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ノーリアクション
- 1 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月04日(火)02時42分45秒
- はじめまして。
いしよしモノです。
はじめての小説ですので、わかりにくい展開や間違った言葉遣いなどあればご指摘いただけると勉強になります。
楽しんでいただけると光栄です。
ところで、エロありですがsageた方がいいんすかね?
- 2 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時44分23秒
- 石川の体は赤く上気して小刻みに震えていた。
喉の奥から搾り出すような喘ぎをあげて。
まるで痛みに耐えるかのように、快感に耐えている。
「あっ・・・あっ・・・もう・・もうだめぇ・・・」
彼女の高く甘い声が、愛しい人の名前を呼ぶ。
「よっすぃ・・・!!」
「梨華ちゃん。かわいいよ」
吉澤は、石川の乳房に口をつけたまま答える。
石川の体はシーツの上でびくびくと引きつる。
もう、限界が近いことは明白だった。
吉澤は、最後の仕上げとばかりに石川のぐしょぐしょにぬれたソコに突き立てていた指のスピードをあげた。
- 3 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時44分56秒
- 「ひっ・・・ひぃ・・・っ」
石川の喘ぎは、もう、声にならない。
快感に飲み込まれて、愛しい人の名前を呼ぶことも出来ない。
「よ・・・よっ・・・」
「ん、ホラ、もうイっちゃいな」
石川の細い首筋に唇をあてて、低くささやく、その瞬間ーーーーー。
「あああああああああ・・・・っ!!!!」
石川は、はしたない声をあげて、体を大きくのけぞらせ、絶頂を、迎えた。
- 4 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時45分28秒
- 「はぁはぁはぁ・・・」
肩で大きく息をしている石川は、華奢な体をぐったりとベッドに横たえたまま動かない。吉澤はそんな彼女の頭に小さなキスをすると、「行為」の後始末を始める。
「きゃん!よっすぃー!だめぇー」
朦朧としていた石川が突然高い声をあげた。いつのまにか吉澤が、垂れ流した愛液で汚れた石川のソコをティッシュで拭い始めたからだった。まだ感覚の戻らない石川の足を、無理やり大きく広げて。
「いいよ、そのまま横になってて。綺麗にしてあげるから」
「いやん。ばかぁ」と甘えた声を出す石川も満更ではないようで、顔を両手で覆いながらもされるがままになっていた。
それが終わると、吉澤は、まるで何事もなかったかのように、ベットの下にだらしなく落ちてしまっていた掛け布団を引っ張り上げ、辛うじてベッドの端に引っかかっていた枕を元の位置に戻して整えると、石川のとなりにもぐりこんだ。
まだ、ほんのりと頬を上気させている石川をそっと引き寄せる。
石川もそれが当たり前のように吉澤の腕の中に顔をうずめた。
- 5 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時46分13秒
- そして、いつものように吉澤がつぶやく。
「いいよ。ねむっちゃって」
まるで、それが合図の催眠術にかけられたように、石川は夢と現実の狭間をさまよい始めるのだった。
- 6 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時47分00秒
- 「くしゅん」
石川は小さなくしゃみで目を覚ました。
裸のまま眠ったので布団からはみ出した剥き出しの肩が冷たくなっていた。
「いけない」
もともと喉の弱い石川は、このままだとすぐに喉を痛めてしまうと、小さくつぶやいた。
隣ですやすやと寝息を立てている吉澤を起こさないようにそっとベットから抜け出して、ベッドの脇に脱ぎ捨てらていたパジャマを身につける。
体を動かすと、快感の余韻か腰のあたりにかすかな痺れのような鈍痛を感じる。さっきまでの自分の痴態を思い出して頬が染まる。
年下の恋人に、何度も何度も責められて、いかされてしまう自分。
絶え間なくあげる、恥ずかしい声。
- 7 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)02時47分36秒
- 自分を意のままに操る吉澤が憎らしくて、眠っている吉澤の顔を覗き込む。
まるで無防備で子供のように安らかな寝顔。年下の癖にいつも大人ぶって自分をからかう余裕に満ちた昼間の顔とは正反対で余計に愛しい。
吉澤の頬にかかる髪をそっと指で摘み上げながら。
ほんの少し心が痛む。
「この人を愛してあげることができたら――――。
私はもっと幸せになれるのに――――。」
- 8 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月04日(火)02時51分53秒
- 初回はここまでです。
短すぎますかね?
あと、もうちょっと改行した方が読みやすそうですね。
試行錯誤です。がんばります。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)05時06分24秒
- いしよしエロ大歓迎
期待してますね
- 10 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時45分34秒
- 初めて2人が結ばれた夜――――。
性的経験の殆どなかった石川は息をつく暇もないほど、吉澤の思いのままにされた。
吉澤がどこでそんな技術を覚えたのか気にならないではなかったけど、
そんなことを追求できる程の余裕はなかった。
「行為」の後は、もう口を聞くこともできなくて眠りに落ちてしまう。
もう何も考えられなくて、
ただ吉澤の腕にしがみついて眠ることしか出来なくなってしまう。
- 11 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時46分34秒
- それでも、何度目かの夜を迎える頃から、石川の胸からひとつの疑問、
あるいは不安が離れなくなった。
2人の「行為」はいつも性急で。
自分が責められるだけで。
彼女は服さえ脱ごうとしない。
まるで意地になっているように石川を快感で追い詰めるだけで――――。
彼女は、私の愛しい彼女は、それで本当に満足しているのだろうか。
- 12 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時47分56秒
- それから石川は何度となく反撃を試みた。
それでも百戦錬磨の吉澤に勝てるはずもなく、
反対にいつも以上に責められ、
乱れさせられての返り討ちに遭うのが関の山だった。
そんなことが繰り返されていたある日、こんなことがあった。
何度吉澤に勝負を挑んでも、いつも自分が息もつけないほどにイカされて終わることに
どうしても納得のいかない負けず嫌いの石川は、半分意地になってこんな計画を立てた。
しかし、石川の立てる作戦なんてたかが知れたものであり、
誰でもすぐに思いつきそうな単純なもの
――― つまり「吉澤の寝込みを襲う」というものであったのだが。
- 13 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時49分07秒
- その日の夜。
いつものように自分の部屋に泊まりに来た吉澤に、
石川は「喉の調子が悪い」と嘘をついた。
「じゃあ今日はナシ?」
本当にそれでいいの?というように吉澤は石川の顔を覗き込んだ。
至近距離で見つめられて、石川はいつもの溺れそうに甘美な快楽を思い出し、
うっかりおねだりしてしまいそうな自分に気がついて慌てて吉澤から目を反らせた。
あの目がイケナイ。
大きくて吸い込まれそうな、
いつも私を魔法をかけようとする、
よっすぃーの目が。
- 14 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時49分45秒
- 「だって・・・変な声とか、その、出しちゃったら。
明日のレコーディング、声でなくなっちゃうでしょ?」
「ふふん」
吉澤はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる。
「そおだよねぇ。別に声、出さなかったらいいんだけど。
梨華ちゃん、すぐガマンできなくなっちゃうもんねぇ。 Hな声」
「もうっ!よっすぃーのバカッ!」
- 15 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月04日(火)18時50分24秒
- そして、2人は手を繋いで石川のベッドの中にもぐりこんだ。
石川はじっと息をひそめて吉澤が眠りに落ちるのを待った。
連日のハードスケジュールの中、疲れた体で暗闇の中でじっとしていると
石川自身も睡魔に引き込まれてしまいそうになる。
その度に石川は思いをめぐらせた。
自分の腕の中で、愛しい吉澤はどんな風に乱れるのだろう。
どんな声をあげるのだろう。
よっすぃーの快楽にあげる声が、聞きたい――――。
- 16 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月04日(火)18時53分21秒
- 本日の更新は以上。
どこでお話を区切ったらいいのかが結構むづかしいですね。
>>9
がんばりまっす。
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)21時22分39秒
- すごいです!
石川さんの反撃の行方が気になる〜〜〜〜!!
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月04日(火)21時29分37秒
- よっすぃ〜の「乱れ姿」を密かに期待 (W
- 19 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時42分48秒
- しばらくすると、吉澤はすっかり眠りの中に落ちていったようで、
胸が規則正しく上下し始めた。
静かな部屋に、吉澤の小さな寝息がやけに大きく聞こえた。
石川は吉澤を起こさないようにゆっくりゆっくり体の位置を入れ替えると、
肩肘をついて吉澤の寝顔を覗き込んだ。
そして、そのあまりの美しさに一瞬自分の作戦を忘れて息を呑んだ。
このまま朝までずっと見つめていたいとさえ思う。
- 20 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時44分03秒
- 石川は軽く頭を振って気を取り直すと、
ゆっくり、ゆっくり、吉澤の胸元に手をのばした。
吉澤のパジャマのボタンを上からゆっくり外す。
自分の指先が震えている。
石川は、自分がなんだかとんでもなく「イケナイコト」をしているような気分になって、
口から心臓が飛び出しそうな緊張と、そして何ともいえない興奮を感じた。
- 21 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時45分22秒
- ひとつ、ふたつ・・・ボタンを外していくと、
吉澤の極端に皮膚の薄い白い胸元があらわになった。
それは美しすぎて、じっと見ているとなんだか触れるのが怖くなってしまいそうだった。
そして、吉澤の白い乳房があらわになった。
その美しさに石川は息を呑んだ。
そっと吉澤の顔に視線を移すとこんなイタズラをされていることなど夢にも思っていない
静かで無垢な寝顔のまま夢の中にいた。
その寝顔は幸福な子供のようでもあり、何かに憂いている淋しげな女神のようでもあった。
石川は胸に疼いているかすかな罪悪感すら忘れて、
吸い込まれるように吉澤の首筋に顔を埋めた。
そのさらさらとした吉澤の皮膚の感触に、
石川は自分が興奮していくのを感じた。
- 22 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時45分52秒
- 「ああ・・・」
小さく声を漏らしたのは自分だった。
そして、吉澤の白い乳房に手をのばしたとき。
びくん。
吉澤の体が、大きく、揺れた。
- 23 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時46分53秒
- 石川は驚いて吉澤の首筋に埋めていた顔を上げた。
「梨華ちゃ・・・何して・・・!」
石川はその時の吉澤の顔が忘れなれなかった。
驚きと・・・怯え?恐怖・・・?
いくらかの怒りと、そしてほんの僅かな絶望?。
いろんな感情の入り混じった。
今までの関係の中でも、一度も見たことのないような吉澤の表情。
- 24 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時47分40秒
- 「あ・・・。よっすぃー・・・。」
そんな吉澤の表情を見て、石川は思わず吉澤から体を離した。
しかし、吉澤がそんな顔を見せたのはほんの一瞬で、
すぐに不敵で余裕のあるいつもの吉澤に戻った。
そして、どうしたらいいのか、何を言ったらいいのかわからずに焦っている石川を
ぐいと引き寄せて、いやらしく笑った。
- 25 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月05日(水)12時48分30秒
- 「なぁんだ。梨華ちゃんったら。今日はダメーなんて言ってたくせに。
ヤりたくて眠れなくなっちゃった?」
「ちっ!ちが・・・!」
「梨華ちゃんのエッチ〜」
「違うもん!そんなんじゃ――」
「もお、しょおがないなぁー。
梨華ちゃんは清純そうな顔しちゃって、ホントはスキモノなんだからぁ」
「なっ何よ!スキモノって!!」
そんなことを言い合っているうちに、
いつのまにかいつものように吉澤に組み敷かれてしまった石川。
こうなってしまうと、どんなにじたばたもがいても吉澤の腕から逃れることは出来なかった。
「やっ、ヤダ。よっすぃー。ちょっと、ちょっと待って・・・!」
「そんなHな女の子には、お望みどおりお仕置きしちゃうんだもーん」
- 26 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月05日(水)12時54分51秒
- 本日の更新は以上。
この後はエロになります。すんません。
>>17
石川の反撃普通に失敗でしたね。
>>18
よっすぃーの乱れ姿はそのうちに。
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月05日(水)17時47分31秒
- やっぱり失敗に終わりましたか(w
・・・・お仕置き期待(;´Д`)ハァハァ
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月06日(木)01時12分31秒
- 吉のその表情には何か過去が??
う〜ん、期待してます!
面白い!
- 29 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時35分12秒
どうしてこうなっちゃったんだろう。
- 30 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時36分39秒
- 石川は甘い熱にうかされながら、自分の乳房に顔を埋め、
固くなっている乳首を甘噛みする吉澤を見つめた。
頭の芯がじわじわと痺れてくるような快感。
「あああ・・・」
石川の熱い吐息が漏れた。
「気持ちよさそうだねぇ。」
吉澤は乳房から口を離すと、
少し乱暴に石川の後頭部の髪を掴み、引き寄せ、口づけた。
「んんん」
強引に舌を突き立てかき回され苦しくて眉をひそめた。
でもその圧迫感が余計に自分が、吉澤に奪われていると感じさせ、
頭の中を真っ白にさせる。
自分の全てを吉澤に奪われてしまうという快感。
吉澤は石川に口づけたまま、
首筋、乳房、腰のラインと触れるか触れないかの微妙な加減で愛撫した。
吉澤のさらさらと乾いた手のひらが乳首を掠める度に石川の体はびくんと跳ねた。
石川の体はじんわりと汗ばみ始めていた。
- 31 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時37分53秒
- 吉澤はやっと石川の唇を解放してやると、そのまま耳元で低く囁いた。
「苦しい?」
石川は吉澤の声が好きだ。
その低くくぐもった声で耳元で囁かれるだけで、
体が化学反応を起こして溶けてしまいそうになる。
「・・・苦しい。」
石川はやっとのことで答える。
「でも、苦しいの、好きでしょ?」
耳に流し込まれるほんの少しの嘲笑を含んだ声。
背骨がびりびりと震えた。
「好きじゃ・・・」
ないと言おうとしたとき。
今までゆるゆると石川の体の上を行き来していた吉澤の手が、
乱暴に乳房を鷲掴みにした。
「あぅんっ!」
思わず高い声を上げる。
「ダーメ。明日レコーディング。声ガマンしなよ」
- 32 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時39分01秒
- 荒々しく乳房を揉みしだきながらも耳元では甘い声。
そのギャップに石川はより一層興奮を高められていく。
「ああん・・・耳、ダメぇ」
「梨華ちゃんのダメは”もっとしてぇ”のダメだもんね」
吉澤は石川の耳に舌を這わせた。
小さな耳たぶをゆるく噛んだ後、そっと舌を差し入れる。
そしてそれと同時に両方の手の親指でで石川の硬くなった乳首を揺らした。
今まで緩やかに与えられていた快感が、
突然牙を向いて襲いかかってきたように石川の体を貫く。
「ひゃあ!ああああ・・・!」
石川の体は面白いように反り返り、愛撫されている胸を突き出した。
「声ダメだって」
「ああああぁ・・・んん」
「ほらぁ、ダメだって言ってるのに。聞いてんの?」
吉澤は石川を愛撫する手を止めた。石川は不安げな表情で吉澤を見上げる。
- 33 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時39分51秒
- 「声出しちゃダメだって言ってんの。声出したらやめちゃうよ?」
「だって・・・」
「だって何?ガマンできない?そんなら今日はもうやめる?」
冷静な目で見据えられて、石川は何も言えなくなる。
吉澤の着ているパジャマの裾を掴んで、
小さく「いや・・・」と呟くのが精一杯だった。
「ん?何が嫌なの?ちゃんと言って」
「ガマンするから。声出さないから・・・・・・して」
上気した頬をより一層赤くして答えると、
吉澤は左の腕でぐいと石川の上半身を抑えつけ、
左手を素早く下着の中に滑り込ませた。
- 34 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時41分07秒
- くちゅん。
そこはすっかり濡れていて恥ずかしい音をたてた。
「ひぃぃんん」
吉澤の奇襲攻撃に石川は小さなうめきを上げた。
「そおだよね。もおこんなになってんだもんね」
吉澤は言葉でも石川を追い詰める。
脅し、回り込み、油断させて一気に辱める。
獲物を追う猟犬さながらの的確な動きで、精神的にも石川を深みに落としていく。
一番敏感で一番いやらしいソコに触れられた石川は、
もう全てを投げ出して快感に呑まれようとしていた。
だけど吉澤はそれを許さない。
ぬるぬるに溶け出した亀裂を2,3度撫で上げただけで、すっと石川から離れた。
突然、吉澤の体の重みを失って、石川は我に帰る。
「ねぇ、自分で足、開いてみせてよ」
吉澤は体を起こすと、不安げな表情の石川の足元にしゃがみこむ。
「えっ・・・」
突然のことに、恥ずかしいことを強要されていることも理解できなくて、
吉澤の顔を見つめた。
- 35 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時42分02秒
- 「ほらぁ。コレもジャマでしょ?とっちゃって」
ぴちん。石川の下着のゴムのあたりを引っ張って離す。
その小さな衝撃でやっと何をさせられようとしているのか、気付く。
「やっ。どうして」
「だってして欲しいんでしょ?ぐしゅぐしゅにしてんじゃん」
「ヤダッ・・・ひどいよぉ」
石川は甘えた声で抗議するが、
行為の最中の石川の意見が尊重されることは絶対にないことはわかっていた。
「ダメだよ。これはお仕置きなんだから。」
「お仕置き?」
「梨華ちゃんがイケナイコトするから。」
「違うもん!あれは・・・」
「そんなこと聞いてない。さっさと言うとおりにしないと、本当にやめちゃうよ」
吉澤の顔が少し険しくなる。
従うしかない。
石川の全てを握っているのは吉澤なんだから。
- 36 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時43分14秒
- それでも石川は何とか吉澤の許しを乞おうと、
甘えた目で吉澤を見つめながら、おずおずと自分の下着に手をのばした。
普段なら何とも思わない下着を脱ぐという行為も、
こんな風に吉澤に見られている中では、とてつもなく恥ずかしい行為に思えた。
羞恥心が燃え上がる。
「そんな目で見ても許してあげないよ?それとも誘ってんの?」
石川はぎゅっと目を閉じて小さく首を振ると、
意を決して両足から素早く下着を抜き取った。
「はい、よく出来ました。次は足開いて。どおなってるか見せて」
恥ずかしい。
石川は閉じた両足にぎゅっと力をこめた。
吉澤の目の前で開いて見せるなんて出来ない。
「ほらぁ!」
吉澤は石川の足首のあたりをぺしんとぶった。
石川はその小さな衝撃にも大げさに体を震わす。
「いやぁ。できないよぉ」
蚊の鳴くような声。石川は涙ぐんだ。
「出来ないんならいいよ。もう寝よう」
「いやぁ・・・」
「じゃあ、さっさと見せてよ」
- 37 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時44分45秒
- もう、石川はどうしたらいいのかわからなかった。
辱められているという気持ちと、もっと気持ちよくなりたいという欲望が
ごちゃ混ぜになって冷静な判断がつかなくなる。
石川は、そっと、ほんの少し足の間に隙間を開ける。
足が小刻みに震えている。
「もっと!」
吉澤の声にも体が反応する。
びくんと揺れる。
言われるままに徐々に足を開く。
「もっと!」
何度もイカされて嬲られて訳がわからなくなっているときじゃない。
まだ理性のある状態で吉澤の目の前に、
恥ずかしい部分をさらけ出さなければいけない。
石川は両手で顔を覆って羞恥心に耐えた。
「もっと!」
そして、吉澤の鋭い声に命令されるまま、
ほぼ股関節の限界近くまで足を広げさせられていた。
- 38 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時46分08秒
- 「うわぁ、スッゲェー」
吉澤の前に晒された石川のソコは、
それほど触られたわけでもないのに真っ赤に充血してぷっくりと膨れ上がり、
溢れ出た大量の愛液でぬらぬらと光ってみえた。
「ねぇ梨華ちゃん。何かすっげーイヤラシイよ」
「いや・・・言わない・・で」
「見られてると感じるわけ?」
「・・・知らな・・・」
「だって、ねぇ、すげーひくひくしてるしー、梨華ちゃんのココ」
吉澤が言うと、誘うようにひくついていた膣口からとろりと愛液が流れ出してきた。
「ほらね。また濡れてきたし。見られてると感じちゃうんだ」
- 39 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時47分29秒
- 見られていると思うだけで下半身がじんじんとして、
自分のソコが吉澤を求めてひくひくと蠢いていることは、
石川自身が一番よく分かってた。
石川は羞恥のあまり両手で顔を覆ったまま小さく嗚咽を漏らし始めた。
「あーあ泣いちゃった。ごめんねー。
こんな恥ずかしいの、いっぱい見られたらつらいよねぇ」
吉澤は悪びれるでもなく平然とした口調で言う。
「そんじゃそろそろ遊んだげるけど、声出しちゃダメだかんね」
吉澤は右手の人差し指一本を
ゆっくり石川のすっかり溶け出している裂け目に近づけた。
つーっ。
ぱっくりと口を開けている膣口からすっかり硬くなったクリトリスまでを
ラインにそって滑らすように、人差し指の先で撫で上げる。
- 40 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時49分04秒
- 「ひぃぃぃん!」
待ち焦がれていたその場所への小さな刺激が
激しい快感となり石川の体の中を駆け巡った。
吉澤は、今度は指先でひくついている膣口をつんつんと突付いた。
その指先を飲み込もうと涎を流して蠢いている。
「すご・・・。梨華ちゃん。なんかすいこまれそうだよ」
「うぅぅぅぅ」
必死に声を抑えている石川の口から唸り声のような喘ぎが漏れた。
吉澤は指を離すと、今度は石川のその部分に唇をつけた。
それだけで石川の体は反り返り、絶大な快感を与えられていることを暴露する。
吉澤は両手の指先でぷっくりとした両脇の肉襞を広げて、
より唇を敏感な部分に密着させる。
そして、とめどなく溢れ出ている石川の愛液を、ずずずず、
と音をさせて吸い出した。
「ひぃぃ、やぁ・・・いやぁ」
その音に反応した石川は腰をくねらせた。
- 41 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時50分18秒
- 「エッチな、梨華ちゃんの味がするよ」
吉澤は唇を離してそう言うと、石川のソコを広げたまま舌を尖らせて、
すっかり充血して大きくなったクリトリスをつんつんと突付いた。
「ううううん!!」
その突起の周りをぐるりと舌でなぞってから、ちろちろと頂点をかすめる。
「ひゃ・・・あああああん!」
石川の声は段々と高くなる。
「ホラ、梨華ちゃん、声!」
「ん・・・んんん・・・」
今度は舌の先でぐりぐりと突起を圧迫してやる。
石川の腰がそれにあわせてがくがくと飛び跳ねる。
焦らされ、辱められたことで興奮が高まり
普段以上に感じやすくなっているようだった。
- 42 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時51分12秒
- 「やぁぁぁぁ!もぉ・・・・!」
石川の限界が近づきつつあることに気付いた吉澤は、ソコから口を離した。
「もぉー。梨華ちゃん、すぐイキそうになっちゃうんだからぁ」
もう少しのところで投げ出された石川は、しゃくりあげながら懇願する。
「いやあ・・お・・お願い、お願いぃぃ」
「ダメだよー、もっと遊ばせてくんないと」
「やぁ・・・死んじゃうぅ」
吉澤は石川の上に覆い被さった。
あと少しを求めてドロドロになっているソコを放置して、
こりこりになっている乳首を弄ぶ。
「ふぅぅぅん・・・」
「じゃあさ、今から声出さなかったらイってもいいよ。
でも声出したらやめちゃうからね」
吉澤が耳元で囁くと、石川はこくこくと頷いた。
今なら、イカせてやる代わりに魂をよこせと言われてもオーケーしそうな勢いだ。
- 43 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時52分04秒
- 吉澤は、石川の上に体を重ねたまま、ゆっくりと指を挿入した。
じゅぶ。
音がする。
石川がきゅうと指を締め付ける。
「ぐぐぐぐ・・・」
石川は声を出さないように自分で、
握った手の人差し指の第一関節のあたりを強く噛んだ。
「ガマンできるかなぁー?」
中でぐいと曲げた指をぬるぬるとした内壁にぐるりと一周動かしてから、
深く、ゆっくりと抜き差しを始める。
「うぐぅ・・・うぐぅ・・・」
「ダメだよ、指噛んじゃ。痕ついちゃうし」
吉澤は石川の手を掴んで、口から離させると、代わりに自分の指を突っ込んだ。
膣口に挿入した指もスピードをあげる。
「んぐぅ・・・!」
石川は驚いて目を見開いた。
吉澤はお構いなしに石川の中をぐちゃぐちゃとかき混ぜた。
- 44 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時52分41秒
- 「あううう・・・!!」
石川は口の中につきたてられた指のせいで、歯を食いしばることさえできなくなった。
上も下も犯されているという感覚が余計に石川を追い立てる。
唇の端から涎が滴った。
「うううううう!!」
「噛んでもいいよ。あたしの指」
「んんん!」
苦しそうに首を振る石川。
「何か、すごいね。両方の口で、あたしの指食べてる。イヤラシイ―――」
吉澤をくわえ込んでいる「下の口」が断続的に指を締め付け始めた。
「もう、イっちゃうね。梨華ちゃん」
吉澤は指を力任せに打ち付けた、奥へ奥へ。
- 45 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時53分14秒
- 「あっあっあっ・・・!あああああああああ―――!!!」
石川の体がぴんと硬直し、反り返った。
愛液がぼたぼたと流れ落ちて吉澤の手をぬらした。
そして、ソコがぎゅうううと強く収縮した。
「ひゅぅううう」
体からがくんと力が抜けて、喉を鳴らす。
波が過ぎ去ってもなお余韻に背中を震わせた。
- 46 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時54分06秒
- 石川が潤んだ瞳で吉澤を見上げると、
「まだ、終わりじゃないよ。梨華ちゃん」
優しく言ったかと思うと、いきなり、まだ震えの収まらない石川の体を
ひっくり返してうつぶせにした。
そして腰を抱え込み、持ち上げ、四つん這いにさせる。
「いやっ・・・何?」
「声出したらダメって言ったのに。あんなでっけー声」
そして、腰を抱え込んだまま、後ろから指を突き立てた。
「いやあああああ!」
乱暴に動かす。それは達したばかりの石川の体には過ぎる刺激だった。
- 47 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時54分50秒
- 「どうして約束が守れないのさ」
「やめ、や、や、やめて!やめて―――いっちゃうぅ!!」
「何度でもいけばいいじゃん。梨華ちゃんはエッチだから何回でもいけるでしょ?」
中に突っ込んだ指を2本に増やす。
「やあ!いくぅ!いっちゃ――――!!!」
石川が尻を突き出し、2度目の絶頂を迎えても、吉澤はやめようとはしなかった。
指を曲げて、中の愛液を掻きだすようにぐちゃぐちゃに動かす。
「いやぁぁぁぁぁ!壊れちゃうよぉぉぉぉ!!!」
髪を振り乱し、絶叫に近い声を上げる石川。
吉澤はもう片方の手で石川の乳房を乱暴に握りつぶした。
「あああ!きちゃうぅ!またきちゃうよぉ!!とまんなくなっちゃうよぉぉぉ!!!」
「しょうがないよ、梨華ちゃんがいけないんだからね」
石川は続けざまに頂点を迎える。何度も、何度も。
- 48 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時55分23秒
「お願い!ゆるしてぇ!ゆるしてぇぇぇ―――!!!」
- 49 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月06日(木)18時56分01秒
- そう、その夜の吉澤は本当にサディスティックで、
結局石川が気を失うまで許してくれなかった。
愛しいはずの吉澤が、ほんの少し怖かった。
石川は夢の中で何度も呟いた。
違う、違うの。私はよっすぃーのこと愛してあげたいの。
私ばっかり、こんなことになっちゃうんじゃなくて。
よっすぃーのこと、うんと気持ちよくさせてあげたいのに―――。
- 50 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月06日(木)19時00分25秒
- 本日の更新は以上。長くてすみません。
でもエロシーンで引っぱるのもどうかと思ったんで。
・・・梨華ちゃんかわいそうだな。
>>27
こんなもんで如何でしょうか?
>>28
大した過去じゃなかったらごめんなさい。
- 51 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月06日(木)19時16分18秒
- 大量交信乙です。そして梨華ちゃんもお疲れ様(w
エロ度高めでもう・・すっごいです。いぢわるよっすぃハァハァ
サデスティックだったのも何か過去関係なんでしょうかね・・・
>エロありですがsageた方がいいんすかね
エロ有りの小説はほとんどがsage進行みたいなのですが作者さんが気に
ならなければageでもよろしいんじゃないかと。
- 52 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月07日(金)03時03分40秒
- いやぁ、凄いエロさ…
堪能させてもらいました
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月07日(金)18時54分29秒
- すごいですねー。
ここのヨシコと自分の性癖が一緒でかなり萌えましたよ。
ていうか驚きました。。。
(´-`).。oO (作者さんありがとー)
- 54 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月07日(金)19時08分31秒
- そして、その夜以来、吉澤はそれまで以上に、石川に自分の体を触らせることを避けるようになっていた。いつも、頑なに、服さえも脱がず、異常なほどの執着心で一方的に石川を愛するだけ。石川が、自分も吉澤のことを愛したいと、何度となく申し出ても、いつも笑ってはぐらかされる。
お決まりの台詞と一緒に。
「あたしは、梨華ちゃんが気持ちよくなってくれれば、それでいいんだよ。それだけでとっても幸せなんだから」
本当に?
石川は不安になる。
どうして私に全てを見せてくれないの?
