インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板
カオリにおまかせ
- 1 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)07時54分15秒
カオリにおまかせ
- 2 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)07時55分07秒
- ネタ系。
- 3 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)07時56分06秒
- 「カオリの困ったところはね」と保田圭は、移動用のマイクロバスに乗り込むのに時に
傍らの加護亜依に向かって声を張り上げる。
「何でも自分で仕切れると思っているところね。自分が単なる計算機にすぎないことを判らせてあげる必要があるわ」
最近、たんぽぽ、ミニモニとユニット掛け持ちで死ぬほど忙しく、
げっそりしている加護亜依はスケジュール帳をチェックし
早暁の霧のむこうにそびえるテレビ東京局舎をすかすように見た。
保田圭は話し続ける。
「私はそんなこと容認しないわよ、加護。カオリはモーニング娘。のリーダーであり続ける口実作りに、
もう何ヶ月もこんなことをやっているわ。そうはいかないわよ。これは恐喝よ。
加護に忠告しておくけど、これはあなたの仕事・・・」
保田はまわりを見て、口をつぐんだ。
「なぜ出発しないの?」
- 4 名前:◆FT6ETnnQ 投稿日:2002年04月01日(月)07時56分43秒
- 「メンバーがまだ揃ってないんです。ののとリカちゃんと安倍さんも乗せていく予定です」
「加護、これは緊急事態なのよ。たぶんあのコンピュータのリーダーが、いまこの瞬間にも新しい
ハロプロメンバーを作り出しているに違いないわ。あなたひとりでなんとかできるでしょ?ののがいなくたって・・」
加護亜依は深く息を吸って、アクセルを思い切り踏み込み、急発進させた。
そのために保田はあとに続く言葉が言えなかった。
彼女は猜疑の目で加護を睨みつけ、指を威嚇するように振り立てた。
「加護、あなたはカオリの味方のようね」
- 5 名前: 投稿日:2002年04月01日(月)07時57分45秒
- ハローモーニングの収録スタジオに辿り着くまで、保田はわめきつづけた。
「わたしの言うことをよく聞きなさい、加護。1年近くも前に任務を終えてしまった中澤裕子の穴を埋めるために
年間8人もメンバー増員なんて、世間にゃ通らないわ。今度こそ解体作業に取り掛かるべきよ。
カオリがオーケーと言うまで待つんじゃなく。あと2年も3年も先じゃなく。
いまよ、加護。いまなのよ。さもないとそれこそあなたの脱退を進言することになるわ」
- 6 名前: 投稿日:2002年04月01日(月)07時58分28秒
- 加護亜依は溜息をつき、自分が今着ている少し窮屈すぎるたんぽぽの衣装をチラリと見た。
「保田さん」加護は言った。
「2年前、私がモーニング娘。に加入した時、私はけっこう細いほうでした。
それからののがストレスのあまり過食症になった。
マネージャーは四六時中ののの近くにいてのののつまみ食いを阻止するように命じました。
それ以来ですよ。
一向に食べるのをやめようとしないのののために、その都度没収して食べていた私が
ののと同じように太ってしまったのは。保田さん----」
加護は後ろによりかかって、お気に入りのムースポッキーをくわえ、さっきよりだいぶ落ち着いている。
「残念ながら、私にはもうこれ以上太る余地が無いですよ」
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月01日(月)07時59分00秒
- 「モーニング娘。に入る前は何をしていたの?」
「志願したんじゃありませんよ、保田さん。勝手に応募されたんです。
その前はトラック運転手をやってました。加護運送店。
1件1件家をまわって、何か運ぶものは無いか御用聞きをやってまして」
「いくつになるの?加護」
「14です、保田さん。」
「それじゃあ訊くけどね」保田圭はぴしゃりと言った。
「モーニング娘。の最優秀のコンピュータ技師、6年の義務教育を経て2年の芸能生活を経た人間が、
なぜカオリを解体できないの?あなたは自分の経歴を台無しにしているのがわかってないのかしら」
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月01日(月)07時59分39秒
- 「保田さん、私は数ヶ月置きに言ってきましたが、もう一度言いましょう。
飯田さんはハロープロジェクトの重大問題を解決するために作られたもので、
その仕事を果たすまでは、自分自身を解体させることに応じるわけにはいかないんです。
藤本美貴さんのデビューが松浦亜弥ちゃんの生存に脅威を与えていることは認めないわけにはいかないでしょう」
「あなただって私同様にわかっているでしょう、加護---6年生の子供だって今では知ってるんだ---
あの藤本美貴は、そもそもモーニング娘。のオーディションが発生の原因を作り出したのよ」
保田は助手席の方に荒々しく覆いかぶさり、ガムをクチャクチャ噛みながら前方を凝視した。
「飯田さんは、ハロプロの低年齢化を回避するための副産物です。飯田さんがいてくれなかったら---」
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月01日(月)08時00分19秒
- 「あなたのカオリがいてくれなかったら」と保田はどなった。
「そもそもハロプロの危機なんてあるはずが無かったのよ。彼女が数ヶ月にわたるマンネリ化を解決するために
作り出した新メンバーに対処するための結果なんだからね。
あなたのカオリは難問をひとつ解決するたびに、新しい難問をつくりだしている。
私たちに彼女を解体させないようにするために。
まあ、この藤本美貴という問題の新しい解決法が、さらなる問題を引き起こさないよう、手を打つべきね。
さもないとね、加護。もうこれ以上太る余地が無いっていうのなら、今度は私があなたの身の周りの物を
オークションに出品してやる」
- 10 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)08時00分59秒
- 「しかし、それはあんまりですよ。あれはわたしのコンピュータですかね?
なんで私がスケープゴートにならなきゃならないのか。まったくとんでもない話です。
なにも私が飯田さんを作ったわけじゃないんですからね」
保田圭は肩をすくめ、両手を腹の上で組んだ。
まるで判決を言い渡すような動作だった。
「加護、世間の人々は、萌えを求めてる。萌えが必要なら、あなたの乳で持たせてもらうわ」
- 11 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)08時01分48秒
- 加護はムースポッキーをじっと見つめた。ムースポッキーはもうネチャネチャになっている。
心に動揺をきたしたときにいつもそうなるのだが、
コンピュータ室へ近づくにつれ、恐ろしい疑問が頭の中で鳴り響いた。
この数ヶ月間ずっとそうだった。
カオリはすでに藤本美貴の問題を解決してしまった。
次なる問題とはいったいなんだ?
第1話 完
- 12 名前:◆wHaA83h2 投稿日:2002年04月01日(月)08時02分29秒
- やっと連続投稿規制に慣れてきた・・・。
書きづら。
Converted by dat2html.pl 1.0