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ごくごく普通の一日に。(2)

1 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月29日(金)07時46分24秒
月板に書いているものが絶不調なので、息抜きに書いた
石川さん中心の短編小説を載せて行く予定です。
甘めも痛めもまぜこぜに。
とりあえずごった煮で色々やっていくつもりです。
同じ板に似たタイトルのスレがありますが、
あれの続編だと思ってくださいませ。
短編なので、話自体は独立していますけれど。
2 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時46分54秒
「ねえ、なっちの事、好き?」
それが彼女の口癖でした。
私が彼女の事を好きだって、彼女が私の世界の全てだって全部わかった上で
無邪気にそう聞いてくるのです。
「当然じゃないですか。安倍さんを嫌いな人なんて……いません……」
俯いて答える私に、安倍さんはにっこりと微笑みます。
「良かった。なっちも梨華ちゃんの事好きだよ」
そう言って抱きしめてくれます。
それだけで…それだけで私は幸せだったのに、彼女は私を裏切ったんです。
3 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時48分21秒
その日、私は安倍さんに電話で呼ばれて、彼女の部屋へと行きました。
ほのかな期待に、少しだけ胸を震わせて……。
ドアをノックする手も震えます。
コンコン。きちんと二回ノックしたのを覚えています。
「どうぞ〜」
中からややくぐもったあの人の声がして、私はドアを開け部屋へと入りました。
1ルームのマンションはドアを開けると、直ぐ室内が見渡せます。
そして私は見てしまったのです。
いいえ、見せられたと言ったほうが良いのでしょうか。
彼女が――安倍さんが私以外の誰かと、ベッドを共にしているのを。
4 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時49分09秒
「なっちさ。誰かに見られながらやるのって好きなんだよね」
そう言って私の目の前でその人と口付けを交わす安倍さん。
「特になっちの事を好きな人の前でなんて、最高」
くすりと子悪魔のような笑顔を浮かべ、私のほうをチラリと覗います。
嬌声をあげ、私の目の前でその肢体を相手にくれてやるように
抱かれる彼女に私は……私は………。
5 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時50分02秒



気付いたときには目の前が真っ赤でした。
何もかもが紅く染まって、その中心には一人の女の人がいました。
女の人――安倍さんです。
私の手からカタンと音を立てて、何かが落ちる音がします。
それは落ちると同時に床へと突き刺さりました。
真っ赤な部屋の中心に倒れている、何よりも真っ赤に染まった安倍さん。
まるで新曲のジャケットみたいに、赤で統一された世界に
少しだけうっとりと陶酔する自分が判りました。
だって、赤はあの人の色だから。
6 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時50分51秒
「痛かったですか、安倍さん……」
真っ赤な世界の中心に倒れている彼女の頬を、私はそっと撫でました。
とっくに言葉は届かないと分かっていましたけれど。
人間って不思議ですね。
無駄だって判っていても、やってしまう事があるなんて。
まあ、私の人生は無駄な事の連続でしたけどね。
でも、この瞬間彼女は私だけのものになったんです。
私だけが彼女を独占して、所有して、愛して、そして何もかも奪って……っ!
ああ、遠くでサイレンの音がします。
安倍さんとベッドを共にしていた人が、きっと呼んだのでしょう。
7 名前:二人。 投稿日:2002年03月29日(金)07時51分28秒
でも、そんな事はどうでもいいのです。
今、ここで重要なのは、私の腕の中に安倍さんがいる。
ただそれだけなのですから。
「ずっと…ずっと一緒ですよ、安倍さん……」
そう呟いて、力なく倒れている安倍さんの体をぎゅっと抱きしめると、
私は床に突き刺さったままの包丁を掴んで

