インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

なっちとやぐちとその他

1 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時54分11秒
短編のような感じで行きたいと思ってます。
でも、話は続いてるはず。

題名の通り。なっちとやぐちが多いと思われます。
安易な題名で申し訳。
2 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時54分57秒

本当の恋愛ってなんだろう?
なんだかもうカタチとかよくわかんないよね。
3 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時55分54秒
「おばちゃーん」
「石川!あんたしつこいよ」
石川が調子にのってる時ってあんな感じだよなぁ
高い声でキーキーと同じこと繰り返したりするんだよね。
それでいて圭ちゃんも圭ちゃんで口では怒っていても顔が笑ってるし。

で、たまにあるこのシーンが
やぐちの大事な人の笑顔を凍らせるんだよな
きっと、やぐちが気付いてることなんて知らないし
見てることも知らないと思うんだけど、
彼女に気付かれないようにチラッと様子をうかがった
4 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時57分47秒

なっちは、雑誌を見ていたその顔を上にあげて
鏡越しに、その圭ちゃんと石川のやり取りを
無表情にじっと見ていた。
なんで無表情なんだろ?
その理由を考えてみるけれど、よくわからない。
例えば、そうだな
そのなっちの好きだろう圭ちゃんとなっちが仲良くしていたら。
やぐちは・・・無表情になるかもしれない。
周りに悟られないように。
5 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時58分26秒

「なっち〜!」大声でなっちを呼んだ
ハッとこっちを向いたなっちにすかさずつっこむ
「どこいってたのかなぁ〜?」
「え!?あ、なっち、カオリみたいになってた?」
そう言ってニコニコ笑う。
「うん、カオリと電波で会話してんのかと思ったよ」
そう言うと「ひどーい!」ってカオリも参加してきて。
3人で笑った。

そうだね、やぐちはなっちにこのくらいしか出来ないのかもしれないね
6 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)02時59分41秒

あれはいつだっただろう?
タンポポでのラジオ、石川とやぐちと二人になって
収録が終わった後、石川が楽屋でやぐちに相談してきた
保田さんが好きなんです。
そのマジな顔みてたら嘘だなんて思えなくて
そうなんだ。がんばれ!やぐちも応援するよ。なんて言っちゃった

知ってたのに、やぐちは知ってたのに。
なっちが圭ちゃんのコト好きなのも
圭ちゃんがきっと石川が好きなんだろうってコトも
そして、やぐちがなっちが好きだってコトも

ムチャクチャ。世の中ってホントうまくできていない。
7 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)03時00分24秒
いつもはクールな圭ちゃんも、石川の手にかかればその冷静さも狂う。
「ひどーい!保田さん、そこまで言うことないじゃないですかぁー!
 もういいです!」
そう言った石川は楽屋から飛び出し、その後を圭ちゃんが追った。
そして、すかさず小さくなっちはため息をついて
それを見てやぐちも小さくため息をついて

いつまで続くんだろう?
このカタチが崩れればどうなるのかなぁ?

8 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)03時02分15秒

今日の全ての収録が終わって楽屋でなっちと二人っきり。
普段なら二人でバカ騒ぎしてるのに今日はなんだか静かだ
そういえば、あの二人がいちゃついたのは久しぶりだったかもと気付いた
久しぶりでなっちはへこんでるのか。
それでも今、荷物をまとめているなっちに声をかけたら
いつものようにニコニコ笑うんだろう
その強さが好きだし、すごいと思うけれど。
「ねぇ、なっち?」
「ん、なにー?」
そう振り向いたなっちはやっぱり笑顔で
「石川って、圭ちゃんのコト好きなんだってー」
その笑顔が一瞬固まって。
やぐちはそれを確かめて、やっぱりかって今更、確信して
なっちは「そうなんだぁ」ってまた笑って後ろを向いた
9 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)03時03分36秒

泣いてもいいんだよ。

その一言がいえなくて。
でも、やぐちはなっちが泣くことを望んでいて
それで、新しい道を選んでほしくて。

「圭ちゃんもさ、石川のコト好きそうだよね」

ヤンタンの収録の日はいつもウキウキしてるなっちをやぐちは見てた。
圭ちゃんの話をうれしそうにするなっちを見てた
圭ちゃんを見つめるなっちを見てた
だからさ、なっちが気付かないワケないよね。
圭ちゃんが石川のコトとなると態度が変わること
あの二人は鈍感だけれど
きっと、周りのみんな気付いていて
後は、その時が来るのを待つだけだって

その時に、なっちが一人だったら困るじゃんか。
10 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)03時06分37秒

「ああ、そうかもしんないねぇ」
しばらくの沈黙の後になっちはそう呟いて
いつものように笑ってこっちを向いた。

そのリアクションにやぐちが泣きそうだよ
「さ、用意できた?帰るよ」
「あ、ちょっと待って」
急いで荷物をまとめて二人で出ようとした時
なっちは突然、立ち止まって深く息を吐いた
そしてニカッて笑って
アタマに「?」を浮かべてるやぐちに
やぐちぃ〜って抱きついてきた

それはきっと、なっちの涙で、なっちの悲しみの表現

「なんだよー!急に!!なに?そんなにオイラが好きかぁ?」
そう言ってやぐちもなっちを抱きしめた。
「おうっ!矢口、好きだぞー!」
「んもぅ!なっち、そんなの今さら言わなくてもわかってるゾ!」
そう後ろに飛びっきりのはーとを付けてなっちのおでこを突いた
なっちは耐え切れなかったように笑い出して
やぐちも一緒に笑った。

それぞれに悲しい心を隠して笑いあう
やぐち達はそんな関係なのかな?
「さ、帰るべ!」なっちはそう言うと前を向き歩き出した
11 名前:うっぱ 投稿日:2002年05月16日(木)03時10分37秒
ありそうでなさそうな四角関係(?)がいいですねぇ。
さっそくお気に入りになってしまいまひた。
続き待ってます。
12 名前:naka 投稿日:2002年05月16日(木)03時21分02秒
あぁ…やっぱりなちまり好きだ〜
13 名前:読んでる人 投稿日:2002年05月16日(木)15時46分58秒
最近、なちまり小説が少し増えてきたような気がします。
これはとても良い傾向ですね。

この作品も激しく期待してます♪
14 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時48分37秒
読んでくれて書いてくれてありがとう
>>11
ありがとうです。そのままお気に入りになれるようがんばります。

>>12
なちまり最近目覚めました。イイ!

>>13
あ、なちまり増えてきましたか?捜しにいこうかな。
期待してくれてありがとう。がんばります

>>1を訂正。短編みたくならなかったです(w
視点がコロコロ変わる不自然な小説になります。よろしこ
15 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時49分23秒
梨華ちゃん圭ちゃんのコト好きなんだ…
「はぁ〜」バフッと音を立ててベットに倒れこむ
気付かなかったなんて嘘になるけど。
梨華ちゃんは、きっと圭ちゃんのコト好きだろうなんて簡単に思って
圭ちゃんと話してると嫉妬して。
だけど、それは、それはー
「確信じゃなかったんだよぅ」一人でそう呟いて
気付いたら涙が頬を伝っていた。
ぬぐうように枕に顔を押し付けて
誰もいない部屋で声を押し殺して泣いた。

ひとつだけわかってること。

きっと圭ちゃんは梨華ちゃんが好きなんだ

いつも、しかたないなぁーとか言いながら
梨華ちゃんの頼みごととか失敗とかフォローしてるし
なっちと話しててもたまに梨華ちゃん見てるし
もう、何もかもが梨華ちゃんが好きなんだって思うしかなくて
だけど今日まで、矢口に聞くまで
思い込んでるだけだって言い聞かせてたのにな
16 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時50分14秒
気が済むまで泣いてから立ち上がって
ぬらしたタオルを目の上に乗せた

圭ちゃん?圭ちゃんは本当に梨華ちゃんが好き?
諦めなくちゃだめなのかな?

