インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

幼なじみ

1 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)22時42分56秒
矢口と幼なじみの男の視点から見た小説です。
設定とかはゴチャになってるんで気にしないでください。
2 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)22時47分22秒
「やめて、、、タカシ、、、たすけて、、、」
少女の叫びは虚しく響いた。


この町も久しぶりだ、、、と言っても一年ぶりか、、
いつ見ても変わらない町並み、ここが俺は大好きだ。
「まぁとりあえず自宅に帰るか。」
3 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)22時52分01秒
一年ぶりに家のチャイムを押す。
「はい?どなた?」
「俺、ただいま。」
「鍵、開いとるで。」
一年ぶりとは思えないほどそっけない。
ガチャ、ドアを開ける一年ぶりの我が家の匂いだ。
4 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月06日(土)22時58分08秒
さっきから一年ぶりを連発したが結構懐かしいものだ。
そんな風に玄関でぼーっと立ちつくしていたら、、
「てぃやーーー!!!」
何やらこっちに向かって飛びかかってきた。
「ぬぉ!」
ギリギリのところで回避に成功する。
「フッ、、まだまだ甘いな。希美よ。」
ちょっと格好つけた感じで言ってみる。
5 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月07日(日)22時15分07秒
「兄上、お帰りなのれす。」
希美も俺に合わせたような口調で話す。
「うむ、土産は後で渡そうぞ。」
「ははぁーー!」
希美は側転?(本人はそういうつもりなのだろう)しながら消えていった。
とりあえずリビングに向かった俺は母親と再会する。
「あんた、なんやねんその髪の毛は!!」
確かに髪は染めたが金髪のあんたに言われたくはない。
むしろこの場面はもっと感動的なのではないか。
6 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月07日(日)22時23分53秒
母親の第一声を無視して言うべき言葉を言う。
「ただいま、母さん。」
「そんな、母さんだなんて、いつもみたいに裕ちゃんって呼んでや。」
こういう時は無視が一番だ。
「腹減ったなぁ。何か作って。」
「もう、いけずぅ」
本当に母親なのかと思うくらい母親らしくない金髪の女性が何やら台所で調理しながら聞いてきた。
「どうだった?あっちは?」
「うん。ぼちぼち」
7 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)22時20分20秒
そろそろ俺のことを説明しておこう。
俺は中澤隆史、明日から高校三年生。
さっき襲ってきたのが妹の希美、一応中学三年生。
金髪で元ヤンっぽいのが母の裕子。(親のくせに年齢不詳)
ナゼに大阪に一年間行ってたかというと、大阪の母の実家で変な拳法の道場をやってて
そこの後継ぎが俺らしくて師範になるために修行してきたのだ。
8 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)22時29分24秒
まぁ、説明はこのくらいで終わり。
「お兄ちゃん、ののはおみやげが食べたいのれす」
「隆史、土産は?」
帰ってきたばっかなんだから休ませろっての!
「あぁ、後で渡す。」
そう言い残して二階の自分の部屋に向かった。
一応掃除は母がやってくれてたらしく、そんなに汚れてはいない。
とりあえず荷物をおいてベッドの上で大の字になる。
「ふぁぁー、眠い、、、」
旅の疲れかそのまま眠りに入ってしまいそうになった瞬間
ガラッ!窓が勢いよく開く。それと同時に何か飛んできた。
俺はビックリして一気に目が覚めた。
「隆史、お帰り!!!」
9 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)22時34分58秒
希美と同じぐらいの背の少女が俺の前にちょこんと立っていた。
「誰?あんた?」
わざと知らないふりをする。
「たかしぃ、ひどいよぉ、、矢口のこと忘れたのかよぉ、」
「いや、マジで誰?あんた?」
「ひ、ひどいよぉー」
そろそろ止めておこう。
「嘘だよ。ただいま、矢口」
10 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月08日(月)22時40分31秒
この小さいのは矢口真理。
家が隣でガキのころからずっと一緒だった。いわゆる幼なじみというやつだ。
昔は俺も真理ちゃんって呼んでたが、今では照れのせいか矢口と呼んでいる。
何かガキのころ結婚すると言い張ってたらしく、いまだに金髪の母親はその事でいじってくる。
そんな矢口とも一年ぶりの再会だ。
11 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月09日(火)22時00分10秒
「矢口、少しは背が伸びたか?」
「うん!!3ミリ伸びた。隆史は大きくなったね。」
矢口がうれしそうに答える。
「とりあえずさ、疲れってから寝させて。」
「じゃぁ、夜ゆっくり話そうね。」
そういうと矢口は入ってきた窓から今度は帰っていった。
「ふぁ〜やっと寝れる。」
久しぶりに自宅のベッドで深い眠りについた。

・・・「隆史、ご飯よ。」
一階から聞こえた一言で目が覚めた。
12 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月09日(火)22時09分53秒
「おかわりなのれす!」
    ・
「おかわりなのれす!!」
    ・
「おかわりなのれす!!!」
俺はその光景にしばし見とれていた。
俺の知っている希美はこんな大食らいじゃなかった。
もっとおしとやかだったはず。
「おかわりなのれーっと、お兄ちゃんそれ食べないならののがもらってあげます。」
「食べるに決まってんだろ!お前食い過ぎなんだよ。」
「何を言うのれすかお兄ちゃん!腹が減っては戦はできないんれすよ!!」
「普通の人間ならもう満腹だろ!」
「二人とももっとお行儀よく食べや。」
めずらしく母親らしいことを言う。
そんなやりとりも楽しみながら俺は久しぶりに母の手料理を食べた。
13 名前:名無し娘。 投稿日:2002年04月19日(金)13時06分59秒
テンポがいいし、設定が変わってておもしろい。
続き待ってるよ。
14 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月22日(月)21時58分29秒
夕飯を食べたらしばらく一家団らんといった感じで土産話に花を咲かせていた。
その後は、テレビを見たり風呂に入ったりとふつうの生活スタイルだった。
希美が土産(食べ物系)を食べる幸せそうな顔を見ているとやっと帰ってきたんだ。
と、実感がわいてきた。
そんなこんなしていると、もう10時だ。
俺は二階の自分の部屋に戻った。
15 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月22日(月)22時05分59秒
部屋に戻ると予想通り矢口が待っていた。
「幼なじみだからって、勝手に部屋に侵入すんなよ。」
「いいじゃん、久しぶりなんだからぁ」
「あほ、甘えんな。」
「あはは、隆史は変わってないね。」
「そうか?」
「そう、クールというか毒舌というか、、」
「お前は相変わらずチビだな。」
「もーー!!言うなー!!」
16 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月22日(月)22時14分19秒
矢口とはいろんな話をした。
どうやら俺がいない間にいろいろあったらしい。
俺は正直、嬉しかった。
矢口とこんなに話したのもかなり久しぶりのような気がする。
矢口が帰っていったのは午前1時だった。
明日から学校、新学年だ。もう寝よう。Zzz,,,
翌朝、母親にいじられたのは言うまでもないだろう。
17 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年04月23日(火)20時50分52秒
初めまして。
こうゆう設定は見た事が無いのでとても楽しみです。
色々大変だと思いますがマターリとがんがってください。
18 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月24日(水)21時00分36秒
・・・朝だ。まだ眠い、、大阪ではもっと遅くまで寝てたのになぁ。
時計を見ると7:00だ。後ちょっと寝られる。そう思いながらもう一度ベッドに潜り込んだ。
ガラッ!ドテッ!!ちっこいのが飛び込んできた。
「あいたたたー、隆史、朝だぞ。起っきろーー!!」
(シカトしとこ。)
「朝だぞ。起っきろーー!!!」
(うるせぇ、、、)
「起っき、、、」
「だぁー!お前は目覚ましか!」
「おはよ。隆史。」
矢口が微笑んでいる。
19 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月24日(水)21時08分51秒
「何だよ。朝っぱらから。」
「何だよって今日から学校じゃん。急いで支度しなきゃ。」
「そんなことわかってるよ。お前は俺の母親か?」
「みたいなもん。」
一階へ降りて顔を洗い、髪を整え、朝飯を食べる。約20分で終了。
「朝からラブラブやねぇ。」
「うっせえよ。それより希美は?」
「今日は学校休みやから、加護と遊びに行ったで。」
そうだ今年からあいつら土曜も休みだったっけ。
俺もそうならないかなぁ。
20 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月24日(水)21時20分35秒
「隆史ぃ〜、急げよ〜。あ、裕ちゃんおはよ。」
「何や。あ、ってのは」
「矢口、先行っとけよ。俺は後で行くから。」
「隆史!!母さんはあんたをそんなに冷たい子に育てた覚えは、、、」
また長い話が始まりそうだ。そんなの聞いてたら遅刻しちまう。
俺は急いで着替えて準備オッケーだ。
「行くぞ矢口!!」
「うん!!」
俺達は元気よくドアを開けた。
21 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月24日(水)21時30分43秒
大阪でも高校には行ってたがほとんど修行で行かれなかった。
俺は一年ぶりにあの学校へ登校する。
俺は自転車の荷台に矢口を乗っけて走り出した。
昔から変わらない登校風景だ。
「相変わらず軽いなぁ。お前は。」
「エヘヘ、、」
途中、矢口から学校の話を聞いた。
俺は矢口と同じクラスで担任は一年の時と同じ石川先生らしい。
梨華ちゃん、少しはポジティブになったかなぁ。
22 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月24日(水)21時38分44秒
そうこうしてる間に学校に到着した。
俺は自転車置き場にチャリを止めて矢口をおろした。
「いやぁ〜久しぶりだなぁ。」
「だね。うちらも今日から3年だよ。ま、クラス替えはないけど。」
「じゃ、さっそく教室に行くか。」
矢口と一緒に教室へ向かう。友達に会うたび「久しぶり。」と言われる。
「ここ、3年3組。」
23 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月25日(木)21時53分47秒
教室のドアを開ける。
久しぶりに見る光景だ。みんなの視線が俺に注がれる。
「よっ!みんな久しぶり!!」
「隆史ーー!!!!」
予想外の大歓声だ。まぁ、忘れられるよりマシだ。
友達との再会に5分ほど時を忘れていたが、我にかえり席へつく。
俺の席は窓側の一番後ろ。ナイスな位置だ。
隣を見ると、まだ8時なのにすでに居眠りしてる奴がいる。
「相変わらずだな、後藤。」
24 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年04月25日(木)22時05分27秒
「ふぁ〜。あれぇ、隆史じゃん。いつ来たの?久しぶりだね。」
「あれだけの大騒ぎでよく寝れたな。」
「後藤はどこでも寝られるの。」
後藤真希はいつもマイペースな奴。中学からの付き合いだ。
「よかったね、やぐっつぁん。隆史が戻ってきて。」
「ご、後藤何いってんのよ!!」
矢口は顔を赤くする。これも昔から変わらない、朝のやりとりだ。
それからしばらく友達とダベってたら教室のドアが開き先生が入ってくる。
「はぁ〜い、みなさん。おはようございます。チャーミーで〜す!!」
25 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月03日(金)21時37分50秒
違う、明らかに違う。この女性は石川梨華ではない。
そっくりさんだ、絶対にそうだ。
俺の思考回路が結論を出し終えたところで親友である徹也が話しかけてきた。
「梨華ちゃん、変わっただろ。」
「えっ、そっくりさんじゃないの?」
「そんなわけねぇだろ。」
「あれがあの梨華ちゃん?」
「そう、お前が大阪行くとき、ポジティブになれ。って言ったろ。それからあんな風になったんだよ。」
そういえば、そんなことも言った気がする。
石川梨華という教師は生徒の質問に答えられないくらいで、3日も考え込んで欠勤するほどのネガティブだった。
26 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月03日(金)21時48分00秒
「・・君、・・史君、隆史君!」
「ふぁ?」
担任の変身ぶりにボー然としてた俺は不意に変な声を上げてしまった。
「どうしたの?ぼーっとして。もしかしてチャーミーに見とれてたの?」
そうだ、ここでちょっと実験をしてみよう。
「梨華ちゃんに見とれるわけがないじゃないですか。」
さぁかかってこい!ポジティブ石川!
「そうだよね、、、私なんか魅力ないよね、、、」
あれ、、、ヤバイ、ネガティブじゃん。
「嘘ですよ。実は梨華ちゃんに見とれててボッーっとしてたんすよ。」
「やっぱり!?魅力の塊チャーミー石川だもんねぇ」
何者なんだ?こいつは?
27 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月03日(金)21時56分07秒
一年とは長いものだ。人間の性格をあそこまで豹変させるとは。
そんなちょっと哲学的なことを考えながら始業式を終えた。
あとはちょっとしたホームルームやってすぐ下校になった。
「お〜い矢口、帰ろうぜ。」
「ごめん。委員会の集合があるから帰れないの。」
「そっか、徹也は部活だし後藤はもういないし、今日は一人か」
「ごめんねぇ。」
そう言い残し矢口は委員会に行った。
俺は帰宅の準備を終えて教室を出ようとしたら誰かが走ってきた。
「せんぱ〜い。お久しぶりですぅ。」
28 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月04日(土)22時34分32秒
その少女は俺が言葉を発する前に抱きついてきた。
「げっ!松浦!!」
今俺に抱きついているこの可愛らしい少女は松浦亜弥。
中学校時代の後輩で俺のことが相当お気に入りだったらしい。
「何でお前がこの学校にいるんだよ!?」
言っちゃ悪いが亜弥の学力ではここは厳しかったはず。
「先輩と同じ高校に行くために松浦メッチャ勉強したんですよ。
 そしてやっとの思いで入学したと思ったら
 先輩大阪に行っちゃったっていうじゃないですか」
亜弥は嬉しそうな顔でマシンガントークをくりひろげる。
「あれ、先輩。もしかしてお一人ですか?」
「あぁ、みんな用事があってな。」
「奇遇ですねぇ、松浦も一人なんですよ。一緒に帰りませんか?」
松浦はニヤっとこっちを見る。
29 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月04日(土)22時39分38秒
今後の参考のためにどなたか感想くれませんか?
図々しいようですみません。
30 名前:読者その1 投稿日:2002年05月05日(日)02時20分44秒
敢えて年齢設定が違うのが良いかも
期待しちょります
31 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月08日(水)12時12分12秒
どーもひさぶりっす。
前にも書きましたがなかなか無い設定なのでとても期待してます。
他のメンバーがどう登場するかなど色々悩み所は有ると思いますが
がんばってください。
32 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月08日(水)21時37分54秒
>>30 読者その1さん
年齢設定のことは気にしてたんで、そういってもらって助かります。

>>31 ロ〜リ〜さん
いつもありがとうございます。まだ前半なので新キャラを無理に増やすかも、、、
それでは本日の更新です。
33 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月08日(水)21時45分29秒
ここまできたら断れないだろう。まぁ、一人で帰るよりマシか。
「いいよ、帰ろうか。」
「マジで!?先輩サイコー!」
「はは、、(相変わらずテンション高いなぁ)」
俺と松浦の家は隣同士、つまり松浦家と矢口家が俺の家を挟んでいるわけだ。
だから帰り道は一緒である、、はずなのだが。
「おい、こっちは家の方向じゃないだろ。どこ行くんだよ?」
「ただ帰るだけじゃつまんないじゃないですかぁ。」
「はぁ?お前は何を考えてるんだ?」
「ちょっとデートしていきましょ♪」
34 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月08日(水)21時56分20秒
「デートォ?何言ってんだよ。帰るぞ。」
「あ〜、先輩は私のこと嫌いなんだ、そうなんだ、、」
グスッ、、グスッ、、
(や、やばいぞ、この雰囲気は。)
「嘘だよ松浦。そうだな、久しぶりにデートしてくか。」
また自分の甘さが情けなく思えてきた。
「ホント!?やったーー!!」
・・・コイツ、嘘泣きかよ。予想はしてたけど。
「じゃぁ、もう一つお願いしていいですか?」
「図々しい奴だな。何だよ?」
珍しく松浦がしり込みしている、顔もなんだか赤いようだ。
「え〜とぉ松浦じゃなくて、、あややって呼んでください。」
35 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月11日(土)17時58分10秒
はじめまして〜!
ヤグチは、このたかし君が好きなんですか?
36 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月12日(日)21時10分41秒
>>35 名無しさん
ネタバレするのもなんですがぶっちゃけ好きです。
そこで、矢口の素直になりきれない部分をうまく書ければいいのですが。

