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華麗なる盗賊団『タンポポ』
- 1 名前:タケ 投稿日:2002年05月14日(火)10時35分09秒
- はじめて書く小説です。 題名の通り主人公は『タンポポ』の4人(+1人)です。
その中でも矢口中心になるかも…。
頑張って書きますので応援してください。
- 2 名前:プロローグ 01 投稿日:2002年05月14日(火)10時37分34秒
- 豪華な応接室。
戸棚の上には上品なモニュメントやらがいくつも飾られている。
しかも下品にではなく、だ。
部屋には重苦しい空気がただよっていた。
その部屋の真ん中、向かい合わせられたソファー。
革の質といい張りといい、素人が見ても高価なものとわかる一品。
ひとりは3人掛けに、もうひとりは1人掛け用のに座っている。
- 3 名前:プロローグ 02 投稿日:2002年05月14日(火)10時38分26秒
- 3人掛けに座っている女性。保田圭は部屋を彩る調度品にみとれることもなく、手に持った一枚のカードを見据えている。
そのカード(名刺状の大きさの紙に一輪のタンポポの花の絵が描いてある)には「明晩0時 伺います」とだけ書かれていた。
「………。」
俯いたまま言葉を発すことすらできなさそうな女性。
保田圭の真向かい、ひとり掛けのソファーに座っているのは名を安倍なつみという。
安倍美術館の館長である。
父が亡くなったあと、そのまま美術館を引き継いだのだ。
- 4 名前:プロローグ 03 投稿日:2002年05月14日(火)10時40分51秒
- 「やはり美術展は中止にしましょう。いや、するべきです。」
保田は幾度もなく口にした言葉をまた発した。
「それは無理です。‘あの品’は、父が生前一度はあれをメインにして美術展を開きたいと願っていたものなんです。…やっと機会が来たんです。やめるわけには…。」
保田の予想していたとおり同じ言葉が返ってきた。
安倍から保田の元へ電話があったのはこの日の午前である。
電話があってからきっかり一時間後に美術館へやってきた保田は、何よりも先に安倍に美術展の中止を迫った。
しかしあっさりと断られたのだ。
それから数時間堂々巡りが続いている。
- 5 名前:プロローグ 04 投稿日:2002年05月14日(火)10時43分11秒
- またも無言。
中止を迫る保田と開催を願う安倍。
議論がおさまらないのは2人とも承知していた。
「刑事さん。なんとか、何とかお願いできないですか。」
「館長。私たちも警備には自信を持っています。日本の警察の捜査網は世界一だと自負しています。しかし‘タンポポ’だけは…。」
「刑事さん…。」
「館長だって奴らを知っているでしょう。我々警察をあざ笑うかのように美術展のメインだけを持ち去っていくプロの泥棒です。4人組という情報以外は全くつかめていないんです。」
「………。」
「私たちだって、できることなら捕まえたいですよ。そのためには美術展を開いてもらわなければならない。しかし…今度の‘品’はリスクが大きすぎる…。」
安倍には『警察の手には負えない』と自ら負けを認めているように聞こえるだろう。
- 6 名前:プロローグ 05 投稿日:2002年05月14日(火)10時46分47秒
- 無言の時間が過ぎる。
と、安倍がソファーから立ち上がった。
すすと歩き、ソファーの横に行くとその場でひざまずき深々と土下座をした。
「このとおりだ。父の夢だったんだわ。お願いできないべか。」
「か、館長…。」
どこの生まれかは保田には計りかねたが、安倍の言葉はどこかの方言だろう。
今までは綺麗な標準語で話してのに、方言がでるということは…。
“この人はここまで必死なのか…。”
「…館長。頭を上げて下さい。」
「いや、上げないべ。刑事さんがウンと言うまでは上げられないべさ。」
「頭を上げて下さい。‘タンポポ’は我々が捕まえてみせますよ。」
「ほ、ほんとだべか。」
やっと頭を上げた安倍を抱き起こし、保田は強く頷いた。
「あとは我々におまかせ下さい。警察にだって意地があります。」
安倍と目を合わせ、もう一度強く頷いた。
安倍の顔に初めて笑みが浮かんだ。
綺麗な笑みだった。
‘自分は間違ってない!’と強く思う保田であった。
- 7 名前:タケ 投稿日:2002年05月14日(火)10時48分27秒
- 以上プロローグです。
変なところがあったら教えてくださいね。
続きの参考になりますので…。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月14日(火)18時53分00秒
- 続きが読みたくなるようなプロローグですね。
期待してますので頑張ってください。
- 9 名前:タケ 投稿日:2002年05月15日(水)11時49分00秒
- >8さん
はじめてのレス、ありがとうございます。
続きも頑張って書きますので、よろしくお願いします。
続きは今夜アップしようと思います。
- 10 名前:読んでる人 投稿日:2002年05月15日(水)15時33分58秒
- >作者さん
>変なところがあったら教えてくださいね。
個人的な意見ですが・・・多少読みにくいかも・・・
一行の文字数が長くなる時は、テキトーなトコで改行した方が良いと思います。
まあ、あくまでも個人的に多少読みにくいと思っただけですから、
あまり気にせず、書きやすいように書いて下さいね。
今後の展開に激しく期待♪
- 11 名前:タケ 投稿日:2002年05月15日(水)21時02分54秒
- >読んでる人さん
レス&ご指摘ありがとうございます。
改めて読み返すと読みにくいッスね…。
以後気をつけて書きますね。
それでは今日の分行きます。
- 12 名前:少女達 投稿日:2002年05月15日(水)21時03分20秒
- あるホテルの一室。
女性というには若すぎる−少女と呼ぶのが正しいだろうが−4人集まっている。
それぞれ、据え付けているベッドに腰掛けている者、イスに座る者、
窓から外を眺め景色を楽しむ者バラバラだ。
4人に共通すること、それは同じ目的のため同じ人間を待っているということである。
- 13 名前:少女達01 投稿日:2002年05月15日(水)21時04分06秒
- 「カオリ、カオリ。ねぇカオリ、聞いてんの?カオリ。」
ベッドに腰掛けていた少女が呼びかけた。
呼ばれたのは、座ることも外を見ることもせず部屋の端にたたずみ、
どこでもないところを見つめている少女。
細身で背が高く、手足が長く頭が小さい。
そう、スタイルが良いのだ。
ブーツカットのジーンズを腰で履き、
腹部をあらわにしたカットソーを見事に着こなしている。
髪は長く少しカールさせており、そのスタイルにぴったりと似合う。
大きな目でぼんやりと空を眺めているその姿は見るものを魅了する。
その目は大声で呼ばれているにもかかわらず、今だ空を見つめたままだ。
- 14 名前:少女達02 投稿日:2002年05月15日(水)21時04分44秒
- 「カーオーリー。」
ベッドに腰掛けていた少女がベッドから降り、
空を見つめている少女、カオリの元へ歩いた。
小さい。
ベッドに座っている間はなかなか気がつかないが、
立っている姿はあまりに小さい。
ぱっちりとしたアイメイク、
ルージュの上にグロスを塗り艶やかに輝く唇、
そしてミニスカート。
明かなギャルファッションに身を包んでいるが、その背は小中学生にしか見えない。
「うるっさいなぁ。小さい小さいって言うな。セクシーと言えよぉ。」
…とてもセクシーである。
- 15 名前:少女達03 投稿日:2002年05月15日(水)21時06分42秒
- カオリの元に歩み寄った少女は、手を伸ばしてカオリの頬をペチペチと叩く。
「カーオーリー。帰ってこーい。」
「ん?あ、あーあー…。あれ、どした?ヤグチ。」
「あれ、どした?じゃないよぉ。また交信してたのぉ。」
「交信じゃないよ。あのねカオリはね北海道を思い出してたの。
藻岩山のてっぺんからね札幌を見下ろすとすっごく広いの。
野幌の方までキレイに見えてね百年記念塔…だったかな?も見えるんだよね。
あ、百年記念塔はねカオリ見学旅行で行ったことあるんだけどね。すごいの古いの…。」
「カオリ…それ長くなる?」
「でねそこで食べたおにぎりがねもうおいしいの。
わかる?