 そして――――
8 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月29日(金)07時56分52秒
>>2-7
最近すっかりはまっている、なちりかです。
痛いお話しですので、そういうのが
ダメな人は読まない方がいいかもしれません。
9 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月29日(金)08時00分14秒
あと、今までseekで書いた話を、HPに纏めてみました。
此処の載せていない話しとかもあるので、
暇つぶしにどうぞ。

http://saga.cool.ne.jp/bokukimi/

それでは、スレ流しにもう一作うpしますね。
10 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時01分56秒
スタジオから楽屋へ戻る途中、愛ちゃんは急に立ち止まり、怪訝な顔をしました。
そして目を閉じると、耳を澄ますように手をやって、
「ねえ、あさ美ちゃん。なんか変な声しなかった?」
と、あたしの方を振り返ります。
「変な声……?」
「うん。なんかね、猫みたいな、赤ちゃんみたいなそんな声」
目を閉じたまま、そう呟く愛ちゃん。
でも、赤ちゃんの声って……。
あたしの頭の中に、昨日矢口さんに教えてもらったお話しが、
まざまざと浮かび上がってきました。
11 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時02分30秒
「紺野、テレビ局って以外に怪談が多いって知ってる?」
「怪談……ですか?」
「そ、怪談。なんかここのテレビ局、戦時中は病院で、
空襲にあってたくさんの子供や赤ちゃんが死んだんだって。
それ以来、夜になると赤ちゃんの泣く声が……」
12 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時03分18秒


…………ぁん……。


13 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時03分54秒
「あ、また聞こえた」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ……」
「あ?」
「愛ちゃんっ! 早く楽屋へ帰ろうっ!」
あたしは愛ちゃんの手を取ると、愛ちゃんの返事も聞かず、
ずんずんと歩き出しました。
だ、だって、さっきの声は幻聴なんかじゃなかったんだもん。
なんだか恨めしそうでいて、それでいてなまめかしい、そんな声。
「痛いってば、あさ美ちゃん…っ! もう…」
ぶつぶつと文句を言う愛ちゃん。
でも、そんなの聞いてなんていられません。
早く、みんなのいるところに行かなくちゃ!
黙々と廊下を歩くあたしたち。
だけど、どうしてなんでしょう。
楽屋に近づけば近づくほど、例の声は大きくはっきりとしていくんです。
14 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時04分35秒
「ねえ、声また聞こえたよ。あさ美ちゃんも聞こえたよねえ?」
「う、うん…」
「なんかこっちから聞こえてるような気がする……」
すっと前方を指差す愛ちゃん。
「行ってみよ」
今度は愛ちゃんが、握っていたあたしの手を引っ張って走り出しました。
ぐいぐいと走っていく愛ちゃんはかっこいいと、
ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ思ったけど、
でも、怖いところに行くのはいや。オバケなん見たくないよう……。
「どうやらここみたい」
そう言って愛ちゃんは立ち止まりました。
でも、ここって………。
「楽屋…?」
「うん。間違いないよ。ここから声がするもん」
15 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時05分10秒


………………ぁあん…、もっとぉ……

16 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時05分56秒
「ほらっ!」
中から聞こえてくる声に、嬉しそうに頷く愛ちゃん。
でも、「もっと」って……?
17 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時06分43秒


