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付属品達

1 名前:くも 投稿日:2002年04月26日(金)17時59分23秒
私は遠距離恋愛ができない女だなぁ、とつくづく思った。
ひとみちゃんも、保田先生も、この学校を去った。
遠い所へ行って、それ以上恋愛をすることを諦めちゃったみたいで。
遠距離恋愛。響きはいいけど、絶対辛いよ。と二人とも同じ事を言った。

「じゃあね。もう遅いから気をつけて帰りなさいよ」
「…はい、先生も」
お互い背をむけて、家へ向かう。
私の家は近いけど、夜9時にもなると辺りは真っ暗で何が起こるかわからない。
渡る世間は鬼ばかり。そんな言葉が急に頭に湧き上がり、プッと思わず吹き出す。
さっきまであんなに泣いていた私なのかと思う。
別れの言葉を言われた後より、嗚呼言われるんだなあ、と思っていた言われる前のほうが、気持ちが重かった。
それに…
「別れを告げられる前に泣いちゃうって。やっぱりおかしいのかな?」
恋愛ドラマのヒロインは違ったような気がする。
2 名前:くも 投稿日:2002年04月26日(金)18時02分18秒
SFらしいものを書かせてもらいます。
ある意味超能力のようなものを。
ある程度さがったら、続きをば。
カップリングは、保石吉とか。
3 名前:名無しさん 投稿日:2002年04月27日(土)19時32分57秒
期待してます。
4 名前:くも 投稿日:2002年04月30日(火)17時04分35秒
人の多い大通りだと危険が少ない。

そう思って、大通りに出てみると思ったより人が少なく、どっちもどっちという感じがする。

それでも人はいる。いないよりかは、はるかにマシだぞ。ポジテブ、ポジテブ!

何をポジテブ思考で考えろというのだろう。自分でもよくわからないことに、アハハと笑ってしまった。


ここの大通りは街灯が多くて、とても明るい。

道行く人は皆影を引きつれ、ある者は家へ、ある者は駅へ。皆影を引き連れて歩く。

きっと本人は気づかない。自分の影の面積が何倍も膨れ上がり、実体を持つなど。
本人も、道をすれ違った人も、誰も気づかない。


石川梨華。彼女以外は。
5 名前:くも 投稿日:2002年04月30日(火)17時06分01秒
「なっ!」
私の3mほど前を行くサラリーマンの影。
それがどんどん大きくなっている。
そのサラリーマンに当たっている光など関係なしに、影がどんどん膨れ上がる。
面積だけじゃない。
影が盛り上がり始めた。

―――――――なんなのよ!これ!
それを見た百人は、口々に言うだろう。おかしい。これは異常だ。
先ほどまで地面にへばりついて、“御主人”のあとを付いてきた影が実体を持ったのだ。
体が金縛りにあったかのように動かない。
―――――――やだ。やだやだやだやだやだやだ
影が此方に気づき、振り向く。ギラギラとした紅い目が、8つ。
「……蜘蛛!?」
8本の足が生えた影の様は、まるで蜘蛛。目が左右に4ずつ付いている。
だが、本物の蜘蛛と違うのは、細く短い毛が生えていないところ、と
丸みがなく、角ばっているロボットのようなところ。
石川をじとっと観察すると、元“御主人”であるサラリーマンの男性のほうに向き直る。

バクッ

蜘蛛は、サラリーマンの頭上高く飛び上がり、
口(あったことすら驚きだが)を限界まで開け人一人を丸飲みした。
6 名前:くも 投稿日:2002年04月30日(火)17時09分08秒
更新です。また夜に更新するかもしれません。今時間ないんで。

>>3
こんなに早いうちに、コメントをもらうなんて思っていなかったので、とても嬉しいです。
できるだけ早く更新をしていこうと思いますので、見捨てないでください(w
7 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月02日(木)02時46分45秒
戦ったりするんですかね?期待
8 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月03日(金)11時05分00秒
おお!
9 名前:りか 投稿日:2002年05月04日(土)00時22分12秒
なんかすごいことになりそうな予感です。