それでは更新スタート!
37 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月12日(日)21時19分57秒
「はぃ?なんだって?もう一度。」
「だからぁ、あややって呼んでくださいって。」
松浦は顔を真っ赤にしてうつむいたままでいる。
「な、なぜ!?松浦じゃダ、ダメなの!?」
突然のことで俺もすっかりあわててしまった。
「ダメです、、あややって呼んでもらいたいんです!!」
最後の方はやけくそといった感じであろうか。
・・・しばらく沈黙・・・
「わ、わかったよ。じゃぁ、二人の時だけだぞ。」
「ワーイ!胸キュン♪」
こうして松浦、、じゃなくてあややとのデートが始まった。
38 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月12日(日)21時21分47秒
更新スタートって言っておきながら忙しいので今日はここまでです。
スミマセン(謝)
39 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月18日(土)22時32分31秒
デートは問題なく(?)進んでいった。
ふつうにファーストフードを食べたり、ふつうに買い物をしたり
ここら辺はそこそこ都会なので店にも困らない。
彼女は相当楽しいらしく俺の腕を離そうとしない。
まぁ、ぶっちゃけこんなにかわいい子に腕をつかまれて悪い気はしない。
そんなこんなで日も沈みかけてきた。
「松、じゃなくてあやや、そろそろ帰ろうか。」
「えー!もっとデートしましょうよぉ。」
「もう充分しただろ、時間も時間だし帰るぞ。」
あややは顔をブーッと膨らませていた。
駅前に止めておいたチャリを取りに行くために俺は長い通路を歩き出した。
(こんなところ矢口に見られたらヤバイだろうなぁ。)
こんなのんきなことを考えながら駐輪場へ着いた。
「ワーイ、また先輩と二人乗りだぁ。」
俺はため息をつきながらあややを後ろに乗せて出発した。
40 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月18日(土)22時41分06秒
家までは約20分といったところだ。
松浦は(本人が気づいてないときはこう呼ぶ)
疲れてしまったのか俺の背中にしがみつきながらクークー寝ている。
俺の方が寝たいぐらいだよ、まったく。
時計は7時をさしている。4月はこれぐらいでもあたりは暗い。
家の前の登り坂にさしかかった頃あややを起こした。
「おい、あやや起きろ。家だぞ。」
「ふぁーい、よく寝たなぁ〜」
さすがに二人乗りではきつい坂なので俺はチャリを押しながら登った。
はー、やっと家だよ。疲れたなぁ。
幸せな気分で家の前に来たときちょうど一台の車も止まった。
41 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月18日(土)22時43分27秒
本日はここまでだんだんおもしろくなっていく、かな?
42 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月21日(火)22時36分36秒
そのどこか見覚えのある車から二人の女性が降りてきた。
・・・一番会いたくなかった二人だ。
「あ〜、石川先生に矢口先輩じゃないですかぁ。」
「な、何で二人がこんな所にいるんだよ!?」
この状況はおそらく、いや絶対に誤解されるだろう。
「委員会で帰りが遅くなったから梨華ちゃんに送ってもらったのよ
 二人はデート?楽しそうねぇ・・・」
「先輩よくわかりましたねぇ。そうですデートです。デ・イ・ト」
松浦は俺の腕にしがみついてくる。
「わ、やめろ。松浦!だからこれには事情があって、、」
俺が必死にその事情を説明しようとしたらあのアニメ声が
「えっ!!隆史君と松浦さんって付き合ってたの!?
 私、全然知らなかったわ!!」
「イヤだから事情があるって、おい!矢口どこ行くんだよぉ!」
「ここは私の家よ帰るに決まってるじゃない。梨華ちゃんアリガト。」
「は〜い、みなさん、サヨ〜ナラ〜。でもチャーミー本当に知らなかったわ。」
そういってアニメ声の話を聞かない担任は去っていった。
43 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月21日(火)22時48分58秒
「先輩、今日はありがとうございました。またデートしましょうね。」
そう言って松浦は家に入っていった。
俺はグッタリとしながら玄関のドアを開けた。
「てぃやーーーー!!!」
ズボッ!!グハッ!・・・・・・・・
不覚にも希美のキックをモロにくらってしまった。
「お、お兄ちゃんだいじょうれすか?ごめんなさい。」
「お前なぁ、自分からやっといて謝るなよ。」
ふらつきながら部屋へ行く。矢口の部屋のカーテンは閉め切っている。
着替えをすませリビングへ向かうと母親がにやつきながら
「隆史、矢口とけんかしたろ。矢口怒ると階段ドタドタ登るから
 すぐわかるでぇ、裕ちゃんは。」
「はぁ、どうでもいいからとりあえず飯くれ。」
「はぁ〜い。フフッ、、」
後で誤解を解いておかなくちゃなぁ。まったく松浦も困った奴だトホホ、、
44 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月21日(火)22時53分24秒
スンマセン。訂正です。
誤「お、お兄ちゃんだいじょうれすか?ごめんなさい。」
正「お、お兄ちゃんだいじょうぶれすか?ごめんなさい。」

アンケートなんですけどそろそろ新キャラ出そうと思ってます。
それでもし良かったら誰がいいかリクエストください。
(なるべくなら娘。がいいです。)
ご協力お願いします。
45 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月25日(土)16時24分34秒
たのしいです
46 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月26日(日)21時41分27秒
>>45 名無しさん
     レスありがとうございます。

だけど本当にレス少ないなぁ、、見てる人そんなにいないのかなぁ、
47 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月26日(日)22時18分17秒
>>46
いや、読んでるし更新楽しみにしてますよ。
小説板は元々レス少なめだし、まだ40台だから
こんなもんでしょ。
48 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月27日(月)00時37分48秒
そうそ。ここって読んでる人けっこう多いよ。
49 名前:名無し君 投稿日:2002年05月27日(月)02時14分37秒
リクエストか・・・。矢口も松浦も石川も出てるとなると迷うんだけど
ここは藤本でお願いします。
50 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月27日(月)22時11分25秒
>>47 名無し読者さん
そうなんですか。初めて小説書いたんでレスが少なくて悩んでたんで。
楽しみにしてるって言ってもらってかなり嬉しいです。

>>48 名無し読者さん
マジですか!?読んでくれてる人が結構いただなんて感動しました。

>>49 名無し君さん
リクエストありがとうございます。
藤本ですか、キャラとしては大人っぽいイメージかな?    
51 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月27日(月)22時23分09秒
飯を食い終わってリビングでテレビを見ながらボーッとしていたら
「お兄ちゃん、ちょっといいれすか?」
希美が何やら寂しそうな顔で聞いてきた。
「どうしたんだよ暗い顔して。」
「お兄ちゃんはののが嫌いれすか?」
「何言ってんだよ。俺が希美のこと嫌いなわけないだろ。」
「でも、帰ってきてからののとあまり遊んでくれないのれす。」
そう言えば、希美と何もしてないなぁ、、
「よし、わかった!今度の日曜兄ちゃんとどっか行くか!」
「ほんとれすか?絶対れすよ、絶対!!」
希美の顔が一転して満面の笑顔になる。
希美はいつものテンションに戻りスキップしながら部屋に戻っていった。
「いいお兄ちゃんやなぁ。あんたは。」
「兄貴としては当然のことをしたまでだよ。」
さぁ、次は今夜のメインイベントだぞ。
52 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月27日(月)22時33分05秒
二階への階段をおそるおそる上り、深呼吸してから部屋のドアを開ける。
案の定、矢口が腕を組み、腰をすえて待っていた。
「隆史君、今日は楽しそうだったねぇ。」
まずい、、このテンションは相当キレてるぞ。
「だ、だからさぁ、ちゃんと理由があったんだって。」
俺は教室で松浦に会ってからデートに至るまでの話をした
・・・もちろんあややと呼んだことは話さなかった。
「ふ〜ん、つまり嘘泣きにだまされたんだぁ。」
「あれは絶対泣いてるようにしか見えないってば!!」
俺の方が泣きたい思いになりながら必死の弁明は続いた。
約30分後、そろそろ矢口も落ち着いてきたころだ。
「まぁいいわ。許してあげるけど条件があるわ。」
「許してもらえるなら何でもします。」
「じゃ、今度の日曜に私とデートしなさい。」
なんだ、その程度のことか。あれっ?
「ごめん日曜は希美と出かける約束しちゃった。」
「ののがいるならちょうどいいわ私もついていく♪」
53 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月28日(火)21時42分24秒
それからまたふつうの日々が続いた。
朝から後藤にからかわれる矢口を見て笑い、
休み時間のたびに松浦が俺の教室までやってきて俺に抱きつき、
1年前では考えられなかったテンションで石川先生の授業が進み、
俺はというと、親友の河田徹也と遊びまくっている。
ふぁ〜、何か物足りない日々だなぁ。
そんな金曜日のことだった。
54 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月28日(火)21時50分41秒
退屈な午後の授業も終わった放課後、
いつも通り部活もない俺はさっさと帰ろうと思ったが
「先輩、今日の放課後ひまだったらテニス部来てくださいね〜。」
・・・松浦がそんなこと言ってたっけなぁ。
俺は中学時代テニスをやっていた一応部長だった。
そもそも松浦は俺がいたからテニス部に入ったんだっけ。
大阪に行ってからは修行でテニスどころじゃなかった。
「久しぶりにテニスでもするかなぁ。」
ラッキーなことに徹也もテニス部だったのでちょっとはやらせてくれるだろう。
何となくドキドキしながらテニスコートへ向かおうとすると、
「たっかし〜!ちょっと話があるんだ!!」
後藤だ。まだいたんだ。
55 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月29日(水)01時15分52秒
>>44
娘。同士か、娘。+ハロプロメンバーという
カップリングが多い小説板で主役を矢口一人に絞り
相手を男にしたのは異色で面白い。
よってここは、娘。メンバーや娘。OB、平家、松浦など
よく出てくる面子ではなく、藤本、石井など他では
あまり出てこない人が良い。
娘。でなら、紺野あたりかなあ。
56 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月30日(木)22時12分58秒
>>55 名無し読者さん
異色ですか、自分ではあまり意識してなかったんですけど。
お褒めの言葉ありがとうございます。
藤本は人気なのでそろそろでてくるかも、、、
57 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月30日(木)22時16分54秒
「めずらしいな、お前が俺に話なんて。」
「なんか、私のこと馬鹿にしてない?まぁ、話があるのは私じゃないけど。」
「え、どういうことだよ?」
さっぱり話が理解できない。でも、後藤はこれだから良いんだけど。
「ミッキー、入っておいで♪」
後藤がドアの方に向かって呼びかけるとやや背が高く、
大人びた感じの少女が入ってきた。
「藤本美貴ちゃん。私の友達で2年生だよ。」
「はじめまして、藤本です。」
2年生かぁ、とてもあの松浦と同い年のようには見えないなぁ。
58 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月30日(木)22時24分26秒
「あ、どうも中澤隆史です。」
「先輩のことは後藤先輩から聞いてます。
 亜弥ちゃんと付き合ってるんですよね。」
「後藤!よけいなこと言ってんじゃねぇよ!まったく。
 俺と松浦は付き合っていません。」
後藤は本気で怒る俺を見て大笑いしている。
しかし、この藤本さんはあれと友達とは思えないほど大人びている。
「でさぁ、話って何かな?」
「先輩は河田先輩と親友ですよね。」
「河田って徹也のこと?まぁ親友だね。」
「私、河田先輩のことが好きなんです。」
59 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年05月30日(木)22時32分08秒
「徹也のことが好きぃ〜!?マジで言ってんの?」
「はい、本気です。」
あっさりと言われてしまった。
たしかに徹也は顔もよく、運動もでき、頭もいいの3拍子そろっていて
女子には結構人気があるのだが、奴の本性は女好きでエロい。
このことは親しい友達でないとわからないが、、、
「で、俺にそんなこと言ってどうするのさ?」
「あんた鈍感だねぇ、まだわかんないの。
 ミッキーはあんたの力で徹也とくっつけてほしいって言いたいの!」
後藤が急に話に割り込んでくる。
「くっつけるだなんてそんな、、、」
藤本さんは恥ずかしそうに下をむいている。
60 名前:名無し 投稿日:2002年06月02日(日)04時43分48秒
矢口主役の作品だから、矢口びいきじゃない自分は
楽しめないと思って期待せずに読んだけど、面白い。
今後の展開に期待してます。
61 名前:特大ホームラン 投稿日:2002年06月02日(日)23時00分34秒
あややが純粋な女になってる。(別に本当はヤバイわけではない)
ヤグたんは相変わらず
梨華ちゃんも相変わらず
ののも相変わらずパクパク食べてる
ミキティは……今はよくわからん
だから……早く書き込んでもらえると嬉しいです!
62 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月03日(月)21時37分33秒
>>60 名無しさん
ありがとうございます。
自分的には矢口だけでなくいろんなキャラを使いたいと思ってます。

>>61 特大ホームランさん
テストが近いので、更新が遅れております。スンマセン。
藤本は自分でもまだよくわかりません(爆)
63 名前:特大ホームラン 投稿日:2002年06月03日(月)23時10分01秒
テスト頑張って下さい。
終わったらいっぱい書いてくださいね!
待ってますよぉー!
64 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月05日(水)21時39分48秒
テスト終わったんで、ちょこっと更新。
65 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月05日(水)21時50分38秒
「くっつけると言ったもねぇ。どうすりゃいいんだ?」
俺は生まれてから一度も男と女をくっつけたことはない。
「それは、隆史が頭をひねるしかないでしょ。」
「そう言ってもだなぁ、後藤。藤本さんはどうしたいの?」
やっぱりここは肝心な藤本さんに聞くしかないだろう。
「私はただ、少しでもお話ができればいいです。」
「う〜む・・・?」
まさかこんなことで、頭を使うとは思ってもなかったが
かわいい後輩の頼みだからどうにかしてやりたいけど、、、!
よし、これしかないだろう!
「俺が徹也に直接言ってきてやるよ。それが一番早いし。」
「え!でもそんな急に、心の準備が、、、」
「ミッキー、何言ってるのせっかくのチャンスなんだから。」
「はい、、わかりました。お願いします。」
「うん。じゃあ藤本さんは校門で待ってて。
 部活が終わったら徹也に行くように言っておくから。」
そう言って俺はダッシュでテニスコートへ向かった。
66 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月05日(水)22時02分00秒
テニスコートは男2面、女2面の計4面である。
男の方が奥で練習してるので女子の後ろを通っていくしかない。
頼むから、気づかないでくれよぉ〜・・・
「あっ!隆史せんぱ〜い!!」
俺の願いは天に届く前にかき消されてしまった。
「よ、よぉ。松浦じゃないか。奇遇だな。」
「照れないでくださいよぉ。あややのこと見に来てくれたんですよね。」
松浦は相変わらずキラキラした瞳で見つめてくる。
「今日はそうじゃなくて徹也に用があってな。」
「そんな〜。じゃあ、河田先輩への用事が済んだら
 私と試合しませんかぁ〜?」
またこいつは変な展開に持っていこうとする。
だけど、ここで断ったら嘘泣きとかされて余計に変な展開になるかも。
「いいよ、やってやるよ。時間があったらな。」
「やったー!!先輩逃げないでくださいよ。」
松浦に付き合ってると何だかペースが狂うなぁ。
おっと、そんなことより徹也の所に行かなくては。
67 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月06日(木)22時31分57秒
松浦の壁をくぐり抜けて俺は徹也の所へたどり着いた。
ちょうど男子は練習が終わったころだった。
「隆史じゃん。めずらしいな、部活中にお前が来るなんて。」
「テニスやりたかったんだけど終わっちゃったみたいだし、
 時間もそんなにないしな。」
「何言ってんだよ。意味わかんないぞ。」
徹也は不思議そうな顔をしている。
「お前、かわいい後輩と帰りたい?もちろん女。」
「そんな人がいればぜひご一緒したいけど、、、、いるの!?」
俺は疑っていることが一目でわかるような顔をしている徹也にこれまでの経緯を説明した。
「マジで!?超ラッキー!その藤本さんって子は校門で待ってんだよな。
 急いで行かなくては。」
徹也は陸上部なみの猛ダッシュで校門へ向かっていった。
68 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月06日(木)22時43分04秒
はぁ〜、良いことした後は気持ちがいいなぁ〜。
よし、二人の様子でもこっそり見に行くかな。
「せ〜んぱい♪何してるんですか?」
くそ、、やっぱり見つかったか。俺は恐る恐る声のする方を振り返った。
「あ、松浦か。練習終わったの?お疲れさま。」
「先輩、、もう誰もいないから気にしないであややって呼んでください。
 じゃ、約束通り試合しましょう。」
そう言えばそんな約束したっけ、めんどくさいな〜。逃げるか。
「そうだねあやや、それじゃ試合しよう。っと思ったけどそれじゃ。」
俺も徹也と同じように陸上部なみの猛ダッシュで逃げた。
「あ!!先輩の嘘つき〜!!!」
松浦の声は虚しくテニスコートに響いていた。
69 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月08日(土)22時08分16秒
・・・ハァ、ハァここまで来れば安心だろう。
俺は木に隠れて徹也と藤本さんの様子を見ていた。
おぉ!こうやって見るとなかなかお似合いではないか。
うん、うん。俺って恋のキューピットかも。
その時、後ろに人の気配を感じた俺は松浦かと思いとっさに逃げる体勢をとった。
すると気配の正体は松浦ではなく後藤だった。
「た〜かし。ありがとね。ミッキーのお願い聞いてくれて。」
「かわいい後輩の頼みは断れないからな。それに意外と楽しかったし。」
すると二人は手をつないで一緒に帰っていった。
「もう手なんかつないでやがるぜ。まったくアツアツだこと。」
「ふぅ〜ん。そういうあんたとやぐっつぁんもアツアツだよね。」
「だぁ〜、うるせぇな!!せっかくいい雰囲気だったのに。」
俺はすぐ顔にでるタイプなのでおそらく顔は真っ赤だろう。
「二人とも何してんの?一緒に帰ろ。」
噂をすると何とやら矢口が委員会を終えてやってきた。
後藤はいつまでも俺の方を見ながらニヤニヤしてました。
70 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月08日(土)22時23分35秒
土曜日の夜
「お兄ちゃ〜ん。明日どうするのれすか?」
「希美、そのことだけど矢口も一緒でいいか?」
そう明日は約束のおでかけ(デート)の日である。
「矢口さんれすか〜?う〜ん。」
「な、頼む。いつも仲いいから大丈夫だろ。」
「ののはもちろんオッケーなのれす。」
(矢口さん、お兄ちゃんは渡さないのれす!!)
俺はその時希美の瞳の奥の方で何かが燃えているような気がしたが
気にしないことにした。
「じゃ、駅の近くの繁華街にでも行くか。」
「わーい!ののはレストランにも行きたいれす。」
「わかった。わかった。だから今日は早く寝ろ。」
希美はへいっ!っと返事をして部屋に戻っていった。
俺も部屋に行き矢口と明日の予定をたてて、寝ることにした。
すると矢口からメールが来た。隣にいるんだから直接言えばいいのに。
「明日楽しみにしてるからね♪寝坊するなよ!」
71 名前:特大ホームラン 投稿日:2002年06月09日(日)19時55分31秒
がんばれぇー!
特にあややとヤグたんに
72 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)20時56分03秒
一緒に暮らすなら
73 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月10日(月)22時02分13秒
都合により本日は更新できません。(謝)