- 55 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月07日(金)19時09分32秒
- 石川は、そんなことを思い出しながら、眠る吉澤を見つめていた。
いつも、自分のことをからかって、意のままに操って、大きく包み込む。
付き合い始めるずっと前から、そんな吉澤が大好きだった。
口に出せば笑われてからかわれるのがわかっていたから、言わないけれど、
石川にとって吉澤は理想の王子様だった。
いつも余裕の表情で、ちょっとのことでは動じない年下の吉澤が、
自分よりうんと大人のように思える。
でも、自分は吉澤が何を考えているのかわからなくて、いつも不安になる。
私ばっかり、いつも、不安に。
石川は、眠る吉澤のこめかみにそっとくちづけると、やがて夢の中に落ちていった。
- 56 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月07日(金)19時10分25秒
- そして、石川の規則正しい寝息が聞こえ始めた後。
吉澤はそっと目を明けた。
無意識に詰めていた息を細く吐き出す。
緊張に硬くなっていた肩の力が抜ける。
そっと、そーっと。
布団の中から腕を出して、石川がくちづけをくれたこめかみに触れてみる。
眠っている自分にキスをくれるなんて。深く深く愛してくれているんだと思う。
とても幸せだと思う。
なのに。
吉澤はぐっと奥歯を噛み締めた。
どうしてあたしは梨華ちゃんのことが受け入れられないんだろう。
こんなに大切で、こんなに愛しているのに。
- 57 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月07日(金)19時10分56秒
- あの夜以来、石川の隣で眠るのが怖かった。
石川が動く気配がすると、すぐ目が覚めてしまう。
眠りが浅い。
梨華ちゃんに触れられるのが、怖い――――。
濃い闇の中、眠れぬ時間が過ぎていく。
- 58 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月07日(金)19時18分01秒
- 本日の更新は以上です。
昨日長すぎたので、今日は短めで。
>>54 改行忘れてました。すまそ。
>>51 サディスト吉澤は多分生まれ持った才能でしょう。
折角ですので苦情がくるまではageでがんばるっす。
>>52 楽しんでいただけましたでしょうか。
>>53 どちらかというとアタシの性癖は梨華ちゃんです。
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月07日(金)20時44分06秒
- S吉いいですね。好きな子ほどついついいじめちゃうみたいな。
受け入れたいけど受け入れられない・・・・( T▽T)<悲しいね。
- 60 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時53分27秒
- 次の日の仕事はレギュラー番組の収録だった。
モーニング娘。は個人やユニット単位の仕事も多く
メンバー全員が顔を合わせる機会は世間の人たちが思っているより多くはない。
この日も若干名の欠席者はいたが、
前リーダーの中澤も一緒の仕事ということもあり
自然とメンバーのテンションも上がっていく。
控え室や待ち時間のスタジオはかしましい。
中学生組がはしゃぐ甲高い声。
よく通る矢口の笑い声。
誰かのケータイの着信メロディー。
うるさいと怒鳴る保田の声―――。
いつもの風景の中、
吉澤はぼんやりとケイタイの画面を見るともなしに眺めていた。
だらしなくスタジオの隅のパイプ椅子に腰掛けていた。
昨日は結局一睡もしていない。
- 61 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時54分32秒
- 「どうした?めずらしく静かじゃん」
声をかけられてはっとして見上げると、
なぜか背中に矢口をおぶっている保田だった。
「何してるんすか?」
その不思議な光景に、吉澤は半笑いになって訊ねる。
「圭ちゃんは矢口との賭けに負けたんでーす」
いつものキャハハハという笑い声と共に、
保田の背中からちょこんと顔を出した矢口が答えた。
一体何の遊びをしているのやら。
「矢口は知ってるんだよーん。
よっすぃーは昨日石川ん家にお泊りだったんだよねー。
だからお疲れなんだよねー。」
妙に嬉しそうな矢口は保田の背中で手足をバタバタさせた。
「だー。もぉ重いってーの。暴れんなっ」
「お若い人はお盛んで。うらやますぃーですわぁー」
何があったのかとにかくハイテンションの矢口は奥様風にほほほと笑って見せた。
吉澤もテレ隠しに小さく笑う。
- 62 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時55分16秒
- 「あー!おばちゃんが矢口さんをおんぶしてるー!あーたーしーもーー!!」
遠くで大きな声。見なくてもわかる。
辻だ。
そしてドタドタと大きな足音をさせてこちらに向かって走ってくる。
フライングボディーアタックを食らわせてくるに違いない。
「やめろー!辻ー!来んなーーー!!」
保田は矢口を背負ったままスタジオの出口に向かって一目散に逃げ出した。
吉澤はそのドタバタ劇にくっくっと笑う。
さぁ、今度はコントの撮りだ。そろそろ着替えなくちゃ。
吉澤は、気合を入れるようによいしょと勢いをつけて立ち上がると
控え室に向かって歩き出した。
- 63 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時56分03秒
- 「次、吉澤さんスタンバイお願いしまーす!!」
ADの大きな声がスタジオに上がった。
「吉澤さーん!」
「吉澤さーん!」
何度か吉澤を呼ぶ声が続いて、みんなが「あれ?」といった表情になる。
吉澤がいない。
マネージャーが誰とはなしに「吉澤は?」と訊ねた。
「トイレじゃないの?」
「よっすぃーが遅れるなんて珍しいね」
「結構前に控え室で着替えてたよ」
みんなが口々に話す。
「私、見てきます」
石川がさっと立ち上がりスタジオの出口に消えた。
「さすが恋女房。かいがいしいねぇ」
誰かのおじさんくさい台詞にみんながどっと笑った。
- 64 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時57分31秒
- スタジオのメンバー達が、スタジオの隅でマネージャーに叱られている吉澤を
遠巻きにしてちらちらと気にしている。
「よっすぃーにしてはめずらしいドジだよねぇ」
加護が小さく口にすると、
「加護が叱られてんのはよく見るけどねぇ」
と後藤がまぜっかえした。
石川は心配そうにじっと吉澤のことを見つめている。
吉澤が衣装に着替えようと控え室に戻ると、たまたま誰もいなかった。
手早く着替えてすぐにスタジオに戻るつもりだったのが、
メイクを直そうと椅子に座った途端睡魔が襲ってきて、
テーブルに突っ伏してつい眠ってしまった。
居眠りをしていて少し遅れるぐらいはたいしたことではないが、
今日の吉澤は運の悪いことに雑誌や台本の散らばっているテーブルに
突っ伏して寝ていたせいで頬にくっきりと痕がついてしまい
すぐに収録を始められず、収録を大幅に遅らせてしまった。
- 65 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月09日(日)02時58分24秒
- 「疲れてるのはわかるけど、
そういうちょっとした気の緩みで結果的にスタッフにもメンバーにも
迷惑をかけることになるってことは、いつも言ってるでしょ?」
「・・・すみません」
頬の寝癖を早く消す為にメイクさんに貰った蒸タオルで頬を押さえたまま
吉澤はうつむいた。
「吉澤は、いつも着替えも早いし、遅刻も少ないし、きちんとしてるから、
一回のミスであんまりきついことは言いたくないけど。
普段ちゃんとできてるからこそつまんないことで信用を失ったりして欲しくないのよ。
辻とか加護とかにもいつも吉澤のこと見習えって言ってるんだし。」
「はい」
「じゃあ、ちゃんとみんなに謝っときなよ」
「はい」
マネージャーは吉澤の肩に軽く手を乗せるとスタッフの輪の中に消えていった。
吉澤はうつむいたまま軽く唇を噛んだ。
つまらない失敗をしたことがくやしかった。
- 66 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月09日(日)03時01分50秒
- 本日の更新は以上です。
>>59
絵に描いたようなSとMだと思われ。吉澤さんと石川さん。
- 67 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月09日(日)07時39分00秒
- フラフラ〜ですな
どうなるのかな
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月09日(日)12時45分06秒
- 何か妙にリアルだな
次回も楽しみに待ってます
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)02時37分44秒
- よっすぃーの心の中に何があるのか、気になる気になる…
- 70 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時38分36秒
- その後の収録はスムーズに進んだ。
それでも当初の予定よりずいぶん押してしまい、
自分の分の収録の終わったものから着替えもそこそこに次の仕事場に移動していった。
「よっすぃーはこれで帰り?」
吉澤は、番組内コーナーのハロプロニュースのぶりぶりスーツに着替えた石川と
控え室で一緒になった。
撮りの終わった吉澤は私服に着替えていた。
「のはずだったんだけどぉ。急にプッチの打ち合わせが入っちゃって。
梨華ちゃんは?」
「ハロプロニュース撮ったら終わり。打ち合わせ長そう?」
「ここの4階でやっちゃうらしいから。2時間ぐらいで終わんじゃん?」
「・・・今日、どうする?」
石川は、突然昨日の痴態を思い出したのか心持ち頬を上気させると、
ねだるように尋ねた。
控え室の外から吉澤を呼ぶ保田の声が聞こえた。
「ゴメン。もう行かないと。後でメールすっから!」
会話もそこそこに、吉澤は自分のバッグをひっつかむと慌てて控え室から飛び出していった。
- 71 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時39分47秒
- 「ん、もぉー。よっすぃーったら」
石川はため息混じりに呟いて、スタジオに戻ろうと立ち上がりかけた。
何気なく、お菓子やら雑誌やらメンバーの私物やらがごちゃごちゃに置かれた
テーブルの上に目をやると、見慣れたケイタイ。
「ん、もぉー。よっすぃーったら」
石川は、そのケイタイを手にするとさっきと同じ呟きを漏らした。
「ケイタイ忘れてってどうやってメールするのよ」
それは、吉澤のケイタイだった。
たまたまメンバーの小川と同じ機種だったので間違えないようにと、
わざわざ石川が探して買ってきたアンパンマンのマスコットがついている。
小ぶりのぬいぐるみほどの大きさもあるそのアンパンマンに、
吉澤はジャマだのダサいだの文句たらたらだったが、
それでもいつも付けていてくれる。
石川はそんな吉澤の優しさを思い出してくすりと笑った。
- 72 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時40分25秒
- 控え室から飛び出した吉澤は小走りで保田の後を追った。
「おーそーいー」
「すみません・・・ごっちんは?」
「マネージャーと先行った。4階の第3会議室だって」
2人並んでエレベーターホールに向かって歩き出す。
吉澤はちょっと迷ってから口を開いた。
「あの、今日は、すみませんでした」
保田は一瞬何のことかわからなかったのか不思議そうな顔をしたが、
すぐに吉澤が収録を遅らせたことを思い出して、笑った。
いつもふざけてばかりの吉澤が神妙な顔を見せたのが、保田には少し可笑しかった。
「あぁ。気にすんなよ。なっちの遅刻にくらべたらカワイイもんじゃん」
それから2人しばらく無言で歩いた。
- 73 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時41分16秒
- エレベーターに乗り込んでから保田が口を開いた。
「なんか、今回はタイアップが付くらしいんだよ」
「新曲ですか?」
「ん。で、なんかスポンサーさんが来てるんだって。今日。
うちらのスケジュールにあわせてわざわざ局まで来てもらったから、
粗相のないようにってさ。マネージャーが口を酸っぱくして言ってた」
「ふーん」
吉澤はあまり興味もなさそうに答えたが、
プッチモニも娘。本体も最近CDの売上が伸び悩んでいることに
漠然と危機感をもっていた保田は、タイアップに期待しているようだった。
「CMもさ。あるかもって。プッチで」
保田は嬉しそうに言った。
- 74 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時42分04秒
- 打合せが始まった。
打合せといってもスポンサーに顔見せする程度の形式的なもので、
会話は吉澤たち3人の頭の上で大人たちによって交わされるばかりで、
3人に求められているのは、
ただニコニコと愛想よく話を聞いている振りをすることのようだった。
いつもそうだ、こんな無駄な仕事が多すぎる。
3人とも笑顔の向こうで、多かれ少なかれそう考えていたに違いない。
吉澤も初めはそれなりに大人たちのうわっすべりな会話に耳を傾けていたが、
そのうちに心は離れ宙をさまよい始めた。
- 75 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時42分38秒
- 石川のことを考える。
愛しい恋人。
2人、悩んで、すれ違って、傷つけて傷つけられて、
それでもやっとお互いの気持ちを確認することが出来て。
やっと一緒に過ごせるようになったのに。
自分が体に触れられることを拒否することで、
石川を不安にしていることは吉澤自身感じていた。
今はまだ何とかごまかしているけれど、どういつまでも通用はしないだろう。
でも、「その時」が来たら―――どうしたらいいんだろう。
あたしは、どうなってしまうんだろう。
- 76 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時43分34秒
- 「―――ですよね?」
急に問い掛けられてハッとして顔を上げると、
その場の視線が全て吉澤に向けられていた。
吉澤は心の中で「しまった!」と呟いた。
全く話を聞いていなかった。
「あ、あの・・・」
何を答えていいのか焦って言葉を捜す。
背中を嫌な汗が流れた。
「ええ、もちろん吉澤もターゲット層の女の子達と同世代になりますので、
やりやすいと思います。ね?」
保田がとっさにフォローしてくれた。
吉澤はちいさく「はい」と返事した。
保田のお陰で、その後の会話は何事もなかったように流れていった。
吉澤の頭の中を後悔が駆け巡った。
―――またやってしまった。
- 77 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時44分05秒
- 打合せ終了後、のろのろと帰り支度をしている吉澤に保田が近づいてくる。
「吉澤。ちょっと」
厳しい顔。相当頭に来ているのだろう。
吉澤は覚悟して保田の後に付いて行く。
会議室を出ようとしたとき、チラッと後藤と目が合った。
後藤は「ごしゅーしょーさま」とでもいうような苦笑いをして見せた。
- 78 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時44分47秒
- 人気のない廊下の奥の給湯室に辿り着くと、
保田は後ろの吉澤を振り返って厳しい目で見据えた。
「アンタ、どっか体の調子でも悪いの?」
「すみません」
吉澤はうつむいて謝った。
「さっきもつまんないミスしてみんなに迷惑かけたとこでしょ?
一生懸命やってて失敗してかける迷惑なら誰も文句なんか言わないけど、
今日のアンタは完全に気が入ってないよ。自分でもわかってんでしょ?」
「すみません」
「顔上げな」
うつむいたままで「すみません」を繰り返す吉澤に鋭く言い放った。
「石川とのこと?何かあった?」
突然石川の名前が出て、吉澤は明らかに狼狽していた。
- 79 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時51分53秒
- 「ちが・・・」
言いかけて、保田と目が合う。
保田の大きくて鋭い目に見据えられて嘘はつけなかった。
口ごもる。
その仕草を見ただけで、石川が関係していることが保田には手にとるようにわかった。
ふっと短い息を吐く。
ほんの少し優しい顔になって吉澤を見つめた。
「アンタと石川の関係は微笑ましいと思ってるし、応援してる。
でも、アンタ達が付き合ってることで
メンバーやスタッフや周りの人間に迷惑かけるようなことになるんなら
それは認めらんなくなる」
それはこんなことが続けば吉澤と石川の関係にストップをかけようとする人間が
出てくるかもしれないという保田の忠告だった。
事実、マネージャーも事務所も2人の関係が
ただの仲良しの同期の範疇を越えていることに薄々感づいていて、
それでもヘタに男遊びに走られるよりは、
と黙認していることを保田も吉澤自身も気付いていた。
- 80 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時53分33秒
- 「アンタ達のプライベートなことに、あまり口出ししたくないけど。
アンタはまだ、プライベートと仕事を区別できるほど大人じゃないから。
心配なんだよ」
吉澤は、自分が悩みや感情の起伏をあまり表に出さないので、
メンバー内では手のかからない大人と見なされていることを知っていた。
だから、保田に大人じゃないと言われたことが嬉しかった。
「吉澤はさぁ、いつもふざけてばっかりで、
まぁそーゆーのも吉澤らしいっちゃーらしいけど、
なんか悩みがあるんならさ、たまには人に話してみるのも悪くないんじゃないの?」
保田は給湯室のシンクに背中を預けるとポケットからタバコを取り出した。
仕事場や未成年のメンバーの前ではめったにタバコを吸わない保田だったが、
つい、慣れない優しい言葉をかけてしまったことへの照れ隠しのつもりなのか
ゆっくり火をつけた。
いつもおばちゃんだの何だのと保田をからかう吉澤だったが、
こういうときの保田は本当にかっこいいと思った。
- 81 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月10日(月)21時54分22秒
- 吉澤は姿勢を正して真っ直ぐ保田を見た。
「お願いがあるんです」
「何?」
「あたしを―――、抱いて欲しいんです」
- 82 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月10日(月)21時58分26秒
- 本日の更新は以上です。
我ながら展開が遅くだるかったので一気に更新しました。
>>67
さらに失敗していますね。吉澤さん。
>>68
非常に嬉しいお言葉です。ありがとう。
>>69
ヒントはタイトルです。次の次の更新くらいで明らかになりそうです。
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月10日(月)22時10分15秒
- やすよし期待してます!がんばって下さい!!
- 84 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時31分54秒
- 帰り支度をした石川は片手に吉澤のケイタイを持って、
プッチモニの打合せがあると聞いていた 4階のフロアをうろうろしていた。
ハロプロニュースの撮りが終わったあと中澤と他愛ないおしゃべりをしているうちに
プッチの打合せの終わり時間に近くなったので、マネージャーに預けようと思っていた
吉澤のケイタイを自分で届けることにしたのだった。
いや、本当は帰る前にちょこっとでも吉澤の顔が見たくて、
わざとのろのろおしゃべりをして時間をつぶしていたのかもしれない。
しかし、実際4階まで来ると、石川自身あまり来たことのない会議室がずらっと並んでおり、
どこの部屋かわからなくて廊下を行ったり来たりうろうろするばかりだった。
- 85 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時32分38秒
- 「あっれー?梨華ちゃんこんなとこで何してんのさー」
背後からの聞きなれた間延びした声にほっとする。
「ごっちん」
「よすこのお迎え?」
「忘れ物、届けに来たんだけど。もう終わった?」
後藤は苦笑いのような表情を浮かべた。
「打合せは終わったけど。よしこはお説教タイムの真っ最中かな」
「?」
訳のわからないといった様な顔をした石川に、
後藤はさっきの打合せでの出来事を説明した。
石川の表情は心持ち曇った。
「何かこの先の角右に曲がったとこの給湯室の方に連れてかれたよ。
ドナドナみたいな顔して」
「ドナドナ?」
「かーわーいー子牛ー売られて行ーくーよー
かなしそーなひーとーみーで見ているよー」
後藤は歌いながら手をひらひらとさせて行ってしまった
- 86 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時33分18秒
- どうしたんだろ、よっすぃー。
そりゃあ、昨日、した、けど。
でもどっちかというと「お疲れ」にされたのは私の方だし。
あんなにぐっすり眠ってたのに。
体の調子でも悪いのかなぁ
そんなことをぼんやり考えながら、
石川は後藤に言われた方向にぶらぶらと歩き出した。
そして、廊下の角を曲がったとき、石川の耳に吉澤の声が飛び込んできた。
- 87 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時33分53秒
- 「あたしを―――、抱いて欲しいんです」
石川は自分の耳を疑った。
でも、確かに吉澤の声で、「抱いて欲しい」そう聞こえた。
石川は、一瞬迷ってから給湯室の入り口の横に無造作に置かれていた、
時代劇の衣装がぎゅうぎゅうにかかっているパイプハンガーの陰に隠れた。
- 88 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時35分12秒
- 「なっ・・・!何言ってんのっ!!」
保田は思わず大きな声をあげた。
自分を真っ直ぐ見つめている吉澤は、
心持ち青い顔をして、痛いくらい真剣だということは分かった。
いつものふざけてへらへらしている顔じゃない。
吉澤は絞り出すような声で、もう一度言う。
「抱いて・・・欲しいんです」
そして、耐え切れないように、唇をぐっと引き結んでうつむいた。
保田は気を落ち着けようと大きく息を吸い込んだ。
笑い飛ばす?叱りつける?
―――でも、目の前の吉澤は本当につらそうで、
まるで自分にすがりつくような目をしている。
保田には必死に助けを求めている吉澤を見捨てるようなことは出来なかった。
「アンタが、そんな顔するなんて、ね」
保田は独り言のように呟いた。
吉澤が肩が震えるほどきつくこぶしを握り締めていることに気がついて、
保田はそっと吉澤の肩に手を置いた。
「今晩、ウチおいで。何があったのか、どういうつもりなのか知らないけど。
とにかく、ゆっくり話そう」
「すみま・・・」
吉澤の声は途中で途切れた。
- 89 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時36分19秒
- どうして?どうして?どうして?
私には指一本触れさせようとしないくせに!
どうして保田さんに―――!!
石川はしゃがみこんだまま、混乱に喘ぎ、小さく震えていた。
どうしていいか分からない。
吉澤の「―――抱いてください」という声だけが頭の中をぐるぐる回って
思考を撹乱させる。
無意識のうちに吉澤のケイタイを胸に抱いて、
指先が白くなるほどきつく握り締めていた。
保田の驚きの声が上がった後は、二人が何を話しているのかよく聞き取れなかった。
石川は、不意に寒さを感じて自分を抱いた。
その時、かすかに足音がして二人が出てくる気配がした。
石川はとっさに見を縮めた。
こんなところで隠れて盗み聞きをしている惨めな自分を見られたくなかった。
ちらっと見えた吉澤の横顔は青くて、ひどく緊張しているみたいだった。
こわいくらい。保田はそんな吉澤の背中に軽く手を添えて、気遣っているようで。
- 90 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時36分52秒
- ねぇ、よっすぃー。私みじめだよ。
もう、私のこと嫌になっちゃったのかなぁ。
もう、終わり、なのかなぁ。
完全に、二人の後姿が見えなくなってから、
石川はその場にぺたんとしりもちをついた。
体中の力が抜けてしまった。
涙が、とめどなく落ちてきた。
- 91 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月11日(火)22時39分18秒
- 本日の更新は以上です。
独りよがりな展開になっていないか心配です。
>>83
やすよしは多分ないです。けど読んでいただけると嬉しいです。
- 92 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月11日(火)22時40分10秒
- ↑名前入れ間違っちゃったよ。鬱。
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月11日(火)23時45分46秒
- うわー・・・やや痛め、でもおもしろい。
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月12日(水)01時43分35秒
- うわ〜めっちゃめちゃ面白い!!!
しかもここのやっすーカコイイ!(w
笑うとこじゃないか。更新がんがって下さい。
期待してます。
- 95 名前:mi 投稿日:2002年06月12日(水)13時47分26秒
- うわさの姫子って。誰もつっこみなし?
- 96 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時05分26秒
- 吉澤と保田は自分達の荷物を取りに戻ったところでマネージャーに呼び止められた。
レギュラー番組のディレクターが保田を探しているとのことだった。
保田は吉澤に地階の喫茶店で待っているように告げると番組の収録スタジオに戻った。
ディレクターの話は大したことではなく、番組内コントの保田の台本の変更や、
新しい企画の打診などであった。
もともとスタッフ受けのいい保田は冗談を交えながら30分ほど話して、
スタジオを後にしようとしたとき、顔なじみの番組ADに声をかけられた。
- 97 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時07分03秒
- 「吉澤さんってもう帰られました?」
「どうして?」
「何か、忘れ物って、ケイタイ預かったんですけど。石川さんから」
「石川?」
石川という名前につい反応してしまう。
「マネージャーさんに渡しといてって言われたんスけど。
マネージャーさん見当たらないし」
「後で会うから。私から渡しとくよ」
「すみません」
ADは保田に吉澤のケイタイを手渡すと一旦立ち去りかけてから、
急に思い出したように保田に向き直った。
- 98 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時08分30秒
- 「何か・・・石川さん泣いてたみたいでしたよ」
「泣いてた?!」
「4階のエレベーターホールのとこで会ったんスけど。
何か、余計なお世話かもしれないスけど。
何か、すげー気になっちゃって。すみません」
「ああ、ううん、ありがとう」
「じゃあ、お願いします。お疲れ様でした」
「あ、ちょっと待って。石川いつまでここに居た?」
「小一時間くらい前まで。
撮りが終わってからも中澤さんとお喋りして時間潰してたみたいなんで。
吉澤さん待ってるのかなーとか思ってたんで。
何か余計にヘンだなとか思っちゃって」
ADはテレたような笑顔を浮かべると去っていった。
保田は確信に近いものを感じた。
多分石川はさっきの二人の会話を聞いてしまったんだろうと。
それにしても。
保田は小さく舌打ちした。
ADの分際で、石川の行動をこんなにチェック入れてるなんて。
ヤツは石川ヲタに違いない。
今後、必要以上に石川に近づけないように気をつけないと。
- 99 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時09分17秒
- 石川は電気も点けずに、帰ってきたままの恰好で自分の部屋に座り込んでいた。
何もやる気が起きなくて、どうしたらいいか分からなかった。
とにかく、吉澤の顔も保田の顔も見るのがつらくて、通りがかったADに、
吉澤のケイタイを押し付けるように渡すと、タクシーに飛び乗って帰ってきた。
タクシーの中で、ずっと俯いて鼻をぐすぐすさせていた石川に心配したのか、
運転手がいろいろ話し掛けてきたけど何を言われたのか、
何を答えたのか全く記憶にない。
ご飯食べなきゃ。
お風呂にも入んなきゃ。
明日は入りが早いから早く寝ないといけないのにな。
そう思って立ち上がろうとするのに、体に力が入らない。
- 100 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時09分58秒
- ほんの今朝まではいつも通りで。
昨日の夜だって吉澤はあんなに優しくて。
今朝、吉澤が脱ぎ捨てたパジャマも、まだそのままの形で、
ベッドの上に丸まっているのに。
二人が飲んだコーヒーカップも、まだシンクの中に漬けられたままなのに。
どうしてあんなこと言ったの?
自分に向かって放たれんじゃない言葉。
「ワタシ ヲ ダイテ ホシインデス」
私が何度もよっすぃーのこと愛したいって言っても、
絶対に触れさせてもくれなかったのに。
私じゃダメだったの?
私のこと愛してくれてたんじゃなかったの?
私のこと―――おもちゃにしてただけだったの?
- 101 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時10分31秒
- 石川のひざの上にぱたぱたと音をたてて涙が落ちる。
体中の水分が、全部涙になってしまいそう。
自分と付き合い始める前から、女同士の関係を知っていた吉澤。
いつもへらへらして、真面目な顔は滅多に見せない吉澤。
いつも自分の一歩先を歩いて、余裕の笑みを浮かべる吉澤。
そう、最初から吉澤は自分にいろんなものを与えてくれたけど、
何も与えさせてはくれなかった。
大好きだった吉澤とやっと付き合えるようになって、毎日が楽しくて、
浮かれていて気がつかなかった。
自分は吉澤の手の中で遊ばされていただけで。
その心地よさに甘えていただけで。
吉澤がちっとも全てをさらけ出そうとはしなかったことを。
心の奥底は少しも見せようとしなかったことを。
- 102 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月12日(水)21時11分12秒
- いつまでそうして座り込んでいたんだろう。あたりはすっかり闇に包まれていた。
世界中に自分ひとりしか居ないような静かな部屋に、
突然ケイタイの着信メロディーが鳴り響いた。
その悲しみ満ちた静寂を破った場違いな明るいメロディーが
とてつもなく大きく感じて石川は体を揺らした。
反射的に吉澤の顔が浮かんだ。
何も話したくない!
吉澤の声が聞きたい!
相反する感情に苛まれてからだが動かない。
それでもメロディーは鳴り続ける。
自分を急かすその音に耐えられなくなって、
石川はテーブルに投げ出したままの鞄からケイタイを出した。
「保田・・・さん」
ケイタイの画面に映し出された発信者の名前は、吉澤ではなく保田だった。
- 103 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月12日(水)21時14分50秒
- 本日の更新は以上です。
吉澤さんの秘密は次回で明らかになりそうです。
>>93
これからどんどん痛くなりそうです。
>>94
ありがとうございます。保田さんはいい人です。
>>95
ああやっとつっこんでくれる人が!どうも若い人が多いみたいで。
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月13日(木)01時06分02秒
- 吉の秘密…続きが楽しみです。
保田さん、最近好きなのでうれしいです。
頼れる先輩ですね。
- 105 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時20分22秒
- 初めて訪れた保田の部屋に落ち着かないようで、
吉澤はあちこちをきょろきょろと見回していた。
アジアンテイストにまとめられて、甘いお香の匂いがする。
「コーヒーでも飲む?」
「あっ、はい」
保田は緊張しているのか妙にかしこまった吉澤が可笑しかった。
- 106 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時21分07秒
- カウンターキッチンの向こう側にまわり、コーヒーを2つ用意する。
取り合えずと自分の部屋に連れてきたものの、
どうやって話を聞きだそうか、保田は少し思案していた。
「うわぁー!保田さんわっけー!!」
リビングから吉澤の声が聞こえて、カウンター越しに首を伸ばした。
保田が趣味で昔から撮り貯めた写真が、
大きなコルクボード一面に貼り付けられているのを見ているようだった。
「えっ?コレ矢口さんだ。すげー髪黒い!」
「それは娘。に加入したすぐぐらいだね」
コーヒーカップを2つ手に持った保田が背後から声をかけた。
振り返った吉澤はいくらか緊張がほぐれたようだった。
「ほれ」
コーヒーカップを差し出すと、吉澤は小さく頭を下げて受け取った。
- 107 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時22分06秒
- 「保田さんの部屋って面白い」
「そう?」
「だって、何か、ヘンな置物とか置いてあるし」
吉澤はインド雑貨の店で見かけるような素焼きの像の置物や怪しげな仏像、
不思議な形をした香炉などが所狭しと並んでいるローボードを指差した。
「近くでよく見てみな」
保田に言われてローボードに歩み寄る吉澤。
「あーあーあー!!」
並べられた置物の中に何かを見つけて大声をあげた。
「保田大明神―――!!!」
怪しげな仏像が並ぶ中に、以前歌番組に登場した「保田大明神人形」が
一際異彩を放っていた。
吉澤は腹を抱えて大笑いをしている。
- 108 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時22分51秒
- 「すげーすげーすげー」
「スタッフに頼みこんで無理やり貰ってきたんだよ」
「いいなぁー。すげー欲しー」
涙を流しながら大笑いしている吉澤に保田はほっとした。
そう言えば、この「保田大明神」が出てきた収録のときも、
終わってから吉澤は、よっぽど羨ましかったのか
「保田さんずるい」とぶつぶつ言い続けていたことを思い出した。
テレビ番組での保田の、おいしいといえばおいしいかもしれないが、
徹底的な「ヨゴレ」扱いを本気で羨ましがる吉澤を、
保田は変わった子だといつも思っていた。
「やらないからね」
保田もつられて笑いながらインド綿のカバーをかけたソファーに腰をおろした。
- 109 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時24分06秒
- その後も吉澤はあちこちに飾ってある置物や写真を眺めては
「すげー」だの「かっけー」だのと声をあげていた。
保田も最初はそんな子供っぽい吉澤の行動に目を細めていたが、
さすがにいつまでたっても落ち着こうとしない吉澤にイライラし始めた。
「あーもー、いいから、ちょっと座んなさい」
保田が言うと、吉澤は叱られた子供のようにすごすごと、
保田の座っているソファーとテーブルを挟んで向かい側の床の上に
ちょこんと腰を下ろした。
「で、私にどうしてほしいって?」
結局はどストレートに切り出した。
保田は回りくどい話はあまり得意じゃない。
それにこのまま吉澤が話しはじめるのを待っていたら夜が明けてしまう。
吉澤は俯いて黙り込んでしまった。
保田は小さくため息をついた。
- 110 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時24分49秒
- 「石川とはうまくいってるんでしょう?」
「・・・はい」
「だったら―――何で?」
「答えたくないです」
吉澤は俯いたまま、しかしきっぱりと言った。
その言い方に保田は少し腹を立てた。
「ふざけんじゃんないわよ。
理由もなしに抱けなんて言われて、はいそうですかなんて言えるわけないでしょ?
大体アタシ、そんなことで余計なゴタゴタに巻き込まれるのはゴメンだからね」
「じゃあ・・・いいです。忘れてください」
吉澤は立ち上がろうとした。苦痛に満ちた顔をしていた。
- 111 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時25分28秒
- 「待ちなさいよ」
保田は鋭い声で言った。
「何だか知らないけど悩んでるんでしょ?
助けて欲しいんでしょ?
