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アゴンな壊れ物 −幸せの素− 

1 名前:りょう 投稿日:2002年05月06日(月)17時05分30秒
アンリアルな物語になります。

−幸せの素−は短いので、その後にでも
他板でリクを頂きましたCPでリアルものの
短編たちを乗せようかと思います。

どうぞ、宜しく。
2 名前:りょう 投稿日:2002年05月06日(月)17時06分35秒
『今まで一緒に居てくれてありがとう。幸せだった。

何も言わずに勝手に出て行くことを許して。ごめんね。さよなら。』



一枚のメモ

別れを告げるメモ

理由無くただ『さよなら』




仕事から帰っていつものように寝室のドアを開けた。

そこに眠っている可愛い恋人。

無邪気に眠る恋人にただいまを言うために開けた。

けれどそこにはカラッポの布団だけが有った。
3 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時07分35秒
夢だと思った。

出かけてるのかもって思った。

すぐに帰ってくる、いつもみたいにふらっと帰って来る、そう思ってた。

メモをベッドの上に見つけるまでは――





探しても探してもどこにも居なかった。

いくら呼んでも叫んでも返って来るのは自分の響く声だけ。

本当に居なくなった。

自分の何がいけなかったのか。

どこに非があったのか。教えてくれなきゃ分からない。
4 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時08分25秒

そして半年後――




ブー!!ブー!!


(ったく誰だよ〜こんな朝っぱらから〜)



「はい。」

「あっどうも!未来宅急便のものです。お荷物をお届けに参りました。」


(なんも頼んでないけどなぁ・・)



カチャ

「おはようございまーす!早朝から申し訳ありません」


(ほんとだよ・・・今・・4時?!朝ってーか夜中じゃん!!)



「モノ、なに?冷凍もん?」
5 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時09分20秒
「えっと・・・確か・・・あぁ、ここに書いてますね。

 中身は『ネガティブでアゴンな壊れ物−幸せの素−』ですね。

 おおっラッキーな方ですね、この幸せの素シリーズを受け取って

 不幸になった方は居ないんですよ?あなたもこれでハッピー♪に

 なれること間違いなしです!それでは!!」


「あっハンコは――・・・・行っちゃったよ・・・・・なんだろこれ。」

(ネガティブじゃ駄目じゃん。壊れ物も駄目じゃん。駄目駄目じゃん。)



ズーッズズッズッズズー

バリッ ビリッ ビリリリッ


居間へと荷物を運び、封をしているガムテープを外して中を開けると

一番上に説明書が乗っていた。




『これは、あなた次第でなんにでも変える事の出来る不思議な生物です。』


「生き物ぉ?!!マジで?!」
6 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時10分33秒
『このシリーズは、私ども娘。カンパニーが独断と偏見で絞込みをし、今、

 すごく不幸を背負っている方のもとへと届けられるものです。なお、

 商品代金は頂きませんが、食費がかかりますのでそちらはご負担下さい。

 そちらのご負担さえ頂けましたらあとはお好きなようにお使い下さい。

 きっとあなたの望むものとなるでしょう。』



「・・・わけわかんないなー・・矢口が不幸だから届いたっての?大体なに?

 どんな生き物?」



『最後に、これは、あなたが幸せになれたと同時にあなたの目の前から消滅致します。』




「爆発とかじゃないだろな・・・」





恐る恐る箱を開けようと手をかけたその時――


『アゴーン!!!!』というなんともマヌケな声とともに何かが飛び出て来た。




「うわぁっっ!!!なんだ??」



飛び出してきたもの、それはぱっと見は人間だが少し色が黒く、アゴが変わっていた。

『アゴン』という名前は納得だった。
7 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時11分58秒
飛び出してきたそれ=アゴンは開けた本人に向き直ると、話し出した。


『私は、未来からのお届けモノ。“ネガティブでアゴンな壊れ物−幸せの素−”です。

 名前はまだありませんのでお好きなように名付けて下さい。私はあなたが

 幸せになるためのお手伝いをしに来ました。あなたが幸せになるために望む事、

 そのために私は何でもします。このまま私を使用する場合は頭を撫でて下さい。

 使用しない場合は『なんだそのアゴ!なめてんのか!!』と言って下さい。

 そうしたら私は再起不能になり、二度と動くことはありません。回収には

 社のものが伺います。では、ご決断を!』





「・・・ってなにコレ。人間?・・・じゃないよなぁ・・・ロボット??

 それにしたって良く出来てるよね。ちゃんと人間に見えるもん。

 決断をったってどうすれば良いんだろ?急だし・・・大体なんでこんなものが

 ウチに・・・不幸な人にって失礼だし・・・そりゃ幸せじゃないけど・・・・・・・・

 使用しないでおこ!なんか怖いもんね。」
8 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時12分49秒
うんうんと頷き、使用しないことに決めた矢口だったが――



「ほんじゃ・・・なんだけっけ・・・・・・・・・・なんて言うんだっけ?

 ・・・・・ゲッ忘れた!!!」



ガサゴソガサゴソ・・・



(無いや・・・どうすっか・・・ひとりも寂しいし・・・・まぁ・・・良いかな。)




トタトタトタ


なでなで


「これで動くのかな?」




『アゴーン!!!』

「うわっまたかよっ!!」


さっきの機械的な動きとはうってわって今度は柔らかい動きをした。

うう〜んと大きく背伸びをして体中の骨を伸ばすようにしている。

アゴンは矢口の方へ向き直るとまた話し出した。
9 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時13分49秒
『ご使用、有難うございます。まず初めに私の名前を決めて下さい。』


「名前??好きなので良いって言ったっけ?決めないとどうなるの?」

『決めて頂けなければ返事が出来ない、それだけです。』



「だけって・・・結構うっといなぁ・・・何が良いかな・・・う〜ん・・・

 可愛い感じだよねこの子・・・・・・可愛い名前が良いかなぁどうせなら・・・」


と考えていると



『好きな人のお名前をつけられる方が多いです。居なければ、芸能人など、

 好きなアーティストのお名前をつけられてはいかがでしょうか。』


と話し出した。



「好きな人ね・・・・・・・・・・・・ははっ、今さらだよねその名前は。

 芸能人で良いや。」
10 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時15分01秒
『何になさいますか?』

「あのね、今ケッコー気に入ってて応援してる芸能人が居てね、

 その子の名前にする。“梨華”、どうかな?」



『“梨華”ですか?分かりました。今日から私は“梨華”です。では最後に、

 あなたのお名前を教えて下さい。』


「名前?矢口真里。」


『どのようにお呼びしたら宜しいでしょうか。』





「ん〜・・・・」






『“やぐっつあん”って呼ばれたいのですか?』

「えっ?」


『今、私の頭にその言葉が浮かびました。』


「考えが分かるの?」


『いえ、すごく強い想いの場合、分かることがありますが、ごく稀です。

 ほとんど分かりません。』





「そっか・・・でもその呼び方は絶対やめて。」


『分かりました。』
11 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)17時16分04秒
「“矢口”とか呼び捨てで良いんだけど年下みたいだから・・・“まりっぺ”って

 呼んでもらおうかな。」


『“まりっぺ”ですね。分かりました。』





「・・・」




『・・・』



「これから何するわけ?」


『今日はもう寝ましょう。』




「あ、そうね、寝るんだねあんた――梨華・・・ちゃんも。」


『もちろんです。私はまりっぺとなんら変わりはない生き物ですから。』


「ふ、ふ〜ん・・そんじゃ布団も居るわけ?」

『出来れば。』



「矢口のベッド二人用だし、一緒で良いよね。じゃあ寝よっか。」

『はい。』







そして矢口と梨華の生活が始まった。
12 名前:りょう 投稿日:2002年05月06日(月)17時17分55秒
――てな感じで始まりました。
一応最後まで出来上がってる作品なので、
放置及び放棄はないです。
読んで下さった方がいらしゃったら嬉しいです。
宜しく。
13 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月06日(月)17時20分09秒
いしやぐなのかな?
やぐっつぁんって言っていることはひょっとしてってのもありますし(w
どっちになるにせよお待ちしてます♪
14 名前:りょういち 投稿日:2002年05月06日(月)17時52分38秒
いしやぐ♪
良いですねぇ!
更新楽しみにしてます!頑張ってください☆
15 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月06日(月)19時41分12秒
ハッケーン!!(笑
見つけられました。(汗
すっごく面白いです。続き楽しみにしています。
16 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時49分52秒
「ただいまぁ〜」


『おかえり〜。お風呂沸いてるけど先に入る?ご飯にする?』


「ん〜・・・先にお風呂入るよ。」

『はーい行ってらっしゃーい。』




あれから数週間、梨華はずっと敬語で話していたのだが、矢口がやめてと頼み、

すぐに変わった。出来るだけ普通の人間に見える(外見は人間なのだがやはり違うので)

ようにと矢口はテレビや新聞を積極的に見せて世の中のことを教えたり休みの日は

外に連れ出したりして人間らしく育てて行った。
17 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時50分51秒
或る日、梨華が入っていた説明書を何気なく見ているとこんなことが書いてあった。



『新発売の−幸せの素−3モードで新登場!!』



「3モード??」


よ〜く説明書を見るとそこには詳しく3モードについて書いてあった。


『モード1 全く感情を持たずに言うことにただ従うだけのタイプ』

『モード2 感情は無いが、人間に全く劣らない人間社会の知識を持ち、
      世の中になじむタイプ』

『モード3 人間と全く変わらない感情を持ち、知識も充分に持っている
      人間に一番近いタイプ』


『なお、初期設定は全てモード1です。設定方法は簡単ですが、変更をかける時の

 注意点があります。一度設定をしたものに変更をかけた場合、それまでに

 覚えた事や記憶など、全てが一瞬にしてリセットされます。方法は――』
18 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時51分34秒

「ふ〜ん・・・結構細かいロボットだったんだ。じゃあ今はモード1?

 このままでも問題はないけど・・・しゃべりにくいんだよね・・・

 もっと友達みたいに話したいし色々知ってくれてるほうが良いもんね。」



そう思った矢口は説明書に従って『モード3』の設定をした。




カチッ

「・・・急に変わるのかな」






『おっはー!』




「・・・微妙。」


そしてもう一度呼び名などを教えた。

今までの数週間はムダだったということだ。
19 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時52分36秒
そして1ヶ月が経ち・・・・

ふたりは仲良く暮らしていた。

人間となんら変わりは無いといっても、やはり人間じゃないので働きに出ることは

させなかった矢口。

梨華は毎日矢口の帰りを待って暮らした。

それでも気分転換にと、休みの日はいろんな所へ遊びに連れて行った。




『まりっぺ〜・・・まりっぺって会社で何やってるの?いっつも遅いけど。』

「ん?ただの事務だけど・・・結構忙しい会社でね。人数も少ないから大変なの。

 帰って来るの遅いと淋しい?」
20 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時53分23秒
『ううん。私は大丈夫だけどまりっぺとあまり居れないからまりっぺが

 幸せになるためのお手伝い、なかなか出来ないなぁって思って。』




「そういやそのために来たんだっけか。」


『そうだよ。それなのにまりっぺってば何も望まないんだもん。普通に暮らして

 普通に接して・・・他の人はもっと色々言うんだよ?何も望みはないの?

 まりっぺは幸せじゃないのに・・・幸せになりたくないの?』



「幸せになりたいけど・・・だからって望みはないよ。無理だもん梨華ちゃんには。」


『どうして?私は何でも出来るんだよ?どんなことだって出来る。まりっぺが

 幸せになるためのお手伝い、させてよ。』
21 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時54分17秒
「良いよおここに矢口と一緒に居てくれたら淋しくないし。梨華ちゃんが

 居てくれるだけで幸せだから。」



『ウソばっかり。まりっぺが幸せだったら私はここに来なかったし、

 幸せだったらもうここには居ないもの。まだ私が居るってことは

 まりっぺは幸せになれてないままなんだよ。』



「ほんとに、梨華ちゃん来てくれたこと嬉しいし、一人暮らしは淋しいから・・・

 助かってる。それじゃ駄目なの?」




『一人暮らし・・・・・そういえばまりっぺ一人暮らしだったけどベッドとか

 二人用だし歯ブラシもマグカップも何もかもがふたつずつあるよね。

 どうして?私がここに来るの知ってたわけないよね?』
22 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時55分03秒
「あー・・・・それは・・・ストックだよストック。」

『ストック?』


「っそ!いざって時に無くて困るより予備があった方が良いでしょ?

 だから2個ずつあるの。」




『ふ〜ん・・・あっ話それちゃった。戻すけど――』

「良いよ、もうその話は。矢口は今のままで充分だから。」





『・・・・まりっぺがウソついてることくらい分かるんだよ?どんなウソかは

 全く分からないけど、ウソ言ってるのは分かるんだよ?どうしてほんとのこと

 話してくれないの?私じゃ頼りにならないかなぁ?これでも大抵の事は出来る

 機能ついてるんだよ?出来ないことなんてないはずだけど。』
23 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時56分02秒


「・・・無理だってば。」


『どうして?どんな望みなの?』





「だって梨華ちゃんはその顔でその体でしょ?」




『・・・だったら何?どういうことなのまりっぺ?』










「・・・・梨華ちゃんが変身でもできりゃあ話は別だってことだよ。」

『出来るよ。』


「は??」


『変身でしょ?簡単だよ。』



「うそお?!出来るわけないじゃん。」

『ううん。変身機能は標準装備だもの。みんな普通に使う機能だよ?

 まりっぺ知らなかった?』



「う、うん。だって変身なんてありえないもん。」

『じゃあ見せてあげる。何になって欲しい?あ、生き物しか無理だから。

 生きてないものにはなれないから。』
24 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時57分02秒

「・・・じゃあ・・・読んでよ・・・矢口の心の中を・・・矢口が今一番

 会いたい人・・・それになってよ・・・なれるってんなら。」


矢口は絶対に無理だと思っていたが、会いたい人のことを強く考えた。





しばらくたってニコッと微笑んだ梨華は、『変わるからね』と良い、

腕に付いているボタンになにやらナンバーを入れていた。




『ワンタッチ登録したからこれからはいつでも一瞬で変われるからね。』


ブッブブッ


『どう?合ってる?』

梨華は『へへん♪どうだ!』という表情で矢口に言っていた。
25 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時57分50秒
「うそだ・・・こんなの・・・・有り得ないよ!!!うそだあ!!!」


矢口は梨華の変身した姿を見るなり血相を変えて部屋を飛び出して行った。



『あ、まりっぺえ!!』

家を出ちゃ駄目だよと言い聞かされていた梨華だったが思わず矢口のあとを

追いかけて出て行った。






『まりっぺ!どこに居るの?!間違ってた?この姿じゃなかった?

 何か失敗したんなら正しいものに変わるから!出て来て〜

 まりっぺ〜どこーどこなの〜??』






梨華は一晩中街を探し回ったが矢口は見つからなかった。
26 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)20時58分53秒
翌朝、寝ないで待っていた梨華のもとに疲れ果てた矢口が戻って来た。


カチャ

「・・・」


『!まりっぺ!心配したんだからね!変身するの間違ってたんならかえるから、

 言って。急に出て行かないでよ驚くじゃない。』





「・・・どうしてっ――」

『え?』



「どうして居なくなったのっ?!」

『え?居なくなった?』





「・・急に・・何も言わないで消えたの?!」



『・・誰のこと言ってるの?まりっぺ?』





「矢口がっ・・悪かったなら直すから言ってよ!!急に居なくなったら嫌だ!

 もう離れたくない!もう居なくなったりなんかしないでよ!!!」


ギュっと梨華に抱きついて言う。
27 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)21時02分18秒
『なに言ってるの?まりっぺ。』


「まりっぺじゃないよ!ごっつあんはいつもやぐっつあんでしょ?!

 いつものようにやぐっつあんって呼んでよ!!!」





『・・・やぐっつあん。』



「・・・そうだよ、それだよ。」


『やぐっつあん・・・ごっつあんって誰なの?友達?』




「・・・ごっつあん・・・もっと矢口のことを呼んで・・・」








『・・・やぐっつあん、元気出して。やぐっつあん、泣かないでよ。』


















「・・・・ありがとう・・・梨華ちゃん。」
28 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)21時03分37秒

『・・・ううん・・・どうしたの?急に。まり−やぐっつあん。』


「梨華ちゃんがなってるそれ、その姿ね、矢口がこの世で一番愛してる人の姿なの。

 一緒に暮らしてていつも仲良くて・・・幸せだったよ。ごっつあんが居れば

 他には何も要らないって本気で思ってた。別れが来るなんて思ってなかった。

 ずっと一緒に居れるものだって信じてた。』


『今はどうして居ないの?』



「・・・出て行ったの。いつも通り“行って来ます”って声掛けて・・・

 いつも通り“いってらっしゃい”って返って来て・・その日の夜、

 帰ったら居なかった。さよならってメモだけが残ってて・・・捨てられたんだ。」


『恋人だったんだね?今もまだ好きなんだね。忘れられないんだね。』



「・・・うん。もうあれから半年以上が経つけど・・・どうしても忘れられない。

 最後に見た笑顔がどうしても別れに繋がらなくて・・・何かあったと思いたいの。」
29 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月06日(月)21時05分34秒
『私、どうしたら良い?このままの姿でこれから暮らす?呼び方も

 やぐっつあんにする?どうしたら良いかな?』





「・・・家に居る時はその姿で居て欲しい。口調も・・・ごっつあんになって欲しい。」

『でも、ごっつあんを知らないから。』



「教える。矢口がごっつあんの全てを教えるから。」

『それでまりっぺは幸せになれるの?』




「・・・なれなくても良い。今はそうしたい。」


『幸せになれないなら駄目って言いたいところだけど・・・サービスだよ。

 そうすることでまりっぺが元気になるならそれで良いから。』



「ありがとう。」






そして矢口は梨華に後藤の全てを教え込み、矢口の望む後藤となって生活をしていった。






                 終わり・・・・・・・・・・・ではなく続く。
                 1部 終了です。
30 名前:りょう 投稿日:2002年05月06日(月)21時13分47秒
>13 名無し読者さま
     どうもこんにちは!早速のレス、感激であります。
      (〜^◇^〜)切ない役、初めてかも、おいら。
     と、やぐが言うような感じになってます。

>14 りょういちさま
     初めまして!いしやぐ・・・・かなぁ(w
     何しろ石は知のために生きてるのでどうでしょう・・・。
     いしやぐじゃなくても・・・・許してあげて>(^◇^〜 )

>15 よすこ大好き読者。さま
     あっ見つかってしまった・・・・・(w
     他とは違った設定で書きました。どうなんですかね。
     吉くんの登場は−幸せの素−には無いですけど、
     この後の短編一発目には登場してもらいますよお。
     よしやぐで♪

     このお話、短いので一気に行こうかなぁと思い、
     暇人更新2発目となりました。
31 名前:145 投稿日:2002年05月06日(月)21時17分30秒
あっと発見!!!
やぐいし?やぐごま?どっちなんだろう?
でもどっちも好きだからどっちでもいっか(w
第2部楽しみにしてます。
32 名前:名無し男 投稿日:2002年05月07日(火)18時20分45秒
カムドーしますた

第2部楽しみにしとります
33 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月07日(火)21時42分14秒
面白い!!第二部に期待です。
34 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月07日(火)21時43分33秒
(↑)ageっちゃって申し訳無いです。
35 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時34分48秒
第二部  ― 再会 ―




『やぐっつあ〜ん今日どうする〜?仕事休みだったよね〜』


「うん。今日は1日オフだよ。何して遊ぼっか。ごっつあん行きたいとこ無い?」

『う〜ん・・やぐっつあんと一緒だったらどこでも良いはあとはあと家に居ても

 良いしー外を散歩しても良いしー・・・一緒に居れたら良いはあとはあと


「も〜!!!嬉しいこと言ってくれるなぁごっつあんってば。矢口だって一緒だよ。

 ごっつあんと一緒だったらどこだって構わないよ。」



『じゃあ・・・・・家でのんびりする?ごとー特製オムライス作るよ♪』


「マジで?!やったねオムライス久しぶり♪最近ずっと会社で食べてたからぁ」

『だよね。ごとー毎日ひとりで淋しかったんだからねー』

「ん。ごめんね。でも今日はその分ずっと一緒に居れるから」


『うん!許してあげる。』
36 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時36分11秒
梨華が後藤に変身してから1ヶ月が経ち、ふたりは仲良く暮らしていた。

矢口は梨華が変身していることを忘れたかのように接し、梨華は梨華で

矢口が幸せそうな顔で居るので成りきって演じていた。




お昼ごはんの用意をする後藤を見ながら矢口はこんなことを考えていた。


(そうだぁ〜ごっつあんってもうすぐ誕生日じゃんか〜・・・矢口その日

 祝日なのに仕事なんだよねー・・・今日先にプレゼント買いにいっとこうかなぁ)


「よしっ!」

出かけることに決めた矢口は気合を入れると梨華にそのことを告げた。


「今日お昼ごはん食べたらさぁ街まで出よっか。」


『え?良いの?』

「良いの?って何が?」



『だって・・・変身解くよ?』

「あぁ・・・良いよ、仕方ないもん。ごっつあんのね、誕生日プレゼント

 買いに行こうかと思って。なんでも買ってあげるから、考えといてね。」



『・・うん。(良いのかな)』
37 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時37分22秒
そして街へ出たふたり

変身は解いて居るのだが、いつも通り手を繋いでいる矢口と梨華

家や近所を散歩するときのクセが抜けない。


矢口も梨華もそんなことは気にもせずに、今流行りの店へ次々と入って行った。


梨華はこれといって着飾った感じはなく、ピアスもネックレスも指輪も

していなかったため、そのどれかが欲しいと言った。そしてピアスを選んだ。

欲しいものを買ってちょっと一服・・・という感じで喫茶店を探していた矢口たち。

手を繋いで歩いていると梨華が急に立ち止まった。




「・・・ん?どうかした?梨華ちゃん。」


「まりっぺ・・・あれっ・・あそこに居る人っいつも私が変身してる人に似てる。」

「えっ?!」




矢口は梨華が指差した方向を見てみた。
38 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時38分09秒

「!!ごっつあん?!」

「やっぱり?!声かけなくて良いの?」



「・・・ん・・」

矢口が躊躇していると後藤も矢口達に気が付いたのか驚いた顔でこちらを見ていた。



「ごめん、梨華ちゃん。矢口さ、ごっつあんと少し話したいことあるからさ・・・

 先に帰っててくれるかな。」


「あ、うん分かった。・・・大丈夫?」

「ん。ごめんね。」



矢口は梨華を帰らせると少し先のほうで矢口を見て固まっている後藤へと

歩み寄って行った。

39 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時38分53秒

「・・・久しぶりだね。」




「・・・うん。」

「ちょっとさ、話したいことあるんだけどどっか入らない?時間くれないかな。」




「・・・・うん。」



矢口達はすぐそばにあった喫茶店へと入り、一番落ち着ける席に

座らせてもらっていた。


「元気してるみたいだね、やぐっつあん。」

「ごっつあんも元気そうじゃん。」

「後藤は元気だけがとりえだから」


「話なんだけど。本題に入ってもいいかな。」



「ん、ごめん。」
40 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時39分48秒
「あの日・・・ごっつあんが出て行った時、一枚だけメモ置いていったよね。

 さよならって」



「・・・うん。」

「幸せだったとも書いてたよね。」



「・・・うん。」



「・・・どうして出て行ったの?何も言わずに・・・矢口の何がいけなかったの?

 何か嫌なことした?ごっつあんが出て行きたくなるようなことしてたかなぁ?

 出て行ったあともずっと考えたけど何も分からなかった。どうしてなの?」








「・・・・意味が分からなくなったの。」

「えっ?」




「やぐっつあんと居ることの意味が・・・・・・当たり前のように毎日一緒に居て

 他の人も見ようともせずに・・・暮らしていくことの意味が分からなくなったの。」
41 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時41分03秒
「意味なんて必要なの?好きあってるもの同士が一緒に居ることに意味なんか要るの?」



「・・・それは出て行く前も出て行ってからもずっと考えたけど分からなかった。

 いくら考えても答えは出なかった。・・・・ただ、ひとつ分かったことがあったの。」


「なに?」




「・・・後藤はやぐっつあんが大好きだったってこと。誰よりも何よりも

 好きだったってことが・・・分かった。」


「じゃあなんで――」

「好きだったからだよ!!」

「だから好きだったんならどうして出て行ったの?!」





「後藤さ、高校も途中で辞めちゃってろくに勉強も出来ないしさ、

 バイトも大してしてなかったじゃん。ほとんどやぐっつあんが稼いだお金で

 暮らしてたじゃんか。それがすごく嫌だったの。対等な関係のはずなのに

 養ってもらって・・・」
42 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時41分58秒
「そんなのっ矢口が気にしてないんだから良かったのに――」

「それじゃだめなの。後藤はやぐっつあんと対等で居たかったの。

 だから・・・今・・・働いてるんだ。」


「なんだよっそれ!!じゃあ矢口のとこから働きに出たら良いじゃんか!」

「駄目なの!それじゃ駄目なの!やぐっつあんと居たら・・・また甘えちゃうから

 ・・・やぐっつあん優しいから何も言わないで後藤のこと置いてくれると思う。

 何も言わずに一緒に居てくれると思う。」


「っだったら!だったらうちに帰って来なくても良いからまた前みたいな関係に

 戻ってよ。また、矢口と付き合ってよ。」



「勝手に出て行った後藤だよ?許せるの?!」





「・・・そりゃあいきなりだったしすごく辛かったけど・・・またこうやって

 会えたし。ごっつあんに会えたんだから・・・良いよ。だからやり直そう?」
43 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時42分51秒
「・・・やぐっつあんは本当に優しいね・・・・でも、もう元には戻れないよ。」

「どうして?!」



「・・・やぐっつあんの帰りを待ってる・・・子、居るでしょ?」

「え?・・・・!梨華ちゃんのこと?」


「梨華ちゃんって言うんだ・・・今一緒に住んでるでしょ?分かるよ?」



「あの子はそういうんじゃ無いよ!同居してるだけだから。ごっつあんが

 戻ってくれたら出て行くことになってるし。」



「そんなの・・・あの子が可哀想だよ。・・・後藤は・・・降りた人間だから

 戻る資格なんて無いの」


「あるよ!!!矢口のこと嫌いじゃないんなら戻ってよ」





「・・・無理だよ。」

「どうして?」








「もう・・・遅いの。」
44 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時43分43秒
「何言って――」


「今・・・他に好きな人居るの。」

「えっ?!」


「付き合ってるの。」






「・・・長いの?」

コクンと小さく頷いた後藤。





「・・・なんだよ・・・他に好きな人出来たから出てったんじゃん・・・

 矢口のこと好きだって分かったっての・・・全然ウソなんじゃん・・・」



 
「ウソじゃないけど・・・今はもう・・・ごめん・・・だからもう後藤のことは

 忘れて。やぐっつあんと居た後藤はもう居ないの。」





「もっかい聞くけど・・・ほんとに他に付き合ってる人居るの?」








「・・・・・・・・・・・・・・うん。」
45 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時45分00秒
「矢口はさ、ごっつあんが居なくなってから今の今までずっとごっつあんだけを

 想ってた。ごっつあんのことばかり考えててどこかで泣いてるんじゃないか、

 どこかでつらい想いしてんじゃないかって・・・・ごっつあんが矢口のこと

 もう好きじゃないって分かっても・・・まだ矢口は好きなんだよ・・・」


「ほんとに・・・・ごめん。」


「理由も言わずに居なくなったから心配だった。でも・・・・そんな理由ならっ

 
 ・・・もっと早くに・・・・知りたかったよ。」




「後藤はさ、こんな奴だから・・・早く忘れてよ。」


「忘れられるわけないでしょ?!捨てられたってわかった今でも矢口の気持ちは

 変わらないよ。」



ガタン

席を立った矢口は伝票を持ち、去ろうとした。その矢口に後藤は――


「後藤はもう忘れるから・・・」


と言った。




代金を支払い速攻で家へと矢口は帰っていった。
46 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時45分56秒
自分の家で帰りを待つ梨華。


帰るなり矢口は梨華に襲い掛かった。



「んんっまりっぺ?!」


「ごっつあんになってよ!ごっつあんに!!家ではごっつあんで居てくれる約束でしょ?!」


「どうしたの?まりっぺ?!」



「ごっつあんになってったら!!!!」



梨華に馬乗りになって言う矢口にすごく驚いた梨華だったが言われたように

すぐに後藤に変身してみせた。


後藤の姿になった瞬間矢口は梨華にまた襲い掛かった。
47 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月07日(火)22時48分57秒
無理やり唇を奪い、無理やり服を脱がしていく。


梨華が後藤に変身してから何度かそういった行為自体はあったのだが、

今回のような乱暴な矢口は初めてだった。梨華も矢口の荒い行為に

すっかり驚いてしまっていたが、ふと矢口を見ると、泣いていることに気がついた。




「・・っつあん・・ごっつあん・・・どうしてなの?!・・・どうして矢口を捨てたの?!