>>71 特大ホームランさん
いつもレスありがとうございます。
自分的にもその二人は中心にしていきたいと思っております。

>>72 名無し読者さん
一緒に暮らすなら・・・?もう一度書き込んでくれるとうれしいです。
74 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)22時08分17秒
あれ、ご存知ありませんか?
『一緒に暮らすならどの娘?』
75 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月10日(月)22時14分11秒
>>74 名無し読者さん
スミマセン。実は作者まったくの初心者なんで知りません。
「一緒に暮らすならどの娘?」って何ですか?教えてください。(願)
76 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)22時18分52秒
ぐーぐるとかで検索したら分かると思います。
77 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月11日(火)21時16分14秒
わかりました。「一緒に暮らすならどの娘?」
この小説も同じような物ですね。
78 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月11日(火)21時28分30秒
次の日の朝・・・
「お兄ちゃーーん!!朝れすよ!!!」
「たっかしー!!早く起きろーーー!!!」
朝っぱらから大音量のステレオかよ。わかったよ、起きるよ。
「ふぁ〜、よく寝た。二人とももう準備できてんの?」
矢口と希美はすでに着替え等をすましている感じだ。
「寝坊すんなってメールしたじゃない。」
「お兄ちゃん早くしないとバスに遅れるよ。早く準備しないと。」
「あぁ、じゃ矢口、俺準備できたら呼びに行くから家戻ってろよ」
矢口は「急いでね。」と言い残し窓からいったん家に戻っていった。
「希美、朝飯はできてるの?」
「お母さんは寝てるし、ののは自分で作って食べちゃった。」
「ってことは、朝飯抜きかよ!?」
あの母親を今にもたたき起こしてやりたいがもうそんな時間はない。
俺はとりあえず急いで身だしなみを整えた。
「よし、準備できたぞ。希美行くぞ。」
「へいっ!!!」
79 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月17日(月)21時41分15秒
母親に置き手紙だけ残して家を出て、矢口の家のインターホンを押そうとしたら、
「矢口さーーん!!行きますよーーー!!」
「おい、希美朝っぱらから大声出すなよ。近所迷惑だろ。」
「てへっ。」
はぁー、今日も一日中大騒ぎになりそうだ。
もともと、今日は俺と希美だけのはずだったのに矢口までいるしさ。
そういえば、矢口が来るはめになったのも松浦がいけないわけで、、、
俺がブツブツ一人で愚痴を言っていると矢口が出てきた。
「よしっ!!それじゃ、行きましょ。」
俺は鬱になりつつも二人とバス停に向かった。
80 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月17日(月)21時49分33秒
うっ!?両脇に変な感触がするぞ。これはもしや、、、
思った通り右腕に矢口、左腕に希美がしっかりと抱きついていた。
「おっ、おい!やめろよ。歩きにくいだろ」
「ほら、のの。隆史が困ってるから離しなさいよ。」
「それなら矢口さんが離れてくらさいよ。
 本当なら今日はののとお兄ちゃんだけで矢口さんはいなかったんですから。」
早くも二人の間にはバチバチと火花が散っているようである。
「だったら二人とも離せばいいことだろ。」
俺があきれたように言うと、やはり両脇から俺に向けての殺気が感じられた。
「あはは、今日は特別だから二人とも離さないいでいいですよ、、、、」
81 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月18日(火)00時21分40秒
おお! 更新されている!
毎日見に来ている甲斐があった。
これで今夜は楽しく寝れる(w
82 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月18日(火)21時30分38秒
>>81 名無し読者さん
いろいろあって更新が遅れてました。
毎日見に来てくれていたのにすいませんでした。
83 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月18日(火)21時43分31秒
常に二つの殺気を感じつつバスを待っていたら
むこうから遠目で見ても「ネガティブだよ。」ってオーラを放っている女性がやってきた。
あっ、よく見たらあれは梨華ちゃんではありませんか。
矢口も梨華ちゃんに気づいたらしく俺達は不思議そうな顔で見合っていた。
「梨華ちゃんどうしたんだよ?ネガティブモードじゃん。」
「そうよ、何かあったの?梨華ちゃん。」
彼女はようやく俺達のことがわかったらしくビックリしている。
「あら、隆史君に矢口さん。それにののちゃんじゃない。久しぶりね、、」
「石川先生、こんにちは。」
希美は時々俺の学校に遊びに来るので梨華ちゃんとは面識がある。
「だから先生、どうしたの?って聞いてんの。」
矢口はネガティブ石川が苦手らしい。
「・・・・人間って悲しいよね、、、」
84 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月18日(火)21時59分29秒
あぁ、またこの台詞か。一年前も何回聞いたことか。
ネガティブ石川の口癖であり名(迷)台詞だ。
「だって人間は何の罪もないのに虫歯になるんだよ!」
・・・バスはまだかなぁ。by矢口、隆史、希美
「ちょっとみんな、私の話を聞いてるの!?」
「梨華ちゃん、いい歳して虫歯なの?」
無視してるとうるさくなりそうなので俺が質問してやる。
「そう、この間からずっと奥歯の方が痛くて腫れてきたのよ。」
そういえばさっきから顔を隠すようにしてると思ったらそういうことか。
すると梨華ちゃんなど気にせずに矢口と話していた希美が
「じゃ、そこの歯医者に行けばいいのれす。」
そうだ、よく考えればここは○○歯科前のバス停だ。
梨華ちゃんはバスに乗るんじゃなくて歯医者に来たのか俺はそう思った。
「だって近所の歯医者さんに行ったら、この顔が見られちゃうじゃない!」
一体こいつは何を考えているんだ?3人がそう思ったであろうその時、
「だからバスで遠い町の歯医者さんに見てもらうの♪」
85 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月21日(金)21時24分07秒
この人はある意味すごい人だ。常人では考えつかないような
とてつもないことを時に言い出す。今回もそうだ。
「梨華ちゃん、そこの歯医者さん行きなさい。」
あきれた矢口が諭すように言う。
「でも矢口さん、この顔が見られたら恥ずかしくて外を歩けないわ。」
「それじゃ顔隠しておけばいいでしょ!だいたいね、、、」
久しぶりに聞いた、矢口のポジティブ説教だ。
矢口はネガティブ石川が出現するとポジティブにさせるために
いつのまにか説教じみたことを言い出すようになった。
「ポジティブ、ポジティブ、ポジティブ」
「お、お兄ちゃん怖いれす。先生が壊れたのれす。」
本当に壊れたレコードのようにポジティブを連呼している。
「梨華ちゃん、そこの歯医者さんに行くよね?」
矢口が一種の催眠をかけたように梨華ちゃんに問いかける。
「当たり前じゃない!!そこに行かずしてどこに行くというの!」
86 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月21日(金)21時30分19秒
「みなさん、また学校で会いましょ♪」
そう言い残して造られたポジティブ石川は歯医者へ入っていった。
「相変わらずすげーな。お前の説教は。」
「矢口さん、かっこいいれす。」
矢口はほめられて、上機嫌だ。それにしてもバスはまだ来ない。
三人は特にすることもなくしゃべりながらバスを待っていた。
周りから見たらお兄ちゃんと仲のいい妹が二人と言ったところか。
そんなことを考えていたらバスがやってきた。
俺達はバスに乗って駅へと向かった。
87 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月23日(日)20時03分28秒
駅前のバス停で降りて、2分ぐらい歩くとすぐに繁華街だ。
前にも行ったけどけっこう都会なので人も多い。
「げぇー、人がウジャウジャいるよ。」
予想はしていたが相変わらずすごい人ごみだ。
「まずどこから行こうか?俺は二人の意見に従うけど。」
「洋服が見たい!」
「お昼ご飯食べたい!」
どっちが矢口でどっちが希美かはすぐお解りになるだろう。
時間はまだ10時30分昼飯には早すぎる。
「なぁ希美、まだこんな時間だから昼には早いだろう。」
「でも、ののはお腹がすいたのれす。」
朝飯抜きの俺ですらまだ腹は減ってないのに、、、
「ののはほっといて洋服見に行こうよぉ。隆史ぃ。」
「今日はいないはずの矢口さん。よけいなこと言わないでくらさい。」
「うるさいわね。ののだけお昼ご飯食べてればいいじゃない。」
いつもはこの二人仲いいんだけど、今日は犬猿の仲って感じだ。
「二人とも落ち着け。じゃあ先に洋服を見よう。
 希美にはお昼ご飯おいしいもん食わせてやるからさ。」
そう言うと矢口は喜び、希美はしぶしぶ納得した。
88 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月23日(日)20時17分23秒
矢口の希望通り最初に洋服を見に行くことにした。
ここは矢口がいつも来ているショップがたくさんあるビルだ。
俺はこういったギャル系ファッションの店がどうも苦手だ。
「これ似合ってるかな?これは?あ、あれもいいなぁ。」
「矢口なるべく早めに選んでくれよ。」
「はーい。」
矢口とここへ来たときは最低2時間は付き合わなければならない。
まったく、女は買い物が長いんだよなぁ。特に洋服は。
ありゃ、そういえば希美はどこ行ったんだ?
周りを見渡したら隣のショップで洋服を見ている希美の姿があった。
あいつも中3なんだよなぁ。やっぱ洋服とか買いたい年頃か。
お、そういえば希美の誕生日ってそろそろだっけ。
そう思って俺はおもむろに希美のそばに行った。
89 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月23日(日)20時34分09秒
「希美、何かほしい服でもあるのか?」
洋服に夢中になっていたのか希美は急に声をかけられビックリしていた。
「あ、お兄ちゃん。べ、別にほしい服なんてないよ。」
「嘘付け。お前さっきまで目が輝いていたぞ。」
希美は「何でもないよ」と言って向こうへ行こうとした。
「あっそ。せっかく兄ちゃんが買ってやろうと思ったのになぁ。」
希美は驚いた表情でこっちを振り返った。
「ホ、ホントれすか!?買ってくれるんれすか!?」
「ああ、お前の誕生日ってもうすぐだろ。そのプレゼントだよ。」
希美はそれはそれは嬉しそうな顔で服を選びはじめた。
ふ〜ん、希美ってなかなかセンスが良いではないか。さすが俺の妹。
「お兄ちゃん、ののこれがほしいれす。」
希美が選んだのはデニムのスカートと青色のTシャツ、
それからエメラルドグリーンの細工がしてあるネックレスだった。
俺はそれらの値札を見た瞬間冷や汗が出てきた。
「お兄ちゃん、お金だいじょうぶれすか?」
希美が悲しそうな顔をして希美が聞いてくる。
「こ、こんなの全然余裕だよ。だいじょぶだいじょぶ。」
「ヤッター。お兄ちゃんありがとうれす。大好きれす。」
希美が突然抱きついてきた。
90 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月28日(金)22時16分00秒
俺は希美の服の代金を払った。希美は終始嬉しそうな顔だった。
(多めに金持ってきておいて良かった、、バイトでもしようかな、、)
とりあえず一段落ついたと思ったが、まだ矢口は服を選んでいた。
「やーぐーちー、はやくしろって言ってんだろ!」
「ごめんなさーい。もうちょっとだけ待っててね♪」
しょうがないので俺は近くのベンチに座って矢口を待った。
ソフトクリームが食べたいと言いだし買いに行っていた希美が戻ってきた。
「はい、これお兄ちゃんのぶんれす。さっきのお礼なのれす。」
「おっ、サンキュー。」
ソフトクリームを食べ終わったころやっと矢口が来た。
おいおい、何ですかその大量の服は!?
91 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月29日(土)22時23分58秒
「矢口それはちょっと買いすぎなんじゃねぇか?」
矢口は両手にパンパンになった袋を持っている。
「いいじゃない。私がずっと持ってるわけじゃないし。」
「もしかして、、、俺ですか?」
「そう、今日は罪滅ぼしなんだから荷物持ちぐらいしてよね♪」
結局俺は矢口の荷物持ちになってしまった。
はぁ、せっかくの休日に荷物持ちをするなんて、、、
「なーに暗い顔してんのよ。かわいい矢口の荷物持ちなんだから
 光栄に思いたまえ。隆史君。」
「はいはい、わかりましたよご主人様。」
うわっ、想像以上に重いぞこの荷物。ここをこうやって持って、
いや、やっぱこうしてそれとも、、、
俺が悪戦苦闘していると希美が袖を引っ張ってきた。
「お昼ご飯食べたいれす、、、」
矢口のながーい買い物のせいでもう一時だ。昼飯時だな。
朝飯抜きの俺も腹減ったしなぁ。
「よし、昼飯食いに行くか。」
「ヤッター。ののはおすしがいいのれす。」
「私はイタリアンがいいな。」
おいおい、お二人さん普通のファミレスに行くんじゃないの?
俺そんなに金余ってませんよ。
92 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月29日(土)22時37分46秒
そうだ!久しぶりにあの店に行こう!よし決めた。
「なぁ、この近くに俺の知ってる安くてうまい店があるんだけど
 そこに行かねぇか?」
とりあえず2人に聞いてみる。
「そこは何屋さんれすか?おすし?」
「まぁ行ってみてからのお楽しみってことで。」
「それじゃ、隆史のお薦めのそのお店に行こう。」
その店は駅から歩いて10分ほど離れた場所にある。
知る人ぞ知っているような穴場の店なのだが俺はよく通っていた。
「ねーねー何屋さん?おすし?」
「お前はそんなに寿司が食いたいのかよ?」
「うん、食べたい。」
だいたい俺が大阪行く前はこんなプックリしてなかったぞ。
俺がいない間に失恋でもしてヤケ食いしたのかこいつ。
「そういえば、のの。あんたも服買ったの?」
希美はテヘッっと笑いながら俺の方をむいた。
俺はわざと知らないふりをしたが、矢口はその様子を見て
不思議そうな顔をしていた。
そうこうしている間に店に着いた。
93 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月29日(土)22時48分41秒
「あんばいしょくどう?」
「何ここ。いなかくさーい。」
2人は店構えを見て不満を言いはじめたが気にしない。
俺も最初はいなかくさいと思ったから。
「まあまあ、まず入ってみようぜ。」
俺は半ば強引に2人を店に連れて入った。
「こんちはー。」
うわっ、懐かしいこの雰囲気相変わらずだなぁ。
すると店の奥の方から「はーい」と元気な声が聞こえてきた。
出てきたのは白い割烹着を着たかわいい女性だった。
「あっ!!隆史君じゃない。久しぶりだね。」
「はい、お久しぶりです。安倍さん。」
「も〜、なっちでいいって何回も言ってるべさ。
 ところでその2人は妹だべか?」
希美は安倍さんの勢いに圧倒されながらもうなずいた。
矢口もやや圧倒されながら
「違いますよ。隆史の幼なじみです。」
安倍さんはそれを聞くと
「あ〜、隆史君の幼なじみ。たしか真理ちゃんだっけ。
 いつも隆史君から聞いてたべさ。うるさい幼なじみがいるって。」
矢口は俺の方をギロッとにらんだ。
94 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年06月29日(土)22時53分13秒
どうも、妄想男@作者です。
最近更新が遅れ気味でマジですいません。
遅れ気味の理由はというと、森板で新スレ立てようかと思いまして
その構想を練っておりました。
もし立てたらまたお知らせしたいと思います
95 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月02日(火)21時45分34秒
調子にのって森板で新スレ立てちゃいました。
「Beautiful Songs」です。
私の娘。×男のカップリングが気に入った方なら
こっちも気に入っていただけると思います。
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=wood&thp=1025529248