泣いたせいで頭が重くて目も重くて
その日はすぐ眠った。

17 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時51分54秒

「げっ!!」
朝、目覚めて鏡を見ると
なんとも見事に目が腫れていた。
「ど、どうしよう!!昨日、あのまますぐ寝ちゃったからだ…」
えぇっと、えぇっと。え?なに?どうしよう
不安になったなっちはケイタイを手に取り固まってる
ケイタイってなんか、ちょっと落ち着くよね
ってそんなコトはどうでもいいよね。今は。
電話、電話、電話したほうがいいのかな?
マネージャー?そんな、目が腫れてるどうしようなんて
今さら、もう5年目でそんなこと言ったら殺されそう
…もうだめ、今日は腫れ引くまで家からでない!
そんなこと出来たらいいなぁ…

目を落とすとケイタイのディスプレイに
メールが1件ついてるコトを知らせてくれていた
『明日は遅れちゃだめだよ☆ 矢口』
昨日の夜届いたのかな、なっち爆睡してたのかぁ

・・って今から、用意したら遅刻?
18 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時52分31秒
もーやだ、もうなにもかもいやになっちゃうよ。
神様?なっち何か悪いことしましたか。
っていうか、これ全部
「圭ちゃんが悪いんだー!」
思いっきり叫んだ。

「なんだよー、なっちワケわかんないよ」
そう言って笑ってる圭ちゃんを思い浮かべたら
なんだか、元気になってきて。
よしっ!なんだか、朝からついてないけどがんばろっ
と気合を入れた。
とりあえず、冷ためのシャワーを浴びて仕事に向かった。
19 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時53分01秒

「おっそーい!」さっそく叫んだのはカオリで。
「ごめん、ごめん。なんかね朝起きたらさ、こうジャガイモが」
「おもしろくないよ」
「う、まだ言ってもないのになんで決め付けるかなー!?圭ちゃんは!」
「あはは、なっちおは…よー…。」
きっと、語尾が弱くなったのは
だいぶと腫れが引いたけど少し腫れた目を見たからで
化粧で気付かない人がほとんどだろうその顔に気付いてくれた圭ちゃんを
やっぱりすごい好きだと思う。
でも、今はちょっとその心配そうな目がとても辛いかな
圭ちゃんの目から逃れようと思うのだけど
どうしても外すことができなくて。固まってたら
「げふっ!」
「なっちー!また遅刻してんじゃん!」
矢口の後ろからタックル
矢口のタイミングの良さに感謝して
「うん、ごめんね、メールくれたのにね」
そういって圭ちゃんの目を外して矢口の方に向いた
…ら、矢口も矢口ですぐ気付いたらしい
黙ってなっちの手を取って楽屋の外に連れて行かれた
20 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時53分35秒
スタッフさんとかがあんまり通らないちょっと薄暗い通路について
矢口が立ち止まる。
「矢口どしたの?」
って何言われるかちょっとわかってるんだけど
あえて明るく訊ねた
「なんで、なんで一人で泣くかなぁ?」
ストレートだね矢口は
「いやー、昨日、映画借りてさ、それ見てたら…」
「もういいよ」
「え?」
矢口のほうが泣きそうな顔してる。
なんでだろう?
ぎゅっと小さい身体に抱きしめられた
「やぐちが、やぐちが一緒に泣いてあげるから」
矢口はどこまで気付いてるのかな。
映画で泣いたなんて嘘は通じないみたいだね。
「矢口は優しいね、ありがとう」
そう言って頭をなでた。
なんだか、友達っていいもんだねぇ。
「矢口が辛い時はなっちも一緒に泣かせてね」
そう言ったらなっちの身体に顔をうずめていた矢口は
いっそう力をいれてなっちの身体に顔をうずめた
しばらく無言で抱き合う形になっていて。
21 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月16日(木)22時54分26秒
矢口の様子が少し変なことに気付く
「どうしたの?」
そう聞いたら、バッと矢口が身体から離れて
「なんでもない」って照れたように笑った
「矢口ってホントかわいいね」
「きゅ、急に何言うんだよー!」
「ホントのこと言ったまでさ」
「なっちのバカ」
「なんでよ!矢口意味わかんない」
「もー、いいよ!バカなっち」
「えー!それちょっと酷くないかい?」
「ま、今度泣きたいときはオイラに電話してね」
そう言ってウインクする矢口に心が癒された気がする。
「ありがと、矢口が男前に見える」
「よっすぃーより?いける?オイラ」
「あー、よっすぃーまではいかないね」
「なんだよそれー」
そう言って二人で笑い合うと
今朝までの憂鬱な気分が一つ一つ溶けていくみたいに
心が軽くなっていく。
笑うって良いことなんだね。
なっちが今、笑えてるのは矢口のおかげだよ
「矢口ありがとう」もう1回そう伝えると
矢口はなっちの為だもんとうれしそうに笑ってくれた。
なんだか、矢口が大きく見えたよ。
22 名前:読んでいる人 投稿日:2002年05月16日(木)23時09分49秒
なちまりだぁ〜!!!!
最近すくなくなっているので・・・・。
がんばってください。
23 名前:読んでる人 投稿日:2002年05月17日(金)22時23分54秒
なっちの気持ちは圭ちゃんに向いていて、
矢口に対する想いは友達止まりだね〜・・・。
矢口ガンバレ!!

ちなみに、>>22さんと自分は別人です。
24 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時35分25秒
感想ありがとうございます
>>22
少なくなってるのか。それはかなすぃですね
>>23
そうみたいですねって他人事みたいに。
えぇっと、もうこうなったら全員切ないよ!
って感じで行きたいと

そういうことで、圭ちゃん視点です。
25 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時36分44秒
矢口に手を引かれて楽屋から出て行くなっち。
矢口に任せておけば、大丈夫かな、なんて
こういう問題に目を反らすのはサブリーダーとして失格だろうか
いや、そんなコトを言い出せば
カオリなんて、なっちの顔すら確かめないで
今も、もうホラあっちの世界にいっちゃってるし
それはそれで、カオリの良いところなんだけども。
「保田さーん!」
なっちの心配をしてたら石川が話しかけてきた
「ああ!もう!朝から石川うるさい!!」
「なんでですかぁ?昨日飲みすぎたんですか?」
「昨日はー…、あ、ちょっと飲みすぎたかな…」
「もう!保田さん、そんな飲んでばっかりいたら身体壊しますよ!」
「あんたに言われる筋合いはまったくないね」
「ひどーい!せっかく石川が心配してあげてるのにぃ」
「あげてるは余計だっつーの」
「そんなぁ…」
「で、何?」
「あ、あの石川ですね、昨日、いいもの見つけたんですよ、
 ホラ!こなき爺のキーホルダー!」
そう言って石川は手にキーホルダーを掲げた
26 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時37分27秒
「…」
「あれ?うれしくないですか?」
「なんで、あたしが喜ぶと思ったのかな?」
「え、だって可愛いし。」
「…あっそ」
そう言って、石川の相手をするのをやめた
今はなっちだ、なっち目、腫れてたよね
泣いたのかな、どうしよう。
あたしはどうすべきなんだろうか…
「あー!けーちゃんが梨華ちゃん泣かしたー!」
はぁ!?
後藤の声で再び石川を見ると
涙目でこっちを見ていた
…あー、なんで石川ってすぐこう泣きそうな顔をするんだろう?
「あぁー!もう圭ちゃんに梨華ちゃんはまかせられないよ
 梨華ちゃん、こっちにカモン!」
吉澤がそう言うと石川は恨めしげにこっちを見ながら
吉澤と後藤の方へ行こうとする
27 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時38分39秒

もー、あたしもなんでこんなに反応しちゃうんだろ
「あんた達みたいなバカコンビのとこに行ったら
 石川もバカになっちゃうでしょ!石川!ちょっとおいで」
そうあたしが言うと
後藤の吉澤は二人でこそこそ笑いあってる
石川は石川でうれしそうにこっちに来てニコニコ笑う
「キーホルダーくれるの?」
「はい!2個買ってきたんですよ。二人でおそろい!」
そういえば、今のケイタイストラップのこんな感じで持たされたんだっけ。
はいってあたしに手渡す石川は、
意外に、可愛かった。
28 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時39分14秒
「っていうかさ、矢口ってホントちっさいよね」
「うっさいよ!」
そう言いあいながら二人のちっさいコンビが帰ってきた
ケタケタと笑うなっちにあたしはホッと安心する。
矢口が一瞬こっちに目を向けたので
なっち、大丈夫だよね?
そういう意味を込めた視線を矢口に送ると
矢口は少し不自然に笑って大丈夫だよって感じで小さく頷いた
うーん、さすが同期だ。っていうか、矢口って…
「保田さん?」
おおっと、石川ごめん、カオリになってた
「ありがと。大事にとっとくね」
そう言って石川の頭をポンポンと叩くと
うれしそうに石川は笑った
29 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時40分58秒