………ふぁ、ひとみちゃん、そこ、いいのぉ……もっとつよく……ふぅ……


18 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時07分31秒
だんだん強く、はっきりと聞こえてくる声は、幽霊なんかじゃなくて、
どこか聞き覚えのある声でした。
この特徴的な甘い声ってもしかして―――
「石川さん!?」
「え? この声、石川さんの声なの?」
「だと、と思うけど……」
「けど……?」
目線で先を促すように見つめる愛ちゃんに、あたしは沈黙しました。
だって、こういう声って普通出したりしないもの…。
なんて言うのかな、その……オトナの男の人と女の人が
えっ…えっ…(すうはあすうはあ)えっち……するときに出すような声?
そんな声なんだもん。
だとしたら、この中で行われている事って……。
19 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時08分45秒
「もう、あさ美ちゃんったらはっきりしないんだから。
でも、いーや、石川さんがいるんだったら入ろうっと♪」
元々石川さんのファンだった愛ちゃんは嬉しそうにドアノブに手をかけます。
うわぁ、今入ったらだめだよぅ!
石川さんと吉澤さんの修羅場(間違い。正確には濡れ場)がぁ……!
がちゃり。
小さな音を立てて、ドアは開いた。
だけどあたしは中の様子を見ていられなくて、ぎゅっと目を閉じました。
たっぷり五秒。沈黙するあたし達。
だけど、その沈黙を打ち破ったのは、意外にも明るい、石川さんの声でした。
20 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時10分38秒
「あ、おつかれさま。もう終わったの?」
「はいっ! 今はまこっちゃんと、理沙ちゃんを撮ってるみたいです」
「そっかぁ…。あ、ひとみちゃんありがと」
石川さんはあたし達に微笑むと、後ろにいる吉澤さんの方を振り向いて、
肩にかかっていた手をやんわりと外しています。
「そういえば、外まで声が聞こえてたんですけどぉ、なにしてたんですか?」
怖いもの知らずの愛ちゃんが、これまた怖いもの知らずな質問を投げかけました。
「ああ。梨華ちゃんが肩凝ったって言うから、揉んで上げてたんだ」
「ひとみちゃ…よっすぃーの肩揉みって効くのよ? 二人とも、一度やってもらったらいいよ」
そう言ってにっこり微笑む二人。
21 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時12分55秒
肩揉み…肩揉みかぁ……。
だけど、頬を流れる汗がうそ臭く感じるのは、
あたしの気のせいなのかなあ?
肩揉みをしていたと言う割には、
なんだか二人の空気が濃いような気がしなくもないけれど、
あたしは何も言わず、沈黙を守る事にしました。
だって、あんまり追求すると、怖い返事が帰ってきそうだし…。
だけど、そんなあたしの思いはあっさりと打ち砕かれてしまいました。
22 名前:天然少女。 投稿日:2002年03月29日(金)08時13分49秒
「そっかぁ! 私、てっきりお二人がえっちしてるのかって思っちゃいました」

なんて手をぽんと打って、あははと笑いながら問題発言を飛ばす愛ちゃん。
凍りつく石川さん達を余所に、自分のバックのところへ行くと、ごそごそと中を漁っています。

「あは、あはははははははははは………」
「えへ、えへへへへへへへへへへへへへ………」

その日、石川さんと吉澤さんの乾いた笑い声が、
テレビ局中にいつまでもいつまでも響き渡ったのは言うまでもありません。
23 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年03月29日(金)08時16分58秒
>>10-22
交信しました。
軽いいしよしで、紺野の一人称ものです。
でも、最近痛い話しか書いていなかったので、
なんか消化不良起こしたような駄作になってます。はぁ…。
24 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月30日(土)19時46分52秒
いやいや、面白いっすよ
鈍いモールス信号高橋・・やるな(w
25 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時17分44秒
手を繋いで。抱きしめていて。
離さないでいて。私だけをずっとずっと愛して――