こっちの更新ももちろん続けます。
96 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月04日(木)21時17分52秒
「ま、とりあえずどっか空いてる席にでも座って。」
そう言って安倍さんはまた厨房に戻っていった。
俺達は言われた通り空いている席を見つけて座った。
「ねぇここって定食屋?私あんま定食好きじゃないんだよね。」
「まあ、とりあえずメニューを見てみろって。」
矢口がメニューを開こうとした、その時
「ワーイ!おすしがあるのれす!!」
希美が歓喜の声を上げた。矢口も急いでメニューを開き
「マジ!?パスタがある!!」
またまた歓喜の声だ。2人とも喜ぶというより驚いてるんだけど
ここ安倍食堂は何でもメニューに載っているのだ。
和食、中華、フレンチ、イタリアン、さらにはおつまみ。
97 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月04日(木)21時25分59秒
「ご注文はお決まりだべか?」
笑顔の安倍さんがオーダーを聞きに来た。
「ののはおすしれす!もちろん特上なのれす!!」
「矢口はペペロンチーノね。」
ファミレスでも聞くことのできないような異色のオーダーだ。
「んじゃ、俺はいつものやつね。」
「一年ぶりに来ていつものやつなんて忘れただべさ。」
安倍さんは笑いながら「ウソだべ、ウソ。」だって。
「隆史君はアレが大好きだねぇ〜。」
オーダーを聞くと安倍さんはいそいそと戻っていった。
「お兄ちゃんあれって何れすか?」
「料理が来てからのお楽しみだな。」
98 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月09日(火)21時56分42秒
希美の寿司、矢口のペペロンチーノはすでにテーブルに並んでいる。
こちらから見ているとすごく奇妙な光景だ。
俺が注文したあれは一番最後に運ばれてきた。
「は〜い、隆史君お待たせしました。」
「キターーー!!久しぶりだなぁ、これ。」
丼のホカホカご飯の上にお好み焼きが乗っている。
「名付けて、『お好み焼き丼』だべさ。」
「そのまんまなのれす。」
矢口と希美は俺をある意味尊敬したような視線を送ってくる。
おいおい、マジでおいしいんだよ。マジで。
安倍さんの料理は何でも美味く三人ともペロッとたいらげた。
希美はその後デザートを3品も注文したけど、、、
99 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月11日(木)21時11分29秒
食べ終わったので会計をすませるためレジへ向かった。
いくら安さが自慢といっても服を買った後に3人分はきつい。
(ヤバイ!もしかしたら足りないかも!)
俺が財布の中をくまなく探していると矢口が耳打ちしてきた。
「矢口とののの分は矢口が払うよ。」
「大丈夫だよ、ギリギリ足りるみたいだし。それに矢口に払わせたら
 男としてのプライドが泣くね!」
「何がプライドよ。あんたさっきののに服買ってあげたんでしょ。」
「げ!なぜそれを!?」
「ののがあんな嬉しそうな顔してたらわかるわよ。」
なんか矢口に知られると恥ずかしい気がする。
「どうせあんまお金持ってないでしょ。それに荷物持ちのお礼よ。」
そういって矢口は自分と希美の分を払ってくれた。
「ゴメンな、、払わせちゃって、、」
「なーに、いいってことよ。幼なじみなんだから。」
矢口は笑顔でそう言ってくれた。
100 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月11日(木)21時26分02秒
安倍食堂を出た俺達は特にやることがなかったので
そこら辺をブラブラしていた。俺の両手には矢口の荷物。
(よさそうなの見つけたらすぐに買うからな矢口は、、)
荷物は時間が経つにつれて重くなっていく。
「次はここの店ね。」
「まだ何か買うつもりかよ?」
「ののは疲れてもう歩けないのれす〜。」
矢口が俺と希美を無理やり連れて入った店は妙に騒々しい。
何かキーキーとかギャーギャーとかチューチューって聞こえる。
そう、ここはペットショップだ。
「お前もしかしてペットでも飼う気か?」
「さぁ〜、どうでしょうねぇ。」
後藤はイグアナを飼ってたけど、矢口にペットなんて飼えるのだろうか?
あ!ウーパールーパーだ。懐かしい!(笑)
101 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月13日(土)12時45分25秒
こんにちは。久しぶりに来て見ました
更新楽しみにしてます
102 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月13日(土)22時54分15秒
>>101 名無しさん
更新遅れがちですが楽しみにしてもらってて嬉しいです。
それに久しぶりのレスありがとうございます。
レスってもらうとやっぱり嬉しいです。
103 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月13日(土)23時05分59秒
ウーパールーパーを見ながらあの頃を思い出していると
(ってあの頃っていつだよ!!)
矢口が何やら店長らしき人と話していたので俺もそっちへ行った。
「お前にペットなんて絶対無理だね。」
「うるさいなぁ。矢口が飼うんじゃないのよ。」
「じゃ、誰が、、、、」
するとさっきの店長が奥から箱を持ってやってきた。
箱っていうかなんかのケージだなこれは。
このケージの大きさと中の遊具類からしてもしかして、、
その時、俺が思った通りの小動物がヒョコっと顔を出した。
「ハムスターか。」
「うん。やっぱハムスターはかわいいなぁ♪」
「でも、お前って猫飼ってるじゃん。喰われるぞ。」
「こ、怖いこと言わないでよ、、だから飼うのは矢口じゃないって。」
104 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月13日(土)23時18分25秒
「それじゃ、誰が飼うんだよ。」
「隆史ってホント鈍感だよね。ののに決まってるじゃない。」
「の、希美が飼うのか!?」
驚いたけれどよく考えれば希美なら飼えるかもしれない。
あいつ、実は意外と面倒見がいいとこがあるからな。
「誕生日プレゼントよ。ハムスター好きそうだし。」
そう言って矢口は希美を呼びに行った。
ハムスターかぁ、まぁ母さんも了解するだろう。
矢口はわざわざ目隠しをしながら希美をつれてきた。
「のの、準備はいいかな?」
「いいのれす。矢口さん。早く見せてくらさい。」
「ほーら、ののへの誕生日プレゼントだよ。」
「ハ、ハムスターなのれす。矢口さんありがとうございます。」
とは言うものの希美の目はハムスターへ一直線である。
それを見た矢口は俺に小さくウインクをした。
105 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月15日(月)21時44分29秒
その後は店でハムスターの飼育に必要な道具を買いそろえた。
おかげで財布の中身は今度こそスッカラカンだ。
あたりが暗くなってきたので俺達は帰ることにした。
106 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月15日(月)21時53分33秒
帰り道で希美はいつまでもハムスターを見ていた。
どうやらかなり気に入ったらしい。
「今日はありがとな。飯代も払ってくれたしハムスターも、、」
「さっきも言ったでしょ。うちらは幼なじみなんだから。」
「うん、そうだな。真理。」
何となく真理って呼んでみた。何年ぶりだろう?
呼ばれた本人は驚いた表情だったけどすぐに笑顔に戻った。
ヤベェ、、カナリカワイイ、、、
「お兄ちゃんと矢口さんラブラブなのれす〜。ヒューヒュー。」
「こらー!待ちなさーい!ののー!」
2人とも走っていってしまった。俺だけ置いてかれた。
まぁ、いっか。
107 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月16日(火)22時07分49秒
家の前の例の長い坂道にさしかかった所で2人に追いついた。
さすがにこの坂は走っては登れないだろう。
っと思ったけど希美はまだまだ走り続けている。
「お母さんにハムスターを見せてくるのれすー。」
そう言って家まで一目散に走っていった。
いつもこれだけ走ってれば、やせると思うんだけどなぁ。
矢口にもこの意見に賛同してもらおうと顔をむけると
さっきとは違ってやけに真剣な表情だった。
「どうかしたか?」
「ねぇ隆史、うちらって幼なじみだよね。」
突然こんなことを言いだした。何考えてんだ?
108 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月16日(火)22時22分13秒
「幼なじみだって。自分もそう言ってたじゃん。」
「うん、、ってことはお互いに特別な存在なわけじゃん、、、。
 隆史にとってオイラは特別な存在かな、、、?」
矢口は照れ笑いをしていたが瞳の中は真剣だった。
「俺に幼なじみは矢口真理しかいないからな。特別中の特別だよ。
 そう言う矢口さんはどうなんですか?俺は特別?」
ちょっと茶化しながら聞き返す。何となくこういう雰囲気は苦手だから。
「オイラだって隆史しか幼なじみはいないんだから、超特別だよ。
 でもさ、オイラにとって隆史はただの幼なじみじゃなくて、、、」
最後の方は声が小さくてよく聞き取れなかった。
気のせいかもしれないけど矢口の顔が赤くなっているように見えた。
「ただの幼なじみじゃなくて何だよ?」
「、、、やっぱ何でもないや!隆史はオイラのただ一人の幼なじみだよ。
気がついたら俺達は家の前までついていた。
「それじゃ、今日は楽しかったよ。またデートしようね♪」
矢口は自分の家に入っていった。
今日ってデートだったっけ?まぁ、いいか。
109 名前:MARIA 投稿日:2002年07月17日(水)23時56分33秒
祝!デート編完結!
あやや出してぇー!
110 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)02時01分18秒
最初の要所がきそうですな。
期待してます。
111 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月18日(木)16時50分09秒
すみません、本当にすみません。申し訳ございません。
私の書いた小説に出てくる矢口様のお名前を間違って表記しておりました。
「矢口真理」ではなくて「矢口真里」です。
自分の作品の読み直しもせずにこんなミスをしてしまいました。
すみませんでした、、「矢口真里」です。
112 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)01時04分23秒
本当だ。全然気付かなかった。
113 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月20日(土)21時37分41秒
>>109 MARIAさん
ありがとうございます。思いつくままに書いてたら長くなっちゃいました。

>>110 名無し読者さん
この小説ってダラダラしてて要所って物がありませんでしたね。

>>112 名無し読者さん
自分もまったく気づいてませんでした、、、
114 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月20日(土)21時50分22秒
「ただいま〜。」
今日は疲れたなぁ。一日がとんでもなく長く感じたぞ。
それに矢口は妙に優しかったし。
そういえば母さんはハムスターにどんな反応するかな?たぶんOKだろう。
「ギャー!!ネズミやー!!!」
とても人間の顔とは思えないような形相で母親がこっちに迫ってきた。
その後ろから希美は笑顔でハムスターとじゃれ合っている。
「の、希美。そのネズミを早く捨ててきなさい。」
「お母さん。ネズミじゃないのれす、ハムスターなのれす。ほら、よく見て。」
「ギャッ!ネズミもハムスターも一緒や!!」
母さんの大声に驚いたハムスターは希美の手から飛び降り逃げ出した。
「あぁ、逃げちゃったのれす!お兄ちゃん早く捕まえて!」
「よっしゃ。任せとけ。」
そうは言ったがかなりすばしっこくてなかなか捕まえられない。
悪戦苦闘していると獲物は二階に向かった。
115 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月20日(土)22時05分54秒
「二階は向かうとは、袋の鼠とはこういうことだな。フフフ、、」
「お、お兄ちゃん。ちょっと怖いのれす。」
俺はダッシュで階段を駆け上りハムスターの入った部屋に向かった。
ちょうどそこは矢口の部屋と同じように松浦の部屋とつながっている。
そして、ついにハムスターを追いつめた。
「ネズ公よ、あきらめたまえ。この俺が捕まえてやる。テヤッ!!」
ガッ!!痛えーー!!
勢いがありすぎて壁に顔をぶつけてしまった。
くそっ!!奴はどこへ行った?
ちょうど奴は窓の隙間から逃げて松浦の部屋へ入ろうとしていた。
しまった。このままでは取り逃がしてしまうぞ。仕方ないが、、
「松浦!ちょっと部屋に入るぞ!!」
「隆史先輩ですか?ちょっと待ってくださいね。」
「ゴメン!待てない!」
そう言って俺は松浦の部屋の窓を一気に開けて飛び込んだ。
いてて、、また顔ぶつけちまったぜ。でも獲物はしっかりとらえたぜ。
「せ、先輩、、、」
「おう、すまなかったな。ってブッーーーー!!」
松浦はちょうど着替えの途中だったようで下着姿だった。
俺も松浦もその状況を今ようやく理解したらしい。
116 名前:110 投稿日:2002年07月20日(土)23時15分34秒
別にだらだらしているってことは無いですよ。
一つのシーンを丁寧に書けば、多少は長くなるわけですから。
117 名前:MARIA 投稿日:2002年07月22日(月)18時41分50秒
続きが見たいっ!
118 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月22日(月)21時03分58秒
>>116
そう言ってもらえると救われます。

>>117 MARIA
あややの下着姿を妄想しながら(以下略) 
119 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月22日(月)21時05分12秒
>>118 すみません。MARIAさんに「さん」付けるの忘れてました。
    ご無礼をお許しください。
120 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月22日(月)21時14分52秒
「キャーーーー!!!先輩のエッチーーーーー!!!!」
おそらくその声は半径200メートル以上に響いただろう。
「ゴ、ゴメン!」
急いで松浦の部屋から帰ってきたがそこには母親と希美が待っていた。
とりあえず希美にハムスターを渡さないといけないな。
「ほら、捕まえてきてやったぞ。」
「ありがとうなのれす。こら、もう逃げちゃだめれすよ。」
ハムスターを叱りながら希美は自分の部屋に戻っていった。
部屋には母さんが残っていた。不気味な雰囲気を漂わせながら、、、
「ど、ど、ど、どうしたの!?松浦の悲鳴が聞こえたけど?」
最悪のパターンだ。、、、矢口までやってきてしまった。
「隆史、そりゃあんたは年頃の男やで、でもだからと言って女の子の
 ましてや松浦の着替えを覗くなんて母さん悲しい、、、」
「おい!覗きなんて人聞きの悪い。あれは事故だ!」
俺は必死に否定した。母さんはいつも話を大きくする。
「ホントなの、、、?隆史、、、」
121 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月22日(月)21時25分06秒
あれ、矢口さん、もしかして泣いてませんか?
もし泣いていたりしたら俺が泣かせたことになりますよね?
「や、矢口。あれは事故だからな。母さんの話は信じるなよ。」
「矢口、騙されたらあかん。男はケダモノやからな。」
何か話が違う方向に行ってないか?この女め、、、
まぁ、矢口なら俺のことを信じてくれるだろう。
「そりゃ、矢口は小さくて、、、魅力がないと自分でもわかってるよ、、 
 グスッ、でも、、だからって松浦の部屋覗くことないじゃないか、、、
 オイラは、、、隆史のこと、信じてたのに、、、」
おいおい、本格的に泣き出しちゃったよ。何でこうなるかな?
「俺のこと信じてくれるんだろ?だったら、あれは事故だって。」
お願い!信じてください。俺は無実だ!
「、、、、もう嫌いだよ!!隆史なんて!!!」
そう言って矢口は自分の部屋に走って帰ってしまった。
122 名前:MARIA 投稿日:2002年07月22日(月)22時57分21秒
作者さん
別にいいです。気にしないでください
123 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月23日(火)02時50分11秒
アクシデントに近いインシデントですな。
124 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月26日(金)21時18分59秒
>>122 MARIAさん
どうもです。

