ、かなりの熱視線っぷりですな〜。
せくすぃべいべーな梨華ちゃんにいつまでたえられるのか…
- 57 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月11日(土)22時18分14秒
- よっすぃ頑張れ!
君の苦悩が報われる事を祈ってます。
作者様
マターリ更新待っています。
- 58 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時22分57秒
- -4-
恋はうぬぼれと希望の闘争だ。 スタンダール
- 59 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時23分40秒
- 時計はあと十分で12時を示す。昨夜、僕と梨華二人で決めた
出発の時間は11時半。
僕はソファに座り、膝の上に肘を立て頬づえをついた。
クローゼットを開け閉めする音や、床を歩くぱたぱたという音が、
ひっきりなしに二階から僕のいるリビングまで響いてくる。
「でもまあ今日は、僕のせいでもあるし・・・」
そして一つ、僕はため息をついた。
梨華はつい先ほどまで「ケイがいない、よっすぃーケイ知らない?」
と、軟骨が入ったケイ専用のお皿を手に持ったまま、廊下や庭を
くるくるとおもちゃみたいに走り回っていたのだ。僕は適当に
「トモの所に遊びに行ったんじゃないの?」と言っておいたけれど。
ちなみにトモとは、ケイが妹のように可愛がっているお隣の田畑さん
家のメス猫だ。ケイは何かにつけてトモの事を気にかけている。
その理由の一つには、自分と顔が似ているというのもあるのかも
しれない。猫だってようく見ると一ぴき一ぴき顔が違うのだ。
整ったヤツもいれば、やっぱりちょっとくずれたヤツだっている。
- 60 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時24分14秒
- ケイとトモは出来、不出来とかはまあ別にして、二ひきともとても
インパクトがあり、それでいて愛嬌のある顔だと僕は思っている。
その辺でころころしているヤツらと違って、一度見たらすぐ覚える。
良くも悪くも。
もちろんそれから、僕は部屋に着替えに戻った時にちゃんとケイを
毛布から開放してあげた。だれも進んでケイの窒息死した顔なんて
見たくない。少しぐったりなってひっくり返っているケイに向かって、
「ごめんな。おいしい餃子買って来るから」と頭を撫ぜてやると、
僕の言葉を理解したのだろう、嬉しそうな顔をしてすっくと立ち
上がる。そしてしっぽをぴんとまっすぐに立て僕の顔を見て一声
「にゃぁ」と鳴くと、入ってきたのと同じベランダのガラス戸から
すたすた出て行ってしまった。本当に現金なヤツだと思う。
僕と梨華が初めてケイと出会ってから、もう八年と少し経つ。
“出会う”という表現は少しおかしいと思うかもしれないけれど、
僕ら二人と一ぴきは上下とか主従とか、そういった関係ではない。
友達なのだ。
- 61 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時25分30秒
- ケイは昔から、人間より人間くさいようなところがある。
餃子や軟骨とか酒のつまみみたいなものが好きだし、それに
いい意味で、他人に媚びたりおねだりしたりは決してしない。
かといって自分のことを人間だと思っている訳ではない。
僕はわりと色々な事を人には言わず自分ひとりで考え込んで
しまうタイプなので、一年に一、二度、ひどく落ち込んで
どうにもならないくらい沈み込んでしまう時がある。
もちろん父さんや母さん、真希や梨華にまでも、その悩みの
一欠けらも見せた事が無い。心配させたく無いというのも
あるけれど、何よりそんなへこんでうじうじしている自分を
見せたくないのだ。
そんな時、ケイはいつもどこからか僕の前に現れて、慰めるでも
なく、かといってじゃれてくるでもないのだけれど、そっと僕の
気持ちを感じ取ってただそばにいてくれる。ただそばにいて、
僕の瞳をじっと見つめてくれる。
ケイの目はとてもキラキラしていて、僕はその時、ケイの言葉が
聞こえるような気がする。
「大丈夫だよ。なるようになるさ」
そう。なるようになる、なるようにしかならないのだ。いくら
悩んでも、いくら落ち込んだって、なるようにしかならないのだ。
- 62 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時26分45秒
- 僕の表情を見てもう大丈夫と判断すると、ケイはさっさと僕の
部屋から出て行ってしまう。そりゃあ野郎のところにいるよりも、
梨華や母さん、トモやその他のガールフレンドのところにいる方が
楽しいのは分かるけれど。
“あんた人間だろ。こっちはネコなんだよね、やれやれ”
こう言いたげな表情で、ひげを垂らしケイはいつも僕の部屋を
出て行く。僕はそんなケイの後姿がたまらなく好きだ。
そして思う。“ああ。こいつはかけがえのない友達なんだ”と。
だから僕は、敢えてこの“出会う”という言葉を使う。