 ・・・好きだって言ってたの・・・ずっと・・・一緒って・・・言って・・・たの・・・


 嘘だったの?!・・っつあん!!ごっつあん!!つらいよ矢口・・・悲しいよ・・・

 
 ひどいよごっつあん!!・・・・でも・・・好きだよ・・・・・・・ごっつあん・・・」




――と泣きながら梨華を抱いた。




梨華の顔は矢口の涙でめちゃくちゃになっていた。


ここまで泣くのを我慢していたのだろう、矢口は息をするのもやっとという感じで、

何も見えなくなるほど泣いていた。








矢口の涙で、梨華は生を受けてから初めて自分の意思で行動を開始することになる。






短いけど第二部終わり(くくる必要あるのかな・・・)
48 名前:りょう 投稿日:2002年05月07日(火)22時54分04秒
>31 145さま
     どうも!あっちゅうまに2部終わってしまいました。
     くくる意味ないですね。もう仕方ないけど(w
     
>32 名無し男さま
     おおう!初めましてですね?どうもです。
     そう言って頂けると張り切れます!!
     ありがとうございます。

>33 名無しさんさま
     ageてもオッケーです♪
     面白いなんてめっちゃ嬉しいです。
     暗い話だなぁと思ってたのでσ(^◇^;)
  
     次の更新は明日ですが、後2回ほどで多分完結です。
     宜しくお願いしまーす。
49 名前:名無し男 投稿日:2002年05月08日(水)19時10分10秒
どっちの言い分もわかるので余計に切ない( T▽T)
50 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時17分09秒
矢口が荒れて、泣いて、ぼろぼろになったあの日から、矢口が会社に行っている間

ずっと梨華は矢口に内緒で後藤探しをしていた。


後藤の姿でいることに躊躇いもあったが、矢口がもとに戻ってくれとか、

後藤の姿で居る自分に対して何も態度をかえなかったので梨華もそのまま演じ続けた。



雨の日も風の日も、どんな日でも梨華は後藤探しをやめなかった。

人物探索機能が標準装備されている梨華だったが、機能自体を覚えていなかった。




(・・・ふふっ・・・私なにやってるのかな・・・まりっぺのために・・・だよね?

 まりっぺが幸せになる手伝いをしにきたんだもの、勝手に体が命令に従って

 動いてるんだよね・・・でも・・・・自分の意思でやっていると思いたい・・・

 私・・・・心からまりっぺに幸せになって欲しいって思ってる・・・よね?

 命令じゃ・・・ないよね?)
51 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時18分25秒
梨華が後藤探しをしてから一ヵ月後、ついに梨華は渋谷で働く後藤を見つけた。



「いらっしゃいませー」


『あのっ・・・後藤さんですよね?』

梨華は喫茶店で働く後藤の名札を確認してから言った。



「やぐっつあんと居た・・・・・・・確かに私は後藤だけど・・何か用?」


『まりっぺのことで聞きたいことあるの。少し時間もらえないかなあ?』




「まりっぺって呼んでるんだ・・・」

『えっ?』


「あっううん。あと30分もしたら休憩だから、そのときで良いかな。

 適当に座って待っててくれていいから。」

『あ、ありがとう。そうさせてもらいます。』
52 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時20分02秒
そして30分後、休憩に入った後藤は梨華を別の喫茶店へと連れて行き、

そこで話を聞くことにした。


『ごめんなさい、お仕事中に・・・』

「ううん。良いよ、休憩たってやることないし。ごとーもちょっと

 聞きたいことあったし。」


『?そうなの?』

「うん。でも、まあそっちから言ってよ。――梨華ちゃんだっけ?」


『う、うん。じゃあ早速だけど・・・まりっぺのことどう思ってるの?』



「やっぱそのことだよね。どうって・・・昔付き合ってた人、ただそれだけだよ。」

『ほんとに?』

「ほんとだよ。付き合ってたけど今はごとーは別の人と付き合ってるし・・・

 もう終わったことだよ。」





『どうして何も言わずに出て行ったの?どうしていきなり居なくなったの?』





「・・・それはこないだやぐっつあんに言ったよ。」





『それは本音?』
53 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時21分10秒

「本音だよ。・・・なんだって言うの?」


『あなた、後藤さん、無理してるね。』

「どういうこと?」


『何かウソついてる。私・・・人がウソついてるの、すぐに分かるの。』

「ついてないよ。ついたって何も得しないじゃん。大体どうしてごとーが

 ウソついてるって、人がウソついてるって分かるの?」




『それは・・・私が人間じゃないからです。』

「はぁ?!ばかじゃないの?」



『ほんとのことです。』

梨華は腕の皮をめくって変身機能の命令ボタンなど、体に埋め込まれた装置を見せた。



「なっなにコレっ?!」


『言った通りでしょう。私は人間じゃないんです。未来から送り込まれた

 ロボットなのです。』




「それが・・ほんとだとしてなんのために送り込まれたの?!どうして

 やぐっつあんちに?」
54 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時22分11秒
『それは・・・ご主人様以外には言えない決まりになっていますので言えません。

 ですがほんとのことなのです。あなたがウソをついていることは分かっています。

 本音を聞かせて下さい。』


「本音だよっ」




『・・・・じゃあ聞きますけど、後藤さん、本当に他の人が好きなんですか?

 他に付き合っている人が居るんですか?どうなんですか?』



「ほ、ほんとだも――」

『ウソですね。あなた、まだまりっぺのこと気になってますよね?まだ、

 忘れてませんよね?』


「そんなことないっ!!」

『まりっぺは・・・今もまだあなたのこと想ってます。毎日あなたの名前を

 呼んでいますし毎日泣いています。私には分からないところで泣いている

 つもりでしょうけども・・・。あなたが本当はまりっぺのことまだ好きだって

 言うのなら!!まりっぺを・・・救ってあげて。』


梨華は俯く後藤の肩を持って強く言い聞かせるように言っていた。
55 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時23分01秒


「だって・・・ごとーはもう降りたんだ・・・もう戻れないんだよ・・。」

『?!本音を言ってくれる気になったの?』






「ごとーは・・・やぐっつあんのこと好きだよ?好きで好きで・・今だって


 本当は好きなんだよ?他に好きな人なんて居ないし付き合ってる人も


 ほんとは居ないよ、うそだよ。でも・・・・・好きだからこそごとーは


 やぐっつあんから離れたの・・・」



『なぜ?』
56 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時24分01秒
「ごとー・・・何も出来ないから。何も持ってないし・・・いつかやぐっつあんの


 足手纏いになるときが来るってずっと思ってた。このまま一緒に居たら


 やぐっつあんはきっと疲れるだけで幸せになんかなれない、やぐっつあんは


 優しいから・・・そんなこと言ったら絶対にごとーを引き止める、


 そんなの良いから一緒に居ようって言うに決まってるんだ。


 だから・・・・・・何も言わずに出て行ったの。」




後藤は学歴もない、お金もない、資格も何もかも持っていない自分に嫌気がして、

矢口に申し訳ないと思い、居なくなったということだった。自分と矢口が居たら

自分は嬉しいかもしれないけど矢口は嫌になるときが来るだろう。

でも言わないだろう。そう思っていた。
57 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時25分02秒
「でも、こないだのでもう分かったと思う。ごとーをいつまでも覚えていても

 仕方ないって」


『違うよ。それは間違ってる』

「え?」


『まりっぺは、さっきも言ったけどまだあなたのこと愛してる。愛してるから

 毎日泣くし、あなたの名前を呼ぶの。もう・・・見てるとつらいの、悲しいの。

 まりっぺのこと好きなら、愛してるなら救ってあげて。あなたにしか

 出来ないんだから!私じゃ駄目なの。・・・だからお願い!!戻ってあげて!!!』





「無理だよ・・・そんなの」

『どうして?まりっぺはあなたを待っているのに。』




「都合良過ぎだもん・・・自分勝手に出て行っといて戻るなんて・・・出来ない。

 それに・・・急に行ったらビックリするだろうし・・」
58 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月08日(水)23時26分13秒
『大丈夫だよ。私の振りして帰れば良いから。』

「はぁ?!それこそ無理だよ。わけわかんないよ、梨華ちゃん。」


『私、ロボットって言ったよね?こんな機能もあるんだ。』

後藤をトイレへと連れて行き、後藤に変身してみせた梨華。

後藤も信じるしかなかった。




梨華は、後半の仕事をしなきゃいけないという後藤に変わってバイトに入ってやった。

やったことは無かったが、取り敢えずの知識はあったので軽いものだった。





後藤は矢口が帰って来る前に、合鍵を使って部屋で待つことにした。
59 名前:りょう 投稿日:2002年05月08日(水)23時29分06秒
>49 名無し男さま
    レスどうもです。励みになります。
    あるとないとじゃおーーーーーー違いです!

    次回の更新は明日です。
    毎日更新する私は暇人ではないはず(w 
60 名前:145 投稿日:2002年05月09日(木)00時48分39秒
お〜梨華ちゃんとごっちんが入れ替わった!!
さてこれからどんな波乱があるんだろう?
これからも頑張って下さいね!
61 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月09日(木)22時13分31秒
ロボット梨華ちゃんかぁ・・・
短編なのがもったいないなぁ
でもおもろいので応援します
がんがってくださいね。
62 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月09日(木)22時46分35秒
うわぁ、こりゃ楽しみ。
せつないねぇ、ごっつぁんも。
また、せつない女が似合うんだねぇごっつぁん。
これからの展開ワクワクです。
63 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月09日(木)23時56分01秒
第四部 ― 再出発 ―







21時

カチャ

「・・・ただいまぁ〜。」




「・・・お帰り。遅いね相変わらず。」


「へ?そう?最近早くなったと思うけど。」

「・・・」



「どうしたの?いつももっと話してくれるのに。大人しいね。」

「そんなことないよ。」

「そうかな・・・・ま、いいや。今日さ、ご飯食べて来たからお風呂入ってすぐ寝るね。」



「・・うん。あの・・・」

「うん?」

「ううん。なんでもないよ。」
64 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月09日(木)23時58分31秒
いつも人懐っこく寄ってくる梨華(ごっつあん)が大人しいので不思議に思った
矢口はお風呂の準備をしながら話し出した。


「ごっつ・・・梨華ちゃんさぁいつも家でひとりぼっち退屈でしょう?

 ごめんね、もうずっと閉じ込めたままだよね。」




「・・う・・ううん。気にしないで」




「矢口がもっとごっつあんを繋ぎとめておく力があったらね・・・矢口が

 ごっつあんに愛想つかされなかったら梨華ちゃんもこんな所に来る必要も

 なかったのに・・・・ほんとごめんね。でも・・・・矢口が幸せにならないと

 帰れないんだよね?梨華ちゃんにはほんと助けてもらって頑張ってもらってるけど

 ・・・・矢口にとって幸せって、ごっつあんとまた暮らすことだから。

 でもそれはもう二度と無いんだよね。でもそれが今の矢口にとって

 望みでもあるし幸せでもあるから・・・・・・もうしばらく付き合って

 もらわなきゃなんない。ほんとごめん。感謝してるから。

 矢口が・・・・ごっつあんのこといつか忘れられる時が来るまで

 ・・・・いつかわかんないけど・・・来ないかもしれないけど・・・・」
65 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月09日(木)23時59分41秒
(やぐっつあん・・・どうしてそこまでごとーのこと想ってくれてるの?

 ごとーそんな風に想われるほどの人間じゃないよ?やぐっつあんには

 もっと良い人居るよ?!目を覚ましてよ・・・・・でも・・・ごとー・・)



「梨華ちゃん?どうしたの?・・・やっぱやだよねぇ〜いつになるか分からない仕事なんて。」



「やぐっつあん・・・・・・」


「ん?なぁに?」









「・・・キス・・・・して欲しい。」




「えっ・・・梨華ちゃんから言うなんて珍しいよね。あっ今はごっつあんだね。」





「キスして欲しい。」
66 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時01分05秒


「・・・・・・悪いけど、変身解いてくれるかなぁ」

「え?!」

「梨華ちゃんに戻ってくれる?元の姿に戻って。」



「なんで・・・・?」



「う・・ん・・ごっつあんのこと好きだからその姿にずっとなってもらってたけど

 駄目だなって思うよ。ずっとごっつあんの格好してもらってごっつあんに

 なってもらってたけど・・・誰にもごっつあんの代わりは出来ないって分かった。

 梨華ちゃんが嫌だって言ってるんじゃないよ?ごっつあんはごっつあん、

 梨華ちゃんは梨華ちゃん、別の人間なんだから代わりを求めたら駄目なんだってことだよ。」





「・・・」

「そんなだからさ・・ごっつあんの振りはもう良いから、元の梨華ちゃんに戻って」
67 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時02分17秒
「戻って・・・どうするの?ごとーのこと・・・」




「ん・・・さっきも言ったけど、ごっつあんが矢口のこともう好きじゃなくっても

 矢口はやっぱ好きなんだよね。それはいつまでたっても変わらないんだよ。

 でも、いつまでもそれじゃいけないよね、忘れたくないけど、ごっつあんは

 もう矢口のものじゃないから。重ねて見ることはやめる。今までありがとね。」





「やぐっつあん・・・・」


「まりっぺで良いよ。」







「戻れない。」

「え?」

「梨華ちゃんには戻れない。」

「?」








「だって、だってごとーはごとーだもん。ほんとのごとーなんだもん。」
68 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時03分35秒
「えっ?!」




「梨華ちゃんに色々聞いたよ・・・ごとーが出て行ってからのこととか、

 やぐっつあんが梨華ちゃんに望んだこととか・・・やぐっつあんのこと

 いっぱい聞いたよ。」






「・・・梨華ちゃんじゃない・・・の?」






「・・・うん。ほんとの後藤真希だよ。」



「・・っんで!なんでここに居るの?!もう矢口のことは忘れるんじゃなかったの?!」






「忘れようと必死だった。でも無理だった。もう・・やぐっつあんを忘れるなんて、


 やぐっつあんと離れて生きていくなんて、もう無理。ここを出て行ってから


 今日までどうやって生きていたのか分からないよ。やぐっつあんと離れて

 今までどうやって――」



後藤はボロボロと涙を流しながら訴えるように言っていた。
69 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時04分35秒

「・・・戻ってよ、ごっつあん。」





「・・・」

「矢口とまたいちからやりなおそ?」




「・・・」


「・・まだまだやりなおせるって、うちら。ね?」








「どうして・・・どうしてそんなに優しいの?許せるの?おかしいよやぐっつあん。」


「――だって・・・どうしようもなく好きだから。ごっつあんのこと心から愛してるから。」

「でもっ――」




「矢口は、いつだってごっつあんのことが頭に浮かぶし、ごっつあんしか目に入らない。」
70 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時07分20秒


「・・・・・・・・・・・・・・・また・・・ここに・・・っく・・ぅく・・


 戻ってきても・・良い・・・の?」

「戻ってくれるの?!」






「また・・一緒に暮らしても良いの?」

「当たり前だよ!!ここはごっつあんちでしょ?」





「・・・っく・・・・うん・・ありが・・とう。」


「でも、いきなり居なくなるのはもうナシだからね。」




「うっ、うん・・・分かってる。っく・・うん。」





「ごっつあん!!!ごっつあん!!嬉しいよ!嬉しすぎて涙とまんないよ・・・」

震える後藤の肩を抱きながら矢口は泣きながら言っていた。





                 第四部 終わり(←短かっ!!四話ですな。)
71 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時10分43秒
第五部(話) ― 別れじゃないよ ―





しばらくそうしていると、矢口は梨華が居ないことを思い出した。



「あっ・・そういえば梨華ちゃんは?」

「あっ、梨華ちゃんはごとーの代わりにバイトしてくれるって――」

「バイト?!梨華ちゃんが?」

「う、うん。『まかして』って・・いけなかった?」


「あの子は他人に慣れてないんだよ、矢口以外と話したことないからっ。

 ちょっと迎えに行ってくる!ごっつあん場所教えて!」



「わ、分かった。」
72 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時11分57秒
そして後藤の働くバイト先へと行った矢口は梨華を探して入っていった。


「いらっしゃいませー」

「あっすいません、お客じゃないんです。人探してて・・・後藤さん居ますか?」



「あっ、失礼ですが、あなた、矢口真里さんですか?」

「?!は、はい、そうですけどどうして名前――」


「後藤さん、さっき、調子悪いって帰ったんですよ。それで、あなたが来たら

 コレ渡して欲しいって頼まれて・・」


「あっありがとうございます。」

店員から手紙らしきものを受け取った矢口。


そのまま店を出て歩きながら読んでいた。
73 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時13分26秒
『まりっぺへ


まりっぺのためにしたこと、今までの仕事のなかで一番楽しかった。

いい加減な人いっぱい居たから。殴られたり捨てられたりもした。

まりっぺは後藤さんに重ねながらも私の事ちゃんと見てくれた。

人間らしくなるようにっていろんなことを教えてくれた。

もちろん知識はあったけど教えてもらわなきゃ分からないこといっぱいあったから。

さっき、まりっぺが幸せになっていってるのが分かったの。


だから急いで書いたよ。

私、もう帰らないと駄目みたいだね。

もちろんそれはまりっぺが幸せになれたってことだからすごく嬉しい。

でも、まりっぺに会わないで、別れを言わないで消えることが悲しい。



今までありがとう。

後藤さんと頑張ってね。幸せを逃さないで。

                            梨華』
74 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時14分27秒
「梨華ちゃん・・・・もう居ないの?矢口の前から消えたの?」


知らない間に泣いていた矢口は封筒の中にあるものを発見した。


「これ・・・あの時買った誕生日プレゼントのピアス・・・」


『これ、持って帰りたかったけど、取り上げられちゃうから、返すね。』





「梨華ちゃん!!!矢口・・絶対に幸せになるから!!梨華ちゃんがまた

 戻ってくるようなことが起こらないように・・・頑張るから!!!

 だから・・・だから見てて!!矢口を見ててね!!!」



周りに人はたくさん居たが矢口は気にせず空に向かって叫んでいた。
75 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時15分27秒
「やぐっつあん・・」

そんな矢口を遠くから見ていた後藤が声をかけた


「あっ・・ごっつあん。来てたんだ。」

「うん・・・梨華ちゃん・・居なくなっちゃったの?」






「・・ううん居るよ。矢口の心の中で生きてる。ずっと、ずっと矢口の中で生きてるから。」





「・・そっか・・・・・梨華ちゃん、ありがとう。」

「うん?」

「やぐっつあんの中の梨華ちゃんに言ってるの。」

「あ、ああ」




「梨華ちゃん、やぐっつあんと梨華ちゃんの分まで生きていくから。

 梨華ちゃんのおかげで元に戻ることが出来たから。梨華ちゃん・・

 やぐっつあんのこと、今までありがとう。ずっと一緒にいてくれてありがとう。

 これからは後藤がずっと一緒に居るから。絶対に離さないから。

 死ぬまで一緒に居るから・・・だから・・心配しないで。本当にありがとう」

矢口に向かって言う後藤
76 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時16分34秒
「ごっつあん・・・ずっと一緒に居ようね。」




「うん。」


「・・・帰ろうか。」

「ん。」




手を繋いで家へと帰ったふたり

梨華が使っていたタオルやマグカップなど残されたままの状態だった。

梨華についての説明書は何故だか見つけることは出来なかった。

梨華がもともと持ってきたものも無くなっていた。





3人分のマグカップに歯ブラシ、何もかもが3人分。


梨華は居なくなったけどふたりの心の中にずっと生き続ける。
77 名前:−幸せの素− 投稿日:2002年05月10日(金)00時17分23秒



そして今日もどこかで梨華を必要とする者のところで梨華は頑張っている。






『アゴーン!!』








                   終わり♪
78 名前:りょう 投稿日:2002年05月10日(金)00時23分29秒
>60 145さま
     特に波瀾もなく終わってしまいましたごめんなさい。
     短編で考えてたので修正ききませんでした。

>61 名無し読者さま
     レス、ありがとうございます。
     応援いただいたのですが−幸せの素−は終了です。
     このスレではこういった短めのものをいくつか乗せたいなぁ
     ・・・・と考えてます。(やぐごまに限らず)

>62 名無し読者さま
     切ないのが似合う女ですね。ごっつぁんは切なく書きやすいです。
     大した展開もなく終わってしまって申し訳ないですm(__)m

     えっと、取りあえず、短い間で完結しました。
     軽い気持ちで書いた短編なので強引な終わり方になって・・
     申し訳ないです。お付き合いいただけた方、ありがとうございました。
79 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月10日(金)07時56分07秒
お疲れさまでした。
ヤッパ、りょうさんの小説はいいなぁ。
梨華ちゃんがチョット切なかったけど、やぐごま、はっぴ〜えんどで
ヨカッタです。
80 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月10日(金)12時21分00秒
更新がかなりマメなので読者としては
嬉しいです。完結おめでとうです。
次はよしやぐでしたよね?
楽しみにしています。
81 名前:名無し男 投稿日:2002年05月10日(金)18時24分05秒
更新お疲れさんです

感動を
う!!あ
とがり
82 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月10日(金)18時34分57秒
ちょっと遅くなりましたが、みーつけた!!(w
やっぱ、りょうさんの作品はいいっすね!!
何回泣かされたか・・・
次のよしやぐも期待してます。
83 名前:りょう 投稿日:2002年05月11日(土)00時26分22秒
>79 名無し読者さま
     やっぱり梨華っちがちょっと切なかったですか。
     やぐごまじゃなくても梨華っちは消える結末だったので、
     まぁ仕方ないのかな(w 

>80 ナナシさま
     マメですか?マメかなぁ確かに可能であれば毎日更新目指してます。
     急ぎすぎて読んでくれる方が追いついてきてくれなかったら悲しいなぁ
     とドキドキしながら更新してますが(w更新とまってるとこもあるけど・・・

>81 名無し男さま
     う〜!!ほんとに嬉しいお言葉ありがとうございます。
     短編は初だったんのでまとめるの難しかったです。
     どうもありがとうございました。

>82 ロ〜リ〜さま
     どうも!自分で読んでいると泣き所とか萌えどころがあまり
     ないんですよ。だから不安になりつつなのでそう言って頂けると
     すぅっっっっごく救われます!

     今日の更新は宣言通り『よしやぐ』になります。
     娘。もので、今日限りで終わる軽いものです。
     −幸せの素−ちょっと暗かったので気分転換ということで(w
     では、宜しく!
84 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時31分10秒
「あのっ 宜しくお願いします!!」


「そんなにかしこまらなくたって良いってば。これから宜しくね。」



始まりはつんくさんに言われてやった教育係。

正直めんどくさいなぁって思ったけど相手見てそんな考えは飛んだ。

相手は吉澤ひとみ。

もろ好みでカッコよかった。

みんな可愛い可愛いって言うけど・・・矢口には男前な雰囲気を感じちゃうんだよね。




「16ビートって分かる?」

「教えて下さい。」



「矢口はね、足で取るの。えと、こうやって――」


って、しまったあ!こんなことやったら視線が矢口の足に!!!


・・・見てる見てる!!恥ずかしくなってきちゃったよ〜もう見ないでぇ〜
85 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時34分49秒

「はー足で取るかぁ・・・なるほど・・・こうですか?」

「ん、もっとこう、・・・うん、そんな感じ」


この子・・・締まった足してるなぁ・・さすがバレーしてただけあるわ。

おっと矢口も見つめてしまってた。続き教えないとね。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「よっすぃーもっと話さないと駄目だよ?みんなによっすぃーって人間を

 知ってもらわないと。」


「・・・分かってはいるんですけど・・・難しいですね・・行動に移すって。」



「う〜ん・・・そうだ!じゃあ頑張れたら矢口がご褒美あげるよ。」

「ご褒美??」

「っそ!セクシー隊長矢口からのキッスをプレゼントしちゃいましょ〜」

って矢口がしたいだけだけど。だってよっすぃーの気持ちまったくわかんないし、

こうやって軽く言える今がチャンスだもんね。
86 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時37分55秒

「マジですか?!約束ですよ?よぉぉぉぉし!!」


・・・あれ?嫌がってない・・どころか本気にしちゃってる・・・欲しいの?

「本気にしたの?」


「えー?今さら冗談でしたは無いですよ?もう頑張りますから、


 ちゃんと約束守って下さいよ?」

気合を入れてスタジオへと向かう吉澤



・・・・?



嫌じゃないの?・・・ていうか欲しいわけ?・・・よっすぃーが欲しいんなら

いくらでもあげるけど。それこそ冗談かな。・・・・よっすぃーって・・・何?

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

「でさぁ〜あいぼんって弱音吐く時関西弁になるんだよ〜ごとー関西弁聞いて

 びっくりしてさー」


「そっか奈良だっけ。よっすぃーは埼玉だからそういう言葉の壁はなくて良いよ〜」
87 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時39分23秒
「よっすぃーだったねやぐっつあんは。よっすぃーラッキーだよ、

 やぐっつあんが教育係で。」


「何言ってんのさー圭ちゃんとか圭織の方が年上だし、ごっつあんだって頑張ってるじゃん。」


「そうだけどお〜ごとーはいちーちゃんの次にやぐっつあんに色々と教わって

 分かりやすかったから。熱心だし。だからよっすぃーはすぐに娘。になれると思うよ?

 それにいつもあまり話さないよっすぃーがさ、今日頑張ってたじゃん。

 いっぱい話してたし笑ってたし・・・成長したよね。ごとーが言うのも生意気だけど」


「生意気じゃないよ〜ごっつあんは頑張ってるもん。」

そうなんだよね・・・あの約束から数時間しか経ってないのに今日の収録の時の

よっすぃーは約束する前に比べたら遥かに良かったんだよね・・・




偶然かなぁ・・・それとも――

「矢口さ〜ん!!ちょっと良いですかぁ〜」

ドキッ!!


「やぐっつあん、弟子が呼んでるよ。うわさをすればって奴だね。・・・やぐっつあん?

 褒めてあげるんでしょ?やぐっつあん?」


「あ、あ、そうだね。ちょっと行って来る。」




「・・・変なやぐっつあん。」
88 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時40分48秒
やっぱ・・・褒めるべきだよね。実際頑張ってたと思うし、よくやったと思うもんね。


「何かな?」

「さっき、どうでした?ちゃんと出来てました?吉澤的にはかなり頑張ったんですけど

 ・・・駄目ですか?」



ちょっと!矢口より姿勢低くしてそんなお願いするような目で言わないでよ!反則だよ!!



「う・・ん・・頑張ってたよね、昨日に比べたらすごく良かったよ。

 これからもその調子で頑張ってよね。」



「はいっ!!!じゃあ・・ご褒美を・・」


「へ??」

やっぱマジだった?なんで?よっすぃーって誰とでも出来る人?

スキンシップみたいに思ってるのかな?
89 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時41分51秒
「あ、そうですよね、こんなところじゃまずいですよね、気付かなくてすいません。」



へ?



「場所移しましょうか。・・・えと・・どこが良いかなぁ?――あっ!あそこの

 部屋空いてますね。」




?????




手を引かれて入ったそこは楽屋の隣の空室。



「はい、ここなら誰も来ないですからオッケーですよね。」

「ていうかちょっと待ってくれる?なに、なにするの?」


「えーーーーーー??約束したじゃないですかあ!頑張ったらご褒美くれるって!

 だから頑張ったのにーー」


おいおい、仕事なんだからそんなの無くても頑張れよー

ていうか何?キスしてくれってこと??

