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さよなら、天使
- 1 名前:次郎 投稿日:2002年05月16日(木)01時32分15秒
ちゃむが忙しいらしいので次郎が代筆します。
倉庫にある市井。小説内、市井探偵社シリーズです。
では少し下がってから。
- 2 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月16日(木)21時42分59秒
- 復活( ● ´ー` ● )ありがとー!!
- 3 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月16日(木)22時59分22秒
- 復活おめでとう!!!
うれしいよ。
そして、待ってるよ。
今度は、信じてるよ。
- 4 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月17日(金)00時17分19秒
- マジでか!!!!!!!!!!!!!!!?
- 5 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月24日(金)17時48分44秒
- 少しさがったよね……もうそろそろハァハァ
- 6 名前: 投稿日:2002年05月26日(日)16時09分25秒
- だいぶ下がったね。。。期待は膨らむ一方ですな。
- 7 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時41分40秒
ご期待に添えますかどうか……
今回はちょっと番外編色が濃いかもしれません。
初見の人は前を読まないと確実に混乱します(w
- 8 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時44分11秒
おかあさん、天使ってどこにいるの?
いきなりどうしたの?
天使ってみえないの?
見えるし、居るわよ。
どこ?どこにいるの?
ほら、ここにいるじゃない。
みえないよ?
いるわよ、ちっちゃいちっちゃい天使が、おかあさんの目の前に。
…………??
あなたがおかあさんの天使よ。
- 9 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時45分25秒
× × ×
目の前が真っ白に光って、あたしは目を覚ました。
心臓がどくどくいってる。
いやな夢だ。
しばらく、ベットの中でその残滓と格闘していると、
ケイタイが鳴った。
出たくないと思いつつも、条件反射でつい出てしまう。
仕事だ。
今のあたしはにぴったりの仕事。
今日もそれが待っている。
- 10 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時46分01秒
『さよなら、天使』
- 11 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時53分21秒
14:03 friday
「かごちゃ〜ん、今日はもう帰っていいよ」
「なんで?」
「なんでって、もう仕事無いし……」
「……あ〜〜っ!!もう!わかったわ!!」
- 12 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時56分25秒
「あ〜あ、雨やん、もう。市井さんのあほっ!!」
加護は、事務所の階段を降り切ったところで思わず呟いた。
午前中から雲は黒かったが、昼食を買いに出た時はまだ降っていなかった。
ちょうど加護が市井に追い出された頃、空は痺れを切らしたらしかった。
この時間の西新宿はスーツ姿の堅気な人間が目に付くが、
その人達も急な雨にすっかり折り目を崩して慌てていた。
……事務所にかさは無かったし…あ、今度かっとかなあかんなぁ……
- 13 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時57分22秒
そんな事を思いながら加護は雨を避けて、近くのコンビニまで走った。
市井に追い出されたことは、敢えて考えないようにしていた。
どうせ聞いても、話してくれるわけが無い。
市井さんは思った以上に頑固や………それがここ最近で加護が覚えた事の一つだ。
そして市井が頑固になる時は、決まって過去が絡んでいる。
加護はそれには感付いていたが、深くは考えないようにしている。
自分にとっての市井の存在は、師匠に引き合わされた時からはじまったのであって、
昔の事など関係はない。そう思い込む事にしている。
そうは言ってもいざとなると思い切れていない事には加護は気付いていない。
- 14 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時57分58秒
コンビニの中は、気の早い店員がもう冷房を入れていて湿った肌には少し寒い。
取り敢えずポッキーを手にとってレジに向かうと、
「すみませ〜ん」と棚卸しをしている店員を呼んだ。
