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桃色アプローチV

1 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月04日(土)18時53分00秒
同じく赤板にある「桃色アプローチ3」の続編です。
スレッドが足りなかったので引っ越して参りました。
2 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月04日(土)18時55分59秒
-54-

 入り口に入るとフロントで鍵を渡される。
 梨華もひとみも、こういうところに入るのは初めてだから、ますますぎこちなくなってしまう。
 ひとみが鍵を受け取ると、梨華が腕を絡めて来た。
(先生?)
 エレベーターの上のボタンを押すと、ひとみはぼんやりと来るのを待ち
梨華は、ぎゅっとひとみの腕に絡めたまま無言で待っていた。
 そして二人がエレベーターに乗り込むと同時に、加護を入れた大きなバッグを提げて
保田と亜弥が入ってくる。
(全く、重い! 重すぎだわよ! もっと痩せろって注意しないといけないわね!)
 ただでさえ暑いのに、更に大荷物が出来たものだから、ますます保田は大汗をかいている。
3 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月04日(土)18時56分44秒
 梨華達に続いて、保田達もフロントへ行くと鍵を出されたが、亜弥がフロントへ口を挟む。
「すみません。前のカップルの隣りの部屋が空いていたらお願いしたいんですが」
 亜弥の発言に保田は汗を拭きつつ振り返った。
 勿論、亜弥はダメもとで言ったのだが、たまたま空いていたらしく隣りの鍵を差し出された。
「ありがとうございます」
 なんだか慣れた様子の亜弥に、保田は自分がおどおどしてるのがバカらしくなってしまう。
 保田達もエレベーターに乗り込むと、加護を下ろして息をついた。
「最近って、女同士でも平気なのね…」
「いや、オバチャン男に見えたのかも知れへんで?」
 加護は、大きく息を吸い込むとバッグから顔を出す。
「うるさい! それより加護、もう少し痩せなさいよ。重すぎ!」
「なんやねん、ソレ。これでも気にしてんねんで!」
 亜弥はクスリと笑うと、加護も苦笑いした。
(亜弥ちゃん、やっと笑ってくれたな。こんなネタで笑われるのは、ちとアレやけど、いいか)
4 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月04日(土)18時57分20秒
 ひとみが鍵を差し込んで中に入ると、中は既にエアコンが効いていて、有線もかかっている。
 ひとみはベッドに腰を降ろした。心地よい温度で眠気を誘うようである。
「石川先生…。私……」
 梨華も、ひとみの隣りに座ると腰を降ろす。
「もう先生とは、これっきりにしたい」
「どうして?」
 梨華の哀しげな視線がひとみの横顔に映る。
「さっきも言いましたけど、私には亜弥が…」
「でも松浦さん、今デート中なんでしょ? 幾らひとみちゃんが思ったって…」
 そんな事を言う自分は、とっても嫌な女だと思いながらも梨華は止められない。
「それでもいいんですよ。それでも…。幼馴染みとしてでもいいから、亜弥の傍に
 ずっと居たいんです」
「そんな綺麗事…。口だけじゃない! どうして私じゃダメなの?
 どうして、この前、私の部屋に来たの? 諦めたくてもひとみちゃんが優しくすれば
 私は諦めるコトなんて出来ないよ!」
 梨華の目からは涙が溢れていて、ひとみの心はチクリと痛む。
5 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月04日(土)18時57分59秒
「全て私の責任ですよね。ホントは最初から先生と結ばれるべきじゃなかったんです。
 私のせいで…。でも、先生に抱かれたコトは…後悔してませんよ」
 真っ直ぐ綺麗な瞳で、ひとみは梨華に言う。
「先生が、人の肌の温もりの優しさとか教えてくれたし。先生の気持ちも…嬉しかった」
「だったら何故…」
「でも…どうしても自分には亜弥が必要で。亜弥の大切さに気付いてしまったから…。
 亜弥が許してくれなくても…私は、もう先生とは別れないといけないんですよ。
 これ以上、亜弥も先生も傷つけたくないから。ケジメを付けるつもりで」
「充分傷ついてるよ。私は、ひとみちゃんが好き。諦められない。だって好きなんだもん。
 一目惚れだった。電車の中のひとみちゃんに」
「先生。もう終わりにしましょう」
 ひとみは落ち着いた声で静かに言った。
6 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月04日(土)19時01分59秒
新スレ移行しました(汗)。あぁ、あと少しで終わると言うのに(鬱)。

>412 じじさん
まだまだ続けたいのですけどさすがに…。

>413 REDRUMさん
ALL「Kei」です。
さすがに、このスレは全部消化出来そうにありませんなぁ。

>414 いしごま防衛軍さん
そうです。よしこが悪いんです。

>415 名無し男さん
林道ですか(w。安全運転したいですね。

あと少しなので、もう暫くお付き合い下さい。
7 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月04日(土)20時23分31秒
ああ梨華たん。続きが気になる。
8 名前:じじ 投稿日:2002年05月04日(土)20時49分27秒
マ ジ で ?

ショックです・・・。
どうしよう・・・。
  
9 名前:夜叉 投稿日:2002年05月05日(日)22時31分43秒
PCの前でおろおろしてますが何か(−−;
ああ、どうなるんだろう…
10 名前:no-no- 投稿日:2002年05月05日(日)22時43分59秒
続きがーーー、、、
久し振りにきたら大変な事になってる。
更新お待ちしてます。
11 名前:名無し☆ 投稿日:2002年05月06日(月)00時32分10秒
久しぶりに覗いたらもうすぐ終わりですか…。
続きが気になりますっ!
よっすぃ〜…。
12 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月06日(月)14時10分30秒
新スレおめです。
やっぱり吉は・・・。もうこうなったらしゃあない。
わたくし覚悟を決めます。(笑
13 名前:理科。 投稿日:2002年05月06日(月)18時02分33秒
あおう!新スレおめ〜です。
し、師匠…。いったいどうなるのでしょうか?
ここの石川さん…

 走 り す ぎ で す ね 。

よっすぃ〜の気持ちは決まったんですね。
続きがたいそう気になりますが。。。
マターリ逝きましょう。 
14 名前:名無し男 投稿日:2002年05月07日(火)18時07分23秒
あーどーしましょう
こーしましょう
そら違うやろ
ならどーすんの
うーん
あーそー
でもやっぱ…
(以下∞)

頭の中フル稼働中!!
15 名前:パム 投稿日:2002年05月08日(水)04時09分48秒
一気に読ませてもらったです。
あやゃに死むほど萌えてます・・・(爆
いしよし推しでしたがこちらではよしあや推しまくりです!。
次の交信も期待して待ってるっす!。がんがってくださいっす!。
16 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年05月09日(木)01時21分19秒
もうすぐ終わっちゃうんですね。
このお話のおかげであややをもっと好きになったので寂しいです(涙)
続きもめちゃ気になります〜。マターリがんがってください。
17 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月10日(金)13時35分24秒
遅ればせながら、新スレおめでとうございます。
誰のことも傷つけずにすむのならそれにこしたことはないけど、
一歩前進するには勇気が必要なんですよね(しみじみ)。
続き(終わるのは正直さびしいですが(涙)期待してます。
18 名前:Yoo 投稿日:2002年05月11日(土)18時30分56秒
初めまして。一気に読ませていただきました。
あやゃ…ツボすぎ(;´Д`)か、かわいい。。
もうすぐ完結なんですね。寂しいっす。
続き楽しみにまってます。
19 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時52分45秒
-55-

 保田、亜弥、加護の三人も少し遅れて隣りの部屋へと入っていった。
 ドアを開けた瞬間、目に飛びこむ一面のピンク仕様に、加護は思わず声をあげた。

「気色悪いねん。こんなんじゃ落ち着いて出来ひんねんなぁ〜?」

 しかし、保田も亜弥も、初めてだから、加護の話しなど聞いていなく、物珍しそうに
部屋中を見渡している。

「亜弥ちゃんもオバチャンも聞いとるんか?」
 保田は加護の声にハッとすると、梨華達の居る部屋の壁に耳をピッタリつけた。
「加護。ウチらは遊びに来てるんじゃないんだからね!」
「そやけどさぁ〜」
 亜弥をチラリと見ると、更に落ち込んでいる様子に加護は慌てた。
(亜弥ちゃん、最悪の場合、ウチが亜弥ちゃんの傍に…。
 でも無理やろなぁ〜。亜弥ちゃんフラれても、ずっと想ってそうやもん。 
 ウチの出る幕ないんやろうな。なんか、ウチも落ち込んで来てしもた…。)
 加護はそれでも亜弥の力になりたいと想うから、自分の気持ちは言わないつもりでいた。
20 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時53分42秒
 加護は洗面台からコップを持ってくると、それを耳に当てて壁に付けると言う、ドラマなんかで
やるような事をやってのけた。
 しかし、壁の向こうの隣りの部屋は静かで何も聞こえてこない。
「なんも聞こえへんなぁ〜」

 保田は加護からコップを奪い取ると、物凄い勢いで壁に押しつけた。
(オバチャン必死やな。)
 亜弥は聞き耳を立てるのもイヤなのか、忙しなく部屋の中をうろうろしている。
 落ち着こうにも、こんなドピンクの配色の色では、落ち着けるものも落ち着けない。
 加護も自分用にコップをもう1つ持ってくると、壁に耳を当てた。
 そして、亜弥から借りた携帯からひとみにメールを送信した。
21 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時54分27秒
「先生。私、もう亜弥を悲しませたくないんです」
「私の気持ちはどうなるの? 私だってひとみちゃんが好きな気持ち変わらないのに…」
 梨華の声は途中から涙声になる。
 また自分のせいで梨華を泣かせてしまったと、ひとみは胸が痛んだ。
「すみません。私がハッキリしないから…先生のコト…傷つけてしまった」
 ひとみは梨華の頬に伝う涙を指先で拭った。
「そう簡単に諦められると思う?」
 濡れた睫毛を揺らしながら梨華は、ゆっくりと言った。
「え?」
 ひとみの指先が止まる。
「そんなコト言われて、すぐに引き下がるほど恋愛って簡単じゃないのよ、ひとみちゃん…」
「…先生」
 ゆっくり落ち着いて話す梨華に、ひとみは恐怖を覚えた。

22 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時54分59秒
 沈黙の中、場違いのように、ひとみの携帯の着メロが軽快に鳴る。
 ひとみは素早くメールを見ると、目を見開いた。
(亜弥!?)
23 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時55分34秒
「私、もう我慢出来ない! 隣りの部屋に乗り込む!」
 ほぼ同時期に亜弥は叫ぶと、ドアに走り寄っていこうとした。
「亜弥ちゃん! もうちょい落ち着きやぁ〜!」
 微かに聞こえる二人の会話の続きが、聞きたかった加護だったが、亜弥の腕を掴む。
(こういう時に限って、なかなかメール飛ばんのやなぁ〜。使えねぇ〜!)
「あいぼん、もういいよ。こんなトコに入るってコトは…ひーちゃんだって元からその気で…。
 私のコトなんか…もう……ぅっ…」
 亜弥は半泣きになりながら、泣き出した。
「あ、亜弥ちゃん! まだ、そうと決まった訳やあらへんで。なぁオバチャン?」
「シーッ! なんか吉澤が急に大声あげてるんだ」
 
『よっすぃーって声デカイんや』と言おうとして加護は止めた。
24 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時57分10秒
-56-

