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whereto

1 名前:婆金 投稿日:2002年03月27日(水)01時15分53秒
短い話を幾つか載せられれば、と思っています。
どこへ向かうのか、自分でもサッパリです。
2 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時17分35秒
雲一つない青空。頬をなでる春の風。

サイコー。


隣りには---
「ひとみちゃん、お昼はベーグル食べようね」
アイシテル人がいて。

3 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時18分05秒
あっ、面白いモノ発見!

「梨華ちゃん、見て!トカゲがいるよ!
 青とか緑に光ってるヤツだよ、カッケー!!」

そうだ、梨華ちゃんに‘アレ’を見せてあげよう。
4 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時19分07秒
テキトーな大きさの小枝を拾って、小さなトカゲのシッポをつつこうとすると
「キャー!ひとみちゃん、何するの!?恐いよ〜。
 お願いだから、やめて!!」
と梨華ちゃんが言う。

梨華ちゃん、トカゲが嫌いなのかな?
でも恐がってる梨華ちゃんの表情も、またカワイらしい・・・。
5 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時20分18秒
恐がっている梨華ちゃんの表情をもっと見たくなったから
トカゲを手で捕まえて、梨華ちゃんの顔の前に差し出す。

「もぅ!ホンットに怒るよ!?
 ひとみちゃんの、バカ!」
梨華ちゃんは、一人ずんずん歩いていってしまった。
6 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時21分49秒
慌ててトカゲを放して、梨華ちゃんを追いかける。

「ゴメン、ゴメンナサイ。本当に、ね?」
「許してあげないンだからぁ」
半泣きの梨華ちゃん。
「なんでもするから・・・。
 どうしたら、許してくれる?」
「何でもしてくれるの・・・?」

もちろん、梨華ちゃんが許してくれるなら何でもします。

「ウン!」
「・・・、じゃあ。
 2つ、イイ?」
「えっ、2つ!?梨華ちゃん、欲張りだね」
「やっぱり、許してあげない」

ぷぅっと頬を脹らます、梨華ちゃん。仕方がない・・・。

「2つでも、3つでも、幾つでもイイよ」
7 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時22分44秒
「じゃ、まず・・・・・・キ、スして?」
消え入りそうな声で言う、梨華ちゃんに速攻で抱きつく。

それからゆっくり両手で、梨華ちゃんの頬を包み
優しく優しく接吻,kissする。
少しだけ唇を放し、まだ息がかかる距離で訊く。

「それから?」
8 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時23分35秒
「それから・・・、ずっと隣にいて・・・良いカナ?」
「もちろんっン」
もう一度、キスをする。



9 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.Y. 投稿日:2002年03月27日(水)01時24分07秒
雲一つない青空。頬をなでる春の風。

サイコー。


目の前には、アイシテル人がいて。


10 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時24分46秒
雲一つない青空。頬をなでる春の風。

サイコー。


隣りには---
「いちーちゃん、いちーちゃん見て!トカゲがいるよ!!
 アハッ、トカゲだ〜」
アイシテル人がいて。

後藤・・・、トカゲごときで何でそこまではしゃげるかな?
11 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時25分22秒
「いちーちゃん、ゴトーね昔からやってみたことがあるの」
後藤の視線の先には、青や緑に光る小さなトカゲ。
トカゲなんて見るの、何年ぶりだろう?

つか、後藤はこの子トカゲに何をするつもりだろう?

12 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時26分04秒
いつの間にか小枝を手にした後藤が、トカゲのシッポ辺りをつつきだす。
「ねぇ、いちーちゃん知ってる?
 トカゲってね、シッポが切れるんだよ。でもね、ダイジョーブなの」
まさか・・・。


13 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時27分02秒
「う゛わぁ〜!?い、いちーぢゃーん、シッポが動いてるよ〜!
 ゴトーに向かってくる、助けて〜!!」

もしかして?とは思ったけど、やっぱり
後藤はトカゲの切れたシッポが動くってこと、知らなかったか・・・。

14 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時27分40秒

「ハイ、ハイ。もうダイジョーブ」
後藤を抱き上げて、トカゲのシッポから無事救出。



15 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時28分36秒
「いちーちゃ〜ん。ゴトー、すっごく恐かった!アリガトウ」

チュッ。

ご褒美頂いちゃった。


16 名前:蜥蜴ランデヴー side_I.G. 投稿日:2002年03月27日(水)01時29分11秒
雲一つない青空。頬をなでる春の風。

サイコー。


腕の中には、アイシテル人がいて。


17 名前:蜥蜴ランデヴー  投稿日:2002年03月27日(水)01時32分02秒

 la fin

18 名前:婆金 投稿日:2002年03月27日(水)01時34分48秒
更新終了です。
こんな感じで進めて行けたら、と思っていますが、どうなることやら・・・。
19 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月27日(水)03時47分02秒
美味しい組み合わせ
それぞれ違いが出てて良かったです
20 名前:夜叉 投稿日:2002年03月27日(水)14時01分36秒
新作おめでとうございます。
いしよしがそうなら、いちごまはそうきたのですね。トカゲはそうなりますもんね(笑)。
婆金さんの作品、好きなんでがんがって下さい。
21 名前:婆金 投稿日:2002年03月28日(木)01時00分12秒
>19 名無し読者サマ
 違い、ちゃんと出せていましたでしょうか?そこがイチバン心配だったので
 ‘違い出てた’と言って頂けて、本当に嬉しいです。

>20 夜叉サマ
 いしよし・いちごま地獄(天国?)から当分、抜け出せそうにありません。
 っていうか私、夜叉さんの作品、好きですが何か(爆
22 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時09分20秒
LaLa、LaLaはどこだ?・・・、あった、しかも最新号(ラッキー!)。
マガジンも持って行こうか。これも新しいヤツがあった。気分、上々!
それからサンデーも。
アレッ?
・・・・・・、無いンですケド。ここ数週間分がごっそりと。
ま、いっか。
代わりに別マでも持っていこう。
これだけあれば十分、時間つぶしにはなるだろう。
23 名前:share my destiny side_I.Y 投稿日:2002年03月28日(木)01時10分15秒
流石にマンガ雑誌onlyでは、勉学に勤しむ若人を詰め込んだ
学生専用観覧室に入るのは気がひける。ので、一般観覧室に入る。
それにしてもココには、いろんな種類の人がいる。
何かの本を開いて、一生懸命に俳句をひねっているオバサンとか
日経新聞を熱心に読み込んでいる、どうみても宿無し風のオジイサンとか
本など読まず、誰かに手紙を書いているOLっぽいオネエサンとか、とか。

どんな種類の人でも図書館の一般観覧室の中にいると
たちまち、一つの種族のように同じ匂いを放ち出す。
それは別に嫌いな感覚ではない。
第一、私もこれからその中に交じるわけだし・・・。
24 名前:share my destiny side_I.Y 投稿日:2002年03月28日(木)01時11分00秒
-------
市井サンの調べ物、どれくらいで終わるのだろう?
『7時には初節句のお祝いが始まるから、それまでには紗耶香ちゃんと
 お祖母ちゃんの家に来るのよ!』と、お母さんから言われている。
親戚のお姉ちゃんが去年の暮れに出産して、今日はその子の初節句。
そう、今日は3月3日。
お母さんには悪いけど、正直言うと
従姉妹に市井サンがいなければ、初節句なんてダルすぎて行けたモンじゃない。
25 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時12分05秒
『どうしてよっすぃーは同い年の従姉妹に‘サン’付けするの?』と
友だちから、さんざ訊かれるケド、そんなの自分でもワカラナイ。
小さい頃から、そう呼んできたし。
ま、でも原因はウチのお母さんにあるンだと思う・・・。
ウチのお母さんのお姉ちゃんが、市井サンのお母さんで
お母さんが市井サンのお父さんを『お義兄さん』と呼ばずに
『市井サン』と呼んできていたのが、私にヘンな風に移ってしまったんだろう・・・。
26 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時13分14秒
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両手に数冊、マンガ雑誌を抱えたまま、一般観覧室の空いている席を探す。
めっちゃラッキー!
窓際の四人掛けの机が丸々空いている。速攻、その机をゲット。
窓際の席に座り、隣の席に荷物を置いて、
机にマンガとマナーモードのケータイをセットして、時間つぶしの準備完了。
後は、市井サンから連絡が来るまで、ダラダラとマンガを読むだけ。
27 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時14分06秒


時折、声を殺して笑いながらマンガ雑誌を読み始めて
どれくらいの時間が経った?