>>123 名無しさん
確かにおっしゃるとおりでございます。
125 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月26日(金)21時30分00秒
矢口が部屋を去り俺と母さんだけが残った。
「あ〜あ、やっちゃた。矢口を泣かせちゃった。」
「あんたがいけないんだろ、あんたが。」
この場で母さんを怒るわけにもいかないので俺は落ち着こうとした。
さて、これからどうするかな?
そう言えば、矢口のこと泣かせたことって今までなかったなぁ。
とりあえず無実だってことを証明しないといけない。
「母さんはもう知らんで。後は自分でどうにかせえよ。」
悪の根源はそのまま部屋を出ていった。
このまま悩んでいるわけにもいかないので松浦に話してみよう。
「松浦、さっきはゴメン。もう入っていいか?」
「大丈夫ですよ。どうぞ。」
もちろん松浦は着替え終わっていた。そうでなきゃ困るんだけど。
「もう、先輩ったら意外と強引なんですね、、、」
126 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月27日(土)21時31分49秒
こいつも勘違いしてやがる。どいつもこいつも、、、
「お前もか、、、あれは事故だったんだよ。事故。」
「え〜!でも先輩、待てない!って言ってたじゃないですかぁ。」
被害妄想というか自分の世界に入っちゃうというか、、、
「バカ!俺はハムスターを捕まえようとしてたんだよ!」
「なーんだ。つまんないの。」
「何がつまんないだよ。まったく。」
そろそろ弁明は終わりにして本題に入るか。
もっとも、松浦が協力してくれるかどうかはわかんないけど。
「あのな、矢口も同じような誤解をしてるんだよ。
 それで泣かせちまってな、、、松浦も一緒に誤解を解いてほしいんだ。」
「えー、矢口先輩ですかぁー?」
やっぱり、、、明らかに不満そうな顔をしてるぞ。
127 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月28日(日)16時58分34秒
「えー、じゃない。お前にも多少は責任があるんだからな。
 お前があそこでエッチー!って叫ばなければ、、、」
「ああいう場面では普通は叫びますよ!!」
「とにかくお前もついてこい。」
無理やりだが何とか松浦の協力を得られた。
さすがに一人じゃ誤解を解くことは無理だろうと思ったから。
とりあえず松浦の部屋を出て自分の部屋にむかった。
「わー、先輩の部屋だぁ♪久しぶりに来たなぁ。」
「よく呑気なこと言えるな。」
「だって私は先輩と違ってありのままを話すだけだもん。」
「俺だって事実を話すわ!ボケッ!」
「、、、先輩にボケッて言われた、、、グスッ。」
「嘘泣きはそこまでにしておけよ。よし、そろそろ行くか。」
「はぁ〜い。」
128 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月28日(日)17時06分49秒
俺はまず深呼吸をした。
次に手のひらに「人」の字を三回書いて飲んだ。
最後にもう一度深呼吸。落ち着け、落ち着くんだ。
「行くんじゃないんですかぁ〜?早くしてくださいよ。」
松浦はあきれた顔でこっちを見ながら言った。
「ゴメン、ゴメン。ちょっと緊張しちゃって。」
「神経の図太い先輩でも緊張するんですね。」
クスッと笑った。ほめられてるんだろうか?
そういや最近、矢口が俺の部屋に来ることは多くなったけど
俺が矢口の部屋に行くことは少なくなっていた。
まあ、そういうお年頃だしな。
俺は頭の中を一区切りしてついに意を決した。
129 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年07月28日(日)17時23分28秒
「矢口、入るぞ。」
当然のように返事はない。
矢口と俺の部屋の間にはちょっとした空間があるので
移動するにはちょっと危険なのだがもう慣れてしまった。
その後ろから手こずりながら松浦もやってきた。
矢口はベッドの上で壁の方をむいていた。
どうやらふて寝をしているらしい。本当に寝てるのか?
「何か用?」
その声から矢口の怒っている顔が手に取るようにわかった。
予想はしていたが、これは相当お怒りですな。
松浦も今まで見たことない矢口に少しビビッている。
「あのな、さっきのことだけどもう一度よく話を聞いてほしいんだ。
 松浦も来てるから。だからこっちを向いてくれ。」
俺は慎重に言葉を選びながら矢口の説得を始めた。
「わかった。そこまで言うなら聞いてあげる。」
こっちを向いた矢口の目は少し腫れていた。泣いたからだろう、、、
「矢口先輩、あれは事故だったんです。隆史先輩がののちゃんの
 ハムスターを捕まえようとして私の部屋に入ったら私も着替えの途中で。」
俺より先に松浦の方が話し始めた。自分が情けない、、、
130 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月04日(日)20時02分41秒
1週間が経ちました。
そろそろ続きを読ませてください。
131 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月04日(日)21時11分29秒
>>130 名無し読者さん
申し訳ありません。更新サボってました。
132 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月04日(日)21時42分42秒
矢口は松浦の話をただ聞いているだけだった。
松浦の話が終わると矢口は「フーッ」とため息をついて
「隆史は何か言いたいことはないの?」
「言いたいことは今の松浦の話に全部含まれてるかな、、、」
部屋全体にイヤ〜な空気が漂い始めた。
3人とも黙っているだけで時間が流れている。
「、、、でも裕ちゃんは覗いたって言ってた。」
矢口が口を開き長かった沈黙は破られた。
「母さんの話を簡単に信用するなっての。バーカ!」
「先輩、それはちょっと言い過ぎですよ。」
「いいの、いいの。こいつはこれぐらい言わない反省しないから。」
それまでの空気を断ち切るかのように俺はしゃべり続けた。
「バカとはなによ!バカとは!!」
矢口も言葉は荒かったが表情はいつもの矢口に戻っていた。
とりあえず、一件落着かな?
133 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月04日(日)21時54分20秒
和やかなムードが漂いだして安心していたのにまたこいつが、、
「今日は突然でビックリしちゃったけど、松浦はいつでも
 歓迎ですよ。どんどん覗きに来てくださいね♪」
「何てこと言ってんだよ!覗きに行くわけがないだろ。」
「でも、実は先輩嬉しかったんでしょ?松浦って以外と、、、だし。」
、、、って何だよ。あぁ、背後から殺気をビシビシと感じる。
「たーかーしー、また変なこと考えてんでしょ!!この変態。」
「何も考えてねぇよ。お前も胸ないくせに意地張らない方がいいぞ。」
トークの方向がどんどんずれていってるぞ、おい。
さらに松浦がトドメとも言える一言を
「松浦は先輩のこと愛してますから覗かれたいんです。」
「ハァ!?お前バカなこと言ってんじゃねぇよ。」
また後ろで矢口が俺をにらんでるんだろうなぁ。
「だったら矢口も隆史のこと愛してるから覗いていいよ。」
ハァ!?もう、どうにでもなっちゃえ、、、
134 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月12日(月)14時52分35秒
更新まだですか?
かなり続き気になるんですけど・・・。
135 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月15日(木)19時59分12秒
どうしました?皆更新を待ってますよ。
136 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月17日(土)16時20分09秒
>>134 名無し読者さん
>>135 名無し読者さん
>読者のみなさま

大変長らくお待たせいたしました。
13日ぶりの更新です。
137 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月17日(土)16時26分33秒
矢口の思いもよらない一言により再びこの部屋は戦場と化した。
「え〜!矢口先輩も愛してるんですか!?」
「そうよ!愛してるわ、隆史〜♪」
クネクネしながら俺の腕に矢口がからみついてくる。
「気持ち悪いなぁ。ふざけてないで離れろよ。」
腕を振り回してみるがふんばって離れようとしない
・・・ゴゴゴ
不気味な効果音が部屋中に響いていた。
138 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月17日(土)16時36分31秒
その音に気付き松浦の方を見ると、、、
彼女の周りには見えない炎がメラメラと燃えていた。
気のせいか室内の気温も上昇しているような感じさえする。
矢口もその様子にビビりいつの間にか俺の腕を離していた。
「、、、フフフ。わかりましたよ。」
松浦の顔こそ笑顔だが声はいつもより太い。
「じゃあ、私達はたった今からライバルですよ。矢口先輩。」
「望むところよ!松浦。」
2人はその後ガッチリと握手を交わしていた。
どっかの格闘家のライバル宣言じゃないんだからさぁ、、、
睨み合いが終わると松浦は俺の手を握りこう言った。
「先輩、行きましょう♪」
ようやく元の状態に戻ってくれたのね。
しかし、俺がまだ立ち上がっていないのに引きずられそうになったことには
彼女の中に眠るサ○○人の血を感じさせた。
「隆史、いつでも覗きに来てね〜。」
矢口は終始笑顔でこっちに手を振っていた。
139 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月17日(土)16時50分29秒
松浦も部屋に戻り、俺もベッドの上でボーッとしていた。
さっきの展開は一体何だったんだろう。
最初の誤解を解くという目的は5分ぐらいで消滅してしまった。
それにしても矢口の突然の告白は本気なのだろうか?
だけど「覗きに来い」は普通好きでも言わないよなぁ。
俺達はただの幼なじみであって恋愛感情はない、、、と思う。
でもさっき帰り道で矢口が真剣な表情で言おうとしていたことは?
もしかして本当に好きなんだろうか、あの矢口が俺のことを?
頭の中に?がゴチャゴチャ巡っている。
あいつだって俺達は幼なじみだって認めてたし、、、
ヤバい、このままでは変に意識してしまう。
その時携帯に一通のメールが届いた。
「誰だよ、、こんな時に、、」
そのメールは矢口からだった。
140 名前:MARIA 投稿日:2002年08月21日(水)19時27分47秒
どうも、久しぶりです。
このストーリーもだんだんすごい展開になってきましたね。
141 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月24日(土)23時20分33秒
waiting
142 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月27日(火)12時11分51秒
>>140 MARIAさん
これからもっとすごい展開になる、、、かな?

>>141 名無し読者さん
I'm sorry to have kept you waiting.
143 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月27日(火)12時17分02秒
矢口からのメールにはこう書いてあった。

「さっきオイラが言ったことは、松浦に愛してるって言われて
 隆史が困ってたから助けてあげようってことで言ったわけ。
 だから、矢口真里が中澤隆史のことが好きだって
 勘違いを起こさないように!! 矢口」
144 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月27日(火)12時24分38秒
はぁ、悩んで損した気分だよ。
そもそも矢口が俺のことを好きになるはずがないのだから
頭の中にその事がインプットされていれば
あんな無駄な時間を使わずにすんだのに。
「とりあえず、これで一件落着か。」
ベッドの上で大の字になりながら一人で呟いた。
「お兄ちゃーん、ご飯れすよー!」
一階から希美の声が聞こえてきたので部屋を出た。
すると、足下に例のハムスターがいた。
ってかどうしてハムスターが階段を上れるんだよ?
こいつは絶対造られたハムスターだ、そうに違いない。
手のひらでチョコチョコ動いている小動物をみて考えていた。
145 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月27日(火)12時31分04秒
その日の夕飯はどういうわけか俺の大好物ばかりだった。
不思議に思いながらテーブルにつくと
「さっき、矢口から電話があったんよ。」
今日の大騒動を起こした張本人が口を開いた。
「まぁ、確かに勘違いした母さんも悪いよ。
 せやけど着替え途中の女の子の部屋に突入するのはどうかと思うで
 だから、今日はこの晩御飯でおあいこや、それでええやろ?
 よしよしさすが我が息子、物分かりが良いねぇ。」
何かよくわかんないけど、勝手に話が完結していた。
これが自己満足というやつか。
まったく、困った母親を持ったものだ。
「お母さん、おかわりれす!」
「は〜い♪」
146 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年08月27日(火)12時31分56秒
そして時は流れて夏休みも終盤というある日のこと、、、
147 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月01日(日)21時35分12秒
「お母さん、ここはどうやって着るんれすか?」
「えーと、ここはこうしてやなぁ・・」
今日は夏休み最後の大イベント、花火大会である。
希美が朝から妙に騒がしいと思ったらそのせいだった。
俺は人混みがあまり好きではないので花火には行かないつもり
っていうか宿題がまだ終わっていないのだ。
ピーンポーン、、、ピーンポーン、、、
チャイムが聞こえた。希美も母さんも忙しそうなので
俺が玄関へ行って客人を迎えた。
「おぉ、亜衣ちゃんか久しぶりだな。」
「隆史君だ、久しブリブリだね。」
亜衣ちゃんのダジャレに少しだけ空気が涼しく感じられた。
148 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月02日(月)16時58分12秒
「あいぼーん、ちょっと待っててくらさい。」
奥の和室の方から希美の大声が聞こえてきた。
「じゃ、亜衣ちゃん上がって待っててよ。」
暑い外で待たせておくのも悪いので俺は亜依ちゃんを家に入れた。

亜依ちゃんはオレンジ色の浴衣、と言うよりも甚平を着ている。
毎年花火大会にはこの甚平で行くらしい。
希美もおそろいの物を持っていたがかき氷のシロップを
こぼしてしまい大きなシミができてしまった。

さっきから亜依ちゃんは麦茶をグビグビ飲んでいる
ここに来るまでにのどが渇いてしまったのだろう。
「隆史君は花火見ないの?せっかく帰ってきたのに。」
麦茶を飲むのを止めて聞いてきた。
149 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月02日(月)17時07分42秒
「行かない、いや行けないんだ。宿題が終わってなくて、、、」
俺も自分のコップの麦茶をを一口飲んで答えた。
「もったいないなぁ、夏の大イベントを見ないなんて」
亜依ちゃんはコップを俺の方につきだしている
麦茶をもう一杯、ということだろう。

「そろそろ亜依ちゃんも好きな男の子と行きたい年頃何じゃない?」
ポットの半分ぐらいの所までがなくなった。
「うちは好きな子ができてもののと行く。親友やから。」
満面の笑みを浮かべたと思うとまた麦茶を飲んだ。

和室のふすまが勢いよく開いた、浴衣姿の希美が見える。
「ジャジャーン!どうですか?」
「とっても似合ってるで、のの。」
「意外と似合ってんじゃん。」
女の浴衣姿はいい物である、たとえそれが妹でも。
150 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月10日(火)09時23分12秒
「いってくるのれすー」
希美と亜依ちゃんはそう言って花火大会へ向かった。
その姿を見て俺は一つ気になることがあった。
浴衣ってうちにあったっけ?

「母さん、あの浴衣どうしたんだよ?」
「え?あの浴衣はなぁ、、、」
母さんは感慨深そうな顔で話し始めた。
「中澤の家に代々伝わってる浴衣なんよ。希美の前はうちが着てたし
 うちの前はおばあちゃんが着てた。その前は、、、って感じに
 中澤家の女の子がお年頃になったらその子に渡すって決まりになってるの。」

そんな決まりがあったとは全然知らなかった。まぁ男だからな。
「希美もまだまだガキっぽいけど、いつかは嫁に、、、うぅ、、、」
ナゼか今から希美が嫁ぐことを考え始めた母さん
151 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月10日(火)09時34分44秒
「隆史、ビールもう一本!」
母さんはあれから酒を飲みながら希美の嫁入りについてさんざん語った
もちろんその席にはおれも付き合わされたけど、、、
「まだ7時前なんだから飲み過ぎるなよ。」
「わぁーってらぁい!早くビール!」
もう今夜は止まらないだろう。夕飯どうしよう?

「ほらよ、ビール追加です。」
「よし、お前もそこに座って裕ちゃんの話を聞きなさい。」
母さんは自分の隣のいすに俺を座らせようとしてきた。
逆らうと怖そうなのでとりあえず座ることにした。

「だからなぁ、希美にはシャキッとした男がええと思うんよ。」
もうこのフレーズを聞いたのは8回目だ。
そろそろ本気で夕飯の心配でもした方がいいな。
「あぁ!隆史どこ行くねん、裕ちゃんを一人にしないでぇ!」
俺が冷蔵庫の中をのぞき込んでいるとドアのベルが鳴った。
152 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月18日(水)15時58分49秒
「はいはーい。」
玄関に行きドアを開けてみると誰もいない・・・
外に出て周りを見回してみたが、やはり誰もいなかった。
少し背中に寒気を感じながらまたリビングへ戻った。

「どうした?客か?」
完全にできあがった母親が聞いてきた。
「誰もいなかった、、、もしかして幽霊!?」
「・・・・・・・・・・・zzz」
驚かすつもりで言ってみたけどその時母親はすでに寝ていた。

それからその酔っぱらいをベッドに運んだら
何となくもう一度同じ事が起きそうな気がしたので
玄関のドアの前で待ち伏せをすることにした。
すると、やはり足音が聞こえチャイムが鳴った。
俺は待ってましたとばかりにドアを勢いよく開けた。
153 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年09月18日(水)16時10分09秒
そこにはいつも見ている小さな人影があった。
ただ、いつも見ているような感じではなくどこか違う。
「矢口、どうしたんだよ?浴衣なんか着ちゃって。」
「ど、どうかな、、、?似合うかな?」

矢口はピンク色の可愛らしい浴衣を着ていた。
いわゆるミニ浴衣と言うやつではなくて普通の浴衣だ。
ビミョーな空気が流れ、沈黙が続き
俺が「何か用か?」と聞こうとする前に矢口がしゃべりだした。

「あ、あのね。おいらと花火大会行かない?」
顔を赤くしてモジモジしながら言った。
俺は宿題のこととかし少し考えたけど結論はすぐにでた。
「よっしゃ、花火行くか!」
矢口の顔は一気に晴れやかなものになった。
154 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月01日(火)10時34分27秒
初レスです
全体に広がるマターリ感がすごく読みやすくておもしろい
こんこんはいつ出てくるんでしょうね?
155 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月01日(火)21時31分17秒
ヤベ、、、更新サボりすぎだ。
明日には続き書きます。それと放棄は絶対しませんので。
156 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月02日(水)21時11分34秒
>>154 名無し読者さん
ありがとうございます。これからもマターリ行かせてもらいます。
それと残念ですがこんこんの登場予定は今の所ありません、、、
157 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月02日(水)21時14分56秒
すみません、忙しくて更新は明日以降になりそうです。
158 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2002年10月03日(木)21時59分26秒
はじめまして。
一気に読んでしまいしました。
更新、楽しみに待ってます。
159 名前: 投稿日:2002年10月04日(金)18時07分23秒
あの〜まだですか?
160 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月05日(土)21時02分55秒
>>158 ななしのよっすぃ〜さん
ありがとうございます。
一気に読んでいただけるとうれしいです。

>>159
すいません、今日こそします。
161 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月05日(土)21時11分51秒
花火は近くの川の土手から見るのが一番キレイだ。
ここからはチャリで5分ほどで行けるのだが
矢口が浴衣のため、後ろに乗せるのが難しそうだったので歩くことにした。

「何で俺を誘ったんだよ?」
土手に向かう下り坂の途中で矢口に聞いた。
「何でって、、、何となくだよ。1人じゃつまんないじゃん。」
履き慣れない下駄のせいか足元を見ながら矢口は答えた。
「ふ〜ん、そうか。」
「ほら、ボッーッとすんな。おいてくぞ。」
気付かないうちに歩くスピードが速くなっていた。
162 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月05日(土)21時22分28秒
「おぉ〜、なかなか人がいるじゃん。」
土手には大勢の人が敷物を敷き、あるいは立ったままで
夏の風物詩に目を奪われていた。
俺達はとりあえず見えそうな場所を探した。

意外とここら辺の土手は狭いものでどうも良い場所が見つからない。
「こんなことならもっと早く来れば良かった。」
矢口はしかめっ面をしながら言った。
しばらく歩いたがやはり場所は見つからなかった。