「亜弥…」
 ひとみの異変に気付いた梨華はメールの内容が気になったが今の自分に亜弥の事まで
考える余裕はなかった。
 このままでは、ひとみは亜弥の元に行ってしまうと感じた梨華は、ひとみを押し倒した。
「ひとみちゃん…行っちゃヤダ! 私を一人にしないで…」
 梨華も必死ではあるが、もう一人の自分は冷静に状況を見つめていた。
 こんなセリフ、安手のドラマのようだと梨華は思う。きっと、ひとみは自分の話には
耳も貸さずに亜弥の元へ戻る事は分かっているが、それでも、やはり梨華はひとみが
好きだから言わずにはいられなかった。
25 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時58分02秒
「先生っ! 放して下さい!」
(ホラ…やっぱり、ひとみちゃんは……。)
 梨華はひとみの上に馬乗りになると、ひとみにキスしようと顔を近づけていく。
「やめてっ!」
 ひとみの言葉を無視して梨華は更に近づいていく。
26 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)10時58分56秒
「…!?」
「やめろって言ってんだろっ!」
 次の瞬間、梨華は突き飛ばされ壁に凭れるようにして崩れ落ちた。
 自分でも一瞬何が起こったか、分からない程一瞬の出来事だった。
「…つっ…」
「先生!」 
 さすがのひとみも血相を変えて、梨華の傍に寄る。
「ご、ごめんなさい…」
「もぅ…いいわヨ! とっとと松浦さんのトコに行けばいいじゃない。
 ひとみちゃんなんか大キライッ!」
 梨華は近くにあった大きい枕を掴むとひとみに思い切り投げつけた。
「先生…。ありがとう」
 ひとみはお辞儀をすると、そのまま走って出て行ってしまった。
27 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時00分59秒
「ありがとう…って、なによ、なんなのよっ!
 嫌われて嬉しいのかよ! 私は私は…。ひとみちゃんが大好きだぁ〜〜〜!」
 梨華は思い切り大声で叫ぶと、そのまま気を失ってしまった。
28 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時10分08秒
「?」
 保田は何だか訳が分からなかった。
『やめろ』とひとみが叫んだかと思えば『大好き』と叫ぶ梨華。
 それよりも気になったのが、今、誰かが出て行ったような音が。
29 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時11分04秒
 ひとみの頭には、既に亜弥の事しか頭になかった。

―『桃色キャッスルのXXX号にいるの。助けてひーちゃん』―

「よりによって同じホテルかよっ! あやゃ待ってろよ!」
 ひとみは廊下に出ると、片っ端から部屋番号をチェックしていくが…。
 その部屋が隣りである事に気付くのに、そう時間はかからなかった。
「隣りかよっ!」
 ひとみはドアを構わずにドンドン叩く。
「開けろよ! 亜弥を出せよ!」
30 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時11分52秒
 突然の訪問者・ひとみに、保田はメールの内容を知らないから、壁から離れると
ドアの方に目をやった。
「ヤバッ! ウチ隠れんと!」
 加護はいち早く、ベッドの下へと身を潜めた。

「亜弥! いるんだろ?」
「ひーちゃん!」
 亜弥が駆け寄り、ドアを開けると血相を変えてひとみが飛びこんできた。
「あっっぁっ亜弥?」

 ひとみは亜弥が無事なのを確認すると、亜弥を手込めにしようとした男に目をやり
掴みかかろうと突進してきた。
31 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時14分52秒
「てめぇ! 亜弥に何した?」
「は?」
 急展開に保田はサングラス越しに目を白黒させる。
 と言ってもサングラス越しでは、当然見えないのだが。
「は? じゃねぇよ! ふざけんな! 中3相手に恥ずかしくねーのかよ!」
 胸座を掴まれ、保田は息が苦しくなる。
「って言うか、気付きなさいよ! 吉澤!!(怒)」
 保田もブチ切れると、サングラスを雑に取って床に投げつける。
「アンタこそ、失礼過ぎるわよ! 男じゃないわよ!」
10歳年上で、車持ってて顔はコワイ系の保田が叫んだ。
32 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月12日(日)11時17分16秒
「や、保田先生。亜弥を狙ってたんスか?」 
 ひとみも驚きを隠せず目をパチクリさせている。
「ざけんじゃないわヨ! 松浦なんか興味ないわヨ!」
(オバチャン、それ酷いわ〜。ウチは大好きやで亜弥ちゃん)
 加護はベッドの下で一人呑気に突っ込んでいる。

「ふざけるってなんスか?」
 ひとみも聞き捨てならない台詞に保田に食って掛かる。しかし保田は無視して
「それより、アンタ石川どうしてんのさ?」
「あっ…。隣りの部屋で…」
 ひとみは急に梨華の話をされ、突き飛ばした事を思い出し、声が沈む。

「保田先生! 石川先生のお相手お願いしますね!」
 亜弥は保田の背中を押しやると強引に保田を出て行かせようとする。
「相手って何なのよ? 状況が見えてないんだけど?」
「石川先生に良く謝っておいて下さい」
 ひとみは保田が出て行く前に一言付け加えた。
33 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月12日(日)11時34分29秒
更新が遅れてすみませんでした。

>7 いしごま防衛軍さん
梨華たんには悪い事させちゃいました。フォローは保田に任せます。

>8 じじさん
でも、ある程度予想は出来てたでしょ?

>9 夜叉さん
おろおろ1週間もさせてごめんなさい(爆)。

>10 no-no-さん
大変な割に、あんまり暗くならないようにしました。

>11 名無し☆さん
よっすぃ〜は最後くらいは、ちゃんと…。

>12 よすこ大好き読者。さん
どうもすみません。覚悟決めて下さい(w。

>13 理科。さん
風邪お大事に〜。石川さんゴメンなさい。
走りすぎて、こんなんなっちゃいました。
34 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月12日(日)11時36分19秒
ヘンなところで切ってしまった。
理科。さんのレスの続きからです。スマソ。

>よっすぃ〜の気持ちは決まったんですね。
2ヶ月前からこの結末は決まってたんですが(w。それなのにフラフラと。
ここまで来るのに長く掛かりすぎてしまいました。

>14 名無し男さん
こうなりました。すみませぬ。

>15 パムさん
あやゃ萌えと言うお言葉とっても嬉しいです!
私もいしよし推しですが…。

>16 ごーまるいちさん
終わりますけど、なんか書くと思います(笑)。
番外編みたいなの。分かりませんが。

>17 ごまべーぐるさん
>誰のことも傷つけずにすむのならそれにこしたことはないけど、
ホントにそうですね。好きな相手が一緒になってしまうと誰かしら
傷ついてしまいますね。
ごまべーぐるさんも更新がんばって下さい。
(そちらも、あやゃは、ひーちゃんなんですね)

>18 Yooさん
あやゃも、やっと報われる時が…。

やっと、描きたかったよしあやシーンです。
でも、ベッドの下には………。
35 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月12日(日)14時26分46秒
なんだ結局よしあやか。
よしあやに持っていくならもっていくでもう少し上手く書いてほしかった。
36 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月12日(日)14時48分04秒
その言い方は酷くないですか?
37 名前:名無し男 投稿日:2002年05月12日(日)16時52分00秒
ウヲー!!!
修羅場!!
38 名前:じじ 投稿日:2002年05月12日(日)17時21分05秒
随 分 前 か ら 予 想 し て ま し た (w

加護がベットの下にいるのに・・・はあとはあとはあとはあと
大変だぁ!
39 名前:REDRUM 投稿日:2002年05月12日(日)18時03分25秒
オイ ラ も 随 分 前 か ら 覚 悟 し て ま し た

加護には悪いですが、そのまま行っちゃえぇ〜。

40 名前:夜叉 投稿日:2002年05月12日(日)20時58分43秒
この1週間心労で倒れるかと…(嘘。w

自分も覚悟しておりました。加護の悶絶、楽しみにしております(笑)。
41 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月13日(月)00時24分23秒
加護の悶絶、自分も同じく期待(w

42 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月13日(月)00時28分42秒
昨日あややのコンサート見に行ってきたんだが、すばらしかった。
ということでわしもこのままよっすぃーとあややが引っ付けば
ヤッスーは落ち込んでいる梨華たんを助けに行って両想いになり
ヤッスーは梨華たんを傷つけたよしこに制裁をあたえる。
これでいいのではと思いました。でも作者さんにまかせます。
更新楽しみに待っています。
43 名前:パム 投稿日:2002年05月14日(火)06時37分07秒
逆ギレよすぃこがオソロスィ・・・(w
とりあえず梨華っちはヤッスーに任せてがんばれヨスィコ!。
このあとの展開は、、、、、期待しちゃってよいのかなぁ〜♪(w
44 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年05月15日(水)01時45分20秒
 私 は 最 初 か ら 期 待 し て ま し た (w)

加護ちゃんなど気にせずゴーゴーで♪
45 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月16日(木)13時04分41秒
覚悟を決めたし、今からは、期待で(w
場所が場所ですからね。(笑
46 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時49分30秒
-57-

 保田を出て行かせた後、ひとみは亜弥の方に向き直るともう一度尋ねた。
「あやゃ、ホントに大丈夫なの?」
「ひーちゃん、ゴメン。ゴメンね。嘘ついて」
 亜弥はひとみに抱きつくと胸に顔を埋めた。
「いいよ。嘘で…嘘で良かった」
 ひとみは噛み締めるように言う。そして亜弥の髪を撫でようとして、手に軽い痛みを覚えた。
 巻かれた包帯から、うっすら血が滲んでいる。
「ひーちゃん?」
「何でもない。あやゃが無事ならそれでいいよ」
 ひとみは、もう片方の手で亜弥の頭を抱き寄せる。
47 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時50分21秒
 ベッドの下に潜んでいる加護は一人ドキドキしていたが、今更出ても
行けず完全にタイミングを外していた。
 こんな事なら、保田と一緒に出ていけば良かったと後悔する加護だったが
保田と一緒でも邪魔な扱いをされそうだった。
(ウチの上で始まったらどないすんねん。ウチ、ますます出られへん。
 あ、待てよ。先にシャワー浴びるだろうから、その隙狙って出たらえぇねん。ウチ頭えぇわ!)
 加護は勝手に予想を立てていたが―――。
48 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時50分57秒
「あやゃ、ここから出よう」
 ひとみは亜弥の手を引く。
「え?」
 亜弥の意外な声。
「こんなとこ…いたくないし。落ち着かないし…」
 ひとみは口に手をやると急に恥ずかしくなったのか、そわそわし出す。
「まだ30分も経ってないのに勿体ない」
「は?」
 今度はひとみが意外な声を出す。
「今出たって2時間いたって、同じお金取られるんなら一緒にいようよ。
 折角二人きりになれたのに…」
 亜弥はひとみにギュッと抱きついた。

(二人きりて。完全にウチの事忘れとるやん! 亜弥ちゃんヒドイねん!)
 加護はベッドの下で握り拳を作る。
49 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時51分42秒
「こういう場所は…苦手だよ」
 ひとみはポソッと言う。
「ひーちゃん、石川先生と、そういう目的で入ってったクセに」
 亜弥は頬を膨らませると、ひとみの腕を取り左右にブラブラさせる。
「違うよ! ちょっとヤバかったけど、先生とは最初から別れるつもりだったし」
「ヤバイって何? やっぱり先生と!!」
 亜弥は詰め寄ると、ひとみにギリギリまで顔を近づけた。
「あやゃが気になったから…先生突き飛ばしてこっちに来たんだから。
 それより…あのメールはなんだったんだよ!」
 ひとみは、多少たじろぎながらも、その事を思い出し、また強気に出て来た。
 しかし、梨華も気になるひとみは、ふと梨華はどうしてるか? とか怪我はなかったか? 
とか気になったが、亜弥がすかさず返してきた。
50 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時52分12秒
「あれは、あいぼんが仕組んだ…」
 と亜弥は言いかけてハッとしたように言うのを止めた。
 加護も、亜弥が自分の事を思い出してくれたのかと少し期待をしたのだが、
ひとみも間髪入れずに続ける。
「『助けて』なんて言うから、てっきり…」
「ねぇ、心配してくれた?」
 亜弥も、加護の話は、そのまま流してしまう。

(おーい! ウチの事、どうでもいいんかい! 放置かよ!)
51 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月17日(金)18時52分50秒
「当たり前じゃないか! 亜弥が他の野郎なんかに…」
 想像するだけで、ひとみは気分が悪くなる。
「嬉しい。嬉しいヨ、すっごく」
 亜弥はひとみの肩口に鼻を擦り付けるように抱きついてくる。
「亜弥のコト…一番大切だって思うから。もう泣かせるようなコトはしないから」
 ひとみは亜弥の髪を優しく撫でた。

(えぇカッコしぃ〜やなぁ〜。くそっ!)
 加護は自分が放置されてるのも忘れて逆に羨ましがっていた。
52 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月17日(金)18時54分54秒
期待されてた方々どうもすみません(なのか?)。