本気で言ってるのかな?そ、そりゃ矢口から言ったことだけど・・・
90 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時43分03秒
「だって本気にしたの?キスって何か知ってるよね?」


「失礼だなー吉澤でもキスくらい分かりますよお!矢口さんからキスしてもらうために

 頑張ったようなもんですよ、今日は。」



「でも・・どこに?・・・口?」

「もちろん。」


「矢口とよっすぃー恋人じゃないよ?それなのに出来ないよ。

 矢口から言ったのに・・・悪いけど。」


ほんとはしたいさぁーめっちゃしたいさぁして欲しいさぁーでも付き合っても

ないのに・・・よっすぃーが何考えてるかわかんないのに・・・出来ないよ






「・・・矢口さんは私の事嫌いですか?」


「えっ?嫌いなはずないじゃん」
91 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時44分28秒
「私は好きです。矢口さんが教育係してくれるって聞いたときすごく嬉しかった。」




「・・本気で言ってるの?その・・矢口のこと・・好きだって・・」

「はい。それで・・いろいろ教わってる間も矢口さんばっか見てて・・集中できなくて

 困ってました。今日は頑張ったらご褒美だったので見とれないように頑張りました。」



「じゃあっ矢口の片想いじゃないの?」

「え?」

「矢口は、よっすぃーの教育係になったときからよっすぃーのこと気になってた。

 それで・・・好きになってた。だから・・・矢口がキスしたかったから

 あんなこと言ったの。でもよっすぃーはそんな気ないだろうなって思ってて・・・」


「そんな気ありまくりですよ!もう言っちゃいます、私と付き合ってくれませんか?」

「・・・矢口で良いの?」

「矢口さんが良いんです。矢口さんじゃないとヤなんです!お願いします。」




「・・・もちろんだよっ!!こっちも宜しくね!」
92 名前:−まだまだ内緒− 投稿日:2002年05月11日(土)00時46分01秒


「・・・そろそろ・・」


「あっごめんね、約束のキスだったよね。」

「そうですけど、私からしても良いですか?」


「え――」

聞き返す間もなく吉澤の唇が矢口の唇に触れた。





唇を離し、少し照れくさそうにする矢口と、満面の笑みを浮かべる吉澤。

お互いに微笑み合うと、少ししてから手を繋いで隣の楽屋へ向かった。

ゆっくりと歩いてドアを開けるギリギリまで手を繋いで、離すふたり。


まだまだメンバーには内緒の恋愛。






ふたりの愛はこれから育まれていく。




               終わり♪
93 名前:りょう 投稿日:2002年05月11日(土)00時49分01秒
盛り上がりもオチもなく、しれっと終わりました(w
休憩ということでひとつ・・・。
やぐがオッケーしたあとの喜ぶ吉を乗せ忘れたのが少し悔やまれますが
まあいっか(w  次は・・・・まったく考えてませんが、
多分アンリアルものになるかなぁと・・・・。

では、おやすみなさい。
94 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月11日(土)01時38分40秒
最近めったにないやぐよし、よかったです^^
実は自分やぐよし好きだったりして(w
そういえば、最近のANN聞いてると(特に今週と先週)ヤグチってホントに…
(違ってても、ソレに偏見は持ってないみたいですね…ちょっと嬉しかった^^)

95 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月11日(土)09時31分31秒
うんうん。
めったに見ないやぐよし(よしやぐ?)
さらっと読めて嬉しかったです。
やぐごまも良いけどこれもアリ・・・ですね(w
次は何かな♪ワクワクします♪
96 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月12日(日)03時38分43秒
なんかほのぼのしちゃいました。
短編でここまで書けるとはさすがですね。
次もメッチャ期待してます!!
97 名前:名無し男 投稿日:2002年05月12日(日)17時09分52秒
シンプルで綺麗で凄く素直になれて(・∀・)イイ!!
98 名前:りょう 投稿日:2002年05月12日(日)17時53分14秒
>94 名無し読者さま
     レスどうもです!実はワタクシもやぐよし好きなのです。
     なちまり、やぐごま、やぐよし、やぐいし・・・やぐが
     絡めばなんでも良いのかな(w←やぐヲタだから
     ANNは残業多くて2ヶ月聞き逃してます。悔しい・・・

>95 名無し読者さま
     萌え〜な場面がやぐよしほとんど最近ないですもんね。
     昔は多かったのに・・・

>96 ロ〜リ〜さま
     短編初なのでまとめるの難しいんですけど・・・というか長編って
     短編の集まりみたいなものなのかな。嬉しいお言葉ありがとうです!

>97 名無し男さま
     わはっ(w シンプルですか。良かったです。
     シンプルに、シンプルに、と考えて書いてたのですぢつわ。

     次はアンリアルと言いましたがリアルもの(しかも昔)に
     なってしまいました。しかもやぐごま。良かったら読んでください。

     どうぞ!
99 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)17時55分16秒

「ちょっと矢口めっちゃ好みなんだけどー。」


初めて見たときから気になってた。目を奪われてた。

見た目はすごく大人っぽいのに中身は子供。

そのギャップが可愛くて可愛くてどんどんはまって行った。

なんとかして近付こうって必死だった。






「矢口さんってほんとちっちゃいですねー」

「なんだよ〜改めて言うことでもないでしょー」

「いや、そうなんですけどね。」

「真希はそれなりに身長あるから良いよね。」

「そうですね。」


むっ こいつぅ〜「そんなことないですよ」って言えよ〜

まぁ 何言ったって可愛いから許しちゃうけどね
100 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)17時56分46秒

それにしても・・・ライバルが紗耶香かぁ・・・


未だに「矢口さん」だもんなぁ・・・悔しいなぁ







「いちーちゃん!!どうして辞めるの?!ごとーを置いて居なくなっちゃうの?

 ごとーまだ教えて欲しいこといっぱいあるのにっ もっともっと一緒に居たいのにっ」



「後藤はもう大丈夫だよ。センターだって張れるようになったし、

 もう教えることなんてないよ。」


「まだ何も教わってないもん、居なくなっちゃやだよ」



「後藤は大丈夫だから。」





紗耶香・・・あんた・・ごっつあんの気持ち知らないの?


どれだけあんたを慕ってたか・・・どれだけ好きだったか・・・




要らないんだったら・・・矢口もらうから。
101 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)17時58分15秒


「ごっつあん・・・・泣き止みなよ。」



「やぐっつあん・・ほっといてよ!!ひとりにしてっ!! 」

「でも・・ほっとけないよ。」


「やぐっつあんには関係ないじゃんか!!」

「ごっつあんはそう思うかもしれないけど矢口には関係ある。ごっつあんは・・・

 紗耶香が好きなんだよね?」



「っ!・・・だったら何よ!悪い?!」

「ううん。知ってたから。確認しただけ。」

「知ってたって・・?」



「矢口はさ、ごっつあんばっか見てたから。」

「え?!」

「矢口は紗耶香に恋するごっつあんをずっと見てた。ごっつあんが娘。の仲間に

 なったときからずっと見てた。ずっと好きだった。」
102 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)17時59分29秒


「・・・知らなかったもん。」


「ずっと隠してきたからね。紗耶香のこと好きって知ってたし、紗耶香以外

 見えてなかったもんね、ごっつあんは。」





「・・・ごとーはいちーちゃんが好きなの。これからも好きなの。」



「でも紗耶香はごっつあんが紗耶香を好きってことに気付いてないんだよ?

 もう会えないんだよ?」

「また会えるもん!戻ってくるっていってたもん!やぐっつあんのばか!!」





「・・・矢口だって好きだよ。ごっつあんが紗耶香しか見てなくても

 これからずっと紗耶香しか見えないって言っても・・・好きだよ。」
103 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)18時00分14秒


「悪いけど・・今は何も答えらんない。」





「・・・うん。良いよ。矢口は・・・ごっつあんの笑ってる顔が好きだから、

 早く元気になってね。」






はい、ついに言ってしまいました。

よく言ったよ矢口。えらいえらい。

ごっつあんの気持ちは堅いから失恋だけどね。


まぁ・・なっちでもからかって気晴らしするっきゃないか。
104 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)18時02分05秒
それから1ヵ月――



「やぐっつあん、ちょっと良い?」


「なにかな?」

うわーごっつあんから話しかけてくるなんてかなり久しぶりじゃない?

最近よっすぃーとばっかしゃべってたのに。

何かあったかな。

矢口は嬉しいから問題ないけど。





「ごとーさ、やぐっつあんのことはお姉ちゃんみたいに思ってた。

 いちーちゃんとは違ったところで好きだったんだ。」


「・・・うん。」

お姉ちゃん・・・か。まぁ・・・好きって言ってもらえて良かったのかな。



「まだいちーちゃんのことは忘れられないし、・・・好きだけど・・

 やぐっつあんに救ってもらいたい。」


「えっ?!」
105 名前:いつか、きっと。 投稿日:2002年05月12日(日)18時04分47秒

「自分でも駄目だって分かってる。いちーちゃんは戻って来るって言ったけど

 実際は難しいことだし・・・それにごとーのこと妹としてしか見てない

 いちーちゃんをいつまでも想い続けるのは良くないって分かってる。だから・・・」


「矢口で良いの?!」



「・・・やぐっつあんに救ってもらいたいの。ごとーのこと好きだって言ってくれた

 やぐっつあんに。勝手かもしれないけど・・・それにもう好きじゃないかもしれないけど。」


「ううん!!好きだよ!ごっつあんのこと大好き!矢口で救えるならそうしたい!」





「・・・じゃあ・・お願いして良い?」

「もちろんだよ!嬉しいよ。」


「ごとーさ、やぐっつあんのこと見れるようにするから。だから・・・宜しくね。」

「うんうん、セクシービーム送りまくるからっ振り向かせて見せるから!!」




まだ恋愛感情のカケラも持たない後藤をいつか振り向かせて見せると誓う矢口。

そしてふたりはそれぞれの想いを胸に、成長していくのだった。




好きだよ。




                 終わり♪
106 名前:りょう 投稿日:2002年05月12日(日)18時09分18秒
・・・・てな感じでまたしてもやぐごま。
しかも古い。しかこれから始まるふたり。
短編すぎるかも。

今までアンリアルしか書いてなかったのでリアルもの、むずいです。
次回長編書く時はリアルものにしようかと考え中なので練習の意味も込めて・・・。
どんな感じなのかな。

やぐごま以外を書こうとしても気がつけば何故かやぐごまを書いているワタシ。
つぎは・・・−幸せの素−くらいの長さのもの書こうかなぁと思ってます。
107 名前:名無し読者〜94 投稿日:2002年05月12日(日)23時29分00秒
最初の一言思い出しました^^そう言えば言ってましたよね。
自分もヤグヲタなんで(w
いつも楽しんでますんで、仕事が大変そうですが、これからも頑張って下さいね〜

先週のANNでもやぐごまが…(w(メール欄は前のANN)
やぐち「新曲のごっちんのPV見てると、ごっちんが可愛くってにやにやしちゃう」
しげる「あなた、同じメンバーですよ(w」
やぐち「あっ、ごめんごめん、気持ち悪いよね…」
こんなカンジだったと思います。最後の言葉矢口のキャラじゃない…
松浦LOVEはいつも言ってますが(w

長々スミマセンでしたm(_)m
108 名前:りょう 投稿日:2002年05月13日(月)02時07分11秒
>107 名無し読者〜94さま
     やぐのANN情報どうもありがとうですはあとはあと
     なんだぁやぐごま萌えですなぁやっぱりワタクシ。
     今日は一日暇すぎたので過去のビデオを見直してました。
     ごまがなっちとやぐと仲良くしてるシーン(吉とかが入る前)
     を見てこの3人はやっぱ良いなぁ次はコレだ!!って思っちゃいました。
     ビデオが劣化するまえにパソコンに落とそうと、今日は大変でした。

     と、いうわけで(←なにが?)
     つぎは初カップリングありです(w
     お口に合うかわかりませんが良かったらどうぞ!
     宣言通り−幸せの素−くらいの長さです。
     もう全部書き終わったので毎日更新目標です!
109 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時10分03秒



ピンポーン♪



「ハイ。」

「あっ梨華ちゃん?吉澤だけど。」

「あっちょっと待ってね。」


タタタタタ

少し急ぐように走ってくるのが分かった。



カチャ

「いらっしゃい。」

「悪いけど今日も泊めてくれるかなぁ?」

「良いよ。もう終電ないもんね。入って。」


「ありがと。」
110 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時11分17秒
深夜訪ねてきたのは梨華と中学時代仲の良かった後輩、吉澤ひとみだった。

上下関係がほとんどない中学校だったため、あだ名で呼び合うことは普通だった。

吉澤は週末になると学校帰りに遊びに行き、駅のトイレで着替えて終電がなくなっても

遊び相手がいなくなるまで遊び続けた。

終電がなくなると家まで帰れない吉澤はいつも遊びの帰り、近くに住む

(といっても30分は歩くのだが)梨華の家に泊まるのが習慣化していた。

 梨華は社会勉強にと一人暮らしをしていた。



「私、そろそろ寝ようかなって思ってたの。」

「そっか。それじゃあ勝手にお風呂とか借りるね。朝になったら始発で帰るから

 気にしないで。おやすみ、梨華ちゃん。」
111 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時12分13秒


「・・・別に急いで帰らなくても良いのに・・・。たまにはゆっくりしてってよ。」


「そういう訳にも行かないよ。せっかく休みなんだから一人の方が

 のんびり出来るでしょう?」





「・・・おやすみ。」

「んーおやすみ。」





この吉澤は毎週泊まりに来るが別に梨華と恋仲にあるというわけでは無かった。

中学時代からモテモテの吉澤はひとりの人に絞る事をせずに、いつも誰かと噂があった。

吉澤にとって梨華は、ただの先輩であり、そしてただの宿主だった。

しかし梨華は中学時代からずっと吉澤のことが好きで、高校生になった今

こうやって泊まりに来てくれることが自分だけの特権のような気がして

すごく嬉しかった。たとえ吉澤にその気がなくても。
112 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時13分49秒

月曜日――


「おはよ!アゴン。」

「おはよ〜ポチ・・。」

「なにぃ?また元気ないじゃん。休みの間になんかあった?」




「・・・う〜ん・・」

「『ひとみちゃん』ってやつ?また来たわけ?」



「・・うん。」

「なんかあった?」



「ないけど・・・ないから・・悲しいの。」

「そんなに良いの?」

「え?何が?」


「その『ひとみちゃん』って子。だって梨華ちゃんずっと片想いしてるわけでしょ?」



「良いっていうか・・もう何もかもが好きなの。」

「ふ〜ん・・・毎週来るんだっけ?」

「そう。夜中来て明け方帰るの。」



「・・・大変だなぁ・・!そうだ、今度矢口も泊まらせてよ。どんな子か見たいし。」



「え?まりっぺが?・・・誘惑したら駄目だよ?」

「ばーか!するわけないっしょ?!親友の好きな人とったりしませーん!!」


「なら・・良いよ。」

「やったね♪」
113 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時15分05秒
そして週末

今日も来るだろうと思い、眠かった梨華はコーヒーを飲んで頑張って起きていた。

今日は矢口は別の子の家に遊びに行っているため梨華の家にはいなかった。



(ひとみちゃん遅いなぁ・・・今日・・・来ないのかなあ?)


時刻はもう夜中の2時

いつもは遅くても1時前には来るのだ。

諦めて寝ようとした梨華だったが、布団に入る直前にインターホンが鳴った。



(ひとみちゃんだ!!)

梨華は大急ぎで玄関へと走って行き、確認もせずにドアを開けた。


―――そこには顔を赤らめて眠そうにする吉澤の姿があった。



「おっす・・梨華ちゃん・・今日もろめてくれるかなあ〜・・ひっく・・うぃ・・」

「お酒飲んだの?!」


「飲んでらいよほ〜・・・えへへへへ」

(飲んでるじゃない!お酒臭いもん。高校生なのにひとみちゃんったら!)
114 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時16分16秒

「・・入ってもイイ?」


「あっごめんこんな所で。」

梨華が家へと招き入れた瞬間吉澤は梨華に抱きついた。



「――ひとみちゃん?!」


「・・ん〜・・あったかあいはあとはあと梨華ちゃんの匂いがする。」


「ちょちょっと!お水持ってくるから」

梨華とて抱きつかれて嬉しくないはずはないのだが、恥ずかしさの方が強く、

抱きついた吉澤を離す様に逃れるように遠ざけた。すると吉澤は急に拗ねたように

その場にしゃがみこんで梨華に文句を言った。





「なんだよ〜吉澤が抱きつくのそんなにいやかよお〜そんなに急いで離れるなんてさ」

「ちっ違うよお!酔ってるみたいだったからお水早く欲しいかなって思って・・」


「ふん・・・どうせ吉澤はお酒臭いですよ・・・どうせヤな客ですよ・・・」
115 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時17分50秒

珍しく吉澤がネガティブなことを言うので梨華は慌てて吉澤の前に同じように

しゃがみ込むと自分から抱きついて見せた。



「・・・これなら良い?ヤな客なんて思ったことないよ?」

「・・・」

「ひとみちゃん?」


「梨華ちゃん、こっち向いて。」


「?」

吉澤に言われて顔を向けた梨華――


「んん?!」







「・・えへ。梨華ちゃんのキスも〜らいっ♪」

顔を向けさせた瞬間吉澤は梨華の唇を奪った。


「な、な、な、なに?」

「なにってキス。梨華ちゃん可愛いからついしちゃったはあとはあと


「そんな・・・付き合ってもないのに・・」

「じゃあ付き合おう〜それなら良いよね〜」

ニコっっと笑顔で言う吉澤に梨華はノックアウトされた。

しばらく混乱する頭を抱えていろいろと考えていると吉澤は梨華に

もたれかかったままその場で寝てしまった。
116 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時19分13秒
朝――


「・・ん・・・ふ・・ふわぁ〜」

起き上がり背伸びをする吉澤。


「あ、いてててて・・・昨日お酒飲んだっけ?ここ――梨華ちゃんちか・・。」

もぞもぞと布団から出て帰る支度をする吉澤をじっと見つめる姿があった。


「・・・ひとみちゃん・・・」

「ううわあっ!!び、びっくりした!もう起きてたの?」


「・・・眠れなくて。」

「どうして?吉澤いびきとかしてた?」


「してないよ。・・・あのね・・・昨日の夜のことって覚えてる?」


「昨日の夜?――――――あ、ああ覚えてるよ!もちろんじゃんか。」

「じゃあほんとなの?!信じられないよ・・・夢じゃないの?」


「(何がだよ〜全然覚えてないって!)う、うん。」


「・・えへへ・・じゃあこれから宜しくね!あっ朝ごはんくらい食べていってよ。」

「え?悪いから良いよ。まだ早いし眠ってて。」

「良いから良いから!座ってて!」


「う?う、うん、ありがと」

そしてしっかりと朝食を頂いて吉澤は帰って行った。
117 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時20分24秒
(なんか・・梨華ちゃん変だったな・・・昨日何話したんだろ。覚えてないけど

 ・・どうせ遊ぶ約束とかそんなのかな・・・まぁ良いやどうでも。)



吉澤を見送った梨華は嬉しさのあまり大声で叫んでいた。









「まりっぺ!まりっぺ聞いて!ひとみちゃんと付き合うことになったの!」

「えーーー?!ウソオ?!どうやったら急にそんなことなるの?」

「それがね――」







「へぇ〜『ひとみちゃん』の方からねぇ・・・・良かったじゃんか。」


「うん!今すっごく幸せ。」

今まで見たこともないような顔でニコニコと嬉しそうに話す梨華を見て

矢口は羨ましく思った。



(・・矢口もそろそろ恋人つくろっかな・・)
118 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時21分31秒
そして夕方、バイト先へと向かう矢口はぎゅうぎゅう詰めの電車に

潰されそうになりながら乗っていた。といってもドア側なのでマシはマシなのだが。



(うぐぐぐぐ・・つ、つぶれる・・矢口ちっちゃいからやばいよお〜うわ〜ん)


矢口が弱い力で押し寄せる人の波に対抗していると急カーブに差し掛かり、

とても対抗できるような状態じゃなくなった。

つぶれるっ―――と思ったが矢口は特に潰されたわけでもなく先ほどと

変わらなかった・・・というよりは先ほどよりも少し間が出来てマシになっていた。



(あれれ?絶対つぶされると思ったのに・・・)


矢口は自分を挟むようにして突き出されている腕に気がついて顔を上げた。
119 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時22分38秒

するとその人物と目が合い、ニコっと微笑んできたのだった。


(あっ・・かばってくれてるんだ・・この子・・)

矢口は小さくペコっとお礼をしてまた俯いた。



それから15分ほどそのままの状態でかばわれながら電車は進み、

矢口の降りる駅になった。



「あの、どうもありがとうございました。」

「ううん。つぶされちゃいそうだったから。私力あるから。」


「・・ほんとにどうもありがとう。」



そして矢口は電車を下りた。
120 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)02時23分33秒
次の日――


「おはよ〜ポチ♪」

「おはよ・・・梨華ちゃん。」

「あれ?アゴンじゃないの?」


「ああ・・アゴンおはよ。」

「もーどうしたの?おかしいよまりっぺ。」


「どうもしないけど・・・今時親切な人いるんだなぁと思ってね。」

「どゆこと?」

「あのね――」









「へぇぇぇ!ほんとに親切だねその子。まりっぺ好きになったんじゃない?」

「え?ば、ばか言わないでよ!ちょっとしか見てないしちょっとしか

 話してないのにっ。そんなの違うよ!」



「どうかなぁ〜また会ったらどうかわかんないよ?その子だってまりっぺを

 気にいったから助けてくれたかもしれないし。」



「違うってば!もう終わり!この話ナシ!」
121 名前:りょう 投稿日:2002年05月13日(月)02時28分46秒
(〜^◇^)<この話ナシ!!

とやぐが言ってしまったのでもう寝ます(w

ここまでの登場人物は・・・( ^▽^)(〜^◇^〜)(^〜^ 0)ですね。

レス頂ける方がいらしゃってなおかつ一個前のやぐごまを読んでくれた方が
いらっしゃればそっちの感想欲しいです。ついでで結構ですので。
気がむいたら宜しくです。
では、おやすみなさあいはあとはあと
122 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月13日(月)03時55分23秒
読ませていただきましたよー!!
『いつか・・・』は俺としては、もっと続きが読みたいなと思います。
ぜひ、機会があったらよろしくです。
『幸せ・・・』もいいですね。
特に酔っ払って覚えてない吉は・・・(w
そして、大喜びしてる石も・・・(w
やっぱ、やぐをかばったのはあの人ですよね?
123 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)06時47分51秒
りょうさんの筆の速さは神業ですね。
いつも楽しませて頂いてありがたい限りです。
リアルもののやぐごま、今後の2人の甘い展開(続き)がみたく
なっちゃいました。
新作の方の初カップリングって?
続き楽しみです。
124 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)12時38分52秒
いや・・・初カップリングっていうくらいだから
やぐごまじゃない予感・・・。
やぐをかばった人も気になるけど
吉の本音も気になります。
今日も更新あったら良いな(w
125 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月13日(月)15時55分04秒
『やぐかお』ですね?お待ちしてました!
126 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月13日(月)17時52分48秒
やっと一気に読みました!遅くてスマソ!
幸せの素…すごくよかったっすよ。やぐの気持ちが痛くて切なくって、
同時に、やぐのことを考えて離れたごま。今後の二人も読みたいのですが、
個人的には、梨華ちゃんが次にどこに行ったのか?すごく気になります。
幸せになろう…ジゴロな吉ですな。続きが楽しみです。
しかし、りょうさんの更新の早さにはびっくりします。(感動)
がんがってくださいね。
127 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時46分20秒
そして週末


ピンポーン♪


「はーい」


「あ、吉澤だけど。」
「待ってね〜」

カチャ


「いらっしゃい!」


「お邪魔します。」


吉澤にお茶を出して深夜番組などを見ながらご〜ろごろしていると吉澤が話しだした。


「梨華ちゃん今日はまだ寝ないの?いつもなら寝る時間じゃないの?」


「ん?そう?別に眠くないし・・・それより何かお話してよ〜」

「お話?なんの?」

「ひとみちゃんの日常のお話はあとはあと


「う〜ん・・・これといって大した日常じゃないから・・・あっ!そうそう

 こないだすっごく可愛い子見たよ!」



「可愛い子?!」

「そう。ち〜っちゃくてなんか妙に色気のある子だったよ。可愛かったなぁ・・」


頬を少しだけ赤らめて話す吉澤に梨華はもちろん拗ねた。
128 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時47分45秒
「私は可愛くない・・・?」

「え?な〜に言ってんの!梨華ちゃんは充分可愛いよお〜」


「ほんと?」

「ほんと!」


「なら・・良かった。」

「急に変なこと言わないでよ〜」


「ごめんごめん。」





そして数週間が経ち・・・・

何も進展がないまま、今までと何も変わらない状態のままの自分たちに

梨華は悲しくなった。




「まりっぺ・・・私って色気ないかなあ?」

「へっ?なに言ってんの?」


「だって・・・ひとみちゃんと付き合ってるのにひとみちゃんあれから一度も

 キスとかしてくれないんだよ?」


「そうなの?!・・なんか問題あるのかな・・・あっ分かった!服装だよ服装!」


「服装?」

「そう!どうせいつもピンクでしょ?」


「どうせって・・・そうだけど・・・だって好きなんだもん。」
129 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時48分33秒

「駄目だよお〜梨華ちゃんはピンク似合うし可愛いけどいつも一緒じゃ駄目。

 たまには大人っぽい服も着なきゃ。」



「大人っぽい服?」

「そう。ひとつ位持ってるでしょ。」




「・・・そっか・・服装かぁ・・」


なにやら気合を入れた梨華は週末に向けて服選びに熱中した。




そして週末

自分が持っている服のなかで一番露出の激しい服を選び、なおかつ髪の毛を

アップにして吉澤が来るのを待っていた。



(今日こそはキスくらいしてくれるかなぁ・・・)






今日も遅いらしく時刻は2時を過ぎていた。


(またお酒飲んでるパターンかな・・)
130 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時50分16秒
ピンポーン♪

(来たあはあとはあと


「はーい」

梨華は鏡で髪の毛や服装などを素早くチェックをすると急いで玄関へと向かった。



カチャ

「いらっしゃーいはあとはあと・・・あれ?」





「・・・こんばんは。」


「あ、あれ?どちらさまですかあ?」

(ひとみちゃんかと思ってたのに・・恥ずかしいよお〜)


梨華が顔を赤くして俯いていると訪問者は話しだした。



「あの・・・ヨシコ、弱いくせに飲んじゃって・・・潰れちゃって・・・

 どうやって帰るのって聞いたらここの住所言ったから・・」
131 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時51分45秒
「え?ヨシコ?ひとみちゃんのこと?」


「あ、そうだよ。」

「ひとみちゃんはどこに居るの?」

「外。もたれかかって潰れてる。」


「えー!!運んで来てくれたの?ごめんね、迷惑かけて。」

梨華は外に居る吉澤の所へ向かうと起き上がらせて部屋に入れようとした。




「手伝うよ。」




「・・・ありがと。」


吉澤を取りあえずベッドまで運んだふたり

少しすると沈黙が訪れた。


「・・あの・・ほんとにどうもありがとう。」

「気にしないで。ヨシコにもお世話になるときあるし。・・・・じゃあ・

 そろそろ帰るね。」


「あっ・・うん。」

少女が立って出て行こうとした時、寝室で眠っているはずの吉澤が何かを言った。
132 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時52分39秒
「なに?」

梨華が寄っていくと、


「ごっちん、ごっちんも泊まっていきなよ・・・。」

(ひとみちゃん?!)