26 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時18分23秒
幾日経っただろう。
既に壊れてしまい、時を刻むのを止めてしまった時計を見て、真希はそう思う。
時間の概念が、真希の中から失われて既に久しい。
真希だけが一人、絶対の孤独に置き去りにされてから、長い時間が流れていた。
恋人である梨華と二人、逃げるように故郷を出て、
隣の惑星へと飛び立つこの飛空挺へ飛び乗ったときの事を、まるで昨日の事のように何度も思い返す。
祝福された未来が待っていると信じていた。
故郷では誰からも祝福されなかったから、
未来だけは、二人を出会わせた運命だけは祝福していると信じていた。
なのに――
27 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時19分00秒
二人を乗せた機体は原因不明のトラブルを起こし、
本来の軌道を外れてしまい、何年もかけて元の軌道を修復するために
長い時間を費やさなければならなくなったのだ。
そのために緊急に休眠ポッドが乗客に試供された。
これを使っている間は仮死状態となり、
年もとらなければ設定された時が来るまで目が覚める事もないからだ。
乗客員数は真希と梨華、二人を合わせて754名。
ポッドの数は752個。
緊急用のポッドは、乗客員数分用意しておく決まりだが、
ギリギリで飛び乗った真希と梨華の分が用意されているはずもなくて。
予備のポッドを使っても753個。
一人分足りない。
その時、真希の心は既に決まっていた。
この予備のポッドを梨華に使わせようと。
28 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時19分36秒
「手を繋いで。抱きしめていて。
離さないでいて。私だけをずっとずっと愛して――」
眠りに付くまでそう言って真希から離れようとしない梨華。
愛おしかった。
例え何年もの間、一人で孤独な夜を過ごす事になっても、
構わないくらい、愛しくて心が壊れてしまいそう。
梨華が眠りに付くまで、二人だけの儀式を過ごす。
時間にしたら数分にしか過ぎないそれは、二人の間で何倍も濃縮されて、
最初で最後の蜜月となった。
29 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時20分37秒
「ずっと傍にいる。離れたりしない。
愛してる。ずっとずっと愛しているよ…」
30 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時21分51秒
幾日経っただろう。
既に壊れてしまい、時を刻むのを止めてしまった時計を見て、真希はそう思う。
夜中囁かれる愛の言葉は、力を失って等しい。
だけどね、そんな力を無くした言葉でも発していれば真実になるという事を、
真希は信じていた。
心のそこからずっと信じていた。
31 名前:明けない夜。 投稿日:2002年04月03日(水)23時22分26秒
ぎゅっと細い梨華の手を握る。
あまり強く握りすぎると、梨華が痛がるから、優しく。それでいて、ギリギリのラインで強く。
「ごっちん、痛いよう」なんて、あの特徴的な甘い声で拗ねる姿を思い出す。
それは遠い記憶の彼方にあっても、真希の心から離れる事は決してなかった。
(こうやって抱きしめていれば、いつか梨華ちゃんは微笑んでくれる)
正常と異常の境界線で、真希は愛しい人を包み込むように抱きしめて眠る。
明けることのない夜を一人、来るはずのない朝を夢見ながら……。
32 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年04月03日(水)23時26分35秒
>>25-31
交信しました。
久しぶりのいしごまです。
かなりパラレルな設定です。つか、白浜、あほ?(−−;

>24
ホッピー高橋、書いていて結構楽しかったです(笑)
次回はたかいしでも書いてみようかなあ(をい)
33 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月04日(木)04時21分09秒
悲恋だ‥‥泣いてしまった
たかいし期待したりしてます
34 名前:名無し読者 投稿日:2002年04月08日(月)22時44分20秒
たかいしお願いしますだーーー(w
実は結構好きだったり(w
35 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月02日(木)18時09分15秒
こちらの更新も期待中。。。
36 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時45分47秒
「大事な話しってなぁに?」
梨華ちゃんはきょとんした表情を浮かべると、上目遣いであたしを見上げた。
誰もいない二人だけの楽屋で、それは余りにも無防備で。
その可愛い仕草に、思わず食べてしまいたくなる自分をぐぐっと押さえると、
あたしは少しだけ――ほんの少しだけだよ?――怖い顔をつくり、
梨華ちゃんを見下ろす。
梨華ちゃんは「どうしちゃったの?」と言うように、あたしの服の裾をくいくいと引っ張る。
今日こそは言っておかなくちゃ、と思っていた。
梨華ちゃんの気持ち、ちゃんと知っておきたいから……。
事の原因は梨華ちゃんがレギュラーでやっているラジオ。
そこでの梨華ちゃんの言葉が端を発していた。
37 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時46分44秒
「柴ちゃんにはなんでも相談できるんだってね」
あまり見つめていると、自然と顔がにやけてくるのでそっぽを向いて。
出来るだけ低い声でぼそりと呟く。少しいやみな感じになってしまったかもしれない。
「柴ちゃん…?」
ぱちくりと大きな瞳を瞬かせて、鸚鵡返しに梨華ちゃん。
やがて何かに思い当たったのか、くすくすと笑いながら、
「やだ、あんなの気にしてたの…? ひとみちゃんったら……ふふふ」
なんて嬉しそうな声。
むかつくーっ!
「気にするに決まってるじゃないかっ」
叩きつけるように怒鳴って、後ろを向く。
我ながら子供だなあって思わなくもないけれど、このお姫様の事となると、
あたしは感情が抑えられなくなるようになっていた。
38 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時48分18秒
最初は梨華ちゃんのほうが、あたしをいっぱい好きだった。
告白してきたのも梨華ちゃんの方だったし(そりゃあ、前から良いなとは思ってたけど)、
デートの約束とかも、梨華ちゃんのほうから積極的に誘ってきた。
でもね、梨華ちゃんが柴ちゃんと仲良くなった頃から、
それは微妙に変わり始めたんだ。
39 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時49分07秒
前みたいに「デートしよ」なんて誘われなくなったし、
二人でいるときも、ちらちらと現れる柴ちゃんの影。