>35 名無し読者さん
力量不足ですみません。それとageないようお願い致します。

>36 名無し読者さん
平気ですよほ〜(w。慣れてますので。

>37 名無し男さん
隣りの部屋の方が修羅場な気がします。

>38 じじさん
加護は、すっかり放置プレイでした。

>39 REDRUMさん
期待を裏切って?しまって申し訳ないです。

>40 夜叉さん
色々な意味でお世話さまです(謎)。今後共、宜しくです。

>41 ごまべーぐるさん
加護は一人ツッコミで結構楽しんでるようです。

>42 いしごま防衛軍さん
よしこに制裁ですか(w。
ヤッスーも、梨華たんにアプローチするチャンスですね。

>43 パムさん
ここでは、させません(w。
よしこは、肝心な所で、結構ヘナチョコだったりします。あやゃの方が強かったり。

>44 ごーまるいちさん
>  私 は 最 初 か ら 期 待 し て ま し た (w)
さすがエ●(略。
エ●は番外編(あったらね)でお楽しみ下さい。

>45 よすこ大好き読者。さん
みんな●ロなんですね(w。
でも(T▽T)<しないよ。多分ね。。。
53 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2002年05月18日(土)01時19分36秒
ヤター!更新されてる♪
ああもう続きが気になって気になって。

(T▽T)<しないんですか?
いや、ま、いいんですケド…(w
54 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月18日(土)11時53分15秒
そうヤッスー大チャンス!!
うがー続きが気になる。
55 名前:パム 投稿日:2002年05月19日(日)03時22分03秒
とりあえずベットの下で拳を握って放置されてる加護に幸あれ・・・(w
ヘナチョコよすぃこの活躍とヤッスーのがんばりに期待して次の更新まってやっす。
がんがってください!。
56 名前:ゆっち 投稿日:2002年05月20日(月)10時57分09秒
毎回、ドラマチックな展開で、楽しみにしてます。
年下の松浦さんを守ってあげようとする、カッコイイ吉澤さんが好きです。
がんばって下さい。
57 名前:no-no- 投稿日:2002年05月20日(月)15時27分08秒
おひさです。
最後は石吉で終るものだとばかりおもっていたのに、、、
もうすぐ終っちゃうんですなー。
更新お待ちしてます。
58 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月20日(月)18時59分17秒
エ●はなくてもいいので、ふたりには幸せになってほしいです。
当方、いしよしヲタですが。。。
59 名前:名無し男 投稿日:2002年05月21日(火)14時24分15秒
加護悲惨(w
60 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月22日(水)20時07分04秒
エ●無しですね。残念だけど……(ヲイ 
分かりましたです!
しかし・・・隣の部屋が非常に気になりますがなにか?(w
61 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月24日(金)10時49分32秒
キショ
62 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時38分25秒
-58-

「大体、なんで私が謝らなくちゃいけないのよ!」
 部屋を追い出された保田はぶつぶつ言いながら隣りの部屋へと行った。

 ドアの前で深呼吸して、保田はノブをゆっくり回した。
 普通? のラブホテルならオートロックだったりするのだが、幸いここは
鍵を差し込む方式だから、すんなりと開いた。
「不用心ね…」
 保田は呟くと、素早く中へと入った。

 隣りの自分達のいた部屋と造りはさほど変わらなかった。
 足元に枕が落ちていて、保田はつまづきそうになる。
(!! こんなとこになんで?)
 保田は落ちた枕を拾うと、ベッドへと視線を移す。
 うなだれている風の梨華の姿を見つけて、保田はギョッとした。
63 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時39分00秒
「石川!!」
 急いで梨華の元に駆け寄る保田。
「ちょっと石川! アンタ吉澤に何されたの?」
 気を失っているだけらしい梨華は、保田に揺り起こされると、やっと目を開けた。
「あ。保田先生…」
「あ、じゃないわよ。もう。それより、吉澤に何されたの? 言ってみなさい」
「吉澤……」
 ひとみの事を思い出したのか、梨華は口に出すと、涙目になった。
「保田せんせぇ〜」
 梨華はワッと泣き出すと、保田の胸に抱き付いた。
「い、石川?」
 不謹慎にも保田は動揺しながら、チャンスだと心の中で叫んだ。
(サードチャンス! これは、絶対モノにする!!)
64 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時39分49秒
「保田先生。フラれちゃいました…」
 潤んだ瞳で保田を見上げる梨華。
(石川…。キレイ……。)
 保田は励ますのも忘れて梨華に見とれていた。
 何も言わずに見つめる保田に梨華は泣き笑いする。
「なんか言ってくださいよぅ。じゃないと私…」
 また梨華の瞳からは涙が溢れて来る。
「石川…。石川には私がついてるわよ。安心して。
 もう吉澤のコトは忘れなさい」
 保田は梨華を抱き締めながら宥める。
「ひとみちゃん…。ぅっ…」
 ひとみの名前が出ると、更に梨華は涙が止まらなくなる。
「石川…」
「ひとみちゃん…。そんなすぐになんか…諦められないよ…」
「石川……」
「ひとみちゃん……」
(私は保田…。)
 保田は心の中で呟いていた。
65 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時40分53秒
-59-

 亜弥はひとみから少し離れると、ひとみを見つめる。
 そして、ゆっくりと目を閉じた。
(亜弥……。)
 ひとみはいつになく緊張する。緊張した面もちで、亜弥の顔に近づいていく。
 亜弥のくちびるに触れた時、ひとみは震えていた。
「「……」」
 くちびるが重なった瞬間、亜弥はうっすらと目を開ける。
 目の前に瞳を閉じて、くちづけをしてくれる愛しい人。ひとみ。
 亜弥の方から強くくちづけると、ひとみは一瞬強ばった風に身体を硬直させた。 
 まだ、キスにあまり慣れてない風のひとみに、亜弥は何となく嬉しくなる。
 勿論、自分だって慣れていないのだけれど。
 亜弥はひとみの腰元をグッと腕を回して引き寄せた。
「…んっ」
 ひとみの口元から声が漏れる。
66 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時41分38秒
 いきなり静かになったので、何かが起こっている事は、加護にも手に取るように分かるが、
見たい衝動に駆られて仕方がない。それに、ずっと同じ体勢で痺れも来ている。
(あかん…。もうダメやー。)
67 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時42分18秒
「ひーちゃん…。ずっと待ってた」
 亜弥はくちびるを離すと、ひとみに囁く。
「あやゃ」
「もう、どこにも行かないでね」
 亜弥はひとみの胸に顔を埋め、ぎゅっと抱きついた。
「うん。亜弥のコトだけ…見てる」
「ホントに?」
 亜弥は顔を上げると、ひとみを見つめる。
「あぁ…」
「絶対だからね」
「約束する」
 甘い二人の会話に加護は溜息を落とす。
(亜弥ちゃん、よっすぃーには甘えるんやなぁ〜)
 しかし、そう思ったのも束の間だった。
68 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時43分34秒
「今度、石川先生と二人っきりになったりしたら許さないんだから!」
 一転して、いつもの口調に戻る亜弥。
「キチンと別れたら、もう会わないよ」
 しかし、梨華はひとみの担任。会わないと言うのは無理と言うものだ。
「キチンとって、まだ別れたんじゃないの?」
 亜弥の視線がキツく刺さる。
「…だから、ほら…話してる最中に飛び出して来ちゃったから…」
 ひとみの視線が泳ぐ。梨華を心配する顔に亜弥は再びくちびるを塞いだ。
69 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時44分46秒
「…ん…っ」
 ひとみが自分の元に戻って来たものの、やはりまだ不安は完全には拭い取れていない。
 ひとみの耳に軽く息を吹きかける。
「…あっ…」
「ひーちゃんの弱いトコ…私だって知ってる…」
 ひとみの力が抜けたところで、崩れるように二人はベッドに沈み込んだ。
 急にスプリングが軋み、加護はびっくりする。
(亜弥ちゃん、強いし積極的やなぁー)
「あやゃ…」
「私、シャワー浴びてくる」
 亜弥は起き上がると、浴室に行ってしまった。

 ひとみも起き上がると、ぼんやりしながら浴室の方に目をやる。
 暫くするとシャワーの音だけが響いてきて、ひとみは急にハッとすると顔を赤らめた。
「あやゃ、まさか、このまま…」
 帰ろうと促したのに、結局亜弥のペースに乗せられ、いつの間にやら
そんな雰囲気になってしまっている。この状況にひとみは慌てた。
70 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時45分39秒
 亜弥はシャワーを浴びながら、やはりひとみの流されやすい性格に溜息をついた。
 また梨華と同じような状況に追い込まれたら、同じ事の繰り返しなのは目に見えている。
 ひとみを信用しない訳ではないが、やはり不安は消えなかった。
「ひーちゃん…。私が攻めてどうすんのよ! もう頼りないんだから…。
 でも、そんなトコが好きはあとはあと。ひーちゃんのコト、もう逃がさないんだから」
 亜弥は決意するように言った。
71 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時47分04秒
 シビレを切らせた加護は、亜弥が居ないのを良い事に、のこのこと匍匐前進を
するように出てきた。
「よっすぃー」
「…うん」
 何気なくひとみは返事をして、加護が顔を覗かせているのに気付きギョッとした。
「加護? なんでいんの? っつーか、いつからいたんだよ!」
 指をさし、後ずさりしながら、ひとみは叫んだ。
「んな人を幽霊みたいに。失礼やん。最初からおったやん。
 気付かんよっすぃーが悪い。ふぅー」
 加護は立ち上がって大きく伸びをした。
「亜弥ちゃん、ウチいんの知っとるくせに放置しおって、酷いと思わへん?
 よっすぃーも、こう…男らしくやれっちゅーねん!」
 加護は厭らしい笑みを浮かべると、ひとみをどついた。
「見てたのかよ!」
 ひとみは、みるみる真っ赤になる。
72 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時48分27秒
「ベッドの下で、ハラハラドキドキワクワクしっぱなしやったわ」
「ワクワクって…」
「ウチ、オバチャンと石川先生の方と一緒に帰るから、あとはよろしくやってや。
 続き見れへんのが、残念やけどな。ほな」
 加護は一方的に喋ると、バッグを持って部屋から出ていく。
 そして帰りしなに一言。
「亜弥ちゃんに言っとってや。よっすぃー浮気したら、またウチ泊まりに来いって。
 ほな、しもてはけー!」
 ドアが閉まると、何を思ったのか、ひとみも加護と一緒に部屋を出ていく。
「待って! 加護」
「な、亜弥ちゃん残して危ないやんか。なんや、まだ石川先生に未練あるんかい!」
 廊下に立った加護は、一喝する。
「そうじゃない。ちゃんと謝ってキチンと別れたいんだ」
「今日のところは、オバチャンに任しとき。よっすぃーは亜弥ちゃんの側
 離れちゃアカンて。戻りや」
「でも…」
 渋るひとみに、加護はプチ切れする。
73 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時49分15秒
「そーいうハッキリせんとこがアカンのや! もっと男らしいとこ見せたれよ。
 すっかり尻に敷かれとるやん。情けない」
「な、なんで加護にそんなコト言われなきゃいけないんだよ!」
「じゃかぁしい! とっとと亜弥ちゃんのトコに戻りやがれ!」
 怒っているひとみの背中を180度回転させると、元の部屋にひとみを戻し、
ドアを閉めた。
「っとに、世話の焼けるやっちゃ…」
 加護はぶつぶつ言いながら、隣りの部屋のドアノブにゆっくり手をかけた。
(こっちは、どないなっとるんやろか? まさか、こっちもラブシーンに
 なっとらんよな?)
 加護は期待半分、ノブをゆっくりと回した。
74 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時50分29秒
-60-

 サードチャンス! と叫んだものの保田は何もできずに言えずに梨華の事を
抱き締めたままだった。保田の服は、梨華の涙で濡れていた。
 何も聞かずに、ただ抱き締めてくれる保田に梨華は感謝した。
「保田先生。ありがとうございます。だいぶ落ち着きました」
 身体を起こして保田に感謝の眼差しで見つめる梨華。
(惚れちゃダメよ、石川。いや、惚れていいわヨ。ってどっちなのよアタシ?)
 保田の頭の中は少しパニックになっていた。
「あ、保田先生の服濡れちゃった。ゴメンなさい…」
 梨華は丁度胸元の濡れた箇所を指先で触れた。
「ぁんっ…」
 保田は自分でも驚く程、喘いだような声を一瞬出して驚いた。
75 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時51分12秒
「ごめんなさい」
 梨華は慌てて指を引っ込める。
「いや、別にいいだけどさ。服なんか乾かせば元に戻るんだし。
 でも、石川の心は、暫く元に戻りそうにないね」
 保田は動揺しながら、話題を反らせようとした。
(あー。ビックリしたわよ、もう! でも私、今良い事言ったような気が。)
 あんな声を出さなければ、暫く梨華は触ってくれてたのだろうか? と
保田は思い浮かべて、すぐに打ち消した。
(バカじゃないの? アタシ…。)
「保田先生…。私……」
「なに? 石川?」