おにぎりはね太陽の光を一杯浴びて芝生の緑を見ながら食べるとすっごくおいしくなるんだよ。
でね、中に入っていたのが鮭…。」
「……。ダメだこりゃ。」
ヤグチは、なおもひとりで喋っているカオリを残し、ベッドに戻ろうとした。
- 16 名前:少女達04 投稿日:2002年05月15日(水)21時09分30秒
- 「あいぼんあいぼん。一緒にお外見ようよ。」
外を見ていた少女がイスに座っている少女を呼ぶ。
「ダメダメ。ワタシなぁ、高いところが苦手なんよ。」
関西独特のイントネーションで窓の少女に向かって言う。
この子も小さい。
背も小さいが、見た目が若い。
まだ10代初頭ではないだろうか。
他の3人が10代半ばから後半に見えるのに対し、
あいぼんと呼ばれたこの子は小学校を卒業したくらいに見える。
チェック柄のシャツにミドルサイズのスカートというラフな服装が、
若く見えるこの子をさらに幼く見せる。
- 17 名前:少女達05 投稿日:2002年05月15日(水)21時10分03秒
- 窓の元に立っていた少女があいぼんの方を向く。
「あれ、高所恐怖症なの?」
「そやー。」
「残念だなぁ…。すっごくキレイなのに…。」
「あんなぁリカちゃん。煙とバカは高いところが好きなんやって、知ってた?」
「なにそれぇ?私がバカだって言いたいわけぇ?」
- 18 名前:少女達06 投稿日:2002年05月15日(水)21時10分57秒
- そんな事言う子はお仕置きだからねぇ。
と言ってあいぼんを追いかけ回すリカちゃん。
高いところ好きなリカちゃんはおバカさんやぁと、
ケラケラ笑いながら部屋中を逃げ回るあいぼん。
その2人を「うるっさい!」と叱りとばすヤグチ。
そして今だ喋り続けているカオリ。
そう、この少女4人達こそ『タンポポ』なのだ。
世間を騒がす盗賊団『タンポポ』の正体が少女4人だと知ったとき
警察はどう思うのだろうか。
- 19 名前:タケ 投稿日:2002年05月15日(水)21時12分00秒
- なんか紹介っぽくなってしまいましたが、ここまでです。
こういうところに発表するのって難しいですね。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月15日(水)23時11分04秒
- 面白いのが始まりましたね。読ませてもらいますよ!
- 21 名前:タケ 投稿日:2002年05月16日(木)21時55分39秒
- >20名無し読者さん
レスありがとうございます。
キャッ○・アイっていう良いお手本があったので
パクリにならないようにパクリました。(w
これからも読んでくださいね。
では、続き行きます。
- 22 名前:『tear of LOVE color』01 投稿日:2002年05月16日(木)21時59分54秒
- 保田と安倍が美術展の開催についてやりあう数日前、
同じ応接室に安倍と、もう一人女性の姿があった。
もう一人の女性は電話中である。
- 23 名前:『tear of LOVE color』02 投稿日:2002年05月16日(木)22時00分32秒
- ガチャ。
終始和やかに会話が終わる。
電話を切り、後ろを振り向く。
振り向いた先には、こちらの方を心配そうな顔で見ている安倍の姿があった。
「ど、どうだった?」
机から身を乗り出して尋ねる安倍。
- 24 名前:『tear of LOVE color』03 投稿日:2002年05月16日(木)22時01分03秒
- 「なっちゃん、おめでとう。」
関西弁独特のイントネーションで言ったあと安倍の元へ歩み寄り、
握手を求めながらニコッと笑う。
スーツの似合う大人らしい女性。名を平家充代(みちよ)という。
安倍とは長いつきあいで、
お互いに「なっちゃん」「みっちゃん」と呼び合う仲である。
- 25 名前:『tear of LOVE color』04 投稿日:2002年05月16日(木)22時01分56秒
- 「みっちゃん。ホントにかい?」
全く信じられないといった表情の安倍。
平家は安倍と握手した手を大きく振りながら
「良かったね。良かったねぇ。」
と喜んだ
近ごろ、安倍も平家もピリピリしていた。
やっと巡ってきたチャンス。
安倍の父がずっと望んでいた‘品’を使って
美術展を開けるまたとないチャンスがやってきた。
そのチャンスを手にできるかどうかの瀬戸際だったのだ。
そして今、先方からOKがでた。
苦労は報われたのだ。
これで大きな大きなハードルを1つ越えたことになる。
- 26 名前:『tear of LOVE color』05 投稿日:2002年05月16日(木)22時02分53秒
- 「みっちゃん、サファイアって普通青いべ?
