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ムスメ大戦。
- 1 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時28分26秒
- 某ゲーム(アニメ?)のパクリっぽいけど、ストーリー、世界観(?)はオリジナルです。。
時期はいちおう9人時代ということで。
最後まで読んで頂ければ幸いです。
- 2 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時29分09秒
- 「は〜い、解散〜」
「はぁ〜 つかれた…」
ここはFテレビの、とある少し大きめの楽屋。
国民的アイドルグループ「モーニング娘。」の新曲の収録が終わり、
リーダーである飯田さんによる反省会のあと、皆が体を休めていた。
「今からみんなでどっか遊びに行かない?」
私の教育係の矢口さん。
ほんとにいつも元気だ。あのチビっ子達ほどではないが───
「すまん、その話なかったことにしてくれへんか?」
そこにいたのは、つんくさんだった。 突然、ノックもせずに入ってくるなんて…
私達のプロデューサーといえども失礼だな、と思いながら私は聞いた。
「つんくさん? それどういうこと?」
「ちょっと話があんねん。大事な話や。
君ら何でモーニング娘。にいるんやと思う?」
「はぁ?」
- 3 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時30分00秒
- オリジナルメンバーである安倍さん。
「そりゃ…オーディションに落っこちた5人がCD売って…」
最年長の保田さん。
「なんで…って追加オーディションに受かって…
つんくさん、一体何ですか?」
「そや。しかし何の基準で選ばれたか分かるか?」
私の横にいた梨華ちゃんは苦笑いをしながら問い掛けた。
「歌… 歌唱力じゃないんですか?」
「ちゃうちゃう。歌唱力で選んどったら石川なんて始めから入れへん。」
「…」
「ほら、落ち込まないで、梨華ちゃん!」
私は梨華ちゃんをフォロー…しようと思ったが、それはつんくさんの一言で遮られた。
「力や────」
一瞬楽屋が静まり返る。皆は一体何のことかよく分かっていないようだ。もちろん、私も。
「力ならののとごとーしゃんが強いのれす!」
「ちゃうがな、辻。
力といっても筋力の事やぁない。
突然の事でなんや分からんやろうから、
ちょっとずつ説明するわな。
ちょっとこれ見てみ。」
- 4 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時31分05秒
- するとつんくさんは手にもっていた新聞を床に放った。
皆がその新聞に寄ると、一番近くにいた飯田さんがそこにあった記事を読み上げた。
「東京都 都市部近辺で怪事件多発!
新宿区で男女4人重傷───
足立区で建築物破損事故───
同日の1時間後に江戸川区で未確認生物の目撃あり───」
しばらくその記事を見つめた後、矢口さんが口を開いた。
「なんなの、これ?
モーたい。の新企画? 新聞記者の次はMMR?なんちて」
「あははは… MMRなんて懐かしいね〜」
と、ごっちん。さっきまで寝てたのにいつの間に…
「君たちにその力を使い、この『未確認生物』のせん滅をしてもらう。
もちろん武器はあるで。」
全員の笑い声が止まり、楽屋は再び静まり返った。
- 5 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時31分47秒
- 「えーー?! なんでウチらが?!
その前にこの『未確認生物』って何かの見間違えじゃない?
ほら、熊とか…」
「矢口さん、それ熊でも退治できないよ」
「さっそくやけど、その武器に慣れてもらう。
ついてきて。」
迷いつつも、みんながつんくさんの後を着いて行くと、バスが用意してあった。
バスに乗って30分くらいしただろうか。
私は東京の人間ではないので、どこかは分からないが埠頭に着いた。
メンバー9人とつんくさんがバスを降り、すぐ横にあった怪しげな倉庫へ入る。
いかにも、暴力団が密輸品の取引きをしていたり、
誘拐事件の身代金の交換に使われそうな雰囲気だ。
TVドラマの見すぎかな?
暗くてよく見えないが、意外に広いようだ。
つんくさんが壁にあった照明のスイッチを入れる───
私達はそこにあったものを見て驚いた。
ロボットだ。
- 6 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時32分24秒
- 3,4メートルほどの大きさ。それも5体。
「かっけーー!!」
興奮した私は走ってその1台に駆け寄る。
すると一瞬マシンの目が光った。
「うわぁ!!」
びっくりしてコケてしまった。かっこ悪…
これを腰をぬかす、というのだろうか…
「どうしたの、よっすぃ〜?!」
矢口さんを先頭に、みんなが駆け寄ってきた。
背はちっちゃいけど、どんな時でも心配してくれる矢口さんって好き。
…って、今はそんな事を考えてる場合じゃない。
「今、あれの目が光ったような…」
「き、気のせいじゃない?」
「気のせいやあらへんで。
そいつはよっすぃ〜の力に反応しとるんや。」
私を囲んでいたメンバーは後ろにいるつんくさんのほうを振り返った。
「こいつらは、ただの機械やあらへん。
君らの持っている力とリンクして…」
- 7 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)22時33分25秒
- 「さっきからつんくさんが言ってる、『力』ってなんですか?」
「力ってゆうてもいろいろあってな、
物理的やない、人間の内面に持っとる力や。例えば、
超能力、霊力、魔力とかな。君らの持っとるんは、
5、600万人に1人の割合で持つことができる『導力』っちゅーもんや。」
「動力?」
「ちょっと漢字がちゃうで、吉澤。
このマシンは君らの持っている『導力』を燃料として動く、戦闘兵器や。
ガソリンなんてメじゃない。がんばれば核燃料以上のエネルギーだって出せる。」
保田さんが一歩前に出る。
「つまり、今までの話をまとめるとこういうこと?
私達はモーニング娘。として『導力』?それが目的で集められて、
それで私達にこのマシンを使わせて、『未確認生物』と戦う…てこと?」
「ま、そんなところやな。」
「ひどい!」
「それじゃあ、今まで私達を騙していたっていうこと?!」
さっきまで黙っていた保田さんと飯田さんが口を開いた。
「騙していたとは人聞きが悪いな…」
- 8 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)23時07分08秒
- 「騙してるじゃない!
この子たち、まだ子供よ!
勝手にそんな危険な事させないでよ!
この子たちがモーニングにいるのは夢を追いかけて…」
「そのへんはすまんかった。しかし…」
「すまんかった、じゃないわよ!」
保田さんは怒って倉庫を飛び出していった。
しばしの間、とても重い空気が流れる。
「あとで保田にも伝えといてくれ。」
「…」
「この東京を、いや、日本を守れるのは君たち以外おらんのや…」
真剣なまなざしでつんくを見る飯田さん。
「わざわざ私達を使う意味なんてあるの?
警察とか自衛隊に任せれば…」
「いや、それはあかん。
あまり事態を大きくすると一般人はパニックになる…」
「ちょっとぐらいなってもいいじゃない!
この子たちに戦いをさせるなんかより… つんくさん、どうかしてるよ…」
「飯田、そういうわけにはいかんのや。
3ヶ月前にロシアのある地方で起こった暴動、覚えてるか?」
- 9 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)23時07分43秒
- 「…。それとこれと関係あるの?」
「あれな、実はBOW… さっき言ってた『未確認生物』、モンスターの仕業なんや。」
「でも、あれは反政府過激派グループの仕業だって…
そんなことどうだっていいじゃない!」
「あれはロシアが発表した偽の情報や。 そもそも…」
話によると、
それは数体のモンスターの出現により始まった。
しかしすぐにモンスターは陸軍により殲滅されたが、それが人の目に触れたため、
デマや勘違いにより、テロか戦争だと思い込んだ村の人間はパニックに陥り、
さらに無法地帯と化した村で暴動や略奪が行われるようになった。
村の人間はモンスターの存在は知らなかったため、
国の情報操作により過激派グループの仕業として片付けられた…
とのこと。
「ということや。
軍が人の目に触れたことで大惨事を起こす結果となった。
もしモンスターの存在を村の人間が知ったとしたら、どうなっとった?
更に被害は拡大しとったよな。
モンスターより暴動起こす人間のほうが怖いで。」
- 10 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)23時08分13秒
- 「でも… でも、みんなまだ子供よ?!
いっぱい遊びたいし、恋もしたい。
この子たちに戦いなんせさせられないよ…」
「あたし、やるよ。」
「後藤…」
一番無関心そうな表情をしていたごっちんが一番に手を上げた。
「やりたい!このマシンつよそうれすね!
負ける気がしないのれす!」
「正義の味方ってかっこええやん!やるで!」
「辻、加護も…」
「おっ?辻も加護もやるのかっ?!
