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いしよし(仮)

1 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)02時59分09秒
白い板に小説を書いてみる。
どれくらい長くなるのかはまだ分かりません。
いしよしと矢口さん。
2 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時04分01秒
不自然な作り笑いのせいで、梨華が何か悩み事を抱えているのだということが
真里にはすぐにわかった。いつもだったら過剰なほどに反応してくるはずの冗
談にも、ほんの少し唇を動かして無理に笑顔を作ろうとするだけなのだ。こん
な雰囲気が真里にはどうしても我慢できなかった。最近真里が梨華をよく食事
に誘うようになったのは、先輩である自分に対してやっと打ち解けて話してく
れるようになってきたのが嬉しかったからだ。こんなふうに梨華が落ち込んで
いるのは初めてだったから、自分からすすんで悩み事を聞いてやるべきなのか、
それとも気付かないふりをしてやるべきなのか、真里には分からなかった。
「食べないの、梨華ちゃん」
「あ、いただきます」
梨華は慌てて箸を取ろうとして水の入ったグラスを倒してしまった。
「すみません、すみません」
「うん、大丈夫?」
梨華はうつむいてテーブルの上にこぼれた水をおしぼりで拭いはじめた。
「すみません」
「どうしたの、梨華ちゃん。何かあった?」
「何がですか?」
 そう言って梨華は、また無理に笑って見せた。
3 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時05分43秒
「いや何か元気ないみたいだからさ」
「そうですかあ? 別にいつも通りですよ」
「ならいいけどさ」
沈黙が流れた。梨華は小さなため息をつくと、ため息をついたことを打ち消そう
とするかのように大きな咳払いをした。
「また明日四時起きだよ。まじできついわ」
「そうですね」
「眠いよね、仕事中とかいっつも」
「ええ」
「ごっちんとかよく寝てるもんね、よっすぃーも」
梨華はまたため息をついた。自分がどうにかしてやらなくちゃいけない、と真里
は思った。
「梨華ちゃん?」
「はい」
「どうしたの本当に。何か悩んでるんだったら聞いてあげるよ」
「いえ、大丈夫です」
「言っちゃったほうが楽になるよ、わたしにも何か出来るかもしれないし」
「言えないんです、矢口さんには」
4 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時09分33秒
真里はその言葉に腹を立てた。と同時に、少しだけ寂しくなってしまった。
「何それ、やっぱわたしはただの先輩なんだね。そりゃあごっちんとか
よっすぃーとかと一緒にいたほうが楽しいだろうけどさ。もういいよ、
ごめんね馴れ馴れしく食事に誘ったりなんかして」
「違うんです」
梨華は真里の目をまっすぐに見て叫んだ。
「そんなんじゃないんです。わたし矢口さんのこと大好きですよ。わたしの
キャラとかちゃんと分かってくれててテレビでもラジオでもつっこんでくれるし。
普段もいろいろと気いつかってくれるし。お話してて楽しいし。ご飯に誘って
くれるのもすごく嬉しい」
「梨華ちゃん」
「でも……」
「梨華ちゃん、何悩んでるのか知らないけどさ、相談に乗って欲しかったら
いつでも乗るからね。まあわたしじゃなくてもよっすぃーの方が話しやすいか」
「矢口さん、あの」
「うん」
梨華は口ごもってしまった。真里は梨華の顔をじっと見つめながら待った。
「あの、よっすぃー……」
「よっすぃー? よっすぃーと喧嘩でもしたの?」
5 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時12分09秒
今まで二人でいることが多かった梨華とひとみが最近はあまり一緒にいることが
ないということに、真里は気付いた。収録の合間とか家に帰るときとか、二人が
前みたいに仲良く話しているところを、真里は最近まるで見ていないような気が
した。
「大丈夫だよ、よっすぃーいい奴だから、すぐ仲直りできるよ。何なら矢口が中に
入ってあげようか?」
「違うんです、喧嘩とかじゃなくて……」
「あ、そうなの」
「あの、わたし……」
「うん」
梨華は決意したように真里の目を見つめた。こんなに力強い目をしている梨華を、
真里は見たことがなかった。
「わたし、よっすぃーが好きなんです。いや、あの好きっていうのは、あの」
「うん」
「本当に好きなんです。もちろん友達としても好きですよ、でも、あの、それ以上
に、よっすぃーが好きなんです」
6 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時13分02秒
梨華は耳まで真っ赤になってうつむいてしまった。真里は驚いた。驚いたとはいえ、
全く予想外だったというわけでもなかった。実際のところ、梨華がひとみのことを
女性として愛しているということは、普段の梨華の言動からも想像できたはずだ。
ただ、そんなことはあるはずがないって最初から決めつけていたからこそ、真里は
今少しだけ戸惑っているというだけなのだ。
「そう」と真里は戸惑いを隠しながら言った。
「きしょいでしょう。きしょいって言われるの分かってたから、だから矢口さん
には言いたくなかったんです」
「梨華ちゃん」と真里は少し怒ったように言った。
「はい」