だったらきちんと話しなさい。
あんたが自分のことベラベラ喋るのが好きじゃないってことは知ってるけど、
人に何かして欲しいときは自分から心を見せなきゃ誰も何もしてくれないよ」
「保田さん・・・」
「待っててやるから。ゆっくりでいいから話してみな」
吉澤は神妙な顔で元の位置に座りなおした。
保田はすっかり冷え切った2人分のコーヒーカップを持って立ち上がった。
新しいコーヒーを入れながらそっと吉澤の横顔を盗み見た。
- 112 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時26分56秒
- 吉澤は、時々突飛な行動に出て人を驚かせたりするけれど、
歳の割にはしっかりした子だと思っていた。
新メンバーとして入って来たときも、まんま子供だった辻加護のめちゃくちゃさや
すぐ壁にぶち当たってはメソメソしていたネガティブ石川の印象が強すぎて、
吉澤は手のかからない子に思えた。
正直、吉澤が新メンバーだった時の記憶はほとんどなかった。
だけど、今思えば当時の吉澤はまだ15歳のほんの子供で、
本当はいろんな戸惑いやプレッシャーに押しつぶされそうになっていたに違いない。
そう、当時の吉澤は、その押しつぶされそうな自分と闘うように、
いつもくっと唇を引き結んで、
およそアイドルらしくない可愛げのない顔をしていたことを思い出した。
そして、今の吉澤の横顔はその頃を思い出させた。
保田はそんな吉澤がとてもかわいく、けなげに思えた。
- 113 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時27分43秒
- 保田はカップを吉澤の前に置いた。
「のみな」
「あたし―――」
吉澤は、ゆっくり口を開いた。妙にかすれた声だった。
「あたし―――不感症なんです」
がしゃん。
その、全く予想していなかった吉澤の台詞に、
保田は手にしていたコーヒーカップをすべり落としてしまった。
- 114 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時29分07秒
- 「あつっ―――!あつっあつっあつっ!」
「保田さんっ!大丈夫ですかっ?!」
吉澤は慌ててテレビの横にあったボックスティッシュをひっつかむと
派手に何枚も抜き取った。
2人は一斉にテーブルの上のコーヒーの洪水をティッシュで押さえた。
- 115 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時29分51秒
- 吉澤よりは多少なりとも多くの人生経験を積んできたと自負していた保田は、吉澤の「抱いてください」発言を聞いたときから、
ある程度吉澤が何を思い悩んでいるのかは見当をつけていた。
相手はまだ17の子供なんだから。
石川とケンカでもしたのか、もしくは何かの理由で別れたいとおもっているのか、
いや、女同士であることに悩んでいるなんていうのも
根の真面目な吉澤にはあるかもしれない、と。
それをいきなり不感症だなんて告白されても。
「どないせーっちゅうねん」という中澤式のつっこみが喉まで出かかったが、
必死にこぼれたコーヒーを拭いている吉澤の顔を見て、飲み込んだ。
吉澤は今にも泣き出しそうだった。
どりゃあそうだろう。普段へらへらしていても、
その実、人一倍プライドの高い吉澤が必死に絞り出した告白だったのだから。
- 116 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時30分30秒
- 「そんな驚かなくても」
吉澤は小さな声で独り言のように呟いた。
「それで、アタシとしたら治るかもしれないって?」
保田は、出来るだけ冷静を装ってゆっくり言った。
吉澤はより一層深くうなだれるように頷く。
「何で、アタシなわけ?」
「―――保田さん、上手いって、聞いたから」
蚊の鳴くような声。
吉澤はさっきからちっとも保田の顔を見ようとはしない。
もうすっかり綺麗になったテーブルをまだ拭き続けている。
- 117 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月13日(木)22時31分09秒
- 「だっ、誰よ、そんなこと言うのは」
「ごっちん」
「ごとぉぉぉぉ!!」
保田は頭を抱えてうめいた。あのクソガキ。
確かに、その場の勢いで、そういうことがあったような―――。
「ちょっと待って。吉澤もすごいって聞いたわよ。アタシ」
「誰に?」
「石川」
「梨華ちゃぁぁぁん!!」
今度は吉澤がうめいた。
女が13人も居れば、秘密なんてあってないようなものだった。
- 118 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月13日(木)22時34分09秒
- 本日の更新は以上です。
この先どんどん暗くなりそうなんで、ちょっと明るめで。
>>104
不感症→ノーリアクションって、我ながらくだらねぇ。
保田さんは非常に動かしやすいです。
- 119 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月13日(木)23時39分34秒
- いきなし笑わせていただきました(w
この後の展開も楽しみにしてます。
- 120 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月14日(金)00時56分41秒
- 並んで私も大爆笑でした(w
最後の会話のあたりサイコ−!あははは!
- 121 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月14日(金)01時07分25秒
- 痛さ倍増中
- 122 名前:くわばら。 投稿日:2002年06月14日(金)01時28分35秒
- 初レスです。
>女が13人も居れば〜
この一文だけで、PCの画面は噴出した唾でもう。
いや、面白いですね。続きを楽しみにしております。
- 123 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月14日(金)04時10分29秒
- 今一気に読んじゃいました。
おもしろいし、なにげに痛めだし、エロでは(;´Д`)ハァハァ しまくり(w
サイコーです!!
がんがってください。
- 124 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時23分01秒
- 「それにしても」
保田は気を取り直すと言った。
「石川はそのこと知ってんの?」
核心を突かれたのか吉澤はびくんと体を揺らした。俯いたまま黙り込む。
「返事しないってことは、知らないのね」
吉澤は小さく頷いた。
「そーゆーことは2人で解決することなんじゃないの?」
ここで、吉澤を抱くことはできないことじゃなかった。
心を伴わない肉体関係が罪悪であると思っているほど保田は子供ではなかった。
しかし、そうすれば余計に話がややこしくなることは火を見るよりも明らかだった。
- 125 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時24分16秒
- 「梨華ちゃんには知られたくない」
「何で?」
「梨華ちゃんはロマンチストだから」
吉澤は少し悲しそうに微笑んだ。
「多分、あたしが感じなかったら、自分の愛が足りないからだって
落ち込みそうだし―――。
それに梨華ちゃんがすきなのは「かっけーよっすぃー」だから。
そういう、感じないとか、ダメなところは見せれない」
俯いたまま淡々と話す吉澤は、それでも、口調とは反対に
今にも泣き出しそうな顔をしていた。
吉澤がとても真剣に悩んで話しているのは分かっていたけれど、
保田はそんな、頼りなげで弱っている吉澤がとても可愛く思えて、
自然と微笑みがこぼれるのを感じた。
- 126 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時25分24秒
- 「それじゃあ、石川の前では、これからもずっと「かっけー吉澤」を
演じていくつもりなの?
今のアンタ、かわいいよ。
いつも生意気なアンタが、ちょっと弱っちくって。
石川だってそういうアンタを見たいと思ってんじゃないの?」
吉澤は顔を上げて、やっと保田と目を合わせた。
「こんなあたしを、梨華ちゃんが好きじゃなかったら?
梨華ちゃんはあたしを「理想の王子様」だと思ってるんです。
笑っちゃうけど、本気で。
その王子様が本当はただの情けない女の子だって分かって、
離れてっちゃったらどうすればいいんですか?
あたしは、梨華ちゃんに嘘をついても、「かっけー吉澤」を
演じ続けてることになっても構わない。
梨華ちゃんを失うことだけが―――怖い!」
静かに、でも噛み付くように鋭く言い放つ吉澤に、保田ははっとした。
- 127 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時26分35秒
- 吉澤が真剣なのは分かっていた。
だけどどこかクールな吉澤がこんなに思いつめているとは思っていなかった。
こんなに石川に執着しているとは。
いつも吉澤にまとわりついているのは石川の方で、
石川の方が吉澤が想うよりも吉澤のことを想っていると思っていた。
吉澤にこんなに激しい想いがあったなんて。
そして、それを四六時中一緒に過ごしている自分にすら隠し通していたなんて。
保田は、自分が2人のことを、心のどこかで
所詮子供の恋愛だと思っていたことに気がついた。
自分は大人だから。
話を聞いてやって、適当なアドバイスでもくれてやれば
解決することが出来ると思い上がっていた。
- 128 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時27分23秒
- 「だから、保田さんに抱いてもらって、少しでも感じられるようになれば―――。
別にあたし、梨華ちゃんにされたいと思ってるわけじゃないし。
ただ、梨華ちゃんがどうしてもしたがるから―――。
一回されてあげれば梨華ちゃんも納得するだろうって」
こんな、目に一杯涙を溜めながら、それでも強がってみせる吉澤に、
何がしてやれるというんだろう。
今度は保田が吉澤から目を反らせた。
「自分がめちゃくちゃなこと言ってんのはわかってんだろ?
そんなこと、何の解決にもならないって。」
不甲斐ない自分が悔しかった。出来ることなら何とかしてやりたかった。
「アタシには、何も、できない」
- 129 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時28分18秒
- 保田は立ち上がると、自分のバッグから、
石川がADに預けADから自分が預かった吉澤のケイタイを出した。
自分と吉澤の間のテーブルに置く。
吉澤はすこし驚いた顔で保田を見た。
「給湯室でアンタと話してるとき石川が届けに来たみたいで。
あのこ、多分、聞いたよ。
アンタが、アタシに、抱いて欲しいって言ったの」
吉澤は狼狽した。
大きく目を見開いて、テーブルに置かれた自分のケイタイをじっと見つめた。
それから、何度も頭の中で保田の言葉を繰り返して、やっと理解したようで、
眉をひそめ、ゆっくり首を振った。
唇が震えていた。
- 130 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時29分06秒
- 「アンタの話が、こんなに重いとは思わなかったから。
石川に電話したんだ。アンタ達2人で話し合った方がいいと思って」
保田は言葉を区切ると、心配そうに吉澤を見た。
「もうすぐ、あのこ、ここに来るよ」
がたん。
吉澤は弾かれたように立ち上がった。
- 131 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時29分41秒
- 「ひでぇ・・・保田さん」
「ごめん」
吉澤はテーブルに置かれた自分のケイタイと鞄を掴んだ。
絶望と憤りの入り混じった目で保田を一瞥する。
そして、無言のまま保田の部屋から出て行った。
ぱたん。
静かな音をたててドアが閉まる。
吉澤が去っていったドアに向かって保田は呟いた。
「ごめん」
- 132 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時30分37秒
- 保田のマンションのエレベーターの中、
吉澤は自分の体の震えを止めることができなかった。
頭が混乱している。
「アノコ タブン キイタヨ。
アンタガ ワタシニ ダイテホシイッテ イッタノ」
吉澤は、自分が今どんなに情けない顔をしているのか知っていた。
混乱して、怯えて、泣きそうで。
一番石川に見られたくない自分だった。
「モウスグ アノコ ココニ クルヨ」
石川に会いたくなかった。会えない。会うのが怖い。
- 133 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時31分33秒
- エレベーターが1階についた。このドアの向こうに石川がいたら―――。
そう思うだけで吐き気を覚えた。自分で自分がコントロールできない。
こんな恐怖は初めてだった。
ドアが開くと、吉澤は全速力で駆けだしていた。
目的地などなかった。
とにかく一歩でも保田のマンションから、石川から遠ざかりたかった。
周りの景色が飛ぶ。
酔っ払いのサラリーマンと肩がぶつかる。
風を受けてジャケットがたなびく。
息が切れる。
酸素が足りない。
足がもつれてつんのめる。
それでも吉澤は走り続けた。
苦しい。苦しい。苦しい。
- 134 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時32分05秒
- それでも頭に浮かぶのは、愛しい石川の顔。
からかわれて、唇をとがらせて上目遣いに睨みつける梨華ちゃん。
あたしの肘をつかんでちょっとテレたように笑いかける梨華ちゃん。
イジワルが過ぎて、半べそをかいてくってかかってくる梨華ちゃん。
梨華ちゃんが望むなら、あたしは男になってもいい。
梨華ちゃんを失うくらいなら、すべての感情をなくしたってかまわない。
ううん―――なくしてしまいたい。
- 135 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月14日(金)21時32分38秒
- パァァァァァ―――。
クラクションの音とヘッドライトの眩しさに、吉澤は思わず立ち止まった。
急ブレーキにタイヤが悲鳴をあげるのを聞いた。
吉澤の、ほんの20センチ手前で、車が急停止した。
いつのまにか、車道の真ん中に飛び出していた。
急停止した車のドライバーの怒鳴り声が、何故か遠くに聞こえた。
不思議と少しも怖くなかった。
車道の真ん中で、ヘッドライトの光に浮かび上がったシルエットの吉澤は、
美しく、悲しく―――そして冷たく見えた。
- 136 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月14日(金)21時39分44秒
- 本日の更新は以上です。
多分、残り2、3回かな?
>>119 >>120 >>122
この部分は、本当にオマケみたいなつもりで書いたのですが。
upするかどうか実は結構迷いました。
評判よくてびっくりです。
>>121
「あいつって本当に痛いヤツだよな」の痛さじゃないですよね?
>>123
ありがとうございます。がんばります。
- 137 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時48分07秒
- 石川は保田のマンションの前で決めかねたように立ち尽くしていた。
保田は電話では多くを語らなかった、吉澤が来ているからすぐに来いと告げると、
石川の返事も聞かずに切ってしまった。
結局、じっとしていられなくてここまで来てしまったけれど。
石川は迷っていた。
―――本当に自分が訪ねていってもいいんだろうか。
石川は不安に苛まれていた。
もし別れ話を切り出されたらどうしよう。
保田と付き合うことにしたと言われたら?
自分は吉澤に何もしてやることができなかった。
大人の保田にならば、吉澤は心から甘えることが出来るのだろうか。
- 138 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時49分07秒
- 背後に人の気配がして石川ははっと振り返った。
マンションの住人らしき男性が立ち尽くしている石川を胡散臭そうに見ていた。
石川は急に恥ずかしくなって、とっさにインターホンで保田の部屋番号を押してしまった。
数秒の間があって、保田の声が聞こえた。
「石川?」
「はい」
「上がってきて」
オートロックの自動ドアが開くのを待って、石川は小走りで中に入った。
ここまで来てしまったんだからしょうがない。
石川は、保田の部屋の前で自分に言い聞かせてドアホンを押した。
少し指先が震えた。
パタパタと保田の足音がかすかに聞こえてドアが開く。保田が顔を出した。
目線で石川に玄関に入るように促した。
保田は、心なしか疲れているような暗い表情をしていた。
- 139 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時50分11秒
- 「あの・・・」
何と言っていいのか、石川は言葉を濁した。
「ごめん、吉澤、帰ったから」
「えっ?」
「呼びつけといて申し訳ないけど。帰って」
申し訳なさそうに、それでもきっぱりと保田が言った。
勇気を振り絞ってここまで来たのに。帰れと言われて石川は戸惑った。
「アンタ、吉澤のアレ、聞いたんでしょ?」
石川は小さく頷いた。給湯室でのことを言っているとすぐに分かった。
「アタシと吉澤は、何でもないから。後は二人で解決しな」
保田の言葉をどう受け止めていいのか分からなくて、
ここに来るまでの緊張の糸がぷつんと切れて、
石川の目は涙で潤み始めた。
保田はそんな石川を見て、少し表情を和らげると、そっと石川の頭に手を置いた。
「アタシ、何とかしてやれると思ったんだけど、ちょっと甘かった。
アンタ達のこともっと子供だと思ってたし。
結局、余計なお世話ってゆーかさ。
アタシには何にも出来ないみたいだから」
- 140 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時51分14秒
- 石川は保田を見上げた。
吉澤が保田に何を話したのか、本当は聞きたかった。
でも、そのつらそうな表情を見たら、それ以上何も言えなかった。
「タクシー呼んでやるから。帰んな。
上がってゆっくりコーヒーでもご馳走してやりたいけどさ。
多分、これも余計なことだと思うけど、早く帰って吉澤と話した方がいいと思うし」
「よっすぃーは」
口を開くと大粒の涙がこぼれてきた。
泣いたら、何だかつらそうな保田を余計に困らせるとガマンしていたのに。
「わ、私のこと、嫌い、に、なったんじゃ、ないん、で、すか」
泣いてはいけないと思うと余計に涙がこみ上げてきて、
石川は声を詰まらせながらやっとそう言った。
「アンタは愛されてるよ。―――怖いくらいに」
保田は大きすぎる石川への愛に怯えていた吉澤を思い出して、言った。
- 141 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時51分50秒
- 涙の止まらない石川を送って、マンションの前からタクシーに乗せた後、
保田はがっくりと肩を落とした。激しい疲労と無力感に苛まれた。
かわいい後輩であり、大切な仲間である2人がこんなに苦しんでいるのに、
自分は何もしてやることが出来ない。
無力な自分が悔しかった。
- 142 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時52分41秒
- 自分のマンションの前でタクシーを降りた石川もまた、疲労感に襲われていた。
―――私は何をやっているんだろう。
今日一日で流しすぎた涙に、瞼が重く、熱くなっているのを感じる。
鈍い頭痛がする。
何気なく腕時計に目をやると午前1時を過ぎていた。
明日のスケジュールを思って、より気分は重くなった。
石川は片手に鍵を持って急ぎ足でマンションのホールに足を踏み入れた。
目の端に見慣れない影を感じて、肩越しに見やる。
- 143 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時53分27秒
- 「きゃっ!!!」
石川は思わず小さな驚きの声をあげた。
ホールの隅の暗がりに人がうずくまっていた。
石川はとっさに身の危険を感じて体を硬くした。
「どこ行ってたのさ。遅いよ」
うずくまっていた影が、ゆらり、と動いた。
「よっすぃー!!」
石川は思わず声をあげた。その声は吉澤だった。
「どうして―――」
ゆっくり立ち上がり、暗がりから石川に近づいてくる吉澤。
陰になって表情は読めない。
「保田さんのトコ、行ってたの?」
驚いて立ち尽くしたままの石川はきつく腕を握られて、
思わずびくんと体を揺らした。
「どうしたの?怖い?」
- 144 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月15日(土)23時54分31秒
- ホールの薄明かりの中で、やっと吉澤の表情が明らかになった。
口元を歪めて、いつもの人をくったような笑みを浮かべているけど、
目だけが笑っていない。
いつもなら、吉澤が訪ねてきたら、どんなに突然でも大喜びをしていた石川だが、
今日の吉澤はいつもと違う。怖い。
「ねぇ。どうしたのさ」
石川ははっとして、取り繕うように言った。
「びっくりしちゃって―――。
こんな時間に、こんな所で座り込んでたら、危ないじゃない」
「迷惑?」
「そんなこと――」
「部屋行こうよ」
吉澤は乱暴に石川を引き寄せて、肩に手をまわした。
吉澤の体は、湿った夜の空気と汗の匂いがした。
- 145 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月15日(土)23時56分16秒
- 本日の更新は以上です。
明日は更新できるか微妙です。
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)00時08分49秒
- うわぁ〜、ますます痛くなっていきますね。
梨華ちゃん、早くよしこを救ってやってくれ〜!
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)00時22分11秒
- 続きがめっさ気になります〜!
このあと二人がどうなるのか…
よっすぃーが特に。
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月16日(日)03時03分38秒
- うわっ、続きが気になって眠れないっす。
どうなるんだろ、どうなるんだろ…
吉は何を思ってるんだろう?
- 149 名前:名無し(0^〜^0) 投稿日:2002年06月16日(日)21時47分58秒
- 笑いあり、痛いあり、エロありでお腹いっぱいデス。
こんなにメニューの多いには初(w
期待してます、がんがって下さい。
- 150 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時19分30秒
- 2人は無言のまま部屋に入った。
吉澤は体を投げ出すようにしてソファーに倒れこんだ。
気を落ち着かせる為に、石川はキッチンの冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、
ビンのまま飲んだ。
吉澤の訪問はあまりにも突然で、石川は混乱していた。
今日の給湯室でのこと、保田に何を話したのか、
吉澤に聞きたいことは沢山あったはずなのに、
今目の前にいる吉澤は、まるでいつもの吉澤とは別人のようで、
何も寄せ付けないような近寄り難さを感じさせた。
- 151 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時20分47秒
- 「あの―――。いつから下にいたの?」
「保田さん、何て言ってた?」
石川の質問を無視して吉澤は言った。
「何って・・・」
吉澤は何かに苛立っているように、親指の爪をがしがしと噛んでいた。
視線も落ち着きなくあちこちに飛んでいる。
「別に何でもないから。ちょっと、保田さん、からかっただけだから」
吐き捨てるように言う。声のトーンが上がった。
「うそ!そんなカンジじゃなかった。保田さんすごく心配―――」
吉澤はソファーから立ち上がると、つかつかと石川に歩み寄り、抱き寄せ、くちづけた。
その、心のこもらない乱暴なやり方に石川は抵抗する。
「やめ―――」
逃げても逃げても吉澤に抱きすくめられ唇を奪われる。
吉澤の腕の強い力に恐怖を覚える。
何よりも、こんなに近くにいても何も映していない様な無機質な吉澤の瞳に怯えた。
「やだーっ!」
- 152 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時21分38秒
- 石川は渾身の力で吉澤を突き飛ばした。ぽろぽろと大粒の涙をこぼす。
突き飛ばされた吉澤は、ほんの少し眉を上げて驚いたような顔をしたが、
すぐに口の端だけに中途半端な笑みを浮かべた。
「いいじゃん。いつもしてるのに。何もったいぶってんの?」
吉澤には冷たく言い放つ自分の声が遠くに聞こえていた。
冷め切った頭で、自分がこんなにも嫌なヤツにもなれることに驚いていた。
それでも、このゲームを止めることはできない。
誰よりも守りたいと思っていた石川を泣かせても、自分の弱さを隠すために。
吉澤は、完全に怯え、しゃくりあげている石川との間合いを詰めた。
石川は後ずさり、壁際に追い込まれた。
「いや・・・いや・・・」
呪文のように拒絶の言葉を繰り返す。
吉澤は石川の腕をきつく掴んで壁に押し当てた。
石川は怯えて目を閉じ顔を背けている。
石川の体の震えが吉澤に伝わった。
その時。
- 153 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時22分32秒
- 「あっ・・・」
石川が驚きの小さな声をあげた。
怯えて硬くしていた体を、急に優しく抱きしめられたからだった。
吉澤は石川の首筋に顔を埋めた。
「ごめん。ひどいことしてごめん」
「よっすぃー?」
「あんまり、待たされたからさ。ちょっとイジワルしたくなったんだ」
石川の存在を確かめるように、吉澤は自分の腕に力をこめた。
やわらかい髪。
細い肩。
甘い匂い。
自分の腕の中にいる石川に安心する。
そしてまたひとつ嘘をつく。
こわばっていた、石川の体と心がゆっくりと弛緩していく。
安堵のすすり泣きが始まる。
「ばっ、ばか、よっすぃーのばか。こわ、こわか、たんだか、ら」
自分にしがみついてくる石川の髪をなでながら、吉澤は自分に言い聞かせていた。
- 154 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時23分07秒
- ほらね。
梨華ちゃんは素直で単純だから、すぐに騙される。
あたしの思うとおりに動いてくれる。
大丈夫、大丈夫。
あたしは、まだ。
梨華ちゃんをコントロールしていられる。
まだ。
梨華ちゃんの愛するよっすぃーでいられる。
まだ、大丈夫。
追い詰められていたのは、吉澤だった。
- 155 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時24分08秒
- 「ねぇ、もう2時まわっちゃったよ。お風呂入んなきゃ」
ソファーの上で、ずいぶん長い間吉澤の腕に抱かれていた石川が思い出したように言った。
「ん?もう涙止まった?」
吉澤が顔を覗き込むと、石川は照れて拗ねたような素振りで顔を隠した。
「何か、今日はいっぱい泣いちゃった」
独り言のように言うと、石川は少し弾みをつけて立ち上がった。
吉澤は不意に軽くなった腕に少し不安を感じて視線を落とした。
「どしたの?」
「んー?」
少し心配そうな顔で、真直ぐに自分を見ている石川に、吉澤は笑顔で嘘を重ねる。
「梨華ちゃん、ちょっと重くなったなーって」
「ひどぉぉぉい!気にしてるのに!」
ぺしん、と吉澤の頭をぶつ。
「梨華ちゃん、先入ってきなよ」
「よっすぃーは?」
「あたし、明日午後入りだし。後でいいや」
「うん。じゃあさっと入ってくるね」
- 156 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時25分07秒
- 石川は手早く入浴の準備をして、浴室に消えた。
「ちゃあーんとすみずみまで洗うんだよー」
「よっすぃーのバカ!スケベ!ヘンタイ!」
いつもよりエコーの効いた石川の罵声が聞こえた。
一人になった吉澤は、テレビのリモコンを持つと、
少し大きめのボリュームでテレビを点けた。
別に見たい番組があるわけじゃない。
気を紛らわせたかった。
- 157 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時26分24秒
- ちょっと手荒く扱って後で優しくしてやれば、
すぐに石川がごまかされしまうことは分かっていた。
最初からそうするつもりだった。
でも。
吉澤は自分の手のひらを見つめた。
石川を壁際に追い込んだとき、乱暴に腕を掴んだとき。
一瞬自分を忘れそうになった。
何もかも忘れて、石川をめちゃめちゃにしたい衝動に駆られた。
自分の中の何かが暴走しかかっていた。
石川の体の震えが伝わらなかったら。暴走していた。
吉澤は、大きく息を吐き出して、こめかみに手をやった。頭が痛かった。
梨華ちゃん。
梨華ちゃんの大好きな王子様は、本当はこんな情けないヤツなんだよ。
自分を守るためなら平気で梨華ちゃんのこと傷つけたり泣かせたりして。
嘘ばかりついて、取り繕って。
それでもまだ梨華ちゃんを繋ぎとめておきたくて。
梨華ちゃんの知らない本当のあたしの中身はぐちゃぐちゃでドロドロなんだ。
だから。
梨華ちゃんのそばにいたいから。
こんなあたしを知ろうとしないで。
気付かないで。
- 158 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時27分15秒
- まだ、大丈夫だから。
なだ、嘘をついてられるから。
まだ大丈夫。まだ大丈夫。まだ大丈夫。
まだ――――。
まだ?
いつまで?
いつまで大丈夫?
いつかは―――ダメに―――なる、の?
「ひっ―――」
吉澤は引きつるような声をあげて、息を詰めた。
嫌な汗が体の芯から噴きだしてくる。
がたがたと体が震えて、胃液がせりあがってくる。
保田のマンションのエレベーターで感じたパニックが、また吉澤を襲う。
吉澤は自分をきつく抱いて小さく丸まった。
唇を噛み切るほど強く噛み締めた。
恐怖に体が支配されていく。
- 159 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時27分49秒
- 早く。
早く治まらないと。
こんな姿、梨華ちゃんに見せられない。
苦しい。
早く。
見られちゃうよ。
苦しい。
早く。
苦しい。
苦しい。
苦しい。
梨華ちゃん。
怖いよ。
助けて―――――――!!
- 160 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時28分36秒
- 「私・・・そんなに頼りない恋人、かなぁ」
背後からの声。
吉澤はびくんと体を揺らした。
そして、ゆっくりと振り返った。
困ったような、ちょっと悲しいような顔した石川が立っている。
じっと吉澤を見つめて。
「やぁぁ―――・・・!」
吉澤は声をあげる。喉から絞り出すような、どこか獣じみた声。
パニックに震えていた自分を石川に見られたことに対する絶望の表情。
何も考えられない。
取り繕うこともできない。
ただ、いやいやをする赤ん坊のように首を振ることしかできなかった。
- 161 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時29分16秒
- 「私にだって、よっすぃーが苦しんでることぐらいわかるもん」
「や・・・見ないで」
「・・・わかるんだもん」
石川はゆっくりと怯えた顔で震えている吉澤に近づいた。
「こないで―――」
吉澤はまるで全てを隠すように、体を二つ折れにしてうずくまった。
両手で耳をふさぐようにして石川を拒絶する。
「大丈夫」
- 162 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時29分51秒
- 石川は、吉澤に覆い被さるように抱きすくめた。
吉澤は激しく暴れる。
言葉にならない声でわめく。
石川は構わずにぎゅうううと抱きしめて囁いた。
「もう、いいんだよ」
直接頭の中に響いていくるような、石川のやわらかい声。
吉澤の心の中の「何か」が解放されいく。
- 163 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時30分29秒
- 「わああああああああああああああ」
吉澤は大声を上げて泣き出した。
石川の腕に抱かれて。
子供のように。
初めて、石川の前で泣いた。
- 164 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)11時31分03秒
- 吉澤は、石川の暖かい胸に抱かれて、自分の声を遠くに聞いていた。
この、みっともない大声をあげて泣いているのは本当に自分?
心が遠くに感じる。
でも、それは少しも不安でも不快でもなくて。
罪を許されて天国に昇る魂って、きっとこんな感じ。
しゃくりあげ、息を詰まらせ、涙で顔をくしゃくしゃにして泣き続ける体とは反対に、
吉澤の心はどんどん穏やかになっていく。
情けないなぁ。
こんな、みっともないの、あたしじゃないよ。
―――でも、すごく、すごく、気持ちいいよ。
- 165 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月17日(月)11時39分53秒
- 本日の更新は・・・以上じゃないかもしれません。
出来たら、今晩もう1度更新するかもしれません。
>>146
梨華ちゃん女神です。吉澤さんは救われたでしょうか?
>>147
一応2人落ち着いたかな?でもこれからオチもあります。
>>148
不眠症になられないように一気に更新いたしました。いかがでしょうか?
>>149
ありがとうございます、初とはうれしいです。
まだ最後にちょこっとエロがあります。多分。
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)13時14分41秒
- よっすぃー切ないね…。
更新楽しみに待ってます。作者さんがんがって!
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月17日(月)18時27分00秒
- 女神梨華ちゃん、よしこの全てを包み込んであげて〜!
ちょこっとエロにも期待しつつ(W、更新楽しみにしています。
- 168 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)22時55分37秒
- どのくらいしてからか、石川はゆっくり吉澤の体を抱き起こして、ソファーに座りなおさせた。
自分も吉澤のとなりに座る。
吉澤はまだ小さくしゃくりあげていて、子供のように両手の甲でごしごしと涙をぬぐっていた。
「落ち着いた?」
吉澤の背中をやさしくさすりながら尋ねる。
「んっ、ん。すご・・・はずか、しい」
石川は何も答えず小さく笑った。吉澤の背中をさする手に少しだけ力がこもった。
しばらく、心地のよい沈黙が流れた後、石川が話し始めた。
「ほんとは、ちょっとびっくりしちゃった。あんなよっすぃー、初めて見たから」
吉澤は目をごしごしこすりながらぶんぶんと首を横に振った。
石川は「目、腫れちゃうよ」と呟いて、吉澤の手首をそっと掴んだ。
- 169 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)22時57分16秒
- 「私、いつもよっすぃーに甘えてばかりで、全然、ダメな恋人だったね」
「ちが・・・」
「何にも気がつかなくて」
吉澤は呼吸を整えよと大きく深呼吸した。
「ちがう、梨華ちゃ、悪いん、じゃなくて。
あたしが、勝手に。
梨華ちゃんが、その、あたしに、しようと、ずっと、してて。
でも、あたし、だめなの、―――感じ、ないんだ、てこと、言えなく、て。
それが、何か、ずーっと、たまってきちゃって。
何か、被害妄想、じゃ、ないけど。
いろいろ、わけが、わかんなく―――」
吉澤が、途切れ途切れの言葉で、たどたどしく話していると吉澤の背中をなでていた石川の手が止まった。
吉澤はおそるおそる石川の顔を見た。
- 170 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)22時58分05秒
- 石川は、ぽかんと口を開けて、驚いたようなきょとんとしたような顔で、
吉澤を見つめていた。
「ダメ、なの?」
「へ?」
「感じない、の?」
吉澤はさーっと血の気が引くのを感じた。
「どうしたの?よっすぃー?」
あたし、言わなくてもいいこと、言った?