この二人が心配だからオイラもやるよ!」
矢口さんは笑顔で二人を見ながら言った。
「わたしもやります。 できるかどうか分からないけど…」
「なっちもやるべ!」
続いて梨華ちゃんと安倍さんが手を上げる。
「石川!なっちも…」
あとは私と飯田さんだけだ。
- 11 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)23時09分09秒
- みんなが私のほうを向く。手上げろオーラを放ちながら───
もういいや。
「やります。」
「吉澤… いいの?みんな…」
さっきまでの気まずい雰囲気はすでになくなっていた。
「いいらさんはやらないのれすか?」
「かおりがピンチになったらオイラが助けてあげるよ!」
「矢口だけじゃ頼りないっしょ? 安倍さんもついてるべ。」
「なんだよそれ!」
「やぐち… なっち…」
飯田さんは目に涙を浮かべていた。
後輩を戦いに参加させることが辛いから… ではなく、
そんな事より頼れる後輩がいることがすごく嬉しかったようだ。
「うぅぅ… かおりもやるよぉ」
おそらく飯田さんは自分が何を言ってるか分かってないかも…
でもリーダーとしてメンバーを守りたい、という気持ちもあるかもしれないな…
- 12 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月08日(月)23時09分41秒
- 「よっしゃ、あとは保田だけやな。」
つんくさんがいたことをすっかり忘れていたためか、
何故か私はその声にびっくりした。
「圭ちゃんは矢口が連れ戻して…」
「キャァァァァァー!!!」
保田さんの声だ…!
皆は倉庫の外にいる保田さんのもとへ駆けつけた。
…しかし私達は10m手前で立ち止まった。
そこには、今まで見たことのないような威容な怪物が
保田さんを襲おうとしていた。
- 13 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月11日(木)20時25分05秒
- だいたい巨大な猿のような熊のような形をしているが、
体から得体のしれないような内蔵や触手が飛び出している。
少し長い手には大きな爪。
これをクリーチャーとかキメラとかいう類の生き物だろうか…
「なに、あれ?!かっけー!」
…おっと、こんな事を言っている場合ではないな…
- 14 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月11日(木)20時25分51秒
- 「さっき言っとったモンスターや!
誰かあのマシンで… うわ!くそっ!」
つんくさんが振り返った先に見たものは、
倉庫入り口に立ちふさがっている、別のモンスターだった。
私は叫んだ。
「早く逃げましょう!!」
「あかん!すぐ横は市街地や!モンスターをここで潰さんと大変な事になる!」
「っていうかもうすでに大変だよ〜!」
あわてるごっちん。
「おうちにかえりた〜い」
ハロモニのコントの時と同じような困った顔をする梨華ちゃん。
「お前ら落ち着け!
とりあえず、安倍と飯田は保田を救出に行ってくれ!」
「はい!」
「わかった!」
腰をぬかしている保田さんに向かう安倍さんと飯田さん。
すると矢口さんはこう言い放った。
「オイラがあの怪物をひきつけるから、
その隙によっすぃ〜達はあのマシンで戦って!」
- 15 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月11日(木)20時27分03秒
- 「矢口さぁ〜ん!危険すぎます!
それにマシンの操縦なんて無理です!」
「大丈夫や!
マシンのインターフェースはゲームとあんまり変わらへんから!」
と、つんくさん。 そういう問題ではないような…
そんなことを考えていると矢口さんはすでにモンスターに向かって走っていた。
「矢口さん!」
「矢口はよっすぃ〜を信じてるからね!」
そうだ… 皆を守れるのは私達しかいない…
その時の矢口さんの小さな背中はいつもより大きく見えた。
「…いこう、みんな!」
私はあっけにとられている辻と加護をひっぱり、
泣きそうな顔の梨華ちゃんと焦っているごっちんと一緒に
走って倉庫へ戻った。
マシンの背中にハッチらしきものがあり、
それを開けて中へ入ると、正面にディスプレイがあり、
数本のレバーや計器があり、あちらこちらにボタンが敷き詰められていた。
- 16 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月13日(土)22時25分44秒
- 「つんくさぁん!
どこがゲームとあんまり変わらない、ですかぁ?!」
「苦情はあとでいくらでも聞いたる!
それより矢口助けに行かんと!」
そうだ、そんな事を言っている場合じゃなかったな、
おとりになった矢口さんが危ない…!
操縦席に座ると、急にあちこちのランプが点灯した。
それと同時にマシンのエンジンがかかりはじめたようだ。
「やっぱりわかんないです!」
「あ〜、もう適当にやったら動くがな!」
とりあえず足元のペダルを踏んでみた。
ガタン!
「うわっ!」
前に進んだようだ。
「ウチらも行くでぇ〜!」
「へい!」
どこからともなくと辻加護の二人の声が聞こえる。
無線でつながっているようだ。
- 17 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月13日(土)22時26分58秒
- スピーカーの向こうでガチャガチャという音が聞こえるが、
左右に見える他のマシンたちは動かない。
「どうなってるのよ〜?」
「ごとーのも動かないよぉ〜」
「なんや、こわれてるんか?!」
「うごけ〜!!」
「くそっ!吉澤以外はまだやったんか?!」
外にいるつんくさんが叫ぶ。私は聞いた。
「どういうことですか?!」
「さっき言っとった、『導力』や!
石川、辻、加護はまだ足りんのや!」
「ごっちんは?」
「いや、後藤は足りてるはずなんやけど、なんでや…
まぁええわ!吉澤だけで行ってくれ!」
「ええーー?!」
恐怖と緊張からか、急に鼓動が高鳴る。
「はよ行け!矢口死んでまうで!」
「勝手に殺さないでくださいよ!」
- 18 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月13日(土)22時28分26秒
- 私が叫んだ瞬間、マシンはジェットを使って走り出した。
「えっ?! なんにも触ってないのに動いたよ〜!」
私の乗ったマシンは、
そのまま倉庫のシャッターを突き破って外へ飛び出し、止まった。
「矢口さん!矢口さん!」
そこにいるのは、2体のモンスターだけだった。
矢口さんの姿が見当たらない…!
もしかして矢口さんはモンスターに… まさか!あの矢口さんが…
なんて考えてると、モンスターがこっちに向かって走ってきた。
「つ、つんくさん! 武器とかはないんですか?!」
「武器か!まだ調達できとらんのや!
まさかこんな急にモンスターが来るとは思わんかったからな…
とりあえず、武器のない今は気合で倒せ!」
「そんなぁぁぁ…」
そうこうしているうちにモンスターが大きな爪のついた
腕をふりかぶってこちらを攻撃しようとしてきた。
「わぁっ!!」
私は反射的にレバーを曲げ、それと同時に攻撃を回避できた。
「私って天才?!」
- 19 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月13日(土)22時29分07秒
- 「よっすぃ!うしろ!」
ごっちんの声で、2体目のモンスターが後ろにいることに
気がついたが、時すでに遅し───
「きゃぁっ!!!」
敵の体当たり攻撃により
私の乗ったマシンは数メートル吹き飛び、倉庫の壁にぶつかった。
「うぐぐ… どうすればいいんだ…」
2体のモンスターはこちらにゆっくりと歩み寄る。
周りに何か武器になるものはないか。
そう思い、横を見ると、怪しげなタンクが置いてあった。。
「これしかないか…!」
私はそのタンクを持ち上げると、目の前に迫ってきた1体のモンスターへぶつけた。
「えいぃっ!!」
すると壊れたタンクの中から出てきた液体を浴びたモンスターは
言葉では表現できないような奇声を発しながら
もがき、苦しんでいる。タンクには何かの化学薬品が入っていたようだ。
やがてそのモンスターは倒れたまま動かなくなった。
「やった! ついてるっ!!」
- 20 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月13日(土)22時30分16秒
- しかし油断はできない。まだもう1体のモンスターがいる。
「もう武器はない…
逃げるか!」
私はモンスターのすぐ横をすりぬけて広い場所に出、
体制をたてなおす。
「タンクはもうないし… あとあるものといえば、コンテナ…
うわっ!!」
モンスターの異常にすばやいジャンプ攻撃。
私はなんとかそれを避けた。
すると着地したモンスターはそのまま地面を滑り、10m先で止まった。
「…!! もしかしたら、倒せるかも!」
私はモンスターのいる方向とは逆へマシンをジェットで走らせた。
- 21 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月14日(日)23時20分19秒
- 「吉澤!どこ行くんや!逃げる気か!」
モンスターも私のいる方向へ走りだした。
さらにスピードを上げる。
「吉澤っ!! そのままやとコンテナにぶつかる!」
「大丈夫ですっっ!」
「あかん!そのスピードじゃ避けきれん!!」
- 22 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月14日(日)23時20分56秒
- 後方のカメラにはジャンプ攻撃で飛び上がるモンスターが見えた。
今だっ!!
