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江戸捕物帳〜闇を斬る!?〜
- 1 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)20時23分32秒
- 題名どおり時代物です。
こちらで書かせて頂くのは初めてですが、がんばります。
どうかよろしくお願い致します。
- 2 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)20時26分50秒
- 序章
恋のぉか〜らくりぃ 夢芝居〜〜♪
上方歌舞伎は、やっぱひと味もふた味も違った。特に坂田藤十郎。
こっちじゃ団十郎サマが花形役者だけど、それに負けず劣らずの黄色い声援にゃ
流石にビビったね。ま、あんなお涙頂戴モンの悲恋劇見せつけられちゃ、誰でも
そうなるか。しばらく震えが止まらなかったもん。
- 3 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)20時28分33秒
- ――そうそう、もひとつあたしの心を鷲掴みにしたものがあったっけ。
それが人形浄瑠璃。
最初はちんけな人形どもが、板のあいだを所狭しと往来するだけの三文芝居だと
思ってたんだけど……ものの見事に覆されるなんて。
あの竹本義太夫ってヤツはずっこい! あの語り口調で、一気に引き込まれちった。
で、辰松八郎兵衛のまるでコレ生きてるんじゃない、っていうくらいの巧みな
操りかたを目のあたりにして完全な虜。
結論……『近松=神』。以上!!
- 4 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)20時29分29秒
- 1.
『江戸に帰ったら、さっそく梨華ちゃんに自慢してやろっと!』
吉澤ひとみのそんな気持ちは、いつの間にかどこかへ失せていた。
その原因は、この猛烈な日差しにあった。
「あっちーいッ! も、もうだめぇ……。」
燦燦と降りそそぐ陽光が、容赦なく吉澤を照りつける。吉澤の背は
焦げ目のない網焼になりつつあった。
- 5 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)21時01分43秒
- その日の昼下がりに、ようやく碓氷峠へのぼりついた吉澤。
この峠は、信濃と上州の国境でもあり、すぐ近くには碓氷関がある。箱根関と同様、
「入鉄砲に出女」に細心の神経を払う碓氷関は、厳重たる検閲で有名である。
吉澤はこの関所を通るのを嫌い、少々遠まわりになるがこちらを選んだ。
――それが誤算だった。
- 6 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)21時04分10秒
- 「あ、あ…つ…い…。」
先程からそのひと言しか発していない。むだに余計な事を考えたら、
脳味噌が溶けてきそうである。
既に限界状態。
吉澤は青々と繁茂する夏草の中へドカンと寝そべった。大の字になって。
- 7 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年05月31日(金)22時00分05秒
- 中途半端な切り方ですが、今日はココまでとさせて下さい。
元ネタがなんなのか、わかる人には既にわかったかも知れませんね。
では、失礼させて頂きます。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月01日(土)01時57分50秒
- ここでは珍しい舞台設定なので期待
- 9 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)06時34分54秒
- 「あいたっ!」
そう叫ぶのと同時に、ガバっと跳ね起きる上半身。
うっかり肩荷をおろし忘れていた。首周りから肩にかけて思いきり痛打したようだ。
この暑さで頭が回らなかったとはいえ、この様な間抜けな行為を意外としでかす吉澤。
――が、彼女から言わせてもらえば、
(梨華ちゃんほどじゃないけど……。)
という事になるのだろう。
- 10 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)07時16分26秒
- 「あいちちちち……。」
改めて肩荷をおろすと、打撲した箇所を撫でる様にやさしくさする。
そして、今一度、夏草の上で大の字となり、腰にさげていた竹筒をまさぐった。
「うぇぇ……。ぬ、ぬっるぅ〜〜。」
この猛暑である。
当然、冷たいままであるはずがない。竹筒の水は、ほどんど白湯と化していた。
渇ききった喉は一応潤ったものの、そのお釣りとして不快感がご丁寧に残ってくれた。
汗をふんだんに吸い込んだちょっと汚らしい袖で濡れた口元をぬぐうと、
吉澤はただただ自らの不幸さに恨みを抱いた。
- 11 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)07時28分22秒
- >>8さん
どうも有難うございます。
温かく見守って下さい、がんばりますので…。
- 12 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)12時19分09秒
- (……ふう、関所抜けてきた方がよかったね、こりゃあ……。)
後悔まじりに吉澤はこう漏らした。
指を絡ませた手のひらを後頭部にあてて、それを即席の枕としている。
無論、寝心地はよろしくない。
――吉澤のその考えは誤りではなかった。
碓氷関は、中山道の最たる要関である。前後に宿場町があるのは当然の理で、
その中には茶店や酒場など人々が賑う憩いの場もあって然るべきなのだ。
だが、関所でのこれでもかという厳しい取調べを鬱陶しく感じた吉澤は、
悲運にも炎天下での峠のぼりという選択肢をとってしまったのだ。
――別段、やましい事がある訳でもないのに……。
- 13 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)12時45分15秒
- 吉澤ひとみ。
これまでのとぼけた行動とは裏腹に、泣く子も黙る天下無双の剣客として、
江戸の城下では知る人ぞ知る存在である。
五年前、江戸は神田の超名門・寺田道場の門をたたき、わずか三年足らずで
見事免許皆伝の極意を授かった。
そのとき、吉澤弱冠二十歳。若き天才剣士誕生の瞬間でもあった。
そして今では、同じ神田は佐久間町の松浦道場で、師範代として門弟千人の
代稽古を日々入れ替わり立ち替わり務めている多忙の身分である。
- 14 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)13時13分06秒
- そんな息つく暇もなかった吉澤だが、晴れてこの度、長年の勤労が報われたのか、
師範・松浦亜弥から半年という長期間の休暇をいい渡された。
あまりにも急な沙汰のため、当初はなにをすればよいのかわからず、
吉澤は鬱々とした毎日を送っていた。
だが、この春――。
大坂・道頓堀に巨大呉服店を構える旦那主人・島田紳助の、
「聞いたで聞いたで。自分、今暇なんやってなぁ?
それならいっぺん大坂きてみーひんか? 今な、大坂がメッチャ熱いねん!」
という招待を受け、江戸を発った。
- 15 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)17時02分05秒
- 吉澤が二つ返事でこの誘いを快諾したのには、幾つかの理由がある。
手持ち無沙汰で暇をもて余していたから。
上方――特に大坂に一度行ってみたいと思っていたから。
武蔵・大宮の郷士だった吉澤の亡父と島田紳助が、古くからの親友だったから。
紳助も若い頃はよく、江戸にも大宮にも商用がてらに彼の父親と共に
やんちゃで悪ガキな姿で現れたものである。
代々の家業は、西陣など高級絹織物の仲買だと聞いた。が、今ではそっちの方面は
やり手の息子に一任し、自分は道楽三昧の毎日を過ごしているとの事だ。
亡父と歳が近い事もあってか、吉澤のなかでこの紳助の存在はとりわけ大きいもので、
現在に至っても文通は絶やしてはいない。
(せっかくの機会だ。紳助おじさんとも長い間会ってないし、大坂にも行って
みたかったし……よっしゃ、行くか!)
それで、出てきたという訳だ。
- 16 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月01日(土)17時28分02秒
- 初めて訪れた大坂の町は、見るものすべてが新鮮で、吉澤は何度、
「カ、カッケーッ!!!」
と絶叫したか数えきれない。その度に横にいた紳助が苦笑いしていたのにも
気付かずに……。
また大坂人特有の大胆で豪快な気質も、吉澤にはズバリ当てはまったようである。
――そして、あっという間に経過した三ヶ月。
最後まで吉澤の興奮は冷めることを知らなかった。紳助というより大坂全体に
別れを惜しみながら、再び吉澤は江戸へと戻った。
その帰りも、ゆっくりと諸方をひろく見聞するために、比較的楽な東海道を避けて
起伏の激しい山道を数多く通る中山道を選んだ。
そして今――。
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月01日(土)23時06分06秒
- 石川さんとはどういう関係になるんですかね
恋人同士かな〜?