あんまり自分には友達っていなかったから、
お友達って呼べる人が出来るなんて夢見たい――

そう言って微笑む梨華ちゃんの姿を、遠く感じたのを今でもはっきりと覚えてる。
付き合いが長くなればなるほどあたしは梨華ちゃんでいっぱいになって、
心がパンクしちゃいそうなのに、梨華ちゃんはそうじゃないみたいで、
それが悲しくて悔しかった。
40 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時51分00秒
子供じみたドクセンヨクだって自分でも判ってる。
でも、それでも好きな人には自分でいっぱでいてほしいって思うことは、
おかしいのかな。
あたしと同じように好きでいて欲しいって思うのはおかしい事なのかな……。

ぽつり。

ぎゅっと握り締めたこぶしの上に、ぽつりぽつり零れ落ちる涙の雨。
いつの間に泣いてたんだろう?
気付いたときには雨は滝へと変わって、頬を伝って流れ落ちていた。
「ちょ…っと、ひとみちゃん?」
びっくりした顔であたしを見る梨華ちゃん。
そりゃそうだろう。あたし自身、びっくりしてるんだから…。
41 名前:花火が終わる頃。 投稿日:2002年05月16日(木)20時52分13秒
「ねえ、どうしちゃったの?
何処か痛いの? 誰か……あ、そうだ。
柴ちゃんが隣の楽屋にいるから呼んでくる!」
梨華ちゃんはそう言って立ち上がると、ドアの方へ踵を返す。
「また柴ちゃんなの…?」
自然と震える声。
「ひとみちゃん……?」
振り返る不安そうな梨華ちゃんの顔。
だけど、それは涙で歪んでよく見えなくて――
「そんなに柴ちゃんが良いんだったら、
柴ちゃんと付き合えば良いじゃないかっ!
梨華ちゃんの馬鹿っ。だいっきらいだ…っ!!」
「ひとみちゃん…っ!?」
後ろから梨華ちゃんの追いすがる声が聞こえたけれど、
そんなものはもう耳に入らなかった。
気が付いた時にはそう叫んでいて、楽屋を飛び出していた。
42 名前:白浜雪緒。 投稿日:2002年05月16日(木)20時55分49秒
>>36-41
ヒサブリに交信。
今日はここまでですけれど、お話しはまだまだ続きます。

>33、34
たかいし、次あたりに書いてみようかと考えています。
そのまえに、いしよしを終わらせないと…。

>35
遅くなりましたけど、交信しました。
期待してくださって、有難うございます〜。
43 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月17日(金)05時10分13秒
嫉妬する吉かわいい(w


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