店員がレジうちをしている間加護は、
思いがけなく早く終わってしまった仕事のおかげで、
空いた時間をどう埋めようか考えていた。
トライアングルには行きにくいし、他にする事も無い。
でも、このままうちに帰ってしまっては気分が倦むことが目に見えていた。
あいぼん、と後ろから呼ぶ声がして加護は我に返った。
「ののっ!!」
「ひさしぶりれすね」
「ひさしぶりやなあ」
「ちょっと、おちゃでもするれすか?」
「なんやその古いナンパみたいなさそいは」
「いいじゃないれすか」
いきましょ、いきましょと繰り返す辻の勢いに押され、
加護は、その提案に同意した。
- 15 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)22時59分21秒
コンビニを出た時、加護は傘を買っていないことに気付いた。
雨足は大分弱まっているが、まだまだ傘なしで歩けるような状態ではない。
どうしようかと、迷う暇もなく辻が腕を組んでくる。
「相合傘れす」と辻が楽しそうに言った。
見上げると辻の傘は半透明の気持ちのいいブルーで、言ってみれば空色。
加護は、その色が気に入り、辻に微笑み返すと、二人は歩き出した。
ちょうどその時、すれ違いに女子高生がコンビニに駆け込んでいった。
栗色のショートカットが、雨を吸って一歩ごとに跳ねていた。
加護がそれを思い出したのはもっと後になってのことだ。
- 16 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時00分49秒
15:49
市井は皮張りのソファで寝転んで天井を見上げていた。
考えても考えても分からない。いらついて頭をクシャクシャと掻き毟る。
- 17 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時02分07秒
毎月届く、NTTからの領収証。
開封の跡は無いように偽装されているが、必ず入っているシンプルな手紙がある。
「元気?私は元気だよ。加護をお願いね」
ほぼいつもそれだけの文面だ。
昨日もそれが来た。
いつものように加護に見つからないように焼いて捨てた。
いまだに、市井の周りをヤツラは張っているのだから、
そんなものを持っているのが見つかったら酷い目にあうことは目に見えている。
加護には知らせない方が、いい。市井はそう判断していた。
- 18 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時03分28秒
しかし、市井の悩みはそれではない。
昨日、いつものようにバー・クロウで呑んで事務所に帰ってきた時のことだ。
階段を昇っていると、何やら気配があった。即座に山ア組だと思った。
「持ち逃げ」の件をまだ彼等は追っている。
それでたびたび、市井と接触を持とうとする。
手掛かりと言えば市井しかいないのだから当然とも言えるが、市井は何も知らない。
むしろ、市井自身がだまされたぐらいだ。
本当に見事な手際だった。
- 19 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時04分25秒
市井は少しでもアルコールを飛ばそうと、深呼吸して、それからドアを開けた。
「なんのよう?」精一杯、気を張って市井はそう言った。
殺気は帰ってこなかった。
その代わりに、ソファに少女のシルエットが浮かんでいた。
細身の体に、頭に団子を二つ着けたような髪型。かすかに香の匂いがした。
「勝手にあがりこんで申し訳ありません」少女は立ちあがっていった。
市井の方に向き直る。
「鍵が開いていたもので……」敵意を持つ者ではないことを悟った市井は明りをつける。
青白い蛍光灯の光りに晒されたのは、幼顔の顔の小さな女のこ。
だが、一般人では無い事は身に纏ったチャイナ服の袷とこの時間にここにいる事で分かる。
品定めするような市井の視線に怯えたのか、もう一度、申し訳ありませんと、少女は繰り返した。
「もう、そのことはいいよ、私も鍵かけてなかったし」
市井は少女の向かいに腰を下ろすと、
「先ず、名前、それから用件ね、いいよ座って」と、突っ立ったままの少女に言った。
- 20 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時05分34秒
「あたし、里沙って言います。飯田さんの使いできました」
「飯田?飯田圭織?……彼女が私に何の用?まさか仕事の依頼でもないでしょ?」
「明日……もう今日ですね、市井さんに来てもらうようにって。
理由は聞かされてません。
来れば分かるといっておくように言われました」
「……なんでこんな夜中に?」
「ついさっき、申しつかったんです……ご存知でしょう?飯田さんのこと」
「ああ、なるほどねぇ……」
そこで黙り込む市井をみて里沙は不安そうに、あの、ご承知下さいますか、と聞く。
タイミングがよすぎる、市井はそう思った。
あの手紙が届いたちょうどその日になんて、都合が善すぎる。なにかの罠だろう。