「あー・・・良いよ後藤は帰るから。」

「なんで・・・良いじゃん一緒に寝れば。良いよね?梨華ちゃん。」



「う・・うん。えと・・・」

「後藤真希。ガッコの友達。」



「後藤さんもここ使って良いから泊まって行って。」

「や、ほんと悪いし。」




「何が悪いの?さっきからさぁ。」

きょとんとした顔をする吉澤の傍に後藤は寄って行った。

梨華は吉澤のお水を用意しに台所へと行っていた。
133 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時53分49秒
「だって・・・あの子・・」


「梨華ちゃん?」

「そう、その『梨華ちゃん』に悪いじゃん。」

「なんで?」



「え?だってふたりデキてるんでしょ?今の彼女じゃないの?」


「はあ?!んな訳ないじゃん。梨華ちゃんは中学校で仲良かった先輩だよ。

 付き合ってなんかないよ。」



「そうなの?!じゃあ後藤狙って良い??」

「え?ごっちん梨華ちゃんみたいな子タイプ?」

「うん!顔も好みだし声も可愛いじゃんか!すごく色っぽいしさぁ・・・」



「色っぽい・・?」

今日の服装を見ていない吉澤は、普段の梨華を想像した。可愛いは分かっても

色っぽいとはとても考えられなかった。



「なら頑張りなよ。梨華ちゃん恋人居ないみたいだし。」

「うん!アタックしまくる!応援してね!」

「おっけー。じゃあもう寝るから。」



「うん。じゃあ後藤は梨華ちゃんと愛の語らいなんぞを・・・」
134 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時55分41秒
カチャ

「あっ後藤さん、ひとみちゃんどう?」

「もう寝ちゃったよ。お水も必要なかったみたいだね。」


「そっかー・・・寝ちゃったんだ。・・・後藤さんは酔ってないの?」

「後藤は飲まなかったから。ね、ちょっと話しない?」


「話?」

「そう。」

「何を」



「――たとえば・・・梨華ちゃんの日常のこととか・・・どんな子か聞かせてよ」

「えー?そんなのわかんないよ。そんなことより後藤さんもいつも夜遊びしてるの?

 ひとみちゃんとどういう関係?」


「ヨシコ?ヨシコとは高校に入った時からずっと同じクラスで気が合ってさぁ〜

 なんでも話せる友達だよ。一番仲良いかな。」



「そっか・・・。一番なんだ・・」




「・・・でもこれからは梨華ちゃんと仲良くしたいな♪」
135 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時58分02秒
「え?」

「梨華ちゃんは後藤みたいなの駄目?後藤は梨華ちゃんと仲良くしたい」

面と向かって『仲良くしたい』なんて言う人は今まで居なかったので

梨華は妙に照れくさかった。




「・・駄目じゃないよ。でも口に出されると照れるよ」

顔を赤くして俯く梨華を見て後藤は抱きついた。



「ごっ後藤さん?!」

「梨華ちゃん可愛いね〜後藤好きになっちゃったはあとはあと

(な、なに言ってるの?それになんで抱きついてるの?)



「梨華ちゃんと付き合いたいなぁ・・・」






「ごめんなさい・・・」


「他に好きな人とか居る?」

抱きついていた体を少し離して見つめるように後藤が言った。
136 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月13日(月)23時59分51秒

「・・・うん。付き合ってる人居るし。」



「うそお?!ヨシコ居ないってさっき言ってたのに・・・ウソついたな〜ヨシコめ!!」


(え・・・今なんて・・・ひとみちゃんが居ないって言ったって?)

「ひとみちゃんなんて言ったの?」



「・・梨華ちゃん好きになったからアタックするけど良いかって聞いたら

『恋人居ないみたいだし良いんじゃない』って・・・騙されたあ〜!!!!

 でも、でも諦めないよ後藤。梨華ちゃんを振り向かせられるように頑張るから。」



既に後藤の言葉は耳に入っていなかった梨華。



いくら話しかけても反応の薄い梨華に、いつしか後藤も眠くなり、

吉澤の眠るベッドに寝に行った。
137 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)00時01分43秒
梨華はというと――


今までのことを思い返していた。




(今まで付き合ってたって思ってたの・・・・私の勘違いだったの?)





(毎週毎週泊まりに来てくれて・・・・頼ってくれて・・・・勘違い?)




(キスしてくれたじゃない・・・付き合おうって・・・・・言ったよね?)






(でも・・・あの時も酔ってたよねひとみちゃん・・・ほんとは覚えてなんか
 
 なかったの?)






(そういえば・・・付き合ってるのに一度も好きって言ってくれなかった・・・・

 勘違いだったんだね・・・私の・・・・)




中学時代から想っていた自分と、自分に接してくれた吉澤のことを考えると

涙が止まらなかった。

自分だけの思い込み、勘違い、一人で舞い上がっていたことを恥ずかしく思い、

叶わぬ恋だったと分かったことがすごく辛かった。悲しかった。切なかった。





梨華はいつまでも泣き続けた。
138 名前:りょう 投稿日:2002年05月14日(火)00時14分15秒
( ´ Д`)<ごとーは梨華ちゃんが好きなの・・・・

――ということで、初カップリングはいしごまでした。


>122 ロ〜リ〜さま
     レスどうもです。『いつか・・』はジャブなのです(w
     次回長編を書く場合(リクをちっちゃな〜で頂いたので)
     リアルやぐごまに挑戦しようかなぁと!

>123 名無し読者さま
     筆の速さ・・・思いついて一気に書くので穴だらけ突っ込みどころだらけ(w
     更新全然してないところもありますよ。すいません。
     楽しんで頂いて嬉しい限りです。ありがとうです!
139 名前:りょう 投稿日:2002年05月14日(火)00時18分25秒
( 〜^◇^)<よっし!たまには別の子で我慢するか・・・お互いね。
             
                 我慢してないけど・・・>(´ Д ` )


>124 名無し読者さま
     そうです・・・やぐごまじゃないのです・・・
     一緒に出てるのに別々とは実際書いてて少し悲しかったりします。
     
>125 名無し読者さま
     ごめんなさい・・・『やぐかお』じゃ無かったんです・・いしごまでした。
     『やぐいし』も『やぐかお』も覚えてますので!!
     そしてやぐごまの呼び方、しまったー!!!って感じで
     教えて頂いてありがとうございました。
     いやあ〜うっかりしてました。←なんも考えてなかったです(w

>126 よすこ大好き読者。さま
     『幸せの素』の続きですか?おもしろそうですね。
     余ったら書いてみます。
     このスレは色々かけて楽しいです。
     
     皆さん!色んなご意見どうもありがとうございました。
     すっごく助かりました。
     ではまた明日!!←多分。
140 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月14日(火)00時53分21秒
いしごまいいですなあ。ごっちん頑張れ!!
よしこはあまりにもひどいんでないかい?
酔っていたとは言ってもなあ。梨華たんがごっちんを好きになることを
祈っています。更新楽しみに待っています。
141 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)21時06分40秒
オー!いしごま!
初ですね。
更新楽しみに待ってます。
142 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)21時59分23秒
いしごまー!(w
ごっちんがんば!梨華ちゃんを慰めてあげてくれぇえ

がんがってください(w
143 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)22時58分56秒
朝方――吉澤と後藤が寝ている間に梨華はメモを残して出て行った。


『  ひとみちゃんたちへ

   今日はちょっと遊ぶ約束あるから出かけます。
   カギはポストの中に入れておいて。
   適当にご飯とか食べていいからね。

                    梨華』



朝早くに出た梨華は、もちろん遊ぶ約束などしておらず、しばらくコンビニで

時間をつぶした。



そして10時頃、梨華は矢口を呼び出して公園で昨日のことを話していた。



「―だからねっだから全部私の勘違いだったの・・・ずっと付き合ってるって

 思ってたのは私だけで・・・・ひとみちゃんはなんとも思ってなかったの。」




「・・・でもあっちから付き合おうって言われたんでしょ?」





「・・・酔ってたからその時。覚えてなかったみたい。」
144 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時00分47秒
「なんだよそれっ!最悪じゃんかその子!許せないよ矢口。それに何?後藤だっけ?

 その子も何言ってんの?梨華ちゃんが『ひとみちゃん』のこと好きなの

 分かっただろうに自分勝手なことして!!!」





「・・・後藤さんは気付かなかったみたい。私が好きだってこと・・・」




「・・・・梨華ちゃんが許しても矢口許さないよ!来週もどうせ来るでしょ?!

 今度は矢口も泊まる!!ビシッ!と言ってあげる!!」



「えっ・・・良いよおまりっぺ・・・そりゃ・・・悲しかったけど・・・

 どうしようもないもん。これだけ長いこと一緒に居てさぁ・・・

 何も想われてなかったらもう諦めろってことなんだよ・・・仕方ないよ。」


「でも梨華ちゃん――」


「ひとみちゃん覚えてない・・・っていうか最初からそんな気なかったんだもん、

 責められないよ。確認しなかった私も悪いし・・・」






「・・・でも泊まりに行く。1回顔拝みたい!!」
145 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時01分56秒

「・・・責めないって約束してくれる?」

「約束する!(わけないでしょ〜?!許さないよ。)」




「ごめんね、せっかく休みなのに呼び出したりなんかして・・・寝てたでしょ?」

「良いの良いの。梨華ちゃんと矢口の仲でしょ?いつでも呼んでよ。」

「ありがとう。聞いてもらったら少しスッキリした。」




『梨華ちゃんへ

    昨日は泊めてくれてありがと。
    ごっちんと朝ごはん頂きました。
    またね
               
               10:30 吉澤』




スッキリした

――といってもやはりずっと好きだった吉澤のことを昨日の今日で忘れられるはずも

諦められるはずも無かった梨華は家に帰ってもやはり泣いていた。








(ひとみちゃん・・・・好きだよ・・・)



146 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時03分17秒

矢口は梨華を家まで送って別れたあと、そばのコンビニに寄った


最近ハマッている飲み物『飲茶楼』。それを買うために入った。





「んしょ・・・んしょ・・・・・・・むっかーー!!!届かないってのあんなの!」


普通の人ならば届く位置にあるはずのそれは、矢口にとって背伸びをしても

わずかに届かない位置となっていた。コンビニはここ以外にもあるが

『飲茶楼』はこの辺りではここしか売ってなかったのだ。

なんとしてでも欲しい矢口は縁に乗っかって(なんて客だ)、取った。




(えへへ・・・これでヨシ!!)

ニカっと笑って降りたが、矢口はバランスを崩してしまった。




「わぁっ!!!」
147 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時04分47秒
転んじゃう!!矢口がそう思った瞬間だった。

ヒシッ

・・・と矢口は誰かに抱きとめられたのだった。


「――え?」





「・・ふぅ・・危なかったね。大丈夫だった?」

「あっありがとうございました。」

「今度からは店員さんに言った方が良いよ。」


矢口は助けてくれた人にちゃんとお礼を言うべく振り返った。



「あ――あなた・・」

「あれ?こないだの・・・電車で一緒だった子だよね?」


「あ、はい。あの時はどうもありがとうございました。今日も助けてもらって・・・」

「ははっなんか縁でもあるのかもね。この辺に住んでるの?」


「ううん。友達が住んでるけど・・・。」

「そっか、――」




「ヨシコ〜そろそろ帰ろ〜」

「あっうんごめん今行くー また会えたら良いね。」





(・・・やっぱ良いかも・・・)

矢口はポっと頬を赤らめて少女の後姿を見送っていた。
148 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時06分32秒
「ヨシコ、今の誰?友達?」

「へ?ああ違うよ。ちょっと知ってる人。なんで?」



「いや・・・ヨシコ楽しそうだったからさ。」


「ふふふっ実は・・・好きかなぁなんてはあとはあと

「はあ?!ヨシコが?!冗談でしょ。」

「冗談ってなんでよ。」




「だってヨシコ今まで色んな子と噂あったけどどれもヨシコから好きになったんじゃ

 ないっしょ?それなのにヨシコの口から好きなんてさぁ!!」





「・・・それはそうだね。今までの私ってさぁ結構いい加減だったと思うんだよね。

 適当に遊んで適当に暮らして適当にヤって・・・でもさっきの人はさ、そういう風に

 扱えないって感じたんだ。知り合ったばっかで全然知らないしどこに住んでるのか

 いくつなのか何をしてるのか・・・何も分からないけど・・・また会えたら

 私は変われると思うんだ。・・・・・・・・・まぁ本音はごっちんと一緒で

 一目惚れなんだけどねはあとはあと
149 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時07分50秒
「ふ〜ん・・・・ヨシコがねぇ・・ま、ちらっと見た感じ後藤も可愛いって思ったけど。」


「あっ昨日梨華ちゃんが良いって言ったクセに!」



「後藤は梨華ちゃんだけだよ!ヨシコみたいに色んな子と遊ばないもん。

 梨華ちゃんと付き合えるように頑張るから!そうだ!!それに梨華ちゃん

 付き合ってる人居るって言ってたよ?うそつきぃ!!」



「うそお?!あれーー?そんなはずないと思ったんだけど・・・そうなんだ。

 ま、ごっちんも頑張ってよ。」



「うん。というわけなので来週も後藤は着いて行きます。」




「別に良いけどね。」
150 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時09分00秒
そして週末―――

ピンポーン♪

「はーい」
「矢口だよ〜開けて〜」

カチャ
「どうぞ入って。」


矢口は居間のソファでご〜ろごろしながらテレビを見ながら吉澤が来るのを待った。

(来たら絶対に文句言ってやるんだから!!)




「梨華ちゃん、今日来るかな?」

「うん。多分1時には来ると思うよ。」

「そっか。でも寝るところ困るね。矢口も来ちゃったから」

「ひとみちゃんはどこでも寝るから。まりっぺベッド使ったら良いよ。」




そして学校でのことなど色々話しているとインターホンがなった。
151 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時11分11秒
「あっ来たみたい」


「待って梨華ちゃん。」

矢口は玄関に向かう梨華の腕を掴んで制した。


「矢口が出る。」

「え?」

「ここで待ってて。」





カチャ

「梨華ちゃ〜んはあとはあと

――という声とともにその訪問者はドアを開けた矢口に抱きついてきた。



「なっなっなにするのお?!離して!!」

「あ、あれ?・・あっ!梨華ちゃんじゃないや・・・・・・・・・ごめんなさい。」

矢口は、離れた訪問者をきつく睨みつけると言った。

「あんた、吉澤って子?あんたどういうつもり?梨華ちゃんのことどう思ってるわけ?

 好きじゃないんならもう来ないでくれるかな」

矢口はきつく言い放った。
152 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時12分27秒
「・・・・・私は吉澤じゃないけど梨華ちゃんのことは大好きだよ。」


「へ?吉澤じゃない?」


「私は後藤、吉澤はこっち」

そう言って後藤はドアで隠れて見えなかった吉澤を指差した。



「あんた――」

矢口がそれなら本人に――と顔を上げた時

ふたりはまたもや「あっ!!」となった。



「あんた・・あなたが・・・吉澤って子?」


「ハイ。あなたこそどうしてここに?」



「私は梨華ちゃんの――」




「いらっしゃい、ふたりとも。」

「あっ梨華ちゃあ〜んはあとはあと
153 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時13分35秒
「そんな所に居ないで入って。今日も泊まるんでしょ?」


「泊まるはあとはあと泊まるはあとはあと梨華ちゃんと寝るはあとはあと


「後藤さん・・・酔ってるの?」

「梨華ちゃんに酔ってるはあとはあと


恥ずかしい事をさらっと言う後藤にまたもや照れた梨華は何も言わずに居間に戻った。

後藤はくっつくように梨華のあとに続いた。





一方矢口と吉澤は――

お互いに見合ったまま、一歩も動かなかった。



(この子が吉澤?梨華ちゃんがずっと想ってきた『ひとみちゃん』なの?!

 矢口のこと助けてくれて・・・ちょっと気になってたこの子が・・・・うそでしょ?)




(はぁ〜まさか梨華ちゃんの友達だったとは・・・ついてるなあ私って♪

 今日はいっぱいしゃべらなきゃ♪・・・それにしてもなんでこんなに

 ジっと見られてるんだろ・・・?)



ふたり思うことは違ったが、お互いに気になっていることは確かだった。
154 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時15分03秒
お互いに声をかけられずにいると、居間の方で矢口たちを呼ぶ声がした。


「まりっぺにひとみちゃ〜ん早くおいでよ」



「「あっ・・うん。」」


矢口はすぐに梨華たちのところへと行った。



(ちっちゃくて可愛いなぁ・・・)

吉澤は矢口の後姿を見つめるようにしてからついていった。




「まりっぺ、この子は後藤真希ちゃん。ひとみちゃんの友達。」

「ども。さっきは梨華ちゃんと間違っちゃってごめんなさい。後藤は梨華ちゃんの

 恋人候補です!よろしく。」


「ちょ、ちょっと後藤さん?!」

「駄目?後藤じゃ駄目かなぁ?後藤こう見えても真面目だよ?浮気とかしないし

 大事にするよ?」





「・・・ごっちん・・・ふたりのときに言ってくれる?そんな事は。」



恥ずかしげもなく愛を語る後藤にその場に居た3人は皆驚いていた。
155 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時16分10秒
「あはっ ごめ〜ん!じゃあさ、今度っひとりで来るからさ、泊めてくれる?」


「えっ・・・と・・」

梨華が即答できずに困っていると矢口が口を出した。


「駄目だよちゃんと家に帰りなよ。梨華ちゃんだって早く寝たい時あるんだし。

 会うなとは言わないけど家に来たら駄目。」



「・・・どうしてあなたにそんなこと言われなきゃならないの?

 あなた梨華ちゃんのなに?」



「矢口は梨華ちゃんの親友だよ。梨華ちゃん・・・ううん女の子の家に夜中来るってのは

 良くないと思うよ?付き合ってるならまだしも・・・」



「ふ〜ん・・・矢口さんって頭固いね!後藤はそんなの気にならないけどな。

 でもこれから付き合うんだし大丈夫だよ。ね、梨華ちゃん。」





「私・・好きな人居るって言ったよね?」

「うん!でもそんなの関係ないもん。」



何を言っても聞く耳持たない後藤に矢口は呆れてしまった。

そして梨華も後藤のアタックから逃れる事が出来なかった。

吉澤はその光景を楽しそうに見ていた。
156 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時17分57秒
矢口はなにやら視線を感じ、吉澤のことを思い出して振り返った。


するとバチッと目が合い、吉澤が話しだした。



「・・矢口さんって言うの?」


「・・・そうだけど。」

「私は吉澤ひとみ。また会うなんてほんと縁あるよね。しかもふたりとも

 梨華ちゃんの友達だったなんて。」





「そ・・うだね。」


「下の名前なんていうの?」

「・・・真里。」

「真里かぁ〜似合ってて可愛いね!梨華ちゃんと同い年なんだね。年上だったんだ・・・」



「ちっちゃいから・・」

「でも可愛いよ。」


(なんか照れるぞ・・・梨華ちゃんが好きになったの分かるなぁ・・・口上手いなぁ・・・)



ニコニコしながら話す吉澤を見て後藤のアタックをまだ受け続けていた梨華が話しだした。
157 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時18分52秒

「ひとみちゃん、その子は同じクラスの友達で、矢口――」

「真里さんだね。」



「え?」

「さっき教えてもらったから。」


梨華に話しかけられながらも矢口から視線を外さない吉澤。


そんな吉澤を見て後藤が余計な事を言った。




「・・あっ?あああー!!そうだ!矢口さんってこないだのコンビニの人じゃん?

 そうでしょよしこ!好きかもって言ってたさぁ!!」


「ちょっとごっちん?!!」



「あっ・・・ごめ。」
158 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月14日(火)23時21分19秒


(好きかもって矢口のこと??)




(ひとみちゃんが好きなのはまりっぺ?!)





「えっと・・今ごっちんが言ったこと気にしないで。」

吉澤は頭を掻きながら少し照れくさそうに言っていた。



矢口と梨華は顔を合わせてお互いに目で語っていた。




(まりっぺ・・・ひとみちゃんのこと・・好き?)




(梨華ちゃん・・・矢口どうしよう・・・この子のこと好きかもしんない・・・

 文句のひとつでも言ってやろうと思ったけど・・・言えないよ・・・・この子には・・・)


梨華の想い人だとは知らなかった矢口。
2回ほどの出会いの間で心惹かれていたのだった。




それぞれの想いを胸に時は過ぎていった。


159 名前:りょう 投稿日:2002年05月14日(火)23時28分01秒
>140 いしごま防衛軍さま
     どうやらワタクシは石と吉を幸せにしたくないようなのです(w
     石が好きなパターンはいつもそうなります。
     この話はあまり長くないのでさらっと終わりそうな予感です。

>141 名無し読者さま
     はい、初です。色々挑戦中なのです。
     短編ならではですね。
     長編はやはりやぐごまになるのかなぁ。

>142 名無し読者さま
     ごっつぁんは石にベタ惚れのようです。
     梨華っちを慰めて救うことが出来るのか?!!←そんな内容濃くないから・・・。

     本日の更新でした。(←暇人?)
160 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月15日(水)00時05分07秒
やっぱ、いしごまでしょう。更新楽しみにしています。
ごっちん頑張れ!!
161 名前:125 投稿日:2002年05月15日(水)01時57分23秒
『いしごま』……
………………誤爆でしたね、逝ってきますッ!!
162 名前:名無し男 投稿日:2002年05月15日(水)16時45分17秒
これは偉い事になってまいりました(w
163 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月15日(水)17時54分32秒
すごく複雑になってきましたね。
ヤグはどーするのかな?
友情か恋か?
むずかしいっすね。
164 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月15日(水)21時24分21秒
何気に、やぐよし好きな私…。(笑
続きが楽しみです。
165 名前:145 投稿日:2002年05月15日(水)21時59分47秒
お久しぶりで〜す。
なんかめっちゃ面白いじゃないですか!
早く続きが読みたいっす!これからも頑張って下さいね!
166 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時45分58秒
そしてそれから1ヵ月

後藤は見ているほうが恥ずかしくなるくらいの勢いで梨華にアタックしまくっていた。

学校まで迎えに行き家にも遊びに行き・・・暇さえあれば、いや無理やり時間を

作ってでも後藤は梨華に会いに行った。



そうしているうちに梨華も徐々に後藤のことを最初ほど迷惑がらなくなっていた



初めは『どうせ冷やかしだ』とか『遊んでるっぽいもんね』とか思って

本気にしていなかった梨華だった。




帰り道にお茶をしているときの事――

梨華と後藤が喫茶店に居ると、ひとりの女子高生が声をかけてきた。



「ごっちんじゃん」



「・・・・あー・・・」
「友達?」


「そんな感じ。」
167 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時46分45秒
「そんな感じってなに〜?付き合ってなかったっけウチら〜」
「いつ付き合ったよ。」


「キスしてくれたじゃん。」

「あれは――(しなきゃ諦めないって言ったからでしょ?!)」





「・・・なんか立て込んでるみたいだし、帰るね」


「あっちょっと梨華ちゃん!!」

後藤の声を無視して梨華はさっさと出て行ったのだった。



後藤はもちろんすぐに追いかけようとしたが女子高生に止められた。


「――どきなよ。」

「今の子、好きなの?」

「だったら何?関係ないでしょあんたには」

「似合わないよごっちんにあんな子」




「・・・あんたより何倍も可愛いし誰よりも好きだね!二度と顔見せないで!!」

後藤は冷たく言い放ち、その場を後にした。
そして梨華の家へと向かった。
168 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時47分43秒
(なによ!!私のこと好きとか言ったクセにさ・・・誰とでもキスしちゃうような

 子だったんだ・・・そんな人だったんだ!!・・・・・・・私・・・・後藤さんのこと

 迷惑だって思ってたのに・・・・どうしてこんなにも腹が立つんだろ・・・・・?)



気付かない振りをしようとするが梨華はもうその理由に気がついていた。



そして家に帰った梨華は部屋の前でちっちゃく蹲りながら淋しそうに座っていた

後藤を見つけた。三角座りをして顔を俯けて座っていた。


哀愁を漂わせながら・・・




「・・後藤さん・・・」

「!!梨華ちゃん!!!誤解だからね?さっきの、さっきの誤解だからね?!」


後藤は泣きそうな顔で先ほどの出来事を弁解していた。

いつも自信に満ち溢れている後藤が泣きそうになっているのを見た梨華は

何故だか可笑しかった。思わず笑ってしまっていた。
169 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時48分38秒
「な、なんで笑ってるの?」


「だって・・・後藤さん必死なんだもん。」



「そりゃあそうだよ!さっきのアレ・・確かにキスはしちゃったけど・・

 告白されて断ったらキスしないと一生諦めないって言われて・・・

 仕方なくだったんだよ・・・だから・・・好きとかそんなじゃなくて・・・・

 ・・・・・・梨華ちゃんに会う前の話だし・・・」



必死に言葉を見つけながら話す後藤に梨華はもう素直になることにした。



「後藤さん、もう良いよ。」

「よかないよ!誤解したままでしょ?」


「ひとつ聞かせて?」



「・・なに?」

「後藤さんが一番好きなのは誰?」

「っ!梨華ちゃんに決まってるじゃんか!!」


「ふふっ・・それならもう良いよ。許してあげる。」
170 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時49分37秒
「えっ――ど、どういうこと?」




「私ね・・・ずっとひとみちゃんのこと好きだったの。」


「ヨシコ?!」

「ほんとに気づいてなかったんだね・・・」


「だ、だってヨシコそんなこと一言も・・・」

「うん。私が一方的に好きだっただけだから。ひとみちゃんにその気がないって

 分かったあともずっと・・・最近までまだ好きだったの。

 ううん好きだと思いたかった。でも今日分かったよ。」



「――なにが?」



「私・・・もう吹っ切れてるんだ。ひとみちゃんのこと・・・もう恋愛感情ないって

 分かったの。」



「どうして急に・・・」

「後藤さんが気付かせてくれたんだよ?」
171 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時50分36秒
「後藤が?!」


「正直、初めは後藤さんのこと迷惑だなぁって思ったときもあったの。

 でも毎日毎日会っているうちに頭の中がいつも後藤さんでいっぱいで・・・

 いつのまにかひとみちゃんの居るスペースは無くなってたの。」


「じゃあ後藤のこと・・」



「・・・うん。好きだって気付いたの。・・・だから・・・」

「じゃあ付き合ってくれるの??」









「付き合って欲しいです・・・・。」

その一言を聞いた瞬間後藤は大きな喜びの声と共に大ジャンプをして梨華に

飛びついて抱きしめた。



「ご、後藤さん!!苦しいよ!!」

「あ、あ、ごめん、嬉しくってつい・・・」
172 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時51分48秒
「私・・・やきもち焼きだから・・・大変かもしれないよ?」

「だいじょーぶ!!後藤は梨華ちゃんしか見ないから!!!

 だから梨華ちゃんも・・・その・・・・あの・・・えっと・・」


「後藤さんだけ見るから。」


「うん!!」

そしてまたきつく梨華に抱きついた後藤。


嬉しくなると抱きつくのがクセのようだ。



次の日はお互いに学校があったが、ふたりは朝まで色んなこと、

これからのことを話した。
173 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時52分47秒

「おはよ〜ポチはあとはあと
「おっおはよっアゴン!!」

「?そわそわしてどうしたの?」



「えっ・・・なななんんでもないよ!!」

「何かあるって顔にしか見えないけど?」

「もう席につきなよ!!」
(どうしよう・・・どうしたら良いの?)


「変なまりっぺ・・・あっそうだ!後で報告あるんだ」

「ほ、報告?ど、どんな?」

「それは後のお楽しみはあとはあと
174 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時54分18秒
梨華の家で会った日から、吉澤と会うことが何故か多くなった矢口

電車では一緒の場合は助けてもらい、バイト先にも吉澤は来たのだ。

そうしているうちに吉澤と矢口は携帯番号などを交換し合い、序々に仲良くなっていった。




いつも優しい表情で矢口を見る吉澤の目が矢口は大好きだった。

『あの子は梨華ちゃんが好きな人』『矢口が好きになっちゃイケナイ人』

そう自分に言い聞かせてこれ以上惹かれないようにと必死だった。



矢口の行くとこ居るとこに何故だか吉澤は良く現れた。


それもそのはず、吉澤には矢口と同じ学校に通う従姉妹、柴田あゆみが居て、

矢口のことを色々と教えてもらっていたのだった。梨華に聞こうかとも最初は

考えたが後藤に怒られそうだったのであゆみにしたのだった。



そんなわけで吉澤は矢口の目に入る位置に良く姿を現したのだった。

直接的なあからさまな接触はしないもののメールでは少し違っていた。
175 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時55分17秒
『矢口さんて恋人居ないんだよね?』


「居ないけど・・・悪い?!」

『違うよお〜居たらヤダなぁって思ったからだよ。』



「居たらヤダ?って・・どうして?」




『・・・そういうことだよ。』

「そうだ昨日矢口さぁ――」




なんのことだか気付いている矢口だが気付くわけにはいかなかった。

自分はこの子と付き合うことは出来ない、親友を裏切るわけには行かない、

だから・・・この想いは隠し通すしかないんだ。そう決めていた。


矢口は、自分も吉澤が好きだし、多分・・・いや間違いなく吉澤も自分を

好きでいてくれてるということに初めから気がついていた。



そしてまた吉澤は、矢口が何かに遠慮をしているのを感じ取っており、

それ以上突っ込むことをせずに矢口への想いを育てて行った。







お互いに好きだが言えない、そんなふたりにも変化の時は訪れるのだった。
176 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時56分42秒
或る日矢口がいつものようにバイトをしていると――


『スマイル下さい!』とベタな注文をするお客が居た。

吉澤はちょうど店に来たところだった。



矢口も『マジかい?!』と思ったが仕事だし仕方が無いのでスマイルをあげた。


そのお客は『やったはあとはあとお姉ちゃん可愛いねぇ!今日終わるの何時?