けいちゃんとよっすぃ〜・・・結構気になります。
スキですから(w
10 名前:くも 投稿日:2002年05月25日(土)12時04分36秒
―――――しばばばば

さぁ次は、とでも言うように振り向いて、不快音を発する蜘蛛。

蜘蛛は体を左右に揺らして、タイミングを図っているように見える。

―――――逃げなきゃ

右手が動くのがわかる。バックは落としたくない。今月のお小遣いがまだたっぷり入った財布があるからだ。

バックを左肩にぐいっと引き上げて、そのままの格好でじぃっと蜘蛛の瞳を見つめる。
深紅の瞳。闇がちらほら見える瞳。


――――――しばっ

梨華は走り出した。
11 名前:くも 投稿日:2002年05月25日(土)12時05分15秒
全員リレーの時。大抵自分のクラスは人数が一人足りなくて、いつも2回走っていた。

選抜リレーには、一度も選ばれたことがないけど、いつも補欠だった。

それに…
あのテニスの厳しい練習はなんだっていうんだ。

まるでこの時が来るかをわかっていたように、トレーニングメニューはグラウンド8週だったではないか。

普段は走りにあまり自信がなかったが、今ならこのまま北海道にでも行けそうな気がする。


牧場のアイスクリームを食べたいな、と場違いな考え。
12 名前:くも 投稿日:2002年05月25日(土)12時05分55秒
梨華は走って、走って、走って
蜘蛛も後を追って、追って、追って

大通りを過ぎ、雑木林を過ぎ、有刺鉄線を飛び越え、隣町を出て、そのまた隣町を出て、電車でいうなら後2駅で学校に着くぐらい遠くへ。


そして、
雑草が好き勝手のび放題の空き地に着いた。

ガサガサと雑草を掻き分け、掻き分けして進む。
蜘蛛はまだ振り切れていない………はず。

前も見えなければ、後ろも見えない。振り返ることもできなければ、前をまともに見ることもできない。


こっちがそうなら、あっちもそうだ。
13 名前:くも 投稿日:2002年05月25日(土)12時06分41秒
しばらくPCが吹っ飛んで更新できませんでした。
申し訳。
14 名前:sage 投稿日:2002年05月26日(日)03時41分02秒
復活おめ、でよいのかな?
続きも期待してます。
15 名前:くも 投稿日:2002年05月27日(月)16時38分10秒
>>7
戦わせようとは思っていますが、戦闘シーンはまだ(w

>>8
驚くのはまだまだ………でもないんですが。

>>9
保田さんと吉澤さん好きですか。
この人達がいないと、話にならないんです、私の場合

>>14
Yes、復活です。できるだけ早めの更新を心がけようと思います。
16 名前:くも 投稿日:2002年05月27日(月)16時38分55秒

あたりは真っ暗。新緑は深緑。
梨華は足を止めて、周りを見回す。蜘蛛は雑草の中に隠れているか、もしくは、闇に溶け込んでいて姿が見えない。
――――――どう…なるんだろう………。
生きて帰れるのか、あのサラリーマンのようにパックリ食べられてしまうのだろうか。
どっちにしろ、
このまま行動を起こさなくてはいけない。

目を閉じて神経を研ぎ澄ませる。幽霊は見たくないがシックスセンスも今は欲しい。
耳を澄ませる。
皮膚で回りの様子を探る。
瞼の裏に情景が写る、ような気がする。

「てやあああ!」
梨華の拳は大きく空を切った。
17 名前:くも 投稿日:2002年05月27日(月)16時39分28秒

「嘘ッ」
なにが嘘なんだ、と心の中で自分を自嘲する。これで蜘蛛に場所がわかってしまっただろう。
「しばばばっば」
不快音が闇に染まった空から降ってくる。上を見上げるとそこには、深紅の目が8つ。
ぶうううんんんん、と奇怪な音と共に前の2本の足が振り下ろす蜘蛛。
風の影響か、未知の力でぶわっと薙ぎ倒された、梨華の周りの雑草。
走馬燈がグルグルと頭を駆けめぐり、なにもかもがスローモーションに見える石川梨華。