(なんか、こっちも入っていきづらい状況やなぁ…。でもいかねば!)
 加護は深呼吸すると、努めて明るく振る舞いながらもう一度ドアを開ける
フリをして入ってきた。
「オバチャーン! そっちは、どうや?」
76 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時52分37秒
-61-

 部屋に追い返されたひとみは、ドアに凭れながら天井を仰ぎ大きく息をつく。
 そして、ふと視線を感じ、横を向くと寂しげな亜弥の瞳と目が合った。
「あやゃ…」
「ひーちゃん、なんでそんなトコにいるの?」
「…いや、加護がいたから…追い返してたトコなんだ」
 追い返されたのは自分の方なのに…。とひとみは苦笑いする。
「あいぼん…」
 本当に忘れていたらしく、亜弥は、あっと思い出したように言う。
「あいぼん…なんか言ってた?」
「うん…いろいろと…な」
 ひとみは照れくさそうに頭を掻く。
77 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時53分16秒
 亜弥のバスローブ姿に、ひとみはなるべく亜弥を見ないように視線を他のところに
泳がせていた。
(あの下って…やっぱり……ハダカなのかな…。)
 ひとみは、ふいに後ろを向くと首を振った。
(何か変な気持ちになってきた。早く出なきゃ。こんなピンクの部屋にいたら
 おかしくなっちゃうよ!)
 ひとみが顔を上げると、いつの間に回り込んだのか、亜弥の顔が真っ正面にあった。
「あやぁ〜?」
 マヌケな声を出し、たじろぐひとみ。
「ひーちゃん今、何考えてた?」
「…。べ、別に何もっ」
 くるりと亜弥に背中を向け、ベッドの方に行くひとみ。
「ウソ…。えっちなコト考えてたでしょ?」
 亜弥は後ろからひとみを抱きとめると思い切り身体を押しつけた。
78 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時54分16秒
 仄かに香る石けんと、風呂上がりのまだ、温かい体温、そして亜弥の柔らかい感触―――。
 しかし、ひとみは耐える。
 意を決したように、ひとみは亜弥に向き直ると、強く抱きしめた。
「あんまり、誘惑するなよっ。我慢出来なくなっちゃうじゃん」
 ひとみの心臓のバクバク音は、亜弥に直接伝わっていく。
 冗談っぽく言わないと、ひとみはマジになりそうだった。
「いいのに。ひーちゃん。我慢は良くないよ?」
 亜弥はバスローブに手をかける。
79 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時54分58秒
「ダメだったら! もういいから早く服を着ろ!! こっから出よう」
(もう、おかしくなりそう!!)
 しかし、亜弥は、
「ひーちゃん、私眠くなってきちゃった。あと一時間あるから、私は昼寝してくー」
 至って呑気に言うと、ひとみの言葉を無視してベッドに潜り込み、布団を被ってしまった。
「ちょっと亜弥! お前…」
 ひとみは亜弥の枕元にいき、布団をはがそうとする。ひとみが手をかける前に亜弥の方から
ガバッと顔を出した。
「ひーちゃんの意気地なし! そういうトコは、頑ななんだからっ」

『バカッ! 亜弥のコト、ホントに想ってっから。だから…こんなトコじゃしたくないんだ。
 そんなコトも分かんないのかよ!』
 しかし、ひとみはその台詞は言わなかった。言ったら格好悪い。
80 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月24日(金)18時56分03秒
「じゃ、じゃぁ私も昼寝する!」
「え?」
「風呂入ってくる!」
 ひとみはズンズンと浴室に入っていった。
「ひーちゃん?」
 キョトンとして亜弥はひとみを見送っていた。
81 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月24日(金)18時57分48秒
>>62-80  58-61話更新しました。長い割に、なんか…纏まらない…。
でも64-80は今日バーッと書いたんですが。

>53 名無し募集中。。。さん
しそうですね。分からないですけど(w。

>54 いしごま防衛軍さん
ヤッスーも意気地なしです。

>55 パムさん
加護は良い時に出て来たのか、どうか…。

>56 ゆっちさん
青板を毎回切ない気持ちで拝見させていただいてます。松浦が(号泣)。
ゆっちさんも頑張って下さい。
吉は、あやゃに振り回されてるだけなんですよ(笑)。

>57 no-no-さん
石吉だと思ってましたか? 意外。
終わりそうで、なかなか終わりません。どうしましょう。

>58 ごまべーぐるさん
多分、このまま同じ関係で続くと思います。と言うか、そうなって欲しいです。
エ●は……。

>59 名無し男さん
加護も、それなりに楽しんでます。やっぱり邪魔ですか?(w

>60 よすこ大好き読者。さん
残念ですか(w。隣りの部屋は至って静かに展開してました。

>61 名無し読者さん

82 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月24日(金)19時41分15秒
なにやってんだヤッスーは本当に梨華たんをものにする気があるのか!!
よしこは今のままでいいでしょう。あやや頑張れ!!
ああ梨華たん・・・・・・(;−;)
83 名前:理科。 投稿日:2002年05月25日(土)17時07分40秒
ヤッスーマンセー♪
「あん」なんて(w
加護ちゃんホントいいコですね…。
84 名前:名無し☆ 投稿日:2002年05月26日(日)00時14分51秒
よしあやいいですなぁ〜。
あややがんばれ!
いしやすはどうなるんでしょう?
85 名前:パム 投稿日:2002年05月26日(日)05時14分03秒
加護がひたすらにいい子だ、、、。
よしあや、いしやすが落ち着いたら加護にも幸せをあげてやってくだせぇ(w
次の更新もまってるっすよ!。
86 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月27日(月)22時09分24秒
たしかに、加護ちゃんいいこですな。
次の更新、楽しみにしております。
87 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月28日(火)23時40分24秒
何度も言うようですが加護が健気です。
続き、楽しみにしてます。
88 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時17分51秒
-62-

「加護?」
「加護さん?」
 保田と梨華は一斉に扉に目を向ける。
 注目を浴びた加護は照れくさそうに首を傾げて「やぁ!」と答えた。 

(なんでこんな時に来るのよ!)
 保田は梨華が言いかけた言葉が気になり、もの凄い形相で加護を睨み付けた。
「ちょっと加護!」
 しかし保田が言うよりも先に梨華が問いかける。
「なんで加護さんが此処にいるの?」
 尤もな質問である。そして保田の方を不信そうに見つめる梨華。
「? ちょ、ちょっと石川、なに? その疑いの目は…」
(まさか私が加護を連れ込んでとか思ってないでしょうね!)
89 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時18分42秒
「オバチャンとなぁ、一緒に来てん」
「やっぱり!」
 梨華の視線が厳しくなる。
「ちょっと石川何言ってんの。これは頼まれたんだって!」
「保田先生、加護さんのコト…」
「だから違うって! 加護も何か言いなさいよ!」
 慌てふためく保田に加護は苦笑いするが誤解を招いては可哀想だと思い説明した。
「石川先生、オバチャンなぁ、めちゃ石川先生のコト気になってん。
 だから、よっすぃーとのドライブに何かあっちゃあかんと思うて
 尾行して来たんやで。ウチは付き添いやねん。ほら、こんないかがわしい
 とこやと、一人じゃ入れんやろ? ウチも嫌々付き合うてんねん」
 保田は加護の側に寄ると耳打ちした。
「で、吉澤と松浦はどうなったのよ?」
「あっちは、それなりにしけこんでるみたいやねん」
「しけこんでるって…」
(結局やるのね。まったく…。ホントに…最近の若いもんは!)
 保田は、チッと舌打ちする。
90 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時19分16秒
「何を二人でコソコソ話してるんですか?」
 背後から梨華が頭を出し二人を見る。
「なんでもない! とにかく、もう出よう。場所変えよう」
 梨華と加護の肩を抱き保田は軽く叩いた。
「オバチャン、お腹空いたぁ。何か食べんと持たないわ」
「分かったわよ。ご飯にしましょ…」
 こうして保田のサードチャンスも敢えなく何事もなく終了した。
91 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時22分57秒
-63-

 ひとみはシャワーを浴びながら自問自答していた。
 亜弥と一緒に居たいのは事実だが、やはり無理矢理にでも着替えさせて
帰るべきだったと今更ながらに後悔する。
 手の怪我もズキズキと痛みだしていた。
 この傷を見るとどうしても梨華を思い出してしまう。
「くそっ…」
 ひとみは手を握りしめた。

 亜弥はベッドの中で考えていた。勿論、眠いなんて口実に過ぎない。
 こうでもしないと、ひとみから仕掛けてくる事なんてあり得ない。
 現に何もしてこない可能性の方が高かった。
 梨華と、こんなシチュエーションになったら、ひとみはどうするのだろう? 
などと亜弥はふと考えて、慌てて打ち消した。
 もう、梨華の事を考えるのは、やめよう。ひとみは自分の元に帰って来たのだから…と
亜弥は自分に言い聞かせた。
92 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時24分03秒
 シャワーから出ると、ひとみはどうしたもんかと、また悩み始めた。
(やっぱり自分も同じくバスローブにするべき? やっぱ裸?)
 別にこれから何をする訳でもない。普通にすればいいのだと思うのだが、
こんな場所だと、どうしても変な考えが浮かんでしまい、ひとみの気持ちは揺れてしまう。
(なんか、えっちだなぁ自分…。はぁ…。帰りたい)
 ひとみも結局悩んだ末、亜弥と同じくバスローブを羽織るとベッドに近づいて行く。
 亜弥は慌てて目を瞑った。
93 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時24分40秒
「お、おおお邪魔します…」
 ひとみは声を上擦らせながら、布団を捲り亜弥の隣りに滑り込んだ。
 亜弥はひとみから見て背中を向けて寝たフリをしているのだが、ひとみの声に
思わず笑いそうになった。
(ひーちゃん。何緊張してんの? おかしすぎるよ)
 亜弥は、さっきまで悩んでいた事を忘れて笑いを噛み殺していた。
 やっぱり、ひとみはひとみだと、当たり前の事が嬉しい亜弥だった。

「あやゃ?」
「………」
 ひとみは声を掛けるが、亜弥は黙っている。
「寝ちゃったのか…」
 半ば残念そうな声を出し、ひとみは心の中で突っ込んだ。
(なに期待してんだよ! バカ! って別に期待してないぞ!)
 妙に落ち着かないひとみは、亜弥の肩をそっと掴むと上向きにさせる。
 亜弥は寝た振りをして笑わないように必死に耐えていた。
94 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時25分34秒
「亜弥…」
 まだあどけなさが残るその寝顔を見つめながら、やっとひとみは何が一番
大切なのかを知った。
 じっと見つめられていると目を瞑っていても何となく視線が自分に注がれて
いるのが分かって亜弥は、鼓動が早くなりだす。
(ひーちゃん、なに見とれてんのよ。もう、私どうしたら…。)
 ここで目を開ける訳にもいかず、亜弥はまぐろ状態であった。
「亜弥…。あ…愛してる…ヨ。なんてね…」
 ひとみは言ってしまってから、妙に気恥ずかしくて照れながら亜弥から
視線を外した。
(亜弥が起きてたら、きっと言えないよな、こんなセリフ。はぁ…)
 ひとみは亜弥に背中を向けると、怪我をした手を上にして目を閉じた。
95 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時27分45秒
(ひ、ひーちゃん?)
 亜弥は今、ひとみが言った言葉を信じられない気持ちで受け止めていた。

 そして亜弥は、身体を起こすと、ひとみの背中を見つめる。
「ひーちゃん…」
「!?」
 目をパッと開け、亜弥の方に振り向くひとみ。
「お、起きてたの?」
 コクンと頷く亜弥の目からは、うっすらと涙が浮かんでいる。
 ひとみは途端にカーッと頬が熱くなるのが分かった。
「嬉しいよ。すっごく…。私もひーちゃんのコト愛してる!」
 そう言って抱きつく亜弥に、自分と違って簡単に言える亜弥がひとみは羨ましく思えた。 
96 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時28分47秒
「寝たフリしてるなんて卑怯だよな」
 ひとみも亜弥の背中に手を回す。
「ひーちゃんこそ、寝てる間に、そんな大事なコト言うなんて、卑怯だよ」
「面と向かってなんか、言えるわけ…ないだろ!」
 ひとみも言い返すが…
「私は、何回でも言えるよ。ひーちゃんを誰よりも一番愛してるって…」
 亜弥は真顔になると、ひとみを見つめる。
「じゃぁ…私は……」
 ひとみは、そう言うと亜弥のくちびるに自分のそれを重ねた。
「好きの気持ちをキスに変えて…100回KISSをする…って、どうよ?」
 そっちの方がキザな感じがするし、さすがにひとみも照れて、また誤魔化した。
「じゃぁ私は好きの気持ちをエッチに変えて…100回…」
 亜弥が調子に乗って言うのを、ひとみが遮った。
「バカ! しないっつぅの!」
 ひとみは亜弥の頭を小突く。
「するよ」
「しないよ」
「するよ」
「しないよ」
 何回か同じやりとりが繰り返された。
97 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時29分30秒
-64-