- 18 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)06時23分23秒
- ひとつ新たな発見をする毎に、異常とも大袈裟ともとれる過剰な反応で
狂喜乱舞していた吉澤。
生涯色褪せることのない大坂での色彩豊かな思い出をじっくりと味わいながら、
握り拳がスッポリ隠れてしまう程の爆弾おむすびを本当に味わっていた。
- 19 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)07時10分29秒
- 「塩加減はいいんだけど、いかんせん……ねぇ…。」
やはり食べづらいようだ。
吉澤の脳裏に、昨夜泊まった安宿の女将の醜悪な顔がよぎった。女将はいかにも
心付けを期待している素振りを露骨に示していたが、吉澤はしなかった。
女将の意図には気付いていたし、そうしてやりたかったのはやまやまであったが、
自身のお寒い懐事情を考慮すると断念せざるを得なかった。
それからの女将の態度は、掌を返した様に雑で投げやりなものとなっていった。
眼前の爆弾がそのいい例だろう。
確かに吉澤の言う通り、飯の塩加減は悪くない――が、問題はその中身だった。
生焼けの鮭、噛み切れない昆布、醤油でまぶされていない鰹節、種だけの梅干が、
適当にごちゃ混ぜになってぶち込まれていた。
――まさにそれは夢の競演。吉澤はある意味、感動すら覚えていた。
- 20 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)07時23分28秒
- >>17さん
書き込み有難うございます。
石川との絡みは……正直迷っています。が、期待してて下さい。
- 21 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)12時53分53秒
- (さて、コレ……どうしよっか…?)
右手の爆弾をまじまじと見つめる吉澤。重さは普通のおむすびの三倍だが、
鬱が入った吉澤の心にのしかかる圧迫感はその三十倍以上だったであろう。
もはや地球上に於けるこの爆弾の存在意義は、ない。
とはいえ、捨てる事は、できなかった。
吉澤家家訓第四条第一項……『食べ物は粗末にする勿れ』。
吉澤家家訓第四条第二項……『特に米は、お百姓さんに感謝して一粒残らず食べるべし。』
今の今まで、代々伝わる家訓を遵守してきた吉澤だが、こんなにも破りたい衝動に
駆られたのも初めてだった。
- 22 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)13時31分33秒
- 「!」
吉澤は、不運続きの自分にようやくツキが巡ってきた事を感じた。
夏草の中を突き進むと、目的の御尊顔を拝することができた。
「へへへへへ……。」
それはかなり風化が進行しているのか、全体の傷みが深刻に見受けられたが、
紛れもなく地蔵菩薩さまだった。
竹筒の水を残らず御身にかけて清めた後、どこかから摘んだ野花と共に
あの爆弾むすびを供えた。
「まんまんちゃあーん!」
パンパンとかしわ手を二回。辺りに聞こえのいい音が響き渡る。
実に満足、ご満悦な表情の吉澤。両腕を組んで、ひとり意味なく頷いている。
「ああ……いいことした後の空気はうめぇや!」
伸びの状態のままで深々と深呼吸。世界規模で貢献した様な得意顔である。
そして、吉澤は再び峠を越すために歩き出した。幾分、日差しも弱まり、
今の吉澤には無敵の進軍である。
吉澤の姿が消えていくのを見計らって、地蔵さまの生涯不変の笑顔が
多少引きつって見えたのは……やはり気のせいなのだろう。
- 23 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)13時35分44秒
- ふと思ったのですが、『まんまんちゃん』ってみなさん知っているのでしょうか?
私は当たり前の様に使ったのですが……。
あと、なかなか他のメンバーが出てこないやんけ!とお怒りでしょうが、
もう少し辛抱下さい。
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月02日(日)16時02分35秒
- >まんまんちゃん
わかりません…
- 25 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)16時41分07秒
- その距離の長さで有名な碓氷峠も、直に半分を越える所まで来た。心なしか、
旅人とすれ違う回数も増えた気がする。見ず知らずの自分に優しく会釈して
くれた仲睦まじそうな初老の夫婦が印象的だった。
この峠さえ克服すれば上州、いよいよ関東突入である。
一時は、突如出現した巨大雲に屈したお天道さまも、今では元気を取り戻し、再び
意気揚々と己の力を遺憾なく発揮している。だが、噴き出す汗が爽快に感じるのは、
やはり気持ちの持ち様ひとつなのだろう。
吉澤ひとみの行進は他の誰よりも軽快だった。
- 26 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)16時53分26秒
- まんまんちゃん
>>幼い子供が、神様や仏様にお供えする時に言う言葉。
あくまでも私のうろ覚えですが……。
少なくとも私の地方ではこう言ってました。こんな稚拙な説明で恐縮です。
- 27 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月02日(日)17時40分58秒
- (まだまだイケルぜぃ!!)
そんな頼もしい意志とは裏腹に、身体は正直だった。
(あれ? あたしの瞼ってこんなに重かったっけ……?)
疲れた事を認めたくなかった。自虐的ともとれる厳しい鍛錬も一日として
欠かした事はない。この程度の起伏の山路なら訳も無いとの自負があった。
(武士は食わねど……ふわあああ……高楊……ダメだぁ。)
江戸城下でも屈指の達人・吉澤の痩せ我慢も、睡魔には敵わなかった。辺りを
見回すと、道の奥の方に昼寝にはもってこいの涼しげな木立が。
迷わずためらわず。
吉澤はその中へ踏み込んでいき、肩肘をつきながら暫しの眠りについた。
- 28 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月02日(日)22時06分04秒
- 時代物とはまた粋な。江戸っ子よっすぃーとても可愛いですね。
今までにない感じですごくおもしろいです。
竹筒の水とか、おにぎりじゃなくおむすびとかいうところがなんかイイ!
自分のところでは“まんまんちゃん”とはご先祖様の事をいいます。
だから仏壇にお供え物をする時に、「まんまんちゃん、あん」といって
手を合わします。大きくなったいまでも(w
- 29 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月03日(月)04時20分45秒
- 「んだぁ……?」
半ば夢うつつの意識。
まだ一様に定まらない眸の焦点。口元に光る乾いたよだれの跡。
蝉たちの合唱がひしめきあう木立。命を削ってまで何かを訴えかけようとする
彼らの鳴き声は、どこか悲壮感漂うものがある。
――が、吉澤は彼らの必死の演奏に耳を傾ける事なく、『無』の境地へ足を
踏み入れようとしていた。
人並み外れた集中力を持つ吉澤だからなせる業なのであろう。研ぎ澄まされた
その聴神経が、明らかに場違いな音を吉澤に聞き分けさせた。
それは間違いなく、
(刃と刃が撃ち合う音……!?)
だった。
剣客・吉澤の血が熱く滾る。吉澤は鬱蒼と生える草を掻き分け、発信源の
木立の更なる奥深い場所まで踏み込んでいった。
- 30 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月03日(月)04時24分54秒
- >>28さん
どうも有難うございます。
温かいお言葉、励みになります。
『まんまんちゃん』ですが、きっと>>28さんのおっしゃられているのが、
正しいと思います。実は私が言いたかったのもそれなんですよ。
頭の中でうまく整理できなくて……。
- 31 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月03日(月)04時52分31秒
- 書き忘れてましたが、
>>29から「2.(2章)」です。
あと、もひとつ。
時代背景などは完全に無視です。前後にかなりの錯誤があると思います。
それと、碓氷峠の距離なんか全然知りません。ホントはムッチャ短いのかも。
ご当地の方、これを読んでお怒りでしたら、申し訳ございませんでした。
- 32 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月03日(月)23時35分18秒
- 物音は途絶えていた。
抜き足、差し足、忍び足……。
忍者もどきのお出まし。
見よう見まねの一発勝負だったが、息を殺し見事に周囲と同化している。
気配を消す事くらいは朝飯前。生業がものをいった瞬間だった。
(楽勝楽勝♪ 『くの一』でも食っていけるね、あたしゃ♪)
赤紫色の霞に染まった木立も直に途切れる。
覇気のない光が差し込み、こじんまりとした草むらが視界に入る。
その中央には二つの人影。
互いに脇差を向け合っている二つの人影だった。
- 33 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)04時26分48秒
- ――『真剣勝負』。
吉澤にとってはこれ以上ない最高の響きである。
これまで嫌というほど関わってきた。立会人も務めたし、当事者側にまわる事も
少なくなかった。
だが、期せずして、
(オオぅ。……か、カッケーッ!!)
と興奮を抑え切れなかったのは、草原の中の独特な雰囲気に心奪われてしまったから
かも知れない。軽杉袴の腰に差し込まれた太刀を握る手も、不本意ながら震えていた。
- 34 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)04時42分30秒
- 更新が遅れております。申し訳ございません。
できるだけスムーズにする事を心掛けたいのですけれど……。
読んでいる方は遠慮なく感想下さい。
「ここ変やんけ!!」というクレームでも全然OKです。
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)05時14分06秒
- 事件に首つっこんでる?