終わったらさ、遊びに行かない?お礼にどこでも連れてってあげるよ?』と言った。

矢口は頭の中で『キショッ』と連発していたが顔に出すことはせずにその場は

上手く交わした。


その一部始終見ていた吉澤はその客をつけていってブッコロス!!と思ったが

矢口がまず心配になったのでそれはヤメタ。もちろんコロスはずないのだが。


「いらしゃいませ」

矢口は何事も無かったように吉澤の接客をした。


「大丈夫?」

心配になって聞いた吉澤だったが『たまにあるんだよねああいうの』と

返されたのでその後はもう何も言わなかった。
177 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時57分49秒
今日矢口は19時まで。あと30分。

それを知っていた吉澤は少し勉強をしながら矢口を待っていた。

注文をしたときに矢口に一緒に帰ろうよと約束していたのだった。




時刻は19時20分

遅いなぁ・・・とカウンターを見た吉澤。


そこには矢口の姿は無かった。
(今・・・替え中かな・・)


吉澤は店員に矢口さんはもう終わったんですか?と聞きに行った。

返って来た返事は、『時間通りに裏口から出ましたよ?』ということだった。


(そんなバカな!!)

裏口から出るのはいつものことだが終わったらすぐに来てくれる矢口。

いつも約束を守ってくれる矢口だったので不思議に思った吉澤は、

先ほどの客のことを思い出した。

そして悪い考えが浮かんだので慌てて荷物を片付けると急いで店を出た。
178 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)00時58分51秒


「ちょっと!困ります!!やめて下さい!!」

(矢口さんの声だ!!!)



吉澤が慌てて声のするほうに行くと先ほど浮かんだ想像通り矢口が先ほどの客に

言い寄られているところだった。



「いいじゃないのお〜お姉ちゃんだって暇でしょ?お姉ちゃんのスマイル良かったよお〜

 僕だけに見せてよ!ね!遊びに行こう!」



「だからさっきのは仕事ですってば!!離して下さい!!」

矢口の抵抗空しくまさに今車にひっぱりこまれようとしたときだった。



「なにやってんの?!」

吉澤が男の後ろでそう叫んだ



「ああ?!なんだお前!」

「その人に何する気?」

「なんでも良いだろ〜お前には関係――」


ボスッ!


男が話し終える前に吉澤は男にボディーブローを食らわした。
179 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)01時00分00秒

「・・っぐ!!」

「あんた、この人はね、あんたなんかが手ぇ出せるような人じゃないんだよ!!
 
 ふざけるな!!」


吉澤はなおも蹲る男を殴り続けていた。




男は意外にも腰抜けで・・・弱かった・・・いや、吉澤が強かったのか?



まぁそんなこんなで矢口を救出した吉澤。

男が逃げるように去ったあと吉澤を見て思わず矢口は抱きついた。



「うわぁ〜!!こっ怖かったよお!!もう駄目かと思った!!っく・・うう・・

 助けてくれなかったら今ごろ・・・っく・・・うううう・・・・怖かった・・」





「無事で良かった・・・・」

吉澤もぎゅっと矢口を抱き返していた。
180 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)01時00分59秒
矢口を落ち着かせるために公園へと連れて行き、ベンチに座っていた時――


「矢口さんさ・・・また今日みたいなことあったら絶対に私が助けに行くからさ・・・

 困ってるときは絶対に助けに行くから・・・いつでも飛んでいくから・・・呼んでよね。」




「・・・ありがとう。でも――」

「私はさ、矢口さんのこと本気だよ?」


「えっ?」

「最初に会ったときから好きだった。ずっと・・・恋してた。

 矢口さんは私の事どう思ってる?」








「・・・駄目だよ・・付き合えない。気持ちは嬉しいけどさ・・」
181 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)01時01分46秒
「どうして?!嫌いかなぁ?」



「嫌いじゃないよ、好きだけど――(しまった!!)」

「好きならどうして?!」




「そ、それは・・・」

「矢口さん何に遠慮してるの?ずっと何かに遠慮してるよね?分かるよ?」





「(遠慮・・・・)ごめん、すぐに返事出来ない。

 せっかくだけど・・・今日は帰るね!ごめん!!」



矢口は謝ると吉澤を残して走って帰って行った。




その後に入った吉澤からのメールも電話も全部矢口は返さなかった。




それが昨日の出来事。
182 名前:りょう 投稿日:2002年05月16日(木)01時09分55秒
>160 いしごま防衛軍さま
     いしごま、簡単に(?)くっつきました。
     話にはないけどごっつぁんは苦労したはず・・・

>161 125(名無し読者)さま
     逝かないで(w 
     『かお』ですか?オッケーです!
     普段はなんて呼び合いますか?

>162 名無し男さま
     一人負け・・・しょっぱなの−幸せの素−がちょっとそうだったので
     今回は無かったです。よかった良かった(w
183 名前:りょう 投稿日:2002年05月16日(木)01時10分29秒
>163 ロ〜リ〜さま
     そう!友情か恋か・・・悩んで悩んで・・・を書くと長くなるので
     どうなるんでしょ?!ってもういしごまくっついたし・・・
     分かっちゃいますね(w

>164 よすこ大好き読者。さま
     やぐよしを何気に最近書いているワタシ・・・
     実は隠れヲタ?!
     意外と書きやすいなぁと(w
     需要がないにしろ。

>165 145さま
     わーい♪おもろいって言ってもらえて良かったです♪
     この話は明日の更新でしゅーりょーです(w

     次回は多分・・・なちまり?
     それか・・・やぐごま。
     やぐかお・やぐいしは想像も出来てないので。
     どっちが良いですかーーーーー?・・・と聞いてみる(w
184 名前:名無し男 投稿日:2002年05月16日(木)01時14分19秒
何げにリアルタイムゲット!!
これは、ハピーエンドになりそうならなそうな(w
185 名前:125 投稿日:2002年05月16日(木)03時53分58秒
大量更新、お疲れさまです。唯今、戻ってまいりました(w
やぐかおは普通に『やぐち』『かおり』で良いですよ。
(平仮名なのは譲れんませんけど!(w)
年長組が偶に呼ぶ『かお』ってのが可愛くて好きなだけなんですよ。
飯田さん自身、興奮すると一人称が『かお』になったりしますしね。
186 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月16日(木)10時05分08秒
〈185 他にもあるの?! 長編?! どれなんだろ・・・教えてりょうさん!
187 名前:とみこ 投稿日:2002年05月16日(木)13時43分25秒
見つけた〜!!!(遅
すみません、やっと見つけて今読んでました。一時間ほど。。。
しかも明日テストです。でもそんなこと、イイ!!!(・∀・)
188 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月16日(木)18時02分16秒
やぐよし。やっぱ好きだな〜やぐがかわいくなんだよね。吉絡みだと(笑
けっこう、やぐよしって探しても少ないだな、これが(悲
次回は、りょうさんの書くやぐごまがやっぱ見たい!!
189 名前:145 投稿日:2002年05月16日(木)20時27分01秒
甘える(?)系の矢口も可愛い〜♪
やっぱ、よっすぃ〜強いね〜
一度でいいから弱い(?)よっすぃ〜を見てみたい。
やっぱやぐいしが見てみたですね。
190 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時02分44秒
(矢口・・・どうしたら良いんだろお・・・吉澤さんのこと本気で好きだよ・・・


 でも梨華ちゃんも大事な友達だもん・・・裏切りたくない・・・・・・・・・


 後藤さんが早く梨華ちゃんを振り向かせてくれたら・・・・・・・・・・


 やな子だね矢口。・・・でもどうしよお)




そして休み時間


梨華は笑顔で矢口の席へとやってきた



「まりっぺ!さっき言ってた報告だけど!」


「・・・」

「まりっぺ?聞いてる?」


「あっ!!梨華ちゃん!ごめんなんだっけ?」
191 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時03分45秒
「・・・あのね、後藤さんとね、付き合うことにしたの。昨日からだけど・・・」



「へ?」

このときの矢口は誰が見てもマヌケな顔だったことは梨華しか知らない。


「なにその顔。昨日ね、私はひとみちゃんを吹っ切って後藤さんを好きになってることに

 気がついたの。だから・・・付き合うことにしたの。」


「じゃ、じゃあ吉澤さんは・・・?」

「もう良いの。・・・・・・・・だからまりっぺ・・」




「へ、へ?」

「ひとみちゃんのこと、宜しく頼むね。」

「な、何言って――」
192 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時04分54秒
「知ってるから。まりっぺがひとみちゃんのこと好きなの。ひとみちゃんだって

 好きなんだし・・・・ずっと私のために想いを隠してくれてたの知ってた・・・・

 ごめんね、気付いてない振りしてて・・・」



「気付いてたの?!」

「うん・・・まりっぺのことはなんでもわかっちゃうから」









「・・・ごめんね」

「どうして謝るの?」





「だって・・・梨華ちゃんがずっと好きだった人なのに矢口が・・・」

「だからもう良いの!いっとくけどヤケで後藤さんと付き合うんじゃないんだからね?

 ちゃんと好きで付き合うんだから!!だから私に遠慮なんかしないでまりっぺも

 ひとみちゃんに答えてあげて。」






「梨華ちゃん・・・・・・・ありがとう。」

「ううん。」

梨華は満面の笑みで矢口を見ていた。
193 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時06分17秒
そしてその日の夕方――

6限をサボった矢口は吉澤の学校まで行き、吉澤が出てくるのを校門で待った。



チャイムがなり、ぞろぞろと生徒達が出てきた



ちっちゃな矢口は人ごみに埋もれていたが吉澤はすぐに矢口を見つけ出した。



「矢口さん?!どうしたの?こんな所で。」

「あのね、あの・・・その」


なかなか言い出さない矢口を見て吉澤は

「落ち着いて話出来るところに移ろうか?」と言った


しかし矢口は断り、一気に想いを伝えたのだった。



「矢口・・吉澤さんのこと好きです!!!昨日の返事だけど・・・・・・その・・・

 付き合って欲しいです・・。」


一気に言った矢口は頬を赤らめてすぐに俯いた。


するとふわっと体が軽くなり、気がつくと矢口は吉澤に抱えられて腕の中に居た。
194 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時07分13秒
「ちょ、ちょっと吉澤さん?!」



「やっと通じた。やっと矢口さんと!!」

吉澤は聞く耳を持たずに矢口を抱えたまま空を仰いでしばらくその場に立っていた。






「あれっ?ヨシコなにしてんの?あれ?矢口さん?」

「後藤さん・・・」



「なに?ふたりってもしかして・・・デキちゃったのお?」


「そういうこと!そういうわけだから今のこの幸せな時間を奪わないで!!」

そう言って吉澤は矢口に頬をくっつけるようにして抱きしめた。



「!!後藤も梨華ちゃんとそうしよ〜っとはあとはあとじゃあね!ヨシコ。」


吉澤は返事をしなかったが後藤もすぐに居なくなっていた。
195 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時08分24秒
矢口は、いつまでも自分を離さない恋人に少し困っていたがやはり嬉しいもので・・・

笑顔がどうにも止まらなかった。



冷やかす周りの声と雨が降り出したこともあり、吉澤はやっと矢口をおろした。



「吉澤は今までいい加減なやつだったけど・・・矢口さんのことは本気だから。

 ずっと、いつまでも大切にするから・・・」




「うん・・・矢口も・・ずっと仲良く居ようね。」

「幸せにします。」





「・・・うん。幸せになろうね。」




ふたりは手を繋いで帰って行った。
196 名前:幸せになろう 投稿日:2002年05月16日(木)23時09分57秒
一方こちらは梨華と後藤



校門の前をウロウロウロウロとそして『梨華ちゃんと手ぇ繋いで〜』

『梨華ちゃんを抱っこして〜』とぼそぼそにやにやと歩きながら待つ後藤。

 明らかに不審人物だった。


 ジロジロと見られていたが後藤は気にすることはなく、梨華しか見えていなかった。

 梨華が出てきた瞬間後藤は大きな声で梨華を呼んだ。



「梨華ちゃあ〜んはあとはあと


梨華は恥ずかしそうにして後藤のもとへと急いで向かった。

梨華が後藤の前に来ると、後藤はすぐに梨華の手をとって並んで帰って行った。






「ねぇ梨華ちゃん。」

「なあに?」




「幸せだねはあとはあと






それぞれの物語はまだ始まったばかり





                    終わり♪
197 名前:りょう 投稿日:2002年05月16日(木)23時22分43秒
>184 名無し男さま
      た、短編なのでやぐが苦しむ姿が無かったです。
      もっと上手くまとめられるように精進します(w

>185 125(名無し読者)さま
      呼び方、オッケーです。書いたらそれ使わせてもらいます。
      某板長編、最後に書いてたと思うんですが『溜まったら』ってことで
      ぢつは少しずつ書いてまだワードで2ページしかないのです。
      煮詰まりすぎで・・・。・・・・ん?どうして分かったんです??
      忘れてませんよお〜(優しい喝をどうもですm(__)m)

>186 名無し読者さま
      煮詰まっているので見逃して下さい(w でも、飼育です。
198 名前:りょう 投稿日:2002年05月16日(木)23時23分15秒
>187 とみこさま
      どうも!明日テストですか?!今日は徹夜ですか?
      からだ壊さないようにしてくらさいよお〜
      更新はテストが終わるまでマターリ待つですよ〜

>188 よすこ大好き読者。さま
      やぐよし。個人のHPにはケッコー見つけましたよお。
      でも少ないですね(特にココは)
      やぐごまですか。よーし!ケテーイ!!←ほんとかな?

>189 145さま
      やぐいしの絡みが見たいです(ほんとの)
      うむむむむ・・・・が、頑張ります。

      登場人物の心情が書ききれてなくて消化不良ですが
      ひとまずこんな感じで終了しました。
      読んでくださった方、どうもでした!!
199 名前:いしごま防衛軍 投稿日:2002年05月16日(木)23時41分42秒
すばらしい。梨華たんとごっちんが一緒になれてよかったです。
感動しました。よしこにはいまいち納得できんがまあいいか。
番外編楽しみに待っています。
200 名前:名無し男 投稿日:2002年05月17日(金)12時52分04秒
ヨカタヨカタ
201 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月17日(金)13時55分20秒
よすこは気付かないまま?
でも梨華っちが良いならいいか(w
おもろかったすよー♪
次はやぐごまが良いなぁはあとはあと
202 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月17日(金)18時33分08秒
うまいこと引っ付いてヨカッタヨカッタ。
何気に、この続きを読みたいような気もします。(w
やっぱり吉絡みのやぐが、かわいいです。
203 名前:125 投稿日:2002年05月18日(土)02時11分49秒
作品の感想を一度も書いていないことに、いま気付きました。
ゴメンナサイ!m(_ _)m
『幸せになろう』の吉澤さんは、完全にタラシとして書かれているので、
この後の矢口さんが幸せになれるのか、かなり心配です。(w
204 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月18日(土)02時21分02秒
ちょこっと来なかったら完結してるー。
なんかうまくくっつきましたね。
タイトルのように幸せになってくれればいいな。
しかしりょうさんの書く矢口は絶品ですね!!
かなーりツボです!!
205 名前:とみこ 投稿日:2002年05月18日(土)09時42分52秒
>明らかに不審人物
かなり爆笑しました。。。(ww

テスト終わりましたぜ!いやいや、徹夜なんかしてませんよ!
フツーに10時に寝ました(w
まぁ平均点は越せる勢いです。(ホントかよ)
なので銀さんも更新しますっっ!!
206 名前:りょう 投稿日:2002年05月19日(日)14時10分48秒
>199 いしごま防衛軍さま
     よしこ。よしこだけでなく結構消化不良ですね。
     いしごまって書いててちょっと楽しかったです。

>200 名無し男さま
     ほんと、ヨカタです(w  
     やぐが幸せになれるのかこれからなので分からないけど(w

>201 名無し読者さま
     次…一応やぐごまで。

>202 よすこ大好き読者。さま
     やぐよし(よしやぐ)だとやぐが可愛くて良いですね。
     女の子したやぐもなかなか良いってことかな。
     モテ吉。頂きます(w
207 名前:りょう 投稿日:2002年05月19日(日)14時13分03秒
>203 125(名無し読者)さま
     メール欄ですが、あまり…知られたくなかったりするので
     秘密ではあとはあと気付く人は気付く…くらいでお願いします。
     完結した際にでも…今書いてるところです。白のがやばかったりします。

>204 ロ〜リ〜さま
     ツボでよかったです。
     矢口は意外と書きにくかったり…するのです。

>205 とみこさま
     賢い!!しかし中間テストなんて懐かしすぎる言葉です…。

    
     このスレの話ってほとんどが続きモノだったりします。
     なのでかなり消化不良多いですよね。
     HPにでも続き書いていこうかと思案中です。(持ってないけど(w)
     
     次はめっちゃ短い、一応やぐごまと吉です。
     詰め込みすぎの話で内容薄いですが良かったら読んでください。
     では!
208 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時15分52秒
メインを張ったあの日から、何故だかメンバーに人気がある。

自分じゃ分からないけどカッコイイらしい。

そりゃセリフとかあんなだし、シャウトもあるけど……よくわかんないなぁ。



「よっすぃーはあとはあと次の収録席隣だねぇはあとはあと

あっ 矢口さん
矢口さんは昔から可愛いカッコイイって言ってくれてたけど…
最近は特にすごいよね。
昔には無かったはあとはあとマークがついてるもん。



「よしこーお昼ご飯さー前に言ってた店行ってみない?」

ごっちん
ごっちんとは昔は女友達って感じだったけど今は男友達って感じ。
向こうもこっちも友達って枠から出ないような付き合いしてる。
でも最近ごっちんがやたら「よしこって男前だよねー後藤もみんなの気持ち分かるよお」
なんて言うからびっくりする。
209 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時16分48秒
「よっすぃー…今日一緒に帰ろ?」

梨華ちゃん
梨華ちゃんはすっごい女の子してて…可愛いんだよね。
私だって女なんだもん、こんな風に思われたいな。




他のメンバーもなんだかんだ言って好意を持ってくれてる。

みんな可愛いんだもん、悪い気なんて全然しない。

最初のうちは戸惑いもあったけど最近は実は…楽しんでる。

あの衣装着てるとさぁ性格も男っぽくなるのかなぁ

ケッコーむらっとくるしドキドキしたりするんだよ
210 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時17分53秒
自分でも好きだなあって思うのは矢口さんとごっちん。

梨華ちゃん?梨華ちゃんはちょっと暗い…かな?



だから困ってるんだ。

矢口さんもごっちんも好きだから選べなくて…困ってる。




だから、今日はどっちが好きなのか決めることにした。


矢口さんとごっちん両方に言い寄って、反応を見ようかと思う。




集合時間よりかなり早めに楽屋に来た吉澤。

いつも一番に矢口が来ているのを知っていた。



カチャ

「おはよーございまーす。」

「おはよー。よっすぃー早いじゃん。」

「今日は暇だったから。」

「そー」



矢口は特に疑問もなく読んでいた雑誌の続きに目をやった。


少し離れた席に座った吉澤はその姿をじっと見つめていた。
211 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時19分06秒
じーっと、じーっと穴が開くように見ていたので矢口もそのことに気付いた。



「なんだよ〜よっすぃー!!さっきからめっちゃ視線感じるんだけどー」

「ははっ 見てましたから」


「なんっ なんでだよ〜照れるからやめてよー」




吉澤は席を立つと矢口の座る隣へと移動をした。


「…なに?」


「…マリー、可愛いね」


「マリー?!…お芝居するの?」



矢口の言葉を無視して吉澤は言葉を続けた

「マリー、どうしてあなたはそんなに可愛いの?どうして僕の心をかき回すんだい?」



「…」

「マリーは僕のことどう思ってる?」




「……てぇいっ!!」
212 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時20分40秒
「わぁっ?!」


矢口は近づいて来た吉澤の顔を押しのけるとこう言った。


「も〜よっすぃー!男前なんだから急に迫ってくるなよお〜びっくりするじゃんかー」



「…男役、いけてました?」





「……いけてた!ちょっとくらっと来た。」

「そうですかそうですか」



吉澤は満足したような顔でもといた席に戻った。



それを見ていた矢口が一言


「…矢口以外に今やったみたいなことやったら駄目だよ」


「へ?どうしてです?」

他のメンバーにもやるときはあるいつもの小芝居



「駄目だよー新メンなんかにやったら本気にしちゃうよー」

「あぁ…でも今のは本気ですよ。」

「バカ!冗談やめて」

「なんでですかー」



などと話していると楽屋にぞろぞろとメンバーが入ってきてそこで終わった。
213 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時21分50秒
ふむ どうやら本気にはされなかったようだけど悪い感触ではなかったね

くらっと来たって言ってたし…それにやっぱちっちゃくて可愛かったな。




仕事が終わって…



「ごっちん!今日一緒に帰らない?」

「んあ?後藤と?」

「うん!駅までだけど。」


「んあー…ごめん先約いるから」

「そうなの?じゃあ良いや、またね!」

先約…誰だろ?すっごく気になるじゃん。



吉澤は気になったがまぁ仕方なし、と言う事で帰る用意をした

かなりゆっくりと片付けをしていたので回りを見渡すと他には誰も居なかった。
214 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時22分45秒
居なかったが荷物がふたつ、楽屋には残っていた。



ん?誰のだろ…?



吉澤は荷物を見た



あー矢口さんとごっちんかぁ…

あれ?ごっちん先約あるって言ってたよね?

矢口さんとだったの?


吉澤はちょっと気になったので真相を掴むべく外へと出て行った。

トイレなど近場を見たがどこにもふたりは居なかった




あれー…おかしいなー居るはずなんだけど…





とキョロキョロしながら歩いていると『立ち入り禁止』と書かれてある屋上へ

通じる階段と、その奥にあるドアが開いているのを発見した
215 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時24分08秒
まさか…ここ上ったのかな?



カチャ

吉澤はソーっと分からないように音を立てないようにドアを開けた

すると――




「だからね、今日よっすぃーが迫って来たの。」

「ほらあーだから言ったじゃんかーあんまりちょっかい出して好き好き言ってたら

 誤解するよーってさぁ!!本気だったらどうすんのさーやぐっつぁんのばかー。」



「…ごめんね。でもさ、矢口はごっつぁん一筋だし、…それにごっつぁんが

 矢口を離さないでいてくれたら大丈夫だよ」





「…もー…離すわけないじゃん。よしこには渡さないもん。」



「ごっつぁん…はあとはあと

「うんはあとはあと




『ちゅっ』





…な、なに今の?キスしたの?


それに何?ふたりって付き合ってるの??
216 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時26分16秒
「帰ろっかやぐっつぁん。今日泊めてくれるでしょ?」

「うんはあとはあと帰ろ。」



や、やばいこっち来る!!




焦った吉澤は大急ぎで楽屋へと戻り荷物を持って出て行った。





「…なんだよお〜…矢口さんもごっちんも…ひどいや…」

吉澤は肩を落としながら玄関口へと歩いていた


「よっすぃー知らなかったの?」

「え?!誰??」


後ろから声を掛けられて振り向くとそこには――

「梨華ちゃん?!帰ったんじゃないの?」


「ううん。おトイレ行ってて…よっすぃーが屋上に行くの見えたから。」



「そ、そう。え?知らなかったって何が?」

「ごっちんと矢口さんが付き合ってること。」

「な!やっぱりそうなの?いつから?」


「私達が入るずっと前からだよ。」

「そんなに前から?!」


「うん。前にごっちんから聞いたの。」





「…そうなんだ…(ショック…)」
217 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時28分01秒
「ふたりのこと好きだったもんね、よっすぃー」


「そうなんだよ…ってええ?!なんで知ってるの?」


「…私はよっすぃーが好きだから。」



「へ?」

「矢口さんやごっちんは付き合ってるのによっすぃーのこと好きって言ってたでしょ?

 でも私はよっすぃーだけだもん。」




「梨華ちゃん…ありがとう。」



「ううん。元気出してね!」

そう言うと石川は走って帰って行った。



それにしても…好きだったふたりが揃って手に入らないなんて…
ひとりで舞い上がってて…ばか?

…かなしー。
218 名前:堪えない単純なやつ 投稿日:2002年05月19日(日)14時30分44秒
次の日――

告白されたことで石川を意識するようになった吉澤


梨華ちゃんのことだけ見るようにしなきゃ…

また…勘違いなんて…ばかみたいだもんね。




「よっすぃーはあとはあとこれ運ぶの手伝ってーはあとはあと



「まかせて下さい!!」



石川が気になるが、他のメンバーにいい寄られるとへにゃとなる吉澤。


全く堪えてないようだった。


                  終わり♪
219 名前:りょう 投稿日:2002年05月19日(日)14時32分24秒
短いけどこれで終わりです。

やぐごまっぽくもないしなんだ?ですが、まぁヨシとして…

やぐかお。ネタが…(w

では。
220 名前:名無し読者。 投稿日:2002年05月20日(月)01時01分07秒
短いけど何気にやぐごまの甘いのが伝わりました(w りょうさんの長編、新作の予定は無いのですか? 他板の進行中はもちろんですが新作もマターリ期待してますです。
221 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月20日(月)21時53分18秒
やぐごまに振り回された吉、かなり大笑いでした。
作品は長いか短いではなく伝わるか伝わらないかだと思いますよ。
僕にはガンガン伝わってます(w
222 名前:名無し男 投稿日:2002年05月21日(火)14時26分29秒
やっぱ吉澤は吉澤だ(w
223 名前:とみこ 投稿日:2002年05月24日(金)16時27分14秒
マリマリマリー可愛いよ(w
224 名前:りょう 投稿日:2002年05月25日(土)17時25分55秒
>220 名無し読者。さま
     どうも!新作ですか?予定無いですねー
     未完の進行中を書くので精一杯です(w
     
>221 ロ〜リ〜さま
     ガンガン伝わってますか!!わーいうれしー(w
     どうもありがとうです。
     がんばるぞー!

>222 名無し男さま
     ですね(w
     振り回されて勘違い、似合います!