「しゃーない、この辺りで立ち見するか。」
「えーーー!!」
矢口から強い不満がもれたがこうするしかない。
「おーい、そこのガキ2人。こっち来いやぁ。」
その時遠くの方から久しぶりに聞く関西弁が耳に入った。
163 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月06日(日)16時09分31秒
むむむっ!
関西弁といえば・・・どっち?
164 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月07日(月)22時00分18秒
俺はここでもTMCというHNで書かせてもらっています。
俺よりも優れた作者さん達がいっぱいいるので
ぜひ読みに来てください。

http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1028689392/
165 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月11日(金)00時05分32秒
寒くなってくる前に、花火シーンを
書き切ってください。
166 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月13日(日)10時18分15秒
>>163 名無し読者さん
もしかしたら予想できない人物かも・・・

>>165 名無し読者さん
そうですね、それまでには書き終えたいです。
ただもう若干寒くなってるような気もしますが・・・
167 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月13日(日)10時27分33秒
その関西弁が聞こえてきた方を向くとなつかしい男性の顔があった。
「つんくさん!!」
俺と矢口は声をそろえてその男性の名を口にした。

つんくさんはこの近くで「つんくや」という商店をやっている。
俺の母、裕子の大学時代の先輩でもあるらしく
俺と矢口は小さい頃から良く面倒を見てもらっていた。
またそのきさくな性格から近所の人からの評判も良かった。

「いやぁ〜、久しぶりやなぁ。隆史。」
「ご無沙汰してます。」
つんくさんに近くでは店の若い人達が何やら準備をしていた。
168 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月13日(日)10時38分17秒
「ねぇ、つんくさんあの人達何やってるの?」
俺とつんくさんが話しているところに矢口が聞いてきた。
何やら、やぐらの様な物が設置され始めた。
「あれはな、お前らの特等席や。
 隆史も久々に帰ってきたんやから花火は見るやろっと思ってな。」

「え、でもこんな所いいんですか?他の人に迷惑じゃ・・・」
「心配せんでええ。この花火大会は俺がしきっとるんやから。」
ちょうどその時例のやぐらが完成した。
「まぁ、ゆっくり楽しんでってや。ほな、またな。」
つんくさんは若い人達を連れて去っていった。

俺達はやぐらの下でしばらく立ち尽くしていた。
「マジでいいのかな?こんな所で見せてもらって。」
矢口が不安そうな顔で俺にたずねてきた。
「大丈夫だろ、ほら早く行こうぜ。」
俺も少し迷ったけどせっかく用意してくれたのだから
そこで見させてもらうことにした。
169 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月20日(日)21時20分20秒
ヒュルルルーー、ドン!ドン!
おなじみのこの音を立てて花火がどんどん打ちあげられる。
光と音が少しずれているのも魅力の一つかもしれない。
「たーまやー!!」
隣で見ていた矢口が突然叫んだ。

「ほら、せっかくこんな所で見れるんだから隆史も!」
笑顔で俺の服の袖を引っ張ってくる。
「たーまやー!!」
今度は2人で叫んだ。いつもより高い位置で見ているせいか
手を伸ばせば花火をつかめてしまうような気さえした。

毎年この時期にやる花火大会を俺はガキのころから
まだかまだかと楽しみにして待っていた。
しかし心のどこかでやってほしくない気もしていた。
この花火が終わってしばらくするともう夏が終わってしまうから
大好きな夏が終わるから。
170 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月20日(日)21時30分17秒
そろそろフィナーレの時間が迫ってきた。
ふと隣の矢口の顔を見るとおもいっきり顔を上げて
空を見つめていた。瞳の中には綺麗な花火が映っていた。

毎年フィナーレは連続花火でしめくくる。今年もそうだった。
場内アナウンスでフィナーレが伝えられると観客は静まりかえった。
そして最後の連続花火がこれでもかと言うぐらい打ちあげられる。
この日の一番綺麗な瞬間だったかもしれない。
「隆史。こっち向いて。」
不意に矢口に呼ばれてそっちを向いた。
唇に暖かく柔らかい感触が触れた、初めてのキスだった。

花火の音をバックに俺達はキスをした。
そして最後の一発が打ちあげられると矢口は唇を離した。
「本日の花火大会はこれで終了です。」
俺の耳にそのアナウンスは入らなかった。
171 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月20日(日)23時12分47秒
やぐちぃぃぃ!!かわいすぎる!
なんだか無性に花火大会に行きたくなりました(w
172 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月28日(月)15時31分38秒
>>171 名無し読者さん
ありがとうございます。
自分もこのごろ矢口が無性に可愛く見えてしかたありません(w
173 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月28日(月)15時42分43秒
「あ、あの矢口さん?」
今は俺達は花火大会からの帰り道の途中。
矢口はキスをしてから一言もしゃべってくれずに
どんどん先へ歩いていく。
これじゃ、まるで俺が悪者みたいじゃないか・・・

周りはすでに真っ暗になってしまった。
しかもここら辺はあまり電灯がないので余計に暗い。
俺達の家に帰るためには墓場の近くを通らなければいけない。
ちょうどその墓場の横まで来ると矢口は立ち止まり
後ろを振り返り俺のことを待っていた。

「どうしたんだよ?」
俺が聞くと矢口は黙ってただ右手を俺にさしだした。
「手が痛いのか?」
何をすればいいのか解らず矢口の顔を見ていると
「んっ!!!」
矢口はおもいっきり右手をさしだしてきた。
174 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年10月28日(月)15時55分41秒
「まったくこうしたいなら最初から言えよ。」
俺達は手を繋ぎながら暗い墓場を横切っている。
さっきの矢口の行動は、怖いから手を繋いでくれと意味していたらしい。
「だってハズいじゃん!」
これが矢口さんのいいわけだ。ハァ〜・・・

矢口の願いを叶えてやったとたんに
また2人には長い沈黙が訪れてしまった。
怖いなら何か話でもして気を紛らわせばいいのに。
「なぁ、今日のお前、何か変だぞ?」
175 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月04日(月)19時34分19秒
更新がんばってください!!!!
176 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月05日(火)22時20分20秒
>>175 名無し読者さん
ありがとうございます。
アイデアの方は浮かんでいるんですが・・・がんがんります。
177 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月11日(月)09時25分56秒
「別にいつものオイラと一緒じゃん。」
手を繋いだまま俺の方を見ずに矢口が言う。
「いや、絶対に何かおかしい。」
俺は繋がれた手を振り離して矢口の前に立った。

気がついたらもう墓場は通り過ぎていた。
「早く行こうよ。裕ちゃんが心配するよ。」
矢口は俺の横をすり抜けて歩き出そうとするが
バスケットのディフェンスのように俺がそれを防ぐ。

「もう!おかしいのは隆史の方なんじゃない?」
突然に矢口が強い口調で言い出した。
「いいかげん、そろそろこっちの気持ちわかってくれてもイイじゃん!!」
178 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月11日(月)09時39分49秒
「オイラは隆史のことが好きなんだよ!」
「へっ?」
「だから隆史のことが好きなの!さっきのキスだって・・・」
そこまで言うと矢口はスタスタと歩いていってしまった。

追いかけることもできたけど、一人で帰ることにした。
矢口が俺のことを好き・・・
矢口の態度や行動から実は薄々わかっていた。
それは幼なじみだからで恋愛感情だとは俺は思わなかった。
だけど・・・

大阪から帰ってきた時に初めて気付いた。
希美や母さん、松浦、たくさんの仲間、それらの大切さを。
その中でも矢口に対する感情は特別なモノだった。
もう答えは決まっていた。
179 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月11日(月)09時40分38秒
どうも、久しぶりの更新です。
そろそろフィナーレも近づいてきたかな。っと
180 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月16日(土)12時09分16秒
更新がんばってください!
181 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月17日(日)22時11分39秒
>>180 名無しさん
ありがとうございます。
あと2,3回の更新で終わりにしたいと思っておりますので
もうちょっとお待ちください。
182 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月18日(月)16時24分08秒
気がつくと、ある場所に向かって走り出していた。
ガキのころ俺と矢口がよく遊んだあの公園
大きいすべり台の脇に小さなブランコがあったはず。
俺達はいつもそのブランコに乗っていた。

「矢口!」
暗闇の中で小さく揺れているブランコにむかって叫んだ。
全力疾走していたせいか、うまく言葉が出ない。
それでも今出せる限りの大声で叫んだ。
「俺は矢口真里が好きだ!!」

小さかったブランコの揺れが止まった。
うすい電灯の光にピンクの浴衣を着た矢口の影が映る。
「よっ!」
矢口は軽く手を挙げたが、目には涙が溜まっていた。
俺はしっかりと小さな矢口を抱きしめた。
「バカ・・・痛いよぉ・・・」
183 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月18日(月)21時02分19秒
「ねぇ、もうちょっとこのままでいい?」
抱いてから結構な時間が経ったのだが
矢口はまだこの状態でいたいらしく上目遣いで聞いてきた。
「いっそのこと永遠にこのままでもいいぜ。」
「バーカ。」

俺達はそれからしばらく何とも言えない甘い時を過ごした。
今までの俺達からは考えられないような光景だった。
その様子を木の陰から松浦が見てるとも知らずに・・・
この後、また凄まじいバトルが展開されたんだよなぁ。
184 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月18日(月)21時03分53秒
どうもです。次回の更新で最終回の予定です。
あくまでも予定ですので・・・(w
185 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月18日(月)23時23分24秒
次で最終回ですか。
寂しい気もするけどがんばってください。
186 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)16時13分11秒
>>185 名無し読者さん
そう言ってもらえると、これを書いてよかったと思えます。
187 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)16時28分45秒
時は何も知らずに流れ去り・・・

「おーい、オババ。」
「久しぶりやなぁ。よう来たのぉ、和馬。」
「うん!久しぶりだね。」
「台所におやつがあるから食べてええよ。それからオババって・・・」
初老の女性が何か言いかけていたが少年は無視して台所に向かった。

「おっす。帰ったぞ。」
「裕ちゃーん、久しぶり!」
それから若い男性と小さな女性が玄関にやってきた。
「ええ歳して、裕ちゃんって呼ぶんやない。」
裕ちゃんと呼ばれた女性は眉間に少ししわを寄せている。

「3年ぶりぐらいか、帰ってくるのは。」
「そうやな。しばらく見ない間に和馬もこんなに大きくなって。」
少年は皿の上のドーナツをバクバク食べている。
その時、家のチャイムが鳴った。
188 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)16時38分52秒
「私が出るからいいよ。裕ちゃんは隆史と話してて。」
そう言って小さい女性は玄関に向かった。
「そういや、希美はどうしてんだ?」
「あの子は今日は大学行ってんねん。最近男の影も見えてきて・・・」
男の影と聞いて隆史は飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。

「あぁ!どうして瑞穂がここにいんの!?」
玄関の方から大声が聞こえてきた。
それと同時にリビングにトコトコと少女が走ってきた。
「かずまくん、みーっけ!」
少女は夢中でドーナツを食べている少年に抱きついた。
少年は片手で少女を振り払おうとしながら
もう一方の手でドーナツをしっかり持っている。

「この子誰や?」
「・・・亜弥の子供だ。」
隆史は深くため息をつきながら答えた。
「そういや、松浦もあんたの近所に住んでるみたいやな。」
「もう松浦じゃなくて橘だけどな。」
189 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)16時47分23秒
「真里、あいつも帰ってたのか?」
「そうみたい。」
真里は苦笑いを浮かべて玄関から戻ってきた。
「せんぱーい!奇遇ですね。一緒のタイミングで帰ってくるなんて。」
「ハハハ・・・そうだな・・・」

あれから数年後、隆史と真里は結婚し長男を授かった。
ほぼ同時のタイミングで松浦も結婚し長女を授かった。
和馬は隆史のしっかりした部分と真里の明るい部分を
半分ずつ受け継いでくれたような子である。
瑞穂はどうやら母親である亜弥の性格を
そっくりそのまま受け継いでしまったようだった。

「かずまくーん、遊ぼうよぉ。」
「ダメだよ。いまおやつ食べてるんだから。」
「じゃ、みずほもいっしょにに食べるもん。」
「しょうがないなぁ。はんぶんこだよ。」
何だかんだ言って仲は良さそうな2人である。
190 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)16時58分38秒
「あの子らを見とると、あんたらを思い出すわぁ。」
裕子は感慨深そうな顔で言った。
「そうか?俺達はあんなんじゃなかったぞ。」
「そうよ。もっとラブラブだったもんねぇ。」
真里は隆史の腕に絡みついてきた。

「幼なじみか・・・」
隆史は突然ポツリと呟くように言った。
「なんか、なつかしい響きだね。幼なじみって。」
「確かにあの2人は俺達に似てるかもな。」
「うん!そんな気がしてきた、ってあぁーー!」
隆史と真里がしみじみしているのを横目に
瑞穂が和馬のほっぺに軽くキスをした。
「アハハ!!あんたらも昔こんなことよくやってたよ!アハハ!!」
裕子が笑ったのにつられて隆史も真里も、和馬も瑞穂も笑った。

それはその人にとってある意味一番大切な人なのかもしれない。
たとえばこの隆史と真里のように。
そんな幼なじみあなたにはいますか?
fin.
191 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月19日(火)17時05分24秒
「幼なじみ」以上です。
いやぁ〜、長かったですなぁ。
4月から書き始めて約7ヶ月間、サボりながらも何とか完結できました。
いろいろと矛盾している点もあるかもしれませんが
それは胸の奥にしまっといてください(w

あ、俺はここでも書かせてもらっているので、どうぞ読んでみてください。
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1034301482

最後になりましたが、このような駄文に最後までおつき合いいただき
本当にありがとうございました。
このスレに動きがあるかもしれないので、たまに見に来てください(w
では、また逢う日まで。
川o・-・)ノ
192 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月19日(火)20時25分05秒
おつかれさまでした。とても楽しくよませてもらいました。これからもがんばってください
193 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月20日(水)01時58分30秒
お疲れさまでした。今後の動きとやらに期待しています。
それと一つだけ質問。>>2の振りはどんな意味があったんですか?
ずっと気になってたんで。
194 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月20日(水)15時58分44秒
俺もおもった、教えて
195 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月20日(水)20時35分37秒
>>192 名無しさん
ありがとうございます。
やっぱり作者にとって楽しかったというのは最高の誉め言葉です。

>>193 名無し読者さん
>>194 名無しさん
あの振りは内容には関わっていませんでしたが一応意味はあります。
隆史は1年ほど大阪に行っていたという設定になってますが
彼がいなくて寂しかった矢口は時々悪い夢を見てうなされていた。
ってわけです。(w

12月に入ったら少し動きます。
196 名前:名無し娘 投稿日:2002年11月20日(水)22時45分27秒
和馬くんと瑞穂ちゃんの話にしてくれると嬉しいです
197 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月21日(木)16時27分33秒
>>196 名無し娘さん
和馬と瑞穂の話は個人的にも書きたいのですが
そうすると主役が2人ともオリジナルになってしまい
M-seekで書いてもいいのかと思いってます。

それと2人を主役にするにはある程度成長させなければなりません。
となると必然的に矢口やあややは老けるわけで(w
198 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月21日(木)16時28分45秒
>>197
訂正 ×思いってます
   ○思ってます
199 名前:名無しさん 投稿日:2002年11月21日(木)22時28分04秒
今度は矢口ではなく、ほかのメンバーでやってみてくれませんか?
高橋愛がすきなんで愛ちゃんがいいです
200 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月22日(金)22時05分59秒
>>199 名無しさん
う〜ん、高橋ですか?
自分的には隆史と矢口の番外編っぽいのを書こうと思ってるんですが・・・
201 名前:ダイ 投稿日:2002年11月23日(土)09時27分40秒
>>200
それがいいです
202 名前:こじろー 投稿日:2002年11月23日(土)10時45分12秒
番外編おわったら高橋というのは?最近高橋は人気
でてきてるので・・・
203 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月23日(土)22時56分13秒
>>200 ダイさん
自分もそちらの方が書きやすいので。

>>201 こじろーさん
高橋人気ですね。わかりました。
それについても考えてみます。いつになるかわかりませんが・・・
204 名前:ボイヤー 投稿日:2002年11月24日(日)08時55分52秒
作者さんがんばってください!!楽しみにまってます
205 名前:名無し読者 投稿日:2002年11月25日(月)02時28分12秒
一週間ぶりに来たら終わっている…。
更新を楽しみにしていたので残念ですが、番外編があるという事なので
それまで2chの方を読みながら、期待して待ってます。
高橋物も確かに悪くないなあ。矢口達の結婚前後も読みたいけど。
206 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年11月25日(月)21時54分47秒
>>204 ボイヤーさん
ありがとうございます。2chの方もよろしくです。

>>205 名無し読者さん
とりあえず番外編は12月に入ったらちょこちょこ載せてく予定なので
楽しみにしていただけると幸いです。
207 名前:名無し娘 投稿日:2002年12月01日(日)10時08分00秒
今日から12月ですね
番外編よろしくお願いします
208 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月02日(月)21時06分50秒
>>207 名無し娘さん
了解です。今日から少しずつ載せてきます。
209 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月02日(月)21時17分31秒
幼なじみ 〜いつかのメリークリスマス〜

「パパ、サンタさんは今度は何くれるのかな?」
俺ががテレビを見ていると和馬が膝に乗ってきた。
まだ5歳になったばかりの息子の無邪気な笑顔を見ていると
何でも買ってあげたくなるような気がする、親バカか?