でも‘アレ’はピンクなんだ。そして大きいの。
サファイアに魅せられた父がずっと見たがっていた品なんだよ。」
安倍は何度も聞かせている話を平家に聞かせた。
平家は何度も聞いている話だったがフンフンと頷きながら聞いた。
安倍の喜んでいる顔を見ると
「それ、何回も聞いてるんやけども…。」
と止める気にはなれなかった。
「で、この写真を見て。」
安倍の手に持たれた一枚の写真。
そこにはオレンジ色に近いピンクの石がある。
「『tear of LOVE color』日本語にすると愛色の涙。
世界最大のパパラチアサファイア。
サファイアは普通青いんだけど…。」
言うまでもなく平家にとっては幾度も見た写真であり、幾度も聞いた言葉である。
平家は安倍から写真を受け取り、見た。
そう、今度開催する宝石店の目玉中の目玉である。
この石のためにここ数ヶ月間、2人はかけずり回ったのだ。
- 27 名前:『tear of LOVE color』06 投稿日:2002年05月16日(木)22時03分52秒
- 「…みっちゃん。ホントに、ホントにありがとね。」
ひとしきり喋り興奮が冷めてきたのか、
安倍は平家の手を再度取り頭を下げる。
「なっちゃん、頭上げてよ。
なっちゃんのお父さんにはたくさんお世話になったもん。
それに、あたしがなっちゃん好きやしね。」
照れくさそうに平家が言う。
「それでもさ、全部みっちゃんのおかげだよ。なっちはね、なっちは…ね…。」
言っているうちに安倍の目には大粒の涙が浮かぶ。
「なっちゃん…。」
平家は安倍を抱き寄せ、頭を撫でるのだった。
- 28 名前:『tear of LOVE color』07 投稿日:2002年05月16日(木)22時09分04秒
- そうして、愛色の涙を取りに行った平家は明日日本に帰ってくる。
安倍は愛色の涙を直に見れること、
そして久しぶりに平家に会えることで胸を弾ませていた。
- 29 名前:タケ 投稿日:2002年05月16日(木)22時11分41秒
- 今日はここまでです。
tear of LOVE colorの日本語訳があっているかどうかは
ぜんぜんわかりません。(w
- 30 名前:読んでる人 投稿日:2002年05月17日(金)22時02分10秒
- お手本はキャ○ツ・アイでしたか。
自分はルバン○世をイメージしてました。
ところで、前回更新の章にリカちゃんの紹介が無いのはナゼ?
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月18日(土)06時07分44秒
- 作者さんは関西弁が苦手と見える
脳内変換して読んでるので問題ないけれど。
宝石の名前は語呂が悪いというか
”愛色”って表現がしっくりこない
無理に直訳せずにイメージで名前つけると良かったかもね
この手の話は好きなので続きを楽しみにしてます。
- 32 名前:31について 投稿日:2002年05月20日(月)00時33分40秒
- 関西弁が苦手ならこれ
http://www.yorosiku.net/yan/osakaproxy.html
- 33 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時47分34秒
- >30読んでる人さん
女の子の泥棒って事で、
一応キャ○ツ・アイをお手本にしてます。
ただ、どうしてもルパン○世風になってしまうところも
出てきてしまうと思います。
どちらも優れた作品ですからねぇ。
石川さんの紹介が無いというか…。
今回を読んでいただければわかると思いますが、
紹介は別個しようと思っていたので、
特に意識しないで書いていました。
>31名無し読者さん
はい、苦手です。(おい…。)
こちら、北海道人ですので。
なんとなく雰囲気でしか書けないんですよ。
読みにくい部分も多々あるかとは思いますが、
これからも脳内変換していただけるとありがたかったり。
でも、できるだけ読みやすい用には努力します。
宝石の名前ですが、無理矢理にでも付けたい名前だったんです。
「涙色の愛」と「愛色の涙」で迷ったんですが、
愛の色ってのはなかなか使わない言葉だと思ったので
逆に使ってみました。
>31さん
このフィルタ、すごいですね!
どうしてもわからないときは使わせてもらいます。
貴重な情報、ありがとうございました。
それでは、次に行きます。
といっても、
次は登場人物の紹介だけにします。
- 34 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時49分45秒
- 『タンポポ』のメンバー
飯田圭織−いいだ かおり−
『タンポポ』のリーダー。
交信(自分の世界に入ること)が特技。
基本的に自分の世界に生きている人間なので、
言動が謎なことが多い。
闘ったらすごく強い。
痛みを感じる神経が鈍いのかもしれない。
矢口真里−やぐち まり−
飯田のサポートに回ることが多い実質的リーダー。
金髪にギャルファッションと
「どこが盗賊団なんだよ」と
ツッコミを入れたくなるような容姿。
自称「セクシー隊長」
小さい体躯を生かし、
すばしこい動きでいろいろ得をしている。
石川梨華−いしかわ りか−
『タンポポ』のオチであり、まとめ役。
何をやっても失敗するが、
爆弾関係をいじらせたら右に出るモノはいない。
ツボに入ったときはとんでもない活躍をする
…こともある。
- 35 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時50分34秒
- 加護亜依−かご あい−
『タンポポ』のマスコット的存在。
見た感じはただの小学生。
しかしながらその実力たるや恐るべきモノがある。
普段は標準語だが、
気を許した相手と話すときと
興奮したときは故郷の関西弁がでる。
電気機器にはめっぽう強い。
石黒彩−いしぐろ あや−
『タンポポ』に指示を与える謎の多い女性。
出生、経歴等全て謎。
結婚して子供がいるという噂があるが、
真実は闇につつまれたままである。
- 36 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時51分12秒
- 警察
中澤裕子−なかざわ ゆうこ−
数々の事件を解決した現場たたき上げの刑事。
たぐいまれなる勘、
優れた洞察力と非の打ちようがない。
『タンポポ』を捕まえられるのは
自分しかいないと思っている。
関西出身。
階級:警部
保田圭−やすだ けい−
後藤、吉澤とチームを組んでいる。
自ら付けたチームの愛称は『プッチモニ』。
意味は不明である。
射撃に自信が有るが、
基本的に撃ってはいけない
日本の警察のシステムに不満を抱いている。
「とにかく撃ちたいのよっ!」だそうだ。
階級:警部補
後藤真希−ごとう まき−
のほほんとしながら的確な行動ができる非凡な才能の持ち主。
警察の若手の中で、頭1つ飛び抜けた実力を持っている。
自分を育ててくれた市井を今も慕っている。
階級:巡査部長
- 37 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時52分03秒
- 吉澤ひとみ−よしざわ ひとみ−
期待の若手。
めきめきと実力をつけ、
先のある事件での活躍で
タンポポ一連の事件の捜査役に大抜擢された。
バレーで身につけた驚異の身体能力は所内1。
とぼけたキャラは「プッチモニ」に共通するのか。
階級:巡査部長
市井紗耶香−いちい さやか−
現在FBIに出向中のエリート。
後藤の実力を警察内に認めさせた張本人である。
おかげで後藤になつかれている。
日本での階級:巡査部長
- 38 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時52分44秒
- 安倍美術館
安倍なつみ−あべ なつみ−
亡くなった父が残した唯一の財産
「安倍美術館」を引き継いだ。
母は安倍が小さいときに亡くなっている。
安倍家の一人娘。
平家充代−へいけ みちよ−
安倍美術館で働いている事務員。
平家家と安倍家は家族ぐるみのつきあいをしていたので、
なつみとは幼なじみ。
なつみの父の死後、なつみの元に戻り安倍美術館に勤めている。
一時関西に行っていたことがあるので関西弁を使う。
- 39 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時54分29秒
- あ、名前をずっと書いていてしまいました。
今回の題名は「登場人物紹介」です。
まぁ、名前でも表題でも
たいした変わらないような気もしますが…。
今日はこれまでです。
明日から本編を再開します。
- 40 名前:タケ 投稿日:2002年05月20日(月)23時55分21秒
- ちなみに「警部」といえば銭形(ルパン)剣持(金田一)。
「警部補」といえば古畑任三郎。
「巡査部長」といえば青島(踊る大捜査線)を
考えてくれればわかりやすいと思います。
あくまで僕のイメージですので、
職務内容が違っても軽く流して下さいね。
書くまでもありませんが、
警察→FBIという出向のコースが現実にあるのかは不明です。
あしからず。
- 41 名前:タケ 投稿日:2002年05月25日(土)00時58分00秒
- ちょっと私用でたてこんでいまして更新が遅れています。
来週月曜あたりから続きを載せたいと思ってますので、
もし楽しみにされている方がいられましたら今しばらくお待ち下さい。
- 42 名前: 投稿日:2002年05月27日(月)07時10分01秒
おもしろいっス!