「だから梨華ちゃんはネガティブって言われるんだよ。いいじゃんべつに女の子を
好きになったって。きしょくなんかないよ。梨華ちゃんのこと本当にきしょいって
思ったことなんて一度もない。そんなことも分からなかったの?」
「矢口さん」
梨華は目に涙を浮かべていた。真里もそうだった。悔しいような嬉しいような、
そんな気分だった。
「応援するよ、矢口は」
梨華は涙をこらえて微笑んだ。いつもの梨華の笑顔だった。
「ありがとう、矢口さん」

7 名前:読者 投稿日:2002年03月25日(月)03時13分52秒
誰かの小説とかぶってたらごめんなさい
8 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月25日(月)03時45分57秒
けっこう現実感漂う設定ですな。期待してます
9 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月25日(月)19時01分12秒
お、ついに始まったんですね。
これまでにない斬新な「いしよし」を期待しております(w
10 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時03分02秒
ありがとうございます。
更新します。
11 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時04分33秒
梨華と二人で取った写真を、ひとみはもう一時間も前からずっと眺めていた。
「梨華ちゃん」
何でわたしは女なんだろうな、とひとみは思った。女であることが我慢出来ない
というわけではなかった。女である自分が女に恋をしているということが、
ひとみにはどうしても受け入れられないのだった。
「やっぱきしょいよなあ、そんなの」
梨華はいつだって傍にいた。オーディションを受けたときも、初めて旧メンバー
と会ったときも、初めてレコーディングをしたときも、PV撮影のときも、雑誌の
撮影のときも、免許をとったときも。ただの親友だっていうことが分かってた
から、いくらベタベタしてても恥ずかしくなかった。
「でも、本当に好きになっちゃったんだ」
こんな気持を梨華に知られたら嫌がられるのは間違いなかった。
12 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時07分25秒
「いや嫌がったりなんかしない、梨華ちゃんは。けど」
梨華の性格はちゃんとわかっていた。戸惑いながらも、今まで通りに接してくれ
ようとするだろう。でもやっぱり今まで通りっていうわけにはいかない。たとえ
嫌がらないとしても、今までとは違った目でひとみのことを見始めるのは当たり
前だ。
ひとみは目を閉じて梨華の顔を思い浮かべた。いつだって笑ってる。でも笑って
るのはわたしが女だからだ。ただの友達だって思ってるからだ。梨華があんまり
近寄ってくると、ひとみはきしょいからって嫌がるふりをする。そうすると
よっすぃーって余計に近寄ってくるからだ。そんなのもみんな親友として楽しん
でたつもりだった。でも、違った。
「きしょいのはわたしの方なんだよね」
矢口さんだって安倍さんだって飯田さんだって圭ちゃんだってごっちんだって、
みんなきしょいって言うに決まってる。でも一番我慢できないのは、梨華ちゃん
がわたしから離れていってしまうことだ。
13 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時08分47秒
そんなことを考え始めてから、ひとみは梨華に対してどうしても自然に接する
ことができなくなってしまった。長い間一緒にいるのは耐えられなかった。
なるべく顔をあわせないようにした。梨華に見つめられると顔が赤くなって
しまうのだ。避けてるって思われているのは分かっていたが、相手のほうから
避けられるようになるよりはましだった。メンバーであることを辞めてしまおう
とも思ったけれど、梨華と本当に会えなくなってしまうのは、やっぱり辛すぎた。
「梨華ちゃん」
ひとみは梨華の写真にそっと口を付けた。それから「きしょっ」と言って顔を
背けた。涙が流れそうになったので、ひとみは天井を見上げた。
14 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時11分09秒

15 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時13分06秒
「よっすぃー」
真里が後ろから抱き付いてきた。梨華ちゃんだったらなあ、とひとみは思った。
「よっすぃーちょっといい?」
「はい、なんですか?」
「ちょっとこっち」
ドアを開けると、梨華が隅っこに立っていた。ひとみはなるべく梨華のほうを
見ないようにしながら、矢口に引っ張られて部屋に入った。
「梨華ちゃんがね、なんかよっすぃーに避けられてるみたいだから何とかして
くれって泣きついてきたわけよ。矢口も最近おかしいなあって思ってたんだ
けどね。二人一緒にいることなくなっちゃったし。どうなのよ、最近?」
「別に避けてなんかないっすよ」
どうしても梨華の顔が見られなかった。梨華ちゃんはどんな顔をしてわたしを
見ているんだろう。そう考えただけで顔が赤くなるのが分かった。
16 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時14分12秒
「まあ確かに石川も嫌な奴なんだけどね、きしょいし」
「ちょっと矢口さあん」