「なんかお隣りさんは、楽しそうやなぁ…」
 通りすがりに、バッグから顔を出して加護が呟く。
「こっちもそれなりに楽しかったわよ…。加護も楽しかったでしょ?」
 保田は梨華に気遣って一応言う。
 勿論、語弊があるが滅多に出来ない経験をしたのだから楽しくないとは
言い切れない。梨華の事を思えば、楽しいと言うのは不的確かも知れないが。
「楽しいっちゅぅか、なんちゅうか…よぅわからんなぁ」
「こういう時だけ真面目に答えんなよ」
「えぇやんか。はよ、行ってぇな。窮屈で暑いねんから」
「はいはい」
 保田と加護のやりとりを見ていて、梨華は少しだけ気持ちが軽くなった気がした。
98 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時32分11秒
 支払いを済ませて外に出ると、既に駐車場は満車になっていた。
「まったく、ホントに。他にやるコトないの?」
 保田は忌々しげに言う。
「ぷはー!」
 加護は再びバッグから顔を出すと、やっと出られたと言わんばかりに大きく伸びをした。
「今日は窮屈だらけやねん。焼き肉でも行きますか? オバチャンの奢りで」
「石川には奢ってもいいけど、加護は自腹でお願いね」
 保田は軽く返すとキーを差し込んだ。
 梨華も車で来ているから、一緒と言う訳にはいかない。
99 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年05月30日(木)18時33分01秒
「保田先生。私、平気ですから。帰ります」
 梨華は断ってくる。それでは意味がない。
「んじゃ、ウチ石川先生の車に乗るわ」
 加護はそう言って、さっさと梨華の車に乗り込む。
「ちょ、ちょっとなんで?」
 保田は、分からないと言った顔をした。
 別にこの後の予定は何も考えていなかった。
 加護も梨華に気持ちを伝える良いチャンスだと思い、敢えて梨華を選んだ。
 梨華には、ひとみを完全に諦めてもらわなくては、いけないから。
 亜弥の為にも…。
(最後の一仕事。お人好しの、あいぼん、がんばっちゃうでぇ〜!
 ほんま、アホやな、ウチ…。表彰もんやな。)
 加護はベルトを締めると深くシートに凭れた。
100 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年05月30日(木)18時40分41秒
あと、2,3回で終わります(多分)。更新遅くてスイマセン。

>82 いしごま防衛軍さん
ヤッスーは、もう諦めてる模様。美味しいトコは、加護が持っていってる?

>83 理科。さん
完結おめ。そして更におめ(謎)。ヤッスーごめんなさいって感じです。
やすかごコンビって、どうですか?

>84 名無し☆さん
よしあやは、ずっとこんな関係でいてほしいと思ってます。
だから、(0^〜^0)<しないよ
いしやすは………。ごめんなさい。

>85 パムさん
松浦の幸せは加護の幸せ。良い子過ぎちゃいましたね。
ここまでするつもりなかったんですが。私も加護には幸せになって欲しいです。

>86 よすこ大好き読者。さん
エロなくてすみません(w。色々とありがとうございます。

>87 ごまべーぐるさん
>何度も言うようですが加護が健気です。
はい。加護にも何とかなるように考えます。(でもどうかな〜)
101 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月30日(木)18時59分40秒
リアル!!で・・・(w
大量更新お疲れ様です。
あいぼん入りのかばんは、そーとー重いと思われ。。。
残り楽しみにしています。がんがってくださーい。
102 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月30日(木)22時44分23秒
作者さん、2・3回と言わずもっともっと続けちゃってくださいよ。
ここの「よしあや」最高に気に入ってます。
がんばってくだっさい!
103 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月31日(金)09時19分11秒
ああ切ない。よしことあややだけ幸せになるんですか?
104 名前:名無し男 投稿日:2002年05月31日(金)18時25分51秒
途中で検問張っててトランク調べられたらどうなるか(w
105 名前:名無し男 投稿日:2002年05月31日(金)18時31分10秒
>>104
ボケレススマソ
何わけの分からん事を書いておるんだ俺は(w

アイボソの最後の大仕事に期待!!
106 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年05月31日(金)21時17分01秒
あと少しで完結ですか…寂しいですが楽しみにお待ちしております。
しかし…加護が健気で健気で。涙がちょちょ切れそうです(涙)
107 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月01日(土)04時53分52秒
よしあやなるカップリングに初めて萌えたのがこの小説です〜!
あと少しで完結とは寂しいですががんばってください。
108 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月01日(土)20時19分45秒
がんがれ、加護。あやゃのために。。。

お体に気をつけてがんがってください。m(__)m
109 名前:亀井 投稿日:2002年06月01日(土)23時46分54秒
もうすぐラストですか…。
寂しいですがいつか完結するものなのでしょうがないですね。
しかし加護が健気で…。
110 名前:パム 投稿日:2002年06月02日(日)00時53分04秒
もうすぐ完結なんですね。
う〜ん、サビスィ。
加護の奮闘に期待しつつ次の更新お待ちしてまっす。
がんがってでっす。
111 名前:REDRUM 投稿日:2002年06月02日(日)02時12分37秒
加護、イイ奴っすね。
もうすぐ終るというのは残念です。
こんなにオイラをあやや萌えにしてしまったのはこの作品ですから…
寂しいですが続きも期待しております。
112 名前:名無し☆ 投稿日:2002年06月02日(日)10時06分15秒
加護ちゃん、いい人ですね。
よしあやは幸せそうでいいですねぇ〜^^
もうすぐ終わりなんて残念ですが期待してます。
最後まで応援してますよ!!
113 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時47分35秒
-65-

 梨華も車に乗るが、なかなか発車しようとしない。
 そして申し訳なさそうに加護に言った。
「悪いんだけど、一人になりたいの。保田先生と一緒に帰ってもらえないかな?」
「ウチは石川先生に話があるんや。家に着くまでの間だけでもえぇから…。
 それに早よ、ここから出たいんちゃうか?」
 梨華は仕方ないと言った顔をするとエンジンをかけた。

(よぅし、なんとか話が出来るチャンスは出来たで〜。)
114 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時48分20秒
 車はゆっくりと走り出す。無言のまま前を見つめる梨華。
 話す機会が出来たものの、何とも言えない重苦しい空気に加護も少しだけ
戸惑った。しかし、加護は亜弥の為と思い、自分から話しかける。
 尤も、加護が話したいと言ったのだから当然の事なのだが。

「ウチなぁ、保田のオバチャンにも言うてないんやけど、亜弥ちゃんのコト
 ずっと想っててん。そやから、石川先生には悪いねんけど、よっすぃーが
 亜弥ちゃん選んで良かったと思っとる。ホンマに」
「加護さん?」
 意外な告白に梨華は加護の方を振り向く。
「先生、前見てぇな。運転恐いねんから!(まだ死にたくないねん)」
 梨華の運転が、あまり上手くない事は、素人目から見ても分かるほどで、
保田の車からずっと見ていたから加護には尚更だった。
115 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時49分10秒
「加護さんは、それでいいの?」
 梨華はハンドルを握りしめる。
「先生とウチの場合とじゃケースが違うけど、亜弥ちゃんの幸せがウチの幸せや。 
だから、あの二人がくっついて良かったって思ってる。ウチの場合、確率は0に
 近かってん。やから諦めもついたと思うねんけどな」
 そう言って加護は笑う。
「やから、亜弥ちゃんが悩んでた時は、ウチも苦しかった…」
「ホントに良かったって思える? 私は…まだ……諦められないよ」
「仕方ないやん。諦めるしか。まぁ先生は、よっすぃーと…まぁ…それなりに…
 あったんやと思うけど…」
 加護は口ごもる。
116 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時50分11秒
「もっと早く出逢ってたら…」
「亜弥ちゃんとよっすぃーは物心ついた時から、もう一緒やったからな。
 あの二人には、もっと強い絆とかあるんやと思う。ウチらが踏み込めないような。
 幾ら関係持ったって、精神的な繋がりの方が強い時もあるんやろうな。って
 ウチ、ようわからんけど」
「一度肌を重ねると…。その温かさとか、匂いとか忘れられなくなるの。
 ひとみちゃん…」
 梨華は前方を見つめながら、うっすらと涙を浮かべた。
「亜弥ちゃん応援団の団長としては、もう邪魔させへん から。先生も諦めて下さい。 
お願いします」
 加護は頭を下げる。
「ある程度覚悟はしてたの。ひとみちゃんの心ここに在らずだったし…。
 でも、やっぱり…ダメなんだ。まだ私のコト好きなんじゃないかって、心のどこ 
かで期待してる…。でも…私が迫った時、突き飛ばして松浦さん探しに行った
 みたいだから、ちょっとだけ…ちょっとだけど…諦めもついたかなぁ…なんて」

(なかなか物わかりは良いやん。あと少しやな…。)
 加護は頷いて見せた。
117 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時50分49秒
「でも、暫く立ち直れそうにないわ。さすがの私でも。
 幸い、夏休みに入るから、新学期になる頃には、どうにかなってると思うけど」
 そう言って梨華は笑った。
「石川先生は、よっすぃーしか見てへんかったけど、結構先生モテるの知っとった?」
「え?」
「まぁ高橋先輩は、いつもの病気だとしてもやな、結構身近に石川先生のコト
 気に掛けてる人おるんちゃうか?」
 梨華は首を傾げる。
「そんな人いないって。高橋さんは、ちょっとヤバかったけど…」
 あの時、ひとみが助けてくれなかったら…。またひとみを思い出し、梨華は心が痛んだ。
118 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時51分24秒
「もうちょいよぅ考えて見てや。今は何も考えられへんかもしれんけど」
(ここまで言うても、オバチャンの事は浮かばんのかいな。
 ホンマに浮かばれへんなぁ。)
 加護は少しだけ保田に同情すると共に可哀想になった。
「あ!」
 梨華が思い出したと言う声をあげる。
「お?」
(鈍感の石川先生も、やっと気付いたんか?)

「矢口先生!?」
「……」
「裕ちゃん?」
「従姉妹やろ!」
 車は、またフラフラと蛇行気味に走り出す。
「もぅ、えぇから前見てやぁ〜!」
 加護は梨華が少しだけ元気になった事に安心するものの、事故らないかと
内心ヒヤヒヤものだった。
119 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時51分55秒
 一方駐車場で敢えなく解散となり、放置された保田は、一人寂しく家に帰ろうとしていた。
「私って、結局こんな役回りなのよね…」
 本来の保田なら、ひとみと亜弥を厳しく咎めるところだが、今日は、黙認する
つもりでいた。
「ウチに帰って、裕ちゃんでも誘って酒でも飲むかなぁ…。
 ってこんな昼間っから! 幾らなんでも哀しすぎるよ!」
 保田は一人で突っ込みを入れると、車のキーを回した。
120 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時52分38秒
-66-

 ひとみと亜弥は手を繋いでホテルから出て来た。
 ムッとする暑さと太陽の眩しさに目を細める。
「まだまだ暑いね。家戻ってアイスでも食う? それともこのままどっか行く?」
「ひーちゃんの怪我の手当しなくちゃ」
 そう言って、ひとみの手を取る。
「別にこんなの…」
「ヤダ。いつまでもその傷見て、先生のコト思い出して欲しくないもん」
「亜弥…」 
「私が受けた心の傷の手当もしてね。ひーちゃん♪」
 亜弥はニヤッと笑うと、ひとみの腕に自分の腕を絡めた。
「却って高くついちゃったなー」
 ひとみはボソッと言う。
121 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時53分27秒
「ん? なんか言った?」
「別にぃ…。じゃぁ帰ろう。疲れたから昼寝だ昼寝!」
 ひとみは足早に駅に向かって歩いていく。
「疲れるコトなんか、してないクセに!」
「亜弥、最近コメントが厭らしいぞ」
「そう考えるひーちゃんが厭らしいの!」
「やっぱり?」
 ひとみは笑う。
「否定しないんだぁ!」
 亜弥は膨れる。
「亜弥とだったら、多分…疲れないと思うから…」
 ひとみは笑うのをやめて真剣に言う。
「…なんてな。何が?」
 しかし、すぐにひとみは、また笑う。
 亜弥はキョトンとした顔をする。
122 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月04日(火)22時54分26秒
「なにが? ひーちゃん?」
「わかんねぇ〜」
「教えてよ〜」
「ヤダ」
 ひとみは亜弥を置いて、走り出した。照れ隠しもある。
「待ってよ、ひーちゃん!」
 追い掛ける亜弥。
 もし、亜弥と関係を持ったとしても、いつまでも変わらない関係で
いられると、ひとみは思うのだった。
123 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年06月04日(火)22時55分25秒
更新遅れてすみません。あと1回で終わる予定です。

>101 よすこ大好き読者。さん
リアルでしたか。乙彼様どす。ののよりは軽いかも(r

>102 名無し読者さん
そう言っていただけると嬉しいですね。
番外編は一応考えております。

>103いしごま防衛軍さん
すみません。そう言われると…辛いですね。

>104 名無し男さん
あんまり大仕事でもなかったですね。余計な事言うもんじゃないな。

>106 ごーまるいちさん
加護にも幸せを…と考えてますが、本編では…。すみません。

>107 名無し読者さん
よしあや萌えなのは嬉しいですね。結構あやゃの役は切ないのが多いので。

>108 ごまべーぐるさん
ありがとうございます。ごまべーぐるさんもがんがれ!