いつになったら梨華ちゃんの待つお江戸に帰れるのやら(w
- 36 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)11時35分57秒
- >>35さん
……仰せのとおりです。確かに全然ストーリー展開してないですよね。
弁解の余地もありません。
私にもう少し文才があれば、もっとサクサクっとテンポ良くなるんでしょうけど…。
なにしろ、国語「2」ですので、温かい目で見守ってくださいませ。
- 37 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)15時13分27秒
- ――が、些か見にくい。
林立するクスノキが、なにかにつけて邪魔をする。枝葉を払いのけても、
謀ったように吉澤の目線きっかりに垂れ下がってきたのには恐れ入った。
木々が風に揺らされる音も、普段なら聞き惚れてしまうオオルリのさえずりも、
五月蠅いことこの上なかった。
(………………)
業を煮やした吉澤。
更なる接近に挑戦。再び忍者に戻り、匍匐前進。
やっとの事で木陰に身を隠す。此処なら手にとるように様子がわかる。
「!!!」
興奮、苛立ち、そして驚愕。吉澤の心情の変化はせわしない。
なんと……両人とも女だったのである。
微かに捉えた身なりから察して、もしやとは思っていたが、
それでも吉澤を驚かすに事足りていた。
- 38 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)16時40分17秒
- 異様な光景だった。
旅姿の町人体の女が二人、黙したまま剣を構えているのだから。
ひとりは年の頃十五、六……小柄で、髪を中央から分けおさげを二つ垂らしている。
額が大きく開いているので、吉澤は瞬時に“でこ助”と命名した。
もうひとりは、吉澤より三、四ほど上だろう……が、童顔というべきか田舎臭いと
いうべきか、余りそう感じさせない。少々ふっくらした赤い頬が特徴だ。
- 39 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)17時03分03秒
- 二人の人相をあれこれ勝手に評していると、動きがあった。
“でこ助”の方が脇差を振りまわしながら、間合いを詰めようとしていた。だが、
赤頬は臆する様子も示さない。逆にその威圧感からか、“でこ助”に仕掛けさせる
隙を与えなかった。
流石にただならぬ、と判断したのか、
(――こりゃやべぇや…柄じゃないけど、仲裁すっか……。)
との考えがよぎった吉澤。
だが、その刹那、
「里沙、ちょ、ちょっと待つべさ。お前の姉ちゃん殺したの、なっちじゃねえ!
信じてくれねえべか!?」
と、赤頬が必死の形相で叫ぶと、今度は“でこ助”が、
「黙れ、この人殺し……けえせ、姉上をけえせよっ!
どうだ、なんとか言ってみろ、この蝦夷っ子デブめがッ!!」
と涙ながらに怒鳴り返してきた。
- 40 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)17時04分41秒
- 流石にここまできたら、元ネタに気付く方もちらほらいることでしょう。
ほとんど丸パクリですからね……。
- 41 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)17時34分16秒
- ぶちっ
なにかが切れる音がした……様な気がした。
赤頬の顔が一層紅潮していた。先程までの朗らかな表情とは一変、怒りの修羅と
化していた。
どうやら、“でこ助”の言葉が赤頬の逆鱗に触れたらしい。
「里沙……おめえは言ってはならねえことを言っちまったべ。
もう容赦しねえ、なっち等の盗人宿が密偵<いぬ>のおめえに知られちまった
からには、その命……もらわねえと。さあ、覚悟してもらうべ!」
と、刀を上段に構えてこう言い放った。
ここで吉澤は、仲裁を思いとどまった。
(なるへそ……こいつら、盗っ人かぁ。)
好奇心の塊・吉澤ひとみは最後までこの様子を見届ける事にした。
- 42 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)22時47分53秒
- 事態がいよいよ悪化してきた。吉澤にもよりこまやかな注意が要される。
深々と木蔭に身をかがめ、昂ぶる心拍数を必死におさえる。
そんな折、両者ともども大喝一声。同時に突進し、そのまま烈しく斬りあった。
両者の刀さばきは、達人・吉澤をして
(へぇ……やるもんだねえ…。)
と感嘆せしめた。
特に、躰ごと飛びこんでの一撃などは、お見事としかいいようがなかった。
- 43 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月04日(火)22時57分21秒
- ふぅ…やっとよっすぃー以外のメンバー登場です。
具体的な名前は出していませんが、もう誰だがわかりますよね。(当然か)
てなわけで、よっすぃーが江戸に帰れるのはもう少し先……かな♪
- 44 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月05日(水)01時13分03秒
- すばやい更新ご苦労さまでござる。
でこ助と赤頬って……めずらしいというか思いも寄らない二人の対決
どうなるのだろう。というかよっすぃ何じっとのぞいてんだよ(w
- 45 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)06時15分07秒
- それから両者、斬りむすぶこと数合。
均衡が破れた。
速さ、キレに於ける点で、徐々に差がつきはじめたのだ。
“でこ助”の剣は、ますます滑らか、かつ勢いを増してゆく。
対する赤頬は反撃できぬまま、防戦一方――が、次々と繰りだされる攻撃の前に、
その防御が崩されつつあった。
そして、ついに、“でこ助”の渾身の撃が、赤頬の右腕をはじく。
「あっ」
赤頬の胸元はガラ空きとなった。
不敵な笑みを漏らす“でこ助”、これで決着<けり>をつけんとの表情であった。
- 46 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)06時32分12秒
- >>44さん
毎度ありがとうございます。
イライラするでしょう? あまりのペースの遅さに……。
毎日の更新を心掛けるつもりです。マターリ見まもって下さい。
- 47 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)17時31分27秒
- ――絶体絶命の危機をむかえた赤頬。
ふたたび防御の構えをとらねば、まず間違いなくやられる。
しかし、はじかれた右腕は痺れをともない、なかなかいうことをきいてはくれぬ。
さらに、後方に大きくとり残された右足が、体勢挽回の不可能を決定づけていた。
無論、“でこ助”がそれだけの猶予を与えるはずもない。
「しゃああっ! もらったァァァ!!」
勝利への自信、そして確信。“でこ助”は、その二文字にむかってひとり喚く。
鈍くあやしい光をはやつ双眸には、なますのごとく斬り裂かれた赤頬の惨殺死体が、
早くもうつしだされていた。
- 48 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)17時33分50秒
- (訂正)もち、『はやつ ⇒ はなつ』です。
ごめんなさい、逝ってきます……。
- 49 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)18時03分58秒
- 烈しい斬りあいの末、“でこ助”の脇差はすっかりなまくらとなっていた。
だが、そんなことはお構いなしに、地面と平行に脇差を構える。
“突き”だ。
標的は……心ノ臓ひとつ。それ以外にどこを狙えというのだろう。
最後の、そして必殺の突き。
“でこ助”が動いた。赤頬の体勢は、いまだおぼつかない。
―――決まった―――
- 50 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)18時24分15秒
- 「なっ!?」
――ナントイウ不運。
それは、直後のできごとだった。
“でこ助”は、草場に埋もれていたぬかるみに足をとられ、コネっと尻もちをついていた。
やっとこさ躰の自由がきいた赤頬。こんな絶好の機会を逃すほど愚かではない。
馬乗りの格好で“でこ助”に覆い被さり、お留守となった脇腹に太刀を刺しこむ。
“でこ助”は動かなくなった。
即死だった。
絶叫もあげず、派手な動作も示さない――実にあっけない死にざまだった。
- 51 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月05日(水)18時25分41秒
- 赤頬は立ち上がった。
着物は、泥や砂利やらで、もとの色どりもわからないほど汚れていた。
そして、足元にころがる骸を一瞥するや、
「……嗚呼…な、なんてこと…しちまったべ……。」
と、我に返ったのか、ただ嗚咽をもらすだけだった。
- 52 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月05日(水)21時55分12秒
- やっぱコネっと音がしたからなのだろうか……
全然ペース遅くないでごじゃるよ。
というか毎日の更新は遅いもなにもこれは早いというんですよ(w
- 53 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月06日(木)06時22分17秒
- 肩で呼吸をととのえる赤頬。その息は荒い。
その場で立ちつくし、血へどをはき変わり果てた“でこ助”を呆然と見つめている。
しばし、そんな状態が続いた。
だが、急に草場の土を掘りおこして、そこに死体を埋めた。
警戒気味にあたりを見まわし、人の気がないのを確認すると、吉澤がきたのとは
反対側の杉木立のなかへスッと消えていった。
遠く離れた峠には、旅人の往来が少なからずあったろうが、この場の惨劇を目のあたりと
していたのは、吉澤ひとみただひとり。
先ほどから頭上に飛びかう蚊、虻がうざい。それらをひとつ残らず叩きつぶす。
そして、身をおこすと、何の躊躇もなく赤頬の跡を追い、杉木立のなかへ入っていった。
大半は好奇心からくる衝動だったが、その残りは生来の友が信条としている正義感に
影響されてのものだった。
- 54 名前:いい名前思いつきませんね… 投稿日:2002年06月06日(木)06時32分54秒
- 恒例の早朝1回限定更新です。
>『おむすび侍』さん
いつもありがとうございます。
更新のペースはいいのですけど、ストーリーのペースがねえ……。
もうちっと気張ります故、ゆっくり見ていて下さい。
- 55 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)16時45分10秒
- 3.