二人がじゃれ合っているのを見て、ひとみは少しだけ羨ましくなってしまった。
自分も真里といっしょになって梨華をからかってやれば、梨華だって前みたいに
反応してくれるはずだ。しかしひとみにはどうしても思い切ることが出来なかった。
「ごめんね、よっすぃー」
ひとみは何と答えていいのか分からなかった。
「ごめんね」と梨華はもう一度言った。
「何が」
不機嫌さを装ってそう言うことしか出来なかった。
「何か怒ってるんでしょう? 気に入らないことがあったら言ってよ。わたし、
よっすぃーのこと、好きだから」
梨華がひどく赤面していることに、ひとみは気付いていなかった。わたしだって
好きだよ、でも梨華ちゃんの好きとは違うんだよね。
17 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時15分11秒
「別に怒ってなんかない」
「でも」
「まあ二人でよく話しなよ。ちゃんと話せばよっすぃーだって分かってくれるよ、
ね、梨華ちゃん」
そう言って真里は部屋を出て言った。重苦しい沈黙が二人の間に流れた。
「よっすぃー?」
「うん」
「明日家にこない? また前みたいにさ」
行きたいに決まっていた。でも梨華の部屋にずっと二人きりでいることに耐えら
れるとは思えなかった。言葉に詰まって何か変なこと言っちゃったら、二人本当に
駄目になっちゃう。
「やめとく」
「そっか」
「じゃ、先楽屋戻ってるね」
そう言ってひとみは部屋を出ていった。
18 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時16分20秒
一人残されると、梨華は小さなため息をついて天井を見上げた。どうすればいい
のか分からなかった。少し時間を置いてみる? そうすればよっすぃーはまた前
みたいに笑ってくれるのかな。
「大丈夫」
梨華はそう言って立ちあがった。
「うん、大丈夫だよ」
扉の前で真里が微笑んでいた。
「よっすぃーもため息ついてた。梨華ちゃんが嫌いなんじゃなくて、たぶん前
みたいに上手くやれないのが辛いんだと思う」
「わたしね」と梨華が言った。「別に今まで通りでいいの。恋人になりたいとか、
そういうんじゃなくて、前みたいによっすぃーと一緒にいろんなことが出来たら、
それでいいんです」
19 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時17分27秒
「ふうん、そうなんだ」
真里の声はひどく冷たいように聞こえた。
「まあ別にいいけどね、梨華ちゃんがそう思ってるんなら。とにかく頑張ってね」
真里は出ていった。また余計なこと言っちゃったかな、と梨華は思った。真里が
何を言いたかったのかは分かる。結局楽なほうに逃げるんだね、っていうことだ。
でも、梨華は本当にそれでいいと思っていた。ひとみと上手くやっていた頃には、
こんなに真剣に悩んだりすることは一度もなかった。一緒に笑っていられるだけ
で十分幸せだったからだ。そんな幸せが戻ってくるなら、いったい他に何が必要
だろう。
「大丈夫」と梨華はもう一度つぶやいた。楽屋に戻ると、ひとみは真希と楽し
そうに話していた。ひとみの笑顔が見られただけで、梨華は少しだけ元気になれた。
20 名前:読者 投稿日:2002年03月27日(水)02時20分24秒
更新終わりです。
21 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月27日(水)03時15分38秒
ところどころ小ネタが入っててニヤリって感じ。続きも頑張ってください
22 名前:( ̄ー ̄)ニヤリッ 投稿日:2002年03月28日(木)13時19分50秒
( ̄ー ̄)ニヤリッ
頑張って下さい。
( ̄ー ̄)ニヤリッ
23 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時40分57秒
少しだけ更新します。
( ̄ー ̄)ニヤリッ
24 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時41分47秒
一人でいる時間が多くなった。実際以上に、梨華はそう感じるのだ。今まで
ひとみと一緒にいたはずの時間がみんな空白になってしまった。無理やり他の
メンバーの中に入っていっても、やっぱり彼女は一人だった。ひとみが真希と
一緒に出ていった後、彼女が閉めたドアを梨華はいつまでも見つめていた。
「あー、今日はやめとく。ちょっと眠すぎ」
そう言って真里は、梨華のほうに歩いてきた。
「帰ろっか、梨華ちゃん。早く帰って眠らなくちゃ明日やばいわ」
梨華は真里に引っ張られて立ちあがった。一人じゃなかった。矢口さんは全部
分かってくれてるんだ。
25 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時43分29秒

26 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時46分03秒
「疲れちゃうんですよ、あんまり一緒にいると」
そう言ってひとみはペットボトルに少しだけ残っていた水を飲み干した。
「黙っててほしい時だってあるのに、いつもねえよっすぃーって来るから」
「いいじゃん別に、わたしは石川のそういうところが好きなんだけどな」
「圭ちゃんは誰だっていいんでしょ」
「そう、矢口でもね」
「おぇー」
やっぱこういうんだよな、とひとみは思った。わたしと梨華ちゃんだって前は
こんなふうだった。
「まあ確かに石川は少しうざいときもある。でも慣れちゃうと逆に面白いからね。