頑張って下さい。
- 43 名前:タケ 投稿日:2002年05月27日(月)22時25分23秒
- >42さん
応援、ありがとうございます。
気合い入れて書きたいと思います。
と、いうわけで今日の更新です。
- 44 名前:予告状01 投稿日:2002年05月27日(月)22時27分27秒
- 「あら、来てたの。」
ガチャッとドアが開き、バスローブに身を包んだ女性、石黒彩が現れる。
先ほどからタンポポの4人が話していたホテルである。
まさかシャワーを浴びているとは誰も気がつかなかった。
- 45 名前:予告状02 投稿日:2002年05月27日(月)22時27分59秒
- 「あら、来てたの。じゃないでしょー。呼んだのは彩っぺじゃんかよぉ。
ってーかシャワー浴びてるなんて全然気づかなかったよ!」
そういってバスルームから出てきた石黒に詰め寄るのは、
先ほどからずっと待っている矢口だ。
矢口と飯田は石黒とのつきあいが長く、
彼女のことを『彩っぺ』という愛称で呼んでいる。
「だいたいねー、人のこと呼んどいて
時間どおりに来たらシャワー浴びてるってのはどーいうことさぁ。」
矢口の文句は続く。
- 46 名前:予告状03 投稿日:2002年05月27日(月)22時28分31秒
- 「…これが愛色の涙。見といて。」
頭をバスタオルで拭きながらタンポポの4人に写真を差し出す石黒。
淡い茶色にブリーチされたセミロングの髪。
すらっと伸びた背は160cm台半ばであろうか。まるで矢口の文句は耳に入ってないと見える。
- 47 名前:予告状04 投稿日:2002年05月27日(月)22時29分02秒
- 「ちょ、ちょっとー彩っぺぇ。聞いてるのぉ?オイラは怒ってるのよ。わかる?」
無視されていることに気付き石黒に食ってかかる矢口。
「まぁまぁ矢口さん。落ち着いて。」
石黒から写真を受け取った石川が矢口を宥める。
「うるさいっ。離せぇ!」
石川に後ろから抱えられじたばたと暴れる矢口だが、その身長差は10cm。
なかなか離れられるものではない。
- 48 名前:予告状05 投稿日:2002年05月27日(月)22時29分44秒
- 飯田が石川から写真をとり、加護と共にまじまじとながめる。
「へぇ、綺麗な石だねぇ。」「何カラットあるんですかぁ?」などと感想を言いあう。
「愛色の涙。91.2カラット。
スリランカの奇跡と言われた世界最大のパパラチアサファイアよ。」
石黒の説明に「へぇ。」や「ほぅ。」などと言いつつ聞き入る飯田と加護。
石川と矢口はまだ2人でじゃれている。
「オレンジっていうか…ピンク色なんですねぇ。」
加護がぼそっとつぶやく。
…と、その瞬間。
- 49 名前:予告状06 投稿日:2002年05月27日(月)22時30分11秒
- 「ぴっピンクなのぉ?」
石川が捕まえていた矢口をパッと離し、写真を持っている加護の元へ走り寄る。
加護、飯田から写真を奪うようにとり、写真に魅入る。
「うわぁ、綺麗な色ぉ。カワイイッ。欲しいなぁ…。欲しいなぁ…。」
「梨華ちゃんはピンク好きやもんねぇ。」
「石川、石カワイイ?……プププッ、これ面白くない?ねぇねぇ。」
写真を見ながら盛り上がる石黒、飯田、加護、石川…。
- 50 名前:予告状07 投稿日:2002年05月27日(月)22時30分37秒
- 「…いぃしぃかぁわぁぁぁぁ。」
盛り上がったいたのは、もがいているところを石川に離され、
勢いあまって床に顔面を打ち付けた矢口が、
石川に報復をするその瞬間までであった。
憮然とした矢口をはじめ、タンポポの4人と石黒が話をしだしたのは
それからしばらくあとのことである。
- 51 名前:予告状08 投稿日:2002年05月27日(月)22時31分58秒
- 「で、計画の詳細は?」
まだ怒りの収まらない表情で矢口が話し始める。
「まずね展示場所から。これをみて。」
部屋にあるパソコンを使い、画面に地図を表示させる石黒。
「ここが安倍美術館。そして…。」
続いて、画面には美術館の平面図が表示される。
- 52 名前:予告状09 投稿日:2002年05月27日(月)22時32分24秒
- 「ところで矢口さん、おなか空きませんか?」
「なに言ってんの?」
「いやぁ、「腹が減ったら奥さんができぬ。」とかって言うじゃないですかぁ。」
「それを言うなら「腹が減ってはいい蔵が建てれぬ。」じゃないかぁ?勉強しろよぉ。」
「ちょっと加護。矢口。話聞いてんの?」
矢口と加護のバカ話を止める飯田。