>223 とみこさま
     マリーは女神なのではあとはあと
     
    
     ただ今から更新致します話は、このスレの一番初めの
     −幸せの素−の続き? になります。
     明日っから出張なので今日は多めに更新です。
     スピードは遅いですー。宜しくはあとはあと
225 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時27分54秒
ブーッ ブーッ



「…んん……」



ブーッ ブーッ




「…んあ…………」




「…誰…?…てか、何時…?」


真っ暗闇の中、ベッドの脇に転がしてある携帯を手に取り時間を確認する。




「…………はあ?!4時??」


時刻は午前の4時を少し過ぎた頃

玄関でチャイムを鳴らす音が聞こえて起こされた。



「…なんだってんだ…」

矢口はしつこくチャイムを鳴らす訪問者を確認すべくベッドから抜け出そうと

起き上がり、ベッド脇の小さなライトを点けた。



「…んあ……ぐ…っつぁん?…どこ…い…くの…?」


ベッドから出ようとしたところで、矢口は自分にくっつくようにしながら眠る

可愛い恋人に呼び止められた。
226 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時28分55秒
「あ…起きちゃった?……寝てなよ、まだ夜中だから」



「…どこぉ行くのぉ?」

「誰か来たみたいだから見てくるだけ。すぐ戻るから寝てて良いよ。」



「…早くね?」

「ん。」

そして自分のパジャマの裾を掴んでいた彼女の手をそっと離し、矢口は玄関へと向かった。


矢口は何分夜中なので怪しい人だとまずいということで覗き穴から見てみることにした。



「わぁっ!!」

矢口が覗いた瞬間訪問者が穴に向いてペコっとあいさつをしたのだった。


矢口が驚いたので遠くの方で『やぐっつぁん〜…?』と呼ぶ声が聞こえた。


そこで矢口は我に返り『だいじょぶ〜』と返し、もう一度覗いてみた。

訪問者はちいさな、VHSのビデオが入りそうな、それより少し小さめな箱を

小脇に抱え、そして帽子をかぶっていた。

矢口はどこのどいつだ?と思い、帽子に書いてある社名を見た。
227 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時29分43秒
そこに書いてあったのは。

『未来宅急便』という文字だった。



「…あれ?…なんか見覚えが…?…そうだよ、梨華ちゃんだよ!梨華ちゃんじゃんか!」


矢口はなんの返事もせずにドアを勢いよく開けた。



「あっどうも!未来宅急便のものです。お荷物をお届けに参りました。」


「モノ、なに?幸せの素?今は間に合ってるけど。」

「本日お届けしますのは、えっと・・・確か・・・あぁ、ここに書いてますね。」




訪問者は箱に書いてあった中身の詳細を読み出した。

「これは『ネガティブでアゴンな壊れ物−幸せの素−ご利用特典』となってますね。では――」



「あっハンコは――・・・・行っちゃったよ・・・・・どういうことなのかな。」

228 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時30分47秒
矢口はドアを閉めてカギをかけると取り合えず愛しい恋人の眠るベッドへと向かった。



(…寝ちゃったかな〜…)

矢口がそ〜っと起こさないように触れないようにと顔を覗かせたら

『んん…』という声を出して寝返りを打った。



(…可愛いはあとはあと


矢口は上に突き出されるようになった唇にそっとキスを落とした。



そして少し目の覚めてしまった矢口は箱の中身を調べようとした。



ビ ビリ ビリ…


寝室から出て、後藤を起こさないようにそ〜っと少しずつガムテープを剥がして行く。

全部剥がしきった所で後藤の方を覗いたが、起きる気配は一向になかった。

矢口は安心して中を開けて行った。
229 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時32分11秒
すると一枚の小さな紙が入っていた


『今回お届け致しましたDVDは、私ども娘。カンパニーが過去に−幸せの素−を

 ご利用になられました方全員へお届けしているものになります。あなたのもとに

 居た幸せの素からのメッセージ等です。これを観ることによって、あなたが幸せの素に

 もう一度会いたいと思ったとしてもそれは出来ません。幸せの素は希少なもので、

 二度訪れる事はまずないのです。そちらをご了解頂きましたらあとはプレーヤーに

 入れて再生をしてください。再生を致しますとひとつだけ選択肢が出ます。

 そちらにお答え下さい。商品代金は頂きません。』




「…相変わらず…ヘンな会社…てゆーかスゴイよねこの会社…」




『最後に、これは、途中で止めることも早送ることも巻き戻すことも出来ません。

 DVDは、最後まで映像が流れたと同時にあなたの目の前から消滅致します。

 もう一度観ることも選びなおすことも出来ません。』
230 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時33分14秒
「前と一緒ね…でも今回はどやって消えるのかな…」


矢口は今から見ようかどうしようかと悩んでいた。

どうせなら後藤にも見せたい。

でもひとりで見てみたい気もする。

一度しか見ることの出来ないものならちゃんと焼き付けたい。

こんな寝ぼけ眼のときに見ても良いのだろうか。



――などと考えていると寝室から矢口を呼ぶ声が聞こえて来た。



『やぐっつあ〜ん・・・寝ないのお・・・?』


「あっごっつぁん!(起きちゃった?)」


矢口はDVDを小脇に抱え後藤の待つ寝室へと戻って行った。
231 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時34分12秒
「もー・・・布団から抜け出して何してたの?」


「えっ?あー荷物が届いたの。」

布団に戻りながら矢口は答えた



「荷物?冗談やめてよ何時だと思ってるの?夜中だよ?」


「それが冗談じゃないんだよ。ごっつぁん、梨華ちゃんって覚えてるでしょ?」

「急にどうしたの?」



「・・・なんかね、梨華ちゃんを作った会社から荷物が届いたんだよ。」



「え?!」

後藤は布団をかぶって目だけを出していたがそれを聞いて、がばっと布団から飛び起きた。



「なんで?」


「なんかよく分からないんだけどね、メッセージだってさ。」



「そうなんだ・・・梨華ちゃんか・・・元気にしてるかな?」




「そう・・・、だね。・・・元気かなぁ?」







232 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時35分20秒











ここは矢口達の住む場所から少し離れたところ

人が住んでいるのかいないのか分からないようなボロいアパート。





カチャ

「ただいま」 AM2:00



「・・・」

「今日も一日頑張った!」



「・・・」







「・・・おやすみ。」AM3:30




「・・・」




233 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月25日(土)17時36分21秒
布団に入って少し経った頃 AM4:00


ブー!!ブー!!



(・・もう寝てるよ〜)



ブー!!ブー!!

(もー・・・分かったよ〜なんだよこんな夜中に!)




「はい。」


「あっどうも!未来宅急便のものです。お荷物をお届けに参りました。」


(こんな時間に宅急便??)


カチャ

「おはようございまーす!早朝から申し訳ありません」


「モノ、なに?ウチにモノなんか届くはずないんだけど。」


「えっと・・・確か・・・あぁ、ここに書いてますね。中身は

『ネガティブでアゴンな壊れ物−幸せの素−』ですね。おおっラッキーな方ですね、

 この幸せの素シリーズを受け取って不幸になった方は居ないんですよ?

 あなたもこれでハッピー♪になれること間違いなしです!それでは!!」



「は?なんて――・・・・行っちゃったよ・・・・・なんだろこれ。」

(こんなでっけーもん置く場所ないってーの。)
234 名前:りょう 投稿日:2002年05月25日(土)17時37分53秒
更新終了です。

ちょーっと次の更新日宣言出来ません。
明日かもしれないし今日かもしれないし先かもしれないし・・・
ごめんなさい。
235 名前:りょう 投稿日:2002年05月25日(土)17時38分39秒
↑はうわっ!!\(゚o゚;)/
ageてしまった・・・最上階はいやなものです。うわーん。
236 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年05月25日(土)18時09分54秒
おっ♪続きですね(w
梨華ちゃんはどうなったのか気になっていたので嬉しいです♪
最後の人物はいったい誰なんだ(w
237 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時51分50秒
ズーッズズッズッズズー



バリッ ビリッ ビリリリッ


部屋の中へと荷物を運び、封をしているガムテープを外して中を開けると

一番上に説明書が乗っていた。



『これは、あなた次第でなんにでも変える事の出来る不思議な生物です。』



「生き物ぉ?!」



『このシリーズは、私ども娘。カンパニーが独断と偏見で絞込みをし、今、

 すごく不幸を背負っている方のもとへと届けられるものです。なお、商品代金は

 頂きませんが、食費がかかりますのでそちらはご負担下さい。

 そちらのご負担さえ頂けましたらあとはお好きなようにお使い下さい。

 きっとあなたの望むものとなるでしょう。なお、初期設定はモード3となり、

 モード3の機能が使用可能になるのは本日の10時からです。』



「・・・わけわかんないよ・・私が不幸だから届いたっていうの?大体なに?

 どんな生き物?」
238 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時52分37秒
『最後に、これは、あなたが幸せになれたと同時にあなたの目の前から消滅致します。』



「おー!!スパイみたい・・・」



恐る恐る箱を開けようと手をかけたその時――

『アゴーン!!!!』というなんともマヌケな声とともに何かが飛び出て来た。


「わわっ!!なに??」


飛び出してきたもの、それはぱっと見は人間だが少し色が黒く、アゴが変わっていた。

『アゴン』という名前は納得だった。


飛び出してきたそれ=アゴンは開けた本人に向き直ると、話し出した。
239 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時53分55秒
『私は、未来からのお届けモノ。“ネガティブでアゴンな壊れ物−幸せの素−”です。

 名前はまだありませんのでお好きなように名付けて下さい。

 私はあなたが幸せになるためのお手伝いをしに来ました。

 あなたが幸せになるために望む事、そのために私は何でもします。

 このまま私を使用する場合は頭を撫でて下さい。使用しない場合は

 『なんだそのアゴ!なめてんのか!!』と言って下さい。そうしたら私は

 再起不能になり、二度と動くことはありません。回収には社のものが伺います。

 では、ご決断を!』



「ロボット??へー!!カッケーじゃん!!人間に見えるし。マジ、良く出来てるよね。

 えと、なんだっけ?決断だっけ?どうしよっかな?急だし・・・

 大体なんでこんなものがウチに・・・不幸な人にって失礼だし・・・・・・

 お金かかるなら困るよね・・・・。」

 ――と悩んでいるとそれは口を開いた


『大して食べないので大丈夫です。』


「おっ?・・・そうなの?じゃあ・・・おもしろそうだしいっかな。」
240 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時54分57秒
なでなで

「これで動くのかな?」


『アゴーン!!!』

「いちいちそれかよ!!」


さっきの機械的な動きとはうってわって今度は柔らかい動きをした。

うう〜んと大きく背伸びをして体中の骨を伸ばすようにしている。

アゴンは主人の方へ向き直るとまた話し出した。



『ご使用、有難うございます。まず初めに私の名前を決めて下さい。』


「名前??なんでもいいわけ?」

『どんな名前でも構いません。』


「シャクレでも良いわけ?」

『そう呼びたいのであれば』



「冗談だよ・・・・・・・う〜ん・・・何にしよっかなー・・・可愛いしなぁ・・・・・・

 可愛い名前が良いかなぁどうせなら・・・」


と考えていると


『好きな人のお名前をつけられる方が多いです。居なければ、芸能人など、

 好きなアーティストのお名前をつけられてはいかがでしょうか。』

と話し出した。
241 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時55分51秒
「好きな人ね・・・・・・・・・・・・居たかな、そんな人。芸能人で良いや。」


『何になさいますか?』

「あのね、今好きな芸能人居てね、その子の名前にする。“梨華”、どうかな?」



『・・・えっ?』



「“梨華”気に入らない?」



『・・・?“梨華”ですか?分かりました。今日から私は“梨華”です。では最後に、

 あなたのお名前を教えて下さい。』


「吉澤ひとみ。17歳」


『どのようにお呼びしたら宜しいでしょうか。』


「ん〜・・・・」
242 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月26日(日)18時56分50秒
『・・・』


「周りは“吉澤”とか呼び捨てだよ。」

『決めて下さい。』


「そうなの?・・・じゃあ“吉澤さん”で良い。」


『“吉澤さん”ですね。分かりました。』




「・・・」




『・・・』



「まだ何か設定するわけ?」



『・・・いえ、もう寝ましょう。』

「あっ寝るんだね梨華ちゃんも。」

『もちろんです。私は吉澤さんとなんら変わりはない生き物ですから。』


「そう。どこに寝るの?」



『・・・どこでも。』

「私の布団普通だけどふたりは厳しいんだよ。ちょっと窮屈だけどそれで良かったら

 一緒に寝よっか。」


『はい。』






そして吉澤と梨華の奇妙な生活が始まった。

243 名前:りょう 投稿日:2002年05月26日(日)19時04分44秒
ご主人様ぁ!>( ^▽^)(^〜^0)<今回の主人公はオイラさ!


>236 ぶらぅさま
    初めましてですね?レス有難うございます。感謝>(^◇^〜)
    最後の人物は吉でした。
    宜しくです♪ 他の続きも書かなきゃ。
244 名前:名無し男 投稿日:2002年05月26日(日)20時05分21秒
オウ!アゴン第2弾!!
245 名前:稜(りょう) 投稿日:2002年05月26日(日)23時19分54秒
>244 名無し男さま
     いえす!アゴン第2弾でごわす(w
     前ほど切なくないはず!!
     
     更新もせずに何現れてんだ?って感じですが(w
     HNを漢字に変更します。
     平仮名だと紛らわしいこともあるので・・・
     ――と、いうことでこれからは稜です!
     宜しくでーす。
246 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年05月26日(日)23時45分11秒
おーアゴンの第2弾だー(嬉
次はよっすぃーですか。
めちゃめちゃ楽しみです。
がんばってください。
247 名前:風板某よしごま作者 投稿日:2002年05月27日(月)14時48分08秒
たまにしかこれないネットカフェから見てます
一気に見ました!実に面白い!!
いつかきっと
堪えない単純なやつ
アゴン
面白かったです

アゴン第2弾にも期待!!
248 名前:風板某よしごま作者 投稿日:2002年05月27日(月)14時49分34秒
あれ?何で下がらなかったんだろう・・・
ちゃんとsageのチェック入れたのに・・・

下げれなくてすいません・・・
249 名前:ぶらぅ 投稿日:2002年05月27日(月)17時12分19秒
レスははじめてさせていただきました。
他のも読んでいますよ(w
がんがってください〜
250 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月27日(月)21時59分54秒
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
いしよしですね!ありがとうございます。(ヲイ
続きが楽しみです。がんがってください。
(密かにDVDの中身が気になっていますが・・・)
251 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時13分25秒

「それじゃーバイト行ってくるからー留守番頼むねー」

『うん。行ってらっしゃい。』



今回の主人=ひとみは高校には行っておらず、仕事をしており、

梨華は家で留守番をすることが多かった。



家で待つ間、梨華はずっと部屋の片付けをしたりぼーっとしたり雑誌に目を通したりと、

かなり退屈であった。

ひとみは口数があまり多くはなく、人に自分を見せない、心を開かない、

そんな人間だった。



それでも梨華には優しかったのだが。
252 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時14分40秒
そんな生活を一ヶ月ほど送った或る日の事――

梨華は疑問に感じたことがあった。



『・・・吉澤さんの不幸な理由ってなんなんだろ・・・?』




まさか『何が不幸なの?!』と聞く訳にも行かず、梨華は自分の仕事が

なんなのか分からなくて困った。







『・・・・・・あれー・・・っ・・・やっぱりないや・・・普通あるよねぇ〜?』






『帰ったら聞いてみよーっと。』







カチャ

「ただいま。」 AM2:00


『おかえりなさーい。お疲れ様。』

「ただいま。いつも起きていてくれなくても良いよ、好きな時に寝なよ。」


『うん。明日からそうする。吉澤さんに聞きたいことあるの。』

「私に聞きたいこと?」

『そう。聞いても良い?』


「うん。」
253 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時15分53秒
『あのね、ずっと思ってたんだけど、吉澤さんの写真とか友達の写真とか

 家族の写真、ひとつも無いなぁって。失くしちゃったの?』



「あー・・・写真ね・・・撮ったことないから。」

『え?ウソでしょう?』



「ほんと。友達居ないし。それに親、生まれた時から会ったことないから。

 施設育ちってやつ。」



『施設育ち?吉澤さんが?』

「そうだよ。今までずっとひとりでやってきたんだ。これからもそうやって

 生きていくの。」





『・・・ひとりじゃないよ、私が居るもん。』





「・・・あはは!ロボットでも気の利いた事言えるんだね。」





『(ロボット・・・ひどいや。)・・・』


「べっつに気にしないし友達なんて居なくたって生きていけるんだから

 心配しなくて良いよ。」



『だったらどうして私を使用することにしたの?』



「おもしろそーだったから。それだけだよ。」






『・・・おやすみ。』


梨華は一言残して布団へと向かった。



(・・・吉澤さんが不幸な理由、“友達が居ない”ってことなのかな・・・?

 “ひとりぼっち”ってことが・・・?)
254 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時17分29秒
朝――

吉澤が目を覚ますと、布団には梨華は居なかった。


吉澤さんへ

今日は朝のお散歩をしに近くの公園に行きます。

すぐ帰るけど、吉澤さんが出かける前には戻らないと思うのでメモを残します。

バイト、頑張ってね。いってらしゃい。

                     梨華



「大丈夫かなぁひとりで出かけて。・・・まぁ近くだし大丈夫かな。」





「行ってきます。」

カチャ 
タタンタンタンタン・・・・・・・・・・・・




(『よぉし!付いていくぞー』)


梨華は公園になど行かず、吉澤の普段の行動を調べようとしていた。

吉澤が出たのを見て後を付け出した。
255 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時18分42秒
歩いて40分ほどの所にあるスーパーへと吉澤は入っていった。


『遠いよお〜歩きで40分も・・・』

といってもお金を持っていない梨華は電車だと付いて行くことすら不可能だったわけだが。





しばらく外で見ていた梨華だったが、奥の従業員室らしきところから

吉澤がエプロンをして出てきたので自分もこっそりと店内に入った。




(『ばれないようにしなきゃ・・・』)






吉澤はレジで黙々とお客さんの会計をしていた。




(あーこれ値段わかんないや。)

吉澤は少し困った顔をして「見て来ますので少々お待ち下さい」と言い残して

商品売り場へ行こうとしていた。

――していたのだが、


「吉澤さん、それは198円だよ。20番押したら出るから。」

と親切に教えてくれた人が居た。
256 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時20分11秒

「あっどうもです、安倍さん。」

売り場へ行こうとしていた吉澤もレジに戻り、御礼を言った。


“安倍”と言われた少女はニコっと吉澤に微笑むと自分の仕事を始めた。



「すいません、お待たせしまして。」

吉澤も会計を始めた。



(『今の人はお友達じゃないのかなぁ?』)



そのあともずっと食材売り場の陰からこそっと見ていた梨華


しばらくすると他の店員に怪しい目で見られ、仕方なく外から見る事にした。



(『うーん。安倍さんって人としか話してないねぇ』)






「吉澤さんと安倍さん休憩入ってー。」PM2:00



「「はい」」



(『あ、あれれ?後ろ行くの?どうしよう。・・・裏回って見ようかなぁ?』)
257 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時21分08秒
カチャ

従業員室に入った吉澤と安倍



(今日お客さん多いわー疲れるー。)

昼食をとるため、ロッカーから財布を取り出す吉澤。



「・・・吉澤さん」


「はい?」

「今からお昼行くでしょ?一緒に行かない?」


「私とですか?」

「うん。なっちも外で食べるから一緒にどうかなって。無理にとは言わないけどね。」

「いえ、行きます。」

「良かった。じゃあ行こうかぁ。」



吉澤と安倍は裏口から近くの定食屋へと向かった。






(『出て来ないなぁ・・・』)


裏口へ回った梨華だったが少しの差でふたりは出て行っていた。
258 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時22分36秒
近くの定食屋に入り、向かい合って座った吉澤と安倍

特に会話もなく、静かだった。


注文をして料理が来ると、食べながら安倍が話しだした。


「吉澤さんって一人暮らしだよね?」

「そうですね。」


「ひとりだと淋しくならない?なっちも一人暮らしだけどよく淋しくなっちゃってー

 ・・・お母さんとか友達とかに電話したり遊びに来てもらったりするよ。」


「私はひとりの方が楽ですから。」



「・・・そう?友達と居た方が楽しくない?」



「居ませんから。」
259 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時23分49秒

「・・・なっちは友達じゃない?」


「あー・・・」

「吉澤さんいつもひとりって顔して他人を寄せ付けない雰囲気あるよ?

 余計なお世話かもしれないけど友達は居た方が絶対良いと思うよ?・・・」




「・・・そうですね。」




「な、なんか変な話しちゃってごめんね。なっち吉澤さんのこと

 なんか気になっちゃって・・・えへへ。」


「や、心配してくれてどうもです。」

吉澤は安倍に笑顔を返した。






食事を終えてスーパーへと戻るふたり


「吉澤さんは恋人とか居ないの?」



「居ませんね。」

ここで『安倍さんは?』と返せば話は広がるのだが――



「そっか・・・」


また会話が無くなり、裏口に近付いたその時だった
260 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時24分46秒

「?!梨華ちゃん???」


裏口から出てくるのをずっと待っていた梨華は帰ってきた吉澤に見つかった。



吉澤は安倍から離れて梨華の傍へと駆け寄って行った。


『えっ?!よ、吉澤さん??ど、どうしてそっちから来るの?』

「食事行ってたから・・・ってそんなことはどうでも良いよ!!どうしてここに居るの?!」


『えっ!・・・た、たまたま近く通ったから。』


「ウソだよそんなの。ここ教えてないし。・・・つけてきたの?」






『・・・・・ごめんなさい。吉澤さんがいつもどんなお仕事してるのか見たかったの。

 朝から出てるのに帰って来るの遅いから・・・危ない仕事じゃないのかなって・・・』


もちろんそんな理由はウソだったが吉澤は納得した。
261 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月27日(月)23時25分30秒

「・・・なんだよそんな理由でこんなところまで・・・良い?外はね、変な人も多いし

 車だって多いんだから危ないんだよ?こんなところまで来たら駄目だよ?帰り・・・」



『ひとりで帰れる!!』

「駄目だよ!!」



吉澤は安倍の方を振り返り


「安倍さん、店長に休憩1時間追加って言っておいてもらえます?」

「え?!」





そう言うと梨華の手をとって吉澤は自宅へと向かった。



「ちょ、ちょっと吉澤さん?!」
262 名前: 投稿日:2002年05月27日(月)23時35分08秒
>246 ロ〜リ〜さま
    ぐふふ(w よしこです。
    最後どうなるかはまだ・・・(^_^; ←うそです。決まってます(w

>247 風板某よしごま作者さま
    わぁお!嬉しいです。読んでいただいて感謝です。
    『堪えない単純なやつ』は更新時間の方がかかったくらいで
    考えながらかかなかったのでほっとしました。
    第2だん、が、頑張ります。
    作者自身うっかりageることあるので良いです♪

249 ぶらぅさま
    ありがとうございます。今はここが一番休息の場というか・・・
    書いてて楽しいです。他は・・・ぼちぼち(w

>250 よすこ大好き読者。さま
    ぐふふ。いしよし?・・・ぐふふ。
    ・・・失礼しましたm(__)m
    DVDは・・・なんなんだろ?(w

    『友達居ない』を自分から言う人って居るかなぁ?吉良いすぎ(w
    これ終わったらどの続きにしよう・・・。
263 名前: 投稿日:2002年05月27日(月)23時36分59秒
>249 ぶらぅさま
    でした。>抜けちゃった(w
    今度から>>249 とかにした方がいいかな・・・
    では!!おやすみなさい。
264 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時47分21秒
梨華の手をとって歩く吉澤


先程から一言も言葉を発しない


怒っているように見える



梨華はそれを感じ取り、恐る恐る聞いてみた



『あの・・・怒ってる・・・よね?』




「・・・」

吉澤は何も返さなかった






家へと入り、吉澤はやっと口を開いた。



「ほんとはどうして来たの?」

『えっ?さ、さっき言ったじゃない。』


「梨華ちゃんは私に嘘つくの?梨華ちゃんはどもったりなんかしない!

 目を逸らして話なんかしない!!」



(『そうなの?!』)




『ほんとは・・・ほんとは吉澤さんが不幸な理由・・・それがなんなのか知りたかったの。

 昨日、自分はひとりだ、これからもひとりで生きて行くって言ったでしょ?

 それがほんとなのか・・・確かめたかったの。』
265 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時49分05秒

「ばっかじゃないの?!そんなの梨華ちゃんに関係ないでしょ?!」


『だって心配だったもん気になったもん!!』

梨華は怒鳴る吉澤に訴えるように言っていた





「・・・・・・心配だった?・・・気になった?」




『・・・うん。私がここに居る意味がなんなのか知りたかったし・・・』

「意味?・・・あぁ幸せになるお手伝いだっけ?」

『うん。だから・・・』


「ようするにお仕事ってことでしょ?心配だ気になるだ言ったって所詮本当の

 気持ちからじゃないじゃん。そんなおせっかいなら要らない。」




『・・・お仕事だけど、それだけじゃないもんっっ。』




しばらく吉澤も不機嫌極まりないと言った顔で立っていたが少しするとまた話し出した。



「梨華ちゃんは人を愛することが出来るの?」



『え?どういうこと?』
266 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時50分35秒
「その人が居ないと淋しい、その人が嬉しいと嬉しい、その人のためだったら

 なんでもしてあげたい。ずっと一緒に居たい。そんな気持ちだよ。」







『・・・分からない。私が感じたことや取った行動は全部コンピュータが指示を

 出していることかもしれない。でもそうじゃないと私は思いたいの。

 私は、私の意思で動いていると思いたい。だから吉澤さんのことを思う

 私の気持ちも偽物じゃないって思いたい』


梨華がそう言ったかと思うと吉澤は梨華を自分の胸へと抱き寄せてきつく抱きしめていた。



『よ、吉澤さん?!』

梨華は驚いて吉澤から離れようとしたが吉澤がそれを許さなかった。



「だったら、ひとりじゃないって感じさせてよ!!」



ひとみは言い放つと梨華の唇に自分の唇を落とした。



『?!』







「どうなの?!」





唇を離した吉澤は驚いた表情をしたままの梨華にそう問うた。
267 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時51分39秒
『・・・吉澤さんは私のことが好きなの?』



「わかんないよそんなの!」





『・・・ならどうして急に・・・』


「梨華ちゃんが来たからだよ!!梨華ちゃんが来てから・・・ひとりじゃなくなった。


 気持ちの上では何も変わってないよ、変わってないけど・・・・・・生活は変わったから!


 ひとりで居たくてもひとりじゃいられなくなった!!」




『私が来たせいで・・・?吉澤さんの生活を壊したの・・・?』



「そうだよ!だから責任とって私のことを愛してよ!!!」




言っていることは理不尽だったが梨華に断る理由はなく、素直に受け止めた。





『分かった。愛する。コンピュータじゃない、ちゃんと自分の意思で愛する!』





「・・・どうだか。」

『愛する!』




「・・・・・・バイト、戻るから。もう出たら駄目だからね。」





『・・・うん。いってらっしゃい。』


そして吉澤はスーパーへと戻って行った。
268 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時52分47秒
戻ってすぐに店長にこっぴどく怒られたが、日頃真面目に働いているせいか、

なんのペナルティもなしに許された。



自分のレジに戻って会計を再会する吉澤

そんな吉澤をちらちらと気にしながらレジを打つ安倍が居た――



夕方になってバイトが終わり、従業員室へと戻った吉澤と安倍

会話はなく静か。


「あっそうだ安倍さん、今日は店長に言ってもらってどうもでした。」

「うっううん!怒られてたよね?なっちがごまかせなかったから・・・ごめんね?」

「安倍さんが謝ることじゃないですよ。」



「・・・あのさ・・・」

「なんですか?」

帰る用意をしながら応える吉澤
269 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月28日(火)22時53分59秒
「お昼に居た子・・・あ、やっぱり良いや。なんでもない、ごめんね。」


「梨華ちゃんのことですか?」

「えっ」

「昼間に居た子ですよね?」

「あっ、う、うん。どういう関係なのかなって・・・送っていったみたいだし。

 あ、いや、ほらね?吉澤さんから他の子の名前って聞いたことなかったし、

 ほら・・・ご飯食べたとき・・・友達居ないって言ってたから・・・

 あ、ごめんね、余計な詮索だね、ごめん。」



「梨華ちゃんは一緒に暮らしてるんです。」


「え――?」

それだけ言うと吉澤は荷物を持って出て行った。


吉澤が向かった先は次のバイト先の居酒屋だった。


片づけをやり、仕事を終えるはいつも1時頃。

そこから徒歩で家まで1時間ほどかけて帰ってくる。

毎日働きまくりの吉澤だった。
270 名前: 投稿日:2002年05月28日(火)22時54分31秒
更新しゅーりょーです(^-^)
271 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年05月29日(水)00時46分17秒
初レスです。
いしよし好きなので期待してます。
それにしても、ここのヨシコ、めちゃ働き者ですね。
なっちとの関係も気になる。。。
272 名前:名無し男 投稿日:2002年05月29日(水)10時54分38秒
気になる展開
273 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月29日(水)13時43分40秒
よしなちだったら珍しいかも。
とにかくラストが気になる。
楽しみです。頑張ってください。
274 名前: −幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)22時59分31秒
カチャ


「ただいま・・・」AM2:00



『おかえり!!お疲れだね、お風呂すぐ沸かすからね。ご飯食べて待ってて。』




「・・・ただいま。・・・なに、コレ、梨華ちゃんが作ったの?」


『う?うん、そうだよ。あるもので作ったから大したことないけど・・・

 不味くはないと思うよ?』



「あ、ありがと・・・」




パパパッと楽なカッコに着替え、席に着く吉澤。

どことなく顔がほころんでいた。

昼間に自分が梨華に対してやったこと言ったこと、それを忘れたわけじゃなかった。

でも自分のためにしてくれたことが複雑ながらも嬉しかったのだ。


パシッ!!