私は全力でレバーを曲げる。
高速で走る私のマシンはコンテナに当たるギリギリの位置から左にそれた。
「避けれるかっ!?」
その直後、コンテナを避けきった私の後方で、
モンスターが激突したショックにより積み上げられたコンテナが崩れる音がした。
マシンを停止させ、後ろを振り返ると、
コンテナの下敷きになり、バラバラに引き裂かれたモンスターの残骸が見えた。
「か… 勝った…!」
すると今まで音をたてなかったスピーカーからみんなの声が聞こえた。
- 23 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月14日(日)23時21分29秒
- 「最高だね!勝つって!」
「すごいやんけ!」
「かっこいい!惚れちゃう♥」
「すごい、すご〜い」
画面を見るとこっちに走りよってくるつんくさんが見える。
その向こうに、避難していた安倍さんと飯田さん、保田さんの姿も確認できた。
「おい、無茶すんなや吉澤!
そのマシン高かったんやで! もしぶつかっとったら弁償もんやで!」
その顔は笑っている。
…そうだ!
「つんくさん! 矢口さんが!矢口さんが…!
矢口さんはあの怪物に…」
私からはさっきまでの勝った喜びは消え、絶望に変わった。
「矢口さんは、矢口さんは…
うわぁぁぁぁ!!!!」
- 24 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月17日(水)19時50分41秒
- ジャバジャバ…
「さむいよー」
…?
今の声は…
「誰か引き上げてよぉ〜」
矢口さんっ?!
「矢口さん! どこ?!どこにいるの?!」
「ここだよぉ〜」
「ど、どこ?!」
「海だよぉ〜」
…海?!
私はマシンから出ると、海のほうへ走り出した。
「あ、よっすぃ〜 たすけて〜」
そこにいたのは、海面を泳いでいる矢口さんだった。
その瞬間、私の瞳から流れ出ていた悲しみの涙は嬉しさの涙に変わった。
「や、やぐちさぁぁん!」
矢口さんが、矢口さんが生きてる!
おとりになった後、モンスターに追い詰められ、
身の危険を感じた矢口さんは海へ飛び込み、逃げたらしい。
- 25 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月17日(水)19時52分01秒
- 私はとても嬉しかった。
「なんで泣いてんの〜? それより矢口を助けてよぉ〜」
「は、はいっ!」
私は流れ出る涙をこらえ、海へ飛び込んだ。
ザブーン!
「わぁっ! よっすぃ〜まで海に下りてどうすんの!
ロープ持ってきなさいよ!ロープ!
ね、つんくさん!そこにいるんでしょ?! 引き上げてよ〜!」
「あはははは」
今日はとても疲れたけど、いい一日でもありました。
- 26 名前:第2話 決意 投稿日:2002年04月19日(金)23時43分40秒
- 「これが7ミリバルカン、火炎放射器、
んで、合成チタン製ブレードや。」
「かっけー!!」
突然、つんくさんに呼ばれて来た場所は、
某所の自衛隊の駐屯地の武器庫であった。
「こんな危ないもの、持ち出してもいいの?」
「ああ、大丈夫や。
君らが武器を使用することを、政府は今回に限り許可しとる。
モーニング娘。は国民的アイドルグループというよりか、
政府公認アイドルグループやな。あははは」
よく分からないジョークに苦笑い。
何気なく横を向くと、そこにはいつにも増して固い表情をした保田さんの姿であった。
私達の中で、保田さんだけはまだ納得していないようだった。
それほど皆の事を思っているのだろう…
- 27 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月19日(金)23時44分20秒
- 「ところで、どうして私たちをここに?」
と、武器には興味なさそうにしていた梨華ちゃん。
「ん?ああ、これから君らがどんな武器使うか見せにきたんや。
ま、うち半分は社会見学やな。」
「これから私はこんな武器を…」
私は棚に置いてあるロケットランチャーを眺めながら考えた。
私はモーニング娘。のオーディションに受かっていてよかったのか?
確かに、歌を歌うのはすごく好きだ。みんなも大好き。
しかし、問題は「モンスター」との戦いである。
みんなを一人で守りきった時の達成感は、この上なく嬉しかったが、
もしかしたら大切な人がいなくなってしまう可能性だってある。
─── この先、どんな現実が待ち受けているか分からない。
「……ざわ! 吉澤!」
「あ、はい!」
「帰るで。」
「よっすぃ〜 おいてくよぉ〜」
- 28 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月19日(金)23時44分55秒
─── もしみんなを守りきれなかったら、どうしよう…
帰りのバスの中。
私はひとり、窓の外の流れる風景をなんとなく眺めていると、
ごっちんが話しかけてきた。
「よっすぃ〜?どうしたの〜そんな顔して?」
「あ、なんでも… あはは…」
このごっちんの笑顔がいつか見れなくなってしまうのではないか?
今ここにいるみんなも…
いや、梨華ちゃんんじゃあるまいし、そんなネガティブに考えるのはよそう。
そうだ…
「こないだモンスターと戦ったときあったじゃん?
なんでごっちんのは動かなかったのでしょう?」
「そやねん、動かへん理由なんてないはずや…
後藤、操縦席のランプはついとったんか?」
- 29 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月19日(金)23時46分00秒
- 前の席に座っていたつんくさんが答える。
「うん、座ったら勝手に点いたよ。」
「ウチはつかへんかったで?」
「わたしも…」
「ののも…」
「君ら3人はまだ『導力』が足りんからやねん。
でも後藤のは点いていたが動かへんかった…」
しばらくつんくさんは考えたあと、まさか!というような表情をしてごっちんに問い掛けた。
「なぁ、後藤、動かす時、どこ触ってた?」
「ん? えーとね、シート横のレバーだけだよ。」
「それ、パーキングブレーキや」
バスの中が静まり返る。
私の後ろにいる梨華ちゃんがプッと笑ったような気がした。
「だってぇ、むやみに触るの怖かったし…」
私は… 私は… 一人で、あんなに必死に戦ったのに、操作ミスかよ…
ああ、ごっちん… 君という人は…
- 30 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月19日(金)23時46分56秒
- 読んでる人がいるのかどうか心配…
- 31 名前:名無し男 投稿日:2002年04月20日(土)18時06分21秒
- コソーリ
- 32 名前:名無し 投稿日:2002年04月22日(月)00時48分23秒
- コソコソーリ
ヨンデマスヨ〜〜〜。
- 33 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)07時10分47秒
- やっぱり読んでくれてたんだ。ありがとー!
よかったよかった…^^ 今夜にでも更新予定。
- 34 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)23時20分17秒
- ◇
「そうだ!あのマシンたちに名前つけない?」
話を切り出したのは梨華ちゃんだった。
「わたし、『ハッピ〜号』がいいな♥」
「おいおい、勝手に決めるなや。
石川、加護、辻は補欠や。」
「ええー?!」
「まろんがよかったのれす…」
「『導力』がある者を戦闘メンバーとする。
飯田、安倍、矢口、後藤、吉澤。」
「やった!オイラも入ってる!
じゃ、名前は『シゲル』で決定!」
「いや、名前つけると呼ぶときわけわからんようなるから、
マシンは、君らの名前+号で呼ぶ。
命に関わる事になるかもわからへんからそのへんは理解してほしい。
異論はないな?」
「…ないべ。」
- 35 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)23時21分19秒
- 「はい!」
「おっけ〜(でも、『ごとうごう』って音悪いなぁ…)」
「ちぇっ!」
そんな事ないと思うけどなぁ… ただ、つんくさんが覚えるの面倒なだけだからかも…
「吉澤は?」
「は〜い。異論はないです。」
バスは某局のスタジオに到着した。
何故かそのスタジオが懐かしく見えた。
「そうだ、私、アイドルなんだっけ…」
◇
- 36 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)23時22分37秒
- 場所は変わり、ある豪邸の一室…
「こないだ、例の埠頭に送り込んだモンスターはどうなった?」
「いえ、一体のマシンにやられてしまいました!」
「そうか… で、モンスターの回収はしたのか?