さてさて、おもわぬ事態に陥った赤頬だが――
名を『安倍なつみ』という。
だが、その方面では“香蘭のなつみ”といったほうがピンとくる輩が多いだろう。
蝦夷は松前藩の生まれで、このとき、たしか二十歳を五、六は越していたはずである。
- 56 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)19時24分58秒
- 両親に三つはなれた妹がひとり――ごくありふれた家族構成である。
安倍はそんな家庭で生まれ育った。
家は、小間物屋をいとなんでいた。おもに日用雑貨を専門にあつかっていた。
構えは小さくみすぼらしいものだったが、品ぞろえのよさと両親の人柄の良さもあり、
そこそこの繁昌をしていた。
――しかし、生活は貧しかった。食べものに難渋したときもあったほどである。
とてつもない借金があった。そのためだ。
父の弟、つまり安倍のおじがこさえた博奕の負けをすべて、父が肩代わりしたのだ。
普通の家庭の稼ぎでは、いったい何年かかるやら……それほどの額であった。
- 57 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)20時35分16秒
- それからというもの、父母は普段にもまして躍起になって働きはじめた。
父は、あたらな得意先をみつけるため、しばしば遠出し、何日も家を空けることが
多くなった。
そして、任された母は、ひとり店をきり盛りし、千客万来、来る客わけへだてなく
愛想を振りまきつづけた。たとえ、それが単なるひやかし目的の輩でも、だ。
- 58 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)20時47分25秒
- (……父上、母上…ろくに休んでない、べさ……。)
汗水ながす両親の懸命な姿に心うたれたのか、安倍も妹とともに手伝うようになった。
巷では“美人姉妹がいる”店として、またたく間に評判となった。
そのうち、地元以外からの客も訪れ、徐々に経営に軌道がのりつつあった。
ようやく長年の苦労が報われた。
ほっと胸を撫でおろす安倍、そしてみんな。
が、それは束の間の夢。
両親が倒れた――
- 59 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)21時12分34秒
- これまでの無理のツケが一気に押しよせたのだろう。
もともと病弱な二人、容体は一向として快方の様子をみせない。
追いうちをかけるように、蝦夷ならではの極寒がわざわいした。
雪解けを待たずに、まず父が逝った。
そして、遅咲きの桜のつぼみが開花する前に母も……。
あっという間に残された安倍と妹。
しばらくは途方に暮れて、とるものも手につかなかった。
- 60 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)21時34分03秒
- 莫大な借金だが――母方の親戚がなんとかカタをつけてくれ、一応収拾の相を呈した。
安倍は店をたたむことを決心した。妹も同意した。
「江戸へ行こう」
――二人の導きだした答え。
未練は……あった。
だが、今の自分を変えてくれるなにかが、江戸にはある――そんな気がした。
両親の供養をすませたのち、安倍と妹は発った。
- 61 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)21時36分02秒
- うわぁ……くっらあい話ですなぁ。
もうしばらく安倍の生い立ちです。
鬱でしょうが、ご勘弁ください。
- 62 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)21時42分50秒
- >>58
(訂正)『経営に軌道が ⇒ 経営が軌道に』です。
ああ、死にたい……!
- 63 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)22時09分16秒
- ―米沢―
土地<ところ>の人は明るく陽気。
空気はきれい、水はくさみがなく、食べものはうまい。
すっかりこの地の雰囲気に溶けこんでしまった安倍姉妹。
一刻も早く江戸に行かねば、と思うのだが、ついつい一ヶ月も逗留してしまった。
が、最近妹の様子がおかしい。どこかそわそわしており、妙な色気がただよう。
安倍は薄々ながらそう感じていた。
- 64 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)22時49分45秒
- 妹の駆け落ち――その事実を知ったのは、それから三日後。
それとなく察していただけに、さほど驚きはしなかった。
代わりにこみ上げた感情は、怒り。
だが、そうなるには、色々なことがありすぎた。
妹も寂しかったのだろう、不安だったのだろう。
そんなときに疾風のごとく現れた殿方の存在は何よりも大きい。
本当は、妹の幸せを祈って、祝福してあげるのが道理なのかもしれない。
それが姉としてのつとめなのだろう。
しかし、裏切られたという気もちは、最後まで消えてはくれなかった。
相手の男性は、越後・塩沢のある町年寄の長男坊ときいた。
経済的には心配は無用だ。
姿形も知らぬ彼に妹の永遠<とわ>の幸福をたくしながら、安倍は江戸へと急いだ。
うつむいたその顔からは、ひと筋の涙が流れていた。
- 65 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月06日(木)23時00分55秒
- だめだぁーーーッ!!
書いてる本人がだんだんブルーになっていく……。
- 66 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)01時26分21秒
- 渡る世間に鬼はなし……
嘘だべッ!!
どん底まで堕ち尽くした安倍を、江戸の町は歓迎してはくれなかった。
あたらしい自分さがしはおろか、衣食住もままならない惨々たる現実が安倍を待ちうけていた。
- 67 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)01時52分11秒
- 右も左もわからないまま、さまざまな職を転々と経験してきた。
いま思えば、お縄にかかっても仕方がない仕事もあった。
現在の自分もそう変わらない立場なのだが――
流れ流れて、ようやくいき着いたのが、浅草・今戸橋ちかくの船宿『嶋や』の女中。
旦那は真面目で実直、お内儀<おかみ>もできた人だった。
ここなら一生、身を預けてもいいかも――そう思ってた。
- 68 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)02時17分13秒
- それは、風の冷たさがいよいよ躰にしみいる初冬の夜。
あったかい汁の湯気にぶらり吸いこまれるように、あの御方はやってきた。
入りざまに自分と視線が合った。案の定、座敷に呼ばれた。
それから、あの御方はえらく自分を気にいってくれた。
「……なんで、なっち、じゃなくて、あたし…なんですか?
こんな田舎臭さがぬけないあたしのどこに……?」
「ばーろぉー、それがいいんじゃねえか。」
珍しく多くは語ろうとしないあの御方。
銚子に映った自分の顔を見ては、ひとり笑みを浮かべ、熱燗でちびちびやっている。
- 69 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)02時46分39秒
- 「なあ、なつみ……いや、なっちの方がいいか。」
「なつみって呼んでください。」
「……なつみ、今度、俺の仕事手伝ってみねぇか? …ただ、ちょいときついぜ。」
断る理由は、どこにもなかった。
その日のうちに、『嶋や』の旦那夫婦に暇乞いして、ついていく決意を固めた。
その際、あの御方は、慰謝料とでもいおうか――自分に対する譲渡金として五十両もの
大金を支払ったという。
(な、何者だべさっ……!?)
五十両なんて大金は、下界の人間には滅多にお目にかかれない。
それをポンと気前よく出した人物の正体を知りたいという興味よりも、恐怖が先行した。
自分の判断は、いささか軽率すぎたかもしれない――そう悔いたが、すでにあとの祭りだった。
- 70 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)02時48分17秒
- いい忘れてましたが、>>68から暫く安倍視点です。
まあ今日はこの辺で……。
明日は休みですから、できるだけ多く更新したいと思っております。
- 71 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月07日(金)02時51分49秒
- なっち…どうしてでこ助を殺っちまったんだ。
というかどうつながるのだろう。
ストーリもいいですよ。基礎は大事ですから
- 72 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)14時06分19秒
- 月のない夜だった。
こんなにも、月<あなた>に逢いたいと思ったのは、いつ頃でしょうか?
あの御方がもつ堤燈のおぼろけな灯だけが、せまい空間を弱々しく照らしだす。
自分は、その数歩後方を黙ってついてゆくのみ。
黒で染められた隅田川を湾沿いにあるく。
月がないので、川面に映える月光は当然、あらわれない。
この辺りは、追い剥ぎどもが頻繁に出没する危険地区らしい。月の光がない今夜、
彼らが活動するには絶好のときではないか――が、どうやら運がよかった。
しばらくそんな調子であるいていたが、
「ここ曲がるから」
と、急にひと言、慌てて左に曲がる。隅田川とはお別れだ。
かなりの時間が経ち、かなり遠くまできたのではないだろうか?