自分から、ばらしちゃった?
自分の告白を思い出して、さっき引いた血の気が逆流して、
体中の血液が全て頭に昇ってくる。
「おーい、吉澤さーん。青くなったり、赤くなったりどーしたの?」
吉澤の顔の前で手をひらひらさせる石川。
- 171 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)22時59分16秒
- 「やす」
「やす?」
「保田さんに、聞いたんじゃ、ないの?」
「何を?」
石川は不思議そうな顔をして吉澤の顔を覗き込んだ。
「何を―――って。だから、その、感じるとか感じないとかみたいな・・・」
吉澤は口の中でもごもごと答えた。バツが悪かった。
石川はしばらくきょとんと吉澤を見ていたが、やがて大きく手を叩いた。
「あーっ!わかったぁ!!だからよっすぃー、保田さんにあんなこと言ったり、
相談しに行ったりしてたんだぁ!」
それから、ちょっと怒った顔をしてみせて、吉澤を小突く。
「もーっ、よっすぃーったら信じられない!
私というものがありながら、どうして保田さんに相談したりするの?
私そんなに頼りない?
そりゃ、私は経験豊富ってわけじゃないけど―――」
「じゃあ、さっき何で、あんな不意打ちみたいな真似、したの?」
- 172 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)23時00分32秒
- 「だって―――。だって、お風呂入ろうと思ったんだけど、
何か、なんとなく、よっすぃーのことが心配になって。
何でかわかんないけど。なんとなく」
「なんとなくぅー?!」
「でもっ!だって、そしたら、よっすぃー、何か、すごく苦しそうにしてたじゃない。
だから、やっぱり、何かあったのかなぁーって」
「だって、そんなの、もしかしたらお腹とか痛かっただけなのかもしんないじゃん」
吉澤が言うと、石川は心配そうに吉澤の顔を覗き込んだ。
「―――お腹、痛かったの?」
その、石川の素直で純粋な瞳に、吉澤は体中の力がへなへなと抜けていくのを感じた。
- 173 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)23時01分09秒
- 「―――もぉいい」
「何?」
吉澤は、お風呂場の方に手を振った。
「明日早いんでしょ?とっととお風呂に入ってきなよ。
寝坊してベソかいても知んないからね」
「もーっ!すぐそうやってエラそうにするんだからっ!
言われなくったって入るもん!
もう、よっすぃーのことなんか心配してあげないんだからっ!
よっすぃのばーーーーか!」
石川はぷりぷり怒って、それでも今度こそ本当にお風呂に入っていった。
- 174 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)23時02分32秒
- 何にも知らないくせに。
ただ、「何となく」で、
自分があんなに必死に心の中に張り巡らせていたバリケードを取っ払ってしまった石川。
「何となく」の行動で、自分にあんなみっともない大泣きをさせて、
恥ずかしいこと告白させて、
―――つまんないプライドでがんじがらめになっていた自分を解放してくれるなんて。
「こえぇーーーーー」
吉澤は、ずるずるとソファーからすべり落ちた。
そして、ひとりでくすくすと笑い始めた。
梨華ちゃんには、結局、かなわない。
鈍感で、単純で、小さなことには全然気がつかない癖に。
大切なことだけは、本能的にちゃんとわかっていて、自分を助けてくれる。
小さなことばかりに捉われて、いつも大切なことを見逃してしまいそうになる自分を。
- 175 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月17日(月)23時04分01秒
- 吉澤は今まで忘れていた、大切なことを思い出した。
自分が、4期メンバーとして娘。に加入した頃。
吉澤は敬語も知らない、子供っぽい辻加護や、
暗くて不器用で、何かっていうと年下の自分に泣きついてくる石川を
心のどこかで見下げていた。
自分は、自分のことはそれなりに自分でできるし、
器用でしっかり者の自分に自信を持っていた。
しかし、加入から半年を過ぎた頃、
自分以外の3人は、しっかり自分の居場所を見つけていて、
いつの間にか自分よりずいぶん前を歩いていることに気がついた。
取り残されていたのは、吉澤だった。
初めての挫折、焦り、屈辱、孤独―――。
出口のない迷路に閉じ込められて、
自分を見失いそうになっていた自分を救ってくれたのも、
やはり、石川だったということを。
今みたいに、石川自身は、多分何も気付かずに、無意識のうちに、
でも、確かに救ってくれた。
そして、そこから吉澤の長い、長い恋が始まったことを。
- 176 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月17日(月)23時13分18秒
- 本日の更新は以上です。
一応、何と言うか本編はここで終わり、でもいいと思うんですが、
この話を書くにあたって一番書きたかった場面がどうしても入りませんでした。
と、いうことで、内容的に多少ダラダラしてしまいそうですが、もう少し続きます。
まぁ、何て言うか、エピローグと番外編の間みたいな感じで。
お付き合いいただければ光栄です。
>>166
ありがとうございます。吉澤さん、ちょっとはむくわれたの、かな?
>>167
女神梨華ちゃんは、やっぱり天然梨華ちゃんだったと言うことで。
- 177 名前:吉澤ひと休み 投稿日:2002年06月18日(火)00時28分05秒
- いやあ、いいッス!
梨華ちゃんは天使ダァァーーー!!
作者さんガンガッテ下さい!
(0^〜^)<もぉう、早くお風呂入ってきたら!
(;^▽^)<なんで???
- 178 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月18日(火)00時58分24秒
- もう今回ぼろぼろ泣きました。最後の辺りで特に。( T▽T)
実際のよっすぃーもこう・・・悩みとか辛さとかをぐっと心の
奥底にためて他人に弱さをめったに見せないんだろうなぁ・・と思ったり。
- 179 名前:オガマー 投稿日:2002年06月18日(火)01時46分44秒
- いつも読ませて頂いています
前回のよっすぃ〜が切なくて泣き
今回は石川の態度にホロリ
- 180 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時44分17秒
- 石川と入れ替わりに、吉澤はお風呂に入った。
暖かい湯船の中でゆっくりと手足を伸ばす。
こんなに満ち足りて穏やかな気分はすごく久しぶりのように感じていた。
それにしても。
ぶくぶくぶく。
吉澤は顔の半分まで湯の中に沈めた。
さっきお風呂からあがった石川が妙に神妙な顔をしていたのが気になった。
また、よからぬことを考えていなければいいのだけれど。
- 181 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時45分31秒
- 浴室から出て、脱衣所で体を拭いていた吉澤は、はた、と固まった。
お風呂に入る前に用意しておいた下着もパジャマも無くなっている。
忘れた?いやそんなはずは無い。心の中で自問自答する。
こんなくだらないイタズラをするのは石川しかいなかった。
吉澤はしょうがなくバスタオルを体に巻付けると、
ちょっと怖い顔を作ってリビングに足を踏み入れた。
ところがリビングはテレビも電気も消えていて、石川もいない。
ちょっと肩透かしを食らったような気分で吉澤は寝室のドアを開けた。
「あのー。梨華ちゃん?」
吉澤は恐る恐る声をかけた。
石川は自分のベッドの上にちょこんと正座をして、滑稽なくらい真剣な顔をしていた。
- 182 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時46分38秒
- 「私、考えたの」
「はいはい」
石川が考えたことというのは大概がロクなことじゃないことを吉澤は分かっていた。
「やっぱり、私ばっかりしてもらうっていうのは、よくないと思うの」
吉澤は、正座したままきっと吉澤を見据えている石川の隣に、どさっと腰をおろした。
「だからね、あたしは別に構わないんだって。
梨華ちゃんを悦ばせることができたら―――」
「違うのっ!」
- 183 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時47分27秒
- 石川は隣に座っている吉澤の頬に両手をあてて、無理やり自分の方に向かせた。
「私が、よっすぃーが―――」
そこまで話して、急に恥ずかしくなったのか今度は自分からぷいと顔を背けて言った。
「よっすぃーが、感じてるところが見たいのっ!」
吉澤は石川の指先をぎゅっと握った。
「あたし、ダメ、なんだよ」
「そんなのわかんないじゃない。私の愛で―――」
「それでも、ダメだったら?」
諭すようにゆっくりと言う吉澤。
その時、石川は自分の手を握っている吉澤の手が震えていることに気がついた。
- 184 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時48分20秒
- 「よっすぃーも、怖い、の?」
吉澤の顔をうかがうように尋ねる石川。
吉澤は一瞬、石川から視線を外した。
「怖くないよ」
「うそ」
「嘘じゃない」
「私は怖い。本当はどうやっていいかよくわかんないし。
よっすぃーに嫌な思いさせるんじゃないかとか思うけど。
今のままだったら、何も変わらないじゃない」
石川は涙をいっぱい溜めた目で吉澤に語りかけた。
「梨華ちゃん」
「私、もう、与えられるだけじゃ嫌なの」
自分の気持ちをどうやったら伝えられるのか、
もどかしい気持ちに突き動かされるように石川は吉澤の首にしがみ付いた。
「私、よっすぃーが、欲しい」
- 185 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時49分35秒
- 吉澤は、自分にしがみ付いた石川をそっと引き剥がした。
石川の頬は涙で濡れていた。
「聞いて。梨華ちゃん」
そう言った吉澤の顔は珍しく真剣だった。
「さっきのは嘘。本当はあたしも怖い」
吉澤はちゃんと石川の目を見てはっきり言った。
石川はそのことが少し嬉しかった。
吉澤がきちんと自分のことを見て話してくれるなんて本当に久しぶりだと思った。
「あたしが、自分が感じないってこと知ってるってことは、誰かと、
そおいうことをしたってことなんだよ」
そう言われて、ぎゅっと心臓をつかまれたような気分になる。
自分が始めて吉澤に抱かれたとき吉澤はすごく手馴れていたから、
自分が吉澤にとって初めての人でないことは薄々感づいていた。
それでも、改めて吉澤の口から聞くのはつらかった。
石川は思わず吉澤から目を反らした。
「梨華ちゃん。あたしを見て。あたしが欲しいんでしょ?」
「ずるいよ、よっすぃー」
- 186 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時51分13秒
- 吉澤はすまなそうに微笑んだ。
「愛が足りないって思うんだ。みんな。あたしの愛が足りないって責められたり、
自分の愛が足りないって自分を責めたり。そおいうのあたし、もお嫌なんだ」
「どうして?私を今までの人と一緒にしないで!」
石川は思わず、声のトーンをあげた。
過去に吉澤の上を通り過ぎた人間と同列に置かれたようで悔しかった。
自分だけは特別の人間だと思っていた―――いや、思っていて欲しかった。
「違うよ。今まではそれでもガマンできたんだ。でも、梨華ちゃんとだったら、
多分あたし自分が許せなくなる。自分の体が許せなくなる」
石川は直感的に、吉澤が自分自身を罰していると感じた。
自分のことをあまり話したがらない吉澤が、こんな告白を、
石川の目を見つめて話しているのは、自分自身を罰しているのだと。
石川はそんな吉澤が悲しかった。
「それに、そのとき―――ダメだったときの梨華ちゃんの落胆の顔をみるのが怖い」
- 187 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月19日(水)02時52分21秒
- 「よっすぃーって、案外私のことわかってないんだね」
「梨華ちゃん・・・」
「そりゃ、多分がっかりしちゃうよ。よっすぃーに感じてもらえなかったら。
私がヘタクソだからダメなんだとか、多分思っちゃうし。
でも、私諦めないよ。私が負けず嫌いでしつこい人間だって知ってるでしょ?
何回でもチャレンジするよ。よっすぃーをよろばせれるようにがんばるもん。
何回だって」
石川は吉澤の頭を抱きしめた。
「大丈夫だよ。私たち今夜で最後じゃないんだよ。
この先、いっぱいいっぱい時間はあるんだから。ね?」
- 188 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月19日(水)03時02分53秒
- 本日の更新は以上です。
暗いなぁよっすぃー。
>>177
なんか梨華ちゃんがどんどん天使になっていきます。ちょっと予定外(笑)
>>178
泣いたって言われるとすごく嬉しいです。
吉澤さんってすごく長女気質に思えます。
>>179
ありがとうございます。
妙に梨華ちゃんが動かしやすくて、急にお姉さんになったり子供になったり。
- 189 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月19日(水)03時22分31秒
- ( ´D`)ノ<はじめから読んでいたのれす。さくしゃさんのエロはなんらか
かわいたかんじでカッコいいのれす。いしよし、しあわせに
なってほしいのれす
某板でしょぼいエ●を書いておる者です。続き楽しみです。がんがってください!
- 190 名前:オガマー 投稿日:2002年06月19日(水)04時55分04秒
- 実際の梨華ちゃんもそういう魅力がある人だと僕は勝手に思ってます(笑)
今回はジンワリとホロリです。梨華ちゃんのひたむきさに…
よし、怖がってるだけじゃ解決しないずぉ〜〜〜!!がんがれ
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月19日(水)08時50分33秒
- こういう病気系ってだいたいが愛情とかなんとかでぱっと治ってしまうって
のが多く軽くすまされちゃってるっぽい気がするんですが・・・・・
現実的にはそうはなかなかいかないんですよね。
- 192 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月19日(水)14時04分47秒
- 現実はどうであれ、ここのよっすぃ〜には 梨華ちゃんの愛の力で救われて欲しいです。
- 193 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時00分33秒
- 石川が部屋の電気を消しに行った隙に吉澤は体に巻きつけていた
バスタオルを外してベッドの中にもぐりこんだ。
薄暗がりの中、吉澤が落としたバスタオルが
床に小さな影を落としているのに気がついた石川は
「私も脱ぐね」と独り言のように呟いて吉澤に背を向けるとパジャマを脱いだ。
「何だか、すっごく恥ずかしいんだけど」
胸元に掛け布団をしっかりと押さえた吉澤が、微妙に不機嫌そうな声を出す。
その顔は無表情だったけれど、薄暗くて見えるわけがないのに、
吉澤の頬がピンクに染まっているのが見えた気がして、
石川はベッドに入る前に吉澤に小さく口づけした。
「ふふふ。よっすぃー、何か、かわいい」
「うるさいよ」
- 194 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時01分29秒
- ああ、どうしてこの人はこんなに素直じゃないんだろう。
石川はそんな吉澤が愛しくて可愛くて、笑みがこぼれるのを抑えられなかった。
「となり、入っていーい?」
吉澤は天井を睨みつけたまま掛け布団を少し上げて、自分の隣に隙間を作った。
石川はその隙間にするんと滑り込む。
吉澤の隣でうつぶせになって頬杖をついて吉澤の顔を覗き込んだ。
今からエッチしようっていうのに。
あーあ、親の敵みたいに天井にらみつけちゃって。
ムードも何もあったもんじゃないんだから。
石川は固まったままの吉澤を見つめながら心の中で呟いた。
昨日まで、私の体をおもちゃみたいに扱ってたクセに。
あんなに私にいやらしいことしてた人と本当に同一人物なのかしら。
- 195 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時02分28秒
- 黙って、ただじっと見られていることに耐えかねたのか、吉澤が口を開いた。
「何で、あたしのパジャマとか、隠したの?」
「え?」
「お風呂入ってるとき」
「ああ―――」
石川はくすりと笑った。
「だって、私、よっすぃーみたいに上手に脱がせる自信、なかったんだもん」
「はあああ?」
「だって、何か。もし、よっすぃーが絶対に嫌だって言ったら。
何て言うか、こう、無理矢理しちゃおうかなぁ―――なんて」
吉澤は横目でちらりと石川を見て、はははと乾いた笑いを漏らした。
「梨華ちゃんらしーねぇ。妙なトコで用意周到なクセして、ツメが甘いっちゅーか」
「どういうことよぉ」
「力であたしにかなうわけ無いじゃん」
あっさりと言われる。確かにその通りだった。
「だいたい梨華ちゃんはいっつもそーなんだよねー。
この前のロケの時だってさ、加護が車に弱いからって――――」
- 196 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時03分23秒
- 「よっすぃー」
石川はいたずらっ子をたしなめるように吉澤の名を呼んだ。
おでこがくっつくくらい吉澤に顔を近づけて軽く睨む。
「おしゃべりで、この場をごまかそうと思ってるでしょ?」
吉澤は少し口ごもってから拗ねたようにぷいと石川に背を向けた。
「今日はヤケに勘がいいじゃん」
「そういう、妙なトコで意気地の無いよっすぃーも、好きよ」
吉澤は石川に背を向けたまま顔をしかめた。
おかしい。梨華ちゃんにすっかり読まれてる。
ってゆーか完全に梨華ちゃんのペースに乗せられてるよぉな気がする。
何か―――何か非常にやばいんじゃない、あたし。
- 197 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時04分26秒
- 「よぉーっすぃーっ」
何だか妙に嬉しそうな声で石川が吉澤の背に張り付いてきた。
今まで感じたことのない石川との素肌の密着に、
吉澤は自分の体温が2、3度上昇したように感じた。
背中にダイレクトに感じる石川の乳房の柔らかい感触が妙に生々しく思えた。
「気持ちいいね」
石川が言う。
吉澤にはそれが気持ちいいのかどうか分からなかった。
ただ、ざわざわと落着かない気持ちになるだけだった。
それは自分がずっと避けてきた感情で。
もう隠さなくていいと分かっていても、どうにも居心地が悪かった。
- 198 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時05分32秒
- 「私、ずっとよっすぃーとこうして裸で抱き合いたかったんだよ。
だってよっすぃーいっつも服着たままだったから、何かいつもちょっぴり寂しかったの」
石川は小さなキスを繰り返したり、唇をかすかに触れさせたまま話しているようで、
吉澤はうなじから背中にかけてくすぐったいような感触を覚えた。
「ねぇー、よっすぃー。こっち向いてよぉ」
石川が甘えた声で囁いても吉澤は動かない。
いつもなら、吉澤が背中を向けて眠っただけで、
もう私のこと嫌いになったんだだの、よっすぃーは優しさが足りないだの
メソメソうるさいくせに。
今日の石川は主導権を自分が握っているのが嬉しいのか、
はたまた吉澤がテレて拗ねているのが面白いのか腹が立つほど機嫌がいい。
- 199 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時06分26秒
- 「よっすぃー・・・」
吉澤の名前を呼んでからしばし、黙り込む。
「ねぇ、”よっすぃー”って、何か、ちょっと、マヌケだよね。
こんな時くらい、ひとみちゃんって呼ぼうかなぁ」
その言葉に、吉澤はとんでもないスピードで石川に向き直った。
石川はその時の吉澤の顔を、多分一生忘れないだろう。
郵便ポストも裸足で逃げ出すくらい真っ赤で
今にも泣き出しそうな情けない吉澤の顔を。
「マヌケでも何でもいいっ!それだけはやめてっ!」
今だって、居心地が悪くて気恥ずかしくてどうしていいか分からないのに。
このうえ、そんな呼び方をされたら恥ずかしすぎて死んでしまうと
吉澤は本気で思った。
- 200 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月20日(木)00時07分05秒
- 「やっとこっち向いてくれたぁー」
石川は嬉しそうな声をあげて吉澤の首に両手をまわした。
吉澤を見つめる瞳は、何だかやる気に満ち溢れてキラキラと輝いていた。
その天真爛漫な石川の様子に、吉澤の頭に一抹の不安がよぎった。
―――やっぱりこいつ、何にも分かってないんじゃなかろーか?
- 201 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月20日(木)00時18分24秒
- 本日の更新は以上です。
泣き言は言いたくないが・・・、
相手が不感症なのに萌えるエロってどうやって書けばいいんだろう。
>>189
濡れ濡れシーンなのに乾いた感じとはこれいかに(笑)
嬉しいです。精進します。
>>190
いつもありがとうございます。
どうも話が前に進みません。
>>191
>>192
ネタばれになってしまいそうなのでレスはこの次に。
- 202 名前:オガマー 投稿日:2002年06月20日(木)00時21分42秒
- 2人の様子がただただ微笑ましひ
これからの展開に期待です。
- 203 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月20日(木)02時09分45秒
- 天真爛漫な梨華ちゃんがホントに天使に思えてきた…
よっすぃーの心も少しずつほぐされていくのかな。
- 204 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月20日(木)17時17分47秒
- 最初はただのエロかと思いきや(失礼)なんか深刻な話になってきましたねぇ…
どうゆうふうによしこが変わっていくのか楽しみです。
- 205 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月20日(木)23時52分48秒
- ヨスコがどうなるのか…。続き、楽しみです。
- 206 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時49分16秒
- 石川の細い指が吉澤の首をすうっと撫でた。
「白くて、キレイ」
囁くように言う石川の息が耳にかかる。
「何言ってんの」
ただそれだけのことなのに、石川の指の動きはとても官能的で、
吉澤の頭の奥のざわざわがより一層強くなる。
吉澤の瞳は、どこを見たらいいのか分からないように落着き無く宙をさまよった。
「キスして、いい?」
「そんなこと聞かな―――」
- 207 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時50分16秒
- 唇を重ねた。
自分から吉澤にキスをしている。それだけで石川の頭の奥はじんとしびれた。
石川は遠慮がちに吉澤の唇を舌でなぞってみる。
吉澤の唇は固く閉ざされたままだったけれど、何度かそれを繰り返しているうちに、
やっと小さく隙間が開いた。
そっと舌を差し入れる。
「ん・・・」
吉澤のかすかな吐息を感じて、石川の体は熱くなった。
長い長い口づけ。
唇を合わせたまま、石川は舌で吉澤の歯をそっとなぞったり舌先をかすめたり。
決して激しくはしない。
強がっていても、吉澤が「される」ということに怯えていたのは分かっていたから。
長い時間をかけて、優しく優しく、優しすぎる程の刺激で、
吉澤を溶かしてしまいたいと思っていた。
- 208 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時51分05秒
- 唇を離すとお互いの唇から熱くなった溜息が漏れた。
吉澤の白い頬は上気して赤く染まっている。
半開きになった薄い唇はお互いの唾液で光っている。
キスに酔ったかのように瞳もうるんでとろんとしている。
石川は、その吉澤の今まで見たことのないような無防備で扇情的な表情に、
自分が欲情しているのをはっきりと感じていた。
「大丈夫?」
囁くように尋ねる。
ぼんやりした顔を覗き込むと、吉澤ははっとしたように石川から目を反らした。
クロスさせた両腕で顔を隠す。
- 209 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時52分06秒
- 「お願い。見ないで・・・」
ベッドに入ってから、ずっと感情を押し殺したように話していた吉澤が
初めて言葉に感情を滲ませた。
それは弱々しい懇願。
今にも泣き出しそうな細い声だった。
吉澤が初めて見せる「女の子」の吉澤だった。
どうして、どうやって、この子はこんな姿を今まで隠してきたんだろう。
石川の肌がざわ、と鳥肌立った。
その姿の美しさに。隠してきた吉澤の思いに。気付かなかった自分に。
この吉澤を、優しく抱きしめて安らぎを与えてあげたいという気持ちと、
めちゃめちゃに壊してしまいたいという気持ちが石川の中で交錯した。
今まで知らなかった自分の感情に喘いだ。
- 210 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時52分51秒
- 石川は吉澤の乳房を手で包み込んだ。
吉澤の体がびくんと震えた。
そのまま親指で乳首を揺らした。
吉澤の体に力が入るのが分かった。
「怖いんでしょ?」
石川らしくない妙に平坦な声だった。
「どっちが怖いの?感じないこと?」
吉澤は小さく震えている。
「それとも―――感じること?」
突きつけられた言葉に、吉澤は息を呑んだ。
「私に、全てを見られるのは、怖い?」
石川は、吉澤の乳房に、ちゅっと音をたててキスすると、
その小さな乳首を口に含んだ。
- 211 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時53分34秒
- 「やぁ・・・っ」
吉澤は小さな声をあげた。それは快感によるものではなく混乱にうめく声だった。
感じるのが怖い?
石川の言葉がリフレインする。
快感を感じられない自分が嫌いだった。
石川に愛されることを拒んだのはそれ以上に、
快感に悶え乱れる自分を石川の前に晒すのが怖かったから?
わからない。
頭の中のざわざわが激しくなる。
小さな何千匹もの羽虫が一斉に羽音を鳴らせいているような感覚。
何も考えられない。何も見えない。
何も、感じたく、ない。
- 212 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時54分22秒
- ぐい。
石川は、顔を隠している吉澤の腕を掴んでシーツに押し付けた。
吉澤の閉じた目尻から涙が一筋こぼれた。
「弱虫」
震える吉澤に突き放すように言う。
吉澤はゆっくり目を明けた。
弱虫?
ああ、そうか、あたし弱虫なんだ。
自分のこと、割と強い人間だと思ってたんだけど。
そう、そうだよね。
自分が嫌いで。
そのくせ、自分を守ることしか考えてなくて。
大好きな梨華ちゃんさえ信用できなくて。
- 213 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時55分03秒
- 「うん」
答えた自分の声は、思ったよりはっきりしていて、吉澤は不思議な気持ちになった。
石川は、華の様に笑った。
吉澤の一番好きな笑顔だった。
「でも、好き」
吉澤の頭の中のざわざわが、すーっと波が引くように静かになった。
なんだ。
あたしが欲しかったのは肯定だったんだ。
梨華ちゃんに言って欲しかったんだ。
このままで、ありのままのあたしでいいんだって。
梨華ちゃんに微笑み返したつもりだけど、ちゃんと笑顔になってたかなぁ。
- 214 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時56分03秒
- 石川は、子供のような泣き笑いを浮かべた吉澤に口づけると、
吉澤の体を愛撫することに没頭していった。
乳首を口に含んで舌先で優しく撫でる。
唇で挟んで引っぱる。
空いた手のひらで体のラインをそっと撫でる。
かわいい。
吉澤の全てが可愛くて仕方なかった。
石川の動きに反応してびくんと揺らす体。
恥ずかしさに耐えているのか時折いやいやと首を振る仕草。
全体が桜色に染まった肌。
詰めていた息を細く吐き出す気配。
まだ、腕で顔を隠したままだけれど、
少しずつ吉澤の緊張がほどけていくのが分かった。
- 215 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時56分36秒
- どうして、よっすぃーがこんなにかわいい女の子だってことに
今まで気がつかなかったんだろう。
どうして不安になったり、怖いと思ったりしたんだろう。
どうして王子様なんて思ったりしてたんだろう。
ああ、でも、きっと。
こんなかわいいよっすぃーを知っているのは私だけ。
きっと、もっと、よっすぃーはいろんなものを隠してる。
それを全部見たい。
全てを剥して丸裸にしてみたい。
そして頭からばりばり食べてしまいたい。
- 216 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時57分07秒
- 「いっ・・・」
吉澤が小さな声をあげた。
石川ははっとして顔を上げた。
「ごめんね。痛かった?」
無意識のうちに歯を立ててしまった。
吉澤は小さく頷いた。
「おっぱい、気持ちいい?」
尋ねると、ぶわっと赤くなる。
「わかんない」
「どんな感じ?」
もっともっと赤くなる。
唇を少し震わせて答える。蚊の泣くような声。
「なんか、くすぐったいみたいな―――」
「もっとしても、いい?」
顔を隠す腕をそっと押しのける。見つめる。
涙でいっぱいになった大きな瞳を慌ててぎゅっと閉じる。
顔を背ける。
小さく、小さく頷く。
「うん」
- 217 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時57分51秒
- 頭の芯が痛みを覚えるほど、甘い時間が流れる。
しつこいほどの長い時間をかけて、石川は吉澤の乳房を弄んだ。
そっと吉澤を盗み見ると、食いしばっていた唇がいつの間にか半開きになっている。
固くこわばっていた肩の力がだらりと抜けている。
石川は、吉澤の柔らかな乳房を下から持ち上げると、乳首を強めに吸い上げた。
「ふぅ・・・ん」
微かに、でも確かに、吉澤の唇から喘ぎが漏れた。
- 218 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)16時58分58秒
- 吉澤は慌てて自分の口を押さえた。
無意識のうちに出た自分の声に驚いているようだった。
石川は吉澤の耳に唇を寄せて、囁く。
「聞いちゃった」
その微かに笑いを含んだ声に泣きそうな顔をする吉澤。
石川はそのまま吉澤の首筋に顔を埋めると、手のひらを吉澤の下腹部に滑らした。
「やっ!」
とっさに体を固くして抵抗する吉澤。石川の手を捕まえようとする。
惚けていた分石川の手の方が早かった。
その柔らかな部分に侵入してくる石川の指。
石川の動きが止まった。
そこは、触れるには乾きすぎていた。
一瞬、重い沈黙が流れた。
- 219 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時00分50秒
- 「ごめん」
明らかに涙を含んだ吉澤の声。
石川を押し退けるようにして背を向ける。
背中を丸めて自分を抱く。
「・・・やっぱり、ダメみたい、だね」
その、少し自嘲を含んだ吉澤の言葉に、石川はかっとなった。
「嘘!」
高い声。
「ダメじゃないもんっ!。ちょっとは気持ちよかったくせにっ!」
背を向けた吉澤の首筋がかっと赤くなった。
「ね?そうでしょ?ね?ちょっとはよかったでしょ?」
起き上がって吉澤の顔を覗き込む。石川の視線を避ける吉澤。
石川はしつこく食い下がる。
- 220 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時02分05秒
- 「ね?全然ってことはなかったでしょ?」
どんどん顔を近づけてくる石川を両手で押し戻す。
どんどん赤くなっていく吉澤が面白くて、石川は怒りを忘れて問い詰める。
「だって、声出てたもんね、ふぅーんって―――」
「梨華ちゃんっ!!」
耐え切れずにがばっと起き上がって、大声を出す吉澤。
石川はここぞとばかりに小首を傾げて、ちょっと悲しそうな顔で
上目遣いに吉澤を見る。
「ホントに全然気持ちよく無かった?」
甘えた顔で真正面から尋ねられてぐっと口ごもる吉澤。
「わっ・・・わかんないけどっ」
「わかんないけど?」
きらきらの期待に満ちた瞳で吉澤を見つめる石川。
「・・・多分・・・ちょっと・・・」
石川から目を反らせて、言いよどむ吉澤。
「ちょっと、なぁーに?」
完全に勝者の顔で微笑む石川。追い詰められる敗者の吉澤。
「・・・気持ちよかったんだと、・・・思う」
- 221 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時03分11秒
- 「よっすぃーかわいー!大好きー!」
石川は体当たりするように吉澤に飛びついた。
その突然の衝撃に石川を支えきれず、後ろ向きに倒れこむ。
石川はお構いなしにぎゅううと吉澤にしがみ付く。
「大丈夫。これからは、私がいっぱい、いーっぱい気持ちよくさせてあげるからねっ」
「う・・・うん」
悩みは解決したはずなのに、石川のテンションにまた別の不安を覚える吉澤。
どうやら、この先も石川はやる気満々のようで。
このこっぱずかしい行為を、これからも続けるつもりらしい。
「ねっ。ゆっくり、私がよっすぃーの体、開発してあげるっ」
- 222 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時04分24秒
- 「かいは・・・」
吉澤は石川の言葉に目を白黒させた。
可憐で乙女で夢見がちで女の子らしい梨華ちゃんは何処へ行ってしまったの?