朝の娘。全体の仕事が終わって
プッチでの取材の仕事に入った。
まだ、午前中だというのに目の回る忙しさに
それなりの充実感を感じる
「あははは!それウケる!」
「でっしょー!?そんで梨華ちゃんそこで・・・」
後藤と吉澤の終わらない会話に耳を傾けながら
あたしはこの前の休日の時に買いあさった小説を読んでいた
「吉澤さんお願いします!」
「はーい。じゃ、行ってきまーす」
スタッフに呼ばれて吉澤が楽屋から出て行くと
後藤が声をかけてきた
「けーちゃん?」
後藤は寂しいのかいつも吉澤がいなくなると
あたしに声をかけてくる。
それはいつものコトで
「んー?」あたしが間延びした返事をすると
「梨華ちゃん、絶対けーちゃんが好きだよ」と、とんでもない事を言い出した
30 名前:ナナシ 投稿日:2002年05月18日(土)06時42分19秒
「っはぁ!!?な。なにいってんの!?」
あたしは予想外の言葉に酷く狼狽する
「いやぁ〜、ごとー思うんだけどさぁ、絶対けーちゃんのこと好きだね」
そんなあたしと対照的にのほほんと話し続ける後藤
「後藤、あんた適当なコト言わないの!」
あたしはどうしていいかわからずとりあえず怒鳴る
「そんな向きになんなくていいじゃん!
 あ、けーちゃんも梨華ちゃんのこと好きなんだ」
ニヘーっと顔全体を歪ませて後藤は言った
「そんならさぁー、いい加減、梨華ちゃん苛めるのやめなよ」
「っていうか、いつあたしが石川苛めたのさ!」
「苛めてるじゃん!いつも!梨華ちゃんテキトーにあしらってさ」
「あしらってない!」
「あしらってる!梨華ちゃんいつも泣きそうになってるじゃん!」
後藤のその言葉で今日の石川の泣きそうな顔が頭によぎった
チクリと胸が痛む

─あたし、やっぱ石川のコト好きなのかなぁ
31 名前:和希 投稿日:2002年05月20日(月)15時56分10秒
おぉ…なっちとやぐっちゃんよりも…
以外に(?)圭ちゃんが気になってしまう。
でも、がんばれ!矢口。
32 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月24日(金)14時21分42秒
なっちはどうなってしまうの〜
圭ちゃんと石川さんの関係も気になります〜
期待してます!!
33 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)08時34分05秒
先が気になって×2しょーがないっす!
更新待っております
34 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)14時03分36秒
ゆっくりでもいいんで更新待ってま〜す
35 名前:ナナシ 投稿日:2002年06月26日(水)06時22分00秒
放置しててごめんなさい。ちょっと色々あって。
ゆっくりでいいと言ってもらったので
また書き始めます。いつになるかわかりませんが
なるべく早く。待ってくれてる人がいたらよろしくお願いします。
36 名前:名無しさん 投稿日:2002年07月01日(月)10時09分07秒
は〜いっ!
楽しみにまっております!
37 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月06日(土)02時55分36秒
久しぶりに書いたのでとても不安。
38 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月06日(土)02時56分06秒
「さー!これからラジオだー」
矢口がそう言って椅子からっぽんと立ち上がって
クルリと振り返り
「なっちは?」と聞いてきた
「ん〜。なっちもこれからラジオだったかなぁ」
かなぁとか言いながらしっかりもう聞かされたときから
まだかまだかと待ちわびていたんだけどね。
今日のラジオは圭ちゃんと一緒のラジオのお仕事で
もうレギュラーじゃないんだけど、たまに一緒に出してもらえる
毎回じゃないけど、圭ちゃんと二人でタクシーでスタジオに向かう
その時間がなっちはとても好きだった。
今日ははホントに久しぶりでずいぶんと前から楽しみにしてた。
「そうなんだ、じゃーお互いがんばりまっしょい!」
矢口はそう笑うとじゃあね、なっちまた明日と楽屋から出て行った
そうか、矢口とは今日はもう会わないのかぁ。
時計を見るとちょっと早いけども
なっちも向かうかな。とスタジオに向かった
39 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月06日(土)02時56分41秒

____________________________________________________

和気あいあいとした雰囲気で
いつものように楽しく終わって
やっぱりなっちはこのお仕事が好きだなんて実感した

他の出演者の人たちがスタジオから
どんどん出て行くのをじっと座って見つめてると
「なっち行くよー」と立ち上がった圭ちゃんに声をかけられ
「はいよっ!圭ちゃんお疲れさま!」待ってました!とばかりに
なっちは立ち上がる。

いつもさ、いつもこんな調子で少しなんだけど
ほんの少し押さえようと思っている気持ちをぶつける
…気付くわけないよね。

「圭ちゃん、この後なんか用ある?」
「ないよー。なっちは?」
「なっちもない」
「ご飯食べにいこっか」
「うん、行こう行こう!」
この流れをなっちは待っていた!
メンバーが沢山いる場所では
いつもいつも他のメンバーもなんだかんだと
数人ついてきて。いや、嫌じゃないんだよ、嫌じゃないんだけどね…
「あ!あたしも行く!」
あー、そうね、りんね忘れちゃだめだよね。
40 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月06日(土)02時57分15秒
なんだかなぁ〜。
そう心の中でため息をつくと
圭ちゃんが
「りんね、ごめん!今日なっちと大事な話があるんだ」
と、言葉も出ないくらいびっくりする事を言いのける

なっちの心臓はヤバイくらいドキドキして
思わず顔が真っ赤になった。
なんだべ!?何!?何?
圭ちゃんがなっちに大事な話?
え、それって、もしかしてってやつっしょ?
ど、どどどうしよう。心の準備が。
ヤバイヤバイ。
「はぁ〜」と顔に手を当ててると
「なっち何照れてんの?」
と圭ちゃんが普通の顔でこっちを見た
「いやぁー、なんでも、ないよ?どこ行く?」
「んー、前のお酒飲んだところいこっか」
「の、飲むの?」
飲ませるの?飲まされるの?
して圭ちゃんはどうするんでしょ!
なっちのテンションものすっごい上がってるんだけど
言葉にしたら絶対、圭ちゃんにしばかれるよね。
…ってそんな問題でもないか。
41 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月06日(土)02時57分48秒
ちょっと前に圭ちゃんと二人で来たことのあるお店に着く
お店自体の雰囲気がとてもよくてなんだかごちゃごちゃしてるんだけど
ほんのり暗くて、他のお客さんの目とかもあんまり気にならなくて
なっちとしては落ち着くなぁと思う。
やっぱりね、こういうお仕事してるとね。気になっちゃうよね

「なっち何飲むー?」席に座って圭ちゃんがお絞りを片手に聞いてくる
もう、その圭ちゃんがおかしくておかしくてしかたない
笑いをこらえて「前に飲んだジュースみたいなの」って言ったんだけど
なっちが一人でウケてるのはばればれなのか
圭ちゃんは頭に「?」をつけて不思議そうにこっちをみてて
あー、もうだめだ。
「圭ちゃんそれ、すごくおっさんくさいよ」と指差してすごく笑った。
圭ちゃんも少し怒った風に「もー!うるさいよ」と笑ってた。
あー、もうなんだか楽しい!
なっちは今幸せだ。いつまでも、いつまでもこうして笑っていたいな
42 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月06日(土)22時08分06秒
なっちと圭ちゃんが大接近!!
個人的には矢口さんにがんばってほしい。
43 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月07日(日)02時00分17秒
モ・も・もしかして圭ちゃん、なっちに相談するんじゃ??
う〜オイラもやぐっつぁんを応援します。
作者さん、マイペースでいいんでがんばってください。
楽しみに待ってます。
44 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月07日(日)09時21分34秒
感想ありがとうっす。矢口がんばれ!

今回はちょとわかりにくいかも。スイマセン。
45 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月07日(日)09時23分17秒
ケイタイを手に取りディスプレイを睨んで数十分。
なっちは今何してるんだろう?
仕事は終わってる時間だよね?
だからといって電話かけて話すほど大したこともなく。
メール?メールになんて打てばいいんだろう?