尋ねてみると、もうすぐ深川とのことだった。
- 73 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)14時13分07秒
- (訂正)『湾沿いに ⇒ 湾にむかって』です
はじめて自分で自分を殺したいです!(有森風)
- 74 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)14時31分11秒
- あの御方の足がピタリと止まった。
自分も倣うように歩みをやめる。
前方には一軒の小料理屋。
こんな夜更けにも関わらず、店内は明るく、中から酔っ払いの戯言めいた絶叫も聞こえた。
だが、あの御方はなかなか入ろうとしない。
よくよく思いだせば、『嶋や』を出て以来、一度も顔を見ていなかった。
ただ、ひたすら前方を歩くだけ。
そのままの状態で、独り言のように聞いてきた。
「……なんで、逃げなかったの? 俺のこと、気もち悪かったんしょ? 怖かったんしょ?
ばっかだなぁ…逃げようとおもえばできたのに、別に、俺、追いかけたりしなかったよ。」
- 75 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)14時48分01秒
- 血の気がサーっとひいていく感覚が自分に襲いかかる。
すべて見透かされていた。
とりあえず何かいわないと、と思って発したそれは、まったく言葉にならなかった。
ここではじめて、あの御方が振りかえった。
相変わらず、薄暗く頼りない灯だ。顔全体はおろか、眸さえも闇に包まれている。
辛うじて照らしだされたのは、何日も剃っていないと思われる無精ひげのみ。
「なに、もしかしてあの五十両のこと気にしてんの?
……ああ、そうか、ここで逃げたら、あの『嶋や』の旦那さんに申し訳ないってか?
はぁ…やだねやだね、あんなはした金、ドブに捨てたようなもんよ。」
ひひひと少し下品に笑った。
こっちが本性なのかと――やはり不安はぬぐいきれなかった。
- 76 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月07日(金)15時18分07秒
- 必死に笑顔をとり繕った。
苦しまぎれの無理な笑顔。
(……あたしは…なっちは、もう、失うものなんて……ないはずだべ…。)
もう誰からも見捨ててほしくない。
地面にしゃがみこんで、堰をきったように泣いた。
あの御方は、そっとあたしの肩に手をおき、やさしく抱きおこしてこう言った。
「……ここ、俺の店だから…風邪ひくべさ。」
下手くそな訛りだった。
意地悪くにやつくその顔は、まだ子供っぽさが残されていた。
- 77 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月08日(土)01時33分19秒
- あの御方とは悪い人なのだろうか。それとも実はいい人なのだろうか。
なっちかわいそうじゃ……
- 78 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)10時46分56秒
- >>『おむすび侍』さん
う〜ん……どうなんでしょうか?あまりそういう設定考えてなかったです。
まあ、とりあえず、安倍視点はここまでです。
- 79 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)10時58分59秒
- いうまでもなく、あの男は盗賊――しかも、関東一帯に大勢力を誇る大盗であった。
片腕的存在から使いっぱまで……抱える部下は、星の数ほど。
あの小料理屋も、江戸に散在する盗人宿のひとつなのであった。
その事実を知ったときの安倍の驚きは、並々ならぬものだったが、
(もう後戻りしないべさ……!)
と覚悟を決めた安倍、彼のもとでみっちりと“修行”を積んでいった。
天性の素質というべきか、安倍はみるみる上達し、瞬く間に重役にまで出世した。
これには、あの男も一味のものも、思わず唸ってしまった。
- 80 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)12時56分37秒
- 福田明日香に出会ったのは、その一年後のことである。
彼女もまた、なにやら訳ありな様子で、この稼業に足を踏みいれたそうだ。
勝ち気な性格で、一心不乱に“修行”に励んだ彼女は、安部以上の速度で
腕をあげていった。
いつしか、安倍と福田、二人は互いに好敵手と認めあう仲に発展し、更に
その技術に磨きがかかり、この組でも頭を除けば、もはや右に出るものは
皆無となった。
- 81 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)13時06分15秒
- 或る日、安倍はお頭に呼ばれ、一味でもごくわずかの者しか知らぬ、とある場所へ
赴いた。
そこにはすでに、福田の姿もあった。
促されるままに用意された席に座り、福田と顔を見合わせても、まったく身に覚え
がない。無論、これまでの“おつとめ”でしくじったことなどは、一度もなかった。
何故、呼びだされたのか不思議でたまらなかった二人。すると、お頭が口を開いた。
「……んん、もう教えるこたぁねえなぁ……。おめぇら、天才だぁ!
どだ、思いきって独立してみねぇか? おめぇら手ばなすのは、ちと惜しいけどな。」
- 82 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)13時22分09秒
- 若い二人は、やりたい盛り。好奇心も旺盛だ。
自分の力を世に知らしめる好機――ためらうことなく、独立の道を選んだ。
安倍と福田、二人の頭領のもとに、七名ほどの配下を従えての小さな出発であった。
このように、頭が二人いることを盗賊仲間では、『ならび頭』とよぶ。
ところで……。
碓氷峠で安倍が殺害したあの“でこ助”、安倍は「里沙」といっていたが、あの少女、
実は『ならび頭』の福田の妹なのであった。
- 83 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)14時08分40秒
- そして、現在の安倍だが、すでに『ならび頭』ではない。
というのも、二年前の夏、福田明日香が死んでしまったからである。
当時のことが、安倍の脳裡に鮮明に蘇る――
安倍と福田は数名の配下を率い、宇都宮城下の薬問屋『服部重兵衛』宅へ押しこみ、
まんまと五百二十余両を盗んで逃走した。
人は誰ひとりとして殺傷していない。こればかりは、譲れない遵守事項である。
一味は、水戸城下の『たかだ屋』というぼろの旅籠に集結し、それぞれ均等に金を
分配し、一年後に再会すること約して各々散っていった。
――ところが、それ以来、福田明日香は行方不明になってしまったのである。
- 84 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月08日(土)22時52分29秒
- 翌年、約束どおり一味が『たかだ屋』に集まったとき、福田はついに姿をあらわさなかった。
一通の手紙はおろか、消息すらつかめない福田に、安倍の焦りはつのる一方である。
当時の部下たちも、口をそろえて、
「……うーん…安倍の頭、言いにくいかもしれやせんが、福田のお頭……きっと
足を洗いなすったですぜ。それ以外、考えられやせんよ。」
と、いうばかりである。
が、安倍はそうとは思えなかった。
あれほど意気投合し、共に何度もお盗<オツトメ>してきた福田のことは自分が一番
承知しているとの自負があった。
(明日香……どうしてだべさ…? 水臭いべ。 せめて、ひと言くらい、
なっちに…ううん、明日香はなっちに黙って姿を消すようなヤツじゃねえさ。
それはなっちが最もわかってるじゃねえべか……。)
と、何度ももそういい聞かせてきたのだ。
- 85 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月09日(日)09時05分42秒
- 現在の安倍、その腕の確かさ、面倒見のよさもあって、およそ三十名の配下を抱える
大所帯の大親分である――が、当時のものは誰ひとりとして存在していない。みな、
捕えられたり、他の頭のもとに奔ったり、はたまた死んだりしていた。
安倍は、盗をするときは慎重きわまりない。徹底的に下調べをしてから実行する。
そして、次の仕事は来年の春――“春眠暁を覚えず”の詩のとおり、人々が惰眠を
むさぼるそんな時期を目標に、江戸・本所の『高橋我成』宅へ押しこむ計画を立てていた。
この『高橋我成』という人物、幕府の風俗取締令を無視し、ひときわ破廉恥な春画の販売で
巨万の暴利をあさっているとの悪評が高い。安倍の押しこみ先は、そういった世間からの
評判がかんばしくないところに絞られている。
- 86 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月11日(火)00時33分56秒
- おお!だんだん謎が解けてきたぞでもまだ分からないこともいっぱい。
福田はどうなったんだろう。でこ助・・・
- 87 名前:改名しようっかなぁ… 投稿日:2002年06月11日(火)01時23分25秒
- 『おむすび侍』様。そして、他にご覧になられているであろう皆様。
お伝えしなければならない事があります。
この話、実はある小説のパクリなんですよね・・・っていうか丸パクリ。
――で、この話を続けるべきか悩んでいたんです。
続けるのか、それともオリジナルの話でやっていくのか・・・正直、迷っています。
みなさんのご意見お聞かせ下さい。お願いします。
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)11時26分50秒
- 丸パクは昔からここでは問題になってたことでね。
読者はあまり抵抗ないようなんだけど、
一回ジャニ系同人を丸々パクっていた、という事があって、
ジャニファンが大暴れして飼育全体の騒動になったことがある。
それからは暗黙のうちに丸パク禁止になっているはずだよ。
娘。小説では丸パクの名作も多いんだけどね。
- 89 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月11日(火)23時21分12秒
- 作者さんはどういう気持ちで書き始めたのですか。
まだ半月しか経っていないのにもう嫌になったのですか?
それとも生半可な思いで書き始めたのですか?