「だってさぁ、加護が…。」
「『だってさぁ…。』じゃないの。
矢口はお姉さんなんだからきちんと聞かないとダメだよ。」
リーダーらしい発言をする飯田。
口が裂けても「自分は交信していて聞いていない。」とは言えない。
「ってーか「腹が減っては戦はできぬ。」じゃないですか?」
石川も混ざる。
石黒を中心として始まった作戦会議はしばし続いた。
ほとんどが雑談であったことはここに書くまでもない。
「と、いうこと。質問は?」
パソコンの画面から顔を離し、石黒がまとめに入る。
「いや、大丈夫大丈夫。ぜんぜんOK。」
「あんたら全然聞いてなかったじゃないのよ。」
「何とかなるって。オイラたちは天下の盗賊団タンポポなんだからね。」
楽観的な空気。今まで成功からか、5人全員が余裕の笑顔を浮かべていた。
- 53 名前:予告状10 投稿日:2002年05月27日(月)22時32分55秒
- 「ねぇ、コーヒーでも入れてよ。」
「なんで?」
石川の方を向き言った矢口に対してあっさりと答える石川。
「…。顔、痛いなぁ。石川ちゃん。」
ギロとにらむ矢口。
小さな声で「はい。」といい、石川が席を立った。
- 54 名前:予告状11 投稿日:2002年05月27日(月)22時33分30秒
- 「あのーいいですかぁ?」
ちょっと険悪な雰囲気になった場を壊すように、加護が声を上げた。
「ん?どうした?」
加護に呼応するように石黒が不自然なくらい明るい声で答える。
「あのですねぇ、1つだけ聞きたいんですけど…。」
コーヒーを入れに行っている石川をのぞいた全員の視線が加護に集まった。
「計画はいつやるんですかぁ?」
…。
全員が一瞬固まる。
そのあと大爆笑。
「ハハッ、言うの忘れてたわ。今週の日曜日よ。」
石黒が加護の頭を撫で、笑いを堪えて言った。
雰囲気は加護の一言で一気に和らかいものに変わったのであった。
- 55 名前:予告状12 投稿日:2002年05月27日(月)22時34分20秒
- 「よしっ決まり!今回の予告状は加護が出しに行きなよ。」
コーヒーを飲みながら矢口が言う。
タンポポが仕事をするときは予告状を出すことになっている。
名刺大の紙に予告を書いて相手先のポストに入れるだけなのだが、
タンポポの中ではこの役目が一番重要とされていた。
その時一番輝いている(輝いていると言っても、
その時の雰囲気で決めることが多いのだが)メンバーを選出するのだ。
そして予告状を出したメンバーが成功後の報酬におまけが付く。
特に根拠もないのだが、そういう風潮になっていた。
- 56 名前:予告状13 投稿日:2002年05月27日(月)22時34分51秒
- 「えー。今度は石川が行っていいって言ったじゃないですかぁ。」
矢口に対し石川が食いつく。
「ふーん…そういうこと言える立場なのぉ?石川ちゃぁん。」
絨毯ですりむいた鼻をさすりながらいたずらっぽい目をする矢口。
「ごめんなさい…。」それっきり何も言えなくなってしまう石川。
「キャハッ。梨華ちゃん、今日ご飯おごってあげるからねっ。」
落ち込んだ石川を見て、さすがにいじめすぎたと思ったのかフォローに入る。
「ほんとですかぁ?」
すでに涙目の石川。
「ホントだってぇ。もう怒ってないからさ。梨華ちゃん何食べたい?」
「うーん…。」
「加護はなんでもいいですよ。」
「えー加護ちゃんも行くのぉ?」
「あ、ならわたしも行く。」
「じゃ、矢口。支払いはよろしく。」
5人分の晩ご飯代を出した矢口は、予告状の話なんてしなけりゃよかったと後悔した。
- 57 名前:タケ 投稿日:2002年05月27日(月)22時35分35秒
- はい、今日はここまでです。
今回は関西弁が無くて良かった。ホッとしています。
また明日更新します。よろしく。
- 58 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月27日(月)22時59分49秒
- 大丈夫かこやつら?(w
どちらかと言えばキャ○ツ・アイと言うより
とん○んかん(シッテルヤツイルノカ!?w)
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月27日(月)23時07分58秒
- >>58
間違って上げてしまいました。すみません。
- 60 名前:タケ 投稿日:2002年05月28日(火)23時31分28秒
- >58さん
レスありがとうございます。
こんな調子でホントに大丈夫なんですかねぇ?