両手を合わせて顔の前に持って行き、ボソっと一言


「いただきます。」



吉澤は自然とそう言っていた。
275 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)23時00分29秒
『すぐ沸くからね。』


梨華が濡れた手を拭きながら戻って来た。



「梨華ちゃんさ、昼間のことだけど」

お箸を置いて梨華に話しかけた吉澤だった――が、

梨華が先に話しだした。


『吉澤さん、今度お休みの日、どこかに遊びに行かない?』

「え?なんて?」


『近くの公園でも良いし・・・なんか一緒に暮らしてるけどあまりお互いのこと

 知らないなぁって今日思ったの。もっと吉澤さんのこと知りたいし、

 仲良くなりたいから。』





「・・・うん。そうだね。」


『お休みの日分かったら教えてね?』



「分かった。」
276 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)23時01分21秒
それから食事を再開した吉澤。

食べている間ずっと梨華は吉澤を嬉しそうに見つめていた。



「・・・あんま見ないでよ、食べにくいじゃんか。」


『えへへ、ごめん。美味しそうに食べてくれてるから良かったなーって思って。』


梨華はそう言いながら傍に転がっていた雑誌を手に取りパラパラと読み出した。




「・・・美味しいよ。上手に出来てる。」


吉澤はボソっと言ったが梨華はすぐに反応し、


『ほんと?嬉しい!!明日も頑張るからね!』

と、本当に嬉しそうな表情で吉澤の方を見て言った。



それを見た吉澤はなんとも言えない気持ちになっていた



(なんだよ・・・そんなに嬉しそうな顔しないでよ・・・ほんとに感情あるみたいじゃんか・・・)


他人に対して素直じゃない吉澤は、嬉しくは思っても梨華の気持ちを簡単に

受け入れる事が出来なかった。



それから――

吉澤がお風呂から出てきた後も梨華は起きていて吉澤に色々と話しかけていた。
277 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)23時02分15秒
次の日――


『おはよう!これ、持って行って。』

「へ?なに、コレ。」

『お弁当はあとはあと一生懸命作ったの。お昼に食べてね。』


「で、でもこんなの作る材料あった?ウチに。」


『ううん。無かったよ。でもね、保田おばあちゃんがおすそ分けだよーって

 野菜とかお芋とか・・・色々くれたから。』


「保田おばあちゃん?誰それ。」


『えー?お隣にひとりで住んでるよー?知らない?』


「と、とにかく知らない人から物もらったりしたら駄目だよ、今日は・・・コレ、

 有り難く頂くけど・・・分かった?」


『・・・はあい。今あるのだけで作る。』


「うん。じゃあ行ってくるね。」

『うん!気をつけてね!』
278 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)23時03分36秒
帰って来たときに『おかえり』と言われ、行くときに『いってらっしゃい』と言われる・・・

ましてや今日なんかは手作り弁当まである・・・



吉澤はやはり嬉しかった。



スーパーまでの道のりが軽く感じられた。





スーパーに着いて用意をしている頃・・・その熱が冷めたのか、急に吉澤はバカらしくなり

お弁当をロッカーに押し込んだ。



(なんだよ・・・こんなの・・・愛してって言った途端これだもん・・・本心じゃないじゃん。

 浮かれてバカみたいだ。)




カチャ

「おはようございます。」

「あ、おはようございます。」



吉澤がそんなことを考えていると安倍が従業員室へと入って来た。
279 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年05月29日(水)23時04分57秒
「今日も忙しくなりそうだね。」

「そうですね。」



「…吉澤さんさぁ、いつもココ終わったらどこのバイト行ってるの?」

「え?ここの後ですか?居酒屋ですけど。」

「そっか。昨日の子はそこで出会ったの?」


「?(あ、)梨華ちゃん?」

「そう。」

「そんなんじゃないですよ。」



「…ね、今度食べに行っても良い?」

「別に良いですけど。」




安倍さんは最近良く話しかけてくる。

特に梨華ちゃんに会ってからは大分多くなった。

なんでだろう?

別に悪い気はしないし世間話程度だから楽で良い。

変に恩着せがましくもないし明るいしうっとうしいなんて思わない。



あっ、休める日調べるんだった




はーやっぱ定休日までないか…

ま、居酒屋もそんなすぐに休み入れられないから調度良いのかな…?








――と、いうことで一ヵ月後に休みが取れることが分かった。
280 名前: 投稿日:2002年05月29日(水)23時10分07秒
>271 ごまべーぐるさま
     初めましてですね(^-^)レス有難うございます。     
     ここのよしこはボンビーなのです(w
     心もちょっと荒んでいるのです。救えるのかな・・・。

>272 名無し男さま
     思ったより長くなってきて焦ってます(汗
     もーしばらく続くのでお付き合い下さいませ。

>273 名無し読者さま
     よしなちって確かにあんまり見ないですね。
     なっちはそんなに関わらなかったり(w
     早く終わらせて次行きたい今日この頃・・・。
281 名前:名無し読者。 投稿日:2002年05月30日(木)13時32分02秒
よしこの気持ちが気になる…
ううう。
282 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年05月30日(木)18時01分02秒
吉の幸せは、何でしょうか?
やっぱ、梨華ちゃんの愛?
保田のおばあちゃん。。。。ヤッスー出た!!(笑
283 名前:名無し男 投稿日:2002年05月31日(金)18時35分47秒
バトルになりそうなヨカソ
284 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時22分52秒
カチャ

「ただいま。」

『おかえりーお疲れ様だね。』

「うーん。」


梨華の用意した夕食に手をつけて満足したころ、お風呂前のなんともいえない

まったりとした空間

吉澤がごろっとしていると梨華が急に吉澤の背後に行き、肩を揉み出した。


「梨華ちゃん?!」

『やっぱりね〜疲れてると思ったの〜!すっごく凝ってるよ?揉んであげる。』

「良いって悪いよ!」

『遠慮しないで良いよ。吉澤さんが疲れてるのにほっとけないよ。』



「…ありがとね。」

『ううん♪』



遊びに行く約束までまだ少しあったがふたりは――というより吉澤は

大分梨華に心を許していた。

少しずつ、梨華に対して素直になっていった。
285 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時24分19秒


「吉澤さん、今日のお昼どうするの?」



安倍は毎日のように吉澤に声をかけてお昼に誘っていた。

そんな風に誘われても社交辞令だと、今まではなんとも思わなかった吉澤だったが

少しずつ変わってきていた。


いつも、どんな時でも笑顔の安倍を見ていると、この世の中に嫌なことなんか

ないんじゃないかと思えるほどに吉澤は心にゆとりを持つようになっていったのだった。


吉澤からわざわざ誘うということは決してしなかったが毎日誘われるのを

心のどこかで楽しみにしていた。




安倍はこんなことをいった。


『吉澤さんは笑うと可愛いよ?もっと笑いなよ』


こんなこともいった

『前にさ、いつもひとりって顔してるっていったけど最近はそんなことないね、

 余計なお世話だけど…』

これには純粋に吉澤はうれしかった。



そして極めつけはこうだった



『なっちね、吉澤さんとお昼を一緒に食べるのが毎日の楽しみなの。』




286 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時26分27秒
こうなってくると吉澤は複雑だった。


自分を愛するように強制した梨華


自惚れじゃない、少なからず好意を抱いてくれてる安倍



自分は一体どちらに気持ちが向いているのか?


どちらにも向いていないのか?


どちらと話していて楽しいのか、寂しくないのか、温かいのか…





それにそれほどの差は感じられなかった。




吉澤は梨華に申し訳ないと思いつつもそれならば生身の人間だろう、

私が幸せになったら梨華ちゃんの役目は終わる、消えるしかない。

いつか消えるロボットのことを思うより生身の人間安倍を選んだのだった。



吉澤はそういった気持ちの変化を梨華に言う事はせずに、はっきりとしないままに

時間は過ぎて行った。


何よりも自分を先に考えてくれる梨華、疲れているときは癒してくれていつも

笑顔でいてくれて・・・ひとりぼっちの淋しさを忘れさせてくれた。

そもそも淋しいなどとは思ったことのなかった吉澤だったが、梨華が来たことによって

それを知り、でもひとりじゃないよと教えてくれた梨華に感謝をしていた。

――だが、安倍を選んだのだ。
287 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時27分52秒
ある日――

夕食を食べている時のこと。

梨華はいつものようにお風呂の準備をし、会話がないときは雑誌などに目をやって

吉澤のくつろぎタイムを邪魔しないようにしていた。


(梨華ちゃん・・・ほんとは好きなことしたいんだろーな・・・感情は作られたものかも

 しれないけど・・・私があんなこといったせいで私に縛られて・・・尽くして・・・

 可哀想だよね・・・)


吉澤は、自分があんなことを言ったせいで梨華が尽くしてくれている、

好きになってくれている、そう思っていた。


最近気になりだした安倍、梨華と比べて差はなかったが、自分の気持ちが

分からない今、梨華に強要し続けるのは悪いと思った。



だから言った。



「梨華ちゃんさ、ちょっと良い?」


『なぁに?』

雑誌を横に置いて振り返る梨華


曇りのかけらもない透きとおった顔だった。
288 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時28分56秒
「あ、あのさ、前に言ったことだけどね・・・その・・」


『なに?なんだっけ?』



「その・・・・・・愛してって言ったことなんだけど・・・」

『!あっ、うん。どおしたの?』


「あれ、もう良いや。なかったことにして。」

『えっ?!どうして?何言ってるの?』



「だって・・・やっぱ無理やりだしさ・・・それに私は梨華ちゃんのこと好きかどうか

 わかんないから。」


『無理やりじゃないよ!ちゃんと好きだよ。吉澤さんのこと。』




「・・・私はわかんないよ。だからなかったことにして。」



『そんな・・・・・・・・・』

「ごめんね。」


『・・・』




眉間にしわをよせて驚いた顔をしたままの梨華を残して吉澤は布団へと向かった。
289 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)00時30分32秒

(『・・・伝わってなかったの?偽物だと・・・思われてた?・・・そんな・・・』)


梨華は自分も布団へと向かうと、先に布団へと入った吉澤に話しかけた。



『吉澤さん、他に好きな人居るの?』



「・・・なに?」

『私の他に好きな人が居るの?』



「・・・なんでそんなこと・・・」

『だって・・・急にへんだもの。』




「・・・分からない。でも、気になる人は居るよ。」



『・・・そうなの?』

「うん。だから、上手くいくように応援してね。」






『・・・・・・幸せに繋がるの?』




「・・・そう、・・・だね。」

『私も好きで居て良いの?駄目なの?』

「もう良いんだってば無理しなくて。もう疲れたから寝るから。」



そう言ってすぐに吉澤は眠りへと落ちて行った。








(『気になる人って・・・安倍さんかな?・・・幸せに繋がるんだね?』)














『幸せの素』である梨華は自分の気持ちより先に仕事を優先することを決めた。

290 名前: 投稿日:2002年06月01日(土)00時35分40秒
>281 名無し読者。さま
      吉の気持ち、ようわかりません(w
      ――と、いうよりは今回のキャラはみんな不安定すぎで。
      ごめんなさいm(__)m

>282 よすこ大好き読者。さま
      “吉の幸せ”、それはまぁおいといて(w
      幸せになって欲しいなぁ〜ってな感じです。

>283 名無し男さま
      バトル?!いしなちですか?!
      いしなちは温厚なのでそれは・・・。
      吉、はっきりしろ!!って感じです。

      では!!(^ー^)ノ~~
291 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月01日(土)01時09分37秒
うう…アゴンに幸せは訪れるのでしょーか…
292 名前:brett 投稿日:2002年06月01日(土)02時12分55秒
はじめてレスします。やぐごま編は設定のおもしろさに魅かれましたが、
いしよし編はストーリーに魅き込まれています。期待してるので頑張って
ください。
293 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月01日(土)07時45分56秒
吉ーーーー!石ーーーー!二人ともそれでいいのかーー!?
294 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時13分37秒
それからも毎日安倍は吉澤を食事に誘い、吉澤も会話を続けようとしていた。

仕事が終わって安倍の使う駅までの短い道のりをふたりで歩くようになった。



カチャ

「ただいま。」 AM2:00

『おかえり。』


(あ〜今日すごく眠い〜疲れたぁ・・・)

『お風呂沸いてるからゆっくり浸かってね。ご飯もあるし。ゆっくり体休めて。』

「ありがと〜」
『じゃあ、先に寝るね。おやすみ。』
「ん。」


次の日もその次の日も吉澤は安倍と仲良くしていた。


「おはよーございます。」

バイトに来て挨拶をした吉澤だったが中には誰も居なかった。
いつも吉澤が来るころには着替えて居た安倍。

今日は休みだった。
295 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時15分07秒
カチャ

「・・・ただいま。・・・はぁ。」AM2:00

『おかえり・・・元気ないねぇ。』

「んなことないよ。さっお風呂入ろっと。」


『よーっし今日は一緒に入っちゃう!!れっつごー!』

「は、はあ?!なに言ってんの!!」

『駄目?たまには良いじゃない。』

「ば、ばか!ひとりで入りなよ。」

吉澤は大急ぎで着替えを持つと梨華の前から去って行った。


『・・・ちぇ。』




「・・・お先。」


「あれ・・・?梨華ちゃん・・・?」

お風呂から出て部屋を見渡したが梨華は居なかった。

「?」


キョロキョロとしていた時――
ベランダから吉澤を呼ぶ声がした。



「・・・なんだここに居たの。なにしてんの?」
『んー、はい。』

「ビール??こんなのあったっけ?」
『保田のあばあちゃんがくれた。』

「また?!」
『駄目って断ったんだけど「いいからいいから」って・・・だから、飲も?』


「はー・・・梨華ちゃん飲めるの?」
『初めて。』

「?!ま、まあ良いや。」


吉澤も梨華の横に並んで飲み始めた。
296 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時16分57秒
雲ひとつない夜空を眺めながら涼んでいると、梨華が話しだした。

『吉澤さん、安倍さんっていう人とはお話してる?』


「あ?安倍さん?」

『気になる人でしょ?』



「あ〜・・・まぁ、そう、なるのかな。」

『吉澤さんあまり自分からお話しないでしょう。気になっちゃって。』


「うーん・・・自分からってのはどうも今までしたことないし・・・

 それに好きって訳じゃないし・・・そういうの良くわかんない。」


『あまり話す機会ないの?』

「あ〜・・・お昼ご飯は一緒に食べてるけど・・・誘ってくれるから。」




『誘ってみたら?』
297 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時18分11秒
「誘う?!私から?!ヤだよそんなのめんどくさいし。」

『いつも誘ってもらってるんなら良いじゃない、たまには誘ってみたら。
 いつも誘ってくるんなら誘ってもOKじゃないの?』



「・・・よくわかんないよ。今日は良くしゃべるんだね梨華ちゃん。」


『そう?・・・なんか元気なさそうだったし、・・・ビール飲んでるからかな?』


「・・・も、寝ようか。」
『そうだね。』


ふたりして布団へと潜り込む



(『少しは元気になったのかなぁ・・・?』)






(「自分から・・・ね。・・・明日・・・誘ってみよう・・・か、な?」)

298 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時19分21秒
次の日――

「おはようございます。」
「あっおはよ〜」

「昨日、休みだったんですね。」
「あ、うん。高校のときの友達と遊ぶ約束してて。」


「高校の友達――ですか。」

「うん。久しぶりに会って・・・楽しかったよ。」



「・・・良かったですね。」
「うん、あっ、そろそろ行かないとね。今日もがんばろーね。」


「あっ(お昼・・・)」

今日は自分からお昼ご飯を誘ってみようとしていた吉澤

言い出す機会を逃し、言えないままスーパーは開店した。


途中、何度か声をかける機会が合ったが、吉澤は何も言う事をせずに昼休みになった。





(よっし!誘うぞ!!)




従業員室に戻りロッカーを開けて財布を取り出して安倍が来るのを待っていた。
299 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時21分06秒
カチャ

「あ、お疲れ様です。」
「あっお疲れ様〜」

安倍はひとことあいさつをするとさっさと荷物を持って出て行ってしまった。



「あっ安倍さん!!」

声をかけた吉澤だったが聞こえてなかったのか安倍は止まらずに出て行ってしまった。



結局そのあともしばらく待ったが安倍は戻らず、吉澤はいつもふたりで行っていた
定食屋へと急いで向かい、ひとりで食事を取った。



(安倍さん・・・用事かな・・・せっかく誘ってみようかと思ったのに・・・)





食事を終えた吉澤がスーパーへと戻って来たとき、誰かが入り口の前で
おしゃべりをしていた。


「安倍さんだ・・・誰だろ、あれ・・・?」



今までに見たこともない女性が安倍と一緒に楽しそうに話している姿がそこにはあった。

吉澤は自分では理由は分からなかったが、胸が苦しかった。

見ていると何故か辛かったので従業員室へ戻ることにした。

入り口で話をしているので必然的に横を通ることになる。
300 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時22分32秒
「・・・お疲れさまです。」

「あっお疲れさまぁ」



カチャ・・・


部屋に入った吉澤はもやもやが収まらなかった。


(なんだよ、あの人!安倍さんのなんなの?あんな幸せそうな安倍さん初めて見た・・・

 なんか腹立つ!!・・・あの人とご飯食べてたの?)



いろいろと自分では解決できないことを考えていると、安倍も部屋へと入って来た。


吉澤にひとことも無くロッカーにかばんを直す安倍。

吉澤はどうしようもなくなり、聞いた。



「・・・安倍さん、聞いても良いですか?」
「んー?なぁに?」


「さっきの人、友達ですか?」

「あっ裕ちゃん?友達なの、かな・・・?今日はね、久しぶりにメール来て、
 一緒にご飯食べようって言ってたの。」



「・・・そうっすか。」

「吉澤さんは?ご飯食べた?」

「はい。いつもの店で。」

「そっか、ごめんね。何も言わないで。」


「いえ、約束してるわけじゃないし、気にしないで良いです。それじゃ、
 仕事の時間なんで。」



「えっ、吉澤さん?!」
301 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時23分59秒
吉澤はすごく悔しかった。


『吉澤さんとお昼を一緒に食べるのが毎日の楽しみなの。』


そう言ったのは安倍なのに、喜ばせたのは安倍なのに・・・

その言葉を安倍自身によって嘘にしてしまった。


吉澤は心からその言葉を嬉しく思い、そして今日は自分から誘おうとまでした。

正直言って今までに今回以上の勇気を出そうとしたことってあっただろうか?そう思った。


そしてやはり愛なんて、愛情なんて自分には似合わない、もらえるはずがないんだ。

またもやそう思ってしまった。

そう思うに充分の出来事だった。

泣きたかった吉澤だったがプライドが許さず、仕事を責任もって果たし、

一緒に帰ろうと誘われる前にさっさと出て行った。
302 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時25分27秒
夜のバイトも終えて帰宅した吉澤。


カチャ AM2:00


『・・・?あ、おかえり。』



「・・・・・・ただいま。」

『ご飯、出来てるよ。』


「・・・」

何も言わずにもそもそとご飯を口にする吉澤。

何かを耐えているかのような表情に見えた。



『・・・吉澤さん、なにかあった?』




「・・・べつに。」

『・・・そう。』

何かあったことなど吉澤の様子を見れば一目瞭然なのだが、気を使って梨華は
それ以上突っ込まなかった。


吉澤がお風呂に入っている間も気になっていた梨華は寝ることをせずに
じっと出てくるのを待った。

出てきてすぐに布団へと入る吉澤。

声を掛ける事が躊躇われ、梨華も同じように布団へと入った。




布団に入ってしばらくしたころ・・・AM3:30




「・・・っく・・・っ・・」



隣で眠っているはずの吉澤からかすかに声が聞こえた。

梨華はじっと動かずに様子を伺っていた。



「・・ぅ・・・っ・・」


よく聞いていると、吉澤は声を殺して泣いているのが分かった。
303 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時27分08秒
そっとしておいた方が良いのかな、そう思った梨華だったが、

吉澤が泣いたのをみたことが無かった梨華はいてもたってもいられなくなり、

思い切って声をかけた。



『・・・吉澤さん、大丈夫?』




「・・・・・・・・」


『・・・どうかした?』



「・・・・・・・・・・・・・」


『ねぇ――』

「うるさいな!!関係ないでしょ!!ほっといてよ!」

背を向けたまま吉澤は言った。



『ごっごめんなさい、でも、でもほっとけなくて・・・』

「関係ないって言ってんの!!・・・大体なんだよ、梨華ちゃんが来てから良いこと

 ひとつもないじゃんか!何が幸せの素だよ!!不幸の素じゃんか!!!」




『・・・・・・ごめんなさい、私・・・吉澤さんの迷惑になることしかしてない・・・ね。
 
 でも・・・じゃあ、どうしたら良い?私は吉澤さんのために何が出来る?

 吉澤さんのために何をしてあげられる?私、分からない。どうして良いか分からないよ・・・』
304 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時28分21秒
「・・・何もしていらない。もうどうでも良いよ。」



『・・・吉澤さんのことが好きなの。幸せになって欲しいの。本気で思ってるの。』

「・・・」


『吉澤さんが望むなら安倍さんにだってなるし、・・・なんでもするから。

 だから、もうどうでも良いなんて悲しいこと言わないで・・・』




「・・・もう、寝なよ。」




『・・・私はいつも吉澤さんのことしか考えてないよ。』


「・・・」


次の日――
普通にバイトへと向かった吉澤。

朝から安倍が話しかけてもそっけなく、仲良くなる前よりもずっとよそよそしい

関係になっていた。

安倍は「?」な顔で何度も話しかけていたが吉澤は完全に無視していた。

気付かない振りをしていた。
305 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時29分26秒
お昼休み――
安倍が声をかけるまえに出て行った。

仕事帰り――
安倍よりも誰よりも先に帰って行った。


帰宅した吉澤は梨華が明るく話しかけるのもそっけなく、やることだけをやって

さっさと寝てしまった。


そっけなくされても邪険に扱われても梨華はめげることなく吉澤に話しかけた。


遊びに行く約束もなくなってしまっていた。





(『ひとりぼっちじゃないのに、このままじゃまた心を閉ざしちゃう。

 ひとりじゃないって気付いてもらわなきゃ。』)




(『うっとーしいって思われても良い。私はそういうものだし、ひとりの殻に

 閉じ込めちゃうのだけは止めないと』)




――と思っていた梨華は毎日毎日吉澤に尽くした。




『幸せの素』という役目ではあったがそれだけじゃない何かが梨華を動かしていた。
306 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時30分40秒
それから数週間が経ち、或る日のこと――


バイトへと向かうためドアを開けた所で、吉澤は声をかけられた。



「あんれまぁ〜お仕事かえ〜?いつも大変らしいねぇ〜」



(は?誰このおばあさん。)

「あんた、あれじゃろ?梨華ちゃんの恋人じゃろ〜?」

「なっ、違います!なんなんですかあなた!」


「わしかえ?あんたの隣に住んどる保田じゃ〜いつも梨華ちゃんから話を聞いててなぁ」



「話?なんの?」

「それは女同士の約束じゃから言えんけども、あんた、あんな良い子に好かれて
 幸せもんじゃぞー?大事にするんじゃぞー。」



「・・・恋人じゃないって」


「あっ、そうそうこれ。」

「?」

「娘から送って来たものじゃが多すぎてのう。やるから食べなぁ」




そう言って保田のおばあちゃんは自分の部屋へと戻っていった。
307 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時31分40秒
おすそわけしてもらって荷物の出来た吉澤は部屋に戻るとそのまま冷蔵庫に直しにいった。

そこから部屋を出るときに必ず目に入る寝室。

寝室といってもカーテンで区切ってあるだけで同じ部屋なのだが、そこに目が行く。



「・・・良く寝てるな・・・」

吉澤は何気なく梨華の顔を覗き込んで見た。




「・・・梨華ちゃん、いつも何言ってるの?」





「ほんとに、私のこと好きなの?」





「・・・・ほんとに、ロボット?」





「私・・・辛く当たりすぎ・・・・?」



先程保田のおばあちゃんに言われたことで梨華のことが気になった吉澤。

次から次に考えることが出てきて頭が痛くなってしまった。



ふと気が付くとバイトの時間がやばいことに気が付いた。




思ったより梨華について考えていた。
308 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時33分01秒
その日――

相変わらず安倍は吉澤がそっけなくしても話しかけに来た。

だが吉澤はあえてそっけなくするというよりは梨華のことで頭がいっぱいで

他のことに気がいかなかったのだ。



(やっぱ、きついかな・・・梨華ちゃんは悪くないもんね。)





カチャ

「ただいま。」AM2:00

『おかえり。お疲れ様。今日保田のおばあちゃんに会ったんだね。』

「あーバイト行くまえにね。初めて見た。なんか、おもしろいおばあさんだった。」

『でしょう?話し出すと長話になっちゃって・・・いつも時間忘れちゃうの。』

「だろーね。ご飯、なに?」

『今日はオムライス♪』

「そっか、久しぶりだね。頂くよ。」


『うん!――あれ?』

「なに?」



『・・ううん、なんでもない。』
(『久しぶりにお話してる気がする・・・会話になってるよね?』)
309 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時33分51秒
吉澤が食事を取る間、相変わらず雑誌に目をやりながらごろごろとしている梨華



その梨華を見つめながら吉澤は無意識のうちにこんなことを口走っていた。

「パーティーやろうか。」



“吉澤第一”の梨華はすぐに反応をし、返事をした。

『パーティー?どうして?何かお祝いするの?』



「えっ?!あっなんか言った?私・・・」


『ええ?い、言ったよ?“パーティーやろうか”って。覚えてないなら良いけどね。』

そしてまた雑誌に戻る梨華
310 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時35分02秒
(・・・うん、したいな、・・・休みとってさ、一日ぱーっとね。うん。)


梨華と暮らすようになってから、梨華がどのように自分と接してきたのか、

どんな影響を自分に与えたのか、そんなことを今日一日考えているうちに、

梨華のことが大事に思えてきたのだ。

安倍のことがあって荒れた時もここ最近も、ずっとつらく当たっていた自分を、

変わらない笑顔と変わらないご飯、お風呂、言葉をもって接してくれていたことに

気付いたのだ。


疲れているときは声のトーンを落としてくれて、元気がないときはさりげなく

励ましてくれて・・・よくよく考えると梨華は自分のためにしか動いていないことに

気付いた。




どうしてそんな梨華につらくあたっていたのか。


自分でも分からない。



いつか消える。いつか。そんなはっきりしない未来のことなんてどうでも良い。


今、今をどう生きるか。





そのことにやっと気がついた吉澤だった。
311 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時36分29秒
「梨華ちゃん?聞いてくれる?」

『うん。なあに?』

「来週の金曜日、バイトさ、どっちも休ませてもらうから、パーティーしよう?」

『えっ?・・・さっきも言ってたけど、なんのパーティー?吉澤さんの誕生日?』

「ううん。来週の金曜日はね、梨華ちゃんがここに来てからちょうど一年になる日なの。
 
 あの日、私が頭を撫でて、梨華ちゃん動かして、・・・誕生日みたいなものになるのかな?