ちょっと鬱陶しいくらいのほうがいいんだよ。全然話に乗ってきてくれなかった
りするよりはよっぽど……」
真里は慌てて言葉を呑み込んだ。真希は少し離れたところで、何も聞かなかった
かのように雑誌を読んでいた。
「ごめんね、ごっちん、帰ろうか」
「あー、うん、帰る?」
ひとみと真希は部屋を出て言った。
27 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時47分00秒
「ごっちんってさあ」と、しばらく黙っていた後に真里は言った。「わたしの
こと嫌いなのかな?」
「それはないって、矢口は気にしすぎ」
「でもわたしがいるとほとんど喋らないよね。圭ちゃんはごっちんと二人で
話したりするんでしょう?」
「あんまり大人数で話すのが苦手なだけだよ。自分で言ってたもん、なかなか
話に入っていけないって」
「でも矢口とごっちんと二人の時だってあんまり話してくれないよ」
そんな真希に対して皮肉をいうつもりはなかった。ただ真希と二人でいると
何となく気詰まりに感じるのは確かだった。知らないうちに、真里のほうも
真希に対しては上辺だけの言葉しかかけてやれないようになっていたのだ。
28 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時47分43秒
「大丈夫だよ」と圭が言った。「後藤が矢口のこと嫌ってるっていうことは絶対に
ないから」
「そうかなあ」
「たぶん矢口と後藤は似てるんだよ」
「えー、全然違うじゃん」
「いや外側が違うだけで、中身は同じっていう感じ」
「似てないよ。だってごっちんが何考えてるのかなんて全然分からない」
「最初から分からないって決めつけてるからじゃないの? まあそんなあんたは
シェリーでも聴きなさい」
「はぁ? 何それ」
「知らない? 尾崎豊さんの。しぇりいい、いつになればあっていうやつ」
「いや圭ちゃんその顔やばいから」
「とにかく聴きなさい。今度貸してあげるから」
29 名前:読者 投稿日:2002年03月29日(金)04時50分14秒
これだけです。
保田さんは尾崎聴くんだよね
違ったっけ?
30 名前:読者 投稿日:2002年03月31日(日)00時59分46秒
どうして梨華ちゃんなんだろう、とひとみは考える。同じ時期に入ってきて、
同じくらいの歳で、一緒にいることが多くて。でも最初のうちは、ひとみと
梨華との間にはほんの少しだけ隔たりがあった。一つ学年が上だとか、少し
真面目すぎたりだとか、そういう部分を見てひとみは梨華との間に微妙な距離を
置いていたのだ。真希と話すようになってからは、梨華よりも真希の方がずっと
自分に近いところにいるような気がした。というよりもたぶん、自分と真希との
似ている部分を無理やり探し出して彼女に近づこうとした。マイペースなところ
も、他人とは全然違った感性を持っているところも、あんまり頑張らずに何でも
出来てしまうところも、すぐ眠ってしまうところも、みんな格好よく見えた。
ひとみとはまるで反対だったからだ。自分が平凡な人間だっていうことを、
ひとみはどうしても認めたくなかった。それだから真希と一緒にいることで、
自分も真希と同じような人間だっていうふりをしていた。
31 名前:読者 投稿日:2002年03月31日(日)01時00分45秒
会話の途中で、真希がふと黙り込んでしまうことがある。何か寂しげに虚空を
見つめている真希を見て、ひとみは耐えがたいほどの不安を感じる。もしも
わたしが男だったらこんなごっちんを好きになっちゃうのかもしれないな、と
ひとみは思う。彼女が今にもどこかに行ってしまうのではないかという不安を
抱えながら、それでもなお彼女のことを包み込んでやりたい、そんなふうに思う
のかもしれない。それでもひとみには、黙りこんでいる後藤を前にして「どう
したの、ごっちん」と声をかけてやることさえ出来なかった。ひとみもまた女
だからだ。誰かを守ってやりたいと思うよりも、誰かに守ってもらいたいと思う
気持のほうがずっと強いからだ。真希と一緒にいるのは確かに楽しかった。それ
でも一旦真希がどこかに行ってしまったら、ひとみには真希のことが何一つ
わからなくなってしまうのだ。
32 名前:読者 投稿日:2002年03月31日(日)01時02分06秒
真希に対する憧れが少しずつ覚めていくのと同時に、ひとみは梨華との距離を
少しずつ縮めていった。一つ学年が上であることも、そしてその真面目さと責任
感も、みんな梨華に対する信頼と安心感につながった。そんな感情は圭に対して
抱くものに似ていたが、それよりもずっと身近で心地よかった。自分が失敗した
ときにいつも慰めてくれる。何かを成し遂げたときには一緒になって喜んでくれ
る。悩んでいるときには気が済むまで話を聞いてくれる。きついことを言っても、
次の日には普通に近寄ってきてくれる。今までずっと梨華ちゃんに守られてきたん
だな、とひとみは思った。それに対して無意識でいられた頃が、彼女にはとても
懐かしく思えた。
「よっすぃー」
いつのまにか、目の前に真里が立っていた。
「何ぼーっとしてるの。何、もしかして恋してる? やばいよ梨華ちゃん。
よっすぃー誰かに取られちゃうよ」
梨華とひとみはほんの少しの間見詰め合って、ほとんど同時に視線をそらした。
梨華と目を合わせるのはどれくらいぶりだっただろう。
33 名前:読者 投稿日:2002年03月31日(日)01時02分47秒
「だ、だめよ。よっすぃーは誰にも渡さないわ」
「うわ、きしょっ。しかも棒読みだし」