政府のやつらより先に回収しないと、後で戦闘が不利になるからな…」
「大丈夫です。やられた直後に回収しましたから。」
「ならいいんだ。ところで、なぜ武器を持たない、ガキ1匹に
モンスター2体もやられたんだ?」
「私も一部始終見ておりましたが、あれはただ運が悪かったとしか…」
「くっ… まぁいい。
今、BOWの改良型はもうすぐ完成予定だ。心配することはない。」
「…」
◇
つんくさんの話によると、あの地獄のようなスケジュールは、
多額の資金を集めるためだったという。
マシン5台とその装備、整備施設、そしてアジトを作るために。
それら全部が完成したことで、
これからは以前のように時間に追われることは少なくなった。
- 37 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)23時24分31秒
- 「あとは、さっき言ったことを忘れないようにすること。
今日はここまで。解散!」
私達に振り付けを教えてくれる、夏まゆみ先生。
モンスターと戦っているということは知らないようだが、
つんくさんから、仕事を減らした分ダンスに力を入れるように、と催促されたらしい。
あ、それと『導力』は、体力や精神力と比例して能力が上がる、という話も聞いた。
ということは…
「辻、加護、石川は居残り。」
「「「ええ〜っ?!」」」
「よっすぃ〜、置いてかないでぇ〜」
と、甘い声を出して甘える梨華ちゃん。
可愛いから待ってあげようかな。
「今日暇だし、終わるまでここで待ってるよ。」
そう言って窓際にあった椅子に座ろうとすると、
夏先生が笑顔で話し掛ける。
「あ、それじゃあ吉澤も手伝って。」
- 38 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月22日(月)23時27分25秒
- 「まじで?!」
あいたたた…
「ごめんね、私の為に…」
「いいんだ、梨華ちゃん。」
「ほら、始めるよ。」
「は〜い」
◇
「はぁ〜疲れた…」
部屋を出て、廊下にある自販機へ向かい、
梨華ちゃんとジュースを買う。するとどこからか視線を感じる。
「…?」
「どうしたの?」
あたりを見回すと、保田さんが壁にもたれて立っていた。
さっきまでは死角で見えなかった。
「保田さん…?」
- 39 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月27日(土)01時16分53秒
- 「吉澤、話したいことがあるんだけど、
ウチ来てくれる?」
「…」
そういえば、あれ以来、何か思いつめてるようだったな、保田さん…
「私もご一緒していい?」
「いや、吉澤と話したいの。」
「…はい、行きます。」
「よっすぃ〜〜 さっき、お買い物するって約束したじゃな〜い」
梨華ちゃんは頬を膨らませて言った。
「ごめんね、大事な話なんだ。あとで何かおごるからさ!」
「ほんとぉ〜?」
「ほんとだよ♥」
「…さ、行くよ。」
「はいっ!」
◇
- 40 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月27日(土)01時17分46秒
- 「話は聞いたよ。
私たちしか戦えないんだってね。」
「…はい。」
保田さんのアパート。
保田さんはその部屋に似合わず、
和菓子を持ってきて私の前のテーブルに差し出し、向かい側に座った。
「こないだ友達にもらったんだよ。勝手に食べて。」
「…保田さん、協力してくれるんですか?」
「いえ、しないわ。」
…やっぱりそう言うと思った。
保田さんは即答だったが、次に出た言葉に私は驚いた。
「吉澤、あんたのヤル気がないからだよ」
「…え?!」
「最近の吉澤には以前のような輝きが見られない。」
「…あたし、勝ったじゃないですか!モンスターに…」
「あン時はそうでもなかったけどね、
でも最近のあんた、おかしいよ。
あれ以来、いつものやる気が見られない。」
「…」
- 41 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月27日(土)01時18分36秒
- 「最近の吉澤は、歌とダンスには問題ないよ?
でもね、この仕事やっていくにはそうはいかない。
これから戦うって時にあんたがやる気がないと、
誰か死んじゃうよ?」
誰か死んじゃうよ…
その言葉が私の頭の中でリフレインした。
私は俯いた頭を保田さんの方へ向け、ゆっくり話した。
「わたし… みんなが…
みんながいつかいなくなるんじゃないかって思うようになってきました…
怖いんです。大切な仲間がいなくなるのが…」
「甘いこと言ってんじゃないよ!」
保田さんが身を乗り出して叫んだ。
「だからこそ、あんたが頑張らないといけないんだよ!
石川じゃあるまいし、マイナスな考えは止めな。」
「…」
保田さんは姿勢を戻すと表情を戻して再び話し出した。
「吉澤がそんなんじゃ、私は指令は出せないよ。」
「…指令?」
- 42 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月27日(土)01時19分33秒
- 「ああ、昨日、つんくさんから 『指令官になってくれ』って言われたんだ。
でも吉澤がこんな状態でしょ。
やる気のないあんたに指令なんか与えたらどうなるよ?」
保田さんの言葉はとても冷たかったが、
言っていることは実にもっともだった。
「いいかい、大切な仲間を死なせたくなかったら、
思い出すんだ。
みんなの命を救い、モンスターに勝った時の事を。
それがどんな感覚かは私にはわからないけど、
あのときの吉澤は輝いてたよ。」
「…はい!」
「そう、その意気込みだよ!」
さっきまで、『仲間を失うことへの恐怖感』によって
落ち込んでいた私はどこかへ消えていた。
…とても気が楽になったような気がする。
「それじゃ、やるとしますか。『司令官』。
裏稼業はちょっとしたミスが命取りになるから、
私も注意しないとね。」
- 43 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年04月27日(土)01時20分23秒
- 「ぷっ」
「何がおかしいのよっ!」
「裏稼業って… 必殺仕事人みたいです!」
「裏稼業じゃなきゃ、なんなのよ!吉澤ぁ〜!!」
「あはっはははは! くすぐったいよ、保田さぁ〜ん!!」
ありがとう、保田さん。
これから頑張れそうです。
- 44 名前:第3話 私 投稿日:2002年04月30日(火)23時16分18秒
「あ〜も〜、やだ〜!!」
矢口真里、18歳。
1ヶ月前は、自分がこんな目に会うとは思いもよらなかっただろう。
マシンで逃げるあたしと、それを追いかける一体のモンスター。
「逃げてたらだめだよね。
よしっ!」
体制を整え、モンスターのいる方向に向きなおすとミサイルを1発放った。
◇◆◇◆
それは1時間前の事。
雑誌のミニモニ。の取材が中止になったことで、私、矢口は辻、加護と街に遊びに出ていた。
東京都内ではあるが、そこは人はさほどおらず、
『モーニング娘。』の私達がいてもバレないだろう、という理由で来たのだが
万が一ということも考え、サングラスに帽子、といういかにもという格好をして
商店街のいろいろな店を回っていた。
- 45 名前:第3話 私 投稿日:2002年04月30日(火)23時16分48秒
- 「あっ!」
「クレープ屋さんだ!」
「のの、行こっ♪」
「…あれ?矢口さんは行かないんれすか?」
「オイラはいいよ、お腹空いてないし。」
呆れた表情で、二人を眺める。
「まだまだあいつらも子供だね。」
そう思いながら、なんとなく辺りを見回すと、ま後ろに可愛い雑貨屋を発見した。
「あっ!あれいいじゃん!」
そう思い、駆け出そうとした瞬間──
ドンッ
ぐしゃ…
- 46 名前:第3話 私 投稿日:2002年04月30日(火)23時17分38秒
- …あ〜やっちゃったな。
誰かがぶつかると同時に、何か柔らかいものが当たった感触を覚えた。
あたしはてっきり、辻か加護がクレープを持ったままぶつかってきた、そう思っていた。
「おまえら〜! この服、高かったんだか…」
そう言いながら振り向くと、後ろにいたのは辻でも加護でもなく、
中学生くらいの女の子だった。
「あっっ!!すみません!」
「あ、あなたこそ大丈夫? ごめんね!」
「いえ、服は洗って返しますから… あ!」
彼女は何かに気づいたようだ。 あたしを指差して。
「もしかして、モーニング娘。の矢口真里さんじゃないですか?!」
う゛… バレた…
「え、ええ、そうですけど…」
「やっぱり! 私、モーニング娘。のファンなんです!」
- 47 名前:第3話 私 投稿日:2002年04月30日(火)23時18分16秒
- 「あはは… ありがと。」
「いきなりで失礼ですけど、私の家へ寄っていきませんか?
服のお詫びに…」
「いいよ、ティッシュで拭けば済む程度だし。」
「いえいえ、遠慮しないでください。」
「え、あ、うん…」
自分でもよく分からないが、なぜか答えてしまった。 なんか不思議な子だな…
「矢口さ〜ん!このクレープおいしいれすよ〜」
「大声出すなや。バレるやろ!」
…もうバレてるよ。
「あっ!! 辻さんに、加護さん!