「梨華ちゃん!どこでそんな言葉覚えたのっ?!」
「ん?中澤さんに教えてもらったの」
吉澤は心の中で叫んだ。
「あんのババァ!!!」
そして、胸の前で握りこぶしを固めるお得意のポーズで
「梨華、がんばるっ」とつぶやいている石川の姿に、
何か薄ら寒いものを感じる吉澤だった。
- 223 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時05分02秒
- ちゅんちゅんちゅん。
窓の外が薄明るくなって、鳥の声が聞こえ始めた。
「梨華ちゃん、明日午前中入りだって言ってなかったっけ」
「うん、明日っていうか、今日ね。スタジオ10時入り」
仰向けに並んで、布団の中でぎゅっと手を繋いでいるふたり。
「ちょっとでも寝とかないと」
「うん」
優しい沈黙が流れる。
それでも、いろんなことがありすぎた一日の興奮が冷めなくて、
眠れないのは2人とも同じで。
どちらからともなく口を開いてはぽつぽつと言葉を交わして、
朝になってしまった。
- 224 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時05分33秒
- それでも、やっと石川の小さな寝息が聞こえてきて、
吉澤は小さな小さな声で石川に語りかけた。
「あたし、梨華ちゃんの王子様じゃなくなっちゃったね」
眠っているはずの石川が、吉澤の手をぎゅっと握り返した。
吉澤は安らかな眠りに落ちていく。
夢の中の石川が言った。
「王子様より、よっすぃーが好き」
- 225 名前:ノーリアクション 投稿日:2002年06月21日(金)17時07分46秒
・・・おわり。
- 226 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月21日(金)17時24分31秒
- ということで、本編は終了です。
お付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。
思ったより時間がかかったので。
レスは後ほど。
- 227 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月21日(金)21時32分03秒
- 作者様、お疲れさまです。
エ●あり、涙あり、笑いありで楽しませてもらいました。
ところで本編のあとは開発編ですか?
梨華ちゃんの健闘ぶりを見たいです(W
- 228 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月21日(金)22時08分43秒
- まぁそんなわけで。
最後の方はストックがなくなって非常に厳しかったです。
後、感想をいただけるのがすごく嬉しかったです。すごく励みになりました。
レスを下さったみなさま本当にありがとうございました。
>>191 >>192
>>192の言われえたように最後は濡れ濡れ吉受けエロで終わった方が
盛り上がるだろうなとは思ったのですが、リアリティーの問題以前に
この設定が結構気に入ったので、吉澤開発計画編とか、書けたらいいなぁと
思い、このような終わり方になりました。
お二方、興味深いレスをありがとうございました。
>>202
いつもありがとうございます。最後も微笑ましい感じで終わりました。
>>203
最後にちょっと小悪魔な梨華ちゃんで。吉澤さんは少し救われたかな?
>>204
最初はただの吉受け萌えなエロ小説を書くつもりだったのです。自分も(笑)
>>205
今後も吉澤さん受難の日々が続きそうですねぇ。
ということで、少しお休みしたら、続編ある、かな?
多分。
- 229 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月21日(金)23時28分24秒
- 脱稿お疲れ様です。
余計な知識を授けてる姐さんに萌え(w
いや、何だか幸せそうなふたりに当てられてしまいました。
- 230 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月22日(土)00時41分43秒
- よすこ開発計画編きぼんぬ。
- 231 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月22日(土)03時15分31秒
- 完結お疲れさまです。
この2人なら、きっとこれからも大丈夫なんだろうな〜と思いました。
そして、意外と梨華ちゃんってしてあげる方に向いてるのかな、と。
ぜひぜひ続編をお願いしまっす。
- 232 名前:オガマー 投稿日:2002年06月22日(土)05時53分50秒
- お疲れそまです!!
ドキドキしますた…
僕の期待どおりの結末っぽくて嬉しひ
- 233 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月27日(木)18時14分33秒
- 続編の前に、ちょこっと番外編を。
番外編というか、後日談ですけど。
- 234 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時15分51秒
- 「はあああああああ」
アタシは本日何度目かのため息をついた。
スタジオの窓から見える、やけに嘘臭い朝の青空すら何だか腹立たしい。
寝不足で頭が痛い。
アタシは大して広くもない自動販売機と灰皿がおいてあるだけのロビーで、買ったばかりの缶コーヒーでぼんやりした頭を冷やしていた。
安っぽいビニールの長いすにだらしなく全体重を任せて。
今日はスチール撮影だっていうのに、昨日の吉澤と石川のごたごたのせいで結局あんまり眠れなくって。
おかげで肌の調子は最悪。まったくアタシが何をしたっていうのよ。
- 235 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時16分49秒
- だいたいアタシは元々人の悩み相談なんかに嬉々として乗るタイプじゃない。
自分自身、自分の悩みを人に話したりなんてしないし、自分のことを決められるのは自分しかないと思ってるから。
それでも、自分と同じようにあんまり悩みなんかを人に相談したがらない吉澤が、よりによってアタシに助けを求めてきたりしたもんだから。
アタシはついうっかり柄にもないおせっかいを焼いてしまい、そのうえ、多分余計に話をややこしくしてしまったような気がする。
それで、結局何もできなかった自分に無力感を感じたり、自己嫌悪を感じたり。あの後二人がどうなったのか心配したり。
ていうか、よく考えたらアタシは何の関係もないのに、何であの二人のゴタゴタ(しかも夜の生活の!)に巻き込まれてこんなに思い悩まなくちゃなんないんだ、と気がついたのは東の空も明るくなってきた頃だった。
まったくバカバカしい。
と開き直っても、心配なものは心配なんだよねぇ。
我ながらやっかいな性格だな、アタシも。
- 236 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時17分53秒
- そんなことを考えながらぼんやりと窓の外を見ていると、突然入り口の方から悲鳴が上がった。
「きゃあああああ!」
マネージャーの声。
彼女はいつも大げさだから、悲鳴ぐらいではそんなに驚いたりしないけど。
アタシは何気に声の方を見た。
「アンタっ、その顔!どうしたのよっっっ!!」
今日はまだコンタクト入れてないし、よく見えないけど、どうやら石川が到着したようだった。
おろおろしたマネージャーとしょんぼりとうつむいている石川の姿が見えた。
マネージャーはしばらく石川と何か話してからスタジオの方に駆けていった。
取り残された石川は俯いたままとぼとぼとこちらの方に歩いてきた。
石川の表情がわかるくらいまでアタシ達の距離が縮まって、さすがにアタシも息を呑んだ。
- 237 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時18分59秒
- 「どしたの?アンタ、その顔」
「あ、保田サン。おはようございます」
寝不足で肌の調子が悪いアタシどころじゃなく、石川の顔は、普段の1,5倍にむくんでパンパン。
目は鶴瓶サンかえなりクンを思わせる腫上がり様。
普段なら、カナーリ笑える顔なんだけどねぇ。
昨日の今日で、明らかに寝不足で「昨日は号泣してました」と言わんばかりの顔を見せられちゃ、笑えねぇっつーの。
こりゃあ、破局かなぁ。
どことなく生気のない顔をして、アタシのそばでぼーっと突っ立ってる石川に、何と切り出そうかと思案していると、片手にアイスノンを持ったマネージャーが走ってきた。
「メイクさんに貰って来たから、これで冷やして!アンタの撮影なっちの後に回すから、ちょっとでもまともな顔に治してちょーだいっ!」
「すみません」
「保田、なっちは?」
「腹減ったって、コンビニ行きましたよ」
「あーもぅっ!どいつもこいつもっ!!」
マネージャーはヒステリーを起こしながら、なっちを迎えにいくのか出口に向かって猛ダッシュで去っていった。落ち着けよ。
- 238 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時19分52秒
- アタシは、だれんと座っていた体を起こして、マネージャーに突きつけられたアイスノンを手に持ったまま相変わらずぼけーっと突っ立っている石川のためにスペースを作ってやった。
「座んなよ」
「ああ、すみません」
慌てたように、アタシの横にぺたんと座り込むと、アイスノンを目に当てた。火照った顔に気持ちいいのか小さなため息をもらした。
「で、昨日はあれからどーなったワケ?」
アタシが切り出すと、石川は慌ててアイスノンを顔から離してアタシに向き直った。
「あ、昨日は、いろいろすみませんでした」
「いいから、ソレ当てときな。すげぇ顔してるし、アンタ」
アタシがいうと、石川は情けない顔をみせて、再び顔を冷やし始めた。
- 239 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時20分43秒
- 「そんな顔してるってことは・・・」
「あのっ、仲直り、したんです」
アタシの言葉をさえぎって石川が言った。
「じゃー何で、そんなひどい顔してんのよ」
「いや、昨日はいっぱい泣いちゃったんで。
でも、もう大丈夫!もぉ、今まで以上にラブラブですっ!」
何だ何だ、吉澤の話になったら急にテンションが上がりやがった。
ていうかぼけっとしてたのは単に寝不足かいっ。
「さいですか」
バカバカしい。
寝ないで心配してたアタシはなんだったんだ。
「昨日、保田サンのとこから帰ってきたら、よっすぃーウチに来ててぇ。
何か最初はちょっと怖かったりもしたんですけどぉ。
でも、何か全然そんなことなくて。
ていうか、もうちょーよっすぃーかわいーって感じでぇ」
しまった。はじまっちゃったよ。石川のオチのない支離滅裂ノロケ話が。
- 240 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時21分36秒
- まぁ、でも、いいか。
昨日のネガティブ吉澤と話してたときはどうなることかと思ったけど。
うまく収まるところに収まったんなら。
それにしても、あの天真爛漫吉澤がネガティブモードに突入するとあんなにブラックになるとは知らなかった。
大体、吉澤は結局石川に全部話したのかねぇ。カナーリ屈折してたけど。
ていうか、肉体派器用貧乏吉澤が不感症って。
事実は小説より奇なり。アタシってば学があるなり。
ん?ちょっと待てよ。ということは・・・。
「ちょっとぉ、保田サン、ちゃんと聞いてくれてますかぁ?」
石川が不満そうな声を上げる。
ていうか、聞いてねぇよ。
アタシは、石川の言葉を無視して、やさしーーーく微笑みながら尋ねてみた。
「で、吉澤は、どうだったの?」
言葉では、はっきり言わずに。
でも吉澤「に」したんでしょ?という含みを持たせて。
- 241 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時22分26秒
- 「うん、もぉ〜〜〜、かわいかったぁ〜〜〜〜」
石川は、アイスノンを放り出すと、ここ数年見たことのない、両手のこぶしを口元に持ってくるという伝統的ぶりっ子ポーズで、心持ほほを赤らめながらも満面の笑みを浮かべて言った。相変わらずベタなやつだなオイ。
「ほー、なるほどなるほど。犯っちゃったわけですね」
ニヤニヤしながら言ってやると、石川は誘導尋問に引っかかったことに気がついて、オタオタし始めた。
「あっ、ていうか、犯っちゃったとかそんなんじゃなくて、別にまだ最後までしたわけじゃないしっ」
「ふーん、途中までなんだ。それでも吉澤は可愛かった、と」
「いやっ、あのっ、そうじゃなくてっ」
「そうかそうか、寝不足はそのせいか。やらしーなー石川」
「そ、そんなことないです。違いますもん。いろいろお話とかしててっ」
「何よ?したんでしょ?」
焦ってワケのわからないことを口走っている石川に追い討ちをかけるように言ってやると、ごまかし切れないことを悟ったのか、半べそになって言った。
「私が喋っちゃったってよっすぃーには言わないでください〜〜〜」
- 242 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時23分23秒
その後、しばらく石川をからかって遊んでいたら、撮影の終わったなっちが石川を呼びに来た。
「梨華ちゃん、顔むくんじゃったんだって〜?次行ける?」
石川がアイスノンを顔から離すと、ほとんどいつもどおりに戻っていやがった。
その若さが小憎たらしい。活発な新陳代謝カンバーック!
アタシにいじめられたおかげで目も覚めたのか、どうやら吉澤と愛を確かめ合った(ケッ!)ことでいつも以上にテンションの高い石川は、スキップでもしかねない勢いでスタジオの中に消えていった。
- 243 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時24分03秒
- 「はああああああああ」
アタシは、また、本日何回目かのため息をついた。
バカバカしい。
寝ないで心配し(略。
ずっと、自分の顔に当てていたせいですっかり生温くなった缶コーヒーを開けて一気に飲み干した。
口の中に缶コーヒー独特の甘ったるい味が広がった。
まぁ、でも、いいか。
結局は、可愛い二人の一生懸命さに微笑がもれる。
そういや、ずいぶん恋愛なんてしてないなぁ。
若いって・・・。
- 244 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時25分04秒
「若いっていいなぁ〜って思ってるでしょ?」
まるで、心を読まれたかのようなセリフが背後から聞こえて、アタシは飛び上がらんばかりに驚いて振り返った。
「ごっつぁん!」
何列か並んでいる長椅子の、アタシのひとつ置いた後ろで、相変わらずの眠たそうな顔をした後藤がひょこんと顔を出している。
ていうかアンタ、なんでこんなとこで寝転がってんだよ。
「聞いてたのね?」
満面の笑みでこくんとうなずく後藤。
おーい、いしよし、ごっつぁんにもバレてまっせー。
「寂しかったら、またごとーが相手してあげよっか?」
後藤の言葉に、はたと気づく。
そうだよ、元はといえばこいつが吉澤に余計なことをばらしたおかげで、やつらのゴタゴタにアタシが巻き込まれたんじゃないかオイ。元凶はこいつだよ。
- 245 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時26分39秒
「ごとぉぉぉぉぉ。アンタ、吉澤にしゃべったわねぇぇぇぇぇ」
「ひえー。圭ちゃんこわーい。メデューサみたーい」
「今日という今日は、アンタのその寝ぼけた顔に半べそかかしてやる」
「いやーん、ゆるしてぇー」
笑いながら逃げ出した後藤を追いかけるアタシ。
朝からため息ばっかりついてたけど。
まぁ、それなりに一件落着ってことですか。
はいメデタシメデタシ。
- 246 名前:番外編・苦労人保田 投稿日:2002年06月27日(木)18時27分12秒
おわり
- 247 名前:うわさの姫子 投稿日:2002年06月27日(木)18時33分09秒
- 一人称って書きやすいなぁ。
>227
開発編ですか。まだ何も考えてませんが、そのうち書きます。お楽しみに。
>229 ごまベーぐるさん
続編ではなかざーさんも出したいなぁ。いつもご愛読ありがとうです。
>230
おう、がんばるさ。
>231
攻めの梨華ちゃんが不自然じゃないようにがんばります。
>232 オガマーさん
いつもありがとうです。最後は何かべったべたでしたね。
- 248 名前:オガマー 投稿日:2002年06月27日(木)19時29分05秒
- なんかほのぼのぉ〜
ケメ子のいらん苦悩に自らハマっている様子が
なんだかよかったですぞw
- 249 名前:名無し読者 投稿日:2002年06月28日(金)12時57分04秒
- 今日、一気に読ませて頂きました。
>なぜか背中に矢口をおぶっている保田だった。
のシーンで、やぐやすに期待してたのに、やすごまだったんですね……
このときの賭けの内容と、矢口が負けた場合、矢口が保田を
おんぶする予定だったのかが、気になってたり。(爆
本編は、重過ぎて迂闊に語れないですね。
石川さんの頑張りには期待しています。
何はともあれ、無事完結、お疲れさまでした。(遅!
- 250 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年06月29日(土)08時24分46秒
- ケメ子、いいヤツだ(w
いしよしもいい先輩持って幸せ幸せ。
ナニゲなやすごまもツボでした。
- 251 名前:姫子 投稿日:2002年07月01日(月)19時59分50秒
- さて、お待たせしたかどうかは知りませんが、
ノーリアクション、続編を始めたいと思います。
が、前回の番外編で保田の一人称で書いたのがあまりにも書きやすかったため
今回のお話は梨華ちゃんの一人称になります。
本編ノーリアクションとはカナーリ作風が違ってしまったような気もしますが
間違いなく続編です。
目標は、前回と同じく、「内容よりも更新スピードで勝負」です。
多少の辛口レスでは凹みませんので(多分)
いろいろ意見を聞かせていただけるとうれしいです。
前置きが長くなってすみません。
それでは、お楽しみいただけると光栄です。
- 252 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時03分08秒
- 1・梨華ちゃん勉強する。
ば、ばれるかな?
ばれないよね。
目深に帽子をかぶって、わざわざ今日の為に買った、今時ちょっと見かけないような大きくて真っ黒なサングラス。
不審人物に思われるのは承知でマスクもした。
いいの、とにかく自分が「モーニング娘。の石川梨華」だってばれなきゃいいんだから。
私は深夜のコンビニで、コンビニなのに、買い物カゴにお菓子やお弁当やジュースを山のように入れて、それでも目的のモノに手を伸ばせなくて、店内をウロウロウロウロしてる。そう、かれこれもう1時間。
ああ、失敗しちゃった。
この格好で、「石川梨華」だってことはばれないかも知れないけど。
店員さんの視線が痛い。
そうだよね、明らかに、不審人物、その上挙動不審。
ていうか、ていうか。
ひょっとして、普通にさらっと買えばよかったのかしら。
- 253 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時04分18秒
ちょうど、お客さんが途切れた。
今なら、私と店員さんの二人っきり。
今しかない。
がんばれ梨華!
私は、何度も前を通りながらさりげなく横目で物色してあった派手な表紙の雑誌を引っ掴んだ。
でも、用意周到な私は、一緒に別冊マーガレットとなかよしとJUNONとNONNOとクロスワードレディースととらばーゆをカムフラージュにカゴに入れることも忘れなかった。
さぁ、後は迷ってはいけない。
このままレジに突き進むだけ。
涼しい顔でお金を払って出てくればいいんだから。
かなりの重量となった買い物カゴを持って、レジに突き進む。
なぜか私の頭の中にはトルコ行進曲が鳴り響いていた。
だん!
勢いよく、カウンターの上に買い物カゴを置いたとき。
心なしか店員さんが一歩あとずさったような気がした。
- 254 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時04分56秒
- ピッ。ピッ。ピッ。
店員さんが私が差し出した膨大な量の商品のバーコードを通している間、私と店員さんの間には冷戦時代の米露の緊張感をも凌駕するようなぴりぴりとした空気が流れていたように感じた。
いや、まだ17だし。冷戦時代とかよくわかんないけど。
「12495円のお買い上げになります」
「へっ?」
私は心の中で聞き返した。
もう少しで実際に声を上げてしまうところだった。
危ない危ない。
自分の声が特徴的なのは自覚してるから、絶対に声を出してはいけないと決めていたから。
それにしても。
コンビニで1万円以上も買い物するなんて!
ていうか、いつの間にそんなに買ったの?私・・・。
- 255 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時05分56秒
やっと自分の部屋に戻った。
遠かった。
両手にぶら下げたコンビニの袋が重くて重くて。
袋の中身を一つずつ出していく。
お菓子、お弁当、ウーロン茶のペットボトル、牛乳、カップラーメン、レターセット、ストッキング、トイレの芳香剤、コンビニコスメのクレンジングオイル、使い捨てカメラ、入浴剤。
出てくる出てくる、ワケの分からない品々が。
マイナスイオンを出すブレスレットにキティちゃんの携帯ストラップ・・・祝儀袋って何に使うつもりだったんだろう。
いい加減うんざりして袋をさかさまにして中の物をばら撒いた。多種雑多の品々を掻き分けてやっとお目当てのモノを手にする。
そうそう、これよ。
一人暮らしの自分の部屋には自分一人しかいないことは分かってるんだけど、それでもつい、周りを見渡して誰もいないことを確認してしまう。いや、それで誰かいたら、別の意味でかなり怖いんだけどね。
- 256 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時07分01秒
- 私は、そのどぎつい色合いが目を引くマンガ雑誌を眺めた。
『愛の体験談』
―――ひえーなんてストレートなタイトルなんだろう。
『レイプ、3P、SM・・・誰にも言えない私の秘密を赤裸々に再現』
―――誰にも言えないのに赤裸々に再現しちゃっていいのかしら。
そう、これは世に言う「レディースコミック」という代物。
お父さんお母さんごめんなさい。
梨華はこんなはしたないものを買っちゃうような人間になってしまいました。
でも、いやらしい気持ちなんかじゃないんです。
まさかこんな品のないものを手にする日が来るとは思わなかったけど背に腹は変えられないんです。
今の私には研究あるのみなんだから・・・!
- 257 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時07分34秒
さて。
深い意味はないけれど、本を床に置いて正座して、なんとなく手を合わせてから恐る恐るページをめくってみる。
「ひょえええええ」
ぱたん。
閉じちゃった。
あの、ちょっと私には刺激が強すぎるかもしれません。
ていうか、当たり前だけど、その、こういうマンガって、相手が男の人なのね・・・。
いや、だめよ梨華。
こんなところでへこたれていちゃだめ。
これはきっと、私たちの愛の為に神が与えたもうた試練なんだから・・・!!
- 258 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月01日(月)20時08分09秒
- さて。
もう一度表紙をめくってみる。
ひえー・・・・こんな・・・いやぁ。
・・・・でも・・・・うわあ・・・・・。
うそ、マジ?・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・へぇ・・・・なるほど。
気がついたら、一気に最後まで読み終わっていました。
何だか頭の中がうわんうわんいってます。
何だか、梨華はちょっと汚れちゃったかもしれません。
でも、これが大人になるってことなのかもしれません。
よっすぃー。
梨華がんばるから。
待っててね!
- 259 名前:姫子 投稿日:2002年07月01日(月)20時17分21秒
- 本日の更新は以上です。
>248 オガマーさん
( `.∀´)の一人称はめちゃめちゃ書いてて楽しげでした。
彼女は他人に振り回されるのがよく似合いますね。
>249
いしよし以外は特にカップリングを設定せずに書いてます。
楽しそうな雰囲気が出ればとテキトーに書いたのですが、
確かに(〜^◇^〜)が負けたらどうなってたんでしょうか?(w
>250 ごまべーぐるさん
( `.∀´)の微妙なラインでいい人、というのを表現できたらと思いました。
自分の予想ではこのやすごまには師弟愛以上の感情はないと思われ。事故です多分(w
- 260 名前:オガマー 投稿日:2002年07月01日(月)21時30分23秒
- レスに藁w
いしかーさん(・∀・)イイ!!
続きが楽しみですww
- 261 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月01日(月)22時20分31秒
- いしかーさん、はりきってますネ!
よしざーさんにとっては苦難の日々になるのか?(W
- 262 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月02日(火)19時14分17秒
- 2.梨華ちゃん、いじられる。
「石川・・・大丈夫?」
飯田さんの心配そうな声に私は我に帰った。
飯田さんは心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「あっ、はい、大丈夫ですっ!」
慌てて返事したら、声が裏返った。
今日はタンポポの雑誌取材で、今はメイクルームで撮影の待ち時間。
昨日はあれから、眠れなかった。
というよりも、目を閉じると刺激的過ぎる絵が目の前に浮かんできちゃって。
「なんかさぁ、目、血走ってるよ」
飯田さんに言われて、鏡を見ると確かに、妙にぎらぎらした顔をした自分がいた。
これじゃ保田さんみた・・・(以下自粛)
- 263 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月02日(火)19時15分05秒
- そう、私がレディコミなんかに手を出したのも、元々は保田さんのせいなんだから。
どうしてもよっすぃを開発(でも、どうしてこの言葉を使うとよっすぃーは怒るんだろう?)したい私は、事情を知っている上に色事(この言葉も中澤さんに教えてもらった)にも詳しいらしい保田さんに教えを乞いに行った。
そして、あっけなく断られた。
「なんでアタシがそんなことアンタに教えなきゃならないのよっ。こっぱずかしい。エロ本でも見て勝手に勉強しなさいよ。このすっとこどっこいっ!」
可愛い後輩にそこまで言うことはないと思うんだけど。
とにかく、いきなりエロ本なんて、まず買えないし、絶対無理だと思ったんで、マンガなら何とかなると思って、わざわざ、12495円も使ってレディコミを買って勉強することにしたの。
それでも充分過激だったけど。
そして、今夜はやっとよっすぃーがお泊りに来る。
この前、初めてよっすぃーにしてあげてから、ユニットのリリースラッシュが始まっちゃってなかなか会えなくて。あれ以来、ちょっと久しぶりのお泊りでもうどっきどきのわっくわくなんだから。
- 264 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月02日(火)19時16分15秒
そうこうしているうちに、タンポポの取材も終わって、次は娘。のコンサートの衣装合わせ。メンバー全員が一斉に揃うわけじゃないけど、運がよければよっすぃーに会えるかな。
移動のワゴンの中、前に私とあいぼん、後ろに飯田さんと矢口さんという定位置に座って事務所に向かう。
「何か、今日の石川さん、変なオーラ出しまくりじゃありませんこと?」
「まー、矢口の奥様もそうお思いになって?」
「あら、じゃあ飯田の奥様も?」
背後で、飯田さんと矢口さんの変な遊びが始まった。
- 265 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月02日(火)19時17分09秒
「なんだか妙に目を血走らせて、犯罪者チックじゃございませんこと?」
「ワタクシの予想では、明日から娘。のライブリハが始まるじゃございませんか、早朝入りで」
「ええ、矢口の奥様」
「そういう時は大体、吉澤さんちのひとみさんがお泊りするらしいですのよ、石川さんちに」
何で知ってるんですか?
「まーいやらしい。年頃の娘さんがふしだらねぇ」
「ここのところご無沙汰だったみたいですからねぇ。今晩は燃えるんじゃありませんこと?」
だっ、だから何で知ってるんですかっ?!
思わず立ち上がって、飯田さんと矢口さんに言い返そうとしたとき。
隣のあいぼんが私の服の袖口を引っ張った。
「よっすぃーがお泊りやと何に燃えるのん?」
黒目がちのつぶらな瞳で問いかけてくる。
ああっ、まだ子供のあいぼんの前で何てことを!
私はとっさに大声で答えた。
「とっ、トランプよっ!!」
- 266 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月02日(火)19時17分56秒
私の声に車内が水を打ったように静かになった。
あいぼんが、さっきの穢れない少女の顔から一変して、小悪魔の笑みを浮かべた。
「けっ、しらじらしい。何がトランプじゃこのカマトトが」
背後の年寄り二人の大爆笑が巻き起こったのは言うまでもない。
三人ともいつか殺ヌ。
神様。
一体梨華が何をしたっていうんですかあああああ?
- 267 名前:姫子 投稿日:2002年07月02日(火)19時25分37秒
- 本日の更新は以上です。
あまりにも作風が変わって引かれてませんかね?
>260 オガマーさん
ひそかにちょっと腹黒かったりする( ^▽^ )に乞うご期待(w
>261
張り切って張り切ってから回ります。(0^〜^0)大変です。
- 268 名前:オガマー 投稿日:2002年07月02日(火)20時02分24秒
- 腹黒い…
それは肌の色(以下自粛ww
ほぉ、あいぼんなかなかやるねぃ( ̄ー ̄)
萌え〜な夜、期待してますぞw
- 269 名前:読者261号 投稿日:2002年07月02日(火)20時12分38秒
- 確かに前作とは作風が変わってますけど
全然、気になりませんよ。
面白く読ませてもらってます。
ところで・・・
いしかーさん、計画倒れにならないでね!
期待してるんだから(W
- 270 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月02日(火)21時04分29秒
- あの張り詰めた雰囲気が一転…
おもしろすぎる。(w
いしとよしの絡みも好きなんですが、
他メンとのやり取りも面白いです。
- 271 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月02日(火)21時13分23秒
- 「けっ、しらじらしい。何がトランプじゃこのカマトトが」
最 高 で す ♪
面白い。凄く笑いますた。
- 272 名前:名無し娘。 投稿日:2002年07月02日(火)21時28分52秒
- あいぼん、面白い。
石川さん、面白い。
- 273 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時10分29秒
- ≪3.梨華ちゃん、窮地に陥る。≫
事務所に着くと、ラッキーなことにぷっちの三人も衣装合わせに来ていた。
のらりくらりと歩いている飯田さんたち三人を置いて、私は小走りで先を急いだ。
久しぶりの生よっすぃーにうきうきして、控え室代わりになっている会議室に入ると、ぷっちの3人が一斉に私を見た。
え?何で?顔に何かついてる?
そのただならぬ雰囲気に戸惑っていると、よっすぃーが私のそばに飛んできた。
そしていきなり私の腕を掴むと、すごい力で部屋の外に引っ張り出された。
いやーん、よっすぃーったら。
いくら久しぶりだからってそんなに焦っちゃダメダメ。
- 274 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時11分13秒
・・・とかいってる場合じゃなさそう。
よっすぃーったら顔も耳も真っ赤で、怒ってるみたいな、それでいて泣き出しそうな顔をしていた。
それに、私たちが部屋から出た一瞬後に聞こえた保田さんとごっちんのバカ笑い。
「よっすぃー、痛いよぉ」
掴まれた腕が痛くて、甘えた声で言ってみたけど、よっすぃーは私の顔も見ないでどんどん進んでいく。
よっすぃーに引きずられるようにしてたどり着いたのは、非常階段に通じるスチールのドア。
よっすぃーは誰も見ていないことを確認して鍵を開けると、ずいぶん長い間開けられることのなかったであろう重いドアを、がっごーん、力任せに蹴り開けた。
その迫力に身がすくむ。
あのぉ、本気で怒ってますかぁ?
- 275 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時12分09秒
事務所ビルの非常階段は外階段で。
地上8階ともなれば風がびゅーびゅー吹き荒れてて。
ラブシーンには向かないロケーションなんですが。
よっすぃーはドアを閉めた。
きっ、と私に向き直る。
・・・やっぱり、ラブシーンじゃないのね。
「梨華ちゃん!保田さんとごっちんに何言ったのっ!?」
「ひよっ?」
突然怒鳴るように言われて、変な返事をしてしまった。
「ひよっ?じゃない!」
- 276 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時12分48秒
うーん。
何言ったのって・・・やっぱり、私”が”よっすぃーにしたってこと、だよねぇ。
確かに、保田さんには誘導尋問に引っかかっちゃって、喋っちゃったけど。
「ごっちんには言ってないもん」
「ほぉ。じゃあ保田さんには言ったってことねっ!?」
ああ、私ってばどうしてこう、言わなくていいこと言っちゃうんだろう。
もうちょっとごまかしようがあったものを。
「えーっと。ほら。保田さんにはいろいろ迷惑かけたし」
「だからって、べらべらべらべら喋らなくてもいーでしょうが!」
「べらべらなんて喋ってないもん!」
「あたしはねー、ぷっちの仕事の間中、あたしが何か言う度に『よっすぃーカワイイから。途中までだけど』って、あのふたりにからかわれ続けたんだよっ!?」
- 277 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時13分24秒
あらあら、自分で言いながらも真っ赤になっちゃってる。
可愛いなぁ、よっすぃ。
よっすぃーは普段人をからかうことはあっても、中々からかわれるような隙を見せないからなぁ。
こんな可愛い反応みせられたら、そりゃあ、保田さんもごっちんもからかいたくなるよねぇ。
「なに、にやにやしてんだよ」
よっすぃーのどすの利いた声に我に帰る。
危ない危ない。
本気でへそを曲げる前に謝っちゃお。
「ごめ――」
「その上、どーやったらあたしを、その・・・」
「ん?」
「その・・・い、いかせられるか、聞きに行ったんだって?」
- 278 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時14分18秒
あ。
「『今日するの?今日するの?がんばってねー!』って。毎日毎日毎日毎日、言われ続けたんですがっ!」
やだなー、保田さんったら。
よっすぃー本気で涙ぐんでるじゃないですか。
私と違って、普段いじめられ慣れてない人を、あんまり追い込んじゃだめですってば。
「今、保田さんのせいにしたでしょ?」
おっ。するどい。
「お・ま・え・の・せ・い・だ」
ぐにゅ、とほっぺたをつねられる。
本気で痛い。
「ひはいでふ」
痛いです。といったつもりなんだけど。
「反省しろ」
「ふみません」
素直に謝る。
やっと離してくれた。
けど、いたぁい。
涙目になった私はひりひりする頬を押さえた。
ひーん、よっすぃーのバカ力。
- 279 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時15分26秒
「ゆっとくけど」
よっすぃーが、すっと背筋を伸ばして、私を見下ろした。
見慣れたいつもの不敵な笑み。
お、立ち直ったか?