「和馬が欲しい物は何かな?パパがサンタさんに話しておくよ。」
おそらくゲームかラジコン辺りだろうと思っていた。
でも意外にも和馬は長く悩んでいる。
その悩んでいる様子を見て台所から真里が微笑んでいる。
「う〜んとね」

「ぼく、ごとうまみのビデオがほしい!」
俺はそれを聞いて慌てて和馬の口を両手でふさいだ。
しかしその手をおもいっきり噛まれたので離してしまった。
「和馬〜そのビデオって何?」
210 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月02日(月)21時25分55秒
真里が台所からエプロンを着たまま歩いてきた。
「パパのおへやにあったビデオだよ。」
俺はいくら真里でも後藤まみは知らないだろうとタカをくくり
それ以上和馬にしゃべらせないようにするのはよした。

「パパがね、おへやにひとりでいるときみてた。」
なんか段々とヤバイ方向へ話が進んでませんか?
「そしたらね、おんなのひとのはだかがうつってたの。」
あぁ、ついに言っちゃった。
「和馬、ちょっとポチと遊んできなさい。」
「はーい!」
和馬は元気よく庭のポチの小屋へ走っていった。

「パパ〜、どんなビデオを見てたのかな?ママに教えて?」
真里は笑っていたけど完全に怒っているのがわかった。
「ちょっと外行ってきます!!」
俺はその場にあったコートを手に取りダッシュで外に出た。
211 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月02日(月)21時27分15秒
いきなり誤字発見ですが(汗)
とりあえずこんな感じでいこうと思います。
212 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月04日(水)23時04分18秒
やはり外に出ると12月はコートを着ても寒い。
大きな住宅街では庭の木をクリスマスツリーの様に装飾している。
俺は特に突然出てきたので行くあてもなくブラブラしていた。

そのまま歩いていると駅の方へ来ていた。
駅の前にはこの時期になると毎年巨大なツリーが立つ。
今年もそれは堂々と広場の中心にあった。
まだ陽が落ちていないのでイルミネーションは輝いていない。

俺はちょうど正面からそのツリーを見上げた。
すると空から冷たいモノが顔に降ってきた。
どうやら雪のようだ。この辺りではめずらしい12月に降る雪。
ちょうどあの時も同じように雪が降っていた。
213 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月04日(水)23時07分21秒
ちょっと更新です。
それとタイトルにある〜いつかのメリークリスマス〜は
某連続1位記録更新中の人達の歌とは関係ないです(w
214 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月06日(金)21時19分27秒
これは隆史と真里が20歳の時のクリスマス。

「あちゃ〜〜・・・」
台所の方から真里の情けない声が聞こえてくる。
俺はソファーから立ち上がり声の方へ向かった。
「あはは、失敗しちゃった・・・」
真里が舌を出しながらオーブンの中を指さすので見ると
そこには無惨なスポンジケーキの残骸があった。

真里は今日の朝早くからうちに来てケーキを作っていた。
どうせなら自分の家でやればいいと思うのだが
うちの台所の方が真里にとって使いやすいらしい。
俺はソファーで横になりながらテレビを見ていた。

「ねぇ、隆史も少しは手伝いなさいよ。」
真里はチョコチョコ忙しく動きながら俺に言ってきた。
「俺はレポートを書かなくちゃいけない。」
「テレビ見てばっかじゃない、それに大学も休みでしょ!」
そんな真理の声に背を向けてテレビのチャンネルをまわす。
ちょうどリビングの隅にある電話が鳴った。
215 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月06日(金)21時42分01秒
受話器の向こうから聞こえてきたのは母親と希美の声だった。
「ごめんな、帰るの夜になりそうや。」
「わかった、お土産よろしく。」
「お兄ちゃんにはいっぱいケーキ買ってくるからね。」
希美と母親も朝からどっか出掛けてしまった。
俺が起きたときには真里が一人でせっせとケーキを作っていた。

「母さんたちは夜になるって。」
それを聞いた矢口は台所から小走りでやってきて
「やったね、今日は隆史とふたりっきりだよ。」
「別に変なことはしないぞ。それと鼻にクリームが付いてる。」
真里は慌てて拭おうとしたが、その手を止めて
「あの・・・なめてもいいよ・・・」
「もしかしてお前はドアホか?」
俺はそう言ってもう一度ソファーに寝ころんだ。
それを見て真里は、顔を真っ赤にして台所に戻った。

しばらくして、俺はあることを思い出した。
レンタルしていたビデオの貸出期間が今日までだった。
デッキに入れっぱなしになっていたビデオを取りだしケースに戻した。
「ちょっと外行ってくる。」
「えぇ〜、恋人を残してどこへ行く気かしら?」
「ビデオ返してくる、それともお前も見るか?『リング』だけど」
真里の視線は遠慮しとくと言っていた。
216 名前:こじろー 投稿日:2002年12月14日(土)08時31分04秒
更新がんばってください
217 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月14日(土)22時58分27秒
>>216 こじろーさん
ありがとうございます。がんがります。
218 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月14日(土)23時08分26秒
車は朝から母さん達が使っているし
今日はクリスマスだからバスもかなり混雑しているので
自転車に乗ってビデオ屋に向かい走っていると
冷たい風が容赦なく顔に突き刺さってくる。

駅前の自転車置き場に着くころには手がかじかんでいた。
目的地にはそこから少し歩き広場を抜けて行く。
広場には例年通りあのツリーが立っていた。
俺はチラッとそちらの方を見たけど早歩きで通り過ぎた。

店内は暖房が効いててかなり助かった。
一直線にカウンターへ向かいビデオを返却する。
そういえば、何でこの時期に『リング』なんて借りたんだっけ?
見るならもっと夏にすればよかった、と
ほんのちょっと後悔の念がわいてきた。
219 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月14日(土)23時17分14秒
新作レンタルの棚を見てみたけど大した物はなかった。
その時、棚とビデオの隙間から向こう側の人と目があった。
俺は嫌な予感がしたので足早にその場を去ろうとしたが
自動ドアから出たときにはしっかりと腕を掴まれていた。

「せんぱ〜い、奇遇ですね。」
松浦と会うといつもこの台詞を言われる。
もしかしたら全て計算されたことなのかもしれない。
しかも何でクリスマスにビデオ屋になんかいるんだ?
ってそういや俺もか。

「今日はお家に松浦一人なんですよ。」
「ふ〜ん、そうなの。」
この後の松浦の言葉が容易に予測できるだろう。
「先輩も一緒に『バトル・ロワイアル』見ません?」
あなたは何でそんな物をクリスマスに見るんですか?
220 名前:名無し娘 投稿日:2002年12月15日(日)02時07分10秒
えっ!えっ!これからどうなっちゃうの?
221 名前:こじろー 投稿日:2002年12月15日(日)12時33分40秒
一緒に見ちゃえ
222 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月19日(木)16時13分52秒
>>220 名無し娘さん
どうなっちゃうんでしょうねぇ?(w

>>221 こじろーさん
それは悪魔のささやきですか?(w
223 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月19日(木)16時26分41秒
「な〜んてね、冗談ですよ。」
松浦はバッグの中からビデオを出して見せた。
それは確かに『バトル・ロワイアル』だった。
「先輩には矢口さんという恋人がいるんだから松浦は身を引きます。」
「めずらしいこともあるな。」
「クリスマスぐらい、遠慮しますよ。さ、早く帰らないと」
松浦は俺の背後に回り背中をドンッと押した。
俺はその勢いに身を任せて松浦と別れた。
「はぁ、どっかにいい男いないかなぁ・・・」

チャリンコに乗り広場を抜けた近道を行く。
しかしその近道は下り坂だったのでビュービューと風が当たる。
今ごろになってこの選択を後悔した。
坂が終わり狭い路地を抜けた所には「つんくや」がある。
店の前にはちょっと大きめのツリーが立っていた。

少し顔でも出していこうと思い、店に入った。
案の定、店には誰もいない。奥からテレビの音が聞こえる。
俺は窓側の棚に並べてあった可愛らしい箱達に目がいった。
その中のひとつをそっと開けてみた。
224 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月21日(土)22時38分03秒
すると、可愛らしい音楽が流れ出した。
同時に箱の中の男の子と女の子がクルクル踊り出した。
どうやらこれらはオルゴールらしい。
その暖かい音に俺はしばらく聞き入っていた。

しばらくすると音楽が止まり子供達も踊りをやめた。
ふと、箱の中の2人に自分と真里が重なって見えた。
俺は店の奥の方に向かって問いかけた。
「つんくさーん、これいくらっすか?」
「それなら、くれてやる。」

つんくさんは呼びかけた方向ではなく目前のレジに座っていた。
まったく気配を感じなかったがいつものことでもある。
「え?タダで?」
「あぁ、ワイにとってもちょっとした思い出の品や。」
つんくさんはタバコの煙をこちらに吐きながら言った。
225 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月21日(土)22時46分18秒
「それなら、タダどころか売ってもらうのも・・・」
俺はそれを聞いて何だか悪い気がしてきた。
「まぁ、変な言い方すると隆史にもらってほしい。」
「どういうこと?」
「それは、、、ひ・み・つ」
つんくさんは少し微笑んでタバコを灰皿に押しつけた。

「どうせお前のことだ。矢口にプレゼントも用意しとらんやろ?」
そう言われて思い出した。プレゼントなんて考えてなかった。
このオルゴールはちょうど良いといえばちょうど良いけど。
「ほれ、はよ行かんかい。」
つんくさんもさっきの松浦と同じように背中を押してくれた。

自動ドアが開くと一気に寒気が入ってきた。
「ひゃぁ、こりゃ早じまいせんとな。」
「ありがとうございました。」
「礼なんていらん、矢口によろしくな。」
そう言ってつんくさんは店の中へ戻っていった。
俺もチャリンコにまたがり家へと急いだ。
226 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月22日(日)18時30分34秒
自宅のドアの前まで来ると良い香りがした。
ポケットから鍵を出し、ノブを握る。
何となくプレゼントを渡すのに緊張してしまい
ノブを握ったままその場で深呼吸を2回ほどした。

「おかえり!遅かったじゃん。」
突然目の前のドアが迫り、額にブチ当たってしまった。
「キャハハ、ゴメンゴメン。それより早く上がってよ。」
真里は俺の手を取ってキッチンへ向かった。

テーブルの上には見事にデコレーションされたケーキがあった。
「なかなかうまいじゃん、見直した。」
「でしょ〜。自分でもおどろいちった。」
真里はナイフでそっとケーキをカットした。
そして2人分に分け、それぞれの皿においた。
227 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月22日(日)18時44分32秒
「じゃじゃーん!矢口特製ケーキの完成でーす!」
「おぉ、素晴らしい。じゃ俺からも。」
俺はコートの内ポケットに入っていたオルゴールを出した。
そして真里の両手のひらにそれを置いた。
「何?この箱?」
真里は不思議そうな顔をして、ふたを開けた。

「わぁ!」
可愛らしいメロディーが部屋に響く。
オルゴールの中の2人もさっきよりも楽しそうに見えた。
真里はそれを微笑みながら見つめていた。
音楽が鳴り止むと、真里はもう一度ふたを閉じた。

「ありがと。すごくカワイイね。」
「まあな。んじゃケーキ食べますか?」
「よっしゃー!その後は矢口真里というケーキを・・・」
「お前は、ホントにドアホだな。」
真里の頭をポンッとたたくと、真里はにっこり笑った。
228 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月23日(月)20時06分58秒
「ぷはぁ〜食った食った。」
真里はベッドにゴロンと寝そべった。
「まったく食い過ぎなんだよ、一人で半分食いやがって。」
「だって〜、意外とおいしかったんだもん。」
俺は真里を呆れた目でから見ていた。
「寒いから窓閉めてよ。」
「ずっと暖房つけてたから少しは換気しないとな。」
「ひぃ〜さむい〜。」

窓枠に寄っかかっていると
さっきまでは冷たかった風が心地よく感じられた。
暖房の効きすぎで体に熱がこもったせいだろうか?
ふと、肩にヒンヤリとした感触があった。
その感触は次々に肩や背中にやってきた。

「何かホントに寒くなってきた。
 ねぇオイラの部屋からコート持ってきてくれない?」
「それよりもこっち来て見ろよ。」
真里は嫌そうな顔をしていたが渋々やってきた。
229 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月23日(月)20時16分04秒
「雪だぁ!雪だぁ!」
真里は窓から身を乗り出して、空を見上げた。
最近ではめずらしい12月に降る雪、真っ白い粉雪。
俺はしばらく上を向き、真里は歓喜の声を上げていた。

すると、真里が突然俺の方を向いた。
「ホワイトクリスマスだね。」
「あぁ、生まれて初めてだな。こんなの。」
「はい、プレゼント。」
そう言うと真里は急に顔を近づけキスをしてきた。
熱いキスではなく、初々しい軽いキス。
「メリークリスマス!さぁ、次はいよいよ矢口真里ケーキ・・・」
「まだ言うか、お前ってやつは。」
230 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月24日(火)21時39分34秒
「ただいま。和馬、雪が降ってるぞ。」
玄関でコートにかかった雪を払い落とし、リビングへ向かう。
しかしそこには和馬の姿はなく庭からポチと和馬の声が聞こえた。
「おかえりぃ〜。」
2階から真里がひょっこり顔を出して手招きしている。
「どうかしたのか?」
「ちょっとこれ見てよ。なつかしいでしょ。」
真里は段ボールの中から小さな箱を出した。

それはあの時に真里にプレゼントしたオルゴールだった。
そっとふたを開けると聞き覚えのある音楽が流れ出した。
「整理してたら、出てきたの。」
「たしか俺らが二十歳のころだよな。若かったなぁ。」
「今でも結構若い方だよ。あ、明日ケーキ作るから手伝ってね。」
「へいへい、和馬もお手伝いするよな?」
和馬がポチを抱いて2階へ上がってきた。
「うん、それとねパパ。ぼく、かごあいりのビデオもほしい。」
「パパ〜、そのビデオは何かな〜?」
明日は楽しいクリスマスですよ〜。

Fin.
231 名前:妄想男@作者 投稿日:2002年12月24日(火)21時44分07秒
以上で終了です。
(〜^◇^)<メリークリスマス!!

また、年明けてしばらくしたら動きます。ではでは。
232 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月07日(火)20時11分42秒
そろそろ動こうかな・・・
233 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)08時28分15秒
>>232
お待ちしておりました
234 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月08日(水)20時38分14秒
遅れましたがおめでとうございます。
と言うわけで、また番外編を一本書いてみたいと思います。
今回は次回作への伏線もいくつかありますのでお楽しみに。
では、明日から。
タイトルは「幼なじみ 〜小さな生命〜」です。
235 名前:ボイヤー 投稿日:2003年01月09日(木)16時17分16秒
待ってました。更新がんばってくださいw
236 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月09日(木)22時20分51秒
幼なじみ 〜小さな生命〜

8月の太陽が目を開けてられないくらいにまぶしい。
俺は仕事帰りに車で病院へと急いでいた。
予定日はまだもう少し先のことだけど、どうにも落ち着かない。
それもそうだよな。父親になっちゃうんだから。

駐車場に車を止めて、自然と小走りになってしまう。
ノックをして個室に入ると真里は退屈そうに雑誌を読んでいた。
「新しいの買ってきたぞ。」
「やったー!何回も同じの読んで飽きてたんだよね。」
俺が抱えている何冊かの雑誌を見て真里は喜んだ。
女性週刊誌を見ることが真里流の情操教育らしい。

「しかし、大きくなったな。」
俺は真里のお腹に手を当てて言った。
「焼き肉の食べ過ぎの10倍ぐらいあるね。」
真理はそういいながら自分のお腹をポンと叩いた。
家にいるときは、だんだん大きくなるのを見て
真里の小さな体では耐えられないかも、と心配したほどだった。
237 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月09日(木)22時32分11秒
今日で予定日まで残り一週間となっていた。
その予定日というのがどれほどあてになるのか知らないけど。
「そう言えば今日は早いね、仕事は?」
「大丈夫だよ。がんばって早く終わらせたからな。」
「あんまり無理しなくてもいいんだよ。」
真里の言うとおり、実は上司に無理を言って早退したんだけど
その分子供が産まれてからは忙しくなりそうだな。

「名前どうしようか?」
真里が突然雑誌を読む手を止め聞いてきた。
当然の事ながら、赤ん坊には名前が必要だ。しかし考えてない。
「う〜ん、姓名判断の本とか買うか?」
「私は特にこだわりとかないからいいよ。隆が考えて。」
考えてと言われてもなぁ。実際は意外と難しいものだ。

「あ。一つだけ条件がある。」
そう言って真里は急に真剣な顔をした。
「男の子だったらカッコイイ名前。女の子だったらカワイイ名前。」
「了解しました。」
真里らしいこだわりだな、と思って笑った。
238 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月09日(木)22時33分29秒
>>235 ボイヤーさん
ありがとうございます。またサボリ気味なるかもしれませんが
よろしくおねがいします。
239 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月13日(月)21時37分14秒
スーパーで晩飯の買い物をしてから家に帰ると、
俺は不用心にも鍵を開けっ放しの状態で出たらしい。
しかし玄関には見慣れない靴があった。
もしかして部屋を間違えたかと思ったけどやっぱ自分の家だ。
足音を立てずにリビングへ向かってみると鼻歌が聞こえてきた。