なっちの今日の最後の仕事は…

やっぱり、圭ちゃんといるのかなぁ…。

「はぁ…」ため息付いて思うことは
なんでオイラがこんな目に合わなきゃいけないのか。
人を好きになるってのはホント苦しいもんだよね

相手が相手なだけに
どうしていいかもわからないまま
想いはつのっていって胸をギューっと締め付ける。
何がそんなに愛しいとかよくわかんないままに
全てが知りたくて。ホントはもう全部が欲しくて
でもね、欲しがっちゃいけないんだ
一緒にいれるだけで幸せなんだと言い聞かす
それがきっと1番良い方法。

ケイタイをテーブルに置いて
ベットに寝転ぶ

「好きだー!」

この想い届け!!
46 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月07日(日)09時25分59秒
____________________________________________________


飲めないお酒を飲んで、なっちはへらへらと笑ってた。
取り留めのないくだらない話しをして
なっちのくだらない話に笑ってくれて

「なっち、好きな人がいるんだけどさぁ、その人なっちのコト好きじゃないんだぁ」
突然、言った。お酒のせいかな?
そういうコトにしたい、な。
「そっかー、大変だよね。片思いも」
そう言って圭ちゃんは笑って
なっちはもう何がなんだか恐くて仕方なくて聞けなかった
それ以上続けることも、話題を変えることもできなくて
コップに入っていたお酒を全部飲み干した
「うげー」
「ちょっと!なっちいきなり何してんの!?」
そう言って圭ちゃんは笑ってこっちを見たけど
なっちは笑えなくて圭ちゃんを見つめて
圭ちゃんの顔が真剣になって
「その片思いが今日の目の腫れの原因?」
と聞いてきて、なっちの中で色々な感情が渦巻いた
心配?なっちが梨華ちゃんなら圭ちゃんはどうしてた?
「圭ちゃんは、圭ちゃんは…」

47 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月07日(日)09時28分21秒
__________________________________________


仰向けになって天井を見つめてずっと色々なことを考えてた
出会いは?いつから?どこが?
どうしたら諦められる?どうしたらいいんだろう?
昨日、いつまでも続きそうな
なっちや圭ちゃんや石川や自分達のカタチが崩れればいいと思った。
そして、結果なっちを泣かせて
もしかしたら、今、なっちは先走ってるかもしれない
もしかしたら、今、圭ちゃんと一緒にいるかもしれない
不安で恐くて押しつぶされそうで

なっちがやぐちの方に向いてくれれば
全てがうまくいくような気がした
だけど、それはうぬぼれで…
圭ちゃんが梨華ちゃんを好きだからといって
なっちがやぐちのことを好きになるなんて保障はまったくない
48 名前:ナナシ 投稿日:2002年07月07日(日)09時29分20秒
 ブィーン、ブィーン… 
テーブルが急にゆれケイタイがバイブで着信を知らせる

手に取ったディスプレイにはなっちの名前が記されてて
不安や恐怖に急かされるように通話ボタンを押した

「もしもし!?なっち?どうしたの?」
「…矢口?」
「うん。どうしたの?」

あたしは、何故、こんなに急かしているのか。

「矢口さぁ…」
「うん、大丈夫?」

何故、なっちに元気が無いことにすぐ気付くのか。

「一緒に泣いてくれるって言ったよね…」
「なっち、今どこにいるの?」

何も聞かずに一緒に泣くよ。

「家にいるけど…」
「今から行く!」

その原因を作ったのは多分、やぐちだから。
49 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月08日(月)02時07分43秒
をを、連続更新!うれしいっすねぇ。お疲れ様です。
圭ちゃんはなっちに相談じゃなくて心配したから誘ったのね。
しか〜し、いきなり急展開な雲行きですな。
なちまりに期待!矢口の出番だ!
50 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月14日(日)06時26分24秒
いよいよなちまりですか?
なっちには早く矢口の気持ちに気づいてあげてほしい。
期待して待ってます。
51 名前:うっぱ 投稿日:2002年07月27日(土)10時23分33秒
いよいよ矢口さんの腕の見せ所(?)でしょうか。
気長にお待ちしております。
52 名前:名無し読者 投稿日:2002年08月14日(水)20時23分51秒
 期待age
53 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時50分21秒
感想くれてありがとうございます。うれしいです。
おかげで放置しかけましたが反省しました。
ごめんなさい、ホントすいません。
なちまり増えてますね、ビックリ。
5月からだらだらと続けてきて
気が付けば大変なことになってるしで
そんな感じで終わります(w
54 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時51分09秒

寝巻きの上にパーカーを羽織ってケイタイと財布をポケットの中に押し込んで、外に飛び出す。
外の冷えた空気で頭がさえた。
大通りに向かって走ると、ハァハァと息が上がる。
それでも、やぐちは冷静になれなかった。不安でたまらない。
なっちはどうしたんだろう。
タクシーをつかまえて乗り込んでも、ろくに頭もまわらない。
運転手に行き先を告げて落ち着こうと窓の外を眺めたけど
景色なんて目に入らなかった。

可能性は、、圭ちゃんだ。
やぐちにはそれしか思い浮かばない。
ポケットからケイタイを取り出し電話帳から圭ちゃんを呼び出した。
55 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時54分57秒

____________________________________________________


元気がない。
収録中もなっちの意識は散漫で、何度も呼びかけられては苦笑する。
それでも、本人は気付いていないのか、所々でため息を付いた。

なっち全然だめじゃん、そう心の中で矢口を攻めた。
泣いていただろうなっちを攻めるのはなんだかね。

収録が終わってなっちに声をかける。
この圭ちゃんが悩み相談してあげましょう!

居酒屋について、しばらくの間はなっちのくだらない話を聞きながら談笑していた。
このままじゃらちが開かない。無理矢理聞き出すのは好きじゃないけど
でも、このままじゃ、なんの為にりんねを断って誘ったのかわからないし・・
そう考え込んでると、間が開いたのか、なっちが静かに話し出した。
「なっち、好きな人がいるんだけどさぁ、その人なっちのコト好きじゃないんだぁ」
なっちはそう言うとお酒を一気飲みした。
あー、なっちの悩みはこれなんだね。バレバレだよ。
苦笑を飲み込んで聞いてみる
「その片思いが今日のなっちの目の腫れの原因?」
56 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時56分07秒
なっちの顔が曇ってしばらく考え込むと言った
「圭ちゃんは、圭ちゃんは…、好きな人いる?」
「あたし!?」
急にこっちにふらないでよ!そう言おうとなっちを見ると
なっちの目はいつも以上に真剣で辛そうだった。
これじゃ、なんだかあたしが悪いことしてるみたいじゃないの!
「そんなに悩んでるの?」
そう聞くと、今にも泣きそうな顔で頷く
「えーっと、そうね、うーん…」
なんで、あたし、こんな目にあってるんだろう?
…そんで、なんで石川の顔が浮かぶかなぁ。
いい加減、苛めるのやめなよ、か、なんだかなぁ。
素直になれってことなのかな。後藤が言いたいことは・・うん。
「…あたし、石川が好きかもしれない」
そう言葉に出した瞬間、体中が熱くなって心臓がドキドキと波打った。
何、照れてんの!?あたし、これ完璧好きなんじゃん!
一人でテンパってると、急になっちの声が聞こえた。
「なっちは、圭ちゃんが好きだよ」
はぁ!?思わず顔をあげると
なっちの顔が近づいてて、あたしの唇になっちの唇がふれた。
57 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時56分50秒

色んなことが一気におこって、あたしの頭はショート寸前。
いや、もうショートした。

世界が雲かかったように、現実感を無くす。
その向こうで、なっちはバックを掴むと、視界から消えた。

なんだったんだろう…。
あたしの頭はまだ、正常に動かなかった。
58 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時57分31秒

____________________________________________________

「もしもし!?なに!?」
「なんで出るなり怒ってるんだよ!」
圭ちゃんの声は電話越しでも期限が悪いのは明らかだった。
タクシーの中だから、声を静めようと思うんだけど、
ついつい声が大きくなってしまう。
「怒ってるって、なにがよ!」
「なにがよって・・」
なんか、この雰囲気とっても聞きにくいんですけど
「圭ちゃん酔ってるの?今どこ?」
「飲んでるよ、もう何がなんだか、何?なんかあたし悪いことした?そりゃ、石川苛めてたかも・・」
「あーあー!もう良いって。あのさ、なっちと会った?」
「会ったって、さっきまで一緒に居たわよ」
「なっちに何したんだよ!」
ダメだ感情が抑えきれない。
「…なっちどうかしたの?」
圭ちゃんも素に戻り、聞き返してくる
「もういいよ、ありがとう」
電話を切った。これ以上、知りたいことはなかった。
圭ちゃんなんか、もう明日、二日酔いにでもなればいいんだ。

 『でも、この状況を作ったのはやぐちだよ』

言葉が浮かんで消えた。
59 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時58分18秒

____________________________________________________

電話、しちゃった、、
ケイタイを投げた。

いつも、迷惑かけてごめんね、矢口。

はぁ…。ため息を付いて、買ってきたチューハイを流し込んだ
むせそうになるところを押さえて液体を流し込む。
ゲホッゲホッ。
胸がカァーと熱くなる。
無理に飲んだのがいけなかったのかな。

なんでもいいや、もう一度、缶を手に取ると口をつける。
その間も目から涙がこぼれてて
なんで、こんなに好きになったんだろうと自分が嫌になる
そんな自分を痛めつけるように、一気飲みした。
60 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時58分50秒