っていうかね、他の読者さんたちはどうか分からないけど自分は丸パクでも
全然構わないよ。その元になった小説が何かわからないし(w。
でもできたらオリジナルの方がいいと思うよ。そっちの方が作者さんも
書いてて楽しいと思うし。丸写しって書いててバカらしくなってこない?
何のために書いてるんだろうって。キー打つ練習か?って(w。
- 90 名前:作者です 投稿日:2002年06月11日(火)23時25分37秒
- >>88さん
どうもご親切にありがとうございます。
>>『おむすび侍』さん
あなたのお言葉、胸にガツンと響きました。そうですよね、返す言葉もありません。
という訳で、オリジナルで勝負したいと思います。
そのため、更新時期は不定期になりますが、ご承知下さい。
テーマは前とそんなに変わりません。時代物です。
- 91 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月11日(火)23時32分48秒
- 作者さん頑張れ!
マイペースでもぐちゃぐちゃになってもがんばれ!
自分もそうだったから。というか今でもそうだから(w。
マターリまってます。
- 92 名前:作者です 投稿日:2002年06月11日(火)23時57分41秒
- ご迷惑をおかけしましたお詫びとして、早速更新します。
どうもスイマセンでした。
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)23時59分06秒
- 【 序 】
とめどなく降りそそぐ雨は、一向にやむ気配をみせぬ。
誰しも、いっときのにわか雨にすぎない、と多寡をくくっていた。
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)00時00分10秒
- 数年ぶりの記録的な大豪雨が、江戸の町を陰鬱な灰色に染めあげていた。
季節は、春。梅雨にはまだいささか間がある――“天の勇みあし”とでもいうべきであろうか。
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)00時01分54秒
- いま、浅草・車坂町一丁目のとある通りのむこうから、中年の女がひとり、あるいてくる。
無論、ここにも雨ははげしく降りしきっている。外は、人の姿はおろか、野良犬一匹
徘徊しておらぬ。おそらく、どこぞの材木置場の片隅で、濡れた躰を震わせながら、
風雨をしのいでいるのだろう。
が、傘もささず、女はびっしょりと濡れて顔にへばりつくように垂れ下がった髪の間から、
うつろな眸をのぞかせるだけである。荒々しい呼吸を、肩でととのえるのがやっとの感がし、
その口元からときとしてこぼれる不気味な笑みが、その異常さを物語っていた。
- 96 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)00時03分04秒
- 上着は、淡い紫を地にした継ぎはぎだらけの着流し一枚のみ。ために、
肩から胸元にかけて大きく肌が露出していた。見た目以上に歳なのだろうか、
肌の潤いはなく、弾水力も乏しそうだ。
履き物は、ぼろぼろに擦りへった薄っぺらの草鞋。
ぷつりと鼻緒が切れた。
だが、裸足となっても、構うことなくただ歩みを進める。酔っ払っているのか、
またそうした意志があってのことか、右に左に、その足どりはおぼつかない。
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)00時03分58秒
- 女の左足が、ものの見事にぬかるみへとはまった。
必死に腿をあげ、その窮地から脱出しようとするも、小癪にもいちいちまとわりつき、
容易にそれを許してはくれぬ。
そうしている間にも、大粒の雨は、容赦なく女におそいかかる。
寒さ、いや冷たさが躰を支配した――そんな感覚がした。
こんと一回咳をすると、鮮やかな朱色が手のひら一面にひろがっていた。それは、
紛れもなくおのれの血・・・。
それをしばし眺めているうちに、いよいよ躰に異変がおこった。
急激に心ノ臓が収縮し、胃の内容物が、自らの血と混じり勢いよく吐きだされた。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)00時05分06秒
- 女は覚悟をきめた。
(ああ・・あたい、ここで死ぬんか・・・)
(やっぱ、あたいは畳の上では死なれへん運命やったんやなぁ・・・)
期せずして、けらけら甲高くせせり笑うや、ぬかるみの中にそのまま倒れ伏した。
ぱっと泥が跳ねあがり、女の躰に舞いおちた。
しかし、女はとうに動かなくなっていた。
女の流した最期の涙は、雨と共に、地面へと滲みこまれていった。
突如、雷鳴が轟いた。その大きさから、落ちた場所は近いと推測される。古ぼけた
長屋の一軒の民家から、赤ん坊の号泣が、轟音を掻きわけ、こだました。
結局、この様子をわずかでも見届けたものは、皆無であった。
不幸といおうか、皮肉といおうか、雨は、翌日にはあがっていた。
- 99 名前:作者です 投稿日:2002年06月12日(水)00時06分35秒
- 以上、【 序 】でした。
次から本編です。
更新時期は・・・できるだけ早めにつとめます。
- 100 名前:作者です 投稿日:2002年06月12日(水)00時44分07秒
- 見直してみたけど、結構穴が多いです。はい。
(訂正)
>>95の「が、――」のところをひとマス空ける。
>>97の「急激に――」の 〃 。
>>98の「女の――」の 〃 。
「突如――」のところをひとマス空け、一行空ける。
「結局――」の前に「――」を付けて、一行空ける。
う〜〜ん、見直してもうまくいかないものですね・・・。
最後に、キャラの年齢設定はかな〜〜り高めです。50代のメンバーのいるかも。
- 101 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月13日(木)15時31分29秒
- 【 1 】
矢口真里は、道に迷っていた。
「なんてこったい・・また、やっちまったよぉ・・・」
その表情は、いつもの笑顔満点の彼女とはうって変わった困惑色を浮かべていた。
- 102 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月13日(木)16時12分00秒
- 矢口真里、女、三十六歳独身。『火付盗賊改メ方』の同心をつとめて、今年で十余年となる。
怒涛のごとき嵐が過ぎ去った今朝、まばゆい陽光を一際小柄な躰でうけながら、
矢口は清水門外の役宅へと出仕した。
途中、雀のさえずりも爽快で、無邪気でわんぱくな子供たちが、すでに全身泥だらけに
なりながらも、ひたすら遊びに興じていたのが、矢口の歩みを軽快にさせた。
門をくぐるかくぐらないかというところで、矢口は一旦立ちどまった。
役宅が閑散としている。例のごとき慌しさもなく、静まりかえっていた。
「・・ふう。昨日の今日なのに御苦労なこった・・・」
と、矢口はため息混じりつぶやく。別段、気にしている素振りもみせない。これは、
どこかで事件が発生し、それがために、おもな面々が出払っていることを意味していた。
火付改メでは日常茶飯事の光景である。
- 103 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月13日(木)16時18分03秒
- 外から適当にあたりを見まわすと、わずか数名の下人が留守をあずかるのみ。どうやら今日は、
長官〔オカシラ〕も巡回に出むいているらしい。
「へへへ・・・ひょっとして、ついてる?」
と、思いがけずおとずれた幸運に浸る矢口。自室に入るや、穏やかな光がさしこむ
窓際に頭をむけてごろりと寝転ぶ。
しかし、矢口はすっかり忘れていた。自分が二日連続で遅刻していたことを・・・。
そして、矢口は気づいていなかった。一歩一歩自分の部屋に忍び寄る足音に・・・。
- 104 名前:作者です… 投稿日:2002年06月13日(木)16時31分21秒
- えと。とりあえず心機一転新バージョンを始めました。
いかがでしょうか? 手もちの資料もないので困っております。
序章の見栄えが最悪だったので、本編では綺麗に仕上げたいとおもいます。
明日は金曜日ですか・・・私は休みです(最近金曜日休みなんすよ)
というわけで、99さんのオールナイトが終わるあたりにもう一度更新できたらな
と思っております。では・・・
- 105 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月14日(金)02時01分13秒
- >序章の見栄えが最悪だったので(略
全然そんな事ないです。凄くうまい。
私は余り、というか、全く時代物っていうのを読んだ事がないんです。
ラジオで朗読しているのを何回か聞いたくらい。それもたまたま(w
時代物って文章に独特の雰囲気がありますよね。作者さんの小説を読んで
改めて思いました。これを機に私も時代物読んでみようかな。
やっぱり池波正太郎とかからはじめるべきですかね?
- 106 名前:作者です… 投稿日:2002年06月14日(金)10時38分11秒
- 『おむすび侍』さん。
どうも、先日は色々と…。
凄くうまいなんていって頂いて光栄です(今度はパクリちゃいますよ!)
そうですね…時代物は私も大好きです。
ネタばらししますと、おむすび侍さんの直感のとおり、故・池波正太郎大先生の
『鬼平犯科帳』をベースにしています。
ですが、当時の江戸の町とか、資料がなくてやきもきしております。
あと、最後に…昨日爆睡してしまいました。99さんのANNはおろか、矢口のも
聞けなくて鬱です…。
次の更新は……期待しないで気長に待っていて下さい。(長文すいません!!)