何がしかの事実を向うが掴んだとしたら、市井の周りで思い当たるのはあれだけだ。
それに飯田なら裏で組関係と繋がっていてもおかしくない。
しかし、昨日の手紙にも開封の跡は無かった。感付かれているとは到底思えない。
- 21 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時06分38秒
ここで拒否して痛くも無い腹を探られるよりは、素直に応じた方がいいだろう。
それに、ヤツラの手が飯田に回っていてなにかの罠が仕掛けられているのだとしても、
市井には、何も吐き出すものはない。
「分かった」市井は受ける事にした。
「……善かった。有り難うございます」里沙は心底嬉しそうにお団子頭をペコリと下げた。
では、四時ごろにお迎えに上がります、そう言って里沙は消えた。
- 22 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時09分42秒
市井は里沙が去った後、机に置いてある黒電話のダイヤルを回す。
長い呼び出し音のあと、不機嫌そうな声が出た。
「なんだよ、こんな時間に」狂犬はよく吠える。
「機嫌悪そうだね、圭ちゃん」
「あたりまえだろ、時間を考えろよ」そう答える保田の声の後ろから、
衣擦れとだれ?と言う囁きが聞こえてくる。
「あのこの所?」
「そうだよ、まったく」
保田は少し照れがはいったらしく、語調が弱まった。
市井は新宿の狂犬と畏れられている保田の照れた顔を思いうかべ、
吹き出してしまった。
- 23 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時10分52秒
「さっさっと用件言えよ。紗耶香の事だからどうせ面倒なんだろ?」
「圭ちゃんに調べて欲しい事二つがある。ひとつは最近、山ア組に動きは無いか。
もう一つは、最近の飯田圭織の交友関係」
「山ア組?おとなしいけどな最近……まさか、紗耶香、あいつからなにか……」
「何もないよ、別件だよ」市井は保田の言葉尻を食って打ち消した。
「いい、紗耶香。あいつから連絡あったら、直ぐに教えるんだよ」
「分かってるよ」
「調べ物はOK。山崎組の方は多分何もないと思うけど。飯田っていうのはあの飯田?」
「うん」
「リミットは?」
「今日の午後三時」
市井がそう言った後、受話器の向うで保田が絶句するのが、手に取るように分かった。
狂犬がまた吠え出さないうちに、市井は電話を切った。
- 24 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時11分56秒
保田からの答えはきっちり三時に返ってきた。二つともNO。
やはり山崎組の動きはいたって静かなもの。
飯田はこの所客を絞り込んでおり、そのリストには山崎組の関係者の名は無かった。
市井の悩みは、あの事件が絡んでいなければ何故飯田が、
自分を呼び出したりするのかと云う事だった。
それほど気に留めることではないのかもしれない。
単に飯田の気紛れなのかもしれない。
だが、市井の飯田に対する印象は「非常に厄介な女」なのだ。
何が起こるか、どんな事に巻きこまれるか分からない。
だから、対峙する前に少しでも相手の腹を理解したいのだ。
しかし、答えが出ないうちにドアはニ回鳴って市井を呼んだ。
市井はいつものジャケットを羽織って事務所を出た。
- 25 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時13分03秒
16:41
帰宅ラッシュまではまだ時間があるが、
それでも人込みが途切れる事は無い新宿西口。
その地下交番前に一人の少女が現われた。
少しまえ、加護とすれ違ったあの少女。
濡れた栗色のショートカットは、もう乾いていた。
- 26 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時16分46秒
少女の名前は矢口真里。
賢しそうな大きな目が印象的だ。
矢口は、いつものように五分前にはそこに着き、メールの返信に余念がない。
面倒くさいが、仕事だからしょうがない。そう思っている。
矢口は、もう、十九だと言うのに高校の制服を身に纏っている。
もっとも、充分に低いその背のお陰でなんの違和感もない。いや、むしろ逆だ。
色の変わった髪と、こなれたメイクがなければ、中学生とも間違われるかも知れない。
事実、深夜の新宿にいるといい気分になったサラリーマンや、
矢口の顔を知らない新米警官に時折呼びとめられる。
面倒くさい事この上ない。
それでもなお、高校のブレザを表側の「制服」にしているかと言うと、
その方が「仕事」がしやすいから。それだけ。
勿論、裏側に顔を出すときは私服に着替える。
- 27 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時18分01秒
メールの返信を終え、それをバッグにしまうともう一つの携帯がなった。
着信音は流行の女性ヴォーカル。
今日、会う予定になっている女のこからの着信。