もうマガジンは読んでしまって、別マも途中くらいまで読み進んだ時
私は初めて、自分の前方に人気を感じた。

私の他には誰も座っていない四人掛けの机に、ダレか来たのだ。
ホントは一人で、この席を占領してマンガを読んでいたいンだど
ま、しようがない。
侵入者はシカトしよう。顔なんて見ない、見ない!
私はまた、別マの世界に埋没する---
28 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時14分53秒
エッ!?
ちょっと侵入者サン、私の真ン前に座るつもりですか?

侵入者サンは私の斜め横の席ではなく、私の前の席に座ろうとしている。
わざわざ私の前に座らなくても・・・、ねェ。
フツー、ヤじゃない?見知らぬ人に、真ン前の席に座られるのって。
しかもオヤジだったら、サイアクだっての。
ま、この侵入者サンは
若い女の子みたい(顔は見てないけど、自分と同世代のカッコウしてる)
だからまだマシか・・・。
29 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時16分04秒

う〜ん。どうも侵入者サンが気になって、マンガの内容が入ってこない。
でも、何かハズかしくって
真ン前に座っている侵入者サンの顔を見ることも出来ないンだよね。
ビミョーな緊張感が漂ってマス。

チラッと視線を前にやると、
侵入者サンのピンクのニットが見える。
(それより上へは視線を上げることが出来ない自分が、口惜しい気がする)

ボトムは・・・、ネイビー×茶のチェックスカート。
めちゃくちゃ女の子なカッコウ・・・。
30 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時17分24秒
視界の端に、ようやくとらえることの出来る侵入者サンは
何やらプリントに取り組んでいるみたい。

で、ちょっと思うンだけど、あのプリント、見たことあるような・・・。
『この土・日でやっとけ』と数学の中澤センセーから渡された
センセーお手製の宿題プリントと同じだよね?
私は午前中に、市井サンのプリントを写させてもらったけど
自力では最後まで解けなかったと思う・・・。
でもアレが渡されたのって、1-A〜1-Eまで。
じゃ侵入者サンって、私や市井サンと同じガッコウで同じ学年???
見たことナイけど(って、侵入者サンの顔は見てないンだけどね)。
31 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)01時18分07秒
視線をゆっくりマンガ雑誌から外し、侵入者サンのプリントを盗み見る。

学年  1年
クラス (空欄だよ!)
氏名  石川 梨華

やっぱり、同い年!
しかし、クラスは???
つか、イシカワリカ・・・、知らないし。

とにかく侵入者サンは、石川梨華。
梨華ちゃん。
32 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)01時19分12秒
『娘。概論 K・ダーヤス著』どこだ?・・・、あった。
それから『娘。史入門 K・ダーヤス著』は・・・・・・、コレか。
後は、『娘。と文化 K・ダーヤス著』ね。
えぇっと・・・、あぁ。あった、あった。

よっし!これで全て、コンプリート。
33 名前:婆金 投稿日:2002年03月28日(木)01時20分17秒
中途ハンパですが、更新終了です。
34 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月28日(木)05時34分55秒
いったい何の勉強を…(w
35 名前:夜叉 投稿日:2002年03月28日(木)21時09分01秒
コンプリの中には「Kと健康」とか「WITH LOVE」とかあるんでしょうか?(爆)
かなり気になる…(笑)。
36 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時28分20秒
現社の平家センセーが授業で使用する(かもしれない)資料の下調べ---

もうちょっと具体的にいうと、この3冊から
“娘。以外のコトに触れている箇所を、チョチョッと端折る”コト---

それが、私のヒミツのバイト。

1冊、¥1,000也。 ・・・割は結構、良いと思う。
37 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時29分29秒
「とっとと済ませて、吉澤とお祖母ちゃん家に行かなきゃ」なんて思いながら
市民図書館の学生専用閲覧室に入る。

学生専用閲覧室には、遮二無二オーラが漂っていて
ここに入ると、自分も自然とヤル気モードになるから好き。
普段の勉強も、ヒミツのバイトも進みが良くなるんだよね。
38 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時30分10秒
K・ダーヤス著本を抱えたまま、空いている席を探す。



スゲ、混ンでる・・・。


あっ、あそこ!

空いてる!?

かろうじて、一席分かぁ。
まぁ、しようがない。
あそこに座ろう・・・。
39 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時31分18秒
若人臭、むせ返る学生専用閲覧室を入り口から窓際の席まで縦断して
空いている席にたどり着く。


四人掛けの机に、座っているのは一人だけ(しかもコイツ、寝てるし)。
コイツが、本やらカバンやら、自分のアウターやらを
机やイスの上に置きまくっているから、他の人が座れないのだ。

めちゃくちゃメーワクなヤツだな、コイツ!

きっと他の人には座られたくないンだろうけど、そんなコトは構わない。


つか、コイツの気持ちなんてカンケーないし。
40 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時32分04秒
わざと“ガガッ”と音を立てながら、イスに座る。

デモ、起きないよコイツ。
サンデーを3冊、枕代わりにして、スヤスヤ就寝中。



コイツ、自分の回りを取り囲むように
モノを乱雑に置いて・・・、壁みたい。
そんなに、一人の世界がいいの?って思ってしまう。


あっ、フニャって寝ながら笑った。
・・・コイツ、寝顔は無邪気でカワイイかも?

41 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時33分11秒


ムリヤリ机の上に空きスペースを作り、ダーヤス本を広げる。

“娘。の構造と定義”
“娘。歴史的背景”
“チバーズ・ジェネレーション”
“あややの台頭”
“メロンの運営”
“Kの日常(ドリル締め)”
“あぁ、男になりたい”
“健康には、よもぎ風呂”


何書いてるのか、よくワカンナイな・・・。
42 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時33分47秒
つーか、さっきからコイツ
フニャフニャしすぎ!
気になってたまらない!!

ねぇ何で、そんなに無防備な笑い方するの!?

私は何でフニャ寝顔に逆ギレてるの???
43 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時34分36秒
あぁ〜、もう何か・・・やってられん!

パタンッと勢いよく、ダーヤス本を閉じたら
ひらひら、机から何かが落ちた。

慌てて拾い上げると、それは見覚えのあるプリント。
一昨日、出された数学の宿題プリントと同じだ。

じゃコイツって、私や吉澤と同じガッコウで同じ学年???
見たことナイけど。
44 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月28日(木)23時35分12秒
「他人のプリントを黙って見ちゃうなんて、行儀悪いな」と
思いつつ・・・・・・

学年  1年
クラス (空欄だよ・・・)
氏名  後藤真希

やっぱり、同い年。
しかし、クラスは?
つか、ゴトウマキ・・・、知らないし。

とにかくコイツは、後藤真希。
後藤。


一問くらい解いてから、寝ろよ・・・。
45 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月28日(木)23時37分53秒
何故かグラグラ・ドキドキ揺らぎはじめた気持ちを
落ち着かせるため、また視線を別マにもどす。


でも・・・、視覚で感じなくなっても
嗅覚で、聴覚で、梨華ちゃんを感じてしまう。

ウルトラマリンの爽やかで甘い香りに・・・。
シャカシャカと、梨華ちゃんのヘッドフォンから漏れる音に・・・。
46 名前:婆金 投稿日:2002年03月29日(金)00時12分56秒
>34 名無し読者サマ
 何の勉強・・・、やっぱり漢字ドリルなんじゃないかと!? WITH LOVE