ピーンポーンと意識の遠くで家のチャイムが鳴るのが聞こえたんだけど
体が重たくてしかたなくて、出ることが出来ない。
ほっといても、チャイムが止むことはなくて、しばらくしてケイタイも鳴り出した。

そうだ、矢口、呼んだんだっけ。

体を引きずるように玄関までたどりつき
鍵を開けた、瞬間ドアが開き
「なっち!」血相を変えた矢口が入ってきた。
そんな矢口の顔がおかしくてしかたなくて笑った。
「んー、やぐちー!」
矢口に体を預けて、それでも笑う
「ちょ、うわぁっ!酒くせー、なっち飲んでるの?」

なんかもー、楽しい、矢口はなっちの癒しだね。
笑いがこみ上げてきて、おもしろくてしかたない
「やぐちーすきだよー」
なんかもうよくわかんないよ、なっちは。
61 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)11時59分52秒

____________________________________________________

ニマーと笑い「やぐちーすきだよー」となっちは言って
ダラーッと、そのまま崩れ落ちて寝だした。
オーイ、好きな相手にこんなとこ見せるか?
「もう、なっちー!起きて!」玄関で寝られたら困るんだよー。
オイラじゃ担げない。
体を揺らしても、顔を真っ赤にしたなっちはスヤスヤと眠ってる。
とりあえず、無理矢理立たせて肩になっちの腕を乗せてずるずると歩いた。
なっちは意味不明の言葉を吐きながら、のそのそと歩く。
なんとかベットまで辿り着き、肩から離して座らせると、そのまま後ろに倒れてなっちは眠った。

ばか。
それ以外になんて声をかけて良いのか。
62 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時00分34秒

水、水飲ませたほうがいいのかな。
キョロキョロと周りを見回すと空き缶が床に散らばっていた。
部屋の電気は消したままで暗くて、廊下の明かりだけがついてる。
不意に寂しさが痛いほどに襲ってきた。
 
 お酒を飲んで荒れる圭ちゃん。
 目を真っ赤にして飲みつぶれるなっち。

やぐちは、何をしてるんだろう…。
視界がグラグラと揺れて曇る。

 石川は圭ちゃんが好きだから、
 圭ちゃんは石川が好きだから。
 その時が来たら、なっちが一人だと、困るじゃんか。

 このカタチが崩れたらどうなるのかな
63 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時01分08秒

ジンジンと体が痺れて目頭が熱くなる。
ごめん、ごめんね。
事態は最悪な方向にしか向かわないみたいだ。
胸が苦しい。

ベットに近づいて、なっちを見下ろした。

卑怯な真似はこれが最後だから。
これを最後に真っ直ぐになっちを見れるように。
なっちが圭ちゃんに当たって砕けたように、やぐちも堂々と当たっていけるように。
これが最後だから、せめて、この気持ちを。
今、伝えさせて

バクバクと心臓が打ち出して、
恐る恐る顔を近づけていく、そして

眠ってるなっちの唇に軽く口づけした。

泣けちゃうくらいに、なっちが好きだ。
64 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時01分49秒

____________________________________________________

「おっはよーございまーす!」
今日は天気もよくて、すっごい気持ちのいい目覚め。
なんか今日良いことありそうね!なんてウキウキ気分で楽屋のドアを開けると、

楽屋の空気は最悪なくらいに悪かった。

「や、保田さん?」
「…なによ」
「あ、なんでもないです。ごめんなさい」

「安倍さん、おはようございます」
「………」
「………す、すいません。」

保田さんは、テーブルの上に腕を付いて、こめかみを押さえて眉をしかめてる。
安倍さんは気分が悪いのか机にうつぶせている。
そんな二人のおかげか、いつもキャーキャーとうるさい楽屋の中は
驚くほどに静かで、みんなコソコソと小声で話していた。
どうしたんだろうと、近くにいるメンバーに聞いてみようと声をかけた
65 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時02分41秒
「矢口さ、」
ギロっと睨まれる。こわっ。
「ど、どうしたんですか?今日なんか楽屋変じゃないです?」
それでも負けじと聞くと、矢口さんは、はぁとため息を付くと
「ちょっと来て」とあたしの腕を掴んで立った。
え、え、ちょっと今、来たばかりで荷物も置いてない、そう言いかけると
すごい勢いで睨らむもんだから、しかたなく黙って付いていく。
どこまで行くんだろうと思うほど、矢口さんは歩いていって、
誰も来ないような影になってるトイレまでいく。
それでも、安心できないのか、1番奥ばった個室に入った。
あまりの恐さに黙っていたけど、
なんでこんなところまであたしは連れてこられてるの?
殴られちゃいそうなほど、矢口さんが無言で恐い。
「ど、どうしたんですか?」
空気に押されて、小声で聞くと。
さっきと同様、矢口さんは深いため息をつくと、ヨシッと気合を入れて真っ直ぐにこっちを見た。
…告白されるのかな?
「だめですよ!保田さんが好きだって前、言った…」
そう言うと、また一層、矢口さんの顔が鋭くなった。
黙ります、黙ります、だから殴らないで
石川、今にも泣きそうなんですが。
66 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時03分17秒
「そのことなんだけど、」
やっと矢口さんが話し出す。
「はい?」
「圭ちゃん、絶対あんたのこと好きだから、自信もって」
「は?」
「大丈夫。」
「へ?」
「がんばろう!いつまでも、このままじゃいけないんだ!」
「あの、状況がよくわかんないです」
暴走する矢口さんを止める
「とにかく!早く告っちゃうこと!」
「な、ななに言うんですか!そんなことできるわけ…」
「いつまでも、逃げててもどうにもならないよ?」
「はぁ、、」
逃げてちゃいけないって、そんなのわかってるよ〜。
「ごめんね、今まで黙ってて」
「何をですか?」
「ううん、いいの。ジャ!」
そう言って矢口さんはドアを開けると出て行った。
いいのって。矢口さんどうしたんだろう?
なんか変なの。ま、いいか。
うーん、でも、そうだよね!いつまでも、このままで居るのよくないよね。
例え嘘でも、矢口さんが言った、絶対好きだからって言葉が勇気をくれた。
ヨシ!がんばるぞー!っとこぶしを振り上げた。
67 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時05分40秒

____________________________________________________

今日のスケジュールを頭の中で計算する。
収録は1本で、午後には終わるはずだった、なっちも圭ちゃんもあんな感じだし。
こんな時ばかりは神様に感謝する。
石川と話し終えて、楽屋へ帰る途中のロビーでスポーツドリンクを買った。
楽屋をあけるとさっきと変わらず、なっちも圭ちゃんもうなだれてる
そして、見事なまでに二人は距離をとっていた。
68 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時06分20秒

「圭ちゃん」声をかけて振り向いた圭ちゃんにドリンクを手渡すと
サンキューとだるそうに受け取った。
「昨日は、ごめんね」
そう謝ると、ホントだよ、急に切るなっつうのとふくれる
「ごめん」
「いいよ、矢口は、なっちが好きなんだもんね
どこまで知ってるのかわかんないけど、昨日はなっちと色々あったから」
さらっと公然と言い出す圭ちゃんのドリンクを奪い取り
頭からぶっかけたかったけど、グッと耐えた。
「ハハハ、ほんとだよ。早く石川とラブラブになってね」
そう笑顔で言い返すと、圭ちゃんも苦笑した
「言われなくてもわかってるよ、それが、なっちへの返事にもなるだろうしね」
「きっついなぁ…」
「あんたがしっかりしなさいよ」
「はいはい、言われなくても、ってヤツです」
ひとつ間違えばケンカになってもおかしくない言い合いも
圭ちゃんとは軽く言い合える、こんな関係はすごく楽で
ここしばらく思いつめていたやぐちもなんだか楽になった。

もう、時間を待つのは嫌だ、
それなら、自分で動かそう。
69 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時07分40秒

____________________________________________________

ひとつ、頭痛の種が消えた。
矢口が今日も怒ってたらどうしようかと
内心ひやひやしていたけど、どうやら怒ってはなさそうで良かった。
受け取ったドリンクを飲んでると、気分も少し冴えてきて、
残った問題の、ひとつはもう矢口に任せてしまおうと思う。
それが1番手っ取り早い気がした
昨日のことも、あたしの余計なお節介がなければ、よかったのかもしれない。
後は、石川かぁ。
どうしようかと思案してると
楽屋のドアが開いて石川が入ってきた。
「保田さん、機嫌はどうですか?」
「機嫌ってなによ」
変な言い方についつい笑うと、ホッとしたように石川があたしの腕を掴んで言った。
「ちょっといいですか?」
「なに?」
70 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時08分22秒
・・もしかして、矢口、あんた余計なことしなかったでしょうね?
矢口に視線を向けると意味ありげに微笑んでた。
やられたー…。
こないだの後藤にしても気付いてたのかと思い出した。
っていうか、ホントに石川はあたしが好きだったのね。
なんて鈍感なんだろう。
軽く眩暈がする。
こうなったら、石川が言い出す前にあたしが言ってやろう
わけのわからない、意地がふつふつと湧きあがった。
71 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時09分00秒