そしてもう一つ言うならば、文字通り、本当に僕らとケイは
“出会った”のだ。
あれはまだ僕が小学一年、梨華が二年の時だ。季節は秋。
その日、僕たち家族四人は、父さんの秘書兼運転手の保田さんの
実家の田んぼを手伝いに行った。保田さんの実家は千葉の田舎の方で、
お米を作っている。市場に出荷するほどのものではないのだけれど、
家族の分や親戚に少し配るくらいの量は軽くあるだろう。あらかじめ、
保田さんのお父さんとお母さんが稲刈りをして一週間ほど日干しに
しておいた稲穂を、僕たちは脱穀する機械の所まで運び、“藁”と
“もみ”に分け、藁はべつの所にまたまた運んで積み上げ、もみは
もみすり機にかけて玄米にする。
- 63 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時27分35秒
- この“運ぶ”という作業は機械で出来るものじゃなく、人間が
何度も往復してするしかない。だから、人手は多いに越した事はない。
保田さん一家はこの季節になると毎年、日曜日を利用して実家に
手伝いに帰っている。そしてその年、初めて僕たち一家も一緒に
行く事になった。僕や梨華の社会勉強にもなるしと、父さんが
保田さんに頼んだのだ。それに二人とも小学校に上がり、少しは
役に立つと見込んでの事だったのだろう。
僕たち四人は父さんの運転するトヨタの7シーターで、千葉の
田舎にある保田さんの実家に向かった。
- 64 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時28分19秒
少しですけど
今回はこの辺で・・・・・・。
- 65 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時32分56秒
- やってられ〜ん やってられ〜ん と言いたい方
(0T〜T0)<もう言い訳しませ〜ん
でも・・・・・・。
人間ってシャ〜ララ〜ラララ〜 変われるものですか
((T▽T)) <そんな簡単に変われないよ
- 66 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時33分56秒
- >53さん
そこまで言ってもらえて嬉しいです。
よっすぃーの表情をちゃんとイメージしてもらえてたようで。
なんかね、よっすぃーの困った顔かわいいですよね。
>1111さん
どうしようばっかで書き出すのがちょっと怖かったんですけど、
なるようになるさと、ちょっとづつでもやっていく事にしました。
私は『あねおとうと』を書くまで小説というものを書いたことが
なく、そして1111さんのようなレスを返してくれる人も初めて
だったので、正直どうすればいいのか分からなかったんですけど、
拙い文章でもマジに読んでくれる人もいるんだと、何か文章書くっ
て素晴らしい〜と嬉しくなりなした。
- 67 名前:puppu 投稿日:2002年06月01日(土)01時34分45秒
- >名無し男さん
コナミ?
うえ〜んゴエモンとねずみ男?しかしらねぇよお〜・・・。
ポコッ ポコッ
あっ、ドラキュラとかもか。・・・年取ったな・・・。
新鮮なレモン味のままいけますように。アルコールの抜けた
レモン缶チューハイになりませんように。
>56さん
ああ、セクスィーベイベーもうテレビでやってないよね。
でもあの衣装はすごかったいろんな意味で。
色っぽいというかそれ通り越してやらしかった・・・。
>57さん
きっときっと報われますよぉ。
嬉しい言葉ありがとう。マタ―リ、ほんとにマタ―リですけど
頑張ります。
- 68 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月01日(土)03時57分47秒
- 初レスです。
同じ板で駄文を曝しておる者でございます。
雪板の方も初めから読んでおります。
続き楽しみにしてます。がんがってください。
>でもあの衣装はすごかった(略
禿同。キライではないけど(^^;;
- 69 名前:1111 投稿日:2002年06月02日(日)03時15分53秒
- 更新お疲れ様です。一夢、白子も忘れるなよ。
しかし、田畑さん家のトモちゃんって‥‥(w。ケイとそっくりやん!
お久しぶりですね。
puppuさんが我々のレスで励まされたのなら、読者冥利に尽きるというものですね。
人前に自分の表現したものを晒すというのはなかなか勇気がいると思います。
独り善がりは駄目だけど、「自分なりに」で頑張ってください。
正直、文章はまだまだな部分がありますが、ここで発表する分には全然OK!
これから上手くなればよいわけだし、上手くなると思いますしね。
「大丈夫だよ。なるようになるさ」
- 70 名前:名無し男 投稿日:2002年06月09日(日)14時34分05秒
- ケイとトモにワラタ!!
確かにぱっと身じゃどっちも同じ顔(w
- 71 名前:1111 投稿日:2002年06月30日(日)01時27分11秒
- ほぜむ。
Converted by dat2html.pl 1.0