>35 夜叉サマ 
 この話、思ってた以上に長くなってます。・・・ --- ・・・って感じです。WITH LOVE 
47 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月29日(金)00時28分43秒
ダーヤス本の中身に激しくワラいましたWITH LOVE。
“あぁ、男になりたい”って(w)WITH LOVE。
48 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月30日(土)01時48分05秒

梨華ちゃん、かわいい・・・。
きれい・・・。

ずっと梨華ちゃんの顔を見ることに照れていたのにも関わらず
自分でも呆れるほどあっさりと、梨華ちゃんの顔を拝んでしまったのは
突然、シャカシャカ音が大きくなったから。

どうしたのかと思って、別マから顔を振り上げると
梨華ちゃんは交差させた両手を枕代わりにして、寝ていた。

シャカシャカ音で、回りの世界と遮断しているようだ。

何の曲を聴いているのかな?
LaLaを取るフリして、顔を梨華ちゃんに近づけると---

♪痛みを知って 臆病になっても
 君が必要なんだと まだ夢を見ているよ
 まだ夢を見ているよ

ボニピンだぁ。

トップもピンクのニットだし・・・。もしかして梨華ちゃんって、ピンク好き?
49 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月30日(土)01時49分48秒
窓から差し込む春の柔らかな日差しが逆に、眠っている梨華ちゃんの顔に
優しい陰影を作り、梨華ちゃんは何とも言えず綺麗だ。
私と同い年と思えないほど、色っぽい!

いろんな人が同族の匂いを放つこの場所で、
梨華ちゃんは、完璧な異彩を放っている。
とっても綺麗な、清楚で気品のある異彩・・・。
50 名前:share my destiny side_I.Y. 投稿日:2002年03月30日(土)01時51分03秒
気が付くと、
ココロの底からどんどん沸き上がってくる“ある想い”。

それをどうしようかと思い、とりあえず
外の空気でも吸って、気持ちを落ち着かせようと
イスを引いて席を立つ---


その瞬間、確かにハッキリ聞こえた。

『行カナイデ。側ニイテ』

梨華ちゃんは、すでに規則正しく寝息を立て始めているけど
絶対、今さっきのは梨華ちゃんの声だ(妙に高くて特徴ある声)。


ゴメン、市井サン。一緒に初節句、行けそうにないワ。

51 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)01時52分12秒


まったく起きる気配のない後藤。

回りと壁を造るようにしながら、一方では無邪気な寝顔を見せる後藤。

目をそらそうとするのだけど、どうも上手くいかない・・・。

それどころか、いつの間にか“ある想い”が沸いてきて
『おかしいよ、自分。そんな簡単に---』と、頭ン中で独り言る始末。


だけど後藤の無邪気な‘フニャ寝顔’が、
どうしようもなくココロに浸みこんでくる。
52 名前:share my destiny side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)01時53分24秒
急激なココロの動きをどうにかしようと思い、とりあえず
外の空気でも吸って、気持ちを落ち着かせようと
イスを引いて席を立つ---


その瞬間、確かにハッキリ聞こえた。

『行カナイデ。側ニイテ』

後藤は、コンコンと眠り続けているけど
絶対、今さっきのは後藤の声だ。


ゴメン、吉澤。一緒に初節句、行けそうにないワ。




そうだ!
今度、後藤がフニャってしたら微笑み返してやろう。
53 名前:share my destiny 投稿日:2002年03月30日(土)01時54分16秒

 the end.

54 名前:婆金 投稿日:2002年03月30日(土)02時00分13秒
share my destinyは
観覧室(正:閲覧室)だの縦断(正:横断)だの、メロメロ・ホロホロでした。
しかもボニピンって・・・。

>47 名無し読者サマ
 吉澤氏は、石川氏のどの辺りのラインが気になるのでしょう?(爆
55 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時27分41秒
今、行くから・・・。

ねぇ、元気にしてた?



車窓の風景は、ビルの群から深い緑の山々へ移り
そして今や、青い空と海とを分ける水平線さえ見せている。


もう少しで、会えるね。


56 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時28分22秒
『人魚に会った』なんて言っても、きっとダレも信じてくれないだろうね。
でも私はホントに、人魚に会った。

それも、とびっきりカワイイ人魚。

私だけの人魚---

57 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時29分29秒
私が人魚に会ったのは、去年の今日。

始めたばかりのサーフィンを楽しむため、「波の形がイイらしいから」と選んだ
とある河口へ、友だちと行った時のこと。
地元のサーファーは『初心者向けじゃないから、県外者は来るな!』
なんて強い口調で言っていた。
それはないよね?せっかく何時間もかけて来たってのに。
それにムチャしたがり盛りのコーコーセーに、そんなこと言ってもムダっての!

私は、買ったばかりのスプリングを着て、波に向かってパドリングを始めた---
58 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時31分21秒
思い出したら、今でも空恐ろしいけど
イケル波が来て、いざテイクオフ!って時・・・。

私はバランスを崩してボードから落ちてしまい
そのまま早い波に、どんどん沖へと流された。

「『県外者は来るな!』ってのは、
よそ者に対しての嫌がらせではなくて、単なる忠告だったのかぁ」なんて
その時に思ったンだけど、もう遅い。

めちゃめちゃ海水飲んで、息もできなくて
ボードと身体をつなぐ、パワーコードの存在も忘れて
自分が何を考えているのかも、分からなくなってきて・・・・・・

ただ最後に“死”を感じた。


・・・その後はもぅ、覚えていない。
59 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時32分13秒

次に感じたのは、身体全体に走る激痛。
肩と言わず、足と言わず、
どこもかしこも痛かった(ほっぺもゴツゴツ痛かった)。

あまりの痛みに、意識が戻ってきたのだ。

うっすらまぶたを開くと
真夏のギラつく太陽が海面に乱反射して、目を射った。



「あっ!目、覚めた?
 も〜、ダイジョーブだね」



60 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時33分25秒
どこからか聞こえてきたその声は、私を安心させた。
「私、生きてたンだ・・・」って、泣きたくなった。
もしかしたら、ホントに泣いてたかも知れない。
まっ、今となっては分からないけどね。
とにかく私はまだ朦朧としてたけど、必死で体を起こして声の主を探した。
そうそう。
体を起こして初めて気が付いたンだけど、私はいつの間にか岩の上に居た。
(どうりで、ほっぺがゴツゴツ痛かったハズだよね)
61 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時34分10秒
声の主は・・・、結構あっさり見つかった。

私と同い年くらいのオンナノコが、岩から少し離れて
ちゃぷちゃぷと波に浮いていた。

「助けてくれたの?アリガトウ」
って私が言うと、オンナノコはコクンと小さく頷いた。

その時のこと、今でもハッキリ覚えている。
62 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時35分07秒
そのオンナノコは
茶パツで、耳には幾つもピアスホールが有った。

それでその子は『岩の上に、上がって来なよ?』って私の誘いに
フニャっと笑って『それは、ちょっとムリだな・・・」って返事した。
63 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時35分54秒
あの後、私はめちゃくちゃビックリしたよ。
だって・・・『何で?上がって来なよ』と更に言う私に
まさか、あんな答えが返ってくるとは思わなかったから・・・。


「だってゴトー、人魚だもん。
 足、ナイもん!」

何て!