____________________________________________________

圭ちゃんと、石川が出て行くと、なっちの様子をうかがうと、
机にうつぶせになって倒れてる。
今朝やってくると同時になっちは、ずっとこの状態。
起きてるのか、寝ているのかもわからない。

それでも、さっきの圭ちゃんと石川のやり取りを見られなくてよかった
と、少しホッとする自分がいる。
72 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時09分36秒
「なっちー?大丈夫?」肩を揺らすと即座に起きた
「だめ!揺らさないで、気持ち悪い・・」
そういうとまた、パタッと倒れた。
「飲めないのに、あんなに飲むからじゃん」
そういうと、うつぶせたまま、うめき声にまじってなっちが呟く
「ごめん、昨日矢口来てくれたんだよね…、部屋とか片付けてくれてたっしょ…」
「いえいえ、どういたしまして」
昨日のことを思い出して心臓がまたドキドキする。
耳をすませないと聞こえないくらいの小声でなっちは続ける
「泊まっていけばよかったのに」
「いいの、いいの、気にしないで、っていうかホント大丈夫?収録いける?」
「がんばるべ…」
「プロだねぇ」
こんな色々なことがあった次の日でも
当たり前のように同じグループで、すごさなきゃいけないんだよね。

「今日さ、午前中で終わるから、家にいってもいい?なんか、なっちが心配だよ」
「ホントー?一人で居るのやだなーって思ってたのさ。ありがと。」
これ以上、なっちを追い詰めてもいいんだろうか、そんな思いが過ぎった。
73 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時10分12秒

「おじゃましまーす」
なんとか元気がないものの収録を無事に終えたなっちとそのまま家にきた。
「おーい!家の主を置いていくなー!」
なっちが鍵を開けた瞬間、ドアを開けて勝手に入った。
廊下を歩いて、部屋のドアを開けると、
昨日、来たばかりのままな気がして、鮮明に昨日の記憶がよみがえった。
オイラ、なんてことしたんだろう。
カァーっと顔が赤くなるのがわかる。
後ろからパチッと部屋の電気がつけられた
「どうしたの?」
「あ、いや、なんでも」
そういってなっちの方を見ると、丁度、目の前になっちの顔があって。
思わず顔を背けた。
は、はずかしい。
一人照れてるやぐちに首をかしげながら
なっちは、部屋の中に入っていった。
疲れたーと言いながら冷蔵庫を開けてペットボトルの水を飲んでる
「なにしてんの?」
放心状態のやぐちは声をかけられて、また狼狽する
「あ、いや」
なっちが近づいてきてペットボトルを差し出していった
「飲む?」
74 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時10分52秒

ドキドキがとまらない、いや、普通のことなんだよ
いつも、普通に飲んでるし、ね?

「いいよ、うん、ありがとう」
「そう?」

落ち着いて部屋に入ってソファーに腰掛けた。
なっちも、前に座った。

・・・・・・
・・・・
・・

会話が…続かない。
なっちはボーっと何かを考えてるようで、
それなら、やぐちは今ここに居る必要がないんじゃないか。

いや、そもそも、今日はなっちを励ましに来た訳じゃない。
しっかりしないと、うん。
75 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時11分24秒

「なっち?」
ごめんね、
「ん?」ハッとしたようになっちがこっちを向いた
「ごめんね」
「何が?」
「ホントは、ホントは、」
─全部知ってるんだ。

 また、うつ伏せになった、なっちをそっとしておいて、ごっつぁん達と話してると
 しばらくして、石川と圭ちゃんが帰ってきて、二人ともどこか幸せそうだった。
 だから、あとで、圭ちゃんに頼んだ
─二人のことは、もう少し黙っといて欲しい。
 矢口?矢口から、なっちに、このこと言ってくれるかな?
 ─それは無理だよ。
 昨日、告白されてね、そのままになってる。あたしが石川を好きだと言っても。
 ─なっちは、、、
 いつまでも、このままじゃ終わらないよ?矢口が辛いだけ。
 なっちはいつまでも、辛いだけ。
 ─圭ちゃんは強いね。
 あんたが居なけりゃ、ここまで言えなかったよ。
 ─そう、かな?

『事態は改善してきている?』
76 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時12分00秒
昨日の酔いつぶれたなっちの姿を思い出す。
目を真っ赤にして、お酒臭い息で・・。

大切な人を、1番大切にしたかった人をやぐちは大切にできていなかった。
もしかしたら、この状況すら、望んでいたことなのかと思うと
すごく気分が悪くなってくる。
ごめんね、ホントにごめんね、やぐちは自分のことしか考えてなかったんだ。

目の前に居るなっちが、不思議そうにこっちを見つめる。

あのままの関係でずっといられたのなら、
圭ちゃんや、石川には悪いけれど
そのままのほうが良かったのかもしれない。

あの一言が始まりだったんだ。
石川は圭ちゃんのことが好きなんだって。
77 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時12分31秒

「なっち?」
「だから、どうしたの?」
「石川と、圭ちゃん、付き合ったって」
その言葉に、なっちは悲しそうに笑って呟いた
「そっかー、あの二人、仲良かったもんね」

やぐち達は、いつまでも、本心を隠しあい、笑いあう、そんな関係?

「やぐちがくっつけたんだ」
なっちの顔が固まった
「なっちが、圭ちゃんのこと、好きだから」
なっちの表情は変わらない。

涙が出てた。苦しい、辛い。
でも、コレを吐き出さないと。
いつまでも、なっちを真っ直ぐに見ることは出来ないんだ。
そして
これからも、なっちと笑いあうことは
できるんだろうか。
「やぐちは、なっちが好きだから」
なっちの表情は固まったまま
「ごめん、ごめんね」
1番言いたかった言葉が言えた。
でも、嗚咽が止まらなくて。もう喋ることは出来そうになかった。
78 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時13分01秒

たとえば、もう事態は改善しなくても、
恋愛し合うことが出来なくても、
やぐちがずっとこのままなっちを好きでいるなら
それはもう、立派な恋愛だよね。
カタチなんか必要なくて、いつまでも、なっちを大切に思えるなら。
それはもう。

だけど、すごく悲しいんだ、なんでだろう
79 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時14分59秒

「圭ちゃんがなっちに言ったよ、梨華ちゃんのことが好きって
だから、だから、矢口がなっちに謝る必要はないよ?」
なっちがそう涙目で言った。
「でも・・」
やぐちの言葉をさえぎって
なっちは、その顔は随分と辛そうだけど。
「ありがとう」
と、やぐちに向かって微笑んだ。
もう多分、やぐちの顔はくちゃくちゃだろうけど、
気持ちが一気に楽になって、やぐちも自然と笑い返した。

なっちが続けようと口を開く
「今は、よくわかんなくて、」
「待ってる!ずっと、待ってるから」

いつか、心から笑い合うことができるといいね。

たとえば、どうなろうとも、やぐちは、
「なっちを大切にしたいから」
そう言って笑えるだけ笑った。
80 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時15分29秒

おわり
81 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時23分06秒
視点を返るという挑戦でわかりにくくなってすいません。
読んでくれた方ありがとうございました。

おまけというか、羊で書いた短編なのですが、
手直ししたので、載せさせてください。

学園物で、年齢無視な、なちまりです。
事件の前に書いたものなので、題名に意味はありません。
82 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時44分09秒

□□□□□□□□


「Do it! Now」


□□□□□□□□
83 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時44分47秒

キーンコーンカーンコーン。

なんとも間抜けなチャイムが鳴り、矢口の周りでうるさく騒いでいた
人達がどんどん離れていって、ザワザワと騒がしかった教室が先生の
入ってくるドアの音で一斉に静かになった。

この沈黙が矢口はスゴク嫌いだ。みんなは決められたように動き、そ
して黙る。そして、矢口をヒトリにするんだ。
退屈になって、携帯を取り出し、携帯に付属してるゲームをすること
にした。簡単なゲーム、テトリスと呼ばれてる
ただ落ちてくるブロックを重ねて消していく単純なゲームだ。
これをするとこんな感じに今までの嫌なこと全部を綺麗に消して
もう1度最初から色々なことやり直せたらいいのにといつも思う。
84 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時45分25秒