- 107 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)12時15分48秒
- すこしずつすこしずつ・・・。
眠りの世界に誘われかけたそのとき、矢口の夢は、突如、光の楽園から闇の迷宮へと暗転した。
さすがに咄嗟すぎた出来事に仰天したようにもおもわれたが、依然、矢口は目を閉じたまま
悪夢と格闘している。顔を背けたり、違う方向に頭を傾けても、影は執拗に追いかけてくる。
そこで矢口はとび起きた。うわわと喚き声を発しながら。
袴は、全身から噴きだした汗でべったり。充分な湿り気を帯びていた。
- 108 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)12時28分18秒
「おはようございます、矢口真里さん。どうです、よくお眠りになられましたか?」
自分の右横から声がする。いきなり話しかけられたため、矢口の驚きは、一層加速度を増していった。
いまだ意識朦朧の状態ではあったものの、矢口は懸命に考えを巡らせていた。
(こ、こいつか!? こいつのどす黒い影が矢口の顔にかかったから、素敵な殿方との
あまーい恋のはじまりが、急にあたりが暗くなったと思ったら、どこぞの悪代官に
騙されて遊廓に売りとばされる破目に・・・って、ああっ、くそったれ!!)
すでに矢口の堪忍袋の緒は、細かく微塵切りになっていた。そして、溜まりに溜まった
鬱憤を、ここぞとばかりに夢の破壊者へとぶつける。
「おいコラ!! どこのどいつだよ!? 矢口のささやかな恋を踏み躙ったの・・・
ははははは・・・お、おはようございます・・・ははは」
矢口の怒気は、いずこへと失せていた。
- 109 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)15時24分54秒
- 声の主は、上半身だけ起こした矢口と目線をあわせるかのごとく、適度に腰をかがめ、
白く愛らしい手を膝にのせている――が、対照的に、その表情は強張っており、それが
矢口を震撼せしめた。
「・・ふうん。随分な態度ね、上司のあたしに向かって・・・。
普段からあたしのこと、そんな風に思ってたの?
ねえ、なんとか言ったらどうなの? 万年盲目的恋愛中毒の矢口真里さん。」
「あ・・いや・・・それは、その・・なんというか・・・はははははっ」
- 110 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)15時38分09秒
- いまの矢口にできること。それは、ひたすらわらって誤魔化すのみ。
だが、この上司、無反省・無神経きわまりない矢口のそんな態度に腹を据えかねたのか、
ついに激昂してしまった――しかし、先ほどから耳にするに、この人物の口調は、やたら
形式ばった堅苦しい話し方である。どことなく無理して丁寧に喋っている感じがし、
気の毒に、部下の矢口は、毎度毎度そのぎこちなさに耐えていたのである。
「矢口ぃ!! あんた、昨日も二日酔いで遅れたよね!!
・・・まあ、昨日のことはもういいとして・・今日は!? 今日はなにゆえに遅れたのっ!?」
「はい、昨晩の雷が怖くて、ぜんぜん寝られませんでしたっ! だから遅れました!
以上です、これで許してくれますか?」
「ば・か・や・ぐ・ちぃーーーッ!!!」
――これが、矢口真里という女性〔ニンゲン〕である。
- 111 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)18時28分57秒
- なおも、ねちっこい嫌味が含まれた上司の説教は続いた。
勤務態度にやる気が感じられないとか、酒癖が人一倍悪いとか、金遣いが荒すぎるとか・・・。
そのたびに、上司の口から勢いよくとび出る唾が、遠慮会釈なく矢口の顔にふりかかる。それを
拭いとることもできずに、中途半端に睡眠をさまたげられた矢口は、次々と誕生する欠伸をひとつ
残らずかみ殺しながら、正座したまま悶々と、ただ時がすぎるのを待っていた。
- 112 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月14日(金)19時12分07秒
- 折りしも、春の珍客ともいうべき存在が、二人の空間にさまよいこんできた。
役宅にある矢口の部屋は、入口の障子を開けるや、見るも雄大な桜の大木が、
強烈な印象を残してその視界にとびこんでくる。惜しむらくは、昨日の大雨が、
ことごとく可憐な花を散らしてしまったことだが、その残り香はほのかに部屋
の中に漂っていたらしい。
ひらひら舞う、純白の淡雪を連想させるモンシロチョウ―――
ふたり無言のまま、しばしそれを眺めているうちに、上司が感嘆の息をもらした。
「ああ、心が洗われるべさ・・・」
矢口は耳を疑った。いままで聞いたこともない、どこかの地方の方言・・・。
元来、好奇心旺盛な矢口は、意を決して尋ねた。
「・・安倍さん。安倍さんって、江戸じゃないんですか?」
「えっ!?」
隠していた訛りが、期せずして口を割ってしまった。ハッと気づき、
口元を両手でおさえるも、すでに手遅れだった。
- 113 名前:作者です… 投稿日:2002年06月16日(日)11時01分15秒
- 今日は更新ムリです……明日の夜遅くにでも。
ごめんなさい。
- 114 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月17日(月)17時47分27秒
「洗われる“べさ”・・・・だぁーって! 安倍さん、かっわいいーーーッ!!」
わざと“べさ”の部分を強調して、手をたたき狂喜乱舞する矢口。だが、そんな矢口の
馬鹿笑いも、安倍の耳には届いていなかった。
―――安倍の心、ここにあらず・・・・・
よほどツボだったのか、なおも矢口は腹を抱え、畳のうえで笑い転げている。ふと
安倍のほうに目をやると、無気力な廃人のごとき蒼白さが安倍から漂っていた。
「あ・・・」
やべ、ちょっとハジャキすぎちったかなぁ・・・・?
安倍さん・・・息、してます? ああ、眸が死んだ魚のようになってるよ・・・・。
- 115 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月17日(月)18時01分40秒
五尺(約150cm)にも満たない矢口の躰は、みるみる縮んでいき、いまやその姿を
探すのも困難な状況となった――というのは、勿論冗談だが、現在の矢口の心境は
まさにそんなところだろう。
ここはなんとか、安倍さんを立てないとッ!! 人一倍機転がきく矢口の頭脳が、
瞬時にそうするようにはじき出した。
矢口は、鬼上司の安倍にもこんな一面があるのか、と意外に思いつつ、安倍の顔を
下からのぞきこんだ。その表情は、虚ろに“超”を十つけ足しても、決して大袈裟
ではない――それほどのものだった。
「あ、あの・・・・安倍、さん?」
「べさべさべさ・・・・ついに言っちまったべさ・・・・・」
安倍はまるで狂った読経僧のごとく、意味不明な言葉を一心に何度も繰り返しつぶやいていた。
(そんなぁ・・・もともと言いだしっぺはそっちじゃんかよぉ・・・・)
矢口も、泣きたくなった。
- 116 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月17日(月)22時47分44秒
ピシャっと、部屋の障子戸が耳心地のよい音をたてて開いたのは、その直後。
そこには、息を切らした密偵の加護亜依が、障子の木枠にもたれかかりながら、
かろうじて直立の格好を保っていた。
(やったね父上、二日前にひいた油の効果てきめんだよ!)
と、余裕をかましている暇もない突如のできごとだったので、矢口の表情は鬱状態のままで、
安倍に至っては、起こった事態にすら気づいていない有様だった。
「矢口さん、矢口さん、矢口さんたら矢口はんっ!」
と、何度も連呼する加護は、まだ幾分つらそうである。どうやら、相当急いで
ここまで来たらしい。
- 117 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月17日(月)22時59分59秒
「んだよ加護・・・来るなら来るで、もう少しわかるように来てくれよぉ・・・・。
こっちに近づいてきてるの、全然気づかなかったじゃん」
「ひどいやないですか・・・・久しぶりに会って最初の言葉がそれですかいな?