64 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時38分21秒
「えぇ〜!?
 ニンギョ〜???」

「ウン!ゴトー、人魚だよ。テヘヘ」

「何故、照れるの!?
 つか、おかしーよ!
 人魚なんて、いる訳ナイしさ、仮にいたとしても
 “ゴトー”って日本名なの、絶対ヘンでしょ!?」

「だって、ゴトーは人魚だよ?
 名前だって“後藤真希”なんだか、ら・・・。グス」

「ちょっと、何で泣くかな?あぁ・・・もぅゴメン、ゴメン!
 助けてくれたのに、ね・・・。
 えっと。遅くなっちゃったけどさ、私は市井紗耶香だから---」

「エヘヘ、いちーちゃんだぁ!」
65 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時39分01秒
「でもさぁ〜頂けないよね、そのカッコウ。
 人魚ってさ、ピアス禁止とかないの?
 まぁ百歩譲って、茶パツはイイとしても---
 人魚がラッシュガード着てンじゃねーよ!
 しかも“苺磨”って、ドコのロゴよ?
 ・・・やっぱさぁ、人魚は“貝殻”でしょ?」

「だって日焼けするのヤだし。
 このロゴも気に入ってるし、イイじゃん、人魚が何着たって。
 つか、“貝殻”って何よ?」

「えぇ〜!?
 後藤、人魚のくせに“貝殻”も知らないの?タケクミ。
 そんなことじゃ、伝説にはなれないよ?」

「何ソレ?知らないよ〜」

あの時の会話を思い出して、クスリと一人で笑っては
何度、友だちや家族の冷笑をかっただろう・・・。
66 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時39分48秒

後藤は、身体をくねらせて
下半身を水面より上へ上げて、魚の部分を見せてくれた。

後藤の鱗は
インディゴブルーとコバルトブルーのグラデーションに輝いて
とても綺麗だった。

今になって思うことなンだけど、この時にはもう私
後藤っていう、ちょこっとヘンな人魚を好きになっていたンだよね・・・。
67 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時41分35秒

「また、会える?」
随分と夏の陽が傾いてきたとき、呟くように後藤がそう言った。
私もずっと、同じ言葉が喉元まで出かかっていた。

「会えるよ、・・・つか絶対、会いに来るし!
 まぁ今日はもう、帰ンなきゃいけないけど・・・」

岩に手をかけ、後藤が
『いちーちゃん、ドコに帰るの?何で?』と無邪気に訊いてきた。

「・・・千葉。ガッコウあるし」

「そこって、遠い?」

「ウン、遠い。
 後藤さ・・・泳いで来て、千葉の海に住めば?」

「それは、ムリ。人魚は村ごとに、住める海のエリアが決まってるンだ。
 それに今から、また少し南下することになってるし。
 あっ、村長が迎えに来た・・・。ゴトー、もぅ行かなきゃ---」

ジャポン!

68 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時42分12秒
気が付くと、私は海に飛び込んでいた。
買ったばかりのスプリングは、あちこち破けていて
そこから傷口に海水がしみてメチャクチャ痛かったケド
ぶっちゃけ、そんなコトはどうでもよくなっていた・・・。

「後藤・・・。来年の今日、絶対また会いに来るから・・・」
「・・・いちーちゃん、好き。めちゃくちゃ好き」
後藤も自分と同じ気持ちを持ってくれているって分かって、
私は不覚にも海ン中で、泣きじゃくった。
後藤も、泣いていた。

それから私達は必死で、お互いにしがみついて・・・何度も何度も、キスをした。
しょっぱいキス・・・。
69 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時42分46秒
「後藤、行くで!?」

「裕ちゃん村長・・・。
 いちーちゃん、また会おうね!来年の今日だよ!!
 ・・・絶対だよ?」

あっという間に、自分から離れていく後藤の姿---
手を伸ばしても、届かなかった


70 名前:夏。 side_I.G. 投稿日:2002年03月30日(土)19時45分06秒
-------
磯の香りがしてきた。

あと10分もしたら、後藤の海へたどり着くことが出来るだろう。

列車の網棚に置いていた、後藤へのお土産を手に取る。

後藤、待っててね。
今、行くから。
お土産持って行くから・・・、小さめサイズの貝殻2枚!

 

 (side_I.G. オワリ)
71 名前:婆金 投稿日:2002年03月30日(土)19時47分03秒
更新終了です。
あぁ、後藤氏を人魚にしてしまった・・・。
他の方の話と、かぶっていたらどうしよう!?
72 名前:夜叉 投稿日:2002年04月01日(月)17時23分34秒
自分の記憶してる中ではないと思ふ…、だろうと…(^^;;。>人魚。
「夏。」、結構好きですよ。これって、もう一パターン(略。w
期待してますよぅ。
73 名前:婆金 投稿日:2002年04月01日(月)23時52分28秒
もう1パターン、もう1パターン・・・。
何になっていただくか、まだ考え中ということで---
74 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月01日(月)23時59分05秒
今、行くな・・・。

なぁ、元気にしとった?


もう少しで、会えるな。

75 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時01分48秒
『カッパに会った』なんて言っても、きっとダレも信じてくれへんやろな。
でもウチはホントに、カッパに会ってんやんか。

それも、鼻水を垂らしたカッパ。

76 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時02分34秒
ウチがカッパに会ったのは、去年の今日。

家族とキャンプしに行った、川と山があるところ。
ウチは『冒険せな!』思うて
一人で川沿いを、川上に向かって歩いていってんやんか。
77 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時03分18秒
気付いたら、家族もテントも見えへんようになっててん。

「どうしよう!?
 ウチ、迷子になってもうた!」

何も持たんと、冒険に出てしもうたことを
めっちゃ後悔したけど、もう遅い。

どこへ向かって進めばいいのか、全然分からなくて
辺りは暗くなり始めて、めっさ心細かった。
78 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時03分56秒
ウチが不覚にも、泣き出しそうになった時
その声は聞こえてきたんや。


「あいぼん、相撲とろう!
 で、ののが勝ったら・・・、キュウリくれ!」

いつのまにか、ウチの前には
ウチと同じくらいの背丈をした、全身ミドリのカッパがおった・・・。
79 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時04分57秒
「オマエ、何や!?」
ウチが訊くと、そのカッパはいきなり歌い出してん。


 オマエ、何やて? 辻カッパ〜よ
 あいぼん 相撲とろ? とろう!ちや チャッチャ〜
 はっけよい、よい はっけよい、よい こりゃ
 はっけよい、よい はっけよい、よい それ
 のこった、のこった まだまだ のこった


ハァ、何て!?


80 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時05分43秒
「何でウチが、カッパと相撲とらなアカンねん!?」

「キュウリくれ!!」

「鼻水、垂れとるで?」

「キュウリくれ!!」

ウチが何を訊いても、カッパは『キュウリくれ!』しか言わへんかってん。
ウチはそりゃ、困ったわ。
キュウリなんて一本も持ってなかったしな・・・。
81 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時09分48秒
仕方がないから、ウチはカッパと相撲をとることにしたんや。
ウチが勝てば、カッパにキュウリをやらんでイイみたいやったし・・・。

「勝負や、辻カッパ!
 ウチは負けへんで!?」

「ののも負けないのれす!」

「「はっけよ〜い、のこった!」」


「どすこい、どすこい!」
「ごっつぁんです、ごっつぁんです!」
「梨華ちゃんです、カモーンナッ!」
「よっすぃーです、カモーンナッ!」
「ケメ子 the オバチャン」
「だいたいカッパなんて、おらへんねん」
「いるのれす!」
「アホか・・・、カッパもサンタも、おらへん!」
「いるもん!!!」
「おらへん!」

ウチは‘合掌捻り’で、辻カッパを負かした。
82 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時11分47秒
「ウチの勝ちや。キュウリは、あげられへんからな」
ちょうどウチがカッパにそう言った時
『亜依〜!どこにおるん〜?もぅテントへ戻っておいでぇや〜』と
遠くでウチを呼ぶ声がしたんや。

「良かったね、お迎えが来たみたい。
 また遊ぼうね、あいぼん!」

「えっ!? 
 ウチにつき合うてくれてたん?」

83 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時12分19秒
ウチは、自分の目を疑うた。
さっきまでハッキリと見えていたカッパの姿が
少しずつ薄れていって、最後にはすっかり消えてもうたから・・・。
84 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時12分55秒
-------
あれから一年。
ウチはまた家族と、キャンプに来てんやんか。
去年と同じ、川と山があるところや。

そして、ウチは再び一人で冒険に出た。

モチロン、辻カッパに会うためや!
85 名前:夏。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時14分13秒
辻カッパ、待っとってな。
今、行くからな。
お土産持って行くからな・・・、キュウリいっぱい!