一度に3人も会えるなんて!うれしい。」
「どちら様れしょうか?」
「キミ、名前聞いてなかったね。」
「私、紺野あさ美っていいます。」
「よろひく。」
「よろしゅ〜」
- 48 名前:第3話 私 投稿日:2002年04月30日(火)23時18分56秒
- 「そだ、今からこの子の家に行くんだけど、二人とも来る?」
「行く行く!」
「行くに決まってるやん!」
あたしは何か忘れているような気がしたが、気のせいだろうと思い気にとめる事もなく
紺野ちゃん、辻、加護と共に商店街を出た。
背中にクレープのクリームがついたまま。
- 49 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月04日(土)02時12分39秒
◇
ただでさえ人気のない街なのに、商店街を出るとほとんど人は見当たらなくなった。
しかし、この街は人はいなくとも、自然の多く残る所だったためか、全く寂しさは感じられなかった。
「すごい静かで言い所だね〜。」
「はい。お父さんが、こういう所好きなので最近引越してきたんです。」
「うらやましいな〜。矢口もこんな所に住んでみたいなぁ〜?」
「そこをずっと行ったところが、私の家です。」
- 50 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月04日(土)02時13分12秒
- そう告げ、曲がり角を右折しようとした瞬間、目の前に何かが通り過ぎたような感覚を覚えた。
「…?」
「矢口さん、今何か…」
紺野ちゃんも何か気づいたようだが、
後ろにいた加護はどうしたの?という表情で私達を見つめていた。
「きゃぁ!」
突然、後ろを歩いていた辻が悲鳴をあげた。
「やつらがまた来たんか?!」
そこにいたのは、体長2メートル近くある獣のようなモンスターだった。
以前に出現したものに比べると小型ではあるが、それでも大丈夫だとは言い切れない。
こんなのが、バ○オハザードに出てきたような…
辻と加護が私達の後ろに隠れた直後、すごいスピードでこちらに突進してきた。
「よけて!」
やはり普段からダンスをしているせいか、足には自信があった。
紺野ちゃんも含め、4人はなんとかギリギリで攻撃を避けることができた。
- 51 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月04日(土)02時14分18秒
- 「紺野ちゃん! こいつは私達が狙いだよ!
早く逃げて!」
「いえ、さっきのお詫びです!」
そう言うと、私達より一歩前に出てかばうようにして何かの構えをとった。
「私、空手やってるんです。」
「えっ!? 無理だよ!」
「紺野しゃん!にげて!」
こんな敵に勝てるはずがない。そう思った私はひとつ決断をした。
「辻、加護、紺野ちゃんを避難させて。
マシンをとってくる!」
紺野ちゃんに聞こえないよう、二人にそうつぶやくと私は走ってその場をあとにした。
「アレですね?!」
「矢口さん!頼みましたよ!」
ここからアジトまでそう遠くなかったのが不幸中の幸いである。
全速力で走ったの久しぶりだな…
なんて考えてると目の前にアジトの入り口が見えた。
- 52 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月04日(土)02時15分11秒
- 司令室… とはいっても、一面コンピューターで敷き詰められていて作業員がたくさんいて…、
というわけでもなく、ただのプレハブにパソコンと無線が数台。
つんくさんが一人、お煎餅をかぢりながら新聞を読んでいた。
これでは選挙事務所とあんまり変わらないな…
「おう、どうした?!矢口!?」
「はぁ、はぁ、近くに、モンスターが…
はやく、マシンの用意を…」
「直接出ると、人に見つかってまうぞ…!」
「矢口の友達が、はぁ、危険なんです!」
「そういうことなら、よっしゃ!アレ使おう!」
:
「乗ったよ? で、この赤いボタンでいいの?」
「ああ。これで大丈夫や!」
マシンに乗り込んだ私はつんくさんに言われるがままに、
赤いボタンを押した。
- 53 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月11日(土)01時57分03秒
- 「よっしゃ!成功や! テスト段階やったけど十分使えるみたいやな。」
「…うっ! 頭が… きもちわるい。
なにこれ?!」
「『光学式迷彩』や。最新の技術を駆使して、マシンを透明にする装置や!
これで一般人の目に触れることなく移動できる!
しかし、『導力』を大量消費するから戦闘時には向かんが…」
「こ、これで透明なんだ?!
じゃ、じゃあ行ってくるね!」
◇
透明になるとは言っても、それは見た目だけでマンガのように
触れると物が透けたりするわけではないので、人や建物に衝突したりもあり得る。
しかし、幸いにもすれ違った人は多くなかったので、その心配はいらなかった。
「正義の味方参上〜!!!」
現場につくと、とりあえず叫んでみる。スピーカーの音量0のままで。
しかし、全くリアクションはない。
「あ、そだ、透明になってるんだった。あはは…」
- 54 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月11日(土)01時58分02秒
- 「おそいのれす!」
「やっと来たんか。」
「ぉ?」
その時すでにモンスターは倒れており、
その横で紺野ちゃんが仰向けに横たわっていた。
「こ、紺野ちゃんっ?!」
矢口はすぐにマシンを降りると紺野ちゃんに掛け寄った。
怪我をしていたが、さほどひどくなく、命に別状はないようであった。
「大丈夫?!大丈夫?!
ねえ、何があったの?」
「紺野しゃんがあのモンスターを…」
「倒したんや。」
「まぢでかっ?!」
「う、う〜ん…」
「紺野ちゃん!」
「大丈夫?!」
- 55 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月11日(土)01時59分51秒
- 「え、ええ。みんな怪我はないですか?」
「オイラは大丈夫だよ。(ずっとこの場にいなかったからね…)」
「ののもピンピンしてるよ〜」
「ウチもや〜」
「よかった…」
倒れているモンスターはピクリとも動かないが、死んでいるという保障はないので油断はできない。
「これは一体…」
不思議そうな顔をして倒れたモンスターを眺める紺野。
「こんな動物… いないですよね?」
「ないない。」
すると加護が矢口に小声で話しかけた。
「あの事って言っていいんかな?」
「う〜ん… マシンの事も聞かれそうだし、つんくさんにバレなきゃいいんじゃない…?」
- 56 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年05月20日(月)19時56分42秒
- 今、時間がなくて更新できません。すみませぬ。
暇ができたら更新予定。。
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月20日(月)21時24分45秒
- 楽しみに待ってますぞ。
作者殿のペースでがんばってくだされ。
- 58 名前:名無し男 投稿日:2002年05月25日(土)00時55分47秒
- ガンバレー
- 59 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月27日(月)19時04分07秒
- :
「…というわけなんだ。 この事は絶対誰にも言わないでね。」
「はいっ!」
モンスターやマシンも見られたことだし、それを見たのは紺野ちゃんだけであったので、
あたしは紺野ちゃんにすべてを話した。
「へぇ。そうだったんだ。
モーニング娘。ってそんなすごい事もやってたんですね。」
「あはは… まだよっすぃ〜しか戦ってないけどね。」
「ところで、このモンスター退治は、モーたい。の企画なんですか?」
「んなわけね〜だろ〜。
と言いつつ始めはおいらもそう思ってたけどね。あはは。」
「矢口しゃん、これなんれしょう?」
「おい、辻!うかつに近寄るなよ!
いつ起きるか分かんねーから危ないぞ!」
モンスターを物色していた辻に呼ばれ、寄ってみると
そこには背中に黒い装置が取り付けられていた。
「なんれしょう?」
「ブラックボックスかな?」
「あの飛行機についてるやつやんな?
何が起きたかを記録するやつ…」
- 60 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月27日(月)19時04分52秒
- 「このモンスターって空飛ぶのかな?」
「紺野ちゃん、それはないやろ…」
「ブラックボックスにしては小さくないですか?
発信機じゃないでしょうか?」
「多分そうかも…
どちらにしろ、よく考えてみろよ。
こんなのを取り付けてあるっていうことは、
誰か人間がこのモンスターを放ったってことになるんじゃ…?」
「確かにそやな…」
「なんか怖いのれす。」
「あの… ちょっといいですか?」
「何?紺野ちゃん?」
「発信機がついているということは、
誰かがこのモンスターの消息をたどっているということになるんじゃないでしょうか?
とすると、その誰かがここに来るかもしれませんね?」
「確かにそうかも!
よぉし!待ち伏せしてそいつを捕まえてやる!
それで、拷問にかけて全部しゃべらせて、この問題は一気に解決!