あまり緊迫した感じではなく、ほのぼのと行きたいと思っていますので
こんな感じにしました。
物語が進むにつれて緊迫する…はずです。
誰がぬけさく先生だと思いましたか?(w
では、本日の更新分行きます。
- 61 名前:プッチモニ01 投稿日:2002年05月28日(火)23時32分28秒
- 一枚の名刺状のカード。
タンポポの花の絵をバックに「明晩0時 伺います」と記されている。
両手で持ったカードを見て「はぁ…。」とため息をつく。
深いため息のあと、「で、開催を許可したんかい…。」とつぶやく。
- 62 名前:プッチモニ02 投稿日:2002年05月28日(火)23時32分58秒
- 「…。」
ため息の主、中澤警部に報告を済ませた保田はそのあと一言も発せずにいた。
中澤に説教を受けることは覚悟済みだったのだが、
いざ中澤の前に行くとその覇気に気圧されていたのだ。
- 63 名前:プッチモニ03 投稿日:2002年05月28日(火)23時33分36秒
- 「あんな、圭坊が美術館に行く前、私がなんて言ったか覚えてる?」
圭坊、中澤の目の前で小さくなっている保田圭警部補のことである。
中澤だけが呼ぶ彼女の愛称であった。
その愛称に最初は戸惑っていた保田も、今では慣れた。
慣れたと言うより気にするのをやめたといった方が近いか。
「美術展の開催を見送らせろ。と言いました。」
中澤に聞こえるか聞こえないかの小声で保田が答える。
- 64 名前:プッチモニ04 投稿日:2002年05月28日(火)23時34分08秒
- 「な、そう言ったな。」
「はい…。」
「で、結果はどうなん?」
「…。開催を…許可…許可しました。」
先ほどよりもさらに声は小さい。
「圭坊…。愛色の涙がいくらするか知ってる?」
「…。」
もはや保田に答えることはできない。
「館長の…なつみだったっけ?なつみちゃんに聞かんかったんかい。仲良くなったんやろ?」
「…。」
- 65 名前:プッチモニ05 投稿日:2002年05月28日(火)23時34分44秒
- 「答えは「時価」。わかる?1億とか2億とかと違うんよ。
宝くじ当たったって買えへんのよ。」
「…はい。」
「盗られたらどうするん?」
「…。」
「責任とれるん?」
「…。」
「なぁ、圭坊よ。」
「…。」
「なぁ、責任はとれるんかと聞いてるの。答えんかい。圭坊!」
中澤の語気が強くなる。
- 66 名前:プッチモニ06 投稿日:2002年05月28日(火)23時35分30秒
- 「責任は…とれません!」
それまで深く俯いていた保田がおもむろに顔を上げ、中澤を見据えて言った。
「…開き直りかい。」
「違います。愛色の涙は盗らせません。わたしがタンポポを捕まえてみせます。」
もはや保田の目に迷いはない。
独特の相手を威圧する視線で中澤の目をまばたきもせずに見る。
「わたしはタンポポを捕まえるためにこのチームを結成しました。
目標はタンポポただ一つです。
わたしの念願のためにも、安倍館長の夢のためにもタンポポは捕まえてみせます。」
「ほう…大きく出たなぁ、圭坊。」
「…。」
保田に言葉はない。
ただ中澤を見つめる自信に満ちあふれた目が全てを語っていた。
- 67 名前:プッチモニ07 投稿日:2002年05月28日(火)23時36分25秒
- 「今まで警察がどんなに手を尽くしても捕まえられなかったんよ。」
「わかってます。」
「自信あるんか?」
「捕まえます。」
腕を組んで考え込む中澤。
- 68 名前:プッチモニ08 投稿日:2002年05月28日(火)23時37分13秒
- 考えている振りをしているが答えは決まっている。
いや、保田から報告を受けたときから、
保田を安倍美術館に開催の中止を求めに行かせたときから答えは出ていたのだ。
本気で開催の中止を求めるなら、中澤本人が出向いている。
一度目を閉じ、目を開けて保田と目を合わせて言った。
「わかった。あんたに任せて大丈夫なんやな。」
「…できません。」
「あ?」
予想とはまるで反対の保田の言葉。
中澤に怒気がこもる。
「できないって…なに?」
「部長、今あなたは「あんたに任せて」と言いました。
わたしは指揮は執れません。執るのは中澤部長、あなたです。」
- 69 名前:プッチモニ09 投稿日:2002年05月28日(火)23時38分05秒
- 中澤の顔に笑みが浮かぶ。
「ふっ、そうか。最終的な責任はあたしがとれってことかい。」
「責任は、みんなでとるんです。チームプッチモニ全員で。」
「っしゃ、いっちょやったるかい。」
「えぇ。」
中澤と保田の間でがっちりと握手が結ばれた。
- 70 名前:プッチモニ10 投稿日:2002年05月28日(火)23時38分48秒
- 「圭坊。今晩、おごってな。」
関西人の中澤、ただでは転ばない。
- 71 名前:プッチモニ11 投稿日:2002年05月28日(火)23時39分59秒
- プッチモニのメンバーである後藤と吉澤は警部室の前で聞き耳を立てていた。
報告をするために室に入っていった保田の具合を見る(聞く)ためである。
室のドアに耳をくっつけながら、2人は小声で話し始める。
「…よく聞こえないね。」
「さっき裕ちゃんの怒鳴り声が聞こえたような気がしたけど…。」
「…やるのかな?」
「やるしかないでしょう。」
「んあー。めんどくさいよぉ。明日はゆっくり寝れると思ってたのにぃ。」
「いいじゃん。わたしはワクワクするよ。」
「でもさぁ、」
ガチャ。
後藤が何か言いかけたその時ドアが開いた。
- 72 名前:プッチモニ12 投稿日:2002年05月28日(火)23時41分09秒
- 「…なにしてんの?」
目の前に立った保田が2人を見下ろし、言った。
「あのねぇ、あんなところで聞いてなくても戻ったら教えるわよ。全部。」
「でも、リアルタイムで知りたいじゃないッスかぁ。」
「ほとんど変わらないじゃないのよ。」
「違うんですよー。保田さんばっかり部長と話してるのがうらやまっすうぃーんですよー。」
「仕方ないじゃないのよ。あんたたちより歳食ってるんだからさ。」
「そうですよねぇ。4才も離れてるんですもんねぇ。4年と言えば一世代違いますよ。」
「そんなに違わないわよっ!1万と1万4なんてほとんど同じじゃないのよ。」
「そーいう問題じゃないッスよぉ。」
「だいたいね、鶴は1000年も生きるのよ。それに比べたら4年くらいはね。」
「あ、鶴と言えば…。」
保田と吉澤の話はいつも脱線する。