二人で食べよな。


 (side_N.K. オワリ)
86 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時16分11秒
今、行くべさ・・・。

元気にしてたかい?


もう少しで、会えるべや。


87 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時16分48秒
『雪女に会った』なんて言っても、きっとダレも信じてくれないんだべ。
でもなっちはホントに、雪女に会ったんだべや。

なまらマブイ雪女だったべ。

88 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時17分25秒
なっちが雪女に会ったのは、去年の今日。
・・・しばれる夜だったべさ。

今思い出しても、空恐ろしいけど
家に帰る途中、なっち思わず道端で寝てしまったべや。
『なっち、寝ちゃダメ!』と必死で自分に言い聞かせたけど、もう遅い。

なっち眠くて、眠くて・・・。
そっから後は、記憶がないべさ。
89 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時18分01秒


「起きれ、ちょっと起きれってば!」

こう声をかけられなければ、なっち今頃、生きてなかったかもしれないべ。


90 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時18分36秒
ダレかが、なっちを起こしてくれたンだべ。

「んっ・・・、おばんでした」
「いいふりこくんでね!」 
なっち、ちゃんと挨拶したのに、声の主に怒られたべ・・・。
91 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時19分34秒
なっち、ちょっと寝ぼけてたんだべ。
でもすぐ意識がハッキリしてきて・・・。

92 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時21分03秒
やいや!ビックリしたっぺ!!

声の主は、長身・長髪のめんこい娘。さんで白装束を着てたべさ。
この娘。さん、もしかして・・・?

「や〜っと今、気付いたっしょ?
 かおり、雪女だべや」

「そったらこと・・・、何か、はんかくさいんでないかい?」

いきなり“雪女”って言われても、なっち信じられなかったべさ。
93 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時22分49秒
『しやあないな』と、雪女さんは
夜なのに、ダイヤモンドダストや太陽柱を見せてくれたべさ。
『あらぁ!綺麗だべ!』ってなっちが感動すると
雪女さんはゴキゲンになって、次はブリザードを起こしてくれたべや・・・。

「やめれ!」
なっち、速攻で雪女さんに頼んだんだわ。

「なして?」

「したって、寒いっしょ!?」

そんなやり取りから、なっち、雪女さんとお友だちになったべ。
94 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時23分27秒
「助けてくれて、ありがとう」

「なんも、なんも。
 でもかおり、もう行かねば・・・。
 そろそろ春の足音が聞こえてくるべ・・・」

そう言って雪女さんは舞い立つ雪と一緒に、どこかへ消えてしまったべさ。


95 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時24分03秒
-------
『春になると雪女さんはどうなってしまうンだべ?』と思うと、
なっち、胸がチクッと痛くなったべや。

それでなっち、雪女さんにまた会える冬を待ったんだわ。
96 名前:冬。 side_N.K. 投稿日:2002年04月02日(火)00時25分01秒
雪女さん、待ってれ。

今、行くべさ。
お土産持って・・・、あっ、お土産ナイべさ。


  (side_N.K. オワリ)
97 名前:婆金 投稿日:2002年04月02日(火)00時34分41秒
でたらめな北海道弁でした。
北海道の方、本当にスミマセンでした。逝ってきます・・・

>72 夜叉サマ
 人魚、無かったですか・・・。ホッ、です。
 教えていただいて、有り難うございました!
98 名前:夜叉 投稿日:2002年04月03日(水)18時24分48秒
北海道コンビ、爆笑です(笑)。
カップリング勘違いして読んでいた自分は逝って吉(爆)。>きゅうり。

作者様、早いお帰りをお待ちしておりますよー。
99 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時07分42秒
今、行くね・・・。

ねぇ、元気にしてた?



背の低い笹の原を抜け、白樺並木を進みます。
歩き始めて2時間。
少し疲れも出てきたけど、ガンバって歩みを早めます。
(ファイッ!私)

もう少しで、会えるね。

100 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時08分24秒
『騎士に会った』なんて言っても、きっとダレも信じてくれないでしょうね。
でも私はホントに、騎士に会ったんです。

それも、とびっきりカッコイイ騎士。
それで、ちょこっとクールな騎士。

私だけの騎士---
101 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時09分09秒
私が騎士に会ったのは、平成13年4月4日。
・・・去年の今日です。

『もっとアクティブにならなくちゃ!』とポジティブモードになった私は
何故だか一人で登山することを決意したんです。
女の子の足だと、5時間ほどで頂上からの景色を眺めることができる、
という山でした。

でも何故、登山だったんだろう?
・・・答えは分かりません。
でも私は、何かに導かれていたのだと思います。
それは口に出して言うのは少し恥ずかしいんだけど・・・、運命?
102 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時10分17秒
登山の経験なんてゼロだった私は
テキトーなカッコウで、山を登り始めてしまいました。

スカートこそ履いていなかったものの、
スニーカーもリュックも街仕様のモノでした。
そんな私を、回りの登山者たちは
目をまん丸にして見ていました。

『ちょっと浮いてるかな?』とは思いましたが
もう引き返すわけにはいけません。

だって私は『自分を変えたい!』って気持ちでいたのですから。
何があっても、頂上を目指したかったのです(アクティブ!)。
103 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時12分19秒
「こんにちは」「お疲れさま」
行き過ぎる登山者たちは、私に優しい言葉をかけてくれました。
モチロン、私も元気に言葉を返しましたよ。

真夏だというのに、標高が高くなっていくにつれ
空気は冷たく、澄んでいきました。

とても、イイ気分でした。

そんな気分の良さから
私はいつの間にか、気持ちがゆるんでしまったようです。
104 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時18分21秒
気が付けば、私は初心者コースを外れてしまって
山伏修行コースを歩き進んでいたのです。

今までのようなキチンとした歩道はなく、
目の前の切り立った岩には、鎖が垂れ下がっています。

『この鎖を握って、登れと???』
私は途方に暮れました・・・。
105 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時19分30秒
初心者コースに戻るべきか---
このまま鎖を握りしめ、岩を登っていくか---
私に与えられた選択肢は、2つに1つ。

しかし、さっきも言ったように
私はどうしても頂上を目指したかったのです。
ポジティブ&アクティブモード全開でした。


今にして思えばあの時、私は自分の性質---
‘やりすぎてドジしちゃう時の方が多い’コトを忘れていたんですね・・・。
106 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時20分29秒
私は鎖を握って、25メートル程の岩を登り始めました。

岩を半分ほど登った時、私はついつい
後ろを振り向いてしまったのです。

『キャー、高い!落ちたら死ぬよ〜』
そうココロの中で叫びました。そしてそのまま足がすくんでしまって
もう一ミリも、身体を動かすことが出来なくなったのです。


その時です、あの声が聞こえたのは。



「梨華ちゃん、ガンバって!」


えっ!?
ビックリした私はもう一度、後ろを振り向いてしまいました。
さらに今度は、しっかり握っていた鎖から手を離してしまったのです---
107 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時22分23秒
・・・全てがスローモーションの世界でした。
両手が鎖を離す瞬間も、頭から落ちていく自分の姿も
とてもゆっくり見えたのです。

やっぱり私ってドジだったんだ---
矢口さん、一緒に食事、行ってくれてありがとう---
安倍さん、何かありましたっけ?---

気を失う直前、私はそんなコトを思っていました。
108 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時24分04秒

次に私が見たものは・・・
大きな瞳から、やっぱり大粒の涙を流している、色白な女の子の顔でした。
そのコは、私と同い年くらいに見えました。
そして、とてもカワイイ顔をしていました。
今まで見たことがないくらいカワイイ顔です。


私は、ふわふわ浮いている感覚がして
『あっ、このコ天使だ。私、死んだんだ・・・』と思ったのです。
109 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時25分24秒
「ごめんね〜、私が余計な声をかけちゃったから・・・」
そのコが言いました。

???全く、状況が把握できません???