>109 亀井さん
加護を良くしすぎますた。幸あれ! にするには続編を書かないとですね。

>110 パムさん
だらだらと長くしてすみません。やっと完結です。

>111 REDRUMさん
あやゃ萌えで嬉しいです。( ̄ー ̄)ニヤリッ
もっと萌えて下さいね。

>112 名無し☆さん
はい。まぁこんなのも有りかと。

あと1回の更新になりました。宜しくお願いします。
124 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)23時02分17秒
後一回で終っちゃうんですか…
番外編がでることに激しく期待
125 名前:じじ 投稿日:2002年06月04日(火)23時14分36秒
や○○○な予感。
華麗なラストを期待しています!
126 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月04日(火)23時21分27秒
 最近読み始めた者です。この小説のおかげで、よしあやが好きになりました。
 あと1回で終わってしまうのは悲しいですけど、がんばってください。
 ところで、あややが言ってた「夏休み、どっか行こう」というのはこの後、
 お書きになるつもりですか?
127 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月05日(水)19時32分42秒
 最近読み始めた者です。この小説のおかげで、よしあやが好きになりました。
 あと1回で終わってしまうのは悲しいですけど、がんばってください。
 ところで、あややが言ってた「夏休み、どっか行こう」というのはこの後、
 お書きになるつもりですか?
128 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年06月05日(水)22時34分23秒
ヤッスー哀れですな。あれだけ梨華たんの傍にいながら梨華たんから
なんとも思われていないとは。よしあやは幸せでいいですなあ。
あと1回ですか。なんかさびしくなりますねえ。
129 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時26分11秒
-67-

 そして夏休みの終業式になった。
 結局、梨華とはあの日以来、電話もメールも一切無しで、
会うのは久しぶりだった。
 梨華が教壇に立つ。久しぶりに見る梨華は少し痩せたように見えた。

「石川先生、ちょっと痩せた?」
 何も知らない真希も同じ事を言う。
「…そうかな?」
 だとしたら自分のせいかも知れない。
(ごめんなさい。)
 ひとみは心の中で詫びた。
130 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時26分48秒
 梨華は、ひとみをチラリと見たが、特に何も言わなかった。
 テスト休み期間の間、梨華がどう過ごしたのか、ひとみは知る由もない。
 ひとみはひとみで、亜弥と相変わらず今まで通り過ごしていた。

 通知表が梨華の手から一人一人に渡される。最後の方、ひとみの番になった。
「吉澤さん。頑張ったわね」
 他の生徒と変わらない接し方。
 それは決して無理に作っているものには見えなかった。
「…それほどでも」
 梨華に言う言葉は別なのに、そんな受け答えしか出来ず、ひとみは通知表を
受け取ると席に戻った。
131 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時27分58秒
「んあー、よっすぃーは、どうせ見なくても成績良いよねぇ…。
 私、また補習かも」
 真希は通知表をヒラヒラさせて項垂れている。
「だから、ちゃんとやれって、いつも言ってんのに…」
 真希は出席率は良いものの殆ど授業中は寝ている。
『眠くなるのだから仕方がない』これが真希の持論である。
132 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時28分37秒
「それよりさ…石川先生と、どうなったの?」
 何か話しているらしい梨華を見て、真希は声を潜めてニヤリ顔で聞いてきた。
 自分の成績よりも、ひとみの恋の行方が気になるらしい。
「別に何もないから、どうにもならないよ」
「ホントに?」
「だって私、あやゃと付き合ってるから」
「え? やっぱそうだったの?」
 真希の事だから、しつこく聞いてくるだろうと思い、亜弥の名を出す。
「やっぱって?」
「前からたまにさぁ、まっつーからメール来てたんだけど、最近かなり来るん
 だよねぇ。それもやたらハートマーク連発のヤツを。ひーちゃんひーちゃんって。 
私は後藤だっつーの!」
 しかし真希は楽しげだ。
133 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時29分37秒
「知ってて聞いてくるごっちんは、確信犯だね」
(あやゃ、ごっちんにメールしてたのかよ!)
「今度二人だけでお泊まりに行くんだって?」
 真希はニヤニヤしている。
「遊びに行くだけだよ。って、そんなコトも話してんのかよ」
 別に隠している訳でもないが、ひとみは少しばかり不機嫌になる。
「まっつー、今幸せって言ってたし、まぁ私も安心したよ。
 一応これでも心配してたからさ」
 その割に、梨華との仲をからかっていたような気もするが、
ひとみは触れないでおいた。
「今度、その時の状況をレポートにまとめてね」
 真面目腐って言う真希にひとみは「バーカ!」と言った。
134 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時30分24秒
-68-

「石川先生…」
 殆どの生徒が既に帰った頃、ひとみは音楽室にいる梨華を訪ねた。
 この音楽室で梨華と結ばれた事ももう遠い過去のように思える。
「吉澤さん」
 ひとみは、ゆっくりと梨華に近づいていく。
「この間は中途半端になっちゃったから…。きちんとお別れを言いに来ました」
”別れ”と言う言葉が梨華の胸に突き刺さる。
「わざわざ…。ありがとう。律儀ね、吉澤さん」
 梨華はゆっくりとひとみの方を向いて見上げる。
「もう手の方は大丈夫なの?」
 ひとみは梨華に怪我をした方の手を広げて見せた。
「すっかり治りましたよ」
「そう。良かったわね。その傷が完全に消える頃、私のコトも忘れちゃうのね」
 梨華は淋しそうに言う。ひとみの少し困った顔。
 これでは未練がましいと梨華は思う。しかし
「先生のコトは忘れませんよ」
「?」
135 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時31分10秒
「だって、先生は初めての人だから…。それに先生のおかげで大切なもの
 気付かせてくれたから、感謝してます」
「感謝かぁ。少しは吉澤さんの役に立った訳だ。この私も…」
 ひとみは相変わらず優しいから、梨華はまた泣きそうになる。
 散々泣いたから、涙はもう出ないと思っていたのに。
 ひとみは黙ってハンカチを差し出す。
「先生には、もう泣いて欲しくないです。結局、私が泣かせてしまいましたけど」
「私は平気よ。これでも案外強いんだから…」
 梨華は強がって見せる。
「でも、頼りない先生も好きでした…」
 ひとみは跪くと梨華と同じ目線で梨華を見つめた。
 優しい眼差し。しかし、もうその瞳は自分には向けられていない―――。
136 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時32分24秒
 でも、最後にもう一度だけ………。
「吉澤さん…。最後にお願い聞いてくれる?」
「はい」
「キスして…」
 ひとみは頷くと、梨華の肩に手を置き、軽く梨華のくちびるに触れた。
 触れるだけのキスなのに、梨華は震える。
「ありがとう…」
「さようなら…石川先生」
 ひとみは立ち上がると「失礼します」とお辞儀をして出ていった。
「本当にさよなら…」
 梨華は、くちびるに残ったひとみの感触を少しの間、別れと共に噛みしめていた。
137 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時33分30秒
-69-

「あいぼん、ののはかき氷が食べたいのれす」
「頭キィ〜ンなるから、イヤやねん」
 亜弥がひとみと再び夏だと言うのに、ベッタリマッタリなので、加護は辻と
またつるみ始めていた。と言っても辻の方は、色気・恋などとはまだまだ無縁で
食い気真っ盛りである。そんな辻の食いっぷりに加護も見ていて清々しいのだが、
この夏バテ知らずの辻と、この夏休みを殆ど一緒に過ごすのかと思うと、それは
それで良いのかどうか疑問に思う。
「亜弥ちゃんも誘って行きたいねん。でも無理やろなぁ…」
(ウチ、亜弥ちゃんの隠れファンやもんな。)
「亜弥ちゃんれすか?」
 何も分かっていない辻は、てへてへと笑う。
「かき氷食いに行くか。パァーッと!」
「パァーッと!」
 辻の顔もパァーッと明るくなる。
「かき氷が、パァーッとかどうか、分からへんけどな」
138 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時34分21秒
 そして浮かばれなかった教師、保田は………。
「だから、みんなでプールでも行きましょうよ」
 職員室で、他の教師に提案している最中だった。
「保田先生の提案は、ちょっとねぇ」
 飯田が異議を唱える。
「大体、保田先生は唐突すぎだっちゅーの!」
 矢口もキャハハと笑い、まともに受け取らない。
「夏なんだからさ、別にいいじゃない?」
 保田はこれでも真剣に言っているのだが、みんな冗談にしか取っていない
ようだった。そこへ中澤が入ってくる。
139 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時35分00秒
「夏言うたら、やっぱビアガーデンやろ! なぁ?」
「そうだよ裕ちゃん! 今、良いコト言った」
 安倍は賛同する。
「さすが裕ちゃん」
「やっぱ夏はビール!」
 他の教師達も次々と話に乗ってくる。

(けっ。プールじゃいけないのかよ!)
 保田は面白くなさそうに舌打ちした。
 中澤が人数の確認を取っていると、ここには居ない梨華も頭数に入れた。
「梨華も強制参加やな。んで圭坊は?」
「行くわよ。行くに決まってるでしょ」
 渋々頷く保田だった。
140 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時35分50秒
-70-

 そして、高橋と小川は、と言うと、もの凄い剣幕で小川に怒られた高橋は
暫くの間、大人しくなっていたが、相変わらず梨華の事が忘れられずにいた。
「麻琴ー。私、やっぱり梨華先生のコト好きなんだ」
 小川の気持ちを知っていながら、高橋は好きと言う気持ちを素直に言ってしまう。
「愛ちゃんは本気じゃないからダメ!」
 そう言って高橋の耳を引っ張る。
「いててててて。本気だったらいいってコト?」
「そうじゃないけどさ」
 そこへ紺野がやってくる。
「まこっちゃぁん。一緒に帰ろ」
 小川とクラスメイトの紺野が、のそのそとやってきて小川の腕を取る。
141 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時36分38秒
「愛ちゃんが、いつまでもそんなだと、私はあさ美ちゃんに乗り換えちゃおっかなぁー」
 小川の意味深な言葉に高橋は小川を見る。
「紺野あさ美は、まこっちゃんラブラブですよぉ〜。ビューティ紺野でぇす」
「…?」
 高橋は分かんない顔をする。(実際、分からないのだが)
「ま、そういうコトだから、愛ちゃんバイバイ」
 小川は高橋を置いて、紺野と帰ろうと立ち上がった。
「そういうことー♪」
「…?」
(どういう事だよ?)
 高橋は不思議そうに、紺野を見つめていた。
142 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時37分32秒
-71-

 音楽室を出ると、待たせていた亜弥を迎えに急ぎ足で亜弥の教室に向かう。
 ひとみの駆け足の音と共に扉が開き、外を眺めていた亜弥が振り向く。
「亜弥。終わったから帰ろう」
「うん…」
「ちゃんと別れて来た」
「うん…」
「どうかした?」
 さっきから”うん”しか言わない亜弥に聞き返す。
「ホントに…ひーちゃんは、私を選んでくれたんだなぁーって思って。
 ちょっと感動した」
143 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時38分23秒
 俯き加減に言う亜弥に、ひとみは微笑む。
「バカだなぁ。大切に想ってるのは、亜弥だけだよ」
 そう言ってひとみは亜弥を抱き寄せる。
「うん…。私もひーちゃんだけだよ」
「亜弥…」
 亜弥は顔を上げると、ひとみを見上げた。
 どちらからともなく自然に顔を寄せてくちびるを重ね合わせる。
144 名前:桃色アプローチ3 投稿日:2002年06月07日(金)19時40分06秒
 ひとみと亜弥のドキドキハラハラワクワク(?)の夏休みは、
これから始まろうとしていた―――。

−The end−
145 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年06月07日(金)19時41分09秒
最後は総出演で(でもなかったかな)終了しました。
長々と3つもスレを使ってしまい申し訳ありません。

本編では、絶対エロにはしたくなかったので、こんな形にしました。
かなり前から、よしあやラストを決めていたので、石川さんには
申し訳ない事をしたと思ってます。すみません。m(_ _)m
でも、この小説を読んで、よしあやが好きになったって言う声を
たくさん聞いて大変嬉しく思っております。

>124 名無し読者さん
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
番外編ですか? えぇと…。どうでしょうね(w。

>125 じじさん
華麗ではなかったような。いつもラストはうまく書けません。すみません。
146 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年06月07日(金)19時42分16秒
>126 名無しさん
同じ物を2日に渡って書かれた訳は?
よしあや好きになってもらえて嬉しいですがageないようお願いします。

> ところで、あややが言ってた「夏休み、どっか行こう」というのはこの後、
> お書きになるつもりですか?