- 73 名前:プッチモニ13 投稿日:2002年05月28日(火)23時41分46秒
- 鶴の話の続きは気になったが、後藤が仲裁に入った。
「で、どうだったの?裕ちゃん…じゃなくて部長とのお話。」
「あんたたち、本人の前で「裕ちゃん」なんて言ったら殺されるわよ。気を付けなさいよ。」
「…圭ちゃん、一緒に殺されよっか。」
後藤の目線が保田の背後に向く。
「え?」
振り向いた先には、ニヤッと笑い腰に手を当てて立っている中澤がいた。
「さ、会議始めよか。」
- 74 名前:プッチモニ14 投稿日:2002年05月28日(火)23時42分22秒
- 「あんた行きなさいよ。」
「保田『警部補』が先に行って下さいよ。」
「なによ。こんな時だけ敬語使ったってムダよ。」
小声で小突き合う3人組。
「あ、怒ってへんよ。「部長」なんて呼ばれるより
「裕ちゃん」って呼ばれた方がよっぽどマシよ。」
このときから、プッチモニ内で「部長」という呼称は禁じられた。
- 75 名前:プッチモニ15 投稿日:2002年05月28日(火)23時42分54秒
- 「で、どーするつもりなん?」
会議用の丸テーブルについた、中澤、保田、後藤、吉澤。
まず口を開いたのは中澤だった。
「…。」
3人ともが口をつぐむ。
- 76 名前:プッチモニ16 投稿日:2002年05月28日(火)23時43分36秒
- 「なんや、なんも無しかい。」
「部ち…いや裕ちゃん。安倍館長と話しあわなくて良いんですか?」
「うーん…会ってみたいんやけどねぇ、なんせ時間が無いのよ。
タンポポの予告日は明日なんよ、明日。」
「そうだよねぇ、少し早めに予告してくれても良いのにねぇ。」
「アホか。」
相変わらず気の抜けた後藤であるが、
いざ事件となると飛び抜けた勘で犯人を追いつめるのである。
「ホンマ恐ろしい娘や…。」
声には出さなかったが、中澤は後藤を見て心強く思うのだった。
- 77 名前:プッチモニ17 投稿日:2002年05月28日(火)23時44分25秒
- 「あのね、裕ちゃん。」
「ん?」
その後藤と目があった途端言われた。
「やっぱり館長と話した方が良くない?」
「なんで?」
「うちらと美術館で連携とれないと絶対とられちゃうよ。
あの宝石…LOVE涙色…だっけ?」
「違う違う。愛色の涙。ぜんぜん違うやん。
そっかぁ…うーん…。吉澤、安倍美術館に連絡とれるか?」
「はい。」
「似てるじゃんねぇ…。」
吉澤が電話をしてる間、後藤はブツブツ言っていた。
- 78 名前:プッチモニ18 投稿日:2002年05月28日(火)23時44分58秒
- 「中澤さん。安倍さんはすぐ来てくれるそうです。」
「裕ちゃんでいいんやで。」
「いや…恥ずかしいんで…。」
「なんやヨッスィー。恥ずかしいってどーいうこと?」
席を立った中澤が吉澤の背後から迫る。
「いやっ、ちょっ、ちょっとぉ、やめて下さいよぉ。」
「ええやんええやん。うちとヨッスィーの仲やんかぁ。」
「ヨッスィーってなんスかぁ…。いや、マジで…。」
後ろから吉澤を羽交い締めにした中澤は、吉澤のアゴをホールドし…。
「あ、あ、ぎゃあぁぁぁ!!」
吉澤はこの後「ヨッスィー」という愛称で呼ばれることとなる。
- 79 名前:タケ 投稿日:2002年05月28日(火)23時46分06秒
- はい、今日はここまでです。
もう少し警察サイドの話が続くことになると思います。
中澤さんの台詞に異常に気をつかってしまう…。
こんな感じでいかがですかね?
- 80 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月29日(水)00時32分38秒
- HPとか持ってます?
どっかで見たような気がするんですが…
- 81 名前:タケ 投稿日:2002年05月29日(水)21時48分14秒
- >80さん
HP、持ってます。ここでアドレスは晒しませんが。
自分のHPで書いているんですが、
今になって読むとつじつまが合わない部分などが
出てきているんですよ。
書き直して同じ所で公開しても良かったんですが
せっかくですから皆さんに見てもらいたいと思い
こちらに公開しました。
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月30日(木)00時15分21秒
- >>81
納得。
リンク伝って適当に飛びまくった先だったのでアドレス覚えて無いですが…
また探してみますね。
続き楽しみにしてます。
- 83 名前:タケ 投稿日:2002年05月30日(木)21時09分39秒
- >81さん
僕のページをもし見つけても、小説は読まない方が良いような…。
ネタバレになってしまいますので…。
それでは今日の更新行きます。
- 84 名前:プッチモニU01 投稿日:2002年05月30日(木)21時10分58秒
- 「警部…じゃなかった。中澤さん、こちらが安倍館長です。」
隣に安倍を連れ吉澤が警部室に入る。
「おぉ、待ってたよぉ。うわぁ、べっぴんさんねぇ。
ってタメ口かいって感じやね。ハハハッ気にせんといてね。
おっとっと、自己紹介してなかったわ。
わたし、今回の事件の指揮執ってる中澤。よろしく。」
笑顔を絶やさずに握手を求める中澤に対して安倍は萎縮していた。
金髪に青のカラーコンタクト、高いヒール。
とても警察官とは思えない中澤の風貌である。
しかも関西弁でタメ口。
- 85 名前:プッチモニU02 投稿日:2002年05月30日(木)21時11分30秒
- 「どうも。安倍美術館の館長、安倍です。」
目の前の中澤に聞こえるか聞こえないかの消え入りそうな声で言うのがやっとだった。
「なつみちゃんいうんやね。いやぁ、かわいいわぁ。いくつなん?」
「え?」
「歳や歳。まだ若いんやろ?」
「あ、ハタチになったばかりです。」
「うわっ若っ。
なになにぃ…みんなして裕ちゃんより年下なん?
悲しなるねホントに…。いいわいいわ…。」
「え?あ、あの…。」
- 86 名前:プッチモニU03 投稿日:2002年05月30日(木)21時12分12秒
- 「安倍さん、先に会議室に行きましょう。」
「え?」
困惑する安倍に吉澤が話しかける。
「大丈夫大丈夫。いつもと同じなんで。
自分より若い人を見るとああなるんです。気にしないで下さい。」
「いや、でも…。」
「さ、こちらへ…。」
‘大丈夫なんだべか?’