とにかく、そのコが泣いているコトに、自分も悲しくなってきて・・・。

でも私に出来たのは『泣かないで?』と言って
そのコの頭を撫でてあげるコトくらいでした。
110 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時26分09秒
「あぁ!私、何やってンだろう?
 梨華ちゃんを守らなきゃならないのに・・・。
 こんなンじゃ、卒業できないよ?」
そのコは、ひとしきり泣いて落ち着いたのか
今度は、何か一人で呟いていました。

???また、訳が分かりません???

「えぇ〜っと。貴方、ダレ?
 何で私のコトを知ってるの?」
私は、ようやく肝心なことを言えました。
111 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時29分30秒
そのコは一瞬、ビクッとしましたが、私の問いに答えてくれました。

「これから私が言うこと、黙っててくれる?
 絶対、他の人に言っちゃダメだよ?」

私は大きく頷きました。

「私はヨッスィー。
 梨華ちゃんの騎士なんだ!」
やけに得意げな表情で、ヨッスィーと名乗るそのコは言いました。

キョトンとしていた私を無視して、ヨッスィーはまた喋り始めたのです。
「って言っても、まだ修行中の身なんだけどさ。
 来年、卒業なんだ、騎士学校。
 今日は修了テストで、梨華ちゃんの登山に同行してたンだけど・・・。
 あんまり梨華ちゃんが頑張ってるンで、つい応援に熱が入っちゃった」
私はイマイチ、ヨッスィーの言うことが分からずにいたのです。
112 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時31分09秒
「梨華ちゃん、最近ちょっと重たくなったンじゃない?
 まぁ、この辺りのラインは好きなんだけど・・・」
急にヨッスィーのアゴが、私の二の腕を滑っていきました。

「キャッ!何するの!?」
抵抗しようとしましたが、何故だか身体が自由に動きませんでした。

!!!ハッ!!!


何と私はヨッスィーに、抱っこされていたのです!
しかも!空に浮いていたのです・・・。
113 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時31分58秒
そこでようやく気が付いたのですが
私はどこにもケガをしていませんでしたし、どこも痛くありませんでした。


「ヨッスィーが、助けてくれたの?」

「ウン。梨華ちゃんの騎士だからね、当たり前」
顔を真っ赤に染めて、ヨッスィーが言いました。

でも、私が岩から落っこちた原因ってヨッスィーだったんだよね?
なのに『梨華ちゃんの騎士だから、当たり前』なんて。
ヨッスィーって、何か・・・カワイイ!
114 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時33分05秒

それからヨッスィーに抱っこされたまま、ひとっ飛び・・・。
私は、山の頂上へ着きました。

清く澄んだ谷川や、連なる峰々、海岸沿いまで続く都市---
眼下に広がる世界を、二人占めしたようでした。

私はヨッスィーと、いろんなお喋りをしました。


騎士の世界に生まれたヨッスィーは、
自分の担当である私を、ずっと見守っていてくれたのだそうです。

『まだまだ一人前じゃないから
 上手くは守ってあげられなかったけど』と言うヨッスィーは
だけど、めちゃくちゃカッコよかったンです!

こんなカッコイイ人が私の騎士だなんて!
嬉しすぎて失神してしまいそうでした。
115 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時35分00秒
「梨華ちゃん・・・」
ささやくように、ヨッスィーが私の名前を呼びました。
ヨッスィーは私の顔をじっと眺めていました。

「・・・ハイ?」

「ウチらは、ホントは実際に会ってはいけないンだ・・・」

「えっ!?」

「“世界の決まり”なんだよ。
 その決まりを破った者は・・・」

「どうなるの?」

私は、自分がどうなろうと良かったのです。
ただ、次の言葉をなかなか言い出せずにいた
ヨッスィーの顔を見るのはとても、とても辛かったです。
116 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時35分52秒
「・・・コ・・・ン・・・?」

「何?」

「・・・ケッ・・・コン?」

「ケッコン?」

「・・・そう、ケッコン」

「けっこん?」


「だから、ケッコン!結婚だよ!!
 騎士と、守られる対象が実際に会っちゃったら
 結婚するしかないの!」

ヨッスイーが言っている『ケッコン』が
まさか『結婚』だなんて思いませんでした。
117 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時36分35秒
「えぇ〜!?
 ヨッスィーと結婚!?
 私が?」

どれくらいビックリしたことでしょう!
ただ、イヤな気持ちは無かったです。
それどころか・・・。

「イヤなの、梨華ちゃん?」

「イヤ・・・、イヤじゃないけど。
 ヨッスイーはイイの?」

「まっ、しようがないよね。
 これが運命でしょ。
 梨華ちゃんは、どう思う?」

「う〜ん。
 ・・・私も、これが運命かなカナ?」

口じゃクールなコトを言ってたけど
二人とも、もう顔がニヤけちゃって・・・。
118 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時37分41秒
「でもね、私まだ学生だから・・・。
 来年、騎士学校を卒業するまで、結婚は待っててくれる?」

ぶっちゃけですよ?
ぶっちゃけ『待ってろ』って言葉、めちゃくちゃ悲しかったんです。 

だって、もうヨッスィーのこと、すごく好きになってて・・・。
でも来年まで会えない訳でしょ?

「ダイジョーブだよ。
 会えはしないけど、ずっと側にいるから・・・。
 それに一年経てば、梨華ちゃんはお嫁さんだよ?」

私のココロを読んだヨッスィーが言いました。
119 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時38分48秒
「ヨッスィー!
 いつまで、いちゃついてるつもり!?
 今日のテストは赤点よ!!」

「あっ、圭ちゃん★ブラック騎士!
 ごめん梨華ちゃん、もう行かなきゃ。
 来年の今日、ここでまた会おう!
 それで---
 そのまま結婚式だよ!」

「今の成績じゃ、卒業できないわよ!」

「そんなぁ〜」

ヨッスィーは
( `.∀´)こんな顔をしたブラック騎士に手を引かれ、
空高く舞い上がっていってしまいました

120 名前:春。 side_I.Y. 投稿日:2002年04月04日(木)19時39分39秒
-------
空の青さが、どんどん濃くなってきました。頂上が近い証拠です。

あと10分もしたら、約束の場所へ着くハズです。

ヨッスィー、待っててね。

今、行く---
「梨華ちゃ〜ん!
 こっちだよ!
 見て、見て!ちゃんと卒業できたよ!!」
山の頂で、卒業証書をヒラヒラさせながら
ヨッスィーが叫んでいます。


「じゃ、改めて---
 梨華ちゃん、結婚して下さい」

「ハイ!」



真夏の空には( `.∀´)こんな顔をしたブラック騎士が鳴らす
ウエディングベルがいつまでも、いつまでも響いていました。

  (side_I.Y. オワリ)
121 名前:夏、夏、冬、春。 投稿日:2002年04月04日(木)19時40分34秒

 オ ワ リ。

122 名前:婆金 投稿日:2002年04月04日(木)19時43分33秒
更新終了です。

>98 夜叉サマ
 もっと考えたかったんですけど、一応、今日更新したくて・・・。
 何か、ひねりのないモノになってしまいました・・・。
123 名前:婆金 投稿日:2002年04月04日(木)19時50分08秒
サイアク!
一番最後、‘真夏の空’ではなくて‘春の空’です・・・。
あぁ、勇み足。逝ってきます。
124 名前:夜叉 投稿日:2002年04月04日(木)22時14分02秒
萌えました、この一言ですぅ。(O^〜^O)ノ”
もう、勝手に脳内変換でございます。だから帰ってきてください(笑)。

@ノノ ヽヽ@
(((0^〜^)つ  <梨華ちゃんのよっすぃ〜だぞ!ゴルァ!!
  (つ  (⌒) )) )
  (_ノ⌒ ̄

かかってこいよ!          Σ(`.∀´#)<おろっ!?