静かになったはずの教室がいきなり騒がしくなった、何事かと目を向
けると、担任の横に笑顔の女の子が立っていた。少し緊張しているの
か多少笑顔は強張っているけどそれでも、強張っている分、緊張して
るとわかって、それが可愛らしく見えた。
「北海道から来ました、安倍なつみです」
その声は柔らかくて、ひとつの雑音もなく矢口の耳に届いた。

その日から彼女は人気者になった、いつも屈託なく笑い、人のことに
も気を使って男女から好かれるようになっていた。
85 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時46分00秒

矢口は特に関わらず、ただボーっと彼女が人気者になりあがっていく
様を何の感想も持たずに観察していた。
「ね、矢口?今日、なっちも一緒に昼ごはん食べていい?」
彼女はなっちと呼ばれて、矢口の友達とも仲良くなったみたいだ。
「別にいいけど」
矢口は特に友達が多いほうではない。今、声をかけてきたサヤカと
後は圭ちゃんくらいだ。二人とも中学から一緒で仲が良かった。
サヤカは中学の頃から男女問わず好かれていて人気者だったけどどこ
か変わってて、特別、仲のいい友達を作るわけでもなく
幼馴染の矢口とずっと仲が良かった。
圭ちゃんも圭ちゃんで特に人付き合いのいいほうではないけど中学で
知り合ってサヤカが気に入ったらしく
気付けばいつも、この3人で一緒にいた。
86 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時46分31秒

「なっちー!いいってさぁ」
サヤカがそう叫ぶと圭ちゃんの後ろに隠れるように彼女はこっちに来
た。「コレ、矢口。」サヤカがそう言って親指であたしを指差す。
「コレって!そんな物みたいな扱いすんなよ!えーっと、安倍さんだ
っけ?1度も喋ったことなかったよね?矢口って言うんだ、よろしく!」
さー、営業モードでがんばろうっ。と大げさに右手を出すと
彼女はニッコリと微笑んで「よろしくね」と手を握り返してきた。

手を握った瞬間、時がゆっくりと流れて、いつまでも、右手には彼女
の感覚やぬくもりが残る気がした。
きっと、初めて会った時から友達になりたかったんだろうな。
そんな素直な気持ちが当たり前のように浮かんだ。
87 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時47分12秒

□□□□□□□□


「なっちね」彼女は自分のことをなっちと呼ぶらしい。
「矢口と」彼女は人懐っこくてスグに打ち解けた。
「友達になりたかったんだ」そして、変わり者らしい。
「え〜!?なんで、またオイラなんかと」
妙に照れてしまうのはなんでだろ。
「なんかね、こうなんていうのかなぁ、雰囲気?とか合いそうな気がした」
そういってニコニコとパックの牛乳を飲んでるなっちはヤッパリ変だ
「そう?ありがとう。矢口もなっちと仲良くなりたいって思ってたんだ」
でも、性格がねじれまくってる矢口がそう素直に言えるのってなんだ
かスゴイ。

サヤカと圭ちゃんとなっちと矢口で昼ごはんを食べた時から、矢口と
なっちの関係は急激に近づいていった。
今日はサヤカと圭ちゃんが部活の活動で二人ともいなくて何の部活動
もしていない矢口となっちで二人でご飯を食べてた。
88 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時47分50秒

「なんかさー、なんていうか、いつも矢口ってつまんなそうにしてる
のにサヤカとか圭ちゃんとかといるときってスゴク楽しそうに笑うっ
しょ?なんかね、なっちにもそうやって笑って欲しかったんだ」
そう言って無邪気にストローに口をつけたなっちに一言つっこみたく
なる。「あのー?なっち?なんか今の愛の告白みたい」
いま、オイラ顔真っ赤だろうな…。ってなっちの方見たら、多分、な
っちの方が顔赤いだろうなと、思うほど真っ赤になってた。牛乳を喉
に詰まらせたのか大げさにゲホゲホしてる。
「きゅ、急に何いうんだべ!」
「いや!こっちの台詞だよ!」なんだか、慌てるなっちがかわいくて
ゲラゲラと笑った。
「もう!違うって!」
なっちは必死にそう言っていて。笑いながら聞いてみる
「何が違うの?」
「なんかね、ホラ、矢口って寂しそうにしてて、それがなんか…」
89 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時48分21秒

あー、同情か、そっか、なっち優しいもんね。

途端に笑えなくなって真顔になった。
「ありがとう、もういいよ。矢口はワザとこうしてるから」
なっちも真顔になってこっちを見た。
目がとても悲しそうで、矢口は見ていられなくなって立ち上がった。
「助けて欲しくてね、こうやってるんじゃないんだ」
怒ってるわけじゃなく、悲しいのかもわからなくて。
でも、なんか泣きそうだ。
なっちの口が開きかけたから、それ以上の言葉を貰いたくなくて。
じゃあ、と言って走った。
90 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時48分54秒

例えば、サヤカなら追いかけてきて怒るだろう。もっと素直になれと
かそんな余計なことをいうんだ。

例えば、圭ちゃんなら後で何も無かったかのように接してくるんだろ
う、そんで、いきなり謝ってきたりするんだ。

なっちは、なっちとは、もう無理だ。走りながらそう思った。
多分、無理なのは矢口の小さなプライドの所為だ。そして気付くやっ
ぱりなっちのこと好きだったんだな。きっと、はじめてあの笑顔を見
たときから矢口の心は安らいでたんだ。
91 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時49分24秒

□□□□□□□□


「あ、あの」そうやって何度もなっちは声をかけてきて、矢口はワザ
とらしくいつも笑って「今忙しいから」と逃げる。
そんな日が3日くらい続いた。昼ごはんも一人で食べるようになった。
それでも、あんまり辛くなく、考えることは山ほどあって毎日自分に
押しつぶされそうだった。気を抜くと浮かぶのは彼女の顔で、その度
にあの悲しそうな目を思い出し胸が痛んだ。
92 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時50分01秒

今日もサヤカからの昼ごはんの誘いを断って、ぼんやりと誰もこない
階段の影になっている場所で、ジージージーと鳴り止まないセミの声
と、芝生や地面を眩しいくらいに明るく指す太陽を感じながら色んな
ことを考えた。
何故だろう?なんで、転校してきたばっかりのなっちに寂しそうだな
んて思われるんだろう。
中学校まで矢口はケラケラと毎日笑ってたんだ。馬鹿みたいに笑って
お調子者としてみんなを盛り上げて…
「やーぐーちー」
「うわっっ!」気付くとサヤカが顔を覗き込んでた。
「びっくりしすぎだよ」そういってニカッと笑う
「だって、急に!あーびっくりした!なに?どうしたの?」
「いやぁね、ホラ、なっち泣いてるよ」
「へ?」
「へ?じゃないっ!矢口が避けるからじゃん!」
「そんなこと言われても…っていうか泣いてたの?なっちが?」
矢口は最低だね。
93 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時50分44秒
「いや、泣いてはないけど、きっと泣いてるな。アレは。うん」
こいつも最低だ。
「適当なこというなっつうの!」
「いや、まぁ、多分、ホントに泣いてると思うよ?すごく元気ないもん」
「そっか…」
でも、矢口にはどうすることもできないんだ。
これ以上、矢口を見られたくない。触れたら矢口が壊れそうだ。
「あのさぁ、矢口ってなんでそんなに暗くなった?」
「くら、暗いって…」暗いよね…。確かに。
「まぁ、いいけどね。それでも人を傷つけるのはサイテーだよ?」
軽く痛いことをいうこいつはやっぱり矢口向けだ。でもさ
「勝手に!こっちが悪いって!なんで!」
「なっちから聞いたもん。なんで喋ってくれないのとか」
「……」

最悪だ。

自分の1番嫌いな部分を1番大切にしてる友達に。きっと、きっと、
あの笑顔で無邪気に人の心をえぐるんだ。
94 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時51分16秒

なっちの悲しそうな目と笑顔がぐるぐる回って、すごく苦しい。もう
だめだ、涙が溢れる。うずくまって泣き出す矢口にサヤカは慌てて声
をかける
「なに!?どうした?なんで泣くの?」

なんでって、なんでって、

「…なっちが…好きだから…」

枯れることなく溢れる涙はきっと、この夏の太陽に照らされて空に蒸
発していくんだよね。
95 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時51分49秒