「ちがいますってば」とひとみはほとんど叫ぶように言った。そうでもしなければ
声が震えてしまいそうだったからだ。
「今日は何食べようかなあって考えてただけです」
「そうなの、じゃあこれから三人で何か食べに行かない? ね、梨華ちゃん」
「あ、うん、行きたい」
「よっすぃーは何がいい?」
「あ……。あの、今日はごっちんと約束してるんで、すみません」
梨華には一度も目を向けずに、ひとみはそう言った。
「あ、そうなの。何だよ、また石川と二人かよ」
「すみません、もう行きます」
ドアの前でひとみは立ち止まった。それから振り返って、言った。
「じゃあまた明日ね、梨華ちゃん」
それが精一杯だった。
34 名前:読者 投稿日:2002年03月31日(日)01時04分24秒
更新終わりです。
35 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月31日(日)01時40分10秒
素直じゃないなぁ吉澤(ニガワラ
36 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時04分25秒
「ねえねえ」と真里は言った。「もしよっすぃーとごっちんが付き合ってたらどう
する?」
「えー、それはないから大丈夫ですよ」
梨華は笑いながらそう答えた。このくらいなら大丈夫だな、と真里は思った。
「いやわかんないよ。じゃあさ、矢口とよっすぃーが付き合ってるのと、ごっちん
とよっすぃーが付き合ってるのだったら、どっちがヤダ?」
「どっちもやですよ、そんなの。まさか矢口さんもよっすぃーを」
梨華が以前のようによく喋ってくれるようになったのが、真里には嬉しかった。
梨華がどんな気持でいるのかということは、彼女の顔を見ればすぐに分かる。
そんな分かりやすさが、真里にはとても可愛らしく思えるのだった。
「でもさあ、不安になったりしないの、二人が今何してるのかとか。なんか後藤
むかつく、とか思わないの?」
「ないですよ、ごっちんとよっすぃーは前から仲良かったし」
「本当に?」
「はい」
37 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時05分46秒
会話が途切れた。「そろそろ帰ろうか」と真里は言えなかった。そうすれば気ま
ずい雰囲気から逃げることになるような気がしたからだ。二人でいることが耐え
られなくて逃げ出すのだと、梨華に思われてしまいそうだったからだ。
「梨華ちゃんはごっちんと喋ったりするの? あんまり二人でいるとこ見ない
けど」
「そうですね、あんまり」
「なんかごっちんってわかんないよね。機嫌悪いのかなとか思うからあんまり
下手なこと言えないし。よくよっすぃーはごっちんと一緒にいられるね」
梨華は曖昧に相槌を打つだけだった。
「あれだよ、絶対よっすぃーも梨華ちゃんと一緒にいる方がいいって思ってるよ。
奪っちゃったら? 強引に」
「あの」と梨華が呟く。視線をテーブルの上に落としたまま、彼女は話し始めた。
38 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時06分46秒
「わたし、よっすぃーとごっちんが一緒にいるの別にいやじゃないんです。
ごっちんのことあんまりよく分からないっていうのは本当だけど、別に嫌いな
わけじゃないし、できればもっと仲良くなりたいって思ってる。これでも前よりは
ずっと話すようになったんですよ。年上なのに後輩っていう微妙な立場だったから、
最初はどういうふうに接していいのか分からなかった。ごっちんだってたぶん同じ
だったんです。でもよっすぃーが中に入ってくれたから、ちょっとずつ自然に話せ
るようになった。ごっちんのことちゃんと分かってるわけじゃないけど、ごっちん
がよっすぃーのこと大好きなんだってことははっきり分かるし、二人が楽しそうに
してるの見ると、わたしもなんかほっとするんですよね」
真里は何も言えなかった。喉の奥から何かがこみ上げてくるような気がした。
「あ、そろそろ帰りましょうか」
そう言って梨華は席を立った。帰りの電車の中で、二人は一言も話さなかった。
39 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時08分01秒

40 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時09分10秒
ドアの向こうで父親が何かを叫んでいるのが聞こえたけれど、真里はMDの
ボリュームをあげてそれを聞こえないようにしてしまった。梨華に送ったメ
ールの返事はいつまで待っていても来なかった。枕に顔をうずめて、真里は
自分が涙を流しているのをただ感じていた。
いっつも自分のことばっかり、と真里は思う。みんなの相談に乗ってあげてる
つもりでいて、本当はただ自分が嫌われたくないだけなんだよね。その場を
盛り上げようとしてつい余計なことを言っちゃう。つまんない奴だって思われ
たくないから、いつだって笑ってなくちゃいけない。わたしがごっちんのこと
苦手なのは、ごっちんがわたしのことを好きになってくれないから? あんまり
近づくと嫌われてしまいそうだから、いつもごっちんの表面にちょっと触れる
だけですぐ逃げ帰ってきちゃうんだ。
スピーカーからシェリーが流れてくる。
41 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時10分01秒
俺はうまく歌えているか
俺はうまく笑えているか
俺の笑顔は卑屈じゃないかい