125 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月05日(金)06時08分03秒
うわぁ、これは自分としては理想的ないしよしですよ(w
梨華姫とひとみナイト
126 名前:待ち人 side_I.Y. 投稿日:2002年04月06日(土)01時17分34秒
目の前を、ひっきりなしにクルマが通り過ぎていく。

赤かったり白かったり、黒かったり。
セダンだったりスポーツタイプだったり、RVだったり。
結構な交通量・・・。

とにかく色や形は様々だけど、どのクルマも一様に
降る雨を、ヘッドライトに照らし出している。
・・・さっきより幾分、雨足が強くなったみたいだ。

この交差点に着いてから、何度信号が青になり赤になり、また青になっただろうか。

私はもうずぶ濡れで・・・。


だけどそんなコトは全く構わず、横断歩道をじっと見つめる。
一瞬も見過ごすわけにはいかない。
127 名前:待ち人 side_I.Y. 投稿日:2002年04月06日(土)01時19分49秒
歩道の信号が青になり、車道の向こう側から
大勢の人がこちらへ足早に向かってくる。

赤い傘、黒い傘、花柄模様の傘---
この人も、この人も違う。
この人でもない。

そのうちに歩道の信号は赤になり、また目の前をクルマの列が過ぎていく。
眺めていると・・・、目が回りそう。


128 名前:待ち人 side_I.Y. 投稿日:2002年04月06日(土)01時22分08秒
クルマの行進が止まると、今度は歩道の信号が青になる。
そして大勢の人がこちらに向かってくる。

赤い傘、黒い傘、花柄模様の傘---
傘の群の中、頭2つ分・・・、ひときわ高い場所でピンクの傘が左右に揺れている。

息を切らして駆け寄ってきた梨華ちゃんが、私に傘を差し出しながら言う。

「ハァ、ハァ。ひとみちゃん!
 ・・・待った!?
 もぅ、あれほど『雨の時にはちゃんと傘さして!』って言ったのに!
 ひとみちゃん、わるい子ね!?」

だって・・・、私が雨に濡れたら
いつも梨華ちゃん、優しく雨を拭ってくれるでしょ?
フワッと、タオルをあててくれるでしょ?
その時、梨華ちゃんの甘い匂いが私の鼻をくすぐるでしょ?

129 名前:待ち人 side_I.Y. 投稿日:2002年04月06日(土)01時22分51秒
「なに、ニヤついてるの?」

「んっ・・・、何にも。
 それより早く、帰ろうよ!」

私はすっかり、梨華ちゃん中毒だね。

130 名前:待ち人 side_I.G. 投稿日:2002年04月06日(土)01時28分17秒
『日中は、初夏の暖かさでしょう---』

出かける前に見たTVの天気予報では、確かにそう言っていた。
なのに・・・、余裕で寒いじゃん!
ビュービューと音を立てて通り過ぎる潮風に、髪はベトベト。
・・・気持ち悪い。


131 名前:待ち人 side_I.G. 投稿日:2002年04月06日(土)01時31分23秒

だけど水平線へ隠れるように落ちていく夕日は、
何でこんなに大きくて綺麗なんだろ?
意味もなく、涙が溢れてきちゃうよ・・・。

ゴトー、わがままかな?
毎日が幸せなのに、何故だか不満足。

もう自分じゃ、どうすることもできない。

大切な何かを掴んでいた手を、パッと開いて
その大切なモノを落っことしちゃったような・・・。
不可解な喪失感。
でも・・・。
ゴトーは一体、何をなくしてしまったンだろう?


電源を切りっぱなしにしているケータイを
右の掌で、ギュッと握る。
132 名前:待ち人 side_I.G. 投稿日:2002年04月06日(土)01時33分54秒
ゴンッ!

「つッ」
頭頂部に鈍い痛み---
振り返ると、
いちーちゃんが少し困ったような・・・、でも怒ったような顔をして立っている。
目には、涙がたまってる?

「いちーちゃん・・・、痛いよぅ」

「バカ。
 なに、コレ!?」

いちーちゃんが手にしているのは、ゴトーが数時間前に送った電報。
  《サガサナイデ》
133 名前:待ち人 side_I.G. 投稿日:2002年04月06日(土)01時34分59秒
「ケータイ、切りやがって」



「何で、ここが分かったの?」

「分かるよ。
 ゴトーのことなら・・・、何でも分かる」
そう言いながら、いちーちゃんはゴトーの隣りに並んで座った。
いちーちゃんはゴトーの方に首を傾けてきて、
今は二人、お互いの頭をもたせ合っている。
134 名前:待ち人 side_I.G. 投稿日:2002年04月06日(土)01時40分29秒
砂に足を取られながら、
でも必死でここまで走ってきたいちーちゃんの姿を想像する・・・。
だって、いちーちゃんは少し汗の匂いがするから。

スゥー、ハァーッと、大きく深呼吸する---
ゴトーの身体に、いちーちゃんを充満させたい。
・・・身体の隅々まで、いちーちゃんでいっぱいにしたい。
今まで見失っていたのは、いちーちゃんだったのかも?
いちーちゃん切れ?


何かを決心したように、急にいちーちゃんが立ち上がった。

「帰ろう、後藤」

差し出された手を握りながら、
ゴトーは一秒でも早く家へ帰りたくなっていた。
135 名前:待ち人 投稿日:2002年04月06日(土)01時41分17秒

 オワリ。
136 名前:婆金 投稿日:2002年04月06日(土)01時50分33秒
あぁ・・・『春。』・・・(泣
全然、春じゃなかった!しかも、他にもボロボロ(いつものことですが)!!
逝ってきます、逝ってきます・・・。

>124 夜叉サマ
 じゃあ・・・。
 梨華ちゃんのよっすぃー/よっすぃーの梨華ちゃん
 ということで、イイですか?

>125 名無し読者サマ
 理想でしたか!良かったです!!
 なにせ記念日だったもんで!
137 名前:夜叉 投稿日:2002年04月06日(土)18時36分33秒
>ゴトーの身体に、いちーちゃんを充満させたい。
>・・・身体の隅々まで、いちーちゃんでいっぱいにしたい。

こういうの好きですね、自分。ごとーさんの気持ち、よく分かります。
ふむふむ…(メモメモ

そらもう、どっちも現(略。w)>いしよし。
138 名前:熱・熱カップル side_I.G. 投稿日:2002年04月09日(火)01時46分52秒
クシュッ!

「なに、何?
 いちーちゃん、風邪?」

そう言いながら、後藤が妙に嬉しそうに
自分のおでこを私のおでこに、あててくる。

「う〜ん、ちょっと熱があるかも?
 でもワカンナイや!」

そりゃ、分からないでしょ!?
だって昨日の夜は二人して、プールで遊びまくってたじゃない?

「後藤も熱があるんだよ、きっと・・・」
「エヘヘ、いちーちゃんとお揃いだ!」

なに喜んでンだか・・・。

でも、熱のせいかな?
こういう、後藤との時間が愛おしく思えてたまらない。


139 名前:熱・熱カップル side_I.Y. 投稿日:2002年04月09日(火)01時49分22秒
クシュッ!

「何?
 梨華ちゃん、風邪?」

そう言いながら、ひとみちゃんが妙に嬉しそうに
自分のおでこを私のおでこに、あててくる。

「う〜ん、ちょっと熱があるかも?
 でもワカンナイや!」

それは・・・、分からないでしょ!?
だって昨日の夜は二人して、ずっと星降る夜空を見上げてたでしょ?