となると、矢口は…」
「は〜い、妄想はそこまで〜」
「こらぁ!加護っ!」
「いつ来るか分からないので、みんなで待ち伏せしましょう。」
- 61 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月27日(月)19時05分40秒
- 紺野の提案で、すぐ横の草むらに隠れることにした。
モンスターはそのまま放置し、マシンを隠して。
待つこと10分。
「来た!」
「まぢでか?!」
そこに現れたのは、人間… ではなく、さきほどのものより大きなモンスターだった。
「よっすぃ〜の時より一回りでかいし!」
「強そうれす〜」
「私でも勝てるかな…」
「勝てへん勝てへん」
「よしっ! ちょっと怖いけど、矢口の出番だね!
行ってくる!」
「矢口さん、がんばって〜」
3人に見送られ、あたしはマシンに乗り込んだ。
- 62 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月27日(月)19時06分45秒
- ◇◆◇◆
そしてこの始末。
モンスターは圧倒的に強く、マシンガンやブレードによる攻撃もうまく当たらず、
追いかけられながらも近くの河川敷まで来てしまった。
「やったか?!」
ミサイルは見事命中し、一体に煙がたちこめる。
その煙の中から現れたのは、無傷のモンスターだった。
「ちょっと、強すぎるんですけど〜」
「がんばってください!」
「「いけ〜!矢口さ〜ん!」」
横のモニターで、応援する3人の姿が確認できた。
- 63 名前:第3話 私 投稿日:2002年05月27日(月)19時07分46秒
- 「おめえら!あぶねーぞ!
下がってな!」
「矢口さん、かっこいい〜!」
「うるせーよ!加護!」
「矢口さん、こわ〜い」
なかなか攻撃が当たらず、あたしの苛立ちは溜まっていく一方であった。
「当たれ!当たれ!」
パキン
がむしゃらに振り回したチタン製のブレードは、
モンスターによってポッキーのごとく半分に折られてしまった。
「つんくさんに怒られるじゃねーか!」
あたしはとっさに離れると、マシンガンを乱射した。
「矢口さん… おかしいのれす。」
「えっ?」
「いつもの矢口さんじゃない…」
「どういうことですか?」
- 64 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年05月27日(月)19時11分51秒
- >>57 >>58
毎度のことながら、読んでいただいてありがとうございますm(^_^)m
しばらくはストックがありますが、それ以降全然書いてないです。。(思い通りに書けない(T_T))
なので、4話で終わるかもしれません。うぅ…
- 65 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時23分29秒
- カチッ、カチッ……
「くそっ!弾ぎれかよ!
武器は残り少ないな…!」
「矢口さんはああ見えてとても頭のいい人なんや。
どんな時でもとっさに判断して、対応できてまう…」
「れも、今の矢口さんは、冷静さを失ってるのれす。
これれは勝てないのれす。」
「そんな…」
モンスターがものすごいスピードでこちらに突進してきた。
あたしはとっさにショットガンを放った。
「これでもくらえ!」
- 66 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時25分10秒
- 体当たりを食らう直前にショットガンが命中し、
モンスターは数メートル吹き飛んで、難を逃れた。
「ウチらで矢口さんの目を覚まさせるで!」
「いくぞ〜!!」
「二人とも!危ないよ!」
辻、加護の二人は矢口号の近くまで走り寄ってきた。
「おめえら!あぶねぇから下がってな!」
「矢口さん!」
「いや、真里のあほっ!!
いつもの頭のいい真里はどこ行った?!」
「…」
「そんなにがむしゃらに武器を振り回しても当たんねーのれす!」
「冷静さを失なった真里なんて見たかないわ!」
「そうだ、そうだ〜!」
「おまえら…」
- 67 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時25分31秒
- 「いつもの真里ならどんな時でも、
そのかしこい頭で最高の笑いをとってくれる!
ウチらはそんな真里が大好きなんや!」
「いつもの笑顔を見せてくれ〜!!」
「辻… 加護…」
あたしは目に涙を浮かべていた。
こんないい後輩を持ってとても嬉しかったからだ。
でも、マシンの中にいたのでそれが二人に見られることはなかった。
「…うん! ありがとよっ!」
「正気に戻ったっぽいれすね。」
「作戦成功やな!」
「そうだよね、あんなめちゃくちゃなのは矢口らしくないよね!
ようし…!」
「観戦続けるのれす。」
「はよ避難せんとな〜」
- 68 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時25分53秒
- 「今まで奴に攻撃が当たらなかったのは、全部防御されてたからだ。
しかも全ての攻撃をあの硬い腕で守っていた。
もしかしたら、あそこ以外では防御できないんじゃないか…?
でも、動きが速すぎて真正面の攻撃では全部防御されてしまう…
そだ、あの方法なら、後ろに回りこめるかも…」
あたしは覚悟を決め、ひとつのボタンを押した。
「矢口さんすごい!」
「矢口さんは本気になったらあんなもんや。」
「でも透明になるなんって聞いてないれすよ?」
「光学式迷彩…! つんくさんは戦闘に向かんって言ってたけど、
こうするしかまともに攻撃は当たらない!
武器はショットガンとミサイル1発のみ…
一発勝負だから、これで行くしかないな…!」
透明になったことで、モンスターは戸惑い、あたりをキョロキョロ見回す。
しかし、そんなことをしても見えるはずはない。
- 69 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時26分19秒
- 矢口号の迷彩が解除された時にはすでに、モンスターの真後ろで構えをとっていた。
「いけっ!ミサイル発射!」
辺りに大きな爆音が鳴り響く。
誰かに見つからないかと心配したが、つんくさんか誰かが誤魔化してくれるだろう、
と思いあたしは疲れてそのまま眠ってしまった。
「「矢口さん!」」
「大丈夫ですかっ?!」
動かなくなった矢口号に3人は掛け寄った。
辻が後ろのハッチを開ける。
「大丈夫れすか?!矢口しゃんっ?!」
「う… う〜ん… モンスターは…?」
「見事バラバラになっとる!」
「やりましたね!矢口さん!」
- 70 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時27分47秒
- 「あ… よかった… ふぅ。」
そう言うと、あたしは再び静かに眠りについた。
「お〜い! 矢口〜! 大丈夫か〜?!」
後ろから、つんくさんがトラックに乗ってやってきた。
トラックを降りるとこちらへ走り寄ってきた。
「はよ回収せんと誰かに見つかる… って、おい!
あんた誰やねん!」
「紺野あさ美です。好きな食べ物は…」
「大丈夫れす! 紺野しゃん以外にはバレてないのれす!」
「多分な。」
「多分て…
こんの…さん?って言ったな。 この事は誰にもしゃべらんとってや。
大人にもいろいろ事情があってな…
って、そんな事よりはよマシンを回収せなな。」
「トラックまで数十メートルもあんのに、どうやって…?
矢口さん寝てるで。」
- 71 名前:第3話 私 投稿日:2002年06月18日(火)23時28分09秒
- 「思ったとおり戦闘中に光学式迷彩使いよったな。
そんな事もあろうかと、助けを呼んどいた。」
「はぁ〜い♪ 矢口さぁ〜ん! また回収にきました〜!」
「「吉澤さんっ?!」」
トラックの荷台から現れたのは、吉澤号であった。
「仕事終わったん?」
「まぁね〜!」
「よっしゃ、早いとこ回収してや!」
そだ、よく考えたらオイラ達、紺野ちゃんの家に行くつもりだったんだ。
オイラがこんなんじゃ、行けないな…
それ以来しばらく会うことはなかったが、
まさか数ヵ月後のオーディション会場で会うことになろうとは、
その時には知る由もなかった。
- 72 名前:かりすま一般人o 投稿日:2002年06月18日(火)23時33分11秒
- すんげぇ遅れました(汗
あと一話で終わる予定です。
本来、もっと続くはずだったんですが、なんか書けなくなってしまって今ある分で終了させて頂きます。。
なので、消化できていない部分がちらほら…
- 73 名前:名無し男 投稿日:2002年06月24日(月)21時49分08秒
- ファイトイパーツ!!
- 74 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年06月27日(木)19時17分26秒
- 「へぇ〜、そんな事があったんだ〜。」
「その時の矢口さん、すごいカッコよかったで!」
「矢口さんの戦ってる姿見たかったなぁ〜
ミサイルとかカッケーんだろうな〜」
アジトに来た、私後藤、加護、よっすぃ〜の3人は、
暇つぶしに司令室で雑談を交わしていた。
「それにしても、よくあんなの動かせたね。
よっすぃ〜も、やぐっちゃんも…」
「矢口さんはどうか知らないけど、
なんかさ、ある程度はレバーなしでも動けるみたい。
動け〜っ!て念じるんだよ。」
「へぇ。今度やってみようかな。」
「ここアジトなんだから、今からやってみれば?」
「そういや、そうだね。あはは」
◇
- 75 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年06月27日(木)19時18分22秒
- 「そ〜れ〜!!」
吉澤号がカタパルトから勢いよく飛び出す。
「ウチもやってみたいなぁ〜。
ねぇ、後藤さん?」
「あ、うん…」
「どうしたの?」
カタパルトから一歩も動かない後藤号。
私は両サイドのレバーを握る。
あの時、ブレーキと間違えて『動かなかった』が、
内心、『動いてほしくなかった』という思いもあった。
あんなモンスターを目の当たりにし、恐怖で動けなかった。
というより、動きたくなかった───
「…と〜さん!