「もう2度と、梨華ちゃんにあんなことさせないから」
「ほへ?」
何ですって?
「今夜からは元の役割分担に戻るってコト」
えええええええええええ!!!
そんなそんなそんなそんなそんな!!!
私の今までの血の滲むような努力は何だったの!?
・・・いや、レディコミ1冊買っただけだけど。
「やだ!私がよっすぃーを開発・・・ふがぁ」
今度は反対のほっぺたをつねられた。
「それ以上言ったら、コロス」
ふあーん。
いたいよぉ。
ていうか、恐いよぉ。
目が本気だよぉ。
- 280 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時16分05秒
「文句があるなら勝負してみてもいいけど?」
くそぉ、形勢逆転されちゃったぁ。
でも、正直、力でもテクでも勝てないのよねぇ。
「梨華ちゃんのお喋りの罰は今夜じーっくり執行させてもらうんで、楽しみにしててねぇん」
よっすぃーはにっこり笑って、手をひらひらさせながら、再びがっごーんと非常ドアを開けるとかっこよーく去っていった。
それに比べて、置き去りにされた私は。
非常階段の踊り場にへなへなと座り込んでしまった。
びゅんびゅんと風が吹きすさぶ非常階段で途方にくれている私。ちょっと絵になってる?
- 281 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時16分43秒
いや、そんなこと言ってる場合じゃない。
非常にやばい。
二重の意味で。
このままでは、よっすぃー開発計画は永久に水の粟になっちゃいそうなことと。
何より。
よっすぃーはがすっかり本気モードに突入しちゃったということは。
真剣に自分の体がキケン。
本気で腹上死(もちろんこの言葉も中澤さん仕込みだけど、この場合は腹下死?)を心配しないといけなくなる。
ていうか、自分のこととなると「いく」とか「感じる」とか「する」とかいうごく一般的に使われている言葉ですら、真っ赤にならないと言えないくせに、私にするときはあんな鬼畜(この言葉も中澤(以下略))に豹変するよっすぃーってどうよ?
- 282 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時17分36秒
はああああ。
そんなことよりも。
本気で打開策を考えないと。
私は「ほいっ」と気合を入れると、立ち上がった。
うん、やっぱり気合は「ほいっ」よね。
体にパワーがみなぎってくるの。
見てなさいよ、ひとみちゃん(と敢えて呼んでみる)私が本気になった時の恐ろしさを思い知らせてやるわっ。ほほほほほほほほ。
・・・まだ、何も、いい手が思いつかないけど。
とにかくっ!
とにかく、私は勝負事になると見境がつかなくなる、究極の負けず嫌いのがんばり屋サンなんだからっ!
- 283 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時18分21秒
「ぜぇぇぇぇったい、負けないわよぉぉぉぉぉっ!!」
風に向かってほえてみたら。
いやーん。
隣のビルのサラリーマンさん達に一斉に見られちゃった。
窓、開けてたのね。
私は逃げるように非常階段から立ち去った・・・って・・・。
あれぇ?
ドア、開かないんですけど。
ガシガシガシ。力いっぱい押しても引いてもびくともしない。
ひえーっ。
よっすぃーぐらいのバカ力じゃないと、このドア重くて開かないんだ!
し、締め出されちゃったよぉ。
ああ、隣のビルのサラリーマンさん達が・・・・。
お願い、見ないでー。
ていうか、すでに窓際に鈴なりになってるじゃないよぉ。
このままじゃ警察とかに通報されちゃうよぉ。
そしたらモーニング娘。だってばれちゃうよぉ。
それで、スポーツ新聞とかにも載っちゃったらどうしよう。
- 284 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月03日(水)20時19分04秒
『モーニング娘。石川梨華(17)
事務所ビルの非常階段で立ち往生?!
はしご車出動でザ・ピース?』
いやああああ。
それだけはいやあああ。
私は非常ドアをガンガン叩いた。
お願い!
誰か気づいて!
誰か助けてえええええ!
それもこれも、よっすぃーをからかって追い詰めた、おばちゃんと魚顔のせいだ。
あの二人、いつか絶対、殺ヌ!
神様。
一体梨華が何をしたっていうんですかあああああ?
- 285 名前:姫子 投稿日:2002年07月03日(水)20時30分51秒
- 本日の更新は以上です。
( ^▽^ )アホキャラの暴走がとまりません。
>268 オガマーさん
萌え〜な夜の前に、ちょっとした読者サービス(?)を用意しております。
お楽しみに・・・。(w
>269 読者261号さん
ありがとうございます。( ^▽^ )の計画がどう転ぶかは・・・。
がんばりまーす。
>270
自分も昨日久しぶりに前の話を読み返してその暗さにびっくり。
恐るべし( ^▽^ )マジック(w
>271
楽しんでいただけたでしょうか。
誰からもいじられる( ^▽^ )。
>272 名無し娘。さん
ありがとうございます。あいぼんは大人です(w
- 286 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月03日(水)21時48分09秒
- いしかーさんサイコーです。
姐さんどれだけ仕込んだんですか?
- 287 名前:オガマー 投稿日:2002年07月03日(水)22時48分20秒
- う、うお(ry・・・(爆)
梨華ちゃーん
戻ってきてぇ(何
- 288 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月04日(木)02時31分37秒
- スポーツ誌の見出しに爆笑!
そんな新聞出たら…すごい勢いで売れるんだろうな〜
…一部の人達の買い占めによって…
あと、そんな掛け声で気合は入りません(T▽T)
- 289 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月04日(木)05時53分19秒
- 凄い!
梨華ちゃんヤル気だ!!
作者サマ、とても面白いです。
がんがってください。
- 290 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月04日(木)21時28分12秒
- ヒサブリです。
いしかーさん、トバしてますねぇ。
空回りが非常に彼女らしくてよいかなと。
続き期待。
- 291 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時08分02秒
- ≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の一)≫
「梨華ちゃんこんなとこで何してるんだぁ?」
はぁはぁはぁ。
偶然通りかかった安倍さんに何とか助け出してもらった。
ふー。危ないところだったわ。
石川梨華の輝かしい人生に、あやうくとんでもない汚点を残すところだった。
「よっすぃーとお喋りしてたら、開かなくなっちゃって」
「まただべか?よっすぃー非常階段好きだねー」
「ふあ?」
また?
よっすぃーと非常階段に来たのは初めてですが。
「あわわわわわ」
「またって何ですか?」
「な、何でもないべ。それより梨華ちゃん衣装合わせは終わったのか?」
「まだです」
「な、なら、早くいくべっ」
- 292 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時09分37秒
・・・怪しい。
本当なら、もうちょっと追求したいところなんだけど。
今の私はそれどころじゃないのよ。
私とよっすぃーの今後の関係を左右する一大事が目の前に控えてるんだから。
とりあえず、体力と経験値ではよっすぃーにかなわないから。
私がよっすぃーに勝てるものといえば。
うーん・・・頭と人脈、かぁ。
人望は・・・よっすぃーのがあるかもしれないけど。
誰の懐に飛び込んでいくのは私の得意技だからね。
さて、こういうときに頼りになりそうなのは・・・。
んー中澤さんが一番よさそうなんだけど、いないし。
とすると、やっぱり保田さんか。
よし、保田さんに相談しよーっと。
- 293 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時10分57秒
保田さんを探しに控え室にいくと、廊下でよっすぃーとすれ違った。
「あら、お早いお戻りで」
そのにやにやした顔で、私の力じゃドアが開けられないことを分かってて、わざと置き去りにされたことに気付いた。
くやしいいいい。
「安倍さんに助けてもらったもん」
「よかったじゃん」
「むーかーつーくー」
「ちょっと頭冷やしてあげようかと思って。・・・髪、くちゃくちゃ」
意地悪言いながらも、私の髪を直してくれるよっすぃー。
手がちょっとだけほっぺたに触れてどきどきする。
よっすぃーの顔を見上げると、ん?と小首をかしげて見つめ返してくれる。
二人の視線が絡まって。
私の頭の中には、どこかで聞いた淫靡なBGMが鳴り響く。
『美しさは罪〜♪微笑みさえ罪〜♪』
- 294 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時12分16秒
完全に二人っきりの世界で見詰め合っていると。
どごん。
背中を突き飛ばされた。
「はいはい、こんなところで世界つくらないでくださーい。うざいですうざいですうざいでーす」
ののだ。
私たちの間を割って控え室の中に入っていく。
ていうか、むかつく。
「あ、そうだ、うちらもうフィッティング終わったし。ごちーんと飯食ってくる」
「えーっ」
つい不満そうな声を上げる私。
一緒に帰れると思ってたのにぃ。
「だって梨華ちゃんまだ一着も着てないんでしょ?いつになるかわかんないじゃん」
しまった。
衣装合わせは早いもの勝ちだった。
さっき安倍さんやののがいたってことは、私びりっけつじゃーん。
「終わったらメールしな。迎えに来てあげるから」
「・・・うん、わかったぁ」
- 295 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時13分49秒
よっすぃーはぽんぽんと私の頭を叩くとさっさと行ってしまった。
そりゃあさ、確かに時間かかっちゃうかもしれないけどさ。
一緒に待っててくれてもいいと思うの。
そういうところ、よっすぃーってさ、乙女心が分かってないっていうか・・・。
・・・ん?
ちょっと待てよ。
よっすぃーとごっちんが終わったっていうことは、ぷっちの仕事終わりで一緒に来てた保田さんも・・・。
私は急いで控え室に飛び込んだ。
部屋にいるのは、飯田さんと安倍さんとののの3人だった。
「梨華ちゃん遅いー。びりっけつになっちゃったからねー」
いひひと笑いながらののが言った。
「いいのいいの。非常階段で乳繰り合っているようなヒトはびりっけつで」
ののを膝の上に乗せた飯田さんが答える。
安倍さんもう喋っちゃったんですか?
「いいらさん、ちちくりあうって何ですか?」
「のっ、ののは知らなくていいのっ!」
親子漫才を聞いてる場合じゃない。
「保田さんは?もう帰っちゃった!?」
「しらなーい。ここに荷物あるから、まだその辺にいるんじゃない?」
- 296 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時15分20秒
私は控え室をでて、保田さんを探して歩いた。
トイレ、フィッティングルーム、レッスンスタジオと覗いて回るけどどこにも姿が見えなかった。
「どこいっちゃったのかなぁ〜」
ぐるぐると歩いているうちに、人気のない会議室や備品倉庫の並ぶフロアまで来てしまった。
こんなとこにいるはずないよね、と立ち去ろうとしたとき。
「・・・ん」
微かに、人の声が聞こえたような気がした。
キョロキョロと周りを見回しても人影はない。
「・・・いやぁ・・・ん」
今度はもう少しはっきりと。
それも、何とも場違いな・・・あ、あえぎ声?
- 297 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)00時16分27秒
思わず、声のした方に振り返る。
多分、備品倉庫。
だって、昨日読んだレディコミで、OLさんが不倫中の上司とオフィスの備品倉庫でしてたもの!
私は近くに誰もいないことを確かめてから、そっと備品倉庫のドアに近づいた。
そして、そして。
そっと、ドアに耳をつけた。
だって、好奇心には勝てないんだもん。
お父さんお母さん。
神様仏様。
自分を抑えられない梨華を許してください!
さて。
・・・どれどれ。
- 298 名前:姫子 投稿日:2002年07月05日(金)00時25分37秒
- 本日の更新は以上です。
さて、こんなところでオイタをしてるのは誰でしょう・・・(w
>286
この二人は一体どういう会話をしているんでしょうか?(w
>287 オガマーさん
だーいぶ遠いところに行っちゃってるみたいです。( ^▽^ )
>288
非常階段なんだから階段降りろよという突っ込みは不可の方向で(w
>289
ありがとうございます。( ^▽^ )のがんばりが報われますように・・・。
>290 ごまべーぐるさん
ヒサブリどうもです。( ^▽^ )は書いてて楽しいですが収集がつかなくなりそうでこわい(w
- 299 名前:オガマー 投稿日:2002年07月05日(金)00時52分12秒
- こ、この展開はもしや…w
- 300 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月05日(金)05時13分25秒
- 毎回カラ回りする石川さんって、アリですよねぇ。(シミジミ
だが『オイタ』してるのって、一体、誰と誰なんだ?
今夜が待ち遠しいです!!
- 301 名前:あおのり 投稿日:2002年07月05日(金)17時25分58秒
- ハァハァしてるのって誰と誰?
まさかあの人とあの人なの?
ウソー!ますます期待が高まります。
ハァハァ!
- 302 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時15分52秒
- ≪5. 梨華ちゃん、暗躍する (其の二)≫
『そんなとこ・・・』
『・・・・だよ』
『・・・・・・あんっ』
くうううううう。
大事なところが聞こえないいいい。
ていうかね。
ていうか、どこかで聞いたことあるような声なんだけど。
そう思ったら、もう、気になって、いてもたってもいられなくなっちゃった。
こんなところで、エッチなことしてる人が悪いんだから。
ちょっと。
ちょっとぐらいならいいよね?
- 303 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時16分30秒
私は、ゆっくり、ドアのノブを回した。
10センチくらい開けて、中を覗き込む。
室内は薄暗くて、どうやら部屋の奥の方でいたしてるらしく、ダンボール箱やスチールラックの陰になって人の姿は見えなかった。
こうなったら。
私は思い切って部屋の中に入った。
身をかがめて、足音を立てないようにスチールラックの影に隠れた。
「ほらぁ、もうこんなんにしてぇ」
「いやぁ・・・だめぇ」
えええええええええええええええええええ!!!
私は思わず自分の口を自分で押さえた。
もうちょっとで叫んじゃうとこだった。
- 304 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時17分22秒
だ、だ、だって、この声は。
確かに。
や、保田さんと矢口さんだ!!
なんでなんでなんでなんでなんでなんでっ!?
この二人ってそーゆー関係だったの!?
私は、スチールラックの影から、そっと顔を出した。
部屋の一番奥の壁に背中を押し付けるようにして矢口さんが立っていて。
Tシャツとブラジャーが一緒にたくし上げられてて、そこに屈みこむようにして保田さんが口をつけてる。
そして、ジーンズのボタンとチャックを開けた隙間に保田さんの手が・・・!
- 305 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時17分59秒
自分の心臓が壊れちゃったみたいにばくばくいってるのがわかった。
ほとんど毎日一緒にいる、保田さんや矢口さんのこんなところを見ちゃうなんて。
何か、すごく恥ずかしくて、すごくいけないことしてる感じで。
・・・でも目が離せなくて。
「だめじゃない。矢口が誘ってきたんだろ?」
「んんん・・・だってぇ」
「まだ、ちょっとしかしてないのに、こんなにぐちゃぐちゃにして」
「ひゃあ・・・」
保田さんが耳のそばでささやくと、矢口さんは体をびくんと揺らして高い声を上げた。
あああ、矢口さんのジーンズの中で保田さんの手が動いてるのがわかる。
- 306 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時18分36秒
やだやだやだ。
レディコミなんて目じゃないよ。
目の前で実写版が繰り広げられてるんだもん。
・・・すんごぉい。
「そんなにたまってたの?」
「だってぇ・・・よっすぃーがぁ・・・あんっ」
へ?
何でここでよっすぃーの名前が出てくるのかしら?
- 307 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時19分11秒
「よっすぃーが、梨華ちゃんオンリーに、んっ・・・なっちゃってから、全然遊んでくれなく・・・なっちゃったんだも・・・」
「何?じゃあアタシは吉澤のかわり?」
「そぉじゃないけどぉ。圭ちゃん・・・お願いしないとしてくんないじゃん・・・」
「そぉ。アタシは高いからね。お願いしてまで欲しくなっちゃうなんて、矢口のスケベ」
何ですと?
思考が・・・、思考が止まってしまった。
えーと、えーと。
よっすぃーが遊んでくれないからたままっちゃった。→よっすぃーと遊んでると大丈夫。→今まではよっすぃーと・・・・・・・・。
えええええええええええええ!?
と、いうことは。
よっすぃーと矢口さんは・・・ええっ!?
マンガならここで10dと書いた重りが頭の上にずごーんと落ちてくるんだよね。
なんてお茶目なこと考えてる場合じゃなくて。
- 308 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時19分56秒
・・・そうか、そうだよね。
あのとき、よっすぃー言ってたもんね。
『あたしが、自分が感じないってこと知ってるってことは、誰かと、そおいうことをしたってことなんだよ』
誰かっていうのは、矢口さんだったんだね。
うん。
しょうがない。
私と付き合う前のことだもん。
過去のことなんだもん。
気にしたってしょうがないよ。
でも・・・。
やっぱり、知りたくなかったなぁ・・・。
- 309 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時20分30秒
「圭ちゃ・・・オイラ・・・もう・・・」
上ずった矢口さんの声に、はっと我に返った。
矢口さんは顎を上げて、酸欠みたいに喘いでる。
無防備にさらけ出された白い喉が、生々しくて、いやらしい。
もう、立ってるのもつらいみたいにがくがくと震えていた。
「もう?まだ早いよ」
「いやぁ・・・」
「ガマンしな」
いつの間にか、矢口さんのジーンズと下着は足首までずり下ろされていて。
矢口さんの足の間に・・・保田さんの頭があって。
矢口さんは保田さんの髪をくしゃくしゃに掴んで、快感に耐えている。
「だめぇ、いっちゃ・・・」
「まだ」
「ああああ、おねが・・・!」
「ダメだって言ってるでしょ?」
「いっいっいいよぉ。いっちゃうよぉぉぉ」
「ダメ」
「いやいやいや!いくううううううう!!」
- 310 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月05日(金)22時21分04秒
矢口さんの小さな体が弾かれたように反り返った。
いつもにも増して高い声。
そして、がくんと力が抜けた。
保田さんが慌てて矢口さんの体を支えた。
「ダメだって言ったのに」
「・・・圭ちゃん、意地悪」
矢口さんが甘えるようにキスをねだる。
保田さんが応えるようにやさしく口づける。
私からは保田さんの後姿しか見えなくて。
だから。
バカな私。
矢口さんとキスを交わす保田さんの後姿が、よっすぃーの後姿に見える。
涙で、滲む。
過去に嫉妬しても仕方ないのに。
よっすぃーも矢口さんに、あんな風に優しくキスしたのかなぁ。
優しく抱きしめたりしたのかなぁ。
私は二人に気づかれないようにそっと部屋を出た。
- 311 名前:姫子 投稿日:2002年07月05日(金)22時27分44秒
- 本日の更新は以上です。
ノゾキ魔( ^▽^ )ちょっとネガティブモードです。
>299 オガマーさん
一応、読者サービスのつもりで。
でもあんまりエロくなかったですね。スマソ(w
>300
お待たせいたしました。
ということでやぐやすでした。
>301 あおのりさん
予想は当たりましたでしょうか?
娘。内の乱れた関係・・・(w
- 312 名前:オガマー 投稿日:2002年07月05日(金)23時09分25秒
- ほぅ、、
よっすぃ〜の過去…!?
がんがれ!梨華たむ
- 313 名前:あおのり 投稿日:2002年07月06日(土)00時10分09秒
- スゲー!やすやぐキター!って感じです。
やぐは昔、師弟コンビで付き合ってたんですね。さすがよしの教育係!
個人的にセクシー8のたて巻きロールの髪型のやぐっちゃんに萌えてしまったので今回の場面はドキドキです。
内容面白いし、更新も早いし姫子さんスゲーかっけーです。
- 314 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時07分52秒
- ≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の三)≫
どうしても涙が止まらなくて。
でも、悲しいとか悔しいとかじゃなくて・・・そう、ただショックで。
何も知らなかった私。
今まで、よっすぃーが私にしてくれたこととか、矢口さんに教えてもらったのかな、とか。
矢口さんとはどうして別れちゃったんだろうとか。
今でも、矢口さんのこと・・・。
やめよう。
こんなことでぐじぐじ悩んでちゃいけない。
よっすぃーを信じるんだから。
今は私と付き合ってるんだから。
・・・でも。
よっすぃーの初めての人って矢口さんだったのかなぁ。
矢口さんはしっかりしていて頭もいいし、スタイルだっていいから、心のどこかで私と比べていたりするのかなぁ。
- 315 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時08分25秒
私の思考はネガティブ無限ループに陥ってしまった。
こうなるといつ浮上できるかわかんない。
私はしゃくりあげながら控え室に戻った。
控え室のドアの前で立ち止まる。
こんな顔じゃみんなの前に出られない。
私は涙をぬぐって深呼吸した。
目はちょっと赤いかもしれないけど、誰かにどうしたの?って聞かれたら目にごみが入ったんだって答えよう。
うん。よし。大丈夫。
だけど。
ドアノブを握って、部屋の中に入ろうとしたとき。
飯田さんと安倍さんの話し声が聞こえて、私はタイミングを逃してしまった。
だって、愛しい人の名前が聞こえたから。
- 316 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時09分00秒
「よっすぃーもワンパターンだべ」
「えー?何の話?」
「非常階段」
「あー、石川といちゃついてたって?」
・・・どうしてこのオバサンたちは人の色恋ネタがそんなに好きなんだろう。
ていうか、いちゃついてないし。
ん?
ちょっと待て。
ワンパターンって何よ。
- 317 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時09分39秒
「カヲリも連れ込まれたことあるべや?」
「ん?・・・あったっけかなぁ?」
「しらばっくれてぇ」
「あはは。吉澤がオイタしてたときね。あったかな」
「隣のビル近いしさー、結構興奮するんだべー」
「吉澤、サディストだからああいうシチュエーションだと燃えんだよね」
- 318 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時10分23秒
ドアノブに手をかけた格好のまま、後ろに倒れそうになりました。
というか幽体離脱しかかりました。マジで。
えーっと。
何言ってるんですか?お姉さま方。
連れ込まれる?
オイタしてたとき?
興奮する?
サディスト?
燃える?
それはつまり。
私は無意識のうちに息を細く吐き出した。
頭がくらくらした。
よっすぃーとそういうことしてたのは矢口さんだけじゃないってことですか!!!
- 319 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月06日(土)20時10分57秒
ちょっと待ってくださいちょっと待ってくださいちょっと待ってください。
もう、何もかもが突然すぎて梨華の足りないオツムでは理解できなくなってまいりました。
つまりつまり。
よっすぃーは過去に矢口さんと関係があった。
そして安倍さんともあった。
しかも飯田さんともあった。
く・・・苦しい・・・。
許容範囲を軽くオーバーした話の展開に、私は呼吸困難に陥った。
胸を押さえてよろよろとドアの前から離れた。
落ち着こう。
とりあえず落ち着いて考えよう。
私はふらふらと歩き出した。
- 320 名前:姫子 投稿日:2002年07月06日(土)20時17分45秒
- 本日の更新は以上です。少なくてスマソ。
( ^▽^ )はすべてを乗り越えて(0^〜^0)との甘い夜にたどり着けるのでしょうか?
>312 オガマーさん
(0^〜^0)の過去がだんだん明らかに・・・?
( ^▽^ )<このスケベ!!
>313 あおのりさん
セクシの(〜^◇^〜)かっちょいいですよねー。
かっけーとはどうもです。姫は満足じゃ(w
- 321 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月06日(土)22時29分47秒
- サディスト(0^〜^0)を攻略するのは難しそうですね。
(^▽^ )は計画を遂行できるのか? 頑張ってくれ〜!
- 322 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月06日(土)22時36分15秒
- ど、どこまでオイタしてたんだろう
- 323 名前:オガマー 投稿日:2002年07月07日(日)04時41分55秒
- マジっすかー
よしぃーーーーーコノヤロォ!!(爆
- 324 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時02分00秒
- ≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の四)≫
事務所の人たちが休憩やら喫煙所代わりやらに使っているロビーのソファーに、とりあえず私は腰を下ろした。
自動販売機で気付代わりにウーロン茶を買う。
一口飲んで、大きく息を吐き出した。
はあああああ。
それにしても分からない。
そりゃあ、私はそういう、恋愛とかエッチだとかに関しては奥手な方だとは思うけど。
今まで、よっすぃーがメンバー内でそういう関係をもっていたなんて、全然気がつかなかった。
付き合う前でもよっすぃーの一番近くにいて、一番知ってるのは私だと思ってたし、どちらかというと、先輩たちになついているのも私の方だと思ってたのに。
なのに。
私の知らない間に、3人も・・・。
- 325 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時02分40秒
いや、私が知ってるのが3人ってだけで。
もしかしたら、他にも、ごっちんとか、ハローのメンバーとか・・・。
ののやあいぼんはともかくも、保田さん・・・は・・・ないよね。
とにかく。
私の知らないよっすぃーがいたんだ。
何だか不安だよ、よっすぃー。
よっすぃーは一体何をしてたの?
私の知ってるよっすぃーが本当のよっすぃーじゃないの?
わかんないよぉ。
私は頭を抱え込んだ。
ネガティブ無限ループからはいつの間にか脱していたけど。
だって理解できないんだもん。
混乱してるんだもん。
- 326 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時03分16秒
ふいに遠くからがやがやと話声が聞こえた。
聞きなれた声。
安倍さんや矢口さんの声。
どう考えても、顔をあわせたい気分じゃなかった。
私はとっさに周りを見渡すと、みんなが来るのとは反対の方向の通路に逃げ込んだ。
「コーヒー飲もうっと」
「圭ちゃんダイエット中じゃなかったけか?」
「うるさい、ブラックだよ」
「矢口ー、お金貸してー」
「またかよ、なっち。自分の財布もってこいよなー」
「カヲリに一口ちょうだい」
「自分で買えよー」
「一本もいらないんだもん」
どうやらお姉さまチームが勢ぞろいしているみたい。
ああ、何が何でも今は顔を合わせたくないよ。
- 327 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時04分11秒
そこに、もっとも恐ろしい人の声が。
お姉さまチームの中でも最年長にして最強。
・・・あわわ、年のことは言っちゃいけないんだった。
関西弁を自在に操る、いつまでたってもヤンキー臭さの抜けない、ハロプロの総長(ヘッド)中澤裕子29歳独身だ。
「あんたらこんなとこで何してんの?」
「あー!裕ちゃん!」
「ライブのフィッティングだべ」
「裕ちゃんこそどうしたの?」
「ちょっと打ち合わせとか、野暮用や」
あー、余計に出にくくなっちゃったよ。
ていうか盛り上がっちゃってるし、さっさとどっか行ってえええ。
- 328 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時04分41秒
「せやけど、ちょうどええとこでおうたわ。圭坊。あの二人の話の続き教えてやー」
「ちょっ、裕ちゃん!ここじゃあ・・・」
「何だよーケメ子、あの二人の話って」
「あれ、内緒やったんか?悪い悪い」
「もー裕ちゃん」
「感じ悪いべ。なっちにも教えるべ」
「まーええやんか、どーせみんな知っとるんやろ?」
何か、何か知らないけど、非常に嫌な予感が。
あの二人って・・・もしや。
「この前、圭坊からチラッと聞いてめっちゃ気になっとってん」
「何?何?」
「吉澤、不感症治ったんか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱし。
お願いだから。
私たちのことはそっとしておいて下さい。
- 329 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時05分41秒
「ええええええええ!!!」
「ちょっと矢口!声大きい!!」
「よっすぃーってそうだったの?」
「何や、みんな知らんかったんか?」
「なっち全然知らなかった・・・」
「・・・カヲリは何となく気づいてたよ」
「何で!?」
「リーダーだからね。へへん」
「関係ねーよっ」
「そうか・・・そう言われればよっすぃーっていつもする方だったべ」
「それで、治るって・・・。ああ、石川が?」
「んー、吉澤の開発に燃えてるみたいでさー」
あああ。
こうやって話が広まっていくのね・・・。
それにしても、こうも筒抜けだとは。
・・・恥ずかしい。
- 330 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時06分18秒
「で、何で圭ちゃんがそんなこと知ってんの?」
「吉澤が相談しに来たらしいで」
「えー、何で圭ちゃんなんだよぉ。ずるーい、カヲリ、リーダーなのにぃ」
「いや、それも関係ないから」
「ていうかさ、やっぱ過去に関係があった相手には、そういうことは相談しにくいんじゃない?」
ということは、やっぱり、保田さんとだけはなかったのね。
ほっ。
- 331 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月08日(月)00時06分51秒
「まぁ、それを私が圭坊から聞いたわけなんやけどな。何ちゅうか、気になってさー」
「まーねー、あの二人可愛いもんねー」
「いや、ちゅうか。何か、私にもちょっと責任あるんかなー、と」
「何で?」
「いやー、吉澤にいろいろ教えたん、私やし」
へ?
中澤さんが・・・よっすぃー、に?