気がついたときには、
蜘蛛の発する断末魔の叫びが、右耳から左耳へ通り抜け、
走馬燈の中に出てきた登場人物が、1人、そこに鉄パイプを持って立っていた。

18 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月30日(木)13時35分49秒
鉄パイプ?誰なんでしょうかね
気になる・・
19 名前:くも 投稿日:2002年06月02日(日)15時40分15秒
「あんれー?梨華ちゃんじゃん!いんやーヒサブリだね」
鉄パイプをグルグルンと回しながら、彼女が歩いてくる。
暗闇から覗く顔。彼女の白い顔が光を受けていないのには
っきりとわかる。
どうしようもなく私は、口をパクパクさせた。
「………あの?梨華ちゃん?ちょ、大丈夫?」
手を差し伸べる彼女。
ただただ、彼女の顔を呆然としか見ていられない私。
ほんの2秒。ほんの2秒が、私を永遠へと誘い、口をポカー
ンと開けたままにさせた。


「………わは?」
「ん?どした?」
「三途の川は?」
暗闇に彼女の笑い声が吸い込まれる。


「………ふはっは」
街灯の灯りがポツンポツンと灯された、道路。
たまに、ひとみちゃんが先ほどの出来事を思い出し、
笑う。
「だってぇ」
情けない声を出してるのは自分でもわかる。
こんな声を出すのは自分なのに、同一人物である自
分がそんな自分に苛立ちを感じていて。
だったら出すなよ!と自分に言い聞かせたい自分と、
しょうがないじゃん!と自分に言ってる自分がいる。
精神分裂。2重人格。
なーんて。
20 名前:くも 投稿日:2002年06月02日(日)15時41分55秒
「だ、だってさ!三途の川を渡る前とか親しか
 った人と会うでしょ!」
「過去形なのは、その人が死んでる人だから?」
口をスマイリー君のように両端にあげて微笑む彼
女。
シンデナインデスケド?と細めた目が抗議する。
左手の指をぴっと立てて、顔の前に持っていき、
私は
「ゴメン」
と謝罪の言葉を述べた。


沈黙が続く。
ほんの2秒の永遠と、7分ものリアルな沈黙。
ほんの2秒の永遠が恋しい。
「………あの吉澤さん?」
先ほどの会話から7分ほど経って、先に沈黙を破
ったのは私だった。
「あいよっ」
3歩と半歩ぐらい前を行くひとみちゃんは、頭の
後ろで組んでいる腕を放さずにそのままの体勢
で顔が半分見えるくらい振り返る。
ひとみちゃんの言葉から、怒りを感じなかった。
心がココアのように、甘く暖かくなる。
「さっきの………って、ひとみちゃん……なん
 だか知ってるの?」
7分ものリアルな沈黙の間、考えていたことは沈
黙を破るきっかけと、……蜘蛛のことだった。
21 名前:くも 投稿日:2002年06月02日(日)15時43分59秒
なんだか余計見にくくなってしまった。次回からはまた元に戻します。

>>18
この人でしたYO!お次はあの人をば。(w
22 名前:くも 投稿日:2002年06月02日(日)15時44分56秒
もうあのときは死を覚悟していた。キスを待つときのように、目を閉じて、身をゆだね。
でも、キスを待つときのと違うのは、心が凍てつく恐怖。

恐怖で、頭の芯がすぅっと温度を失い、すべての思考が停止した。
目で確実に見たはずの蜘蛛の“最後”も脳の情報処理がまともに動作しなかったからか、覚えていない。

だから余計に
知りたい、という好奇心が燃えるのだ。

少し俯き、何かを考えてからひとみちゃんは言った。
「あれが、あれが真実、だから。真実に向かい、合ってるだけだから、」
すこし掠れた、小さな声で。
足を止めて、私に向き直って言うのだ。


「真実に向かい合ってる、ただそれだけだから」
寂しそうに笑って。
23 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月06日(木)11時10分55秒
敵は何者なんですかね
いしよしの関係も気になる
24 名前:sage 投稿日:2002年06月09日(日)04時03分55秒
真実って…???
作者さん(”くも”って蜘蛛ですよね?蜘蛛嫌いなんで
くもさんって呼びたくないのでごめんなさい)更新頑張って!
25 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月14日(金)03時52分46秒
続きヒジョウに楽しみにしとりますです。w
ふみぃ〜。宜しくお猫。(意味不みゃ〜ごw)
26 名前:sage 投稿日:2002年06月29日(土)05時51分53秒
作者さんがんばって!
続きまってます〜〜。

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