元々番外編で、これを書こう! と決めて今日まで来ました(オーバー)。
さがってから、こちらか自分のサイトで載せようかと考えてます。
まだ触りしか書いてないので、全部書き上げてから載せようかなと思ってますが
吉澤がヘタレで、なかなか進みません。

>128 いしごま防衛軍さん
ヤッスーは、最後までこういうキャラの方が良いかと思いまして。
(と言うより私は、こういう風にしか書けない。スマソ)
毎回レスありがとうございました。
147 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年06月07日(金)19時45分00秒
メール欄が終わらなかった(w。

こちらで載せるか、サイトで載せるかは、まだ決めておりません。
取りあえず、他の連載中の小説を終わらせる方向でがんがろうと思ってます。
以前よりは、なかなか時間とPCに触れる時間が取れないので、まだ先になるとは
思いますが。長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
148 名前:理科。 投稿日:2002年06月07日(金)20時11分47秒
師匠、乙カレ〜ですた。
この作品を読むようになってから
よしあやイイ!!って思うようになった私ですが何か?(w
次回作も期待しております。
ムリせず、お互いがんがりましょう。。。
149 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月07日(金)20時41分49秒
完結お疲れさまでした。あやゃよかったっすねー。
この作品で私も、よしあや好きになった一人ですが…。
わたす的には音楽室の別れのシーンが……(涙)
番外編。楽しみにしていいでしょうか?(#^^#)
150 名前:じじ 投稿日:2002年06月07日(金)23時20分44秒
べー。さまお疲れ様でした!
よしあや萌えはあとはあと
節操なしですが
これからも長々とお付き合いさせていただきます!
私も完結させたい!

…あれの続きメール欄にしようかしら。。。
151 名前:婆金 投稿日:2002年06月08日(土)00時06分29秒
お疲れさまでした。
はぁ〜、何かうっとり(?)きます。
読み終わってから余韻がじわじわ効いてくるような・・・
メール欄の続き!?ワクワク
152 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月08日(土)02時17分24秒
お疲れ様です!ここの小説読み始めてからよしあや好きになり、あややのコンサートに行って完全にあややにハマリました(w
番外編首を長くしてお待ちしています^^
153 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年06月08日(土)07時28分47秒
なっとくです。お疲れさまでした。読ませていただきありがとうございました。
番外編楽しみにしていますよほ。
154 名前:ゆっち 投稿日:2002年06月08日(土)09時01分15秒
お疲れ様で御座いました。
毎回、楽しませて頂いておりました。
松浦さんが幸せでよかった…。
よしあやもいいです。
かわいらしいラストで、今日1日穏やかな休日が過ごせそうです。
ありがとうございました。
155 名前:ゆっち 投稿日:2002年06月08日(土)09時03分20秒
申し訳ありません。
上げてしまいました。
本当に、すみませんでした。
156 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月08日(土)20時53分44秒
お疲れ様でした。
ヨシコとあやゃはこれからですね。
いしかーさんにも幸あれ。
メール欄の続きも楽しみにしております。
157 名前:名無し男 投稿日:2002年06月09日(日)13時41分56秒
お疲れさんでした!

このカプリングも結構ツボだったりしました
何よりハピーエンドで終わってヨカタ
158 名前:ごーまるいち 投稿日:2002年06月10日(月)22時01分32秒
完結お疲れさまでした♪
毎回楽しく拝見させて頂いていたので、終ってしまって寂しいですが、
ハッピーエンドに終ってよかったっす(^^)
この作品で思いっきりよしあや好きになりました。
これからもストー●ーの如く、ついていきますので、
よろしくお願いします。
159 名前:パム 投稿日:2002年06月10日(月)23時39分01秒
無事完結おめでとうございまっす!。
いやぁ〜、面白かったですがな!。
いしよしが多い中、よしあやという組み合わせがカナ〜リはまってしまったですよ。
これから萌え〜な作品期待してまってるっす!。
お疲れ様でした!!。
160 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年07月11日(木)20時39分00秒
終わってから1ヶ月以上経ちました。
今さらながらにレス返します。m(_ _)m

>148 理科。さん
理科。さんも連載がんがって下さい。
よしあや(・∀・)ノ イイ!!と思ってますが、実際は、なんだか
あやゃはミキティと仲良しですね(w。いいんですけど…。

>149 よすこ大好き読者。さん
いつもレスありがとうございました。
もっと、あやゃ萌えになって下さい。
番外編は、自サイトで、ひっそりと更新しております。
って知ってますよね?

>150 じじさん
節操無いのは、私ですが何か?
じじさんも完結して、早いところ…(r
これからも、宜しくおながいします。HP丁度1ヶ月ですね。

>151 婆金さん
こちらにもカキコありがとうございます。
随分と長くなってしまいました。
メール欄の続きは…( ^▽^)<しないよ!

>152 名無し読者さん
あやゃコン(・∀・)ノ イイ!!ですよねぇ。
性懲りもなく、秋は2回ほど逝ってきます。
よしあやって、いまだに見れない2ショットですね。幻か…。
161 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年07月11日(木)20時39分54秒
>153 いしごま防衛軍さん
なっとくされて何よりです。

>154 ゆっちさん
あやゃが幸せって、なかなかないですよね。
結構意地悪な役が似合ってしまうし…。
ゆっちさんもがんがって下さい。

>156 ごまべーぐるさん
よしあやは、これからなんですが、なかなか進みません。
よしざーさん、結構奥手なんで(w。

>157 名無し男さん
毎回楽しいレスありがとうございました。
名無し男さんのレス実は結構楽しみでした。

>158 ごーまるいちさん
ごーまるいちさんの小説もドキワクで読んでますよほ。
ハッピーエンドにさせる為、考えていた『4』は、きっと
ボツになる事でしょう。出だしまで書いてましたが(w。
※それより、早く連載中の小説を終わらせろ! ですね。

>159 パムさん
「いしよしあや」で、まぁいろいろとありましたが、
こんな感じに収まりました。結構前から、よしあやにしる!
って決めてたんですけどね。

自分のサイトで、桃アプの番外編を、こっそりと連載中です。
URLは、敢えて載せませんが、お暇な方は、覗きに来て下さい。
162 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月13日(土)03時40分06秒
番外編読みたいです。
ここにも載せてくださいお願いします。
163 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)05時51分03秒
>>161
桃アプの番外編を読もうといってみましたが、
文字化けして読めません。
対策をお願いします。
164 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年07月16日(火)20時11分36秒
>162さん
えぇとサイトを先行して載せて行く予定です。
かなり更新は遅いです(汗)。完結するのかと小一時間(r.

※-2-までは載せます。

>163さん
ツールバーの表示→エンコード→日本語(自動選択)で見れると思います。

自分は、トップと駄作置き場が文字化けしますが、桃アプ番外編は
文字化けしてません。環境の違いでしょうか?
原因が良く分かっていないので、お手数ですが宜しくおながいします。

165 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時13分13秒
−番外編−

-1-

「ひーちゃんのすきにしてぃぃょ」
 亜弥はひとみの前に立つと、そっと目を閉じた。
「あやゃ…?」
 好きにしていいって事は…つまり……。
 ひとみはゴクリと唾を飲み込んだ。乾いた喉に張り付いて痛い。
 ひとみは顔をしかめた。

 亜弥と約束した泊まりがけの旅行―――。
 夏休みも半分以上が過ぎ、まだ残暑の厳しい頃。
 亜弥の提案した通り、避暑地に出かけテニスをしたり、買い物したりと
楽しい一日を過ごしていた。そして食事もお風呂も済ませて、あとは寝る
だけとなった問題の夜の事だった。
166 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時13分44秒
 幸い、ひとみが理性を保てたのは、目の前の亜弥が服を着ていた事ぐらいか。
 尤も、ひとみも「泊まりがけ」と言う時点で何も期待していなかった訳ではない。
 と言うよりも、夜の事が気になって、あまり食事も通らなかった程だった。
 そんな素振りも見せなかった亜弥だったから、ひとみも内心ホッとしていたのだが、
ひとみがお風呂から上がった時に、いきなり言われたものだから、ひとみも
心の準備がなく、ひたすら焦っていた。

『亜弥ちゃん。もしな、よっすぃーが何もしない素振りだったら、
 亜弥ちゃんの方から誘わなきゃダメやで。あーいうタイプは自分からは
 なかなかいきにくいんや』

 亜弥も加護に言われた言葉を思い出し、おせっかいと思いながらも、
一大決心のつもりで、ひとみを誘う風に言った。幾ら鈍感なひとみでも
あの言葉の意味は分かった筈だ。沈黙が長い。目を閉じている亜弥からは
ひとみを見る事は当然出来ないが、ひとみが困惑しているのが何となく分かった。
(これで…ひーちゃんが…何もしなかったら、私どうすればいいのよ? あいぼん)
 その後の事までは聞いていない。
167 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時15分04秒
 夏休みが始まって今まで、ひとみと亜弥は同じ布団で寝る事はあっても
それ以上の関係には、ならなかった。キスなら、もう100回以上はしている
だろうが、亜弥がそれとなく誘ってみても、ひとみは真剣には取り合おうとしな
かった。一体、ひとみは自分をどう見ているのかと、亜弥は時々不安になる。
 梨華と別れてくれたのは、嬉しいけれど、キスも何回もしてくれるのは嬉しい
けれど、それ以上の事を全くしないひとみに、少なからず不安を抱いている亜弥だった。

 自然にギュッと瞑っていたらしい亜弥は、ふいに抱き締められて目を開けた。
「……!(ひーちゃん?)」
 亜弥は急に心臓がドキドキと打ち始める。抱き締められるのは、これが初めて
ではないけれど、これから始まる初めての経験に、亜弥は期待と不安が入り混じり
ひとみの胸に顔を埋めた。
168 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時16分00秒
 ひとみも覚悟を決めて、亜弥の気持ちに応えようと抱き締めたものの、
この先をどうしようかと考えあぐねていた。
 梨華と体験済みだが、それとこれとでは訳が違う。とても大切な亜弥だから
そういう事は人一倍気をつけないといけないと、ひとみは思う。
 今まで、何となくはぐらかせて来たひとみだったが、ひとみも今夜は優しく
亜弥を受け入れようとしていた。
169 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時16分48秒
-2-

「亜弥…」
 ひとみの声が掠れる。顔を上げさせると、亜弥のくちびるに自分のくちびるを
重ね合わせる。微かに震える亜弥のくちびるが、ひとみにも伝わって来て、
ひとみもドキドキしてくるのだった。
「ひーちゃん…。大好き♪」