それに・・・そうしたら、ウチの商売あがったりですやん!?」
「キャハハハハ、そりゃそうだ」
「ん? あれ、そこにいはるの安倍さん、ですよね・・・? 死んではるんですか・・・・?」
「い、いや・・・ちょっと、ね・・・ところで、矢口になんか用なんでしょ?」
「そや、そうですわ!」
加護は、矢口の側で依然うなだれた安倍を完全に無視し、矢口の袖をつよく引っぱり
外へと連れだした。
そのとき、さっきのモンシロチョウも一緒に出て、大空へと舞っていった。
しばしその様子を見届けた矢口が、ふたたび加護を見ると、その顔つきは、
自分同様、普段は底抜けに明るい彼女らしからぬ真剣なものであった。
- 118 名前:作者です… 投稿日:2002年06月17日(月)23時20分29秒
- とりあえず今日はここまでです。
次回は、まあじきに・・・・・。
- 119 名前:おむすび侍 投稿日:2002年06月18日(火)02時12分30秒
- 加護のキャラクターはいつの時代でも不変ですね。
>死んではるんですか・・・・?って(w
それにしても作者さんの比喩表現は時代物ならでは(ならでわ?)ってカンジで
凄くいいですね。おもしろい。とても勉強になります。
- 120 名前:作者です… 投稿日:2002年06月18日(火)22時04分26秒
- おむすび侍さま
いつもありがとうございます。
えと…よくも悪くもこれが加護ちゃんのキャラだと勝手に解釈しております(w
次の更新は…ごめんなさい。まだ、構想も下書きもNothing状態です……
まあ、週末には間に合えばな・・・と思っております。
では失礼をば・・・・・
- 121 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月19日(水)17時38分20秒
「か、加護ぉ?」
自分とさして背丈の変わらぬ加護だが、いつの間にかその中身は大きく成長していた。
そんな加護の意外な――といえば加護は怒るだろうが――側面を矢口は垣間見た。
「こっちに行きましょか」
と加護は、矢口を中庭へ誘う。偶然にも人の姿はみえなかった。
この役宅は想像を絶する敷地面積をほこる。生活に不自由せぬだけの広々とした
間取りの長屋住宅も中には設けられており、そこを我が家として暮らす
貧乏同心も決して少なくない。
―――で、加護はいくぶん笑みを含ませつつ、矢口に質問した。
「矢口さん、今日も巡回ですか?」
「そだよ。そろそろ行こっかなって」
「そろそろ、って、もう四つ(午前9時30分)やないですか……。
どうせ、また寝坊でもしたんとちゃいますの?」
「うるさいよ! …で、なんなのさ!?」
図星だっただけに、矢口はあまりつよくは言い返せなかった――が、いつまでたっても
本題をきりださない加護に対して、徐々にじれったさを感じていった。
- 122 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月19日(水)17時45分02秒
「今日は巡回せんといてください」
「♪」
おもわぬ展開に矢口は言葉をうしなった。それは無論、いい意味で。
(幸運、幸運♪ じゃあ、今日は麹町のほうにでも繰り出すか!)
すでに矢口の頭のなかは、なにやらよからぬ妄想が満載のようだ。しまりのない
口を全開にしている矢口を、加護は冷ややかに見つめていた。
- 123 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月19日(水)18時06分03秒
「…矢口さん」
「はいっ♪」
「いや…ちゃいますねん。最後まで話聞いてください」
「んん、なにかな亜依ちゃん♪」
まったく未経験の呼ばれ方に加護は悪寒をおぼえたものの、そこは気丈な加護、
どうにか立ち直り言葉をつづけた。
「ウチは別に『休み』ってゆーた覚えは……」
「なぁーんだぁ…やっぱりそう来た!? あーつまんないのッ!!」
嫌味と皮肉がたっぷり詰まった口調の矢口。
その悔しさを地面にぶつける。完成一歩手前の青写真を描いていただけに、
その落胆もひとしおである。
ガキか、このおばはんは!?
喉元まで出かかった本音をなんとか抑えることに成功した加護。しかし、自然と
ひきつってしまった顔だけは修正できなかったようだ。
- 124 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月19日(水)18時19分46秒
「……あ、あのですね…今日は浅草お願いします」
「へ? 浅草ぁ。…なして?」
浅草が嫌いなわけではないが、これならいつも巡回している伝馬町のほうが
どれだけマシかしれない――矢口の表情はそう伝えたがっていた。
まるで納得がいかない矢口。加護にくってかかる。
「ねえ加護」
「はい?」
「それってさぁ……だれの命令?」
「紺野ちゃん―――」
「はぁ!? 紺野ごときがこの矢口さまに命令するってか!?
ふうん、偉くなったもんだね紺野も…という訳で矢口は辞退の方向で」
「―――と長官…」
「行きます!!」
今日はホントついてないや……。
矢口の顔からはすでに疲労の色がにじみでていた。
- 125 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月19日(水)18時24分11秒
- 昨晩寝んと早急に書き上げました。
もうダメだぁ……次は、いつになるのでしょうか?
- 126 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月21日(金)12時45分23秒
【 2 】
じめじめした陰湿な気候が、けだるさとなって人々の背に重くのしかかる。
空は雲ひとつない快晴なのに、季節はずれのこの蒸し暑さだけはどうにも対処の
施しようがなかった。
まったく、とんでもねえ置土産を残していきやがった……昨晩の豪雨に対して
城下の人間は、そう口々に怨みごとを吐露する。
そして、それはこの浅草でも―――――
- 127 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月21日(金)13時13分37秒
「見世物ではありません。さあみなさん、はやくお戻りに……」
「いいんだよ紺野」
「は、はあ…」
好餌に群がる蟻のごとく町人たちが一堂に集う。
新米同心・紺野あさ美は、それを煙たがり、できるだけ丁寧な言葉で
彼らを追い返そうとしたが、寸前のところで制された。
「こういう厄介な事件はね、彼らの協力なしでは解決できないの。覚えときな」
「はい」
素直にうなずく紺野――と思いきや、突然懐にしのばせていた懐紙と筆を
取りだし、なにやらしたためている。その字は、“はね”“とめ”など
基本に従った正確きわまりない見事なものであった。
だが、そんな紺野を先ほど制した人物は呆れ気味にみつめていた。
- 128 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月21日(金)13時28分39秒
「あのね紺野、そういうことは紙に書くんじゃなくて、頭んなかにたたきこむの!
……それにその紙、懐紙じゃない!? もっとちゃんとした紙用意できなかったの!?」
「…すいません。手持ちはこれしか……」
一応は申し訳なさげに謝る紺野ではあったが、その手の動きはとまることはなかった。
上から紙をのぞきこむと、『頭の中に叩き込むべし!』としっかり記されていた。
これまでの一連のやりとりを人々が、少々奇異の目で見ているなとは感じながらも、
この人物は構うことなく自分の下――ぬかるんだ地面を一点に凝視していた。
- 129 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月27日(木)02時04分06秒
「まったく…またよくわかんない死にかたしてくれちゃって……」
見つめる先には、乾いた泥のうえにうつ伏せの状態で事切れた一人の女。この人物は
なかば呆れ気味に溜息をひとつついた。それがなによりも事の奇妙さを物語っていた。
――そう、この死体こそ昨晩のあの女である。
顔の真下の地面がほどほどに赤く染まっている――が、昨晩の驟雨が降ったうえでのこれだから、
吐いた血へどの量は相当のものと見積もってよいだろう。
日も高度を増し温度も上昇する。実にあたりまえのことである。
しかし、それによって困ることがひとつ。
「うっ、く、くせぇ!」
野次馬の一人がそう叫んだ。それが引き金となってか、彼らは一様に少し後ずさりする。
だが、この場を立ち去ろうとするもの一人としてしない。あくまでも、最後まで
この検証を見届ける心づもりなのだ。
(…さすがに江戸っ子ですね…長官)
(いいんじゃないの? やりやすくなって逆に好都合だし……)
ぼそぼそと小声でする会話は、野次馬どもの耳には入らなかった。
ちなみに、二人とも江戸の生まれではない。ともに蝦夷は松前藩の出身である。
- 130 名前:胸の刻印 投稿日:2002年06月27日(木)02時27分40秒
無論、紺野も“長官”と称されたこの人物も、この得もいわれぬ死臭に不快さを感じていた――が、
それをおくびにも表にださずにただこの死体の隅から隅までをじっくりと通し見していた。
「殺し、でしょうか…?」
と、額に光る汗を拭いながら紺野が聞いてきた。
「さあ…どうだろうね。とりあえず、一度役宅へ運んでからじゃないと……」
殺しか否か。おおよその見当はついていたものの、長官はあえて答えなかった。
「――にしてもっ、紺野!」
「…はい」
紺野は無言で別のさらの手拭いを長官に手渡す。
「遅い。遅い遅い遅い遅い……遅すぎるっ!!」
徐々に苛立ちを抑えきれなくなった長官。噴きだす汗はとどまることをしらぬ。
聡明な紺野、その怒りの矛先がだれに向けられているか察しがついたようである。
そして、ぽつりとひとこと。
「自業自得ですよ、矢口さん♪」
- 131 名前:作者です… 投稿日:2002年06月27日(木)02時30分13秒
- (訂正)
>>129
『乾いた泥のうえ』⇒『まだいくぶん湿った泥のうえ』
どうも申し訳ございません……。
次の更新は、なるべく早いうちに……(こればっか)。
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