俺は誤解されてはいないかい
俺はまだ馬鹿と呼ばれているか
俺はまだまだ恨まれているか
俺に愛される資格はあるか
俺は決して間違っていないか

そんな不安はいつだって真里の中にあった。他人にどう思われてるのかって
いうことを、真里は気にせずに生きることが出来なかった。
42 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時10分51秒
「誰だってそうだよ」
電話の向こうで圭は言った。
「矢口だけじゃないよ、みんな他人を気にして生きてるんだ。わたしだって後藤
だってみんな。矢口は喋らないでいるのが怖いんでしょう? それと同じで、
後藤は喋るのが怖いんだよ。上手く喋れないせいでみんなに誤解されちゃうのが
怖いの。わたしだって前はそうだった。それでも矢口とかみんながちゃんと話を
聞いてくれたから、少しずつ喋れるようになったんだよ。だから今度はわたしが
後藤の話を聞いてやりたいって思う。どうやったら相手が話しやすいのかって
いうことは矢口に教えてもらったからね」
43 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時11分24秒

44 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時12分27秒
「わたし怒ってなんかいませんよ」と梨華が言う。「あ、さっきはご馳走様
でした。どうしたんですか、矢口さん。もしかして寝てました? すみません
起こしちゃって。わたし今起きたんですよ、家についたらすぐ寝ちゃって。
そしたら矢口さんからメール来てたから。あれ、どうしたんですか、泣いてる
んですか」
45 名前:読者 投稿日:2002年04月01日(月)02時13分39秒
更新終わりです。
46 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月01日(月)09時28分20秒
心の葛藤の描き方がいい感じ
47 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月03日(水)13時07分45秒
んーーー続きが気になります頑張ってください(w
48 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時46分43秒
レスありがとうございます。
更新します。
49 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時47分29秒
圭と喋っている真希を見ながら、ひとみは自分がいつのまにか微笑みを浮かべて
いるのに気付いた。少しだけ年の離れた姉にまとわりつく幼い少女を見ているよ
うだった。
「圭ちゃん」と真希が言う。
「圭ちゃん」と、二人には聞こえないほど小さな声でひとみも言ってみる。圭の
ことを圭ちゃんと呼ぶのにはまだ少しだけ抵抗があった。
「ねえ、そう思わない? よっすぃー」と真希が言った。
「え? なに?」
「圭ちゃんの着てる服ちょっとヘン」
「っはは。本当だ。ヘンなの」
「うるさいわね。どこがヘンなのよ」
「えー、だってねえ」
「なんかおばちゃんみたい」
「まったくよっすぃーにまで言われるとは思わなかったわよ」
50 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時48分26秒
圭がいることで、真希とひとみとの間にある微妙なよそよそしさが完全に打ち
消されてしまうようだった。ひとみに対してはずっと隠したままでいる何かを、
真希は圭に対して全てさらけ出しているように見える。ひとみにはそれが羨ま
しかった。
「保田さん」とひとみは言った。真希は窓際の壁にもたれて、ヘッドフォンを
つけたまま眠っていた。
「ごっちんって昔はどんなふうだったんですか?」
「どんなふうって?」
「わたしたちが入ってくる前」
「なんか普通の中学生って感じだったよ。今よりずっとよく笑ってたし、よく
泣いてた。頑張ってみんなと早く仲良くなろうって思ってたんだろうね。でも
一番年下だったし、一人で入ってきたから、みんなに仲良くしてもらってるん
だっていう意識がずっとあったみたい。わたしだってそんなところがあったん
だよね。後藤のこと仲間っていうより後輩として見てた、自分では気付かない
うちに」
51 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時49分57秒
圭は真希の寝顔を見てやさしく微笑んだ。
「だからごっちんよく言ってるよ。いいなあ、梨華ちゃんとよっすぃーはって。
同期に入ってきたら自然と仲良くなれるもんね、頑張って仲良くしようなんて
思わなくても」
「そうですよねえ。ごっちんと一緒だったらもっと仲良くなれたんだろうな。
学年も一緒だし」
「今だって十分仲良いじゃん」
「今よりももっとですよ」
「石川とみたいに?」
「梨華ちゃんと……」
もしも梨華ちゃんがわたしより前に入ってたら、とひとみは考える。梨華ちゃん
のこと先輩としてしか見られなかったかもしれない。誕生日もたった二ヶ月しか
違わないのに、一つ学年が上っていうだけでずっと石川さんって呼んで。
52 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時50分46秒
「ごっちん、起きた?」
そう声をかけた圭に向かって、真希は目を細めて照れたように笑っていた。