ごとーさん! どうしたんですかぁ?」
「んあ、ごめん、加護…」
- 76 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年06月27日(木)19時19分23秒
- ペダルを踏むと、後藤号はゆっくりと歩き出した。
なんだ、簡単じゃん。
そう、一歩を歩むのはそんなに難しくはない。
しかし、あの時は───
「ごっち〜ん! スパーリングしよ〜♪」
「ま、まぢですかっ?!」
◇
翌日───
プッチモニの番組の企画で、私達は海へ行くことになった。
天気は快晴。海はとても青くて、砂浜もゴミがほとんどなく、とても綺麗な場所であった。
水着に着替えるのかと思ったが、それはないようだったので安心。
と言いつつ、ちょっと泳ぎたかったりもする。
「それでは、はじめましょうか。」
「は〜い!」
- 77 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年06月27日(木)19時25分51秒
- >>73
いつもいつもありがとうございます_(._.)_
- 78 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月10日(水)21時08分16秒
- ◇
お昼休み。
スタッフは全員、近くの食堂へランチを食べに行った為、
浜辺には私と、よっすぃ〜と、圭ちゃんだけになった。
私がなんとなくよっすぃ〜に話し掛けようとした瞬間、
──後ろから何か気配を感じる。
そう思い、海の方へ振り向くと、そこにいたのは4、5メートルはあろうかというモンスターだった。
こないだの埠頭で合ったやつとは姿は違い、一回り大きい。
期待どおり、よっすぃ〜の一言。
「これが海ボーズ?! かっけー!」
「違うよ! やぐっちゃんが戦ったのと一緒のタイプのBOWだよ!」
「なんだ、違うんだ。 で、どうすんの〜?!」
「今朝、嫌な予感がしてたのよ。
だから、こんなこともあろうかとマシンを呼んでおいたよ!」
- 79 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月10日(水)21時08分46秒
- 「(圭ちゃんすごい! 出るって分かってた?!やっぱり化け物に近いだけあ…)」
しまった、どさくさにまぎれて、思ったことがつい口に…
圭ちゃんは何か言ったぁ?という表情で睨みつけてきた。
「な、なんでもないよ…」
「ごっちん、あぶない!」
よっすぃ〜がそう叫んだ瞬間、モンスターは足もとをえぐるようにパンチをくりだした。
私は数メートル吹き飛んだが、地面に叩き付けられたが砂浜だったのが幸いし、ケガをせずに済んだ。
しかし、まともに攻撃を受けるとひとたまりもないだろう…
「後藤!大丈夫?!」
「まぁ、なんとかね…。」
「保田さん! よっすぃ〜号はまだですかぁ?!」
「呼んだのは1時間前だからもうすぐ来ると思うんだけど…
来た!」
海岸沿いの道路のほうを見ると、つんくさんの乗ったトラックが走ってくるのが見えた。
「ごっちん!はやく!」
「うんっ!」
- 80 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月10日(水)21時09分42秒
- 私たちは走って道路側へ走り出す。
しかし、モンスターが追いかけてきた。
すると後ろを走っていた圭ちゃんは近くに落ちていた流木を拾い上げ、立ち止まる。
それに気づいた私たちは振り返る。
「圭ちゃん!」
「助けてもらってばかりじゃアレだし、
私も活躍の場がほしいよ。」
「圭ちゃん!逃げて!」
流木を構える圭ちゃんにそう叫んだが、私の声はまるで聞こえていないようであった。
「ごっちん!行こ!
保田さんなら、顔だけでモンスター止めれますよ!」
「顔だけってな… あとで覚えとけよ、吉澤!」
「こわ〜い!」
「今はそんな冗談言ってる場合じゃないよ!
圭ちゃんが危ないよ!」
- 81 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月10日(水)21時10分39秒
- 焦る私。しかし、よっすぃ〜は自身で満ちた表情で、小さな声でこう答えた。
「信じてるから…」
「えっ?」
気がつけばよっすぃ〜は走り出していた。
「おっ?! 言ったとおり、ほんまにモンスターおるやんけ!
やっぱり保田はモンスターに似…」
「それ既出。」
「は???」
「それより早くマシン出して!」
「お、おう!」
トラックの荷台からマシンが降ろされ、よっすぃ〜と私はそれに乗り込む。
シートに座り、レバーを握った瞬間、あの時の感覚が蘇る。
まただ。
- 82 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月17日(水)22時08分14秒
- これから私は戦う。
戦うってどんな事?
痛みはないかもしれない。
でも… 怖い。
「ごっちん!早く!」
「う… うん…」
昨日の時と同じように、一歩一歩進む。
圭ちゃんを守るために、
私は戦わなければならない。
そんなことを考えていると、よっすぃ〜はモンスターに立ち向かっていた。
圭ちゃんは無事だった。
「よっすぃ、行きます!」
よっすぃ〜号がガトリングを連射する。
「当たれぇっ!!」
- 83 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月17日(水)22時08分55秒
- 弾は当たっているが、全て防がれる。
「くっ…!」
「よっすぃ〜! そいつは前方からの攻撃は効かないよ!
後方から狙って!」
「了解!保田さん!」
よっすぃ〜号はモンスターの後ろに回りこむように移動を始めた。
しかし相手の動きも速く、先制攻撃をかけたのはモンスターのほうであった。
「きゃっっ!!」
「よっすぃ〜!!」
「後藤!あんたも加勢して!」
圭ちゃんはそう簡単に言うが、怖い。 とても怖い。
「なに怖がってんのよ!
吉澤が頑張ってるんだよ!」
「うん…」
とりあえず私はその状態から、モンスターに照準を合わせるとミサイルを放った。
ミサイルはモンスターの足元に落下し、砂が巻き上がる。
「後藤!もうちょっとちゃんと狙いなさ…」
「チャンスだ!」
- 84 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年07月17日(水)22時10分07秒
- 地面がえぐれたため、モンスターはバランスを失っていた。
そこへ、よっすぃ〜号はモンスターが体制を立て直す前に、後ろからモンスターを羽交い絞めにした。
「やるじゃん!」
「ごっちん!攻撃して!」
「無理だよ!攻撃がよっすぃ〜にも当たっちゃうよ!」
「ブレードよ!ブレードを使うのよ!」
とりあえず、モンスターのそばまで来た私はブレードを握り、構えた。
しかし、手は思うように動かない。
軽く当てる程度ならできるかもしれない。
しかし、勢いをつけるとよっすぃ〜にも当たるかもしれない。
そんな恐怖が私を襲う。
「後藤!何してるの!」
「圭ちゃん!怖いよ! できない!」
「何言ってんの!ある程度なら当たっても大丈夫よ!
早くやりなさい!」
「できないっ!!」
- 85 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時23分11秒
- 私がそう叫ぶのと同時によっすぃ〜号からモンスターが離れてしまった。
モンスターはよっすぃ〜号の方へ向くと、胴体をつかみ、そのまま海へ走り出した。
「吉澤!」
「よっすぃ〜!!」
「あわわわ!」
よっすぃ〜号はそのままモンスターと一緒に海中へ引きずり込まれ、
やがて姿は見えなくなってしまった。
「よっすぃ〜!大丈夫?!」
私が無線で呼びかける。
「なんとか!
でも、動けないよぉ〜!!」
スピーカーが使えない以上、よっすぃ〜と会話できるのは私だけになった。
保田さんがつんくさんに問い掛ける。
「つんくさん!水の中でマシンは耐えられるの?!」
- 86 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時24分29秒
- 「ああ。構造上、ハッチのすき間や機械部分に水が入ることはない。
しかし問題は、換気ができん状態やから中の酸素がどれだけ持つか…」
「はなせぇ〜っ!!このやろぉ〜!!」
スピーカーからよっすぃ〜の叫ぶ声が聞こえる。
海の中にいるよっすぃ〜に、私は何もしてあげることはできない。
…いや、それ以前に私は恐怖で何もできない。
スピーカーの向こうから、ガツンという衝撃音が聞こえた。
それと同時によっすぃ〜の声も途絶えた。
「よっすぃ〜!よっすぃ〜!