 ぎこちなくくちびるを交互に動かしながら、ひとみは亜弥をベッドへと横たわらせる。
「亜弥。私も大好きだよ」
 いつも真っ直ぐにひとみを見つめてきた亜弥に感謝しながら、
ひとみも亜弥に素直に気持ちを伝えた。
「ひーちゃん…」
 亜弥は嬉しさの余り、既に目が潤み始めている。
「泣くのは、まだ早いよ?」
 ひとみは亜弥の頬に手を添えると、そっとくちづけた。
 あまりに優しすぎるひとみに、亜弥は更に泣きそうになる。
170 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時17分34秒
「ひーちゃん…」
 亜弥はひとみのシャツの袖を軽く掴むと自らくちびるを寄せた。
「さっきから名前しか呼んでないね」
 ひとみはくちびるを離すと照れながら言う。
「…だって。こんな時は、なんて言ったらいいの?」
 潤んだ瞳が、ひとみを見上げる。
「分かんないけど。好きぃ…とか、愛してるぅ…とか?」
 ひとみは頭を掻きながら却って恥ずかしくなり亜弥に背中を向けて天井を見上げた。
171 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時18分07秒
「自分で言って照れてるぅ。可愛い、ひーちゃん」
 亜弥は起きあがりひとみの背中に頬を付けると、思い切り抱きついた。
「可愛いとか言うな! あやゃの方が可愛いよ」
 どさくさに紛れてひとみは言う。なかなか言えない言葉だ。
「ひーちゃんは、可愛いしカッコいい…。優しいし、あったかい…」
「亜弥?」
 亜弥はひとみの背中に顔をピトッと付けて目を閉じた。
 そして手は脇から伸びてひとみの胸の辺りをまさぐり始めた。
「…ぁっ。こら!」
 たちまち、ひとみの胸の突起は亜弥の指で硬く立ち始める。 
 シャツ越しからでも分かるくらいに。
 ひとみは亜弥の手を掴むと、クルリと向きを変えて亜弥と向き直った。
「ひーちゃん可愛いよ!」
 亜弥は悪戯っ子のような瞳で、ひとみを見つめた。
「バカ!」
172 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月16日(火)20時18分43秒
 ひとみは亜弥を軽く押し倒すと、亜弥の首筋にくちびるを這わせた。
「ゃ…っ…ん」
「亜弥だって…。そうだろ?」
 直接中に手を入れるのは、躊躇われて、ひとみは亜弥のシャツの上から
胸の膨らみのあたりに手を置く。まだ、ひとみは亜弥に対して幼なじみからか
このまま進んでしまうのは、亜弥を汚してしまうような気がして、遠慮しがちな
部分が多々見られた。

「直接…触れないの?」
「は?」
 ひとみは顔を上げる。
 亜弥はもどっかしいと言う顔をして、ひとみの手を握ると、そのまま
シャツの下からひとみの手を導いた。
 柔らかいものがひとみの手に直に触れて、ひとみは思わず手を引っ込
めそうになるが、亜弥がそれを許さない。
「ひーちゃんは、初めてじゃないんだから、もっとリードして!」
「………」
 積極的な亜弥に戸惑いながらも、ひとみは頷いた。
173 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年07月16日(火)20時20分43秒
>>165-172
1-2話を更新しました。
174 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月17日(水)23時04分19秒
162です。
ありがとうございます、続きが読めてものすごく嬉いっす。
最後までお付き合いさせていただきます。
175 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月19日(金)17時09分30秒
どこまでもついて逝きます!(w
176 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月20日(土)23時12分02秒
グはあ・・・。今ごろ気付きました・・・。
ホームページ教えてください・・・。
177 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時09分50秒
-3-

 頷いたものの、ひとみは、訳もなく汗を掻き緊張してくる。
 亜弥を恋人として抱けばいいだけの話なのに、ひとみは肝心のところで弱かった。
初めてじゃないと言っても、梨華とのアレは特殊なようなもので…。
 してないのも同然である。

「ぁ、ぁ、ぁゃ…」
 上擦った声でひとみは名前を呼ぶが、情けない事に、額にびっしょりと汗を掻いている。

(もぅ、ひーちゃん、まだ何もしてないのに。ホントにヘナチョコなんだから)

 これでは一体、どっちがリードしてるのか分からない。それにムードも何もない。 
 折角さっきは、良い雰囲気に持ち込んだと言うのに…。
 しかし、そういう頼りないところも、実は大好きだったりするのだが。
178 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時11分03秒
「ひーちゃん、汗掻いてるよ?」
 亜弥はタオルを掴むと、ひとみの額の汗を拭う。
 そして、そのままひとみにキスをする。
「…んっっ」
 そんなに自分を見ても、厭らしい気持ちには、ならないのかと亜弥は少し
複雑になりながら、自分からも積極的にひとみを愛す事に決めた。
 
 最初は普通に、そして段々と舌を絡める濃厚な物に変えていく。
 亜弥とひとみの唾液が混ざりあい、クチュクチュと音を立て始める。
 その厭らしい音を聞きながら、ひとみも亜弥も次第に気持ちが高鳴ってきだす。
179 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時11分55秒
―――亜弥……。

 ひとみの中で何かが弾けて亜弥を押し倒すと、ひとみは亜弥のシャツに
手をかけると、ゆっくりと捲り上げた。

「亜弥。後悔しない?」
 自分に言い聞かせるように、ひとみは優しく聞く。
「ぅん。ひーちゃんだから、いいの」
「亜弥…」
 ひとみはもう片方の手で亜弥の指に自分の指を一本づつ絡ませ、そして
そのまま顔を亜弥の胸元に持っていく。捲られたシャツからは、亜弥の胸が露になっている。
 優しくくちづけると、亜弥は甘い声を漏らした。
「亜弥、胸がでっかくなったな…」
 ひとみは関心するように言って、また亜弥の機嫌を損ねる。
「ひーちゃん! なんで、そういうコト言うの?」
「あ、ゴメン。つい…」
 ひとみは反省する。どうしても、小さい頃から亜弥を見ているから、
すぐに=恋人として見れないのである。困った事に。だから、亜弥と今、
こうしている事に、少なからず罪悪感があるのだ。
180 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時12分44秒
「揉んだら、もっと大きくなるかな…」
 じっと見つめるひとみに、亜弥は恥ずかしくなり叫んだ。
「見ないでいいから! もぅ…」
「ゴメン」
 ひとみはシュンとする。亜弥は絡めた指をそのまま胸に持っていく。
「ひーちゃんはぁ、私を愛すコトだけを考えてね」
「うん」

 再三、中断されて、亜弥も気持ちが上がったり下がったりと忙しい。
本当に梨華と経験したのか? と思われる程のヘナチョコぶりである。
 しかし、何度も言うようだが、そんな所が逆に亜弥の心をくすぐるのだった。
181 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時13分44秒
 ひとみは亜弥にキスをしながら、くちびるを徐々に下に下げて行く。
 そして、シャツの下から手を入れると、亜弥の胸を円を描くように愛撫し始めた。

「…ぁっ。ひーちゃん…」
 ぞくぞくする感覚が亜弥に押し寄せて来る。初めてひとみの指が亜弥の胸の先端を
捉えたかと思うと、ゆっくりと指の腹で撫で始める。
 ひとみに愛されてるだけで、亜弥は気持ちだけでもイキそうになった。

 ずっと好きだったひとみ。物心ついた時から、ひとみと一緒だった。
 それは幼なじみの『好き』から、異性に恋するのと同じ『好き』に変わって行くのに、
そう時間はかからなかった。
 そして、それは実る事のない恋だと思っていた。それが、今は、こうして
ひとみが傍にいる。亜弥は幸せを噛みしめながら、ひとみの愛を全身で受け止めていた。
182 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時14分29秒
-4-

「亜弥、愛してる。ずっと側にいてくれる?」
 亜弥のシャツを脱がせ、自分も裸になる。
「うん」と頷く亜弥。照れくさそうに笑うひとみに、亜弥は、その胸に飛び込む。
「当たり前じゃない。それに、それは私のセリフだよ」
 ひとみの腕が回される。
「こんなに、亜弥のコト、好きになるなんて思わなかった」
 ひとみの腕が更に強くなる。
「ひーちゃん?」
 亜弥は息が出来ないくらいに強くくちづけられ、目を白黒させた。
 ひとみのくちびるが、亜弥の全身に行き来すると、亜弥の下半身で止まる。
 やはり、恥ずかしいのか、亜弥は足を閉じてしまった。
 もう見られてるだけでも恥ずかしいのに、既に亜弥は感じてしまって、更に
恥ずかしさがアップしていた。しかし、ひとみに難なく足を左右に大きく開かせられてしまう。
 ひとみの目の前で、亜弥自身が露になり、亜弥は思わず目を瞑ってしまった。
183 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時15分12秒
「恥ずかしぃ…」
「亜弥のは綺麗だよ」
 まだ触れられた事のない場所へ、ひとみの指が忍び寄る。
「ひーちゃんっ」
 思わず亜弥は後ずさる。ひとみは止めると、亜弥を抱き寄せた。
「恐い? なら、やめるよ。別にしなくたって、亜弥のコトは愛せるから」
 ひとみはくちびるを寄せようとする。
「ぅぅんっ。違うの。もっと…もっとひーちゃんを身体で感じたい。
 でも…どうしていいか分からない。恐いのもあるけど…」
「怖がらなくていいよ。私だって…亜弥を愛す度に、感じちゃうから」
 そう言って、ひとみは亜弥の指を自分の茂みの中に触れさせる。
184 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時15分48秒
「ひーちゃん…」
 ひとみのソコも充分に濡れているのは、亜弥にも分かった。
「ホント言うとさ、亜弥と、こういう関係には、ならなくてもいいと思ってた。
 だって、そんなコトしなくたって亜弥とは続けていける自信あるしさ。
 でも身体は反応しちゃうんだ。亜弥が欲しい。でも…いざとなるとね…。
 情けないけど、さっきみたいにダメなんだよ。きっとムードがないんだな」
「そんなコトないよ」
 亜弥はひとみを抱き締めた。
「亜弥?」
「ひーちゃんとは、心も身体も繋がっていたいの…。それって我が儘?」
「ぅぅん。でも急がなくていいと思うんだ。まだ亜弥は中三で私は高一だもん。
 先は長いよ。こんな機会いくらでもあるし」
「でも、ひーちゃんは意気地なしだもん。私から仕掛けないと、きっと
 今後もしてくれないんだろうね?」
 わざと亜弥は言う。
185 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時16分35秒
「意気地がないんじゃなくて、タイミングがうまく掴めないだけだよ。
 いつでもオッケーだし」
 ひとみもわざと見栄を張ってみる。
「ホントに、そうなの? だったらぁ、ずーっとひーちゃんの側で
 毎晩、迫っちゃうよ?」
 ひとみは、亜弥の胸に顔を埋める。
「ひーちゃん?」
「ホントは…私の方が甘えたがりだって…知ってた?」
「ぅん…」
 一瞬考えるが、亜弥は頷く。
「マジで?」
 ひとみは顔を上げると、亜弥を見つめる。
「でも、それは間違ってます」
「ん?」
「私の方が更に上を行くから、ひーちゃんの負け!」
 そう言って亜弥は、笑った。
「負けってなんだよ。そんなのに勝ち負けあんのかよ?」
 途端にふてくされるひとみだったが、すぐに亜弥につられて笑い出す。
 なんだかんだ言っても、ひとみもまだまだ子どもである。

186 名前:桃色アプローチ−番外編− 投稿日:2002年07月24日(水)19時17分22秒
「負けたひーちゃんには、100回のKISSの刑!」
「またかよ!」
 そう言いながら、ひとみは亜弥を掴まえると、早速キスの嵐を降らせ始める。
「一回…二回…」
「…ダメ…。もっと、ちゃんとしないと、カウントに入らないんだから!」
「我が儘なんだから、もぅ…」
 ひとみは、ぶつぶつ言いながら、亜弥のくちびるを塞ぐと、ゆっくりと
亜弥を愛し始めた。

―――この分だと100回に到達するまで、どのくらいかかるのかな?
なんて、亜弥は思いながら、ひとみの背中にゆっくりと腕を回したのだった。
 
          

                    〜〜〜 The END 〜〜〜
187 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年07月24日(水)19時22分34秒
>>177-186 3-4話更新完結です。

>174 名無し読者さん
お付き合いいただきありがとうございました。

>175 名無し読者さん
あ゛、ありがとうございます(w。

>176 名無し読者さん

tp://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/6509/index.html

他にも色々書いてますんで、お暇でしたらお立ち寄り下さい。
この番外編も、既に載っております。

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