「お兄ちゃん、お帰り。」
見てみると希美が台所で何やら料理を作っていた。
希美は実家から大学へ通っていて、時々遊びに来た。
「お姉ちゃんがいないと家事が大変でしょ?」
その言葉を聞くとどうも嫌な予感がしてきた。
「まさか、お前ずっといる気じゃ・・・」
「そうしたいけどここから大学まで遠いし。」
俺は胸を撫で下ろし一安心した。

予定変更で晩飯は冷凍食品から希美の手料理となった。
意外にも希美の料理の腕は上手く、驚いてしまった。
「私だって料理ぐらいするんだから。」
驚いた俺の表情を見て希美は気付いたのか睨んできた。
「そう言えば赤ちゃんの名前どうするの?」
昔よりも上品な食べ方になった希美が聞いてきた。
240 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月16日(木)17時04分37秒
「今のところは良い案がないんだけど・・・」
希美はそれを聞いてあきれた顔をして箸を止めている。
名前というのは普通、生まれてから決める物ではないのか?
「私は口を出さないけど、一つ良いこと教えてあげる。」
「姓名判断でもしてくれるのか?」
希美は自信満々と言った表情でこう言った。
「男の子ならカッコイイ名前、女の子だったらカワイイ名前。」

結婚してからしばらくして不思議に思ったことがあった。
血は繋がっていないのにどうも真里と希美は似ている。
顔や性格じゃなくて、もっと内面的なこだわりとか。
さっきも真里が同じ事を言っていたのを思いだし笑った。
それを見て希美は不思議そうに俺を見ていた。

「別におかしいことじゃないわよ。それともう一つ。」
「今度こそ姓名判断か?」
俺の言葉を無視して希美は真剣な顔になった。
「母さんだけには相談しない方がいいよ。変な名前付けるから。」
「ああ、そうだな。大五郎とか・・・」
この前電話したときには母さんは既に案があるとか言ってた。
相談してみようかと少し思っていたけれど
そう言われるとやはりしない方が賢明な判断のようだ。
241 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月23日(木)21時54分35秒
翌日の朝早くに希美は大学へ行ってしまった。
見送ってやりたかったけどベッドの上からの言葉だけになった。
7:00になったので急いで風呂場に向かいシャワーを浴びて
少し残っていた眠気を無理やりに覚ました。
リビングのテーブルの上には希美が作ってくれたらしい朝食が
「仕事がんばって♪」というメモと一緒に並んでいた。
昨日も思ったが希美の料理の腕はかなり上達している。
うちの主婦よりも料理の上手い女子大生ってのも凄いな。
ま、女子大生より料理が下手なうちの主婦の方が問題か・・・

朝食を味わいながら食べていると、メールが来た。
仕事のパートナーからだ。おそらく今日の取材のことだろう。
「9:00に××駅前で落ち合おう。」
その時間ならまだ余裕がある。しかし、病院に行けるほどでもない。
俺はソファーに投げ出してあった育児関係の雑誌を手に取った。
ちょうどその号の特集は赤ん坊の名前だった。
その記事を読んでとても良く解ったことが一つだけあった。
それは真里や希美が言った通りのことであったので思わずにやついた。
242 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年01月27日(月)21時14分03秒
時計を見ると出発にはちょうどいい時間になった。
とりあえず取材用のアイテムが詰まった小さなバックを取り
部屋着から仕事着に着替える。仕事着と言っても普通の洋服だ。
そして携帯で久しぶりの相手に素早くメールを打つ。
「今日はよろしくお願いします。」

パートナーとの待ち合わせの場所に行くまでの間には返信はなかった。
きっと過密なスケジュールに追われているのだろう。
駅前でパートナーと合流して、取材を行う某スタジオへ向かう。
そう、俺の仕事は雑誌の編集者だ。まだ下っ端の方だけど。
読書や文章を書くのが好きなことが幸いして何とかこの仕事に就けた。

スタジオに着いた時にはまだ彼女はそこにはいなかった。
その間に今日の取材の確認を再度する。
音楽関係の雑誌の担当になってからアイドル系の人の取材が多かった。
今回の彼女もその例外ではないけど、歌はかなり上手い方だと思う。
メールの着信音がして電源を切ってないことに気づき携帯慌ててを見た。
「よろしくね☆」というメールと共に彼女は入ってきた。
今ではもう国民的アイドル、後藤真希が。
243 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月03日(月)20時58分20秒
お待ちの方がいたら、申し訳ありませんがもう少しお待ち下さい。
244 名前:zai 投稿日:2003年02月03日(月)23時56分09秒
待ってますがんばってください。
245 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月05日(水)20時06分03秒
>>244 zaiさん
ありがとうございます。がんがります。
246 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月05日(水)20時25分24秒
「久しぶり。」
俺と後藤が同時に同じ事を言ったので苦笑してしまった。
後藤と実際に会うのは彼女の初めての全国ツアーの時以来だ。
真里は今も時々遊んでるようだけど、俺はメールだけだった。
「まさか隆史から取材されるとは思わなかったなぁ。」
相変わらずの柔らかい笑顔で後藤は言った。

約1時間程度で今日の取材は終わった。
新曲のことについてや2度目の全国ツアーについて。
「ありがとうございました。」
あいさつを済ますと後藤のマネージャーが慌ただしく動き出した。
どうやらこの後のスケジュールを確認しているようだ。
そんなマネージャーを無視して後藤を俺の方へ寄ってきた。

「おめでとう。あと一週間なんでしょ?」
「ああ、ありがとな。でもいまいち実感が湧かなくてなんともな。」
「最初はきっとそんなもんだよ。それじゃね、バイバイ。」
そう言って俺に背を向けた後藤を急に呼び止めてしまった。
「彼氏とは上手くいってんのか?」
「まかせなさい!!」
後藤は両手でピースを作り、スタジオをあとにした。
247 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月10日(月)21時20分11秒
取材が終わり、一度会社に戻ってから病院へ向かった。
その車中では久しぶりに会った後藤のことを心配してしまった。
後藤は今の彼氏とは今月でちょうど2年になる。
その彼氏というのがまた一癖も二癖もあるような男で・・・
ある意味、あの2人は俺と真里よりゴチャゴチャしてるかもしれない。

真里のいる個室は午後はちょうど良く陽射しが当たる。
その陽射しを避けるためかカーテンを半分閉めて真里は昼寝をしていた。
起こすのも悪い気がしたので俺は一旦部屋を出た。
「せんぱ〜い。奇遇ですねぇ。」
ちょうど隣の部屋から亜弥が出てくるのとタイミングばっちしだった。
しかしマンションも病室も隣とは神の仕業だろうか?

「私も予定日まで一週間なんですよぉ。」
亜弥が売店まで行くと言うからそれに付き合い廊下を歩いていた。
さすがの亜弥も大きいお腹では歩きにくいようだ。
「うちは女の子なんですよ。先輩の方は?」
「調べてないよ。『その瞬間の楽しみだ』って真里が言うからな。」
本当は俺も早く知りたいんだけど、と心の中で付け足した。
248 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月12日(水)21時22分58秒
売店から帰ってくると亜弥の病室の前に人影が見える。
その男性はスーツでバシッと決めていかにもやり手って感じだ。
「佳ちゃん!今日は早いんだね。」
何だ慶介か。スーツ姿なんて初めてだから誰か解らなかった。
橘佳祐は俺の高校時代の後輩であり、亜弥の夫である。
この真面目な男がどうして亜弥みたいなのと結婚したか未だに不明だ。

「中澤先輩こんにちは。うちもあと一週間なんですよ。」
「そうみたいだな。あら、お互い大変だねぇ。」
佳祐は右腕に袋に入った大量のマンガを持っていた。
俺がそれを発見したことに気付くと、亜弥は慌てて袋を佳祐から取った。
「こ、これはですねぇ。暇だから・・・その・・・」
「気にする事じゃねぇよ。真里も同じだから。」
マンガと週刊誌じゃマンガの方が可愛げがあるけどね。
やけに芸能通な子供が産まれたらどうしよう・・・

亜弥達と別れて、真里の個室へ入るとちょうど起きたところだった。
「よく寝られたか?」
「ふぁーー。もうヒマでしょうがないよ。」
真里はベッドの上であくびをしながら大きく伸びをした。
そんな真里を見て、俺は真里みたいな元気な子がいいなと
胸に今までにしたことのない期待をしていた。
249 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月16日(日)21時25分13秒
一週間後、ついにその日はやってきた。
医者の言う予定日も意外とあてになるようだ。
昨晩から突然の仕事で会社に泊まっていた俺は
電話の向こうから聞こえてきた希美の慌てた声のおかげで
急いで上司に理由を話し早退した。
幸いにも道路はそれほど混んではいなかった。

「お兄ちゃん、早く!早く!」
病院に着くとロビーで希美が待っていてくれた。
仕事のせいで真里の傍にいてやれない俺の代わりに
大学の大切な授業を休んで来てくれたのだ。
手術室の前では母さんがソファに座って祈るように手を合わせていた。
その隣の亜弥も心配して来てくれたのだろう。
皆、無言で母子の無事を祈り続けていた。

何回廊下を往復しただろうか?
母さんに「落ち着け」と言われても座っていられない。
ドラマでよくある光景だけど実際に同じになるとは思わなかった。
まだ手術中の真っ赤なランプが灯っている。
その赤色を見ていると不吉な感じがした。
「真里先輩なら絶対だいじょうぶですよ。」
そんな俺を見て、松浦が無理やり笑顔を作って言ってくれた。
250 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月16日(日)21時28分10秒
訂正 松浦が無理やり→亜弥が無理やり
結婚してるんだっつーの!(w
251 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月17日(月)21時23分32秒
あげます。
252 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月18日(火)21時32分16秒
何時間の沈黙が続いただろうか?
俺は少し前にようやく落ち着いてソファに腰掛けた。
真里と生まれてくる小さな生命の無事を祈り続けた。

オギャー!!オギャー!!

その元気な泣き声を聞いた瞬間、皆が立ち上がる。
赤ん坊が無事に生まれてきたことに安堵しながらも
真里のことが気になってすぐに複雑な表情になった。
思っていたよりも時間がかかった。難産だったのだろう。

分厚い扉が開き主治医が奥から出てきた。
その無表情からは状況が窺えない。心臓の鼓動が早く鳴り出した。
「母子共に健康です。」
その言葉を聞くと、心から闇が一気に消え去っていった。
母さんは顔を下に向けている。泣いているようだ。
俺はガラにもなく神に感謝していた。
253 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月21日(金)20時51分39秒
「う〜ん。迷うなぁ。」
真里は赤ん坊の顔をまじまじと見ながら腕組みしていた。
ついに子供の名前が決定するのだ。
とりあえず俺が悩んだ末にいくつかの案を紙に書き出した。
その中の一つから真里が決める、ということにした。
「先輩って意外とセンスがあるんですね。」

真里の背後からメモを覗いて亜弥が感心していた。
亜弥も昨日出産を終えたばかりだった。
「それじゃ、余った名前の中から選ぼうかな。」
佳祐が半ば真面目な顔をしていった。本気なのか?
「ダメよ。うちは女の子なんだから。カワイイ名前にするの。」
亜弥のことだから、もしかしたら桃とか苺みたいなのにするかも。

「なぁ、隆史。ちょっとええか?」
さっきまで微笑んでいた母さんが急に落ち着いた声で
真剣な眼差しをして俺の方を見ていた。
「赤ん坊の名前やけど・・・」
いつのまにか、みんな話すのを止めて俺と母さんを見ていた。
「和馬にしてくれへんか・・・」
一瞬にして空気が凍り、時間も止まったかのように感じた。
254 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年02月27日(木)21時17分13秒
この状況では呼吸するのでさえ苦しい。会話も止まったままだ。
しかし母さんの願いを無視するわけにもいかない。
きっと真里も同じ事を考えてくれているだろう。
でも、その名前は・・・・和馬は・・・・

「おばさま!何を言ってるんですか!」
亜弥がそれまでの空気を断ち切るかのように声を荒げた。
その隣の佳祐は何が起こったのか解っていないため
驚いて顔で亜弥をなだめるだけだった。それでも亜弥は続けた。
「亡くなったおじさまの名前を付けるなんて!!」
そこでやっと佳祐は事態の重大さに気付いたようだった。

俺が小学生で希美がまだ幼稚園児だったころ
俺達の親父は突然の交通事故で死んだ。
道路に飛び出した子供をかばったそうだ。今考えると親父らしい。
俺はともかく、まだ小さかった希美はその事が理解できなかった。
もう親父が帰ってこないと希美が悟った時は一晩中泣いていた記憶がある。
255 名前:名無し 投稿日:2003年02月28日(金)00時29分24秒
続き期待してます。
256 名前:おつ〜か 投稿日:2003年03月05日(水)19時32分41秒
初めまして!
この小説をいつも楽しみにしています。
とても面白いです。お気に入りに追加しました!
これからもどうぞがんばってください!応援してます
257 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年03月14日(金)22時11分29秒
>>255 名無しさん
お待たせしてしまって申し訳ないです。

>>256 おつ〜かさん
ありがとうございます。お気に入りに入れてくれるとは(w
このシリーズもそろそろ終了です。・・・たぶん
258 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年03月16日(日)21時25分15秒
「わかっとる・・・せやけど・・・」
亜弥に責められていつも気丈な母さんが目に涙をためている。
常識的に考えれば亜弥の言っている事の方が正しいだろう。
でも、母さんの願いの切実さは心に痛いほど伝わってくる。
親父らしい死に方だったとはいえ交通事故という最悪の結末を迎え、
終わるのには早すぎた親父の人生だった。
母さんからしてみれば、この子に親父の分まで生きてほしいのだろう。

「悪いけど、ちょっと席を外してくれないか?」
俺は亜弥と佳祐の方を向いて言った。
「え・・・?でも・・・」
亜弥はまだ何か言いたげだったが佳祐に腕を取られ出ていった。
そして部屋には俺と真里と母さんの3人だけになった。
真里はさっきからずっと子供を見つめている。

「真里はどう思う。」
「私は・・・無責任かもしれないけど隆史と裕ちゃんに任せるよ。」
表情や話し方は落ち着いてはいるけれど、
真里も親父に世話になっていたから複雑な気持ちなはずだ。
俺自身はどう思っている?親父の名を付けるのか?それとも・・・
気がつくと子供が顔の向きを変え俺の方をじっと見ていた。
259 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年03月26日(水)21時37分02秒
ageとこう。
260 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)15時55分11秒
「よし、決めた!和馬にしよう!」
俺はついに心を決めた。この子は中澤和馬だ。
その言葉を聞いて真里はもちろん、提案者の母さんまで驚いている。
そりゃ今はまだ俺の中でも少しは抵抗があるよ。
でも、我が子には親父のような男になってほしかった。
それは心の奥の方で誰もが願っていたことかもしれないから。

「ほんまに・・・ええんか・・・?」
母さんは未だに信じ切れていないのか、俺に確認してきた。
「ああ、でも一つだけ言っておくことがある。
 この子は親父の生まれ変わりでも何でもない。中澤和馬だ。」
そう言って真里の方を向くと笑顔でうなずいてくれた。
「・・・ありがとう。ありがとう。」
たまっていた涙が母さんの頬をつたう。鬼の目にも涙ってやつ。

真里と母さんを病室に残して、亜弥の病室に向かった。
ドアを開けると、亜弥はうつむいて佳祐に何やら話していた。
邪魔しちゃ悪いと思い子供の名前を和馬に決めただけと伝えて、部屋を出ようとした。
「先輩。あの子は・・・和馬君は生まれ変わりじゃないですよね?」
「そうだ。あいつは俺の息子だ。親父より立派な人間になる。」
261 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)16時08分55秒
俺は亜弥に背を向けて言った。きっと亜弥も微笑んでいる。そう信じて・・・
その後佳祐から聞いた話によると、亜弥も望んでいたことだったらしい。
何回も言うようだけど、俺の子供は親父の生まれ変わりなんかじゃない。
−−−−−−−−−−−中澤和馬だ!!−−−−−−−−−−−−

真里が退院してついに我が家に和馬がやってきた。
生まれて初めての子育てに俺も真里も苦戦しまくりだ。
希美や母さん、時には遊びに来た後藤にまで手伝ってもらう。
みんな忙しいのに・・・ありがとう・・・

ある晩、俺が和馬を寝かせてリビングに戻ると真里が泣いていた。
「どうしたんだよ?」
「・・・みんなが優しいから。ホントは私の仕事なのに。」
どうやら真里は自分の力不足が悲しくなったらしい。
「ヴァーーカ!いいんだよ。俺達は家族なんだから。」
「うん・・・そうだね・・・隆史、アリガト!!」

幸せだなぁって思うことは今までたくさんあった。
でも、今が一番幸せなんじゃないかな。俺の人生の中で。
それもこれも、この小さな生命のおかがってやつだね。
Fin.
262 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)16時12分50秒
最後の最後で誤字ハケーン(泣
おかが→おかげ です。何とも締まりのない終わりだな・・・・
さてさて、とりあえずこのシリーズの新作も考えてはあります。
ただそれよりも書きたい物ができてしまったのでとりあえず封印です。(w
わがままでスマソ。では、またどこかの板で逢いましょう。川o・-・)ノ~~

Converted by dat2html.pl 1.0