手短に、現在地を説明し、切る。
矢口は、携帯を二つ持っている。どちらも、正規のものではない。
足が着かないよう、伝手をたどって手に入れた違法なもの。
勿論、多少値は張ったが、これぐらいの投資をしなくては、足元が覚束無い。
そして、矢口の稼ぎから言ってそれは、さほど高い買い物ではない。
- 28 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時18分41秒
矢口の主な仕事は簡単に言ってしまえば人材斡旋業。
と言えば聞こえは善いが、要するに新宿の表側と裏側を結びつけて金を稼いでいる。
顔でする仕事だ。
表側の人間も裏側の人間も、直接接触する事を恐れる。
種類の違う人間が会えば、必ずほころびが出るからだ。
だが、お互いに反対側の人材が欲しい時もあるし、マーケットが欲しい時もある。
そこで矢口が登場するわけだ。
矢口は仕事をよく見極めてから、引きうける。
だから、事後のトラブルが少なく、それが信頼を生んでいる。
矢口自身は自分を一種のフィルターだと思っている。
通していいものだけ通し、通しては行けないものはけして通さない。
それが、仕事をうまく成立させている。
そう思っている。
- 29 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時19分36秒
約束の時間に十分ほど遅れて、矢口の客は現われた。
白いブラウス。矢口はまた違うショート。笑顔が似合いそうな童顔。
そしてなにより、可愛い。上客だ。
「矢口さん、ですか?」客はおどおどしながら矢口に声をかけた。
「そ〜だよっ!安倍さんね、よろしくっ」
「あ、よろしくお願いします。あの遅刻しちゃってすいません」
対人経験の多い矢口は直ぐに安倍の出身地を理解した。
話し方に少し、訛りが残っている。北海道だ。
「だよね〜、しょうがねぇな〜」
「あの本当に、すみません」安倍が小さくなって言った。
矢口の目にはこれぐらいの事で恥じ入っていることが新鮮に映る。
「なんか、おごってよ。それでゆるしたげる」そう冗談で矢口が言った言葉に、
「ホントですか?」と、安倍は本気で返してくる。
矢口は笑うしかなかったが、気になることが一つあった。
- 30 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時20分25秒
安倍の目。
暖かな雰囲気の中で、清冽に光る瞳。
ただの純粋さとは違う。冷たさでもなく、覚悟でもない。
矢口には理解しかねる輝き。
ただ、その目で見られるのが痛い事はわかった。
その視線から逃れるように矢口は言った。
「じゃ、面接行こうか」
- 31 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時23分47秒
今日は、ちゃむ名古屋だそうです。
- 32 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時24分41秒
聞く所によると、相当いいできだったそうです。
- 33 名前:次郎 投稿日:2002年05月26日(日)23時26分15秒
実は前回は、あそこで締めたつもりだったのです。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月27日(月)03時05分23秒
- 一気に登場人物増えたな〜
続き期待エsage
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月27日(月)03時05分58秒
- 一気に登場人物増えたな〜
続き期待
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2002年05月27日(月)03時07分29秒
- ↑すいません、ミスった
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月18日(木)12時10分40秒
- 更新待ってるよ
- 38 名前:名無しさん 投稿日:2002年08月17日(土)18時06分04秒
- 保全
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2002年10月09日(水)19時05分39秒
- 待ってます
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2002年12月07日(土)01時28分26秒
- ほぜむ。
- 41 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月25日(土)12時02分53秒
- 保全。
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月04日(金)12時52分27秒
- 保
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