ひとみはその笑顔にしばらく見とれてしまった。あんなふうにわたしにも
笑ってくれたら、とひとみは思った。真希が圭にだけ見せる笑顔、そして
梨華がひとみにだけ見せる笑顔。あんな笑顔をいつも近くで見ていたから、
ひとみは梨華のことを好きになってしまったのかもしれない。
「よっすぃー」と真希が言った。
「うん」
「なんか今夢見てたよ。なんかね、よっすぃーと梨華ちゃんがいてね、後藤が
遠くから見てるの。それでね、なんか梨華ちゃんが泣いててね、よっすぃーが
怒ってて、それで後藤が喧嘩しないでーって行こうとするんだけど、行けないの」
53 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時51分29秒
「えー何それ」
そう言いながら、ひとみは少しだけ戸惑っていた。真希は梨華についてはほとんど
何も話そうとしない。それだからひとみは、真希は梨華のことがあまり好きじゃ
ないんじゃないかと思ったりもしていた。
「それはね」と圭が口を挟む。「ごっちんが二人のことを心配してるってこと
だよ。喧嘩しないでーって」
ひとみは真希の顔を覗いた。真希は目をこすりながら「あー、そうなの?」と
言った。「そうかもねー。喧嘩しちゃ駄目よ」
「してないよ喧嘩なんて」
真希はふふと笑って、「あー疲れたー」と言いながら伸びをした。圭がその頭を
くしゃくしゃと撫でてやった。
54 名前:読者 投稿日:2002年04月04日(木)14時52分08秒
更新終わりです。
55 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月05日(金)04時42分58秒
家族みたいな雰囲気で良いですねぇ
56 名前:名無し 投稿日:2002年04月07日(日)22時38分54秒
いしよしの二人も良いですけど、矢口も姉妹っぽい
保田さんとごっちんもすごく良いですねぇ。
57 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)03時48分12秒
プッチモニは家族みたいなイメージありますね、自分の中で。

↓更新
58 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)03時51分52秒
「大丈夫かな、よっすぃー」
梨華がそう言ったのは他に何を言えばいいのか分からなかったからではなくて、
本当にひとみのことを心配していたからだ。真希と二人でいることに戸惑って
いるのは本当だったが、それ以上に、梨華はひとみのことが気になって仕方な
かった。
「昨日からちょっときつそうだったもんねー」と真希は答えた。「でも大丈夫
だよ、たぶん。ゆっくり休んでればすぐ治る」
「以外と身体弱かったりするからね、よっすぃーは」
「そうね」
それからまたしばらくの間二人は黙って歩いた。やっぱりまだ駄目だ、と梨華
は思った。真希のほうから一緒に帰ろうと誘ってくれたのは嬉しかったけれど、
二人でいると何を言っても無理やりな感じになってしまいそうに思えて、結局
何も言えなくなってしまう。ごっちんもそうなのかな、と思って、梨華は真希の
顔をのぞいてみる。真希はいつもみたいに無表情で足元を見ながら歩いていた。
59 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)03時55分24秒
「わたし、よっすぃーが好き」と、うつむいたままで真希が言った。何か頬を
はたかれたような感じがして、梨華は声にならない声をあげた。心臓が激しく
鳴っていた。
「だからね、梨華ちゃんがいなかったらな、って何度も思ったことある。梨華
ちゃんがいなかったらもっとよっすぃーと一緒にいられるのにって。別に梨華
ちゃんのこと嫌いじゃないよ。でも二人一緒にいるの見ると、なんか嫉妬みたい
になっちゃってさ」
鼓動が治まらなかった。涙がにじんでくるのを真希に見られないように、梨華は
顔を背けた。
「後藤ははぐれ者だから、よっすぃーといるときくらいしかほっとできるとき
ってないんだよね。みんなみたいに上手く笑えないし、話に入っていけないし。
でも梨華ちゃんって結構みんなと上手くやってるでしょう。だから、梨華ちゃん
は別によっすぃーじゃなくても他の人たちと一緒にいればじゃん、っていつも
思ってた。よっすぃーはわたしに譲ってよって」
真希は顔を上げて、それでも梨華のほうは見ないままで、少し笑った。梨華は
余計に切なくなってしまった。何も言えなかった。
60 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)04時00分17秒
「だからね」と真希は続ける。「ちょっと嬉しかったんだ。よっすぃーと梨華
ちゃんが喧嘩……、喧嘩じゃないけど、なんかあんまり話したりしなくなった
じゃん。ちょっと嬉しかった。最初はね。前はよっすぃーと一緒にいても、すぐ
梨華ちゃんのところに行っちゃうんじゃないかって不安だったけど、ずっと後藤
と一緒にいてくれるようになったからね」
真希は少しだけ間を置いて、またすぐに話し始めた。
「たぶん気ぃ使ってくれてるんだ、よっすぃーだって。それはわかってる。
わたしがはぐれてるといつも話しかけてくれるし、つまんないこといっても
話し合わせて笑ってくれるし、でもそんなだから、わたしはよっすぃーが好き
なの。やぐっつぁんとかも気ぃ使ってくれてるけど、やっぱどこかで引いてる
とこあるなって思う。そういうのが辛いんだ、後藤は。自分が相手に気ぃ使わ
せてるっていうのが分かっちゃうから。でもよっすぃーは最後まで踏み込んで