「よっすぃーも熱があるんだよ、きっと・・・」
「じゃ・・・、添い寝して!」

ひとみちゃん・・・、なに言ってるんだろう。

でも、熱のせいかな?
こういう、ひとみちゃんとの時間が愛おしく思えてたまらないよ?


 
140 名前:熱・熱カップル  投稿日:2002年04月09日(火)01時50分09秒


 オ ワ リ。
141 名前:婆金 投稿日:2002年04月09日(火)01時54分46秒
whereto 一応、コレで最後にしようかと・・・。
お目汚し、申し訳ありませんでした。

>137 夜叉サマ
 いつもレスをどうも有り難うございました。心の励みになりました。
 ゴトーサンの気持ちが、よく分かるって・・・
 とにかく、みんなガンガレ!ガンガレ!!です。
142 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月09日(火)16時28分11秒
美味しい短編ごちそうさまでした
143 名前:夜叉 投稿日:2002年04月12日(金)17時21分19秒
おつかれさまでした、作者様。
いえいえ、こちらこそお腹イパーイな短編を有難うございました。二組の違いが出ていておもしろかったっす。
よろしかったら、またよろしくお願いします。
144 名前:婆金 投稿日:2002年04月15日(月)19時10分37秒
>142 名無し読者サマ
 ‘ヲいすぃ〜’かったでしょうか?でしたら、私も大満足です!!
 レス、どうもありがとうございました。

>143 夜叉サマ
 また、機会があればよろしくお願いしますデス!
145 名前:music side_I.G. 投稿日:2002年05月01日(水)03時10分24秒
眼を閉じたまま、ポータブルCDを聴いている後藤。
ねぇ、何聴いてるの?

そっと手を伸ばして、後藤の左耳から
耳かけ式ヘッドホンを外す。

アタシに何をされても起きない後藤。

アタシはそれをイイことに
後藤の隣りに座りながら、
自分の右耳にヘッドホンをあてる。

ぁ〜、コレ買ってくれたの!?

♪遠くの国に行ったあなたは
 どんな空を見ているの?
 夢を叶える為に進む
 あなたはいつも忙しい

146 名前:music side_I.Y. 投稿日:2002年05月01日(水)03時11分39秒
眼を閉じたまま、ポータブルMDを聴いている梨華ちゃん。
ねぇ、何聴いてるの?

そっと手を伸ばして、梨華ちゃんの左耳から
耳かけ式ヘッドホンを外す。

「あっ」て一度、瞼を開いたけど
目の前にいるのがウチだと分かると、梨華ちゃんは
また眠ってしまった。

ウチは梨華ちゃんの隣りに座りながら
自分の右耳にヘッドホンをあてる。

ぁ〜、コレ聴いてたの!?

♪もうちょっと もうちょっと 近づきたい
 純粋な瞬間を あなたは知ってる
 新しい恋愛を あなたは知ってる
 胸の気持ち 今打ち明けたい
 もうちょっと もうちょっと 近づきたい

147 名前:music 投稿日:2002年05月01日(水)03時12分33秒


  la fin


148 名前:婆金 投稿日:2002年05月01日(水)03時14分18秒
コソーリ更新。
1日が仕事かと思ってたら、休みだったので・・・
気分転換もかねて。
149 名前:チョコレート・バニラ・ハニー・アイスクリーム side_I.G.  投稿日:2002年05月11日(土)18時02分55秒

「人生は結局、Love&Peaceなんだよ・・・」

ごとーはバカだから、いちーちゃんの言ってることの
1/10も分からない。
ただね、ごとーに分かって、いちーちゃんに分からない
こともあるの。
それは・・・、いちーちゃんがごとーを好きな量より
ごとーがいちーちゃんを好きな量が多いこととか、ま、他にもいっぱい。

いちーちゃんは、時間がどうのこうのとか
要らないモノがどうのこうのとか、ぐだぐだ喋る。
でも、ごとーは思うの。

もっとシンプルでいいんじゃない?ってさ。

ごとーにとって大切なのは、いちーちゃんが好きって
ただそれだけのことだからさ。


150 名前:チョコレート・バニラ・ハニー・アイスクリーム side_I.Y.  投稿日:2002年05月11日(土)18時11分32秒

私だったら、しょげちゃいそうな失敗をしても
ひとみちゃんはクールなままで・・・。

私だったら、ちょっと怒りたくなっちゃう場面でも
ひとみちゃんは笑顔でいられる・・・。

それって、ひとみちゃんの良いところです。
でも・・・。

ホントに泣きたいときや、笑いたいとき、嬉しいとき
哀しいときは、がまんしないでね?
この前ひとみちゃんは
「梨華ちゃんに、かっこ悪いトコは見せられないよぉ」
なんて冗談交じりに言ってたけど、私は見たいよ?

だって、かっこ悪いトコも丸ごと全部、ひとみちゃんだから。
私は、ひとみちゃんが好きなんです!

151 名前:チョコレート・バニラ・ハニー・アイスクリーム   投稿日:2002年05月11日(土)18時12分16秒



la fin


152 名前:婆金   投稿日:2002年05月11日(土)18時33分25秒
気分転換更新
あんまりカンケーない話ですけど青の‘ロケット花火’は
このスレの‘share my destiny’の続きを書きたい気持ちから発生した、
‘share my destiny’の姉妹品デス。
153 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月06日(木)00時11分12秒
短い中にかわいさがつまってますね〜。いいです!!
154 名前:大いなる陰謀 投稿日:2002年06月08日(土)23時52分15秒

もっとよく見たい。

もっとよく感じたい。

だから、もっと側に寄りたい。


・・・おっとイケナイ。
一瞬、いろんなコトに目がくらんで
本来の目的を忘れそうになった。


「ひとみちゃん、近づきすぎだから・・・」


目的を忘れ、我を忘れると
梨華ちゃんに苦い顔をされる。


目的?

それは・・・出来ることなら・・・。


梨華ちゃんは吉澤のモノです。とマーキング!



でも現実問題、そんなことしたら
大変な事態になりそうなので
今のところ出来ずにいる。


それでもやっぱり、
吉澤印はつけておきたいので
二人で写真撮られるときは
極力(チャンスがあれば)
梨華ちゃんの肩を抱くことにしている!

155 名前:新しい時間。 投稿日:2002年06月08日(土)23時53分34秒
アタシ、何に誓えばいい?

ずっと側にいるって。

もうどこにも行かないって。

・・・やっぱ誓うとしたら

この、かわいい寝顔しかないか。

ジョーダン抜きで、かわいすぎる寝顔。

でも・・・。

かわいそうだけど・・・。



「後藤、おはよう。

 朝だから起きようね?」



「ぅ〜。

 ・・・いちーちゃん、ぉはよぅ」



後藤とアタシの、新しい時間が始まる。


156 名前:大いなる陰謀/新しい時間。 投稿日:2002年06月08日(土)23時54分30秒

 fin

157 名前:婆金 投稿日:2002年06月09日(日)00時06分13秒
これで本当に終了です。読んで下さった方に感謝です。

>153 名無し読者サマ
 レス、どうもありがとうございました。
 青の気分転換で2つばかりこっちも更新しましたが、
 あっちが終わったのでwheretoも終了します、とだけ書きにきたつもりが
 レスついててビックリしました。それで急遽・・・。
 最後に嬉しい言葉、ありがとうです。
158 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)15時30分38秒
お疲れさまでした!ほんとかわいかったですよ!
159 名前:婆金 投稿日:2002年06月30日(日)00時26分28秒
>158 名無し読者サマ
 レス、どうもありがとうございました。
 「かわいい」って感想、正直、めちゃくちゃ嬉しいです。
 このスレの後半、目指していたことは「かわいい」だったりしたので!
 読んでくれて、見つけてくれて、本当にありがとうございました。
 

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