「いろいろ、チャレンジしたんやけど、あいつ全然あかんくって。心配しとったんよ。私も自信なくしたけど、吉澤も余計に自信無くしたんとちがうかなー、て。される、自信」
ぷちん。
頭の中で、何かが、切れる音が、した。
- 332 名前:姫子 投稿日:2002年07月08日(月)00時12分14秒
- 本日の更新は以上です。
シャッフルやら新曲やらで盛り上がっているうちにストックが・・・。とほほ。
>321
そろそろ攻略編に行きたいのですが・・・。がんばりまし。
>322
多分、ここまでです。
シニアチーム(( `.∀´)除く)制覇です。(w
>323 オガマーさん
(0^〜^0)<何ていうのかなぁ。若気の至り?てへへ。
- 333 名前:オガマー 投稿日:2002年07月08日(月)02時46分02秒
- 梨華ちゃん…
どこでキレてんのw
- 334 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月09日(火)00時49分57秒
- 切れた梨華ちゃんは、すごそう。いつもの暴走っぷりもありますし…
飯田さんのずれてる感じかんじがですな〜
見境なくやっちゃってるのかと思いきや、( `.∀´)を除いている所がツボでした。
- 335 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時34分10秒
- ≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の五 / 黒石川編)≫
「何か楽しそうなお話してるじゃないですかー。石川もまぜてくださいよー」
気がついたら、極上のチャーミースマイルでお姉さま方の前に現れていた私。
夜中にトイレに行って便器から手が伸びてきたのを目撃したかのように固まるお姉さま方。
「い、いしかわ・・・」
搾り出すような声で呻いたのは中澤さん。
何とか我に返ったようだった。
さすが、亀の甲より年の功。
ていうかー。
こんな素敵なチャーミースマイルを見せてあげてるのに、どうしてみんな妖怪を見るような目で見るのかなぁ。梨華怒っちゃうぞ。プンプン。
- 336 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時34分47秒
「やべーよ、目がマジだよ」
「やーだ、何言ってるんですかー。もうまりっぺたらぁ」
余計なこと言ってんじゃねーよ、寸足らず。
「この顔は、聞いた顔だ・・・。絶対全部聞いた顔だよ・・・」
「えー?何のことですかあ?け・い・ち・ゃ・ん」
てめぇ、べらべらべらべら喋りやがって。
「何か石川こわーい」
「いつもの梨華ちゃんじゃないべさ」
ロボと田舎モンはだまってろよ。
「落ち着け、石川。落ち着け。な?」
「やーだぁチャーミー落ち着いてますよぉ、中澤さん」
・・・全ては、全てはこの大年増が・・・!!
- 337 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時35分21秒
私は、みんなが座っているソファーの向かいにひらり、と腰を下ろした。
もう、とびっきりの笑顔で5人の顔を見回したら。
あれ?どうしてみんな、そんな引きつった顔をしてるのかしら?
そして、笑顔のまま『ガモンナ!』級のどすの聞いた声で問いかけてみる。
「で、よっすぃーがどうしたって?」
その場の空気が凍りついた。
- 338 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時35分57秒
- ≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の六 / 白石川編)≫
「まぁ、聞かれてしもたもんは、しょうがないか」
困ったときの(元)リーダー頼みか、みんなが中澤さんを見る。
ため息混じりに中澤さんが口を開いた。
「石川と付き合い始める前の話やで?」
中澤さんは私に念を押すように言った。
「吉澤は、うちらのツバメやってん」
中澤さんが言うと、他のみんなはバツが悪そうに私から視線をそらした。
そう・・・ツバメだったの・・・。
そりゃあ、たまに言動がおかしいときとかあったし、不思議な人だと思ってたけど。
・・・人間じゃなかったなんて。
しかも、私の一番苦手な鳥だったなんて・・・!!
- 339 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時36分42秒
ぱしん。
中澤さんに頭をどつかれた。
「お前、今、本気で吉澤が鳥のツバメやったと思たやろ?」
「違うんですか?」
何で分かったんだろう?
「アホかっ。鶴の恩返しじゃあるまいし、人間が鳥のわけないやろ!」
「違いますよ。鶴の恩返しは、人間が鳥になったんじゃなくて、鳥が人間に・・・」
矢口さんが中澤さんの横っ腹を突付いた。
「裕ちゃん、話が前に進んでないよっ」
中澤さんは、ごほん、とわざとらしい空咳をして話を続ける。
「つまりやなぁ。ツバメっちゅーのは・・・、まぁ、今風にゆうたらセフレっちゅーか・・・」
「スパイラル?」
「そりゃデフレや!」
矢口さんがたまりかねたように中澤さんを一睨みすると口を開いた。
「セックスフレンド!!まぁ、ツバメとセフレはちょっとニュアンス違うけど」
なーんだ、セックスフレンドかぁ・・・。
って、えええええっ?
セ、セ、セ、セ、セックスフレンドぉぉぉぉ?!
直訳すると性交友達?!
私は、今度こそ本当に10dと書いてある重りが自分の頭の上に落ちてきたのを感じた。
『ガーン』という擬音付きで。
- 340 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時38分03秒
「おいっ。石川っ。大丈夫か?」
「あかん、完全に白目むいとるわ」
「梨華ちゃんには刺激が強すぎだべ」
お姉さま方の声が遠くに聞こえる。
「いーしーかーわー」
飯田さんが私のほっぺたをぴちぴちと叩いた。
「な・・・何で・・・」
必死で声を絞り出した。
何で、よっすぃーがこんなに濃い面子を相手に。
「いや、せやから、過去のことやから。な?石川」
「何で・・・」
「ほら、今はよっすぃーも石川一筋なわけだしさ」
「何で・・・」
「もう最近はしてないよ?」
「あーあ、泣いちゃったべ」
気がついたら、だばだばと涙が頬を伝っていた。
気にせずに、みんなをじとっと見つめる。
「何でかって聞いてるんですっ」
みんなが顔を見合わせて。
やっぱり諦めたような顔をした中澤さんが話し始めた。
- 341 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時38分38秒
「丁度、私が娘。を卒業するって決まった頃、吉澤ちょっと荒れてたやん?」
私は小さくうなずいた。
それは知っている。
加入してから1年間、必死で走り続けて来て、溜まってしまった疲れやストレス。
それに、娘。の中で自分の個性が出せないことへの焦り。
そんなことからよっすぃーはカメラの前以外では滅多に笑わなくなっていた。
私は、そんなよっすぃーを助けてあげたくて、でも何もできなくって。
すごくすごく苦しかった。
それで、気づいたんだもん。
私、よっすぃーのこと、好きなんだって。
「いろいろ悪い噂も聞こえてきてな。もっと別の解決策もあったんかもしれんけど。あん時は、私も卒業前で、私も他のメンバーも浮き立っとって、吉澤ときちんと話することもできへん状態やったから。とりあえず、とりかえしのつかんことになる前に悪い遊びだけでもやめさそと思て・・・。まぁ、強硬手段に出たんやけど」
「そうだったんだ・・・」
矢口さんが小さくつぶやいた。
この話は誰も知らなかったみたいで、みんな驚いた顔をしていた。
- 342 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時39分33秒
そして、私もショックを受けていた。
私は助けることができなかったのに。
中澤さんには・・・できたんだ・・・。
「ところが、や」
中澤さんは、がらりと口調を変えて、おどけたように言った。
「これが、吉澤の性におうとったみたいで。めきめきと頭角をあらわしよって。何か、アイツ体育会系やからかなんか知らんけど、いまいちうちら年上チームに打ち解けられやんというか一歩引いとったみたいなとこがあったやんか。それがその先輩達を自分の技でヒィヒィ言わすことができるんやから、多分楽しかったんやろなぁ。何かもう生き生きと、次々と」
ああ、確かにあの人は妙に調子に乗りやすいところがある・・・。
「せやから、まぁ、あれはうちらと吉澤のコミュニケーションの一部みたいなもんで、特に恋愛関係とか、そういうのがあったわけやないから・・・」
「カヲリは違うよ」
突然飯田さんが言い出してみんながぎょっとした様に見た。
「本当の恋じゃなかったかも知んないけど。でも、その時だけは確かにちゃんと気持ちを交わしてたもん。カヲリなりに・・・」
「余計に話がややこしくなるから、圭織は黙ってなっ」
保田さんに小突かれて不満そうな顔を見せた。
- 343 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時40分23秒
「とにかく。そういうことやで、な?あんまり気にせんときな」
中澤さんはそう言うと、逃げるようにそそくさと立ち上がろうとした。
「ちょっと待って」
私が言うと、ぎくっとしたように中腰のまま固まった。
「何や?」
「よっすぃーにいろいろチャレンジしたって話の続きがまだですけど」
「・・・やっぱり聞いとったんかいな」
中澤さんは諦めたようにソファーに座りなおした。
みんなが興味津々の目で中澤さんを見る。
「いやー、そりゃ私も一応大人やし、十以上も離れた小娘にやられっぱなしでは悔しいやんか。せやからなんとかやり込めたろと思て。いろいろしたんやけど。ほんまにされるのは嫌みたいでな。一回脅して、無理矢理したんやけど・・・って、石川、アンタこんな話聞いて平気なんか?」
「背に腹は代えられませんから」
「何かよう分からんけど、まあええわ。とにかく、そん時でも、結局吉澤にあえぎ声一つ上げさせることができへんかってん。その時も、だからダメだって言ったでしょ?とか言いながら、ちょっと傷ついとったみたいやったから・・・」
- 344 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時41分02秒
私はがくっとうなだれた。
「どうしたんや?石川。せやからこんな話・・・」
「・・・百戦錬磨の中澤さんでもダメだなんて・・・」
「誰が百戦錬磨やねん」
「私じゃ・・・よっすぃーにしてあげるのは到底無理なのかなぁ・・・」
「そっちかいな!」
そう。
とにかく、いろんなことがありすぎてすっかり忘れていたけど。
今夜、よっすぃーとの決戦の時が待っていたんだった。
この試合だけは、今後の私たちの関係の上でも絶対に落とせないのよっ。
いうなれば、1959年6月の巨人阪神、史上初の天覧試合、伝統の一戦みたいなものなのよっ。
・・・いや、まだ17だし、9回裏にミスターがサヨナラホームランを打ったとか、よく知らないけど。
- 345 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時42分03秒
とにかく。
私は、今日のよっすぃーとの非常階段でのやりとりを説明した。
よっすぃーが切れて、2度と私にさせないと、そして、技と力に自信のあるよっすぃーは勝負してもいいと言った事を。
いや、話してる途中で、お姉さま方の目が新しいおもちゃを手に入れた子供のようにキラキラし始めて、もしかして私とんでもない人たちに助けを求めているのかしらと、早くも後悔を覚え始めていた。
「なるほど、真っ向勝負では石川に勝ち目はないねぇ」
保田さんが腕組みして、うんうんとうなづくように言う。
だから、目が輝いてますって。
ていうか、元はと言えば保田さんがよっすぃーをからかうからこんなことになったんじゃないですかっ。
「可愛い石川の頼みだもんねぇ」
普段、私のことキショイとかうざいとかっていじめてる癖に・・・矢口さん。
「よっすぃーも、多少女の子らしくなってもらわないと困るしね。やっぱリーダーとしては」
いや、それは関係ないと思います飯田さん。
「面白そうだべ」
・・・安倍さん素直すぎ。
- 346 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月10日(水)02時42分58秒
そんなみんなの顔を見回して。
明らかに誰よりも面白がっている風な笑顔の中澤さんが、ぽんと胸を叩いた。
「わかりました、わかりました。石川の大事な吉澤をおもちゃにした罪滅ぼしに、ここは一つ、私たちが力になりまひょ。まぁ、大船に乗ったつもりでどーんと構えていてくれたへ、石川君」
やっぱり、私、相談する相手を間違えたような気がします。
何だか、とんでもないことになってきたような気がします。
はっきり言ってお姉さま方のやる気が怖いです。
・・・ええっと。
ええっと、多分許してくれないと思うけど。
ごめんね、よっすぃー。
- 347 名前:姫子 投稿日:2002年07月10日(水)02時48分17秒
- 本日の更新は以上です。
これで番外編で、なかよし、かおよし、やぐよし、なちよしと4つ書けるな。ニヤ。
>333 オガマーさん
多分、積り積ったものがここで・・・(w
>334
ほんのちょっとですが黒( ^▽^ )が現れました。
すぐ丸め込まれるんですけどね(w
- 348 名前:あおのり 投稿日:2002年07月10日(水)11時45分16秒
- 今回のおねーさまチーム最高です。
個人の特徴が際立っていて面白いです。うまいなぁ〜
特にあの場面でのカオリの外した発言には他メン同様ドキドキしました。
これからもガンがってください
- 349 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月10日(水)17時55分03秒
- ねーさんまで参戦してたんですか…。
番外編の4つに期待してまっす。
- 350 名前:オガマー 投稿日:2002年07月11日(木)01時35分15秒
- 面白いw
続き期待
- 351 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月11日(木)05時09分35秒
- 番外編…ひそかに期待
なんかとんでもない展開になってきましたね…続き、楽しみにしています。
それにしても黒石川…こわっ! でもおもしろ!
- 352 名前:ザトペック村山 投稿日:2002年07月11日(木)13時50分13秒
- 長嶋の打球は、あれはファウルやでェ!
梨華ちゃんのビーンボールを期待しております(笑)
- 353 名前:姫子 投稿日:2002年07月11日(木)18時12分14秒
- 風邪を引いてしまいましたので本日は更新できまへん。
お待ちいただいてる方、ごめんなさーい。
くそー毎日更新が目標だったのにぃ。
姫は寝るぽ。
- 354 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月13日(土)01時17分36秒
- お姉さまチーム最高っすね(笑)
風邪はだいじょぶですか?
無理しないで、よーく寝てくださいな。
マターリとお待ちしてます。
- 355 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時31分16秒
≪4. 梨華ちゃん、暗躍する (其の七 / 暗躍編終わり)≫
「とりあえず、勝負に勝つにはまず敵を知ることからやな」
中澤さんがみんなの顔をぐるりと見回して言った。
何だか、中澤リーダー時代のミーティングみたい。
・・・議題は「いかにしてよっすぃーをいかせるか?」なんだけど。とほほ。
「で、や。石川、あんた吉澤にしたんやろ?そん時はどーやってん?」
「えっ・・・」
「全然あかんだっちゅーことはないねんやろ?」
「ええ・・・まぁ・・・」
恥ずかしい・・・。
何でみんなの前でこんなことカミングアウトしてるんだろう・・・私。
- 356 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時31分51秒
「ちゃうで、別に興味本位で聞いとんのちゃうで。ただ、吉澤があかんのは精神的なもんなんか、それとも肉体的にどっか欠陥があるんかそこをはっきりさせとかなあかんで聞いとんのやで。肉体的な問題やったら病院でもいかんと何ともならんからな」
中澤さんの言ってることは分かります。
でも・・・。
思いっきり顔が「セクハラおやじ」になってますけど。
「多分・・・ちょっとは、その・・・感じてたんじゃ・・・」
「ほうほう。どこがよかったんや?」
「それって言わないとダメなんですか?」
「あかんあかん。作戦には必要や」
「・・・その、胸・・・かな?」
「なるほど、で、濡れとったか?」
「・・・・・・ううん・・・」
「裕ちゃん!!」
矢口さんが大声を出した。
顔がまっかっかだ。
「露骨すぎっ!石川も素直に答えてんなよっ!」
気がつけば、飯田さんも安倍さんも真っ赤になって俯いてる。
やっぱり私遊ばれてたのね・・・。
- 357 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時32分34秒
「あははは。すまんすまん」
楽しそう・・・。
このババァいつか殺す。
「ちゅうことは、や。問題は嫌がる吉澤をどうやってそこまで持ってくかちゅうことやな」
うんうん。そこが知りたいんですってば。
「力に差がある相手と戦う時のセオリー、知っとる?」
「・・・さぁ」
「真正面からぶつからない。そして、ずるをする。これや」
これってHの話しよねぇ?
なんかだんだん話が大げさになってきたような気が・・・。
ていうか、ずるって。
「ずるって・・・」
「脅す、縛る、泣き落とす・・・後は薬物を使うとか?」
飯田さんが真顔で怖いことを言う。
薬物って・・・。
この人を敵に回すのだけはやめよっと。
- 358 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時33分14秒
「圭織は物騒やなー。まぁ、そこまでいかんくっても、この場合めっちゃ有効な情報を持っとるんやけどなー」
中澤さんはにやにやと私の顔を覗き込んだ。
「知りたいか?」
私はかくかくとうなずく。
ていうかはやく教えろ。
「どうしよっかなぁー。裕ちゃんの極秘情報は高いでぇ?」
29にもなって自分のこと裕ちゃんとか言ってんなよ。
「後で、結果を、うちらに詳しく報告するか?」
「えっ?」
「おっ、裕ちゃん頭いいー」
「うちらがこんだけ協力してやってんのやから、見返りがないとなぁ」
何が協力よっ。
人のこと散々からかって喜んでるくせにっ!
「まぁ、別に石川が聞きたくないっちゅーんやったらええよ?そのかわり吉澤の乱れる姿は一生見れやんかもしれんけどなぁー」
「うううううううう」
くやしいいいいいい。
けど、よっすぃー開発大作戦を諦めるわけには・・・。
- 359 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時33分50秒
「でや?報告するか?何やったらビデオかなんかで隠し撮りしてもらっても・・・」
「報告しますっ!!」
これ以上渋っていたら何を要求されるかわかったもんじゃないよー。
ていうか、いつの間に私こんな立場弱くなっちゃったのぉ?
「よっしゃ、そしたら特別に教えたろ」
私だけじゃなく、保田さんたちも真剣な顔で中澤さんをみた。
中澤さんは、ちょいちょいと指で、顔を近づけるように合図した。
声を低くして、中澤さんが言う。
「あんな、吉澤、めっちゃ酒に弱いねん」
「は?」
何よ、散々もったいぶってそんなこと?
だったら、私だってそんな強くないし、だからどーだっていうのよ。
「何だよー、裕子ぉ、たいしたことないじゃんかよー」
矢口さんが言う。
私もうんうんとうなずいた。
- 360 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時34分33秒
「アホやな。ええか?今回一番ありがちなんは、石川が力ずくでさっさと返り討ちになることや。そうなったら吉澤をどーこーする以前に石川が抵抗することはできへんやろ?」
ふむふむ。
確かに。よっすぃーが本気になったら、私なんてあっという間に・・・。
「それを封じる為には、や。あいつ、コップ1杯の果実酒で、足腰立たんくなるねんで?そしたらどうや?とりあえず力で負けることはなくなるわけや」
なるほど・・・。
さすが無駄に年は食ってないなぁー。
悪どいこと考えさせたら日本一だわ、中澤さん。
「でも・・・そんなんだったら、よっすぃーお酒なんて飲んでくれないじゃないですか・・・?」
「あほう!誰がバカ正直に酒を勧めるんじゃ。そんなもんその辺で売っとるジュースみたいな酒を風呂上りにでも知らん顔で飲ませたったらええねん」
「それじゃ・・・その後は?」
「そんなもん知るか。後は愛の力かなんか知らんけど、あんたががんばるしかないな」
「そんなぁー。何か、すごい裏技とかないんですかぁ?」
「そんなんあるかいな。ちゅうか、そんな技あったら、私が吉澤に使とったわ」
- 361 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時35分11秒
今まで黙って話を聞いていた保田さんが口を開いた。
「まぁ、ヒントとしては、自分がされて気持ちいいことをしてやったらいいんじゃないの?」
そうかぁ・・・保田さんもする方の人だもんねぇ。
「吉澤が、必要以上にされるんを嫌がんのは、感じるとか感じやんとか以前にアイツの変なプライドのせいや。自分をさらけだすんが怖いんや」
中澤さんがちょっと真剣な顔で言った。
「全部、壊したり。吉澤にはそれが必要やねん。多分」
中澤さんが、私に本当に言いたかったのはこのことだったのかもしれないと思った。
体のことだけじゃなくて、よっすぃーを開放してあげることを委ねられてるのかもって。
先輩として、仲間として、それを願っているのかなぁって。
「ねぇ、カヲリの意見言ってもいい?」
「だめ」
間髪入れず矢口さんが言う。
飯田さんは矢口さんを一睨みすると、続けた。
・・・じゃあ最初から聞くなよ。
「未成年の飲酒は法律で禁じられてると思うの」
どごん。
矢口さんの裏拳で飯田さんが沈んだ。
- 362 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時36分05秒
廊下の奥からマネージャーさんの声が聞こえてきた。
どうやら私を呼んでるようだった。
「私の番だ。行ってきます」
私は立ち上がって、ちょっと迷ってからお姉さまチームにお礼を言った。
「いろいろ、相談に乗ってもらって、ありがとうございました」
いや、一方的にからかわれてただけって言うのはわかってるんだけど。
一応、ね。
「いやー、こっちこそ面白い話きかせてもらったべ」
いや、だからそれは素直過ぎだって、安倍さん。
私はフィッティングルームの方へ歩き出した。
しばらく歩いたところで、後ろから中澤さんが追いかけてきたのに気づいた。
- 363 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月13日(土)01時36分40秒
「どうしたんですか?」
「言い忘れたことがあんねん」
中澤さんは照れくさそうに鼻の頭を掻いた。
そのしぐさがなんだか可愛くて、私は中澤さんをじっと見た。
「あのな。さっき話した、吉澤が荒れとったときの話やけど、吉澤立ち直らせたんは私っちゃうで」
「えっ・・・」
「たまたま、時期が重なっただけで。吉澤を助けたんはアンタやと思てる」
突然そんなことを言われて、混乱してしまう。
あの時、私は何もできなかったのに。
「どうして?」
「そんなん知らん」
中澤さんはふわっと笑った。
「勘や、勘。でも伊達に長く生きとるわけっちゃうでな、わかるんよ」
「はぁ・・・」
なぞかけのような言葉にきょとんとしている私の頭を、中澤さんはぽんと叩いた。
「後、あんたらの盗撮ビデオ楽しみにしとんでな。忘れんといてや」
「そんな約束してませんっ!」
中澤さんはわはははと笑いながら行ってしまった。
その後姿に、私は心の中でつぶやいた。
ありがとう中澤さん。
私、がんばりますっ!
- 364 名前:姫子 投稿日:2002年07月13日(土)01時49分16秒
- 本日の更新は以上です。
はー、やっと暗躍編が終わった。
次回やっと(0^〜^0)が出てきます。・・・多分。
>348 あおのりさん
お姉さまチームはそれぞれキャラが濃いのでわりと書き分けやすいです。
うまいって言われると照れうれしひ。ありがとうです。
>349
ううう、自分も早くエロと(0^〜^0)が書きたい・・・(w
>350 オガマーさん
やっと話が先に進みます。よかった(w
>351
( ^▽^ )黒くなったり白くなったり大忙し(w
>352 ザトペック村山投手
( ^▽^ )の場合、力みすぎて大暴投・・・ってことにならないといいんだけど。
>354
寄る年波には勝てないもんですな。ごほごほ。
でも途中で休むと書くのが嫌になっちゃうんですよねぇ・・・。
- 365 名前:オガマー 投稿日:2002年07月13日(土)02時10分19秒
- なんか…読んだ後のこのサワヤカな気分はなんだろう(笑)
オネエさんチームのボケとツッコミに笑いますたw
とうとう、かな??
- 366 名前:名無し 投稿日:2002年07月14日(日)02時17分29秒
- こんにちは。最初から読ませてもらってます。
よしざーさんは見事、足腰立たなくなるんでしょうか?
色んな意味で(w
あと、いま、すごーく気になるのが、ヤッスーです。
ごちーんにして「上手い」と言わせ
やぐにして「お願い」されるほどまでのテク…。
番外編ではヤッスーは無いのですか?
- 367 名前:クロイツ 投稿日:2002年07月14日(日)09時23分54秒
- はじめまして!いつも更新、楽しみにしております♪
私の大好きな、よっすぃー・梨華ちゃん、それに暗躍編ではなっちがイイ味出してて、
本当に読んでて楽しいです♪
これからの展開、すっごく楽しみです!!
がんばってくださいね〜♪
- 368 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月14日(日)13時39分42秒
- ( ゜皿 ゜)を沈めるやぐ、かっけー!
各人キャラが立ってて面白いです。
次回期待sage
- 369 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月15日(月)02時51分04秒
≪5. 梨華ちゃん、闘いの前。≫
『後5分で着くからロビーで待ってて』
よっすぃーからメールが入って、私は事務所ビルの1階ロビーに降りた。
よっすぃーに『終わったよ』とメールする前にきちんとコンビニにいってジュースっぽいお酒を買ってきた。
すりおろしなんとかとかいうちっちゃな缶のお酒。念のために2本。
そして、よっすぃーにばれないようにちゃんとカバンの奥の方にしまった。
ああ、何だかドキドキしちゃう。
ちゃんと飲んでくれるかな。
本当にお酒弱いのかな。
・・・私、ちゃんとできるのかな。
- 370 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月15日(月)02時51分38秒
ロビーのガラスのドアの向こうに、小走りに横断歩道を渡ってくるよっすぃーの姿を見つけた。
ジーンズにTシャツ、大きなリュック。
帽子を目深にかぶって、俯き加減のよっすぃー。
顔なんか全然見えなくても。
何でもない、普通の格好してても。
どんなに遠くにいても。
すぐに見つけちゃうよ。
ああ、恋してるんだなぁ、私。
よっすぃーが目線を上げてこちらを見た。
私は小さく手を振って、よっすぃーに駆け寄った。
何だか、気持ちが盛り上がっちゃって。
何時間かぶりの再会に、潤んだ目でよっすぃーを見上げる。
もう、テレパシーなんか送っちゃうもん。
『す・き・よ』
- 371 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月15日(月)02時52分12秒
でも、よっすぃーの第一声は、
「おっせーよ」
だった・・・。
「なーん時間かかってんだよー。飯食ったらごっちんさっさと帰っちゃうしさー。一人でぶらぶらしてたらばれてサインくれとか言われるしさー。断ったら、むかつくーとか言われてさー。何様だっちゅーんだよ」
ご、ごめん。
確かに姉さまチームと作戦会議開いてたり、コンビニにお酒買いに行ったりしてて、よっすぃーと別れてからゆうに3時間は過ぎていた。
よっすぃーはかなりご立腹のようで唇をとがらせてぶつぶつと文句を言っている。
- 372 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月15日(月)02時52分43秒
「ごめんね?」
よっすぃーは頬を膨らませたまま、こつんと私の頭を小突いた。
やだなぁ。
今日はけんかとかしたくないのになぁ。
そう思って、よっすぃーの顔を見上げると。
よっすぃーはふくれっ面のまま、だけど、私の手を握ってくれた。
「早く帰ろう?」
素っ気無くそう言って、私の手を掴んだまま歩き出す。
私は慌てて後をついていく。
私の部屋に行くのに「帰ろう」という言葉を使ってくれたことがうれしくて。
私は大きく返事した。
「うん!」
- 373 名前:姫子 投稿日:2002年07月15日(月)03時04分29秒
- 本日の更新は以上です。
本当に少なくてスマソ。ちょっとブレイク。次回こそ激闘編です。多分。
>365 オガマーさん
何だかさわやかなメンバー愛を思わせつつ、実は内容は(0^〜^0)開発作戦会議という・・・(w
次回こそ、いよいよ、だといいなぁ・・・。
>366
読んでいただきましてありがとうございます。
( `.∀´)編は・・・、なぜか彼女のエロだけは書くのがすっごい恥ずかしいんですよねぇ・・・(w
自分の中の( `.∀´)がリアルすぎるからかなぁ?
>367 クロイツさん
楽しみにしていただいてありがとうございます。
あとは無事に計画を遂行するだけなんですけどねぇ。
ストックがないので実のところ自分にも先が・・・。がんばります(w
>368 ごまべーぐるさん
期待sageていただきましたが、本日は戦い前のプロローグで、申し訳(w
キャラ足ってますかね?うれしいです。ありがとうございます。
- 374 名前:オガマー 投稿日:2002年07月15日(月)03時55分42秒
- よっすぃカッケー
突っ走り気味の梨華たんw
- 375 名前:クロイツ 投稿日:2002年07月15日(月)15時06分35秒
- 不機嫌な吉澤さん・・・素敵過ぎます!!
思わず叫びそうになりました!!!
梨華ちゃん・・・がんばって!!
- 376 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月15日(月)17時44分51秒
- 交信、乙です。
いよいよ、いよいよ(0^〜^0)との対戦なんですね。
ヤタ〜!
- 377 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時03分28秒
- ≪6.梨華ちゃん、万事休す。≫
私の部屋に着いて。
まずよっすぃーはいつものように、リュックから着替えやらケイタイの充電器やら化粧ポーチやらを出すと、よっすぃーの為に開けてあるオープンラックの定位置にきちんとならべる。
・・・いつもながら、こういうことは几帳面なんだよなぁ。
そして、私の部屋に置きっぱなしのジャージに着替える。
定位置のソファーに座ってすぐにテレビのリモコンをかちゃかちゃいじり始める。
いつもと同じ風景。
久しぶりだから、それだけで何となくうれしい。
とりあえず、よっすぃーの見ていない隙に、カバンの中のお酒を冷蔵庫にしまってから、ベッドルームに着替えに向かう。
さて、あとはどんなタイミングで計画を遂行するかだよね・・・。
- 378 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時04分08秒
「梨華ちゃーん」
リビングからよっすぃーの声がする。
「このだっさいキティちゃんのストラップどうしたのー?」
いけない!
昨日コンビニでレディコミのカモフラージュに大量に買い込んでしまった自分でもワケの分からないグッズの山がテーブルの上に出しっぱなしだった!
「マイナスイオンのブレスレットだってー。ぎゃははは。だっせー」
べたんっ。
慌ててリビングに戻ろうとして、部屋着の短パンを穿きかけていたのを忘れて、足をとられて見事にすっころんだ。
痛ひ・・・。
「祝儀袋って・・・何に使うのー?」
- 379 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時05分09秒
大丈夫。
大丈夫、とりあえずレディコミだけは昨日のうちにベッドの下に隠したから。
私は自分で自分に言い聞かせる。
深呼吸して、落ち着いて。
何でもないような顔を作ってリビングに戻る。
「何?」
背後から声をかけると、よっすぃーがこちらに振り返った。
すっごく。
すっごく怪訝そうな顔をして。
「梨華ちゃん・・・転職考えてるの?」
「は?」
よっすぃーが手に持ってるのは・・・。
就職情報誌の「とらばーゆ」
えーっと・・・そんなのも買ってたっけ?
背中を冷や汗が伝った。
「えーっと・・・それはぁ、と、友達が来ててぇ・・・」
しどろもどろに言い訳してみたけど。
よっすぃーはまっすぐに私のこと見てて。
ああん、こんなの嘘だってバレバレだよ・・・ね?
- 380 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時05分50秒
「ちょっとここに座んなさい」
ソファーの自分の隣のスペースをぽんぽんと叩く。
私はすごすごと、言われたとおりによっすぃーの隣に座った。
ああん。
非常にやばいよおおお。
「で。何たくらんでんの?」
「別に企んでなんか・・・」
・・・ばれてるし。
「ふーん。レターセットにトイレの芳香剤に使い捨てカメラに入浴剤。マイナスイオンのブレスレットにキティちゃんの携帯ストラップに祝儀袋・・・」
何で、きちんと片付けておかなかったんだろう。
自分のバカバカバカバカ。
「普段買わない別マとなかよし。JUNONにNONNOにクロスワード。それに、とらばーゆ、ねぇ・・・。」
よっすぃーは何か考え込むみたいにつぶやいている。
「アイドルやめてOLにでもなる気?」
「違うよ。ほら。社会勉強の為にさ」
「友達が持ってきたんじゃなかったの?」
墓穴。
ていうか死んでしまえ、自分。
- 381 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時06分52秒
よっすぃーはじっと私の顔を見る。
嫌な沈黙が流れる。
よっすぃーの顔に、にやり、笑みが浮かんだ。
ああああ。嫌な予感。
「・・・エロ本、でしょ?」
「なんで・・・!」
「分かったのかって?」
何で否定しないかな、自分。
「あたしに、その・・・する気満々の梨華ちゃん。梨華ちゃんは勉強家。どう見ても要らないものを大量に買い込んでる。特に雑誌類。カモフラージュ。・・・物凄い勢いでバレバレだよ?」
くううううううう。
正にその通り。
「エロ本なんて買ってないもん」
買ったのはレディースコミックだもん。
って、つまんない悪あがきをしてみたり。
よっすぃーは、にっこり笑って言った。
「出しなさい」
「やだっ」
「へぇ、やっぱりあるんだ」
「な、ないもん」
「出せってば」
「やだっ」
- 382 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時08分03秒
よっすぃーが急に立ち上がった。
ソファーの背もたれを飛び越えて、ベッドルームに一直線。
「やだっ!だめっ!!」
慌てて追いかけるけど。
私がベッドルームの入り口にたどり着いた時には、すでにベッドの下に手を伸ばしているよっすぃー。
なんでなんでなんで?