きてくれるから。後藤のわかんないとこまでわかんないなりに入ってきてくれる
から。よっすぃーといると、一人じゃないって気がしてくるんだよね」
61 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)04時04分27秒
もしかしたらわたしよりもごっちんのほうがよっすぃーのことを必要としてる
のかもしれないな。梨華はそう思った。でも、やっぱ駄目だそんなの。いくら
ごっちんがよっすぃーのこと好きでも、やっぱり二人がくっついちゃったら、
そんなの我慢できるわけない。わたしだってごっちんと同じくらい、ごっちん
よりももっともっと、よっすぃーのことが好きなんだから。よっすぃーがいな
くてあんなに辛かったじゃん。ごっちんとよっすぃーがただの友達だって思って
たから二人が一緒にいても我慢できたけど、よっすぃーがごっちんだけのものに
なっちゃったら。
梨華は目にたまった涙を親指で拭った。よっすぃーに好きって言わなくちゃ。
それでよっすぃーにも好きって言ってもらいたい。前みたいに、前よりももっと、
二人で一緒にいたい。
「だからね」と真希が言った。「後藤はよっすぃーのことが大好きなんだ。本当の
友達って感じするんだよね。親友。一緒にいて楽しいし」
62 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)04時07分58秒
「え?」
「でもよっすぃーと梨華ちゃんはなんか親友以上って感じがするな。それがずっと
羨ましかった。何も気ぃ使ってないじゃん、二人って。後藤に対しては絶対言わ
ないようなことも梨華ちゃんにはずけずけ言うしさ、よっすぃーは。後藤と一緒に
いるときも梨華ちゃんはさあって。でも最近は梨華ちゃんのことほとんど話さなく
なっちゃった。なんかそれが物足りないっていうか、結構梨華ちゃんの話してる
ときが一番楽しかったりしてたんだよね。よっすぃーもかなり素になるし」
梨華は頬を流れ落ちた涙を拭って、不自然なほど大きな声で笑った。真希は
びっくりした顔をして梨華を見つめた。
「大丈夫だよ」と真希が笑いながら言った。「すぐ治る。よっすぃーの風邪も、
二人の関係も」
 それから互いに別れを告げるまで、二人の会話は一度も途切れなかった。
63 名前:読者 投稿日:2002年04月08日(月)04時11分44秒
更新終わりです。
64 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)05時44分20秒
ごっちん・・・・ええ子やなぁ
65 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月18日(木)23時27分24秒
ごっちんカワイイ〜
66 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月25日(木)19時23分24秒
ええ子や…ごっちん
67 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月28日(日)01時01分39秒
更新まだかな
面白い〜〜!!!
68 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月06日(月)13時25分34秒
この話ダイスキです。更新待ってます。
69 名前:かみー 投稿日:2002年05月30日(木)19時31分30秒
この話すごい好きなんですけど…。
もう、更新しないのかなぁ??
70 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月08日(土)02時06分31秒
続きKIBONNU
71 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月15日(土)16時56分40秒
つづき待ってます
72 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月21日(金)23時29分20秒
よしりかごまいいっす!
この三角関係がなんとも・・・
おっとこまえもてよっすぃ〜がんがれ
73 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月14日(日)19時56分02秒
続き待ってます
74 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月29日(月)20時41分27秒
待ってるよ。
75 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月24日(土)20時38分07秒
ここのいしよしの素敵な未来が見たい・・・
76 名前:名無しさん 投稿日:2002年09月23日(月)23時11分39秒
sayonara...
77 名前:吉右衛門 投稿日:2002年09月26日(木)18時13分01秒
ぼちぼち半年になるぞ。

いいとこで放置はいやだなー。

誰でも良いから続きを書いてくれーーー!
78 名前:名無しさん 投稿日:2002年10月18日(金)16時01分09秒
誰でも良くはないが…
作者カムバーック!!
79 名前:名無し 投稿日:2002年11月04日(月)17時19分37秒
一気読み記念に保全

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