□□□□□□□□


しばらく、なんとか仲直りをさせようとサヤカはがんばってたし。な
っちもなっちで矢口に話しかけてきたけれど、夏休みに入る頃には矢
口はもう誰とも話さなくなっていた。
圭ちゃんと、たまに話すくらいだ。
でも、もともと圭ちゃんとはサヤカで知り合ったものだし、それほど
話すことも無かった。
毎日、毎日、学校にいる間、テトリスを繰り返してた。
やるごとにどんどんうまくなって、長い時間、ブロックを重ねては消
していた。
96 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時52分28秒

□□□□□□□□


1学期最後の日、校長の声が響く体育館の中で、天井の横についた小
さな窓から見えるどこまでも続きそうな空を眺めていた。
この息苦しい空間から抜け出す方法は考えても、考えても見つかるわ
けなかった。
前を向くと後姿のなっちが見えて、矢口はそれだけでいいと思った。
傷つくことなく、彼女を見ていられるなら、それでいい。
それなら、この気持ちは永遠に続くんじゃないだろうか。

沢山の生徒と一緒に整列して体育館からでる。太陽が眩しくて思わず
眩暈がしてふらついたら、人にぶつかった。
「あ、ごめん」
ぶつかった相手は矢口を睨む。どうやらぶつかった拍子に靴を踏んで
たみたいだ。
とっさに足をあげると、靴を抜き出し無言で去って行った。
97 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時52分58秒

その冷たい目に

『矢口ってキャーキャーといつもうるさい!むかつく!』
中学の頃の嫌な思い出がグルグルと頭を過ぎる。散々に矢口をけなし
たのち睨みながら友達は去って行った。

空気のような人間になりたかった。
存在がない人間になりたかった。
普通に傷つかずに生きていけたらそれでいいと思った。

暑さの所為で、眩暈がする。
98 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時53分31秒

「矢口!?矢口!大丈夫?」
肩を揺すられて、振り返ればサヤカが心配そうに見てた。
ああ、矢口ぼーっとしてたのか。
「なんでも、ないよ」そういってサヤカの手をはらって靴を履く。
胃の中に異物感があって、それを全部吐き出せば楽になれるのかもし
れない。靴を履いてるときの圧迫感でそんなことを思った。
「なんでもないって、顔色悪いよ?」

もう、やめて欲しい。矢口にかまわないで。

言葉に出すと泣いてしまいそうだった。

顔を上げると少し遠くからなっちがこっちを見つめていた。その目は
とても悲しそうで。

苦しい。苦しいよ。きっと、これは暑さの所為で、だから、もうこれ
以上、外に出たくないんだ。
苦しくなりたくないんだ。

ねぇ、なっち?

 矢口を見ないで─。
99 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時54分04秒

□□□□□□□□


目が覚めると真っ白な天上が見えてベットの上に寝てた。保健室に運
ばれたみたいだ、気を失ったのかな…。
しばらく天上を見つめて、嫌な予感がする。
早くここから出ないと彼女達がやってくる気がして、急いで起き上が
ると、チカチカとした光が目の中で何十個も光っては消えた。
だめだ、完璧にやられてる。
バフッと音を立てて倒れると、諦めてもう少し眠っていようと目を閉
じた。カラカラカラとカーテンの開く音がした。
さっきの物音で気付かれたのか、保健の先生か、運が悪ければサヤカ
だろう。どっちにしても億劫で寝ていようと思う。
人の気配をしばらく感じつつ、声をかけてこないのならサヤカかもし
れない。いや、でもアイツならかけてくるか。
100 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時54分36秒

なっちだったらどうしよう?希望とも絶望ともとれる。

ふっと、気配が近づいてきて、ほっぺたに、何かが触れた。
そして微かに弱々しい声で「矢口、ごめんね」と、その人は呟いた。

その声は確かになっちで、この感触は多分、唇だろう。

思わず目を開け起き上がるとやっぱりなっちがいて、酷く悲しそうで
声をかけるとなっちは静かに矢口のお腹に顔をうずめてごめんと何度
も呟きながら苦しそうに泣いてた。

 矢口は最低だ。
101 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時55分10秒

お腹に感じる重みと、なっちの謝り続けるくもった声がリアルで矢口
の感覚に直接訴えてくる。ここに避け続け、それでも後姿を追い続け
ていた、なっちが居るんだと、当たり前の事を噛み締める。
そして、なっちが泣いている相手は、なっちが謝っている相手は、他
の誰でもない矢口だ。

遠くでセミの鳴き声が聴こえた気がした。


許されるなら、誰も悪くないんだよ?そう誰かに言って欲しい。
102 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時55分46秒

□□□□□□□□


帰り道、夕焼けが綺麗でなっちの顔も赤く染まってた。

どちらともなく手を繋いで歩いてた。

初めて触れたあの時よりなっちの手は温かくて。

お互いに無言で、でもそれは辛くなかった。きっと二人とも色んな
ことを考えてるんだろうな。
不思議だった、あれから泣いているなっちを抱きしめて、矢口も
思いっきり心を込めて一言、謝った。
気付いたら泣いていて、なっちが二人とも泣いてるね。と笑った。
つられて矢口も少し笑った。
そして、涙目のなっちと目をあわせてゆっくり顔を近づけていって、
今度は矢口から唇にキスしたんだ。
103 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時56分19秒

初めてのキスは涙の味?
お互いの悲しみを共有できたのかな。

静かな帰り道。なっちの手から伝わってくる温度に癒される。なっち
の顔を見ると少し微笑んでるようにも見えた。
こうして手を繋いで歩くだけで幸せになれるのなら、ずっとずっとこ
うやっていたいね。

駅が見えてきてこの時間は終わる。なっちの家は確か反対方向だった。

これから、長い夏休みに入って、なっちに会える時間はあるのだろうか。
いつも見ていた後姿を、しばらく見ることはできないのかな。
次の約束を取り付けるのは、あまりにも辛かった。今の時間、この時程
の幸せを望むのも無理な気がした。
永遠なんてあるのかな?

「それじゃ、またね」
繋いでた手を離そうとすると、ぎゅっとなっちが力を入れた。
「もうちょっと一緒にいようよ」
そう言ってなっちは軽く微笑んだ。
104 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時56分58秒

□□□□□□□□


話し合うことは大切で、スカスカに開いた心の穴をいくつもいくつも
その言葉で埋めていく。
必要なのは言葉?
それでも、ひとつのキスで全てを許せてしまうのは、人間の本能なの
かな、その感覚で満たされる。

騒がしい場所に行きたくなくて寂れた公園でベンチに座り相変わらず
手を繋いだままなっちの言葉に耳を傾ける。

「なっちね?いつも笑ってるじゃん?昔ね、なっち虐められてて。そ
れで、いつも笑っていなきゃってそう思ってて、嫌なこととかあって
もずっと笑わなきゃって思って、でも、そうやってる自分ってよくわ
かんなくて、こっちにきて流されてない矢口を見て、好きなときしか
笑わない矢口がすごくかっこよく見えたんだ」

疎外感を味わい、人が恐くなった。
なっちは笑うことをはじめて、矢口は笑うことをやめた。
105 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時57分28秒

「だから…」
なっちが話し続けようと口を開く
「もういいよ」
矢口は笑って言うんだ、キスしよう?
唇が重なる瞬間、なっちが呟いた
「でも、矢口も恐かったんだね」
唇から振動が伝わってきて、思わず微笑んだ。

矢口はやっぱり寂しかったんだね。心が満たされていく感覚に溺れそうだ。

なっちが好きだよ。

そう言うと、なっちも矢口が好きと目を細めた。

「いつまでも、こう言い合えたらいいね」
106 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)12時58分01秒

□□□□□□□□


テトリスのブロックを重ねていくつもいくつも消していって、気付け
ば永遠と消し続けていた時間も消えていて、何一つ残らない。それな
ら、もう消えなくても不器用に積み重ねて
ずっと一生この想いや感覚を忘れたくないな。


これから、矢口達は一歩ずつ歩いていけたらいいね。一緒に、信じて
いけたらいいね。


□□□□□□□□


おわり。
107 名前:ナナシ 投稿日:2002年08月18日(日)13時01分25秒
続くかもしれません。
大量更新なので、読んでいただけるのか不安ですが
ありがとうございました。
それでは失礼しました。
108 名前:naka 投稿日:2002年08月18日(日)17時14分18秒
お待ちしてました。戻ってきてくれて嬉しいです。
なちまり好きなんでね…
109 名前:読んでる人@ヤグヲタ 投稿日:2002年08月19日(月)16時30分51秒
面白かったです。
そして、今後ともなちまりを続けて欲しい・・・。

Converted by dat2html.pl 1.0