思いつつも先に歩く吉澤の後を追う安倍なのであった。
- 87 名前:プッチモニU04 投稿日:2002年05月30日(木)21時12分45秒
- 会議室では後藤と保田が待っていた。
保田とはすでに面識があるので、後藤と名刺を交換し、簡単に自己紹介をしあう。
- 88 名前:プッチモニU05 投稿日:2002年05月30日(木)21時13分13秒
- 「あれぇ?裕ちゃんは?」
後藤が吉澤にもっともなことを尋ねる。
「あの、安倍さんが自分より若かったもんだから…例のごとく…ね。」
「あぁ。じゃ、先に始めた方がいいかもね。」
「あの…大丈夫なんですか?」
安倍が心配するのも無理はない…が、この署ではいつもこうなのだ。
「あー大丈夫大丈夫。裕ちゃんだから。」
椅子をすすめる保田。
‘裕ちゃんだから’の意味がよくわからなかったが、すすめられたイスに座った。
- 89 名前:プッチモニU06 投稿日:2002年05月30日(木)21時13分50秒
- 「さ、みんな席について。」
安倍以外の3人もそれぞれ席につく。
「館長、ご苦労様です。
今回、直接捜査に当たらせていただきます4人…今は3人です。」
「あ、どうも…。」
「いや、決して我々だけで全てをやるということではなく、
実際には捜査員が数十人、場合によっては百人以上捜査に当たるんですが、
担当は我々がやります。」
「はぁ…。」
てきぱきと説明する保田。
説明を聞いているうちに、
トップの中澤がいなくても
保田がいれば問題ないと皆が知っていることを安倍は理解した。
- 90 名前:プッチモニU07 投稿日:2002年05月30日(木)21時14分23秒
- 「…と、いうことです。館長、いいですか?」
「は、はい…?」
「疲れました?」
「いえ、大丈夫です。」
「無理しなくていいんですよ。」
「え、えぇ…はい…。」
保田に詰め寄られている安倍の後ろに後藤が回る。
「安倍さん、‘休みたい’って言って下さいよ。
わたしも休みたいんで…。」
コソコソッと耳打ちする。
安倍が後藤を見ると、ニコッと笑った。
「あの…ちょっと疲れた…かも…。」
- 91 名前:プッチモニU08 投稿日:2002年05月30日(木)21時15分07秒
- コーヒーを手に安倍がホッと息をつく。
「変な人多いけど、気にしないでね。」
後藤がとなりに座り、ふぅふぅとコーヒーを冷ます。
「はい…。」
「あ、あたしは後藤…
ってさっき名刺渡したから知ってるよね。アハッ。」
親しげに近づいてきた後藤。安倍は少し心を許した。
「あの…中…ざわさん?大丈夫なんですか?」
「あ、裕ちゃん?大丈夫大丈夫。
きっと館長が可愛いからうらやましかったんだよ。」
- 92 名前:プッチモニU09 投稿日:2002年05月30日(木)21時15分57秒
- 「なんか、恥ずかしいべ。」
言ったあと、方言がでたことにハッとなる安倍。
だてに刑事をやってない。それに気付かない後藤ではなかった。
「んん〜?館長は出身東京じゃないね?どこどこ?」
「北海道です。」
「北海道かぁ…いいねー北海道。後藤も行ってみたいなぁ。」
話しているうちに2人はうち解けていった。
- 93 名前:プッチモニU10 投稿日:2002年05月30日(木)21時16分36秒
- 「でさぁ、館長…。」
「あ、後藤さん。」
「ん?」
「『館長』は恥ずかしいべ。」
「そっかぁ、まだ若いもんねぇ。
みんなはなんて呼んでるの?それに合わせるからさ。」
「『なっち』って。」
「なっちね。OK。んじゃあたしも『ごっちん』とかでいいよ。
みんなテキトーに呼んでるから。」
「『よっすぃー』って呼んで下さい。」
吉澤が会話に入る。
「こうやって会えたのも何かの縁ですから。」
笑顔で握手を求める吉澤。
安倍もそれに笑顔で答える。
談笑は休憩の間ずっと続いた。
- 94 名前:プッチモニU11 投稿日:2002年05月30日(木)21時17分08秒
- 「で、館長…あたしもなっちって呼んでええんかな?」
安倍が頷いたのを確認し、続ける中澤。
先ほど何事もなかったかのように会議室に入ってきて、打ち合わせは再開された。
- 95 名前:プッチモニU12 投稿日:2002年05月30日(木)21時17分52秒
- 「愛色の涙はいつ日本に来るんや?」
「はい、今日成田に空輸されてきます。」
「○○時着の飛行機です。
なっ…安倍館長の助手、平家さんが持ってくる手筈になっています。」
安倍の言葉に吉澤が補足する。
「へいけ?」
平家の名は中澤には初耳だった。
吉澤が平家について説明する。
「信頼できる人?」
吉澤の説明の後、安倍に聞く中澤。
「はい、わたしの…なっちの幼なじみです。お姉ちゃんみたいな…。」
「そっか…。」
平家を話す安倍の軟らかい表情を見て、
安倍と平家の関係が良好であることを理解する中澤。
- 96 名前:プッチモニU13 投稿日:2002年05月30日(木)21時18分32秒
- 「で、飛行機の中では誰が監視してるの?」
軟らかくなった雰囲気に釘を差すキツイ口調。
今回の件に関し、大きな責任を背負っていると自覚している保田は緊張感に溢れている。
「飛行機の中よ、なか。」
誰もが保田の言葉にピンとこなかったのに苛ついたか、語気が強くなる。
「あ、ずっと平家が付き添っています。一番信頼できるので」
「そっか。んじゃ飛行機から美術館までは誰かが近くにいるんやな?」
「はい。」
- 97 名前:プッチモニU14 投稿日:2002年05月30日(木)21時19分00秒
- 「…。待って下さい。」
安心モードに入りかけた場を壊す声。吉澤だった。
「ん?なしたん?よっすぃー?」
「いくら監視の人間でも税関では離れます。」
「なるほど…。そこに税関に扮したタンポポのメンバーがいたら…ってことやな?」
「はい。」
「後藤!行くわよ。」
「えっ?ど、どこに?」
「決まってんでしょ!成田よ成田!!。」
言うが早いか、戸惑う後藤の手を引き部屋を出ていく保田だった。
- 98 名前:プッチモニU15 投稿日:2002年05月30日(木)21時19分32秒
- 「圭坊…気合い入ってんなぁ。ハッパかけすぎたか。」
「飛行機の到着予定は?」
「…今夜です。最終便で。」
「まだ6時間もあるやん…。」
「…保田さんに電話しますね。」
- 99 名前:プッチモニU16 投稿日:2002年05月30日(木)21時20分02秒
- 5分後、恥ずかしさで顔を真っ赤にして
会議室に戻ってきた保田を、
全員の爆笑が出迎えるのだった。
- 100 名前:タケ 投稿日:2002年05月30日(木)21時21分09秒
- はい、今日はここまでです。
台詞書き分けるのってムズカシイですよねぇ…。
中澤さんの関西弁でハマっていたらなっちの
北海道弁までわからなくなってきた…。地元の言葉なのに…。
- 101 名前:タケ 投稿日:2002年05月30日(木)21時21分44秒
- ↑地味に100ゲットしてしまいました。
- 102 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月21日(金)21時14分09秒
- お待ちしてますよ〜
- 103 名前:タケ 投稿日:2002年07月15日(月)10時37分42秒
- 長らくお待たせしてスイマセン。
別の場所で書いている内容とはまったく違った展開に
しようと思い、ただいま執筆中です。
…が、なにぶん筆が遅くて。
書き上がり次第アップしようと思っていますが、
途中まででもアップした方がよろしいですかね?
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月15日(月)22時01分10秒
- タケさんの好きにして良いと思いますよ。
ただあまりにもゆっくりだと過去ログに飛ばされる危険もありますけど。
とにかく生存が確認できて安心しました(笑)
自分気は長い方なのでマターリ待ってますよ!
- 105 名前:nanashi 投稿日:2002年10月10日(木)13時57分25秒
- hozen
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