 一日休むからさ、買い物とかしてご馳走作ってぱーっと楽しもうよ。」


『・・・私の誕生日?』

「そうだよ。祝おう。」


『そんな・・・良いの?』
「うん。楽しみにしておいて。」

『ありがとう。』

そして吉澤は機嫌よくお風呂に入り、気持ちよく眠りについた。


梨華は――

(『吉澤さん急にどうしたんだろ・・・?分かってくれたのかな・・・?
 いっぱい話してくれるから嬉しいし、良いけど。』)



(『楽しみ♪』)
312 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時37分43秒
そして約束の金曜日

健康二人組みは朝早くから起きて朝食を一緒に取っていた。


「今日はご馳走、一緒に作ろうね。」

『うん。』


朝食を終えて部屋の片づけから入って着替えて外出して・・・

ふたりは街へと繰り出していた。


「今日は梨華ちゃんの食べたいもの、なんでも良いから買いなよ。」

『えっ?でもお金・・・』

「あるよ!ちゃんとあるから大丈夫。」


(『どこにあったんだろ・・・余分なお金なんて・・・』)

いつも質素に節約節約で生活をしていた吉澤。

実はかなり貯金を貯め込んでいたのだった。


お金を預かり食材売り場へと向かう梨華

『吉澤さんは何が食べたい?一一緒に選ぼ?』


「あー私はなんでも良いよ。梨華ちゃんにまかせる。それより私、
 ちょっと買いたいものあるから買ってきてイイ?すぐに迎えに来るから。」


『?う?うん。待ってる。』

「じゃ、ね。」

さっそうと吉澤は去って行った。
313 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時38分46秒
「・・・5階だね。」



「あ、あったあった。・・・どれが良いかなぁ」


吉澤は梨華へのプレゼントを買いに宝石屋へと来ていた。

人のために何かを買うなど初めてのこと。

自分にさえもご褒美をあげない吉澤。何を買って良いのかさっぱりだった。


ううんううんと悩んでいると店員が声を掛けてきた。

「何をお探しですか?プレゼントですか?」
「(ちっうざいなぁ)あー・・・はい、まぁ。」

「今ね、お薦めなのがこちらのペアリングになります。『幸せの輪』シリーズが
 カップルの間で人気ありますね。」


「『幸せの輪』?シリーズ?他にどんなのあるんです?」


「えっと、・・・あっ、これですね。今うちにあるのはこちらの指輪とこちらの
 ネックレスですね。売れてますよ?」


「『幸せの輪』か・・・」
314 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時39分43秒
「どうされます?」


「(指輪はなんか恥ずいし・・・)じゃあネックレスで。」

「おひとつですか?こちらもペアでございますが。」

「ペアネックレス?どういうこと?」


「柄がふたつに別れてまして、くっ付けるとひとつになるんです。
 メッセージも入りますし・・・」



「・・・・・・・じゃあ、・・・・ペアで。」

「ありがとうございます!!メッセージはどうされますか?」


「いや、良いです。・・・・あっ片方だけ。」

「片方だけ?」

「出来ませんか?」

「いえ。」





(『吉澤さん遅いなぁ〜』)

既に買い物を終えた梨華はベンチに座って吉澤を待った。





「梨華ちゃん!」


エスカレーターを走って降りてきた吉澤

梨華が笑顔を返すと自然と吉澤の顔にも笑みがこぼれた。

315 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時41分03秒
「梨華ちゃんっこれ、これどうする??」

『もー吉澤さん座ってて!!』

「だって、一緒に作るって言ったじゃんか。」

『でも、進まないもの〜』


「・・・ちぇ。どうせおおざっぱだよ。」



『・・・・・・ほんとに一人暮らししてたの?』

「うわっ何気に酷いこと言うね・・・。」



『あっ吉澤さんココ・・・』

「ん?」

『ほっぺにクリーム付いてる♪子供みたーい。』


「なんだよ〜梨華ちゃんだって付いてるじゃん。」

『どこにぃ?』


「ここ!!」
『きゃあっやめてよ〜!』


「へへへ、付いてるでしょ?」

『つけたんじゃない〜』


「まぁまぁ、それより、美味しそうな匂いしてきたね。」


『そうだね。・・・楽しいね。』



「・・・ん。」


吉澤と梨華はお互いにふざけあってじゃれあいながら時を過ごした。
316 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時42分57秒
ほとんど梨華が作った料理を平らげたふたりはテレビなどをつけることもなく

ただお互いの言葉だけで場をもたせていた。

無理してもたせなくても会話が次々と発展していったのだが、それでも夜になると

やはり少なくなるもので、・・・ついに会話が途切れた。


会話が途切れたところで吉澤はプレゼントを出した。


「そうだ、梨華ちゃんにプレゼントがあるんだ。」

『プレゼント?』

「そう。もらってくれる?大したものじゃないけど・・・」

『もらっても良いの?』


「もらって欲しいんだ。」
『うん・・・』

長細い箱を開けて中身を取り出した。


「ネックレスなんだけど・・・梨華ちゃん、アクセサリーとか何もつけてないから・・・。」

『こんなのっ・・・ほんとにもらっても良いの?』

「ん。付けてあげる。」


そう言って梨華の傍へと近寄り、前から抱くような形で、

自分の胸に梨華を収めるような形で付けてやった。
317 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時44分02秒
「・・・付いたよ。」

『・・・』



「・・・・・気にいらない??」


『・・・すごく嬉しいよ、こんなのもらっていいの?こんなキレイなの・・・嬉しいよ、

 本当に有難う。・・・嬉しいなぁ・・・キレイだなぁ・・?なんか・・・書いてある・・・?』


ぼそぼそと、本当に嬉しそうに愛おしそうにネックレスを見つめる梨華を見た吉澤は、

梨華の喜ぶ姿がすごく可愛く見え、そしてすごく喜んでくれていることがひしひしと

伝わって来て嬉しかった。


嬉しさのあまり・・・吉澤は思わず梨華の唇にキスを落としていた。



『・・・・・・』



「・・・急にごめん。なんか、どうしようもなくなっちゃって。」



『・・・ううん。』


梨華は頬を赤く染めて少し俯き加減で吉澤の顔を見ていた。

そしてどことなく悲しげな表情にも見えた。



吉澤が気付くことはなかったが―――
318 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時45分55秒
「なんかね、分かっちゃったの。」


『・・・なにを?』

「なんかね、・・・私は今までずっと、“誰かに愛されたい”“誰かを愛したい”
 
 そう思ってたんだなぁって。愛なんていらない、ひとりで生きていける、
 
 そう思ってずっと生きて来た。そんなだから傷つく事が怖くて冒険できなくて、
 
 自分から何かをするのを諦めてた。愛されたことがないから愛し方が分からない。
 
 友達が居ないから出来ない。ずっとそう思ってた。――でもそうじゃないって
 
 分かった。梨華ちゃんが分からせてくれた。」


『私が・・・?』


「うん。“愛されたい”“友達が居ない”じゃないんだよね。

 愛そうとしていなかったんだよね。梨華ちゃんが変わらない愛をくれたことで、

 愛されたことで・・・私も人を愛するって、愛せるって分かったの。」



『・・・』

「それ・・・読んでみて。」



吉澤が指したネックレスには何か文字が書かれていた。



『LOVE』


ちっちゃく、読み取れないほどにちっちゃく、そう書かれてあった。

人を愛する事をやっと知った吉澤の頑張って書いた言葉だった。
319 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時47分22秒
「私、梨華ちゃんのこと、本気で好きになったの。今までつらく当たったり、

 酷い言葉言ったりしたこと謝る。梨華ちゃんが好き。梨華ちゃんは・・・どう?」



梨華は何も言わずに、目に涙を溜めて、ただ、優しく微笑んでいた。


返事をもらえなかった吉澤だったが、そうやって微笑む梨華が愛おしくて、

返事をもらえた気がして・・・・


「もっかい・・・しても、・・・良い?」


返事を待たずに梨華に口付ける吉澤



(なんか・・・人を愛するって・・・・・良いなぁ・・・幸せ・・・)



「ねぇ、これから私のこと“吉澤さん”じゃなくて、“ひとみちゃん”って呼ばない??」


唇を離し、そう梨華に言った吉澤だったが―――




「??梨華ちゃん??え?え??」







たったいま口付けを交わしていた梨華は、吉澤の前から姿を消していた。





「・・・なに?隠れてるの?・・・・梨華ちゃん?」





あたりを見回した吉澤。たったいままで目の前に居た梨華










目の前も部屋も、どこにも自分以外の、気配を感じることはなかった・・・
320 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月01日(土)12時48分56秒

「梨華ちゃん?!!」


急に居なくなった梨華を、慌てて部屋中探して見るけど梨華はどこにも居ない



外も近所もバイト先もどこもかしこも探しまくった吉澤だったが――――



梨華を見つけることは出来なかった。




「・・・なんだよ・・・どこに行っちゃったんだよ・・・・なんでいきなり消えるん―――!!!」



もしかして!!!!そう思った吉澤は大急ぎで自宅へと戻ると、梨華についての

説明書を確認しようとサイドボードを開けた。



「――!!っ、ない!なくなってる?」




そこに直してあったはずの梨華に関する説明書がなくなっていた。





『最後に、これは、あなたが幸せになれたと同時にあなたの目の前から消滅致します。』





「・・・・・消滅する。・・・確かそう書いてた・・・・・・・そんな・・・・・・・そんな・・・ウソでしょ?!!」




幸せを感じた瞬間、宣言通りに目の前から消えたのだった。




放心状態の吉澤は何もすることが出来ずにただ、そのまま朝まで時を過ごした。
321 名前: 投稿日:2002年06月01日(土)12時56分19秒
>291 名無し読者さま
     アゴンに幸せ・・・アゴンは、幸せ・・・なはず!!
     と、とにかくもうそろそろ終わるので・・・

>292 brettさま
     初めまして。やぐごま編は切なめを書きたいなぁと思って
     通勤途中に浮かんだのです。いしよし編は、石の続きを書きたくて。
     頑張りますよお〜

>293 名無しさんさま
     吉と石。幸せから離れてしまいました?
     ごめんなさーい。
     次回もこんくらいの量で、多分完結かな。
322 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月01日(土)15時35分58秒
大量更新お疲れ様です。
でも、ヽ(`Д´)ノウワァァァァァァァンッ!!
吉を、幸せにしてください。お・おながいします。
323 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月01日(土)18時32分21秒
大量更新お疲れ様です。
アゴンの無償の愛に気づいた矢先の消滅。。。

(0T〜T0)<……

幸せを願いつつ次回更新を待つとします(ToT)
324 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時05分25秒
チュン チュチュン チュン

(・・・朝・・・・・・ほんとに・・・・居ないの?・・・・もう、居ないの?)



「そんなのってないよ!!どうしてだよ!!そんなの、梨華ちゃんが居て

 幸せなんじゃんか!居ないのに幸せなはずないじゃんかーーーーーーーーーー」


吉澤の叫びは、アパート中に響き渡った。



それから数週間、働く気も食事をとることも適当に、何もかも

やる気の出なくなってしまった吉澤。

バイトを無断で休み、一歩も家から出ずに、じっと家の中にただ生きていた。


何度か安倍が住所を店長にでも聞いたのか、吉澤のアパートに顔を出した。


コンコン

「・・・吉澤さ〜ん!!居ないの〜?どうしたの〜?」



「みんな、心配してるよ〜居ないの〜?」




「何かあったの?大丈夫?」




何度も何度も安倍は訪れていたが、吉澤は家にあげないどころか一言も返事を返さずに

無視をしていた。
325 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時06分45秒
(安倍さんじゃないんだよ、梨華ちゃんに会いたい・・・梨華ちゃんの料理が食べたい

 ・・・梨華ちゃんの笑顔が見たい・・・また、クリームつけて・・・・・・・会いたい・・・・)


吉澤は衰弱しきって、かなり細くなっていた。

そんな時思い出した隣のおばあさん。

毎日話をすると梨華が言っていたのを思い出した吉澤は、何か梨華に関する

手がかりがないかを、少ない力を振り絞って聞きに行った。


コン

「・・・すいません。」

コンコン
「あの」

ガンガン!!
「保田さん!!居ませんか?!」




なんの返事もなくていらいらした吉澤は蹴り飛ばしながら言った。

326 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時07分52秒
カチャ

「・・・なんじゃえ〜あんた〜」

「あ、こんちは。あの、ちょっと聞きたいことがあって・・」
「なんじゃ〜??」



「・・・梨華ちゃん、知りませんか?」

「ほえ?居なくなったのかえ?」


「・・・はい。おばあちゃん仲良かったし、なんか聞いてないかなぁと思って。」
「ちょっと待ってなぁ〜」

「?!」


保田のおばあちゃんは部屋へ戻って10分ほどすると外で待つ吉澤のもとへと戻って来た。


「ほれ。」
「?」

「梨華ちゃんがなぁ〜『もしかしたらもうすぐ出て行かないと駄目かもしれないの。
 もしそうなったら吉澤さんに渡してくれる?』ってなあ〜私に預けて行ったんじゃ。」


そう言いながらおばあちゃんは吉澤にノートを渡した。



「これ・・・・・・ありがとうございます!!」


吉澤は急いで家へと戻った

部屋に入る手前で「あの子はいつも幸せそうじゃったよ、あんたの話をしてるとき〜」

とおばあちゃんが言ったのがかすかに聞こえた。
327 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時09分05秒
パタン・・・

預かったノートを部屋に入って玄関に座ってすぐに開いてみた。

そこには、

『梨華の気まぐれ日記はあとはあと』と、あり、梨華が吉澤と暮らす中での色々な

 出来事が気まぐれに、日にちは飛び飛びで書かれていた。


○月×日 

吉澤さんを愛するようになって1週間
全然伝えられなくてへこんじゃう。
難しいな、気持ちを伝えるって。


○月×日

安倍さんっていう人のことが好きみたい。
幸せに繋がることらしいから協力しなきゃ。
でも、ほんとは私も好きなのにな・・・


○月×日

吉澤さんが泣いた。
泣かした安倍さんが憎い。
でもどうすることも出来ない。
私に出来ることはなんだろう?


○月×日

吉澤さんがパーティーをしようと言った。
私の誕生日パーティー
すごく嬉しい、すごく楽しみ。
私の方が幸せみたい。
328 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時10分35秒
○月×日 (居なくなった前の日じゃん・・・)

この1週間、何故だかずっと怖い。
何か、悲しいことが起こりそうで、・・・怖い。
もしかしたらもうすぐ私は消えるのかな?
吉澤さん、たくさん笑うようになったし話してくれるようになった。
もしかしたら幸せを掴みかけているのかな・・・
急に消えたら・・・どうしよう。
どうしたら良いの?


そこで日記は終わっていた。

最後のページまで一枚一枚めくったがあとは当たり前だが何も書かれておらず、

真白だった。一年間の出来事全てがつまった日記だった。


吉澤はますます梨華に会いたくなり、さらに生きる気力を失いかけていった。

―――その時

コンコン


(・・・?)

「私じゃよ〜おばあちゃんじゃよ〜」

ドアの向こうから呼びかける声が聞こえてきた。

吉澤はなんとか立ち上がると、ドアを開けておばあちゃんを迎え入れた。



「・・・どうしました?」

「悪いのう〜一枚落とし取ったんじゃわい。ほれ。すまんかったの。」

そう言っておばあちゃんは戻っていった。



吉澤が今度受け取ったのは薄い紙切れ一枚だった。
329 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時12分35秒

「・・・なに?」


何気なく中を見てみた。






ひとみちゃんへ(いつか呼べるかなぁ?)


これを読んでいるってことはやっぱり消えちゃったんだね。

急に消えてごめんなさい。どうしようもないの。

最近、そろそろ消えちゃうかもって感じてた。

それは吉澤さんが幸せになれたってことだから嬉しいよ。

こんなこと言ったら駄目なんだけど、私は吉澤さんのことが本当に、

強要されてなんかじゃなくて好きだったの。

愛がなんなのか、分からなかったけど、

吉澤さんが大事ってことは分かったの。

でも、私と吉澤さん、吉澤さんが私を愛してくれたとしたら、

ずっと一緒に居られることはないの。私はロボット。人間じゃないから。

愛されて良いものじゃないの。
330 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時14分04秒
吉澤さんの幸せをずっと祈ってる。

どんな形で幸せになれたか私には知る術がないんだけど、ひとつだけ。

もし、私を愛してくれて幸せになれたんだとしたら、私のことは忘れてください。

吉澤さん、ずっとひとりだったって言ってたよね?でもそうじゃないって

分かってくれたんだよね?だったら、私じゃなくても大丈夫。

きっかけは私だったのかもしれないけど、大丈夫。

吉澤さんは人を愛せるし愛してもらえる。

愛する事が出来るんだもん、なんだって出来るよ。

私はもう会えないから。

お願い。他の人を愛して。

勇気を持って人に話しかけて。

いつでも幸せになることを考えて。


ずっと、ずっと祈ってる。


長くなっちゃったけど、終わるね。

○月×日              梨華




最後の日付は消えた当日、吉澤がまだ寝ている頃に書かれたものだった。
331 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時15分42秒
「・・・んっだよ、コレっ・・・忘れて下さいって・・・なんだよっ・・・無理だよっ・・

 ここに・・・ここに居るのにっ・・・まだ・・・感触だって残ってるのにっっ・・・」




何度も何度も日記と手紙を読み返し、泣きに泣いた吉澤。




泣ききった吉澤は、梨華の言葉を繰り返し唱え、決意した。







『勇気を持って話しかけて』










コンコン

「・・澤さん・・・安倍だけど、居ない?」


コンコン



カチャ


「あっ、・・・??どっどうしたの?」


やつれまくった吉澤を見て驚いた安倍


「はは・・・まぁ上がって下さいよ。」

「う、うん。」

適当に座り向かい合う。


「吉澤さん、ずっとバイトに出てこないで・・・心配したよ。病気だったんだね・・・大丈夫?」




「・・・私の話、聞いてもらえます?」

「?うん。」




「ちょっと信じられない話かもしれませんけど―――」


吉澤は梨華の残した言葉どおりに実行していった。

梨華を心に残しつつ、梨華の希望をかなえつつ、自分も幸せになるための

行動を起こして行った。



吉澤が再び本当の幸せを手に入れるのはそう遠くない。
332 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時16分59秒


「・・・ふわぁ・・・ああぁ・・ムニャ。」

もう朝か・・・ってほとんど寝た気しないけど!

昨夜のDVD、ごっつぁんと見ようかな。休みだしね。



横ですやすやと眠る後藤に軽く口付けてから矢口は朝ごはんを作りに台所へと向かった。

用意をしながら顔を洗ったり着替えたり・・・後藤はいつまでも寝続けていた。

昼になって起きてきた後藤に朝ごはんの残りを温め直して食べさせて、

ふたりしてDVDを見る準備にとりかかった。


「ほんじゃー再生するし。トイレとか良い?」

「オッケーだよ。」


矢口に寄り添うようにしながら紅茶を持ってテレビ画面を見る後藤。

そこは幸せな雰囲気がいっぱい漂っていた。

333 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時17分50秒
カチッ
電源を入れて再生押す

再生を押してしばらくすると題名が現れ、選択肢が現れた。


『 アゴンな壊れ物−幸せの素− ご利用特典』

ご覧になりたいメニューをお選び下さい。


1 幸せの素と過ごした時間
2 幸せの素からのメッセージ


「……どっちか一個か…どれにしよお〜…梨華ちゃんと過ごした日々も観たい……

 矢口へのメッセージ……」

矢口は迷いに迷ったが、後藤と相談をし、2番の『幸せの素からのメッセージ』を選択した。


選ぶと映像が一瞬暗くなり、そして始まった。
334 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時19分37秒
ブゥン

『まりっぺ、久しぶりだね。元気にしてた?

私はね、すーーーーーーっごく元気だよ!!

今回はね、まりっぺに伝えたいことがあって、ここに居るの。

まりっぺと過ごした数ヶ月、色々あったよね。

いろいろありすぎて時間が流れるの早かった。

楽しかった。ありがとう。

ちょっとね、聞きたいこと。

あのね、後藤さんと仲良くやってる?

別れたりしてたら、許さないよ?!分かってる??


それと、報告なの。


私は、5回勤めると初期化されるの。

最初の人から5人目の人までモード3のときのみ記憶が残るの。

残ったまま生活するの。


まりっぺはね、5人目だったの。


だから・・・・次は初期化されるから、まりっぺのこと忘れちゃうの。

まだ行かないけど、もう初期化は決まってるの。


私、忘れるつもりなんてこれっっっぽっちも無いんだけど、

初期化されると真白になるから・・・・・・・・・・それだけ、報告。


最後がまりっぺで良かった。


前にもいったけど、色んな人が居るからね。
335 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時21分08秒
こんなこというと私って不幸じゃないの?ってまりっぺは思っちゃうのかな・・・?

この後も私はどこかに行くの。そこで生活するの。

どんな人か分からないし不安はあるけど楽しいの。


私は、とっても  幸せだからね  まりっぺも ずっと幸せで居てね 


記憶消されても何されてもずっと祈ってるから


これで終わるね。


今度こそサヨナラ、だね。

あ、どこかで会うことはあるかもしれないね。

またね。だね。


プツッ

画面が暗くなり、梨華の姿は消えた。

消えたがいまだDVDは再生のままで、動き続けている。









1時間ほどして―――


『アゴーン』

プツッ
停止となった。
336 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時22分02秒
「終わっちゃったね・・・」

「うん。」

「梨華ちゃん元気そうだったね。」


「そだね、幸せだって言ってた。なんか・・・最後のはよくわかんなかったけど。」




「あっどうやって消えるんだろ?」



『最後に、これは、途中で止めることも早送ることも巻き戻すことも出来ません。
 DVDは、最後まで映像が流れたと同時にあなたの目の前から消滅致します。
 もう一度観ることも選びなおすことも出来ません。』


DVDを抜き出すとそれは、・・・・・・観ていた同時刻、裏でやっていたバラエティが

録画されたDVDに変わっていた。

消滅するというより書き換えるといった形だった。

不思議なのは、プレーヤーなのに書き込めたということだろうか。
337 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時23分30秒
「そういうことか・・・」

感心したように言う矢口に話しかける後藤


「やぐっつぁん、ほんとは・・・・ほんとは梨華ちゃんのこと好きだった?愛してた?」



「・・なぁに言ってんの?」
「答えて。」



「・・・好きだったよ。愛してた・・・と思う。」

「そか。」

「でもそれはごっつぁんに対しての感情とは全く別のものだよ。」
「別のもの?」


「梨華ちゃんは家族・・・?なんていうんだろ・・・・・・ごっつぁんはね、

 矢口が矢口自身の手で幸せにしたいって思うのよ。一緒に幸せになろうって思うの。

 梨華ちゃんは・・・幸せで居るのが分かったらそれで良いの。

 もちろん梨華ちゃんの幸せを願うよ?でも矢口自身の手でっていうところが

 まず違うもんね。」




「・・・うん。」
338 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時25分27秒
「梨華ちゃんがさ、次に行ったところでもそれからあともこれから先もずっと、

 良い人に巡り会えるように祈ってあげよう?」


「うん。」




どんなに足掻いても消えないように頑張ってもいつかは必ず消えてしまうロボット『アゴン』

それだけ聞くと不幸で可哀想なロボットだ、と、

皆が口をそろえてそういうが、実際は違う。

アゴンが消えてもアゴンは人々の心の中に生き続け、人々を励まし続け、

人々を幸せに導いている。






多くの人に忘れられずにいつまでも心の中に生き続けるアゴンは幸せなのだ。


339 名前:−幸せの素−続き 投稿日:2002年06月02日(日)00時26分07秒







そして今日もどこかで誰かが幸せになるためのお手伝いに励んでいる









『アゴーン!!』















                     終わり♪
340 名前: 投稿日:2002年06月02日(日)00時31分17秒
>322 よすこ大好き読者。さま
     終わっちゃいました(w
     吉は、こんな感じで許してくらさい・・・これから幸せになるっちゅうことで(w
     石がある意味一番切ないのかな・・・

>323 ごまべーぐるさま
     吉はこれから幸せになります!!!
     なので今回はこんな感じで。


     ちゃんとした設定をしないままに書いた『アゴン』でしたが
     書いてて楽しかったです。
     もし、読んでくださった方がいらっしゃるのなら、
     感想をいただけると幸いです。

     スレを使い切れてよかったです。
     でも、短編一個くらいまだいけそうですね。
     またお目にかかることを祈りつつ、(^ー^)ノ~~
341 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月02日(日)01時38分29秒
わ〜ん(T_T) 梨華っちせつねー!!ずっと読んでますた。完結おめでとうです。次回作も楽しみです!
342 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月02日(日)04時05分55秒
よ、よしざぁさ〜〜ん!!!(oT〜To)
せつねぇ〜〜!!ちょっとだけやりきれない、、、。
でもすっごくよかったです!
完結おめでとうございます。
343 名前:ロ〜リ〜 投稿日:2002年06月02日(日)04時09分18秒
完結おめでとうございます。
いやー切ないですね・・・
でも矢口や吉の心の中に生き続けるから幸せなのかな?

短編とても楽しみです。
大変でしょうけどがんがってください!!
344 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月02日(日)05時22分44秒
(T▽T)感動しますた。
完結おめでとうございます。
心の中でいつまでも生きられる幸せ。
切ないけど、同意です。
お疲れ様でした!
345 名前:よすこ大好き読者。 投稿日:2002年06月02日(日)10時14分55秒
(0T〜T0)うぅ……。
せつないっすけど、仕方ないですね。
やぐっつああんと、ごっつあんのその後も見れましたし…。(笑
完結、お疲れ様でした。短編楽しみにしています。
346 名前:とみこ 投稿日:2002年06月03日(月)11時51分36秒
今読み終わりました!最高です!
人が心を開く乗って素晴らしいですね。
いろんなバージョンが見れて楽しかったです!
347 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)00時05分44秒
石川梨華というよりアゴンというキャラクターとして感情移入したよ。
感動した。良い話をありがとう。
348 名前:名無し男 投稿日:2002年06月05日(水)11時39分26秒
ほんとに、ね、こう、心が洗練されましたね。
もう感動ですよ、涙出まくりですよ、
鼻水出しまくりでティッシュ切れちゃったよ、買いに行かなきゃ行かなくちゃですよ!
お陰で顔がこんなんなっちゃいましたですよ、ええ、ほんとに→(TξT)
349 名前:風板某よしごま作者 投稿日:2002年06月05日(水)14時57分36秒
とりあえず完結(?)おめでとうございます!!

うおおぉぉ!!せつねっ!!せつねぇ!!
感動っす!!泣いたっす!!

ネットカフェで周りの視線が痛いっす!

次回作にも期待してまっす!!

頑張ってくださいっす!!
350 名前: 投稿日:2002年06月06日(木)00時25分44秒
>341 名無し読者さま
     梨華っちぽくない設定だったかな、と(w

>342 名無し読者さま
     どうもありがとうございます。
     アゴンは本当に書いてて楽しかったです。

>343 ロ〜リ〜さま
     ありがとうございます。
     吉編と裕ちゃん編どっちにしようか悩みましたが吉編で良かったです(w
     裕ちゃん編はわけわからないので(^-^)

>344 ごまべーぐるさま
     ありがとうございます。
     こんななまっちょろい物語に感動してもらって申し訳ないですm(__)m
     感謝(>_<)です。

>345 よすこ大好き読者。さま
     吉くんとアゴン、一体どちらが切なかったのか、
     どちらも幸せ♪ということで(w

>346 とみこさま
     色んなバージョン。
     アゴンだけでスレを埋めるという手もあったのですが、
     浮気スレなのでこうなりました。ありがとうございました!
351 名前: 投稿日:2002年06月06日(木)00時26分16秒
>347 名無し読者さま
     ありがとうです。実際いしよしぽくなかったし、
     アゴンというキャラを活かせて(たのかわかりませんが)良かったです。

>348 名無し男さま
     >お陰で顔がこんなんなっちゃいましたですよ、ええ、ほんとに→(TξT)
     すいません、かなり笑ってしまいましたm(__)m
     嬉しいお言葉どうもです(^-^)
 
>349 風板某よしごま作者さま
     ありがとうございます。
     自分、一応(笑)♀なのでネットカフェで見るのはチト恥ずかしいです(w
     前見たときは端っこ奪ってコソコソ見ました(w
     それなのに、ほんとどうもありがとうございました(T-T)
352 名前: 投稿日:2002年06月06日(木)00時29分06秒
あとひとつくらい短編いけそうだなぁと思い、書いてたのですがバカでした。
ちょっとカン違いしてまして・・・
アゴンがギリギリ持ってよかったって感じだったんですね。
―――と、いうわけで短編を見ていただくことが出来ません。
ごめんなさいm(__)mm(__)mm(__)mm(__)mm(__)mm(__)m
また機会があれば載せさせて頂きます。

ほんとうにどうもありがとうございました。

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