どうしたの、ねぇ!」
とっさに海の方を見る。
しばらくして水面から上がってきたのはよっすぃ〜号であった。
「吉澤!」
「よっすぃ〜!!」
- 87 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時25分19秒
- よっすぃ〜号は浅い所まで上がってくると立ち止まり、
そのまま動かなくなった。
◇
「吉澤、大丈夫?」
「やすださん…
モンスターに逃げられちゃいました…」
「そんなことはいいの、歩ける?」
「まぁ、なんとか。」
「フラフラじゃないの。休んでて。」
「いえ、撮影がありますんで…」
「こんな状態じゃ撮影は無理ね…
後藤、とりあえず、スタッフさんには『疲労で倒れた』って説明しといて。」
「…」
「後藤!」
「はい!」
「それと、後で話があるから、今夜ホテルで…」
- 88 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時25分49秒
- 「保田さん」
「無理しないで、あんまりしゃべらないで。」
「ごっちんを… 攻めないでください。」
「…」
「ごっちんには、私が話しておきますから…」
「吉澤… いいわ、任せるよ。」
お昼休みの終わりが近づいたので、
スタッフさんが戻ってくる前に私たちはマシンを片付けた。
もちろん、その日の撮影は中止となった。
◇
その日の夜、ホテルで私はよっすぃ〜の部屋に来ていた。
「大丈夫?」
「うん。もう平気っすよ〜!」
「そっか。」
「ごっちん?」
- 89 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時26分26秒
- いつも表情がないと言われる私だが、
やはりよっすぃ〜には、私が落ち込んでいることに気がついたようだ。
「自分を責めないでね。」
「よっすぃ〜…」
「よく考えたら、
モンスターの後ろをとれた訳だからそのまま攻撃しててもよかったんじゃん。
作戦ミスだったね。あはは」
「…」
さっきまで元気がなかったよっすぃ〜だったが、いつもより明るく振舞っていた。
落ち込む私を気遣っているのだ。
「何度も言うけど、ごっちんのせいじゃないよ。
こないだの矢口さんの話によると、あの敵に正面からのブレードは効かないみたいだし。」
「…そういうことじゃないの。」
「?」
「私… あんなモンスターに立ち向かうなんてできない。
怖いの。」
- 90 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時27分46秒
- 「埠頭の時もそうだった!
操作ミスなんかじゃなくて、怖くて動けなかったの!」
「ごっちん…」
「私は『力』なんかあっても、心は弱い。だから、戦えない。
私はレバーを握れない。」
「レバーを握らなくたっていいんだよ。」
「え?」
「前も言ったじゃん。
動け〜っ!て念じるんだ。」
「でも、そういう問題じゃ…」
「私も、はじめは怖かったよ。
でも、保田さんに説教食らってわかったよ。
仲間を守りたいって思う気持ちが強さに、勇気に変わるんだ。」
「…」
「強い意志が、モンスターに対抗する一番の武器なんだ。」
「ええこと言うやないけ、吉澤。」
「ん?」
ドアの向こうからつんくさんの声が聞こえた。
よっすぃ〜がドアのロックをはずすと、つんくさんはちょっと中へ入り話し出した。
「そんな後藤に新兵器用意してきた。
ちょっと来てみ。」
- 91 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時28分19秒
- つんくさんに言われるがまま、私たちは海岸脇の駐車場に停められたままのトラックへ向かった。
よっすぃ〜も何があるかは聞かされていないようであった。
つんくさんが、トラックの荷台の中に入り、奥のほうにあるものを取り出してきた。
「よいしょ、これや。新兵器!」
「これ、ただのブレードじゃないですか?」
「そんなことあらへん。
これはな、『勇者の剣』やがな!」
「勇者の…剣?」
「そや。握ると、勇気が沸いてくるんや。」
「そんなバカな…」
よっすぃ〜が半分苦笑いで答える。
私も、握ると勇気が出るなんて信じてはいなかった。
もしかして、私を勇気づけるために…?
「前のブレードな、あれ矢口に折られてもうたからな。
そん時の教訓生かして、改良したんや。」
「見た感じ、あんまり変わんないですけど?」
「ああ、今回のは、見た目では分からんけど、ちょっと撓(しな)るようにしたんや。
前のブレード、ちょっと硬すぎてな、
あんまり硬すぎたがためにポキっと折れてもうたんや。」
- 92 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時29分09秒
- 「今のごっちんみたいだね。」
「え?」
「怖いのとか気にしすぎると、戦えないよ。
この『勇者の剣』みたいに、固く考えないで戦おうよ。」
「よっすぃ…」
「またええ事言うた!」
「つんくさん、黙ってて。」
「うげ。」
「勇気が、仲間を守る力になるんだ。」
「よっすぃ〜… ありがとう。」
私は、つんくさんの手に持たれた重いブレードを奪い取り、
両手で海に向かって差し出すと、叫んだ。
「お〜い!化け物ぉ!
ごとー復活したんだから、どっからでもかかってこ〜い!」
「あはは」
「ほんまに来たらおもろいよな。」
「つんくさん、それ笑えないよ。」
- 93 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時29分56秒
- しかし、その直後目に飛び込んできたのは
暗闇の中からこっちへ向かってくる、昼間のモンスターだった。
「う゛… 本当に来ちゃったよ。」
◇
「よっしゃ! 出動や!」
「「ラジャー!!」」
私はよっすぃ〜と、それぞれのマシンに乗り込む。
「よっすぃ、行きま…」
「待って!」
「どうしたの、ごっちん?」
「あたしにやらせてくれない?
昼間のよっすぃ〜の敵討ちがしたい。
それに、変わった私も見てほしい。」
「わかったよ、ごっちん!」
レバーを握り締めると同時に、あの時の恐怖が蘇る。
『変わった』とは言ったものの、まだ少し怖い。
- 94 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時30分26秒
- そうだ、レバーを持つ必要なんてないんだ。
レバーを持つから思い出すんだ。
自分を信じて。その意思でマシンを動かし、仲間を守るんだ。
私の中から、完全に恐怖という文字は消えていた。
勇気で満ちた後藤号は『勇者の剣』を握り締めた。
私はレバーから手を離すと、
できる限りのスピードでモンスターに向かっていった。
「おい!後藤!光学式迷彩は使うな!」
「いえ、ごっちんは使ってません!
動きがむちゃくちゃ速いんです! ほら、もうすでにモンスターの目の前に!」
みんなには後藤号が消えたように見えたらしい。
そんなに速く動いたつもりはないのだが───
- 95 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時31分06秒
その間、わずか5秒… だったらしい。
私には、それが30秒くらいの出来事だと思っていた。
昼間、私を恐怖で怯えさせたモンスターは、
全身から緑の液体を噴出させながら佇んでいた。
「ご、ごっちん…」
「?! 後藤?!」
「一体何が…」
私の動きが止まると同時に、すぐ横でモンスターが倒れる音がした。
「ごっちん!今の、どうやったの?!」
「そんな異常なスピード、なんで出せんねん?!」
「どうしたのぉ〜?
敵の動きが急に鈍くなったから、目の前でいっぱい剣を振り回しただけだよ?」
- 96 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時32分10秒
- 「…はぁ?!」
「これが、火事場の馬鹿力ってやつか?」
「火事なんて起きてないですよぉ?」
「ごっちん、それ例えだよ。」
◇
あとで聞いた話だが、
やっぱり『勇者の剣』は、ただのブレードの合金を衝撃に強くしただけのものらしい。
そのぐらい分かっていたが、私が出した「異常なスピード」とは全く関係ない。
私は「勇気」の力でマシンを動かしただけ。
いや、「異常なスピード」なんて出したつもりはないんだけどね。
でも、これは紛れもない『勇者の剣』。
私に勇気をくれた。
ありがと。『勇者の剣』、そしてみんなも。
- 97 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時32分44秒
-
- 98 名前:第4話 勇気 投稿日:2002年08月08日(木)20時33分37秒
- ムスメ大戦。 完
- 99 名前:作者 投稿日:2002年08月08日(木)20時53分56秒
- 最後まで全部読んでくださってありがとうございます。
本作品はここで終わらせていただきます。
中途半端ですみませんねm(._.)m
このハンドルはもう使わない上、小説も書く予定ないので探しても無駄ですよ(w
ではでは
- 100 名前:100 投稿日:2002年08月09日(金)01時06分33秒
- 100
- 101 名前:karry 投稿日:2002年08月24日(土)17時44分51秒
- 終わりかよ!!!
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