絶体絶命万事休す我田引水(関係ない)
「見ーつけたっ!!」
よっすぃーの右手に高らかと掲げられた・・・レディコミ・・・。
へなへなへな。
体の力が抜けて、その場に座り込む私。
か、神様の意地悪・・・・・。
「ベッドの下にエロ本なんて。梨華ちゃんベタ過ぎ」
げらげら笑いながら言うよっすぃー。
今まで誰よりも愛してきたあなたですが。
今、この一瞬だけ。
心の底から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・憎い。
「なーんでこんなものがあるのかなぁ?」
「・・・・」
「こんなの隠れて読んでるなんて、梨華ちゃんやらしー」
「・・・・」
「だめだよぉ、アイドルがベッドの下にこんなもの隠してちゃ」
よっすぃーは言いながら、ベッドルームの入り口にへたり込んでいる私の手を取ると、もとのリビングのソファーに連れて行った。
- 383 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時08分59秒
「ゆっくり話し合いましょ」
並んでソファーに座る。
私はがっくりとうなだれて。
よっすぃーはレディコミをぱらぱらとめくっている。
「うわー、すっげーなー」
うん。すごかったです。
ていうか、すごく居心地が悪いんですけど。
よっすぃーは、レディコミをぱたんと閉じると、私を見た。
「で、なんでこんなもんなもん買ったの?ん?しばらくご無沙汰だったからたまっちゃった?」
「違うもん!」
「これ見て、ひとりHとかしちゃったんじゃないのぉー?」
「しないもんっ!!」
にっこり笑うよっすぃー。
「じゃあ何で?」
ご・・・ごまかしきれないっ。
でも、うん、多少は警戒されちゃうかもしれないけど。
私には中澤さんに教えてもらった奥の手があるんだから、ここは正直に言うしかない、か。
- 384 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時09分59秒
「べ、勉強・・・しようと思って」
「へ〜。何の?」
「その・・・する、勉強。よっすぃーに」
上目遣いでよっすぃーの顔を見る。
よっすぃーは呆れたみたいな顔をしている。
やっぱり、ちょっと、私の行動って突飛なのかなぁ?
「やっぱり」
ため息混じりに言われちゃったよ。
はいはい、どうせ私はバカですよーだ。
「梨華ちゃんってさー、ほんっとーにバカだよねぇ」
自分でバカだと思っていても改めて言われるとむかつきます。
「バカってなによっ」
「まぁいいや。こんなの読んで勝てると思ってんなら、それで」
本気で私のことバカにしてますね。
そりゃあ、よっすぃーは経験豊富ですからねー。
いいよ。
いいわよ。
そーやって油断してたら。
もう、手加減なしで、けちょんけちょんのぐっちょぐちょにしてやるんだから!
・・・多分、できれば。
- 385 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時10分40秒
「文句があるんなら口で言ったら?」
「何よ」
「後で覚悟しときなさいよーって顔に書いてあるよ?まだ何か企んでんの?」
どきっ。
何でこんなするどいかな。
ていうか私が分かりやすいだけなの?
多分そうだよね。
大丈夫。
梨華は学習しました。
何を言っても墓穴掘るだけだもん。
もう口を開きません。
「おっ。だんまりかい。まあいいけど、あたしはそうやすやすと梨華ちゃんの思い通りならないからね」
くーっ!
そのにやにや顔がむーかーつーくーっ。
よっすぃーは私の頭をぽんぽんと叩くと、立ち上がった。
何さ、すぐに私のこと子供扱いしてさっ。
私はむくれて、ソファーの上にごろんと横になった。
背もたれをぽすぽす叩いて八つ当たり。
よっすぃーのばーーーーーか。
- 386 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時11分46秒
ぱたん。
聞きなれた音がして、ふとよっすぃーが歩いて行った先を見る。
ああ、冷蔵庫のドアの音か・・・。
喉でも渇いたのか冷蔵庫の中に顔をつっこんで中身を物色しているよっすぃーが見えた。
え?
冷蔵庫?
ああああああああああああああああ!!
だめええええええええええええええ!!
私は飛び起きてよっすぃーのもとに駆け寄った。
けど、時すでに遅し。
私が買ってきたお酒の缶を手に持ってるよっすぃー。
ああああああ、最後の砦だったのにいいいい。
「どしたの?」
慌てて駆け寄ってきた私に怪訝そうに尋ねるよっすぃー。
私は言葉を失ってふるふると首を振った。
「これ、飲んでいい?」
え?
よっすぃーは私の返事を待たずに缶を開け、ぐびぐびと一気に飲み始めた。
おいしそうに。
- 387 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月16日(火)04時12分19秒
よっすぃーの喉がごくごくと動くのを、私は呆然と見つめていた。
なんでなんでなんで?
言葉にならない疑問で頭の中がいっぱいになる。
よっすぃーはあっという間に全部飲みきって、ぽんっとゴミ箱に空き缶を捨てる。
そして、その様を多分口をあんぐり開けて見つめていた私に気づいて言った。
「あれ?ひょっとして飲みたかった?ごめん」
私は脳震盪を起こしそうなくらいの勢いでぶんぶんと首を横に振った。
そうだよね。
お酒のことなんか全然分からなかったから、一番見た目が可愛くってジュースっぽい缶を選んだし。
まさか、うちの冷蔵庫にお酒が入ってるなんて思わないもんね。
・・・もしかして。
もしかして、お酒だって気がつかなかった・・・のかな?
- 388 名前:姫子 投稿日:2002年07月16日(火)04時23分52秒
- 本日の更新は以上です。
まだ引っ張るか自分(w
>374 オガマーさん
オガマーさんのより早くエロにたどり着こうと勝手に競争中(w
いつもドキドキしながら読ませてもらってます。
>375 クロイツさん
不機嫌(0^〜^0)素敵ですか?うれしいです。
闘い前のちょい甘甘ということで・・・(w
>376
次回こそきっと闘いが始まると・・・多分・・・。
引っ張りすぎですね。ギョエーナサーイ(w
- 389 名前:オガマー 投稿日:2002年07月16日(火)08時35分38秒
- ぉぉ、宣戦布告!?(w
そんなこと言われると僕まで闘争心に火が…(w
梨華たん…
まさか、まさかとは思うけど…そこまでマヌケじゃないよね?(何
- 390 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)12時09分20秒
- 初レスです。
かなり面白いです!石川最高!
更新頑張って下さい!
- 391 名前:クロイツ 投稿日:2002年07月16日(火)12時38分25秒
- お説教よっすぃーも素敵・・・!!
んもぅ私、姫子様の書かれるよっすぃーに、どっぷりハマってしまいました(w
先が超楽しみです〜〜〜!!!
がんばってくださいねっ!!
- 392 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月16日(火)20時30分44秒
- 石川が積み木崩しのように墓穴を掘っていっておもろい。
また現実の石川さんもこんな感じが似合うんだよな(w
- 393 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月16日(火)22時23分26秒
- さすが石川さん、読者の期待を裏切りません(w
- 394 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月17日(水)03時45分21秒
- ベッドの下って……たしかにベタすぎ…
Σъ(O^〜^)グッ!! <おバカな梨華ちゃんイイ
(T▽T)<なんなのなによ
- 395 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)00時58分24秒
- ≪7.梨華ちゃん、逆転サヨナラホームラン?≫
ところが。
確かに、一気にお酒飲んだのに、よっすぃーはちっとも変わらない。
足腰が立たなくなるどころか、顔色一つ変わらなくて。
どうして?
私、ひょっとして、間違えて本当にジュース買ってきちゃったのかな?
・・・ううん。そんなはずないよ。
缶に、ちっちゃくだけど『これはお酒です』って書いてあったもん。
よくわからないけど、お酒のアルコール度数っていうの?低すぎたのかなぁ。
でも、中澤さんは、ジュースみたいなお酒でもすぐに酔っ払っちゃうって言ってたのに・・・。
ひょっとして・・・。
ひょっとして、私、中澤さんにだまされたのかなぁ?
- 396 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)00時58分57秒
「どうしたの?」
黙りこくって考え込んでいた私を不審に思ったのかよっすぃーが私の顔を覗き込んだ。
突然、目の前によっすぃーのおっきな目が現れてびっくりしちゃって。
何だろ。
何だか、いつも見慣れているはずなのに、うろたえてしまう。
よっすぃーはおかしそうにくっくっと笑った。
「変な梨華ちゃん。顔、赤いよ?」
「何でもないよっ」
私は慌ててよっすぃーから顔をそらせた。
「私、先シャワー借りていい?」
「えっ・・・?ああ、うん」
「なーんか、心ここにあらずって感じだなぁ」
ぼんやりしている私にちょっと警戒しているみたい。
もう、警戒なんかしなくていいのに。
お酒が効かなかったら、もう私に勝ち目ないもん。
今日ばっかりは、よっすぃーもやる気まんまんみたいだし、泣き落としも通用しないだろうなぁ。
- 397 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)00時59分36秒
「じゃ、お先」
よっすぃーはさっさと脱衣所に消えてしまった。
一瞬、またよっすぃーのパジャマと下着、隠しちゃうことも考えたけど・・・。
そんなことしても力で押し倒されちゃったら何にもならないしなぁ。
・・・どうせ勝てないんだったら、余計なことしてサディストよっすぃーを怒らせるようなことはしない方が身のためよね。
でも。
でも、よっすぃーが気持ちよくなってるところ、見たかったなぁ。
いつものお返しに、いっぱい意地悪して、泣かせてみたいって思ってたのになぁ。
はあああああ。
私は大きなため息をついて、どさっとソファーに倒れこんだ。
「くやしーなぁ・・・」
- 398 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)01時00分09秒
天井を眺めて、無意識のうちに呟いた。
そのとき。
「きゃっ・・・!」
がらがらがっしゃーん!
お風呂場から、よっすぃーの小さな悲鳴と、大きな物音が聞こえた。
私は慌ててお風呂場に向かう。
誓って言うけど、別に変な気持ちは全然なかったんだよ?
ただ、よっすぃーが転んで頭でも打ったんじゃないかとか、心配して。
本当に、心配して、お風呂場のドアを開けた。
真っ白い湯気が視界を覆って一瞬、何も見えなくて。
出しっぱなしのシャワーが勢いよく床を叩いている。
転がっている、シャンプーやトリートメントのボトル。
そして。
洗い場のタイルの上で湯船にしがみつくようにして、よっすぃーがうずくまっていた。
- 399 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)01時00分43秒
「大丈夫っ?!」
私は、貧血でも起こしたのかと思って、慌てて服を着たまま浴室の中に入った。
シャワーに打たれるのも気にしないでよっすぃーを抱き起こす。
それで、やっと私に気づいたのか、よっすぃーが私の顔を見た。
貧血じゃない。
よっすぃーの頬は、まるで濃いめのチークをさしたように真っ赤だった。
目のふちも心持赤くなってとろんとしている。
「ごめ・・・なんか急に、足に力が入んなくなっちゃって・・・」
意識ははっきりしているみたいで、恥ずかしいのか私の腕の中で身をよじらせる。
でも、その動きに全く力を感じられない。
- 400 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月18日(木)01時01分14秒
・・・来た。
来たわ。来たのね。
神様ありがとう。
さんざん、からかわれたりバカにされたり墓穴掘ったり、いろいろあったけど。
やっぱり正義は最後に勝つのよ。
神様はけなげな梨華のことを見捨てたりはしなかったのよっ。
中澤さんありがとう。
これから、多少きついつっこみを受けても、梨華は中澤さんについて行きます。
心の中で、三十路とかばばぁとか大年増とか毒づくのも控えます。
そう・・・・。
よっすぃーは明らかに酔っ払ってます。
しかも、裸で、私の腕の中にいるんです。
ふふふふふふふふ。
覚悟しなさいよっすぃー。
今日、めいっぱい意地悪してくれたお礼、きっちり返させてもらうから、ね。
- 401 名前:姫子 投稿日:2002年07月18日(木)01時16分13秒
- 本日の更新は以上です。
本日もまた寸止め海峡、ごめんなさーい。
>389 オガマーさん
自分で宣戦布告しといてあっさり負けてしまいました。とほほ。
でも、堪能させてもらったからいいや(w ゴチソーサマー
>390
ありがとうございます。自分もこんなにどたばたコメディーがはまるとは思ってなかったのでびっくりです。
>391 クロイツさん
ありがとうございます。かっちょいい(0^〜^0)が堕ちていくさまをお楽しみいただければ・・・。とがんがりやす。
>392
( ^▽^ )は空回させたら日本一!(w
でも、あんまり空回ってばかりなので話が進まないよぉ。
>393 ごまべーぐるさん
エロテクでも皆さんの期待を裏切らないといいんですが・・・。
( ^▽^ )<なんで?
>394
ベタな( ^▽^ )、どこまで勉強の成果を出せるでしょうか?
(0^〜^0;)<いや、もういいから。
- 402 名前:オガマー 投稿日:2002年07月18日(木)02時59分46秒
- そーなんですよ、次辺りって思ってたらもう突入でした(笑)
梨華たん、マジで間違えたのかと思ってたw
続きキターイ
- 403 名前:クロイツ 投稿日:2002年07月18日(木)09時15分19秒
- 待ってましたぁ!!
梨華ちゃんがイイ味出してて最高です!!事あるごとに、私のツボをついてくれます!!
てゆーか梨華ちゃん。中澤さんの事、心の中でそんな風に思っていたのね・・・(爆笑)
堕ちて行くヨッスィー・・・見たい!!激しく見たい!!!
がんばって下さい!!楽しみにしてます☆
- 404 名前:名無し読者。 投稿日:2002年07月18日(木)17時57分54秒
- 梨華ちゃん、結構テクニシャンだったりして(笑)
なんせヨッスィーに鍛えられてるからね。
- 405 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時01分47秒
- ≪8.梨華ちゃん、破壊の女神が宿る≫
「ちょっと、梨華ちゃん。・・・大丈夫だから」
いつまでもよっすぃーの体に腕を回したままの私に、よっすぃーが言う。
迷惑そうに。
ていうか、早く出て行って欲しそうに。
でも、出て行かないよ?
「あたしも、もう、出るから」
「でも、シャンプーしてたんでしょ?髪に泡付いてるよ。私、手伝ったげる」
「えっ、いいよ、大丈夫だよ」
慌てて言うよっすぃー。
目が怯えてるよ?
・・・・・・・かわいい。
「でも、立てないんでしょ?遠慮しなくていいよ」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「ちょっと待っててね、私も服脱いでくるから。濡れちゃったし」
私は一旦浴室を出た。
シャワーに打たれて、上から下までずぶ濡れになった服を脱ぐ。
小躍りしたいような気分。
立場逆転。
さぁ、どうやって料理してあげましょうか。
- 406 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時03分19秒
「お・ま・た・せ」
浴室に戻ると、よっすぃーは私をきっとにらみつけた。
ふーんだ、そんな顔したって怖くないもんねー、だ。
「お酒、飲ませたね?」
「よっすぃーが勝手に飲んだんじゃん」
「・・・」
「あっという間にぐびぐび飲んじゃうからさ、知ってて飲んだのかと思った」
私は、赤くなっているよっすぃーの頬に顔を近づけた。
ちゅっ。
小さく口づける。
「よっすぃーってお酒、弱いんだね。か・わ・い・い」
「後で、覚えときなよ」
「しらなーい」
私はよっすぃーの背後に回り、シャワーノズルを手にした。
「頭、下げて」
素直に言うとおりにするよっすぃー。
白いうなじがあらわになって、噛みつきたい衝動に駆られる。
まだまだ、焦っちゃダメ。
私は、よっすぃーの髪にシャワーをあてた。
やわらかいまっすぐな髪に手を入れてすすぐ。
よっすぃーはじっとされるがままになっている。
いつも、こんなに素直だったら可愛いのになぁ。
「はい、おしまい」
「ん・・・ありがと」
- 407 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時04分40秒
私は、ボディソープのボトルに手を伸ばした。
「体、まだ洗ってないでしょ?」
よっすぃーはぎょっとしたように私に振り返る。
でも、それだけで体のバランスをくずしてしまって、私の体にもたれかかってきてしまう。
私は慌てて優しく肩を抱いて受け止めてあげる。
「ほらぁ、大丈夫?」
その、よっすぃーの肩に、手に取ったボディソープを塗りこめた。
びくんと、よっすぃーの体が堅くなる。
「な、何やってんのっ、そんなのっ」
「きれいにしたげる」
よっすぃーの肌の上で、ボディソープを泡立てる。
ぬるぬるとした感触を、塗り広げていく。
肩から腕、背中・・・手のひらを滑らせる。
「ねぇ、ホントに、いいよ、やめて」
よっすぃーの切羽詰った声。
でもやめられないよ。
だって気持ちいいんだもん。
- 408 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時06分26秒
わき腹に手が伸びると、よっすぃーは少し体をくねらせる。
「くすぐったい?」
笑いを含んだ声でたずねると、首を回して、睨みつけてくる。
涙のいっぱい溜まった瞳。
お酒のせいだけじゃなく赤くなった頬。
・・・ちっとも怖くないよ。
「気持ちいいでしょ?」
「やめてって言ってんでしょ?いい加減にしないと、本当に怒るよ」
「やめない」
「梨華ちゃん!」
「やめれない・・・よっすぃーの肌、気持ちいいんだもん・・・」
私は泡だらけになったよっすぃーの背中に体をぴったりくっつけた。
私の胸と、よっすぃーの背中。
泡でぬるぬると滑る。
両腕をよっすぃーの体の前に回す。
胸の辺りを隠すように押さえているよっすぃーの腕をすっと撫でた。
「ねぇ、手、どけて」
よっすぃーは私から逃げるように、前かがみに体を折る。
私は行き場を失った指先をよっすぃーの太ももに這わせた。
- 409 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時14分30秒
よっすぃーの体がびくんと震えた。
「・・・嫌だよぉ・・・」
小さく漏らす声。
その、弱々しく怯えきった響きに何故か私の体は熱くなる。
いつも強気で、怖いことなんか何にもないみたいに振舞っているよっすぃーが好き。
でも、こうやって手負いのウサギみたいに怯えて震えるよっすぃーもすごく好き。
可愛くて・・・もっと深みに突き落として、泣かせてみたい。
どんな顔を見せるのか、どんな声を上げるのか、知りたい。
「逃げれないよ?・・・許さない」
いざとなったら力で私を押さえつけることができるっていう、よっすぃーの精神的な余裕が、今日はない。
自分の力では逃げられない。
すべてを握っているのは、よっすぃーじゃなくて、この私。
だから、よっすぃーは怯えている。
私に。
容赦なく、壊されることに。
それを分かっていて、わざと追い詰める。
大切なものだからこそ、自分の手で粉々に壊してしまいたくなる欲望。
そうか、いつもぎりぎりまで私を追い詰めるよっすぃーの気持ちはこんなだったんだ。
・・・そして、私は追い詰められる快感を知っている。
- 410 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時15分19秒
私はよっすぃーの腕の隙間にすっと手を差し込む。
泡で抵抗をなくした肌。
よっすぃーがどんなに力を入れて押さえても、にゅるんと簡単に滑り込む。
「やわらかい・・・。よっすぃーのおっぱい」
「・・・はっ・・・」
よっすぃーは息を詰めた。
私はよっすぃーの肩に顎を乗せて、耳たぶに口付ける。
甘い吐息を流し込む。
よっすぃーは弱々しく首を振って逃げることしか出来ない。
「ね?諦めて、素直になったら?」
耳に口をつけたまま囁いてあげると、よっすぃーは首を曲げてきっと私を見た。
- 411 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時15分52秒
「何言って・・・んっ」
全部言わせない。
噛みつくようなキスでよっすぃーを黙らせた。
驚いている隙を突いて、そのまま舌を差し入れる。
よっすぃーの口の中をかき混ぜる。
よっすぃーは苦しそうに喉の奥で呻いた。
逃げようとするけど、追いかけて、覆い被さる。
逃がさない。
ありったけの力でよっすぃの体を抱きしめて、押さえ込む。
苦しそうにもがくよっすぃーの腕が空を切る。
「んっ・・・!はぁはぁはぁ・・・」
長い長い口付けの後、よっすぃーを開放してあげる。
酸欠になったよっすぃーは苦しそうに肩で息をしている。
目に涙が滲んでいる。
そうだよね、知ってるよ。
一方的に奪われるキスはすごく苦しんだよね。
- 412 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月21日(日)14時16分46秒
私は、はぁはぁと浅い息をついているよっすぃーの頬を優しく撫でてあげる。
「ごめんね?」
そのまま指を首筋から肩へとゆっくり滑らせる。
「でも、よっすぃーが素直じゃないからいけないんだよ?変なことしないから。体洗ってあげるだけだから。ちゃんといい子にしてて」
よっすぃーは何も言い返せない。
涙のいっぱい溜まった目で私を睨みつけるのが精一杯みたい。
「そしたら、ひどいことしないから。ね?」
それが、嘘だってこと、私もよっすぃーも分かってるけど。
でも、従うしかないでしょう?
だって、あなたは、もう、私の手の中から逃げられないんだから。
- 413 名前:姫子 投稿日:2002年07月21日(日)14時24分41秒
- 本日の更新は以上です。
ちょっと間が開いちゃってスマソ。
一応吉受けまちゅり開催ということで許して(w
後、HPを開設したのでお暇なら来てください、おまいら。
(0^〜^0)絡み小説の情報サイトです。多分。
http://www.globetown.net/~yossiy/
(0^〜^0)について語りましょう。
>402 オガマーさん
にしても、エロって書くの体力いるよねぇ。
老体に鞭打ってがんばるべ。
>403 クロイツさん
いかがでしょうか?子ウサギ(0^〜^0)。
( ^▽^ )<もっといじめちゃうわよー!!
>404
テクニシャン( ^▽^ )。
これも因果応報、自業自得ってやつですね。
(0^〜^0;)<そんなぁ〜。
- 414 名前:オガマー 投稿日:2002年07月21日(日)15時22分51秒
- 更新されてるw
なんかゾクッとする発言多しw
エロは疲れます…ヲレなんて右も左もわからないし(w
- 415 名前:名無し読者 投稿日:2002年07月21日(日)18時53分21秒
- 良い誕生日ですな♪
- 416 名前:あおのり 投稿日:2002年07月21日(日)21時49分08秒
- 梨華ちゃんのピンクの破壊神・・・・
オサーンなのに想像してめちゃくちゃ萌えてしまった自分は人間失格ですか?
ヨシコ貞操の危機(w
次回、禿げしく待っております。
あと、おめでとうございます。
- 417 名前:なっなし〜 投稿日:2002年07月22日(月)04時11分03秒
- HP開設おめ! そして、そんな誕生日おめ!
( ^▽^)寄りのいしよしヲタなのですが、
ここの(O^〜^O)にはノックアウトです。めちゃ萌えますた。
- 418 名前:クロイツ 投稿日:2002年07月22日(月)16時49分06秒
- 一日遅れですが、お誕生日おめでとうございます☆
でもって、HP開設おめでとうございます!是非とも遊びに行かせて頂きますね♪
今回の梨華ちゃん、超素敵です!!ああ、ボキャブラリーが足りなくて表現しきれないのが悔しい・・・。
でもでも、本当に本当に素敵過ぎる〜!頑張って梨華ちゃん!!おねーさんは応援してます!!(←矢口さんと同い年)
ヤラれてるヨッスィーももう、私の心を奪いまくってくれちゃってます(w
続き、楽しみにしてますね!!
- 419 名前:ごまべーぐる 投稿日:2002年07月23日(火)13時32分01秒
- 追い詰められた(O^〜^O)に萌え。今回はちょっと初期の作風も入っててお得な感じです。
- 420 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時18分31秒
- ≪8.梨華ちゃん、破壊の女神となる(其の二)≫
よっすぃーは諦めたように、胸を隠していた腕を下げた。
私はもう一度ボディーソープを手に取ると、そのままよっすぃーのおっぱいに擦り付ける。
そして、よっすぃーのおっぱいの上でくちゅくちゅと泡立てる。
水分の足らない白くねっとりした泡がよっすぃーのしろい胸元をかえって汚しているみたいに見えた。
ああ、ダメ。
私の方が興奮してる。
最初はゆるゆるとおっぱい全体を撫でていた。
やわらかいおっぱいと石鹸のぬるぬるした感触が心地いい。
まるでその感触に酔いしれるように、しばらくそれを続けていると、やわらかい感触の中に不自然に堅いものが手のひらに当たる。
よっすぃーの肌と同じで色素の薄い乳首がつんと上を向き始めていた。
- 421 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時19分01秒
よっすぃーの肩越しに顔を覗き込む。
きつく目を閉じて、くっと唇をかみ締めて、ほっぺたに張り付いた髪の先から水滴が顎の先に向けて滴って。
まるで苦痛をやり過ごそうとしているみたいな顔で。
私がこんなに興奮しているのに。
無性に腹が立った。
自分を拒絶されたような気がして。
『コワシテヤル』
自分のものとは思えない、残忍な気持ちが私を支配し始めていた。
ぐにゃり。
私は、よっすぃーのおっぱいを力いっぱい握りつぶした。
- 422 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時19分31秒
「ひっ・・・」
よっすぃーの喉の奥から小さな呻きがもれる。
体がびくんと大きく揺れる。
にゅるにゅるのよっすぃーのおっぱいは形を変えて私の指の間から逃げようとする。
だから逃がさないように何度も位置を変えて握りつぶしてやる。
「・・・痛い・・・よ・・・」
よっすぃーの掠れた抗議の声。
いくら力が入らなくても、私の手を振り払うことぐらい出来るのに、それをしようとしないのは完全に私に支配されてるから?
指一本も動かせないほど怯えてるから?
それとも。
・・・本当はこういう風にされるのを求めている、から?
- 423 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時20分22秒
きつく握りつぶしていた手を離して上げると、よっすぃーはほっとしたように小さく息を吐き出した。
こわばっていた体の力が抜けた。
その隙をついて、私はいきなりよっすぃーの固くなり始めていた乳首を摘んだ。
「んん!」
隙を突かれたよっすぃーは高い声を漏らした。
「ねぇ、堅くなってるよ?」
耳元で囁いてあげたら、よっすぃーは苦しそうにぶんぶんと首を振った。
「どうして?」
「知らな・・・」
「気持ちいいの?」
「ちが・・・」
そのまま、指の腹でひっかいてあげる。
いつの間にか真っ赤に充血した小さな乳首がぷるんと震える。
私は何度もその行為を繰り返した。
- 424 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時20分53秒
よっすぃーは耐え切れないように顎を上げた。
あらわになった白いのどが小刻みに震えている。
急に酸素の薄い場所に連れてこられたかのように、口を開けて浅い呼吸を繰り返している。
「や・・・やめ・・・て・・・」
その切れ切れの上ずった声を聞いて私は確信した。
よっすぃーは感じてる。
それも尋常じゃないほどに。
よっすぃーは感じないんじゃない。
単に快感を知らないだけなんだ。
「気持ちいいんでしょ?ねぇ、感じてるんだよ、よっすぃーは」
だったら、よっすぃーの体に直接教え込んであげるよ。
これが快感なんだよって。
- 425 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時21分41秒
「ちがう・・・!」
素直じゃないよっすぃーにはおしおき。
私は、すべての指を使って、より激しくよっすぃーの乳首を揺らした。
よっすぃーの体が跳ねる。
背中を反らせて反応する。
「うそつきは嫌い」
「んんん・・・!」
よっすぃーは声を押し殺すのに必死みたい。
声にならない声でうなる。
多分私の声は聞こえてないね。
- 426 名前:モア リアクション −吉澤開発計画編− 投稿日:2002年07月26日(金)01時22分11秒
私はよっすぃーの乳首から手を離した。
よっすぃーの口から安堵の混じった甘いため息が漏れた。
「冗談よ」
焦っちゃいけない。
ここまで来て、焦ってよっすぃーをパニックにしちゃったら元も子もなくなっちゃう。
私は自分に言い聞かせた。
思い出したように、よっすぃーの体を洗ってあげることを再開した。
腕、おなか、太もも・・・。
ゆっくりと手のひらを滑らせる。
もっと、ゆっくり。
ゆっくり追い詰めなきゃいけない。
ちゃんと、よっすぃーの意識が覚醒しているままの状態で乱れさせなきゃ。
自分がどんな風に感じて、堕ちていくのかちゃんと意識させてあげる・・・。
- 427 名前:姫子 投稿日:2002年07月26日(金)01時41分57秒
- エロなのに小出しにしてごめん。
あとスレサイズが微妙、もう次スレに移ってもいいのかなぁ?
あと自サイトに来てくださったみなさんありがとう(●´ー`●)
>>414 オガマーさん
どうも( ^▽^ )には悪魔が乗り移ってしまったようです。
危うし(0^〜^0)!!
>>415
ええ、寂しいような幸せなような素敵なバースディ。
>>416 あおのりさん
そんなこと云われたらバサーンなのにこんなの書いてる私の立場は(w
ヒタヒタと近づく三十路の足音。イヤーン。
>>417 なっなし〜さん
わはーい。うれしいです。
自分は完全に(0^〜^0)寄りなので、( ^▽^ )にはバカになってもらったり、悪魔になってもらったり正直申し訳ないと。
>>418 クロイツさん
珍しい「SいしMよし」となってきましたねぇ。
この先どこまでエロくなるかは( ^▽^ )のがんばりにかかっています。
(0^〜^0)<何故いつもSM風味なのさ?
( ^▽^ )<姫の趣味でしょ。
>>419 ごまべーぐるさん
なるほど!言われて気がつきました。
どうやら私は明るく幸せなエロが書けないみたいです。アホ( ^▽^ )は何処へ?(w
- 428 名前:名無し読者。 投稿日:2002年07月27日(土)10時23分37秒
- 「SいしMよし」がいい!
悪魔( ^▽^ )、ガンバって〜!
(0^〜^0)は、このまま堕ちちゃってください(w
- 429 名前:姫子 投稿日:2002年07月29日(月)01時26分50秒
- 何となく、エロシーンの真っ最中でスレ容量がいっぱいになっちゃいそうな気がするので(これは恥ずかしい)残りがちょっとありますが新スレに移行したいと思います。
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/yellow/1027872780/
引き続きお付き合いいただけると嬉しげ。
(;0^〜^0)<まだ続くのぉ?
( ^▽^ )<男も女もみんな行くぞ( ゚Д゚)ゴルァ!
- 430 名前:姫子 投稿日:2002年07月29日(月)01時28分29秒
- 普段sageないのにsageちった。
告知age。
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